08/09/18 第83回労働政策審議会雇用均等分科会議事録 第83回労働政策審議会雇用均等分科会 議事録 日時:2008年9月18日(木) 10:00〜12:10 場所:厚生労働省 専用第21会議室(17階) 出席者:  公益代表委員   林分科会長、今田委員、奥山委員、佐藤委員、田島委員、樋口委員  労働者代表委員   鴨委員、斉藤千秋委員、齊藤惠子委員、山口委員  使用者代表委員   遠藤委員、川崎委員、吉川委員、山崎委員、山本委員  厚生労働省   村木雇用均等・児童家庭局長、北村審議官、高倉総務課長、安藤雇用均等政策課長 定塚職業家庭両立課長、今里保育課長、代田短時間・在宅労働課長 大地均等業務指導室長、松本育児・介護休業推進室長、赤松均衡待遇推進室長     議題:   1. 育児・介護休業制度の見直しについて   2. 平成21年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求概要について 配付資料:   資料No.1  検討項目   資料No.2  参考資料   資料No.3  育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保ができる働き方の 実現について   資料No.4  平成21年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求概要 議事: ○林分科会長  ただ今から、第83回労働政策審議会雇用均等分科会を開催いたします。本日は、岡本 委員がご欠席で、佐藤委員、吉川委員からは遅れるとの連絡をいただいております。  それでは早速、議事に入ります。本日の議題は「育児・介護休業制度の見直しについ て」と「平成21年度雇用均等・児童家庭局予算概算要求概要について」です。まず、議 題1の「育児・介護休業制度の見直しについて」です。前回の分科会において、当分科 会における検討項目についてご議論をいただきましたが、そのときに各委員から出たご 意見を踏まえた修正については、分科会長である私にご一任いただいたところです。こ れについては、事務局とも相談をしまして資料1のとおりといたしたいと思いますので、 ご確認をお願いいたします。  次に、前回の分科会において委員からご指摘のあった事項などについて、事務局から 説明をしていただきます。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは、資料No.2をご覧いただきたいと思います。前回、各委員からご要望があり ました資料のうち、次回以降テーマ別の議論の際に出した方が良いものを除きまして、 今回、資料No.2の中でご案内をいたしております。  まず、ページをおめくりいただきまして、1ページ以降は育児休業に関しましての基 礎的なデータでございます。かいつまんで、ポイントだけご紹介させていただきます。 1ページにつきましては、育児休業制度の規定が産業別、事業所規模別にどの程度入っ ているかというデータでございます。前回は規模別のみご紹介をしておりました。平 成14年度の調査では総計で61.4%、平成17年度では61.6%ということでございます。 あまり増えていないというご指摘がございましたけれども、産業別に見るとここに掲げ ているとおりとなっております。また、規模別に見ますと、かなり特徴的でございまし て、一番下の欄30人以上の計を見ていただきますと、平成14年度調査で81.1%、平成 17年度で86.1%まで達しており、かなりの高水準であるということがおわかりいただけ るかと思います。また、その上の5〜29人の欄は56.5%ということで足踏み状態でござ いますけれども、10人未満の場合には、そもそも就業規則作成・届出の義務がないとい うことで、就業規則をもっていない企業も含まれているということに鑑みますと、それ なりの水準ではあると考えております。  次のページは、育児休業期間の最長の期間を事業所ごとに聞いております。法定通り の1歳6カ月のところが79.9%でございます。  次の3ページは、育児休業の取得可能回数でございます。法定通りの1回のみというも のが89.7%でございます。一方で、6回以上に分割して取得できるとしている企業も 7.2%ございます。  次のページは、休業の対象者からの除外状況ということで、法律、省令によりまして、 ここに掲げているような4種類のものは、労使協定の締結等により除外することができ るとされております。いずれも相当程度の企業が対象外としているところでございます。  次のページは、有期契約労働者でございます。有期契約労働者につきましては、平成 17年4月から改正法の施行によりまして、一定の範囲のものについて育児休業取得可能 となったわけでございます。こちらは平成17年ということで法施行直後の調査でござい ますが、こうした方について育児休業取得範囲を明文で決めているという企業について は46.4%となっております。  次のページは育児休業期間中の会社からの金銭支給でございまして、「金銭の支給あ り」としているところが14.2%でございます。  次のページは定期昇給制度の有無と、定期昇給制度があるところに育児休業期間中の 取扱いを聞いております。  次のページでございますけれども、賞与の有無と、賞与がある企業に対して賞与の算 定をする際の休業期間の取扱いを聞いております。  次のページは、退職金制度について同様の設問をしているものでございます。  次の10ページでございますが、育児休業から復職した後の職場の取扱いということで、 原則として原職または原職相当職に復帰するものが66.6%となっております。  次のページは、育児休業取得者に対しての職業能力の維持、向上のための措置を行っ ているかどうかということで、講じているものが24.9%でございます。  次のページは、事業所ごとにそもそも1年間で出産者、あるいは配偶者が出産した男 性がいたかどうかということを聞いた上で、その事業所について育児休業取得者がいた かどうかということを、女性、男性別に聞いているデータでございます。  次の13ページでございますが、男女別の育児休業取得者割合でございます。前回、計 についてご紹介をしておりましたけれども、今回は有期契約労働者の育児休業取得状況 についても載せてございます。こちらは平成17年度ということで、1回目の調査でござ いますけれども、総計で女性の方が72.3%、有期契約労働者については51.5%、男性に ついては0.50%と0.10%となっております。  次のページは、育児休業を取った方が、育児休業が終了した後に復職しているかどう かという割合でございまして、復職している方が89.0%となっております。  次のページは、取得した方について休業期間別の割合を見ております。真ん中の欄が 女性でございまして、一番多いのが10カ月〜12カ月未満で35.0%ということで、産後休 業の約2カ月を合計しますとおおよそ1歳までの間に取っている方が多いということがわ かります。男性につきましては、1カ月〜3カ月未満、それから1カ月未満が多くなって おります。  次のページは、育児休業取得者があった際の雇用管理ということで、「代替要員の補 充を行わず、同じ部門の他の社員で対応した」が47.2%となっております。  次ページ以降は、保育所の状況でございます。こちらは、保育課長から紹介をさせて いただきます。 ○今里保育課長  保育課長でございます。前回のこの会議で、ここ20年ほどの保育所の整備状況につい ての資料をというお尋ねがございましたので準備をさせていただきました。20年ほどと いうことでございますけれども、そのトレンドを見ます前に、ここ数年間のものを示し ているのが17ページの資料でございます。三つのグラフを一つにまとめておりますけれ ども、丸でプロットしてある折れ線グラフの一番右側の平成20年の数字が212万人とな っているのは保育所の定員でございます。平成14年にはこの数が196万人というところ から199万人、203万人、205万人、208万人、211万人、212万人と着実にこの定員は増加 してきているところでございます。また人口との関係、あるいは需要との関係というこ とで申しますと、保育所の利用率が一つの指標となるわけですが、三角形でプロットし てある折れ線グラフで平成14年4月には16.3%であったものが、平成20年には一番右の 21.0%と増加してきているところでございます。  棒グラフは待機児童数を参考として挙げさせていただきました。先日、新聞などでも 報道されましたが、待機児童が平成19年から平成20年にかけて、5年ぶりに増加したと いうことがございましたので、この点につきましても、若干、補足でご説明させていた だこうと思います。保育所定員は申し上げましたように着実に増えてきているわけです が、平成19年まで着実に待機児童数が減ってきていたところ、今回は増加に転じたとい うことでございます。要因についてはさまざまなことがあると思いますので、一概には 言えませんが、全般的な事柄としては女性の社会進出などを背景に、保育需要が増大し ていると言えるのではないかと思っているわけでございます。今後は、「新待機児童ゼ ロ作戦」を展開していくこととしておりまして、取組といたしまして、先ほど申しまし た三角形でプロットしてある折れ線グラフで、今年は21.0%という数字でございますが、 これを10年後には38.0%にもっていくということで、すべての希望する人が、子どもを 預けて働くことができるという形を作っていくことを目標に、現在進めているところで ございます。さらに短いタームの目標としては3年後に26.0%というものがございます。  1ページおめくりください。そうは言っても、待機児童が多いのではないかというこ とをよく言われます。それは実態でございます。ただ、これは地域的に非常に偏りがご ざいます。日本地図がございますけれども、色が濃く塗ってあるところ、東京都が一番 多いのですが、東京都、埼玉県、神奈川県、宮城県仙台市、大阪府、沖縄県といった大 都市圏に非常に集中しているということですので、この大都市圏での需給のアンバラン スについて早急に解消を図っていくことが必要と考えまして、諸々の施策を講じている ところでございます。  その施策の方向性や取組についてまとめておりますのが、19ページの「新待機児童ゼ ロ作戦」の概要ということになります。真ん中の欄の「目標・具体的施策」ですが、先 ほど申し上げましたように、10年後には3歳未満児の38%に保育サービスを提供できる ようにすることを目標としています。  次に20ページのグラフでございますけれども、これが先ほどお話にもありましたここ 20年間の保育所数、利用児童数、定員の推移ということでございます。折れ線グラフで 書いてありますのが保育所数、そして薄い色の棒グラフが定員、濃い色の棒グラフが保 育所利用児童数でございます。保育所利用児童数につきましては、平成6年の159万2,000 人が底でございまして、そこから平成20年の202万人に向けて毎年増加してきていると ころでございます。整備の指標となる定員につきましても、平成10年の191万3,000人が 底でございまして、この10年間は増加してきているところでございます。これは、別の 数字で見ますと、先ほど申しました利用率ということになるわけですが、これが21ペー ジのグラフでございます。  折れ線グラフが三つございますけれども、これは年齢別に分けて見たものでございま す。アスタリスクでプロットしてある真ん中の折れ線グラフが3歳未満児の利用率です。 これは昔の統計がありませんので平成8年以降となっておりますけれども、12.3%であ ったものが平成20年に21.0%となっております。これを38%に持っていこうとしている わけでございますけれども、これもこの12年間、着実に増加してきているところでござ います。私の方からは以上でございます。 ○定塚職業家庭両立課長  続きまして、次ページ以降の放課後児童クラブの資料をご紹介いたします。児童に対 して、放課後に適切な遊び、生活の場を与えるという事業でございますけれども、昨年 5月現在でクラブ数は1万6,685カ所。