08/10/14 第6回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録 第6回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 平成20年10月14日(火)15:00〜16:30 金融庁共用会議室(1114) ○京極座長 ただいまより第6回「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を開催させ ていただきます。構成員の皆様方におかれましては、お忙しいところを御参集いただきまして、誠 にありがとうございます。  まず事務局から報告事項をお願いいたします。 ○吉川障害保健専門官 それでは、本日の構成員の出欠状況について御報告いたします。  鹿島構成員は所用により30分程度遅れての参加との御連絡をいただいております。  報告事項は以上でございます。 ○京極座長 それでは、続いて資料の確認を行いたいと思います。事務局よりよろしくお願いいた します。 ○吉川障害保健専門官 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。  まずお手元の議事次第、座席表、構成員名簿、そして資料1といたしまして、こちらは前回御議 論いただきました意見を踏まえて修正をさせていただいております。「精神保健福祉士の養成の在 り方等に関する検討会中間報告書(案)(見え消し版)」でございます。  もう一つが資料2といたしまして「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会中間報告書 (案)」。こちらは溶け込み版の方を御用意させていただいております。  参考資料といたしまして「精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)。  資料の不足、乱丁等がございましたら、事務局までお申し付けください。資料の確認は以上でご ざいます。 ○京極座長 それでは、議事に入ります。本日は前回の議論を踏まえて修正された中間報告書(案) を事務局より説明していただき、御議論いただくとともに、できれば中間報告書について、とりま とめとさせていただきたいと思います。  それでは、資料について御説明いただきたいと思います。 ○吉川障害保健専門官 それでは、資料1について御説明をさせていただきます。資料1につきま しては、前回の検討会で御議論いただきました構成員の皆様方からの御意見を踏まえまして、修正 したものを見え消し版としてご用意しております。  まず表紙をおめくりいただきまして、1ページになります。今回修正をした箇所について御説明 の方をさせていただきます。  「1.はじめに」でございます。こちらにつきましては、冒頭、政策課題により国家資格が求め られたという出だしにつきまして、この点についてはそれ以前より精神保健福祉士が精神障害者の 全人的復権に携わってきたといった御意見をいただきまして、出だしの方につきましても「我が国 の精神障害者施策については、長らく精神障害者を医療及び保護の対象として位置づけ、入院処遇 を中心として進められてきたことから、精神障害者の長期入院の解消を図り、社会復帰を促進する ことが精神保健福祉行政の最大の政策課題の一つとして指摘されてきた」と修正をさせていただき ました。  その上で10行目になります。こちらの方を「支援を行う人材として、従来から医療機関及び社 会復帰施設において精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的な活動を実践してきた精神科 ソーシャルワーカーの国家資格化が求められた」と修正をさせていただいております。  3ページの修正箇所につきましては、求められる精神保健福祉士の役割及び必要となる技術の 「(ア)職域の拡大」についてでございます。  2つ目の○になります司法に関する分野につきまして、前回の御議論の中から、こちらにつきま しては刑務所や医療刑務所などへの配置が進んでいる状況について、具体的な例示として追加をし ていただきたいといった御意見を踏まえまして、20行目からありますように「矯正施設等からの地 域生活への移行を支援する専門スタッフ」と追加をさせていただいております。  同じく25行目、労働に関する分野についてでございます。こちらにつきましても休職中の者の 支援を既に行っている実績があるので追加をしていただきたいといった御意見を踏まえまして、25 行目「精神疾患により休職中の者の職場復帰支援を行う産業保健スタッフ」と追加をさせていただ きました。  「(イ)求められる支援の多様化」でございます。34行目からの修正点でございますが、こちら につきましては前回の検討会で、更に災害被害、犯罪被害、PTSDに関する被害者支援について も記載をしていただきたいという御意見がございました。  一方で、PTSD等につきましては、現在はまだ診断が広がっているといった御意見もありまし たので、こちらは事務局の方で検討をいたしまして、34行目の出だしにございますように「様々な ストレス関連障害や」と最初に追加をさせていただいております。  4ページの18行目の人的・物的資源の連携のところでございます。こちらにつきましては、当 初はネットワーキングという記載でございましたが、こちらにつきましてはネットワーキングのみ ならず、チームアプローチが非常に重要な技術となるといった御意見をいただきましたので、「チ ームアプローチ及びネットワーキング」と修正させていただいております。  5ページの修正箇所になります。「(2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示」についてでご ざいます。こちらの方は当初、21行目にございます「これに加え、福祉・労働などの様々な領域の 専門職種・関係機関との連携」と記載をしておりましたが、こちらの方に司法、教育といった職種 や機関との連携についても追加をしていただきたいということで、「司法・教育」を追加させてい ただいております。  「(3)カリキュラムの充実」についてでございます。こちらの方は文言といたしましては、30行目 に「社会復帰の促進を図り」と修正をさせていただいております。こちらにつきましては、前回、 社会復帰という言葉自体が現代において、なかなかなじまなくなってきているといったことから、 少し言葉の整理をしてはいかがでしょうかといった御意見をいただきましたが「社会復帰」という 言葉につきましては、精神保健福祉法などの法律などでも現在用いられている言葉でございます し、こちらの検討会のみで少し文言を修正するというのも難しいという状況から、事務局の方でも 検討いたしました結果、こちらの方は「社会復帰」のままにいたしました。  