08/10/14 社会保障審議会第14回少子化対策特別部会議事録 日時:2008年10月14日(火) 17:00〜19:10 場所:厚生労働省 省議室(9階) 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、内海委員、小島委員、清原委員、駒村委員、   佐藤委員、庄司委員、杉山委員、宮島委員、山縣委員  参考人(オブザーバー)   社団法人日本経済団体連合会経済第三本部長 今井 克一参考人(福島委員代理)  参考人(ヒアリング)   東京都福祉保健局少子社会対策部長 吉岡 則重参考人  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、朝川少子化対策企画室長、   杉上虐待防止対策室長、定塚職業家庭両立課長、藤原家庭福祉課長、田中育成環境課   長、中村児童手当管理室長、今里保育課長、宮嵜母子保健課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について   1.保育サービスの提供の新しい仕組みについて   2.保育サービスの質について   3. 関係者からのヒアリング     〜ヒアリング出席者〜      東京都福祉保健局少子社会対策部長 吉岡 則重参考人 配付資料:  資料1 保育サービスの提供の新しい仕組みについて(2)(第13回少子化対策特別部会  資料3)  資料2  保育サービスの質について(2) (認可外保育施設の質の向上)  資料3-1 東京都提出資料(1)  資料3-2 東京都提出資料(2)  資料3-3 東京都提出資料(3)  参考資料1 岩村委員提出資料  参考資料2 大石委員提出資料  参考資料3 清原委員提出資料  参考資料4 吉田委員提出資料 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から第14回社会保障審議会少子化対策特別部会を開催 いたします。委員の皆さま方におかれましては、ご多用のところお集まりくださいまして ありがとうございました。  議事に入ります前に、事務局より資料の確認と委員の出席状況に関してご報告をお願い いたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配付させていただいております資料の確認をさせていただきます。 最初に議事次第がございまして、その下に資料1としまして前回ご提出している資料(2)が あります。その次に、資料2としまして「保育サービスの質について(2)」があります。そ の下に大きいA3紙で東京都保健福祉局の資料として資料3-1がございます。その下に資 料3-2という東京都から出していただいた資料があります。さらにその下にも東京都から 出していただきました資料3-3「モデル契約書」という表題の資料があります。その下が 参考資料で、参考資料1が岩村委員のご意見、参考資料2が大石委員のご意見、参考資料 3が清原委員のご意見、参考資料4が吉田委員のご意見となっております。不足等がござ いましたら、事務局の方にお声を掛けていただければと存じます。  委員の出席状況でございますが、本日は岩村委員、大石委員、野呂委員、福島委員、山 本委員、吉田委員から、ご都合により欠席とのご連絡をいただいております。駒村委員と 宮島委員は出席の予定でございますが、到着が遅れるというご連絡をいただいております。  なお、本日ご欠席の福島委員の代理といたしまして社団法人日本経済団体連合会経済第 三本部長の今井克一参考人にご出席いただいております。  ご出席いただいております委員の皆さま方は定足数を超えておりますので、会議は成立 しております。  次に、本日参考人として本部会にご出席いただいております参考人のご紹介をさせてい ただきます。東京都福祉保健局少子社会対策部長の吉岡則重参人でございます。 ○吉岡参考人  吉岡でございます。よろしくお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、参考人のご出席につきましてお諮りいたします。 本日ご欠席の福島委員の代理としてご出席いただいております社団法人日本経済団体連合 会経済第三本部長の今井克一参考人のご出席につきまして、ご異議はありませんか。 (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、議事に入りたいと思います。お手元の議事次第にあ りますように、まず、前回に引き続きまして「多様な提供主体の参入について」に関し、 「保育サービスの提供の新しい仕組みについて(2)」について、確認的な意味合いを含めま して事務局からご説明をいただいた後、皆さまにご議論をお願いします。  続きまして、「保育サービスの質の向上について(2)認可外保育施設の質の向上」につい て、事務局から説明を伺いました後、東京都から認証保育所制度等につきましてヒアリン グを行った後で、一括して皆さまにご議論をお願いします。  なお、本日は岩村委員、大石委員、清原委員、吉田委員から前回の議論等に関しまして、 文書にてご意見の提出をいただいておりますことを申し添えます。  それでは、前回の議論の続きといたしまして、前回資料の抜粋である資料1「保育サー ビスの提供の新しい仕組みについて(2)」につきまして、確認的な意味合いを含めまして事 務局からご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、リマインドの意味で資料1をお開きいただきまして、前回ご説明した資料を もう一度振り返っていただければと思います。2ページ以降に現状の仕組みの解説があり ます。7ページに「検討の視点」ということで、このような論点があるのではないかとい うことで幾つか挙げさせていただいておりますが、一つ目としまして、認可の仕組みにつ いては都道府県知事に広い裁量があるということ、さらに市町村の保育の実施義務の例外 措置があるということなども踏まえて、認可に対して抑制的にはたらきやすい側面がある のではないかということ。二つ目としまして、必要な客観、今でいう認可基準を満たすも のであっても、必ずしも認可されないことがあり得るということで、多様なサービスのニ ーズへの対応、あるいはサービスの質の向上という意味でインセンティブがはたらきにく い仕組みになっているのではないか。三つ目としまして、必要な客観基準を満たすサービ スについては、保育サービスの利用保障を強化していく上で給付対象とすべきではないか。 四つ目としまして、過疎地域などにおきましては、地域の保育機能の維持という視点も必 要ではないか。  8ページ目の一つ目の○です。株式会社やNPO法人に施設整備費の補助が行われない ということに関連して、初期投資費用分をどうするかということ。二つ目としましては、 諸々ある保育所の運営費の使途範囲の制限に関連して、一つ目としましては新規の保育所 の設置費用を整備費などに充てづらいということ。二つ目として賃借料にも充てづらいと いうこと。三つ目としましては、株式会社の場合は配当へ充当することが認められていな いということ。四つとしましては、社会福祉法人会計基準の財務諸表の作成についての手 間の問題があるという論点です。  最後のところは、量の拡充を図っていく上で、適切 な人材確保などの質の担保をいかに図っていくか、あるいは指導監督のあり方をどのよう にしていくかという論点があるというものです。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の点につきましてご議論をお願いいたしま す。いかがでしょうか。今井参考人、お願いします。 ○今井参考人  現状におきましては、やはり多様な事業者の参入、そして柔軟なサービス提供を行える 仕組みをつくっていくことが非常に重要な課題と認識しております。それで、ここの論点 では8ページにいろいろな面での補助の問題が書かれておりますけれども、事業者の種類 に応じて差を設けていくという積極的な理由は見出せないのではないかと考えているとこ ろです。多様な事業者の参入を促していくという意味からも、ここで挙げられております ような論点につきまして一つずつ丁寧に見ていく必要があるのではないか。特に、施設整 備の減価償却等については、やはりかなり大きな負担要素になっていると思われますので、 そういったことも含めましてぜひ見直しの方向でご検討をいただければと思うところです。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。  杉山委員、お願いします。 ○杉山委員  今のご意見にも関連するのですが、やはり株式会社やNPO法人が初期投資費用の補助 がない部分や、そういう部分は公平に事業に参入するという意味では、少し見直しも必要 なのではないかと思います。8ページの二つ目の○に(1)、(2)、(3)、(4)ということで、この 指摘に対してどう考えるかということも出ているかと思いますけれども、(1)、(2)、(4)に関 しては、検討していくということがあると思いますが、株式会社への配当の充当に関して は、どうしても補助金には税金が入っていますので、それを配当にまわすことに関して、 少しだけ懸念があります。その分が株主にいってしまうのもどうかという気がするので、 これだけが少し引っ掛かっているということをお伝えしたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがですか。駒村委員、お願いします。 ○駒村委員  今の二つの点は、8ページの一番上の点も3番目も、どういう考えで、どういう根拠で こういう規定になっているかという事情を、もう一度解説してもらった方が良いような気 がします。保険料、あるいは税が入っているお金というのは、配分してはいけないという 大原則があるかどうかということを、もう一度事務局に解説していただきたいと思います。 ○大日向部会長  室長、お願いできますか。 ○朝川少子化対策企画室長  まず一つ目の施設整備費の補助が株式会社等に入らないということにつきましては、憲 法89条という規定があって、基本的にこういう福祉の領域、教育などもそうですが、公 の支配に属していない主体に補助ができないという大原則がありまして、社会福祉法人や 学校法人については、特別の法律があって、公の監督の仕組みが用意されているわけです が、そうでない主体については憲法上の問題があるということです。  株式会社の配当につきましては、基本的にはやはり公的補助の体系、とくに委託費とし て支払われていますので、そういうことも踏まえて、この配当というのはなじまないとい う整理をさせていただいているものでございます。 ○大日向部会長  今の説明で、よろしいですか。では山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  駒村委員の質問に対する回答で、一つ抜けていたと思いますが、保険料の部分について も、そういう解釈になるのですか。介護保険では、特に在宅サービスは企業が運営してい ますよね。そうしたときに、そこで生み出された収益は配当に回せないということになる のか。実際には回っているのではないかという感じがありますが。 ○朝川少子化対策企画室長  補足します。どこまで正確かどうかという問題はありますが。私の知り得る範囲でいき ますと、介護保険制度については、法的な構成が利用者に対してお金の支払いがされる。 それを代理受領という形で事業主が受け取るという仕組みになっていまして、表面上だけ 見ると実施主体である市町村から事業者の方にお金が直接支払われているような感じにな っていますが、法律上の構成が利用者に対して支払いがされていることもあり、この配当 への充当を禁止しているということはない。使途範囲の制限をここに関して掛けているこ とはないという理解だと思います。 ○大日向部会長  山縣委員、よろしいですか。 ○駒村委員  もう一つ。1ページの右側のところに、財源構成を少し考え直さなければいけないと書 いてありますが、財源構成が事業主負担や、いわゆる公費以外のものもかなり入ってくる 構成になってくると、それはどう関係してくるのかという点も、今のお話と絡めて。 ○朝川少子化対策企画室長  私の理解が不十分かもしれませんが、まず配当の問題については、財源構成が仮に事業 主負担が入ったり、いろいろな組み合わせになったからといって、直ちに変わる性格のも のではないのではないかと認識しています。