08/10/27 第1回終末期医療のあり方に関する懇談会議事録         第1回 終末期医療のあり方に関する懇談会     日時 平成20年10月27日(月)     16:00〜18:00     場所 中央合同庁舎5号館9階省議室 ○事務局 定刻になりましたので、第1回「終末期医療のあり方に関する懇談会」を開 催させていただきます。委員の皆様方におかれましては、大変ご多忙中のところ、当懇 談会に御出席をいただき、誠にありがとうございます。  それでは、議事に入ります前に、私から本懇談会の委員の皆様の御紹介をさせていた だきます。  慶應義塾大学医学部医療政策・管理学教室教授 池上 直己 委員。本日、ご欠席の 連絡を頂いております。  日本難病・疾病団体協議会代表 伊藤 たてお 委員。  国際医療福祉大学大学院教授 大熊 由紀子 委員。  仙台往診クリニック院長 川島 孝一郎 委員。  社団法人全日本病院協会常任理事 木村 厚 委員。本日、ご欠席でして、同じく、 社団法人全日本病院協会副会長 猪口 雄二 様が代理としてご出席されています。  財団法人がんの子供を守る会理事 近藤 博子 委員。  社団法人全国老人福祉施設協議会 櫻井 紀子 委員。  医療法人東札幌病院MSW課長 田村 里子 委員。  社団法人日本歯科医師会常務理事 池主 憲夫 委員。  医療法人渓仁会定山渓病院院長 中川 翼 委員。  NPO法人在宅緩和ケア支援センター虹代表理事 中山 康子 委員。  社団法人日本看護協会常任理事 永池 京子 委員。  聖路加国際病院緩和ケア科医長 林 章敏 委員。  東京大学大学院法学政治学研究科教授 樋口 範雄 委員。  社団法人日本医師会副会長 宝住 与一 委員。  筑波大学名誉教授 増成 隆士 委員。  上智大学大学院法学研究科教授 町野 朔 委員。  読売新聞東京本社編集委員 南 砂 委員。  日本救急医学会代表理事 山本 保博 委員。  あけぼの会会長 ワット 隆子 委員。本日、ご欠席でして、同じく、あけぼの会副 会長 富樫 美佐子 様が代理としてご出席されています。  次に、厚生労働省を紹介させていただきます。  舛添厚生労働大臣でございます。  続きまして、事務局を紹介させていただきます。  医政局長の外口でございます。  医療保険・医政担当審議官の榮畑でございます。  医政局総務課長の深田でございます。  健康、医業指導、医療安全担当参事官の岡本でございます。  総務課課長補佐の大竹でございます。  最後に、私は、医政局総務課保健医療技術調整官の伊東でございます。  懇談会にご参画いただく方々は以上です。懇談会を進めていくにあたり、まず舛添 大臣よりご挨拶をお願いいたします。 ○舛添厚生労働大臣   今日は大変お忙しいところご出席いただきましてありがとうございます。今日は初回 でございますので、少し私の考え方を述べさせていただきます。終末期医療については、 ほんとに国民の関心も非常に高い。これまで3回にわたり、国民の意識調査を行ってき ました。平成18年に明らかになった富山県射水市民病院における人工呼吸器取り外し事 件を契機として、尊厳死のルールに関する議論が活発になり、昨年5月に終末期医療の 方針決定プロセスのガイドラインを策定しました。今年4月に長寿医療制度を施行する 際に「終末期相談支援料」が非常に問題となりました。これは医者と患者の対話を支援 すると言うことは大変良かったんですが、75歳以上を対象としたことで終末期というの は、いよいよ私の人生は終わりか、とか姥捨てかとかいう批判を浴びました。私自身は、 終末期というのは40歳でもなるし、親がそうなったときに息子や娘がどういう対応をす るのかといったこともあります。先般も参議院の政策審議会で議論になったのですが、 非常に小さく限定して、いわゆるチューブをつけて75歳以上で余命幾ばくもない人をど うするかというのから始まって、私は厚生労働大臣になる前、議員としてリビングウィ ルの法制化したいなと思っていたくらいであって、もっと広く人生の終わりをどうする か考える場を支援したいと思っていました。国民全体で考える必要があると思っていた ので、中医協からのご批判はあったものの、凍結していただいて、次は国民全体で議論 して国民全体のものとしてやる必要があると思っていたので、国民一人一人の意思が反 映されないといけないと思っています。また、終末期医療の方針決定プロセスのガイド ラインは対外的にすべての国民に伝わっているとは思えないのです。この機会を生かす 形で、終末期医療、それは医療に限らず、私は医療とは生活でもあると思っているので、 家族との生活や社会との関わりをどうするのか、などもっと幅広く、みんなで考える場 を設け、それを制度的に支えるシステムを作っていきたいわけです。今日はとりあえず 議論しましょう、という会として位置づけていきたいと思っています。これからはよく 議論していただくようみなさんに集まりいただき、国民にもメディアの力も借りて伝え ていきたいと思っています。  (冒頭カメラ撮り終了) ○事務局 カメラ撮りはここまでとさせていただきます。カメラの皆様方はご退室を お願いいたします。  お手元の資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、委員名簿のほか、資 料1が、「これまでの経緯」、資料2が「終末期医療に関する調査」の概要、資料3が「終 末期医療に関する調査」結果です。参考資料として、参考1が「終末期医療に関する調 査」調査票。参考2が「終末期医療の決定プロセスに関するガイドライン本編・解説編 (厚生労働省)」、参考3が「終末期医療のあり方について-亜急性型の終末期について- (日本学術学会)」、参考4が「医師の職業倫理指針[改訂版]【抜粋】(日本医師会)」 です。加不足等がありましたらお知らせください。  続きまして、本懇談会の座長についてお諮りいたします。私ども事務局としましては、 上智大学大学院法学研究科教授の町野朔委員にお願いしたいと考えていますが、いかが でしょうか。                 (拍手) ○事務局 ありがとうございます。委員の皆様の賛同を得ましたので、町野委員に座長 をお願いします。町野委員、座長席にお願いいたします。座長に一言ご挨拶をいただい た後、以降の議事運営をお願いしたいと思います。 ○町野座長 諸先生のご指名でございますので、慎んでお受けします。いま大臣からも お話がありましたように、終末期の問題というのは、単に医療の問題ではありません。 ケア、それを超えた生活一般のことですが、それをどう解決したらいいかという難しい 問題。医療を含めていろいろなことを、考え方、さらに感じ方、それぞれをどういう方 向で考えるか是非皆さんの議論を願います。  議事に入ります。委員欠席の場合には、代わりに出席される方の扱いについてお諮り いたします。今回懇談会においては、委員欠席の際に、代わりに出席される方に関して は、事前に事務局を通じて座長の了解を得ること及び当日の懇談会において承認を得る ことにより、代理として参加し発言をいただくことを認めることにしたいと思います。 以上のような取扱いでよろしいでしょうか。  当懇談会の進め方について、確認をします。当懇談会は公開で行い、資料についても 事務局でまとめたものを各委員に目を通していただきまして、厚生労働省のホームペー ジで公表していきたいのですが、この点についてご了解をお願いいたします。  議事に入りますが、まず事務局から資料の説明をお願いします。 ○事務局 まず資料1です。第1回の会議に当たって、「終末期医療の検討に関するこ れまでの経緯」です。1枚めくりまして、「これまでの経緯」が具体的に書いてあります。 終末期医療に関しては、昭和62年に「終末医療に関するケアの在り方の検討会」とし て開いています。この会議は突破口はありませんで、文献調査を中心にしていただいて います。また、平成5年に入り、「末期医療に関する国民の意識調査等検討会」を開い ています。ここではアンケート調査(末期医療に関する国民の意識調査)を行っていま す。さらには平成9年に「末期医療に関する意識調査等検討会」でアンケート調査の第 2回を行っています。  3頁です。「終末期医療に関する調査等検討会」を平成14年に開催しています。その 際、町野先生に座長をしていただきまして、調査の方法としましては、アンケート調査 (終末期医療に関する調査)を実施しています。  当時の調査の概要について説明いたします。5頁です。「終末医療の在り方について」 です。まず、(1)の終末期医療に対する関心ですが、平成15年当時の終末期医療に対す る関心というのは、一般国民、医師、看護職員、介護施設職員のどの年齢層についても 高いことがわかっております。さらに、(2)ですが、終末期医療の在り方について、末期 状態、ここでは6カ月程度よりも短い期間としておりますが、ここで、単なる延命医療 をやめることについては肯定的ですが、積極的な方法で生命を短縮させる行為は許容で きないという考え方が、ほぼ一致していると考えられます。  また、(3)で、リビングウィルの問題です。書面による生前の意思表示の考え方に「賛 成する」という方々は過半数となっていまして、また、この書面が有効であるという法 律を制定すべきであるとする国民は半数を下回っています。  5頁です。(4)医療現場の悩みですが、医療現場の問題の中で、どういう手順を踏んで 決定するのが妥当なのか、どのような行為が合法なのか、判断基準が明らかでないため、 医師等が悩む場合が多いことがわかってきました。また、この度ガイドラインを作成し、 その普及を図っていくことを考えなければならないということです。  最後に「終末期医療体制の充実」ですが、今後充実していくべき点として、「在宅終末 期医療が行える体制づくり」「緩和ケア病棟の設置と拡充」、さらには「患者、家族への 相談体制の充実」、また、「医師・看護師等医療従事者や介護施設職員に対する、卒前・ 卒後教育や生涯研修の充実」が挙げられています。以上が前回申し上げたところです。  6頁をご覧ください。「終末期医療の決定プロセスのあり方についての検討経緯」です。 平成18年に富山県射水病院において、人工呼吸器の取り外し事件が発覚しました。こ れを契機として「尊厳死」のルール化の議論が活発化しております。それでコンセンサ スが得られる範囲でルール作りを行うため、ガイドラインを平成18年9月にたたき台 を公表しました。  この主な内容は7頁です。まずは、適切な情報の提供と説明に基づいて、患者が医療 従事者と話し合いを行い、患者本人による決定を基本とする。さらには、終末期医療の 内容は医師の独断ではなくて、医療・ケアチームによって慎重に判断することというこ とが主たる内容です。以上がこれまでの経緯です。  続いて資料2「終末期医療に関する調査」概要です。今回ご紹介します平成20年「終 末期医療に関する調査」については、今年3月に実施いたしました。2頁をご覧くださ い。調査対象と回収数ですが、対象数は1万4,400人です。そのうち一般の方が5,000 名、医師が3,200名、看護師が4,200名、介護職員が2,000名を対象に調査をしました。 回収率は46%で、平成15年と違うところなのですが、看護師の中で、介護老人福祉施 設にお勤めの方500人を対象としています。  続いて内容です。3頁をご覧ください。最初に「終末期医療への関心」について聞い ています。その結果、大多数の国民が終末期医療に関心をお持ちである。そして、医療 関係者は、一般国民に比べて関心が高いことが明らかになっています。一般国民の方で 80%以上が関心がありました。  また、4頁で、さらに年齢で70歳以上で、終末期医療に関心を持つ方は72%です。  5頁です。情報の提供・告知です。ここでは前回同様、大多数の国民が、自分の病名 や見通しについて知りたいということでした。国民ではおよそ77%の方、医療関係者で は90%近くの方が病名を知りたいと思っています。  6頁です。年齢で見ますと、70歳以上では、自分の病名や見通しを知りたい人は65% で、全年齢の77%と比べて少なくなっています。  7頁ですが、リビングウィルの問題です。リビングウィル、これは書面で自分の意思 を表示するのですが、その考え方に賛成する方は多く、増加傾向にあります。一般の方 でいきますと、83%の方がリビングウィルの考え方に賛成としまして、そのうち、書面 にまでする必要がないという方が21.8%となっています。  8頁です。年齢別に見ますと、70歳以上で、リビングウィルの考え方に賛成する方は 42%で、全年齢では61.9%という状況です。  