08/10/03 平成20年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 平成20年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会議事録 (1)日時  平成20年10月3日(金)15:00〜17:00 (2)場所  厚生労働省専用第18〜20会議室 (3)出席者 委員:西岡清分科会長、原正道分科会長代理、相川直樹委員、        池上直己委員、伊藤澄信委員、木下勝之委員、熊本一朗委員、        小山信彌委員、齊藤壽一委員、酒巻哲夫委員、佐藤博委員、        嶋森好子委員、辻村信正委員、難波貞夫委員、松田晋哉委員、        山口俊晴委員、山口直人委員、吉田英機委員、邉見公雄オブザーバー        事務局:佐藤医療課長、宇都宮企画官、他 (4)議題  1 調整係数の廃止に伴う新たな機能評価係数等の検討について         ○ 松田研究班からの報告        2 その他  (5)議事内容 ○西岡分科会長  ただいまから平成20年度第3回診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)を開催 させていただきます。  まず新しく当分科会の委員になられましたお2人の方がございます。御紹介をお願い いたします。 ○中田補佐  紹介させていただきます。  慶応義塾大学医学部救急医学教授の相川直樹委員と国立保健医療科学院企画調整主幹 の辻村信正委員でございます。 ○西岡分科会長  それでは、今、御紹介いただきました新しい委員の方々より一言御挨拶をお願いいた します。  まず、相川委員、お願いします。 ○相川委員  慶応義塾大学の相川でございます。先年まで大学病院長をしておりました。現在救急 医学の教授に戻りました。いろいろ勉強させていただきたいと思います。よろしくお願 いいたします。 ○西岡分科会長  続きまして、辻村委員、お願いいたします。 ○辻村委員  保健医療科学院の辻村と申します。よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  それでは、本日の委員の出欠状況でございますが、本日は皆さん御出席との連絡をい ただいております。まだ、佐藤委員がお着きにはなっていらっしゃいませんが、間もな くお着きになることと思います。  それでは、まず資料の確認を事務局のほうからお願いいたします。 ○中田補佐  それでは、資料の確認をさせていただきたいと思います。  1枚目に議事次第、2枚目に座席表。続きまして、委員名簿がございます。資料D− 1「DPCについて」、資料D−2「病院機能係数の考え方について」がございます。  また、各委員の机上配布資料といたしまして、1「施設の外的基準に係る調査」、2 「4疾病のTop 10病院リスト」、3、これは前回の資料でございますが、「松田委員提 出資料の病院機能係数の考え方について」、4「DPC対象病院における明細書の発行 について」、5、「DPCレセプト提出時における包括部分に係る診療行為内容の添付 について」、がございます。以上でございます。 ○西岡分科会長  資料につきましては、よろしいでしょうか。  それでは、早速、DPCについて、及び病院機能係数の考え方について、松田委員よ り御説明をお願いいたします。 ○松田委員  それでは、資料に基づいて御説明をさせていただきたいと思います。  まず、DPCについて、ということですけれども、本日より2名の委員の方が新しく 委員会のほうに入られたということでございまして、DPCについて、少しもう一回説 明するようにということに指示をいただきましたので、DPCについて説明させていた だきます。  診調組D−1のところに、DPCについて、という資料がありますけれども、これか ら始めたいと思います。  まず、DPCとは何かということですけれども、多分意味が二つあると思うんですけ れども、やはり厚生労働省でいうDPC制度というのは、この平成15年4月に特定機 能病院等に導入された急性期入院医療の診断群分類に基づく1日当たりの包括評価制度、 そのものをDPC制度というふうに厚生労働省のほうは使っているようでございます。  私たち研究者のほうは、DPCというのは分類の名前ということで、日本がDPC、 アメリカの分類等がDRGという形で使い分けを行っているところでございます。  1ページめくっていただきますと、DPC制度の対象病院というものが上のほうに書 いてございます。  そもそもこのDPC対象病院というのは、平成15年に82の特定機能病院等で始ま りました。  分類の精緻化等を行いまして、16年からその当時から調査に参加していました民間 病院等62病院が新たに対象となって、18年、20年とそれぞれ216、358病院 が参加をいたしまして、現在、718病院が、このDPCに基づく支払の対象病院とな っております。  これ以外にDPC準備病院といいまして、支払の対象外ではありますけれども、DP Cのデータを厚生労働省のほうの調査に提出している病院が710病院ございます。  現在全部で1,417病院、28病院がこのDPCでデータを出しているということ になります。  それから、DPCにおける診療報酬の算定方法ですけれども、これは私たち研究班の 関与するところではございませんけれども、一応流れで御説明させていただきますが、 この包括評価における診療報酬額といいますのは、もう御案内のところでございますけ れども、包括評価部分と出来高評価部分の2つから構成されているところでございます。  包括評価部分というのは、入院基本料、検査、投薬、注射等をまとめたものでござい まして、これが1日当たりの包括評価の対象になっております。  ただ、病院によっていろいろとまだ機能等が違うということもありますし、いわゆる 制度が変わったことによる変化を緩和する意味もございまして、いわゆる調整係数みた いなものが入っております。  これが何かといいますと、「診断群分類」ごとの1日当たり点数に、医療機関別係数 を掛けて、在院日数を掛けるという形で包括評価部分の点数が決まるという形になって おります。  これ以外に、日本の場合には、手術、麻酔料、そういうものにつきましては、出来高 で従来の「医科点数表」に基づいて評価を行うということで、この2つの組合せでやっ ております。  次をめくっていただきますと、医療機関別係数というのがございます。これがいろい ろと昨今議論になっているところでございますけれども、医療機関別係数というのは、 基本的には、機能評価係数、調整係数から構成されています。  機能評価係数というのは、医療機関の機能を評価するための係数ということで、当初、 これは入院基本料等加算等を係数化したということで、例えばそこにありますように、 入院時医学管理加算0.0299という形で係数化をしたものでございます。  調整係数ですけれども、この調整係数というのは、いわゆる制度が変わったことによ る激変緩和措置ということで、前年度実績を担保するための経過措置的なものとして入 ってきたものでございます。  その計算方法は、次に書いてあるとおりでございまして、(A)が当該医療機関にお ける前年度実績に基づく医療費の合計であるとしますと、(B)のほうが、見直し後の 診断群分類点数表による診断報酬+機能評価による加算があって、2カ年の間では、診 療報酬の改定を行いますので、(A)×(1+改定率)を(B)で割ったもの。これが、 医療機関別係数となりまして、ここから機能評価係数を引いたものが調整係数という形 で、係数の計算をやっております。  これから、御説明するところは、まさにここにかかわってくるところでございますけ れども、そもそも経過措置的に入ってきた前年度保証を軸とするこの機能評価系調整係 数については、廃止を前提ということで、今まで議論されてきて、今その議論をしてい るところになると思います。  次をめくっていただきたいと思います。  今日は、これから研究班でやっている調査の一部を御紹介させていただくわけでござ いますけれども、その前に、DPCデータというものは何なのかということについて、 改めて説明させていただきたいと思います。  ここからの資料は、研究班の各分担研究者がつくったものを今回まとめて少しお出し しております。  まず、DPCデータというのは何かということでございますけれども、私たちはこの ように整理しております。  分析可能な全国統一形式の患者臨床情報が様式1でございます。  これに診療行為のEFファイルになりますけれども、電子データセット、全ての病院 が同じフォーマットでデータをつくっているというのがポイントになろうかと思います。  患者臨床情報のほうには、患者基本情報、それから性とか年齢とかそういうことです けれども、これに病名、術式、いろいろな重症度に関係するような各種スコア・ステー ジ分類というのが記載されております。  例えば、AISですとか、キリップ分類ですとか、そういうものが入っております。  診療行為情報としましては、これはEFファイルといわれるものですが、また後ほど お示ししますけれども、これには細かい診療行為、医薬品、医療材料、1入院の間で使 われた医薬品や医療材料、診療行為というものが実施日、回数、数量とともに、全て記 録されている仕組み、これがDPCデータということになります。  ですから、いわゆる包括のイメージとは少し異なりまして、かなり細かい情報を集め ている。それに基づいて、いろいろな分析ができる。共通のフォーマットで集めている ものに基づいて、共通の分析ができるということがポイントになろうかと思います。  1ページめくっていただきますと、DPCデータから何が分かるかという資料でござ います。  これは、研究班の藤森委員が整理してくれたものでございます。患者臨床情報、これ はある意味、全国共通の「簡易退院サマリ」になっているということが言えるだろうと 思います。  この中で、EFファイル等を使いますと、「いつ」、「何を」、「どれ程」行ったの かということが分かります。  各病院でこれをさらに分析しようとすれば、誰がオーダーして、どの診療科、病棟で 行われたのか、そういった細かいところまで分析できるという、そういうデータになっ ております。  しかも実施日情報が入っておりますので、診療行為を時系列で把握することできる。 これが非常に大きなポイントであろうと思います。  しかも、DPCの調査に参加するに当たりましては、レセ電算のマスターをいわゆる 厚生労働省の標準レセ電算マスターに統一するということが、これが前提でございます ので、全ての病院が同じフォーマットでデータをつくっていくということがポイントに なります。  そういうことがありますので、時系列で共通のデータがあるということで、診療プロ セスを可視化することができる。これが、DPCデータの一番の特徴になろうかと思い ます。  基本となるデータは、繰り返しになりますけれども、様式1、Eファイル、Fファイ ルというものになります。  様式1といいますのは、患者の臨床情報、傷病名、術式、補助治療等が記載されてお りまして、これは退院患者ごとに作成されます。ただ、この中に、DPCコードはあり ませんので、研究班のほうでは、後で申し上げますEファイルとFファイルと組み合わ せて、DPCを発生させるということをやっております。  Eファイルが出来高点数の情報になります。これは、注射とか、画像診断、そういう ところでまとめた点数になります。  Fファイルというのは、これが一番細かいところで、例えば注射といった場合、どう いう薬がどのくらい使われたのかということが記載されている詳細情報になります。  次のページをめくっていただきますと、イメージを示しております。  様式1のほうですと、データ識別番号に入院年月日、退院年月日、医療資源病名が何 だったのか。化学療法をやったのか、やらなかったのか。いわゆる1入院の間で行われ た臨床情報というものが、共通のフォーマットで記載されております。  Eファイル、Fファイルのイメージはその下にあるとおりでございます。  データ識別番号というところで、様式1とEとFを全部つなげるわけですけれども、 Eファイルのほうには、入院、退院年月日、データ区分とありまして、診療行為名称と しては、例えば、ソリタT3号500ml、行為点数483点と書いてあります。  その下のほうのFファイルのほうには、そのときに何を一緒に行っているのかという ことが、データ区分のところでつなげられるようになっておりまして、この場合には、 行為の中で、ソリタT3号を2瓶、チェナムの点滴を2キット、ビタメンジンを1瓶使 っている。こういう細かい情報が共通のフォーマットでとられている。このEFファイ ルということになります。  1ページをめくっていただきますと、EFファイルのイメージがありますけれども、 それぞれのEFファイルのところに、対応する細かい情報が右側のFファイルという形 で、記録されているという仕組みになるわけです。  ということで、非常に入院中に行われた細かい情報を時系列で分析できるというのが、 このDPCで集めているデータのポイントになろうかと思います。  下に、これは藤森先生がきれいにまとめくれたものですけれども、こういうデータが ありますと、例えば入院から退院まで、入院中にどういう行為を行ったのか、どういう 薬をどのくらい使ったのか。