08/09/24 第39回社会保障審議会障害者部会議事録 第39回社会保障審議会障害者部会議事録  日  時:平成20年9月24日(水)14:00〜16:41  場  所:都道府県会館 101大会議室  出席委員:潮谷部会長、嵐谷委員、安藤委員、井伊委員、伊藤委員、岩谷委員、       大濱委員、川崎委員、北岡委員、君塚委員、小板委員、佐藤委員、新保委員、       副島委員、竹下委員、長尾委員、仲野委員、野沢委員、広田委員、福島委員、       星野委員、箕輪委員、山岡委員、小澤委員、浜井委員       梅田参考人、戸谷参考人 ○潮谷部会長  皆様こんにちは。  定刻になりましたので、ただ今から第39回社会保障審議会障害者部会を開催いたします。  委員の皆様方には、お忙しい中にご参集くださいましてありがとうございます。  議事に入ります前に、事務局のほうから委員の出席状況、資料の確認等をお願いいたし ます。 ○蒲原企画課長  それでは、事務局からご報告いたします。  まず、本日の委員の出欠状況でございます。本日は、坂本委員、櫻井委員、高橋委員、 鶴田委員、堂本委員、三上委員、宮崎委員、生川委員から都合によりご欠席という連絡を いただいております。  それから、大変恐縮でございますが、竹下委員、長尾委員、広田委員、野沢委員から少 し遅れるという連絡でございますので、よろしくお願いいたします。  なお、鶴田委員の代理といたしまして、日本IBM(株)人事ダイバーシティ&人事広報 担当部長の梅田参考人がご出席でございます。また、堂本委員の代理といたしまして、千 葉県健康福祉部次長の戸谷参考人がご出席ということでございます。  また、福島委員におかれましては、所要のために16時前後に退席ということでございま すので、よろしくお願いいたします。  また、本日、住まいがテーマになっております。その関係で、国土交通省住宅局住環境 整備室の岡崎室長が参加ということでございます。よろしくお願いいたします。  続きまして、本日の資料の確認をさせていただきます。  お手元の議事次第の後に、右上に資料番号を振ってございます。ご確認をお願いしたい と思います。  まず、右上の番号、資料1、これは本日の議題であります地域生活の関係の部分でござ います。前回の議論でご議論いただいた中の、今回議論する分のみを抜き出したものとい うことになってございます。  資料2−(1)、これが今日議論いただきます地域での生活の支援の基礎資料。併せて資料 2−(2)といたしまして、その関係で参考資料として必要なものを取りそろえてございます。  また、資料3−(1)といたしまして、実は、今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する 検討会というところで論点整理がされております。本日の議論とも関わる部分がございま すので、その概要を資料3−(1)として、またその本体部分を資料3−(2)として配布をいた しております。  併せて、第37回の議事録を参考資料として配布いたしております。  その後ろに、1つ、国交省からの提出資料といたしまして、「あんしん賃貸支援事業」 というパンフレットをご用意いたしております。  また、本日の議論の関係で、委員の方々から事前に資料提出がございました。大濱委員 からの資料、また星野委員からの資料、そして千葉県のほうから、これは封筒に入ってご ざいますけれども、千葉県の堂本委員のほうから資料の提出がございます。  以上、お手元に資料がありますかどうかご確認をお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  皆様、資料は大丈夫でございましたでしょうか。  それでは、本日の議題に入りたいと思います。  地域における自立した生活のための支援が議題となっておりますので、事務局からご説 明をお願いいたしますが、同時に、先日取りまとめられました、今後の精神保健医療福祉 のあり方等に関する検討会におきまして、論点整理の資料が出されておりますので、これ も併せてご説明をお願いしたいと思います。  それでは、事務局、よろしくお願いいたします。 ○鈴木企画官  企画官、鈴木でございます。  まず私のほうから、資料1と2についてご説明を申し上げたいと思います。  まず、お手元、資料1、1枚ぺらのほうをご覧ください。  こちらは、前回お出しいたしました論点について、本日議論をいただく分について切り 出したものでございます。  本日は、地域での生活の支援ということの関係で、そのうち、ア、イ、ウとございます が、地域移行の促進、「住まい」の場の確保、それから地域生活に必要な「暮らし」の支 援と、大きくこの3つについてご議論いただきたいと考えております。  その右側に主な論点としてございますけれども、地域移行の促進では3つ、地域移行を 進める施策と課題、それから、地域移行における入所施設等の役割、家族との同居からの 地域移行。それから、「住まい」の関係では、公営住宅等への入居促進、グループホーム ・ケアホームの整備促進及びサービスの質の向上。それから、「暮らし」の支援につきま しては、2つ。地域で生活する際に必要となる支援サービス、それから訪問系サービスの 在り方。これらについてご議論いただけるよう資料を準備させていただきました。  続きまして、資料2−(1)のほうをお願いいたします。こちらが今日ご議論いただくため に論点などをまとめさせていただいた資料でございます。  おめくりいただきまして、まず1ページでございます。  まず、地域での生活の支援の全体像ということで、移行の数とかをまとめてみました。 最初の○にございますように、地域移行を進めることとしておりますけれども、まだ十分 には進んでいないという状況にあるというふうに考えております。  1番のほうが、福祉施設への入所者でございますが、そこに17年10月1日と19年10月1 日の入所者の数がございますが、13万9,000人から13万8,600人ということで、約400人の 減ということですが、内訳のところにございますように、入所者は1万8,945人、2年間 で減っているわけであります。そのうち地域移行された分が9,344人。一方で入所者の増 が1万8,556人ということで、389人の減というような形になってございます。  それから、2のところは、精神疾患入院患者数ということで、こちらは若干時点が異な りますが、平成11年と17年の患者調査で、1年以上の方の数を見ていただきますと、11年 が23.2万人、17年が23.0万人と、0.2万人減じているわけですけれども、その下の動態と 括弧して書いているところにありますように、在院期間1年以上での退院は毎年5万人弱 で推移しておりますけれども、新たに入院期間1年以上となる患者さんの数が毎年5万人 程度であるため、その結果として1年以上入院患者さんの数は23万人程度ということで、 余り大きな変化になっていないということです。  おめくりください。  ページ上のほうになりますけれども、こういったことから、今後は退所・退院が可能な 方について地域移行をさらに進めると。それから、地域で生活している方については、で きるだけ地域生活を継続できるようにすると。  こういうことで、下に1、2、3とございます。  1番として、地域移行の促進。地域移行そのものを進める施策の充実。それから2番と して、「住まいの場」の確保。障害者が実際に住むための場を確保する施策。それから3 番として、地域生活に必要な「暮らし」の支援。地域生活を可能とし、継続していくため に「暮らし」を支えていく施策の充実ということで、こういった施策の充実を検討しては どうかということでございます。  以上が全体像でございまして、その下の3ページからが、それぞれの論点のところでご ざいます。  まず1番で、地域移行の促進ということで、その1つ目が、地域移行を進める施策と課 題ということでございます。  現状の欄をお願いいたします。  最初の○にございますように、地域移行をさらに推進するということが必要であります が、2つ目の○でありますけれども、現在、退所・退院前は、施設・病院による支援につ いて、報酬上評価していると。それから、次の○にございますが、退所・退院後について は、サービス利用計画作成によるケアマネジメント、自立訓練の事業の対象となると。こ れは退院・退所後の話です。退院・退所前はケアマネジメントとか体験訓練などの支援は、 自立支援法上は制度化されてございません。  こうした中で、予算事業で、精神障害者につきましては、「地域移行支援特別対策事 業」というものを開始しております。これは右側に参考でございますけれども、地域移行 推進員(自立支援員)と書いてございますが、個別の支援計画をつくったり、同行支援を 行う地域移行推進員というものを置く、それから地域体験整備コーディネーター、関係機 関との調整を行うコーディネーターを置くと、こういった事業を開始しているところでご ざいます。  戻っていただきまして、左の一番下で、刑務所に入所されていた方について、福祉サー ビスの利用につながっていないという指摘もございます。  おめくりください。資料の上側、4ページでございます。  そこで課題といたしまして3点掲げさせていただいております。1番目が、地域移行 を支えるコーディネート機能ということでございまして、そこに書いてございますけれ ども、病院からの地域移行については、先ほどの特別対策事業で個別支援計画を作成し たり、あるいは院外活動の同行支援ということを行っておりますが、こういった取組が 全国的に展開されることが期待されると。また、福祉施設のほうにつきましては、施設 の外からこういったコーディネートなどの支援を行う仕組みがないということが課題に なっております。  それから2番目で、宿泊等の体験とさせていただいております。そこの○にございま すように、長期間入所、入院されている方につきましては、施設・病院外の生活に徐々 に慣れていただくということが重要であろうということでございますけれども、矢印の ところにございますように、入所・入院中の段階からグループホームなどを体験利用す るとか、そういった体験利用の場合について、給付の対象外ということで、事業者など の任意の取組ということにとどまっているということでございます。  それから3番目に、刑務所出所者への支援ということで、刑務所から出所される方、 これは障害者だけではなくて、高齢者なども含めてですけれども、こういった方につい ては、法務省と厚生労働省との連携により、刑務所への社会福祉士の配置、あるいは福 祉サービスにつなげるための支援を行う地域生活定着支援センターといったものを置く ということを、共同でそれぞれ予算要求をしているというような状況でございます。  こういったものを踏まえまして、下の5ページ、論点のところでございますが、論点、 3つさせていただいております。  まず、コーディネート機能につきましては、1番のところでございます。障害者施設 に入所している者や、精神科病院に入院している者であって、退所・退院が可能である 者の地域移行を支えるため、入所・入院中の段階から退所・退院に向けた相談や計画的 な支援についての調整、さらには実際の支援を行う取組について、全国的に実施される よう、充実させていくことが必要ではないか。  それから2番目に、体験につきましては、退所・退院後に自立訓練事業により生活訓 練を受けることに加えて、地域移行を希望している者について、入所・入院中の段階か ら、宿泊などの地域生活の体験ができるような仕組みが必要ではないか。  それから、刑務所からの出所者の方につきましては、刑務所に入所していた障害者に ついて、退所後、円滑に地域で暮らしていけるようにするための支援が必要ではないか ということを論点とさせていただいております。  続きまして、おめくりください。6ページでございます。  地域移行の促進の2つ目で、地域移行における入所施設の役割ということでございま す。  まず、現状の欄でございますけれども、障害者入所施設につきましては、右のほうに 表がございます。そういったような専門的な人材や、あるいはノウハウなどを持ってい る地域資源というふうに考えております。また、実際、新体系の施設入所支援というも のにおきましては、地域移行加算ということで報酬上も評価をしているところでござい ます。  こういったところでありますが、下の課題の欄でございます。入所施設については、 施設入所が必要な方に対する支援に加えて、今後はその専門性などを生かした支援を行 っていくと。具体的には、3つポツがございます。地域移行についての入所者や家族に 対する情報提供や啓発、地域移行が可能な者についての移行の支援、それから地域生活 を支えるための支援の実施といったことが必要ではないかということでございます。  その下のページ、7ページで、以上から、論点といたしまして、入所施設の役割につ きましては、常時介護など介護が必要な障害者などについて、施設において介護等の支 援を行う役割を果たしております。今後、専門性を持つ地域の資源として、(1)入所者に 対する地域移行の支援、(2)グループホームやケアホームの実施、日中活動系の事業、短 期入所、訪問事業の実施など、地域生活を支えるための支援、こういった役割について、 さらに果たしていただくべきではないかということでさせていただいております。  おめくりください。  地域移行促進の3点目といたしまして、家族との同居からの地域移行ということでご ざいます。右側に表がございますように、障害者のうち、在宅障害者が667万人と。う ち、家族と同居などされている方というのは575万人ということで、在宅障害者の約9 割が家族と同居ということでございます。  課題の欄にございますけれども、親御さんが亡くなった後に、地域生活の選択肢が考 慮できないまま施設に入らざるを得ないケースとか、あるいはご家族に事故などがあっ た場合に、即座に地域生活に移ることがなかなか容易ではないと。こういったケースを 生じさせないということも含めまして、なるべく地域での生活を継続していけるための 支援が重要というふうに認識しております。  下の9ページの論点のところでございますけれども、こういったことから、地域移行 を考えるに当たっては、施設や病院からの移行だけではなく、できるだけ地域生活を継 続していくという観点から、家族と同居しているうちから障害福祉サービスを利用した り、グループホーム・ケアホームなどの地域での生活に移行したりするための支援が重 要であり、ケアマネジメントを行う際などに、こうした取組を進めていく必要があるの ではないか、このようにさせていただいております。  おめくりいただきまして10ページ、ポンチ絵がございますけれども、左のほうにござ います入院・入所から、右のほうに矢印(1)が伸びております。入院・入所から地域に移 行する、あるいは地域の中で、家族と同居からグループホーム・ケアホームやアパート などでの生活、こういったものに移行していただくには、いずれについても、下のポツ にございますように、移行に向けた「コーディネート」の機能、それから移行後の新し い生活に向けた体験などの「訓練」の機会といったものが必要ということでイメージを つくらせていただきました。  それから、下の11ページ、次の大きな論点2つ目の「住まいの場」の確保でございま す。1つ目が、公営住宅・民間賃貸住宅への入居促進(住宅施策との連携)というふう にさせていただいております。  現状の欄にございますように、住宅を確保していくということは、いろいろな障害者 の特性に応じたもの、あるいは所得の状況に応じた住宅の確保が必要であって、こうい ったため、現在、公営住宅の入居促進など、住宅施策の連携に取り組んでおりますが、 今後一層の強化が求められるということでございます。  おめくりください。上の12ページでございます。  課題の欄でございます。まず1つ目が、公営住宅への入居促進につきましては、依然 として応募倍率が高い、18年度全国平均で9.6倍というふうにさせていただいておりま すが、応募倍率が高い状況にあるということです。一方、各自治体においては、障害者 世帯に対しまして優先入居というのを進めておりまして、そういう意味で、障害者の地 域移行の受け皿として、公営住宅がより積極的な役割を果たすということが期待される ということです。  それから、2つ目で、公営住宅のグループホームあるいはケアホームとしての活用と いうことでございますけれども、これにつきましては、実際、活用を希望する団地にお いて空き家が確保できない、あるいは自治体において福祉部局と住宅部局との連携が行 われていないと、こういった場合があるなどの事情によって、自治体ごとに取組に差異 が見られるという状況にあると認識しております。