08/09/26 第84回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第84回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年9月26日(金) 10:00〜12:00 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、  労働者代表委員   岡本委員、鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長 定塚職業家庭両立課長、安藤雇用均等政策課長、代田短時間・在宅労働課長 松本育児・介護休業推進室長、大地均等業務指導室長、堀井総務課調査官     議題:   育児・介護休業制度の見直しについて 配付資料:   資料No.1  本日の検討項目   資料No.2  育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保ができる働き方の実 現について   資料No.3  父親も子育てにかかわることができる働き方の実現について 議事: ○林分科会長  定刻になりましたので、ただ今から第84回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いた します。本日は、樋口委員、山本委員よりご欠席の連絡をいただいております。  それでは議事に入りますが、本日の議題は「育児・介護休業制度の見直しについて」 です。前回の分科会において、育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保ができ る働き方の実現について、ご議論いただきましたが、議論が十分にできなかった検討項 目もございましたので、本日の分科会は資料No.1の「本日の検討項目」のとおり、まず こうした点について引き続きご議論をいただきたいと思います。資料については、前回 既に事務局から説明をいただきましたが、前回の分科会における委員からのご指摘も踏 まえ、資料に追加があるようですので、事務局から説明をお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  資料の説明をさせていただきます。資料No.1は「本日の検討項目」でございます。 本日、検討いただくべき部分につきまして、2枚目の参考資料から抜き出して記載して おります。このうち項目1は、前回から引き続き検討の項目でございますが、こちらに 関連する資料が資料No.2、項目の2に関連する資料が資料No.3となっております。  資料No.2をご覧いただきたいと思います。この資料は前回ご説明した資料でございま すけれども、1点のみ追加しております。ページ数でいいますと、8ページ以降に在宅勤 務のガイドラインというもののコピーをお付けしております。念のため、パンフレット 自体も別途、机の上に置かせていただいております。このガイドラインにつきまして、 前回、委員から指摘がございまして、在宅勤務の検討状況ということで、この資料を追 加しております。  こちらのガイドラインでございますが、8ページにございますとおり、平成16年3月に 「情報通信機器を活用した在宅勤務の適切な導入および実施のためのガイドライン」と いう形で策定したところでございます。所管は労働基準局です。今般、本年7月に内容 をより明確にするため改定を行ったとのことです。ガイドラインの概要といたしまして は、次のページに「在宅勤務についての考え方」ということで定義を置きまして、次に 「在宅勤務の導入に当たって求められること」として注意点、留意点等をお示ししてご ざいます。次の10ページに今回7月の改訂で新しく追加した部分がございます。「在宅 勤務について事業場外みなし労働時間制を適用することができる場合」ということで、 3点掲げてございますが、この3点につきまして、さらに「解説」ということで上から2 番目の箱を加えました。こちらが今回の改正点の1点目でございます。もう一つは、11 ページでございます。事業場外みなし労働時間制が適用されている在宅勤務者が、深夜 または休日に業務を行った場合の労働時間に関する規定の考え方ということで、11ペー ジの箱の中の部分が今回追加した部分でございます。説明は、以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、前回の分科会から持ち越した検討項目について、 ご議論いただきたいと思いますが、今日は項目ごとに順に議論していただきたいと思い ます。本日の検討項目1の一つ目の丸の「在宅勤務について」、ご議論いただきたいと 思います。現行法制では入っておりませんけれども、これを選択的な措置義務として入 れるかどうかということについて、ご議論をいただきたいと思います。ご意見はござい ますか。吉川委員、どうぞ。 ○吉川委員  在宅勤務につきましては、労使合意の上で導入するということであれば問題はないと 思いますけれども、企業の規模や業種、職種によっては非常になじまないケースがある と思います。その上、特に中小企業にとっては、雇用管理が困難であるといった意見も 多数聞いておりますので、また従業員にとっても雇用管理が不十分で長時間労働になり かねないというようなこと、そうしたことが誘発されるのではないかという懸念もあり ますので、現在の状況においては無理に推し進める状況ではないと考えます。以上です。 ○林分科会長  他に、ご意見はございますか。山崎委員。 ○山崎委員  今、吉川委員が言ったことと重なるかもしれませんが、国においても経済産業省にお いても、テレワークのことは新しい施策として講じられようとしているわけでございま すけれども、これはまだ一部の企業という状況だと思います。やはり多くの企業がそう いう状況になって、そういう環境が整い、そして労使が一体となってやるような煮詰ま った状況になってから、選択肢の一つにしても良いのではないかと思います。中小企業 においてはITに関して遅れているわけでありまして、おおよそ中小企業においてはそう いう状況にはないのではないかと思います。いずれにしても、中小企業にはそのような 芽生えは全然ないといえると思います。 ○林分科会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  中小企業で、在宅勤務を入れられるような状況ではない企業もあるということですけ れども、選択措置義務の選択肢として入れる場合は、事業主はそこから選べばよいわけ です。逆にいうと、今まで在宅勤務を入れられる状況だけれども、今の選択措置義務だ と今ある中からどれかを入れなければいけない形ですから、それが入ることによって在 宅勤務を入れられる事業所であれば、それを入れれば他のものを入れなくてもよいわけ ですから、事業主の選択肢が増えるということでもあるのではないか。在宅勤務がなじ まないような業種や企業に入れなさいという意味ではなくて、在宅勤務が望ましいよう なところに他のものを入れなければいけないという状況からすれば、働く側も事業主も やりやすくなるのではないかという趣旨だと思うのですけれども、その辺はいかがでし ょうか。 ○林分科会長  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  今、佐藤委員からご指摘がありましたように、入れられるようなところがあるのだと すれば、今の枠組みのままで持ってきて対応するというようなことでも十分可能なので はないかと思っております。要するに、今の法律の中ではなくて、法律の外にある状態 の中でも必要があって取り込むといったようなことが労使の間で積極的にできるという ことであれば、それを進めていくことは望ましいと思っております。むしろ今、選択的 措置義務の中に入れてしまうと、そこの中でいずれかというわけではあるのですが、そ れぞれについてどう考えていくのかといったようなことが、より導入サイドに求められ てくるといったような状況等を考えてみますと、やはり今の段階では、そういう枠組み の中に法的に入れる状況にはないのだろうと考えております。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  今も自主的に在宅勤務を入れられているところはあるのですけれども、そういう状況 ですと、現行でいうと選択的措置義務の方もやらなければいけないのですよね。ですか ら、今度は選択的措置義務の中に在宅勤務が入るとすれば、在宅勤務を選べばそれ以外 について入れる必要はないのです。そういう意味では、在宅勤務がなじむところについ ても選択的措置義務の方を入れざるを得ないような状況に置かれている企業もあるので、 矛盾しないような気がするのですけれど。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  その点に関しては、例えばわが社はすべての事業所、すべての職務において在宅勤務 を入れられるという会社があるのだとすれば、そういうカードは引けるかと思いますけ れども、私はそういう会社を存じ上げておりませんので、そういうことであれば仮にこ の選択肢が新たに付け加わったとしても、在宅勤務が導入できない職務であれば他の措 置を講じなければいけないということは、何ら変わりないのではないかと考えておりま す。 ○林分科会長  大きな企業の場合は、遠藤委員がおっしゃるようなことが当てはまるかもしれません が、特化した業務をやっている会社などについて、この在宅勤務が主流だというような 会社がある場合は、他の選択肢を採らず、この選択肢を採れば選択措置義務を充足する という可能性があることになるわけですけれども、選択措置義務となれば必要ないとこ ろとか、使えない業種もあるというところは選択しなければよいということなので、そ の辺のお考えはいかがでしょうか。労側の方でどなたか、ご意見がございますか。岡本 委員。 ○岡本委員  今の遠藤委員がおっしゃっていることはよくわかるのですけれども。確かにニーズは あると思いますが、今、在宅勤務を選択的措置としてやれば他の部分は要らないという ことになると、在宅勤務がそれほどオールマイティなものとは思えませんし、いろいろ な問題がある中で、それを入れれば他のものは要らないということになるとすれば、私 たちとしてはやはり時期尚早と言わざるを得ないと思います。やはり、いろいろな業種 を見ても、それだけを入れて育児の継続雇用ができるということではないと思います。 ○林分科会長  では、双方からご意見が出たようですので、次の論点に移りたいと思います。  「継続就業しながら子育ての時間確保ができる措置の対象となる子の年齢について」 です。現在、「勤務時間短縮等の措置」は3歳までが義務で、小学校1年生までが努力義 務。それから他の3点ですが、「時間外労働の制限」「深夜業の制限」「子の看護休暇」 については、小学校入学までが義務とされているのが現行法制ですけれども、これにつ いて、子どもの年齢を延長すべきかどうか、それから延長する場合はその内容をどのよ うにとらえるかということについてのご議論をいただきたいと思います。