08/10/31 第6回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会議事録 厚生労働省 雇用均等・児童家庭局 第6回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会 議事録 日時:平成20(2008)年10月31日(金) 17:00〜19:25 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   柏女委員長、相澤委員、今田委員、大塩委員、大島委員、奥山委員   木ノ内委員、榊原委員、庄司委員、松風委員、高田委員、豊岡委員   藤井委員、藤野委員、吉田委員  厚生労働省   北村審議官、藤原家庭福祉課長、前河児童福祉専門官  協力者   国立保健医療科学院福祉サービス部     福祉マネジメント室長 筒井 孝子氏 議題:  1. 開会  2. 平成19年度社会的養護施設に関する実態調査結果中間報告書及び平成20年度社 会的養護における施設ケアに関する実態調査設計等について  3. 閉会 配布資料:  資料1-1  平成19年度社会的養護施設に関する実態調査結果(ポイント)  資料1-2  平成19年度社会的養護施設に関する実態調査結果中間報告書(概要版)  資料1-3  平成19年度社会的養護施設に関する実態調査結果中間報告書  資料2-1  平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査について(調 査設計)(案)  資料2-2  社会的養護関係施設における業務分類(ケアコード)(案)  資料2-3(1) アセスメント票(就学前児童用)(案)  資料2-3(2) アセスメント票(就学後児童用)(案)  資料2-4(1) アセスメント票の記入要領(就学前児童用)(案)  資料2-4(2) アセスメント票の記入要領(就学後児童用)(案)  資料2-5  タイムスタディ調査票(自計式)(案)  資料3-1  平成20年度社会的養護ニーズ把握調査要綱  資料3-2  平成20年度社会的養護ニーズ把握調査(児童相談所票)  資料3-3  平成20年度社会的養護ニーズ把握調査(児童個票)  資料3-4  平成20年度社会的養護ニーズ把握調査必携 議事: ○藤原家庭福祉課長  定刻となりましたので、ただ今から第6回社会保障審議会児童部会社会的養護専門委 員会を開催させていただきます。委員の皆さま方におかれましては、お忙しい中、お集 まりいただき厚く御礼申し上げます。本日の委員会の出席者は15名でございます。西 澤委員と山懸委員は欠席と伺っております。なお、庄司委員は所用により少し早く退席 されるということ、また、吉田委員と榊原委員はまだご到着されていませんが、多少遅 れてご到着になるということでございます。  また、本日は平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査設計につい てご協力をいただいている先生をお呼びしておりますので、ご紹介させていただきます。 国立保健医療科学院福祉サービス部福祉マネジメント室長の筒井孝子室長です。  それでは、議事に入りたいと思います。柏女委員長、よろしくお願いいたします。 ○柏女委員長  皆さま、こんにちは。もう、こんばんはと言ってよいくらい暗くなってしまいました けれども、本当に1年ぶりぐらいではないでしょうか。委員会開催ということで、皆さ ま方にお集まりをいただきましてありがとうございます。今、藤原家庭福祉課長からお 話がありましたように、今日は、平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実 態調査のこと等について話し合うことが中心だということですので、ぜひご協力をお願 いしたいと思います。お手元にお配りしております資料につきましての確認を、事務局 からお願いしたいと思います。 ○藤原家庭福祉課長  それでは、資料の確認をさせていただきます。大きく、資料1、資料2、資料3とご ざいまして、それぞれに枝番がついています。資料1は、「平成19年度社会的養護施設 に関する実態調査結果」でございます。枝番の1が「ポイント」、枝番の2が「概要版」、 枝番の3が「中間報告書」でございます。資料2は、平成20年度社会的養護における 施設ケアに関する実態調査の関係でございます。枝番1が「調査設計(案)」、枝番2が「社 会的養護関係施設における業務分類(ケアコード)(案)」、枝番3には(1)と(2)がございます が、「アセスメント票で(就学前児童用)(案)」が(1)、「アセスメント票(就学後児童用)(案)」 が(2)でございます。枝番の4はアセスメント票の記入要領で、(1)と(2)がございます。(1) は「アセスメント票の記入要領(就学前児童用)(案)」、(2)は「アセスメント票の記入要領(就 学後児童用)(案)」でございます。資料2の枝番の5は「タイムスタディ調査票(自計 式)(案)」でございます。資料3は枝番が1〜4までございますが、平成20年度社会的養 護ニーズ把握調査の関係でございます。枝番の1が「要綱」、枝番の2が「児童相談所 票」、枝番の3が「児童個票」、枝番の4が「把握調査必携」でございます。なお、本日、 大塩委員からの配付資料として、委員のみでございますが、「第10回鯉渕記念母子福祉 助成事業母子福祉作文賞 母子世帯からのメッセージ入賞作文集」を机上に配布させて いただいております。以上、お手元に資料がない場合はお知らせください。事務局がす ぐにお届けいたします。資料の確認は以上でございます。 ○柏女委員長  ありがとうございます。いかがですか。皆さま、ありますでしょうか。それでは、こ れから討議に移る前に、先ほど申し上げましたように約1年ぶりということで、その間 家庭福祉課の課長も代わられていますので、家庭福祉課長から一言ご挨拶をいただいて、 その後、討議に移りたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○藤原家庭福祉課長  家庭福祉課長の藤原でございます。今年の7月に家庭福祉課長を拝命いたしました。 どうか、よろしくお願い申し上げます。社会的養護の専門委員会におかれましては、昨 年大変ご熱心にご議論いただきました。11月に報告書をおまとめいただき、厚く御礼を 申し上げます。報告書のご提言を踏まえまして、里親制度の改正、またファミリーホー ム事業の創設、年長児の児童自立支援の見直しなど、社会的養護施策の推進を含みます 児童福祉法等の一部改正法律案を先の通常国会に提出いたしました。誠に残念ながら、 参議院で審議未了廃案となりましたが、今国会に再提出の準備を現在進めております。 来週にも、閣議に掛かる予定でございます。担当課長の一人といたしまして、国会で早 期にご審議いただけることを切に望んでいるところでございます。また、専門委員会の 報告書では、子どもの状態や年齢に応じた適切なケアを実施できるよう、現行の施設類 型のあり方を見直すとともに、人員配置基準や措置費の算定基準の見直し等を含めたケ アの改善に向けた方策を検討することが必要であります。見直しを具体的に進めるため には、必要な財源の確保が必要であるとともに、現在施設内で行われているケアの状況 を詳細に調査・分析することが必要であるとのご提言も頂戴いたしました。  本日は、このケアの現状の調査・分析という点に関連いたしまして、施設にも大変な ご協力をいただいて、平成19年度に実施いたしました社会的養護施設の実態調査の基 本的な集計結果のご説明、また、これから実施いたしますいわゆるタイムスタディの内 容案についてのご説明を差し上げます。また、専門委員会の報告書を受けまして、先ほ ど申し上げました改正法案にも盛り込まれました都道府県における社会的養護の提供体 制の整備に関する計画策定、次世代育成支援対策推進法の後期行動計画の一部となるも のですが、これに関連いたしまして、現在、児童相談所にお願いして実施中の社会的養 護ニーズ把握調査の調査内容についても、後ほどご説明を差し上げます。これらの調査 の結果につきましては、ケアの改善に向けたこの先の議論にしっかりと生かしていきた いと考えております。  今後とも委員の皆さま方のご支援・ご助言をいただきながら、社会的養護施策の推進 に精いっぱい努力してまいりたいと考えておりますので、どうかよろしくお願い申し上 げます。簡単ではございますが、ご挨拶をさせていただきます。 ○柏女委員長  ありがとうございました。待ちに待った児童福祉法の改正案が来週に閣議決定という お話を今、伺いました。ぜひ、今国会で審議されることを私たち一同、心から願ってお ります。  それでは、討議に移りたいと思います。まず、事務局から資料1、2、3に基づいてご 説明をいただいた後に、各委員の皆さま方からご意見をいただきたいと思います。今日 の議題は、この一つですので、説明に少し時間が掛かるかもしれませんけれども、ご説 明をいただいた後にご意見を頂戴したいと思います。それではよろしくお願いいたしま す。 ○前河児童福祉専門官  今年4月に家庭福祉課にまいりました児童福祉専門官の前河と申します。よろしくお 願いいたします。今日は、私から資料に基づきましてご説明させていただきます。  まず、資料1の平成19年度に実施しました「社会的養護施設に関する実態調査結果」 につきましてご説明させていただきます。資料1-1につきましては調査結果のポイント、 資料1-2につきましては調査結果中間報告書の概要版、資料1-3につきましては調査結 果全体の中間報告書となります。本日は、資料1-2の調査結果中間報告書の概要版に基 づきご説明させていただきます。  資料1-2の1ページをご覧ください。「1.調査の背景と目的」です。社会的養護体制を 取り巻く現状と課題により、平成19年6月に成立しました児童虐待の防止等に関する 法律及び児童福祉法の一部を改正する法律の附則におきまして、社会的養護体制の拡充 について検討を進めることとされました。さらに、本委員会におきましても、子どもの 状態や年齢に応じたケアの改善に向けて、施設体系や人員配置基準、措置費の算定基準 の見直しも含めた検討を行うために、現在、施設で行われているケアの現状を詳細に調 査・分析することが必要とされましたことから、この社会的養護施設に関する実態調査 を行うこととしました。なお、実施につきましては、みずほ情報総研株式会社に委託し、 二つの調査・分析を行い、今後の社会的養護体系の見直しの検討のための資料入手する ことを目的としております。なお、この調査結果につきましては、現時点での集計、分 析結果についての中間報告書としておりまして、今後行う調査の分析と合わせて、さら に詳細な分析を行う予定にしております。  2ページをご覧ください。「調査1」の社会的養護施設に関する実態調査につきまして は、「1)調査内容」は、施設の在籍人数、入退所の状況、職員配置や運営状況についての 施設調査と、平成20年3月1日現在、施設に在籍している児童一人一人についての心 身の状態や家族状況、ケアの適合状況等についての児童個票調査、それから職員の職種 別配置状況や勤務状況についての職員勤務状況調査を実施しております。対象施設は、 乳児院121個所、児童養護施設559個所、情緒障害児短期治療施設31施設、児童自立 支援施設58施設、母子生活支援施設271施設につきまして、悉皆調査を実施しました。 これらの結果につきましては、有効回答分について集計しております。  次の3ページをご覧ください。調査対象施設数と調査表の有効回答数および有効回答 率につきまして上の図表に掲載しておりますが、各施設の調査へのご協力によりまして、 非常に高い回収率となっております。