09/08/29 平成20年8月29日薬事・食品衛生審議会指定薬物部会議事録 指定薬物部会 議事録 1.日時及び場所    平成20年8月29日(金) 13:30〜 ホテルはあといん乃木坂「フルール」 2.出席委員(10名)五十音順    板 倉 ゆか子、 合 田 幸 広、 小 沼 杏 平、◎佐 藤 光 源、   ○鈴 木   勉、 妹 尾 栄 一、 曽 良 一 郎、 花 尻 瑠 理、    八 木 剛 平、 和 田   清 (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    鍋 島 俊 隆、 藤 岡 淳 子 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    熊 本 宣 晴(監視指導麻薬対策課長) 他 4.備  考    本部会は、公開で開催された。     ○監視指導・麻薬対策課長 それでは定刻となりましたので、ただ今から薬事・食品衛生 審議会指定薬物部会を開催させていただきます。私は監視指導・麻薬対策課長を務めてお ります熊本と申します。よろしくお願い申し上げます。昨夜は大雨で、本日は一体どうな ることかと思いました。お忙しい中、来ていただくのに大変申し訳ないと思いましたが、 今のところ大丈夫なようで安心しております。まず、冒頭に事務局の方から部会委員につ きまして御紹介をさせていただきます。板倉ゆか子委員です。合田幸広委員です。小沼杏 坪委員です。佐藤光源委員です。鈴木勉委員です。妹尾栄一委員です。曽良一郎委員です。 花尻瑠理委員です。八木剛平委員です。和田清委員です。本日は、鍋島俊隆委員と藤岡淳 子委員が御欠席との連絡を賜っておりますので御報告いたします。  続きまして、厚生労働省の黒川大臣官房審議官よりごあいさつを申し上げます。よろし くお願いいたします。 ○審議官 厚生労働省大臣官房審議官、医薬を担当しております、黒川と申します。委員 の皆様におかれましては、本日は御多用のところ、今会合に御出席をいただきまして本当 にありがとうございます。本日の会合は、課長からも申し上げましたとおり、平成20年 度の第1回指定薬物部会の会合になるわけですが、まず我が国における現在の薬物乱用に ついての認識を申し上げます。一つは、覚せい剤事犯ですが、検挙者数、検挙人数、押収 量、ともに増加の兆しが見られております。また、二つ目ですが、青少年の間でMDMA や大麻の乱用が増加するような兆しがございまして、私どもとしては、依然として憂慮す べき状況にあると認識しております。その中でも、インターネット等で、いわゆる脱法ド ラッグなどと称して販売されている薬物ですが、乱用による健康被害の発生が懸念されま すとともに、作用がより強い麻薬、覚せい剤などへの乱用、進展のきっかけになる危険性 があるものとして注目しているところです。この点を踏まえ、去る平成19年4月1日よ り、先生方のお力添えも得まして、幻覚などの作用を有する物質を指定薬物として薬事法 において規制する制度を設け、疾病の診断や治療の用途以外の製造、輸入、販売、授与、 貯蔵、陳列を禁止したところです。このような指定薬物規制の実施によりまして、昨今に おきましては違法ドラッグを店舗に陳列し販売するようなケースは見られなくなってき ております。指定薬物制度の目的は果たしているやに見えますが、一方で、地下で販売さ れている製品を検査いたしますと、過去で指定していない新しい薬物乱用のおそれがある 物質が発見されており、ますますこうした物質への対策を、また改めてきちんと講じてい く、こういったようなことが今回のその制度の趣旨の徹底、そういった点から見ても、重 要であると考えているところであります。  つきましては、本日審議をお願いいたします7物質ですが、国及び都道府県等の買上検 査の結果、新たに発見された乱用のおそれのある物質です。本日はこれらの物質について、 指定薬物としての指定の可否の審議につき、委員各位の忌憚のない御意見を賜りたいと思 っております。なお、本部会で指定薬物として指定が相当と判断された際には、私どもと しましては、可能な限り迅速に法令上の措置を講ずる。それによって保健衛生上の被害の 蔓延を防止すると考えております。よろしくお願いいたします。ありがとうございました。 ○監視指導・麻薬対策課長 本日、当部会には12名の委員がおられまして、そのうち10 名の委員の御出席を賜っておりますので、定足数に達していることを御報告申し上げま す。この部会の部会長は佐藤光源委員であられます。佐藤委員、部会長としての以後の進 行をよろしくお願いいたします。 ○佐藤部会長 それでは議事の進行を務めさせていただきます。