08/10/24 第1回がんに関する普及啓発懇談会議事録 第1回 がんに関する普及啓発懇談会  日時 平成20年10月24日(金)9:30〜11:30  場所 〒105-0001 東京都港区虎ノ門4-1-1     虎ノ門パストラルホテル 新館5階 「ミモザ」      TEL.03-3432-7261(代) ○出席委員(8名)  天野 慎介 特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長  衞藤 隆 東京大学大学院教育学研究科健康教育学教授  兼坂 紀治 (社)日本広告業協会専務理事  塩見 知司 (財)日本対がん協会理事・事務局長  永江 美保子 アフラック営業教育部がん保険推進課長  中川 恵一 東京大学医学部附属病院准教授、緩和ケア診療部長  山田 邦子 タレント  若尾 文彦 国立がんセンターがん対策情報センターセンター長補佐 ○議題 (1)がん対策の現状について (2)今後の進め方について (3)その他 ○前田室長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより、第1回「がんに関する普及啓発 懇談会」を開催いたします。  委員の皆様方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうござい ます。  私は、厚生労働省健康局総務課がん対策推進室長の前田でございます。本懇談会の座長が選出 されるまでの間、司会進行をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。  最初に、渡辺厚生労働副大臣からごあいさつ申し上げる予定となってございますが、国会用務 のため、遅れて到着するとの連絡がございましたので、到着次第、ごあいさつ申し上げたいと存 じます。どうか御了承いただきますようお願いいたします。  また、傍聴の皆様方におかれましては、あらかじめお渡しいたしております注意事項の遵守を お願いいたします。  本日は、会議の冒頭の部分、そして渡辺厚生労働副大臣のあいさつのときにカメラ撮影が可能 となってございますので、御了承をお願いいたします。  まず、本日お集まりのメンバーの方々を御紹介させていただきたいと存じます。なお、自己紹 介につきましては、後ほどお時間をとらせていただいて、御紹介していただきたいと存じますの で、ここではお名前の御紹介にとどめさせていただきます。  本日の資料の2ページ目にメンバー表という形で掲載されてございますが、この順に御紹介を させていただきます。  特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長の天野慎介委員でございます。  東京大学大学院教育学研究科健康教育学教授の衛藤隆委員でございます。  社団法人日本広告業協会専務理事の兼坂紀治委員でございます。  財団法人日本対がん協会理事・事務局長の塩見知司委員でございます。  アフラック営業教育部がん保険推進課長の永江美保子委員でございます。  東京大学医学部附属病院准教授、緩和ケア診療部長の中川恵一委員でございます。  タレントの山田邦子委員でございます。  国立がんセンターがん対策情報センターセンター長補佐の若尾文彦委員でございます。  なお、本日、元日本テレビアナウンサーの関谷委員におかれましては、どうしても外せない御 予定があるということで、御欠席との連絡をいただいてございます。  9名の委員の方のうち、8名の方々にお集まりいただいている次第でございます。  続きまして、事務局の紹介をさせていただきます。  厚生労働省健康局長の上田でございます。  厚生労働省大臣官房審議官(がん対策担当、国際感染症担当)の安達でございます。  また、本日は、がんに関する教育などで関連のある文部科学省スポーツ・青少年局学校健康教 育課の高山専門官に御出席いただいております。  それでは、次に、座長の選出に移りたいと存じます。  事務局といたしましては、がん対策推進協議会の委員であり、『がんのひみつ』『がんの教科書』 などの著書により、がんについてわかりやすいPRに努められています、東京大学医学部附属病 院の中川委員を座長に推薦いたしたいと思いますが、いかがでしょうか。 (「異議なし」と声あり) ○前田室長 ありがとうございます。  それでは、座長を中川委員にお願いいたしたいと思います。座長席を用意いたしてございます ので、お手数ですが、御移動願えますでしょうか。 (中川委員、座長席へ移動) ○前田室長 それでは、中川座長に以後の進行をお願いいたしたいと存じます。どうぞよろしく お願いいたします。 ○中川座長 皆さん、おはようございます。御苦労様です。御指名いただきました中川でござい ます。僭越ですが、座長をさせていただきます。  この懇談会は、実は日本が世界一のがん大国であるにもかかわらず、なかなか日本人ががんの ことをわからない、もっと言うとわかろうとしない。この辺りをできるだけやさしく、啓発した い。いや、啓発という言葉自体難しいですね。わかっていただきたい。ですから、ざっくばらん な会にできればと思っています。今回も、私のざっくばらん性が買われたと思っていますので、 そのようにさせていただきます。  私は、がん対策推進協議会という協議会のメンバーでもあるんですが、そこでは「何とか委員」 と言うんですが、山田委員と言うのもちょっとあれなので、こういう会では「山田さん」、衛藤 先生も「衛藤さん」と呼ばせていただこうと思いますが、よろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○中川座長 では、そのようにさせていただきます。  リラックス、砕けたというと、この中ではどうしても山田さんだと思いますが、ざっくばらん な決意を少しお願いできませんか。 ○山田委員 いきなりですか。それでは、おはようございます。よろしくお願いいたします。雨 になってしまいましたね。  もう皆さん御存じだと思いますけれども、私、去年から乳がんということで、ピンクリボンの 仲間入りをさせていただきました。何も、全部早期発見・早期治療だったものですから、ここま でいろいろな方々に支えられつつも、こんなに元気になりました。多分神様がこんなうるさい人 間を選んだんだと思います。こうやってうるさい人間が乳がんになりますと、乳がんは恐ろしい ぞ、そのかわり、早期発見であれば99%は死なないぞなどということをテレビや、それから、 今日も仙台の方にピンクリボンのウォークラリーでまた出かけるということで、非常に人生も変 わりました。でも、プロフィールに「乳がん」という言葉が入ったということで、一生懸命使命 感を持って頑張っておりますので、早期発見というのが私の言えることで、これをずっと言い続 けていきたいなと思っています。  こういう難しい会は初めて参加させていただきますので、ちょっととんちんかんな意見も言う かもしれませんが、中川先生にもついて行きたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○中川座長 ありがとうございます。もうこれでざっくばらんな会になることは保障されたよう なものですね。(笑い)  それでは、最初に事務局から、資料の確認をお願いいたします。 ○前田室長 それでは、事務局提出資料といたしまして、まず座席表と議事次第。  事務局作成資料といたしまして、資料1が「がんに関する普及啓発懇談会開催要綱」。  資料2が「がんに対する普及啓発懇談会メンバー名簿」。  資料3が「がんに関する統計」。  資料4が「がん対策基本法の概要」。  資料5が「がん対策推進基本計画の概要」。  資料6が「平成21年度予算概算要求資料(PR版及びがん検診関連)」。  資料7が「がん対策に関する世論調査」。  資料8が「第3回乳がんに関する2万人女性の意識調査」。  資料9が「平成19年国民生活基礎調査の概要」。  資料10が「学校教育におけるがん知識の取り扱いの現状報告」という、文部科学省さんから の提出資料でございます。  以上が、事務局作成資料として1冊にまとめてございます。  また、本懇談会に委員の方々より提出いただきました資料といたしまして、中川委員から、資 料11−1として『毎日新聞』の「ドクター中川のがんを知る」の切り抜き。それから『がんの ひみつ』の小冊子でございます。傍聴席の方には、コピーで入れてございます。  若尾委員からは、資料11−2として「がんに関する普及啓発事業の実施状況報告」でござい ます。  衛藤委員からは、資料11−3として「たばこの煙から子どもたちを守るには」という白い大 きな冊子でございます。こちらも傍聴の方々には、コピーで配付させていただいてございます。  あと「がん対策推進基本計画」という白い冊子と、国立がんセンターがん対策情報センターが 発行している「相談支援センターにご相談ください」という冊子、「がん情報さがしの10ヵ条」 と、財団法人日本対がん協会御案内がございます。  以上が資料でございます。資料の不足がございましたら、お申し出いただきたいと思います。  では、ここで一旦カメラ撮りは終了とさせていただきますので、御協力のほど、よろしくお願 いいたします。  なお、先ほど申し上げましたとおり、渡辺副大臣からのあいさつが予定されております。その 部分については、またカメラによる撮影は可能となりますので、そのタイミングにつきましては、 別途御案内をさせていただきます。  それでは、中川座長、よろしくお願いいたします。 ○中川座長 それでは、議題に入ります前に、今回初めて開催される懇談会ということもござい ますので、事務局から、懇談会の趣旨などについて簡単に御説明していただきたいと思います。 ○前田室長 では、資料1と2に基づきまして、説明をさせていただきます。  先ほども御紹介がございましたが、平成19年6月に閣議決定されましたがん対策推進基本計 画におきまして、この資料で申し上げますと、8ページ目にその概要が掲載されてございます。 これも非常に多岐にわたるがん対策についての協議会の方々の御意見を踏まえた計画で、閣議決 定が昨年の6月にされておりますが、この8ページの「2 基本方針」の1つ目に「『がん患者 を含めた国民』の視点に立ったがん対策の実施」ということが大きな方針となってございます。 この方針を基に、がんの医療ですとか、がんの医療機関の整備、情報提供、がん登録、がんの予 防、早期発見、がん研究といったものの個別な具体策を進めていくということになってございま す。  今後、がん対策を進めるに当たりましては、こういったがんについての正しい理解の促進を図 ることが、この個別の7つの施策に共通する重要かつ不可欠な視点であると考えてございます。  厚生労働大臣を本部長といたしますがん対策推進本部で、来年度から、がん検診受診率50% に向けた施策を本格的に展開しようということで考えてございます。そして、がんの病態、治療 法に対する正しい理解の普及啓発などが重要でございますが、がん検診の受診率は、また後ほど 説明申し上げますが、46ページの横表にございますように、乳がんが20.3%、子宮がんが21.3%、 一番高い胃がんの男性でも32.5%ということで、まだまだ低い状況にございます。  このことは、まだがんに対する正しい理解が十分ではないのではないかと考えてございますの で、正しい理解の普及啓発は、非常重要な課題ということでございまして、がんの病態、検診の 重要性、がん登録、緩和ケアについての正しい理解の普及啓発のための方策として、ここは検討 するというふうに考えてございますが、砕けて言いますと、いろんな取組みを行われている方々 の説明を伺っていただいて、それについてコメントをいただくとともに、有効かつ的確な普及啓 発事業を実施する会議として、厚生労働健康局長が開催するものでございます。そして名称が「が んに関する普及啓発懇談会」ということでございます。  委員は、2ページ目でございます。  この人選につきましても、いろいろと検討いたした次第でございますが、がん患者を含めた国 民目線で御発言いただけるメンバーの方。医療、教育、広告などについての有識者といいますか、 いろんな御経験なり、学問的な裏付けを持って御発言いただける方。そして、実際にがんの普及 啓発を現在行っておられる方。そういった方々の中から、この9名の方々を選ばせていただいた 次第でございます。  以上でございます。 ○中川座長 ありがとうございます。  それでは、委員の先生方に、今日は第1回目ということもありますので、本当に申し訳ないん ですが、簡単に自己紹介を3分ぐらいでお願いしたいと思います。私は最後に皆さんの意見を聞 いて少しお話しさせていただきますので、名簿順に天野さんからお願いします。 ○天野委員 御紹介に預かりました、特定非営利活動法人グループ・ネクサス理事長の天野慎介 と申します。よろしくお願いいたします。  グループ・ネクサスは、リンパ腫の全国患者団体でございまして、私自身もリンパ腫の患者で ございますので、山田委員と同じがん友と言えるかと思います。  本日、この場に座らせていただくに当たりまして、多くのがん患者さんや御家族の皆様の、時 には命を削るような御尽力があって、こういった厚労省の会議に私が一委員として座らせていた だいているということで、この場で改めて、そういったがんの患者さんや御家族の皆様に敬意を 表せていただきたいと思います。  私どもの会の名前は「グループ・ネクサス」という名前でございます。「ネクサス」というの は、英単語で「つながり」という意味なんですが、この患者団体の名前を決める際に、いろいろ な意見が患者さん、御家族の方々から出ました。ただ、皆様、会の名前に「がん」という病名を 入れるのだけはやめましょうということだけは一致していたんです。  なぜかといいますと、例えば地方によっては、がんであるということを公にすると、職業的な 差別を受けてしまうような場合もあると聞きます。また、山田委員の乳がんということでありま すと、例えば幼稚園とか小学校とかで、お母さん同士で乳がんであるということを言いづらい。 子どもにもなかなか説明できないといった風潮が現実としてあるわけでございます。こういった 風潮がある限りは、少なくとも会議の冒頭にありましたがんの検診、もしくは普及啓発というこ とが十分進んでいかないのではないかと考えておりますので、こういったイメージの払拭という ことがひとつ大切かと考えております。  もう一つ、イメージのみならず、実際にそういった早期発見、検診というものが、がんの治療 成績の向上、がんの検診の向上につながるんだという科学的な根拠に基づいた説明も同時に必要 かと思いますので、そういった面でも、こういった会議で十分に検討することができればと考え ています。よろしくお願いいたします。 ○中川座長 3人に1人ぐらい失業しているんですね。 ○天野委員 そうですね。 ○中川座長 すごく大事な問題ですね。  それでは、衛藤さん、よろしくお願いいたします。 ○衛藤委員 東京大学の教育学部で健康教育の教授をしている衛藤と申します。私は、二十数年 ぐらい前に、座長の中川さんがお勤めの病院で小児科医として勤めておりました。その時代、肝 臓のがんにつながるB型肝炎というウイルスをどうやって予防するかといった小児科の立場か ら、母子感染予防の夜明け前の時代の研究をしておりまして、これは昭和60年度から、B型肝 炎母子感染防止事業という事業になりまして、お陰様で大変成果を上げていて、臨床医としては、 患者さんがすごく減ってしまったということがあるんですが、これはとてもいいことだと思いま す。若い年代のB型肝炎のウイルスを持っている人は、非常に減っております。  そういったことで、私はその後、予防の方に関心を持ちまして、母子保健とか、学校保健の分 野の研究をしております。ここ十数年ほどは、主として学校教育、特に健康教育に関わるような 研究であるとか、あるいは文部科学省さんとの連携でいろいろな仕事をしております。どうかよ ろしくお願いいたします。 ○中川座長 ありがとうございます。  兼坂さん、お願いします。 ○兼坂委員 日本広告業協会の兼坂でございます。  日本広告業協会というのは、東京中心なんですけれども、大手、中堅の広告会社161社の集ま りの団体でございます。それと併せて、23都道府県に25の広告業団体というのがございますが、 そこの連絡会の専務理事も務めております。  私事になりますが、先日、中川先生からお送りいただいた資料を見て、がんの検診率の低さに 愕然としたことが印象です。東京の広告業の保険組合ですと、大体71%ぐらいの受診率です。 もともと私は今年の春までは電通にいたんですけれども、そこではほぼ99%の受診率で、年間 がんで亡くなっている方が2、3名ぐらいの規模になっていますので、受診率の低さは意外とい うか、少なくとも5割ぐらいまではいっているのかなと思っていました。  もう一点、私的なことですが、私は6人兄弟の一番末っ子でございまして、一番上の姉が25 年ほど前に大腸がんで、一時人工肛門にして、今はまた接続をしてという形で、早い段階で見つ けて手術をしたから治ったという形になっています。ただ、残念ながら3番目の姉は肝臓がんで、 発見自体が非常に遅れたということ、進行の早いタイプのがんで、発見から3か月後に亡くなっ てしまいました。  身内にそういう経験も持っておりますが、ただ、がんについての知識は余りないので、今後い ろいろと勉強させていただきますが、この場では、広告・広報の代表として、普及啓蒙のために どうしていったらいいかということについて、意見を述べさせていただきたいと思います。 ○中川座長 ありがとうございます。  塩見さん、お願いします。 ○塩見委員 日本対がん協会の塩見でございます。対がん協会のことを御存じない方も大勢いら っしゃると思いますけれども、50年前に設立いたしまして、がん死半減をスローガンに50年間 闘ってまいりました。  本部と46道府県に支部がございまして、本部では普及啓発活動をやっております。テレビ、 新聞等を通じた広報活動、例えばACの公共広告機構のコマーシャル。これは山田邦子さんに今 年はご登場願っています。あるいは印刷物、出版物、イベントがございます。がんのセミナー、 講演会、シンポジウム、ピンクリボン運動などです。ピンクリボンは、東京、神戸、仙台で、こ れも山田さんに御出席願いますが、明日仙台で乳がんに関するフェスティバルを実施します。そ ういう普及啓発活動をやってきました。  支部では検診です。やはりがん検診をやらなければいけないということで、検診による早期発 見、早期治療が非常に重要だということでやっておりまして、今、年間支部で請負っている検診 者数は1,200万人ぐらいです。50年でざっと累計しますと2億6,000万強の検診を終えました。 その中で2万数千人のがんを発見しているというところでございますが、先ほどもお話がござい ましたように、なかなか検診受診率は上がらないですね。住民検診でいきますと、乳がんで20% 前後ですから、この受診率を国の計画であります50%以上に上げないといけない。欧米などは 70%、80%という受診率です。先ほど日本のがん死者が多いといいましたが、人口に占める割 合は2%なのに、がん死者は4%であるということもありますから、日本は圧倒的にがん死者が 多いわけです。受診率を向上させて、早期発見をして、早期治療をすれば治る機会も多いし、が ん死が減るということでございますので、皆様のご協力をお願いしたいと思います。  それから、この会では、かなり早く効果のあるものを遂行していかなければいけないのではな いかと思っています。例えば子宮頸がんのワクチンというのは、来年の秋ごろには認可されよう としておりますが、日本はかなり遅れております。、このワクチンについては今年のUICC、 国際対がん連合の会議でも話題になりました。また、今年のノーベル賞の医学生理学賞は、ツア ハウゼン博士という子宮頸がんのヒトパピローマウイルスのワクチンを発見された方です。そう いうふうに話題になっておりまして、これを導入していけば、70%ぐらい予防できるのではない でしょうか。検診も含めますと、恐らく100%に近い数字になりまして、がんの予防ができると いうことになりますね。その辺も含めて、皆様とここで議論をしていきたいと思います。どうぞ よろしくお願いします。 ○中川座長 ありがとうございました。  では 、永江さんお願いします。 ○永江委員 改めまして、アフラックの永江でございます。よろしくお願いいたします。  御承知の方も多いかと思いますが、私どものアフラックは、34年前、日本に初めてがん保険 というものをもたらした、がん保険のパイオニアの会社でございます。当時、昭和49年、今と は全く異なる時代背景がございまして、今でこそ、中川先生もよくおっしゃっていますが、2人 に1人はがんにかかる、しかもそのうち2人に1人は克服できるということで、お医者様が御本 人に病名を告知されるのも普通になってきているのですが、当時はやはり治らない病気とか死の 病というイメージで、そんな中で「がん保険」というものを普及することは、非常に難しかった んです。  なので、私どもは、がん保険の販売 をしている会社なのですが、創業以来やってきたことは、 がん保険の販売というよりは、むしろがんという病気はほかの病気とは違ってどういったものな のか、どういう恐ろしさを持っていて、それに見舞われた患者さんや御家族の方がどういう思い をされるかということを伝承する、普及啓発ということを基本動作として、ずっと活動してきた 会社でございます。ですから、まさに今回の趣旨と合致するところです。  会社として発しているメッセージなんですが、まず、がんはかからないことが一番です。です から、予防の情報活動も必要ですし、また、それでも2人に1人はかかる時代ですので、やはり 早く見つけて、適切な治療をする。ただ、その予防についても、早期発見についても、適切な治 療についても、やはり情報ですね。知らなければ、何もできないということで、そのために、日 本の社会への貢献として、情報伝達をしていくということは、私たちも努めております。  また、がん保険の販売のほかに、がんで親御さんを亡くされたお子さんのための奨学金の制度 ですとか、小児がんですね。お子様自体ががんにかかられた場合の支援です。ゴールドリボン活 動です。山田さんはピンクリボンをされていますが、なかなか注目されない、支援者も少ないゴ ールドリボンの活動を私どもはやっております。  今回参加させていただいて、たいへん光栄に思っていますけれども、我々もずっとこの普及啓 発という活動をしていて、やはり国としてこういうことを取り上げていただくことは、日本にと ってよいことだと思います。非常に力強いといいますか。なので、ここにいらっしゃる皆さんの 力を合わせて、1人でも多くの日本人の方にがんを知っていただくことを進められればと思いま す。よろしくお願いいたします。 ○中川座長 ありがとうございます。  では、山田さん、お願いします。 ○山田委員 そうなんですよ。がん保険に入っていて、よかったです。  入ったときは、芸能人ですから、遠い親戚とか、知らない友達だという人から、入れ入れと言 われて、こんなものは何かと思ったんですけれども、いざなったときには、本当に保険に助けら れたなと思ったりしました。  それで、検診率が低いということにがっかりしますね。これだけ毎日毎日、本当に私は人生が 変わって、啓蒙活動、啓発活動などいろいろと大切なんだよ、検診に行った方がいいんだよと、 テレビ、ラジオ、イベントをいろいろやっているのにもかかわらず、まだ行っていない人がいる んだと思うと、がっかりするわけでございますけれども、いろいろと勉強になりました。イベン トやトークショーや講演などをしますと、自分の意見も固まってきますし、勉強もしますし、本 も読みます。皆さんから今、意見がありましたけれども、日本人は今、2分の1、2人に1人が 何かしらのがんにかかるということです。まさかというこの私は1回も病気をしたことがありま せんで、初めてなった病気ががんでした。これはびっくりしましたけれども、こういう時代がき ているわけで、ここに今日、お集まりの皆さんも、半分ががんということですから、ここから割 ってこちら側がみんながんなんです。そういう割り方が嫌だったら、こちら側の方がみんながん とかね。そういうことを考えると、がん=死というのは、芸能界は悪いと思います。本当にうち の事務所も、がんになったときに言うなと言いました。古い考え方なんです。がんの人はもう仕 事が来ない、あるいはがんでなくても、病気になると病気というレッテルを張られるので、明る い役が来ない。そんなことを言ったら、日本中の半分が暗くなってしまいます。満員電車に乗っ たときに、この半分はがんか、あるいはディズニーランドでミッキーと騒いでいる半分ががんか と、いろいろ考え方も変わりました。