08/10/09 第56回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第56回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年10月9日(木)午前9時00分から午後0時00分まで   霞ヶ関ビル33階 東海大学校友会館「阿蘇・朝日」 2 出席委員:池田、石川、稲葉、井部、大森、沖藤、小島(代理:飯倉参考人)、勝田、 川合、神田(代理:牧野参考人)、木村、久保田(代理:今井参考人)、齊藤、武久、 田中(滋)、田中(雅)、池主、対馬(代理:高智参考人)、中田(代理:桝田参考人)、 三上、村川、山本の各委員、堀田専門委員 3 議題  <審議事項>  1.介護従事者対策について  2.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、各委員おそろいのようなので、第56回「社会保障審議会介護給付費分科会」を開催 させていただく。  初めに、本日の委員の御出欠の状況だが、大島委員、矢田委員が御欠席との御連絡をいただいて いる。なお、本日は小島委員に代わり飯倉参考人、神田委員に代わり牧野参考人、久保田委員に代 わり今井参考人、対馬委員に代わり高智参考人、中田委員に代わり桝田参考人が出席されている。 したがって、22名の委員の先生に御出席いただいているので、定足数である過半数に達しているこ とを報告させていただく。  また、今回はオブザーバーとして、堀田専門委員に御出席いただいている。  それでは、以降の進行を大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  では、早速だが、資料の確認をお願いする。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料の確認をさせていただきたいと思う。  議事次第、名簿、座席表の後に資料になる。  資料1が「給与水準等の地域差を反映させる仕組みについて」。  資料2が「中山間地域等の小規模な事業所に対する加算措置について」。  資料3が「中山間地域に居住する者にサービスを提供した事業所に対する加算措置について」。  資料4が「介護従事者のキャリアアップの仕組みについて」。  参考資料1は、前回提出させていただいた資料の抜粋というか、2ページだけ抜き出したもので ある。1つは「平成21年度介護報酬改定の視点(例)」であり、5点の柱である。  1ページおめくりいただき、もう一つは人材確保、介護従事者対策の論点についてのものである。 この中の黒い四角が、主に報酬関係もしくは基準関係になっている。これは前回と同じ資料になる。  参考資料2は、前回、委員の先生方から宿題としていただいていたものであり、幾つかを除いて は、今回お答えできるものである。後ほど別途説明する時間はないと思うので、概略だけ少し申し 上げる。  1ページおめくりいただくと、これは決まった月に支給する給与と、賞与を12分の1にしたも のを両方書いたものであり、これは特に三上委員などから御指摘があった。  2番目は、特に訪問介護員、ヘルパーさんの非正社員の場合には、フルタイムで働いているわけ ではないという御指摘があったので、実際に月給を見ていただく際に、一月の労働時間を見ていた だいた方がいいだろうということで、黄色いところを加えた。確かに訪問介護員、非正社員の場合 には、女性で60.2時間ということである。  3ページ目は、賃金カーブがあったが、前回は月決めの給与だったが、賞与等を含むベースで比 較をさせていただいた。  4ページ目は、また三上委員から御指摘があった。公共団体はやはり給与が高いのではないかと いう御指摘に対して、特別養護老人ホームが4ページ目である。それから、通所介護が5ページ目 であるが、例えばコラムの32等をごらんいただくと、やはり地方公共団体が高いという傾向があ る。  6ページ目をごらんいただくと、前回、離職率が二極分化しているという御指摘があったが、そ の原因を幾つか追加分析をさせていただいたものである。右側をごらんいただくと、これは級地ご とに離職率を書いたものだが、やはり特別区、東京23区では離職率が高いという傾向がある。  それから、左側のものは地方別に見たものだが、南関東、東海は同じように他の産業による吸引 力が強いということではないかと思うが、北海道、四国が高い理由は少し別かもしれない。  7ページ目は、離職率を事業所の規模で見たものである。4人以下というのはかなりサンプル数 が限られるのと、ちょっと特殊な事業所であることを考えると、ほぼ5〜9人以上のところで見る と、規模が大きいほど恐らく福利厚生等も充実したということもあると思うが、離職率が低くなる という傾向がある。  8、9ページ目は、各事業所がさまざまな努力をしていただいているが、8ページ目が訪問介護、 9ページ目が介護職員全体ということだが、どういうことをすれば離職率が低いのかということが 書いてある。  特徴的なのは、両方とも共通しているのは真ん中のところに「健康対策や健康管理に力を入れて いる」というのがあるが、これは恐らく従業員の方の例えば健康診断であるとか、院内感染もしく はノロウイルス対策というものだと思うが、そういうことがあると離職率が低いということが出て いる。  ただし、右から4つ目の「子育て支援を行う」を見ると、訪問介護員の場合には子育て支援を行 っても決して離職率は低くなっていないが、介護職員をごらんいただくと、子育て支援を行うと離 職率が低いということが出ているので、これは恐らく年齢の差が、訪問介護員の場合は比較的平均 年齢が高いので、既に子育て世代が終わっているということもあると思う。  10ページ目は、齊藤委員等から、前回リクエストがあった、今回の調査でどのぐらいの配布数、 回収数、有効回答数があったかというのを、各サービスに見たものである。  最後が11、12ページで、これは村川委員からもリクエストがあった、各サービス、前回は回数 でサービスを示していたが、事業所の数、それから単位でも示してほしいということでだったので、 一応それに切り分けて提供させていただいた。  以上が参考資料、事務局提出バージョンである。  それから、机上配付だけであるが、沖藤委員から「介護報酬改定について 住み慣れた我が家で 人生を全うするために」という資料を配付している。  以上である。   (大森分科会長)  それでは、前回と同じように、今日は大きく4つ、地域差、小規模事業所、中山間地、キャリア アップがあるが、それらについて15分程度で事務方から説明いただき、一括して説明の後、この 前と同じように審議をいたしたいと思う。  それでは、早速お願いする。   ○鈴木老人保健課長より資料1、資料2、資料3について説明。    ○土生振興課長より資料4について説明。 (大森分科会長)  ここで少し休憩をさせていただいて、それから議論に入りたいと思う。  10時再開ということにさせていただく。 ( 休 憩 ) (大森分科会長)  それでは、そろそろ開催させていただきたい。  この後だが、前回と同じで、多分また全員御発言になるのではないかと見ているが、12時までな ので、たくさんの人が御発言するということをちょっと気にしながら発言していただくと、うまく 回るかなと思っているので、よろしくお願いいたしたいと思う。  資料が相当出て、大事な論点も含まれているので、今日は主として大方針と言われていることに ついて、忌憚のない御意見をお伺いしたいと思う。  どこからでも、どなたからでも結構である。  武久さん、どうぞ。 (武久委員)  少し尋ねさせていただきたい。  資料1の13ページのところだが、医師の給与がその他の地域、これは70%以上の施設があると のことが、介護療養型医療施設では特別区と40万円の差がある。病院なので、医師が3人とする と120万円。この120万円というのは、仮に60人の職員がいるとしたら、一人当たり2万円ぐら いの補てんができる差である。これが医師の給料は省くと、少し全体の収支差というところに影響 してくるのではないかと思うが、資料1の5ページでは、収支差が特別区はかなり低い。介護療養 型を例にとっても、マイナスになっている。その他は少しプラスである。これは例えばすべての収 入を入れているのか、それとも介護報酬のみを入れているのか。  と申すのは、−7%の収支差では、とてもこの病院もやっていけないと思うので、何らかの対策 を立てているのではないかと思うが、それはここに反映しているのかどうか、ちょっとお聞きした いということ。  それと、次の6ページで、給与が介護療養型医療施設だと特別区は非常に高くなっている。その 他の方は低くなっている。ところが先ほど言ったように、医師の差額が、むしろ田舎の方が非常に 高いということから見ると、その差は何なのだろうと。そして、7ページは、看護・介護職員との 差を見てみると、2万円ぐらいの差である。そうすると、この差は一体何かというと、やはりレン トゲン技師とか検査技師とか薬剤師とかPT、OTとか、そういう看護・介護職以外の給与ではな いかと思う。というのは、医師の給与はむしろ特別区の方は安いとなっているから、この辺がちょ っとわからない。  資料4の5ページである。私、前回の会議でも言ったように、介護福祉士のインセンティブ、キ ャリアアップを考えたらどうかという発言をさせていただいたが、この老建と特養とを見ると、介 護福祉士の割合が40%、45%、介護療養型医療施設では21.5%と、3施設ではそこそこの割合に 達している。  また、11ページには、訪問介護における特定事業所加算について書いてあるが、ここでは30% 以上の介護福祉士以上であるという要件があるし、こういうことから考えると、もう既にやはり介 護職員に対しては、介護職員の割合を30%以上いれば加算を付けるとか、50%以上いれば加算を 付けるとかという時期は熟成してきているのではないかと思う。  ところが、介護報酬を上げても、介護職員の給与に行かないのではないかというちまたの意見が あったが、堀田さんが来ているが、ここの10ページとか、12ページを見ても、やはり加算を付け ているところは給与が上がっている。  こういうことから考えると、サービスの質に問題があるというところで、資料4の9ページの(2) のところに「提供されるサービスの質が高く、利用者の理解が得られることが必要ではないか」と 書いてあるが、これは看護婦さんでいえば、一応資格と数で7:1とか10:1とかで担保されてい ることから考えると、介護福祉士の数が多ければ、一応質が高いと言っていいのではないかと思う が、こういうふうに私は考えるが、2、3についてお答えいただければと思う。 (大森分科会長)  どうぞ。 (鈴木老人保健課長)  具体的に、前2問について私の方からお答えしたいと思う。  まず、統計的な資料が介護報酬のみからのものを拾い上げているのは、医療保険等も含めてかと いう話だが、これは介護報酬のみの数字である。したがって、少し難しいのは、例えば病院で医療 も介護も併任でやっている方もいるので、その場合、どうやって按分をするのかというのを各施設 ともよくコミュニケートさせていただきながら検討している。 (武久委員)  保険外負担が入っているかどうかである。 (鈴木老人保健課長)  保険外負担も介護報酬に関わるようなところについては、一部入っているところがあるが、基本 的には介護事業に関係するものしか入っていない。  もう一つは、給与の話だが、例えば老人保健施設だと、基準上は100人に対して医師1名、看護・ 介護職員については3対1が基準であるので、そうすると33名ということになる。確かに絶対額 の医師1名の違いと看護・介護職員の違いを見ると、余り違わないように見えるというところがあ るかもしれないが、総数からすると、看護・介護職員の占める割合の方が圧倒的に大きいので、結 果としてはそちらの方が大きくカウントされる。先ほどの答えとも重複するが、病院関係事業につ いては入っていないので、例えば放射線技師とか、そういう者の給与は含まれていない。一部看護・ 介護職員に入っていないとしたら、PT、OTさんの給与というのはあり得るが、それも数として は、それほど大きくはないということになろうかと思う。 (大森分科会長)  というお答えである。  