そこに数字で、18年度末実績539戸 とありまして、そのうち上位5都府県が387戸(72%)ということで、そこにも自治体 間の格差が数字としても見られるというふうに思っております。  それから、3点目といたしまして、民間賃貸住宅への入居促進ということでございま す。これにつきましては、国土交通省におきまして、「あんしん賃貸支援事業」といい まして、障害者世帯などが入居可能な民間賃貸住宅についての情報を集約して提供する といった事業が行われているところでございますが、20年度実施が12都府県ということ で、普及が十分進んでいない状況。それから一番下の○ですけれども、貸主の側にも、 保証人がいないとか、あるいは家賃の不払いが心配といった声もございます。  こういったことで、論点といたしまして、次の13ページでございます。  1点目が、公営住宅へのさらなる入居促進策の検討ということで、例えば厚生労働省 と国土交通省で入居が進んでいる事例の調査研究及びその成果の普及、あるいは民間ア パートなどの既存ストックを公営住宅として借り上げ、不足している住宅の確保、こう いったものを検討すべきではないかと。  それから、2番目といたしまして、公営住宅のグループホーム・ケアホームとしての 活用の促進ということについては、厚生労働省と国土交通省で地方公共団体の住宅部局、 福祉部局、グループホーム事業者との具体的な連携方策を示したマニュアルの作成、そ れから公営住宅をグループホームとして利用するための改良工事費に対する助成の充実、 こういったものを使って促進をすべきではないか。  それから、3つ目の、民間賃貸住宅へのさらなる入居促進策の検討といたしましては、 先ほど申し上げました「あんしん賃貸支援事業」の普及であるとか、あるいは公的家賃 債務保証制度と書いておりますけれども、現在、高齢者住宅財団というところで、障害 者・高齢者などを対象に家賃の債務保証制度が行われております。こういったものの拡 充・普及とか、こういったものを検討すべきではないかというふうに書かせていただい ております。  おめくりください。14ページでございます。  グループホーム・ケアホームの整備促進とサービスの質の向上ということで、現状の ところでございますけれども、1つ目の○のところで、平成23年度にはグループホーム ・ケアホームを8万人に増やすというようなことでやっております。  それから、今年度からグループホーム・ケアホームの整備を促進する整備費の助成と いうのを行っております。  また、人員配置につきましては、世話人に加えまして、ケアホームは生活支援員の配 置、あるいは夜間に職員を配置した場合の加算というのも設けているところでございま す。  一番下の○で、グループホーム・ケアホームは、知的障害者、精神障害者が対象とな っております。したがって、身体障害者は対象となっていないという現状でございます。  これに対しまして、次の15ページ、課題でございますけれども、1点目、グループホ ームなどの整備促進につきましては、19年度の目標が4.5万人に対しまして、20年3月 実績が4.2万人ということで、利用者は伸びているんですけれども、目標はまだ下回っ ているということでございます。  それから、サービスの質の向上に関しましては、人員体制やサービスの質について、 夜間の体制を含めて充実を図るべきという指摘があるということでございます。  それから、身体障害者のグループホーム・ケアホームについては、今までは知的障害 者あるいは精神障害者につきましては、共同生活による利用者同士の助け合いが支援と して有効という考え方でグループホーム・ケアホームの対象となってきたということで ございます。身体障害者については福祉ホーム制度の対象ということで整理をしてきま したけれども、矢印のところにございますように、身体障害者の利用を認めるべきとい うことは本部会でもご指摘をいただいております。  おめくりください。  16ページ、論点のところですけれども、まず整備促進のところについては、整備費の 助成制度や公営住宅の活用を図りながら、さらに進めていくべきではないか。  それから、質の向上につきましては、夜間支援体制を含めたサービスに必要な人員体 制の確保、支援内容の向上など、質の面で充実を図っていくべきではないか。  それから、身体障害者のグループホームにつきましては、身体障害者についても地域 生活移行を進めていくために、身体障害者がグループホーム・ケアホームを利用するこ とについてどのように考えるかということで、双方ご意見があるところでございますの で、こういうふうに提案をさせていただいております。  それから17ページ、大きな柱の3番目で、「暮らし」の支援ということでございまし て、その1つ目が、地域で生活する際に必要となる支援サービス、このうち、緊急時な どの対応ということでございます。  現状の欄の2つ目の○ですけれども、地域で暮らしていくときには住まいの確保、あ るいは緊急時におけるサポートが大切ということで、「居住サポート事業」というのを 地域生活支援事業の中で、入居の支援あるいは24時間の支援ということで行わせていた だいているところです。  それから、その下の○で、ショートステイにつきましては、家族の急病・急用とか、 あるいはレスパイトというために、あるいはご本人さんの状況に応じてということで必 要ということで、20年4月現在では3,848事業所ということでございます。  資料の右のほうにショートステイの事業の形態ということで、併設事業所、空床利用 型事業所、単独型事業所とありますけれども、上の2つは障害者の入所施設に併設され ているパターン、それから単独型というのは、入所施設以外の部屋を使って事業を行う パターンというふうにご理解ください。  おめくりください。  上の18ページ、課題のところですけれども、1つ目で、居住サポート事業につきまし ては、そこにいろいろな場合を書いておりますけれども、長期間入院・入所していた場 合とか、家族との同居からひとり暮らしに移行する場合とか、こういった場合などにつ きまして、やはりサポートしている人がいれば安心して地域で暮らすことができるわけ でございますけれども、矢印のところにございますように、居住サポート事業の実施市 町村は約1割ということで、入居支援あるは緊急時のサポートについて充実を図ること が必要というふうに課題を考えております。  それから、ショートステイにつきましては、やはりいざというときに支えてくれる場 ということで、これは身近なところで利用できるようにするなど充実を図っていくこと が必要ではないかというふうに考えております。  そういうことで、論点として、下の19ページでございますけれども、緊急時のサポー トにつきましては、障害者が地域において安心して暮らすことができるよう、入居に関 する支援や、緊急時に対応できる24時間のサポート体制などについて、充実を図ってい くべきではないか。  それから、ショートステイにつきましては、障害者が地域において安心して暮らすこ とができるよう、ショートステイについて、単独型のショートステイを含め、さらなる 充実を図っていくべきではないかと、このようにさせていただいております。  おめくりください。  20ページで、必要となる支援サービスの2つ目で、医療も含めた支援ということでご ざいます。現状の1つ目の○で、これは医療的なケアについてです。そこに参考で書い てあるようなものが、現在としては医療的なケアが受けられるサービスということでご ざいますけれども、課題の1のところにありますように、医療機関でシートステイを実 施しているのは59カ所で、さらに充実を図っていく必要があると。それから2つ目の○ で、医療的なケアを必要とする障害者の受け入れが可能な通所サービスの充実を求める 声があると。こういったことが課題というふうに考えております。  それから、戻ってすみませんが、現状の2つ目の○のところで、精神障害者の関係で、 やはり地域で暮らしていく上では、外来医療あるいは訪問看護などの医療支援が必要で あるということで、病状が急変した場合も含めて、そういう救急医療体制というのが大 事ですと。  そういうことで、課題の2つ目のところで、精神分野での取組というところですけれ ども、精神科救急医療につきましては、都道府県圏域によってかなり整備状況が異なっ ていると、差があるという状況にあるということでございます。  こういったことで、下に論点でございますけれども、2つございます。  1つ目、医療的ケアの関係では、医療的ケアが必要な障害者についても、地域移行や 地域生活の継続が図れるよう、医療的なケアが行えるショートステイや通所サービスに ついて、充実を図っていくべきではないか。  それから、精神分野につきましては、精神科救急医療について、どの地域でも適切な 精神科救急医療を受けられる体制の確保を図るため、都道府県による体制確保など、制 度面での充実を図っていくべきではないか、このようにさせていただいております。  おめくりください。  22ページ、支援サービスの3つ目で、訪問系サービスの在り方ということで、現状の (1)のところでございます。1つ目の○は、皆様ご承知であると思いますけれども、訪問 系サービスとしては、そこに書いてございますように、居宅介護、重度訪問介護、行動 援護、重度障害者等包括支援と、こういう4類型がございます。  その下の○ですけれども、その利用者数を、ここでは19年10月から20年6月までとい うことでございますけれども、利用者数を見てみますと、着実に増加しているというこ とで、この8カ月間で全体では104%ということで、4,000人弱の増というような状況で す。  それから、下の23ページでございます。現状の(2)のところですけれども、そのうち、 居宅介護につきまして、障害種別に、3障害の別で見てみますと、右側の伸び率のほう が分かりやすいかと思いますけれども、特に精神障害者の利用が比較的伸びているとい うことで、そういう意味では3障害を統一して、障害種別間のアンバランスを是正する という自立支援法の目的に沿ったような形で利用が推移しているということでございま す。  おめくりください。  24ページ、現状の3つ目でございますけれども、居宅介護、ホームヘルプの利用状況 を都道府県別に、人口1万人当たり利用者数というのを比較してございます。  人口比で比べた場合には、いまだ利用状況に差があるというふうに書かせていただい ておりますが、折れ線グラフが16年10月ということで、支援費制度時代と。それから、 棒グラフが20年6月ということで見てみますと、その格差は、従来5.25倍あったものが 3.67倍になっているということで、格差が縮小しているという意味では、こちらのほう も、自立支援法で地域格差をなくそうということでやってきたことに沿ったような利用 者の動向があるということでございます。  下の25ページのほうで、課題につきましては、こうした訪問系サービスについては、 生活の基本となるサービスであるので、「行動援護」など新たな類型のサービスも含め まして、一層の活用を図っていくことが必要。  それから、また、重度の障害者につきましても、こういったものを組み合わせて、地 域生活を支えていくことが必要ということで、論点のところにつきましては、訪問系サ ービスは、重度の方を含め、障害者が地域で暮らしていく上で大切なサービスであり、 引き続きその充実を図っていくべきではないか、このようにさせていただいております。  それから、資料2−(2)のほうは参考資料でございますので、時間の関係上、説明は省 略させていただきます。 ○福島精神・障害保健課長  引き続きまして、資料3−(1)、それから3−(2)によりまして、先日取りまとめました、 今後の精神保健医療福祉のあり方等に関する検討会の論点整理について、私のほうから ご説明をさせていただきます。  概ね、概要のほうの3−(1)の資料に従いまして、ご説明をしたいと思います。  平成16年9月に策定されました「精神保健医療福祉の改革ビジョン」入院医療中心から 地域生活中心へという基本的考え方に立って、概ね10年間の精神保健医療福祉の具体的方 向性を示したものでございますけれども、平成21年9月に中間年を迎えることになってお りますので、後期5年間の重点施策群の策定が必要となっておりました。  そういうことで、この検討会で、今後の精神保健医療福祉施策に関する抜本的見直しに 関する検討を開始いたしました。今後も、入院医療中心から地域生活中心へという基本的 な考え方に立って、精神障害者が地域において安心して自立した生活を送れるような社会 としていくという共通認識の下に、この検討会で論点を取りまとめたものでございます。  IIの精神保健医療福祉の現状と評価については若干省略させていただきますが、ポイン トで言いますと、基本的には1の(2)の1つ目の○にございますように、精神病床に入 っている入院患者について、統合失調症患者は若干減少しておりますけれども、一方で認 知症患者が増えており、そういうことで、2つ目の○にございますように、今後、統合失 調症患者を中心に地域生活への移行支援を一層推進するとともに、認知症患者への入院医 療の在り方等の検討が課題になっているということでございます。  次の2ページ目、3ページ目と、ずっと現状についてまとめておりますが、これはこ れまでの検討会の中でも、この部会の中でもいろいろ出されたものと重複しております ので、ここは省略をさせていただきたいと思います。  次の4ページに、今後の精神保健医療福祉施策の基本的考え方というものを示してお ります。  まず、基本的考え方として、これまでの我が国の施策の沿革に触れた後、今後の基本 的考え方として、現在の長期入院患者の問題というものは、入院医療中心であった我が 国の精神障害者施策の結果であり、行政を初め、その関係者はそういう反省に立って、 従来のビジョンで示しております「入院医療中心から地域生活中心へ」の基本理念に基 づきながら、今後の施策立案・実施に当たるべきであるということになっております。  また、精神保健医療福祉施策に関しては、「入院医療中心から地域生活支援へ」とい うことですから、地域で安心して自立した生活を送ることができ、精神疾患に関しても 早期に適切な医療にかかれる社会としていくことを基本的な考え方としていくというこ とにしております。具体的施策としては、ここにありますような、(1)から(4)の方策で示 しております。  2の施策の推進体制等ということで、将来のあるべき姿(ビジョン)を示し、数値目 標を定め、ロードマップを明確にして定期的に進捗状況を評価する、いわゆるPDCA サイクルをちゃんとやっていこうということでまとめられております。  次の5ページ以降は具体的領域でございますが、5ページ目が地域生活への移行及び 地域生活の支援に関する今後の検討の方向。1ページおめくりいただいて、7ページが 精神保健医療体系の再構築に関する今後の検討の方向。そして8ページ目に、精神疾患 に関する理解の深化(普及啓発)に関する今後の検討の方向と、これが3つの柱であり ますけれども、まず5ページ目の、地域生活への移行及び地域生活の支援に関する今後 の検討の方向。これが、この障害者部会と一番関わりの深い領域でございます。  これに関しましては、特に施策の方向性としては、入院期間1年以上の長期入院者群 に重点を置くべきとしております。先ほど鈴木企画官からの説明にもありましたように、 1年以上については5万人入って5万人出ているという状況は変わっていないというこ とで、ここについて重点を置くべきということ、そして、新しく長期入院に移行する人 を生み出さないという、そういう基本的な姿勢に立って、地域生活への移行を促してい くべき。そして、長期入院患者の特性ごとにきめ細かい施策を講ずるべきという基本的 な方向性に立って、進めていくべきとしており、個別の論点としては次の4つございま す。  まず1つ目が相談支援。検討課題として挙げておるものとしては、自立支援法に基づ く相談支援の充実、ケアマネジメント機能の充実、それから地域自立支援協議会の機能 の充実、それから自立支援法に基づくもの以外の相談機能の充実。それから、精神疾患 の早期発見・早期対応の観点からの行政機関の役割に関する制度上の明確化。あるいは 行政機関と医療機関の役割分担の在り方、保健福祉分野と学校教育分野等との連携強化。 