08/08/22 第19回独立行政法人評価委員会年金部会議事録 独立行政法人評価委員会年金部会(第19回) 開催日時:平成20年8月22日(金)13:30〜 開催場所:厚生労働省共用第7会議室 出 席 者:山口部会長、川北部会長代理、安達委員、大野委員、竹原委員、      樋口委員、光多委員 ○山口部会長  それでは、委員の方皆様おそろいでございますので、ただ今から第19回独立行 政法人評価委員会年金部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして、ありがと うございます。  それでは、初めに事務局から、本日の議事につきまして簡単にご説明をお願い いたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事につきましては、お手元の議事次第にありますように、財務諸表に 関する意見及び総合評価を中心に、各法人ごとに分けて審議を進めていただきた いと思います。これに伴い本日の部会の途中で事務局の入れ替えを行いますが、 ご容赦くださいますよう、お願いします。  まず、全法人共通ですが、財務諸表に関する意見についてご審議いただきます。 各法人の財務諸表に関する意見については、各法人共通の流れとなりますが、担 当委員である樋口委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえご 審議いただきます。  次に、平成19年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき、起 草委員において起草いただいた総合評価の案及び評価シートの評定理由等につい てご審議いただきます。また、これまで皆様にご記入いただきました評価シート の原本につきましては、ご参照いただけるように、お手元に置かせていただいて おります。A3判の封筒に入っているものがそれでございます。後ほど、本日の 審議等を踏まえて評価シートを確認いただく時間を設けさせていただきますので、 よろしくお願いします。  本日の議事につきましては以上でございますが、お手元の参考資料1をご覧い ただきたいと思います。これは総務省の行政管理局から各府省の独立行政法人評 価委員会の委員長宛てに出された事務連絡でございます。この取扱につきまして は、こちらは総務省が全法人の状況をまとめたものとして、参考までに送ってき たものと認識しております。これについては、当部会においても前回までにご審 議いただいた中で、法人なり所管課から特にラスパイレス指数についてご説明を させていただいているところです。  特にご留意いただきたいのが、3枚めくっていただいて、「資料1 職員の給 与水準」というものが7ページ目にあります。右のほうにある欄を見ていただき たいと思いますが、対国家公務員指数(年齢勘案)として、18年度と平成19年度 を比較した数値、それから、対国家公務員指数(年齢・地域・学歴勘案)として、 平成18年度と平成19年度を比較した数値を整理したものとなっております。総務 省において、全独立行政法人について一斉に整理をしたというものでございます。  以上でございます。 ○山口部会長  それでは、年金積立金管理運用独立行政法人につきまして始めます。  まず、総合評価、それから財務諸表に関する意見につきましては、起草委員の 皆様方にお忙しい中ご尽力いただき、誠にありがとうございました。  最初に「財務諸表に関する意見について」、審議に入ります。財務諸表につき ましては、独立行政法人通則法第38条に基づき、独立行政法人評価委員会の意見 を聞いた上で、厚生労働大臣が承認することとされております。  それでは、財務諸表につきまして、担当の委員であります樋口委員からご説明 をお願いいたします。 ○樋口委員  この前の会議の終わった後、1時間ほどいろいろとご説明いただきました。そ の結果をご報告申し上げますと、会計監査人及び監事監査の結果、既に適正です か、適法ですか、という意見をいただいておりますので、それはそのまま受けま して、私が行いましたことは、財務諸表の前年との比較とか、それから、いろい ろ概要を書かれております内容と数字との整合性とか、そういったことについて、 疑問点を1時間ほど伺って、検討いたしました。  その結果、私といたしましては、その会計監査人及び監事の適正意見は、適当 であったと言いましょうか、妥当であったと言いましょうか、そのまま受け入れ て差し支えないものと判断いたしました。  ただ、数字に直接関係することとか、会計規則に従ってないとか、そういう問 題ではなくて、私なりに感じた点が2つほどありましたので、付け加えさせてい ただきたいと思っております。1点は土地・建物に関する問題、それから、もう 1点は積立金の国庫納付に関する問題なんです。  まず、土地・建物のところは説明の中に、来年度において売却するかどうする かを検討するという中期計画に入っていたと思うのですが、それは来年度におい て検討するということで差し支えないと思いますが、その際にぜひ留意していた だきたいなと思いますのは、土地が6億何がしになっているんです。それは何か、 内訳を伺いましたところ、行徳にある寮というのか、社宅と言いましょうか、そ れと日野にあるのだそうです、2カ所。で、行徳にあるのは土地が約480坪、日 野にあるのが100坪ぐらい。  何でこんなに土地が高いのかなと思いましたら、独立行政法人をつくるときに、 時価評価して移行しているから、多分社会保険庁だか、どこかが持っていたとい うところから考えると、そこでいったん評価替えされているから高いんだと思い ますが、年金の重要な資産ということを考えますと、話がちょっと戻りますが、 7割ぐらいの稼働率だということ、充足率というんですか、使用率なんだそうで すが。その6億に、もちろん上物の値段がありますが、土地だけで考えても、そ れを寮として利用することの経済的効果と、それから、福利厚生のためであれば、 賃借りするというのか、そういう方法と両方、経済的なことを考えてできるだけ 早くにきちっと結論を出して欲しいなと思いました。それは当然経済的なことを まず第一番に考えて。経済的というのは福利厚生以上に重要なことではないかな と思いました。  それから、国庫納付金なんですけれども、どうやってこの国庫納付する金額っ て決まるのかなと思いまして、お尋ねしましたところ、何か一定のルールがある という話なんです。財政再計算を5年で見直すので、それに見習って5分の1と いう。それは理屈があるんだと思うんですが。私は、年金原資っていうのは1円 でも多く運用して、1円でも多く利を生むということが重要なことなんじゃない かと、特に独立行政法人に課された業務なんじゃないかなと思いますので。  キャッシュフローの点を考えれば、実際に支払うというか、支給する年金って いうのは、当然、年間計画で大体の把握をしているはずですから、それに見合う 金額を国庫納付すると。足りない分を国庫納付という、いわゆる手元に置くお金 というのは漠然としたお金じゃなくて、漠然としていると申し上げているんじゃ ないんですけども、1円でも多く計画的に留保して運用するっていうことをまず 第一に考えて、国庫納付の金額をただ5年で見直すから5分の1だというところ を、ちょっと検討し直したほうがいいんじゃないかなと思いましたので、その辺 はもしかして検討する余地があったら、聞いていただければなと思いました。  以上です。 ○山口部会長  ありがとうございました。  ただ今ご報告いただきました年金積立金管理運用独立行政法人の財務諸表につ いて、ご意見がございましたら、お願いいたします。  今の樋口委員のこれは参考意見ということですよね。 ○樋口委員  そうですね。 ○山口部会長  財務諸表そのものについては、一応妥当であるというご判断を示された上での 参考意見ということだと思いますが。キャッシュマネジメントについてお話され たということなんで、これについては何か法人のほうからご意見等ございますか しから。 ○大臣官房参事官(資金運用担当)  大臣官房参事官、資金運用担当でございます。財務省との間で予算をセットし て決めていくときのやりとりの中で、先ほど5で除すと。中期的に安定的に納付 することを目的として、一応5年ということで、財務省とはやりとりしてます。 そういう意味では予算上の財務省とのセットの中での話なので、いただいたご意 見を参考にさせていただきながら。これも法人の問題ではなく私どもの問題とし て受け止めさせていただきたいと思います。 ○樋口委員  ありがとうございます。 ○山口部会長  それでは、特にご意見もほかにないようでございますので、平成19年度の財務 諸表についての意見書としては、お手元の資料1−1にございますように、承認 申請のとおり承認することが適当であるということで書いてございますが、そう いう形で取りまとめて、厚生労働大臣に提出いたしたいと思いますが、そのよう な取扱でよろしゅうございますでしょうか。 (各委員了解) ○山口部会長  ありがとうございます。  では、そのようにさせていただきます。  続きまして、年金積立金管理運用独立行政法人の年金積立金運用報告書につい て、年金局よりご説明をいただきまして、これに対する質疑を行いたいと思いま す。  それでは、ご説明、よろしくお願いいたします。 ○大臣官房参事官(資金運用担当)  それでは、資金運用担当参事官でございます。お手元の資料で資料番号が1− 2、「平成19年度年金積立金運用報告書」、これに基づきまして、ご説明をいた します。  目次の次のページ、1ページ目、「はじめに」というところをご覧ください。 この報告書の性格でございます。年金積立金管理運用独立行政法人法に基づきま して、毎年度、年金積立金の運用が年金財政に与える影響について検証し、評価 委員会に報告をさせていただいております。  また、この評価委員会におきましては、独立行政法人の評価に当たりまして、 この報告の内容も考慮して、その上で総合的な評価をお願いするということにな っております。  2ページ、3ページ、見開きになっております。ここに概要が書かれておりま す。また最後に戻ってまいりますが、まず結果の概要を簡単に申し上げます。平 成19年度の運用実績は、収益額−5兆1,777億円、収益率は−3.53%でございま す。(1)の表の太枠で囲んであるところに書いてございます。  一方、過去7年間、これは年金積立金の自主運用を始めてからということです が、累積収益額、(2)のところに表になっております。過去7年間の累積収益は23 兆684億円、平均の収益率が2.26%となっているということでございます。  これを踏まえまして、3ページ、年金財政に与える影響の評価ということでご ざいます。(1)、(2)、(3)とございますが、(1)が平成19年度の運用実績が年金財政に 与える影響額ということでございます。まず結論から申しますと、表の一番右下 の欄に、実質的な運用利回りの財政再計算上の前提との差ということで、前提を 3.67%下回っているということでございます。一方、(2)、(3)ですが、過去5年間 で見ていただきますと、同じ欄ですが、年平均2.1%。(3)は過去7年でございま すが、年平均1.7%、財政再計算上の前提を上回っている。そういう意味で、年 金積立金の運用は長期的に見まして、プラスの影響を与えているということでご ざいます。  4ページから、年金積立金の運用の目的、仕組みといったことがございます。 4ページの下のグラフがございますが、実線のグラフをご覧いただきますと、積 立金を運用することによって年金制度に基づく所得代替率50%を維持していこう ということでございます。積立金を保有しなければ、この点線のように所得代替 率が下がってしまう、これを運用することによってカバーしていこうと。そうい う意味で長期的に成果を上げていこうということでございます。  6ページから、仕組み、運用方法ということでございます。仕組みのところは、 過去の歴史などを記載させていただいております。  7ページ、運用方法でございます。