08/10/08 第85回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第85回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年10月8日(水) 10:00〜12:10 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井総務課調査官 定塚職業家庭両立課長、安藤雇用均等政策課長、大地均等業務指導室長、 松本育児・介護休業推進室長、代田短時間・在宅労働課長     議題:   育児・介護休業制度の見直しについて 配付資料:   資料No.1  本日の検討項目   資料No.2  労働者の子育て・介護の状況に応じた両立支援制度の整備 議事: ○林分科会長  ただ今から、第85回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、奥山 委員および山本委員よりご欠席との連絡をいただいております。  それでは早速、本日の議事に入ります。議題は「育児・介護休業制度の見直しについ て」です。資料No.1の「本日の検討項目」、資料No.2の「労働者の子育て・介護の状況に 応じた両立支援制度の整備」について、事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、ご説明をさせていただきます。資料No.1は、今、林分科会長からご紹介が ありました「本日の検討項目」でございます。1番目が「再度の育児休業取得要件及び 育児休業を1歳6か月まで延長できる特別な事情について」、2点目が「介護のための休業・ 休暇制度について」、3点目が「非正規労働者の両立支援について」でございます。以上 3点につきまして、資料No.2で順次ご紹介させていただきます。  資料No.2の1ページ以降をご覧いただきたいと思います。再度の育児休業取得要件と育 児休業を1歳6か月まで延長できる特別な事情についての資料でございます。1ページお めくりいただきますと、2ページ目は研究会報告の抜粋でございます。研究会報告にお きましては、長期にわたる子どもの疾病(例えば、2週間程度)で現在受けていている保 育サービス等が受けられなくなった場合であって、新たに保育所等の入所申請を行った が当分の間入所できそうにない場合等に、再度の育児休業を認めるべきものと考えると いうこと。それから、病気等の場合に休業期間の延長を認めるべきものと考えると記述 しております。  3ページ以降は、現行制度の概要の資料でございます。3ページは「育児休業の再度取 得要件について」。現行の育児休業法では休業は原則として1回限りとされておりまし て、特別な事情がある場合には、再度取得可能となっております。この特別な事情が、 ここにお示ししている五つの点となっております。  次のページは、1歳6か月まで延長できる特別な事情についての現行制度の概要でござ います。こちらにつきましては、(1)、(2)のいずれにも該当する場合に延長できるという ことになっておりまして、この「特に必要と認められる場合」とは、下にあります(1)と (2)の二つの場合としております。  5ページ以降は、参照条文でございます。  次に8ページをご覧いただきたいと思います。育児休業再度取得関係のデータでござ います。8ページの資料では、育児休業取得可能回数を1回とする事業所が約9割となっ ております。  9ページは、より利用しやすい育児休業制度等についての労働者へのニーズ調査でご ざいます。1歳を超えて利用できること、専業主婦等であっても利用できること、1歳に なるまでの間複数回取得できることといったニーズが多くなっております。また、こう した内容には、右の二つのグラフでございますけれども、子どもの状況や病気等を理由 とする回答が多くなっております。  次の10ページですが、複数回の育児休業を認める要件としては、育児をしていた配偶 者の負傷・疾病等により育児が困難になった、子どもが保育園等に通えない病気になっ たという回答が多くなっております。  次に11ページ以降は、介護のための休業・休暇制度関連の資料でございます。1ページ おめくりいただきまして、12ページは、研究会報告書の抜粋でございます。こちらでは、 家族の介護を行う労働者が、仕事と介護を両立し、働き続けることができるよう、現行 の介護休業に加え、一日単位・時間単位などで取得できる「短期の休暇」制度を設ける べきものと考えるとしております。  13ページは、現行の介護休業制度の概要でございます。介護休業につきましては、対 象家族1人につき、一の要介護状態ごとに1回の取得が可能となっておりまして、この休 業は連続したひとまとまりの期間、通算して93日を限度とされております。  14ページ以降には、参照条文を付けております。  次に、20ページをご覧いただきたいと思います。介護のための勤務時間の短縮等の措 置でございます。こちらも介護休業と同様でございまして、一つの要介護状態について 93日というものが最低基準として示されております。  23ページ以降では、介護休業関係のデータをご紹介しております。23ページは、就業 規則等に介護休業の定めがある事業所の割合でございます。5人以上規模で55.6%、30 人以上規模になりますと81.4%となっております。また、右側の表は介護休業を取得し た男女別の割合でございまして、女性の常用労働者全体に占める介護休業取得者の割合 は0.08%、男性の方は0.02%となっております。  次の24ページをご覧ください。事業所の制度として介護休業期間がどの程度認められ ているかという割合でございます。期間の最長限度を定めているものが93.1%、期間の 制限がないものが6.7%となっています。最長限度を定めているうちでは、93日までが 75.5%、1年とするものも15.6%、特に規模の大きい企業ではかなりの割合に上ってお ります。  次の25ページは、介護休業取得回数の制限の状況で、1回とする事業所が最も多くな っております。また、取得回数の「制限なし」というところも約3割に上っております。  次の26ページは、休業の対象となる家族の範囲です。こちらは、育児・介護休業法の 対象家族と同じとする事業所がほとんどでございます。  27ページは、実際に休業を取得した方が休業した期間でございます。3か月〜6か月未 満が4割と最も多く、次いで1か月〜3か月未満、1週間〜2週間未満となっております。  次の28ページをご覧ください。介護のための勤務時間短縮等の措置の制度があるか、 ないかということを聞いております。あるとする事業所は38.3%、規模別にかなりの差 がございまして、500人以上ですと89.2%となっております。その措置の内訳は、右に 示すとおりでございます。  次の29ページでは、措置の種類と具体的な制度の内容を示しております。措置の内容 としては、短時間勤務制度が最も多くなっております。また、短縮する時間の長さとし ては2時間以上3時間未満が約半数となっております。  次の30ページは、介護のための勤務時間短縮等の措置を利用している方の割合でござ います。女性、男性別に示しております。いずれも割合的にはあまり多くございません けれども、一番多いのは短時間勤務制度となっております。  31ページは介護休業等の制度とは離れたデータでございますが、介護を必要とされる 方が、実際に年次有給休暇や欠勤・遅刻・早退などをどの程度経験しているかという割合 でございます。年次有給休暇が48.2%、欠勤は28.4%となっております。  32ページは、家族の介護・看護のために離・転職した雇用者の数です。左上のグラフ は平成9年からの5年間、左下の円グラフは平成14年からの5年間でございまして、平成 14年からの5年間では約50万人存在するということになっております。また、右側のデ ータにつきましては、実際に介護をしている方に、介護を開始したときの仕事を現在続 けているかと聞いた状況でございます。  33ページ以降は、介護保険の状況でございます。33ページは、被保険者数の推移でご ざいまして、被保険者数は7年間で25%増加している。また、要介護認定を受けた方の 人数でございますが、105%の増加で2倍以上の増加となっております。  34ページをご覧いただきますと、介護保険の利用者数及び保険給付費の推移で、いず れも制度発足時に比べまして急増しているということがわかります。  35ページは諸外国における介護休業・休暇制度で、現在当方で把握している範囲のも のを掲載しています。  36ページ以降は、「非正規労働者の両立支援について」の資料でございます。37ペー ジは、研究会報告書におきましては現行制度の概要を書いた上で、調査結果によると企 業では回数の上限なく契約を更新しているとの回答が多い。また、労働者についても更 新したいとの回答が多いことを踏まえれば、現時点ではこの要件については妥当なもの であるということができる。しかしながら、(2)の要件については制度の運用に際し、曖 昧でわかりにくいとの指摘があったこと。また、就業規則に規定を設けている事業所が 半数に満たないこと。職場に育児休業制度がなかった、適用対象外だったと答える労働 者が多いことなどを踏まえれば、育児休業可能な期間雇用者が、より一層休業を取得し やすくするために、休業取得要件をわかりやすく示し、周知を徹底すること。また、期 間雇用者で休業取得の状況について調査を深めることといった対応を進めるべきものと 考えるとされております。  次のページ以降は、現行制度の概要でございます。期間雇用者の育児休業についての 要件をお示ししています。  40ページ以降は、参照条文です。  43ページの資料は、現行の育児休業その他の制度につきまして、それぞれ非正規雇用 者の適用関係がどうなっているかということを示しております。まず、育児休業ですが、 上の段は有期無期共通の規制要件でございまして、雇用期間1年未満、1年以内に雇用関 係が終了する、これが協定除外可となっております。また、週所定2日以下が協定除外 可。有期については、先ほどご紹介した要件でございます。介護休業についてもほぼ同 じでございまして、「1年以内」というところが「93日以内」という点が違う点でござ います。次のページをご覧いただきますと、勤務時間の短縮等の措置、こちらは有期特 有の規制要件というものはございません。有期無期共通の要件のみでございます。雇用 期間1年未満、週所定2日以下、日所定6時間以下といったものが協定除外可あるいは対 象外になっております。子の看護休暇につきましては、これも共通の要件でございまし て、雇用期間6月未満、週所定2日以下のものが協定除外可。時間外労働、深夜業の制限 も共通の要件となっておりまして、雇用管理期間1年未満、所定外の制限については所 定労働時間の全部が深夜である労働者、週所定2日以下の方が対象外となっております。 なお、日々雇用の者はすべて対象外となっております。  次のページ以降は、期間雇用者の状況です。45ページの左側は、育児休業給付の期間 雇用者の支給状況です。平成17年度が2,000人余り、平成18年度が4,000人余り、平成19 年度は6,000人余りとなっております。なお、平成19年度の途中で育児休業給付の要件 を拡大しまして、現行の育児・介護休業法と同じとしておりますので、今後ともこの支 給対象となる期間雇用者は増えることが想定されるのではないかと考えております。右 側は育児休業取得率でございます。  次の46ページでは、企業と労働者に期間雇用者の状況について聞いたデータです。総 括して申し上げますと、企業については回数の上限なく契約を更新しているとの回答が 多い。また、労働者についても期間満了後も契約を更新したいとの回答が多くなってお ります。  次の47ページは、事業所の規定の状況です。就業規則に期間雇用者の育児休業に関す る規定を設けている事業所は5割弱、46.4%となっております。ただ、こちらは平成17 年度でございまして、制度改正直後のデータとなっております。  次のページは、同じく介護休業の規定の状況ですが、こちらは、49.9%となっており ます。  次の49ページは、有期契約労働者の育児休業の利用状況に関する調査結果です。