では、沖藤さんと飯倉さん、どうぞ。 (沖藤委員)  資料4の11ページ辺りについて、まず1点御質問申し上げる。  ここでは、特定事業所の加算について書かれている。この加算を取得している事業所の割合が 4.6%ということだが、この数字はどう評価していい数字なのか。これをまた更に例えば地区別、 地域別、規模別とか分けたら、どのような分散になるのかということも知りたいと思う。  この加算については、利用者の方々はただ利用料が高くなるということを大変心配している。こ こには、例えば低所得の方々の対策というのが講じられているのかどうかということもお尋ねした いと思う。  私は正直言って、4.6%というのは低い数字だと思うが、なぜ伸びないのかという理由も合わせ てお尋ねしたいと思う。これが第1点である。  第2点は、介護福祉士のところである。ホームヘルパー1級、2級を将来的に介護福祉士にする という計画だが、ヘルパーの2級が現実には7割である。しかも、非常勤が非常に多いということ で、ホームヘルパーさんの働き方と資格の問題、更には本当に平成24年までにこうできるのかと いう見込みをお尋ねしたいと思う。  つまり、ホームヘルパーさんの働き方はいろいろですので、かえって在宅をさせる訪問介護で働 く人が減るのではないかという心配が基本にあるということを申し添える。  よろしくお願いする。この2点である。 (大森分科会長)  それでは、お答えできる範囲でお願いする。 (土生振興課長)  まず、加算についてということだが、地域別、規模別に分析してみたいと思うが、12ページを見 ていただくとおり、何せ今回の調査でも、77事業所しかとっていないということであるので、この サンプル数でどこまで物が言える資料ができるかということは、ちょっとやってみたいと思う。  それから、加算が普及していない理由だが、今、事業者さんにも御協力をいただき、どの辺に難 しさがあるのかということの調査をしている最中である。また訪問介護事業所を御議論いただく際 には、何とかそうした資料もできないかということでお願いしているところであるが、今の感じで ざっくり申し上げると、(1)体制要件はまずまず満たせるが、やはり(2)人材要件、(3)重度 化要件のところが厳しいというのが現状である。  先ほど説明で申し上げたように、介護福祉士の割合は、全体としては13%程度ということである ので、それに比べて30%ということがどうかということである。  それから、今後、介護福祉士法の改正が施行されると、新たに600時間の養成課程を経なければ 資格が取得できないということになり、一方で中間的な存在である基礎研修が普及していないとい う問題もあるので、そうしたことと併せて、何か段階的な資格を向上させていくような取組み、仕 組みというものができないものかなと思っているところであり、また当審議会でいろいろ御議論を いただければと思う。  低所得者対策ということだが、特に加算に着目した減免だとか、そういうものはない。勿論、例 えば災害とかに遭われた方の緊急の全体としての減免制度というのは、介護保険制度の中で用意さ れているが、特にこの加算で数百円上がるから、その一部を減免するといった性格というのはない。  それから、最後の御質問の御趣旨がよくわからなかったが、よろしいか。 (沖藤委員)  最後の御質問は、ホームヘルパーさんの働き方はいろいろなので、果たしてそういう追加的な600 時間の研修を受けて、介護福祉士になるということが働く身からしたら可能なのだろうか。その間 の賃金のこととか、収入のこととかを考えると、介護職を離脱して、別な職業に移ろうという方の インセンティブに動くのではないかという危機感があるという意味である。 (土生振興課長)  今の資料の2ページの点だと思うが、これは法律が改正され、そういう仕組みになっているとい うことであり、その考え方は、実務経験者にもきちんとした教育の機会を提供する、あるいはその 義務化をするという考え方で法律改正がなされたということである。  先ほども申し上げたように、特に今、御指摘のホームヘルパーさんについては、2級の方が主体 ということであるので、そこのキャリアアップの仕組み、将来努力をすれば介護福祉士資格の取得 も可能であるといったような道筋をきちんとつくっていくことが必要であろうと考えている。  具体的に申し上げると、先ほど申し上げたような基礎研修のところは150時間で取得できる。更 に、緑色のところが空欄で恐縮だが、こういう一定の研修を経れば、国家試験の受験というのは可 能になるということ。  もう一方で、働きながらそうした研修受講が可能かということがあるので、通信教育であるとか、 あるいはIT化の時代なので、なるべく仕事に支障が出ないような研修の仕組み、こういったとこ ろもいろいろ知恵を絞って工夫しながら、何とか将来のキャリアアップの道筋を持っていただける ような取組みということは、委員が御指摘のように必要なのだろうと考えている。 (沖藤委員)  そのほかについて、2つお願いがある。  1つは、確かにキャリアアップしていく方向というのは、女性労働としてすばらしいことで、こ の方向に意義を唱えているわけではない。だれでもステップアップして、自分の職業にプライドを 持って働きたいと思っている。  ただ、その研修期間の間の収入の保障とか、行っている間の職場の人員の補充とか、そういう研 修の周辺事情についてどのようにお考えかということを知りたかったことが1点である。  それから、もう一つ、最初の加算事業所に関して、私の知っている範囲の狭いことだが、大手が 加算をとっている。地域の中にいる中小の方々は、そういう加算をとれない。それは利用者を見て いれば取れない。だから、実際、基準以上の介護福祉士さんを雇っていても、利用者には利用料に 加算しないようなやり方でやっているという事業所さんの話も聞く。  ということは、加算でインセンティブを付けていくことも大事だけれども、全体に介護報酬の底 上げをしていって、すべての事業所に加算があるのが当然だという対応というのは考えられないの か。  この追加質問2点をお願いする。 (大森分科会長)  お気持ちはわかるが、すべてやったら加算にならない。  どうぞ。 (土生振興課長)  後段の点は、まさに介護報酬の在り方の議論であるので、この審議会で御議論をいただいて、結 論を得ていただく問題であろうと思う。  それから、研修についての環境整備であるが、先ほど来紹介している職業安定局とも協力して、 雇用管理のための助成金のようなものも要求しているところであるが、当然事業所の収入の主体と なるのは、介護報酬ということになるので、そうしたものが全体として職場を支える意味でどうい う報酬がいいのかということも、この審議会で御議論いただくべき事項であると考えている。 (勝田委員)  関連でお願いする。 (大森分科会長)  関連することか。では、関連の御質問をどうぞ。 (勝田委員)  キャリアアップの方の4ページに、ヘルパー2級のことだが、実際ヘルパー3級については、来 年の3月ですべて介護報酬も付かないということで、54万人ぐらいの方が実際はいらっしゃる。資 格取得者はそれだけだが、実際に今、お仕事をなさっている方はどれぐらいいるのか、それをお聞 きしたいと思う。  それから、これは介護保険が導入されたときに、特に農山村地域で介護サービスが足りないとい うことで、農協さんとか、そういうところが中心になって養成をされて、急遽人員を補うような形 でされたのではないかと思っているし、現在でも、農山村地域を中心に産休の方々がお仕事をなさ っている。これが実際、介護報酬ができなくなるということで、どのような影響を考えておられる のか。それから、キャリアアップの中では、その他というところで、当然1年以上というところで 350時間の中に入るのかわからないが、例えばこれが実務経験の1年以上と1年未満に分けられて いるが、例えばもう既に5年とか経っている現場経験の豊富な方をもう少し考慮していただけない のか、そういうお考えはないのかということをお聞きしたいということである。  それと、加算について沖藤委員からも言われていたが、やはりこれはこういう加算だけではなく て、農山村地域とか中山間地域に対する加算については、やはり利用者にはね返らないということ を原則にお願いしたいと思う。というのは、やはりそういう周辺部分に住んでおられる高齢者の方 というのは、収入的にも相当低い。それが低所得者対策できちっといった方がいいのか、加算部分 を利用料金にはね返らない、高知県の方がヒアリングでもおっしゃっていたが、そのような方向で こちらとしてはいっていただきたいと思うが、そのことについてお伺いをしたいと思う。 (大森分科会長)  では、事務局お願いする。 (土生振興課長)  まず、ヘルパー3級の方であるが、ちょっとデータが古くて恐縮だが、4ページの下の箱、類型 のところが、今、御紹介いただきました54万人ということだが、18年度では5,745人ということ になっている。  前回の報酬改定の際の結論としては、上の注にも書いているように、平成21年3月に報酬上の 評価を終了するということで、現行では70%に算定されているということである。  もう少し直近のデータがないかどうか、私どもでいろいろ探っているところであるし、また、そ うした方々について、何らか経過措置的なものが要るのかどうか、そこは当審議会でまさに議論し ていただくところであろうということである。  ただ、前回改正の考え方はその資格を上げていくということで、やはり最低限2級は取っていた だくということで、質を上げるということであるので、その原則は守っていくべきことなのだろう ということである。  それから、基礎研修の所要時間等々であるが、全体として介護福祉士法も変ったので、一定程度 私どもも見直しは必要だろうということで思っている。しかしながら、基本のところは、平成18 年改正のときに専門家の方々にお集まりいただき、実務経験年数というのも評価した上で150時間 というところのカリキュラムを設定いただいているところであるので、きちんとした研修を受けて いただくという趣旨からは、なかなかこれ以上、そこを緩和することは難しいのではないかという ことである。  加算についての負担の話であるが、これは法律上、報酬の1割は利用者負担ということであるの で、先ほど申し上げたように、やはりそれの質が高くて、支払うに値するということが、まず前提 としてきちんと担保される必要があるというところだろうと思う。  ただ、低取得者の方々への配慮だとか、そういったものが地域によって必要かどうかというのは、 またそうした観点から、加算ということよりも、利用者負担全体の問題としての議論というのは、 別途あり得るのではないかと思っている。 (大森分科会長)  それでは、飯倉さん、どうぞ。 (飯倉参考人)  4点ほど御意見ということで申し上げさせていただきたいと思う。  まず、1点目であるが、実は昨日私ども連合の構成組織であるUIゼンセン同盟という介護従事 者6万人組織をしている労働組合でが、厚生労働大臣に対して、介護報酬改定に当たっての要請と いうことで、組合員から集めた署名とともに、緊急要請書を提出させていただいた。  内容としては、先の国会で成立をいたしました介護従事者の処遇改善法の趣旨を踏まえて、今回 の介護報酬改定において、介護労働者の賃金なり労働条件が確実に改善されるように求めたもので ある。是非、介護給付費分科会での議論を含めて、この法律の趣旨、目的にのっとった制度の見直 し、報酬改定の議論ということを改めて進めていただきたいと思っているところである。  その上で、各個別のところであるが、2点目ということでは、資料の1の地域区分の関係である が、特別区の実態、グラフ等を拝見すると、やはり一定の見直しが必要なのではないかと考えてい る。  御提案された内容と考え方については、そごはないと思っているが、現在の地域区分を踏襲する にしても、やはり実際の賃金自体がどうなのか、現在の地域区分が本当に妥当で適切であるのかと いうところについては十分な検証を行っていただいた上で、人件費率であるとか、報酬の上乗せ率、 これを具体的にどう設定していくのか、適切な改定をすべきだと考えているところである。  