どういう検査をどこでやっているのかということ、プロセ スが分析できる。これがDPCの一番の特徴になろうかと思います。  最後のページでございますけれども、例えば、Eファイルだけですと、診療別の点数 ということになりますが、例えばどこで検査をやったのか、検査の点数がどこで発生す るかということに着目して、時系列で、患者ごとにデータを展開すれば、このようにい つ、例えば狭心症の血管造影検査をやっているかということが分かります。  要するに、クリニカルパスに対応するような形で、各病院における、これは患者ごと にやっておりますけども、各病院、これは平均像としての診療行為のプロセスというも のを評価することができる。これがDPCデータの特徴ということになります。  よくDRGと比較されるわけですけれども、DRGはいわゆる日付情報等を持ってお りませんので、細かい分析はできません。  日本のDPCの場合には、EFファイルという細かい情報に基づいて、時系列のプロ セスを分析できるということがありますので、これに基づいて、例えば医療の質の評価 等にもつなげることができるという、非常に大きな特徴があります。  これが、DPCについての説明でございます。 ○西岡分科会長  ここで、御質問等ございましたら、どうぞお受けしたいと思うんですが。  大体この形に関しましては、委員の先生方、皆さんよく御存じではないかと思うんで すが、あれっと思うようなことがございましたら、どうぞ。  よろしいでしょうか。  それでは、松田先生、続けてお願いいたします。 ○松田委員  続きまして、診調組D−2というものの資料の説明をさせていただきます。  病院機能係数の考え方について(2)というものです。  これは、私どもの研究班で今やっている内容の一部を御紹介させていただくものです。 一応、いただいている宿題としまして、機能係数に関わる研究をするということが、私 どもの宿題になっておりまので、そのための研究の一環を今日は御紹介したいと思いま す。  前回もお示ししたものですけれども、私たちが考えている支払いを最適化するための 方策ということですけれども、多分この変動費的な部分と固定費的な部分に分けて考え なければいけないと。  変動費的な部分というのは、そもそもDPC分類に関係するようなことでございます ので、分類そのものの見直し、あるいはその分類の中での包括範囲をどういうふうに考 えるのか。あるいは、DPCの点数の基礎となっている出来高払いの単価が適正なのか、 こういうものを考えなければいけないだろうと考えています。  今回いただいている機能係数というものにつきましては、これは機能に関連したよう な固定費的な部分ということになろうかと思いますので、これを一部の患者さんが負担 するべきものは加算で、全ての患者さんが負担するものは機能係数で、それから病院の 機能として地域として必要な機能の整備と提供というものもやはり考えるべきであろう と。こういうものを係数として考えたらどうだろうということで議論をしているところ でございます。  1ページめくっていただきますと、具体的にどういう分析をしているかということで、 これも前回お示ししたものでございますけれども、実際にデータを集めて、ばらつきを 分析して、評価方法を検討するということをやっております。  まず、データの集計でございますけれども、いただいたデータはやはりいろいろと実 は問題がございます。例えば、ICD10なんかでいいますと、一応半角での記載が原 則となっておるわけですが、その中に全角も混じっていますし、中には見たこともない よう記号が混じっている場合もありまして、そういうものをいちいち洗い直して、スリ ーニングしてデータをきれいにするということをやっております。  それで、そのデータに基づいて指標ごとのばらつきを分析していく。それをどういう ふうに評価するのかというと、現在やっているということでございます。  一応、現在私どもがやっているのは、医療の質という観点からやはり検討しなければ いけないということで、医療の質をストラクチャー、プロセス、それからアウトカムに 関係するようなもので見ていこうということで、検討している項目としては、プロセス につきましては、一番上にありますように、ばらつきに関する検討、そのばらつきが妥 当であるのかどうなのか。そういうものに関する検討。  それから、包括範囲を動かしたときに、どのようにばらつきが減少できるのかという 検討、そういうことを今やっております。  あとは各病院の見ている診療の内容を相対として総合的に見るための指標としてケー スミックスという考え方をつかいまして、複雑性指数ですとか、効率性指数ですとか、 稀少性指数ですとか、あるいは各病院がカバーしている疾病の範囲、そういうものを一 応検討しております。  ストラクチャーにつきましては、今日は資料でお示ししますけれども、そもそも固定 費に関連するような機能を見ているのであれば、その病院のストラクチャー、構造、施 設の外的基準みたいなものを検討する必要があるだろうということで、今年度、この操 作もやらせていただくことになります。  あと地域の役割につきましては、1,006病院が参加してくるような調査になりま したので、そういうものに基づいて、いろいろな分析ができるようになりました。その 結果を今日はお示ししたいと思います。  まず、このDPC分類の最適化というところからいきたいと思います。  分類の改善ということですけれども、研究の中では、どういう形で分析をしているの かということをちょっとくどいですけれども御説明させていただきたいと思います。  まず、DPC分類の目標というのは何かといいますと、分類によって医療資源の投入 量を予測するということが一番の目的です。  その予測の対象とする尺度として何があるのかということですが、これは一応日数と 医療費用ということになります。  理論的には、実際原価というものが一番望ましいと思いますけれども、原価の推計と いうものがいろいろな方法論がある状況で、標準化できてないということを鑑みて、現 在、この医療費用の推計、コストの推計については、出来高の点数をベースとした、い わゆるチャージドコストという形の推計を行っております。  予測のために利用する2つの軸としましては、患者の違い、疾患の違いですね。それ からもう一つは診療行為の違い、ということに基づいて分析を行います。  具体的にどういうことを目標として分類の改善を行っているかといいますと、一つは 予測精度を向上させるということでの精緻化。もう一つは、どんどん細かくしていけば、 これは出来高の分類と全く変わらなくなりますので、それはやはりいけないと思います ので、なるべく簡素化をしていくということ、一見あい矛盾することを二つやっている ということになります。  1枚めくっていただきますと、何をどのように見ているのかということですけれども、 患者ということでは何を使っているのかといいますと、傷病名、年齢、出生体重、副傷 病、重症度というものを使っています。医療資源というのは最も基本的な情報で、日数 とコストの両方に関係するだろうと思います。  それから、年齢とか出生体重は、診療行為の選択に影響しますので、こういうものに 基づいて、行為の有無を通じてコストに影響に及ぼす。副傷病、重症度でも同じような ことでございます。こういうものを組み合わせることによって、例えばこれは日数にも 関係してきますので、こういうもので予測への影響を見ているということです。  診療行為については、日本の分類では、DPCでは手術というものに加えて、手術・ 処置等1、手術・処置等2を入れることによって、この行為の有無、それから組合せの パターンによって、コストへの直接影響とそれから入院日数への影響というものを見て おります。  下のほうですけれども、分類の技法として何を使ったのか、診療行為の違いを説明し たものですけれども、治療に関する分類軸の使い分けとしましては、一応メインのもの は手術になります。  補完的な手術、侵襲性の高い検査については、手術・処置等1という形で分類として 扱って、それから生命維持的な治療とかがんの集学的治療は、手術・処置等2という形 で分類として使います。  この手術・処置等で、単純にありなし区分だけで見てみても、8区分を想定している ことになります。  ただ、医療というのは、日進月歩でございますので、新技術が出てきたときには、そ れをどのように評価するかということが、常に問題になりますので、その時点、または それごとに見直しを行うということになります。  1ページめくっていただきまして、患者の違いということですけれども、この患者特 性の違いに起因する診療行為選択の変化。  これは、当初いろいろなところでも議論されたものですけれども、副傷病をどういう ふうに評価するかということがございます。  私どもは、医療資源の必要度というものに関連していくのであれば、多分もしそうい うものに関係する副傷病であるならば、何らかの医療行為が発生しているはずで、その 副傷病が例えば手術・処置等1、2によって吸収できるのではないかということで、副 傷病そのものよりは行われた医療行為をベースとして分類をつくるということで開発し てきています。  ベースは、EFファイルでデータが取れるということを原則として分類をつくってい ったほうが、科学性が高いだろうということでやっております。  ただ、それで吸収できないものについては、日数への影響等をベースとして副傷病の 採択を行うという形になっております。  次が、5のところでございますけれども、DPC分類の作業項目ということですが、 DPCは6桁分類の見直し、それからそれに続いて、手術・処置等1、2の見直し、副 傷病の見直し、さらに年齢の見直しという形で、この縦のラインで、見直しを行ってい るところでございます。  例えば、DPC6桁分類の見直しでいいますと、これは実はMDCによってかなり6 桁の細かさに差がございます。  この辺のところをどういうふうに考えていくかということもこれから少し分類の簡素 化のところでは課題であるというふうに考えています。  1枚めくっていただきますと、これから機能係数の話をしていきたいと思います。  もう1枚めくっていただきまして、プロセスについてというものがございます。ここ から少し説明をしていきたいと思います。  今日の本題は、調整係数等をどういうふうに考えるかということでございましたので、 この調整係数に少し焦点を当てた分析を今回御紹介したいと思います。  ばらつきについて(1)というのがございますが、平成20年調整係数ということですが、 平成19年度に、私どもの研究班の調査に参加していただいた施設が965施設ござい ましたけれども、その中の549施設が実際DPC対象病院でございました。  その549施設につきまして、調整係数が何点であるのかということを公開データか ら調べさせていただきまして、この公開データに基づいて、それぞれの分布を示したも のがここに示したものでございます。  調整係数が、1.20以上というものが病院数でいうと30、1.15から1.20 が44、1.10から1.15が111。こういう形で分布しています。  特定機能病院でいいますと、全ての病院が1.0以上で、1.20以上が14、1. 20から1.15の間が20病院、1.10から1.15が35病院、こういうような 分布になっております。  これを実際に色で示しております。  赤が1.20以上、0.95未満というものが濃い青という形になっています。  1ページめくっていただけますでしょうか。  これが各病院の症例数と分類数を横軸、縦軸に置きまして、それで各病院がどこに分 布しているのかということを調整係数の点数で見れる形で示しております。  これを見ていただきますと、一見して、分かりますことは、症例数が多くて、DPC 14桁分類の数が多い、要するに多様なDPCの患者さんを診ている病院というのは、 総じて調整係数が高いということが言えるだろうと思います。いわゆる大規模病院で多 数の患者を診ている病院というのは調整係数が高い。  下のほうに少し、症例数が少なくて分類数も少ないところがあるんですけれども、多 分こういうのは恐らく単科病院であろうということが分かります。  いずれにしてもこのような形で、症例数と分類の数を見るだけでも、かなり診ている 患者さんの診療行為の内容、機能に差があるということは見てとれます。  続きまして、ばらつきの3というところで、これは何をやっているのかといいますと、 当該DPCが月1例以上発生する施設の数を横軸に、縦軸のほうに支払分類のそれぞれ の症例数を縦に置いたものです。  これで見てみますと4つの疾患が、いわゆるこのDPC、私どもの調査に参加してい る施設の中では、コモン事実としてあるものです。  その中で一番多いものが、四角で囲ってあります肺炎、手術なし、手術・処置等2な し、副傷病なしということです。  全体で、DPCで見てしまうと、傷病のいわゆる見ているケースミックスの違いとい うものが少し混ざってしまいますので、この肺炎、手術なし、手術・処置等2なし、副 傷病なしという問題についてだけ、その施設間でどのような差があるかということを一 応見てみたいと思います。  1ページめくっていただきまして、ばらつき4についてというものを見ていただきた いと思います。  これはいわゆる肺炎について入院日数を横軸、出来高換算点数を縦軸に置いたもので す。  