基本的には、先ほど申し上げた介護保険でい うと、お金の払い方が利用者に対する補助になっている点、あるいはそもそもの考え方と して、こういう公的な財源が、もし事業主負担が入った場合はそれらも含めて、公的な財 源をどこまで配当として認めるかという政策判断というか価値判断の問題として決まって いるような気がいたします。 ○大日向部会長  他に、いかがでしょうか。よろしいですか。  それでは、この8ページに関しまして、つまり「保育サービスの多様な提供の新しい仕 組み」に関しては、とりあえずこの辺りでということにさせていただいて、また戻って議 論していただいても結構ですが。  この8ページの最後の○ところの「多様な提供主体の参入や量の抜本的拡充に際して、 適切な人材確保などの「質」の担保の方策や、指導監督のあり方をどのように考えるか」 ということがあります。これは大変重要な点だと思いますが、この点に関しましては、本 日の二つ目の議題であります「保育サービスの質について」も大きくかかわることですの で、そちらの方へ移らせていただきたいと思います。  それでは、まず資料2「保育サービスの質の向上について」の説明を、事務局からお願 いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  資料2を1枚おめくりいただきまして、この資料2がカバーしている部分がどこかとい いますと、右側の赤い太線が付されている部分で「質の高いサービス」云々と書いてある ところの四角の枠の中に「保育サービスの質の維持・向上」の二つ目のポツに「認可保育 所を基本としつつ認可外も含めた全体の質の向上」とありますが、ここに該当するテーマ です。  1枚おめくりいただきまして、認可外保育施設に関連します現行制度がどのようになっ ているかを若干、振り返っていただければと思います。まず類型としまして、私どもが行 政上、一般的にこのような類型分けをしているというものでございますが、一つは事業所 内保育施設。これは病院内の保育施設も含みますが、そういう類型です。  二つ目としまして、通称ベビーホテルとしているものがございまして、これは(1)、(2)、 (3)のいずれかに該当すればベビーホテルとしています。(1)は昼間やっていても構わないわ けですが、夜8時以降も保育をしている。(2)は宿泊を伴う保育をしている。(3)は利用児童 の半数以上が一時的な利用である。このいずれかに該当すればベビーホテルという類型に しています。  (3)として、その他の認可外保育施設という区分をすることがよくございます。  二つ目の○としましては、こういった区分とは別に自治体独自の認定基準を設けて助成 をしている類型がありまして、今日おいでになっている東京都の認証保育所でありますと か、何回か前に来ていただいた横浜市の横浜保育室などの自治体単独保育施設というもの があります。  三つ目の○は、最近できました認定こども園制度の中で、幼稚園型と地方裁量型といわ れている類型の保育所部分につきましては、認可がされていない部分でございますので、 いわゆる認可外保育施設の一類型ということになります。  次に、認可基準あるいは定員規模についてですが、一つ目の○にあります通り、これは 当たり前の話ですが、今認可保育所については最低基準というものがありまして、その遵 守を求めておりますので、その基準を満たさない場合は認可が行われない、すなわち認可 外保育施設になるという関係になります。※印にありますが、先ほどの資料でもありまし たように、実はそういう認可基準は満たしているけれども認可されないという場合が現行 制度では1年コースで認められておりますので、そういう基準を満たしていても認可され なければ認可外保育施設と現行制度はなっています。  一番下の○は、定員規模につきまして認可保育所は原則60人以上ということになって います。それが都市部あるいは過疎地域など一定の要件を満たす場合には、例外的に20 人まで定員規模が引き下げられるという仕組みになっています。  1枚おめくりいただきまして、認可外保育施設に対する指導監督の仕組みといたしまし ては、制度上、事後の届出義務が設置者に課されており、知事による指導監督・勧告・公 表・事業停止命令の対象になる。ただ、この監督の際の基準としましては、認可外保育施 設指導監督基準という、先ほど出ていました最低基準とは別のものが定まっていまして、 一度次のページをお開きいただきまして字が小さくて恐縮ですが、左側の方に最低基準と 認可外保育施設の指導監督基準を比較した表を用意しています。  主な違いは、まず「職員」のところにありまして、最低基準の方は年齢別に3対1と定 まっていますが、認可外の方は、11時間開所の場合は最低基準に規定する数以上となって います。最大の違いは、その職員の下のところにありますが、最低基準で「保育士のみ」 と書いてあるところで認可外保育施設の方は「保育者の3分の1以上が保育士又は看護師 資格が必要」という形になっている。ここは大きく違うところです。  次に、「設備」の基準としましては、認可外の保育施設の方は単純に保育室は1人当た り1.65平方メートル以上、調理室、便所となっています。その結果最低基準と大きく違う のは、2歳未満のところでいいますと、ほふく室は1人当たり3.3平方メートルとなって いるところが、認可外の方はそういう基準が掛かっていない点。あるいは2歳以上につき ましては、保育室について1人当たりの面積が高い基準になっていますが、認可外の方に はそのような基準が設けられていないということ。こういったところに主な違いがありま す。  お戻りいただきまして3ページ目の下の箱ですが、認可外保育施設に対する財政措置に つきましては、認可保育所については当然運営費につきまして市町村からに対する支弁義 務が掛かっていますが、認可外保育施設についてはそのような運営費の補助は法制度上場 はありません。一部、認可に移行することを支援する補助金、あるいは事業所内保育施設 であればそれに対する助成金というものが別途ございます。あとは、各自治体が独自に支 援するか否かという形になっています。  1枚おめくりいただいて4ページ目の右側の方を見ていただきますと、今、出ていまし た認可外の保育施設が認可化に移行するための支援、その助成の仕組みが四つほどありま すが、一番上にありますのは、まさに認可に移行しようとするときに保育士を市町村が派 遣して保育内容の指導を行うといった事業。二つ目は従業員の健康診断。三つ目は、ベビ ーホテル等に通っている子どもが認可の方へ来た際に、児童の発達状況のチェックや親に 対する相談・助言などを実施する事業。四つ目は、認可外保育施設の従業者の研修を行う 事業。そういったものが額は少ないのですが現行制度でも予算補助という形の仕組みがあ ります。  5ページ目には、事業所内保育施設につきましては別体系で雇用保険の財源を活用した 助成の仕組みがありまして、左側の平成20年度のところを見ていただくと、設置費、増 築費で云々ということでハードに関する助成があるということと、一番下のところに運営 費ということで、支給期間5年間を限度とする運営費補助も行われているということです。 ちなみに、平成21年度の概算要求の中身として、この運営費につきましては、支給期間 を10年間にするべく要求中です。  現行制度は以上でございまして、6ページ目以降では実態について幾つかデータを用意 させていただきました。まず6ページ目でございますが、一番上の○を見ていただきます と、認可外保育施設の数は約1万箇所あります。利用児童数は約23万人です。これは認 可保育所と保育所の数として比較しますと、約2分の1の数があるということ。利用児童 数の数でいきますと、約1割の割合を占めているという状況です。  次に、左下のグラフは利用児童数などの推移ですが、真ん中の折れ線グラフが事業所内 保育施設ですが、これは若干低下傾向、減少傾向にあるということ。一番下のベビーホテ ルのところは若干増加傾向にあって、一番上にあります「その他の認可外保育施設」の利 用児童数は横ばいという利用状況が見てとれます。  右側のグラフは自治体単独保育室について見てみたものですが、折れ線グラフで利用児 童数を見ますと増加傾向にありまして、足元の平成19年でいきますと4万人を若干超え ているという状況です。  1枚おめくりいただきまして、認可外保育施設の事業規模でございます。左側の円グラ フを見ていただきますと、16〜20人というものが下の方にありますが、すなわち20人未 満で大体5割を若干超えるぐらいです。従って、先ほど冒頭で見ていただいたように、認 可保育所の例外規模は例外的に20人まで下げられると申し上げましたが、それより小さ い規模でやっておられる認可外保育施設が数としては多いです。60人以上にいきますと1 割に満たない状況です。  1枚おめくりいただきまして、次は利用児童の分布がどうなっているかということです が四つ並べております。一番下が認可保育所です。比較的、均等に分布していまして、4 歳を超えたところが45.1%ということで、それなりの割合を占めているのに対しまして、 特にベビーホテルを見ますと、3歳未満児の受け入れ数が割合として非常に多い状況が見 て取れます。次に下の表ですが、設置主体がどうなっているかです。まず総数の一番左の 平成18年のところを見ますと、認可外保育施設は個人立が56.3%ということで約6割が 個人立の認可外保育施設ということです。その次の欄の事業所内保育施設は、事業所内で すので会社立が多い状況です。ベビーホテルのところを見ますと、個人立と会社立がほぼ 同じぐらいで、一番右側のその他の認可外保育施設になりますと約7割が個人立という状 況になっております。  1枚おめくりいただいて、開所時間についてです。真ん中の円グラフが認可保育所で、 12時間を超えて開所している所は8%で、ほぼ8割以上が10〜12時間の開所時間という 状況です。一方、左上のベビーホテルについて見ますと、逆に12時間以上開所している 所が9割以上という状況です。右側のその他の認可外保育施設ですと、12時間以上という 所が約3割あるということですので、早朝や夜間というニーズを認可で受けきれないとこ ろを認可外が対応している状況がうかがえます。  次に10ページ目ですが、ハードの基準です。これはずばりそのデータがありませんの で、一定の換算をして見てみたものですが、左側の円グラフを見ていただきますと、認可 基準をおおむね満たしているのではないかという広さを持っている所が64.9%ということ で約3分の2あります。東京都の認証保育所の基準をクリアしているのが約4%ぐらいあ りまして、推計ですけれども、思ったほど多くはないという感じです。恐らく人員基準の 方が緩和の主なポイントになっているのではないかと思われます。(4)の赤色のところで、 認可外の指導基準を満たしていない所が1割強ある状況が見てとれます。  1枚おめくりいただきまして、今のものは1歳児以上のところで保育室について見てみ たものですが、11ページの方は乳児室について見てみたものです。(3)不明が結構な割合を 占めていますので、円の形が少し違いますが、それでも認可基準以上という所は5割を超 えてある状況です。  次に12ページ目です。ハードの基準の関係で調理室についてのデータですが、約半数 は自園調理を行っているという回答になっております。しかしながら、2割は外部搬入、2 割は弁当持参ということですので、半分ぐらいは自園調理がされていないところからする と、調理室を有していない可能性がある状況です。  次に13ページ以降何ページかは人員に関するものですが、これも認可外保育施設につ いては人員配置基準のぴったりのデータがありませんので、ここでは職員に占める保育士 の割合を特別集計してみたものです。左側の円グラフの常勤・非常勤を合算して見てみま すと、認可の基準は冒頭に見ていただきましたように、100%保育士である必要があるわ けですが、100%をクリアしているのは22.2%ということで4分の1弱ということです。 ちなみに単純に比較はできませんが、東京都の認証保育所の基準は後でご紹介いただきま すが、6割以上となっていますが、そこをクリアしているのは約6割かという状況です。 総じて、かなりばらつきがあるということが見受けられます。かなり満たしていない、要 するに保育士でない無資格者で人員を満たしている所が結構あるということが見て取れる かと思います。14ページはそれを施設種別ごとに見てみたものです。基本的な傾向はあま り変わらないのですが、右下の事業者内保育施設はさすがにといいますか、保育士100% という割合が42%ということで結構高い状況が見て取れます。  