08/08/29 平成20年8月29日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年8月29日(金) 16:30〜 はあといん乃木坂「フルール」 2.出席委員(11名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 川 西   徹、 澤 田 純 一、 清 水 秀 行、   ◎永 井 良 三、 中 澤 憲 一、 西 澤   理、 野 田 光 彦、    林   邦 彦、 松 井   陽  村 勢 敏 郎、     (注) ◎部会長 ○部会長代理 他参考人1名   欠席委員(7名)    五十嵐   隆、○首 藤 紘 一、 鈴 木 洋 史、 千 葉   勉、      成 冨 博 章、 村 田 美 穂、 本 橋 伸 高  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   森   和 彦(安全対策課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、   赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○事務局 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会を開催させて いただきます。初めにお断り申し上げますが、審査管理課長は公務のため、ただ今、別の 会議からこちらに向かっているところでございまして、後ほど参りますので、あらかじめ 御了承いただきますようよろしくお願いいたします。  本日は、お忙しい中お集まりいただき誠にありがとうございます。当部会委員数18名 のうち10名の委員の御出席をいただいておりますので、定足数に達していることを御報 告いたします。本日は、五十嵐委員、首藤委員、鈴木委員、千葉委員、成冨委員、村田委 員、本橋委員より欠席との御連絡をいただいております。また、澤田委員より1時間程度 遅れるとの御連絡をいただいております。  続きまして、事務局に人事異動がありましたので御報告いたします。医薬品医療機器総 合機構に、安全管理監といたしまして松田勉が新しく就任いたしました。  また、本日の審議事項議題2に関しまして、参考人といたしまして千葉県立東金病院病 院長の平井愛山先生をお呼びしております。  それでは、永井先生、以後の進行をよろしくお願いします。 ○永井部会長 それでは、本日の審議に入ります。まず、事務局から配付資料の確認、申 請資料作成、利益相反等に関する申合せについての御報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席 表、当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載のあります資料1〜11及び 13をあらかじめ送付させていただいたところでございます。このほか、当日の配付資料 といたしまして、資料1-2、議題1に関する諮問書、資料12、医療用医薬品の承認条件の 解除について、資料14、審議品目の薬事分科会における取扱い等の案、資料15、専門委 員リスト、資料16、競合品目・競合企業リスト、を配付しております。  続きまして、申請資料作成への関与や、利益相反等に関します「審議参加に関する遵守 事項」について御報告いたします。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストに つきまして、資料16として配付しているところでございますが、各品目の競合品目の選 定理由について御説明申し上げます。資料16を御覧ください。  まず、審議事項議題1、ウェールナラ配合錠及びジュリナ錠でございます。本剤の申請 適応と同一の適応を有する製品は本邦に7品目存在いたしますが、そのうち先発品は3品 目でありまして、こちらに記載のありますエビスタ錠、エストラーナテープ、エストラダ ーム貼付の3品目を競合品目として選定したものでございます。  続きまして、2ページ目を御覧ください。審議事項議題2、タイロゲンでございます。 本品目は、「分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者における、放射 性ヨウ素シンチグラフィーと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又はTg試験単独 による診断の補助」の効能・効果について申請しているものでございますが、従来の甲状 腺ホルモン投与を中止する診断方法と異なり、薬理作用も同一のものはないということか ら、競合品目は無しということでございます。  続きまして、3議題目、スミフェロンでございます。本剤の申請効能でありますC型代 償性肝硬変の原因ウイルスでありますC型肝炎ウイルスを排除できる治療法は現在はイ ンターフェロンを含む治療法のみということから、その中でC型代償性肝硬変の効能を取 得している唯一の製剤でありますフエロンを競合品目の1として選定し、さらに、臨床試 験情報を検索した結果、競合品目2と3に挙げられております品目につきまして、現在、 C型代償性肝硬変を対象とした治験を実施中であるということから、これら2品目を併せ て選定したものでございます。  続きまして、議題4、ホスレノールチュアブルでございます。本剤の予定の適応症は、 透析患者における高リン血症の改善でありまして、同じ適応を有するものとして、塩酸セ ベラマーがあるということでございます。また、本薬と同じ非カルシウム系のリン吸着剤 であるものにつきまして、その同系薬であります非吸収性ポリマー剤のASP1585を選 定したということで、以上の3品目が競合品目として挙げられているものでございます。  続きまして、議題5、グラスピア錠でございます。本剤の申請効能であります「特発性 肺線維症」に関しては、この効能・効果を有している既承認医薬品は現在ありません。開 発中の品目でございますが、こちらに記載のありますPC-SODが、既に第2相試験を終了 し、また、トラクリア錠につきましても特発性肺線維症の効能追加を目的とした治験を準 備中であるということから、この2剤を競合品目として挙げたものでございます。  続きまして、議題6、ノーベルバールでございます。本剤の申請効能・効果は2種類あ りますが、各々に分けて評価をしたということでございまして、新生児けいれんにつきま しては、現在のところこの効能・効果を有している製剤はないということから、競合品目 は無し。もう一つのてんかん重積状態につきましては、本剤のてんかん重積状態治療の位 置付けが、第二又は第三選択薬として考えられるということで、現在、てんかん重積状態 に対して第二又は第三選択薬として使用されている薬剤が、フェニトインの静注剤であり ますアレビアチン注のみであるということから、この1剤を競合品目として選定したもの でございます。  続きまして、議題7、フェニル酪酸ナトリウムでございます。本剤の申請効能でありま す尿素サイクル異常症に適応のある薬剤としてアルギUがございますが、これは本剤とは 作用機序が異なり競合せず、また、両薬剤が併用される症例も多いと考えられることから、 アルギUを競合品目としては挙げず、また、それ以外の品目については競合するものはな いということでございます。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。ただ今の事務局からの説明に対して何か御質問は ございますでしょうか。もしございませんでしたら、競合品目・競合企業リストについて は、御了解いただいたということにいたしたいと思います。それでは、委員からの申出状 況について御説明をお願いいたします。 ○事務局 各委員の先生方からの申出状況につきましては、次のとおりです。議題1「ウ ェールナラ 他」につきましては、退室委員は西澤委員、議決には参加しない委員は永井 委員、野田委員でございます。議題2「タイロゲン」につきましては、退室委員、議決に は参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題3「スミフェロン」につきましては、 退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委員は西澤委員、野田委員、林委員 でございます。議題4「ホスレノール」につきましては、退室委員は西澤委員、議決には 参加しない委員は永井委員、野田委員、林委員でございます。議題5「グラスピア」につ きましては、退室委員は西澤委員、議決には参加しない委員は永井委員でございます。議 題6「ノーベルバール」につきましては、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加 しない委員は西澤委員、野田委員でございます。議題7「フェニル酪酸ナトリウム」につ きましては、退室委員、議決には参加しない委員、共にいらっしゃいません。  したがいまして、議題1、4及び5につきましては、薬事分科会規程第5条第1項にお いて、部会長及びその職務を代理する者のないときは、当該部会員のうちから選任された 者が、仮に議長として会議を開くことができるとされておりますので、御選任をお願いし たいと存じます。 ○永井部会長 議題1、4、5については代理をお願いしたいということですが、どなた か自薦、他薦はございますでしょうか。事務局から推薦はありますか。 ○事務局 事務局といたしましては、村勢委員にお願いしてはどうかと考えております が、いかがでしょうか。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。それでは、村勢委員に議題1、4、5について議事 進行をお願いしたいと思います。  本日は、審議事項が7議題、報告事項が5議題、その他事項が1議題でございます。審 議議題1、4、5につきましては、その他事項の後に御審議いただくということにしたい と思います。したがいまして、議題2から始めさせていただきます。  それでは、議題2につきまして、機構から概要の御説明をお願いいたします。 ○機構 議題2、資料2、医薬品タイロゲン筋注用0.9mgにつきまして、医薬品医療機器 総合機構より説明させていただきます。  本剤は、ヒトチロトロピン アルファ(遺伝子組換え)を有効成分とする注射剤であり、 甲状腺摘出患者の甲状腺癌の再発や転移の診断補助薬として、1999年に米国、2000年に EUにおいて承認され、2008年7月現在、米国、欧州等の51か国で承認されております。 国内の同種同効薬はございません。  甲状腺摘出患者の甲状腺癌の再発や転移の診断法として、放射性ヨウ素画像診断(以下、 シンチグラフィー)及びサイログロブリン試験(以下、Tg試験)がございますが、甲状腺 摘出術を受け、甲状腺機能を補うために合成甲状腺ホルモン剤を服用中の患者では、内因 性甲状腺刺激ホルモン(以下、TSH)の分泌が抑制されている状態であるため、シンチグ ラフィー及びTg試験に先立ち、検査の感度を高めることを目的として、合成甲状腺ホル モン剤の服用を2週間以上中断し、TSHの分泌を促進して甲状腺癌細胞を刺激する必要 があります。