これは全国の小学校区のおよそ4分の3となってお ります。目標値としては、原則としてすべての小学校区での実施を目指すということを 早急に図りたいということで、取組を進めております。また、こちらの事業に対しての 国の助成でございますが、平成20年度予算額で186.9億円ということで、28億円余りの 増加となっております。こうした助成については原則として、長期休暇(8時間以上開所) を含む年間250日以上開設するクラブを対象として補助をしているところでございます。 このクラブ数と登録児童数の推移でございますが、次の23ページをご覧いただきたいと 思います。  平成10年度にクラブ数が9,729カ所でございましたものが、平成19年度までの9年間で 7,000カ所増ということで、1万6,685カ所となっております。また、児童数でございま すが、34万8,000人余りであったものが74万9,000人となっておりまして、少子化の中で も登録児童数はかなり伸びてきているという状況でございます。引き続き、このクラブ の充実について図る予算を計上してまいる予定でございます。  次ページ以降は、フランスとドイツとスウェーデンにつきまして、それぞれの家族政 策の取組などをご紹介しております。こちらは、前回委員の方からありました、ヨーロ ッパではM字型カーブを解消してきたということであるが、そうした国ではどういった 施策が講じられてきたのかというご質問に答える資料でございます。 まず、フランスでございますけれども、真ん中の折れ線グラフは出生率の動向でござい ます。ご覧のとおり、大変高かった出生率がだんだん低下してきております。これは先 進国に共通して見られる動向でございまして、女性の就労の増加・社会進出に伴って、 低下してきている傾向にございます。こうしたものが一転、政策として反転している時 期が1990年代でございます。フランスの施策を見ていただきますと多様な子育て・家族 支援策を進めてきておりますが、特に1980年代には家族給付全国金庫を作りまして、こ ちらから保育施設、また給付等を行っているという状況でございます。1970年代、1980 年代には、休暇の方で見ますと、育児親休暇制度の導入、ハーフタイム労働の導入など の制度の充実がございます。また、施策の転換点となっておりますのが、右下の1990年 代といわれておりまして、この時期に家族給付における両立支援を充実していこうとい うことで、一つは認定保育ママの雇用に対しての援助を創設しております。また同時に、 育児親休暇制度の拡充なども行っております。さらに2000年代には右に掲げてあるよう な各種の施策が講じられているという状況でございます。  次がドイツでございます。ドイツという国はヨーロッパの中では比較的男女別の役割 分担意識も強く、子どもについては、小さいうちは母親が子育てをするべきだという意 識も比較的ヨーロッパの中では強いとされていた国でございました。施策につきまして は、児童手当等を中心とした施策がずっと組まれてきております。1986年には育児休暇 制度の創設もされておりますが、それ以降も育児手当中心の施策が進められてきている ところでございます。1990年代に入りまして、育児休業期間と育児手当支払期間の延長 ということで、育児休業期間は生後36カ月(3年間)に延び、育児手当も生後24カ月まで 支給とされたところでございます。しかしながら、長期休業の後、両立が困難で復帰で きない母親も多く見られたという弊害も出たと言われております。右下のところでござ いますけれども、ドイツの場合、フランスからかなり遅れまして、2005年に入りまして から保育と育児休業を充実するなど、スウェーデンモデルの両立支援型を目指した政策 転換が行われております。特に2005年に保育整備法ということで保育の整備割合を20% に引き上げようという目標の下に取組を進めているということ。それから2007年には両 親手当を導入し、同時に原則として生後12カ月ですけれども、両親で休業を取得する場 合には2カ月間延びるというパパ・ママクォータ制を導入し、所得比例方式での手当を 支給する等の改革を行っております。こうしたことで男性の育児休業取得もかなり増え ている。また、同時に政策の効果がどうかということは実証されておりませんけれども、 出生率の方も回復してきているという状況にございます。  最後がスウェーデンでございます。スウェーデンは1970年代から包括的な家族政策が、 しかも両立支援施策という形で展開されてきているということが特徴でございます。そ うしたことで、他の諸外国よりは早い段階での施策展開が進んできております。その後、 1990年代に景気の急速な悪化、雇用情勢の悪化と同時に児童手当や親保険についても給 付の削減を行ったということがありまして、一時期、出生率が低下したという状況がご ざいましたけれども、その後もう一度施策の改善をし、手当や給付および休暇制度など についても拡充をするということで出生率の回復に至っているという状況でございます。 前回の宿題の資料の説明は以上でございます。 ○林分科会長  ありがとうございました。それでは、ただ今の事務局の説明を踏まえて、ご意見・ご 質問等がありましたらお願いいたします。 ○山崎委員  今の調査に絡んでのことなのですが、こうした調査は研究会報告の基礎になったかな り大切な調査だと思うのですけれども、ご案内のとおり大手と中小企業では企業数がか なり違います。例えばこの場合に、5人未満がかなり多い中小企業のデータがないとい うようなこともございます。これは一定の方式に則って抽出されたものだと思うのです けれども、比例で見ればということなのだと思いますが、これで果たして末端までの全 体像が把握できるのかどうかということで、納得いかないところがあるのです。  もう一つは、前にも育児休業や看護休暇や短時間勤務のことについて、スウェーデン など各国がこういう制度を設けているという資料があったのですが、この制度利用の状 況、企業がどのように導入して、どのような効果を上げているかというような、参考に なる調査結果があるのかどうか教えていただきたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長 まず、最初の点でございますが、ご指摘のとおり5人未満については調査対象としてお りませんので、その辺りはフォローしていかなくてはいけないと思っております。ただ、 通常、労働雇用関係の調査は30人以上という調査が一般的であるのに対して、本調査の 女性雇用管理基本調査等は5人から取っているということで、各種調査の中では比較的 小規模のものも含まれている調査であるということをご紹介したいと思います。2点目 の各国の育児休業の制度利用につきましては、恐縮でございますが、次回までお時間を いただきまして、少し資料を調べてみたいと思います。 ○林分科会長 その他に、ご意見・ご質問等がありますでしょうか。   ○樋口委員 19ページで、「新待機児童ゼロ作戦」について今ご説明いただいたのですが、これだけ 保育の利用者を増やしていこうという目的を達成するためには、予算の問題もあります が、同時に保育士の問題もあるのではないかと思います。マンパワーの確保が現状のま までいった場合に、不足を生じるだろう思います。地域特区等におきまして、例えば幼 稚園の先生の資格を持っている人、さらにはその経験を10年以上果たしている人につい て保育士の資格を簡易に出すことができないのかという要請が出ていますが、どうも厚 生労働省は非常にディフェンシブで、そこのところについて、何らかの解決策をもしお 持ちであれば、どんなことを考えていらっしゃるのかということについて教えていただ ければと思います。 ○今里保育課長 保育士の要請につきましては、二つの側面から今、研究・検討を進めているところでご ざいます。一つはご指摘がありましたように、保育サービスの提供を拡大していくため には量的な拡大が必要だということ。それからもう一つ、昨今、非常に量の拡大と同時 に質の確保向上というのも大切だということで、保育士の養成課程について今の形で良 いのかどうかということも、今まだ、アカデミックな研究を積み重ねている段階ではご ざいますけれども、そういったことの検討を進めているところです。これが現状でござ います。 今ご指摘がありましたような、例えば、幼稚園教諭の資格を持っている方が簡易に取れ るような制度をというようなお話でございましたけれども、例えば保育士になるために、 今は資格試験を受けてという形と、それから養成の課程を終了してという形と、いろい ろなものがございますけれども、その中で幼稚園の免許をすでに取得していらっしゃる 方には、幾つかの科目を免除するという措置は取っているところでございます。ただ、 ご指摘のありましたいろいろな要請といいますか、ご要望につきましては、さらに簡便 にということだとは思いますけれども、全体の保育士の資格、それから養成のあり方を 検討中の段階でございますので、その中でそういったことについても含めて検討を進め ていきたいという状況でございます。 ○樋口委員 現役の専門学校に通っている学生については、卒業試験において何科目か追加的に取れ ば、保育士と幼稚園の教員の両方の資格が取れると。しかし、一度卒業してしまって、 もうすでにそういうプロセスを終わった人については、なかなか取れないというような ことで、例えば幼稚園の方は教員が余っている。しかし片方の保育所では不足している というような感じです。何科目か免除されるということなのですが、その免除が統計数 値を見ますと、ほとんど実効的に不可能のような状況になっているかと思います。ぜひ その辺も考えていかないと、予算は付いたものの保育士がいませんというようなことで、 今度はそちらが制約になって待機児童が改善しないというような問題が、どうも起こっ てくるのではないかというような状況になってきておりますので、ぜひ、そこのところ についてはご検討いただきたいと思います。 ○遠藤委員 資料の19ページに「全国待機児童マップ(都道府県別)」という資料を出していただ き、解説も伺いました。大都市圏の需給アンバランスというご指摘があったかと思うの ですが、もう一方の大都市圏以外のところを見ても、例えば数字的なバラつき、一定の 地域ではゼロといったような数字が見て取れるわけでございます。こうした少ない数字 であったとしてもバラつきが出ている。特にゼロといったような地域について、何か地 域的な特性ですとか、地域で独自に行われているような取組等、何かもしございました ら教えていただければありがたいと思います。 ○今里保育課長 待機児童が存在するかどうかということについては、当然保育の需給のバランスが崩れ るといいますか、供給量を超えて需要があるという場合にこれが起きるわけでございま す。その場合に、非常に需要が増えていることに対応して、きちんと供給も増やすこと によって、待機児童を生じさせずにいるという場合と、その地域で需要量がそれほど伸 びていないために、供給を必死になって整備をしなくても待機児童が生じないという二 つの場合があろうかと思います。後者につきましては、これは自然にそうなっていると いうことでございます。前者につきましては、取組ということになりますけれども、基 本的には50人以上待機児童がいる市区町村につきましては、児童福祉法上の規定でござ いますが、保育の計画を作る。そういった待機児童だけではないのですが、保育の供給 をどうしていくかという計画を作るということが法律で義務付けられておりまして、そ れに基づいて取り組んでいただいているところでございます。 ただ、それにしても、例えば大都市あるいは都市部で非常に開発が進むようなところで、 例えばマンションがポンと建って急激な人口流入による人口の社会増がございますと、 そこではなかなか行政側の取組が追いつかないというところもございます。ただ、そう いったところの取組の例として、その開発に伴って、同時に保育のサービスを提供する ような仕組みを行政が開発業者と共同で進めるというような取組も見られるところでご ざいまして、そういうところは非常に功を奏している例もございます。