08/08/28 平成20年8月28日薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会議事録 薬事・食品衛生審議会 一般用医薬品部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年8月28日(木) 14:00〜   厚生労働省 講堂 2.出席委員(9名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 板 倉 ゆかこ、 岩 月   進、 生 出 泉太郎、     川 西   徹、 合 田 幸 広、 西 沢 良 記、◎望 月 正 隆、      望 月 眞 弓   (注) ◎部会長     欠席委員(7名)五十音順    太 田   宏、 小 澤   明、 小宮山 貴 子、 橋 田   充、    藤 原 英 憲、 桃 井 真里子、 山 元   弘 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、    中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、   望 月   靖(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、 他 4.備考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会一般用医薬品部会を開催 させていただきます。現在、当部会委員数16名のうち、8名の御出席をいただいていま すが、岩月委員がもう少しで到着されます。到着されますと9名となりますので、定足数 に達するところです。  委員の先生方におかれましては、大変お忙しい中御出席いただいたことに御礼を申し上 げます。なお、太田委員、小澤委員、小宮山委員、橋田委員、藤原委員、桃井委員、山元 委員からは、御欠席の連絡をいただいております。  ここから議事進行を部会長にお願いいたしますが、岩月委員が来られた段階で、審議事 項1に入るということで、報告事項から議事を進めていただければ幸いです。よろしくお 願いいたします。 ○望月部会長 ただ今御説明のありましたように進行いたします。まず、事務局から配布 資料の確認をお願いします。 ○事務局 本日の資料としては、事前に先生方に資料1〜6を送付させていただいていま す。本日の配布資料として、議事次第、座席表、委員名簿、競合品目・競合企業リスト、 資料4-3の8ページを修正したものとして資料4-4、資料5-2として資料5-4の追加修正 版を御用意しています。また、審議品目の諮問書を審議品目の資料1-2として配布してい ます。以上が本日の資料です。 ○望月部会長 報告事項について、事務局からの説明をお願いします。 ○機構 報告品目のロートアルガードαほか6品目について、説明をさせていただきま す。資料2を御覧ください。  この品目は前回の部会にて御報告いたしましたが、その際に御議論いただいた点を踏ま え、今回再度報告することとなりました。本品はクロモグリク酸ナトリウムにプラノプロ フェン等を配合した点眼剤で、効能・効果、用法・用量は、既承認のものと同じです。そ の他、1枚目に記載の内容は前回御報告したとおりですので、割愛させていただきます。  2枚目に、前回御議論いただいた点についてまとめましたので、御報告いたします。ま ず、望月眞弓委員から御意見をいただいた配合意義について、申請者は動物を用いた薬効 薬理試験や複数の文献に、「症状の程度に応じて非ステロイド性抗炎症剤を抗アレルギー 剤との併用で使用する」旨の記載があること等に基づき、配合の妥当性を説明しておりま すが、さらに前回いただいた御意見を踏まえ、既存のアレルギー用点眼剤との相違点及び 使い分けを明確にし、使用者が適切に選択できるような情報提供を行うとの回答が寄せら れ、次ページ以降の添付文書、販売店及び使用者向け情報提供資料、外箱表示案が提出さ れております。  具体的には、本品の処方設定の根拠や医療現場での治療実態について、情報提供資料に 明記することや、使い分けに関し、従来の一般用アレルギー用点眼剤を使用しても症状が 続き、かつ炎症症状を伴う場合に、使用を促す等の方策をとるとの説明がなされておりま す。  2点目は、川西委員から御質問をいただいた生物学的同等性についてですが、モルモッ ト、ラットを用いた2種類の薬理試験を行い、同等性が評価されており、試験結果に問題 がないことをここに記載しております。なお、申請者から提出された資料を川西先生に御 確認いただきました。  3点目の防腐剤の有無については、前回板倉委員より御質問をいただき、その場でも御 説明いたしましたが、各申請者の考え方の違いであり、試験結果としてどちらにも問題が ないことを、ここに記載いたしました。以上でございます。 ○望月部会長 ただ今の御説明に関して、御質問、御意見等がございましたらお願いしま す。 ○望月(眞)委員 配合したことによる使い分け、臨床上の位置付けを明確にしていただく ということで、そのことは結構だと思うのですが、いろいろな説明文書等で、外箱も含め て、それが明確に、使用者あるいは販売者に伝わるような形をとっていただきたいと思い ます。例えば、この資料の後ろの方に外箱の見本が付いていますが、ロートアルガードク リアブロックという製品の場合、左側に白抜きで、黒字で、「アレルギー症状が続き、か つ炎症を伴う方」という記述があるのですが、表面ではなく裏面になるので、活字のサイ ズによっては、目立たないかと思います。  むしろ表面の、眼に点眼薬を鋭く差しているイラストの下の「花粉、ハウスダストなど による眼のかゆみ・充血・異物感・なみだ目に」という辺りに、きちんとそのことが分か るような記述を入れる方が望ましいと思っていて、それはもう一方のマイティアアイテク トの方も、同様のことが言えるのかと思います。  同様に、添付文書の中でも、もう少しきちんとそこが伝わることを配慮していただきた いと思います。よろしくお願いいたします。 ○望月部会長 ただ今の点についていかがでしょうか。 ○機構 承りました。申請者にそのことを伝えて、そのようにしたいと思います。 ○望月部会長 そういう方向で検討していただくということです。ほかにございますか。 よろしいですか。これで報告事項を終わらせていただきます。  続いて、「その他の議題1」について、事務局から説明をお願いします。 ○事務局 その他の議題1の「配置販売品目指定基準の一部改正について」、資料3を御 覧ください。  1.として、制度の概要です。配置販売業の許可は、都道府県毎に知事が厚生労働大臣 の定める基準に従って、品目を指定して与えるものとされていますが、当該許可を受けた ものは、知事が指定した品目以外の医薬品の販売等をしてはならないとされています。下 に※で書いていますが、(1)〜(4)のような点を考慮した上で、該当するものの有効成分、効 能又は適応症を規定して別表に掲載して、指定しているところです。  (注)で、平成18年薬事法改正との関係を記載しています。法改正によって、配置販売 品目の指定は廃止されることになりますが、既存の配置販売業については、引き続きその 効力を有するとされています。その下に(参照)として、過去5年間に追加した配置販売品 目の成分について、記載しています。1ページおめくりください。直近では、平成 19年6月21日に、健胃薬のテプレノン等について追加をしたところです。  2.です。今回の改正案として、成分の追加ですが、(1)の(1)滋養強壮増血剤に、有効 成分としてヘプロニカートを追加するものです。(2)として、かぜ薬に有効成分としてトラ ネキサム酸を追加するものです。ちなみに、ヘプロニカートもトラネキサム酸も、リスク 分類で言いますと、第三類に分類されているものです。  (2)ですが、1日2回用法の液剤の追加として、1日2回服用の葛根湯内服液を追加す るものです。既に1日3回服用の葛根湯内服液は認められているところです。  今後の手続としては、今回部会の報告後、パブリックコメントを行って、告示改正を行 うことになっています。以上です。 ○望月部会長 ただ今の内容について、御質問、御意見等はございますか。 ○板倉委員 配置業は消費者苦情が多い販売者というところもありまして、薬品の知識に ついてきちんと勉強していただいて、やっていただくのが筋の部分のところで、既得権と いうことで、ずっと引き続き効力を有することがあって、しかも扱える商品が増えていく ようなところについて、業者が同じでも扱う方の知識などがどのように担保されるかが、 消費者にとって不安な部分があると思うので、第三類に当たるということであっても、医 薬品の正しい使い方を消費者に伝えるという意味で、その辺についてどのように考えてい らっしゃるのかお聞きしたいと思います。 ○審査管理課長 板倉委員の御指摘の点については、平成18年の薬事法改正においても、 大きな論点になったものの一つです。すなわち、配置販売業者についても、それ以外の医 薬品の販売業者と同じような資質を求めようということが基本ということで、登録販売者 として一括をしたところです。  一方、既存の配置販売業者をどうするかの点です。少なくとも安全性の点から見ると、 大きな問題が生じているような状況でもない、もちろんそれは消費者に対して、もっとい ろいろな情報提供であるとか、そういう資質の向上に努める必要はあると考えています。 そういう状況にあって、既存の配置販売業者に関する特令を設けたところです。  したがいまして、今後既存の配置販売業者について、一層のそういった研修をやってい ただくことを我々としてもお願いしているところですし、配置販売業者の団体において は、そういう方面に精を出すという約束をしていただいているところで、今後とも引き続 きその約束が守られるよう、注意をしていきたいと考えています。 ○望月部会長 ということでいかがでしょうか、一層の研修を約束していただいていると いうことです。他に御意見はございますか、よろしいですか。それでは、これらの意見に 基づいて、事務局に進めていただいて、パブリックコメントにかけてから、告示改正を行 うということです。  岩月委員がお着きになりましたので、最初の議題に戻ります。申請資料作成、利益相反 等に関する申合せについて報告をお願いします。 ○事務局 本日の審議事項に関する競合品目・競合企業について、既に配布していますが、 その選定理由等について、簡単に御説明させていただきます。  「競合品目・競合企業リスト」という資料を御覧ください。今回、リアップ5、リアッ プX5については、その効能・効果及び薬効群等から見た競合品目の候補としては、カロ ヤンシリーズという、同様の抜毛予防等に使われている医薬品があります。そちらはシリ ーズであるため、全部というわけにはいきませんので、販売の売上順ということで、競合 品目1〜3を選びました。以上です。 ○望月部会長 ただ今の御説明でよろしいでしょうか。競合品目としてはカロヤン、競合 企業としては第一三共ヘルスケア株式会社ということですが、よろしかったら、この資料 について事務局からの御説明をお願いいたします。 ○機構 リアップ5ほか1品目について説明させていただきます。なお、本品目は医療用 にも前例のない新用量医薬品であるため、説明が若干長くなりますことをお許しくださ い。  資料1の「審査報告書」の1ページを御覧ください。本品目は大正製薬株式会社による 申請で、男性の壮年性脱毛症を対象として、平成11年に、いわゆるダイレクトOTCと して承認された、ミノキシジル1%製剤であるリアップの有効成分を5%にした製剤であ ります。成分分量として、100mL中ミノキシジル5gを含み、効能・効果、用法・用量は 既承認のリアップと同一です。  報告書は2ページ下にあるように、リアップは承認後、再審査期間6年を経て、平成 18年6月に再審査結果が通知され、一般用医薬品としての安全性及び有効性に特段の問 題はないと判断されました。また、平成17年には女性用のリアップレディが承認され、 現在4年の再審査期間中であります。  海外では、医療用も含めて2%及び5%の製剤が販売されており、一般用の5%製剤は、 米国、英国等22か国等で承認されています。なお、海外での5%製剤は我が国での1% 製剤のリアップと同様に、溶剤としてプロピレングリコール及びエタノールを使用してお りますが、本品は刺激性を考慮し、ブチレングリコール及びエタノールを使用しています。  その結果、資料概要18ページにあるとおり、臨床試験等から、本品の経皮吸収性は、 海外の5%製剤よりも低いものと推測されています。  報告書3ページ中段から4ページになりますが、機構は、本品とリアップの比較におけ るリスクとベネフィットのバランスについて説明を求めました。申請者からは、リスクに ついて、本品投与時の血中濃度はリアップと比べ増加するものの、心血管系に影響を及ぼ す濃度に比べて低く、国内臨床試験で副作用がなかったことなどから、循環器系の副作用 発現リスクはリアップと差がないと考える。ただし、皮膚症状について、種類、程度等に 違いはないものの発現頻度が高い点が懸念される。一方、本品は臨床試験でも髪数変化等 に関し、リアップに比べて有意に高い有効性を示し、海外の高濃度製剤が、本来必要な情 報提供がないまま、個人輸入等により使用されている現状の是正にもつながり、ベネフィ ットが上回ると回答されました。  機構は本品の副作用にはさらなる注意を払う必要があるが、海外では使用実績もあり、 十分な情報提供を行うなど、今以上の安全対策を講じ得れば、一般薬として問題なく使用 可能と判断し、了承しました。  機構は、5%と1%の両製剤が併存する必要性と、両者の使い分けについて説明を求め ました。  申請者は、リアップに満足できなかった使用者は本品に移行し、満足な使用者は継続使 用すると考えられること。安全面でリアップの方が低リスクであることから、並存の意義 はある。使用者が両製剤の特性を理解した上で使い分けられるよう、情報提供資料に臨床 試験結果に基づく安全性、有効性に関する情報等を記載する。さらに、リアップ使用時に 安全性上の問題がなかったこと等を確認した上で、本品の使用を勧奨するようにすると回 答し、機構は了承しました。  各項目の添付資料は、品質、薬理、薬物動態については、実施された試験に特段の問題 はないと判断いたしました。  報告書は6ページになりますが、毒性については、モルモットを用いた皮膚感作性試験、 ウサギを用いた皮膚一次刺激性試験、累積刺激性試験及び眼刺激性試験が実施されており ます。これらの試験について、特段の問題点はないと判断いたしました。  8ページ中段以降になりますが、別に機構は、血中薬物濃度と全身毒性の関係について 説明を求めました。申請者は、最も重要と思われる心臓に対する作用について考察し、そ の中で、動物試験で心臓重量の増加が認められた血清中ミノキシジル濃度と、ヒト長期投 与試験における個別最大値を比較した場合、ラットで約2.9倍、サルで約2.4倍の乖離で あったと説明されました。  審査報告書にはありませんが、安全域がさほど大きくない点について、再度照会したと ころ、申請者は、資料概要の16ページからにも一部記載があるとおり、心臓重量の増加 は、血管拡張作用の過大発現に基づく血圧低下に伴う反射性頻脈による代償性肥大と考え られ、一般的に組織学的変化と関連しない。動物実験でも、組織所見や心電図検査での機 能的所見は認められていない。また、ヒト血管系への影響として毎分5ビート以上の心拍 数増加を及ぼす血清中濃度は、海外の試験で10ng/mLとの結果が得られているが、長期投 与試験での平均値と比べ、15〜23倍、個別最大値3.3ng/mLと比較しても、約3倍の乖離 が見られ、さらに高値を示したのはある一時点のみで、高濃度が長期間維持しておらず、 心臓にかかわる各種検査で異常は見られなかった。また、毎分5ビート以上の心拍数増加 は、深呼吸などでも変動する範囲であり、本剤の通常使用において重要な問題となる変動 ではないと回答されました。  機構は臨床試験等でも副作用が認められなかったことや、添付文書のほか外箱や使用者 向け解説書の表紙にも、高血圧や心臓病の患者に対する注意喚起が目立つように行われる こと等を総合的に判断し、回答を了承しました。  報告書は8ページからになります。臨床試験は、評価資料として本品を用いた二重盲検 比較試験、長期投与試験、薬物動態試験の結果が提出されています。9ページ下段を御覧 ください。有効性については、20歳以上の男性の壮年性脱毛症患者300例、本品群及び 対照群であるリアップ群が各150例になりますが、それを対象にした二重盲検比較試験に おいて、主要変数である非軟毛数の変化は、主評価時期である16週後において、本品群 26.4本、リアップ群21.2本でした。群間の差は5.2本であり、本品群で有意に高い結果 が得られています。  10ページ〜11ページにかけてです。安全性につきましては、副作用発現症例率は申請 時の臨床試験では、対象患者210例中18例に認められました。主なものは皮膚症状15例 であり、いずれも軽度又は中等度の症例でした。その他、臨床検査値の異常変動、頭痛が 認められましたが、すべて軽度でした。  