左側 のデータは、有期契約労働者が育児休業を取得しているかどうかという割合です。若干 データの数が少ないということもありまして、データの正確性がどの程度まであるのか という問題点はありますけれども、特に種別に見ますと特定職種、これは医師や看護師、 研修者等の職種ですが、こういった職種の契約社員やその他直接雇用、その他パートタ イマーという名称ではあるけれども短時間ではない労働者や一般の契約社員等に取得が 高くなっております。右側のデータは、育児休業を実際に取得した有期契約労働者に、 仮に取得しなかった場合どうなっていたかということを聞いた回答です。退職していた と答えた者が41.9%でございまして、こうした方々については前回の育児・介護休業法 改正によりまして有期契約労働者に育児休業を適用したという効果があったものと考え ております。  最後に、取得しなかったと答えた者について、取得しなかった理由などを聞いたもの ですが、右側のデータがございますけれども、「自分は制度適用対象外だった」あるい は「職場に育児休業制度がなかった」という回答が多くなっております。こうした回答 で、特に「職場に育児休業制度がなかった」という回答については、実際には法律上育 児休業は請求権として認められており、一定の期間雇用者にも認められておりますので、 ほぼ誤解に基づく回答ではないかと想定されております。また「制度適用対象外だった」 という回答は、実際に制度適用対象外だった方、および制度適用されるはずであったの に対象外と考えていたという両方のケースが含まれているかと思います。その他、「取 得すると同僚に迷惑をかける」等の回答となっております。左側は取らなかった方に当 時の育児休業取得希望を聞いたものです。「取得したいと思った」という方が64.3%と なっております。資料の説明は以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。ただ今、事務局から三つの論点について説明をいただきま したけれども、多岐にわたっておりますので、全体を資料No.1にある三つの項目に分け て議論したいと思います。最初に、「再度の育児休業取得要件及び育児休業を1歳6か月 まで延長できる特別な事情」について議論したいと思います。これについては、資料 No.1にありますように、「長期にわたる子どもの疾病(例えば、2週間程度)が発覚した場 合」、それから、(2)にあります「現在受けている保育サービスや、親族による養育が受 けられなくなった場合であって、新たに保育所等に入所申請を行ったが当分の間入所で きそうにない場合」を認めるべきかといった議論があります。また、もう一つの論点と して「子が1歳を超えても休業が必要と認められる一定の場合として、長期にわたる子 どもの疾病が発覚した場合を認めるべきか」という論点があると思います。  それではまず、再度の育児休業の取得要件について、ご意見・ご質問がありましたら お願いいたします。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今、(1)、(2)ということで事例を二つ挙げていただいていますが、これは実態として、 このような場合に再度の育児休業取得を認めてほしいと思うのですけれども、もう一つ 実態としてのケースを説明させていただきますと、1歳未満で保育所に入れたいという 労働者が非常に増えています。本当は1歳まで休みが取れることになっているので、1歳 になってから預けたいと思うのですが、それでは待機児童が非常に増えてしまっている ので、それよりは0歳で預けられるのであれば預けてしまおうということが、今の労働 者の実態としてあります。ただ、0歳でうまく預けられるようになったのはよいのです けれども、実際のところまだ1歳になっていない子どもは離乳をしていたり、連れて行 っても大きい子どもと同じ保育園に預けたりしていますので、すぐに病気をもらってく るというような実態がありまして、0歳で預けると、預けた後に休みがちになってしま うというようなことがあります。ここにあるような2週間も休まなければいけないとい うような大病だけではなくて、実際に預け始めると一週間に1回、2回と保育園から「熱 を出しました」などと呼び出しがあって、預けられたけれども働き続けられないという ような環境になってしまっているということが、実態としてあるのではないかと思いま す。そうしますと、この(1)、(2)ということもあるのですが、環境的には預けられたけれ ども子どもの状態と労働者のメンタリティの部分で、預けて就業を続けることができな いという実態も加味できないかと思っています。例えば1か月の休みが10日以上など、 あまりにも小さいうちに預けてしまったので子どもの状態が不安定になってしまって就 業ができないというような労働者も再度取得できるような要件に入れることができない かということを検討していただきたいと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  育児休業を申請するタイミングについて教えていただきたいのですが、1歳未満の場 合については1か月前まで、1歳6か月まで期間延長する場合については2週間前まで、 期間そのものを変更するといったような場合には1週間前までということになっていま す。再度取得に係る部分についてはどのタイミングまで申請が可能になるのかというこ とを教えていただけますでしょうか。 ○林分科会長  今のは、現行のということですか。 ○遠藤委員  はい。現行です。 ○林分科会長  少しお時間をいただいて、後ほどでよろしいですか。 ○遠藤委員  今、質問したのは、何週間前というタイミングなのか、1か月前なのかは存じ上げま せんけれども、恐らくそのタイミングを満たさないような案件が、ここに挙がっている 追加事由ではないかということとの兼ね合いでの質問が1点です。それから、ここに書 いてあります「長期」という部分について、「例えば、2週間」と書かれているのです が、この2週間といった根拠が何かあるのでしたら教えていただきたいというのが2点目 です。それから三つ目として、仮に長期にわたるということになりますと、医療機関に 預けるようなケースもあるかと思うのですけれども、そういった場合の兼ね合いはどの ようにイメージされているのかというようなことがありましたので、質問させていただ きました。 ○林分科会長  最初の質問は外して、他の質問についてお答えいただければと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  申し訳ございません。1点目については、引き続き確認をしておりますけれども、2点 目のなぜ2週間かということにつきましては、研究会の中で議論もありましたが、デー タを見ますと、本日はご紹介していないのですが、入院している子どもの約半数が2週 間以上の病気であるといったようなこと、実際には0歳の時点で子の看護休暇が適用さ れますので、5日以内の病気であれば子の看護休暇でカバーできることなどが理由とし て挙げられるかと思います。それから、医療機関との関係ということなのですが、特段、 医療機関に入院しているとか、入院していないといった事情は、それによって差異が生 ずるとは、とりあえずは考えておりません。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  質問になりますけれども、育児休業を1年までと、あと6か月延長して1歳6か月まで延 長するときの条件は、かなり限定的なところにあるかと思いますが、今回の議論の中で は再取得の要件と同一のものを挙げていると認識しています。そこはそういう理解でよ いのかということと、同一であるならばどうしてそこは同一にしたのかということをご 説明いただければと思います。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長。 ○定塚職業家庭両立課長  今のご質問は、1歳6か月まで延長できるというのは、保育園等に入れない場合と、再 度取得の2点目が同じであるかという意味ですか。事務局としては、同じような場合で あると理解しています。つまり、何らかの事情によって保育の預け先がなく、新しい保 育園に入所申込をしたけれども入れない、待機になっているというような状況を想定し ております。 ○川崎委員 そうすると、今回の議論の範疇に入っていないかもしれませんけれども、子どもが1歳 までの場合と1歳6か月までの場合は休業時の保障が違うとか、幾つか条件が違うのでは ないかと思うのです。それは今後の議論としてはそういったことは俎上に上ってくるこ とはないと思っていればよろしいですか。それは全く別議論になるということでよいの でしょうか。 つまり、何を言いたいかというと、育児休業そのものが1歳6か月まで延ばしていくとい うことを前提とした議論ではないという確認を取りたいということです。 ○佐藤委員  基本的には、現行法は1歳までが原則で例外として延ばせるというものです。今回に ついても議論では原則は現行の1歳までという中で、現行を例外として延ばせるという 中の延ばせる理由を増やすということで議論をしています。ですから、原則1歳半まで 取れるように変えるという意味ではないというのが研究会の中での議論だと思います。 ○川崎委員 わかりました。 ○林分科会長  先ほどの、取得の日にちの件について。 ○松本育児・介護休業推進室長  取得の日にちにつきまして、ご説明申し上げます。再度取得の場合にあっても原則の 取得と同様で、基本的には1か月前までに申し出れば希望日どおりに取得できる。ただ、 1か月前を超えて、つまり例えば3週間前等に再度取得の申出をした場合、申出日から 1か月を経過した日と希望日の間で事業主が指定できるということです。例外的には、 例えば配偶者が亡くなった等の場合には、この日数が1週間に短縮されるというのが現 行制度です。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員 お答え、どうもありがとうございました。そうしますと、今想定されている(1)とか(2)の 部分については、幾つかバリエーションをお話いただきましたが、どのパターンに入る ということをお考えになっていますか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 当方としては議論を踏まえて考えたいと思っていまして、今説明しましたように、現行 の再度取得でも短期で再度取得できるという場合もございますので、審議会のご意見を 踏まえて適切な時期を考えたいと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  前々から使側として申し上げているのは、労務管理を計画的に行う。それは労働者の 皆さま方の負荷も考えて、仕事をどうまわしていくかの議論につながってくる話ですが、 こういう形で申請から取得までの期間が短いということになりますと、対応にどんなこ とができるかの選択肢も限られてきますし、十分な現場での対応ができないといったよ うなことがあろうかと思います。 それから、先ほど幾つかお答えいただいた中で、医療機関に預けるような場合まで再度 取得を認めていくといったようなことにつきましては、多少違和感を持っているという ことだけ申し上げたいと思います。 ○林分科会長 吉川委員。 ○吉川委員  言葉の説明をお願いしたいのですが、再度の育児休業取得要件のところで「再度」と いうことは「もう一度」という理解でよろしいのですかということで質問させてくださ い。前にも申し上げていますが、特に中小企業では労務管理上でも対応が難しいという ことがありますので、その辺りのことを確認させて下さい。 ○林分科会長 事務局お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  3ページの規則にありますとおり、育児休業の申出を1人の子につき1回を超えて行う ことができる特別の事情ということでこうした事情を定められていまして、こうした事 情があれば原則1回というものを2回目ができるということです。仮にもう一度また別の 事情があれば、それはまたもう1回できるということですので、2回に限られるものでは ないということです。