前回も、「小 1の壁」などが出ていたのですけれども、もう少し議論を深めていただければと思いま す。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  資料No.1のところで「小学校3年生終了時まで延長」と出されているのですけれども、 小学校3年生と小学校4年生の違いは、どういうところなのかということがあります。な ぜ、小学校卒業までではなくて小学校3年生までとされているのか。今、労使で、私は 電機連合で、小学校卒業まで延ばそうと一生懸命やっているのですけれども、できたと ころは小学校3年生と小学校4年生では違いがないということで小学校卒業まで延長した というところと、やはり今の世の中の治安状況から見ると、経営側の方に小学校3年生 と小学校4年生との違いがあまりないのではないかということを納得していただいて延 長できたという事例もございますので、小学校3年生と提案されている根拠が何かとい うことと、私としては小学校3年生と小学校4年生とはそれほど大きな違いはなくて、例 えば学童保育も今まで児童福祉法で小学校3年生までとなっていたものが、放課後クラ ブなどでどんどん延長していただいているという経過もございますので、さすがに中学 校1年生までといわれると、制服を着たり学校も変わったりということもあると思うの ですが、小学校3年生と小学校4年生の違いはないので、小学校卒業まででも良いのでは ないかと思っているところです。もし違いがあるのであれば、教えていただきたいと思 います。 ○林分科会長  では、定塚職業家庭両立課長、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  ご指摘のように、子どもは段階的に成長するものですので、おっしゃるとおり小学校 3年生終了時と小学校4年生でどのように違うのかという点について、何か極端に変わる ということではないと認識しております。ただ、小学校に入学するまで、それから1年 生、2年生、3年生、4年生と徐々に成長してまいりますので、その成長の段階を見なが ら現在の制度の中では、例えば今のお話に出た放課後児童クラブの整備であるとか、当 方で行っております助成金の仕組みについても、短時間勤務を導入した企業への助成金 ということで、少なくとも小学校3年生終了までの子を養育する労働者に導入した場合 には事業主に助成するというような形で、まずは小学校3年生までという形での取組を 進めているところでございます。研究会におかれても、そういったような状況を踏まえ て、このような報告に至ったものだと理解しております。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今、ご説明いただいたのですが、それはそれぞれの子どもと親が、もしかしたら小学 校1年生でも大丈夫になる家庭もあるし、4年生になってもやはり心配だという家庭もあ るというところからすると、一つの考え方としては小学校のうちは短時間勤務が選択で きるという枠組みにして、それぞれの労働者が何歳までということを自分の仕事と子ど もの成長というもののバランスを取って決めていけるような状況になるというのが望ま しいのではないかと思いますので、ぜひ小学校卒業までというところでご検討いただき たいということです。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  子どもの年限をいくつまで延長していくのかという議論かと思いますけれども、働い ている女性の側を見てみた場合、第2子を持ったとすると、もう少し長い期間まで短時 間勤務ないしはいろいろな時間の制約を勤務の方に持たせていく制度を検討するという ことかと思いますけれども、実際に企業の中で活躍している女性の就業継続およびキャ リア形成というものを考えると、長期にわたって短時間勤務を続けていく、ないしはあ る程度無理の利かないような働き方を続けていくことが、本当のキャリア形成につなが っていくのか、あるいは能力開発につながっていくのかということを考えますと、ある 程度、保育の充実ないしは保育サービスを多様化させていくことでキャリア形成ないし は就業継続がもう少し幅広くできていく。こういったことを総合的にやることで、単純 に期間を延長していくこと以外のものも、ぜひ充実をお願いしたいと考えますので、よ ろしくお願いいたします。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  個人が選択するのは非常に重要なことなのですが、例えば今言われているように、小 学校6年生まで短時間勤務をしたいということがあっても、それが選択肢の中になけれ ば、どうしようもないわけでありまして、枠組みとしては小学校卒業までということも しっかり含めて、さらに学童保育なりいろいろな設備等も整えて、その上で個人が選択 できるようなシステムにしていった方が良いのではないかと思います。選ぶ人が少ない から期間を長くするのはやめた方が良いというのではなくて、ある程度期間は整えてお きながら、その上で選択できるようなシステムに変えていった方が良いと思います。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  今の話ですけれども、やはりこれは日本の働き方全体にかかわると思いますが、子育 てをするということがキャリア形成に不利になるという今の状況を変えていかない限り は、問題としてはなくならないと思うのです。育児休業にしても短時間勤務にしても、 本当に選択をして自分がキャリア形成のために育児休業は短くてよいとか、短時間勤務 を選択しないという判断が、本当に自分がどうしてもそれをやりたいからなのかといえ ば、さまざまな要因があると思うのです。昇格や昇進や処遇など、そういったことにど うしても影響が出るから、やむを得ず職場に早く復帰するとか、フルタイムで働いてい かなければならないという方たちも非常に多いと思います。やはり、キャリア形成の部 分はきちんと見ていかなければいけないのではないかと思いますし、これもこちらが言 っているように個人の選択として幅を広げていくことは、この時代の状況の中で必要だ と思います。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  出産、育児がキャリア形成に不利になるかどうかというと、不利にも有利にもならな いというのが現実だと思っていまして、子育てを選択するから不利になるというのは何 もない。ただ、その間就業していない、ないしは就業しないことから業務に対する経験 が少なくなるといったことに関しては、将来に対して何らかの影響がないものではない。 そういうものだと考えています。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  前回も同じような発言をさせていただいたと思いますけれども、やはり短時間勤務と か所定外労働の免除というような、子どもたちの年齢を引き上げるという問題について は、やはりまず保育所の整備とか、保育サービス、あるいは放課後児童クラブ、学童保 育といった部分の充実を図っていただくことで相当数が緩和できると思いますので、ま ずそうした社会的インフラの拡充ということをお願いしたいと思います。 ○林分科会長  今、年齢が小学校3年生か小学校4年生かというところに議論が集中してきたのですが、 基本的に使側の方では小学校6年生までという議論は別として、小学校3年生までという 議論については、どのようにお考えになるのか。  それから、ここに四つの項目があるのですが、これを全部同じような考え方で規制し ても良いのか。その点についてのご議論をいただけますでしょうか。 ○遠藤委員  今、林分科会長からご指摘がありました件についてですが、やはりここに幾つかある ものをどのように考えていくのかということについては、それぞれが今回の改正といわ れる中でどのような形になっていくのかという絵姿の中で考えていかなければいけない ものだと思っております。今ここのそれぞれがどうなる、こうなるというようなことを 言うのだとすれば、もう少しその絵姿との関係で考えていく必要もあるかと思っており ます。  それからもう一つは、皆さま方はご承知のように最低基準としてどこまでどうするの かというような議論をしたときには、そこまでまだ至っていない状況にあるという実態 は十分踏まえていただきたいと、使側としては常々考えているところでございます。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  今、遠藤委員が絵姿ということをおっしゃっていたのですが、それは全く同感であり まして、わたしたちが描く絵姿というのは、育児、介護もそうですけれども、そういっ たライフイベントにかかわらず、男女ともに就業が継続できることが大前提でありまし て、そういった中で最低基準ということもありましたけれども、さまざまな意見が出て いるように、選択肢という視点であれば、この各項目について子の対象年齢というのは 同じように考えるべきではないかと思います。斉藤千秋委員が小学校卒業までとおっし ゃっていましたけれど、その対象年齢を同じにして、例えば短時間勤務であるとか、あ るいは時間外労働の免除といったところを考えていきたい。そういうことを組み合わせ ることによって、子を持つ男女労働者が就業継続できるというのが、私たちが描く絵姿 であります。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、ご指摘がありましたように、就業継続の部分については使側も全く同じでござい ます。やはりせっかく縁があって一緒に働いている皆さま方でございますから、その方 々とどのようにやっていくのかというところは、繰り返すまでもなく、現場サイドの中 で取り組んでいただいていると理解しております。今のお話の中にございましたように、 望ましいという議論はやはりあろうかと思います。ただ、望ましいということではなく て、法律改正を伴う形でどこまでやるのかという議論になれば、やはりそれぞれの実情 を考える形で考えていくしかないだろうと思っております。 ○林分科会長  ご意見は大体出尽くしたということで、続きまして「子の看護休暇について」議論を 進めていきたいと思います。子の看護休暇につきましては、付与日数を子どもの人数に 応じたものにするか、時間単位での取得も認めるべきか、予防接種や健康診断の受診を 理由とする取得も認めるべきか、この3点が出ておりますけれども、まず付与日数につ いてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  付与日数ですけれども、資料No.1では「子の人数に応じたものとすべきか」となって おりますが、私は子の人数に応じたものにしていただきたいと思います。実態として電 機連合が2005年に生活実態調査として組合員5,000名を対象とした調査がございます。 その中で、休暇の取得を聞いた設問で、小学生以下の子ども2人を持つ労働者の休暇日 数で、子どもが病気のときの看護というようなこと、あるいは予防接種、健康診断とい うような内容で休暇を取った日数が9.7日という実態が出ています。