08/09/30 社会保障審議会第12回少子化対策特別部会議事録 日時:2008年9月30日(火) 17:00〜19:00 場所:中央合同庁舎第7号館12階共用第2特別会議室 出席者:  委員   大日向部会長、岩渕部会長代理、内海委員、大石委員、小島委員、清原委員、   駒村委員、佐藤委員、庄司委員、福島委員、宮島委員、山縣委員、吉田委員  参考人(オブザーバー)   三鷹市健康福祉部子育て支援室長     市原勝彦参考人(清原委員代理)   三重県健康福祉部総括室長(こども分野) 速水恒夫参考人(野呂委員代理)  事務局   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、堀井調査官、   朝川少子化対策企画室長、杉上虐待防止対策室長、藤原家庭福祉課長、   中村児童手当管理室長、今里保育課長、宮嵜母子保健課長 議題:  次世代育成支援のための新たな制度体系の設計について  1.次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会の開催等 について  2.保育サービスの提供の新しい仕組みについて 配付資料:  資料1−1 次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会 開催要綱  資料1−2 第1回次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者 検討会 議事要旨  資料2   保育サービスの提供の新しい仕組みについて  参考資料1 資料2に関する参考資料  参考資料2 次世代育成支援に関する各種提言等  参考資料3 第1回次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者 検討会資料(抜粋) 議事: ○大日向部会長  定刻になりましたので、ただ今から社会保障審議会第12回少子化対策特別部会を開催い たします。委員の皆さま方には、ご多用のところお集まりくださいましてありがとうござ います。議事に入ります前に、事務局から資料の確認と委員の出席状況に関して、ご報告 をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  それでは、お手元に配布しています資料の確認をさせていただきます。最初に「議事次 第」がございまして、その下に資料1-1といたしまして、「次世代育成支援のための新たな 制度体系の設計に関する保育事業者検討会 開催要綱」があります。その下に資料1-2と して「第1回次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会  議事要旨」が1枚、その下に資料2として、「保育サービスの提供の新しい仕組みについ て」という横長の資料です。その下は参考資料になりますが、参考資料1としまして「資 料2に関する参考資料」、その下が参考資料2といたしまして「次世代育成支援に関する各 種提言等」、一番下に参考資料3といたしまして、昨日開催されました「第1回次世代育成 支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業検討会」に提出されました各保育育 事業者から提出があった資料(抜粋)がございます。もし不足等がございましたら、事務局 にお声を掛けていただければと思います。  委員の出席状況ですが、本日は岩村委員、杉山委員、野呂委員、山本委員からご都合に よりご欠席とのご連絡をいただいております。それから、清原委員は出席のご予定ですが、 到着が遅れるというご連絡をいただいております。駒村委員、庄司委員、大石委員は間も なく到着されると思います。それから、福島委員は.途中で退席されるというご予定を伺 っております。なお、清原委員のご到着までの代理としまして三鷹市健康福祉部子育て支 援室長の市原勝彦参考人と、野呂委員の代理として三重県健康福祉部総括室長の速水恒夫 参考人にご出席いただいております。ご出席をいただいております委員の皆さま方は定足 数を超えておりますので、会議は成立しております。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。議事に入ります前に、参考人のご出席についてお諮りいたし ます。ご到着が遅れる見込みの清原委員の代理としてご出席をいただいております三鷹市 健康福祉部子育て支援室長の市原勝彦参考人、ご欠席の野呂委員の代理としてご出席いた だいております三重県健康福祉部総括室長の速水恒夫参考人のご出席について、ご異議は ありませんでしょうか。よろしいですか。  (「異議なし」の声あり) ○大日向部会長  ありがとうございます。それでは、これから議事に入りたいと思います。本日はお手元 の議事次第にありますように、まず「次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関 する保育事業者検討会の開催等について」、事務局からこの検討会の設置についてご報告 をいただくとともに、同検討会の座長にご着任なさいました本部会の岩渕部会長代理およ び事務局から昨日の検討会のご報告をお願いしたいと思います。それに続きまして「保育 サービスの提供の新しい仕組み」について事務局からご説明をいただいた後、皆さまにご 議論をお願いしたいと思います。それでは、保育事業者検討会の開催につきまして、事務 局よりご報告をお願いいたします。 ○今里保育課長  保育事業者検討会の開催につきまして、ご報告申し上げます。資料1-1ですが、「次世代 育成支援のための新たな制度体系の設計に関する保育事業者検討会 開催要綱」でござい ます。前回のこの会議で大日向部会長から、保育事業者の検討のための場を設けるように との指示があり、これに基づきまして設置しましたものです。目的につきましては、縷々 書いてありますけれど、今までの本部会における検討状況をまず書きまして、その後に、 今後これに基づいて、少子化対策特別部会において「基本的な考え方」に基づいて、さら に議論を進めることとしているが、この議論に資するために、雇用均等・児童家庭局長が、 保育事業者等の参集を求め、次世代育成支援のための新たな制度体系の設計に関して議論 を行うためということで、この検討会を開催するというのが趣旨となっております。  別紙として付いておりますのが、保育事業者検討会の名簿です。保育事業者、保育団体、 それから株式会社で保育事業を営んでいらっしゃる方、有識者の方などから成っておりま して、本部会からは、岩渕部会長代理、庄司委員、宮島委員にお入りいただいております。 なお開催要綱には明記はしておりませんけれども、第1回のこの検討会の場におきまして、 座長になられました岩渕部会長代理から提案がございまして、この部会の委員のメンバー から、固定して入っていただいている以外の委員も検討会に参加してご発言をしていただ き、この部会と検討会の連携を深めていただきたいという旨の提案がありまして了承され ておりますので、このことも申し添えさせていただきます。保育事業者検討会の設置につ きましては、以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。続きまして、昨日開かれました第1回検討会について、岩渕 部会長代理からご報告をお願いいたします。 ○岩渕部会長代理  第1回検討会につきましては、前回この場でヒアリングを行いました保育3団体ならびに 保育事業者として株式会社ベネッセスタイルケア、それから株式会社JPホールディングス、 この五つの団体・企業から最初に意見の表明がございました。保育3団体につきましては 前回と同趣旨ですので省略いたしますが、保育事業者の株式会社ベネッセスタイルケアと 株式会社JPホールディングスからは、イコールフッティングの問題、参入障壁が高いとい うようなことに対する要望が種々出されました。その後、少し議論をしたのですが、ご案 内の通り、団体というのは一種の行動原則がありますので、そういう意味でいいますと、 かなり硬直というと叱られますので取り消しますが、さまざまな固い意思表明もありまし て、これから先、結構激しい議論になりそうだという予感がいたしました。  それにつきましても、皆さまにもどんどん保育事業者検討会にご出席いただきまして、 ここでの議論をさらに敷衍して、検討会の議論もリードしていただくということが、どう しても必要な状況になりつつあるということですので、ここで議論した成果をそちらの検 討会の方でも発揮していただきたいと、これが私の切なるお願いですので、よろしくお願 い申し上げます。具体的な内容につきましては、事務局から簡単にご説明申し上げます。 ○今里保育課長  それでは補足をさせていただきます。資料といたしましては資料1-2、これが昨日の保 育事業者検討会の議事要旨です。また参考資料3として、横長のものですが、保育事業者 検討会資料(抜粋)として、ただ今、座長からお話がございました3団体、株式会社ベネッ セスタイルケア、株式会社JPホールディングスの委員の方々から意見表明をしていただく ときに使った資料をこちらにお出ししてあります。時間も限られておりますので、ごく簡 単に議論の内容を申し上げます。  この資料1-2の議事要旨の4です。最初の二つの○は、会議の形の話ですけれども、その 後、全国保育協議会、全国私立保育園連盟、日本保育協会、株式会社ベネッセスタイルケ ア、株式会社JPホールディングスの順に配布資料に基づく説明がありました。その後、職 員の処遇や勤続年数などに関する問題、保護者との関係、現在の都市部での直接契約の是 非などについて意見交換があったところです。その中で幾つか論点として出ましたものを かいつまんで申し上げますと、まず、こちらの部会のヒアリングでも既に開陳された意見 とも重複するところですが、例えば、同じ保育所でも都市部と地方では大分違いがあるの で、それについては十分配慮していかなければいけない。特に過疎地域の保育所というの は、状況が大分違うので留意してほしいということ。これに関連して、待機児童解消は必 要であるけれども、それを焦るあまり質の低下を招きかねないということがあるので、そ の点にも留意する必要があるということ。また、保育所に求められる機能が非常に多角化 してきて保育士は非常に多忙化してきているということから関連して、保育士の養成確保、 それから条件整備が必要だというお話がありました。これに関連いたしまして、職員の待 遇であるとか、勤続年数と保育の質や保護者の安心感との関係といったものを重要に考え なければいけないのではないかという議論も出たところです。  いずれにしても、量的な拡大と質の向上は進めていかなければいけないところですけれ ども、その際に認可外・認可の両方の保育所を通じて、質の管理というものが必要である という意見を出されたところです。全体をまとめる話といたしまして、新しい制度体系に は、財源の確保が前提となるという意見も開陳されたところです。それで、職員の待遇、 勤続年数等のお話が出たわけです。また認可外と認可の保育所を通じての質の管理という お話が出たところですが、これに関連いたしまして、この検討会の最後の場面で、認可外 保育所としてよく代表的に取り上げられたりする東京都の認証保育所について、その実態 といいますか、どうなっているのかということの資料を提出してほしいという要望が出さ れました。