08/09/24 平成20年9月24日薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部会議事録 ○薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会 添加物部会 議事次第  【日時】 平成20年9月24日(水) 14:00〜16:02  【場所】 中央合同庁舎5号館 専用第21会議室  【出席委員】(五十音順)     石田委員、井部委員、北田委員、佐藤委員、棚元委員、     長尾委員、堀江委員、米谷委員、山内委員、山川委員、  【事務局】國枝基準審査課長、光岡補佐、磯崎補佐、小山田専門官 ○磯崎補佐 それでは、定刻となりましたので「薬事・食品衛生審議会食品衛生分科会添加物部 会」を開催させていただきます。  本日は御多忙のところを御参集いただき、誠にありがとうございます。どうぞよろしくお願い いたします。  本日は井出委員、山添委員、吉池委員、由田委員より欠席との御連絡を事前にいただいており ます。現在、添加物部会の委員14名中10名の委員の先生方に御出席いただいておりますので、 本日の部会が成立いたしますことを御報告申し上げます。  それでは、座長を長尾部会長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、配付資料の確認を事務局よりお願いいたします。 ○磯崎補佐 本日、先生方のお手元に置かせていただきました資料は、議事次第、委員名簿、資 料一覧をまとめましたものを一部、そして1枚刷りの座席表です。  そのほかに議題の資料といたしまして、資料1−1としてまとめてございますのが、2,3− ジメチルピラジンの諮問書、部会報告書(案)、食品安全委員会における審議結果でございます。  資料2−1としてまとめてございますのが、2,5−ジメチルピラジンの諮問書、部会報告書 (案)、食品安全委員会における審議結果でございます。  資料3−1としてまとめてございますのが、2,6−ジメチルピラジンの諮問書、部会報告書 (案)、食品安全委員会における審議結果でございます。  資料4−1としてまとめてございますのが、デンプンリン酸エステルナトリウムの指定削除の 可否に関する諮問書、部会報告書(案)でございます。  資料5−1といたしまして、ナイシンの諮問書、部会報告書(案)、その後に食品安全委員会 におけます審議結果、一番最後にパブリックコメントの結果(案)を一冊にまとめてございます。  次に、報告事項の資料といたしまして、報告資料1−1「平成19年度調査報告『既存添加物 の安全性の見直しに関する調査研究』について」をお配りさせていただいております。  報告資料2といたしまして、「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価の結果につ いて」の資料でございます。  本日お手元にお配りしております資料は、以上でございます。不足等ございましたら、お申し 出いただければと思います。特にございませんでしたら、審議の方に入りたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、まず議題1の2,3−ジメチルピラジンの新規指定の可否について審 議を行いたいと思います。事務局より資料の説明をお願いします。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明申し上げます。2,3−ジメチルピラジンは、平成14年7月 に食品衛生分科会で了承されました、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添 加物の一つとして挙げられている品目でございます。  これにつきましては、食品安全委員会へ平成20年2月7日に食品健康影響評価の依頼を行い ました。食品安全委員会では、平成20年4月15日、同年5月26日の間に計2回にわたり添加 物専門調査会で審議が行なわれ、その審議を踏まえた評価書が平成20年7月31日にとりまとめ られたところでございます。  それでは、資料に沿って御説明を申し上げます。資料1−1の3ページ目から御覧ください。 品目名は2,3−ジメチルピラジン、用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、2,3−ジメチルピラジンは生落花生等の食品 中に天然に存在するほか、コーヒー、カカオ等の焙煎により生成する成分でございます。欧米で は焼き菓子等のさまざまな加工食品において香りを再現し、風味を向上させるために添加されて おります。  食品安全委員会における審議結果でございますが、2,3−ジメチルピラジンは食品の着香の 目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとの評価結果となっております。  4ページを御覧ください。「6.摂取量の推計」でございますが、食品安全委員会におけます 評価結果によりますと、1995年の米国及び欧州における1日1人当たりの摂取量の推計から我 が国での本物質の推定摂取量というものを考えた場合、おおよそ4〜16μgの範囲になると推定 されております。なお、米国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意 図的に添加された本物質の約280倍であると報告されております。  新規指定についてでございますが、2,3−ジメチルピラジンを食品衛生法第10条の規定に 基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、 次のとおり使用基準と成分規格を定めることは適当であるということで案をまとめてございま す。  使用基準案といたしましては、香料として使用される場合に限定して食品健康影響評価が行わ れておりますことから、使用基準は着香の目的以外に使用してはならないとすることが適当と考 えております。  成分規格案につきましては、5ページの別紙1のとおり設定してございます。設定根拠は別紙 2、JECFA等との規格の比較は別紙3として添付しております。  成分規格でございますが、主な設定根拠について御説明申し上げます。7ページの別紙2をご らんください。成分規格案は、JECFA、FCCの規格に基づき設定しております。含量につ きましては、JECFAで2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6−ジメチ ルピラジンの異性体総量値として95%以上、FCCでは異性体の総合値としまして95.0%以上 と設定されております。そこで本規格におきましては、他の規格との整合性を考慮して、小数点 以下一けたまでを有効数字し、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン、2,6 −ジメチルピラジンの混合物95.0%以上を含むとしております。  確認試験につきましては、JECFA、FCCのいずれも確認試験にIRを用いておりますこ とから、本規格でもIRを採用しております。  純度試験につきましては、屈折率と比重を設定してございます。いずれもJECFAが規格値 としている値を採用しております。  定量法につきましては、JECFA、FCCともにGC法による含量測定を行っていることか ら、本規格案でもGC法を採用しております。  その下以降にJECFA、FCCで設定されているが、本規格では採用しなかった項目につい て、その理由等を記載しております。  溶解性につきましては、本規格案ではIRによる確認試験を規定して、溶解性の必要性は低い と考えられるため、本規格では採用しないこととしました。  沸点及び蒸留範囲につきましても、品質管理はGC法とIR法により十分担保され、沸点及び 蒸留範囲は必ずしも品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることから、本規格案で はいずれとも採用しないこととしました。  凝固点につきましても同様の考え方により、採用しておりません。  トリ、テトラメチルピラジンの含量は、FCCでは規定されておりますが、JECFA法では 規定されてないということと、品質管理はGC法、IR法により十分担保できるということで、 本規格案でも採用しないこととしております。  水分につきましても、必ずしも重要な項目ではないと考えられることから設定しないこととし たところでございます。  本品目については以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 どうもありがとうございました。  それでは、2,3−ジメチルピラジンについての御意見をお願いいたします。 ○米谷委員 最初に資料の9ページの比較表のところで、規格案が95%となっていますけれど も、これは95.0%だと思います。  2番目が、日本の方は面積百分率法なので95.0%以上というと、上は100%ですが、JECF AとFCCはどう書いてあるのですか、これも面積百分率で上は100%なんでしょうか。それを お聞きしたいです。 ○佐藤委員 日本のGC法というのは、もともとJECFAのGC法から取っておりますので、 同様にJECFAでも面積百分率で計算しています。 ○米谷委員 FCCもそうですか。 ○佐藤委員 同様です。 ○米谷委員 それでは、95.0を入れておくだけでいいと思います。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○北田委員 10ページのガスクロマトグラムを見る限り、ほとんど2,3−純品に近いような クロマトで、若干15分に小さなピークが出ておるだけで、実際に流通するのもこの程度の純度 のものなのか。もしそうであれば、5ページの含量の表記のところに、あえて2,5−及び2, 6−というのを入れる意味がどういうことかなということで、お聞きしたいんです。 ○佐藤委員 今回の資料は市販品のFCC規格に沿ったものを購入しまして、それで実際に分析 した結果がこのGCチャートとIRとなっております。ただ、その市販品というのが今回入手で きたのがアルドリッチ製の1社だけですので、海外でどのような市販品がまだ流通しているかと いうところまでは、こちらとしては把握しておりませんので、規格としましてはJECFA、F CCの規格と整合性を合わせる意味で混合物とせざるを得ないかなと考えております。 ○長尾部会長 よろしいでしょうか。 ○井部委員 混合物ということですが、これは比率にもよりますが、ピーク上は支障がないので あろうと思いますし、またIRのスペクトルでは2,3−ジメチルピラジンのスペクトルを説明 していないわけで、これは混合物ということであれば、2,5−、2,6−ジメチルピラジンと いうのが影響してこないのでしょうか。 ○佐藤委員 IRにつきましては、こちらはかなり高純度なんですけれども、これに大体3%く らい2,5−ジメチルピラジンまたは2,6−ジメチルピラジンが入ると、スペクトル上、若干 の別のピークが表れたりということはあります。また、実施の方でもリテンションタイムが全部 違うので、別のものが入ればピークが表れるということになります。  ただ、IR上違ったピークに見える、違ったチャートが出た場合に、それをどうするかという のは多分含量の方との兼ね合いなのか。その辺は多分メーカーサイドで判断。そのIRチャート に合っていないかどうかというのは、メーカーの方で購入する際に規格として見るのかなと思う んです。これは結局、検疫上の問題ということですか。輸入する際に形が違うと違反になるとか。 ○井部委員 そうですね。例えば2,3−を見ているのに2,5−と2,6−が入っていた、そ の比率が大きいと、そういうスペクトルにならない。あるいはガスクロ上、多分1つになってし まうのではないですか。 ○佐藤委員 ガスクロ上は分かれます。 ○井部委員 そうですか。では、それが出てきたから合計すればいいということですね。 ○佐藤委員 そうです。 ○井部委員 例えばIRのスペクトルなどは混じってしまうと、こういうきれいなピークになら ないような気もするのです。 ○佐藤委員 3%入ると、ここにピークが見えるな、という違いは出てくるとは思います。 ○井部委員 その比率はどのくらいかということです。多い場合もあるのではないかなと思うの です。 ○佐藤委員 比率が多い場合も、ただ混合物で認めていますので、チャートを照らし合わせて、 少なくとも2,3−と2,5−と2,6−の重なり合わせでこのピークがあるんだなという判断 でよしとする。その割合というのも今はわかりませんので、それはそういう判断をするしかない と思います。 ○井部委員 わかりました。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。ここでFCCでは5%以下と規定してあるトリテト ラビラジンですが、JECFAでは特に規定はなくて、これは結局、含量が95%以上というと ころで規定されるから、これは設定しなくてもよいとお考えになったんですか。 ○佐藤委員 そのように考えました。 ○長尾部会長 ほかにはよろしいでしょうか。 ○北田委員 今までこういう異性体の混合物というのは、添加物の場合にこういう書き方をして いたのですか。例えばですけれども、2,5−、2,6−についてはその純度試験のところで、 何%以下とか、そういう表現は、この場合には無理なんでしょうか。 ○長尾部会長 問題点はおわかりになりましたか。 ○磯崎補佐 今まで香料関係のもので1品目だけ混合物と規定しているものがございます。本品 目の場合は2,3−ジメチルピラジンが九十数%を占めるという状況ですが、その品目の場合は、 もう少し存在比率の割合が高く、極端に九十数%と偏っていないものになっております。  確かに規格上、少ない2,5−とか2,6−について純度でおさえる形で規格上設定すること が必ずしもできないというわけではありませんが、国際汎用添加物であることから、できるだけ 国際規格の規定ぶりに合わせるということ、仮に先ほど佐藤先生からの御説明がございましたよ うに、2,5−、2,6−が入ってくるとGCチャート上でわかるということもございますし、 IRでもスペクトルが変わってくるということですので、そういった中であえてそれぞれを何% と規定せずとも管理していけるのではないかと考えているところでございます。 ○長尾部会長 そうしますと、2,3−ジメチルピラジンの中に2,5−とか2,6−が5%以 下の濃度で混ざってきてもこの規定に合うわけですね。それで混ざっていても問題はないと答え ておられるんですね。 ○磯崎補佐 混ざってくる場合は、3成分を合わせて95%以上と規定されていますので、95% 以上の中で2,3−、2,5−、2,6−の比率は変わってくるということになります。もし仮 に量的に少ない2,5−、2,6−が多量に、先ほど佐藤先生がおっしゃった3%以上といった 割合で入ってくるということになりますと、確認試験で設定しているIR法で参照スペクトルと 比較するときに同一波形のところに同様の強度吸収を認めると規定されていますので、もし少な い成分が多量に入ってくると、IRのスペクトルに合わないということで、そこで規格に適合し ないということになってくるかと思います。ですから、多量に入ってくるものに関しては規格外 のものということで、そこである程度管理できるのではないかと思っております。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○佐藤委員 純度試験の方で屈折率なども設定して、2,3−と2,5−ですけれども、屈折率 とかそういったものも、ほかのものが多量に入ってくる場合は、そこでも範囲を超えるというこ とで、ある程度の規制はかかると思います。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○堀江委員 マイナーコンポネントとしてのトリトテトラピラジンというのは、標準品というの は国内では入手は極めて簡単に可能なんですか。 ○佐藤委員 今回検討しなかったのですが、多分ピラジン類は輸入すれば何とか入手できると思 います。 ○長尾部会長 よろしいでしょうか。ほかに御意見はありますでしょうか。 ○米谷委員 確認なんですが、結局はほかのものが入っていても、例えばこれですと2,3−で あるということの証明はIRに頼るということですね。としますと、IRを測定する技術が非常 に重要になるんですけれども、ここにある参照スペクトルくらいのスペクトルを皆さんがすぐに とれるようだといいんですが、なかなかとれないかもしれないので、そのときにあまり合わない ようなことになった場合にどうなるんでしょうか。多分これは最高にいいIRチャートだと思う んです。ほかのJECFAとかFCCのチャートをこの前に見比べておられるとおっしゃってい ましたけれども、このようなスペクトルがほかのところでも並んでいればいいのですが、違うよ うなものが出ていたときに、IRを測定して、本当にこれだということを言うだけの技術が今、 備わっているのかどうかが若干心配なんです。建前としてはこれで非常にいいと思いますけれど も、実際的にはどこまで対応できるかが若干不安なんですが、それはどこに聞けばいいのかわか らない。 ○佐藤委員 最近のIR装置はかなり簡便できれいなチャートが取れるようになっていますの で、古い機械だとよくわかりませんが、普通のFTIRでは特にだれが取っても問題ないチャー トが取れると思います。  純度に関してはガスクロの方で分離ができるので、そこで幾つかのピークがあれば、そこに対 応するIR上の不純物のピークも観察されれば考察はできるかなと。確かにJECFAのIRチ ャートは2,3−に対して2,5−だったかな。別のピークも入っているというチャートが載っ ていますけれども、今回市販品を購入しましたけれども、純品のものを載せてありますので、そ のプラスほかのものが何か混合しているかというのはチャートを重ね合わせてみれば、大体推測 ができるかなと。不純物というのは2,3−、2,5−、2,6−以外の不純物ということです か。それともこの三者。 ○米谷委員 三者の中でですが、例えば今おっしゃったJECFAで混合物か、何かこれ以外の ものが入っているのがチャートになっているとしますと、そういうチャートに合わないといけな いという、厳密に言えばそうですね。日本は非常にいいIRチャートを示しているからいいんで すけれども、例えばJECFAのものに合わそうと思ったら、若干不純物が入っているようなも のしか厳密に言えば合わないということになるので、受け入れるときにIRだけでというのは若 干心配な点もあるんです。 ○佐藤委員 では、逆に何を設定すればよいのでしょうか。 ○米谷委員 厳密に言えば、全部設定した方がいいと思います。勿論できるならですけれども。 ○佐藤委員 例えば何を設定すればいいのかと。 ○米谷委員 2,3−以外に2,5−とか全部で幾ら以下というふうに設定すればよろしいかと 思います。GCで分かれるならですけれども。 ○長尾部会長 これの規格のところで95%以上というときは、その後の5%については特に触 れなくてよろしいというのがこの前のお話でしたね。その5%につきましてはIRのスペクトル に影響を与えるものは規格外になってしまうし、ガスクロでスタンダートに書いてあるような、 こういうちょっといたピーク以外のピークが出るときは規格外になってしまうというふうに取 るんですか。 ○棚元委員 今、米谷委員がおっしゃられたのは、異性体の話ですね。その異性体の中で、ここ に書いてあります2,3−、2,5−、2,6−の3つのものをちゃんと識別できるようにした らどうかとおっしゃったわけですね。例えば参照スペクトルとして、その3つを載せるといった ご提案ですか。 ○米谷委員 そうではなくて、今は2,3−ですので、2,3−の規格に適合しているかはIR チャートしかないんですね。