これを見ていただきますと、これは1入院当たりの包括点数なんですけども、いわゆ る調整係数の高い病院というのは、在院日数の短いところに集中しているのが分かると 思います。  これをその下のばらつきについて5というところで、これは1日当たりの包括範囲の 診療行為の点数をEFファイルから計算し直してつくったものですけれども、これで見 ますと、調整係数の高い病院というのは、これは肺炎に限ってですけれども、1日当た りの出来高換算点数が高いという傾向があります。  これから言えることは、調整係数の高い病院というのは、比較的在院日数が短くて、 1日当たりの医療資源の投与量が多い病院。しかもその前のデータと合わせてみますと、 非常にたくさんの患者を診ていて、しかもいろいろな病気を診ている病院ということに なろうかと思います。  また1ページめくっていただけますでしょうか。  これは、出来高換算で、検査・画像診断がどうなっているかと見たものでございます けれども、1日当たりで見ますと、やはり在院日数の短いほうに少し固まっているとい うことでございます。  1日当たりで見ますとやはり調整係数の高い病院というのは、1日当たりの検査・画 像診断の点数が高い傾向。これはもう予想されたことでございますけれども、そういう 傾向がございます。  同じように、薬剤費を見たものが、次のページのものでございます。  これを見ましても、やはり同じように、薬剤費も、調整係数が高いところでは在院日 数が短くて、1日当たりの薬剤が高い傾向があります。  これは先ほどの画像診断に比べると、少し真ん中のほうに映っておりますので、少な いのかもしれません。  1ページめくっていただきますでしょうか。  これは年齢ですけれども、年齢はちょっとあまり大きな情報はないんですけれども、 小児のところに固まっているのと、高齢者のところに固まっていて、これは小児病院の データも少し入っていますが、小児科のデータが入っていますので、肺炎に関しては、 この年齢の影響も少しあるかと思います。  ただ、一応ここまでまとめますと、調整係数の高い病院というのは、症例数が全体で 見ると多い、それから非常に多数の患者の種類の傷病を診ている病院。そういう病院が 調整係数が高いという、そういう傾向が見てとれます。  調整係数は今まで前年度保証ということであったわけですけれども、これは非効率性 をそのまま引きずる形にもなりますので、やはりやめなければいけないと思いますが、 こういう分析を見ていきますと、調整係数が高い病院には、それなりの機能が見てとれ る。あるならばその抜き出すという作業をこれからやらなければいけないのではないか ということを今研究班の中で検討しているところでございます。  続きまして、ばらつきの内容分析ということでどういうことをやっているかというこ とですけれども……。  ここまでの分析は、研究班の中では、石川光一先生がやってくれたものでございます。  それから、次が、ばらつきの内容分析ということで、こういう分析もできるというこ とをお示ししたいと思います。  まず、上のほうに麻酔時間というのがございます。EFファイルのほうから麻酔時間 がとれますので、これを例えば麻酔時間と開腹、腹腔鏡の手術でどうなっているのかと いうことを調べたのが、これでございます。  例えば、これで見ますと、腹腔鏡手術の場合には、開腹に比べて麻酔時間が非常に長 くかかっているということが見てとれるかと思います。  症例数と麻酔時間の関係を見たものでは、やはり開腹も腹腔鏡も症例数が増えれば増 えるほど、病院のデータの平均の麻酔時間も短いほうに集約してくるということですの で、やはり何らかのボリュームとアウトカムの関係が見てとれるところでございます。  それから、輸血についても藤森先生が検討してくださっているんですが、平均でいう と腹腔鏡の手術というのは、輸血頻度は低いんですけれども、一回輸血が必要になると、 開腹よりも多くかかるということが見てとれます。  こういうようにそれぞれのプロセスの分析もできるというのが、このDPCの特徴で あろうかと思います。  1ページめくっていただきますと、これは医療機関ごとのばらつきということで、前 立腺の悪性腫瘍について、これは伏見先生がやってくれた分析ですけれども、それをお 示ししたものでございます。  上のほうが、前立腺の悪性腫瘍、前立腺悪性腫瘍手術ありというところで、それぞれ の診療区分別に各医療機関の点数がどうなっているのかということを見たものです。  これで見ていただきますと、出来高の入院の入院料のところで非常に大きなばらつき が生じていることが分かります。在院日数の差ということになってくるわけですけれど も、こういうものがかなりございます。  下のほうにあります、前立腺悪性腫瘍、手術なし・手術処置等1なし・手術処置等2 ありということですけれども、これで見ますと、今度は30番台、注射等のところでか なり施設間で大きなばらつきがあるということが見てとれます。  このように同じ分類でありましても、かなり医療施設によって診療プロセスに差があ るということが見てとれます。これが分類の精緻化が必要であるということなのか、診 療プロセスが標準化されていないのかということについては、これからまた詳細に検討 を加えていきたいと考えております。  次を見ていただきますと、ちょっと英語が入って、見にくいかもしれないんですが、 これは、何をやったのかといいますと、バイパス手術、下のところがappendectomyです けれども、手術をした日は、当然100パーセント患者さんが病院にいるわけですけれ ども、そこを基点として、手術前、手術後、それぞれの患者さんがどのくらいの割合で、 病院にいる割合を示したものです。  要するに、何を見ているのかというと、いわゆる病院による診療プロセスの差がどの くらいあるのかということを見ることが可能になります。  これは、地域別に見ておりますけれども、例えば、一番上の左側の図は、CABGで、 off pumpなのかそうじゃないのかというところで見ております。  見てみると、off pumpでやっている患者さんというのは、そうじゃない患者さんに比 べて、早期に退院しているという状況が左側のところで分かります。  右側のところは何をやっているのかといいますと、Elective CABGとそれからoff pumpでやったものについて、地域別にその在院日数にどういう差があるかということを 見ておりますが、ここで見てみますと、これは平均像でありますけれども、地域によっ てかなり差があります。大体5日間ぐらい在院日数で差があろうかと思います。  同じように見たものが、下のものでございます。  併存症、続発症がない場合には、比較的、入院、手術前後の入院確率というのは地域 差がないんですけれども、この併存症、続発症があるような患者さんの場合には、術後 のところでかなり入院、在院している割合に差があることが分かるかと思います。 ○松田委員  次を見ていただきますと、これが今度は個々の病院レベルで見たものです。これは、 mastectomyです。  これを見ていただいてお分かりになりますように、病院によってもうこれだけ差があ るという状況です。矢印のところが手術を行った日ということになるわけですが、大体 皆さん平均で1週間ぐらいはそこに入院しているんですけれども、そこから先、退院ま で、どのくらいの期間かかるかというのは、もう施設によってかなりばらついていると いう現状があるかと思います。  こういうばらついている原因が何であるのかということをこれから少し精査していっ て、これは私たちというよりも臨床の先生にいろいろと御判断いただかなければいけな いところだと思うんですけれども、いわゆる標準プロセスというものを少し考え、もし 設定できるのであれば、そういうものに基づいて評価をするということができるのでは ないかというふうに考えております。  下のほうが、狭心症につきまして、PCIをやっているものですけれども、同じPC Iでもこれだけ差があるということです。右側のほうがほとんどがステントで、90% がステントになっているんですけれども、一番左側のところでいきますと、90%が経 皮的冠動脈形成術ということで、このように同じ狭心症に対するPCIでも、各病院に よって、これだけプロセスに差があるということが見てとれるわけです。  この辺のところも適用についてどうなのかということを臨床の先生の御意見いただき ながら、この後、分析をしていきたいなというふうに考えております。  続きまして、パフォーマンスをどのように評価するかということを少しお見せしたい と思います。  DPCで、様式1のほうで、特に昨年度の調査からは術後の合併症等もとれることに なっておりますので、これはちょっとその前のデータなんですけれども、様式1のデー タで、どのようなアドバンスイベントみたいなものが起こっているのかということも実 は検討することができます。  これは、060210、ヘルニアの記載のない腸閉塞で、手術を行った症例で、その 後、様式1のほうから術後感染症が発生している事例というものを抜き出して、各病院 別に発生比率割合を示したものです。  このようにほとんど発生しない病院から、2.5%まで発生する病院、もちろんこれ は正しく記載していただいているということが前提になりますけれども、このようにア ウトカム評価に使うことも可能です。  次のページを見ていただきますと、これはもうちょっと踏み込んだ分析になるんです が、これは京都大学の今中教授のグループがやっている分析の一部を示したものでござ います。  様式1のデータの中には、年齢でありますとか、いわゆる重症度に関するデータ。そ れから、副傷病に関するデータ等が入っています。  そういうものに基づいて、予測死亡率みたいなものを幅をもって推計することができ ます。それと実際の死亡率がどうであるのかということと比較することによって、各病 院のパフォーマンスをアウトカム評価するということが一応可能になっております。  ただ、これはあくまでもまだ研究でございますので、この信頼性等についてはまだま だ検討の余地がありますので、こういうものが出たという段階で、これを実名で、施設 の名前も含めて公開するということは、これは時期尚早であるというふうに考えており ます。ただ、こういう分析もできるところまで来ているということをお示ししたもので ございます。  続きまして、ストラクチャーのほうの御説明をさせていただきたいと思います。  今年度、こういうばらつきを外的な基準をもって評価をしないといけませんので、施 設の持っている構造、あるいは人的資源について、詳しく調査をしたいというふうに考 えております。  それをお示ししたのが、次からのものになります。施設調査の概要ということでござ いますけれども、これは、今年度10月に4施設調査が行われますので、その調査項目 と合わせる形で、調査の項目をつくってあります。  例えば、施設基準でどういうものをとっているかと示したのが1番でございます。  2番のところが、社会保険事務所に届けているもの。特掲のものですね。それを記載 しています。  それから、3番目のところで、医師、人員配置を聞くということをやっております。 それ以外に、こちらのほうで加えましたものとしまして、外来患者数でありますとか、 分娩数ですとか、あるいはその病院指定関連の、どういうものを指定受けているのか、 病床数、こういうものもとっています。  分別はいろいろと議論があるところでございましたけれども、いわゆる異常分娩の評 価をするのに、母数が、分母がないとちょっと評価できないということがございますの で、分娩数を入れていただくことで調査したいというふうに考えています。  それから、5番目のところで、高額医療機器の問題をいつも私どもは指摘されますの で、これはちょっと大変な調査であるだろうとは思うんですが、高額医療機器につきま しては、配備状況を少し詳しく聞かせていただくという形で調査をいたします。  これの全部の調査票はこちらのほうに配っております別の資料をまた見ていただきた いと思います。すごい数になっておりますので、いろいろと御批判を受けることは覚悟 でこれをお出ししております。  それから、次に、地域における病院の役割について御説明させていただきます。  これは、いわゆる医療計画の中で、4疾病5事業というものがいわれているわけです けれども、各病院、急性期病院がその地域においてどういう役割を果たしているのか。 そこのところを何らかの形で評価できないかということを研究班としては考えていると ころでございます。  1枚めくっていただけますでしょうか。  これは何かといいますと、今日、先生方にCDをお配りしてあります。これはまた持 ち帰って見ていただきたいんですけれども、これは平成20年5月9日のDPC評価分 科会で厚生労働省本体調査のデータが公開されました。あれは参加した1,428病院 がDPCの上6桁+手術の種類別に何例見ているのかというデータが、何人の退院患者 を診たのかというデータが全部公開されております。そのデータを研究班の中で、石川 先生が、がん、脳血管障害、心筋梗塞、糖尿病という形で、再集計をしてくれて、各都 道府県別でがんのトップ10病院のリスト、脳卒中のトップ10のリスト、それから急 性期、心筋梗塞のトップ10のリスト、上位から全部都道府県別に見れるようになって います。  加えて、各病院が何をどれだけたくさん診ているのかということが分かる形での資料 をおつけしております。  