08/10/29 第123回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第123回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成20年10月29日(水)15:00〜 2 場所  厚生労働省職業安定局第一会議室 3 出席者    委員  公益委員 :清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員        使用者代表:市川(隆)委員、平田委員、橋本代理(山崎委員代理)   事務局  太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        鈴木主任中央需給調整事業指導官、田中派遣・請負労働企画官、        松原需給調整事業課長補佐、待鳥需給調整事業課長補佐、        鶴谷需給調整事業課長補佐、竹野需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)その他 ○清家部会長 ただいまから「第123回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度 部会」を開催いたします。本日は、公益代表の鎌田委員、北村委員、労働者代表の古市 委員がご欠席です。また、使用者代表の山崎委員がご欠席され、東京商工会議所の橋本 産業政策部長が代理としてご出席されております。使用者代表の市川(隆)委員は、若 干遅れてお見えになるということです。  本日は、最初に公開で「労働力需給制度について」をご審議いただきます。その後、 一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹介事業及び無料職業紹介事業の許可の諮 問に関わる審議を行いますが、許可の諮問につきましては、資産の状況等の個別の事業 主に関する事項を取り扱うことから、「公開することにより、特定の者に不当な利益を 与え、又は不利益を及ぼす恐れがある」場合に該当するため、非公開とさせていただき ます。傍聴されていらっしゃる方には、始まる前にご退席いただくことになることを、 あらかじめご了承いただきたいと思います。  それでは、議事に入ります。最初の議題は「労働力需給制度について」です。皆様ご 承知のとおり、先月24日に当部会においてお取りまとめいただいた「労働力需給制度部 会報告」については、その後開催された職業安定分科会において、同日付けで厚生労働 大臣への建議とされました。資料No.1の法律案要綱については、同建議に沿った形で作 成され、去る10月24日付けで厚生労働大臣から労働政策審議会へ諮問がなされ、24日に 開催された職業安定分科会において、当部会において検討することとされました。本日 は、本法律案要綱についてご議論いただきたいと思います。事務局から法律案要綱につ いて読み上げていただき、そのあと議論に移りたいと思います。よろしくお願いします。 ○松原補佐 資料の確認をお願いします。資料No.1は、平成20年10月24日付けの厚生労 働大臣から労働政策審議会会長への要綱です。参考資料として、9月24日付けの労働政 策審議会建議です。委員限りの資料が4点あります。お手元にございますでしょうか。 それでは、部会長からご指示のありました要綱について読み上げます。  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律 等の一部を改正する法律案要綱  第一、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関す る法律の一部改正  一、一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の開始の欠格事由の追加  次に掲げる者を一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の開始の欠格事由 として追加するものとすること。  (一)一般労働者派遣事業の許可を取り消された者又は特定労働者派遣事業の廃止を 命じられた者が法人である場合(欠格事由に該当したことによる取消し等の場合につい ては、当該法人が第六条第一号又は第二号に規定する者に該当することとなったことに よる場合に限る。)において、当該取消し等の原因となった事項があった当時現に当該 法人の役員(業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者をいい、名称 を問わず、これらの者と同等以上の支配力を有するものと認められる者を含む。(三) において同じ。)であった者で、当該取消し等の日から五年を経過しないもの。  (二)一般労働者派遣事業の許可の取消し又は特定労働者派遣事業の廃止の命令の処 分に係る行政手続法の規定による聴聞の通知があった日から当該処分をする日又は処分 をしないことを決定する日までの間に一般労働者派遣事業又は特定労働者派遣事業の廃 止の届出をした者(当該事業の廃止について相当の理由がある者を除く。(三)におい て「廃止届出者」という。)で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの。  (三)廃止届出者が法人である場合において、(二)の通知の日前六十日以内に当該 法人の役員であった者で、当該届出の日から起算して五年を経過しないもの。  (四)暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第二条第六号に規定する暴力 団員又は暴力団員でなくなった日から五年を経過しない者(以下「暴力団員等」という。)。  (五)暴力団員等がその事業活動を支配する者。  (六)暴力団員等をその業務に従事させ、又はその業務の補助者として使用するおそ れのある者。  二、労働者派遣事業の業務の内容に係る情報提供義務の創設  派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、事業所ごとの派遣労働者の数、 労働者派遣の役務の提供を受けた者の数、労働者派遣に関する料金の額の平均額(二に おいて「労働者派遣料金額」という。)から派遣労働者の賃金の額の平均額を控除した 額を労働者派遣料金額で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定 した割合、教育訓練に関する事項その他当該労働者派遣事業の業務に関しあらかじめ関 係者に対して知らせることが適当であるものとして厚生労働省令で定める事項に関し情 報の提供を行わなければならないものとすること。  