08/09/17 第3回受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会議事録 第3回 受動喫煙防止対策のあり方に関する検討会 議事次第           日 時:平成20年9月17日(水)10:00〜12:06           場 所:厚生労働省共用第8会議室 1.開 会 2.議 題 (1)たばこ対策に関する有識者からの意見聴取   ○日本学術会議 脱たばこ社会の実現分科会 幹事 大島 明   ○社団法人日本フードサービス協会 業務部課長  石井 滋   ○禁煙スタイル 管理者 岩崎 拓哉 (2)質疑応答 (3)その他 3.閉 会 照会先:健康局総務課生活習慣病対策室(内線2348、2971) ○生活習慣病対策室長 それでは、定刻の10時となりましたので、ただいまから、第3回「受 動喫煙防止対策のあり方に関する検討会」を開催させていただきます。  委員の皆様方におかれましては、御多忙の折、お集まりいただきましてありがとうございます。 心から御礼申し上げます。  なお、本日は、曽根委員、永井委員から御欠席の御連絡をいただいております。  また、永山委員につきましては、少々遅れて到着されるという御予定と伺っております。  今回の会議でございますけれども、前回御案内申し上げておりましたとおり、有識者の方々を お招きしての御意見を伺うセッションということで、本日3名の方にお越しいただいております ので御紹介申し上げたいと存じます。  まず、日本学術会議、脱タバコ社会の実現分科会幹事、大島明様でございます。  社団法人日本フードサービス協会、業務部課長、石井滋様でございます。  禁煙スタイル、管理者、岩崎拓哉様でございます。  それでは、以後の進行を久道座長の方でよろしくお願い申し上げます。 ○久道座長 それでは、よろしくお願いいたします。前回の会合における議論を踏まえまして、 今回と次回で、たばこ対策に係る有識者を招いて、御意見を聞きながら検討を進めていきたいと 思っております。  それでは、議事に入る前に事務局から配付資料の確認をお願いいたします。 ○生活習慣病対策室専門官 配付資料の確認をさせていただきます。  議事次第、座席表のほかに、資料1「脱タバコ社会の実現に向けて」。こちらは大島様の資料 となっております。  ヒアリング資料2「社団法人日本フードサービス協会(JF)の概要」。こちらは石井様の資 料となっております。  ヒアリング資料3「禁煙スタイルのサイト運営から見た現場の経営事情・利用客と従業員の受 動喫煙問題」。こちらは岩崎様の資料となっております。  この3点でございます。もし不足落丁等がございましたら、事務局までお申し付けいただきた いと思います。  また、それとは別に机上配付資料を5点用意してございます。1点目が  「未成年者喫煙防止のための対面販売時における年齢確認等について」という2枚紙の資料に なっております。こちらの方は、昨日付で警視庁、財務省、厚生労働省の各局長から通知という 形で出させていただいております。  こちらは、タスポ等によりまして、恐らく未成年者が自動販売機から対面販売、特にコンビニ エンスストア等に移ることが考えられましたので、それに対して年齢確認の徹底をしてほしいと いうような趣旨になっております。  机上配付資料の2番目として、禁煙に関する声明文、こちらは後ほど医師会の内田先生の方か ら説明をいただこうと思っております。  経常配布資料の3点目としまして、新聞の切り抜き。  4点目としまして『禁煙レストラン最前線』という雑誌からの抜粋がございます。こちらに関 しては後ほど岩崎様の方から説明いただくという予定になっております。  最後に1点、第1章受動喫煙の曝露という1枚紙がございます。こちらに関しては後ほど加治 先生の方から御意見をいただけるということになっております。  以上でございます。 ○久道座長 それでは、早速議事に入りますが、まず最初に、日本医師会の内田先生より、先ほ ど説明がありました声明文についての御説明をお願いいたします。 ○内田委員 おはようございます。貴重な時間をいただいてありがとうございます。  この間、たばこ税の増税であるとか、あるいは神奈川県での条例の骨子案の発表であるとか、 いろいろたばこをめぐる動きがございまして、これに応えるというか、後押しをするというよう な形で、日本医師会でもいろいろな発言をしてきましたが、そういう内容をとりまとめて、会長 声明という形で発表しようということで、昨日の理事会で諮って承認されました。  声明文はそこの資料にあるとおりでございますが、第1段落は、受動喫煙の被害といったよう なこと、あるいは社会的な損失といったようなことについて触れています。  第2段落は、我が国がWHOたばこ規制枠組条約の締約国になっているということで、喫煙率 の低下や、特に若年者、女性における喫煙率の低下と受動喫煙の防止ということは重要かつ喫緊 の課題であり、国としての責務であると言っております。  第3段落は、日本医師会のこれまでの取組みということで、禁煙日医宣言であるとか、会員の 実態調査及び医療機関における取組みの調査をして啓発をし、また資料やポスターの作成等を行 っているということです。  第4段落は、今回の神奈川県の県条例の骨子案について不特定多数のものが利用する公共的施 設における受動喫煙を防止するという内容で、今後、同様の取組みが全国に広がること、また、 職場における受動喫煙防止の取組みが推進されることを日本医師会としても期待し協力すると いうことです。  最後の段落が、喫煙開始年齢の若年化と女性の喫煙率の上昇という問題を取り上げて、これに 対するたばこ税及びたばこの価格の値上げということが非常に大きい影響を及ぼすということ で、これは税収増という観点からの議論も結構多いんですけれども、私どもの立場としては、国 民の健康を守るという立場で、是非このことに取り組んでいただきたいという内容になっており ます。  最後に、以下の取組みを進めるということで、5点ほどまとめさせていただきました。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございます。どうぞ。 ○内田委員 厚労省、内閣府を始めとする関係省庁、都道府県及び都道府県医師会に、声明文を 出したということで、本日、プレス発表をさせていただきます。また、明日神奈川県知事と懇談 をし、そこの場にも、プレスに入っていただくという予定になっております。 ○久道座長 ということですが、何か御質問はありますでしょうか。  それでは、どうもありがとうございました。  次に、今日の有識者の方ということでお招きいたしました学術会議の大島先生から「脱タバコ 社会の実現に向けて」という資料の御説明をお願いいたします。 ○大島氏 御紹介いただきました大島でございます。本職は、大阪府立精神病センターでござい ますが、今日は、日本学術会議の「脱タバコ社会の実現分科会」の幹事として、今年の3月4日 に日本学術会議が政府に提出した要望「脱タバコ社会の実現に向けて」を中心に説明をさせてい ただきます。  資料1をごらんいただきたいと思います。  日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科 学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立し て、職務を行う特別の機関として設立されたものでございます。  日本学術会議は我が国の人文化学、社会科学、自然科学の全分野の約82万人の科学者を内外 に代表する機関で、210人の会員と約2,000人の連携会員によって職務が担われております。  日本学術会議として、4つの役割がございますが、その中で、政策提言は日本学術会議の重要 な役割でございまして、今日、紹介する要望「脱タバコ社会の実現に向けて」は、この政策提言 に当たります。  日本学術会議の政策提言といたしましては、勧告、要望、声明、提言、報告がありますが、要 望というのは勧告に次ぐ重みのある政策提言でありまして、数も少なく審議も慎重に進められる というものでございます。  御承知のように、既に約20の学会が禁煙宣言や脱たばこ宣言を出しておりますし、日本医師 会、日本歯科医師会、日本薬剤師会、日本看護協会あるいは日本禁煙推進歯科医師連盟等、多く の団体組織が脱たばこ社会の実現を目指して活動をしておりますが、それにもかかわらず、これ らの声が政策に十分反映されているとは言えず、我が国のたばこ規制の取組みは国際的にも極め て遅れを取っているのが実態でございます。  このたばこ規制の取組みが国際的にも非常に遅れを取っているという事実は、科学者としても 恥ずべきであり、国民の健康と環境を守るとともに、日本が健康面や環境面での国際的なリーダ ーシップを発揮するためには、できるだけ速やかに脱たばこ社会を実現させることが、たばこの 害を知る我々科学者の責務と考えまして、日本学術会議では、科学者コミュニティーの代表機関 としてアクションを取ろうということで、第2部に属する健康生活科学委員会と歯学委員会合同 の分科会として、平成18年6月に、禁煙社会の実現分科会という名前で設置をされました。こ れは平成19年2月に脱たばこ社会の実現分科会というふうに改名をされています。  委員は12名いまして、お手元の資料の最初に第二部の構成メンバーがありまして、ずっとめ くっていきますと、健康・生活科学委員会の委員、その次が歯学委員会、その次に、日本が学術 会議健康生活科学委員会・歯学委員会合同脱タバコ社会の実現分科会のメンバーが載っておりま すが、12名の委員からなっております。  本日は委員長の大野先生が海外出張のため、大野先生の指名で、私が代理として説明をさせて いただくということでございます。  この12名の委員が、ほぼ毎月ないし隔月に合計13回の委員会を開催しまして「脱タバコ社 会の実現に向けて」をまとめまして、上部委員会、部会での審議、承認と社会と科学委員会での 査読を経て、更に幹事会で審議、承認されまして、平成20年3月4日に政府に対して、これを 提出しました。具体的には、厚生労働省の健康局長に手渡しをしたということでございます。  この要望には、まず、要旨がございます。作成の背景、それから現状及び問題点、それから提 言の内容という形で要旨が書かれておりますが、提言の内容が全部で7つございます。その3番 目のところに、職場、公共の場所での喫煙を禁止するということを挙げています。  受動喫煙が健康障害を引き起こすことが科学的に明らかにされていることにより、職場、公共 の場所での喫煙禁止を更に拡大、徹底する、現在では努力義務規定でしかない健康増進法第25 条を改正して、国内全面禁煙を明示し、罰則を設けて実効性のあるものにするべきである、既に 脱たばこ社会先進国で実施されているように、バーやレストランなどを含む職場、公共の場所、 公共交通機関での喫煙を法的に禁止すべきである、となっております。そのほか、全部で7つの 提言がございます。  以上が要旨でありますが「脱タバコ社会の実現に向けて」の本文のところで、受動喫煙防止に 関するところを、見ていきたいと思います。  「はじめに」のところの第2段落のところに、たばこは喫煙者自身のみならず、周囲にいる非 喫煙者の健康にも悪影響を及ぼしている、受動喫煙がもたらす健康障害に関しては、科学的根拠 が希薄であるとの指摘がたばこ産業などから出されていたが、世界保健機関が2004年に、英国 たばこか健康かに関する科学委員会が2004年に、米国カリフォルニア州環境局が2005年に、 米国公衆衛生局長が2006年に発表した詳細な報告書において、科学的根拠をもって受動喫煙も 健康障害を引き起こすことが示されて論争に終止符が打たれた、という認識でございます。  