08/10/31 「安心と希望の介護ビジョン」第5回会議議事録          「安心と希望の介護ビジョン」第5回会議議事録 ○ 日時及び場所    平成20年10月31日(金) 9時59分から11時56分まで    厚生労働省 省議室 ○ 出席委員    石川(誠)、石川(良)、太田、駒村、袖井、鳥羽、古川、堀田、前田(座 長)、村上、村田の各委員    中村委員は欠席 ○ 議題    安心と希望の介護ビジョンについて ○ 議事内容 ○大澤総務課長 それでは、定刻よりやや早いのですが、各委員おそろいでございます ので、ただいまから「第5回安心と希望の介護ビジョン」を開催させていただきます。  本日は、大変お忙しいところ御参集いただきまして誠にありがとうございます。  また、本日は中村委員が所用により御欠席との御連絡をちょうだいしております。  また、大変恐縮ながら、舛添大臣におきましては、公務により遅れて出席する予定で ございますので、御了承いただきたいと存じます。  引き続きまして、お手元の資料について確認させていただきます。  議事次第、座席図、名簿の次に、資料1といたしまして、古川委員からの御提出資料。  それから、資料2といたしまして、堀田委員からの御提出資料。  資料3は、これまでの御参考人の方々あるいは委員の方々の御発言、資料をもとに事 務局の責任において取りまとめさせていただきました主な意見でございます。  そして、最後に、昨日、政府・与党において取りまとめられました追加経済対策の中 の「介護従事者の処遇改善のための緊急特別対策」についての資料を追加させていただ いております。  漏れがございましたら、事務局の方にお申し付けいただきたいと存じます。  それでは、前田座長、議事進行方、よろしくお願い申し上げます。 ○前田座長 それでは、早速議事に入ってまいりたいと思います。  今、御案内いただきました資料の中にある古川委員、堀田委員のプレゼンテーション を今日お願いする予定なのですが、その前に、最後にお触れになった「介護従事者の処 遇改善のための緊急特別対策」、これもこの会にとっては非常に重要な意味があって、 ちょっと委員の方に御説明いただいて、また、委員の方の感想なども出していただけれ ばと思いますので、恐縮ですが、吉野課長に、この1枚紙の御説明をよろしくお願いい たします。 ○吉野介護保険課長 介護保険課長の吉野でございます。  それでは、今ほどございました緊急特別対策につきまして、簡単でございますが御紹 介させていただきたいと思います。  昨日夕刻行われました新たな経済対策に関する政府・与党会議、それから経済対策閣 僚会議、この合同会議におきまして、生活対策が決定をみております。  御存知のとおり、介護従事者につきましては、離職率が高い、あるいは募集をしても 人材が集まらない、こういった人材の確保が難しいという実情がございます。来年4月 からの介護報酬改定によりまして、介護従事者の処遇の改善に資する、そういう報酬の 改定を行うべく私どもとしても検討をしておるところでございますけれども、昨日のこ の政府・与党の会議におきまして、1つは、この報酬の改定につきまして、介護従事者 と他産業、他職種の賃金水準の格差といったことを踏まえまして、21年の介護報酬改定 をプラス3%とするということが決定としてございました。  そして、これによりまして、勿論介護保険に係る費用でございます、社会保険として の介護保険でございますので、全体としては、介護保険の仕組みに従いまして、半分は 保険料で、半分は公費でというのが筋になるわけでございますが、今回の改定の特別な 趣旨ということを勘案いたしますとともに、現下の経済情勢もございますので、改定に よります保険料の上昇を国庫におきまして段階的に抑制し負担の軽減を図る、こういっ た観点での対策が併せて取られるということにされたものでございます。  お手元の資料にございますように、21年度の介護報酬改定をプラス3%としまして、 これによりまして介護従事者の処遇改善を図ることとしながら、これに伴う介護保険料 の急激な上昇を抑制するということで、2つ目の○にございますけれども、改定の初年 度であります21年度につきましては「改定による上昇分の全額」を、2年度目の22年度 におきましては「改定による上昇分の半額」を、国庫により負担することにより、被保 険者の負担を軽減しようというものでございます。  下の方にイメージ図がございます。皆さんよく御承知のとおりでございますけれども、 介護保険の保険料設定につきましては、3年間を基本とします中期的な財政運営をする ことになっております。20年度で終わります第3期から、21年度からスタートする第4 期に移行するわけですが、1つは、高齢化の伸展あるいは給付の伸び、サービス基盤の 整備といったことで自然増というのがあるわけです。これは、抽象的にはこういうこと があるわけですが、具体的には各市町村によってさまざまで、まず、その自然増の高さ、 これがプラスなのかマイナスなのかも含めて出てまいりますけれども、自然増の要因に よって保険料が上昇するというのが一つあります。これについては、高さは別としてあ るわけですが、それに加えて、3%の報酬改定を行うことによる給付費の増加に基づき ます保険料の上昇が重なってくるわけでございますが、このうち、改定による保険料の 上昇に見合う財源、初年度について改定増分の全額、2年度目についてその半額という ことに見合う額を各市町村保険者に国庫で措置することによりまして、保険料が段階的 に引き上がっていくような、あるいは負担が急激に上昇しないような措置を取っていた だこうというものでございます。  2つ目の○の下のちょっと小さい字でぽつぽつと書いてございますけれども、一応、 65歳以上の方の1号被保険者の保険料分については、各市町村保険者に基金を設置して いただいて、それを経由して措置する。それから、同じく第2号被保険者、40歳〜64歳 の方の保険料分については、医療保険関係の保険者団体に交付いたしまして、同じ趣旨 の措置を講じようとするものでございます。  本件についての所要額は1,200億円程度を想定しておりまして、今後、第2次補正の 編成作業の中で具体化していく形になる予定でございます。  これから、いろいろな具体化に沿いまして各保険者の皆さんには逐次情報を提供させ ていただきたい、円滑な実施を図っていきたいと考えているところでございます。  私どもからは以上でございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。この中身そのものがこの会の主要な議論 の対象というわけではないですが、非常に深く結びついておりますので、御質問があれ ば、それから、御意見があれば出しておいていただければと思うのですが、いかがでし ょうか。では、石川委員お願いします。 ○石川(良)委員 保険者でもありますので、若干コメントさせていただきたいと思い ます。  今回、政府・与党の追加経済対策ということで、介護報酬の3%引き上げということ で数字が明示されたことにつきましては、これから改定作業を進めていく自治体にとり ましては、極めて事務的にも作業が進めやすくなってきたということで評価させていた だきたいと思っております。  ただ、引き続き、保険料や利用料につきましては、支払う側が納得できるような透明 度を確保することが非常に重要なわけでありまして、今後とも努力していただきたいと 思います。特に、効率化という意味では、福祉用具ですとか、居宅介護の支援事業など でも無駄遣いと思われるようなものもあるわけでありまして、こういうものをきちんと 整理することも今後重要なわけでありまして、それらについても更に具体化のための議 論を進めていきたいと思っております。  また、昨日も社会保障審議会の介護給付費分科会が開催されまして、私もその中でも 触れさせていただいておりますけれども、今、新聞報道等を見ますと、2万円ぐらい上 げたいという数字も示されて、その数字はともかくとしても、実際に介護従事者の賃金 等が上がったということが確認できるかどうか、それが非常に重要なわけでありまして、 それらがきちんと検証できるようなシステムを創っていくことが非常に重要だという発 言をさせていただいております。  特に、介護事業者や施設の管理者も含めた介護労働者の給料水準を公表することと、 また、厚生労働省がこの給与公表制度の実現に必要な措置を講ずる、こういうことが非 常に重要なわけでありまして、給付費分科会の中では、委員から特に大きな異論、反対 等がないわけでありますので、今回、この見直しの中でこういったことがきちんとされ ることによって、特に保険と税金ということで行われている制度なわけでありますので、 こういった透明度を高めることによって、被保険者等々の、あるいはまた国民の理解を 得ていくことについては国の責任でもありますので、こういった説明責任をきちんと果 たしていただく制度化を図っていただきたい。このことを改めてお願い申し上げたいと 思います。  是非またこの点についても、まだ大臣は来ておりませんけれども、大臣の方にもその ような旨をお伝えさせていただきたいと思っております。よろしくお願いします。 ○前田座長 ありがとうございました。  ほかの委員の方はいかがですか。何か御質問あれば出しておいていただいて。また感 想でも。次回、次々回でこのビジョンを取りまとめていきますけれども、その中で、介 護報酬の問題も深くつながってまいりますので。では、村田委員お願いいたします。 ○村田委員 私も前回、この介護報酬をアップして、その分がきちんと従事者に還元さ れるような道筋をつけないと意味がないということを発言いたしましたが、今回この報 酬アップ3%という具体的な数字が出てきた中で、本当に還元されるのか、そういう道 筋はどのように考えられているのか、その辺の御説明をいただけたらと思います。 ○前田座長 それでは、鈴木課長お願いいたします。 ○鈴木老人保健課長 老人保健課長でございますが、今回の経済対策の中の措置でござ いますけれども、勿論サービス事業者の方は、地域なり規模なりによってさまざまな場 合がございます。今回、介護従事者の方の処遇の改善というのは1つの大きな眼目にな っておりますので、そのために、なるべく実際の効果に結びつくように我々の方の措置 を是非考えたいと思っております。  1つは、報酬改定の中で、例えば今までも幾つか例があるのですけれども、手厚い配 置をしておられる場合、もしくは一定の有資格者を配置しておられるような場合につい てきちんと評価をするというようなことをさせていただいて、そういう場合の評価をき ちんと進めていくということもございますし、それから、今、石川市長の方からありま したような一定の賃金水準等について、情報の透明性というものをきちんと考えなけれ ばならないというような道筋があるかと思います。  また、介護報酬そのもの以外につきましても、例えば、どうすれば効率的な経営がで きるのか、どういう労働分配のモデルがあるというようなモデルを示させていただくと か、また、今、私どもで来年の概算要求でお願いしておりますけれども、実際に改定を して、各事業所で従事者の方の給与が上がったのかどうかをきちんと検証させていただ くということを考えております。こういう多角的な努力を通じて、実際の現場で苦労し ておられる方の処遇改善に結びつけるということを是非目指したいと思っております。 ○前田座長 村田委員よろしいでしょうか。 ○村田委員 はい。 ○前田座長 ほかの委員の方で何か御質問、御指摘いただくことは。よろしいでしょう か。  厚生労働省の別の会議などを見ていても、厚生労働省は、データがどうなったか検証 することに非常にたけた省庁なので、中医協などを見ていても、要するにこの予算がき ちんと賃金に反映したかどうかみたいなことも是非やっていただければと思うのです。  ほかに、よろしければ。では、村上委員お願いいたします。 ○村上委員 ちょっと心配なのは、2万円という金額が全国もう既に出ているわけです が、この2万円という金額が、2万円なのか2万円程度なのか、こういう辺りのところ は、今、介護従事者にとってはかなり大きな問題なのですね。ですから、恐らく2万円 という限定した金額ではないだろうと思うのですけれども、例えば120万人いる介護従 事者のうち、パートなんかの人たちというのは金額が決まっているわけです。ですから、 そのうちどのぐらいの介護従事者に対してこの措置ができるのかどうかということも、 特に現場というのは、そういう意味では限定された金額、はっきり明示された金額がそ のまま動いてしまう可能性がありますので、まだはっきり分からないところがあるので しょうけれども、少しその辺のことを分かりやすく教えていただけたらと思っていると ころです。 ○前田座長 今日のところは難しいかもしれませんが、可能な範囲で何か御説明があれ ば、よろしくお願いいたします。 ○鈴木老人保健課長 今、御指摘ありましたように、実際にどのくらい具体的に処遇の 改善に結びつくのかということにつきましては、例えば従事者の方の実際に雇用されて いる形態、例えば常勤、非常勤というのがありますし、それから、サービスごと、地域 ごと、規模ごと、かなり異なる状態にあると思いますので、一定の、何か等しく皆さん に行くということではなかなかないだろうと思います。  これから社会保障審議会の中で議論させていただく中で、本当に苦労しておられる場 合、大変な場合についてどう手当てをしていくのかというのを慎重に検討していきたい と思っております。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  よろしいでしょうか。では、駒村委員お願いいたします。 ○駒村委員 多分、この介護従事者の処遇改善とその労働市場の逼迫状態というのは、 地域別にもかなり差があると思うのですね。だから、今のお話にもあったように、地域 別で逼迫しているところはかなり上げ幅というか改善幅を大きくしなければいけないわ けですけれども、まさに労働市場の現状に合わせた配分というか重点を工夫する、こう いう仕組みを考えるということですね。確認までです。 ○鈴木老人保健課長 今、社会保障審議会の中で議論させていただいておりますけれど も、先程申し上げたような一定の職種、有資格の方なり手厚い配置というもののほかに、 今御指摘ありましたような、地域によってかなり賃金の労働市場の形態が違うというこ とがございますので、そういうところも含めてきちんと手当てができるように検討させ ていただきたいと思っております。 ○前田座長 それでは、よろしいでしょうか。本日予定していたものとやや違うものが 入ったのですが、先程申し上げたように、非常につながることですので、ちょっと時間 をとらせていただいたということでございます。  それでは、前回の会議に引き続きの議論をしてまいりたいと思います。各委員から前 回プレゼンテーションをしていただいたわけですけれども、前回の会議では、資料は出 していただいたのですが、残念ながら御欠席であった古川委員と堀田委員に今日はお出 でいただいておりますので、まず初めに、両委員からプレゼンテーションをいただいて、 それについてはまた質疑応答した上で、前回の全員の議論をまとめて、取りまとめの方 向に議論をしてまいりたいと思います。  それでは、まず古川委員からプレゼンテーションをお願いしたいと思います。よろし くお願いいたします。 ○古川委員 よろしくお願いいたします。  今回、この資料を作成するに当たって、大きなビジョンという形のものを掲げられな かったのですけれども、現在、介護の現場で働く一人として、将来こういうものがシス テムとしてでき上がったらいいなということを今日はお話をさせていただければと思っ ています。  1ページに移りまして、テーマを2つに絞ってみました。まず1つ目は、「介護従事 者」という個人の側面と「組織(事業所)」という両面から、モチベーションを維持・ 高める仕組みづくりをしていったらいいのではないかというのが一つ。もう一つは、認 知症ケアの確立と医療との連携というテーマでお話をしたいと思っています。  2ページ目に移りまして、まずは、「介護従事者」個人の側面から見たモチベーショ ンを維持・高める仕組みの方ですけれども、1番目の「給与水準のUP」というのは、 本日、冒頭から話が挙がっていたそのもののお話です。  現在の介護労働力の対価として支払われる給与水準として考えると、やはり低い状況 にあると思いますので、それで仕事に対する意欲を上げようというのもなかなか難しい 状況ですので、まずは、根底であるところからというところで給与水準のアップという ものを出しております。  ただ、これはちょっと補足的な部分がありまして、報酬単価を上げて、給与を上げる、 要は労働環境が良くなるわけですから、それがイコール高齢者のサービスが上がったと いう結果を生まなければいけないと思っております。そのためにも、労働環境が良くな った、イコール高齢者のサービスの質が上がったというところまでの確認をするシステ ムが必要ではないかと思っております。  先程来、職員に還元がきちんとされたかどうかの確認システムというお話が挙がって いたかと思うのですけれども、それプラス、高齢者のサービスが上がったというところ に持っていかなくてはいけないのではないかと思っています。  2つ目は、「介護の専門性の確立と向上」です。  介護というと、まだまだ御家族である奥さんやお嫁さんがやられる仕事というイメー ジが強くて、では、介護のプロとして、私たちがどんなことをやるからプロなのかとい うところがまだまだ明確化されていないように思います。でも、プロである限り、介護 福祉士とか社会福祉士ですとか、きちんと国家資格が存在するわけで、その資格でプロ として働く限り、家族の代替機能だけでは、やはりそれは問題なわけで、そこをもうち ょっと、これをやるからプロフェッショナルなのだというところをアピールできるよう な資格にきちんと位置付けていく必要があると思います。現場で働いている私たちも、 まだまだプロとしての認識が薄いという自覚は持っていますけれども、その辺りがきち んと明確化されれば、そこに向かって進もうということもできると思っております。  3番目の「教育内容の強化」ですが、福祉専門職の養成学校の段階での教育が、やは りまだまだ不十分であると思っています。医療の看護師さんとかの教育の内容と比べる ともう段違いの差であるかと思っています。そういうところから、やはり専門性の向上 が見られないという部分が強く見られると思いますので、まずは教育内容の見直しと強 化というところから始まって、専門性を強く打ち出し、社会的な評価を上げていって、 私たち働いている一人一人が誇れる仕事としていく必要があるのではないかと思ってい ます。  引き続きまして3ページですが、今度は「組織」としての側面からですけれども、現 在の介護保険の中では、各事業所としての努力が評価されるシステムがないと思います。 なので、事業所、施設独自がプログラムを作ったりニーズに応えるために、新たな働き をするために人材確保をしたり、やはり手間暇が掛かるわけですから、そういったもの に対する努力の評価というものがなされる制度ではないと思います。そのために、結局 大変になるのであれば、「もうここまででいいじゃないか」、「ある程度やれていれば それでいいじゃないか」で終わらせてしまっているのが現状であるように思うのです。 なので、そこをもう少し、「高齢者のためにこういうこともしよう、ああしよう」と組 織自体が考えられるようなものをつくり上げていく必要があるのではないかと思ってい ます。  2番目は「やりがいをもてる勤務環境づくり」として上げましたが、これは個人の側 面にもかかってくることかと思うのですが、人事考課制度やキャリアパスの導入で、一 人一人個人の努力の結果も評価できる仕組みをどんどん定着させていくことも必要なの ではないかと思います。福祉の業界はこういうものがなかなか定着していない業界です ので、今後はどんどん普及させていく必要があるのではないかと考えています。  3番目、「職員が定着する魅力ある職場づくり」と挙げましたけれども、組織自体が こういうことをやろうとしても、その意思を職員をもって動かしていかなければいけな いわけで、その職員全体を、「よし、みんなでやろう」と、中堅管理職的な職員がきち んと存在して、意識付けて、方向付けて動かしていかなくては組織は機能していかない と思いますので、職員をマネジメントできる職員の養成というところに力を入れて、き ちんと各事業所に配置していく必要があるのではないかと思っております。  次のページに行きまして、2つ目のテーマになりますが、「認知症ケアの確立と医療 との連携」と挙げさせていただいています。  私たちが介護をしていく中で、やはり一番難しいのは認知症の方のケアであると思い ます。分からない、不安の中で日々介護をしていきますので、どんどん職員のストレス が溜まっていって、追い込まれていくような現状が多々あると思います。それを少しで も解決していくために、1番目のところですが、「認知症のケアの標準化・体系化が図 れないのか」というところです。  6ページと7ページのところの参考資料としてお付けしたのですけれども、これは、 たまたまインターネットで検索していたときに出てきたものを、分かりやすかったので 資料として付けさせていただいたのですが、これは、群馬県で認知症の研修をするとき の資料として出されているものだそうです。上の方に1期、2期と書いてあるのが、認 知症の行動障害のステージで、左側に食事、排泄、入浴とあると思うのですが、この生 活一つひとつが、ステージが変わるごとにどういう状態になっていくのかということが チャート化されているものです。  私たち介護の仕事は、結局、こういうステージで状態が変わっていった時に、どうい うケア、アプローチをしたらいいのかというのが私たちの仕事になると思うのですが、 そういうところまで何か標準的な形で落とし込めていけないだろうかと。それが国の標 準的な何かが創れれば、まずはそれを参考にアプローチをかけていくことができるので はないかと思っております。  2番目ですが、「標準化したものを実践的に学べる教育研修システム」と挙げました。 これは、「(P6へ)」と書いてあるのですが、すみません、これはP5の次のページ ということで間違いなので、訂正していただいてよろしいでしょうか。申し訳ありませ ん。  この教育研修システムの件は、この後でちょっとお話をさせていただきたいと思って おります。  3番目、「医師との連携」というところですけれども、認知症のケアにかかわらず、 在宅でもかなり医療の必要な方が多いですし、末期がんの方も、最近は在宅でのお暮ら しの中にかなり増えております。そうなると、医師との連携というのが私たち介護従事 者も不可欠となってくるのですが、どうしてもなかなかお医者様というところが、私た ち介護職にとってはとても高い存在であって、私たち自身が医学的知識を十分に持って いないというところもあって、どうしても距離感があるもので、そこの一歩を踏み出す ことが難しい関係性にあるのが現状だと思っています。なので、今後、もっときちんと 情報交換が得られ、横の連携が取れるような何かシステムが創れないかというのがここ の話です。  4番目の「認知症ケアにおける医療モデルと介護モデルの確立および共通マニュアル の構築」ですけれども、先程資料の方に載せました6と7というところにあるような、 こういうチャートが、医療的にも認知症の、例えばアルツハイマーの病気の方ですとか、 そのステージによっての行動障害というのが、ある程度医療的にもあるのではないかと 思うのですね。それに対して生活行為がこういうふうに変わっていって、介護する側の ケアもこういうふうに動いたらいいのではないかというものが介護と医療と合体して何 かできないかと。