職員の勤続年数であるとか賃金、労働条件、そういったことについての資料を まとめてほしいという要請でした。以上でございます。 ○大日向部会長  ありがとうございました。今、ご報告いただきました中で、特に最後の東京都の認証保 育所の取組につきましては、認可外保育施設のあり方を考える上で大変重要だと思います。 ぜひ、この本部会でヒアリングを行うことを含めまして事務局でご検討いただければと思 いますので、よろしくお願いいたします。  それでは、次に資料2につきまして、事務局からご説明をお願いいたします。 ○朝川少子化対策企画室長  資料といたしましては、資料2と参考資料2が関連いたします。参考資料2につきまして は、本日ご議論いただくテーマに関連します政府部内の諸機関の提言、意見、あるいは5 ページ辺りからは関係団体といいますか、日本経済団体連合会や東京商工会議所、日本労 働組合総連合会、さらに東京都からの関連するご指摘・ご提言をまとめてあります。  参考資料1は、適宜ご参照いただければということで、資料2をご覧いただければと思い ます。まず1枚おめくりいただいて1ページですが、これは前回ご提出しました資料そのま まですが、その中に赤枠で囲ませていただきました。今日主にご議論いただきたい点はこ の赤枠の所でございまして、まず「保育サービスの必要性の判断基準」、いわゆる「保育 に欠ける」要件の見直しに関する論点です。それから「契約などの利用方式のあり方」、 さらには「市町村等の適切な関与の仕組み」 こういったところを中心に今日ご議論いた だければと思います。  1ページをおめくりいただきまして、まず共通認識として、本少子化対策特別部会で5月 に「基本的考え方」をおまとめいただいておりますが、その「基本的考え方」において新 しい保育メカニズムについて留意事項を整理していただいております。それを改めまして、 ほぼそのままですけれども再整理をさせていただいたものです。今後検討していく際の前 提として、お互いの認識を共通化しておきたいというものです。  一つ目に書いてありますのが「すべての子どもの健やかな育ちの支援」が必要であり、 所得等によって子どもの発達保障が左右されない仕組みが必要であるということです。二 つ目といたしまして、保育サービスの特性、情報の非対称性や、選択者と利用者が親と子 どもでは異なるということなどの特性を踏まえまして、保護者の利便性等の視点だけでは なく、子どもの健全な発達保障の視点が重要であるということ。三つ目といたしまして、 親としての成長の支援など提供者と保護者の関係は必ずしも経済取引関係だけで捉えきれ ない相互性があるということ。四つ目として、児童人口減が現実化している地域の保育機 能の維持・向上が図れるような仕組みであるということ。五つ目としまして、保育サービ スは地域性の強いサービスであるということ。最後に、新しい仕組みを導入する場合には 量の保障とそれを裏付ける財源の確保が不可欠であるということでございます。  1枚おめくりいただきまして、保育に係る制度改革の検討が必要になっている背景とし まして、各方面から保育制度についての関心の高まりでありますとか、各種提言が行われ てきていることでありますとか、そもそも本部会の設置の趣旨でもございます包括的な次 世代育成支援のシステム、新しい制度体系を構築していく上で保育のあり方をより良いも のにしていく、時代に即してより良いものにしていくという整理をするに当たって、どう いう保育改革をめぐる背景があるのか、事務局で整理してみたものでございます。  まず一つ目としては、女性の就業率の上昇や働き方の多様化に対応しまして保育需要の 増大かつ多様化に対応できる仕組みへの見直しが必要性があるのではないかということで す。二つ目は、保育はあくまでも児童福祉のためのサービスであるということは、当然の 前提ですが、その上で就労支援としての役割に対する期待の高まり、あるいはより多くの 子育て家庭に利用されるものになってきたということに対応したシステムの見直しの要請 があるのではないかということです。三つ目は、待機児童の解消が進まないという現状を 踏まえて、サービスの利用保障でありますとか、公的責任の評価、このような要請がある のではないかと、具体的には、現行制度の市町村に課せられております保育の実施義務に つきましては、地域に受け入れ能力がない場合には、適切な保護でもよいとする実施義務 の例外が認められておりまして、その保育の実施を受けられないもの、すなわち認可保育 所に入れるものと、そうでないものとの公平性の確保が課題になっているのではないかと いうこと。四つ目は、働き方の多様化、子育て支援ニーズの深化・多様化を踏まえまして、 利用者視点に立った仕組みとする必要性、選択性の向上といったことが求められていると いうことで、具体的には、時間帯によって保育を区分するのではなく、利用者の視点から、 時間帯にかかわりなく必要な時間(量)で利用できるような柔軟な仕組みが求められている のではないかということ。あるいは夜間勤務や不規則勤務など保護者の働き方によって認 可保育所が利用できない、利用しづらいという状況が生じないような仕組みにしていく必 要があるのでないかということです。  1枚おめくりいただきまして、保護者と子どもに直接かかわっているのは事業者であり ます認可保育所ということになりますが、その認可保育所自身がニーズをきめ細やかに把 握可能な立場にあるということを踏まえて、保育所と利用者が向かい合いながら、サービ スの向上を促す仕組みが求められているのではないかということで、具体的には、申請か ら利用開始までの迅速な対応でありますとか、あるいは保護者とともに質の向上を図って いく仕組みが求められているということではないかと思います。  次に、核家族化や地域のつながりの希薄化等に伴いまして、すべての子育て家庭へ支援 の必要性も高まってきているということです。次に、過疎化が進みまして、地域の子ども が著しく減少しているような地域においては、都心部とは逆に地域の保育機能の維持、あ るいは子どもが集団の中で育まれる環境を保障する必要性といったものが高まってきてい るということで、都心部とは別に地方では別の課題があるということだと思います。最後 に、保育サービスの需要の増大に伴いまして、多額の公費を投入する制度となってきてい る中で、制度の透明性、客観性の確保あるいは効率的な保育システムに向けて公が果たす べき部分の明確化の要請が高くなってきているのではないかということです。  5ぺージ以降は、今の事務局として整理しました背景に関連する資料を幾つか付けさせ ていただいておりますので、ざっと目を通していただければと思いますが、5ページ目は 共働き家庭が専業主婦家庭に比べて増えてきているという状況です。  6ページは、変化が見づらいですが、黄色い棒グラフは保育所数で、青色の折れ線グラ フが利用児童数です。平成の半ば以降から利用児童数については増加しているのが見て取 れると思います。  1枚おめくりいただいて、こちらは潜在需要の関係でございますが、左側の表にありま す通り、現在、例えば0〜3歳児を見ていただきますと、就業率では約31%ですが、さらに 一番下の所を見ていただくと、就業希望者は24.9%いらっしゃるということで、潜在需要 があるということ。さらに右側のグラフを見ていただくと、諸外国と比較しまして、6歳 未満の子どもを持つ母親の就業率では、日本は著しく低い状況にありますので、そういう 意味でもまだ潜在需要というのはあるのではないかということ。  1枚おめくりいただきまして、8ページは、これは一度少子化対策特別部会に出させてい ただいておりますが、「新待機児童ゼロ作戦」では、そういう潜在需要も見込んで、0〜2 歳あるいは3〜5歳さらには小学校に入って以降の放課後児童クラブについての潜在需要の 対応で量の整備を進める必要があるということを謳っています。  9ページは、待機児童数の変化について見ているものですが、左の折れ線グラフでは、 定員数は着実に伸ばしてきておりますが、待機児童数の方は微減が続いて、今年の4月に ついてはまた増えてしまったという状況です。  次に10ページですが、日本の全体の労働力人口という観点から見ますと、2030年までは 既に生まれた世代が今後の労働力を支えていくことになりますので、女性、若者、高齢者 の労働市場参加を促す必要があるということと、同時に2030年以降の労働力人口を考える 上では、足元の少子化対策、少子化の流れを変えないと、この労働力の確保もさらに難し くなるということで、これからの20年間に女性の労働市場参加とともに少子化の流れを変 える取組みを両方一遍に解決する必要があることで、二者択一構造の解決が不可欠である ということでございます。  11ページ、12ページは、パート労働者に関するものですが、11ページは、一般的に子育 て時期に向かいます30代、40代辺りの女性の雇用形態を見ますと、定時就労とほぼ同じ ぐらいの割合でパートの形で働いている方がいらっしゃるということ。12ページは、「育 児期の母親が希望する働き方」を見ていたものでも、特に小学校に入る前ぐらいでは、青 点線で囲ってありますが、残業のない働き方を希望したり、短時間勤務を希望する方が多 くいらっしゃるということです。  13ページ、14ページは、長時間あるいは昼間の保育に限らない需要があるということの 関係の資料ですが、「女性の残業実態」ということで、週当たりどれぐらいの残業をして いらっしゃるかというデータです。14ページは、夜間就業に関してです。上の表は女性労 働者の占める深夜業従事者の割合は絶対値としては少ないのですが、3.6%いらっしゃる といういこと。さらには真ん中の所で「夜間保育所数とベビーホテル数の推移」を見てお りますが、ベビーホテルの数は足元では若干減りましたが、すう勢的には増加の傾向にあ る一方で、夜間保育所はなかなか伸びていないという状況にあるということ。ベビーホテ ルの中でも、一番下の表にあります通り「主に夜間に保育されている者」が約2割いらっ しゃるという状況です。  15ページにつきましては、特に3歳未満の所、0〜2歳児については、黄色い所ですが、 昼間家庭で養育されている子どもの割合が約8割あるということで、この8割の対策も非常 に重要だということです。  16ページ目17ページ目はそれに関連しまして、専業主婦家庭の子育ての負担感について みたものでして、左のグラフは共働きと片働き、すなわち専業主婦家庭の女性の子育ての 負担感について、負担感大と感じるのは、かなり専業主婦家庭の方が高いというデータで す。右側の方は子育ての負担感について専業主婦家庭、青色の方が高いのは気が休まらな いとか、子育てによる疲れが多いといったことが多くなっています。  関連して17ページ目は孤立感を感じることがあるかというアンケートに対して、専業主 婦家庭の方がより多くあると答えている人が多い。右側にその孤立感を解消するにはどう いったことが必要かということについて、上の方を見ると、「気分転換する時間があれ ば」「話せる相手がいれば」「パートナーが子育てにもっと時間をとってかかわれるように なれば」という回答が多くなっています。以上が背景に関する説明です。  次に18ページ目ですが、これまで2回少子化対策特別部会でご議論いただいたことを踏 まえまして、今後の議論を深めるに際しまして、留意点として事務局の方で少し確認をし たいということで2点書いています。