三、紹介予定派遣  労働者派遣契約の締結に際し、当該職業紹介により従事すべき業務の内容及び労働条 件その他の紹介予定派遣に関する事項を定めなければならないものとすること。  四、期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為  (一)期間を定めないで雇用される労働者に係る特定を目的とする行為の解禁。  労働者派遣契約の締結に際し、派遣労働者を特定することを目的とする行為をしない ように努めなければならないこととする規定について、労働者派遣の役務の提供を受け ようとする者が当該労働者派遣に係る派遣労働者を期間を定めないで雇用される労働者 の中から特定することにつき当該労働者派遣契約の当事者が合意したときは、これを適 用しないものとすること。  (二)特定についての差別的取扱いの禁止。  労働者派遣の役務の提供を受けようとする者は、派遣労働者の特定について、年齢又 は性別を理由として、差別的取扱いをしてはならないものとすること。  五、有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等  派遣元事業主は、その期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期間を 定めて雇用しようとする労働者(相当期間にわたり期間を定めて雇用する派遣労働者で あった者その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進することが適当で ある者として厚生労働省令で定める者に限る。五において「有期雇用派遣労働者等」と いう。)の希望に応じ、次のいずれかの措置を講ずるように努めなければならないもの とすること。  (一)期間を定めないで雇用する派遣労働者として就業させることができるように就 業の機会を確保し、又は派遣労働者以外の労働者として期間を定めないで雇用すること ができるように雇用の機会を確保するとともに、これらの機会を有期雇用派遣労働者等 に提供すること。  (二)当該派遣元事業主が職業紹介を行うことができる場合にあっては、有期雇用派 遣労働者等を紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に係る派遣労働者として雇い 入れること。  (三)(一)及び(二)のほか、有期雇用派遣労働者等を対象とした期間を定めない で雇用される労働者への転換のための教育訓練その他の期間を定めないで雇用される労 働者への転換を推進するための措置を講ずること。  六、派遣労働者の職務の内容等を勘案した賃金の決定  派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者の従事する業務と同種の業務に係る一般の 賃金水準その他の事情を考慮しつつ、その雇用する派遣労働者の職務の内容、職務の成 果、意欲、能力又は経験等を勘案し、その賃金を決定するように努めなければならない ものとすること。  七、その他派遣労働者等の福祉の増進  派遣元事業主は、その雇用する派遣労働者等について、希望、能力及び経験に応じた 就業及び教育訓練の機会の確保等必要な措置を講じ、これらの者の福祉の増進を図るよ うに努めなければならないものとすること。  八、待遇に関する事項等の説明  派遣元事業主は、派遣労働者として雇用しようとする労働者に対し、厚生労働省令で 定めるところにより、当該労働者を派遣労働者として雇用した場合における当該労働者 の賃金の額の見込みその他の当該労働者の待遇に関する事項その他の厚生労働省令で定 める事項を説明しなければならないものとすること。  九、期間を定めないで雇用される労働者に係る派遣先の労働契約申込義務  派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けることができる期間に制限のない業務につい て、派遣元事業主から三年を超える期間継続して同一の派遣労働者を受け入れている場 合の、当該派遣労働者に対し、労働契約の申込みをしなければならないこととする規定 について、当該派遣労働者について期間を定めないで雇用する労働者である旨の通知を 受けている場合は、これを適用しないものとすること。  十、派遣先に対する措置  (一)法違反の是正に係る勧告  派遣先に対する法に違反した場合の是正の勧告について、指導又は助言の前置を要し ないものとすること。  (二)派遣先に対する労働契約の申込み勧告  厚生労働大臣は、労働者派遣の役務の提供を受ける者((二)において「役務提供先」 という。)が次のいずれかに該当しており、かつ、当該労働者派遣に係る派遣労働者か ら当該役務提供先に雇用されることの希望を有する旨の申出があった場合において、当 該役務提供先が当該派遣労働者を雇用することが適当であると認められる場合として厚 生労働省令で定める場合に該当するときは、当該役務提供先に対し、当該派遣労働者に 対する労働契約の申込みをすべきこと及び当該労働契約に定める賃金その他の厚生労働 省令で定める労働条件を当該派遣労働者の派遣就業に係るものに比べて低下させること のないように適切な措置をとるべきことを勧告することができるものとすること。  イ、第四条第三項の規定に違反してその指揮命令の下に派遣労働者を同条第一項各号 のいずれかに該当する業務に従事させ、又は第二十四条の二若しくは第四十条の二第一 項の規定に違反して労働者派遣の役務の提供を受けたとき。  ロ、当該労働者派遣に係る契約の内容及び業務の処理の実情、この法律の規定の遵守 の状況その他の事情を勘案して第四十条の二第一項の規定に違反するおそれがあると認 めるとき。  十一、一般労働者派遣事業の許可取消し及び特定労働者派遣事業の事業廃止命令に係 る事由の追加。  十二(三)の勧告を受けたにもかかわらず、なお十二(一)又は十二(二)に違反し たときを、一般労働者派遣事業の許可の取消し及び特定労働者派遣事業の廃止の命令に 係る事由に追加するものとすること。  十二、関係派遣先への労働者派遣の制限。  (一)派遣元事業主は、厚生労働省令で定めるところにより、(二)に規定する関係 派遣先への派遣割合を厚生労働大臣に報告しなければならないものとすること。  (二)派遣元事業主は、厚生労働省令で定める特殊の関係にある者((二)において 「関係派遣先」という。)