この中断により、耐寒性の低下、動作緩慢、異常感覚などの種々の甲状腺機 能低下症状の発現が患者にとって大きな苦痛であり、QOLの低下を来すことが問題とな っていることから、甲状腺ホルモン剤の服用を中止せずにシンチグラフィー及びTg試験 を実施できる診断補助薬として本剤が臨床開発され、今般、佐藤製薬株式会社により、製 造販売承認申請がなされたものです。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料15に記載されております委員が指 名されました。  国内では、1996年に希少疾病用医薬品の指定を受け、20□年より佐藤製薬株式会社に より第III相試験が実施され、この成績と海外の第I/II相試験2試験、第III相試験2試験 を併せて評価資料とする臨床データパッケージにより承認申請がなされました。  本品目の審査の概略について、説明させていただきます。  品質及び非臨床については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に 問題はないと判断いたしました。  臨床試験成績について説明させていただきます。  有効性について、本剤を用いた方法と、甲状腺ホルモンの中断を必要とする現行法を比 較した全身シンチグラムの評価において、本剤法で「同等」以上、(「同等」+「優れてい る」)とされた症例は、国内第III相試験70%(7/10例)であり、海外第III相試験2試験(T SH□-0601試験及びTSH□-0101試験)で、それぞれ85.8%(109/127例)及び92.0% (104/113例)と高い割合を示し、Tg試験の診断成績も良好であったことから、本剤によ る全身シンチグラム及びTg試験の有用性が示されたと考えました。  また、安全性については、国内外の第III相試験において特段問題となる有害事象は認め られておらず、専門医により適切な注意喚起の下で使用されれば、大きな問題はないと考 えました。  これらの成績より、本剤の有効性及び安全性は確認されていると考えられ、日本人に対 する一定の有効性は期待でき、安全性の特段の問題も少なく、海外臨床試験成績では本剤 法によるQOLの有意な改善が示されていることから、本剤は新規の診断補助薬として臨 床現場に供する意義はあるものと判断いたしました。  また、承認申請効能・効果の対象患者は「分化型甲状腺癌で甲状腺摘出手術を施行され た患者」とされておりましたが、国内外の臨床試験では甲状腺全摘又は準全摘術を施行さ れた患者が対象となっており、専門協議の結果、「分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全 摘術を施行された患者」と記載することが適当であるとされました。  なお、本剤は希少疾病用医薬品に該当し、国内治験症例が極めて少ないことから、製造 販売後、一定症例数に係るデータが集積される間は、全症例を対象として使用成績調査を 実施することにより、本剤使用患者の背景情報を把握するとともに、本剤の安全性及び有 効性に関するデータを収集し、本剤の適正使用に必要な措置を講じることを承認条件とす る必要があると判断いたしました。  以上のような検討を行った結果、全症例の使用成績調査を承認条件と付した上で、本剤 を「分化型甲状腺癌で甲状腺全摘又は準全摘術を施行された患者における、放射性ヨウ素 シンチグラフィーと血清サイログロブリン(Tg)試験の併用又はTg試験単独による診 断の補助」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達して、本医薬品第一部会に おいて御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本剤は原体、製剤ともに毒薬、劇薬に該当せず、生物由来製品に該当すると判断いたし ます。また、希少疾病用医薬品に該当することから再審査期間は10年とすることが適当 であると判断しております。薬事分科会では審議を予定しております。  以上、御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、参考人としておいでいただいている 平井先生から追加の御説明をお願いいたします。 ○平井参考人 東金病院の平井でございます。このような形で内分泌専門医としての参考 意見を述べさせていただく機会をいただきまして、感謝しております。  この薬剤の臨床上の有用性というのは、対象疾患でございます分化型の甲状腺癌という のは、TSHに対する受容体を持っているというところが非常に重要でございまして、そ れを利用して、この薬剤は治療薬剤ではなく診断補助剤として用いるわけでございます が、術後に、取り残しがある、あるいはリンパ節転移があるというふうな癌の診断を、二 つの方法でやる。この場合には、一つは画像診断として、放射性ヨードの取り込み機能が あるというのが、この甲状腺癌の一つの特徴でございます。また、血液検査でもって、甲 状腺に非常に特異的な甲状腺ホルモンの産生にかかわる蛋白としてサイログロブリンが ございます。この二つの機能、すなわちヨードを取り込む機能とサイログロブリンをつく る機能というのは、TSHの刺激によって非常に増強されるということを、実は利用した 診断法でございます。  特にここで対象にしてございます全摘若しくは準全摘の方の場合には、ほとんど甲状腺 を取ってしまいますので、術後の経過として、通常はホルモン補充療法として甲状腺ホル モンを飲んでいただいておりますが、このような状態では、下垂体へのフィードバックが 利いてTSHが全く出てこないという状態でございますので、取り残している癌組織ある いはリンパ節転移しているような癌組織には、放射性ヨードを投与したり、あるいは血液 検査でサイログロブリンを見ても検出がなかなかできません。そのような状況の中で、こ ういった転移あるいは取り残しがあるかどうかを見るために、従来はどのようにしていた かといいますと、下垂体からTSHが出てくるような状況に患者さんを置くしかありませ ん。そのためには、ホルモン補充をして体のホルモンレベルがちょうどよくなっている患 者さんに、この補充しているホルモンを2週間やめていただきます。そうしますと、はっ きり申し上げて、甲状腺機能低下症という病体を人為的につくり出しますので、先ほども 御説明にございましたように、寒がりになる、あるいは非常に全身がだるくなるというふ うな症状が出てまいります。そのような状態の中で、下垂体から相当程度のTSHが出ま す。そのTSHが残存若しくは転移した甲状腺癌組織を刺激して、放射性ヨードの取り込 みが増える、あるいは血液中のサイログロブリンが増えるということで診断をするという 形で、治療ではなくて診断のために、患者さんが2週間非常につらい状態に置かれます。 これは、従来、外からTSHを投与する方法がございませんでしたので、やむを得ずこの ような方法を取っていたということでございます。  それに対して、今回、遺伝子組換えのTSH0.9mgを2回投与いたしまして、uptakeの 場合は24時間、サイログロブリンの場合は72時間後に調べますと、これが有意に増えて くる、あるいは取り込みがあるということで、診断ができるということで、従来、甲状腺 ホルモンを補充していたのをやめて、患者さんにとってつらい状況をつくり出すことを避 け、再発ないしは遠隔転移の診断が容易にできるということで、患者さんにとってはQO Lの点で非常に優れていると私どもは考えております。  この対象となる患者さんの数は、我が国での甲状腺癌の全体数は1年間で大体8,000名 くらいでございまして、そのうちの9割が分化型でございます。そのうち、先ほど申し上 げた、ほぼ全体を取ってしまう、あるいはわずかにしか残さないというふうな全摘、ない しは準全摘は、200〜300人と言われております。また、術後の経過観察で、今までTS Hを刺激して取り込みを見るというような方は、年間大体1,000名くらいいらっしゃると いうことですので、こういった患者さんにとっては、この遺伝子組換えのTSH製剤は非 常に有用性が高いのではないかと考えまして、治療薬ではございませんが、診断薬ではと いうふうなことで、有用性が高いということで、補足説明とさせていただきます。以上で ございます。 ○永井部会長 それでは、御質問、御意見等はございますでしょうか。 ○川西委員 この場にふさわしくないことかもしれませんが、私はこれの専門委員にもな って、ただ、エクスキューズとしては私は動態を見てくれと言われたので、今朝これを見 ていまして気が付いた品質のところのことですが、報告書の9〜10ページにかけての工 程の図で、コピーの問題かどうか分かりませんが、恐らく「□は重要工程を示す」とい う10ページの頭の部分が引っ繰り返ってしまっている。これは白になっていますが、多 分、黒塗りが重要工程で、なおかつハーベスト工程も重要工程と位置付けていると書いて ありますので、この辺りは報告書としては訂正しておいた方がいいのではないかと思いま した。それが一点です。  それから、動態の方は少し見たのですが、品質のところをきちんと見ていないので一つ 教えていただきたいのですが、「製剤化原薬」というものは何なのかということを、もし この場で教えていただければ教えていただいて、今対応できないのであれば後刻でもお願 いします。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○機構 まず、ハーベスト工程についてでございますが、これは申請資料では重要工程と 設定されておりませんでして、そのとおり報告書に記載させていただきました。それで、 審査の過程の方で、これを重要工程に設定するように申請者に照会いたしまして、そして 重要工程に設定されております。  原薬と製剤化原薬の違いでございますが、原薬は添加剤を混合していないものでござい まして、混合いたしますと製剤化原薬として取り扱われます。ですので、英語で申します と、unformulated bulkとformulated bulkの違いでございます。 ○川西委員 これは、それまでは外国の工場でやっているわけですね。製剤化原薬から日 本になっているというふうな理解ですか。そうではないのですか。 ○機構 これは、製剤化いたしまして、製剤を日本に持ってくるという理解でございます。 ○川西委員 そうですか。これは、なかなか難しいところですが、規格の方で、EP規格、 USP規格ということがものすごくばーんと出してありますね。この辺りは、私も、向こ うの工場でやる場合、もはや国際化の時代でなかなか難しいところだなと思っています が、そういうことでそうなっているということではないわけですか。規格が相当、USP 規格、EP規格がそのまま、方法から全部その方法に準拠という形に承認申請書にもなっ ていますが。それは後刻でいいです。この場ではマニアックな話かもしれませんので。た だ、重要工程の話は、この報告書の10ページの頭のところは、誰が見ても白抜きに私の コピーは見えますので、恐らく原本も何か間違っているのではないかと思いますので、御 確認ください。これは重要なところですので。 ○機構 御指摘いただいた問題につきましては、また検討した上で報告させていただきま す。 ○永井部会長 ほかにいかがですか。