08/08/28 第118回労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会議事録 第118回 労働政策審議会職業安定分科会労働力需給制度部会 1 日時  平成20年8月28日(木)14:00〜 2 場所  厚生労働省9階省議室 3 出席者    委員  公益委員 :鎌田委員、北村委員、清家委員        労働者代表:市川(佳)委員、長谷川委員、古市委員        使用者代表:市川(隆)委員、平田委員、山崎委員   事務局  太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、鈴木需給調整事業課長、        鈴木主任中央需給調整事業指導官、田中派遣・請負労働企画官、        松原需給調整事業課長補佐、待鳥需給調整事業課長補佐、        鶴谷需給調整事業課長補佐、竹野需給調整事業課長補佐 4 議題  (1)労働力需給制度について       (2)その他 ○清家部会長 定刻になりましたので、ただいまから第118回「労働政策審議会職業安 定分科会労働力需給制度部会」を開催いたします。本日は、最初に公開で、労働力需給 制度についてご審議いただきます。その後、一般労働者派遣事業の許可の諮問、有料職 業紹介事業及び無料職業紹介事業の諮問に関わる審議を行います。この許可の審査につ いては、資産の状況等の個別の事業主に関する事項を取り扱いますことから、公開する ことにより特定の者に不当な利益を与え、又は不利益を及ぼすおそれがある場合に該当 いたしますため非公開とさせていただきますので、傍聴されている方にはご退席いただ きますことをあらかじめご了承ください。  議事に入ります。最初の議題は、労働力需給制度についてです。前回のこの部会で、 本日は事務局に今後の労働者派遣制度のあり方の議論のたたき台を用意していただき、 それに基づいてご議論いただくことにさせていただいておりました。そこで、早速事務 局からたたき台について説明をお願いいたします。 ○松原補佐 資料の確認をお願いいたします。資料は、「今後の労働者派遣制度のあり 方の論点(たたき台)」というもの1点です。あとは、委員限りの資料ということで、本 日の許可の諮問についての資料を用意しております。  「今後の労働者派遣制度のあり方の論点」についてご説明いたします。たたき台の考 え方として、基本的には先に出ました研究会の報告をベースにして、制度の見直しにお いて、法律事項となるのではないかと考えられるものをまとめたものです。あくまでた たき台ですので、最初に記載がありますように、これらの論点についてどのように考え るかについて、当部会でご議論いただければと考えております。  1.「日雇派遣について」です。(1)「日々又は30日以内の期間を定めて雇用する労 働者について、原則労働者派遣を行ってはならないものとする」としております。労働 者派遣制度は、元来禁止されている労働者供給事業から、派遣元事業主がきちんと雇用 者責任を果たしていただくことを前提に創設されたものです。これを重視し、派遣元事 業主がしっかりと雇用主責任を果たすことができ、かつ脱法行為を招かない、この観点 から雇用保険法の日雇いの規定や、当部会でご議論いただきました日雇派遣指針に鑑み、 「日々又は30日以内」という期間とさせていただいております。  (2)日雇派遣は原則禁止するというのが(1)ですけれども、「日雇派遣が常態であ り、かつ労働者の保護に問題がない業務等について」というところですが、こちらは労 働者の交渉力等の観点からも、短期間の派遣であっても問題はないであろうということ で、政令によりポジティブリスト化して認めることとしております。この政令によるポ ジティブリストについては、全体として日雇派遣が常態であることを精査する必要はあ りますが、「具体的には26業務(特別な雇用管理を必要とする業務を除外)及び26業務 以外の専門性があり、労働者の保護に問題のない業務をリスト化すること」としており ます。26業務については、専門的な知識等を必要とする業務と、特別な雇用管理を必要 とする業務の2つの業務によって認められております。このうち特別な雇用管理を必要 とする業務、具体的には14号の建築物清掃関係、15号の建築設備・運転等関係、16号の うち駐車場管理等関係、24号のテレマーケティングの営業関係については、専門性とい う切り口で認められているものではないことから、労働者の交渉力もないであろうと考 えて除外することとしてはどうかと考えております。  その一方で、26業務以外にも専門性があり、労働者の保護に問題のない業務があるの であれば、労働者の交渉力もあるということで認めることとしてもよいのではないかと 考えております。こちらは労使双方から、こういうものがあるというご提示をいただけ ればと考えております。  (3)日雇派遣を原則禁止することとしているわけですので、そこで働く労働者や日 雇いという働き方を希望する方々に対する対応は必要だろうということで、「政府は、 日雇派遣労働者等の雇用の安定を図るため、公共職業安定所又は職業紹介事業者の行う 職業紹介の充実等必要な措置を講ずるよう努めること」としております。  2.「登録型派遣の常用化」です。登録型派遣については、日雇派遣のように極端に短 い雇用期間であることによる雇用者責任の問題等は生じていないこと、労働者側にも一 定のニーズがあること、現実にのべ200万人以上の方が働いていること、こういう状況 を踏まえると一律に禁止ということではなく、やむを得ずこうした働き方を選択してい る労働者に対し、常用雇用への道筋を示していくことが重要ではないかと考えておりま す。  こうした考え方の下、「1年以上勤務している、期間を定めて雇用する派遣労働者等の 希望を踏まえ、1.期間を定めないで雇用する派遣労働者又は通常の労働者として雇い入 れること、2.期間を定めないで雇用する派遣労働者への転換を促進するための教育訓練 等の措置を講ずること、3.紹介予定派遣の対象とし、又は紹介予定派遣に係る派遣労働 者として雇い入れることを通じて、派遣先での直接雇用を促進すること、いずれかの措 置を講ずる努力義務を派遣元事業主に課すこと」としております。  登録や雇用契約期間があわせて1年以上の方に対し、希望に応じ、この努力義務を課 すこととしておりまして、これによって派遣元事業主が事業主として派遣労働者の雇用 の安定等に責任を持つことが明確になり、待遇改善につながっていくものと考えており ます。  3.「派遣労働者の待遇の確保について」です。(1)「派遣労働者の職務の内容、職務 の成果、意欲、能力又は経験等を勘案し、賃金を決定する努力義務を派遣元事業主に課 すこと。また、派遣先の同種の労働者の賃金を考慮要素の一つとして指針に明記するこ と」としております。いわゆる均等・均衡待遇については研究会報告でもありましたが、 事業主の異なる労働者の均等・均衡をどう見るのかということ、又はこれを強制すると、 労働者にとってかえって不利益になるような事例もありますことから、派遣元事業主に 賃金決定に関して職務の内容、成果、能力、経験等を勘案し、賃金を決定する努力義務 を課した上で、その際には派遣先の同種の労働者の賃金を考慮いただく、そういう考慮 要素を指針上明確にし、賃金の改善を図っていくという考え方です。  (2)も待遇改善の一環ですが、「派遣労働者等のキャリアパスを考慮に入れた適切な 教育訓練の実施、就業機会の確保等を講ずる努力義務を派遣元事業主に課すこと」こう いうことにより、派遣労働者等の希望、能力に応じた職業機会の確保や、キャリアアッ プのための教育訓練をしっかりやっていただくことを考えております。  (3)は、(1)(2)を実施するためには、派遣先の協力が不可欠ですので、「派遣 先に対し、当該措置に必要な情報の提供等必要な協力の努力義務を課すこと」としてお ります。  (4)は情報公開です。「派遣料金、派遣労働者の賃金、これらの差額の派遣料金に占 める割合等の事業運営に関する情報の公開義務を派遣元事業主に課すこと」としており ます。基本的には、現行の派遣元指針にあります規定を法律に格上げするものです。「 これらの差額の派遣料金に占める割合」については、いわゆるマージンを公開していた だこうというものです。これらは、あくまで事業所における平均的なもの、現在事業報 告ベースで報告していただいているものを公開していただくことを考えております。ま た、いわゆるマージンが高くても、きちんと教育訓練をしているような場合には、その 経費がかかりますので、そういう教育訓練の状況などについても併せて公開していただ くことを考えております。  (5)情報公開に加えて、「派遣労働者等に対し、事業運営に関する状況、具体的な待 遇決定の方法、労働者派遣制度の仕組み等の説明を行う義務を派遣元事業主に課すこと」 としております。これは、雇い入れられる日までに、情報公開している事業運営に関す る状況や、どのような仕組みでご自身の待遇決定がされているか、派遣制度の仕組みな どについて、派遣労働者等に対して説明していただき、納得して派遣労働していただく ことを担保したいと考えております。  4.「雇用契約申込義務について」です。「期間の定めのない雇用契約の派遣労働者に ついて、労働者派遣法第40条の5(雇用契約の申込み義務)の適用対象から除外するこ と」としております。いわゆる26業務、期間制限のない業務については、派遣先が同一 派 遣労働者を3年を超えて使用しており、同一業務に新たに違う労働者を雇い入れようと した場合には、当該派遣労働者に優先して雇用契約を申し込むこととされております。 しかしながら派遣元事業主との間で、期間の定めのない雇用契約を結んでいるような方、 つまり雇用が安定しているといえる方に対してもこの義務があることによって、3年を 超えない時点で派遣契約を打ち切られてしまうような事例があり、研究会のヒアリング でもそのような主張が派遣労働者からありました。