調査方法につきましては、ウェブサイトを通じた 電子調査票の配信、記入、返信による方法と、電子調査票に対応していない施設につき ましては、郵送で配付し、回収しております。  「(2)調査2 平成20年度社会的養護における施設ケアに関する実態調査のための試行 的調査」につきましては、乳児院において調査手法の検討を行うために実施しておりま す。その結果、調査を通じて明らかになった調査手法の課題につきましては、介護や看 護の分野で使用されているケアコードやアセスメントについては児童福祉施設の業務に 応じたものの検討が必要なこと。また、介護や看護の分野では他計式、いわゆるケアを 行う人ではない記録者が記録すること、で実施することが多く見られますが、介護や看 護の分野に比べ、児童に対するケアの一環として保護者や関係機関等、施設外資源と関 わる業務が多く、これらの業務内容は、例えば保護者からの連絡、関係機関との連絡調 整など、内容が本人でなければわかりにくいなど、他計式での測定には限界があること から、自計式、すなわちケアを行う人が自ら記録を行うということになりますが、自計 式の方で実施することが必要ではないかということなどが挙げられ、平成20年度の調 査設計を行う際に、これらの課題を踏まえ検討を行いました。また、調査2の結果につ きましては、平成20年度に行う調査結果と合わせて分析を行う予定にしております。  では、4ページをご覧ください。「2.施設調査集計結果」です。「(1)各施設における入 所の状況」ですが、在籍児童数は図表2の通りになります。また、平成18年度の入所 および退所した児童数は図表3の通りになります。  次に5ページをご覧ください。平成18年度退所児童の退所理由は図表4の通りにな ります。いずれの施設種別におきましても「家庭復帰又は親戚引き取り」が多くなって おり、次いで多いのが乳児院と情緒障害児短期治療施設では「児童養護施設への措置変 更」、児童養護施設と児童自立支援施設では「就職に伴う独立」となっています。6ペー ジに移ります。母子生活支援施設における退所理由は図表5の通りになります。退所の 理由として最も多いのは「住宅事情が改善したため」であり、次いで「経済的自立度が 高まったので」、「希望退所」の順に多くなっております。  平均入所期間につきましては図表6の通りになります。これは平成20年3月1日時 点での在籍児童の平均入所期間になりますが、入所期間が最も長いのは児童養護施設で 約5年、次いで母子生活支援施設では約3年、情緒障害児短期治療施設で約2年の順に 多く、乳児院と児童自立支援施設につきましては約1年程度となっております。  7ページをご覧ください。「(2)各施設における運営の状況」ですが、直接ケア職種の 職員一人当たり児童数につきましては図表7の通りになります。ここでいう直接ケア職 種につきましては、少しページが後の方になりますが、33ページの図表34にそれぞれ の施設種別ごとに記載しておりまして、児童指導員、保育士、看護師、個別対応職員な どになります。また、ここで非常勤職員につきましては、常勤換算をしております。職 員1人当たりの児童数は、児童の年齢に応じた職員の最低配置基準を考慮しなければ、 乳児院で1.82人と最も少なく、次いで情緒障害児短期治療施設で2.32人、母子生活支 援施設では2.45人の順に多くなっており、児童養護施設が3.68人と最も多くなってお ります。専門ケア職種の職員1人当たりの児童数は図表8の通りになります。  続きまして、8ページに移ります。ケアの形態につきましては図表9の通りになりま す。施設種別ごとのケア形態の定義付けは8ページの下の注釈に記載しております。図 表9を見ていきますと、乳児院では小規模グループケアを保有している割合が25%とな っています。児童養護施設では大舎を保有している割合が75.8%、中舎が約19.5%、小 舎が23.4%となっており、小規模グループケアが43.4%、地域小規模児童養護施設が 22.7%、その他グループホームが11.3%となっております。9ページをご覧ください。 情緒障害児短期治療施設では、大舎、中舎を保有している割合が88.5%、小舎が19.2%、 小規模グループケアが11.5%となっています。児童自立支援施設につきましては、夫婦 制を保有している割合は33.3%、交替制は76.9%、並立制につきましては10.3%とな っております。並立制というのは、いわゆる婚姻外の男女を基本とする、夫婦ではない 男女ペアでの養成ということになります。母子生活支援施設につきましては、小規模分 園型を保有している割合が3.8%となっております。  次に10ページをご覧ください。家族療法の実施状況は図表10のようになります。こ こでいう家族療法は、家族療法事業を行うと施設から申請し、指定を受けた施設が対象 となります。情緒障害児短期治療施設ではすべての施設で実施しており、情緒障害児短 期治療施設以外で実施している割合が約1割となります。下の図表11の今後必要とす る事柄につきましては、いずれの施設種別におきましても「人的資源の拡充」が最も多 くなっております。  11ページをご覧ください。これ以降が、「3.児童個票集計結果」になります。「(1)基本 属性」の養護問題発生理由につきましては図表12になります。乳児院以外の施設にお いて、養護問題の発生理由として共通して多く見られるのは、ここでは回答の2割以上 が挙げておりますが、「父母の離婚」、「母の放任・怠だ」となっております。これら以外 の理由としましては、乳児院では「両親の未婚」、「母の精神障害等」が、情緒障害児短 期治療施設では「母の精神障害等」、「父の虐待・酷使」、「母の虐待・酷使」、「児童の問 題による監護困難」が多くなっています。また、児童自立支援施設では「児童の問題に よる監護困難」が多くなっています。  12ページをご覧ください。これは母子生活支援施設への主な入所理由についてですが、 図表13の通りになります。「夫などからの暴力」が最も多く、次いで「住宅事情」、「経 済事情」の順に多くなっております。下の家庭復帰の見通しについてですが、図表14 の通りになります。母子生活支援施設の退所見込みについては図表15の通りになりま す。1年以内に退所の見込みの立っている世帯は3割弱で、住宅事情が改善されれば退 所できる世帯が約2割となっております。  次に14ページをご覧ください。「(2)入所児童の心身の状況」になります。児童の情緒・ 行動上の問題につきましては、15〜19ページにかけての図表16〜20に施設種別ごとに 掲載しております。項目としましては、「疑いなし」、「やや疑いあり」、「疑いあり」、「確 かに問題あり」となっていますが、これら全体に占める「やや疑いあり」以上の「やや 疑いあり」、「疑いあり」、「確かに問題あり」の項目になっているものが、全体の2割以 上の項目について14ページに記述しておりますが、乳児院では15ページのグラフにな りますが、2項目が該当しておりまして、「知的障害」、「言語能力の発達遅延・障害」の 順に多く見られました。16ページの児童養護施設では5項目が該当しておりまして、「反 社会的行動傾向」、「注意欠陥・多動傾向」、「学習障害傾向」、「集団不適応」、「知的障害」 の順に多く見られています。17ページの情緒障害児短期治療施設におきましては、11 項目が該当しておりまして、その中でも5割を超えているのが「集団不適応」、「養育者 との関係性」、「反社会的行動傾向」の順に多くなっており、その他「注意欠陥・多動傾 向」、「学習障害傾向」、「施設内における他児へのいじめ」、「知的障害」、「施設内におけ る他児からのいじめ」、「抑うつ傾向」、「自閉的傾向」、「言語能力の発達遅延・障害」の 順に多く見られています。18ページの児童自立支援施設では10項目が該当し、その中 でも5割を超えているのが「反社会的行動」、「集団不適応」、「養育者との関係性」の順 に多くなっており、その他「注意欠陥・多動傾向」、「施設内における他児へのいじめ」、 「学習障害傾向」、「物質使用」、「施設内における他児からのいじめ」、「知的障害」、「言 語能力の発達遅延・障害」の順に多く見られています。19ページの母子生活支援施設に おきましては2項目が該当しておりまして、「集団不適応」、「注意欠陥・多動傾向」の 順に多く見られております。  それでは20ページをご覧ください。母子生活支援施設の入所世帯の母親に関する情 緒・行動上の問題状況につきましては、21ページの図表21になります。項目としまし ては、「疑いなし」、「やや疑いあり」、「疑いあり」、「確かに問題あり」となっておりまし て、これら全体に占める「やや疑いあり」以上の回答の割合がここでは3割以上の項目 につきまして、20ページの文章の通りに記述しておりますが、情緒・行動上の問題状況 につきましては7項目が該当しておりまして、「生育歴に依拠するもの」、「計画的な消 費など金銭管理」、「対人コミュニケーション上の問題」、「家事能力の不足、家事への負 担感」、「性格上の問題」、「生活リズムの乱れ」、「不定愁訴など心理面での訴え」の順に 多く見られています。  では、22ページに移ります。図表22の母子生活支援施設における母子関係に関わる 問題事項につきましては、2項目が該当しておりまして「育児・養育力の不足」、「価値 観の強要」の順に多く見られています。  次に、身体疾患・身体障害の状況につきましては図表23になります。ここでは施設 種別ごとのグラフで示しておりますが、乳児院と情緒障害児短期治療施設では3割程度、 児童養護施設では2割、児童自立支援施設、母子生活支援施設においても約2割弱の児 童について身体疾患・身体障害が見られています。次に23ページをご覧ください。身 体疾患・身体障害の種類につきましては図表24になりますが、いずれの施設において も「アトピー性皮膚炎」、「喘息」、「喘息以外のアレルギーの病気」等のアレルギー性疾 患が多く見られています。また、耳鼻科、眼科の病気も多く見られています。 次に24ページをご覧ください。ここで発達障害、行動障害等の状況につきましては、 図表25と26になります。図表25の発達障害、行動傷害等の有無について施設種別ご とにみていきますと「診断有り」、又は「疑い有り」の児童の割合が情緒障害児短期治療 施設で一番多くなっていまして、次いで児童自立支援施設。その次が児童養護施設で約 2割、乳児院と母子生活支援施設で約1割の順に多く見られています。図表26の発達障 害、行動障害の問題の種類につきましては、「確定診断有り」と「疑い有り」を含めた割 合は、いずれの施設種別におきましても、発達障害系がもっとも多く見られていまして、 次いで行動障害系、不安障害系の順に多く見られています  25ページをご覧ください。施設種別ごとの被虐待体験の有無につきましては、図表 27の通りになります。被虐待体験「有り」の割合は、乳児院では34.6%、児童養護施 設では59.2%、情緒障害児短期治療施設では77.7%、児童自立支援施設では63.5%、 母子生活支援施設におきましては43.7%となっています。被虐待体験有りの割合の虐待 の種類は図表28になります。乳児院、児童養護施設、児童自立支援施設ではネグレク トが最も多く、情緒障害児短期治療施設では身体的虐待、母子生活支援施設では心理的 虐待が最も多くなっています。  次に26ページに移りますが(3)のケアの適合状況です。これは下の注釈に説明を記載 していますが、当該児童の情緒行動上の問題状況や、身体疾患、身体障害、発達行動上 の問題状況から見て、当該施設におけるケアが当該児童に適しているかどうかをたずね たものです。