更に30行目の方については、促進を図る意味合いの言葉が適切ではないかという御意見が加え てございましたので、そこに「促進を図り」といった言葉のみを追加させていただいております。  6ページにつきましては「(5)資格取得後の資質の向上」についてでございます。こちらはまず10 行目「資格取得後の資質の向上については、資格を有する者に対し、その重要性についての意識の 醸成を促すべきである」、13行目「自己の研鑚のみならず、職能団体としても資質の向上のための 卒後研修等に積極的に取り組むべきである」という前回までの記載でございましたが、こちらにつ きましても職能団体のみならず、例えば行政、社会的なそういった支援等についても少し触れた方 がいいのではないかという御意見をいただきまして、こちらの方も検討させていただきました結 果、15行目からありますように「行政、医療機関、障害福祉サービス事業所、教育機関においては、 資質の向上のための機会を提供するなどの支援に努めるべきである」といった記載の方をさせてい ただいております。  今回修正をさせていただいた部分については、説明は以上でございます。 ○京極座長 どうもありがとうございました。  ただいまの御説明について、各構成員から御意見や御質問をお願いしたいと思います。 ○吉川障害保健専門官 座長よろしいでしょうか。文言が落ちているところがございまして、申し 訳ございませんがこの場で追加をお願いいたします。  6ページになります。最後に説明をさせていただきました15行目についてでございますが「行 政、医療機関、障害福祉サービス事業所、教育機関においては」ですが、「教育機関等においては」 というふうに「等」を追加していただきますようお願いいたします。失礼いたしました。 ○京極座長 それでは、前回いろいろ議論が出ましたので、今日はもし早く終われば終わりたいと 思いますが、特に御異議をいただく場合に、もう最終段階でございますので、とりまとめに向けた 議論として、何ページの何行目とか具体的に御指摘いただくとありがたいと思います。抽象的にこ ういうトーンで変えてほしいとなりますと、それはそれでまた作業を有して、そのトーンのイメー ジは人によってかなり違いますので、字句の修正というふうに限定した議論をお願いします。  ただ、勿論、今後この取扱いや考え方について議事録に残すべきで、こういうふうに処理してほ しいということは御意見として賜りますけれども、文章上の話につきましては、できるだけ具体的 にお願いしたいと思います。  それでは、どうぞ御自由に構成員の方から御意見をいただきたいと思います。かなり出た意見に ついては、事務局の修正案で改善はされていますけれども、まだまだ細かいところを見ますと意見 があるかと思います。どうぞ。 ○大塚構成員 あらかたお含みいただきまして、反映されているかと思いますが、文章上可能であ ればこういうふうにしていただきたいと思うところが3点ほどありまして、すべて3ページです。  3ページの(2)で、前回もいろいろと議論が出たところですけれども、1点目としまして「(イ) 求められる支援の多様化」ですが、どうしても引っかかっていることがありまして、「従来からの 統合失調症への対応のみならず、各々の疾患に対して、固有の特性を踏まえた適切な対応が求めら れており」と書かれていますが、私どもはソーシャルワーカーですので、疾患そのものに関して何 か手を打つということが専門性ではないものですから、疾患に対してもそれなりのアプローチをし なければいけないのでしょうけれども、むしろ中心的なことは、疾患及びそこから派生する生活困 難課題への対応ではないかと思っております。  具体的には「各々の疾患に対して」で、疾患及び派生する生活困難課題に対してという言葉が入 ると、より精神保健福祉士の専門的なところが反映されるのかなと考えました。  次に、ここは前回も鹿島先生が慎重にとおっしゃったところですが「様々なストレス関連障害や」 で、今も事務局の御説明になかなか書きづらいというお話しでしたが、例えばうつ病のときはその 前に、社会経済状況等を背景として大きく増加しているという前文があるように、できればこの 「様々なストレス関連障害や」の前に、同じように前文を付けていただけるのでしたら、自殺者及 び虐待やDV、事故、事件などの犯罪被害や災害被害者の増加に伴うさまざまなストレス関連障害 というふうに加えていただくことができないだろうかと思いました。  実際に医療機関では随分多くDVの方やPTSDの方がお見えになって、診療を提供していると いうことがございますので、入れていただいてもいいのかなと思いました。  それらを踏まえて、(2)の最初の2行のところに「近年の精神保健の課題の拡大を背景として」と いうところですが、できれば本当は精神保健の課題の拡大の中身も書いていただけるとよかったか なと思います。そこはそのままにして「背景として、職域の拡大や、求められる支援が多様化して おり、精神保健福祉士の役割が拡がってきた」と書いてありますが、何となく私どもの理解として は、求められる支援の多様化があったから、実績に応じて職域の拡大があったのかなと考えるとこ ろがあり、順番を逆転しても差し支えないのであれば、拡大を背景として求められる支援が多様化 しており、職域の拡大や精神保健福祉士の役割の拡大が生じてきたという方が自然かなと思ったの ですが、それが適切かどうかは皆様の御意見をいただければと思っています。 ○京極座長 3つ出ましたけれども、2番目の点は専門的に知見が必要な議論なので、鹿島先生が いらしてからにして、最初の疾患に対する対応というと医学的な対応だけになってしまうような感 じもするということで「疾患及び派生する生活困難に対して」というのを正したらどうかというこ となんですけれども、これについてはいかがでしょうか。常識的によろしいような気がするんです けれども、よろしいですね。  3番目のご意見で3ページの(2)の出だしのところですけれども、この順番は(ア)と(イ)の順 番なので、引っくり返したら(ア)と(イ)を変えなくてはいけないんですが、ここはどうでしょ うか。どちらが原因で結果というわけでもないんですね。逆に余り原因と結果で、支援が多様だか ら職域が拡大するとも言えないし、さまざまな職域に拡大する中で、その拡大した職域にそれぞれ において支援がまた多様化するという、マトリックスみたいになっていることなので、原因と結果 という因果関係にしない方がむしろよろしいから、このままでどうでしょうか。  