08/10/24 平成20年10月24日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会農薬・動物用医薬品部会議事録 ○日  時:平成20年10月24日(金) 14:00〜15:00 ○場  所:三田共用会議所 3階 大会議室 ○出席者: 委 員  大野委員(部会長)、尾崎委員、加藤委員、佐々木委員、      志賀委員、豊田委員、松田委員、山内委員、山添委員、      吉池委員、鰐渕委員 事務局  國枝基準審査課長、小木課長補佐、束野課長補佐、江島専門官、 中田専門官 関係省庁 農林水産省消費・安全局農産安全管理課農薬対策室 渡辺専門官      農林水産省消費・安全局畜水産安全管理課     峯戸松係長 1.開 会 2.議 題  (1)食品中の残留農薬等に係る残留基準設定について    ・フロルフェニコール(動物用医薬品)    ・ベンゾカイン(動物用医薬品)    ・フルセトスルフロン(農薬)    ・チアメトキサム(農薬)  (2)その他      3.閉 会 ○事務局 それでは、定刻となりましたので、ただいまから「薬事・食品衛生審議会 食 品衛生分科会 農薬・動物用医薬品部会」を開催させていただきます。本日はお忙しい 中お集まりいただき、ありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。  本日は青木委員、井上委員、斉藤委員及び由田委員より、御欠席なさる旨の御連絡を いただいております。あと、山内先生が少し遅れる旨の御連絡をいただいておりますが、 農薬・動物用医薬品部会の委員15名中10名の出席をいただいており、部会委員総数の 過半数に達しておりますので、本日の部会が成立しておりますことを御報告いたします。  また、山添委員より、御都合により途中退席される旨の御連絡をいただいております。  それでは、大野部会長に審議の進行をお願いしたいと思います。今後の御審議よろし くお願いいたします。 ○大野部会長 皆さん、大雨の中集まっていただいて、どうもありがとうございました。 では、議事に入らせていただきたいと思います。  初めに、事務局から添付資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。  フロルフェニコール。動物用医薬品になります。  資料1「農薬・動物用医薬品部会報告」  2番目、ベンゾカイン。動物用医薬品になります。  資料2−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料2−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」  3番目、フルセトスルフロン。農薬になります。  資料3−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料3−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  4番目、チアメトキサム。農薬になります。  資料4−1「食品安全委員会における食品健康影響評価結果」。  資料4−2「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」。  参考資料として「平成19年1月17日付けクロチアニジン農薬・動物用医薬品部会報 告書」。  参考資料1「国民平均、幼小児、妊婦、高齢者別の農産物・畜産物摂取量」。  参考資料2「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結果について」。  配布資料の不足等ありましたら、事務局までお願いします。 ○大野部会長 よろしいでしょうか。  参考資料2というのは、どんなものですか。 ○事務局 参考資料1の次に閉じているものです。 ○大野部会長 一緒に閉じてあるんですか。 ○事務局 はい。一緒に閉じてございます。 ○大野部会長 わかりました。よろしいでしょうか。  それでは、審議に入りたいと思います。本日は動物用医薬品について2題、農薬につ いて2題、御審議していただくことになっております。  資料の作成に当たっては、関係委員に既に資料等を送付させていただいているところ でございます。  フロルフェニコールを最初にやるんですか。 ○事務局 申し訳ありませんが、都合によりフロルフェニコールを後回しにして、まず ベンゾカインから先にやらせていただければと思います。 ○大野部会長 それでは、最初にベンゾカインから御審議していただきたいと思います。  事務局から説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、御説明をさせていただきます。資料2−1が「食品安全委員会に おける食品健康影響評価結果」。そして、資料2−2が「農薬・動物用医薬品部会報告 (案)」になります。  