(1)で年金積立金管理運用独立行政法人 における運用。(1)、(2)、(3)とございますが、独立行政法人におきましては、市場 運用、財投債の引受、それから、年金福祉事業団から承継した資産の運用と3つ に分かれております。  8ページはそれを図示しております。この図をご覧いただきながら、9ページ 以降の説明を聞いていただければと思います。8ページの運用方法の図をご覧い ただきますと、年金積立金全体の運用の中で、下のほうに箱が4つに分かれてお りまして、左から申しますと、旧年金福祉事業団から承継した資産、これは22年 度までのものになります。これは昔の年金福祉事業団時代に財政投融資から資金 を借りて運用する。広義で言えば元は積立金ですが、狭い意味で言いますと、積 立金ではないものでございます。  点線で囲ってあるところが狭義の意味での積立金、承継資産を含まない積立金 ということになります。そのうち市場運用部分、財投債の引受という箱がござい ます。ここまでの3つが年金積立金管理運用独立行政法人で運用しているものに なります。一番右に預託金とございます。これは平成20年度までになりますけれ ども、旧資金運用部、財政投融資の金で運用している預託金。4つに分かれると いうことを頭に置いていただければと思います。  その上で、9ページでございます。平成19年度の積立金の運用実績でございま す。幾つかに分かれているので、仕組みを申しますと、1、年金積立金の運用実 績(承継資産の損益を含まない場合)でございます。先ほどの8ページの絵をご 覧いただきますと、一番左の承継資産の損益を含まない部分の運用実績を書いて ございます。  表2−1をご覧ください。合計の欄ですけれども、収益額が−4兆8,905億円、 収益率は−3.28%でございます。  その内訳ということになりますが、最初に市場運用分の運用実績であります。 10ページの表2−2をご覧いただきますと、市場運用分の実績としまして、収益 額合計欄ですが、収益額は−5兆6,692億、収益率は−6.45%でございます。  一方、財投債引受分につきましては、同様に表2−3で、収益額が3,109億、 収益率は1.1%となっております。  また、財投の預託分でございますが、表2−4、同じ欄で収益額が4,678億、 収益率は1.45%となっております。  11ページの2は承継資産の損益を含む場合、すなわち8ページの図で申します と、全体でございます。先ほど申し上げた広義の積立金とお考えください。全体 で申しますと、表2−5になります。合計欄をご覧いただきますと、収益額が− 5兆1,777億円、収益率が−3.53%。これが19年度の積立金全体の運用の実績と いうことになります。  単年度で見ますとこうなりますが、13ページからは年金積立金の運用実績、平 成13年度から19年度、7年間で見ております。同じように、承継資産の損益を含 む,含まないと分けておりますが、トータルでご覧いただきますと、14ページの 表2−11が合計でございます。合計欄を見ていただきますと、累積の収益額は、 過去7年間、自主運用を始めてから23兆684億円の収益を上げていると。平均の 収益率は2.26%ということになっております。  以上が実績でございます。16ページからしばらくデータが並んでおりますが、 これを踏まえまして、23ページからが年金財政に与える影響の評価ということに なります。年金積立金の運用実績の評価ということでございますが、23ページの (2)公的年金における財政見通しとの比較による評価でございます。(2)の 一番下のところ、「したがって、」とございますが、平成19年度の年金積立金の 運用実績が年金財政に与える影響を評価するに当たっては、実現された運用収益 率と、平成16年に財政再計算をいたしまして、年金の財政にとって必要な利回り、 予定運用利回りというのが定まっていますので、これと比較することが適当であ ると。  その上で、(3)実質的な運用利回りによる評価とございます。公的年金の年 金額は、年金を受け取り始めますと、名目賃金上昇率に応じて改定いたします。 受給後は物価に合わせて改定されます。こういう仕組みでございますので、長期 的には年金給付費は名目賃金上昇率に連動するということであります。  したがいまして、24ページでございますが、運用収入のうち賃金上昇率を上回 る部分が実質的な収益というふうに考えられると。このため、運用実績の評価に つきましては、収益率から名目賃金上昇率を引いた実質的な運用利回り、それか ら、先ほどの財政再計算で前提としている実質的な運用利回り、これを比較する ということが適当だと考えております。  24ページの下の表2−14に並んでおりますのが、平成16年の財政再計算で予定 した利回り、名目賃金上昇率。平成15年から20年まではそれぞれに数字を埋めて おりますが、長期的に見た場合には、21年度以降の名目運用利回りは3.2%、実 績の運用利回りは、通常約1.1と言っております。1.08、1.1%を目標運用利回り と考えるということでございます。  これと平成19年度の運用実績を比較したものが25ページでございます。(表2 −15)をご覧いただきたいと思います。これは19年度単年度でございますが、一 番右の欄の年金積立金全体をご覧いただきますと、名目の運用利回りは−3.5%、 名目の賃金上昇率は−0.07%で、差し引きしまして、実質的な運用利回りは− 3.46%でございました。一方、先ほど24ページでご紹介した財政再計算上の前提 でいきますと、実質的に0.21%でございますので、差し引きして差が−3.67%、 単年度で見た場合には−3.67%を下回り、差額が5.38兆円でございました。  年金制度でございますので、長期的に見る必要があろうかと思っておりますが、 26ページの表2−16が、5年間ということで平成16年財政再計算の初年度から見 たものでございます。同様に右の欄を見ていただきますと、名目の運用利回りは 積立金全体で2.75%、名目賃金上昇率は−0.14で、実質的な運用利回りは2.89% でございました。財政再計算上の前提でいきますと、実質的には0.79ということ でございましたので、差は2.10%、財政再計算の予定していた前提の利回りを上 回っていると。  同じように、7年間で見ますと、27ページの(表2−17)でございます。表の 右をご覧いただきますと、名目運用利回りが2.26%、名目の賃金上昇率は−0.3 %でございますので、実質的には2.57%、財政再計算上の前提は0.84%の実質的 な運用利回りでしたので、差としては1.73%上回ったということでございます。  まとめのところにございますが、今のように単年度で見ますと財政再計算上の 前提は下回ったと。ただ、財政再計算の初年度からの5年間では2.1%、金額の 換算累計で15.4兆円。それから、7年間ではプラスの影響であったということで ございます。  また、概要でございますが、2ページ、3ページに今申し上げたことが書かれ ております。3ページの表ですが、先ほどご紹介したように単年度で見たときに は−3.67、5年、7年で見たときにはプラスということで、年金積立金の運用に つきましては、長期的な視点から安全かつ効率的に行うという前提でございます ので、そういう観点からは年金財政にはプラスであったということが言えるかと 思います。  私からは以上でございます。 ○山口部会長  ありがとうございました。  ただ今ご報告をいただきました年金積立金運用報告書につきまして、ご質問等 ございましたら、お願いいたします。  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、次に年金積立金管理運用独立行政法人の総合評価について、審議に 入りたいと思います。  まず、事務局から平成19年度業務実績全般の評価という総論部分を中心にご紹 介いただきまして、その上で起草委員である竹原委員からご講評をいただくとい う形で進めてまいりたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  資料1−3をお願いします。「年金積立金管理運用独立行政法人の平成19年度 の業務実績の評価結果」(案)でございます。  1枚おめくりいただいて、1ページ目から、読み上げさせていただきます。  平成19年度業務実績について、評価の視点。  年金積立金管理運用独立行政法人は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定に 基づき厚生労働大臣から寄託された積立金の管理及び運用を行うとともに、その 収益を国庫に納付することにより、厚生年金保険事業及び国民年金事業の運営の 安定に資することを目的として、平成18年4月1日に発足した独立行政法人であ る。  今年度の管理運用法人の業務実績の評価は、平成18年4月に厚生労働大臣が定 めた中期目標、「平成18年度〜平成21年度」の2年目、「平成19年4月〜平成20 年3月」の達成度についての評価である。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基 準」等に基づき、平成18年度までの業務実績の評価において示した課題等、さら には、独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会 から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、評価を実施した。  管理運用法人は、専ら被保険者の利益のために、長期的な観点から安全かつ効 率的に年金積立金の運用を行うことにより、年金事業の運営の安定、ひいては国 民生活の安定に貢献するという使命を負っている。  したがって、管理運用法人の評価に当たっては、その使命を果たすために行わ れた具体的な取組、又はその取組における創意工夫を評価の基本とし、その上で、 中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて総合的な評価を実施するこ ととしている。  平成19年度においては、昨年度の評価委員会において指摘した事項を踏まえて、 業務運営体制の改善が行われ、業務が適切に運営されているかという点に重点を 置き、評価を実施することとした。  なお、年金積立金の運用は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的 に行うこととされていることから、管理運用法人における年金積立金の管理及び 運用の評価についても、長期的な視点で評価することが重要である。 (2)平成19年度業務実績全般の評価、ア 管理運営体制全般に関する事項。   管理運用法人の使命は、前述のとおり、長期的な観点から安全かつ効率的な 運用を行うことにより、年金事業の運営の安定に資することである。   管理運用法人は、平成18年度において前身である年金資金運用基金から引き 継いだ業務運営体制を改善するため、組織編成を見直したが、平成19年度にお いても、人事評価制度の実施や係制の廃止等の積極的な組織編成の見直しと、 プロパー育成・強化により、効率的な業務執行を行っているものと認める。ま た、理事長を中心とする意思決定を効率的に行い得るように、経営管理会議等 を十分活用し、日常業務を円滑に機能させている。今後も引き続き、職員の勤 労意欲の向上を促し、組織の業務運営能力や専門性の更なる向上に向けた取組 を行っていくことを求めたい。   特に、人材の専門性の高度化を進めるための対策については、運用経験者の 中途採用など、積極的に外部の有能な人材の確保に努めており、全独立行政法 人に係る一律の人件費の制約がある中、最大限の努力を行っていると評価する。   また、平成19年度は食品偽装の事件など、企業における管理者や従業員の法 令遵守の在り方が社会問題となった年であった。管理運用法人においても、関 係法令や管理運用方針の遵守のための種々の取組が行われているが、法令遵守 の徹底や情報開示の推進など、業務運営体制のより一層の強化を期待したい。  イ 年金積立金の管理及び運用全般に関する事項。   