08/10/29 第33回労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会議事録 第33回 労働政策審議会労働条件分科会労災保険部会                  日時 平成20年10月29日(水)                     10:30〜                  場所 厚生労働省省議室(9階) ○平野部会長  ただいまから第33回労災保険部会を開催いたします。本日は那須委員、内藤委員、平山 委員がご欠席です。  では議事に入らせていただきます。本日の議題は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保 及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱(労働者 災害補償保険法の一部を改正の関係)」です。本件は、厚生労働大臣から労働政策審議会会 長宛の諮問案件です。  法律案要綱の内容について、事務局より説明いただきたいと思います。 ○労災管理課長  まず要綱を読み上げた上で、内容をご説明いたします。 ○労災管理課長補佐  資料1をご覧ください。資料1は、資料2としてお配りしております労働者派遣法等の 一部を改正する法律案要綱のうち、労働者災害補償保険法の関係部分を抜粋したものです。 資料1を読み上げさせていただきます。  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等 の一部を改正する法律案要綱(労働者災害補償保険法の一部改正関係)。  第二、労働者災害補償保険法の一部改正。  一、派遣先の事業主等に対する報告、文書の提出又は出頭の命令。  (一)行政庁は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備 等に関する法律(二(一)において「労働者派遣法」という。)に規定する派遣先の事業主 に対して、労働者災害補償保険法の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずる ことができるものとすること。  (二)行政庁は、船員職業安定法に規定する船員派遣(二(二)において「船員派遣」 という。)の役務の提供を受ける者に対して、労働者災害補償保険法の施行に関し必要な報 告、文書の提出又は出頭を命ずることができるものとすること。  二、派遣先の事業の事業場等への立入検査。  (一)行政庁は、労働者派遣法に規定する派遣先の事業の事業場に立ち入り、関係者に 質問させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができるものとすること。  (二)行政庁は、船員派遣の役務の提供を受ける者の事業場に立ち入り、関係者に質問 させ、又は帳簿書類その他の物件を検査させることができるものとすること。  三、罰則その他所要の規定の整備を行うものとすること。  第四。その他。  一、施行期日。  この法律は、平成21年10月1日から施行するものとすること。ただし、第一の十一か ら十四まで、十五の一部、第三の一については、平成22年4月1日から、第二の一(二)、 二(二)及び三の一部については、雇用保険法等の一部を改正する法律(平成19年法律第 30号)、附則第一条第三号に掲げる規定の施行の日から施行するものとすること。  四、政府はこの法律の施行後5年を目途として、改正法の施行の状況等を勘案しつつ検 討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて所要の措置を講ずるものとす ること。  以上でございます。 ○労災管理課長  今回お諮りします労災保険法の一部改正関係ですが、資料3が先週の労災保険部会にお いて、派遣労働者の災害補償に関する今後の対応についてご審議いただいたもので、行政 庁が派遣先に対して報告、文書の提出、出頭を命ずることができることとする。派遣先の 事業場について、立入検査ができるということを法律上規定するということで、これを受 けて、資料1の法律案要綱を作成しました。  まず、法律の題名は「労働者派遣事業の適正な運営確保及び派遣労働者の就業条件の整 備等に関する法律等の一部を改正する法律案要綱」となっております。  資料2で厚生労働大臣から労働政策審議会会長宛に、諮問がされております。この中で 労働者派遣法、労災保険法及び高齢者等の雇用の安定等に関する法律を一括して改正する 形になっております。これらについては、派遣労働者の保護の充実を図り、これにより支 障が生じないように措置を講ずるという意味で、趣旨・目的を同じくし、内容に関連があ り、いずれも一部改正法であることから、一本の法律で改正を行うこととしております。  資料1の第二の一の部分ですが、まず(一)は、派遣先の事業主に対して、労災保険法 の施行に関し必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができるものとするというこ とです。  (二)で、船員派遣について規定しておりますが、昨年の雇用保険法等の一部を改正す る法律により、船員保険の職務上の災害、労災保険に相当する部分については、労災保険 に統合するということが法律で決まっており、その施行が雇用保険等の一部を改正する法 律によって、日本年金機構法の施行の日とされており、現在のところ、平成22年1月1 日を予定しております。  (一)は船員以外の一般的な派遣法の場合に、派遣先の事業主に対して、報告等を求め るということでありますが、(二)は船員の派遣についても同様に、派遣先に当たる船員派 遣の役務の提供を受ける者に対して、必要な報告、文書の提出等を命ずることができるよ うにしようというものです。  二が派遣先の事業の事業場に立ち入って、関係者に質問させ、又は帳簿書類その他物件 を検査することができるものとすることです。  二の(二)も同じく、船員派遣の場合に、派遣先に相当する船員派遣の役務の提供を受 ける者の事業場に立ち入って、立入検査等をできるようにするということです。これら、 報告や立入検査について、報告を拒むとか、あるいは虚偽の報告をするといった場合に、 派遣先の事業主に対して、罰則を適用する等の規定の整備を行うというのが三です。  第四の施行期日ですが、まず本体は平成21年10月1日から施行するということです。 