平井先生、TSHを投与して効き過ぎてしまうとい うことはないのですか。亜全摘で少し残っているような場合に、過剰に反応するというよ うなことはないのでしょうか。 ○平井参考人 基本的には、ホルモンがもともと出ていないわけですので、取り込みが増 えるだけでございまして、しかも、これは2回投与で終わる薬剤ですので、この2回投与 のために急速に癌の増殖が進むということはまず予想されないと思いますし、臨床症状 で、今までの副作用としても頭痛や吐き気ということで、投与したことにより甲状腺ホル モンが異常に増えるということも当然ないようなケースでございますので、今御指摘され たような点はまずないと、臨床上考えております。 ○清水委員 枝葉なことで恐縮ですが、一点教えていただきたいのですけれども、添付文 書の包装のところで、2バイアルキットという表記になっているのですが、この最後の「キ ット」の意味というのは、単に2バイアルの包装ということではなく、何か意味があるの かどうか教えていただきたいのですが。 ○機構 本剤の用法・用量としましては、24時間間隔で2回投与ということになってお りますので、それに伴い2バイアル包装になっているものと推測いたします。キットとい う表記につきましては、適切な表記になるように検討いたします。 ○清水委員 セットというような意味ではないのですかね。誤解するといけないと思いま して、通常、キットというと、違う意味に判断する薬剤師も多いかと思いますので、よろ しくお願いします。 ○機構 検討させていただきます。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。これはリコンビナントですから、いろいろ アレルギー反応や過敏症の問題はどうなのですか。 ○機構 海外で使用実績として43万例ほど使用された使用成績調査で、抗体については まだ試験の中では確認されていないということですが、製造販売後調査においてTSH抗 体やサイログロブリン抗体については測定するように計画されております。  アレルギー反応についても、掻痒感等が臨床試験で発現したということはございます が、全身性のアレルギー反応としては国内臨床試験、海外の第III相試験でも確認されてお りません。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。もし御質問がございませんでしたら、議決に入りた いと思いますが、よろしいでしょうか。それでは、平井先生、どうもありがとうございま した。 ── 平井参考人退席 ── ○永井部会長 本議題につきまして、承認可としてよろしいでしょうか。御異議がござい ませんようですので、承認可ということで進めさせていただきます。これは新有効成分で すので、既存の類薬がございません。薬事分科会に上程し、審議するということにさせて いただきます。  それでは、議題3にまいります。機構から概要の御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題3、資料3、医薬品スミフェロン300、ほかの製造販売承認事項一 部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、機構より御説明申し上げます。  C型肝硬変は、C型肝炎ウイルス(HCV)の感染により引き起こされる慢性肝疾患であ り、慢性肝炎から徐々に肝線維化が進行し、肝硬変へと進展し、肝細胞癌を発症します。  C型代償性肝硬変に対しては、原因となるHCVを陰性化するインターフェロン療法と 肝臓の炎症を抑制する肝庇護療法が行われております。本邦においてC型代償性肝硬変に 対しHCVを陰性化することを効能・効果として取得しているIFN製剤は2006年4月 に承認されたIFNβ製剤のみであり、その適用範囲は、セログループ1の血中HCVRNA 量が高い場合を除いたC型代償性肝硬変患者に限定されております。  本剤は、ヒトリンパ芽球細胞樹立継代細胞株であるナマルバ細胞にセンダイウイルスを 感染させ、産生させた天然型IFNα製剤であり、1987年1月に「腎癌」及び「多発性 骨髄腫」の効能・効果で承認されたのを始め、C型慢性肝炎に対しては1998年に効能を 取得しております。  申請者は、臨床試験成績により本剤がC型代償性肝硬変に対して有効性を示したと考え たことから、本剤の承認申請を行っております。  本品目の専門協議では、配付資料15に示しますような専門委員が指名されております。  それでは、臨床試験成績について、説明させていただきます。臨床試験成績としては、 国内第III相臨床試験1試験が評価資料として提出されております。  まず、有効性に関してですが、C型代償性肝硬変患者を対象とした国内第III相臨床試験 において、用法・用量の異なる3群について検討されましたが、本剤600万国際単位を2 週間連日筋肉内投与した後、1群目としては、本剤300万国際単位を週3回23週間筋肉 内投与する群、2群目としては、本剤300万国際単位を週3回46週間筋肉内投与する群、 3群目としては、本剤600万国際単位を週3回23週間筋肉内投与する群、この3群が設 定されて、主要評価項目は「投与終了24週後のHCV RNA陰性化率」とされております。  本試験では、いずれの用法・用量群においても本剤投与により投与終了24週後のHCV RNA陰性化が得られた患者が認められましたが、投与開始時に「セログループ1かつHCV RNA量が1mL当たり500キロ国際単位以上」であった患者では、投与終了24週後のHCV RNA陰性化が得られた患者は認められませんでした。  この試験結果を踏まえて、「セログループ1かつHCV RNA量が1mL当たり500キロ国 際単位以上」を除くC型代償性肝硬変患者での本剤の有効性は期待できると判断いたしま した。  安全性に関してですが、国内第III相臨床試験成績を、C型慢性肝炎患者を対象とした市 販後臨床試験で認められた有害事象プロファイルと比較しましたところ、認められた事象 はほぼ同様でしたが、C型代償性肝硬変患者では全体的に発現頻度が高い傾向が認められ ております。また、本剤600万国際単位連日投与期間である投与開始後2週目までに有害 事象が多く発現しており、そのため、投与開始2週目までの有害事象の発現に特に注意す る必要があると考えました。また、C型代償性肝硬変患者では血小板数や白血球数が投与 開始前から低値である患者が多く認められるため、臨床検査値の推移には特に注意する必 要があり、国内第III相臨床試験で用いられた減量、休薬及び中止基準を遵守することが重 要であると考え、これらについて注意喚起を行うことを前提とすれば、安全性に大きな問 題はないと判断しております。  一方、国内第III相臨床試験では三つの異なる用法・用量群が設定されましたが、臨床推 奨用量の決定を目的とした症例数設計がなされていなかったこと、また有効性に最も影響 を与える投与開始前のHCV RNA量に群間で差が認められていたことから、至適用法・用量 をこの試験成績のみから確定することは難しいと考えられました。しかし、C型代償性肝 硬変患者に対する治療法が現状で限られている中でIFN療法の開発が急がれている現 状があること、また、試験成績より少なくとも「セログループ1かつHCV RNA量が1mL 当たり500キロ国際単位以上」の患者を除くC型代償性肝硬変患者に対する本剤の有効性 は期待でき、安全性においても問題はないことから、国内第III相臨床試験で用いられた用 法・用量の範囲内で本剤を使用することは可能と判断しております。  以上、機構での審査の結果、本剤について「セログループ1かつHCV RNA量が1mL当 たり500キロ国際単位以上」を除くC型代償性肝硬変患者への有効性は期待でき、安全性 は忍容可能であることから、効能・効果を「C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改 善(セログループ1の血中HCV RNA量が高い場合を除く)」とすることが適当と判断し、医 薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  なお、本剤は新効能、新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適 当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。  御審議をどうぞよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御討論をお願いいたします。 ○清水委員 今の説明の中でも重要な点として説明があった、血小板数や白血球数による 減量、休薬、投与中止の基準のところの表記の問題ですが、審査報告書の24ページの表 23では、「休薬」という言葉で表が載っておりますが、添付文書にこの内容が転記され るところにおいては、「投与間隔の延長」という用語に置き換わっているかと思います。 そこのところの意味、理由を御説明いただきたいと思うのですが。 ○機構 記載ぶりの違いということで、意味合いとしては同じものを想定してございまし た。ですので、記載ぶりについては、また申請者等と検討させていただければと思います。 ○清水委員 分かりやすくするという意味で記載ぶりを変えたということですか。 ○機構 分かりやすくするために、「投与間隔を延長すること」というような形で記載ぶ りを変更させていただいたという経緯がございます。 ○清水委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 こだわっていることではないのですが、御意見を少し伺いたいのですけれど も、今、私が指摘した添付文書に書かれている内容は、「重要な基本的注意」が妥当なの でしょうか。それとも、「用法・用量に関連する使用上の注意」が妥当なのでしょうか。 これを見ていて、用法・用量にかかわる事項の意味合いは大きいのかなというふうにも思 いますが、いかがでしょうか。 ○審査第一部長 先生の御指摘のように、用法・用量の調整にかかわる内容でございます ので、「用法・用量に関連する使用上の注意」に記載するということでも差し支えないか と思いますが、このものの場合には、従来から「重要な基本的注意」の方に同様の内容の ことが記載されておりましたので、それに付け加える形にさせていただいております。 ○清水委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。今回、肝硬変を対象にしているわけですので、 本当に臨床的に生命予後が改善するかということを長期的に見ないといけないと思いま すが、将来、そういうことを評価して見直すということはあり得るのでしょうか。 ○機構 今回提示された第III相臨床試験を追跡調査してございまして、その成績はまだ途 中の段階ですが、報告されてございます。ただ、今の段階ですと、陰性化が認められたら 最終的に予後に改善が認められるかというような結論までは、得られないかと思います。 また、現在、セログループ1の高ウイルス量の患者に対しては追加の臨床試験を実施して いるところでございまして、そちらに対しても追跡調査を実施して、ウイルス量の陰性化 と予後の関係についてはこれから調査をさせていくというところになってございます。 ○永井部会長 いかがでしょうか。 ○川西委員 私はこれを承認するということに何の異議もないのですが、この辺のものは 今、肝硬変を対象にすると我が国では初めてかもしれませんが、ペグ体のものが続々と控 えて、恐らく今、臨床試験をやっている段階なのですが、そういうことを考えて、このも の自体の有用性みたいな議論はあったのでしょうか。とにかく最初だからということでし ょうか。 ○機構 先生がおっしゃられたように、ペグのものについては、今、臨床試験が実施され ているところでございます。また、肝硬変に対しては、IFNβ製剤が既に昨年承認され ておりまして、それに付け加えて、今回、2品目目として試験が実施されて、この場で審 議されるというような形になってございます。 ○永井部会長 ほかに御意見はございますか。よろしいでしょうか。もし御意見がござい ませんでしたら、議決に入りたいと思います。西澤委員、野田委員、林委員におかれまし ては、薬事分科会申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたしま す。それでは、この議題について、承認可としてよろしいでしょうか。御異議がないよう でございますので、承認可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。  続きまして、議題6に入ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。 ○機構 議題6、資料6、医薬品ノーベルバール静注用250mgの製造販売承認の可否等に ついて、医薬品医療機器総合機構より御説明させていただきます。  本剤の有効成分であるフェノバルビタールナトリウムは、抗けいれん作用と催眠・鎮静 作用を有するバルビツール酸誘導体であるフェノバルビタールのナトリウム塩であり、本 邦ではフェノバルビタールとして経口剤又は皮下・筋注用製剤が、フェノバルビタールナ トリウムとしては、皮下・筋注用製剤、坐剤が承認されております。しかしながら、これ まで静注用製剤は承認されておらず、新生児けいれんに対する効能・効果及び用法・用量 についても、既存のいずれの製剤においても承認されていなかったため、今般、医師主導 治験の結果及び既存の情報が整理され、申請されたものであります。また、静注用フェノ バルビタール製剤のてんかん重積状態に対する効能・効果の承認に関しても、日本小児科 学会及び日本小児神経学会からの要望書が厚生労働大臣あてに提出されており、文献調査 等の結果から、本剤のてんかん重積状態に対する有効性及び安全性については、医学薬学 上の公知と考えられ、今般、てんかん重積状態の適用についても、併せて申請されており ます。  本申請の専門委員としては、資料15に記載されております5名の委員を指名いたしま した。  審査内容についてですが、品質、薬理、薬物動態及び毒性については、特に大きな問題 はないと考えておりますので、臨床成績を中心に説明させていただきます。  新生児けいれんについては、日本人新生児けいれん患児を対象にした医師主導治験が実 施され、10例全例で初回投与又は追加投与30分後において新生児けいれんが消失し、本 剤の有効性が示唆されており、国内外のガイドライン等の情報も踏まえると、本剤の新生 児けいれんに対する有効性は示されたと判断しております。てんかん重積状態につきまし ては、国内外のガイドライン等における記載を確認し、その有効性について医学薬学上の 公知と判断しております。  安全性については、新生児けいれん患児を対象とした医師主導治験において、呼吸抑制、 酸素飽和度の低下等が認められております。本剤の投与により呼吸抑制、血圧低下、意識 水準の低下等の重篤な有害事象が発現する可能性がありますが、てんかん重積状態におい ても同様の事象が発現する可能性があり、本剤は、医師による十分な観察下で投与される ことを踏まえると、これらの事象が発現した場合においても適切に対処することが可能で あり、十分な注意喚起を行うことで本剤のベネフィットはリスクを上回るものと考えてお ります。なお、本剤の安全性につきましては、製造販売後調査において、引き続き検討を 行うこととしております。  以上の審査を踏まえ、本剤の新生児けいれん及びてんかん重積状態に対する効能・効果 を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審議いただくことが適当と判断 いたしました。原体及び製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいず れにも該当しないと判断しております。また、本剤の再審査期間については、新生児けい れんについては希少疾病用医薬品であることから10年、てんかん重積状態については新 投与経路医薬品であり、新規に開発された製剤であることを考慮して6年と設定すること が適切と判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。 いかがでしょうか。 ○清水委員 製剤の調製方法で教えていただきたいのですが、添付文書の「9.適用上の 注意」の(2)に「調製方法」という項目を起こしていただいているのですが、これは実際 にはどのくらいの用量の生食又は注射用水で溶解することを想定していらっしゃるので しょうか。 ○機構 この用法・用量の中で今すぐにお答えできませんので、医師主導治験等でどのく らいの量でされたのかということも含めて、確認して後ほどお答えさせていただきたいと 思います。 ○清水委員 あわせて、「6時間以内に使用すること」の、6時間の根拠になるデータは 何かお持ちなのでしょうか。 ○機構 製剤の安定性試験の結果から、6時間までは十分耐えるということが確認できて おりますので、そこで6時間というふうに規定しております。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 これも添付文書の記載の内容の確認ですが、この薬剤、抗てんかん薬は多く がそうなのですけれども、皮膚への重篤な副作用というのはよく知られているところだと は思うのですが、「重大な副作用」の1)の幾つかの重篤な副作用について、注目すべき 初期症状を具体的に記載するというようなことのお考えは特にはないのでしょうか。この 薬剤について言えば、2)の過敏症症候群については、初期症状としてこういう症状が起 こった場合には、ということが書かれているのですが、1)のところでも同様の表記は可 能かと思うのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。 ○機構 本薬に関しましては、既に他の皮下・筋注用製剤等も販売されており、そこに今 の添付文書の記載を合わせているというような状況です。その件に関しましては、本剤以 外の薬剤の話にも及ぶところがありますので、少し検討させていただきたいと思います。 ○永井部会長 いかがでしょうか。「重大な副作用」に呼吸抑制がありますが、これはこ の程度の記載でよろしいのでしょうか。こういうたぐいの薬では呼吸抑制は当然というこ とで、そう強調することもないということでしょうか。 ○機構 本薬に関しましては、これは鎮静薬でありますので、呼吸抑制は当然認められま す。現在、ここの記載に関しては「用法・用量に関連する使用上の注意」のところで、呼 吸抑制等が認められるということ、それに関してはTDM等を行って血中濃度等をしっか り測ってほしい、起きた場合には人工呼吸などきちんと対処していただきたいということ で書かせていただいております。新生児けいれん若しくはてんかん重積のこのような状態 のときには、医師の管理下で投与されているということから考えれば、この程度の記載で も十分かと考えているところです。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。 ○川西委員 品質にかかわるところですが、こういう古典的な薬の場合、私も未承認薬な どで専門委員になったときに非常に苦労するところは、結構品質で苦労します。これはエ タノールが□%という規格値と書いてありますが、これは仕方がないのですけれども、製 造実績でも、今でも、やはりこのくらいのレベルだったのでしょうか。□%はあんまりだ というふうに私は思わないわけでもないのですが。 ○機構 製造ロットの方で実際に確認させていただいたのですが、やはりこのくらいの数 値は出てしまう。それで、□%という規格で、今回の場合、設定せざるを得ないというと ころで確認しております。 ○川西委員 分かりました。ありがとうございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。よろしければ、議決に入ります。西澤委員、野田委 員におかれましては、薬事分科会申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただく ことにいたします。それでは、この議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。 ありがとうございます。御異議がございませんので、承認可ということで、薬事分科会に 報告とさせていただきます。  それでは、議題7にまいります。事務局から概要の御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、フェニル酪酸ナトリウムを希少疾病用医薬品として指定することの 可否に関して、資料7に基づいて説明いたします。資料7を1枚めくって御覧ください。 医薬品医療機器総合機構で事前評価を取りまとめておりますので、対象患者数、医療上の 必要性、開発の可能性の三点について御説明申し上げます。  品目の名称はフェニル酪酸ナトリウム、予定される対象疾病は尿素サイクル異常症、申 請者はユーサイクリッド・ファーマ社でございます。尿素サイクル異常症はアンモニアを 尿素に変換する尿素サイクルにおける酵素の遺伝的欠損症であり、欠損酵素や発症時期に より種類が分かれております。アンモニウムイオンの尿素への変換が減少しており、アン モニアは神経細胞に対して高い毒性があることから、高アンモニア血症により代謝障害を 起こし、食欲不振や昏睡、脳障害、死亡に至る場合もあります。  まず、対象患者数についてですが、本邦における尿素サイクル異常症は46,000例の出 生児に対し1例の割合で発症するとされており、平成16年度厚生労働科学研究報告書に よると平成14年における患者数は167例と報告されております。また、厚生省心身障害 研究の結果に基づく文献では、1978〜1995年の間に尿素サイクル異常症と診断され、治 療を受けた患者は216例とされております。以上を勘案すると、本邦の尿素サイクル異常 症の患者数は200人程度と推察され、希少疾病用医薬品の指定要件である50,000人以下 を満たすものと判断しております。  次に、医療上の必要性についてですが、尿素サイクル異常症の治療方法としては薬物療 法・透析療法によるアンモニア排泄の促進、食事療法によるアンモニア産生の抑制、肝移 植による外科的治療がありますが、肝移植は患者への負担が大きいことから、通常の治療 では食事療法と薬物療法を併用した内科療法が主で、緊急的な高アンモニア血症では透析 療法が加わります。