精神保健福祉士の役割、養成の在り方等についての検討。これは別途また、養成の在り 方についての検討会を今開催しているところでございます。  次のページでございますが、地域生活移行、地域生活支援の2つ目の柱が、地域生活 を支える福祉サービス等の充実ということで、特に今日の議論と関係が深いところでご ざいますが、住まいの場の確保に関する公営住宅、あるいは民間住宅の活用促進と、あ るいは訪問による生活支援の充実、さらには効果的な家族支援の検討等について検討す べきということになっております。  そして、3つ目として、地域生活を支える医療の充実ということで、1つには、先ほ どもありましたように、精神科救急についての、特に都道府県による体制確保、一般救 急医療との連携等についての制度上の位置づけの明確化について検討すべきではないか と。あるいは、精神保健指定医の確保のための具体的方策について検討すべきというこ と。  そして4つ目の柱として、入院中から退院・退所に至るまでの支援の充実ということ で、個別支援を充実させること、そして地域移行、地域定着に必要な体制整備を実施さ せることについて検討すべきというふうになっております。  さらに、次の精神保健医療体系の再構築に関する方向性でございますけれども、これ は特に基本的考え方にありますように、精神保健医療の水準の向上を目指すということ、 それから病気や疾患に応じた機能の在り方等について考えるということ。特にこれは認 知症患者も増加しておりまして、そういう対応を含めて、新しい課題を含めて、今後議 論をすべきということです。あるいは、将来的な病床の機能分化、医療体制の姿を提示 し、機能に応じた入院機能の明確化、統合失調症患者の地域移行の推進による病床数の 適正化を図るということについて議論をしたらどうかとされています。  個別の論点については、入院医療、通院・在宅医療、医療体制・連携、そして人材確 保・資質の向上を初めとした精神医療の質の向上となっておりますけれども、これは医 療に関する部分でございますから、この場では説明は省略させていただきます。  次の最後のページでございますが、3つ目の柱が、精神疾患に関する理解の深化(普 及啓発)に関してでございますが、特にこれは精神疾患の早期発見・早期対応による重 症化の防止ということを念頭に置いて議論を進めるべきではないかということで、主な 検討課題としては、ターゲットを明確化し、ターゲットに応じた効果的な普及啓発の手 法や実施主体について検討したらどうか。あるいは、学齢期の若者等に対する普及啓発 の重点的な実施。あるいは統合失調症に関する理解の進展を目標とした普及啓発の重点 的な実施というようなことを中心として検討したらどうかということです。  最後に、今後の検討に向けてということで、まずこの検討会では、特に精神障害者の 地域生活への移行支援に関する部分については、自立支援法の見直しということと密接 に関係するものですから、これを年内に議論をし、そして医療に関しては年明けで議論 をするということにしております。特に精神病床数に関する取り扱いについては、ここ にありますように、さらに議論をしていくということにしております。  ちょっと駆け足でございましたけれども、この検討会の議論の整理と、今後の検討の 方向性、論点整理は以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  お二方とも駆け足での説明でございましたので、皆様方の中で分かりづらかったとこ ろがあったかもしれません。本題のほうの、地域における自立した生活のための支援、 このテーマに入ってまいりたいと思います。お聞き及びのとおり、非常に論点が多岐に わたっておりますので、今回も前回と同様に、前半・後半に分けて議論を進めてまいり たいと思っております。  まず、資料2−(1)の1ページ、「『地域での生活の支援』について(全体像)」から、 10ページの「地域移行について(イメージ)」までを区切った上で、ご意見をいただき たいと思います。  11ページの「『住まいの場』の確保」以降につきましては後ほどご意見をいただきた いと思いますので、委員の皆様方、できるだけポイントを絞って、多くの方々のご意見 を賜りたいと思います。  それでは、どなたからでも結構でございますので、よろしくお願いをいたします。  浜井委員。 ○浜井委員  それでは簡潔に意見を述べさせていただきます。  地域移行の促進との関連資料として、事務局のほうから、資料2−(1)の3ページ目か ら5ページ目にかけて、それから2−(2)の補足資料のところでは13ページから15ページ にかけて、刑務所出所者に対する福祉的な政策ということで用意していただいておりま す。  主に資料2−(2)の13ページ目をご覧になりながら聞いていただきたいのですが、ここ に書いてありますとおり、現在、刑事施設にはかなりの高齢者、それから障害者の方が 収容されておりますし、その割合というのは年々増加しております。なぜ増加している かというと、もちろん、高齢者や障害者の方々が犯罪をしやすいというわけでは当然な くて、高齢化が進むなどいろいろな社会の変化によりまして、身寄りがなかったり、あ るいはハンディキャップゆえに自立生活が困難だという人が増えているという背景があ ります。これらの人がいったん何らかの犯罪で刑事司法のお世話になると、刑事司法の 取り扱いとしては、うまく言い訳ができない、示談や賠償が困難であることなどさまざ ま理由からなかなか起訴猶予とか執行猶予に持っていけないということで、実刑を受け やすいという傾向がございます。それに加えまして、2−(2)の13ページ目の資料に書い てございますように、罪を犯した人が社会復帰をして、再犯をせずに更生していくため には、社会で安定した居場所を確保する、そこで安定した生活を営んでいくということ が不可欠になります。これがないため、つまり、今回のテーマでもございますように、 安定した地域移行ができないということが、再犯に陥りやすい原因となっているという ことで、結果として、刑事施設にこういう方々が増えているという部分がございます。  資料にもございますように、社会に受け皿のない自立困難な高齢者とか障害のある方、 特に要介護の受刑者の方々は、再犯率が非常に高くて、なおかつ再犯期間が非常に短い という傾向がございます。逆に言えば、こういう人たちに対しては、再犯の原因が社会 に受け皿がないからであるということがはっきりしていますので、何らかの形で地域移 行が円滑に進むような施策がとられれば、そういった再犯を防げるという明確な目標が 立てやすいということもございます。現に、引受人がいて仮釈放された高齢者や障害者 の再犯率は、そうでない人よりもかなり低くなります。  ということで、既にここにも資料に挙げていただいているように、今後、厚生労働省 や法務省が連携して、この問題に取り組まれていかれるということになっておりますけ れども、今回の法改正におきましても、ぜひこういった点を重視していただきたいと思 います。特に、刑事施設に入っている障害者の方々というのは、そもそも療育手帳を持 っておられなかったり、生まれてから一度も福祉のサービスを受けたことがないという 方々が非常にたくさんおられまして、なおかつ、いったん刑務所に収容されると、さら にそういったサービスが受けられないという傾向があって、それが再犯を助長してしま うという傾向がございます。つまり、福祉の支援が届いていれば、刑事施設に来ること はなかったということです。  具体的に、どういう形でこれを法案に取り入れていくのかというのは難しいところか もしれませんけれども、ぜひとも障害者自立支援法の改正に当たっては、特に運用面に おいて、そういったサービスがそういった方々に行き届くように配慮願いたいというふ うに思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  浜井委員のお隣、小澤委員、お願いいたします。 ○小澤委員  5ページの論点のところで、ただ今の話も含めて2点ほどです。  まず1点目、ただ今の件なんですが、内容的には私も趣旨に賛成なんですけれども、 私ちょっと個人的に、ある自治体で施設反対運動の解消委員会の委員長をしていたりと か、多々いろんな課題を実は体験しておりまして、内容はよろしいんですが、基本的に はどうやってこれを一般市民向けに提案・提起していくかということを大変慎重に配慮 していただくと、他方、市民に対して、施設をどうやって設置していこうかという、そ ういう悩んでいる自治体も多いと思いますので、この辺り、ちょっとご配慮していただ きたい、それが1点目です。  2点目は、論点の1番目なんですが、比較的、入所施設及び精神科病院に結構、重点 的なコーディネート機能とかフォローアップ機能とかということがかなり提起されてい るんですが、私はもう一つ、地域の相談支援事業とかそういった問題とリンク、つまり 地域生活支援事業の様々な推進母体とリンクしていくような、ちょうどバトンを受け渡 すんじゃないんですけれども、そういうサービスの連携とかネットワークシステム、こ れをやっぱりもう一つ検討していただきたいと。入所・入院施設にかなり重点を置かれ るのも1つですけれども、やっぱり地域でどう支えるかとか、地域支援をどうつくって いくかということがもう一方であるので、もう一点目はそういったことを検討していた だけたらと思います。  以上、2点です。 ○潮谷部会長  小澤委員、少し確認させていただいてよろしゅうございますでしょうか。  地域に対しての配慮事項ということで、小澤委員のほうで、何かこれまでの経験の中 で参考になるようなこととか、あるいは事務局に、こういった点で施策を考えていって はというようなことはございますなら、ちょっと触れていただければと思います。 ○小澤委員  私の体験で、多分ほかの方も自治体関係者の方は体験されていると思うんですが、一 番厳しい意見は、やっぱり非常に地域のリスク、危険性が高まるんじゃないかという住 民の方のご指摘をよく受けます。それに関しまして、私どもは大抵、そのようなことを データ的に実証することはできないし、基本的にそういうことは余り、ほとんどないこ とですと、こういうふうに言い続けて、当然ですが、設置を推進している側なんです。  したがいまして、基本的には、まずはきちっとした科学的根拠というんでしょうか、 やっぱりきちっとしたそういう裏付けですね、データ的な裏付けの在り方と、それから もう一点は、やはりちょっと、専門家には分かりやすい用語なんでしょうけど、一般市 民では大変誤解しそうな用語もたくさん使われますので、そういった点で、やっぱり用 語をどう考えていくかということであります。  基本的には、数々、自治体の方も体験していると思いますので、そういったところで どうやって配慮するかというのが必要だと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  どうぞ、お願いいたします。新保委員。 ○新保委員  さきの小澤先生のに関連して、加えて、ほかのことを少しお話ししたいと思いますが、 コンフリクトの課題というのは、小澤先生がおっしゃられたように、確かにデータに基 づいた1つの視点を持つということは大事なことなんだと思いますけど、私自身も施設 摩擦というのは何度も何度も体験しておりまして、現実に施設がつくれなくて、大変苦 労した体験もございます。  その中で最も大事なことというのは、どちらかというと、理屈ではなくて、地域住民 が精神障害者ってこんな人なんだということを本当に理解していただくこと。言い換え ると、触れ合いの場をどうつくっていくかということが大変重要なんだというふうに思 います。  その意味では、反対運動というのは、多くがへ理屈でございました。理屈ではないん です。そして、しかも、それまでの関わりの関係の中で築き上げられた地域だというふ うに思っていても、それは違うというデータも、例えば長尾先生もおられますが、日本 精神病院協会誌にも精神障害者の市民理解度と誤解に関するデータが載っております。 そこで示されたことは、立前ではなく、本音の部分は理念とはほど遠い感情によるもの でした。したがって、ある病院の院長先生が地域のお祭りなんかに一生懸命参加したり、 協力しながら住民理解を求めて頑張ってきたのに、援護寮をつくろうと思ったら突然反 対されちゃったというようなこともあるわけです。それは精神障害者の地域移行に係る 支援者側と地域住民の意識に大きなギャップがあるということです。ですから、そうい ったことも含めて、できればエビデンスを形成していく必要があるというふうに思って います。  これは今の事柄に対する感想でございますけれども、次に、先ほどの資料のほうに移 らせていただきますが、ここで示されていることというのは、大方が、どういう事業を 推進したら地域での生活支援が可能になるのかという、いわば対処療法に近いという言 い方をしたら失礼かもしれませんが、そうした事柄のように思えてなりません。基本的 には、先ほど小澤先生がおっしゃられたように、やっぱり第一に大事なことというのは 相談支援機能の充実でございまして、それがしっかりとケアマネジメントが担えるよう な体制があるということが必要なんだというふうに思っています。  精神障害者に関わる関連で言えば、旧体系事業では精神障害者地域生活支援事業とい うのがございまして、そこで相談支援、そして日中活動の提供の場、そして啓発という 3つの役割機能を持って、その事業が推進されていたわけでございますけども、新体系 事業に移るときに、実はこれが市町村の対応の差、すなわち地域間格差がございまして、 スムーズに移行ができなかったという状況がございました。しかも精神障害者の事柄に ついて十分ご理解がいただけないところでは、大変残念ですが、地域生活支援センター を閉鎖せざるを得ないという事例まで生じたわけでございます。  こういったことが生じるのは一体どういうことなのかということを基本的に考えてい ただきたいというふうな思いがありまして、実は先般、ナショナルミニマムだとか、ロ ーカルミニマムだとかという言い方をしながら、根本での財源の問題もさることながら、 市町村での役割と国の役割というのをしっかりと見据えていただいて、市町村、特に小 さな自治体がこういった活動がもし運営できる状況にないんだとすれば、一定の圏域と か、交通の状況とか、そういった環境も勘案しながら、そういった地域はこういう一定 の条件を満たせば、相談支援事業に対して国はどういう支援をするというようなことを 改めて考えていただく必要があるというふうに思っているとこであります。  そうしませんと、例えば相談支援事業を行うときに、入り口の問題、すなわち利用者 のニーズをくみ上げるということさえもできないということが生じてきます。それは必 然的にモニタリングもできなければ、アウトカム、要するに施設や事業を利用した成果 が見えないということになりますし、そのことが見えなければ、地域での生活をしっか りと支えることはできないんだろうというふうに思います。  自立支援法では、制度の持続性とか、透明性とか、公平性というのをうたっています し、そのことは僕は大変大事なことだと思いますし、またこの相談支援事業や地域活動 センターが市町村に一元化されたということは、障害者の全てが地域住民の1人として 遇されるという環境を得たという意味では、本当にいいことだというふうに思っていま すので、そのことを踏まえながら、当たり前に暮らせるようにしていくための支援体制 の在り方と支援システムの在り方というのをお考えいただきたいと思うんです。  その意味では、ちょっと飛んで申しわけございませんが、先ほどの精神障害者に関わ るご説明をいただいた中の、資料3−(1)の最後のページで、啓発に関してのことがござ います。精神疾患に関する理解の深化の中で、ここでは「早期発見・早期対応による重 症化の防止を図ることを念頭に置いて」というふうに書いてございます。確かに重要な ことでございますけども、先ほど来申し上げておりますように、精神障害者の方々が、 ないしは他の障害者も含めて、1人の市民として当たり前に暮らしていくためには、地 域の方々が障害を持つ方々をしっかりと受け止めていただくための啓発が欠かせないん だというふうに思っています。  私どもの施設では、ちなみにでございますけども、毎年数十万円というお金をかけて、 小さな施設なんですが、市民向けの啓発活動を行っています。それは先ほど申し上げた、 私どもの施設がスタートするときに大変なコンフリクトを生じたからです。