これは、ここでい う2人子どもがいれば10日くらいの休みが必要だということを裏付けていると思います ので、労働者の実態からすると小学生以下の子どもを2人持っている労働者は10日ぐら い休んでいると。法律は現行5日となっていますので、残りの4.7日、約5日は自分の年 次有給休暇を取得して、子どもの看護に当たっていることになるということです。  実態をいいますと、私がよく聞くのは、子どもを持っている母親は子どもの病気とか、 例えば伝染病にかかると1週間保育園に行けないという実態に備えて、いかに自分が病 気になっても、そのときには休みは使えないということで、特に4月に年次有給休暇が 付与されて3月までというと、子どもが病気をする秋から冬に掛けてというときに、年 次有給休暇がないと欠勤になってしまう。一生懸命働いても、子どもが病気をしてお休 みをするということで休みを取る以上、欠勤となってしまうという実態からすると、そ こをサポートしてあげられる国の支援というものは、法律の改正にとって必要ではない かと思います。  それから、もう1点ですが、今日の資料No.2の37ページに「子どもが受ける予防接種の 例」を掲載しておりますが、私自身も5歳と4歳と1歳の子どもを持っておりまして、予 防接種が非常に緩和されていまして、保健所に行かなくても受診できるような状況とい うものを環境として整備していただいているのはわかるのですが、民間の医療機関で予 防接種を受診しようと思っても、平日の午後などに予防接種あるいは健診の日程が定め られていまして、私の通っているところはたまたま土日もやっているような病院ではあ るのですが、その日に予防接種をしたいと予約を入れようとすると、医師の側からする と土日には病気の子どもばかり来るので、そこに健康な子どもを連れてきて検診を受け たり、予防接種をしたりするよりは、母親が休みを取って健康な子どもだけが来る予防 接種の日に受けるようにした方が良い。1日の休みを取らずに土日に連れて行って3、4 日休むことになるのでは本末転倒ではないかということで、平日の予防接種を勧められ るという実態もあるということです。特に、2歳までの間は、毎月予防接種や健康診断 に行くという実態もございますので、そういう意味では働きながら子どもを持つという 実態からすると、健診や予防接種のための休みというものも考慮していただけるような 法改正を望みたいと思います。 ○林分科会長  子どもの人数に応じたものとすべきかという問いなのですけれども、これは子どもの 人数が多くなった場合は無制限でよいのかどうかということも踏まえてご議論いただけ ればと思います。山崎委員。 ○山崎委員  どうしても休暇になると有給休暇のことを考えざるを得ないのですけれども、今、有 給休暇の取得率も50%を下回るという状況があって、せっかくの権利を必ずしも行使さ れていないという状況にあります。また、これは一部の企業なのでしょうが、失効した 有給休暇を積立てるような制度を自主的にやっている企業も結構多いと思います。やは り調査をすれば多い方がよいという調査結果が出るのが当然なのですが、やはり有給休 暇は当然の権利ですから、いろいろ取れない事情もあると思いますけれども、企業側も 努力する、労働側も努力するということで、せっかくの権利の有給休暇を取っていくこ とが先決ではないかと思います。やはり、この中において、指針もございますので、そ の中でも弾力的に対応できるのではないかと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  子どもの数に応じて無制限にとってよいのかという問いかけが林分科会長からあった のですが、私は子どもの数に応じて取れるだけ取ってよいのではないかと思います。子 ども1人だけに限定されるのであれば、今の少子化の中で、子どもを1人産むことで少子 化が解消されるのかといえばそういうものでもないわけで、それこそ子どもは1人でも 2人でも3人でもということが望まれている時代ではないかと思うのです。そこで1人に ついてと限定されたときに、産む側としては働く実態の中で子どもを産む数まで限定せ ざるを得なくなるというような現状もありますので、私はできるだけ働く女性が子ども を産みたい、育てたいという環境を作るということからいうと、子どもの人数に応じて 看護休暇を取れるということをまず作るべきではないかと思います。 ○林分科会長  齊藤惠子委員。 ○齊藤惠子委員  先ほど、有給休暇も取れていないのに、というお話もありましたけれども、子の看護 休暇がここに入るときの議論において、子どもが病気になったときのために、母親自身 が病気でも年次有給休暇をとっておかなければいけないとか、実際に子どもの病気で年 次有給休暇を使い切って、さらに欠勤までしている状況があるということで、子の看護 休暇がここに入れられたと思います。いわゆる一般的な有給休暇の取得の状況と、子ど もを持つ母親の年次有給休暇の取得の状況とは、全く別のものですので、そこは別に考 えていただきたいと思います。なお、現行は1人5日ということですが、0歳児、1歳児等 は保育所に行っても病気をもらってくるというのが現状です。私も毎週月曜日になると 子どもが熱を出すということで苦労した経験があります。特に低年齢においては休まな ければいけないという状況が多くありますので、子の年齢もかかわりますが、子どもの 人数に応じて休暇の日数を決めていった方が良いのではないかと思います。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  子の看護休暇だけではなくて、子育てと仕事の両立を考えるときに、まず使用者側が いわれたように地域の保育サービスも当然充実していく必要がある、やっていかなけれ ばいけないと思います。もう一つは通常の働き方です。過度の長時間残業がないように、 これも当然やっていかなければいけない。その中で制度をどうするかということもある のです。  もう一つ大事なことは、基本的にカップルで子育てをするということです。子の看護 休暇も考えなければいけないのは、5日では足りないという意見があるのだけれど、夫 の方は看護休暇を取っているのかということも、同時に考えなければいけなくて、私は 研究会報告で10日に増やす必要があると思うのですけれども、どんどん増やせばよいか というと、女性だけが看護休暇を取るとなると、これもまたマイナスなのです。つまり、 夫が子育てにかかわらない結果、妻だけが休暇を取って、足りないという部分が相当あ るのも事実なので、そのことを考えなければいけない。ですから、カップルで子育てし ていると、現行でも10日あるのです。10日で十分かというと、私は増やす必要があると 思うのですけれども。やはりカップルで子育てするということに向けて進めながら、そ うしたときに今の5日の看護休暇はどうなのかという議論をしていただければと思います。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  細かいことで恐縮ですが、現行の子の看護休暇の制度については、子ども1人につい て5日という解釈ではなくて、労働者1人について5日という形で規定されているのです。 今、佐藤委員がおっしゃったように、父親、母親の1人について5日ですから合計では 10日となるのですが、この議論の延長は、いろいろな切り口があると思うのですけれど も、今は1人の子どもであれば5日しか取れない。それを1人の子どもに限定することな く、複数の子どもがいる場合について、それぞれ病気になったりするわけですから、各 子どもについて5日を振り分けるのか、それとも両親が取れる場合10日が上限になって いますけれども、これを子ども1人と限定するのではなくて、その合計10日をもっと増 やしていくのか、いろいろな考え方、切り口があると思うのです。そこを混乱しないよ うにしなければならないと思います。今、聞いていますと、子ども1人について5日とい う話が出ますけれども、例えば子ども1人について5日取らなくても、2人の子どもにつ いて3日と2日取る場合もあり得るわけです。そういうことを考えると、まずは労働者1 人について5日取れるような制度を前提にして、それをどう振り分けていくかというこ とも頭の中に入れておいていただかないと、現行の法制度の解釈との関係で、聞いてい ても少し混乱しているようなところがありますので、そこは分けて、正確な理解の上で やった方が良いと思います。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  研究会報告では現行の枠組みの中で5日を10日にするという提案です。ですから、今 は子どもの数に関係なく5日であるのを、2人以上であれば労働者1人について10日にす るというのが、まずは案で、他にもあり得ると思うのですが、そのような理解でよろし いでしょうか。 ○定塚職業家庭両立課長  正確に申し上げますと、資料No.2の30ページにございますけれども、今ご指摘があっ たとおり、あくまでも労働者1人当たり5日という現行制度の上に、さらにということで すので、労働者1人当たり何日ということはあった上で、さらに子どもが増えていけば 子の人数に応じた制度とすべきもの、それから子の人数に応じた上限を設けるべきか否 かについて、事業主の負担等についても十分考慮する必要があるということで、佐藤委 員がおっしゃったように議論の中では2人以上なら10日で良いのではないかというご意 見も出まして、報告書としては日数を掲げずにこのようなまとめとしているところです。 ○林分科会長  現行の、労働者1人当たり5日というのをどのように、もう少し手厚くできるかという 観点で、合計で増やすかどうかという問題もありましたけれども、今の定塚職業家庭両 立課長からのご指摘の方向に沿って、何かご意見がありましたらお願いいたします。  では特に議論がないということですので、次のテーマである「時間単位での看護休暇 を認めるか否か」という点について、ご議論いただきたいと思います。 ○遠藤委員  子どもを看護する状況にあって、それを時間当たりで使うというのは、どういう利用 方法が考えられるのでしょうか。 ○林分科会長  定塚職業家庭両立課長、お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  確か、研究会の中では具体的な議論まではなかったと思います。ただ、病院で朝に診 察を受ける時間だけとか、そういった形で丸々一日休まなくてもよい場合、それから途 中で子どもの具合が悪くなって帰る場合、そういった場合を念頭に置きながら議論され ていたと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  わかりました。ありがとうございます。そうしますと、資料の中にもありましたよう にアンケートを見る限りにおいては、例えば半日単位で使うといったニーズの集計もあ るようでございますけれども、皆さま方ご承知のとおり、時間単位で使えるようにする かどうかということについては、今、継続審議扱いになっております労働基準法改正法 案の中にもございますように、それはあくまで仮に取るのだとしても労使協定を結ぶよ うな形で年5日を限度に使える仕組を考えたらどうかというようなことでございます。 