それはそれでいいんですが、そのバックグラウンドとしてはIRチ ャートをきちんと得るだけの体制が整っていないと困りますねという発言です。それが備わって いると勿論それでよろしいんですが、JECFAのものと日本のものが違うなどというお話にな ったので、またどうするのかなと思ったんです。 ○棚元委員 おっしゃるとおりで、比率が変わってくれば影響が出るというのは、佐藤委員の方 からも言っていることですけれども、実際にそれを修正するためにはどういう手法が考えられる か、具体的にご提案がありますか。 ○米谷委員 私は現実的にはこれでいいとは思っているんです。最初の御発言で、今までこうい う例があったという話だったので、それから派生する問題としてはこういうことも考えられると いうことで、意見を出させていただいたんですが、現実的な対応はこれでしかしようがないなと は思います。IRさえちゃんとはかれればと思います。 ○棚元委員 実態としては2,3−が圧倒的に多いというのは事実なんですが、この規格だけか ら言いますと、この文章では3つの異性体をあわせて95%以上が異性体としてカバーできれば このものはいいという形になりますね。そういう意味では、実際には2,5−、2,6−の比率 がもっと非常に高いものも入ってきていいということになりますね。そういうものも認めていい ことになるんですね。  そういう意味では厳密に言うと、確かにこのチャートだけではカバーし切れない。これで判定 するというのはおかしいのもしれないですね。 ○井部委員 先ほど私が言ったのはそのことで、パーセンテージが極端に言いますと30%、30%、 30%入っていたら、この純度試験にはならないですね。でも、混合物ですから、この規定上から はいいわけですね。純度試験はそれではだめだというのは矛盾しないかなと。 ○棚元委員 純度試験で抑えられるから、それはそれでいいと思うんです。逆に純度試験を満た さないとこれはアウトになりますから、そこで落ちます。そこで落ちるんですが、確認試験とし て、これだけで十分かどうかということになると、確かにそれでは不十分かもしれない。恐らく 実態としては、ここに出ている2,3−が圧倒的に多いということで、そういう問題は起こらな いとは思うんですが、もしこの文章だけを取って考えたときには、実際には、そういったものも 許されることになってくるわけですね。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○佐藤委員 それで先ほど井部先生に対する答えとして、IRチャートは純品の示しておいて、 プラス何か入っても、そこは別のチャートを参照すればわかるでしょうということでお答えした つもりだったんです。  ただ、その2,3−ジメチルピラジンという名前に対しては、このIRチャートが実際には合 っているんですけれども、規格の上ではほかのものが混合する場合もあるということで、わざわ ざほかのものを載せないで、2,3−ジメチルピラジンに対しては今回のチャートを載せておい て、これは確認試験ですので、メインとしては2,3−ジメチルピラジンが今回の屈折率と比重 から考えると2,3−が絶対的にメインになるので、その特徴的な小さいピークがたとえ見えた としても、その特徴的な2,3−ジメチルピラジンのIRチャートの全体をとらえられれば、確 認はできるのではないか。  ここに出てくる特徴的なピークを持ってのものが2,3−ジメチルピラジンで、そこにプラス して不純物として出てきたピークを容認する必要はあるかと思いますけれども、あくまでもほか のものがこの形が全部わからなくなるくらい含まれている場合は、大体純度試験とかで引っかか ってくると思うんです。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○棚元委員 今の議論で、ここには2,3−ジメチルピラジンという形でこのIRチャートを参 照スペクトルとしているのですが、この品目自体が2,3−ジメチルピラジンということですの で、やはり誤解を生じないように、このIRチャートは純品の2,3−ジメチルピラジンである というような何らかの注釈等が入っていないと、多分誤解を受ける可能性はあるような気がいた します。 ○長尾部会長 私はその純度試験でほかの異性体がどれくらい混じったときに、その純度試験で 引っかかるかということについての情報がないので、この規格がいまいち十分に理解できないん ですが、例えば3%くらい混ぜたときに純度試験に引っかかるのかどうかというチェックが一応 あると、何%までの混入だったら、これで大丈夫だというものがあるといいですね。 ○佐藤委員 調べたんですけれども、今日はデータを持ってこなかったので、記憶がないです。 どのくらい混ぜると屈折率に影響するかというのは確かに調べてあるんですけれども、今日はは っきりしたことを覚えていないので、後日お知らせしたいと思います。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  それでは、その点を後で御連絡いただきまして、そこで特に問題がなければ、2,3−ジメチ ルピラジンの新規指定については可とするということで、そこで何か問題があるようでしたら ば、そこは事務局の方で御判断をお願いしたいと思います。  ここではその新規指定については可とするということで、その場合には今後のスケジュールを どうするかということの御説明をお願いしたいと思います。 ○磯崎補佐 では、佐藤先生の方から情報をいただきまして、事務局から先生方に、その内容に ついて御連絡を差し上げるということにさせていただきたいと思います。それで御了承をいただ けた後のスケジュールといたしましては、今後、食品衛生分科会での審議、パブリックコメント、 WTO通報の手続きを進めてまいりたいと思っております。 ○長尾部会長 では、その手続をよろしくお願いいたします。 ○長尾部会長 それでは、次に2,5−ジメチルピラジンの新規指定の可否について審議を行い たいと思います。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明申し上げます。2,5−ジメチルピラジンにつきましても、先 ほど2,3−ジメチルピラジンと同様に、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されてい る添加物の一つでございます。  本品目につきましては、食品安全委員会に平成20年2月7日に食品健康影響評価の依頼を行 いまして、その後、食品安全委員会では、平成20年5月26日の添加物専門調査会で審議が行わ れ、その審議を踏まえた評価書が平成20年7月31日にとりまとめられました。  では、資料に沿って御説明申し上げます。資料2−1から始まる資料をごらんください。3ペ ージ目から御説明申し上げます。品目名は2,5−ジメチルピラジン、用途は香料でございます。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、2,5−ジメチルピラジンはアスパラガス等の 食品中に天然に存在するほか、コーヒー、カカオ等の焙煎によっても生成する成分でございます。 欧米では焼き菓子等のさまざまな加工食品において、香りを再現し、風味を向上させるために添 加されております。  食品安全委員会における審議結果でございますが、2,5−ジメチルピラジンは食品の着香の 目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとまとめられております。  4ページ「6.摂取量の推計」でございます。食品安全委員会の評価結果によりますと、1995 年の米国及び欧州における1人1日当たりの摂取量の推計から、我が国の本物質の推定摂取量を 推計いたしますと、およそ8〜22μgの範囲になると推定されるところでございます。なお、米 国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意図的に添加された本物質の 約630倍と報告されております。  新規指定についてでございますが、2,5−ジメチルピラジンを食品衛生法第10条の規定に 基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、 次のとおり使用基準と成分規格を定めることが適当であるということで案をまとめてございま す。  使用基準案といたしましては、香料として使用される場合に限定して食品健康影響評価が行わ れておりますことから、使用基準は着香の目的以外に使用してはならないとすることが適当であ ると考えております。  成分規格案につきましては5ページの別紙1、設定根拠は別紙2、JECFA規格等との比較 は別紙3のとおりまとめております。  成分規格の設定根拠は7ページからでございますが、本品目の規格設定に当たりましては、先 ほどの品目と同様、JECFA、FCCの規格に基づき設定しております。含量につきましては、 JECFA規格で異性体総量として98%以上、FCCの規格では異性体総量値として99.0%以 上という規格値が設定されております。本規格案では国際的整合性を考慮して、JECFAと同 水準の規格値といたしますが、他の添加物の規格値等との整合性を考慮して、小数点以下一けた までを有効数字として、2,5−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,6−ジメ チルピラジンの混合物98.0%以上を含むとしております。  確認試験につきましては、JECFA、FCCと同様、IR法を採用しております。  純度試験につきましては、屈折率と比重を規定しておりますが、JECFA規格値をいずれも 採用しております。  定量法につきましても、JECFA、FCCと同様、GC法を採用いたしております。  JECFA、FCCで設定されているが、本規格では設定しなかった項目でございますが、溶 解性につきましては、本規格案でIR法による確認試験を規定しており、その必要性は低いため 採用しておりません。  