08/08/27 平成20年8月27日薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年8月27日(木)  10:00〜 東海大学校友会館「阿蘇の間」 2.出席委員(11名)五十音順    新 井 洋 由、 飯 沼 雅 朗、◎池 田 康 夫、 庵 原 俊 昭、    清 水 秀 行、 竹 内 正 弘、 田 村 友 秀、 早 川 堯 夫、    三 瀬 勝 利、 溝 口 昌 子、 山 口 一 成  (注)◎部会長 ○部会長代理    他参考人3名    欠席委員(5名)   上 原 至 雅、 岡   慎 一、 守 殿 貞 夫、○堀 内 龍 也、   前 崎 繁 文     3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 中 垣 俊 郎(審査管理課長)、 森   和 彦(安全対策課長)、 豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、 川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、 成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター次長)、他  4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻となりましたので、薬事・食品衛生審議会 薬事分科会の医薬品第 二部会を開催させていただきたいと存じます。本日は、お忙しい中お集まりいただきまし てありがとうございます。現在のところ、当部会委員16名のうち11名の委員に御出席い ただいております。上原委員、岡委員、守殿委員、堀内委員、前崎委員からは御欠席とい う御連絡をいただいております。  また、本日の審議事項議題1に関しまして、参考人として、秋田大学医学部教授の澤田 賢一先生、国立がんセンター中央病院医長の森慎一郎先生に御参加いただくこととしてお ります。さらに、本日のその他事項議題1に関しまして、参考人として、日本感染症学会 理事長の砂川慶介先生に御参加をお願いしております。  それでは、池田部会長、以後の議事進行をよろしくお願い申し上げます。なお、カメラ 撮りはここまでにさせていただきます。よろしくお願いします。 ○池田部会長 それでは、本日の議事に入りたいと思います。まず、事務局から配付資料 の確認と、利益相反等に関する申合せについて報告をお願いします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿を配付しております。議事次第に記載しております資料1〜5をあらか じめお送りさせていただいているところでございます。このほか、当日配付資料といたし まして、資料3-2「GSK1557484Aに係る質問事項の回答」、資料6「審議品目の薬事 分科会における取扱い等の案」、資料7「専門委員リスト」、資料8「競合品目・競合企 業リスト」、資料9「薬事分科会における確認事項」、それから、資料番号は振っており ませんが、A4横のカラーの1枚紙で赤文字でTERMSと書かれた資料を配付しておりま す。過不足等がございましたら事務局にお申し出ください。  続きまして、申請資料作成への関与や、利益相反等に関します「審議参加に関する遵守 事項」について御報告します。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストについ て資料8として配付しているところでございますが、各品目の競合品目選定理由について 御説明いたします。資料8を御覧ください。  本日の審議事項議題1、サレドカプセル100につきましては、競合品目を選定した理由 としまして、セルジーン株式会社のCC-5013が挙げられておりますが、このCC-5013 はサリドマイド類縁物質であり、主たる作用機序や効能・効果、化学構造の類似性、薬理 作用等から見て類似でありまして、競合品目の候補として挙げたものでございます。なお、 同じ効能・効果であります品目にヤンセンファーマ株式会社のベルケイドがございます が、薬理作用に一部異なる部分があること、本申請品目は他剤無効時に用いられる予定で あり、ベルケイドとは併用される場合があることなどから、臨床現場で直接競合する品目 ではないと判断したということでございます。  続きまして、2ページ目を御覧ください。審議事項議題2、献血グロベニン-I-ニチヤ クでございます。本剤につきましては、静注用人免疫グロブリン製剤として初めて天疱瘡 の効能追加を申請するものでございまして、現在競合する品目はないということでござい ます。  続きまして、3ページ目を御覧ください。審議事項議題3、GSK1557484Aのオーフ ァン指定に関するものでございます。本剤の効能・効果は「新型インフルエンザ(H5N 1)の予防」でございまして、本邦で「新型インフルエンザ(H5N1)の予防」を効能・ 効果として既に2品目が承認されており、さらに別の2品目が製造販売承認申請中でござ います。以上のことから、承認品目であります北里研究所及び阪大微生物病研究会の2品 目、そして申請中の2品目のうち先に承認申請が行われましたデンカ生研株式会社の品目 を競合品目として挙げたというものでございます。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。本日の三つの議題についての各品目の競合品目 選定理由について、事務局の方から説明をいただきましたが、これについて委員の先生方 から何か御意見はございますでしょうか。これはこのようにした方がいい、あるいはこれ は必要ないのではないかというようなことでも結構だと思いますが、特段の御意見はござ いませんでしょうか。よろしいですか。ないようでしたら、競合品目・競合企業について の事務局からの御説明は、委員の先生方に御承認いただいたということで、次に進めさせ ていただきたいと思います。ありがとうございました。  それでは、本部会における審議に際しての申合せ事項については、競合企業の妥当性も 含めて、皆様に了解をいただいたということですので、それに基づきまして、利益相反に ついての委員からの申出状況について事務局の方から説明してください。 ○事務局 各委員からの申出状況につきましては、以下のとおりでございます。議題1「サ レドカプセル100」につきましては、退室委員、議決には参加しない委員、共にいらっし ゃいません。議題2「献血グロベニン-I-ニチヤク」につきましても、退室委員、議決に は参加しない委員、共にいらっしゃいません。議題3「GSK1557484Aのオーファン指 定」につきましては、退室委員は竹内委員、議決には参加しない委員は池田委員でござい ます。  したがいまして、議題3につきましては、薬事分科会規程第5条第1項において、部会 長及びその職務を代理する者のないときは、当該部会員のうちから選任された者が、仮に 議長として会議を開くことができるとされておりますので、御選任をお願いしたいと存じ ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。議題3に関しては、先生方に大変御迷惑をおか けしますが、私は議決には参加しない委員ということで、座長をほかの方にやっていただ きたいと思いますので、どなたか自薦、他薦はございますでしょうか。特にございません か。事務局としては何かございますか。 ○事務局 事務局といたしましては、早川委員にお願いしたらどうかと思いますが、いか がでしょうか。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。私が退室したり、議決に参加しないときにいつもお 願いして大変恐縮ですが、早川先生、よろしいでしょうか。それでは、早川委員に議題3 の議事進行についてお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。  本日は、お手元のアジェンダにございますように、審議事項は3議題、報告事項は1議 題、その他の事項が1議題となっております。  それでは、議題1のサレドカプセル100の製造販売承認の可否について、医薬品機構の 方から概要を説明していただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○機構 議題1、資料番号1、サレドカプセル100の製造販売承認の可否などについて、 医薬品医療機器総合機構より説明させていただきます。  本薬の有効成分であるサリドマイドは、鎮静作用を有することから睡眠誘導剤、精神安 定剤として国内販売が1958年より開始されましたが、臨床使用において、本薬の催奇形 成、いわゆるサリドマイド胎芽病が国内外で報告されたため、国内では本薬の出荷停止、 回収が1962年に開始され、本薬の薬事法上の承認は整理された経緯があります。しかし、 その後、本薬の血管新生抑制など、新規の薬理作用機序に関する知見などが蓄積されると ともに、骨髄腫細胞の増殖抑制効果が着目されるようになり、多発性骨髄腫の治療薬とし て開発が行われてきました。  多発性骨髄腫は、完治する期待が乏しい造血器悪性腫瘍であり、我が国では推定で年間 約3,000人が罹患しております。初発時の治療は、デキサメタゾンを含む抗がん剤の併用 療法や、自家末梢血幹細胞移植を併用した大量化学療法などが施行されますが、これらの 治療が奏効した場合でも、ほぼすべての患者が再発します。再発後は、種々の救援治療が 行われますが、いずれも臨床的な効果は十分満足されるものではない状況です。  本薬は、これら再発又は難治性の多発性骨髄腫に対して効果を示す薬剤として申請され ました。なお、本薬は、希少疾病用医薬品に指定されており、また、厚生労働省の「未承 認薬使用問題検討会議」においても取り上げられております。  本品目の専門協議に御参加くださいました専門委員は、資料7にございますとおり、8 名の委員です。  品質について大きな問題は認められませんでした。非臨床に関する資料として、本申請 では評価資料は提出されず、参考資料として公表論文のみが提出されていますが、サリド マイドの非臨床成績が蓄積されていることを考慮し、毒性・薬理・ADMEについて大よ その知見は得られているものと判断しました。  本薬のヒトにおける薬物動態については、申請製剤では100mg単回投与時の試験成績が 提出されましたが、申請された用量範囲である1日400mgまでのPKや反復投与時のPK に関する情報、また、食事摂取のPKに及ぼす影響に関する検討が不足しているものと判 断しました。この点については、申請者は、当該PK情報を入手するため製造販売後速や かに検討を行うと説明しています。  臨床試験成績として、一つの国内試験成績が提出されました。当該試験は、非盲検用量 漸増試験として実施され、血清M蛋白の増減を評価する寛解度が主要評価項目として設定 されています。機構は、海外市販製剤を用いた公表論文のM蛋白減少効果と顕著な差異は 認められないことなどを総合的に判断し、本薬の有効性は期待できるものと判断しまし た。  安全性について、本薬の使用において特に注意すべき有害事象として催奇形性があり、 市販後の安全管理が最重要になりますが、これにつきましては別途、検討されています。  その他の有害事象として、海外市販製剤において神経障害、静脈血栓塞栓症、骨髄抑制 など、様々な臓器での有害事象が出現しており、本薬においても注意を要するものと判断 しています。機構は、本薬は、十分な知識・経験を持つ医師の下で、本薬の投与が適切と 判断される患者にのみ投与されるべき薬剤であり、製造販売後には全例で、治療全期間に わたる調査による、time-to eventに関する情報や有害事象の収集、及び迅速な情報提供 を行う必要があると考え、承認条件として設定しました。  以上の審査の結果、機構は、再発又は難治性の多発性骨髄腫について、本薬を承認する ことが可能と判断しました。