08/10/02 第3回高度医療評価会議議事録 第3回高度医療評価会議 (1)日 時:平成20年10月2日(木)16:00〜18:00 (2)場 所:中央合同庁舎5号館6階共用第8会議室 (3)出席者:猿田座長、飯沼構成員、伊藤構成員、金子構成員、佐藤構成員 柴田構成員、関原構成員、竹内構成員、田島構成員、藤原構成員 村上構成員、山本構成員、出口技術委員 (事務局) 医政局研究開発振興課長 医政局研究開発振興課治験推進室長 医政局研究開発振興課医療機器・情報室長  他 (4)議 題:1 新規申請技術(5月受付分)の評価結果等について        2 新規申請技術(7月、8月及び9月受付分)について        3 追加協力医療機関(7月、8月及び9月受付分)について        4 安全性報告について        5 その他         (5)議事録:以下 ○猿田座長  お忙しいところご出席いただきまして、ありがとうございました。ただいまから、 第3回高度医療評価会議を始めさせていただきます。本日の委員の出席状況ですが、 川上構成員、田上構成員、山口構成員の3人がご欠席という連絡をいただいています。 本日は、これから諮ります案件に関して、出口技術委員にご出席いただいています。  まず、議事に入ります前に、事務局に異動がありましたので、事務局からご紹介の ほど、よろしくお願いします。 ○事務局  このたび夏の異動がございまして、研究開発振興課長が千村課長に交替しています。 ○研究開発振興課長  7月から研究開発振興課長になりました千村でございます。よろしくお願いいたし ます。 ○事務局  また、治験推進室長が佐藤室長に交替しています。 ○治験推進室長  同じく7月から治験推進室長になりました佐藤でございます。よろしくお願いいた します。 ○猿田座長  今日の資料の確認をよろしくお願いします。 ○事務局  事務局より資料の確認をさせていただきます。議事次第、座席表、開催要綱、構成 員名簿に加えまして、資料1−1が「新規申請技術(5月受付分)の評価結果等」、 資料1−2が「高度医療評価表」、資料2が「追加協力医療機関(7月、8月及び9 月受付分)」、資料3が「高度医療に係る予期しない重篤な有害事象等の情報に関する 報告について」です。また、参考資料1が「高度医療評価制度の概要」、参考資料2 が「第3項先進医療技術及び医療機関一覧」、参考資料3が「胸部悪性腫瘍のラジオ 波焼灼療法に係る健康危険情報への対応について」、参考資料4が「高度医療におい て予期しない重篤な有害事象や不具合等が発生した場合の対応について」です。以上 です。 ○猿田座長  お手元の資料、よろしいですか。それでは、早速議事に入ります。議題1は5月受 付分の評価結果ですが、これも事務局からご説明いただけますか。 ○事務局  資料1−1をご覧ください。このたび申請がありました技術はロボット支援手術で、 適応症が前立腺癌となっています。承認状況としては未承認の医療機器となっており、 医療機器情報としては、Intuitive Surgical社のda Vinci Surgical Systemとなっ ています。実施医療機関としては東京医科大学、金沢大学附属病院、九州大学となっ ています。審査をご担当いただいた先生としては、主担当として竹内先生、副担当と して田島先生、山口先生、また技術委員として出口先生にご検討いただいています。 また、総評としては「条件付き適」になっています。  1点、審議に入る前に確認をさせていただければと思っています。本検討会の対象 となる機器の製造販売企業または工業企業に関して特別関与する先生方はございま せんでしょうか。それでは回答なしということで進めさせていただければと思います。 ○猿田座長  ロボット支援手術、前立腺癌ということですけれども、これはお話がありましたよ うに主担当を竹内先生にお願いしたということで、まず竹内先生からご説明をよろし くお願いします。 ○竹内構成員  私から簡単ではございますけれども、ご説明をさせていただきたいと思います。資 料の1−2をご覧ください。「実施体制の評価」は山口先生と出口先生にしていただ き、「適」というご判断をいただいています。「倫理的観点からの評価」は田島先生に 審査をしていただき、4番目の「同意に係る手続き、同意文書」については「不適」、 ただし、対応された場合には「適」というコメントをいただいています。5番目の「補 償内容」については「適」ということでした。  2頁をご覧ください。「プロトコールの評価」は私がさせていただきました。6番 目の「期待される適応症、効能及び効果」に関しては「適」と判断しました。