沸点、凝固点につきましては、本品目の品質管理がGC法、IR法等により十分担保されると いうことで、沸点、凝固点のいずれとも香料化合物の品質規格管理項目としては重要ではないと 考えられることから、本規格では採用しておりません。  水分につきましても、品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることから、本規格 案では成分に関する企画は設定しないことといたしております。  以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、2,5−ジメチルピラジンについての御意見をお願いいたします。 ○米谷委員 確認なんですが、これは含量の規定で95%以上ということで、先ほどの2,3− のときにありましたトリとかテトラはJECFAの方では規格があるらしいんですが、こちらの 方はトリとかテトラの規格はないんですね。だからこれだけ98.0という高い含量規定になって いるという解釈でよろしいんでしょうか。あるいはJECFAにはトリとテトラの規格はあるけ れども、ここに書いていないんですか。多分ないんでしょうね。後で調べて教えていただければ と思います。 ○佐藤委員 規格対比表の方にトリとかテトラピラジン、FCCの方で2,3−の方で設定され ているトリ、テトラが書いていないんですが、これはFCCでは2,3−ジメチルピラジンには、 トリテトラピラジンの規格があるんですが、2,5−の方にはないということで、JECFAに はどちらも入っておりません。 ○米谷委員 JECFAではなくてFCCです。済みません。 ○佐藤委員 多分精製の仕方によって、こちらの方がより純度の高い精製ができるとか、そうい う違いで98%を担保しているんだと思います。精製というか蒸留のときに来る分が多分こちら の方が同じようにやっても。 ○米谷委員 2,5−の方には不純物というか、トリ、テトラは入りにくい、きれいに分けやす いということですか。 ○佐藤委員 実際にやったことがないんですけれども、現実的な問題として、純度が常に高いと いうので、高い規格を設けているということだと思います。 ○米谷委員 どうもありがとうございました。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○堀江委員 先ほどもそうだったんですけれども、9ページで定量法の一番下にGC(1)とあ りますけれども、この1は操作条件1ですよということなんでしょうか。 ○佐藤委員 そのとおりです。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  そうすると、この場合も2,3−と同じことが成り立ちますね。それは一応御検討いただいい ているんですか。 ○佐藤委員 同じように一緒に検討しておりますので、御報告いたします。 ○長尾部会長 では、その点は佐藤先生の方から御報告があるそうですので、ほかによろしいで しょうか。  それでは、今、佐藤先生からの御報告がある点を除きまして、一応御審議いただいて、指定に 可であるということでよろしいでしょうか。その場合には、この部会報告書をとりまとめまして、 分科会に報告する手続を取ります。その後の手続につきまして、事務局からお願いします。 ○磯崎補佐 本品目につきましても先ほどと同様、佐藤先生からいただく情報について、先生方 に御連絡申し上げます。御了承いただいた後のスケジュールといたしましては、食品衛生分科会 での審議のほか、パブリックコメント、WTO通報等の手続を開始してまいりたいと思っており ます。 ○長尾部会長 それでは、その手続を進めていただくことにします。  次に、2,6−ジメチルピラジンの新規指定の可否について審議を行いたいと思います。説明 をお願いします。 ○磯崎補佐 まず背景から御説明申し上げます。2,6−ジメチルピラジンにつきましても、先 ほど来の品目と同様、国際的に安全性が確認され、かつ欧米で汎用されている添加物の一つでご ざいます。  本品目につきましては、食品安全委員会に平成20年2月7日に食品健康影響評価の依頼を行 っております。その後、食品安全委員会では平成20年5月26日に添加物専門調査会で審議が行 なわれ、その審議を踏まえた評価書が平成20年7月31日にとりまとめられたところでございま す。  それでは、資料に沿って御説明申し上げます。資料3−1と記載してあるものをごらんくださ い。  3ページ目からでございます。品目名は2,6−ジメチルピラジンで、用途は香料でございま す。  概要及び諸外国での使用状況でございますが、2,6−ジメチルピラジンは、アスパラガス等 の食品中に天然に存在する成分であり、また、コーヒー、カカオ等の焙煎により生成する成分で もあります。欧米では焼き菓子等のさまざまな加工食品において、香りを再現し風味を向上させ るために添加されております。  食品安全委員会における審議結果でございますが、2,6−ジメチルピラジンは食品の着香の 目的で使用する場合、安全性に懸念がないと考えられるとされております。  次に摂取量の推計でございます。1995年の米国及び欧州における1日1人当たりの推定摂取 量から、我が国での本物質の推定摂取量は、おおよそ2μgになると推定されております。なお、 米国では食品中にもともと存在する成分としての本物質の摂取量は、意図的に添加された本物質 の2,600倍であると報告されております。  新規の指定についてでございます。2,6−ジメチルピラジンを食品衛生法第10条の規定に 基づく添加物として指定することは差し支えない。ただし、同法第11条第1項の規定に基づき、 次のとおり使用基準と成分規格を定めることが適当であるという案をまとめてございます。  使用基準案といたしましては、香料として使用される場合に限定して食品健康影響評価が行わ れたことから、使用基準は着香の目的以外に使用してはならないとすることが適当であるとして おります。  成分規格案につきましては、別紙1のとおり設定することが適当であるということで、5ペー ジ目から規格案がございます。設定根拠は別紙2、JECFA等との比較表は別紙3のとおりで ございます。  本物質の成分規格等の設定根拠でございますが、7ページになります。本物質につきましても、 JECFA、FCCの規格に基づき設定してございます。含量につきましては、JECFAにお きまして、異性体総量値として98%以上、FCCは異性体総量値として98.0%以上を規格値と しております。本規格案におきましては、これら2つの規格と同水準の規格値とするところであ りますが、他の添加物との規格値との整合性を考慮いたしまして、小数点下一けたまでを有効数 字として、2,6−ジメチルピラジン、2,3−ジメチルピラジン、2,5−ジメチルピラジン の混合物で98.0%以上を含むと規定しております。  確認試験につきましても、先ほどの品目と同様、JECFA、FCCはいずれもIR法を採用 しておりますので、本規格でもIR法を採用いたしました。  純度試験につきましては、融点を設定しておりますが、JECFAは48℃、FCCが35〜40℃ となっております。本品の含量98.1%の品目で融点を測定しましたところ、37℃でありましたた め、JECFAの48℃は誤りではないかと考えられるところでございます。そこで本規格案で は、FCCが規格値としております35〜40℃を採用いたしました。  定量法につきましては、先ほどの2品目と同様、JECFA、FCCと同じくGC法を採用し ております。  JECFA、FCCでは設定されているが、本規格では採用しなかった項目といたしまして、 まず溶解性につきましては、本規格ではIRによる確認試験を規定しており、溶解性の必要性は 低いため、本規格では採用しませんでした。  沸点、比重につきましても、本品目の品質管理はGC法、IR法等で十分に担保できるという ことで、これらについては必ずしも品質規格管理項目としては重要ではないと考えられることか ら、沸点、比重とも採用しないことといたしました。  強熱残分につきましては、FCCにおいてのみ強熱残分0.1%以下の規定がございます。JE CFAには本規定項目はございません。しかしながら、香料化合物では加熱分解臭を付けないよ うに、減圧精密蒸留による一定の範囲の留分を得るものでございますので、本品は保管中に重合 等、新たなる不揮発成分の生成というものは考えにくいということも踏まえまして、強熱残分は 本規格では採用しませんでした。  水分につきましてもFCCの方で規定されておりますが、必ずしも品質規格管理項目としては 重要ではないと考えられることから、本規格においても設定しないこととしております。  以上でございます。 ○長尾部会長 ありがとうございました。何か御意見はありますでしょうか。どうぞ。 ○堀江委員 5ページの案で定量法で、この2,6−だけ「本品約0.2gを」云々ということが ありますけれども、2,3−と2,5−の方はその分がないんですが、これは何か意味があるの かということなんです。 ○佐藤委員 2,3−と2,5−は液体なので、そのままGCに注入してしまうんですが、2, 6−は固体ですので、エタノールに溶かして分析するということになっています。 ○長尾部会長 ほかにはよろしいですか。どうぞ。 ○米谷委員 2,3−と2,5−が常温で液体で、こちらが常温で固体ということで、規格項目 として、今までは屈折率と比重だったのが、ここでは融点になっているということだと思います けれども、FCCの方では8ページにありましたように、比重も規定されているということです けれども、FCCは香料の比重はどういう方法で測っているかというのはおわかりですか。比重 の測定法、日本の香料ですと多分、振動式とかあちらの方へもっていかれると思うんですが、F CCの方は香料の場合はどういう方法ですか。50℃ですよね。ですから、液体にして、普通の香 料と同じように測っているということですね。ですから、国内でも当然50℃にすれば一応比重 は測れると。固体でも測れるかもしれないんですが。 ○佐藤委員 通常は今、先生がおっしゃったように、香料の方は機械で測っています。その装置 が50℃とかですと壊れるという。実際上はその装置を使っては測定はできないので、50℃とい うのは香料会社の方では実際上、測定できない状況なんです。 ○米谷委員 振動式のものはだめだということで、FCCはどういう方法でこの50℃にしてお はかりになっているのかと若干興味を持ったものですから。 ○佐藤委員 昔ながらの方法でやっているのかなと思ったんです。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○北田委員 10ページのガスクロマトのところで、前に小さな13.0。これは2,5−と見てい いのか。2,5−と若干リテンションタイムが違うけれども、あるいはそれがもし不純物であれ ば、その含量規定の95%以上に影響を及ぼさないのか。その辺りがわかればお願いします。 ○佐藤委員 恐らく2,5−だと思います。ただ、大きなピークが後ろにあるので、若干リテン ションが前にずれたのではないかと思います。 ○長尾部会長 いいですか。 ○北田委員 それともう一つは、2,3−、2,5−、2,6−のクロマトグラムでベースライ ン・セパレーションで下までちゃんと分かれるということですか。 ○佐藤委員 多分チャートを見る限り、分かれているかなと思います。 ○長尾部会長 よろしいでしょうか。ほかには御意見はありませんでしょうか。  それでは、この2,6−ジメチルピラジンにつきましても、佐藤先生から御連絡いただいた上 で、新規指定については可とするということでよろしいでしょうか。  それでは、今後のスケジュールについて、事務局からお願いいたします。 ○磯崎補佐 本品目につきましても、佐藤先生からいただく情報については、先生方に事務局か ら御連絡申し上げます。その後、御了承いただいた後のスケジュールといたしましては、食品衛 生分科会での審議のほか、パブリックコメント、WTO通報の手続の方を開始してまいりたいと 考えております。 ○長尾部会長 それでは、次に議題4として「デンプンリン酸エステルナトリウムの添加物指定 削除の可否について」の審議を行いたいと思います。事務局から説明をお願いします。 ○磯崎補佐 それでは、資料4−1と記載してあるものをごらんください。  1ページめくっていただきまして、3ページから資料に沿って御説明申し上げます。デンプン リン酸エステルナトリウムは、昭和39年7月15日に既に指定をされている指定添加物でござい ます。  以前、当部会でも御審議いただきました加工デンプンの一つでございますリン酸化デンプンと 本品目デンプンリン酸エステルナトリウムは、両方ともデンプンにリン酸塩を作用させて、エス テル化を行うことにより製造するものでございますが、両者の成分規格が一部重複しているとい うことが明らかになったところでございます。  しかしながら、一方でデンプンリン酸エステルナトリウムにつきましては、平成10年、13年、 17年の生産量調査によりますと、食品添加物としての使用実績がないという結果になっており ました。そこで、これらのことを踏まえまして、都道府県を通じてデンプンリン酸エステルナト リウムの流通実態の調査を行いましたところ、販売等の使用実績は確認されませんでした。  そこで本品目デンプンリン酸エステルナトリウムにつきましては、食品衛生法第10条の規定 に基づく添加物としての指定を削除するとともに、同法第11条第1項の規定に基づく規格基準 を削除することが適当であると考えているところでございます。  資料の後ろには、デンプンリン酸エステルナトリウムの規格と、御参考までに加工デンプンの 部会報告書を添付させていただいております。  以上でございます。 ○長尾部会長 御意見をお願いいたします。どうぞ。 ○井部委員 ここで先ほども御説明があったのですが、生産量調査によると販売していないと。 これは生産しているのですか。 ○磯崎補佐 生産量調査では、製造や輸入の実績が確認できませんでした。ただ、この調査自体 が日本添加物協会を通じて実施されているものですので、日本国内全体を網羅的に調査できてい るかと言いますと、必ずしもそうではないということで、あらためて都道府県に通知を発出しま して、実際に本品目を取り扱っている事業者ですとか、それを使っている食品製造のメーカー等 がいないかどうかということの確認を念のために行いました。  その結果、やはり本品目を使用していたり、製造したりということが確認できませんでした。 したがいまして、今回、本品目がリン酸化デンプンと製法的に同じで規格が一部重なるものであ りますことから、もう既に流通実態がないということであれば、削除するとことにいたしたいと いうものでございます。 ○井部委員 わかりました。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○佐藤委員 確認なんですが、生産量調査は3年ごとに行っていると思いますので、本文の方は 平成10年、13年、16年ではないかと思います。報告書の方もやはり3年ごとに報告しておりま すので、3番の方が19年度ではないかと思うんです。 ○磯崎補佐 申し訳ございません。その点は確認いたしまして、正しい年度に修正したいと思い ます。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○米谷委員 3ページの概要のところの5行目に「1つの物質に対し、2つの成分規格が存在す ることを意味し、規定上の混乱を招く可能性が示唆された」とあるんですが、今までも公定書の 方で1品目2成分規格のものが載っていると思いますけれども、今回はそれほど混乱を招くよう な、かなり似ているんですか。一部しか規格は似ていないんですか。  1つにして2つの規格を入れておくと、混乱を招く程度に似かよっているということなんです か。 ○磯崎補佐 具体的な規格につきましては、資料に添付させていただいておりまして、1枚めく っていただいたところに、デンプンリン酸エステルナトリウムの規格が掲載されており、リン酸 デンプンの規格はこの冊子の一番後ろに掲載されております。  確かに規格項目がすべてが重なっているわけではなく、ずれているところも幾つかございま す。ただ、結合リンの規格などではデンプンリン酸エステルナトリウムが0.2〜3.0%、リン酸化 デンプンでは0.5%以下ということで、若干オーバーラップしているところもございます。  両方の規格を1つに合わせるという考え方もあるかと思いますが、実際に過去3年おきに実施 した3回の調査でも流通が確認できないというようなことも踏まえますと、日本国内でも、国際 的にもリン酸化デンプンの規格で流通しているものが主流になっているというところではない かと思われますので、それであれば、あえてデンプンリン酸エステルナトリウムを残す意義も少 なかろうということで、今回削除することにしたいと考えております。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○棚元委員 今回この削除の一つの根拠として、流通と言いますか、生産量調査によって使用実 績がないということが挙げられていますが、こういう使用実績のない指定添加物についても今後 は削除という方向に進めていくという基本的な考えがあるんでしょうか。 ○磯崎補佐 現在、既存添加物につきましては、流通実態のないものを徐々に削除することを実 施しておりますが、指定添加物に関しては、現時点で削除を進めていくための調査などは実施し ておらず、今のところはその実施の予定もございません。 ○棚元委員 調査をやっているかどうかということではなくて、方向性として何かそういったこ とを考えていらっしゃるのかということです。 ○磯崎補佐 現時点ということで申し上げますと、特にその予定はないところです。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○米谷委員 少し古い話なんですが、指定添加物の数をなるべく減らそうとされていたときに は、新しいものを指定するときには、使用実態のないものを削除されて、一定の数以下に指定添 加物の数を抑えたということで、今まで使用実態がないからということで、少し以前にはかなり の数のものが削除されていたかと思います。  ですから、今の棚元委員のお話は、そういう方向性を堅持していくのかどうか。あるいは品目 数の制限が今回、国際汎用などを指定されていっているので、もう自由にと言いますか、そこま で制限する必要がなくなったので、使用実態がないものもある程度残してそのままにしておかれ るのか。その辺の御質問だったと私は解釈したんですが。 ○長尾部会長 事務局からお願いいたします。 ○棚元委員 既存添加物に関しては、食品衛生法の改正でそういったものを消去していくという 形で規定されてきていると思うんですが、この指定に関しては法的な問題はどうなるんでしょう か。その辺りも含めて。 ○磯崎補佐 確かに既存添加物に関しては、食品衛生法の附則で、流通実態がないものを消して いくことができると、その際に取らなければいけない手続等も事細かに規定された上で可能とさ れているところでございますが、指定添加物に関しましては、既存添加物のような法的な根拠と なる規定というのは、実際のところはないというのが実態でございます。 ○棚元委員 そうしますと、今ここで一つの根拠として使用実態がないということを挙げて、こ れを消去するという形になると、それはそれで法的なものを含めまして、問題ないとお考えなん でしょうか。 ○磯崎補佐 本件につきましては、実態調査を実施した上で本部会でも審議いただき、今後、分 科会やパブリックコメント等の手続きも行いますので、その中でやはり使用のニーズがある、実 態があるとのコメント等がございましたら、それを押してまで削除するというものではないと考 えております。今回の品目については、現段階ではそういったコメント等は出てこないであろう と調査の結果から認識しておりますが、もし何か意見等が出てまいりました際には、その実態等 を確認して、もう一度方向性を考え直さなければいけないということもあり得るのではないかと 思います。  