08/10/22 平成20年10月22日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成20年10月22日(水) 14:58〜15:48  【場所】 中央合同庁舎5号館 共用第8会議室  【出席委員】(五十音順)     石田委員、北田委員、佐藤委員、棚元委員、長尾委員     米谷委員、山添委員、由田委員  【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、小山田専門官 ○磯崎補佐 それでは、定刻より若干早目ではございますが、先生方、皆さまお揃いいた だきましたので、薬事・食品衛生審議会、食品衛生分科会、添加物部会を開催させていた だきたいと思います。本日は御多忙のところ、御参集いただきまして、どうもありがとう ございます。よろしくお願いいたします。  本日は井出委員、井部委員、堀江委員、山内委員、山川委員、吉池委員より欠席との御 連絡を事前に受けております。現在、添加物部会の委員14名中8名の委員の先生方に御出 席をいただいておりますので、本日の部会は成立いたしますことを御報告申し上げます。 それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞ、よろしくお願いいたし ます。 ○長尾部会長 それでは、配布資料の確認を事務局からお願いいたします。 ○磯崎補佐 はい。本日、先生方のお手元に置かせていただきました資料は、議事次第、 委員名簿、資料一覧を一冊にまとめましたものと、一枚紙の座席表、そして本日の審議品 目に関する資料といたしまして、右肩に資料1−1としたものから始まりますのが2−エ チルピラジンの新規指定に関する審議会への諮問書、添加物部会報告書(案)、食品安全 委員会における食品健康影響評価に関する審議結果(案)をまとめたものでございます。  続きまして、資料2−1から始まりますのが、2−メチルピラジンの新規指定に関する 審議会への諮問書、添加物部会報告書(案)、そして食品安全委員会における健康影響評 価に関する審議結果(案)をまとめたものでございます。  続きまして資料3−1から始まりますのが、ネオテームの成分規格の一部改正に関する 審議会への諮問書、添加物部会報告書(案)、食品安全委員会からの健康影響評価を行う ことが明らかに必要でないときに該当するとの回答書をまとめたものでございます。  次に報告事項の資料といたしまして、「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響 評価の結果について」という一覧表でございます。本日、お手元にお配りしております資 料は以上でございます。もし、不足等ございましたら、お申し出いただければと思います。 特にございませんでしたら、審議の方に入りたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、まず議題1の2−エチルピラジンの添加物指定の可否について 審議を行いたいと思います。事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○磯崎補佐 はい。まず、本品目の背景から御説明いたします。2−エチルピラジンにつ きましては、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的に安全性が確認され、 かつ欧米で繁用されている添加物の一つとして挙げられている品目でございます。  これにつきましては、食品安全委員会へ平成20年5月26日に食品健康影響評価の依頼 を行いました。食品安全委員会では平成20年9月29日の添加物専門調査会で審議が行わ れ、現在、パブリックコメントの手続が行われているところでございます。  では、資料1−1から始まる資料に基づき御説明を申し上げます。一枚めくっていただ きまして、3ページから御覧ください。品目名は2−エチルピラジン。構造式、分子式等 はこちらにお示ししてあるとおりでございます。用途は香料として用いられるものでござ います。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、本品目はナッツ、あるいはココア様の香 気を有し、アスパラガス等の食品中に天然に存在し、また牛肉等の加熱調理などにより生 成する成分でもございます。