08/10/31 平成20年10月31日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 1.日時及び場所    平成20年10月31日(金)  14:00〜 航空会館「703会議室」 2.出席委員(12名)五十音順    飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、 上 原 至 雅、     岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、 清 水 秀 行、 田 村 友 秀、    ○堀 内 龍 也、 前 崎 繁 文、 三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、  (注)◎部会長 ○部会長代理    欠席委員(4名)   新 井 洋 由、 竹 内 正 弘、 早 川 堯 夫、 山 口 一 成    3.行政機関出席者 岸 田 修 一(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻より若干早うございますが、御出席の先生方がおそろいでござい ますので、ただ今から薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会を開催させていただきます。 お忙しい中、御参集いただきまして、誠にありがとうございます。現在のところ、当部 会委員16名のうち11名の委員に御出席いただいておりますので、定足数に達しており ますことを御報告申し上げます。岡委員からは30分程度遅れるという御連絡をいただい ておりますので、岡委員が御出席になられれば12名の委員に御出席いただいたことにな ります。なお、新井委員、竹内委員、早川委員、山口委員からは御欠席という御連絡を いただいております。  それでは、部会長の池田先生、議事進行をよろしくお願い申し上げます。 ○池田部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。いつものように、事務局 から配付資料の確認と、利益相反等に関する申合せについての報告をお願いします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載されております資料1〜5をあ らかじめお送りしているところでございます。このほか、資料6「審議品目の薬事分科 会における取扱い等の案」、資料7「専門委員リスト」、資料8「競合品目・競合企業 リスト」を配付しております。  続きまして、申請資料作成への関与や、利益相反等に関します「審議参加に関する遵 守事項」に関しまして御報告いたします。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業 リストにつきまして資料8として配付しておりますが、各品目の競合品目選定理由につ いて御説明いたします。資料8を御覧ください。  1ページ目、ジスロマックでございます。本剤と同じ適応症を有します標準的な薬剤 であり、その中で構造が近いマクロライド系抗菌薬としまして、クラリスロマイシン、 エリスロマイシン及びロキシスロマイシンを競合品目として選定しております。そのう ちクラリスロマイシンにつきましては、大正富山医薬品株式会社及びアボットジャパン 株式会社の2社がそれぞれ販売しております。一方、エリスロマイシンにつきましては、 アボットジャパン株式会社が同一成分の薬剤を販売しているためエリスロシン錠を選定 し、そのうちアボットジャパン株式会社につきましては、クラリスロマイシン、エリス ロマイシンの2剤を販売しておりますので、リスト上は売上げの高い品目でありますク ラリシッド錠200mgを選定しております。そして、3品目目としましてロキシスロマイ シンにつきましては、サノフィ・アベンティス株式会社のルリッド錠150を選定したと いうものでございます。  ページをおめくりいただきまして、アザシチジンでございます。本剤が予定効能とし ております「骨髄異形成症候群」を持ち、類似の構造及び薬理作用を有しているものと してDecitabineが挙げられまして、現在、日本でも開発中との情報から、この1剤を選 定しております。なお、本邦において骨髄異形成症候群を適応疾患とする医薬品としま して「スタラシドカプセル」が承認されておりますが、これにつきましては現在では骨 髄異形成症候群にほとんど用いられていないこと、また薬理作用が異なることから競合 品目には選定せず、また、既にオーファンとして指定しておりますlenalidomideにつき ましても、同様の効能で開発されておりますが、薬理作用が異なることから競合品目に 選定しなかったということでございます。  ページをおめくりいただきまして、タラポルフィンナトリウムでございます。本剤に つきましては、悪性脳腫瘍に対します現在の標準治療への上乗せ治療という位置付けを 目指しているため、標準治療となっている抗癌剤等は競合品目には該当しないと判断さ れております。癌領域におけます光線力学的療法用剤としましては、フォトフリン静注 用75mgが、早期肺癌、表在型食道癌等を適応として市販されておりまして、悪性脳腫瘍 に対します適応は取得していないものの、臨床研究が実施されていることから、フォト フリン静注用75mgを競合品目として選定したものでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今の事務局からの説明に何か御質問、御 意見はございますでしょうか。特に競合品目、競合企業の選定について何か御意見はご ざいますでしょうか。もしございませんでしたら、本部会における審議に際しての申合 せ事項については皆様の御了解を得たということで、引き続き、委員からの申出状況に ついて説明をしていただけますか。 ○事務局 各委員からの申出状況につきまして御説明申し上げます。議題1「ジスロマ ックSR」につきましては、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委員 は池田委員、田村委員、前崎委員でございます。  議題2「アザシチジンのオーファン指定」につきましては、退室委員はいらっしゃい ません、議決には参加しない委員は池田委員、前崎委員でございます。  議題3「タラポルフィンナトリウムのオーファン指定」につきましては、退室委員は いらっしゃいません、議決には参加しない委員は池田委員、前崎委員でございます。  したがいまして、議題1〜3につきましては、堀内部会長代理に議事進行をお願いし たいと存じます。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。