本薬は新有効成分含有医薬品かつ希少疾病用医薬品であるこ とから、再審査期間は10年とすることが適当であり、原体及び製剤は毒薬に該当すると 判断しました。また、生物由来製品及び特定生物由来製品には該当しないと判断しました。  以上、御審議のほど、よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。事務局の方から何か補足はございますでしょう か。 ○審査管理課長 この品目につきましては、御承知のとおり催奇形性の問題がございます ので、市販後の安全管理が非常に重要であろうと考えております。そのために、今まで安 全管理基準について検討してまいりましたし、その案について、8月13日から意見募集 の手続を開始したところでございます。あわせて、昨日、「第1回サリドマイド被害の再 発防止のための安全管理に関する検討会」という、有識者からなる検討会を開催し、その 具体的な検討を始めたところでございます。  この安全管理方策についてでございますが、今申し上げました検討会及び、その検討会 を受けて医薬品等安全対策部会という、審議会の薬事分科会の中に、医薬品第二部会と並 列して安全対策部会がございますので、この検討会と部会において検討していただいては どうかと考えております。  現在の安全管理基準(案)の概略について、安全対策課の方から説明させていただきま す。 ○池田部会長 それでは、安全対策課の方から説明をお願いできますか。 ○事務局 それでは、説明させていただきます。お手元に参考資料1と、A4のカラーの 1枚紙が配付されていると思いますので、そちらを御参照ください。  まず簡単に、この基準書(案)が作られるに至った過程を申し上げたいと思います。説明 させていただきましたとおり、本薬は過去において悲惨な薬害をもたらしたということが ございますので、承認審査に当たりましては、その市販後の安全管理対策を十分に議論し、 それがまた適切に実施されるということが重要であると考えられましたことから、申請企 業を中心といたしまして、また厚生労働省におきましても適宜協議を重ねながら、また日 本骨髄腫患者の会の方々、被害者の方々、関係する医療従事者の方々、いろいろな方々の 御意見を頂戴いたしながら、この安全管理の方策について検討してきたところでございま す。その検討された安全管理の方策について、具体的に文書にしたものが、今お手元に配 付させていただいております「サリドマイド製剤安全管理基準書(案)」になります。この ような安全管理につきましては、既にサリドマイドが承認されております海外において も、全く同じではございませんが、ほぼ同様の安全管理が実施されているところです。お 手元にお配りいたしました安全管理基準書(案)でございますが、最初に本文、それに続き まして、後半には様式が添付してございます。現在この案につきましては、先ほど説明さ せていただきましたとおり、意見募集がなされております。また、公開の検討会を昨日開 催したところでございます。内容につきましては、詳細は基準書(案)に記載しております が、概要につきまして1枚紙で説明させていただきます。  この製剤に関係いたします医師、患者、本製剤は院内調剤のみに限るということで今検 討が進められておりますが、院内の調剤所におられる薬剤師の方、あるいはこの医薬品の 流通にかかわる特約店と書かれておりますが、医薬品卸の方、こういった方々を登録する ということにさせていただいておりまして、その登録を受けた方々のみがこの医薬品を取 り扱うことができるということになっております。また、その登録の前の段階におきまし て、医師、薬剤師、あるいは特約店の方に藤本製薬から、この製剤に関する内容、どのよ うな取扱いなのかということについて情報提供を行い、理解度の確認、あるいはこの基準 書(案)を実行するということに同意いただけるという前提の下に、登録を藤本製薬が行う というような手続になっております。また、患者につきましても登録を行うのですが、そ れは、医師から患者に対して必要な教育をしていただきまして、その内容の確認などを行 った上で、医師経由で登録をするというような形になっております。  具体的な処方・調剤の流れでございますが、藤本製薬の中にTERMS管理センターを設置 する予定でございまして、このTERMS管理センターにおいて中央的に管理をするというこ とになっております。具体的な流れでございますが、まず、処方ごとに管理をするという ことになりますが、患者より調査票を処方ごとにTERMS管理センターにFAXで送付して いただくことになります。内容としては、遵守状況の確認であるとか、禁止事項を行って いないか、そういったことを確認するということになります。その後、医師が実際に診療 する際におきましても、患者における遵守状況等、若しくは理解度などに問題がないか確 認をして、その結果をFAXでTERMS管理センターに送るということになっております。 その両方からの情報を基にTERMS管理センターで確認を行い、問題がなければTERMS管理 センターから医師の方にFAXをお送りするということになっております。そのFAXを 受けて、医師が処方箋を発行し、その処方箋を持参して、患者が院内の調剤所で調剤を受 けるという形になります。院内の調剤所におきましても、薬剤師が改めて必要な遵守状況 等を患者に聴取いたしまして、その結果をTERMS管理センターにFAXでお送りするとい うことになっています。その内容をさらにTERMS管理センターですべて確認して、問題が ない場合にはFAXを院内の調剤所に対してお送りして、それを受けて、最終的に薬剤師 において調剤を行い医薬品を患者さんに提供するというような流れになっております。  実際、患者さんはいろいろな方がいらっしゃるわけですが、妊娠される可能性のある患 者さんである場合には、妊娠検査を実施するということになっておりまして、処方の4週 間前、あるいは2週間前、そして当日は毎回でございますが、妊娠検査を実施して、妊娠 の疑いがないか確認をした後に処方をしていただくということをお願いすることになっ ております。また、投薬中において、必要な方においては適切な妊娠の回避を行っていた だくということになっておりますので、そういったことについても、患者さん、若しくは そのパートナーの方にお願いをするということになっております。また、万が一のことを 考えまして、医師を登録する前提といたしまして、緊急避妊について協力いただける産婦 人科医の協力を得るということを条件とさせていただいているところでございます。  やや複雑なところもございますが、このような全体像となっておりまして、この仕組み について、現在開始いたしました公開の検討会において御議論を進めていただきたいと考 えております。以上でございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。引き続きまして、参考人として本日出席をいた だいています、まず、秋田大学の澤田先生から御意見を伺いたいと思います。先生、よろ しくお願いします。 ○澤田参考人 私ども、このサリドマイドの効果が報告されましてから1、2年後でしょ うか、患者さんの要請もございまして、臨床の場で使ってまいりましたが、すべての患者 さんに有効というわけではありませんけれども、確かに有効な患者さんがいらっしゃいま して、病態の改善が得られておりますので、その後は患者さんからの御要望、それから我 々の臨床的判断でもって臨床の方で使用しております。実際、この薬剤が臨床の場で使え るということになりますと、非常に恩恵を受ける患者さんが、すべてではありませんが、 いらっしゃるということを考えれば、我々臨床現場の人間としては、この薬剤が使えるよ うになるということは、非常に喜ばしいことであるというふうに考えています。  もちろん、その使用に当たりましては、私どももサリドマイドの副作用ということも踏 まえて、患者さん、それから薬剤部とも協議を重ねながら非常に慎重に使っているわけで すが、現状としましては、この薬剤を入手するまでの手続等が非常に煩雑でございまして、 また使用するまでに時間がかかるというようなことがございますので、いろいろ厳重に注 意すべきことはございますが、本邦においてこのような形で薬剤が使用できるということ になれば、恩恵が大きいかなというふうに感じております。以上です。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、がんセンターの森先生、お願いしま す。 ○森参考人 私から特に付け加えることはございませんが、やはり臨床現場からは非常に 要望の強いというか、患者さんからは期待されている薬だと思いますので、是非使えるよ うになることが重要だと思っています。現状では、個人輸入で使われているという現状が ございますが、これに関しては非常に把握しにくいということと、ガイドラインというも のが存在しますが、これは必ずしも拘束力がきちんとあるわけではありませんので、あく までもガイドラインという状況でありますので、むしろこれが普通の処方薬として使える ようになって、しっかりと把握されてコントロールできるということの方が、社会的なリ スクを考えても非常にメリットが大きいというふうに私は考えております。よろしくお願 いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。血液学の専門の先生のお立場からサレドカプセ ルの特に効能・効果、患者さんからの要望も含めてお話していただいたと同時に、やはり 安全管理の面での重要性についてもお話をしていただいたと思います。委員の先生方から このものについての御質問、御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願いします。 どなたか、ございませんか。 ○田村委員 森先生にお聞きしたいのですけれども、歴史的背景はいろいろあると思いま すが、ほかの抗がん剤と比べてもこの薬剤は催奇形性が高いのでしょうか。それと、もう 一つは、ミエローマの患者さんというのは妊娠するリスク、可能性もほかのがん患者さん より高いのでしょうか。 ○森参考人 まず、罹患される方が高齢の方がピークになりますので、実際に妊娠可能年 齢の方に投与される確率は非常に低いだろうと思います。あと、催奇形性の問題に関して は多分既に議論されているのではないかと思いますが、これは血管新生阻害作用が関与し ていると考えられるわけですけれども、ほかの抗がん剤等の場合はどちらかというとall or noneのいわゆる流産の形になることが多いと思うのですが、この薬剤の場合はそこに 至らずに途中で器官発生が阻害されるということで、奇形が発生する確率が非常に高いと いうことで、ほかの抗がん剤に比べると非常に催奇形性は高いというふうに判断していい と思います。 ○田村委員 ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○山口委員 個人輸入に非常に頼っているという現状は私も知っておりますが、もちろ ん、これをきちんと薬としての管理を国がやるというのは当然のことでありますけれど も、価格の問題は今後どうなるのでしょうか。個人輸入の現状はなかなか把握しにくいと いうのはよく分かるのですが。 ○池田部会長 いつも部会で問題になるのですが、価格の問題はなかなかここで議論しづ らいのですけれども、コメントをいただけますか。 ○審査管理課長 個人輸入として、我々は税関と協力しながら、いわゆる医薬品の監視と いう観点からやっているところでございます。そういう意味で申し上げますと、いろいろ な国から輸入がされている。例えばイギリス、メキシコ、そういった幾つかの国から輸入 されているというふうに聞いております。今後これが仮に、安全管理の方策についても意 見がまとまり、またこの部会における議論も収束したということになりますと、その後に 分科会で議論をしていただいて、問題がなければ承認ということになるわけでございま す。