主に議論としていわれています典型的な直接契約で ありますとか、保育に欠ける要件に見直しという議論がされていますが、そういう言葉だ けで議論をするのではなくてという趣旨で、一つ目の○に書いているのは、そもそもサー ビスの提供の仕組みというものは、その給付対象であるか否かの判断であるとか、優先度 の高いものの利用確保をどうするのかとか、あるいは多様な提供主体の参入のあり方をど うするか、地域の保育の維持をどうするかなど、さまざまな組み合わせで成り立っている ので、まずはそれぞれの要素に分解して検討を進めることが有益なのではないかという点。  さらに二つ目の○につきましては、そうはいっても、それぞれの要素は密接に結びつい ているので、関連する給付設計全体を視野に入れる必要があって、その上でサービス提供 の仕組みのあり方全体の検討をする必要があるのではないかということでAかBかという言 葉だけの単純な議論にならないような議論をお願いできたらと書かせていただいたところ です。  19ページ目以降は具体的な論点に入る前に、現行制度の解説を若干させていただいてい ます。19ページ目につきましては、保育サービスの必要性の判断基準についてですが、基 本的な骨格としては、国が政令で定める基準ということで「保育に欠ける」児童であるか の判断要件を定めていまして、その上で細かいところは市町村の条例で定める事由という ことで条例にしています。政令で定まっている基準につきましては、以下にありますよう な(1)〜(6)のようなものに該当して、かつ保護者と同居親族等がともに児童の保育ができな い場合とされています。(1)〜(6)のうち、典型的によく議論されるのは(1)で昼間労働するこ とを常態とするという要件があります。  1枚めくりましてこのような政令で定める基準に加えまして、近年個別の通知で解釈を 提示することによって、この保育に欠ける要件についての運用について追加してきていま す。一つは平成12年に出されていますように、休職中でも入所申込みが可能であるとか、 (2)では下の子が育児休業に入った場合にも一定の場合には継続入所をしても差し支えがな いとか、(3)については母子家庭について優先的に扱う。(4)については虐待ケースについて も優先的に扱うというように個別の通知で解釈を追加してきているものです。実際には、 下の箱にありますが、各市町村の条例を見させていただきますとおおむね傾向としては、 待機児童が多い市町村都市部においては、前回横浜市にプレゼンテーションしていただき ましたときに見ていただきましたような、比較的詳細に優先順位付けをして、さらに優先 順位付けでも同ランクになった場合には、さらなる調整指数のようなもので判断をしてい くという、条例の中でかなり詳細かつ厳格な内容が定められているパターンと、そうでは なくてこちらの方が市町村の数としては多いですが、大くくりで定めると。ほぼ政令で定 める基準と同内容のものを条例で定めた上で母子家庭のケース等につきましては運用上の 取扱いに委ねられているパターンがあります。  21ページ目以降に幾つかの市町村の条例の例をつけています。21ページ目は横浜市の例 でかなり細かく決まっています。居宅外労働につきましては、左上にあります通り月16日 以上という条件が示されていまして、週当たりおおむね4日以上という条件があった上で、 右側の方で同一ランクの場合の優先順位を定めるルールが定まっているというのが横浜市 です。次のページの札幌市もほぼ大都市で同様の形になっています。23ページ目の神戸市 大都市ですが、こちらは条例自体にはあまり細かいことは定められてなく、ほぼ政令に規 定されている基準が踏襲されている。右側のホームページにはもう少し細かい運用基準が 示されているというパターンです。24ページ以降は基本的に山口市以降の例は政令基準と 同じようなことが条例に定まっているということですが、25ページ目の小浜市の例を見て いただきますと、一番上の家庭外労働のところで見ますと「週3日以上の雇用者」となっ ていまして、横浜市がおおむね週4日以上になっているのとは基準が少し違うのが見て取 れます。もう一つは、その下農林業を見ていただきますと、田畑の面積とか林の面積とい ったところで点数付けがされていまして、必ずしも就労時間だけで判断することが適切で ないと判断している市町村もあるという地域の実情を考慮しなければいけない要素がある というところだと思います。  次に27ページ目ですが、次は「現行の認可保育所のサービス提供の仕組み」についての 解説です。これはあらためて申し上げるところもあまりないのですが、振り返っていただ きますと、箱の中を見ていただきますと、現在の制度では、(1)保護者が市町村にまず申込 みを行って、(2)で市町村において保育に欠けるか否かを判断し、それと同時に入所希望を 踏まえて保育所を決定する仕組みになっています。市町村に対しては保育の実施義務が課 せられていまして、この市町村が保育の実施義務を履行することを通じて保護者が認可保 育所を利用できるという仕組みになっています。下の図にありますように契約関係で見ま すと、利用者も保育所もともに市町村と契約関係にあるというのが現在の仕組みです。  1枚めくりまして、ただ今ご説明しました保育の実施義務につきましては例外が設けら れていまして、付近に保育所がない等やむを得ない事由があるときは、その他の適切な保 護をしなければいけないという例外があります。※印の二つ目を見ると、その他の適切な 保護の中身には家庭的保育のようなものもありますが、認可外保育施設の斡旋でもよいと いうことになっていまして、この斡旋ということになりますと公費を出さないで保育を実 施するという形態が認められているということで、そういう意味では穴が開いているシス テムであるということがいえると思います。関連して認可の裁量性につきまして、一定の 認可基準を外形的には満たしている事業者であっても、認可権者である都道府県の裁量性 で認可をしないという取扱いができるというのが現行の仕組みになっています。これにつ きましては次回の検討課題として、またあらためて議論をしていただきたいと思います。  次の29ページ以降が本日ご議論いただきたい論点についてです。「検討の視点」とさせ ていただいています。まず一つ目として保育サービスの必要性の判断基準についてです。 その中の(1)として「保育サービスが保障されるべき範囲に係る現行制度の課題」につい て整理をさせていただきました。一つ目の○は、現行の制度は女性の就労がまだ一般的で なかった時期に、特別に支援を必要とする家庭に対する福祉ということで骨格が形成され ていますので、近年の女性の労働市場参加の進展とか、あるいは働き方の多様化とかそう いう近年の諸課題に必ずしも十分に対応できていないのではないかという論点があります。 具体的には就労に関しましては昼間就労することを常態ということを原則としていますの で、多様な働き方を踏まえますと時間帯を問わずに保障してきた方がいいのではないか。 あるいは常態ということに関していえば短時間であっても就労の量に応じて保障する仕組 みの方が良いのではないかということが論点としてあります。もう一つ書いているのは、 休職中の取扱い。通知でその後示してきていますが、全体をもし整理することがあればそ ういったことも制度上の明示が必要ではないかと書いています。二つ目の○は、そのよう に就労の量に応じて利用を保障するとした場合には、その量をどの程度保障するかという 何らかの認定の仕組みが必要で、その場合保障すべき上限量という問題が出てきますので、 その辺を働き方の見直しと絡めて、どういう上限量にしたらよいかという論点があります。 一番下の○は違う話ですが、先ほど政令基準を見ていただいたときに出てきましたが、同 居親族等が保育し得る場合というのは現在の仕組みでは原則利用が認められない。要する に保育に欠けない状態であると認定されます。多くの家庭が一般的に利用するようになっ てきたことを踏まえて、こういう同居親族要件をどのように考えていったらよいかという 論点もあるかと思います。  1枚めくりまして(1)の専業主婦家庭の取扱いについて、保育サービスを保障すべきとい う考え方がありますが、どう考えていくかということです。すべての子育て家庭に対する いろいろな子育て支援サービスをしていく必要性は、最近ある程度明らかになってきてい ますし、公費を投入する際に共働き家庭だけでよいのかという、そういう公平性の観点か らも一定の支援の調整はあろうかと思います。一方で一時的には保護者による養育という 考え方もありますし、専業主婦家庭に求められる支援が保育所の保育サービスと異なる側 面もあるのではないか。そういうことも含めて一時預かりの保障の充実といったことも含 めてこういう専業主婦家庭に対する保育家庭サービスの提供をどのように考えていくかの 論点があります。(2)は判断基準の枠組みがどうなっているかですが、先ほど見ていただ きましたように、最終的な判断基準は市町村の条例に委ねられています。その仕組みによ って先ほど小浜市と横浜市が週に4日と3日で若干基準が違うということがありましたよう に、地域の供給基盤に合わせて判断基準を設定できる仕組みになっています。この点につ きまして、普遍的に保育サービスを保障していくという観点からすると、パートの人の取 扱いも含めて最低限保障されるべき範囲は、国が定めた上で条例に委ねることによって地 域の実情に応じた対応を可能とすることが適当ではないか、必要ではないかと書いていま す。特に母子家庭のケースですが虐待のケースを考えますと、こういったものは地域にか かわりなく保障していく必要性が高いものではないかということを書いています。 1枚めくりまして保育サービスの「必要度の高い子どもに対する利用の確保」についてで すが、現行の制度では市町村がまず保育に欠けるという必要性の判断をした上で、併せて 需要が上回っている地域においては優先度も同時に判断している。横浜市で見ていただい た例が典型です。必要度という点を同時に判断しています。典型的には母子家庭のケース や虐待のケースを考えた場合にどういう方式を採った場合でも事業者による選別が起こら ない仕組みが必要ではないか。他の社会制度の場合では、例えば事業者に応諾義務を課す という対応がされている。  1枚めくりまして、次に検討の視点の大きい2番目ですが、「利用方式のあり方を中心と する保育サービスの提供の仕組みについて」です。(1)はその中での基本的な部分ですが、 現行の認可保育所の利用方式は市町村に保育の実施をかけていまして、その実施義務を市 町村は履行することを通じて保護者が利用できるという仕組みになっています。先ほど見 ていただいた通り、この保育の実施義務については例外の規定がありまして、矢印にある 通り、その結果事実上認可保育所が足りない場合には保護者がサービスを受けられないこ とが許容される。仕組み上はそうなっているということです。他の社会保障制度の例を見 ますと、行政がいったん認定して認定によって受給権を発生させた上で、その受給権の発 生については例外を認めずに発生させた上でサービスの選択をするという仕組みが講じら れています。  1ページめくりまして、次に(2)として必要性の判断についてですが、その中でまず「優 先度の判断の必要性」です。