みんな背負いながらも、明るく元気に暮らしているわけで、 そのために職業を追われて変わったりすることがないようにしたいなと思います。私はそれを明 るく、イメージを変えていきたいなという役割でやっていきたいと思います。  働く女の人、それからお母さん、特に女性というのは、頑張っているわけで、自分のことは二 の次になるんです。それとか、病んでいることを恥ずかしいと思って言わなかったり、子どもた ちもお家の人も、まさかお母さんはと思っている。でも、そうではない。検診に行って、がんと わかっても、かなりステージが進んでいても、今は医療が進んでいますから、今日駄目でも、明 日絶対助かる。そういうことを思って、明るくやっていく。イメージを変えていくことをやりた いと思っています。  それから企業も、大きな企業は100%検診に行くことを義務づける。それから、小さい企業で も、町単位でも、学校単位でも、何か検診をしたら得点を付ける。優良学校であるとか、優良企 業であるとか、何かえらいねとみんなで言ってあげるとかね。  私は、芸能人ばかりがん友を集めて、スター混声合唱団というのを細々と始めましたけれども、 なかなか知名度抜群で、歌唱力は二の次なんですけれども、いろいろと全国で頑張ってやってい ます。例えばそういうチームがいて、その企業を応援するコンサートを開くとか、えらいですね、 検診率が100%でしたねとか、そういうこともやっていきたいと思っています。どうぞよろしく お願いいたします。 ○中川座長 山田さんに委員になってもらって、本当によかったですね。この会の方向性が見え た気がします。  山田さん御自身は、乳がん検診はなさっていたんですか。 ○山田委員 やっていたんです。実は祖母が乳がんで、昔のやり方ですから、背中までざっぱり 切るような手術を小さいときに見ていましたから、お前は遺伝だから乳がんになるよと言われて いたので、随分大きくなってからは、本当に検診に行っていたんです。ところが、3年。これが 魔ですね。先生が替わってしまって、去年行かなかったから、今年は行かなければいけないなと いうときにです。ですから、この3年の間にめきめきと頭角を現してきたのが乳がんです。  ただ、乳がんは勉強になりました。しこりがあるものとないものがあります。乳腺の広がりと いうのもあって、これはマンモグラフィという機械が進んでいたから、私小さいものも発見でき ました。3つもあったので、この世の終わりかと思いましたけれども、これもまたイメージが先 行していますね。間違えた考え。こういうのも言っていかなければいけないなと思います。 ○中川座長 ありがとうございます。  では、若尾さん、お願いします。 ○若尾委員 国立がんセンターの若尾と申します。  国立がんセンターといいますと、皆さん、まず築地にあります国立がんセンター中央病院を思 い浮かべると思います。あるいは「がんを防ぐための12ヵ条」など、いろいろがんについて、 基礎から臨床応用までの研究している研究所がよく知られているんですが、私は今回、こちらに 書いてあります「がん対策情報センター」という組織から来ています。  こちらのがん対策情報センターといいますのは、2年前の平成18年10月に、国立がんセン ターに新たにつくられた部署となっております。何をしているかといいますと、今まで病院が患 者さんを一生懸命診ていた。研究所がいろいろ研究をしていた。ただ、自分たちでまずがんを治 そうとか、がんを研究しようという立場だったんですけれども、もっとがんセンターを日本全国 に対して発信しなくてはいけない。日本全国のがんの医療をよくして、皆さんにがんについてよ く知っていただかなくてはいけないということで、がん対策を進めるために、がん対策情報セン ターというものができました。  私はそこでセンター長補佐だけではなく、情報提供診療支援グループというところのグループ 長をやっています。いろいろがんに関する情報を集めてきて、がんの正しい情報を今、つくって います。がんの情報をつくって、それを国民の方、あるいは患者さんに向けて発信するという仕 事をさせていただいています。  ですから、国立がんセンターは、病院や研究所だけではなくて、情報センターがあって、情報 センターはいろいろ情報を出しているんだということを知っていただければと思います。  それと、がんにかかられ、患者さんになりますと、がんとはどんな病気だろう、がんを治すに はどうすればいいだろうということで、情報を一生懸命探される方が多いです。ところが、そう でない方は、自分はがんにはならないと。多くの方がそう思っておられます。ですから、がんに 関する関心が非常に低いんです。我々も何とか、国民の皆さんにがんについて知っていただきた いと思っているんですが、患者さんはよく見てくださるんですけれども、がんではない方は、余 り情報について関心がない。そこを是非いろいろ、広告業界の方とか、保険の方とか、教育の方 とかの御意見を伺いながら、国民の方にいかにがんの情報を伝えるかということを勉強させてい ただいて、それを明日からの情報提供の活動に生かしたいと思っています。  最後になりますけれども、私、中川先生と同じ放射線科医なんです。放射線といいましても、 中川先生の放射線治療と診断という分野がありまして、私は診断の方なんですが、一応医者なん ですけれども、今は医者はしていません。広告塔となって、いろいろ情報提供の活動をさせてい ただきますので、今後ともよろしくお願いいたします。 ○中川座長 ありがとうございます。広告塔、すばらしいですね。  お2人の委員がおっしゃったように、2人に1人ががんになるわけです。ですから、今日、大 勢来られていますけれども、本当に御自身とお隣の方と顔を見合わせていただければ、どちらか ががんになるわけですから、これはえらいことなんですね。ただ、そこがなかなか御存じない。 そこからやはり始めるべきですね。  最後に私、少しお話しできればと思いますが、今、若尾さんがおっしゃったように、私は東大 病院で放射線治療をやっております。もう一つ、緩和ケア診療部というのが東大病院にありまし て、その部長も兼任させていただいています。ですから、放射線治療と緩和ケアが、医師として の私の専門ということになります。  ただ、病院の中でがんの医療をやっていますと、やはり患者さんが思っているような医療が受 けられないようなことがあるんですね。後でやはり後悔する。納得できる医療ができない。その 中で。やはり一番は患者さん、もっと言うならば、2人に1人ということになれば、これは国民 全体ががんを知る。がんがいつの間にかひみつになってしまっていると思っています。その背景 には、日本人がいつの間にか死ぬということを忘れているという思いもあるんですが、そんなこ とで、医療以外にがんの啓発に非常に力を入れてきました。  お手元に、こういった『がんのひみつ』という冊子があると思います。実は「がんのひみつ」 という本を朝日出版社というところから出しているんですが、このなかから、今回の「がんの啓 発」用にまとめなおしたものです。これはいつの間にかひみつになってしまったがんを、本当に 子どもも含めてわかってもらえるようなものです。今回は啓発、特に1つの目標として、がん検 診の受診率向上ということがありますので、それに絞って、この『がんのひみつ』を少し書き換 えてつくってみました。本当にこれはボランティアの仕事で、そういう点では出版社の協力もい ただいたのですが、ざっと目を通していただきたいと思います。   右上にページが振ってあります。例えば4ページ「がん検診、ススメル理由」を見ていきま す。2人に1人ががんになると書いてあります。「がんがふえている」。日本は世界一のがん大国 です。  5ページ「がん細胞とは」。我々の体の細胞は60兆個もあるんですが、それが毎日何千億個も 死ぬわけです。それを補う細胞分裂が必要です。ですから、何千億回の細胞分裂をする中で、人 のやることだからミスが起こる。それが簡単に言うと、ミスが積み重なったものががん細胞で、 死なないという性質を持った細胞が何千とできているという説もあります。  それは、しかし、基本的には殺される。毎日数千個もがんができているわけではないわけです。 それは、リンパ球が、できたばかりのがん細胞を殺しているわけです。ですから、毎日この戦い を皆さんの体の中でも、私の体の中でもやっている。  これはまた、免疫も人のやることですから、取りこぼすことがあるわけです。そして、たった 一つひっそりと生き残ったがん細胞が、多くの場合10年以上、例えば乳がんですと、1cmにな るまで15年というデータもありますが、そういう長い時間をかけて、あるいはたった1個から 亡くなるまでというと、もう30年という時間がかかる。これががん細胞からがんへの長い道の りです。  8ページですが、がんは老化の一種ということに簡単に言うとなります。したがって、申し上 げたように、世界一の長寿国日本は、世界一のがん大国ということになるわけですが、ただ、こ れは言ってみれば、日本人が長生きするようになった。これはいいことですね。そのことによっ てがんが増えているということですが、しかし一方、高齢者が非常に元気ですから、私はがんが ただ高齢化によって増えているからしようがないというばかりは言えないだろうと思っていま す。  すっかり講義になってしまいましたが、ちょっと時間に余裕があるので、少しやらせてくださ い。  10ページ目は「がんにならない生活習慣」です。禁煙というのは非常に大事でしょうね。そ もそも塩見さんがおっしゃっていたように、まず、がんにならなければがんで死なないというの は当たり前のことで、そこでは、禁煙が非常に大事になってきます。ただ、禁煙というのは、効 果が現れるまでに時間のかかります。申し上げたように、DNAが傷つくということを出発点と して、最初のがん細胞がひっそりと生き残る。その傷から、患者さんがなくなるまで、30年、 40年という時間がかかります。したがって、例えば10年後、年齢調整死亡率2割減というがん 対策基本法の目的をたばこだけでやることはなかなか難しい。  そもそもがんにならない方がいい。しかし、どんな聖人君子でもがんになる。これは11ペー ジに書いてあります。私の部下で放射線治療医、酒もたばこもやらない、アフラックのCMにも 出ているK医師。彼は酒もたばこもやらないし、自転車通勤ですし、ベジタリアンですが、34 歳でがんになりました。つまり、がんのリスクというのは、簡単にいうと半分ぐらいしかどんな に立派な生活をしても落とすことはできない。  ですから、次に必要なのが、早期発見ということになります。これは13ページに書いてあり ます。つまり、がんにならない方がいい。だけれども、がんになっても、早期に見つける。この 二段構えが必要ということです。  それから、山田さんがおっしゃったように、実はがん検診を定期的に受けてもらうことも必要 なんです。例えばたった1個から1cmになるまで15年、1cmから10cmまで大体5年。乳が んだとそんな勘定です。そうすると、1cmというのは、人間でいうと60歳ということになりま す。1cm以下のがんを見つけることは、今の放射線診断でも、なかなか難しいわけですね。そ うすると、1cmが2cmになるまでどれぐらいかというと、乳がんの場合には1年半です。つま り、早期がんとして見つける1〜2cmというのは、たった1年半の間に見つけるしかないんで す。ですから、検診を1年あるいは2年に1回やる必要がある。それを3年まで延ばしてしまっ たのが、今回のみそのつけ始めということになるんですね。この辺をきちっとわかっていただく。 結果的には、16ページにありますが、早期のがんのとして、簡単にいうと1〜2cmという形で 発見できれば、例えば乳がんにしても、胃がんにしても、ほとんど治るということになるんです ね。  まとめると、17ページにありますが、なるべくがんにならないということ。この中に勿論禁 煙ということもあるんですが、しかし、リスクは半分ぐらいにしかなりませんから、なっても検 診で早期に発見して、完治させる。このメッセージをきちっと伝えていくことが大事かなと私は 思っています。  すみません、長々と講義をさせていただいて、ありがとうございました。   皆さんの意見も、それぞれ力点はあろうかと思いますが、基本的な認識をそろえるつもりで お話しさせていただきました。  それでは、議題に入りたいと思います。  まずは、議題の第1番目「がん対策の現状について」です。