3点目であるが、資料の4の方になると思うが、介護保険サービスの従事者の関係について施設 は勿論、在宅についても、連合としては、介護福祉士を任用資格の基本としていくべきというふう に考えており、その点で訪問介護に従事する2級ヘルパーを中心とするホームヘルパーの方の介護 福祉士への資格取得の促進に向けて、まだまだ働きながら研修を受講しやすい職場環境の整備であ るとか、あるいは経済的な支援、こういったものが必要であると考えている。  勿論、ヘルパーの方に対しても普通の仕事や普段の生活の時間を割いて研修を受けるということ になるので、専門性が高められるということだけではなくて、更にインセンティブが働く仕組みに していく必要があるだろうと考えている。  その意味では、本日の資料の中にも示されているが、介護福祉士の賃金水準についても、賞与を 含めた水準が今回提示されているわけだが、まだまだ目指すべき目標という部分では十分とは言え ないと考えており、そのような賃金水準の引き上げに資する制度の見直しという視点も非常に重要 であると考えているところである。  ただ、資料4の9ページに基本的な論点が示されているわけであるが、これからまさに介護報酬 上で評価を引き上げる、引き上げるのかどうかということについての議論をしていくということで あればならない。やはり当然のことながら、提供されるサービス自体の質が高くならなければ、改 定は引き上げとなっても、人材確保ということを大義名分に、実際に本当に介護従事者への賃金改 善だとか、質の高い研修を受ける機会の確保といったものにつながっていかなければ、やはり本末 転倒ではないかと思っている。  この点については、どのような形で報酬改定に反映していくのか、実態の検証であるとか、事業 主に対する情報開示・提供を求める仕組みであるとか、そうしたところも介護従事者の処遇改善に 今回の改定か結び付いているということが客観的に確認できる仕組みなどと併せて検討をしてい きたいと考えている。  最後に4点目であるが、これも若干同じ意味合いになるが、サービス提供責任者に対する評価に ついてである。  資料4の10ページのところであるが、ヘルパーの介護能力を高めるのに、経験年数であるとか 資格の有無、そのほかにも能力の高いサービス提供責任者が果たす役割も大きいと指摘されている。  しかしながら、サービス提供責任者であることに対する評価というのは、現状はないので、サー ビスの質を高めるだけではなくて、人材の定着を図るという観点からも積極的に評価を検討すべき だと思っている。  また、その上で、特にこのサービス提供責任者については、資格なり研修なり十分な教育経験の ある方が担うべきであり、ホームヘルパーに対するきめ細やかな対応であるとか、人間関係を含め た人事管理能力、そういった点を考えると、やはり継続的に安定した働き方をしている人がしっか りとその能力が発揮できるよう職場、そういったことを前提に制度設計をしていくべきなのではな いかと考えているところである。  是非そういう点も論点として今後の議論を進めていただくようにお願いをしておきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  どうぞ。 (田中(雅)委員)  先ほどから、介護職員のキャリアアップや介護福祉士の資格に対する評価について様々に議論さ れているが、ホームヘルパーを始めとする介護職員が、キャリアアップするためまたは、資格を取 るために、500〜600という時間と経費がかさむことに様々な意見があるところであるが、なぜこ のような形で600時間や、あるいは500時間を要する教育や研修が必要なのということについて十 分なる御理解が私は必要だと思っている。  そういうことにおいて、次回で結構だが、そういった介護福祉士になるための600時間は一体ど のような形で、どのような介護福祉士を目指すのかといったことについても、きちんと理解いただ けるようにしていただきたいと私は切に願っている。  そうでなければ、単なるかかる時間だとか費用の議論だけになってしまうという懸念があると思 っている。それが第1点である。  次に13ページ、14ページにおいて書かれている人員配置基準について、配置基準の職員という ことでは訪問介護では、介護職員という形で示されているが、質問したいのは、運営に関する基準 の通知において、配置すべき人材にサービス提供責任者という存在があるが、これはこの資料でど のように見たらいいのかと疑問に思ったのが第2点である。  併せて、例えば施設サービスにおける質の向上という観点から、特に最近は、新型特養における ユニットリーダーということを義務づけて、その配置は望ましいと言われているが、当然事業所に おいては、養成においてある程度の支援策を講じているが、そういった実際の通知や基準上におけ る配置された、定められた、職種方々に対する配置基準の位置付けは、どうなっているのかについ て、お答えいただければと思っている。 (大森分科会長)  2番目が大事だが。 (鈴木老人保健課長)  では、2番目の方からだが、今、お示しした中には、主なサービスということで、訪問介護の中 で、サービス提供責任者というのが入っていないが、これはまさにこの場で御議論をいただければ と思う。私どもの考え方として、介護職員のような直接処遇職員、それから実際に基準で位置付け ているような各種の職員については、これは人件費の比率として算入するべきだと考えているが、 管理職員というものについて入れるかどうか、サービス提供責任者をどうとらえるかというのも、 議論していただきたい。  その場合に、老人保健施設は医師が施設長であることが多いので、そこでどう考えるのかという こともあるので、基本的には現在は看護介護職員ということだが、それに少なくとも基準上位置付 けている生活相談員以下の職種について加えてはどうだろうかということを今、提案させていただ いているが、またその点については、もし御意見があればいただければと思う。 (大森分科会長)  今のことは、要するに今日出ている表は、一応、フォーマルに配置基準として定めていることに ついて少しいろいろと考えてみたらどうかと言っているが、あなた方が運用のような形で出してい るものはいっぱいある。みんな現場の方は、それを配置基準と受け取っている。だからこれだけで はなくて、現実にどういうような通達の中で実際に置かざるを得なくなっているかということが明 確になっていないと、ここだけでは済まないのではないかという趣旨の御質問だったのではないか と、私はそう思っていて、大事な御指摘なのではないかと思う。そして、今の回答はこの基準を定 めていることだとおっしゃっているが、そうではないのではないかと思うが、どうだろうか。 (鈴木老人保健課長)  我々としても、一つの提案としてこれを出させていただいているが、基本的にやはり、省令、告 示上で、基準、もしいない場合には罰則がかかる基準として、我々としてお願いをして部分と、そ れから、大森分科会長がおっしゃった部分として具体的にどういうようなものなのかというの少し 精査をしてみないといけないと思うが、例えば望ましいというような形で書いてあったり、必要数 を置くというように書いてあったりする場合はどう考えのるか。我々の今回の提案は、少なくとも 数を具体的に特定して、しかも基準省令上基準として位置付けているものとしてはどういうものが あるかということを考えて、その中で、先ほど申し上げたように、直接処遇職員とそれに類するよ うな生活相談員以下を入れさせていただくのはどうだろうかということなので、それ以外について どう考えるかということについては、また御議論をいただきたいと思う。 (大森分科会長)  ちょっと待っていただきたい。どうぞ。 (田中(雅)委員)  ただ、現場では、厚生労働省がお示しなっている望ましいとか、必要であるといった通知等に基 づいて努力しているのが現状である。人を育てるというさまざまな努力をした上において、結果と して、事業所におけるサービスの質を、両者から満足度を得たいという努力をしていることについ て、ある程度国はこれまで示してきたわけだから、やはり望ましいにしたのだという形でとどめて いただくのはいかがかと私は思う。 (大森分科会長)  今日は御意見として伺っておく。  どうぞ。 (牧野参考人)  地域区分について少しお尋ねする。  例えば、今回の資料で申し上げると、資料1の2ページに、地域区分と地域ごとの報酬単価につ いて書いてあり、これが現在の状況であるが、今度、この5区分については踏襲するという説明が あったが、例えば左側の特別区だと12%、特甲地だと10%、こういった加算については、今後ど うなっていくのか。  それから、地域が現在、国家公務員の調整手当に準じて特別区については、東京都の23区とい うふうに決まっているが、どこの市町村がどの区分に該当するのか、その当てはめ方を今後どのよ うにされていくのかをお尋ねしたいと思う。  それから、人件費比率、60%サービスについてなどが書いてあるが、先ほどの説明の中で、人件 費割合に乗ずる上乗せ率については、地域ごとの実態を基に設定をしていくということで、その類 型について考えていくということであるが、その具体的なイメージを教えていただきたいと思う。 (鈴木老人保健課長)  少し私の方の説明が足りなかったのかもしれないが、資料1の2ページにある、現行の表の12%、 10%、6%等々、これは先ほどの御質問の最後とも関係するが、ここを実態の数値に基づいてパー センテージを定めさせていただいたらいかがかということを、先ほど提案申し上げた。  それから、地域だが、勿論、これから新しく地域割をするということであれば、すべての事業所 があるような地域についての調査をした上で決めるということも物理的にはあり得るかもしれな いが、現行、全国津々浦々の地域が、この5つに収まっているということがあるので、今回、来年 4月に向けでどうするのかという議論をさせていただいて際に、原則的にはこの5つの地域にそれ ぞれにもう既にはまっているので、それを活用させていただいた上で、先ほど申し上げた、この2 ページの表で言うと、一番左にある5級地のパーセンテージを実態に基づいて考えましょうという ことである。  それから、上の方にある人件費60%、40%と書いてあるが、これももう一度各サービスについ て、どの程度人件費がかかっているのかということを調べさせた上で提案をさせていただいたらど うかということを申し上げた。 (大森分科会長)  ということだそうだ。 (牧野参考人)  わかった。 (大森分科会長)  どうぞ。 (村川委員)  やはり今回の第4期の改定というのは、参考資料1の1点目にある、やはり人材確保対策という ことを明示できるのかどうか。  そういう意味で、今日の御説明の人件費比率であるとか、地域区分ということを明確にした課題 整理というのは、まあまあよくできているのかなと思う。  しかし、人件費率についてあえて発言させていただくと、昔の措置費のことを持ち出してもしよ うがないのかもしれないが、かつては人件費について80%ないし85%、国の指導として明確に位 置付けていた時代もあるぐらいだ。  また、私は大手の居宅系の事業者の社長さんに聞いたところでも、真面目なところでは65%〜 70%人件費に支払っている例もあるし、また施設系でもほぼ同様の経過があるから、今日は60%、 40%類型ということで説明があったが、今少し踏み込んだ人件費の関係についての想定がないのか どうかということが1点。これは意見であり質問でもある。  それから、地域部分については、当面5つの特別区を始め、地域区分の流れということは了解し ているが、一方において、国家公務員の人件費に新しい対応等で特別区18%ということが出ている 状況の中では、やはり特別区などについては、せめて2けた台、今日の試算では7.2%ぐらいの数 字が出ているが、果たしてそれで大丈夫かどうか。私も細かい数字を持っているわけではないが、 やはり直感的には2けたぐらいのところの位置付けをしていかないと、大都市における人材確保と いうのは、困難に立ち至ったのではないかということを危惧しているので、是非、今後の実態把握、 資料整理の中では、少し前向きの流れというものを出していただく必要があるのではないかと思う。  