08/9/24 第48回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成20年9月24日(水)10:36〜12:01 2 場   所   厚生労働省 専用第18〜20会議室(17階)  3 出 席 者  前田雅英部会長 遠藤久夫委員 庄司洋子委員          対馬忠明委員 小島茂委員(代 勝村) 北村光一委員 松浦稔明委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 渡邊自修専門委員          <事務局>          榮畑審議官 榮畑審議官 佐藤医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○平成20年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされ た事項について           ○前田部会長  それでは、予定の時間、御案内した時間とちょっとずれて恐縮なのですが、ただいまよ り第48回の中央社会保険医療協議会の薬価専門部会を開催いたします。  まず、委員の出席状況について御報告いたします。  本日は、牛丸委員が御欠席です。それから、小島委員の代理で勝村委員が参加されてお られます。  それから、保険局長は所用で御欠席であるという旨の連絡をいただいております。  それでは、早速ですけれども、議事に入らせていただきます。  前回7月9日の会では、平成20年度の薬価制度改革において引き続き検討を行うこと とされた事項のうち、日本製薬団体連合会が提案していらっしゃる特許期間中の新薬の薬 価改定方式について、専門委員から御説明をいただきました。それで御議論をいただいた わけですけれども、前回専門委員からの御説明に対していろいろな質問、御意見が出され ましたので、今回その補足説明のために資料を提出いただいております。また、これに関 連して事務局からも資料が提出されております。  本日は、専門委員及び事務局からの説明を伺った上で、特許期間中の新薬の薬価改定方 式について、前回に引き続き御議論いただきたいと思います。  それでは、まず専門委員のほうから補足的な説明と申しますか、資料に基づいた説明を お願いいたします。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。よろしくお願いいたします。  7月9日に開催されました当部会におきまして、日薬連提案の特許期間中の新薬等の薬 価維持特例を骨格といたしました薬価制度改革案につきまして、禰宜専門委員から御説明 し、委員の皆様方から御質問、御指摘をちょうだいいたしました。  本日は、そのちょうだいいたしました御質問、御指摘を踏まえまして資料作成いたしま したお手元の資料に基づき、補足説明をいたします。  お手元に2つの資料を用意いたしております。  1つは、前回禰宜専門委員から御説明した日薬連提案の薬価制度改革案について、その 要旨を抜粋したものでありまして、御参考までに用意いたしたものであります。  私から補足説明をさせていただく資料は、「日薬連から提案されている薬価制度改革案 について−補足説明−」と題した資料で御説明をさせていただきます。表紙をおめくりい ただき、1ページ目をごらんください。  本日の説明内容ですが、前回ちょうだいした御意見、御指摘を踏まえまして、業界提案 の薬価制度改革案が導入された場合、どのようなメリットが患者さん、国民にあるのか。 次に、製薬企業の収益に関する御質問、御指摘を踏まえ、まずは医薬品研究開発の特徴に つきまして基本的に整理をいたしました。  そして、研究開発型製薬企業のグローバルビジネスモデルの変化についても整理いたし ました。また、そのようなグローバルビジネスモデルの変化に対して、現在日本企業はど のように取り組んでいるのか、そして、日本国内における革新的医薬品の創出がどのよう な疾患領域で現在進められているのかなどにつきましても分析をいたしました。  業界提案の薬価制度改革案が導入されたときの薬剤費のシミュレーションに関する補足 説明と、その際、我が国におきます医薬品の売り上げ成長パターンの変化につきまして、 イメージ的ではありますが御説明をし、最後に、今回提案の薬価制度改革案は特許期間中 の薬価維持特例等の初回の適用が平成24年度、すなわち2012年の4月適用を前提と しておりますが、本提案導入の企業業績への影響、まさに患者さんそして国民の利益とな る革新的新薬を創出した企業のみにメリットがある、また、その企業のみに次なる革新的 新薬創出の研究開発原資が早期に回収可能となるものと考えておりますことを取りまとめ、 お話をさせていただきます。  2ページ目をごらんください。  今回提案の薬価制度改革案が実現したとき、国民医療への貢献、患者さん、国民のメリ ットはどのようなものなのかを取りまとめております。  上段4つの丸印でございます。  治療難度の高い疾患に対する革新的新薬の創出が加速すると考えております。  そして、欧米諸国と同じく迅速に、いち早く革新的新薬による治療が可能になるとも考 えております。  また、国内未承認薬あるいは国内未承認適用などにつきましても、関係企業の承認取得 に向けた取り組みが一段と加速すると考えております。また、実質的にそうなるような仕 組みづくりを検討する必要もあると考えております。  さらには、4つ目でございますが、現在よりも国内における研究開発投資が活発化する と考えておりますので、我が国の経済発展への貢献は大なるものになると考えております。  一方、最下段でございますが、既にスタートしている後発医薬品の使用促進につきまし ては、2012年度、数量シェア30%以上の達成は必ず実現しなければならないと、私 ども専門委員として考えております。また、業界団体といたしましても、昨年来この場で 政府方針に対します賛同の意思表明をしているところでございます。そして双方の実現に よりまして、トータルとして国民医療の一層の向上、患者・国民の負担の軽減につながる ものと考えております。  次のページ、3ページをごらんください。  これは、医薬品の研究開発の特徴につきまして基本的に取りまとめました。委員の皆様 のお手元にはカラー刷りをお配りしておりますので、ごらんいただきたいのですが、この カラーの絵をごらんください。  医薬品の研究開発はねらった薬効をもたらす物質の発見確率が極端に低いために、幅広 い探索研究が必要であるとともに、多額の費用を要する臨床研究段階におきまして思わぬ 安全性問題等により開発を断念するケースもございます。大変リスクが高いことが特徴と 言えます。  また御承知のとおり、長期にわたる研究開発期間が必要ともなっております。  次の4ページをごらんください。  これは、一例として米国内におきまして実施された1品目当たりの研究開発コストを左 側に、そして臨床研究の症例数について年次推移でお示しいたしました。従来から、医薬 品の研究開発には長い期間と、そして多額の費用が必要であると言われてまいりましたが、 近年はさらに臨床研究に必要な症例数は大幅に増加し、そのコストも多額になっておりま す。バイオテクノロジーの進歩によりまして、医薬品の研究開発に用いられる技術は大変 高度化かつ複雑化しております。そのような背景のもと、医薬品の安全性・有効性に関す る審査にはより厳格な精査が行われ、当然それに耐え得るデータの提出が求められている ところでございます。  例えば、循環器領域の医薬品開発におきましては、血圧あるいはコレステロール等の検 査値をどの程度改善したかといった評価だけではなく、脳あるいは心臓疾患の発症をどの ぐらい予防できたのかが評価指標として求められており、結果として多数の患者さんの御 協力を得て臨床研究が進むと、こういう状況が到来しております。  次のページ、5ページをごらんください。  医薬品の研究開発の特徴を、なかなか他産業と数値的に比較することができませんでし た。いろいろ勉強している中で、左側に図で示しております、東大大学院経済学部の藤本 教授のグループが研究を長くされてこられました論文がございました。これは、左側にあ る縦軸、横軸の絵でございます。  原因不確実性、それから結果不確実性から、各産業におきます新製品開発の困難性を位 置付けております。下段左に製品を示しましたとおり、縦軸の原因不確実性とは、ねらっ た製品機能をもたらす製品設計を見つける困難性をあらわしており、横軸の結果不確実性 とは、そうやって探索して確定した製品設計がもたらす結果の予測困難性を位置付けして おります。