27ページの図表29がその結果になります。27ページをご覧ください。当 該施設におけるケアが適していない児童の割合が乳児院では16.2%、児童養護施設では 9.7%、情緒障害児短期治療施設では11.8%、児童自立支援施設では11.4%、母子生活 支援施設では12.0%となっています。図表30はケアが適していないとされた児童につ いて、適していると考えられる他の施設等について示したものになります。施設種別ご とに縦にご覧になってください。乳児院では里親の家が最も多く、次いで児童養護施設、 家庭の順に多く挙げられています。児童養護施設におきましては、情緒障害児短期治療 施設が最も多く、次いで知的障害児施設、家庭の順に多く挙げられています。情緒障害 児短期治療施設では児童養護施設が最も多く、次いで家庭、知的障害児施設の順に多く 挙げられています。児童自立支援施設では知的障害児施設が最も多く、次いで児童養護 施設、家庭の順に多く挙げられています。母子生活支援施設では自宅、公営住宅等が最 も多く、次いで児童養護施設、親元の家の順に多く挙げられています。28ページの図表 31がケアが適していないと回答された児童について適していると考えられる施設種別 等を示したものです。知的障害児施設が570人と最も多く、次いで情緒障害児短期治療 施設が562人、家庭が528人、里親の家が482人、児童養護施設が357人の順に多く なっています。  次は29ページをご覧ください。図表32はケアが適していないとされた児童について、 ケアが適しているとされた児童と比較した場合のケアの負担感について示したものにな ります。やや重いケア負担と、かなり重いケア負担の割合の合計は、児童養護施設では 7割、乳児院、児童自立支援施設、母子生活支援施設では約6割、情緒障害児短期治療 施設では約4割となっています。  30ページに移りますが、次の31ページ、32ページが図表になります。これはケアが 適していないとされた児童についてのケアの負担感別でみる適していると考えられる他 の施設になります。31ページ上の表は、「かなり重い」ケア負担とされた児童のケアに 適していると考えられる他の施設等ですが、乳児院ではその他を除き知的障害児施設が 最も多く挙げられました。児童養護施設では情緒障害児短期治療施設が最も多く、次い で児童自立支援施設、知的障害児施設の順に多く挙げられました。情緒障害児短期治療 施設では病院が最も多く、次いで児童自立支援施設、家庭の順に多く挙げられました。 児童自立支援施設では他の児童自立支援施設が最も多く、次いで少年院、医療少年院の 順に多く挙げられました。母子生活支援施設では児童養護施設が最も多く挙げられ、次 いで自宅、公営住宅等、親元の家の順に多く挙げられました。  次の31ページ下の表は、「やや重い」ケア負担と評価された児童のケアに適している と考えられる他の施設等になりますが、乳児院では里親の家が最も多く、次いで他の乳 児院、知的障害児施設の順に多く挙げられました。児童養護施設では知的障害児施設が 最も多く、次いで情緒障害児短期治療施設、家庭の順に多く挙げられました。情緒障害 児短期治療施設では知的障害児施設が最も多く、次いで病院、家庭の順に多く挙げられ ました。児童自立支援施設では知的障害児施設が最も多く、次いで他の児童自立支援施 設、家庭の順に多く挙げられました。母子生活支援施設につきましては自宅、公営住宅 等が最も多く、次いで児童養護施設、親元の家の順に多く挙げられました。  次が32ページの表になりますが、ケアの負担感が「変わらない」と評価された児童 のケアに適していると考えられる他の施設ですが、乳児院では里親の家が最も多く、次 いで他の乳児院、家庭の順に多く挙げられました。児童養護施設では家庭が最も多く、 次いで里親の家、知的障害児施設の順に多く挙げられました。情緒障害児短期治療施設 では、他の情緒障害児短期治療施設が最も多く、次いで家庭が多く挙げられました。児 童自立支援施設では情緒障害児短期治療施設が最も多く、次いで家庭、知的障害児施設 の順に多く挙げられました。母子生活支援施設では自宅、公営住宅等が最も多く挙げら れています。  33ページをご覧ください。「.4.職員勤務状況調査集計結果」の(1)職員の基本情報にな ります。図表34は各施設種別における職種(1)直接ケア職種、職種(2)専門ケア、職種(3) として事務職種の集計対象の一覧を示しています。  次に34ページの職種別平均経験年数になります。各施設種別ごとに職種(1)直接ケア 職種と職種(2)の心理療法担当職員と家庭支援専門員の平均経験年数を図表35に示して います。職種(1)の直接ケア職種の平均経験年数につきましては、児童自立支援施設が最 も長く、次いで乳児院、母子生活支援施設の順に長くなっています。  次に、35ページ、36ページが、(2)専門ケア職種の資格保有状況になります。図表36 に心理療法担当職員、家庭支援専門相談員についてそれぞれ資格保有状況を示していま す。心理療法担当職員は、臨床心理士の資格を有する者が、いずれの施設種別でも6割 から7割と高い割合で見られています。家庭支援専門相談員は乳児院では保育士資格、 児童養護施設と情緒障害児短期治療施設では児童指導員の資格、児童自立支援施設では 児童自立支援専門員や児童生活支援員の資格を有する者が多いなど、直接ケア職種と同 様の資格を持つ職員が多く見られています。  次に、37ページをご覧ください。(3)「直接ケア職種の1週間の勤務状況」になりま す。図表37につきましては1週間の規定勤務時間数、図表38につきましては1週間の 合計勤務時間数を施設種別ごとに示しています。常勤職員で見ますと、規定勤務時間数 は週40時間程度。合計勤務時間数は43時間から50時間程度となっています。38ペー ジをご覧ください。これは図表39が1週間の規定時間外勤務発生割合になります。常 勤職員で見ますと児童養護施設と情緒障害児短期治療施設での割合が高くなっています。 図表40が職員の規定時間外勤務の主な内容になります。児童のケアを挙げた職員の割 合が最も高かったのは児童養護施設になります。いずれの種別でも児童のケアが最も多 い割合を占めていまして、その他に情緒障害児短期治療施設では事務処理、母子生活支 援施設では対外的業務が他の施設種別に比べて割合が高くなっています。以上が資料 1-2の説明になります。  次に資料2の関係の説明をします。今年度実施予定の社会的養護における施設ケアに 関する実態調査についての説明をします。資料2-1につきましては実態調査の調査設計、 資料2-2につきましては実態調査で使用するケアコード、資料3につきましてはアセス メント、資料2-4につきましてはアセスメント表の記入要領、資料2-5につきましては タイムスタディ調査票になります。  それでは資料2-1に基づきまして調査設計について説明します。1の調査の目的です が、社会的養護を必要とする子どもの数の増加、虐待等子どもの抱える背景の多様化が 指摘される中、社会的養護体制はこのような状況に適切に対応することが強く求められ ています。児童の社会的養護体制の拡充に向けた具体的な方策を検討するために設置さ れた「社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会」が平成19年11月に取りまとめ た報告書におきましては、子どもの状態や年齢に応じて、より適切なケアを提供できる よう現行の施設体系のあり方を見直すことが必要であること及び子どもに必要なケアの 質を確保するため、必要な施設の人員配置基準や措置費の算定基準の見直し等を含めた ケアの改善に向けた方策についても検討するものとされました。  また、このような見直しを具体的に進めるために、施設内で行われているケアの現状 を詳細に調査を分析することが必要であることも指摘されました。これらを踏まえ平成 19年度に先ほどの調査を行ったところですが、さらにケアの現状を詳細に調査分析する に当たっては、その実態を定量的に把握することが必要であると考えられることから、 本年度につきましては社会的養護を必要とする児童が入所する施設を対象に施設ケアに 関する実態調査、タイムスタディを行うものとします。  2の対象施設になります。対象施設の種別は乳児院、児童養護施設、情緒障害児短期 治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設を予定しています。  3の調査期間ですが、平成20年11月以降に事前に調査対象施設への説明を行った上 での実施の予定ですが、祭日や行事等のない施設ごとに連続する7日間を設定する予定 にしています。  4の方法の(1)調査対象施設の抽出方法になりますが、平成19年度に調査しました先 ほどの児童個票調査、施設調査により得られた調査結果を基に、主に職員配置の手厚さ に注目しまして、職員配置の手厚いところを重点的に、平均なところや低いところを含 め、対象施設を抽出するとともに、大舎・中舎・小舎など施設のケア形態の規模や小規 模グループケアや地域小規模児童養護施設等保有しているところなど、異なるケアの形 態の施設が調査対象となるように行います。また追加的な条件として、ケアが適してい ない入所児童の割合や、ケアの負担が重い入所児童の割合。情緒行動上の問題の得点化 による指標についても考慮します。  2ページに移ります。(2)の対象施設数ですが、児童養護施設につきましてはケアの形 態や規模などかなり多岐にわたることから30か所を予定しています。乳児院、情緒障 害児短期治療施設、児童自立支援施設、母子生活支援施設につきましては、各5か所を 予定しています。  (3)のタイムスタディの方法についてですが、連続した7日間に入所児童の直接ケアに かかる職員、全職員を対象にタイムスタディを実施します。なお事務、経理、調理等に 従事する職員は対象外とします。ただし、例えば栄養士が特定の子どもに対する食育指 導をした場合や施設長が特定の子どもに対して指導を行ったことがあれば調査の対象に なります。お手元にお配りしています資料2-5のタイムスタディ調査票、横の罫線が入 っているものをご覧ください。直接ケアにかかわる全職員がこの調査票に時間の流れに 沿って行ったケアの児童名、内容と児童名を記載します。2枚目の記入要領に実際の記 載例を示しています。右の欄にケアコードの1から3、ケアの対象である児童のIDを 記載する欄がありますが、これについてはあとで記載します。まず時間の流れとやった ケアを書く。それと対象の子どもの名前を文章で書くという記載の方法をした上で、後 でコードを記入するという形になります。また、同時に複数の児童へのケアを行うこと も児童福祉施設では多いということで、ケアコード1から3の欄を設けていまして、複 数の児童へのケアができるようにしています。また集団へのケアを行った際には、その 人数を記載する記入欄。またその一番右側のところには、それぞれのケア内容について 負担感を記載できるような欄も設けています。ケアの内容につきましては資料2-2のケ アコード表に基づき、ケアの種類を分類します。  資料2-2をご覧ください。このケアコードにつきましては介護や看護の分野で既に開 発されているケアコードに、児童養護施設の先生方にご協力をいただきまして、児童福 祉施設のケアの内容に合うようにコードを追加したものに、各施設種別ごとの協議会の 先生方にご意見を伺いまして、さらに追加・修正を加えたものになります。大分類とし て一番左側の「身の回りの世話」からということになりますが、これにつきましては起 床の準備、就寝の援助、洗面の援助というように1日のある程度流れに沿った形の内容 になっています。