資料2−2の「農薬・動物用医薬品部会報告(案)」に沿って説明をさせていただきま す。  品目名はベンゾカインです。  用途は、牛、羊、豚及び馬の局所麻酔剤及び魚介類の鎮静・麻酔剤になります。  ベンゾカインはエステル型の局所麻酔薬で、中枢神経系、心臓血管系、神経筋接合部 及び神経節シナプスに作用します。作用機序は神経インパルスの発生及び伝導の抑制で あります。EU諸国では牛、羊、豚及び馬の局所あるいは低用量持続硬膜外麻酔並びに 牛、羊及び馬の外傷及び潰瘍に対する表面麻酔軟膏として、またオーストラリアではサ ケの稚魚に対するワクチン接種時や、魚類、アワビ等の選別時などのストレス軽減のた めに用いられております。人に対し、我が国を始め欧米等で用いられておりますが、我 が国では動物用医薬品としての承認はありません。  今般の残留基準設定は、厚生労働大臣からベンゾカインについて、食品中の残留基準 の設定に係る意見聴取がなされたことに伴い、内閣府食品安全委員会において食品健康 影響評価がなされたことによるものです。  2ページに、適用方法及び用量となっております。  対象動物及び使用方法は、魚類及び貝類に対して10〜100 mg/Lで最大15分間薬浴で す。そして、使用国についてはオーストラリアになっておりまして、休薬期間が普通の 薬とは書き方が違いますが、500度・日となっておりまして、これは例えば水温10度の 場合は50日、水温25度の場合は20日という休薬期間になります。あと、ノルウェーで はサケに対して21日間の休薬期間が設定されております。  2番目に、対象動物における分布、代謝は、魚類で確認される代謝物はp−アミノ安 息香酸、アセチル−p−アミノ安息香酸及びアセチルベンゾカインです。低極性残留物 であるベンゾカイン、アセチルベンゾカインは、ほとんどがエラを介して流水中に排泄 されると考えられております。高極性残留物であるp−アミノ安息香酸、アセチル−p −アミノ安息香酸は体内に残り、尿中に比較的ゆっくりと排泄されます。アセチル化が 主要な代謝ルートとなっております。  3ページに、対象動物における残留試験結果があり、分析対象として分析対象化合物 ベンゾカイン、p−アミノ安息香酸、アセチルベンゾカイン及びアセチル−p−アミノ 安息香酸になります。  分析法については、比色法及び液体シンチレーションカウンター測定法によって、残 留性が検証されております。  組織における残留は、(1)としてサケ目魚類における試験が4ページに記載してござい ます。ここでは、24時間1日までしか残留のデータがありません。そして、(2)にスズキ 目魚類における試験がありますが、これも1日までの残留データとなっております。  5ページにp−アミノ安息香酸とベンゾカインの割合が一番上の表に書かれており ます。ベンゾカインが多いのに対して、p−アミノ安息香酸が筋肉の中では少なくなっ ております。そして(3)として、その他の魚類における試験として、ナマズの試験がなさ れております。この試験だけが休薬期間500度・日の残留という形で確認がなされてお りまして、一番下の480時間で白筋、赤筋、皮及び切り身について残留値が測定されて おります。  許容一日摂取量、ADI評価が食品安全委員会によってなされており、5ページの下 に記載されておりますが、食品安全委員会の評価結果ではベンゾカインは十分な毒性試 験結果が得られていないため、ADIの設定はできないが、ヒト用医薬品及び動物用医 薬品としての長い歴史があり、体内での排泄が速いとされていること。  ベンゾカインは使用機会が限定している。投与後、短時間での食用と殺は考えにくい こと。使用頻度が低いということが考えられること。また、魚類への鎮静/麻酔薬として 使用する場合、EU、オーストラリアでは余裕ある休薬期間を設定しており、ベンゾカ インについては適切に使用される限りにおいては、ヒトが食品を通じて継続的に摂取す る可能性は、事実上ないものと考えられること。  これらのことを踏まえると、ADIは設定できないが、ベンゾカインは適切に使用さ れる限りにおいて、食品を通じてヒトの健康に影響を与える可能性は無視できるものと 考えられるという評価になっております。  5番目に諸外国における使用状況と評価として、米国、EU、オーストラリア、カナ ダ及びニュージーランドを調査したところ、牛、豚、魚介類等に使用が認められており ます。JECFAにおいてADIは設定されておりません。  基準値案ですが、残留の規制対象をベンゾカインにしたいと思います。対象動物にお ける残留試験においてベンゾカイン、p−アミノ安息香酸、アセチルベンゾカイン及び アセチル−p−アミノ安息香酸の分析が行われておりますが、MRL設定の参照とした オーストラリアにおいて、ベンゾカイン本体のみを規制の対象としているため、規制対 象物質としてベンゾカインを設定いたしました。  基準値案を8ページに記載しております。データとしてはナマズのデータしかありま せんが、オーストラリアのMRLをそのまま基準値案としております。