具体的な産業間比較でございますが、右側をごらんください。  自動車でございます。基本的に技術構成が成熟しており、新しいモデル開発の際に探索 すべきコア技術の選択肢は絞り込まれており、いわゆる縦軸の原因不確実性は小というふ うに位置付けられております。  一方、複雑な構造機能を持つ製品のため、想定どおりの機能を発揮するか否かの予測が 大変困難であり、試作車による繰り返しのテスト操行が必須となっております。つまり、 横軸の結果不確実性は大と位置付けられております。  全く産業が違うのですが、ビールは、当たる製品がどこにあるのか見つけるのが難しく、 幅広い探索研究が必要となります。つまり、縦軸の原因不確実性は大と位置付けられてい るようでございます。  しかし、いったん特定化した製品設計の機能等をチェックするのは余り手間がかからな いことから、横軸の結果不確実性は小と位置付けられているようでございます。  医薬品研究開発は、所要の薬効をもたらす物質を一から探す必要があり、初期において 極めて幅広い探索をかける必要がある、技術的に不確実性の高いハイテク製品と言われて おります。つまり、縦軸の原因不確実性は大と位置付けられております。  しかも、生命現象に関連するため、製品の構造機能関係が複雑であり、機能確認のため の臨床研究等、検証段階が極めて複雑になっております。すなわち、横軸の結果不確実性 も同時に大と位置付けられております。  このように、非常に数値化できているものが見つかりませんでしたけれども、一つの研 究成果でありますが、他産業と比較いたしましても医薬品の研究開発の特質性というもの が示されたものと思います。  次でございます。6ページをごらんください。  このような特質性を持つ研究開発につきまして、研究開発型製薬企業のグローバルビジ ネスモデルの変化について取りまとめております。  21世紀は生命科学の時代と言われましてから約10年が経過いたしました。この間、 研究開発型製薬企業を自国に有します先進諸国は、製薬産業をリーディング産業の一つと して位置付け、その競争力強化策を推進してまいりました。我が国におきましても、昨年 来5か年戦略がスタートしたところでございます。  近年のバイオテクノロジーを中心としたライフサイエンス分野での技術革新は目覚まし く、とりわけゲノム及びポストゲノム技術に関しましては、1990年代後半から急速に 研究が進み、それらの技術を土台に先端医療分野、創薬分野において、それまで見られな かった技術革新が進んでおりますのは御承知のとおりでございます。このような時代的背 景のもと、研究開発型製薬企業は、自社研究所を活用する自前主義のみではなく、ベンチ ャー企業との補完関係も模索しながら、それらの提携あるいは買収により技術導入をする などしまして創薬アプローチ、薬をつくり出すアプローチを変化させ、またグローバルな 競争関係の中で、年度の研究開発費用に加えまして、手元資金の積極的な活用により革新 的新薬の創出に全力投球をしているというところでございます。それをあわせて定常投資 ・回収サイクルの短縮化も当然求められているところでございます。  次の7ページには、今お話しいたしました現実の企業行動を取りまとめております。  欧米におきましては、2000年前後に、いわゆるメガファーマが誕生いたしました。 その後はベンチャーとの提携あるいはその買収によりまして、新薬開発の数を拡充してま いりました。我が国では数年遅れまして同様の動向となり、今まさにグローバルな競争を 展開しているという状況でございます。  下段には御参考までに、左側に日米欧3極のバイオテクノロジー分野におきます技術提 携数の年次推移をお示しし、右側には近年の製薬企業におきますバイオ企業の買収事例を、 買収額1,000億円以上の事例に絞ってお示ししております。  次の8ページをごらんください。  これは、日本企業がそういう状況下でどのような状況にあるのかについて触れさせてい ただきます。上段の表でございますが、米国企業、欧州企業、日本企業のうち、各売り上 げ上位4社の決算数値から、新薬創出の原資でございます研究開発費、純利益、剰余金増 加額の過去3年間の平均を算出し、比較しております。  研究開発費、純利益、剰余金増加額のいずれにも欧米企業は日本企業の4倍から6倍程 度あります。日本企業は欧米メガファーマと比べ、売上高の規模の大小に起因いたしまし た研究開発費や買収等の原資となります純利益の規模に大きな差がある中、下段にお示し しましたとおり、欧米メガファーマに追いつくべく積極的な投資による革新的医薬品開発 の質と量の充実を図っているのが現状の姿でございます。  9ページをごらんください。  これは、前回の本部会でお示しいたしました、ヒューマンサイエンス振興財団が実施い たしました医師へのアンケート調査で明らかになった治療満足度調査結果をベースに、現 在日本国内で実施されております臨床研究段階以降の新薬開発数を疾患別にプロットした ものでございます。  対象となっております60疾患では延べ212品目が臨床研究以降の段階にございます。 その60%近くが、治療満足度が低い疾患や医薬品の貢献度が低い疾患分野に挑戦的に取 り組まれているのが現状でございます。また、60疾患には入っていない新型インフルエ ンザ対策につきましても、新型インフルエンザの予防対策としてのワクチン開発、あるい は新しい治療薬の開発にも積極的に取り組み、国民の生命リスクや経済的損出の回避に向 けた挑戦を行っております。  研究開発した製薬企業は、内外問わず、我が国の患者さんそして国民が期待している治 療満足度の低い疾患や医薬品の貢献度の低い疾患等におきまして、革新的新薬を早期に創 出すべく挑戦的に経営のかじを切っておるという状況だと認識しております。  10ページをごらんください。  このページは、昨年の本部会におきまして、革新的新薬の評価につきましては特許期間 中の薬価改定方式につきまして本部会の継続テーマの1つとなっていることを整理したも のでございます。  次の11ページをごらんください。  前回の薬価専門部会におきましてお示しいたしましたシミュレーションにつきまして、 さらに補足的に御説明するために一部分析結果を追加いたしましたので、御紹介いたしま す。  前回お示ししましたのは、後発品の使用促進と日薬連提案の制度改革が実施される前、 すなわち左のグラフの青い線と、双方が実施された後、すなわち緑の点線の2本をお示し しました。これに今回は、後発品使用促進のみが実施され、2012年度には政府目標で ある通常ベース30%以上が達成され、その後もそれまでの増加トレンドで推移すると置 いた場合のシミュレーション結果を追加し、赤い線でお示しいたしました。  後発品使用促進のみが実施された場合に比べ日薬連提案が導入された場合は、11年間 の累積で4兆円増となりますが、それも2012年以降2020年までのシミュレーショ ン期間の後半に、各企業が計画しております革新的新薬の上市時期が予定されているため、 シミュレーションの後半の期間になりまして、今回の提案の薬価維持特例の効果があらわ れてくるとの予測であります。青い線でお示しした双方が実施する前の線と比較しますと、 前回も禰宜委員からお話をさせていただいた、累積で1兆7,000億円の薬剤費の減少 になるというシミュレーションの結果でございます。  さらに右側に、それを新薬・先発品市場と後発品市場の2つに分けてグラフ化いたしま した。下段の後発品市場を見ますと、後発品市場促進により11年間の累積で6兆円の増 となりますが、単年度ベースで見ますと、その水準は後発品使用促進が実施される前と比 べ、例えば一番右側の2020年度で約2倍の後発品の薬剤費増とシミュレーションいた しております。  右側上段の新薬・先発品市場で見ますと、後発品使用促進のみが実施された場合、すな わち赤い線でお示しした場合に比べ、後発品使用促進、日薬連提案が導入されますと、累 積で3.7兆円の増となるシミュレーションをしております。双方が実施される前と比較 いたしますと、新薬・先発品市場だけで見ますと7.7兆円の減となる、こういうシミュ レーション結果でございます。2020年度単年度で見ましても、後発品使用促進及び日 薬連提案が実施される前の水準にはシミュレーション上戻っておりません。  今回のシミュレーション結果はさまざまな前提を置き、推計したものでございます。