これらの日常的なケアについての内容を1ページから2ページにかけ て記載していまして、その後の3ページのところでは家事的業務、遊び、学習、くつろ ぎ・団らん等指導相談などの行動も設けています。4ページに移りまして、資料の中の 専門的な資料についてもコードを作っています。通院業務とか保健的な業務もかなりあ りますので、保健医療的な業務、下の入退所の欄も設けています。あと児童福祉施設で は児童のケア以外に家族への対応もかなり多くなるということで、大分類の2の「家族 との関係」の欄に、家族との連絡・指導・相談ですとか、家族等からの苦情・クレーム 等を含めたコードを作っています。また、3の「施設外資源との連絡」につきましては、 子どもに関してさまざまな児童相談所をはじめとした関係機関との連絡調整や、訪問と いうことも必要ということで、これらの内容についてもコード化しています。5ページ に移りまして、4の「母親の支援」のところですが、これは母子生活支援施設における 母親へのケアをここではコードで挙げています。5の「管理的業務」につきましては、 会議ですとか研修ですとかといったこれら以外、ケアや指導以外の管理的業務というこ とになります。このようなケアコードというのを用いて、あとでコード化して分析に用 いるということになりますが、実際にこれを使用する際には、かなり施設種別によって 使用するコードがかなり違う場合もありますので、実際に使用する際には施設種別ごと に使用するコードのリストアップを変えるとか、コードを付けやすくする工夫も行う予 定にしています。子どもの状態の違いによってケアの量とか質が異なります事から、子 どものアセスメントについても行うことにしています。アセスメントにつきましては資 料2-3になります。2-4がその記入要領になります。  アセスメント表について少しこのアセスメント表を見ながら説明させていただきます が、就学前の2-3の(1)をご覧ください。子どもの基本属性として生年月日、性別等の基 本情報ですとか、入所年月日、養護問題発生理由、他の施設等への入所経験、家庭復帰 の見通し、通園の状況、通園先。ページをめくりまして保護者の状況として療育手帳の 所持、養育の困難度、養育に関する問題の状況などを入れています。3ページに移りま すが対象児童の状態として、出生時の状況、身体発育の状態、栄養状態、睡眠の状態、 次は5ページに移りまして愛着形成における課題、問16の発達状況、日常生活能力の 発達、知能及び発達検査結果、6ページに移りますが、問9情緒行動上の特徴、被虐待 体験の有無、その種類。主な身体疾患障害。主な精神疾患障害。通院服薬治療の状況、 障害者手帳の所持、家族療法の実施状況。最後の8ページには児童のケアニーズに対す る充足状況として、支援ニーズや施設でのケアニーズが充足されているかということを その具体的な内容を示しています。  資料2-3(2)は就学後の児童用になりますが、ほとんど就学前の児童と重複するところ がありますが、年長児童用に特に入れております項目として、5ページの子どもの趣味、 生活上の楽しみ、あとは7ページのアルバイトの実施状況、問23の希望している進路 を挙げています。これらのアセスメントを行うことによって子どもの状態によるケアの 質や量を計れるということを目的としています。  タイムスタディの実施に当たりましては、調査実施施設を対象に説明会を開催しまし て、調査準備や調査票への記入方法等についての説明を行うことにしています。また、 プレ調査を実施しまして、調査方法やケアコードについて調整を行った上での本調査実 施や、コールセンターでのQ&A対応など調査がスムーズに実施できるような対応を行 います。また調査結果のまとめ方としては、今後の見直しに向けて施設ケアの現状等を 把握するため、1番の施設間の職員配置、構成の違いによるケア内容別ケア時間の差・ 傾向、(2)の地域小規模児童養護施設等におけるケア内容別のケア時間の構成、これは従 来の大舎制との違いを把握するということ。3の入所児童の状態像等の違いによるケア 内容別ケア時間の差・傾向などの観点から集計・分析を実施する予定にしています。  それでは最後の資料3の関係に移ります。資料3につきましては都道府県児童相談所 を対象にした社会的養護ニーズ把握調査になります。これは本委員会におきまして要保 護児童に対し適切な支援を行えるような社会的養護の提供量を確保する観点から、都道 府県において計画的にその整備を行うこととされたことを踏まえまして、児童相談所に おける相談状況から見た社会的養護の必要量を算定するための基礎資料をすることと目 的としたもので、現在ちょうど調査を行っている所になります。  資料3-2につきましては児童相談所ごとの調査票で、平成19年度の新規施設入所、 里親委託の件数や、長期一時保護1か月以上や、在宅指導事例のうち施設入所や里親委 託を視野に入れ対応した件数、入所検討した施設種別等になります。資料3-2につきま しては、平成19年度に新規施設入所、里親委託をした事例の個票になります。施設実 態調査における調査票を参考にしていますが児童についての基礎情報や状態に加え、入 所措置した施設種別以外を検討した件数や、検討した施設種別、不調となって措置変更 や措置変更等検討した件数や、その施設種別になります。これらを通じて実際の入所措 置の状況や社会的養護を必要とする児童の状況、また潜在ニーズ等を把握するために行 うものです。  以上が、資料の1から3の説明です。大変長くなって申し訳ございませんでした。以 上をもちまして平成19年度社会的養護、施設における実態調査結果についての中間報 告と平成20年度社会的養護における実態調査についての説明を終わります。どうもあ りがとうございました。 ○柏女委員長  ありがとうございました。時間をかけて説明をいただいて、今18時5分ですので50 分弱の時間があるという感じで、この後のご意見・ご質問をいただく割り振りですが、 一度に全部やってもよいのですが、資料1は既に実施をしてしまったもので、資料3は 現在実施中ということですので、できれば資料2に時間をかけた方がよいのではないか と思うのですが、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。  そうしますと、資料3は行政調査ですので、資料1についてのご質問・ご意見をいた だく時間を15分ほど取って、その後資料2の調査についてご意見を集中的にいただく ことにしたいと思います。まず、資料1について奥山委員、藤野委員、庄司委員どうぞ。 ○奥山委員  まず1、2を合わせまして、これは多分この委員会を受けて厚生労働省から研究をさ れている方にどういう目的というのが、漠然としたここに書いてある目的ではなくて、 何を見たいのか、どういうことを知りたいのかは研究者の方に伝わっていると思うので すが、それが何かということ。研究者の中で当然、仮説なりリサーチ・クエスチョンな りをきちんと立ておられると思いますので、その研究者がたてたリサーチ・クエスチョ ンを教えてきちんとほしいということ。それがこの研究1ではその結果どうであったの かということ。それを教えてほしいというのがまず1番です。そのリサーチ・クエスチ ョンがきちんと結果として出ているのか。つまりこれで何が言えるのかを教えてほしい。  その上で、簡単にざっといきますが、10ページの家族療法という意味がよくわからな いのです。家族療法をしているか、していないかが、一体結果として何に結びつくのか を教えてほしい。  14ページの行動の問題ですか、子どもの心理行動面の問題は、疑いかどうかというこ とだけで、重み付けになっていないのです。実際に私たちがやった調査でも保育園・学 校の2万人を対象とした調査では4%くらいに何らかの対処を必要とする問題があると 出ているのです。これは確実というものだけを入れると、それほどパーセントが変わら ない感じがします。重み付けをして、本来でしたら標準化されたチェックリストを使う べきだと思います。なぜここで標準化したチェックリストを使わなかったのか。それを 併用してもよいと思うのですが、なぜ併用されなかったのか。標準化されたチェックリ ストは一般用もありますし、厚生労働科学研究で西澤班が作ったような社会的養護を対 象としたチェックリストもできていて、2,000人3,000人を対象ですけれども標準化も されているということになっているので、そういうチェックリストをなぜお使いになら なかったのかということ。  24ページの方で、これは仕方がないですが、不安とか気分は取れていないのですが、 養護施設とか乳児院でこういう形の質問で答えやすかったのかどうか。そのことはお伺 いしたいと思います。  それから25ページですけれども、これはクロスすればよいと思いますが、虐待の分 類で何があるかというだけではなくて、重複ということが非常に重要だと思うので、そ こはきちんと見ていただきたいと思います。  27ページのところに家庭が入っているのですが、「適していない」はどういう意味な のかがちょっとわからなくて。誰でも家庭に帰れればよいという話はあるのですが、そ このところが何なのかということです。  それから30ページで、「この施設に適していない」方にだけケアの負担感を聞いてお られるのですが、どうして全員に聞かなかったのか。全員に聞いていれば、ある程度ケ アがそんなに負担感が軽い、普通、重い、結構重いとあれば、適していると思っている のと適していないと思っている人とのクロスができたはずだと思うのですが、それがな かなかできないのはどうしてなのかということです。  それから最後に37ページの労働時間ですが、おおむね2時間以下くらいの時間外を 毎日やっているという結果になっています。これに当直が含まれているのか含まれてい ないのか。「夜間泊まる」が含まれているのかいないのか。印象としては少ないのです。 もっと働いているのではないかと思うのですが、この辺は藤野委員の施設側として、ど ういうことがあったのかということをお伺いしたいというのが質問です。 ○柏女委員長  藤野委員と庄司委員の質問は全然関係のないものですか。全体を通じて筒井委員に研 究デザインのことと内容のことなのでお聞きしようと思っていたのですが、藤野委員は いかがですか。 ○藤野委員  1の調査で先ほどの「どういうことが見えてきたのか」ということが、次の2の調査 に関連するので、その辺のことで意外な数字があったりと、いろいろありますので、こ の調査を養護施設の現場から見た印象をというか、意見を言いたいです。 ○柏女委員長  わかりました。少し違いますね。では、庄司委員はいかがですか。 ○庄司委員  先ほど手を挙げたのは別のことですが。今の奥山委員のご質問について、必ずしも私 が答える立場ではないのですが、研究に多少かかわりましたので。リサーチ・クエスチ ョンというのは、この研究自体は仮説検証型のものではなくて、むしろ実態把握、実態 はどうなのかを知りたいということで行われたものだと思っています。重み付けに関し ては、もちろん標準化された検査を使えばよいと思うのですが、全体の項目数との関係 で、それが可能とは思えなかったということがあるのではないかと思います。相澤委員 と菅原ますみ先生とでアセスメント表を作り、それを活用するということで、やや簡便 な形の項目になっています。あとは筒井先生にお答えいただければと思います。 ○奥山委員  実態調査であってもリサーチ・クエスチョンはあるはずです。仮説はなくてもリサー チ・クエスチョンはあるはずだと思います。 ○柏女委員長  吉田委員が手を挙げていらっしゃいますね。 ○吉田委員  簡単な質問ですが、これでもう集計・分析は終わりですか。