次に15ページ目ですが、認可外保育施設の利用料についてです。グラフの見方として は、青い紫色の棒グラフは事業所内保育施設で、歳ごとに見てもおおむね2万円台という 状況です。これは企業の助成などもあるということだと思います。それ以外のベビーホテ ル、その他認可外保育施設を見ますと、おおむね3万円台から4万円台、3〜5万円程度の 水準になっております。ものすごく高い水準ではないことが見てとれると思います。もう 一つは、基本的には所得にかかわらず保育料が徴収されているはずですので、そうします と、この水準だと低所得層には少しきついかなという感じかと思います。認可外保育施設 の場合は公的な助成が基本的には入りませんので、この3〜5万円という利用料だけで収 入を賄っているということでしょうから経営としてはかなり厳しい。従って、前のページ にありましたような人員基準が保育士でない割合が多いというのもそういったところに影 響しているのかと思います。  16ページは参考としまして、認可保育所の費用徴収基準です。これは国の基準で実際に は自治体が上乗せして補助をしているケースが多いので、実際に徴収されている額はもう 少し低いかもしれませんが、中所得者以上のところは5万円、6万円、7万円、8万円とい う費用徴収をされる場合もある。先ほどの認可外保育施設と比べると、認可の方が高い場 合もあるということが見てとれます。  次の17ページ目は、認可外保育施設に入っていらっしゃるケースで、どういう理由で 入っているかについてです。左側の円グラフは、認可保育所と比較した上で入っているの かどうか。比較して入っている方が約6割いらっしゃいます。比較して入ったときに、な ぜ認可外を選んだかについては右の円グラフですが、「認可保育所に空きがなかった」と いうのが4分の1ぐらいあります。あとは「利用時間が合わなかった」というのが15%で す。そして左側のオレンジ色のところが「預けたい時期に入れなかった」というので10% です。おおむねこの三つぐらいが認可保育所に本当は入りたいけれどもということだと思 います。下にあります水色のところは「認可保育所の費用の方が高くついた」というのが 1割強あります。そういう状況です。  次は18ページ目ですが、認可外保育施設の利用者についてなぜその施設を選んだか、 その理由を聞いてみたものです。圧倒的に多いのは「自宅から近い」。これは認可保育所 でも同様な選択傾向かと思いますが、自宅から近いということを選択理由としている人が 多いです。これはやはり近い所を選ぶということからすれば、近い所に一定の質が確保さ れた保育施設や保育所があることが望ましいということが、ここからもうかがえるのでは ないかと思います。もう一つは茶色が施設選択理由で最優先というものですが、これで一 番高いのは「保育方針や内容がよかった」が14.1%と一番に挙がっていますので、保護者 の目から見て保育方針や内容がよかったと思って入っている人もそれなりにいる状況かと 思います。  次に19ページ目です。今度は施設側が認可に移行したいかどうかの移行希望ですが、 41%が認可に移行したいと思っておられるということです。その移行したいと思っている 施設の中で何が問題点かを聞いたのが右側で、6割が認可基準に合わないという答えです。 約3割は手続きが煩雑だというお答えもあります。  このピンク色の6割の認可基準に満たないといった所の、何が満たないかが次の20ペ ージ目です。一番多く挙がっているのは77%で施設設備基準ということです。面積の問題 あるいは調理室など、ハードに関連する基準がなかなか難しいということです。あとは立 地基準や職員の配置基準もそれなりにあるということです。  次に21ページ目です。これは前回に山縣委員からご指示のありました資料で、十分で ないかもしれませんが、3歳未満児における各都道府県の保育所の利用率を見たものです。 一番右側が全国平均で、オレンジ色で点々と付いているのが認可保育所と認可外保育施設 のカバー率です。全国平均でいくと約2割強が3歳未満児の利用率です。一方、前回のお 話でいきますと、東京近県の埼玉県、千葉県、神奈川県辺りは、確かに利用率は低く10% 台半ばですので、仮に今、全国平均に上げれば、認可外でなく認可保育所で全国平均まで は満たせるということかと思います。ただ、一方で東京都は認可だけで20%を超えていま すので、必ずしも認可だけで全国平均までいけばという関係にはなっていないかと思いま す。  次に22ページ、23ページが「検討の視点」ということで、幾つか論点を挙げさせてい ただいております。まず一つ目は「すべての子どもの健やかな育ちを支援する」という少 子化対策特別部会の第1テーマですが、そういった観点からしますと、認可外保育施設に 入っている子どもに対しても良好な育成環境の保障ということが重要かと思います。そう しますと、認可基準の到達に向けて「認可外保育施設の質の向上に対する支援を強化する べきではないか」ということかと思います。そういう論点が一つあるということです。二 つ目は待機児童が解消できていない中で、認可保育所に入所できないと、質の保障も公費 投入も得られないという点について、公平性に欠けるのではないかという論点があります。 三つ目は幾つかのデータで見ていただきましたが、夜間の保育など認可外保育施設が主に 対応してきているような部分がありますけれども、そのような多様なニーズに対応するサ ービスをどのように位置付けているか、あるいは位置付けた上で質の確保をどうやって図 っていくかという論点があります。  下の箱につきましては灰色の外の○を見ていただきますと、待機児童の多い都市部に着 目して、面積基準や資格要件の緩和を求める考え方があります。こういったことについて の基準を、すべての子どもに対する良好な育成環境の保障の観点から地域によって基準を 異ならせることをどう考えるかという論点があります。  次に23ページ目ですが、定員の規模の話としまして、制度の説明を最初にしましたと きに、原則60人以上で例外的に20人まで下げられるということを申し上げましたが、こ この20人の要件について、もう少し小規模の形態が必要ではないかということに関連し て、一つ目のポツで60人以上の保育所の設置ということになりますと、初期投資費用も 結構かかりますし、機動的な設置も難しいという事情もあるということを考慮する必要が あると。二つ目としましては、保育サービスというのは、やはり地域密着性が高い日常生 活圏域で行われるサービスであるということも踏まえる必要がある。三つ目としまして、 小規模で家庭に近い環境でということでいきますと、家庭的保育が事業としてあります。 法制度化に向け今検討していますが、そこでいう家庭的保育は原則3人の子どもを預かる。 補助者が付けば5人までということになっていますので、この5人というところと20人 のところについて公的な仕組みとして差がある状況です。そういったことを踏まえて、定 員規模の要件のあり方、小規模なサービス形態をどう考えるかという論点があります。  次の箱でございますが、灰色の外の○を見ていただきますと、たまに提起されるご意見 として、子育てというのは親でもやるのだから、必ずしも保育士でなくてもよいのではな いかということがあります。従って、保育士の資格要件についてどう考えるかということ があるわけです。この点につきましては、家庭における子育てとは違って、他人の子ども を責任を持って預かるという側面、あるいは集団保育をするという保育の特性といった事 情があるということ。さらに最近は親支援の必要性、あるいは障害児の受け入れの必要性 ということで、保育所の役割も進化・多様化してきていますので、そういったことも含め て考えて、資格要件についてどう考えるかという論点があります。関連しまして、一方で は、先ほど見ていただきました通り、認可外保育施設で4割は保育士資格を有してない状 況にありますので、そういったところの質を上げていくためには、資格取得を含めて従事 者の質の向上をどうやって図っていくかという論点があります。  最後の○のところは、そういういろいろな措置を講じてもなお、認可外保育施設を認可 基準に引き上げていく努力を当然進めていく必要があろうかと思いますが、そういう努力 をしたとしても、2行目の中段以降の「給付対象となるサービスのみでは、需要を満たし 得ない地域が生じる場合」。冒頭にあった論点のように、公平性の観点と、一方でサービ スの質を確保するという観点の両面から、その取扱いをどうしていくかという論点が最後 に残るということです。資料2の説明は以上です。  最後に部会の委員方から提出していただいた資料がございます。ご欠席されている委員 が3名いらっしゃいますので、少し簡単にご紹介いたします。参考資料1を見ていただき ますと、岩村委員からご提出いただいたご意見としましては、今後サービスの供給を拡大 していく上で、現行の制度で市町村が事務をしている関係で事務量が増大してくることで コスト増と非効率化をもたらす可能性があるという懸念があるのではないかというご意見 です。  大石委員からご提出いただいている意見は参考資料2です。最初に保育サービスは受容 者である親にとってのサービスであるという点と、子どもにとってのサービスという二面 性があるということをおっしゃった上で、二つ目の○では、保育の質の評価についてはあ る程度長い期間をかけて見てみなければ判断ができないという要素があるということ。三 つ目の○で、質の悪い保育が将来もたらす危険性を考える必要があるということ。五つ目 の○では、何らかの政策的誘導がなければ、質の高い保育に対して親はそれに見合ったお 金を支払おうとしない傾向があるのではないか。その次の○では、保育所探しにかかるコ ストといった問題もあって、3行目の辺りで特に就業の緊急度が高い低所得者ほどサーチ を諦めてしまう傾向がある。質に問題があっても手近な保育園を選択しがちになるのでは ないか。そういった懸念があるというご意見をいただいております。  参考資料4は吉田委員からもご提出いただいています。かなり詳細に渡ったご意見をい ただいておりますので個々についてはご紹介申し上げられませんが、一番上の○のところ で総論的なご意見がありますので、ここだけ少しご紹介いたします。質の確保という観点 からは認可保育所を中心に考えていくべきであるというのが一つ。二つ目は待機児童の多 い地域では認可外保育施設を認可化していく、それを促進していく必要があるということ。 三つ目は、認可が困難な認可外保育施設については、非定型的保育あるいは家庭的保育な どの活用を促すということと、認可保育所の待機者を対象に保育料負担の軽減策を検討す る必要があるのではないかということです。四つ目は、保育の機能に着目した新たな評価 指標を開発して、認可・認可外を問わず機能評価を行っていったらどうかというご意見で す。具体的な提言が以下にございます。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。  引き続きまして、東京都からのヒアリングを行いたいと思います。吉岡参考人、お願い いたします。 ○吉岡参考人  改めまして東京都の少子社会対策部長の吉岡でございます。本日は認証保育所につきま して、大変貴重な時間を頂戴しまして誠にありがとうございます。  お手元の「東京都の認証保育所制度について」というペーパーをご覧いただきたいと存 じます。まず1ページ目の1番が「東京都における保育の状況」です。最初に保育所の設 置状況並びに待機児童数について申し上げますと、これはこのペーパーの左側の一番上の 部分ですが、保育サービス定員は都内におきましても着実に増加していまして、平成20 年4月の段階で前年に比べまして3,652人のキャパシティが増加しております。しかし一 方で、認可保育所の入所申込者は3,527人増加して、ほぼ同数が増加しているところで結 果的には、平成20年4月の待機児童数は前年に比べて878人増加して5,479人という大 きな数字になってきております。この数年、待機児童数は漸減する傾向でしたが、昨年は また増加に転ずるという状況になりました。  まず、(1)保育所等の設置状況です。真ん中の表の区分の平成20年の認可保育所と認証 保育所の施設数と定員をご覧いただきたいのですが、認可保育所の施設数は1,689カ所で 定員が16万6,000人余りとなっております。