あと、この基準 値案については現行のものと全く変わりはありません。  別紙2の9ページに暴露評価がなされております。ここではADI比が取れておりま せん。食品安全委員会でADIが設定されていないためです。それで、どの程度の量が 摂取されるのかということですけれども、国民平均で4.0μg/人/日が一番高い値となっ ております。  国民平均が4.0となっておりますが、1日当たりに仮に10μg摂ったとして、ヒトで 薬としてどの程度投与がなされているのかということを調べたところ、1日当たり最高 で1gでした。あと、のどの痛みに対してトローチとして投与されるのが、1日10 mg という量が投与されていますので、それと比較すれば非常に低い値であり、この基準値 案で暴露する量というのは、非常に低い値だろうと考えております。  答申案ですが、最後の11ページになります。魚介類、サケ目、ウナギ目、スズキ目、 その他の魚類、あと貝類すべて残留基準値として0.05 ppmとしたいと考えております。  御審議のほどお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明について、質問、 御意見ございましたらお願いいたします。  豊田先生、お願いいたします。 ○豊田委員 ちょっと教えてほしいんですけれども、6ページの5ですが、諸外国にお ける使用状況と評価で、先ほど使用方法にたしかノルウェーというお話がございました ね。あれはEUだと思うんですけれども、そのほかのカナダやニュージーランドの使用 方法というのは、どうなっているのかを教えてほしいんです。 ○事務局 食品安全委員会の資料の6ページのところに具体的に書かれていますが、E U諸国では牛、羊、豚、馬の局所あるいは低用量持続硬膜外麻酔に用いられており、標 準的な治療用量は150〜750 mg/頭(動物)である。また、牛、羊及び馬の外傷及び潰瘍 に対する表面麻酔軟膏としても用いられ、治癒するまで1日2回使用されているとあり ます。 ○豊田委員 そうすると、カナダやニュージーランドも一緒なんですか。 ○事務局 申し訳ありません。調べたんですけれども、情報がありませんでした。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○豊田委員 今のことは結構です。 ○大野部会長 ほかにありますでしょうか。 ○事務局 言い忘れておりましたけれども、他の国々では基準値は設定がされておりま せん。 ○大野部会長 ほかにございますでしょうか。 ○豊田委員 日本の場合、案で少し見落としているかもしれませんけれども、日本の場 合は認められていないということで、使用方法も書いていないということでよろしいで しょうか。 ○事務局 日本では使用が認められておりません。 ○大野部会長 私からの質問ですけれども、こういう目的には日本も使う薬があるので はないかと思うのですが、そういうものと同じような局所麻酔薬みたいなのは使われて いるんでしょうか。 ○農林水産省 すみません、私の方から答えさせていただきます。  同じ系統の麻酔薬があるかどうかは、私も今、把握はしていないんですけれども、牛 や馬などの畜産に用いる鎮静剤でキシラジンというのが承認はされております。また、 魚もワクチン等接種用にオイゲノールという有効成分としての製剤が承認されておりま す。 ○大野部会長 気になったのは、このベンゾカインのときに使用してから十分に時間が 経ってからでないと食べられないという、すごくあり得ないようなことが書いてあるん ですけれども、もし日本でこれが許可されたとしたら、お寿司屋さんなんかでは生きて いるまま魚を運びますね。そういうときにもこれが使われるのではないかと思ったんで すけれども、そういうことというのは、今の日本で許可されているものについてはない のでしょうか。 ○農林水産省 そうですね、大体承認をされるときには、こういった条件に使うという ことになりますので、あとは休薬期間が設定されている場合もあります。オイゲノール もたしかあったと思うんですけれども、ワクチンを打ったりする場合に使うということ で、余り流通段階で使用されるというのは、これは念頭にはないということになってお ります。 ○大野部会長 輸送中に興奮して壁にぶつかったりすることもあるのかなと思ったので、 こういうものだと可能性もあるのではないでしょうか。今回のことではいいんですが。  それから、薬理作用のところで気になっているところがあるんですけれども、用途の ところでベンゾカインはエステル型の局所麻酔薬で、中枢神経系、心臓血管系、神経筋 接合部及び神経節シナプスに作用するということを書いてあるんですけれども、これで いいのかなと思ったんですが、尾崎先生いかがですか。 ○尾崎先生 先ほど、大野先生と山添先生と廊下で話をしていたんですけれども、少な くとも血管系に作用するという箇所については、作用しないということではないのです が、薬理作用として特に取り上げてこのように書く内容ではないだろうと思います。  