7番目 の「予想される安全性情報」については、「不適」としました。実施条件ですが、「予 測される安全性情報」については「米国・欧米での臨床試験・臨床現場での使用につ いての安全性情報について、正確な情報を患者に提供すること」という条件を課して います。8番目の「被験者の適格基準及び選定方法」については「適」と判断しまし た。9番目の「治療計画の内容」ですが、「不適」としました。ここで目的症例数を 書いてあったのですが、少し明確ではなかったので不適としましたけれども、これに ついては後ほど詳しく説明させていただきます。10番目の「有効性及び安全性の評価 方法」については、「適」としましたけれども、実施条件のところで有効性及び安全 性の定義が明確になっていませんでしたので、有害事象の定義をもう少し明確にして いただきたいと思っています。ただ、申請者のほうからは、現時点において, 有害事 象は1件もないという報告がありましたが、実際、どういう形の有害事象がないかと いうことが不明確でしたので、この点についてはもう少し明確にしていただきたいと いう判断をしました。12番目の「被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方 法」としては「適」としました。13番目の試験に係る記録の取扱い及び管理・保存方 法は「不適」と判断しました。その理由としては、この臨床研究を実施し、データを 採集するわけですが、誰がどのようにしてデータを管理するのか、誰がどこでコンピ ュータに入力するのかということが、「厳重な管理をする」という一文でまとめられ ておりましたので、そこをもう少し明確にしていただきたいと思い、このように判断 しました。14番目の「患者負担の内容」に関しては「適」としました。15番目の「起 こりうる利害の衝突及び研究者等の関連組織との関わり」も「適」と判断しました。 16番目の「個人情報保護の方法」は「不適」としました。その理由としては、先ほど のデータの取扱い等に関わることですが、患者情報をいかにして管理するかというこ とは、個人情報保護に関して非常に重要ですので、もう少し具体的に明確に記載して いただきたいと思いましたので「不適」という判断をしました。  3頁をご覧ください。「総評」ですが、一応、総合評価としては「適」、ただし条件 付きという判断をしました。予定症例数が、この申請書類によると1年間に50例で、 予定が5年間ということで250症例集積するということでした。先ほどの目的症例数 をどうするかということで私は「不適」としたのですが、ただ、今回の高度医療評価 制度は薬事法による申請等につながる、科学的評価可能なデータ収集の迅速化を目的 としていますので、必ずしも統計学的な有意差があることを想定しながら計算するこ とは、主目的ではないと判断しました。  ただし、私が思いましたのは、可能な範囲で倫理的に納得いく症例数の設定をして いただきたいと判断しました。よく抗癌剤で初めて人に投与する場合、非常に重篤な 副作用が出る場合には、最初に3例やってみて、有害事象等の判断をして次の3例を 入れるということがあります。この場合は3施設で実施する予定です。ですから各施 設3例ずつ入れていただいてほぼ10例です。そこで一旦、安全性がどうであったか を施設間で検討していただいて、継続しても適切であると判断した場合にば次の3例 を集積していただき、まず1年間は10例、10例毎に安全性を検討していただき、最 初の1年間に50例を実施していただいて、しっかりと患者さんに対しては不利益等 がないことを確認していただいてから、次の年から50例ずつ集積していただければ と判断しましたので、「10例を実施するごとに、実施医療機関において治療実績を十 分に検討することが適切」と判断しました。以上です。 ○猿田座長  いま、ご説明があったとおりですけれども、先に副担当の田島先生のご意見、それ から出口先生のご意見を伺いたいと思います。 ○事務局  1点だけ、田島先生からの別添の資料が落丁していまして、事務局のほうで直ちに 印刷してお持ちいたしますので、ご容赦いただければと思います。 ○猿田座長  それでは田島先生のご意見を伺わせていただきます。 ○田島構成員  説明書につきまして、一度修正していただくようにお願いしまして、その結果、修 正されたものをお出しいただいたのですが、それでもなおかつ過度に安全性を強調す る傾向が見られ、不利益な部分にはなるべく触れないというような全体の印象があり ましたので、最低限直していただく必要があるところを再指摘させていただきました。  