これを見ることによって、DPCに参加している病院だけで、DPCの厚生労働省の 本体調査に参加している病院だけでございますけれども、各病院がそれぞれの都道府県 で、この4疾病に関して、どのくらいの傷病をどのくらい診ているのかという、シェア という言い方がいいのかどうか分かりませんけれども、それが見られるような形のデー タをつくっております。  例えば、これは福岡県の例を、多分産業医大がある場所をお示しするのが一番いいと 思いますので、福岡県のデータでございますけれども、例えばがんでいいますと、九州 大学病院が3,384例で1番。2番目が、九州がんセンターで2,691例という形 でそれぞれの病院ががんをトータルでどのくらい診ているのかという、こういうものを つくっております。  これは、こちらのほうにPDFで入っておりますので、御覧いただいて御検討いただ ければと思います。  こういうデータを使うことによって、例えばこの4疾病5事業の評価ができるんじゃ ないかというのが私どもの今のアイデアでございます。  厚生労働省の本体調査のほうでは、高度医療というところで5つ聞いておりますけれ ども、その中に、救急搬送ですとか、化学療法ですとか、あるいは放射線治療というも のも入っておりますので、そういう例数がどのくらいかということも分析できますし、 それから、分娩数はとれないんですけれども、異常分娩とか、低出生体重の患者さんの 数が分かりますので、そういうものを一つの代替変数として、小児医療、周産期医療に 対する評価ということもできるんじゃないかということで、今、研究班の間で検討をし ているところでございます。  さらに、このデータをもう少しビジュアルにやろうと思いますと、次のページの分析 もできます。  これも福岡県の福岡市、福岡医療圏のデータでございますけれども、福岡医療圏で、 MDCの01、03、04、ちょっと多いところだけにしていますけれども、それぞれ のMDC別で、がんのトータルの患者さんを各病院が何例診ているのかということをこ ういう積上げて示しております。  いろいろ特徴はあるんですけれども、さすがに九州大学病院ですと、耳鼻科とかそう いう非常に手間のかかる手術みたいなものはがんセンターとか大学病院がやっていると いうことが見てとれると思います。  例えば、がん診療ですとか、脳血管障害、心筋梗塞、こういうもので見ることによっ て、各医療圏における各病院の役割というものも、今この1,428の病院のデータに 基づいて分析できるようになりました。  あと先生方にお配りしたCDの中には、もうちょっと細かく、がんについてはもう少 し細かいデータも入っております。  これは、それぞれのがんについて、例えば肝臓がんですとか、食道がんですとか、そ れらについてどういう状況であるかということもデータとしてこの中に入っています。  それをちょっと集約してみたものが、その下の図でございます。これは何かといいま すと、都道府県別に横軸に10症例以上持っている病院が何パーセントあるのか。それ から、最も症例の多い病院がその地域の都道府県のシェアを何パーセント取っているの かという、この2つの軸に沿って、肝臓がんについて見たものです。  例えば、一番上の奈良県、山口県、和歌山県、岩手県、山梨県というのは、半年に1 0例以上の手術を行っているのが1施設だけで、その施設で100パーセントのシェア をとっているということを示しております。  一番下の北海道、神奈川、兵庫、東京、大阪、福岡、愛知というところは10症例以 上の病院というのが、大体10%か15%ありますので、ただそれが症例数としてどの くらいシェアをとっているのかというと、20%ぐらいしかとっていないということを 示しております。  このように、地域によって、がん診療をする力にかなり差があるということが見てと れますし、その一方で、例えば上のほうで100パーセントやっている病院というのは、 その地域のがん診療に関してかなり貢献している病院というふうに言えるだろうと思い ます。  このような形で、DPCのデータに基づいて、各病院が地域においてどのような役割 を果たしているのか。こういうことを評価して、それを何らの形で係数にするようなこ とができないかということを研究班で検討しております。  長々と御説明させていただきましたけれども、今研究班でやっている研究の一端を御 紹介させていただきました。  CDの詳しい内容につきましては、1枚紙をお配りしておりますので、これを御参考 にして、また見ていただけたらと思います。  何か御意見等ございましたら、忌憚のない意見をいただけたらというふうに思ってお ります。以上でございます。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  ただいまの御説明につきまして、御質問、どうぞ、斎藤委員。 ○斎藤委員  松田研究班の大変な労作を見せていただいて、感銘深く拝聴したんですが、そしてD PCのデータを活用すると、非常に思いがけないことが見えてくるんだなということも 大変印象的でした。  今後、当分科会、あるいは基本問題小委員会等で、病院の機能評価の係数を求めてい くというときに、どういう病院機能が高く評価されるべきなのかと。そういう議論の大 前提というか、数学的に言えば公理みたいなものですよね。これは、全ての人が納得す る病院の高い機能であると。そういうことがないと、先生方の研究の成果をランクづけ することがなかなか難しいかなと。  先生のところで4群12項目にいろいろな立場で検討しておられますけれども、それ らの中で、最終的には重みづけしたり、あるいは取捨選択したり、そういうことによっ て評価ということが決まってくるんだと思います。  その点、先生方の研究班で、病院の高い機能というのは、そもそもどういうものなの かと。私たち日本病院会で調査すると、例えば患者満足度であるとか、それから良質な 手術のアウトカムであるとか、あるいは地域医療への貢献度とか、そういうようなこと が上げられてくるわけですけれども、先生方の考えておられる高い病院の機能、評価さ れるべき病院の機能というのはこういう4群12項目の中で、どういうふうに今後ラン クづけされてくるのかなということが知りたいんです。 ○松田委員  やはり共通の評価でございますので、共通のフォーマットでとられているもので評価 されるべきものだろうというふうに思っています。  そういう意味では、どういう患者を診ているのか。どういう医療行為を行っているか。 そのベースとなっている構造、ストラクチャー、そういうものをベースに評価をすべき だろうと思います。  よく患者満足度とかの話も出てくるんですけれども、患者満足度とかそういうのは多 分施設間の比較は非常に難しいだろうと思っています。それは何かと言うと、悪性腫瘍 を扱っている病院とそれ以外の病院、多分患者さんが各病院に持たれている期待が違う と思います。  満足というのは、期待と実際の結果の差として得られるものだと思いますので、そも そも重症の患者さんを扱っている病院と軽症の患者さんを扱っている病院では、満足を するということの対象が違うだろうと思いますので、そこをベースにしての患者満足度 みたいなものを係数化するということは少し難しいんだろうと思います。  患者満足度というのは、多分同じ病院で時系列で見ていって、その変化が起こったと きに、下がった上がったということで、何か起こったんじゃないかという形で使われる べきものであろうと思っていますので、そういう意味で、私どもが係数といいますか機 能として考えるべきものは、あくまでどういう患者さんを診ているのか、どういうプロ セスで診ているのか。そして、それに関連して客観的に評価できるようなアウトカム、 そしてそのベースとなっているストラクチャー、この辺で評価すべきだろうというふう に考えています。 ○斎藤委員  もう一つよろしいですか。  国民が納得する医療制度をつくり上げるということ、あるいは実際にDPCを運営し ている医療機関が納得ないし満足する制度ということから言うと、やはり一言で言えば 良質な病院と。  良質な病院とは何かという大前提がないと、いろいろなことを非常に細かく見ていっ ても、そこにつなぎにくいのかなという危惧がするんですが、その辺はいかがでしょう か。 ○松田委員  今、いろいろ分析してみて、やはり思いますのは、たくさん患者さんを診ている病院、 それから多くの多様な傷病を診ている病院は高い機能を持った病院ではないかなという ふうに考えています。  ただ、単科の病院をどうするかという問題があります。その単科の病院というのは、 例えばそれが脳血管障害の単科の病院であるならば、その地域におけるそういうものに 関する4疾病5事業といわれているものに関する救急も含めてですけれども、貢献度と いうものを評価していく。そういう形でやればいいんじゃないかというふうに考えてお ります。 ○西岡分科会長  ほかに。どうぞ。 ○山口(直)委員  ばらつきの分析をとても興味深く拝見して、すごいなと思っているんですがばらつき の評価のときに、なるべく同等の患者さんの中で、ばらつきがどうかとどうしても見た くなって、一つは、このカラーのきれいな、石川先生がおやりになった分析、肺炎・手 術なし・副傷病なしということでかなり絞っているんですが、年齢を、相当何か幅があ りそうな気がするんですが、それは先生、どういう感じになっていますか。 ○松田委員  まだ、年齢のところで区分した分析をしてないですけれども、これはやらないといけ ないと思いますので、御指摘いただければ年齢で区分して分析をしたいと思います。 ○山口(直)委員  年齢はなるべくシャープに絞ったほうがより鮮明な何か特徴が出るのかなと思います。  それから、全く同じような見方なんですけど、胃がんの在院日数のばらつきのところ は、逆に病気の状態とか年齢とか、患者さんについて相当いろいろな患者さんが入った 上でのデータですよね。  これももうちょっと同等の患者さんでどうかというところ、もうちょっと絞っていた だいてどのくらいばらつきがあるのかなというふうなものをぜひ見たいなというふうな 気がしますので、その辺、引き続きよろしくお願いしたいと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、池上委員。 ○池上委員  2点伺いたいたいと思います。  医療計画における都道府県の単位の話とこのDPCを結びつけるのは必ずしも妥当で はないと思います。  と言いますのは、例えば4疾患5事業について考えた場合、都道府県の人口というの は、15倍ぐらい違うわけですね。  そうなりますと最後のほうにあります地域における病院の役割という、この図で、肝 臓がんでお示しいただいたように、10症例以上の病院というのは、全国敷衍的な機能 の尺度として見ていいんですけれども、最も症例の多い病院のその当該都道府県におけ るシェアというのは、ちょっと別の切り口だと思います。  つまり人口規模の小さい県においては、たとえ当該病院における件数が少なくても、 シェアとしては総体的に高くなるわけです。  ですから、もし診療報酬が都道府県単位に設定されるのだったら、DPCの機能係数 を都道府県単位にやるのはよろしいでしょうけれども、東京都と島根県を同次元に、こ のように東京都における肝臓がんのシェアの高い病院と島根県における肝臓がんのシェ アの高い病院とを同列に見なすというのは、私は妥当ではないのではないかと思います。  それが1点でございます。  もう一つは、先ほどもばらつきの7というところで、肺炎で手術なしという、これだ けが1日当たりで見ているんですね。1日当たりで見るのが、これが一番はっきり見え たんですけど、ほかは入院日数が延びれば当然薬剤費やあるいは検査・画像も増えてく るというのは、これは当然でありますので、この1日当たりで見ますと、この調整係数 が高いところの病院との間には、格別関係は見られないように私は見えるんですけど、 先生は、出発点として機能係数は固定費であるというところからお話しになったんです けど、これは歴史的な診療の仕方を反映しているというふうに見なしたほうが妥当では ないかと思います。  その歴史的な診療の仕方が必ずしも標準化されてないので、このばらつきについての (7)のように、個別のDPC分類で見た場合には、調整係数が高さとこの出来高換算の点 数、あるいは入院日数との関係が明瞭に見られないということをあらわしているのでは ないかと思うんですけど。  以上の2点について、御見解を聞かせていただければと思います。 ○松田委員  多分ちょっと説明の仕方が悪かったのかもしれないんですけれども、シェアだけで見 るべきものじゃないだろうというふうに思っています。  それは、もう一つ理由があるんですけども、例えば全国での病院のトップ10リスト とかいうのを見てみますと、がんセンター病院とかが出てくるわけです。これは何かと 言うと、いわゆる地域を越えても患者さんの移動が起こっているということですので、 ですから、地域内のシェアだけで病院の機能を評価することは無理だろうと思います。  そういう意味で、病院の4疾病5事業の評価ということで、それであえて説明をして いるんですけれども、症例数とそれからシェアというもので見ていく。それに加えて、 どのくらいその病院がその他の地域から患者さんを受け入れているのか。総合的に評価 していくか。これはあくまで分析の視点でございますので、これで完全にそれを決定の ときに決めちゃうということではありません。  