現行の認可保育所の利用方式は、先ほども申し上げましたが、 市町村が保育に欠けるという要件、必要性の判断をした上で、需要が上回る地域は優先度 を判断しているという形になっています。母子家庭のケースや虐待のケースを考えますと、 そういったものはどういった方式を採ったとしても優先度の判断の要素は必要でしょうし、 担保するような仕組みが要るのではないかということです。次の箱ですが現行の認可保育 所の利用方式は「保育に欠ける」判断を保育所の入所の決定、契約ですが、その決定と一 体的に実施するというのが今の仕組みです。これは利用者にとって手続がワンストップで 済むという利点があります。一方で需要が上回っている場合には給付対象であるという決 定自体が行われませんので、比較的どうせ駄目だろうというケースについては、申請にも 至らずに諦めてしまうケースがあるということで、需要を潜在化させやすい側面があるの ではないかということです。下の社会保障制度の例でいきますと、先ほど出てきましたが、 実際には認定を独立して行うことによって受給権を発生させる仕組みになっていまして、 そういう意味では需要の潜在化は起きにくい仕組みで、裏返せばサービス提供基盤の整備 責任が実施主体に強くかかるという仕組みが導入されています。  次に、34ページ目は「質の確保」についてです。現行の方式は認可保育所という認可の 仕組みを採っているので、その認可基準を通じて質の確保を図るという仕組みになってい ます。一方で、認可外保育所も含めて保育全体に見たときには、質の向上の観点が必ずし も十分でないという側面があります。こういう一定の基準をかけて質を確保するというこ とについては、他の社会保障制度でも指定制度のような形を採ることによって質の確保を 図るという仕組みになっています。なお、市中の提供者から自由にサービスを選択する、 利用券などで選択する仕組みを考えた場合に、そうしますと幅広い選択が可能になります が、もし、そういう基準をかけない仕組みだとすると、質の保障が困難になるということ です。下の箱は保障の必要性の高いケースです。これは先ほど来出てきていますので省略 します。  1ページ目おめくりいただきまして、次に「契約関係の当事者」についてです。先ほど 現行制度の説明の図を見ていただいたときに出てきましたが、現行の仕組みは保護者と認 可保育所それぞれが市町村と契約関係にあるという仕組みです。こういう仕組みを採るこ とによって信頼性・安定性ということが期待できる仕組みになっています。一方で保護者、 認可保育所ともに市町村との関係を重視する仕組みになっていまして、当事者間でのサー ビスの質の向上に向けた努力、あるいはニーズに即したサービスを提供するインセンティ ブ、そういうものがより働く仕組みとしていくことも課題ではないかとしています。  次に、「利用手続と事務負担」についてですが、現行の仕組みはワンストップで行われ ていると先ほど申し上げましたが、保護者にとってはそういう意味で1回の手続で済すむ という利点があります。保育所側にとっても自分で入所者を選考することが必要でないと いう意味で、両者にとって手続事務負担が軽減されている仕組みです。一方、もし仮に必 要量の認定等の契約とサービス利用の申込みの手続を分けますと、これは独立した行為に なりますので、そうしますと利用者の側からすると認定の手続と契約の手続が2段階出て きてしまうという問題。保育所側も選考という事務負担が新しく出てきてしまうというこ とで、事務負担あるいは手続面での負担が増えることになるということです。  1枚めくりまして、次に「サービスの価格」についてですが、現行の仕組みは公定価格 で、それを通じて一定の質を確保するという仕組みです。これは例えば定額の利用券によ って補助していく仕組みを考えた場合は、かつそれが自由価格であるという形を前提にす ると、市場メカニズムで価格を通じた需給調整が図られるというメリットがありますが、 一方でその所得にかかわりなく一定の質の保育サービスを保障するのは難しくなるという ことです。また供給基盤が十分でない場合は価格の高騰を招く恐れもあり、価格に比べて 利用券による補助額が低く設定されると自ずと利用料も高くなってしまうという懸念があ るということです。  最後に補助方式についてですが、現行の仕組みは市町村から認可保育所に、子どもにつ いての個別の保育を委託するという形になっていまして、委託料の支払いは市町村から認 可保育所に対して行われています。他の利用者と事業者が契約によりサービス提供が行わ れる他の社会保障制度におきましては、実施主体は市町村が多いのですが、実施主体が利 用者に対して補助すると構成した上で事業者が代理受領することによって賦課が行われる。 表面上は似たような結果になるわけですが、一応概念としては利用者に対する補助の仕組 みが他の社会保障制度よりも採られているということです。関連して利用者負担の徴収に つきましては、現行の認可保育所の仕組みは市町村が徴収する仕組みとなっていますが、 他の社会保障制度では事業者が徴収する仕組みになっています。資料の説明は以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。それでは、以上の事務局からの説明を受けまして、ご質問も 含めてこれから意見交換に入っていきたいと思います。そのために、まず資料2の1ページ 目に戻っていただけますか。この赤枠で囲ってあるところが本日の議題です。そしてこの 赤枠の中を検討するに当たって、必要な資料、さらに視点等につきまして事務局からただ 今説明をいただいたところですが、内容が非常に多岐にわたっておりまして、重要な内容 となっています。本部会での議論を充実させていく必要性を改めて私も感じたところです ので、この議題に関しましては必ずしも本日1回で終わらせるということではなく、本日 議論を尽くせなかった場合には次回も含めて、時間をかけて議論をしていきたいと思いま すので、委員の皆さまにおかれましてもそのお心積もりをいただければ幸いです。  さて意見交換の仕方ですが、量が大変多かったものですから、幾つかブロックに分けて 検討をしていけたらと思います。まず2〜4ページ目を一つのくくりとしたいと思います。 この2〜4ページ目にかけて記載されていることは、今後の保育サービスの提供の新しい仕 組みを検討する上でのスタートラインとして重要な点です。この検討に対しての前提や背 景に関しまして、まずご議論いただきたいと思います。できましたら時間は15分程度を予 定しておきたいと思います。それではどなたからでも結構です。よろしくお願いします。 いかがでしょうか。駒村委員何かありますか。 ○駒村委員  申し訳ありません。ここ2回ほど予定があったので、久しぶりです。先ほど岩渕部会長 代理から保育事業者検討会でいろいろな議論があったと伺いました。ざっと資料を見てい ますと、この辺は今日配布いただいた資料2の3ページにもあらためて整理していますし、 私は社会保障で例えば年金の方の経済設計見通しの委員もしているのですが、なぜこの議 論が今必要であったのか、あらためて確認する必要があると思います。一つは従来の「保 育に欠ける」という話につながっていくのですが、どうしてこういうシステムを変えない といけないかというと、従来の児童福祉の枠組みから一歩踏み込んで拡大して子どもの発 達支援、親支援も含めて、もちろん1個の柱ですが、両立支援というのが非常に緊急課題、 国家的な課題になっている。例えば10ページに明記されていますが、要するに年金の財政 見通しの議論をしているときにはっきりしてきているのですが、少子化の改善と出生率の 回復が一方しか成立しないということであったら、それは社会保障全体の持続可能性が極 めて厳しくなるという緊急な状況になっている。ここにも書いてあるように、二兎を追わ なければいけない。しかも、かなり急いでしなければいけないという、この政策全体の中 に占める新しいシステムの重要性があらためて問題意識を共有しないといけない。  そういう意味では、この事業者検討会の資料の中でそういう両立支援という新しい使命 を負っているということに対する言及というのが少ないというか認識が弱いのではないか。 緊急性と非常に重要な問題をやらなければいけないという緊急性というものを改めて認識、 共有していかなければいけないと思っています。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがですか。佐藤委員お願いします。 ○佐藤委員  保育サービスの供給をどうしていくかというときに、これまでいろいろな議論がありま した。一つは量の拡大と質の確保。確かに両方ともやらなければいけないことですが、基 本的には量が不足している中で、最終的には量も確保し質もというのはよくわかるのです が、当分過渡期の時代が続く。量的には十分確保。量が拡大していくわけで、一気に明日 から量を確保できる状況とはならないので、そうしたときに量の拡大と質の確保をどう考 えるかを少し整理しておかないと、いつまでたっても両方とも大事ですといったときに本 当に議論が落ち着くのかが心配です。  そうすると、3ページの保育サービスを受けられる人たちと受けられない人たちの公平 性を確保というものを、いわゆる過渡期は考えざるを得ない。質の確保といったときに保 育サービスを受けられている人たちの質の確保が出てきて、受けられない人たちからする と極端にゼロなのです。ゼロの人たちがいる中で受けている人たちの質を下げるなという のは、私は公平性の確保という点では過渡期の議論としてはそのまま通るかというと難し いと思います。  ですから、他方でゼロの人たちを前提にしたときに、過渡期の保育サービスの質をどう するかを考えざるを得ないのではないか。その議論をきちんとしておかないと、最後の方 でまとまらないのではないかと心配しています。  ですから、量を拡大していく。当然質は最終的には維持をするということはあると思い ますが、過渡期については公平性の確保の観点をぜひ考えていく必要があると思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。1点伺ってよろしいでしょうか。過渡期といわれますが、どれ ぐらいのスパンを考えていらっしゃいますか。 ○佐藤委員  もちろん、今の計画の中で、駒村委員が言われたように、時間がないのは事実なのです よね。ですから、今の年金の問題、あるいは労働力確保の問題は、一応スケジュールが出 ていますので、それに合わせて、重点プランでもこの機会にやらなければいけないという 議論がありますから、その間に量は当然埋めていく。量の拡大は当然やっていくという前 提の下で、質をどうするかということだと思うのです。私は質をいくら下げてもよいと言 うつもりは全然ありません。 ○大日向部会長  ありがとうございます。清原委員、お願いします。 ○清原委員  本日は遅れて申し訳ありませんでした。事前に資料をいただいていたので、それを踏ま えて、保育サービスの提供の新しい仕組みを検討するという前提で、このポイントをお示 しいただいたものを補足する意見を申し上げたいと思います。  一つには、今回待機児童が多い地域での待機児童解消の対応についての課題と同時に、 児童が急速に減少している地域において、いかに地域の保育機能を維持・向上させるかと いうことについても、検討の前提に明記されています。こうした地域による実態の差とい うものを両方把握しながら、私たちは新たな仕組みを考えていかなければなりません。