欧米では焼き菓子等、さまざまな加工食品において香りを再 現し、風味を向上させるために添加されております。  食品安全委員会における審議結果でございますが、食品の着香の目的で使用する場合、 安全性に懸念がないと考えられると評価されております。  1ページ、めくっていただきまして、摂取量の推計でございます。食品安全委員会の評 価結果をこちらに抜粋してございます。本品目の米国及び欧州における一人一日当たりの 推定摂取量はそれぞれ6μg、3μgと推計されるところでございます。よって我が国に おける本物質の推定摂取量もおよそ3μgから6μgの範囲になると推定されるところで ございます。米国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意図的 に添加されたものの約490倍であると報告されております。  本品目の新規指定についてでございますが、使用基準案につきましては香料として使用 される場合に限定して食品健康影響評価が行われておりますことから、使用基準は「着香 の目的以外に使用してはならない」とすることを考えております。成分規格につきまして は、5ページ以降に収載してございます。  主な設定根拠等について御説明申し上げます。7ページを御覧ください。本品目はFC C規格がございませんので、JECFA規格に基づき、規格を設定しております。含量に つきましてはJECFAでは98%以上と規定されておりますことから、本規格では他の添 加物の規格値との整合性を考慮いたしまして、小数点以下一桁までを有効数字として、 「98.0%以上」といたしました。  性状につきましては、JECFAにおいて「かびのにおい、ナッツないしピーナッツバ ター様のにおいを有する無色から淡黄色の液体」と規定されておりますが、香気は人によ り必ずしも同一に感じるとは限らないことから、本規格では「無〜淡黄色の透明な液体で、 特有のにおいがある」といたしました。  確認試験、純度試験、定量法につきましては、基本的にJECFA規格をそのまま採用 しております。  次にJECFA規格では設定されておりますが、本規格では採用しなかった項目につい てでございます。まず、溶解性及びエタノールへの溶解性についてでございますが、本規 格では、IRによる確認試験を規定しておりまして、溶解性を設定する必要性は低いと考 えられるため、本規格ではこれらの項目については採用しないことといたしました。  沸点につきましては、JECFAで152℃と規定されているところでございますが、一 般的に香料化合物の品質管理はGC法により十分担保できるということで、沸点は必ずし も香料化合物の品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることから、本規格案 では沸点に係る規格は採用しないことといたしました。本物質に関する説明は以上でござ います。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、2−エチルピラジンについての御意見をお願いいたします。い かがでしょう。はい、どうぞ。 ○米谷委員 成分規格で98%以上ということですが、もし、入っているとしたら、一番可 能性のある不純物は何ですか。一つだけだと、この形しかないので。次の議題のメチルが 少しあるとか、そういうことはないですよね。どういう方法で合成されているのか、わか りませんが。 ○磯崎補佐 済みません。今、製造方法と不純物に関する資料を持ち合わせておりません ので、もしよろしければ追って確認の上、御連絡をさせていただくということでよろしい でしょうか。 ○米谷委員 結構です。面積百分率で98%以上ということなので、何か存在しているとい うことですよね。ですから、それが何かがわかれば、教えていただければと思います。 ○長尾部会長 佐藤先生、何か御意見はありませんか。 ○佐藤委員 はい。特に。 ○長尾部会長 では、その点、何かわかりましたら、御連絡をいただきたいと思います。 ○北田委員 済みません。ちょっとよろしいですか。 ○長尾部会長 はい、どうぞ。 ○北田委員 今のお話ですけれども、エチルとメチル、GCの条件がほぼ同じなのですが、 もしメチルがエチルの方に入っているとすれば、ここでは出てくると思うのですが。違う のは初期の保持時間、0分と5分とだけですね。