ただ、分析の視点というものはこういうものがあるんじゃないかということを研究班 内で検討しているということです。  2番目の御指摘ですけれども、まさに先生の御指摘のとおりでございまして、前回、 診調組D−1で、抗生物質の使い方に関するデータをお示ししたんですけれども、病院 によってかなり差があります。  その差というものが例えば前回お示しした抗生物質の使い方で言いますと、多くの病 院は第一世代、第二世代の成分系を予防投薬として使っておるわけですが、その中に第 四世代の成分系ですとか、あるいはカルバペネム系を使っているという病院がかなりあ ります。こういうものは、歴史的なものであるかもしれませんけれども、こういうばら つきの妥当性について、臨床科の先生の御意見を伺いながら評価をしていって、もしそ ういうものが調整係数に反映しているものであるならば、そういうものを除いてやはり 考えていくということをやらなければいけないのではないかと考えています。  今の調整係数の中には、多分、その病院の持っている機能に関係するものも入ってい ると思いますけれども、それ以外にやはりそういう効率といいますか、望ましい医療と はちょっと違ったばらつきも含まれていると思いますし、それを除いていくという作業 をやらなければいけませんので、それが僕たらが今ばらつきの分析をやっているという ことで、今お示ししたのは、このデータに基づいて高い調整係数を持った病院が高い機 能を持っているということをお示しししようというわけじゃなくて、どこに差が出てい るのかということをいわゆる記述的に見たというデータでございますので、このデータ に基づいてさらにまた分析をしていくという、そういうふうに私たちは考えています。 ○池上委員  ちょっとその点、まず最初の問題について、冒頭、これは調整係数をめぐっての研究 というふうにお断りになったので、もしそういう観点からですと、この10症例以上と いうことは妥当ですけど、集中度という医療計画の発想からの分析というのは、適切で ないのではないかということを申し上げたかったわけです。  後半について、確かに、機能を反映している部分と効率性を反映している部分がある んですけど、一般的に考えると症例数が多いと、本来ならば実際にかかるコストは下が るはずなんです。それが下がってないというのは、先生がチャージとおっしゃいました けど、もともと設定された点数ベースの出来高のチャージといいますか、料金に基づい たコストでありますので、私は本来であれば、例数が増えれば、病院にかがる実際コス トは下がるはずなので、それが必ずしも下がらないとしたら、それは点数ベースでコス トを評価しているからではないかと思います。 ○松田委員  研究班のスタンスですけれども、私どもは調整係数と機能係数は分けて考えていま す。  私たちがやらなければいけない仕事は、基本的に、あるべき論ということで、機能評 価するということで、調整係数がなくなるということと並行して、私たちのほうでは各 病院の機能を評価しなければいけないという機能を考えるところの係数ということです ので、研究の中で、調整係数と機能係数が直接リンクしているわけではありません。  調整係数がなくなるということを前提として考えたときに、やはりそこの中に含まれ ている機能というものをどういうふうに評価するかということが私どもの出発点ですの で、ですから、実際の今の調整係数そのものと私たちの研究が直接リンクしているわけ ではありません。  ちょっと禅問答みたいになっちゃいましたけれども……。  もう一つ、今の先生のお話の中でばらつきについての(2)というのを見ていただいたら よろしいかと思うんですが、確かに同じ疾病に関してたくさん数を見ているということ であれば、見てない病院に対して、量、ボリュームが多ければ多いほどコストが下がる だろうと思います。  多分、それがもしかすると単科の専門病院ということになろうかと思います。  ただ、この図で、私たちが言いたかったことは、症例数の多い病院というのは、やは り診ている患者さんの病気の種類も多いということです。  ですから、診ている患者さん種類が多いということは、必ずしもその当該疾病の数が ある病気の数がすごく多いということとはまた違うと思います。そこのところはやはり 少し区別して考えなければいけないのではないかというふうに思います。  調整係数の高い病院というは、比較的やはり前回もお示ししましたけれども、稀少性 係数とか、複雑性指数が高い病院ですので、ある程度数は少ないけれどもそういう病気 も診ているという病院が多いように思いますので、そういうものをどういうふうに評価 するかということがポイントじゃないかというふうに考えています。 ○木下委員  今日の先生の御研究の趣旨としては、将来病院の機能係数を定めていくための基礎デ ータをということだと思うんですけれども、今日、お示しいただきましたデータ、幾つ かのパラメータの中で、それを例として出されましたが、こういうものは一つに集約す ることはなくて、ばらつきというのは当然あるだろうと思いますが、ばらつきがあっ て、当たり前であろうというのは、これだけの全国の特定機能病院から地方の地域の中 小病院まで入っているということからすれば、ばらつきがあって当然かなと思います。  というふうなことで、これを一つのことに集約していくということは、逆にこのデー タを基にして、どういうふうな方向でもって、この病院機能係数にしていくかという、 その考え方をまず教えていただきたいと思います。  こういうばらつきのものをどういうふうにして、数値化するわけでありますから、ど ういうふうな考え方で、これをまとめていられようとなさっているのかが一つです。  私はむしろ逆に一つにまとめるということよりは、本当に特定機能病院でありますと か、特殊な高度な病院というのがあるわけでありますので、そういうところとそうでな いところとでは自ずと違うのではないかと。それを一つにまとめて病院機能係数として しまったときに、果たして今の地域医療の崩壊と申しますか、本当に困っている状況の 中で、むしろこれに火をつけるようなことになりかねないかという危惧が実はございま して、本当にみんなが満足するような病院係数にしていかなければ大事でございますの で、ただリサーチだけではなくて、本当にこれは日々の病院の問題になってまいるだけ に、極めて大きな試みであろうと思っております。  その意味で、全ての病院が救われなければ始まらないというふうな視点からどういう ふうな考え方でこれをまとめられていくのかという、考え方がおありになると思います ので、ぜひそれを伺わせていただきたいと思います。  そういった意味では、今、幾つかお話がございましたけれども、大病院とか、特定の 機能病院、そこは恐らくそれ以上の機能を持たせるということは、中小病院においてな かなか難しいという現状のもとで、そういう機能を持たせるものだけを特化して、それ は当たり前の話でありまして、だからこれがいいんだということにならないというファ クターがやはり地域の中小病院ということを考えますとあるわけであります。その視点 からぜひコメントをいただきたいと思います。 ○松田委員  多分、係数は一つじゃないだろうと思っています。  いろいろな、各病院が持っている機能を個別に多分今のいろいろな係数がありますけ ども、その係数という形に置き換えていって、各病院がそれぞれの持っている機能を積 上げるような形で、その病院係数が決まるという形が、やはり望ましいのではないかと 考えています。  何々病院だから、何々係数が一義に決まるというものではないだろうと思います。  多分、それは前回の資料でもお示しさせていただいたように、特定機能病院だけを切 り出すわけにもいかないだろうというふうに考えています。  特定機能病院以外にも前回にお示しした資料の中では、かなり高い機能を持っている 病院がございますので、そうしますとやはりそういう病院がイコールフッティングで等 しく評価されるようにしていかなければいけないだろうというふうに考えています。  多分これから限られた医療資源の中で、各地域でどのように医療資源を配分していく かということを多分今まではあまり施設間で話す場がなかったのではないかなと思いま す。  私もある地域の医療計画の委員会に入っていますけれども、その地域全体として、そ の地域の住民にどのような医療を提供していくのか。それを各病院がどういう役割をも ってやっていくのかという議論が今までほとんどされていなかったように思います。  隣同士の病院が同じような医療をやっていて、これからはそれぞれの病院がその地域 の中で、それぞれの持っている病院の強みを生かしながら、お互いに機能分化と連携を してやっていくという体制をつくっていかないと、そもそもやはり医療資源が足りなく なってしまうと思います。  そのためにやはりデータが必要で、今日、お配りしたようなデータに基づいて、各医 療機関が話し合っていただいて、そしてやはりその地域住民に対して適切な医療をやっ ていくという、そういうことをやっていかなければいけないんじゃないかなというふう に思います。 ○木下委員  ありがとうございました。  こういった病院機能係数が一つではなくて、その状況に合わせて複数あり得るという ことは大事な話だと思いますが、しかしそれはどのような仕組みでもってそう変えてい くか、その基準は何かということがむしろ大事だと思いますので、このデータをベース にこのばらつきというのは、逆に意味があることではないかと思いますだけに、それを 生かすような形の機能係数のつくり方の指針と申しますか、そういうのを御提示願いた いと思いますので、よろしくお願いいたします。 ○西岡分科会長  斎藤委員、どうぞ。 ○斎藤委員  木下委員の御発言とも関連するんですが、分科会長の御意見ないし御経験を伺いたい んですが、分科会長が基本問題小委とか地域の総会なんかでもいろいろな議論を聞いて いらっしゃいますけれども、そもそもDPC病院が果たすべき役割は何なのか。DPC 病院に対する国民的期待は何なのかと、そのことが先ほど私が言った大前提ないし公理 としてはっきりしないと、いろいろな分析のデータを見ても、それをどう評価係数に落 とし込むかということがなかなか納得できる格好で見えてこないと思うんですね。  DPC病院に対する期待、あるいはDPC病院が果たすべき役割というのは何なんで しょうか。 ○西岡分科会長  これは、お答えするのは非常に難しいものなんですが、やはり地域におきまして、高 度な医療をしている、なおかつ高度で質の高い医療を提供できる急性期疾患に対する、 そういったことができる機関であるというふうに私は考えております。  ですから、急性期医療をこの分科会の中で、どういうふうに定義するかといったとき に、非常に軽症から重症まで全部含めるということで、今までで決定していただいてお りますので、その中には、比較的軽症なものを扱っていらっしゃるところもあります し、非常に重症なところも扱ってくると。そういったものも今のところは全部入らざる を得ないという形なんですが、そんな中で、これからの形としては、どういったものが 先生おっしゃるように、DPC病院として適切なのかというのがきっちり議論されなけ ればいけないんじゃないかと。これは私の個人的な意見でございますが、これを言って しまいますと、また世の中がひっくり返ってしまいますので、言えないところもあるん ですが。そういったふうに考えております。  多分、回りの患者さんのほうからもそれだけ質が高く、まずさらに高度な医療を提供 してくれる病院というのが期待されているんじゃないかというふうに思っております。 ○酒巻委員  今の議論に続けての話なんですけれども、松田先生が非常に膨大な資料を基に非常に きれいにまとめていただいたわけですけれども、結局、現状で存在している数字という ものを分析するということと、それから例えば地域での役割というのを議論するとなり ますと、地域で不足している分はどうするかという問題になっていくわけですね。  それは数値として汲み上げることは非常に難しい。だから、いくら数字を積上げて も、最後に地域の必要度というものを何らかの方法で評価していかないと、現状で不足 している部分を固定してしまうようなことになりかねないということもやはり考えてい かなくてはいけないのではないかと思うんですけれども。  その辺を、ちょっと松田先生にお伺いしたいと思います。 ○松田委員  幾つかアプローチがあると思うんですけれども、一つは、このデータを使っていただ きますと、食道がんといいますと、手術がほとんど上がってこない都道府県がありま す。再建率を伴うような食道がんの手術がほとんど上がってこない都道府県がありま す。そういう都道府県でも恐らく食道がんの患者さんは発生しているわけです。  その食道がんの手術というものに関して、その地域は多分自己完結していないという ことが見えてきます。  多分、一つはそういう形で評価をしていきます。  例えば、あとこれはDPC対象病院を地図の中に字数を使ってはりつけるという研究 を東京大学の堀口先生がやってくれているんですが、それに症例数を実ははりつけます と、ベースを時間地図にすると、例えば、医療圏単位で心筋梗塞の患者さんがどのくら いどこで診られているのかということが見られるようになっています。  ベースのところで心筋梗塞の発生に関するような指標があると、供給と需要のミスマ ッチというのが評価できます。  