座長としては大変御迷惑をおかけして申し訳ござ いませんが、議題1〜3については、堀内委員に議事進行をお願いしたいと思います。  本日は、お手元のアジェンダにありますように、審議事項は3題、報告事項は2題と なっております。それでは、堀内先生、よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 審議事項につきまして、議事の進行を努めさせていただきます。議 題1、ジスロマックSR成人用ドライシロップ2gの製造販売承認の可否等について、 医薬品機構から概要を説明していただきたいと思います。 ○機構 医薬品医療機器総合機構より御説明申し上げます。  アジスロマイシン水和物は、米国ファイザー社にて開発された15員環マクロライド系 薬であり、グラム陽性菌に加え、従来のマクロライド系薬では抗菌力の弱かったグラム 陰性菌に対しても抗菌活性を有しております。本邦においては、審査報告書の4ページ にお示ししましたとおり、既に、錠剤等が承認されております。  ジスロマックSR成人用ドライシロップは、3日間投与の既承認の錠剤に対して、1 回の服用で治療を完結させることを目的とした単回投与製剤であり、100%の服薬コンプ ライアンス、短期高用量投与による耐性菌の発現抑制などを開発コンセプトとして開発 された薬剤であります。  2008年8月現在、本剤は米国、デンマーク、ポルトガル、香港を始めとする53か国 において承認されております。  本剤の専門委員としては、資料7にありますとおり、前崎繁文委員を含め8名を指名 し、御意見を賜りました。  機構は、本剤の有効性については、既に有効性が確認されているジスロマック錠250 mgとPK/PDの観点から比較し、本剤単回投与時の総曝露量は錠剤500mg1日1回、3 日間投与の曝露量を下回らないことから、本剤の有効性は錠剤と同程度以上であると判 断しました。また、実施された国内臨床試験成績において、本剤の有効性は確認されて おり、PK/PDの観点からの有効性の理論構築を補完する結果が得られているものと判 断しました。  また、本剤の安全性については、提出された資料において、既承認の錠剤と比較して 大きな差異は認められなかったことから特段の問題はないと判断するものの、審査時点 では日本人における本剤の安全性情報は限られていることから、製造販売後にも引き続 き情報収集し、新たな情報が得られた場合には医療機関に適切に情報提供する必要があ ると考えております。この点につきましては、申請者に指示し、申請者もこれを了解し ております。  機構は、以上のような審査を行いました結果、本剤の有効性及び安全性は確認できた と考え、審査報告書の3ページの効能・効果、用法・用量にて承認して差し支えないと 判断しました。  なお、再審査期間については、4年と設定することが適切であると判断しております。 また、原体及び製剤は毒薬及び劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に も該当しないと判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。よろしく御審議のほどお願い申し上げます。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。既に剤型の違うものが出ていて、錠剤で、 3日間連続投与する、それでおしまいにするという形でしたが、ドライシロップで、2g というと少し大量投与を行って、特に組織親和性が強いので、1回投与で7日間は抗菌 性が維持できるものということでありますが、御意見、御質問はございますでしょうか。 ○清水委員 名称のことで一つ教えていただきたいのですが、近年の機構の考え方の方 向性ということでお答えいただいても結構ですけれども、記憶に新しいところですと、 タクロリムスの製剤が1日2回の「プログラフ」という商品で発売されていたものを、 1日1回の製品の申請があったときに名称を変えて「グラセプター」という名称で承認 されましたが、今回の薬剤について、審査報告書を読みますと、名称が二転三転してい る部分がございます。最初の申請が「ワン」であったものを、片仮名で「エスアール」、 それから「ワンスマック」ということでの審議もあったように書かれていると思います が、最終的には英字で「SR」の表記、末尾記号を付けるという表記で今回の申請の最 終的な段階では至ったように読み取れました。これまで医療過誤防止の観点から、名称 に末尾記号を付けることは、記載を忘れたときに他の同商標の薬剤と混同してしまう可 能性があるということで、末尾記号を付ける名称は余り好ましくないと考えていたので すが、今回はあえて「SR」という名前で落ち着いたようですけれども、商標を付け替 えるべきなのか、末尾記号等で識別をしていくべきなのか、この辺についての御意見を お伺いしたいと思います。 ○機構 御指摘いただいた点につきましては、私どもの方でも議論をしまして、専門委 員にも御意見を聞いたのですが、考え方としましては、既にジスロマック製剤が、市場 に出回っているものとして錠剤、小児の細粒とカプセル剤と、複数の製剤があるという ところで、この製剤の名前を変えてしまった場合に、そもそもこの薬剤がアジスロマイ シンの製剤であることが認識されなくなるのではないかということを懸念いたしまし た。もう一方、医師が処方する場合に、オーダリングシステムなどを想定いたしますと、 「ジスロマック」という前半部分の名称が同じであると、オーダリングシステムで区別 しやすいのではないかということも考えました。  それから、片仮名で「エスアール」という表記か、英字で「SR」かということです が、片仮名で「エスアール」ですと、何を意味するのか十分に分かるのかということを 懸念しまして、一方、英字で「SR」と表記するものについては、通知で表記していい 例示として挙げられておりまして、既にほかの薬剤等でも使われていることから、英字 で「SR」というものを選択することにいたしました。 ○堀内部会長代理 追加することはございますか。審査第一部長、何かありますか。 ○審査第一部長 医薬品の販売名につきましては非常にいろいろな観点がございまし て、どれでなければいけないということはなかなか決め難いところがございますが、大 まかなルールにつきましては通知等に示されております。先生の御指摘のように、この ような新たな剤型変更が行われた場合に、ブランド名を変えるか変えないかというのは、 一方では同じ成分であることが分かるように同じブランド名を使うという考えもござい ますし、あるいは同じ成分名で非常に多くの剤型がある場合に、それが分かりにくいで はないか、混同が起きやすいではないかという、その二つの面があるかと思っておりま す。  