そうであるとすれば、まずそちらの改正法が成立して、なおかつ十分な検証をした上で、 皆が本当に有効に使っている、時間単位で現場の中で使ってもトラブルなく皆が協力し 合うことができる状況を踏まえた上で、それならば子の看護休暇はどうなるのかという 形で議論すべきものだと考えております。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  時間単位の取得については、ここで出てきているのですが、現状の労働者一人当たり の5日間というのが、先ほどの労働者側の事例などにもあるように、短い、少ないと、 そういう中で効率的に、例えば付き切りで看病しなくても病院に連れて行って注射を打 ったら元気になったと、本来ならばその後も付いて家に戻って一緒にいたいのだけれど、 5日しかないという中で次に何があるかわからないというような状況に鑑みて、そうい うニーズがあるのだと思うのですけれども、その前段である労働者1人当たりの5日が非 常に少ないということを前提として、まずそれが今よりも実際に子を持つ両親がどれだ け日数を取られているかということに基づいて、労働者1人当たり5日プラス子どもの数 を配慮するのか、それはこれから議論するとして、少なくとも今よりも実態値に合わせ たような日数増をするという前提であれば、時間取得というのはニーズとしてはどうな のかと思います。推測ですけれども、そのように思います。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  今日の検討項目のところを見ると、子の看護休暇について三つの視点、付与日数の問 題、時間単位、それから予防接種、これは少し性質が違うかと個人的には思いますが、 この三つはかなり連動していまして、例えば今のお話ともかかわるかと思うのですけれ ども、労働者1人について現行では5日という枠ですが、これはやはり子どもの多い世帯 というか、母親や父親にとってはやはり不公平感が出るのではないか。ですから、全体 としてこの5日を仮に10日にすると、その10日をそれぞれの子どもについて必要に応じ て割り振ることができる。そういうことがもし可能であれば、病院などに行ったときの 時間単位の取得というものは、ニーズとしてはそれほど高くないというようなことは一 つの考え方としてあり得るのではないか。ですから、これはかなり連動している問題で、 そこで軸になるのは労働者1人について5日という現行の制度が適切であるのかどうか、 複数の子どもの必要性も含めた枠で。こういう議論が先に行かないと、ここだけを切り 出して議論をしても、あまり意味がないかと個人的には思います。 ○鴨委員  時間単位の取得というところにこだわりたいのです。私の娘は保育現場で仕事に携わ っているのですけれども、今、保育現場の中で、例えば保育所における子どもの健康状 態というのは、熱が37.5度までは健康であり、超えた場合は親を呼ぶというように運用 されています。そうしたときに、子どもが37.5度を超えた熱を出したから帰ってきてく ださいと親に連絡を入れても、迎えに来られない親が増えているというのが現実なので す。そういった中で、子どもたちは熱を出して不安定な状況の中で保育所に寝かされて いるという状態がかなり増えてきているわけです。子どもの病気は、朝は元気であって も、いつ熱が出るか予測がつかないことなのです。もっと言えば、朝から熱があっても 37.5度前後のところで休むということには親の方もならなくて、そこは何とか頑張って というような感じで子どもを送り出してしまうということもあります。そういう意味で 親の側から、女性の側からいえば、多様な選択肢の一つとして時間単位の取得というの はやはり重要な課題ではないかと思います。 ○林分科会長  他にご意見がないようでしたら「予防接種や健康診断の受診を理由とする取得も認め るべきか」ということで、これは時間単位の可能性もあるのですけれども、そもそもこ のようなことを理由とする取得ということもあり得るのかという点について、ご議論い ただきたいと思います。 ○吉川委員  中小企業の立場から申しますと、やはり予防接種とか健康診断も含めまして時間単位 につながってくるかと思いますけれども、やはり人事の専任の人がおりませんので、今 の大変な不況といいますか金融危機やいろいろな状況の中で時間単位の取得ということ になっていきますと、企業にとっての労務管理コストが非常に高くなりまして、非常に 厳しい状況にあるということが現実でございますので、その辺を理解していただきたい と思います。 ○林分科会長  他に特にご意見がなければ、本日の検討項目2の議論に移りたいと思いますけれども よろしいでしょうか。 ○山崎委員  佐藤委員にお聞きしたいのですけれども、労働者1人当たりの人数、日数ならよいの ですけれども、子の人数に応じたものにするとなると1人いれば5日、2人いれば10日と いうことになりますね。 ○佐藤委員  それを3人いれば15日にするかというように、「応じて」というところについては研究 会報告では、先ほど定塚職業家庭両立課長がおっしゃったように、どうするかについて はここで議論していただくということです。 ○山崎委員  1人の場合は5日がその子だけにかかるわけですよね。1人の場合はAという子どもだけ にかかるのですけれども。 ○佐藤委員  現行では労働者についてです。 ○山崎委員  子の人数にした場合です。 ○佐藤委員  子の人数にした場合でも、現行法と同じ考え方です。子どもが2人になれば労働者の 方が10日だとか。例えばですよ。 ○山崎委員  10日ですよね。その10日になった場合に、子を2人持っている人間は、1人の子につ いて10日使えるという意味ですか。子ごとに5日、5日という使用日数があることにな りますか。 ○佐藤委員  現行法の考え方のままであれば、子どもが2人いれば、10日を7日、3日と使っても構 わない。 ○山崎委員  そういうことですね。わかりました。 ○佐藤委員  提案は、です。この研究会での議論は、現行法の考え方ですから。何人にするかに ついては、3人でも15日という考え方もあるだろうということで、それは検討してくだ さいということになっています。 ○林分科会長  では、検討項目2の「父親も子育てにかかわることができる働き方の実現」に移りた いと思います。事務局から説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、資料No.3をご覧いただきたいと思います。1ページ以降は研究会報告書の 該当部分の抜粋を掲載しております。その中で4ページ目の別紙4がわかりやすいかと 思いますので、もう一度簡単にご紹介させていただきます。「父親も子育てにかかわ ることができる働き方の実現」ということで、一番上にありますのが「現行制度」で ございます。今回、研究会で提言された制度見直し案については、3点ございまして、 1点目が労使協定により配偶者が専業主婦家庭等の労働者の育児休業取得除外規定を見 直すというもの。2点目が出産後8週間以内の父親の育児休業。ここにつきましては、 現行制度でもすべての父親が取得できるとなっておりますが、取得が十分に促進され ていないという観点を踏まえ「パパ休暇」として取得を促進するということ。それと ともに、この期間に父親が育児休業を取得した場合には、特例として育児休業を再度 別の機会に取得できるように要件を緩和するということです。3点目が、「パパ・ママ 育休プラス」ということで、父母がともに育児休業を取得する場合に、休業期間を現 行よりも延長できるようなメリットを設けるということで、例えば例(1)のように、従 来であれば母親が1歳までに取得していれば、それで休業期間は終わりでございました が、父親が交代して取得する場合には1歳2カ月まで取得できる期間が延長するという 制度でございます。しかし、括弧内に書いてございますけれども、父母1人ずつの取得 できる期間は変えないということで、父または母、母については産休の期間も含めま すけれども、育児休業期間をトータルで1年を超えない範囲内で取得するという限定を かけております。  次の5ページ以降は、現行の説明でございます。現在、配偶者が専業主婦等の場合も 育児休業につきましては、この概要の二つ目の丸にございますけれども、事業主が育 児休業の申出を労使協定があるということを条件として拒むことができるとされてお ります。次ページ以降に「参照条文」を付けてございます。  また、8ページからは育児休業の再度取得要件について、現行法制度の概要をご紹介 しております。ご承知のとおり、育児休業につきましては原則として1回ということで すけれども、特別な事情がある場合には、再度取得できるということになっておりま す。再度取得できる場合については、ここの下に掲げたとおりでございます。9ページ 以降にはその「参照条文」を載せてございます。  11ページ以降はデータの紹介でございます。11ページについては、「男女別育児休 業取得者割合」。女性は89.7%、男性が1.56%でございます。  12ページは男女別休業期間でございまして、男性の育児休業期間は1カ月〜3カ月未 満が最多で、女性については10カ月〜12カ月未満となっております。  次の13ページは育児休業対象者からの除外の状況でございます。先ほどご紹介しま した労使協定を締結すれば除外できるといった規定を活用して除外している企業がど の程度あるかというデータでございまして、「所定労働日数が週2日以下の者」、「勤 続1年未満の者」については8割以上が対象外、「配偶者が常態として子を養育するこ とができる者」、「1年以内に退職することが明らかな者」については約75%が対象外 となっております。  次のページは関連する制度ということで、「配偶者出産休暇制度の有無・取得可能 日数別事業所割合」です。配偶者出産休暇制度が「ある」と答える事業所は33%、取 得可能日数につきましては、1日〜5日というものが96.4%と大半になっております。  次のページは、「配偶者出産休暇取得者割合」で、全事業所のうちの取得者の割合 は4.5%、制度のある事業所における取得者割合が55.6%となっております。  次の16ページ以降は、以前ご紹介しましたが、夫の家事・育児分担と、妻の出産意 欲の関係です。17ページにつきましては、妻の出産意欲と妻の就業継続率についての 関連を示したデータです。18ページにつきましては、夫の家事・育児時間が長いほど、 第2子以降の出生割合が高いというデータ。19ページは、同じように第1子出産後の妻 の就業継続割合が高いというデータです。  20ページは父親の家事・育児時間について、国際的な比較を載せていまして「6歳 未満児のいる男女の家事、育児関連時間」です。日本は育児について男性は0.33時間。 家事関連時間全体で1時間となっております。なお、昨年末に定めましたワーク・ラ イフ・バランスの指針の数値目標の中では、ヨーロッパの中で最低のフランスの2時間 半を目標値としているところです。