そこで、派遣元との雇用が安定して いる、つまり期間の定めのない雇用契約であることを前提にし、第40条の5の規定を外 すこととしております。  5.「労働力需給調整機能の強化について」です。(1)「特定を目的とする行為につ いて」です。「期間の定めのない雇用契約の派遣労働者について、特定を目的とする行 為を可能とするとともに、その際には、年齢又は性別を理由とした差別的取扱いの禁止 規定等を整備すること」としております。特定を目的とする行為は、例えば労働者派遣 に先立って面接をする、履歴書を派遣先に送付する、受け入れる労働者を若年者に限定 する等ですけれども、現在この行為が禁止されております趣旨は、派遣先が派遣労働者 を特定する場合には、禁止されている労働者供給に該当する可能性があること、労働者 の就業の機会が不当に狭められるおそれがあることによるものです。  しかしながら、期間の定めのない労働者については、派遣元との雇用関係が明確です ので、これを認めても、禁止している趣旨に反しないのではないかと考えております。 一方で認めた場合、派遣先が派遣労働者を選択できることになりますので、差別禁止規 定、個人情報保護などの規定は何らかの形で整備することとしております。  (2)「紹介予定派遣について」です。この制度は、派遣労働者を直接雇用へと誘導す るために有用な制度と考えております。当初聞いていた紹介後の労働条件と、実際に働 く段階になっての労働条件が違うことによるトラブルを防止するため、「派遣契約及び 就業条件の明示事項に、職業紹介後に労働者が従事する業務の内容、賃金、労働時間、 雇用契約に係る期間の定めの有無等を加えること」としたいと考えております。  (3)「グループ企業派遣等について」です。「1.グループ企業(連結会社)内の派 遣会社が一の事業年度中に、当該グループ企業に派遣する人員の割合を8割以下とする 義務を派遣元事業主に課すこと」としております。グループ企業の定義ですが、括弧内 に連結会社とありますが、基本的には親会社と、親会社が連結財務諸表の提出に当たっ て、連結の範囲に含めなければならないとされている子会社、これを連結子会社といい ますが、これを想定しております。このグループ会社が1事業年度、つまり1年間の結果 としてグループ内に派遣する割合を8割以下にするという義務を課すことになります。8 割の算定ですが、収入などではなく人員の割合で考えております。  また、この担保方法ですが、「その際」以下にありますように、「割合についての報 告制度を設けるとともに、8割を超えている場合には、指導、勧告、許可の取消し等の各 措置を順次行うこととすること」として、派遣元事業主の報告に基づき、指導等を行っ ていく形を考えております。  2.はグループ企業に限ったことではありませんが、「離職した労働者(定年退職等一 定の労働者を除く)を元の企業に派遣することについて、離職の後1年間は禁止すること」 としております。労働者派遣制度は、そもそも広く労働者の需給調整を図る制度として 創設されたものですので、リストラ等で退職させた労働者を元の企業に戻すような行為 は、制度そもそもの趣旨に反することから禁止することを考えております。  6.「法令違反等に対処するための仕組みの強化について」です。(1)「違法派遣是正 のための派遣先での直接雇用」ですが、「適用除外業務への派遣、期間制限違反、無許 可・無届け違反、いわゆる偽装請負の場合について、派遣先に対し行政が従前以上の条 件で雇用契約を申込むことを勧告できること」とすることとしております。派遣先が、 明らかに違法行為に関与している場合について、その改善を図ることにより、逆に労働 者の解雇等の不利益があってはならないという考え方で、行政が派遣先に雇用契約の申 込みを勧告できることとするものです。その際には、「従前以上の条件の雇用契約申込 みを勧告できること」とし、派遣先の違法行為については厳しく対応できることとした いと考えております。  (2)「派遣先の法違反に対する是正措置の強化」です。こちらは、同じ事業主であり ながら、違う事業所で繰り返し法令違反を犯しているような場合についても、現行では 条文上指導から入ることになっております。このような繰返し違反のような場合につい ては、指導を経ずにより強い措置である勧告、公表が発動できるようにするものです。 表現としては「勧告・公表に係る指導前置を廃止することとすること」としております。  (3)「労働者派遣事業の許可要件・欠格事由」です。こちらは「許可取消しの手続が 開始された後に事業の廃止届を提出し、取消しを逃れて再度許可をとることや、許可を 取り消された法人等の役員が別の法人を設立して許可をとること等により、派遣元事業 主が処分を逃れることのないよう、欠格事由に関する規定を整備すること」としており ます。現行では、このような場合には対応できない。つまり、法律上は新規派遣会社の 設立等を許可せざるを得ないことになっております。こちらは、明らかに処分逃がれだ ろうということで、そういうことをできないようにする措置を講じたいと考えておりま す。  7.「関係法制度の必要な整備について」です。こちらは労災保険制度など、別の部会 においてご検討いただいているものがありますので、そういうものを含めて必要な整備 という形で書かせていただいております。以上です。 ○清家部会長 ただいま事務局から説明をしていただきました、「今後の労働者派遣制 度のあり方の論点について(たたき台)」に関して、委員の皆様からご質問、ご意見を お願いいたします。 ○山崎委員 これから議論していくに当たり、正社員を希望する労働者への対応につい てはもちろん議論すべきと考えております。日雇派遣を含めて、派遣という働き方を希 望する労働者が一定の割合存在する以上、派遣制度を維持し、改善することを前提に議 論すべきであることを改めて確認しておきたいと思います。  また、登録型派遣についても、登録型派遣で働くことを希望する労働者が相当な割合 で存在している以上、登録型派遣の維持・改善を前提とした議論をすべきではないかと 思っております。  1の日雇派遣については、日雇派遣を認める業務の範囲について、十分な議論が必要 であると考えております。現在、商工会議所ではヒアリングなどを通じ、実態に基づい た意見を集約しているところですので、次回以降の審議会で申し上げたいと思います。 ただ途中経過を申し上げますと、中小企業への影響は避けられないのではないかという 感触を持っております。特に、中小企業における突発的な業務や繁忙期の業務への人員 確保を懸念する意見が商工会議所には多く寄せられております。  これに関連しての質問ですが、仮に日雇派遣を禁止する場合、こうした中小企業の人 材確保に対しては具体的にどのようなご支援をいただけるのか、厚生労働省の考え方を お伺いいたします。  3の派遣労働者の待遇の確保について2点質問があります。(1)で、派遣先の同種の 労働者の賃金を考慮要素の1つとするとは具体的にどのようなことを想定しているので しょうか。(3)で、派遣先に対して当該措置に必要な情報の提供など必要な協力の努 力義務を課すこととありますが、具体的にはどのような協力をすればよろしいのでしょ うか。 ○清家部会長 事務局からお願いいたします。 ○鈴木課長 3点ご質問をいただきました。1点目は、日雇派遣が仮に禁止になった場合 の、特に中小企業における業務繁忙期等についての労働力需給のあり方ということでし た。基本的にこの研究会の報告も含め、日雇派遣を仮に禁止したら、日雇紹介という形 でやるべきではないかというのが事務局の考え方です。日雇派遣は、研究会でも出てお りましたけれども、派遣元で超短期間で雇用するということで、雇用管理をほとんどや っていない。それらを派遣先に送り出しているということは、これは職業紹介をしてい るのと同じではないか。それであれば職業紹介という形で同じニーズが賄えるのではな いかということで、私どもとしては、日雇派遣がなくなったときには、日雇いの職業紹 介を育成することにより、中小企業のニーズ等に的確に対応していきたいと思っており ます。  これは、現に日雇派遣の大手の数社が私どもの指導等により、一部撤退等もしており ます。その需要を賄うといいますか、その空いた隙間にビジネスとして日雇いの職業紹 介という形で入ってくる紹介の大手の企業もありますので、そういう形でのニーズを的 確に事業に活かしていただくということで、厚生労働省としても民間の職業紹介事業を 育成することでまず対応したいと思います。  ハローワークでも短期の求人というのがあります。これは無料ですので、中小企業の 皆さんにも使っていただけるということで、そういう求人を受け付けて仕事を紹介する ということを当然行いますし、もうちょっと長期の部分に誘導していくことも、職業紹 介という形でやっていきたいと思っております。それは、1の(3)のところで書いてあ るような、政府の努力義務という形で担保していきたいと思っております。  2点目は、3の(1)で同種の労働者の賃金の考慮についてです。具体的にはその上の ところの、職務の内容、成果、意欲のある人というものを考慮する際に、派遣先で同じ 業務に就いている同種の労働者がいた場合に、賃金体系等はかなり違っていると思いま すけれども、とりあえず賃金額を参考にさせていただき、それも考慮の1つとして派遣 元での賃金決定に反映させてください、という努力義務を考えております。  それは、賃金体系が全く違うということもありますので、100%すべきということで もないでしょうし、逆に派遣先のほうが賃金が安いという場合もあろうかと思いますの で、そういうことを考慮に入れながら、いろいろな考慮要素があるかと思いますが、そ の考慮要素の1つとして参考にしていただくということを考えております。このたたき 台では、現在派遣元指針の中でも、福利厚生などの均衡待遇については規定をしており ますので、それと同じような形で書かせていただいた上で、この法律上の努力義務に反 映させていただきたいと考えております。  