全体の体裁について整理が十分でなく、必ずしも患者さんにとってわかりやすいも のとは言えないということがありますが、必要とされる事項については、一応網羅さ れている状況です。  説明書の中で削除していただきたい部分が2カ所あります。「今後、1、2年以内 に大半の前立腺癌手術がロボット支援手術になると予想されている」ということが書 かれていますが、これは単なる予測にすぎず根拠が示されていない上、「大半」とい う曖昧な表現は不適切だと考えます。  「全世界でこれまで行われた手術では、手術用ロボットに起因する事故の報告は1 例もない」という記述もありますが、この説明書の内容は日本と米国の説明に限って いるにもかかわらず、唐突に「全世界」という表現が持ち出されていて、全体の手術 例数がどれだけあるかも示されず、また、その報告がないことと事故がないことが同 義と受けとれる表現になっていることが不適切と考えますので、これも削除をお願い したいと考えています。  ロボット支援手術の過去の39の実施例が、すべて根治的前立腺全摘除術であるか 否かが、説明書の記載ぶりからは不明確なので、それを明らかにしていただきたいと いうことと、このロボット支援手術から開創手術に切り換えた例があるのかないのか。 ある場合はその数と、その症例ごとの原因も記載していただきたいと思います。  費用について記載していただきたいとお願いしたところ、自由診療の72万円の費 用の記述はしていただいたのですが、病院によって異なるという部分の記載は必要な い。これは東京医科大学病院等についての費用説明であることから、他病院に関わる コメントは不要ということで訂正をしていただきたいと思います。以上です。 ○猿田座長  議論は後でさせていただきます。技術の面で出口先生からお願いします。 ○出口技術委員  少し付け加えさせていただきます。田島先生が指摘された「有害事象」という言葉 ですけれども、これはおそらく取り違えて東京医大のほうでお書きになったと思いま す。有害事象というのはいろいろな合併症を指していますので、シリアスなものはな かったという意味で好意的にとりました。先生がおっしゃった開創手術に転換した場 合には、いちばん多くて5%、それも最初のシリーズで起こっているわけで、世界的 に見ると、大体多くて2%、通常はゼロで、ゼロの施設のほうが多いということです が、あるということはたしかです。  有害事象の付け加えですが、前立腺を取った後に尿道と膀胱を吻合しますが、腸管 損傷、吻合不全があったり、狭窄が起こったりします。いちばん多いのは出血ですが、 数パーセント、多い所では10%ぐらい起こっているという報告がありますので、田島 先生のご指摘はそのとおりだと思います。  有効性の問題ですが、先ほどご紹介があったように、この手術自体は3次元の世界 で操作する非常に特徴的なものです。しかも前立腺の全摘除術というのは骨盤内の深 い所で行います。このda Vinciの装置は10倍に拡大していますので、安全性という 意味では、有利と考えております。非常に修得しやすい面も含めて、普通の開創手術 に似た状態でできるということで推奨されるものです。確かに米国では、2007年度で 65%程度が、この装置の手術に変わっているということもあり、日本への導入という のは非常に望まれているところです。  有効性ですが、開創手術とほぼ同一ぐらいだと考えています。少なくともda Vinci を使った場合と開創手術を比較した場合、入院期間が短くなる、手術後の痛みが少な い、出血量が少ないという特長があります。しかし、両者に対する有効性に、大きな 違いはないと私は考えています。以上です。 ○猿田座長  いま、ご説明いただきましたけれども、委員の皆様方からご質問がございますか。 出口先生、これまでの内視鏡的な手術に比べると、安全性はずっと高いということで すか。 ○出口技術委員  腹腔鏡下の手術は2次元ですから、そこに鉗子を使った2次元の世界で3次元をイ メージしながら手術するという、一種の特殊な技術です。そういう意味では皆様ご存 じのとおり、初心者が十分な訓練を受けないで行うと、種々で問題が起こってくると いうこともあります。もし開創手術をある程度学んでいる医師であれば、このda Vinci は非常に入りやすくて、腹腔鏡下手術よりははるかによいと思っています。 ○猿田座長  先生方、ご質問はございませんでしょうか。 ○関原構成員  素人の質問ですが、いま腹腔鏡でやるような手術は、これをやればもうなくなると、 今後はリプレースされるということですか。 ○出口技術委員  その可能性が十分あります。