また未就学児の父親に、子育てと仕事についての 希望を取りますと、同様に重視したいと希望しているが現実には仕事を優先している という状況のデータをご紹介しております。  次の21ページも関連データで、ワーク・ライフ・バランスに関しまして希望と現実 を取ったデータです。男性についてのデータですが、仕事、家庭生活、地域、個人生 活をともに優先にしたいという希望の方が多いにもかかわらず、現実には仕事を優先 という方が多くなっている状況です。  次の22ページは、子育てをしている女性の負担感は専業主婦家庭の方が高いという データ。  23ページにつきましては、妊娠出産に関して重要と思われることということで、夫 のいたわり・気遣い、家事・育児への参加などが圧倒的に多い回答となっております。  次の24ページは両立支援制度の利用意向で、育児休業制度や短時間勤務制度を利用 したいという男性は、それぞれ3割を超えています。  次の25ページは以前ご紹介しましたが、男性と女性が育児休業を取る場合を比較し ますと、企業調査、従業員調査の双方ともにおきまして、女性が取得する場合は7割 程度が取得しやすいと回答しておりますが、一方で共働きの男性が取得する場合には 少なくなっているというデータをご紹介しています。  次の26ページです。前回、各制度をご紹介したデータを出しておりましたけれども、 委員からこうした制度について、どの程度使われているのかというご質問がありまし た。当方で調査をしましたところ、育児休業制度以外の制度、例えば短時間勤務等に ついての利用状況を数値で把握することが現在のところ、できておりません。今回は 育児休業制度の取得率ということでご紹介しております。イギリスにつきましては男 女ともに12%です。ただし注書きがあり、女性については別途1年間の出産休暇があ ります。ドイツはそれぞれの取得率ではなく、育児休業を取り両親手当を申請した方 のうちの性別の割合ということで、女性が81.5%で、男性が18.5%に増加していると 聞いております。オランダ、スウェーデン、ノルウェーは、いずれも育児休業の取得 率です。  次の27ページは諸外国における父親休暇ということで、英語で言いますと、パタニ ティ休暇に当たる休暇を、各国でどのような休暇制度を導入しているかということを ご紹介しております。  28ページ以降は、諸外国におけるパパ・クォータ制度と、その実態につきましてご 紹介しております。資料は以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。では、まず配偶者が専業主婦等の場合の労使協定による 育児休業取得除外規定について、ご意見をお伺いしたいと思います。 ○遠藤委員  まず、一つ目の項目については、そもそも枠組みそのものが除外する場合にあって は労使協定を結ぶということがあるわけですから、現行70%を超えている状況にある とすれば、労使の話合いの中でそのような枠組みを作っているのだということは十分 に押さえていかなければいけないと思っております。  それから、今回、子育てのための環境づくりということで、いろいろなご提案をい ただいているかと思いますけれども、報告書の中にもありましたように、出産後8週 間以内であれば、現行の枠組みの中でも十分に取り切れるという状況があると書いて ありますので、そういった中での対応ではどうなのかということ。  さらには、今の見直しにかかわる部分も含めてですけれども、子育てといったもの をどのような中身として考えていくのかということがあろうかと思います。私どもも 幾つか関係企業をヒアリングという形で回らせていただいたことは前回申し上げまし た。その企業のご配慮もありまして、お話を伺う方は人事担当者だけではなくて、実 際にそれぞれの制度を適用されて使われた労働者の方々のお話も聞くことができまし た。使っている労働者の方々のお声をご紹介させていただきますと、どういった状況 下で配偶者、もう一方の方の力添えがいるのかといったことを聞いてまいりますと、 やはり自分の状態が良くないとき、これは現行の枠の中でも十分それは対応できるこ とですから、この部分も法律改正しなくてもやり切れるということがあろうかと思い ます。それから、第2子が生まれたときに第1子の面倒を見てもらうようなとき、ある いは自分が職場復帰を考えたときに、その部分はどうしてもいろいろと力添えをいた だけなければいけないところがあるから、ある程度の場面場面を考えていきますと、 法律改正をすることなく、今の枠組みの中で十分こなし得るのではないかと考えてお ります。以上です。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  配偶者が専業主婦の場合の育児休業取得の除外規定ですけれども、私ども電機連合 の実例からしますと、次世代育成支援対策推進法が施行になって、男性の育児休業を 取得すると、「くるみん」がもらえるという辺りから、皆さま積極的に除外規定を労 使の間で取り除いています。男性の育児休業を取りたいというニーズはアンケートか らも非常に出ていると思いますけれども、取りたいと思っている男性が、片や専業主 婦だということで取れなかったところを、労使の間の協定を取り除くことによって取 得が促進できている実態もあります。「くるみん」をめでたく取得できた企業が結構 出ている実例からすると、今回のテーマである男性の「子育てにかかわることができ る働き方の実現」という中では、これを労使で除外規定として定めることができるよ うにしておく必要性はないのではないかと感じています。  ここの中で大事なのは、やはり専業主婦の子育てが非常に孤独な作業というか、状 況になっているのではないか。核家族化が進んで地域のコミュニティの関係も非常に 希薄な中で、都会で子育てをするのは非常に孤独になっているのではないか。一昔前 のように、三世代、あるいは近所に親がいてということで、遊びに行って親元で日中 は一緒にテレビ見ながら、いろいろとやって、夕方に父親が帰ってくるから夕飯を作 りに帰ってくる状況は今はなくて、実態からすると、コミュニティの中にある子育て サロンのような所に、母親が朝10時ぐらいに集まっているのですけれども、夕方まで そこにいるということもできないので、公園に行ったりして遊んでいると思います。 専業主婦の母親は子どもが3歳、4歳になると幼稚園に入れていることが多いと思いま すけれども、そこでやっと子どもを通じた関係が作られてくる。この辺りからは子育 てを通じてネットワークができると思いますけれども、その前は、今、非常に孤独な 子育てになっていて、そこに配偶者が朝早く出て、それこそ子どもの寝顔しか見ない ような生活をして、朝早く出て夜遅くに帰ってくるというと、子どもと2人きり、あ るいは子どもと3人だけの子育てというのが、今の専業主婦の子育てになっているの ではないか。子どもが生まれたときに、できるだけ一緒にいられる環境をつくるとい う意味では、この条件を取ってもう少し取りやすい、男性が誰でも子育てに参画した いと思ったときに取りやすい環境をつくっていくのが非常に重要な取組になるのでは ないかと思っております。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  すみません。先ほどの説明の中で、自分は専業主婦の場合の対応を省いてしまいま したので、今の斉藤千秋委員のお答えにもなるかと思います。先ほど申し上げました ように、子育てのあり方は、今ここで言われているような一つイメージというのは、 朝9時から夕方17時まで月曜日から金曜日までといったような形で、本来そこで働い ている状況の場を、それは家庭の場で育児参加といったものを考えていらっしゃるか と思いますけれども、必ずしもそういう形だけではなくて、例えば、帰宅時刻を早め たり、週休日を使ったりといったような形の子育て参加も十分あり得ると思っており ます。  先ほど申し上げなかったことで一つ付け加えさせていただきますと、労働者側のお 話の中で、確かに子育てをしたいという方があるようですが、実際に男性が子育てと いうことで、仮に子どものそばにいて何ができるのでしょうかといった本音の部分も 聞くことがあります。もしかすると、本来求められているのは家事の分業なのかとい うこともあろうかと思います。諸々を考えていきますと、やはり家庭内で育児をどう 考えていくのか、家事をどう考えていくのかといったことはご家庭の中で考えていた だいて、それを尊重する枠組みで十分ではないだろうか。まさにその考え方に則って 制度創設されたのが、育児・介護休業法であり、休業制度であると理解しております。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  今、男性が休みを取って家事の分業はもちろんあると思いますが、やはり子どもを 産んだ後の精神的な部分の支えというものが一番夫に求めているものだと思います。 もちろん父親におっぱいをあげてくれということはできなくても、3時間おきに授乳 しないといけない環境の中で、寝る時間もないところで寝させてあげる、おむつを取 り換えてあげる、1回ミルクにしてあげる、それだけでも心というか、体も休まるわ けです。非常にメンタリティの部分で不安な状況で一人きりで家の中でテレビを見る、 それこそ話し相手もいないというような状況、出産1カ月というのは外にも出られな い状況ですから、そういうところで、夫がいてくれる、何かあったときに助けてもら えるところを夫に求めていくのは普通だと思いますし、その時点で夫婦そして家族の 絆ができていくと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、お話がありましたように、支えてほしいという状況下が出産後8週間以内なのか、 8週間を超えてなのかというところをもう少し考えていけば、例えば今の話でいうと、 出産後8週間以内の状況であるとすれば、法律改正しなくても十分に今の枠組みの中で やり切れるといえるかと思います。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  少し部分的な出産後8週間などの話になっていますけれども、この父親が育児にかか わるということは、今回の育児・介護休業法の改正の中で本当の目玉、法律の改正だ けではなくて国を挙げて取り組んでいるワーク・ライフ・バランスの推進の本当に根 本的なところだと思います。数値目標も掲げています。署名をしていますから労働側 としてもそれは進めるのですけれども、前回も申し上げましたが、ワーク・ライフ・ バランスを議論していたときにあったのは、やはり国民が求めている、希望するもの と実態が違うということをどうやったら解決できるかということが主でした。そうい う中で、父親も世代的に大きな差があるのかもしれません。子育てというのは父親の 仕事ではないと思っていたかなり高い年代の層と、それから今まさしく共働きでなく ては生活ができない、それだけではなく男女ともに労働にかかわりたいと思っている 世代が多いという状況も考えなくてはいけないのです。むしろ、そういう状況だから こそ、父親が育児だけではなくて、育児・家事に大きくかかわることが重要なのだと いう思いもあるし、希望もあるけれども、実際にできていない。育児休業の取得率が 1.5%です。