御指摘いただきましたタクロリムスの件につきましては、製剤上の工夫ではございま すが、必ずしも生物学的な同等性をとって作られた製剤ではないことから、切り替えて 使うときに誤りが起こりやすいのではないかということでブランド名を変えさせていた だいたというところがございます。今回のものにつきましては、PK/PDで速放性の製 剤と薬物動態を合わせて開発をされたということもございまして、むしろ同じ成分名の 医薬品であることが分かりやすいように同じブランド名を採用した方がよかろうと考え た次第でございます。 ○堀内部会長代理 ほかにございますか。 ○前崎委員 既にジスロマックは錠剤が承認されて同じような適応症になっているので すが、錠剤が承認された時期と比べますと、今は肺炎球菌、特にマクロライド耐性の肺 炎球菌のリスクがかなり増えています。今回の治験でもマクロライドに高度耐性の肺炎 球菌に対して菌の消失率が少し悪かったのですが、臨床効果が有効であったということ で肺炎に対する適応症が挙げてあると思うのですけれども、実際にこれだけ高度耐性菌 なのになぜ臨床効果がこのように出たのかということが、いまいち審査報告書から分か らないところがあったのですが、その辺はどのようにお考えであるのか。それから、今 後、特定使用成績調査、その他で、マクロライド耐性菌に対する有効性の確認を再度す る必要があるのかということについてお考えをお聞きしたいと思います。 ○機構 まず、有効性の方でございますが、マクロライド系薬については、抗菌作用以 外にもいろいろな作用がうたわれておりますので、免疫賦活的な作用等も働いた可能性 等も我々は考えております。ただし、推測の範囲であって、厳密な確定はできないと考 えております。  それから、肺炎球菌の耐性化の話でございますが、前崎委員の御指摘のとおりでござ います。ただ、今回実施された臨床試験から判断する限りでは、肺炎球菌を除外するほ どではないと考えております。したがいまして、「アジスロマイシンに感性の」という 適応菌種にしてございますので、肺炎球菌については近年、耐性化が進んでいるという ことも加えて情報提供した上で、適切に感受性を確認しながら使用していただくように、 情報提供等を進めたいと考えております。 ○守殿委員 性感染症についてですが、大筋の結論はこれでいいかとは思いますけれど も、資料の途中で、例えば56ページの下の方、それから59ページの下10行ほどで、結 構、外国の文献が引用されています。しかし、STDはその国々で微生物の感受性は違 ってきていまして、アメリカではキノロンの淋菌耐性はまだ10%もいっていないのでは ないかと思います。我が国では70〜80%とのデータもありますが。そのようなことがあ りますので、外国の文献での有効率等は余り参考にならないと思っております。そうい う記載が随分出てくるものですから、それで少し違和感を感じます。そういう記載の典 型的なものは、57ページの一番上の「セフェム系又はニューキノロン系抗菌薬との併用 による」というのは、我が国では余りこういう治療方法は、併用などは行われていない はずです。  それから、有効率が80%台ということは、少なくともSTD学会のガイドラインでは 掲載しない。というのは、性感染症というのは特殊な感染症といいますか、患者さんは 1回きりしか外来を受診しないということを念頭に置いて治療するべきなのです。3割 前後の方は再診をしませんので、1回で治しきれる薬をガイドラインに載せるという傾 向にあります。すなわち、有効率が95%を超えないと採用できないという形があります。 そういうことですので、今回の2gについての日本のデータはありません。恐らく100 %くらいにいくだろうという予測はできるかと思いますけれども、残念ながらデータが ない。これは是非とも市販後調査でやらないといけないことだと思います。そうでない と、少なくともガイドラインには載せられないという状況が続きます。11月に2008年 度版が出るのですが、現状では恐らく使えるだろうというような記載もしかねると思い ます。データをそろえていってほしいと思います。 ○堀内部会長代理 今の問題は、国によって耐性の程度が違うのではないかということ ですが。 ○機構 御指摘賜りました、海外のガイドライン等が引用されているところは、申請者 の言い分というか、申請者の意見でございまして、私どもといたしましても、特にST Dにおいては、国内外で状況が異なるのではないかと考えております。有効率80%とい う点でございますが、守殿先生の御指摘のとおり、その有効率では初回の3日間投与の 製剤のときには、対照薬とパーセンテージ的に劣るような数値になっておりましたので、 適応症から外れるという状況にございましたが、同じく守殿先生の御指摘にもございま したとおり、本邦においてはキノロンの耐性が非常に進んできているという、耐性化の 状況が他の国と異なっていること、また、その耐性が進んでいるという状況も踏まえま すと、そのような他の薬剤に耐性になった患者様に対しては、この薬剤が選択肢の一つ となり得るのではないかと考えております。  もう一つ、先生の御指摘のとおり、今般の申請に際しては、STDの新しい臨床試験 は実施されておりません。しかしながら、過去の臨床試験の有効率、その当時と比べて 本剤に対する感受性は変わっていないこと、そのようなことも考え合わせると、現状に おいては、もし8割程度であったとしても、この薬剤を何番目かの選択肢として承認す ることに意義があるのではないかと考えて、承認するという判断に至ったものでござい ます。御指摘のとおり、現状における本剤の有効性、安全性に関するデータは、STD に関しては得られておりませんので、製販後に積極的に収集するよう申請者にも指示を し、その旨を申請者も了解している状況でございます。 ○守殿委員 米国で、淋菌に対して耐性菌が出ていないというのは、高用量単回投与と いうことですね。ですから、以前の1gのOD錠が開発されたときに淋菌にも効くとい う形にならなかったことは、非常に幸いといいますか、1gでは用量的に少ないという ことで、これを長期にわたって使われると、耐性菌が問題になると泌尿器科の専門医の 中で指摘されていました。今回は2gですので、単回ですし、耐性菌は極めて出現しに くいだろうという予測はできるかと思います。 ○堀内部会長代理 せっかくですからエビデンスをきちんと出すように指導していただ いて、ガイドラインに載せられるものといったら載せるという必要があるかと思います が、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。  一つだけ、「開発の経緯」の31ページですが、申請をする立場では、この薬をエンピ リックテラピーに使おうというように最後のところに書いてあると思うのです。使える のではないかと。