また、リアップにおける既知の副作用と比較して、発現頻度が高いものの、副作用の種 類、程度に違いはなく、52週までの長期投与による副作用の増加は認められませんでし た。以上より、安全性に大きな問題はないと考察されております。  報告書11ページの末尾を御覧ください。申請時には、効能・効果に「硬毛(太い毛)へ の成長」が新たに設定されていましたが、臨床試験で軟毛から硬毛への成長を直接示唆す る結果が示されていないことから、検討を求めましたところ、これらの効能は削除され、 その結果、リアップと同一の効能・効果となっております。  以上より、総合機構は本品目について、この効能・効果、用法・用量の下で、一般用医 薬品として承認して差し支えないと判断し、本日の部会において審議されることが適当で あると判断いたしました。  なお、本申請は新用量医薬品に該当することから、再審査期間は4年とすることが適当 であると判断しております。  最後に、ミノキシジル5%の毒薬、劇薬指定の要否について御説明いたします。資料概 要は261ページ以降にございます。  ミノキシジル及びその製剤について、「劇薬等の指定」という欄を御覧いただけると分 かりますが、現在の指定では本剤は劇薬に該当します。しかしながら、264ページ中段以 降で、毒薬・劇薬指定基準に基づき見直しが行われ、ミノキシジルを5%含む本剤が、い ずれの基準にも該当しないと考えられる理由が記載されています。これらの説明から、ミ ノキシジル及びその製剤について、5%以下を含有するものについては、劇薬には該当し ないと判断しております。以上です。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○望月部会長 順序が逆になりましたが、審議の際の申合せ事項について、各委員からの 申出状況についての報告をお願いします。 ○事務局 各委員の申出状況について報告いたします。リアップ5及びリアップX5につ いては、退室委員はいらっしゃいません。議決に参加しない委員は西澤委員です。以上で す。 ○望月部会長 ただ今の内容について、御質問、御意見等がございましたらお願いいたし ます。 ○板倉委員 先ほどの御説明で、リアップとリアップ5は使われる方が選ばれるだろうと いうことでしたが、最初に使われる方は、できればリアップを使っていただきたいという 意味で、何か手立てはお考えになっていらっしゃるのでしょうか。 ○望月部会長 最初に使われる方への指導というのは、いかがでしょうか。 ○機構 薬剤師向け、販売店向けの資料には、そのように勧奨をするようにと書いていま す。申請者にも申しましたところ、そのようにするという答えでしたので、そのようにな されるのだと考えています。 ○望月部会長 他にございますか。 ○望月(眞)委員 以前に、リアップに関しては、患者さんによっては大量に使う人がいる ということが、こちらの場の御意見で出ていた記憶があるのですが、過量に使ってしまっ た事例があるのか、あるいは、それに対して説明文書の中で、それを防ぐような表現をど ういう形でされているのかについて、御説明いただきたいと思います。 ○機構 副作用情報として上がってくるのは、基本的には適正使用で上がってくるものだ と思います。したがいまして、我々はその情報を把握していませんが、申請者に聞きまし て、それについてどのようにするかは今後検討させていただきたいと思います。 ○望月(眞)委員 今回5倍の濃度になりますので、過量に使った場合の循環器系等への影 響については、今はデータがない状況になっていると思いますので、十分に情報収集をし ていただければと思います。それから、その表現として、添付文書(案)の「用法・用量」 というところになるのですが、ここに*が付いていて、「1回1mLの使用について、き ちんと守るように」という記述があって、それで十分に全体に行き渡るという表現になっ ているのですが、なぜ守らなければいけないのか、という書き方にしていただいた方がい いのではないかと思うので、この辺りでも工夫していただきたいと思います。 ○機構 ありがとうございます。添付文書(案)の用法・用量の「注意」のところですが、 「決められた以上に多く使用しても、効果の増加はほとんどなく、副作用の発現する可能 性が高くなります」というのは書いてありますので、これをもう少し目立つようにしまし て、情報提供させていただきたいと思います。 ○望月部会長 他にいかがですか。 ○板倉委員 容器が二つ並んでいるので、これについて御説明いただけますか。 ○機構 添付文書(案)に容器図面がありまして、そこに(A)と(B)が書いてあります。資 料概要でいうと83ページです。そこに容器の説明が書いてあります。(A)は今リアップ の1%製剤で使っているものです。(B)は今回新しく開発したものだそうですが、まだど ちらを使うかは決めていないということです。申請者によれば、どちらも安全性を考慮し て、押さないと出ない仕掛けになっています。 ○望月部会長 使い方について、特に機構の方で問題が出たということはないですか。よ ろしいでしょうか。それでは議決に入ります。医薬品リアップ5及びリアップX5につい て、西澤委員においては申出に基づいて議決への参加を御遠慮いただくことといたしま す。ほかによろしければ本剤は条件付で承認「可」として報告させていただきます。再審 査期間4年ということ、劇薬に該当しないということを含めて御承認いただきました。あ りがとうございました。以上で審議事項を終わります。次に移ります。事務局から説明を お願いします。 ○事務局 議題2「薬局製剤指針等の一部改正」について、資料4-1を御覧ください。  1.は制度の概要です。薬局製造販売医薬品については、薬局開設者が当該薬局におい て医薬品を製造して、当該薬局において販売する医薬品のことを申します。薬局製造販売 医薬品に配合できる有効成分の範囲としては、薬事法施行令第3条第3号に基づく告示に よって指定されています。また、薬局製造販売医薬品の具体的な処方、製造方法、用法・ 用量、効能・効果並びに規格及び試験方法については、「薬局製剤指針」ということで、 局長通知として示されているところです。  2.は今回の改訂案です。資料4-2の改正案と並べて御覧ください。最初に告示の改正 ですが、記載が間違っていました。こちらはナファゾリン硝酸塩を、ナファゾリン塩酸塩 に変更するということで、資料4-2の2番目の理由で記載しています。その理由としては、 硝酸塩の入手が困難ということです。  続いて、資料4-2、通知の改正として、最初が成分の変更で、理由が原料の入手が困難 ということです。入手可能な倍散又は成分に変更したことが、最初の括弧の鎮暈薬からか ぜ薬までの6処方になっています。理由としては、製剤の有効性を向上させるための成分 の追加又は増量として、外皮用薬が5処方あります。  資料4-2の外皮用薬22-(1)ですが、尿素の分量を10gから20gに変更していて、その 関係で修正があります。資料4-4を御覧ください。改正部分として、現在、一般用医薬品 で同種のものについて、小児乾燥性の皮膚について、20%製剤が認められていませんので、 こちらの増量に伴って効能を削除するということで考えています。  続いて資料4-2の2枚目を御覧ください。上の方の表ですが、製品の品質の向上のため の変更で、4処方変更しています。また、剤型の追加として、カプセル剤の追加が1処方 あります。  資料4-1の3です。改定の内容の妥当性については、国立衛生研究所の専門の先生方に も御確認いただいて、妥当である旨の判断をいただいているところです。  4.は今後の手続としては、パブリックコメントを行って、告示の改正及び局長通知の 改正を行っていくとしています。以上です。 ○望月部会長 ただ今の内容に関して、御質問、御意見等はございますか。 ○板倉委員 確認ですが、直されているのは資料4-1の2.の(1)のナファゾリン硝酸塩 をナファゾリン塩酸塩に変更ということですね。 ○機構 そのとおりでございます。 ○望月部会長 ほかにはございますか。ただ今の修正を間違いなく行うようにしていただ いて、この形でパブリックコメントから、その後に告示改正、局長通知と進めていただき たいと思います。ありがとうございます。続いて議題3について、事務局からの説明をお 願いします。 ○事務局 資料5-1を御覧ください。一般用漢方処方に関するパブリックコメントの結果 について、御報告いたします。1.「概要」です。これまで本部会においても、平成20年 2月及び5月に審議されてきたところです。その結果を受けて、本年6月〜7月にかけて パブリックコメントを行って、再度検討しました。  2.「検討結果」です。