運用受託機関に対する手数料の水準については、受託機関と粘り強く値下げ 交渉を行い、極めて低い水準を維持していると評価できる。また、平成19年度 においては、資産管理機関の集約について大きな改革を行い、1つの資産の管 理を1つの資産管理機関に集約した。これによって、今後事務の効率化及び管 理コストの大幅な低減等の効果が実現していくことと考えられ、高く評価する。   また、運用資産のリスク管理については、資産構成割合における管理目標値 からの把握をより精緻に行うなどの改善措置を講じており、指標リスク管理に 関する管理運用法人の体制整備が進展したものと評価できる。今後も、引き続 き適切なリスク管理を行っていただきたい。   その他、運用受託機関の管理及び評価に関しては、運用体制に不備が見られ た既存の運用受託機関を解約するなどベンチマーク収益率確保のための取組の 適切な実施が図られている。   平成19年度は、世界規模でサブプライムローンを契機として株価が下落基調 になり、これに加えて円高の影響が出る等、市場環境は非常に厳しい年であっ た。管理運用法人の運用結果でも、5年ぶりにマイナスとなったものの、市場 平均を示す指標であるベンチマークと比較した場合、外国株式を除き、各資産 とも概ねベンチマーク並みの収益率を得ることができたことについては評価で きる。ただし、外国株式アクティブについては、近年ベンチマークを下回る運 用結果が続いており、運用受託機関の選定・見直しに向けて努力を行っている ものの、ベンチマークを超える運用結果が出せるよう、更なる見直しを行って いただきたい。   なお、積立金の運用結果については、単年度の実績評価だけではなく、長期 的に見ることが重要である。平成20年度以降についても継続的に努力を行い、 長期的に実質的な運用利回りの確保に努められたい。  ウ 年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響の評価。   名目運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いた「実質的な運用利回り」に ついて、年金積立金の運用実績と平成16年財政再計算上の前提を比較すると、 平成15年度(平成16年財政再計算の推計初年度)からの5年間、平成13年度 (年金積立金の自主運用の開始年度)からの7年間のいずれについても、運用 実績が財政再計算上の前提を上回っており、平成19年度単年度の運用結果では、 サブプライムローン問題等の影響を受けマイナスになったものの、長期的に見 ると、年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えていると評価するこ とができる。   なお、年金積立金の運用については、長期的な視点から安全かつ効率的に行 うこととされており、運用実績の年金財政に与える影響についても、長期的な 観点から評価することが重要である。  エ 平成19年度業務実績全般の評価。   以上を踏まえると、管理運用法人の管理運営体制については、業務運営体制 の見直し及び改善が行われ、業務が適切に運営されていると評価することがで きる。  また、年金積立金の管理及び運用に関する事項については、全体としては管理 運用法人の設立目的に沿って適切に業務を実施したと評価できる。   年金積立金の運用については、長期的な観点から評価されるものであって、 短期的な実績のみにより評価できるものではない。今後も年金積立金の安全か つ効率的な運用が実施されていくことを大いに期待したい。   中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。 個別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  以下の具体的な評価内容につきましては、今の全般の評価の詳細になっていま すので、省略させていただきます。  続きまして、資料1−3の(別紙1)、個別の評価シートを集めたものでござ いますが、それの委員会としての評定理由を読ませていただきます。  3ページをご覧ください。評価項目1、効率的な業務運営体制の確立、評定が A。評定理由、業務管理体制については、人事評価制度の実施、係制の廃止等の 積極的な組織編成の見直しや経営管理会議を十分に活用した日常業務の円滑化が 行われており、適切な見直しが行われていると評価する。  次に8ページをお願いします。評価項目2、業務運営能力の向上。評定がA。 委員会としての評定理由。人材の専門性の高度化を進めるための対策については、 中途採用について、積極的に外部の有能な人材確保に努める等、人件費の制約が ある中で最大限の努力を行っていると評価する。また、人事評価制度を創設し、 報酬に結びつける等の報酬体系の見直しを行ったことは、職員のインセンティブ の向上に資すると考えられ、評価に値する。さらに、職員の専門性向上のための 職員研修については、専門実務研修や、大学院への入学補助制度等の活用が図ら れていると認められる。  次は13ページです。評価項目が3、業務管理の充実。評定がA。評定理由、業 務管理の充実については、国内債券におけるパッシブ運用を開始し、目標設定と 実績管理が適切になされている。また、法令遵守の推進のためのコンプライアン ス委員会の開催やコンプライアンス・ハンドブックの作成・配布など、職員の意 識改革への取組がなされており、着実に内部管理体制を構築していると評価する。  次に17ページをお願いします。評価項目が4、事務の効率的な処理。評定がA。 評定理由、業務システムの最適化については、平成18年度に策定した業務・シス テム最適化計画に基づき、一般競争入札により落札者を決定し、設計・開発を進 めており適切に行っていると評価する。  次に22ページをお願いします。評価項目が5、業務運営の効率化に伴う経費節 減。評定がA。評定理由、資産管理機関の集約については、これにより、今後事 務の効率化及び管理コストの大幅な低減等の効果が実現していくことと考えられ、 積極的な取組が行われているものと評価する。  次に30ページをお願いします。評価項目が6、受託者責任の徹底。評定、A。 評定理由、受託者責任の徹底への取組については、意思決定の仕組みの構築によ る責任体制の明確化、運用受託機関を集めての説明会や法令遵守ガイドラインの 策定など引き続き着実な取組が行われていると評価する。  次に33ページです。評価項目が7、専門性の向上。評定がA。評定理由、給与 水準に独立行政法人に課せられる制約がある中で、金融の専門知識を持った人材 の確保に向けて精力的な取組がなされていると評価する。また、管理運用手法の 高度化のための調査研究についても、調査と工夫が積極的に図られている。  次が36ページです。評価項目8の情報公開。評定がA。評定理由、業務概況書 やホームページにおいて、平成18年度と比較してより多くの図表を用いて、視覚 的に理解できるようにする等の着実な改善が認められ、国民に対する説明責任を 果たしていると評価できる。  次に39ページをお願いします。評価項目が9、財務内容の改善に関する事項等。 評定がA。評定理由、財務内容の改善に関する事項については、中期目標及び中 期計画に定める経費削減目標を達成するため、平成18年度と比較して一般経費及 び業務経費ともに経費削減及び事務の効率化が行われており、予算の適切かつ効 率的な執行がなされていると評価できる。  次が47ページです。評価項目10、運用の基本的な考え方、運用の目標等。評定 がA。評定理由、市場の運用結果を評価するための指標であるベンチマークで見 ると、外国株式を除き、各資産とも概ねベンチマーク並みの収益を得ることがで きており、サブプライムローン問題や円高・ドル安等で厳しい投資環境にある中、 中期目標として確保することを求められているベンチマーク収益率を概ね確保で きたことについては評価できる。ただし、外国株式のアクティブ運用においては、 直近3年・5年のいずれについても運用受託機関の大半がベンチマーク収益率を 下回っている。ベンチマークを超える運用結果が出せるよう、更なる見直しを行 うことを求める。また、国内債券についても、5年平均でわずかながらもベンチ マークを下回っている状況にあり、改善の余地がないかの検討が必要である。  次が51ページです。評価項目が11、市場及び民間の活動への影響に対する配慮。 評定がA。評定理由、管理運用法人においては、市場への資金配布を特定の時期 に集中させないように行うなどの配慮が見られ、真摯に取り組んでいると評価で きる。  次が54ページです。評価項目が12、年金給付のための流動性の確保。評定がA。 評定理由、年金特別会計への納付については、運用の流動性を考慮し、財投債の 満期金等により対応を行っており、必要な措置がとられていると評価する。  次に56ページです。評価項目13、管理及び運用に関する具体的な方針の策定及 び定期的見直し。評定がA。評定理由、管理運用方針については、管理及び運用 の向上を意識して適宜見直しが行われており、適切な運営がなされたものと評価 できる。  次に59ページです。評価項目が14、移行ポートフォリオ。評定がA。評定理由、 平成19年度の移行ポートフォリオについては、基本ポートフォリオへの円滑な移 行という目標を踏まえて策定されていると認められるが、平成19年度の第4期か らは移行ポートフォリオの乖離許容度の範囲内で、基本ポートフォリオを勘案し た資金配分を行っていることは、基本ポートフォリオの実現を見据えた適切かつ 弾力的な対応として評価できる。  次に60ページです。評価項目14,基本ポートフォリオの見直し。評定がA。 評定理由は、基本ポートフォリオについては、各資産の期待リターン、リスク等 の点で確認を行い、基本ポートフォリオを見直す必要がないことを確認している が、それに加えて、短期的なリスク及び相関の時系列変化についても詳細な分析 を実施し、慎重な検証を行っており、運用リスクを適切に把握・管理を行ってい ると評価できる。  次に69ページをお願いします。評価項目16、移行ポートフォリオの管理その他 のリスク管理。評定がA。評定理由、運用資産のリスク管理については、運用資 産の資産構成割合について管理目標値からの把握をより精緻な把握に変更するこ とや、ベンチマークの変更に合わせて当該資産のリスク管理指標の1つを変更す る等の改善措置を講じており、指標リスク管理に関する管理運用法人の体制整備 が進展したものと評価できる。また、運用受託機関に対するリスク管理について も遵守すべきガイドラインを示すことや、各運用受託機関のリスク管理指標に関 する目標値の遵守状況を逐一把握するなどの積極的な取組が行われており、評価 に値する。  次が80ページです。評価項目が17、運用手法、運用受託機関及び資産管理機関 の管理。評定がA。評定理由、運用受託機関の選定については、予め定めた基準 に基づき公募を行い、運用コンサルティング会社を活用しつつ、投資方針や運用 プロセス等を精査するとともに、綿密かつ適切な選定が行われていると評価する。  次が84ページです。評価項目18、その他となっています。評定がB。株主議決 権行使については、運用受託機関にガイドラインの策定及びその遵守を行わせる などの取組を行っており、企業経営等に与える影響に配慮しつつ、必要な対応を 行っていると認められるが、今般の株式市場の環境変化に伴い、対応の在り方に ついても引き続き検討を行っていただきたい。  次が87ページです。評価項目が19、財投債の管理及び運用。評定がB。評定理 由、財投債の引受については、特段の問題もなく、計画どおりに行われていると 認める。  次が91ページです。評価項目が20、主たる事務所の移転に伴う関係機関との連 携確保等。評定がA。評定理由、職員の専門性向上における取組としては、専門 実務研修や、大学院への入学補助制度等の活用が図られており、専門性の強化に 努めていると評価する。  以上です。 ○山口部会長  それでは、竹原委員、講評をお願いいたします。 ○竹原委員  年金積立金管理運用独立行政法人の起草委員を代表して、私から評価について 概要を報告させていただきます。  年金積立金管理運用独立行政法人の総合的評価書の起草委員として、大野委員 と私とで検討を行い、総合的評価書を起草いたしました。評価書は、昨年と同様 に、評価の視点、平成19年度業務実績全般の評価、具体的な評価内容の3部構成 としております。  評価の視点の部分については、昨年度の評価委員会において指摘した事項を踏 まえて、業務運営体制の改善が行われ、業務が適切に運営されているか、また、 年金積立金の管理運用の性格に基づく評価の必要性などについて記述いたしまし た。全般の評価といたしましては、年金積立金管理運用独法に与えられた使命を 果たすための役割に必要な基盤づくりが順調に行われていることを評価いたしま した。  平成19年度における取組は概ね評価されるものでありますが、その中でも資産 管理機関の集約の取組については、事務の効率化や管理コストの大幅な低減の効 果が期待されるものであり、その効果を見守りたいと考えております。そのほか、 コンプライアンスの徹底のための取組、見やすいホームページの作成、あるいは、 新しい人事評価制度の創設といった業務面につきましても、様々な新たな取組が なされているものと判断しました。  また、年金積立金の運用実績が年金財政に与える影響については、実質的運用 利回りについて、年金積立金の運用実績と、平成16年財政再計算上の前提を比較 すると、平成15年度から5年間、平成13年度、これは年金積立金自主運用の開始 年度に当たりますが、そこからの7年間のいずれについても、運用実績が財政再 計算上の前提を上回っており、平成19年度単年度の運用結果では、サブプライム ローン問題や円高・ドル安の影響を受けてマイナスになったものの、長期的に見 ると年金積立金の運用が年金財政にプラスの影響を与えたと評価することができ ます。  なお、年金積立金の運用については、長期的な観点から安全かつ効率的に行う こととされていることから、管理運用法人における年金積立金の管理及び運用に ついても、長期的な視点で評価することが重要であることを申し添えさせていた だきます。  具体的な評価内容の部分におきましては、各委員の評価シートのコメント及び 前回の部会における議論を基に概ねA評価を行っておりますが、今後更なる積極 的な取組を期待する部分については、その旨を指摘させていただいております。  私からの報告は以上でございます。 ○山口部会長  ありがとうございました。  では、ただ今ご報告をいただきました総合評価書の案につきまして、ご意見等 がございましたら、お願いいたします。 ○樋口委員  47ページのところなんですけれども、この委員会としての評定理由というとこ ろを読みますと、今ご説明いただきましたように、長期的には目標値を超えてい るからということでご説明いただきましたが、このコメントを読む限りにおいて は、私はAなのかなと疑問に思うんですが。AとBがそもそもどう違うのかも本 当はよく分からないんですけれども、いろいろな資料を読む限りにおいては、B というのは、計画どおりであればそれはBであると。ということから判断すると、 これはBではないかなと思うんですが、いかがでしょう。 ○竹原委員  ここは議論はあるかと思いますが、計画どおりというのを、私は実質的な賃金 成長率を達成した場合にこれは運用として目標は達成されたというふうにみなし ております。そういう評価で私は考えております。  それに対して、本日の最初の運用実績に関する報告でもありましたように、も ちろん昨年度1年間に限定すれば、サブプライムローンの影響でマイナスという 値になったわけですが、5年あるいは7年間で考えていただければ、十分に1% を超えるような運用実績を達成できているということで、5年から7年というこ とであれば、これは当初の独法に求められた条件を大きく超えるものであるとい うふうに判断しています。その点で評価としてはAとさせていただきました。 ○樋口委員  ありがとうございます。私も、長期的な話で、もちろん年度、年度で評価する ものではないと思っております。それは同じなんですが、当年度の目標に対して、 それを達成したか達成しないかという評価を考えると、果たしてそうなのかなと。 私の意見というよりも、ここに出されているコメントを集約したと考えるのであ ればちょっと表現が違ってくるんじゃないか。表現というか、この表現であった としても、Aっていうのは無理かなというのが私の正直な気持ちなんですが、皆 さんに異論がなければAということなのかもしれないなということで取り下げま すが。 ○竹原委員  あくまでもこの部分は私個人としての私見になりますが、そもそもリスクのあ る資産に対して株式の部分、内外の株式に対してある程度の投資を行っている以 上、単年度でマイナスであるということは私は許容されると思います。 ○安達委員  私もこの件に関しては、A、Bは別として、注釈をつけておいてほしいなとい うふうに思います。長い期間で評価をするというのは評価の仕方として妥当だと 思いますし、もちろん実績も出ていますから、それでよろしいんですけれども、 −5兆円というのは国民の間にも大きな話題になっていますし、不安材料になっ ていると思うんです。そういうふうな意味では、運用については十分、長期的な ものも短期的なものも踏まえて検討していただくということで、頑張っていただ きたいという注釈を入れていただかないと。  例えば、今年はこれでいいんですけども、今の経済情勢でいきますと、果たし て来年はどうなるんだろう、再来年はどうなるんだろうと、国民の年金に対する 不安材料になると思いますので、この辺はひとつ注釈だけでもいいです。評価は Aでもいいですけども、運用の方法についてひとつこんな意見がありましたとい うところだけ入れていただければと思います。 ○大野委員  少し追加させていただきますと、長期で見れば超えているということで、単年 度であれば総額の損失だということでありますが、長期で見れば一応目的は達成 されているという点と、あと本年度に限ってだけということで見ましても、一応 ベンチマークは超えていると。そういうことで単年度に関するベンチマークを超 えるという目的に関しては一応クリアされているというような評価はできると思 います。  ただ、個別の資産について、この評価シートの中にも記載がございますが、外 国株式に関してはベンチマークを大幅に下回っているというところで、改善の余 地があるということで、そのことについては今後検討を行っていただきたいとい うようなコメントになっているかと思います。 ○光多委員  少し議論が混乱しているような感じがするんですが。あくまでもこれは平成19 年度の評価だと、この前確認させていただいたんですが、それは長期的にはプラ スかも知れないけど、19年度ということでいくと、先ほど事務局からご説明があ りましたが、賃金上昇率と比べると、19年度は賃金上昇率と比べてもマイナスで すよね。そもそも独法が成立以降、この2年間でいくとマイナス、ベンチマーク より下回っているわけですよね。  19年度いろいろ市場は厳しかったと思いますが、事実は事実として、これだけ 赤が出て、なおかつベンチマーク率の中でも外国株式を除いてとありますが、国 内債券の−0.05というのはその「概ね」の中に含まれて、小さいからマイナスと はいってないという表現だと思うんですけど、言ってみれば3勝2敗という感じ もするわけですよね。そういう点でいくと、長期的なのが出てきて、表題が19年 度の評価結果なのに、先ほど長期的に見るんでこれは評価できるんだというのが、 論理としてどういう論理が受け止められるのかというのが1つ。  もう1つ、大変市場が環境厳しい中でご苦労が多いと思いますが、市場が低迷 しているときに損失を食い止めるという努力をされたということがあれば、それ を書いていただくと少し評価になると思うんですね。だから、ベンチマークを上 回っているんだけど赤は赤ですよね。そこを例えばこういう形で損失を食い止め る努力を行ったという話があると、全体的にもう少しいいと思いますが。ただ、 やっぱり私は、表題からすると事実は事実として、これだけマイナスが出ている のが虚心に受け止めるべきじゃないかと思います。  すみません、もう一つ、細かいことで。2ページの「運用体制に不備が見られ た運用機関を解約するなど」とありますが、これはベンチマーク収益率確保のた めなのか、それともコンプライアンスの問題なのか。 ○山口部会長  2ページのどこですか。 ○光多委員  2ページ目の下のほうの、下から6行目のところです。 ○山口部会長  資料1−3ですか。 ○光多委員  資料1−3の本文の、これは確認ですけれども、「運用体制に不備が見られた 運用機関を解約する」というのは、ベンチマーク収益率のためなのか。例えば倫 理の問題の関係で解約されたのか、そこを、ちょっと細かな話ですが、確認させ ていただきたいと思います。  以上です。 ○山口部会長  議論が幾つかあると思います。まず最初に運用成績に関する話があって、それ は事実として、市場がマイナスであったということをストレートに反映してマイ ナスの結果になっていると。一般の国民的な理解というか、普通の方からすれば マイナスになって投資した金額が減っちゃったじゃないかといったような感覚が あるんじゃないかといったようなことですけれども、年金の運用ということであ れば、市場平均と比べてどうかというふうなもので物事を見ていくというのは普 通なんで、そういう観点から見た場合には、外国株式についてはちょっと問題な しとはしないんですけれども、それ以外のところについては概ねクリアしている といったような状況になっている。  したがって、19年度について言うならば、成績を何を基準に考えるのか、絶対 的な基準のプラスかマイナスかというような観点でいくと、市場運用をやると必 ずマイナスの年はありますから。だからといって、マイナスになったのはけしか らんといっても、ある意味市場で運用しているわけですから、仕方がないわけで。 我々、独法の評価の基準をこの際確認しておきたいと思うんですけれども、一般 国民感情というのはよく理解できるところではありますが、年金の資金を市場で 運用している、そこからスタートしてこれを評価するというような考え方に立つ べきであろうと思います。そうだとすれば、じゃ市場平均よりすごく劣っていた といったようなことなのかどうかというのは、一番大きなその年度その年度の見 方になるでありましょうし。  それから、何のためにこの市場運用をやっているかというと、年金財政に資す るためにやっているんだと。そういう意味では実質的な運用利回りとして期待さ れている水準をクリアしているのかどうか。ただ、年金運用というのは加入期間 40年、受給期間20年、1人の人間にとっても60年ぐらいのサイクルの話ですから、 1年1年で見ていくというよりも、ある程度の平均で見ていくということに、財 政的な面ではなるんだと思います。そういう意味では、年度単位で見るとすれば、 それは市場平均というもので比べて見ていくということと、併せて並行的に財政 的な問題をちゃんとクリアしているのかどうかも常にチェックしていくといった ような観点で見ていくのが、年金財政としてはよろしいのではないかなと。とい うか、そういうふうに見ていかざるを得ないのではないかというふうに私などは 考えております。それについてはよろしいでしょうか。 ○樋口委員  ちょっと誤解のないように。当初質問したに私はマイナスだからどうこうと申 し上げたつもりは全然ありませんで、計画に従ったポートフォリオを決められた 下での運用について、そのとおりに行われていたんじゃないかということを申し 上げて、そのとおりであればそれはBではないんでしょうかねということを申し 上げただけで。Aと評価するには、それを上回ったと説明書きを見るとそう書い てありますので、上回ったというにはちょっと疑問だなと、このコメントを見て もそう思っておりましたので、なぜAにしたんでしょうかねとお尋ねしたわけな んです。ですから、マイナスだからとは申し上げておりません。 ○山口部会長  それについては、「一部の資産についてはマイナス、平均を下回っているのが あるけれども、半分以上の資産についてはちゃんと上回っているといったところ がありましたよね」というご説明ですよね。 ○樋口委員  AとかBとかっていうのは、それが評価される側にとっては非常に大きな問題 だと思いますから、申し上げているんで、私はどっちでもいいような話だと思う んですが、計画どおりであればBではないかと。ちょっとでも良ければAですか という、そこのところが何となくしっくりこないものですから、ちょっと申し上 げてみただけで、話はもうこれで打ち切りますので。 ○山口部会長  今のAかBかという話は一応先に行くとすれば、評価の考え方は、樋口先生は 相対的に見るということでいいんだということではよろしいんですね。 ○樋口委員  相対。 ○山口部会長  マイナスになったからけしからんという。 ○樋口委員  もちろん、それは当然最初にご説明いただきましたように、計画に従って独法 としては実行しているんだということに対しての評価ですから、それは私はマイ ナスだからどうこうと申し上げるつもりはさらさらありません。それは納得して おります。 ○光多委員  私はやっぱり事実は事実だと思っておりまして、19年度の評価を今やっている わけです。1−3の3ページの下のほうで「年金積立金の運用については、長期 的な観点から評価されるものであって、短期的な実績のみにより評価できるもの ではない」と。多分これが評価の言葉だと思うんですけど、これで我々がこれを 評価したと、昨年度の運用実績がマイナスだけど、それは長期的に見ていいんじ ゃないかという形で評価していいのかどうか。  年金の場合にはいろいろ制約があるわけですよね。百数十兆円という運用があ って、もし民間のファンドだったらマイナスだったらぱっと引けばいいわけです けど、これは引いたらマーケットが混乱するし、なおかつ自分も損失を被ると。 したがって、そういう様々な制約の中で、やむを得ない条件もあるという中で、 これだけの形をやったという、何か注釈があればいいんですけど、ただ長期的な 観点だからこれはA評価だという論議は、全体的な評価としては少し説明不足じ ゃないか。先ほど申し上げたように制約があるとか、もう一つはこれに対して市 場が低迷している中でこういう努力をしてマイナスを食い止めたとか、そういう コメントがあった上で、可能な限り頑張られたという形であれば私は納得できる と思います。 ○山口部会長  今、「民間であれば」というふうにおっしゃいましたけれども、私も民間にお りまして、年金運用をやっておりましたが、いわゆる銀行が市場から資金を調達 して運用するというような場合には、おっしゃるように環境が悪ければやめると いうことができるんですが、年金資金というのは引き揚げても戻すところはない わけですので、何かに運用しなければいけない。引き揚げてキャッシュで運用す る、つまりリスクをとらないようにするということはありますけれども、結局何 かには運用しなければいけないわけですね。ですから、出資者に返してしまうみ たいなことはあり得ないわけですので。  年金積立金の運用を行うということは、リスクをどうコントロールするかとい うのはありますけれども、常に運用し続けなければいけないわけです。年金積立 金運用独法は、運用し続けなければいけないという使命が与えられている中で、 基本ポートフォリオをつくって、それに基づいて運用されている。だから、市場 が悪くなった場合はその影響は避けがたいわけですので、マイナスの運用になっ ちゃった時期について、マイナスだからというふうに、そこをとらえて「だから だめなんだ」というような話はないと思うんですよ。  基本的な認識として、年金のお金というのは常に運用し続けなければいけない お金であって、それを市場運用するんだということでやっている限り、市場にエ クスポージャーを常に持ち続けなければいけない。という前提の下でこの仕事を されている。その仕事を我々はどう評価するかということなんで、ある時期、先 に予見して、下がりそうなときに引き揚げて運用しないなんていうことができれ ばいいですけども、そんなことは絶対にできないんですよね。逆に裏目に出るこ とがありますね、引き揚げてしまったら。 ○光多委員  私が申し上げた民間というのは、民間の年金とかじゃなくて、ファンドのちょ っと民間っぽいところを申し上げたので。今大野さんがおっしゃったように、私 は説明不足だということを先ほど申し上げているので、年金の運用という宿命が ある、それから、ポートフォリオが一つあると。いろいろな中でこれは例えばこ れ以上損失を防げなかったんだ、その中でよくやったんだという話を、ここで何 かやらないと。長期的な観点からだけでそこのところを全部クリアするというの は、論理としてはちょっといかがなものかなということを申し上げています。 ○川北部会長代理  僕自身も、単年度の損失をもってどうのこうのというのは間違いで、年金に関 して言うと長期的な視点で評価するのが正しいと思いますし、この評価シートの 説明のところにも評価の視点として、長期的に実質的な運用利回りを確保するよ うに定められているのかどうかとか、中長期目標において各資産ごとのベンチマ ークを上回っているのかどうか、そういう視点で評価しなさいと書いてあるわけ で、そういう意味では単年度の損益だけで評価するのは間違いだと思います。  ただし、光多委員にある意味では賛同するのは、この評価結果の案を見ますと、 いろんなところにというか、至るところに「長期的に見ると」、「長期的に見る と」と書いてあるんですよね。いかにも言い訳っぽく評価シートがなっているよ うな印象を僕は最初、光多委員の意見を聞く前に受けてまして、この「長期的な 視点で何とかかんとか」というのが出てくる個数を減らすことができないのかど うか。そのかわりに、光多委員がおっしゃったように、長期的な視点できちんと 運用されているんだというところを、実質的に少し補足説明を入れていただけれ ばいいんじゃないのかなと思います。  それが私の意見で、もう少し細かなところを申し上げますと、その「長期的 な」というのがいっぱい出てくるのはどうかなと思うんですけれども、資料1− 3の3ページ目のエのところ、下から4行目、「今後も年金積立金の安全かつ効 率的な運用が実施されていく」となっているんですが、「長期的に安全かつ効率 的」と言っておかないと、短期的に安全かつ効率的というのはあり得ない話なの で、ここは逆にいうと「長期的」というのが、僕からすると抜けているんじゃな いのかなという気がいたしました。  最後は少し細かな点なんですけれども、以上です。 ○大野委員  今年度の損失を食い止めるための措置があったどうかという点なんですが、前 回の資料のご説明の中で複合ベンチマークのご説明があった中で、国内債券の割 合が増えて国内株式の割合が減ったことによって、リターンへのプラスの影響が わずかながらあったといったような記述があったかと記憶しておりますので、そ ういったポートフォリオ調整というのが、損失を食い止めるための法人の努力の 結果であったというような意図でされていらっしゃるのでしたら、これは評価シ ートの中に書くべき項目として書けるのではないかと思います。評価シート、評 価の書き方にまず問題があるというようなご指摘がありましたので、それと評価 が照らし合わせて合致する内容に評価の内容が書かれてないのでありましたら、 そこは書き直す必要があるかと思います。  その点だけ付け加えさせていただきます。 ○山口部会長  今、大野委員から、光多さんのご意見に対する一つの回答の部分でもあろうか と思いますけれども、資産配分の変更をやってマイナスを一部食い止めるといっ たような効果もあったというような活動があったんだという辺りの記述をもう少 し増やすといったようなことをしたほうがいいということですよね。というよう なご意見もございます。 ○光多委員  株式アクティブの割合が、あれは変わってないんですか。これを見たらポジテ ィブのほうが結果的に増えているような感じもしたんで。そういういろんな努力 をされたというところが反映されないと意味がないと。 山口部会長  はい、分かりました。  そのほかに何かご意見ございますでしょうか。  いただいたご意見を反映する形で修正を加えまして、平成19年度の業務実績の 評価結果として、各法人及び総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝 えするとともに、これを公表していきたいと考えております。  具体的な修正につきましては、私のほうで事務局と調整をさせていただきまし て、本日のご意見を踏まえる形で決めさせていただきたいと考えておりますので、 ご一任いただけますでしょうか。 (各委員了解) ○山口部会長  ありがとうございます。  それでは、そのようにさせていただきます。  最後に、法人の理事長さんよりコメントをいただけましたら、お願いいたしま す。 ○年金積立金管理運用独立行政法人理事長  今、大分意見が飛び交いましてちょっと戸惑ってますけども、先ほどの評価で ございますと、業務運営の面及び積立金の管理運用の面で、私どもの行ってきた ことを理解いただき、概ね高く評価をしていただいたものと受け止めさせていた だいております。どうもありがとうございました。  積立金の管理運用につきましては、ご承知のとおり世上いろんな意見が出てお りますけれども、私どもの場合には監視ないし助言機関として運用委員会という 仕組みがありますので、そこでの議論を行いながら、皆様方の期待に沿えるよう に努めてまいりたいと考えておりますので、よろしくお願いをいたします。  せっかくの機会ですので、もう一言、よろしゅうございますか。  この評価結果の案文の具体的なところについて、先ほどの説明を聞きながら目 を走らせていたんですけれども、7ページの一番下のところ、最後の文章なんで すけれども、「今後は、平成19年度の下半期の様に、株式市場が大きく下落し市 場リスクが過大になったときに、どのような対応が可能であるか等を検討する必 要がある。」ということで、20年度の私どもの業務の進め方に多少関係があると 思いますので、ここについてちょっとコメントさせていただきたいと思います。  私どもは基本的には長期的な観点からつくった基本ポートフォリオに沿って管 理運用をしております。その基本ポートフォリオというのは長期的な観点からつ くっているんですけども、私どもは全くアンタッチャブルというふうには考えて いませんで、毎年この基本ポートフォリオでいいのかどうかということを検証し ている。これは19年度のところでも検証作業としてご説明させていただきました ように、ご承知だと思いますけれども、足下の市場の変化とか、そういうものを 踏まえて常に見直しということをやっているわけでございます。ということで、 何か足下が大きく、市場が大きく変わったときに検討かどうかという仕組みは、 基本ポートフォリオの検証作業ということで、私どもの業務にビルトインされて いて、それをやっているということをひとつ申し上げておきたいんですね。  それで、下期の株式市場が大きく下落したときの対応ということなんでござい ますけれども、19年度の基本ポートフォリオの検証というのは19年度の秋にやっ ておりますので、そのときには株式市場の1−3月での大きな下落が入っており ません。これは20年度に入ってから、いつもより早めまして5、6月にやりまし た。そのときにどのような対応が可能であるかということについて、どういうイ メージがあるのか分からないんですけども、私としては株式市場があのように急 落した場合に考える対応が2つあって、1つは株式のリスクが想定よりも非常に 大きくなったんでリスクが大きくなってるじゃないかと。だから、ポートフォリ オ全体の中での株式のウエートを下げるべきだと。下げ相場でもむしろ売って下 げるべきだと、こういう考え方が1つ。  もう一つは、株式相場の下落によって、ポートフォリオの中の株式のウエート が相当小さくなったではないかと。