と申しますのは、いまアメリカで前立腺の手術の65% がda Vinciに移ったということなのです。これまでは数十パーセントあったラパロ は、1%程度に落ち込んでいます。残りが開創手術です。 ○猿田座長  ほかにございませんか。 ○金子構成員  利点の1つに神経が温存できるというのがありますが、その点と、あとは癌の手術 ですから根治性についてはどうかということです。 ○出口技術委員  根治性については、開創手術と差異がないと言われています。ただ、断端陽性率か ら見ると非常によいという報告はあります。神経の温存は、特にEDになるために神 経束を残していくという手術が必要なわけです。これが開創手術よりはラパロのほう が良かったのです。あれもかなり拡大してスクリーンで見ていますので、神経の状態 がよくわかることと細かい操作ができるということで、神経温存が進歩して術後の勃 起不全をより減らせる可能性があります。そういう意味では、さらに進化しているda Vinciで行えば、成績はよいと思いますが、EDのデータはまだ見ていません。 ○猿田座長  ほかにございませんか。 ○山本構成員  私も領域的にあまりよくわからないところなので、お聞きしたいのですが、計画で はなくて登録票のほうがあって、1次登録票、2次登録票、3次登録票とあり、1次 登録票はおそらく術前の状況の登録だと思います。2次登録票がたぶん手術の内容を 登録するようになっていて、3次登録票がその後のフォローアップという感じで作ら れているみたいですけれども、先ほど竹内先生からもお話がありましたように、最終 的にひょっとしてこれでいい成績が出たときに、日本での承認にもつながる可能性が あるということなので、できればしっかりとしたデータを取っていただいたほうがい いと思います。  例えば2次登録票で、出血量何ミリというふうに書いてありますが、おそらく術中 の出血量を測るというのはすごく大変だと思います。ですから登録票の内容があまり にシンプルなのと、実際に書いてあるものをどのようにして取られるのか。特に単施 設ではなく多施設でおやりになるので、多施設で質の揃ったデータがこれで取れるの かというのがちょっと気になるのですが、出口先生の目で見てこのぐらいの内容で十 分なのか、もう少しリファインされたほうがよろしいかというところは、いかがでし ょうか。 ○出口技術委員  手術の善し悪しを決めることに関しては、評価するのがかなり難しいところがあり ます。先生からいまご指摘いただいたように、出血量を正確に測れるかどうかという のは非常に問題がありますので、逆に血中の血液を測って、それを重視するような手 順が少し必要かもしれません。輸血するということは、そもそもそこの時点でヘモグ ロビンが下がっているわけですから、そういった方法のほうがかえっていいかもしれ ません。 ○猿田座長  竹内先生、何かございますか。 ○竹内構成員  いま山本先生もご指摘されましたように、この登録票に1次、2次、3次があって、 実際に、もし後でいい結果が出れば申請ということになると、誰が書いて誰が入力し てというところは、しっかりしていくということも大事です。この登録票を私はよく レビューしていないのですが、果たして臨床的に意味があるのかどうかは、もう一度 検討する必要があると判断いたします。 ○猿田座長  先ほど追加資料で説明書に関して紙をいただきました。これについても見ていただ いて何か問題がございますか。 ○伊藤構成員  全くの素人なので教えていただきたいのですが、米国で65%も使われていて、何で 日本で4施設なのでしょうか。そんなに普及が遅れているのかということ。 ○出口技術委員  簡単でございまして、この装置が高いのです。ですからどこでも入れるわけにいか ないし、現在、薬事法も未承認ですから、その医療施設で全額負担しなければいけな いということになります。1人当たりここでは72万円という数字が出ていますが、 消耗費を含んだり入院費を含んだりということになると、それだけでも出費が重なり ますので、こういう形になっているとご理解いただければと思います。 ○伊藤構成員  もう1点ですが、これはトレーニングはどういうふうにするのですか。例えば、ア メリカである一定のトレーニングを積んできた人が伝授しているとか、何かそういう 担保がされているのでしょうか。 ○出口技術委員  申請書のほうに書いてありますが、この販売をしている会社を通じて向こうの施設 を利用し、大体2日間のトレーニングコースがあります。ブタを主に用いた訓練と、 そのほか人体での5〜10例を見学することで、トレーニングの終了証がもらえること になっているようです。