そういうことに基づいて、足りない機能を評価するということは多分できるだろうと 思います。  もう一つのアプローチとしましては、これは今回私たちの研究班の仕事ではなくて、 研究班のメンバーである伏見先生が患者調査を使ったデータということで、今回この資 料には入れてないんですけれども、伏見先生が患者調査のデータを基にして、それらの 地域の傷病構造を患者さんの医療圏の内外の移動も含めて分析をされたんです。  そのデータに基づいて見てみますと、やはり確かに傷病によって需要と供給が合って いないというところがかなり出てきます。  多分、それが待てる急性期であれば、もしかしたらまだいいのかもしれないですけれ ども、待てない急性期、例えば脳血管障害ですとか、心筋梗塞みたいなものでそれをど う考えるのか。多分、そういうことで一つははやりやっていかなければいけないと思い ます。  もう一つは、先ほどの急性期とは何かという話に関係してきますが、これも伏見先生 のお仕事ですけれども、やはり脳血管障害で平均的にどのくらいリハビリテーションが 必要なのかということを基にして、彼が医療圏単位での、これは推計ですけれども、回 復リハビリ病床の必要病床数を推定しております。そうするとほとんどの医療圏でこれ が足りないということが見えてきます。  そうするとやはり急性期だけではなくて、亜急性期、そこも含めて、どのように医療 提供体制をつくっていくのかということを議論しなければいけないと思います。  多分、急性期ということではなくて、その後の慢性期をどういうふうに考えるのかと いうことを含めて医療提供体制というのは考えなければいけないと思います。多分、そ のためのデータが徐々にできつつあると私たちは考えています。  でも、先生の御指摘は非常に重要なポイントだと思います。 ○西岡分科会長  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  ばらつきの内容分析の7の胃がんのばらつきですけれども、我々も10年ほど前にや はり10ぐらいの病院を調べてみると、在院日数はやはり胃がんの場合には非常にばら つきました。同じだと思います。  問題は、単純な胆摘とかヘルニアは恐らくばらついてないんじゃないかなと思ってお りましたが、意外に同じようにばらついていていました。そのときの結論はやはり在院 日数の短縮もさることながら、やはり病院の稼働率を上げるためにやむなく在院期間の 長い施設があるということでした。  こういうデータを解析するときに、病院間に本当に技術的なこととか、診療内容が異 なるためにこんなにばらついている面もあるかもしれませんが、そういう経済的な事情 でばらついている可能性があるということを十分考慮していただいて解析していただか ないと、このデータから、あるべき姿なんてとても生まれるはずがないな、という具合 に思いますが、いかがでしょうか。 ○松田委員  御指摘のとおり、多分今日はこれをお出ししたんですけど、深浦先生が、これ以外 に、appendectomyとかヘルニアの手術をやって、同じような結果を出されているんで すけども、私たちのほうでは、これ以上のことはいろいろ言えませんので、多分今やら なければいけないなと思っているのは、前後で診療区分別で見たときに、どういう医療 行為がどのくらい行われているのかということを多分見ることだろうと思います。  以前、実は、ラパタンで、術前の平均在院日数が10日以上ある病院が幾つかござい まして、DPCが始まったばかりのころですけれども、そのデータのEファイルだけを 分析して、その10日間は何をやられているのかというのを見たことがあります。  何もされていませんでした。検査もされていない。画像診断もやらせていない。ただ 寝かせているだけという。  多分、これはやはり急性期医療の在り方としては、少し問題があるだろうというふう にそのときは思いました。  この後、僕らが何をやらなきゃいけないのかなというふうに考えているんですが、横 軸に日数をもって縦軸に個々の、多分診療区分別に見たほうがいいと思っているんです けれども、平均的に何がどのくらい行われているのかということを数値として出して、 それを各学会の先生にお返しして、その妥当性を評価していただきたいなというふうに 考えています。  やはりここはもうクリニカルにプロセスを評価していただかなければ、私たちも前に 進めないと思いますので、それはぜひこれからMDC別の検討会も始まるようでござい ますので、そういう場でデータをお出ししたいと思いますので、ぜひその場で、先生方 から御意見をいただきたいと思います。 ○西岡分科会長  何か事務局のほうから御意見ございますか。 ○企画官  今、本当にいろいろな御意見いただいていますが、本日は、松田先生の研究班で、ど ういう項目が係数として考えられるかというのを、とにかくいろいろなものを拾ってみ て、その中で使えそうなものをという位置付けだというふうに理解しております。特 に、これに決めるという話ではなくて、この中で、どれなら使えそうだとか、あるいは もうちょっとこういう分析をしてみたらできるんじゃないかとか、そういう御意見をた くさんいただければというふうに思っております。  それから、先ほどの特に地域における役割のようなお話なんですが、これは診療報酬 自体は当然保険局なんですけれども、やはり先ほどから出ております医療提供体制と か、そういうものを医政局がどういうふうにやっていくのかということと連動させるべ きだというふうに我々も考えておりますので、今、幾つかそういう御議論が出ています けれども、そういう視点でもぜひお考えいただければありがたいというふうに思いま す。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  ほかに御意見等ございますか。 ○山口(俊)委員  がん研はDPCに参加していませんけれども、準備はしております。EFファイルと かいろいろなデータが集まるのはいいんですけれども、出すほうは非常に大変だという ことを実感しております。  1,000以上の病院からデータを集めていますが、いつまでこういうことをやるの でしょうか。これを減らしてはいけないのか。つまり代表的な病院だけで十分じゃない のでしょうか。  というのは、やはり事務の方が、こういう作業をするということは必須であればやむ を得ないですけれども、ただ数が多ければいいというものでもないように思います。そ の辺りの今後の進め方、つまりある程度の数が集まってきたらもう一定の病院のサンプ リングでやるのか、あるいはDPC参加病院は今後データを永遠に出さなければいけな いのかということをちょっとお伺いします。 ○西岡分科会長  これはどなたがお答えになりますか。事務局、お願いします。 ○中田補佐  今の御質問は、DPCの本体調査の御意見かと思いますが、DPCにつきましては、 まず各医療機関からの診療行為を基にして、診断分類に応じた点数設定を行う必要がご ざいます。  したがいまして、参加医療機関全てのデータを使って、計算することが精緻化の上で は大前提だと思っております。  現在の調整係数とか医療機関別係数、これは全医療機関のそれぞれに設定している係 数でございます。医療機関ごとに計算して、設定している状況でございますので、サン プリング調査になりますと、そこから外れて調査ができなくなってしまうと、そういっ た係数を設定できなくなってしまうということがございますので、今後も全医療機関が 提出することが制度の運用上、必要と思っております。 ○山口(俊)委員  本当にDPCによる包括医療の維持のために、このデータが全て本当に必要なんでし ょうか。永遠に。これがないと、そういう評価ができないんでしょうか。そうであるな らば永久にやるんだという見解でよろしいですね。 ○西岡分科会長  どうぞ、お願いします。 ○中田補佐  今後、さまざまな医療機関がDPCに入ってくる中で、DPCの在り方もいろいろ検 討する必要があると思います。当調査については、サンプリングで行った場合に、その 方法によって、診療行為の点数が変わるということは、あまり好ましくないことではな いかと思いますので、やはり診療報酬に直接関与する分につきましては、より精緻に計 算できる全数調査が好ましいのではないかと思っております。 ○西岡分科会長  医療の透明化ということもありますし、実際に医療のプロセスをお互いに比較してい ただくという面では、どうしてもこれはデータを出していただかないといけないんじゃ ないかなというふうに私は思っておりますけれども。 ○山口(俊)委員  そういうお考えであればそれはそれで結構ですけれども、やはりコストを十分に評価 していただきたいというのが希望です。 ○熊本委員  関連して、また施設の外的基準に関する調査もまた今度ということで、調査がオープ ンになるんですよね。ですから、山口先生がおっしゃったように、病院としてはいろい ろコスト的なことも関わってくると思うんですけれども。  こういったものを見ますと、電子レセプト的なことで出していますよね。そういった ことからでも整合性をとっていろいろなことできる可能性とかも今後継続的なというこ とを含めてあるんじゃないかなという思いを持ったんですけれども、その電子レセプト 的に出していることと、レセ電算との関連とか、そういったこととはどうなんでしょう か。将来的なことを含めて。 ○西岡分科会長  これは、事務局で答えられますか。本来は、DPCのデータを出してくださるような ところはIT化されてないと、多分これは無理だと思うんですね。  ただ、ちょっとお伺いしますと、まだ手書きのところもあるというふうなことで、本 当にそれでいいのかなと、ちょっとびっくりしたところがありますが。 ○中田補佐  大変恐縮でございますけれども、レセプトの電子化をどう反映していくかにつきまし ては、まだ検討途上でございますので、現段階でどのようになるかということはお答え できない状況でございます。 ○西岡分科会長  では、吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  これは、係数とは直接関係ないんですけれども、たまたま今日は、中医協の遠藤会長 がいらっしゃいますし、西岡会長が多分中医協に行けば、いつも言われる粗診粗療。こ のばらつきの(6)、(7)、(8)、(9)、この中から、これは粗診するんじゃないということを分 析できるんですか。  要するに、検査・画像診断、薬剤費、これだけ詳しいEFファイルいってますんで、 いかがでしょうか。 ○松田委員  今、ちょっと研究班の中で、考えていることは、まず当該疾患に関して、例えば8割 ぐらい発生する医療行為は何だろうと。これはグルーピングしないといけないと思って いるんですけれども、それがどのくらいの割合で発生するのかと。  例えば、仮に在院日数が長いとしても、そこで押さえるべき医療行為が押さえられて いれば、それは正しい診療だろうと思います。  ただ、押さえるべき医療は何かということについては、これはもう臨床観察員にお聞 きしなければいけないと思いますので、こういうばらついているデータをベースとしな がらも、実際に何がどのくらい行われているのかということを集約データとしてつくり たいと思っています。  それを見ていただいて、例えば、こういう手術に関しては、ちゃんとこういう検査を やるべきだとか、術後にこういうことをやるべきだという、臨床科の先生に見ていただ ければ分かると思いますので、そういうものがきちんと押さえられているかどうかとい う、そのプロセスの質というものを評価するような軸を一つ設定したいなと考えていま す。  あとは、先ほどの熊本先生の話にも関係するんですけれども、現場の先生方からやは りいただく御不満の一つに、様式1をつくるという作業が非常に大変だということをい つも言われます。  これはもう学会の先生方にお願いしなければいけないところですが、ある意味で、実 際サマリとしてのミニマムをもし学会の先生方のほうでつくっていただいて、学会ごと に必要な項目というものを決めていただいて、それをそこに入れるというものをもし全 体としてつくれるのであれば、多分各病院で医師が埋めなければいけない実際サマリを つくるということが様式1につながるという仕組みがつくれれば、多分現場の先生方の 負担というのはかなり下げられるんじゃないかなというふうに思っています。  そういう意味で、ぜひ臨床科の先生方のほうから、いわゆる共通の様式1のフォーマ ットみたいなものをぜひ、私たちも提案したいと思いますけれども、考えていただい て、そこに合意していただけると、現場の先生方の負担は少し下げることができるので はないかと思いますし、いろいろな意味での後利用も可能になるのではないかというふ うに考えます。  これは、僕が発言するようなことではないかと思うんですけども、先ほど熊本先生の お話の中にもありましたように、やはりできれば今つくっている、つくらなければいけ ないデータで、いろいろな調査にも参加できるほうがいいと思います。  いわゆる時間的な軸もありますので、大変だと思うんですけれども、将来的にはやは りこの支払いという作業と調査という作業が一体化する方向でやはり物事を進めていっ たほうがいいのではないかというふうに考えます。 ○酒巻委員  私も実は支払いという行為と、それから調査というものがなるべく一体化されるよう な仕組みが必要だと。