に労働者派遣をするときは、関係派遣先への派遣割合(一の 事業年度における当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者の関係派遣先に係る派遣就業 に係る総労働時間を、当該派遣元事業主が雇用する派遣労働者のすべての派遣就業に係 る総労働時間で除して得た割合として厚生労働省令で定めるところにより算定した割合 をいう。)が百分の八十以下となるようにしなければならないものとすること。  (三)厚生労働大臣は、(一)又は(二)に違反した派遣元事業主に対し、指導又は 助言をした場合において、その者がなお(一)又は(二)に違反したときは、当該者に 対し、必要な措置をとるべきことを勧告することができるものとすること。  十三、日雇労働者についての労働者派遣の禁止  (一)派遣元事業主は、労働者派遣により日雇労働者(日々又は三十日以内の期間を 定めて雇用する労働者をいう。以下同じ。)を従事させても当該日雇労働者の適正な雇 用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として政令で定める業務以外の業 務については、その雇用する日雇労働者について労働者派遣を行ってはならないものと すること。  (二)厚生労働大臣は、(一)の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、 あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならないものとすること。  十四、離職した労働者についての労働者派遣の禁止  (一)派遣元事業主は、派遣先が労働者派遣の役務の提供を受けたならば(二)に抵 触することとなるときは、当該労働者派遣を行ってはならないものとすること。  (二)派遣先は、労働者派遣に係る派遣労働者が当該派遣先を離職した者であるとき は、当該離職の日から起算して一年を経過する日までの間は、当該派遣労働者(雇用の 機会の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要があると認められる者とし て厚生労働省令で定める者を除く。)に係る労働者派遣の役務の提供を受けてはならな いものとすること。  十五、その他所要の規定の整備を行うものとすること  第二、第三は当部会の所管ではありませんので飛ばします。  第四、その他  一、施行期日  この法律は、平成二十一年十月一日から施行するものとすること。ただし、第一の十 一から十四まで、十五の一部、第三の一については平成二十二年四月一日から、第二の 一(二)、二(二)及び三の一部については雇用保険法等の一部を改正する法律(平成 十九年法律第三十号)附則第一条三号に掲げる規定の施行の日から施行するものとする こと。  二、経過措置等  この法律の施行に関し必要となる経過措置を定めるとともに、関係法律の規定の整備 を行うものとすること。  三、政府は、第一の十三の施行前に日雇労働者として派遣就業をしていた派遣労働者 その他の派遣労働者の雇用の安定を図るため、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行 う職業紹介の充実等必要な措置を講ずるように努めなければならないものとすること。  四、政府は、この法律の施行後五年を目途として、改正法の施行の状況等を勘案しつ つ検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるも のとすること。  以上です。 ○清家部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの事務局から読み上げて いただいた「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に 関する法律等の一部を改正する法律案要綱」について、ご質問、ご意見等ありましたら お願いします。 ○市川(佳)委員 横書きの建議から縦書きの法律案要綱になると、言葉遣い等々が少 しわかりにくいところがありましたので、多くは質問ということになろうかと思います。 2頁目の二で、これは情報提供義務の創設ということですが、建議の中では公開義務を派 遣元に課すという表現だったと思います。「公開」と「情報提供」という言葉の違いは、 意味は同じと考えていいのかどうか。その中身で、まず真っ先に「派遣元事業主は、厚 生労働省令で定めるところにより」と入っていますが、これは情報提供の方法のことを 言っているのかどうか。次の頁の3行目に「関係者に対して知らせる」とありますが、 関係者というのはどういうことなのか。その後で、「知らせることが適当であるものと して厚生労働省令で定める事項に関し情報の提供を行わなければならないものとするこ と」とあります。「情報の提供」という言葉を普通の日本語で考えると、聞かれたから 提供する、一方で「公開」というのは最初から明らかにすると、普通の日本語としては そんな違いを感じとして受けるのですが、さらに関係者が出てくるということは、私は この建議では指針で定めている情報公開が法律で義務化されるのではないかと思ってい たのですが、情報提供という言い回しになって、しかも関係者に対してとなると、建議 のときの理解と少し違うのではないかという感じがしております。  三の紹介予定派遣も、建議では業務の内容や賃金、労働時間、雇用契約に係る期間の 定めの有無等について知らせろということでしたが、ここでは「当該職業紹介により従 事すべき業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派遣に関する事項を定めなければな らない」となっていて、この辺りの建議の内容はどこで具体的に示されるのでしょうか。 これも省令に落とすのでしょうか、それとも指針でとどまっているのでしょうか。指針 では、指導の意味から言って不十分ではないかと感じております。  4頁ですが、「有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等」ということで、新たな用語の定 義みたいなものが出ていますが、「有期雇用派遣労働者等」というのは、ある種定義を 定めるということになるのではないか。それ以外の、ここで指している人たち以外にも 有期の派遣労働者はいらっしゃるわけで、これは呼称としていかがなものなのかという 感じがしています。  その中身としては、五の「期間を定めて雇用する派遣労働者又は派遣労働者として期 間を定めて雇用しようとする労働者」というのは、登録をしている人と考えてよろしい のかどうか。