その過程の 中で、住民に対する啓発の重要性というのを私たちはしっかりと認識しながら、その活 動を担っていかなきゃいけないというふうに自ら思っているわけでもあります。  いずれにしましても、支援サービスはニーズに対応する福祉サービスでございますの で、ぜひそのことについての充実を図っていくために、ここに書いてあるような事柄が 一つ一つ実施されていくことが大事だというふうに思いますが、併せて、福祉制度とし てのありようとして、国や地方の役割の明確化が必要だというふうに思っておりますの で、よろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  地域移行への促進ということで、個別的な課題は書かれているけれども、全体的なと ころで、地域そのものに対しての啓発、地域移行への視点ということがもう少し視点の 中に加えられてくることによって、ニーズの把握あるいは現状、そういったものが違っ てくるのではないかということでございますので、こういった点についてもう少し、皆 様方の中でございますならば、出していただければと思いますが。  先ほど、箕輪さん、手を挙げていらっしゃいましたが、今のご意見とまた違ってでご ざいましょうか。 ○箕輪委員  よく考えたら、暮らしのほうの話だったかなと思って、次の段階で手を挙げさせてい ただこうかと。すみません。 ○潮谷部会長  分かりました。ありがとうございます。  今までの流れの中で、事務局のほうからございますでしょうか。  お願いいたします。 ○藤井障害福祉課長  今、新保委員からいただいたご意見、もちろんご意見として承りますけれども、ただ、 相談支援とかケアマネジメント等々につきましては、順番が前後して申しわけございま せんが、別の論点のところで、また改めて私どものほうから資料を出させていただいて、 ご議論いただくことにしておりますので、その際にもまたよろしくお願いいたします。 ○潮谷部会長  新保委員、よろしゅうございますでしょうか。また相談支援のところの領域の中で、 実態等も含めてお出しいただければと思います。 ○新保委員  はい、ありがとうございます。 ○潮谷部会長  副島委員、お願いいたします。 ○副島委員  まず、地域移行の促進のところですけれど、我々、いろんな議論をした中で、地域移 行というものをどう考えるかなんですが、管理された生活からの解放ということで考え ました。特に人の援助も、これは管理なんだと。かといって、知的障害の方々がすぐ地 域移行できるかといったら難しいので、最初は必要な人の援助があって、それが進む中 でだんだんとその援助を少なくし、本人主体の生活を描いていくという方向に地域移行 が進められていけば、我々の子供たちに対する将来性が見えるのではないかと思ってお ります。その点をつけ加えていただきたいと思います。  それから、地域移行を支えるコーディネートなんですけど、このコーディネート、先 ほど言われたとおり、相談支援事業との連携がどうしても必要と言われております。実 は私は、広島県の尾道なんですけど、隣の福山の様子も聞いてみたところ、福山も相談 支援事業を行政と民間が一緒にやることによって、法人間の連携プレー、つまり1つの 法人ではその人は、地域での生活のしづらさがあっても、他の法人によってそれがカバ ーできるのであれば、法人間の連携を取ろうというような形が具体的に進んでいます。 私がいる尾道でも、今、核になる指定相談事業所が3カ所あります。私どもは因島とい う島の島嶼部間を対応しています。あと旧市内、本島のほうですね、そこの指定相談事 業所の2ヵ所を加え、それを行政がバックアップする形で、尾道市の建物の中に相談支 援センターとしてはいりました。だから、それぞれの法人から相談支援の専門委員を1 カ所に集めて、そしてそこで尾道エリアの全体の相談を受けていき、いろんなケースを 抱えながら困っている地域の取組を、その1つ1つの法人を飛び越えて連携していく取 り組みです。もう数例を解決の方向へ導き出しています。  そういう面で、コーディネートの役割というのは、1つの小さなエリア、小さな法人 で考えるのではなくして、1つの福祉エリアみたいな、広域なところでこのことを考え ていくことです。その方法で地域での生活、もしくは地域移行についてのいろんな問題 点を解決することができたというような事例が出ています。こういうように、相談支援 事業を民間と自治体が一体となって取り組んでいく方法は、地方ではより有効な方法で はないかと思っています。  それから、家族との同居からの地域移行です。これは知的障害の場合には、すごく重 要な取組です。親が元気なうちからケアホーム等への入居体験、こういうものがスムー ズにできていけば、親も安心しながら、親との同居から地域へ移行するということがス ムーズになると思うんです。ただし、今のケアホームでは、親は不安なんです。それは どうしてかというと、程度区分が2、3であったとしても、夜間ケア体制が安心できる 状況ではない。端的に言えば、入所施設と同等の安心がほしい。入所施設の場合は中が よく見えないけども安心感があります。ケアホームの場合だと、中がよく見えるため、 夜にだれもいないとか、何かあったときにどうするんだろうかというようなところに不 安があります。ケアホームに対して不安が先に来るために、地域の中での親との同居か ら離せ切れないというところがあります。そこの夜間の体制の所が解決つけば、同居し ている家族が子供さんを地域へ移していくということにさほど抵抗なく流れが出てくる と思います。ぜひその点を考えていただければと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  川崎委員、お願いします。 ○川崎委員  今お話がありました、家族と同居からの地域移行なんですが、私どもは精神障害者の 家族会ですが、実は大変に家族と同居している精神障害者が多いということがあります。 この10ページのイメージでいきますと、家族と同居していてそこから離れて、どこかに ひとり暮らしをするというようなイメージでとらえられるんですが、実は精神障害者は、 家族と一緒に生活していたい。家族も当事者と今いるところで一緒に生活していたいと いう希望がかなりあります。しかし、もう年をとってきて親もなかなか当事者の面倒が 見られないというのが実情でして、そういう場合への在宅支援、つまり家族と同居しな がら、そこで自立のための支援を受けて、親亡き後もその場でその人がひとり暮らしで きるような、そのような支援体制ができたらいいなと思っております。  後ほどの資料の中の23ページに、居宅介護で精神障害者の利用がたいへんに伸びてい るということですけれども、これは具体的にどのようなサービスなのかなということを ちょっとお聞きしたいと思いました。家族と同居しながら、精神の人が、家族が亡くな ってもその家で年をとってひとりで生活できるような支援の方法を何らかの形で考えて いただきたいと思います。知的の方の場合とは違うかと思いますけど、精神の立場でお 話しいたしました。 ○潮谷部会長  今の点について、事務局、何かございますか。資料的なもの。 ○藤井障害福祉課長  資料と申しますか、居宅介護そのものは、まさに資料にございますように、居宅にお ける入浴、排せつ及び食事の介護等を行うというようなことでございますので、今委員 おっしゃったような視点を加味したようなというのは、サービスの内容も含めた、まさ にサービスを提供する際のスタンスといいますか、考え方の問題なんだというふうに思 うんですけれども、具体的におっしゃったような流れのケアをしていくためには、具体 的にどんなことをすればいいのかとか、どんなふうなことをどれぐらいすればいいのか とか、その辺りを整理して議論をしなければいけないのかなというふうに、とりあえず 思います。まさに1つの研究・検討の課題なのかも分かりません。 ○潮谷部会長  何か。 ○川崎委員  やはりその場合に必要なのが相談支援体制だと思っておりますので、先ほどからいろ いろ出ておりますけど、24時間、365日、いつでも相談できるような体制づくりが大変 に私どもは必要としていると考えております。 ○潮谷部会長  福島課長、先ほどの説明の中で、レスパイト的なことでの説明がございましたけれど、 川崎委員のただ今のご指摘の中とも関連してまいりますので、ここで地域生活を支える 福祉サービスの充実という点について、説明していただくとイメージが出てくるかと思 いますが。 ○福島精神・障害保健課長  報告書のほうの厚い報告書、資料3−(2)のほうの24ページをちょっとご覧いただきた いんですが、一番上の○でございますが、家族等に対する支援というところにしており ますが、実際に、例えば精神の場合は、退院している人については、65%は自宅に帰っ て同居している。入院期間が長いほどなかなか家庭に帰りにくいということで、いかに 家族に負担をかけないようにするかというのが1つあるわけですが、もう一つは、今日 の論点の中でも、ショートステイの充実等の課題の中で、一時的に休息をとるというよ うな支援というものが必要ではないかというようなことが議論をされています。特に、 入院するまではないけれども、そのときに一時的に家族から離れることによって状態が 安定するということもあり、そういうことも含めていろいろな対応をすべきというよう なことを、在り方検討会の中でもいろいろご指摘されておりまして、そういう中での今 のご発言というふうに私どもは理解をしております。 ○潮谷部会長  川崎委員、イメージについてはよろしゅうございますでしょうか。これだと、家族と 同居から切り離されてというイメージになりがちだというご心配もおありのようですけ ど、あとショートステイの問題等々含めて、家族を含めての支援ということが構想の中 にあるということでよろしゅうございますでしょうか。  野沢委員、お願いいたします。 ○野沢委員  1ページ目に「地域移行がまだ十分に進んでいるとは言えない状況にある」と書かれ ているんですけども、その後にいろんな検討課題があって、では、なぜ十分に進まない のかという分析がないので、ちょっと分かりにくいんですが、なぜ進まないのかという のを考えていくことが、何が必要なのかということに直結するんじゃないのかなという ふうに思って聞きました。  1つは、ありていに言えば、やっぱり地域で暮らしていくだけのお金がないからとい うことじゃないのかなと思うんですね。  北海道のほうのある施設が、入所施設を2つやめて、全面的に通所施設とグループホ ーム・ケアホームに切りかえたところ20%収入が減ったと。これじゃやっぱり職員さん の給料とかそういうのを保証していけないというふうな実態が1つありますし、私もや っぱり知的障害の子がいる父親ですけれども、地域で、息子を例えばグループホーム・ ケアホームに入れながら通所施設等に通わせようと思ったら、なかなか年金だけではや っぱり難しいんですね。入所施設に入っている障害者の方たちは自己負担で、手元にほ とんど残らないと言われますけども、地域では手元に残らないどころか、親が大分持ち 出ししなければ暮らしていけないような、そういうのが現状じゃないかというふうに思 います。つまり、サービスを提供する事業者も、利用者のほうも、地域で暮らすにはな かなか、今の現状ではお金的に難しいということはやっぱり、言いにくいかもしれませ んけども、これははっきりと論じなければいけないことだと私は思います。  もう一つが、じゃ、障害のある子がどこで暮らしていくのかと決めているのは、ほと んどやっぱり親ですよね、知的障害の場合には。私も親なのでよく分かりますけれども、 やはり立派な、きれいな入所施設を見せられれば、親はやっぱりそちらのほうに傾くの は当然だと思います。いろんなグループホームを見ましたけれども、こう言っては何で すか、ちょっとみすぼらしい、古くて汚いようなグループホーム・ケアホームがかなり 多いです。それに比べて、ぴかぴかのリゾートホテルのような入所施設を見せられれば、 やっぱりそっちのほうに気持ちは傾きますよね。  ただ、じゃ、そこに入るのはだれかというと、当然ながら親じゃないわけで、親はた まにしか行けませんし、職員さんだって帰る家があるわけで、そこで24時間、365日、 ひょっとしたら一生暮らさなければならない本人の気持ちというものは、親や職員では 代弁できないと私は思います。やっぱりそこは相談支援事業を充実させること、それか ら、本当だったら成年後見をしっかりとつけていくことというのは重要じゃないのかな というふうに思っております。  私は別に入所施設のサービスが悪いからいけないと言っているわけじゃなくて、どん なにいいサービスをしていたとしても、どんなにすばらしいリゾートホテルのような入 所施設であったとしても、やはりそこでずっと死ぬまで暮らしていく、死ぬまでと言う と語弊があるかもしれませんけれども、ずっとそこで生活していく場としてはどうなの かということをひとつやっぱり、ここで本気で考えなきゃいけないのではないかなとい うふうに思っております。  うちの子は、程度区分で言うと6という、最重度の程度区分をもらっております。自 傷もあるし、他害もあるし、危険が分からなくて赤信号でも飛び出していったりします。 6という判定をもらったのは当然だと思っていますけれども、そこで、更生相談所で、 「将来どうされますか」、「どういうふうに希望ですか」といって、「できればやっぱ りケアホームとかに入れたいんですけど」と言ったら、「それは無理です」というふう に言われたんですね。やっぱり暗に「入所しかないんじゃないか」みたいなことを言わ れました。  ただし、それからも、養護学校を卒業してから、ガイドヘルプ、行動援護、レスパイ ト等、かなり自己負担がありますので、持ち出しもありましたけども、手厚く支援して いって、2年たって、もうちょっとですかね、三、四年たって、今年の春から株式会社 に就職しました。最低賃金をもらっております。確かに今でもそういう難しいところは ありますけども、地域でやっぱり彼らの生活を支援することによって、どんどん変わっ ていきますね。これはびっくりするぐらい変わっていきます。しかももう一つは、彼ら 自身が変わるのとともに、周囲が変わっていきますよね。地域の人たち、それから就職 した会社の社員の人たちがどんどん変わっていくんです。やっぱり地域で生きるという ことのダイナミズムみたいなものはこういうところにあるんじゃないかなというふうに 思っています。  これからの日本を考えたときに、もうすぐ高齢化率が40%という時代になってきて、 じゃ、これからどういう社会をつくっていくのかということを考えたときに、やはり彼 らというのは、むしろ地域で暮らすことによって大きな社会資源になり得るような存在 だと思うんですね。自立支援法の理念はすばらしいけども、現実が伴わないということ で大分批判されております。だからといって、全部、自立支援法そのものを否定するよ りは、現実が伴わないのであれば、理念に近づけるような現実をここで議論してつくっ ていくというのが、私は本質だと思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  長尾委員、お願いいたします。 ○長尾委員  1つ、川崎委員がちょっと心配された言葉が、恐らく8ページですかね。家族に事故 があった場合に、即座に地域生活に移るという、何か家族からポンと移るという言葉が 逆に引っかかるというか、これは地域生活を継続するという意味だろうと私は思います ので、そういう言葉のほうが、これは妥当ではないのかというふうに思います。  それから1つ、地域移行の3ページのところの、あとコーディネーターの機能という ことが課題で出ておりますし、論点にもコーディネート機能ということが大事だという ことは出ております。  これはいろんな形の、そういう相談支援をも含めたコーディネーションをするという ことは大事なんですが、特に3ページの精神障害者地域移行支援特別対策事業における、 こういったコーディネーターを配置するということが出て、これが予算化されているん ですが、受け入れ条件が整えば退院可能というようなことは、地域移行するための、や はりコーディネートするための一番大切なものは、やはりそういう受け入れの居住の場 であったり、サポートする体制であったり、そういう社会資源がきちっと整うと、その 上でコーディネートされるということなので、これは、理念としては1つはいいんです けれども、そういった社会資源を整えることが、まず、ちゃんとされなくてはいけない と。