9頁です。法整備を求めるものは34%、求めない方は62%と意見が分かれています。 特に医療従事者では、法整備を求める方は54%と意見が分かれています。10頁です。 これも年齢別に見ますと、70歳以上で、リビングウィルの法整備を求める者は29%で す。全年齢では33.8%が法律を制定すべきとしています。  11頁で、「終末期医療内容の決定」です。リビングウィルの書面の内容について、医 師が尊重すると思う一般の方は40%であるのに対して、医師は80%以上が尊重すると しており、ここでも一般の方と医療従事者の間で乖離が目立っています。  12頁は、家族や後見人の意思を代替するについて書いてあるのですが、本人の意思が 通じなかった場合、その代わりとして治療方針を決定することに、一般の方は58%が賛 成で、医師については72%が賛成です。  13頁です。「終末期治療の実施」です。質問が「自分が余命6カ月以内の末期状態の 患者になった場合に、延命医療を望みますか」で、延命医療を望まない方が多く、71% の方が望まないでした。また、医師、看護師がそれぞれ90%の方が、延命医療は望まな いとしています。14頁は年齢別です。70歳以上の方で、延命医療を望まない方が72% となっています。  この延命医療を望むか望まないかを、それぞれの障害別に調べています。いちばん上 は脳血管障害になった場合、真ん中が遷延性意識障害になった場合、いちばん下が余命 6カ月以内の末期状態です。脳血管障害で全身状態が悪化した場合、または遷延性意識 障害になった場合は、余命6カ月以内の末期状態になったよりも、こういう方々が延命 医療を望まないとしています。  16頁です。延命医療を望まない方の中に、緩和ケアや自然に死期を迎えるケアを希望 する方が増えていまして、後者の割合、自然に死期を迎えるケアを希望する方が年々増 加傾向にあります。  17頁です。これは「療養及び看取りの場所」で、中身は、自分が余命6カ月以内の末 期状態の患者になった場合、療養の場として、63%が自宅を、また、看取りの場所とし て80%が緩和ケア・医療機関を希望しています。  18頁です。自分が余命6カ月以内の末期状態の患者になった場合、66%の国民が最 期まで自宅での療養は実現困難であると考えています。一般の方で66%、医師で55% となっています。  最後の頁です。自宅で最期まで療養することが実現困難な理由ですが、いちばん多い のが「介護してくれる家族に負担がかかる」「症状が急変したときの対応に不安である」、 この2つが多くなっています。以上が資料2の説明です。  資料3です。こちらは初めて評価を行った項目を中心にご紹介いたします。まず9頁 をご覧ください。ここでは、医療従事者に対して、あなたは、患者本人や家族が納得が いく説明ができていますかという質問に対して、医師は85%、看護、介護では53%の 方が「できている」と答えておりまして、その数値は若干経年変化で低下しています。  10頁をご覧ください。「治療方針の決定」です。ここでは、「誰に治療方針の決定の意 見を聞きますか」で、「患者に聞く」という回答は、医師が76%、看護の方、介護の方、 それぞれ76%、56%の方が、患者本人に聞くとしています。  19頁をご覧ください。この評価は初めてで、医療従事者の方に、あなたの家族が治る 見込みがない場合、延命医療を望むかを聞いています。本人と家族では動機が違うと考 えられまして、これは12頁と比較していただくとよくわかると思います。12頁は本人 について聞いています。本人についてこの2つを見ていただきますと、延命治療を家族 について望む方が多くなっています。一般の方は、ご自身で延命治療を望みますかとい う質問に、望むと答えた方は11%ですが、家族の場合は24.6%となっています。  20頁です。こちらも新たな項目です。延命医療でどこまで望みますか。具体的にどこ まで望むかを聞いています。  また、28頁ですが、ここでも、家族について聞いております。この場合は遷延性意識 障害で治る見込みがない場合、延命医療を望みますかについてですが、これを25頁と 対比しますと違いが表われています。具体的に申しますと、一般の人で4.7%が、ご自 身の延命医療を望みますが、家族についての延命医療は17%です。  続いて37頁です。これも新たな項目です。あなたの家族が高齢となり、脳血管障害 や認知症等によって治る見込みがない場合、延命医療を望みますかというものです。48 頁をご覧いただければと思います。ここではリビングウィルに関して、状況の変化に応 じて考えが変わった場合、何回でも書き直すことが可能であると知っていたのは、一般 の方で36%、医師では76%の方が知っていました。  50頁をご覧ください。「あなたは、自分が終末期に明確な意思表示を行うことが困難 な場合、事前に治療方針に関する判断をあなた以外の方に任せておくことは可能ですか」 ですが、自然に任せておくことは可能という方は63.2%でした。  52頁をご覧ください。医療従事者について、終末期医療に対して、悩みや疑問を感じ た経験はありますかという質問に対して、多くの医療従事者が頻繁に感じる、あるいは、 たまに感じると答えています。  95頁です。ここも新しい評価項目です。「あなたは、自分自身の延命医療を続けるべ きか、中止するべきかという問題について、家族で話し合ったことがありますか」で、 一般の方では48%の方が十分に話し合っている、話し合ったことがあるということです が、全く話し合ったことがないという方が50%です。  107頁をご覧ください。「あなたは医療に対してどのようなことを望みますか」と聞い ています。国民の方々で、「自分の病気を治すことができるような可能な限りの医療を受 けたい」という方は23.5%、「病気を持ちながらも自分の生活を優先させることができ るよう生活を支えてくれる医療を受けたい」という方が66.5%です。医師は可能な限り の医療を受けたいという人は11.8%です。 ○町野座長 ただいまの説明について発言は何かございますか。 ○中川委員 70歳というのは、統計によって年齢を分けたのですか。まとめる段階で 70歳にわけたのでしょうか。 ○事務局 調査票の中に年齢を答える項目があります。 ○中川委員 70歳以上というのは、どのくらいの割合ですか。回答率は出ているのです が、70歳以上というのは集計時に分けたものでしょうか。 ○事務局 資料2冒頭に70歳以上の人数が出ております。調査票に年齢を答える項目 がありまして、それに基づいて集計しました。 経年で平成10年、15年、20年は議論になると思うのですが。 ○山本委員 調査の中で終末期、末期、死期が迫ったという言葉がありますが、基本的 には同じなのですか。 ○町野座長 終末期という言葉はいろいろあったのですが、それほど大きな意味はない のです。6カ月をターミナルとすることは最初のアンケートで言ってしまったのですが、 議論の余地があると思います。 ○伊藤委員 医療職の人が一般の人よりも関心が高いという説明だったと思いますが、 回答率を見ると、一般の人が50.5%、医師は35.0%、看護職は43.3%です。どこをも って、医療職の人は一般の人より関心が高いと言われるのかがわからないのです。  それから、リビングウィルについて、高齢者の方の支持率がすごく低いわけですが、 それはなぜなのでしょうか。書き換えができないと思っている方が多いことを反映して いるのかの説明していただきたいです。  もう1つは、延命医療を望むか望まないかで、望まない人が多いという説明だったの ですが、確実に望む人もいるのです。そのことについて、多数だからという言い方で説 明されることが、果たして適切なのかどうか。そこら辺がわからないのですが、説明を いただけますか。 ○事務局 関心が低いということですが、調査項目の中で、あなたは関心がありますか という質問があります。ここを解析していただければと思います。  リビングウィルの高齢者の解析ですが、これについては解析しておりません。  さらには延命医療に関しては、それも同じように、我々の中でまだ解析はしておりま せん。 ○川島委員 資料についてというより感想的な話ですが、終末期という概念はあるもの だと思っていたのですが、ほとんどは実態としてある意味ではないのだなと思っていま す。皆さんもご存じだと思いますが、『五体不満足』の乙武君、つまり、不満足でも周り にうまく伝えられれば、満足な体。頭の中で考えている構成概念というのと、実態で見 えるものというのがあって、終末期という概念は非常にややこしくて、もしかすると最 期まで終末期がないということです。  実態として認定するのか、それとも実態はなくて、頭の中で構成的に考えて、あたか も自分、私はと勝手に思い込んでしまって、そういう構成概念である可能性があります。 終末期という言葉もです。  それから、今回の資料、調査項目を見て感じたのは、結果はこうでございますと出て いるのですが、しかし、関係する医師が、患者の家族あるいはその他の方に説明をして いるかいないか、こういう結果が出る以前に、本人たちに対して説明をしているかどう かの調査も必要ではないかと思うのです。ちなみに、全国のがんセンター・臨床研修指 定病院に調査をかけたのですが、ここでも問題になっている自宅で最期を迎える在宅医 療に関して、がんセンターの医師の7割が、臨床研修指定病院の医者の75%が、在宅医 療の説明をほとんどしないで。そうすると、どうやって生きていくのか、どういうとい うのは、わからない、皆目見当の付かないままに、つまり自分は生きている望みがない と思って、最期を迎えるという方向に、データがスライドしてしまうのです。  だから、いままでは病気のことだけを話をすればよかった、つまり治す医療でよかっ た。しかし、これからは高齢者が増えてがんの末期、難病、いろいろな方が治らない病 気を支える医療。そうすると、支える支え方を病院がちゃんと教える。ここが大きな問 題で、私個人としては、患者さんたちは、支え方をほとんど教えられないままに帰され るのですね。 ○櫻井委員 私は今回この検討会に参加させていただき改めて思いました。人は死を前 にしたとき、どこで迎えるかではなくて、誰と迎えるかに重きを置いて考えたいのです。 だけれども、では医療が必要ないかというと、そうではなくて、安心ということからも、 医療がすべてではないけれども、医療の支えが大きな安心感につながると思っています。 医療の支えがあるという安心感を持つことができるということが必要ではないかという ことを、今回のアンケートからも思いました。医師も医療がすべてではないということ を言われています。医療の支えなくして、安心感のある看取りも得られないんだなとい うことを感じています。そういう安心できる社会づくりに、このアンケートが少しでも 役に立てばと思います。 ○樋口委員 大きな話と小さな話をしたいと思います。まず、大きな話をすると、この 調査の調査結果がまとめられて、これをどう考えるか、どう読むかはなかなか難しいと 思います。とは言え、限られた時間の中で伝えられたことがメディアを通じてどのよう に伝えられるのだろうかと少し心配です。それから、こういう部分について解析はでき ていませんというのもどうかと思います。そこで重要なのは、調査は終わった、そこで まず、解析を誰がやるのかという問題なのです。読み方を丁寧にして何らかの傾向を抽 出する必要があります。これまでも何回かやっていることの調査ですので、連続性を持 って何か新しい点がありそれを出せるものは出したほうがいい。ただし、そうは言って も、何らかの解析をした結果、そこからこれだけの調査で何かが出てくるかというとそ れがまた大きな問題です。この調査だけからどこかへというので、何らかの結論を出し て、何か新しいことをやりましょうという話に、すぐ飛び付いていけるかというと、そ れはまた難しい問題だと思うのです。そこは、こんなこと私が言わなくても、そんなに 無謀な人はいないと思いますが、解析は重要だが、そこから直ちに何らかの結論や結果 を出そうとするものではない、そういうものではないという話で、そういう話を確認し ておいたほうがいいのかなと思います。  次に、それを前提にしたうえで、小さな話をします。順不同で気づいたことだけ申し 上げますが、さっきの報告の中で、家族に聞いたときと、本人に聞いたときと、延命治 療に対する態度について随分差が見られたという点が新しいかのような指摘がなされま した。実は、それは前の報告書でも同様の傾向が見られており、しかもその理由は十分 かつ容易に説明の付く点だと考えています。