薬物療法としては、アルギニン製剤が尿素サイクル異常症の適応で国 内で承認されておりますが、尿素サイクル異常症の病型のうちアルギナーゼ欠損症等の場 合は禁忌とされております。また、ほかの薬剤として安息香酸ナトリウム、フェニル酢酸 ナトリウムなどもありますが、これらは国内では承認されておりません。フェニル酪酸ナ トリウムはプロドラッグであり、β酸化により代謝されてフェニル酢酸となります。その 後、アセチル化を経てグルタミンと共役しフェニルアセチルグルタミンとなり、尿中へ排 出されるため、残余窒素を尿素サイクル以外の系統で排泄することが可能になります。既 存のアルギニン製剤とは作用機序を異にしており、有用な薬剤となることが期待されま す。  最後に、開発の可能性についてですが、1996年に米国、1999年に欧州で承認されてい るほか、2006年1月の第7回未承認薬使用問題検討会議において欧米での臨床試験デー タや国内での使用症例に関するデータを利用した早期の承認申請がなされるとともに、承 認までの間に国内治験データを収集する等の対応を検討すべきであるとの検討結果を受 け、昨年8月より国内でも5例投与されており、有害事象等の特に大きな問題は生じてお らず、また、高アンモニア血症の発症も認められておりません。つきまして、本剤の開発 の可能性はあると考えております。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えると、本剤については 希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。御審議のほど、よろしくお 願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。 ○中澤委員 2ページ目の「2.医療上の必要性について」のところで、下から6行目に 「フェニル酢酸ナトリウムも代替窒素排泄系を利用する」と記載がありますが、私はこの 言葉を知らなかったので、インターネットで調べてみたのですが、このフェニル酪酸ナト リウムについては見いだされませんでした。安息香酸ナトリウムの場合ですと、グリシン 抱合を受けて、それが馬尿酸となって排泄されると書かれていたのですが、このフェニル 酪酸ナトリウムも似たような作用機序をとるということなのでしょうか。 ○事務局 資料の4番のところの19ページに、具体的にフェニル酪酸ナトリウムの作用 機序が書いてあります。図4に作用機序ということで体謝フローが書いてありますが、一 番上に「フェニル酪酸ナトリウム」とあります。そこがプロドラッグとなっておりますの で、体内でβ酸化されて、フェニル酢酸となる。図の真ん中より少し上の方に「NH4+」 がありますが、Nの方がいろいろ体謝されていきながら、フェニル酢酸とグルタミン酸が くっ付いてフェニルアセチルグルタミンとなって排泄されていくということで、このよう なルートによってN(窒素)の方が排泄されていくという流れになっております。ですか ら、今、尿素サイクル自体のサイクルとはまた別の経路としてこういう排泄が行われる薬 剤として、作用が期待されるというものでございます。 ○中澤委員 説明は分かりましたが、この経路のことを「代替窒素排泄系」というふうに 一般的に呼ばれているのでしょうか。それとも、これは単に普通のものではないというこ とを言っているだけのことなのでしょうか。 ○事務局 要するに、通常のものとは別の経路であるということを説明しているものでご ざいます。 ○中澤委員 分かりました。ありがとうございました。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。もし御意見がございませんでしたら、議決に入 りたいと思います。これは、指定を可としてよいかどうかということですが、よろしいで しょうか。それでは、指定を可ということで、薬事分科会に報告とさせていただきます。  次に、報告事項を先に進めさせていただきたいと思います。議題1〜5まで、機構より 順次御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは、報告事項の議題について説明させていただきます。  議題1「医薬品ヘプセラ錠10の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたし ます。本剤は、ヌクレオチド系逆転写酵素阻害を示すアデホビルにピボキシル基を導入し た抗ウイルス剤であり、現在は、「ラミブジン投与中にB型肝炎ウイルスの持続的な再増 殖を伴う肝機能の異常が確認された、以下の疾患におけるラミブジンとの併用によるウイ ルスマーカー及び肝機能の改善 B型慢性肝炎及びB型肝硬変」の効能・効果で承認され ております。今般、グラクソ・スミスクライン株式会社から、本剤単独投与の効能・効果 及び用法・用量を追加し、ラミブジン併用投与に係る記載を削除する製造販売承認事項一 部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機器総合機構における審査の結果、本 剤を承認して差し支えないと判断いたしました。  次に、議題2「医薬品リウマトレックスカプセル2mg、メトトレキサートカプセル2mg 「サワイ」、メトレート錠2mg、メトトレキサート錠2mg「タナベ」、トレキサメットカ プセル2mg、メトトレキサートカプセル2mg「トーワ」及びメトトレキサートカプセル2 mg「マイラン」の製造販売承認事項一部変更承認について」報告いたします。資料9にな ります。本剤は、メトトレキサートを有効成分とする抗リウマチ薬であり、「慢性関節リ ウマチ」の効能・効果で承認されております。今般、「関節症状を伴う若年性特発性関節 炎」に関する効能・効果に関して、平成20年3月30日付け厚生労働省医薬食品局審査管 理課長通知である「薬事・食品衛生審議会で事前評価を受けたメトトレキサートの小児薬 物療法に関する承認申請について」に基づき、製造販売承認事項一部変更承認の申請がな されたものです。また、関節リウマチについては、平成14年4月に開催された日本リウ マチ学会総会においてRheumatoid Arthritisの和名が「慢性関節リウマチ」から「関節 リウマチ」に変更されたことを受け、効能・効果の表記の整備を行うものです。医薬品医 療機器総合機構における審査の結果、本申請を承認して差し支えないと判断いたしまし た。なお、当該審査報告書において、本申請内容の事前評価が行われた薬事・食品衛生審 議会の開催日に誤記がありましたので、御報告いたします。審査報告書では「平成20年 2月8日開催」と記載しておりますが、正しくは「平成20年2月22日開催」です。具体 的な訂正箇所につきましては、審査報告書2ページの13行目、6ページの15行目、7ペ ージの16行目及び28行目になります。申し訳ございませんでした。  続いて、議題3「医薬品ゴナトロピン5000の製造販売承認事項一部変更承認について」 報告いたします。資料10になります。本剤は、日局ヒト絨毛性性腺刺激ホルモンを5000 単位含有する凍結乾燥注射剤であります。本邦において「低ゴナドトロピン性男子性腺機 能低下症における精子形成の誘導」の効能・効果を有する唯一の薬剤であるプロファシー 注5000の製造販売中止に伴い、今般、あすか製薬株式会社から、「低ゴナドトロピン性 男子性腺機能低下症における精子形成の誘導」の効能・効果、及び新投与経路として皮下 投与を追加する製造販売承認事項一部変更承認の申請がなされたものです。医薬品医療機 器総合機構における審査の結果、承認して差し支えないと判断いたしました。  続いて、議題4「医療用医薬品の再審査結果について」まとめて報告いたします。資料 11-1〜11-6になります。いずれも「医薬品再審査確認等結果通知書」になりますが、資 料11-1は、一般的名称は「メサラジン」、販売名は「ペンタサ錠250」、資料11-2は、 一般的名称は「ニフェジピン」、販売名は「アダラートCR錠10mg 他」、資料11-3は、 一般的名称は「ドロキシドパ」、販売名は「ドプスカプセル100mg 他」、資料11-4は、 一般的名称は「クアゼパム」、販売名は「ドラール錠15 他」、資料11-5は、一般的名 称は「エルカトニン」、販売名は「エルシトニン注20S」、資料11-6は、一般的名称は 「セチリジン塩酸塩」、販売名は「ジルテック錠5 他」のものになっております。これ らの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績等に基 づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられている 承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等の承認 事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。 ○機構 続きまして、議題5、資料12、医療用医薬品の承認条件の解除について、御説 明させていただきます。本件は、本年7月に開催されました医薬品第一部会におきまして 御報告させていただきましたリポバス錠の承認条件解除に係る審査報告書の訂正に係る おわびと御報告になります。お手元にお配りいたしました資料12を御覧ください。資料 の上段の方に該当部分の抜粋を掲示してあります。下段の方に訂正部分が分かるように対 比して示した訂正部分を提示しておりますので、対比しながら御覧いただければと存じま す。訂正箇所にはアンダーラインを付しておりますが、訂正箇所は、前回部会において報 告させていただきました審査報告書においては、承認条件解除の対象品目に5mg錠の記載 が漏れておりましたために、ここを追記してございます。また、これに伴いまして、各製 剤の承認日の記載を、時事に即したように訂正をさせていただいた記載整備を行っており ます。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。ただ今御説明いただいた事項につきまして、何か 御質問、御意見はございますでしょうか。よろしいでしょうか。もしございませんでした ら、御報告いただいた事項については御確認いただいたということにさせていただきま す。  続きまして、その他でございますが、事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局 資料13-1を御覧ください。「カベルゴリンの用法・用量の改訂等について (案)」について御説明したいと思います。  まず、1.背景についてでございますが、麦角系ドパミン作動薬に関しまして、その安 全性等につきましては、平成19年1月のThe New England Journal of Medicineでの研 究報告を踏まえまして、国内での副作用の発現状況、海外での状況等を検討し、「使用上 の注意」の改訂を指示いたしまして、心臓弁膜症、線維症のリスクに関する注意喚起を図 ってきたところでございます。また、日本神経学会におきましても、「ドパミンアゴニス ト使用上の注意」ということで学会会員にお知らせをしているところでございます。  