だから、このクロマトを見る限り、全然、 ピークが出ていないので、多分、メチルは入っていないかなと思うのですが。 ○長尾部会長 GCの条件が違うんですね。 ○北田委員 そうですか。 ○佐藤委員 済みません。一応、メチルの方は沸点が137℃で、エチルの方は沸点が150℃ を超えますので、GCの分析条件が、これは違う。初期温度は50℃からですが、メチルの 方は最初に5分間、温度上昇、温昇しないで、5分間、そのまま放置して、その後、5℃ ずつ、5℃/分、温度を上げていっているので、ちょっと、これは条件が違うので、同じ 条件で分析した場合にどこに来るかというのはちょっと把握していませんが、多分、違う ところに離れるかなと。沸点が違いますので重なりはないですが、ちょっとそれで答えに なりましたでしょうか。済みません。 ○棚元委員 済みません、ちょっとよろしいですか。 ○長尾部会長 はい、どうぞ。 ○棚元委員 米谷委員の御質問は、どういう不純物があるかということで、そのことは規 格に何らか反映するというようなことをお考えということでしょうか。 ○米谷委員 いえ、全然。98.0%以上でこういうIRスペクトル。ガスクロのチャートを見 ますと非常にきれいだったものですから、一体、何が入っているのかなと思ったのです。 それだけです。ですから、メチル体や、前回、若干、問題になったような、何かそういう のがあるのかなと思ったのですが、今回は関係なさそうなので。 ○棚元委員 それを明らかにする必要があるかどうかということですよね。 ○長尾部会長 はい。 ○棚元委員 以前もここで香料の含量の話が出たときに、主成分が95%以下であった場合 は不純物も合わせて95%以上となるように規定するという基本原則を確認したと思うの です。今回は98%ということですから、その他の不純物を問題とすることになると、常に 香料に関してそういった問題が出てくるわけですよね。 ○長尾部会長 そうですね。 ○棚元委員 だから、そこまで言及する必要があるんですかということを、ちょっとお聞 きしたのです。そうことではないですね。 ○佐藤委員 済みません。 ○長尾部会長 はい、どうぞ。 ○佐藤委員 この98%というのはほかの物が2%、一つの化合物が入っているわけではな くて、細かく、いろんなものが不純物としてちょっとずつ入っているということで、多分、 同定はかなり難しいのではないかと。一つの物、明らかに何か入っているというのは余り、 何か一つのものとして押さえるのは、ちょっと答えが出ないかもしれませんね。調べては みますが。 ○長尾部会長 この問題、いいですね。ほかに御意見はありますか。もし、御意見がない ようでしたら、一通り、御審議をいただいたということで、この2−エチルピラジンの新 規指定については可とするということで、よろしいでしょうか。では、報告書をまとめま して分科会へ報告する手続を取ります。その後の手続につきまして、スケジュールにつき まして、事務局からお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、食品衛生分科会での審議のほか、パブリッ クコメント、WTO通報等の事務手続を開始したいと考えております。 ○長尾部会長 それでは、その手続を適切に進めていただくことにしまして、次に議題2 の2−メチルピラジンの新規規定の可否について審議をしたいと思います。事務局から御 説明をお願いします。 ○磯崎補佐 はい。ではまず、背景から御説明いたします。本品目につきましても先ほど の2−エチルピラジンと同様に、平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました国際的 に安全性が確認され、かつ欧米で繁用されている添加物の一つとして挙げられている品目 でございます。  これにつきましては、食品安全委員会へ平成20年5月26日に食品健康影響評価の依頼 を行いました。食品安全委員会では平成20年9月29日に添加物専門調査会で審議が行わ れまして、現在、パブリックコメントの手続が行われております。  それでは、資料2−1から始まる資料に基づき御説明を申し上げます。一枚めくってい ただきまして、3ページを御覧ください。品目名は2−メチルピラジン。構造式、分子式、 分子量はこちらにお示ししてあるとおりでございます。用途は香料となります。  