実 際に提案内容が実施された後、薬剤費がどのように推移するのか、また薬価差、あるいは 先発・後発品等の価格水準がどのように推移するのか、検証ルールを定め、実態を確認し ながら必要な見直しを行うべきと、専門委員としても考えておるところでございます。  12ページをごらんください。  先ほど2ページで御説明した資料を再掲いたしております。今回の日薬連提案、それか ら後発品使用促進策の双方が実現し、ここに掲げました患者さん、国民のメリットが達成 されることを当然願っているところでございます。  13ページをごらんください。  まず、左側の図をごらんいただきたいと思います。これは米国、欧州、日本の各医薬品 市場で発売されました医薬品が、従来、上市後どのような売り上げ成長パターンをとって いるかをイメージしたものでございます。  緑の線が米国市場、青い線がイギリス、フランス、ドイツの3カ国の平均でございます。 そして赤い線が日本市場でございます。上段枠内に取りまとめて記載してございますよう に、従来の日本市場におきます売り上げ成長パターンは、欧米市場に比べ特許期間中の成 長が緩やかである一方、長期にわたり売り上げを維持している点が特徴でございました。  日薬連提案の制度改革の導入以降をシミュレーションいたしますと、特許期間中の成長 拡大、特許期間満了後の急速な後発品への代替とのバランスによりまして、この右側の図 におきまして赤い実線から赤い点線でお示ししたパターンに変化すると、結果として新薬 は、特許期間中に収益を上げる欧米型成長パターンに近づくものと予測いたしております。 また、それは、我が国におきます革新的新薬創出への企業経営努力を加速させ、必ずや患 者さんそして国民の利益に貢献するものになると考えております。  最後でございます。14ページをごらんください。  今回提案いたしました柱でございます薬価維持特例は、市場におきまして納入価格が一 定要件を満たしました新薬のみに適用されるものであります。すべての新薬が薬価維持さ れることはないと専門委員として考えております。  下の左側の表でお示ししましたように、薬価維持特例は革新的新薬であって、競合がな いものあるいは少ないもののみが対象になるのではないかと推測しております。競合の激 しい領域の新薬は、これまでどおり現行の薬価改定方式に従い、通常改定されるものと考 えております。  また、既に特許期間満了となっています先発品を含め、特許期間満了後は後発品への代 替が進むと、すなわち、革新的新薬を創出できない企業にとりましてはメリットがなく、 後発品の使用促進によるマイナスの影響をこうむることだけとなると。  さらに、制度改革のメリットは特許期間中に限られていることから、継続的に革新的新 薬を創出できる企業しか恩恵を受けることができないという、製薬企業にとって厳しい提 案内容であると感じております。  私ども専門委員といたしましては、日薬連提案が細部にわたってすべてこれでよしとい うものではないと、当然認識をいたしております。要件の設定あるいは先発品の特許切れ 後の先発品・後発品の価格の在り方など、さまざまこの薬価専門部会、中医協におきまし て御検討、御議論賜りたい点があると思います。ぜひ今後の御審議の中で議論を深めてい ただきたくお願いをいたしまして、補足説明といたします。  ありがとうございました。 ○前田部会長  どうもありがとうございました。  ここで御質問を受けてもよろしいんですが、続けて事務局のほうから説明をいただいた 上でまとめて質問、それから討議をしたいと思いますので、事務局のほうよろしくお願い いたします。 ○事務局(木下医政局経済課長)  医政局の経済課長でございます。  ただいまの長野専門委員からの御説明ともちょっと関連しますので、今後の製薬企業の 在り方につきましてビジョンを政府で定めておりますので、その点に関しまして御説明を させていただきます。  中医協の薬−1−1でございます。新医薬品産業ビジョンでございます。  このビジョンは昨年の8月30日に「イノベーションを担う国際競争力のある産業を目 指して」という副題で定めたものでございます。これは、10年後の姿を展望しながら、 5年間の集中的な取り組み期間を定めまして、あわせてアクションプランの策定をいたし ております。  このビジョンの特徴でありますが、1つは、産業の将来像といったものを国際競争力の 現状との関連で見直しをしております。  それから、2つ目が、産業の発展に継続的なイノベーションが必要であるということを 明確化しております。  資料の右上にございますが、医薬品産業の現状と課題とございます。現状としては、日 本市場における外国オリジンの医薬品のシェアの拡大ということでございまして、日本で 承認された新有効成分を含有する医薬品で見ますと、外国オリジンが75%ということで、 外国の比率が高いということでございます。それから、もう一つはドラッグ・ラグの問題 がございます。  そういう中で課題としては、我が国の医薬品産業の国際競争力が伸びていないと、それ から創薬環境、市場そのものの国際競争力も失われているということで、左の中段にござ いますように、これからの将来の産業の在り方として10年後を見通して、一つは製薬産 業として適正な規模への拡大、世界をリードできる領域の追求と、競争力のある製品群の 充実などの実現ということで、特に世界の企業と対峙できるような開発企業、競争は可能 と。  そういったことをねらいとして、次にございますように製薬企業の向かう方向性として、 (1)はメガファーマ。これは世界に通用するような医薬品を数多く有して、世界で一定程度 の地位が確立できるような企業としてメガファーマ、その中で一、二社は世界で活躍する グローバルメガファーマということでございます。  (2)に、グローバルニッチファーマあるいはグローバルカテゴリーファーマ。いわゆる選 択と集中という中で、ニッチファーマについては、比較的規模が小さくても大きな研究開 発の成果で成長していく企業と、それから、グローバルカテゴリーとして、やっぱり得意 分野に集中的に研究開発を絞り込んでいって開発競争力の強化を図るような企業と。  それから、(3)がベーシックドラッグファーマということで、基礎的あるいは必須な医薬 品の開発を行う企業ということで、そのほか(4)、ジェネリック、あるいは(5)、OTC、そ れからベンチャー、異業種と、こういった形での大きく分けて5種類の企業の方向性とい うのがこれからあるのではないかなということで、ビジョンに定めております。  医薬品産業政策の基本的考え方といたしましては、特に医薬品産業の発展は研究開発型 の企業のイノベーション主導による革新的発展という部分と、それからそれが市場全体に 波及する波及型の企業ということでの、全体的にも発展を目指そうということで基本的考 え方を示してございます。  それを踏まえてアクションプランといたしまして、5か年戦略―これは昨年の4月に 定めたものでございますが、5か年戦略を定めて、政府レベルあるいは民間あるいは学と いうことも含めた対策が記述されております。  それを踏まえて、右側にございますように、その後5年間にわたる各種のフォローアッ プ、あるいは民間との対話という形で「医薬品産業政策の推進に係る懇談会」ですとか、 「革新的創薬のための官民対話」といったものについて進めているところでございます。  こういうビジョンがございますけれども、ただいまの長野専門委員の説明、日薬連の前 回説明した提案についての補足説明でございますが、ビジョンが目指します、世界市場に おいて競争力のある、いわゆる研究開発志向型の企業をこれから育てていくということで の提案ということは、ビジョンの方向性そのものに沿ったものではないかなというふうに 私どもは理解しております。もちろん医薬界の制度設計、それらにつきましてはさまざま な議論があるのだろうと思いますが、方向性は沿ったものというふうに私どもは理解して おります。  以上でございます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  私のほうから少し補足的に説明をさせていただきますが、中医協薬−2をお開きいただ きたいと思います。  先ほど経済課長のほうから、革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略について 御説明ございました。その中で、薬価制度につきましてはどのような記載がされているか ということで書かせていただいておりますが、ここに書いてございますように大きく言い ますと、薬価制度、薬剤給付制度について革新的新薬の適切な評価に重点を置き、特許の 切れた医薬品については後発品への置きかえが着実に進むような薬価・薬剤給付制度にし ていくと、こういう基本的な考え方をまず省として立てまして、それをベースに置いて、 次の薬−3の資料でございます。  