それから、先ほど複数の委員の方々から、研修等をめぐる御意見がいろいろ出ていたが、私も資 料4を見ると、新たな研修と、それから、質の確保という点では非常に重要であるが、4−2であ るが、しかし、2級ヘルパーの研修費用が、かつては5〜6万円であったものが、現在10万円以 上のところもあったり、150時間研修なるものもコスト的にどれぐらいになるのか、恐らくいろい ろ足し上げていくと、25万円とか、30万円とか、かなりの金額になる恐れもあり、そういうこと がすべて自己負担ということでよいのかどうか。事業主の方からの配慮ある助成ということもある のかもしれないが、しかしこれもやはり公的助成ということについても、いろいろ仕組んでいかな いと、絵に描いた餅になるおそれを私としても懸念をしている次第である。  もう一点、この人材に係る点では介護保険の制度、この4期目は、10年目に差しかかるわけであ るから、そういう点で、私は大変ずさんな側面が、部分ですけれども、資料4の13ページである が、訪問介護、通所介護、今、一番焦点となるべきところの管理者の任用要件が事実上無資格でよ いというような、こういうことはやはり絶対にやめるべきではなかろうか。  既に他のサービスでは、医療系は医師の方々を始め明確なものがあり、特養等についても、社会 福祉主事等があり、やはりそうした管理者が無資格のところに高い報酬が払われてよいわけがない から、やはりここのところは社会福祉主事か、介護福祉士とするのか、そういう要件を求めて、そ もそも事業者の根本のところ正していただくということもあってよいのかなと思っている。  以上である。 (鈴木老人保健課長)  少し私の説明が足りなかったかもしれないが、資料1の2ページ、今、村川委員の方から御指摘 をいただいたこの表は、我々が今新しい制度を提案しているということでなくて、今、こうなって いるという制度である。  先ほど申し上げたように、人件費60%、40%というのは平成12年に介護保険サービスをスター トするときに、11年に調査をした結果、大きく2つぐらいのグループであったのだが、今回我々が 提案しているのは、今回の実調を基に、新たに各サービスについての人件費比率を調べさせていた だいて、新たな刻みを提案させていただいてはどうかということである。  同様に、特別区、特甲地等々の5級地の大きな枠組みは活用させていただきながら、今、12%、 10%と書いてある割合については、現在はこうだが、実態のデータに基づいて見直すということは どうだろうかということを提案させていただいているということである。 (大森分科会長)  では、川合さん、どうぞ。 (川合委員)  先ほど田中委員からも、座長のお話も、私はそのとおりだと思うが、「努力する」、「望ましい」 という通知は、我々実地指導、都道府県あるいは政令指定都市からいただく場合には、「そうしろ」 ということになってくる。そこの現実のギャップ、これは17年10月の食費、居住費のときも出た。 そういうことがあるという実態は座長が御懸念のとおりだと思う。  まず、3点について、私はお話をさせていただくが、資料1の15ページ、私はちょっと理解が 不足しているのかもしれないが、人件費率の実態に基づいてということになってくると、我々繰り 返し言わないが、実調の数字のあやふや性ということは、この1年間かけて指摘してきたつもりだ が、この実調が金科玉条の数字になってしまう。  そうなってきた場合には、私はむしろ人権比率を高める意味では、ベッド利用率を下げた方が、 人件費率は上がる。そういうことの組織があるのか、ないのかということも検証していただきたい。 そのような不安を解消する意味で、実調の人件費率ではなくて、実態配置で見ていただきたいとい うふうに思う。  ということを先ほどの「努力と望ましい」ということでいくと、前回ユニット型にしてしまうと、 あの通達のとおりに行くと、3対1では絶対に無理である。2対1かあるいは1.8対1でないと、 人員配置はできない。そうなってきたときに3対1の人員配置がベースになっているということは もともと経営ができないという前提に我々は立たざるを得ない。  そういう点を、まず、人件費率なのか、あるいは実態配置なのか、実態配置をしていただいた方 が、前々から申しているように、私どもは介護保険ができるときは実態が2.5対1であったものを 3対1から出発しているわけである。そうしたら人員を削ったかというと、削っていない。  そういうようなことを2回の減額で、本当に赤字に転落、7.4%いうような数字が今回出ている が、我々はそれに心の中では承服し難いというふうに思っている。  2番目の問題としては、資料4、これはいろんな方がおっしゃったが、キャリアアップのところ で、600時間の問題は、これは通信とか、あるいはデジタルを使ったやつでもいいということであ るが、それもまだ明確には出されていない段階でこういう資料を出されていると、一体どうしたら いいのと現場の事業主としては思う。  もう一つ、これは、沖藤先生、田中先生が述べておられていたが、研修受講中の給与保障はされ るのか。これと裏腹の関係で、地方自治の方もいらっしゃるが、実地指導のときに、そうしたら人 員基準はそれを緩めてくれるのかどうかという点である。給与の点、これは我々の仲間であるスタ ッフの点から、当然我々は出したいが、そうしたら事業者としては、実地指導の点において、これ は研修しているのだから、現場にないのではないかと言われてしまうと、ここの整合性もデジタル と通信教育と同じように、若干、まだこの段階で、このように少しフィックスしたような案という ような、おまけに、2ページプラスαのαということになってくると、αは1けたなのか、2けた なのか、3けたなのか、4けたなのかということになると、せめて3けたですよとおっしゃってい ただかないことにはばくぜんとαと出されたら、ちょっと承服し難いように思う。  3番目は、今まで申し上げた1つ目と2つ目の相関なのだが、キャリアアップに、結局人件費比 率ではなくて、実態配置は今、3対1しかないところでモチベーションというか。あるいはインセ ンティブというか。そういうふうなことを付けていただけないか。  これは全老健が介護保険ができる以前からずっとお願いしてきたことだが、3対1、2.5対1、 2対1、その2対1のところに、ユニットケアは入りなさいというふうにしていただけたら、なる ほどなと、私は承服できるように思う。  資料4の9ページだが、1つ目の○の1、2、3、本当にアグリーするところである。  4番目だが、これは本当に食費、居住費の補足給付の問題もあるが、こういうふうなことは、本 当に分科会の知恵の出しどころなのかなというふうに思う。これ以上利用者に御負担をかけるとい うのはいかがなものかと思う。  今、一番初めに、武久委員からお話があったように、給付外の自己負担について、大都会はそれ でカバーしようとしているわけである。その点のことについても、やはり我々の知恵の出しどころ かなというふうに思うし、9ページの一番下の○です。この任用要件は、私が今、発言しましたこ とすべて当てはるが、任用要件は金科玉条の数字ではなくて、実態をどのように「努力義務」であ って何であったとしても都道府県の段階ではあるいは保険者の段階では、これはもう行政命令に近 いような指導を受けているわけだから、そのような、中央と地方での行政権限の格差の点を中央官 庁に御理解を賜りたいと思う。 (大森分科会長)  どうぞ。 (鈴木老人保健課長)  最初に、例えば、基準で義務づけている職種があるが、その数字で調査の数字を議論するのか、 それとも実態配置なのかという御質問があった。  これは、私の方で先ほどももう少しきちんと申し上げればよかったが、この職種の特定は、基準 上を義務づけられているものを見たいと思っている。  ただ、実際の数は、川合委員がおっしゃったように、配置をしておられる数で見ていきたいと思 っている。どういう職種ということであれば、基準上義務づけられている職種である。しかし、そ の数は実際の配置をしている数をデータ上拾い上げて、その数を勘案しながら考えたいと思ってい る。 (大森分科会長)  川合さん、どうぞ。 (川合委員)  お答えに的外れなことになるかもしれないが、我々は、非常に裕福でぜいたくなサービスを提供 しようと思って2.1対1の人員配置をしているのではない。我々の理想、理念にできるだけ近づけ るようにしようと思えば、2対1であるという点で実態配置している。。でも現実問題として経営 していく上においては、ぎりぎりの努力をしているわけだから、ちょっと適切な表現ではないかも しれないが、お前らは勝手にやっているのだから、それは勝手にやれよということでは情けなく、 我々はぎりぎりの経営をしているということも、御理解を賜りたいと思う。 (大森分科会長)  一応、鈴木課長は、そんなに違わないことをおっしゃったのではないかと、私は理解しているが、 だめ押されましたので、山本さん、お願いする。 (山本委員)  私は、この前、特別に発言させていただいたが、説明を聞くと、離島、中山間地域等について配 慮することはいいと思う。今日は、突飛なことをお尋ねするが、答えられなければ答えないで結構 である。  給付を上げると言っているが増額することであろう。そうすると、それはどれぐらいの金額にな り、どれぐらい保険料にはね返えるのかというものを出していただかないと、細かい議論をしても 始まらないと思う。  だから、保険料にはね返えるということになると、簡単にはいかない。もう皆さん御承知のとお りである。  一方、この前も少しお話ししたが、高齢者医療保険を検討し直すと言っているから、なぜ検討し 直すかというと、保険料を負担し過ぎであると言われていることが根拠である。  だから今度は、高齢者医療保険の方は負担を抑制しようとするのにもかかわらず、こちらの方は どんどん上げていくということが理解されるのか。からいろいろ細かいところの議論はたくさんあ ると思うが、全体として、これぐらい給付を上げると、トータルでこれだけになると、資金がこれ ぐらい要ると、したがって、保険料はこれぐらいに上げなければならないというのを出していただ きたい。それの方がいい。  そうすると、私たちは自分だけで判断するわけにはいかないから、皆さんにお話をして、皆さん に検討をしていただかなければならない。私だけがこうでいいとか、悪いとか言って、それで済む ならばそれで結構だが、そうはいかない。しかも、今大変大事なときだから、それが、もし表面に 出て議論するようになってくると、いろいろな面で影響を与えてくるから、そこら辺りも配慮して、 出と入るところ、そのトータルの数字を示していただきたい。それを一つお願いする。  もう一つは、全体を見た場合に、都市は高くするが、都市以外のところはそんなに費用は要らな いというような考え方というのは間違っていると思う。そこら辺りをよく考えていただきたい。  例えば、少し幼稚な例を挙げるが、ここでしたら電車でも地下鉄でも何でもある。ところが、田 舎の方に行くと、この次のバスはいつ来るのだと、朝来たら夕方しか来ないという地域もある。そ れを言うと怒られるかもしれないが。  私は今、高齢者の人たちだけを1週間に1回集めて、いろいろなことをやっているが、名前を元 気クラブと付けている。みんな高齢者の人たちは喜んでいる。  ところが、距離の遠いところの人は来ない。来る方法が歩いてくる以外にない。そういう場合は、 送迎をやったらどうかと言っているが、送迎をやったのでは意味がなくなる部分もある。自発的に 参加をしてくるというところにも大きな意義がある。  だから、そこら辺りなどを考えていけば、田舎の方は、言い換えると、間接費の方が直接費より も高くかかる。そこら辺りの配慮が必要であり、今、私が申し上げた出と入り、いわゆる費用がど れくらい要るかということである。保険料にはね返る改正をやめてもらえば一番いい。現行のまま でいいと言いたいのである。  あなた方がこれだけの調査をして、改定をしたいという意向のようだから、改定するならばこう いうことになるというのを出していただきたい。そうしないと検討のしようがない。おわかりであ ろう。是非ひとつ御配慮いただきたい。  私の申し上げることは、以上である。 (大森分科会長)  局長、これは大きな政治的なことである。 (宮島老健局長)  今のお話について、私どもの今の認識というか、今後の予定であるが、まず、介護給付費が保険 料にはね返るということについては、大きく分けて2つの要因がある。  