概要及び諸外国での使用状況ですが、本品目はナッツ、あるいはココア様の香気を有し、 アスパラガス等の食品中に天然で存在する成分であり、また牛肉等の加熱調理などにより 生成する成分でございます。欧米では焼き菓子等、さまざまな加工食品において香りを再 現し、風味を向上させるために添加されております。  食品安全委員会における審議結果でございますが、食品の着香の目的で使用する場合は 安全性に懸念がないと考えられると評価されております。  1ページ、めくっていただきまして、摂取量の推計でございます。食品安全委員会の評 価結果の抜粋をこちらにお示ししてございます。本品目については、米国及び欧州におけ る一人一日当たりの推定摂取量はそれぞれ7μg、20μgと推計されているところでござ います。したがいまして、我が国での本物質の推定摂取量は、およそμgから20μgの範 囲になることが推定されるところでございます。米国では食品中にもともと存在する成分 としての本物質の摂取量は、意図的に添加された本物質の約2,300倍であると報告されて おります。  新規指定についてでございますが、使用基準案につきましては、本品目は香料として使 用される場合に限定して食品健康影響評価が行われておりますことから、使用基準は「着 香の目的以外に使用してはならない」とすることを考えております。成分規格については、 5ページ以降に収載してございます。  それぞれの設定根拠等について7ページから、主なポイントを御説明させていただきま す。2−メチルピラジンに関しましては、JECFA及びFCCに規格がありますことか ら、これらを参考に設定してございます。まず分子量につきましては、原子量表の2007 年版に基づいて計算をしますと、94.11となりますことから、この数値で規定してござい ます。  含量につきましてはJECFAでは98%以上、FCCでは99.0%以上と規定されており ますが、国際整合性を考慮いたしまして、JECFA規格の値を採用しております。また 他の添加物の規格値との整合性を考慮して、小数点以下一桁までを有効数字として「98.0% 以上」といたしました。  性状につきましては、JECFA、FCCともに「ナッツないしココア様のにおいを有 する無色から淡黄色の液体」と規定されておりますが、香気は人により必ずしも同一に感 じるとは限らないことから、本規格案では「無〜淡黄色の透明な液体で、特有のにおいが ある」と規定いたしました。  確認試験につきましては、JECFA、FCC、いずれもIR法を採用しておりますた め、本規格でもIR法を採用しております。  純度試験につきましては、屈折率、比重がJECFA、FCC、両規格において定めら れております。本規格案では国際整合性を考慮いたしまして、いずれもJECFA規格の 値を採用することといたしました。  そのほか、8ページでございますが、JECFA、FCCでは設定されているが、本規 格では採用しなかった項目についてでございます。まず、溶解性及びエタノールへの溶解 性については、本規格案ではIRによる確認試験を規定しておりますため、溶解性を規格 として設定する必要性は低いと考えられることから、採用いたしませんでした。  沸点につきましては、香料化合物の品質管理はGC法により十分担保されるということ から、必ずしも香料化合物の品質規格管理項目としては重要ではないと考えられますため、 本規格案では沸点に関する規格は採用しないことといたしました。  水分につきましては、FCCで水分含量0.5%以下の規定がございますが、JECFA には規格項目は設定されておりません。本品目は蒸留精製される製造過程で生じる水は十 分除去されているということ、そして水分含量は必ずしも香料化合物の品質規格管理項目 としては重要ではないと考えられることから、本規格案では採用しないことといたしまし た。本品目に関する説明は以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、2−メチルピラジンについて御意見をお願いいたします。 ○米谷委員 ちょっと、よろしいですか。 ○長尾部会長 はい、どうぞ。 ○米谷委員 規格案のところのIRチャートについてお伺いしたいのですが、このIRチ ャートを測定された方は今までの方と同じ方でしょうか。 ○佐藤委員 はい。そうです。これは実は以前にもうこの品目につきましては、IRチャ ートが必要になるということで、以前にまとめてとっていただいているチャートですので、 同じ先生に測定していただいております。 ○長尾部会長 何か問題がありますか。 ○米谷委員 試料の量が若干多くて、こういうふうにサチッているのかなと思ったもので すから。これが濃度的にきれいなチャートになっているんですよね。先ほどの2−エチル ピラジンに比べると、この1000〜1500カイザー付近ががかなり大きくといいますか、飽和 しているような感じがしたものですから。今までの先生にとっていただいているというこ とであれば、それで結構です。 ○長尾部会長 これでいいとお考えですか。 ○佐藤委員 一応、先生の方に確認してみます。 ○長尾部会長 はい。お願いいたします。ほかにはいかがでしょう。特に御意見がないよ うですので、それでは佐藤先生に、チャートについては確認をしていただくということで、 2−メチルピラジンの新規指定については可とするということで、よろしいでしょうか。 では、部会報告書を取りまとめて、分科会へ報告をする手続を取ります。事務局からスケ ジュールについてお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきまして、食品衛生分科会での審議のほか、パブリック コメント、WTO通報等の事務手続を始めてまいりたいと思います。 ○長尾部会長 では、それをよろしくお願いします。次に議題3のネオテームの成分規格 の一部改正について審議を行いたいと思います。資料の説明をお願いします。 ○磯崎補佐 ではまず背景から御説明いたします。ネオテームは事業者からの指定要請を 受けまして、平成19年12月28日に添加物として指定され、成分規格が併せて設定された 添加物でございます。  しかしながら、今般、その成分規格における純度試験のヒ素試験法につきまして事業者 より改正の要望書が提出され、その内容について検討を行いましたところ、当該試験法を 改正することが妥当であると考えられました。これにつきましては、規格値の変更を伴わ ない試験法の改正であることから、食品安全委員会に対し、食品安全基本法第11条第1項 に掲げられる食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないときへの該当性について 照会いたしましたところ、平成20年9月25日付で「これに該当すると認められる」との 回答が通知されたところでございます。  それでは、資料3−1に基づき、御説明を申し上げます。一枚めくっていただきまして、 ページの3ページ目を御覧ください。品目名はネオテーム。構造式、分子式、分子量はこ ちらにお示ししてございます。用途は甘味料として用いられているものでございます。  概要ですが、ネオテームはアスパルテームをN−アルキル化することにより得られるジ ペプチドメチルエステル誘導体でございます。本品目は、平成19年12月28日に添加物と して指定されるとともに、成分規格が定められました。  成分規格の純度試験(4)ヒ素の項につきましては、指定要請に基づき類似の化学構造 を有するアスパルテームの成分規格を踏まえた規格及び試験方法が設定されました。しか しながら、その後、事業者において添加物としての指定の後にヒ素試験法について検討を 行った結果、第1法より第3法の方がより精度の高い方法であることが判明いたしました。  このことから、今般、事業者よりネオテームの成分規格中のヒ素試験法につきまして、 こちらにお示ししてありますとおり、検液の調整法を第1法から第3法に変更することを 求める旨の要請書が提出されたところでございます。  ネオテームのヒ素試験法の妥当性を検証するということで、事業者においてヒ素の添加 回収試験が実施されております。検液の具体的な調製法として第1法から第3法までが公 定書に記載されておりますが、それらは参考資料として、7ページに収載してございます。 また、併せまして試験には装置Bを用いておりますが、こちらにつきましても参考資料と して、8ページ目に収載してございます。  それでネオテームと、ネオテームと構造が類似しているアスパルテームの両者につきま して、添加回収試験を実施しております。その結果が5ページ、上の表1にまとめてござ います。結果としては、ネオテームでは第1法、第2法では発色せず、添加したヒ素は回 収されないという結果が出てまいりました。一方で第3法につきましては、標準色と同程 度の発色があり、添加したヒ素は回収されるという結果となりました。