かなりしっかりしたトレーニングのものを作っています。 ○猿田座長  よろしいですか。前の前立腺の内視鏡手術のことがありましたから、トレーニング をしっかりしなければいけないということです。それとda Vinciの機械というのは かなり高いものですから、なかなか買えないということもある。 ○関原構成員  この72万円に該当するのは、保険を使わないで医療のでやるといくらかかるので すか。 ○出口技術委員  普通の保険の点数では、いま腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術は45,300点で3,45万 円程度です。それでも消耗品費は大分かかります。装置も高いため手術費用も高くな る。da Vinciの消耗費が大体25、26万円だったと思います。腹腔鏡下手術では、ポ ートなどの消耗品が10万円近くなるということです。 ○猿田座長  ほかにございますか。 ○柴田構成員  データの集め方について、先ほど山本先生からあった点の追加の質問ですが、第3 次調査票に予後をとる項目があります。癌なし生存、癌あり生存、退院死亡という形 で、それを見てみると、「術後1年を経過した時点で当該手術1次登録患者について 患者状況を、調整医療機関の実施責任者に報告する。3次登録用紙参照」と書いてあ ります。これを各患者さんごとに報告するということになると、実施医療機関の先生 方は、例えば50症例の患者さんを1年間かけて登録するとすれば、毎週、この書類 を書いて送るということになると思います。それを集める先生方の側から見ると、こ の調査票では何月何日に手術をしたかわかりませんので、1年時点での生存割合を計 算しようとしても非常に苦労されると思います。ですから、ここには手術をした日と か、この調査票を書いた人をきちんと記録する必要があって、それがないと集計でき ないと思います。 ○出口技術委員  ごもっともです。 ○竹内構成員  おっしゃるとおりです。最終的には誰が書いて、誰が登録するか全然書いていない ので、そこら辺をもう少しデータの取り方とか、管理体制をしっかりしていただきた い。実際にこの登録票を管理するチームがどうなっているのかも全くない。ただPC を置いて登録するというだけですので、明確には記載されていないと思います。 ○柴田構成員  1つの提案としては、患者さんごとに1年後に報告してくださいということであれ ば五月雨になって、1年中書類をやりとりしないといけないことになりますから、例 えば登録した全対象の患者さんに対して1年ごとに、例えば年末に書類を送って返送 していただくことにして、患者さんの手術した日とその調査票を書いた日、その時点 で生存していたか生存していなかったか、再発していたか、していなかったかという 日付が取られていれば解析可能になるはずですし、データを集めるロジスティックス としても現場の先生方にとっても、忘れずに出していただきやすいし、集計する先生 方にとっても、そちらのほうがやりやすいのではないかと思いますが、いかがでしょ うか。 ○竹内構成員  ということは3施設やりますので、一元に集約したほうがよろしいですね。五月雨 式で1つの所で全部データ管理をしていただいて、専門の担当者がいて、第三者の方 が独立的に全部見ていくという形で管理したほうが、各施設でやるよりはよろしいで すね。 ○柴田構成員  おそらくそちらのほうが、実際にこの書類を書く先生方は日常診療をしている中で、 この書類も忘れずに書くというのは不可能だと思いますので、誰かがデータを集める トリガーを引く役割を担っていただく。そういうほうが実際に書く先生も楽になると 思います。 ○猿田座長  ほかにございますか。いまの全体的なお話を伺うと、出口先生のほうから技術的に は非常にいいものだということ、安全性に関しては出血と臓器に対する障害が10%以 下ということで、その点でもいいだろうということ。ただ、いちばんの問題は書類上 の不備、登録のこと、そこのところをしっかりしていただくという形で、条件付きで 認めるということでよろしいでしょうか。  そうしたらそういう形にさせていただきます。先生方、ありがとうございました。  新規のものはこれだけなのですが、あと7月、8月、9月受付分のほうに関して、 事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  7月、8月、9月分の新規申請技術の受付はありませんでした。以上です。 ○猿田座長  まだ始まったばかりですから、なかなかしっかりと出てくるものがないということ で、7月、8月及び9月の受付分に関しては今のところないということですが、かな り相談は来ているのですね。 ○事務局  事前相談自体は、かなり寄せられていますので、追い追いご検討をお願いできれば と考えています。 ○ 猿田座長  よろしいでしょうか。そういうことで、たくさん相談は来ているけれども、まだ案 件としてしっかり上がってきているものは、今のところないということでご了承いた だきたいと思います。  続きまして「追加協力医療機関」に関して、やはり7月、8月及び9月分に関して 事務局からお願いします。 ○事務局  資料2をご覧ください。「乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索」 という技術について、埼玉社会保険病院ほか22医療機関から申請がありました。ま た、「悪性黒色腫におけるセンチネルリンパ節の同定と転移の検索」について、大阪 市立大学医学部附属病院、名古屋市立大学病院から申請がありました。今後、定めら れた医療機関の実施要件等について確認をした上で、追加の手続きを行うこととなっ ております。以上です。 ○猿田座長  お手元の資料を見ていただくと、「乳がんにおけるセンチネルリンパ節の同定と転 移の検索」という技術について、ここではこれだけの施設が出てきましたが、かなり の所がやっているということです。あと、悪性黒色腫に関するものが2施設というこ とですが、この施設に関してどなたかご質問がありますか。 ○藤原構成員  いま、ざっと見たのですが、投与薬剤と商品名も含めて、センチネルはいろいろな 色素を使いますしRI法もありますし、両方使っている施設もあります。投与方法も たぶんばらばらだと思います。見てみると金額も、色素だけでなく、ほかの全身麻酔 の吸入薬とか点滴、術後の抗生物質を計上している病院があってばらばらなので、そ こはたぶん上の先進医療会議のほうで見ると思います。私は最初の評価のときに聖路 加の事務局の方に、投与方法や薬剤を統一して全国でやらないと、これが2年とか3 年経った後に、例えば薬事の承認申請を考えるにあたって何のデータにもならない可 能性があるので、揃えてほしいというお願いをしました。全国の病院で使用している 薬剤と投与方法、請求している薬の値段について、一覧表で見ることができるように していただけませんか。 ○猿田座長  いまお話がありましたように、かなり統一がとれていないということで、これはた くさんの施設がやっていますけれども、1回、きちんと整理しておく必要があるかも しれません。事務局から何かご意見がありますか。 ○事務局  今後の進め方については、実施医療機関等も含めて検討させていただければと考え ています。 ○猿田座長  かなりの施設になっているものですから、かなりばらばらなのです。そういったこ とをもう1回、きっちり整理していただければということです。これはかなりの施設 になっていますよね。 ○事務局  資料に付けていますが、乳がんについてはかなりの施設になっています。 ○猿田座長  藤原先生、この次までそういうことでよろしいでしょうか。  この施設に関して、ほかにご意見はございますか。いま、ご指摘いただきましたこ とに関しては調査させていただくということで、統一していかなければいけないと思 いますので、その点はこれからやらせていただくということになります。  もしほかにご意見がないようでしたら、次の議題に移ります。次は「安全性報告に ついて」です。これも事務局からよろしくお願いします。 ○事務局  お手元の資料3及び参考資料3をご覧ください。参考資料3を見ていただくと、こ の案件については、実は第1回の高度医療評価会議に報告のあったラジオ波焼灼療法 に関するFDAからの安全情報の続報というか、クラリフィケーションになっていま す。今回の内容としては資料3の2頁の(1)及び(5)で、実施者からの報告の内 容をご覧ください。  今回のFDAからの報告については、新たな死亡事故等が発生しているわけではな く、前回同様、被験者への十分な説明等を求めることになっているということです。 今回の実施医療機関については、既にFDA等が求めている被験者への説明等は行って いるという報告です。また、関係グループの会議において、再度注意喚起等を行うこ ととされています。(5)にありますように、実際の重篤な有害事象の発生状況とし ては、我が国ではそういった事象は発生していないということでした。以上です。 ○猿田座長  これは、この前の会議においてもかけさせていただきましたが、特に岡山大学のほ うが、ちゃんとこういう対応をさせていただくということです。  