議事に入ります前に、事 務局より資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 はい、それでは事務局より資料の確認をさせていただきたいと思います。本日 新たに配布させていただいたのは、資料1、資料2、資料3です。これは事前に配布させ ていただいた資料の差し替えです。それから、新たに参考資料5を本日配布させていただ いております。差し替えた資料1、資料2、資料3というのは、内容は変更ないのですけ れども、幾つか編集上の観点から修正いたしておりまして、少し分かりづらくなるのでは ないかということで、本日の配布の資料で訂正させていただいております。それではそれ ぞれの資料について御説明させていただきます。  まず資料1といたしましては、本日御審議いただく物質名の一覧です。資料2は、本日 御審議いただく物質の構造式です。資料3は、それぞれ御審議いただく物質の中枢神経へ の作用に関する資料です。参考資料1は、指定薬物に関する薬事法上の規定について規制 の主要な部分の抜粋をさせていただいております。参考資料2は、違法ドラッグ、いわゆ る脱法ドラッグと言われますが、その対策の概念図を配らせていただいております。参考 資料3は、各物質の正規用途としての必要なところでございまして、これは後ほど御説明 させていただきたいと思っております。参考資料4は、今現在指定しております指定薬物 の一覧です。参考資料5は、8月26日にプレス発表いたしました平成19年度無承認無許 可医薬品等の買上調査の結果についてお配りさせていただいております。以上です。資料 がお手元にない場合には、事務局の方にお知らせいただければと思っております。 ○□□委員 よろしいでしょうか。それでは議事に移りたいと思います。本日の議題は、 指定薬物の指定です。個別の物質の審議に入ります前に、指定薬物に関する規制につきま して事務局より簡単に御説明をお願いしたいと思います。 ○事務局 それでは指定薬物制度についての御紹介をさせていただきたいと思います。お 配りしました参考資料1と2を御覧ください。参考資料1は、薬事法のうち、特に指定薬 物の指定に関連する部分を抜粋させていただいたものでして、先ほどの御説明のとおり、 参考資料2は、指定薬物制度の概念図です。指定薬物制度ですが、これはまず参考資料1 の一番最初の、第2条第14項の「定義」というものを見ていただきたいのですが、「中 枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使 用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として厚生労働大臣が薬事 ・食品衛生審議会の意見を聴いて指定するもの」、これが定義でいう指定薬物です。この 指定薬物につきましては、第2条の下に書いています「製造等の禁止」第76条の4を御 覧いただきたいのですが、指定薬物自身は、ここに書いていますとおり、疾病の診断、治 療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途として、厚生 労働省令で定めるもの以外の用途に供するために製造、輸入、販売、授与、そういうこと をしてはならないと禁止されております。その結果、これが正規用途として使えるもの以 外は、必要な規制を行っていくという制度です。ですが、この指定薬物といいましても、 やはり疾病の診断、治療等の一定の用途が必要なものにつきましては、正規用途というふ うに指定いたしまして、その中では使える形を取っております。  今回の場合、この正規用途と言われているものにつきましては、「人の身体に対する危 害の発生を伴うおそれがない用途」といたしまして、厚生労働大臣が厚生労働省令で定め ることになっております。その内容については、本日共通するものについての案は、この それぞれの物質の審議が終わった後に御提示させていただきまして、それで了承された後 に、その物質それぞれにパブリックコメントを求めまして、その結果に基づいてこの正規 用途と言われているものを定める予定になっております。  またこの指定薬物制度によりまして、その疑いがある物質につきましては、検査命令が 可能になっておりまして、これまでの無承認無許可医薬品の販売に対する罰則と比べます と、実はこの違反行為に対する罰則が、普通の無承認無許可医薬品と比べると厳しくなっ ております。