これは何もしなければワーク・ライフ・バランスの数値目標のところに 行かないと思うのです。使用者側は進んでいくというようなことで、自信がおありの ようですけれども、今までも進んでいない。やはり大きく背中を押すといいますか、 父親たちにそういうことを仕掛けていかないと、いくら思っていても実際に1歩進め ない状況からは脱しきれないと思うのです。  実際に、先ほども労働者の方たちに伺っているということを聞きまして、岡本委員 の職場は大変男性の育児休業の取得率は高いですから、後で報告していただければと 思いますが、とにかく育児休業を取った男性たちというのは、おっしゃるように最初 は育児どころか、家事ができない。それから回りに聞く人もいない。公園に行っても、 どこに行っても母親たちだけで、父親がいると何なの怪しい人というようなところで 仲間には入れないし、そういうところで模索しながら、料理も作ったこともないが子 どもの面倒を見ながら家事、料理もしなくてはいけない、掃除もしなくてはいけない、 洗濯もしなくてはいけないという当たり前のことがようやくできるようになった。そ れが大変大きな成果だった。  ただ、ロールモデルがいない、企業から本当に将来を捨てるのかということを言わ れたときには、とてもつらかったというようなことも言われています。いろいろ申し 上げますけれども、やはり父親がかかわるということをどのような法律あるいは制度 で環境整備したら大きくプッシュできるのかということを、この育児・介護休業法の 改正の中で考えていかなくてはいけないのではないかと思います。そういうことは本 当に目先に来る、目先は本当にネガティブな意味ではなくて、そういうときには企業 のコストは、男性中心で仕事をオペレートしている企業では大変な課題だと思います が、いつかは克服しなくてはいけないところだったら早めに取り組むというような姿 勢も必要なのではないかと思います。 ○林分科会長  山口委員のお話は、2の議題の全体を含めたご意見だったと思いますけれども、特 に除外規定の問題で、お願いします。 ○岡本委員  除外規定ですが、確か労使協定ということで、これだけの数字の企業が除外してい るということなのですが、まさに今までのお話の中にもありましたけれども、今この 時代の中で、本当に育児に関する考え方を変えていこうという流れはあると思うので す。当初、育児・介護休業制度ができたときは、やはり女性が働き続けるために、ま ずは女性に育児休業を取ってもらおうという考え方の下に始まったと思います。です から、そういった意味で、女性がまず取りやすいようにしようということで、こうい った除外規定も設けられてきたと思いますけれども、これは労働組合の反省でもある のですが、その後、流れが変わってきている中でも、このような部分についてはあま り目が行かないで、労使協定の議論の俎上に乗せることがないままに実は来てしまっ ているところがあると思うのです。  先ほど斉藤千秋委員も言っていましたけれども、そこに気付いた労使は取組をし始 めて、徐々に除外規定を外してきていると思います。私どもも実はそういうところで す。やはり今の男女ともが、両親が子育てをしていくということの重要性に気付き始 めて、そういった流れの中でいろいろな働き方を変えていきましょうという今の状況 にあれば、やはり除外規定は削除するべきだと思います。残念ながら、労使協定だけ に任せていけば、実はいつまでも除外規定はなかなか俎上にも乗らないのではないか と、女性の労働者の立場でいえば、恥ずかしいのですけれども思っておりますので、 これは外すべきだと思います。 ○林分科会長  特にこの除外について。 ○斉藤千秋委員  先ほど遠藤委員も言っていたように、産後8週間であれば取れるというのは確かに 法律もそのようになっていると思いますが、まず労働者が休業を取りたいと思ったと きに労使協定なり、就業規則を見たときに、専業主婦という時点で取れないと勘違い してしまう男性は非常に多いのではないか。そして職場で取っている男性もまだまだ 少ないので、自分が最初の人になるというと、相談すると専業主婦で奥さんが働いて いないのだったら、育児休業なんて取れないというのが今の世の常識ではないかとい う中であると、やはり法律でこれを取り払うことによって、男性も希望すれば取れる と。そしてそれは規定に関して言えば、生まれてから1歳までの間に取れるというこ とを広めていくという意味でも、それを世の中にPRしていくという意味でも、この除 外規定を外していくのは重要なのではないか。それで男性で育児休業を取りたいと思 っている3割ぐらいの方たちが取得していくことを後押しできるのではないかと思い ますので、そういう意味では、必要ないのではないかと思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  今、いろいろなご意見を伺っていて、それぞれのお立場でのご意見ということで承 らせていただきました。繰り返しの部分で大変恐縮ですけれども、やはり子育てをど ういう形でやっていくのかというところは、最終的にはご家庭の中で考えていただく 話であって、それを国全体として子育てを進めていくというキャンペーンその他を含 めてやることについては、それは国の考え方の中で対応していくことで考えていけば よいのではないかと思います。今、産後8週間の部分について、仮に十分周知が行き 届いていないとすれば、これまでもされてきたかと思いますけれども、その部分をさ らにクローズアップするような形でご案内していくといったようなことで、今の枠組 みの中で十分にいけるのではないだろうかと、繰り返しで大変申し訳ありませんが、 やはりそのようなことを主張させていただきたいと思います。 ○林分科会長  今田委員。 ○今田委員  今、労使両方のご意見をいろいろと伺って、哲学として子育ては父親と母親が同等 にかかわって、ともに助け合いながら子育てをする。その原則は非常によくわかるこ となのですが、もう一つ我々がワーク・ライフ・バランスもそうだし、子育てという ことを考えていく場合に十分に押さえておかなければいけないのは、やはり妊娠して 出産してその後、授乳期を経て、子育て期というプロセスがあるわけですよね。それ ぞれが非常に生物学的に拘束されたいろいろな状況下で行われるということなのです。 やはり、それは男女の別などということ以前に、もう生物学的に規定されたものです から、制度はそれに則って作らないといけないのです。男性も女性もともに子育てに 参加する、この原則は非常に正しいのですが、そうした特性に則った制度を作ってい くということが、遅れているのかもしれないですけれども、重要なのだろうと思いま す。  そのときにそういう特性に依拠して、より良い父親母親がこの子育てのプロセスに 参加できる、そういう全体のグランドデザインを作るべきだと考えたときに、報告書 の資料からもらっているものの1ページですけれども、育児休業取得除外規定につい てというところの6行目に、いろいろなものを前提としたらと書いて、「父親が育児 休業を取得することができないという制度は、父親が子育てにかかわる貴重な機会を 失わせるものである」と書いてあるのです。これは全体としてわかりやすそうにも見 えるのですけれども、要するに配偶者が専業主婦であって子育てをしている状況で父 親も参加したい。その制度を作るというときに、休業しなければ機会を損失すること になるかと。この文章は非常に納得できないというか、レトリックというか、結論を 導くための議論という感じがどうしてもするのです。それぞれの特性に応じて、父親 母親が例えば、授乳8週間というか、生まれて1、2カ月ぐらいの非常に授乳だけに専 念しなければいけないような母親の状況で父親がどうかかわれるか。それが段々と開 放されたときに父親がどう子育てにかかわるかで、それぞれ違うと思います。そうい う意味で父親が参加しなくてはいけない緊急度も違う、そういうこともあまり考えな いで、何か悪くいえば、子育てに父親母親もともに参加しなくてはいけないというこ とで、そういう特性を抜きにして「ともに」というところがあまりにも強調されて、 結論ありきのような形で男性の育児休業というような議論に私はどうしても受け取れ るのです。やはり出産して子育てするときの1〜2週間、1カ月、そこでの緊急性とい うものを、本当に今こそきちんと法律にあるのだからという形で処理すればよいとい う使用者側の意見もあると思うし、現実的にはなかなか取れない状況にあるという、 その緊急度というのをあまりにも軽く見ているということもある。労働側は何となく、 男性、女性、ワーク・ライフ・バランス、子育てへの同等の参加という哲学の流れの 中で、何か全体が薄まって、全体を同じように男性も女性もという形の制度へという ような、そういう何か実態から現実の出産・子育て、それにかかわる父親母親の過酷 な状況からは両方とも何か距離があるような、私から見ると、違和感があるというか、 もう少し希望としては現実に即した制度の設計というところで、労使がもう少し現実 性というレベルで近づく議論をしてほしいということを、あえて意見として申し上げ たいと思います。 ○林分科会長  はい、山口委員。 ○山口委員  過酷な状況になくてはいけない、緊急度がなくてはいけないというところではない ですし、特性によってというのが今ひとつ理解できないのです。何を持って特性とい っているのかわからないのですが、実態ということでおっしゃったので、少し実態を 申し上げたいと思います。やはり出産後の母親の産じょく期の母体のことを考えても、 あるいは今の核家族で例えば以前のように実家に帰って出産ができるということも少 なくて、今の核家族家庭の中で出産しなくてはいけないとか、あるいは上の子がいる というようなときに、父親は産むことはできないし、授乳もできないけれども、その 他母親がかかわるというのはそれだけではないですね。そういうことをシェアすると いうことは、今までその当たり前のことが行われてなかった。行われてなかったのは やりたくないというということなのか。やりたくてもできなかったのか、そういう環 境整備がされてなかったのかというようなところも、今までなぜそういうことができ ていなかったのかという反省の中で議論があったわけですけれども、そういう意味で は私たちは必死ですから哲学など語っている余裕はなくて、今ある状況をより良く、 それから、子どもを持つ親だけではなくて親子の関係であるとか家族というようなと ころで、それこそおっしゃるような今の過酷な状況を少しでもスムーズにより負担が 少なく家族の生活を営むことができないかという視点でこの議論をしているわけです けれども、特性に基づいてというのは理解していないかもしれませんが、もし追加し ていただけるならご説明いただければと思います。 ○林分科会長  今田委員。 ○今田委員  出産・子育てという意味で、そこで母親・父親の置かれた状況ということです。つ まり母親は子どもを出産してその後授乳期があり、それから離れる。それは試験管ベ ビーではないわけですから、それぞれの規制された部分に則っているという意味での 特殊性というか置かれた状況で、取って代われるものではないわけですし、そういう 意味で非常にニュートラルに男性・女性ともに育児に参加する。