08/08/29 第4回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会議事録 第4回精神保健福祉士の養成の在り方等に関する検討会 平成20年8月29日(金)10:00〜12:00 金融庁共用第1特別会議室 ○京極座長 それでは、定刻となりましたので、ただいまより第4回「精神保健福祉士の 養成の在り方等に関する検討会」を開催させていただきます。  構成員の皆様方におかれましては、大変御多忙の中、御参集いただきましてありがとう ございます。  まず、事務局から報告事項をお願いいたします。 ○吉川障害保健専門官 このたび事務局に異動がございましたので御紹介させていただ きます。7月11日付で、障害保健福祉部長に木倉が就任しておりますが、前回の検討会 を欠席させていただいておりましたので、ここで一言ごあいさつを申し上げたいと思いま す。 ○木倉障害保健福祉部長 改めまして、ごあいさつ申し上げます。  7月の異動で障害保健福祉部長にまいりました木倉と申します。どうぞよろしくお願い 申し上げます。  精神保健福祉士の資格制度ができまして10年ということでありますが、その役割はま すます専門的になっております。中でも国の仕組みとしましても、自立支援法もですが、 医療観察法あるいは自殺対策基本法が施行され、精神保健福祉士の期待される役割あるい は求められる資質ということもますます大きくなっているかと思っております。その中で 御熱心に御検討いただいていると伺っております。引き続きましてよろしくお願いいたし ます。 ○吉川障害保健専門官 続きまして、本日の構成員の出席状況について御報告させていた だきます。  古川構成員が、所用により欠席との御連絡をいただいております。  寺谷構成員につきましては、少々到着が遅れている御様子でございます。  また、木倉部長は所用により中座させていただくことをあらかじめ御了承ください。  報告事項は以上でございます。 ○京極座長 それでは、続いて資料の確認を行いたいと思います。  事務局より、よろしくお願いいたします。 ○吉川障害保健専門官 それでは、本日の資料の確認をさせていただきます。  まず、議事次第、座席表、構成員名簿  資料1「求められる精神保健福祉士の役割について(案)」  資料2「求められる役割を踏まえた対応について(案)」  参考資料といたしまして「精神保健福祉士法(平成9年法律第131号)」  資料の不足、乱丁等ございましたら事務局までお申し付けください。  資料の確認は、以上でございます。 ○京極座長 さて、議事に入りますが、本日は求められる精神保健福祉士の役割について、 前回の議論を踏まえまして修正された資料が出されております。これについて事務局より 御説明いただき、まず、資料内容を確定させ、その後で求められる役割を踏まえた対応に ついてというテーマについて、資料に基づいて説明していただき、御議論いただくことと しております。  まず、資料1「求められる精神保健福祉士の役割について(案)」について御説明いただ きたいと思います。 ○吉川障害保健専門官 それでは、資料1「求められる精神保健福祉士の役割について (案)」について御説明申し上げます。  前回、第3回検討会におきまして、構成員の方から精神保健福祉士がだれを対象にどの ような支援を行うのか明確にした上で、精神保健福祉士のアイデンティティを明確にする 必要があるのではないかという御意見をいただきました。  そのような御意見を踏まえ、今回はページ数を増やし、精神保健福祉士の役割を大きく 2つに分けて整理をさせていただきました。  まず、1ページをお開きください。こちらは、制度創設当時に求められた精神保健福祉 士の役割といたしまして、まず、精神障害者の社会復帰を支援する人材が求められ精神保 健福祉士が誕生したこと。  その下には、精神保健福祉士の定義においても、精神科病院等の施設において、精神障 害者の社会復帰に関する相談、援助を行うことが役割であることをお示ししてございます。  2ページ、こちらには精神保健福祉士が誕生してから、これまで10年間における役割 の変化についてまとめております。  前回の検討会資料におきましては、技術の広がり、活動範囲の拡大、支援の多様化の変 化を直線的に表現しておりましたが、これらはお互いが関連し合いながら変化をしてきて いるといった御意見をいただきまして、今回の資料ではこのように重なりあった形に修正 をさせていただきました。  3ページ、こちらに精神保健福祉士の役割につきまして、まず、(1)のように、精神保健 福祉士の中核の業務として担うべき役割が、資格創設当時に求められておりました精神障 害者の社会復帰の支援に精神障害者の地域生活の支援が加わってきたことをお示ししてお ります。  更に、この10年間におきまして、活動範囲の拡大や求められる支援の多様化が認めら れ、これらを(2)精神保健福祉士の広がった役割とし、大きく2つの役割の変化として整理 をさせていただきました。  4ページ、こちらには、まず、精神保健福祉士の中核の業務として担うべき役割といた しまして、精神障害者の社会復帰を支援する役割につきましては、今後も中核の業務とし て重要な役割であり、精神障害者の地域生活の支援を加えて、精神障害者を支援する専門 職として最も重要な役割であると整理をさせていただきました。  5ページ、前回の資料におきまして役割と手法が混在しているといった御意見をいただ いておりましたので、今回はその辺りを整理いたしまして、まず、具体的な役割として1 つ目の○にあります。精神障害者の社会復帰する支援と、2つ目と3つ目の○にございま すように、在宅医療・福祉サービスの調整、日常生活上の訓練、住居、就労に関する支援 や社会資源の整備と地域づくりなどの地域における支援にまとめさせていただきました。  その下には、それらの役割を遂行するための技術として、ケアマネジメント、コンサル テーション、ネットワーキングを挙げさせていただきました。  6ページ、こちらにはこの10年間の精神保健福祉士の広がった役割につきまして、精 神保健の課題の拡大を背景として、職域の拡大に伴う役割と求められる支援の多様化に伴 う役割が広がってきたと整理をさせていただきました。  7ページ、こちらにつきましては、(2)−1、職域の拡大に伴い役割といたしましては、 具体的に行政に関する分野、司法に関する分野、教育に関する分野、労働に関する分野の 役割などと整理をさせていただいております。  その下の(2)−2、求められる支援の多様化に伴う役割としましては、これまでの統合失 調症のみならず、うつ病等の気分障害や認知症、そして発達障害などへの対応が求められ るようになったと整理をさせていただきました。  資料1の説明につきましては、以上でございます。 ○京極座長 大分よく整理されていると思います。ただいまの説明につきまして御意見や 御質問など構成員の方は挙手をお願いいたします。なお、この内容については前回多くの 御意見をいただいておりますので、今回でできれば確定させていただきたいと考えており ますので、御意見はなるべく簡潔にお願いしたいと思います。 ○寺谷構成員 資料の7ページに関連してなんですが、職域の拡大に伴う役割に関連させ て、是非、福祉人材の確保方法というのが、先般、通過していると思うんですが、この件 に関しても、人材確保の側面からも少し触れていただけると、具体性があると思いました。 ○京極座長 具体的にはどういうことでしょうか。 ○寺谷構成員 具体的には、必置義務ですとか、任用制度の在り方にも触れてはいかがで しょうか。余り複雑になってしまうようでしたら、ここでは役割として述べているだけな んですが、この役割に関して何ら異論はございませんけれども、この役割が広く必要とし ている人々の身近にできるような枠組みですとか、制度というところに少し配慮をいただ ければと思いました。 ○谷野構成員 言わないでおこうと思ったんですけれども、寺谷さんとある意味では同じ ようなことを考えていて、ある意味では全く反対のことを考えていたのは、必置義務とか、 そういうマンパワーの確保というのは非常に大事なことだけれども、今、どういうことが 起こっているかといいますと、福祉職としてせっかく福祉職で教育したのが、一般企業に 多く流れているんです。そういう現実があります。  その一因は、給料がなかなか上がらない、特に福祉分野では。PSWの方がまだいいの かもしれませんが、必置義務とか何とかということになると、いろんなファクターを考え ていかないと、慎重にしなければ、必置義務ありきだとなかなか現場が混乱する。寺谷さ んが言うようなPSWだけではなくて、福祉職全体の必置義務を言っているんだろうと思 いますから、そこら辺は、そういうことを頭に入れながら、人材養成の数あるいはマンパ ワーの掘り起こし、勿論、待遇の問題とか、いろいろ複合的な要素があります。頭から必 置義務ということを明記してしまいますと、特に今の現状では非常に難しいと思うんです。 ○京極座長 お二人からの意見は、本質的には同じなんでしょうけれども、大分表現の違 った御意見が出ましたけれども、求められる役割を踏まえた対応についてのところでも議 論ができる気がいたしますので、とりあえず承っておきたいと思います。 ○大塚構成員 大分いろいろと議論が出たことが踏まえられてまとまっていると思うの で、基本的には了解したいと思っておりますが、特に、7ページは具体的な役割のところ で主だった4本の柱という形で最後に等も付いていますし、これはあくまでも主だったも のということで、押さえておくということで了解をしたいと思います。  前回の議論のときに、予防とか普及啓発に関するところにつきまして私は随分こだわり を持って発言させていただき、福島課長や鹿島先生からいろいろ御意見をいただきました。 今回書かれなかったわけですけれども、今ちょうど「今後の精神保健医療福祉のあり方等 に関する検討会」も行われているところで、予防とか普及啓発の話が多く出ているという 観点から、そこは具体的には書き込まれなかったものの、そこにも私たちだけではないの ですが、貢献ができる職種として今後報告をまとめていく中では、少しそこの役割の果た し方については検討中であるとか、何か課題が残っているみたいなことが盛り込まれてい くといいと思います。今回書かれなかったということで残っているんだろうなということ を一応確認しておきたいと思いました。 ○京極座長 ほかにどうでしょうか。今、出た7ページのところは、従来の精神科病院や 社会復帰施設に加えて、こういうプラスの面が広がっているということだと思います。そ ういう中で予防という問題が一つ大きな課題としてあるという御指摘だと思います。 ○石川構成員 今と同じような観点からでありますが、この役割を明確にすることによっ て、資格法自体を変えていくという根拠として、この役割を明確にしているという作業な んだろうと思うわけでありますが、そうしたときに、法制度の枠の中で考えていくという 枠組みで見てまいりますと、やはり具体的な役割がここに並ぶんだろうと思いますが、そ れらを横にまたがるような課題も幾つかここに重なり合うような部分もあるわけです。で すから、それは大塚委員がおっしゃるように、等でくくればいいのかなと思います。  例えば自殺の問題等を考えますと、これは重なってくるわけでありますので、そうした ようなことも含めて等の中に含まれている、ないしは、資格を変えていくべき根拠として、 これからの10年を見据えるようなことを踏まえて役割を考えているというような、今度 の中間報告書にまとめる段階ではそうしたトーンでお書きいただけるといいかと思ってお ります。 ○京極座長 例えば国民に対する精神障害者の偏見とか、そういう問題について啓発ある いは予防活動というのは、他の分野のソーシャルワーカーと比べて、より任務が大きいん ではないかという御指摘かと思うんですけれども、その辺は一つ考慮いただくということ で、ほかにいかがでしょうか。 ○鹿島構成員 大塚先生がおっしゃった予防活動につきましては、啓蒙活動も含めて精神 保健福祉士の方に是非やっていただければと思います。当然、養成課程においても取り上 げられてはと思います。ただ早期発見、早期介入については、場合によってはまだいろい ろと考えねばならない問題はあるかと思います。 ○新保構成員 役割が多様化してきているということは事実でしょうけれども、余りにも 役割が、あれもこれもという形になると、元来のアイデンティティがしっかりと担保され ない状況も生まれてきます。それは、アイデンティティの拡散ということになってしまっ て、精神保健福祉士が一体何をやる人なのかというのが見えなくなる、それは困るだろう と思います。  広い意味では、これは石川先生がおっしゃった、横にずっと連なるものといいますか、 規定になるようなものとしてメンタルヘルスに関わる福祉支援の課題が顕在化してきたと いうようなことが言えるんだろうと思いますので、そういった形でくくっていける大きい 枠組みであれば、いいのかなと思っています。  その中で、具体的に何が役割となるのかと考えますと、先ほど予防啓発の話がありまし たけれども、啓発というのは、さまざまな支援を行う上で欠かせない課題です。殊に精神 障害者の、暮らしに関わる課題は、啓発抜きには考えられません。そういう意味でも、そ ういったことをしっかりと担保できるような大枠の理念みたいなものが、まず、どこかに 書かれていると、この後の議論がしやすいのかという思いがしております。 ○京極座長 ただいまいろいろ御意見をいただきましたけれども、あとは事務局と調整の 上、資料の整理を行うところがあれば行いたいと思います。  よろしいでしょうか。  もし修正案的なものができましたら、事務局で各構成員の皆様方に御連絡させていただ くということにしたいと思います。  続きまして、資料2、求められる役割を踏まえた対応について(案)について説明をい ただきたいと思います。 ○吉川障害保健専門官 それでは、求められる役割を踏まえた対応について(案)を御説 明させていただきます。  まず、1ページ、こちらにつきまして求められる役割を踏まえた対応について、精神保 健福祉士の役割が精神障害者の社会復帰の支援に加え、地域生活を支援することも中核と していること明示するとともに、地域生活の支援においてその役割を十分に果たすために は、医療関係者に加えて他職種・関係機関との連携が不可欠であることについても明記す べきではないかといたしました。  その上で、この役割を適切に遂行できる人材養成することを目標に、資格取得前におい ては、この役割に必要となる知識及び技術を習得できるようカリキュラムを充実させ、特 に、実習・演習に関しては、相談援助技術が一定の水準に達するよう、その質を高めるべ きではないか。また、資格取得前のみならず、資格取得後の資質の向上についても明示す べきではないか。  上記を踏まえ、以下のように対応してはどうかというふうにいたしました。  そして、具体的には、2ページ目の方になります。まず、2ページ目の(1)精神保健福祉 士の役割の理解の深化についてでございます。  こちらの現状・課題といたしまして、精神保健福祉士制度が施行され、10年が経過した 現在において、精神保健福祉行政の最大の政策課題の一つである長期入院患者を中心とし た精神障害者の地域移行が十分に進んでいない状況にあり、精神障害者の地域移行を更に 促進するとともに、安心して地域で暮らせるための支援が求められているとまとめさせて いただきました。  こちらについての対応案といたしまして、現行の法律においては、精神保健福祉士は精 神障害者の社会復帰の支援を担うものとされておりますが、これに加え、精神障害者の地 域生活の支援を担うものであることについても明示すること等により、本資格に求められ ている役割についての理解の深化を促すべきではないか。  その上で、この役割を適切に遂行できる人材を養成することを目標とした教育を行うべ きではないかと整理をさせていただきました。  3ページ、こちらが、(2)他職種・関係機関との連携の重要性の明示についてでございま す。  こちらの現状と課題といたしまして、精神障害者の地域生活を支援するに当たり、医療・ 福祉・就労など多様化する精神障害者等のニーズに対応した、より有効なサービスを効果 的かつ包括的に提供することが求められているといたしました。  こちらの対応を案といたしまして、医療・福祉・就労など多様化するニーズに対応する ためには、それらの領域の専門職種・関係機関と連携を図りながら支援をすることが必要 となりますが、現行の法律は医療関係職種との連携を図ることについてのみ規定されるこ とから、これに加え福祉・労働などのさまざまな領域の専門職種・関係機関との連携を図 ることについても明示すべきではないか。  その上で、他職種・関係機関との連携を実践できることを目標にして、必要な知識及び 技術の教育を行うべきではないかと整理をさせていただきました。  4ページ、(3)のカリキュラムの充実についてでございます。  こちらの現状・課題といたしまして、精神保健福祉士制度の施行から現在に至るまでの 間に、精神保健福祉士を取り巻く環境や求められる役割について変化があったが、これま で、この変化に対応して精神保健福祉士としての必要な知識及び技術が習得できるような カリキュラムへの見直しが行われていないと整理をさせていただきました。  こちらの対応案につきましては、精神保健福祉士の役割や他職種・関係機関との連携を 含め、今後、精神保健福祉士が中核の業務として担うべき役割である、精神障害者の社会 復帰及び地域生活を支援していく上で必要となる知識及び技術については重点的に、更に 職域の拡大や求められる支援の多様化に伴い広がった役割についても基礎的な知識を習得 できるよう、カリキュラムを充実させるべきではないか。  なお、カリキュラムの具体的な内容に関しては、上記を踏まえ、引き続き検討するとい うふうに整理をさせていただきました。  5ページ、こちらが(4)実習・演習にかかる水準の確保についてでございます。  