といいますのは、この次 の作業として私としては「ケアの形態別」が8ページにありますが、これとのクロスが できるところをしていただけると見えてくるかなと思います。ただ、このケアの形態が 重複だというので、技術的にどうかという課題はあるかと思うので。例えば、退所理由 であるとか、子どもの課題などを、ここで施設のあり方を検討しようということですの で、可能であればそれをお示しいただきたい。同様に、可能な項目に関してはファミリ ー・ソーシャルワーカーが置かれている所とそうでない所のクロスとか。全体としてク ロスがまだのようですので、今後これも含めて行われるかどうか。   ○柏女委員長  ありがとうございます。それでは、ここで区切らせていただいて、三つ質問が出まし たので大きく研究デザインに関することと、一つの結果内容についての質問が奥山委員 から。二つ目が吉田委員からは、この調査は中間報告書という形になっていますが、今 後クロスをかけていく予定があるのかどうか。今後の進め方についてのご質問。3点目 がこの報告書を踏まえての現場からのご意見。大きくこの三つがあったと思いますので、 これについて事務局と筒井先生と分けて聞くことになると思いますが、筒井先生からま ず今の、特に奥山委員の質問について何かありますでしょうか。 ○筒井氏  この研究デザインということですが、本研究の目的は、今、庄司委員がお話してくだ さったように、わが国の社会的養護に関わるすべての施設の概況と施設入所者の基本属 性について明らかにするということでした。  施設入所者のアセスメント表については、児童福祉分野の学識経験者および臨床現場 の専門家の方々からのヒアリング調査をもとに、庄司先生におまとめいただいたと聞い ております。  リサーチ・クエスチョンということについては、すでに庄司先生から仮説検証型でな いというご説明をいただいておりますので、私も同様のお答えです。結果として、わが 国における社会的養護に関わる施設に関する大規模なデータベースが作成されました。  それから虐待の内容についての詳細な内容をお求めのようですが、現在の虐待の調査 項目では、大まかな内容となっておりますので、詳細な内容については、今年の調査で 具体的な内容を把握すべきものと理解しました。  それからクロスの分析につきましては、皆さんからこういうクロス分析結果がほしい と具体的にいただければ、可能であろうと思われます。繰り返しになりますが、前河専 門官がお話されましたように、これは中間報告書で、今年の報告書と合わせて細かい分 析をしていくという位置付けになっていますので、むしろこれから委員の先生方からご 意見をいただくという位置付けと考えています。 ○柏女委員長  奥山委員、どうぞ。 ○奥山委員  1回目の調査は施設を抽出するためのデータベースづくりが目的だったということで すか。 ○筒井氏  結果として、「今年の調査対象を抽出する際の直近のデータベースができました」とい うことと考えております。 ○奥山委員  私も倫理委員などをしているときに、どれぐらいの手間をかけてどういう結果が出る かと、その手間に対しての結果がきちんと出るかどうかをかなり精査するのですが、こ れは相当な手間がかかっている調査だと思うのです。それで何が言えるのかが非常に重 要なポイントだと思うのですが、しっかり調査の部分ですよね。児童票をしっかりする というのは相当大変だったと思うので、その辺の、一体これで何が言えたのかを教えて ほしいと思うのです。 ○筒井氏  先ほどからの繰り返しになりますが、これは中間報告書という位置付けで、この実態 調査結果を基に今年の調査を実施するということになっております。  現時点での結果については、前河専門官が説明していただいた内容とご理解していた だいてよいかと思います。 ○柏女委員長  事務局、何かありますか。 ○前河児童福祉専門官  まず、全体の今の社会的養護にある子どもたち一人一人に今回調査をしたのですが、 今までこのような形で施設ごとに対してのいろいろな調査はしてきたのですが、まず全 体の今後の社会的養護体制の見直しをするに当たって、一つは施設体系の見直しという こともありますし、あとは皆さまが非常に関心のある人員配置基準ですとか、措置費の 算定基準を考えるに当たっての一つの基礎的な資料となるためのものになります。細か いところのケアの内容や質などの部分については今年度行うものですが、その結果と合 わせて平成19年度3月に行った調査を含めまして、細かい分析をかけていって、これ からのあるべきケアの体系ですとか、施設のそういう基準のあり方を導き出すための基 礎資料という位置付けで考えています。 ○奥山委員  先ほどからおっしゃっているそれぞれの乳児院なり養護施設は、今までもいろいろ調 査があった。実際に私もそれぞれに調査をしたことがありますし、乳児院はほとんど悉 皆に近い調査になったこともあります。ただそれと違って並べたから意味があるとした ら何が結論として出たのかを聞きたいのです。それをやったからこそ、出たものを教え てほしいのです。 ○前河児童福祉専門官  繰り返しになりますが、とりあえず中間報告という形ですので、今の全体像のような ものを示しています。 ○奥山委員  わかりました。ただ、これだけの調査をしました。次に今度調査をします。その基礎 資料ですというだけですか。それとも、ここから何かが導き出されるのですか。 ○柏女委員長  事務局の方で、お願いします。 ○藤原家庭福祉課長  先ほどからご説明申し上げていますように、一つは今回のタイムスタディを行う前提 として、まず全国の状況をつかむ必要があったということが一つあります。そういう形 で、大変な施設のご協力をいただいて悉皆的な調査をしました。この時点で次に移るわ けですので、そういう点ではスケジュール的には中間報告という形を取らせていただい て、タイムスタディの方も始めさせていただいて、何が言えるかという点につきまして は、ご批判もいただきたいのですが、例えば今日ご説明している中で、ケアが適合して いる・いないというような、そういうこれまで恐らくあまり調査では取られたことがな い目線で回答を集め集計をしたというものもあります。ただ、そういうものも含めまし て、今後先ほども吉田委員からもありましたが、いろいろなクロス形態別ですとか、地 域別、年齢別というクロスを、さらにできるものを重ねていって、よりいろいろなもの を導き出していくものだということで、今回中間報告と言わせていただいているという ことです。 ○柏女委員長  もし中間報告ということで、先ほど筒井先生から、これをどのようにクロスをした方 がよいか、あるいはどのように分析をした方がよいかということは、ここで意見をたく さんいただければという話だったのですが、あまり時間がないということと、今回これ をもう1回開くという話になるのかどうかということを確認してからでないと、あるい は今後意見を求める場があるのかどうか。その辺はいかがでしょうか。それによってど のように運営していけばよいのかというのが不安なものですから。 ○前河児童福祉専門官  調査・分析につきましては今後さらに進めていくということですので、いつまでにご 意見をいただくというようなことは考えていなかったのですが、どんどんご意見をいた だければ、今後のタイムスタディをする中での分析を含めてしていきたいと考えていま す。 ○柏女委員長  その意見を求めるというのは、もう1回この会を開くということではなく、個々に寄 せてくださいという感じでしょうか。 ○前河児童福祉専門官  そうですね。タイムスタディの関係につきまして、さまざまな調査手法の細かい点に ついてもご意見があると思いますので、来週の水曜日までにご意見をいただくというこ とで考えていました。この分析につきましても、今お気付きの点がありましたり、あと でお気付きの点がありましたら、同じように来週の水曜日11月5日までにご意見をお 聞きできればと思います。 ○柏女委員長  わかりました。この調査2についてはご意見もということで、来週の水曜日までとい うことでしたが、調査1についても今後中間報告の部分、さらに分析を進めていく上で ご意見がある方は、事務局の方に寄せていただくという形でよろしいでしょうか。  時間の関係もあるので、もう1、2回開くということではないようですので、この調 査1資料1についての意見あるいは分析をしていくに当たって現場からのご意見はもち ろん、これはこのように考えた方がよいのではないかということを含めて事務局に寄せ ていただくという形で、この場を引き取りたいと思うのですがいかがでしょうか。よろ しいでしょうか。何かありますか。 ○藤野委員  事務的にはそれでもよいと思いますけれども、それにも関連するのですがよろしいで すか。 ○柏女委員長  どうぞ。手短かに言っていただければ。次のところが本題だと思いますので。 ○藤野委員  例えば2の施設調査のところで、各施設における直接処遇職種の職員1人当たりの児 童数というのは、実際にこの調査に私たちが現場から期待するのは、要は今の最低基準 がいかに不当であるかということと、今の施設形態を小規模化することがいかに必要な のかということが結果として出るだろうということで、全部の施設が一生懸命協力をし たのだと思うのです。その場合に実際の結果を見まして、特にマスコミ関係の人や一般 の人がこれを見て、例えば直接処遇職種の職員1人当たりの児童数という例えば乳児院 この7ページの表を見て、実際にはこれは今の最低基準もそうですが、例えば1.92対1、 あるいは3.68対1という数字が出ているのですが、普通これで案外1人の職員が養護 施設だと4人弱かと、まあみられる人数だなと思われるかと思います。ところが実態は 私がいつもいうように1日は24時間で365日休みなしで働いてそれですから、実際に は少なくとも4倍だと。養護施設でいえば実態としては1人の職員が3.68×4で14.72 人の子どもをケアしているということだと思います。それは例えばです。それぞれその ように見ていただきたいのです。例えば大舎と養護施設に関して小規模化の問題につい ていえば、大舎と小規模グループケア、あるいは地域小規模と比べてどうなのかといっ たら、例えば養護施設の大舎では1人が17.72人、小舎では13.56人という実態が出て います。そういう読み方をしてほしい。ところが、そういうことが調査でどう出るのか。 私は2の調査でそれが出るような調査にしてほしいと思うのです。そのことがいわゆる 質の問題です。  それともう一つは、質の問題でいえば次の「児童個票集計結果」です。これも意外な 数字です。例えば養護施設に関していえば、一つは障害児等そういう発達障害とかその 辺の障害児等が20%という数字が出ている。あるいは被虐待児が59.2%という数字が出 ている。一方、情緒障害児短期治療施設は70%台の数字が出ている。ところが職員の負 担感ということからすると、29ページで養護施設はかなりの負担感を職員が抱えている。 一方の情緒障害児短期治療施設はそういう負担感は非常に少ない。これを見ると、恐ら く実態を反映していないのです。それはなぜかというと、先ほど私は奥山委員が言われ たようなところにも関連すると思いますが、例えば情緒障害児短期治療施設では常に子 どもを、そういう見方をする、そういう形で分類することに慣れている。ところが養護 施設の職員は、問われてもそういうことに慣れていないし、私たちの実感からいっても まさに感覚が麻痺していると思います。麻痺しているというのは比較があまりにも低く 慣れていて、例えば知的障害というのは実際にはボーダーの知的障害はかなりの数がい ます。発達障害もかなりいます。その辺がこれでは出てきていないと思います。