以上です。 ○川崎委員 保育の利用状況を調べていただきまして、どうもありがとうございました。少し追加で お伺いしたいのは、保育の対象となる人数が増えてきているということなのですけれど、 保育料のコストの負担ということで見てまいりますと、例えば諸外国と比べて日本の場 合は子ども1人に対してかかる保育料の父母と行政側の負担の割合といったもののデー タが何かおありでしょうか。 ○今里保育課長 申し訳ございません。今、手元にはございませんので、そういった資料があるかどうか 勉強してみたいと思います。 ○川崎委員 ぜひ、よろしくお願いします。 ○鴨委員 13ページの男女別育児休業者取得割合の図の見方ですけれども、出産した女性労働者の うち育児休業取得者の割合が72.3%。「うち、有期契約労働者が51.5%」と入っている のですけれども、これは72.3%のうちの51.5%が有期契約労働者であったということで すか。 ○定塚職業家庭両立課長  51.5%というのは、この事業所において出産した女性労働者のうち有期契約労働者、 そのうち育児休業を取得した方が51.5%ということでございます。職場におられる有期 契約労働者で出産した女性の方のうち、休業を取得した方の割合ということでございま す。 ○鴨委員 それに関連して、この51.5%の有期契約労働者というのは、有期契約労働者でここは一 くくりにされているのですけれども、有期契約労働者にも契約社員・パート・派遣とい ろいろあると思うのです。その辺も具体的に見えるような資料はありますでしょうか。 それからもう一つ有期契約労働者については、育児休業取得について適用条件が定めら れていると思うのですけれども、その条件に適合した人が51.5%取得しているのか、そ うではなくてプラスαで職場の中で適用条件を広めて適合した人がいるのかというとこ ろを、出していただければ、ありがたいと思います。 ○定塚職業家庭両立課長 承知しました。3回目のときに資料をお出ししたいと思います。なお、補足的に申し上 げますと、この13ページの有期契約労働者につきましては、期間を定めた契約の方を含 むということですので、有期で契約している方について、その呼称を問わず含んでいる というデータでございます。内訳についてはこの調査では取っておりませんので、その 内訳はわかりません。 ○佐藤委員 今のことに関して、もし集計すればできると思うので申し上げますが、5ページの鴨委 員の言われたことについて、基本的に有期契約でパートかフルかというのはもともとそ ういう趣旨ではないので、なかなかデータを取るのは難しいと思うのですが、制度的に は5ページのその法定通りで適用しているのか、法定より広げているのか、状況がわか りますよね。それと、取得の状況について、要件を広げているところが多いのか、法定 通りのところはどうかというのは、わかると思うのです。法定通りのところと、少し広 げたところでの取得率の状況は、一応集計すればわかると思います。取得率の違いなど ですね。 ○定塚職業家庭両立課長 その集計が可能かどうかということも検討させていただきたいと思います。 ○山本委員 質問でございます。先ほど21ページで、3歳未満児の保育所の利用率を、今は21%だけ れど38%まで上げることが今後の目標だとおっしゃったのですけれども、商工会議所等 でも、保育所の設置の充実、また利用率を高めること等について、ぜひ積極的な整備を お願いしたいということは意見としては出ております。その意味で、それがかなり補充 されることによって、これからの少子社会を乗り切っていく一つの大きなパワーになる という意見が多々出ております。今38%とおっしゃったこと、それから保育所の総数と いったものが、今我々日本が進もうとしている道の中で、海外との比較や、それから日 本が持っている固有の状況等の中で、38%が適切であるということの意味合いを、でき れば教えていただきたいと思いました。 ○今里保育課長 この38%の数字の根拠と申しますか、出生率が下がってきた段階で、検討会議の場で、 出生率が下がっているのは、子どもをそもそも産みたくないのか、あるいは条件が整え ば産みたい、あるいは条件が整えば結婚したいということなのかということについて意 識調査をしたことがございました。その結果では、条件さえ整えば子どもを産みたい、 あるいは条件ができれば結婚したいというようなものを、数字をその意識調査の結果を 基に合わせていきますと、出生率が1.75ぐらいになる可能性もあるという結果が出たと ころでございます。そうしたものを基に、人口の推計なども加えまして38%という数字 を10年後に実現することができれば、それですべての子どもを預けられるということが 実現できるのではないかという形で出ている数字でございます。 それから諸外国との比較でございますけれども、例えば先ほど説明させていただきまし たフランスとかスウェーデンの例でございますと、この数字が、3歳未満児の保育サー ビスの利用率は40%を少し超えるぐらい、細かい数字は手元にございませんが、44とか 42とかそういう数字だったかと記憶しております。ですから、日本の38%というのは、 それには若干欠けますけれども、恐らくこの面での先進諸国と比較しても遜色ないと言 える数字ではないかと考えております。 ○佐藤委員 追加すると、結婚したい人が結婚して子どもを産みたい人が産み、かつ働きたい人が育 児休業を取り、働き続けるとしたら、どれぐらいの人が保育所に預ける必要があるかと いうことを計算して38%ぐらいと出したのです。 ○林分科会長 樋口委員、どうぞ。 ○樋口委員 これは行動指針の中で議論してきたことだと思うのですが、そのときにフランスを例に 出されて、フランス並みにというような話だったと思いますが、フランスの保育サービ スの利用率は確か40何%ですが、実は保育ママさんなど多様な保育サービスの手段を持 っているわけですね。一方、日本は保育ママとか他のものが非常に弱い。大多数は保育 サービスの利用、保育所の利用ということになっていて、これだけ比較してもフランス 並みになりますと言われるとちょっと抵抗があるという感じで、他の手段、ルートも広 げていくというのは今度の集中の重点期間にも入っているわけですから、全体的にどう なのか、両立が可能なのかという視点に立つと、これで十分ですとはいえないのではな いかと、私は思います。 ○今里保育課長 今、数字を探し出しまして、フランスの場合には2004年で3歳未満児のうち認可された 保育サービスを利用する人の割合は42%という数字があります。そのうち、集団託児所 が11%、家庭託児所が3%で、ご指摘のありました認定保育ママが29%ということでご ざいます。わが国の場合には、その38%というものを進めていこうというときに、保育 所が多くの数を占めるような形で進めていくところではございますけれども、同時に多 様な形態ということで、多様なニーズにも応えるようにということは必要なことだと考 えておりまして、私どもの問題は保育ママ、家庭的保育事業ということになるわけであ りますけれども、児童福祉法の改正案でそれを正論づけるとか、あるいは予算的な補助 事業をやっておりますけれども、それも倍増、倍増という形で進めてきておりますので、 さらに多様な形に一歩でも進めていくことは考えているところであります。 ○樋口委員 他の国では、例えば税金の面で違う。例えば保育ママさんを使ったときに、実際に掛か る費用を実額控除という形で税金として引かれるのかどうか。日本の場合にはそれが今 のところはなくて、一律でどういう状況であっても、保育にかかる費用というのは税金 として控除されない。実額控除制度というのが他の国ではかなり効果を持っているとい うことがあって、最近の議論で税制調査会の方でもやっていますけれども、ぜひそこの ところは厚生労働省の方でも要望していく必要があるのではないかと思います。 ○林分科会長 時間も押し迫ってまいりましたので、今後もご検討いただくということでお願いしたい と思います。 続きまして、テーマ別の議論に入りたいと思います。今日は検討項目1の「育児休業後 も継続休業しながら子育ての時間確保ができる働き方の実現について」というところの 議論に入りたいと思います。事務局より説明をお願いいたします。 ○定塚職業家庭両立課長 資料3をご覧いただきたいと思います。本日は、先ほどお示しした資料1の検討項目のう ち、1の部分について四つ論点がございますので、ご議論をお願いしたいと思っており ます。こちらの資料3の1ページ以降につきましては、第一の論点でございまして、短時 間勤務と所定外労働免除についての部分でございます。まず、2ページ以降で研究会報 告書の該当部分をご紹介しています。3ページに研究会報告の「今後の対応の方向性」 ということで、短時間勤務と所定外労働の免除について、3歳に達するまでの子を養育 する労働者に関しては、原則としてどの企業においても労働者が選択できるようにする ことが必要であるということ。また、その際の方法として、三つの方法を挙げてござい ます。さらにこうした制度の検討に当たっては、労働者の柔軟な働き方の権利の確保と 事業主の負担との兼ね合いを考える必要があるということで、「事業の正常な運営を妨 げる場合」と事業主が労働者の請求を拒否できる場合を認めるべきかどうか。認めると した場合には、どのような事由を認めるか。また、短時間勤務と所定外労働の免除で同 様の取り扱いでよいかといった点について検討を深める必要があるとされているところ でございます。  次のページ以下に研究会報告の資料を付けてございます。別紙1〜3 でございます。7ページ以降は、念のため現行制度の概要をご紹介しております。7ペー ジは勤務時間の短縮等の措置についての概要、8ページ、9ページは参照条文でございま す。10ページ以降ではデータをご紹介してございます。10ページのデータで、前回もご 紹介しましたが勤務時間短縮等の措置の制度がある企業は全規模計で41.6%、これは平 成17年度の調査でございまして、平成19年度には、49.5%となっております。平成17年 度の調査の41.6%のうち75.5%が短時間勤務制度の導入をしているという状況でござい ます。  次の11ページでございますが、こちらが産業別、事業所規模別に見た状況でございま す。次のページは勤務時間を短縮した分の賃金の取扱いでございまして、約8割が短縮 時間分を無給という取扱いとしております。次の13ページは、育児休業を取った後の復 職者がどのような制度を勤務時間短縮等の措置の中で利用しているかというデータでご ざいます。最も多いのが短時間勤務制度の利用となっております。  次のページは短時間勤務制度の導入状況ということで、規模間の違いというものも見 られております。また、右側のグラフを見ていただきますと、こちらの調査では制度と してあるという他に、運用としてあるという選択肢も設けておりまして、規模が小さい 企業については、制度としてあるとは答えていませんが運用としてあると答えている企 業も一定数あることがおわかりいただけるかと思います。  次の15ページは、短時間制度を導入していない理由を企業調査しますと、理由として は育児中の人等、制度の対象となる従業員が少ない。あるいは、ニーズが少ないといっ たような回答ございますけれども、その当該企業について、従業員の利用意向を聞いて みますと、一定の方は導入して欲しいというニーズがあると答えているという状況でご ざいます。  次の16ページは短時間勤務制度の導入タイプ別に、今後どうしたいかという企業の意 向を聞いております。育児のみ、あるいは育児と育児以外の短時間勤務制度を導入して いる企業については、約3割の企業がさらに充実をしたいと回答していることがわかり ます。一方で、いずれも認めていない企業については、現状維持というところが8割弱 あるという状況でございます。  次の17ページは前回もご紹介いたしましたが、子の年齢別にみた母親として望ましい 働き方のパターン別でございます。  次のページは「職場の子育て支援に対するニーズ」ということで、各種の制度につい て利用したい、したかったサービスについて聞いているところでございます。