実習・演習の現状・課題といたしましては、精神障害者の社会復帰及び地域生活の支援 を一層充実させるため、相談援助にかかる技術を習得する実習・演習の充実を図り、その 実践力を高める必要がある。  また、現在、養成施設における養成課程では、時間数や教育内容等の基準が定められて いるのに対し、保健福祉系大学等における養成課程では時間数や教育内容等について保健 福祉系大学等の裁量に委ねてきたことから、この2つの養成課程を経た学生が習得する技 術についてばらつきが生じてきたと整理をさせていただきました。  こちらの対応案といたしまして、精神保健福祉士の実践力を高めるために、養成施設に おける養成課程について、時間数の増や教育内容の充実等を図るとともに、保健福祉系大 学等における養成課程についても養成施設と同等程度の水準を確保すべきではないかと整 理をさせていただきました。  最後に、6ページ、(5)資格取得後の資質の向上についてでございます。  こちらの現状と課題といたしまして、精神保健福祉士を取り巻く環境について、今後も 変化することがあり得ることから、精神障害者等からのニーズに対し、常に適切な支援を 提供するためには、資格取得後の資質の向上が必要であると整理をさせていただきました。  こちらの対応案といたしましては、資格取得後の資質の向上については、資格を有する 者の意識によるところが大きいことから、法律上明示し、資格を有する者に対し、その重 要性についての意識の醸成を促すべきではないか。  また、併せて資格取得後の資質の向上のための対応の在り方について引き続き検討する こととするとまとめさせていただきました。  資料2についての説明は、以上でございます。 ○京極座長 ただいまの御説明について、御意見、御質問のある構成員の方は挙手してお 願いいたします。  これも是非皆さん全員に、御発言いただきたいと思います。 ○谷野構成員 先ほど、寺谷さんが言ったようなことと、私が言ったことは、ここら辺に 関係してくるんだろうと思います。まず一般論から言えば、精神保健福祉士ですら、ある いは社会福祉士は、社会福祉とか福祉職の大学を出て教育を受けてきても、一般企業に入 ってしまう。PSWの教育を受けてきている人ですら、昔を言うと、1人か2人募集する と10人ぐらい来るんですけれども、このごろは余り来ない。  ここでよく分析してほしいのは、せっかく教育を受けても、一般企業に行っているとか、 他分野に行っている人たちがどれくらいいるのか、これは前の課長補佐がよく言っていた のですけれども、ここら辺の分析をまずちゃんとしないと、寺谷さんが言ったように、必 置義務以前の問題です。  それから、福祉職でよく言われるように、マンパワーの枯渇というのは、これはすべか らく介護福祉士の業務とか、待遇の問題もあるでしょうけれども、一般企業へ行ってしま っている人がいるわけで、ここら辺の動向を一遍調べないと、絶対的に教育数が足りない のか、それとも教育はまあまあやっているんだけれども、ほかの一般企業に行っているの か、そこら辺の問題が一つあります。  要するに、後の専門性とか何とかということは非常に大事なことだけれども、ただ、こ れは総論を書いてあるだけで、どこでどういうふうに専門教育をやるかということについ ては、何も書いていないので、それは大学教育の中でやるのか、あるいはPSW協会でや るのか、2つあると思います。PSW協会で、専門教育、生涯教育として、学会の専門医 制度みたいなものですね。それは、PSW協会でやるのか、あるいは大学教育の中で、例 えばPSWに専門性がある大学院がどこまであるのか、現状がよくわからないで言ってい るのですけれども、そこら辺は、P協会も、是非それについては、きちんとしないと、P SWの業務が広がっております。専門性が大事ですといっても、P協会自体が、今のまま では十分機能を果たしているというふうには思いません。そこら辺はどういうふうに考え ているのか議論してもらいたいと思います。  最後に、今からこういうこと言うのも非常に気が引けるのですけれども、全部すべから く精神障害者と書いてあるんですけれども、こういう表現がいいのかどうか。先ほど啓発 普及とか、予防とか何とかということを議論して、その後のところで、精神障害者という ような表現がいいのか、というのはちょっと引っくり返すような議論ですけれども、精神 障害者というのは、言ってみれば、これは固定した障害者になってしまうわけだから、そ のほかにどういう表現があるかなと思ったんですけれども、何かいい表現があれば、精神 障害者だけをPSWが、それだけに手を差し伸べているわけではないわけでしょう。  だから、そういうことを考えると、精神障害者という表現がいいのかどうかということ も、これは話をするとよけい混乱するから、余り深く考えてもらなくてもいいです。初め のことだけきちんと。 ○京極座長 大変大事な問題提起をいただきました。これについて何か委員の中で、私は こう思うとか、その辺で何かございましたらお願いいたします。 ○寺谷構成員 お隣の谷野先生に、恐縮なのですけれども、この文面から見ますと、第1 ページのところの社会復帰の支援というところに、連動させて精神障害者というふうに規 定しているんではないかと思います。  それに加えて、地域生活を支援するということになってきますと、ここに心のバリアフ リーですとか、さまざまなうつ病だとか、第1項の方で触れられた、余り疾患名を並べて、 どうということは、このところではありませんけれども、そういう地域生活支援を重点化 したような役割の中に含まれていくというふうに、私はそう考えて、ここは理解しており ました。 ○新保構成員 今の精神障害者という事柄に関わってですけれども、先ほど私が申し上げ たと思うのですが、私は啓発については、言わば思想や価値だけを述べようと思ったわけ ではございません。いわゆるメンタルヘルスに係る福祉支援が顕在化してきたんだという 言い方を私はしたと思うのです。そのことをどのように規定していくか、概念化していく かというのが課題だと思いますが、一長一短で解決できる問題ではないと思っております。  いずれにしましても、そういったことは考えていく必要があるだろうということです。 併せて資料2について、少しお話をさせていただきたいと思います。  現況では、いわゆる精神障害者に関わっての議論ということになりますので、改めて精 神障害者について話をさせていただきますけれども、例えば2ページで、この資格に求め られている役割についての理解の深化を促すべきではないかと、こう書かれているわけで ございますけれども、まさにこれは先ほど来申し上げております、精神障害者が置かれて いる現況に対してどのように対応していくべきなのかということに帰結するといえます。 そこに私は啓発の必要性とかというものが絡んでいるんではないかという思いがあったも のですから、今までのようなお話をさせていただいたわけです。  いずれにしましても、このことを精神障害者を対象にして具体化していくためには、ま ずは精神障害者に対する国民の負の意識の実態を改善していく必要が現実にあるわけでご ざいまして、その実態の教育をする側も、あるいは教育を受ける側も、すなわち学生も精 神障害者に係る国民意識とその背景を踏まえた着眼点を持てるような方向性というのが見 えませんと、精神障害者に係る教育の方向性が見えてこないということにもなってしまう のではないかと思っております。  例えば、現実に精神障害者の施設をつくろうとしたら、国民は一体どんな感情を持つの か。そして、そこに、いわゆる施設摩擦と言われるコンフリクトの課題が出てきたときに、 それはどういうふうに対処したら解決できるんだろうか。そういうようなことを具体的に 学ばせたりしていくことによって、精神障害者の置かれている現況というのを理解させて いくということが、まず、基本的に大枠として必要だろうと思います。  並行して、精神科病院にいる患者さんの実態を知っていただくとか、その患者さんたち がどんな病院で支援や治療を受けながら社会復帰を目指しているのか、そういうような流 れを踏まえて、人材の養成を図るための教育のカリキュラムのありようというのを見る必 要があるだろうと思います。  それは、現況に照らしていけば、精神保健福祉論というような教科書がそういうふうに なっているのだろうか。どうもなっていないような気がするというようなこともあるわけ ですが、個別課題はまた後で議論するとして、そんなことを養成していくときに、まず基 本的に考えていく必要があるんだろうと思います。  3ページでは、例えば専門職関係機関との連携の問題もありますけれども、ここではま さに前回議論された中で、寺谷先生がコンサルテーションとか、コミュニティケアとか、 幾つかの課題を出されました、ネットワーキングだとか、こういった課題について、しっ かりと考えていくことが求められているのだろうと思います。  