また、各種感染症の第一選択薬の一つになり得るだろうということに なっていますが、この薬の位置付け、それから、特に1回投与ということですが、これ についてはどう考えたらよろしいのでしょうか。要するに、ファーストチョイスで使う ような。確かに、1回で済めばいいからということで、どんどん使うような薬かなとい う気がいたしますが。 ○機構 1回投与につきましては、先ほど守殿委員からも御指摘がございましたように、 STDに対象としてはメリットがあるのではないかと考えておりますが、申請書に記載 のあるものについてはエビデンスがないと我々も考えておりますので、今後、これに関 してサポートするエビデンスを入れていくことが必要であろうと考えております。 ○堀内部会長代理 ファーストチョイスでこれを使うということで考えてよろしいので すか。感染菌が特定できない場合に、最初にこれを使いましょうという形の使い方がで きるのではないかとメーカー側は考えているように受け取れるのですが。 ○機構 その点につきましては、得られている臨床試験成績からは、そのような使い方 は推奨できるものではないと考えております。あくまで本剤はアジスロマイシン製剤、 錠剤と同じ位置付けという扱い方をすべきものと考えております。 ○清水委員 この薬剤について、患者さん用に別途に情報提供資材を作成することを検 討しているということが書かれているようですが、どのような内容で検討がされている のか、現状の範囲で結構ですので、教えていただければと思います。 ○機構 現在、議論しております情報といたしましては、今回、単回投与の製剤という ことで、患者さんがこの薬剤を用時水に溶かして飲むということで、通常の薬剤と少し 違う飲み方をしますので、そこの情報を適切に提供すべきであるというところと、副作 用の情報を患者さんに十分提供できる資材を作りたいと思っております。 ○堀内部会長代理 一つ、添付文書の件ですが、用法・用量で、「用時水で懸濁し、空 腹時に1回経口投与する」となっておりますが、用時、懸濁をするということの意味は、 どういうことがあるのでしょうか。懸濁液にするから、置いておくとどのようなことが 起こるかとか、溶出してしまうとか、それが影響するかどうか。これは1回投与で2g ですから、血中濃度がかなり高くなりますね。これまでの3回投与から比べると2〜3 倍高くなるということがあると思うのですが、それとの関係はどうですか。 ○機構 用時の意味ですが、原則としまして投与する直前に水に懸濁して飲むことが使 用方法としてはあります。ただ、製剤の安定性の試験として、懸濁した直後と12時間放 置しておいたときとで溶出性のプロファイルに違いがないことを確認しておりますの で、最悪12時間まで放置しておいても、化学的には違いがないことは分かっております が、何分、患者様の方で飲むということになっておりますので、「用法及び用量に関連 する使用上の注意」におきましては、懸濁後は速やかに服用することと注意書きをさせ ていただいております。 ○堀内部会長代理 是非、患者に分かりやすい表現にする必要があると思います。 ○機構 御指摘を踏まえまして検討いたします。ありがとうございます。 ○池田部会長 これは1回ということで、コンプライアンスは非常によくて、便利だと 思うのですが、高齢者のことがいろいろ書いてありますね。1回飲ませて1週間という ことになって、非常に便利なので、高齢の方は使うのではないかと思うのですが、少し 飲みにくいと言えば飲みにくいですね。この記載を見ていて少し分からないのは、差が ないというふうに大体書いてあるのですが、よく見ると少しずつ、Cmaxなども違って いる気がするのです。これは、一番高齢といっても大体75歳くらいまでの人を対象にし てやっている気がするのですが、もう少し上の人が飲むような気もしないでもないので、 本当に年齢によって差がないということをはっきり書いていいデータなのかどうかが気 になるのです。Cmaxなどを見ると、少し違いますね。症例数が非常に少ないというこ ともあって、統計学的には恐らく有意差は出ないのだろうと思うのですが。その辺はど うでしょうか。高齢者のことについてもう少し。逆に、消化管の副作用に関しては、高 齢者は少ないと書いてあるのです。高齢者が服用したときの感じがつかめないのですが、 その辺を教えていただけますか。 ○機構 薬物動態に関しましては、高齢者、非高齢者を確認いたしましたところ、双方 に大きな差はないと考えております。しかしながら、検討しておりますものが超高齢者 と外れております。したがいまして、本当に安全性の観点で超高齢者と非高齢者が同じ かどうかというところは、今後、確認していく必要があると考えております。高齢者の 方が副作用が一部低く出ているというようなものにつきましても、この薬に特化した話 ではございませんが、高齢者では副作用等が起こっていても検知しにくいという報告等 もございますので、注意深く観察するように申請者にも指示したいと考えております。 ○堀内部会長代理 外国人と同等の用量ということになっておりますので、日本人の場 合に体の大きさ、その他だけでも大分違う可能性もあります。  それから、添付文書に食事との関係、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の(3) に、「本剤は、食後2時間以上の空腹時に服用する」となっているのですが、3ページ の一番上に、食後に投与するとCmaxが2.2倍くらい上がる、Tmaxが2時間早まるとい うことで、薬物動態から考えるとかなり違うと思います。それを合わせて使用上の注意 のところに、こういう理由だから食間に飲むという書き振りにしていただけると分かり やすいと思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 ありがとうございました。御指摘を踏まえまして、より分かりやすい記載方法 を検討したいと思います。 ○庵原委員 この薬の小児への適用の拡大についてもし分かりましたら教えてくださ い。と言いますのは、現在のジスロマックのドライシロップは、小児に対してコンプラ イアンスは余りいいという評判ではないです。1回投与が可能になってきますと、小児 科領域で非常に期待される剤型になるかと思います。この辺りのメーカーの動きなどは いかがなものでしょうか。 ○機構 その点につきましては、機構も小児への開発の意義は高いのではないかと考え ておりまして、審査報告書の62ページに、その点につきまして申請者に伺った旨を記載 しております。そのところ、申請者としましても、現在、小児用製剤の開発を検討して いるということですので、今後の開発が期待されるのではないかと考えております。 ○庵原委員 ということは、これを使って小児に適用拡大するという意向ではなくて、 別の剤型で新たに作り直すという解釈でよろしいのですか。 ○機構 別途、小児用で、同じようなコンセプトで徐放化したような製剤を開発するこ とを検討しているという旨でございます。 ○堀内部会長代理 是非、小児用を、投与量も含めて、これはかなり特殊な使い方とい うか、そういう抗生物質だと思いますので、開発していただければ有り難いと思います。 よろしいでしょうか。ありがとうございました。それでは、議決に入りたいと思います。 今回は、池田委員、田村委員、前崎委員におかれましては、利益相反に関する申出に基 づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。議決をしたいと思いま すが、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようですので、承認可という ことで、薬事分科会に報告させていただきたいと思います。  それでは、議題2、アザシチジンを希少疾病用医薬品として指定することの可否につ いて、御議論をいただきたいと思います。事務局から概要を説明していただきたいと思 います。 ○事務局 事務局から御説明いたします。希少疾病用医薬品の指定の可否について、資 料2に基づいて御説明いたします。品目の名称はアザシチジン、対象疾患は骨髄異形成 症候群、申請者は日本新薬株式会社です。対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性 の三点の事前評価について御説明いたします。  対象疾患の患者数については、本邦における骨髄異形成症候群(以下、MDS)の患者 数は、厚生労働省大臣官房統計情報部による調査によりますと、総患者数は平成17年で 約9,000人、死亡数は平成17年で2,484人という報告がございます。以上により、本邦 における対象患者数は50,000人未満であり、希少疾病用医薬品の指定基準を満たすと判 断されます。  次に、医療上の必要性についてですが、MDSは造血幹細胞のクローン性異常等によ り血球減少症と前白血病状態を呈する疾患群の総称で、臨床症状の多くは血球減少に基 づく貧血症状、易感染状態、及び出血症状であり、高率に急性骨髄性白血病へ進展する 予後不良かつ難治性の疾患であります。MDS患者は、高齢者に多く、本邦の調査によ る年齢中央値は65歳とされております。  本疾患の治療には、輸血や造血因子等を用いた支持療法、少量又は通常量の化学療法 等の延命やQOLの改善を目的とした治療、及び同種造血幹細胞移植による根治的治療 があります。同種造血幹細胞移植が唯一の根治的治療となりますが、治療関連の合併症 ・死亡率が高く、また高齢者や合併症を有する患者では適応が困難であるため、高齢者 の多い本疾患では移植が実施可能な症例は限られております。このため多くのMDS患 者では、輸血等の支持療法や、化学療法による延命効果を期待した治療が実施されます が、臨床上、満足できる効果は得られず、また治療薬の選択肢が限られている状況です。 そのため、MDS治療における有効な治療法の開発が臨床現場では望まれております。  リスクの高いMDS患者を対象に、全生存期間を主要評価項目として、本薬群と通常 治療群とのランダム化第III相比較試験が欧米15か国で実施されております。その結果、 生存期間の中央値は本薬群では24.5か月、通常治療群では15.0か月であり、安全性に ついても、本薬は既存治療のうち毒性の強い通常量化学療法と比較しても、安全面で著 しく劣るものではないと考えられました。  当該第III相試験の結果から、本薬は既存の治療法を上回る有効性が期待されると考え られ、また、骨髄毒性等の一定の有害事象は認められるものの、既存治療に安全性で劣 るものではなく、多くは治療延期や支持療法等による管理が可能であると考えられまし た。以上の結果から、本薬は医療上、特に必要性が高いと考えられ、希少疾病用医薬品 の指定条件を満たすと判断いたしました。  最後に、開発の可能性についてですが、米国では、公的臨床試験グループであるCALGB による臨床試験のレトロスペクティブなデータを収集し、それを基に、FAB分類によ るMDSの全亜型を適応症として、皮下投与法については2004年5月に、静脈内投与法 については2007年1月に承認されております。EUでは、MDSを適応症とした申請が 2008年1月に行われております。以上の国内外での開発及び承認の状況、並びに第III相 試験の結果より、本薬の開発の可能性は高いと考えられ、希少疾病用医薬品の指定基準 を満たすと判断されます。  以上です。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○堀内部会長代理 ありがとうございました。御意見、御質問はございますか。骨髄異 形成症候群を対象とした薬ということで、とりあえずは進行した後の急性骨髄性白血病 は対象にしないということのようですが。 ○清水委員 製剤について少し教えていただきたいのですが、欧米での申請で使われた 製剤としてでもかまわないのですけれども、これは1バイアル中に100mgの凍結乾燥品 ですが、この調製の方法というのは、どのような方法の製剤になっているか、分かった ら教えてください。 ○事務局 調製の方法とおっしゃられるのは、製剤のときですか。それとも、実際に現 場で使われるべきときのことですか。 ○清水委員 現場で使われるべきときの調製の方法です。 ○堀内部会長代理 今議論しているのは、これは承認をするものではないので、これか ら開発をするということなので、承認審査をするときにその問題をまた出していただけ ますか。 ○清水委員 はい。 ○審査管理課長 今、資料を持ち合わせておりませんので、必要でございましたらアメ リカの添付文書とか、そういうものが手に入るかと思いますから、その写しをファック スなりで送付させていただきたいと思います。 ○清水委員 申し訳ありません。ありがとうございます。 ○堀内部会長代理 ほかによろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。こ の議論は、池田委員と前崎委員におかれましては、利益相反のことがございますので、 議決への参加を御遠慮いただきたいと思います。アザシチジンをオーファンドラッグと して指定をすることの条件、患者数、開発の可能性、有効性、安全性、これまでのデー タの有効性、安全性、それから開発の進展状況からいって、指定をすることに問題はな いということで、指定ということでよろしいでしょうか。ありがとうございます。御異 議がないようですので、指定可ということにしたいと思います。これについては薬事分 科会に報告ということにさせていただきたいと思います。  次に、議題3に移りたいと思います。タラポルフィンナトリウムを希少疾病用医薬品 として指定することの可否について、事務局から概要を説明していただきたいと思いま す。 ○事務局 資料3に基づいて御説明いたします。品目の名称はタラポルフィンナトリウ ム、対象疾患は悪性神経膠腫に対する光線力学療法における光感受性増強、申請者は明 治製菓株式会社です。希少疾病用医薬品の指定要件として求められております対象患者 数、医療上の必要性、開発の可能性の三点の事前評価について御説明いたします。  対象疾患の患者数については、疫学調査などから本品目の対象とする疾患の正確な患 者数を把握することは困難ですが、原発性脳腫瘍の発生頻度が人口10万人当たり12人 程度であることから、日本の人口に当てはめて計算したところ、約16,000人と推測され ます。原発性脳腫瘍の中で約15%が悪性脳腫瘍であるとされていることから、日本国内 における悪性脳腫瘍患者数は約2,400人となることから、指定要件である50,000人未満 を満たすと判断されます。  次に、医療上の必要性についてですが、現在、悪性度の高い脳腫瘍の治療法は、第一 に外科的切除が考えられておりますが、脳の深部に発生した腫瘍や生命維持に重要な脳 組織に浸潤した腫瘍等については腫瘍の全摘出が困難であるため、その一部が残存し再 発をすることが少なくありません。そのため、術後に放射線照射と化学療法の併用が行 われております。当該領域で用いられる薬剤については、既存のニトロソウレア系薬剤 等の単独又は併用療法が行われておりますが、現在、テモゾロミドと放射線照射の併用 療法により、初発の悪性神経膠腫患者では、放射線照射の単独に比較して2.5か月の生 存期間の延長が認められております。放射線療法とテモゾロミドの併用が標準的な治療 法として実地医療で現在は使われているものの、依然として悪性神経膠腫患者の予後は 大変不良でございます。  本薬は、植物のクロロフィリン由来のクロリン骨格にアスパラギン酸をアミド結合さ せたレザフィリン製剤というもので、光線力学療法の光感受性物質です。光線力学療法 は、腫瘍細胞に集積性のある光感受性物質を投与し、腫瘍細胞に集積したところでレー ザ光により光化学反応を引き起こさせ、細胞を変性壊死させるものです。  本剤の対象となる患者集団はテモゾロミドとは異なり、摘出術が行われる患者に対し 術中に光線力学療法を施行されるものでございますので、悪性神経膠腫に対する新規の 治療法の開発ということで、医療上、必要性が高いと考えられております。このため、 希少疾病用医薬品の指定基準を満たすものと判断できるものです。  最後に、開発の可能性ですが、近年、脳腫瘍に対する集学的治療における手術時の工 夫として、再発の原因となる浸潤部の腫瘍細胞と混在する正常細胞を区別して、腫瘍細 胞のみを死滅あるいは切除する技術の確立が重要とされております。  本剤を光感受性物質として利用した光線力学療法は、早期肺癌の局所治療法として応 用されて、既に承認されております。浸潤範囲が5mm程度まではレーザの深達性が確保 されているとされております。したがって、脳腫瘍の領域に対する光線力学療法は、脳 腫瘍の摘出術中であれば十分可能であると考えております。  本剤を用いた脳腫瘍の領域で、臨床経験としては、国内1施設で臨床研究が行われて いるため、極めて限定された成績であり、本剤の脳腫瘍に対する有効性については、明 らかとはなってございません。したがって、本剤の開発の可能性について、現時点では 評価が困難であると言えます。しかしながら、脳腫瘍の領域では開発の可能性を否定す るものではないと考えられました。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点から、本薬について希少疾 病用医薬品としての要件を満たすと判断されます。  なお、本剤の使用に当たっては、脳外科用専用のレーザ照射装置の併用が必須でござ います。レーザ照射装置については別途、医療機器・体外診断薬部会において、希少疾 病用医療機器として指定をすることの可否について、審議をいただく予定でございます。 本剤及びレーザ照射装置、双方そろって指定して差し支えないという御結論をいただい た後に、同時にオーファンの指定をする予定でございます。以上です。よろしくお願い します。 ○堀内部会長代理 どうもありがとうございました。それでは、御質問、御議論をお願 いいたします。脳腫瘍の摘出術中に使うということ、それから、光感受性を高めて、そ れにレーザを当てることによって細胞を死滅させるということで、医療上の必要性、開 発の可能性が十分にあるではないかということですが、よろしいですか。  それでは、決を採りたいと思います。これにつきましても、池田委員と前崎委員にお かれましては、利益相反のことがございますので、議決への参加をお控えいただきたい ということです。議決をしたいと思いますが、御異議はございますか。ありがとうござ います。御異議がないようですので、指定を可として、薬事分科会に報告ということに させていただきたいと思います。  それでは、池田部会長にお返しいたします。 ○池田部会長 堀内先生、どうもありがとうございました。それでは、審議事項3議題 が終わりましたので、報告事項に移りたいと思います。機構から説明をお願いします。 ○機構 報告事項の議題1「医薬品ジェムザール注射用200mg、同1gの製造販売承認 事項一部変更承認について」報告いたします。本剤は、デオキシシチジン誘導体の代謝 拮抗剤であり、現在は、「非小細胞肺癌、膵癌、胆道癌」の効能・効果で承認されてお ります。今般、日本イーライリリー株式会社から、尿路上皮癌の効能・効果を追加する 製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構に おける審査の結果、本剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  続いて、議題2「医療用医薬品の再審査結果について」まとめて報告いたします。資 料5-1は、一般的名称は「レボフロキサシン水和物」、販売名は「クラビット点眼液0.5 %」、資料5-2は、一般的名称は「リラナフタート」、販売名は「ゼフナートクリーム 2%」、資料5-3は、一般的名称は「トレチノイン」、販売名は「ベサノイドカプセル 10mg」、資料5-4は、一般的名称は「フルタミド」、販売名は「オダイン錠125mg」の、 それぞれ医薬品再審査確認等結果通知書です。これらの品目につきまして、市販後の使 用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に基づいて再審査申請が行われ、審査 の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている承認拒否事由のいずれにも該当し ないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認事項について変更の必要はない 「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。