短時間勤 務や子どもの看護等が上位に来ています。  また、次のページでございますけれども、短時間勤務の利用ニーズにつきまして、共 働き世帯や残業のあり・なしによってニーズが若干異なっているという状況をご紹介し ております。  次の20ページでございますが、短時間勤務制度を導入している事業所において労働日 1日当たり何時間短縮をしているかというデータでございます。1時間以上2時間未満、 2時間以上3時間未満というところが多くなっているところでございます。  次のページは諸外国における育児短時間勤務の状況のご紹介でございます。当方で調 べたものでございまして現段階で判明したものを載せておりまして、未定稿とさせてい ただいております。  次に第2のテーマである在宅勤務でございます。在宅勤務につきましては、23ページ に研究会報告書の抜粋がございますけれども、現行の勤務時間短縮等の措置のメニュー の一つとなっておりませんけれども、この一つとして「位置付けるべきものと考える」 としております。  次のページをご覧いただきますと、「育児のための在宅勤務制度の利用意向等」とい うことで、利用したいというニーズは3割強となっております。利用したい理由も右に 掲げておりますが、子どもと一緒にいられる、また通勤時間の削減などでございます。 一方、在宅勤務制度を現在設けている企業ですが、まだ大変少ない状況にはございまし て、「制度としてある」と答えている企業は2%余りとなっております。  次ページ以降は「子の看護休暇」についてでございます。研究会報告につきましては 下線部分でございますけれども、「現行の年5日の子の看護休暇を子どもの人数に応じ た制度とすべきものと考える。この際、子どもの人数に応じた上限を設けるべきか否か について、事業主の負担等についても十分考慮する必要がある」としております。 また、検討事項として休暇取得単位を柔軟にし、時間単位でも取得できるような制度と することについても検討すべき。また、子どもの予防接種や健康診断の受診を理由とす る休暇の取得を認めてもよいのではないかとの意見もありました。  次ページ以降は制度の概要で、現行制度の概要と参照条文をご紹介しております。 31ページはデータでございますけれども、子の看護休暇の就業規則等により明文化され ている事業所は、平成17年の調査におきまして33.8%となっております。平成17年4月 から子の看護休暇が義務化・請求権化されたところでございまして、その直後の調査で ございます。また、男女別の取得状況でございますが、女性が54.2%、男性が45.8%と なっております。また、職場にいます子どもを持つ女性労働者に占める割合を見ますと、 女性が9.2%、男性が2.5%となっております。  次のページは事業所で、子以外も看護休暇の対象としている企業で、こちらは2割と なっています。対象の家族の範囲は下に掲げているとおりでございます。  次のページは「望ましい看護休暇制度」ということで、ニーズ調査をした結果でござ いまして、半日単位の取得、また複数の子がいる場合1人につき5日ずつということ、ま た上限年齢の引き上げ、予防接種、検診等の取得などが出ているところでございます。  次のページは実際にどれぐらい看護休暇の日数を取得しているかということに関連す るデータでございまして、2003年のデータでございます。子の看護休暇といっておりま すが、法律上の看護休暇ではなくて、年次有休休暇や欠勤等を含むものでございます。 子が1人の場合には1〜5日間のものが49.6%、子が2人の場合には1〜5日間が40%、6日 以上あるいは11日以上の休みを取ったという者もかなりの割合に達しております。  次の35ページは、事業所で見まして、労働者1人当たり5日あるいは何日かという形で、 労働者1人につきという形で看護休暇を付与している事業所が58.9%でございます。ま た同一の子どもにつき5日あるいは別の日数を掲げているところが27.4%となっており ます。  最後に36ページは諸外国の看護休暇制度の資料でございます。こちらも未定稿とさせ ていただいております。  最後の4番目のテーマでございます。「継続就業しながら子育ての時間確保ができる 措置の対象となる子の年齢について」ということでございます。まず、38ページには研 究会報告をご紹介してございますけれども、現行の法律では勤務時間短縮等の措置につ いて3歳までは選択的措置義務、小学校入学までは努力義務とされております。また、 時間外労働の制限、深夜業の制限、子の看護休暇については、小学校入学まで義務とさ れています。しかしながら、近年、「小1の壁」といわれる小学校低学年児の両立支援 が課題となっていることから、こうした措置について、小学校3年生終了時まで延長す べきものと考えるという記載になっています。こうした制度のうち、今までご紹介して いない制度につきまして、その概要を39ページ以降でご紹介しています。まず、時間外 労働の制限とその条文。それから、43ページ以降は深夜業の制限の概要とその条文のご 紹介です。  最後に47ページ、子の看護休暇制度につきまして、小学校就学の始期に達するまでと しているところが87.2%です。一方で、小学校卒業以降も利用可能というところも9.6 %あります。  次のページは時間外労働の制限が、こちらもいつまで利用可能かというというデータ ですが、小学校就学始期までとしているところが制度導入事業所のうち92.6%となって います。  次のページは勤務時間短縮等の措置でして、制度がある企業のうち、3歳に達するま でとしている法定通りのところが56.5%。小学校就学の始期に達するまでとしているも の、あるいは小学校入学以降としているものも一定程度ある状況となっています。  最後に最長利用期間別・事業所の割合の各制度別の割合でございまして、前のページ のものを制度ごとに、いつまでかということを示したグラフです。以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。ただ今事務局から、四つの論点についてご説明いただきま したが、検討項目の四つの論点のうち、子の看護休暇は少し性格が異なりますので、子 の看護休暇のところは後回しにしまして、それ以外の三つについて、まずご議論をいた だき、最後に子の看護休暇についてご議論をいただきたいと思います。  それでは最初の3点、「育児休業後の働き方を見通すことができるような雇用環境の 整備について」「在宅勤務について」「継続就業しながら子育ての時間確保ができる措 置の対象となる子の年齢について」、これを併せてご意見・ご質問等がありましたらお 願いします。川崎委員、どうぞ。 ○川崎委員  ページでいいますと6ページになるかと思いますが、別紙3で、短時間勤務制度と所定 外労働免除制度の組み合わせについて4パターンをお示ししていただいています。それ ぞれパターンの違いの基本的な考え方を少し詳しくご紹介いただきたいということと、 それぞれの留意点について、もう少し詳細をご説明いただければと思います。よろしく お願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  それでは別紙3ということですが、説明を省略してしまいましたが、別紙2の方から説 明したいと思います。5ページの別紙2です。研究会報告の付属資料ですが、短時間勤務 と所定外労働免除を考える際に、それをどのような権利にするかということについて大 きく分けて二つのパターンがあるということを示しています。一つ目は、労働者が請求 できることとする場合で、もう一方が事業主による措置義務とする場合です。労働者が 請求できることとする場合については、一番左の欄の下を見ていただきますと、現行の 育児・介護休業法の育児・介護休業は、申し出をすることによって休業することができ るという規定になっていまして、この育児休業と同様の義務・権利とするというのが一 番左の欄です。すなわち労働者が請求し、「申出」という意思表示をして、そのことに よって事業主の労務提供請求権と労働者の労務提供義務を消滅させるという民事効が生 じる。形成権であるという点が特徴です。真ん中の欄ですが、諸外国の場合には労働者 が請求した場合に、その後労使で協議をする。あるいは事業主に応諾義務を課すといっ た手続を義務付けた上で、事業主が承諾し、労使の合意が得られたら短時間勤務が取得 できるという制度を持っているところもあります。日本では、類似の制度は民間の労働 関係では見当たらない状況ですが、類似の例として国家公務員の短時間勤務については、 やや使えるかなということでここに分類をしています。また、事業主による措置義務と する場合は、現行の育児・介護休業法の勤務時間の短縮等の措置は選択的な措置という ことで、いずれか一つですが、いずれか一つではなくて、この短時間勤務あるいは所定 外労働免除を義務付けるということになりますと、この措置義務に当たります。こちら は措置義務ということで、法律により事業主に義務が課されまして、事業主がこの規定 に基づいて就業規則や労働協約により措置を制度として設けることによって労働者の権 利が発生するということになります。したがいまして、一番左側と一番右側の違いは、 一番右側の場合には義務をかけていたとしても、その事業主・企業が制度を導入してい ない場合、労働者が短時間勤務を取得することができないということになります。この 場合には実現する方法として、下の○にありますが、法律に基づく行政指導の対象とな るということで、実際には均等室に申立てをし、均等室が指導をするということになる かと思います。 この別紙2の三つのパターンにつきまして、次の別紙3では短時間勤務制度と所定外労働 免除の組み合わせということで、とりあえずパターン1からパターン4ということで示さ れているものです。短時間勤務について一番上の欄については、今申し上げた事業主の 承諾を不要とする場合、前のページでいくと一番左側の欄です。またパターン2につい ては事業主の承諾を必要とする場合、前のページでいくと真ん中の欄です。また、措置 義務とする場合というのは右側の欄のものです。所定外労働免除については、事業主の 承諾を不要とする場合ということでパターン1からパターン3を作っており、パターン4 は措置義務とする場合ということを掲げています。パターン1については短時間勤務、 所定外労働免除とも前のページの一番左側の事業主の承諾を不要として民事効が発生す る形成権的な性格を持つというもので、事業主にとって短時間勤務の形式をどのように 設定するか。あるいは解除事由を設定するかしないかのありようによっては負担が重く なるという面があります。一方で、労働者についての選択の自由は大変高いものになり ます。また、パターン4でみますと、短時間勤務も所定外労働免除も双方とも措置義務 ということになりますと、こちらは事業主にとって実態に応じた措置を講じることがで きる可能性が高いということですが、一方労働者にとっては希望する短時間勤務の形式 が用意される保証がない。また、企業が措置しない場合にはこうした制度がないという ことになりますので、そもそも取得できないということになるという大きな違いがあり ます。以上です。 ○林分科会長  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  今お答えいただいた点について、もう少し教えていただきたい。6ページの別紙3のパ ターン4にある一番右下の留意点についてのご説明、事業主にとって事業所の実態に応 じた短時間勤務の措置を講じる可能性が高まるということですが、このところをもう少 し何か付け加えてご説明いただくことがありましたらお願いしたいのですが。 ○定塚職業家庭両立課長  これはあくまで一般論として述べているものですが、措置義務とした場合には、事業 主に対してその制度の導入を義務付けるものですので、事業主側である程度、制度をど のように導入するか。もちろん一定の制限は法律なり規則なりで課されることになろう かと思いますが、どのような制度を導入するかによって、ある程度裁量の余地があるの ではないかと考えています。