そうすれば、医者の先生方との連携を取る中での会話も、今このステ ージのこの状態にあるからどうなのだと共通的な理解が取れるのではないかと思いまし て、何かそういうものができないかと思っております。  次のページに行きまして、先ほどの2番目に上げました教育研修システムのところで すけれども、国が目指している認知症のケアはこういうものなのだというのを学べる施 設があったらいいのではないかと思っております。認知症のケアというのは、文章で学 んだり、講義を聞いて学んだりということだけで得られるものではないと思っています。 やはり高齢者とのコミュニケーションの中で技術が得られるものだと思っておりますの で、そういうものが現場の中で実践的にコミュニケーションの中で学べる場があったら いいのではないかと思っておりまして、実践する研修の場を新しく創る形でもいいと思 いますし、今ある施設の中で、国が目指すサービスはこういうものだという認定施設と いう形で置いても、それは全然構わないかと思うのですが、そういう中に職員がどんど ん交替で研修に行けるような形があればいいかなと思っています。その分、認定の研修 先の施設となるところには、勿論手間暇かかりますので、職員の配置等も厚くしていか なければいけないと思いますので、そういったところの補助も踏まえて、こういうもの を創っていったらどうかと思っております。  2つ目ですけれども、「地域での支え合いモデルの構築」と出させていただきました が、ここに挙げたような訪問介護ですとか訪問看護、通所介護、ショートステイとあり ますが、どうしてもこういう一つひとつのサービスの種類が単体で動いてしまっている ような印象をすごく受けるので、だけれども、やはりこれは横のネットワークで動くべ きもので、きちんと情報が同じ内容で共有化されていないと、1人の方に対するチーム でのアプローチはできていかないと思うので、もう少し横のネットワークがその地域ご とでできるようなシステムを作り上げられたらいいなと思っております。  本当に簡単に、まとまりのない内容になってしまったのですけれども、以上で終わら せていただきます。ありがとうございます。 ○前田座長 どうもありがとうございました。今のプレゼンテーションに関して、何か 御質問があれば、お伺いしておいた方がと思いますが、特にございませんか。駒村委員 お願いいたします。 ○駒村委員 御報告、また後でゆっくり議論できると思いますが、大変興味深い御指摘 もありましたし、経済を学んでいると、いろいろなものが市場で決まってしまうとあっ さり分析してしまうのですが、おっしゃるように、まさに組織がいろいろな工夫をされ ているという組織論も入っていますので、後でまた議論できると思います。  ちょっと教えてもらいたい点ですが、私も前から引っかかっているのですけれども、 先程、質の上昇を確認するシステムというのがあったと思います。これ、対人社会サー ビス全般、この分野だけではなくて、みんな質の上昇というのはなかなか測定しづらい ところ。これ、ちょっとどういう仕組みがあるか、アイデアがあったら教えていただき たいと思いました。 ○古川委員 大体サービスの質というもの自体が抽象的なものなので、私も、こういう システムがあったらいいなというところまで頭の中で創れているわけではないのですけ れども、ただ、給与が上がった良かったね、だけで終わらせてしまっては良くないとい う思いだけはすごくあって、それがきちんと高齢者の方に反映させて、それをきちんと 確認しなくてはいけないのではないかというところで、質ってとてもつかみどころのな いものなので何とも言えないところもあって、私もその辺ははっきりとお答えできなく て申し訳ないのですけれども。 ○駒村委員 多分、このビジョンだけで終わるわけではなくて、もしかしたら今後の課 題として出てくるかもしれないですけれども、そういう意味では何らかの質を測定する 方法とか、それは、多分介護の専門性や、今日の標準化・体系化の話と共通言語化の話 と、実は同じものを裏表で見ているのかなという気もしますので、またこれは今後の課 題になるか、短い会合では多分けりがつかないと思いますが、重要な御指摘かなと思い ました。 ○古川委員 ありがとうございます。 ○前田座長 では、袖井委員お願いいたします。 ○袖井委員 私も、別の面での評価のことをちょっとお聞きしたいのですが、特に人事 考課制度とか、どういうふうに働いている人の、職員の評価をするかということですが、 今、厚生労働省で第三者評価というので進めていらっしゃいますが、あれは、どっちか というと利用者サイドから見た評価なのですよね。だから、働いていらっしゃる方の評 価というのは、まだそういうシステムはできていないと思うのです。  一つ危惧するのは、そういうものを導入することによって、何か働く人たちを拘束す るとか、その人たちの間にいたずらに競争というか、チームワークが壊れてしまうとか、 そういうような恐れもあるのではないかと思いますので、具体的にどんなことをお考え になっていらっしゃるか、ちょっと古川さんの御意見をお聞きしたいのです。 ○古川委員 まだまだ福祉の業界の中でこういうものを導入している施設は少なくて、 正直、自社でも、今導入過程の段階なので、こういうものをと、すみません、毎回はっ きりしたものをお示しすることができないのですけれども、やはりやった結果がきちん とお金につながるのだとか、そういった個人の評価というものをきちんとしてあげない と、スキルが上がっていかないのではないかと思っているのですね。そのあたりで、た だ競争心をあおってしまうとか、そういったこともやはりあると思うので、その評価の 仕方とか、評価の度合いというものは検討することになるであろうとは思っています。 ○前田座長 石川委員お願いいたします。 ○石川(良)委員 私も、この3ページ目の1の「事業所の努力に対して評価制度の導 入」という点についてちょっとお伺いしたいと思います。  今の制度とすれば、事業者の皆さん、あるいは事業所でも努力をして、介護度が下が れば下がるほど介護報酬は下がるという仕組みになって、結果的としては、経営的には 苦しくなってくる、そういう、努力をすれば返って首を絞める、こういう制度だという ことがいろいろなところで言われておりますが、現場で実際に仕事をされていて、この 辺の矛盾ですとか、あるいはこれをどういうふうに現場対応の中で解決されているのか、 ちょっとそのあたりの事情がもしお分かりでしたらお聞かせいただきたいと思います。 ○古川委員 実際、軽度化すれば単価は下がるわけで収入が下がるというのはあるので すけれども、それに対してどうというのは、やはり元気になっていくのが一番ですので、 そういう部分に対してこの制度がなっていないのではないかというようなところは、そ んなに私個人としては大きく思っていないし、現場も、それが悪いことだとは思ってい ないのではないかと思うのです。  例えば、予防事業の中に通所介護事業の事業所評価加算というのがあるかと思うので すが、実際、機能向上というプログラムをやっていく中で、結果、要介護度が軽くなっ たパーセンテージがある一定以上であれば加算を上げますよというものがあるかと思う のです。それは、介護度での結果で加算が決まるのですが、どうしても、実際、傍目に 見ていて状態が上がっているのに、介護度としては軽くならないとか、逆にそういう矛 盾を感じているので、何かそういうところが逆に、介護度ごとの設定というのが、せっ かく事業所評価加算みたいなものが、事業所の努力の評価としてのシステムのまずお試 しだったと思うのですが、その中をもう少し精査していく必要があるのではないかと思 っています。 ○前田座長 よろしいでしょうか。  それでは、後の中身につながる話が出かかっている面もあるのですが、堀田委員の御 発表をいただいて、質疑を受けた上でまた、それから、前回の全員の発表を踏まえて更 に進めてまいりたいと思いますので、堀田委員よろしくお願いいたします。 ○堀田委員 前回、欠席するにも資料をとのことで、出張先でざっと作ったメモをその まま出してしまっていて恐縮ですが、お話させて頂きます。資料2「安心できる介護サ ービス提供体制の確立に向けて」ということで、特に人の面に着目をしながら、介護サ ービス提供体制の現状と課題、対策と検討の方向性をまとめています。  現状と課題については、皆様の共通認識だと思いますが、介護職に対する需要は増加 の見込み、しかし、有効求人倍率が上がっている、離職率も上がっている、介護職員の 不足感が拡がっています。そういう中で、全体として介護職が安心して働き続けられる ような環境を整えること、事業者による安定的なサービスの提供ということが、利用者 が安心して介護が受けられる体制を充実させる上で不可欠です。  さらに、今後もどんどん需要が増える中で長い目で考えていくと、いかに今いる介護 職により活躍してもらうか、に加えて、広く介護に携わる人の裾野を拡げること、介護 の担い手を介護職のみならず一体的とらえていく必要があるのではないかというのが1 点目です。  2点目、介護職に戻りますけれども、仕事に対する意識を見ると、入口は、どういう 調査で見ても働きがいです。でも、出口、離職の理由を見ると、世の中で言われている 待遇だけではなくて、自分・家庭の事情、これは、結婚、妊娠、出産などによるもので すけれども、それから、職場の人間関係とか、経営理念や運営のあり方といったものが 挙げられます。介護福祉士会の調査では、トップが、端的に「やりがいを見失った」と いう結果。これを見ると、働きがいを提供し続ければ防げる離職も少なくないと考えら れます。  ヒントとして介護職の働きがいの中身を見てみると、利用者・入居者の笑顔、ここは ある意味、対人サービス業ならば当然とでも言えることかもしれませんが、それに加え てとても成長に対する意識が高い。先程古川委員からもお話がありましたが、自分自身 が伸びていき、それをきちんと認めてもらうことも需要です。これは、決して賃金とし ての評価だけではなくて、自分がより良いケアに対して貢献できているという手応え、 同僚と連携しながら、それから、利用者・入居者の方々とのかかわり合いの中で、ケア を良くしていっている実感が、介護職の働きがいになっているのではないかと。これは、 いろいろな調査の結果から言えることです。  まず、働きがいを提供し続けられれば防げる離職があるのではないか、働きがいの中 身を見てみると、継続的にサービスを改善・革新していくこと、そこへの貢献の手応え が鍵です。これは、結果的に、介護職やりがいを感じるだけではなくて、利用者にとっ ても良いサービスが提供されていくということになります。ですから「継続的にサービ スを革新・向上」できる仕組みを考えていく必要があるだろうというのが2点目です。  3点目、これは、先程も皆さんからご指摘がありましたけれども、離職率などの介護 職を巡る状況が全国同じなのかといいますと、まず地域によって大きな違いがあります。 それから、法人経営主体、事業所の開設年次。規模によっても違います。規模というの は、事業所の数、一事業所の規模、一法人の中での事業展開、介護保険事業の中で、保 険外の仕方によっても、介護職の定着状況、それにサービスの質にばらつきが生まれて います。   地域の介護事業市場や労働市場、介護労働市場のあり方、それに事業所の経営や事業 戦略、雇用管理の状況など、さまざまな要因が介護職、ひいては利用者の満足度を左右 しているということなので、地域レベルで関係者が集まって議論していくことが重要で はないかというのが3点目です。  今、現状と課題としてお話しした幾つかのキーになるものを拾って、「対策と検討の 方向性」を簡単にまとめたのが2ページ目です。(5)までありますが、(1)と(2) の主に最初のところでお話しした、介護職が安心して働き続けられる、より活躍できる という観点に対応しています。  (1)は、基礎的な労働環境の整備です。