事務局より御説明をお願いいたし ます。 ○前田室長 では、資料3「がんに関する統計」でございます。  がんでお亡くなりになられる方は、年間で33万6,000人。男性が20万人、女性が13万人。  次に「罹患」という難しい言葉がありますが、1年間のうちにがんにかかる方が59万人程度 おられまして、男性が34万人、女性が25万人ということでございます。  一生のうちにがんになられる確率が、男性の2人に1人、女性の3人に1人。  現在、がんで継続的な治療を受けておられる方の推計数が142万人。  がんにかかる医療費が2兆5,000億円程度ということでございます。  次に、資料4「がん対策基本法の概要」でございます。  2年前に成立いたしまして、がん対策推進協議会の御意見を聞きながら、基本計画をつくって いくということですが、その中の基本的施策の一番上が「がんの予防及び早期発見の推進」とい うことでございます。  昨年、がん対策推進基本計画が策定されましたが、そちらが7ページ目にございます資料5で ございます。  重点的に取組むべき課題としましては、放射線療法・化学療法の推進、これらを専門的に行う 医師等の育成、治療の初期段階からの緩和ケアの実施、がん登録の推進ということでございまし て、10年以内にがんによる死亡者を20%減少させるという目標を全体目標の1つとして掲げて おります。そして、すべてのがん患者の方々、家族の方々の苦痛の軽減並びに療養生活の質の向 上ということを全体目標としております。  その個別目標として、5番目にがんの予防、6番目にがんの早期発見ということで、6番目の ところに5年以内にがん検診の受診率を50%以上とするという目標値を掲げてございます。  8、9ページ目が、基本計画の内容でございます。  10ページ目、資料6「がん対策の推進について」の予算ということで、現在、財務省に概算 要求中でございますが、今年の予算が236億円。来年度要求しておりますのが262億円でござ います。そのうち、がん検診に関する予算は、11ページでございます。  マル新というのは、行政でよく使うんですが、新しく取組もうとする事業ということでござい ます。  女性の健康支援事業ということで、女性の健康づくり。  都道府県で企業との連携による受診促進事業。  3点目が、先ほど山田さんからもお話がありましたが、優良企業の公開というのがあります。 国と企業が連携して、そういった企業のがん検診、がん対策の取組みの参画を促す。そして、優 良企業の活動紹介などを行っていくという事業。  あとは、かかりつけ医から、がん検診を受診していただくように指導していただく事業。  そして12ページ目でございますが、エリア集中型がん検診受診促進モデル事業ということで、 人の多く集まる球場とかデパート、ビジネス街といったところで、がん検診の受診につながる事 業を大都市で行っていただくという事業を新規事業として現在要求中でございます。  13ページ、資料7「がん対策に関する世論調査」ということで、1年前に内閣府の政府広報 室が行っております。3,000人対象で6割ほどの回収率ですので、1,767人の状況です。  がんについての印象は、怖いというのが65%。  予防するための実践としては、たばこが4割。  がんに関する情報は、テレビ、ラジオが7割。  国からのインターネットによるがん情報サービスを知っている人は2割。  がん検診が重要と思う人は95%。  最近がん検診を受けたかという方が、18ページからございますが、2年以内でどのがんも大 体3〜4割の間ということでございます。  がん検診を受けていない理由が22ページにございますが、たまたま受けていない。  セカンドオピニオンを知っている人は半分ぐらいでございます。  25ページのがんの拠点病院を知っている人は2割程度。  緩和ケアについて知らない人が3割程度。  がん登録を知らない人が85%程度。  その必要性は半分ぐらいの方が認められている。  政府への要望としては、61%の方ががん検診ということです。  30ページ、昨年NTTレゾナント株式会社さんと株式会社三菱総合研究所さんが行いました 「第3回 乳がんに関する2万人女性の意識調査」がございます。こちらも41ページ目を見て いただくとわかるんですが、マンモグラフィを受けた方と受けなかった方の比較ということで、 41ページで、受けていない方は費用が負担になるという方が5割、時間がかかりそうという方 が2割ですが、実際に受けた方は、費用がかかったという人が15%、時間がかかったという人 が11%ということで、受けていない人と受けた方で、検診についてのイメージが大分異なると いうことでございます。  そして、最後46ページが、がん検診の受診率が2〜3割の間でございます。  以上でございます。  続きまして、文部科学省の取組みについて、高山専門官より説明させていただきます。 ○高山専門官 文部科学省から、資料10で教育現場におきますがんに関する教育の現状につい てお示ししております。こちらをごらんいただきたいと思います。  これは現在、策定されております学習指導要領。これは文部科学省から、学校現場において、 この内容で教育を行ってくださいということで示すものになります。線で囲った内容が学習指導 要領の本文になりまして、それだけでは具体的に何を教えていいのかわからないということで、 文部科学省の方で解説を付けてございます。今回お示ししたのは、小学校、中学校、高等学校に おきまして、がんに関して学習指導要領に関わっているところを抜粋したものでございます。  47ページが小学校のものになります。本文のところには「がん」という言葉は明記されてい ないんですけれども、解説の下から3〜2行目にかけまして「喫煙を長い間続けると肺がんや心 臓病などの病気にかかりやすくなる」ということを扱うようにということをお示ししているとこ ろになります。  続いて、48ページは中学校の学習指導要領になります。こちらも小学校と同様でして、「がん」 という言葉がはっきりと出てくるのが、49ページの下から5〜4行目にかけて「常習的な喫煙 により、肺がんや心臓病など様々な病気を起こしやすくなる」ということを理解するように教育 してくださいということをお示ししております。  50ページは高等学校におけるがんに関する教育の内容について触れています。解説の下から 4〜3行目にかけて「日常の生活行動と深い関係のある、悪性新生物、虚血性心疾患、高脂血症、 歯周病などの生活習慣病の予防を適宜取り上げ」ということで、生活習慣に関わる病気としてが んを取り上げるようにということをお示ししているところです。  51ページ以降に、実際、学校現場で使われております保健体育の教科書のがんに該当すると ころのコピーを付けてございます。  51ページは小学校5、6年生向けの保健の教科書のコピーになります。がんに相当するとこ ろに赤い線で囲いをしております。こちらの教科書では、左下の方にがんということで、生活習 慣に関係する病気ということで紹介されております。この図は、胸のレントゲン写真で、肺がん を図でお示ししているところなんですけれども、少しコピーの関係で画像が粗くなってわかりづ らくて申し訳ございません。  52ページは保健体育の教科書のがんに関係するところのコピーになります。右下のところに、 がんに関して、生活習慣に関わる病気として紹介されております。「がんは、喫煙や動物性脂肪 のとり過ぎ、野菜の不足などが関係しています」ということで記載されております。がんという ものは、がん細胞が増えていくことによって起こっていくということについて、右側の図3で示 しているところでございます。  53ページは、もう一種類の中学校の保健体育の教科書になります。この教科書は、がんにつ いて少し詳し目に記載がされておりまして、左の3分の2以上、がんについて解説しているとこ ろでございます。  更に、資料4のところで、国立がんセンターの「がんを防ぐための12ヵ条」も絵入りで紹介 しているところでございます。  54ページが高等学校における保健体育の教科書になります。まず、54ページに示した教科書 は、左側に赤線で示している2か所、がんに関して記載しているところです。やはり小中と同様 に、生活習慣に関わる病気ということで紹介されてございます。  がんの死亡の要因別の割合ということも、赤線で囲っておりませんけれども、図1のところで 記載してございます。たばこや食生活が大きく関わっているということで紹介されております。  55ページが、もう一種類の高等学校の保健体育の教科書になりまして、この教科書はがんに ついて2ページで大きく紹介をしているところでございます。がんについて、そもそもどういっ たものかということから始まって、がんの早期発見についても、この教科書は紹介しています。 そして、がんの治療法、ライフスタイル、「がんを防ぐための12ヵ条」も記載している教科書で ございます。  このように、小中高で取り上げているがんの内容としては、生活に関わっている病気であると いうこと、生活習慣によって発生したり、そのリスクが高まる病気であるということをまず1点 として紹介していると同時に、喫煙によってがんのリスクが高まることを取り上げることが、現 在の小中高におけるがんに関する教育の現状となっております。  以上でございます。 ○中川座長 ありがとうございました。ただいま、厚生労働省と文部科学省側から説明がありま したが、皆さん感想、御意見、要望等、少し時間がありますので、どうぞ。 ○若尾委員 どうもありがとうございました。今の学習指導要領について、感じたことを述べさ せていただきたいと思います。  今は、生活習慣でがんになるということが書かれていて、それを防ぐために運動をしましょう、 食事は気をつけましょうということが書いてあるんですが、例えば検診を受けましょうというこ とは、中には書いてありますけれども、こちらの要領本体には、そこまでは書かれていないんで しょうか。 ○高山専門官 現在の学習指導要領においては、がんの検診を受けましょうということについて までは明記されていないところになります。 ○若尾委員 例えば今後検診を受けましょうというのを我々の方で入れたいと考えたら、どのよ うなアプローチをすればよろしいでしょうか。検診ががんを防ぐということは、エビデンスとし て明らかなことで、それを今後国の基本計画でも受診率を上げないといけないという方針がある んですけれども、それを是非学生、子どもに伝えないといけない。そのためには、やはり学習指 導要領に入れていくことが必要だと思うんですけれども、どのようなアプローチをすれば、そこ に入れることができるんでしょうか。 ○高山専門官 まず、このがんに対する計画が政府で決められているということでありますので、 これは文部科学省も関係していることになります。そして、この学習指導要領の内容を決めるこ とについては、学習指導要領に関する審議会がございますので、そちらで議論を経て、そういっ たがん検診の必要性について学習指導要領に入れるべきでしょうという議論がなされ、そのよう な結論が下された時点で、この学習指導要領に入ることになりますので、その審議会での議論が まず必要になります。 ○若尾委員 ありがとうございました。 ○中川座長 どうぞ。 ○前田室長 では、ここで渡辺厚生労働副大臣が到着いたしましたので、一言ごあいさつを申し 上げます。これより、あいさつ終了まで撮影可能といたします。  渡辺副大臣、よろしくお願いいたします。 ○渡辺副大臣 厚生労働副大臣の渡辺孝男でございます。本会議がございまして、遅れて来たこ とをおわび申し上げたいと思います。  本日は、第1回目の開催となる「がんに関する普及啓発懇談会」のメンバーの皆様方におかれ ましては、御多忙のところ、このようにお集まりいただきまして、心から御礼を申し上げたいと 思います。  さて、平成19年6月、昨年でございますけれども、閣議決定されました「がん対策推進基本 計画」におきまして、がん患者を含めた国民の視点に立ったがん対策の実施が基本方針の1つと して掲げられておりますため、今後のがん対策を進めるに当たって、がん及びがん医療に関する 正しい理解の促進を図ることが大変重要な課題で、また必要不可欠な視点となっておるわけでご ざいます。  更に、厚生労働大臣を本部長とするがん対策推進本部におきまして、今後の厚生労働省のがん 対策の取組みが示されたところであります。