1つは、自然体で介護給付費が伸びていくから、サービスの供給量が、今後上がって、今後の第 4期の間に、サービスの供給量が増えるので介護保険料が上がっていくという、保険料が何もしな くても上がるところがある。  もう一つは、政策的に今、御議論いただいている介護報酬の改定をやると、これをプラス改定に すれば、これはやはり保険料にはね返るという2つの要素がある。  これをどういうふうに見ていくかということだが、まず、自然体で上がる部分について、これは ある程度御理解いただかなければならないと思っている。  この作業については、今、各市町村の事業計画と、それから保険料の今後3年間でどういう見通 しを持っているかというのを、今、集計中である。その辺の集計が終わると、ここの給付費分科会 にも御報告できるだろうと思う。まだ作業中というか、集まってきているところであるので、まだ お示しできる段階ではない。  ただ、前回か前々回に池田委員が御指摘になったように、実は第3期において各市町村の給付費 はそんなに上がっていないので、今、聞いている段階では、各市町村の方で介護給付費の準備金が 結構あるような気がする。その辺も踏まえて、保険料が、どのくらい本当に上げなければいけない のかというのを詰めなければいけないということがある。  あと、介護報酬の引き上げを仮にやるというようになると、例えば介護報酬1%引き上げるとい うことになると、高齢者というか、65歳以上の1号の方の保険料は、月40円引き上がるという計 算になる。これは単純計算で出てくる。  一方で、国庫負担は200億かかるから、国庫の財政の枠もあるということで、これについては、 年末の予算編成過程の中で、政府の中で改定についての議論をしていかなければならない状況にあ る。  それから、つけ加えさせていただくと、中山間地の話も今日は実は小規模事業所に対する加算だ とか、ヘルパーが遠くへ行かなければいけないといったような場合の加算についても、今日の議題 の中で御議論いただきたいと思っているところである。 (大森分科会長)  それでは、木村さん、どうぞ。 (木村委員)  確認と先ほどの管理者をどうするかというところに意見を述べたいと思う。  現行で居宅介護支援というのは、資料1の2ページの60%と40%のどちらかということをまず 伺いたい。  それから、先ほどいろんな質疑の中で、いわゆる直接処遇職員ということでの考え方の中で、私 は居宅介護支援事業所、つまり、居宅介護支援サービスにおいては、別に考えなければいけないの ではないかと思っていて、管理者を入れる、入れないということについては、入れるべきだと思っ ている。  なぜかというと、管理者は介護支援専門員ということで2年前の4月から、管理者イコール介護 支援専門員となっている。  それから、事業所の実態は、今日の議案ではない意味での小規模事業所が非常に多い。1人また は2人の事業所が非常に多い。だから、実態としては、まさに直接処遇職員と同じ仕事を管理者と してもやっているということである。  前回も出て、今日も資料1の6ページに出ているが、サービス別地域ごとの給与費割合が100% を超えている。そういう意味からいっても、ここのところは今回どういうふうにするのかわからな いが、人件費率が一番高いところに当然位置づけられて、経営がきっちりできる、そういうところ に持っていきたいと思うので、そこのところの配慮というか、委員の皆さんの了解をいただきたい と思う。  以上である。 (大森分科会長)  どうぞ。 (池主委員)  全体の流れとはちょっと外れるのかもしれないが、これまでも口腔の問題がほとんど表に出るこ とはなかったので、今後の審議に備えて現状の問題点等の意見出しをさせていただきたいと思って いる。  介護職員等の問題に関連して、現状で介護予防の中に口腔機能向上サービスというものが明確に 入っており、それに対応する専門職としては衛生士が担当することになるわけだが、その役割に関 する記載が文言的には明確ではない状況がある。そういう専門職がどういう働きをするのかという ことを、今後明確に位置づけていただきたい。  それに、今日のテーマである直接処遇職員には衛生士等は入らないんだろうと思うが、ただ、口 腔機能向上の加算については、通所介護とか通所リハの施設の方ではかなり要望が高いが、実際面 はほとんど実施されているケースが低いという状況には、専門職がそこに関与していないというこ とが大きな理由にもなっている。  衛生士という職種が認められている以上、現場でのその存在と役割についての情報が提供される ことを検討していただきたいと思う。   (大森分科会長)  池田さん、どうぞ。 (池田委員)  3点ほど申し上げたいと思う。  まず第1点、地域区分の見直しが必要だというのは、大体みんな同じ考え方になると思う。ただ、 留意すべきことを3つほど申し上げると、1つは23区が非常に高いというのは、これはもともと 東京都の公民格差是正という人件費補助があったことを引きずっているという経過があるので、実 態をそのまま反映させることになると、ほかの地域とのバランスというか、公平さに欠ける可能性 もあるので、そこをちょっと頭に入れておくべきではないだろうか。  2点目は、地域区分の在り方だが、確かに地域最賃の場合は県ごとになってしまうので使えない と思ったが、生活保護の方はかなり緻密につくられているし、そもそも拠出と給与所得というのは 非常に相関関係があるわけなので、簡単に生保の方を捨てるということにはならないのではないか と思う。ただ、この12月までに変えなければいけないということだから、時間的にシステムの変 更を考えると、確かに、今、それに変えろというのは非現実的かもしれない。ただ、直前になって どうしようかという議論になると、結局、時間的に間に合わないので、元に落ち着いてしまうとい うのはまずいので、次の改定あるいは次の法改正も含めて、この地域区分の見直しというのは、少 し中期的に検討していただきたい。  3つ目は、どうもよくわからないが、人件費率や給与比率と言われているが、例えば経営調査の 中で給与費というものが出てくるが、給与費はどこまで含んでいるのか。例えば理事長であるとか、 経営者であるとか、この給与は一体どこに入っているのか、入っていないのか。その辺の直接処遇 職員だけではなくて、実際に働いている職員の実態を基にしてということであれば、その範囲内で きちっとした数字を出してほしい。出ているのかもしれないが、これは確認の話である。  第2点は、人材育成のための給与水準の在り方が大きな問題であるにもかかわらず、余り語られ ていない感じがする。確かに現在の介護職員あるいは訪問介護員の給与が低いというのは常識的な 議論になっている。しかし、一体どこを基準として考えればいいのか。多分、結論は出ないと思う が、やはり1回きちんと議論すべきだと思う。  例えば看護師さんの場合だと、国家公務員の医療職3表というものが1つの基準になってかなり 使われている。それでは、国家公務員の福祉職給料表が使えるかというと、必ずしもそうではない。 もちろん、使っている施設はある。  昔、私は自治労という労働組合にいたものだから、古巣に行って調べてみたら、地方公務員の介 護職の給与の実態の調査結果があった。これは短大卒20歳入職でというパターンになっているが、 それでずっと昇給線を引いていくと、地方公務員の技能労務職よりやや高目の水準で昇給線が引け る。そこに厚生労働省の賃金構造基本統計調査を落としてみた。給与は男性、女性、施設介護員と ホームヘルパーと分けた。そうすると、どういう形になるかというと、年齢のところだけで見ると、 男の場合、大体3万円から4万円安い。女性の場合は、大体6万円から7万円安いということであ る。地方公務員のものは別の資料にも出ており、高いということがはっきり出ているが、そこと比 べてそのぐらいの差はある。  これは問題が2つあって、地方公務員はかなり恵まれた給与体系の中で生きている。それと比べ てかなり大きな差があるというのがひとつの問題である。  もう一つは、男女比で約3万円ぐらい差がある。年齢と経験も高くても、女性の方が低い。これ は日本の労働市場の中では当たり前のことなのかもしれないが、どうもおかしい。とりわけ女性が 主力部隊である介護サービスの中で、これをひっくり返すことは非常に重要で、その視点が要るの ではないかと思う。  さらに、介護職員の経験年数は基本的に3.5年から5.2年と出ている。今度は経験年数の長さで もって給与を比較すると、地方公務員の介護職員とほぼ同一である。もしくはやや高い。これは本 俸だけで比較している。  入職してからどういうふうに昇給していくかということのイメージをはっきりしていないとい う問題が大きいのではないだろうか。ただ、実際、福祉施設の場合、経験年数で給料を上げていく という構造はそれなりになじむかもしれないが、訪問通所系というのは、今、完璧に能力給になっ ているので、それをもってきても使いものにならないだろうと考えると、最終的には生活給付的な 観点から、年齢に合わせた給与水準はどうかということを確定してはがちがちになってしまうし、 労働市場を壊すことになってしまうのでできないが、そういった議論は必要なのではないだろうか ということがある。  第3点は、介護報酬の改定をサービスの質の向上あるいは効果を上げていくということにどうつ なげるかという観点が非常に重要だと思う。これは主に加算のことで語られると思うが、給与が高 ければサービスの質が上がる保障は何もない。それは私もよく知っている。  つまり、給与の高いデイサービスや給与の高い施設というのはある。けれども、そこのサービス はちっともよくない。むしろ、給与の安いところのサービスの方が受が高いケースは幾らでもある。 しかし、一般的に言って、給与が低ければサービスの質は低下するのはまず間違いないだろう。  だから、ここで重要なのは、サービスの質の向上と介護報酬はどう連動するかという観点を持た ないと、結局、お金が無駄に使われているしまうおそれがあるということである。  現在ある特定事業所の加算の問題で、例えば10%加算すれば利用料が10%増える。20%加算な ら20%増える。それで、ホームヘルパー、現場の人たちが、利用者の負担が高くなるので控えてい るという御発言が先ほどあった。そういう話はよく聞く。でも、実際に重度加算をやったところは、 全部説得しており、それでサービスの利用を抑制したケースは聞いたことがない。この議論をする ときの問題は、利用者の負担をどうするか。つまり、サービスはたくさんあった方がいいけれども、 払うのは少ない方がいいというのでは算数にならない。そうするならば、利用者負担の問題につい ては、少なくとも社会保険である介護保険の中で考えれば、高額介護サービス費というものをいか にきちんと使っていくかということである。  国民年金だけの収入の方は、1万5,000円以上払うことはない。戻ってくるわけである。それで もカバーできない場合は、介護扶助という制度があるから、これをどうやって円滑に使うべきか。 そこで議論をしないと、介護保険そのものが壊れてしまう。  では、現実に高額介護サービス費や介護扶助が円滑に行われているかというと、かなり疑問があ る。でも、問題はそちらにあるのであって、介護保険の方にあるのではない。これは確認すべきこ とではないか。むしろ、加算の問題で気になるのは、10%加算をすると、当然のことながら10% 費用が増えるので、支給限度額にぶつかった場合、そこが頭打ちになってしまう。これを解決する 1つの方法として、小さい話かもしれないが、重度加算のところは、1単位の価格を10%増しで 11円にすれば、支給限度額にかからない。実はきちんとサービスを使っている人というのは、結構 目いっぱい使っているが、そういうところが重度加算の事業所に多いので、それをどうするかとい うことを少し考えてほしい。つまり、20%加算であれば支給限度額が減ってしまうわけだから、そ の場合は1単位を12円に読み替えるという方法はないだろうかということである。  本質的な問題として、今の介護サービスとは本当に胸を張れるほどのサービスなのか。私は非常 に疑問に思っている。  例えば一部にすばらしい通所系サービスもあっても、一般的に見れば、午前中は順番にお風呂に 入れているだけで、お昼になったら自分で食べられる人にも御飯を上げ膳、据え膳で食べさせてあ げて、昼休みをとった後は車いすに呆然と座らせているだけ。