そうすると、ポートフォリオのリスクが想定 よりも小さくなって、それに伴ってリターンが小さくなるんだから、むしろその 株式を買い増すべきではないかと、こういうポートフォリオの面については2つ の考え方があると思うんですね。それを私ども検討いたしまして、リスクの問題 については確かに足下のリスクが想定よりも大きくなっているんですけれども、 もともとリスクについてはかなり長期のデータを基に推定をしているわけであっ て、1−3月に大きく下がったからといって、そのリスク推定を変えるべきでは ないんではないかというふうな結論を出しました。  それから、ポートフォリオのリスクが下がりすぎているのではないかという点 につきましても、国内株式のウエートが従来基本ポートフォリオで想定するより も大きかったために、随分下がったところで基本ポートフォリオの想定のような ウエートにまで下がったんですね。それを3月ぐらいにちょっと下回りましたの で、ニューマネーの配分において国内株式に少し配分をして買い増したというこ とでございまして、4月以降少し株が持ち直しましたから、こういう問題が少し 後退したんですけども。したがって、私どもはこの1−3月の株式の大幅な下落 について、もともとこういうときに対応するために基本ポートフォリオをつくっ て、それにのっとってやっているんだという結論を出しまして、それを6月の運 用委員会でも報告をいたしまして、議論していただいて、それでいいんじゃない かというような結論をいただいております。  したがって、「今後は、株式市場が大きく下落し市場リスクが過大になったと きに、どのような対応が可能であるかを検討する必要がある。」というところに ついては、今のところ既にそういう対応したなというふうに私どもは考えており ますということを、一言コメントさせていただきたいということでございます。 ○山口部会長  ありがとうございました。  では、これまでの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方は、 ここで評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしく お願いいたします。  なお、修正に当たりまして、事務局より留意事項があるということでございま すので、事務局からよろしくお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  先ほども申しましたが、前回までにご記入いただきました個別シートが机上に 置いてあります。本日の財務諸表等に関する報告等により個別評価の修正が必要 となった場合は、お手元の赤鉛筆で修正をお願いします。また,修正のあるペー ジには付箋の貼付をお願いします。机上配布している個別項目に関する評価結果 (未定稿)については、現時点でいただいている評定を、Sが5点、Aが4点、 Bが3点と点数化したものとなっており、委員名は空欄となっておりまして、各 委員はご自分のお名前のみご確認できるようになっております。  以上です。よろしくお願いします。 ○山口部会長  では、適宜修正をお願いいたしますが、修正に当たっての質問事項等がありま したら、お願いします。  よろしいでしょうか。  それでは、5分ほど時間をとらせていただきますので、評価シートの確認や修 正をお願いいたします。 (評価シートの修正・確認) ○山口部会長  よろしいでしょうか。  一部,まだの方もいらっしゃるかもしれませんが、引き続きお書きいただくと いうことで。  それでは、これをもって年金積立金管理運用独立行政法人の平成19年度業務実 績評価及び財務諸表に関する意見を取りまとめさせていただきます。  各評価書には、評価結果の別添として評価シートの集約版が添付されておりま すが、本日、評価シートの確認・修正を行っていただいたことによって、当部会 全体としてのSからDの評定及び評定内容が変更になりました場合、また、各委 員のコメントが修正・追加等された場合に、これらを反映して評価シート集約版 についても変更をして、変更後の集約版を添付することといたします。  評価シートの集約版について、SからDの評定が変更になるなどの際には、委 員会全体としての評定理由も併せて変更する必要が生じてくることも考えられま すが、その文章については私にご一任をいただきたいと存じます。場合によって は、個別に各委員にご意見を承ることもあるかもしれませんので、その節にはよ ろしくお願いいたします。  それでは、ここで事務局の入れ替えを行いますので、皆様、しばらくお待ちく ださい。どうもありがとうございました。 (事務局(所管課及び法人)入替え) ○山口部会長  それでは、次に年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価についての議論に 入りたいと思います。  最初に、財務諸表に関する意見について、審議に入りたいと思います。  それでは、樋口委員からご説明をお願いいたします。 ○樋口委員  先ほどと同じように、委員会終了後、整理の皆さんにご協力いただきまして、 1時間ほど検討させていただきました。その過程で特に会計監査人及び監事の意 見に対して異議を申し上げるようなことはありませんので、それは適切であると 判断いたしました。財務諸表はそれでいいのですが、先ほどと同じように1点だ け、財務諸表を修正しなければならないような話ではないんですが、参考にとい う話になるのかも分かりませんが、1点だけ申し上げたいことがあります。  それは、臨時利益として計上されていた特別会計に剰余金の入金が10億くらい あったと思うんですが、この会計処理上の問題と、それから、その取扱について、 私なりに検討させてもらいましたので、その過程を申し上げたいと思います。特 別利益に計上するということになりますと、それは所有権と言いましょうか、権 利と義務というのは。  その前にこの特別会計剰余金というのは何かということなんですけれども、施 設を運営委託していた会社の会計において余っていたというか、一般的に会社で いうところの剰余金というんですか、繰越利益があったと、それが売却すること に伴って委託先を解約というのか、契約を解消したことによって、その会計が戻 ってきたというのはおかしいんですが、物にくっついて独法にきたと。そのとき にあった剰余金が十億何がしあったということなんですね。その相手勘定は現預 金だということですから、いわゆるペーパー上のというか、決算上の剰余金では なく、現預金の裏付けのある剰余金であると。それを受け入れたのが十億何がし あったから、特別利益に計上したというのが前期の決算。その特別利益に計上す るということは、前提条件として、当然それは自分の持ち物と、一般的な言い方 をすれば自分の持ち物であるからこそ、簿外になっていたけれども、気がついて みたらこれだけあったから、それは臨時収入だというふうな考え方になるんだと 思うんです。  そういう考え方を通すのであれば、一つの問題として、まだほかにある、5年 の独法ですから、5年間の間、これからあと3年間でしたか、その残りの期間に 売却するであろうところの隠れたプラスマイナスがあると思うんですが、それに 対して把握してなきゃいけないんだと思うんです。でも、それはお話を伺う限り においては当独法においては権限はないと、売却することが確定するまでは、ス ケジューリングに入るまでは委託先の会計に関しては一切こちらに管理する権限 がないということなんです。  私はそれはちょっとおかしいような気がして。私がおかしいと言ってどうなる ものでもないんですが、独法としてはというのか、あるいは、厚生労働省として はというのか、社会保険庁としてはというのか分かりませんが、その辺で一度議 論していただいて、果たして幾ら剰余金があって、それはどんなふうに管理され ていて、結果的に、その5年の間にどのぐらいのお金が入ってくるかということ について把握していて、はじめて特別利益だと思うので、その辺を明確にしては いかがかなと。それが前提であれば、特別利益であっても問題はないんだろうと 思って、会計監査人の意見について異議を申し立てるつもりはないという話なん です。  でも、もう一つ、視点を変えて考えると、本来そのキャッシュというか剰余金 は、独法はただ預かりだけであって、すぐに国庫に返すのか、社会保険庁に返す のか知りませんけれども、単なる売ったことにともなる一時的な預かりだと考え れば、会計は違うんではないかと。でも、預かりだというと宙に浮いたお金にな ってしまうだろうから、最初に申し上げたようにそれは管理する必要のあるお金 なんじゃないかなということに結論付けました。結果として、特別利益でいいん ではないかなと思いますが、その辺の会計処理上の問題から発する源の何ぞやと いう、そこのところをもうちょっと詰めて、独立行政法人を含めてご検討いただ ければなというのが私の感じたところです。   ○山口部会長  ありがとうございました。  今の話は後ですることにして、それ以外について、ただ今ご報告いただきまし た財務諸表についてご質問等ございましたらどうぞ。  今、樋口先生がおっしゃった点ですが、会計処理としては独法の利益に計上し たというのは、自分の権限のあるお金である、自分に帰属する利益であるという 認識があるから、そういう会計処理をしている。そうであるとするならば、潜在 的に他にもそういうものがあるかもしれないじゃないかと。それは自分の帰属す る利益だというんだったら、それについて把握しておくべきではないか、その前 提においてこの会計処理は認められる。それをしていないというのはいかがなも のとか、そういうご指摘と理解していいですか。 ○樋口委員  はい、そうですね。ただ、そう申し上げても現実には非常に難しい。把握して ないからって利益を乗せちゃいけないじゃないかと仮に言ったとしたら、多分宙 に浮いたものになっちゃうんだろうと思うんです。それで、現実的な話をすれば 特別利益に計上することが、特別利益なりあるいは資本の部にプラスの剰余金と して計上するという考え方もあると思うんですね。ただ、どっちにしても5年の 法人ですから、どこに入っていてもそれは精算されるので,PLに入ろうがBS に入ろうがあまり細かいことを言う必要もないなと思います。 ○山口部会長  これはどこですか、法人に伺うというか、社会保険庁なのかもしれないんです が、国民的な視点からすれば把握してないと。委託を受けているところが持って いる財産を、本来返すべきものを使っちゃうとか、本来年金会計に帰属すべきも のであったものが流用されちゃう懸念もある。だから、早めにその実態を把握し て、「これだけありますよね」といったようなことをやるほうが、理解はされや すいんじゃないかなと思われるんですが、国の仕組みは民間とは違いますので、 そこになかなか難しい問題もあるのかもしれないんですが、そこら辺りちょっと ご説明いただければと思うんですけれども。 ○社会保険庁運営部企画課施設整理推進室長  十分な答えになるかどうか分かりませんが。不足であれば、後で機構のほうか らもご説明があるかもしれません。把握をするということについては、契約の解 除が前提になると思いますので。いつ契約が解除になる、あるいは、契約の解除 になるまでどの程度の剰余金が出るのかとどうかを把握するのが難しいのではな いかと思ってますが。 ○樋口委員  私が申し上げているのは、少なくとも売却予定の中に入っている物件に関して ですので、契約の解除前であったとしても、売却のスケジューリングの中には入 っているんですよね、スケジューリングされているものですよね、5年内に。実 際に社会保険庁のほうでは、監督権限がおありになるということで、委託先の決 算書は把握しているんですよね。だから、社会保険庁としては把握している話な んです。ただ、独立行政法人としてそれは知らないというだけのことなのだと、 私は伺いましたものですから。あと2年の話ですから、別にそれが会計上独立行 政法人に関係ないものだというんなら、それはそのままでよろしいんだと思うん です。ただ、独立行政法人に取り込むんであれば放っといていいのかなと。