例えば、ここでは、他機関との連携というようなことを考える以前の課題として、精神 障害者がしっかりと地域で暮らしていくために必要なサービスとは一体何なのかと考えれ ば、必然的にそこには相談支援というものが中核にあって、そしてその相談支援を担うの は、一体どなたなのかというのは、原則としては精神保健福祉士であってほしいわけです が、行政機関がそこに絡んでいる、現況では市町村の役割が中心になっておりますので、 そこでは市町村行政との関わりの中で相談支援のありようを、どういうふうにしていくの か。そこにどんな人材を配置していくのか。そして、それはこれまでの精神医療機関にお ける主治医がいる精神障害者に対する支援を担う精神保健福祉士というだけでいいのかど うかという課題も当然出てくるはずでございますので、こういったことを踏まえながら、 精神保健福祉士のこれからのありように対しての理想像を検討していく必要があるんだろ うと思います。  それをもう少しわかりやすく考えていこうとすれば、そこには障害者という言葉を使わ せてもらいますけれども、障害者ケアマネジメントのありようと、地域生活支援との関わ りをどう実態化させていくのか、そこに精神保健福祉士はどのような役割と知識と技能が 求められるのかということが議論されていく必要があるんではないかと思っているところ であります。  ついでに、4ページ、カリキュラムの充実についてでございますけれども、カリキュラ ムの充実については、本来、当事者ニーズがどうあるんだろうか。その当事者ニーズは広 範な精神保健福祉に関わる課題を持つ人、平たく言えば、メンタルヘルスに関わる福祉課 題を持つ人たちがどんなニーズを持っているのかということが、本当は基本にあって、そ れに対処する立場や役割が生じてくるのだろうと思いますが、併せて事業者ニーズ、すな わち法律で規定されているところの事業者が担う役割、そしてその事業者が求める精神保 健福祉士像というのもあるのだと思います。  先ほど谷野先生が精神保健福祉士を募集すると、以前より応募者が減ったとか言われ、 谷野先生が、自戒的にうちの病院が余りいい病院ではないからなんていう言い方をされま したけれども、そういうことではなくて、これは精神科病院を受診するあるいはそこで治 療を受ける患者さんたちが、どのような医療が必要で、そしてどのような支援をすれば、 社会復帰ができるのかということが、実は学生の目に見えていないからだろうと思います。  ですから、まず興味というか、学生がこんな仕事をしてみたいということがよく見えて いないのだろうというところもあるだろうと思います。そういった側面も含めながら、事 業者は事業者なりに、こんなPSWであってほしいということを、自分の施設の役割を踏 まえながら期待しているはずですので、そのことも踏まえながらカリキュラムというのは 考えていく必要があるのではないかと思っております。  更についでに言わせてもらえば、4番でございますけれども、4番は精神保健福祉士の 実践力を高めるためにどのような教育を行っていけばいいのか。そしてそれはこれまでの 社会福祉士のカリキュラム改編等をかんがみれば、同程度の水準を確保すべきではないか と書かれておりますけれども、社会福祉士を基盤とするという言い方で、ずっと精神保健 福祉士の養成については考えてきたというか、そのようなことが言われてきたわけですか ら、このことを踏まえれば、社会福祉士を基盤とするわけですから、その上でのスペシャ リストの養成ということになるというか、そのような視点が当然あってもおかしくないと いうことになります。  そう考えれば、むしろ社会福祉士よりも、もう少し専門性が高い教育をするということ になると、時間数についても、より社会福祉士を上回るような教育になるのではないか。 しかし、それが現実にできるかどうかというのは別の話であります。考え方としてはそう いう考え方があってもおかしくないと思っております。  卒後の教育については、職能団体でできる範囲というのもあるでしょうし、職能団体が できる範囲を超えた再教育の必要性があるとすれば、それは国がどのように教育支援に対 して、国自体が支援をしてくださるのかということも含めて検討していく必要があるので はないかと思います。  ざっと全体に関して、気が付いたというか、思ったことをお話しさせていただきました。 ○京極座長 ありがとうございます。大変総合的に、いろいろ話していただきましてあり がとうございます。 ○石川構成員 これからの役割ということを考えていった場合、社会福祉士が先にあるも のですから、後からそのところをどう整理していくのかということにつきましては、また 改めて、ここで10年前と合わせて考えた方がいいかと思います。  それは、第1回目のときにもお話をしたかと思いますが、社会福祉士と精神保健福祉士 の関係は、今の関係では並列であるわけですが、学術会議で意見が出ましたように、その 意味ではスペシフィックな領域を担っていくということがあるものですから、そうした位 置付けのところをどう考えていくのかということについては、一度きちんと議論した方が よろしいのではないかと思っております。  それは、実は教育システムや養成のシステムと大変深く関わるわけでございまして、谷 野先生がおっしゃられるように、学部教育で、どこまで盛り込んでいくことができるのか ということも含め、あるいはいわゆる養成施設と大学との教育内容の今までの整理の中で は、同程度の水準に確保すべきではないかという、この同程度というのは何をもって同程 度というのかという辺りの問題があるのではないかと思っております。  ですから、仕組み上のところも一つ役割を考えていく上では、一度議論した方がよろし いのではないかというのが1つです。  2つ目は、精神障害者という言葉で対象が決まってくると、いわゆる精神保健福祉サー ビスを利用する人と考えていた場合には、相当幅広い対象ということになってくるんだろ うと思うんでありますが、そうした精神保健福祉士が支援する対象をどのように考えてい くのかということになった場合の、その範囲というものもここではきちんと議論しなけれ ばいけないんではないかと思います。  その大前提で、あるいは勉強会でも議論が出たところでありますが、精神保健福祉士が、 どういう位置づけというか、条件というか、待遇といいますか、そういうことが決まりま せんと、なかなか仕事しづらいんではないかという話や、あるいは追加研修を受けたいと 言っても、職場が研修に出さなければ追加教育もできないわけでありますし、そうしたと きの待遇条件と併せて、いわゆる研修システムも考えていくということになりますと、た だ単に個人のいわゆる意識の醸成というレベルでいいのか。社会福祉法が言っているよう に、事業者にもそれなりの醸成を促すような、雇用者側も含めて、そういう人づくりのこ とを考えていくようなものも織り込んでいく必要があるのではないか。こんなふうに思っ たわけです。  もう一つですけれども、精神保健福祉士法という法律自体が単独になっているわけです が、精神保健福祉法とどうリンクするのか。こういう辺りの議論は法成立時にもあったか と思うんですが、そういったことも見直しの中では、再度整理しておいた方がいいのかな というように思います。  例えば精神保健相談員と、この相談員は行政が決めるわけでありますが、その相談員に なれる条件というのは大変緩やかでありまして、その意味では、精神保健福祉士が、そう いう総合相談に乗るということであれば、それなりの教育内容が必要、養成内容が必要と なるでしょうし、そうしたようなことを含めて、少し関連法と目配りをしながら考える必 要があるかなと思いました。 ○大塚構成員 今日は何だかいつもと違って、言葉が重いですけれども、だんだん総論か ら各論に向かっていく段階に差しかかってきて、対外的な主張というよりは、自分たちの 足元に返ってくることが非常に多くなってきているということもあって、やや気が重くな っているかな、責任重大だなという感じもしているのですね。皆さんがおっしゃったとこ ろと重なるところも大変多いのですが、先ほど総論は大体これで行きましょうという話に なったかと思ったのですが、少し精神障害者とか、対象の書きぶりというか、表わし方に ついては、まだ不消化な部分があるかなと感じております。  多分、それは実際の業務とか、その辺をカリキュラムにどういうふうに反映させるかと いうことによるとも思うのですが、精神障害者の社会復帰支援とか地域生活支援を非常に 重点的に行っているために、そのぎりぎりのところで、まだ診断は受けていないけれども、 病名は付いていないけれどもという人たちの地域生活支援とか、福祉的な制度活用の支援 ですとか、医療とか保健福祉を連携した包括的なケアのところには、かなり関与している という現場の実態があると思っています。そこは、今後、連携の重要性というところで、 これまでは医療が中心だったけれども、福祉、労働のところと、少し連携についての明示 をしていくということで、それが対象のところも想像できるように書き込まれていくこと なのかどうか、そのことで可能になるのか、そうではないのかが今少しまだ私の中で整理 ができていません。  