08/09/30 平成20年9月30日薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会議事録 1.日時及び場所   平成20年9月30日(火) 18:00〜 厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(19名)五十音順   安 達 知 子、 五十嵐   隆、 猪 熊 茂 子、 生 出 泉太郎、   木 下 勝 之、 國 頭 英 夫、 倉 田 雅 子、 柴 川 雅 彦、   首 藤 紘 一、 土 屋 文 人、 中 澤 憲 一、 新 見 伸 吾、   日 野 治 子、 藤 田 利 治、 堀 内 龍 也、 槇 田 浩 史、  ◎松 本 和 則、 三 宅 良 彦、 宮 村 達 男    (注) ◎部会長  ○部会長代理   他参考人4名   欠席委員(5名)五十音順  ○池 田 康 夫、 甲 斐 知恵子、 工 藤 宏一郎、 倉 山 英 昭、    埜 中 征 哉 3.行政機関出席者   高 井 康 行(医薬食品局長)   岸 田 修 一(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   森   和 彦(安全対策課長)、   倉 持 憲 路(安全使用推進室長)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 三 澤   馨(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)、他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻になりましたので、平成20年度第2回医薬品等安全対策部会を 開催いたします。本日の部会は従前の取扱いと同様、公開で行うこととしておりますが、 カメラ撮りは議事に入る前までとさせていただいておりますので、マスコミ関係者の方 々におかれましては、御理解と御協力のほどよろしくお願いいたします。また傍聴者に おかれましては、傍聴に際しての留意事項、例えば「静粛を旨とし喧噪にわたる行為は しないこと」、「座長及び座長の命を受けた事務局職員の指示に従うこと」などの厳守 をお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中、御参集いただきありがと うございます。本日の部会は池田委員、甲斐委員、工藤委員、倉山委員、埜中委員より 欠席の御連絡をいただいております。また、安達委員と三宅委員は、多少遅れるという ことでございます。現在17名の委員に御出席いただいております。本部会の定員は24 名ですので、本日の部会は定足数に達しております。また、本日は参考人といたしまし て、財団法人いしずえの佐藤嗣道理事長、日本骨髄腫患者の会上甲恭子副代表、藤本製 薬株式会社の中尾智佳子医薬情報部次長、大阪大学大学院薬学研究科の那須正夫教授に 御出席いただいております。  事務局につきましても、7月以降交代がありましたので御紹介いたします。医薬食品 局長の高井です。大臣官房審議官医薬担当の岸田です。医薬品医療機器総合機構安全管 理監の松田です。それでは、議事に入らせていただきますので、カメラ撮りはここまで とさせていただきます。よろしくお願いします。  まず平成20年3月24日の薬事・食品衛生審議会薬事分科会で申し合わせられた「審 議参加に関する遵守事項」についてですが、本日の検討事項は、議題1のサリドマイド に関わるものですので、製造販売業者の藤本製薬及びその競合1社の計2社からの過去 3年度における寄附金等の受取状況について御申告いただきましたが、すべての委員に ついて受取はなかったとのことでございます。なお、競合品目、競合企業につきまして は、事前に各先生方に資料をお送りして、御確認いただいております。それでは、以後 の議事進行は、松本部会長にお願いいたします。 ○松本部会長 ただ今事務局から説明のありました審議の際の申合せ事項につきまして は、よろしいでしょうか。特にないようですので、競合品目・競合企業の妥当性を含め、 御確認いただいたものといたします。先生方におかれましては、お忙しい中お集まりい ただきありがとうございます。それでは、まず事務局から本日の配付資料の確認をして ください。 ○事務局 それでは確認させていただきます。各委員の先生方には事前に資料を送付し ておりますが、お手元の資料で御確認いただければと思います。まず、本日の部会の議 事次第がございまして、これに配付資料、参考資料の一覧がございます。これを見なが ら御確認いただければと思います。  次に部会の委員名簿がございます。その次に資料1-1「サリドマイド製剤安全管理手 順(案)」でございます。続きまして、「TERMS」と書かれた図がございます。次に資料 1-2としまして、那須先生より提出の「TERMS第三者評価骨子(案)」でございます。続き まして、資料1-3は平成20年9月30日の安全対策部会と書かれた「サリドマイド製剤 の安全管理に関する確認事項」についてでございます。  続きまして、資料2でございますが、これは平成20年8月1日の安全対策調査会での 意見の資料でございます。参考資料といたしまして、一つとじにしておりますが、サリ ドマイド関連の資料をお付けしております。以上でございます。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。よろしいようでしたら、早速、議題に入りたいと 思います。まず議題1の「サリドマイドの安全管理のための方策について」です。事務 局から説明をお願いいたします。 ○審査管理課長 審査管理課長でございます。参考資料に基づいて、有効性・安全性の 評価の状況について御説明いたします。参考資料の冊子の1ページを御覧いただきたい と思います。8月27日に公表した文書でして、8月27日に開催されました薬事・食品 衛生審議会薬事分科会の医薬品第二部会における審議結果が載っております。  医薬品第二部会としては安全管理の方策について、検討会及びこの医薬品等安全対策 部会において検討が行われ、それが適正に実施されることを前提に「再発又は難治性の 多発性骨髄腫」治療薬として製造販売承認を行うことはよろしいのではないか、これは 分科会において審議しようという御結論をいただいたところです。  その際に承認条件として三つ挙げられております。1.安全管理方策の適正な実施、2. インフォームドコンセント、3.全症例を対象とした使用成績調査並びに追加試験の実 施、この3項目です。  また、「薬事分科会における確認事項」がありまして、「社会的関心の極めて高い医 薬品」として、部会の審議結果について意見を募集して、その御意見を薬事分科会に部 会での審議結果とともに上程し、御審議いただくという手続があるわけです。これは平 成10年にピルの審議のときに実施したことがありますが、これと同じように意見募集を すべきだという御意見を賜ったところです。したがいまして、この医薬品等安全対策部 会におかれましては、誠に恐縮ではありますが、サリドマイド製剤の安全管理方策につ いて、医薬品第二部会として、御審議、御検討をいただくようお願いしたいということ です。  裏に全体の流れが書いてあります。大きく分けて、「有効性・安全性の評価」という 流れと、「安全管理方策の検討」という二つの流れがあるかと思います。今御説明いた しました有効性・安全性の評価については、医薬品医療機器総合機構の審査が8月11 日付で厚生労働大臣宛審査結果が報告されております。これを基に医薬品第二部会が8 月27日に開催され、意見募集を8月27日〜9月18日まで実施したところです。1ペー ジの意見募集の期日が9月11日となっている表現があるわけですが、余りに短かすぎ る、延期すべきだという御意見を賜りましたので、9月18日まで延長したところです。  右側の「安全管理方策の検討」については、安全対策課長から御紹介があると思いま すが、意見募集をやり、検討会を3回開催し、この安全対策部会で御審議をいただく段 階に至っているわけです。医薬品第二部会と医薬品等安全対策部会は、審議会の組織と してはいずれも薬事分科会の下にある組織です。この二つの部会の結論が得られた段階 で、薬事分科会において御審議をいただくことを事務局としては考えているところです。 以上でございます。 ○安全対策課長 引き続きまして、私は安全対策課長でございますが、参考資料2ペー ジの右側「安全管理方策の検討」についての経緯を補足させていただきます。ここにつ きましては、そもそもこのサリドマイドというのは、現在では1990年代後半になって、 多発性骨髄腫に対する有効性が示唆されたことから、既に米国、オーストラリア、トル コ、韓国、そして欧州で承認をされているところです。我が国におきましても、本日参 考人として御出席いただいております藤本製薬株式会社から、2006年8月に承認申請が されているという状況です。これの承認の可否について、審議会でのプロセスが進んで いるという状況です。  ただ、このサリドマイドは1950年代後半に催眠・鎮静薬としてドイツで開発され、1960 年代初頭にかけて世界中に販売された医薬品です。我が国においても、1958年〜1962 年にかけて、不眠症、手術前の鎮静などに対して広く使用され、更にこれを含む胃腸薬 なども発売されたという経緯があります。しかし、このサリドマイドを妊娠中に服用し た場合、四肢への重度な先天性障害や胎児の死亡を引き起こすことが明らかになり、世 界各国で発売中止と回収が行われたという経緯があります。非常に大きな被害を出した ということで、世界的にも知られている薬です。  