「相当期間にわたり期間を定めて」の括弧は両方にかかるのでしょうか。 期間を定めて雇用する派遣労働者と、雇用しようとする労働者の両方に括弧の中身がか かるのでしょうか。「相当期間にわたり」というのは、建議でいう1年ということなのか。 「その他期間を定めないで雇用される労働者への転換を推進することが適当である者と して厚生労働省令で定める者」というのは、具体的にどういった者なのか。それを総称 して有期雇用派遣労働者等という名前を与えるのかについてお聞きしたいと思います。  関連で、次の頁の(三)の「その他の期間を定めないで雇用される労働者への転換を 推進するための措置」とは、具体的に何を想定されているのか。 ○清家部会長 それでは、ご質問に対して事務局のほうからお答えいただきたいと思い ます。 ○鈴木課長 何点かありますが、二の「情報提供」と「情報公開」というのは、法律上 の表現を情報提供としただけで、情報公開と同じ意味です。最初の「厚生労働省令で定 めるところにより」というのは、公表の仕方です。3頁目の「厚生労働省令で定めると ころにより算定した割合」とありますが、これは算定方法です。例えば、端数処理など の計算方法を定める省令です。  関係者に対して情報提供というのはセットの条文になっているのですが、これは義務 ですから、一般的に公表と書くと、例えば派遣に入ることを全く考えていない人に対し てまで情報を提供する義務のようになってしまうのですが、本来は派遣に入ろうとして いる人、いま入っている人、派遣先など、要は派遣就労に関係する者に対してやれば、 基本的には足る義務です。そういう意味で、関係者というのは広く派遣就労に関係して いる者ということです。関係者に対して知らせるというのは公表という意味ですが、「 情報の提供」というワーディングがいちばん適切だということで、法制的にこのような 表現になっているわけです。これについては、基本的に建議、現在指針で行っているイ ンターネット等による情報の公開と同種のものということで作っている条文です。  三の「紹介予定派遣」の明示事項ですが、条文の構造をご説明しますと、いま派遣労 働者に対して就業条件等を明示しなければいけないという規定があります。これは、派 遣契約において、派遣元と派遣先が就業条件等について契約を結びますが、これを引用 して、労働者にも明示しなさいという構造になっています。したがって、労働者に対す る明示事項の追加は、派遣契約事項の追加の形を取るので、ここでは派遣契約の締結に 際し必要な事項を定めなければならないという書き方になっています。  これについて、建議はいくつか具体的に書いていましたが、法律の横並びとしてどの 程度のものを法律で書くかを鑑みると、「業務の内容及び労働条件その他の紹介予定派 遣に関する事項」を法律で書いておいて、あとは下位法令で定めるべしと。これが法制 局的な見解としての条文の立て方ですので、ほかとの並びを見てここだけ書いて、あと は具体的には指針になろうかと思いますが、業務の内容及び労働条件その他の紹介予定 派遣に関する事項を建議に書いてあるベースで列挙すると。これは指針では弱いとおっ しゃられましたが、これは法律の解釈を指針で示す格好になりますので、それを違反す れば当然法律違反となりますので、それは法律違反として厳密に指導する形になります。  五の「有期雇用派遣労働者等」というのは定義ではなく、いわゆる法律でいうところ の略称です。なぜこうするかというと、法条文を作るときにできるだけ短くするという ルールがあって、繰り返し出てくるものは略称を用いて、2回目以降は同語反復を避け るルールになっています。それで略称として最短の形をこのようにして、「五において」 と書いてあるのは、条文でいえば第何条においてという表現になるかと思いますが、こ のような表現を使っているもので、これは定義ではありません。当然有期契約の者は有 期の派遣労働者になりますから、それ以外の者は排除するという趣旨でもありませんし、 この条文の略称で用いる以外にこの用語を使うことはありません。  その条文の1行目の「雇用する派遣労働者」のあとに、さらに「雇用しようとする労 働者」とありますが、これは登録者ということです。そのあとの括弧書きは、派遣労働 者と登録者の両方に係る規定です。相当期間というのは建議で書いてある1年ですが、 なぜそのあとに「省令で定める者」と書いてあるかというと、1年の数え方が、登録派 遣については登録して就労して、登録して就労してという形で、働いているときだけ数 えて1年かというと、登録期間が間に入っても1年となりますから、1年のカウントの仕 方がどこからどこまでかを技術的に定めなければいけないということで、「相当期間に わたり・・・厚生労働省令で定める者に限る」という書き方で、1年のカウントの仕方 を技術的にこの省令で書いて、建議の1年と書いてある者に相当する者を特定しようと いう趣旨です。  五の(三)の「労働者への転換を推進するための措置」については、上で教育訓練を 書いていますが、例えば資格の取得の奨励とか、常用、いわゆる無期になるために必要 な教育訓練以外のものを含むということで、この措置を想定しています。 ○長谷川委員 5頁の六で、これは建議3の(1)だと思うのですが、派遣先の情報提供義 務が建議の3の(3)に「(1)及び(2)に当たって、派遣先に対し、当該措置に必要な情報の 提供等必要な協力の努力義務を課すことが適当である」とあります。私は、六にこの内 容を書かなければいけないのではないかと思うのですが、何でそこが抜けたのかなとい うのが第1点です。  6頁の八の「待遇に関する事項等の説明」で、6頁の最初は建議の3の(5)だと思うの ですが、ここは「派遣労働者等に対し」という書き方だったと思うのですが、「派遣労 働者として雇用しようとする労働者に対し、厚生労働省令で定めるところにより」とな っていて、建議3の(5)だと派遣労働者等なので、雇用している労働者などはどうなるの でしょうか。派遣労働者として雇用しようとする労働者に対してだけなのでしょうか。 ここの待遇に対する説明が理解できないので、説明してほしいと思います。また、「厚 生労働省令で定めるところ」というのは、具体的に何を定めようとしているのか、その 中身を教えていただきたいと思います。  次の3行目に、「待遇に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項を説明しなけれ ばならない」とあります。