昨年の12月14日の中医協で了解をしていただきました、平成20年度薬価制度改革 の骨子の基本的考え方で、これを御提示させていただいて、その5か年戦略を踏まえて新 薬の適切な評価に重点を置いて特許が切れたものについては後発品への置きかえが着実に 進むような制度にしていきたいということでございます。  そういう意味で、薬剤費の配分の問題を考えた場合に、このような特許が切れたものに ついては後発品に置きかえがいって、そちらのほうについては薬剤費の削減が図られ、そ ういった財源をまた考えまして、新薬をきちっと評価をしていくと。こういった全体的な そういう考え方の薬価制度にしていくという基本的ポリシーのもとに、具体的に詰められ るものにつきまして昨年の12月にまとめさせていただいたわけでございます。  当然その中で新薬につきましては、特に最初の値づけの問題を具体的に詰めたところで ございますけれども、今回議論をしております部分について、4ページでございますが、 特許期間中の新薬の取り扱いについても、これは言ってみれば革新的新薬の評価をどうし ていくかということで、なかなか十分に昨年12月の段階で詰めることができなかった課 題でもございますので、それもあわせて検討するということで、私どもしては、革新的新 薬の評価の在り方の一つの方策としてこれをどう考えていくかというふうにとらえて、こ の制度改革の中で取りまとめられたものというふうに理解をさせていただいているところ でございます。  補足的に御説明をさせていただきました。 ○前田部会長  どうもありがとうございました。  ビジョン、それからこの中医協の中での流れの御説明があったわけですけれども、基本 的には前回の中身についての補足説明ですね。かなり分かりやすくはなったのだと思うの ですが、まず御質問、どなたからでも。  じゃ、藤原委員、お願いいたします。 ○藤原委員  今回補足説明をいただきました。基本的には前回と変わらないかなという認識でおりま すけれども、2カ月前にこの中医協で手元資金が潤沢な企業として1.6兆円以上ある、 トップの企業はそうでございましたけれども、上場企業のうち3社が製薬企業というよう な状況が報道されておりました。  しかし、製薬会社は新薬に対する薬価制度あるいは承認に要する期間などから、このま までは日本の医薬品市場の魅力は薄れる一方で、新薬の海外先行投入を重視せざるを得な いと、そういうふうに言われているわけであります。  私どもとしましては、製薬会社がどれだけ利益を得られれば適正なのか、満足されるの かよく分かりませんけれども、さきに今挙げました手元資金、超過資金が多いというのは 一つの指標に過ぎないと思っております。例えば、製薬大手の株主配分を見てみますと極 めて高水準でありまして、利益のほとんどを株主に返すペースが続いておりまして、それ でもなお手元資金が余るというふうな状況だと。これは私が言っているわけじゃなくて、 報道ではそういうふうにしているわけであります。  一方で、今の日本の医療の置かれた状況というのは、医療崩壊と言われるほど厳しい環 境にあります。その最大の要因は、申し上げるまでもなく医療費の財源の枯渇にあるわけ であります。今回の診療報酬改定、本体プラス0.38%をようやく勝ち得たと言ったら おかしいんですが、そういう状況でありました。これは国庫負担で言えば300億円程度 であります。こういったことで一喜一憂している状況の中で、また今回の資料を見ますと 中医協薬−3では、平成20年度には画期性加算や、あるいは有用性加算について加算率 が引き上げられるなどの対応も行われているところであります。  国策としてさらに製薬企業を育てるのだと言われれば、これ以上口を挟む余地はありま せんが、少なくとも同じ土俵にあるとすれば、しかも相当にこれまでもそれなりの対応、 優遇措置が講じられている状況の中で、これは医療提供側というよりも国民の視点から見 てもいかがなものかなというふうに感じるところもあります。  そこで、今回お示しいただきました補足説明の中で11ページの、前回ちょっと複雑過 ぎて分かりにくい部分があったんですが、かなり整理されて今回御説明いただいているわ けでございますけれども、これについて厚労省は、この主張というのは正しいというか、 検証されているのかどうか、その辺について教えていただきたいというふうに思います。 ○前田部会長  藤原委員、専門委員に対して特にお答えいただく、前半の部分はよろしいですね。 ○藤原委員  いや、答えていただければ、その前に。 ○前田部会長  では、何か御発言がもしあれば専門委員のほうから御発言いただいて、その後管理官の ほうにお願いしたいと思います。 ○長野専門委員  ただいまの御指摘が前段で、いわゆる剰余金関連の御指摘がございました。  前回、委員の皆様方の御指摘、御質問の中に、いわゆる利益などを地域別に分けられな いかという御指摘、御質問がございました。さまざまな努力をしてみたんですが、利益面 で明確に国別に算出することができませんでした。おわびいたします。  一方で、今日は手持ちでしか資料がございませんが、海外売上高の比率でまいりますと、 今回たまたま上位4社に限っておりますけれども、この約10年間で売上高の海外比率が 10%台から20%程度であったものが、ここへ来まして大体50%前後から60%程度 まで海外売上高比率が伸びてきていると。  他産業で見ますと、特徴的なのは自動車でございます。御承知のように、これは、70 から80%が海外で売られているという、国内完全成熟型産業だと思います。また、電機 産業あるいはその他につきましては、50%あるいはそれ以下というようなこともござい まして、なかなか収益面、日本でどのぐらい上げて海外でどうなんだと、内部留保はどう いう上げ方をしているのだというのはお答えできませんことをおわびいたします。  以上でございます。 ○前田部会長  それではお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  薬剤管理官でございます。  今の藤原委員の御質問に関しまして、前回の専門委員からの説明の資料の中で、このシ ミュレーションについてどういう条件でシミュレーションをしたかということで御説明が ありました。  私どもは、事前にいろいろと専門委員なり業界からも御説明を受ける中で、どういう条 件でやられたのかという、その条件については十分聞いてはおりますけれども、正直難し いところが、これから出てくる新薬をどう予測するかというところが、業界は業界なりに やっているわけですけれども、じゃそれをどれが正しいのかというのは現実問題非常に難 しいところもございますので、私どもとしてはどういう条件でやったのかというその詳細 を明らかにして、またお示しをし、また我々としてもそういう条件の設定が余りにも無謀 なものでないかどうか、そういったことを確認をさせていただくことはさせていただきま したけれども、その結果、我々のほうでコンピュータを回してどうだこうだということま では、今回のものについてはさせていただいていないという状況でございます。 ○前田部会長  ただ、枠組みとしてはリーズナブルであるということは確認したということなんですか。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ええ、条件そのものにつきましては、前回の薬価部会で専門委員から御説明ありました けれども、例えば余りにも非常にいいかげんなというか、そういうようなことはないもの であろうというふうには理解をしております。 ○前田部会長  よろしいでしょうか。  ほかの委員……では。 ○対馬委員  今日は専門委員からかなり分かりやすい資料で説明をいただきましたし、また事務局の ほうからは5か年戦略でありますとかビジョンについても説明を受けたということで、大 分理解は進んだのですが、ただやはりちょっと理解しがたいところもあって、3つほど、 これは専門委員のほうにちょっと質問したいというふうに思います。  1点目は財源の問題ですけれども、これは11ページですけれども、これは前回の7月 のときにも申し上げて恐縮なのですけれども、ただ左側の一番下の赤で書いている線、こ れが後発医薬品の使用促進後の数字だろうというふうに思うのですね。