承認になった暁には定例のルールにのっとりまして、2か月ないし3か月で薬価基準 への収載が行われるということで考えております。  その薬価基準への収載の価格の問題でございますけれども、なかなか見通すことはでき ないわけでございますが、外国の価格を参考にするというのも薬価基準を決めていく中で の一つのルールでございます。さらには、当然のことながらある程度、要したコスト、あ るいはこれからかかるコスト、この場合には安全管理のシステムが相当のコストを生むの だろうと思いますし、先ほど機構からの説明にもございましたように全例調査も義務付け るということでございますから、相当のコストがそこにまたかかってくるのだろうと思い ます。そういう意味で申し上げますと、これと同じようなことをやっている国々と同じよ うなコストだろうと思いますが、聞いておりますところで申し上げますと、一部途上国に おきましては、そういうことは行われていないように聞いておりますから、そこから輸入 されている方があると考えますと、そのコストに比べると相当な高額になるのだろうと思 います。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。そのほかにいかがですか。 ○溝口委員 私は皮膚科医でございますが、このサリドマイドは皮膚科関連疾患、ハンセ ン病とか腸管ベーチェット、あるいはGVHDの皮膚症状にも有効でございます。実際に 大学にいますときに使っておりました。大学内の倫理委員会の許可を得まして、患者さん の承諾を得て使用したのですが、ここに出ております安全管理の基準書を拝見しますと、 大学でやっていたときよりもはるかにきちんとして、厳しく、いいものができていると思 います。  それから、先ほどの価格の件ですが、これも幾ら払っていただいたか、3年以上前なの で憶えていないのですが、価格が年々上昇しまして、患者さんの経済的な負担もかなりの ものだったと記憶しております。それで、もしこれが承認されることになりますと、以前 よりもより安全に患者さんは治療を受けることができるようになりますし、承認され、健 康保険が適応されれば経済的な負担も恐らく減るのではないかと思います。ですから、余 り高くしないでいただきたいのですが、より安全に、経済的な負担も低く治療できれば、 これほどいいことはないと思いますので、私は承認に賛成でございます。  それと、数の少ない疾患では無理かとは思いますが、例えば小児の腸管ベーチェットな ど、ステロイドを使いますとかなりの成長障害が起こりますので、このサリドマイドがと ても有効で使っておりました。すぐに適応は無理でも、もしこれが承認されたら、安全管 理の面でも、これを利用させていただきますと、患者さんにメリットがあるかと思います ので、その点をよろしくお願いいたします。  細かいことですが、39ページに「(6)皮疹」がありますけれども、「皮疹」と「発疹」 が別に書かれていますが、これは同じものなので、「10例」と「4例」を足して、14例 でパーセントを出していただきたいと思います。それから、その少し後の方に「剥離性紅 皮症」と書かれているのですが、こういう言葉は皮膚科の教科書にはございません。これ はexfoliativeのことでしたら、剥脱性紅皮症の間違いだと思いますので、これも御訂正 いただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかに、委員の先生方いかがですか。 ○庵原委員 二つ確認したいのですが、一点は、日本血液学会研修施設で処方するという 形になっていますが、これは全国すべての県といいますか、地域的なばらつきもなく、ど この県でも処方できるということが可能かどうかということが一点です。二点目は、院内 薬局で処方するという形になりますが、そうしますと、先ほど高齢者の方が多いと言われ ていましたが、薬歴管理をどのようにするのか、ほかの疾患に対する薬との問題点をどの ように管理していくのかという、その二点を確認したいのですが。 ○池田部会長 いかがですか。 ○事務局 今御質問いただいた件ですが、日本血液学会研修施設で勤務されている医師の 方を登録させていただくということがまず大原則ですけれども、ただ、現に個人輸入で使 われている施設は他にもあるというふうに聞いております。その場合、一定の条件、例え ば日本血液学会の研修施設と連携が取れるとか、そういった条件は付しておりますが、そ ういう研修施設におられない方であっても、現状既に個人輸入しているということである ならば、登録することは可能ということになっております。  もう一点は、院内での調剤に限って、併用薬、薬歴管理とか、その辺は現場で混乱があ るのではないかと思いますが、その点についても昨日公開で実施しました検討会において 意見が出ておりまして、この検討会においても議論を進めていきたいと考えております。 ○池田部会長 ちなみに、日本血液学会の認定施設というのは500以上ありますので、も ちろん各県には十分な数があると思います。そのほかにいかがでしょうか。 ○竹内委員 教えていただきたいのですが、剤型が海外と変わっているということだった と思いますが、剤型が変わっていることで、海外で発表された有効性又は安全性がそのま ま日本の国内臨床試験、37例で行われたのですが、それに外挿できるとは私は思えない ので、確かに審査報告書の49ページに書いてありますように、「国内臨床試験成績は、 有効性、安全性、用法・用量のいずれの検討においても不十分であると考える」というこ とに対しまして、私は同感でございます。ですので、今は安全性の面で市販後調査をどう するかという御議論をされていると思いますが、やはり市販後に、剤型を変えた上で、日 本の患者さんに対してはどのくらい有効性又は安全性、またどういう用量がいいのかとい うような情報提供は、患者さんに対しては必要ではないかと考えております。 ○池田部会長 いかがでしょうか。製剤の品質の問題ですね。機構の方から説明していた だけますか。製剤に関しては、資料ですと、1製剤ですか、海外で使われているメキシコ 製のものとの比較が少しあるだけで、ということでしたが、その辺も含めて、製剤の品質 そのものについての御質問です。 ○機構 コメントをありがとうございます。まず、製剤の品質に関しましては、審査を行 いまして、GMPも含めて、機構としては納得できる内容であるというふうには理解して おります。一方、海外で実際に使われている、あるいは、メキシコ等の幾つかの国から個 人輸入がされていることは理解しておりまして、現在の情報としては、その製剤との溶出 性の問題について検討している程度でございます。  先生の最初のコメントとして、ほかの海外で使われているサリドマイドの臨床結果がこ れに応用できるのかという問題に関しては、明確な答えを持っておりませんで、本剤の製 剤設計と海外の製剤設計の詳細の検討が今はされていないという状況でございます。  したがいまして、総合機構の審査の中では、本剤の国内臨床試験のデータの評価という ことをもって、有効性が期待できると判断をしております。海外のデータが応用できるの かどうかということは、まだ分からないというのが私どもの考えている結論でございま す。 ○竹内委員 今後、承認された後には、ある程度の臨床試験が要求されて、有効性に対す る情報提供も患者さんにされるという理解でよろしいでしょうか。 ○機構 具体的なところは検討段階でございますが、少なくとも臨床的な薬物動態に関し ての検討要求は、我々としては行いたいということと、あと、統計学的問題点はございま すが、全例調査ですので、ある程度の情報の収集をさせるというようなことは考えており ます。 ○池田部会長 これは実際には100mgの用量でのPKを見ているわけですね。 ○機構 現在はそういう情報はございます。 ○池田部会長 そうすると、仮にこれが承認されたとすると、もう少し用量の高いところ で実際に用いられるわけで、そこのところのPKも取ることを一応条件にさせるというこ とですか。そう考えてよろしいですか。 ○機構 そういうふうに考えております。 ○池田部会長 そういうことですが、竹内先生よろしいですか。 ○竹内委員 はい。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 何点か教えていただこうと思うのですが、私は薬剤疫学会の会員で勉強させ てもらっていまして、去年だったかと思いますが、厚生労働省の科学研究の中でサリドマ イドの使用登録システム、SMUDというシステムが、薬剤疫学会の中で講演があったと 思いますが、それと、今回提案されているTERMSとの関係について、まず教えていただけ ますでしょうか。 ○池田部会長 安全対策課、いかがですか。 ○事務局 今日御紹介させていただきましたTERMSにつきましては、あくまで藤本製薬が 医薬品を供給する責任において行っていただくというのが大前提です。一方、先生が御指 摘のSMUDにつきましては、今後、個人輸入に対応するために、その稼働に向けて準備 を進めていきたいと考えております。 ○清水委員 このほかで、TERMSについてですが、これから検討を進めていくということ と、これは基本的には藤本製薬が中心になって作るということですが、案を出されている 厚労省の考え方としてでいいのですけれども、これが本当にうまく稼働するかどうかとい うのは、評価をするところ、今、机の上で一生懸命考えて、このような素晴らしいシステ ムを作ってくださっているのだと思いますが、実際に動かすといろいろな問題が出てくる のが社会科学の現状でして、それを評価する第三者機関というのが非常に大事になるのか と思います。この第三者機関の在り方について、今の状況で厚労省としてはどう考えてい るのかというのが一点です。  それから、先ほど処方する医師についての登録のための資格の話が出ておりましたが、 今回この模式図の中で、重要な役割を担う専門職として、責任薬剤師というものが出てき ておりますが、責任薬剤師については何か要件等をお考えなのかどうか、そこのところを 教えていただきたいと思います。 ○池田部会長 非常に大事なところだと思うので、是非お答えいただきたいと思います。 ○安全対策課長 実際にこのTERMSは、机上だけで考えているのだと危ないという御指摘 はごもっともで、これまでに実は2回、テストランをやっております。これは昨日の検討 会でも御紹介をしているのですが、それをやった上で、そこで遭遇した問題点も織り込ん で、今の案になっているところであります。もちろん、この後も、実際に動かしながら、 出てくる問題点について、非常に厳格であるがために、かえって現場で1回の調剤に30 分以上かかるとか、非常に手間がかかっているので、もう少し合理的に動かさないと現場 が動かなくなってしまうというような指摘もされているところであります。そういうこと も加味して、システム全体の評価は繰り返しやっていく必要があると考えておりまして、 その意味で、図の中にあります第三者評価機関というのが有効な仕組みではないかと思っ ています。  この第三者評価機関については、藤本製薬とは独立した存在として作られる必要がある ということから、現状では大阪大学の先生にこの機関の取りまとめをやっていただくとい うことで、この機関が実際に動いているTERMSの、それぞれの実際に担当されている方に アンケートをとって、稼働状況を調べるというようなことを、今、計画しているという状 況ですし、この第三者評価機関については、被害者団体や患者さんも加わる、あるいは私 どもの方も実際に参加させていただきたいと考えているところであります。しっかり見守 ろうということであります。  それから、責任薬剤師でございますが、これも一応TERMSの基準書(案)の中に記載がご ざいますが、ここは特定の資格みたいな格好ではなくて、実質的に、サリドマイドの催奇 形性及び本基準に関する情報提供をきちんと受けていただいた、そういう理解度について 十分確認されている方になっていただこうということが、規定としては書かれておりま す。