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  そうしますと、前回の議論の中でパパ休暇の時には特例的にというご提案もあったか と思います。仮にモデルを考えた場合、産後8週間のところでパパ休暇を取りました。 それから通常の形での育休申請をしました。ここにあるようにお子さんが病気になられ ました。あるいは保育サービスに預けていたけれども預けられなくなりましたというよ うなことで想定していくと、1年の間に同一人が何回も育児休業を取るようなモデルも あり得るということでよろしいですか。 ○林分科会長  事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長 はい、おっしゃるようなパパ休暇で再度取得する事例ということになりますと、産後8 週間の期間に1回目。その後に2回目、それからこうした特別な事情があればそれとは別 にもう1回ということになると思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  労務管理が非常に大変になるというところは理解しないでもないのですが、継続就労 させて欠勤で働き続ける、年次有給休暇などがなくなって、子どもが1歳あるいは1歳半 なのかもしれませんが、産休後1か月くらい育児休業を取って保育園に預けられるよう になったのでということで3か月目から働き始めたのですが、週に2回くらい子どもの調 子が悪いとか離乳が進まないということでお休みをされるのを1年間続ける方が経営側 としては望ましいという形で先ほどのお言葉を受け取ったのですが、それよりは労働者 も子どもがきちんと保育所に慣れて預けられるようになってから、気持ちよく毎日週5 日週6日働ける環境になってから労働力として完璧な形で働くという方が良いのではな いかと思っていたのですが、むしろ欠勤などを続けて働いていただく方が労働力として は良いということでしょうか。   ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  恐らく1年以内の部分については、少しでも早く職場に戻って、自分の持っている例 えばキャリアを活かしていきたい、あるいは周りの方たちとの兼ね合い等を考えて努力 していこうという部分が見て取れますので、企業としてバックアップできるところはし ていきたいというのが本音だと思います。ただ、そうは言いましても、職場にいらっし ゃるタイミング、いらっしゃらないタイミングというところが現場サイドで想定できな いような状況が起こり得るとすれば、それは本来その方がやるべき仕事を他の労働者の 方に任せることになり、それはいたし方のない部分だと思います。しかし、そういった ことを当該期間の中で繰り返されるといったようなことがあるとすれば、労務管理の中 でご苦労される部分が多いのではないでしょうかということを申し上げたまでです。ど ちらがどうですかというお尋ねについては、それとこれを比較したものではなくて、現 場サイドを見て仕事を回していかないといけないので、現有勢力の中で皆さんがシェア していくといったようなところでのご苦労を申し上げたまでです。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員  今の点ですけれども、確かに労務管理の点でご苦労されているということについては、 理解はするところはあるのですが、実際問題として働いている労働者も子どもたちも生 身なわけです。生身の人たちが働いて生活している中で、この再度取得については予期 せぬところでの再度取得という意味合いであるわけで、実際問題予期せぬわけです。労 働者も予期している問題ではない。会社も確かに予期せぬ出来事になってしまうかもし れませんが、労働側にとっても予期せぬ出来事であるわけです。望んでこうしたいと言 っているわけではなくて、ある意味では切羽詰まって再度取得ということが実態から出 てきていると思っています。私も実際に自分の子どもを病気で亡くしてしまった経験が あるのですが、誰もそういったことを望んでいないです。けれども現状では起きてしま うことがあるわけですから、この件について再取得の申出の期間についても、長くする のではなくて短くしなければ、再度取得そのものが実際生きてこないと思っています。 ○林分科会長  この再度取得については、今、議論では事由だけが上がっていますが、先ほどから遠 藤委員や鴨委員のご指摘のように申出をどの程度に定めるかの問題も絡んでくると思い ますので、この点について大体ご意見が出ましたが、特にその点について何か他にご意 見はありますか。 ○遠藤委員  ご質問ばかり申し上げてすみません。例えば今の部分でいいますと、親族ということ ですが、親族の範囲をどこまで見ていくのかというようなことと、その場合のいわゆる 同居しているか、していないかの兼ね合いをどのようにイメージしていくのか等をいろ いろ考えてしまいます。どこまで事由を限定できるのかということが見えてこない段階 では、なかなか休業そのものが細切れになっていく状況もあり得るのではないかという 危惧をどうしても持たざるを得ないというようなことを最後に申し上げさせていただけ ればと存じます。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  親族によるというところは、いろいろ範囲にそれぞれのケースがあると思いますが、 事例的にいえば一番多いのは親とか夫婦の親というのが多いと思いますが、親だけでは とても保育所に預けられなくて、自分が働いている時間は親だけというと親が倒れてし まうケースもあります。私が知っているケースですと、親と自分の兄弟が、二人交代で 親夫婦と自分の姉妹なり弟、兄というところ。あるいは夫婦・妻というようなところが 復職をするときにサポーターとしてやっていただいているというケースがあります。で すから、それぞれのケースで親が一人だけでずっとやっている方ももちろんいらっしゃ ると思いますが、いろいろ手は尽くしながら保育所に預けられないと皆さん支援者を作 りながらサポートをしていただいていると思っています。ですから、先ほど鴨委員も言 いましたが、このケースで預けられなくなっても、例えば無認可保育所ですとかいろい ろなところを探したりするのですが、今の待機児童の実態からすると、年の途中でどこ か探しても入れるという利用状況には全くないので、0歳ですともともとの時点で入れ るところも少ないというところもあって、先ほどもおっしゃっていましたが、本人が自 分自身のキャリアとか職場に迷惑をかけないようにということで、早く復職するケース が非常に多くて、入れないけれども来年保育所に入れるまでは親に助けてもらいながら 復職しようというケースが非常に今は多いと思います。そう思っていたら親が病気にな ってしまってというパターンを想定されていると思っていますので、非常にこれはこれ からというか、女性がキャリアを意識して子どもを産んだ後もすぐに復職しようという 意識が非常に労働者の中で高くなってくれば、こういうニーズは高くなっていると思っ ています。 ○林分科会長 吉川委員どうぞ。 ○吉川委員 行き着くところ、やはりインフラの整備が一番大きな問題になっていくのではないかと 思います。解決までいけるかどうかは別にして、そこをもう少し深めていただけること でいろいろ緩和される部分があると思います。そういう中で、保育ママとかそういった 保育に関する範囲を広げて、いろいろ研究していただけるともう少し緩和できると思い ますので、その辺りもよろしくお願いしたいと思います。 ○林分科会長 佐藤委員。 ○佐藤委員  あまり混乱させるといけないですが、一つはこれは同じ人が再度取得をする必要が出 てきたときに取ると労務管理上の問題ということがありますが、基本的には女性だけが 育児休業を取ることになるとそういうことになるので、全体としては男女で子育てをす るという仕組みを変えていくことを進めないと難しいということです。これは全体です。 もう一つ確認ですが、妻が育児休業を取って1歳で復帰し、今回のような保育園に預け られない。あるいは病気になったときに夫が取るといったときはどうなるのでしょうか。 本人ではなくて、今まで取った人の再度取得ではなくて、夫が取らなかった。夫が取り たいといった時にこれだと1歳超えています。法定だと取れないけれどもそれは取れる のですか。夫が取るといったときどうなるのですか。 ○定塚職業家庭両立課長  佐藤委員がおっしゃっているのは、1歳6か月延長の場合のことでしたら、1歳時点で 今まで妻が休業をしていて夫に代わるということは現行でも可能です。 ○佐藤委員 そうすると、今回もそれは想定するわけですか。 ○定塚職業家庭両立課長  現行で可能です。 ○佐藤委員  この二つの条件が入った場合、そういう考え方でいくということでよいのですか。 ○定塚職業家庭両立課長 そこは議論次第です。 ○佐藤委員 同じ人は取るとは考える必要はないわけですね。 ○定塚職業家庭両立課長  再度取得は同じ人がということを想定しています。延長の場合は1歳時点で交代する ということも可能というのが現行制度です。 ○佐藤委員 わかりました。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員  教えていただきたいのですが、例えば(1)の長期にわたる子どもの疾病が発覚した場合、 緊急性を要するような病気ですから、明日から休みたいという人が多いのではないかと 思います。それでいて事前の申込を例えば1か月ということであれば、ほとんど機能し ない制度になってしまうということがあると思います。想定しているのは、最初に例え ば申込期間が1週間ということであれば、まず年次有給休暇を取ってそれからというこ とを、どういうロールモデルを考えているのか、制度を考えているのかというようなこ とを教えていただきたいのと、(1)に対する対応が必要だと思いますが、育児休業の再度 の申込という形が適正な方法であるのか。それとも、子の看護休暇について期間の延長 を検討する等の別の代替案というのも幾つかあると思いますが、なぜこれを再度の申込 という形でこれに対する対応を考えているのか。その制度設計上の質問をしたいと思い ます。特にこういった問題は、年次有給休暇の取得の問題と関連してくると思います。 ですから、この辺の調査というか例えば1歳未満の子どもを持っている親が復職した場 合に、年次有給休暇の取得率100%になっているのか。平均で50%を切っているという 現状において、まだ年次有給休暇を残しておきながら、なおかつまたこういったものを 取っていくということを一方ですと有給ですから給与が支払われるのに、もう片方にな ってしまえば無給になってしまう。にもかかわらず年次有給休暇を残して、なぜそうい ったものを取ろうという人たちがいるのかという実態調査等について、やっていたら教 えていただきたいと思います。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  今、ご質問のありました育児休業からの復帰者がどの程度年次有給休暇を取っている かという直接の調査は見たことがないので、あるかどうかは探してみたいと思います。 ただ、子の看護休暇を導入するときの議論としては、子どもの年齢が非常に低い労働者 については、年次有給休暇ではとても足りないという議論がありまして子の看護休暇を 設定していますので、一般的には子どもの年齢が低い労働者はある程度年次有給休暇を 消化し、それでも休暇が足りないというものだと理解しています。 ○樋口委員  ですから、看護休暇を延長する。日にちを延ばすという制度上のやり方があるわけで すね。現行ではそれは無理だと、対応が難しいという指摘だと思いますが、そういった 手法を採らないでこの手法です。再度育児休業を取るという手法によってそれに対応し ようと考えられているのはなぜかということです。 ○定塚職業家庭両立課長  事務局として一つきっかけがありましたのは、実は再度の取得のこの二つの要件につ いては規制改革会議の方から意見がありまして、こうした場合に再度取得を認めていな いというのは適切ではないのではないか。検討を要するという提案が投げかけられたこ とがきっかけです。