それは本当に考え方 として皆が認めるでしょう。けれども同時にそういうプロセスの意味・実態を踏まえ た上でという意味で、それほど言っていることがおかしいとは思いません。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  子育てをカップルでどうするかというのはカップルが決めることです。我々は枠組 みを議論している。ですから、男性が育児休業を取らない。どのようにするかは別と して取らなければいけないという枠組みを作ろうとしているわけではなくて、基本的 にはカップルでどう子育てをしていくのかを決めればよいのです。そのときに枠組み としては男性が子育てをしたい、かかわりたい、育児休業を取りたいというときに取 れるような仕組みは用意しておくということだと思います。  そのときに現行法でも産後8週間は取れるからそれで十分かどうかです。除外規定 を入れられるところをもう少し取れるような、妻が専業主婦でも取りたいという男性 がいれば、そういうことをすることが必要かどうかということだと思います。そうし たときに、私は幾つかあると思うのですが、子育てはずっとつながるわけですが、特 に組合側が言われたように専業主婦の子育て不安感が非常に強いわけで、現状でも確 かに妻が子育てできなくなれば取れるのです。けれども問題なのはその前です。育児 ノイローゼ、病気までいかないけれどもそこに男性が2週間でも3週間でも育児休業が 取れれば、そうならないような状態は実際にあるわけです。そういう取りたいといっ たときに除外規定で外されているということが望ましいのかどうかということです。 除外規定を外すことで男性が育児休業を取らなければならないという仕組みを作ると いう意味ではなくて、現行そういうニーズがあるし、そういうニーズが実現できる仕 組みを作っていく方が良いのではないか。全体についていえば、もう一つは男性で子 育てにかかわりたい人はいるわけですが、実現できない状況があるわけです。それで 今回は後押しするような、メッセージを出すような改正が大事ではないかということ がいろいろ入っているということで、全体としてメッセージは「取りたい人が取れる ように」ということで、「取らなければいけない」ということではないので、そこは ご理解していただいて議論していただければと思います。 ○林分科会長  今田委員。 ○今田委員  制度として作るという以上は、そういうニーズがあって実現するだろうというよう な制度でなければ、制度は作ったけれどもほとんどそういう実態が起きないというの は、制度として設計する以上はまずいと思います。そういう意味で13ページにあると おり、除外規定で除外されていないのが専業主婦の場合24%。このデータで事務局 にもしあれば教えていただきたいのですが、4分の1は育児休業がとれるようになって いる。そこで実際に実績が出ているのでしょうか。そういう措置をされたところで。  なぜしつこくこだわるかというと、専業主婦でということは収入がないわけで、夫 が取った場合に所得保障が現状では不十分なわけですから、そういう育児休業を取ろ うかという選択が本当にできるのかというのが、要するにその前に所得保障などやっ ておかなければいけないことがたくさんあって、それをしないで夫もニーズがあるの だから取れるような制度を作ろうというので行政が旗を振って作って、本当にそうい う制度が現実的に実現するのかを非常に懸念を持つのです。  そういう意味で、対象になっているところで部分的に育児パパ・レポートのような ものは見ますが、そういうものがどれぐらいの実現性を持ったパターンなのかが気に なるので、対象外はもちろん専業主婦は取れないのですが、この24%はそうではない。 対象になっている。可能なわけですからそこで本当に専業主婦の家庭で実現している のかという点をクロスを取ったらわかると思うのですが、どうでしょうか。もしわか るのであれば。本当にそういう制度を設ければ、専業主婦の家庭でも休業を取る人が 出てくるのだなということが何となく実感できるということもあると思うのですが。 ○林分科会長  課長、どうぞ。 ○定塚職業家庭両立課長  今ご質問がありましたので回答だけ申し上げます。今田委員からご指摘があったの は、対象としている企業で取得をしているかという質問だと思いますが、そこまで統 計を取っていません。申し訳ございませんが集計もできないようです。 ○林分科会長  吉川委員。 ○吉川委員  専業主婦の子育ての大変さというのは本当に理解します。その時にできるならばこ れは休む休まないという問題よりも男性側、ご主人の精神的な、どういう形でのサポ ートかという問題になっていくと思います。ただ、切羽詰まったときにもう少し実態 の中で保育園だとかそういうところで、専業主婦の方も何かのときに預かってあげら れるようなシステムを広げていっていただけたら良いのではないかと思います。それ から日本の年次有給休暇を考えますと、土曜・日曜・祭日その上にいろいろな休暇が あることを考えますと、世界的な中でも決して休暇が少ないわけではありません。多 分、現在では比較的多い方に入っているのではないかと思います。なおかつ、人間は 生きていく上で子育てなどいろいろ大変な時期は誰にでもあるわけですし、その中で そういう経験をしながら人間として自分自身がそれぞれ育っていける部分が多々ある わけですから、むしろ休暇うんぬん、外すなどというよりも、男性がどういう精神的 なサポート、形の上でも家庭のこともそうですが、土曜・日曜・祭日や年次有給休暇 を使いながら、その思いがあれば母親は十分それを超えるだけのものを休まなくても 受け止めることができると思うのです。  ですから、最初に戻りますが、どうしてもというようなときには、ぜひ保育園とか そういう形、あるいはまた別の形のサポートママのような制度をもう少し拡充してい ただいて、そういうサポートをしていただくことがまず大事で、いつか樋口委員がお っしゃっていましたが、どんどん法律で狭めていくのではなくて、もう一度今まで出 来上がったものを見直してみて、どういうものが本当に必要なのか必要でないのか。 大変だからといって全部が全部法律で守るのではなくて、どういうことを考えたら、 どうしたらそれを回避できるかというような、そうした部分の角度から取り組んでい く必要があるのではないかと思いますので、そうしたことも含めてお考えいただけた らと思います。 ○林分科会長  鴨委員。 ○鴨委員  今、精神的サポートという話がありましたけれども、私が思うのはこの時期の男性 の今の働き方というのが、それこそ過労死時間を圧倒的に多くが働いているのが現状 だと思います。それこそ週60時間以上を越えて働いている年齢層が、いわゆる育児に たずさわっている男性たちの年齢層がそういった働き方をしていると思います。その 働き方を基本的にはそれでよいのかという問題も同時に問われてきているわけです。 そういう中にあって、専業主婦の女性たちを今のままでは精神的サポートを越えて、 専業主婦の女性たちはある意味で子育てはあなたたちがしていればよいという感触に 全体がなってきてしまっていると思うのです。今までも日本の社会はいわゆる仕事は 男性、家庭は女性といわれてきましたが、その考え方が今も根強く、そしてますます 強くなってきていると感じているところです。さらに今の専業主婦の女性たちの置か れている状態というのは、私たちのころ以上にもっと不安定な状況で、それこそ先ほ ど男性の所得保障の問題がありましたが、そういった中において子育てだけではなく 明日の生活をどうするのかというところで不安な状況に置かれていますので、その中 においては精神的サポートという状態では済まないところに今きているからこそ、こ ういった話がされているのではないかと思っているところです。ですから、いつまで も専業主婦の女性を適用除外としておくということではなくて、この除外規定を外す べきだと思います。 ○林分科会長  岡本委員。 ○岡本委員  今、鴨委員が申し上げたとおりなのですが、どうもこの除外規定を廃止することの デメリットというか、企業側の廃止は適当でないという理由が、なかなか見えてこな いのです。この場合本当にそれほど長く経済負担もありますから休業を取るというよ りも本当に緊急性の中で取らざるを得ない例が非常に多いと思うのです。例えば2人 目の子どもが生まれたということの中で、どうしても第1子の面倒を見なければいけ ない。または第1子が非常に不安になるとよくいいますが、そういった状況の中で保 育園に預けるようなこともなかなかできないということもあると思いますし、本当に 緊急性の中で取得したいという方たちが明らかに増えていると思います。私自身もそ ういった話は本当にたくさん私どもの企業の中ででも聞きますし、事例があればよい のですが、私もうろ覚えなのでこの正式な場では申し上げられませんが、確か私ども の場合もそういった形で育児休業を取った男性がいたと思うのです。また戻って調べ られたらどこかの段階でお話できればと思いますが、緊急性があるということをどう 見ていくのかということを、ぜひ考えていただきたいと思います。 ○林分科会長  川崎委員。 ○川崎委員  今、専業主婦の子育てという話が出てきたかと思っているのですが、子育てをどう していくのかを考えると、専業主婦の子育ても大変ですし、子育ての環境事態が従来 よりも大変になってきているという中では、ここで父親もこれにかかわることによっ て軽減しようということが出ていると思うのですが、これにとどまらず子育てを社会 で担っていくということに変えていかないと、いつまでたっても子育てを家庭で担う。 家庭で担うということは現状だと女性が担い続けるということがなかなか変わりにく いとするならば、母親が就労している、いないにかかわらず保育園ないしは地域のサ ポートも使える環境をつくっていかないと、なかなか専業主婦を含めた子育て環境事 態が改善していかないと思いますので、そういうところもぜひご配慮いただければと 思います。 ○林分科会長  齊藤委員。 ○齊藤惠子委員  インフラの整備ももちろん大切ですが、父親が子育てにかかわるということが子供 の育成にとって重要な事なのです。父親が子育てにかかわるということでは、共働き していれば小さいうちからかかわれるけれども、母親が専業主婦ならかかわれないの であれば、かかわれないところを外していかなければいけないということです。別に 母親が専業主婦であろうが働いていようが父親が子育てにかかわることに規制はない わけですから、そのような規制を外していくことが大切であり、この規制を外したこ とによってどれぐらいの父親がかかわるのかということではなくて、すべての父親が かかわれるような制度にもっていくことが必要なのですから、この除外規定は外すべ きであると思います。 ○林分科会長  遠藤委員。 ○遠藤委員  繰り返しの主張ですが、育児休業を取得中であっても、あるいは専業主婦の場合で あったとしても産後8週間の状態であるとすれば、もう一方の配偶者である労働者は 育児休業を取得できるという理解でよろしいのですね。そうだとすると、やはり繰り 返しになりますが、8週間以内ではなくて8週間を超えて取れるような状況を今作らな ければいけないといった必要性が見えてこない。