08/08/21 「「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会」第4回会議議事録 「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化に関する検討会 第4回会議    日時 平成20年8月21日(木)       17:00〜    場所 厚生労働省専用第21会議室(17階) ○ 高久座長   それでは時間になりましたので、ただいまから「第4回『安心と希望の医療確保ビジョン』具体化  に関する検討会」を開催させていただきます。  本日は、ご多忙のところ、お集まりいただきましてありがとうございました。  まず、事務局のほうから委員の出欠状態と、本日お越しいただいている2人の委員を紹介をお願い  します。 ○ 間企画官  本日は委員の皆様全員ご出席です。ありがとうございました。また本日は委員の皆さまの他にお2  人の有識者の先生方にお越しいただいておりますので、この場で紹介をさせていただきたいと思い  ます。  まず、井上範江佐賀大学医学部看護学科教授です。続きまして山田芳嗣東京大学大学院医学系研究  科外科学専攻生体管理医学講座麻酔学教授です。なお、舛添大臣は少し遅れて参りますのでお許し  いただきたいと思います。なお、事務局提出資料及び委員の方から提出していただきました資料は  議事次第のとおりとなっておりますが、資料2として本検討会でこれまでいただきましたおもな意  見をテーマ別にまとめております。ご参照いただければと思います。事務局からは以上です。 ○高久座長  それでは議事を進めてまいります。本日は前回もお知らせしましたように、医師・看護師・コメデ  ィカルの数、スキルミックス等を中心に検討をして参りたいと思います。本日の議論の進めかたで  すが、まず事務局から資料の1について説明をしていただいたあとに、井上先生と山田先生から発  表していただきたいと思います。そのあとに皆さん方からこの2人の発表の内容について順に議論  をいただきたいわけでありますけれども、実はその自由討論の前に3人の委員の方から少し説明を  したいと申し出がありました。海野委員、和田委員、川越委員の方々に少しお話を伺いましてその  後にフリーディスカッションにしたいと考えたいと思います。それでは事務局から資料1の説明を  お願いします。 ○ 野村看護課長  看護課長の野村です。資料1にそって説明をさせていただきます。1頁では、これは「国家資格を持  った医療関係職種」です。表にありますように様々な資格があります。今回の資料は医療施設に従  事しているコメディカルを例示してあります。2頁では、この図は医師を含めました「医療関係職  種」ですが、年次推移を示したものです。医師がいちばん角度が上がって出ていますが、右片上が  りとなっています。なお、下から3番目の薬剤師ですが、薬剤師につきましては、医療施設とのこ  とで薬局等に従事している方々は除いておりますので少ない数値になっております。このデータを  数値で示したものが3頁です。後ほど見ていただければと思います。4頁では、これは出典にありま  すように「日本の医師需給の実証的調査研究」これに基づいたものです。この医師の就業率を年齢  で区分しております。女性と男性と分けてありますが女性について10年後の丁度35歳のところがい  ちばん下がっております。いわゆるM字カーブです。参考までに下に全産業の一般女性の就業率を  示しています。これと比較しますと一般女性の就業率は20代から30代にかけて約10%減少をしてお  りますが女性医師の場合は25歳と、35歳では16%減少している状況です。  5頁です。これは「保健師、助産師、看護師、准看護師の就業者数の推移」です。医師等とは人数  の単位が違いますので別表で出しています。看護職員総数は、17年はいちばん上にありますように  約133万人になっていまして、その中でも看護師の増加状況が顕著になっています。下のほうにあ  まり変化がないのが保健師、助産師です。6頁では、これは平成18年から20年にかけての5年間の  「第六次看護職員需給見通し」です。需要が伸びておりますので、看護職員確保対策を講じまして  供給数を伸ばしてきています。平成22年には需要と供給の差が約99%になる計画予定になっている  ところです。7頁では「看護職員の年齢階級別の就業者数」です。この下の棒グラフが人数になっ  ていまして、折れ線グラフが率です。この年齢別階級別のデータが実は就業者数の推計でして、こ  の推計データが平成14年しかないのでちょっとデータが古くなっておりますが、そういったもので  出しています。これを見ていただいても看護職員もM字カーブになっています。この点線が全産業  の女子の就業率です。これも同じ平成14年に合わせてありますけれども、同じようにM字カーブで  すが、比較をしていただきますと20歳代、30歳代は看護職員のほうが就業率は高くなっているわけ  ですが、45歳代以降、55歳代もそうですが全産業の女子のほうの就業率のほうが上がって、看護師  のほうが戻っていないことがこの中から読み取れるかと思います。  8頁では退職理由を示しています。看護職員の場合はナースセンターというところでナースバンク  事業をやっていまして、そこで潜在看護職員の方々が把握できるわけですが、その方々に対して前  回の職場の退職理由を聞いています。これを見ていただきますと平成13年からの推移ですが、1位  は、ずうっと出産・育児が1位となっております。ですが2位以下はだいぶ動いています。平成13年  などは、結婚がそういった理由でしたが、最近は結婚はもうだいぶ下がってきて5位になっている  わけです。その変わりに上がってきているのが、他分野への興味が2位になってきていますし、ま  た看護内容への不満というあたりも3位で増えてきています。18年度の第4位はありませんがこれは  その他が第4位です。ここには載せておりませんがそのような退職理由も年によって若干変更があ  る中で変わってきています。このようなことを元に離職防止対策、再就業対策等をしているところ  です。9頁です。