2行目から読めば簡潔に、「ベンゾカインはエステル型の局所麻酔薬で、作用機序は神 経興奮及び伝導の抑制である。」というぐらいでいいのではないかなと、3人で話してお りました。 ○大野部会長 ありがとうございます。  ちょっと思ったんですけれども、電位依存性のナトリウムチャンネルを抑制すること により、神経興奮の発生抑制及び伝導の抑制であるということでいかがですか。よろし いですか。山添先生、いかがですか。  それから、今気が付いたんですけれども、資料2−2の用途の3行目のところで、「豚 及び馬の局所あるいは低容量持続硬膜外麻酔」というのは、この低容量の「容」はこれ でいいんでしたっけ。ちょっとよくわからないんですけれど。 ○山添委員 用いる方。 ○大野部会長 用いる方ですか。 ○事務局 修正させていただきたいと思います。 ○大野部会長 ありがとうございました。そのほか、ございますでしょうか。  松田先生お願いします。 ○松田委員 4ページ目なんですが、比色法によるというのが2回書いてあって、(1)と (2)と注が付いておりますけれども、これは異なる方法ということなんですか。  あと、脚注の番号も違っていますけれども、2の方がPABAが別に測れるという方 法ということですか。 ○事務局 説明させていただきます。(1)の脚注については、これで間違いございません。 (2)の脚注の部分は上の方を(1)と修正をさせていただければと思います。 ○松田委員 あと、表1の方は定量限界が0.44 ppmと書かれているんですけれども、表 の中を見ると0.32±0.24という数字があって、0.44 ppm以下まで測られていると思う んですが、この説明を読むと、これは残留というよりは筋肉中に含まれる一級芳香族ア ミンレベルということですね。 ○事務局 確かに0.44 ppmより低い値が検出が困難と書かれているんですけれども、提 出してきたオーストラリアがこう書いているので、こういう形で書かせていただいてお ります。 ○松田委員 ちょっと不思議に思ったのが、その隣のページのナマズの赤筋が、最初は 107.90 ppmとって非常に高いんですけれども、これはこの部位に何らかの親和性がある とか、そういうことでしょうか。たまたまでしょうか。皮より高いというのは、薬浴に してはすごいなと思ったんです。 ○事務局 この点については、確認をさせていただければと思います。  申し訳ありません。今、確認したところ、理由はわからないです。 ○大野部会長 そうですね。非常に不思議な感じがしますね。 ○松田委員 皮より高いのは不思議ですね。 ○大野部会長 そうですね。これが肝臓だったらまだわかるんですが。  ほかにございますでしょうか。鰐渕先生お願いします。 ○鰐渕委員 すごくベーシックな、基本的なことからわからないことがあるんですけれ ども、使われているのが牛、羊、豚という動物の方にも使われているのに、そのデータ が全然ないので、基準の設定にもそこの部分は出せないということなんでしょうか。 ○事務局 6ページの基準値案に記載しておりますが、EUにおいては使用は認められ ているんですが、ベンゾカインは個々の動物に使用されるものであって、その使用頻度 は低いこと、投与された動物が治療後、短時間のうちに食用と殺されることは考えにく いこと、ベンゾカインは排泄が速いという理由から、局所麻酔として使用される限りは MRLを設定する必要がないと評価されているため、値は置いておりません。 ○大野部会長 データは不十分だけれども、そういう事情でいいということですか。よ ろしいですか。  ほかにございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、幾つか前の話で修正がございましたけれども、基本的なところとして、こ こについては残留答申案は0.05 ppmということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 それでは、若干修正した上で、この報告書を当部会の報告とさせていた だきます。どうもありがとうございました。  次は、フルセトスルフロンでよろしいですか。 ○事務局 申し訳ありません。フロルフェニコールを次にやらせていただければと思い ます。 ○大野部会長 それでは、フロルフェニコールについて、説明をお願いいたします。 ○事務局 フロルフェニコール。資料1になります。フロルフェニコールについては本 年6月20日、8月7日に部会において審議を行い、10月10日の分科会に上程いたしま した。分科会において、委員からフロルフェニコールの残留基準値に未変化体だけでは なく、代謝物についても含めるべきであるとの指摘がありました。海外の残留基準値も 代謝物を含めていることから、部会に差し戻すことになりました。  今回、資料を作成して配布しておりますが、基準値案については未変化体で作成して おります。