3点目は、(3)の協力の努力義務についてです。これについては(1)のところで、派 遣先の賃金を考慮するといっても、派遣元で派遣先の賃金がわかっているわけではあり ませんから、これは何らかの形でそういうものを情報提供していただく。教育訓練につ いても、派遣元で教育訓練するにしても、業務を実際に行うのは派遣先ですから、派遣 先の業務ニーズがわからなければ、的確な教育訓練はできないし、キャリア形成もでき ないということで、派遣先から賃金とか教育訓練に必要な情報を提供していただく。こ れは別の企業ですから強制するわけにはまいりませんので、努力義務という形でいかが かということで提案させていただきました。 ○平田委員 少し長くなるかもしれませんけれども発言させていただきます。日雇派遣 については事務局から説明がありましたように、雇用保険の日雇いの規定ということを もって、日々又は30日以内という理解をしております。仮に禁止対象ということで、雇 用保険のところから、日々又は30日以内という前提に立った場合、十分に雇用責任を担 い得ないからこそ、それを担保するために雇用保険の日雇いの給付があるということで すので、日雇いの雇用保険が適用されている労働者については、一定の保護を受けてい ると考えてよいのではないかと考えております。  それ以外にも、生活保障が図られているという観点に立てば、雇用保険との併用が認 められていない健康保険の被扶養者、それから年金受給者といった人たちは、日雇保険 の適用を受けている人と同様に、一定の保護なり生活保障が図られているのではないか と考えております。そういうことであれば、そういう人たちに対しても日雇派遣を禁止 ということになってしまいますと、不必要な不利益を被る可能性があるということです ので、その点については特段の配慮が必要なのではないかと思っております。もちろん、 いま申し上げたことについては、安全衛生の観点から危険であるとか、有害な業務につ いては一定の制限も必要なのではないかと思っております。  同様に日雇派遣の観点に立って、1の(3)のところでは、ハローワークとか職業紹介 の充実等必要な措置を講ずると書いてあります。職業紹介では可能性の問題もあると思 いますが、就労の機会が確保できないケース、といった事態にも備える必要があると考 えております。日雇いの雇用保険の給付など、そういったセーフティネットがあるわけ ですから、それらの活用を促進していくことも必要なのではないかと思っております。  2点目は、たたき台でいうと2の登録型派遣の常用化についてです。派遣労働者とし ての雇用安定促進という新しい考え方と思っております。多様な働き方の実現に資する と思っております。1から3まで努力義務が書かれておりますが、派遣元事業主におい て、その措置が困難な努力義務を過剰に課してしまいますと、可能性の問題もあるので しょうけれども、派遣元事業主が、派遣労働者の雇用を、「1年以上勤務している」と書 いてありますけれども、1年未満で打ち切ってしまうおそれもあると思っております。 そこは、雇用の安定という観点に立てば、慎重に検討する必要があるのではないかと思 っております。  3点目は、派遣労働者の待遇の確保のところです。鈴木課長からも説明がありました けれども、派遣制度そのものが、そもそもが派遣先の常用労働者の代替をしないという 趣旨であることを考えますと、派遣先には派遣労働者と同種の労働者がいないのではな いかと思っております。それから、これも先ほど言及がありましたけれども、場合によ ってはということで、派遣先の同種の賃金を考慮した結果として、たたき台にも書いて あるように、派遣労働者の職務内容、成果、意欲、能力又は経験にそぐわない賃金とな ってしまうことも懸念されるのではないかと思います。  3の(3)のところで、「派遣先の情報開示」とありますけれども、もちろん企業機密 もあると思いますので、過度な協力の義務化については慎重に考えるべきと思います。  4点目は、たたき台でいうと2頁の4.雇用契約申込み義務のところです。不安定な派遣 労働から、安定した派遣労働への転換という意味で、この考え方は適当なのではないか と思っております。さらにもう少し踏み込みますと、安定した派遣労働の転換促進策の 観点では、少し不十分な点はあるのかと思います。派遣労働者の安定ということを考え れば、その実現には派遣先の確保も重要な条件になっているということですが、期間制 限がありますので、ここについても労働市場全体において、常用労働者保護という観点 に立てば、適用除外にしていくべきではないかと思います。  5点目は、グループ企業派遣のところです。グループ企業派遣については、雇用継続 の確保の観点に立って有用ということでありますので、ここに8割というのが出ており ますけれども、例えば定年退職、育児、介護といった事情があり、柔軟な形態をとるこ とが必要な者がいる。やむを得ずということで整理解雇があり、就労継続のためにグル ープの派遣会社があるということもあると思います。雇用継続という観点に立てばとい うことでは、よいグループ派遣もありますので、その点については配慮が必要なのでは ないかと思います。  6のところで、派遣先に対する直接雇用勧告ということです。派遣先で直接雇用をす ることが適当なケースについては、起因事由が濃い重過失によるものかなど、主観的要 件の特定が必要であって、個別ケースごとの検討が必要だと思っております。期間制限 違反ということでも、26業務だと誤認していたケースの期間制限超過もあると思います ので、すべてが派遣先での直接雇用が適当であると考えるべきではないと思います。い ずれにしても、「従前以上の条件」と書いてありますけれども、派遣先の賃金体系や人 事諸制度ということもあろうかと思いますので、総合的に判断して定めていくべきもの だと思っております。  最後に6の(2)に指導前置の廃止とあります。悪質な違反を繰り返すといった派遣先 に対する措置は必要であると思いますが、悪質でない業務も含めて、すべての違反行為 において指導前置を廃止することは必要でないと思っております。悪質でないケースに ついては、指導・助言等による違反行為の是正の機会が必要だと思います。 ○清家部会長 質問の部分もありましたので、事務局からお願いいたします。 ○鈴木課長 基本的には大体がご意見だったと思いますけれども、最後の指導前置のと ころについてお答えいたします。現在は派遣先に対するすべてのケースにおいて指導前 置になっておりますが、例えば繰り返し違反等について勧告から入ってもいいのではな いかということです。法制的には、行政の権限として書く格好になりますので、勧告す ることができるということで、その前の指導前置という部分だけをなくしていく格好に なります。すべてどんな案件でも勧告から入るという意味でもありません。通常は指導 から入った上で、必要な場合には勧告から入るという趣旨です。 ○市川(隆)委員 中央会におきましては、前回部会長からの要請もあり、傘下の中小 企業団体、私どもは業種別の中小企業団体が傘下にありますのでヒアリングをいたしま した。まだ途中段階ということで中間報告という位置づけになります。必要な労働力が 繁忙期と閑散期との間で相当差がある。特定の日に業務が集中する。短納期を要求され るような業種において、広範に日雇派遣労働者が活用されていることがわかりました。  具体的に申しますと、1番目は引越しです。2番目は貨物運送で、運転助手、荷下し、 仕分けということ。3番目は倉庫業で、これも荷下し、仕分け、伝票作成ということ。4 番目は製本ということで、本の発行日が月末の25日というケースが多いわけです。いろ いろな部品が揃わないと製本作業に入れない、表紙の印刷が遅れてしまったという場合 には、表紙が届くまで待って、それからあわてて製本することがあるようです。また、 付録を本の間に挟んで紐で縛る、あるいは仕分けをしてパレットに乗せる、といったと ころに日雇派遣労働者が活用されているとのことです。  5番目は、イベント業とかディスプレー業と言っておりますけれども、展示会、コン サート、スポーツ大会、花火大会、株主総会、地鎮祭、選挙時の看板の設置、投票所の 設営といった場合のテント張り、会場設営、会場での案内、後片付けといったところで 活用されているようです。  6番目は旅館やホテルです。正月、ゴールデンウィーク、お盆の時期には集中する。 平時においても土日には平日よりもかなり集中する。そういうときの仲居、厨房、配膳 係。7番目は冠婚葬祭です。特に冠婚のほうは、大安吉日に集中いたしますので、そう いう場合の介添え役、案内役。8番目にその他サービスとして、サンプルの配布です。 街でよくティッシュペーパーなどを配布しております。交通量の調査といったその他サ ービス。9番目は、製造業の中でも特に携帯電話の新機種立ち上げ時期には、かなり短 納期の業務が集中する。  このような場合に、これまでは電話一本で手軽に日雇派遣を活用し、かつ派遣業者か らはある程度手慣れた人材を、例えば引越しであれば引越しをやったことのある人材を 派遣する。かつ、非常に人数が多い、大量であるということ。夏休みの幕張メッセ等の 大規模な会場でイベントがいくつか重なるような場合には、その日1日だけで1万人規模 の大勢の人手が必要になってくることがあります。そういう場合には、日雇派遣を活用 している。アルバイト募集もやっているようですが、アルバイトの場合には必ずしも人 数の確保が確実ではない、期待していても人数が来ないこともあり、日雇派遣が急速に 広まってきたと思われます。  こうした業種においては、便利な日雇派遣が使えることを前提にビジネスを展開して きております。今回のように、自らの責めに帰さない理由によって、これまで合法的で あった日雇派遣が原則禁止され、結果としてユーザーが日雇派遣労働者を活用できなく なるということであれば、それに代わる同程度に使い勝手のいい仕組みを用意し、これ らの中小零細企業が廃業とか経営圧迫に至らないようにすることが必要であると考えま す。