また、再度取得というのは育児休業が原則として子が1歳まで取れ る。けれども、いったん復帰した場合ですので、そもそも原則とれた1歳までの期間で あれば、ある程度再度の取得というものを柔軟に認めてもよいのではないかという考え 方もあろうかと思います。 ○佐藤委員  一応、今回も子の看護休暇を増やすかどうかの議論は一方であって、これはセットな ので、それも同時に入るとこちらを入れたとしてもこちらのニーズは減るかもしれない。子の看護休暇を延ばしても足りない人について、こちらのニーズが出てくるという。で すから、全体の仕組みとして実際上これを再度取得の必要性がある人はどうかというの は制度ができてみないとわかりませんが。 ○樋口委員 ですから、両方用意せよという話ではなくて、なぜこちらになったのかという議論の経 緯を知りたいということです。いろいろな方法が、これに対する対応方法があるのでは ないかという中で、これが選ばれた、提案されている理由について知りたいということ です。 ○村木雇用均等・児童家庭局長 介護休業を想定しておられるわけではないわけですね。 ○樋口委員  どれであるかわかりません。これが選ばれた理由。 ○林分科会長 事務局。 ○定塚職業家庭両立課長  先ほどと同じ話になってしまいますが、議論の経緯ということであれば、ご紹介した ように規制改革会議の意見が明確にこの二つについて広げるべきではないかというもの であったということが最大の要因です。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員  お聞きしたいのですが、この二つが規制改革会議の中というのはかなり実態があると いうことでよろしいのですか。他にも先ほどありましたようにもっと追加すべきことが あるだろうという話もあったのですが。 それからもう一つ。将来的にニーズが出れば、この二つの他にどんどん追加する可能性 はあるのですか。もしやるとすればどういう調査結果、どういうニーズがあって初めて 追加するのか、基本的な基準があるかどうかについて教えていただきたいです。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  お手元の研究会報告書の冊子の27ページをご覧いただきますと、規制改革推進のため の3カ年計画というものが載っています。こちらが「一方で」という段落ですが、「長 期にわたる子どもの疾病や保育サービスが受けられなくなった場合など、養育する子ど も等の事情によりやむを得ず休業を取得する必要性が生じることもあり得る」というく だりで、こうした子どもや環境の事情でどうしてもやむを得ずもう一度休業を取得しな ければならない状況に現場で労働者が陥っている場合を想定して再度取得を考えている ところです。従いまして、現段階で事務局としては、研究会報告で提示している場合以 外に、どうしても再度取得が必要ということが想定されるだけのデータがあるとは考え ていませんけれども、その辺りは皆さまのご指摘・ご意見をもって考えてまいりたいと 思っています。 ○林分科会長  再度取得については、一応これで議論は尽くされたということでよろしいですか。 それでは、次に「子が1歳を超えても休業が認められる場合について」ということで、 ご意見・ご質問がありましたらお願いします。岡本委員。 ○岡本委員  今、認められているケースのところですが、待機児童のような形で保育所に入れない ということで延長するケースが基本的には想定されていると思うのですが、今までの議 論の中でもあったように、いわゆる子どもが病気をした場合ということもこの延長の中 に事例として入れるべきではないかと思います。というのも、再度取得とも関係します が1歳くらいになるといろいろ検査をすることが可能になってきて、乳幼児のときには わからなかったような疾病が明らかになってくる年齢的な部分であると聞いています。 実際に、私の周りでもそういったケースがあって、復帰をしたけれどもやむを得ず辞め なくてはならなかったということがあります。かなりレアケースではあると思いますが、 そういったケースについても1年6か月という延長の事例に入れる必要があるのではない かと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  先ほど、佐藤委員から現行の枠組みを変えないというお話があったのですが、ご提案 の中の一つのパパ・ママ育休プラスとの兼ね合いで考えた場合、1歳の時点で延長が必 要かどうかを判断するというイメージでよろしいのでしょうか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  パパ・ママ育休プラスあるいは1歳6か月までの延長要件について、1歳時点でその必 要性を判断するかどうかというお尋ねですか。パパ・ママ育休プラスについては、これ はまた別の制度としてパパとママが交互に取って、あるいは重ねて取って二人とも取っ た場合には2か月延長できるということですので、それ以外の必要性の要件というのは どういう意味でしょうか。 ○遠藤委員  そうではなくて、タイミングの問題です。延ばした2か月の時点が延長申請の時期に なることにはなりはしませんかということの確認です。1歳時点で判断すればよいとい うことで変更はないという理解でよろしいですか。 ○定塚職業家庭両立課長  パパ・ママ育休プラスを取った後にまた延長するということではありませんので。あ くまでも、1歳時点で延長するかどうかということ。1歳6か月の今回ご議論いただいて いるような要件がある場合に延長するかどうかは1歳で判断するということを現時点で は事務局としては想定しています。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員  先ほどの再度取得のところとも関連してくるのですが、先ほど規制改革会議の方針と いうことも出ましたが、子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議、あるいは社会 保障国民会議等の中での議論で、十分にこの辺の出産・子育てと就労を両立させるため のさまざまな選択可能な制度がないと、現在こういう法律があったり企業の中での制度 があったりしても、それは利用しづらいというか、ずっと切れ目なく働く男女がその両 方を両立できないということに基づいていると思いますので、過去の検討項目を幾つか 議論している中で、前段で議論したものとオーバーラップするものもあり、また、いっ たん整理した中で、さまざまな選択可能なという視点で、際限なく幅広くということは 無理だとしても、どこまで選択可能なものができるかということをここで議論するべき だし、そういったような案というものを設定していくべきだと考えています。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  議論の進め方としてですが、研究会報告が事例としてたたき台を出されて、そのこと の根拠というかどうしてこういう形になったのかの議論・質問はわかるのですが、基本 的にはその上でこの場で議論をして構築していくべきものだと思いますので、あまり事 務方がどう考えているかとか、そういうことは本来この議論の中身としてはあまりなじ まないのではないかと、ずっと今まで聞いていて感じましたので、一言申し上げたいと 思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  もし、それをおっしゃるのだとすれば、「本日の検討項目」という資料No.1そのもの が意味のないことになってしまうのではないですか。そういう議論をこれまでやってき たわけではないので、最初に有識者の皆さま方による研究会のご報告があって、それを 踏まえて皆さま方が、制度改正の中でどう考えていきますかというのが議論のスタート だと理解しています。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  意味がないと申し上げてはいなくて、今申し上げたように研究会報告の中身について の議論ということは、質問等はよいと思うのですけれども、あくまでもそれは研究会報 告であって、例えばここに佐藤委員がいらっしゃるわけですが、そういうところでの議 論であると思うのです。ですから、厚生労働省の事務方に対してということではないの ではないかと思っているので、申し上げました。 ○林分科会長  一応の検討項目を示していただいて、要望があればこの審議会で出していただいて、 双方のご意見を聞いていくということで進めたいと思っています。それでは、延長につ いてのご意見は尽くされたということで、よろしいですか。  それでは、次に「介護のための休業・休暇制度について」、議論したいと思います。 これは、総論も検討項目についてのご議論をしていただいたときに、短期の休暇制度の みならず、休業制度そのものについても議論すべきだというご意見がありましたので、 介護休業制度そのものと短期の介護・休暇制度の両方について、議論していきたいと思 います。 まず、介護休業制度そのものについて、ご意見・ご議論がありましたら、お願いします。 それでは、齊藤惠子委員、どうぞ。 ○齊藤惠子委員  介護休業期間ですが、私どもでは最長1年ということで、方針に基づいていろいろと 労働協約等を見直していますが、2006年の調査においても、休業・休職できる期間につ いては、365日が最も多くなっています。介護休業というのは、1人に付き何日で、現在 は1人に付き93日となっていますが、方針を決める期間が必要ということなのですが、 要介護状態が変化する可能性もありますし、1回最初に方針を決めて、それから何年か かるかわからないという現状がありますので、その期間に合わせると、実際に取ってい らっしゃる方も、現在は3〜6か月が最も多いということもありまして、要介護状態にな ったときに休暇を取って、ずっと1年間取るということではなくて、その間に要介護状 態になって、方針を定めるときに何回か取り、最後には看取り休暇的なものもそこで取 れればよいと思っています。とりあえず、現状の93日では足りないということは、実際 に休んでいる方が最も多いのが3〜6か月ということで、ここに実態としてあるわけです から、現状よりももう少し期間を延長すべきだと思います。 ○林分科会長  この3か月というのは、93日を含むということになっているので、本当の実態は先ほ どの統計調査ではよくわからないという面があるのですが。岡本委員。 ○岡本委員 介護休業関連の資料をそろえていただいて、ありがとうございました。この資料に、要 介護認定を受けた人が、介護保険が始まったということもあるとは思いますけれども、 1年間で倍以上に増えているという数字に、大変驚きを感じたわけですが、これまでこ の部会で育児・介護休業法の議論をするときに、少子化対策ということでどちらかとい うと育児の議論が重点的にあったかと思います。過去の議事録などを見てもそう感じる わけですが、まさに今、介護の問題は避けて通れないと思います。ただ、一方で、社会 保障審議会や「安心と希望の介護ビジョン」など、厚生労働省の中でも介護をいろいろ な面で議論されているように思いますし、本来であれば、介護全般についてさまざまな 面から議論する場というものがないと、ここの場で労使での議論だけで済むものではな いと感じています。 そのことを前提にした上で、今、齊藤惠子委員も申し上げていたのですけれども、93日 について、現実的な日程にはなっていないのではないかと感じます。今、介護で問題と なっているのは、大半が高齢者の方だと思いますけれども、痴呆症が進行して、1日中 見守りをしなければならない方たちも非常に多いと思います。そういった方たちを地方 公共団体の養護老人ホームに入居させようと思っても、かなり入居条件が厳しいという ことが、これまでもいわれていると思います。また、特別養護老人ホームについても、 同じように条件は厳しいという中で、どちらにも実際には入れないという方たちはたく さんいますし、条件に合致したとしても何か月も、半年、1年も待たなければいけない ということがあります。