まず、どんな仕事でも全員が食べていけな ければならないという決まりはどこにもないわけですが、介護の仕事の位置付けを考え れば、世帯として生計を支えていける可能性を担保する必要があるだろうと、これはこ このところ随分言われている視点です。介護の仕事の専門性、仕事の性格についての議 論を長期的に続けながら、その評価をしっかり考えていく必要があると思います。これ について、介護報酬は今回処遇改善に向けてプラス3%と言われていますが、介護報酬 改定の度に処遇向上のためにアップさせることは考えにくい。そういった中で、介護報 酬の水準だけではなくて、事業者の経営・事業戦略の高度化、古川委員が話されたよう な雇用管理の高度化も求められていると言えます。  (2)は、さまざまな社会制度の面からも、今、介護の仕事に就いている人がより活 躍しやすくするための環境整備を検討するということです。  特に女性が多い職場であるということを考えると、結婚、妊娠、出産といったことと 仕事の両立を支援する、これは介護に限らず議論が進んでいますが、制度の充実に加え て職場として両立支援が活用できる工夫、働く人にその権利を知らせるといった、制度 面、職場の面、本人への理解の面で取り組みをさらに進める必要があると思います。  2つ目、特に訪問などを中心として介護の職場では主婦パートもかなり活躍している わけですが、配偶者控除などとの関係で就業調整をする人が少なくない。勿論すべての 人が103万円の壁などを超えて今よりもっと働きたいと考えているわけではないです が、働きたいと思っていても抑えることを促す状況があるとすると、働き方に中立的な 税制や年金制度、これは介護だけの話ではないですが、中長期的にはさまざまな社会制 度を改めて検討する余地があるだろうということです。  それから、一番下の地域での能力開発機会について、入口の資格に関する検討は随分 進んで、全体としてハードルが高くなっていく方向にあると思いますが、継続的にどう 高めていくかという時に、1事業所の枠を超えて、地域の中で一人一人の学びをどう担 保するかということを考えることも重要です。  (3)は、現状の2つ目のところで述べた、担い手の裾野を拡げる観点に対応させて います。もっと多くの人が介護に携わりやすくするということです。  1つ目は家族の位置付けです。これは、介護保険の趣旨のひとつがもともと「家族か ら社会へ」だったわけですけれども、改めて家族が利用者セクターの中にいるのか、提 供セクターとしての家族ということも含めて、この会議の最初でも、利用者と家族の関 係といったことも話されていましたが、家族の位置付けをしっかりと話し合うことがま ず必要だと思っています。その上で、量の補完ではなく、家族が介護したいと思っても しにくくなっていないか、介護に参加しにくい状況がないかという観点で見直してはど うかということです。介護休業の分割なども別に議論されているところですが、仕事を 持つ人が介護にかかわりやすくする、制度が始まる時に検討されて見送られていますが、 選択肢としての現金給付の妥当性、家族ヘルパーといった点、こういった量の補完では なくて家族の選択肢を広げるという意味で、家族介護者に対する総合的な支援の必要性 を含めて検討していく必要があると思っています。  これに加えて、地域でのインフォーマルケア、これも、地域福祉の研究会などでも随 分議論が進んでいますが、高齢者を利用者としてとらえるだけではなくて、前回恐らく 石川委員などからもお話があったのではないかと思いますが、高齢者自身の参加を促す、 支え合いを育て、つないでいくまちづくりがさらに考えられていいのではないかという ことです。  (4)は、現状の3つ目に対応しますけれども、継続的なサービスの検証と革新、こ れが介護職の働きがいを高めるだけではなくて、利用者の満足度にもつながる鍵だと思 っています。  私は人事管理が専攻ですけれども、恥ずかしいことに、新しいサービスを生んでいく、 継続的にサービスをより良くしていくという観点で職場がどうあるべきか、どういう人 を育てるべきかといったことは、これまで十分に考えが及んでいませんでした。しかし、 アウトカム評価をどうするのかといった長期的な議論を含めて、個別のケアをより良く するだけでなく、サービス体系をどう検証して継続的に高めていくかという仕組みを今 考え始める必要があると思っています。介護現場、経営者、管理職、一人一人の介護職 と利用者、改めて主体としてとらえた利用者があるべき姿を一緒に考えていくために求 められる要件や仕掛けを検討していくということです。  (5)は、地域別に状況がかなり違うこと、さらに、「より地域」ということが言わ れている時だからこそ、継続的に地域レベルの介護にかかわるモデルを模索し続ける体 制ができればという期待です。先程恐らく個別のケアのレベルで医療・介護の連携につ いての御提案が古川委員からもあったところだと思うのですが、効果的なサービスをよ り効率的に提供していくこと、その前に高齢者の住まいや食事、見守り、介護、医療、 看取りといった暮らしの形について、地域の中で、医療・介護の連携は勿論ですが、そ れに加えて、(3)で挙げたようなインフォーマルなネットワーク、利用者と介護福祉 に携わるいろいろな立場の人たちが一堂に会して、議論してモデルを創っていくプラッ トフォームができないかと思っています。そもそもこの地域の高齢者の暮らしとはどう いうものなのか、どうあるべきなのか、それに向けたサービスモデルはどうあるべきな のか、担い手はどう組み合わされるべきなのかといったこと、その中で、経営や事業戦 略についても、もっと地域で練っていける余地があるのではないかと思っています。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。  今のプレゼンテーション、堀田委員のお話に関して、何か御質問はいかがでしょうか。 お願いいたします。 ○鳥羽委員 地域レベルでモデルを構築すると書いてありますけれども、介護のモデル ですから、この地域レベルの大きさはどの程度の、市町村をお考えなのでしょうか。 ○堀田委員 市町村レベル以下ではないかと思います。学校区なのか、それとも市町村 か、難しいですね。 ○鳥羽委員 学習レベルになると、非常に小さいところになると、革新的なモデルを教 える人が小学校レベルで確保できますでしょうか。これは、革新的なレベルのものを常 に、日々高めていくように介護従事者も学んで新しくしていくということですけれども、 自分たちが教材で学ぶのか、あるいは、例えば国の介護研修センターというようなとこ ろの人の助けを得て学ぶかということになるわけですが、革新的なものをというのは、 どのような具体的なことを考えておられるのでしょうか。 ○堀田委員 まず、地域レベルについては検討が必要ですね。そもそもその地域でどう いう医療・介護のサービスモデルが必要か、それは、介護保険の現状のサービスに限定 しない検討があって、その上で、そのあるべき姿を実現するためにはどういう担い手が 必要で、その担い手を育てるためにはどういう学びが必要かということになると思いま す。そこで必要な教育が、そこの地域レベルでは完結しないものであれば、それは広く 世の中にある資源をどう利用してつなげていくかということではないでしょうか。  ただ、勿論、国全体としての方向性も重要だけれども、その地域でのあるべき姿の検 討は、提供体制、具体的な展開の方法を含めて、地域レベルで継続的にいろいろな立場 の人たちが集まって、考え続けていける場があってもいいのではないかということです。 ○前田座長 また後で御議論を継続していただける部分はあると思うのですが、他の委 員の方で何か御質問はいかがでしょうか。  それでは、特にお二人のものに限ってということでなくて、全体に関して議論してま いりたいと思うのですが、資料3として事務局から用意していただいたのは、これは、 ビジョンを創っていく上で、柱として、1番「地域での生活を支えるための仕組みづく り」、それから2番として「介護従事者の処遇改善等」ということで、あと3番「地域 力の向上」、その中で項目を立てて議論してまいったわけですが、それに関して各委員 と、それからここに来て御説明いただいた参考人の方の議論もまとめたものでございま す。これに今日お二方のお話を伺ったわけですけれども、まとめてという意味では頭か ら順にということも考えられるのですが、今日はフリーディスカッションということで、 特に言い残して、全体として、全員の話を伺った上で、こういうことをつけ加えたいと か、他の委員の方のこの部分、この資料自体がちょっと自分の趣旨とニュアンスが違う みたいなことがあれば、勿論一番最初に御指摘いただきたいとは思うのですが、それを 踏まえて、今日は具体的な案を固めるということではないのですが、方向性をある程度 固めるという意味でフリーなディスカッションをいただきたいと思います。  その意味で、どなたからでも、どの部分からでも構いませんので、先程の話のつなが りということでもよろしいですので、よろしくお願いいたします。  それでは、手が挙がった順に、太田委員、駒村委員の順にお願いいたします。 ○太田委員 今日の古川委員のお話でもあったのですけれども、家族の代替ではいけな い、プロとは何かということがとても重要なことだろうと思うのですが、それを裏返し た場合に、家族の代替ということで、家族の何が介護なのかということを考えなければ いけないと思っております。  前回の会議でも、家事援助などは介護ではなくてボランティアでいいのではないだろ うかというような意見が出ておりましたけれども、そもそも家事援助の部分は介護なの かどうなのかというようなことをある程度煮詰めて考えていかなければ、プロが何をす るのか、また家族が何をするのかというようなことが明確にはなっていかないような気 がしております。  私の意見なのですけれども、ボランティアということも決して反対ではないわけです。 できるところはボランティアがすればいいということはとても思っております。ただ、 例えば食事を作るというような作業をする場合、ボランティアさんというのは、大勢の 中の一人だったらとても入っていきやすいですけれども、個人の住宅に入っていって、 ボランティアで家事援助をするというのは、結構大変な作業です。私も実際1年ほど地 元の高齢者のお宅にボランティアで家事援助に入ったことがありますけれども、食事提 供、食事を作るという作業はしたくないと言いましてやっておりません。やはり食事を 作るというようなことは、すごく大変なことで、主婦だからできるというようなことで もありません。かといって、食べるということは生きていく上でどうしても欠かせない ことです。そして、ボランティアでというようなことに、もしなっていくようなことが あった場合に、ボランティアの地域ごとでの供給が本当になされるのだろうかというよ うなことですごく不安があるわけです。  私自身、主婦ですけれども、家事はできても、だれかの家に行って食事を作ったりと いうようなことはとてもできないです。そういう中で、もし介護保険から家事援助のよ うなものが外されていって、ボランティアでというようなことになされていったら、す ごく不安がありますし、これから不安を抱えていく人は非常に多いのではないかと思っ ています。  そういった中で、もしボランティアにというような形になっていく場合は、どうぞ地 域で創ってくださいというのだったら、今現在も社会福祉協議会などでネットワークを 創っていらっしゃいますけれども、やはり国として、こういうものを創らなければいけ ないというシステムをある程度明確にした上でないと、家事援助はボランティアにとい うようなことに、もしなっていくと、大変な不安を呼び込んでいくのではないかと考え ています。その辺も、この場で是非、検討、議論をしていっていただければと思ってお ります。 ○前田座長 ありがとうございました。  駒村委員は今の問題とはちょっと離れて。 ○駒村委員 違います。 ○前田座長 それだと、ちょっと恐縮ですが、家事援助に関してここである程度の議論 をしてまいったわけですけれども、今の太田委員の御意見に関して何か御発言があれば、 深めるというほどのことではないのかもしれないですが、対立する議論があれば出して おいていただいて、最後まとめるところで書いていかなければいけないことになると思 いますので。家事援助をどう評価していくかということですけれども、非常に具体的な 問題なのですが、いかがでしょうか。  これについては、今までの中で少し議論が出てきてはいると思うのですがどなたか御 発言。では、石川委員お願いいたします。 ○石川(良)委員 私ども介護支援ボランティアにつきましては、先日ちょっと発表さ せていただきましたけれども、その事業を始めるに当たってもいろいろな意見がござい まして、その際、介護の領域まで入ってくるのかどうかというようなことが一つござい ました。  私どもは、介護事業でやられていることに対して、その部分をボランティアでやろう、 そういう考え方はないと。ただ、いわゆる隙間になっている部分が必ずあるわけでして、 例えば電球をちょっと取り替えたいとか、生活上必要だけれども、実際には家事にも入 っていないし、なかなか自分でもできない。そういう隙間の部分を埋めていく作業は当 然必要ではないか。そういう意味では、その部分というのは、やはり共助で担っていく ことも十分可能でないか。例えばごみ出しですとか、そういうことを例として挙げさせ ていただきました。  また、いわゆる介護の中でも、予防事業などということで、今、予防についていろい ろとやられていますけれども、あまり効果は、特に特定高齢者等についての成果はあま り上がっていないということも出てきておりまして、予防事業などについても、やはり ある部分ではボランティアなり、あるいは地域力で担っていける部分はあるのではない か。それは介護保険ときちんと共存しながらやっていけるゾーンというのは当然あるわ けです。その分野というのは、これからかなり拡がっていくのではないか。また、それ は、いわゆる地域で住んでいける、地域で生活していけることが介護保険の基本的な理 念ですので、そのことからしますと、地域の中で助け合うということは、精神的にもい ろいろな意味で、生きがいという意味でも、そのことにつながっていくことによる安心 感、そういうものも非常に大きな作用があるのではないかと思いますので、家事援助等、 今、介護でやられていることをボランティアでやっていこうということを即提言してい るわけではないということは一つ、私どもの考え方としてお話をさせていただきたいと 思います。 ○前田座長 ありがとうございました。お願いいたします。 ○鳥羽委員 家事援助、生活自立の中で真に必要なものを補っていくことは大切だと思 うのですけれども、できる能力でも、サービスがあるのでやらないということに関して は、私も外来で、できることは自分で是非やってください、真に足りないところを助け てもらうようにと勧めております。  ですから、現在の家事援助の中で、御本人がどの程度生活自立ができるかということ をもう少しきめ細かく評価して、石川委員がおっしゃったように、本当に足りないとこ ろをしっかりと家事援助としてサービスするような仕組みをつくらないと、要介護度だ けで、家事援助がどの程度、要らないサービスまで提供されたり、あるいは真に必要な サービスも削られてしまうことがないようなものを考えていただければよろしいかと私 は思います。 ○前田座長 ありがとうございました。 ○袖井委員 家事援助が非常に難しいのは、やはりそれぞれの家によってやり方が違う のですね。ヘルパーさんにお聞きすると、非常に高度なものを期待なさって、そこでギ ャップが起こる。だから、家事はやりたくないというのがあるのですけれども、私は、 何らかの形で利用者に対する教育というか、情報提供とか、そういうことを考える必要 があるのではないか。これは、実際に利用なさった方もそんなことをおっしゃっていた のですね。  例えば欧米なんかですと、ミールズ・オン・ウィールズという食事サービスがありま すけれども、実際に行って、私も食べてみたりしたのですが、日本人の目から見るとか なりひどいですね。よくこんなので満足してるなと思うような非常にシンプルなもので、 何かほとんど毎日同じようなメニューで、日本の配食サービスの方がはるかにきめ細か いですよね。  ですから、私は、勿論いいサービスを提供するのは必要ですけれども、ある意味で、 ちょっと利用者を甘やかしているという言い方はいけませんが、何か利用者本位という ことが間違ってとらえられているような感じもするのですね。こういうことは、例えば サービス提供の方からも時々聞きます。勝手にヘルパーさんを替えてくれと何度も言う 人がいるとか、そういうこともあるので、やはりサービスというのはみんなで創ってい かなくてはいけないので、何らかの形での、利用者教育と言っていいのか分かりません けれども、利用者の側の意識変革とかそういうことも考えていかないと、どんどん欲求 がエスカレートして、それに応えようなんてしていったらもう本当に大変なことになっ てしまう。私自身は、かつて介護保険を使ったことがあるのですけれども、必要が無く なっても業者から利用を続けてくれと言われました。こんな風にサービスを利用し続け ていたら財政的に破綻するな、なんてつくづく思ったりしたことがあったので、やはり 利用者側の節度ある利用ということも考えていく必要があるのではないかと思います。 ○前田座長 もうおっしゃるとおりで。ただ、私なんかも家事援助をお願いした経験か らいって、難しいのですね。やはり何らかの上限を切っていくといいますか、無駄にし ないという意識を働かせる力がなければいけないのですが、ただ、制度で家事援助みた いなものをすぽんと法的に介護から外される、まあ、そこまでということはないかもし れないですが、制度というのは非常にすぽんと行きますので、やはり介護の世界なんか では、オーバーラップする部分で、ボランティアの部分みたいなものと重なる部分をど うつなげていくかで、そちらの方向に変えて、ボランティアの方に変えていかなければ いけないから家事援助をシステムから外してしまうというのではなくて、やはりもうち ょっとソフトな、そういうことを入れながら、なるべく合理的なものに介護保険のお金 をうまく使えるような道をつけていくというアイデアが必要なのだろうなと。  ですから、どうしても家事援助の中に無駄が出てくるというのは、私、やっていて実 感としてよくわかるのですが、無くなると、まさに家族の側、本人より家族の側かもし れないのですが、安心の介護というところからちょっとずれてきてしまうという感じも あるのですね。それを増やせば増やすほどいいというわけでないというのはおっしゃる とおりですから、そのバランス、そのトレード・オフをどう作っていくかというところ だと思うんですけどね。  ここは非常に難しいところだと思うのですが、他のテーマもございますので、何人か の御意見をいただきましたので、駒村委員は別のテーマというのは。よろしいでしょう か。では、村田委員、それから次、堀田委員お願いいたします。 ○村田委員 さっき堀田さんの方からサービスを刷新していく必要があるというお話が 出ましたけれども、それと同時に、もう一つ、今提供されているサービス、例えば家事 援助一つを取っても、提供の仕方がこれでいいのか、あるいは提供する考え方がこれで いいのかということも点検する必要があると思うのですね。  その一つとして、私がいつも疑問に思っているのが食事サービスなのです。食事サー ビスはなぜするかと言えば、健康を守るためにするわけですね。そのためには、食事を 提供するときに、その人にとって何が必要かということを考えて、それを提供したら、 その人がきちんと食べたかどうかということまで検証されないと食事サービスの意味は ないと思うのです。  ところが今、例えばヘルパーさんが食事を作るということは、本人が、今日はこれが 食べたいと言ったらそれを作る、ウナギがいいと言ったら毎日ウナギを食べるとか、そ れが利用者本位かどうか分かりませんけれども、そういう本人の希望に沿って作るわけ ですね。それを食べたかどうかは検証しない。作ってくれたけれども、その人は食べな いで放っておくことだっていっぱいあるわけですね。これを食事サービスと言えるかど うか。  それから、事業者が配食サービスをしても、それは事業者側がいろいろバランスよく 栄養が摂れるように考えましたと作りますね。確かに栄養バランスが取れているかもし れないけれども、本当にそれを食べたかどうかはわからない。回収したときに、無くな っていれば食べたとするのか、あるいはその人が捨ててしまって、きれいに洗って返す のか、その辺も分からないから、今の食事サービスの提供の仕方とか考え方というのは、 本当に意味があるのか。意味がないとは言い切れませんが、無駄な部分が多いなと思う のです。  だから、一つひとつのサービスの内容、考え方、提供の仕方というのは、もう少し議 論して考えて、本当にそこにお金を使ってしかるべき提供の仕方ということの検討が、 新しいサービスを創り上げていくと同時に考えられていかなければいけないと思ってい ます。 ○前田座長 ありがとうございました。先程の古川委員の認知症でありましたけれども、 モデルというのは、やはり食事サービスみたいなものでもそうなのだと思うのです。こ れから、やはりだんだんそういうものを具体化するというかモデルづくりみたいなもの が、おっしゃるとおり必要だと思うのです。  堀田委員。 ○堀田委員 2つあったのですが、1点目はほとんど同じです。先程私も申し上げまし たが、今のサービスは、効率的かつ効果的なものかどうかという観点、例えば家事援助 で30分掛からなくてもできることもたくさんあるものが、30分が最低の単位だから30分 掛けて行われていないか。洗濯物を取り込むだけとか、配食サービスが玄関まで来たも のをセットするといった短時間でできることもあるのではないかといった目で現状を見 直すことも必要です。その上で介護保険の中で賄うべきものなのか。介護保険でやるべ きことも確実にあると私は思っていますけれども、まず家事援助の中で行われているこ との検証が求められているのではないかというのが一つ。  それから、1回目も申し上げたように思いますが、利用者の理解というのは、非常に 大きい。まず送りたい生活があって、そのために必要な助けがあるわけですが、送りた い生活を全部介護保険で実現しようというのは無理なわけです。送りたい生活像が皆さ んあるとして、自分でやるべきこと、家族、地域でやれること、やるべきこと。介護保 険は、ではどのレベルまで賄うのか。例えば食事ひとつとっても先程のお話ではないで すけれども毎日バリエーションに富んだ温かいものが全部出てくるというところまで介 護保険なのか。 ここともっとしっかり議論しないといけない。  今、送りたい生活と、その中でどこまで介護保険で賄うべきなのかということの共通 理解がないことが、利用者にとっても提供側にとってもアンハッピーにつながっていま す。どんなレベルでも、賄われるレベルとコストの共通理解があればやっていけるはず です。長期的には、送りたい生活の姿、介護保険で賄うことの整理をやっていくことが 不可欠、家事援助もその中での位置付け方だと思います。 ○前田座長 ありがとうございました。では、石川委員お願いします。 ○石川(良)委員 私どもが議会などで介護保険の問題で一番質問が多いのは、今まで 必要な家事援助が打ち切られたとか、変更されたとか、介護度認定等々によって削られ た、制度変更で削られたということが、非常にしょっちゅうのように議会で質問に遭う わけです。やはり介護保険制度が導入されてから、制度を安定させるために、かなりハ ードルを低くして、自助に対して公助をきちんと定着させる、そのための時間的な必要 というのは当然あったわけですが、しかし、ここへ来て、将来のことも考えた時に、本 当に必要なサービスはどこなのか。特に、家事援助などについては考えなければいけな いという時期に来ているわけです。  