こ れはそれほど容易ではないけれども、現状認識として非常に重要なポイントだと思います。  2点目に、公立保育園を含めて現状、保育園では時間の延長等多様な保護者の働き方に 対応した取組をしておりますが、同時に公・私立の幼稚園でも、預かり保育という形で、 幼稚園でありながら保育機能あるいは保育時間の延長ということを実態として進めていま す。そういう意味で、この検討に際しての前提では実態として保育園と幼稚園の預かり保 育等の類似化というか、基本的な対応の仕方で相互補完関係を持っているという点につい ても、あらためて認識しておくということは重要です。  3点目に、三鷹市の場合でも公立保育園のみならず、私立保育園でも、いわゆる「ひろ ば事業」つまり専業主婦の方などの子育てに関する相談をしている事業が大変活発に利用 されています。これはひろば事業が拡大するにつれて潜在的なニーズを掘り起こしたとい うこともあると思います。従いまして、保育サービスの提供の新しい仕組みというときに、 必要に応じて一定の時間お預かりするというだけではなくて、地域の子育てについては相 談的な機能ということが非常に求められていることもあります。つまり保育園の対象が必 ずしも働いている保護者に育てられている子どもだけではなくて、実態が多様化してきて いるということがいえると思います。  4点目に、大変重要なポイントを2ページ目の最後のところに明記していただいています。 「保育サービスを選択できるだけの量が保障されることと、それを裏付ける財源の確保が なされることが不可欠である」ということです。財源問題というのは、4ページ目の最後 のところにも「多額の公費を投入する制度となってきた中、制度の透明性・客観性の確保、 さらには効率的な取組が必要である」と前提を明記していただいておりますが、こうした ものは、むしろ前面に出すべき重要なポイントです。だからこそ、こうした仕組みの再検 討が重要になっているということで、これは、これまでも繰り返し強調されてきているこ とですけれども、適切な財源をどのように使うかというときに、今後は使い方の優先順位 ということが出てくると思います。保育の内容のみならず、ハード面への支援が認可保育 園からはかなり出てきていますので、公私立を問わず、保育サービスを提供しているとこ ろが従前の質を担保できるための公平・公正な配分ということも重要になってくると思っ ています。  今回まとめていただきました2、3、4の前提というのは、エッセンスを書いていただい ているのですけれども、背景をまとめていただいておりますので、検討の前提として私は 共有させていただきました。以上です。 ○大日向部会長 ありがとうございました。それでは山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  まず、座長から提案されましたこの「前提」での議論ですけれども、それにつきまして は、清原委員の意見と同じで、前提そのものは結論をほとんど書いてありませんので、こ ういう視点で議論することに異論はありません。方向性は問題ないのではないかと思いま す。  しかし1点、先ほど駒村委員と佐藤委員から少し突っ込んだ議論があったような気がし ますので、そのことについては、この段階で前提にするのはやや、どうかなと。最初から 火花を散らすのもいかがなものかと思いつつ。過渡期ということですけれども、国全体で みればそういう数字になるのですが、大枠で結構ですから、今、1800市町村の中で待機児 が実際にある市町村、それから5年ぐらいの試算。子どもが減っていくという前提で考え ているのですが、どれぐらいが危機状況にあるかというと、限られているような気がしま す。確かに1,000に近い数字であることは間違いありませんけれども、トータルでいうと、 むしろ地域性の問題の方で配慮しなければいけない自治体が今後とも増えていくのではな いだろうかと感じています。そうすると、全体の仕組みの中で過渡期対策を打つ方がよい のか、待機児が集中的にある地域のみでそれを行うかという議論が残っているのではない かと思っています。公平さの議論も当然了解した上で、そういう地域の質は、ある程度保 たれているはずだと思います。  それからもう一つは、清原委員がおっしゃったように、待機児対策を保育制度の中での み考えることかどうかということです。特に待機児がある地域の私立幼稚園の状況を、も う少し整理してみる必要があるのではないか。全体でいいますと私立幼稚園は全国的にも どんどん減ってきておりますので、所轄省庁は違いますけれども、幼稚園は認可という社 会的な信頼はある仕組みだと思いますので、その中で考えていくとか、今回提案されてい る家庭的保育などを総合的に含めて、質を落とさずに量を確保する方法は十分議論できる のではないかと思っています。細かいことは、またどこかで考えざるを得ないけれども。 ○大日向部会長  宮島委員、どうぞ。 ○宮島委員  火花を散らしても何ですけれども。今の山縣委員のご発言に若干異論があります。私は 待機児とカウントされた人たちだけを対象に考えてよいのかということに関して、もとも と異論があります。というのは、今、待機児というのは認可保育所に申し込んで待ってい る状態の人たちを呼んでいると思いますが、現実に今の認可保育所がさまざまな労働に対 してのニーズに合っていない部分がある。例えばパートの人たちの中には、申し込んでも その地域ではフルタイムでも入所の倍率が5倍だから、などという話を聞いて、最初から 申し込むことをやめてしまっている人たちがたくさんいるのです。他の社会保障の制度に 比べてニーズが潜在化しているということをどのように見ていくかということが必要だと 思います。制度として、本来この人は保育所に入るべき人であるということと、認可保育 園に入れたということを分ける制度が必要ではないのかということも含めて、まずは、こ の人は保育園に入るべき子どもであるというところを、きちんと見る必要がある。制度の 方もその必要があると思います。  結局、待機している人しかカウントできないというところのもう一つの問題として、前 回のヒアリングでも感じたことですが、認可の方々は非常に一生懸命やっていらっしゃる と思いますが、完全に認可をあきらめてしまった人たちの声は届かなくなっていると思い ます。私たちが例えば子育てのことに関して放送すると、いろいろなメールや相談や投書 が来るのですが、自分たちは認可に申し込むことはしないけれども、現状にこれだけ不満 があるとか、認可は自分の生活と合わないので最初からあきらめてしまったけれども、公 の本来の支援から外れていることに関して、不公平ではないかという声がたくさんあるわ けです。  さらに、結局園は決められた子どもたちをルールに従って受け入れているという状態な ので、保護者と園との間の議論というのは、なかなか1対1で向かい合った議論にはなりに くいと感じていて、少し難しいことや制度の問題では、何か意見を言っても、それは区 (市町村)で決まっていることだからということになります。結果的に、制度に何か問題が あると保護者が思っても、その意見もなかなか顕在化しないという中で今、物事が進んで いると思います。  ですから、いわゆる待機児の数というところからスタートするのではなくて、もっと広 い形で何が必要なのかというところの掘り起こしから必要なのではないかと思います。 ○大日向部会長  佐藤委員、追加ですか。どうぞ。 ○佐藤委員  宮島委員が言われたように、先ほど私が言った受給権のようなものを前提としたときに、 やはり地域別に考えると思うのです。そのときに、過渡期という話でしたが、いつの時期 を考えるか。一つは、地域ごとに保育サービスが違ってもよいということを前提にすると、 基本的には全員にサービスを提供するということ。その提供できる水準があると思うので す。極端な言い方ですけれども、それは一つの公平性だと思うので、そういうことも含め て組織の話をしないと、量の問題、質の問題というのは、なかなか今のような状況だと特 に潜在的ニーズが高いところについては解決しないわけだから。 ○大日向部会長  ありがとうございます。4ページから5ページにまとめていただいていることは、5月の 「基本的考え方」のところで皆さまと十分時間をかけて議論いただいたところで、山縣委 員が先ほど言われたように、方向性としては皆さま合意していらっしゃるところだと思い ます。  ただ、具体的な制度設計に入る段階で、もう一度前提を見直したときには、いろいろ具 体的なご意見が飛び交うのは当然でございます。どうぞ、先ほどは15分と申しましたが、 もう少し時間をかけても結構だと思いますので、吉田委員そしてまだご発言のない委員の 方も、ぜひこの辺りで一度ご発言をいただければと思います。  それでは吉田委員、お願いします。 ○吉田委員  素朴なお話をさせていただきたいと思います。今回改めて具体的支援ということで、質 的充実と量的拡大の相矛盾しかねないものを何とかしていこうということで、特に先ほど スピードの話が出ていましたが、恐らく量的拡大は都市部を中心にスピード感をもってや らなければならない。それを裏返していうと、恐らく先ほど駒村委員がおっしゃったよう に労働力人口の激減は目に見えていますので、労働政策としてスピード感をもってやらな ければいけないという視点は当然あろうかと思います。  ただ、一方でこの部会では当然、保育の質という意味でも、子ども家族政策という視点 をベースにしながら、かつ、労働政策的なスピード感の視点も入れなければいけないとい う両方の構造になっているのではないか。それに加えて、何度か議論がありましたけれど も、やはり都市部と地方部はかなり今回二極化してきているということで、以前に山縣委 員がおっしゃった限界集落という言葉もあるように、地域社会の存続の可能性さえ問題に なってきているという部分と、集中豪雨的な都市部での潜在待機児の掘り起こしの話とを 一つの制度でくくるというのは、正直言ってかなり困難なことだろうと思います。思いま すが、そういう意味でも現行制度のままでは恐らく二極化した状況に対応できないことは はっきりしています。  だからこそ、制度改革をしなければいけないと私は理解しているのですが、この資料の まとめ方が、視点の置き方かもしれませんが、制度改革の必要性とその背景という記述で す。昨日私は保育事業者検討会に出させていただいて、雰囲気を感じたかったということ もありますが、現実に保育を担っている保育3団体を中心とした実際の保育事業者のお考 えとお立場を考えると、改革がさらに必要だと思います。こういう背景だからというだけ ではなくて、変な言い方ですが、現行制度にはここに限界があるのではないか、あるいは 課題があるのではないか。それは運用上で解決できるものもあるが、運用では恐らくカバ ーできない、制度的な問題、あるいは財政的な問題。そこを、もう少し次回以降でクリア にした方が。最後まであまり抽象的な議論であると、最終的にそこのズレが出てきてしま うのではないかと思いますので、どこかでそういうところを整理しなければいけないので はないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。福島委員、どうぞ。 ○福島委員  いつもプレゼンテーションを聞いて難しい問題だと思いますけれども、これは非常によ く整理されていますし、私の頭の中も大分整理ができたかと思います。  