2.でございますが、こういった対応をしている中、平成20年6月26日、EMEAの 方で、麦角系ドパミン作動薬に対して心臓弁膜症を含む線維症に関する安全性情報の改訂 を勧告いたしました。この中では、欧州で使用されております麦角系ドパミン作動薬とい たしまして、パーキンソン病に用いられます、ブロモクリプチン、カベルゴリン、ジヒド ロエルゴクリプチン、リスリド、ペルゴリドが挙げられております。これらのEMEA措 置対象品目のうち、我が国でパーキンソン病の適応を有する麦角系ドパミン作動薬といた しましては、カベルゴリン、メシル酸ペルゴリド、メシル酸ブロモクリプチンの3成分が ございます。  以下、この3成分につきまして、EMEAの勧告の概要を御紹介させていただきます。 これまで、心臓弁膜症の患者の使用を禁忌といたしまして、パーキンソン病の薬物療法に おいてはセカンドラインで用いるということが記載されているところでございますが、そ れに加えて、一点目といたしまして、治療前、治療中の定期的心エコー検査により線維症 の徴候をモニターすることの注意喚起を行うこと。二点目といたしまして、1日最高用量 を3mgとすること。日本の場合、カベルゴリンにつきましては維持量が2〜4mg、メシル 酸ペルゴリドにつきましては750〜1250μgということになっております。三点目といた しまして、よく見られる副作用として、心臓弁膜症等の線維症について記載すること、と なっております。なお、米国におきましては、カベルゴリンについてはパーキンソン病の 効能はなく、また、メシル酸ペルゴリドについては、平成19年3月に自主回収が実施さ れているところでございます。  メシル酸ブロモクリプチンに関する勧告につきましても同様でございますが、二番目 に、1日最高用量を30mgということで勧告が出ております。日本の場合の用量といたし ましては、15〜22.5mgということになっております。  3.でございますが、(1)といたしまして、カベルゴリンの「1日最高用量を3mgとす ること」の勧告以外につきましては、別紙5の16ページに詳細を記載しておりますけれ ども、そちらの方で使用上の注意に記載済みの対応ということになっておりますが、更な る使用上の注意の変更の必要性等につきまして、現在、総合機構において検討しておりま す。一方、カベルゴリンの「1日最高用量を3mgとすること」の勧告につきましては、先 ほど御説明いたしましたとおり、我が国では維持量が2〜4mgとされていること、また、 カベルゴリンの心弁膜疾患の副作用発現状況につきましては、重篤な心弁膜疾患関連事象 44件、これは販売当時(平成11年8月)〜平成20年7月のデータでございますが、その うち、1日最高用量が3mgを超える症例につきまして23件あるということを踏まえまし て、用法・用量の変更の要否について検討が必要であると考えられております。  (2)といたしまして、現在、臨床現場におけるカベルゴリンの用量に関しましては、日 本神経学会から出されております「ドパミンアゴニスト使用上の注意」に基づきまして、 「(初めてドパミンアゴニストを使用する場合)維持量はできるだけ低くする。(既にカベ ルゴリンを服用している場合)検査に異常がない場合は、そのまま継続してよいが、でき るだけ低い維持量を目指す。」とされているところでございまして、3mg以下での使用に 関して臨床現場での混乱は低いと考えられます。また、我が国におきまして心弁膜疾患に 関する副作用報告数が少なからずあることなどを踏まえまして、その用量につきまして は、次のページのように変更してはいかがかと考えております。  3ページを御覧ください。現行は、パーキンソン病に関する効能・効果ですが、その用 法・用量といたしまして、3行目でございますが、「維持量(標準1日量2〜4mg)を定め る」となっており、さらに、その2行下でございますが、「なお、年齢、症状により適宜 増減する」ということになっておりますので、改訂案といたしまして、下線部のところで ございますが、「維持量を定めるが、最高用量は1日3mgとする」としてはいかがかと考 えております。「適宜増減」につきましては削除することを考えております。なお、維持 量に関しまして既に1日3mgを超えて投与し、病状が安定している場合等にあっては、副 作用の発現に留意することというのはもちろん重要でございますが、速やかに減量するこ とを求めるものではないということを、一変に際しましては、企業から医療機関に情報提 供が必要であると考えております。急な減量を行うと、悪性症候群といったような副作用 が出る可能性が否定できないと考えております。  資料13-2でございますが、こちらの方に、先発メーカーでございますファイザー社か ら、カベルゴリンの用法・用量の改訂につきまして、企業の案ということで意見が出てき ております。おおむね同様の内容でございますが、4ページを御覧ください。四角の中に 書いております用法・用量の部分といたしまして、下線部のところが企業案の修正として 出てきております。現行の「維持量(標準1日量2〜4mg)を定める」の部分を、「維持量 (標準1日量2〜3mg)を定める」という修正(案)を企業見解としては出しております。事 務局案との相違点は以上でございますが、こういった内容につきまして、委員の先生方か ら御意見を伺えればと思っております。以上でございます。 ○永井部会長 ありがとうございます。いかがでしょうか。これは検査値などでは余り異 常は出てこないのですか。後腹膜線維症等ですと、炎症が起こってきて、血沈やCRPが 上がってくることがあるのですが、そういうチェックは必要ないのでしょうか。 ○事務局 基本的にはエコー等の検査でないと分かりません。 ○永井部会長 余り炎症所見はない状態で線維化が起こってくる。特にCTを見れば分か ると思うのですが、例えばNSAIDを長期使っている人で時々、後腹膜線維症が起こります が、やはり血沈が非常に亢進してくるのです。炎症所見が出て、ステロイドがよく効きま すが、そういうたぐいの病態を呈するということではないのですか。 ○事務局 そういった検査値等でコントロールできて使えるというものではないと承知 しております。 ○永井部会長 そうなのですか。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。用法・用量の 改訂ということでございますが、もし御異議がなければ、御確認いただいたということに させていただきます。ありがとうございました。  それでは、議題1、4、5に戻りますが、これにつきましては、村勢委員に議事の進行 をお願いしたいと思います。 ○村勢委員 議題1、4、5の3題について議事進行をさせていただきます。それでは、 議題1に入ります。西澤委員におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機いただ きたいと思います。 ── 西澤委員退席 ── ○村勢委員 それでは、機構から概要を説明していただきます。よろしくお願いします。 ○機構 それでは議題1、医薬品ウェールナラ配合錠の製造販売承認の可否、及びジュリ ナ錠0.5mgの製造販売承認事項一部変更承認の可否等について、総合機構より御説明申し 上げますが、その前に一言おわびさせていただきます。事前に配付させていただいた資料 には、ジュリナ錠0.5mgの諮問書がとじられておりませんでしたので、資料1-2として別 途机の上に配付させていただきました。確認不足で御迷惑をおかけしたことをおわび申し 上げます。また、今回2品目を併せて審査したことについては、両製剤の有効成分が共通 しており、また主たる臨床試験である国内後期第II/III相試験が、子宮のある患者とない 患者の両方を対象として実施され、子宮のある患者に配合剤、ない患者に単剤が投与され、 評価されたことによるものです。  それでは中身について説明させていただきます。  ウェールナラ配合錠及びジュリナ錠0.5mgは、閉経後骨粗鬆症治療薬として開発された 薬剤であり、それらの共通の有効成分は、天然型エストロゲンである17β-エストラジオ ール(以下、「E2」)です。また、子宮を有する患者にエストロゲンを単独で長期投与し た場合、子宮内膜癌の発症リスクを上昇させることから、ウェールナラ配合錠には、子宮 内膜保護を目的として、E2に加えて合成プロゲスチンであるレボノルゲストレル(以下、 「LNG」)も含まれております。  ジュリナ錠については当初、1mg錠のみが申請されましたが、本審査中の本年4月に、 ジュリナ錠0.5mgが「更年期障害及び卵巣欠落症状」にかかわる効能・効果で承認された ことに伴い、同一ブランド名で外観も類似した効能・効果の異なる二つの製剤が存在する ことによる臨床現場での混乱を避けるために、ジュリナ錠1mgの申請が取り下げられ、本 年7月にジュリナ錠0.5mgで閉経後骨粗鬆症の効能追加がなされたという経緯がござい ます。  本品目の専門協議では、資料15に示す方々を、専門委員として指名させていただいて おります。  ウェールナラ配合錠の品質、ウェールナラ配合錠及びジュリナ錠の薬理、薬物動態につ いては、既承認申請時に評価されていることに加え、特段問題となる事項がございません でしたので、国内臨床試験成績について説明させていただきます。  E2の推奨用量については、国内後期第II/III相試験において、プラセボに対する有意 な骨密度増加が認められていること、0.5mgと1.0mgとでは1.0mgの方が骨密度の増加効 果が大きく、それらの安全性に大きな違いは見られていないことから、1.0mgとすること が適当と判断しました。LNGの推奨用量については、子宮内膜増殖抑制効果や安全性の 観点から、1日40μgとすることが適当であり、LNGの配合意義は示されていると判断 しました。  安全性については、国内後期第II/III相試験成績等からは大きな問題は認められていな いと判断しておりますが、ホルモン補充療法において、エストロゲンは必要最小用量で、 最短期間の投与が望ましいとされていること、エストロゲンの長期投与によって血栓塞栓 症、乳癌等の発現リスクが上昇するとされていることなどを踏まえ、ウェールナラ配合錠 及びジュリナ錠0.5mgを使用する場合は、漫然と投与することなく、定期的にリスク・ベ ネフィットを勘案しながら投与継続の判断を行うべきであると考えます。以上のことを踏 まえ、製造販売後には、長期投与時の安全性情報を収集するとともに、エストロゲン製剤 にかかわる最新情報を適切に臨床現場に提供していくことが重要と考えております。  以上のとおり、総合機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、 医薬品第一部会で審議されることが適当と判断いたしました。  ウェールナラ配合錠については、新医療用配合剤であることから、再審査期間は6年と することが適当であり、生物由来製品及び特定生物由来製品に該当せず、原体及び製剤は、 毒薬又は劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。  ジュリナ錠0.5mgについては、新効能医薬品であることから、再審査期間は残余期間と することが適当であると判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議のほど、よろしくお願い申し上げます。 ○村勢委員 ありがとうございました。それでは、委員の先生方、御質問なり御討議をお 願いいたします。 ○清水委員 直接表記のあることではないのですが、可能性としてお伺いしたいのですけ れども、同成分でテープ剤が既に発売されているわけですが、テープ剤から内服剤に切り 替えるということが臨床の場で発生してくる可能性があるのかなと思うわけです。その切 替えをするに当たっての注意事項については、議論がなされたのでしょうか。 ○機構 特段、切替えに何か注意するということは議論には出ていません。この薬剤の開 発コンセプトとして、先生がおっしゃるように、今のところ、閉経後骨粗鬆症の効能を持 っているエストロゲン製剤は貼付剤しかない。その貼付剤も、局所の刺激作用、あるいは 入浴等の関係から貼付剤を好まない人も少なくないということで、貼付剤とこちらの経口 剤を使い分けられる、あるいは貼付剤で皮膚の刺激等から切り替えられる人もいるであろ うということは当然想定しているのですが、切り替えたときにどうであるかということ は、特に今まで議論はしておりません。 ○清水委員 貼付剤というのは、2日間投与で貼り替えるという使い方が一般的かと思い ますが、そのタイミングなどは特段問題にはならないと考えてよろしいでしょうか。 ○機構 貼付剤のものにもよると思うのですが、はがして、その後すぐにエストロゲンの 濃度が下がるものがほとんどであるので、それぞれの貼付剤の添付文書などを参考にして いただいて内服薬の投与開始時期を設定していただければ、それで大丈夫なのかなと判断 しています。 ○清水委員 ありがとうございます。もう一点、枝葉のことで申し訳ありません。販売名 が、医療事故防止の観点から、「ウェルナラ」から「ウェールナラ」に変更になったとい う記載がありますが、「ー」が一つ入ることによる影響というのは、どの辺にあるのでし ょうか。 ○機構 類似名称の検討におきまして、「ウェルビー」という薬剤が存在するということ で、その結果、当初は「ウェルナラ」という名称を付けておりましたが、類似名称の観点 で違う名称に変更されたということでございます。 ○清水委員 ありがとうございました。 ○村勢委員 ほかにどなたか御意見はございますでしょうか。 ○機構 すみません、訂正させていただきますが、資料14のウェールナラ配合錠、ジュ リナ錠0.5mgの「再審査期間」というところで、[2]のジュリナ錠のところが4年と記載さ れておりますが、ここは「残余期間」というふうに訂正させていただきたいと思います。 ○村勢委員 ほかに御意見はございますでしょうか。特に御意見がございませんようでし たら、議決に入りたいと思います。なお、永井委員、野田委員におかれましては、薬事分 科会の申合せ事項に基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。い かがでしょうか。特に御異議がないようでしたら、本薬の承認を可とさせていただきたい と思います。ありがとうございました。本医薬品に関しましては、薬事分科会に報告させ ていただくことにいたします。  それでは、議題4に入ります。西澤委員におかれましては、引き続き、本議題の審議の 間、別室に御待機いただくことにいたします。それでは、総合機構から概要の御説明をお 願いいたします。 ○機構 それでは議題4、資料4-1及び4-2、医薬品ホスレノールチュアブル錠250mg、 同500mgの製造販売承認の可否等について、機構より御説明申し上げます。  慢性腎疾患患者では、腎機能低下によるリン排泄の低下や副甲状腺ホルモンの分泌亢進 等により血清カルシウム濃度及び血清リン濃度の上昇が認められますが、このような骨ミ ネラル代謝異常は骨線維症や骨軟化症の骨病変を引き起こし、長期的には過剰なリンやカ ルシウムがリン酸カルシウムとして沈着することによる血管を含む全身の石灰化に関与 するとされております。そのため、透析施行中の慢性腎不全患者に対しては血清リン濃度 を抑制するための食事指導とともに、食物由来のリンの吸収を抑制する目的で経口的にリ ン吸着剤が用いられています。しかし、代表的なリン吸着剤であるカルシウム製剤は血清 カルシウム濃度の上昇を引き起こし、非カルシウム性のリン吸着剤の塩酸セベラマーは便 秘などの有害事象により充分量が投与できないといった問題点が指摘されております。こ のような現状から、強力なリン結合作用を有し、カルシウム負荷のない新規なリン吸着剤 の開発が望まれております。  本薬、炭酸ランタンは、食物中に含まれるリン酸と本薬中のランタンが結合し極めて難 溶性の塩を形成することで、消化管からのリンの吸収を抑制する作用を有し、透析施行中 の慢性腎不全患者の血清リン濃度のコントロールが可能となることが期待され、開発され ました。  本剤はスウェーデンにおいて2004年3月に、アメリカでは2004年10月に承認され、 2008年5月現在、世界35か国で承認されております。  本品目の専門協議では、本日の配付資料15に示しますような専門委員が指名されてお ります。  品質及び非臨床試験成績に関して、特に問題は認められないと判断してございます。  臨床試験成績としては、国内臨床試験9試験及び海外臨床試験1試験が評価資料として 提出されております。  まず、有効性に関してですが、血液透析施行中の高リン血症患者を対象に、本剤又は炭 酸カルシウムを投与した国内二重盲検比較試験において、主要評価項目である「観察期終 了時からの血清リン濃度の変化量」において、本剤の炭酸カルシウムに対する非劣性が示 され、また、本剤の用量を調整しながら投与することで目標血清リン濃度(5.5mg/dL以下) への到達が可能であることが確認されたため、本剤の有効性は認められると判断いたしま した。  また、安全性に関してですが、提出された臨床試験成績からは、特に悪心及び嘔吐の発 現率が炭酸カルシウム群と比べて本剤群で高かったものの、臨床的には忍容可能と判断い たしました。  一方、腹膜透析施行中の高リン血症患者を対象とした国内一般臨床試験の結果より、腹 膜透析施行中の患者においても血液透析施行中の患者と同様に本剤の有効性は期待でき、 また、血液透析施行中の患者と比較して特段問題となるような有害事象は認められなかっ たことから、腹膜透析施行中の患者においても本剤を使用することは許容できると考えま した。  ただし、国内外の長期投与試験において、本剤を1年及び2年投与した患者において骨 中ランタン濃度の増加が認められています。しかし、非臨床試験において骨に対する影響 は認められておらず、また、現時点までの国内外の臨床試験成績及び海外の市販後の使用 経験において、骨に特有の有害事象は認められておりません。このように、本剤の骨に対 する安全性上の問題として明確に認められたものはありませんが、長期的にはランタンの 蓄積により骨代謝を含む骨への影響が現れる可能性もあることには十分に留意しておく 必要があると考えております。そのため、製造販売後には、本剤長期投与時の骨への影響 に関する情報を積極的に収集し、その影響を検討していく必要があると考えました。製造 販売後調査としては、登録症例数3,000例、1症例当たりの観察期間を約5年間とする、 長期使用に係る特定使用成績調査を実施することを予定しております。  以上、機構での審査の結果、本剤の透析施行中の慢性腎不全患者への有効性は認められ、 安全性は忍容可能であることから、効能・効果を「透析中の慢性腎不全患者における高リ ン血症の改善」とすることが適当と判断し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判 断いたしました。  なお、本薬は生物由来製品又は特定生物由来製品に該当せず、原薬及び製剤は劇薬又は 毒薬に該当せず、また、新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は8年とする ことが適当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。  御審議をどうぞよろしくお願い申し上げます。 ○村勢委員 ありがとうございました。それでは、委員の先生方、御意見あるいは御質問 などをよろしくお願いいたします。 ○清水委員 この薬剤の服用時期が食直後の設定になっているわけですが、主たる理由と しては消化器管への影響と理解してよろしいのでしょうか。 ○機構 本剤のメカニズムとしては、食物中に含まれるリン酸と結合してリンを排泄する 形になってございますので、食直後に本剤を服用するという形で注意喚起させていただい ています。また、臨床試験もそのような形で実施されてございます。 ○清水委員 ありがとうございました。 ○永井部会長 吸収阻害作用はpHに依存すると書いてあったと思いますが、そうする と、プロトンポンプ・インヒビターとか、胃の全摘をしているような場合には効果はどう なのでしょうか。 ○機構 臨床試験において制酸剤を投与している患者、また制酸剤を投与していない患者 で血清中のリン濃度を比較したところ、大きな変化は認められていないため、そちらに関 しては大きな影響はないかと今のところ判断しております。 ○永井部会長 もう一点、ランタンの毒性は検討されているのでしょうか。 ○機構 今回の毒性試験においては、炭酸ランタンを経口投与して行った毒性試験と、塩 化ランタンを静脈内投与して行った毒性試験がなされております。ですので、ランタンそ のものという試験は行われていませんが、若干ではありますけれども、吸収はされまして、 そちらの毒性については評価はされております。 ○村勢委員 ほかにどなたか御意見などはございますでしょうか。ありがとうございまし た。そのほかに御意見がないようでしたら、議決に入らせていただきます。なお、永井委 員、野田委員、林委員におかれましては、薬事分科会申合せ事項に基づきまして、議決へ の参加を御遠慮いただきたいと思います。本剤につきまして、承認を可としてよろしいで しょうか。特に御異議がないようでしたら、承認を可とし、薬事分科会に報告させていた だきます。  それでは、議題5、グラスピア錠200mgの製造販売承認の可否等について、に入りたい と思います。西澤委員におかれましては、引き続き、本議題の審議の間、別室で御待機い ただくことといたします。それでは、機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題5、資料5-1、5-2、グラスピア錠200mgの製造販売承認の可否等について、 機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるピルフェニドンは、抗線維化作用を有する低分子化合物であり、 今般の申請は、「特発性肺線維症」を効能・効果とするものです。「特発性肺線維症」は、 慢性かつ進行性の経過をたどり、高度の線維化が進行して不可逆性の蜂巣肺形成を来す予 後不良の難治性疾患であり、有効な治療法に乏しく、本邦での推定患者数は14,000人程 度とされていることから、本剤は1998年9月に希少疾病用医薬品に指定されております。 海外においては、本剤は承認されておらず、現在、米国のInterMune社が、米国及び欧州 において特発性肺線維症を対象とした第III相試験を実施中です。  