一方で、認証保育所の数が410カ所で定員 は1万2,700人余りとなっていますけれども、その2行下の平成15年と対比していただ きますと、定員が認可保育所で平成15〜20年までの5年間で8,446人増加しまして、認 証保育所の方は8,421人とほぼ同数です。この5年間で東京都におきましては認可保育所 と認証保育所の定員規模ではほぼ同数の増加をみている状況です。  次に、保育所待機児童数の推移ですが、先ほど平成20年は増加に転じたと申し上げま したけれども、これを年齢別に見ますと、0歳児、1歳児、2歳児で87.5%と、3歳未満児 が全体の9割近くを占めている状況です。右側は保育所入所申込率の推移ですけれども、 保育所の入所申込率は平成20年が29.7%となっていまして着実に増加しています。入所 申込率は就学前児童人口に占める入所申込者数の割合ですけれども、東京では29.7%まで きまして、将来これが30%とさらに上がっていくのだろうと考えています。  (4)待機児童の保護者の状況ですが、特徴的なのは、就労中の方、常勤の方の占める割合 が31.1%ですが、これに対して求職中の方、現在まだ働いていない方が38.5%ということ で、求職中の方が実は待機児童の中で一番大きな割合を占めている状況です。ただ、これ は「保育に欠ける」とは言えないとしてもワーク・ライフ・バランスを推進していくなど、 大きな課題がまた別にありますので、そういう意味ではこういったものもきちんと受け止 めていく必要があるだろうと考えています。  東京都におきましては、こういう状況を少しでも改善していくために、「保育サービス 拡充緊急3か年事業」という計画を策定いたしました。向こう3年間で定員1万5,000人 分の整備を行っていきたいという計画です。東京都におきましては平成15〜19年の5年 間で、1万7,000人分整備してまいりましたが、その1.5倍のペースで今後整備をしてい こうという計画です。この1万5,000人分の内訳ですが認可保育所で6,500人、認証保育 所で6,500人ということで、認可と認証を同じ割合にしたものをという計画です。これが 現在の東京における保育の状況の概略です。  次に2ページをお開きいただきたいと思います。東京都におきましては認証保育所とい う制度を平成13年度に創設しました。設置の根拠ですけれども、東京都におきます0歳 児保育あるいは延長保育など、大都市特有の多様な保育ニーズに応えるために東京都独自 の認証基準を満たして設置された認可外保育施設を認証保育所と認証して、この設置促進 を図っていこうという考え方です。  設置の状況ですが、平成20年4月現在で410カ所となっております。この認証保育所 はA型とB型の2種類がありまして、私どもが通常認証保育所と言っておりますのは特 にA型の方を想定しています。A型は駅前設置型です。B型は家庭保育室の保育水準を高 めていくために小規模な認証保育所を含めて移行してもらおうと誘導しているもので、私 どもが主に待機児童の解消の大きな役割を担っていると意識しておりますのはこのA型の 方です。A型の方は321カ所ありまして、1万9百余人の方が現在ご利用になっている状 況です。  設置主体別で見ますと、A型の方は株式会社と有限会社で8割を超える状況です。一方 で社会福祉法人は5カ所で1.6%に過ぎない状況です。また、このペーパーにはありませ んが、規模について申し上げますと、A型の平均の定員は34人です。東京における認可 保育所の平均定員は約100人で、規模はその3分の1程度ということです。あと設置の形 態ですが、駅前等の便利な所に賃借物件により設置する例が非常に多いです。  この認証保育所制度の目的と特徴です。目的の第一番が、0歳児保育や延長保育などの 大都市特有の保育ニーズに対応するということです。これが一番大きな目的です。次に、 こういう認証保育所の設置が東京都で進むことによって間接的に認可保育所制度の改革の きっかけにしていきたいということもあります。併せて、B型の方は家庭保育室からの移 行を促して保育水準が向上するということでサービスの質の向上もねらっています。  特徴ですが、「保育に欠ける」人だけではなくて、保育を必要とするすべての人を対象 とするということが一つあります。次に利用料ですけれども、これは一定の上限を設定し まして上限の範囲内で事業者が自由に設定していただく。事業者と利用者が直接契約を結 んでいただく仕組みになります。その上限ですが、これは国の認可保育所の徴収基準を上 限にしております。認可保育所の徴収基準を上限に事業者がその範囲内で設定する仕組み です。また特徴としましては、都市型保育ニーズに応えてもらうという役割から、13時間 以上の開所と0歳児保育の実施を義務付けております。そういう意味では13時間以上開 所と0歳児保育、両方ともの実施率は100%となっております。  一方で、東京都における認可保育所の状況ですが、現在設置状況は1,689カ所です。公 立の方が私立より多い状況ですけれども、都市型保育ニーズに対比して見ますと、13時間 以上の開所は13%に過ぎません。特に公立の場合には8%に過ぎないということで、9割 以上の公立の認可保育所は13時間以上という2時間の延長保育は行っていないというこ とです。また民間の認可保育所にあっても19%と2割に達していない状況です。また0歳 児保育につきましては76%の実施率となっております。  利用者や事業者から認証保育所のメリットはどういうことがあるのかとお伺いしますと、 まず何といっても「保育に欠ける」という要件ではなくて、保育を必要とする人は誰でも 利用可能であると指摘されます。また住所地に関係なく、希望する施設に直接申し込みが 可能である。近隣の区市にも申し込むことができるということはよく指摘されるところで す。また申し込んで利用できるかどうかの回答がすぐに返ってくるということもよく言わ れます。あとは13時間開所、0歳児保育ということも言われるわけです。後は駅前が圧倒 的に多いので、そういう意味では非常に利便性が高いという指摘をいただいております。  事業者の立場からしますと、一定の基準の下に保育料を自由に設定することができると いうことをお伺いします。また事業者の創意工夫によりまして独自のサービスを充実する ことができるということがあります。例えば一例を申し上げますと、カメラの画像等をイ ンターネットでアクセスできるようにしまして、自分の子どもが今どういう状況で保育所 で生活しているのかをご覧いただくことができる。認可保育所の方でも若干進んでおりま すけれども、そのようなサービスや英語の指導はかなりの所で普及しているということが ありまして、そういう特徴のあるサービスが認証保育所で提供されているということが指 摘されております。先ほど設置形態について申し上げましたけれども、駅前で賃借物件に より設置する例が多い。また認可保育所の大体3分の1の定員規模ということで、賃借物 件の開所ですので比較的短期間で設置が可能であるといわれております。都内の認証保育 所の設置はおおむね半年です。私ども東京都では、認証審査会という事務局にご相談いた だいて、認証審査会で認証基準に合致しているかどうかを審査した上で、認証の開設の許 可に至りますけれども、それに必要な期間がおおむね半年で、認可保育所のおおむね2年 間に比べればはるかに機動的という評価ができるのではないかと考えております。  区市町村の立場からしますと、保育に欠ける子どもに限りませんので、多様化する保育 ニーズに対応できる。それから非常に即効性、機動力があるという意味では、待機児童の 解消に効果的である。今東京の区市町村におきましては、区市町村の中での保育というの は基本的にかなり小規模の生活圏域を想定したサービスですので、特定の地域を設定して この地域で保育所を開設したい事業者はないかという募集をします。そういう募集に割り に迅速にお答えいただけるのがこの認証保育所と伺っております。小規模ですので施設整 備費の負担が少ないということもよく指摘されるところです。  次のページに参ります。一方で認証保育所の従事している職員の状況はどうなっている かということですが、ペーパーには書いていませんが、認証保育所の年齢別職員配置基準 は認可保育所の基準と同じです。これは基本的に同様です。ただ、一方で先ほども事務局 の方からご紹介がありましたが、保育士資格を有する正規職員は、全体の6割でよいとい う設定をしています。そういう基準ですが、実態はどうなっているかをこの左側の表で報 告しますと、正規職員とその他職員とに分けまして、まず合計で見ますとこの注1にあり ますが、平成18年度以降に開設しましたA型施設101カ所の開設時の状況ですが、751 人の職員につきまして、保育士資格を持っているものが640人・86%。保育士資格を持た ないものが111人・14%となっています。8割以上の方が保育士資格を持っている状況で す。私ども東京都の仕組みでは、保育士資格を有する正規職員は全体の6割以上でよいと していますが、実際には保育士資格を持っている人が8割を超えている状況です。  右側の方には、勤務経験・雇用形態・月収・1週間の平均労働時間を書いています。こ れは古いデータで大変恐縮ですが、平成16年7月の認証保育所実態調査で、実はこのよ うな大掛かりな実態調査を平成16年以降は行っていませんので、今日は大変恐縮ですが この古いデータで報告したいと思います。例えば下から二つ目の月収ですが、5万円単位 で刻んでいますが、施設長で一番多いのが15〜20万円。保育従事職員につきましても15 〜20万円のランクが一番多いという状況になっています。なお、これは実をいうと保育従 事職員に正規職員だけではなくて非常勤職員を含んだものです。このページの左側の一番 下の注書きに書いていますが、保育従事職員には非常勤職員34%を含めていまして、そう いう意味では常勤の方と非常勤の方とが一緒ですので使いにくいデータにはなっています が、この程度のデータしかないので大変恐縮ですが報告しました。  次のページをご覧いただきます。認証保育所の利用者の状況ですが、平成20年4月現 在で定員が1万2,723人のところ実際の入所者数が1万1,356人となっていまして入所率 は89.3%となっています。この1万1,356人の入所者数のうち認可待機になっている方は 2,273人ということで20.0%です。残った8割が全部保育に欠けない人かというと、そう は言いきれませんで、保育に欠ける状況にあっても現に申し込んでいない方もかなりいら っしゃると思いますが、そうは言いながら認可を待機になっている人が実は2割にすぎな いということで、そういう意味ではかなり保育に欠けるとはいえなくても、保育を必要と するかなりの方がこの認証保育所をご利用になっているという状況がうかがえると思いま す。  次に認証保育所に子どもを預けている時間ですが、これも一番多い時間帯が8〜10時間 で41.5%、認証保育所は13時間開所となっていますが、実際に利用される時間そのもの は決して長いわけではなくて、時間帯がずれている。一人一人、家族の状況によって利用 される時間帯がずれているということがこれから伺えると思います。  次の表は、その参考で待機児童数の推移ですが、これは新待機児童数につきまして定義 が変わりましたので、新定義と旧定義を併記したものです。新定義と旧定義の差をご覧い ただきますと、平成15年度に3,188人であったものが、平成20年度には5,384人という ように一貫して増加してきておりまして、そういう意味では認証保育所は認可の受け皿と して、ある程度機能しているということがうかがえると受け止めております。  右側の利用者の満足度です。この認証保育所についてどのように感じているかというこ とですが、多い理由は複数回答ですが、保育士の対応、保育所の雰囲気、利用しやすい場 所にある、保育時間の長さ、給食内容等が挙げられています。他方で、不満に感じている ことは、園庭がない、保育料が高い、保育スペースが限られているということが指摘され ています。なお、園庭がないことにつきましては、実際の都内の認証保育所の中で、園庭 がある所はおおむね1割程度で、9割は園庭がないということで、遊技場を近隣で確保し ているという状況です。  5番目に、認可保育所と認証保育所の運営費と施設整備費の対比について報告したいと 存じます。認可保育所と認証保育所の運営費につきまして、定員30人モデルの対比を書 いていますが、認可保育所の年間の運営費が約5,700万円。国基準で5,700万円です。一 方で認証保育所は5,900万円となっていまして、一番際立つ特徴は認可保育所の方には国 基準の運営費から利用者負担を差し引いた額の2分の1を国が負担しているということが あります。