「放 っといて、突然転がり込んできたお金が利益かい」と。会計の話をすればそんな ボロ儲けがあるのかねというのが私の正直な気持ちです。 ○山口部会長  自己の財産と認識してないものから利益が生れるなどというのは、会計上あり 得ないということですよね。だから、まず自分の財産であるという認識がなけれ ばいけないんじゃないか、あるいは、それがたまたまこれまではそうなってなか ったんですけれども、先生おっしゃるのは5年以内に全部やっちゃうんだから、 オンスケジュールになっているわけなんで、そういったものを調べて、潜在的に この時点ではこれだけの剰余があるということが実現していく、今後。一回全部 そういう払い替えと言いますか、計算して、「これだけあるよね」という認識を した上で順次実現していくというプロセスで処理されていったほうが、ノーマル じゃないでしょうかというような意味だと思うんですけれども。  理事長、何かご意見は。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  会計が難しかったものですから、私の考え方を述べさせていただきます。おっ しゃるとおり、まずそれぞれの特別会計がどうなっているかということについて は、決算の報告をとっておりますので、年度ベースでは把握いたしております。 それに対して、その特別会計の運営に関して我々が監査権限があるかというと、 それがないということなんですね。ただ、ご理解をいただければと思うんですが、 特別会計を清算した結果、剰余金があれば私どもに最終にお金がくるわけでござ いますけれども、その清算が正しいかどうかということについては、先ほど部会 長がおっしゃった言葉で言えば、国民から見て納得ができる清算が行われている かどうかという点については、私どもとしては精査をいたしております。  さらに、何度か申し上げましたが、マイナスが拡大し剰余金がさらに少なくな りそうだというような施設については、早期に閉鎖を命じて売却に入っていると いうような処理をいたしておりますので、少なくとも国の施設を使ってためてき た剰余金について、きちんと国にまた返るように私どもなりに努力をしていると いうことでございます。  それでよろしゅうございましょうか。 ○樋口委員  私は努力してないと申し上げているわけじゃないです。10億も返ってきたんで すから、それは結果としていいことだと、返ってきたというか回収できたわけで すから、それは国民としては喜ばしいということになるんだと思うんです。私は そういうことを申し上げているんではなくって、そのものが売るということ、さ っきおっしゃったように解約する段階になってはじめて独立行政法人として把握 する。把握するという言い方はあれかもしれませんけれども、分かってくると。 そうすると、それは年度の計画を立てるときに予算に入れられるはずですよね、 もしそういうことになれば。だから、実際に監査とか何かという話は社会保険庁 のほうでなさるんなら、それはそれまでしなきゃおかしいじゃないかと私は申し 上げるつもりはないんで、本来把握できるものであったら予算の中にも入ってく るものですし、突然転がり込んでくるものじゃないんじゃないでしょうかねとい うことを申し上げているんです。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  おっしゃるとおりかもしれません。そこについてはご指摘どおりかなと思いま す。たくさんのものがあるかどうかということについてはあまり自信がなかった というようなこともあったと思いますけれども、何千万円単位で入ってまいりま すので、それについて把握はしておりますけれども、予算化するということにつ いてはいたしておりませんので、そこは検討に値すると思いますね。考えてみま す。 ○山口部会長  ありがとうございました。  それでは、この意見書、資料2−1に書いてありますが、承認申請のとおり承 認することが適当であるということで出ております。この案について修正の意見 はないようでございますので、こういう形でもって取りまとめまして、厚生労働 大臣に提出したいと思います。  以上につきまして、そのような取扱でよろしゅうございますでしょうか。 (各委員了解) ○山口部会長  では、そのようにさせていただきます。  今の参考意見は、理事長さんにおっしゃっていただいたようなことでご検討い ただきたいと思います。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  検討してきちんと対応いたします。 ○山口部会長  よろしくお願いします。  では、次に、年金・健康保険福祉施設整理機構の総合評価について審議いたし たいと思います。  まず、事務局から平成19年度業務実績全般の評価という総論部分を中心にご紹 介いただきまして、その上で起草委員であります川北委員からご講評をいただく という形で進めてまいりたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  資料2−2をご覧ください。「独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構 の平成19年度の業務実績の評価結果」案でございます。  1枚めくっていただきまして、1ページ目、「1.平成19年度業務実績につい て」、(1)評価の視点。  独立行政法人年金・健康保険福祉施設整理機構は、国民年金事業等の運用の改 善のための国民年金法等の一部を改正する法律第7条の規定による改正前の厚生 年金保険法第79条又は同法第3条の規定による改正前の国民年金法第74条の施設 及び健康保険法第150条第1項又は第2項の事業の用に供する施設であって厚生 労働大臣が定めるものの譲渡又は廃止等の業務を行うことにより、年金福祉施設 等の整理を図り、もって厚生年金保険事業、国民年金事業及び政府が所掌する健 康保険事業の適切な財政運営に資することを目的として、平成17年10月1日に新 たに発足した独立行政法人である。  今年度の施設整理機構の業務実績の評価は、平成17年10月に厚生労働大臣が定 めた中期目標、「平成17年度〜平成22年度」の第3年度の達成度についての評価 である。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基 準」等に基づき、平成18年度までの業務実績の評価において示した課題等、さら には、独立行政法人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会 から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、評価を実施した。  年金福祉施設等は、年金資金等の損失を最小化するという考え方に立って、平 成22年9月までの5年間に、全て譲渡又は廃止することとされており、施設整理 機構は、極力譲渡価格は高く、かつ全ての施設を譲渡するという、両立が困難な 2つの大きな使命を与えられている。  したがって、施設整理機構の評価に当たっては、「中期目標期間の最終の事業 年度(平成22年度)までに、全ての出資対象施設の譲渡又は廃止をする」、「各 年度にあっては、年度計画に定める譲渡予定対象施設の譲渡又は廃止をする」、 「年金資金等の損失を最小化する観点から、適正な譲渡価格を設定する」といっ た事項についての達成状況、具体的な取組方法、又はその取組における創意工夫 を評価の基本とし、その上で、委託先公益法人等の従業員の雇用への配慮及び地 方公共団体との相談など、中期目標等に定める事項が適切に行われたかについて 考慮した総合的な評価を実施することとした。  また、施設整理機構の設置目的を達成するに当たって、トップマネジメント機 能が有効に発揮されたかについても評価した。 (2)平成19年度業務実績全般の評価。  平成19年度における譲渡業務の実績は、落札ベースで98施設101物件役459億円 の売却額であり、件数は平成19年度計画を下回っているが、売却額では154億円 上回り、出資価格対比では110%の実績となり、発足以来の実績でも売却額809億 円で、出資価格対比121%となっている。これは、不動産市況が急速に悪化する 状況の中で、事業価値、不動産調査の詳細等を提示したマーケティング活動や銀 行、地元有力企業等からの情報収集等の取組の成果と認められ大いに評価できる。  また、件数ベースの落札率も上昇しており、マーケティング活動を本格化した ことに加えて、平成19年度から実施している、最低売却価格を入札前に開示する 入札方式の導入等の取組による成果が現れているものと認められる。  施設の事業継続については、前述のように事業価値、不動産調査の詳細及びキ ャッシュフローに着目したマーケティング活動等の結果、施設譲渡時に事業を行 っていた89施設のうち8割に当たる77施設について事業が継続されており、公共 性に配慮した事業継続の取組は大きく評価できる。  施設従業員の雇用についても、施設の事業継続を図ることにより、施設譲渡時 に従業員がいた施設で雇用交渉が終了した63施設のうち7割に当たる45施設にお いて雇用の継続が図られており、相当の実績を上げている。  なお、平成19年度をもって、出資時に赤字だった施設の譲渡は概ね完了したこ とから、機構設立期間内での全件譲渡の目処がついたものと認められる。  一方、譲渡業務を行うための業務経費については、必要最小限の経費の執行に 努めたことや事業譲渡を原則とする等の最適な販売形態に向けた工夫・努力の結 果、予算に対して62億9,400万円の節減がされたことは評価できる。  経費予算については、今後も大幅な節減が期待される。  これらを踏まえると、施設整理機構の設立期間の半分を超過したことになる平 成19年度の業務実績については、施設整理機構の設立目的に沿って、適切に業務 を実施したと評価できる。  また、施設譲渡の過程で発生する様々なリスクに対する対応を始めとして、施 設整理機構の業務運営において、トップマネジメント機能が有効に発揮されてお り、引き続き指導力を発揮した積極的な取組を大いに期待したい。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個 別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  以下の具体的な評価内容につきましては、今の全般的な評価の詳細になってい ますので、省略させていただきます。  続きまして、資料2−2(別紙1)「業務実績評価シート」をご覧ください。  2ページをお開きください。委員会としての評定理由を読み上げていきます。 評価項目が1、効率的な業務運営体制の確立。評定がS。評定理由、施設譲渡に 関して民間的、専門的な工夫を様々に行っており、そのための組織・人員の見直 し、外部機関の活用が図られている。また、委託業務の拡大やインセンティブ方 式の導入など新たな施策を複数実施し、売却収入予算費22%増という結果を出し たことは評価できる。また、専門的知見を有する人材確保の面でも実務上のニー ズに即して適切に対応しており、中期計画を大幅に上回ったと言える。  次は5ページをお願いします。評価項目が2、業務管理の充実。評定がS。評 定理由、悉皆調査により施設の実態を的確に把握し、問題点を解消することを通 じ施設価値の引き上げを図っている。また、状況報告・把握を迅速に行うための 対策、リスク管理についても、新たな組織の設置等の工夫により、適切に行われ ている。全体としては中期計画を大幅に上回ったと言える。  次が7ページです。評価項目3、業務運営の効率化に伴う経費節減。評定がS。 評定理由、一般管理費は前年、前々年に比して節減できており、業務経費につい ても事業継続を前提とした売却を図っているため、施設の解体費等を使用しなか ったことが経費の大幅な削減につながっている。全体としては、中期計画を大き く上回ったと言える。  次に8ページです。評価項目が4、各施設の経営状況等の把握。機構の業務内 容に関する地方公共団体への説明。評定がS。