もちろん、実際には、このTERMSについての前段となる、処方経験のある、多発性骨 髄腫の治療の専門性のある施設において活躍されている薬剤師の方になっていただこう と考えている状況でございます。 ○清水委員 ありがとうございました。これに対しては、薬剤師の見る目というのは、リ スクを軽減していくためには非常に大事だろうと私は思いますので、場合によっては責任 薬剤師をお受けいただく方について何か要件を、講習のほかに、基本的なジェネラリスト としての実績を持っているというようなものがあっても行き過ぎでは決してないだろう と思います。ただ、それが妥当かどうかというのは、いい機会で検討していただければと 思いますが、そのくらい重要な立場を占めるのではないかと思います。何としても過去に 起こったような事例は起こしたくないという思いでこれをお作りなのだろうと思います ので、その辺は特に注目していただきたいと思います。  もう一点、少し細かいことになるのですが、この薬剤の承認をいただきますと、通常の 新薬の考え方でいきますと、1年間は2週間投与ということになるのだろうと思います。 では、1年経った後、この薬剤について長期投与というものを可能にするようなお考えが あるのか、それとも、この薬剤については投与日数制限を2週間のまま保っていくという ようなお考えなのか、その辺のことを、何か御検討のところがあったら、御説明いただき たいと思います。 ○審査管理課長 長期投与の制限について、今おっしゃられましたのは医療保険上の制約 でございますが、薬事法上、投与期間について制限をするかどうかにつきましては、今の ところ、その必要について、あるというふうには考えておりません。むしろ、この点につ いて、例えば投与期間を絞った方がいいのかどうかというのは、患者さんの利便性の問題 もありますし、一方では、一番の問題である安全性の確保の点から、あるところで縛ると いう考えもあるのかもしれませんが、是非御意見を賜れれば幸いです。 ○清水委員 個人的には、これは2週間投与の縛りがあって然るべき薬剤ではないかと考 えております。実際にそのような対象患者さんは少ないという森参考人の御意見もありま したが、妊娠ということのチェックをかけていくことの手法などが書かれているところに かんがみますと、投与日数の制限というのはあっても然るべきかと思いますが、それは私 の意見です。 ○池田部会長 ありがとうございました。澤田先生、森先生、何かございますか。ただ今 の先生方の御質問について、何か御追加というか、コメントはございますか。 ○澤田参考人 投与の対象と考える患者さんと申しますのは、若年の方であればもちろ ん、先ほど御意見がございましたように妊娠ということもございますので、長期の投与と いうことは余り適切ではないのかなと思うのが一点です。また、妊娠適齢期を過ぎている 女性の方、また男性の場合には考え方もいろいろあるでしょうが、対象となる患者さんが 一般的に移植適応年齢でございますと、65歳未満でありますと、まず化学療法を行い、 そして、なおかつ自家末梢血幹細胞移植が適用となります。それで再発された方、また状 態のよろしくない方にサリドマイドが適用になりますので、例えば1か月、2か月の長期 投与が可能な患者さんというのは、当面、対象には含まれません。むしろ、いろいろな合 併症、その他を含め、きめ細かい診察が必要になりますので、2週間、若しくはそれに準 じたような投与期間で、我々臨床現場としては、今のところは特に困ることはないと感じ ております。 ○池田部会長 ありがとうございました。森参考人はよろしいでしょうか。確かに先生が おっしゃるように、この薬は催奇形性の問題以外にもいろいろ副作用がありますので、そ のきめ細かい対応で考えると、2週間というのは非常に日常の診療に即した処方の仕方で はないかと思います。一つ、私の方から、TERMSの図ですが、第三者評価機関から藤本製 薬の中央一元管理のところに矢印がピンクと茶色で二つ同じ方向に向かっているのです が、これは間違いではないですか。 ○事務局 確認いたします。 ○池田部会長 これは明らかに間違いですよ。これは例えば、藤本製薬のTERMS管理セン ターの方から第三者評価機関への定期報告というのは、どれくらいの頻度でやることを、 今、想定されているのでしょうか。まさか、半年とか1年に1回ということではないので しょうね。 ○安全対策課長 第三者評価機関のチェックの節目というのは、一応、四半期ごとという ふうに、今のところ考えております。実際に患者さんとか、あるいは処方をしている医療 機関に対するアンケートのような形の調査は、今のところ1年に1回以上というふうな頻 度で考えていると昨日伺っておりますが、全体的な評価は3か月に1回ずつということ で、やはりそうしないと、刻々と様子が分からないものですから、そのくらいの頻度でや るというふうに考えていると聞いております。 ○池田部会長 委員の先生方、そのほかに何か御意見はございますか。ちなみに、この安 全管理に関する検討会の第1回を昨日開いていただいたと聞いていますが、今後何回くら い開かれるかということと、それから、この委員の構成というのはどのような方たちが、 個人のお名前ではなくて、使う側、患者とか、その辺の構成はどのようになっているので しょうか。 ○安全対策課長 概略を申しますと、実際にお使いになる患者さんたち、処方をされてい く専門医の先生、被害者の団体の方々、それから関係する医師会、薬剤師会、あるいは法 曹の専門の方、いろいろな方、それから座長が産婦人科の専門医ということで、できるだ け英知を集めるという格好になってございます。  開催の回数につきましては、第2回を来週の木曜日に開くということと、その後もう1 回、日程は確保していただいておりますが、何回で決めるというふうには、今のところ申 し上げられません。 ○池田部会長 少なくとも、安全管理について委員の先生方が皆さん、これならばいける、 というようなコンセンサスを得られるまでは、徹底的に議論はするというふうに考えてい いということですか。 ○安全対策課長 議論はきちんと尽くしてやっていただきたいというふうに考えており ます。 ○池田部会長 ありがとうございます。委員の先生方、そのほかにいかがでしょうか。  私の方から一つだけ伺ってよろしいでしょうか。座長がいろいろ質問するのは余りよく ないかもしれないですが、この添付文書ですけれども、これは医師向けの添付文書ですね。 それから薬剤師の方々が見て患者さんに説明をしたり、あるいは使う医師がこれを見て説 明するということですが、これは、使っている患者さんに対する催奇形性という問題はも ちろん非常に大事ですが、それと同時に薬剤がその辺にあっては困るという、そちらの安 全管理という点が非常に大きいわけです。実際には、飲んでいる患者さんが催奇形性の問 題でクローズアップされることは、可能性としては非常に少なくて、むしろ薬の安全管理 というものが、通常の薬と同じようにその辺にあると、どういうことになるか分からない という、そこの面が非常にあると思うのです。  そうすると、個々の医師のやるべきこと、それから薬剤師の方たちがやらなければいけ ない、果たさなければいけない責任、それと同時にやはり患者さんがどれだけ全体の安全 管理の仕組みを理解するか、あるいは、患者さん自身は非常に重篤な患者さんなので余り 余裕はないと思いますが、少なくとも患者さんの家族で薬を管理する人たちがいるわけで すから、そういう人たちがどれだけ全体像を理解しているかということが大事だと思うの です。ですから、その人向けの添付文書というか、手引みたいなものの例を作っていただ けると、非常に分かりやすいのではないかと思います。その辺の話は恐らく検討会で出る のではないかと思いますが、その辺はどうでしょうか。 ○事務局 医師、薬剤師、あるいは患者の方々に情報提供する際に用いる教育用の資料は 既に作成しているようでございまして、その資料は第2回検討会でお示しして御意見をい ただきたいと考えております。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。 ○審査管理課長 先ほど投与期間の議論がございました。これについては現在のところ添 付文書の案に記載がされておりませんので、必要であれば添付文書の中に盛り込みたいと 考えておりますが、そこに当たって一つ御意見をいただきたいと思うわけでございます。 先ほどの御意見ですと、2週間を基本とするという感じだろうと思うのですが、2週間を 限度としていいのか、基本くらいにとどめておくべきなのか、そこはかなり書き方として 迷うところでございますので、その辺りについて御意見を賜れれば幸いです。 ○池田部会長 ありがとうございました。その点について、今、非常に大事なところだと 思いますが、御意見をいただけますでしょうか。参考人の森先生、澤田先生も、もしよろ しかったら御意見をいただきたいと思います。限度とするか、あるいは基本として、場合 によっては少し延ばせるとするか。 ○澤田参考人 私どもとしましては、もちろんサリドマイドは血栓症とか、ほかの合併症 もございますので、例えば抗血栓療法などをしますと、ミニマムでも1か月くらいには来 院していただいてチェックしなければいけないということがあります。ですから、例えば 高齢の方で、造血幹細胞移植は適応にならなくて、でも、余り薬の効きがよくなくてサリ ドマイドという方は、場合によっては1か月に1回でも何とかなるのかもしれない。です から、2週間を基本ということで、できれば限度ということは避けておいていただければ 有り難いと感じています。 ○池田部会長 森先生はいかがですか。 ○森参考人 同じです。 ○池田部会長 基本的には2週間で、2、3か月の長期処方というのは余りふさわしくな いですかね。 ○審査管理課長 分かりました。その辺の趣旨を「使用上の注意」に追加記載をしたいと 思います。ありがとうございました。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。これは社会的にも非常に注目を集めている議題 ですので、特に安全管理の面から、先生方の徹底的な議論をお願いしたいというふうに思 っていますので、少しでも、ここについての危惧はどのように解消するのかというような 御意見がございましたら、是非、委員の先生方からお願いしたいと思います。血液の専門 の先生方は、本当に患者さんに投与してこれが、あるいは、適応は多発性骨髄腫ですが、 それ以外でも、溝口先生のお話ですと、効果がある病態はまだまだあるということですの で、医療側としてはこれが使えるようになるということのメリット、あるいは患者さんに 対するメリットはあると思いますが、大事なのはやはり安全管理の問題がどこまで徹底で きるかです。1例でもこれでまた同じようなことが起きたならば、これは我々も非常に大 きな責任を負わなければいけないということになるわけですので、それが1例でも起こら ないということをギャランティするような仕組みづくりをしなければいけないだろうと いうふうに思いますので、その点について、何か先生方の、ここはどうだろうという、本 当に細かいことでも結構ですので、御意見はございますか。 ○清水委員 細かいことで恐縮です。添付文書の中の記載ですが、「安全管理基準が定め られている」、あるいは「安全管理基準を遵守できない患者」というのが、「警告」のと ころ、「禁忌」のところに書かれているのですが、この領域に理解のある、関心のある方 でありますと、これは大きな管理基準が出来上がっているのだなというのが分かるのかと 思うのですが、添付文書を読んだだけですと、この基準は何なのだろうというのは、ほと んど分からないだろうと思うのです。  ですので、これは注釈で構わないと思いますが、ここに書かれている安全基準というの はこのようなものだということの注釈等があった方が、添付文書を見ていただいたとき に、これは別のものを確認しなければいけないのだということを御理解いただけるのでは ないかと感じますが、いかがでしょうか。 ○池田部会長 よろしいですか。 ○審査管理課長 この薬剤につきましては医師、薬剤師を登録する。その登録に当たって、 基準の内容を知っているというのは当然の前提でございますから、それを使われる方々が この添付文書を見られる分においては、そういった誤解があるとはちょっと思えないわけ でございます。ただ、添付文書は本来的な目的ですと、それを使う人が読むというのが一 番の目的だと思っておりますが、一部、ほかの目的、すなわち学習などの目的で見られる 方もおられるように聞いているわけでございます。そういう方のためには、先生のおっし ゃったことも一つあるのだろうと思うわけでございます。そういう範囲内で、何らかの注 釈を入れられるかどうか検討してみたいと思います。 ○清水委員 専門の医師がいらっしゃる専門的な施設で使われることを想定しますと、 今、課長がおっしゃられたようなことになろうかと思いますが、そういった先生が週に1 回、ほかの施設に診察にお出向きになられていて、そこでも大学で使っているものを使い たいのだけどどうだろうかと薬局に問い合わせしたと仮定しますと、私どもは添付文書 集、あるいは最新の添付文書をまずは電子的にでも引き出してきて検討した上で、先生と 相談をすることになろうかと思います。そういったときに、これについては別途、こうい ったところで情報を入手できるということが分かることも有用かと思います。あるいは、 添付文書への記載が妥当でなければそのほかの方法でも構わないのですが、そういったこ とがきちんと情報として伝達されるような方法をお考えいただいた方がいいのではない かと考えております。 ○池田部会長 ありがとうございます。そのほかにはよろしいでしょうか。特に御意見は ございますか。もし特段御意見がなければ、先生方からいろいろ御議論いただきましたの で、議決に入りたいと思いますが、よろしいでしょうか。  それでは、議決に入りたいと思います。参考人の澤田先生、森先生、どうもありがとう ございました。 ── 澤田参考人、森参考人退席 ── ○池田部会長 この品目の安全管理基準(案)については、検討会が先ほど来御紹介されま した。また、医薬品等安全対策部会においても議論を是非していただきたいと思っており ます。その適正な実施を承認条件に加えることを前提にしまして、この品目の承認の可否 等について、医薬品第二部会として、議決をしたいと思いますが、よろしいでしょうか。 繰り返しますが、承認の前提は検討会、それから医薬品等安全対策部会での議論を踏まえ るということで、仮にここで承認とさせていただいても、検討会、医薬品等安全対策部会 等で、これはまだ安全対策が不十分であるというような結論になったときは、この部会の 承認が先延ばしになることもあるということを念頭に置いて、ここの部会での承認の可否 を伺いたいと思いますが、よろしいですか。それでは、サレドカプセル100の製造販売承 認の可否について伺いたいと思います。承認してよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。御異議がないようですので、医薬品第二部会としては、承認を可とさせていただ きます。事務局から、今までの議論を踏まえて何か付け加えることはございますでしょう か。 ○審査管理課長 この品目につきましては、社会的関心が極めて高いと考えております。 したがいまして、本部会で御審議していただいた後に、薬事分科会に上程し、更に分科会 において御審議賜りたいと考えております。  また、資料9の2ページに10.という枠囲みしたものがございます。「「社会的関心の 極めて高い医薬品」については、部会における審議終了後、分科会における審議に際して、 主要資料を公表し、一般からの意見を収集し、これを添えて分科会における審議の参考と する必要なものを決定する」と書かれているわけでございます。このものにつきまして、 この条項に沿って、審査報告書と資料の概要を公開した上で、一般からの意見の募集を行 いたいと事務局としては考えております。なお、このような措置、すなわち承認に当たっ て一般からの意見の募集をしたというのは、平成10年に経口避妊薬を承認する際にその ような手続を踏んだことがありますが、それに次いで恐らく2回目のことになるのだろう と考えます。そのようなことで我々としては考えておりますが、いかがでございましょう か。 ○池田部会長 いかがでしょうか。有効性、安全性にかかわる医薬品第二部会の審議結果 に関する一般からの意見募集についてということでございますが、何か御意見はございま すでしょうか。よろしいでしょうか。一般の方たちにも、この審議の経過等が資料ととも に公開されて、意見が求められるということになるわけでございます。繰り返しますが、 この薬は催奇形性の問題で社会的な関心が非常に強いということでございます。安全管理 の方策に関する検討会もできていますし、それから、引き続き医薬品等安全対策部会でも 議論される。その結論とともに、薬事分科会に上程して、審議することとし、あわせて一 般からの意見も募集するという格好で行いたいと思いますが、よろしいでしょうか。あり がとうございました。それでは、この部会としてはそのようにさせていただきたいと思い ます。この議題について御熱心な討論をどうもありがとうございました。  それでは、議題2に入りたいと思います。献血グロベニン-I-ニチヤクの製造販売承認 事項一部変更承認の可否等について、医薬品機構の方から概要の説明をお願いします。 ○機構 それでは議題2、資料2、医薬品献血グロベニン-I-ニチヤクの製造販売承認事 項一部変更承認の可否及び再審査期間の指定について、機構より御説明申し上げます。  天疱瘡は、表皮細胞間の接着に必要なデスモグレインにIgG自己抗体が結合してデス モグレインの機能が阻害されることにより、表皮細胞間接着に障害が生じ、表皮内に水疱 を生じる自己免疫性疾患です。厚生労働省特定疾患治療研究事業対象疾患に指定されてお り、本邦には、約3,000人〜4,000人の天疱瘡患者が存在すると推定されております。発 病年齢は45〜55歳に多く、性別では女性にやや多く存在しております。  天疱瘡の治療については、2005年に希少難治性皮膚疾患に関する調査研究班が改訂し た治療指針によると、ステロイド剤の全身投与が第一選択とされております。ただ、ステ ロイド剤のみでは治療効果が不十分な患者や、大量のステロイド剤に不耐容な患者も存在 し、治療に難渋する場合も多く認められております。  近年、海外において天疱瘡に対して免疫グロブリン製剤の大量静注療法により臨床症状 の改善やステロイド剤の減量効果が認められたことが報告されておりまして、また、英国 の治療ガイドラインや米国及びカナダのConsensus Statementにおいて、免疫グロブリン 製剤の大量静注療法が、既存の治療法に抵抗性の患者における補助療法又は維持療法とし て記載されております。これらの情報を踏まえ、申請者は、免疫グロブリン製剤である本 剤について、天疱瘡に対する開発を実施するに至りました。  本剤は、1991年7月に「無又は低ガンマグロブリン血症」等の効能・効果で承認され ております。また、2008年6月現在、国内外において本剤を含めて天疱瘡の適応が承認 された免疫グロブリン製剤はございません。  本品目の専門協議では、配付資料7に示してあるような専門委員が指名されておりま す。  臨床試験成績について説明させていただきます。臨床試験成績としては、国内第II/III 相臨床試験が、1試験が評価資料として提出されております。まず、有効性に関してです が、ステロイド剤を使用しても臨床症状が改善しない天疱瘡患者を対象とした第II/III相 臨床試験において、本剤200mg/kg/日、400mg/kg/日、及びプラセボを5日間連続投与、 その後80日間の観察期間が設定されております。主要評価項目は「治験薬投与後観察期 の80日間におけるプロトコール・オフまでの日数」とされました。プロトコール・オフ とは「ステロイド剤の増量、種類の変更又はほかの追加治療を実施せざるを得ないと評価 担当者が判断したとき」と定義されております。  本試験において、本剤400mg/kg/日群のプラセボ群に対する優越性は示されていますが、 プロトコール・オフに対する評価担当者の客観的評価基準がこの試験で設定されておりま せんで、この主要評価項目による評価に脆弱性があると判断せざるを得ないと考えまし た。ただ、天疱瘡が希少な疾患であることを考慮し、臨床症状の推移、ステロイド剤の減 量効果、また試験終了後の病態及びステロイド使用量の推移、並びに病型別の有効性につ いても検討を行ったところ、有効性を示唆する結果が得られております。したがって、総 合的に評価した結果、本剤の有効性は期待できると判断いたしました。  また、安全性に関してですが、提出された臨床試験成績からは、天疱瘡患者に対して特 に注意すべき安全性上の問題は現時点では認められないと考えました。ただし、第II/III 相臨床試験での本剤投与症例が極めて限られていることを考慮し、一定期間、本剤が投与 された天疱瘡患者全例を対象とする製造販売後調査を実施し、情報収集する必要があると 考え、承認条件を付すことといたしております。  以上、機構での審査の結果、本剤の天疱瘡への有効性は期待でき、安全性は忍容可能で あることから、効能・効果を「天疱瘡(ステロイド剤の効果不十分な場合)」とすることが 適当と判断し、医薬品第二部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  なお、本剤は新効能、新用量医薬品であることから、再審査期間は4年とすることが適 当であると判断しております。薬事分科会では報告を予定しております。御審議をどうぞ よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見を伺いたいと 思います。いかがでしょうか。 ○新井委員 添付文書などを見ると、副作用にアナフィラキシーショックがあると思いま すが、これはこういう免疫製剤の特徴なのか、どういう理由で起きているか、もし分かっ ていたら教えていただきたいと思います。それから、もしそういうことが起こる可能性が あるとしたら、皮下注射などである程度予見できるような試験が行われているかどうかを 教えていただきたいと思います。 ○機構 まず、アナフィラキシーショックですが、今回の試験においては認められており ません。今、先生がおっしゃいました、そのような予見を認められるかどうかの試験につ いては実施されておりませんが、今までの臨床試験や、使用経験等、いろいろな効能に対 して本剤は効能・効果を持っておりますので、その辺りの経験等から、投与速度がその発 生と関係があるだろうと考えられておりまして、添付文書の最後のページの右上のところ にも、体重ごとの投与速度が記載されております。 ○新井委員 症例が少ないからいいかということかもしれませんが、患者さんにとって、 もし起きたら、命は助かっても症状は大きいと思うのですが、見ながらということしかな いわけですね。分かりました。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 効能・効果のことで教えていただきたいのですが、これまで、いろいろな薬 剤の添付文書を見ていてもそういう表記があって、なかなか自分としても理解できないこ とがあったのですが、今回のこの薬剤について、天疱瘡という適応症で認めようとしてい る。しかし、現実には、臨床試験の中で出てきた天疱瘡の種類が尋常性のものと落葉状の ものということがあって、「効能・効果に関連する使用上の注意」の(4)に、腫瘍随伴性 天疱瘡等々三つの天疱瘡については有効性、安全性は確立されていないというコメントが 付く。これは、添付文書を見た人間にとってみれば、この三つの種類の天疱瘡については 適応症と認められていると判断していいという記載方法になるわけですか。要は、効能・ 効果の天疱瘡の中に含まれていて、適応の範囲の中だけれども、気を付けて使いなさいと 言っていると判断すべき記載の仕方なのでしょうか。