したがいまして、このサリドマイドの使用に当たっては胎児へのサリドマイドの曝露 を防止するために、厳重な管理と適正使用の推進を図る必要があるということで、既に 承認されている米国等海外におきましても、国による差は多少はありますが、その使用 については厳格に管理するためのシステムを作り、その前提で使用を認めてきていると いう経緯があります。我が国におきましても、これらと同様の安全管理システムを構築 するということが、このサリドマイドを現場でお使いになるためにも、大前提になると 考えておりまして、これについて藤本製薬株式会社が、サリドマイドの教育と安全使用 に関する管理システムということで、TERMSという仕組みを構築してきたわけです。  これにつきまして、参考資料の3〜4ページにかけて御紹介してあります。様々な立 場の委員の方から成る検討会を開き、もちろんこの検討会のさらに前にも、前段となる 議論で大変な御苦労をしていただいた上ではありますが、最終的にサリドマイドの被害 に遭われた方々、それから多発性骨髄腫の患者の会の皆様、そういった方々も含めた有 識者にお集りいただいて、この安全管理システムについて御議論をいただき、成案とな って本日に至っているものです。  この3回の検討会で精力的に御議論をいただき、このシステムが厳重でありながら、 患者や医療関係者にとって、実行可能なものにするべく御議論をいただいたという経緯 です。こうした検討を踏まえて、本日の安全対策部会に御提出するところにこぎ着けた わけです。このシステムにつきましては、基本的にどのようなポイントがあるのかとい うことにつきましては、後ほど資料1-3で御説明いたしますが、まずは中身を御紹介す るということで、これから資料1-1、資料1-2に基づきまして、担当の方から御説明を いたしたいと思います。 ○事務局 事務局から御説明いたします。お手元の資料1-1及びその下に配付しており ます1枚のポンチ絵、及び資料1-2に基づきまして御説明いたします。まず、概要はポ ンチ絵で御説明したいと思いますので、そちらを御覧いただけますでしょうか。まず、 こちらの絵に基づき主要なポイントについて、御説明したいと思います。本サリドマイ ド製剤に関わる医師、あるいはその治療を受ける患者、院内の調剤所、これは院内処方 に限るということになっておりますが、院内の調剤における薬剤師、あるいは特約店に おいて、これは麻薬卸売販売業者に限るとさせていただいておりますが、そこにいる薬 剤師、こういった方々に対しまして、藤本製薬があらかじめ情報提供、必要な情報につ いて説明し、あるいは患者に対しては医師から教育を行っていただき、そしてその理解 度を確認した上で、これらの方々を事前に登録するということになっております。これ は一つ目のポイントで登録した方のみ、このサリドマイド製剤を取り扱うことができる、 処方することができるという形になっております。  二つ目のポイントとして、毎回の処方ごとにその処方の適切性について、藤本製薬の TERMS管理センターにおいて、確認をするということがあります。少し流れを説明させ ていただきます。まず毎回の診察ごとに患者より診察前調査票をTERMS管理センターに FAXにて提出していただきます。その後、実際診察をしていただくわけですが、その 診察時におきまして、医師においても、遵守状況等の確認を行っていただき、その結果 をTERMS管理センターにFAXで送っていただくという形になります。その二つのFA Xの内容を確認しまして、問題なければ、TERMS管理センターより医師に向けて、FA Xをお返しするということになります。そのFAXを受けて、はじめて医師に処方箋を 発行していただくということになります。  患者には、その処方箋を持って、病院内の調剤所に行っていただきまして、そこでま たそこにいらっしゃる薬剤師から遵守状況等の確認を行っていただきます。その結果を 薬剤師からTERMS管理センターの方にFAXしていただきまして、その内容をそれまで 送られてきたFAXの内容も含めて、TERMS管理センターで確認を行いまして、問題な ければ、改めてTERMS管理センターより薬剤師にFAXをお送りするということになっ ております。そのFAXを受けて、はじめて薬剤師に調剤をしていただいて、患者に医 薬品を提供するという流れになっております。これが処方ごとの確認をさせていただく という点になります。  三つ目の点として、第三者評価のことを御説明します。藤本製薬株式会社においても、 TERMS委員会と呼ばれる社外委員から成る委員会を設けて、このシステムの全体の評価 などを行うわけですが、加えて外部の評価という観点で、第三者評価機関を設けるとさ れております。第三者評価機関においては、独自の調査などを行い、その結果を藤本製 薬、あるいは行政に報告する、必要な改善点があれば、それについて提言をするという 役割を担っていただくことになっております。概要については以上でして、引き続き、 もう少し詳しい部分について資料1-1「手順(案)」に基づいて御説明いたします。  1ページ、1.「背景」に続きまして、2.「目的」が示してあります。「本手順は藤 本製薬株式会社が製造販売承認を受けたサリドマイド製剤を厳格に管理し、併せてこの 厳格な管理を基盤とした本剤の適正な使用を推進し、本剤の胎児への曝露を防止するこ とを目的とする」とされております。  2ページ、3.「用語の定義」がありますが、この中で、「患者」の部分を御覧いた だきたいと思います。本手順においては患者をA、B、Cの3グループに分けるとされ ております。男性患者、そして女性患者B、女性患者Cですが、女性患者Bについては、 自然閉経した女性(45歳以上で1年以上月経がない、子宮又は両側の卵巣を摘出した女 性)とされております。女性患者Cは、女性患者Bに該当しない場合で、処方医師が本剤 の服用による治療方法が適切と判断した女性とされておりまして、女性患者Cに該当す る患者は、定められた時期に妊娠検査を行っていただくことになっております。また、 少し独特のシステムといたしまして、薬剤管理者という方を定義しておりまして、こち らは患者の薬剤管理を行い、患者以外の者の誤飲防止や不要になった薬剤の返却を徹底 するため等に選定される患者の身近な者とされております。  続きまして本サリドマイド製剤を取り扱う医療機関ですが、4.1.136行目にあります とおり、原則として、日本血液学会研修施設とするとされております。ただし、本剤承 認時に個人輸入のサリドマイド製剤で治療している施設にあっては、そこに示してある ような一定の条件の下に本製造を取り扱えることとするとされております。先ほど申し 上げましたとおり144行目、本剤の処方は、すべて院内処方とするとしております。  また、このサリドマイド製剤の流通を取り扱う店を特約店としておりますが、麻薬卸 売業の免許を有する店に限定するとされております。  5.「情報提供及び教育」ですが、先ほど申しましたとおり、藤本製薬あるいは患者 に対しては医師から教育を行っていただくことになっており、その際に使える提供資料 などが5、6ページに示してあります。  8ページ、6.「登録」です。216行目以降、登録対象者として、処方医師、責任薬 剤師、患者、特約店責任薬剤師が挙げられておりまして、また、登録条件として、処方 医師、責任薬剤師、患者、特約店責任薬剤師に分けて、それぞれ記載されております。 また、処方医師につきましては、共通部分、あるいは日本血液学会研修施設の医師の場 合、日本血液学会研修施設以外の施設の医師の場合に分けて記載しておりますが、いず れにいたしましても、専門性の高い医師を登録させていただくことになっております。  9ページ、246行目、6-(3)「患者」ですが、この登録に当たりましては、患者御本人 に登録していただくわけですが、認知症等の患者であって、以下の手順を薬剤管理者が 理解し代行できる場合を含む、というふうな登録の条件とさせていただいております。 この中で、252行目、患者Cに該当する患者に関することですが、女性患者Cは、本剤 の服用開始予定日の4週間前及び2週間前の妊娠検査が陰性であること、又は同意日の 4週間前から性交渉をしていないことの確認がされていると記載されておりまして、こ こは処方開始日において、妊娠していないことを確実に確認するために設けられている というところです。  6.3.「登録手順」ですが、必要な登録申請書を用いて登録を行っていただきますが、 申請していただいた後、登録通知書が届けられます。また、268行目ですが、患者に対 しては、登録カードを発行するとされており、そのカードには本剤を服用中であること 等も記載されるとなっており、他の診療科や医療機関を受診される際、院外薬局におい てサリドマイド製剤以外の調剤を受ける際などに活用していただけるようお願いすると されております。  12ページ、7.「中央一元管理」に関する記載です。藤本製薬におきまして、7.1.「流 通」、あるいは次ページの7.2.「処方」あるいは7.3.「調剤」に関しまして、中央一元 的に管理をすることとされております。具体的な流れは、先ほど1枚のポンチ絵で御説 明したとおりとなっております。詳細は中身を御覧いただければと思います。  15ページ、8.1.「薬剤の管理」に関することです。保管場所、あるいは数量管理、薬 剤の返却、薬剤の廃棄、薬剤の紛失時の対応等に規定されております。例えば、保管場 所については、医療機関においては、人の出入りが制限された施錠可能な場所、患者に おきましては他の薬や飲食物と区別された子供の手が届かない専用の場所において保管 していただくようお願いしております。数量管理につきましては、医療機関及び特約店 の数量管理に関しましては、本剤専用の出納表を使って管理をしていただく、あるいは 患者の数量管理に関しましては、専用のカプセルシートを用いて管理をしていただくこ とが記載されております。  