それが1点です。  それから、資料3の10頁で「治療方針の決定」のところで、誰の意見を聞きますか という項目があって、これも前の調査でも同じ結果が出ているのですが、患者の意見が 大事ですねという結果が出てきているというのですが、よく見ると、真ん中のいちばん 大きな青い部分ですが、「患者本人の状況をみて誰にするかを判断する」と書いてありま す。それを本人の意思尊重に入れているかのような結論になっている。これはおかしい ですね。ですから、結局わからないということです。わからないということなのですが、 今日の報告もそうなのですが、患者本人の意見をみんなで重視していると結論づけるの は、あまりに乱暴な話です。これが2つ目です。  3つ目は、今日大臣もわざわざ、終末期といってもいろいろあって、高齢になった人 だけを対象として議論するわけではないということを言われました。実態的には高齢に なって亡くなっている人も多いので、70歳以上の回答者がどう答えたかについて、わざ わざ説明を受けるわけです。これはあくまでも誤解のないようにということで、70歳以 上だけをターゲットにここで議論をするわけではないということを強調しておいた方が いいかもしれません。70歳とか75歳とかで線引きをすることについてはとかく疑問 が生じやすいことがあります。しかし、今回の調査については、線引きをすることが目 的ではなく、年齢によって意識の違いがあるかどうかを見ているだけです。今回は結果 を提供しただけですということは、繰り返し申し上げたほうが、メディアにも誤解がな いようにお願いするには必要かもしれません。  今度は資料2の最後16ページで、これは解説の1つの例だと思いますが、「余命6カ 月以内の医療については、緩和ケア、自然に死期を迎えるケアの順に希望しているが、 後者の割合が年々増加傾向にある」。私は緩和ケアの専門家ではありませんが、私の隣に はそういう人がおられます。ここでの記述の仕方を素人が見ると、緩和ケアはあまり充 実させなくていいのではないかというように理解される結果が出てきているような気も します。しかし、これは、こういうアンケート調査のあり方自体と、そこから導かれる 結論について、現場におられる緩和ケアの専門家からして何らかの御意見があるのでは ないかと思います。 ○池主委員 大枠の構成から、どの方向にこの論議を進めるかというと、今後が見えな いという、内容とか全体を見て、何をこれから分析していくか、今回1回目なので、そ の辺が気になるところです。 ○林委員 緩和ケアについてですが、確かにこのまとめ方だと違和感を覚えました。こ のまとめ方では、緩和ケアの内容が、自然に死期を迎える方法に反するような方法だと 捉えられてしまうのではないでしょうか。緩和医療は患者さんの死を尊厳ある死として 捉えていますが、延命治療を実施したり、含んだものが緩和ケアであると誤解されてし まいます。  それから、このまとめ方ですと、苦痛を和らげることによって、死期を早めてしまう ような印象を持ちます。いま現在の緩和ケアは決して死期を早めるようなことはなくて、 昨年に発表された雑誌の中で、緩和ケア行った患者の方が、行わなかった患者に比較し て約29日間、平均余命が長かったのです。ですから、緩和ケアが死期を早めるという ようなイメージは持たないでいただきたい。 ○舛添厚生労働大臣 すみません、公務に戻らなければなりません。皆さんの話を聞き たいのですが、後で議事録を読ませていただきます。今後とも時間の許す限り参加させ ていただきたいと思いますので、どうぞご自由な議論を続けていただきたいと思います。 ありがとうございました。                 (大臣退席) ○町野座長 いくつかありましたが大きいのは、分析して、これを一体どこで捉えるの がいいのかという話です。いままで全3回の最終的な分析した報告を出していただいて、 それは樋口さんから言われた。今回もそれと同じようなその結果を分析する。よろしい ですか。その過程で、これからまとめるに当たって前回までと同様にいろいろな議論を されていて、特に2回と3回と回を重ねていてかなりいろいろ難しい。ただ、いまの点 につきまして、何か調査されるとか、分析の仕方を考えられると思います。 ○事務局 いま座長がおっしゃられたとおり、今後議論を深めていただきまして、まず、 こういうことがあるという実際の事例をいくつか紹介させていただきまして、今後さら に議論を深めていただきたいと思います。  さらには、本題につきましては、我々今回は単純にデータ集計等をさせていただきま した。そのあと、例えば今度こういうデータがほしいとか、こうした解析をすればとか、 ご意見を踏まえた上で、考えていきたいと思います。 ○伊藤委員 聞きたいことがあるのですが、資料3の107頁で、「医療に対してどうい うことを望みますか」という質問で、それに対して国民の23.5%は、「自分の病気を治 すことができるよう可能な限りの医療を受けたい」と答えているのですが、医師が 11.8%、看護師が7.8%です。医療の情報をよく持っている人たちの率は低くて、国民 が多いというのは、単に知識だけの問題なのか、本当の願いがどこにあるのかを教えて いただきたいです。圧倒的多数が、「病気を持ちながらも自分の生活を優先させることが できるよう生活を支えてくれる医療を受けたい」と言っています。これをどう考えるか、 ということがないと、単純にいいのか悪いのかというときに、ここはすごく大事なデー タなのではないかと思いました。  あと、患者の団体として、普段患者のいろいろな相談を受けている側から、最近気が ついたことなのですが、緩和ケアについてですが、1つは、以前と違って、多くの患者 は緩和ケアイコール死を迎える病院だと思っています。これは緩和ケアを進めるに当た って難しいところです。緩和ケアで有名な病院に転院をといっただけで、かなり難しい です。  もう1つは、それまで治療に当たってくれていた主治医との信頼関係を打ち切りたく ないという人も多いのです。そういう意味で、緩和ケアというものの受け止め方が、病 気に対する知識だけではなく、医療に対する知識の差で、随分受け止め方が違うという のは、最近になって顕著なような気がします。ここについても、何かご指摘があれば知 りたいと思います。 ○林委員 緩和ケアという言葉だけの問題ではないのではないだろうと思います。かつ てホスピスと言われていまして、それが強い終末期医療の印象を与えました。その後緩 和ケアという言葉に変わりました。しかしながら、その中で終末期の印象はあまり変わ らなかったのです。そういう状況の中では、言葉だけが変わっても、結果は緩和ケアの ほうを強いイメージしてしまうことになってしまったのではないでしょうか。  言葉をどうしても変わらないです。おそらく私たちの患者へのかかわり方であるとか、 それが問題になると思います。以前は治療を終えてから緩和ケアに移行する、そのよう にされていました。いま現在は治療を受けながら緩和ケアに移行する。それまでも緩和 ケアの死に対するイメージというのはあまり変わっていません。というところで、これ は私個人の考え方として大切だと思っているのは、パラレルケアという考え方です。が んに対する治療と並行して緩和医療を行っていく。治療と緩和の比率がどうなるかとい うのは、その人の人生観や死生観によっても違いますし、患者さんの病状、病気の種類、 医療の進歩の状態等によって変わってきます。患者を初めから最後まで支え続けるとい う姿勢で治療と緩和が並行して行われることが大切なのです。そのような意味合いで緩 和医療が捉えられていくようになると良いと思うのです。 ○田村委員 そうです。いままで患者の暮らしや生き方これまでの人生を見てこないし、 一般の医療機関では緩和ケアの対象の状態と同じような状況になっても、支援の仕方、 それをどう支援するか、在宅ならそのもっていき方についての説明がなされていない。  先生もおっしゃったように、何も治療がない、では終末期、ほかに手がなかったから 在宅でもと言われても不安も多くて、70歳になっているから、積極的治療ではなくとい うだけで、どんな過ごし方が出来るのかの情報が提供されていない。でもそういうこと は、いまの確認型というか、このたびの調査では出てこない。いまの医療の現状の様子、 つまり情報提供や相談支援のあり方の現状はどうかということとを併せて確認し、現状 認識したうえで考えていってほしい。 ○町野座長 先ほどの緩和ケアのに出ていますが、報告書の中には、例えば70歳以上 で解析しているという意味を伝えるべきであると思います。 ○中川委員 データを分析した後、この会から、何らかの提案ができないものか、と思 うわけです。そうでないと5年前と同じ結論で終わってしまうのではないでしょうか。 現在、社会的に問題になっている、救急医療や神経難病(筋萎縮性側索硬化症、ALS) についても、この会から何らかの提案ができないでしょうか。  ガイドラインでは、本人の意思を尊重していますが、家族の意思も大切です。慢性期 の患者(高齢者等)を診ていますが、終末期の本人の意思確認は意識障害や認知症で極 めて困難なのが現実です。 ○樋口委員 本人か家族かというのは終末期医療の現場で、大変な問題の1つだと思い ますけれども、実は、家族と本人のどちらかという問題の立て方が厳密にできるかも疑 わしい場面がある。医療現場では、まずは本人に確認したらいいことは当然ですが、そ うもできないケースがある。いろいろ事情があるわけです。ガイドラインの考え方の理 解という点でも、単なる自己決定中心かというと、それを中心に据えて、それが機能し ないところでは本人の意思を推定するという立場をとっている。そういう順番になって いますから、単純に、自己決定だけともいっていないのです。実際、ガイドラインでは、 本人の意思を確認できる場合でも、家族にもその決定を伝えるのが原則としている。そ こで異議が出されれば、単に自己決定とは行かなくなります。すくなくともすぐには。 要するに、厚労省のガイドラインは、全体について、合意主義が必要としているのです。 本人が中心ですが、家族も医療ケアチームも含めた合意が大事であり、そのための決定 に至るプロセスが大切だと強調しているのです。 ○町野座長 ありがとうございました。この問題は進行形ですので、まだ議論の中で願 います。 ○林委員 参考2−2という所。頁がないのでちょっとわかりにくいですが、参考2-2 の2枚目の裏です。「終末期医療及びケアの方針の決定手続」という所です。終末期医 療及びケアの方針決定は次によるものとする。(1)患者の意思の確認ができる場合。こ れは当然患者の意思が重要ですが、(3)の所ですが、もちろんこれでいいことなのですが、 意思の確認を何度も何度もやって、この「プロセスにおいて、患者が拒まない限り、決 定の内容を家族にも知らせることが望ましい」とあります。家族は大切ですが、医療者 と患者との間だけで話合いをして決定する、ということですね。全体として、自己決定 だけがすべて、という形でこのガイドラインができています。本当は患者と家族が一体 化となって、納得のいくような結論を出していただいて、医療者との間で相談していた だくという、当たり前といえば当たり前ですが、そういうプロセスが必要だとおもいま す。  決定に至るプロセスの所ですけれども、決定してから家族に知らせるとなっています。 医療現場でときどき悩むのは、本人はこう思っている、しかし、その決定を家族が納得 できていない、そのようなときの問題です。決定に至るプロセスの中で、やはり家族の 合意がそろわないと実行されにくい、という問題があるのが現状だと思っています。そ れがいいか悪かは別なのですけれども、決定に至るプロセスの中で家族の合意を含めて 決定、というのが今の日本では相応しいのではないでしょうか。それは現場にいての感 想です。 ○川島委員 委員の1人として、私も2つ感想を述べます。結果がどう出るかというの は、それは、プロセスをきちんとやったあとに、自ずから出てくることであって、初め に結果ありきではない。結果を目的としてはならないと思っています。  ただ、初めからそのようにすればいいのだと、それにあたかもプロセスを合わせたか のようになってしまう、だから、そのプロセスを十分に医療従事者も患者も家族もその ような意味合いで、みんなで考えていきましょうねということを、ちゃんと中でなって いるのもある。それからそれは再び申し上げていますが、医者がもう限られた命だと、 でも亡くなっていくのは、結果として出てくるわけです。だから、死を目的にするので はなく、結果だろうと思うのです。