それとも、効能・効果は天疱瘡だけ れども、これらは臨床試験のデータの中にないから駄目ですという意味に理解すべき記載 なのでしょうか。 ○審査第一部長 御指摘のように、本薬の試験成績ではここに書いてある薬剤誘発性天疱 瘡等についてのデータはございませんので、確固たる評価判断はできないというのが私ど もの考えです。ただ、天疱瘡全体として考えれば非常に類似した疾患状況でございますの で、効能・効果としてそれをあえて除くということまで書かなくていいだろうという判断 でございます。したがいまして、こういったデータはありませんということをお示しした 上で、患者さんの状態等を御考慮いただいて臨床現場でお使いいただきたいということで ございます。 ○清水委員 ありがとうございます。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。 ○溝口委員 完全型の献血グロベニンに類似したものが天疱瘡に有効だという文献はた くさんあるのですが、すべて数例の経験だけで、今回のようにプラセボ対照でやった結果 で有効だというのは、恐らく世界で初めての治験ではないかと思います。それで、承認し ていただくことは現場の人間としては非常に有り難いのですが、少し気になったのは、非 常に少ない疾患でございますのである程度の症例を集めるにはやむを得なかったのかと 思いますが、20mg/日を3〜7日使用して臨床症状の改善が認められなかった患者に対し てという縛りですと、ほとんどの症例が適応になってしまうように思います。これは、最 初の治験のときにこういう量で始めたのでこうなっているのでしょうか。もちろん、少な い量で効かなかったから使えるということになりますと、最初から糖尿病を合併している 患者さんとかステロイドを使えない患者さんにも使えますので、非常に有り難いのです が、このように少量で効かないという判断をした理由を伺いたいのですが。なかなかステ ロイドの効果が出にくい病気ですので、普通はもう少し様子を見るものでございます。 ○機構 今回、臨床試験において、副腎皮質ホルモン20mg/日以上を使用して3〜7日間 の観察期間で臨床症状の改善が認められなかった患者という形で試験が実施されてござ います。天疱瘡の治療指針がございまして、その中にも20mg/日以上を使用している患者 は中等症以上に該当するというところと、ステロイドの効果は1週間程度で現れてくると いうような先生方の御意見を総合して、臨床試験が実施されております。そのため、「効 能・効果に関連する使用上の注意」において臨床試験で用いられた基準を記載し注意喚起 しております。 ○溝口委員 分かりました。少ない方が使いやすいので、特に構いません。この専門委員 の中に、天疱瘡の世界的な権威である、□□□□皮膚科の□□先生が入っていないのは、 何か理由があるのですか。また違った意見が出てきたのではないかと思って、変な質問で 申し訳ありません。答えられなかったら結構です。 ○機構 □□先生に関しては、治験の関与をされておりますので、専門委員として依頼し ておりません。 ○溝口委員 分かりました。□□先生が関与して行った治験であるならば、特に異議は申 しません。失礼いたしました。 ○池田部会長 そのほかにはよろしいでしょうか。一つ伺いたいのですが、一般的に大量 免疫グロブリン療法というのはITPで始まって、400mg/kgがスタンダードになってい るのですが、それよりも少なくて効果があれば、それよりも少なくてもいいと思うのです。 これは200mg/kg、400mg/kgと両方やっていますね。統計学的に見ると、200mg/kgも有効 のように見えるのですが、200mg/kgではいけないのですか。 ○審査第一部長 そこは審査の過程で非常に議論になりました。ただ、総合的に判断して、 若干400mg/kgの方が良さそうだということでございまして、安全性についてはそれほど 変わりはございませんでしたので、400mg/kgを通常の用量として選択したということで ございます。 ○池田部会長 ありがとうございました。 ○庵原委員 ささいな問題ですが、25ページに、アメリカでは4週ごとに追加投与をし ているというプロトコールが書かれていまして、一方、本剤は1か月間の間隔を空けて投 与するということが、26ページに出てきています。この違いは、臨床現場では非常に混 乱を招くと思うのですが、この辺の統一をお願いできればと思います。要するに、週単位 でやるならば週単位、月単位ならば月単位と。できましたらインターナショナルに合う形 で言葉を統一していただけると、臨床の現場は助かると思います。御意見をお願いします。 ○機構 本剤については血液製剤でございますので、未知のウイルスなどの感染の危険性 については、添付文書の最初に注意喚起されています。本剤については、今回、臨床試験 において1か月以上経ってからも有効であった患者が認められたということから、1か月 以上様子を見て使うよう注意喚起をしてございます。記載について、1か月ではなくて4 週間と、週単位の記載に変更することについては、また検討させていただきたいと思いま す。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいですか。 ○竹内委員 確認をしたいのですが、専門的になってしまうのですけれども、中間解析を していて、O'Brien-Flemingを使っていて、これはどこのp値で切ったのですか。先ほど の池田先生の御質問と同じで、200mg/kgと400mg/kgでは余り変わっていないなと、これ を見ていても思いました。8ページと9ページでp値が一けた違っているので、疑問に思 ったのですが。 ○機構 O'Brien-Flemingの有意水準に関しては0.0114で切って、有効性に関しては判 断をしております。 ○竹内委員 高くないですか。普通はもっと低いのです。9ページに書いてある0.001で すと納得したのですが、こちらの有効基準が0.01ですと、通常のO'Brien-Flemingでは 高いp値で切って早く止めてしまったなという気がしました。それはプロトコールに書い てあるのですか。 ○機構 プロトコールに関してはそのような形で、有意水準0.0114で切るという形で記 載されてございました。それで試験が行われております。 ○池田部会長 そのほかにいかがでしょうか。 ○新井委員 プラセボというのは、具体的には何も蛋白は入っていないわけですか。 ○機構 本剤の溶媒が投与されてございます。 ○新井委員 特にアルブミンとか蛋白は。 ○機構 入ってございません。 ○池田部会長 よろしいですか。この期間、免疫グロブリンの量を測ってしまえば、プラ セボ効果はなくなってしまうのですよね。測っていないということを前提にしないと。 ○機構 そちらに関してですが、評価担当者に対して、いずれの治験薬が投与されたか推 測できる臨床検査項目のIgGと総蛋白については秘密事項として、検査項目は開封時ま では秘密という形で、試験がプロトコール上で設定されてございます。 ○池田部会長 分かりました。プラセボとしては有効ということですね。ありがとうござ いました。そのほかに何かございますか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りた いと思います。本議題について、承認を可としてよろしいでしょうか。ありがとうござい ました。御異議がないようですので、承認を可として、薬事分科会に報告とさせていただ きたいと思います。ありがとうございました。  それでは、議題3に入りたいと思います。早川先生、よろしくお願いいたします。 ○早川委員 それでは、議題3に入りたいと思います。GSK1557484A(AS03アジュ バント添加(プレ)パンデミック(H5N1)インフルエンザウイルスワクチン)を希少疾病 用医薬品として指定することの可否について、ということでございます。なお、竹内委員 におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機いただくことにいたします。 ── 竹内委員退室 ── ○早川委員 議題3につきまして、事務局から概要の御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは、グラクソ・スミスクライン株式会社より申請のありましたGSK 1557484Aを希少疾病用医薬品として指定することの可否に関しまして、資料3に基づい て御説明いたします。資料3の一番上にあります「事前評価報告書」のタブをお開きくだ さい。医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめておりますので、対象患者数、医 療上の必要性、開発の可能性の三点について御説明申し上げます。  品目の名称は「GSK1557484A(AS03アジュバント添加(プレ)パンデミック(H5N 1)インフルエンザウイルスワクチン)」、予定される効能・効果は「新型インフルエンザ (H5N1)の予防」でございます。  まず、対象患者数でございますが、本申請のような感染性の疾病の予防に用いる医薬品 の場合には、薬事法施行規則に基づきまして、希少疾病用医薬品指定の申請時において、 当該医薬品について承認が与えられるとした場合に見込まれる人数について検討するこ とといたしております。本申請の対象疾患であります新型インフルエンザにつきまして は、これまで我が国において、症状を伴うH5N1型インフルエンザの感染例は報告され ておらず、98名の抗体陽性例が報告されているところでございます。このことから、希 少疾病用医薬品の指定要件であります国内対象患者数50,000人以下を満たすものと判断 しております。  次に、医療上の必要性でございますが、対象疾患でありますH5N1型のインフルエン ザは、全身感染、出血、多臓器不全、サイトカインストーム等を引き起こし、致死率が 60%以上の、非常に重篤な疾病を引き起こすことから、生命に重大な影響がある疾患と判 断しております。本剤につきましては、□□年、□□□□□□で発生いたしましたH5N 1型インフルエンザ患者から分離された□□□□□□□□□□□(□□□□)をリバース ジェネティクス法で弱毒化した株を用いて鶏卵で培養し製造しました不活化スプリット HAワクチンであり、加えて新規アジュバント(AS03)を含んでいるものでございます。 本剤は現在、海外において開発中でありまして、□□年に□□□歳の被験者(本剤接種者 は□人)を対象とした第I/II相試験が実施され、その結果、HA量として□□□□□を□ 回接種後のHI抗体価は、抗体陽転率、保有率ともに約□%、接種前に比べました幾何平 均抗体価(GMT)の増加倍率は約□倍であり、これはEMEAが定めた新型インフルエン ザワクチンに求められる免疫原性評価基準を満たすことが判明しております。さらに、本 剤□回接種後では、ワクチン製造株とは抗原性の異なります□□□□□□□□□□(□□ □)に対するHI抗体価で見た抗体陽転率は□%、保有率は□%、接種前後でのGMTの 増加倍率は約□倍であり、本剤による交叉反応性を持つHI抗体の誘導が確認されまし た。このことから、本剤はワクチン製造株とは抗原性の異なるH5ウイルス感染に対して も交叉感染防御効果を期待し得るワクチンである可能性が考えられます。一方、本剤の安 全性でございますが、AS03添加によりまして□□□□□□□□□□の発現率が□□□ □□□□約□倍、□□、□□□□□□□□□□□□□□□では約□倍□□□□などの現象 が観察されましたが、いずれも軽症であり、本剤に関連した重篤な有害事象は認められま せんでした。以上のことから、本剤につきましては医療上の必要性があるものと判断して おります。  最後に、本剤の開発の可能性でございますが、本剤は、海外臨床試験において本剤の安 全性及び免疫原性、さらに他のClade株に対する交叉免疫応答が確認されております。一 方、本剤の国内臨床開発につきましては、□□□□□□□□□□株由来ワクチンを用い、 近々、検証的試験として国内第II相臨床試験が開始される予定であることから、対象疾病 に対する本剤の開発の可能性はあると考えております。  