08/09/24 第122回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第122回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成20年9月24日(水)9:00〜 2 場所  厚生労働省共用第8会議室 3 出席者    委員  公益委員 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、平田委員、山崎委員   事務局  太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        鈴木主任中央需給調整事業指導官、田中派遣・請負労働企画官、        松原需給調整事業課長補佐、待鳥需給調整事業課長補佐、        鶴谷需給調整事業課長補佐、竹野需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について ○清家部会長 ただいまから、第122回労働力需給制度部会を開催いたします。山崎委 員が少し遅れてお見えということです。本日は、最初に公開で「労働力需給制度につい て」をご審議いただきます。その後、「一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職業紹 介事業および無料職業紹介事業の許可の諮問」にかかわる審議を行いますが、許可の諮 問につきましては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を扱いますことから、こ れについては、公開することにより特定の者に不当な利益を与え、または不利益を及ぼ す恐れがある場合に該当いたしますため、非公開とさせていただきますので、傍聴され ていらっしゃる方には、始まる前にご退席いただくことになることを、あらかじめご了 承いただきたいと思います。それでは早速、議事に入らせていただきます。最初の議題 は「労働力需給制度について」です。前回の部会で、部会報告案につきまして、労使各 委員から、どうしても主張したいという意見についてのご発言をいただきましたので、 本日は、これらの意見を盛り込んだ形の部会報告案を提示させていただきました。それ では、事務局から読上げをお願いいたします。 ○松原補佐 おはようございます。それでは、読み上げさせていただきます。  「労働力需給制度部会報告(案)」、1.「基本的考え方」、1.労働者派遣制度につ いては、派遣元事業主、派遣先、派遣労働者がそれぞれ増加しており、労働力の需給調 整を図るための制度として我が国の労働市場において一定の役割を果たしている。  2.しかしながら、・雇用管理に欠ける形態である日雇派遣など社会的に問題のある派 遣形態が出てきていること、・派遣という働き方をやむを得ず選択し、長期間継続して 従事することとなってしまっている者がみられること、・禁止業務派遣や二重派遣など の違反事案が顕在化し、業務停止処分等の行政処分となる事案もみられるなど、指導監 督件数も大幅に増加していることから、これらの事態に対処していくことが必要である。  3.このため、労働者派遣法を改正し、以下のような具体的措置を講ずることが必要で ある。  2.「具体的措置について」、1.「日雇派遣について」、日々又は30日以内の期間を 定めて雇用する労働者について、原則、労働者派遣を行ってはならないものとすること が適当である。  その場合、日雇派遣が常態であり、かつ、労働者の保護に問題ない業務等について、 政令によりポジティブリスト化して認めることが適当である。具体的には、いわゆる26 業務から、特別な雇用管理を必要とする業務(第14号、第15号、第16号(駐車場の管理 等の業務に限る)及び第24号の業務)及び日雇派遣がほとんど見られない業務(第3号、 第4号、第21号、第22号及び第26号)を除外したものをリスト化することとするが、これ 以外の業務については専門性があり労働者の保護に問題のない業務のリスト化など、適 宜リストの見直しを行うことが適当である。  また、これらの措置に伴い、政府は、日雇派遣労働者等の雇用の安定を図るため、公 共職業安定所又は職業紹介事業者の行う職業紹介の充実等必要な措置を講ずるよう努め ることが適当である。  2.「登録型派遣の常用化について」、1年以上勤務している、期間を定めて雇用する派 遣労働者等の希望を踏まえ、(1)期間を定めないで雇用する派遣労働者又は通常の労働者 として雇い入れること。