パブリックコメントについて意見の対象となるものは、別添の 5-4になります。本日追加をして出しています。この追加について、資料5-4の審査管理 課の下の文章の2行目の後半ですが、今回同趣旨のものは集約するということと、パブリ ックコメントの対象となる事項についてのみ、考え方を示していたものを既にお配りした ものですが、今回それ以外の部分も全部入っているのか、分かりづらいという御指摘もあ りましたので、後半の方に番号は付いていませんが、今回聞いた内容とは違うという部分 についても、付け加えています。  資料5-1です。主な改正点について御説明します。まず(1)の症状に関する主な変更点 として、「目まい」の部分を、平仮名の方が適切であるということから、字句の訂正を行 いました。その下の「しみ<肝斑等>」と記載していましたが、関係学会等の意見も踏まえ まして、従来のままの「しみ」に修正します。  (2)のしばりについて、「神経過敏」という部分が、安中散の方に入っていまして、本 来安中散加茯苓の方に入るのが適切でしたので、これはミスということで修正します。半 夏厚朴湯についても、しばりのところで、「体力中等度をめやすとして、幅広く応用でき る」という部分の、「幅広く応用できる」という部分が分かりづらくなっているというこ とで、変更して削除しています。  (3)は五積散の生姜について、「ヒネショウガ」の部分の記載が抜けていたので追加し ました。作成時のミスです。以上の部分について変更しましたので、御意見をいただけれ ばと思います。以上です。 ○望月部会長 ただ今の御説明に基づいて、御質問、御意見等はございますか。 ○板倉委員 まず1点目として、パブリックコメントで26件の御意見ということですが、 パブリックコメント自体が、広範から御意見をいただいていると考えられるのかについて お聞きしたいのです。こういった問題については、非常に関心も高いところですが、パブ リックコメントで、内容的に妥当性があるかどうかを確認していかなければいけないわけ でして、単にパブリックコメントをホームページ上に載せたからというだけで、意見が集 約されるものではないと思うので、お知らせいただければと思います。 ○審査管理課長 パブリックコメントが、今板倉委員がおっしゃったような、この分野に 関心を持つ方々から万遍なく来ているかどうかは非常に判断しにくいところです。  結果的に申し上げますと、私が承知している限りでは、関係企業のほか、例えば大学の 医学部の漢方の先生、あるいは消費者と思われる方々、薬剤師の方々というような方々か らコメントを寄せられていると承知しています。そういう意味で申し上げますと、必ずし も業者に限られるのではなく、ある程度の関係者がコメントをしてきていると考えていま す。 ○板倉委員 私自身、今回30年来の夢を形にされるという意味で、非常に御苦労があっ たことだと思うのですが、逆にそういう際に、いろいろな考え方をお持ちになる専門家か らの御意見をお聞きしたかったと思うのです。  パブリックコメントについて、ホームページに載せるということだけではなくて、特に 漢方についてはいろいろな考え方で、派もいろいろあるとお聞きしていますので、そうい ったことで、派ごとにいろいろな考え方があることも含めて、集約していただくような方 策をとっていただくべきではなかったかと思っています。  特に、一部お聞きしているところでは、診療のところで影響を及ぼすのではないかとい う懸念をお持ちの方があると聞いていまして、こういったものを出されることは重要なこ とですし、前のものと比べて詳細になっているということは言えると思うのですが、逆に これがバイブル化してしまって、これ以外のことについて問題があるというか、それ以外 の考え方を認めないという形で、これを利用されることについては非常に憂慮しています ので、これが第一歩ということで、また次のことを考えていただくことが必要だと思いま すが、是非そういったことを考えていただければと思います。  特に、今回資料5-4ということでまとめ直していただいたのですが、例えば26以降で、 「一般用漢方処方に関する質問ではありませんので、回答は控えさせていただきます」と いうのが並んでいますが、私はパブリックコメントでどのような聞き方をされているのか が分かりませんので、なぜ「一般用漢方処方に関する質問ではありませんので」と回答を おまとめになっているのかがよく分かりません。ですから、それについてどういう意味で このように御回答されているのかについても、お聞かせいただければ有り難いと思いま す。 ○審査管理課長 二つ御質問をいただきました。まず最初の御意見からお答えを申し上げ ます。恐らくそれ以外の分野もそうなのだと思いますが、確かに漢方の分野でもいろいろ な意見があります。「派」という表現をなさいましたが、そういうものがあるのも承知し ています。  例えば資料5-4で申し上げますと、10番であったかと思いますが、体力を基準とした ような処方ということに対して、どうだろうかというような御意見を賜ったのも、そうい う方々からだったと聞いています。  ほかにも幾つかあったと思いますが、事務局として、個別にこの意見を出された方とも 電話で連絡をとらせていただくなりして、書面だけではなかなか通じないところがありま すから、意見の交換をさせていただいたところです。  その段階におきましては、この御意見を出された方々も、この体力を目安とするやり方 というのが一般的というか、主流であるというのは考えておられていて、その上でという ような御意見だったと聞いています。  一方で、我々医薬品を承認する立場から申し上げますと、あれでもいいよ、これでもい いよというわけにもいかないわけで、そういう意味で申し上げますと、漢方医療そのもの に我々が基準を示すとか、そういうことを考えているわけではなくて、医薬品の承認とい う側面だけをとってみると、現在多くの方々に受け入れられるところを模索していく作業 をしたところですし、現実問題として研究班における作業の中でも、そのような努力をさ れたと聞いています。  2番目の御質問について、資料5-4で申し上げますと、最後のページの26番まであっ て、それから番号がないわけですが、その答えが、「一般用漢方処方に関する質問ではあ りません」と。一般用漢方処方に関する質問ではないというのも変な話でして、一般用漢 方処方の承認基準に関する質問ではないと。要するに、今回は一般用漢方処方の承認基準 の変更というところでパブリックコメントをやっておりますので、一般用漢方処方の承認 基準に関する御質問ではないと回答を訂正させていただきたいと思います。  もちろん、それぞれ言ってこられたものについては、特に御質問は別問題として、御意 見については、例えば最後から2番目で、誇大広告があるとすれば、それは当然のことな がら、監視・指導の中で対応すべきことですし、個別にそういう情報があるということは、 監視・指導分野にも伝えているところです。以上です。 ○望月部会長 いかがですか。 ○板倉委員 最後の問題について、「肥満症」という症状名については、処方の中にも入 っているということですので、お考えいただくことはあっていいのではないかと思ったの ですが、いかがですか。 ○審査管理課長 先ほど私が申し上げたのは、肥満症を巧みに利用しているというような 理由で、肥満症を変えるというのも問題ではないかと思っています。それが医学的、薬学 的に、肥満症という表現がおかしいかについては、研究班の班長がおられますので、班長 からお答えいただければ有り難いと思います。 ○合田委員 この部分はかつての研究班でも非常に議論があったところです。MDの先生 がたくさんいらっしゃいますので、私がお答えするのも少し違うかと思うところもありま すが、肥満症という言葉が、医学の世界で一般であるかどうかということであれば、余り 一般的表現ではないという議論が出ていました。しかしながら、これはいわゆる一般用の 漢方処方であるというのが、最大の前提ですので、一般の方が分かりやすい表現をどうす るかということで議論がありまして、現状で、肥満症という言葉を一つの承認の効能・効 果の中に認めているという前提の下に議論をしたところ、これはこのまま残してもいいの ではないかという結論になったところです。 ○板倉委員 素人としてお聞きしたいのですが、肥満と肥満症というのはどのような違い があるのでしょうか。消費者がそれをどう解釈していいのかまでを含めて、分かるような 形で処方していただかないと、その違いが分からないと思いますので、よろしくお願いし ます。 ○西澤委員 肥満と肥満症は明らかに違いまして、肥満というのは体の中の脂肪組織が多 いというだけの意味です。