皆さんがおっしゃっていることですが、役割の明示をしていただけると、当然現場の中 で、実際の採用とか、活動のしやすさということがどう保障されていくのかということに つながると思っておりますので、実際にこれが進んでいきますと、例えば任用の拡大であ るとか、任用の中でも今ですと等でくくられていて、なかなか精神保健福祉士の存在がア ピールできてないことから知っていただけていないということもあると思いますので、そ の辺をもう少し明示していく、等からもう少し出していただくようなことがあってもいい のではないかとか、そんなことを考えています。  また、今後、都道府県とか、地方分権とか、市町村とかということでいろいろ降りてき ているわけですが、そういうところでも配置の促進を必置かどうかは別にして、今、石川 構成員もおっしゃったように、精神保健相談員の辺りも含めてなんですが、配置促進の仕 組みというのを何か具体的な対応のところで図っていただけるような検討というのがほし いと思いました。  実習・演習のところに関する水準の確保については、私ども職能団体としても是非お願 いしたいと思っているところですが、これは恐らく、今日、文科省からもいらしていただ けているので、具体的には共管みたいなことになっていくのかなと思うのですが、これは 進むといいなと思っております。  ただ、一方で、どうしても現場の中で少数なんです。例えば医療の部分でも少数ですし、 これから教育とかという分野に、少し広がっている部分で言いますと、これからというと ころですので、例えば実習とか演習の在り方というのは、実態を考えると難しいのではな いかと思っています。  具体的に言うと、社会復帰調整官だとか、医療観察法で活躍するようになりましたが、 例えば保護観察所というところは、まだ実習機関にはなっておりませんし、もし、スクー ルソーシャルワーカーみたいなこと考えたときに、都道府県教育委員会とか、学校という 現場を学んでいくというような、これが養成期間中にやるべきなのか、卒後でやるべきな のかもわかりませんけれども、これからだと思いますが、そういうところをどういうふう に対応していくのかということを含めて、国や都道府県自治体のバックアップというのは それなりにいただけないと厳しいところもあるかなと考えています。  先ほど、谷野先生からも応募が少なくなっているという話がありましたが、景気によっ ても変動するのでしょうけれども、一般企業に行く方も勿論多いとは思いますが、そこは 職能団体の我々より、養成校協会辺りで頑張って分析をしていただきたいと思うところで すが、一方で、現場に出てからもかなりバウアウトしたりして、転職したりとか、辞めて いくものも少なくないという実態が上がってきています。そこが職場環境の問題なのか、 学んできたことと現場が余りにも乖離していて夢破れて去っていくのか、それとも本人た ちの質とか、指導者の質の問題なのかというところもあるかと思っていまして、そういう ところも含めて、今後の検討課題だなと思っております。  是非、卒後の資格取得後の資質の向上については、前回も前々回も申し上げましたけれ ども、職能団体として、積極的にここは担っていきたいと思っておりまして、具体的に機 関研修などは、全国で体制を敷いて始めたわけですが、多分、職能団体だけではできない ことがあると、新保先生からもおっしゃっていただいてようにいろいろありますので、他 団体とか、他学会とも連携協力してとは思いますけれども、是非ここも国とか、ほかのさ まざまな後方支援というか、バックアップをいただけるようなことがあるといいなと思っ ております。 ○鹿島構成員 皆様も話されたことですけれども、精神保健福祉士の仕事の中核を押さえ ておくことは大切で、それと関係して実習についても最も中核的な領域の研修が重要と思 います。具体的には、精神科病院での実習、研修が大切と思います。精神科病院での実習 を十分に時間を取って行い、その上でより軽度の方や地域の施設などでの研修を行うべき と思います。学校の中だけで様々な領域の研修をするということになると、内容が薄まっ てしまうのではないかと思います。それらは卒後研修などでも補える部分もあるかとも思 います。また卒後研修につきましては、経済的にも物理的にも、職能団体だけでやるのは かなり大変ですので、何らかの形で国からも援助にしていただくことが必要と思います。 また実習施設としての精神科病院の確保は十分なのでしょうか。 ○京極座長 一通り伺いますけれども、私も個人としては幾つかありまして言わせていた だこうかと思っております。  1つは、全体として前回に比べて大変まとまって、ほとんど体系的な整理ができている ように思われますけれども、私なりにこの10年の変化を見ますと、例えば中核と言える かどうかは別として、小児精神医学の進展とか、あるいは教育関係での先進的なメンタル ヘルスを抱えた子どもたちをどうするか。  これは、勿論、精神保健福祉士だけがやることではないので、学校教員もそうですし、 その他、養護教諭なんかの役割もありますけれども、あとPTSDの問題だとか、そうい うことを考えますと、連携のところに具体的には、文科省の方がいらっしゃるのでちょっ と言いにくいんですけれども、教育というのをちゃんと明記した方がいいんではないかと。 労働、福祉だけではなく、教育ということを明記した方がよりはっきりするというふうに 思っております。  あと、啓発のことですが、ちなみに、私は、日本社会事業大学の時代に、ワシントン大 学というセントルイスにある大学と姉妹提携したのですけれども、そのときに、大学が附 属で、州ではなくて連邦政府から補助金を受けて、私学ですけれども、アメリカの私学は 連邦政府からうんとお金をいただくというのが特徴で、州立大学はもらえないのですけれ ども、そこにメンタルヘルスセンターというのがありまして、行ってみましたら、私は非 常に我が国で使うメンタルヘルスは狭いなと思ったのは、日本の場合は、精神障害者は病 人という感じが強いんですけれども、アメリカの場合は、勿論、認知症も入ったし、子ど もの不登校とか、ひきこもりとか、そういう問題も入っておりますし、家庭内暴力、アル 中とか、そういうのも入っておりますし、いろいろ多面的なセクションに分かれておりま して、関心して帰ってきたんですけれども、日本で言うと福祉のことかなというふうに、 メンタルヘルスを訳すと、保健福祉と言ってもいいんですけれども、訳しようがなかった んですけれども、そういう国民の精神保健に関係する、向上に役立つとかそういうことを 少しコアな仕事以外に、精神保健福祉士の任務として、あるいはミッションとして、国民 の精神保健の向上に資するとか、何か少し入れる必要があるような気もしております。  ただ、全体としては非常に、あと卒後教育については、これは少し意見がありまして、 というのは、この間、在宅医療の本を出すべく、いろいろ仕掛け人でやっていたのですけ れども、いろいろ勉強していきますと、医療の世界は、お二人の先生がいらっしゃいます けれども、卒後が物すごく充実しています。まさに、卒後そのもので、逆に言うと、学部 教育は、私は文科省から借りてカリキュラムを全部調べたのですけれども、特に医学教育 振興財団がありますので、全国調査をやっているのですけれども、これは調査票がそのま まのっとりまして、一切分析されていないという、物の見事にカリキュラムが各大学で違 って、そして、今、文科省が推進しておりますけれども、コア教育みたいなことをやって、 だんだん充実されて、そこに各医学教育は、コア教育はきちんとして、各大学の個性をど う発揮させるかという、うまい役割分担というか、機能分化をしているんです。  ただ全体として見ますと、講座の名前から違っていまして、分析できない仕掛けなんで す。ですからどうしているかというと、北海道とか東北ブロックとかブロック単位で調査 票をそのまま集計しいるだけなんです。  これは大変だと思って、ただ、よく考えてみると、逆に言うと、福祉系は非常に資格制 度ができたので、社会福祉士についても、精神保健福祉士も、かなり各大学でコアカリキ ュラムがはっきりしているんですけれども、逆に言うと、卒後教育が、医学の場合は圧倒 的に卒後教育でやっているのに、福祉は卒後教育というと、職能団体が少しやるというぐ らいの感じで、厚労省の方も卒後教育について特段予算を付けてやるという感じでもない ような気もいたしまして、それに対する医療の世界の充実というか、実際にやむを得ざる をして自主的にやる場合もある、いろんな援助を受けてやる場合もありますけれども、大 変充実強化されている。  このギャップに驚きまして、ですから卒後教育については、もう少し濃く書き込むとい うか、方向性でいいんですけれども、何か特段やる必要があるんではないかという印象を 持っております。  そういうことで、私も一委員として発言させていただきましたけれども、まとめ役でご ざいますので、各構成員でいろいろ言い残したことがありましたら、どうぞ御発言いただ きたいと思います。  部長、お時間があれでしたら適当なところで結構でございます。 ○鹿島構成員 今、京極先生がおっしゃいましたけれども、勉強することは増える一方で すので、中核をきちんと教育し、それを基本として、だんだんと広げていくのがいいのだ ろうと思います。