しかしながら、例えばこれによって事業主が一部の労働者 については適用しないとすることは義務違反となりますので、すべての労働者に対して 事業主がこの措置を用意するということが原則で、仮に法律や規則によりまして一定の 解除事由を設定すれば、その解除事由の範囲内でその義務が解除されるということにな ります。 一方、パターン1の請求権方式ですが、こちらは請求権・形成権の制度をどのように組 み立てるかによってかなり違ってくると思いますが、例えば極端な例で申し上げると、 労働者がどのような短時間勤務でも請求してよいということになりますと、何時間でも 短時間にしてよい。あるいは1日のうち朝夕いずれでもよいし、隔日勤務でもよいとい うことで、自由に組み合わせられるという制度も考えられます。この場合には労働者に とって選択の自由度が非常に高い。一方で事業主にとっての自由度が非常に低いという ことになろうかと思います。 ○林分科会長  大変重要な論点だと思いますので、どなたか他のご意見の方も、お伺いしたいと思い ます。山本委員、どうぞ。 ○山本委員  私も中小企業に従事しておりますけれども、中小企業になりますと、先ほどの企業の 規模5人以下というお話もありましたが、規模や業種による特性、こういうことがあり まして、なかなか短時間勤務ということに対して受容できるキャパシティがそれぞれの 企業によって違うということがかなりあるように思われます。そういうことから鑑みま すと、今の三つのゾーンの説明ですが、はじめからこの事業主の承諾を不要とする場合 というところに、これはどういう制度になるかというのはこれから議論をするところで すけれども、むしろ中小業者だけにこだわれば、そういう企業側の状況をもう少し詳細 に把握した上で、対処できるアローワンスを残していく必要があろうかということなの で、一律的にものをすべての企業に規模にかかわらずはめ込んでいくということには、 非常に慎重に進めていかれる必要があるのではないかという気がします。 そういうことで、中小の場合にはかなり家族的な経営をしているところもありますので、 制度的には明文化されていなくても、それなりのいわゆるフェイス・トゥ・フェイスの 話し合いの中で、こういった問題に対処しているという事例もありますので、その制度 あるいは法律という枠組みの中で決め込んでしまわない方が、かえって物事がスムーズ にいっているというケースもあろうかと思います。そういうことでありますので、中小 企業者等に対するいろいろな補助的な施策、この前もお話し申し上げたのですが、仮に 短時間勤務にした場合に、残った時間をどういう形で労働力を補っていくのかというこ とについては、実際に私どもがやっている中でも直面している問題でもあります。した がって、そういうことに対して、ハローワーク等の処置もあると思いますが、より機動 力のある、そういうことに対する経済的な支援であるとか、このことについていわゆる コスト的な問題が出てくる場合もあるかもしれませんが、これは結果として残された従 業者に対するしわ寄せということになったり、中小企業が今非常に厳しい中で運営を余 儀なくされている中で、よりこれが企業の運営に対する負担となって重くのしかかるこ とが極力なくなるように、国の方のサポーティングを万全にやっていただいた上で、先 ほどの三つのゾーンについていえば、十分慎重に進めていただきたいという意見です。 ○林分科会長  その他に。斉藤委員、どうぞ。 ○斉藤(千)委員  確かに経営者の方たちのご意見もわかるところはあるのですが、資料17ページに、労 働者として望んでいる働き方という調査結果が出ていまして、短時間勤務と残業のない 働き方が、働く側からすると非常に重要であり、ここのこういうデータ結果は、これか ら労働人口が減少して、女性の就労は日本の経済を支えるのに非常に重要な位置付けに なる中で重要ではないかと思っています。残業のない働き方を望むというところが、例 えば小学校の就学からだんだん増えていくのですが、現状今の短時間勤務を外れて通常 勤務に戻ったときに、本当に時間外労働をしないで働ける状況なのかというと、短時間 勤務を外れたとたんに時間外労働をさせられているというのが実態ではないか。小学校 1年生の壁がなぜできてしまうかというと、まず時間外免除をいって手を挙げて免除さ れるのが小学校就学前であり、さらにはそこに保育所の問題と放課後クラブの保育施設 の問題が実態として出てくる。そうすると、子どもが小学校1年生に上がったとたんに、 女性の労働者は、このまま働けるのかということを心配する。預ける場所がまず、今ま で保育所では19時20時まで預かってくれていたのが、17時、長くても18時。放課後クラ ブになるとそういう実態がある。自分自身は短時間勤務ができない。3歳でもできなく なっている方もたくさんいらっしゃると思いますが、中小、中堅どころの大手の所から すると、今トップを走っているところは小学校卒業までというような大手の企業もある 実態の中で、小学校1年生の壁は働く側の非常に大きな障害になっている。それを超え るためには短時間勤務と残業のない働き方というのは実現してほしいというニーズが出 ているデータだと思っています。法律で定めていただかないと、先ほど言っていたフェ イス・トゥ・フェイスでやれるところはよいのですが、本当に10人以上30人未満、ある いは100人未満というところの労働者は、ほとんど3歳で短時間勤務が終わっていると思 います。これを上げていただかないと女性が本当に子どもを持ちながら働く、複数の子 どもを持って働くということは現実的には不可能ですから、これを実現するための制度 として、この短時間勤務と残業のない働き方というのは非常に有効だと私は思います。 また、先ほどありましたが、日本の慣例的にいうと6ページの資料を見ても「事業主の 承諾を不要」とするのが今までの日本の法律の状況だと思いますので、まず事業主が承 諾を必要とする場合というのは、今の日本ではあり得ないのではないかというところで、 従来の日本の法令の慣行でいくと、承諾を不要として本人が望んだときには取れるとい う前提で制度化していく必要があるのではないかと思います。 ○遠藤委員  柔軟な働き方への取組というのは、ここ数年来、労使の皆さま方でいろいろな形で取 り組まれているということはご承知のことと思います。そういうことの中で、ではどう いうスキームを取れば現場で事業所の実態に合った形の取組が進んでいくのかというこ とが大きなポイントになってくると思います。そうなりますと、現行の仕組みそのもの は繰り返し申し上げることでもありませんが、育児休業制度に準ずる措置、または選択 的措置義務といった幾つかのメニューがある中で、その労使の取組の中で、その事業所 の実情に合った形で取り組まれている。ですから、資料にありましたようにデータを見 ても、もちろん単体それぞれの割合にはばらつきがありますが、全体としては40数%、 直近のデータでは50%に迫る状況があるということであります。これは今の実情を踏ま えて効果的・合理的に取り組むスキームとしては現行の仕組みといったものが実態に合 っているのではないかということの一つの表れではないかということがいえるかと思い ます。先ほどご指摘がありましたように、それぞれの働き方、ニーズがあって、それに 適うような形ということをおっしゃっていますが、そうなるとその方の働き方を実現す るためには、他の職場に残っている方がどのような形でそこにかかわりをもっていくの かということも視点として十分持っていなければならないと思っています。データの中 にはありませんでしたが、育児休業取得者が出たときには、残っている陣容でカバーす るという実態が5割近くありました。そのデータから推測すれば、短時間勤務、所定外 労働免除の申請者が出る場合、その方が本来やってもらうということで会社が期待して いた部分を残った他のメンバーの方々でシェアしていく割合も結構高まってくるのだろ うということがいえます。いろいろ考えていきますと、現行の選択できる仕組みについ て、職場内では相互の理解と連携・協力を踏まえ、労使の取組の中で進めていただくこ とが現実的ではないかと思っています。 ○林分科会長  齊藤委員、どうぞ。 ○齊藤(惠)委員  そもそも短時間勤務と所定外労働免除は性格が違うと思うのです。所定外労働をさせ る場合というのは、通常所定外というのは例外的な仕事をやって、三六協定が締結され ていなければ、所定外労働をさせてはいけないことに法律ではなっています。ただ、現 状それが通常所定外労働があるのが通常として意見交換されているのですが、例外的な ことをさせることに対して本人がそれを免除してほしいといった場合に、事業主の許可 が必要なのかということで、この場合には「本人の選択によって事業主の承諾を不要と する場合」というところに位置付けるのがベターなのではないかと思われます。ですか ら、所定外勤務と短時間勤務を同じ列に合わせてどこかのパターンに入れるというので はなくて、所定外労働はこのパターン、他の部分についてはこのパターンというふうに 分けて考えてもよいのではないかと思われます。  もう一つですが、先ほど人員がいなくて育児休業が取れないでいる中小の企業で働い ている方もたくさんいらっしゃるということで、その場合はフルタイムであっても育児 時間を取っていらっしゃいますが、その場合でも法律では所得の保障は規定していませ んので無給の場合が多いと思います。短時間勤務を1歳になるまでとか、その後の場合 も短時間勤務をしている方もいらっしゃると思いますが、現行の育児休業制度では、ま るっきり休んでいれば所得保障があるのですが、短時間勤務をしている場合は所得がカ ットされてしまう部分が多いので、せめて1歳になるまでは部分的休業と位置付けて、 ある程度所得の保障をしてあげるような制度をつくった方がよいのではないかと思いま す。 ○佐藤委員  よろしいですか。別紙3を見ていただくと、今の短時間勤務と所定外労働免除という 性格があるのではないかと。これは研究会でも議論をして、一応それぞれ別で考えてい ただいて、両方入った場合に組み合わせになるということだと思います。これを見てい ただくと所定外労働免除のところは承諾を必要するということではないのです。基本的 には普通の勤務時間で働く前提、残業をするのはある面では特別の場合ということです ので、そういう意味でこの組み合わせのところを見ていただくと、今のご発言のような 趣旨で作ってあるということを見ていただければと思います。遠藤委員が言われた現状 でいえば短時間勤務等のこの選択措置義務でどれか一つ入れればよいということになっ ているのですが、確かにそれで進んできているのだけれども、労働者のニーズをみると 結構短時間勤務のニーズが多いわけです。確かに企業単位では進んできているのだけれ ども、短時間勤務を希望する労働者が、導入したところに必ずしもいるわけではないの ですね。基本的にはいないところにも同じ比率でいる可能性が高いわけですから。そう いう意味では、もう少し選択的措置義務の中から短時間勤務を取り出して、この導入が 進むようなことが必要ではないかというのが提案です。そのときに、それを取り出して 措置義務にするか、形成権にするかは議論していただく必要があると思いますが、研究 会報告書はそういう提案となっています。遠藤委員は基本的には現状でよいということ ですか。 ○遠藤委員  現状の中でも進んできているということを踏まえて、それなら今の合理的な枠組みで どうかということです。 ○佐藤委員  現状で進んでいる中で、それだけはさらに進むように何かできないかというのが提案 だということです。 ○林分科会長  斉藤千秋委員。 ○斉藤(千)委員  進んでいるのは、私の認識からすると労働組合があって、労使で制度の必要性、組合 員のニーズなどを会社側に伝えて、それに応えてくれる経営側がいてという、ある一定 の割合の規模を有している企業はそういうことで進んできている。