建議では待遇決定の方法、事業運営に関する状況、労働者派 遣制度の仕組みとなっていたと思いますが、厚生労働省令で定める事項というのはどう いうことなのか、もう少し説明してほしいと思います。  7頁の「派遣先に対する労働契約の申込みの勧告」ですが、1つは、建議では議論して いなかった事項が突然登場しているわけです。2行目に「当該労働者派遣に係る派遣労働 者から当該役務提供先に雇用されることの希望を有する旨の申出」と、これは労働者が 希望するとかしないとか、そういうことは議論しなかった気がするのです。違法なもの があったときにということは議論したと思うのですが、適用除外業務とか無許可・無届 けとか、期間制限とか、そういうものに違反していた場合は勧告しますよということで、 労働者の意思について議論した気はしなかったのですが、なぜこのようなものが入った のか。あの当時、議論していたときに、それは行政がちゃんと意向を把握するというこ とだったので、労働者が申出をするとかしないとかというのは、入っていなかったよう な気がします。もしこれがここに入るとすれば、申出がなければ勧告をしないと読むこ とができ、これは議論したときとは違う中身になっているのではないかと思います。  5行目で「その他の厚生労働省令で定める労働条件を当該派遣労働者の派遣就業に係 るものに比べて低下させることのないように適切な措置をとるべきこと」となっていま すが、建議のときの表現は6の(1)で「行政が賃金及び雇用契約期間について従前以上の 条件で雇用契約を申し込むことを勧告できる」となっています。この賃金及び雇用契約 期間について従前以上の条件というのは、要綱のどこに入っているのか、どこで読み取 るのかおしえてください。一度ここで切ります。 ○鈴木課長 まず、六、七の、建議では派遣先の情報提供義務があったにもかかわらず、 なぜないのかというご質問です。これは建議3の(3)の部分ですが、これについては法制 的な議論があって、建議では賃金の努力義務があった上で、同種の労働者の賃金を考慮 要素の1つとして指針に明記するということがセットで書かれていたものです。派遣先 の情報提供努力義務を鑑みると、いちばん具体的なのは、派遣先の賃金を考慮要素にし ろと言っても、派遣先の賃金は派遣元は知らないのだから、そういったものを知らせな いと努力義務は果たせないということをご説明した経緯があったかと思います。  これについては法制局のほうで、確かに賃金の努力義務はあるけれど、その具体的な 内容、例えば派遣先の賃金を考慮要素にすることを指針で明示するということであれば、 具体的に法律上努力義務を派遣先に課したとしても、実際何をするかが指針でないと出 てこないと。こうなると、法律上派遣先に対して努力義務であったとしても、具体的な 中身がわからないまま書くのは不適切だと。もし、派遣先の賃金を考慮することを指針 で書くのであれば、あくまで指針ベースで書くべきであろうということで、法制的に整 理がなされ、これについては私どもの要綱の中では法律では措置せずに、指針で措置す るということでご提案をしたいということです。 ○長谷川委員 指針というのは、どこかに根拠がないと出てこないですね。建議にあっ た、派遣先の同種の労働者の賃金を考慮要素の1つとして指針に明記することというの を法案で読むときは、どこで読み込んでいくのですか。 ○鈴木課長 もともと派遣元指針や派遣先指針には、指針を定めることができるという 法律の根拠があります。具体的には第47条の3ですが、「厚生労働大臣は、法律上派遣 元及び派遣先が講ずべき措置に関して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指 針を公表するものとする」ということですから、これは派遣元がいろいろ義務を果たす に当たり、派遣先として協力をすることが必要な措置になりますから、ここを根拠に定 めることができるという解釈です。例えば、日雇指針などもいろいろ書いてありますが、 日雇に関する条文はいまのところ何もないにもかかわらず、2月には日雇指針が定めら れましたが、この根拠条文を基にして定めています。これと同じ形で、派先に対する指 針として書くことが可能という解釈です。 ○長谷川委員 そうすると、これ以降法案が国会で審議されて、この法案が上がったあ と指針を作るときに、これは指針に書くと考えていいのですか。 ○鈴木課長 そういう形で、指針の改正の原案を当部会にご提示したいと思っておりま す。 ○長谷川委員 そうすると、建議に書かれていたものは、1つは今回の法律本体に入る ものと、そのあとの省令でくるものと指針でくるものがあり、この部分は指針だと理解 すればいいですか。 ○鈴木課長 建議でいただきましたが、法制的にどのレベルでやるかは法制局ともご相 談して、いちばん適切なところで定めるというスタイルを取っておりますので、これに ついては法律ではなく指針でというご提示をしているものです。  続けて、八の「待遇に関する事項等の説明」ですが、建議では「派遣労働者等」とあ って、今回なぜ「雇用しようとする者」となっているか。これは、基本的には登録して いて、そこから実際雇用されるまでの間の労働者という趣旨になろうかと思います。こ れには経緯があって、ご存じのように当部会における検討の元となったのは、7月の研 究会報告です。この研究会報告の中で待遇の説明をどう書いてあるかというと、「登録、 募集又は雇用契約の締結に当たって、事業運営に関する情報等々について説明を義務づ けることが適当である」と。繰り返すと、登録、募集又は雇用契約の締結に当たってと いうことで、実際雇われる前に派遣労働者となりたいと思っている方が、どこの派遣元 を選ぶかといったときに、その選択に必要な情報を提供して、それを適切に選択させる ことによって派遣労働者の処遇の改善につなげるとともに、それから優良な派遣会社を 伸ばして、悪いところは淘汰していくという趣旨だったと思います。  私どもが建議の原案を叩き台の形でお示ししたときには、もともと意識していたのは、 登録している派遣労働者はありましたが、法制的に実際に登録者と派遣労働者になった ときに、どこまで具体的に義務の対象になるかを整理していなかったので、広い形で派 遣労働者等と書いておりましたが、その中心は登録中、基本的には初回登録して最初に 働き始めるまでの間です。この間に雇用契約を結ぶケースもありますので、そういった 意味で労働者になっているケースもあろうということで、広目の派遣労働者等という表 現で原案をお示しして、そのとおり建議していただいたわけです。ただ、これを法制局 の審査の過程において、これについては派遣労働者を「雇用しようとする労働者」とい う形が、法制的にも趣旨的にもいちばんぴったりくるということでしたので、このよう な整理をしたものです。  