今日の部会で代謝物を含めるべきかどうかについて、御審議いただければと 思います。  このフロルフェニコールについて、資料の内容の説明については、2回審議はしてい ますけれども、いかがいたしましょうか。 ○大野部会長 皆さんがよろしければ、この部会に差し戻しになったいきさつと、それ に基づく審議をしていただければよろしいのではないかと思うんですけれども、よろし いでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、その辺について説明お願いいたします。 ○事務局 それでは、説明をさせていただきます。  フロルフェニコールは資料1。適用方法、用量が2ページ目にあります。そして、対 象動物における分布、代謝が3ページから書かれております。  代謝物について3ページに表があり、牛については、代謝物の方がフロルフェニコー ルの未変化体に比べて、かなり低い値になっております。  5ページに分析法の概要が書かれております。このフロルフェニコールについて非常 にわかりにくくなっておりますが、分析法によって検出できる物質が違っておりまして、 まずバイオアッセイ法についてはフロルフェニコールだけとなっております。  HPLC法について、フロルフェニコールのみを記載しているものについては、フロ ルフェニコールのみであるのに対して、フロルフェニコールとフロルフェニコールアミ ンを併記しているものについては、フロルフェニコールとフロルフェニコールアミンと なります。  そして、フロルフェニコールアミンのみを記載しているものについては、フロルフェ ニコール、フロルフェニコールアミン、フロルフェニコールアルコール、オキサミン酸 フロルフェニコール及びモノクロロフロルフェニコールをまとめた形で記載をしており ます。  LSC法については、フロルフェニコールとなっております。  基準値案について、別紙2の28ページに記載をしております。当初6月に審議をさ せていただいた際には、フロルフェニコールとフロルフェニコールアミンなどの代謝物 も含めた上で、基準値案を作成しておりましたが、そのときの部会の審議で、フロルフ ェニコールの未変化体のみで、基準値を置く必要があるのではないかという御指摘があ りましたので、8月の部会ではこの別紙2に記載されたとおり、フロルフェニコールの 未変化体を基準値に置いております。  そうしたところ、フロルフェニコールについては確かに代謝物は余り出ていないよう なデータもありましたが、魚類については代謝物を比較した際に、フロルフェニコール だけではなくて、代謝物の方がかなり高い値が出ているものもありました。  海外については、フロルフェニコールと代謝物についても、一緒に規制の対象となっ ているということで、分科会において審議した際にそのような指摘がありましたので、 再度部会に差し戻しという形になっております。  以上です。 ○大野部会長 ありがとうございます。今、御説明いただいたような理由で、代謝物を 含めるかどうかについて、再審議した方がいいのではないかというところで、差し戻し になったものでございます。  今まで、代謝物をどういう場合に含めるかどうかということについて、私なりにいろ いろ前の審議会に参加している先生方に聞いたときに、大体10%以上の存在比があるも のについては考える必要がある。それから、その代謝物が毒性を持っている可能性もあ るものについては、やはり考える必要がある。また、国際的な状況も調べ海外で含めて いる場合など、そういうことについても考慮する必要がある。  そういうことを踏まえた上で審議して、最終的に決定するという感じで理解していた んですけれども、今回私もちょっと複雑だったので、代謝物が魚類に特に多いというこ とに気が付かないで過ぎてしまって、皆さんに御迷惑をかけたのではないかと思ってい るんです。  魚類に特に多く存在しているということがありましたので、それについて御審議して いただきたいと思ったところです。特にフロルフェニコールアミンについて、毒性学的 にどうなのかということについて、鰐渕先生にお伺いしたいと思うんですけれども、今 日は特に結論を出さなければいけないんですか。 ○事務局 今日は方向性だけ示していただければ、それに基づいてまた基準値案を作成 したいと思っております。 ○大野部会長 そういうことですので、今日すぐに結論を出すとまずいことにもなりか ねないので、そういう理由で差し戻しになったということを先生方に理解していただい て、その上で先生方にまた資料を見ていただいて、次回の部会のときに審議し直したい と思うんですけれども、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 では、すみませんが鰐渕先生、フロルフェニコールアミンの毒性を含め て検討してくださるよう、お願いいたします。  それでは、フロルフェニコールについてはこれでよろしいですか。 ○事務局 ここで何か意見とかがあれば、少し参考にしたいと考えているんですが、ほ かには特によろしいでしょうか。 ○國枝基準審査課長 追加ですけれども、先ほど説明しましたように、今まではフロル フェニコールだけを対象としていたのですけれども、海外が代謝物も含めているという ことでして、仮に代謝物についても同じように毒性があるとなりますと、最初の親化合 物だけを対象としていると、見かけ上は例えば代謝物に変わっていって、けれどもそれ が結構滞留していた場合、実際の毒性は両方見ないと意味がないということになります。  もし仮に、代謝物の方が毒性がないということであれば、親化合物だけ見ていればよ いということで、そういう面で確認をしたところ、どうも海外においては両方で見てい る。極端な例としては魚類で代謝物がかなり残っているということで、部会長に御相談 したものです。 ○大野部会長 ありがとうございます。鰐渕先生よろしいですか。  それでは、次回に審議をまたよろしくお願いいたします。  次の品目に入りたいと思います。次はフルセトスルフロンでよろしいですか。では、 そちらの方の説明をお願いいたします。 ○事務局 次の剤は農薬になります。資料3−2のフルセトスルフロンです。  品目名はフルセトスルフロン、用途といたしましては除草剤です。  スルホニルウレア系の除草剤になりまして、新規の申請によるものです。  化学名、構造式については、1ページ目に記載してある形のものになります。分配係 数がlog10Powで3.5未満ということで、魚介類の濃縮試験の提出はされていないもので す。  1枚めくっていただきまして、適用病害虫の範囲及びその使用方法がございます。除 草剤ですので、適用雑草名ということで欄が書かれています。粒剤、ジャンボ剤、水溶 性フィルムで包装がされた剤になりますが、それから、水和剤ということで、申請があ ったもののようです。  もう1ページめくっていただきまして、作物残留試験の結果がそれ以降に書かれてお ります。分析法としては、定量限界がフルセトスルフロンとして0.01〜0.04 ppmという 記載になってございます。  作物残留試験の結果は、稲について適用がありますので、そちらの部分について実施 されておりまして、玄米の作物残留試験4例におきまして、フルセトスルフロンについ て0.01 ppm未満、いずれもそういう結果が得られております。代謝物B、Fについても 測られておりますが、検出は認められておりません。  水稲、稲わらの作物残留試験が記載されていますけれども、こちらについても不検出 の結果になっております。稲わら中1 ppm未満ということで試験等は実施されていない という形のものになります。  隣のページになりますが、安全性の評価の部分ですけれども、食品安全委員から解放 されました食品健康影響評価の結果ですけれども、ラットの2世代の繁殖試験から無毒 性量4.1 mg/kg体重/dayという結果によりまして、安全係数100で、ADI0.041 mg/kg 体重/dayという安全性の評価結果をいただいているものです。  諸外国における状況といたしましては、JMPRにおける毒性評価はなされておりま せんで、したがいまして、国際基準も設定されておりません。米国、カナダ、EU、オ ーストラリア、ニュージーランドにおいて調査をいたしましたけれども、いずれの国及 び地域におきましても、基準値の設定はされていないものです。  残留基準値案ですけれども、作物残留試験において本体と代謝物B、Fの分析が行わ れておりますけれども、いずれの残留試験の結果も定量限界未満という結果でございま す。  1枚めくっていただきまして、食品安全委員会が作成した評価結果において、暴露の 評価対象物質としてフルセトスルフロンという設定のされ方がされております。作物残 留試験の一覧表が別紙1にまとめて記載をしてございますが、これは先ほどの文章と同 じ記載になります。本体での作物残留試験の結果をまとめたものです。  別紙2が基準設定根拠を示す一覧表ですけれども、登録申請のなされた水稲について 実施された作物残留試験4例の0.01 ppmという結果をもちまして、玄米に対して0.05 ppmという基準の設定を提案しております。  別紙3、推定摂取量ですけれども、国民平均といたしまして9.3μg/人/dayという結 果になります。幼小児に対しましては4.9μg/人/dayという結果でして、ADIといた しましては0.4〜0.8%というADIの占有率という結果になっております。  暴露評価結果が6ページにまとめられておりますが、先ほどのTMDI試算によるA DI基準値の結果を示しております。  最後のページですけれども、答申案は米に対して0.05 ppmという基準値を提案させて いただいているところです。  説明としては以上になります。よろしくお願いいたします。 ○大野部会長 ありがとうございました。それでは、ただいまの御説明についての質問、 御意見はございますでしょうか。  豊田先生お願いします。 ○豊田委員 教えてほしいんですけれども、実際の作物残留試験結果というものがここ に書いてありますが、これは湛水の実験なんですけれども、3ページを見ますと小包装、 パックのまま投げ入れるという別の方法が書いてあるんですが、これは湛水の散布と全 く同じように溶出していく状況になっているのでしょうか。 ○大野部会長 いかがでしょうか。 ○事務局 作物残留試験の担当していらっしゃいます、農水省の方がいらしていますの で、説明していただきます。 ○農林水産省 作物が移植水稲ですから、水が張っているところに稲が植わっておりま して、ジャンボ剤というのは水溶性のフィルムの中に製剤が入っておりますので、ジャ ンボのパックのかたまりを投げると湛水の中で溶けて広がっていくことで、結果的には 粒剤を均一散布したことと同じになります。 ○豊田委員 わかりました。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに御意見ございますでしょうか。よろしい ですか。  それでは、特になければこの報告案をもって、この部会の報告とさせていただいて、 よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○大野部会長 ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。  それでは、次の品目ですけれども、チアメトキサムについて説明をお願いいたします。 ○事務局 2剤目の農薬になりますが、チアメトキサムです。こちらの剤は殺虫剤で、 ネオニコチノイド系の殺虫剤ということで、ニコチン性のアセチルコリン受容体に作用 を及ぼすということで考えられている農薬です。  適用の拡大等がされているものですので、使用方法の部分については四角い枠囲いが されておりますが、現在こちらの方で配布をさせていただきました資料につきましては、 後ろの方に答申案という形での基準値の一覧表を付けない形で、配布をさせていただい ているかと思います。  現在、検討中の案ということで配布をさせていただいている形になりますので、その 経過を含めて後ほど追加の説明を専門官の方からさせていただきます。  こちらの剤につきましては、資料4−2の40ページの11.に基準値案という項目があ ります。残留の規制対象としては、チアメトキサム本体としておりますが、一方代謝物 であるクロチアニジンがございまして、このクロチアニジンとしても農薬の登録がされ てございます。  本剤由来のクロチアニジンの残留を含めて、クロチアニジンとしての残留基準を別途 設定をしているんですけれども、今回本剤、すなわちチアメトキサムの基準値の見直し に伴いまして、クロチアニジンの基準値についても同時に検討をする必要がございます。  参考資料を見ていただきますと、1月17日付けでクロチアニジンに係る部会報告とい うのを参考資料で配布をさせていただいているかと思います。参考資料の25ページのと ころにクロチアニジンの基準値を設定したときの、残留の規制対象ということで、クロ チアニジンということが書かれております。クロチアニジンは殺虫剤であり、農薬とし ての登録・使用がされているチアメトキサムの代謝物であり、チアメトキサムの使用に よるクロチアニジンの残留が認められています。  残留の基準値案はクロチアニジン使用によるクロチアニジンの残留のほか、チアメト キサム由来のクロチアニジンの残留も含め、設定したということなんですが、その次の ページをめくっていただきまして、最後の(5)になりますけれども、クロチアニジン の基準値については、本物質がチアメトキサムの代謝物であることから、現在、この時 点ではということになるかと思いますが、食品安全委員会で行っているチアメトキサム の食品健康影響評価の結果を踏まえ、今後必要に応じ、見直しの検討を行うものとする ということで、剤としてのセットの評価ということの記載がこの中の記載に認められる わけです。  そういったことがございまして、今回資料として配布をさせていただいておりますも のは、片方の剤の関係もございまして、こちらの方で今まとめている段階の資料という ことでございます。  検討案ということで配らせていただいている経過の部分については、以上ですが、専 門官の方から補足の説明をさせていただきます。 ○事務局 それでは、追加で経過等について御説明したいと思います。  先ほどからご覧いただいております参考資料は。平成19年1月17日付けの本部会の 報告書ということになりますが、こちらの資料の39ページ、これまでの経過というのを ご覧いただければと思います。  当時から審議に御参加いただいている委員の先生には既に御存知の経過とは思います けれども、本剤につきまして初めに本部会で御審議いただきましたのは、平成17年3月 2日の部会ということになります。その後、その次の3月28日に追加で御審議いただい た結果を踏まえまして、分科会等を経て、当年の10月25日に最初の基準値として告示 されているものになります。  