本申請の専門委員としては、資料15に記載されております10名の委員を指名いたしま した。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  品質、薬理、薬物動態に関する資料については、特段の問題は認められないものと判断 しております。  毒性に関する資料については、本薬は皮膚光毒性を惹起し、光毒性と近接する濃度で光 遺伝毒性も惹起することが示されており、臨床試験においても光線過敏症が約50%の発現 率で認められていることから、本剤の臨床使用に際しては、光曝露に伴う皮膚での発がん に十分な注意が必要と考えられます。本疾患の重篤性、治療の現状を考慮すると、当該リ スクは許容可能なものと判断しておりますが、患者にそのリスクを説明し、理解を得た上 で投与を開始すること、適切な紫外線予防対策を講じた上で使用することなどを添付文書 の警告、重要な基本的注意等に記載し、注意喚起することとしております。  次に臨床に関する資料については、特発性肺線維症患者271例を対象とした第III相プラ セボ対照二重盲検群間比較試験が実施された結果、有効性主要評価項目である投与前値に 対する投与52週後又は最終評価時点の肺活量の変化量は、本剤1800mg/日群で-0.09L、 本剤1200mg/日群で-0.08L、プラセボ群で-0.16Lであり、本剤投与による肺活量の有意 な低下抑制が認められております。本剤での肺活量の変化については、プラセボを対照と した第II相試験でも同様の結果が得られており、これらの結果から、機構は、本剤につい て一定の有効性は示されたものと判断しておりますが、肺活量は特発性肺線維症の有効性 評価として十分に確立されたものではなく、また、今般認められたプラセボとの差は数値 的にはわずかであったことなどから、本剤の有効性については、製造販売後調査等におい て更に確認する必要があると考えております。  安全性については、前述のとおり、光線過敏症が本剤に特徴的な副作用であり、約半数 の患者で認められております。また、食欲不振、胃不快感等の胃腸障害、γ-GTP上昇等 の肝機能検査値異常などもそれぞれ15〜20%程度で認められていることから、製造販売 後調査において、長期使用時における皮膚癌の発現の可能性等も含め、使用実態下での安 全性を更に検討するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適当と判断いたしました。本剤は新有効成分含有医薬品で、対象疾患 が希少疾病であることから、再審査期間は10年間、原体及び製剤は劇薬に該当し、生物 由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分科会 では審議を予定しております。  なお、本剤の販売名は、リスクマネージメントの観点から、「グラスピア錠200mg」か ら「ピレスパ錠200mg」に変更される予定となっております。  以上、よろしく御審議のほどお願いいたします。 ○村勢委員 ありがとうございました。それでは、本剤につきまして、先生方、何か御意 見あるいは御質問がありましたらよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 この書類に目を通しまして、薬のメカニズム、どういう薬なのかが全く分 からなかったのですが、これは既に説明されているものなのでしょうか。 ○機構 本剤が直接作用する分子標的が何かというところはまだ解明されておりません が、増殖因子の産生抑制、線維芽細胞の増殖抑制、コラーゲン産生抑制等、そういったも のの総合的な作用によって抗線維化作用が発現すると考えられております。 ○永井部会長 このメカニズムに関して、論文は出ているのでしょうか。 ○機構 世界中でいろいろな作用機序を解明するための研究がされているのですが、残念 ながら、in vitroの試験で、実際に臨床で投与されたときの血中濃度で発現し得るよう な作用標的はまだ見つかっていないという状況です。 ○村勢委員 いかがでしょうか。海外では今、臨床試験を実施中であるということで、世 界初の発売にもなるようですし、特に光線過敏症とか、安全性の面でも問題が解決されて いるとは言えないと思いますが、その辺も踏まえて、どなたか御意見などがありましたら お願いいたします。 ○清水委員 用量のところの確認をさせていただきたいのですが、最終的に1日1,800mg まで増量するというプロトコールで調査されてきたかと思うのですけれども、添付文書の 用法・用量の最後に「症状により適宜増減する」という記載があるのですが、「増」とい うのはあり得ることなのでしょうか。「適宜減量」が適切かと思うのですが。 ○機構 本剤に関しましては、胃腸障害や光線過敏症の影響で、投与中に減量あるいは休 薬等が必要になってくる患者さんが見られております。そういった患者さんでは、いった ん減量するのですが、症状等が軽減した場合には再度の増量も可能であるというところも 踏まえて、そういった記載になっております。 ○清水委員 これは1,800mgについて更なる増量があり得るという記載ではなくて、いっ たん減量した患者さんについて、その状況において、再度1,800mgまでの範囲での増量が あり得るということですか。 ○機構 臨床試験は1,800mgまでの用量で実施されておりますので、基本的には最高用量 としては1,800mgということになるかと思っております。 ○清水委員 そこのところの記載をもう少しきちんとされておいた方が、誤解がなくてよ ろしいのではないかと思います。 ○審査管理課長 まれな病気で、しかも非常にコントロールすることが難しいものでござ いますから、そういう意味で申し上げますと、ある程度、個々の症例に応じて医療の現場 でやっていただくことが必要なのだろうと考えています。  一方におきまして、安全性の面からは、「用法・用量に関連する使用上の注意」で、胃 腸障害等の発現時には減量、休薬をする、というようなことが書いてありまして、こうい う非常に難しい病気においては、臨床の現場、専門の先生方の手にある程度お任せせざる を得ないのかなと考えています。 ○清水委員 1,800mgを超えての使用もあり得るということですか。 ○審査管理課長 症状によっては、当然のことながら、増減と書いているわけですから、 そういう例をここでは規制していないということが一番正しいのだろうと思います。 ○村勢委員 投与量と光線過敏症の関係というのは何か分かっているのでしょうか。 ○機構 血中濃度に従って光線過敏症や胃腸障害等の副作用が増加するという傾向は見 られているのですが、実際、1,200mgと1,800mgの比較試験が行われているのですけれど も、そちらで見ます場合には発現率の差というものは見られておりません。ただ、曝露量 が少ないと症状の程度等がやや軽くなるという傾向は見られております。 ○永井部会長 これは細胞膜に効くのか、シグナル系に効くのか、転写系に効くのか、作 用機序の実体が少しでも分かっていないと、使う方も怖いと思うのですが、いかがですか。 ○機構 作用機序が分からないということは専門協議でもかなり問題になりました。実際 問題、分かりません。今後も引き続いて作用機序の解明を行うようにという指導はさせて いただいております。 ○村勢委員 作用機序がまだはっきりしていないということだそうでございます。恐ら く、臨床的な要望が非常に強いのではないかと推測はします。また、希少疾病でもありま すし、その辺のことも考えた上で判断しないといけないかと思います。ほかにどなたか御 意見がありましたらお願いいたします。 ○中澤委員 やはり作用機序のことですが、添付文書(案)を見ますと、「薬効薬理」のと ころに、サイトカインに対する影響が線維化形成に関与する因子の産生抑制などを介して 何かをするらしいというスペキュレーションが書かれています。線維化にこういった増殖 因子が関与しているという文献は、ここには社内資料でしか引用されていませんが、もっ と一般的な専門誌みたいなところに載っている文献等はないのでしょうか。 ○機構 もともと特発性肺線維症といいますものは原因不明の肺線維症ですので、臨床の 方はまだよく分かっておりません。ただ、薬理試験で用いていますブレオマイシン誘発肺 線維症モデルにつきましては文献報告がされていまして、その病態モデルの中で動いてく る線維化にかかわるサイトカインというものは明らかになっております。本モデルを用い たin vivoの試験結果に見る限りにおいては、本薬を投与すると線維化に関与するサイト カインの動きを抑制しているということは調べられております。 ○中澤委員 実際のこの病気の線維化と同じかどうか分からないけれども、そういったモ デルのようなものでは一応効いているということですか。 ○機構 in vivoの試験系では、線維化にかかわるサイトカインのレベルの産生抑制が認 められております。ただし、どうしてそれが産生抑制されるのかというところがまだ分か らないというところです。 ○村勢委員 いかがでしょうか。御意見がかなり作用機序の問題に集中しているようでご ざいますが、機構の方から何か追加することはございますか。 ○機構 特にございません。 ○中澤委員 本質とは全く関係ないことですが、11ページの「副次的薬理試験」のとこ ろで、1)に「11%の抑制傾向を示した」、2)に「19%の抑制傾向を示した」と書いてあ るのですけれども、この「傾向」という言葉は不要に思うのですが。 ○機構 「傾向」を記載した意味は、統計学的な有意差が認められないということで「傾 向」が付けられているものと思われます。 ○中澤委員 有意差が見られなかったのですか。「非臨床試験の概括評価」の2.4-5の免 疫抑制作用のところに、「11%の抑制と弱く、有意差も認められなかった」と、有意差が 見られなかったから、これは傾向であると記したということですね。 ○機構 そういうことです。 ○中澤委員 分かりました。どうもありがとうございました。 ○村勢委員 ほかに御意見はございますでしょうか。御意見がございませんようでした ら、議決に入らせていただきたいと思います。なお、永井委員におかれましては、薬事分 科会の申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本剤に 関しまして、承認を可としてよろしいでしょうか。いかがでしょうか。特に御異議がない ようでしたら、承認を可とさせていただきます。なお、本剤は新有効成分であり、既存の 類薬がありませんので、薬事分科会に上程し、審議することとさせていただきます。以上 でございます。 ── 西澤委員入室 ── ○永井部会長 ありがとうございました。本日の議題は以上でございます。事務局から連 絡事項等をお願いいたします。 ○事務局 次回の部会でございますが、既に御案内のように、10月27日(月)午後4時か ら開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。以上でござい ます。 ○永井部会長 それでは、本日はこれで終了させていただきます。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)