原油・原材料高で中小企業の経営環境が非常に悪い時期であるだけに、中小零細企 業への影響は最小限にとどめることが不可欠であると考えております。  先般26日にも、トラック業界がデモ行進をしたわけですが、そのデモ行進の要求の中 の1つに、日雇派遣原則禁止反対という項目が入っております。そういう場合に代替措 置としてどういうものがあるかということです。鈴木課長が言われた職業紹介、ネット や携帯電話を利用したアルバイト紹介が有力であると思われます。  その点では1.の(3)に政府としての努力義務ということで、職業紹介事業者が行う 事業紹介に移りつつ、必要な措置を講ずるように努めるという規定を入れていただくと いうことはかなり評価ができると考えております。  しかしながら、これまでの日雇派遣事業と本当に同程度に使い勝手のいい仕組みとな るかどうかについては、私どもがヒアリングをした各団体では相当不安を持っておりま す。どういうところが不安材料になるかということですが、3点あるかと思います。1点 目は大量性ということです。先ほどイベントの例で申し上げましたが、1日で1万人を集 める。しかも2週間前というケースが多いようですけれども、2週間前に1日に1万人を集 められるかどうか。こういう大量な人の職業紹介が可能なのかどうか。  2点目に、人数保証ができるか。派遣企業の場合には既に登録をした労働者がおりま すので、その労働者に対して働く先はここなので行ってください、という指示をしてい るのではないかと思います。職業紹介の場合、同じように登録をした労働者に指示をし て、特に知名度のない中小企業に対して何月何日にここへ行ってくださいという指示が でき、結果としてユーザーとしては人数保証が得られるのかどうかといった問題。  3点目は地方対策です。地方で国体をやるというような場合に、従前、派遣会社はバ スをチャーターし、大都市圏から労働者を大量に供給するということをやっていました。 それと同じことが職業紹介で果たしてできるのかどうかということです。  こういう3点のことは、通常私どもが思い浮かべるアルバイト紹介事業の枠を超えて いるのではないか。いわば、職業紹介事業の付帯事業ということになるのではないかと 思います。こうしたことを実現している事例があるのかどうか、あるいは1.の(3)に 努力規定がありますように、今後そういうことを実現していくつもりであるのかどうか、 その点を是非確認したいと思います。  それから、2点指摘いたします。1点は、日雇いという名称にはかなりマイナスの悪い イメージが付きまとっていると思います。鈴木課長の答弁の中にも、日雇紹介という表 現がありましたが、日雇いという表現を、マイナス・イメージのないネーミングが工夫 できないものかどうか。  2点目は、例外業務のポジティブリスト化については政令事項ということで、後回し にすることもできなくはないと思いますけれども、法案と密接に関連する部分ですので、 法案提出前に目処をつけておく必要があるのではないかと考えています。 ○清家部会長 事務局から答えていただくことはありますか。 ○鈴木課長 1点目の、日雇派遣で事業主の方が不安になっているという点について実 例でご説明いたします。配膳という職種に関する職業紹介があります。これは、ホテル における大規模なパーティなどにおいて給仕を職業紹介します。これの歴史は非常に古 くて、明治時代に我が国に西洋料理のシステムが入ってきてから、ある意味従来日本に はなかったような職種を専門的に紹介するという業態がずっと続いております。これは、 紹介の規制緩和の前から、有料職業紹介の対象事業として認められてきたものです。こ ういうものについては、例えば1回に大量のニーズが生じた場合に、その紹介所におい て配膳人を登録しておきます。これは、学生アルバイト等が多いわけですけれども、大 量に必要な場合はここに声をかけて、必要な人数を集めて送り込む。それは、ある程度 専門職種で、それを登録しているということから、ある程度の人数も自分の登録人数か ら逆算して保証することもできます。  地方でのイベントということもありましたが、職業紹介は確かに職業安定法に基づく 事業で求人・求職のあっせんをやっていただくことになります。現在、兼業規制という のはほとんどありませんので、それに付随して、例えば配膳人の教育訓練が必要であれ ば、その教育訓練の代行サービスとか移送サービスを別途やること自体は、他法に触れ ない限りは特に問題ありません。そこは、そういうビジネスをやる企業が出てくるかど うかということで、ここはニーズがある限り出てくるものと思っておりますし、厚生労 働省としても、そういう事業は育成していきたいと考えております。  残りの2点についてですが、日雇紹介というマイナス・イメージということですが、 法律上の用語はなかなか自由にはできませんけれども、例えば民間でスポット的な職業 紹介についてはスポット紹介とか、ショットワークという名称を付けてやっている所が ありますので、そういう名称を使ってイメージのいい形で、新しい優良なものとして発 展させるということは十分考えられると思います。  ポジティブリストの内容については政令ということで提案させていただいております が、ある程度法律の中心的な課題ですから、できれば私どもといたしましても、建議の 中で全部を確定するのは無理かもしれませんけれども、代表的なものは例示させていた だいた上で、法律にする際にあらかじめ政令としてはこんなものを考えています、とい うことをこの審議会の中でもまとめていただきたいと思っております。それが最終的に どこまで詰められるかというのは、この議論の中で決まっていくことですが、そういう 形でおまとめいただければと思います。 ○古市委員 雇用者責任を放棄しているということが社会的批判を浴びているわけです。 同程度の使い勝手のいい制度を残すべきだというご意見には到底同意できないと申し上 げます。電話一本で手軽に事業を行い、利益を上げるというビジネスに対して社会的批 判が強まっているのだということについて、改めて強調したいと思います。  日雇いというネーミングはマイナスのイメージというお話がありました。イメージが 悪くなっているのは、日雇いで働く労働者の生活実態が立ち行かない。実際に日雇いで 働く人の生活が向上していかないといったところが現れているわけです。ネーミングを 変えなくても、日雇いで仕事をする人たちの待遇が改善されればイメージはよくなるわ けです。名前だけ変えても、そこはどうにもならないのではないかという気がいたしま す。  日雇派遣について、使用者側の皆さんとは全然違う意見で恐縮なのですが、禁止する 期間については、確かに説明のとおり雇用保険法の日雇労働者ですとか、指針では「日 々又は30日以内」となっています。前回もお話をいたしましたように、例えば港湾労働 法では日雇労働者の定義を、「日々又は2カ月以内の期間を定めて雇用する労働者」と 定めていますので、ここは大変参考になると考えております。この「2カ月以内」とな っているところを、もう少しよく検討する必要があるのではないかという意見です。  登録型派遣について、常用化ということで3点挙げています。率直に言って、これで 常用化の方向に向かって前進できるのかということについては非常に疑問です。登録型 派遣で起きているさまざまな問題への対応として、大変残念ながらこれでは解決に資さ ないのではないか。要するに実効が上がらないのではないかと思います。ここはもうひ と踏ん張りしなければいけないのではないかという意見です。  8月25日に厚労省の労災保険部会が開かれ、派遣労働者の労働災害が激増していると いう報告があったと聞いております。業種でいうと、製造業での被災者が70%という話 です。しかも、この4年間で、公表された数字によると9倍も増えている状態です。全労 働者の労働災害そのものは増えていないにもかかわらず、派遣労働者の中に占める労働 災害は9倍も増えているということです。製造業を解禁したことがこういう事態を招い ているということが明らかです。2003年の改正で、物の製造業務への派遣を解禁したこ とは間違いであったと言わざるを得ないと思っています。  これだけ問題が起きているにもかかわらず、この問題についての対応がこの3点では 弱すぎるのではないかと思います。労働安全衛生に関する派遣先責任を抜本的に強化す るのはもちろんですが、物の製造業務への派遣は再び禁止をすべきだと申し上げておき ます。  それと関連して6の派遣法違反に対処する仕組みについて触れていますが、ここにつ いてはよくわからないこともあるのですが、これではどうもうまくいかないのではない かと思っています。私の所に寄せられたある県の例を紹介して意見を申し上げます。  ある会社からこういうことを言われているので私はどうしたらいいのでしょうか、と いう組合員からの相談です。この人は、建設会社で電気工事をやっています。元請会社 から来た通知によると、「常駐会社における契約の見直し」ということで、「弊社と貴 社が請負契約を締結をして労働者の提供を受けていますが」、大体が出だしからおかし いのですが。「弊社は、貴社に常駐している社員に対して、指揮命令系統が発生してい る。こうした就労実態は職安法及び労働者派遣法に抵触するおそれがあるので、今後適 正な契約形態に移行したい。したがって、現行の請負契約から、労働者派遣契約へ変更 したい。労働者派遣事業実施のための許可の届出を行って、労働者派遣契約に対応でき るようにしてください」という通知なのです。  たくさん書類があって、労働局に特定労働者派遣事業の届出はこうやって、ここはこ ういうふうに書くのですよといっぱい指導してあります。ある頁を見ましたら、その仕 事の内容が、労働者派遣の賃金や料金の項に職種を書く欄があり、電気工1万3,350円、 派遣労働者の賃金電気工1万1,534円と明示しています。