有料老人ホームも相当増えていますけれども、私も実際に今回、 東京都の区内の老人ホームの幾つかを検索してみたのですけれども、とんでもない料金 で、入居時に一括して払う入居金や毎月の生活費などを見ても、これでは本当に私自身 も老後をどうしようかと心配になるような状況です。結局、そうなると自宅で介護せざ るを得ないということになっていると思いますし、昨日の新聞で国土交通省が住宅の改 修の予算を立てたということが出ましたけれど、それなどを読んでも自宅介護をすると いう方向に、今は行っているのではないかと感じるのです。医療費の高騰ということも あって、例えば実際にこれまで病院に入院されていた方でも、出なくてはいけなくなっ ているケースも本当にたくさんあります。そういったことを考えますと、この93日とい うのは育児・介護休業法ができたときから、確か93日になっていまして、当時その後の 議論でも、介護保険が導入されていけばといったこともあったと思うのですけれども、 実際には今の超高齢化社会の中でいえば、介護の計画を立てていく93日ということは、 既にこのデータなどにも表れていますけれども、現実的ではなくなっているのではない かと思います。  それから、今、看取りという話もありましたけれども、家族にとってみれば余命6か 月とか1年などと言われたときに、自宅で介護したいという思いは強いと思いますし、 終末ケアという考え方も自宅でということも、実際にはやっています。そういうことを 考えると、いろいろな事例を育児と同じように、93日を延長できる特例というものを作 ることが必要なのではないかと。私たちとしては、そういうことがなく、育児休業と同 じように1年間の延長を望みたいのですけれども、ただ、介護というのはきりがないと いうこともありますから、そういったことを考えると最低限でも延長できる特例という ものは必要なのではないかと思います。  もう一つは、ケースは少ないですけれども、疾病など、いわゆる特定疾患などの場合 でも、呼吸器などを付けたりすると、なかなか病院でも受け入れる所は少なくて、治療 法がないという病気は特にそうですけれども、自宅で介護せざるを得ないのです。しか し、今の介護保険制度では、ヘルパーを30分しか使えないわけですから、24時間看てい るときに30分だけしかないということでは、やはり家族の負担というものは、とても大 きいわけです。ぜひ、こういう今の実態を、昨日もテレビ東京でやっていましたけれど も、本当に40〜50歳代という働き盛りの方たちが辞めざるを得ない状況は、ぜひここで きちんと議論して、何らかの措置を取るということを検討していただきたいと思います。少し長くなりましたが、以上です。 ○林分科会長 山崎委員。 ○山崎委員  施設に預けるか、あるいは在宅で介護をするかというのは、個々の家庭の事情による と思うのですけれども、ここの表にもありますように、介護認定を受けた447万人に対し て、育児と同じように環境がどのように整備されているのかを見る必要があると思うの です。介護施設はいろいろとあると思うのですけれども、そういう施設の数や収容能力、あるいはそういうところで現在待っている老人についての状況です。昔は市役所などが 多分順番を決めてやっていたのですが、多分今は、有料老人ホームでも直接できるよう になっていると思うのです。そういうものとの兼ね合いなど数字的な資料を少し調べて いただければと思います。 ○林分科会長 事務局。 ○定塚職業家庭両立課長  今、ご要望のありました資料を少し調べてみたいと思います。ただ、介護の場合はご 承知のように施設サービスだけではなくて、居宅サービスの方もケース・バイ・ケース で組み合わせて選択することになっていますので、例えば施設に入れない人はどのくら いいるということは、保育園の待機児童と同じようには考えられないと思っています。 いずれにしても、何らかの資料を用意させていただきます。 ○林分科会長 佐藤委員。 ○佐藤委員  介護休業の期間を議論するときに、介護休業の基本的考え方はどういうものかという ことです。基本的には、もちろん突発的に親が倒れて、施設を探すとか在宅の場合は自 分で介護しないといけないと思うのですけれども、それは緊急的な対応で、基本的には 本人が介護するために介護休業はあるわけではないという原則を変えるかどうかで、私 はこれを変えない方が良いだろうと思います。基本的には、そういう方針を立てる時期 で、そしてその後施設やインフォーマルなもの、介護保険制度で在宅というものを作っ ていくという期間として93日が足りないか十分かどうかという議論で進めるかどうかが 一つだと思うのです。ですから、育児休業と介護休業はそういう意味では、育児休業は 取った方からそれは取った方が良いですよという話になると思うのですけれども、介護 休業は基本的には長期の方針を立てるということで、できれば取らない人が一番良いわ けです。その辺を変えるのかどうかで、私はこの原則を考えた上で、実際に93日が短い のかどうかということだと思うのです。  それからもう一つは、前回の法改正で一応、1人1回ではなくなったわけです。要介護 状態に応じてとなっていますので、この要介護状態に応じてというところが、十分に実 態に即していないという議論はあり得ると思うのです。先ほど看取りというお話があり ましたけれども、ある時期、介護休業を取って1〜2か月を在宅でして、今度施設に入れ て、最後は看取ります。そのときに、要介護状態の変化などを見られればよいのですけ れども、そうではないのかです。ですから、そういう議論をする必要があるかと思うの ですけれども、その辺の枠組みもがらりと変えて議論するのか、そうではないのかとい うことは、結構大事だと思っています。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  私どもとしては、長期的な計画を立てるための介護休業ということを、変えるという 考えではありません。それが、その93日の中でできればよいわけですけれども、今の状 況からいうと高齢化の中で、なかなかそうは行かなくなってきているということと、そ れから今、看取りの話がありましたが、多分いわゆるがんなどについては、介護状態で あるという認定が出ないのです。そうなると、1回取ったけれどもということの中で、 93日しかないということは、少ないと思うのです。いわゆる、介護認定されているので あればよいのですけれども、それでも93日というのは、果たして今の実態に合っている のかということは思っています。 ○佐藤委員  要介護状態というのは何によって変わるのかが、正直に言って明確でないところもあ って、取る方もこれはもう一度取れるのか、取れないのか、そこははっきりしていない ところもあるので、もう少し出していくということも大事なのかもしれません。本当は 取れるにもかかわらず、取れないと思っている方もいるのかもしれません。そこは、も う少し整理する必要はあるかと思っています。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員  この研究会報告の今のところで、13〜14ページが介護のための短期の休暇制度につい てという検討項目なのです。今、労働者側の要望を聞きますと、例えば14ページの2行 目までというのが、まさに「家族の介護を行う労働者が、仕事と介護を両立し、働き続 けることができるよう」というところまでは合意しているのだろうと思うのです。その 後から、突然、だから「短期の休暇」を検討するのだということになっているわけです が、どうしてこうなったのかというところです。今の話であれば、日数の検討というの も必要ではないかという意見が出ている中で、この「短期の休暇」というのが、できる ようというところまではよいのですが、したがって短期なのだという話に、これは1行 で続いている同じ文章になっていますから。 ○林分科会長 これは、事務局で。 ○樋口委員 少し待ってください。ここで書いてあるのは、佐藤委員の研究会でまとめたものであっ て、我々全員がこれに合意しているわけではないということは、まずはっきりさせてお く必要があると思うのです。従って、我々が質問するということも、あり得ることだと いうことを了承した上で、ご議論いただければと思います。 ○林分科会長 佐藤委員。 ○佐藤委員  事務局より私が答えた方がよいようなので。これはあくまでも素材ですので、議論は 13ページの2の最初のパラグラフなのです。基本的には、介護休業の期間についても議 論したと。基本的には要介護状態ごと93日という13ページの(2)の最初のところで、基 本的には期間についても議論しましたが、前回の法改正で、先ほどの要介護状態ごとに 93日ということで改正をしましたので、期間については基本的にこれで平気でしょうと。 その上で、ただし、実際上必要なときに連続した休業を取るけれども、例えば介護認定 を受けて在宅サービスを受けながら、ただし、例えば一定期間ごとに認定をもう一度受 けるといったことがあります。それは、長期の休業が必要なわけではないのです。ケア マネジャーと相談するとき、あるいは通院でも親族が説明しないといけないときがあり ます。そうすると、本人がついていかないといけなくて、ヘルパーだけにお願いできな いのです。そういうときの休暇というのは結構必要であろうと。介護休業期間の延長は、 大体前回の法改正でカバーできています。ただし、問題なのは、一番ニーズがあるのは、 長期の休業で、93日をもちろんきちんと使える仕組みをつくらなければいけないのです。 その後、例えば介護の認定や通院のときに、親族が説明したり、アテンドしたりする必 要があるようなときの休暇のようなものが必要だろうというのが、後半なのです。です から、議論していないわけではないのです。 ○樋口委員  そうだとすれば、年次有給休暇の可能性もあるわけです。年次有給休暇を残しておき ながら、こういったものではなくて、例えば順番として年次有給休暇を使って、それで 足りない場合にこういったものを認めていくという制度のつくり方もあると思うのです が、それは考えとしては。 ○佐藤委員  現状でいえば、多くの人が年次有給休暇を使われているし、大手企業は年次有給休暇 の残の部分を積み立てて、そういうものに使えるように制度が入っているということだ と思います。ただ、本来の年次有給休暇の利用目的というのは別ですので、それ以外の ものがあってもよいのではないかと。ただし、93日の中から追加して、例えば日単位で 取れるものを93日とは別に取るという考え方で、93日の中でつくるか別枠にするかとい う選択肢は当然あります。そこは、ここでは提案していませんけれども、つくり方とし てはあります。93日の中から減らすというのは変ですけれども、枠内で日単位で取れる ものをつくるのか、別枠にするのかということはあると思います。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  93日休業するということでは、93日で十分なのかもしれないのですけれども、今日の 資料の29ページにもあるのですが、93日連動して短時間勤務やフレックスあるいは始業 時刻の上げ下げというようなものも、法律の93日の中に規定された措置になってしまっ ている。介護の場合は子どもの育児と違って、1歳や2歳になったらということではなく て、終わりがいつになるかわからないというようなところで、93日の短時間勤務という ようなものを取っているような場合で、例えばそれは通院や施設への見舞いなどといっ たことで利用されている場合、93日しか使えずに、その後親の状況がどうなったかある いは配偶者の状況がどうなっているのかというのがわからない中で、93日の休業という ところに、このような制度が連動して縛られているという実態を考えると、もっと半年 や1年というような事由というものも、必要性はあるのではないかと思います。  もう一つ、休暇の必要性なのですが、今言ったのは、自分の近所に親や配偶者がいる、 あるいは同居している場合というのは、こういうニーズがあると思うのですが、休暇の 必要性というのは、自宅・実家が地方にあって、東京や大阪で勤務している人が、週末 に親のケアサービスを帰ってやっていると。