この網掛けの部分です。一方で認証保育所の場合は国負担がありませんので、 その分利用者負担が認可保育所の1,300万円と比して利用者負担2,500万円と利用者負担 が非常に大きなウェートを占めているというのが特徴的です。  次に施設整備費に参ります。施設整備費で認可保育所につきましては、100人定員で想 定してこのグラフを書いていますが、ハード交付金の基準では約1億1,000万円で、国の ハード交付金が2分の1、区市町村が4分の1の負担、設置者が4分の1を負担するとい う図式になっています。東京都の場合は設置者負担のさらに2分の1を都が補助するとい うことで、設置者負担は全体の8分の1にとどめるという措置を講じています。そうはい いながら、昨今は建築資材の高騰等によりまして、東京におきましてはハード交付金基準 の実は2倍のおおむね2億円程度の工事費が実際にはかかっているというのが現状です。 他方で認証保育所の場合は、賃借物件を改修する例がほとんどですので、補助基準として は設置者に2分の1を負担していただき、残る2分の1を東京都と区市町村が支援すると いう仕組みになっています。その場合の補助基準ですが、全体のベースとして6,000万円。 その2分の1の3,000万円を補助して事業者には3,000万円を負担していただくという仕 組みにしていますが、実際には平均の補助額は1,660万円でして、都内ではこの認証保育 所の賃借物件で最初のスタートの時期の改修にかかっている費用はおおむね3,000万円余 りの水準です。運営費と施設整備費については、このような制度の違いがあるということ です。  最後に、6ページ目には制度の比較を書いています。この6ページ目の右側の表をご覧 いただきたいのですが、認可保育所と認証保育所の制度上の違いは2点ありまして、一つ は5番の施設基準です。施設の面積基準で、認可保育所の場合は乳児室とほふく室は1人 当たり3.3平方メートル以上が必要であるとされていますが、認証保育所につきましては、 A型は2.5平方メートルまで弾力化。B型は2.5平方メートル以上と面積基準を緩和して います。なお、この認可保育所の方の1人当たり3.3平方メートル以上というのは、実は 国基準とは若干違います。東京都におきましては、認可保育所の面積基準につきまして国 基準より若干高いハードルを設定していまして、この3.3平方メートルというのは国基準 よりも若干高いハードル部分です。  認可保育所と認証保育所の違いの二つ目の点は、職員の配置基準で、先ほどから申し上 げていますように、認証の場合には保育士資格を持っている者は全体の6割以上で差し支 えないという設定をしています。認可保育所と認証保育所の違いは、その2点です。  今まで申し上げてきましたような制度の違い、大都市ニーズにどう応えていくのかとい う事柄を踏まえて、恐縮ですがこの左側の方で、私どもは国に対して保育所制度の抜本改 革という提案をさせていただいております。3点ありまして、現行の認可保育所が利用者 本位の制度となるように抜本的な改革を進めること。2点目として認証保育所を国の制度 に位置付け、財政措置を講じること。3点目に「新待機児童ゼロ作戦」の推進に当たって は、待機児童の多い地域に対する重点的な支援を行うことです。  具体的な要件項目としては、「保育に欠ける」要件を見直し、保育を必要とする人すべ てが保育の必要度に応じて利用できる仕組みとすること。「保育に欠ける」という要件が 東京の実態に必ずしも合わなくなってきている。その現状を見据えた改革をご検討いただ きたいということです。次に利用方法ですが、利用者が希望する保育所と直接契約できる 制度にすること。保育料につきましては、一定の基準の下に事業者が自ら設定できるよう にすること。施設整備につきましては、民間事業者や賃借物件の改修経費につきましても、 次世代育成支援施策施設整備交付金・ハード交付金の対象とすること。最後に規制緩和と して、先ほどから申し上げております面積基準と職員の配置基準についての緩和をご検討 いただきたいということです。  最後にペーパーにはありませんが、認証保育所に関する東京都の指導・検査の状況につ いて口頭で恐縮ですがご報告しますと、私どもは認証保育所ならびに認可保育所に対する 指導・検査、立ち入り検査を毎年行っていますが、平成18年度の数字ですが、指導・検 査に入りまして、文書指摘といいまして、改善を文書で求めて、おおむね1か月以内にそ の改善の結果報告を求めるという指導を行っていますが、その指摘率が認証保育所で 49.8%。一方の認可保育所は50.8%ということで、ほぼ同様の状況です。  もう1点、第三者評価受審率ですが、平成19年度の数字ですが、認可保育所の第三者 評価の受審率が57.8%です。認証保育所の方は64.3%ということで、第三者評価の受審率 に関しては、認証保育所の方が認可保育所より上回っている状況です。  最後になりますが、今般このようなこの部会におきまして、次世代育成支援のための新 たな制度設計に向けての検討をしていただいていることは、私ども東京都におきまして大 変ありがたいと受け止めています。限られた財源の中で、創意工夫により待機児童の解消 やサービスの質の維持・向上に取り組む各自治体の実情を踏まえまして、新たなサービス の提供の仕組みの構築が早期に実現することを私どもは切に願うものです。以上で、私の 説明を終わります。どうもありがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。委員の皆さまからいろいろ質問もあろうかと思いますが、議 論に入る前に、清原委員から本日ご提出いただきました資料につきまして、若干ご発言が あると伺っています。よろしくお願いします。 ○清原委員  ありがとうございます。ただ今、東京都の認証保育所についても詳細なご説明をいただ きましたが、前回10月6日の部会で、保育サービスの提供の新しい仕組みについて議論 する中で、保育サービスの質ということが大変重要であるということから議論が始まりま した。その中で、保育の質を支える仕組みについて、保育内容・保育環境・職員そして監 査・評価という四つの項目が提起されましたので、三鷹市で取り組んでいます事例を踏ま えて、ご報告することで、ご議論の参考になればと思いまして参考資料3を作成しました ので、これに沿ってお時間をいただきまして、ご報告をさせていただきます。  三鷹市は東京都にある市で、23区といわゆる多摩地域とのちょうど境目。多摩の玄関で あり、23区と隣接しているところですが、16.5平方キロメートルの自治体です。地方交 付税の不交付団体です。三鷹市は1950年(昭和25年)に町から市になりましたが、その後 まもなく1956年(昭和31年)に全国に先駆けて、公立保育園において生後3か月からの0 歳児保育を開始しました。平成9年度には産休明け保育を開始し、生後57日目から受け 入れています。公立保育園につきまして、いろいろ先駆けた取り組みをしている自治体で すが、平成20年4月1日現在で総人口約17万5,000人、保育サービス定員が2,373名と いう規模の自治体です。公設公営保育所12カ所、公設民営保育所7カ所、そして私立保 育所が8カ所ありますが、それ以外に認証保育所が9カ所、家庭福祉員が4名います。私 が市長になりましたのは平成15年4月で、平成20年度で6年目を迎えていますが、公設 民営保育所を4カ所、そして社会福祉法人にお願いして新設の私立保育所を1カ所つくっ ていただいていますので、実は毎年1カ所ずつ平均すればつくっているような状況ですが、 待機児童数は134名を数えているところです。  そこで、前回お示しいただきました「保育の質を支える仕組み」の項目に沿って問題提 起をさせていただければと思います。1点目は「保育内容」についてです。いうまでもな く、保育所保育指針の徹底をしていますが、三鷹市では平成16年6月に「保育のガイド ライン」を策定して、その徹底を行っています。先ほどご紹介しましたように、乳児保育 園から始まるほどの公立保育園の歴史を重ねていましたので、幸いなことに保育士の意識 が高く、平成13年度から公立保育園保育士による保育園リーダー会が活発に保育のガイ ドラインについての骨格案を作成してくれました。平成14年度にはガイドライン作成委 員会による冊子が編集されまして、私が市長になりました平成15年度に保育・栄養・保 健・子育て支援の専門家の助言による分野別の検討によるとりまとめを行いました。その 年の7月14日に保育園長であった者を保育園指導担当課長として課長職を新設しました。 そして、平成16年度に市の保育の基本的考え方、保育の質の最低ラインを示す「保育の ガイドライン」を策定したわけです。社会福祉法の第78条に「社会福祉事業の経営者は、 自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講じることにより、 常に福祉サービスを受ける立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努め なければならない」と、このようにある規定を尊重しまして、保育所保育指針に基づき市 民の皆様のニーズと市の特性に合わせて策定しました。(1)として保育園の役割と保育、(2) として家庭との連携・保護者との協力、(3)として保育の環境、(4)地域における子育て支援、 (5)保育者としての倫理と態度、(6)保育における子どもの健康管理、(7)安全な保育のために (危機管理)、(8)保育サービス評価と情報公開(保育サービス評価と検証等)という8章の内容 を市民の皆さまの声を反映し、保育士そして市役所の職員が策定したものです。これは策 定するだけでは意味がありませんので、私たちは公設民営保育所を含む公立保育所および 私立保育所ならびに認証保育所および家庭福祉員にもこのガイドラインを適用させていた だきまして、情報の共有化と共通理解を恒常的に図っています。毎月1回、1日かけまし て公立保育園の園長連絡会に公設民営保育園の園長さんにも参加していただいております し、先ほど申しました保育園指導担当課長が、主査あるいはあるときは主任ですが職員を 伴いまして認証保育所にも訪問させていただき、情報の共有等を図っているところです。  保育環境について申し上げます。公立保育所における職員配置につきましては、三鷹市 は当初から保育士以外に保健師・栄養士あるいは看護師を配置しています。そして三鷹市 独自の運用基準でこの表に示しましたような職員配置をしています。4歳以上児につきま しては25対1と国の最低基準よりも少数に1人の職員を置いていることと、3歳児には 12月まで1人加配するなどの配慮をしています。特に障害児保育につきましては、三鷹市 では1977年(昭和52年)にこの保育を開始して充実に努めていますし、公私立の保育所全 園で障害児保育をするとともに、特別の配慮を有する子どもの受け入れを実施しています。  また、3点目にひとり親家庭、虐待ケース等につきましては、プライオリティを持たせ て「保育に欠ける」要件として設定しています。ここで付け加えたいことがあります。私 たちはこのような保育環境について充実する中で、子ども本位に適切な相談をすることで、 適切な保育園等に入所していただいているわけですが、特に、表現は難しいのですが、い わゆる「弱者」の皆様にとりましては、私たちの市の相談というのが大変有用であると認 識しています。つまり経費や情報の面で不利な存在の保護者もいらっしゃいます。行政の 個別具体の相談にのる対応が不可欠で、私たちは直接契約ではなかなか救済が困難な対象 も存在し得ると思っていまして、すべて直接契約ですることについては懸念があります。 特に三鷹市の場合には生活保護等のケースワーカー、あるいは障害者の対応をしているケ ースワーカーの経験者が、保育の最初の入所相談等にも対応する中で、虐待の問題や発達 障害の問題、その他の問題を早期に発見して、保護者が情報が不足している場合でも適切 な対応をさせていただいてきたという自負があるものですから、直接契約の有用性も理解 できないわけでもないのですが、それがすべてになってしまうことについては懸念があり まして、私たちがこの間、市町村・基礎自治体が取り組んできた入所要件の判断等につい ての相談を尊重した取組も続けていかなければいけないと思っています。  次に4「職員について」です。公立保育所の人材育成については、いうまでもなくキャ リア・ビジョンの確立に向けた人事制度と専門研修受講システムを用いていますが、全認 可保育所、認証保育所、家庭福祉員参加によります保育士研修の定期的な実施に心がけて います。