電気工というのは、建設業法の 26業種の中に入っています。派遣法で、建設の作業は派遣許可ができる要件に該当しま せんよね。  こういったことを公明正大にといいますか、自分の会社に出入りしている、いままで は下請会社だったわけですが、下請会社だと言いつつ、実際は労働者の提供を受けてい るだけだということを自分で書いてありますので、そういうところは全部違反なわけで すよね。ましてやこういうことをして、この審議会に派遣の許可の案件が上がってくる などということは決してないと私は思うのですが、世の中の実態はこういうことなわけ です。非常に特殊な人が派遣法違反を行っているということではなくて、非常に大きい 会社が、自分に出入りしている会社全部に、こういう違法な指導をしている。許しがた いことだと思うのですが、こういう状態ですので、登録型派遣のところも含めて、もう 少しシビアにやらないと、事態の解決ができないのではないかと思います。  もう1つ、違法派遣というのは実はなかなかわかりませんで、私たちがどういうとき にこの状態は違法派遣だと認識できるかといいますと、建設の現場で言うと、重大な災 害が起こって亡くなったとか、そういったときに初めてわかるわけです。そうでありま すので、ここは是非あまりユルユルな制度にならないようにしていただきたい。派遣の 建設の労災の死亡事故について、正式な統計が発表されていないと思いますが、漏れ聞 くところによると2桁あるというようにも聞いたりするわけです。建設現場で、派遣が 許されている事務員が死亡事故に遭うなどということは、通常私たちは考えられません ので、死亡事故が起こっていることは、私は基本的には全部違法派遣だと考えているわ けです。そういうことですので、6番目の「法令違反に対処する仕組み」の所で行政の 勧告ということについて書いてあるわけですが、私はしっかり「違反をやったときには こうなってしまうのですよ、あなたたちの雇用責任になるのですよ」ということを、み なし規定でしっかり法律で書いて、行政が白黒をつけるのではなくて、法律ではっきり 白黒をつけるべきではないかと、こういうことをお願いしたいと思います。すみません。 長くなりました。 ○清家部会長 事務局から、何かお答えになることがありましたらお願いします。 ○鈴木課長 港湾の2カ月という点ですが、これについては30日にするのか、2カ月なの か、もっと短いのかというご意見をいただけたらと思いますが、港湾について制度だけ ご紹介いたします。港湾については、もともと六大港を中心に手配師が横行して、中間 搾取が非常に問題になっていたということで、港湾の短期の雇用については直接募集も 駄目と、基本的には安定所を通してやりなさいという形になっております。これは、短 期の中間搾取の弊害を排除するという意味です。その期間が日々または2カ月以内とい うことです。これは当時の法で制定されておりましたときの六大港の状況などを踏まえ て、これ以下の短期の雇用については手配師等弊害が大きいという趣旨です。したがっ て、これは雇用管理責任云々という議論とちょっとずれてまいりますが、一応そういう 制度で2カ月となっていることをご紹介いたします。  もう1点、労災の増加ということをご指摘いただきましたが、これは労働基準局で調 査したデータですが、確かに製造業の派遣の労働災害は増加しております。ただし、ご 存じのように製造業の派遣自体が平成15年改正で平成16年3月から認められております ので、それ以降の製造業の派遣の増加が、ある意味この製造業派遣の労災の増加につな がっているのではないかというのが基準局の分析です。だからといって災害が起こって いいというわけではありませんで、安全衛生法等守っていただくことになろうかと思い ますが、分析としてご紹介いたします。  違法派遣については、私どももできる限り、まずは法律を周知する。当該案件が建設 業の派遣が認められていないということを知らなかったのかどうかというのはよくわか りませんが、少なくとも法律を知った上でやっているか、もしくは知らないということ も許されるわけではありませんので、まず法律の周知、それから違法な場合の是正指導 については厳正に対処したいと思いますし、それに当たりこの内容で十分かについては、 ご議論いただきたいと思います。 ○市川(佳)委員 何点かについて、質問あるいは意見を申し上げたいと思います。ま ず、先ほどから議論になっております日雇派遣の問題ですが、私はこの論点を見させて いただいて、どうも先の研究会報告で読んだ印象よりも、随分と幅広に禁止除外業務を 認めるような書きぶりではないかということを、非常に懸念をしております。「原則禁 止」と言いつつ、何でもいいようになってしまうのではないかという懸念で、例えば(2 )の書きぶりでは、「日雇派遣が常態であり、かつ労働者の保護に問題がない」となっ ていますが、日雇派遣が常態になっていれば、それを認めるなどというのは単なる追認 ではないのかと思うわけで、やはり日雇派遣にまつわるさまざまな問題に立って、「原 則禁止」、これが研究会報告の趣旨ですから、これは厳密な形で、この禁止というもの をきちんと法律の中で定めていくことが大切ですし、政令で定めると言いますが、やは りこの日雇派遣を禁止するという重要な案件に対して、原則禁止で認めるものもあるな どという大事なことを、政令に委ねるというのはいかがなものか。やはり法律の中でき ちんと明記をすると。法律で範囲を定めるべきだというように意見として申し上げたい と思います。  これは質問なのですが、26業務以外の専門性があって労働者保護に問題がない業務と いうのはどういう業務を想定されて、こういう論点になったのか。26業務でも、そもそ もこの労働者派遣という制度の中で、労働者に競争力があって、労働者供給事業の中か ら、例外としてこれを派遣で認めても問題はないであろうということを、いちばん最初 の派遣法ができたときの趣旨で、専門業務が決められて、さらにそれも増えていて、そ こでまたさらにこれ以外にも日雇に限って認める業務を追加していくことは、ちょっと 考えられないわけです。この辺は何を想定されているのかも、ちょっとお聞きしたいと 思います。  3番目の「待遇の確保」の所ですが、賃金の決定に関する努力義務ということですが、 職務内容云々で勘案して賃金を決定するとか、派遣先の同種の労働者の賃金、こういう ことが本当に可能なのかなと、ちょっと疑問を思っております。前回私が申し上げまし たが、パート労働法等にも書かれているような、雇用主が違うと言われますが、パート 労働法のときだってそんなことは難しいと言っていたものが、やはりいまの時代の要請 に合わせて、均等待遇の理念が法律の中ではっきり出されてきているわけです。新しく できた労働契約法でも「労働契約は均等を考慮して」という文言も入っています。これ がこれからの時代のものの考え方であり、理念であると思うわけで、やはりこの労働者 派遣法の中でも、きちんと均等待遇原則というものを法律の中で明記していくべきだろ うと思います。  そもそもこの派遣制度は、常用雇用の代替防止という理念がきちんとあるわけで、そ の理念を担保するという意味からも、やはり派遣先において働いている、派遣先の同等 の職種の労働者以下の賃金ということはあり得ないと思うのですね。やはり同等以上の 賃金。派遣先というのは、派遣労働者を活用することによって、さまざまな雇用者とし ての、広い意味での労務コスト、教育訓練などといったものを逃れていると言っては失 礼ですが、免れているわけです。そういう中で、いろいろなビジネス上のニーズに合わ せて派遣労働者を活用するということであれば、賃金は高くて当然だと。むしろ正社員 がある意味、期間の定めがないということで、安定しているとか、例えばボーナスがあ るとか、退職金があるなどということを考えたとき、そういうものがない派遣労働者が、 ビジネスのニーズに応じて、いろいろなところで労務を提供するということに伴い労働 者が負っているリスク、そういうことから考えると、これは本来の理屈で考えると、正 社員より賃金が高くなくてはおかしいのですね。そういうこともやはりきちんと考慮す べきであるし、そういった意味で法律の中で均等待遇原則というものを明記することは、 非常に重要なことです。  そして、派遣労働者の賃金は派遣料金で決まるわけですから、派遣契約は派遣元と派 遣先の、いわゆる商契約ですよね。そうすると、やはり派遣元はどうしても弱い立場に ある。そういう中で、派遣元に努力義務を課しても、自らこの利益を削って、派遣労働 者の賃金を上げるのかと、これは極めて疑問な点です。やはり、均等待遇原則を法律の 中できちんと明記すべきではないか。  長くなりますが、もう1点ほど申し上げます。5の「特定を目的とする行為」の所です。 私はいつもこの言葉の使い方を迷っているのですが、「特定を目的とする行為」を、今 回、期間の定めのない雇用契約の派遣労働者には可能にする。けれども、法律上、派遣 先が労働者を特定することはできないのかどうか。私は派遣法の趣旨からいくと、派遣 先は労働者を特定できないと思っているのですが、その辺をちょっとお聞かせ願いたい のです。派遣先は特定できない。つまり、選別できないという中で、特定を目的とする 行為を一部開くということ。この「特定を目的とする行為」の中身を精査しなければい けないのではないかということです。  もう1つ、根本的な私の疑問なのですが、期間の定めのない雇用契約の派遣労働者に ついて、特定を目的とする行為をなぜ可能にするのかということで、期間の定めのない 雇用契約の派遣労働者は雇用の安定が確保されているから、上の4の「雇用申込義務の 対象から除外する」というのは、理屈としてわかるのです。雇用の安定が確保されてい るから、派遣先から雇用の申込義務を外すというのは、理屈としてわかる。でも、特定 を目的とする行為を許すということは、これは派遣法の原則といいましょうか、派遣先 が特定をするのではないこと、派遣先が雇用するのではないのだということの原則と、 労働者の雇用が安定しているからいいというのが、論理として何でここで結び付くのか、 よく分からないわけですね。  