この取組みの1つとして、がん検診受診率50%に 向けた施策を平成21年度から本格的に展開することとしております。がん検診、自己検診によ り、がんを早期に発見するためには、国民の皆さんが、がんとはどのような病気なのか、あるい はどのような治療法があるのかについて、正しく御理解をいただくことが大変重要であります。 しかしながら、現在のがん検診の受診率がまだまだ低いという状況がありますので、これは本当 に残念なことでありますけれども、がんに対する理解がまだまだ十分でないということでありま すので、正しい理解を進めていくことが早急に取組むべき課題であると認識しておるわけでござ います。  本懇談会では、がんの病態、検診の重要性、そしてまた、がん登録、緩和ケア等について、さ まざまな取組みを行っている方々からの御説明をお聞きいただくとともに、そうした方々と一緒 になって、がんに対する正しい理解の普及、啓発のための方策について御議論をいただきたいと 考えておるところでございます。  厚生労働省としましても、有効かつ的確な普及啓発事業を実施し、がん対策のより一層の推進 に向けて努力してまいる決意でございます。皆様方におかれましては、活発な御議論をいただけ ればと考えておるところでございます。  本日は、おいでいただきまして、誠にありがとうございます。 ○中川座長 渡辺副大臣、どうもありがとうございました。  御同席いただけるということでございましょうか。 ○渡辺副大臣 はい。 ○中川座長 ありがとうございます。  先ほど、厚生労働省、文部科学省から、がん対策の取組みに関しての御報告をいただいて、そ れを受けて、少し議論が始まったところであります。今の学校教育における検診の問題、私も実 は学校教育の中でのがんの教科書上の記載を初めて見せていただいたわけですが、少し感想があ ります。  もしほかの皆さんでございましたら、衛藤さん、お願いします。 ○衛藤委員 学習指導要領の策定に、中央教育審議会の委員として関わった立場で、少し補足さ せていただきたいと思います。  指導要領上、文言として、あるいは解説の中に「がん」という言葉が入っているのは、確かに 生活習慣の予防というところなんですが、このほかに、例えば保健医療機関に関して学ぶところ が、中学校、高等学校にあります。それから、高等学校で保健医療行政について学ぶところがあ ります。そういったところでは、教科書の記述等では、検診ということも出てまいりまして、そ こに「がん」という言葉が更に加わるかどうかという辺りは、工夫の余地があろうかと思います し、先ほど御紹介いただきました学習指導要領をよく読みますと、小学校と中学校は、この3月 に告示されました、大体平成24年辺りから実施される新しいものでありまして、高等学校はま だ新しいものが出ておりませんので、現在、高等学校で行われている教育に関する指導要領でご ざいます。  今の検診のこと、行政あるいは保健医療機関のことに関しては、ほぼ変わっておりませんので、 そういった中で、高等学校の新しい学習指導要領あるいは解説は、年内に出てくるという段階に なっておりますので、それから教科書の作成が始まるところでございますので、こういった議論 が高等学校に関しては、教科書作成の段階で多少考慮されるといいますか、まだそういった御意 見を申し上げることができるのではないだろうかと思っております。  以上です。 ○中川座長 ありがとうございます。  冒頭、皆さんからお話が出た2人に1人。厚生労働省からの説明の中に、平成13年度時点で の生涯リスクがございましたが、その中で男性の2人に1人、女性の3人に1人ということなん ですが、これは既に7年前のデータですので、そういう意味では、現在は2人に1人弱ががんに 罹患する、かかると言っていいと思います。そして、3人に1人ががんで死ぬ。これは日本最大 の国民病ととらえざるを得ない。実際に1981年から、がんが死因のトップになり、それからも う右肩上がりに増えているわけです。  そういうことを考えますと、この教科書記載の中で、がんに関してもう少し明確に、日本人の 死因の第1位はがんであるというところから説き起こしていただくということも必要かなと感 じました。  ほかの委員の方、何か御意見はありませんでしょうか。山田さん、どう思いますか。 ○山田委員 がんというのは、何か言ってはいけないようなところがあるんですか。 ○中川座長 でも、随分変わってきました。 ○山田委員 「がん」という響きが非常に暗いですね。ですから、これは「ピョン」とか「ラン」 という言葉に変えると非常に楽な気持ちになりますね。 ○中川座長 確かにそうですね。 ○山田委員 でも、これだけおばあちゃんががんだったろうし、お父さんががんかもしれないし、 家族が関わっていれば、100%避けて通れない病気ですね。 ○中川座長 2人に1人ががんだということを言ってしまうと、私ががんになってしまっても、 次はあなたよとなってきますね。 ○山田委員 余り言ってはいけないんですか。 ○中川座長 そんなことないですよ。それが事実ですから、それを知らないだけですので、それ が啓発ということだと思います。 ○山田委員 そうしたら、やはり子どものころからの教育がすごく大事で、中学生では遅いぐら いだと思いますよ。小学生のときからばっちりと、大きくなったら検診に行くことによって、し かもこのぐらいの人が助かっているんだよということも書いていいと思いますね。 ○中川座長 塩見さん、何か御意見ありますか。 ○塩見委員 がんの原因の大きなもので、勿論たばこがありますね。禁煙にしても、あるいは先 ほどちょっと申し上げました子宮頸がんにしても、まさに子どものときの教育が必要なんです。 18歳時点でたばこを吸わなければ、一生吸わないということも多く言われています。学校教育 とか、あるいは家族とか友人とかの話によりたばこを吸わなければ一生吸わない。  子宮頸がんでは若い時に、12歳ころにワクチンを打つことが非常に重要になってきます。子 どものときに、特に欧米などで70、80%と受診率の数字を申し上げた違いは、学校教育が大き な理由なんです。学校教育で、がんはこういう病気だよということは日本でも多少はやっていら っしゃいますけれども、更にがん検診を受けなさいよ、受けたらこれだけ早期発見できる、早期 発見できたら、これだけ助かるという話までやれば、家族からも言われるし、みんな検診を受け る。検診受診率を上げるためには、検診の重要性がわかるだけでは不足です。重要だということ はもう大分わかってきているんですよ。ただ、そこから検診に行くというアクションに持ってい かないといけない。重要だと気づくことと、実際に検診に行くということの間にまだかなり大き な溝がある。 ○山田委員 何でですか。 ○塩見委員 最初は症状がないというがんがほとんどですね。ですから、痛くもない、かゆくも ないから、みたいなところがある。更には忙しいとか、どこでやっているかわからない、費用は 幾らぐらいかかるのか、私は健康だから心配ない、ということが、アンケート調査をとると随分 出てくるんです。ですから、ここはやはり啓発活動ですよ。どこへ行けばいいんですよ、幾らぐ らいかかるんですよ、受けて早期発見したらこんなに助かるんですよということは、まさに啓発 活動です。検診が非常に重要だというのは、まず学校教育でやるべきであって、特に検診につい てとか子宮頸がんについては、子どものときからやって、みんながそういう思いを持つ。そした ら検診受診率が上がることにつながっていくのではないかなと思います。 ○中川座長 アメリカの子どもたちは、がんのことを結構習っているんですね。例えば今、おっ しゃった子宮頸がんとウイルスの関係などというのは、ほとんどの方が知っています。日本人だ とその辺は2割ぐらいですかね。ですから、やはり国民最大の2人に1人がなるという病気に対 する初等教育の中でのウェイトということは、やはりそれなりのものであるべきだろうなと思っ ています。  それから、生活習慣病というところはそのとおりなんです。ただ、そこでちょっと誤解を生む なと思ったのは、先ほどの『がんのひみつ』でも申し上げたんですが、要するに二段構えなんで すね。そもそもがんにならない方がいい。がんにならない生活をする。それは確かに生活習慣で す。たばこや運動、食事。ただ、それでもやはり半分近くの方が防げないわけですよ。そうなる と、それが実に2人に1人。次はどうするかというと、早期にやる。そこで早期のがんであれば ほとんど治る。この二段構えのところの生活習慣のところにウェイトを置き過ぎると、それだけ でがんは防げるのではないかと思ってしまいます。私は、たばこを吸いませんが、たばこを吸わ ないからがんにならないというわけではないです。その辺はきちっと説明をしていただく必要が あると思うし、教科書のなかに、「がん検診」という言葉があってもいいのではないか。二段構 えで、生活習慣が第一、そして次はがん検診。  これは事務局にお尋ねしますが、この懇談会では、レポートのようなもの、例えば今の学校教 育にこういう意見がありましたということは、出すことができるわけでしょうか。 ○前田室長 意見を出されたことについては、とりまとめの中でまとめていくことは可能でござ います。 ○中川座長 ほかに特に、天野さん、何かありますか。 ○天野委員 先ほど、厚生労働省からの説明をいただきました中で、資料の10ページでござい ます。「がん対策の推進について」ということで、概算要求262億円ということが出ているわけ でございますが、その中の項目4番で「がん予防・早期発見の推進とがん医療水準均てん化の促 進」ということで、全体で90億の予算が計上されていると書かれています。その中で、特にこ の懇談会に係るがんの予防と早期発見の推進ということで、54億円が計上されているわけです が、その中で項目(1)でがん予防の推進と普及啓発ということで、普及啓発の推進と肝炎等克服緊 急対策研究ということが計上されているかと思います。勿論、これは肝炎の克服ということが大 切であるのは言うまでもないのですが、その中で、実際の普及啓発ということに対して、どの程 度の予算措置を厚生労働省としては現在考えているのかということをもし御説明いただけるの であれば、この場で御説明いただければと思います。 ○前田室長 (1)の(1)の1つ目のポツの普及啓発の推進ということにつきましては、現在、が ん対策情報センターで行っていただいております普及啓発活動ということで、金額としては1億 7,000万円程度を概算要求いたしているところでございます。 ○天野委員 では、54億のうちのかなりの部分は、実際肝炎等の克服の方に配分されるという 理解でよろしいでしょうか。 ○前田室長 はい。 ○天野委員 実際、この懇談会で知恵を出していくことは勿論大切なんですが、実効性のあるも のにするには、やはり予算措置もある程度必要かと考えますので、その辺りは是非御検討いただ きたいと思います。  あと、若尾先生が先ほどがん対策情報ということで、広告塔だということで、がん対策情報セ ンターの位置づけについておっしゃっていただいたんですが、この項目の4の(2)がん対策情 報センターによる情報提供及び支援事業の充実ということで、18億円計上されているわけです が、これも御存じのとおり、当然海外、特に米国などのがん対策情報の提供にかかる機関からす れば、かなり少ない金額であるとは思いますが、この辺りの予算措置については、是非今後増額 などを検討していただければと考えております。 ○前田室長 現在のところ、17億円のところを18億円ということで要求いたしておりますので、 まずこれが減らされないように努力するということと、できればこの概算要求どおり、予算案を 国会提出できるように、努力したいと考えております。  非常に財政が厳しい折、本当にがん対策についても厳しい状況にありますが、私どもの役割と しては、やはりこの概算要求をできるだけこの額に近い形で予算にしていくことでございますの で、そこは頑張っていきたいと思います。 ○天野委員 ありがとうございました。予算措置が大変厳しいということは、勿論わかっている んですが、これもある意味、国民全体のがんに対する理解というものに基づいて、より予算が増 やされていくことが考えられるかと思いますので、是非頑張っていただければと思います。 ○中川座長 この普及啓発に関する予算の話、この道のプロである兼坂さん、何かコメントござ いますか。 ○兼坂委員 普及啓発に対しての予算が1億7,000万ということですが、1億7,000万という金 額で広告・広報の展開を何か図るということになると、大変難しいかなと思います。例えば中央 6紙全ページの広告を1回やるとして、制作費を含めて考えるとこの予算では済まないですね。 まして中央紙だけですと、いわゆる到達率から言っても十分ではない。地方紙も併せてやるとい うことになると、やはりさらに費用がかかります。新聞だけでどれだけ伝わるんだという問題に なってきて、テレビのスポットですとか、番組ということを検討していった場合には、どうする のかなという不安感がありますね。  ただ、先ほど塩見委員からもお話がありましたけれども、認知自体はいっているけれども、ア クションを起こさないと、受診をしないと意味がないということですから、そのアクションを起 こすためのことも加えて考えるということになると、改めて積極的に予算投下をしていただかな いと目的が果たせないということがあります。  あと、やはり関連企業とどういうふうに手を組んで、広告活動を展開するか各メディアへの協 力を得てのPR広報、編集協力、番組内でのがんをテーマとした取り上げということも併せて考 える必要があるのかなと思います。 ○中川座長 そうですね。4の(1)の(2)の一番上の企業等の連携によるがん検診の受診促進が 3.7億付いているわけですね。ですから、こういうところと、先ほどの1億7,000万などの使い 方をよく考えて、確かに啓蒙というのは、なかなか予算化が難しい領域だとも聞いておりますの で、この辺は、たとえば、アフラックの永江さんのところにも助けていただきながら、いろいろ 知恵を絞る必要があるとは思いますね。  それから、やはり22年度以降の啓発の在り方は、21年を見ながら、例えばこういう会でも、 いろいろまた意見を出し、知恵を絞って、それを反映させていただければいいなと思います。  永江さん、その辺について何か一言お願いします。 ○永江委員 今まで皆様から2つのお話があって、1つが学校教育のお話ですね。私は子どもが いないので、なかなか学校という社会に今、縁遠いんですけれども、こういったことが教科書に 載っていること自体は、自分の感覚、経験からは新鮮でした。以前よりは進んでいるんだなとい うことです。  ただ、一方で、先ほどデータの方にもありましたように、年間30万人以上が日本でがんで亡 くなられている。また、60万人近くの方が新しくがんにかかられているという中で、がんにか かられているほとんどの方が成人なのですが、その方に必ず家族がいて、多くはお子さんがいら っしゃるわけですね。当社では、がんで親御さんを亡くされたお子さんの支援もやっているんで すが、子どものうちにそういうことを経験している子どもがいっぱいいるわけなので、当然自分 の親がなるかもしれない、また、友達の親がそうだということを身近に体験する子どもも増えて いるはずですので、やはり学校教育というのは重要だと思いますし、逆に子どもがそういうこと を知ることによって、生活習慣の改善であり、検診の受診であり、また仮にがんにかかった後、 がんとつき合って生きるという中でも、子どもとか家族の理解というのはすごく大事で、日本の 課題だと思います。  あと、お金の話なんですが、それぞれの予算ですね。自分でこれだけのお金を使うことがない ので、検討はつかないんですけれども、兼坂さんがおっしゃったとおり、私どもも広告をやって いまして、明らかに啓発普及というものには全然違う感覚の金額がかかるということはわかりま す。ですから、やはり財政の面では本当に厳しいのでしょうが、国家全体で考えますと、財政を 圧迫するというものの中に、病気というものがありますので、長期的に広い視点で見ると、普及 啓発によってそういったものが減っていくということであれば、むしろ必要な投資ですし、その ためにはやはり一定の予算は必要なので、是非御努力をいただければと思います。  我々も逆に企業として、啓発普及には力を入れているわけなんですけれども、そこでタイアッ プというか、いい形で協力をさせていただいて、またこういう形での国の後押しがあるというと ころで我々も支援をいただけると、ますます活動が強化できるのではないかと思っております。 ○中川座長 ありがとうございました。ちょっと時間があれですが、初等教育におけるがん教育 は、確かに非常に重要だと思っています。これは禁煙対策も非常に重要なんですが、30年、40 年先に効いてきます。  一方、学校教育は、例えば中学生でやると、これはどうでしょう。場合によったら10年、15 年というスパンで効いてくるはずなんです。  そういう意味で、私はそこも非常に大事だなと思っていまして、11月8日土曜日の午後1時 15分から、東京都国立市の国立第一中学校というところで、かなりお金もかかるんですが、先 ほどの『がんのひみつ』という啓発用の冊子を中学生600人にさしあげて、がんの授業をやって きます。その学校は非常に進歩的で、事前に登録いただければ、是非ごらんいただきたいという ことでしたので、御関心のある方は、どうぞお越しいただければと思います。  さて、それでは、ここから若尾さんと衛藤さんに、今回の懇談会のために資料を提出していた だいておりますので、その御説明をお願いしたいと思います。  では、資料11−2です。若尾さん、5分程度で御説明をお願いします。 ○若尾委員 それでは、お手元の資料11−2をごらんになってください。  先ほどの予算のところで出ましたけれども、がん対策情報センターにがんに関する普及啓発事 業の事業費をいただいて、活動させていただいております。  私の自己紹介で少し触れましたが、がんセンター、中央病院、東病院あるいは研究所の横並び にがん対策情報センターというのが平成18年10月にできまして、こちらで左側にあります、 がんの医療を推進する人材育成、あるいは情報提供、治験や臨床試験の体制整備などの対外支援 活動をしています。  こうすると、非常にがん対策情報センターはすごい組織ができたという印象がありますが、が んセンター全体で1,300人ほどスタッフがいるんですけれども、がん対策情報センターは35人 しかいません。更に情報提供の担当者は6人で、家内工業的に何とか国のがん情報をつくって、 それを発信するということをやっています。  下に四角で囲ってありますが「科学的根拠に基づいたがんについての信頼性の高い最新の情報 と、がんに関する役に立つ知識やがんに対する地域・組織的な対策についての情報を、わかりや すく提供する」ということを、がん対策情報センター情報提供グループのミッションとしていま す。  提供することによって、国民の方あるいは患者さんが、がんについての正しい知識を身につけ ていただいて、がんを恐れることなく、自分らしい生活をしていただきたいということを目標と しております。  2ページ目ですが、では具体的にやっているかといいますと「がん情報サービス」というホー ムページをつくっております。今のところ、一般向け、医療者向け、拠点病院向けと分けている んですけれども、大体4,200ページほど公開しておりまして、今、月に170万ページビューほど のアクセスがあります。  具体的な中身につきましては、説明はいたしませんが、この資料の7ページ以降に、ホームペ ージの中身について御紹介しています。  少し簡単に触れますと、この中で病気の情報、治療の情報、あるいは病院の情報に併せて、予 防と検診のコーナーというものも設けているんですけれども、対象とする方は、病気の情報は病 気になった方が見る。病院の情報なども病気になった方が見る。予防のページは、病気でない方 に見ていただきたい。対象は健康の方の方が多いと思われるんですが、やはり予防のページ、検 診のページに対するアクセス数はそれほど多くないというのが現状です。  このホームページをつくって、情報提供をしていたんですが、がんセンターがん対策情報セン ターの活動に患者さんの意見を取り入れた活動をしております。運営評議会という患者さんの代 表を含む委員会がありまして、そちらでこのホームページを御紹介しましたら、インターネット を使える方はいいですけれども、高齢者は使えないわよと、俵萌子さんに御指摘いただきまして、 私たちにも使える情報をつくってくださいということを言われまして、3ページにあります「が んに関する冊子」というものを作成させていただきました。今日、お手元にそのうちの1冊『相 談支援センターにご相談ください』というものを付けさせていただいております。実際には、今、 39種類の冊子をつくらせていただいて、がん診療連携拠点病院が全国に351か所あるんですけ れども、そちらの相談支援センターにお配りして、そちらから皆さんに配布していただいている という対応をさせていただいています。  ところが、それで一生懸命拠点病院、あるいは相談支援センターでがんの相談に応じますよと 活動していても、先ほどのアンケート調査にありましたけれども、相談支援センターを知ってい る方はまだ20%しかいないんですね。もっと多くの方に知っていただいて、活用していただき たいと思います。この相談支援センターは、無料で何でも困ったことに対応できるように、ソー シャルワーカーや看護師がトレーニングを受けて対応するように、そのトレーニングもがん対策 情報センターで担当しているところです。  この冊子は39種類で、450万冊つくって、そのような形で病院を通して配布などをしており ます。  それから、今、御紹介しました『相談支援センターにご相談ください』は、点字版なども作成 しまして、視力障害者の方にも活用していただくよう、盲学校などにも配布させていただいたり、 あるいはその相談支援センター用としまして、大きくて今日はお配りできないんですけれども、 拠点病院の情報を集めた電話帳のような冊子もおつくりして、病院に配布したりしております。  4ページ目に「がん患者必携」という言葉がございます。これは初めてお聞きになる方もいら っしゃるかもしれないんですが、御紹介がありましたがん対策推進基本計画の中に、がんに関す る情報を載せたパンフレットやがん患者さんが必要な情報をとりまとめた患者必携を作成し、医 療機関に提供していくことが書かれておりまして、これは今、毎年60万人の患者さんががんに かかるということなんですけれども、新しくがんにかかった方60万人すべての方に、がんに関 する横断的な情報をお示しする。そうすると、がんは今、こういう状況ですよ、どういうサポー トが受けられますよということで、心と体のサポートをするということを目指して、今、作成を 始めております。  冊子Aというのも、大体300ページぐらいの本で、それだけではございませんで、冊子B、私 の手帳、私のカルテというような、患者さん御自身が書き込んでメモをしていくような手帳を付 けて、それをお渡しする。そのことも考えています。  この作成に当たりましては、点線の下にありますけれども、がん対策情報センターで患者・市 民パネルというものを今、つくっております。今年の4月に最初50名の定員で応募したら、全 国から270名ほどの応募がありまして、結局60名の方に絞らせていただきました。また、来年 の春に40名を追加して、100名で、この患者・市民パネルの方々に、患者さんあるいは家族の 方の視点に立った御意見をいただきながら、この患者必携あるいはホームページの作成をしてま いりたいと考えております。  5ページ目は、そういうインターネットや冊子体だけではございませんで、実際に患者さんと フェイス・トゥ・フェイスでお話をする会というのを我々の方で対応させていただいています。  1つは、市民向けがん情報講演会です。年3回なんですけれども、がんセンターあるいは拠点 病院を結ぶ多地点TV会議システムというもので、今、18か所に中継できるようになっていま して、そちらで毎回500人ぐらいの方に参加していただいております。  ここに付けさせていただいた絵は、ちょうど天野さんに講演いただいたときのものなんですけ れども、「がん情報の探し方」という講演会をして、今日お配りしました、このような小さい名 刺サイズのカードをつくって、これもいろんなところでお配りしたりしています。  今年の11月8日には、「公共空間でのたばこ撲滅大作戦!」ということで、子ども世代をたば こから守ろうという講演会を予定しております。  それから、がん情報サービス向上のための地域懇話会というものを、我々がん対策情報センタ ーのスタッフが各地域に出向かせていただきまして、地域の方々と意見交換をするということを 今まで15か所でやっていまして、今週も明日、愛媛県に行く予定となっています。  