更にページをめくっていただきますと、3ページのところに、受動喫煙による健康障害として 記載があります。  たばこの煙はたばこから直接喫煙者に吸い込まれる主流煙と添加部分から大気中に散布され る副流煙があるということで、受動喫煙により肺がん、虚血性心疾患、呼吸器疾患などの発生頻 度が増加することが明らかにされています、また、乳幼児突然死症候群は、家庭内の喫煙者の存 在、特に父母の喫煙と密接に関連しているということです。  5ページのところに、たばこ規制枠組条約と日本政府の対応について書いております。  WHOは、たばこが健康に及ぼす悪影響から現在及び将来の世代を保護することを目的とし、 2003年にたばこ規制に関する世界保健機関枠組条約を採択しました。「主な内容として」と挙げ てある中の第8条に、先生方御承知の職場、公共の場所での受動喫煙の防止が挙げられているわ けでございます。  この条約は2005年2月27日に発効しておりますが、その後、締約国会議が、第1回はジュ ネーブ、第2回はバンコクにて開催されています。  日本政府の対応でありますが、日本は国会による全会一致での可決・承認を得て、2004年に 19番目の国として本条約を批准して締約国となりました。したがって日本政府は日本国憲法第 98条第2項に定められているごとく、国際条約である本条約を遵守し履行することが求められ ています。  しかしながら、既にこの委員会でもいろいろ御指摘があったと思いますけれども、実際には 2006年に新設されたニコチン依存症管理料により、禁煙治療に保険適用が可能になったこと以 外は、たばこ規制の取組みというのは非常に遅れているということです。  5ページの一番下の段落に、日本におけるたばこ規制の取組みを客観的に評価するために、欧 州の30か国のたばこ規制の取組みを点数で評価したTobacco Control Scaleに沿って、日本学 術会議の脱たばこ社会の実現分科会の、12人の委員が点を付けました。  その結果、100点満点で平均25.5ということで、非常に低い、つまりたばこ規制の取組みが 非常に遅れているということを示しております。  6ページの2番目の段落、特にカフェやレストラン、それ以外の職場、公共交通機関や公共の 場所の3か所に分けて採点する職場や公共の場所における禁煙においては、22点の満点のうち 3点という極めて評価点数が低かったということでございます。  これに関連してですけれども、WHOでは、今年の2月に、WHO2008年たばこの流行に関 する報告、MPOWER政策パッケージというのを出しております。最近これはこの委員会の委 員でいらっしゃる望月先生を中心に翻訳化されておりますが、MPOWERのPがプロテクト・ ピープル・フロム・タバコスモークですが、これに関して、どのような取組みを行っているかを 国ごとに評価をしております。  先ほどは、学術会議の脱たばこ社会分科会の委員が点を付けたということですけれども、ここ ではWHOの報告書で日本の取組みを評価されておりますが、受動喫煙の防止のためのスモーク フリー環境に関しての法制化について、日本政府の取組みは、最低のレベルの評価となっている ということを付け加えたいと思います。  6ページに戻りますが、国内における受動喫煙防止の取組みの現状については、既にこの委員 会の第1回のところで報告をされておりますので、細かい数字は省きますけれども、非常に取組 みが遅れている。全面禁煙というような形はまだまだ少ないということでございます。  しかしながら諸外国では、たばこ規制枠組み条約に沿った国レベルでの法的規制が進みつつあ ります。カフェやレストランを含め、すべての囲いのある公共の場所と、すべての職場の完全禁 煙法が2004年に国として初めてアイルランドで施行され、2007年9月現在、この要望をまとめ たのが昨年9月でした。その9月時点で、英国、ニュージーランド、イラン、ウルグアイ、それ から米国のニューヨーク州、カリフォルニア州など11州、カナダの7州、オーストラリアの3 州などで完全禁煙法が施行されている。更に一部例外はあるものの、原則的禁煙法がノルウェー、 イタリア、スウェーデン、スペイン、南アフリカ、タイ、シンガポールなどで施行されていると いうことを書いております。  9ページに提言が書いてございます。以上のようなエビデンスあるいは実態を踏まえまして、 提言の3、職場・公共の場所での喫煙を禁止する、受動喫煙が肺がんや心筋梗塞、小児の気管支 炎・肺炎やぜんそくの悪化、乳幼児突然死症候群などの原因となることは、十分な科学的証拠が ある、このため職場・公共の場所での喫煙禁止を推進することは公衆衛生の立場から非常に重要 である、他人の健康を害してまで喫煙する権利を喫煙者に認めるわけにはいかない、2007年に バンコクで開催されたWHOたばこ規制枠組条約第2回締約国会議では、第8条(受動喫煙の防 止)履行のためのガイドラインが日本を含め全会一致で採択された、このガイドラインでは締約 国に対して自国での条約発効後5年以内に、すなわち我が国では2010年2月27日まで国内施 設の100%完全禁煙を実現するための法的規制を取ることを求めている、我が国の健康増進法第 25条は、施設の管理者に対する受動喫煙防止の努力義務しか規定していないが、上記のガイド ラインに沿って、職場、レストラン、バーを含む公共の場所における屋内並びにタクシーを含む 公共交通機関での全面禁煙を明示して、罰則のある強制力を伴う法を整備する必要がある、と書 いております。  22ページまで飛んでください。これは抜粋ですので、13ページの次が22ページになってお りますが、そのガイドラインの説明をしたものがございます。委員の先生方御承知だと思います が、FCTCの第8条をもう一度書いております。  第2回締約国会議での第8条履行のためのガイドラインでは、換気とか空気清浄機や、屋内で の指定喫煙場所の設置など、100%禁煙以外の措置、いわゆる分煙が不完全であり、100%全面 禁煙の環境とするべきだということを強調しておりますので、改めてここに示させていただきま した。  それでは、今まで日本学術会議の要望に沿って説明をさせていただきましたが、更に補足をす る2つの資料、それぞれ1枚ずつですけれども、説明させていただきたいと思います。  まず、最初は「屋内禁煙法による心筋梗塞の減少」ということでございます。  2004年に、モンタナ州のヘレナで、禁煙の条例が6か月間だけ有効であった2002年6月〜 2002年12月まで有効な禁煙条例が施行されたわけですが、その6か月間、心筋梗塞の入院は、 前後の平均に比べて40%減少したという論文が、ブリディッシュ・メディカル・ジャーナルに 掲載をされました。  ここは非常に小さな人口でありますので、ヘレナ、モンタナというところの幅は、非常に広く なっております。0.60で、信頼区間は、0.21〜0.99というところであります。  この論文は、大変衝撃的な論文でした。受動喫煙が肺がんや心筋梗塞などの原因となることは、 先ほど申し上げましたようにもう確立しておりますが、屋内の職場や公共場所における喫煙を法 的に規制して受動喫煙を防止すれば、どうなるかというのは別の問題であります。  それが禁煙条例によって、心筋梗塞が40%減ったというのですから、非常に衝撃的な論文で ありました。  ここに示しましたように、対象の人口が小さいものですから信頼区間は非常に幅が大きい。そ の後の研究を待って、このことについては、エビデンスとして確立しているかどうかを見たいと いうことでありましたが、ここに示したGlantzは、その後出た論文を含めて、8つの研究を統 合してメタアナリシスをしまして、オーバーオールのところを見ますと、0.81ということで、 受動喫煙を法的に防止することによって、19%心筋梗塞が減少するということを示しています。  1番目が米国のモンタナ州ヘレナ、2番目は、米国のコロラド州のプエブロ郡のプエブロ市と、 それからプエブロ市以外のプエブロ郡を比較しています。  その次はイタリアですが、イタリアは2005年1月から禁煙法が施行されて、ピエモンテ州と いうところでの成績でございます。  4番目は、米国のオハイオ州ボーリンググリーンというところでございます。  5番目にあるのは、米国のニューヨーク州、これは非常に人口が多くて、1,900万、ここでの 包括的な禁煙法によって、心筋梗塞が、ここに示したように、0.80に減少ということになって おります。  その次がアイルランド、世界で初めて国レベルで職場、公共の場所の喫煙を法的に規制した、 そこでの成績でありますが、0.89に減っています。  その下がカナダのサツカツーン市でのデータでございます。  それから、イタリアのローマのデータです。これら8つの研究をまとめてオーバーオールのリ スクは、0.81、19%減るということをまとめたもので、この論文はウェブで見ることができます。  次に2として、最近ニュー・イングランド・ジャーナルド・メディシンに掲載されたものです。 英国のスコットランドの職場、公共の場所の全面禁煙とする法律は2006年3月に施行されまし たが、この調査は、スコットランドでこのような全面禁煙法をすると、どのようになるかという ことを、法律の施行前から企画をして行われました。1に示したのは、レトロスペクティブなス タディーになりますけれども、このスコットランドの調査は、プロスペクティブに喫煙歴も確認 しながら、受動喫煙の状態を問診や保存血清中のコチニンで確認しています。  その結果、17%の心筋梗塞の減少が観察されました。喫煙者では、14%減、エクスモーカー で19%減、ネバースモーカーで21%減ということでございます。  これらのことから、今や受動喫煙が肺がんや心筋梗塞の原因となるということだけではなくて、 受動喫煙を防止すれば、直ちに心筋梗塞が減少するんだということが明らかになり、法的な規制 によって公衆衛生の向上に資することができるということが明らかにされたと考えます。  次が最後の資料ですけれども、受動喫煙防止のための屋内施設における喫煙の法的規制の対象 の施設別に米国の各種の推移を示したもので、少し見にくい資料になっておりますが、注にあり ますように、Banned 100% Smokefreeというところに数値があって、括弧をして、3つの数字 を並べていますが、それぞれ1995年、2000年、2005年の第4四半期の数値、括弧の外は2008 年第1四半期の数値でございます。  この数値の移り変わりを見ていけば、どういうところから法的規制が、その施設の対象として 進んできたかということがわかります。受動喫煙防止のためには、対策の先進国であります、バ ーやレストランを含む、すべての職場、公共の場所を100%全面禁止にしようということが目標 でありますけれども、これを一挙に実現するということは、現在の日本の状況ではやや困難があ るとした場合には、どのような施設から順を踏んで、100%全面禁煙としていくべきかというこ と考える資料になるかと考えて、この資料をつくりました。  ここの数値は、ワシントンD.C.を含めて、全部で51の数値になっております。一番右のと ころに、ノー・レストリクションズがあって29です。その横が何らかのレストリクションをし ている州ということで、両方足すと51になります。  