ただ、私がここでずっと言っていますが、少子化、人口減少というものは、国の大きな 競争力とか、国力という問題でありますし、この状況に、まさに国家戦略的な視点でアプ ローチする必要があるのではないかというのが一つです。  それから、ここのペーパーにもありますが、まさに利用される方のニーズが一言でいう と増大・多様化していることに尽きると思います。これからの運用は、多様化する中で一 つはこの「保育に欠ける」という従来の制度、仕組みの中で当面どうやっていくかという ことを考える必要があります。  もう一つは、この「保育に欠ける」という要件の見直しです。多分行き着くところは同 じだと思うのですが、その中での課題が違うと思います。今の「保育に欠ける」要件の中 で、個人的には待機児童の問題の対応が、これからのポイントではなかろうかと思います。 ただし、都市部と過疎地域との違いを踏まえる必要はあると思いますが、整理としては非 常によくできていると思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。他に、いかがでしょうか。 ○駒村委員  先ほどの山縣委員のコメントですが。私は量と質の話には踏み込んでおりません。ただ、 量の問題ですけれども、これは今後の議論として、今認められている待機児童、つまり 「保育に欠ける」という考え方での待機児童の問題を解消したからといって、10ページに ある目標達成にはならないわけです。つまり、労働力率を上げて、なおかつ出生率を上げ れば、その分だけ潜在需要が出てくるわけですから、待機児童というのは今の制度の中で 認められている需要に過ぎないということを確認して、そこを何とかすればよいのだとい うことでシステムを考えているのではなくて、就業率と出生率の両方を上げればもっと需 要が出てくるわけです。もし、保育に必要だと定義を変えたら、もっと需要が出てくると いうことを確認しなければいけない。  繰り返し言いますが、10ページの目標をかなり達成しないと、社会保障制度の持続可能 性はかなり危ないということを繰り返し確認したいと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。まだ、ご発言のない委員はいかがでしょうか。。  庄司委員、いかがですか。 ○庄司委員  あまりにいろいろあって、何から申し上げてよいのかわからないほどですが。今日は一 番重要な資料が出されていまして、認識を共有する上ではとても良いものだと思います。 特に印象が強いのは7ページの資料で、ある意味では、うすうすわかっている非就業者の 就業希望の大きさということがありますが、これは国際比較で日本が断トツでこういう状 況にあるということと、それから、左側に就業希望者のデータがありますが、ちょうどこ の数字を就業希望者のところに重ねてみると、かなり国際水準に近くなるということも、 大変わかりやすいわけです。  ですから、やはり待機児童の議論というのは、恐らく今、私が触れましたデータには待 機児童から全く外れた状態で、こういう人たちが置かれてカウントされているわけですの で、そこのところは、もう一度確認して、先ほど駒村委員がおっしゃったことでもあるの ですが、言ってみれば、出生率を上げて、出生率が上がればまた需要が増えること。しか し、それもきちんと確認しても確保した上でというと変ですが、本当に国の大きな政策転 換を迫らなければ、この議論というのは、小さいところでどちらが先という議論をしてい ても全く始まらないところにきていると思います。  特に労働力率が高いところで出生率の回復が進んできたというデータが、70年代と今日 とでは全く変わってきて逆転している。逆相関が相関になってきたというところを踏まえ ますと、やはり本当に大きな政策転換がなければ、これは細かいところでいくら火花を散 らしてもどうにもならないということを、今日はあらためて認識いたしました。 ○大日向部会長  では、福島委員どうぞ。 ○福島委員  多分これは皆さんもよくおわかりのことだと思いますが、2ページ目の一番下のところ ですが、常に財源の問題がある。これは今の政治の状況の中でも、自民党は3年間消費税 を上げないといわれ難しいところはありますし、社会保障審議会が、そういうことを議論 する場なのかどうかは、よくわかりません。しかし、やはり財源のある程度の目途と政策 のプライオリティは相関関係にあります。いろいろな議論をしていますけれども、あれも やらなくてはいけない、これもやらなくてはいけないということで、多分みんなそうなの だけれども、ある意味では国の大きな政策なのだから、財源についてはもっと踏み込んだ 議論が要るのではないだろうか。それなくして政策のプライオリティも立てにくいと思い ます。ですから、この場にそれがそぐわないのかはわかりませんが、その辺を何か打ち出 すべきではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。大石委員、お願いします。 ○大石委員  私からは、2点ほどです。まず1点目として、待機児の問題は都市部の問題と地方の問題 を議論するときに分けて、この回は都市部の問題、この回は地方部の話をしてというよう に分けないと、いつも議論が行ったり来たりするところがあるように思いますので、その ようにすることができたらよいと思っています。  それから二つ目としては、質か量かという厳しい話がありますけれども、質を下げない のでしたら、もう一つは価格を上げるという方法があって、どちらも表裏一体のものです けれども、どちらかをしたときにどういう結果が予想されるかを整理して考えていただく ことが必要なのではないか。例えば、質を維持して値段を上げるという方向にいくかもし れませんが、そうだとすると保育料が高ければ一部の人は働かないという選択をするかも しれませんので、期待したほど就業率は上がらないというマイナス面があるかもしれない。  これを、質を下げるとすると、子どもの発達上にマイナスが出てくるかもしれないし、 今、待機児になっている人というのは、思い描いている保育というのがどういうものなの かというところで、例えば認可園のサービスを思い描いて、それを得られないから待機し ているかもしれないけれども、多少下がったセカンドクラスの保育サービスなら提供でき ますよといわれたときに、働く方を選択するのか、しないのかということもあるかもしれ ない。その辺りのプラス・マイナスをしっかり出して考えていく必要があるのではないか。  それから、質といった部分で、やはり質がいつも曖昧な概念にどうしてもなってしまう のですが、例えばサービスの多様化に応じていないとか、例えば時間外が足りない、夜 間・休日といったことが質の問題に絡んでくるとすると、例えばそういうものへの対応も すべて施設保育というか、今の認可園の形態の中でしなければいけないのかどうか。そう ではなくて、例えば休職中の人の需要への対応が必要だとか、いろいろなニーズがあるわ けですけれども、もう少し違う形で、そういう人たちが保育サービスを利用できる機会を つくる、認可園ではない形態で提供できるようなことをすれば、それで解決できるという、 提供の仕方を変える方法もあるかもしれないので、何もかも認可園の施設保育の形態で応 じるということで質を議論する必要もないのではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。以上、大変貴重なご意見をいただきましてありがとうござい ます。いろいろなご意見が出ましたけれども、私たちが議論しているものというのは、人 口政策、労働政策等をふまえて、持続可能な社会保障の可能性を、いかにきちんと見据え ながら、一方でやはり子どもの最善の利益、発達保障を考えていくということでして、二 つの視点は決してVS構造になるものではありませんし、そのためにも国家的な議論が必要 だという何人かの皆さまのご意見は、まさにその通りだと思います。  しかしながら、財源確保の問題は政局の動きとも関連する等、ここで議論できることを 超えたところもありますので、動向を見据えつつ、必要な議論を粛々と進めていきたいと 思います。それに関しまして、先ほど吉田委員から現行制度の課題をきちんと洗い直して、 運用面で賄えるものと制度的な、抜本的な改正が必要なものとの区分けをした議論を行う べき時ではないかというご提案もいただきました。  それでは、そうした方向で、次のブロックのところへ進めさせていただきたいと思いま す。ページでいいますと29〜31ページです。ここに「検討の視点」として「保育サービス の必要性の判断基準」を出していただいております。ここにつきまして、よろしければ、 またご意見を伺いたいと思います。  佐藤委員、お願いします。 ○佐藤委員  やはり「働きたい人が働けるような環境整備」ということを、労働政策の方で進めてい くということを考えると、それを前提とした保育サービスの提供を考えた方が良いだろう ということで、もちろん、夜働くことが望ましいというわけではありませんが、平日に休 んで土日に働いている方もいらっしゃいますので、昼間に限定することはいかがなものか。 あるいはフルタイムで働く人と短時間の人の必要度が違うというのもおかしくて、短時間 でも預けられなければ働けないわけです。その人にとっての必要度はフルタイムであるか 短時間であるかということは関係なくて、必要度は同じではないかと考えなければいけな いのではないか。ですから、フルタイムの方が必要性が高いとか、短時間の人は必要性が 低いということではなくて、子育てしながら働きたいという点では必要度は同じなのです。  私はそれはいわゆる同じに考えていくということが、多様な働き方を認める中で工夫が 大事なのではないかと思います。求職している人も当然そうだと思いますので、ぜひここ のところのご提案はそれぞれ非常に重要な点ではないかと思います。 ○大日向部会長  庄司委員、お願いします。 ○庄司委員  それに関連して、先ほど私は国際比較のものとか、いわゆる専業主婦といわれる方々の 就労希望のこと等を出しまして、それから、今日出された資料では専業主婦の方々の負担 感が非常に大きく、やはり負担感が大きいということは、もっと子どもを産んでもらうの は無理だということですね。そういう状況にあるということだと思います。  全国私立保育園連盟の調査の中に、「保育園児はきょうだいが多い?」というクエスチ ョンマークが付いた調査結果をまとめたパンフレットが出されておりまして大変興味深い のですが、これは民間団体の調査ですので、厚生労働省の方で、こういうものをサンプリ ング的にどうなっているのかという問題はあると思いますが、私はやはり、今の「認識す べき事項」というところでは、今までの日本の認可保育園というのは、朝しっかり来て夕 方までいて、かつ、毎日必ず来るという形でそういう保育を非常に大事にしてきている。 また、その中で良いものをたくさん生み出してきたという面は、もちろんあると思います。 ただ、やはり子ども集団をつくっていくとか、そういう環境の中で育てていくということ にものすごいエネルギーがかけられてきたわけですけれど、それと今、佐藤委員がおっし ゃったような、短時間でも必要は必要という形で働くと。  ですから、これを全く新しい保育のシステムとしてとして認可園スタイルとは別枠でつ くっていくのか、それとも、認可園そのものがそういう方向に保育というものを、言って みれば、相当に今までとは違った形で保育というものの在り方を考えていくのか。