と同時に、今までもらえたサービスが今度打ち切られたということに対して、ものす ごく損をしたという感覚が非常に強いわけで、そこのところが、先ほど袖井先生のお話 がありましたが、利用者側といいますか、介護保険制度そのものに対する、使えば使う ほど、結果としては、使ったときにはサービスを受けて得のように思えるけれども、本 人にとっては損になるのですよと。自分で動けるうちは自分でやることが本人の健康保 持のためにつながっていくのだ。そこまで行く前の段階で、どうしても私どもは議員な どを通じて不満が出てくる、そういう流れになるわけです。  そのあたりは、やはり制度の定着と意識の変革というものは、車の両輪ではありませ んが、一緒に変えていきながら、いわば家事援助などのあり方についても、これは一遍 にどんと無くしたりとかというわけにはいかないでしょうが、その辺りは、できるとこ ろについてはやっていくのですよ、それがむしろ介護の本来の精神なのですよ。それで、 将来に向けて不必要なサービスは本当に必要なところに転換していくのですよという考 え方の流れをもう一度変えていくといいますか、意識変革と合わせてやっていかないと、 部分だけやっていくと必ず不満ばかりが起こるという流れになってしまうのかなと思い ますので、保険でやれるところとそうではないところの、その部分での変革といいます か見直しというのは、常に必要なのではないかと思います。 ○前田座長 ありがとうございました。  では、この問題の最後の締めくくりに太田委員に。 ○太田委員 今おっしゃっていましたように、利用者の意識を変えていくことは非常に 大事なことだと思います。何でもかんでもやれと言われたって、それは、お金、財源と いうものがある中で無理だということは、でも、それは多分、一般の人たちはみんな分 かっていることだと思うのですね。なぜそこで不満が出てくるかといいますと、将来の ビジョンを見せてくれないところにあるのだと思います。  それで、やはり家事援助が打ち切られるかもしれないという不安を大勢の方が今持っ ていらっしゃいますけれども、打ち切った場合にボランティアを使うのだとすれば、ボ ランティアがどういう仕組みで行われるか、また、どのぐらいの費用がかかるのか。勿 論お金のある人はお金を払えばいいのだと思うんです。私も以前ボランティアで入って いた方は、多分1時間700円ぐらいで入っていたのですが、介護保険になった途端に、 私が打ち切られて介護保険に替えられたわけですね。やはりそれは費用が安いからです けれども、そこの世帯では700円のお金は払えたわけです。ですから、払える人たちは 払えばいいと思いますし、ただ、払えない人たちもいっぱいいるということ。時給700 円で1回2時間来てもらったらそれで1,400円になりますし、それが月々でどういうこ とになっていくかということがあります。  そういった中で、打ち切るのではなくて、これからどうなっていくかというしっかり としたビジョンがあって、こうなるのですよと言ってもらえれば、そんな分からない人 というのはあまりいないのではないか、きちんと理解できると思いますので、その辺を 明確にしていっていただけたらいいなと思っております。 ○前田座長 ありがとうございました。  一つの方向性はもう見えたのだと思うのですけれども、時間の関係といいますか、テ ーマがいろいろありますので、この問題は一応ここまでにさせていただいて、駒村委員 がお話になろうとしたのはどのようなことでしょうか。 ○駒村委員 資料3の4ページの介護従業者の辺りですけれども、今の議論の中で家事 援助の話も少し感じましたが、打ち切るか打ち切らないかどうするかという議論もある と思いますが、もう一つは、かなり地域性が強いものであれば、日本全国の仕組みとは 離れ、地域の特性がより反映できるようなフレームというものも工夫できないかと。要 するに二段構えみたいな形で何とかできないかと思います。勿論、財政調整みたいなも のは一部必要だと思いますけれども、そういうことを望む地域であれば、その分の財政 は何とか自分たちでも受け入れるつもりがあるような、二段構えの工夫はできないかと 今お聴きしながら感じました。  それで、資料3というのは、今までの議論のリストアップということだと思いますの で、そういう意味では、体系的に整理されているというよりは、部分的にピックアップ しているものだと思いますので、これを最終的にどう整理するかということだと思いま すが、先ほどの古川さんと堀田さんの議論でもありましたように、やはり従事者の話は 非常にコアになるだろうと。介護サービスというのは、勿論、労働市場、資本市場の影 響を常に受けるわけですけれども、それに対して制度はどう対応するのかということは 常に求められている。私はそちらばかり見ているのですが、今日の話でもあったように、 組織、経営の方もそれに対して対応しなければいけない。ただ、その部分がまだ非常に 未成熟であるということもだんだん明らかになってきているわけです。  その上で、その部分がなぜまだ十分に発達していないのか、経営組織あるいは賃金体 系の評価がきちんとできていないのかというのは、やはり冒頭に古川さんの御報告でも あったように、介護パフォーマンスを評価していく、測定していくシステム、あるいは 介護職の専門性を評価したり、キャリアパス、キャリアをいかに賃金につなげていくか という仕組みがまだ成立していない。それから、冒頭事務方からもあったように、正確 に復元できないかもしれませんけれども、何か労働分配の理想的なモデルみたいなもの も考える必要があると思います。  今、経済の状況はやや景気が悪くなっておりますので、場合によっては、今、介護労 働者のショートの問題がもしかしたら少し緩むかもしれないです。ただ、それでのど元 過ぎて熱さを忘れるということではなくて、介護パフォーマンスの評価や専門性の問題 については、きちんと研究して、システムを創っていく努力は必要なのだろうと思いま す。  そういう問題意識を申し上げた上で、資料3についてちょっと議論しなければいけな いことが幾つかあるかと思います。他の方の意見であるわけですけれども、1つは、(2) のところですが環境整備。単身者は単身でも、既婚者は世帯として生計を支えていける 可能性を担保していくこと、これは勿論、この分野で生涯の天職として働ける見通しが なければ人が入ってこないのは当たり前なわけですけれども、一方では、専門職の報酬 体系をどうしていくのか。専門職には専門職の報酬体系があって、経験を積んでキャリ アが上がっていくと、能力が上がっていって、それに対して待遇が改善していくという 部分もあると思うのですね。この辺、きちんと専門職の報酬体系の整理とキャリア形成 について議論を深めていかないと、単身者の賃金と既婚者の賃金が違いますよというこ とは、介護報酬上よく分からないことになりますので、その辺はちょっと組織内で頑張 るという話なのか、制度的に何かやれという話なのか。だとすれば、介護職の、専門職 の賃金体系というのはどうあるべきなのかという議論はもう少しやっていく必要がある のではないかと思います。  それから、(3)の外国人の議論でございますけれども、これも現場の方はかなり切実な 問題だと思いますが、私も、いずれは外国人の議論というのは真正面から議論しなけれ ばいけない時期が、そう遠くない時に来るだろうと思います。ただ、この時の議論、今 の実態はこんなに厳しいのだから、そこを凌ぐために入れるという、いわばなし崩し的 なものではなくて、先程申し上げたように、介護職の賃金構造はどうすべきなのかとい うことをきちんと整理した上でこの問題をやらないと、同じことをやるにしても、順番 を逆にやると全然違う結果になってしまうだろうと思います。  それから、そういう外国人の問題というのは、言っている人の立場によって全然違う イメージで言っている可能性がありまして、財政的な事情で、保険料に跳ねない工夫は、 賃金を抑える方法はもうこんなものしかないだろうみたいな見方と、いかにしても労働 人口総数が足りなくなってしまう以上、これはいずれ真正面から見なければいけないと 言っている方といろいろあると思いますので、ここも政府の方には、入れるか入れない かは別問題としても、きちんと直視するということは必要なのだろうと思います。  あと、ここに触れられていないですけれども、先程も少しお話がありましたが、家族 介護者の問題というのも中長期的には非常に大きな問題になってきて、現時点では離職 者14万人ぐらいという数字があるようですが、これから中長期の社会保障制度を見てみ れば、より高齢者の方にも定年を遅らせていただいて働いていただくという時代が来る わけでして、ある意味、こちらの部分でのワーク・ライフ・バランスをどうやって創っ ていくかというのも、かなり本格的に議論しなければいけないテーマかなと思っていま すので、そういう部分も必要かと思います。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。多岐に渡るというか、幾つかのポイントにつな がるところで、それぞれについてまた御意見があろうかと思うんですが、初めに御指摘 になった地域の特徴をどこまで入れ込むかで、今日のお話の中でも、やはり地域に根差 した介護のスタイルということが強調されるわけですが、私も全くそうだと思うのです が、片一方で、国で創る制度はオールジャパンでなければ動かないというか、法律の世 界というのは非常に硬直した部分がどうしても残ってしまう。これは、ただ介護だけで はなくて地方自治、地方公共団体と国との関係の根本問題にもつながるのですが、介護 の特性も考えれば、より地方に即した、なるべく、可能な限り地方の特性を生かした運 用といいますか法律の枠組みづくりも含めて考えていくべきだし、それが利用者にとっ てもプラスなのだと思うのです。  ただ、駒村委員の御指摘、そこのところより、この(2)の介護の専門性、それから給与 体系のことと、外国人の問題は、今回はあまり正面からは議論しない方がいいかとは思 うのでが、もし御意見があれば出しておいていただいて、「単身者は単身で、既婚者は 世帯として生計を支えている可能性を担保していく」という御指摘に関して、勿論理念 としてはそうなのですが、どういうふうにもう一歩突っ込んで具体的なイメージとして 体系性を持っていくかですね。勿論これからというところはあると思うのですが、駒村 委員の御指摘に関して、どの部分でもよろしいのですが御意見があれば。では、村上委 員お願いいたします。続いて堀田委員お願いいたします。 ○村上委員 この介護保険のこれからのあり方については、「住み慣れた地域」という のが一つのキーワードになっていると思うのです。先程もお話がありましたけれども、 この「地域」というものをどういうふうに定義付けるのか。  私は、保育所をやったのですけれども、当時は地域の中の保育所だったのですが、だ んだん働く人たちが車を持ち出しますと、私は帯広ですが、帯広全体が地域になってし まうのですね。ところが、保育所単位で考えると自分の地域と考えるわけです。  御承知のように、今は少子化ですから、そういう意味では、もう動きがいっぱいある わけです。そうすると、時代によって人口動態なんかも勿論勘案しなければならないと 思いますが、人がすごく動いてくるわけですよね。あるいは高齢化してくるわけですね。 あるいは、今まで話のあった家族力のことについても、いろいろな動きが出てくると思 います。労働力人口も減ってくると思います。  こういう中で、市町村合併もあるでしょう。そうすると、この中で地域というものを どういうふうに位置付けて、住み続けられる地域と考えるのか、あるいは今まで住んで きた、住み続けてきた地域と考えるのか。こういう辺りのところが、キーワードである 以上は、なかなか定義付けられないとは思いますが、やはりはっきりさせていく必要が あるかと思っておりますが、このところはどういうふうに考えるかということでござい ます。 ○前田座長 では、駒村委員が最初に御指摘になった点で、先程もやり取りがあったこ とですが、堀田委員が手を挙げられたのは、そのことに関連ですか。 ○堀田委員 地域以外の点なので、地域のことを先にどうぞ。 ○前田座長 地域、さっき市区町村が単位ではないか、いや校区がという話があって、 では、鳥羽委員お願いします。 ○鳥羽委員 基本的には市区町村というか、もう少し学区内で、いわゆる衣食住の最低 限の生活ができるような生活圏としての地域というのが最小単位になると思うのですが、 ちょっと議論は後にしようと思いましたが、私は物忘れセンターをやっていまして、三 鷹、武蔵野、調布地区の地域連携をやっています。そうしますと、認知症高齢者を地域 で支えるということになりますと、特殊なデイサービス、例えば、あそこはお絵描きを やっているとか、あそこは体操が上手だとか、あそこは囲碁教室があるとか。そうなり ますと、必ずしも一つの小さな学区あるいは市町村だけではない、より広域の地域で支 えるというものも必要になってくる。ですから、基本的には小学校区のような小さな生 活を守るところが単位でしょうけれども、高齢者の介護を見ていく上で、病態に応じて より広い二次介護圏とか三次介護圏といったような概念も入れてもいいのではないかと 私は思っています。 ○前田座長 他に今の問題で。太田委員お願いします。 ○太田委員 地域ということですけれども、介護と地域を考えたときに、介護の度合い が進んでいる方の場合と、比較的自立していらっしゃる高齢者というようなことがある かなと思うのですが、まだちょっと頭の中は整理ができていないのですが、たまたま国 土交通省の検討会で、一昨日にUR賃貸住宅の見学に行ってきまして、すごく小さな小 さな地域ということになると思います。具体的には江東区の大島の団地でしたけれども、 そこに高優賃ができてきているわけですが、高優賃は低層階の方にありまして、高層階 の方には若い世代が住んでいらっしゃるわけです。夕方5時ぐらいにその団地を出たと きに、若い世代からお年寄りまで、いろいろな層の方々がその辺を歩いていらっしゃっ て、何ともいい風景だったわけです。  その高優賃自体が、今、大島は特にすごい人気らしくて、60倍だとおっしゃっており ましたけれども、そんなに何もすばらしい住環境というわけではないわけです。決して 贅沢なものではなくて、ごくごく普通の公団住宅に、少しバリアフリーをしたというだ けで、一住居当たり一般リフォームなら約200万円、バリアフリー使用の場合はそのプ ラス200万円ほどのリフォーム代だとおっしゃっておりましたが、ああいう地域が、先 日からの小規模多機能の延長で考えていたんですが、小規模多機能もそうですが、あの 小規模多機能も、ああいうところがあったら入りたいなと思いましたが、ああいう高優 賃のようなところは、公団が今いっぱい余っているというようなことで地域の核となっ ていく。また、公団の中には高齢者向けのいろいろな相談サービスセンターなどもあっ たわけですが、やはりああいうものは一つの可能性として考えて、多分考えていらっし ゃるからああいうものがもう既にできているのだとは思うのですが、実際に目で見て、 ここには地域があるなと思いましたし、ああいうところに入れることが、最低ランクと いうか、ある程度、ああいうところに入る可能性があるのだということが分かれば、随 分な安心感につながっていくでしょうし、その辺の地域という考え方も一つあるのかな とちょっと思いました。 ○前田座長 ありがとうございました。いろいろなレベルで地域というのはとらえられ ますし、何のために国と地域を対比するかというその目的なんかでも違ってくると思い ますが、やはり市区町村が一番基本的な単位になって、より細かいところまで見なけれ ばいけないとかいろいろなレベルがあると思うのですが、この問題、あと時間の関係も あるので、他の問題で、堀田委員はちょっと別の点で。どうぞお願いいたします。 ○堀田委員 駒村委員の御指摘との関係で、4ページ、パフォーマンスをどう評価する かという点があったと思います。今の介護報酬の体系の中にも、事業者のパフォーマン スの評価という時に、さっき古川委員の御説明がありましたけれども、アウトカムの評 価に近いような試行的な取り組みと、例えば訪問介護の特定事業者加算のような、事業 所の体制などのインプットを評価しようとするものと現状で2つあると理解しています。 まず、アウトカムの評価をどうすべきなのか。それからインプットがこうだから、いい ものが提供されているだろうというようなストーリーは正しいのか、その評価の視点を 決めることによって、逆に経営の努力や自由な工夫を狭めていないかといったような点 から、報酬体系の中での対応ももう少しじっくり議論すべきだと思います。  それから、そもそも良いサービスをすれば選ばれるような市場の成熟があれば、そん な報酬の中だけで考える必要はなくて、良いサービスを提供すれば選ばれるといった市 場になっていないとすると、その原因は何か。規制の面、利用者が選べる主体になって いるのかといった面からも見直しが必要です。情報公表なども進んでいますが、利用者 が良いサービスを見極められているのか。理解できるのか。そもそも利用者から見たサ ービスのあり方と今あるサービスが合っているのか、いろいろなレベル、いろいろな観 点からパフォーマンスというものは考えていかなければならないと思います。  それから、専門職労働市場についてのご指摘、この「単身者は単身でも」という表現 は最終的には抜いていただいて、さっき駒村委員がおっしゃったように、専門職の報酬 体系の検討を進める必要があるという形にしていただいて構いません。ただ、そもそも 専門性は市場で評価されていくもので、専門職論と賃金論は別になっている中で、なか なか難しいものですけれども、この介護職の専門性をどう評価して、その発展を考えて いくのかというのは、これから長期的な議論が必要なこととして入れていく必要がある と思います。  それから、3番目の事業所の中での話ですけれども、労働分配率という視点もありま すが、その中の振り分け、仕事ぶりや能力の評価を各事業所としてどうするのか。そう いったような人事評価、雇用管理全体のモデルを創っていくことも欠かせないと思いま す。  それから、最後に御指摘があった、最初から皆さんも私も話したところですけれども、 家族の位置付け、さらに利用者の位置付けを、最終的なビジョンの中にはしっかりと書 き込んでいく必要があると思います。どういう整理になっていくか分からないのですが、 生活を支えるための仕組みづくりの中で、まず自分でやるべきこと、家族の役割という ものを入れることもですが、今この資料3の中には、利用者の位置付け、家族の位置付 け、利用者の参加、家族の参加といったようなことがあまり残っていないような気がす るので、介護ビジョンとして示していく時には、本人と家族を柱立てていく必要がある と思います。  以上です。 ○前田座長 ありがとうございました。評価の問題、先程も若干議論が出て、そこにも つながるかもしれませんけれども、もし何か御意見かあれば。では、袖井委員お願いい たします。 ○袖井委員 今の堀田委員の御意見に非常に賛成で、最後におっしゃったことですが、 やはりもう一つ柱として、利用者とか家族とか、そういうものを立てるべきだと思うの です。やはり自助、共助、公助と言いますけれども、これから特に共助の部分が重要か と思うのですが、やはり自助の部分も外せないと思うのですね。  この説明といいますか、資料3はとてもよくまとめてくださっているのですが、サー ビスの提供側の話がもっぱらで、何か利用者とか家族、受け手はサービスを受ければい いのかなという感じになってしまうので、やはり介護保険のねらいは自立支援であった はずなので、それぞれがその人らしく、あるいはその人の希望とかに合った暮らしをし ていくという意味で、利用者として、あるいは家族として、こういう超少子高齢社会の 中でどうやって生きていくか、そういうものを一つ柱として立てていただきたいと思い ます。 ○前田座長 今の点、事務局の方よろしいですね。柱の立て方ということで。  それでは、お願いいたします。 ○鳥羽委員 今と全く同感です。まず、恐らく安心と希望の介護ビジョンということで すから、それを読まれた時に、もしこのようなサマリーであると何が言いたいかよく分 からない。そうしますと、自立あるいは自助、共助にせよ、結果的に、将来どういうよ うなものが高齢者が安心してできるかというところが前面にあるべきだと思います。そ の意味では、やはり衣食住、セルフケアにわたって、豊かな老後が、介護が必要な人で も暮らせるといったことが当然の目標になるべきだと思います。  住のことは私は詳しくないので、衣、食、セルフケアに関しても、それぞれ工夫した 形で盛り込まれるべき。  チーム医療という言葉がありますがチームケアの中には、家族、それから御本人とい ったものは当然重要な要素でありまして、例えば、私も先ほどの三鷹、武蔵野地区の認 知症ネットワークの中で在宅介護支援センターの方から厳しく指摘されて、教育を受け るシステムがないという形で、私は、もの忘れセンターで月に6回ボランティアで家族 教室を開いて教育しておりますけれども、今度からそこにどんどん在宅介護支援センタ ーの方など、いつでも聴きに来てくださいとしました。ですから、介護労働者の方と御 家族が一緒に学べるような場というものを提供しております。これは実験的なものです が、どのような地域の介護圏の中でそういうことをやれば有効かということに関しても、 チームづくりのために、ある一定の試みを打ち出したらよろしいのではないか。  食について、もう一言だけですけれども、先ほどのミールズ・オン・ウィールズ、ま ずい、私も経験しました。日本の中で、例えば要介護者で嚥下障害食というものがござ いますが、それらは通常、管理栄養士の人が作っているために、あるところで出したと ころ、半分も食べない。ただ、それは最近の不況で、レストランとかそういうところで、 つぶれた料亭のシェフとかがやったら、全部食べて、しかもおいしいと。しかも残さな くて材料費も多くかからないといった試みがされています。ですから、地域のレストラ ンや料理屋といったものとのタイアップで、食もお金を掛けないで、より満足を得られ るような希望の方法もあると思いますし、衣について言えば、やはり外国に学ぶべきは、 どのような高齢者で、介護者であっても、自分のすてきな服を着て、場合によってはお 化粧することによってすごく生き生きとするんですが、その辺のことがデイサービスな どでもう少し工夫できる、このような希望のプランについても、もう少し具体的な形と して織り込んでいけないかと思います。  以上です。 ○前田座長 勿論、資料3は準備段階ですので、提言、ビジョンとしては、先生がおっ しゃったようなものをもっと盛り込んでということで、次回あたりにたたき台、案のも のを準備していただければと思うので、その時には、今御指摘いただいたことを重視し て準備していただければと思います。  ほかの委員の方で。では、村上委員お願いいたします。 ○村上委員 先ほど古川委員が提言されました、後ろの方の参考資料ですけれども、ま さにこれ、第3期が最も重度、もっと重度の方がいるかもしれませんが。 ○前田座長 認知症のものですか。 ○村上委員 そうです、認知症ですね。これは認知症のチャートですけれども、ここに 身体的な障害も伴った方がこれからずっと増えてくるわけですよね。そうすると、やは り先程の地域だとか、あるいは家族の介護力だとかというところで、この方々を地域や 家族で支えなければならないというものを入れ込んでおく必要があると思うのですね。 それで、できないところをどう在宅サービスとかその他のサービスを入れるかというこ とをしっかりやっていかないと、私は、書かれていることについては、基本的にはその とおりだと思うのですけれども、1人の人間が高齢になって、いろいろな障害を負いな がら、その中でその人らしく生活するというのは、そう簡単なことではないと思うので すね。