ですから、逆に言うと、実際もう働いている者に対してはどうかということですが、 これについてはこの研究会段階から私どもはこの研究会を原案として、当部会に原案を ご提案したときにも、基本的にもう働いている方を対象にするという考えはありません でしたので、そういった意味では齟齬はないと思っております。  そのあと省令が2つ出てきますが、6頁の最初の厚生労働省令は、説明の時期や方法を 定めるものです。そのあとの3行目の「厚生労働省令で定める事項」が、まさに建議に 書いてあるように、事業運営に関する事項、状況や具体的な対応決定の方法、派遣制度 の仕組みといったものを、派遣制度の仕組みといっても法律上非常に表現が難しいので、 厚生労働省令で細目について定め、これで建議でいっている説明義務の内容をこの省令 で定めるものです。  十の(二)で、3行目の「申出」というのはもともとなかったではないかということ ですが、派遣先からの雇用の申込みについては、特にみなしにするかどうかの議論の中 で、みなしにしてしまうと、労働者が雇われたいと思っていないケースについてその意 思が反映されないということで、不適切であるという研究会の報告をお示しした上で、 だから勧告制度がよろしいということで叩き台をご提案した経緯があろうかと思います。 したがって、私どもとしては、まずは労働者の意思を反映させることはベースにあるも のと思って議論したと思っています。建議にはその部分は具体的には書いていませんで したが、労働者の意思を無視してまで行政が勧告するのは不適切であろうということで、 「申出」というのを法律の中に入れようという整理をしたものです。  「申出」と書いてありますが、申出が来るまで何もしないのではなく、違反があれば 違反かどうかをチェックした上で、もし違反ということになったら、その労働者に対し て、あなた方は申込みを派遣先から受けたいですか、と確認をして、そこで申し入れて いただくと。私は希望します、という確認をこちらから能動的に行って、その上で勧告 をするかどうかの審査に入っていくという手続きを考えていますので、これは労働者が 何か言ってくるまで行政は何もしないという趣旨ではなく、こちらから積極的に聞いて 回るという取扱いをする予定です。  「従前以上」ということですが、これについては厚生労働省令で定める労働条件、こ れは賃金と雇用契約期間、建議に書いてある2つの内容ですが、これを厚生労働省令で定 めて、派遣就業に係るものに比べて低下させないということは、従前以上の条件で申し 込めという内容になりますので、「低下させることのないように適切な措置をとるべき ことを勧告する」ということで担保しているという解釈です。 ○清家部会長 よろしいですか。引き続き、ご質問をどうぞ。 ○長谷川委員 7頁の(二)ですが、「当該役務提供先が当該派遣労働者を雇用すること が適当であると認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当するときは」と なっていますが、認められる場合として厚生労働省令で定める場合というのは、どのよ うな場合ですか。条件はイのところにある4条3項と24条の2、40条の2の第1項に違 反した場合ですね。「当該役務提供先が当該派遣労働者を雇用することは適当であると 認められる場合として厚生労働省令で定める場合に該当するとき」というのは、どのよ うな場合でしょうか。 ○鈴木課長 これは当部会でも、特に使用者側委員のご意見として議論になったケース かと思います。極めて軽微なものまでやるのかというご議論がありました。基本的には 責任がある場合に派遣先に義務を課すものであるから、派遣先に責任がある場合はやり ますということで、建議の中でも「派遣先に一定の責任がある場合」という文言が書い てあろうかと思いますが、これを厚生労働省令で具体的に書いて、そこをチェックする という趣旨です。 ○市川(佳)委員 9頁です。日雇労働者についての禁止ですが、(一)の2行目で、「 当該日雇労働者の適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務として 政令で定める業務以外の業務については」、禁止ということですが、建議では「日雇派 遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題がない業務等」と、「専門性があり労働者 の保護に問題のない業務」という二本立てだったと思うのです。その意味で、極めて明 確に中身を出していた建議が、「適正な雇用管理に支障を及ぼすおそれがない」という 書き方でいくと、具体的な業務は政令で定めるとはいえ、政令で1回落ちるとだんだん広 がっていくという過去の経験に学ぶと、この法律の条文がこのようになっていると、建 議の内容よりもハードルが低いと感じます。この建議で出された趣旨がきちんと法律の 中にないと、そのあと政令で議論するときに非常に危ぶまれる気がしますので、その辺 について見解をお聞きしたいと思います。  十四で、離職した労働者を1年以内に同じ所に派遣するのは禁止というのは、そのよ うなことがあった場合どういうことになるのでしょうか。また、(二)の「雇用の機会 の確保が特に困難であり、その雇用の継続等を図る必要がある」というのは、いわゆる 定年退職者と捉えていいのかどうか。  日雇に絡んで、施行期日ですが、日雇の問題が社会的に非常に問題になっていて、す ぐにきちんとした措置が必要であることが、夏以降この部会の中での我々に課せられた 使命だったと私は思っています。短い時間の中で研究会報告をいただいて、この部会で も鋭意議論してきたわけですが、この部分の施行が遅いのではないかと。日雇の部分は 平成22年4月ということですが、緊急だからとにかくきちんとやりましょうと、この部 会でも短い時間でやってきたのに、施行が遅いことについてはいかがかと思っておりま す。 ○鈴木課長 日雇の例外の政令ですが、確かに建議では日雇派遣が常態であり、保護に 問題がないという書き方をしています。ただし、日雇が常態であるというのは、建議の 議論の際にも、専門性が高くて保護に問題がなくても、いま現在日雇をやっていないも のについては定める必要はないのではないかということで、これを入れたことをご説明 しているかと思います。  そう考えると、最初に政令を定めるときには、いま現在日雇派遣はできますから、常 態かどうかが判断基準になるわけですが、一旦禁止になると、新たに追加しようとした ときに常態のものなどあり得ないわけです。