評定理由、同機構の業務を行う上 で極めて重要なマーケットの開発活動に注力し、ニーズの発掘に努めた。また、 地方公共団体への説明活動を通じ、固定資産税の負担を削減する等の支援策を講 じていただけるよう、積極的に働きかけ、大きな成果を上げている点は大きく評 価でき、中期目標を大きく上回ったと言える。  次に13ページです。評価項目が5、年金福祉施設等の譲渡又は廃止。評定がS。 評定理由、当機構に課せられた使命である高い価格での譲渡に関して、売却価格 計画比154億円、原価比219億円のプラスと大幅なプラスを出しているだけでなく、 事業継続及び雇用継続についても高い継続率となっており、中期目標を大幅に上 回った期待以上の大きな成果を上げている。  次に16ページです。評価項目6、年金福祉施設等の運営及び資産価値の保全。 評定がA。評定理由、年金福祉施設の運営及び資産価値の保全に関して、効率的 かつ効果的な運営がなされており、売却業務を円滑に進めるための諸対策が適切 に実施されていることから、中期計画を上回ったと言える。  次に17ページです。評価項目が7、買受需要の把握及び開拓。評定がA。評定 理由、不動産状況が悪化している中で、適切な需要開拓を行った結果、落札率 94.2%という高い落札率を維持できたことは、中期計画を上回ったと言える。  次が19ページです。評価項目が8、情報の提供。評定がA。評定理由、透明性 確保の観点から必要な項目について、ホームページ等を通じて広く情報提供がさ れている。また、プレスリリース等により適切な情報提供が行われているなど、 中期目標を上回ったと言える。  次に21ページです。評価項目は9、予算収支計画及び資金計画。短期借入金の 限度額。評定がS。評定理由、収入が予算を大幅に上回り、また支出を大幅に抑 制した結果、当期総利益が予算を大幅に上回った点は大いに評価でき、中期目標 を大幅に上回ったと言える。  次に22ページです。評価項目が10、人事に関する計画。評定がA。評定理由、 実績に基づく成果主義の評価等、適切な人事政策が行われており、中期目標を上 回ったと言える。  次が23ページです。評価項目11、国庫納付金に関する事項。評定がA。評定理 由、予算費プラス26億円の229億円の納付を確定し、速やかに納付が行われてお り、中期目標を上回った実績と言える。  次のページ、24ページです。評価項目が12、外部有識者からなる機関に関する 事項。評定がA。評定理由、外部有識者を委員とした諮問委員会での意見を業務 運営に適切に反映し、外部有識者を適切に活用しており、中期目標を上回ったと 言える。  次のページ、25ページです。評価項目13、機構の保有する個人情報の保護に関 する事項。評定がA。評定理由、保有する個人情報の保護に適切に対応するため、 新たな組織として法務文書課を設置するなど、適切な個人情報管理がなされてお り、中期目標を上回ったと言える。  以上です。 ○山口部会長  それでは、川北委員、お願いします。 ○川北部会長代理  前年度の評価結果の取りまとめを受けて講評したいと思っています。私自身の 結論といたしましては、独立行政法人自身、ある意味では民営化の一歩を踏み出 していると思うんですけれども、私の所属しているところも独法の一つなんです か、民間の業務のプロセスが必ずしも十分に取り入れられて工夫が図られている とは思えないんですけれども、整理機構さんの業績というか、実績を見てますと、 極めて効率的かつ民間の工夫が様々な面で取り入れられていると思います。そう いう意味では非常に高く評価できるんじゃないのかなということです。  前年度の実績を見まして、何が新たな工夫なのかと、工夫として追加されたの かと、そういうに問いますと、必ずしも大きなものがたくさんあったというふう には思えないと思います。ただし、整理機構さん自身、5年間の期間限定の独立 法人ですので、初期の段階でいろんな工夫を出されて、5年間の期間の間にどの ようにうまく施設を処分していくのか、そういう一気に改革をされて5年間走ら れるというスタイルをとっておられるということで、新たなものが必ずしも必要 じゃない。ただ、当該年度、当初に出されたスケジュールに沿っていかにうまく 処分をされていくのかどうか、そういう視点から評価をするのが妥当だと思って います。  そういうことで、以上が総論なんですけれども、前年度の特徴を私なりに整理 していきますと、1つは不動産の売却業務委託に関してインセンティブ方式を導 入されたということで、売却業務委託業者の利益相反を排除して、施設の売却価 格を引き上げる、そういう効果をもたらしたんじゃないのかなと考えています。  2番目が、これは前年度から引き続きの話なんですけれども、事業の譲渡を原 則として施設の整理を進められた、そういうことが業務の経費が必要最小限にと どまって、予算比で大幅な削減となっている。同時に、雇用の継続・確保が図ら れているということで、極めてうまく業務の遂行がなされているんじゃないかな と思います。  3点目、これも前年から引き続いての話なんですけれども、施設自身は地方に とって重要な意義を持っているということで、整理計画の実施に当たって地方の 支援を取り付けるということが重要だと思うんですけれども、それを積極的にや られている。その結果として、施設の整理を、金銭的に高く処分する、効率的に 処分するということだけではなくて、雇用の確保とか、地方に対する配慮とか、 そういう社会的な効率性も図られているんじゃないのかなと思いました。  4点目ですが、出資時に赤字だった施設の売却が概ね完了したということで、 機構の設立期間内に施設を全件処分するめどが立ったということは、当該年度の 一つの大きな実績だったんじゃないのかなと思います。  それから、これは3番目と重複する話なんですけれども、施設の利用者とか、 老人ホームの入居者なんかもその一つだと思うんですけれども、そういう利用者 に対する配慮が適切になされているということです。それ以外にもいろんな面で 施設の売却に向けて、民間的な視点から見ると当たり前かも分からないけれども、 きめ細やかな対応が図られているということで、高く評価できると思います。  今年度に関しましては、不動産市況がすごく悪化している、施設の整理に関し ましては厳しい環境を迎えていると思います。そういう意味では、前年度までは 比較的環境がよかったという面もあると思うんですけれども、そういう状況の中 で整理機構さんの業務の期間は22年度の9月までとなっているわけです。という ことで、これから以降が機構さんの今までの工夫が本当の意味で有効だったのか どうか、試される状況にあると思いますけれども、引き続いて当初の設立時にい ろんな改革案というんですかね、処分案を決められた。そういう精神を忘れない で、処分価格の最大化と、一方で既存の従業員の雇用の確保。2つの目標を両立 させるというのは難しいと思うんですけれども、そういう課せられた目標に対し て引き続き努力していただくことを期待したいと思います。  以上です。 ○山口部会長  ありがとうございました。  ただ今ご報告いただきました総合評価書の案につきまして、ご意見等がござい ましたら、お願いいたします。  よろしいでしょうか。  それでは、修正のご意見等がないようでございますので、平成19年度の業務実 績の評価結果といたしまして、各法人及び総務省政策評価・独立行政法人評価委 員会にお伝えするとともに、これを公表したいと思います。  なお、この後、誤字、脱字、事実誤認などによる修正が必要となった場合の対 応につきましては、私にご一任いただきたいと存じます。  以上につきまして、そのような取扱でよろしゅうございますでしょうか。 (各委員了解) ○山口部会長  では、そのようにさせていただきます。  最後に、法人の理事長さんよりコメントをいただけましたら、お願いいたしま す。 ○年金・健康保険福祉施設整理機構理事長  水島でございます。大変高い評価をいただきまして、誠にありがとうございま した。また、私どもの活動に関しまして、極めて適切にご理解をいただいている というふうに、いろいろなご意見をいただきながら思っておりました。  この仕事は味方のいない仕事でございまして、現場の方々は解雇につながって いく懸念が十分あるわけでございますし、利用者の方々は、特に低所得高年齢層 の利用者の方々の日常的に行く場所を奪ってしまうという面があるわけです。そ ういう意味で、私はいつもみんなに言っているんですが、この仕事はその人たち と悲しみを共有しないとできない仕事だと。高く売るということが目的でありま すけれども、やり方を間違えますと、このプロジェクト自体が否定されるという ことになると思っております。  いつも言っているんですが、いささかも時の政府にご迷惑をおかけしないとい うことを肝に銘じて、今いただきました種々のご意見を十分踏まえて引き続き適 切な運営に努めてまいりたいと思っています。引き続きご指導をいただきたいと 思います。  ありがとうございました。 ○山口部会長  どうもありがとうございました。  では、現在までの意見、報告等を踏まえまして、個別評定を修正したい方はこ こで評価シートの修正・確定の時間を設けさせていただきますので、よろしくお 願いいたします。  それでは、5分間ほどお時間をとらせていただきますので、評価シートの確認 や修正をお願いいたします。 (評価シートの修正・確認) ○山口部会長  よろしいでしょうか。  それでは、これをもって年金・健康保険福祉施設整理機構の平成19年度業務実 績評価に関する意見を取りまとめさせていただきます。  なお、先ほどと同様に、評価シートの集約版について修正が必要となった場合 の対応につきましては、私にご一任いただきたいと思います。  それでは、本日の議事は以上でございます。  なお、本日ご審議いただきました総合評価と財務諸表についての意見につきま しては、厚生労働省独立行政法人評価委員会運営規程第3条の規定に基づきまし て、当部会の決定が評価委員会の決定となります。また、法令に基づき総務省の 政策評価・独立行政法人評価委員会への通知、公表の手続が行われることになり ます。  事務局から何か連絡事項があればお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日ご審議いただいた法人の年度実績評価書につきましては、事務手続を進め させていただき、後日委員の皆様に確定版を送付いたします。  急な話で申しわけないのですが、次の年金部会の開催日程についてです。次は 9月中旬、8日から12日の間に開催させていただきたいと考えております。議題 としましては、「年金・健康保険福祉施設整理機構の中期目標等の改正につい て」です。これは社会保険庁の改革の一環として、全国健康保険協会が設立され ることに伴い、社会保険病院については本年10月以降、保険者でなくなる社会保 険庁では保有できないということなどによりまして、厚生年金病院及び社会保険 病院について、本年10月1日までにはこの機構へ出資することを予定しているこ とによるものです。お帰りの際に事務局から日程調整のご案内をさせていただき たいと思いますので、よろしくお願いします。  なお、日程的に厳しいこともありますので、余裕がないということで皆様のご 都合がよろしくなければ、個別に各委員にご意見を賜ることも考えさせていただ きたいと思います。よろしくお願いします。  それから、総会メンバーの皆様におかれましては、8月27日、水曜日、午後1 時から厚生労働省17階、専用21会議室におきまして評価委員会の総会が予定され ていますので、よろしくお願いします。  なお、お手元の資料につきましては、お持ち帰りいただいても結構でございま すし、お申し付けいただければ事務局から後ほど郵送させていただきます。  以上です。 ○山口部会長  はい、ありがとうございました。  それでは、本日の部会はこれで終了とさせていただきます。長時間にわたりま して熱心なご審議をいただきまして、ありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)