鹿島先生はいらしたばかりですが、3ページの(イ)の(1)ですけれども、前回はPTSDとか具 体的な名前を入れたんですけれども、これについてはいろいろと議論することが多いので「様々な ストレス関連障害」と丸めました。  前回の意見を反映された修正になっておりますけれども、なお大塚構成員の方から、自殺とか虐 待等に起因する、あるいは伴うという言い方もあり方もありましたが、自殺に伴うとか起因すると いうのはおかしいんですが、そういう具体例を入れて、さまざまなストレス関連障害とした方がい いのではないかということですが、ここはなかなか因果関係とかその他の微妙な問題なので、専門 的な御意見を伺ってから判断しようということでお待ちしていたところなんです。 ○新保構成員 そういうのは大きな原因になると思いますけれども、そういうのも少し入れた方が よろしいということですか。 ○京極座長 「社会経済状況等を背景して」と同じように、何か前文があった方がいいのではない かという意見です。 ○谷野構成員 一番大事な前回を休みましたので、休んでおる間に非常にスマートにでき上がりま して、どこから言っていいのかよくわかりませんけれども、今のことに関して言えば、PTSDと か自殺ということは余り触れない方がいいと思います。  うつ状態で自殺する人はかなり多いんだろうと思いますけれども、そこに至る間の過程はかなり いろいろあるわけですから、ここは全く総論的なことですから、そういうことでストレス関連障害 とかいうのがいい表現だと思います。 ○鹿島構成員 訳語としてストレス関連障害というのがありますのでよいと思いますが、さらによ り広くさまざまなストレスによる障害を対象とするということであれば、さまざまなストレスに関 連する障害としてはとも思います。いかがでしょうか。 ○京極座長 このさまざまなストレスに関連する障害。 ○鹿島構成員 その表現なら広く自殺等の問題も含まれると思います。 ○京極座長 ストレスの原因は多様だということで、さまざまな中に入っていると。どうでしょう か。余り具体的に書くとあとはすべてPSWの対象かとなってしまうので。 ○大塚構成員 そんなふうに欲張るつもりはないのですが、最初に申し上げたように少し気になっ たのが、ここのタイトルが「求められる支援の多様化」と書いてある割には、最初の切り口が全部 疾病とか障害名で、認知症とか発達障害とか、そういう形で入っていったので、先ほど申し上げた ように、私どもはどちらかというと疾病そのものというよりは、派生する生活困難課題に対応して いくことを考えましたときに、この間、国策としていろんな対策が打たれてまいりますね。自殺予 防対策であるとか災害支援対策であるとか、そういう対策を講じるときに、そこに勿論私どもだけ ではないのですが、精神保健福祉士もそこの対策に貢献とか寄与することができるぞということを 何となく想定できるような書きぶりもあるとうれしいなと思ったのがその意図でした。 ○京極座長 (ア)の方は職域で(イ)の方は機能だから、機能についてはむしろ疾病名を明確に して、それぞれ従来、最初に法律ができたときにややもしますと、統合失調症を重点に置いて考え られたのに対してこういうのがあるというので、事例を出した方がわかりやすいのではないかとい うことだと思うんです。  これはぼかしてしまうと疾病名がわからなくなってしまうから、むしろ書いていただいた方がい いのではないかという気もします。 ○鹿島構成員 疾病名ということであれば、ストレス関連障害の方がより限定的な表現です。もう 少し広く表現するなら、先程のさまざまなストレスに関連する障害となります。 ○京極座長 ここはさっきの訂正でどうでしょうか。 ○鹿島構成員 繰り返しになりますが、ストレス関連障害という訳語があります。さまざまなスト レスに関連する障害とすれば、より広い意味となります。 ○京極座長 とりあえずそういうことで、発達障害も定義についてはいろいろ議論すると、これは また書けなくなってしまうので、対応を求められているということで、要するに従来、ややもしま すと、統合失調症への対応ということに重点を置いて考えられたのが広がったということを(イ) として、それぞれの職域についてもいろんなタイプの方がいらっしゃって対応しているわけだか ら、そういうふうにマトリックスでとらえるような形で、職域の縦軸と機能の対象の横軸みたいな 形で、そうすると非常にわかりやすいと思うので、これはこれでむしろ生かしておいた方がよろし いのではないかと思います。  ストレス関連障害は一つの専門用語でもありますし、幅広に理解する上で、多様なストレスに関 連する障害だというふうに直させていただくということでよろしいでしょうか。 ○谷野構成員 是非お願いしたいのは、2ページの「(1)中核の業務として担うべき役割」というの は、やはりPSWとしては中核の業務をここで言っておるんだろうと思いますけれども、このPS Wの資格化のときの歴史的背景を考えたり、あのときのいろんな議論を考えますと、ここに是非入 れてほしいのは、医療機関等においてチーム医療の一員として精神障害者の地域移行を支援する役 割についてです。  これは是非このチーム医療ということを、今それだけ精神科でチーム医療が発展してきているか というと熟知たるものはありますけれども、資格化のときにこれは声を大にして、チーム医療の一 員としてPSWの資格化が必要なんだと言ってきた経緯があります。それは今でも変わらないと思 います。PSWの方が1人で地域移行ができるわけではございませんので、チーム医療の一員とし て精神障害者の地域移行を支援すると是非入れてほしいと思います。 ○京極座長 これはよろしいのではないかと思います。あとの方の精神障害者の地域生活を支援す る役割については、医療機関のみならず、他の福祉機関その他がありますから、そこはどうでしょ うか。これは当然だと。法律改正としては入ってくる項目かもしれませんが、課長、もし御意見が ございましたら。 ○福島精神・障害保健課長 勿論、医療機関においてチーム医療の一員としてというのはおっしゃ るとおりだと思いますので、そこはもういいと思います。  ただ、「等」が実は医療機関だけではなくて、社会復帰施設が入るので、チーム医療という形に なると、医療機関においてチーム医療の一員として、「等」の位置づけが不明確になりますので。 ○谷野構成員 今、先生が言われたように、全部にチーム医療というのは社会復帰施設はチーム医 療、PSWの独自の仕事でいいと思うけれども、今、課長が言ったように「等」が入っているので、 この「等」をどう解釈するかによって難しいと思うから、社会復帰施設とか関連の何かが出てくる なら、ここは「等」と医療機関だけにする。 ○京極座長 PSWの本質に関わる大事な問題なので。 ○古川構成員 医療的に考えると、チームアプローチという言葉が4ページに出てきていることも ありますので、病院の場合にもチームアプローチという言い方でもよければ十分にあります。先生 の御趣旨は通るのではないかという気がするんです。そうしますと、あとの方も全部流れてくると いう感じがいたしますけれども、いかがでしょうか。  4ページ目の3の3つ目の○のところにチームアプローチという、これはわざわざ追加をしてい ただいているので、前の方にも同じ文言を入れていただくと平仄が合って、内容的にもつながるの ではないかという気がいたします。いかがでしょうか。 ○京極座長 チームアプローチは医療ではなくて。 ○古川構成員 チームアプローチがチーム医療ということもありましょうし、社会的なところで は、それなりのチームアプローチという趣旨でいかがでしょうか。 ○京極座長 新しい言葉ですけれども、「等」を付けてチームの一員としてとしたら・・・。 ○福島精神・障害保健課長 実は4ページ目にチームアプローチというのが「必要となる技術」と いう関連技術のところで、新しく更に獲得させるべきリストの中で位置づけているということから 言いますと、例えば医療機関等において、そのチームの一員としてというような若干あいまいでは ございますが、チームの一員としてという表現で差し支えなければ、そういうふうにさせていただ きたいと思います。 ○古川構成員 「等」が入ったときには、何かごまかしたような話になる。 ○寺谷構成員 「等」が入っていることで、明確化されている以外の役割があることを示唆してい ると理解することもできる側面があり、今後の開発への取り組みを含め座りがいいですね。 ○福島精神・障害保健課長 現行の法律も定義のところがやはりそういうふうに書いてあるもので すから、医療機関及び社会復帰施設において精神障害者の社会復帰をする支援する役割ということ が明示されていると。「等」はそこを示しておるもので、なかなかこれを抜くわけにはいかないも のですから、勿論社会復帰施設においてもほかの関連職種やいろんな方々とチームアプローチをす るという面では、同じことだと思いますので、そこはできましたら医療機関等において、チームの 一員としてという形で表現させていただければありがたいと思います。 ○京極座長 とりあえずそういうことで、医療の場合は医療のチームの一員、地域の場合は医福連 携の一員というふうに解釈していただければ結構だと思います。 ○石川構成員 ほぼ盛り込んでいただいておりますので、特にはございません。盛り込まない中で 御意見を前回はさせていただいたということがございまして、お願いしたところはほとんど書き換 えていただいておりますので、追加することはございません。それ以外の部分は今日また改めて言 わせていただければと思います。 ○鹿島構成員 この前、議論したところはほとんど入っていて、6ページの(5)資格取得後の資質の 向上の3番目で、「行政やさまざまな機関が資質の向上のための機会を提供するなどの支援に努め るべきである」ということも入れていただいたので、特にございません。 ○新保構成員 確かに前回議論したことがほぼ網羅されておりますので、問題はないかと思うんで すが、先ほど大塚構成員が指摘された、3ページの広がった役割に関しての議論があって、いわゆ る疾患を中心にここで記述されているということがございました。それについては、それを具体的 に明示する必要性を座長の方から御指摘がありました。  4ページの「3.求められる役割を踏まえた対応」という形で、具体的な事柄についても触れら れているので、これでいいのかなと思っています。  問題はそれが今後の検討につながっているような形で、知識とカリキュラムの概要に反映されて いけばいいのかなと。その意味では現行の中間的な報告については、カリキュラムその他について、 あるいは詳細な部分ではなく、こういう包括的な内容で一応いいのではないかと思っております。 ○谷野構成員 1ページ目の一番初め出だしの宣言ですが、どうも一つよくわからないのは「指摘 されてきた」ということは、主語は何なのかよくわからないです。だれが指摘されてきたのか。だ れから指摘されたのか。外国から指摘されたのか。当事者から指摘されたのかということを考える と、いろいろあるんです。  そうではなくて、こういうようなもっと主体的な文章にすると、政策課題の一つとして、ここら 辺の前後を調整してもらうようにして、重要な課題として浮かび上がってきたとか、重要な課題と して認識されるようになってきたという方がすっと頭に入るような気がします。  指摘されてきたというのはよくわからない。だれが指摘したのか。全く主体性もない言葉なので、 そういうふうに認識されてきたわけでしょう。現在、各方面がそういうふうに認識したわけですよ。 ○京極座長 ここは確かに外国からの指摘もあるし、専門家の指摘もあるし、当事者の指摘もある し、新聞等のマスコミもあるので、認識されるようになってきたということでよろしいですか。 ○寺谷構成員 私も先ほど来の構成員と同じで、随分適切に盛り込まれているという印象を持ちま した。  もう一つ、ちょっとわがままかもしれませんけれども、この10年の間に一定の資格制度による 成果が多少あったのではないかと思います。その辺も盛り込んでいただけると、その成果をもっと 増進させていく課題として自覚的な取り組みが求められることになるという勢いが付くのではな いかと思います。 ○京極座長 具体的に言っていただけますでしょうか。 ○寺谷構成員 具体的に言いますと、範囲の拡大のところにもあると思いますが、求められる支援 の多様化および職域の拡大に国家資格化が表れているというような文言を入れていただけると。  (2)のところの1〜2行ですね。7万人の社会的入院の解消に向けて何とかというのが前段にあり ますけれども、国家資格化実施以来、10年の経過の中に一定の成果を生み出してきているという文 言で、いかに職域の拡大や求められる支援の多様化に表れているというスタンスでは無理でしょう か。 ○京極座長 社会参加促進ですか。 ○寺谷構成員 そうです。 ○京極座長 2ページの「(1)この10年間での変化」ではないんですね。 ○寺谷構成員 10年間の評価として今後求められる役割とか領域の拡大など、想定の事項はあるの ですが、実績に少し踏み込んでもらえると、十分とは言えないまでも7万人の成果が余り見られな いというところが出てくるんですけれども、地域で実際にいますと一定程度の成果は実感できる側 面もあり、もっとそれを後押しするような支援施策の強化の必要性というところに結び付けてこと はできないでしょうか。 ○京極座長 成果というのは具体的に何の成果ですか。社会参加促進ですか。 ○寺谷構成員 そうです。