ですから、この雇用が安定しているから特定を目的とする行為をしていいというのは、 理屈としてストンと落ちないというところが疑問です。そして、この特定を目的とする 行為を可能にすると、派遣先は選べるから常用型を志向して、それによって研究会報告 では登録型派遣から常用へもっと誘導できるのだと、転換が促進できると書かれており ます。しかし、先ほど言いましたように、常用型派遣、つまり期間の定めのない常用型 の派遣の場合には、派遣先のほうが選べるという優位に立つということになると、きち んとした教育訓練なりをして人材を育てている派遣会社、派遣元は、この人の得意分野 はこういうことで、人を配置していくときに、派遣先が選べるのだということになると、 派遣元にとってはあまりうれしくない話なのではないか。期間の定めのない雇用という ように、雇用責任を果たしている派遣元が、派遣先に選択権を与えるということになる と、むしろ派遣元にとってはあまり常用型にはしたくないなと。逆に、そういう意味で 常用型に誘導するという行為は期待できないのではないかという気もしており、ここは もっと精査が必要で、簡単にこのようにしていいのか非常に疑問であります。以上です。 ○清家部会長 事務局からお答えいただけますか。 ○鈴木課長 まず、日雇の部分ですが、研究会報告の内容より広くなっているのではな いかというご指摘ですが、研究会報告の該当箇所を読み上げると、「禁止の例外とする 業務の範囲」については、「危険度が高く、安全性が確保できない業務、雇用管理責任 が担えない業務は禁止の対象にすべきである」。これは禁止の対象にすべきだというこ とである一方、「専門業務等を中心に、交渉力があり短期の雇用であっても特段の不利 益が生じない業務もあり、これらの業務にあって、日雇形態の派遣が常態化しているも のについては禁止する必要がない業務もある」。こういったものを考慮して、原則的に 禁止すべきという意見もあるので、具体的内容を決めなさいということで、常態という 概念も、もともとこの中に入っておりますし、今回ご提案させていただいたのは、この 研究会報告の範囲からは、ずれていないと私どもは思っています。その範囲内で、どの ぐらいがいいのかというのは、またご議論いただければと思っております。  26業務以外で何を想定、ということもありましたが、研究会報告でも「専門業務等を 中心に」ということがあり、専門業務であれば交渉力が広くあるので、そういったもの ならいいのではないかと。具体的には、審議会で検討するというご趣旨かと思います。 26業務は、確かに専門業務と特別な雇用管理の業務でできているわけですが、このうち の専門業務についても、これはそもそも常用業務に代替するかどうかという観点から選 んだ専門業務です。これ以外に、仮に専門業務の中でも、日雇派遣の交渉力の問題とい うことで、26業務以外にも問題がない専門職があるのではないかと。これについては、 具体的に労使からご意見をいただいて中身を決めたいと思っておりますが、そういった ものについてはこの26業務以外でもリストの中に入れてもいいのではないかという趣旨 でご提案させていただいているもので、事務局としてはいまのところ具体的にこれとい うものは出しておりません。  特定目的行為の部分ですが、特定目的行為というのは、例えば特定行為をする前提と して面接等を行うということで、実際この人は来てください、もしくはこの人は駄目で すというのが特定行為かと思いますが、当然、特定行為も特定を目的とする行為の中に 含まれると思いますので、これも当然、現行の条文の中に禁止されているものと考えて おります。  そういったものを前提に、なぜ期間の定めのないものならいいのかということですが、 これについては雇用の安定という趣旨では、確かに40条の5は雇用の安定という趣旨で ご提案しているものですが、特定目的行為については、雇用の安定ではなく、特定目的 行為を行うことにより、これは本来だったら雇用主が行うべき雇用、要は採用を代替す るような行為になってしまう。これは派遣の範囲を超えて、例えば労供などのジャンル に入ってくるものであるので、この特定目的行為というのは禁止であるという趣旨です。 したがって、もともと派遣元に雇われている者であれば、採用行為というのは、もう採 用されておりますから重ねてあり得ないということで、無期の派遣の場合においては採 用代替行為というのは行われないので、それであればこれを認めてもいいのではないか ということで、これは趣旨が雇用の安定にあり40条の5と異なっておりますので、そう いう趣旨のものとしてお考えいただきたいと思います。以上です。 ○長谷川委員 少し全体的なことに対して、意見を述べたいと思います。1つは、私は やはり労使とも認識をきちんとしたほうがいいと、いままでの話を聞いてそう思いまし た。労働者派遣の状況、今日的な状況、歴史的な経緯、1985年からの経緯などを先ほど からずっと考えていたのです。そういう思いを持ちながら、今回の叩き台を何回も読み 返しているのですが、私は全体的に派遣元に対する規制はある一定程度、いろいろと提 起しているなと思ったのですが、役務の提供を受ける派遣先の責任や規制は、ほとんど 強化されていないと思ったのですね。やはり労働者派遣をめぐる状況というのは、最近 言われているのは禁止業務への派遣だとか、偽装請負だとか、二重派遣など、そういう 意味ではいろいろな派遣法の違反があったわけです。  それから、先ほど古市委員が申しましたように、労災事故の多発だとか、安全衛生管 理の不徹底だとか、細切れ契約だとか、中途解約、これからは私どもの労働相談などに もよく起きてくるわけです。最大の問題は、やはり雇用の不安定さの問題だと思うので す。これらの原因は何なのか、もう一度よく考えると、私は派遣元が雇用主たる責任を 果たさなかったということだけではなくて、派遣先にも大きな責任があると思っていま す。  今日、やはり使用者の話を聞くと、派遣先の使い勝手のよさばかり、ご都合主義だけ なのですよね。労働力、労働というのは商品ではないわけです。ILOのフィラデルフィ ア宣言にあるように、労働は商品ではないというこの基本を、私どもはやはりもう1回 きちんと確認することが必要なのではないか。人間なのだから、右から左に物を動かす ように動かせるわけではないのです。そういう意味では、私はやはりこれは派遣元も派 遣先も ある意味では規制が強化されなければならないのではないかと思います。その ときに、どのように強化をすればいいのかということを、私は労使は今日的な状況、歴 史的経過を踏まえて、真摯に議論する必要があるのではないかと思いました。  やはり雇用の原則ですね。いまの社会は雇用社会ですから、我が国のある一定年齢以 上の人たちの80%以上は、もう雇用者なわけですね。そうすると、雇用されて、働いて 収入を得て暮らしているわけですので、この雇用というのは非常に重大で、雇用の大原 則はやはり直接雇用だと思います。それは職安法第44条に規定されていることから、し っかりと読むことができるのだと思います。だから、雇用の原則は直接雇用で、かつ期 間の定めのない雇用だという認識を持たないと、派遣法の何が問題なのかというのは、 私は不明確になるのだと思うのです。派遣が悪いとか何とかではなくて、要するに雇用 というのは直接雇用が原則ですよと。なぜ間接雇用が問題なのか、間接雇用はやはり中 間搾取だとか、さまざまな問題があるのです。したがって、44条にああいう規定がある のだということは、私どもはきちんと認識をする必要があるのではないかと思います。  やはり間接雇用は、派遣を見てよく思うのは、使用者責任が曖昧なのです。派遣元が 使用者責任を負う、派遣先は使用者責任はやはり負わないわけですよね。そうすると、 この三角関係の中で、派遣元と派遣先と労働者がいたとき、この派遣元だけが使用者責 任を負って、厚生労働省は変えてきたと言うかもしれませんが、派遣先の使用者性は非 常に弱いわけです。もともと使用者性は派遣元にあると言われているわけです。だから、 派遣先が使用者責任を逃れるというようなことがあるという派遣法の大きな特徴をやは り私どもは認識しなければならないと思いました。  いろいろな綻びが生じているので、この綻びを是正しながら、派遣で働くことについ ても、派遣で働く労働者のこともきちんとすることが必要なのではないかと思います。 派遣がこれだけ増えたということは、おそらく派遣先に何か派遣を使うことのメリット があったからで、それは私はリスクを逃れたのだと思います。本来1985年の派遣法がで きた当時は、派遣で働く人の収入のほうがずっとよかったのです。それは何でかと言っ たら、派遣先のリスクを全部、派遣元が負うから、したがって派遣労働者の賃金はよか ったわけです。しかし、今日的にはそれが違うようになってきている、という認識をす る必要があるのではないかと思います。これが全体的な感想です。  少し個別のことで、労働者側委員もみんな言ったので、私も少し言いたいのですが、 まず1つは日雇派遣ですね。26業務、原則禁止で例外が出てくることに対しては、私も この年まで生きてきましたので、ずっと労働運動をやってきましたので、原則と例外の 作り方というのは、もう大体目に浮かぶわけですよね。原則と例外を作ると、必ず例外 規定が増えていく。だから、1985年のとき13だったものが増えていって、26まで増えて いったわけですね。これは何も派遣だけではなくて、有期などもそうなのです。だから、 原則と例外という作り方というのは、私は非常に不安があると思っています。それと、 政令でやることが良いのかどうなのか。私は、こういう国民にとって重大な問題は、政 令などで例外を作らないで、全部、法律事項にすればいいと思っています。むしろ国会 で議論してもらったほうがいいのではないかとも思います。  それと26業務が本当に専門的な業務なのか。