普段は、例えばきょうだいが看ているのだ けれど、毎回きょうだいに親の世話を押し付けられないということで、結構親の介護を されている方は、自分でかなりの金銭的な部分の負担もありながら、月に2〜3回も週末 に実家に帰って親の面倒を看ているというケースもありまので、そういう方は例えば移 動の時間として、金曜日の午後や月曜日の朝というような形で、利用できるような休暇 制度というニーズも非常に高いのではないかということで、研究会の報告を私自身は読 みながら、こういう法改正も必要ではないかと思っています。 ○林分科会長 齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  今のことに関連するのですけれども、介護のための勤務時間短縮等の措置ですけれど も、これは基本的に方針を決めるためのものなのか。方針を決めるためのものは休業で 取っていただいて、この部分についてはその後働き続けられるための措置であると解釈 したいと思います。そうすると、あくまでも93日というのは少な過ぎまして、方針を決 めてある程度自宅介護や施設介護をする場合において、それでも、例えば朝のホームヘ ルパーが来るまでの間は家にいなければいけないとか、何時までには帰らなければいけ ないという部分が出てくるので、その部分をフォローするための措置だと理解していた のですが、これはそのような考えでよろしいですか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  現行制度の議論としては、過去の審議会の議論等の経緯を見て参りますと、介護の勤 務短縮の措置も介護休業と一緒に議論されていまして、介護休業と同じということです。 つまり、最初の方針を立てる期間、それから方針を立てるまでの間、家族で介護するよ うな期間として想定されているものと理解しています。 ○林分科会長 齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員 そういうことであれば、現実的には、方針を立てた以降に必要になってくるということ がありますので、これは方針を立てるための期間以外にも使えるように、長期のものに していただければありがたいと思います。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  対象家族の範囲についてですけれど、これについては研究会報告にも書かれていませ んし、前回論点の中にも入れていなくて発言しなかったのですが、今の休暇などのこと を考えますと、同居や扶養しているということに限定されますと、今の斉藤千秋委員の ようなケースは多分該当しなくなるのだろうと思います。また、今の核家族化や独身同 士のきょうだいで、戸籍や世帯は別にしているのだけれど、たまたまきょうだいがそう いった状態になったというときに、それは誰が看るかということになれば、扶養も同居 もしていないきょうだいが看るということになると思います。こういったケースも考え ますと、この対象家族の範囲は見直す必要があるのではないかと思います。これは、休 暇制度の議論と併せて深めてもらえればと思います。 ○林分科会長 対象について、現行のものをもう一度事務局から、整理してもらいたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長  今、ご意見のありました部分は、この「あらまし」という黄色の冊子の19ページにな ります。介護休業の対象となる労働者ということで、(2)に書いていますが、対象家族 の範囲は配偶者、父母および子。それから同居・扶養している祖父母、兄弟姉妹と孫お よび配偶者の父母という形になっています。祖父母、兄弟姉妹、孫について同居・扶養 の要件が付されているというのが、現行制度です。 ○林分科会長  それでは、介護休業制度そのものは、一応ここで議論を終わりにしまして、現行の介 護休業に加えて、1日単位・時間単位などを取得できる「短期の休暇制度」というとこ ろについて、もう少し議論を深めていきたいと思います。短期の休暇制度について、先 ほどから議論が出ています対象家族の問題も含めて、議論を進めていただければと思い ます。岡本委員。 ○岡本委員  これまでずっとこちらも申し上げてきましたので、あらためて事例でいえば、先ほど 佐藤委員もおっしゃっていましたけれども、介護認定などを受けるときに、かなり市役 所等に行かなくてはいけない状況があります。それから、実際に受けて変更がなくても、 今は多分6か月に1回などという状況の中で、いろいろな申請書を再度出さなくては認定 されないという状況があって、そのための窓口が1本であればよいのですけれども、実 は状況によっては窓口がいろいろなところで対応していかなればならないということも あります。年次有給休暇を使い切ってしまっているという状況も介護の場合は多いと思 いますし、何かあったときのためにというようなことも含めて、特に介護の有給休暇と いうものは、介護する側にとってはとても大事な手段ですので、何らかの形で新たな介 護のための休暇制度ということは、必要だと改めて申し上げたいと思います。 ○林分科会長 ここの中に「1日単位・時間単位などで取得できる」ということがありますけれど、時 間単位というところについて、何かご意見ありますか。遠藤委員。 ○遠藤委員 介護の問題については、各企業を回りましたところ、育児はもとより介護の問題につい ても、労使で取り組み、会社や事業所の中で取り入れられるような対応はしてきている というお話を伺いました。いろいろとこういう事情があります、こういうこともありま すというお話を聞いている中で思うのですけれども、社会基盤の整備状況については、 介護の社会化という国民的な議論がある中で、皆さま方に介護保険の保険料をお支払い いただいてスタートしたということもあって、介護保険の制度の中で内在するようない ろいろな問題があるのだとすれば、そこの中でまず解決していただくということです。 そこで解決できないような状況がり、では働き方の見直しとの兼ね合いはどうするのか という議論であればよいのですけれども、サービスの部分が行き届いていないところに ついて、自分たちがやらなければいけないから、では働き方を考えてくださいという議 論になってしまうと、いいえ、そうではないのでしょうかということを考えざるを得な いということを、まず申し上げたいということです。 佐藤委員からお話がありましたように、介護そのものをやりたいというご希望があると いうことは理解できるのですけれども、基本的な考え方としては、介護サービスを利用 しながら働くということを考えていくとすれば、現行の枠組みで私は対応可能ではない かと思っております。繰り返しで申し訳ありませんが、時間単位の取得といったような ことにつきましては、改正労働基準法案の検討状況、それから施行後の検証といったも のを十分踏まえた上で、必要性があるのかどうかを判断いただくということで、時期尚 早な議論だと考えております。 ○林分科会長 岡本委員。 ○岡本委員  今おっしゃったように、私も冒頭で申し上げましたが、介護の問題は社会的インフラ をどうするかというところに一番大きな課題があると思います。今の介護保険の実態か らいえば、私たちが安心して介護を任せることも含めて、仕事をし続けることができる ような状況ではないということは申し上げておきたいと思います。これはこの部会の話 ではないと思いますけれども、実際問題としては本当にいろいろな部分で綱渡りをしな ければいけないし、綱渡りもできないから、セーフティネットがないから辞めてしまっ ている方たちがこのように50万人もいるという状況だと思うのです。本来であれば、や はりそこの部分できちんと議論をするべきであろうと思いますけれども、先ほども言い ましたけれども、一方で国の方針としても自宅介護、家族介護という流れに少しずつ変 わってきているのではないかという気もしております。それを是ということではありま せんけれども、やはりこの場で議論するのは労働者が働き続けながら、どのように働き 続けられる施策を、この部会としての考え方として持っていくのかということだろうと 思いますので、そういう意味では、社会全般の、介護全般の議論というのはとても大き な問題だと思いますけれども、ここの中でできる議論としては、この介護休業の問題を どうしていくのかということを深めていければと思います。 ○林分科会長 吉川委員。 ○吉川委員 介護の問題というのは本当に気が重くなるといいますか、どのような角度から考えても 重いという感覚がいたします。その中で、やはりインフラが一番大事であることは事実 なのです。この介護休業の上限の問題については方針を決定するまでの期間ということ で、これを延長していけば、結果的には働ける期間が逆になくなってしまうと思います ので、私はこれを引き上げる必要性はまずないと思います。そして、時間単位の取得に つきましては、特に中小企業の場合は1日の中でこの部分は有給になるのか、この部分 は無給になるのかというように、非常にわかりにくい部分が混在してしまうところがあ ると思いますので、その辺につきましては労務管理上のコストが増えるということも考 えまして、私はまず年次有給休暇の消化を促進することを大前提にしてやっていただき たいと考えます。 ○林分科会長 山口委員。 ○山口委員  先ほど遠藤委員がおっしゃっていたことも、本来はこういった介護だけにかかわらず、 公的な支援といいますかサービスというものを、大変長い期間企業と家族が肩代わりし ていたという事実があって、公的サービスよりも企業の家族的サービスあるいは家族が 当然やるものと見られてきたという背景がある中で、おっしゃるようにすべてを企業の 負担にというところについては非常に抵抗があるということはよく存じておりますし、 それはそれできちんと公的な支援というものを今以上にどれだけ高められるかというの は別のところで議論しなくてはいけないと思っているのです。労働側のメンバーが実際 に経験して言っているように、本当に立ち行かなくなって、家族の中に介護の対象者が 出ることによって、就業継続できないとシャットアウトされてしまう。それだけではな くて、本来仕事をしている人たちが休業できない、休暇を取れないということだと、そ こで収入もなくなってしまうという中で、高齢化社会ど真ん中の日本の状態の中で、そ ういうことが現実として日々起きていて、50万人という大変多くの方たちがリタイアし ている。これを今どうするのかというところも、この場で議論していかなくてはいけな いと思います。法律ですべてではなくてというところもあるかもしれませんけれども、 やはりまだ企業に余力があるところは企業がサポートをしているわけですけれども、大 変厳しい中で経営を行っている中では、そういうことができなくなっている。そういう ところで働いている労働者が、自らの収入もなくなって、家族の介護にも集中できない という状況に置かれない、そういう場面を救えるというのは育児・介護休業法で何が可 能なのかということを議論していきたいと思います。今、申し上げたようなところでい えば、これも期間も際限なくということでは、実態がどうなのかということを把握する ことも必要ですし、私たちが求める就労状況といいますか、育児に対しても介護に対し ても、それを克服しながら働き続けられるというところを、あくまでも目指していきた いと思っております。以上です。 ○林分科会長  では、介護休業の方はこの辺りにしまして、次に「非正規労働者の両立支援」につい て議論したいと思います。この点について、ご意見・ご質問をお願いいたします。鴨委 員。 ○鴨委員  この点について、この研究会報告の中でいいますと、14ページに当たると思いますけ れども、この間の期間雇用者について、いわゆる育児休業取得についての取得要件があ るわけで、その評価というか、この間どうなっているのかというところが研究会報告の 中で報告されているわけです。それで、先ほどの事務局の提案の中で、資料としても出 ていますけれども、この報告を平たくいうと、取得者数の増加が見込まれたということ を押さえて、この条件そのものが労働者と事業主の負担とを考慮した妥当なものである ということに至って、今回については、より一層休業を取得しやすくするためにという ところでいうと、適用条件についての要件が曖昧でわかりにくいということで、この要 件をわかりやすく示し、周知徹底するということという方向性が、この研究会報告とし ては示されているわけです。