それから、同じことばかり言っておりますが、生涯教育については、と てもお金がかかると思いますので、是非、国の援助をお願いしたいと思います。 ○谷野構成員 生涯教育という部分が非常に大事だと思います。生涯教育というのと、専 門、分化していくための教育というのと、これが2つとも大事かと思うんです。それが1 つ。  もう一回振り返ってみますと、今までの議論をもう一回冷静に考えると、10年前に資格 ができたときに、あのときに、京極先生と私のみ慌しさを知っている人はいないと思いま すけれども、慌しく教科書をつくった時代は、やはり現場の教育、PSWにとって精神科 医療の基本的な教育というのは大事だということは、ちょっと欠落したままに、いろんな ものをつくったような気がするんです。  ですから、もう一回そこら辺を、さっきから議論に出ているように、基本的なベースは、 やはり保健所に勤めるとしても、社会福祉施設に勤めるとしても、精神疾患というものを、 もっと言えば、精神障害なるのかどうか、精神疾患あるいはメンタルヘルス、十分にそこ ら辺の教育を受けて、できれば精神科病院の実習をもう少し充実するとか、そこら辺が、 少し初期の段階では足りなかったのかなと。それがずっと10年間続いてきているような 気がします。  残念ながら、はっきり言って、精神保健福祉士というのは、現場に来て5年ぐらいでや っとものになるんです。ものにならない人は、こう言っては悪いですけれども、大体3年 間ほどして、ものにならない人はものにならないとわかるわけで、現場に来て教育されて いくわけで、そういう点では、先ほどだれかが言われたように、精神科医療、精神科病院、 あるいはそれは地域でも、社会福祉施設でもいいですから、そこら辺の基礎教育というも のをもう少し大事にして、それから、専門性なり、生涯教育なりと、そういうところをも う少しいろいろな目配りをしないといけなかったのかなと思います。  私は大学教育の現状はわかりませんけれども、はい次、はい次ということで、あれもこ れも教育の中に盛り込んであると思うんです。  そういうことで、ここでやめますけれども、例えば、うちにPSWの学生が実習に来ま すけれども、1週間でも多い方ですかね。少ないところでは3日間か4日間ぐらいでとい うことで、さっきだれかが言われたように、司法の現場とか、そういうところでの実習も 多分ないんではないかということを考えます。原点に帰ると、やはり精神科疾患をよくわ かってもらう、精神障害者というのはいかなる現状に置かれていて、いかなる病態があっ て、いかなる病気があるかということを十分に教育してもらうという点も大事なのかなと 思います。要するに、みんな大事だということです。 ○新保構成員 関連して、谷野先生がある意味で、原点への帰結も含めてお話がありまし たけれども、精神保健福祉士の役割、この10年で何が変わったか。確かに職域が拡大し たという言い方をしてもいいのかどうかわかりませんが、関わる場所が増えたのは間違い ないです。  でも、現実では、長期の精神障害者の方々の退院促進が十分図られたのか。あるいは精 神障害者と言われる方々の地域生活支援が充実したのかと言えば、それは不十分だと言う しかないんだろうと思うんです。  そういうふうに考えますと、やはり前回の議論をまとめた資料にもお示しいただいてい るように、精神障害者の社会復帰の支援と精神障害者の地域生活の支援というのがコアと いうか、基本なんだろうと思うんです。  ここのところをしっかりと担保できないと、役割の拡大ならばいいんですが、何か違う 仕事をする人になってしまうと困るんです。  ですから、そうならないようにするためにも、やはり基本的な部分をしっかりと押さえ る。私は先ほど、アイデンティティが拡散しては困ると言ったのはそういうことです。こ こにやはりきちんとアイデンティティをしっかりと担保しておく。  そうしないと、ようやく我が国でも精神保健医療福祉の改革ビジョンが示されて、この ことをどう実態化していくのかというのが、今、重要な政策課題だと思っているので、こ れをやはり下支えするというか、このことに関わりながら精神保健福祉士は一体どんな役 割を担うのかということが私は大事だと常々思っております。  是非そういうようなことを踏まえながら、なおかつ役割の拡大に備えられるような精神 保健福祉士のありようと、教育のありようというのを考えていくのが大事なのかなと思っ ているところです。 ○谷野構成員 セコンドするようですけれども、全くそのとおりでして、今、躍起になっ てやっている今後の精神保健医療福祉の在り方等に関する検討会で大体どういう議論をさ れているか仄聞しますと、要するに、病院から地域へ返すという場合に、何が一番問題か というと、精神保健福祉士をはじめ、マンパワーが足りないわけです。  昔から言うといいですよ。10年前から見ると、かなり地域移行が促進されて、最近では、 アクトみたいなことも見よう見まねにやっているところが何か所かあるわけです。その点 は10年前から見ますと、隔世の感がありますけれども、ただ、現実に残念ながら、社会 的入院を残していることは事実です。  ですから、その人たちを社会復帰させるためには、受け皿もさることながら、マンパワ ー、特にアクトをやるときには、やはりマンパワーが必要です。しかも素人ではだめです。  ですから、そうすると原点に変えれば、やはり精神保健福祉士の本来の仕事のプロのマ ンパワーの養成というのは当面喫緊の課題。その上に立って、ほかの専門性を発揮できる ような人たちの養成というものを目指されるというような、このように優先順位のあるの かどうかわかりませんけれども、そういうことなのかなと、精神保健福祉士のプロがまだ 人材不足だろうと思います。 ○鹿島構成員 要するに、一番現実的に厳しいところを実習していただくことが重要と思 います。一番中核的な、一番厳しい状況をきちんと学生時代に実習し体験をしていただい て、繰り返しになりますが、具体的には、精神科病院の実習をきちんとしておいて、その 応用というかたちで、いろいろと横に広げていくということが重要だと思います。その意 味で、実習期間はどのくらいか、実習病院は足りているのかは重要だと思いますので、付 け加えました。 ○京極座長 事務局への確認でもあるのですが、さっき谷野先生がおっしゃったこととも 関連するのですが、10年前に精神保健福祉士ができたときに、まだ法律ができる以前に、 カリキュラムや養成課程の在り方の検討会ができまして、かなり専門家の方が入って、私 だけ専門家ではなかったけれども座長やらされまして、まとめて今のコアができたけれど も、そのときに、5ページの(4)のところで、実習・演習に関しては、たしか私の記憶では、 社会復帰を目的とするから、病院と社会復帰施設を両方やるようにということで確認され て決まったということです。  ところが、現実に大学にバトンを渡したとき、大学では両方はできないと、ということ は片方の社会復帰だけで卒業していく学生さんがいまして、日社大もそうだったんですけ れども、両方やらせたいということでやったけれども、どうしても相手があるものですか ら、その点で、谷野先生がおっしゃったことと関係があるんですけれども、やはり精神科 病院で、きちんとした実習を必須でやらせると、そこをきちんとして、それで社会復帰施 設についても、いろいろありますから、行っていただくという形にしないと、両方やると いう理想の下に、どちらかに偏ってしまったというのが現実です。  もう一つ大学の場合は、養成施設も同じですけれども、そのどちらかになってしまった ということですけれども、これからは、精神科病院の実習というのはかなりきちんとした 形で時間数決めてやらせる必要があるのではないかということ。  それから、大学と養成施設では、今回ここに書いてある意味の確認ですけれども、養成 施設は縛りがあって、演習とか実習に関してはかなり縛りがあるのですけれども、大学は 自由に、大学の自治の下というか、4年制大学だったらお任せするという形で、養成施設 の縛りがなかったんです。  社会福祉士の場合は、実は今回の改正で、実習・演習のところは縛りをかけましょうと、 ある程度の教員と、実習場所についてもきちんとした縛りをかけましょうということにな ったのですけれども、精神保健福祉士の方はまだそうなっておりませんので、ふたを開け てみると、養成施設はかなり縛りがあるけれども、大学はあるようでないと、野放しであ ると。教員も、例えば私が精神保健福祉士のゼミの先生になってもおかしくないとか、だ れが考えてもおかしいわけですけれども、そういうのが許されているわけなので、その辺 りを今回はきちんとしようという趣旨で書かれているのではないかと思います。それは確 認でございますので、私の方から申し上げました。  どうでしょうか。 ○福島精神・障害保健課長 実習・演習に係る部分というのは、まさに今、座長が御指摘 のとおりでありまして、特に業務をコアな業務と周辺業務、それに広がっている業務とい うふうに分けているのも、まず、コアな業務をきちんとやってもらうということ。  