やっているのは愚にもつかないレク レーション。それで1回1万円となる。そういうふうに考えると、確かに介護職員の給与を上げる ということは極めて重要だということは目標としてある。それは間違いないと思う。でも、それと セットでもってサービスの質を上げなければ、保険料を払っている人は納得しないと私は思う。  元へ戻ってしまうが、給与水準の在り方のときに、きちんと働いて生活を支えているといった訪 問介護要員や介護員というのは、それなりの生活給というものを保障すべきである。ただ、介護報 酬を上げても絶対に年収が上がらない人たちはいる。それは103万円パートである。つまり、103 万円パートは、103万円の範囲内でしか働かないので、介護報酬を上げれば労働時間が短くなるだ けである。  では、その103万円パートの人たちが働いている場所はどこかということである。そこの介護報 酬を上げても、何の効果もない。むしろ、マイナスの効果になる。これはかなり際どい議論になっ てしまうので、これ以上は展開しないが、その辺を少し検討していただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  桝田さん、どうぞ。 (桝田参考人)  中山間地域の問題が議論の中に出ていないので、問題提起的な部分になるが、まずその中で、現 在あるのは特別地域加算という形の部分で、山間部、離島などは対応されているが、訪問系サービ スが今は対象になっている。通所系サービスというものがこの中には入っていない。現実的な部分 で、通所系サービスというのは、18年度の改正のときに、規模別の単価で小規模なところは確かに 厚い単価になった。でも、現実はそれでも十分でない部分があって、送迎に物すごく時間がかかる とか、言わば営業努力をしても、利用者の数はこれ以上無理である。エリア的にいうと、かなり広 いエリアをカバーしている。豪雪地帯というところは大変になっている。余り単価、普通の単価の 方ばかり上げていただくと、利用者の負担の問題だけではなくて、いわゆる限度額の問題の計算上 でかかってくる。それで特別地域加算の中に訪問系サービスが入る余地はないのかという1つの問 題。  もう一つは、小規模の通所系サービス、単価の設定をされているが、小規模の施設の中で、山間 部とか特別な地域にあるところと、いわゆる平地、都市部にある小規模のところが同じ収支構造で 赤字になっても、全然内容的な部分が違う。そこでやはり分けて考えていただいて、小規模なとこ ろの通所系サービスの特別地域加算という部分を検討していただきたい。今日はその部分について の論議が全くなかったので、問題提案としてお願いする。 (大森分科会長)  今のことについて、お願いする。 (鈴木老人保健課長)  先ほどの木村委員の御質問の中に、ケアマネの現行の人件費率は何%だったという御質問があっ たが、それは今60%でやっている。  今の御質問だが、特別地域加算の中で、通所のデイについて入っていない理由は、今、まさに桝 田参考人がおっしゃったように、その場合は、小規模が高い報酬体系になっているということが理 由であり、そうなっていないところについては、今回、提案しているものも含めて少し加算をして ということで考えている。 (大森分科会長)  それでは、石川市長さん、どうぞ。 (石川委員)  今回の介護報酬の見直しについては、介護労働者の処遇改善という大きく明確な目標があるが、 そのための介護報酬の見直しは必要だと私どもは考えている。  今日の論点の地域加算あるいは中山間の加算、キャリアアップ等についても、これから中身を詰 めていくということだが、見直しそのものを否定するものではない。  1点だけ、キャリアアップの問題について伺いたいと思うが、言わば介護福祉士という資格が中 心にあるわけだが、更に介護福祉士の上位の資格みたいなものについての必要性だとか、あるいは そういった議論をこの間事務局などではされてきたのかどうか。その辺りに対するベースとしての 考え方みたいなものがある程度あるのかどうかということについて、お伺いしたいと思う。  もう一点は、池田先生からもお話があったが、結局のところ、見直された介護報酬がきちっと介 護労働者へ給与として行き渡るかどうかということが非常に重要であるということは、前回も発言 をしたわけだが、特に負担の問題に関わってくるわけであるから、国民の目にはっきり見える形で 検証できる仕組みを導入することが前提条件になると私どもは思っている。  そこで、介護報酬は税と保険料で成立しているから、管理者の給与も含めて、介護労働者の給与 を公表するなどの新しい仕組みを導入していくことを考える必要があるのではないかと思う。前回 も質問したわけですけれども、事務局の考え方を改めてお伺いしておきたいと思う。  以上である。2点お願いする。 (大森分科会長)  それでは、お願いする。 (土生振興課長)  まず介護福祉士の資格を取った方のさらなる質の向上という御質問であるが、18年改正時に全体 資格制度、研修制度を議論したときに、そこのところも御議論いただいている。  現実に報告書に基づいて、例えば介護福祉士会の方でファーストステップ研修というものを既に お取組みいただいているということもあり、当然介護福祉士資格を取った後のさらなる資質の向上 というところもポイントとして、これまでも議論しているし、現実に動いてきているということで ある。  2点目については、まさにこの審議会でさまざまな意見が出ているということであるので、今後 ともよく御議論いただければというところである。 (大森分科会長)  田中さん、今の介護福祉士のところで何かあるか。 (田中(雅)委員)  よろしいか。今の介護福祉士の上位資格についての御質問だが、御承知のように、社会福祉士及 び介護福祉士法を改定する過程等も踏まえながら、既に職能団体等が、厚生労働省の社会・援護局 において、介護福祉士試験の在り方等や介護福祉士の質の向上に関して、あるいは専門介護福祉士 のあり方について検討会等を立ち上げており、介護福祉士を更に専門領域に特化した形で養成して いこうということで、現在、検討中ということを申し上げる。  ただ、その前に申し上げたいのは、先ほど振興課長がおっしゃったように、既に資格を取った方々 が、更に200時間研修を受けるファーストステップ研修といったものも既に始まっており、都道府 県すべてに行っているわけではないが、全国社会福祉協議会と私ども日本介護福祉士会、趣旨に賛 同するNPO法人等の団体とともに、既に行っているということだけをお伝え申し上げる。 (大森分科会長)  先ほど池田さんも御指摘だが、要するに、人件費や給与費の中に、結構難しい話だが、施設長さ んは入っている。しかし、法人を持っているところの理事長や副理事長のものは入っていないので はないか。  私の発言の趣旨は、現場に行って聞いてみると、そういう法人にもよるが、極端に高い報酬を理 事長さんたちに出しているのではないかということが語られている。片一方で、働く人たちのこと を抑えながら、あれは何だという声がないわけではなくて、その実態がよくわからないものだから、 うわさみたいなことで広がって、法人そのものにダメージに与えるのはよくないので、どこかで全 体として透明度が高くならないものかという問題意識だと思う。  それはどうか。今日、全部お答えにならなくてもいいが、どのように考えておけばいいかという ことの1点について、お答えいただけるか。 (鈴木老人保健課長)  調査の関係からすると、先ほど池田委員からもあったが、人件費には役員及び管理者の人件費も 含んでいるので、全体としての額は出ているということである。多くの場合、医療法人等だと、役 員給与のうちのどこの部分を介護関係のものとして、どこの部分を医療関係とするかというところ が非常に難しくて、まさに按分のところでは、各施設にお伺いをしながらやっているところである。 (大森分科会長)  川合さん、どうぞ。 (川合委員)  今の大森分科会長の組織の話と我々医療法人は全く逆である。我々はその様な経営職の給与等は ほとんど母体の病院に付けてしまって、分科会長の御指摘の様な経営職の給与書を人件書には入っ ていない。前から何度も申しているが、そのための全老健独自の研修会を昨年度は9回全国でやっ て、案分してくれと言ってきた。  今、分科会長から高額な経営者の給与をその中に入れているのではないかということがあったが、 少なくとも医療法人側からはあり得ないことだと私は理解している。 (大森分科会長)  社会福祉法人の方は、どうだろうか。お答えいただけるか。私から答えろという意味ではないが、 医療法人は前にもお聞きしたことがあるが、社会福祉法人はどうなっていると聞いているか。答え ろとはいっていないので、今日答えなくてもいい。 (鈴木老人保健課長)  調査でどのようになっているかという話、法人会計の中でそれがきちっと明記されているかとい う問題、更に調査上出たものを平均値としてどう整理するかという話、個別の施設の給与をどう取 り扱うかという話など、いろいろな升目があると思う。 (大森分科会長)  どうぞ。 (桝田参考人)  社会福祉法人の件なので、お答えする。  まず法人の役員様の給料の扱いの部分は、勤務実態に合わせて支給する。だから、いわゆる株式 会社の株主さんという感覚ではなくて、実際の勤務に応じた問題ややっている職務に応じての支給 になる。  会計的には普通の給与体系のところではなくて、役員報酬という名前のところに必ず理事さんな どの部分は記入するという形で、ちゃんと会計上も分類している。だから、基本的には名前だけで 給料を取れないし、会計的にもちゃんと案分をしている。  ただ、実態調査の中で、その部分の集計がどうかというのは、こちら側ではわからない。 (大森分科会長)  わかった。  それでは、稲葉さん、どうぞ。 (稲葉委員)  訪問介護の事業を始め在宅介護の事業を行ってきている立場として、いろいろと申し上げたいが、 まず先ほどの中山間地域等に対する対策のことだが、私の住んでいるところでも、中山間ではない が、たまに山の中のサービスをどうしても頼まれることがあって、それはケースで見ると赤字とな るが、何とか全体の中で収支を確保しようとしている。ただ、本当にそういうケースが多いような 地域であれば大変な状況だと思うので、小規模というものの定義がどういう形でされるのかという のは、これから興味はあるので、大いに進めていただきたいことだと思っている。  それから、訪問介護における特定事業所加算と介護サービスの質についてである。先ほどから沖 藤委員や勝田委員からも意見があったものとかなり重複するが、今、取得できている事業所の割合 の4.6%というのは、まさに私自身もこの制度ができると聞いたときに、その文章を読んで、うち は受けることはやめておこうと即座に判断した。先ほど言われてきたいろいろな理由と同じように、 人材要件は簡単ではない。  それから、重度化の要件について、要支援や介護1、2、3の方々と多く関わっている中で、今 更4、5の方の割合を増やしていくことは難しかろうということもあり、当然、利用者に1割負担 ということで増えていくこと。それから、限度額の枠をそれによってオーバーしてしまうことが現 実的にはたくさんある。ということで、やめている。  それもそうだが、特定事業所の要件を満たせば、はたしてサービスの質が上がるのかというとこ ろが私たち介護事業者の中では話されている。主には専門職の割合を増やしていくというところで あるが、先ほど池田委員がおっしゃられたように、デイサービスの質について、給料が上がっても 質が上がるとは言えないということは、まさに私もそう思っているし、専門職の割合が増えて、必 ずしも上がるとも限らないとも思っている。何よりも上に立つ優れたリーダーがいることが、特に デイサービスなどでも大きく質を変えていくのではないかと思っている。  そういった中で、特定事業所の加算については、大幅に変えていくか、最初これはなくてもいい のではないかと思ったぐらいだが、質を上げる。もしこの要件を満たす事業所がサービスの質が高 いということが言えるという前提であるならば、人材要件、重度化要件についての質を落とさずに ハードルを下げてということと、利用者の負担が増えないように、その部分を外出しでできるよう な方法をお考えいただきたいと思っている。  