やっているとしたら違法になりますので、 これは2回目以降の基準には基本的に使えないと。そのようなこともあって、適宜追加 するというところでは「専門性があり労働者の保護に問題がない」という書き方をして いるわけです。したがって、これは1回目だけではなく、今後、政令を改正するという ことからすると、常態であることは法律上の政令の要件にはなり得ないという整理があ って、ここから落ちています。  ただ、これについては1回目の政令を定めるときには当然基準になりますし、26業務 から絞り込んで18業務とすることが、日雇派遣が常態であるかどうかの基準を使ってこ の審議会で合意されておりますので、それで担保ができるのではないかと思っておりま す。 ○市川(佳)委員 常態というよりも、労働者保護に問題がないという部分については どうでしょうか。 ○鈴木課長 そちらについては、「保護に問題のない」という後半の部分ですが、保護 に問題がないとはどういうことかというと、これを端的に法律上表すと、保護といって もいろいろな保護の仕方があります。例えば基準法における保護等々がありますが、派 遣法における保護とはどういうことかというと、日雇派遣の禁止については、短期の雇 用であり雇用管理が十分なされていないことからいろいろ問題が出るので、日雇派遣は 禁止しましょうということだったと思います。  そこについては、法制局で議論をしたときに、保護に問題がないということは、すな わち日雇派遣の禁止である雇用管理に支障があることであろうから、そこを基本的に端 的に書くべきということで、「雇用管理に支障を及ぼすおそれがないと認められる業務」 という整理をしています。この法制上の解釈としては労働者の保護に問題がないという ことで、ここに書いてあるのと同じものであるという判断でこのような表現にしており ます。  十四の(一)(二)に派遣元、派遣先とありますが、これに違反した場合については 特段議論がなかったので、通常どおりまず指導から入って、先では勧告・公表、元では 命令等ということで、通常の指導の流れに乗っていくものです。  最後の施行期日ですが、これは平成22年4月ということで提案していますが、この法 律全体の施行については、この法律が通った暁には政令、条令、指針の整備についてこ の部会で議論をいただいて定めなければならないので、その時間が必要です。また、特 に日雇派遣等については規制の強化、それも事業を禁止するというかなり強めのもので すので、このように規制を強く強化するものについては、まず周知期間を設け、実際そ の事業主に対して周知を行った上で施行していくルールになっていたと思います。その 時間が必要であることがあります。  さらに派遣の特色として、事業規制をあまり急に変えると、そこで働いている労働者 に悪影響を及ぼします。例えば、日雇派遣の事業ができなくなれば、日雇派遣をやって いる会社の労働者の仕事がなくなることもありますし、グループ派遣においても、グル ープ派遣を8割にするために縮小していくようなことがあると混乱が起きることもあり ますので、事業規制を強化する部分については労働者への影響と、事業主側からご提案 がありましたが、派遣先のニーズもありますので、急にやると派遣先での労働力需給が うまくいかないこともあって、日雇紹介への移行期間を十分取ってくれというご議論も ありました。そういったことを諸々鑑みると、平成22年4月の施行が適当なのではない かというご提案です。  それから、括弧内は定年退職かというご質問がありましたが、そのとおりです。 ○長谷川委員 7頁の「派遣先に対する労働契約の申込み勧告」ですが、先ほど質問し た「低下させることのないように適切な措置をとるべきこと」、これは建議では「以上」 なのです。軸をここに置いたときに、「以下」というのはこれより低下させてはいけな い、「以上」はずっと上ということで、「以下」と「以上」はすごく大きな違いがあり ます。だから、建議のときは「以上」というのはなるほどと思いながら聞いていたので すが、法案では低下させることのないようにと言うのだから、これより下にしてはいけ ないという意味です。「以上」というのはこれ「以上」ですから、ここは実質的にすご く内容が変わっているのではないかと思うのです。 ○鈴木課長 語句の定義ですが、「以上」ですとイコールプラス上ですね。「低下させ ることのないように」というのは、イコールを含まずに下が低下させるで「ことがない」 ですのでイコールより上ということで、「以上」と同じ意味だと解釈して法制的に説明・ 整理されておりますので、これはイコール「以上」です。 ○清家部会長 よろしいですか。 ○長谷川委員 納得はしていないですが、議事録も出ているので、争いがあったときは そういう解釈でよいということでしょう。 ○清家部会長 では、そのようなことで、ほかにはよろしいですか。 ○平田委員 10月24日の雇用安定分科会でも、使側の委員から質問や意見を申し上げた 部分については重複しますので、今日は割愛しますが、それ以外のところで意見と質問 を2点だけ申し上げます。1点目は、7頁の十の(二)派遣先に対する労働契約の申込み 勧告で、ロが偽装請負を示したものです。これは契約の内容及び業務の処理の実情、こ の法律の規定の遵守の状況その他の事情を勘案することによって、偽装請負を構成する 違反実情を特定して、さらに40条の2の第1項の規定に違反するおそれ、つまり当初から 40条の2の第1項に違反する意図があった場合と、そのような主観的要件を加味すること によって偽装請負を表現したと理解しましたが、そういうことでいいのかどうかという ことと、それから前回の職業安定分科会で、この規定がいわゆる偽装請負のみを特定し ているということを明文化していただけると、課長からご発言があったと記憶しており ますが、その内容については本需給部会で審議することになるのかどうかということ。 これが1点目の質問です。  それから2点目は意見ということになりますが、第四の二の「経過措置等」というと ころで、見直し時期は施行後5年とありますが、昨今の急激な経済情勢の悪化ですとか、 金融不安ということを受けて、今後の雇用情勢が先行き不透明ということもありますの で、是非、厚労省においては、今回の改正のフォローを適宜実施していただきたいと思 っています。これは要望です。以上、2点です。 ○鈴木課長 まず十の(二)のロでありますが、後段は主観要件と言うかどうかは別と して、解釈としては偽装請負を規制しているものですので、いま平田委員がおっしゃっ たようなことで間違いありません。