下から2行目のパブリック・トランスポーテーションを見ていただきますと、1995年に15州、 それから2000年16州、2005年に22州、2008年には33州というふうに増えています。  上から5番目のガバメント・ワークサイツを見ますと、8州、11州、17州、29州というふう に増えています。  下から7番目のホスピタルスのところは、5、5、14、25というふうに増えてきていること がわかります。  レストランの場合は、1、1、10、24と増えてきているわけです。  一番上に、バーがありますが、0、0、6、15というふうに増えてきています。  なお、御存じだと思いますが、米国はFCTCに署名はしていますけれども、批准はしており ません。しかし、州レベルでは、ここに示したようなたばこ規制の、特に受動喫煙の防止につい ては進んできているわけです。  これに対して日本は、FCTCを批准していますが、批准したということは、FCTCの各条 項を履行するという、国際的に約束した責務があるということでありますけれども、FCTCの 第8条、つまり受動喫煙の防止のための法的規制がいまだに進んでいないということは、誠に残 念と言わざるを得ません。是非この検討会で、受動喫煙防止の取組みについて積極的な御意見を いただいて、それが政策として反映されるということを期待するものでございます。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。非常に立派な要望書をまとめていただいたと思い ますが、何か先生に御質問などございますでしょうか。  この要望書の提出先は、厚労省の健康局長と言いましたけれども。 ○大島氏 健康局長にお渡しをしたということで、それから政府の各省庁に回っているというこ とだと思います。 ○久道座長 それは財務省だとか、農林だとか、消費者生活担当大臣だとか、そういうところに は出していないんですか。 ○大島氏 それぞれに出すということではなくて、政府の窓口として厚生労働省の健康局長にお 渡しをしたということでございます。 ○久道座長 それは、ちゃんと行くんですかね。 ○生活習慣病対策室長 厚労省として受け取ったとして理解していて、ほかの省庁には少なくと も別途お話はされていたと伺っていたんですけれども。 ○大島氏 間違っていたら訂正します。勿論、日本学術会議には、きちんとした事務局がござい まして、別途、事務局から政府のそれぞれのところに送られているということでございます。。 ○久道座長 こういう要望書は、多分内閣府に出していると思います。  どうぞ。 ○望月委員 大島先生、大変立派な要望書の御説明と、その後のフォローについてありがとうご ざいました。  質問ですけれども、これはまだ出されてから半年しか経っていない要望書で、今日のようなご 発表も1つの啓発の機会だとは思いますが、学術会議としてこれに沿った今後の御活動の予定等 について、どのように考えていらっしゃるのでしょうか。 ○大島氏 学術会議の決まりでは、要望をとりまとめた時点で解散するということではあったん ですけれども、今、先生が御指摘になりましたように、後のフォローはどうなっているのか見て いく必要もあるんではないかということが、委員の意見の中にありまして、規模は小さくなりま したけれども、この分科会は存続しております。  まだ、会議は存続しての会議は開いておりませんが、今、日程調整をしているところでござい ます。  この間、受動喫煙の防止につきましては、厚生労働省での検討会というのが設けられて、今日 このような形で発表する場をいただいたわけですけれども、もう一つ大きな動きとしては、たば こ税価格の大幅引き上げというのが、学術会議の要望も1つの引き金となって、政治レベルで議 論されておりまして、これについては厚生労働科学研究費をもらっている研究班の研究者の皆さ んと、それから学術会議の脱たばこ社会分科会のメンバーが一緒になって、たばこ税価格の大幅 引き上げ実現に向けてのエビデンスについて更に精緻なものにして、この位置づけに向けて働き かけるということをしておるところでございます。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○遠藤委員 麻布大学の遠藤です。1つ、先生がもし御存じでしたら教えていただきたいことが あるんですが、先生の資料の7ページの上の方に、2番目の段落の「日本学術会議は」というと ころに、いわゆるガムたばこの問題が書いてございます。これについては、どちらかというと否 定的な書き方をされていますが、その下の「7.提言」の「提言1.」のところに、3行目に無 煙たばこなども含め、脱たばこ社会を目指してというふうに書いてあるんですが、この無煙たば こというものの中身の中に、このガムたばこというのは含まれているんでしょうか。 ○大島氏 ここでは、無煙たばこの中にガムたばこも含めて、無煙たばこも含めて脱たばこ社会 を目指すというのが学術会議のスタンスでございます。 ○遠藤委員 そうしますと、まず、受動喫煙の防止という観点からすると、恐らくガムたばこも 致し方ないという、とりあえずという形なんですか。 ○大島氏 いや、受動喫煙の防止ということですと、勿論煙の出ないたばこですと、使用してい るものにも肺がんのリスクというのは出ませんし、受動喫煙のリスクというものも、もたらさな いということはありますけれども、しかし、口腔がんその他のいろいろな疾患をもたらす、何よ りも依存症があるということで、無煙たばこの位置づけ、特に日本に、ガムたばことして、ファ イアーブレークというものが、2006年ぐらいに、問題になりましたが、現在では、スウェーデ ンで多く使われていたスヌースというものが、日本にも入ってくるということになるかと思いま すが、このスヌースに対する日本学術会議の評価ということについては、ここではきちんとした 明示はしておりませんけども、スヌースも含め、無煙たばこについて、それは我々としては脱た ばこを目指すんだという考え方で記載をしております。  ですから、今、遠藤先生がおっしゃったように、受動喫煙の防止ということであれば、無煙た ばこだったらいいじゃないのというお考えはあるかと思いますけれども、私たちはきちんと書い ておりませんが・・・。 ○遠藤委員 原則全面という形で。 ○大島氏 そういうことです。 ○久道座長 ほかにございませんか。  それではどうもありがとうございました。続いて、石井様から社団法人日本フードサービス協 会の概要についての説明をお願いいたします。 ○石井氏 おはようございます。フードサービス協会の石井と申します。どうぞ、よろしくお願 いいたします。  私どもフードサービス協会では、受動喫煙に係る公式な見解をまだとりまとめておりませんの で、今日、資料としてはお出ししておりません。そこで協会の概要を今日は資料として配付させ ていただいております。  まず、最初にフードサービス協会の概要と外食産業の概況について触れさせていただきたいと 思います。  私どもフードサービスする協会は、昭和49年に設立されました外食産業の業界団体でござい ます。  所轄は農林水産省の総合食料局の中の外食産業室でございます。  設立の経緯としましては、昭和49年というのは、御存じのとおり、オイルショックの時代で ございまして、産業界に大変な影響を与えた時代でございました。  私ども外食業界もいろんな問題が山積しておったんですけれども、その当時は政府あるいは行 政、そして公共機関等に対する陳情の窓口、相談の窓口等というのがございませんでした。その ようなことから、当時の外食の中核となる企業が集まりまして、組織化されましたのが私ども協 会でございます。  現在の概要でございますけれども、外食企業である正会員が480社ございます。そして、賛助 会員として、370社ほど加盟しております。賛助会員というのは、食材メーカーですとか、ビー ル、ハムソーメーカー、商社、金融機関あるいは電力会社等、外食産業に関連のある企業及び外 食産業を支える企業群が集っているということでございます。  協会の活動内容といたしましては、会員企業に対する教育研修事業、調査研究事業を始めとし た各種委員会で、BSEの問題でありますとかトレーサビリティー、環境問題、食育への取組み、 それからパート労働者への厚生年金適用問題等に取り組んでいるところでございます。  外食産業の概況でございますけれども、外食産業の市場規模は、1970年代から1980年代にか けまして急成長を遂げ、その後、80年代後半から安定成長の時期に入り、1997年の約29兆700 億円をピークといたしまして、90年代後半から現在まで成熟期に入っているという状況です。  ちなみに、2007年度、昨年度の外食産業の市場規模、これは財団法人の外食産業総合調査研 究センターで発表している数字でございますけれども、約24兆7,000億円です。店舗数、これ は総務省の事業所統計によりますと、約72万4000店でございます。  今、申し上げました24兆7,000億円の内訳を業態別で見てみますと、喫茶店が約1兆571億 円、居酒屋、ビアホール等が1兆1,013億円、料亭、バー、3兆600億円、一般飲食店、ここに いわゆるファミリーレストランやファーストフード等も入りますけれども、一般飲食店が12兆 4,000億円でございます。そして、宿泊施設、国内線の機内食等が約3兆4,000億円、そして、 官公庁、病院、一般の企業等のオフィスで食事を提供する集団給食という業態がございますが、 これが、約3兆6000億円ございます。  最近は、外食も非常に日常的なものになってきておりまして、1年間の食品、飲料に占める割 合、いわゆる食の外部化といいましょうか、これが40%を超えているという状況です。  日本における食料品、料理品の、そして中食、惣菜等も交えた数字ですけれども、これが約 70兆円と言われておりますので、外食産業の市場規模から逆算いたしますと、約40%を占めて いるというような状況でございます。  外食産業は、ファミリーレストラン、ファーストフード、客単価の高いディナーレストラン、 パブ、居酒屋、喫茶、その他、集団給食など、さまざまな業態がございまして、また、年商規模 も上は数千億規模の企業から、下は年間で1億円に満たないような零細な飲食店、そういったお 店が混在しています。  こうした私ども外食産業に対して、最近ですけれども、禁煙対策の委員会、検討会等への参加 要請が続いております。  8月6日には、東京都の飲食店の受動喫煙防止対策検討会に参加を要請されて参加をしてまい りました。  当日は、社団法人日本ホテル協会さん、財団法人東京都生活衛生営業指導センターさんなども 参加されておりました。  検討会の位置づけを事務局の方に伺ったところ、神奈川県のように条例を定めるということで はなくて、言わば事業者と利用者が共存できるような方向性を探っていきたいということでござ いました。  厚生労働省の委託事業として中央労働災害防止協会、これを略して中災防と言っておりますけ れども、中災防の検討会にも参加していただきたいというような御要請もございました。  こちらの位置づけといたしましては、外食店舗で働く従業員の方々の受動喫煙対策をどう考え るかということで、従業員の方々の健康管理をどうするかという問題です。  この検討会には、全国飲食業生活衛生同業組合連合会、略して全飲連さんも御参加をされてお りました。  