後発医薬品の使用 促進につきましては、2012年度が30%とするということは、いってみますとオール ジャパンとしてこれはやっていこうじゃないかということだというふうに認識しているわ けですね。その延長線上で赤い線が引っ張ってあって、それを今回、新薬・先発品市場の ために、ある意味、我々がオールジャパンとして削った財源についてそれをつけていくと。  例えば20年度になりますと、後発医薬品の使用促進で10.1兆円になるところをつ けていって10.9兆円に戻すと、こうもとれるわけですけれども、それはいかがなもの かというふうに思うんですね。  今の国家的なオールジャパンとしてやっている30%に対しては少ないじゃないかと、 4割にしてはどうかとか、そういった議論もあるわけですけれども、仮に製薬業界として そういったことをやっていくんだと、だからその分について先発品に返していくんだとか、 ないしは特許が切れた段階では大幅に下げていくんだと、それをどういった形で下げるか、 例えば後発品のある先発品について4ないし6%下げるという、今現在やっているわけで すけれども、よしあしは別としてそれをさらに倍にするとか、そういったやり方もなんで しないんだろうというふうに思うのですけれども、その財源論がどうもやはり相変わらず よく分からないというのが1点目です。そこを教えていただければと。  2点目は制度の立て方なのですけれども、これはここにおられる方々のほうがむしろ詳 しいんだろうと思うのですけれども、いってみますと計画経済と市場の実勢とメカニズム、 これをどう組み合わせていくかということだろうというふうに思うのですね。  特に、既収載品につきましては、もう既に収載された後ですから、これは市場の実勢で もってやっていくんだというのがやはり基本であろうというふうに思うのですね。それは 補完的に一部、先ほど言いましたように、そうは言っても先発品でなかなか下がらないの でやや強制的に下げるとか、ないしは不採算品についてやはり市場の実勢だけに任せてお いてはどうなのだろうかということで、補完的にそれを是正していくというのが今現在の ルールではないのかなと、こういうふうに思うのですね。そういう認識ではないかと。  そうしますと、特許期間中については、これは基本的に下げないと、基本的にはですよ。 一部例外的に下げるのもあるようですけれども、基本的には下げないということになりま すと、そういった全体の薬価制度の基本のところの構造を変えていくということになりは しないかというふうに思うんですけれども、その点、私はむしろ市場のメカニズムをきち んとした形で反映させていく。例えば、流通改善で議論されていますけれども、医薬品の 価値に応じた薬価にしていくんだということであれば、特許品の中でも特に画期的な特許 品、新薬については、基本的にあまり下がらないというような市場での努力といいますか、 価格形成努力、こういったものが必要ではないか、またそのほうがむしろ筋なんじゃない かとこういうふうにも思うのですけれども、その点をどう考えるかが2点目です。  それから3点目ですけれども、今の質問とも関連するのですけれども、20年度改定の ときの宿題としては、流通改善ということが非常に大きなテーマになったのだろうという ふうに思うのですね。そういう中において、総価の問題でありますとか、未妥結・仮納入 の問題でありますとか、ないしは仕切価のアローワンス、こういった問題についても議論 したんだろうというふうに思うのですけれども、今回そのあたり全く触れられていないん ですね。そのあたりは、特許品については基本的に維持するというのであれば、そのあた りとの関係もちょっと考えておく必要があるのだろうと思うのです。その点どうお考えに なられたのかと。この3点です。 ○前田部会長  じゃ、専門委員、よろしいでしょうか。 ○長野専門委員   まず最初に御指摘をいただいた説明資料の11ページで、後発品使用促進の政府目標が 実現し、その後もそのトレンドのもとで後発品が伸びていくと、こういう前提に置いてい るわけですが、それに対する実現性について、専門委員として今お答えできるところをお 答えいたします。  私の認識しております後発品使用促進策につきましては、この4月の改定まで診療報酬 基本問題小委員会におかれまして、特に処方せん様式等の見直しなどを中心にその促進策 が検討され、実施されたと承知しています。  一方で、薬価専門部会におきましては、その他の、いわゆる後発医薬品の使用促進につ いてどのように考えるかという課題の設定が昨年あったかと記憶しております。これにつ いての御議論というのは、今後さまざま進められるものと承知しておりますが、その中で、 この後発品使用促進策を確実に実現するために価格の面と量の面と当然双方切り口がある と思いますが、量の面で後発品使用促進をするために先発品の量規制につながるようなも のが制度上可能かどうかということにつきましても、頭をめぐらし、いろいろ検討を考え てみたのですが、なかなかこれは今の競争市場の中では量規制をルールで適用するという のは非常に困難があろうかという感じをしております。  そういう面では、先発品と後発品の薬価の在り方というのが、やはり大きな切り口にな るんではないかと思います。  一方で、先発品から後発品への切りかえを急速に進めるために、先発品企業ができるこ とはどういうものがあるかなというのを個人的にも考えてみました。先発品企業が持って いて後発品企業がないものの特徴的なものに、副作用に関するデータの蓄積がございます。 各社が世界的に販売をしております場合、その副作用情報は日々世界各国から入ってまい ります。そしてそれを、各局の行政当局といろいろ協議をしながら、必要な安全対策を実 行してまいります。そういう経験あるいはデータの蓄積は、特許期間中もそして特許切れ 後も、先発品が有していることになると思います。このような安全性に絡むデータを特許 切れ後にどう活用するのか、この点が、私は最終的な結論を持っておりませんが、一つ検 討課題としてあるのかなと。そのことが結果的には、後発品の使いやすさ、あるいは選択 のしやすさにつながる可能性があるのではないかと、このように考えております。ごく一 部しかまだ検討しておりませんが、第1問につきましては以上でございます。 ○禰宜専門委員  それでは、先ほど御指摘がございました流通改善のところにつきまして、お話をさせて いただきたいというふうに思います。  昨年9月、厚労省のほうから流通改善に関します緊急提言が配出されました。それを受 けまして当然メーカーはそれを真摯に受けとめながら、個々の企業の判断の中で流通改善 に向けて真剣に取り組む必要があるということで、我々としては取り組んでいるんじゃな いかなというふうに考えております。  実は、やはり流通改善ということで、先ほどお話がございました総価取引あるいは未妥 結・仮納入、売差の問題、それを解決するためにはどうすればいいかということで、流通 の川上と言われておりますメーカーと卸さんとの関係、それをいかに透明性を図るかとい うことと、卸さんがいかに信頼の置ける価格交渉をユーザーとできるかというところがポ イントではないかなというふうに考えております。  そういう観点から、川上でございますメーカーと卸との関係の中で、一つはやはり仕切 価の問題、これが非常に大きな問題ではないかなということで、仕切価とそして割り戻し、 アローワンスというような形で価格が形成されるわけでございますが、仕切価に反映でき るものを割り戻しあるいはアローワンスから反映させるということで、比較的信頼の置け る価格交渉を行う上では、メーカーと卸との関係は透明性が図れて、そしてそれを持った 形での価格交渉ができるのではないかなと。  また一方、総価取引についは今の情報では少し改善の動きがあるというふうに承知して おりますけれども、メーカーといたしましても卸さんと連携を保ちながら、やはり革新的 な薬剤の評価をしていただくという面からは、やはりユーザーの先生方のほうにもその旨 の情報伝達をしているというような現状でございます。  今、その改善度合いにつきましては、9月ぐらいにまた卸連のほうでまとめられまして 行政のほうに報告されるというふうに聞いておりますので、その結果を待ちたいというふ うに考えております。 ○長野専門委員   あと一つ、御質問に対するお答えを申し上げます。  今、日薬連で提案をさせていただいている、いわゆる特許期間中の薬価維持特例につき まして、改めて整理いたしますと、提案の中身では薬価調査の結果、全体の市場の加重平 均値以上に薬価差があるもの、乖離幅があるものは特例の対象にしないという提案でござ います。