肥満症というのは、私たち肥満学会では病名と考えていて、肥 満が原因となって何らかの障害を起こしている、あるいは医学的に減量をすることによっ て治療ができる、そういう病的状態を示すとして、そのように言葉として区別できていま す。 ○板倉委員 という御説明であれば、一般用医薬品としてダイエットに使うという広告と いうのは、間違っていることになりますか。 ○審査管理課長 いわゆる誇大広告に当たるかどうかという議論になろうかと思います。 ダイエットの書き方にもよるのだと思いますが、監視・指導の担当には、そういう意見が あったと、そこは適正に監視・指導してくれと私の方からも改めて伝えていきたいと思い ます。 ○板倉委員 それ以外なのですが、体力中程度等について、一般の消費者が体力中程度か ら連想するイメージと、漢方の中でどういうことを表わしているのかについて、商品とし て出たときに分かるのかどうかがありまして、ここについてどのような形で情報提供され るのかについてもお聞きしたいと思います。 ○望月部会長 10番のパブリックコメントに当たるかと思いますが、合田先生お願いで きますか。 ○合田委員 一般用の漢方処方ですので、一般の方がそのものを取られたときに、なるべ く漢方の考え方に従って、より適切な判断ができることを前提に文章を考えています。そ の中で、今の自分の状態がどういう状態であるかということについて考えたときに、「体 力」という言葉を使う方が、今までは全く何も使われていなかったわけですから、より適 切に判断できるだろうという考え方で、「体力」という言葉がなされています。  現在、別な研究班でAURという、一般の薬局を利用したアンケート調査で、その中で 一般用の方が、自分が体力があるかどうかということについて、判断ができるかどうかと いうことも聞いております。その場合に、ほとんど全員の方が自分がどのくらいの体力が あるかということを、自分の目安で薬剤師さんと話をする中で選択をされていますので、 一応こういう言葉は普通の一般用を使用されるお客様が、理解できる言葉だろうと考えて おります。  もう一つは、今回の効能・効果の欄には特に出ているわけではないのですが、研究班の 中では体力の目安とするカラーバーというものを作っていまして、5段階に分けて大体ど の辺のところからどの辺のところまでの方にこの処方が使われるだろうかということを、 実際には研究班では検討しています。そのカラーバーそのものは、それを医薬品のところ にすぐ載せるわけではないですが、薬剤師さんがお持ちになる実際の「一般用の漢方処方 の手引」には、必ず載せるような形にする予定です。薬剤師さんも大体このくらいの体力 がある方が用いれば、この処方は適切だろうと判断が出来る。言い換えれば体力というの が多分一般の方には一番分かりやすいということで、その目安を出した。その場合、患者 さんが判断され、もう一方で、薬剤師さんもそういう漢方的な考え方に従って、患者さん と相談の下にどの程度の体力があるかを話をして、お互いにコミュニケーションをとるこ とで一つ一つの処方がより適切に使えるだろうということ、また、この様に工夫した形で 販売をしていただける形になればベストだろうと、私は考えています。 ○望月部会長 ただ今のカラーバーというのは、この資料5の参考の2に入っているので すか。 ○合田委員 参考2には入っていませんが、研究班の報告書には出ております。それは現 段階は直接承認には関係しませんので載せておりませんが、そのもの自身は現行の「一般 用漢方処方の手引」が改定されるときには、それを参考として付属のような形で付けるこ とを前提にして作っています。 ○望月部会長 より詳しい体力の目安というのが、今度はきちんと出来上がるという御説 明だったのですが、いかがでしょうか。 ○板倉委員 虚実ということで、体力で表すということについては10番にも書いてあり ますが、虚実という判断が派によって違うという話も聞いております。そういうところで できれば処方によっては、体力だけで判断するのが妥当でない処方が入ってきているので はないかという心配をしておりまして、その点についてもう少し御配慮をいただくこと は、今後の問題として可能でございましょうか。今すぐにどうこうしろという話ではあり ませんが、210処方が今までいろいろな方にすべて使われてきたというわけでもなければ、 EBMが確立されているわけでもないというところで、一つの考え方として虚実と体力と いうことでお考えになる学派もあれば、そうでないという学派もあると聞いていますの で、体力だけで分からないことはたくさんあります。  私自身も30年来、漢方については自分で購入して使ったりしていますが、なかなか効 き目がはっきりしない。自分で体力を合わせて、一応自分なりに知っている知識の中で合 わせてもなかなか合致しないこともありますが、漢方薬は、プラセボ効果の方が大きいイ メージで捉えられるようになってしまったのは非常に問題があると思います。そういった 意味でもう少しきちんといろいろな漢方の情報収集、整理をして、学派を超えてもっとシ ビアに、ある意味では西洋医学に対峙できるようなところまで持っていっていただくため にも、今後こういったことについてもう少し広い視野、範囲で情報を収集していただける と有り難いと思うのです。 ○望月部会長 ありがとうございました。コメントはございますか。 ○審査管理課長 板倉委員の御指摘は、専門家と申しますか、この分野に携わっておられ る方として、至極当然だろうと思います。いわゆるアカデミアの世界で考えれば、いろい ろな派が活発な御議論をされるというところに、この分野の学問も深まっていくのだろう と思います。  一方におきまして、医薬品の承認という立場から申し上げますと、どこかでできるだけ 多くの人がやむを得ない、仕方がないというところで合意を見いだしていくことも、また 現実問題としてやむを得ない措置なのだろうと思います。  そういう意味で研究班においても、いろいろな方々の御意見を聞いたと聞いております し、部会における審議の中でも御意見を賜り、また特に疾病名を中心として漢方の先生方 数名にお集まりいただいて、さらにディスカッションを賜ったところです。ですから、こ れはこれで約40年にわたって改正をしてこなかったわけですから、一つの成果として改 正をさせていただきたいと思っておりますが、今後ともこういったものの見直しというの は、少なくとも40年も放ったらかしにするのではなくて、不断の見直しが必要だという のもまた板倉委員の御指摘のとおりですし、我々としてもそれは気を付けていきたいと思 います。  またお願いしているのは、あるいは今回の限界と申しますのは、あくまで医薬品として の効能・効果の議論でありまして、漢方医療そのものについて我々がどうのこうのという ような立場でもありませんし、そういう意図を持っているものでもないということは、申 し上げておきたいと思います。 ○望月部会長 ありがとうございます。望月委員、お願いします。 ○望月(眞)委員 資料5参考2という「新一般用漢方処方の手引(案)」というのは、どの ような活用の仕方をなさるのか、教えていただきたいのです。効能・効果とそれに対して しばりというのを様々な御議論の中から出して、これを新しい漢方については効能・効果 に記載していけるような形に整理をしてくださったというのは、大変なお仕事だったので はないかと思いまして、それには敬意を表したいと思います。難しい解説ではあるのです が、ここにせっかく解説として、しばりが付いた効能・効果になった背景を、簡単ではあ りますが説明してくださっています。これがもう少しいろいろなところで活用されると、 先ほど合田委員がおっしゃっていたような薬剤師さんの説明、情報提供にもうまく利用し ていただけるのかもしれないと思いまして、御説明をいただければと思います。 ○望月部会長 説明をお願いします。 ○審査管理課長 この手引(案)資料5の参考2と打たれた資料ですが、この資料は、あく まで研究班の成果物という性格のものです。一方におきまして資料5-3が、必要最低限と 申しますか、骨だけになっているわけでして、厚生労働省名で通知するのはこれになるの だろうと思います。  一方この部会における審議の中で、研究班の成果物の一部をより精度を上げたとか、あ るいは変えたというところがありますから、そういう意味でこの成果物も少し変更が必要 となっているのだろうと思います。できれば私としては望月委員がおっしゃったように、 成果物というのはその背景であるとか、貴重な資料を賜っておりますから、今回新しく出 す基準の解説として整備した上で、だれでも手に入るような状況、状態に置いていただき たい。