また、例えば訪問介護の質の高い事業者、お願いしたい事業所というところに、私たちは柔軟な 対応、サービスをしてくれるのか、緊急時の対応をしてくれるのだろうか、事務能力が高いのであ ろうか、さまざまな評価を持って事業者さんたちを評価している。そこと専門職の割合が高いかど うかというところが、現場ではいま一つ一致していないのではないかと思っている。そして、質の 高い事業所に加算を設けるということで、インセンティブを与えて、介護報酬をアップするという ことで始まったと思うのだが、現状4.6%しか普及はしていない。少々この制度を変えたところで、 今後、特定事業所加算をとる事業所の率が飛躍的に上がるとは限らないので、この特定事業所加算 の制度を少し取りやすく変える程度で、訪問介護事業の報酬アップ、処遇改善につながるというよ うな決め方だけは危険なので、そこは慎重に御検討いただきたい。  先ほど沖藤委員もおっしゃられたが、すべての事業所の待遇が改善できるような方法を、この特 定事業所加算に頼らずに行うことが必要であると思う。  よろしくお願いする。 (大森分科会長)  どうぞ。 (池田委員)  2つあるが、1つは特定事業所で加算があって利用者がその分増えるから、それはやめてほしい という議論だったらば、この会議はやめた方がいい。介護報酬を上げたら、利用者の負担は上がる に決まっている。自治体の負担も上がる。それが嫌ならば、介護報酬は上げられないことになる。 それは、先ほど私が言った一体算数ができるのかということである。  稲葉さんがおっしゃったように、特定事業所の場合、かなりきついから、ある程度緩めて広げて、 質を高めていくインセンティブにするということについては、私は反対しない。支持するが、利用 者の負担が上がるからという議論をしていたら、先ほど山本町長がおっしゃったように、自治体の 負担が上がるから、住民の負担が上がるからということで、何もできなくなる。だから、そういっ た意味で、私は議論の進行の仕方として、非常に疑問を持つということがある。  もう一つ、評価の仕方は、稲葉さんがおっしゃったとおり非常に難しい。1つの方法として、ま だほとんど報告を受けていないので、そのうち出てくるのだろうが、通所系の予防給付には評価加 算というものが付く。評価加算というのは何%ぐらい受けているのだろうか。評価加算の基準とい うのは、少なくとも良好な結果を示したところに出るわけであるから、そういったサービスの評価 みたいなものは客観的なスケールみたいなものをつくってやらないと、あるデータを見ると、慄然 とするデータがある。それをやらないと、非常に危険な状況が起きるということも関連してつけ加 えさせていただいた。 (大森分科会長)  まだ御発言のない人を優先するが、今のことでしたら、どうぞ。 (稲葉委員)  池田委員の御指摘はありがたいが、利用者の負担が特定事業所加算を取ることによって増えてし まうということは、すべての利用者の負担が増えるということとはまた少し違っていて、自らの事 業所が加算事業所になることによって、自らの事業所の利用者だけが増えてしまうということが現 実として1つあり、事業を行うものとしては、当然事業性を考えて行わなければならない。  利用者を確保する必要もあるというところだが、物やサービスを買うときには、当然、内容と価 格を比べて購入をするわけである。だから、そこにサービスの質が、はっきりとした違いがわから ない中で料金だけ高いというところは選ばれないのではないかという、逆インセンティブが働いて いるということだけ申し上げておきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  三上さん、どうぞ。 (三上委員)  地域区分の見直しについてであるが、従来の6区分を使うということは非常にいいと思うが、た だ、診療報酬にも地域加算というものがあって、これとの整合性が取れているのかということを少 し伺いたいと思う。  また、資料1の3ページにあるように、その他地域というものが60〜70%ぐらいある。加算の ないところがあるわけだが、実際にここは公務員が配置されていないので、その他と区分されてい るということだが、その他地域にも地方公務員はいらっしゃるので、それぞれ国家公務員に当ては めて、どのぐらいの加算をすべきかということも検討していただきたいと思う。  また、実態に合わせて見たいということがあったが、基本的に今回の介護報酬改定は、介護従事 者の人材確保という、介護従事者が離職しない、あるいは若い人たちが介護職を選択してもらえる ような給与水準を目指すということなので、他産業の他職種の人たちとの比較というものも大事な わけで、実態といっても、各地域の介護職、看護職の給与等だけを調べるのではなくて、人事院が やっているような全産業の調査を基本にしていただきたいと思う。その上で、今後、介護職の給与 のあるべき水準というのは、どの程度にするかということを決めてからの介護報酬改定になろうか と思う。  それから、中山間地域の話が少し出ていたが、資料3の3ページにあるように、山道等でいわゆ るアクセスが非常に難しいために、そこに加算を付けるのだという話だが、先ほど山本委員からあ ったように、やはり加算を付ければ自治体の負担も上がってくるという話もあるし、アクセスに対 する手当というものを介護保険料の中から見るというのは、本来のすじではないのではないか。本 来は総務省関係の予算から出されるべきものではないかと思うが、縦割りの中で非常に難しいと思 うが、今後、厚生労働省としては、介護保険料以外の予算でそういった手当ができるような努力を していただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  田中さん、どうぞ。 (田中(滋)委員)  本日の議題である従事者の人材確保のために介護報酬を工夫する話があって、その工夫としては、 地域差を反映することと、資格や人員配置を反映することが出ている。これらは当然だと思う。工 夫の中身は別として、地域差を反映し、配置された人員の数や資格を今よりも工夫していく。ただ し、それを工夫した後に、石川市長が言われたように、それがどういう変化をもたらしたかの検証、 評価はしていかないと国民の納得が得られないはずである。  それから、それに基づくデータ公表である。例えば資料4の12ページにあるようなデータや事 業所評価の仕組みの研究などもしておかないと、事前にこういう差を反映させたというだけではだ めで、事後的なフォローが必要な時代になっている。  キャリアアップの取組みの方だが、キャリアアップの取組みを必ずしも全部報酬だけに頼ってい ては足りないと思う。資料4の7ページに100億円の予算が示され、これは主に人材確保のために さまざまな予算を投じたいと厚労省は申し入れているようだ。この中身はすべていいことだが、人 材確保のための予算であって、キャリアアップのための予算ではない。キャリアアップについては、 報酬以外の助成、勿論各団体がなさっているだろうが、各団体による努力など、全体的取り組みが ないといけない。報酬だけにキャリアアップを期待してはいけない。報酬だけが手段ではない。  最後だが、報酬の工夫をするときに、指標として取るべきは客観的であって、かつ余り監査に時 間のかからないような、ある程度エビデンスを伴う指標でないとならない。それ以外のことは、言 わば組織の内部での分配の話であって、政府はそこまで介入してはいけない。  具体的には先ほど言ったように、資格や人員配置数は、外側の基準で比較的わかりやすいが、例 えば人件費率などは人為的に動かせるデータなので、そういうものを指標に個別の事業所を評価し たりしてはいけない。固まりとして地域差や規模さを見るときの人件費率はある程度統計的有意性 があるだろうが、個別の事業所をそれで評価するようなことがあってはいけないし、同じく働く人 の経験年数が価格に反映されている世界は、医療でもないし、他でもなかなかないので、それは組 織の内部の話にとどまる。組織の内部での処遇がどうなっているかと、先ほどの評価、検証にも関 わる制度論とは分けていかなくてはいけない。 (大森分科会長)  齊藤さん、どうぞ。 (齊藤委員)  加算と利用者負担の話が先ほどから出ており、利用者からすると、キャリアアップして、しかも、 質のいいサービスを得たいというのは共通した願いだが、果たしてそれが報酬上の妥当なサービス どうかはなかなか判断がしにくい話である。公的介護保険であるので、一定のサービスの質は担保 されて受けているという前提で考えるべきだと思う。並のサービスと上質のサービスがあり、しか も、そこには価格差がある。しかし、利用者は何もわからない中で利用しているのではないかとい う気がする。  そういう意味では、事業者もそうであるし、ケアマネジャーの方々にとっても大事なポイントだ と思うが、こういうサービスの違いがあるということを利用者が納得し、それを選択することがな い限りは、幾ら議論してもなかなか難しい話になるだろうと思っている。その辺の仕組みがうまく できているかというと、どうも加算だけが先行して、イコール1割負担だという話に収まっていて、 検証というのはほとんどされていない。利用者がよくわからないという中で議論をするのは、問題 がありはしないか。  更にその延長線上で、単価が上がれば当然限度額を超える、利用回数を削らなければならない。 これはある意味では非常に問題が多くなっているから、池田委員がおっしゃったように、何らかの 方策を講じて、そういうことは絶対にあってはならないという仕組みづくりをすべきだと思う。  もう一点、同じ加算であり、中山間地の問題で、遠距離のところに行ってお世話をするというお 話はありがたいことだと思うが、せっかく来ていただくけれども、利用者が加算分を負担するとい う話になると、ありがたいと考えるやら、利用を手控えなければならぬと考えるやら、非常に複雑 な問題だと思う。  高知県のヒアリングの際にもお話があったように、必要なところに介護サービスが届くようにし てほしい。しかし、それが加算されて利用者に負担が転嫁されるということは、やはり問題が大き いのではないかというお話がああった。これは公費でやるかどうかという仕組みの問題はあるにし ても、一律にこの費用は受益を受けたのだから、当然だという考え方には少し無理が出てきている のではないかと思うので、是非のその辺のことは、利用者側、特に利用がしにくい地点における利 用者の状況等とよくお考えいただきたいと思う。  更に1点、質問させていただきたいのだが、事業者の移動に要するコストというのは、どういう ものが含まれているのかということがよくわからない。例えばガソリン代とか車の償却費というこ とが入るのかもれないが、ヒアリングのときに出ていたのは、時間に要する採算が見合わないと言 っておられるわけであり、単に移動のコストだけなのか、それとも、時間に要する人件費的なもの も含まれているのかどうか。そういったことを御質問させていただかないと、恐らく少しはプラス になってありがたいとはいえ、根本的な解決には余りなっていないという懸念もしている。この点 最後に1点だけ質問させていただきたい。 (大森分科会長)  それでは、今のところについてお願いする。 (鈴木老人保健課長)  今回示させていただいた我々の調査の中での45%高いというところだが、その場合には、今、御 指摘があったガソリン代、船で移動に行く場合の渡船料などが入っているが、例えばその部分にか かった人件費、30分のところが1時間かかるから、30分よけいに人件費がかかるかもしれないと いうところは、残念ながら、今回の調査では入っていない。 (大森分科会長)  どうぞ。 (山本委員)  私は介護保険料の値上げには反対だと言っている。私どもは直接の保険者だが、福岡県では広域 連合を含んで、介護保険は最初からやっている。したがって、1人や2人の反対意見が出てくるの ではない。たくさんの人たちの意見が出てくる。今でも介護保険料は高い。それほど皆さんたちは 保険料にこたえている。特に、私の住んでいる地域などは、山間地域だから、よけいに負担に耐え 難いということがある。そして、介護を受けている人たちが非常に多い。そういうことで、できれ ば上げない方がいいと言っている。  