以上、対象患者数、医療上の必要性、開発の可能性の三点を考えますと、本剤について は希少疾病用医薬品としての要件を満たすと判断しております。  なお、本議題につきまして、事前に□□委員より四点、御質問を承っておりまして、そ れらの回答につきまして、本日、資料3-2としてお配りしておりますので、御説明申し上 げます。資料3-2を御覧ください。  御質問の一点目、「成人での□□□が□□%ですが(62ページ)、AS03添加によりな ぜ□□□などの□□□□□□□□□が□□□のですか。また、ワクチン及びAS03に含 まれるエンドトキシン量は日本の基準に合っていますか。」との御質問に対しまして、企 業からの回答でございます。AS03添加により□□□□□□□□□が□□□機序につい ては、現時点では科学的な根拠に基づいた説明は困難である。抗原及びAS03アジュバ ントのエンドトキシンの規格でございますが、それぞれ□□□□□及び□□□□□□で管 理をしており、接種時に抗原バイアルとこのアジュバントバイアルを全量混合し接種する ことから計算しますと、1回接種量当たりのエンドトキシン量が、抗原は□□□及びAS 03が□□□□でありまして、合計が□□□□であるということであります。この値につ きまして、申請者の考察でございますが、日本薬局方の参考情報にありますエンドトキシ ン規格値の設定に示されるエンドトキシンの最小発熱量は、体重1kg当たり 5.0EUとされていることから、体重60kgの成人の場合には300EUが最小発熱量であり、 また、本剤は筋肉内投与であることから、基準はJPにおいて設けられておりませんが、 静脈内投与の基準値を満たすものであり、本ワクチンに含まれるエンドトキシン量は、日 本の基準に合っているという回答でございました。  質問の二点目でございますが、「ワクチンに含まれるオボアルブミン濃度が分かってい れば示してください。卵アレルギーを有する人への接種基準は季節性インフルエンザワク チンと同じですか。」との御質問でございます。これに対しまして、本ワクチンに含まれ るオボアルブミン濃度は□□□□未満でございまして、この季節性インフルエンザワクチ ンに関する卵アレルギーを有する人への接種基準に関しては、本邦のインフルエンザHA ワクチン添付文書におきましては「接種要注意者(接種の判断を行うに際し、注意を要す る者)」となっておりますが、本剤の治験においては被験者の安全確保等を考慮し、治験 組入れ対象外としているとのことでございます。  質問の三点目でございます。「抗体測定方法(15ページ)の説明文で、HI抗体測定の 説明文の最後の行に、「すべての測定は2回ずつ行う」とありますが、この「2回」は 「duplicate」の訳ですか。もしそれならば、「1サンプル2列で測定する」になります。 同じくマイクロ中和法による抗体測定ですが、3行目の「各血清の測定は3回ずつ実施す る」も「triplicate」の訳ならば、「3列で測定する」になります。最後の行の「□□□ □□□□」は、「□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□□」の意味ですか。なお、□□□□が□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□□□□□で血清抗体価を示しているのに対し、□□□□□が□□□□□□□□□□ と、基準が異なる理由を教えてください」。この御質問に対しまして、まず、測定回数に つきましては、御指摘のとおり「duplicate」、「triplicate」の訳でありまして、それ ぞれ「1サンプル2列で測定する」、あるいは「1サンプル3列で測定する」という意味 のものを各々「2回」、「3回」と表記したということでございます。また、「□□□□ □□□」に関しましては、□□□□□□□□□□□(□□□□)□□□□□□□□□□□(□ □)を意味しておりまして、このように□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ を用いることは一般的と考えているとのことでございます。したがいまして、この□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□として扱っているとのことでございます。一方、□ □□□測定においては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□とすることが 一般的と考えているとのことでございます。  最後、四点目の御質問でございますが、「□□□□□□株接種後の交叉免疫性を調べた □□□□株は、□□□□□□□□□□□□□□□□株由来ワクチン株に対してですか。そ れとも□□□□□□□□□□株野生株に対してですか」との御質問に対しまして、この試 験において交叉免疫性を確認したベトナム株は、□□□□□□□□□□□□□□□□□□ □□株由来ワクチン株とのことでございます。  以上でございます。御審議のほど、よろしくお願いします。 ○早川委員 ありがとうございました。まず、御質問をいただいた庵原先生から、それぞ れ回答がなされているのですが、いかがでしょうか。 ○庵原委員 AS03添加によりなぜ□が□□なるのかが分からないと、そう答えられた ら仕方がないと思います。日本の開発したワクチンは成人では□□□□□ですので、それ に対してとても□□です。その理由が知りたかったというのが一点です。  それと、三番目の抗体価の基準のところですが、□%で切るか、□%で切るかというの は、それぞれウイルスとか測定方法によって全部違いますので、これはこの方法でいいと 思いますが、日本ではインフルエンザのHI抗体は原則として□%抑制で切っていますの で、数字を読むときに少し注意をしないといけないのかなという印象を受けました。あり がとうございます。 ○早川委員 それでは、ほかの先生方で御意見、御質問等がございましたらお願いします。 ○山口委員 今、申請に出ているものは、今年の3月号のVaccineにフルペーパーとして 出ております。詳細をじっくり読んでみましたが、庵原委員が御指摘のように、アジュバ ントを入れた方が、例えば発熱は、シーズナルの同じような製法で作って、アジュバント 無しのものが2.1%、アジュバントを入れたものが8.1%で、4倍近く発熱の頻度が高い。 それ以外の局所反応、全身反応についても、アジュバントを入れた方がかなり高い。しか し、重篤な副作用については、0.3%、シーズナルの方が0.5%ということで、むしろ低 かったということで、このアジュバントについては大きな問題はないだろうという結論の 論文なのですが、果たしてそういうことでこのアジュバントについての安全性は担保でき ていると考えてよろしいのかどうか。 ○事務局 今回の御議論は、希少疾病用医薬品として指定して差し支えないかという議論 ですので、ここは今後、申請に当たりまして審査をしてまいりたいと考えております。 ○早川委員 そういうことでございますが。 ○山口委員 そういう意味で、アジュバントを加えた新しいワクチンが申請されたという ことで、これを十分審査することについては異議はございません。 ○早川委員 審査の過程で十分検討がなされると理解しております。ほかにいかがでござ いましょうか。よろしゅうございますか。それでは、議決に入りたいと思います。なお、 池田委員におかれましては、利益相反に関する申出に基づきまして、議決への参加を御遠 慮いただくことといたします。本議題について、指定を可としてよろしゅうございますで しょうか。ありがとうございます。御異議がないようでございますので、指定を可として、 薬事分科会に報告とさせていただきます。なお、中身につきましては、これからの審査の 過程で十分な検討を行うということと理解しております。どうもありがとうございまし た。 ── 竹内委員入室 ── ○池田部会長 早川委員、どうもありがとうございました。それでは、報告事項に入りた いと思います。報告事項について、御説明をお願いします。 ○機構 それでは、報告事項について御説明いたします。議題1「医療用医薬品の再審査 結果について」まとめて報告いたします。資料4-1〜4-3となっております。資料4-1は、 一般的名称は「酒石酸ビノレルビン」、販売名は「ナベルビン注10 他」の医薬品再審査 確認等結果通知書です。資料4-2は、一般的名称は「塩酸ゲムシタビン」、販売名は「ジ ェムザール注射用200mg 他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料4-3は、一般 的名称は「ビカルタミド」、販売名は「カソデックス錠80mg」の医薬品再審査確認等結 果通知書です。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法、用量等 の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上になり ます。 ○池田部会長 ありがとうございました。3品目の再審査結果について御報告いただきま したが、委員の先生方から何か御質問はございますでしょうか、特にございませんか。い ずれもカテゴリー1ということでございます。よろしいでしょうか。ありがとうございま した。それでは、この報告事項については御確認いただいたということにさせていただき たいと思います。  その他でございますが、バンコマイシンについて、まず事務局から説明をお願いしたい と思います。 ○事務局 事務局の方から資料5に基づきまして御説明させていただきます。塩酸バンコ マイシン錠というものでございますが、1.申請の経緯でございます。塩酸バンコマイシ ンにつきましては、現在、経口用としては、散剤がございますが、これは注射剤と同じバ イアルに入っているということで、使用に当たっては、溶解して服用しているのが現状で ございます。したがいまして、使用に手間がかかる等の御意見もありまして、新たに錠剤 の開発を行ったものが申請されてまいりました。  2.でございますが、御存じのとおり、適応菌種につきましてはMRSAが対象となり ますので、耐性菌の問題が審査を進めるに当たって懸念が生じてまいりましたので、今回、 日本移植学会、化学療法学会、感染症学会、血液学会、細菌学会の5学会に対しまして、 申請者において取りまとめた意見の文書、2ページの別紙1を付した上で、御意見を伺っ たところでございます。内容につきましては、3ページの別添のところで、錠剤の医療上 の必要性、5ページの、耐性菌の懸念についてどのように考えるのかということで、「お 知らせ文書」を添付する、インタビューフォーム、パンフレット、リーフレットで理解を 深めていく等の記載があります。  こちらを付した上で学会の方に送付いたしまして、日本化学療法学会と感染症学会の2 学会から御意見がございました。7ページでございます。化学療法学会につきましては、 耐性菌のサーベイランス、適正使用の市販後調査が可能な機関又は製薬会社によるもので あれば認めるという意見でございます。  8ページでございますが、感染症学会の方からは、まず[1]といたしまして、服用がしや すいということは、安易に処方がされて乱用につながらないのか、[2]といたしまして、錠 剤と従来の細粒剤と腸管内での薬物動態(溶解性による腸管内濃度の差異)が同じなのか という問題があり、溶解性が悪い場合にはバンコマイシン耐性菌の誘導の心配がある、と いう御意見がございまして、この点がクリアーされる必要があるという御意見をいただい ております。  これらの質問につきまして、申請者の方から回答が来ております。化学療法学会の御指 摘につきましては、9ページでございますが、適正使用の啓蒙に努めていくということで ございます。  感染症学会の御指摘につきましては、10ページでございます。最初の耐性菌の問題に つきましては、[1]の1.といたしまして、「お知らせ文書」を添付する、2.