17ページ、8.2.「妊娠回避の徹底」に関してです。対象者、妊娠回避の期間、妊娠回 避の方法等について、ここに記載されております。対象者といたしましては、女性患者 C及び男性パートナー及び男性患者とされております。妊娠回避の期間につきましては、 そちらに記載されているとおりです。妊娠回避の方法は、例えば女性患者C及び男性パ ートナーのケースであれば、男女それぞれが以下の避妊方法1種類以上を実施し、男女 合わせて2種類以上を組み合わせることとされております。  476行目以降ですが、避妊に失敗した場合についても記載されております。そのよう な場合においては、直ちに処方医師と相談をする。女性患者Cは直ちに本剤の服用を一 時停止するとされておりまして、また、緊急避妊につきましても、避妊失敗時の選択肢 の一つとして、その方法が示されております。  18ページ、8.3.「妊娠検査」についてです。先ほど申しましたとおり、女性患者Cの 方には、定められた期間、すなわち490行目から以下に書かれておりますような時期に おいて、妊娠検査を行っていただくこととされております。ただし、服用開始4週間前 及び2週間前の妊娠検査につきましては同意日の4週間前から性交渉をしていないこと が確認された場合においては、不要とされております。499行目、8.4.「禁止事項」で すが、男性患者、女性患者に分けて禁止項目及び禁止期間についてお示ししております。  19ページ、515行目8.4.2.「禁止項目の遵守状況確認」です。これまで申し上げま したとおり、服用開始時から服用中止時まで遵守状況を確認させていただくことに加え まして、本剤服用中止から本剤服用中止8週間後までフォローアップのための遵守状況 の確認を行うこととされております。その下、532行目、8.6.「逸脱時の対応」を御覧 ください。このような手順を構築しているわけでありますが、どうしても逸脱するケー スがあり得ますので、そのようなケースにどのように対応するかについて、記載されて おります。軽微な場合、重大な場合に分けて記載されておりますが、基本的な考え方と いたしましては、そのような逸脱があった場合には注意喚起をさせていただき、そして この手順書を遵守していただくように、改めてお願いをするということになります。し かしながら、やはりどうしても逸脱が繰り返されるとか、そういうやむを得ない場合な どがありましたら、TERMS委員会において、登録の取消しも含めて検討することになっ ております。  20ページ、9.「評価及び改善」ですが、どのようなシステムにおきましても、評価 そして改善を行っていくということは非常に重要なことだと考えられます。具体的には 548行目にありますとおり、TERMS委員会及び第三者評価機関の二つにおいて行うことと されております。まず、最初のTERMS委員会における評価につきましては、これは藤本 製薬の社内に設置する委員会でして、委員の構成については、554行目以降に示してあ るとおりになっております。ここで評価された結果につきましては、行政への報告書の 一部となります。具体的には563行目以降に書かれている内容につきまして、評価・検 討を行うこととされております。  次のページですが、9.1.2.「第三者評価機関による評価」です。先ほど申し上げまし たとおり、第三者的な立場から評価を行っていただくとされておりまして、具体的には 579行目以降にある選定条件を満たす方に、第三者評価をお願いするとされております。 この内容につきましては、後ほど資料1-2に基づいて御説明したいと思います。このよ うな形で、いろいろな評価がされるわけですが、588行目、9.2.「改善」のところに示 してあるとおり、改善すべき点が認められた場合におきましては、行政に報告し、その 指示に従って改善をしていただくとされております。  22ページ以降は、10.「その他」で、その他に該当するものについて規定があります。 10.1.「情報の公開」から始まりまして、その次は602行目10.2.「行政への報告事項」 等について記載されております。23ページ、10.2.2.「緊急報告」では、例えば女性患 者が妊娠した又は妊娠検査結果が陽性の場合には、行政へ速やかに報告していただくと されております。そういう事例が生じた場合には、628行目以降にありますとおり、藤 本製薬株式会社は、追跡調査を行うこととされております。そのあと、10.3.「記録の保 存」あるいは非常に大切な10.4.「情報の管理及び個人情報の保護」について記載があ ります。  最後、10.5.「適応外使用」で、原則として本剤は、適応外使用には提供しないことと されておりますが、医師主導治験又は臨床研究として医療機関が本剤の使用を認めた場 合にあっては、TERMS委員会が評価し、藤本製薬株式会社が妥当であると確認した場合 は提供することとされております。駆け足でしたが、手順書の本文につきましては以上 でして、そのあとに、様式が付けられております。最初の様々な方々からいただく同意 書に続きまして、登録申請書、あるいはそれに対してお返しする登録通知書、患者に書 いていただく診察前調査票、また医師、薬剤師に記載していただく遵守状況等確認票等、 本手順を行っていく上で必要な様式が付けられております。特に検討会におきましては、 例えば様式の4、5、6、あるいは21、22、23といった患者に記載していただく分につ きまして、患者にとって、より分かりやすく、答えやすいものにすべきではないか、あ るいはプライバシーに不要に触れないような書き振りがいいのではないかという御議論 がありまして、改善されてきているところです。  続きまして、資料1-2を御覧ください。こちらは本日参考人として御出席いただいて おります大阪大学大学院薬学研究科那須正夫教授に作成していただいたものです。 「TERMS第三者評価骨子(案)」です。先ほどから申し上げている第三者評価機関におけ る評価の骨子について、示していただいております。大きく分けまして、3つのパート がありまして、「TERMS第三者評価の目的」「調査方法」、そして裏面には「TERMS第三 者評価委員会」のことについて記載されております。  まず最初に目的ですが、円滑なシステムの運用を確保するため、医師、薬剤師、患者 等において実効性を困難にする要因を把握し、評価をする。そして、患者、あるいは薬 剤管理者、医師、薬剤師に対して、理解度やあるいは教育・指導の実施状況の調査をす る。そしてTERMSの機能を総合的に評価をして、このような観点を踏まえて、TERMSの 改善点について提言を行う、といったことが目的として示されております。  「調査方法」です。1:「患者へのインタビュー」、2:「医師、薬剤師へのアンケー ト」があります。患者へのインタビューは原則として電話にて行う、そして患者の視点 に立って、システムの改善につなげると記載されております。また、インタビューに当 たっては患者の負担を十分に考慮して、必要かつ十分な内容の質問項目を設定する、患 者が認知症である場合や電話でのインタビューを希望しない場合には、紙面調査を行う、 あるいは薬剤管理者が調査を代行するといったことが記載されております。医師、薬剤 師へのアンケートは書面にて行い、そしてこれもシステムの改善につなげると記載され ております。裏面の3行目、教育・指導に関する実施状況を客観的に理解するための項 目を設定するとされております。  3:「データ処理」ですが、このように得られた調査データをデータベース化し分析を 行って、TERMSの第三者評価委員会に提出すると書かれております。この第三者評価委 員会におきましては、そこにお示ししてある専門家の方々に集まっていただき、定期的 に開催するこの評価委員会におきまして、論議していただき、その結果を行政、あるい は藤本製薬に報告していただく、また、行政との連携を図るとされております。  資料1-1、1-2に関する仕組みは以上です。本日メインテーブルの先生方には、藤本製 薬提出資料ということで、紙ファイルの冊子を配付しております。こちらは今申し上げ ましたTERMSにおいて情報提供などに用いる資料の一式になっております。基本的には、 手順書の内容とリンクするような形で、一方で、実際に説明の対象の方を想定しながら 資料を作成していただいているものでして、処方医師用の冊子、責任薬剤師用の冊子、 患者用の冊子、患者用の冊子につきましては、男性患者、女性患者B、女性患者Cに分 けられて作られております。また、特約店用、それに付け加えまして、本手順の説明冊 子やサリドマイドの被害説明用の冊子、教育用補助ビデオなどについて、現時点のもの が取りそろえられておりますので、議論の参考にしていただければと思います。駆け足 ではございましたが、以上でございます。 ○安全対策課長 このような形の案を作ってきました経緯について、冒頭、少し御説明 をしましたが、この医薬品等安全対策部会にお諮りをする前段として検討会を開きまし て、そこでTERMSについてかなりの修正を加えていただきました。ここでの御議論が TERMSをどういうつもりで作ってきているのか、どう運用するべきかということに対し て、非常に重要な御意見をまとめていただきましたので、それを確認事項という形で書 面にしました。それが資料1-3です。  確認事項をまとめてきたのには、検討会における御議論があるわけですが、もう一度 参考資料を御覧いただいて、参考資料の2ページに「安全管理方策の検討」とあります が、ここでTERMSの原案を厚生労働省のホームページに「御意見募集」として案を出し まして、8〜9月にかけて御意見を募集しました。ここでいただいた一般からの御意見 は、参考資料の21ページ以降に具体的に御参考に挙げています。