(2)期間を定めないで雇用する派遣労働者への転換を促進するた めの教育訓練等の措置を講ずること。(3)紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に 係る派遣労働者として雇い入れることを通じて、派遣先での直接雇用を促進することの いずれかの措置を講ずる努力義務を派遣元事業主に課すことが適当である。  労働者代表委員からは、登録型派遣については規制強化が行われていないことから、 活用事由の制限や期間制限の強化など、労働者派遣制度が労働力の臨時的・一時的な需 給調整のシステムであることを担保する実効性ある措置の導入や、同制度は全て許可制 とするなどの措置をとるべきであるとの意見があった。  使用者代表委員からは、期間を定めないで雇用する派遣労働者の派遣先を安定的に確 保し、派遣労働者の常用化を推進するため、期間を定めないで雇用する派遣労働者につ いては、自由化業務における期間制限(法第40条の2)及び雇用申込義務(法第40条の4) の適用対象から除外すべきであるとの意見があった。  3.「派遣労働者の待遇の確保について」(1)派遣労働者の職務の内容、職務の成果、 意欲、能力又は経験等を勘案し、賃金を決定する努力義務を派遣元事業主に課すことが 適当である。また、派遣先の同種の労働者の賃金を考慮要素の一つとして指針に明記す ることが適当である。  労働者代表委員からは、労働者派遣制度における常用代替防止の趣旨の徹底を図る観 点からは、派遣労働者の賃金決定に関する努力義務等では不十分であり、派遣先の同種 の労働者との均等待遇原則を法律に明記すべきであるとの意見があった。  使用者代表委員からは、派遣労働者の賃金を決定する際に、派遣先の同種の労働者の 賃金を考慮要素の一つとすることについては、派遣先の労働者と派遣労働者とではそも そも雇用主が異なることから、企業別の労使関係を基本とする日本の労働市場において は問題があるとの意見があった。  (2)派遣労働者等のキャリアパスを考慮に入れた適切な教育訓練の実施、就業機会 の確保等を講ずる努力義務を派遣元事業主に課すことが適当である。  (3)(1)および(2)に当たって、派遣先に対し、当該措置に必要な情報の提供等 必要な協力の努力義務を課すことが適当である。  (4)派遣料金、派遣労働者の賃金、これらの差額の派遣料金に占める割合等の事業 運営に関する情報の公開義務を派遣元事業主に課すことが適当である。  (5)派遣労働者等に対し、事業運営に関する状況、具体的な待遇決定の方法、労働 者派遣制度の仕組みの説明を行う義務を派遣元事業主に課すことが適当である。  4.「雇用契約申込義務について」期間の定めのない雇用契約の派遣労働者について、 労働者派遣法第40条の5(雇用契約申込義務)の適用対象から除外することが適当であ る。  5.「労働力需給調整機能の強化について」、(1)「特定を目的とする行為について」、 期間の定めのない雇用契約の派遣労働者について、特定を目的とする行為を可能とする とともに、その際には、年齢又は性別を理由とした差別的取扱いの禁止規定等を整備す ることが適当である。  (2)「紹介予定派遣について」、派遣契約及び就業条件の明示事項に、職業紹介後 に労働者が従事する業務の内容、賃金、労働時間、雇用契約に係る期間の定めの有無等 を加えることとすることが適当である。  (3)「グループ企業派遣等について」、グループ企業(親会社及び連結子会社)内 の派遣会社が、一の事業年度中に当該グループ企業に派遣する人員(定年退職者を除く) の割合を8割以下とする義務を派遣元事業主に課すことが適当である。  その際、割合についての報告制度を設けるとともに、8割を超えている場合には、指 導、勧告、許可の取消し等の各措置を順次行うこととすることが適当である。  また、離職した労働者(定年退職者を除く)を元の企業に派遣することについて、離 職の後1年間は禁止することが適当である。  6.「法令違反等に対処するための仕組みの強化について」、(1)「違法派遣是正のた めの派遣先での直接雇用」、適用除外業務への派遣、期間制限違反、無許可・無届け事 業所からの派遣又はいわゆる偽装請負であって派遣先に一定の責任のある場合、派遣先 に対し行政が賃金及び雇用契約期間について従前以上の条件で雇用契約を申込むことを 勧告できることとすることが適当である。  労働者代表委員からは、違法派遣の場合に派遣先での直接雇用関係を成立させる措置 については、行政による雇用申込みの勧告では、勧告の発動が行政の裁量に委ねられる ことなどの問題があり、労働者の権利救済の観点から、「直接雇用みなし規定」を導入 すべきであるとの意見があった。  