資料3と参考資料3に関して、委員の先生方から何かご意見はございますか。いま のところ日本では大きな問題は起こっていない。ただ、アメリカのほうで死亡例が出 たということで、向こうでは対応をしっかりやっているようです。どなたかご意見あ るいはご質問はございますか。 ○伊藤構成員  これは研発課の課長あてに送るという話になっているのだろうと思いますが、ほか の厚労科研費などでは、例えば厚生科学課に送ったり、ものによったり、もらってい るお金によって送る場所が統一的になっていないような気がするのですが、それは将 来、統一をする方向は考えていらっしゃるのかどうか、教えていただけるとありがた いと思います。 ○猿田座長  事務局、ご意見はございますか。 ○事務局  現時点で、私のほうで方向性をお答えするのは難しいのですが、今回のものについ ては第1回の会議で、とりあえず研究開発振興課長あてにお送りいただくということ で整理しています。そこは実質どういう形でやっているかに応じて、必要な所に報告 していくというのは、ある程度やむを得ない部分ではないかと思っています。  先ほどの健康危機管理調整会議については、この報告を受けて我々のほうで内部情 報共有等を図っています。先生方の情報の出し先という観点であれば、またそういう 意味では必要な対応はそれぞれ必要だろうと思っています。 ○研究開発振興課長  いまご説明申し上げましたように、それぞれの事業を所管している課において、そ れぞれの事業の中で発生した健康危険情報については一義的に把握をさせていただ くというのが、いまの原則としています。ご説明申し上げましたように、すべての情 報について省内で統一的にその情報を把握する、あるいは情報を把握した上で、対応 について検討するという観点から健康危機管理調整会議というのがあり、ここに報告 するというのが原則になっています。この件も報告することにしています。その上で 最終的な対応については、それぞれの所管課にもう一度戻ってくるのですが、それに ついてどういう考え方を持って対応するかということは、省内で統一的に検討すると いうのが原則になっています。今回のこのケースについても、その原則に則って対応 したいと考えています。 ○猿田座長  特に高度医療の場合には、どうしても新しい技術ということで、何か起こる可能性 は十分にあるということから、何かあったらすぐ連絡をしてくれという形を、前の委 員会のときにもお願いしています。ですから今度のラジオ波の場合も、割と岡山のほ うは神経質になって連絡してくださっているということです。 ○柴田構成員  補足で気になっていることをコメントさせていただきます。先ほど伊藤先生からも ありましたように、厚生科学課に報告するもの、安全対策課に報告するもの、研発課 や保険局、あるいは先進医療でしたら都道府県の社会保険事務局長など、5、6カ所 に報告することになることがありえて、例えば高度医療評価制度であっても、適応外 の薬を使用している場合には4カ所、5カ所の報告先が出ることもありえると思いま す。  省内での取扱いについては、いま課長から説明いただいたとおりだと思いますが、 それぞれについて報告の基準が違っている部分があるように思います。例えば未知重 篤なものを報告しろとか、臨床研究の倫理指針に従った場合と健康危険情報の通告に 関する基準等、あるいは高度医療評価制度に従った場合の報告の基準などで、基準が 完全に一致しているわけではないので、ある事象が起きたときに、これはこことここ には報告しないといけないけれど、こちらに報告しなくてもいいということが、起こ りえる状況になっているように思われるのですが、その点について何か整理をされる 方向性はあるのでしょうか。 ○研究開発振興課長  端的に申し上げまして、いまここで私はお答えする立場にないというのが正直なと ころです。ただ、いまご指摘の点というのは非常に重要な点だと思いますので、担当 課とも相談をしてみたいと思います。 ○猿田座長  ほかに何かございますか。安全性にだけは十分注意して進めていきたいと思ってい ますので、よろしくお願いします。ほかに何かご意見はございますか。実は今日は1 件しかなかったことと、あとはすべてまだ準備状況ということで、今日議論していた だくのはこの程度ですけれども、せっかくの機会ですから、委員の先生方から何かご 意見がありましたらどうぞ。 ○村上構成員  せっかくですので、今日の議論も踏まえて気になった点でお願いしたい点がありま す。今日も申請書類の中でデータマネージメントのあり方が議論になりました。