ですか ら、私は例えば障害児が知的障害とかその辺も含めて3割。下手をすれば4割いってい るところもあると思います。その辺の数字はこの調査では出ていないということで、次 の調査でどれだけその辺が補えるかということと、クロス集計でどれだけその辺が明ら かにできるかということをお願いしたいと思います。 ○奥山委員  藤野委員がおっしゃった29ページの表は、現在の入所先が適していないという子ど もに対しての負担感ですから、これは情緒障害児短期治療施設が適していないと思えば 軽い方ですね。だから軽くなるのは当然だと思います。そういう意味で、2ページに「職 員のケア負担感が大きい児童の特性」と書かれているのですが、適していない児童に関 してしかケアの負担感を聞いていないので、これは出ないです。この調査のこれを出す と書いてあるのですが出ない。だから私もクロスをどうかけたらいいかということを見 ながら考えていたのですが、クロスがかけられない項目が結構多くて、難しいかなとい う感じがしています。 ○柏女委員長  いろいろご意見があるのではないかと思いますが、これに時間を費やしていくわけに もいかないので、ぜひご意見も来週の水曜日くらいまでにお寄せいただければと思いま す。この件については調査の実施が終わっていますので、例えば出張等があって少し時 間が遅れるということであっても構わないと思いますので、事務局の方にご意見をお寄 せいただければと思います。  恐縮ですが、今日は資料2の方の調査についての意見をできるだけこれからの調査に ほしいと思いますので、1についてはこれで切らせていただきたいと思います。よろし いでしょうか。申し訳ございません。  それでは、2についてのご意見を頂戴できればと思います。大塩委員どうぞ。 ○大塩委員  アセスメント表の項目についてですが、児童の項目はあるのですが、母子生活支援施 設においては母親にもかなりのケアをしていますので、その辺の母親に対するアセスメ ント表を作っていただきたいということと、もう1点は細かいことですが、先ほどの調 査の1資料の1とも関連するのですが、言葉の使い方についてです。養護問題というか、 入所にいたる養護の課題というところで「母の放任・怠だ」、「父の放任・怠だ」という 言葉が使ってありますが、これは多分以前からずっと使われてきている言葉で実態調査 の中で比較検討されている言葉だと思いますが、いわゆるネグレクトに関する言語であ って、非常に抽象的で曖昧で、しかもマイナスのイメージを持っていますので、養育支 援をする側が使う言葉としてはいかがなものかなと非常に強く感じましたので、一言申 し上げました。 ○柏女委員長  ありがとうございます。それでは吉田委員。 ○吉田委員  業務分類のところですが、それぞれ大分類・小分類とありますが、全体としてみると、 この業務分類の中で権利擁護に関する部分が抜けているのではないかということです。 例えば子どもからの苦情処理をどうしているかとか、第三者委員との連絡をどうしてい るかというような問題。それから4-4中分類の集会行事のところですが、例えば施設の 中での子ども会、自治会。これをどのように動かしているのか。それに対して職員の方 がどうかかわっているかというような部分も必要かと思うのです。今回の法改正で大変 重要な部分ですので、この実態はぜひ押さえておく必要があるだろうというので、この 業務分類の中に権利擁護の関連する項目を盛り込んでいただきたいということです。 ○柏女委員長  一つ一つご回答いただいていると時間がなくなるので、取捨選択については事務局と 筒井先生の方でもお考えいただくこととして、今日はご意見をたくさん頂戴できればと 思います。藤野委員から順番にいきたいと思います。お願いします。 ○藤野委員  このケアコード表の、なぜ例えば清潔とか、多分老人の調査を台にされたと思うので す。そういう意味では、子どもに合わないのです。細かすぎる。例えば清潔の項目とか、 それと一方では例えば食事にしても食事というのは餌ではないから、団らんという非常 にそれは声かけという格好になっていますが、食事の時間にたくさん話をするとか、た くさんあるわけです。それと子どもと一緒にぼーっとしている時間も必要なのです。そ ういう意味でのこの調査表全体の配分がおかしいです。だから、この前半の部分をもう 少し縮めて、後半の部分をもっと膨らます必要があると思います。それはお願いしたい。 それと家族のいわゆる親に対するというのは、先ほどの1の項目でもそうですが、1で 家族療法というのは特殊な概念であって、いわゆる今施設で増えているのはクレーマー の親がたくさんいるわけです。それの相手を職員はたくさんしているのです。だから、 その辺の家族療法という形ではないかもしれない。でもそれは多くの時間を費やしてい るのだし、要するに親とのかかわりです。それは別に母子生活支援施設だけではなくて、 養護施設等も非常に増えています。その辺の項目を入れてほしいということと、この項 目をきちんとそういう形でもう少し子ども向き、現場向きにしてもらって、また時間対 応をとって、それとどの時間帯に何人の子どもを相手にしているのかということを明確 に、どういう仕事をしていて何人の子どもたちと接しているのかがわかるようにしてほ しいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では藤井委員お願いします。 ○藤井委員  今、藤野委員が言われた中身と大体同じようなことになるかもしれませんが、家族療 法の部分が取り上げられて心理療法の部分がないというのが、児童養護施設ではなくて 乳児院も廃止されていましたね。そこが、バランスが取れていないところだと思います。 心理療法にかかる時間というのは、そこの時間のかけ方の部分を何とか表現できるよう なものにしていただきたいということです。  それから、そもそもこの調査の目的の部分ですが、先ほどの話にもありましたが、ど うも趣旨が調査をするたびにぼやけてしまう可能性もあるという感じを覚えています。 つまり、そもそも前回までの委員会の中で最低基準の見直しをかけようという形をとっ ても、調査の実態がなくデータがないので判断ができないのです。だとすれば、きちん とした調査をしましょうという流れでの調査だったと思うのです。そこがぼやけてしま うということを感じます。その意味で、非常に単純に調査自体を最低基準の見直しに必 要なデータとして使うという、その目的をしっかりとはっきりさせていただきたいと思 います。そこがぼやけると調査したことの意味がわからなくなると思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。幾つか中身の細かいことについては、なかなか今初めて見て 意見をいうことは難しいと思います。例えば先ほど藤野委員がおっしゃった家族からの 苦情・クレームの項目は実は入ってはいるのです。そうしたことはともかく今藤井委員 がおっしゃった調査設計上の問題や調査実施上の問題、その辺に特に焦点を当てて、今 回はこの場ではご意見をいただければと思っています。豊岡委員、何かありますか。 ○豊岡委員  私も項目についてですが、非常に前半が細かい。児童養護施設が一番図体も箇所数も 多いので、そこの実態が出てこないと調査した意味がなくなってしまうのかなと思いま す。例えば藤野委員の意見にプラスしてアフターケアの問題であるとか、子どもとのコ ミュニケーションとか、子どもと話をする、向き合っていくという大事な部分が出てく る場所があまりないものですから。コミュニケーションというのはあるのですが、ここ をどう膨らませていくのか、それを一つ一つ食事の場面、入浴の場面とか、これをどう やっていくのかは非常に難しいと思うのですが、項目を細かくすれば手間がかかるし、 かといって大事なものが抜けると困るという気がしています。それと進学や自立支援の 問題も、母子生活支援施設の中ではかなり細かく聞いているのですが、児童養護施設で 同じような自立支援や就労支援などをしていないのかというと、そうではないだろうと 思いますので、そこは後ほど意見も出しますが、ぜひご配慮いただければと思います。 ○筒井氏  調査の方法について十分伝わっていないようなので、もう一度繰り返しになりますが 説明してもよろしいでしょうか。  資料の2-5を見ていただきたいのですが、施設のタイムスタディはこの資料の2-5の 調査票を使って行うことになります。この調査票の「業務内容」というところがありま すね。職員の方はご自分が行った業務内容について、書いていただくことになります。  ここで注意すべき内容は、業務時刻は実働時間を書いていただくということです。で すから残業もすべて書いていただくことになります。  さて、今、皆様が問題にしておられるケアコードとは、この業務内容をあらかじめコ ード化したもので、これは、これまでのいくつかの介護や看護の領域の人に対するケア とは何かといった研究をベースに開発されてきたもので、すでに妥当性が検証されたも のです。  しかし、このケアコード表に職員の方が行われた業務が存在しなければ、新たに作る ことになります。ですから職員の方が実際に行われたことが書かれてさえいれば、ケア コードは作ればよいと思います。  これらの社会的養護に関わるコードは、他の急性期病院や介護老人保健施設と比較し ますと、コード数は少ないですが、このコードを使えば、他の領域の施設との比較も可 能となります。  また、これらのコードの作成に関しましては、山縣先生が、臨床の職員の方々からの ヒアリングを経て作成してくださいましたので、概ね業務内容は網羅しているかと思い ます。  ただ、職員の方が業務内容を記録できるかどうかということは、問題があるかもしれ ません。  しかし、ケアコードそのものについては、あとでコード化すればよいので、あまり問 題にしていただかなくてもよろしいかと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、それを踏まえて高田委員お願いします。 ○高田委員  実際にタイムスタディの方法の中で、ケア時間を測定についてですが、この例が1分 ごとに書いてあります。とてもではないのですがはっきり申し上げてこんなことはやれ るわけがない。あまり厳しいことを職員に求めますと4日目くらいからいい加減になっ てやらなくなる。普通、児童福祉施設の中ではメモを持ちながら指導をするということ はないですから、その辺でうまくいくように調査の仕方を工夫していただかないと、結 果的にやりきれなくなってデータとしていい加減なものができてしまう可能性があると 思います。実際に私が現場にいたときにこれをやれるかといわれれば、もし本気でこれ をやろうと思ったら1週間ケアにならなくなる。それはとてもおかしな話なので、15 分おきでも1時間おきでも構わないのですが、もう少し大雑把なことでやらせていただ ければと思うのですが、工夫していただければと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。松風委員、お願いします。 ○松風委員  このタイムスタディというのは現状把握ですので、現在それぞれの施設で先生方が何 をされているのかの把握であると思いますが、前回の委員会の中で我々は今後どうある べきかというところで、何が必要かを議論しようと話し合ったと思うのですが、このタ イムスタディの実態の分析は非常に重要ではありますが、例えば個々の児童に何が必要 か。例えば具体的にもう少し話をしますと、個々の個別学習を見てやる時間がこれくら い必要なのではないかとか、人間関係やトラブルを多くした場合、現状よりももっと時 間をかけなければならないのではないかといったようなところが出てこないと、今後の あり方というところでの意見としてまとめにくいのではないか。