また公立保育所内ですが、公設民営を含めた人事交流による相互啓発を行ってい ます。先ほど認証保育所の場合にも資格的には保育士を持っている方も多いですし、その 向上にも努めていらっしゃると認識していますが、私たちは認証保育所独自の研修も尊重 しつつ、全認可保育所等との連携を強めています。  次に「監査・評価」について申し上げます。公私立保育所、認証保育所については、こ こに書いてある通り行っていますとともに、公設民営保育所については、このように運営 委員会による各園ごとに設置した検証を行っています。このように監査・評価の仕組みと いうのは第三者評価も含めて非常に重要で、保育の質を語るときには不可欠な取組と思っ ています。  最後に認可保育所の付加機能についても紹介します。私たちは日中子どもを預かるだけ ではなくて、出前型親子ひろば、地域開放事業、相談事業、一時保育、緊急一時保育、ト ワイライトステイ、常設親子ひろば、そして幼稚園・保育園・小学校の連携、食育の推進、 アレルギー対応等、きめ細かい取組をしていますが、これは公設公営保育所だけではあり ません。公設民営や私立保育所と同時に実施するとともに、認証保育所とも情報を共有す る中で、認可外保育所であっても質の向上について努めていただいています。私たちは基 礎自治体がこのように保育のガイドラインをしっかり持つ中で、常に検証・監査等を適切 に行うことで、保育の質をともに維持するということをしていますけれども、これは私ど もの市だけではないと認識していまして、ぜひこうした仕組みがより「見える化」、「可視 化」されるということが大変重要ではないかと考えています。お時間をいただきましてあ りがとうございました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、ここから皆さまにご議論をお願いしたいと思いま す。お手元の資料2の22ページを開けていただきまして「検討の視点」を念頭に置きな がら、ご議論いただきたいと思いますが、先ほどの東京都のご説明に関する質問からいた だいてよろしいでしょうか。それでは駒村委員、小島委員お願いします。 ○駒村委員  少し教えていただきたいのですが、先ほどの従事者の統計などを見たときに、統計の2 種類の統計が入っていて、全数調査はあまりやっておられないという話だったのですが、 教えてもらいたいのは、東京都は認証保育所からどういうデータを定期的に受けているか。 定期的に受けているデータがあって、それを何かモニターしているのかどうか。例えば料 金に対して非常に不満の高い方もいるようですし、月収もこの金額はどうかなと思って見 ているのですが、例えば人件費率とか、どういうデータを定期的に取られて、あるいは年 に1回こういうデータを出してくださいということでモニターされているのかどうかを教 えてください。 ○吉岡参考人  お答えします。東京都は認証保育所につきまして年に1回、運営状況報告を調査してい ます。運営状況報告ですが、その中身は利用者数、保育料等の金額、在籍児童数、職員数、 それから例えば防災訓練や避難訓練の実施状況等で、実は今お話がありました人件費率は、 会計状況についての報告は受けていません。そういう状況です。 ○大日向部会長  それでは、小島委員お願いします。 ○小島委員  ありがとうございました。4点ほどご説明いただいた資料の中で質問があります。A3の 資料3-1です。2ページの一番下左側にある「認可保育所の状況」というところで、この 認証保育所のところについては多様な保育ニーズに対応するためにそういうものを都とし てはつくっているということですが、それを裏返せば認可保育所がニーズに対応していな いということで、ここにありますように、13時間以上の開所あるいは0歳児保育を実施し ているところが少ないということなのですが、なぜ認可保育所でできないのか。一つの理 由として人員の問題、突き詰めれば財源の問題、これが最大の問題となると思いますけれ ども、なぜ認可保育所はニーズに対応できないのかということを、東京都としてはどのよ うにお考えなのかということが一つであります。  それから2ページの右側ですが認証保育所の数でA型・B型とありますけれども、特に A型の方で認証保育所の認可への希望というのはどれぐらいあるのでしょうか。A型は株 式会社が7割を占めているので、もし仮に認可保育所になりますと、株式会社なので配当 が出せないという形になると思いますけれど、現在東京都の認証保育所の株式会社を運営 している場合には、株式会社の株配当に認められているのかということが二つ目の質問です。  三つ目が6ページになります。6ページの右側に、認可保育所と認証保育所の設置基準 の比較が出ております。その中で、認可保育所は職員が全員保育士でありますが、東京都 の認証保育所は6割以上ということになっておりますけれども、6割以上とした特段の根 拠があるのかどうかということです。それとの関係で、東京都の要望として二つ目に「認 証保育所を国の制度に位置づけ、財政措置を講ずること」と出されておりますが、その際 に現在の認可保育所に対する財政支援と、東京都が今認めている認証保育所の財政支援と 全く同じことを想定されているのか、多少違いはあるけれども、国の制度として位置付け ると考えているのかというのが四つ目の質問です。 ○大日向部会長  それでは、順番にお願いいたします。 ○吉岡参考人  お答えします。まず第1点の認可保育所で大都市ニーズへの対応がなぜ進まないのかと いうご質問でございますけれども、特に公立で進んでいないという状況は、私ども深刻に 受け止めておりまして、各区市町村にはこういった対応をぜひ進めるように、かねてより お願いしてきているわけですが、区市によって多少バラつきがある状況でございます。そ れはやはり区市の中で関係者との話し合いがなかなか整ってこない状況の結果であると思 っておりまして、そういう意味では区市に対しましては、引き続き関係者とよく調整を進 めてほしいということをお願いしているという認識であるということです。財源というよ りはむしろ、いろいろな関係団体との話し合いをどのようにして進めていくのかというこ とだと受け止めております。  2点目の認証保育所が認可保育所に移行するのをどの程度希望するのかという質問でご ざいますけれども、認証保育所の団体が大きく二つございまして、その二つの団体の役員 の方々とお話している限りでは、希望は少ないです。と申しますのは、何といっても「保 育に欠ける」という要件が圧倒的に大きなメルクマールでございまして、実際に自分の所 のお客さまの中で「保育に欠ける」という要件を満たさないが、それでも保育を必要とし ている方がいらっしゃる。認可に移った場合はそのような人たちの利用が難しくなってし まう。それは絶対にできないことであると必ず言われます。そういう意味では一番重要な 「保育に欠ける」要件、大都市の場合は実情を踏まえて見直しをお願いできない限りは、 なかなか認証保育所と認可保育所を同じものに収斂していくのは難しいと受け止めており ます。  それから、例えば剰余金をどのようにするか、使途の制限でございますが、実をいうと 認証保育所の場合には認可保育所に類する使途の制限を掛けておりません。それが株式会 社の参入が非常に大きいというのはその表れではないかと私どもは受け止めております。  3点目に保育従事者の中で有資格者を6割以上に設定しました「6割」の理由でありま すけれども、申し訳ありませんが、今日は明確にお答えできる用意がございませんので、 改めて調べた上でお答えしたいと思います。  最後に、認証保育所を国の制度に位置付けた場合に、全く認可保育所と同様の財政支援 を期待しているのかということでございますけれども、必ずしもそのように考えてはおり ません。基本的に認証保育所というものは、東京都で認可に準ずるような、場合によって は大都市の固有のニーズにはむしろ認可保育所を上回るような役割を果たしてくれている と評価はしておりますけれども、これをこの国の制度に位置付けていただく場合に、認可 保育所とどのような関係になっていくのか、今は恐らく、いろいろなバリエーションが考 えられると思いますので、それに見合った形で財政支援をお願いできるのであれば、それ はそれ相応の評価というような位置付けになっていくのだろうと思っておりますので、決 して認可保育所と同じようなものがなければ困るということではございません。以上でご ざいます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に。それでは他にご意見が出るまでに、私からも幾つかお伺 いしてよろしいでしょうか。  まずは資料2ページに設置主体別内訳を示していただきましたが、圧倒的に株式会社が 7割ぐらいということですが、これは平成20年4月1日現在ですね。そうしますと平成 13年度に創設されて、この7年間にどのような推移があったのか。例えば社会福祉法人は 最初からこれほど少なかったのだろうか。もっとあったという記憶もございますが、もし 減ったとしたら、その理由は何だとお考えでいらっしゃるかということが1点です。  それから2点目は、先ほど行政指導しておられるということで、文書指摘は認証保育所、 認可保育所、それぞれパーセンテージについてお示しいただきましたが、内容はどのよう なものなのか。同じなのか。また、違いがあるとしたら、どのような違いがあるのかとい うことも教えていただければと思います。  それから3点目ですが、利用者アンケートで評判が高いという結果をお示しくださいま した。そのような面も確かにあろうかと思いますが、一方で大石委員ご提出の資料の中に、 親は自分が受けている保育を高めに評価する傾向もあるというようなご指摘も。これはア メリカの研究に基づいた指摘のようですが、そうしますと、特に親の視点だけではなく、 もっといろいろな声も聞いてみたいと思うところです。例えば保育従事者たちはどのよう に評価しているのか。働いている方たちですね。そのような声があったら教えていただき たい。それに関連して離職率はどうなっているのでしょうか。その辺りもデータをお持ち かと思いますので、教えていただければと思います。  最後になりますが、今日示していただけなかったデータの中に、認証保育所の経営者の 方々がお作りになっている認証保育所協会というものがあると伺っておりますが、そちら も定期的にさまざまな調査報告をしておられると思います。事業実施主体から見た課題と いうものも、もしお持ちでしたらお示しいただければと思います。以上です。 ○吉岡参考人  お答えします。最初に認証保育所のA型の設置主体別の内訳で社会福祉法人が非常にウ ェートが小さいということでございますが、平成13年以降に認証保育所をオープンして、 廃止した所は、若干数でございまして、そのような意味では急激に設置者が増えてくる中 で、社会福祉法人などの福祉関係の主体が多かったところに株式会社がどんどん参入して、 ウェートが高まってきたために、結果的に社会福祉法人の占める割合が小さくなってきた ということではないかと思います。 ○大日向部会長  といいますと、社会福祉法人にとっては認証保育所に参入することは、あまりメリット がないというように考えてよろしいのですね。 ○吉岡参考人  一概にメリットがないとは、私どもはそのように受け止めてはおりません。なぜ社会福 祉法人がこれだけ少ないのかということは、あらためて分析したことがございませんので。 メリットがないとは考えておりません。また社会福祉法人の場合は認可保育所をやってい る所が認証保育所もやるというように、両方の事業形態を併せて、全体としてサービスの 向上を図るという取組をしている法人が多いです。  次に指導検査の状況でございますが、中身で、認可保育所で、例えば保育士を職員配置 基準以外に、どのような時間帯においても保育士を2名以上配置しなければいけないとい う規定がございますが、2名以上配置していない時間帯があるといった指摘が認可保育所、 認証保育所に共通してあります。あとは細かいことで、防災訓練等の実施状況が不適切で あるというようなことがございます。 ○大日向部会長  その点については不勉強なのですが、2人以上同一時間帯に保育士を配置しなければな らないというのは、認可保育所だけではなく、認証保育所も同じということですか。 ○吉岡参考人  はい。認可保育所も認証保育所も同じように指摘をされていると。 ○大日向部会長  はい。ありがとうございます。 ○吉岡参考人  利用者の声と従事者、事業者団体がどのような意向をまとめているかということですが、 大変申し訳ございません。調査が手元にございません。あと認証保育所協会もこれから、 全体としてもっともっとサービスを良くしていくためには、東京都と認証保育所協会が協 力してきちんと実態調査を行って、それを施策に反映していこうと。実は今、そのような 話をしている段階でございまして、もう少しお時間をいただければ、いつかはご報告でき るかと思います。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他にいかがでしょうか。杉山委員、お願いいたします。 ○杉山委員  東京都と清原委員に質問なのですが、認証保育所から少し外れてしまって申し訳ありま せんが、もしおわかりになればということでお答えいただければと思います。先般ご説明 いただきました認可外保育所ですが、補助が全く入っていないベビーホテルやそういった 施設が東京都にも多分あるでしょうと。三鷹市にあるのかどうなのかということと、それ に関して一番心配しておりまして、そこの部分に関して都として、市としてどのように質 を上げていくなどのアプローチをしていらっしゃるのかをお聞かせいただければと思いま す。 ○大日向部会長  最初は吉岡参考人にお願いします。 ○吉岡参考人  認可外保育所に関しましても、東京都は事業者に対する指導と指導検査を行っておりま す。実際に運営指導を行うに当たりましては、事務職員が通常の帳簿等の検査に行くだけ ではなくて、保育士資格を持った専門職員が実際に赴きまして、その保育内容を拝見しな がら保育の指導を行うということを行っております。  それから、平成19年度につきまして報告いたしますと、東京都内に届け出のされており ますベビーホテルが333施設ございます。そのうちの137施設に対して、調査を行いました。 立ち入り調査を行った結果137施設のうち、111施設について指導を行ったということです。 その指導の中身ですけれども、やはり職員や施設に関する書類等が未整備であるとか、あ るいは非常に細かいことですけれども、手洗い設備等が未設置等、設備面で不十分な点が あるというような指導をしたということでございます。 ○杉山委員  ちなみに、抜き打ちで行ったのか、予告して行ったのか。どうなのでしょうか。 ○吉岡参考人  これは予告の調査でございます。 ○大日向部会長  清原委員、お願いします。 ○清原委員  一言だけ付け加えます。三鷹市にもございますが、これについては東京都のご指導があ るということで、例えば今おっしゃったように、監査に入るときには三鷹市にも情報はい ただいているのですけれども、直接、市役所の職員が立ち会うということはしておりませ ん。東京都の取組にお願いしているところです。 ○大日向部会長  その他、いかがでしょうか。庄司委員、山縣委員お願いします。 ○庄司委員  認証保育所に関して質問を付け加えさせていただきたいと思います。利用者が子どもを 預けている時間から想像しますと、どちらかというとむしろ、認可保育所では足りない長 時間の保育に対応している可能性は高いと思うのですけれども、「保育に欠けなくても保 育を必要とする人が」という考え方になりますと、例えば週のうち何日かの利用というよ うな利用の仕方というのが認証保育所ではあるのか。あるとすればどれぐらいあるのか。 これが1点目です。  それから、先ほど大日向部会長から離職率のご質問がありましたが、お答えがありまし たか。 ○大日向部会長  なかったです。 ○庄司委員  これについては、いろいろな認証保育所から評判といいますか、うわさといいますか、 時々利用者からも職員の回転が非常に早いと。それについては職員の労働条件、特に待遇 がよくないのではないかと。そうすると認可保育所と比べてどれぐらい、どのように違う のかなどの資料があるのかどうかということをお尋ねしたいと思います。  それから先ほどメリットの方を特に強調しておられたのですが、デメリットといいます か、むしろ深刻な、重大な課題などを東京都としては認識しておられることがあるのかど うか。それも併せてお答えいただければと思います。以上です。 ○吉岡参考人  最初に、先ほどの離職率についてのお尋ねに、お答えが漏れまして大変失礼しました。 残念ながら離職率等に関するデータは持ち合わせていません。そのためにお答えができな いということです。  次に認証保育所に子どもを預けている短時間の利用とその実態でございますが、東京都 が事業者に運営費の補助をいたしますのは、月に160時間以上利用される方という条件を 付けております。そういう意味では個々の事業者が、例えば100時間しか利用されない方 を預かる。それは都や区の運営費補助は受けないけれども、ご自分のところで契約される ということは任意でございます。ですからこれについては、どの程度あるかは実態を把握 しておりませんが、恐らくそのようなニーズも多少あると思いますが、実際問題としては、 ほとんど少ないだろうと思います。認証保育所をオープンする段階では、すぐ申込みが殺 到するという状況でございまして、そういう意味で長時間利用される方を事業者は優先さ れるでしょうし、都や区からの運営費補助がないと利用者に莫大な負担をお願いすること になってしまうと思いますので、そのような例はかなり少ないだろうと想像しております。  あとは認証保育所について、どのような課題が考えられるのかということでございます が、認証保育所の審査についてですが、現在書面審査を行っておりますが、開設時の職員 が当初の申請通りに確保されていないという事態が昨年から表面化したわけです。実際に 事業者に状況を聞いてみますと、今、保育士が集まりにくい状況になっている。東京都の 場合は、「保育サービス拡充緊急3か年事業」という保育サービスをハイピッチで拡充し ていこうということで取り組んでおりますし、区市のレベルでは公設民営化に取り組んで いただいています。公設民営化を行う場合には、運営主体が区市町村から民間の社会福祉 法人等に変わっていきますので、そうしますと受託先の社会福祉法人は一時的に新規にオ ープンすると同じだけの保育士を確保しなければいけない。そのような意味で、東京で保 育士を確保することが非常に難しくなってきております。これから東京都で待機児童ゼロ を目指して保育サービスを拡充していくためには、担い手である保育士をきちんと確保し ていく。また、その人たちの質も確保していくということが大きな課題となっていくだろ うと思っております。そういったことは、まさに行政として取り組むべきことで、あとは 個々の事業者が立ち上がりの時期にどうしても人がいなくて困ってしまうということがあ る場合には、それでは最低限のサービスが保証できないということで、その辺の審査はよ り厳格にしていこうと。また、実際のサービスの提供状況をできるだけ早い段階で確認し ようと。そのような指導体制も強化していこうと考えております。以上です。 ○大日向部会長  離職率のデータをお持ちでないということですが、もし庄司委員が風評としてお聞きに なっているように、離職率が高いとしますと、認証保育所の質にかかわる非常に大事な点 だと思うのです。保育士がくるくる変わりますと、やはり子どもの心理的安定が妨げられ ますし、保育士にとっても安定して長期きちんと子どもの発達を見てこそ、初めてよい保 育ができるという保育の根幹にかかわるところですので、認証保育所の質が良いとか、利 用者の満足度が高いとおっしゃるのであれば、ぜひとも離職率についてのデータを示して いただき、毎年監査をしておられますので、データを取ろうと思えば取れると思います。 そこはお任せいたしますけれども、その上でなぜ離職率が高いのかということも併せてお 教えいただき、ご検討いただければと思います。 ○吉岡参考人  大変貴重なご指摘をいただいたと思いますので、ぜひ私どもの仕事に生かしていきたい と思います。 ○山縣委員  いろいろな情報をありがとうございました。清原委員も含めて質問をしてよろしいです か。 ○大日向部会長  もちろん、どうぞ。大変貴重なプレゼンをしていただきましたので、ぜひお願いします。 ○山縣委員  二つの意見と三つの質問ということで、意見は簡単に言います。東京都から提示されて います保育要件の見直しという部分について、私は非常に重要なポイントではないかと思 っております。「保育の必要な」という観点が、今の時代ある程度組み込むべきではない かという点で同感でございます。 2点目は少し辛口になってしまうのですが、先ほどの小島委員とのやり取りで感じたの ですが、認可保育所の改革の遅れを認証保育所で解決しようとしているのではないかとい うことについては、少し大原則に戻っていただきたいと思う点です。これは意見です。 それから質問の方ですが、1点目の質問は本日示していただいた資料の5ページです。 表面的に見ますと、認証保育所と認可保育所は30人モデルで年間200万円しか違わない ということになるわけですよね。ここについてですが、まず認可保育所は11時間設定で しているはずです。認証保育所は13時間設定でしているはずです。2時間はここの中の 200万円の外にあるのか、中にあるのか。すなわち2時間違うとすると、200万円という のはさらに縮むことになりますね。定員モデルは同じだということはわかったのですが、 時間がどうなっているのか補足をいただきたい。ですから結局、問題は面積的には小さく 書いてありますが、左側の認可保育所の下にある「都の交付金などを財源に区市町村が独 自に加算を実施」というところのはみ出しが相当大きいということが、この差ではないか と思うのです。ここが実際どれぐらいはみ出しているのか、公・民でもし分かれば教えて いただきたい。それがなければ、認証保育所も認可保育所も、結局は保護者に1,200万円 の利用者負担を乗せているだけの仕組みで、実質はあまり変わらないということになって しまうのではないかというのが根っこにあります。 2点目の質問は保育料についてですが、最初に資料2で説明いただいた15ページに認可 外保育施設の利用料というものがあります。年齢ごとに細かい数値が出ているのですが、 恐らく一般的なイメージで一番高そうなベビーホテルで5万円。認証保育所は恐らくその 他の認可外保育施設に該当するのではないかと思うわけですが、そうしたときに、公費が かなり投入されている認可外保育施設である認証保育所の保育料が、平均値よりも相当高 いということについて、これは恐らく国側のデータの方に何か問題がある。これほど低く はないのではないかという感じがします。いわゆる現場が保育料と呼んでいるもので、そ れ以外のものが含まれていないのではないか。例えばベビーホテルでしたら、オムツを交 換したら1回いくらとか、ミルクを飲ませたら1回いくらなど、保育料はいくらで、プラ ス何かサービスをするごとに負担金が増えていくというような所もありますので。特に認 証保育所の数字を見ますと、それより低いとは考えられない。一度、国の方でも調べてい ただきたいですし、東京都にある認可外保育施設も東京都として当然調査しておられるは ずですから、この数字をどう見ておられるか教えていただきたいということです。  3点目は、先ほど若干辛口だという部分で、例えば清原委員のところの三鷹市ではかな り公立保育所、認可制度の改革の中の特に公立に絞った改革をされ、市長になられてから も3カ所か4カ所の公設民営化保育所をつくられたというデータをいただいておりますけ れども、都の方で認可制度の改革は無理ということなのか。そうすると、認可制度側にも 問題があるのではないかということになると思うのです。もう一つは、清原委員に公設民 営化したことによる何か、当然プラスもあればマイナスもあると思うのですが、その辺を 少し教えていただけたらと思います。 ○大日向部会長  お答えいただく前に、内海委員が何度も手を挙げていらしたようなので、気がつかず に申し訳ありません。認証保育所に関してのご意見ご質問でしょうか。それでしたら一緒 にお聞きいただいて、まとめてお答えいただくということでお願いしたいと思います。 ○内海委員  認証保育所に株式会社が入ってくるメリットは何かあるのですか。それと2ページの 「事業者の立場から」というのは株式会社だと思うのですけれども、保育料を自由に設定 するといっても、ある程度上限が定められている。創意工夫によるサービス充実の先ほど の内容が、例えばインターネットで保育室の中が親から、職場から見られるとか、英語教 育をかなり入れているというようなことが、サービスというのは誰に対するサービスで、 子どもの発達についてどういう影響を与えるのかという検証は誰がどこでしているのかと いうことと、それに対するチェック。