この検討会の中では禁煙を進めるためのガイドラインをつくるということではなくて、あくま でも調査データなどを積み重ねて、外食店舗で働く従業員の方々の実態を調査するというように 伺っております。そのための実情を把握するためのアンケート調査ですとか、そういったものを、 今、予定をされているようでございます。  ここで協会として、喫煙のことについて触れさせていただきたいと思いますけれども、まだ公 式な見解としては、先ほど申し上げたように、とりまとめているところではありませんけれども、 協会といたしましては一律の禁煙または分煙を義務づけることは適切ではないのではないかと いうふうに考えております。  その理由といたしましては、先ほど申し上げた多業種、多業態、そして売上規模の小さな店も 多数混在するという外食産業に、一律の規制はなかなか難しいというように考えております。  たばこで一息つきたい、リラックスをしたいというようなお客様を結果として締め出すことに なってしまうのではないかというように考えております。  業態的に特に居酒屋は難しいのではないかと考えております。居酒屋にいらっしゃるお客様と いうのは1日の疲れを癒すためにいらっしゃる方も非常に多く、お酒とともにたばこを楽しみた いというお客様も多数いらっしゃると思います。  その一方で、ファミリーレストランあるいはファーストフードでは、比較的分煙あるいは禁煙 対策が取りやすいかもしれません。ただ、その前提といたしまして、完全禁煙の個室であります とか、あるいは完全な間仕切り、エアーカーテン、エアークリーナー、そういったものの設備投 資が新たに出てくるということで、こうしたコスト増につきましては、御承知のとおり、昨今の 経済環境が悪化している中で、しかも原材料高というような影響もございますので、そういった 経営環境の中では、なかなかこうしたコスト吸収することは厳しくなってきていると思っており ます。また、特に中小の方々については難しいというようなことでございます。  このようなことから、各店舗の実情に合わせた禁煙対策あるいは分煙対策を講じる方が合理的 ではないかということで、各社の実質的な取組みを尊重してほしいというふうに考えております。  ここで一つ分煙として考えられることといたしましては、一例ですけれども、ランチタイムに 禁煙タイムを設けるあるいは禁煙席を設ける、店舗が2階建ての場合には、1階が禁煙、2階が 喫煙席というように分けることも可能かと思います。  先ほど触れました居酒屋の中でも、ランチタイムは禁煙、夜の営業時間は分煙または喫煙所を 設けるというスタイルも考えられるかもしれません。  ただ、個人の零細な事業者の方々、例えばカウンターだけの居酒屋あるいは立ち飲み形式の居 酒屋というのも最近増えておりますけれども、そういった中で完全に間仕切で仕切るということ は難しいと思っております。  こうした物理的にも完全に分煙を行うためのスペースを設けられないようなお店もあるわけ でございまして、一律に禁煙、分煙を義務づけるということは、適切ではないのかなというよう に考えております。  ただ、その一方で、私どもの加盟企業の中でも、禁煙に取り組んでいるお店も当然ございます。 例えばメニューをおいしく味わっていただくために、うどんのチェーン店ですけれども、これは 終日禁煙でございます。この業態といたしましては、ファーストフード形式のお店でございます ので、そうしたことからお客様の滞在時間が短いというようなことから、完全禁煙というスタイ ルが取りやすいのではと考えております。  喫茶チェーンの中でも、皆様方がよく御存じの、あえてここで社名は申し上げませんけれども、 Dという喫茶チェーン、こちらは喫煙が自由でございます。その一方で、外資系のBという喫 茶チェーン、これは全面禁煙でございます。これはお客様の方から見ると、お店を使い分けてい るというようなことでございまして、これが企業の立場から見ると、差別化につながっていると 考えております。近くに同じような喫茶店があって、あそこのお店は煙いからということであれ は、そこの店にはいかないでしょうし、これはファミリーレストランでも同じようなことが言え るんではないかと思います。あそこのファミリーレストランは、なかなか分煙が効かないので、 子どもと行ってもなかなか食事がおいしくいただけないということであるならば、そこの店を敬 遠するということで、これはやはりお客様が選別をして、その結果として企業の差別化につなが っているというように理解しております。  先ほど神奈川県の禁煙条例のことにも触れられましたけれども、この骨子が過日出されたわけ でございますけれども、この素案をつくる際には、事前に私ども協会に意見を求めるというよう なことはございませんでした。  そういうことから、私ども協会でも6月25日に会員を集めまして、情報交換を実施したとこ ろでございます。  その中で会員企業の声といたしましては、先ほど申し上げたことと重複する部分もあるかと思 いますけれども、幾つか御紹介をさせていただきたいと思います。  ファミリーレストランのような業態は、禁煙、分煙策を実施しやすいかもしれないが、バー、 居酒屋は実施しにくい、こうしたお店には、たばこを吸いに来るお客様が多く、禁煙は店にとっ て死活問題となる。  逆に当店は喫煙バーですとの表示を出すなどの方法は考えられないか。そもそもたばこは嗜好 品として販売されており、酒と同様にリラックスするためにたしなむもの、受動喫煙防止や分煙 の徹底で済むのではないか。  居酒屋の営業は昼のランチタイムは、禁煙が可能だが、夜の営業はアルコールがつきものであ る、こうしたことから時間帯別禁煙タイムを導入することでもいいのではないか。一律全面禁煙 には反対である。  喫煙、禁煙は各店舗が自主的にその旨を表示することで、どの店を選択するかは、お客様に委 ねるということではいいのではないか。  店舗の立場からは分煙が一番合理的だと思う。神奈川県の喫煙店、完全分煙店、時間禁煙店の 認証制度はよいモデルケースだと思う。  お客様からは、禁煙の要望が増えているのも事実、しかし、昼は禁煙、夜は分煙、あるいは喫 煙所を設けるなど、いろいろな方策があってもよいのではないか。そうしないと、たばこを吸う お客様の方が納得しない。  そして、最後ですけれども、分煙への設備投資に対し、助成する方が行政として賢明な措置で はないかというような意見も出ました。  こうした意見などを踏まえまして、現段階で禁煙条例に対する協会の考えとしては、次のよう なことが考えられます。  健康増進法においては、平成15年の制定により、事務所その他多数の者が利用する施設を管 理する者に受動喫煙防止対策を講じる努力義務を課している。外食産業にあっては、この趣旨に 沿って非喫煙者に対する受動喫煙を強いることのないように分煙等に努めているところ、行政に おかれては、こうした自主努力を支援していただきたい。  外食店舗においては、喫煙、分煙、禁煙を企業の裁量に委ね、お客様に選んでいただける空間 を提供し、あとは利用者の選択に任せるべきというようなことでございます。  いずれにいたしましても短期間で、全面禁煙等に移行することは困難だと思います。3年〜5 年というような時間をかけて、いろいろと利用者の方々等の意見も聞いて検討していく必要があ るんではないかなと思います。  特にチェーン展開をしている企業は、店数も多いことがありまして、また、来客者数も不特定 多数のため対応するためにも相当な期間を要するというように考えられます。  最後になりましたけれども、外食店舗におきましては、喫煙をしながら飲食を行うことが常態 となっている業態もあり、事業者、利用者双方の理解を得ながら、必要な措置を講ずるには相当 な期間を要する。このようなことから早急な結論あるいは方向づけを避けて、十分な議論を重ね ていただきたいというふうに考えております。  以上でございます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。ただいまの説明にどなたか御質問あるいは御意見 はございませんでしょうか。  よろしいですか。どうぞ。 ○岩崎氏 岩崎と申します。一つ質問をさせていただきたいんですけれども、神奈川県の禁煙条 例が、今、業界などで話題には出ていると思うんですけれども、こういった業界の中で、逆に禁 煙の条例を応援したいもしくは賛成だという業界も中にはあるのでしょうか。 ○石井氏 業界ですか、お店ですか。 ○岩崎氏 お店です。チェーンです。 ○石井氏 私が認識している中では賛成という立場のチェーン店はなかったと思います。 ○岩崎氏 ありがとうございます。 ○久道座長 ほかに、どうぞ。 ○見城委員 見城と申します。ただいまの御説明、どうもありがとうございました。外食産業等 の経営の難しさというのは、昨今大変言われておりまして、経営者としての御意見が随分反映し ているというか、そうならざるを得ないというのはよくわかりました。  そういう中にあって、弱い立場なんですが、従業員の方たちの意見または要望というのがもう 少し知りたかったんですが、例えば声も発せられないのか。店長の問題というのもございました ね。店長というのは名ばかりで、大変な過酷な労働がある。ああいうような状況があるだけに、 一般の、アルバイトやフリーターという大変身分も安定していない従業員が多いと思います。そ れから外国人労働者という更に身分が不安定、賃金が安いという、そういう悪い条件もあると思 うので、とてもこういったことに対して、権利を持って発言できるかどうかというのは疑問なん です。その辺りはいかがでしたでしょうか。 ○石井氏 まず、外国人の雇用については、確かに御指摘のとおり、最近居酒屋等で増えており ますけれども、賃金を日本人の方に比べて不当に押さえているということはございません。そこ は申し上げておきたいと思います。  従業員の方あるいはパートアルバイトの方も非常に多いわけでございますけれども、そういっ た方々の健康管理を守るということは、非常に重要なことだと私どもは理解しておりますし、そ ういったことから、先ほど少し触れさせていただきましたけれども、厚生労働省の委託事業とい うことで、中央労働災害防止協会で、今、その検討を進めているところです。その中で、従業員 の方々にも、意見を求めたいというようには考えております。そうした意見というのは、やはり 尊重していきたいとは考えております。 ○久道座長 ほかに何かございますか。  どうぞ。 ○望月委員 今の御質問に関連して、従業員の方々が意見を表明する機会があったとしても、ま ず、意見の根拠として、受動喫煙の害についてどのくらい従業員の方たちが御承知なのでしょう か。  例えば神奈川県の受動喫煙防止条例の例でも、県民の理解あるいは特に経営に関わる方々の理 解が得られにくいと聞いておりますが、そこには前提としての害に対しての認識がまだまだ全体 的に少ないということもあるのではないかと思います。  日本フードサービス協会として、例えば受動喫煙の害について、まず、分煙や禁煙の前提とな るリスクに対しての啓発や教育の機会はどのくらいあったのか。受動喫煙の害については、一般 の方々も過小評価しておりまして、最近の研究成果だと短時間の曝露でも循環器系への影響があ るとか、最初の回にも申し上げたように、閾値のないリスクであるということまでは、なかなか 一般の方々、特に条件的に不利な立場にあるような方々までは浸透していない様です。そうなる とやはり意見というのは言いようもないのではないでしょうか。やはり経営者の方々は経営が中 心、あるいはお客様の利便というようになってしまうと思うのですが、協会としてどのぐらい知 識というか、そういう機会があったのかを教えてもらいますでしょうか。 ○石井氏 私ども協会の中には外食産業の健康保険組合があり、この健康保険組合では、ポスタ ーなどで、従業員の方々の目につくような形で、たばこの害などについて啓蒙しているところで ございます。 ○久道座長 ほかにどうぞ。 ○加治委員 詳細な御説明をありがとうございました。拝聴していてとても残念な気持ちがした んですけれども、経営される側のお立場というのも理解はできるんですけれども、今、望月先生 がおっしゃったように、受動喫煙が非常に危険なことであるという認識に欠けていらっしゃるん ではないかという思いを強く持ちました。  健康増進法第25条には罰則はないんですけれども、経営者の方にはお客さんそれから従業員 の方々を受動喫煙から守る努力義務があるわけですね。それを実施していないということは即法 律違反という状態だと思うんですけれども、そういう認識があるのかどうか少しお伺いしたいと 思います。完全禁煙ですとか、完全分煙を実施していないお店というのは、それは経営者の方が 法律違反を犯していらっしゃるということですね。罰則はありませんけれども、そういう認識は 持っていらっしゃるのかどうか、まず、お尋ねしたいんですが。 ○石井氏 まだ全体的に禁煙そして分煙というような取組みをしているところは、確かにまだま だ少ないのかもしれませんけれども、これから議論が深まっていくにつれて、やはり禁煙あるい は分煙をしていこうというような経営者が増えてくることはあると思います。  急速にこういった受動喫煙等の議論が進んできているところでございまして、そういった意味 ではまだまだ取組みは確かに進んでいないというような状況かと思います。  経営者の立場からして、先ほど申し上げたようにお客様の喫煙への要望や分煙対策、コスト等 の問題もありまして、なかなか取り組めないというのが実情かと思います。 ○加治委員 それは言い訳のように聞こえるんですけれども、協会様として、そういうお店に対 する指導のような、あるいは啓発のようなことは考えていらっしゃらないのでしょうか。 ○石井氏 ですから、今、こういうように急速に受動喫煙の議論が高まっている最中でございま して、恐らくこれからの取組みということになってくるかと思います。 ○加治委員 そういう理解のある経営者の方が増えてくるのを待ちますという姿勢なんですか。 ○石井氏 経営者の意見というのをまだ集約しておりません。 ○加治委員 協会様の設立の趣旨に、外食企業の質的向上を目指して活動を続けておりますとい うふうに書かれていますけれども、その姿勢が余りに消極的ではないかなと思われるんですけれ ども。 ○石井氏 また繰り返すようですが、恐らくこれから議論の盛り上がりによって、そういう取組 みを積極的にしていく企業も出てくるかもしれません。まだ協会として正式な見解を出しており ませんので。 ○見城委員 フォローしていいですか。 ○久道座長 どうぞ。 ○見城委員 気の毒になって参りましたので。今までの話のプロセスで、フード協会さんに、す べてを託して課していくというのはきついだろうなと実は思いました。タクシー業界が先にそう いう禁煙ということでやりましたが、タクシーの方に伺いますと、乗った方が、最初はショック を受けたけれども、まあいいかと、次にお店に入ったら吸えるとか、そういう形で結局たばこを 吸う人たちの逃げ場というか、言い訳がどんどんどこかにしわ寄せがいくわけですね。  今までの御説明を伺いますと、非常に外食産業の経営の難しさとか、お客さんの選択が非常に わがままで、何かあれば選択肢から外されていくという、そういう状況の中で経営していくとき に、社会の動きの中で、もうタクシーは吸えなくなったと、じゃあどこで吸えるかというと、外 食でと、どちらかというとそういう場になりつつあるし、なってしまっている部分があると。  外食産業だけに解決策を求めていって、果たしてよりよい解決の糸口ができるかというと、今 の成り行きの中だけでは難しいかもしれない。ここを解決するには、もう少し社会的なサポート がありませんと、業界だけに任せていくことは解決が遅れるだろうなと思うんです。啓蒙するの も大事、改善するのも大事、だけれども非常に経営者が早く変わっていく現状があります。経営 が成り立たないということも多くあって、そういう中でやはりどうするかというのには、業界だ けでは難しいかもしれない。  でも、社会として禁煙という方向に持っていくために、むしろどんなことが必要かということ も含めて、逆にフィードバックしていくことも重要ではないかと。業界の方々だけでは結局解決 策が止まってしまうと思うんです。社会なり、こういう検討会の場なり、いろんなところが、今 の中でもおわかりだと思いますが、禁煙を推進しているところがあるわけですので、外食産業の 現状に対し、情報を出し、よりよい解決策に向けて、やはり言っていただかないと、対決したま ま終わるんではないかという気がいたしまして、その辺の重要性を認識しました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。  どうぞ。 ○加治委員 先ほどは少し言い方がきつかったかもしれません。別に個人的に攻撃するつもりは 全くありませんで、申し訳ありませんでした。  ただ、受動喫煙の有害性に関して、お店の側の方も利用客の方もまだまだ認識が不十分な面が 非常に多いと思うんです。禁煙席に座っても、喫煙席の方からたばこの煙が流れてきて、たばこ 臭い思いをすることは、私自身よくあります。でも、私は臭い思いをすれば必ずレジで支払いの ときにクレームをつけますけれども、そういうお客さんはまだまだ少ないですね。多少たばこ臭 くても我慢してしまうといいますか、何もクレームをつけないお客様の方がずっと多いと思うん ですが、そういう状況こそが大きな問題だと私は思うんです。  例えば、たばこの煙はアスベストと同様に、明らかなA級発がん物質であるということが、米 国の環境保護局の方から言われておりますので、たばこの煙が漂っている空間というのは、アス ベストが漂っている空間と同じことなんです。そういうことが国民の皆さんの知識にあれば、た ばこ臭いお店にはだれも行かなくなると思うんですけれども、あるいはたばこ臭い状況というの が、お店にとっては大変なイメージダウンですよというふうな啓発を協会様の方から各お店の方 へ啓発するような、そういう手段を講じていただけないかというふうに思うんですが、いかがで しょうか。 ○石井氏 今日は、私どもフードサービス協会がお招きいただいたわけですけれども、冒頭の説 明の中で、フードサービス協会に加盟していないような小さな零細なお店もございます。今日は、 そういう方々がいらっしゃっていませんので、その方がいらっしゃったらまた別の切り口から御 意見を申し上げるかもしれませんけれども、正直申し上げて、そういう小さな飲食店で、完全な 分煙で、あるいは禁煙というようなスタイルを取った場合には、お客さんがいらっしゃらなくな ってしまうんではないかというように思います。  ですから、勿論、喫煙の害というのはわかっております。わかっておりますけれども、なかな か取り組むことが難しいということも一方ではあると思いますので、そういう小さな事業者の 方々の率直な生の御意見も一度聞いていただくことも必要だと思っております。 ○加治委員 そういう小規模なお店にまでは影響力が及ばないということはよくわかりました ので、加盟されていらっしゃるお店に対してだけでもしっかりとした啓発活動を行っていただけ ないかと思うんですが、そうしますと、だんだんとその動きがほかのお店にも広がっていくこと が期待できるのではないかと思うんですが、そういう社会的な責任みたいなものも、おありでは ないかなと考えます。 ○久道座長 フードサービス協会を代表する形で返答することは無理だと思うんです。見解がま とまっていないということもありますし、ですから、加治委員が、そういうことを是非やってい ただきたいという要望ならばいいんだけれども、どう考えるかというのはつらいと思うんです。 ですから、そこは、今日はいろいろ詳しくお話しいただきましたけれども、ここの委員の意見と してはこういうことを是非、将来でもいいからしていただければありがたいという形で言ってい ただけると、石井さんは余りいじめられた感じには、ならないと思うんだけれども、そういうこ とです。  どうぞ。 ○望月委員 先ほど言葉が足りなかったのですが、やはりフードサービスというか、食の安心・ 安全ということが、これだけ毎日のようにニュースをにぎわしているぐらい、業界として安全性 については一番敏感なところにいらっしゃる方々だと思うのです。  なので、そのような同じ視点をたばこに対して振り向けて見るだけで、恐らく業界の方々の意 識、先ほどから言っている、たばこのリスクに対しての認識が大きく変わるのではないでしょう か。そういう意味で非常にポテンシャルの高い方々だと思いますし、ほかの業界よりももう一歩 リードされてもよいのではないかと思います。またこれだけの大きな規模の業界でもあり、先ほ ど言った食の安全という、まさに健康に関わるものを日々扱っていらっしゃる方々だと思います ので、是非、同じような目をもってたばこのことを考えていただけたらと思います。 ○久道座長 要望ですね。  どうぞ。 ○遠藤委員 まさしく、今、皆さんおっしゃったようなことなんですが、1つだけせっかくとい う機会でお願いしたいのは、御紹介いただいた協会の活動の中に、教育研修活動とか、あと調査 研究活動というのが書いてございます。  今日、一つお願いしたかったのは、具体的な数字を、特に受動喫煙に関連した資料として、協 会としてまとめられたものを御提示いただければ、別にそれが評価する上で、我々としてもしや すいというか、そういう気がするので、今日は時間もなかったことだと思いますけれども、後日 でも構わないのでいただけたらうれしいなと思うんですが。 ○久道座長 どうぞ。 ○永山委員 永山でございます。石井課長、本当にお疲れさまでございます。  見城委員の方がたくさんフォローをしていただいたので、我々の立場も少しは、議事録に残る んではないかと思うんですけれども、やはりお答えに困っていらっしゃる1つが、やはり我々が 社会的な要求を最後に受け入れなければいけない業種であるということなんです。ですから、極 論を言うと、日本に喫煙者が1人でも残っている限りはどこかで吸ってもらわないと、またばら まかれることになってしまいます。ではだれのところで、どの空間で吸っていただくのが、一番 全体にとって適切なのかということ考えなければいけない。  そういったときに、今の我々の立場でいくと、どうしても路上では吸えない。社内では吸えな い。オフィスでは吸えないのであれば、近所の飲食店で、一腹させてもらおうかと、やはりそう いう考えが、今は出てくるのは仕方がないのかなと思います。  そういった中で、我々が当然認識を強化しなければいけないですし、従業員さんにも、リスク を理解してもらわなければいけない。やはりその中の過程の一つで、やはり段階を分けて、完全 分煙をする施設が、こういう基準であればできるということであるとか、あとはそれができない ところであれば、完全禁煙の施設であったり、もしくは短期、中期的にはこの施設は喫煙可能で すといった小規模の施設が残るかもしれない。ただそういったどこで吸うのかという喫煙者の逃 げ道をどこかに残しておかないと、本当に、前回も申し上げたと思うんですけれども、喫煙者が 地下に潜るだけで、法の目の届かないところにどんどん流れていくだけではないかなという危惧 を業界としては持っております。  