アスパルテームに ついては、第1法で添加したヒ素は回収されるという結果となっております。  アスパルテームとネオテームは構造が非常に類似しておりますが、このように結果には 差が現れるということで、この原因について、事業者の方で検討・考察を行いましたが、 結果的にはその理由については不明であるとの報告を受けております。  5ページの食品安全委員会への意見照会についてでございますが、本改正案は、規格値 の変更を伴わない試験法のみの改正でありますことから、食品健康影響評価を行うことが 明らかに必要でないときに該当すると考えられましたことから、食品安全委員会に対し照 会を行いましたところ、「明らかに必要でないときに該当すると認められる」との結果が 通知されております。  以上を踏まえまして、成分規格の一部改正についてでございますが、本品目の純度試験 (4)ヒ素につきましては、試液の調製法を第1法から第3法に改正することが適当であ ると考えております。改正後の内容を反映した成分規格は、9ページ以降に収載してござ いまして、変更点は9ページの中ほどに下線でお示ししてございます。説明は以上でござ います。 ○長尾部会長 それでは、ネオテームについて御意見をお願いいたします。4ページの上 から4行目に「第1法より第3法の方がより精度の高い方法であることが判明した」と書 かれていますが、そのページの下の方の結果のところに「添加したヒ素が回収されなかっ た」ということで、何かちょっと表現が合わないと思うので、上の方を「第3法の方がよ り適切な方法であることが判明した」とか何か、変えて。 ○磯崎補佐 では、御意見を踏まえまして、こちらの方は修正をさせていただきます。 ○長尾部会長 はい。ほかには、御意見、いかがでしょう。 ○山添委員 これは全く、機序的にはわからないのですか。 ○磯崎補佐 そこの点について「もし、わかれば」ということで、事業者にも考察の方を 検討していただきましたが、ちょっと原因としてはわからないと。結果としては、このよ うな形で確実に差が現れてくるようですけれども、原因まではちょっと調べることができ ませんでした。 ○山添委員 というか、ここの文章のところで、やはり言葉の問題ですが、「回収されな かった」と書いてありますけれども、要するに実際の話は検出されなかったわけですよね。 ヒ素としての定量として。本当にこれは回収されなかったのか、回収されないということ はどこか昇華でもして飛んでいったのかということになりますが、本当は添加したヒ素と して、実際には検出されなかったというのが本当ですよね。 ○長尾部会長 わからないですね。 ○山添委員 わからないですよね。だから、そこのところ、「回収されなかった」となる と変に不安なことを想定させない方がいいんじゃないかと思うのですが、そこのところ、 専門の先生はいかがでしょう。 ○佐藤委員 これは単に「添加回収」なので「回収されなかった」という表現なのですが、 この試験法自体は密閉系の中からヒ素を別の容器に、ぶくぶくというか、移して吸収させ るという形なので、どこかに揮散してしまうという工程はないはずなので、表現としては 余り気にしなかったのですが、だから、どこかに行ってしまうということではなくて、そ の液の方から出てこなかった。そういうことで検出され。 ○長尾部会長 これは検出するのは、何で。 ○佐藤委員 試験法はちょっと書いていないのですが。 ○長尾部会長 発色。 ○佐藤委員 色で見るその色が標準液とどうかというので、最終的な判定を。 ○長尾部会長 その発色が阻害されているという可能性はないので、確かに「回収だ」と いうお話でしたら、「回収」でいいと思いますが、私はちょっとよくわからない。それと かはあり得ない。 ○佐藤委員 何かほかの物が出てくるのではないかとか、そういうことですか。ヒ素は来 ているけれども、色が出なかったとか、そういう。 ○長尾部会長 そういう可能性があるかどうか。 ○佐藤委員 そこは、多分、ないとは思うのですが。 ○長尾部会長 ですから、そこの問題だけで「回収」が適切か、「検出されない」が適切 かは、佐藤先生にお任せするということで。 ○佐藤委員 表現としては、「添加したヒ素」なので、「回収されなかった」ということ で。 ○長尾部会長 そういうことでよろしいですか。 ○佐藤委員 個人的には特に問題を感じないのですが。それが検出されなかった理由。 ○山添委員 僕は素人なので、ここのところで「添加されたヒ素が回収されなかった」と いうことは、何かすごくキレートをしているようなことが起きていて、そのまま薬物から 離れないような不安感を持たせない方がいいなと思って、そういう意味なんです。つまり、 キレートになっていて、安定になっていて、だからずっとくっついていて、薬物、このネ オテームと一緒のところにずっとあるというような印象を与えない方がいいかなと思った ということです。 ○佐藤委員 でも、多分、添加したヒ素がネオテームと一緒に残っているという、キレー トしているかどうかはわかりませんけれども、そちらに残っていることは確かです。そう だと思います。 ○山添委員 ネオテームに残っているのか、この方法上の問題で、何かのもので何かの形 で残っているならいいですが、だから、そうするとネオテームの場合には非常に何か強く ヒ素を結合しているような状態があるというのは、消費者がそういうことを心配するのは 余りよくないことかなと思うのですが。 ○佐藤委員 ただ、第3法の方では全部、灰化してしまって、その中のヒ素を測っている ので、第3法を使う限りは問題ないので。 ○山添委員 わかります。 ○佐藤委員 結局、第1法は今回、だめだということがわかったので、消費者に対する不 安はこれで解消されると。ただ、これはネオテーム0.5g、その溶液を加えて分析してい るものを「出てこなかった」ということなのです。やはり、そこまで、キレートしている かしていないかまでは、多分、わからない。 ○山添委員 わからないかもしれませんね。 ○佐藤委員 でも、「添加したヒ素」が「検出」。 ○山添委員 ここからオフレコですが、例えばアクシデントで、何かヒ素のある物とネオ テームとがたまたまお茶碗の中に、コップの中に混じっていた場合に、その物がくっつい て体内へそのまま入ってしまうということになりますよね。そういう飲料の場合に。だか ら、そのときにアスパルテームでは外れるけど、ネオテームでは一緒にずっと体内まで入 っていって、ずっと吸収される可能性があるというのは嫌だなと思われると困ると。オフ レコですけど。 ○國枝基準審査課長 先生、多分、確か水抽出と灰化法だったので、ネオテームの原体に ついて水抽出したときにはヒ素をディテクトすることはできなかったけれども、灰化した らできたということなので、いずれにしろ、ネオテームそのものの品質の管理では灰化法 でやれば、少なくとも完全にヒ素はもしコンタミをすればわかるということですよね。そ ういう前提。 ○棚元委員 おっしゃっているのは、多分、検出法の問題ではなくて、物性としてネオテ ームにヒ素が特異的にくっつくような要素があるのではないかということを心配しての御 質問ですよね。 ○山添委員 そうです。 ○國枝基準審査課長 だから、それは、品質管理をして。 ○山添委員 品質管理は問題ない。 ○棚元委員 それの問題ではないわけですね。ですから、規格上の問題ではないと思いま す。 ○山添委員 規格上の問題ではないです。規格上は問題ありません。 ○國枝基準審査課長 そうですけど、もし、仮にキレートしやすくなったということでも、 それはどの段階でということ、その。 ○山添委員 例えば、ネオテームそのものはよくて、だれかがコーヒーを飲むとするとし ましょう。たまたま、そのコップの中にヒ素がコンタミで、何かの原因でほかの物質が入 っていて、付いていたとした場合に、それが普通の場合に消化管の中に入った場合に、容 易に解離しなくて、キレートのまま体内に入る可能性とか、そういうことを心配する人が いると困るなと。一旦、くっつくと外れないので。  製品としては規格をされているので、勿論、入っていないので問題はないと思いますけ れども、ただ、そういう物性なら仕方がありませんが、そうではなくて、別の原因で回収 されないということがこういうふうに表記をされたときに、そういうふうに読まれてしま うと非常に嫌だなと思ったので、さっき言ったということなのです。 ○長尾部会長 よろしいですか。何か御意見はありますか。 ○佐藤委員 いいですか。ちょっと、事業者の資料を見たときにヒ素試験で「どうも泡の 出方が少なかったので、回収試験をやった」というような記述があったので、何かそちら、 溶液自体の、結局、それだけいつもぶくぶく出るものが、ぽこぽことしか出なかった、ア スパルテームというのに比べて、その気泡の量が少なかったという表現で、何かしらその 気泡を阻害するような条件だったのでヒ素が来なかったのかなと。