ただ今、報告事項について説明していただき ましたが、まず、承認事項の一部変更です。効能・効果の追加ということで、ゲムシタ ビンがございます。尿路上皮癌を効能・効果として追加しようということですが、これ について何か御質問はございますでしょうか。 ○堀内部会長代理 これは、データとしては、シスプラチンと併用をしたデータという ことですが、それで比較をして、従来、違う治療方法と比較という、非劣性ではないの で有効であろうということだと思うのですが、この場合には、例えばシスプラチンとの 併用ということを条件、条件と言うと語弊があるのですが、単独で有効かどうかという データはないように思うのです。その辺はどう考えたらよろしいでしょうか。 ○池田部会長 機構の方からどうですか。これはGC療法ということでスタディをやっ たわけですが。 ○機構 御指摘の点は、医療現場での状況だと思いますが、基本的に今回のランダム化 第III相臨床試験は、ゴールデンスタンダードのM-VACに対しましてGC療法が検討さ れたということです。優越性を求めた試験ですが、検討結果としては、それは証明でき なかったという結果であります。  単独に関しましては、情報は現在ございません。ですので、今回はファーストライン でのGCの承認でございますので、医療現場で、腎毒性等の問題で、シスプラチンの代 わりに他の白金製剤を用いるということもあり得るとは思いますが、基本的にはGC療 法が用いられるということだと思います。  繰り返しになりますが、単独での使用を推奨するものではないということは、審査報 告書の中にも書いてあるとおりでございます。専門医が使うというのが原則でございま すので、GCが用いられることと、こちらとしては考えております。 ○池田部会長 守殿先生、ゲムシタビンが単独で使われる可能性について、何か御意見 はございますか。 ○守殿委員 というよりも、シスプラチンに単剤での有効率の限界では、併用療法の方 が優れているという証左は既につかんでいるわけですから、その辺からの発想での今回 の申請ではないかと思います。相当長い間、M-VACしかなかったものですから、しか し、それに限界もありましたので、M-VAC療法での無効例とか、いろいろこれから症 例が積んでいかれると思います。 ○池田部会長 現実的には、ゲムシタビンが単独で使われる可能性はほとんどないと考 えてよろしいわけですか。 ○守殿委員 シスプラチンも、単独で使われるということは、現状ではないと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 細かいことですが、添付文書の4ページの「尿路上皮癌」のところ ですけれども、そこの文章の中で、「本剤とシスプラチンとの併用投与」、要するに、 下の表のところで「GC群」というのが出ているのですが、GC群というものの説明が ないので、そこにGC群というのを入れておかないと、分からないかと思います。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○審査第一部長 御指摘の点、分かりましたので、適切に対処させていただきたいと思 います。 ○池田部会長 おっしゃるとおりですので、よろしくお願いいたします。そのほかに、 このゲムシタビンに関して何か御質問はございますか。よろしいですか。それでは、ゲ ムシタビンについては御確認いただいたということにさせていただきたいと思います。  再審査結果の報告でございます。4品目あるわけでございますが、これについて何か 御質問はございますか。クラビット点眼液、ゼフナートクリーム、ベサノイドカプセル、 そしてフルタミド、オダイン錠、この4品目でございますが、委員の先生方、何か御質 問はございますでしょうか。 ○堀内部会長代理 再審査結果というのはかなり重要だと私は思っているわけです。市 販後の、いろいろな検討をした、あるいは検討したデータが審査をされて、その有効性 と安全性について評価されるということです。今、薬害肝炎のことをやっておりまして、 当時、今の状況と違いますが、名前が変わったからということで、新薬扱いにして再審 査を延ばしてしまったということがあって、それが一つの議論の争点になったりしてお りますので、やはり再審査のデータが現場にも反映されるような形というのが大事では ないかと思っています。  その観点から見ますと、資料5-3、トレチノインの添付文書で、副作用が出ておりま すが、この副作用の発現頻度が、かなりの症例数が市販後調査で出ております。そのデ ータを入れるべきではないかと思います。副作用のところでは、こういうものが起こる ことがあるという表現にしかなっていない。ところが、再審査報告書の中には数値が出 ているわけですので、何パーセントくらい起こるかというのは、現場では極めて重要な ことだと思いますので、入れることを考えていただきたいと思います。 ○池田部会長 非常に重要な御指摘だと思うのですが、それについてはどうですか。 ○審査第一部長 新薬が承認された後、再審査期間中にいろいろな製造販売後調査が行 われるわけでございますが、まず、重篤な副作用につきましては、薬事法の規定に基づ きまして、その都度、速やかに機構の方に報告されることになっておりまして、その報 告に基づいて、必要に応じて添付文書の改訂等が行われております。  それから、再審査期間中に行われます使用成績調査等の、投与される対象を特定いた しまして副作用の頻度が分かるような調査の結果でございますが、これにつきましても 再審査期間中に定期的に報告をいただいております。使用成績調査の結果が出ましたら、 信頼性の調査等がございますが、それを踏まえて、添付文書の副作用の項の冒頭に、承 認時は承認時までの臨床試験、治験の成績を記載しておりますが、市販後の使用成績調 査の結果が出た場合には市販後の結果も併せて記載するようにしてございます。  再審査につきましては、再審査の申請から結果が出るまで若干ラグがございますので、 今お示しをしております4品目では、大体既に使用成績調査の結果が添付文書に反映さ れております。 ○池田部会長 このレチノイン酸ですが、臨床血液学会と血液学会、これは一緒になっ て一つの血液学会になったのですが、学会の指定する施設で調査をすることになってい たわけです。この調査そのものの結果、この報告書は、学会の方には。これは非常に専 門的で、一般の医師は恐らく使わないだろうと思うのですが、それは学会の方から請求 をして頂くという格好なのか、あるいは企業の方に言うのか、あるいは行政の方から企 業の方へ指導して、学会の方にもフィードバックしなさいと言ってくださるのか、その 辺はいかがですか。 ○審査第一部長 御指摘の点につきましては、企業に伝えて、指導したいと思います。 ○池田部会長 今は学会も、ホームページあるいは雑誌等を通じて、行政から発出され るこういう安全性情報を、ほとんどの学会が載せるようにしているのではないかと思う のです。ですから、そういうものと一緒に、会員は一生懸命見ますので、是非そういう 情報を頂けると有り難いのではないかと思います。 ○審査第一部長 分かりました。 ○堀内部会長代理 これはオダインについても同じですか。再審査報告書ですと5,662 例となっていますが、添付文書を見ますと6,192例についてのデータが出ております。 これは、審査したときのデータが古いので、添付文書の方が更に付け加えたデータで議 論をやっていると考えていいのですか。 ○審査第一部長 そうでございますね。再審査報告書の方は、再審査申請資料に基づい て記載をしてございます。 ○堀内部会長代理 それから、これは重み付けをやる必要があると私は思うのです。例 えばオダインですが、副作用の現れ方、パーセンテージが、例えば女性型乳房が2.9%、 食欲不振が2.0%、下痢が1.7%となっていて、もっと高いものは、例えば肝機能の十数 %というのは後の方になっているのですが、重み付けの順番とか、そのようなことは難 しいのでしょうか。 ○審査第一部長 基本的には発現率の順で記載をするのが原則だと思いますが、この品 目の場合には副作用と臨床検査値異常とを分けて記載しておりますので、御指摘のAS T、ALT以下については臨床検査値異常ということで、臨床検査値異常の中で発現率 が高いものから並べているということだと思います。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○守殿委員 オダイン錠につきましては、3.の副作用のところは2008年6月の時点で 調査による結果が示されているわけですか。 ○審査第一部長 そうでございます。 ○守殿委員 これは、発売当時と比べたら相当高い数値になっているはずだと思うので すが、そうなのでしょうか。と言いますのは、カソデックスとこれはほぼ同等の薬です が、オダインは肝機能障害が目立つということで、使用頻度は大分違うのではないかと 思うのです。その辺は発売時と比べて何か違っているのですか。 ○審査第一部長 再審査の資料の評価の際には、なかなか他の成分の医薬品との比較は 直接できにくいところがございますが、報告書の2ページを御覧いただきますと、使用 成績調査の副作用発現症例率は、1回目で25.4%、2回目で33.8%ということで、承認 時までの、臨床試験(治験)での発現率42.8%に比べて、特に高くなることはなかったと いう市販後調査の結果ではございます。 ○守殿委員 別に比較をしてほしいということではなしに、市場に出てからの状況が大 分、肝機能等の評価が臨床の現場では変わってきておりますので、それで質問したわけ です。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。 ○堀内部会長代理 この場合に、全生存期間については、余り延長するという効果は認 められなかったというのが再審査報告書だと思うのですが、腫瘍の縮小効果などはある として、添付文書には、普通はそういうものは入れないのですか。要するに、縮小効果 があれば、それでいいと。ただ、癌などの場合は、全生存率がどう変わるかというのが 一番大きな問題だろうと思うのです。それについては、有効性はいろいろなところでや っても出なかったというのがこのデータだと思うのですが、それは、本来なら反映させ るべきではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。 ○審査第一部長 主要な有効性に関する試験成績が出た段階では、臨床現場の方にその 試験成績の情報提供が必要だと思いますし、実際にやられていたのではないかと思いま す。この場ではちょっと確認できませんが。  それから、添付文書にそれを反映するかどうかということにつきましては、必要に応 じてということだと思いますので、もしこの場で必要だという御指摘であれば、その旨 を申請者に指導したいと思います。 ○堀内部会長代理 できれば、無病再発期間は対照群に比較して有意に改善したけれど も、全生存期間については改善されなかったとか、何か表現をしていただければ有り難 いと思います。 ○守殿委員 フルタミドだけで治療をされる前立腺癌症例が少ないと思うのです。ほと んどはLH-RHとの併用療法ですので、その辺で、本剤だけでの予後というのは、症例 数も少ないですから、出しにくいとは思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。恐らく先生方の御意見は、再審査報告を既に 反映させて添付文書を改訂しているところもあるし、新たに出てきたところをもし反映 させていただけるのであれば、そのように指導していただきたいということだろうと思 いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○守殿委員 本剤は副腎から出るアンドロゲンを抑えます。これとLH-RHホルモンと の併用療法でトータルにアンドロゲンをブロックするということです。この治療法の結 果は、まだ日本では完全なランダムコントロールテストがないのではないかと思います。 ○堀内部会長代理 この再審査報告書の7ページにKaplan-Meierの生存曲線がありま すが、これはLHだけと、それからLHにフルタミドを加えたというデータではなかっ たでしたか。そうすると、結局は生存期間に余り影響なかったというデータかなと思っ て見ましたが。今でなくていいのですが、その辺をできるだけ添付文書に反映させるよ うな形にしていただければと思います。 ○池田部会長 ありがとうございました。この再審査報告書は非常に貴重な資料なので、 是非それを活かすような格好で指導をお願いしたいと思います。そのほかに何かござい ますでしょうか。よろしいですか。それでは、再審査報告書も御確認いただいたという ことで、今の議論を踏まえて、企業の方に指導をお願いしたいと思います。  本日の議題は以上ですが、事務局から何かございますか。 ○事務局 次回の部会でございますが、既に御案内のように、11月27日(木)午前10時 から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。以上でご ざいます。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、本日は少し早いですが、これで終 了させていただきたいと思います。先生方、どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)