また研究班の先生方と、そういう方向で相談したいと考えているところです。 ○望月部会長 ありがとうございます。合田委員は、追加はございますか。 ○合田委員 結構です。 ○望月部会長 ほかにどうぞ。板倉委員お願いします。 ○板倉委員 その際には、虚実の部分についても一つの学派だけではなくて、一般的にほ かにもいろいろな考え方があるということも入れておいていただいて、ただし、いろいろ な議論の部分で今のところはこうなっているということも含めて、書いていただきたいと いうことが1点。  もう1点は、漢方薬というのは何か月も使わないと効果が出てこないのだというような 形で販売されることが多いのですが、私自身もそういったものだと思っていたら、最近処 方していただいている薬については、すぐに効果が分かるのです。ですから逆に言うと効 果が出るまでしばらく続けなければいけないというよりは、ある程度ダラダラと効果が出 るかもしれないという形で長期的に使い続けるよりは、やはりもう一度見直して、新しい ものに処方として変える等の提案をしていただくことが望ましいのではないかと思いま す。特にお医者様自身の診断と変更についても、いろいろと様子を見ながら変えていかれ るという話を聞いていますので、普通のいわゆる健康食品のように悪い状況が出てきたら 好転現象だというような売り方をするとか、長期的に使い続けないと、これは生薬で穏や かだから作用もすぐには効果が出ないのですよ、というような説明で、不必要あるいは有 害になるかもしれない薬を長期間使わせるようなことがないような形で、販売を考えてい ただくようなことも御配慮いただければと思います。よろしくお願いします。 ○審査管理課長 最初の点につきましては、また研究班の先生方に御要望をお伝えしたい と思います。2番目の点につきましては、恐らく症状や処方の状況において、すぐに効果 が出るもの、あるいはジワジワと効いていくものがいろいろあるのだろうと思います。  ただ、今委員が御指摘なのは、やみくもに長期間の服用が必要なのだということを殊更 強調するなということだろうと思いますし、そういう範囲での指導というのは当然、我々 として心していきたいと考えています。ありがとうございました。 ○望月部会長 ほかには御意見ございますか。では、現段階での一般用漢方処方というこ とに対する医薬品の承認ということは、皆さん反対はないかとは思うのですが、いろいろ な意見が出ましたが、今後漢方医療はどういう形で最適化するかということについては、 医学教育のモデルコアカリキュラムにも入っておりますし、薬学教育のモデルコアカリキ ュラムに入っておりますので、これから出てくる薬剤師、医師というのは、こういう基礎 ができている方がどんどん出てきて、その上に社会に入ってからさらに力をつけていくと いうことで、時間がかかりますが、いずれこういう漢方医療も板倉委員が御心配になった ようなことはなく、皆さん理解されるということで、現段階ではこの形で承認していただ くということが一番いいかと思うので、そういう形でよろしいでしょうか。  ほかによろしければ承認可、として報告とさせていただきます。  続きまして、議題4に進みます。 ○事務局 議題4「医療用医薬品の有効成分の一般用医薬品への転用」につきまして、資 料6-1について御説明させていただきます。資料6-1につきましては、平成19年3月の 本部会において御了解いただいた内容ですので、1.は省かせていただきますが、2.の具 体的な手順として、今度平成19年4月から事務局の方で日本薬学会の方に転用すること が適当という品目につきまして、概要のとりまとめをお願いしました。本年の3月末に報 告書が上がってきまして、それについて本年4月〜7月まで日本医学会及び分科会である 105学会に意見募集を行ったところです。  次のページは、今回新たにスイッチOTC化すべき品目ということで、学会からの意見 についてまとめさせていただきました。一番左のカラムの成分というところにつきまして は、薬学会の方で報告書をとりまとめた成分名です。最初の三つのアレルギー性鼻炎につ いては、特段意見はありませんでした。四つ目のフルチカゾンプロピオン酸エステルです が、こちらにつきましては日本アレルギー学会より現在医薬品申請中のベクロメタゾンが 承認になってから、ベクロメタゾンより強力であります本フルチカゾンプロピオン酸エス テルを転用の候補に上げるのが良いという御指摘です。次のチアラミド塩酸塩につきまし ても、意見はありませんでした。  次のボグリボースにつきましては、糖尿病学会の方から副作用(低血糖、消化器管系) の問題から、転用には慎重な対処が必要ということで意見を受けています。その下のトコ フェロールニコチン酸エステルですが、日本整形外科学会から、安全性には問題ない。た だ、末梢血行障害について的確に把握できるかという疑問があるという意見をいただいて おります。その下のイコサペント酸エチルにつきましては、意見はありませんでした。  ヒアルロン酸ナトリウムにつきましては、リウマチ学会と眼科学会から意見が来ており ます。リウマチ学会の方としては、リウマチの初期症状としてドライアイがあるのでそれ を隠蔽する可能性があるので、転用には不適切という意見をいただいております。眼科学 会においてもドライアイという症状につきましては、医師の診断、治療の判定が必須にな りますので、誤った自己判断の使用というのは良くないことから、転用には不適切という 御意見をいただいております。  その下のピランテルパモ酸塩ですが、こちらにつきまして寄生虫学会より副作用等は少 ないが、医師による適切な診断、治療効果を見極めて、また患者及び家族の心理的不安へ の配慮等につきまして避ける必要があるということで、転用には慎重な対応が必要という 御意見をいただいております。  最後ですが、アンギオテンシン変換酵素阻害薬につきましては、高血圧学会から重篤な 副作用(血管浮腫等)がある関係で、また妊娠時の奇形、腎障害時の腎機能低下、脱水時の 急激な降圧、高カリウム血症等が懸念されるので転用には反対であるという意見をいただ いております。  その下に※で書いていますが、当初日本薬学会の報告書をまとめた段階につきまして、 ロキソプロフェンナトリウムについては報告書としてとりまとめていたところですが、既 に承認申請がなされていたことから関係学会から意見が提出されたところですが、今回は 検討の対象からは除外するということで考えております。  以上のような状況でして、本日議論を進めていただいた上で、特に意見が出なかった品 目、及び資料6-1の横表の所ですが、フルチカゾンについては順番を考えて転用すること が望ましいということですので、そういったことの留意事項を。またニコチン酸トコフェ ロールにつきましては、症状について情報提供等をきちんとするということを留意事項と して、意見なしという所の成分と今の二つにつきまして、特に問題がなければ開発を進め て問題ない品目として、連絡したいと事務局の方では考えています。御意見よろしくお願 いします。 ○望月部会長 ただ今の御説明に関しまして、御意見等ございますでしょうか。どうぞ、 生出委員お願いします。 ○生出委員 今のをもう一度確かめますと、アンレキサノクス、ペミロラストカリウム、 エバスチン、フルチカゾンプロピオン酸エステル、チアラミド塩酸塩、トコフェロールニ コチン酸エステル、イコサペント酸エチル、ロキソプロフェンということで、七つという ことで間違いないですね。  それから、私の考えとしてはピランテルパモ酸塩について、日本寄生虫学会の方からは、 「適切な診断及びうんぬん」ということで慎重な対応が必要と考えるというお答えがきて います。もともとピランテルパモ酸塩は薬局での一般用医薬品という位置付けで販売がさ れていたものですし、反対意見の中で集団健診結果というのがなかなかできにくくなって きていることがあります。そうは言いましても、いまだに学校では蟯虫や回虫等の検査を 行っていますので、その結果があればまた診断を受けてうんぬんというよりも、いるとい うことが分かった段階で薬局で買えるという用法のメリットが高いと思いますので、引き 続きこれは継続してスイッチOTC化を目指していただきたいと思います。 ○望月部会長 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 事務局からの説明が、十分ではなかったのかと思っているわけですが、 ここに全部で11品目、一つはアンギオテンシン変換酵素阻害薬というカテゴリーですが、 11品目あって、薬学会で議論をしていただいて、その結果について各医学会から御意見 を賜った結果を本日お示ししています。  