その中で、それをやるための能力として、身に付けるために実習というものはどうして も必要だろうという発想で、事務局の案を提示させていただいているということでござい ます。  そういう面では、この場での御意見を踏まえたといいますか、ご意見の中身そのものだ というふうに御理解いただければありがたいと思います。 ○大塚構成員 本当に広がって薄まったら絶対にいけないわけですが、もっと問題なのは、 既に大分薄まっていて、更にあちこちにそれが飛び出していくとなるのはもっと問題だと 思っているところです。皆さんおっしゃるように、精神科医療機関での実習を必ずという ことは、本当に前提にしたいと思っているんですけれども、併せて実習医療機関の確保と いうのは、今、大変厳しい状況もあるかと思っていますので、そうすると実習指導のあり ようも格差があるというのが実態だと思っていますので、これは実習指導に当たるものは、 既に現任のものになりますので、私どもの課題かと思っておりまして、実習指導者の質の 水準を高めるということも併せてきちんと対応していかないといけないことだろうと考え ておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○京極座長 今おっしゃったことで、例えば大学で、科目指定だったものですから、厚生 労働大臣の定める科目を履修し卒業した者が受験資格を持つわけで、極端に言うと、精神 保健福祉士を持っていない人が、先生がだれもいなくても認められるんですね。それをど うするか。それは大学の事情があるでしょうけれども、専任を置かなければいけないとい う文科省の指導とか、厚生労働省の指導があることを前提に、十分に人がいないときには 外からアウトソーシングで、例えば県の精神保健福祉士協会から、講師を非常勤で招くと か、そういう形で実習教育なんかでも、きちんとした対応をする。  実習については、精神保健福祉士を持った実習教育の先生を置くとか、資格制度がない 10年前は仕方がなかったと思います。だれもいないわけですから、10年経った以上はそ こだけを明確にしないと、やはりおかしくなってしまいますので、社会福祉士よりはまだ いいんですけれども、社会福祉士の場合は、社会福祉士を持っていない先生がほとんど教 育しているんです。精神保健福祉士の場合はまだいるので、まだいいんですけれども、そ れにしても10年経った以上は、もう少しそこを整理するということが必要かなというこ とで、今おっしゃった意味はそういうことだと思います。 ○石川構成員 今、先生がおっしゃった辺りが一番重要だと思いまして、先ほどの発言は 少し抽象的なところで発言させていただいたものですから、教育の中でのコアということ なれば、実習・演習というところが一番重要ではないかと思います。  そういう意味で言えば、少なくとも社会福祉士と同等でなければならないというのが大 前提だろうと思いますけれども、それにプラスより質を高くしていくためには、この資格 からすると、鹿島先生がおっしゃるように、コアのところの実習ができないといけないん ではないかと思います。  そうしたときに、少々ややこしいことは、3障害共通で、それぞれのサービス事業所が ここにできている中で、それとの整合性をどう付けたらいいかとか、いろいろ整理を付け ないといけないことが出てくるかと思うのですが、精神科医療機関できちんと実習はする という辺りが一つの縛りとして考えていくというのは、とても重要ではないかと思うんで すが、全体の時間数の関連からしますと、社会福祉士よりも精神保健福祉士が少ない状態 で、それが戻されると思うんですが、どこをどう強化していくのかという議論も、次の段 階ではあろうかと思うんですが、その議論も今後していく必要があると思います。 ○京極座長 これは、今度の社会福祉士法の改正で、向こうの方の時間数が増えてしまっ ているということで、これからの議論で、ただ、精神保健の分野で、前回のカリキュラム 検討ときには、精神医学をきちんとしようということでやったんですが、実際にどういう 先生が来て養成施設で教えているかというデータが全くないんです。その辺りが非常に大 事ではないかと思います。 ○谷野構成員 ちょっと気になったのは、ずっと自立支援法ができてから気になっている のが、特に社会復帰施設、3障害一緒ということが大前提になっておりますけれども、現 状もこれからも、本当に3障害の人が全部利用するような社会復帰施設ができてくるのか どうかです。できてくるとすれば、そこの施設長なり、だれだれなりは、3障害について、 すべからく詳しく知っている人がなるべきであって、精神保健福祉士で精神障害者のこと しか知らないという人がなっているということはよくないことだけれども、現実から言え ば、そこら辺は、そんなにうまく精神障害者のグループホームで、3障害の人が共存して 入って使ってくるというのは、それはハッピーな話ですけれども、国も我々もそういうこ とに将来なるというふうに本当に思っているのかどうかです。そこら辺を、だれに聞いた らいいのかわかりませんけれども、なかなかそんなふうにいかないとすれば、当面は社会 復帰施設というのは、精神の方々だけが入っているとすれば、それはそれで現状ではいい のかなと思います。  しかし、そうでもないとすれば、そこら辺は、教育も含めて、これは誰に聞けばいいの かよくわかりませんけれども、まず福島課長から、そこら辺の感想を言ってください。 ○福島精神・障害保健課長 自立支援法は、基本的に3障害一本化してやるという基本的 理念になります。  実際のところ、都市部においては、それなりに障害ごとに分かれている実態があり、そ う思いますけれども、例えば小さい市町村とか、そういうときになると、1つの障害種別 だけで事業所は成立しないということはあります。  そういう観点で複合的にできることのメリットということもあると。これは、この前の 障害者部会でもそういうようなことが言われていましたし、あるいは今後更に進んでいく 中で、障害に関係なしに本当に統合的にできるのであれば、そういう施設ができてきても いいと思いますし、そういう面で自由度が高まったというふうにお考えいただければいい んだと思っております。  もう一つ精神の立場から言うと、遅れていたものが前に進んだというところは非常に大 きいので、そのことはやはり、3障害が一本化されたことのメリットはあるんだろうと思 っております。  一方で、精神障害というまさに特性を踏まえた対応をどうしていくのか。疾病を持って いる、医療も福祉も同時にニーズがある人については、若干、障害が固定化している方、 勿論、身体障害でも固定化していない場合もありますけれども、そういうものが多い領域 と非常に違うわけで、それは、その特性を踏まえながら対応しなければいけないというの があると思いますけれども、その両方を考えながら進めていくべきだろうと思っておりま す。お答えになっているかどうかわかりませんが。 ○大塚構成員 自由度が増えたのはいいことかもしれないですが、実際におっしゃるよう に、地方に行けば行くほど、3障害を超えて高齢だったり、児童だったりということも含 めて、多機能というか、たくさんの対象の方々を網羅するような事業運営をしないとやっ ていけないという実態があるので、それはよくわかります。そういうふうになっていくん だろうなと思うし、そういうふうにしていこうという今の国の政策もわかります。  そうであれば、すごく現場の実習指導というのは難しくなるなと、今、想像していまし て、一方で、若い方たちは、両方の資格、例えば社会福祉士と精神保健福祉士と両方取り やすいようにしているわけですから、お持ちなっている方もいるわけで、採用されている ときには、例えば社会福祉士で採用されたかもしれない、もしくは精神保健福祉士で採用 されたかもしれませんけれども、現場の目の前にいる対象の方に応じて、そのとき出てく る専門性は変えていたりしていると思います。  そうすると、どっちの立場でそこを整理しながらやるのかというのは、大変難しくなっ てくる現場条件にあるんだなと思っています。  そこで言うと、社会福祉学が基礎としてあって、ソーシャルワークの部分では共通の部 分もあるわけですので、いいのかなと思ったり、非常に整理が難しくて、どこかで一度議 論しておきたいと思うところがあるんです。  そうであれば、やはり自由度が高まるということは、現場がそれに応じて選択をきちん とできるということも保証しないと、自由というふうには言えないと思うので、それで現 場の対象者の人数とか割合とかが求められている専門性に応じて、そこの必要な専門性を きちんと取捨選択しながら事業者の方も採用したりとか、実習の在り方もそんなふうに進 んでいくということがないと、やはり精神障害者の保健福祉のように遅れているものが前 に出るといっても、本当に遅れているものがちゃんとそろっていくのかというところは厳 しいと、これは職能団体の発言だと思いますけれども、大変にそう思う次第です。 ○新保構成員 先ほど谷野先生がおっしゃっていたのは、実際に、3障害統合になるんだ ろうかどうだろうかという話だったと思います。