ただ、御意見としては 多発性骨髄腫の患者から治療の手立てとしてのサリドマイドを早く認可してほしいとい う御意見が圧倒的に多くて、これを踏まえてこの検討会の御議論は、患者側の負担の軽 減に向けての手直しというところが非常に大きなポイントだったかと思います。その点、 参考資料にも経緯として御紹介をしているものですが、そこでこの検討会の御議論は、 非常に重要な点として三つにまとまっています。資料1-3の1枚めくって「サリドマイ ド製剤の安全管理に関する確認事項」と書いているものですが、ここに1.「基本的な考 え方と対応」として三つのポイントを挙げています。  一つ目のポイントは、(1)サリドマイド製剤については、胎児曝露等による健康被害 を二度と起こさないことを目標に、患者が治療を受ける権利や人権にも配慮し、実効性 のある安全管理を実行すること。これは厳格な安全管理方策は、患者に必要な治療を確 保するために関係者が守るべき事項であり、藤本製薬、医療関係者、患者及び行政がそ の役割を認識し、それぞれの責任を果たすものであるということ。これが一つ確認をさ れています。  さらに、二つ目として、(2)サリドマイド製剤の承認時にTERMSの実施を藤本製薬に 義務付け、関係者の理解と協力によって適切に運営させること。これは冒頭に審査管理 課長から御紹介のありましたように、承認条件としてこれを義務付けることを今考えて いることです。  先ほど御紹介しましたが、TERMSの全体の運営状況について、(3)第三者評価委員会 等の活用により、個々の事例の対応を含め、TERMSの運営の透明性を確保するとともに、 遵守状況及び安全管理の効果がモニターされ、継続的に適時適切な改善が行われるもの とすることとなっています。これはこの検討会の冒頭、原案として示されたTERMSは非 常に厳格な管理ということを旨として作られてきたこともあり、患者・医療関係者にと って非常に負担の大きい、なかなかとっつきにくい、守っていくのは非常に負担の大き い、そういうシステムになっていたことにかんがみて、できる限り高圧的な表現や、患 者にとって非常に負担の重い部分をできる限り改善しようと検討がなされたわけです が、それでも実際の運用をしていくと、まだまだ改善すべきところが出てくる、あるい は個々の患者にとって、場合によっては余りにも負担が重いということがあるだろうと。 それに対応していくことが大事であるとうたわれたものです。  さらに2.「行政の取組み」では、ここの検討会の御議論の中で、国がこのシステムに ついて積極的に関与し、フォローするということが特に重視されたことで、国側に、行 政側にいろいろな宿題を課せられました。これについて行政としても安全管理に、ある いはそういうTERMSだけの話ではなくて、全体的にしっかり取り組むということで個々 に挙げられた点について、このようにしますということを文書にしたものです。  (1)これは安全管理方策の実施を承認の際の条件とするとともに、もしこの変更をす る場合は国の了解を得て透明に管理されるということ。事前に国が確認をして修正する という手順をきちんと守るということです。  (2)TERMS実施の適切性をモニターする第三者評価委員会、ここが非常に重要な役割 を果たすことを繰り返し申し上げていますが、ここに対して健康被害、再発防止の観点 から行政が関与及び支援をするということ。これは第三者評価委員会に行政からも人が 出席をするということ。あるいはそこに少しでもお金を出してほしいと、こういう要望 がありまして、それも検討しましょうと、努力をしましょうというお答えをしていると ころです。  (3)サリドマイドの重要な問題として、胎児に与える影響があるわけですので、先天 異常のモニタリングが非常に大切になるわけです。これにつきまして関係学会の先天異 常サーベイランス、これは産科医会の御協力を得て行っているサーベイランスが日本で も動いているということですが、これを具体的には想定しているのですが、あるいは関 係学会、これは先天異常学会を想定しているのですが、そういったところの専門家の御 協力の下で、国や国と一緒にやっている医薬品医療機器総合機構、ここにおける先天異 常に関する副作用等の評価体制を充実、強化して、TERMSの適正な運用にも資すること をやろうという取組として考えています。  (4)万が一、サリドマイド製剤によって服用者やその子に健康被害が発生してしまっ た場合、副作用被害救済制度による救済が可能となるよう対応に努めるとともに、患者 の治療を確保しつつ、その改善等にかかる措置を速やかに実施する。TERMSがきちんと 機能し続けるように対応していくこと。万一の被害に対してもできるだけの対応をする ということ、それをここに書いているものです。  (5)これはTERMS導入の移行期や患者が他の治療用途において使用するために継続せ ざるを得ない場合の個人輸入です。現状ではこのものは承認になっていませんが、多発 性骨髄腫の患者、個人輸入でお使いになっている方がたくさんいらっしゃいます。この ことは公知の事実ですが、そういう状態から承認になって個人輸入からTERMSによる管 理に移行していくと、大部分の方はそうなっていくということですが、それ以外に稀少 な疾患でお使いになっている方が現実にいらっしゃるということですので、その部分に ついては治療の道が絶たれないようにすることも必要であるということ。それらを考慮 して、個人輸入についての電子的な登録管理の仕組み作りを進めていくことが、ここに 書いてあるわけです。  (6)「安全管理方策等の周知及びその実施に係る関係者への協力依頼を行う」と、非 常に簡潔に書いてありますが、これはサリドマイドそのものについて多くの方に知って いただくということがなければ、なぜこのような管理をしなければならないのか、ある いはそれを守らなければならないのか、ということが分かっていただけない、守ってい ただけない。ですから、教育が非常に重要であるということです。このことについて、 国としても教育の側で、例えば試験問題、カリキュラムなど、そういったところに薬害 の問題、サリドマイドの問題についても、盛り込んでいただくように働きかけることか ら始まって、この薬が実際に使われる場合に関係する学会、団体に対しても、御協力の お願いをすることをここでやろうと書いているものです。  (7)は、(3)の先天異常モニタリングについて、これは国による事業として行われる べきであるという御意見、(4)の製剤による万が一の健康被害の場合の胎児の死亡に対 しても手を差し伸べてほしいと、救済措置を講ずるべきという御意見を、これはサリド マイド被害者の方からの御要望ということでいただいていることをここに書き記してあ ります。こうした文章を検討会の一つの成果ということでお作りして本日御紹介するも のです。  後ろに付けてある別添の図は、実際のTERMSの運営・管理ができる限り透明性の高い 形でいろいろな方々からの御意見をいただきながら運営をし、守られていくようにとい うことで、具体的な構図としてこうなりますというポンチ絵です。この中で申しますと、 個別、具体的なケースの相談がどうなるかは、一番裏側の方になりますが、具体的な個 別の事例処理の流れで御覧いただければと思います。実際に一番下(1)現場での判断に困 る事例は、これは万一のケース、あるいは個々の患者の事情で何とかならないのかなど、 そういったケースがまず現場で発生し藤本製薬に参ります。藤本製薬はTERMS委員会(社 外の専門家から成る委員会)にも相談をしながら対応策を考えて、考えた対応策について 第三者評価機関に報告をし、このように改定をしてはどうか、このような手直し、ある いはこのような対応をしてはどうかということを報告していきます。その報告に対して 第三者評価機関にはサリドマイド被害者の方、患者の代表、専門家、いろいろな方がい らっしゃいますが、そこから改善についての提案が妥当である、あるいはもっとこうす るべきであるなど、そういう勧告をしていただくという役割を担っていただきます。  ここでやり取りをしている内容そのものはポンチ絵の上の方に大きな矢印で、「厚生 労働省」「審議会」と書いているところに延びていますが、そちらに御報告をいただく。 もちろん藤本製薬からもTERMSそのものを改定、改修すべきという点について、事前の 了解を得るための手続としてやり取りがなされるとなっていて、最終的にはこちらの審 議会の医薬品等安全対策部会は公開での場ですので、こちらでも御覧いただいて、でき るだけ透明性の高い形で運営をしていくという仕組みを作ろうということです。  したがいまして、今後、医薬品等安全対策部会にTERMSの運営状況について、定期的 にという形になろうかと思いますが、御報告をし、御説明をするという機会が必ずある と思います。そうしたときのことを想定しまして、この部会で十分TERMSについて御理 解をいただき、必要な御意見を賜りたいということでお諮りしていると、このような経 緯になっています。 ○松本部会長 ただ今中垣課長、森課長、山本専門官から御説明をいただきましたが、 御意見、御質問等はありますか。 ○土屋委員 まず、資料1-1の8ページ216行目からの「登録対象者」についてです。 処方医師、責任薬剤師、患者、特約店責任薬剤師ということで、この場合、患者が薬剤 管理者を必要とする場合は薬剤管理者が同意書さえ出していれば登録する必要はないと いうことですか。 ○事務局 患者及び薬剤管理者、両方とも登録する必要性はあります。 ○土屋委員 そのことはきちんと明記した方がいいと思います。それから、ポンチ絵で すが、これは製薬会社が作られたから製薬会社が真ん中に入っていてこうなっているの だとは思いますが、私はこの絵は余り出来のいい絵ではないと思っています。