事務局の考えですが、今御指摘のありました7品目につきましては、今日付けでスイッ チ化することが望ましいので、その方向で努力をしてくれというものを業界団体に対して 発出しようということです。  残りの品目について、スイッチ化すべきであるという考え方を破棄するものではありま せん。関係学会から御意見を賜っているわけですから、その関係学会に対して個別にその 中身に応じて対応を図っていくのだろうと考えているわけです。したがいまして、今御指 摘のあったピランテルパモ酸塩につきましても、今おっしゃられたような考え方があるの であれば、またそれをどこがやっていただくのかはよく分からないところはありますが、 今日の資料はすべてまた公開されるわけですから、そういう資料が出てくればそれを寄生 虫学会にまたお尋ねし、お互いにキャッチボールをしながらそこは議論していくのだろう と思っています。  また、例えばボグリボース、あるいはアンギオテンシン変換酵素阻害薬とか、副作用上 の懸念、あるいは一般用として、果たして安全性を確保できるのかという御意見をいただ いているわけです。いろいろな資料を基に、余りそういう御指摘のような点はないのだと いうことを言っていても、そこはなかなか議論にならないところがあって、ある面で申し 上げますと、アメリカでやられ、また日本でも幾つかトライアル的に実施されているAU Tという薬局で販売した場合の状況を模して試験をやるというやり方があるわけですが、 そういう試験を行うというのも一つの方法としてあるのかと考えているわけでして、学会 からのいろいろな御意見に応じて、また例えば学校で薬剤関係をやっている方々から反論 をいただくのかもしれませんし、それぞれに応じた対応を図っていきたいと考えていま す。その結果については時点時点でまたこの部会にも御報告をしたいと考えています。 ○望月部会長 ただ今の説明で、よろしいでしょうか。 ○生出委員 その他に、進められる方向にあるニコチン酸トコフェロールとイコサペント 酸エチルですが、これは効能・効果がいわゆる健康食品だとか、従来の一般用医薬品と全 く違う効能・効果になるかと思うのですが、これはもし申請があって新しい医薬品にスイ ッチOTC化されたときは、第一類医薬品という形になるのでしょうか。 ○望月部会長 いかがでしょうか。 ○審査管理課長 法律的に申し上げますと、第一類というのは副作用等によって日常生活 に支障を来す程度の健康被害が生じるおそれがある医薬品のうち、特に注意が必要なもの として指定したものというのが一つあります。  もう一つ第一類にありますのは、例えば効能・効果、用法・用量等が既承認のものと明 らかに異なるというようなケース、いわゆるこれがスイッチOTCである、あるいはダイ レクトOTCであるというのがあります。2番目についてはスイッチである、あるいはダ イレクトであれば自動的に指定がされるということですから、スイッチのものについては 自動的に第一類になるという性格のものです。 ○望月部会長 ほかには御意見ございますか。西澤委員お願いします。 ○西澤委員 今回には含まれないということでいいのですが、ボグリボースとアンギオテ ンシン変換酵素阻害薬のことですが、これは血糖の管理にしても高血圧の管理にしても、 非常に長期で、かつある程度の管理というのが前提になった薬剤ではないかと思います。 そういうことから考えますと、今我が国で糖尿病にしても高血圧にしても受診者そのもの が半分程度しか受けていませんし、受診されて投薬を受けている中でも、血糖にしても血 圧にしても、管理状態がいいと言われているパーセントはかなり低いということになって いまして、管理というのはものすごく難しい状態なのです。そういう意味で、どうも血糖、 あるいは血圧の管理をあいまいにさせてしまう可能性のある状況を作るのではないかと いうのを少し恐れるのですが、こういう点についてはいかがでしょうか。 ○審査管理課長 今の西澤委員の御指摘の点というのが、例えば高血圧学会からの御意見 なのだろうと考えているところです。資料6-2の9ページに、高血圧学会から御意見を賜 っているところでありまして、これの理由の1.個々の病態に応じて行う必要がある、あ るいは長期的な臨床評価が必要となるのだという点であろうと思います。したがいまして こういう議論をしていくと、いいとか悪いとか言っていてもなかなかそれから先に進まな いので、果たしてここでおっしゃっているような長期的な管理というのが、OTCという 薬局が消費者に対して直接医薬品を提供するというような場において、うまくマネジメン トできるのかどうかというのを、実際上の試験をやるのがアメリカで開発されたAUTと いう試験でして、そういう試験をやるのも一つの手段ではなかろうかと、我々としては考 えているところです。  ただ、試験をやるということになれば、当然のことながら費用がかかりますし、またこ ういう分野ですから例えば関係学会の御協力、あるいは薬局の御協力が必要となってきま すので、それらの点については今後いろいろな関係者とまたお話をしていきたいと考えて いるところですし、どういう進行状況にあるかについても、この部会においてまた御報告 をしたいと考えております。 ○西澤委員 どうもありがとうございます。すべて御存じのことだと思うのですが、例え ばボグリボースを見ましても軽症者に使うと。要するに、血糖が少し高い人に心配だから 使うという使い方を勧めるような言い方が書いてあるのですが、実際にはそういう人はほ とんど、例えば食事療法とか運動療法とか、薬剤を使わず対応するのが原則になっていま すから、管理ということも重要なポイントになるので、その辺りの周知というのが非常に 大切になります。分かっておられるとは思いますが、よろしくお願いします。 ○審査管理課長 それは仮にスイッチOTCにしたところで、医学的と申しますか、その ような管理が必要だというのは、先生がおっしゃるとおりだろうと思っています。  先ほどの資料の6-2の3ページに、糖尿病学会からボグリボースについて御意見を賜っ ていて、併用薬によって低血糖を引き起こすことがある。さらにショ糖ではなくてブドウ 糖を服用しなければいけない。あるいは消化器系の副作用があるわけで、ここも慎重に対 処と。その「慎重に対処」の中に、先生がおっしゃっている管理というのが当然、入って くるだろうと考えています。したがいまして、そういった管理ができるのか。ある程度長 期間で、例えば半年とか1年というかなり長期間にわたるスタディを何らかの形でやって みるというのが、今先生がおっしゃっているような御疑問に答えられる唯一の方策です。 ほかにも方策はあるのかもしれませんが、今考えついているのはそういうところで、そう いう方向性を模索してみたいと考えているところです。 ○望月部会長 ありがとうございました。望月委員どうぞ。 ○望月(眞)委員 今のところはとても大切なところで、実際にOTCになるかどうか、長 期療法としてきちんとした使い方をしていただけるかというのを確認していただくこと は、とても大切なことだと思うのです。  その上で、先ほど生出委員の方から第一類に入るかどうかという御質問があった部分に 関連しますが、例えば今のボグリボースを例に取って質問します。薬学会からの報告書と いう資料6-3の32ページの下の4分の1くらいの所に、(5)がありまして、薬学会の方 からは販売時における薬剤師の関与の必要性ということで、「症状や薬剤の必要性に関す る的確な判断(販売時の自己血糖測定など)並びに服薬指導、食事・運動などの生活習慣 の指導が必須であり、薬剤師の関与なくして販売してはならない」というのが、書いてあ ります。そのあとでそういう実務、販売に従事する薬剤師については、こういった研修を するということが書かれているのですが、こういった学会等からの御指摘について、その 分類をどう考えていくか。分類というのは不断の見直しをする部分もありますので、こう いった部分をどう取り入れていくのかというところに関して、御意見をお聞かせ願いたい のですが。 ○審査管理課長 望月委員の御指摘は、まず第一にスイッチをする。スイッチをした段階 では自動的に第一類になると。そこから定例的に申し上げますと3年間の副作用報告をし てもらって、データを集めて、さらにそれを見直しするときの問題を御指摘いただいてい て、私から申し上げますと、第一段階のスイッチをする、しないというところでまだまだ 作業が必要となっていると考えているところです。仮にスイッチできた暁において、薬学 会からいただいている御意見もあるわけですから、スイッチできて副作用報告もできて、 まとまった段階で考えるときにはまた頭に置いて考えるのだろうと思います。  