確かに社会保障審議会の障害者部会でも 議論されているように、地方へ行けば行くほど、人口も少なく一つの施設を形成して維持 できるような状況もないということから、いろんな方々が利用する複合施設をやらざるを 得ない状況にあるといった話も、勿論、理解できるのですが、しかし、併せてというか、 並行してそうした小さな自治体がおっしゃることというのは、精神は難しいと言うんです。 それが現実だと、私は思います。  現実に、私も大変な過疎地に住んでおりまして、そこが、いわゆる地方分権、三位一体 改革の流れの中で、合併促進させられて、かなり広範な地域で合併して市にはなったんで す。私が暮らしているわずか10年の間に、村だったのが町になり市になってしまったん です。そこで自立支援法ができた。何かやらなければいけないという話になって、障害者 のための施設を市がつくりました。  しかし、現実には精神はやれないといって、身障・知的の複合施設をつくりました。こ れが実態だと思います。  現実に大きな市町村に行っても、特に相談支援に関して、そういった事態がございます。 例えば私が運営している施設は、つくば市にありますが、つくば市では、最初はこういう 提案がございました。身体・知的に対しての相談支援は社協がやると、精神はやれないか ら、精神はおたくに委託したいというような話でしたね。  実態的には、そういった状況がかなりあるんだろうと思います。実際にそういったこと を裏づけるかのごとく、実際に自立支援法に移行するときに、主たる障害者は何々という ことを記載して申請していいということになっておりますし、現実に多くが精神障害者の 施設を運営していた方々が自立支援法の新体系に移行するときには、精神障害が主なる対 象ということで申請をしているのが実態でございますので、そういうことを考えてみます と、3障害が統合された形に施設が変化していくというのは、少なくとも喫緊に考えられ る課題ではないと思います。  ただ、事業の拡大が、今、促されています。というのは小さな事業だとやっていけない ということがあって、行政的な指導も含めて、ある程度いろんな事業をやっていった方が いいですよと言われることがあって、その中で事業の拡大の中で、他障害を受けざるを得 ないとか、他障害をやった方がより有効な支援ができるのかなという事態はあります。  例えば私どものところでも療育支援だとか、発達障害等に係るデイサービスだとか、そ ういったことが、これまでの精神障害者の支援施設だったんですが、プラスαされてきて いる。  こういうふうな実態はありますけれども、そこで今度は実習のことに絡めて考えますと、 医療機関で実習することは、これは不可欠ですが、多様な実習先をどう確保するか。実は、 社会復帰施設だけでも多様なものがたくさんあって、事業に変わりましたので、例えば私 どもの施設だけでも事業が10を超えるんです。  そうすると、2週間で社会復帰施設の実習をしましょうと言いますと、10を超える事業 を2日ずつ見ても20日かかるわけですね。2週間を超えてしまいますね。ですから実習 期間は当然延ばさざるを得ないとも思いますし、仮に実習期間を延ばしてみたところで、 どれだけの技術や知識の習得あるいは精神障害者支援に関わる思いが深まるのかという事 柄も含めて、そんなに簡単に実習効果が上がらないんではないか。むしろ、もう少しある セクション、要するに精神障害者の方々が抱えている重要な課題に関するところで、すな わち精神科病院を核にして、しっかりと実習させた方がいいのではないかとさえも思える わけです。  ですから、実習先の問題というのは精神障害者に係る地域生活支援の多くが、自立支援 法に移行したからこそ大きな問題だと思います。  そこで問題となるもう一つの事柄は、障害福祉政策としての自立支援法と精神医療との 結び付き、ここのところを切ってはいけないわけですから、ここを切らずに実習教育をし ていくというのは、これは大きな課題だろうと思っています。 ○京極座長 特に社会復帰施設に関しては、今日はカリキュラムの検討ではないんですけ れども、具体的に言うと、精神保健福祉論に、それがどの程度記載されているか。今まで の自立支援法以前のときの記載の仕方と、今回は変わってくると思うんです。その辺が相 当きめ細かく書かれないといけない。  精神科デイケアという科目は残るかどうかは別として、その場合に、いわゆる精神科病 院で行われているデイケアと精神科病院から出て、社会復帰施設はいろんな種類あります から、それについて、どの程度記載されているかどうかというと、今までははっきりして いなかった気がします。  それから、加えて実習先ということになると、今、新保先生がおっしゃったように、物 すごい種類があるので、何か所か見学も含めて、ある程度見る必要があるかどうか、その 辺をこれからカリキュラムの検討の中では必要になってくるんではないかと思います。  今日は、カリキュラムの検討まではいかないため、入口のところというか、その前提に なるような議論ということにしていただきますので、あと幾つかございましたらお願いし ます。 ○石川構成員 実習先というと施設に行くというイメージで描きかねないように思うん ですが、あるいは事業とか、そこで精神保健福祉士としてのアイデンティティなり、何が コアなのかということを、実習演習のところでは、つかみ取らなければいけないのだろう と思います。  そういたしますと、先ほどを大塚委員のお話の中であった実習指導者、これでもってど う担保できるのかということや、教員、要するに前回のときにもお話ししたので繰り返し になるんですが、人でもって内容を担保していくというやり方を取りませんと、施設の基 準で考えていくというやり方を取りますと、どうも整合性が付かなくなるかなと。  ただ、医療機関でというところは、当然のように疾患に対して対応をどう考えるかとい うことですから、これは当然のように医療機関でないとだめだと思うんですが、それ以外 のところはやはり人で担保していく必要があるんではないか。この辺の確認ができるとよ ろしいのではないかと思います。 ○京極座長 これはちょっと確認ですけれども、介護福祉士は、介護の実習先の指導者と いうのはかなり研修を受けないとなれないので、社会福祉士もそうしようということにな りましたけれども、これは事務局への質問になるかもしれませんけれども、精神保健福祉 士もそういう方向でということでしょうか。 ○川田障害保健係長 現状では、実習指導者の方というのは、精神保健福祉士の資格取得 後、3年以上相談援助業務に従事した方ということで定められておりますが、この点につ きましては、今後検討させていただきたいと考えてございます。 ○京極座長 それは、養成施設ですね。 ○川田障害保健係長 失礼しました。これは養成施設における実習指導者の要件となって ございます。 ○京極座長 受け皿の方を出す方の教員と、それから実習を受ける施設、特に社会復帰施 設、病院はいろんな方がいらっしゃるので安心です。社会福祉施設の場合は、いろんなパ ターンがあるので、そこに必ずしも十分にそういう人がいないんではないかいと。そこは、 今度、もしやるんだったら徹底して、その代わり、その施設の現場でも通信でもいいから 取ってもらって、それから、また、そういう研修も若干受けてもらうということ。 ○大塚構成員 例えば私どもの日本精神保健福祉士協会でも実習指導者研修というのは この間行ってきましたし、都道府県の地域の協会等々でも、そういうものをやっていると ころはあるのですが、国家資格の取得のためのカリキュラムの一貫であるにもかかわらず、 それだけ統一していないということも事実ありますので、是非とも社会福祉士と同じよう に、養成校とか大学とかだけではなく、現場の実習指導者の質をそれなりに均一化してい くということは、検討していただきたいと思っています。 ○京極座長 今日のところはこれで、まだ、意見は出尽くしてはおりませんけれども、終 わりたいと思います。  最後に、事務局の方から次回の検討テーマ及び日程について御説明をお願いします。 ○吉川障害保健専門官 それでは、次回の検討会につきましては、本日の御意見を踏まえ て、事務局で整理いたしました資料を改めてお示しするとともに、これまでの議論を踏ま えて、中間まとめの骨子案を提示させていただきますので、これについて御議論いただく ことと考えております。  なお、次回の開催は9月を予定しておりますが、日程につきましては、後日調整をさせ ていただき、調整後、速やかに御案内をさせていただきます。  事務局からは、以上でございます。 ○京極座長 本日はお忙しい中、長時間にわたりましてありがとうございました。それで は、これをもちまして第4回の検討会を閉会いたします。  どうもありがとうございました。                                    −了−  照会先:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部 精神・障害保健課障害保健係 03-5253-1111(内線3065)