そうでないとなかなか永続性というか、長続きしないんじゃない かという気がしていますので、それはどこがどういう形でこれをつくり上げていくのか ということが問題になってきますが、もしかすると事務局の側がかなり大きな役割を持 つんではないかと思いますので、どうやって検討していくのかも含めて、ちょっとお考 えを伺いたいと思います。 ○西岡分科会長  よろしいですか。お願いいたします。 ○企画官  支払いと一体化といってしまうと、まさに包括の支払いですから、一番簡単な形で終 わるということで出来高の情報がないということになってしまうわけですけれども、む しろそれについては、それによる不都合というか、アップコーディングの可能性など、 こちらの分科会でも御指摘されて、むしろ内容を分かるものをつけろという話になった ぐらいでございますので、その辺の兼ね合いについては、大変難しいと思います。また その包括の点数を決めるに当たっても、そもそも出来高でどういうことをなさっている か、どういうコストがかかっているかということを見ないと、その包括の点数というも のが決められないというところがありますので、やはり、非常に難しいところではない かなというふうに思っております。  もちろん現場の御負担をなるべく軽くするようにということは、我々としても思って いるところですけれども、その辺のところでいいアイデアがあれば、むしろ先生方に御 教授いただければというふうに思います。 ○池上委員  今日、配布いただいた資料の中で、DPCレセプト提出時における包括部分に係る診 療行為の内容の添付についてという資料がございますけれども……。 ○西岡分科会長  あとで、その他のところで。 ○池上委員  いや、もうそろそろ5時になってきましたので、特にそれについて……。 ○西岡分科会長  もう少しあと5分ぐらい議論していただきますと、それからそちらのほうに移らせて いただきたいと思っておったんですが。 ○池上委員  といいますのは、これのレセプトに必要なデータとの兼ね合いで、今議論されていま すデータとも関連で考えないといけないと。 ○西岡分科会長  その前に、どうぞ。 ○小山委員  先ほど山口先生から参加されてないというお話だったんですけれども、やはり来年で も1,400病院、病院の数からすると9,000病院ぐらいあるんですね。そのうち の1,400病院、それがデータを今必死になって出している。出していて、さらに調 整係数がこれでなくなってくるということでもって、非常にある意味で、窮地に追い込 まれている状況になってくると思うんですよね。  そのときに、やはりここに参加するかしないかということ自体が、問題になってくる と思うんですよ。問題になってくるというのは、参加しないほうがいいと考えているよ うな病院があるんですよ。  でも、参加している病院は、莫大なお金をかけてこれだけの資料を提出しながらなお かつそれをそぎ取られるような行為がこれからされようとしているわけですよね。ここ ら辺のところに、ちょっと言い方は、非常に申しわけないんですけども、やはり参加し ている病院がある程度参加している、これだけの人的な資源、経済的な資源も停止して いることに対して、やはり評価をしていただかないと、ただ調整係数が今度なくなるよ と。みんなそれはしようがないねと思っているんですけれども、やはりちょっとやりき れないものが病院を運営する立場からすると出てくると思うんですね。  そこら辺に対してやはり調整係数をなくして、機能係数になっていくわけですけれど も、その中にぜひ調整係数、機能係数の中に、参加しているということがある意味で、 プラスになるような要因を入れていただかないと、すごく虚しいものがある感じがする んですが、そこら辺のところの考えはいかがなんでしょうか。 ○西岡分科会長  誰がお答えすればよろしいんでしょうか。  実際には、DPCに入っていらっしゃるということが一つのステータスを得るような 形になってきつつあると思うんですね。  いろいろな御批判はあるかとは思うんですが、公理の問題だとかというので、指摘さ れているところはあるんですけれども、それでもそんなに多いという数ではなく、限ら れた施設になっております。  ですから、やはりこういういい医療を提供していくという努力をされている、なおか つそれを透明化して、国民の皆さんにお示しできるような医療をしていっているのが、 このDPC病院じゃないかというふうに思いますので、それだけの手当をぜひともして いただけるとすごくいいと思っていますが、その面に関しては、ちょっと我々のほうは 権限がございませんので、ぜひとも御意見を出しておいていただければいいかなという ふうに思いますが。  どうぞ、山口委員。 ○山口(俊)委員  我々がまだ参加していない理由はただ一つで、採算が合わないということですね。  参加したところは調整係数でペイすると考えて参加されていると思います。そして、 DPC参加を促すためのえさとして調整係数がついているわけで、いずれ廃止されると いうこともよく御理解されて参加されたと思います。また別にえさを寄こせというの は、ちょっとむしがよすぎるのではないでしょうか。DPC制度がきちんと成り立つよ うにするということには同意できますが、参加しているところとしてないところを差別 するというのは、ちょっと理屈が合わないんじゃないかなと感じました。 ○小山委員  病院の運営の現状が非常に厳しい中でやっているわけです。DPCに参加していると ころだけが細っていって、参加してないところがもし太ってくるのだとしたらば、これ は制度としてやはり問題だと思います。  そこがやはり議論する必要があるというふうに思います。 ○山口(俊)委員  私が大変感謝しているのは、松田先生がいろいろこういうデータを解析して、いろい ろな矛盾点があるということが分かって、例えば化学療法の取扱いとか、どんどん変わ ってきている。やはりこれは正しいので、我々も調査に協力しようという結論になりま した。そういう形でよくなってきたときに参加するか、最初からフロンティア、パイオ ニアとしてやったかという違いはあるわけで、その勇気には大変敬意を表します。 ○西岡分科会長  ありがとうございました。  この問題に関しては、まだ議論が続くと思いますが、これに関しまして、今日の議論 はこの辺りで次の議題に移らせていただきたいと思います。  また、いろいろなアイデアが出ると思いますので、ぜひともアイデアを出していただ いて、調整係数の問題をまとめていかなきゃいけないというふうに考えています。  事務局のほうから、次の。 ○中田補佐  事務局から説明事項がございます。  各委員の机上のみの配布資料でございますが、「DPCレセプト提出時における包括 部分に係る診療行為内容の添付について」、「DPC対象病院における明細書の発行に ついて」、につきまして御説明申し上げたいと思います。  まず、「DPCレセプトの診療行為内容の添付について」、につきまして御説明申し 上げます。  経緯でございますが、平成20年度の診療報酬改定の項目として、平成20年2月1 3日における中医協で、DPC対象病院についてはDPCにおける診療報酬明細の提出 時に包括評価部分に係る診療行為の内容が分かる情報を加えることが既に決定されてお ります。  これにしたがいまして、事務局がこれまで作業してきた内容につきまして、ここで報 告する次第でございます。  実施方法と実施時期でございます。  各医療機関の診療データよりコーディングの確認に必要なデータ、以下コーディング データと略させていただきますが、これを抽出いたしまして、将来的にオンライン請求 が可能な様式にして、レセプトとは別に電子媒体にて提出することとしております。  実施時期につきましては、現在のところ、平成21年1月診療分より実施する予定で 検討しているところでございます。  なお、今回の取扱いにつきましては、適切なコーディングの確認のみ活用するといっ たことを目的としております。  医療機関におきまして、コストや事務負担が軽減されるように、1入院期間のデータ ではなく、レセプトの診療月のみのコーディングデータを御提出いただく様に検討を進 めております。  なお、次回診療報酬改定時には、直近の3カ月分のコーディングデータを御提出いた だくようなこと、及びコーディングデータもオンライン請求で行うことも合わせて検討 しているところでございます。  具体的に、出来高情報がどのように添付されるかといったことをこの模式図で示した ものでございます。  DPC病院からは、電子レセプトと紙レセプト、こちらの2つの包括レセプトが提出 されているところでございますが、この度のコーディングデータにつきましては、電子 媒体にて御提出いただくことが特徴になっております。  コーディングの確認に必要なデータにつきましては、それぞれの実施年月日、診療の 識別コード、レセプト電算処理システムコード、使用料、使用料データ、回数などが入 っております。  続きまして、出来高情報ファイルを添付した場合のレセプトの提出や返戻の流れを模 式図的に示したものでございます。  電子レセプトを用いた場合で示したものでございますが、医療機関でレセプトを作成 していただきまして、1月診療分よりこのコーディングデータを合わせて御提出いただ くことになるかと思います。  これが、支払基金・国保中央会のほうに提出され、そこで各保険者に分割、及び審査 を行いまして、保険者にそれぞれのデータが届きます。それぞれの保険者によって、ま た審査、点検のほうで、返戻がございますと、それが支払基金等を通じまして、各医療 機関に返戻という形で戻ってくるものでございます。  もともと紙レセプトで提出している場合も原則同じでございますので、説明は省略さ せていただきたいと思います。  その他の事項でございますが、実施に当たりましては、課題がございます。  一つ目の課題といたしましては、各医療機関においてはシステム改修のコストが発生 するという課題でございます。  こちらにつきましては現在、出来高情報を1カ月分のみとすることによりまして、コ ストが削減できるよう検討しているところでございます。  また、オンライン請求が可能になれば、将来的な医療機関のコストを削減できるので はないかといったことでございます。  現在、紙レセプトでDPCの包括レセを出していただいているところの課題でござい ますが、支払基金・国保中央会におきましては出来高情報との突合を手作業により行う ことということになっております。  したがいまして、今後、各医療機関におきましては、極力、オンラインや電子媒体に より請求いただくようお願いするといった予定でおります。  以上が、出来高情報の添付の説明でございます。  DPC対象病院における明細書の発行についてあわせて御説明申し上げたいと思いま す。  明細書の発行の義務化及び電子化加算の見直しについては、先ほど申し上げた平成2 0年2月13日の中医協の資料の中で、DPC対象病院については、入院中に使用され た医薬品及び行われた検査について、その名称を付記することが望ましいということが とりまとめられ、いわゆる努力義務でございますが、医薬品や検査名について、名称を 付記することという対応が求められているところでございます。  また、費用徴収をする際には、実質的に入手の妨げとならないような料金を設定する といったことも合わせてお願いする次第でございます。  こちらにつきましては、そもそものDPCの出来高情報を御提出いただくといったこ とに合わせて実施するものでございますので、実施時期につきましては、診療行為内 容、出来高情報の添付と同時期としております。したがいまして、現在のところは平成 21年1月診療分から開始を予定して検討しているところでございます。  また、1点追加がございまして、請求時になるべく病院の負担を考慮するようにと御 指摘をいただいたかと思いますが、こういった出来高情報の電子ファイルを提出すると きに、現在厚生労働省が実施している調査とこういったレセプトに添付する様式を将来 的には統一して事務作業の軽減を図れるように、将来の課題として検討しているところ でございます。以上でございます。 ○西岡分科会長 ありがとうございます。  どうぞ。 ○斎藤委員  返戻という現象なんですが、出来高の場合には、支払基金や保険者からの返戻という のは診断名とそれから治療内容が食い違っている場合とか、あるいは治療内容が過大に 過ぎる場合とか、そういうのがほとんどだと思うんですが、DPCにおける返戻という のはどういうときに発生してくると想定しているんでしょうか。 ○中田補佐  これは、現段階の想定での話ということになりますが、例えばDPCのコーディング の根拠となった傷病名と出来高情報の中の行為内容が明らかに傷病名と一致しないよう な行為等があるものについて、診断群のコーディングに疑義があった場合には、支払機 関のほうから病院へもう一回コーディングについて確認をしていただくといった趣旨の 返戻があり得ることが想定されております。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  同じような意味の質問なんですけれども、適切なコーディングという、適切なコーデ ィングはなんであるかというのは、もう少し丁寧にどこかでは説明せざるを得ないんじ ゃないかということがまず第1点です。  