もともと、今、言っている議論がなぜ出たかというと、要支援1、2を壊したからである。要支 援1、2を半分にすると言ったが、半分にならない。逆になった。そして、介護費用が増えてきた。 だから、そういうことなどを考えていけば、いろいろなことが起こっているのは、あれからだと私 は思う。  だから、そこら辺りをよく検討して、そして、今度はこうしましょうと言うようにすべきではな いのか。それにもかかわらず、単純に介護報酬を改定しましょうというのは、全く納得できないと ころがある。だから、どうしても改定するなら、私どもを納得させていただきたい。1,000人の町 村長にこうだからやると言って、納得させていただきたい。それならいい。私が1人で反対してい ると皆さん思っているが、決してそうではない。みんなが反対なのだ。私のところは、福岡県の36 の町村が全部反対である。だから、言っている。代表というのは、そういうところがつらいところ もあるけれども、私が1人で言っているのではないということだけを理解していただきたい。お願 いする。  もう一つ、ヘルパーの養成は、これが始まってからずっと町村会で費用負担をして、日赤の看護 学校があるが、そこに施設をつくって、ずっと養成してきている。  だれかが先ほど、ヘルパーの養成費を出していただいたらどうかと言っていたが、私のところは 町村会で負担をして、多いときは1,000人を超える人たちの養成を行ってきた。18年になって700 人養成している。19年はだんだん減ってきて、受ける人が少なくて519人。17年は1,025人の人 たちを養成していた。その費用の全額ではない。本人が負担するものと町村会が負担するもので合 算して、ヘルパーの支援をしてきた。 (大森分科会長)  今井さん、どうぞ。 (今井参考人)  私どもも企業従事者の方を確保するということは、現下の重要課題と考えており、費用対効果の 高い対策を是非とも進めていく必要があると考えている。  ただ、報酬改定全般の議論の中においては、やはり保険料負担ということについても御留意をい ただきたいと思っている。これは単に企業に対してのみならず、広く社員に影響する問題である。 また、今、こうした厳しい経済情勢ということもあるので、なおさらかと思っている。そういう意 味で、やはり限られた財源の中で、いかに実行性の高いものをつくっていくかということが重要か と存じている。  したがって、今後、新しい対策の詳細を詰めていく過程においては、どの程度の財源がかかって くるのか、要するのかといったことについても、適宜お示しをいただきながら検討できればと思っ ているので、ひとつよろしくお願い申し上げる。 (大森分科会長)  堀田さん、お願いする。 (堀田専門委員)  大きく2点申し上げる。  まずキャリアアップに関連して、今回その例として特定事業所加算の仕組みを説明されたと思う が、先ほど田中先生も少し触れられたが、キャリアアップの仕組みは、介護報酬の枠にとらわれず、 学びの取組みやキャリアアップのモデルづくりなどに関して、個人・事業者・事業者団体などそれ ぞれのレベルをどうサポートするかという発想で考えた方がいいのではないかと思う。  そういう前提のうえで、特定事業所加算をみてみるとどうかということだが、質も量も高いレベ ルのサービスを求めれば、利用者負担は上がるのが当然だとしても、質を測る指標が確立していな い現段階で一定の要件を定めることは難しいのではないか。いまは、体制や人材要件といったイン プットを評価する加算だが、それがサービスの質の充実を意味しているのか、サービスの質の指標 長期的に開発していくことが不可欠だと思う。  また、要件の中身だが、幾つか御指摘もあったが、こうした要件を役所が定めることで、自由な 経営、雇用管理の工夫、サービスの継続的な改善を逆に妨げることになっていないかということを じっくり考える必要もあると思う。  例えば雇用形態の組み合わせの工夫、OJTの充実、リーダーの育成、継続的なサービスの改善 に向けたPDCAサイクルの確立など、サービスの質の向上に向けた取り組みはさまざまあるはずで ある。それを一定の要件を定めることによって、縛っていないかという観点で、もっと見直しをす べきではないか。  こうした要件の立て方であると、新しい事業所で、経験の浅い人を採って、まだ介護福祉士資格 も持っていない人も多いけれども、みんなで頑張っていこうというような事業所の意欲がそがれや すくなるのではないかということも含めて、一定の要件を最低限のものとして決めるということも 大事だが、事業所がそれぞれの課題を認識して継続的に取り組んでいるかということを見るような 考え方も重要だと思う。  2点目は、何人かの委員からも御指摘があったが、今回なんなく、加算に焦点をあてたお話のよ うに感じられたが、特に人材確保という観点では、モデル的な事業所について、雇用形態の組み合 わせ、経験年数、資格の保有状況などいろいろとあるが、しっかりと基礎的な労働環境を整え、教 育訓練もやったうえで、継続的にサービスを提供していくために、果たして全体として今の水準で やっていけるのかというシミュレーションが必要ではないか。  また、介護職の賃金水準をどれぐらいで考えるべきなのか。ほかの産業との比較からなのか、絶 対的なものとしてなのか、例えば共働きでフルタイムで働いていれば食べていけるということを前 提にするのかわからないが、多分データが必要なものがたくさんあると思うが、継続的に議論して、 確保すべき全体の水準を検討していくことが重要ではないか。  以上である。 (大森分科会長)  高智さん、お願いする。 (高智参考人)  もう一度、資料1の9ページ辺りの基本的な論点であるが、国際比較研究からの視点である。日 本が参考にした制度であるが、この7月1日からドイツにおいては、初めて介護保険料率を引き上 げた。料率は今までは1.7%であったが、0.25ポイント上げて1.95%になった。その間において、 一部改定があり、子どものいない方については単独で負担する追加保険料率0.25ポイントの導入 が図られた。08年7月改定でも引き続き有効とされた。  これが成立した背景には、やはり介護の質の確保ということが一番の条件になった。介護の質の 確保と同時にどこで要介護の鑑定を受けているのか。認定といわないので、鑑定と申し上げたが、 ドイツでは介護保険の要介護度については、「鑑定する」という表現を使っている。鑑定は総じて きちっとしたもので、納得性のあるもの。ある意味、可視化できるものというのが前提になってい る。それが確保されたものと多くの国民が理解したものだと思う。  それから、同時に08年改定の次には10年改定、12年改定、そこまで展望して、数値(給付改 定額)が定められている。ドイツは日本のようにスキームが複雑ではないので、要介護1から要介 護3までの区分である。3の中には、特に過酷なものという別枠の評価がある。非常に単純明快で ある。  ドイツの介護保険は、御承知の方もいらっしゃると思うが、「健康保険の屋根の下」で行うドイ ツ最後(5番目)の社会保険制度である。保険制度化しては財界が大いに反対した経緯もある。産 業活動と何の関係あるのだ。そういう議論もあった次第である。しかし、国民は、今、ウルトラお ばあちゃんの問題が介護保険の本質であるということで認識している。実際に介護施設を見ると、 90歳以上のおばあちゃんが圧倒的多数である。  そこを見ていくと、介護の質の確保の視点の第1は、経験豊かなベテランの方をいかに継続雇用 し、その方がいかにして後輩を指導していくか。そのために、ドイツにはMDKという中立的な鑑 定機関がある。そこでは、病院に入院している患者で不適切な入院をしている方があるとすれば、 それを介護施設に移す。介護施設にいるほどでなく在宅あるいは通所、デイサービスの方に行った 方がいいということであれば、適切な助言をする。そういう公的な機関のほか、民間福祉6団体と いうものがあり、介護保険の現場に介護要員を派遣しているが、そういったところでも独自の教育 活動を行っている。  ドイツではそのようなことも先行する国、我が国の介護保険制度をつくるに当たって参考にした 1つの国でもあると思うので、つまみ食いができるところがあれば、是非そのようなことについて も、行政当局におかれては御尽力いただければありがたい。こういうお願いである。  以上である。 (大森分科会長)  社会保障国民会議の方で、今、推計をやっていて、あるべき将来の姿を前提にしつつ計算してい るので、今のような議論は一部入っていると思う。  ただし、ドイツのような諸外国の場合は、日本でいう要支援が外にある。この問題について、ど のように考えればいいかということは、実は潜在している最大問題だと思っている。今の段階でこ れを問題提起するような状況ではないと思うが、諸外国の例を学ぶならば、そういう点についても 学ぶべきではないかと私は考えていて、おいおい全体の制度の将来についてどうするかということ は、この分科会限りの問題ではなくて、もっと大きい社会保障全体の在り方と連動するものと思っ ている。  井部さん、どうぞ。 (井部委員)  先ほど池田委員からも紹介があったが、賃金の問題である。介護サービスというのは主に女性が 主役になっているにもかかわらず、男女差の賃金差が歴然としてあるということについては、非常 に憂える。この給付費分科会も女性が少ないが、介護サービスの主たる担い手である女性と男性の 賃金差を是正するような政策があってもいいのではないかということを強く感じている。それが1 点である。  もう一つは小さなことだが、前回も出された平成21年度介護報酬改定の視点の例ということで、 今日もまた視点の例だが、これは改定の方針ではなくて、ずっとこのまま例題が増えていったり、 減らされたりするのかどうかということを懸念している。平成21年度介護報酬改定の方針なら方 針と、きちんと設定して進めていただいた方が私は非常に安心感がある。  以上である。 (大森分科会長)  最後の点は、次回との兼ね合いである。次回のアナウンスメントをしていただきたい。 (鈴木老人保健課長)  最後に御指摘いただいた参考資料1は、まさに御指摘のように、前回出した資料のそのままを今 回出させていただいた。なぜ出したかというと、全体を議論いただく上で、今、皆さん方に御提案 もしくは御相談しているのはどこに当たるのかというところの視点を、やはりわかるようにしてお いた方がいいだろうということで、今回、前回御提案した5点の中で、特に1番の人材の確保対策 について御議論いただいた。  中身というのは、2ページ目にあるような柱ということで、まさに井部委員が御指摘のように、 12月に向けてこの分科会でどういうことが議論されていたのかということをまとめて、また文章化 させていただきたいと思う。  次回は10月30日だが、細かい場所、議題等は、また御報告させていただきたいとも思う。 (大森分科会長)  30日は、何を主としてやることにするつもりか。 (鈴木老人保健課長)  御議論の収束の仕方によっても違うが、これから2回程度は訪問系、通所系の居宅系のサービス の全体像を少しやった上で、個別のサービスについて議論をさせていただきたいと思う。  それがひと段落着いたら、今度は施設系のサービスを考えている。 (大森分科会長)  そういうことだそうだ。  まだ御発言したいという人がおいでかもしれないが、今日はこれで終わる。  一言か。必ず一言でお願いする。どうぞ。 (沖藤委員)  今日もまた私は意見書を出させていただいた。  先ほど局長が大枠の中でお話なさったことともちょっと関連するが、また保険料を支払う人たち の満足感とも関わる話だが、生活援助の制限について見解をこの会としてまとめてほしい。生活援 助を維持されることによって、住み慣れた我が家で人生を全うすることができると考えている。将 来のスーパーおばあちゃんの1人として、是非ともそれをお願い申し上げたいと思う。  また、散歩に関することに関しては、ちょっと文言に不適切があったので、次回また改めて提出 させていただきたいことをよろしくお願い申し上げる。 (大森分科会長)  よろしいか。今日はこれで閉じたいと思う。  それでは、次回もよろしくお願いいたします。ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)