この指定薬物制度ですが、さらにこの依存性等のデータによりまして麻薬に 指定された場合には、より厳しい規制の対象となりますことから、この定義、第2条第 14項の真ん中辺りに書いています「大麻取締法・・・・・あへん及びけしがらを除く」と、下 の2行目のところに書いていますとおり、もしこれが麻薬ということで、麻薬相当である というふうになった場合には、厳しい麻薬等の規制の対象ということから、この指定薬物 から外されて、厳しい物質として規制されていくということになります。  今現在、当部会におきまして御審議いただいた結果、33物質が指定薬物として指定さ れておりまして、その一覧につきましては、本日お配りしています参考資料4に、物質名 一覧を入れさせていただいています。 ○□□委員 ただ今事務局から説明がございましたように、指定薬物の指定の際には、薬 事・食品衛生審議会の意見を聴くこととなっておりまして、今回7物質について諮問され ております。本日審議する物質につきまして、事務局の方から説明してください。 ○事務局 はい、それでは本日の審議物質についての説明をさせていただきます。まず資 料1を御覧ください。本日検討をお願いしたいと思っている物質一覧は全部で7物質で す。1物質目は、N-エチルで始まる物質、通称5-MeO-EIPTです。2番目の物質は、2- エチルアミノで始まる物質でして、通称はエトカチノンと言われている物質です。3物質 目は、1-(4-クロロ2,5で始まる物質でして、通称DOCと言われている物質です。4 物質目は、1-(4-エチルスルファニルで始まる物質でして、通称ALEPH-2と言われてい る物質です。5物質目は、1-(4-フルオロフェニルで始まる物質でして、通称N-メチル -4FMPと言われている物質です。6物質目は、1-(3,4-メチレンジオキシフェニル で始まる物質でして、通称MDPVと言われている物質です。7物質目は、N-メチル- N-(1-(3,4-メチレンジオキシフェニルで始まる、通称N-OH-MDMAと言われている物質 です。  このそれぞれの物質、1〜7までございますが、これらにつきましては、資料2を御覧 ください。資料2で、それぞれこの名称の物質の化学構造式を2枚にわたって記載させて いただいております。資料1と資料2にある物質ですが、これは実際に販売された製品か ら検出があったものです。国における買上検査の結果、このそれぞれの物質が検出された との情報を得たものでございまして、買上検査の結果、中枢神経系への作用を有する蓋然 性の高い物質については、指定薬物として指定し、規制する必要があるというところを今 回提示させていただくものです。  それでは資料3に基づきまして、本日審議するこの7物質について概要を御説明させて いただきたいと思います。資料3は各物質の神経系への作用についてでございます。まず 資料3-1でございます。この資料の構成ですが、審議する物質を上の欄に書かせていただ きまして、下には例示といたしまして構造類似の物質、麻薬、それから過去に指定した物 質、指定薬物としてあるものについては、その指定薬物の構造式を記載させていただいて おります。まず、5-MeO-EIPTでございますが、この物質はまず麻薬である5-MeO-DIPTと 構造が非常に類似しているという形です。神経系への作用については、この二つの試験を 国立医薬品食品衛生研究所で行っていただきまして記載をしております。  一つ目の結果は、まず麻薬である5-MeO-DIPTのセロトニンと化学構造によって生物活 性を予測した試験におきまして構造の類似性が認められております。また、この物質のセ ロトニンのシナプスへのモノアミン再取り込み阻害に関する実測値を基にした活性予測、 構造活性予測におきまして類似の強さの活性を持つ可能性が推測されております。  二つ目は、もう一つの試験ですが、こちらの方は、脳内におきまして、セロトニン受容 体(5-HT2A)のアゴニスト活性を持つ可能性が示唆されておりまして、この構造類似化合物 と同様な幻覚作用を有することが推定されております。実際にこの物質につきましては、 日本国内で、平成19年5月に店舗での販売が行われたことを確認しております。売られ ているときの形状は液体でして、製品名はアップルという名前です。それ以外にも、検出 されているところです。  次のページ、資料3-2ですが、この物質は、通称名はエトカチノンです。構造類似の物 質といたしましては、既に麻薬として指定されておりますメトカチノンに非常に構造が類 似している物質です。この物質につきましては、中枢神経系への作用といたしましては文 献がございまして、この文献では、中枢神経系への作用に関しましてラットを用いた般化 試験(ゼネラリゼーションテスト)を行っております。その結果、この物質の 1.0mg/kgはアンフェタミンの1.0mg/kgに完全に般化しておりまして、アンフェタミンと 同様な中枢神経系への作用を有すると示唆されております。