ただ、我々がそうやっていても、少ないスタッフで広い効果はなかなか期待できないというこ とで、メディアセミナーというメディアの方を対象としまして、信頼のおけるがん情報をより広 く伝えるにはどうすればいいかという勉強会的なものを含めまして、メディアの方と一緒に考え る会を年10回開催しています。  あと一つ、右にポスターが付いていますが、これは事業とは関係ないんですが、少ない予算の 中で、先ほどタイアップというお言葉がありましたけれども、昨年映画の会社とタイアップしま して、この拠点病院とか相談支援センターを御紹介するポスターを7万5,000部、我々は全く費 用をかけずにつくっていただいて、それを送っていただいたという活動も少しずつやっています。 これは、今まで病院向けの活動だったのが、こういうポスターをつくりますと、映画館とか駅と かに配布して、より多くの方に見ていただけるということで、このような活動も考えております。  最後のスライドになりますけれども、がんセンターのがん対策情報センターは、このような形 で、厚生労働省とか、あるいは都道府県、全国の拠点病院などから情報をいただいて、あるいは 学会と協力したり、NPOから情報をいただいたりして、がんに関する情報をつくっています。 ホームページ、冊子あるいは講演会などを通して、患者さん、御家族あるいは一般国民の方に何 とか伝えようと頑張っております。  ところが、現状を申しますと、患者さん御家族には利用していただいている状況なんですが、 本当に健康な方に対するアプローチはしているんですけれども、健康な方を検診・受診したり、 何かアクションを起こさせるまでにはいっていないということで、この懇談会での御意見を参考 に、そちらの一般国民の方に、どのような情報をどのような形で提供していくかということを参 考にさせていただきたいと思っています。  以上です。 ○中川座長 ありがとうございました。御意見、アドバイス何かありますか。  山田さん、何か言いたそうですね。 ○山田委員 何か困ると私に振ればいいと思ってね。 ○中川座長 そうですよ。だって、ざっくばらんというのは、山田さんにかなり依存していると ころがあります。 ○山田委員 そうですね。ごく一般的な意見を言えるのは私だけかなと思いますが、お金が随分 かかりますね。これはびっくりしましたね。私たちが今、やっている小さいスター混声合唱団は、 ただです。大変きついです。  やはり、1つ資料を何かつくったり、ポスターをつくったりしても、すごくお金がかかります ね。ですから、手書きです。手渡しで渡せる範囲で渡すとか、そういうようなことですね。でも、 そんな範囲では、国レベルのことは難しいなとは思いますね。  私はタレントですから、簡単に考えると、例えば明石家さんまとか、大人気の木村拓哉はヘビ ースモーカーなわけですね。彼らを説得しに行って、がんになるからね、子どもたちに影響のあ るあなたたちがたばこをやめるとかいうことをドキュメンタリーで撮れたとすれば、随分な啓発 活動ですね。 ○中川座長 そういうアイデアが欲しいんですよ。本当にありがとうございます。 ○山田委員 猫の首にだれが鈴を付けに行くのかという感じがあるかもしれませんが、こういう ことを私は考えておりました。 ○中川座長 でも、そうなんですよ。これだけ正しい内容で、予算も取れていて、しかし、それ が一般の方の目に止まっていないというのは残念です。やはりやり方を考えなければいけなくて、 そのために、この会でもアイデアを出していっていただきたい。  若尾さん、この冊子は、がん患者必携ということは、がんになった方全員がこれをもらうこと になるんですか。 ○若尾委員 基本計画がありますので、そのようなことを考えているんですが、ただ、ここにも 今、お話がありました予算がありまして、60万冊を毎年刷って、それを届ける予算が今の普及 啓発事業の中でできるかというと、結構ぎりぎり。今のことを全部やめて、これだけで何とかで きるかできないかという状況になるのと、それも情報が日々更新されてきますので、どんどんア ップデートをしていくような経費も必要となりますので、これは本当にすごく大変な大きな事業 になってしまってね。 ○山田委員 でも、がんになってみたら、初めて病院の方からお薬手帳というものをもらったん です。一般的には余りみんな知らないみたいで、これをもらっただけでもちょっとうれしかった んです。それにメモをすることが始まって、先生の言うこともメモするようになったし、お薬の こともきちんと間違えずに、パニックにならないように貼るようにもなりましたから、こういう のはいいなと思いますよ。 ○中川座長 差し込みのところもいいし、地域情報のとこも、アイデアはすごく面白いですね。 ○若尾委員 そうですね。これもそうなんですけれども、この冊子も大体1冊30円ぐらいかか っているんです。このレベルで30円ですので、今度これが300ページになると、ロットが増え るので、全体のコストは落とせるんですけれども、本当にそれを刷って届ける。 ○中川座長 300ページでなくてもいいのではないですか。300ページもあったら、逆に読まな いですよ。 ○若尾委員 そうですね。それで、今、考えていますのは、こちらにがん種別の冊子がありまし て、こちらを本当にがんと告知されたときにお渡しする。そうすると、こちらは非常にコンパク トにまとめていて、最低限これからどういうことが起きるのかということをお伝えするようなコ ンセプトでつくらせていただいていますので、まずこれをお渡しする。  ただ、少し時間が経ってくると、もっとこういう情報も欲しい、こんな情報も欲しいと、少し 落ち着いてきた段階で、300ページは要らないかもしれませんけれども、より広い情報をお渡し することによって、今、がん難民ということが言われてしまっていますけれども、どこに行けば どういうことがわかる、どういう援助が受けられるということをお示しすることによって、正し い治療を受けていただくことをサポートするということを考えています。  この冊子は、まだ300ページのたたき台の時点で、これからいろいろページ割を考えていると ころなんですけれども、パネルの皆様などから御意見をいただきながら、今後中身をより詰めて、 その結果、もっと薄くなるかもしれませんし、冊子Bがもっと厚くなるとか、そんなことも可能 性としてはあるかもしれません。 ○中川座長 また、こういう場ででも御意見を伺っていただくといいかもしれません。  それでは、衛藤さんから資料の御説明をお願いできればと思います。 ○衛藤委員 それでは『たばこの煙から子どもを守るには』という、A4版の冊子に関して説明 させていただきます。  2、3ページと目次が書いてあるところを開いていただきますと、国際対がん連合(UICC) というところが始めた「今日の子どもたちは明日の世界」という5年間のキャンペーンの一環と して、今年は受動喫煙の防止ということに焦点を当てた冊子をつくりました。それに関して、そ の日本語版をつくることに若干協力いたしましたので、子どもが育つ過程で、好むと好まざると に関わらず、たばこの煙を吸ってしまって、健康障害を蓄積していく可能性があるといったこと をみんなで防ごうという趣旨でございます。  5ページのところに、私が序文みたいなものを寄せておりますので、ごらんいただきたいと思 います。  私どもは小児科関連の団体で、こういった子どもをたばこの害から守る合同委員会というのを やっておりまして、その中でこういったことに協力したわけです。下のパラグラフに書いてござ いますが、エビデンスというレベルでいうと、実際に子どもが育つ過程でたばこの煙が含まれる 有害物質を長期間吸って、実際に健康障害になったとか、白血病ということが完全に解明されて いるわけではないんですけれども、そういったリスクがあることは、個別の事象では証明されて いることです。ですので、これは社会として、やはりこういったことに配慮していかなくてはい けないということをメッセージとして届けるということで、最後に書いてありますように「子ど もたちをタバコの害から守り、健やかで安全に育ち、暮らすことができるような環境の整備に努 めて」という観点で、私どもはこれに協力をして、翻訳をして、皆さんに御理解していただきた いと思います。  今日もいろいろ資料の中で出てまいりましたけれども、こういった知識を届けるだけでは不十 分で、知識を理解し、それが実際に実行できる。これは私どもの世界では、健康リテラシーとい うこと。実際にわかって、使えるという、高等学校の学習指導要領のところにも、意思決定、行 動選択という言葉がございますけれども、これもそうなんですが、実際に自分で決めて、そして それを自ら行動、実現する。そこまでをすべての子どもができるようにすることを目標にする必 要がありますし、社会全体としても、そういった健康リテラシーというのを高めて、がんの予防 にも実際に一人ひとりの方が行動していただくようにすることが大事だと思っています。 ○中川座長 ありがとうございました。皆さんから御意見などございますか。若尾さんに対する 御意見、御質問でもよろしいのですが、特にございませんか。  それでは、よろしければ、先に進みます。議題の第2番目「今後の進め方について」でありま すが、私からたたき台的な、少し事務局の意見も聞いているんですが、今後、先駆的ながん、あ るいはがん検診の促進、啓発の事例を外部の方を含めたプレゼンテーションをしていただいて、 こういうアイデアはどうか、こういう考えはどうかということを委員の皆様に少し評価、コメン トをいただくことが1つ。  それから、随分山田さんなどにはおっしゃっていただきましたけれども、それこそ、こういう 芸能人をこんなふうに使ったら非常に有効だみたいな、これはなかなか出てくるものではないか もしれませんが、そういう視点も欲しいんですね。ですので、ざっくばらんと申し上げたのは、 そういうアイデアが出るような会にしたいと思っていまして、その辺りを、また各委員の皆さん、 次回以降の懇談会で少しお話しいただく。具体的にこんなものがいいのではないかというのもで すね。  残念ながら、啓発についての予算が十分にあるというわけではないようですから、その中でや はりてこになるような考え方を、特に企業が動くようなこと。あとは、やはり国民が、これは大 事なんだと心にすとんと落ちるところですね。そういうアイデアが皆さんから出てくださればな と思っています。  その申し上げた2つのやり方を、事例集としてまとめてみてはという考えもありますし、とも かくブレーンストーミング的にどんどん次回以降、お考えを出していただくことが必要かなと思 っています。  それでは、今の件に関して、あるいはこんな懇談会の在り方、進め方がいいという御意見はご ざいますでしょうか。もしなければ、とりあえず。 ○山田委員 これはまた次あるんですか。 ○中川座長 ありますよ。何を言っているんですか。 ○山田委員 1回と書いてあったからね。 ○中川座長 第1回ですよ。やります。  スケジュールは、今、事務局からお話しいただいてもよろしいですか。 ○前田室長 スケジュールにつきましては、最後で述べようと考えておりましたけれども、年度 内、3月末までには、今日を含めて3回。年内に1回、年を明けてから3月までの間に1回は必 要と考えてございまして、いろんな地方自治体の取組みですとか、外国の取組みですとか、企業 の取組みですとか、そういった取組みを行われている方にお越しいただいて、御説明いただくこ とも考えてございますし、本日、資料を提出していただいた委員の方々がおられますけれども、 同じように資料を出していただいて、今の取組みについて御説明いただくことも、メンバーの 方々にお願いできればと思っております。 ○中川座長 来年度はどうなりますか。 ○前田室長 来年度も引き続きこの懇談会については、継続してやっていきたいと考えてござい ます。 ○中川座長 そうですか。ですから、しばらくおつき合いいただくことになりますので、よろし くお願いします。 ○山田委員 では、せっかくですから、活動について言っておきたいことがあります。  今、新しく、乳がんだけでなく、すべてのがんの人たちや家族を応援する歌をつくっています。 私がただでつくりました。いちいちただでと言わなくてもいいんですが、ちょうど私たちのメン バーの中に音楽家もいますので、譜面も起こしてもらって、もうすぐ録音をするんだと思います。 