シミュレーション上は、薬剤費金額ベースでおおよそ50%程度が対象になると、 このようなシミュレーションをいたしております。  今後の2020年、非常に長期の先を見据えたシミュレーションでございますが、その 中で革新的新薬と思えるものにつきましても、例えば一番手が出て二番手、三番手が出る までの期間がおおよそ3年から5年でございます。3年から5年たちますと、革新的新薬 も二番手、三番手が出てしまい、その間の現状の薬価改定方式における市場競争が当然始 まります。したがって革新的新薬といっても、いわゆる薬剤費に影響を及ぼすような、比 較的患者さんの数の多い疾患に対する治療薬は、非常に短い期間で競争状態が始まるだろ うと、このように予測をいたしておりますし、多分そのようになるだろうと思っておりま す。  したがいまして、新薬はすべからく特許期間中は薬価が維持されるということは、私自 身想定をしておりませんし、そうなるとは思っておりません。  大変お答えになっていないかもしれませんが、私からは以上でございます。 ○前田部会長  対馬委員、よろしいでしょうか。はい。 ○対馬委員  なかなか難しい問題ですし、私どもとしても確固たるこうあるべきだというところまで いっておりませんので、これからよく議論していきたいとは思いますけれども、かなり多 角的というか多面的に踏み込んだ議論が必要だろうと思いますので、よろしくお願いした いというふうに思います。 ○前田部会長  じゃ、先に山本委員、それから順にお願いします。  まず、山本委員、お願いします。 ○山本委員  前回の説明と多分基本的に変わっていないんだろうと思うのですが、資料を含めておっ しゃりたいことがよく分かったという意味ではよろしかったんだろうと思うんです。  実は今のお話は、先ほどもございましたように産業ビジョンに乗った形ですし、基本的 には20年改定の薬価の値付けについては日薬連としては別に反対はしないけれども、そ の後の問題として価格をどうするかというような理解をすればよろしいんですよね。その 上で、何人かの方がおっしゃっておられましたけれども、何しろお行儀よくちゃんと売る からその間は値段は下げないでよということだと思うのですが、一体お行儀よく買ったり 売ったりするのはどなたがそうさせるのでしょうか。そこがちょっと見えないんですよね。  じゃ、買うほうが悪いのか、売るほうが悪いのか、真ん中が悪いのかという議論はここ でするべき議論ではないと思いますが、そうしたことは今の専門委員のお話の中でも、メ ーカーと卸の関係が明確化されるんだと。じゃ、現在は明確化されていないのかというこ とになってしまいますし、極めて不透明な状態で動くというのは今でも問題があろうかと 思うので、じゃ一体どのような形でうまくできるのかなという気はしています。  11ページのところで、後発品、先発品の比較がありましたけれども、そこのところは 要は仮にその後発品を使ったままよりも、今提案のございましたような方式に進めて多少 ふえても、医療の中で新しい薬が早く使えてドラッグ・ラグがなくなるという意味で、多 少のふえというのは認めてほしいということだろうと思うので、そのあたりはそういう理 解でよろしいのかどうか。  それからもう1点、御提案の中では、欧米と比べて極めて日本の場合はマイルドに長い 間使われてきた特徴があると。そうなると、かなり短命で急成長した回収期間の中で回収 をしてしまって、新たなイノベーションに物をかけるとなると、一体どのぐらいの会社が できるのかというのはとても難しい話であって、どんな例ができるのかなとちょっと疑問 を、この案に反対ということではなしに、そういったところが本当に担保できるんだろう かと。  もう1点、一番の問題は、日薬連としても後発品の使用には協力しますというお話があ ったのですが、実際に具体的にどんなことをお考えなのでしょうか。薬を扱う者としては よく分かりますけれども、企業として考えると、そこは何か矛盾するとか相反するような お話になるような気がするのですが、そのあたりもう少し明確な何か方針がある、あるい は策があるのであれば、要は売り方の問題だと思うのですけれども、必ずしも今お行儀よ く売っている買っているばかりではないような気もしますので、そうした場合にはどうな さるおつもりなのか。そのあたりがきちっと出てくると、この案はかなりいけるんだろう と思うんですけれども、その辺いかがでしょうか。 ○前田部会長  お願いします。 ○長野専門委員  さまざまな角度からの御指摘をちょうだいいたしましたが、お答えとしては総括的にお 答え申し上げます。  まず、最後にも御指摘いただいた、日薬連なりの業界が後発品の使用促進策について具 体的にどういうふうに業界として実現していくかということでお答えしますと、先ほども お答えいたしましたけれども、なかなか個別の企業の行動というものを、特に量、あるい は価格もそうですが、企業間でなかなかそういうことを企業行動を議論、検討するのは難 しいと私自身、今考えております。  したがいまして、先ほど申し上げましたけれども、薬価専門部会のこの場では薬価とい うものの在り方、先発・後発の在り方から御議論していただきたいと、このように思いま す。  それから、先発品企業が後発品企業を後発品が伸びるためにどのようにするかというの は、先ほど一事例を私見として申し上げましたけれども、副作用情報、安全性情報という のが特許切れ後どのように公的な形で活用できるようになるかと。ここは、先発企業が大 いに知恵を出して、その在りようについて検討すべきだと私も考えております。  それからあと、いずれにしても私どもというよりも、日薬連に加盟している企業は民間 企業でございます。一方で、公的医療保険制度のもとでいろいろな決まりの中で運営され ている、財源も決まった財源の中で運営されている中に、民間企業というものがどういう ふうにつないでいけるのかというのは、大変重い課題だと思いますし、その中で何が実現 できるかという考え方が私自身も必要なんだろうと、このように自覚をしております。そ れを申し添えたいと思います。 ○山本委員  安全性情報については、確かに一つの御提案だと思うので、そこは理解をしているつも りですが、となると、一歩間違うと後発品が悪いという話になっちゃうんじゃないかと思 うのですけれども、そこは大丈夫なんでしょうね。今、情報が少ないという言い方を後発 品に対してさまざまな方がされていて、集まった副作用情報については既に今でもお持ち になっているわけですから、今の状態でも開示というのはできるはずですし、現にそうし たことがなされていない状態で新しい制度の中でやるよというのは、いささかなかなか納 得しにくい議論かなと。  もう1点、企業のコントロールができないと申されましても、少なくとも社会保障制度 の中で動いているわけですから、一定のルールというのがあってしかるべきで、もしそれ を自由にしろよと言えば、今おっしゃったようにお行儀よく売りますということも、成り 立たなくなっちゃう理屈じゃないかと思うのですけれども、いかがなんでしょうか。 ○長野専門委員   安全性情報について改めてお話をいたしますと、御承知のように先発品企業あるいは特 許期間中も各社、安全性の定期情報を含めましてルールに基づいて今の総合機構に報告を し、必要な対策を実施して、それを即インターネットで開示をしていると、総合機構も開 示をし、当該企業も開示をし、かつ文書でユーザーにお届けをしているというのが状況だ と思います。  一方で、さらにそれを有効に活用する方策が、特許切れ後ないのかという検討もする必 要があるんじゃないかという、私自身の見解を申し上げたところでございます。 ○山本委員  わかりました。要はより充実させられるという、そういう理解でいいんですね、今のお 話は。 ○長野専門委員  今も充実しておりますし…… ○山本委員  いや、さらにという。 ○長野専門委員  さらに活用ができないかと。要するに、後発品企業さんを活用ができる方策はないもの かというところを、私見として申し上げたところでございます。 ○山本委員  わかりました。  でしたら、ぜひそれを進めていただきたいのと、お願いが1点ありますのは、未承認あ るいは適用外の部分も言及されていましたけれども、この部分につきましてはむしろそれ も一つの仕事でありますので、片方でそちらをやりつつ画期的な新薬については一定の価 格を保つということもしませんと片手落ちになりますので、ぜひそのあたりも十分に検討 した上で、今御提案の制度がうまく動くのかどうかを考えていただきたいと。 ○前田部会長  北村委員、お願いします。 ○北村委員  要望を1点と、事務局に質問を1点、簡潔にさせていただきます。  要望は、今は御存じのように世界のグローバルな競争はますます激しくて、その中での 世界中の再編というのはますます強まっていると思います。あらゆる業界で、特に製薬業 界では御存じのような状況ですから、やはり相当日々厳しさに直面されているんだろうと は思います。  それで、厚労省のほうのこの5か年計画の中でも、その辺の危機感を大変強くお持ちな のを伺って、私も大変安心した部分がございますが、いずれにしてもやはり日本が新薬を 創生する力を失うとか、それから希少疾病のお客様の少ないような疾病の新薬を開発する 意欲を失うような製薬業界になってもらっては困るわけですから、ぜひそういう社会的な 基盤も踏まえた力を持って、そして経営上も誤解を招かないように透明性を高めて、私は 国際競争力、それから国際的な技術の向上にぜひ全力を振り絞っていただきたいというの が、要望の第1点でございます。  それから第2点は、11ページのこの表に関連してのことですが、対馬委員もおっしゃ ったんですけれども、ジェネリックの部分が加味されなければ、従来のこのブルーの線を 突き出してしまいますよね。ですから、ジェネリックの12年の30%というのは一つの 国策として、もう処方せんも、それから薬局のあれなんかでも対策が講じられて既に動い ておりますけれども、このままで本当に30%が達成できるのかどうか、私どもやはり、 企業というのは中期計画とかビジネスプランをつくったときに、計画まではすぐできるん ですが、本当に具体化するときの実行力というのが最後どうしても問われますが、もう既 に実効的な施策は行われているんですが、これで十分なのか、それともさらに何か事務局 のほうはお考えなのか、この点について伺いたいと思います。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の北村委員からの御質問に関しまして、いわゆる全医薬品の中での後発医薬品の数量 シェア、30%の目標の達成の見込みなり追加したかどうかと、こういうことでございま す。一応この30%というのは全医薬品の30%でございますので、いわゆる後発品のあ る先発医薬品だけで見ていきますと、それの過半数が後発医薬品に置きかわるということ で、非常に我々からいってもハードルの高い目標であるというふうに理解をしております。  ただ、今の医療保険財政が非常に厳しい中、やはり私どもも5年計画でその程度達成す るという目標を立てない限りは、いろんな方々に御説明もしにくいということで、我々も 日々努力をさせていただいております。  それについて、なかなかこれだけ大きい市場を変えていくということでございますので、 20年制度改革でもいろいろな方々にお願いし、この場でもいろいろ議論をさせていただ いて進めるところでございますが、もう一度これについても、ちまたではなかなかうまく いっていないんじゃないかという人がけっこう多いわけでございますが、実際どのくらい 今いっているのかということで、これは検証部会のほうでしっかりどういう状況に今あっ て、どういうところがネックかということについて、きちんと検証をまたしていただきま して、これはどちらかというと薬価部会以外の基本小委も含めて、どのような政策が必要 なのか、もし十分でなければ追加的な施策はどういうことを考え得るのか、こういったこ とも薬価の部分以外に、そういう診療報酬体系そのものも含めまして、これは議論をして いかなければいけない課題だと思っております。  ただ、薬価のほうにつきましても、何らかのことも考えなければいけないと思っており ますし、特に実際に製薬団体で見ていきますと、後発品促進はここには賛成をしていただ きますけれども、個々の企業で見ていきますと、やはり後発医薬品が出たときに、なかな かその市場防衛といいますか、先発医薬品をどうしても売らざるを得ないというような場 面も、当然その個々の企業単位で見ますとございますので、そういった状況もどうやって また改善をしていくのかということも含めて、この辺は薬価の問題もあろうかと思います が、そういうことも含めて多面的な検討が必要だというふうに思っておるところでござい ます。 ○前田部会長  よろしいでしょうか。  それでは、中川委員お願いします。 ○中川委員  質問なのですが、先ほど国外売上高の比率が急速に伸びているという御報告がありまし たけれども、これは薬価維持特例というものが認められた場合と認められない場合、今の ままという場合に、今後の国外売上高比率の予測はどういうふうに考えられていますか。 ○前田部会長  よろしいですか。 ○長野専門委員  申しわけございません。明確な資料を現在持っておりません。  予測されることは、企業行動として国内の市場の魅力が復活するわけでございますから、 それをもって海外へのウエートがさらに高まるというふうには考えておりません。国内も きちんと事業をしながら、海外も一層事業をしながらというところで、比率的には先ほど たまたま事例に挙げた上位4社でいきますと、平均5割ぐらいいっておりますが、6割と か65%ぐらいまでいく可能性があるんじゃないかと、このように思います。  これは、自動車産業はさらに70から80%に海外売り上げ比率がいっておりますので、 そこまでは医薬品の日本の企業の場合はいかないんだろうと、私見として感じております。 ○中川委員  なかなかその辺が、中医協の委員の中ではある程度理解できるというか納得できること もあると思うのですけれども、一般的な国民、患者さんから見ると、何を言っているのか よく分からないと思うのですよ。それで、この資料、薬−1−1のところに「製薬産業」 と「製薬企業の向かう方向性」というところがありますが、国内の薬品メーカーに新薬開 発能力がまず仮になくなったとすると、具体的にどういう事態が医療現場で想定されるの かということをちょっと教えていただけませんか。 ○前田部会長  よろしいですか、専門委員、どうぞ。要するに、新薬開発能力がなくなったらという点。 ○長野専門委員  自分の足元のことを想定すればお答えできると思いますので。多分外資に買収をされ、 必要な研究あるいは開発課題だけ残されて、ほかは消却されるのではないかと、こういう ふうに予想を個人としていたします。 ○中川委員  薬剤の提供という面ではどうですか。 ○長野専門委員  そこはなかなかお答えしにくいと思いますが、加速するとはなかなか考えにくいと思い ます。 ○中川委員  今も外資メーカーの薬は医療現場で使われていますよね。 ○長野専門委員  はい。 ○中川委員  その使われ方が今と比べて変化しますか。例えば納入条件であるとか、いろんなことを 含めてですよ、薬価も含めて。 ○長野専門委員  少なくとも患者さん、国民が望んでいる新しい薬なり、国内未承認の薬がより早まると いうようには考えません。この制度がもしできなくて、国内企業が衰退したときは遅くな るんではないかと思います。 ○前田部会長  中川委員、よろしいですか。 ○中川委員  余りよろしくないんですけれども。すかっとしたお答えをいただけなくて残念ですけれ ども。  そうすると、例えばここにメガファーマが1社から2社とありますよね。その後に(2)の ところに、グローバルニッチファーマ、それからカテゴリーファーマという区分けがあり ますが、この(2)とか(3)は、最終的にはこの(1)のメガファーマに吸収されるのではないかと 私は考えるんですけれども、違いますか。 ○長野専門委員  これは厚労省さんのほうでつくられたビジョンでありまして。 ○中川委員  そうですね。役所のほうでちょっとお答えいただけると。経済課長、お願いします。 ○前田部会長  むしろ、経済課長にお答えいただいたほうがいいかもしれません。  よろしいですか、経済課長、はい。 ○事務局(木下医政局経済課長)  なかなかちょっと答えづらいのすが、企業行動の結果、結局、新薬開発なり研究開発能 力が高まった場合に、どういうふうに資していくのかと、そこまでの絵柄はちょっと書い ておりません。  ただ、その開発能力のあるところ、世界市場で対峙できるようなものは少なくともやっ ぱり数社は残っていただかないと、先ほどの中川委員からの御質問のように、日本で早く 新しい効果的な新薬を使えるという状況にはやっぱりなっていかないんじゃないかなと思 う。