それから、二つ目は、当然保険者との間でのさまざまなやり取りになると思います が、当分の間は、その保険者とどういう形でやり取りがなされたかというモニタリング をこれは私たちではできないことですので、厚生労働省として何らかの形で、どういう やり取りがあったのかということだけでも、やはりきちんと監視をしていただきたいと いうふうに思います。  保険者は実にさまざまな考え方を持って、これに当たりますので、非常に大きな温度 差が生まれてしまうということを非常に危惧いたしますので、よろしくお願いいたしま す。 ○西岡分科会長  邉見先生、どうぞ。 ○邉見委員  2月13日の中医協のこの案に、私、賛成したんですけれども、これは、患者に分か りやすい立場ということで、支払側の方が、もうDPCは全くブラックボックスで何が やられているのか分からない。何の薬が使われているのも分からないということであれ ば、ある程度、こういうものも出たほうがいいんじゃないかといって賛成したわけで す。その後、この出来高部門を出すことに対して、非常に負担が多いと、病院側から事 務負担が多いし、あるいは経費のほうも必要であるということが出ましたので、どのよ うにかして、少し期限を次のシステム改変、あるいは診療報酬改定に合わせていただけ ないか。あるいは3カ月を少し減らしていただけないかということを我々病院団体とし ては要望していたことに、このように応えていただいてありがたいと思っているんです けれども、もう少し待って、もう次の改定の時までということはできないのかというの が1点です。  それから、今、酒巻委員のほうからありましたけれども、全部の人に出すのでなく、 要望者とか何か制限はできないのかということ。この2点をお聞きしたいと思います。 ○西岡分科会長  よろしいですか。お願いいたします。 ○企画官  明細書の話につきましては、御存じかと思いますが、平成20年2月13日に平成2 0年度診療報酬改定の主要改定項目の一つとして取り決められたところでございます。  したがいまして、事務局といたしましては、それに基づき、平成20年改定の中で実 施していくといったことで、今、作業をさせていただいているところでございます。  また、医療機関のほうでいろいろ制限をするとか、検討することができるのかといっ たことの御質問かと思うんですが、明細書につきましては、あくまで明細書の提出をす ることが望ましいといった、望ましい要件にはなっておりますが、これを議論された背 景がございますので、そこは各医療機関に御協力をお願いしいたといったことで考えて いるところでございます。  また、先ほど酒巻委員からの御指摘については、各保険者等におきまして、今回の出 来高情報の取扱いが異なってくるにではないかといったような御指摘でございますが、 先日支払基金のほうで御検討され、御発表された内容に基づきますと、今後いろいろ各 支払基金支部のほうで、そういった取扱いを統一しようといったことで取組みを進めて いるところでございますので、我々厚生労働省といたしましても、そういった取り組み と連携いたしまして対応していきたいと思っております。 ○西岡分科会長  邉見先生、どうぞ。 ○邉見委員  地方市立病院に見られますように、公立病院は非常に厳しくて、総務省の改革ライン に沿って、もうぎりぎりまで経費削減ということを少しでもとやっておりますので、国 立病院のほうは、この間、全病院が明細を出すというふうなことが出ましたので、自治 体病院も出さなくてはいけないのではないかという意見が大分出ていますので、加えて できるだけ負担の少ないような方向にお願いしたい、要望ですので、回答結構です。 ○西岡分科会長  酒巻委員、どうぞ。 ○酒巻委員  今、二つの話が交錯しながら出ていますので、少し整理したいと思いますけれども、 一つは患者さんに明細書を渡すというお話ともう片方はレセプトに明細をつけて持って いくという、この二つの手なんですね。  患者さんに明細、診療内容が分かる明細を出すということについては、私は何ら問題 はないし、透明化ですから当然だろうと思うんですね。  しかし、適切なコーディングというところについて十分な理解がなされていない段階 で、あるいはどんなふうに使われるか実際には分からないような状態で、これを全てつ まびらかにしていく、そのほうがいいだろうと思いますけど、しかし、適切なコーディ ングとは何であるかという議論を十分なされているということがやはり条件だというふ うに思いますので、そこはこのDPCそのものを生み出すときの議論というものが当然 あったわけですから、それと今回詳細な内容がレセプトの中に出ていくということにつ いては、全然話がある意味でかみ合わないとしか言いようがないような話になりかねま せんので、ぜひとも十分なフォローアップというんですか、少なくともトライアルのよ うな格好で動かすとか、何らかの方法をしていただかないと、非常に神経質なお互いの やり取りになってしまうということをぜひとも御理解いただきたいというふうに思いま す。  ものすごく神経質な話になると私は思っています。 ○池上委員  先ほど私がなぜEFファイルの課題において、これを時間をわきまえずに申し上げた かと申しますと、コーディングの確認に必要なデータ、行き着くところはEFファイル 全てということになるわけです。  仮に、それだったら、一つの見方はEFファイルをどっちみち作成の義務を課せられ ているんだから、EFファイルでいいじゃないかという見方もあるんです。  他方において、松田先生がおっしゃったように、EFファイルに基づいて分析しても、 8割、そのDPC分類で8割実施している、医療行為を実施してない病院も現実にはあ るということをおっしゃったので、そうなるとEFファイルがあったとしても、これは 適切な分類かどうかということをどう決めるかという、どう判断するかという点が私は 疑問に思いました。 ○西岡分科会長  松田委員、お願いします。 ○松田委員  また、誤解があったと思うんですけども、基本的には様式1とEFファイルからコー ディングをするというロジックは、研究班のほうでつくっていまして、そのマスターテ ーブルもつくっていますので、それを全部見ればもうコーディングはできます。  ですから、もうそれはできているんですが、先ほどいった8割というのは、コーディ ングに関係ない部分を含めて、プロセスとして行う医療行為がございますので、例えば 先ほどのやつで言うと、虫垂炎で合併症のないというものは、定義表に基づいて分類の コードが決まるわけですが、その定義表に載っていない医療行為は当然あるわけです。 画像診断とか検査とか、そういう検査とか画像診断の中で、どのくらいのものが発生し ているのか。  例えば、8割の症例で行われている画像診断とか検査であれば、例えば臨床の先生に 見ていただいて、これはこの一連のプロセスの中で、きちんと行われるべきであろうと いうことで包括の中に踏み込んじゃうわけですけれども、そういう形で評価という話で す。  ですから、8割の話とコーディングの妥当性とはまた別の話で、コーディングという のは、あくまで定義表に基づいてコーディングを行っていますので、それについては今 いただいている様式1とEFファイルを自動的にやることによって、コーディングまで できるようになっています。 ○池上委員  その点だけ確認いたしますと、先生のロジックに従って行ったコーディングとそれか ら病院が実際に請求のときに用いたコーディングとは100パーセント一致しているわ けですか。 ○松田委員  一致しておりません。100パーセントは一致しません。でも、基本的には実務に、 一致しないというのは、言い方が難しいんですけれども、例えば副傷病のありなしとか、 DPCのコードをフルの14桁で振っています。どういうことかというと、バツバツが ないコードで振っていますので、そのレベルで僕らはやっていますので、Dファイルが 出ているというところだけですけれども、それで見てみると一致しない例は当然ありま す。  ただ、それで実際請求している額にすごく大きな差異が出ているかというと、実務的 にはそんなに大きな問題は出てないのがほとんどです。 ○池上委員  言葉尻をとらえて恐縮ですけれども、それでもコーディングの確認という観点からす ると、100パーセント正確であるわけではないということを申し上げたかったんです。 ○松田委員  基本的には臨床的な判断が入る部分がかなりあると思いますので、その部分まで自動 化できませんので、それは私たちは、自動的にやっていますけども、臨床の先生の意見 を伺えば、そちらのほうになるというのは当然あると思いますので、多分、またそこの 部分は解釈なんだろうと私は思います。 ○池上委員  今の先生の話は分類の話として、これは審査の話として分類が適切かどうかを見るた めには、何らかのロジックを用いなければいけないわけですので、それで申し上げまし た。 ○松田委員  ですから、多分、審査というのも、コーディングロジックを逆に使っていただければ いいだろうと思うんですけれども、それでやっていって、出てきたものについて目で見 ておかしいか、おかしくないかということを判断する、多分2段階だろうと思います。  コーディングロジックで引っかかってくるものが、必ずしも間違っているというわけ ではなくて、それが臨床科の観点から見れば、こういうコーディングでもいいよなとい うものになるのがやはりほとんどだと思います。  そういう形で、多分審査というのは進むべきものじゃないかなと思っています。  ただ、いろいろと心配しているのは、これは、吉田先生にお聞きするのがいいと思う んですけれども、実際に審査に当たられる先生方、どのくらいDPCを理解されている か。そこが一番大きな問題じゃないかと思います。 ○西岡分科会長  吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  まさにそうなんですね。実際、DPCが始まって、東京の場合には、膨大ですので準 備したんですね。  我々、各地区に行ってみますと、北海道では受け付けないとか、大阪でももう分から ないから受け付けない。そういう現状だったんです。  それで今回EFが入ってきますんで、医師だけではできませんので、事務共助ができ ないかということで、中田課長補佐と一緒になって今やっているんですね。  基金本部すらがもう動かなかったんです。今回のことがありましたんで、基金本部で 東京から命令しまして、全国規模のグループをつくってくれと、審査をするグループを つくってくれと。そこで一つの審査の基準をつくろうと。  診断群分類と治療内容が合わないんです。いつの間にかいじっているうちに、疾患名 がどこかに行っちゃうんです。胃がんなのに、いつの間にか敗血症になっちゃって、そ ういういろいろな不備がありますので、そういうものだけでも、とにかく事務共助でで きないかということで始まったんです。  ですから、今中田課長補佐が言ったみたいに、全国規模でやるというのもそういう意 味です。  もう一つは、国保もあるんです。国保に関しても、一応社保に合わせるっていうんで すけど、あちらは何もいじってないんですね。だから、社保でもって基準をつくります ので、それにのっとって国保でも審査会として活用していただきたいということで今や っていますので、EFで出るということを機会に、事務共助ができないかということで 今やっています。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  斎藤先生、じゃ、最後に。 ○斎藤委員  ショートクエスチョンですけれども、松田先生に教えていただきたいんですけども、 ここの分科会でも非常に問題があったアップコーディングの問題があって、アップコー ディングをどうやって歯止めするかということです。  そうするとEFファイルからどういう治療をやったか、どういう検査をいつやったか というようなことが細かく出てくるのですが、検査の結果が診断を決めるわけですよね。 ですから、検査の結果ということにブラインドな状態で、診断分類の妥当性というもの は分かるんでしょうか。 ○松田委員  100パーセントかどうかは分かりませんけども、例えばDICという診断がついて いるのにもかかわらず、血液凝固の検査をしてないというのは多分あまりないだろうと 思いますし、これは一つの例ですけども、敗血症という診断がついているのに、抗生物 質が使われてないということも多分ないでしょう。  臨床科の先生から見れば当たり前のロジックを組み込むことによって、コーディング の妥当性というのは、ある程度スクリーニングできるだろうと思います。  それ以上のいろいろなスキルを持って、アップコーディングしているものについては、 それはもう無理だと思います。 ○西岡分科会長  ありがとうございます。  まだまだ議論が尽きないと思いますが、本日の議論はこれまでとさせていただきたい と思います。  あと事務局のほうから連絡事項とかございますか。 ○中田補佐  連絡事項は、特にございません。  次回の日程につきましては、決まり次第追って御連絡させていただきます。  以上でございます。 ○西岡分科会長  それでは、平成20年度第3回診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会を終了させ ていただきます。  本日は、お忙しいところありがとうございました。                  −了− 【照会先】  厚生労働省保険局医療課包括医療推進係  代表 03−5253−1111(内線3278)