これは後の議論になると思いますけれども、それがあってコーディネートできるん だということがあると思いますので、本来こういうお金は実質的な支援のところに回し たほうがよっぽどいいのではないかなというふうに、感想だけ述べさせていただきます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  佐藤委員、お願いいたします。 ○佐藤委員  今までの議論の中でずっと感じていましたのは、地域生活の支援ということで、論点 の整理で、項目的に第1番目に地域移行の促進が来て、3番目に地域生活に必要な暮ら しの支援。これは、ただ1、2、3と書いてあるだけだと言えばそういうことかもしれ ませんけれども、自立支援法の第1条は、皆さんよくご承知のように、地域の姿を変え ていこうということなわけですから、私はやっぱり、この番号で言えば3番の地域生活 に必要な様々な支援をどう強化していくかということに明確にシフトすべきだというふ うに思います。  それは、例えば数の上から言っても、我が国の障害者は、過去も、現在も、未来も、 恐らく未来はもっとそうなるだろうと思いますが、圧倒的に地域で生活をしてきたわけ ですね、数の上でも。施設で生活をしている人たちの比率が一番多い知的障害者でさえ、 それは、このデータに基づくと、全体54.7万人のうちの12.8万人、23%に過ぎないわけ で、精神障害者も10%に満たないし、身体障害者に至っては、これは高齢者とのダブル カウントの問題もありますけれども、この表、数字の上からだけで言えば、わずか2%、 3%という水準であると。  であるとすれば、確かに地域移行は、それはそれとして課題ではあるわけですけれど も、これを結果として成功させるためにも、まず取り組むべきは地域の状況を変えると いうことだと。それは具体的に言えば、自立支援法で様々、あるべきサービスがもっと もっと充実させられていくべきだと。  先ほど資料の説明の中にありましたけども、現在、訪問系のサービスを利用している 人の数が本当に少ないわけですね。なぜこんなに少ないんだろうということを考えたと きに、恐らくそれはいろんな原因が複雑に絡み合ってこのような結果になっているんだ ろうと思いますし、ショートステイのことでも、施設に併設するタイプのものはどこで もやっているけれども、単独型のショートステイ事業というのは、ほとんどまだ普及し ていない。  実際に私がかつて理事長をしておりました法人で取り組み始めて、もう2年半ぐらい になるでしょうか、全然ペイしません。1軒のそれなりの家を借り、専任の職員を置き、 また同性介護を原則とするために、いろんなシフトで職員を配置して、事の性質上、い つも決まってお客さんがあるわけではなくて、突然お客さんがあるわけですから、その ときに対応できませんというのでは話にならないと。  そういうようなことを考えると、これはやっぱり施設でやるほかないのかなと思いま すけれども、ふだん家庭にいる人が、いろいろ問題がある時期、あるときに、いきなり 施設のようなところに連れていかれるというのは、非常に本人にとっては驚くことでし ょうし、あるいはレスパイトとして、親御さんが休息のためにそういう場所を使おうと したときに、心から楽しめるかというと、やっぱり、今うちの子は家庭にいるのとそう 変わらない環境の中で丁寧に1対1の状況でケアを受けているということがあって初め て、レスパイトも成立する。  そんなことを考えますと、やっぱり今の自立支援法のサービス体系の中では、圧倒的 に地域に対して、地域の関連するサービスに対しての質と量が足りない。施設を拠点的 に使って云々という話もありましたけども、それはそれでいろいろやっていただくこと が必要かと思いますが、やっぱり話の順番として、地域のサービスをどう拡充するか。 それはもう課題ははっきり見えていると思うんですね。単純に言えば、予算の問題だろ うというふうに思いますので、言いがかりのようなことで申しわけありませんけど、こ の1、2、3という順番を、今後は変えて議論をしていただきたいと思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  地域生活ということで、地域の受け皿論ということを考えれば、3番目と連動してい るのではないかというご指摘でございますし、先ほど、地域そのものの姿がどう変わっ ていくかということがとても大事だということを、二、三の委員の方々からもご発言が ございました。3のテーマが「暮らし」という観点の中で整理をしているということも あってこのような順番になっておりますけど、そこはどうぞ、関連がございますし、皆 様方の中でも活発に出していただいて結構かと思います。  北岡委員、先ほど手を挙げていらして。 ○北岡委員  北岡でございます。  私は3つほど、今回のこの件について意見を言いたいと思いますが、10ページの、先 ほど厚生労働省のほうから説明がありました、地域移行についてのイメージという図が かいてありますが、これは別に厚生労働省をよいしょするわけじゃないですけれども、 いい図だなと僕は、実は思います。これはいい図なんだけど、本当にこれを本気でやり ますかということが、これからやっぱり問われてくる中身なんだろうというふうに私は 思います。  相談支援事業については、また後日、テーマを設定しての議論ということなんですけ れども、例えばこの図にあります矢印の(1)とか(2)とかというところでは、もちろんケア マネジメントであるとか、いろんな機能が関わってくるわけですが、やはり相談支援の 事業者が関わってくる役割が極めて大きいんだろうというふうに思います。大きいとい うか、重要だと思うんですね。  そして、例えば移行したケアホームである、アパートであるということで、この相談 支援事業が終わるかというとそうではなくて、さらにその後も地域でその人が継続した 暮らしを実現できるには、やはりこの相談支援事業がその後も引き続きしっかりバック アップしていくと。そういうことがないと、なかなかやはり難しいんだろうと思います。 例えば訪問看護師さんであるとか、ピアカウンセリングの方であるとか、そういう方た ちなども含めた相談支援事業の充実が、本当にこれは抜本的に見直さないと、これが絵 にかいたもちになってしまうのではないかというふうに思います。  これまで、あえて言えば、何々施設、例えば通所であるとか入所の職員との兼務でよ いというようなことがたくさんこれは書かれているわけですが、それを裏返していけば、 その職員の人件費としてこれらのお金を使うということも逆にできるわけでして、施設 で働く際の人件費の穴埋めとしてこれを使っていくことができるということもこれまで あったと思いますので、きちんと独立した形で安定的にこの相談支援事業が行われるよ うに、ここは抜本的な見直しが必要なんじゃないのかということを思います。  それから、2つ目は、ケアホーム等の配置基準を改めるべきで、そして、そういうこ とから安心感をつくり、人材確保のための報酬はやはり引き上げていくということが重 要なんだと思います。  この自立支援法について、「理念はいいけど中身がね」とよく言われてきました、こ の間も。それでその中で、1つは、やはりこの自立支援法というのは、施設に戻らなけ ればいけない法律ではないかということを、地域でいろいろ事業を展開された人たちが おっしゃる場面によく私は出会いました。  それからもう一つは、今度は施設を運営されている人たちから見ると、やはりこれは 施設から出ていけという法律なのかというようなことを言われまして、お互い立場が違 えば玉虫色に、実はこの間の法律の解釈がいろいろと見え隠れしました。実はこのこと は両方、本当はいろんな誤解があったり、思い違いがあったからこんなことになったと 思いますけれども、このたびの見直しでは、ぜひ地域移行と、この10ページの図が本当 に実現できるように強いメッセージを出していくということが必要なんだろうというふ うに思っています。  そして、最後にですが、資料の9ページから11ページの間に、自立訓練事業とか生活 訓練事業という言葉が出てきますけれども、これも今回の見直しで、できれば地域移行 支援事業とかに改めて、より地域で暮らすということのメッセージ力を高めていくとい うことが重要なんじゃないのかというふうに思いました。  また、相談支援事業については、後日、もう少し突っ込んでご意見を申し上げたいと 思います。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  どうぞ、星野委員。 ○星野委員  先ほど来から繰り返されているんですけど、ちょっと僕は、題の出し方に問題がある と思います。地域での生活の支援というと、さっきから相談支援事業とか、所得保障の 話とか、いろんなことが重なりますよね。その中の、例えばこういう問題に関してとい う整理の仕方をしてくれないと、どうも議論がはっきりしないなと、感想はそのことで す。  要は、地域での生活というのは本当にいろんな、今日は国交省の方もいらっしゃって いるし、それから教育の話から就労の話から、みんな重なるわけで、さっき佐藤委員が 1、2、3の順番の話も話されましたけども、支えが必要、場所が必要、そしてそこに きちんと場所を獲得する金、支えを獲得する金、暮らしていくための金と、全部そこが つくんですね、野沢委員もおっしゃったけども。そうすると、それがちゃんと充実して いけば、必然的に、例えば入所施設から地域に移行といったら、みんな安心して行くわ けですから、そこの順番をやっぱりきちんとしてほしいなと思います。  それから、何よりも所得保障ということの議論がなくて、さあ、出ていけ、出ていけ と言ったって始まらない。あるいは地域で暮らせと言っても始まらない。これはもう皆 さんおっしゃったとおりです。その中に相談支援事業もきちんとなければおかしいと思 います。  さらに言えば、今日、家族との同居からの自立という話がありましたけれども、これ はもう一つ絡めて言えば、民法の改正だって意識して考えなきゃいけない。親族扶養義 務という歴史的に根づいたものがあるわけで、言葉だけで軽くおっしゃるけれども、我 々ずっといろんなところでそういう指摘があってもなかなか動かなかったわけです。非 常に大きな問題を抱えている。そこの議論もきちんとしなきゃいけないだろうし、この 後に出てくる税制の問題も含めて、いろんなものが重なって地域生活を支えるという話 になるのではないのかなと思いながら聞きました。  ですからもう少し、この1、2、3の順番を入れ替える話は大賛成ですし、少し今後 の議論の整理の仕方をもうちょっと考えていただきたいなと。何かどこから取り組んで いいのかよく分からない。今日はそう思いました。  以上です。 ○潮谷部会長  事務局のほうから、よろしくお願いいたします。 ○蒲原企画課長  すみません、議論の中身はこれからまた引き続きだと思いますけれども、今議論の進 め方の観点の話が出ましたので、少し考え方をご説明したいと思います。  前回のときに、一応どういう論点があるかということについてご議論いただきました。 そのときに、1つ、例えば相談支援という固まりがあります。1つ、地域生活という固 まりがありますと。もう一つ、障害児という固まりがありますと。それとは別に所得保 障がありますというふうに、一応マッピングというか、論点の整理を、若干のいろんな 議論はありますけども、していただきました。  地域生活という言葉を使う場合、確かに物すごく広い意味があって、地域生活すると きの就労とかいろいろあると思うし、地域生活のための相談支援もあると思います。  ただ、やっぱりこれは、今日の議論は、我々の頭の中では、全体のマッピングの中で の、相談支援はちょっと別、働くというところも別、所得保障もまた議論すると。その 意味では、少し狭いと言ったら申しわけありませんけど、1つ限定された地域生活とい った趣旨で、一応そういう頭の整理で今日の資料は出しているということでございます。  その中で、先ほど来話がありますとおり、直接移行する部分と、移行した後の受け入 れと、ここは何か大きく2つあるのかなと。その2つの観点を分けて議論したほうが、 より議論はしやすいかなといった意味で1番の論点と、2番、3番がどちらかというと 地域生活そのものを支えるサービス。2、3の中で、特にこれまでどうもちょっと弱か ったと思われた住まいのところ、特に住宅関係のところはちょっと特出しして2番をつ くったというのが、今日の段階の頭の整理ということでございますので、少し、今日の ところは広い意味の地域生活というよりも、そういった意味では全体の論点の中での、 1つ区切られた地域生活といった意味で、今日はいろんなご意見をいただければという ふうに思っております。 ○潮谷部会長  星野委員、いかがでございますでしょうか。事務局の整理としては。 ○星野委員  先に少し話しましたけど、家族との同居という話も1つの大きなテーマですというの は分かりますけれども、本当に今までいろんな歴史的に議論があったこと、そのベース もきちんとやっぱり踏まえていただかないと、ただ言葉が先になって、いいね、いいね という話ではなくて、そういう意味では税制なんかもそうなんですけども、本当にいろ んな背景があるということをぜひ認識した上で進めていただきたいと思います。  それから、たしかこの委員会の最初の辺りで、施設入所者の数字の話で、出たり入っ たりの、また入ったりというところの分析はどうなんだという話があったと思いますけ ども、その報告はありましたか。 ○藤井障害福祉課長  お手元の資料で申しますと、1ページのところの施設入所者数等々の分析のところの お話ですね。分析と言いますが、なかなかどこまでというのも難しいところもあるんで すが、特に委員おっしゃっている中で、この内訳のところで、入所者数の減分というの が1万8,945人ございまして、増分で新規入所等というところが1万8,556人あるという ことで、特にこの増分の1万8,556人ですね、これをどういうふうに見るのかというよ うなところが1つの論点としてあろうかと思います。  なかなか私どももきっちりと分析をし切れているというわけではございませんけれど も、とりあえず数字だけで申しますと、例えば新規入所の人数というふうなことで申し ますと、社会福祉施設等調査などで見ますと、14年度から15年度にかけてどれぐらい入 所者数が増えたかというところを見ますと、1年間で1万5,000人余り増えております。 さらにさかのぼって、11年度から12年度までというふうに見ますと、これもやはり1万 5,500人余り増えております。  このころといいますか、ここの辺りの年次で見ますと、年間大体1万5,000人ずつぐ らい増えてきていたところでありましたが、一方でこの時点、平成17年10月から平成19 年10月、これは2年間で1万8,000人でありますから、単純に考えますと大体、単純に 2で割れば9,000人ぐらいなので、そういう意味では、この間で新規入所の方が増えた とかということではありませんで、むしろ減っているというふうなことは言えようかと 思います。  さらに、退所者数との差引きで見ましても、先ほど申し上げた社会福祉施設等調査で 見ますと、退所者数を差引きましても、やはり何千人単位で増えておりましたので、そ ういう意味では、17年から19年の間に、差引きで389人ではございますけれども、減っ ているということは、差引きの数で見ましても決して増えているというわけではなくて、 少なくなり、さらに減る方向に進んでいるということは、物すごく概括的な話ではござ いますけれども、言えようかと思います。  分析ということでは不十分かも分かりませんが、以上のようなことは申し上げられる と思います。 ○潮谷部会長  広田委員。 ○広田委員  1時間ばかり遅れて来ましたので、もしかしてずれていたらすみません、教えてくだ さい。  たまたま入ってきたときに新保委員が発言なさって、それから川崎委員、それから長 尾委員ということで、精神障害者関連ですけど、私、2001年12月19日にこの委員会に入 って発言したところ、当時の精神保健福祉課長の松本さんのほうから、広田さんが入っ たことによって、家族と本人のニーズが違うということが明確になってよかったという ことで、絶えず国及び地方自治体、自分が委員になったり、また傍聴に行っていますけ ど、家族が大変だという話はいっぱい出るんですね、ご家族のほうから。それで、警察 官に会っても、救急救命士に会っても、いろんな相談所の人に会っても、本当に広田さ ん、精神障害者の家族は大変ですよと言うんです。大変なことも分かります。