ただ、先ほどの船員派遣に係る部分につきましては、雇用保険等の一部を改正する法律附 則第1号第3号に掲げる規定の施行の日から施行するということで、先ほど申し上げまし たように、これについては日本年金機構の施行の日ということで、平成22年1月1日から の施行を予定しております。  四で、施行の状況等を勘案し検討を加え、必要があると認めたときはその結果に基づい て必要な措置を講ずるという、いわゆる見直しの規定を設けておりますが、これについて は、派遣先の事業主からの報告や立入検査で、新たな規制を加えるということになり、こ の場合、規制改革三カ年計画において、一定期間経過後に見直しを行うという見直し条項 を盛り込むということが決まっておりますので、それを規定しております。  以上です。 ○平野部会長  ありがとうございました。  ただいまの事務局からの説明について、ご質問ご意見がありましたらお願いします。 ○長谷川委員  資料1の第二のところの一の(二)と二の(二)で、船員派遣の場合も、役務の提供を 受けるものに対して必要な報告、文書の提出又は出頭を命ずることができる。二の立入検 査のところでは、役務の提供を受ける者の事業場に立ち入って、関係者に質問させ、帳簿 書類、その他の物件を検査することができる。日本同士はそれでいいと思います。日本同 士はいいけれども、船員の場合、先が日本ではない外国の国籍だった場合に、それも適用 になるのかどうなのかお聞きしたいのですが。外国籍の場合どうなるのか。 ○労災管理課長  船員の適用は今後の規定で、外国の船舶に派遣される派遣船員について、予備船員とみ なして、労災保険は適用になりますが、立入検査については、基本的には属地主義という ことからしますと、外国の船舶に対して、適用は難しいのではないかと考えられます。  ただ、先ほど申し上げましたように、外国の船舶所有者に派遣する場合に、日本の労災 保険が適用されて、保険給付が行われるということになりますので、その場合には派遣元 である国内のところに、必要な報告等を求めて、適切な保険給付を行っていくということ を考えています。 ○長谷川委員  そうすると第二の一、(一)、第二の一、(二)は船舶が外国籍の場合は、適用にはならな いと見るのですか。 ○労災管理課長  まず外国の船舶使用者に対し適用にならないということと、FOCのような便宜置籍船に 派遣される場合もあるのですが、その便宜置籍船の場合には、派遣元事業主が船舶所有者 とみなされますので、立入りは派遣元である実質的な船舶所有者、国内の者に対して行う ということになりますので、外国のものに対しては対象にならないということです。 ○長谷川委員  船員はいつも複雑なのですが、今回労災保険が統一したことから起きてくるのですが、 この件は国土交通省と調整済みだと理解してよろしいですか。 ○労災管理課長  今回の派遣にかかわる労災保険法の改正については、当然国土交通省と法令協議が終わ っております。特に国土交通省から意見はありませんでした。今後、実際に船員保険を統 合するため、保険給付を行っていく上で、さらに連携することが必要だろうと思いますの で、引き続き協議を行ってまいりたいと考えています。 ○佐野委員  いまの質問と関連するのですけれども、今回の法改正そのものは最終的には、目的その ものは求償ですよね。手段として改正しようとしているわけですよね。そういう意味から いくと、外国船の船員の派遣も、求償ということは可能なのではないかと思います。その 前に明らかに求償の根拠が立証されていることが必要と思います。その辺についてはそこ までやっていくということになるのでしょうね。 ○労災管理課長  求償自体は、労働者が有する損害賠償請求権に基づいて、それを政府が労災保険給付を 行った場合にやるということですので、それ自体について仮に相手方が外国であったとし ても、それは可能かと思います。 ○輪島委員  資料1の第一の三ですが、罰則その他、所要の規定の整備ですが、罰則の具体的な中身 がどのようになるのかというのは、いまのところ決まっているのであれば、どういうよう なイメージなのかを教えていただきたいと思います。  第四の四ですが、必要があると認めるときはということですけれども、5年後の見直し というのは、必要がなければそのまま延長されていくというようなそういう理解でよろし いでしょうか。 ○労災管理課長  まず罰則についてですが、現在の適用事業の事業主が報告をしないとか、虚偽の報告を した、あるいは立入検査を拒んだという場合、6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金に 処するということになっております。今回、罰則の対象に派遣先の事業主を加えるという ことで、現在の適用事業の事業主に適用される先ほどの6カ月以下の懲役又は30万円以下 の罰金と同様とする方向で検討しています。  四の見直し条項についてですが、これも検討した結果見直す必要がないということであ れば、そのまま続くということになります。条文上の時限のものではなくて、5年を目途 に見直しを行うということで、そこで変える必要がないということになればそのままとい うことです。 ○輪島委員  そうすると労災保険部会で検討するということになるのでしょうか。 ○労災管理課長  必要があれば労災保険部会で検討するということです。 ○平野部会長  ほかにご質問、ご意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは皆さん のご意見を踏まえ、諮問のあった件につきまして、当部会としては妥当と認める旨、労働 条件分科会に報告したいと思いますが、いかがでしょうか。                (異議なし) ○平野部会長  ありがとうございます。それではそのようにさせていただきます。報告については私に 一任させていただければありがたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  今日の議題はこれまでですが、本日の議事録の署名委員は、労働者代表齋藤委員、使用 者側代表田中委員にお願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。今日はお忙しい中 ありがとうございました。 照会先:労働基準局労災補償部労災管理課企画調整係                          03−5253−1111(内線5436,5437)