来年の夏ぐらいを目標に、うちの芸能人のメンバーが、46人になって、もうすぐ50人になるん ですが、その人たちを2人か3人ずつ全国に散らばして、学校単位か企業になると思いますけれ ども、地域地域で練習をして、インターネットなどを通じて、6月のある日、大体決めているん ですけれども、そこで同時に一斉のせいで、もうちょっと言えば、世界で同時に一斉のせいでそ の歌を歌ってみようではないかというアイデアが今あって、進めています。かなり具体的になっ ています。  そうしていくと、この間は病院などでも小さい会をやってみたんですけれども、患者さんが集 まって、みんなで情報も交換できて、先生から幾ら大丈夫と言われても、同じ病の人同士で大丈 夫と言い合ったり、具体的に励ましてもらったりすると非常に元気になるんですね。私も元気に なりますし、大きい会を考えているので、また何かあれば応援していただければと思います。 ○中川座長 それは本当に、官僚の皆さんや東大からはなかなか出ないアイデアですね。その歌 はもうできているんですか。 ○山田委員 歌はできています。 ○中川座長 では、さわりを歌ってください。どうぞ。 ○山田委員 ここで歌うんですか。 ○中川座長 駄目ですか。 ○山田委員 あなたとつなごう その手と手  一緒に歌おう 大きな声で  あなたの優しさ あなたの笑顔をわかっているよ ありがとう  咲かせよう心に虹の花を あなたが大切だから アイリスの花  これが1番です。 ○中川座長 ありがとうございました。いいですね。 ○山田委員 中川先生に乗せられてこういうことになってしまうんですよ。 ○中川座長 この歌は議事録でどうするんですかね。お任せしますが、載せたらいいと思います ね。ありがとうございました。  さて、それでは、あと全体を通して、今日これは言っておきたいということがございましたら、 お願いします。随分仲良くなって、第1回目らしい懇談会になったと思います。  せっかく文部科学省から来られていますので、先生の教育というか、冒頭申し上げましたけれ ども、日本人はやはりだんだん死生観が変容してきて、死ぬことを考えないようになってきて、 学校の先生もやはり日本人の一員ですから、きっとそうなんでしょう。そうすると、確かに教科 書には書いてあるんだけれども、先生方がそれをもう少し深くがんのことを知った上で、生徒に 教えられるかなと思います。それはマスコミにも言えるんですよ。マスコミの方にも、やはりも っとがんのことをわかっていただいた上で記事を書いてほしい。そういう点では、学校の先生方 の研修のありかたを議論する、そういう取組みも必要ではないかなと思っています。  それでは、少しまだ10分ほど時間がありますね。せっかくの機会ですから、何かございます か。 ○若尾委員 今、中川先生から、今後のやり方等でいろいろ精力的な事例の勉強会をしたり、あ るいは本当に芸能人の方で御協力いただける方に御協力いただいたり、具体的にいろんなことを 考えていくというお話があったんですけれども、考えたものを実行に移すことは、どのような形 で実現されるんですか。我々が懇談会でまとめたものを実際に来年度以降、厚生労働省の事業に 何か反映されるような形はあるんでしょうか。その辺について御説明いただければと思います。 ○前田室長 いろいろと御意見をいただいたり、事例を発表していただいたりしたものを事例集 という形でまとめて、例えば今年度3回やったときの中間的なまとめとか、来年度また何回か御 意見をいただいた後でのまとめとか、適宜いろいろと情報発信をしていきたいと思います。  まさに今は、各都道府県でがん対策推進計画が、今、47都道府県のうち44県でつくられてお りまして、その中にもがん検診50%の目標値を立てられたり、宮城県では70%という目標値を 立てられたりされておりますけれども、そういった各都道府県が行う事業にきちんと利用してい ただくというふうに、県に対してそういう事例集を渡していく。県からまた各市町村に渡してい くという、自治体を使った情報提供で、そういった行政の事業に反映させて行くために使ってい ただくということが、まず1つあると思います。  それから、そういった推進計画に基づいて行っていただく事業については、国からも補助を出 してございますので、各都道府県に有効に活用していただくということで、先ほど1億7,000万 程度が普及啓発の事業費ということでございましたが、各都道府県がその地域の特性に応じて行 っていただく、自由な発想でやっていただくがん対策事業といったものについても補助金は出し てございますが、その中で普及啓発の事業をどんどんと各県で企画していただくことについても、 厚生労働省として予算を確保いたしてございますので、行政ベースではそういう形で今、考えて ございます。 ○中川座長 そういう点では、都道府県の啓発の活動の取組みの御報告をこの会でしていただい て、それにやはりこちらからコメントしていくことも必要かもしれないですね。  ほかにございますか。どうぞ。 ○若尾委員 もう一つ。今、山田さんにすばらしい歌声を披露していただいたんですけれども、 本当、我々にとってみれば、そういう有名な方がこういう活動に加わっていただくというのは非 常に魅力なんです。多くの方を巻き込むために、混声合唱団の方が、少しずつでも、例えば病院 とかいんなところで歌っていただくとか、それでがんはこういう病気で、こんな注意が必要です よというのも提示させていただいたり。 ○中川座長 先生、私はやはり病院以外の場も大事だと思います。がんの患者さんは、やはり勉 強するんですね。そうではない、一般の方たちに向かっても、是非。 ○若尾委員 そうですね。一般の人が集まるところでですね。  そういう活動を本当に是非、これから現実にできればいいなと考えているんですけれども、や はりそこで1つ止まってしまうのは、そういう方をお呼びするのは、非常にお金がかかってしま うとか、なかなかプロダクションとの交渉とかが大変だということが頭に浮かんでしまうんです。 ボランティアで御協力いただける方というのは、実際にいらっしゃるんでしょうか。 ○山田委員 46人です。 ○若尾委員 46人はボランティアで歌を歌ったり、実際にスケジュールが合えば、いろんなと ころに出向いて行くんですか。 ○山田委員 そうです。 ○若尾委員 それはすばらしいですね。 ○山田委員 大変ですけれどもね。 ○中川座長 事務所の方が後ろにおられますけれども、全くOKですか。 ○山田委員 これは事務所と関係なくやっていることなので、非常につらいところですけれども、 例えば鳥越俊太郎、倍賞千恵子、西田ひかるなどの車のナンバーから、スケジュールまで全部把 握しておるのは私です。事務局がありませんので、私が譜面をコピーし、手書きでやり、電話を して集めるということです。みんな飛行機に乗ったり、タクシーで乗り付けたりなどして、自分 たちで来るということです。ギャラはありません。ときどきお車代というのが出るので、それを 貯めておいて、それをまた寄附するということを続けています。 ○中川座長 感動しました。  衛藤さん、どうぞ。 ○衛藤委員 山田さんの歌を聞いて、いろいろ考えるところがありましたけれども、歌詞の中に も人と人がつながっているという言葉が出てきまして、がんに関する普及というのを考えていく と、結局子どもたちなり人々に命のことを考えてもらう機会を持ってもらうことが大事だろうと 思います。  学校教育の中では、道徳だとか、そういうところまで広げて考える必要があろうかと思います し、地域では、例えば私が住んでいる埼玉県和光市というところでは、市役所で多分今ごろのシ ーズンだと思いますが、「健康まつり」というものがあります。ここでいろいろ健康に関する話 題でいろんなイベントがあったり、屋台が出たりします。そういう雰囲気の中で今のような歌が 披露されたり、あそこで命を考える機会を持つとか、そういった日常の普通の生活の中で、そん なに深刻にならずに明るい雰囲気の中で考える場をつくっていくことも意味があるのかなと思 いました。感想です。 ○中川座長 そうですね。全くおっしゃるとおりですよ。  それはCD化されるんでしょう。 ○山田委員 多分これはつくっていくと思います。  この会を4月につくりまして、コンサートの方は、月に1回ぐらいずつ、ホールですとか、ホ テルでもやりましたし、この間はミッドタウンで6,000人ぐらいの外で歌うとか、メンバーには 『もののけ姫』などを歌う米良美一もおりますし、黒柳徹子もいますし、テノール歌手の錦織健 もいますし、いろんなジャンルの人がいますので、是非何かあれば言っていただければ、非常に みんなやる気は満々です。 ○中川座長 その収益の一部ががん対策になると更によくて、それで予算が随分浮いてなんてこ とになると、みんなが喜びますね。  もう時間がないのですが、塩見さん、今後のことに何かコメント等ございますか。 ○塩見委員 私は、この会の最終形といいますか、最終目標といいますか、どの辺を落しどころ にするのか、まだ不明なんですよ。 ○中川座長 そうですね。 ○塩見委員 まあ、今日は1回目だから、ここではっきりした道筋が出るわけではないんですが、 例えば普及啓発の手法をいろんなアイデア、提案をいただきながらまとめて事例集のようなもの をつくるのか、あるいは啓発のための事業実施をするのか。例えば先ほど山田さんもおっしゃっ たようなタレントも動員して、いろんなイベントを実施展開していくのか、あるいは都道府県に 啓発のアドバイスをしていくのか、また国に普及啓発のための予算を取ってもらうための圧力団 体となるのか、いろいろ考えられるんですが。 ○中川座長 塩見さん、それは全部必要だと思いますよ。それがすべて実現するかどうかはわか らないけれども、それはすべてやっていくべきだと思います。 ○塩見委員 そうですね。第2回の会議に向けて準備するときに、予算1.7億円の範囲で考えな さいというのか、あるいは企業からもお金を出していただいてもっと大きな事業を考えていくの か。我々の協会なども、企業の寄附が7割を占めています。ですから、企業から寄附をいただい て、それを基に考えれば、もう少し大きいこともできますね。 ○中川座長 それは一応、先ほどの予算の説明の中でもあったような気がしますよ。 ○塩見委員 企業連携という説明がありましたね。それは資金も提供していただくことも前提に 考えるんでしょうね。今後、どの辺まで私たちが考えていけばいいのか。単にいろんな意見を聞 いてアドバイスするだけでは、私は済まないと思います。 ○中川座長 そうです。今、おっしゃった4つをまず提案として出す。そのために、21年はち ょっと間に合うかどうかわかりませんが、22年度の予算においても、そこはやはり厚生労働省 にも考えていただくことは必要かもしれませんね。 ○塩見委員 まだカオスのような状態ですけれども、それは2回目以降に下げて検討すべきとい うことですかね。 ○中川座長 でも、今、落しどころがわかっていたらね、議論は必要ありませんから。 ○塩見委員 落としどころはまだまだ議論する必要がないのかもしれないですね。 ○中川座長 そういう点では、割と自由な形で議論を進めたいとおもいます。ただ、それがすべ て実現するかはまだわからないということもあると思います。  さて、それでは、今後の事務的な御連絡等がもしありましたら、お願いします。 ○前田室長 それでは、本日、御議論、御紹介いただきました内容につきましては、議事録を作 成いたしまして、厚生労働省ホームページに公開をさせていただくことになります。  議事録の案ができましたら、メンバーの皆様に御確認をお願いいたしたいと存じますので、ど うぞよろしくお願いいたします。  また、次回の開催につきましては、先ほども申しましたが、年内の開催を目指したいと思って おりますので、また日程調整をさせていただきます。先ほど少し申し上げましたが、諸外国の事 例ですとか、地方自体の事例、企業における取組みなどをオブザーバーをお呼びして御発表いた だき、皆様に御議論いただく予定でございます。  また、メンバーの皆様からも、本日の中川座長、若尾さん、衛藤さんのように資料を使って御 説明をいただければ光栄でございます。  以上でございます。 ○中川座長 それでは、もしほかになければ、第1回の懇談会を終了させていただきます。  どうもありがとうございました。 照会先 厚生労働省健康局総務課がん対策推進室                末政(内線2946)