でも、多 くの仲間も、私も大変でした。親が亡くなって自殺した精神障害者に今まで会ったこと がないです。むしろ親との関係の中で自殺した仲間はいる。  今私が受けている相談、もちろん当事者もありますけど、家族の場合には、親だけで はなくて、配偶者、それから親が精神疾患で子供が家族、そういうふうないろんな関係 があるんですね。絶えず行政に求めるのではなくて、精神の検討会でも申し上げていま すが、私は当事者としてのピアサポートが大事であり、家族としてのピアサポートが大 事だと。それと、例えば今いろんな社会的な問題が起きていますが、それがもし仮に精 神疾患者の問題であるならば、警察とか救急隊に通報して見えたときに、家族よりも本 人が冷静に、「おまわりさん、お疲れさまです」とか、そういうふうな挨拶をしたとき に、当然、警察は帰るわけです。すると家族が、その後に、本人に、「お前は警察官が 来たときにいい格好して」ということで、また火に油を注ぐ形になるんですね。  ですから、レスパイトケアというのがさっき出ましたけど、レスパイトケアというの が他障害のように、ふだんいろんな生活が疲れていて、それで何月何日に行きますよじ ゃなくて、この瞬間に警察が来た、この瞬間に救急隊が来た、この瞬間に私のように夜 中の2時まで相談員をやっている、危機介入の相談員が来た、そのとき家族と本人を切 り離すために、本人が家にいたいと言ったときに、家族が救急の感じでレスパイトケア を利用するような形にすれば、不幸な事件が避けられたり、または本人の強制入院も避 けられるという事をたくさん私は目の当たりにしています。それが1点です。  ですから、長尾さんなんかも家族の味方をしますけど、大変なのは、親亡き後ではな くて、高齢の親を持っていて、この親をどうしたらいいのかと。4人の子供がいて、よ く考えてみたら、精神障害者の子供としか暮らせない親ってたくさんいるんですよ。私 もそうでした。そういう親に対するサービスが、もしかしたら高齢者福祉かもしれませ んけど、それが1点です。  それから、さっき新保さんが、入ってきたときに啓発の話をしていたんですけど、私、 精神医療の被害者になって精神科の患者ということに偏見を持ったんですね。そして精 神障害者の地域作業所へ行って、初めて精神障害者という言葉を覚えて、そこで偏見を 持ったんです。  ですから、社会に訴える前に、精神の検討会で言っていますけど、まず私たち自身、 精神障害者の業界、行政を含めて自己改革をする必要があると。  それともう一つ、精神病院に行きますと、お見舞いに行っても病棟に入れてくれない。 それを先日、ニッセイカイに言ったんです。経営者や医師がいいと言っても、看護者が 病棟の中に入れない。そういうことがたくさんあったんです。それでは温室のような管 理された中で、患者はモヤシのような患者になってしまって、外に行ったとき物すごい ストレスを感じるわけです。そしてまた再入院という形になっちゃう。  本来は、こんな退院促進支援員なんていうところにお金をかけなくても、ほかの病気 と同じようにお見舞いに行ける様になっていれば、そんな人たちがもぎとってこなくて もいいんだけど、国の施策のツケと、病院の経営的な問題の中で、精神科の患者が被害 に遭っている。いわゆるもう一つの拉致事件ですから。人権侵害が起こっている。北朝 鮮の拉致ばっかり騒ぎになって、横田めぐみさん、彼女はもし生きていれば北朝鮮の精 神病院に入院しているのに、あんなに親は帰ってきてほしいと言っている。ところが日 本の精神障害者の家族はなるべく帰ってきてほしくない。同じ拉致被害者の家族でもそ れだけの違いがあるということで、私はとても悲しい思いをしていますね。  それで、厚労省にお願いしたいのはこういうことです。ある精神科の看護者の話を聞 きましたら、個人情報保護条例ができたことによって、精神病棟に入れない。入れるの は家族だけだ。しかも、はとこまで入れる。今どき、はとこまで付き合っている親族が どこにいますか。私なんか兄弟だって忙しくて付き合えないんですから。そういう意味 で考えると、そんなくだらないこと、時代錯誤なことを言っている前に、今まさに星野 さんが、民法を改正したらどうかと言っている。そこで家族以外の人もお見舞いに行っ たら病棟に入れるように行政してほしい。  それと、今日たまたま野沢さんが隣にいるから本当にいいんですけど、精神と名がつ くと怖いというふうに思っている人が国民の中にたくさんいると。その責任はマスコミ です。私たちが歩いていって「精神障害者って怖いですよ」とか、そういうことは言わ ないんですが、それから、家族が愚痴をこぼす相手を家族同士にするとか、専門家にす るとかしないと、子供たちのことを愚痴っておいて「精神障害者に正しいご理解を」と。 一番ご理解してもらいたいのは家族ですというふうなことがあります。それから専門家 ですと。  マスコミが、毎日新聞さんは精神科の入院歴とか通院歴を出すのをやめたんですけど、 この間、ほかの問題で、光事件、光市の。あの事件で報道が一方的に被害者の言い分ば っかり報道していたということで、何とか委員会から勧告を受けているんですね、毎日 新聞の記事で知りました。ああいう委員会に私たちも持ち出して、精神疾患者のいわゆ る事件報道について、毎日新聞だけではなくても、NHKから民放全部の、それから時 事通信、共同通信、新聞社に至るまで、絶対に精神科の入院歴や通院歴はプライバシー だから出さないと。ましてや病名なんかとんでもないという形で、そして、報道で、本 来はスウェーデンのように匿名報道が望ましいけど、日本は実名報道なんだから、そこ のところはどう工夫していくかということを、ぜひ野沢さん、よろしくお願いしますと いうことで、今来たばっかりですから、もしずれていたらすみません。  それから、精神障害者というのは、国が言う精神障害者は、精神疾患で医療機関に入 通院している303万人ですけど、実際には、手帳が出ている人は、精神疾患により生活 のしづらさを抱えている人ですね。そういうことですから、もし精神疾患をいろんな教 育とかで啓発するならば、先日、難病の方が45の特定疾患があるとおっしゃっていたわ けですよ。それ以外にもあるというわけだから、そういうほかの病気と一緒に学ばせな ければ、なぜか精神疾患だけ突出しているのはおかしいというのが1点と、それから障 害で学ばせるのならば、高齢化を含むいろんな社会的障害者の問題を学ばせるときに一 緒に学ばせないと、精神だけが突出しているということは、逆に何か違うんじゃないか なというふうに私は思っています。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  大変幅広い観点の中で、地域移行の前に私たちが考えなければならない提案がなされ たと思います。広田委員の論点の中で、ぜひ精神障害の部会の中で対応していかなけれ ばならない要素がたくさんあったと思いますので、この点はぜひそちらの部会のほうで も掘り下げていっていただきたいと思います。  ほかに。どうぞ、竹下委員。 ○竹下委員  時間をとらないように、大きく1点。  僕は抜本的改正の論議と言われている割には、ほとんどが手直しの論議をされている のではないかということを非常に残念に思います。それぞれの指摘は非常に重要な部分 が多いわけですけども、僕は何が抜本的に欠けているかと言えば、当事者から―広田 さんの今の意見は一つ、ある意味では当事者の声で、僕は重要な視点が出たと思うんで すけども、当事者が不在になっている議論をしていないでしょうか。  例えばこの全体像、そこにこう書いているわけですね。まさに「普通に暮らせる地域 づくり」と書いていますけれども、「普通に暮らせる」というのは、だれから「見て普 通に暮らせる」なんでしょうか。例えばそれを行政や、あるいは団体が、あるいは特定 の人がそれを普通だと言うのはやっぱりナンセンスなわけですよね。やはりあくまでも 当事者である本人が地域でどういう暮らしを望んでいるか。言葉で言えば自己決定権だ ろうと思うんですけども、それが「普通の」ということだろうと思うんです。  したがって、あくまでも普通の暮らしというときに置き去りにされてならないのは当 事者の声、当事者の意見、当事者の希望だろうと思うんですね。したがって、当事者が どういう地域での生活を望んでいるかということになれば、まず理念的に大事なのは自 己決定権であり、その自己決定権を保証するためのシステム、すなわち本人の地域での 暮らしを自分で決められるだけの、いわば求める権利、請求権と言ってもいいと思うん ですが、そういう形が自立支援法に組み込まれていなかったら、どこにも自立という言 葉に結びつかないはずだと思うんです。  したがって、地域移行のところで、先ほど例えば施設から追い出すのかとか云々もあ ったと思うんですけど、僕はそこはまさに自己決定権との関係、あるいは地域移行をだ れの視点で決めるかではなくて、本人の希望によって、施設での生活を望むのか、地域 での生活を望むのか、あるいは、場合によっては1年を超えたら、精神障害者の場合特 に1年という基準はどこから来るのか、私は医学的には分かりませんけれども、1年を 超えたら、決してそれは社会的価値として否定されるととらえたら大間違いだと思うん ですよ。そうではなくて、社会資源との関係で退院が阻害されているとすれば自己決定 権の侵害であって、そうではなくて、入院生活を希望するのか、地域での生活を希望す るのかが選択できる環境、あるいは社会資源づくりということで物事を考えなければ、 障害者自立支援法そのものの地域での普通の生活ということは実現しないと思うんです。  そういう意味では、抜本的と言うからには、当事者である障害者が自分の望む地域で の生活、あるいはその地域というのはどういう範囲を指すのか分かりませんけれども、 例えば1つ分かりやすい例で言えば、グループホームやケアハウスは地域ということに なると思うんですけども、じゃ、それを普通と言うのか、言わないのか。それは理屈の 話じゃなくて本人が決めることだろうと。そういうふうに考えてくると、コーディネー トする場合であろうが、社会資源をつくり出す場合であろうが、本人が望む地域での生 活内容というものをまずイメージすること。そして、それを実現するためのシステムを 請求という形で実現できる法制度が絶対に必要だというふうに思います。  以上です。 ○潮谷部会長  選択権と自己決定権ということでの竹下委員の発言でございましたが、この点につい て事務局のほうで、ただ今の竹下委員のことについてコメントがありましたら、お願い したいと思います。 ○蒲原企画課長  まさに障害がある人が、先ほど出た普通に暮らすとかというところについて言うと、 まさにご本人が主体となって考えるという基本的なことだというふうに考えております。  今、竹下委員がおっしゃったことは、非常に制度をつくるとき、基本に関わるという ふうに思っております。今日はまさに、先ほど言ったように、ある地域生活といっても 狭い意味のところですけれども、いろんな相談支援を初め、論点ごとを一個一個詰める ときに、おっしゃっているような視点をきちっと入れた形でこれから考えていくという ことだというふうに思っておりますので、そうしたことで事務局としてもこれから資料 をつくっていきたいというふうに思っております。 ○潮谷部会長  皆様方の中で、この全般について、まだご意見、おありと思いますが、相談事業のと ころと関わりもございますので、もしそちらのほうで、この地域移行について継続的に お話を承るということでよろしければ、今日は国土交通省のほうからも参加していらっ しゃいますので、住まいの場の確保ということでお話を進めさせていただきたいと思い ます。  今日は非常に広範な範囲の中からお話をいただいておりますので、前半に相当時間を とられて、なおかつまだ不消化状態ということでございますので、これは次のところに しっかりと受け止めさせていただくということでよろしゅうございますでしょうか。  ありがとうございます。  福島委員、お願いいたします。 ○福島委員  後半でいいんですよね、後半のテーマで。私はそれをずっと待っていたんです。  グループホームのことと、それから福祉施策全般のコストということについて、少し だけお話ししようと思います。  グループホームのことは、先ほど竹下委員もおっしゃったように、基本的には自己決 定で取り入れていくのがよいだろうと思います。恐らくこの後、大濱さんも発言なさる んだろうなと思いますが、今日、参考資料の新聞記事なども出ておりますので。1人で、 重度の障害を持っている人が地域で暮らすということがすごく重要だと思いますので、 そのこととグループホームの問題を考えたときに、グループホームは比較的、経費が相 対的には安くあがるので、そっちのほうに行ったほうがいいんじゃないですかみたいな 圧力が、あるいはバイアスがかかってしまうと、それは本末転倒ですので、グループホ ームの対象者として、知的・精神だけでなく、身体障害を含めるということについては 賛成なんですけれども、ただ、あくまでもそれはご本人やご本人の代わりになれるよう な身近な人が決めることであって、1人でアパートで暮らすという選択肢もあるし、グ ループホームに入って暮らすということもある。あるいはそれを移行しながら、その時 々の状況で変えていくということも必要だろうと思います。どちらか二者択一ではなく、 選択肢を実質的に用意するということですね。  もう一つは、今日たまたま大濱さんが9月2日付の読売新聞の記事を資料で出されて いるので、点字ではなかったんですけれども、早目に来たから、ざっと読んでもらって いて、象徴的な記述があるんです。重度の障害者が24時間介護を受けてずっと1人で暮 らそうと思った場合、最大で、マックス1,800万円かかるという数字が出てくる。これ は、読む人によっては、こんなに金かけるのか、障害者1人のためにこんなにかかるの か、けしからんことだというふうに読む人もいるかもしれない。だけど、もちろんここ にいらっしゃる皆さんはご承知のとおり、これは障害者自身に渡しているお金ではなく、 しかもどこかに消えてしまうお金ではなく、事業所で働く人たちであるとか、あるいは 様々な形でヘルパーで関わる人たちの人件費になっていく、すなわち雇用が創出されて いるということです。しかも、障害者自身が何かぜいたくをしたいと思って必要なお金 なのではなく、本当に人間としての最低限度の文化的な生活をするために必要な経費と してのお金であって、さらにそのお金は、例えばほとんどだれも通らないような道をつ くるとか、ほとんど人が使わないような保養施設をつくるとかというようなことに使わ れるお金ではなく、非常に生きてくるお金ですよね。雇用が創出されている。さらにこ ういう1,800万円という数字はセンセーショナルですが、無限にあるのではなくて、一 定のケースでしか、一定の数しか、そういうケースはない。  そう考えたときに、重い障害を持った人が1人で暮らすときに必要な経費をこの国は 賄えないのかという、とても寂しい思いにぶつかるわけです。ぜひこれは、福祉施策の コストは無駄だとか、障害者に金をかけても社会の無駄だというような発想があります が、そうではなく、さっき野沢さんもおっしゃっていましたが、本人が変わるというこ とは周囲が変わるんです。そして地域が変わる。それは社会が変わるということです。 そのために必要なお金なわけで、必要なコストなんだということを、厚労省としても強 く主張していただいて、財政当局なり政治に働きかけていただきたいなと私は思ってお ります。よろしくお願いします。 ○潮谷部会長  お待たせをいたしました。福島さんからの意見では、自己決定、自己選択、それはと ても大事なことだけど、その一方の中で、権利の代弁者というようなことも、この中で は施策として考えていく必要があるのではないかということと、コストの問題は、決し て単独にその方だけに使用されていくものではないという、大変幅の広い観点からのご 指摘だったと思います。  報酬基準改定ということで大濱委員からも出されております。ただ今、福島委員のお 話では、大濱委員も待っていらしたんじゃないかということですので、どうぞよろしく お願いいたします。 ○大濱委員  大濱です。資料を今日提出させていただきました。まず、福島委員からご説明あった読 売新聞の記事について。これは「『自立』に介護不足の壁」ということで、コストの問題 で実際に介護者がいないという問題です。これは報酬に関わってきますが、報酬のことは 次回以降に改めて議題設定されることになっていますので、今日は報酬単価がどうのこう のという具体的な話はしません。