私自身が危惧してい るのは、非常に進んでいる企業と、非正規の方たちを含めて、制度を全く使えないとい う法律で書かれているところでとどまってしまうところの二極化が、結局働き方の格差 が今後のいろいろな日本の社会の格差につながっていくのではないか、固定化するので はないかと非常に危惧していまして、3歳とか、あとで看護休暇のところにもあります が、小学校就学前でとどまってしまうところと小学校卒業までと、既に大手の企業の中 で幾つもあるのですが、そこで働く人たちのそれが格差の固定化になっていくことを私 は非常に危惧していまして、法律で底上げをしていかなければいけない。何度も言いま すが、小規模で家庭的にできるところは本当に家族的な経営だと思っていますので、そ こで働いている方たちは本当にファミリーのようにいろいろな施策を法律に定められて いない範疇でやっているのではないかと思います。私が危惧するのは30人以上100人未 満のような規模で働く方たちが、一番社会に取り残される子育てをやってしまっている のではないかというところを懸念しているので、ぜひ法律で定めていってほしいと思い ます。 ○林分科会長  川崎委員、どうぞ。 ○川崎委員  これは少し情報の共有ということでの発言になりますが、育児に関しての制度が非常 によく整っている会社でどういうことが起こっているのかを少しご紹介したいと思いま す。これは弊社の例になりますが、育児休業に関しては3歳まで認められていまして、 これはかなり以前から認められているという状況です。それから、短時間勤務について も小学校の1年生まで認められていまして、それが今年の4月から小学校3年生までとい うことで、さらに延長してきている状況です。そういう状況の中で、女性社員が実際に どうやって子育てと仕事を両立させながらやっているのかといいますと、現実的には1 歳を過ぎたときの最初に来る4月、そこで保育所に子どもを預けて戻ってきているとい う社員が一番多い比率を占めています。実際には3歳まで育児休業を取得する人はかな り限定的で少ない。それなりに固有の事情を抱えている人たちだという状況です。もう 一方の育児短時間勤務に関しても、小学校まで取る人は非常に少なくて、女性の雇用の 均等ないしは社会の進出、子どもが生まれる前までの積み上げてきたキャリア形成を継 続的に培っていきたいということを考えた場合には、ある程度早い段階で通常勤務に戻 りたいというニーズも一方であって、それがかなわない理由が、実は保育所が充実して いない、ないしは延長保育の定員が少ないというような理由も一方ではあるということ です。先ほど二極化していくのではないかと、つまり制度が整っていると制度を使って 母親が保育しているというところが増えているのではないかというご発言があったかと 思いますが、実は意識の面ではキャリア形成に重きを置きながら子育てをしていくとい う面では、なるべく早く職場に戻りたいという意識を持っている人たちが随分多いとい うこともあるということは、ぜひ皆さんに情報として知っておいていただきたいと思い ます。 ○林分科会長  山崎委員。 ○山崎委員 先ほど30人以上100人未満とあったのですが、この調査そのものの中に制度の導入をし ているかしていないかは別として、経営者が制度についてどういう考えを持っているか 自体の調査がないものですからその実態はわからないのですが、大方の小さい所はかな り従業員との連携ができていまして、社長といっても別に社長室にいるわけではなくて、 非常に細やかな連携ができているのですね。そういう点におきまして、かなり一つの世 界を作っていまして同族の人たちが多いのです。そういうことからすると、法律以上の ことはよく当てはめないとわかりませんが、現状のままでも法律以上のことをかなり小 さい所ではやっているケースが非常に多いと思うのです。特に「何だ、この育児休業制 度は大企業のものではないの」という声を、小さいところからよく聞くのですが、そう いうケースであってもよく聞くと、法律以上のことも自らいろいろとやっているケース がかなり多いと思うのです。ただ、その実態の調査がないからわからないのですけれど も、そういう企業は現状の制度の中で非常に多いと思います。 ○林分科会長  佐藤委員、どうぞ。 ○佐藤委員  私も追加的なことです。先ほど、短時間勤務を形成権化する、育児休業もそうなので すからそうした方が良いのではないかと労働者側の方が言われたのですけれども、育児 休業と短時間勤務を考えたときに、取得後の対応でいうと、育児休業も大変なのですが、 遠藤委員が言われたようにやりくりでやっている場合があるというお話なのですけれど も、基本的なことをいえば1人が完全に休業してしまえば、例えば生産工程のラインで あれば、異動させながら別の要員を採用するとか動かすという形でやれないことはない のです。逆にいえば、短時間勤務の方が結構難しいのです。例えば2時間短縮の人がい るので2時間分だけ雇用するというのは一般的に難しいのです。4時間短縮とか半分にし てしまえばよいのですけれども、1時間、2時間の短縮ですから、そういうニーズはない のです。もちろん2時間短縮ですからカバーできるという側面もあるのですけれども、 これは職場の種類によります。現場の組み立てラインのところで2時間短縮したときに、 ではこの2時間分だけ人を雇うのかというのは、なかなか難しいところがあります。で すから、諸外国で短時間勤務を入れた場合に、合理的な理由は国によって違いますが、 合理的理由があれば拒否できます。なぜ、そういうものがあるのか。多分そういう育児 休業と短時間勤務の性格が違うということがあるのではないかと思います。 ○林分科会長  はい、遠藤委員。 ○遠藤委員  先ほど、二極化への危惧というお話がありましたけれども、そういうことで申し上げ させていただければ、例えば短時間勤務の申請があった、あるいは適用者がいたといっ たような場合に、その人の配置や通常のローテーションの中で動かし得るのかといった こと等を考えていきますと、4回目の議論のときに不利益取扱いの問題が出てくるかと 思うのですけれども、本来であれば人事権といったようなことで企業側が正当に行使し 得る権限だったとしても、その不利益取扱いとの兼ね合いの中で行使できずに萎縮して しまうおそれがあるのではないでしょうか。萎縮することによって、本来その方が異動 することによって得たであろう能力開発の機会が失われるということもあるかと思いま すし、その組み合わせ等を考えていきますと、労働者が権利という形でどの仕事であっ たとしても、原則として請求できるといったような枠組みというのは難しいのではない かと思っています。例えば15ページに書いていますけれども、短時間勤務になじまない 業務が多いといったような企業サイドの調査データもあるようです。どの仕事の中で短 時間勤務を入れていくのか入れていかないのかといったところの裁量部分は、企業サイ ドが持つ話であると思っていますので、そういったこと等を考えていきますと、なかな か労働者の請求といったような形での権利を確保して、それを個々の事業所の中で回し ていくということを考えるのだとすれば、あまりにも阻害要因が多過ぎるのではないか と思っています。 ○林分科会長  今、遠藤委員が指摘されました、どの場合にその制度を利用しにくいとか、それが業 態や勤務体制などのいろいろな場合によって違いが出てくるのだというお話について、 例えば先ほどの別紙2の事業主の承諾を必要とする場合において、合理的な理由がある 場合や事業の正常な運営を妨げる場合がある場合はその承諾を必要とする、承諾しない 場合もあり得るというという一つの論点が出ているのですけれども、使用者側から見て その辺のところはどういうことが問題となり得るのかということを、もう少し具体的に 出していただくことはできますか。 ○遠藤委員  今、林分科会長からお話があった件ですけれども、まず勤務形態で見ていきますと、 例えば交替制勤務があるかと思います。それから仕事の種類でいいますと、先ほど佐藤 委員からご指摘があったように、いわゆるラインで働いているような組立工の方々、あ るいはチーム営業で外に出ている方が、「私は今日は短時間ですから」といった形で、 仕事がやりくりできるのかどうかといったこともあるかと思います。それから、細かい 話になるのかもしれませんけれども、例えば組織単位で見たときに、これが部なのか課 なのかグループなのかわかりませんが、一定割合を超えて短時間勤務者が出てきた場合 に、その組織が仕事を回していけるのかといったこともあるかと思います。確かに阻害 要因といったような形のものを、すべて網羅的に出すことができればよろしいのでしょ うけれども、なかなかその作業というのは難しい部分があるかと思います。それから、 正常な運営を妨げる事由と同列視されるような形で、阻害・拒否事由を仮に整備すると いったことになりますと、皆さま方ご承知のとおり、正常な運営を妨げる事由といった ような形でカードを切るなどということは、現場サイドではほとんどあり得ないわけで すから、いわゆる拒否事由のところでしっかりカバーできるのではないかというご議論 はあるかと思うのですけれども、その部分は、「はい、そうですか」というわけにはい かないと思います。 ○林分科会長  では山崎委員、どうぞ。 ○山崎委員  少し付け加えさせていただくと、特に中小企業の場合はかなり下請けが多いのです。 計画は事業計画や事業予算を組んで、はじめから年度計画を立ててやるのですけれども、 得てして下請けの場合は、「今日中に納めよ」「1週間で納めよ」「明日の夜中までに 納めよ」などという親企業からの大変な注文があるわけです。そういうときに、何らか の形で事業主がある程度裁量権を持っていないと、そういういろいろな請求権を出され ても、なかなか応えられないというケースがかなりあるのではないかなと思います。 ○林分科会長  山口委員、どうぞ。 ○山口委員  今日の検討項目については、育児休業後の働き方を見通すことができるという非常に 重要なテーマについて、今はその施策として短時間勤務と所定外労働の免除というとこ ろに出ているのですが、まず私たちは働き方を見通すことができる、イレギュラーがな くて子育てをしながら仕事ができるということのために、どのような制度や法律などが 資するのかということにシフトしなくてはいけないと思うのです。この前提は、ご存じ のとおり何度も言われているのですが、第1子出産を機に7割が離職するという現実があ って、これは少子化や労働力の不足にもつながるという大きな問題のためにということ できているわけでありますので、さまざまな課題はあるのですけれども、まずそこは押 さえておきたいということです。 そういう中で出てきた短時間勤務制度と所定外労働の免除の部分ですが、これについて も特に使用者の方たちからいろいろな議論がありますけれど、今の選択的といいますか、 措置義務では対応できないというのが私どもの思いです。現在、措置義務であると、事 業主が講じないとそれは有効ではない、機能しないわけでありますし、また、現在、選 択的措置義務となっていても、約半数が何の策も講じてないという実態があるわけです。 情報として好事例をたくさんお聞かせいただいて、法律を上回っているというところに ついては、こちらの分科会外といいますか、それはどんどん進めていただいて、もっと 法律を策定するにプラスするような好事例として、どんどん牽引していただきたいと思 います。 ただ、私たちは例えば事業所でいえば9割を占める、雇用労働者で7割を占めるという中 小企業に働く労働者は、なかなかこういう自分たちが享受できるもの・制度等が利用で きていない、そのために働き続けられない女性が多いなどというようなことをどうした らよいか。まずはどうしたら解決できるかということを中心に、ここでは議論したいと 思うのです。先ほど出ました取引問題、中小と大手の取引関係の中での問題というのは、 この場以外のものですし、育児・介護休業法以外の部分でもこの大手と下請けあるいは 関連企業の取引慣行の問題というのは大変大きいわけですから、そういうことを一緒に していると進むべきところも進まないと思います。 それから、これは言うまでもないわけですけれど、使用者の方たちがこういう制度・法 律できたら大変だと非常に悩まれている以上に、現在子育てに直面している、あるいは 子どもが生まれてくるという立場である多くの女性労働者が、誰よりもそれについて非 常に悩んでいるわけです。