ですから、より簡単なルールで喫煙者の方、禁煙者の方に選択をしてもらえるような施設づく り、そのためには、完全分煙の施設があってもいいですし、先ほど言ったような施設のことで選 択できるような、これがやはり我々の業界にとっても、経済的の損失が最小限に抑えられる。経 済的損失というのは、売上減を気にされている施設もあれば、完全分煙に対して大きな投資がか かるということを懸念されている経営者の方もいらっしゃる。そういったものを抑える方策にも なるでしょうし、そういったことによってより効果的な分煙対策ができるのかなと。  何でこういうことを申し上げるかというと、結局そういう分煙をして、もし喫煙ができる施設、 禁煙の施設という2種類に中期的に分かれたとして、やはりお客様の評価かそこから先で分かれ てくると思うんです。社会的な風潮がより禁煙が加速する方向でいけば、当然今まで喫煙OKで 営業されていた居酒屋でもバーでも、では禁煙にしてみようかということになるでしょうし、 我々の業界も求人難なことは多分共通していると思うんですけれども、こちらのお店に勤めると きには禁煙のお店ですよ。こちらに勤めるとしたら、お客さんの前で被ばくを受けながら働かな ければいけませんよと言ったときに、やはり働かれる方のレベルも変わってくると思うんです。  そうなると、勤めるときに、喫煙のお店に勤める方の方が圧倒的なれば、飲食店もおのずと禁 煙の方向に向かってくると思いますし、そのストレスをこちらの業界にということで、お気にな さっていただいて本当に感謝しているんですけれども、やはりそういった社会的な認知の情勢と、 我々の取組みのスピードアップというのは両輪でやっていかないと、どこが悪いんだとか、そう いう議論よりは、どこで吸えるんだという議論も一方で頭の中に入れていただきながらお話を続 けていただければありがたいと思います。  済みません、長くなりました。 ○久道座長 では、石井さん関連の質疑応答は、どうぞ。 ○見城委員 重要なことは、流れが禁煙に来ているわけです。ですから、やはり先取りしていく ということが重要で、例えばデパートなどの食堂を一例に見てみますと、禁煙と喫煙の席に分け ていますと、禁煙の方の予約が先に埋まっていくんです。喫煙の方なら空いていますというよう なことが現に起きておりますので、高齢化ですとか、文化度がどんどん変わってきている、意識 が変わってきているということを、更に先取りしていただいて、先ほどから啓蒙という言葉が出 ておりますけれども、やはり10年先はどんな世の中になっているのかという感じで、禁煙の状 況を想定しながら、できるだけ早い段階で動いていただきたいと思います。これは要望でござい ます。よろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、次の方も関連していますので、岩崎様から資料3などに基づいて御説明 をお願いいたします。 ○岩崎氏 今、御紹介いただいた岩崎と申します。私は、本業はウェブプログラマーをしており まして、ウェブ開発のもともと持っている技術を生かして、禁煙スタイルというグルメサイトを 運営させていただいております。  この禁煙スタイルというサイトを運営する傍ら、最近はやはり、飲食店の関係者であったりと か、自治体の関係者から相談を受けることも今、非常に増えてきております。  今回、私が御用意させていただいた資料が資料3になりますけれども、こちらに基づいて話を 進めていきたいと思います。  まず、目次が2ページ目にあるんですけれども、今回、禁煙スタイルとは何かという簡単な御 紹介と、今の飲食店、事業者数であったり、禁煙・分煙がどうなっていくかという、最近の傾向 です。飲食店の禁煙がなぜ難しいかというお話と、完全禁煙と完全分煙で、営業上どのように変 わっていくのか。メリット、デメリット、そういった面のお話と、後は飲食店でどういう受動喫 煙問題が起こるかという話。  そして、次が禁煙飲食店アンケートという、今年の3月に禁煙の飲食店だけに限定しているん ですけれども、約170店舗以上の店舗から回答いただきまして、その回答を抜粋したものを、一 部御紹介したいと思います。  最後に御提案という形で、利用客と受動喫煙をどうやって防止していくかということを話した いと思います。  3ページ「禁煙スタイルの概要、紹介」というところですけれども、この禁煙スタイルとは何 かと言いますと、今から約3年前の世界禁煙デーに開設したホームページで、全国の完全禁煙、 完全分煙、時間帯禁煙、この3つに該当する飲食店をユーザーであったり、お店の方が口コミと して登録していただくグルメサイトというのを運営しております。  このサイトを今、ほぼ1人で管理しているんですけれども、こちらのホームページの管理と合 わせて、最近では飲食店さんにかかわらず、個人的に相談を受けることとか、もしくはそういっ た地方自治体からも飲食店の禁煙もしくは分煙をどのように進めていけばいいかという相談を 受ける機会が増えておりまして、来年以降も講演のお話なども入ってきております。  登録されている店舗の数で言いますと、飲食店全体は、たしか総務省の事業所数のベースでは、 72万店ほどあったかと思うんですけれども、現段階では1万700店、これは完全分煙や時間帯 禁煙も含めてですが、まだ1.5%程度となっておりまして、1万という数は多く見えるんですけ れども、全体の72万から見れば、まだ少ないかなという印象を感じます。  次のページ「飲食店の事業所数と、禁煙・分煙飲食店の傾向」ということで、今お話しさせて いただいたとおり、全国に約72万件の飲食店がありまして、1万700店舗しかまだ登録がない という状況です。  ちなみに東京都内の飲食店の事業所数は約9万店舗ほどとなっていまして、禁煙スタイル登録 されている禁煙、分煙を含めると、約3,000店舗、約3%程度となっておりまして、東京都に関 しては、まだ比較的地方と比べれば進んでいるかなという感じです。  下にあります表を見ていただくとわかるかと思うんですけれども、1万700のうちの、完全禁 煙のお店が8,700、その次に多い時間帯禁煙が約1,300なんですけれども、やはり完全分煙とい うのが、コストの問題、設備の問題で難しいという問題も絡んでいたと思うんですけれども、693 件と、この3つの分類では一番少ない状況となっております。  参考資料として「禁煙レストラン最前線」というものを、皆様にお配りしていると思うんです けれども、こちらの方も少しずつ説明しながら話を進めていきたいと思います。  こちらの参考資料にあります、45ページを見ていただきたいんですけれども、実は44ページ から47ページまでが『新しい飲食店開業』という雑誌の特集の中で、私が執筆させていただい た記事となっていまして、45ページの一番左上のグラフを見ていただくとわかるかと思います。 全体的に飲食店の禁煙、分煙が進んできていると思うんですけれども、事業所数ベースで禁煙が 進んでいる飲食店の、これは東京と23区の話なんですけれども、その割合など見ていただくと、 このように千代田区が一番多くて6.3%、少ないところで0.3%といったように、これはあくま でも事業所数が母数となっていて、その上で口コミでどれだけ登録されているかという推計なん ですけれども、大きくて約20倍ぐらいの開きが、同じ東京都内でも起こっています。  その1つ下のグラフが、これは神戸、阪神間で統計を取ったんですけれども、一番多いのは兵 庫県の芦屋市という状況になっていまして、ほかの市や区と比べても、ここも数十倍という大き な差が起きています。これは、やはり市や区によっても、どういった業態のお店がいいのかとか、 さまざま複合的要因も絡んできているのではないかと思います。  では、こちらの資料3の方に戻っていただきたいんですけれども、次の5ページ目に進んでい ただきたいと思います。  「飲食店の禁煙化が難しい理由(1)」なんですけれども、日本人の喫煙率、たしか昨年か一 昨年だったと思うんですけれども、約26%となっていまして、大まかには国民の4分の3は非 喫煙者であります。しかし、4分の3以上の飲食店が禁煙・分煙、ここでいう分煙は、完全分煙 という意味を強調したいと思うんですけれども、そういったお店を含めると、とても4分の3以 上あるとは思えないというのが、私の所感でもあります。  なぜこのようなことになっているかと、私は調査したんですけれども、喫煙率というのは、男 性や女性もしくは世代によっても当然大きく変わってくると思うんですけれども、当然喫煙率が 高いのが比較的若い男性、女性となっていまして、その喫煙率が左側のグラフ、右側のグラフが 食料費における外食の割合、外食費にどれぐらいの割合をかけますかというと、やはり男性の方 が外食、食料費が多い。  35歳未満というのが56.7%、つまり、喫煙率の高い世代ほど外食にお金を使うのではないか というのが、この2つのグラフから見て考えられます。  次のページ「飲食店の禁煙化が難しい理由(2)」というところで、いわゆる職場の宴会、歓 送迎会であったり、忘年会、そういった行事であったり、人付き合いなどで飲食店は使うことが 多いと思うんですけれども、実態としては、非喫煙者が喫煙者に合わせて喫煙席を利用すること が多いのではというのは考えられます。  それは、たばこの煙を気にしていないという非喫煙者もいれば、やはりなかなかノーを言えな いというか、禁煙の方に合わせてもらいづらいという非喫煙者も多いのではと、この2つの要因 があるのではと思っています。  下に例を書いてありますが、例えばファミリーレストランを4人で利用するとして、店員さん におたばこ吸われますかと聞かれたら、吸う人が1人でもいれば、普通だったら喫煙席の方に流 れてしまうんではないかと思います。  もう一つの例が、職場で宴会をする、10人で宴会をするときに、例えば喫煙率からいけば、 2人、3人、4人ぐらいたばこを吸う人が中にいると思うんですけれども、喫煙する人がいれば、 喫煙のできるお店を選ぶ、半数以上が非喫煙者であっても、喫煙の店を選んでいるという現状が あるのではないでしょうか。実際に非喫煙者に合わせる習慣があれば、今の居酒屋でも、禁煙の 居酒屋というのが各地域に数店舗ぐらいあってもおかしくないのではないかと、私は感じます。  次のページなんですけれども「完全禁煙・完全分煙の営業比較」という簡単な表をつくりまし た。  完全禁煙の場合は、利用客と従業員両方に対して、受動喫煙の防止効果があると、私は考えて います。  完全禁煙のメリットとしては、やはり分煙の工事、空気清浄機の設置といったコストが発生し ない。また、そのコストにかかる維持にも非常に安上がりなのではないかと思います。  灰皿交換などの手間が省ける、そこも人件費の削減につながってくると思います。清掃コスト も下がって、客層がよくなる。ここで客層がよくなるというのは、喫煙者が来なくなるという意 味ではなくて、禁煙営業に対しても理解ある喫煙者というのは、実際いるという話を飲食店の 方々から聞いているんですけれども、そういった理解ある喫煙者は、禁煙になっても来てくれる と、そういった話を非常に現場から聞いております。たばこの煙がないことで、料理や飲み物の 味や香りを守れる、そういったサービスを強調できるという点があります。  デメリットとしては、売上の不安がある。実際、店舗によっては売上が減少しているところも あります。  