ただ、24時間の重度訪問介護を受けた場合のコストが 年額1,800万円という話も出ました。実際に24時間の介護を受けながら勉強して、司法 試験に合格して、現在司法修習を受けている者が私たちの仲間にいます。このような形 で、介護の費用は必ず社会資源としてにきちんともう一回戻ってきますし、雇用も新たに 生まれています。実際にこのように障害者が就労している現実があることも忘れないでい ただきたいと思います。  また、これは竹下委員の話とも関係してきますが、国連の権利条約が20カ国で批准さ れて、発効しました。この中で「障害者が、他の者と平等に、居住地を選択し、及びどこ で誰と生活するかを選択する機会を有すること並びに特定の居住施設で生活する義務を負 わない」あるいは「地域社会における生活及び地域社会への受入れを支援し、並びに地域 生活からの孤立及び隔離を防止するために必要な在宅サービス、居宅サービスその他の地 域社会支援サービス」と言うことがきちんと謳われているわけですね。地域生活の支援の テーマは今後どうしても条約批准の問題とリンクしてきます。  トップページに戻っていただきたいのですが、地域で暮らしたいのに暮らせないという 声が非常に大きく上がっています。読売新聞の後に朝日新聞の記事を資料として付けてあ りますが、裁判まで起きているという事例が両方の記事で書かれています。課題の1点目 は、訪問系サービスの支給量に対する国庫負担基準の制約がやはり問題になっていて、国 庫負担基準を廃止、もしくは何らかの新たな対策をとっていただかないと、とても地域で は暮らしていけません。2点目は、先日のヒアリングで町村会長が、25%の市町村負担も 非常に小さな市町村には重くのしかかっている、町村ではとても面倒を見切れないと言わ れています。そのあたりを今後どうやって解決していくのかも大きな課題です。  それからケアホームの話がありましたが、東京都でいっとき問題になって、都内の各区 市町村全部にケアホーム・グループホームを建てようという計画も有ったとも聞いていま す。市町村は上物をつくるのは非常に得意ですけど、これには危険性もあります。という のは、介護に要するコストが安いからということだけで、本人は地域で暮らしたいのに、 この施設が今空いているから入りなさい、グループホームがあるから入りなさいと、自己 決定ができないようなことになると、非常にこれは問題です。ですので、権利条約も視野 に入れた上で考えると、やはりケアホーム・グループホームの在り方についても、そのあ たりをきちんと考えていただきたいと思います。  あと、訪問系サービスの基盤整備について、低賃金でヘルパーが足りない、支給決定を 受けたのに利用できないという問題を読売新聞も朝日新聞も書いていただいています。読 売新聞は9月2日です。朝日新聞は特に9月18日の記事で書いてあります。支給を受け たがヘルパーがいないので地域で暮らせないという事態が、現実問題として発生していま す。やはりこれをきちんと解決していかないと、この部会は理念との乖離が大きすぎて意 味をなさないのではないかと思っていますので、この部会の重大な課題として、今後の方 針をきちんと考えていただきたいと思います。  最後に、厚労省の資料に対しての質問ですが、24ページでヘルパー利用者数の地域間 格差が縮小していることが示されています。これは人数の面からの指摘ですが、問題は人 数だけではなくて、支給量の格差がどうなっているのかも重要です。そこで、各都道府県 における金額ベースの格差がどうなっているのかについてもきちんとお示しいただきた い。利用者数だけでは格差が埋まったということを証明できないと思いますので、お願い したいと思います。  それで、資料の22ページを見ていただければ分かりますが、重度訪問介護の利用者数 は7,000人ぐらいで、ほとんど1%しか伸びていません。この9ヵ月間は7,000人強でず っと推移していますね。これはやはり新聞に書かれているように、ヘルパーを利用したい けど支給が受けられない、支給を受けてもヘルパーがいないという問題の現われだと思い ます。さらにケアホームの対象が安易に拡大されれば、あなたは地域で暮らしたいかもし れないけれど、重度だからとてもじゃないけど無理でしょう、どこかグループホームに行 きなさい、ケアホームに行きなさい、それのほうが安心ですよと、区市町村から誘導され ることになります。この様なことがないように、地域生活の支援の問題をきちんとこの部 会で解決できるように進めていただくようにお願いします。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  それでは、ただ今の資料については、後日で結構でございますので、お出しいただき たいと思います。  それと、ただ今の要望等々についても受け止めをお願いしたいと思います。  何かございますか。 ○藤井障害福祉課長  先ほどのホームヘルパーの関係の地域格差に関する資料、利用料ですとか、金額とか、 その辺りは後ほどまた整理をいたしまして、ご報告申し上げたいと思います。  それから、幾つか大濱委員のほうからのご提案の中で、これはまさにこれからの、そ れぞれこれからの検討事項ではございますが、1つだけコメントということで申し上げ させていただきますと、2つ目の、いわゆる小規模市町村等に対する財政支援という、 財政調整の仕組みにつきましては、これはもう今さらかも分かりませんが、念のために、 当初、ここに大濱委員からの資料にもございますように、平成16年の改革のグランドデ ザイン案の中で言及をされておりましたけれども、平成17年のこの障害者部会でご説明 をさせていただいておりますが、自立支援法を制定する過程で、関係省庁―総務省と の調整の過程で、障害者施策につきましては地方自治体の一般財源でもって賄われてい る、逆に言えば、特段の特定財源等々になっていないということもございまして、こう いった財政調整につきましては地方交付税の仕組みの中でやるべき性質のものであって、 新たにこの障害者施策だけについての調整交付金を創設するということは困難だという ようなことで、これはかなり総務省と当時、折衝したようではありますけれども、制定 時におきましてはそういった結論になったということを、ひとつ、念のために申し上げ ておきたいと思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  どうぞ、お願いいたします。  伊藤委員。 ○伊藤委員  伊藤でございます。  第1ラウンドでちょっと話ができなかった点もありますので、そこも加えてお話を少 しさせていただきたいと思います。  まず、随分今日は、さっき広田委員が言われたとおり、精神と知的の方の話が多くて、 私も実は身障の入所施設の代表でございますが、まずもって、地域移行を利用者の方々 がためらう大きな理由の1つには、今大濱委員からお話があったとおり、地域生活を支 える人材がきちんと確保されていない。実際、市町村は、地域移行は大いに結構なんで すが、とてもヘルパーをそこまで支給できないので、できればボランティアを一緒につ けてほしいなんていう冗談めいた話が出るくらい、各町村では大変なご苦労をされてい ると。そういった意味では、今課長のほうからもお話がありましたが、しっかりとそこ は確保すべくご努力をいただきたいと、かように思います。  最初の、先ほどの第1ラウンドの話なんですが、私どもは、先ほど言いましたように、 入所施設ということで、入所施設の役割でございますが、その中に、6ページの課題の 中のポツに、「地域移行が可能な者についての移行の支援」ということがここに書かれ ております。  18年4月から、私のところの施設では4人の方が地域へ、施設から移られました。具 体的に申しますと、1人は自己負担の問題で出ざるを得なかったと。あと1人はALS の人工呼吸器の方で、最後のみとりは家族でということでお帰りになられた。ノーマル 的な物の考え方で言えば、あとの残りのお2人は望んで自ら地域へ移行されたんですが、 どうも私どもの中にも地域生活支援推進委員会ということで、私たち施設協議会として も積極的に地域移行への取組をしておりますが、どうもその報告を見ますと、成功例が 大変大きく報じられて、実際、失敗例がなかなか見えてこない。私なんかも、実はその 失敗例もどんどん出していただきたい。どこが問題なのか、そこをみんなで考え、みん なで直して、よりよい地域での生活、安心・安全を提供できるようなものにしていきた いということを常々お話ししているわけですが、実は私どものところでも、地域移行を したという方の失敗例なんですが、実際は地域移行をしたいという利用者は、地域移行 に対して大変パラダイムを持っていまして、大きな希望を持って出て行かれたんですが、 地域移行をされたんですが、一番先に失敗されたのは夜だったんです。昼間は私どもの 通所を利用して、例えば今日は3月31日、みんなから、現場から花束をいただいて、今 日は退所日ですなんていうことはないです、翌日からまた通所を利用しているんですけ どね。それでも、そういった大きな夢を、希望を持って出ていかれた。しかし、昼間は そういったいろんなサービスの利用ができるんですが、夜1人になってみて、自分でで きるであろうと思い描いていたことが意外とできていない。そこに実はトラブルがあり、 事故につながりかねないようなことも起きているやに伺いました。  そこで、施設の役割として、できれば、この前のページにちょっとヒントがあったん ですが、5ページの「移行のための宿泊等の体験を支える給付」ということで、2のと ころ、そういった宿泊の体験があるといい。なかなか、そういった者を外に、重度の障 害者の方々は2泊3日で外でということがなかなか難しいと思うんです、現実的に。で きれば相談支援事業と絡めて、今現在利用している施設の中で、そういった個別の計画、 地域移行に向けたプランを立てる。そして、きちんとそれを見てあげる、評価をしてあ げる。十分な訓練をして、リスクを一つ一つつぶして、自信を持って地域に移行できる ようなものをつくってあげないと、どうもその先が不安でならないと思っているのは、 施設だけじゃなくて、利用者ご本人ではないかなと思っておりますので、その辺のとこ ろもお考えになっていただければなと、このように思っております。  2つ目は、住まいの場の確保でございますが、地域移行がなかなか思いのほか進んで いない中で、私どもの会員施設の中の多くの声が、ケアホームが欲しい、地域移行への 1つのステップとしてのケアホームが欲しいと。こういったことで、これは私どもの施 設だけじゃなくて、いろんな身体障害者のほうの方々から、ケアホームの設置許可をい ただきたいやの要望が出ているかと思いますが、ここは、ただ軽い方だけが行けばいい んだというようなものじゃなくて、いろんな方に地域移行の選択肢の1つでやる、また そういった幅を持っていただく場を与える、そして今言った次へのステップを広げてい くという意味からも、ご検討をしているかと思いますが、身体障害者のグループのほう にも、ケアホームの精神・知的と同じように認可をいただきたいと、かように思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  小板委員、お願いいたします。  小板委員の後に、岩谷委員、お願いいたします。 ○小板委員  すみません。実は今、先ほどからお話をずっと聞いておったんですけれども、私ども の施設へお入りいただくというのは、近年は、特に養護学校の人たちは少なくなってき ているというふうに思います。中途入所という形でお見えになる人たちというのは、や はり今多いのは、60歳くらいになって、就職がもうこれで消えてしまって、家庭に帰っ てくるということで、それでもう家におられないものですからお入りをいただくという 人たちも多くなってきています。  それから、あとは家庭の中で、就職をしていたんだけれども、就職が駄目になって、 そして家庭の中でいろんなことが起きてくるようになって、家庭内暴力が発生をしてく るということで、家族がとてもたまらないということで入所を希望されてくるという、 そういう事例がすごく多くなってきていることだけは事実だろうというふうに思ってい ます。  およそ、今までの入所してくる人たちというのは、やはり地域生活ができなくて、家 庭の中でも問題行動があって、それで施設の中にお入りをいただくということなんです。 それで、また自己決定とか自己選択とかということについては、親が全てやってしまっ ているわけですから、自分の本当の自己決定とは何かということが分からないという人 たちもたくさんいるわけなんですね。また、自己決定がいいということで聞いてみると、 それは反社会的なことであったりとかいう話もあるわけなんです。  そこには、長年にわたる教育というか、療育というか、正しい物の考え方を教えてい く、そういうことが長年にわたって継続されていかないと、そのことは正しいというふ うにはならない。だから、選択するということについても、私どもは最初に何をするか といえば、例えばご飯を食べるにしても、自分でつけるのか、つけないのかという、そ のことが大切なわけですね。それから、選択メニューというのをやるんですけれども、 これを自分で、そばなのかラーメンなのかということは非常に大切なことだと思うんで す。そこから、じゃ、どちらが私は好きなのかというところから出発していかないこと には、我々は何が正しいのかということを教えることはできないという、そういう、そ の人の能力にあって、あるいはその能力を開発していく中で選択性を身につけていくと いうことなんですね。  これは多分あなた方も同じように、一生涯これは続くことだろうというふうに思うわ けですね。そこの一等初めの扉を開いてあげるのが我々の役割ではないかなというとき も、たくさんその事例に遭うことがあります。まず、そういう意味で大変だということ です。  それからもう一つは、地域移行ということなんですけれども、グループホーム制度が できてからもうどのぐらいになりますか、20年、もっとなりますね。なるんですけれど も、実際につくってきたのは施設、特に入所施設がつくり上げていった例が多いと思う わけですね。岐阜県でいけば、NPOとか、あるいは精神とかということは別とすれば、 全体のグループホームの中の85%ぐらいは今、我々の施設の仲間がやってきているわけ です。グループホームを1つつくって、そして開所するまでの間には大変なことがたく さんあるわけですね。親の理解を得なければならない、もちろん出ていく人たちの意向 も酌まなければいけない。それも正しいのかどうなのかという判断もあると思います。 それから、実際にグループホームをつくろうとしても、反対が起きれば、これはできな いわけですから、それを説得してつくっていくことにもなっていくわけです。  そうすると、そのグループホームをつくるという、あるいはそこを開所して、そして 支援をずっと継続していくということは、実は大変な努力が必要ですし、多分そのこと は、開所している、運営している施設の人たちというのは、もう百も承知の上でやって いるはずだというふうに思っているわけです。我々は決して地域移行がいかんとか、ど うとかこうとかという話ではないわけですね。積極的にやろうとしているんです。だけ れども、実際にはかなりいろんな意味で厳しい意味があるわけです。  それからもう一つは、どなたか言われたと思うんですけれども、グループホームの本 当の意味の内容というのは、要するに施設管理を排することだというふうに言われたと。 ところが今は全く施設管理と同じことがなければ、グループホーム・ケアホームになら ないというところまで来てしまっているわけです。ここは一体全体どう整理するのかと いうことだろうと思うんですね。  だから、もう少し物事を考えていくと、そういうことではなくて、その人たちがどこ にいてもやはり幸せに暮らしていく、あるいは前を向いて幸せに暮らしていける連続し た支援というのが必要なのではないかというふうに理解をしているところです。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  お願いいたします。 ○岩谷委員  岩谷です。大濱委員の身体障害のグループホーム・ケアホームが必要であるというこ とは、本当にそのとおりだと思います。しかし、これを考えていく上に、高齢者の方々 も全て含めるのかということは考えなければならない問題と思います。介護保険では対 象になっていないと聞いておりますし、現実的にはかなり考えなければならない点があ るのではないかと思いますので、ぜひ問題点として検討して頂きたい。  