というの は、例えば院内の調剤所、特約店は場所です。今回の管理は、必ずそこに責任薬剤師、 特約店においても特約店の責任薬剤師など、そういう管理をする人が決められて、しか もその人が登録することになっているにもかかわらず、この中にはそれが入っていない。 少なくともポンチ絵には現れていない。医師と院内の調剤所は一緒の施設にいるわけで すので、それがこのように遠い距離にあるから、それでこの絵がすごく複雑に見えてし まう。複雑に見えると、このようなものは大変だからということになってしまう可能性 もありますので、もちろん手順はいろいろありますが、ポンチ絵はもう少しきちんとお 書きになった方がいいのではないかと思います。ですから、そうするともう少しすっき りして、私が心配するのは、個人輸入がまだあるといったときに、この絵が余りに複雑 に見えるために、個人輸入の方が簡単だと思ってしまうということは、決していいこと ではないと思っているのです。せっかくこういうきちんと明確な管理の仕方を定めたの だから、そういったことが実施できるような、それを表した絵にすべきではないかと思 います。 ○松本部会長 この点に関しては事務局は答えられますか、絵は簡単な方がいいとのこ とですが。 ○安全対策課長 御指摘の点は非常によく分かりますので、この絵をもう少し分かりや すい形にといういことと、役割と場所が混在していることも御指摘のとおりであります ので、修正をさせていただきたいと思いますし、このあと分科会でも御議論いただける 場合においては、そのような資料でできるだけ対応したいと考えています。 ○堀内委員 今のことに関連しますが、TERMSのポンチ絵、TERMS全体もそうですが、一 番大事なのは、患者に対する教育の問題だと思いますが、ポンチ絵で見ても医師から患 者への教育があります。あと、薬剤師は薬剤の管理に重点が置かれた記載になっていま す。責任薬剤師もそうですし、薬剤管理者もそうです。ところが、今は入院患者は病院 で調剤をするということになっていますが、薬剤師が説明をし、教育をすることが大変 多くなっているわけです。その点がここで入っていないです。ですから、それはきちん とこの中に入れておいていただきたいと思います。これは製薬会社が真ん中にあるのは とても違和感を感じます。 ○松本部会長 同じような御意見ですが、確かに複雑な図に見えますので、これはどう ですか。先ほど安全対策課長が返事はされましたが、これは簡明にしていただければよ ろしいですか。 ○安全対策課長 この絵がこういう形になっている理由は、実は米国におけるSTEPSと いう管理システムの絵でこのような形になっているものがありまして、それと比較対比 をする格好で作ったという経緯がありまして、そのために製薬会社が中心になっていま す。この絵はそういう比較するものがあってこういう格好で作ったという経緯がありま す。ただし、今御意見をいただいているようなお話はもっともですので、今後、分科会 の資料としてお出しするものとしては、体裁を変えて、できる限り御趣旨の線に沿った 形にして御説明をする資料としたいと考えます。 ○國頭委員 自分が患者だったらこれを見て、その日に終わるのかというのが一番関心 があるところだと思うのですが、これは実際問題として、その日のうちに処方は可能で すか。多分自分が患者だったら、大体どのくらいの時間がかかるかということをどこか で教えてもらいたいと思うのです。病院はどこでも大体えらい時間がかかって、「待た せて御免なさい」という状況ですが、それがあるために一日仕事になってしまうとお気 の毒だし、日をまたぐともっとお気の毒です。 ○松本部会長 その辺は試算されていますか。 ○安全対策課長 実際にこのシステムで試運転をやってきています。その中で国立国際 医療センター、患者がたくさん集まっている所ですが、そこでもテストをしていまして、 時間はかかるのですが、その日のうちにきちんと調剤をして薬をお渡しすることができ るようにはなっています。ただ、具体的にどれくらいの時間を要するのかについてのモ デルは、実際にそういう試運転のときに平均でどれくらいかかったかというデータもあ りまして、これは公開できる資料としてありますので、患者の参考にしていただくこと では使えるものがあります。ただし、今の手順ですとかなり手間がかかることも事実で すので、そこはもう少し何とかならないのかが、患者から、あるいは医療機関側から出 ていることも事実です。 ○國頭委員 先ほどのだれが患者に教育するかという話ですが、血液のドクターが主治 医として処方するわけですよね。血液のドクターは、自分のことを考えても、多分避妊 のこととか、薬剤のこと、催奇形性のことは専門外です。ですから、そうすると実際問 題として薬剤師に負うところはすごく大きくなるだろうと思います。私の同僚の血液の ドクターに聞いたら「よく分からない」と言っていましたので、多分それが本音ではな いかと思っています。 ○松本部会長 もっともな御意見ですが、この辺に対する対策はいかがですか。 ○安全対策課長 実際お話されているところはもっともでして、試運転の際に実際に参 加された医療機関では、院内の薬剤部の薬剤師の方々がかなり重要な役割を果たしてい たと聞いています。こうしたこと自体はシステムを実際に運用していく際に係わるそう いう医療関係者、医師だけではなくて薬剤師、あるいはその周辺のスタッフもできるだ け造詣を深めていくことがとても大事であるということだと思います。したがいまして、 関係者に対する周知をすることの中にこうしたコメディカルの協力が重要であることも 踏まえて、関係団体に対して、御協力、御理解、周知をしていただくことをお願いしよ うと考えています。 ○松本部会長 そうですね、役割分担というのは大事だと思うのですが、この図から見 ると、それがはっきり出てきていないのが今質問されている意図ではないかと思います。 その辺をもう一度検討していただければと思います。他に御意見はございますか。 ○堀内委員 公的な薬に関する書類としては、添付文書が重要だと思っていますが、こ れを見ますと添付文書は「作成中」となっています。メーカーの姿勢が問われるところ ではないかと思いますが、この時期になって作成中というのは、どういう段階にあるの でしょうか。 ○審査管理課長 添付文書の案については、8月27日の医薬品第二部会で議論がされて います。今担当に聞きましたところ、一部修正が入っているので、念のため付けなかっ たということで、全く他意はございません。必要でございましたら、今からでもコピー を取って配付いたします。 ○堀内委員 本来、これが公文書であり、基本的な文書ですので、付いてくるのが当た り前と思っています。 ○松本部会長 コピーを今お見せするそうです。他にございますか。 ○藤田委員 細かなところで、資料1-1に誤字があるので、確認いただきたいと思いま す。8ページの205行目の真ん中の辺りに「その対象者」となっていますが、「患者」 の誤りではないかと思います。  18ページの「禁止事項」のところで、「献血」というのがありますが、献血について 確認するところがないと思うので、必要な「禁止事項」であるならば対応いただきたい と思います。  あと個人情報保護について、24ページに藤本製薬が自ら定める個人情報保護基本規定 がありますが、これはTERMSに限ったものでしょうか、それとも、藤本製薬の個人情報 保護全般に関するものでしょうか。 ○中尾参考人 TERMSに限定しているわけではなく、全般に関する規定です。 ○藤田委員 TERMSに限定した個人情報の問題がかなり発生すると思うのですが、それ は別途対応しなくていいのですか。 ○中尾参考人 今回TERMSを実施するにあたり、それに見合うように個人情報保護基本 規定をバージョンアップしております。 ○藤田委員 例えば結構MRが関与するようなところがありますが、例えばMRは個人 情報を知り得る立場なのですか、そうではないのですか。 ○中尾参考人 MRも個人情報を知り得る立場ですので、MRが情報漏洩しないように 誓約書も用意しています。 ○藤田委員 かなり重要な個人情報を扱うと思いますので的確に。 ○松本部会長 そうですね、この辺は明確に方針を示していただいた方がいいと思いま す。 ○中尾参考人 社内でも、MR以外に登録作業で実際のデータ入力をする人もいますの で、社員に対しても誓約書をとるなど規定しております。 ○藤田委員 先ほど時間の話が出たのですが、私も時間は気になっています。TERMSの 管理センターでFAXを受けてから、それぞれ確認をしてFAXを返信するのは、どの くらいの時間を想定しているのですか。 ○中尾参考人 医療現場の医師、薬剤師がFAXを送信して、最後の返事を入手するま でを10分以内とすることを目標に作業をしています。通信時間、打ち出しの印刷時間を 除くと、社内の作業時間は4分以内ということで今現在システムを構築しています。試 運転でもそのようにして、10分以内に送受信の終了をしています。 ○藤田委員 FAXというのは結構誤送信をする可能性があるのですが、その辺の対策 はあるのでしょうか。 ○中尾参考人 FAXの誤送信はゼロではありませんので、FAX機に管理センターを 登録していただくようにお願いすることと、FAX機に送信の記録が出る機能がありま すので、それを御利用いただくようにお願いします。また万が一誤送信があったときに、 患者の個人情報がマスキングできるような紙に工夫していたり、受け取った側の方が困 らないように、「間違って受け取った場合は廃棄してください」という一文を付け加え たりしていく予定です。 ○松本部会長 この手順(案)に関しては、先ほど藤田委員がおっしゃっていたことを関 係者と協議した上で、適切と思われる部分は訂正していただければと思いますが、よろ しいですか。 ○中尾参考人 はい。 ○松本部会長 他にございますか。 ○猪熊委員 全例調査ですので、全例登録をして、データが集まってきます。集まった データの解析は会社がなさるのでしょうか。 ○審査管理課長 薬事法に基づく使用成績調査については、会社において解析し、その 評価結果を国に伝えるシステムになっています。 ○猪熊委員 そうすると、会社の中には専門家はいないはずですので、そこをどうカバ ーする予定なのでしょうか。 ○中尾参考人 全例調査の解析をする専門の部門がありますので、解析については専門 家が社内におります。 ○松本部会長 専門のドクターがおられるわけですか。 ○中尾参考人 TERMS委員会は社外の専門の医師に委員として来ていただくことになっ ています。 ○松本部会長 TERMSの方の症例の検討ですか。 ○猪熊委員 全例の。 ○中尾参考人 TERMSについては、専門の先生方に委員として来ていただくTERMS委員 会を設けます。 ○松本部会長 他にございますか。 ○土屋委員 極めて細かい話ですが、資料1-1の15ページ、395行目です。医療機関の 中に「人の出入りが限られた施錠可能な場所」は幾らでもあるわけで、こういう表現で はなくて、「調剤所の施錠可能な場所」と書いておかないと、「医療機関で人の出入り が制限された施錠可能な場所」というのは、余りに違っているのではないかと思います。 「保管場所は、調剤所の施錠可能な場所」ということでよろしいと思います。 ○松本部会長 その方がいいと思いますので、関係する方と検討していただければと思 います。他にございますか。 ○國頭委員 資料1-3の「行政の取組み」の(5)です。今実際にサリドマイドを使って いる患者は個人輸入です。個人輸入で、診てくれているドクターは大きな病院の専門の ドクターもおられますが、私の知っている限りでは開業医もたくさんおられるのではな いかと思います。それは骨髄腫の患者もいるでしょうし、他のがんでやることがなくな って使っている患者もいるのですが、サリドマイドについて、どのようにこのシステム に移行していくのかと、他のがんで使っているような個人輸入のものを登録管理はでき るのかと。 ○安全対策課長 非常に難しい御質問だと思うのですが、今考えているのは、まず多発 性骨髄腫に対して本剤をお使いになっているケースについては、これが仮に承認になっ て、保険適用になると、まずその形でお使いになることになります。その場合、TERMS で管理をしていいただくことが前提条件になるので、そこに関しては基本的にはTERMS に移行していただくことになると我々は考えています。これを個人輸入で使い続ける方 がいいとお考えになる方がいるかどうか、これは分からないところですが。 ○國頭委員 それはほとんどいないでしょうけれども、「ずっとサリドマイドを出して くれていたこの先生がいい」と言われたらどうしますか。 ○安全対策課長 現在治療を受けている患者が、その状態で治療を受け続けられるよう にすることを基本に考えていまして、そのためにTERMSに対応できるところであること を確認しつつ、TERMSに取り込んでいくことをこの中に書いています。  適用外という部分についても、医師主導治験や臨床研究の格好で、きちんと施設とし て対応していただけるというものについては、できるだけ取り込んでいこうということ も書いています。  先ほど先生がおっしゃったような、それにどうしても入ってこないような、その他の がん等でお使いになっているケースで、どうしても個人輸入での対応にならざるを得な いというものは、少数だけれども残るのではないか。ここは個人輸入での対応を続けざ るを得ないのかと。それを登録できるシステムを用意して、立ち上げていこうと考えて いるということを、確認事項に書きました。  医師個人輸入の場合は、薬監証明をもらって通関をするのが基本になっていますので、 その際にそういう電子的な登録システムに登録されることを条件にして、薬監証明を出 していくという考え方をとってはどうかと現状では考えています。 ○國頭委員 患者が個人輸入をして、これを使ってくれと言ったときはどうしますか。 ○安全対策課長 それは極めてまれなケースと考えています。もちろん海外で診療なさ っていた患者が、それをお持ちになって帰ってくることは現在でもできるやり方になっ ていますが、そういうケースは極めて少ないと考えています。 ○國頭委員 他にもいろいろと個人輸入の薬はたくさんありますが、それが管理できる ようなシステムになってくればベルケイドで起こったようなことは少なくなってくると 思います。 ○松本部会長 堀内先生、添付文書について何かありますか。 ○堀内委員 特に催奇形性の問題については、受精後28日くらいから後とか、妊娠初期 が特に重要であると思うのですが、これまでの議論もそうなのですが、「妊娠している 間」という極めてあいまいな言い方をされていると思いますが、特に妊娠初期にサリド マイドに被曝しないようにするというニュアンスの文書を入れていただきたいです。  それと、これはこれから改訂されるのでしょうか。承認のための幾つかの条件が付い ていると思うのですが、これはそれについて記載がないのですが、これから入れると考 えてよろしいのですか。 ○審査管理課長 まず簡単な方からお答えしますと、承認条件というのは、最終的にセ ットになったもの、すなわちこの場合ですと、薬事分科会での審議の結果を反映して、 ここに入れることになります。現段階で考えているのは、先ほど御報告しましたように 3点です。  次に妊娠初期の問題です。お配りしている添付文書の案を御覧いただきますと、警告 の1番目の2行目に、「妊娠期間中の投与は」となっています。先生がおっしゃったよ うに、学術的に妊娠初期が最も危険性が高いのだと思いますが、ここに「妊娠初期」と 入れることによって、妊娠後期はいいのかとか、逆の問題もないわけではないのだろう と思います。どこまで大丈夫なのかという議論を詰めていきますと、今のところ我々が 考えているのは、妊娠中は投与はやめていただくのだろうと。アカデミアの世界として どこが危ないというのは、添付文書の場ではなくて、別の場で御議論いただくことでは ないかと考えてもいるのですが、いかがでしょうか。 ○堀内委員 結構なのですが、特に妊娠初期には気を付けなければいけない、全体的に 気を付けろというのは結構ですが、器官形成期には重要であるということは入れる必要 があるのではないかと思います。 ○松本部会長 それは括弧付けで入れても。 ○審査管理課長 そこを強調することによって、他がどうなるのかというのが、リスク コミュニケーションの世界に入ってくるわけで、その方面の人とも相談をしながらやっ ていこうと思いますが、先生の御指摘は当然のことだろうと考えています。 ○松本部会長 これは第二部会とか、分科会の問題になりますので、この辺にさせてい ただきます。他にいかがでしょうか。 ○土屋委員 確認したいのですが、この薬剤は用量調整は100mg単位で行って、脱カプ セルを行わないのかどうか。脱カプセルを行うことは現場ではよくあるわけですが、そ うしたときの手順とか、責任薬剤師のところには全く脱カプセルの話が書いていないの です。ただ、この添付文書を見ますと、適用上の注意のところに「やむを得ず本剤を脱 カプセル調剤する場合には安全キャビネット内で調整を行う」としか書いていないので、 そうではなくて、その物をどうするのか。例えば表示をきちんと書くのかとか、そうい うことがカプセルシートのときにはいろいろなことが書いてあるのが、脱カプセルの話 になると途端に何も書かれていないのは、想定するなというならそれはそれでいいので すが、これが添付文書に書かれていながら、こっちにはということでは不整合かと思い ます。 ○審査管理課長 これは検討会での議論の中で、脱カプセル時の薬剤師等に対する注意 を添付文書の中に入れてくれという議論があったと考えています。基本は100mg単位と 考えています。ただ、医療の現場で個人の患者をやっていただく上で、100mg単位だと いうことで押し付けるのもどうかと考えているところです。  そこのあいまいさを先生に突かれたのかなと考えていますが、いわゆる飛散すること による薬剤師の曝露という観点から書いているもので、基本は100mg単位の調製だとい うふうに考えております。 ○土屋委員 そのことは今日配られた責任薬剤師用の説明の中に、きちんと入れておく べきだと思うのです。調剤の流れが書いてありますので、そういった注意すべきことは きちんと書いておかないといけないと思います。カプセルシートの話しか書いてありま せんが、脱カプセルがないことを原則とすることも含めて、それはきちんと書いておか ないといけないのではないかと思います。 ○審査管理課長 その点については調整いたします。 ○安達委員 資料の1-1の17ページ467行目の、「男性患者」の避妊のところです。今 ラテックスアレルギーがかなりあります。これを見ますと、男性は必ずラテックスコン ドームを使うとなっています。これは先ほど配られた添付文書の4番にも同じことが書 いてあります。これを使う場合には、必ずラテックスコンドームを着用させて避妊を遵 守していることを十分に確認しないと、男性患者には投与できないような感じの文章に なっています。それでもう少し書き方を変えていただいた方がいいと思います。ラテッ クスというのはかなりアレルギーがあって、男性側にある場合もありますが、女性側に あって、使えないこともあるのです。ですから、ラテックスコンドームを使えない場合 には女性が確実な避妊をするという形になると思いますので、上の方に「男女合わせて 2種類以上を組み合わせる」という文章もあるのですが、この辺にもう少し整合性を持 たせた方がいいと思います。 ○安全対策課長 御指摘の点については、医学的、科学的な理由がある話ですので、そ の趣旨を踏まえた対応ができると考えています。ラテックス素材ではないコンドームも 存在していますので、そういうものを使うのも選択肢としてあるのではないかというの はあるのですが、避妊についての一番確実な方法ということで挙げられる場合に、ラテ ックスコンドームという用語がよく使われていることがありまして、このような表現を している背景があります。  したがいまして、避妊の効力が十分にあるものがコンドームとして使われているので あれば、それが適切であるというのが趣旨ですので、その素材に対するアレルギーがあ って使えない場合は、それの代わりになるものを使うのは当然のことですので、御指摘 はごもっともと考えます。 ○安達委員 少し細かいのですが、男性患者は精液にサリドマイドが出ることがあるの で、コンドームを使うことが特に書かれているのですが、女性患者の場合には、避妊法 というのはたくさんあるのですが、女性が下に書いてある、IUD、経口避妊薬、卵管 結紮を使っている場合には、産婦人科医の立場から言えば、コンドームを使うことは必 要がないことなのです。卵管結紮をした人が、さらにコンドームを使用してという形に する必要はないわけです。男性患者に対してはこのような書き方になると思うのですが、 女性患者の場合には「確実な避妊法として下記に掲げるようなものを使用すること」と いうことでいいだろうと思います。 ○松本部会長 その辺は参考にさせていただいて、可能であればそのように変えていた だけると思います。他にございますか。 ○上甲参考人 日本骨髄腫患者の会の上甲でございます。私どもは1999年から厚生労働 省に早期承認を求めてきまして、早期承認が悲願です。しかしながら、医療現場が大混 乱する、外来診療が全く機能しないようなものでもいいから、早く承認してくださいと は思っておりません。  八つの施設で試運転をされて、五つの施設では患者が協力して行いました。二つの施 設は、多分日本でトップ2の繁忙施設だと思います。そこで試運転をして、すべての医 師、薬剤師、患者が、「これならできるでしょう」という答えを出しました。それを重 く見ていただきたいというのが一つです。  私も患者役として、一つの施設で参加しました。医師、薬剤師、看護師、全員大真面 目でやるわけです。メーカーはストップウォッチで時間を測ります。  1回目の処方は20分くらいかかります。もう1回処方をやると17分に短くなってい ます。これはだんだん先生方も慣れてくることが明らかになったと思っていますので、 おっしゃるように血液内科の外来診療現場というのは、大変なことになっている施設も ありまして、先生方も殺気立っている、患者も何時間も待たされて殺気立っているのが 現状ですが、その中で全く機能しないということがないというのは、一応確認ができて おります。  もう一つは、資料1-3の2.「行政の取組み」の(3)に書かれているように行政からも 協力機関に協力を働き掛けるとしているとおり、恐らく薬剤師の先生方への広報がすご く大きなポイントになってくると思うのです。例えば患者を登録するときに先生が協力 する。これは1時間くらいかかります。これを外来診療の中でやろうとしたら、多分大 変なことになります。そういうものですよと。処方するのに10数分かかります。1時間 に10人入れているなら、この人が入るなら8人ですということをしっかり広報してい く。これはMRにかかっているとは思うのですが、今日池田先生は御欠席ですが、日本 血液学会で先生方に十分に働き掛けていただきたいと思っています。  これは早期承認を求めてきた私たちに重い責任があると思っているのですが、手順書 に背景を入れていただきました。これはとても大切なことだと思っています。これがど ういう薬であるのか、これがどうやってできたのか、どう守っていかなければいけない のかということを教えてあげないと、患者は子供ではありませんから、守りなさい、嫌 でも我慢しなさいというわけにはいきません。こういう背景を書いていただいて大変よ かったです。そして、私たちはそのことを、今現在も、将来にわたっても、患者にきち んと広報していく責任があると思っていますし、今13,000人いる患者全員に、どうにか してアクセスしようという準備を始めています。  それは、身を切られるような思いをされながら、これを一緒に作ってくださった、い しずえの方もいらっしゃったのですと、そういうこともきちんと話していって、はじめ て患者にきちんと守られる、待ち時間は増えるけれども頑張ろうと思っていただけるの ではないかと思っていますし、一生懸命将来にわたって取り組む所存です。 ○松本部会長 佐藤参考人から何かございますか。 ○佐藤参考人 今のコンドームの使用のことですが、妊娠可能な女性の避妊法として、 1種類だけで100%確実だと言えるものがあるのでしょうか。アレルギーの場合はラテ ックス製でないものを使ってもよいと思いますが、コンドームを使うことは、是非残し ていただきたいと思います。  アメリカのSTEPSでもそうなっていますし、そこはアメリカでは10年の経験があるこ とですから、そういう経験の中で学んで、現実的に対応できていることだと思いますの で、これは1例も被害を起こしてはいけないということが重要で、ここに関してだけは 二重の避妊はこのまま維持していただきたいと思います。 ○安達委員 確実な避妊という方法は、性交渉をもたない以外にはないと考えていただ いていいと思うのですが、ただ、ここに「男女合わせて2種類以上を組み合わせること」 という文章になっているのですが、もちろん複数が望ましいのですが、これを見ると、 例えば下に書いてあるようなかなり確実な方法、100人の女性を対象に、パートナーの 男性が1年間コンドームだけを使用した場合は、3〜15人が避妊に失敗すると出ていま すので、そのぐらいの頻度なのです。例えば卵管結紮ですと0.5人です。子宮内避妊シ ステムにすると0.1人です。  組み合わせることというのが、余りにも頻度の違うものなので、非常に確実な避妊法 をしているのなら1種類でもいいわけなのです。これですと、2種類を組み合わせなけ れば駄目だととれますので、「確実性の低い避妊法に関しては2種類以上を組み合わせ ること」くらいに書かれたらいいのかと思います。 ○安全対策課長 そこはただ今のいしずえからの御意見もありましたが、科学的にそう いった御意見があることは分かりますが、今回のこの管理システムについて、できる限 り可能性を低めるということのために、複数の方法を組み合わせるということでここま できているものですので、ラテックスのアレルギーの場合に、代わりの材質のものを使 うということでの解釈は可能だと思いますが、使わないというのは選択としてはないと 考えていますし、そういう御議論をいただいてここまできていることについては、是非 御理解いただきたいと思います。 ○安達委員 そうすると、女性の避妊に関してはわざわざ卵管結紮があるのですが、男 性の避妊に関して精管結紮でもいいわけですよね。 ○安全対策課長 それも含まれると思います。 ○安達委員 ここにコンドームしか挙がっていないので、その辺が合理的ではないとい う感じがしました。 ○佐藤参考人 男性の場合。 ○安達委員 女性が患者の場合の話です。 ○佐藤参考人 患者が女性の場合で、男性の精管を縛ると。 ○安達委員 ここは男性が患者の場合に、女性に卵管結紮というのが入っているのです が、女性が患者の場合に、読み方によってはラテックスコンドームだけが挙がっている ような印象があるので、整合性が取れていない印象があります。複数というのはいいと 思うのですが、避妊によって重みが全然違うので、その辺が随分違うような感じがしま した。 ○佐藤参考人 分かりました。ただ、患者が男性の場合は精液中にもサリドマイドは移 行しますので、精管を縛るだけでは駄目だということです。  私が考える二重の避妊の意味は、非常に確実な避妊法に、さらにコンドームを使うこ とによって、失敗の確率を掛け算でものすごく低くすることができるという意味で、二 重の避妊は重要だと思っています。 ○松本部会長 他にいかがですか。 ○五十嵐委員 添付文書もそうなのですが、藤本製薬提出資料の7ページにもあるので すが、「催奇形性」という言葉は、添付文書の他の重大な副作用の項目と比べて、非常 にあいまいな表現です。これはあえて具体的に項目を書かない配慮をした上で、このよ うな非常にあいまいな表現にされたのでしょうか。例えば添付文書の2ページの右側の 4の「副作用」の(1)の1)の「催奇形性」ですが、最近の添付文書というのは非常に具 体的になっていますから、もう少し具体的にと思うのです。  例えば藤本製薬の資料の後ろの方の「サリドマイド被害説明用冊子」というものには、 具体的に催奇形性の中身が書いてあるのです。ですから、添付文書そのものでも具体的 に書いた方がいいのではないかと思うのですが、いかがでしょうか。 ○審査管理課長 添付文書の一番最初の「警告」の1番に「催奇形性(サリドマイド胎芽 病)」までは書いているのですが、ここにもう少し詳しくということだと思いますので、 工夫できるかどうか調整してみます。 ○松本部会長 他にございますか。 ○猪熊委員 先ほどからのコンドームの話で、考え方の骨子は正しいと考えるのですが、 アレルギーというのは、軽い皮膚粘膜の症状から、一番ひどいとアナフィラキシーまで 起きるわけです。それから、1回目、2回目、3回目は起こさなくても、だんだん感作 が成立することもありますので、「ラテックス」という言葉にこだわって残すか、それ に注意書きをしないと、公的な文書になりますので、注意をした方がベターかと思いま す。 ○松本部会長 その辺は検討していただいて、一番いいと思われる表現方法を採用して いただければと思います。