指定添加物に関しては、確かに既存添加物のような明確な根拠はないところではありますけれ ども、削除するに当たって、きちんと所定の手続を踏んで、国内外からの情報や意見を踏まえた 上で実施するということであれば、必ずしも既存添加物のような根拠がないからと言って、でき ないといったものではないのではないかと思います。  過去に実際、米谷先生などもおっしゃられたように、かなり前になりますが、ニーズがないか らといって切ったものもございまして、その際には、今回まさにやろうとしているのと同じよう に、部会での審議、分科会での審議等、必要な手続をすべて踏んで実施しておりますので、本件 についても、もしその手続きの過程で何かあれば、またその際に部会にも御報告させていただく とともに、対応については検討してまいりたいと思っております。 ○棚元委員 ありがとうございました。 ○長尾部会長 ほかには御意見はないでしょうか。  それでは、デンプンリン酸エステルナトリウムの指定削除については可とするということでよ ろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○長尾部会長 では、この部会報告書をとりまとめて、分科会へ報告する手続を取りたいと思い ます。事務局からその後の手続につきまして、御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 本件につきましては、今後、食品衛生分科会での審議、パブリックコメント、WT O通報等の緒手続を開始したいと思っております。 ○長尾部会長 それでは、次に議題5としまして、ナイシンの成分規格の一部改定につきまして、 審議をしたいと思います。  事務局から御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 それでは、事務局から、まず背景について御説明申し上げます。  本品目は平成14年7月に食品衛生分科会で了承されました、国際的な安全性が確認され、か つ欧米で汎用されている添加物の一つとして挙げられている品目でございます。  これにつきましては、食品安全委員会に平成15年10月20日に食品健康影響評価の依頼を行 い、その後、食品安全委員会で平成16年4月9日、11月16日、平成17年1月26日、平成19 年7月30日、8月27日の計5回にわたりまして、添加物専門調査会で審議が行なわれました。 その後、その審議結果を踏まえた評価書が平成20年1月31日にとりまとめられたところでござ います。  その後、食品安全委員会での評価を踏まえまして、本部会で平成19年9月26日、10月24日、 平成20年2月28日の計3回にわたって御審議いただきまして、指定することで御了承をいただ いたところです。また、最終的には食品衛生分科会においても御審議いただきまして、指定する 方向で御了解いただいたところでございます。  しかしながら、その後のパブリックコメント等の緒手続を行っておりました段階で、成分規格 の一部に関して、改定が必要な箇所があるということが判明いたしましたので、今回は成分規格 の一部改定につきまして御審議をお願いするものでございます。  また、パブリックコメントの結果案もとりまとめましたので、こちらについても御説明申し上 げたいと思います。  それでは、本日お配りした資料の15ページからが成分規格になっておりますのでごらんくだ さい。最終的に部会で御了解いただいておりました成分規格案から修正した箇所は、ちょっと字 が小さくて見にくいですけれども、見え消しの形で入れてございます。  主要なポイントについて御説明申し上げます。まず性状につきましては、本品の色に関しまし て、以前は白〜淡黄色としておりましたが、JISの色名帳に基づき再度確認を行いましたとこ ろ、うすい黄赤色というのが適当であろうということで修正しております。  確認試験の(1)につきましては、FCC規格に準拠した内容をこちらに規定することとして おりましたが、確認の結果、記載に誤りがあるということがわかりましたので、FCC規格に準 拠する記載に修正しております。なお、修正した内容で試験を行った場合に問題ない結果が得ら れるということは、追って確認しているところでございます。また、確認試験の(1)の1行目 の塩酸の規定ぶりを変更しております。以前はフィルターを通して滅菌した0.02ml/Lの塩酸と しておりましたが、塩酸の場合はフィルターで滅菌する必要性がないということと、容量分析用 の標準液をここで用いる必要はないということで、記載を修正しております。確認試験以降にも 同様の記載が何点かございまして、同様の考え方に基づいて修正しているところでございます。  16ページをごらんください。純度試験の(1)鉛の部分は修辞上の軽微な修正となっており ます。  同じページの中程以降の微生物限度についてでございますが、微生物限度につきましては、公 定書の一般規格にあります微生物限度試験法を準用する形になっております。実際に公定書の試 験法では、発育阻止物質の確認試験を実施することとされておりますが、ここで規定された方法 で発育阻止物質による影響はないことを確認しておりますので、確認試験の実施を省くことを可 能とするということで、微生物限度の1行目の微生物限度試験の後に括弧書きで「発育阻止物質 の確認試験を除く」としております。  その下にありますサルモネラにつきましても、同様に発育阻止物質による影響を確認いたしま したところ、当初、試料10mgに乳糖ブイヨン培地200mlを加えて培養するというところで規定 しておりましたが、ソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地であれば、培地の量を500mlとし て試験を実施した場合には、発育阻止物質による影響を除くことができることが確認できました ので、この点を修正させていただきました。  これに伴いまして、17ページの上から7行目でございますが、培地の性能試験の後に、発育 阻止物質の確認試験が微生物限度試験と同様に規定されておりましたが、こちらについても確認 ができたということで、確認試験の実施に関連する記述をこちらの方から削除しております。  そのほかの修正点は19ページの定量法でございます。(1)力価の(ii)培地に関しては、修 辞上の軽微な修正行っております。  (v)穿孔寒天平板の調製というところで、以前はシャーレですとか大型皿の場合について規 定しておりましたが、実際に試験を実施して確認できたペトリ皿での方法によるということで、 それに関連した修正を加えております。  あと大きな修正点がございましたのは20ページの(viii)と(ix)になります。検液の調製と 力価の算出でございますが、検液の調製の部分に関しまして、2行目の後ろから3行目を追加し ております。この記述自体は、もともと下の力価の算出のところに検液の調製も含めて記載して おりましたが、そこで規定するよりも「(viii)検液の調製」の中で規定するほうがより明確か つ適当であろうということで、(ix)にあった規定を(viii)の最後に持ってくる形で修正をし ております。  力価の算出に関しましても、式を一部修正しております。すみませんが、資料を作成した後で 修正点が更にあることがわかりましたので、修正をお願いしたいと思いますが、3つ目の式の本 品の力価のところで、分母の「試料の採取料」の「料」を「量」に修正いただきたいと思います。 また分子に「検液の力価」とだけ記載しておりますが、こちらについても単位を記載した方がよ り丁寧であろうということで「検液の力価(単位/ml)」という言葉を追加することにしたいと 思っております。  その他、試薬・試液の部分では、クエン酸二アンモニウムを削除いたしましたが、これは既に 公定書の方に記載されており、追加する必要はありませんでしたので、削除いたしました。  21ページの一番上にリトマスミルクがございます。当初はこちらの方に滅菌する規定がござ いましたが、確認試験の(2)の中で滅菌操作が既に含まれており、操作が重複するため、こち らの滅菌に関する規定も削除いたしました。  22ページからが、ナイシンの規格の設定根拠になってまいります。こちらも規格本体の修正 を踏まえまして、必要な箇所を修正いたしております。  23ページでございます。微生物限度のところにつきまして、サルモネラの試験でソイビーン・ カゼイン・ダイジェスト培地を用いることといたしましたので、それを踏まえた修正しておりま す。  定量法の「(1)力価」につきましては、一番最後の文章「ただし、培地の調製方法は、より 感度が高く、検量線の直線性が良好となる方法を採用した」と追加いたしました。こちらは、後 ほど御説明しますパブリックコメントで若干関連した指摘がございましたので、この文言を追加 させていただきました。  24ページの規格の比較表で修正が必要となりましたのは、本規格案の性状の部分で色を変更 いたしましたので、白〜うすい黄赤色の部分を修正いたしました。  規格については以上でございます。  引き続きまして、パブリックコメントの結果につきまして、御説明申し上げたいと思います。  61ページからごらんください。今回コメントは6点ほどいただいております。  まず1つ目が「成分規格(定量法(1)力価について)」でございます。細かく6点に分かれ た指摘をいただいております。  (1)穿孔寒天平板の調製法が日本薬局方のとおりでは問題があるのでしょうか、  (2)ナイシン標準液の調製において「懸濁する」とありますが、「溶解する」でいいのではない でしょうか。2時間室温に置くという規定がありますが、それは必要でしょうか、  (3)ナイシン標準液の標準原液の保存条件、使用期限の設定はありますか、  (4)ナイシンの標準曲線の作成についてですが、平板間の補正は必要ないのでしょうか、  (5)は、上の(2)(4)と関連した御質問と、あと(6)は平板間の補正をするのであれば、旧日本抗生物 質医薬品規格の方法を適用すべきであろう、という御意見になっております。  