完全分煙なんですけれども、利用客の受動喫煙防止、ここでは△としております。従業員の受 動喫煙防止は×としておりまして、なぜ×かというと、従業員が仮に禁煙席、喫煙席を空間で分 けたとしても、従業員というのは喫煙席でもサービスを当然することになりますので、そこで受 動喫煙を受けてしまうということで×としています。  メリットとしては、喫煙客がほかの店に流れるんではないかという不安が解消されることでは と思っています。  ただ、店舗によっては、やはり面積、規模の大きさであったりとか、業態によっては、そうい った分煙コストの負担が大きくなるというのと、負担が数百万、場合によっては数千万かかるか もしれないんですけれども、そういったコスト負担が採算を取れるかという完全分煙と比較して なんですけれども、現状、問題があると思います。  完全分煙のデメリットとしては、やはり従業員の受動喫煙が完全に防げない。喫煙席に同席し ている非喫煙者、これは、例えばファミリーレストランで仮に完全分煙したとしても、親が喫煙 者で、子どもを一緒に喫煙席に連れてしまえば、ここでお子さんも受動喫煙を受けてしまう。先 ほど話した分煙工事コストの問題、工事コストに費用がかかっても、喫煙席でサービスを受けて も、禁煙席でサービスを受けても、飲食の代金は基本的に一緒です。つまり、これは両方にコス トが反映されてしまう。  あと、一部小さなお店からいただいた意見ですけれども、分煙機器やパーテーションなどを設 置することで、店内に圧迫感が出てしまうという意見も寄せられました。  次のページ「飲食店での受動喫煙問題」。今、起こっていることで考えられる問題としては、 完全禁煙の飲食店というのは、まだまだ全体のごく少数で、大多数の飲食店では、従業員も受動 喫煙の被害を受けています。  2つ目なんですけれども、利用客に対する受動喫煙の配慮は、禁煙だったり分煙などで少しず つ進んできていると思うんですけれども、従業員の健康を考えた対策というのは、まだまだ遅れ ているんではないか。  3つ目が、そういった外食業界というのは、実は高校生や大学生など、20歳未満の従業員も 非常に多く従事しているんですけれども、特に未成年者の従業員を受動喫煙から守るという取組 みが、まだ業界としてはされていないのかなという印象があります。  4つ目なんですけれども、経営者が働く側の健康面を理由に、例えば健康上の問題があって、 自分の店を禁煙にしたいと思っていても、売上の問題があって、禁煙できない店舗もあるという のを見てきました。  次のページ「『禁煙飲食店アンケート2008』に寄せられた回答と現場の声」。今年の3月に禁 煙スタイルに登録されている、お店の方に直接情報をいただいた店舗だけを対象にしているんで すけれども、禁煙営業のきっかけや売上の増減、もしくはほかの飲食店にも参考となるような質 問をさせていただいたり、アドバイスなどをいただきました。  このアンケートが2008年3月1日から4月7日まで調査期間を設けまして、すべてインター ネット上で調査を行なっております。告知方法としては、eメールで告知しまして、eメールで 回答がない店舗に対しては、DMを送らせていただきました。  有効回答数なんですけれども、今回、213店舗に回答をお願いしたところ、176店舗から回答 がありまして、有効回答率は約82%となります。  全都道府県の飲食店から回答があったわけではないんですけれども、36都道府県から回答が ありました。  実際に回答をいただいた店舗のほとんどは、個人店がほとんどとなっているんですけれども、 一部大手のチェーン店でフランチャイズ展開されている経営者の方からも展開というか、恐らく 1店舗だけだと思うんですけれども、そういった経営者の方からも回答をいただきました。  176店舗中意外だったのが、バーやパブの回答が15店舗ありました。ですので、1割近くが お酒をメインで扱う業態の回答もあったということです。  では、続いて、次のページ「禁煙飲食店利用客の男女比、喫煙客の割合」ということなんです けれども、まず、質問として、来店されるお客様の男女比をお答えくださいということで、特に 印象に残ったのが、先程データを出しましたが、外食率では男性の方が圧倒的に多かったんです けれども、今回の禁煙飲食店調査に関しては、女性客の方が圧倒的に多いという現状が浮かび上 がってきました。男性客が多い、やや多いを合わせると14%、女性客が多い、女性客がやや多 いを合わせると61%になります。非常に女性客から禁煙の店が今、支持されているというのは、 ここからも浮かび上がってきました。  次の質問なんですけれども、喫煙習慣のあるお客様とないお客様では、どちらの来店割合が多 いですかということで、禁煙の店でもどちらかというと、もともと分煙・喫煙で営業していて禁 煙に切り替えたお店のような場合は、お客がもともとこの人は吸っていた、この人は吸っていな かったというのをしっかり把握しているところもありますので、この質問に関しては、かなり多 くの店舗から回答をいただけました。  割合を見ていきますと、喫煙客が多い、喫煙客がやや多いを合わせると7%、非喫煙者が多い、 非喫煙客がやや多い、合わせると77%となりまして、これは大体予想どおりとなると思うんで すけれども、非喫煙客の割合がやはり圧倒的に多いという現状が浮かび上がっています。  ただ、一方で喫煙客の方が多いという店も一部ある。つまり、喫煙者にも支持をされている禁 煙の飲食店も少なからずあるという現状がここで読み取れます。  実際に店舗の具体例を少し御紹介したんいですけれども、先ほどの『禁煙レストラン最前線』 という参考資料の46ページを開いていただきたいんですけれども、46ページ、47ページの記 事、こちらは私が執筆させていただいたものなんですけれども、こちらでも同じ図1ということ で、喫煙、禁煙者の来店割合というデータ、同じものをそのまま使っております。  このグラフの説明の後に、実際に営業途中から禁煙に踏み切った店舗、今回、この中で3店舗 御紹介しているんですけれども、例えば1つ目のお好み焼き屋さん、これは大阪にあるお好み焼 き屋さんなんですけれども、こちらの場合ですと、お客さんの、今でも6割以上はたばこを吸わ れる、禁煙営業する前は8割で、確かに売上は一時的に落ちたんですけれども、その後、自然と 回復して喫煙される方が再び戻ってきた。今は、逆に売上が喫煙にしていたころより伸びている というお話を聞きました。  続いて、2件目、こちらが店内禁煙のバーなんですけれども、こちらはまだ売上が、禁煙に切 り替えてからしんどいというお話を聞いていまして、きっかけは御本人がぜんそくということを 聞いているんですけれども、売上は落ちたんですけれども、女性客からは高い支持を得ている。  次のお店が、おそば屋さん、これは東京の亀有の方にあるお店なんですけれども、こちらがや はり健康のことを考えて、勿論、これは従業員もお客様、これは両方のことを考えて禁煙にした。 告示を2か月前からしっかりしていたようで、告示した後は特に問題もなく、ほとんどの喫煙さ れる方も、これまでどおり来店されているという非常にいいお話をいただいております。  こちらの下の資料の方に戻っていただきたいんですけれども、次の11ページ目、禁煙にされ たきっかけをお答えください。今回176店舗に対して、最大3つまでの選択で回答をお願いして おります。 ○久道座長 岩崎さん、あと5分ぐらいでお願いします。 ○岩崎氏 わかりました。こちらのアンケートの結果としては、料理、飲み物の香りを守るとい うことが、特に理由として上がっておりまして、健康増進法、従業員の健康、そういった問題も 少しずつではありますが回答も出ております。  次のページ「禁煙営業のタイミングと売上の増減」ということなんですけれども、禁煙営業を オープン時からしていたのか、もしくは途中で禁煙されたのかという質問に関しては、ほぼ半数 がオープンから禁煙にしている。残り半数が営業途中で禁煙しているという結果が出ています。  次の質問が売上の部分なんですけれども、営業途中もしくは移転などで禁煙にした場合に売上 が伸びたか、落ちたかという質問ですと、22%が伸びたの部類に入って、32%が落ちたの部類 に入る。そして、変わらないというのが39%あります。  参考資料としまして、こちらの神戸新聞の方の記事でも売上が2割の店で伸びたというお話が 取り上げられました。  次のページ「禁煙営業の前に完全分煙を検討したか」。これは、禁煙する前に分煙での営業を 検討したかという質問なんですけれども、検討したが19%で、検討しなかったが81%、これが 現場から寄せられた、なぜ検討しなかったかというと、資金の問題であったり、においを完全に 防ぐことは難しい。そういったお話が多く寄せられていました。  14ページ「法規制による全面禁煙の必要性について(1)」を尋ねました。  今、海外で、確かに多くの国で禁煙、飲食店やレストラン、バーの禁煙が定められてきている と思うんですけれども、日本でもこういう罰則付きの規制が必要だと思いますので、質問に対し て、63%の禁煙店は、法規制は必要だと思うというふうに回答をしております。  参考資料の、先ほどの新しい飲食店開業の41ページ目に大きなグラフが出ているんですけれ ども、こちらは神奈川県の禁煙条例について賛成ですか、反対ですかという飲食店、禁煙・喫煙 問わず全体に聞いている質問で、有効回答率は18%だったと思うんですけれども、こちらでは 反対の方が目立っています。  元の資料の15ページなんですが、全面禁煙の必要性について新規開業時からと営業途中から に分類して法規制が必要かどうかというのを聞きますと、新規営業の方は法規制が必要だと考え ているというのは5割程度で、営業途中など、何かしら苦労された店の方は73.6%、途中で禁 煙した店の方が法規制の必要性を特に感じているようです。  次のページ「禁煙営業を始めたきっかけ」ということで、家族従業員の健康であったり、喫煙 者も非喫煙者も同じ環境で味わっていただきたいということであったり、その経営者の方が食道 がんの診断を受けて、再発防止のため、そこを禁煙にした。もしくはこういった喘息であったり とか、未成年のアルバイトを雇う可能性があるから、禁煙にするという話も出ています。  次のページ「現場から寄せられたコメント(2)」「禁煙営業にして良かったこと」というので、 客層がよくなったり、店内の汚れが少なくなったとか、禁煙のバーがあるからうれしいとか、そ ういった非常に好意的な意見が寄せられています。  次のページ「現場から寄せられたコメント(3)」。これも逆につらかったというのは、やはり 売上のことであったり、宴会の予約がキャンセルされる。また喫煙されている方でも自分の店は 禁煙しているということもありますので、そういったお店の方からは、やはり席を立たせること は申し訳ないという話が出ています。  次の19ページ、ここに禁煙営業する上でのアドバイスのようなことを100店舗程度から回答 いただいていまして、こちらはどちらかと言えば、経営者向けの方に参考になる話となっており ます。世界的な流れとか、先進国の話もここで出ています。  最後の20ページのところが「利用客と従業員の受動喫煙防止対策実現に向けて」というとこ ろなんですけれども、やはり従業員と利用客の両方を受動喫煙から守るためには、最終的には、 やはり国が率先して法律で禁煙することが望ましいと考えます。  完全分煙については、やはり大規模な店舗であれば、1階、2階でフロアーを分けるというこ とはできるんですけれども、小規模な店舗では、やはり難しいという話を聞いています。  