この資料3-2の物質につきま しては、日本国内では平成18年10月にインターネットでの販売が確認されております。 形状は粉末。製品名はパワーです。というところから、この物質については、事務局とい たしまして指定化学物質相当ではないかということで提案させていただいています。  次のページ、資料3-3です。通称名DOCと言われている物質でございます。この物質 は、下に記載しておりますとおり、過去に麻薬として指定したDOB、それから指定薬物 として指定したDOIの、構造のハロゲンのところが、それぞれクロロになっているもの でございます。非常に構造が類似しているものです。中枢神経系への作用につきましては、 これも同じく国立医薬品食品衛生研究所で試験を行っていただいたものですが、脳内にお きましてセロトニン受容体(5-HT2A)アゴニスト活性を持つ可能性が示唆されておりまし て、構造類似物質と同様な幻覚作用を有することが推定されているものでございます。こ の物質につきましても、日本国内では、平成18年10月露店での販売が確認されています。 製品名はDOCでございます。そういうことから、事務局といたしましては、この物質も 指定化学物質相当ではないかと考えているところです。  次に、資料3-4をお開きください。この物質は、通称ALEPH-2と言われている物質でご ざいます。過去に出された構造類似の物質としては、麻薬として指定しております2C-T-2 と言われているものに非常に似ております。どう似ているかといいますと、一番最後の、 右上のところのアミノ基の一つ前のところ、α位にあるところからメチルが伸びているも のでございます。この物質につきましては、中枢神経系への作用としまして三つの文献を 記載させていただいております。  まず一つ目は、脳内におきましてセロトニン受容体のアゴニストであり、また、セロト ニン受容体の部分アゴニストであると報告されております。それから、二つ目の文献にお きましては、ラットを用いました行動薬理学試験におきまして脳内におけるセロトニン受 容体を活性化したときに見られる前肢の足踏み運動が誘発されたということが記載、報告 されております。三つ目の文献におきましては、マウス又はラットを用いた行動薬理学試 験におきまして、鎮静作用及び自発運動量の低下が見られておりまして、中枢神経系への 抑制作用が見られると言われているものの報告でございます。これも国立医薬品食品衛生 研究所の方に試験をお願いした形ですが、これもDOC、この一つ前の物質と同じように、 脳内におきましてセロトニン受容体アゴニスト活性を持つ可能性が、試験の結果示唆され ておりまして、このDOCと同じく強い活性が認められております。ということで、この 物質自身、幻覚作用を有することも予測されているところでございます。ALEPH-2につき ましては、これも同じく日本国内においては、平成19年6月に店舗での販売が確認され ております。形状は液体。製品名は、その当時売られていたときの名前ですが、パイナッ プルです。そういうことから、事務局としましては、この物質、ALEPH-2におきましても、 指定薬物相当ではないかということで提案させていただいています。  その次のページ、資料3-5を御覧いただきたいと思います。通称名N-メチル-4FMP でございます。この物質は、過去に覚せい剤として指定されたメタンフェタミン、指定薬 物として既に指定されております4-FMPに非常に似た構造です。この物質の中枢神経 系への作用に関しまして、ラットを用いました脳波を測定した試験を国立医薬品食品衛生 研究所の方で行っております。このラットを用いた脳波に関する試験の結果、まず一つ、 覚醒量が非常に増加している。もう一つは自発運動量が増加したということが認められて おりまして、そのデータ自身は、脳波から見る限りでは、覚せい剤であるメタンフェタミ ンと同様の興奮作用を有している可能性が示唆されています。実際に、日本国内における この物質におきましては、平成19年度における買上検査の結果見つかったものです。そ の買上検査のときのものの形状は液体です。N-メチル-4FMPと言われているこの物質 につきましては、実は平成17年度買上検査でも出ております。ということで、乱用状態 も広がっているということで、事務局といたしましては、指定薬物相当ということで提案 させていただくものでございます。  次のページ、資料3-6です。通称名は、MDPVと言われている物質です。この物質は 過去に麻薬として指定しておりますメチロンに非常に構造が似ております。同じように過 去に指定薬物として指定したbk-MBDBと言われている物質とも構造が類似しているもの です。