何を読んでもファイリングだとか、事務 機器操作というのが、本当に専門業務なのか理解できません。確かに1985年のころだっ たら、私の事務所などにもパソコンはありませんでした。事務所で1台、2台で、それで みんなで私が今度パソコン使うからと言っていた。いまは1人1台ありますよね。そうい う時代と今が全く一緒ではないわけで、こういうものが本当に専門業務と言えるのかど うなのかということで、私はもし原則と例外を作るとすれば、本当に26業務でいいので すかと言いたい。  26業務だって、バーゲニングパワーと言うのですが、バーゲニングパワーという言葉 もおかしいのです。労働者側としてバーゲニングパワーと聞くとギクッとするのは、有 料職業紹介のときに1,200万で決めたわけですね。ところが、あっという間に700万まで 下がったわけですよ。だから、バーゲニングパワーがあるということは、1,200万から7 00万まで下がることだということを経験しているから、もうそういうのを聞くとギクッ としてしまうので、私はこの原則と例外は非常に危険だと思っています。だったら、日 雇派遣は禁止したほうがずっといいのではないかとは思います。日雇派遣がなくなった って、それは日雇いで働くことがなくなるわけではないのですから、そこは絶対勘違い しないでください。日雇派遣イコール日雇いという働き方がなくなるわけではない。  いまの法律改正の前に、国体ができなかったのですか。できていたではないですか。 花火大会だって、できていたではないですか。イベントだってできていた。どうやって やっていたかというと、直接雇用でやっていたわけですよ。むしろ直接雇用のほうが使 用者責任がはっきりするから、労災だとか、さまざまな問題にも対応できるわけです。 間接雇用だと、私の責任ではない、あなたの責任だといって互いにキャッチボールする から、ここは問題だと思います。  次に登録型派遣ですが、やはり今回この法改正で、登録型派遣には全然触れていない のです。派遣法の問題は、確かに最近は日雇派遣と言われていましたが、登録型派遣が 問題なわけですよ。1999年改正がやはり問題だと言われていて、1999年にポジティブリ ストからネガティブリストになった。2003年に製造業の解禁といくわけですが、この登 録型派遣をどうするのかということについて、やはりちゃんとしなければいけないとい うのと、私は何回法律を読んでも実態もわからないのですが、登録型の労働者派遣と職 業紹介というのは、どのように違うのだろうか。そもそも派遣は自分のところでちゃん と雇っている人たちを何かできる人がほしいと言われたら出していくわけですが、登録 型派遣と職業紹介というのはどこがどう違うのかというのがわからないので、できたら 事務局に教えていただきたいと思います。  今日の論点整理の所から、常用型派遣の規定が落ちているのではないかと思うのです ね。やはり常用派遣とは、期間の定めのないものとするということを、私は明確にすべ きだと思っています。本当は法律を作ったとき、これはまだ出てこないからあれですが、 縦書きの法律案が出てきたときは、「日雇派遣とは」、「常用派遣とは」、「登録派遣 とは」というように、私は是非、定義規定を置くべきではないかと思います。  職業訓練の実施なのですが、常用型派遣の専門業務は、結構教育訓練が行われていま す。私どもの組合員を見ると行われていますが、登録型派遣の一般業務について、どう やってやっているのかというのは私はいつも不思議なのですね。派遣業の許可申請で全 部やりますというのが出てくると、製造業から事務から全部やってきて、これだけのこ の坪ぐらいしか部屋がないところで、どうやって製造業から事務から何から訓練するの か、いつも不思議に思っていて、この会社はどうやって訓練をやるのかなといつも思っ ているわけです。本当に登録型の一般業務について訓練が行われているかどうか、私は 少し厚生労働省にも聞いてみたいと思います。  それから、特定を目的とする行為について、市川委員がいろいろ言っていたのですが、 期間の定めのない雇用の特定行為の話ですが、本当にそのように全部認めていいのかと 思うのですね。やはり面接だけではなくて、自分の履歴書などもいくわけですから、そ ういうのが本当に派遣先で必要なのかなと思うのですね。ここはもう少し慎重な検討が 必要なのではないかなと思います。  最後に、厚生労働省は今回、法令違反に対処するための方法として、勧告を出してき ています。私は違反があったときに勧告をするということに対して、ちょっと違和感を 感じているのです。何でかというと、どのような場合に勧告されるのかなと。例えば労 働者がこれは違法派遣だったのでと、相談したり何かしたときに、それで直ちにそうい うことで勧告がされるのかどうか。ここのところがよくわからないところです。だから、 行政が勧告するというのは、どういう手順手続で勧告するのかということと、これで全 部、本当に労働者が救済されるのかどうかということについても、少し私はクエスチョ ンなのです。それよりも、勧告ではない方法を、いま労働審判が非常に活性化している、 増えていると聞いていますので、むしろ何か違法があった場合には、労働者が労働審判 を申し立てて、そこで決着をつけるような仕組みを作ったほうがいいのではないか。私 はそういう意味ではみなし規定のほうがずっといいと思っているのですね。民事効果を 与えたほうがずっといいのではないかと思いまして、以前から法違反があったときは、 直接雇用のみなし規定を導入したらどうかと主張しています。  もう1つは勧告のときに、いままでよりも水準の高い労働条件と言うけれども、そん なこと行政ができるはずがないと思うのですね。例えば基準法であれば、労働基準法に 違反した場合は、違反した雇用契約があれば、それは全部労働基準法の定めるところに 戻ってくるようになりますが、行政が勧告したときの労働条件というのは、どうやって 決めるのか。そもそも労働条件というのは労使で決めているわけで、それを勧告のとき、 どうやって決めるのか。ここは私はよくわからないし、納得していません。それと、勧 告に対して不服だった場合ですね。労働者が不服だった場合はどうするのかなと思いま す。  もう1つ、今回この論点項目にはなかったのですが、やはり労働者派遣法というのは 事業法ですから、許可のところをもう少しきちんと強化したらどうかと思うのです。現 在の許可のときというのは、まず特定のときは届出制度で、一般のときは許可制だとい うようになっているわけです。今回、例えば特定のときの常用というのは、期間の定め のない雇用で無期だというようにした場合に、事実上の無期雇用の有期というのはどう するのか。反復更新して事実上の無期になっている、これの扱いをどうするのかとか、 一般の許可のところには無期も入ってくるし、事実上の無期も入ってくるし、有期も入 ってくると3つ入ってくるのですが、この整理をどうするのか。  この特定派遣と一般派遣というのは、私は何回読んでもすごい混同するのですね。い つもそこまでいってからもう1回戻ってきて、行ったり来たりしているのですが、私は 業者が読んでも、事業主が読んでも、なかなか難しいのだと思うのです。そういう意味 では、もう少しすっきりしたものに整理したらどうかと思います。そういう意味では、 すっきりさせるときにはすべての派遣は許可制にしたらどうかと。許可制にしておいて、 無期の雇用の場合と有期の場合、有期の場合は、私はいいと思っていませんが、30日と 30日以下。私どもでは2カ月と言っていますから、2カ月とそれ以下とかそれ以上などと いうように、そうやって分けたほうがみんなも分かりやすいのではないか。したがって、 今回の事業法の改正は、そこの許可の所も、届出制でなくて、すべて許可制にしたらど うかということです。  もう1つ、研究会報告の中には「派遣協力員の活用」とあったので申し上げておきま す。最初のときには私もあまりそこは気付かなかったのですが、だんだんこの制度を考 えていくときに、派遣事業者が全国にいっぱいいたときに、その協力員が1年に1回は、 自分の管轄の所は全部、事業所を回っていくようにしたらどうかと思います。それで、 チェックシートを作って、10項目ぐらいあるチェックシートでずっとチェックして、全 部○だったらいいと。チェックシートを全部、労働局に報告されて、例えば×などがあ ったら、労働局がそういう所に対して指導に入るという制度にすれば、事業主も派遣労 働者も、もっと良くなるのではないかと思っています。  質問と意見とですが、今回の派遣法の改正はいろいろな関心も高いので、今日的な状 況を見ながら、どのようにしたらいいかということを、使用者の皆さんのほうから率直 に言ってもらったので、私どもも検討することができるので、是非そのようにしていた だければと思っています。 ○清家部会長 事務局のほうからお答えいただけますか。 ○鈴木課長 質問部分を中心に、まず登録と紹介はどこが違うかということなのですが、 例えば人を送り出す時点、紹介、派遣においては、確かにそんなに違いはないかもしれ ません。特に日雇派遣は、そういう意味では紹介とどこが違うのということで、審議会 でもご議論がありました。ただ、決定的に違うのは、例えば2カ月とか3カ月とか契約が あって、その間は紹介であれば、紹介時点で紹介所と関係は切れますが、登録型派遣で あれば、その間派遣元が雇用をしておりますので、例えば賃金の支払いとか、あとで教 育訓練の部分で出てまいりますが、派遣会社に戻ってのOJT、Off-JT、それからいろい ろな福利厚生施設を派遣元で使う、苦情処理、派遣料金の交渉等々、雇用管理をやりま すので、その関係では登録型であっても、雇用されている派遣と紹介というのは決定的 に違うと考えています。  2点目の教育訓練ですが、これは前にもお出ししているかと思いますが、アンケート 調査を平成17年に行ったところで、派遣労働者が教育訓練をいつ受けたかということで、 例えば新規採用登録時が23.8%、派遣直前17.8%、派遣後26.6%、受けていないも45.2 %おります。