その後、クロチアニジンとしての適用拡大ということで、食品安全委員会の評価等を 踏まえまして、途中でポジティブリスト制度の導入を挟んでおりますけれども、一番下 の行になりますが、平成18年12月に本部会にて御審議をいただきまして、同様に分科 会を経て、19年の5月に告示されたものが現在の基準である、という経過でございます。  先ほども説明させていただきましたとおり、クロチアニジンの規制対象物質が、クロ チアニジン使用による残留と、チアメトキサム由来のものを含めるということで、具体 的なイメージとしましては、参考資料31ページの基準値案の表をご覧いただきたいので すが、この表の構成としましては、対象となる農産物名と、そのときの基準値案、当時 の現行基準値。その隣に、クロチアニジンとしての登録の有無ですとか、参考基準値、 あとは作物残留試験成績を記載しております。  同様にチアメトキサムにつきまして、チアメトキサムとしての登録の有無と、こちら も暫定基準が設定されておりますので、参考基準値と、チアメトキサム由来の作物残留 試験成績ということで、記載をしております。  この時の審議でも、両方の残留試験成績を踏まえまして、基準値案というのを設定し ておりました。今回もこの方向でチアメトキサムの基準値の設定と同時に、クロチアニ ジンの基準値の見直し等も進めたいと考えているところです。  今回お配りしました資料4−2につきましては、直前の送付となってしまいましたが、 事前に先生方にお配りしたものからも少し修正等を加えておりまして、若干基準値案も そのときとの資料と変わっております。資料4−2の57ページの基準値案をご覧くださ い。根拠とする作物残留試験等の見方についてもう少し確認を要する部分があるという こともございまして、今回は答申案をお示しせずに、今の経過ということで資料を作成 させていただいております。  表の見方としては、いつもの剤と変わるものではございませんので、海外での参考基 準値と、国内でどの結果を基に設定をしているかということを記載させていただいてお ります。ただ、ご覧のとおり、作残データや適用となる作物の数も多いこともありまし て、もう少しじっくり詰めたいなと思うところもありまして、今回はこういう形でお配 りいたしました。  今後、チアメトキサムでどの作残データを採用するかをさらに検討し、それに伴って、 そこから代謝されたクロチアニジンの作物残留試験成績の検討に響いてくると思います ので、これを合わせた形で次回以降の部会でご審議いただければと考えております。  以上です。 ○大野部会長 ありがとうございます。  これはクロチアニジンの残留の基準の決定については、チアメトキサムとクロチアニ ジンが、両方一緒に使われるという可能性も踏まえて決定するということですか。 ○事務局 はい、そうです。 ○大野部会長 わかりました。御質問ございますでしょうか。  決定は次回になるんですか。それとも次々回ですか。 ○事務局 次回にはかけたいと考えております。 ○大野部会長 次回に皆さんに御審議していただきたいということでございますけれど も、その前に先生方から何か御質問ございますでしょうか。よろしいですか。  それでは、今日の説明を踏まえて、また次回審議をお願いいたします。ありがとうご ざいました。  そのほかですけれども、何か事務局からございますでしょうか。 ○事務局 それでは、今後の手続について御説明をしたいと思います。  本日御審議いただきました、動物用医薬品ベンゾカイン、農薬フルセトスルフロンに ついては、食品安全委員会からの通知を受けていることから、内容を一部修正の上、部 会報告書とさせていただきたいと思います。  今後の手続につきましては、食品衛生分科会にお諮りするとともに、動物用医薬品ベ ンゾカイン、農薬フルセトスルフロンについては、パブリックコメント、WTO通報の 手続を進める予定としております。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかに何かございますでしょうか。 ○事務局 次回の本部会の開催日程につきましては、12月9日火曜日の午後を予定して おります。後日、委員の日程につきまして御確認させていただきたいと存じます。詳細 については、追って御連絡申し上げます。 ○大野部会長 ありがとうございます。ほかにありますか。 ○事務局 ほかに議事はないんですが、少し事務的な連絡事項がありますので、委員の 先生方におかれましては誠に恐れ入りますけれども、会議終了後しばらくお残りいただ ければと思います。 ○大野部会長 ありがとうございます。それでは、以上をもちまして本日の部会は終了 いたしますけれども、しばらくお残りくださるようお願いいたします。  どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品局食品安全部基準審査課残留農薬係、乳肉水産基準係 (03−5253−1111 内線4281、2489)