この物質につきましては東京都の健康安全研究センターにおきまして、生体影響試 験が行なわれております。その結果、一つ目は、マウスを用いた行動薬理学的試験におき まして、自発運動量の亢進、歩行の異常が認められておりまして、中枢神経系への作用を 有することが推測されております。二つ目の試験の結果といたしまして、ラットの脳シナ プトゾームを用いましたモノアミン系神経伝達物質のシナプスへの再取り込み阻害に関 する試験を行なっております。これはin vitroでございますが、その結果、ドパミン、 セロトニン、そして、ノルエピネフリンのいずれもから再取り込み阻害作用が認められて おります。それから三つ目の試験ですが、これはマウスに経口で強制投与したときに、線 条体内から生体試料を採取し、経時的に神経伝達物質の変化を見る試験におきまして、ド パミン量の増加が見られているという形になっております。実際にこの物質につきまして は、平成19年2月の段階で、露店で販売が確認されている物質です。そのときの製品名 はマルキスです。そういうことから、事務局としては、これも指定薬物相当ではないかと 理解しております。  次のページ、資料3-7です。通称名N-OH-MDMAです。この物質は、国立精神・神経セン ターで試験を行っていただいております。行っていただいた試験は、まずマウスを用いま した運動活性に関する試験でございまして、その結果、用量依存的に運動促進が見られて います。二つ目は、投与30分後のマウスの脳を摘出して、脳内のモノアミンに対する影 響に関する試験なのですが、その結果、脳組織内におきますドパミン含量の有意な増加が 見られている。そして、これが麻薬であるMDMAと同様にドパミンの有意な増加が見ら れておりまして、MDMAと類似する作用を有している可能性は非常に高い。それから三 つ目の試験はMDMAで薬物弁別訓練を行った動物を用いた般化試験でございますが、こ の般化試験の結果でもMDMAと類似する作用を有している可能性が非常に高い結果が 出ております。日本国内におきましても、この物質は平成19年2月、それから5月に店 舗での販売が確認されています。そのときの形状は液体と粉末状でして、当時言われてい た製品名はメロンです。事務局としてはこの物質は麻薬相当ではないかと認識しておりま す。以上です。よろしく御審議のほど、お願いいたします。 ○□□委員 ありがとうございました。ただ今の御説明にどなたか御意見等ございました らお願いします。  ないようですので、逐次、7物質について一つずつ取り上げてみたいと思います。  まず資料3-1の5-MeO-EIPT、これについてはいかがでしょうか。化学構造式の基本骨 格は、ほぼ5-MeO-DIPTと同じ。あるいは指定薬物のMIPTとも類似しているというこ と。セロトニンのモノアミン再取り込み阻害作用があるということです。また、セロトニ ン2Aアゴニストの活性を持っているということ、さらに店舗で販売されているというよ うなことがありますが、いかがでしょうか。 ○□□委員 要件をこれだけ出してきていますし、構造も類似しています。そのような活 性を持つと蓋然性も非常に高いと思います。 ○□□委員 他に御意見ございますか。指定薬物としての要件は満たしているという御指 摘がありましたので、この5-MeO-EIPTについては指定薬物の要件を満たしているという 扱いでよろしいですか。  では次のエトカチノンについてお諮りします。これもただ今御説明がありましたとお り、メトカチノンと構造式の基本骨格が同じであること。それから作用もアンフェタミン 類似ということで、インターネット販売もされているので、早急に指定しなければいけな いのではないかという御意見ですが、いかがでしょうか。 ○□□委員 般化試験でやって、より強力に要件を満たしていると思います。 ○□□委員 アンフェタミンに完全般化していますね。 ○□□委員 そうですね。覚せい剤にしてもいいのではないかと思います。 ○□□委員 では、問題ないということでよろしいですか。  では続きましてDOCです。これはDOBと基本骨格が同じです。DOIとも同様の基 本骨格である。それからセロトニンのアゴニスト活性があるということです。中枢神経系 の興奮、若しくは抑制又は幻覚作用も推測されているわけですが、いかがでしょうか。こ れも露店販売されているということです。よろしいですか。これも要件を満たしていると いうことにいたします。  次は通称ALEPH-2と言われますが、これは麻薬で指定されています2C-T-2と基本骨格 が同じである、類似で指定ということです。それからセロトニン2Aの完全アゴニストで ある、セロトニン作動性の異常行動が見られる。