使用者代表委員からは、行政による派遣先に対する雇用契約申込の勧告については、 派遣先の故意・重過失に起因する場合に限定し、個別的かつ総合的に判断して措置する べきであるとの意見があった。  (2)「派遣先の法違反に対する是正措置の強化」、勧告・公表に係る指導前置を廃止 し、法違反を繰り返すなどの悪質な派遣先に対しては、より強力な是正措置を発動でき るようにすることが適当である。  (3)「労働者派遣事業の許可要件・欠格事由」、許可取消しの手続きが開始された 後に事業の廃止届けを提出し、取消しを逃れて再度許可をとることや、許可を取り消さ れた法人等の役員が別の法人を設立して許可をとること等により派遣元事業主が処分を 逃れることのないよう、欠格事由に関する規定を整備することが適当である。  7.「関係法制度の必要な整備について」、この他、関係法制度について、必要な検討、 整備がなされることが適当である。  以上でございます。 ○清家部会長 ありがとうございました。それでは、労働者派遣制度の改正についての 当部会における検討につきまして、本報告書をもってその取りまとめとさせていただき、 当部会としまして、本報告案を、労働政策審議会から厚生労働大臣へ建議すべきという 結論に達した旨、この後開催されます職業安定分科会へ報告したいと考えていますが、 いかがでしょうか。                  (異議なし) ○清家部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。そ れでは、事務局は、職業安定分科会への報告文案の配付をお願いします。                 (報告文案配付) ○清家部会長 文案をお読みいただきましたでしょうか。それでは、いまお配りいただ きました報告文案で職業安定分科会へ報告することとしたいと思いますが、よろしいで しょうか。                  (異議なし) ○清家部会長 ありがとうございます。それでは、そのようにさせていただきます。こ こで、太田職業安定局長よりご発言があるとのことですので、お願いいたします。 ○太田局長 一言、御礼のご挨拶を申し上げます。委員の皆様方におかれましては、平 成17年5月から、43回という長期にわたりまして、大変熱心なご議論をいただきました。 特に、研究会報告が取りまとめられたあと、7月末以降、この8月、9月と、夏の大変暑い 時期に、短期間で精力的なご審議をいただき、本日、報告をおまとめいただきまして、 誠にありがとうございました。清家部会長はじめ委員の皆様方に深く感謝申し上げる次 第でございます。今後、事務局としましては、できるだけ早期の法案の国会への提出を 目指しまして、この報告をもとに法案の作成に全力を尽くしてまいりたいと考えており ます。  また、前回の部会までに労使各委員からご意見があった事項につきまして、具体的に は、日雇派遣の原則禁止に伴い脱法行為が行われないよう努めることや、民間の職業紹 介機関の拡充を図るとともに、民間では不十分な場合において、ハローワークでもマッ チングを行っていくことなどにつきましては、行政としてしっかりと取り組んでまいり たいと考えているところでございます。以上、簡単ではございますが、御礼のご挨拶と させていただきます。本当にありがとうございました。 ○清家部会長 ありがとうございました。ただいま太田局長からのご発言にもありまし たが、厚生労働省におかれましては、法施行に当たり、労使それぞれからのご意見を踏 まえ、これにしっかりと対応していただくよう、私からもお願いしておきたいと思いま す。また、これ以外につきましても、当部会において、労使各委員から、さまざまなご 意見をいただいているところでございます。いただいたご意見の中には、今後の部会で の審議の進め方に関するものもありましたので、この点について、まず私のほうから考 えを述べさせていただきたいと思います。  まず、特定目的行為の関係で、業務に関係のない情報の収集や差別行為が行われない ように措置を講ずるべき、との労働者代表委員のご意見がありました。こちらにつきま しては、指針等で対応が可能かと思っております。また、今後の部会での検討課題とす べきとのご意見のあった26業務の在り方、登録型派遣の在り方、常用型派遣の定義、期 間制限の在り方や、研究会報告でご提起のあった派遣事業と請負事業の区分などにつき ましては、法案が通りましたあとの政省令等の改正の検討時も含め、今後の部会での検 討課題としてまいりたいと考えております。何かこの点について、ご意見などございま すでしょうか。 ○長谷川委員 労働者派遣法について、2005年5月以降から、法改正のフォローアップ を続けてまいりました。その間、ヒアリングや調査も行いながら課題を整理して、昨年 暮れには、労使の意見の隔たりの大きさから、中間報告という形でインターバルをとっ て、研究会に検討を委ねてまいりました。検討スケジュールが前倒しされた中で、公労 使の需給制度部会において、日雇派遣の原則禁止など一定の結論をまとめることができ たことについては、部会長はじめ関係者の皆さんの努力の結果であると思っております。  ただ、途中までは、登録型派遣と常用型派遣のメリット、デメリットなどの議論を行 ってまいりましたが、あるときから、日雇派遣について議論が集中しすぎてしまった感 は、私は否めないと思っております。今後は、部会長からも「引き続き検討する」との ご発言もありましたので、登録型派遣の在り方、常用型派遣の定義、26業務の見直し、 一般労働者派遣事業と特定労働者派遣事業の区分の見直し、派遣労働者の均等待遇の在 り方など、労働者派遣制度全般をどのようにするかという視点で、引き続き議論してい きたいと考えております。  なお、少し言いにくいのですが、ただいま部会長のほうから、研究会報告で提起のあ った派遣と請負の区分の在り方についても今後の検討課題とする、という提起がありま した。確かに研究会報告では、派遣事業と請負事業の区分について、その一層の透明化 を図ってほしいという意見もあることから、今後、区分の在り方について透明性を確保 するという観点から検討がされるべきである、と触れられていたと思いますが、部会に おいては、ほとんどこの問題は議論してこなかったと思っています。派遣と請負の区分 基準についてさまざまな議論があることは、私どもも十分認識していますが、私ども労 側が危惧するのは、実態があるからとかニーズがあるからということで制度の見直しが 行われることです。雇用のあるべき姿というのは、私もこの部会の中で何度か申し上げ てきましたが、期間の定めのない直接雇用であると考えます。学問的にはいろいろな学 説があるということは存じていますが、職業安定法第44条には、直接雇用が原則である ことが理念として規定されています。労働者派遣制度は、あくまでもその例外であると 理解していますので、派遣と請負の区分について検討するとしても、どうか原則的な考 え方を崩すことなく、実態論やニーズ論に偏らずに検討していただきたいということを、 最後にお願いしておきたいと思います。 ○清家部会長 ありがとうございました。ほかに何かご意見はありますか。 ○平田委員 37号告示について、いまご指摘がありましたので、一言だけ申し上げてお きたいと思います。研究会報告の中には、透明性を確保するという観点から検討がされ るべき、という指摘があり、まさにこのとおりだと思っています。本来であれば、どこ かの場で私どもから発言して、検討すべきであると言っておかなければならなかったの かもしれませんが、今回の取りまとめまでは、局長からのご挨拶にもあったように、時 間が限られていたということもあったかと思います。今日、部会長からもご発言があり ましたので、それを踏まえて、今後、時間をかけてしっかり議論していきたいと思って いますので、一言だけ申し上げておきたいと思います。 ○清家部会長 ありがとうございました。ほかに何かございますか。よろしいですか。  それでは、他に特にご意見がないようでしたら、ただいまお2人の委員から出された ご意見も十分に踏まえた上で今後の部会の運営をさせていただきたいと思いますので、 引き続きよろしくお願いいたします。それでは、次に一般労働者派遣事業の許可の諮問 に移りたいと思いますが、冒頭申し上げましたように、傍聴されておられる方につきま しては、ここでご退席いただきますようお願い申し上げます。また、太田職業安定局長、 大槻職業安定局次長につきましても、所用により退席されると伺っております。              (傍聴者、局長、次長退席) ○清家部会長 事務局より何かございますか。 ○松原補佐 次回の部会につきましては、日程を調整の上、決まり次第に委員には連絡 させていただきたいと思います。以上です。 ○清家部会長 ありがとうございます。それでは、事務局にはそのようにお願いいたし ます。以上をもちまして、第122回労働力需給制度部会を終了いたします。本日の署名 委員は、使用者代表、平田委員、労働者代表、長谷川委員にお願いいたします。それで は、委員の皆様、どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)