そうでないと、全く別の話になってしまうとおもう のです。  いまいうことのために法律があるわけで、そこを抜きにして、目的になってしまうと いうことだけは。そうするとそのプロセスをきちんと捉えているかどうかということを 各医療機関はできないかもしれないです。そういう問題はさっきで挙がってきてお話し ましたが、十分な話をしているかどうか私は怪しいと思います。医者は丁寧に話をして いるのか、では、そのような体になってしまっている、少ない時間をどのようにしたら よいか、生き方の説明をした試しがない。ここに来ておられる先生方はたぶん説明して おられると思いますが。プロセス自体がうまく機能していないということであると非常 にまずいと思います。  ですから、今回のこの前半にしましても、話は駄目だと思います。おそらくこの次に また新しくこのコーナー、懇談会が開かれる。いままでのような質問対応でいいのかど うか、きちんと確認しておかないといけないのではないでしょうか。 ○樋口委員 今度の調査結果を一見しただけの感想ですが、調査結果では、国民の意識 には若干は変わっているところがありますが、それほど斬新な変わり方はしていません。 ○町野座長 法律のほうから言いますと、法律はこれは何もしてないので、こんなもの を知る必要はないのではないかというのが、法律のほうです。医療現場のほうでも、こ のガイドラインは役に立たないという人もいる。しかしおおむね、私が耳にしたときに、 聞こえてきたのは歓迎のほうです。ただ、問題はそこから先でして、要するに各論とい いますか、基本的には、ここに前回の委員会のいろいろ流れがあるという説明がありま す。  意思決定のプロセスでは、本人・家族だけでなく、医療現場では看護師らとの関係性 も大切です。一方でプロセスさえ経ればよいというのも危険であり、最近新聞報道もさ れています。そういうことで、アンケート調査をしたら、基本的には一般国民は死の問 題、そういうことにまだ直面していません。そういう事態の中にいる人というのは、私 は何を言いたいかというと、さらに、十分情報が伝えられてないし、日本の医療はこう いうことができるようになっていると、やはり考慮しなければいけないと思います。  いずれにしても、どのようにこの調査結果を読むかというのは、難しい話で、前回と また同じような結果になるると思います。 ○池主委員 前半の、資料1延命医療ですけれども、時間が強調されてしまうと例えば、 末期6ヶ月という限定の中で各々の立場の人がどういった対応をしていくのかというこ とには無理があるように思えます。 ○山本委員 今日のお話の流れは、がんという慢性疾患の終末期だけではない、という のは。救急の現場でいちばんの我々の苦慮するひとつは、心肺停止に入って人工呼吸器 を付けて、挿管して蘇生は成功したが脳波はフラットだった。ところが、呼吸循環は維 持されている、そのような急性の終末期みたいな問題もあります。  この領域についても一緒に議論してほしいと思います。 ○樋口委員 延命自体は同じということで、患者の状況を理解しないで、物事を考える 傾向が法律家のほうにありそうです。しかし、法律的な論点ではなくて、終末期医療の 問題については、、医療ばかりでなくて、もちろん法律ばかりでなくて、ケアとか生活一 般のいろいろな問題を含めた、広くて深い観点が必要かもしれません。 ○大熊委員 言葉のもつイメージで引っかかることがいくつかあります。  たとえば、資料3の37ページの「家族が認知症になったとき延命医療を望みますか?」 という問いかけです。前提として、「認知症になったら何もわからず悲惨なので生きてい てもしかたがない」という先入観があるように思われます。たしかに、認知の方が癌に なったときに入院させて点滴すると嫌がって外そうとします。そこで「抑制」という名 でベッドに縛りつける。恐怖で暴れる。ますますきつく縛る。そんなことになるなら、 延命しないほうがいい、というような話になります。けれど、あとでお話しするように、 穏やかに延命するケアもあるのです。  「終末期医療に関する調査」という言葉もひっかかります。「終末期」も「医療」も邪 魔だと感じるのです。「オールドオールド」という英語を後期高齢者と訳したために当事 者から嫌がられたように、「終末期」もご本人の身になったら、感じの悪い言葉ではない でしょうか?  人生の最期を支えるときに、医療は主役とはいえません。生活を支える観点がほしい のです。私の好みから言えば、「人生の最期の迎え方に関する調査」にすれば、幅広いい ろいろなものが浮き彫りになるのではないかと思います。  たとえば宮城県の穂波の郷(ほなみのさと)では、医療ソーシャルワーカーが、家族 やご近所、ボランティア、そしてお医者さんをつなぎ、それぞれの人が人生の最期の夢 を実現して輝いて亡くなっていくように縁の下の力持ちをしています。家族にもいい思 い出が残る、そんな実践をいくつも重ねておられます。  富山の「このゆびとーまれ」では、認知症の方を、幼い子がハイハイしてくるような あたたかな雰囲気の中で看護師さんが、畳の上で添い寝をして看取っています。  「終末期医療」という狭くて暗いイメージから抜け出さなければ、とおもいます。 ○櫻井委員 実は私は自分の体験したことしか言えないのですが、今、特養でがん末期 の痛みがある人の問題を抱えています。痛みを止める、やわらげるということで緩和ケ ア病棟に入院しています。しかし本人は、緩和ケア病棟は死に場所であると思って不安 をもっています。特養に帰りたいと強い希望をもっています。かって特養は終の住処と 言われ、いまでもそのようなイメージを多くの人がもっていることを考えると不思議な 気がしています。長い間過ごしていると生活の場として根付いています。がんの末期に なって緩和ケア病棟へ行くと、終の場所はいやだと思って拒んでいます。緩和ケアと考 えていますが理解が届きません。そういう意味で非常に難しいのです。特養でも緩和ケ アが必要で、医療との連携は大切です。また、特養の看取り介護加算が付いたことによ り、いままでの終の住処というイメージが変わってくるのではないかなとも思うのです。 終末期、即座に高齢者につながって、生活の場としての支えをしてきた特養が、高齢者 の最期の見届ける場所と言うことが強調されてこないかと言うことで何か怖いなと思う のです。