教育訓練の方法は、派遣会社のOff-JTが33.5%、派遣会社のOJTが36.9%、 派遣先が47.2%、他の教育訓練施設が13.5%ということで、内容としてはワープロ・パ ソコン操作、マナー、一般常識・教養、接客等々が多くなっており、専門的な訓練をし て送り出すというよりも、基本的な働くに当たっての心構えや基礎知識を、OJT、Off-J Tで派遣会社で訓練した上で送り出しているということです。確かに全職種ということ で、例えば製造をやっているときに、どのぐらいの教育訓練をやっているかというと、 物の製造の教育訓練は4.7%でありますので、そういう専門的な訓練は確かにあまりや っておらないということではないかなと思います。  勧告の関係のご質問がありましたが、現時点でどういう勧告手順を考えているかとい うと、これはまだ事務局の内部での検討内容ですが、例えば勧告でしたら、いろいろな 端緒において、労働局等に法違反ではないかと申告や情報提供等もあり、調査に入りま す。その際に、違法かどうかを行政が判断すると。それで、違法だということになった 場合には、その次の手順としては、まず使用者に対して、特に偽装請負等については主 観要件という話がありましたので、こういった主観的な要件で、派遣先に本当に責任が あるのかどうかというのを検討した上で、労働者の意思に反して勧告するわけにはまい りませんから、派遣先に雇われたいのかどうかという意思確認をした上で、派遣先に対 して雇入れの申込みを勧告すると。  その際に、条件として、この叩き台においては従来以上の条件ということですので、 賃金や雇用契約期間等の労働条件が従来以上となるように、雇用契約を申し込みなさい となります。雇用契約の申込み内容自体は、従来以上であれば派遣先のほうに、どこま で上げるかということも含めて任意である。それに合意・同意するかどうか。それで、 雇われるかどうかについては、労働者の自由という形になるのかなと考えております。  労働者が不服だったらということですが、いろいろケースがあろうかと思いますが、 勧告自体は勧告を行って、現行法の体系と同じようにするのであれば、勧告に従わずに 申し込まないとか、条件以下で申し込んだら等々については、公表の対象にしていくと いう形になろうかと存じます。労働者がそれに不満だということで、法律違反というこ とで、民事訴訟を起こすかどうかということもありますが、勧告自体に民事効はありま せんから、それを根拠にというよりも法違反かどうかということを根拠に争うことは不 可能ではないということですが、基本的には私どもは行政がこういう勧告制度を通じて 実現していくのかなと考えております。  それから、許可と届出の特定・一般ですが、これについては研究会、それからこれま での審議会の中でも、許可と届出の区分については、あまりご議論されておらなかった と思います。また、具体的に何か届出で問題があるという事例も、私どもは聞いており ません。こういった状況ですので、今回の叩き台の中ではその範囲の見直しは入れてお りませんが、いまお話がありましたので、どうするかについてはこの審議会の中でご議 論いただけたらと思います。 ○清家部会長 事務局の作っていただいた叩き台について、労使の委員から一通りご意 見・ご質問を承りましたが、もう1つ、2つご質問などありましたらどうぞ。 ○市川(佳)委員 先ほどの発言で確認させていただきたいのですが、特定を目的とす る行為の所で質問して、鈴木課長にご説明いただいたところで、しつこいようですが、 特定を目的とする行為を今回ここで可能にするというところは、特定も可能にするとい う意味が含まれるのですね。先ほど特定行為は特定を目的とする行為の中に含まれると いうご説明があったような気がするのですが、つまり、この一定の範囲の人たちに関し ては、派遣先が特定できるという提起なのかということだけ、ちょっと確認したいので す。 ○清家部会長 事務局からお答えいただけますか。 ○鈴木課長 基本的に法律の中で、特定目的行為の禁止というのは努力義務で入ってい るということですので、そこをできるようにするということです。事務局の解釈として は、この特定目的行為の中には、当然、特定する行為も含んで、特定目的行為という広 い用語を使っているかと思いますので、これを可能とすれば、特定行為も含めて無期型 の派遣ではできるということを前提に、議論をさせていただいたものです。 ○市川(佳)委員 わかりました。 ○市川(隆)委員 先ほど雇用者責任について大変厳しいご指摘が、古市委員からも長 谷川委員からもあったわけですが、例えば安全教育ということについて申し上げれば、 私どもがヒアリングをしましたときに、その点も確認をしたところです。私どもがヒア リングを受けた対象からは、作業開始前のミーティングは徹底してやっているというこ ととか、安全講習・安全点検はちゃんと実施をしていますという報告もあった。それか ら、引っ越しの業者からも、紙で安全マニュアルを作って、作業前にきちんと配って徹 底をしていますというような報告を受けており、そういうところは優良な企業なのだと 言われるのかもしれませんが、そういうことでちゃんと責任を果たしているところもあ るということは、ご認識をいただきたいということが1点です。  それから、今回の改正で仮に日雇派遣が原則禁止となった場合には、これまで合法的 であったものが、この法律改正を境に違法になるということですので、これまで合法で あったところが影響を受けないように、代替措置、その他考慮することは必要だという ことは、是非申し上げておきたいと思います。 ○平田委員 何点か申し上げたいのですが、時間の制約で、次回に委ねるということで、 1点だけ製造行程のところで、2003年より前に禁止して戻せということについて、1つだ け意見を申し上げておけば、必ずしもすべての製造行程の派遣が問題であるとは認識し ておりませんので、一定程度、雇用の機会提供ということになって、雇用の安定という 観点からも、私どもとしては昔の形に戻すというのは必ずしも適切ではないのではない かと思っております。労災の関係でご指摘もありましたが、少し前になるのですが、実 際に我々もヒアリングをしました。やはり現場では、派遣労働者とか、直接雇用の労働 者との関係が、災害が起きないようにというのは最大限配慮しているということを伺っ ておりますので、しっかりやっているところもあるというところは強調しておきたいと 思います。 ○長谷川委員 整理するときに労側が言わなかったと言われると困るので申し上げてお きます。1つは紹介予定派遣後の雇用は、有期ではなくて期間の定めのない雇用にすべ きだと考えています。期間の定めのある雇用とする場合には、やはり私は何らかの合理 的な理由が必要なのではないかと考えております。  それから、派遣先の安全衛生教育ですが、いま使用者のほうがやっているということ ですが、私もやっていることは存じ上げております。ただ、今回、労災保険部会でも、 労災時の費用負担の問題が一部改正されるわけですが、そういう意味では雇入時の安全 衛生教育というのは、派遣先にもきちんとさせるということを、何らかの形で負わせる べきではないかと思っています。  最後に、労使関係ですが、いまでも1年を超えて派遣労働者を受け入れる場合には、派 遣先の労働組合に通知することとなっているのですが、やはり派遣先の労働組合が、派 遣労働者が何人入って、どこに入っているかよくわからないというのが、私どもの会議 でよく言われるわけですね。これは物件費でやっているものですから、なかなか人事で 把握できないということになっているわけですが、できたら私は労使関係を良くするた めにも、派遣先の労働組合に対して、業務だとか、期間だとか、人数だとか、賃金だと か、ちゃんと社会保険に入っているかとか、派遣料金はどのぐらいで、派遣業者がどこ なのかということを通知して、意見を聴取するという制度を義務付けると、もっと派遣 先の労使関係も良くなるのではないかということで、是非これも検討していただきたい と思います。  もう1つは、派遣労働者が労働組合に入った場合、雇用主は派遣元ですから、派遣元 とは団体交渉できます。しかし、派遣先は雇用主ではないものですから、団体交渉の応 諾義務があるのかどうか争いがあるわけですが、できたら、やはり派遣先にも団体交渉 の応諾義務を明確化させることも必要なのではないかと考えています。これは意見です。 ○清家部会長 まだほかにもご意見もあるかもしれませんが、今回は、今日叩き台を出 していただいて、最初にいくつか基本的なお考え、あるいはご質問を承るということで、 次回再び労使双方から、この叩き台についてより深めたご意見を伺おうと思っています ので、今日の議論はここまでとさせていただきたいと思います。  次に、「一般労働者派遣事業の許可の諮問」に移りたいと思いますが、冒頭に申し上 げましたように、傍聴されておられます方につきましては、ここでご退席をいただきた いと思います。また、太田職業安定局長、大槻職業安定局次長についても、所用により 退席されると伺っております。               (傍聴者、局長、次長退席) ○清家部会長 それでは、事務局より、次回の日程等についてお願いいたします。 ○松原補佐 次回の部会ですが、9月4日(木)14時から、6階の共用第8会議室において 開催させていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○清家部会長 次回は9月4日の14時から開催いたします。以上をもちまして、第118回 「労働力需給制度部会」を終了いたします。なお、本日の署名委員は、使用者代表は山 崎委員、労働者代表は市川(佳)委員にお願いしますので、よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。   照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5747)