ご指摘の中で今環境をつくっていく のだと、そういう機運を盛り上げていくという主張はあったかと思いますが、そうで あるならば今取れる枠組みのところをクローズアップして周知していくということで も十分ではないかと考えています。 ○林分科会長  時間が少なくなりましたので、今の除外規定の問題の、次の出産後8週間の父親の 育児休業およびパパ・ママクォータ制度のような父母ともに育児休業を取得した場合 の有利点を与えるという、この二つについて、ご議論を進めていただきたいと思いま す。 ○山崎委員  一つ、疑問に思うことがあるのですが、実は、パパ休暇といって広く周知をすると 報告書でも書いてあるのですが、授業参観でも父親参観は多分ないと思うのです。片 親の方がいるので変えていると思うのです。ですから、その辺はどうなっているのか 少し考慮が必要ではないかというのが一つと、8週間の間に父親と母親の2人でしてい る場合は確かに父親がいないとなかなか大変ということがあるのですが、他に面倒を 見てくれる家庭環境にあるような方は父親が休まないと思うのですが、もし休んだと きに逆に「パパ邪魔休暇」になるのではないかという懸念もあるわけです。8週間取 って、その後勤めに出て、それからまた取るわけですが、その期間にもよりますが現 場に多能工的な方がいると中小の場合は人事ローテーションでよいのですが、そうい う方がいない場合に代替要員が、いつものことですが大変になる。まして休む方が余 人をもって替え難しというような仕事をしている方であれば、余計に現場が苦労する ということがありますので、その辺は中小企業あるいは企業にとっても大変です。中 小企業にとってもぎりぎりの中で経営をしているわけですから、そういう手当てをす るのがかなり大変だということはご理解いただきたいと思います。中小企業の場合は、 11ページの表にありますように父親の取得率が全体で1.56%に上がってきている中 で、中小企業の小さいところは8.85%とかなり上がっていて、その辺はやってくれて いるという気がするのですが、いずれにしてもそういう中においてもコストがかかる といいますか、代替要員の確保には本当に苦労している実情があることはご理解いた だきたいと思います。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員   その出産後8週間で山崎委員がおっしゃったように、現場が苦労をされるという ことですが、女性が出産する場合には法律で産前は自分で決められるけれども産後は 8週間労働基準法上のお休み。短くしても6週はということになっていることからする と、女性が現状お休みされるときもご苦労されていて、それが男性まで広がるとそれ は経営上非常に困るということでおっしゃっているのかというところがお聞きしたか ったところで、私の思いとしては、女性は出産した以上母性保護という観点から8週 お休みしなさいと、法律で守られているというところはあるのですが、ですから8週 間お休みするということで、男性が同じようにお休みしても、企業として労働者がい なくなるということのデメリットはあるとしても、その男性に対して不利益なことを するということは恐らくないと思うので、そういうことからすると労働者男性が8週 間お休みをするという、ここで出てきている8週間は根拠もありますし、それは男性 であろうが女性であろうが子育てをするという前提からすると同じことではないかと いうことだと私は思っているのですが。 ○山崎委員  いや、いずれにしても父親が8週間この表にあるようにパパ休暇を取るわけですね。 そうすることによって、企業はこの場合でなくても結構それだけの代わる人を雇わな ければいけない。それとまたもう一つ、こういった場合に8週間後に2度目を取れるよ うにする制度にするということですから、その期間が短ければよいのですが、結構長 い期間休暇を取るようなことになると、企業としては代替要員を確保するのに大変苦 労するということを言ったわけです。別に取ることをいけないというのではなくて、 企業としてはそういう裏の苦労があるということを言っているのです。 ○斉藤千秋委員  それは女性は現状もうそうなっていて、そのように男性に取られるのは非常に経営 側として困るということで、労働力として困るということ。 ○山崎委員  たまたま、ここでパパの休暇を特に取るという制度を設けるということになったか ら、それについて言っているということです。 ○林分科会長  奥山委員。 ○奥山委員  今のお話を聞いていて、山崎委員の言うことはよくわかるのですが、おっしゃって いることはここのパパ休暇ですか。名称はともかくとしてここのポイントは、こうや って女性が産休後8週間労働基準法の65条で権利を取得している間に必要のある男性 が取って、また2つめのポイントは、さらにもう一度現行では1人の子どもについて1 回限りになっていますので、これだとなかなか難しい。ですから、パパ休暇という男 性がある程度安心して取れるような仕組みで取って、さらにもう一度その子について 取れる。ここが多分制度の「みそ」だと思います。それとは別に山崎委員がおっしゃ っていることは、この制度にかかわらず労働者である男性労働者が取る場合には、企 業規模の小さいところでは代替労働などを含めて非常に大変だという一般論であって、 パパ休暇についてこういう制度を導入すると困難だということの理由とは直接的には つながらないと感じたのですが。 ○山崎委員  このテーマが父親の育児休業の取得ということになっているので、いずれにしても そういうものが自然とこういう場合にも出てくるのではないですか。 ○奥山委員  そうですよね。それはもちろん一般論で被さってくるのはわかるのですが、だから といってこの制度自身が駄目だという議論とは違う。 ○林分科会長  佐藤委員。 ○佐藤委員  二つあって、遠藤委員もおっしゃるように、実際には産後8週間は取れるのに、も う少し取れるようにという話です。あまり知られていないということもあるので、こ こに名称を付けて取れますよとアピールするということと、もう一つは実際に取る人 が出てきたときに、また妻が育児休業を取って復帰するときに取りたいと思っても現 行では取れないので、そこを産後取った男性についてもう一度取れるようにと二つあ るわけです。確かに山崎委員が言われたように同じ人が二度取ることが1回までは対 応できるけれども二度は大変だという意味であれば、それはそういう議論があるかな と思っています。一般的にはいずれもそれほど長くはないだろうという感じはします。 長期の休業ではなくて8週間だけれど実際上8週間を取る人がどれぐらいいるかを考え ないといけないですが、それほど長くない可能性は高いです。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤千秋委員  先ほど山口委員も触れていたのですが、産後8週で非常に産科医が減少していると いうことで、里帰り出産というものが現実的に非常に難しくなってきているのではな いかという実感を私は持っていまして、里に帰って出産して1カ月健診が終わったら 戻ってくるというようなことが一昔前は理想だったと思うし、それ自体が自分の親が 子育ての最初の1カ月をサポートして、あるいはそれで2カ月、3カ月、4カ月まで実家 にいられるということができていたというのは、全国津々浦々に産科医・小児科医が いてというようなインフラが整備されていたときはよかったと思うのですが、今非常 に地方に産科医や小児科医が減ってきている中で、出産をすること自体が今大変な状 況になっている。自分自身は里帰りで子どもを産みたいと思っても、それがインフラ としてまかなわれていないので仕方がないので自分の住居の近いところに通院してそ こで出産するという実態が増えているのではないかと思っています。そうなってきま すと、その間父親あるいは最初の時には自分の母親なりが来てくれることもあると思 いますが、長く自分の家ではないところに親がいるのは難しいというところからする と、先ほどから言っていますが、父親の必要性というところにつながってくるのでは ないかということで、産科医・小児科医のインフラの整備も必要だということもここ で付け加えておきたいと思います。 ○林分科会長  とりあえず8週間の問題の議論はここで終わりまして、全く新しい考え方になりま すが「パパ・ママ育休プラス」について、ご意見があればいただきたいと思います。 はい、川崎委員。 ○川崎委員  ここでポイントになってくるのが、パパとママが休業を交互に取った場合に、イン センティブを付けていくということかと思いますが、一つはインセンティブを付けて までして、こういうメッセージを出していくのかということで、先ほどもいろいろあ りましたけれども、家族の形態が変わってきている中で、なかなかパパ、ママという 役割を、保育園・幼稚園の場面で言わなくなってきている。つまり、ひとり親世帯が 増えてきている中で、両方が休んだらインセンティブが付くというような見せ方は、 果たしてそういったところに対しての配慮はどうなのかということが一つあるかと。 何かしらの配慮があればと思いますけれども、そこの配慮は必要ではないかというの が一つです。  もう一つが、やはり就業継続を考える場合に、基本的には子どもが1歳までという ところで復帰してくると考えた場合には、あえて長く休むということも設けないで、 戻れる環境にあるのであれば、誰か保育できる人ができたタイミングで戻ってくると いうことで、期間の延長をあえてもう1回設けなくても、そこを設けるよりは、早く 戻れるような仕掛けにしていく方がよいのではないかと考えます。 ○林分科会長  山口委員。 ○山口委員  例えば今、離婚が増えていて、片親が多いということも実態としてありますけれど も、年代的にそれはどれぐらいなのかということもあります。それはさておいて、イ ンセンティブというところで、もう少し具体的に議論していった方が、より良いとは 思いますが、この「パパ・ママ育休プラス」というものは、ぜひ導入していくべきだ と思います。やはり少子化が待ったなしの状況になっている日本において、それが多 少なりとも回復した国で導入しているという事例を、研究会の中でもきちんと参照し ながら議論していただいたということは、真似をするということではなく、グッド・ プラクティスにはきちんと前向きに取り組まないと、少子化という時点では、藁をも つかみたい状況にある日本ですから、ぜひこれは前向きにとらえていきたいと考えて います。 ○林分科会長  他にご意見がないようでしたら、時間になりましたので、本日はこの辺りで終わり たいと思います。本日の署名委員は齊藤惠子委員と吉川委員にお願いいたします。事 務局からご連絡があるということなので、お願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長  次回の会合ですが、10月8日午前10時からを予定しております。 ○林分科会長  本日はお忙しい中、ありがとうございました。本日の分科会はこれで終了といたし ます。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)