その試験法の問題かな と思うのですが。 ○山添委員 それなら、いいんですけど。 ○佐藤委員 ただ、表現としてその「回収」かどうかというところはちょっと難しい。多 分、これは溶液を与えているので、ネオテームが直接、何かヒ素を取り込むとか、そうい う問題ではないような気がするので、多分。 ○長尾部会長 この表現は、これは表現法ですから、検出されないことを「回収されない」 という言葉を使うと。そういうことですね。それが一般的な。 ○北田委員 試験の名前自身が「添加回収試験」という一般的に使う言葉ですので、添加 した物が出てこないのは「回収」でいいと思います。 ○長尾部会長 はい。ほかには。先生。米谷先生、いいですか。 ○米谷委員 ええ。 ○長尾部会長 それでは、一通り、御審議をいただきましたので、ネオテームの成分規格 の一部改正については、ちょっと修文していただいて、可とするということでよろしいで すね。では、部会報告書をまとめまして、分科会へ報告する手続を取ります。では、その 後の手続について。 ○磯崎補佐 部会報告書は先ほど御指摘いただいた点を一部修正いたしまして、食品衛生 分科会での審議のほか、パブリックコメント、WTO通報等の事務手続を開始したいと思 います。 ○長尾部会長 では、よろしくお願いします。ほかに審議事項として事務局から何かあり ますでしょうか。 ○磯崎補佐 特に審議事項としてはございません。 ○長尾部会長 では、報告事項をお願いいたします。 ○磯崎補佐 それでは、報告資料「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価結 果について」を御覧いただきたいと思います。前回9月24日の添加物部会以降に進展のあ った点についてのみ御説明をさせていただきます。  まず、2ページの中ほど下に加工デンプン11品目がございますが、こちらが今月、10 月1日に新たに食品添加物として指定される運びとなりました。あと、最後の4ページの 下から4つ目と3つ目でございますが、こちらは本日、10月22日の添加物部会で御審議 いただきましたので、本日の日付を追加しております。以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、ほかに何か議題はありますでしょうか。報告事項等。 ○磯崎補佐 それでは、一点、口頭で御報告申し上げたい点がございますので、御説明い たします。以前、当部会で、前回の9月末の部会でございますが、ナイシンの規格の修正 について御審議いただきました。その後、10月10日に分科会が開催されまして、そちら でその修正点について御審議いただいたところでございます。  その結果、微生物限度試験につきまして、分科会の委員から「なぜ、この微生物限度試 験を規格項目として設定しているのか、その理由について示してほしい」という意見がま ず第1点。第2点目といたしまして、規格値自体はJECFAがFCCよりも少し緩い規 格値となっておりますので、「その理由と妥当性について整理してほしい」ということで、 コメントをいただきました。  現在、棚元先生、佐藤先生、そして長尾先生とそのコメントに対する回答ぶりについて 御相談をさせていただきながら、回答案の作成を進めているところでございます。こちら については取りまとめが成り次第、分科会委員への説明を行っていきたいと考えていると ころでございます。  今後、当部会におきましても、回答の内容、そして分科会での最終的な審議の結果につ いて追って御報告をさせていただきたいと考えております。以上でございます。 ○長尾部会長 この点につきまして、ナイシンの件につきまして何か御意見はありますで しょうか。ほかの件でも結構ですが。よろしいでしょうか。それでは、次回の予定につい て事務局からお願いします。 ○磯崎補佐 添加物部会につきましては、第4水曜日の午後の開催を定例開催とさせてい ただいておりますが、諸般の事情によりまして、次回の添加物部会は平成20年11月25 日、火曜日の午後2時からの開催を予定しております。場所、議題につきましては、また 改めて御連絡申し上げます。 ○長尾部会長 それでは、本日の審議は終了いたしまた。どうもありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)