そうした不安のない支えができる医療との連携が特養にもあり、ホスピスも取 り入れていけるような終末期医療の考え方に変わっていくと、その調査もすごく国民の 間に受け入れられるのではないかと思うのです。 ○伊藤委員 さっき山本委員から急性期の終末もあるという話があったので、難病の場 合には特殊な少ない例かなと思って控えていたのですけれども、事務局の説明からも、 富山の射水病院のこともあったのでという説明もあって、あえてもう一度聞きますが、 1つは、終末期という場合、人工呼吸器を付けて終末期なのか、付ければ終末期でない のかという選択の場面が、難病の場合、特にALSなんかでは直面するわけですね。付け なければ6カ月というのは、終末になってしまうのかもしれません。それは病気そのも のがあと6ヶ月なのかというのを考えれば、人工呼吸器を外せば犯罪になるかもしれな いという説明、あるいは付けることによって患者負担が高くなりますが、それを耐える 家族の負担はどうなるのだという話をすると、結局、付けないという、つまり終末期を 早く迎えるという選択を患者自身がしなければならない、せざるを得なくなります。そ れは本人の選択ということができるのかどうかなのです。付ければ、生活をしていくこ とができるのであれば、問題は先ほど言ったように、そういう療養生活を支える助言が あるのかないのかなのです。だとすれば、それは本人や家族の責任なのか、あるいはそ ういう説明をする際の責任なのか、それだけで話が済む、そういう問題があるので、そ ういう選択をせざるを得ないような病気もあったり、あるいは選択を迫られるというも のがある場合には、少ない例ではあるのだけれども、一般的な終末期という言葉でくる んでしまわないで、そこのところも議論するという方向であってほしいと思います。 ○永池委員 私のほうからは、前回の調査報告からこの度の調査にあるように国民に終 末期の意識が変わるような情報提供を何かなさったのでしょうか。例えば在宅医療がこ んなによくなりました、とか。あと、ガイドラインを作成してから、どのような周知が されているのか、特に国民・医療現場において。最後にこの度は懇談会というようにな っていますが、何か意図はあるのでしょうか。 ○事務局 まず、これまで、前回15年から20年に行く際にも、このような情報にも影 響がありますが、情報提供も含めまして、我々のほうとすれば、緩和ケアですとか、あ るいは在宅医療を中心とした事業とか、あるいはいろんな場面で啓発を図ってきました。 まだ十分ではない点があるかと思いますが。  また、ガイドラインにつきましては、実は昨年の1月に公表いたしまして、まだまだ 救急医療では足りないところがあるわけです。これまでも我々の許す範囲でやってきた ところですが、これについてはこうしたことをさらに皆さんに知っていただくために、 どのような手当てが必要か、皆さんのご意見を聞きながら進めていきたいと思っていま す。  3点目の懇談会という今回の会でございますが、これまでの調査していただいた検討 会にまた新たに委員を数名加わっていただいて、また大臣のもとこの会を続けるという ことで懇談会という形にしています。特に検討会と懇談会の結論ですとか、方向性が違 うことはございません。このまま検討を続けていきます。 ○中川委員 議事次第の趣旨の中で今後ヒアリングをしていくとあるが、その内容を教 えていただきたいですが。 ○事務局 おそらく終末期医療に関しまして、非常に多くの方がそれぞれ意見をお持ち であろうかと思います。その点に関しまして、当事者、ここにいらっしゃる方も皆さん 当事者ではあろうと思いますが、別の観点からの当事者というのは、具体的に現場でや っていらっしゃる方の中から、そうした方のご意見も使わせていただく可能性もござい ます。 ○町野座長 一般的な生命倫理とか医療法との問題もあるから、その観点からもできる 限りおこなっていきたいです。 ○池主委員 この会は初めてですけど、それ以外に現在具体的な論議に入っている介護 給付費分科会、さらには川島先生もかかわっておられる在宅医療検討委員会等にも出て おります。  これらの関連について例えば最近、大臣がおっしゃったように、これは何かの制度の 整備だということが前提にあるかどうかということが大きな意味を持つように思います。 全体を見て、それぞれが、何らかの制度的整備を落としどころとしているのでしょうが、 現状ではその辺があまり連携が取れているというふうに思えません。今後これらの検討 が連動するということはあり得るのでしょうか。 ○事務局 委員おっしゃられたように、在宅の形とかこうした業務とかこうした意見と いうのは、もしやらさせていただくのであれば、それも含めて検討をしたいと思います。 ○川島委員 そういうのは一種の財政論を話させればいいと思うのですけれども。関連 づけるにしても、どこまで関連づけたらいいかというところをきちんと把握しておかな ければいけないと思うのです。初めに財政があって、生死の問題を財政論に結びつける のは性急であり怖いと思うのです。 ○池主委員 先ほどの意見は、財政の問題として申し上げたのではないことを御理解い ただきたいと思います。 ○町野座長 いまのそれは非常に、終末期医療というのではなく、ここの議論自体が小 さいところ、バックグラウンドが、それは介護があるので、それは保険の問題でもある 意味あったわけですが、そこはどういうような場合になっているかとかですね。今回の ところまで反映しなければいけないのかとか、おそらく、ほかの問題ではないというこ とは確かなんです。ただ、このときどうして終末期医療を行うかというと、こういうも のが在宅医療で、こういうことが出てきた、そういうことがわかりやすくなると思いま すので、大体をもってしたいと思いますけれども。  どうも司会の不手際で、まだ議論をしていないところで終わりますけれども、予定の 時間が参りましたので、議論はここまでにしていただきたいと思います。 ○事務局 次回の懇談会の詳しい日程等につきましては、追ってお知らせします。よろ しくお願いします。 ○町野座長 それでは本日の懇談会はこれで終了いたします。 (照会先)  厚生労働省医政局総務課  大竹、山之内、澤谷 (代)03−5253−1111(内線4104、2529、2521)