実は 前回も藤原構成員からデータマネジメント体制、あるいはモニタリング体制をどうす るのかということの問題提起があったと思います。これからいろいろな申請を受ける にあたり、これらの基本的な考え方というか、体制のあるべき条件等を事前に示した ガイダンス資料の作成を、事務局でご検討いただけると非常にありがたいなと考えま す。データマネジメントは先ほどの話しのように、きっちりとCRFは作る。そして それをどのように電子化していくのかの手順書も作る。モニタリングにおいてもモニ ターをちゃんと置くべきなのか置かなくてよいのか、あるいはその手順書をどうする のか、といったことをきっちりと示してあげることで、審議もスムーズにいきますし、 申請者の利便性も図れると思いますので、是非ご検討のほどよろしくお願いします。 ○猿田座長  結局、受けるときにそういった形をしっかりとするということ。どうもまだ申請し てくる施設も慣れていないのです。そういったことで、いま言われたことは特に大切 ですので、少しでも早く進められるように、そういったことをこれから検討したいと 思います。よろしいですか。まだ出てくる施設が慣れていなくて、相談という形で来 ていますけれども、いまおっしゃった点は非常に大切だと思います。 ○山本構成員  時間があるようなので、私も村上先生とほぼ同じ趣旨ですが、今度の4月から臨床 研究の倫理指針が改定されて施行されるのですが、そこにデータマネージメントとか モニタリングについて記載されています。ただ、具体的にどうしたらいいかというと ころがあまりないので、それと絡めてもう少し具体的なQ&Aを出していただけると、 こちらの関わりとしてもすっきりしていくのかなと思います。  特に先ほどのセンチネルリンパ節の同定の乳がんのほうで、この高度医療の位置づ けが、委員の中でも完全に揃っているのか私もわかりませんけれども、私個人として は、これはあくまで臨床試験であり、確実なデータを揃えて最終的に可能性があるの であれば、その承認のデータにも使えるというものを目指しているはずであると考え ています。  例えばこの間も新聞に、高度医療の制度で通ったものがあったとき、これは要は混 合医療の抜け道ではないですが、そこに1つのやり方が出てくるという感じでしか書 いていなくて、単に今まで適応がなかったものを、お金を払えば医療保険と一緒に使 えるようになるという印象で、たぶん一般的には受け取られていると思います。少な くとも主幹になっている医療機関の方には、研究の事務局として最終的にある一定期 間の後にはデータをまとめて、公表するなり何なりしていただくということ。  こういうふうに乳がんの施設がどんどん増えていくのを見ていると、はっきり言っ て1つの医療機関の事務局が、そういう研究の事務局としてしっかり把握できるスケ ールを超えてしまうのではないかという心配もあります。もちろん、良い技術がどん どん使われることはいいことではあるのですが、目的はそういう目的があるというこ とを、きちっとわかっておいていただく必要があると思います。 ○猿田座長  いま山本先生がおっしゃったことは、実はこちらのほうも大体つかんでおりまして、 乳がんにおけるセンチネルリンパ節はかなり例数が増えました。ただ、先ほど言った ように試薬の問題等をしっかり整理して、それで検討しようということになっていま す。特に大切なことは、安易に高度医療を使えばいいというのは非常に怖いですから、 その点は厳重に注意していこうということです。動き出して間もないものですから、 皆様方のご意見を聞きながらやっていこうということです。事務局もそういうことで よろしいですね。ほかにご意見はございますか。ちょうどいい機会ですので、いくつ か意見をいただいて、だんだんとしっかりとした体制を作っていきたいと思います。 もしないようでしたら、事務局、今後についてご説明ください。 ○事務局  次回の日程はまだ未定ですので、先生方に日程を伺った上で、ご連絡させていただ ければと思っています。また、本日の議事録については作成次第、ご確認をお願いし て、その後公開させていただければと思いますので、併せてよろしくお願いします。 以上です。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかに先生方、何かご意見はございますか。もしないよ うでしたら時間が早いですが、まだあまり案件がないということで、これで第3回目 の会議を終わらせていただきます。ご協力ありがとうございました。        照会先  厚生労働省医政局研究開発振興課  TEL 03−5253−1111  高度医療係 松本 内線2589