先ほどの、長野専門委員から明確なお答えにならなかったですけれども、やはり私は ドラッグ・ラグの問題を解消すれば、だんだん日本での上市が早まっていって、日本の患 者さんに届く場面というのはふえてくるのでしょうけれども、ただ、日本でやはり研究開 発を進めていろんな治験もやって、そういう中でできるだけ早く患者さんに届けるには、 やっぱり日本での開発というのが必要だろうと思っております。  それから、例えば、先ほどの御説明の中でも新型インフルエンザですとかワクチンの話 がありましたけれども、ああいったものについても国家のリスクマネジメントとしても、 やはり日本においてちゃんと確保できるような一定の体制がないと、外国から頼ればいい ということにはならないのではないかなというふうに個人的には思っております。 ○前田部会長  それでは、先ほどから手を挙げていらっしゃる、藤原委員。 ○藤原委員  先発品と後発品との移行のことで質問したいのですけれども。今の日本の新薬というの は、たばこと比較して低く設定されているというふうに認識しておりますけれども、これ は一方では後発品への移行を阻んでいるということもあるかと思うのですけれども、しか し問題は、後発品に移行するということじゃなくて、安くていいものが日本の国民に提供 できると、何も焦ってどんどん後発品に乗りかえる必要が本当にあるのかなと。  恐らく企業としては資金の、今回の提案のそもそもは研究開発費の資金を早期回収した いという思いが強いんだろうと、非常に変化が激しいですから、思いが強いんだろうと思 うのですけれども、今の在り方、かなり日本独特の非常にいいシステムで、世界に進出し ていかなければいけないという観点を少し横に置けば、決して悪くはないと、現状のまま でいいんじゃないかと私は認識しますけれども、いかがなのでしょうか。 ○前田部会長  専門委員、一言お答えいただければ。 ○長野専門委員  専門委員としては7月、そして本日、御説明の中で述べたのが本心でございますので、 お答えはちょっと控えさせていただきます。 ○前田部会長  じゃ、北村委員、お願いします。 ○北村委員  今の藤原委員の御意見に私が個人的に感じますのは、昨日の日経新聞にイスラエルの世 界最大手のテバ・ファーマの話が出ていましたね。あれは世界最大手の後発品のメーカー ですね。恐らくもうここ数年、ずっと世界の一物一価というのはますます進むと思うんで すね。ということは、ある製品に投じられた労働力とかいろんなものから考えて、同一の ものというのは世界中が同じ価格におさまるということですから、ああいうイスラエルの ああいう会社が出てきますと、私は医薬品も含めてそういう時代がもう来ているのかもし れませんし、これからますます強まると思う。それが国民の方々によく伝わることになれ ば、何で私たちは安いものを使えないのかという素朴な疑問を持たれるだろうし、それを この中医協の私たちは、やはりよく説明する責任があるんじゃないのかなというふうに思 いますね。  もちろんそこには安全性だとか、中川先生が時々おっしゃっているような問題点もある んだろうと思いますけれども、そういうことはやっぱり厚労省が中心によく克服していた だいて、やっぱり使う方が安いものを使うのにどこが悪いのか、またそれを進めちゃいか んと思いますけれどもね。これは私の意見です。 ○前田部会長  それでは、勝村委員。 ○勝村委員  すみません。もしかしたらどこかに書いてあったり、私が聞き逃したのかもしれないん ですけれども、ちょっと質問なのですが、この御説明をいただいた11ページの資料は、 先ほど北村委員とかがおっしゃったように、2012年度で後発品が30%ぐらいだろう という予想でつくられているんですか。その前後、何年度は何%ぐらいだという形でグラ フができているんでしょうか。 ○禰宜専門委員  今ちょっと手持ち資料の中にはございませんが、トレンドで2012年度で30%の後 発品のシェアをとるという前提の中で、そのトレンドの中で各年度拡大していくというふ うに一応線を引いております。 ○前田部会長  よろしいですか。じゃ、補足して御質問を。 ○勝村委員  このグラフに後発品の比率のグラフも載せておいていただいたほうが、どういう類推で、 あくまでシミュレーションですので、そのシミュレーションを前提として後発品が何%ぐ らいになるだろうという予測でされているのかというのがいただければいいのかなという 御質問と。  それと、ちょっとこれは感想というかなんですけれども、この20年度改定ではおっし ゃるように、患者からして価値の高い新薬ができたのならば、もっとそれにはちゃんと適 切な価値をつけていくということをやっぱり必要なんじゃないかということで、その方向 で改定されていっていると思うのですよね。それはその単価で価値をつけているわけです から、価値が高いものには高い価値をつけていこうということでいいと思うのですけれど も、やっぱりその議論の中で、その単価を決めるもう一つの要因としての流通が非常に分 かりにくい。僕らは、総価や未妥結・仮納入という言葉を言っていますけれども、もう一 つその現場にいないので、それがどういう状況なのかが分かりにくくて、やっぱりそこを きちんとしていくということが、20年度改定で価値は高めていく方向だけれども、一つ 課題として残されていたと思うので、やはりそこをこうしていくんだというものがきちん と出た上で、さらに本当にダイレクトに、ここで議論したことが本当に現場に生かされて いくという形になるという安心感で議論ができると思うんですよね。だからやっぱり、そ のあたりをきちんと国民の人にも分かるような説明なりアイデアなりをやっぱり出してい ただけたらありがたいのかなというふうに思います。 ○前田部会長  渡辺専門委員、さっきちょっと手を挙げられましたが、関連して。 ○渡辺専門委員  流通の問題も少しお話が出ましたので、その点に限ってのみ現状を報告させていただき ます。  取引メーカーと卸の間の取引の内容について不透明感というものは、現在のところほと んど大手同士は見られないと思います。全部書面で、資金の内容とか全部交換しておりま すし、決算上も期末になりますとどれだけの未収の収益についての書面ももらって、それ によって決算をしておりますので、そういうことはほとんどないと思います。  ただ、一つだけ大きな争点がございますのは、市場実勢価が下がったときに、仕切価そ のものをどう取り扱うかというところについては常に争点がございます。そのようにお考 えくださればありがたいと思います。 ○前田部会長  ありがとうございました。  予定の時間、前の時間の余裕があったので随分時間をとってたっぷり議論をさせていた だいたのですが、全体の流れとして、やはり後発品に対しての評価、御意見もあると思い ますが、基本的にはある程度入れて医療費全体を抑え込んでいくというトレンドの中で、 しかし日本の製薬企業はきっちり育っていただかなければ困ります。それは、今日の御説 明にもありましたように国民のためであると。新薬とか新しい薬の開発がとまっては困る と。  専門委員は遠慮がちにおっしゃったわけですけれども、やはりそこはやはりきちっと主 張していただいたほうがいいと思うのですけれども。  ただ、基本的には、最後にまとめておられますように、一定のその要件を満たした新薬 において適用されるが、まだオープンのところがあって議論をしていかなければいけない。 ただ、全体としてこの方向で議論を詰めていって、もちろん議論で煮詰まってだめになる かもしれないんですが、この方向で進めていくということは薬価部会の御承認といいます か、合意がほぼできたのではないかというふうに思うんですね。それで、また事務局にも 御準備いただいて、より具体化する方向で準備して、また薬価部会に諮ってまいりたいと 思います。  今日のところは、非常に準備をしていただいて分かりやすい資料を出していただいたお かげで非常に前に進んだと思いますので、薬価部会は今日はこれで閉じさせていただくと いうことで。  次回について事務局のほうから何か。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  今の部会長の話で、数々まだ論点があると思います。こういう点はどうするかと、後発 品との関係ですとか未承認薬との関係ですとかいろいろあろうかと思いますので、そうい った点をまた整理をさせていただいて、一個一個ちゃんと議論ができるように準備をした いというふうに思っております。  部会の日程についてはまだ未定でございます。 ○前田部会長  では、今日はどうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)