鎮静作用、自発運動低下といった行動薬 理作用があるということです。これは平成19年に店舗で販売が確認されている物質です。 いかがでしょうか。 ○□□委員 十分すぎるデータですね。 ○□□委員 はい、皆さん十分ということですね。  では次に5番目のN-メチル-4FMPです。これは基本骨格がメタンフェタミンと指定 薬物の4-FMPと同じです。睡眠、覚醒についてのラットでの実験では睡眠の変化を起 こすノンレム睡眠、あるいはレム睡眠が用量依存的に減少すると。あるいは自発運動量が 増加するというようなことが観察されているわけです。これも買上調査で出回っているの ですか。 ○□□委員 出ています。これはメタンフェタミンよりもフッ素が入っている分だけ、よ り活性が強い可能性があり、恐いという感じがします。ですから早急に指定をするべきで はないかと思います。 ○□□委員 それ以外にベクターの。 ○□□委員 覚せい剤は法律上、難しいですね。麻薬という道はあるかもしれないですけ れど。ただ少なくともこれは規制しないと、ラットのデータを見ますと、寝れないラット になってしまいますよ。こんなに長く活性が続くような物ですからびっくりしてしまいま す。 ○□□委員 他にございますか。 ○□□委員 覚せい剤類似の中枢神経の興奮作用があるようですけれども、従来指定薬物 として指定するには、シミュレーションをして活性が10分の1程度あれば、この指定薬 物に指定されたというのは経緯がありますので、その構造式上シミュレーションをしてど うだったのか、その辺の資料があったら、教えていただければ有り難いです。 ○事務局 事務局でございます。この物質については、今のところ構造活性と相関のデー タは取っておりません。しかしながらこの物質の構造活性と言われている物は、やはりモ デルでございますので、実際にこのデータはラットを用いた試験で、動物を用いた試験と いたしまして、より人に近い結果が出ているのではないかという判断をしております。そ れで構造活性よりもこのデータで判断し得るのではないかということで事務局から提案 させていただいています。 ○□□委員 あと1点ですけれども、こちらの方にデータが示されておりませんが、4- フルオロメタンフェタミンは体内に摂取すると、指定薬物である4-フルオロアンフェタ ミンに体内で代謝されることが予測できますので、そういう点から考えましても、本化合 物は指定薬物にふさわしいのではないかと考えております。 ○□□委員 よろしいですか。他に御意見はございませんか。これは指定薬物にまず指定 して乱用を迅速に防止すると。そのあとで有害性についてはさらに必要であれば検討する ということになるわけでしょうね。 ○事務局 まず世の中に流通していますので、それをいかに防止するかが大切でして、そ のあと麻薬に指定するのであれば、きちんとした麻薬指定のためのデータが必要となって きます。今の段階ではこの物質についてはそこまでのデータがそろっているわけではござ いませんので、今後、さらにこういう物質についてもデータ等を収集いたしまして、もし これが麻薬等であれば、またそれを先生方に検討していただきたいと思います。 ○□□委員 ということで指定薬物として指定する要件は満たしているという扱いでよ ろしいですか。  6番目は、MDPVという物で、これは、麻薬のメチロンと基本骨格が同じである。そ れから指定薬物のbk-MBDBと基本骨格が同じである。薬理作用は自発運動の機能亢進、異 常歩行といった行動薬理学的な所見と、それからモノアミン、ドパミン、セロトニン、ノ ルエピネフリンの再取り込み阻害。脳のドパミン含量の増加ということです。露店で販売 されているようです。いかがでしょうか。 ○□□委員 これも十分だと思います。 ○□□委員 これも十分だということで、御意見ございませんね。ではこれも指定薬物の 要件を満たしている扱いにいたします。  7番目の物質に進みます。N-OH-MDMA、FLEA、というものですが、これは麻薬のM DMA、又は指定薬物のBDBと基本骨格が同じである。中枢薬理作用として、用量依存 的に運動量が増えるということ。しかもドパミンD1を介したそういう運動促進作用があ る。脳内ドパミン神経系の活性化があるということ。MDMAへの般化が見られていると いう、これはかなり有力なことですね。類似した自覚効果がある。店舗で販売されている ということです。これも要件を満たしているということでよろしいですか。  以上7物質についてお諮りいたしましたが、いずれも要件を十分満たしているというこ とでございました。今回御審議いただきました物質はいずれも薬事法の第2条第14項に 規定する指定薬物として指定することが適当であると認識し、決議するということでよろ しいでしょうか。 ○□□委員 それではそのように決議させていただきます。  資料3-7の物質で、N-OH-MDMAにつきましては、麻薬相当の可能性が高いということで すので、このあと引き続き議論を進めていきたいと思いますが、麻薬相当ということであ れば麻薬としての手続が必要になってまいりますので、委員各位にはその旨、御了承いた だきたいと思います。  以上でこの7物質の審議については終わりますが、その他、何かございますか。 ○事務局 今、□□委員の方からも御説明いただきましたとおり、本日この7物質につき ましては、この部会において指定薬物に相当するかどうかということで皆様方に御審議い ただきましたが、この資料3-7、一番最後の物質だけ麻薬の可能性が非常に高いと、デー タ自身もかなり集まっているということもございますので、この後、麻薬に相当するかど うかということを議論させていただきたいと思っております。もしその場合は手続上の話 でございますが、こちらの方の指定薬物部会の中では7物質の審議をしていただき、7物 質が指定相当だということで結論いただきましたが、これがこの後、麻薬相当だというこ とでしたら、そのときには麻薬の方がやはり規制が厳しいということでございますので、 麻薬としての指定の方を指定することにいたしまして、そのときには指定薬物7物質です が、実際に指定するときには6物質となりますので、その点をよろしく御了解いただきた いと思っております。 ○□□委員 今後のスケジュール等の御説明はございますか。 ○事務局 今後のスケジュールについて御説明いたします。今日の結果につきましては 10月3日に開催予定をしております薬事分科会で報告させていただきます。本日の御審 議の結果を受けまして、答申のための必要な手続を行うとともにパブリックコメント、そ れからこれは新しくこういう物質として規制いたしますので、WTO通報などの必要な手 続を行いまして、指定薬物を指定するための省令改正のための手続を進めていくことにな ります。  正規用途ですが、参考資料の3といたしまして、すべての指定薬物に共通する正規の用 途としては、今現在、省令上認められていますのは教育又は学術のために用いる場合。そ れから薬事法第76条の6第1項に指定する検査のために用いる場合。これは立入り検査 の結果、これは妥当かどうかの検査をするために用いる場合。それから犯罪鑑識のために 用いる場合と言われているものが、正規用途としてこれを共通に指定するわけですが、そ れとは別に、これはパブリックコメントの結果を受けまして、それ以外にも正規用途とし て有り得るのであればその結果を踏まえ、可能な限り適正な使用に支障を来さないように そういう作業を進めていきたいと考えているところでございます。 ○□□委員 以上、今のところで、何かよろしいですか。 ○□□委員 二つ質問させていただきます。一つは指定薬物の省令番号は欠番を作る方式 ではなくて、繰り上げていく方式になるのですか。番号が付いた物で麻薬とかに上がった 場合には、その番号は欠番になるわけではなくて、順番に上げていくわけですね。 ○事務局 指定薬物に指定いたしまして、もしこれが麻薬になった場合は、それを削除し まして、その番号がそれぞれ繰り上がります。 ○□□委員 正規用途の話ですが、実際、薬事法の規定する検査のために用いる場合は、 検査のために製造する試薬屋さんがいますが、それは第2項で大丈夫だという形ですか。 ○事務局 そのとおりでございます。 ○□□委員 他に御質問、御意見ございますか。それではその他の事項をお願いいたしま す。 ○事務局 それではその他として一件だけ御報告させていただきます。参考資料の5です が、厚生労働省の方で買上調査を行っておりまして、8月26日、その買上調査の結果を 公表させていただいているところでございます。この中の一番下の方に、違法ドラッグが 疑われる製品ということで買い上げられた物から指定薬物が見付かっているのが一件あ りますので、これにつきましての御報告です。検出された指定薬物はDPTでございます。 以上です。 ○□□委員 以上でございますが、その他に何かありますでしょうか。本日の議題は以上 です。事務局から連絡事項はございますか。 ○事務局 次回の指定薬物部会の開催は、今のところ未定でございます。また開催をする 場合には日程調整をさせていただきたいと思っておりますので、皆様方、先生方におかれ ましてはよろしくお願いいたします。 ○□□委員 それでは以上で、部会の議事を終了させていただきます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 監視指導・麻薬対策課 課長補佐 安田(内線2779)