社会参加促進は支援環境の醸成の側面から考えても、地域移行に今後ま とめられる役割とか、領域の拡大とかは想定の事項はあるんですけれども、実績に少し踏み込んで もらえると、何かいつも7万人が余り見られないというとこだけ出てくるんですけれども、地域で 実際に見ますと、一定程度の成果が期待はかなりできる側面もあり、もっとそれを後押しするよう な支援施策の強化の根拠に考えられないか。 ○京極座長 入れるとすると、10年の変化のところでしかないですね。 ○新保構成員 2のところでもいいかとは思いますが、1のところで、18行目の資格制度創設か ら現在に至るまでの間、精神障害者の地域移行に関わる一定の成果を果たしてきた。そして、精神 保健福祉士を取り巻く環境の変化があったところであるがというところにつなげればいいのかと 思ったりしました。  今、寺谷先生がおっしゃったように、確かに10年間の中で、それなりの一定の成果を得たから こそ職域の拡大もあったと思いますので、何らかの形でそれは文言化していただけるとありがたい と思います。 ○京極座長 ここは書き方が難しいですね。1ページのところも考えられると、2ページもあるし、 3ページもあるし。 ○谷野構成員 精神保健福祉士の役割としてその重要性。 ○石川構成員 2ページの24行目のところ。 ○谷野構成員 そうそう、ここですよ。精神障害者の地域移行が、一定の成果を上げ、その重要性 が一層高まる。 ○大塚構成員 24行のところに、施策の転換から図られている中にあって、それこそ寺谷さんた ちがやられてこられたように、地域の資源を開拓することなどを始め、地域移行への一定の成果を もたらした。依然として進んでないのが、全部精神保健福祉士のせいではないので、ますます役割 としてその重要性が高まっているということであれば、つながりませんか。 ○京極座長 1ページのところで、さっき新保構成員がおっしゃった27行目ですけれども、「され てきたところであるが」となってしまいますけれども、「実施され」というところで切って、「精神 保健福祉士の国家資格により施策の前進が見られたところであるがとして、しかし、長期入院はま だ進んでない」などと。そこでさらりとひとつ言っていく手はあると思います。ビジョンに基づく だけではなくて、「ビジョンに基づく施策が実施され、精神保健福祉士の国家資格によって施策の 前進が図られたところであるが」としたらどうですか。 ○新保構成員 私が18行目の方がよいといったのはなぜかというと、ビジョンは最近の話ですか ら、それ以前からの役割評価を示したいということだと思います。 ○石川構成員 文脈が2つありますので、これをつないで書くのは難しいですね。 ○新保構成員 ただ、今のようなものが、精神障害者の地域移行に関わる一定の成果を果たしてき たという事柄について、事務局でどこかにうまく入れていただくというのも方法では。 ○京極座長 環境の変化があったというんではなくて、もうちょっと具体的に書くと・・・。 ○福島精神・障害保健課長 初めのところは、全体的な概括的な話なので、特に10年間でどうい う役割を果たしてきたかというところでいいますと、2ページ目の(1)の24行目、先ほども御 意見があったと思いますが「入院医療中心から地域生活中心へ」という施策の転換が図れる中にあ ってというところの後に、精神障害者の社会復帰に一定の成果を上げてきたところである。  しかしながら、長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行が依然として、十分には進んで おらず、一方で、国民の精神保健の課題にも拡大が見られている中で、精神保健福祉士の役割とし ての重要性が一層増しているというふうに変えてしまえば、次の(2)へ文章がつながっていくの ではないかと思いますが、そういうところでいかがでしょうか。 ○京極座長 中にあっての後ですね。 ○福島精神・障害保健課長 中にあって精神障害者の社会復帰の支援を担う役割については、一定 の成果を上げてきたというふうに書いて、その上で、しかしながら、実態的にはそうはいいながら、 まだまだ社会復帰についても課題が多いわけでございますし、更には課題にも拡大が見られる中で、 その役割が重要性を増しているんだという認識を持つという、表題も役割ということになっており ますので、そういうことではどうでしょうか。 ○京極座長 その重要性が一層高まっているがというのを取ってしまうんですか。なるべくここで 決めた方がいいんです。後で事務局持ち帰りにすると大変ですからね。 ○福島精神・障害保健課長 中にあって、一定の成果を上げてきたところである。そこで文章を切 ります。しかしながら、長期入院患者を中心とした精神障害者の地域移行は、以前として進んでお らず、一方で国民の精神保健の課題にも拡大が見られており、精神保健福祉士の役割としての重要 性が一層高まっている。 ○京極座長 今の意見でどうですか。 ○新保構成員 課長がおっしゃることに私が何か言うのもおこがましいんですが、確かにおっしゃ ることはよくわかるんですが、どうしても文言が依然として進んでいないということ等の双方で矛 盾が1つの文脈の中で生じてしまうような感じがあるので、もしそうだとすれば、2の(1)の最 初の段落、21行目に、精神保健福祉士法より創設され、精神障害者の社会参加、ないしは地域移行 に一定の成果を果たしてきた。下はそのままの方がスマートなのかなと思います。 ○京極座長 創設当時に求められたと受けているから、余り書き込んでしまうとそれが受けられな くなってしまうので、今、課長がおっしゃった点で案にして、細かい「てにをは」は別として、な お一層重要性が高まっているということだから、いいんじゃないですか。役割にしたんだけれども、 なお一層、更にもっとという感じに、ここだと前向きになりますので。 ○福島精神・障害保健課長 社会復帰の支援と役割について、重要性が一層増しているという状況 は変わってないというところは、確かに文章として残しておかなければいけないので、今の御指摘 のところを踏まえて、最終的に座長と相談して、一定の成果があったことについてのところは、2 の(1)の中で多分書くべき部分だとは思いますけれども、最終的にどういうふうに文章を入れ込 むかは、最後また座長と相談させていただきまして、その趣旨を踏まえた修文をさせていただきた いと思います。 ○古川構成員 私は4回目と5回目を欠席してしまいましたので、社会福祉士の試験問題をつくっ ておりましたので、大変申し訳ないんですが、肝心なところをサボってしまいまして。