むしろ、それよりも重要であるかもしれないと考えていますのは、例えば32ページの (6)薬剤師の研修のところで、こんな研修をした方がいいという所があります。したがい まして、例えばこれをスイッチしたときに、薬剤師であれば誰でも扱えるようにするのか、 それともこういう研修を受けた人だけに縛るのかというのも、スイッチしていくときの一 つの条件として考える方策というのもあるのかと思います。いろいろな方策を考えなが ら、先ほど西澤委員がおっしゃったような管理、最後は消費者のため、消費者の利益をい かに高くすることができるかということですから、いろいろな方策を模索してみたいと考 えているところです。 ○望月(眞)委員 もう1点御質問があるのですが、よろしいでしょうか。先ほど資料6-1 の2ページ目の横型の表で、欄外に※で「ロキソプロフェンナトリウムについては既承認 申請がなされたことから関係学会から意見が出されたが、今回の検討対象から除外した」 となっています。これは既に申請がなされているということですが、整形外科の学会から でしたでしょうか、何か御意見が出されているようですが、ここも踏まえて今後既申請の ものについて、十分御配慮いただくような形での審査になるという辺りについて、いかが でしょうか。 ○審査管理課長 資料6-2の2ページに、整形外科学会からの御意見を賜っております。 ここの1番にロキソプロフェンナトリウムがあって、「一般用医薬品への転用について反 対します」と、このように反対されているわけです。ただ、私なりに承知しているところ で申し上げますと、ロキソプロフェンはかなり広く使われて、副作用報告等々も把握され ていると考えます。今一般用で売られている例えばイブプロフェンに比べて、果たしてこ こに書かれているような副作用の多さと重大さがあって、というように考えなければいけ ない品目であるのかどうかについては、まだまだ整形外科学会とも議論する余地があるの かと考えているわけです。今はデータに基づかないで、私が頭の中にある範囲で話しても 説得力があるものではありませんので、承認申請資料のデータを医薬品機構において分 析、評価してもらった上で、また整形外科学会とも相談をしてみたいと考えているところ です。 ○望月部会長 よろしいですか。ほかには意見はございますか。 ○岩月委員 まず最初に、遅れたことをおわびします。申し訳ありませんでした。今のス イッチOTCの件に関して言うと、今管理のお話や継続的にどう見ていくのかというお話 がありましたが、今は御承知のように薬局は分業が進んだこともありまして、患者さんの 管理に関して、薬歴やおくすり手帳を使って、患者さんと対話をしながら薬の使用状況を 確認したり、あるいは副作用の早期発見に努めることができているという前提に、私は開 局者ですからそう思っています。  スイッチしたときに何が一番問題なのかと言うと、医療用医薬品は、医師が使うか使わ ないかを決める。一般用医薬品だと、それが患者さんの手に移る。その入口のところが違 うだけで、実は管理は、私は医療用でも一般用医薬品でも同じだと思っているのです。市 販の風邪薬を買った方でも、売り放しにできるような時代ではありません。したがいまし て、そういった懸念が出されていることは素直に受け止めなければいけないと思います が、薬剤師にその能力があるかと言われれば、私は胸を張ってあると言いたいと思います し、逆にそれができなければ、多分今までのスイッチOTCもなかったのだろうと思いま す。そういったことを前提にして、研修もそうですが、これからより安全に使っていただ くためのいろいろな方策が、必要になると思います。今はそういった前提があるのだとい うことを改めて申し上げておきたいと思いましたので、あえて発言をさせていただきまし た。 ○望月部会長 大事なことで、薬剤師教育は今どんどん進んでいますが、すべての薬剤師 がみんな高い資質を持って安心して迎えられれば、管理を患者と薬剤師に任せるのは問題 であるという言葉は、余り書かれることはないと思います。それは少し言い過ぎなのです が。 ○審査管理課長 御意見は承りたいと思います。過血糖や降圧剤というものをOTCとし て消費者に提供する行為は、今はされていないわけです。いわゆる初めての領域に入って いくわけですし、糖尿病であれば食事療法、運動療法等の問題もあるわけですし、血糖を どのような形でコントロールしていくかというのもあるわけです。そういう意味では、ま だまだ私は実際上うまくいくかというのを実績として、あるいはトライアルとして示すと いうことが、一つ越えなければいけない関門としてあるのかと考えているところです。  それ以外の方策で、例えば糖尿病学会、高血圧学会の二つの学会からこういう意見が出 ているのでこれを公表するわけですから、他の団体から大丈夫なのだという御意見が出て きて、糖尿病学会が「はい、わかった」という形になれば、それもまた一つの解決スタイ ルとしてはあるのだろうとは思います。  今行政として何を考えているかというと、先ほど来申し上げたような、あるいは西澤委 員から御指摘をいただいたような点について、本当にうまくいくのかどうかというのを客 観的データに基づいて説明できるかどうか。そのためには必要なトライアルもあるのかと 考えているところです。 ○望月部会長 ほかには御意見ございますか。 ○審議官 ただ今まで大変各方面からの示唆に富む御意見をいただいたわけですが、私か ら一つだけ付け加えるというか、こういうこともあるのではないかと申し上げたいことが あります。それは日本の社会全体が直面している高齢化社会の中で、国民一人一人にとっ て、健康の重要性が極めて大きなものになってきていると思います。  例えば国民のリテラシーと言いますか、現在では高校を卒業した半分の人が大学へ進む ような状況になっていますし、今の情報がインターネット上に掲載されるような中で、非 常にアクティブに健康情報を集めて御判断される、そういう要求があると。これに対して 医療に従事する者、あるいは医薬品に従事する者などがプロとしてどう応えていくか、行 政としてどう応えていくか、そういう場面にきているのではないかと思います。その一つ が、例えば薬学部教育の6年制であり、今回の一般用医薬品の販売制度の改革になってい るわけでして、より患者・国民に寄り添って、患者・国民の最善の利益のために何ができ るだろうかということを、それぞれの立場で考えてきているのではないかと思います。  健康に立ち戻りますと、西澤先生の御指摘のとおり、自分の健康がどういう状態である のかをきちんと管理、把握するというか、ナチュラルコースまでできれば知っていただい て、例えば血糖が高いという状態であっても、将来失明や腎不全とかいろいろなことがあ るということまで踏まえた上で、全体として最善の結果に導いていくことが必要だと思い ます。したがって、もちろんこの場では一般用医薬品として何がお勧めプランなのかとい うことで御議論をいただいているわけですが、それと同時に、国民・患者さんが健康をも っと身近なものとして、自分も当事者として自分の健康を管理していくというか、財産と して増やしていきたい。そのためにプロとして薬剤師、あるいは医師の先生が治療方針を 定め、あるいは薬の使い方をどう提供していくのか、そういうところまで併せて御意見や お考えを示しながらいければ、本当にこれからの日本の患者さんにとって、もっと健康が 自分の問題、当事者として扱えるものになるのではないかという希望を持っています。よ ろしくお願いします。 ○望月部会長 ありがとうございました。最後にまとめていただきましたが、よろしいで しょうか。  それでは、最初にありましたように、意見がなしという5品目については、直ちにスイ ッチOTC化して、あとはフルチカゾンプロピオン酸エステルとトコフェロールニコチン 酸エステルについては、これに示されたような学会からの意見に対応することを前提にし てスイッチOTC化すると。その他についても引き続き今後検討するということにいたし たいと思いますが、それについてはよろしいでしょうか。  それでは、一応これらの意見に基づいて事務局で進めていただきました。本日用意した 審議、報告は、すべて終了いたしました。次回は11月26日の10時の予定となっており ますので、改めて事務局から御連絡したいと思います。一応全部終わったのですが、何か 最後によろしいですか。 ○望月部会長 では、本日の一般用医薬品部会は、これにて閉会といたします。どうもあ りがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 益山(内線2775)