これは調査という限界 と、それをどういうふうに加味して考えていくのか。要するに調査されたときにプラス してもう少しこういうことをしてやりたかったというようなことを加えていくことも含 めて、何が望まれるのかを調べるような調査を同時にしていただきたいと希望します。 ○柏女委員長  とても大切なご指摘だと思います。ありがとうございました。順番にいきます。 ○庄司委員  私もこの研究に携わっている立場なので、いろいろなご意見はよくわかりました。特 にタイムスタディですので、現状がわかるし、ただ今の施設体系が戦後体制のままとい うことがあって、どれくらい虐待の子がいて、その子たちにはそうでない子どもに比べ てどれくらい時間が必要かとか、そういった意味では今後の必要性も出てくるとは思い ます。ただそれとは別に望ましいケアのありかた、必要なケアについて根拠を挙げて、 それこそこの子どもには学習時間が週3回何時間必要だといったことを出さないと、タ イムスタディだけでは現状の中の枠組みなどは難しいと思いますので、松風委員のお考 えに賛成です。 ○柏女委員長  ありがとうございました。では榊原委員お願いします。 ○榊原委員  遅くなってすみませんでした。これまでの社会的養護の議論を、1、2年議論を重ねて きた中で、私も調査をぜひやってもらいたいとお願いしてきた立場なので、こうした調 査が動き始めていることにはとても歓迎しているのですが、なぜ調査という話が出てき たかというと、つまり子どもたちが抱える課題が非常に変わってきて深刻になっている。 さまざまな課題がある。それは支援する側のシステムとミスマッチが起きている。あち こちでこんなことが起きている。ここでこんなことが足りないという話がこの場でも指 摘が出てきている。そこで何がミスマッチなのか。どこにずれがあるのかということが 実はきちんとした調査で把握できていないから調査が必要である。その上で世間に訴え ていく必要があるということで調査が出てきたと私は理解しています。  つまり、何を明らかにしたいのかがあっての上の調査でないと、ただただ職員の方の 24時間365日を把握してもドラマを作ろうと思っているわけではないので、先ほどか らご指摘が出ている職員配置に無理があるのか。子どもたちのケアを必要とするニーズ の重さと何の間にずれがあるのかとか、職員の方にバーンアウトが多くなっているとい うのは、どこからきているのかということを、どうやったら探れるのかを幾つかの過程 や仮説があった上で、だからこの調査を仕掛けるというのがないと、せっかく皆さまが 多大なエネルギーと時間を割いて協力してもらっても、きちんと的の当たる調査にはな らないであろうということが懸念されるので、これまでのここでの議論の中で、ここに 問題があるけれども実態は数字では明らかになっていないと言っているものが幾つかあ った。それを明らかにするための調査というものに、ぜひ持っていっていただきたいと 思います。だから細かいことは申しませんが。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、木ノ内委員お願いします。 ○木ノ内委員  社会的養護の施設に関する実態調査なので、やむを得ないといえばやむを得ないので すが、実は里親に関するデータはほとんどないのです。そういう意味で里親は異質なの でしょうかと問題提起したいと思います。実は里親においてもこういうタイムスタディ の調査をするとか、そういう必要があると思っているので、今後お願いしたいと思って います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。奥山委員お願いします。 ○奥山委員  タイムスタディに関しては、先ほどこちらの左側の欄に入れておけばいいとおっしゃ っていたのですが、入れておいたらケアコードは研究者の方で付けてもらえると考えて よいのでしょうか。それだったら比較的やれると思うのですが、ケアコードをざっと見 て、それを選んでいくのはものすごく大変なことですね。しかも通し番号というのは、 もっと訳がわからないので、本当は例えば一番上の大分類が4桁目とか、上から桁数に してポイント幾つが細分類になっていれば、ポイントの前まででもとりあえず入れてお くことはできるかもしれませんが、この全部の通し番号ではなかなか入りづらい。  それから先ほど高田委員がおっしゃったように、1分ごとはとても覚えきれないと思 うのです。全部終わってから今日一体何をやったか考え直して1分ごとに付けられると は思えないので、1分ごとは無理だろうと思います。それ以上に私は児童票を見ていて、 一体何に使うのかということを考えて、これだけの手間をかけて先ほど榊原委員がおっ しゃったような目的に、そう結果を出すために、なるのかどうかを考えてほしいと思う のです。例えば他の施設の入所経験というのを何か月と入れるのを、それだけ調べて入 れるのはそれだけでもすごい手間です。その何か月が一体何の役に立つのか。それ以上 に、私はもしミスマッチングということをいうのであれば、それがもしわかるのであれ ば措置変更だったのか、それとも再入所だったのか。そういったことの方がかえって役 に立つのではないかと思いますし、親の障害者手帳とか子どもの障害者手帳が入ってい るのですが、親が障害者手帳を持っているかどうかを聞いていない子どもたちも結構い ると思うのです。真面目な保育士は聞かなくてはと思って時間をかけるのです。親が障 害者手帳を持っているかどうかがどの程度ケアの内容・時間に関係するのか。そこをも っときちんと把握してから調査の項目に挙げないと、これは手間がかかるだけで意味の ない項目になっていってしまう。実際に私が見ていて子どもに障害者手帳を取らせるの はたいてい最後の方で、最初の方はほとんど取っていないと思いますし、これを聞くこ とでどんな意味があるのかを、一つ一つ項目をもう少し精査してほしいと思うのです。 そうでないと手間ばかりかけて、手間分の結果が出ないということが一番倫理的に調査 の上での問題になるのです。  例えばもう一つ。睡眠の問題に関してやたら詳しいのですが、他のところが全然詳し くないのです。こういうのはバランスが非常に悪いので、もう少しバランスをとってほ しいということ。愛着形成における課題はその通りなのですが、重み付けができていな いので、これもクロスをかけるときに非常に困ります。これは先ほど言いました既存の チェックリストの中にほとんど含まれている項目ですので、既存のチェックリストがも し使えるのであれば、それを使えば普通の子どもとの比較もできますし、施設の中の子 どもの大変さにも関連してくる。重み付けができるのでクロスがかけやすくなります。 そういうことを考えてほしいです。  それから、家族再統合のニーズや自立支援のニーズというのは、あるかないかと言わ れれば、あるのです。これも一体何にどう使うかということをきちんと出して、どのよ うな質問にしたら一番使いやすいものになるのかということを考えてほしいと思います。 そして同時に、家族療法のことは先ほど皆さまがおっしゃいました。  それから、この中で抜けているのがどんな子どもかということと、ケアニーズという ものがあるのですけれども、子どもの困難度や子どものケアの一人一人の普通の生活で よいのか、どれぐらいのケアを必要としている子どもなのかというところの分類がない のです。そういう分類は我々の方では例えば、似たようなものでいえば、ギャフ分類と いう分類の方法もあるのです。そういう分類にしておけば、やはりクロスもかけやすい ということになってくると思います。  そして、最後になりますがケアニーズの下に「もし100%ではない場合、具体的な内 容」と書いてありますが、では、ケアニーズを良くするためには何が必要だったと思い ますかという質問項目、例えば人数がもっと多ければケアが出来たと思うのか、自分の 技術があればと思うのか、その辺のところで何があれば達成できたのかということをや はり入れていただきたいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、大島委員お願いします。 ○大島委員  自立援助ホームです。今回は調査対象施設にはなっておりませんけれども、私たちが 思うに、こういうADLは自立している入所者ですので、具体的にこのケアという中身 でこういったお手伝いをしたという部分は出てこない。それでありながらひどいストレ ス職場になっているのです。その職員の疲労感がこの前も全国大会でありましたけれど も、かなり方々から出てくる。そういうものを、やはり数量化できるものはしていきた いのですが、なかなか難しいというのが現状なのです。  今回、私たちはやはり精神的な疲労感を伴う業務、その内容は何かというものを、も う少し把握して、それからインケアだけではなく、アフターケア施設ですから、退所者 との関連等が非常に大きい、あるいはご近所との調整関係が非常に大きいということで、 それは書けば済むことですけれども、そのような職場であるというご理解をいただいて いく方向で今度の調査も中には出てくるのではないかと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、大塩委員お願いします。 ○大塩委員  先ほどから出ていますけれども、職員の疲労感というものが母子生活支援施設でもか なり上がっていまして、その疲労感、職員の労働に対しての精神的な重さがタイムスタ ディでどのように出されるのか、ということが課題だと思われます。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、今田委員お願いします。 ○今田委員  乳児院の立場から申し上げます。1点は、実際に我々がやってみて、1分毎というの はかなり難しいと思います。乳児院では、例えば1人の子どもをだっこしながら他の子 をチェックしていくというような作業もございますので、自計式が果たして可能かどう かという大きな問題があります。  ただ、一方では他計式というのでしょうか、他の方にチェックをしてもらうというこ とにしますと、子どもにとっては見知らぬ存在がそこにあると、それがストレスになら ないかというような問題が一つございます。  それから実際にチェックする上で、このチェック表では、なかなか漏れが起こってし まっていますが、今申し上げたように複数の子どもを相手にしていますので、できれば、 子どもごとの名前が書いてあるチェック表を用意する必要があるのではないかという気 がします。以上です。 ○柏女委員長  ありがとうございます。では、相澤委員お願いします。 ○相澤委員  まず、ケアコードを書けば良いということですけど、例えば、もう少し整理をしてい ただきたいと思うものは、6分の5の「その他の退所児童、自立児童との連絡・対応」 というのはアフターケアですよね。アフターケアがその他の1項目になっているのはど うかと思います。もう少し分類のようなものを施設の持っている機能を考えながら作成 していただきたいというのが1点です。  それから特に児童自立支援施設は、施設の子どもの状況によって全然違ってきている わけですが、安定しているときの状態と、不安定なときの状態では全く違ってきますの で、その点についてもしっかり聞いていただきたいと思います。  