といたしまし て、インタビューフォーム、パンフレット、リーフレットで啓蒙を図る、3.といたしま して、医療機関を登録した上で、適正使用の継続啓蒙を行う。[2]の溶解性につきましては、 先発製剤と同様の溶出試験において、同様の溶解性のものを開発したという返事が来てお ります。  以上の状態につきまして、本部会の先生方にバンコマイシン錠の開発に当たっての御意 見を伺えればと思いまして、上げさせていただいております。よろしくお願いいたします。 ○池田部会長 ありがとうございました。この件に関しましては、本日、参考人として、 日本感染症学会理事長の砂川先生においでいただいています。先生から補足説明はござい ますでしょうか。 ○砂川参考人 補足というより、バンコマイシンというのは、海外が陽性球菌の薬をMR SAに絞って承認したということで、耐性菌発現防止には非常に意味があったと理解して います。ですから、これが安易に使われたり、腸管内の動態が違って耐性菌が増えてくる ということになると、臨床の現場でバンコマイシン、テイコプラニンが使いにくくなって くるという心配があるので、どちらかと言うと、耐性菌ということに関して心配をしてい るというところで、この意見を出させていただきました。 ○池田部会長 ありがとうございました。それでは、委員の先生方から御質問をいただき たいと思います。 ○審査管理課長 参考人にお聞きしたいのですが、資料の10ページから、感染症学会の 御意見に対し、申請者のマイランから回答が来ているわけでございますが、特に安易な処 方、安易な使用ということになると、企業がコントロールできることかなという話もあり ますし、学会とか医療関係者の方々の御努力をまたお願いしないといけないだろうと思う わけでございます。それを今の時点でどのように考えればいいのか、その辺りも含めて御 意見を賜われれば有り難いと思います。 ○砂川参考人 安易な使用ということに関しましては、既に厚生労働省から感染症学会、 化学療法学会にマイラン製薬の手引を作れということで作って、それを一般に広めていま す。それから、学会としては、感染対策に関連している先生方には事あるごとにいろいろ と適正使用、いわゆる届出制や許可制をする。それも、きちんと薬剤部で把握してほしい という教育はしております。これからも御依頼があれば御協力はいたします。 ○池田部会長 そのほかにいかがですか。 ○三瀬委員 砂川先生にお聞きしたいのですが、砂川先生が理事長をしておられる感染症 学会が回答した二番目の溶解性の問題について、企業の方が回答をしておられます。先生 も読まれたと思いますが、企業の回答をどうお考えになるか、お聞きしたいと思っており ます。 ○砂川参考人 先生方にお聞きしたかったのですが、実際、試験管内の溶解などでは、体 内に入ったときに錠剤と細粒剤の動きが同じなのかどうか、なかなか分かりにくいのでは ないか。もし錠剤の溶け方が体内でゆっくりであるならば、低濃度がある程度の時間持続 するということで、耐性菌を誘導するのではないかという心配がありました。この回答を 読んだところでは、マウスで動物実験をやっているということでしたが、マウスに錠剤を 飲ませられるのかなと、少し疑問にも思いました。  それから、実際、難しいのは、吸収されない薬剤というだけあって、人間に投与した場 合に血中濃度から推測することができない。腸管内でどう溶けているのかということも分 からないとなると、やはりある程度動物を使われて、同じような動きをするから、耐性菌 の誘導は錠剤でも心配ないということになれば、安心かなという印象を受けました。 ○池田部会長 ということは、マウスの実験はある程度満足できるものだということでし ょうか。 ○砂川参考人 私もよく分からないのは、マウスに錠剤を飲ませるというのは、多分つぶ して飲ませているのではないかと思いますので、つぶしてしまうということはどうなの か。もし、いい方法をこの席でお教えいただければ、納得できればいいと思います。 ○池田部会長 その点も踏まえて、委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。具体 的には、例えば今、先生が御懸念のように、実際に錠剤を飲ませてみて、例えばヒトでや るとなると、どのような試験が考えられるかということでしょうか。 ○砂川参考人 ヒトは難しいと思いますので、やはり動物しかない。それで、難しいのは、 動物とヒトは同じですかと言われると、また非常に難しい問題はあると思うのですが、何 もしないでいいというのは、少し問題かなという印象を受けました。この感染症学会の意 見は、理事の先生方には全部資料をお送りし、御意見を伺ってまとめたものでございます。 ○審査管理課長 動物の問題は動物の問題でまた考えなければならないと思いますが、一 応、試験的にやられている溶出試験を見てみますと、上から10行目くらいに、「pH1.2、 pH4.0、pH6.8、水及び100回転(pH6.8)」ということで、□□□□□□□□溶ける ということは、非常に良く溶ける錠剤というふうに一般的には考えられるところでござい ます。そういう意味で申し上げますと、溶け方についてはそれほどの問題はないのかなと いうふうに常識的には考えられるのだろうと思います。この辺りについて、専門の先生の 御意見、製剤学の専門の先生の御意見も聞きたいと思います。  私が心配しておりますのは、一番目の安易に処方がされるのではないかという話になり ますと、錠剤を認めることの妥当性みたいな話にまさしく戻ってくるわけでございまし て、その点について、果たしてどうなのか。本当にこれが安易に処方されて耐性菌の発現 につながると考えるべきなのか。一方においては、散剤であっても安易に処方されれば同 じ問題ではないのか。散剤と錠剤という違いの下で、承認する、しないというような強制 的な権限を発揮できるのか、また発揮すべきなのか。その点についての御意見を伺えると 非常に有り難いと思います。 ○砂川参考人 実際、患者さんのことを考えれば、服用しやすい方がいいに決まっている ということで、本当に使わなければならない人にとっては、むしろ錠剤の方が有り難いと 思います。ただ、それが出ると非常に使いやすく、今まで粉で非常に使いにくかったので、 面倒だからやめておこうというのが、錠剤だからちょっとやってみるかというような、安 易な使われ方があるのかなということなので、もしこれを認めることになるのであれば、 各大学病院などでやられている届出制、許可制にして、許可を得た上で処方するというこ とをきちんとしなければいけない。ただ、今、どこの病院でも、許可制、届出制と言って も、事後に判子を押している事例が多いということで、必ずしもコントロールされている とは思いません。その辺をきちんとコントロールできるということであるならば、うまく いけるというふうに思います。 ○池田部会長 いかがでしょうか。委員の先生方から御意見はございますか。 ○三瀬委員 事務局から事前に意見を聞かれたのですが、私は、きちんと、安易に使用さ れないような形であればいいのではないかというお答えをしました。結局どのような薬で も、大量に使うようになると耐性菌が出てくるというのは仕方がないということが一つあ りますが、それをいかにして遅らせるかということが非常に重要であると思っています。 そういう点に絡めて、感染症学会の砂川先生に二番目の意見についても念のためにお聞き しました。  これは、患者さんのためにも、飲みやすいし、いいのではないかと思います。それから、 もちろん、バンコマイシンやテイコプラニンが非常にいい薬であることはよく知っていま すが、これから徐々にグラム陽性菌に対しても、リネゾリド(ザイボックス)など、いろい ろなものが作られてくるような期待もあります。そういう点では、少し前向きに私は考え ています。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 今、参考人の砂川先生がおっしゃられたように、先生の目から見ると、今の ところ十分に機能しているとは言い難いかもしれませんが、届出制、許可制というものを きちんと導入していくというのは、この薬剤の場合には必要かもしれないとは感じます。  私の施設で恐縮ですが、先達て評価機構のバージョン5の機能評価を受けましたとき も、サーベイヤーの先生はそこのところも非常に注意深く評価をされているようで、場合 によっては機能評価を受けている施設という基準も一つは考えられるのかなと思います。 今のは思い付きですみませんが、届出制というのは、今、多くの施設で導入しているとこ ろであると思いますので、そこのところをうまく取り込んで、安易な処方につながらない 施策を導入するというふうな方向かなと。  それで、そのようなことはあり得ないと思うのですが、通常の抗生物質製剤では、注射 で導入しておいて、患者さんの症状、あるいは退院をするということにおいて、注射薬の 抗生剤の投与から内服に切り替えるということが行われることも多々あろうかと思うの ですが、この薬剤については対象が全く違ってくるので、注射を使っていたからその後内 服というようなことが起こってしまわないような情報提供もきちんとしていかなければ いけないのかなと感じます。 ○池田部会長 ありがとうございました。そのほかにいかがですか。一般に、ジェネリッ クで剤型を変更したりする場合のルールというか、どのような審査過程で剤型変更を認め るかというような、その辺のルールというのは。今までも何回かあるわけですよね。 ○審査管理課長 通常の場合ですと、生物学的同等性を確保されるというのが、剤型の変 更を認める際の最大の関門になると思います。特に、血中に吸収されて薬効を現すものに つきましては、血中動態を比較するということになると思います。ただ、この場合、確か に医療現場における使用というのが耐性菌にかかわるものだろうとは思うのですが、仮に 錠剤を認めるとすれば、それとの関係でどの程度対応をとるべきかという点について、事 務局においてもなかなか考えが足りないところもあって、砂川先生にも今日御参加いただ きましたし、部会の先生方の御意見をお聞かせいただいたところでございます。一つには、 マウスの動物試験の問題も御指摘されましたし、また、仮に認めるのであれば、院内にお いて届出などをきちんとして使われるというようなことを条件にすべきだという御意見 と解釈いたしましたので、その辺りを念頭に置いて対処させていただきたいと思います。 本日はありがとうございました。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。バンコマイシンということで、この場に議題として 出していただいたということで、砂川先生にもお忙しいところをおいでいただいたのです が、最後に何かコメントはございますか。 ○砂川参考人 特にありません。 ○池田部会長 よろしいでしょうか。砂川参考人にはお忙しいところをありがとうござい ました。 ── 砂川参考人退席 ── ○池田部会長 それでは、このバンコマイシンの件については、先生方の御意見も伺った ということで、事務局の方でまたお考えいただきたいと思います。ありがとうございまし た。  本日の議題は以上でございますが、事務局から何か報告はございますか。 ○事務局 次回の部会でございますが、既に御案内のように、10月31日(金)午後2時か ら開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○池田部会長 10月31日には、今回のサリドマイドについてのその後のことも御報告し ていただけるということでいいですね。 ○審査管理課長 はい。 ○池田部会長 そのときの部会には、検討会や医薬品等安全対策部会、あるいは薬事分科 会の結果も御報告いただけるということでございますので、よろしくお願いしたいと思い ます。  それでは、これで本日の部会を終了させていただきたいと思います。先生方、どうもあ りがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)