これに対する回答案でございますが、ナイシンは国際汎用の添加物であるとともに、事業者か らの指定要請品目でもありましたため、規格試験自体は国際規格も踏まえた上で、基本的には要 請者から提出のあった方法を採用しております。  (1)のコメントでございますが、日局の方法によりますと、穿孔装置が必要となりますので、本 規格では採用しませんでした。また、本法は要請者から出された調整法でございますが、FCC の方法に比べて感度が高く、良好な標準曲線が得られましたので、こちらの方法を採用いたしま した。しかしながら、同等性が確保できることを確認していただければ、日本薬局方の方法で実 施しいただくことでも差し支えはないというところでございます。  (2)(5)に関連する質問でございますが、こちらはFCCの試験法に準拠したものでございます。 懸濁ではなくて溶解するのではないかという御指摘ですが、製造時に用いられた培地の成分も若 干含まれてございまして、試料によっては溶け残りが少し見られるというところで懸濁としてお ります。2時間室温に置くというのもFCCで規定されておりまして、必要な操作だと考えてお ります。  (3)の質問でございますが、ナイシン標準原液につきましては、用時調製としております。なお、 FCCでは標準原液を4℃で7日間まで保存、もしくは用時調整ということで規定されておりま す。  (4)(5)(6)のナイシン標準曲線に関するコメントでございますが、こちらにつきましては規格案の 方法で問題はないということを確認しているところでございます。  次はコメントの2でございます。こちらも成分規格に関連するコメントでございます。  まず(1)としまして、本規格においてナイシンZの混入について規定されていないが、抗菌性ポ リペプチドという形で規定をして、その上限を定める必要があるのではないかということがまず 1点。  (2)として、我が国と中国とで使用基準が異なっているので、定量分析を含めた検査法を確立す る必要があるのではないか。また、ナイシンZが使用される可能性もあるため、これを同定する 方法も必要ではないかとの御意見です。  (3)としましては、食品中の食品添加物の分析法を国立医薬品食品衛生研究所で、きちんとバリ デーションチェックもした上で定める必要があるのではないか。食品中のナイシンAとナイシン Zの分離定量法も確立する必要があるのではないかとの御指摘になっております。  これに対する回答案でございますが、ナイシンの成分規格につきましては、JECFA、米国、 EUの成分規格との整合性にも配慮した上で、本品の品質確保を図る上で必要な項目を規格とし て設定しております。ナイシンZの混入につきましては、規定する項目を設定することは特に考 えていません。また、ナイシンの食品中の分析に関しましては、ナイシンAとナイシンZを分離 同定する方法も含めまして、国立医薬品食品衛生研究所で検討を進めていただいております。ナ イシンを添加物として指定する際には、この分析法を同時に通知することを予定しているところ でございます。  3点目と4点目のコメントでございますが、こちらは表示に関するコメントになっております。 ナイシンの使用目的に製造用剤と記載しておりますが、製造用剤として用いる場合にあっても、 適切に表示がなされるようにするべきである、使用目的としては保存料のみとして、製造用剤と して使用することは認めずに表示免除をさせてはならないというコメントでございます。  これに対する回答案でございますが、添加物の表示につきましては、食品衛生法施行規則の第 21条の規定に基づきまして、加工助剤等の一部の例外を除いてはすべて表示することとされて おります。加工助剤としてみなされるための条件は規定されており、その条件が回答案の中ほど の3点でございまして、こちらのいずれかに該当することが求められております。つきましては、 ナイシンをみそ等の製造過程において、製造用剤として使用した場合においても、従来の添加物 の取扱いと同じように、これらの加工助剤の定義に該当する場合を除いては、食品への添加物表 示が必要になってまいりますということで回答案としております。  5番目がその他ということで、使用実績の具体的なデータを示してください、みそなどに使用 を許可しないでください、抗生物質を添加物として指定しないでください、ナイシンの耐性菌に 関してモニタリングを行ってください、とのご意見です。(4)は、今回のナイシンのパブリックコ メントとは別になりますけれども、既に指定されているナタマイシンについて調査を行い、指定 の見直しをしていただきたいというコメントをいただいておりますが、パブリックコメントの対 象ではないことから、回答には含めないこととさせていただきたいと思います。  これに対する回答案でございますが、まずナイシン自体は国際基準でありますコーデックス規 格にも収載されている添加物でございまして、既に欧米等ではクリーム製品、チーズ、小麦粉製 品、食肉製品、液卵製品等で使用が実際に認められて、使用されているところであります。ナイ シンの添加物の指定に当たっては、食品安全委員会におきまして、本品が抗生物質であるという ことも踏まえて、耐性菌の出現による医療上の問題についても検討が行われるなど、十分な審議 が行なわれているものと考えております。なお、ナイシンを今後指定するに当たっては、耐性菌 に関する情報を収集し、問題となるような新たな知見があれば、速やかに報告するように事業者 に対して周知を図るとともに、その結果もし新たな知見があれば、必要に応じて再評価を検討す る等適切に対処してまいりたいと考えております。  一番最後でございます。国際汎用添加物のナイシンは、ナイシンAに限定されるものではない ため、ナイシンZとの関係を明確にする必要があるという御意見でございます。  これに対する回答案でございますが、国際汎用添加物として指定の評価・検討を行ったナイシ ンは、米国、EU、JECFAでも評価がなされているナイシンAでございまして、成分規格に おきましても主たる抗菌性ポリペプチドはナイシンAであると明確に規定してございます。よっ てナイシンZをもし今後添加物として用いたいということであれば、新たに指定要請を行ってい ただく必要があると考えているところでございます。  長くなりましたが、以上でございます。 ○長尾部会長 それでは、御意見をお願いいたします。 ○井部委員 規格試験の試験法のところです。変更点が例えば溶液の濃度ですけれども、前は mol/Lという書き方をしていたのですが、全部矢印に変わっています。私も定かではないのです けれども、こういうふうに統一したのでしたか。今後ともこれにするんでしたか。その辺をお聞 きしたいです。 ○磯崎補佐 ここ最近で御審議いただいたものにつきましても、用量分析標準液を用いる必要が ない部分に関しては、このような規格案を出させていただいております。 ○井部委員 わかりました。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○米谷委員 一番最後のページで、御意見の3番と4番の表示のところなんですが、この文章を 読ませていただきますと、製造用剤ではなくて保存料のみとしてということで、多分この2か所 のところは、加工助剤とかではなくて、用途名併記とかそちらの方にこだわっておられるのでは ないかと思うんです。多分、消費者の選択に資するために重要な8用途は、用途名を併記するこ とになっていますけれども、それをきちんと書くような用途として認めてくださいとも読めるん ですけれども、これは加工助剤のことを聞いておられるんですか。 ○磯崎補佐 事務局でこちらのコメントを検討した際には、製造用剤という形で用いた場合に は、表示の免除が可能な場合もありますので、そういう形で表示免除にならないように、ナイシ ンが使ってあれば、絶対にナイシンというふうにすべて書いていただきたいということで、用途 名併記ではなく、表示が免除になることに関する御懸念ではないかと理解いたしまして、この回 答案を作成いたしました。  ただ、ナイシンについては例え加工助剤の定義に合致した場合においてもすべて表示するよう にというのは、本物質について特別にそのように表示しなければならない問題があるとか、そう いったものも特にないかと思われますので、ナイシンだけを特別扱いするというのは難しいと考 えております。ただ、規定に合致しない限りは、たとえ製造用剤として使用した場合においても、 それは表示していただかなければいけませんので、その点を説明することを重視して、この回答 案とさせていただいたところです。 ○米谷委員 そうですね。4番の方は表示免除させてはならないという質問をされていますの で、そのとおりかもしれませんけれども、私は用途名併記にこだわっておられるのかなと思った ものですから、質問させていただきました。 ○長尾部会長 ほかにはよろしいでしょうか。  19ページのナイシン標準液の調整のところで、ナイシンの表示液は用時調整すると記載して あります。この質問の回答に関しまして、1番の(3)でFCCでは4℃で7日間まで保存、または 調整としていますということで、この回答ですとFCCでそうしているから7日間4℃で保存し たものでもいいですよと解釈してよろしいですか。実際にお使いになる方で、もし1週間経った ものでも使えるということでしたらば、その記載があった方が便利ではないかと思ったものです から。この辺はどうなんでしょうか。 ○磯崎補佐 なお書き以降は、FCCでの取扱いを参考として記載しているものです。規格上は 用時調整と規定しておりますので、実際に日本で試験していただくときは用時調整でやっていた だくことが必要と考えております。 ○長尾部会長 もしそうでしたらば、これはFCCでは何とかというのは要りますか。誤解する ような感じがします。用時調整にしてもらうというのでしたら、ない方がわかりやすいと思いま す。 ○磯崎補佐 では、こちらは混乱を招くということで、削除することでよろしいでしょうか。 ○長尾部会長 もしこの規定の方をナイシン溶液は用時調整すると残すのでしたら、その方がい いと思います。  もう一つ、同じく1番の(2)で、2時間室温に置くことが必要な操作ですかという質問なんです が、これは恐らくこのナイシンは酸性に安定で、ほかのものは不安定だから、それを区別するた めに2時間を置いているのではないかと私は勝手に想像したんですが、何か理由をちょっと説 明。FCCで確認されたというのでも結構ですが、ちょっと確認されたら。2時間置いておくと いうのがどういう意味かわからないで置いておくのは、無駄な時間かなと思いますのでね。いか がでしょうか。 ○磯崎補佐 規格の記載はFCCをそのまま準用しておりまして、実際に佐藤先生にご検討をい ただいた際にも、この試験法に沿って実施していただいております。よって、2時間を置かずに 試験した場合にどういう結果が出るのか保証はできるものではありませんので。 ○長尾部会長 ですから、このままでいいんだとは思いますが、その理由をFCCに聞かれて確 認されるというのは。なぜ2時間置いてあるのか。どうなんでしょうか。 ○佐藤委員 FCCは企業から出された規格をそのまま載せたり、ある程度検討して載せている と思うんです。だから、FCCというよりは、そのメーカーの方に確認した方がいいかと思いま すので、確認してみます。 ○長尾部会長 どうぞ。 ○堀江委員 今のFCCの用時調整の件なんですが、成分規格では用時調整でよろしいと思うん ですが、パブリックコメントに対する回答案では、FCCは原液4℃で7日間安定というのは、 私は残しておいた方がいいと思うんです。抗生物質の場合には4℃保存で非常に速やかに抗菌活 性がなくなるものもあるんですけれども、4℃で7日間安定だということは、ある程度ナイシン のものを使う方にとってはプラスの情報になるのかなと思うんです。そういう情報も残しておい た方がいいのかなということです。 ○長尾部会長 私はその情報自体を残すことはいいんですが、この回答に残すと誤解をするので はないかと思うんです。標準原液は用時調整だというから、これは標準原液が4℃で安定だとい う表現はまずいですね。ここでそう言われると非常に、どうぞお使いくださいと言っているとし か思えない。 ○堀江委員 ただ、ナイシンの標準原液も含めて用時調整するということを一番最初にうたって いて「なお」と付け足しですよという表現ですので、あった方がいい。ただ、その辺は事務局の 御判断だろうと思うんですけれども、実際に抗生物質の場合には数時間で分解するものもありま すし、そういう意味でナイシンは4℃で1週間はそれなりに安定性があるものに入るのか。その 情報としては有用性があるのかなと思ったんですけれども、その辺の御判断は事務局の方の御判 断で結構だと思います。 ○磯崎補佐 情報としてあった方がいいのではという御意見かと思います。先ほど削除という話 になったのは、誤解や混乱を招くのではないかという御意見があったことを踏まえてのことでし たので、もう少し参考情報ということがわかるような記載ぶりに事務局側の方で修正してみたい と思います。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。どうぞ。 ○佐藤委員 パブコメの2番の(3)で、食品中の食品添加物の分析を国立研究所でバリデーション チェックをした上で、部会で審議する必要があるのではないかという質問もあるのですが、これ に対する基準審査課の御意見というのは、実際に審議していただいた方がいいのか悪いのかとい うのはいかがでしょうか。 ○磯崎補佐 食品中の分析法に関しましては、法律に基づく告示や省令で規定するような成分規 格のようなものではありませんので、必ずしも部会の中で審議を得て了承を得た上でなければ出 せないといったものではないのではないかと考えております。  4月に告示しましたポリソルベートにつきましても、食品中の分析につきましては、国立医薬 品食品衛生研究所で御検討をいただいて、その内容について通知したところでございますが、そ の際も特に部会での審議を経た上でないと出せないとは特段、事務局としても考えてはおりませ んでしたので、御審議いただかなかったところです。本品についても同じような扱いで、指定す る際に同時に御検討いただいた試験内容について通知するという形を取ってまいりたいと思っ ております。 ○長尾部会長 ほかにはいかがでしょうか。  もしないようでしたらば、今、幾つか話題に出たところを御検討いただいて、細かな問題です ので、このナイシン成分規格の一部改定については可とするということでよろしいでしょうか。 (「はい」と声あり) ○長尾部会長 それでは、そういうことで分科会の手続を取りたいと思います。今後のスケジュ ールにつきまして、御説明をお願いします。 ○磯崎補佐 今回の審議結果につきましては、本件が分科会での審議を経た後に規格の修正を行 ったものでございますので、事務局で必要な分科会での手続きついて確認を取った上で、もし報 告が必要とのことであれば、そのように手続を進めたいと思っております。  パブリックコメント、WTO通報の方は既に終わっておりますので、分科会での取扱いだけ再 度確認した上で、必要な手続を取ってまいりたいと思います。 ○長尾部会長 それでは、審議事項はほかに何かございますでしょうか。 ○磯崎補佐 審議事項は以上でございます。 ○長尾部会長 報告事項をお願いいたします。 ○磯崎補佐 それでは、次に報告事項について御説明申し上げます。今回の報告事項としては2 点ございます。  まず第1点目といたしまして、平成19年度の既存添加物の安全性の見直しに関する調査研究 について御説明申し上げます。  報告資料1をごらんください。5ページに研究の要旨について記載がございます。既存添加物 の安全性につきましては、平成8年度の厚生科学研究報告書におきまして、国際的な評価の結果、 欧米での許認可の状況、安全性試験成績の結果などから、既存添加物の基本的安全性について検 討した結果、489品目の既存添加物のうち、139品目については今後新たな毒性試験の実施も含 めて、安全性についての検討が必要であるとの報告がなされておりました。  今回の平成19年度の研究におきましては、139品目のうち、この下に5点掲げてございます が、こちらにあるものを除く43品目を対象に、新たに安全性試験成績の収集ができました品目 について検討を行いました。  本報告書におきましては、エラグ酸、エレミ樹脂、スクレロガム、チャ種子サポニン、トロロ アオイ、ホウセンカ抽出物、マクロホモプシスガム、ラカンカ抽出物の8品目について検討結果 をまとめて収載してございます。  検討しました8品目につきましては、90日間以上の反復投与試験、変異原性試験の成績を入 手いたしまして、それらの試験成績より、基本的に安全性を評価することが可能となりました。  これらについては、現時点では直ちに人の健康に対する有害性影響を示唆するような試験結果 は認められず、したがいまして、新たな毒性試験を早急に実施する必要はないものと考えられた という結論をいただいております。  本資料の9ページ以降に8品目のそれぞれの評価概要が添付されております。19年度に8品 目の評価が終わったことによる現在の既存添加物の安全性の見直し状況について、平成20年8 月現在のものが一番最後のページに一覧として添付してございます。  これまで既存添加物名簿からは、合計71品目削除されておりまして、現在の既存添加物名簿 の収載品目は418品目となっております。  平成19年度の本報告での調査研究で8品目について安全性の評価が終わりましたので、安全 性評価済みの品目はこれで259品目となります。現在、安全性の情報を収集している品目は、現 在、試験実施中のものもございますので、それも含めまして35品目ございます。  3番目として「基原、製法、本質等からみて安全と考えられ、早急に検討を行う必要はない品 目」ということで、こちらは平成8年度の厚生科学研究のときに挙げられている品目でございま すが、124品目ございます。  今年度も引き続き、残りの既存添加物につきまして、安全性の見直しの方を進めてまいりたい と考えております。  以上でございます。 ○長尾部会長 ただいまの御報告に御意見はありますでしょうか。  それでは、特にないようですので、今後の施策に反映させていただきたいと思います。  では、次の報告事項をお願いします。 ○磯崎補佐 それでは、次に「食品安全委員会への意見聴取及び食品健康影響評価について」と いうことで報告資料2をごらんください。  こちらは毎回部会の際に御報告させていただいているものでございまして、前回7月の部会か ら進捗があった点についてのみ御説明させていただきます。  今回進捗のありましたものは、4ページ目でございます。  上から4つ目のステアロイル乳酸ナトリウムにつきまして、添加物部会での審議が終わり、現 在パブリックコメントの方を開始しているところでございます。  その2つ下と3つ下のバレルアルデヒドとイソバレルアルデヒドにつきましても、同様にパブ リックコメントを開始しております。  本日御審議いただきました2,3−、2,5−、2,6−ジメチルピラジン3品目につきまし ては、食品安全委員会から7月31日に結果通知がなされており、本日の部会で御審議いただき ましたので、その点を反映してございます。  以上でございます。 ○長尾部会長 何か御意見はありますでしょうか。  特にないようでしたら、次回の予定について、事務局からお願いいたします。 ○磯崎補佐 添加物部会につきましては、毎月第4水曜日の午後を定例開催とさせていただいて おります。次回の添加物部会は平成20年10月22日水曜日午後14時からの開催を予定しており ます。場所と議題につきましては、改めて御案内させていただきます。 ○長尾部会長 本日はどうもありがとうございました。 照会先:医薬食品部食品安全部基準審査課     (03−5253−1111 内線2453)