他にいかがでしょうか。 ○倉田委員 資料1-3の「サリドマイド製剤の安全管理に関する確認事項」で、先ほど 安全対策課長がおっしゃっていたのですが、最後のページの(6)「安全管理方策等の周 知及びその実施に関する関係者の協力依頼を行う」というところで、実際にサリドマイ ドの教育は国としてもしなければいけないとおっしゃっていたのを、この1行ではなく、 教育に関しても文字に起こしてほしいと思いますので、よろしくお願いいたします。そ れと、医療関係者の資格試験の中にも入れていただくのも、よろしくお願いいたします。 ○安全対策課長 教育そのものは厚生労働省がズバリやっているわけではなくて、教育 をしているところに働き掛けるのが具体的なところですので、その点の表現は少し工夫 をさせていただきたいと思います。御指摘の点については、この部会における御意見と して賜ったということで対応させていただきます。 ○松本部会長 ただ今の御議論を踏まえ、「サリドマイド製剤安全管理手順(案)」、 「TERMS第三者評価骨子(案)」、「サリドマイド製剤の安全管理に関する確認事項につ いて」は御確認いただいたものとして考えてよろしいですか。 それでは、御異議なしと認めます。ありがとうございました。  サリドマイドに関する今後の予定について、事務局から説明をお願いします。 ○安全対策課長 本日の検討結果、それから医薬品第二部会における審議結果等を併せ て、冒頭に御説明したとおり、薬事分科会において御審議をいただきたいと思います。 ○松本部会長 この問題についてはよろしいですか。次に進みます。議題2は報告事項 で、「医薬品等の市販後安全対策について」です。事務局から説明をお願いします。 ○安全使用推進室長 それでは報告事項を手短に御説明申し上げます。配付資料2です。 本年8月1日に、安全対策調査会で御審議いただいた結果をまとめた紙が、1〜3枚目 までです。  内容はゲフィチニブ、販売名イレッサに係る国内第III相試験等の結果及びゲフィチニ ブの使用等に関する意見です。本件については審議の経過がありまして、昨年2月1日 の安全対策調査会において、アストラゼネカ社から提出された国内第III相試験の結果に ついて、検討が行われています。  その際の検討の結果、ゲフィチニブの副作用の発現状況については、最新の添付文書 等に記載されているものと同程度であることを考慮すると、安全性に関しては引き続き、 少なくとも投与開始後4週間は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤 な副作用発現に関する観察を十分に行うなど、添付文書に記載されている安全対策を継 続しつつ、肺癌化学療法に十分な経験を持つ医師による使用を徹底するなど、現在の安 全対策を継続することが適当であるとされたところです。  一方、有効性に関しては、ゲフィチニブの臨床的有用性を評価するためには、投与初 期における生存率については、ドセタキセル群がゲフィチニブ群よりも優れていること が示唆されたこと等の結果を確認するとともに、患者背景、後治療の影響、未整理のデ ータ等について、さらに詳細な解析を行い、その結果について検討する必要があるとさ れたところです。  そういった昨年2月の調査会での議論を踏まえまして、先般の8月1日の調査会に改 めて製薬企業であるアストラゼネカ社から、国内第III相試験に係る詳細な解析の結果に ついて報告を受け、検討を行いました。また、併せて国内第III相試験に加えて、海外で 行われたINTEREST試験という、ほぼ同様なプロトコールの試験の結果についても報告が されまして、それについても併せて検討を行ったところです。  8月1日の調査会における国内第III相試験及びINTEREST試験の結果と、そういった結 果を踏まえたゲフィチニブの使用に関する意見については2ページ以降にまとめられて います。  次のページで、第1「国内第III相試験及びINTEREST試験の結果について」です。まず 1の「国内第III相試験について」ですが、全生存期間におけるゲフィチニブ群のドセタ キセル群に対する非劣性を示すことはできなかったとされました。それで、昨年2月に 宿題になっていた後治療についてですが、後治療が全生存期間に何らかの影響を与えた 可能性が考えられるが、その影響を正確に評価することは困難と考えられたとされまし た。  二つ目として、主要評価項目である全生存期間について、各サブグループにおいて治 療群間を比較した場合、ドセタキセルと比較してゲフィチニブの効果がより高いサブグ ループは明らかにならなかった。また、EGFR遺伝子変異については、死亡例が非常 に少ないため、全生存期間に関して評価を行うことは困難であったという評価でした。  こういった、後治療やサブグループ解析の結果などを踏まえますと、昨年2月1日の 安全対策調査会における検討結果を変更する必要はないとされたものです。その昨年2 月の検討結果というのは、そういった1又は2レジメンの化学療法を有する、手術不能 又は再発非小細胞肺癌の患者の治療に際し、一般的にドセタキセルに優先してゲフィチ ニブの投与を積極的に選択する根拠はないといった検討結果について、特段変更する必 要はないとされたものです。  2の海外で行われた「INTEREST試験について」です。このINTEREST試験については、 日本は不参加ですが、アジア地域を含む24か国、アジア地域の登録症例が全体の21% を占めることになっています。こういったアジア地域を含む24か国が参加して行われた 試験です。  なお、注2)にもありますが、このINTEREST試験の症例数は1,466例で、国内第III相 試験の症例数の490例の約3倍程度の症例数で、少し規模の大きなものとなっています。  INTEREST試験の結果についてですが、全生存期間におけるゲフィチニブ群のドセタキ セル群に対する非劣性が示されたという評価です。なお、ハザード比については、アジ ア人が1.04、アジア人以外が1.01ということで、類似していたとされたものです。  続いて3ページです。こういった国内第III相試験とINTEREST試験の結果を踏まえまし て、調査会として「ゲフィチニブの使用等について」の意見ですが、まず一つ目は、国 内第III相試験及びINTEREST試験の結果などを踏まえると、少なくとも投与開始後4週間 は入院又はそれに準ずる管理の下で、間質性肺炎等の重篤な副作用発現に関する観察を 十分に行うなど、現在の安全対策が継続されることにより、本剤は手術不能又は再発非 小細胞肺癌の治療において、臨床的に有用なものであるとされました。  また、国内第III相試験の結果などを踏まえますと、昨年2月の安全対策調査会の検討 結果のとおり、引き続き1又は2レジメンの化学療法歴を有する手術不能又は再発非小 細胞肺癌の患者の治療に際し、一般的に、ドセタキセルに優先して本剤の投与を積極的 に選択する根拠がない旨について、国内第III相試験の結果とともに、患者に十分な説明 が行われるよう企業に対し、医薬関係者に情報を提供するよう指導することが適当であ るとされました。  なお、この情報提供のため、国内第III相試験の結果については、添付文書の「その他 の注意」欄に記載することが適当であるとされました。  最後ですが、厚生労働省は引き続き国内外における本剤の有効性及び安全性に関する 情報を収集し、必要な対応を行うことが適当であるとされたものです。  次のページ以降に、先般8月1日の調査会の資料の抜粋が付いていますが、時間の関 係で省略しまして、8月8日付の安全対策課長からアストラゼネカ社宛の文書がありま す。先ほどの調査会の意見を踏まえまして、8月8日付で安全対策課長よりアストラゼ ネカ社に対して使用上の注意の改訂を指示していますので、その文書を参考に添付して います。  そのあとにイレッサ錠250について、この指示を受けて改訂した添付文書を付けてい ます。添付文書の3ページの9.「その他の注意」の**(4)に、今回の国内第III相試験の 結果概要が書かれていて、この添付文書の改訂の内容とともに、先ほど説明したドセタ キセルに優先してゲフィチニブの投与を積極的に選択する根拠がない旨の情報提供を、 企業は併せて実施しているところです。8月1日の調査会での検討結果は以上です。 ○松本部会長 ただ今のゲフィチニブに関する試験結果、追加解析等について説明をい ただきました。御質問、御意見等はございますか。 ○國頭委員 添付文書がどういうものかの理解が不十分かもしれませんが、「非劣性が 示されなかった」というセリフが分かるかです。私は知っていますが、その意味が分か らない人は放っておくのかなのですが、こういうものでいいのでしょうか。非劣性が示 されなかったというのは三重否定ですから、駄目だったということでなかったことが示 されなかったということで、普通は分かりにくいと思うのですが、こういうものでいい のですか。分かる人に分かればいいということでいいのですね。 ○安全対策課長 基本的にこの薬は、癌化学療法の専門家にお使いいただきたいという ことも明示していますので、そういう専門家の方であれば、こういった内容については 御理解いただけるのが前提です。 ○國頭委員 分からない人は使うなということですね。 ○松本部会長 よろしいでしょうか、次に進みます。議題3は「その他」です。事務局 から何かありますか。 ○事務局 本日は特にございません。 ○松本部会長 本日用意した議題はこれですべてです。全体を通じて御発言はございま すか。ないようでしたら本日の部会は閉会とさせていただきます。長時間ありがとうご ざいました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 美上(内線2748)