権利があってある程度大手で勤めている労働者であっても、 これを自分が権利行使することによって周りの同僚や上司に迷惑をかけないかというよ うなところで、権利行使に二の足を踏んでいるようなところもあります。そういうとこ ろで大手は企業トップの方針で「わが社では大丈夫なのだよ」という全体的に進んでい る部分で、それは大手だけではなく先ほど中小でもそういうところがあると伺ってとて も安心したのですが、そういう企業全体での子育てを後押しするような雰囲気あるいは 制度が、女性労働者の背中を押して権利行使ということになるのだと思うのですけれど も、多くの女性労働者は制度があっても、周りが「結婚したら、1年後は出産になるよ な。困ってしまうよな」あるいは、妊娠したことも上司に言うときに非常に言いづらい など、本来なら喜んでもらうべきことを言えなくて悩んでいるという、多くの女性たち にそういう後ろめたさを感じさせないで権利行使するために私たちは知恵を使わないと いけないのではないかと思います。それについて、さまざまな問題があるというのは承 知ですけれど、基本のところとしてはそういうスタンスで議論したいと思っています。  これは時間の関係で議論がないのですが、研究会の中でニーズが高いということで、 在宅勤務のところに多少触れておきたいと思うのです。これもここで言う在宅勤務とい うのは、今の時代ですからテレワークに集中していると思うのですけれども、選択肢の 一つやイメージとして家で働くというのは、例えば子どもと一緒にいられるというメリ ットがあると思いますが、実際は子どもと一緒になどいられないと。近距離にはいるけ れど常に傍らに子どもがいるわけではない。一番メリットを感じているのは、通勤時間 がかからないということだと思うのですけれど、ただ、ここについては、労務管理上も 労働者としてどうやって働くかというようなことについて、今までの労働管理あるいは 労働慣行の中にないことですから、これについてはこの均等分科会ではなく、例えば労 働条件分科会などできちんと新たなテレワークについての労務管理の在り方や労働者性、 あるいは労災の問題等さまざまなことがあると思いますので、それについてご議論いた だいて、ベースはつくった上で入れていただきたいということを申し上げておきたいと 思います。以上です。長くなってすみません。 ○林分科会長  はい、吉川委員。 ○吉川委員  先ほど、使用者側の方から今までのご自分の会社の例としてお話しくださいましたけ れども、実際問題は出産しても、まず早く職場に戻り働きたいという趣旨が、一番多い と思うのです。そういう観点から行きますと、そして短時間でというと周りの方に迷惑 がかかるなどいろいろな要素から考えますと、やはり何よりも今必要なのは、厚生労働 省も力を入れてくださっているとは思いますけれども、保育所の整備や保育サービスの 充実などといったインフラの整備というのが必要ではないかと思います。その中で、先 ほどお話が出ましたように、保育士の不足や質の問題、保育ママなど多様な面からそれ をサポートしていくようにしていく。そこにプラス小児科医の問題もぜひ、保育ととも に連携できるような体制をとっていただきますと、働く母親たちが安心して続けられる という部分が多々あると思うのです。意外とその辺のところが大きなネックになってい ると思いますので、そのことも含めまして、ぜひ全体的なインフラの整備ということに、 もう一歩力を入れていただけたらと思いますので、お願いします。 ○林分科会長  先ほど、佐藤委員から短時間労働の場合の時間をどれぐらい短くするかということで、 労務管理の問題等が出てくるという話が出ていたと思いますけれども、それについて少 しご議論を深めていただければと思いますけれども。斉藤(千)委員、どうぞ。 ○斉藤(千)委員  少し論点がずれてしまうのですけれども、働く母親たちの立場で考える一方で、私た ちは子どもの立場から見たときに、インフラが整備されれば子どもが預けられる時間が 長くなるというのはもちろんあるのですけれども、ここでやらなければいけないのは親 子、それは母親だけではなくて父親も含めてですが、その時間、子どもが成長期にある ときの、心も体もいろいろな意味で非常に成長するときに、親が働くことによって子ど もと過ごす時間が短くなってしまうということへの影響度も考えていかなければいけな いのではないかと思っています。そういう意味でいうと、インフラが整備されれば、フ ルタイムで働けて残業もできるようになるというのは、確かに労働者の立場からすれば 望ましい働き方かもしれませんけれども、では朝から晩まで子どもを預けて、日本の国 の子育てとして見たときに、ある程度、もちろん本人も働きたいという意思で預けるわ けですけれども、一方では母親としてそして父親として子どもと過ごす時間を子どもの 成長期の必要な時期に確保するというのは、国の一つの大きな重要な定めではないかと 思いますので、そういう視点でも短時間勤務や時間外労働の免除というのは重要ではな いかと思います。労働者だけではなくて子どもの立場というのも考えるべきだと思いま す。 ○林分科会長  はい、吉川委員。 ○吉川委員  時間外労働など、そこまで全部のことを言っているのではないつもりです。年齢の引 き上げなどいろいろな話が出ていますので、それよりもまず一番のネックになるところ は、途中で早く帰らなければいけないなど、いろいろな状況が出てくると思います。そ ういう意味でインフラの整備をお願いできたらということで申し上げたつもりです。も ちろん親子で過ごす時間が大事なことは十分わかっています。これは話が外れてしまう かもしれませんが、専業主婦の方に言わせると、お勤めしている人の方が子育てのとき はずっと楽だということをよく聞きますし、現実的にそうではないかと思いますので。 ○樋口委員  よろしいですか。 ○林分科会長  はい、樋口委員。 ○樋口委員  在宅勤務について法的な問題が今提起されましたが、それの進行状況・検討状況とい うのはどうなっているのか教えていただけますか。 ○定塚職業家庭両立課長  すみませんが、本日、資料を用意していませんので、その在宅勤務のご紹介は次回さ せていただきたいと思います。 ○佐藤委員  今の経営側の皆さんのご意見を伺うと、女性が結婚し子育てをする、これは女性だけ に限らないわけですけれども、育児休業を取得しその後も継続して続けられる、これは 支援する必要性はあるというお考えはあると思うのですけれども、その仕組みとしては 働く人のニーズとしたら短時間勤務や残業の免除などです。ですから、すぐ復帰してフ ルタイムで多少残業があると働けないが、残業がなければフルタイムで働けること、都 市部ですと通勤時間が長いですから、保育園のことを考えると、1時間・30分早く帰れ れば迎えに行けるという方は結構多いと思いますので、残業免除だけでよい地域もあれ ば、短時間勤務も必要だということもあると思うのですけれども、そこについては選択 的措置義務のままでどうにかなるだろうということなのでしょうか。そうすると、これ はもう少し普及していくのかどうかだと思うのです。主張はそういうことですか。取り 出して措置義務にする必要はない、自然に増えていくだろうという考えなのか。そこを 少し伺いたい。そうしないと、なかなか議論しにくいかなと思いました。 ○林分科会長  遠藤委員、どうぞ。 ○遠藤委員  今、佐藤委員から結びとして言っていただきましたように、端的にいえば、現行の育 児休業制度に準ずる措置または選択的な措置義務という形での枠組みが合理的な仕組み だと考えています。この仕組みの中で労使の取組を進めていただいて、あるいはそれを サポートするような形のものを手立てするようなことによって、現場の中でいろいろと 必要な施策を広めていくようなことが必要かと思っています。前回も申し上げましたよ うに、個別の企業の事例等を伺う中で、フレックスといったものについてもやはりこれ は労働者の方から一定のニーズがあって、その組み合わせの中でやっていらっしゃる企 業も幾つかありました。それから、先ほど阻害要因のところでは申し上げなかったので すけれども、いろいろなご議論の中で出てくることで、大変細かいことで恐縮なのです が、例えばこのような話もありました。経理の方で決算の時期を迎えるときに、その方 々が短時間勤務や所定外労働免除になっていることは、どうなのだろうかというような こと。あるいは総務の方々が、株主総会あるいは大きな会合を抱えているその時期に、 そういう適用者がいるということがどうなのだろうかというご議論、あるいは今般、施 行されています改正パートタイム労働法の中で、通常の労働者への転換の措置が義務化 されたわけですけれども、仮に、今までパートタイムで働いていた方が通常の労働者に 転換して正社員になられて、一定期間働いた後に今度は育児介護休業法に基づき、育児 のための短時間勤務を取られるといったことが現場の中で出てきたような場合に、バラ ンスとしてどうなのだろうかといったような議論もありました。  繰り返しになるようですけれども、現場の中で労働者の方々がご納得いただくように、 それぞれ取り組みいただいています。これからも取り組まなければいけないと思ってい ます。その中で、より効果的に推し進めるスキームということで考えるとすれば、今の 枠組みでよいのではないかということが私の意見です。 ○林分科会長  今の枠組みだと使えない人が出てくるという状況についてはいかがですか。 ○遠藤委員  制度を使えないというのは対応を怠っているというご指摘があったかもしれませんけ れども、対応を怠っている部分がないとは言いません。しかしながら、導入したいのだ けれども入れられないという状況があって、その状況をどう克服するのかという取り組 みの中で、場合によっては進めることができる、場合によっては検討課題に落ちている というところもあるかと思います。 ○林分科会長  その状況を進めるための議論というのが、この審議会の議論だろうと思うのです。  実はこの後、できれば子の看護休暇について議論したかったのですが、この後予算の 説明がありますので、子の看護休暇の問題は、次回の審議会に回させていただきたいと 思います。  また、今日の議論で少し出たのですけれども、「在宅勤務」と「継続就業しながら子 育ての時間を確保できる措置の対象となる子どもの年齢を何歳までと考えるか」という 論点についても、次回に再度併せて議論していただきたいと思います。  それでは、次に議題の第二に進んでいただきたいと思います。 ○高倉総務課長  総務課長でございます。今、ご指示のありました議題の第二で、雇用均等・児童家庭 局の関係の概算要求の主要事項について、資料No.4に即してご説明させていただきます。  まず、1ページにありますけれども全体のポイントとしましては、少子化対策の推進 と仕事と生活の調和と公正かつ多様な働き方の実現が柱です。最初の1ページの上の方 に書いていますけれども、従来から引き続きですが「『子ども・子育て応援プラン』等 に基づく施策の着実な推進を図る」というのが1点あります。また、昨年12月に決定さ れました「『子どもと家族を応援する日本』重点戦略」を受けての施策ということで、 「新待機児童ゼロ作戦」の推進というもの。あるいはまた、これは今年の7月末に公表 いたしましたけれども、「5つの安心プラン」の中でも、「未来を担う『子どもたち』 を守り育てる社会」というところを、特に柱として立てて整理しています。それらに基 づいた少子化対策の総合的な推進ということが一つの柱です。また、働き方の見直しの 関係等についても、所要の予算を要求しています。  2ページで、まず全体の規模等についてです。特に合計欄を見ていただきますと、平 成20年度予算額に比べまして平成21年度概算要求の額は、1兆円を超える規模になりま して、伸び率で5.6%増の要求を提出しています。一般会計と特別会計に分けています。 一般会計の方では差額として394億円増、4.4%増という要求です。特に大きいものは、 保育所の運営費の伸び、あるいは認定こども園の伸び、また施設整備費の増などです。 