ですから、まさに利用者の視点で考えた時に、その方が本当に自分らしく生きて いきたいという場合には、こういう状態にもなっていく、もっと重度な状態になってい く。そのためのサービスというのは何なのだというようなことを、私はしっかりと考え ておく必要があるのではないかと思っておりますので、そのことについてお話しさせて いただきました。 ○前田座長 ありがとうございました。  他にいかがでしょうか。全体に関して何か御発言があれば。  一渡り御意見を伺って、最初に申し上げた、この3のまとめで、自分が発言して強調 したつもりだけれども落ちているとかというところは特に。先程御指摘がありましたよ うに、これをそのままビジョンとして出していくということではないですが、やはり重 要な材料になりますので御確認はいただきたいと思いますし、あとこれに加えてとか。  先ほどの鳥羽先生のお話にありましたように、ビジョンなので、国民から見て、こう いう方向性を示してもらえるということで、安心して将来は自分の設計が描けるみたい なものになるべくなっていければと思うのですけれどもね。  いろいろ今日も議論を闘わされたように見えますけれども、基本的な方向性としては そんなに食い違うとか対立するということは残されていなくて、むしろ、どういう夢と いうかビジョンが描いていけるかなんだとは思うのですけれどもね。勿論、今日は、特 に古川委員から御指摘いただいたような具体的な基準といいますか、これからはやはり、 この委員会の課題と言うとちょっとそれは荷が勝ち過ぎているのかもしれませんが、い ろいろなところでそれをつくっていかなければいけないのだと思うのですが、それと併 せて、やはり方向性、夢を描けるといいますか。また、いいアイデアがあれば、今まで 出てきたものなんかでも、それを発展させる方向性を書いていっていただければと思う のですが、委員の先生方、何かほかに。どうぞ、石川委員お願いいたします。 ○石川(誠)委員 古川委員の資料1の5ページ目で2番目ですけれども、これは大変 私も同意するところでして、このことに関してですが、今、地域はどうも一事業者、単 一事業所で機能する傾向にあって、ホームヘルプサービスならホームヘルプサービスの みとか、デイサービスのみに懸命になっています。また、多事業所が複合していても、 中を見ると全く別の事業所が何の連携もなくやっている傾向もあるのですね。病院も、 医療・福祉複合体で、急性期から慢性期の病院まであって、老健、特養を持っていて、 在宅サービスもヘルパーもやる、そういう医療・福祉複合体もたくさんあるのですが、 中に入り込むと、連携は良くなく風通しは決して良くない。それぞれの事業所があまり にも独立していて、セクショナリズムになっている、そういう傾向は確かにあるのです ね。つまり水平連携のような、種類の違う事業所が一緒になってスクラムを組んでやっ ているという雰囲気は、まだまだできていないような気がするのですね。  私はこれが非常に気になっていて、それで、前回、在宅総合ケアセンター元浅草を紹 介させていただいたのですが、実は、そこに非常に大きなヒントがあると思っています。 そこには介護福祉士もいますし、ヘルパーの1級の人もいるし、医療職も介護職もいろ いろな方がいます。基盤の異なる多職種がしょっちゅう、医師も看護も介護もPTもO TもSTもいつも一緒のテーブルを囲んで議論をするわけですね。そのことによって、 それぞれの専門性がより明確になるのです。離れて議論もしないでいると、専門性が何 かも気が付かないで日々流れていってしまう。つまり一緒に働いていないから余計専門 性がわからなくなるのですね。ともすると、一緒に働くと専門性が否定されると誤解さ れているというか、逆に医師と一緒にいると、どうも医者の方が君臨していて何とかだ ということもあるかもしれませんが、心ある医者はそんなことは思いませんので、逆に、 一緒に働くようなそういうものを是非はぐくむことが必要なのではないでしょうか。つ まり、こうした医療福祉共同体をモデル事業として、そういうところにバックアップを するとか、そういうことをやると、いろいろな意味での効果が出てくるのではないか。 そんなふうに思って一言発言させていただきました。 ○前田座長 ありがとうございました。では、古川委員お願いいたします。 ○古川委員 今の御意見、ありがとうございます。私の資料の4ページの3の医療連携 のところで書かせていただいたところにも、「お互いの立場を理解する仕組みづくり」 と書かせていただいたのですね。お互い同じ建物の中に入っていても、今、石川先生が おっしゃっていましたが、やはりお互いがどの役割、どの立場で動いているのかという のが分かっていないのです。なので、そこをきちんと理解した上で、お互いどういう役 割でネットワークの中で一緒に動きましょうかということが、顔と顔を合わせて日々き ちんとそこの話ができていかないと、これは成り立たないものだと私も思っておりまし て、そういうものが、多分事業所間でも地域の中でも組み立てられるようなものができ たらいいなというのを個人的に思っていて、その内容を織り込んだという形なので、先 生と本当に同意見です。 ○前田座長 どうぞ。 ○石川(誠)委員 もう一つ、ちょっとこの資料3にあまり顔が出てこなかったので一 言申し上げたいのですが、ケアマネジャーの存在というのは非常に大きいのですが、ケ アマネジャーの質が、すばらしいケアマネジャーもいれば、ちょっと大丈夫かなという 方もいらっしゃるのは事実でして、ケアマネジャー自身も得意な分野と不得意な分野と あって、どうしても得意な分野のサービスに特化していってしまうという傾向もあるよ うです。どうも中立公正の立場というものが確立されていないと思われます。逆に言え ば、ケアプランを立てるケアマネジャーの報酬体系も低くて、ぎりぎりの数をやって、 それでも採算が取れない。そうすると、自分の所属している経営母体のサービスを使う と評価される組織も多いように奇妙なこともありまして、やはりケアマネジャーに対し てもうちょっと待遇の充実、それから教育、研修ももっともっと充実しないといけない と思います。今後とも、かかりつけ医とケアマネジャーが大きな2本柱になってくると 思うのですが、この点に関してどこにも出てこなかったものですから気になって追加で 発言させていただきました。 ○前田座長 他にいかがでしょうか。ほぼ議論は出尽くしたというか、初めに報酬改定 の話でちょっと時間をとってしまったのですけれども、大臣がいらして、状況が分から ないところで本当に申し訳ないですが、基本的に3%ということでいいけれども、それ が本当に介護の現場の方々の賃金に反映するかどうかきっちり見るというようこと、そ れから、石川市長から非常に具体的な御提言をいただいて、大臣に聞いていただいた方 がよかったと思うのですが、全体としては、いろいろここにまとめたものとして議論を いただいて、いいアイデアも、光るものもいっぱい入っていると思うのですが、これを どうまとめていくかで、やはり国民から見て、この介護保険を創った意味としては、安 心と希望を持てるようなビジョン、そんなきれいな完成した絵をこれだけの期間で描け るとは思いませんので、ただ、デッサンでもいいし水彩的なものでもいいのかもしれま せんが、何か今回の方向性これだというものを是非、事務局にもプレッシャーを掛ける ことになると申し訳ないですが、次回あたりにたたき台みたいなものを出していただい て。あまり無理をし過ぎても具体化がなかなか難しくなると思いますし、あくまでもこ こまで御議論いただいたものを踏まえて先へ進んでいければと思うのです。  何か大臣の方から。 ○舛添大臣 すみません、公務で遅れまして最後しか聞けなかったのですけれども、鳥 羽先生、袖井さん、太田さん辺りから話があったと思いますが、2〜3申し上げます。 医療ビジョンの時もそうでしたが、この介護のビジョンもサービスをサプライする方、 供給する方のことがいっぱい書いてあって、供給する体制をこうしましょうとある。今 のケアマネも、ある意味でサービスを提供する側ですね。お医者さん、介護従事者を含 めて。そうすると、受ける方から見たらどうなのだということです。例えば医療だと、 医師不足があるので、お医者さんをどう増やすかということがある。ところが、いつも 私は申し上げるのですけれども、うちの駅前には開業医がいっぱい、30軒もあるよ。こ の人たちを向こうへ持っていけばいいじゃないかという話になってくるわけです。そう すると、鳥羽先生でしたか、お食事の話をなさいましたけれども、家族とか認知症の本 人から見るとどうだという視点がどこかで一本貫いているとありがたいなと思います。  私が知っているところだと、やはり我々が御飯を食べるときに、プラスチックの茶わ んよりも九谷焼の茶わんで食べた方がおいしいのですね。ところが割れてしまうものだ から、最初にやっていても、もうぽとんと落としてしまうからなんだけれども、例えば 落としても割れないような陶器の茶わんってないのかなと思ったことがあるぐらいなの で、ちょっと個人とか家族の立場で見たときの、提供を受ける側からの一本線というの はないかなという感じがしていたのです。  それから、もう一つは、介護保険が入りましたから、先ほどの、例の今度の、昨日総 理が発表なさった介護従事者の処遇改善にしても、介護保険というシステムがあって、 その中でどう動かしていくかということになるのですが、ただ、私が母を介護したとき は、まだそれが無かったものですから、要するに1人の高齢者ないし介護を受ける人と、 それを取り巻く家族にとって、初めから終わりまでの流れという1本線が欲しいのです ね。  つまり、どこに相談に行ったらいいのだろうと。今は介護保険が当たり前みたいにな っていますけれども、私なんて、区役所に行くのか、どこに行くのか、もうそこから迷 ってしまう。それから、終わり、お葬式をやって墓場までの話のところで、実を言うと、 だから成年後見制度を2ページ目に書いていますが、いわゆる心身のケア以外に、そち らが本当に人生が終わるときに大きくなってきて、じゃ、お坊さんをどこから呼んでく るのだとか、葬式の費用はどうするのだとか、誰がそれを持つのだとか。そうすると遺 言があるかというのですが、ちょっと成年後見制度というものが車の両輪でありながら あまり活用されていない。活用されていない理由は何なのか、活用するとすればどうな るか。  今言ったスタートから最後まで、介護保険のお世話になって、それが終わった後のま さに遺産相続まで入ってしまうので、その2本のラインが欲しいなというのは、勝手な がら、大臣としての立場じゃなくて、皆さんと一緒に議論する立場で、今の時間軸の問 題、それからサプライヤーではなくて、受ける方、ディマンド側からの線が欲しいなと いうのが、私の全く個人的な、今、限られた時間でお話をお伺いしていての感想でござ いますので、あとはもう座長の先生始め、皆さん方にお任せしたいと思います。  以上です。 ○前田座長 どうもありがとうございました。非常に明快なといいますか、ある意味で 方向性をお示しいただいた部分もあると思います。ただ、今日はこれでほぼ予定の時間 がまいりましたので、本日の会合は一応これで終了とさせていただいて、次回以降の日 程を事務局から御案内いただけますか。 ○大澤総務課長 次回は11月12日水曜日の10時からを予定しておりますが、また詳細に つきましては、追って御連絡いたしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。 ○前田座長 それでは、本日の会合はこれで終了したいと思います。どうもありがとう ございました。 ○舛添大臣 どうも皆さんありがとうございます。引き続きよろしくお願いいたします。 【照会先】  厚生労働省老健局総務課総務係 小野   TEL 03−5253−1111(内線3913)   FAX 03−3503−2740