細かい文言 については、もう既にかなり精査されているところですので、これ以上、私が申し上げることはな いと思いますが、全体として、先ほど大塚構成員の指摘で、文言が一部修正をされて、根拠として 精神保健福祉士はソーシャルワーカーであるからということを言っておられましたので、職務内容 としてはソーシャルワークであって、その基礎科目は社会福祉学だというのが、私の理解の仕方で ありますけれども、そのことを十分に踏まえた上で、そうするとジェネリックの部分とスペシフィ ックの部分が出てまいりますので、その調和をどう取るかということが、理屈の上では一番重要な ことかなという印象を持っております。かなりその部分いろいろと配慮しながら進めていただいた んではないかと思っているところです。  もう一つは、資格を取った後もしっかり研修をしていただくことが必要ではないかといったよう なことを申し上げてきたような気がいたしますけれども、その点につきましても、6ページのとこ ろで資格取得後の資質の向上に、更に一点付け加えていただいて、かなりここは意味が強まってい るんではないかと思いますので、この方向でお進めいただくのがいいんではないかと思っておりま す。  あと養成課程その他につきましては、また次のステップの問題があるようでありますので、それ は後にしまして、私の申し上げておくべきことはそういうことかと思っております。 ○京極座長 一応一巡いたしましたけれども、細かいことがまだ残っていますけれども、1つだけ 気になっていることがあるので、私の方から提案したいと思うんですけれども、実は社会福祉士及 び介護福祉士法の見直しのときに、誠実義務について定義いたしまして、社会福祉士等が業務を行 うに当たり、常に支援対象者の立場に立って誠実に業務を行わなければならないという規定を新た に盛り込んだんですけれども、これは別に社会福祉士だけの特異な現象ではなくて、精神保健福祉 士も当然ながらあるので、逆に法律改正のときに、なぜ社会福祉士だけが免れているのかという説 明もできません。また今後、PSWが発展するためには、この誠実義務については取り組むという ことをきちっと、今度の新しい法律には入れた方がいいんではないかという気がいたしますけれど も、その辺はいかがでしょうか。これは実は議事録を調べましたら、雑談では出たかもしれません けれども、正式な議事録には載っておりませんでしたので、載ってないことをまとめるわけにはい きませんので、御意見を伺いたいと思います。 ○谷野構成員 何義務ですか。 ○京極座長 誠実義務です。これは、福祉士法の改正のときに、社会福祉士等が業務を行うに当た り、常に支援対象者の立場に立って誠実に業務を行わなければならない。要するに信用失墜行為だ とか、法に触れるということでは必ずしもないけれども、法に触れないまでも、不誠実な行為とい うのは行われることが積み重なりますと、非常にサービス業者も不利を被るので、福祉士法改正に はそれを入れ込んだわけでございます。既にそうなっております。  ところが、PSWの改正については、この委員会の中間報告がたたき台になりますので、そこに 何も触れてないということになりますと、私は触れていると思ったんですけれども、実際、議事録 上はない。終わってからの雑談とか、始まる前に議論は勿論しているんですけれども、議事録には 載っていなかったものですから、最終回でございますので、改めてここで御意見を賜って、入れる ものは入れたいということでございます。  倫理的にはより厳しくなることになりますけれども、いかがでしょうか。入れないと、逆に何で 入れないんだと問い詰められてしまうので、国会でも質問論議になってしまうので、ここは横並び ということだけでは必ずしもなくて、本当に精神保健福祉士が頑張るためには、もっといろいろや っていかなければいけない。今も各支部でやってらっしゃいますけれども、自主的に研修等の努力 も随分されているわけですけれども。 ○古川構成員 これは、最終的には精神保健福祉士の仕事をしている人たちが、自分たちの行動の 仕方について、文言を入れておいた方がいいという判断をされるべきではないかと思いますけれど も、たしか守秘義務も入っているでしょう。 ○京極座長 それは法律に入っています。 ○古川構成員 だけれども、それを超えてもうちょっときちんと、自らも戒めながら、しかし、領 域は広げて、活発にやるぞという趣旨なのか、それともいろいろと不祥事が発生しつつあるのかと いったような、両面からいろいろ考えられる。 ○新保構成員 いわゆる義務規定が、精神保健福祉士法の39条、信用失墜行為の禁止とか、ある いは40条の秘密保持義務だとか、こういったものと関連して、どういう意味合いを持つのかとい うのが、1つ大事なポイントだと思います。  勿論、倫理規定というのはしっかりしてなければいけない。これは当然のことだと思いますし、 それをどういう形で義務規定をつくるのか、平たく言えば精神保健福祉士法の、先ほど申し上げた 39条、40条等について、あるいは権限云々、その他の事柄について、それが不十分であって、補 足するという意味で義務規定をつくるのか。あるいは包括的な形での義務規定なのか、又は専門職 としてそれなりにしっかりとしていくための義務規定なのか。  それらについて、例えば総括的に考えた場合には、精神保健福祉士の場合は、今日の中間とりま とめの報告書の冒頭でも、最初に歩みが示されて、そしてその次に精神保健福祉士の理念として、 精神障害者の社会的復権と福祉のための専門的な活動を実践してきたという形で、我々の目指すべ き精神障害者支援の在り方、すなわち価値意識というのが示されているわけです。  ですから、これと義務規定がどうリンクするのかということを考えなければいけないと思います が、それは不必要だということで言っているわけではございません。もし考えるんだとすれば、そ の辺をきちんとリンクさせていくべき必要があるだろうということです。 ○京極座長 事務局の方で誠実義務という意味を少し説明していただけますか。 ○福島精神・障害保健課長 社会福祉及び介護福祉士法の44条の2の条文を読みますけれども、 社会福祉士及び介護福祉士は、その担当する者が個人の尊厳を保持し、その有する能力及び適正に 応じ、自立した日常生活を営むことができるよう、常にその者の立場に立って、誠実にその業務を 行わなければならないという言葉になっております。  このときの部会の意見では、介護福祉士制度の見直し等で、尊厳を支えるケアの実践とか、高い 倫理観の保持が必要だと言われているわけですが、背景として、一方で、いわゆる虐待の問題であ るとか、性的暴言の問題であるということが、非常にまれな例ではありますけれども、好ましくな い事例もございまして、そういうことを踏まえて、誠実義務ということを規定する。このような背 景の中で決められてきたということでございます。ここでもう一度御議論いただければと思います。 ○京極座長 大塚委員からも、当事者として。 ○大塚構成員 辛い立場にありますが、今、課長がおっしゃったように、多分背景として、資格者 が増えてきて、資格者にもいろんな実態が生じるようになってきたという不幸な状況の中で出てき た話だろうと理解しています。  私どもも、信用失墜の行為でもう既に一人取り消しが過去にありましたし、やはり資格者が多く なってきたということで、それは育てる環境等々にも勿論問題はあると思いますが、能力差も含め ていろんな状況になってきていることは実感としてあります。一方で、社会的認知もそれなりに高 まってきた証拠かと思いますが、時折苦情などが入ってくるようになってきています。これは、や はりここ数年のことですので、随分それなりに全国的に認知されてきたことと、期待にそぐわない 状況が生まれてきていることも実感として感じています。自助作用を求めて、例えば苦情処理規定 などを協会内に設けて、対応も図るようにしておりますが、なかなか解釈を巡って難しいと感じる ところがあります。誠実義務は前向きに考えますと、有資格者が多くなれば、そういう必要性もあ ると思います。ただ、資格取消しにも通じるようなことになるときに、誠実義務の中身が何を持っ て不誠実との判断に持っていくかの具体的基準は、大変難しく、そこはどう法改正としてでてくる のか想定しながら、今、考えておりました。新保構成員もおっしゃったように、私どもの業務の規 定と合わせて、不誠実ということをどうとらえていくか、大変厳しく問われることを今、感じてい ます。 ○石川構成員 2つありまして、1つは何に対する不誠実なのかということに関して言えば、精神 保健福祉士サービスを利用する人というふうに、ここでは考えるとすれば、その立場からは、専門 職の資格の方ですので、ほとんど議論はしてこなかったわけですが、やはりその点はどこかできち んと、この検討会で議論した上で条文に入れられるんであれば、倫理規定に近いような、ガイドラ インのようなイメージになってしまうんですが、文言からすれば、やはり権利の擁護という理念が 入っておりますので、私は入れられるのであれば、入れる必要があるかなと。それを実際に運用す るときの難しさというのは、確かにいろいろ幅がありますので、難しいかとは思うんですが、その 点は入れた方がよろしいんではないかと。  ただ、この文章のどこに入れたらいいのかが、なかなか難しい点ではあると思っております。  もう一つは忘れてしまいました。後ほど思い出したら発言します。 ○京極座長 私、実は今日の会議の前に事務局と原案を見たときに、ちょっと気が付いたものです から、どこに入れたらいいかということを、これはなかなか難しいので、一回できてしまった原稿 に後から入れ込むとなるとなかなか難しいんですけれども、これは法律的な違反ではないので、こ れからちゃんと誠実に仕事をしていきましょうということなので、PSWの新たな職務倫理規定を つくるときには、そのベースになるという意味であります。  ちなみに、3ページの(2)の前に、なお書きで中核の業務として担うべき役割にそういう文言を少 し書き込んだらどうかということと、もう一つ、5ページの(2)の(1)、精神保健福祉士の役割の 理解の深化のところに、明示すべきであるというふうに書いてありますけれども、少し精神保健福 祉士の誠実義務を推進の方向で書くことができるかと思っております。  技術的には、やや難しいんですけれども、最初から入っていれば全然問題ないんですけれども、 今のところそういうところを、前回、事務局と打合せしたときに思いついたものですから、私も忘 れつつあるんですけれども、今、思い出してきて、そこで触れておけば、法律改正のときには1つ 項目を起こして、法律違反としての信用失墜行為とか、守秘義務の違反とか、それは別途に努力目 標として、こういうふうにやっていくということで、倫理性の高い国家資格として位置づけが、よ り国民にはっきりしますので、これは入れられれば入れた方が望ましいと思います。  そういうことで工夫させていただくということで、よろしゅうございますか。項目を起こして、 1項目付けるのも変ですし、どこかに触れてあれば、これを踏まえて法律改正の議論のときの材料 にしていただくことになります。  ほかにどうでしょうか。今のことに関して、事務局の方で御意見がありましたらお願いします。 ○福島精神・障害保健課長 具体的に報告書の中で、どういうふうに入れるかについては、例えば 3ページの11行目辺りのところで、これは中核業務のところだけになってしまうかもしれません が、誠実義務の全体にかかる話ではあるんですが、例えば一番最後に、なお、上記の業務に当たっ ては、精神障害者の人権を尊重し、誠実に業務を行わなければならないということを入れ、かつ5 ページ目の13〜14行目の間に、更に、これらの業務を行うに当たっては、精神障害者の人権を尊 重し、誠実に業務を行うべきであるということを追記してはどうかと思います。  最終的にどこに入れるかとか、それはまた座長と相談させていただきますが、そういう形で入れ 込むことで、今の御議論には対応できるのではないかと考えておりますので、よろしくお願いいた します。 ○古川構成員 なかなか微妙なところがあるような気もしますけれども、全体としては、専門職と しての自律性ですね。専門職というのは、それが一番重要だと思うので、当然それに伴って求めら れる誠実性だというふうに理解していただいて、余りいろんなものが出てきているからというニュ アンスで書いてしまうと、ちょっと違った解釈をされる可能性があるかなという気がしますので、 是非専門職として自律的に判断をし、行動するということの中には、自らを律することも含めると いう理解で是非修文していただけるといいかなと思います。 ○京極座長 他の専門職でも、そういうことをきちっと書いてあるものもありますので、今の御意 見を伺いまして、あとは事務局と御相談させていただいて、修文したものを皆様にお送りすること にいたしたいと思います。 ○新保構成員 今、古川先生の方からおっしゃられた、いわゆる専門性を担保するための自律性と いう意味では、1ページに書かれている赤いところ、先ほども申し上げましたけれども、社会的復 権と福祉のための専門的な活動を具体化するための、こういった文章はどうしても入れて欲しいと 思っております。こういった形での文章ですので、これと同じでなくてもいいんですが、先ほどの 介護福祉士・社会福祉士等に関する誠実義務の中でも、個人の尊厳を保持していく言葉が出てまい りましたけれども、精神保健福祉士の場合は、いわゆるY問題を軸にして、個人の尊厳ということ についてずっと考えてきたわけですし、その結果として出てきた表現が、精神障害者の社会的復権 と福祉のための活動ということでございますので、何らかの形でこれを生かしていただいて、それ を具体化するために倫理要綱が必要なんだとか、誠実義務が必要なんだという書き方にしていただ けるとありがたいと思います。 ○京極座長 ということは、必ずしも社会福祉士及び介護福祉士の誠実義務とは、少し違ってもよ ろしいというニュアンスですね。 ○新保構成員 同じ方がいいですか。 ○京極座長 全く違うと、何で違うのかという議論になってしまうから、基本的に同じ方がいいで すね。法律的なことは、またここで議論することでは必ずもないので、法律をつくる上で必要な議 論をここで行うということなので。 ○石川構成員 背景としては、忘れて欲しくないということですね。 ○京極座長 その辺のニュアンスは、ここの報告書の中では書いても結構だと思いますが、法律に なったときはどうなるのか、これはなかなか内閣法制局でいろんな議論があって、等が付くと、こ の等はどういう意味だということで突っ込まれて、延々と何時間もなってしまうということなので、 ここは法律の専門家の御意見を反映して、そういう議論をするときのベースとしてここで一応一通 り議論していくということが重要だと思いますので、こういう意見が出ているということをもって 法律をつくることになると思います。 ○谷野構成員 1週間前ぐらいに、友人がたまたま富山に来たので話しをしていて、彼はこういう ことを言うわけです。PSWのような恵まれた資格化がない。いいですねと。それは、決して彼が 本当にいいですねと思って言っている言い方ではないんです。というのは、やはりPSWのときに MSWが残されたり、社会福祉士の問題があったり、いろんな周辺の方々との問題があって、ある 意味では福祉の現場を教えている教授としては、ちょっとやっかみ半分で、何かそういう目でPS Wが見られているかどうかわかりませんけれども、一部にあるとすれば、まさに今、言われたよう に、倫理規定とか、PSWの専門性とか、これからはそれをきちんとしていかれないと、同じ福祉 職の中で、特異といえば特異なんです。精神保健福祉士としてPSWだけくくったというのは、世 界的にまれだと思いますから、そういう意味で、これは研ぎ澄まされた倫理規定、私は誠実業務と いうのは今、初めて聞いたんですけれども、是非それを入れて、もし協会にできてないとすれば、 倫理規定をつくるなり、これは我々外部から言うようなことではないですからね。  ただ、これで難しいと思うのは、PSW協会というのは、未だに組織率が30%ぐらいなんでしょ う。そうなると、PSWでありながら、ほかのところに行っている人にまで、その倫理規定が及ぶ わけじゃないから、難しいと思いますけれども、1つのメッセージとして、やはりきちんとした倫 理観をつくるべきです。倫理規定を是非つくられないと、福祉職仲間では皆さん方はやはり恵まれ ていると思っているんです。そういうふうに思われても仕方ない、PSWだけが専門性を持ってい るような、そうであれば誠実義務は勿論だし、高い倫理規定を是非つくられた方がいいと思います。 ○大塚構成員 組織率の低い精神保健福祉士協会ですが、倫理綱領はしっかりと持っておりまして、 まだ行動規範まではつくれておりませんが、倫理綱領は適宜見直しをしたりして持っております。 かねてより、それこそ寺谷構成員が、倫理綱領は床の間の掛け軸にしなさいというふうに言われて、 後輩たちはそれを守っているつもりですが、やはりおっしゃるように、協会に入ってない有資格者 のところまでそれが及ぶかというと、なかなか及ばないという現実もありますので、やはり法律の 中に誠実義務が入ってくると、これは協会加盟にかかわらず、有資格者すべてに関することになる と思いますので、それは前向きに検討していただいていいと思います。 ○京極座長 ありがとうございました。今後の課題もあると思いますが、いろいろ御議論いただき ましたけれども、そろそろ時間となりましたので、中間報告書につきましては、私の方で、とりあ えず預からせていただきまして、事務局と御相談の上、最終調整をさせていただいて、皆様方に最 終案をお送りすることにしたいと思います。  今後の日程等につきましては、事務局より御説明をお願いいたします。 ○福島精神・障害保健課長 中間報告書については、今、座長からお話がありましたように、座長 と最終的に調整させていただきまして、とりまとめの後、速やかに公表させていただきたいと思っ ております。  また、今後の精神保健医療福祉の在り方等に関する検討会、あるいは障害者部会の方にも報告を させていただきまして、精神保健福祉士法の改正が必要なものについては、自立支援法の見直しと 合わせて整理したいと考えております。  先ほども座長からございましたけれども、法律の改正に当たりましては、極力この中間報告書に 沿った形で作業を進めたいと思いますけれども、規定ぶりなどにつきましては、法制上の問題がご ざいますので、最終的にはいろんな細かいところ、運用についてはまた調整があるということは御 承知おき願いたいと思います。  以上でございます。 ○吉川障害保健専門官 それと今後の検討会につきましては、具体的なカリキュラムの内容につい て御議論させていただきたいと思います。開催は、来年1月以降を予定しております。また、カリ キュラムの検討に当たりましては、ワーキングチームを設置したいと考えておりますが、その詳細 につきましては、座長と今後御相談をさせていただきながら進めたいと思います。  事務局からは、以上でございます。 ○京極座長 それでは、本日はお忙しい中、長時間にわたりまして、ありがとうございました。一 応これで検討会の基本的な議論は終わったと解釈してよろしいかと思います。いろんな角度からの 御議論をいただきまして、先ほどどなたかからもおっしゃいましたけれども、以外にすっきりした ものだったということで、すっきりしたということは、よくまとまっていると自負してよろしいか と思います。  これをもちまして「精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会」を閉会いたしますけれど も、今後は年明けからカリキュラムの専門的な、具体的な検討になりますので、私は除きますけれ ども、構成員の皆様方におかれましては、また引き続き御参加していただくことがあるかと思いま すので、また御意見等も寄せていただければありがたいと思います。  どうもありがとうございました。                                    −了−  照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課障害保健係 03-5253-1111(内線3065)