どうしたらいいのかということは私には分かりません。非常にご高齢で、介護保険の サービスを利用してもお家に帰れないというような方も大勢おられます。その方たちの 中で、身障手帳をとりたいと希望される方が多くおられます。その人たちが自立支援法 の支援サービス利用を希望してこられたときに、どういうふうに整理していくかという ことは大きな問題になるんじゃないかと思います。 ○潮谷部会長  問題点の指摘として、よろしくお願いいたします。  嵐谷委員、お願いいたします。 ○嵐谷委員  私もグループホーム・ケアホームのことで、いわゆる身体障害者のほうで、大濱委員 は、いわゆる自己決定権が薄れてくるのではないかというふうな視点がございますが、 伊藤委員は、ぜひともというふうな意見もございましたが、私としても身体障害者、こ の自立支援法そのものが、いわゆる3障害を基に考えられておるというところに、そう いう必要性があるというふうに思います。  また一方で、公共住宅の利用というふうな部分がありますが、地域によっては、建物 がない、住宅がないというところもありますし、ましてや、意外と交通の便の悪さ、生 活上に非常に困難を極めるようなところに公営住宅というのが多いように思います。そ の点で、障害者が果たしてそういうところで実際、生活ができるかどうかというところ が大いに問題点になろうかと思います。  もちろんいろいろな条件はあろうかと思いますが、ただ今、先ほど、高齢者の障害者 というような話もございますが、これはまた別問題になろうかと思いますが、私も常々、 高齢ゆえに、八十何歳になって障害者手帳をもらうということ自身に物すごく不自然な 感じを持っております。高齢であれば当然ある程度の障害が出てくるということはある ので、ある一定の年齢で障害手帳は出せませんよというふうなことも考えればいいのか なというふうなことも思っております。  そういうことで、ぜひともまた、グループホーム・ケアホームについてもご検討をよ ろしくお願いいたします。  以上です。 ○潮谷部会長  嵐谷委員の1つの意見として、制度設計のときによろしくお願いいたします。今、嵐 谷委員のほうから、今まで論点として上がりながら、皆様方からご意見がなかった13ペ ージの点に少し……。  この13ページに関してでございましょうか。新保委員、お願いいたします。 ○新保委員  13ページに福祉部局並びに国交省とのマニュアルを作成するということが書かれてお りますけれども、これは大変重要なことなので、ぜひやっていただきたいというふうに 思っているところなんですが、このことに関連して、ぜひ、ただ単に部局同士の連携な いしは国と地方との連携というだけでなくて、住民に対応するマニュアルも含めてマニ ュアル化していただきたいと思います。私どもも実は10年ぐらい前に、住宅部局と福祉 部局と連携して、双方がこの公営住宅を使うということについて合意をしていただいて、 ようやくそこをグループホームにしようと思いましたら、住民のほうから反対運動が起 きました。そしてそこに、実は福祉部局と住宅部局の方が同席してくださったんですが、 それぞれがまちまちなことを言って、ますます住民に不安を生じさせてしまったという ことで、そのグループホームができなくなってしまったという実例がございます。  これは恐らく私のところだけじゃないんだろうというふうに思いますので、そういっ たことも含めてマニュアルをつくっていただきたいということと、併せて12ページに書 いてあることで、公営住宅についての応募倍率が、平成18年度、9.6倍というふうに書 いてあるんですが、これはどういった公営住宅に対する倍率なのか、ちょっと理解でき ないところがあります。  というのは、これは新たに設置した住宅に対する倍率なのかなというふうに思ってい ますが、古い公営住宅等は、実は空き部屋が結構あるというふうにも聞いております。 住宅供給率を何とか住宅部局では高めるために、公営住宅をグループホームに使ってく ださいというようなことさえ私は言われた経験がございますので、この数値はどこから 出てきたのか、どういう数値によるものなのかということをちょっと聞きたい。  それは、先ほど、公営住宅に関連して、交通の便の悪いところにばっかりあるから、 障害者は利用できないよというような話もございましたけども、実際に交通の便の悪い ところにあって、しかもすごく立派で、高い家賃の公営住宅―高いというのは田舎に してみますとですね―高い住宅、でも、これは私どもの施設に近いからちょうどいい やというふうに思ったところは、実は新しい建物でもガラガラ空いていました。ですか ら、そういった実態を承知しているんですが、それはたまたま私の周辺のことだったの かどうかという確認も含めて教えていただければありがたいというふうに思います。 ○潮谷部会長  岡崎室長、よろしくお願いいたします。 ○国交省岡崎住環境整備室長  この倍率は、新規と空き家募集とを含めた数字です。  言われるように、実はバブルの後のころ、総需要といいますか、公共事業を大変進め たときがありまして、その直後に関して言うと、公営住宅の空き家というのは全国的に 結構あったという時期がございます。ただ、その後、景気が悪くなって、あるいは労働 者の賃金が上がらない状態が続く中で、ほとんど、かなりの多くの事業主体で空き家と いうのが、少々条件が悪くても、古くても、周りの高いところに入るよりはという方々 が増えてまいりまして、かなり埋まっております。  平成10年ごろが多分、底だったと思います。このときは確かに空き家がかなり多かっ たんですが、現在ですと、応募倍率、18年度で9.6倍、1つ前の17年度だと概ね約10倍 という状況になっておりまして、空き家が全国的にたくさんあるという状況ではないと いうような認識を持っております。 ○潮谷部会長  新保委員、今の説明でよろしゅうございますか。 ○新保委員  はい、ありがとうございます。 ○潮谷部会長  じゃ、どうぞ、お願いいたします。 ○星野委員  私どもは要望書を出していますので、そこの点に絡んだところから話します。  私どもは福祉ホーム事業が市町村事業になってしまったことからあと2年で終わりと いう市町村があるということをたくさん聞いたり、あるいは新しく設置が進んでいない 中で、グループホーム・ケアホームの良質なサービス提供を前提とした選択肢として、 一体化を言っております。  その中に、一つは広がりとして公営住宅、民間アパートの話がありますが、1ページ の下のほうに出ておりますように、公営住宅を広げていくことは賛成です。ただ、サポ ート事業等との連携をきちんと前提にしていただきたい。要は、福祉ホーム事業のとこ ろでも、管理人がいるとか、緊急コールで対応ができるとかという安心感がありました ので、そこはまず一つ、公営住宅についてはそういう配慮も、サポート事業との連携で 前提にしていただきたい。  それから、民間賃貸住宅、今日は「あんしん賃貸支援事業」のパンフレットも挟んで ありましたけども、実質的には、今現在12都道府県しかやっていない。紹介住宅件数も 103件ということで、非常に少ないわけです。こういったことをもっと促進方策をきち んとしていただきたいということです。  それから、せっかくですので、すみません、短くまとめて話させていただきます。  要は、私たちはグループホーム・ケアホームを分ける必要ないのではないのかと言っ ているのです。福祉ホームも含めて地域生活ホームという事業に一本化してほしい。そ の中で、個室を前提とした共同生活の場と、現行の福祉ホーム事業のように個人生活を きちんと支援する場と、その支援の体系での給付に整理をしたらどうかということを言 っております。  それから、地域生活支援の場を広げていこうとする時に、とても心配することが今起 きております。2ページ目の最後に書いておきましたけども、都市計画法が昨年11月に 改正されて、社会福祉施設等は都市計画法の適用除外だったんですけど、昨年の11月末 からですが、許可制になりました。そのことで大変厳しくなってきているということ。  それから、租税特別措置法で問題になったのが、日中活動系の、通所系も含めてです が、第2種社会福祉事業になったことで特別控除の対象から外れました。そういうこと でつくりづらくなった。大変、住まいの場も含めて、日中の地域生活の支援という体制 がやりづらくなってきた現実もきちんと見ていただきたいというふうに思っております。  以上です。 ○潮谷部会長  ありがとうございました。  都市計画法と、それから租税特別措置法、この問題は何かコメントございますでしょ うか。 ○国交省岡崎住環境整備室長  まず住宅関係のほうから、実は私のほうは開発許可の担当ではないので、住宅関係の ほうから申しますと、言われることはごもっともと思っていますし、やっぱり私どもは 単に住宅をつくっておるだけでなくて、そういうコミュニティー、コミュニティーには 健常な人もいらっしゃるでしょうし、障害者もおられるでしょうと。それが隣で見られ ると、感じられるということが健全なコミュニティーの大前提であろうということで、 基本的には推進していくというのが立場でございますし、公共団体さんにもなるべくや ってくださいという話をしているところでございます。  ただ、これは公営住宅でも、それから民間アパートでも同じ話なんですけれども、や っぱり大家さんにとって、それにそういう方を入れることによって発生する新たな負担 というものが発生しますと、これは大家さんのほうも登録になかなか踏み切ってくれな いというのが、本来であればそんなことをせずに、当然普通の人として受け入れて、普 通に処遇するのが当たり前だと思いますが、実際にそういう負担が出ると、そこで区別 してしまうという状態が発生するだろうというのが普通の考えだなと思います。  ですので、先ほど言われましたケア、先ほど、公営住宅をグループホームに直すとき に、かなり地元からというか、町内会から反対があったという話なんですが、私も県の 課長をやっているときにグループホームを作成、公営住宅を転用しましてやるときに、 何遍も地元に、町内会に話をして、それは実現しました。  その過程では、町内会のほうは比較的、幹部の方とは別件でもずっとつき合っている ところだったのでよかったんですけれども、その他の関係者の了解をとるようなことも、 ある意味、大家さんとしての負担になってくるわけですね。その辺を制度的にサポート していただけると大変やりやすいのかなと、もっと増えていくのかなというふうに思い ます。  なお、今のグループホームは、実は知的障害者のグループホームだったんですが、で きた後は、町内会さんのほうから、大変いいものをつくってくれたというふうに大変感 謝されたという事例でもありますので、やっぱり食わず嫌いというのもありますので、 きちんとケアをして、問題がないということを見せていくというのが普及のためには必 要なのかなというふうにも思っております。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  お願いいたします。 ○藤井障害福祉課長  今の星野委員のご意見の中で、幾つかコメントをさせていただきます。  1つは、グループホーム・ケアホームの事業体系という、あるいは福祉ホームも含め てでしょうか。  福祉ホームにつきましては、ちょっと今のグループホーム・ケアホームと比べまして も、性格的にやはり異なってくるようなところもございますので、なかなかまた難しい 議論があろうかとも思いますが、グループホームとケアホームの分け方につきましては、 ある意味では法律上といいますか、法制度上の整理の問題なのかも分かりませんけれど も、現行の自立支援法上、サービスごとに内容とか目的といいますか、いわゆる当該事 業の機能に着目して整理をしておりますので、グループホームが相談その他の日常生活 上の支援のみを行うというような整理に対しまして、ケアホームは介護が必要な方を対 象とするということで、例えば程度区分に応じて、配置と報酬が異なってくるなどの整 理もしておりますので、そんなことで、機能的に異なるということで、現在の自立支援 法上は別の事業として立てられているという、そんな経緯になってございます。  それからもう一つ、星野委員の意見のこのペーパーで申しますと、一番下の(4)の 都市計画、それから税制の関係でございます。都市計画法の開発許可につきましては、 確かにこれは平成20年の4月ですから最近の施行ではございますが、これまで開発許可 が不要となっておりました社会福祉施設につきましても、市街化調整区域において、建 設費に当たりましてですが、開発許可が必要というふうになったところではございます が、一方で、租税特別措置法のほうは、ちょっと誤解のないように申し上げさせていた だきますと、第2種社会福祉事業でありましても控除の対象にならないということでは ございませんで、特別控除を受けるためには、事業の認定を要するということになった ということでございますので、事業の認定を受ければ、やはり特別控除の対象にはなっ てまいりますので、その点だけちょっと誤解のないように申し上げさせていただきたい と思います。  以上でございます。 ○潮谷部会長  ありがとうございます。  皆様、ご意見、まだたくさんあろうかと思いますけれども、時間がオーバーしており ます。それで、皆様方の中で、いろんな意見を言いながら、一体この意見がどんな深ま り方をしていくのか、なかなか見えがたいとか、あるいはどこで自分の意見を出したほ うがベターなのか悩むというような、そんな感じがおありではないかなと思いますけれ ど、座長といたしましては、まずは皆様方がどういう制度設計を考えているのか、ある いは現行の自立支援法がどんな問題や矛盾を当事者間にもたらしているのか、それを率 直に出していただいて、論点をもう一回明確に事務局側から出した上で、それをさらに 皆さんと一緒に論議をしていく。  つまり、今は個別的なことの中で論議を深めていっているところで、意見を言われる 側からすると、実はこの意見は相談事業にも関わりがある、あるいはコーディネーター の質にも関わりがある、あるいは報酬体系にもということで、発言の領域の幅みたいな ものがおありで、こういうふうに個別的に課題を出されるとなかなか言いにくいという ようなお気持ちになられるのではないかと思います。ただ今申し上げましたように、収 れんされていく方向は、ぜひよりよい自立支援法を皆さんと事務局との共同作業の中で つくっていくと。そのために、率直に、現場が抱えていること、当事者が抱えているこ と、こういったことを出して、事務局に実態を明確にする。  その段階の中で、論議が深まってこようかと思います。何となく雰囲気として皆様、 深まらないなというふうな感じを、司会をしていてもひしひしと感ずるところでござい ますが、ぜひそこは了解をしていただいて、本当によりよいものをつくってまいりまし ょう。  国土交通省もおいででございますので、住まいということに対して、皆さんがどんな ふうに受け止めていらっしゃるか、連携の中でまた深めていただくということもお願い しつつ、今日の会議をこれで終わりにさせていただきたいと思います。私はそういう方 向性の中で座長を務めておりますけれど、事務局、よろしゅうございますでしょうか、 こういう形で。 ○蒲原企画課長  今お話がありましたとおり、前回のときの議論を論点整理ごとにそれぞれご議論いた だいた上で、ある程度のものをまたどこかの段階で整理をして出して、かつそのときに は、まだまだ残っている問題も合わせて、より論点を明確化して議論を進めていきたい というふうに思っておりますので、今のようなことで我々としてもやっていきたいとい うふうに思っております。 ○潮谷部会長  それでは、時間も参っておりますので、今日の論議はこれで閉じさせていただきたい と思いますが、次回もどうぞ資料を読み込みながら、皆さんの活発なご意見を賜りたい と思います。  ありがとうございました。 ○蒲原企画課長  すみません、次回の日程の確認です。  次回の日程でございますけども、10月8日水曜日、午後2時からということになって ございますので、よろしくお願いいたします。  どうもありがとうございました。 (了) (照会先)     社会保障審議会障害者部会事務局                     厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部                       企画課 企画法令係(内線3022)