このような法規制の実現であったり、今よりも受動喫煙対策を進めるのであれば、やはり自治 体とか民間が協力し合って、飲食店の経営者もしくは関係者向けに対象とした勉強会やイベント などを積極的に開いていったりして、受動喫煙防止の必要性や禁煙営業の成功事例などを出して いく必要があると考えます。  これで、以上となります。ありがとうございました。 ○久道座長 どうもありがとうございました。かなり具体的な話で参考になったと思います。時 間の関係で急がせて済みませんでした。  今、いろいろアンケート調査による具体的な数値で説明がありましたけれども、何か質問はご ざいますか。  どうぞ。 ○見城委員 ありがとうございます。具体的でとても参考になりました。  禁煙・分煙にしたお店は、どこでお客さんにたばこを吸わせているんでしょうか。 ○岩崎氏 今回の私が聞いてきた話というのは、比較的小さな店が多いんですけれども、やはり 圧倒的に多いのは店の前に灰皿を置いて、そこで吸っていただく。もしくは店の前から少し離れ た場所であったりとか、それは店によってスタンスは違うと思うんですけれども、基本的にはや はり店の外に灰皿を置いています。ごく一部のお店では、設計の段階から喫煙室という、サービ スは提供しないで、喫煙する場だけを設ける形で対策をしている店舗も見られます。あとはテラ ス席を設けて、そこで喫煙していただくと、そういうケースが見られます。 ○見城委員 ありがとうございました。 ○久道座長 ほかによろしいでしょうか。それでは、加治先生、何か資料がありましたね。加治 先生の説明を聞いてからということにします。  どうぞ。 ○加治委員 前回の検討会で、望月先生が配付されました資料の11ページのコピーなんですが、 ここに表1として、たばこの煙の中の主要な有毒化合物の一覧表がございます。これもごく一部 なんですけれども、たばこの煙には、有害な物質がたくさん含まれていますということは一般に もよく知られているんですが、では具体的にどんな物質が含まれているかということが余りにも 知られていないんではないかと思うんです。  ここにありますようにヒ素ですとか、DDT、ホルムアルデヒド、シアン化水素、これは青酸 カリの仲間ですね。こんなとんでもない毒物がたくさん含まれているということを、もっともっ と周知啓発する必要があると思うんです。飲食店の空気環境にも、もしもこのような物質が、た ばこの煙が漂っていれば、こういう毒物が流れているんですよという認識が広まれば、もっとも っと飲食店の禁煙化が進むのではないかと思います。  一例として、ここにホルムアルデヒド、これは防腐液に含まれていると書かれていますけれど も、例えば今年の4月でしたか、中国から輸入されたTシャツから、ホルムアルデヒドが検出さ れたということで、すぐ販売禁止になって回収されたという新聞記事がありましたけれども、食 べるものでなくて衣類から少しでもホルムアルデヒドが検出されただけで販売禁止になるのに、 たばこの煙にはこういう毒物が含まれていることさえ、ほとんどの方が御存じありませんね。で すから、具体的にこういう毒物がたばこの煙には、大量に含まれているんですよということを、 もっともっと啓発する必要があるのかなと思いまして、提案させていただきます。 ○久道座長 どうもありがとうございました。どうぞ。 ○内田委員 昨日、この禁煙の声明文を理事会で認めていただくときに、終わった後で私のとこ ろに寄ってきたある会長がおりまして、その会長は、ヘビースモーカーなんですけれども、会長 がおっしゃるには、声明文は幾ら出しても構わない。ただ、医師会館を全面禁煙にするのだけは 許さないからなと、今、会館内が禁煙で敷地内は禁煙ではないんです。そういうことを言われま した。  この間、私は禁煙関係の学会の先生方とかいろんな方とお会いするときに、少し感じるんです けれども、禁煙に取り組んでいらっしゃる先生は、非常に一生懸命である。それはわかります。 もう少し言うと、非常に厳格で、厳密。更に言うと、ときには非常に過激で、攻撃的になる場合 があるというふうに感じるんです。  どうすれば一番効果的に禁煙を勧めることができるのかということを考えていくべきだと思 います。  もう一つは、最近一番感じているのは落としどころをどこにするのかということが、今日の話 の中でも大変大事な話だと思いました。  1つは、これは絶対に喫煙防止教育だというふうに思っております。私は、神奈川県知事と明 日会いますけれども、そのときに是非お願いしたいと思っているのは、小学校、中学校、高校で、 必ず1回は禁煙教育をやってくれということを、これは国の方から、学校保健に関して、250万 ぐらい都道府県ごとにお金が出ているので、それを活用して是非そういう教育をやってくれとい うことをお願いしたいと思っております。  もう一つは、やはりたばこを吸う人と共存するというのが、見城先生もおっしゃっていました けれども、そこのところが、もっとうまくできないかということをいつも感じていまして、これ は、今、いろいろ使いやすくなってきている禁煙グッズをうまく活用できるようなシステムであ り、あるいはそういう制度でありというものができるといいかなと思っています。  ともすれば、禁煙に取り組んでいる先生方は、私もその1人なんですけれども、なぜこれだけ はっきりしているこの害がわからないのという思いが非常に強いんですけれども、そこのところ をどう実現していくかというところでの取組みで、もう少し現実的なところも是非見ていただけ ればと思います。 ○久道座長 物事を成就するには太陽と北風の案件がありますね。いろんなやり方があるかと思 うんですが、ほかにございますか。  どうぞ。 ○大島氏 今の内田委員の落としどころ云々との御発言に関連してですけれども、私どもはあく まで屋内の100%完全禁煙を求めている。ただし教育施設とか医療施設においては、その果たす べき役割から敷地内禁煙ということになっていますけれども、それ以外は、あくまで屋内100% 完全禁煙の法的規制を求めておりまして、路上でも吸えない、車内でも吸えない、店でも吸えな い、どこで吸うんだというよう御発言はありましたけれども、屋外で吸うということについて、 私どもは、それまで禁止しようということではありません。屋内の100%完全禁煙ということで、 学術会議の方の要望はまとめておりますが、これは、私は外国に先行事例があり日本でも実現は 可能であるというふうに思っておりますのでよろしくお願いいたします。 ○久道座長 ほかにございませんか。  どうぞ。 ○見城委員 禁煙行政に対しての要望なんですが、冷静に考えますと、今、喫煙防止教育という 話が出ましたけれども、まさにスタート時点からたばこゼロの世代を育てていくという重要性と、 既に体験していてわかってはいるけれども、なかなかやめられないという、簡単に分けるだけで も2通りあります。その人たちに対して、同時に進行できる施策をやはりやっていっていただか ないと、いつになっても、まとまりませんし、禁煙を考えるグループが分かれていってしまうよ うなところもあるんです。  まず、現実に、煙は本当につらいものですから、やはりこの2つを同時に進行するということ が大事だろうと、常々思っています。  それと、行政としてもしっかりと明確に取り組んでいただけますと、禁煙すべきという態度を 示し易いです。嫌がられるのはわかっているんですけれども、バックに扇子を冬でも入れておい て、吸う人のところで煙を、寒くでも何でもこうやって扇子で煙をおうという態度で示すやり方 を、個人でやっていかなければならないという状況があるんです。  こんな個人は大変力が弱いですから、やはりそのことに対して、もっとみんなが思い切って行 動に移せるようなことを、同時にやっていかなければいけないという点があるんです。  それと、先ほど禁煙グッズのことが出ましたが、やはりこれはポイントだと思います。医学的 にどうかということも含めまして、例えばお寿司屋さんのカウンターで、たばこのブランドの禁 煙のパッチを売っていたら、禁煙しづらい方もし易くなる。まずはパッチをぴっと貼って煙を出 さないようにしていただく。それから、たばこを吸わない習慣に持ってゆく。ひんしゅくを買う かもしれませんが、例えばそういう発想までしながら、どうしたら現状を、煙を出さないという ところに、まず、行き着くのか、その次はたばこを吸わないで済むというところに、というよう な段階的なことも取り入れていただけないかということです。  以上です。 ○久道座長 どうぞ。 ○加治委員 先ほど大島先生の方から、日本学術会議としては屋外での喫煙については、特に何 も申しませんというお話がありましたけれども、この検討会としては例えば子どもが遊ぶ児童公 園あるいは遊園地、そこではたとえ屋外であっても禁煙あるいは完全分煙という言葉が屋外に当 てはまるのかどうかわかりませんけれども、そこに集う子どもたちが、絶対にたばこの煙を浴び ないような方策をしっかり立てていただきたいと考えます。  是非子どもを大切にする施策の一環として、子どもの集まる場所は、屋外も含めて禁煙を徹底 していただきたいと要望します。 ○久道座長 今日の予定の時間は来たんですが、何かありますか。  どうぞ。 ○高見委員 手を挙げていないんですけれども、今日はフードサービス部会の石井さんが来られ て、いろいろ現状等を御説明いただいたんですけれども、私個人といたしましても、たばこは吸 わないんですけれども、この間も言われたんですけれども、料理人としては、やはり味を追求す るためには、ニコチンというのは、非常によくないんではないかと思いますけれども、飲食業界 の代表として来ている以上、やはりまず全面禁煙を皆さん方に、組合に徹底するということは非 常に難しいんではないか。  現在、会員が約10万人おりまして、そのうち年商が、今、はっきりとは言えませんけれども、 5億以上という売上のところが、まずないと思います。少ないと思います。本当に一握りぐらい の会員の会社かなと考えます。  いろいろな問題もありまして、まずはやはり分煙をきっちりとしていけるように飲食店の中で それを奨励していくことが大切ではないかなと考えますし、それをまずしないと、全面禁煙です というのをばっと出していくと、非常に皆さんの反感もありますし、また、それはできないとい うことで、またゼロに戻ってしまうんではないかと思います。せっかくここまで健康増進法が施 行されて、飲食の組合の方で、そういう形で認識を変えていこうということで動いておりますし、 まずは、やはり組合としては、永山委員もいらっしゃいますけれども、我々の業界としては、ま ず、分煙をしっかりとできるような環境づくりから始めていかなければならないんではないかと いう気がいたします。 ○久道座長 ヒアリングは次回も関係の方々をお呼びしてやりたいと思っております。ですから、 議論はまだ続くと思いますので、今日は、もう既に12時を過ぎましたので、この辺で終わりた いと思いますが、事務局から何か連絡事項はございますか。 ○生活習慣病対策室専門官 皆様のところで、メールで御紹介はさせていただいていると思いま すけれども、次回の開催は11月の中ほどで検討しております。  また、詳しい日程が決まりましたら、御連絡差し上げますので、よろしくお願いいたします。 ○久道座長 それでは、今日は、これで閉会とさせていただきます。どうもありがとうございま した。  おいでいただいた方々、大島先生、石井さん、岩崎さん、どうもありがとうございました。