何でもやればサービスになるということではないの で、それが本当に子どもにとってサービスになるのかどうかということは誰がチェックし ているのかということを知りたいのです。  それから、保育士がなかなかいないということで、一時、人員を最初のときより満たさ ないということですけれども、保育士がいないのは給料が安いから来ないのか、潜在的に 保育士自体が東京の中に絶対数がいないのか。保育士はいるが、このような職場だと嫌だ というのか。その辺がよくわからないのですが、どうなのでしょうか。 ○大日向部会長  ということで、山縣委員のご質問と次のご質問をまとめて吉岡参考人、そして清原委員 にお答えいただければと思います。 ○吉岡参考人  まず山縣委員のご質問にお答えします。運営費の比較でございますが、この認可保育所 の区市町村が独自に加算を実施している部分につきましては、例えば障害児保育をやって いる場合には、障害児を受け入れている1人当たり月額幾らといった、区が補助をしてい る場合です。実際に個々の民間の認可保育所が、そういう保育のサービスを充実する障害 児保育とか、あるいは地域の子育て家庭に対する支援を行うという個別のメニューを行う 場合にそれを一つずつポイント化して補助金を加算しているというものです。  もう1点は時間の違いですが、一応認証保育所につきましては13時間開所を前提にこ ういう運営経費を積算しているということです。  2点目に認可外の保育料の国のデータとの関係ですが、先ほど申し上げましたように都 の認証の場合には国の調整基準額をベースにしています。これは私の想像ですが、国の認 可外のデータというのは、恐らく認証以外のあらゆる認可外の全体を含んだものだと思い ます。東京都の認証保育所は認可外の保育所ではありますが、認可外の中で一定の基準を クリアしたものという位置付けですので、認可外の中では多少求めているものが高い分だ け保育料も高くなっているということになっていると思います。この数字とは食い違いが 出てくると受け止めています。  次の質問にお答えします。株式会社はなぜこれだけ参入してくるのかですが、実をいう と先ほどのなぜ社会福祉法人が参入してこないのかというお答えにはならないのですが、 これだけ東京で保育ニーズがあって、サービスを提供すると宣伝すれば、確実にお客さま が集まるという状況でして、実をいうと株式会社も一つを始めた後、近隣の区域で二つ目、 三つ目の認証をさらにどんどん展開していくという事業形態が多くて、そういう意味では マーケットがあるということがまず大前提なのだろうと思います。  三つ目に事業者のサービスの創意工夫を、どう検証するのかということですが、検証の まず一番の相手方は利用者のご父兄です。実際に毎日お子さんのサービスの利用状況をご 覧になっているわけで、実際に利用者がサービスに不満なり苦情がある場合、まず事業者 におっしゃる。そういったことで解決がつかない場合に初めて、保育の実施主体は区市町 村ですので、区市町村にご相談になるというのが圧倒的に多いのです。ですから、そうい ったことについて個々の区市町村がそういった保育に関する要望なり苦情なりのどういう データをそろえているかということまで承知していませんが、基本的にはそういった形で、 当事者同士で解決されるというのが通常のあり方ですし、それでかなり日々の営みが改善 されていっているのだろうと受け止めています。 ○大日向部会長  山縣委員は、ただ今のお答えでよろしいですか。 ○山縣委員  趣旨が違うところもありますが、時間の関係もありますので、どこかで勉強させてもら います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、清原委員。 ○清原委員  時間が迫っていますので簡潔に、公設民営にした場合のプラス・マイナスについてどの ように認識しているかについてお答えします。今、公立保育園をめぐっている条件の前提 がありますので、幾つかだけお話しますと、一つには公立保育園を新設する場合には、三 位一体の改革の中で国からの補助金がゼロになった状況の中で、公立保育園を運営しなけ ればならないということ。そして保育ニーズの多様化に応えるために、例えば保育時間の 延長であるとか、あるいはアレルギー除去食の提供など、サービスを細分化していくとき には、効率的な経営をどうしてもしていかなければならない。そういう条件の中で、三鷹 市は平成13年に初の株式会社の公設民営委託保育園を開設しました。その経験からいい ますと、まず第一義的には人件費を中心とした運営コストの削減が挙げられます。ただし、 私たちは保育の質を考えた運営をしていますので、人件費による減といっても3割減くら いです。これはシュミレーションして直営で運営した場合と公設民営の場合とを条件を同 様にした場合に減額できるとしても3割というところです。メリットとしては、私たちは 公設民営をしたときに必ず保育の質が重要であるという認識を早い段階から持ったという ことです。コスト削減を市民の皆様、あるいは子どもたちに理解を求めるためには、保育 の質を落としてはならない。そのために保育の質に関して、保育士、あるいは保健師、栄 養士等の認識、あるいは市全体の認識が高まったということです。ガイドラインの共有化 が公立保育園だけではなくて、私立にも広がっているというように質への関心が高まった ということ。また保育士同士が、公立の市の職員としての保育士と民間の機関の保育士と の間で良い意味での競争意識が高まって、質の向上・サービスの向上に向けてのインセン ティブが働いているということがあります。三鷹市では七つの公設民営の保育園のうち、 社会福祉事業団が3カ所、株式会社が4カ所です。それではマイナスはないのかというこ とですが、コスト削減をするためには必ず人件費を触らなければなりませんから、若年の 保育士が多い構成にならざるを得ない。その場合に若年の保育士、つまり平均年齢が低い 保育士組織の中で、いかに保育の指導をきちんとできるかということで、園長が重要にな ってきますし、先ほど離職率の指摘がありましたが、公設民営の場合、当初は離職率も目 立ちました。ですから、それを改善する取組が常に求められていくということがあります。 そのために、先ほど申し上げました保育園指導担当課長をはじめとした、市の責任が非常 に重要になってくると思います。経験の継承、ガイドラインの徹底、こうしたことが必要 になってくると思います。  最後に一言だけ付け加えますと、三鷹市において認証保育所で貢献していただいている ことに、0歳児や1歳児といった公立あるいは認可保育所だけでは対応できないニーズに、 認証保育所には対応していただいているところがあります。ですから園庭がなくてもでき るというのは、0歳児、1歳児の対応の場合にはそれも一つ「ありうる」のかなと思いま す。そういう意味で、相互補完関係がありますが、公設民営の改革の中で認証保育所の改 革にも貢献できるような要素が私たちの経験から出てくればありがたいと思います。以上 です。 ○大日向部会長  まだまだご議論いただきたいところですが。おありですか。ではお一人、宮島委員で最 後にしてよろしいでしょうか。 ○宮島委員  遅れて申し訳ありません。全部のお話を伺っていないので、いただいた資料から思った ことを一つだけ、意見を申し上げたいと思います。事務局の方が保育サービスの主に認可 外の保育施設につきまして貴重な調べをまとめていただきました。認可外に関してはなか なか情報がないところがありましたので、ゆっくり拝見したのですが、認可外保育所が、 認可保育所よりも開所時間が長くて、認可の条件に入らない子どもの受け皿になっている なと改めて感じました。認可保育所よりも金銭の支援が明らかに少ないであろう認可外保 育所が、これだけ時間も開いてやっているというのは、すごい努力、非常に頑張っている とも思いますし、人件費などで大変な部分もあるだろうと思います。保育料を見ても開所 時間が長い割には保育料がとても高いというわけでもないように思いますので、人件費に しわ寄せがいっている可能性はあるかと思いまして、ここは認可外保育所を考えていくと きに、ぜひ支援が必要なところだと思います。認可の開所時間などの条件が、預けたい人 のニーズに十分合わないところは、これまでもいろいろな形でお話したのですが、例えば 私がお世話になった認可の保育園は1歳の誕生日まではお迎えが、数年前ですが17時だ ったのです。17時というと郊外の保育園で、勤務が都心ですと短時間勤務制度がある会社 でないとお迎えができないということになります。労働時間がむしろしっかりしている人。 短時間勤務が取れる人、ある程度公的なお仕事ですとか、あるいは大企業のシステムが整 った方は、認可保育所に入れやすいと思うのですが、そうでない場合この時間は厳しく、 結果的に私が認可保育園に預けているときに、まわりの保護者の方はその条件に合う比較 的労働条件が良い方や、祖父母の方々のお迎えの手伝いがある方が多いという印象を受け ました。むしろ労働条件がよくない、もしくは会社であまりわがままが言えない立場の人 がどこに行っているのかを考えますと、仮に所得が低くて本来はきちんとバックアップが 必要な方であっても、例えばその方の職業が9時〜17時のような形ではなくて、それより も夜に寄った仕事しか見つからなかった場合には、ものすごくフォローが必要な方であっ ても認可外保育所にお世話になるということに現状ではなっていると思います。認可外は 資料でわかるように3歳児以下が多いですし、こここそ本来保育の質のアップや、環境の 改善がとても必要な子どもがいるのではないかと危惧しています。  施設の上では認可の基準を満たしている所も比較的多いという資料もありましたので、 人の面のバックアップが必要なのかと。お金の支援ととにかく世の中の保育士資格者を増 やして、そしてそこにお金を付けていけば、現状では質にある程度問題があるといわれて いる認可外保育所でも、かなり質がアップするのではないかと思いました。また、地方で 子どもが減っている現実ですとか、都市でも家の近くの保育園に預けたいというニーズか ら考えますと、認可保育所の60人規模、あるいは例外的な20人規模というところで、人 数に合わない部分に対してもフォローが必要ではないかと思いました。例えば今5人です と家庭的保育という政策が考えられていますが、5〜20人のところに、家庭的保育の延長 というか、良い形での足回りの良い保育所の、質の良い形の保育をうまく充てることがで きれば、今後子どもの数はどんどん減るかもしれないわけですから、大きな箱物の保育所 を造ったり、ぜひ調理室をつくるということではない形でも、良い形の保育を考えられる のではないかと思いました。 ○大日向部会長  ありがとうございました。まだまだご議論はあると思いますが、時間が過ぎています。 本日は認可外保育施設の質に関してご議論いただきました。東京都の吉岡参考人におかれ ましては、お忙しい中ご臨席いただきましてありがとうございます。貴重な情報をいただ きました。いろいろご努力されていることもよくわかりましたが、なお当然だと思います が課題もたくさんあると思います。私たちは課題をきちんと出し合うこと。そしてその課 題をどうやって乗り越えたら、より良い保育が実現できるかの議論を進めていきたいと願 っています。幾つかお願いした追加資料等をあとでおわかりになった段階で事務局にお出 しいただければありがたいと思います。  なお、本日ご議論いただこうと思いました事務局からおまとめいただきました資料2の 22ページの「検討の視点」に関しましては、大変重要な視点だと思いますが、十分議論が 尽くされたとは到底いえないと思いますので、これも含めて継続審議ということで、次回 に送らせていただければと思います。  それでは、次回の日程等についてお願いします。 ○朝川少子化対策企画室長  ありがとうございました。次回の日程につきましては、10月22日15時から経済産業 省別館10階の1020号会議室で予定しています。引き続き、次世代育成支援の新たな制度 体系の設計についての議論をお願いしたいと考えています。お忙しいところ恐縮ですが、 ご出席いただきますよう、よろしくお願いします。 ○大日向部会長  それでは、またご意見がありましたら、事務局まで文書でお寄せいただければと思いま す。それでは、本日はこれで閉会とします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)