それから職員IDになっているので、おそらくこれで職種などがわかると思うのです が、職種によっても負担感が違ってくると思いますし、この2の5に自計式のところの 負担感というところがあるのですが、その列に例えばニーズに対応できたか、できなか ったかというようなものを用意するとか、それからこれはID番号で児童の人数が出る のですけれども、その時にいっしょに対応してくれた職員が何人いるのかとか、そうい うものを書き込んでおくと、要するに1人のときの負担感と3人のときの負担感という のは違うので、その点についてもわかります。特に夜間の子どものニーズを考えると、 夜間体制は職員を手厚くしなくてはいけないと思うので、そういう点が明らかになるよ うな仕組みを考えていただけるとよいと思います。 ○柏女委員長  ありがとうございます。私からも言わせてもらってよろしいでしょうか。対象施設の 選定ですが、今回はいくつかの条件をつけて選ぶことになっていますが、それよりも私 は、その選んだ施設がどれだけそれぞれの施設を代表しているかという代表性の方が大 事なのではないかと思っています。例えば、職員の勤務平均年数などについても長いと ころと、短いところを選んだりしてしまったらタイムスタディそのものが生きてこない のではないかと思いますので、選んだ施設がどれだけそれぞれの施設の平均といいます か、代表しているのかという代表性に着目していくことが大事なのではないかと思いま した。  それから、もう一つは職員配置の手厚さということで選ぶのであれば、職員配置の手 厚いところと薄いところとのそれぞれの業務内容を比較すれば、何が少なくて何が多い か。職員配置が厚くなれば、どこに時間をかけられるかというものが出てくるのかもし れませんが、それより私は代表性の方を重視すべきではないかと思います。  それから、もう一つ。追加的条件で「ケアの適合状況」ですが、先ほどから意見が出 ていますけれど、例えば乳児院などでは、本来、里親に委託するべきだったということ がものすごく多かったのです。それが多いところでケアの適合状況がずれているところ が多いところを選んでしまうと、もしかしたらある乳児院では本来、乳児院に入るべき ではなく、ほとんどの子どもたちは里親に委託するべきであったという見解からケアの 不適合を選んでしまったとしたら、そういう乳児院が選ばれてしまうのではないかと思 うので、各施設のばらつきも併せて見ていく必要があるのではないかと思いました。  それからもう一つは、先ほど高田委員がおっしゃったことですが、細かく記入するこ とによって十分に出来ないということで、調査自体の信頼性が失われてしまうのではな いかと。私もそのように思います。それを見るためには、調査の前半と後半で内容にど れだけ差があるのかといったようなことも、併せてクロスで見てみるとよいのではない かと思いました。  それから、ケアコードの分類をもし研究者がやるならば、これでよいと思いますけれ ども、ケアコードの分類まで被調査者にやっていただくのでしたら、せいぜい20から 30ぐらいが限界ではないかと思います。私は児童相談所や家庭児童相談室の職員に自計 式でやってきましたが、おそらく20ぐらいまでが限界で、そこまでに絞りました。そ の辺を考えていかなければならないのではないかと思いました。それから、倫理的配慮 はやはり、とても大事なことではないかと思います。  それから四つ目は、やはり仮説をしっかりさせて、それに必要なものを優先させてい くという形でやっていかないと合わないのではないかと思いました。  あとは、疲労度の話が出ていましたが、このタイムスタディと同時にそのバーンアウ ト尺度か何かを使えないかどうかということを少し思いました。今すぐに言えるわけで はないのですけど、ご検討の中に入れていただければ幸いに存じます。藤野委員から、 補足でしょうか。 ○藤野委員  ここを書けば、あとでケアコードは付けると言われましたが、これは調査表でガイド ラインが来て、これを見たら職員はこれにとらわれますよ。ですから、そういう意味で は、先ほど言われたように、もう少しわかりやすく簡単にしてほしいです。  それから、中国ブロックの、養護施設の中国5県で同じようなことをしたのです。今 はまだ分析できず大学にコンピューターで処理をしてもらうように頼んでいますけれど、 その場合は2週間のスパンを取ったのです。夏休みに入る1週間前からの2週間、これ は職員の自由筆記です。この時間帯は何人の子どもがいて、こうしていました、という ようなことなのですけれど要するに子どもと過ごした時間がどれだけ取れたのか。それ から、雑用がどれだけあったのか。対外的な親のケアも含めてどれだけあったのか。そ れから子どものケアについて職員同士の例えばケースカンファレンスの時間がどれだけ 取れたのか。そういう大雑把な分け方で私は良いと思います。  実際の結果を見て、例えばグループホームと大舎とでは子どもに対応できた時間は4 倍近く違うのです。そのようなことが明らかです。まず、そういうことが一つです。  それからもう一つは、やはり施設は平常時ばかりではないのです。結構、非常事態が いたるところで起こっているのです。ですから、たまたま1週間という期間で、そこに 非常事態が起こったとしたら異常な結果が出てきます。そういう意味では、やはり実態・ 質を考える場合には、1週間の単位で取らざるを得ないのでしたらそれでよいと思いま すが、やはり年間を通してどうだったのかというようなことも、どこかで入れられるコ ーナーが出来ればよいと思います。 ○柏女委員  ありがとうございます。では、奥山委員お願いします。 ○奥山委員  もう一つだけ、聞きたいのですが、児童ID番号というものがありますが、全部入れ るとなると、施設の場合は隣の寮舎の子どもと一緒に遊んでいるのをケアしたりしてい ますよね。そうすると、60人の施設だったら60人全員の番号を知らないと書けないで すよね。そこも難しそうな感じがします。 ○柏女委員  まだまだ、ご意見があるのではないかとは思いますが、あと細かいこと、あるいは細 かいことだけではなく全体のことでも結構ですので11月5日までに事務局の方にご意 見を、できればペーパーでお寄せいただければと思います。 ○奥山委員  その細かいところの質問がいって、最終的にこうなりましたというのは、持ち回りで 回していただけるのでしょうか。つまり、本当にこれが出来るのかということが話題に なっていて、本当に基本的で根本的な構造の問題ですよね。それを細かいところだけ集 めて直しました、やりましたで出てきたら、みんなのこういう意見だけが少しずつ加わ っただけですというようなことになってしまったら問題なので、やはり持ち回りでもよ いので全員に回していただかないと少し不安だと思います。 ○柏女委員長  今のご意見を聞いて、事務局はいかがでしょうか。 ○前河児童福祉専門官  皆さまのご意見は、お聞きした分を取りまとめて、また先生方にこのようにさせてい ただきたいということは確認させていただこうと思っております。 ○柏女委員長  そして、その上でどうなるのですか。それでまた、ご意見をという形になるのでしょ うか。 ○前河児童福祉専門官  個別にご説明させていただいたりする部分もあるでしょうし、最終的に取りまとめた ところを、お伝えさせていただくという形にさせていただければと思っています。 ○柏女委員長  そういうことですが、よろしいでしょうか。奥山委員もよろしいですか。 ○奥山委員  少なくとも、1分が何分になるとか、書いておけば全部コードを付けてくれるのかど うかなどですが、その辺は少し早めに。その辺は根幹的な部分ですので、そこは早く「こ ういう方法でいきたいと思いますがいかがですか」と皆さまに回していただいた方が。 細かい質問などは後で良いと思うのですけれど、やはり根幹的な部分がどうなるのかを 早めに聞かないとわかりづらい部分だと思います。 ○柏女委員長  いかがでしょうか。 ○前河児童福祉専門官  大きな方針に関しては、早めに皆さまにお伝えさせていただければと思います。 ○柏女委員長  わかりました。では、2段階方式でということですね。  では、藤井委員どうぞ。 ○藤井委員  細かい様式等の問題ではなく、いろいろな現在の配置基準や人員配置などの問題を検 討していく際に、今後この膨大なデータをまとめて考察をかけて、どこかに提案して資 料にしていくわけですが、その際に、どうしても比較対象が必要だろうというのは、過 去の基準の変化というか、例えば現在は3歳未満児2人に対して1人の職員が配置され ています。年少の子どもたち4名に対して1人、学童6名に対して1人という基準が児 童施設の場合はあるのですが、その根拠はどこから出てきたのでしょうか。なぜ、その 人数になったのでしょうかというところを押さえないと、今現在の調査をしてもこの人 数は必要なのです、ということが決定的に根拠付けられない気がするのです。そういう ことは時間とともに忘れていってしまう部分もありますので、できるだけ検証をいただ きたいと思います。 ○柏女委員長  わかりました。その辺は事務局の方で並行して最低基準の根拠や改定、推移など、最 低基準に付加的に補助でやっている人数とか、そういうものは別途、資料を整理してい ただければと思います。よろしいでしょうか。ありがとうございます。  それでは、時間も過ぎておりますので、ご意見があるとは思いますけれど本日はこの 辺りで議事を終了させていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。  何かこの議題以外のことで。では、大塩委員どうぞ。 ○大塩委員  議題以外ですけれども、皆さまのお手元に鯉渕母子福祉作文集を配らせていただきま した。この作文集は10年目になりますが、予算の関係で今年をもって最終回となりま した。母子生活支援施設に入所している、あるいは入所していた高校生とお母さんたち の生の声が入っておりますので、ぜひ皆さまにご覧いただきたいと思います。また、利 用者の方はDV被害者も非常に多いので名前などは全て伏せておりますので、どこに出 していただいてもよい作文集になっております。今年は「母子世帯からのメッセージ」 というタイトルを付けていますので、ぜひいろいろな場所でご活用いただけたらと思い ます。皆さまに読んでいただけたら幸いです。よろしくお願いします。 ○柏女委員長  ありがとうございました。とても貴重な資料をありがとうございます。他には、よろ しいでしょうか。  よろしければ、ここで議事を終了させていただきたいと思います。次回の予定につき まして、事務局の方からご連絡をお願いします。 ○藤原家庭福祉課長  本日は大変ありがとうございました。次回につきましては、このタイムスタディの調 査結果の集計後と考えておりますが、先ほど申しましたように、タイムスタディを実施 するに当たってご意見を頂戴し、またいろいろと確認をさせていただくということで、 近々またお手間をおかけいたしますが、よろしくお願いいたします。  それで、こういう形で委員会としてお集まりいただきますのは年度末以降となると思 いますが、日程につきましては改めてご連絡し、調整させていただければと思います。 どうもありがとうございました。 ○柏女委員長  どうもありがとうございました。それでは、今日はこれで終了したいと思いますが、 筒井先生には、この時間ずっとご出席をいただきまして、また貴重なご意見をいただき ましてありがとうございました。失礼な言葉もあったかもしれませんが、我々の何とか したいという意のあるところを、お汲み取りいただきまして、また工夫などしていただ ければ幸いに存じます。  それでは、各委員におかれましては、大変お忙しい中お集まりいただきましてどうも ありがとうございました。お疲れさまでした。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課措置費係 連絡先 03−5253−1111(内線7888)