それから、これについて偽装請負というのは、確か に非常にわかりにくい文章になっておりますので、「これは偽装請負なのですよ」とい うことについては明らかにしたいと思っていますが、通常はこういうのは解釈通達等で お示しすることかと思いますので、特段ご要望がなければこういう形でやらせていただ きたいと思っています。  5年の見直しですが、これについては例えば今回の見直しについても、前の改正のと きに見直し条項が付いていたからやっているわけではなくて、これは必要に応じてフォ ローアップした上で見直しをするというのは当然のことですので、ご要望は承りました。 ○清家部会長 よろしいですか。 ○橋本代理(山崎委員代理) 質問というより意見という形で述べさせていただきたい のですが、いまちょっとお話があったように、現在非常に厳しい経済情勢になってきて いる。7月にこの議論が始まってから、様変わりと言ってもいいような状況になってきて、 特に中小企業については、かなり深刻な状況になってきていると思っています。  そういった中で、今後、直接どういう形で影響するか、それはまた別にしまして、こ れだけ厳しい状況になってきたということ、この辺を前提というか、ご認識を改めてい ただいて、法案の作成を勘案していただきたいと思っています。ここまで厳しくなった 中で、日雇派遣の禁止ということで、中小を中心に企業経営にどれだけの影響を及ぼす のかということで、改めてまた大きな不安も抱いているところです。  そこで今回の法律案要綱等について、これまで山崎委員からもこの場で発言している と思うのですが、法律案要綱の第四「その他」の三の部分、いわゆる日雇業務について、 民間の職業紹介事業、これによって労働者と企業とのマッチングに支障が出たとき、そ ういったときにはハローワークなどを通じて、責任を持って措置を講じるというお話が いろいろあったと思うのですが、この部分を是非ともフォローをよろしくお願いしたい と思っています。  もう1点、具体的な部分で、先ほど経過措置ということで、施行期日のお話があった と思うのですが、これは意見の部分です。日雇派遣の禁止について、こうした厳しい状 況になってきていますので、法の成立から施行までの間、十分な準備の時間を取ってい ただきたいということを感じております。この2点だけ、本当に意見・要望という話で すが、述べさせていただきたいと思います。 ○清家部会長 事務局から何かありますか。 ○鈴木課長 まず1点目、景気が非常に悪くなっておりまして、雇用情勢が不安定にな っているというのは事実です。これについては、特に日雇派遣禁止をした場合のマッチ ングについては、ハローワークが最終的なセーフティネットですので、特に景気の悪い ときにはいちばん最後のセーフティネットですから、そこについてはしっかりとやりた いと思っています。  それから施行期日については、これまでもご意見をいただいておりましたが、平成22 年4月ということで十分な時間を取らせていただきまして、その間にいろいろ法律の内 容を周知するとともに、また日雇紹介の事業の整備等々もいろいろやってまいって、施 行には万全を期したいと思っています。 ○清家部会長 ほかによろしいですか。それでは、当部会としては本法律案要綱につい て、平成20年9月24日付けの労働政策審議会の建議に鑑みて、これを「概ね妥当」とし て認めることとし、その旨の報告を職業安定分科会長宛に行うこととしたいと思います が、それでよろしいでしょうか。 ○長谷川委員 短い間、本来ですと12月まで議論する予定でしたが、こういう状況の中 で短期間で仕上げたわけですが、私のほうから3点ほど意見を申し上げたいと思います。 1つはやはり派遣先労働者との均等待遇原則です。いろいろな働き方があるとすれば、 どのような働き方を選択したとしても、やはり均等待遇であるということが必要なわけ でして、そういう意味では派遣先労働者との均等待遇原則が必要です、それから、違法 な派遣が行われた場合における派遣先との「直接雇用みなし規定」の導入が、私は必要 であるということを、この部会でも申し述べてきました。  それと、非常に時間が短かったこともありまして、登録型派遣についてなかなか十分 な議論ができなかったわけであります。登録型派遣のあり方について、やはり労働者保 護の視点から引き続き検討を行うべきであると思っています。是非この3点について、 私どもの意見を付していただければと思います。 ○清家部会長 使用者側、どうぞ。 ○平田委員 いま意見をしたいというご意見がありましたが、使用者側として、建議に 私ども使用者側の意見は少数意見としていろいろ書いておりましたので、あえて繰り返 しませんが、労側からもご発言があったので、それは意見は意見ということで、使用者 側としてそういう考えを持っているということは強調しておきたいと思います。以上で す。 ○清家部会長 ありがとうございました。ただいま労働者代表委員から意見を付したい 旨の申し入れがありました。この件については、あらかじめ事務局にお話がありました ので、私からそういった意見を付した形で報告案を作成するように、事務局にお願いし ておりました。ということで、その意見を付した形の報告案文を配布していただきたい と思います。                 (報告案文配付) ○清家部会長 お目通しいただけたでしょうか。それでは、いまお配りした報告案文で、 職業安定分科会に報告させていただきたいと思いますが、ご了承いただけますか。                  (異議なし) ○清家部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。それで はこの後、本日開催されます職業安定分科会に、そのように報告をさせていただきたい と思います。  では、次に一般労働者派遣事業の許可の諮問に移りたいと思いますが、冒頭に申し上 げましたように、ここで傍聴されている方についてはご退席いただくようにお願いしま す。                 (傍聴席退席) ○清家部会長 事務局より何かありますか。 ○松原補佐 次回の部会については、決まり次第、委員の皆様に個別にご連絡させてい ただきます。よろしくお願いします。 ○清家部会長 では、事務局にはそのようにお願いします。それでは以上をもちまして、 第123回労働力需給制度部会を終了します。本日の署名委員は、使用者代表の市川(隆) 委員、労働者代表の市川(佳)委員にお願いします。委員の皆様、お忙しいところをあ りがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)