こうい うところも、やはり実際に今、保育園を運営しているところでのきちんとした議論がない と、この問題はなかなか。ここでいくら議論をしても現実に現場でどうかというところと 噛み合わないのではないかと感じております。 ○大日向部会長  山縣委員、お願いします。 ○山縣委員  久しぶりに佐藤委員と同じ考え方なのでほっとしています。働きたい人についてのご指 摘は非常に必要な視点ではないかと思います。結果として、要は必要な時間帯も含めた養 育と<面子>が違うという考え方で、一人一人の子どもについて、あるいは家庭について 必要という点では同じであるということではないか。そこの基準をどうつくるかというの が、今はオール・オア・ナッシングに近い。保育所を利用できるかできないかという答え しかない。そこをもう少しこまめに手助けできるかどうかではないかと思います。  もう1点は、中心が、実際問題として働くという両立支援にあることは否定しませんけ れども、児童福祉法の範囲内でいいますと、保育が必要な、保護者が十分な判断ができな いような方々についてかかわれる仕組みも、例外的にはあるのでしょうが、当然残してお かなければいけないのではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。大石委員、それから清原委員の順にお願いします。 ○大石委員  私も庄司委員のおっしゃった意見に大変賛成です。例えば、この中では時間に応じて保 育サービスを利用できるようにしてはという話もあったと思いますが、やはり幅を広げて いろいろな人が利用できるようにすることについては私も賛成です。ただ、提供の仕方と いうのは、庄司委員がおっしゃったように、もう少し考えた方がよい。認可園の中で例え ば週に1回だけ来る子どもの対応まで含めてやることが、トータルの保育サービスとして 効率的かどうかというのは少し考えなければいけない。例えば3歳児以上の幼稚園で週に2 日だけ来る子どもがいるという状況は、あまり想像できないと思うのですが、あるいは、 例えば卒園間際になってくれば皆で協力して何かを作ったりするというような保育の実践 というものもあるので、そういう中で、求職中で仕事を探すために、週に何日とか何時間 とか必要だという人が使うものを、全て何もかも放り込んで認可園で対応するとしたら、 かえって高コストになってしまう面もあるのではないかと思います。そこには対応の仕方 というものを、もう少し別に考えていく方が良いのではないかと思います。 ○清原委員  本日いただきました資料の19ページから20ページにかけて「現行の保育サービスの必要 性の判断基準」として簡潔にまとめていただいています。私自身が市長になりましてから、 やはり保育の入所の判断をした後に異議申立書を受けて審査をさせていただく経験なども ございまして、その実感から幾つか申し上げます。  一つには、19ページにありますように、地域によって、市町村によって保育を必要とす る方の傾向性が違うことから、当然のことですが、都市部とその他では判断基準を現実的 には柔軟に変えていることが今までもあると思います。ただし、他方で年齢的な問題がご ざいまして、例えば0歳児、1歳児、2歳児といったところは、ニーズは高いのですが、や はり保育所の運用上、人員の確保などかかる経費を考えますと十分に対応できないところ がございます。反対に最近の傾向では、待機児が多い地域であっても5歳児などは余裕が あるケースも出てきています。  従いまして、私たちの悩みは、実態とニーズの乖離を埋めるために、どのように優先順 位を運営の側として判断していくかということです。定員に限りがある以上、私たちは必 要性が同レベルであっても、さまざまな要因から、どうしても入所できる方とそうでない 方を判断しなければならないという現実があります。そうであれば、ここにありますよう に、検討の視点として、多様な就労時間帯のニーズに対応する必要性も、もちろん認識し ますし、一番私が多く感じているのは、求職中にぜひ保育をというニーズが本当に多いの です。また、私が悩ましいと思っておりますのは、優先順位を決めさせていただいて、や むを得ず希望の保育園に入れない場合に、それをあきらめる理由の一つに、幸い、自分が 勤めている企業は育児休業期間を延長することができるので、それを活用して育児休業期 間を延長することで、同じフルタイムで育児休業できない保護者に自分の枠を譲るという 思いで自分は育児休業を取りますという判断を伺う場合です。私が「悩ましい」と申し上 げましたのは、本来は子ども中心に考えるならば、集団保育の良さを感じていただく条件 は子どもには違いがないはずなのに、かえって、保護者の就労条件が良い場合には、延長、 延長ということで保育のサービスを提供できないこともあります。  つまり、条件が同じ場合に、どのように優先順位を付けさせていただくかということは、 日常茶飯の担当者の悩みでございますけれども、その上に、このように29ページ以降で 「保育サービスの必要性の判断基準」で例示してくださっているものは、本当に現実的な ポイントが整理されています。私もできる限り、短時間であっても就労時間の多寡によら ず、必要な方には保育サービスを提供したいと思いますし、求職中の方にも対応したいと 思います。けれども、実際に制約条件がある中で、どのような優先順位を付けていくか、 そのときの重み付けの基準は何なのかということを、今後きちんと整理していければと思 います。  なお、ここで申し上げるべきではないかもしれませんが、正直申し上げまして異議申立 ての中で、共働きで、それぞれ大変重要な社会的な仕事をしているという自覚のある方は、 「自分の子どもが保育園で預かってもらえないとすると、これは大げさでなく社会的損失 ですから、保護者の就労保障のためにも、またそれが社会的に貢献できる仕事なのだから、 大所高所に立って優先順位を乗り越えて市長の裁量で保育してほしい」という申し出がな いわけではないのです。これは、先ほど宮島委員がおっしゃった潜在化という議論に関連 するのではないかと思います。  この検討の視点で出されているものがもっともなだけに、現場での判断が本当に厳しい ということです。また、私立の保育園が、この判断は本当に難しいので、公共性をもって 行うためにも自治体に引き続きやってほしいということをいわれるのは、それほどに優先 順位判断が難しいということを表しているのではないかと思います。以上です。 ○大日向部会長  吉田委員、そして小島委員の順にお願いします。 ○吉田委員  課題提起ということで2、3申し上げたいと思います。一つは、先週聞いた話ですが、首 都圏のある市でちょうど今日までは保育園に欠ける要件が「週5日1日6時間」働いている であったものが明日10月以降は「週4日1日4時間以上」に変わると。自治体の違いではな く同じ自治体で、今日までと明日からで「保育に欠ける」要件のベースが変わってしまう という現実が実例としてあります。これも今の問題であろうと思います。  先ほどの事務局の説明で、市町村での保育の実施義務の例外というある種の逃げ道があ るという話でしたが、これに関して言えば、自治体によっては、決して多いとは思いませ んが、やはり待機児童を出したくないということで入所の申込の際にすでに、もう申し込 んでも無駄ですよと、いわばもう窓口規制で待機児童を発生させないという例が決して少 なくないと私は思っています。その問題をクリアしないと例えば要保育認定をしたとして も、恐らくその問題をクリアできないのではないか。ですから、本当に保育を必要とする 子どもが排除されないような仕組みを考えなければいけないだろうと考えます。そういう 意味では、先ほど手続が今の仕組みではワンストップで済むということでしたが、逆にい えばお断りもワンストップで済むという大きなリスクを背負うのではないかと思います。  もう一つは、「保育に欠ける」要件を全く超えて、特に地方での場合ですけれども、入 所定員を下回っている場合は定員の余裕分だけ私的契約児・自由契約児を入れられるとい うことになっていまして、これらはまったく野放しで直接契約になっていますし、市町村 介入は全くない。公的責任は全く担保されない。しかし、実際にはいろいろな理由はある のでしょうが、利用者にとっては、必要だから私的契約児であっても保育園に入れたい。 市町村の保育に欠ける要件には該当しないかもしれませんが、当然ある必要性を感じて定 員の空きがある場合にはお願いしますということで、私的契約児になっている。ここが全 く公的な世界からいくとノータッチというのもおかしな話だと思いますので、この辺の問 題も、今後少し考えなければいけないことだと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。小島委員、お待たせしました。 ○小島委員  吉田委員が指摘されたところは、現在の行政・自治体の保育の実施義務の例外規定があ るということで、認可保育所等への斡旋で済まされている、あるいはそれもしないことが 実態としてあるということ。それがサービスを提供する、保障する量的な問題で、行き着 く先は財源の問題なのだけれども、その問題も、やはり考えていかなければいけない。  29ページで指摘されている現行制度のまさにフルタイム就労を前提とした判断基準が現 時点では、それが現実に合わなくなってきているということが指摘されている。ここはや はり短時間就労あるいは週何日間かの就労ということを含めてのニーズに対応することは 当然だと思っております。その際に、この間の判定基準はいわばフルタイムを100として それから短時間あるいは週何日かということでランクが落ちてくるということですが、そ れだけでよいのかということ、まさにそこが判断基準の見直しだということは29ページの 二つ目の○で指摘されているところだと思います。利用者の必要量に応じて保証するサー ビス量を認定する仕組み。ここで就労時間を最優先した判定基準でよいのか。特に認定す るに当たっての基準の在りかたの見直しが必要ではないか。その際に、先ほど指摘された ように、今までのように行政窓口でやった場合に、先ほど指摘されたような問題が起こる ので、そこは認定する基準を認定する仕組みと実際の保育を実施あるいは斡旋、そこを分 離するのか、一体がよいのかというところも、やはり判断があるということ。介護保険の 方では一応介護の必要度を判定するための認定委員会というものがあり、それに基づいて 利用者がどこの施設を利用するかを決めるということがあります。そういうことも含めて、 これからの課題としてあるのだと思います。  それから、やはり保育に欠ける基準については、30ページにありますように、専業主婦 に対する保育サービスの保障についても今後、考えていく必要があるだろうと。その際に、 その基準も一つの判断基準というものが出てくるであろうと思っています。ここでは30ペ ージの(2)のところで基本的枠組みについてということで、一番上の○とその下の○にあ りますが、最低限保証されるべき範囲についての基準を、一定の国レベルでの基準、さら に、それに対して自治体の条例に基づいて独自の地域に応じた判断基準で対応すべきだと いう視点が出されていますので、この辺のこともこれから具体的にどうするのか。