特別会計については、大きく2本で年金特別会計関係と労働保険特別会計があります。 年金特別会計の児童育成事業費の部分で、121億円増の伸び率で大変大きな伸び率にな っています。26.5%増です。主要な要素としては、放課後児童クラブの伸び率のための 予算の伸び率の要求が92億円ということで、大きな比重になっています。労働保険特別 会計の19億円増で、これも二桁の14.4%増の要求です。また、欄外に「参考」として書 いていますけれども、「重点戦略」に基づく少子化対策のさらなる充実については、上 記の概算要求以外に税体系の抜本的な改革と併せて、予算編成過程において検討すると いう点を引き続き、これは昨年度も同様でしたけれども掲げるという状況です。  中身ですけれども、3ページで、まず次世代育成支援対策の推進の関係については、 新待機児童ゼロ作戦の推進として、(1)の中で「認定こども園の設置促進等」を新たに 掲げているというのが特徴です。また、2番目の○ですけれども、「待機児童解消に向 けた保育所の受入れ児童数の拡大」これは特に待機児童が多い市町村を中心として、定 員増を伴う民間保育所の整備を重点的に支援して、受入児童数の拡大を図ろうというこ とが大きな柱ですし、また単に予算を積みますというだけではなくて、待機児童解消に 向けた具体的な市町村の取組事例の情報提供など都道府県が支援するといった新たな仕 組みを、予算的に支援していきたいということを盛り込んでいます。  次の4ページですが「多様な保育サービスの提供」、先ほど冒頭で本日も話が出まし た家庭的保育事業(保育ママ)などについても伸ばしていきたいということで、予算増の 要求をしています。また(2)で放課後児童対策についても伸ばしていきたいという相当 大きな予算の伸びの要求をしています。  2番目の「地域の子育て支援の推進」は、働いているご家庭だけではなく、すべての 家庭を対象とした地域子育て支援対策の充実ということですが、ソフト交付金を400億 円に増という要求です。この対象となる主な事業の中の一つ目の広域調整というのは、 先ほど触れた都道府県に、待機児童解消に向けて市町村をさらにバックアップすること をやっていただきたいという内容です。 三つ目のポツに書いてあります「ファミリー・サポート・センター事業」については、 若干事業の整理がありますので補足してご説明させていただきたいと存じますが、この ファミリー・サポート・センター事業は、子育て中の労働者などを会員として、地域に おける育児の相互援助の活動を行っているところですけれども、この来年度概算要求の 中では、これまで実は病児・病後児の預かりなどといった相互援助の部分については、 別の事業として緊急サポートネットワーク事業という形でやっていましたけれども、そ の部分をこのファミリー・サポート・センター事業の中に機能を移して実施するという 考え方で要求しています。緊急サポートネットワーク事業については、基本構造として はファミリー・サポート・センター事業と同様の仕組みですけれども、より公益性が強 いといった従来からの考え方で依頼内容によって運営団体が異なるというのが現状で、 これは利用者にとって不便であるといったご指摘を踏まえまして、ファミリー・サポー ト・センター事業の中で、1本でやっていくように再編しようという考え方です。これ に伴いまして、今年度まであります緊急サポートネットワーク事業の方は廃止になると いうことでの要求です。  その他の個別の事業についてはご説明を省略させていただきます。  6ページ、7ページにつきましてはその他の分野です。「児童虐待への対応など要保護 児童対策等の充実」。その中には配偶者からの暴力対策等の推進もあります。  4番は「母子家庭等自立支援対策の推進」は就業支援などの推進といったところが柱 です。  5番目の「母子保健医療の充実」は、周産期医療体制を一層充実していこうというこ とで、地域のセンターへの支援、あるいは仮称ですが妊産婦ケアセンターという、これ までなかった部分に対する支援も新たに取り組みたいということで、盛り込んでおりま す。  6番目の「妊娠・出産に係る負担の軽減」は現在検討中です。  8ページ、9ページですけれども、仕事と家庭の両立支援の関係で、まず(1)は「育児・ 介護休業制度の拡充」と掲げていますけれども、さまざまな助成金などが中心ですが、 併せて期間雇用者の育児休業の取得促進のためのモデル事業を新規に実施したいという ことで盛り込んでおります。  (2)の「事業所内保育施設に対する支援」につきましても、助成措置について従来か ら助成期間が短いという問題点が指摘されていることを踏まえまして、助成期間を延長 していきたい、また、従業員以外の地域の利用者への地域開放を進めていきたいといっ た考え方の予算要求をしているところです。  (3)で、特に中小企業における次世代育成支援対策を推進していくための講習会、巡 回指導などの相談援助機能の強化のための予算増を要求しているところです。  最後の柱のまず一つが「女性の職業キャリア継続が可能となる環境づくりの推進」と いうことで、基本となる機会均等の推進のための経費。また、「ポジティブ・アクショ ンの取組の推進」のための経費。起業の支援という予算の経費等を要求しています。  「パートタイム労働法に基づく正社員との均衡待遇の確保と正社員転換の推進」につ いては、前年に引き続きまして主要な経費を要求させていただいております。  最後の点は、本日も話題になりました「テレワークの普及促進」というところについ ても予算要求をしているところです。大変駆け足で恐縮ですが、以上です。 ○林分科会長  ありがとうございました。ただ今のご説明についてご質問等があればお願いいたしま す。鴨委員、どうぞ。 ○鴨委員  先ほども、待機児童のゼロをどうしていくのかということについて議論になっていた と思いますけれども、この予算の中の「新待機児童ゼロ作戦の推進など保育サービスの 充実」の中で、認定こども園の設置がまず一番目に挙げられております。2番目は民間 保育所ということで、言葉で言えば民間委託化ということを進めることがなされている と思いますけれども、この認定こども園がまず一番目に掲げられているというところで、 たまたま私の住む町が子育て支援日本一ということで、この認定こども園を既にモデル ケースとして作って進めているわけです。その中にあって、それこそ私の所は保育所が 27カ所ありまして、それから公立保育所が13カ所、公立の幼稚園が14カ所あり、27カ所 あるのです。この27カ所を、認定こども園を作るということで、7カ所に統廃合すると いう形になっています。現在そういう形で進められていて、そして母親たちから小学校 区に一つあったものが、中学校区に一つになってしまうということで、預けに行く時間 そのものが子どもと手をつないで歩いていけない。それこそ車がなければ保育所まで行 けない。それから幼稚園の子どもたちと保育所対象の子どもたちが一緒に集められたわ けですから、例えば昼寝をどうするかという問題一つを取ってみても、今、子どもにと っても大規模化していくということが良いことなのかどうなのかという議論がかなり行 われています。そして保育士の方も、幼稚園の教諭、それから保育所の保育士が突然一 緒に仕事をし始めるということで、職員から異動希望がかなり出てきているという実態 も出ていまして、そういう実態を踏まえてさらに促進をということで、ここに挙げられ ているのかどうかをまずお聞きしたいのです。 ○今里保育課長  認定こども園の関係ですけれども、この仕組みは平成18年10月にできまして、平成 20年4月の段階で229園が整備されてきたところです。認定こども園ができまして1年半 経ったところで、まず認定こども園を設置・運営する方々、それから、そこに子どもを 預けていらっしゃる保護者の皆さまに対してアンケート調査をいたしました。私どもに 届いている結果によりますと、認定こども園に子どもを預けて良かった、あるいは認定 こども園の認定を受けて良かったと積極的にとらえてくださっている方の数がかなり多 いという結果をいただいております。  また、この制度ができましたときに、認定こども園の設置の希望がありますかという 希望を取ったこともありまして、その数に比しますと229園というのは割と少ない数に とどまっています。そうした事柄を考えたときに、認定こども園の設置をしたい、ある いは設置すべきだという状況にある所でもそれが進まないとすれば、それはどこにあい 路があるのだろうかということを考えまして、それがうまく進むような形で設置促進を 進めていきたいということで新しい予算の要求をさせていただいているわけです。もち ろん今ご指摘のように、場面によっては、認定こども園はもちろん万能ではないわけで ありまして、功罪相半ばするという場合もあろうかとは思います。そういう所にまで、 従来の幼稚園や保育所から認定こども園に無理に転換するというようなことを考えての 設置促進ということではありません。あくまでその希望がある所についての設置の促進 という形で考えさせていただいています。 ○村木雇用均等・児童家庭局長  少しだけ補足をさせてください。今、鴨委員が紹介されたのは個別の自治体ですけれ ども、そこで進めておられる施策を良い悪いということを直接申し上げるのはあまり適 切ではないので、一般論として申し上げますけれども、先ほど二つの幼稚園や保育所を くっつけて認定こども園にしてしまって個所数が少なくなるというケースがある。逆に、 例えば、幼稚園がある所に保育機能も作って、小規模で近くにあるようにするというこ ともまた認定こども園を使ってできるので、認定こども園の機能そのものというよりも、 どれぐらいの地域の中に、子どもがどれぐらいの密度でいて、そこに何カ所つくるかと いうことと、認定こども園にすると合体して個所数が少なくなってしまうということは、 また別の問題ですので、そこは少し区別をして受け止めていただけたらよいかと思いま す。  特に田舎の地域では、幼稚園だけ、保育所だけでは確かに成り立ちにくいということ で、総合的にしましょう、あるいは子どもが非常に少なくなっているので、むしろしっ かりした子どもの集団を作るために認定こども園をやりましょうとか、いろいろな使い 方があります。実際に実施した所では評価が高いので、認定こども園で進めたい所につ いては行政的にあい路がないような形で、これはこれでしっかりと進めていく。全体と して、むしろ認定こども園が増えれば保育の受け皿が増えるという側面もあるわけです から、そういう手段も含めて、待機児童ゼロをもっと進めていきたいというのが今のス タンスです。 ○林分科会長  予算の説明については、特に他にはありませんか。斉藤千秋委員、どうぞ。 ○斉藤(千)委員  時間がない中、すみません。1点だけ。8ページの事業所内保育施設で「助成期間の延 長」という書き方をされているのですけれども、現状もスタートして時間が経っており まして、これは5年だったと思いますが、5年を過ぎてしまった設置されている事業所に 対しての支援を考えておられるのかどうかをお聞きしたいです。 ○定塚職業家庭両立課長  現在要求している要求ベースの内容ですけれども、現在助成を受けている所、それか ら過去に助成を受けて助成が既に終了している所も含めて、5年を10年に延長という要 求をしています。 ○林分科会長  他に特にご質問はありませんか。  それでは、時間を少しオーバーしてしまいましたけれども、本日の分科会はこれで終 了いたします。本日の署名委員は斉藤千秋委員と川崎委員にお願いします。  最後に事務局より連絡があるとのことなのでお願いします。 ○定塚職業家庭両立課長  委員のご都合をお伺いしたところ、次回を9月26日午前10時からとしたいので、日程 の確認をお願いいたします。 ○林分科会長  それでは、お忙しい中、どうもありがとうございました。本日の分科会はこれで終了 いたします。 <照会先> 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 職業家庭両立課企画係 〒100-8916 東京都千代田区霞が関1−2−2 電話(代表)03−5253−1111(内線7856)