それで、私はこの研究会報告の、そもそも取得者数の増加 が見込まれたというところから、これはどういう資料をもって取得者数の増加が見込ま れたとおっしゃっているのか、まずお聞きしたいです。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  私の先ほどの説明の中で、途中から説明したのは申し訳なかったと思うのですけれど も、その前に、「施行から3年程度経過し、育児休業の取得者数は着実に増えつつあり」 というくだりがございます。このくだりにつきましては、先ほどご紹介した育児休業給 付の期間雇用者の支給状況等を反映したものでございます。また、今後も増加が見込ま れるということについては、この育児休業給付の期間雇用者の支給状況が増えてきてい るという傾向にあること、ならびに平成19年度途中におきまして育児休業給付の支給要 件を緩和して、育児・介護休業法と対象を同一にしたということだと理解しております。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員  45ページにあります期間雇用者の支給状況のところで今、おっしゃっているのだろう と思います。この数字は確かに平成17年度が2,242人、平成18年度が4,770人ということ で、前年に比べて53%増加した。平成19年度は6,052人ということです。それでいえば 確かに増加したかしないかといえば、増加していると思います。けれども、実際にこの 期間雇用者の育児休業取得の件について3年前に議論になったときに、この適用条件で 実際に何人が見込まれますかということが、かなり話題になったと思うのです。私ども からすると、この適用条件では有期契約労働者が育児休業取得はできないのではないか と思っていましたので、お聞きした時に厚生労働省の方は1万人が見込まれるという数 字を挙げたわけです。1万人も全体から見ると微々たるものではないかと思ったのです けれども、それでもその人たちが取れるのだから全体としてはそこからスタートすると いうことで大事な点ではないかという言い方をされたと思うのです。けれども、実際問 題として、私たちから見ると1万人にも満たないという現状があって、これを増加が見 込まれたと言い切ってよいことなのかどうかということです。 ○林分科会長 佐藤委員。 ○佐藤委員  これが難しいのは、今回の適用要件に当てはまる人がどれくらいいて、かつ、その人 が子どもを持たれるかどうかということで、そういう両方のデータはなかなかないので す。ですから、適用対象者数がどれくらいいるか、その中でどれくらい取れているかな のです。実際上、この要件に問題があるかどうかは別として、この要件が適切であると しても、その要件に当てはまる人がどれくらいいて、どれくらい取れているか。前回も その両方を推計しているわけではないのだと思います。確かにそれに比べて少ないので はないかという議論はあり得ると思うのですが、ここではあくまでも数が増えていると いうところを見て書いたということであります。 申し訳ありませんが、少し早く退席しなければならないので、原則だけですけれども、 この有期契約労働者の育児休業取得を議論するときに考えなくてはいけないのは、一つ は休業というものはどういうものかということをきちんと理解するということと、もう 一つは、現行によると休業を取った場合、一定の所得保障があるわけです。この所得保 障の問題と分けて考えた方が良いだろうということです。 まず、休業というのは育児休業で基本的には継続雇用されている人が、育児で休業を取 って休むわけですけれども、雇用は継続するということです。休業から復帰した時に継 続しているというための仕組みです。育児休業を取ると辞めないので続くということで す。そういう意味では、雇用が継続している人が途中で辞めないで、原則として育児休 業で続くという仕組みです。ですから、厳密な意味での有期契約、テンポラリィな仕事 があると1年で雇われて、1か月くらい勤務して、極端な言い方ですけれども、子どもが 生まれるといった場合、この人の育児休業を認めるといって、契約はあと11か月です。 戻ってきたら、これは続かないのです。その期間は所得が出ないわけです。ですから、 この人にとって育児休業を取って雇用が続くという話ではないのです。ですから、有期 契約の人が育児休業を取れるといったときに、残りの11か月を取れるようにせよという 話ではないと思うのです。あるいは、戻ってきた後に、休業を取った10か月分を雇用せ よということでもないと思うのです。そういう議論もあり得るとは思うのですけれども、 まずは。ただ、問題なのは、有期契約だけれども実際には続いているではないかと。難 しいのは、この部分をどう切り出すかなのです。ですから、明らかに有期契約の人まで 育児休業を取るということはもともとの趣旨からして多分そぐわないのです。ただ、問 題なのは日本の場合、有期契約だけれど更新している部分がある。それも明らかにそう なるものと、経ってみないとわからないものもあるわけです。つまり、1年経って結果 として更新される人と、有期契約だけれど事実上更新しない運用もあるわけです。そこ をどう切り出すかということを苦労して現行の要件ができている。そうしたときに、実 際は有期だけれどももう少し広げた方がよいという議論をする必要があるかもしれませ ん。それが一つです。  もう一つは、所得保障のことです。先ほどの例でいえば、1年契約で2か月取って、育 児休業を取っても良いではないか、その期間、戻ってきて仕事はないけれども所得保障 をきちんとしてくださいという議論はあると思うのです。一応、これは分けて、期間雇 用者が育児休業を取るといったときに、まずは所得保障の問題を議論しているのか、雇 用の継続という有期の範囲で切り出している範囲です。実際上は続くというところをも う少し切り出せるのではないかと。そこを分けて議論していただけるとありがたいと思 います。すみません。いなくなってしまうのですけれども。我々としては、その切り出 し方としては、当面、もう少し周知を図ることによって実際上、今の切り出し方がきち んと使えるようにしていけば、全部カバーできているかといわれれば難しいと思うので すけれども、基本的に雇用が継続するという範囲内での切り出し方としては、納得し得 る合理的な範囲かと、議論してこういう結論に達しました。ですから、もう少しこうい う切り出し方があるということは、ご意見をいただければと思います。 ○樋口委員 質問させてください。今、議論になっている45ページの右側の数字で、有期契約労働者 の51.5%が育児休業取得しているという数字が出ているのですが、これはどういう数字 ですか。左側で2千人とか、4千人しか取っていないのに、51.5%というのは。 ○定塚職業家庭両立課長  こちらのデータでございますが、女性雇用管理基本調査は有期契約労働者の全体も同 じですけれども、現在いらっしゃる労働者について聞いているものですので、既に辞め てしまった方等は含まれていないという前提です。今、企業の中にいる労働者で有期契 約労働者の方、この方が出産した際に育児休業を取っていたかどうかというデータです。 ○樋口委員 左側の期間雇用者に該当する比率ということで良いのですか。左側の表がありますね。 2千人、4千人、6千人という数字。これを分子にして51.5%というと、有期労働者が1万 人ぐらいしかいないような数字になってしまうのかと思うのですが、私の見方が間違っ ているのですか。 ○定塚職業家庭両立課長  そもそも出産して、その後も継続して勤めている有期契約労働者が数として少なくな っているために、恐らくこの51.5%という母数が少なくなっているという状況なのかと 思います。 ○樋口委員 この育児休業は、利用できずに辞めている人が多いという数字だということですか。そ うですか。そういう意味ですか。 ○林分科会長  先ほど佐藤委員からは、所得保障の問題と本来の育児休業の雇用の継続の問題とを別 に議論すべきだというお話でしたが、ここの審議会としては雇用の継続という観点から 議論していきたいと考えております。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員 今、樋口委員もおっしゃっていたのですけれども、結果的に今の法律の制度でいくと、 育児休業をまず自分自身が取れると思っていないという調査の結果も出ていますが、取 れると思っていない方もいらっしゃるし、その辺は周知ということも重要だと思うので すが、今の法律の中で、今まで1年働いたというのは実績ですし、誰もが認めることな のですが、向こう1年引き続き雇用されることが見込まれるというのは、労働者が判断 できることではないのです。これはやはり雇用主、あるいは派遣で働かれている方であ ればその派遣先などが決定していく、あるいは派遣元が決定していくということだと思 うのですけれども、そこが有期契約で働いている方からすると、育児休業が取れないと いうような誤解を生んでしまう原因になっているのではないかということで、やはりそ の前の働いてきた実績というのはいろいろな事例でももちろん反復して契約更新がある とか出てきていると思うのですけれども、その後ろの条件は労働者ももちろん使用者側 も含めてだと思うのですけれども、制度をわかりづらくしているのではないかと思って いまして、そこを今回外していくということも議論としては重要ではないかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  わかりにくいというところについては、労働側からもご指摘がありましたようにわか りやすいようにということでよろしいかと思うのです。けれども、問題はこの要件が合 理的であるかないかという話だと思うのです。仕組みそのものは継続就業といったこと を考えれば、この三つある要件は極めて合理的だと考えています。やはり休業を取られ るということであれば、休業後も働ける状況が見込まれるというのは、決して無理な要 件ではないと考えております。それから、これは申し上げることでもないかと思うので すが、平成16年度改正で適用拡大されたわけであり、その時点で同一事業主に雇用され ている実績そのものを何年にするのかといったことについて、労使の間でご議論があっ たと聞いています。建議の中の文言を見ますと、2年という主張と1年という主張があっ て、そういった議論の中での合意事項だと聞いております。そうであれば、この合意事 項についての周知徹底を図るという方向性といったものについては妥当な見解であると 考えております。 ○林分科会長 他にご意見はございますか。鴨委員。 ○鴨委員  この周知徹底を図るだけでは、私は有期契約労働者が育児休業を取って働き続けるこ とにはならないと考えています。今、斉藤千秋委員の方からもありましたように、この 育児休業取得の適用条件は、わかりにくいだけではなくて、この要件があることによっ て、そもそも取れない有期契約労働者の方が圧倒的に多いのではないのかと思うのです。 この資料の49ページに有期契約労働者の育児休業取得者割合というものが出ています。 しかし、これを見ると、契約社員、短時間パート、全体的にこれほども取得できている のかというような高い数字が挙がっているわけですけれども、これ自体の出典を見たと きに独立行政法人労働政策研究・研修機構が出されたものであるわけですけれども、こ の出典そのものがやはりそもそもの原本の中に書かれていますように、これは有期契約 労働者が一定程度正社員とほとんど同じ業務をしている、それから同じ業態で働いてい る、ある意味では企業の中において(2)の適用条件がなくても有期契約労働者が育児休業 を取れるという状態の中で、この事業所のアンケートも取られている。その結果から見 ると、確かに高い数字であるだろうというのは納得できるわけです。けれども、圧倒的 にはこの適用条件においては、特に派遣労働者がここでも31.6%ということで、他の働 き方に比べて2分の1以下の取得にしかなっていませんけれども、これは当然だと思いま す。派遣労働者は圧倒的に登録型派遣で、しかも3か月以下の期間の雇用契約を結んで いる人たちが、その適用条件の(2)をどうやってクリアすることができるのか、クリアす る方法があるのならはっきりと教えていただきたいと思うくらいです。