最低限 保証すべき範囲ということとそれから自治体に合わせた独自の判断基準というような関係 をどのように成立させていくのかがこれからの具体的な課題だと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございました。皆さまのご意見を伺っておりますと、保育サービスの必要性 の判断基準というのは、つくづく難しいものだと思います。 ○佐藤委員  今のところで、少しわからないところがあるのですが、よろしいですか。 ○大日向部会長  どうぞ。 ○佐藤委員  必要性の判断基準と具体的に入所できるかどうかは、分けた方がよいのではないかと思 います。これは難しいことですが、基本的に必要性があるか、ないかだと思うのです。あ る人の中でどの人を優先するかは別の基準にしておかないと認可で隠れてしまうことがな いか。私はここを分けていくことが大事ではないかと思います。それを一緒に議論すると 結構難しい。ですから、例えば1歳児は入れるけれども3歳児は入れないということはあり 得る。それはまた別の基準と考えた方がよいのではないかと思います。 ○大日向部会長  ありがとうございます。ちょうど今、そういうことを申し上げようと思っていたところ でしたが、大切なご指摘ありがとうございます。  それから、1点、私からもしお願いできればと思うことがあります。先ほど庄司委員と 大石委員の間で、短時間の子どもを受け入れるときの保育の在り方がどう変わるかに関し て、かなり慎重な議論が必要だというご意見があったかと思います。この辺りは、岩渕部 会長代理が座長をおつとめになっておられます保育事業者検討会の方でご検討いただけれ ばありがたいと思いますので、お願いしておきたいと思います。皆さまからご指摘いただ いた点は、また次回に戻って、繰り返したいと思います。貴重なご意見ありがとうござい ました。  残った時間で、32ページ以降の議論に移らせていただきたいと思います。32ページと33 ページは「利用方式のあり方を中心とする保育サービスの提供の仕組みについて」に関し てです。どうぞ限られた時間ではありますが、ご意見をお願いいたします。宮島委員、お 願いします。 ○宮島委員  質の議論というところで、先日もいろいろな保育事業者からお話を伺ったのですが、今 の認可保育所の、例えば面積等さまざまな外的な要因の質とそれとは別のソフトの質とい うものをどう考えるかが非常に難しいと思いました。認可園は外的なことや保育士の立場 などは非常に恵まれていると思いますが、親と向かい合ったときの本来の会話が、できて いるところもありますけれども、必ずしもできていないところもあるのではないかと感じ ています。それは先ほどの入所の段階でも、やはり親と保育所の方が入所のところで話し 合うということではなくて、入ってから関係が始まるということもあります。また、本来 公的な保育というのは地域や保護者といろいろな形で皆で子どもにとってどのような保育 が良いのかを一緒に考えていくというのがよいのではないかという議論をしたと思います が、今の形は必ずしもそうなっていない感じがします。ある程度認可園のルールが決まっ ていて、このルールが守れますねという前提から話が始まって、そこで意見を言ったとき に、もちろんその園のフレキシブリティによって受け入れていただくこともあるのですが、 一部に関しては、それはもう決まっていることだから、市や自治体が決めることだからと いうことで、なかなか親と保育所の関係の中で、何が良いかという議論が完結しないとい う部分があると思います。質を考える上では、そういったフレキシブリティというかソフ トの面の親の満足感ですとか、皆で子どものことを一緒に考えられるかどうかということ も考慮したいと思います。  この前お話を伺った中で、民間委託をされた認可の事業者がいろいろなアイデアやいろ いろなことにトライしていらっしゃいました。認可の園の方々の中でも、より良い保育を 考える上でのインセンティブをどのように付けていくのか。多分、最も怠けようと思えば、 恐縮ですが、基準通りにやっていれば済むというところもあると思うのです。さらに親や 子どものためにどういう形が良いかと考えるインセンティブを付ける形をどういう制度で 確保していくかということが大事ではないかと思いました。 ○大日向部会長  他に、いかがでしょうか。 ○吉田委員  まだ、よくわからないのですが、ここの部分に関しては、例えば3歳未満児と3歳以上児 で、保育の上で子どもの発達は連続しているので大事にしなくてはいけないと思いますが、 仕組みの上では3歳未満児はまさに保育所しか存在しないで、3歳以上児は幼稚園・認定こ ども園等もあります。制度的にここを分ける方が良いのか悪いのかは私もよくわからない のですが、議論としては明らかに今後の待機児童のことを考えても3歳未満児と3歳以上児 では自ずから違う部分があろうかと思いますので、特に労働政策、子ども家族政策という 両方の視点から見ても少し整理をしなくてはいけないのではという一つの問題提起です。  それから、これは事務局にお願いですが、もし可能であれば、認定子ども園となった保 育所は契約制でございますので、認定子ども園となった保育所の直接契約等にかかわる仕 組み、あるいは状況がわかる資料を。同じ契約制でもかなり違いますが、東京都の認証保 育所も契約制ですので。つまり、契約制といってもいろいろな形態があり得るという参考 という意味で、そういう資料を用意していただきたいと思います。以上です。 ○大日向部会長  事務局、お願いできますでしょうか。それでは、清原委員、お願いします。 ○清原委員  ただ今、吉田委員から3歳児未満とそれ以上のところで人数・在り方について分けて考 えることもあり得るのではないかというご指摘がありましたが、私も実際の感じとしまし て幼稚園の幼児教育と3歳以上の保育園の保育内容にはそれほど齟齬はなく、それぞれガ イドラインを持ちながらきちんとしてくださっていて、だからこそ認定子ども園というも のも成り立つと思います。けれども、3歳未満児の保育の内容ということになりますと、 もちろん教育的な部分も全くないわけではありませんが、やはり基本的に0歳、1歳児はま さに直接的な養護といいますか養育の部分も多いので、これをどのような対応にするかと いうことについては、重要な切り口として、この際「年齢」という視点も有用ではないか と思います。併せて、いわゆる家庭保育員の皆様には0歳児・1歳児を預かっていただいて いるわけで、そういう意味で、民間の力をお借りしやすい3歳児以上の保育と、いわゆる 家庭的保育を中心とする年齢の子どもとの間では、実態に沿いながら保育サービスの提供 の仕組みについてもきめ細かく検討することは有用ではないかと思います。  ちなみに三鷹市でも全国に先がけて初めて株式会社に公設民営の保育園をお願いしてき ています。もちろん直営の保育園を残し続けることを原則として、一部の保育園について 公設民営とさせていただいて民間の力を大いに発揮していただいているのですが、そうし た年齢の点、それから今申し上げた公設民営で運営するケースも徐々に増えていくと思い ますので、この点は質のことについて齟齬がないようにガイドライン等を作って臨んでお りますが、これも今後の検討課題になるかと思います。以上です。 ○大日向部会長  ありがとうございました。他に、いかがでしょうか。小島委員、お願いします。 ○小島委員  32ページ、33ページは先ほど吉田委員が指摘されたところについての具体的なあり方に ついて記述されています。32ページでは現行制度の認可保育所の利用方式ということで、 市町村における実施基準の例外規定ということがあるので、実質的には認可保育所が利用 されていないといったような形で出てきているということなので、そこのところの問題点 をここで指摘しているということであります。  具体的には33ページのところで、それと33ページの(2)の上の(1)の判断です。優先度の 判断の必要性ということで現行制度、下の方の○で今後どう見直すか、あるいは対応する ことを考えているのですが、ここでは現在対象者の優先度の判断、そういうものの必要性 について、ここは引き続き必要だと指摘しておりまして、どのような利用方式を採った場 合でも必要ではないかという指摘になっております。どのような利用方式、それは現在の 制度でも、あるいは仮に直接契約といったことになっても、ここは優先度の判断の要素が 必要ではないかということを指摘している。方向性としてはそうだと思っています。  それから、下の枠内に入っている判断(2)のニーズの潜在化も先ほど吉田委員が指摘され たところで、まさに申込みを行政が一体的にやっていることによって、窓口で諦め的なこ とで待機分をカウントされないといったことによって需要が潜在化してしまう側面がある ということで、これをどう解消するか。まさにこれは行政なり自治体の役割、保育の実施 義務の実績をどう担保するということになってくると思います。  そういう意味では、一番下に※として出ている他の制度として、介護あるいは障害者等 のところで給付の必要性、あるいは必要事例の判定・認定が独立して行われているという ことで、その必要性・必要度が判定されれば、それに基づいて受給権が発生する。その受 給権をどう保障するかということでいえば、行政・自治体が、一番下にありますように、 サービス提供基盤の整備責任も明確にされているということなので、保育に関してここが 必ずしも現行法で明確にされていないので、行政としてのサービス提供整備責任の明確化 という面においても必要だと思っています。当然そのためには財源が問題になってくるの で、そこも含めてここは今後具体的に考えていく必要があるのではないかと考えています。 ○大日向部会長  ありがとうございました。まだまだご意見がおありかと思いますが、ちょうど時間にな りました。本日は非常に多岐にわたる検討をお願いいたしまして、それぞれの委員から貴 重なご意見をいただけたと思います。それにいたしましても、私たちが検討しやすいよう な行き届いた資料を、事務局におかれましては短時間でご用意いただいたことを改めて御 礼申し上げたいと思います。  冒頭申しましたように、やはり本日では終わりませんでしたので、継続審議として次回 に続けていきたいと思います。本日は時間の制約もありまして十分言い足りなかったとこ ろもおありかと思います。次回までに言い足りなかったことがありましたら、事務局の方 にメールまたはFAXで結構ですのでお送りください。また事務局におかれましても今日ご 欠席の委員にこのことをお伝えいただけますでしょうか。よろしくお願いいたします。  それでは、最後に次回の日程について、ご説明願います。 ○朝川少子化対策室長  本日は誠にありがとうございました。次回の日程につきましては10月6日月曜日の17時 から厚生労働省の9階省議室で予定してございます。引き続き、次世代育成支援のための 新たな制度体系の設計についてのご議論をお願いしたいと思います。お忙しいところ恐縮 ではございますがご出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。ありがとうござ いました。 ○大日向部会長  それでは、本日はこれで閉会といたします。ありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省  雇用均等・児童家庭局総務課  少子化対策企画室  (内線7944)