現状ではほとん どの派遣労働者の場合、多少改善されてきてはいますけれども、うちにはそんな前例は ないとか、派遣先には妊娠したことを言ってはいけないとか、言ったとたんに解雇され てしまうといったことが労働相談の中に今も入ってきているという現状がありますので、 私はこの適用条件について見直すべきだと思っております。 ○林分科会長 川崎委員。 ○川崎委員  有期雇用の方については、育児と仕事の両立ということに関して課題があるとは思う ところですけれども、先ほど鴨委員からご指摘があったような妊娠を理由とした解雇と いった事案については、育児・介護休業法の範疇ではなくて、別のところで解決してい かなければいけない問題ではないでしょうか。それから、先ほども議論がありましたけ れども、この育児・介護休業自体が、雇用継続が前提になっていて、復帰してくること、 復帰してなおかつ就業継続されるというようなことを考えると、現行で定められている (1)、(2)、(3)の要件が伴わないと雇用継続にはなっていかないということであり、現行の 要条件については合理性が高いものであると考えるべきだと思います。 ○林分科会長 今田委員。 ○今田委員 樋口委員から取得率が高いではないかという議論がありましたが、実はそうではなくて、 右を見れば少ないということは、結局一般の育児休業取得とつながるような問題で、実 際に90%取っているといっても、それはそれ以前に辞めている人が多いのです。だから こそ今回のこの報告書というか、法案改正というのはまさにそこにあるということです。 ですから当然、「多いのだ」「たくさん取っているのだ」「増加しているのだ」という ことをゆめゆめ事務局は言わなかったということを私たちの共通の理解として、この期 間労働者の問題を議論した方が良いだろうと思います。そういう事実を考えた場合に、 この適用要件は、現状では有期労働者が増えて、その人たちの休業ニーズがあって、そ の人たちに対する支援の制度としてこの制度を作って、そのことによって期間労働者の 育児休業の拡大を促すというような目的からいうと、この要件はやはり問題があると現 状では理解した方がよいと思います。特に(2)の問題で、「見込まれる」というのはどう 考えても、曖昧すぎてどちらにでも取れると思います。特に期間労働者というのは期間 を決められて雇用されるのですから、ずっと長く働く人たちでないことは確かなのです。 けれども、もう一方では更新されているという二重の現状があるわけで、その中で継続 している人たちが非常に多いということも調査結果で出ているわけです。我々がやった 調査でも、本人も期間雇用として継続していくという明確な期待も持っているし、企業 側も長期的な労働力として高度な役割を期待している。当然、継続も期待している。そ の人たちに、可能性というものがあると見るのか、やはりルールとして期間雇用なのだ から「見込まれる」といわれても、もともとこの制度が期間なのだから、見込まれるか どうかと突き詰めていわれれば、そうはいえないともいえるという意味で、ルールとは いえ非常にどちらにも都合よく取れる。悪くすれば都合よく企業に利用される可能性が ある。実際に、調査でも企業の人たちの意見として、やはりこれは使いづらいという意 見はたくさん聞いています。もちろん働いている人たちは、ルールそのものもあまり知 らされていないというのが現状ですけれども、企業サイドにしても、なかなかわかりに くいとも言っているという意味で、特に(2)というのは、前回の法律改正の意図からして 非常に合理的で明確だという意見もあるようですけれども、何らかの実態をもう少し支 援できるような、このままでしか仕方がないというならば、何らかの手当をしなければ いけないし、できればもう少し明確なポジティブリストではなくネガティブリストとい うのは(3)になるのでしょうか、そういう継続しないという場合はよいけれども、そうで はない場合は可能という、法律の規定からいえば、そちらの方がより明確ではないか、 企業も使いやすいのではないかと思います。ただ、そういう意味ではまだ始まったばか りですし、企業もまだ試行錯誤ですし、期間労働者にどのように適用してよいかという ことについても、実態としても動いている状態なので、この事務局案のように事実をき ちんとフォローして、より良い制度にするためにどうするかという時点なのかもしれな いとも思いますが、少なくとも見直しのときには三要件については、もう少し厳密に実 態を精査してからにしていただきたいと思います。 ○林分科会長 樋口委員。 ○樋口委員  今田委員がおっしゃったところの関連で、1年を超えて雇用が見込まれるものの解釈 というか、行政上の扱いはどうなっているかということについて質問したいのです。例 えば雇用保険の場合に「1年以上見込まれる者」という同じ要件があります。その解釈 については、過去に実態として1年以上雇われていた者は見込まれるという解釈を与え るとなっていたと思うのですが、ここでの扱いも同じようになっているのでしょうか。 ○林分科会長 事務局、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  資料の40〜41ページにかけて指針がございます。この指針で、今ご質問のありました 1歳を超えて引き続き雇用されることが見込まれる者については、(二)のロの部分でご ざいますけれども、「育児休業申出のあった時点において判明している事情に基づき相 当程度の雇用継続の可能性があるか否かによって判断するものであること」としていま す。その上で「例えば」としまして、次のページの例示にあります(イ)〜(ニ)までは原 則として雇用継続の可能性が相当程度あると判断される場合に該当する。つまり育児休 業の対象になる。一方、(ホ)(ヘ)(ト)については原則としてそうではないものに該当す るとしています。さらに「ただし」ということで付いておりまして、(イ)〜(ニ)、(ホ) 〜(ト)というのはあくまでも例示ということでございまして、雇用の継続の見込みにつ いての事業主の言動や、他の労働者の状況、当該労働者の過去の契約の更新状況等に基 づいて判断すべき場合もあり得ることとしているところです。実際の現場の運用につい ては、今申し上げた指針に照らしながら、本当に1歳以上の雇用継続の見込みというも のがあるのかないのかということについて判断をしながら行っているところです。 ○林分科会長 鴨委員。 ○鴨委員  今のご説明でいえば、実際の運用については、雇用継続するかしないかということに ついては、どちらがそれを決めるのかということでいうと、使用者側が判断をするとな っているわけですよね。そこで、労働者側がその判断は違うのではないかということを 言えば、雇用均等室に申立てをするなり、労働組合に入って会社と交渉するなり、また は最終的には裁判までというケースも出てきているわけです。いずれにしても、ある意 味では、今のこの曖昧さの中で事業主が判断する権利を力関係の中で持っているという ことで、そこを前提としてこれが出てきておりますので、そういう意味では労働者側は この要件がある限り、「違うのだ」と言ったとしても、そこを覆すのは相当難しいと言 わざるを得ないのです。そういったことも含めて、今、特に若い労働者が、それこそ25 〜34歳の若年層がどんどん非正規化しているという現状があって、そこはそれこそ男性 も女性もという状態になっているわけですから、一方で少子化、少子化といわれていて、 その方たちが、自分たち自身がこれから働いて、結婚も子育てもと思えるような制度と いうものを今、作りましょうという議論がこの場で行われているのではないかと思って います。雇用継続というのは、一人の労働者が働くか働かないかだけではなくて、全体 を、この社会をどうしていくのかというところにもあると考えておりますので、この適 用条件については取り払うべきだと考えます。  それからもう一つ、今のことに関連して資料の50ページの中で、取得しなかった理由 というところで、「自分は制度適用対象外だった」という方たちが27.4%もいるわけで す。この「対象外だった」という判断を、何をもってしたのか、させられたのかという ところが、この27.4%という数字に表れているわけですから、そのことも含めて今の適 用条件というものを置いておくということが非正規労働者に育児休業を取っても働くの だというところを閉ざしてしまっていると考えています。 ○林分科会長 齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  同じような意見なのですが、育児休業というのは雇用を継続することによって仕事と 家庭の両立を支援するという形として設けられたものではないかと思います。そうしま すと、休業を申し出た労働者が、休業終了後に復職する意思を示せばそれで十分なので はないかと思われますので、あえて「雇用が継続されることが見込まれる」という条件 は付けるべきではないということで、(2)の条件は外した方が良いのではないかというこ とを、ここで申しておきたいと思います。 ○林分科会長 川崎委員。 ○川崎委員  確かに、就業継続と両立がメインの目的であるわけですけれども、そもそも有期の期 間雇用者が働く場合に、期間を定めながらも契約更新されている例も多いというような ところで、一方、業務自体がテンポラリィで期限が厳しく切られている例もあります。 例えば業務自体が、ある一定の期日で終わってなくなってしまう中で、期間雇用者を雇 入れている場合もあるわけです。ですから、そういった場合の業務を考えると、例えば 1歳に達するときに業務がなくなってしまっているというようなこともあって、(2)の条 件については妥当性があるとみなした方が良いと考えています。 ○林分科会長 斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今の意見ですと、引き続き雇用されるというよりも、そこにその仕事が残っていると いう書き方の方が適切だと思います。雇用されるというと、やはり事業主の方の判断と なるのですが、今のお話ですとやはり1年後に復職しても同様の仕事がその職場に残っ ている、あるいはその仕事があるというような状況であれば、少し状況が変わってくる と思いますので、そういう修正というのも一つの案としてあるかと思います。 ○林分科会長 遠藤委員。 ○遠藤委員  今、川崎委員が申し上げたかったのは、やはり有期ですから、その有期の契約がどう いう形で更新されてきているのか、あるいは、されようとしているのかといったような ところを見るということで考えていくのであり、例えば仕事そのものがなくなってしま うのだとすれば更新されないということを申し上げたかったわけです。黄色いパンフレ ットの中には、幾つかの例示でこのような組合せの中ではこのようなことがあり得ると いろいろ書かれています。例えば、更新回数の上限が決まっていたり、あるいは「あな たは今回限りで更新しません」と明示されたりしている事例が書いてありまして、こう いうものを読んでいけば、これに該当するのかしないのかというのは、読もうと思えば 読めるものだと思っています。周知の仕方等も工夫されることが今後あり得るのかもし れませんけれども、そういった中でご理解を賜る必要があって、なおかつ適法な育児休 業が申請できる方々の環境づくりに取り組んでいくことについては賛成する部分であり ます。ただし、だからといって、この要件そのものを変える必要性はないと考えており ます。 ○林分科会長  一応、それぞれのご意見が出たと思いますので、他にご意見・ご質問がなければ本日 の分科会はこれで終了といたします。 本日の署名委員は、鴨委員と遠藤委員にお願いいたします。最後に事務局から連絡があ るとのことなのでお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長 次回の会合は23日午前10時からといたしたいので、よろしくお願いいたします。 ○林分科会長  皆さま、お忙しい中、どうもありがとうございました。これで終了といたします。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)