これは日本看護協会が認定をしています専門看護師・認定看護師の概要です。  この専門看護師というのは看護の実務経験5年が必要でして、看護系大学の修士課程でこれらの養  成課程を持ったところを修了した者に対して認定審査を日本看護協会が行い、その認定を通った者  が専門看護師とされております。真ん中の人数のところの表にありますが合計で現在までに238人  が登録をしております。この専門看護師の分野もこのように分かれていまして、感染症看護などは  1人と非常に少ない。がん看護がいちばん多くて104人というところでございます。これを実施して  いる機関は34大学院でこういったコースをもって実施をしているところです。右側の認定看護師で  すが、こちらも日本看護協会が認定をしていますけれども、実務経験が5年の者が6カ月間の認定看  護師教育課程を修了し、認定審査を受け、それに通った者が登録をされております。こちらはかな  り数が多くて合計で4,458名ですが、分野が分かれておりますので非常にまだまだ少ない分野から  かなり多い分野まで様々になってきております。ここは教育機関が多くて58課程を持ってやってい  るところです。実際には大学でやっているコースもありますし、日本看護協会が実施をしているよ  うなコースもあるとのことです。  10頁では、これは昨年12月28日に医政局長通知として提出した俗に言う「役割分担通知」と言われ  ているものでこれはこの検討会の第1回でも示したものです。助産師につきましては、正常分娩に  おいて活用するといった内容。それから看護師につきましては訪問看護等で事前指示に基づく薬剤  の投与量の調節、静脈注射、救急医療における診療の優先順位の決定等が示されていますし、臨床  検査技師、薬剤師、臨床工学技士等においてもそれぞれの役割が示されています。11頁では、これ  が平成20年度の「看護職員確保対策のおもなものと事業予算になっております。(1)、「中央ナ  ースセンター事業」ここでは簡単に説明をいたしますと、ナースセンター事業でナースバンクを都  道府県のナースセンターで行っていますがそういったことの推進をしていますし、それと2ポツ目  に書いてありますが多様な勤務形態の就業促進とのことでこれは多様な勤務形態を調査し、そうい  ったものを広報、普及をすることとしておりまして就業の促進をはかっているところです。(2)  にありますようにこれは病院内の保育所の運営の補助をしているといった事業です。(3)、「看  護職員確保モデル事業」内容については潜在看護職員、約55万人いますがこれは推測計ですが、う  いった方々に対しての臨床実務研修をとおして再就業の促進をはかっているものです。(4)は助  産師について特別に対策をうっておりまして、特に産科診療所の助産師不足が顕著ですので、そこ  への就業促進のための実務研修を行ったり、そういった事業をしているところです。  12頁以降につきましては、このそれぞれの事業の説明を少しわかりやすく図式化したものですので、  説明は省略をさせていただきます。最後の頁では、「特定機能病院に従事する医師数」という資料  ですが、これは土屋委員からご要望があった資料でこういったデータを資料の最後に添付をしてい  ます。私からの説明は以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。実はまだ大臣が来られないのですが。 ○土屋委員  ちょっとよろしいですか。最後の資料は私が要求をしたのですが、これ私がお願いをしたのは保険  医の数をお願いしたのです。ところが本省のほうでは保険医の数は把握をしていない。ところが実  際の臨床上は保険診療は保険医でないとできないと、各病院の社会保険事務所にきちっと数を報告  をしているはずです。それをぜひ出していただきたいです。例えば前回の会議例でお話をした「協  議員だより」です。293人3年前は戻りました。彼らは保険医の登録をしていなければ、日常診療が  できないです。500人という数のはずはないわけです。これは常勤医の数ではなくて実際に大学に  どれだけの医者が席をおいていて派遣に使われているのかそれが把握できなければ何の議論にもな  らないと。ぜひこれは社会保険事務所から数を集めていただきたいと思います。 ○高久座長  それでは議事を進めさせていただきます。最初に井上先生から発表をお願いします。今日は遠くか  らありがとうございました。 ○ 井上教授  それではコメディカル不足に関してですが、私のほうからは主に「看護師の人数と教育」について  話をさせていただきます。1枚目はレジメです。  最初に「1.患者の安全性と看護師数」についてですが、資料4の中の2枚目の資料1に2つの図があ  ります。左側のグラフは、アメリカ保健社会福祉省の中のひとつのエージェンシーから出されてい  る政策決定のためのエビデンスレポートの中の資料です。患者対看護師の比率と患者死亡率の関係  を表しています。横軸は常時4対1から常時8対1までありますが、常時4対1は4人の患者に対して1  人のナースが常時いるという勤務形態のことで、その場合の患者死亡率を100とした場合、5対1で  は患者死亡率が7%上がります。6対1になりますと患者死亡率が14%も上がります。日本のいまの  一般病棟での最高基準が7対1でして、このアメリカのエビデンスレポートからすると、4対1に比べ  て7対1は死亡率が23%上がります。同じようなデータが、出典2のJAMAアメリカンメディカルア  ソシエーション、アメリカの医師の学術雑誌にも、報告されています。右側の図は、日本の50病床  当りの看護師配置の一例を示しているものです。常時7対1がいまの日本の一般病棟での最高基準で  すけれども、日中の場合はいろんな治療、検査、処置、手術等がありますから、7対1の場合で50病  床当たりに10人ぐらいのナースが配置されているという実態ですが、夜間になりますと配置がやは  り少なくなります。7対1に達していない従来の10対1の場合ですと、日中で6人から8人、夜間にな  りますと3人から4人ぐらいの体制になって、この夜間の看護師配置の少なさがとても問題です。  資料2では、100病床当たりの看護師数の諸外国との比較ですが、日本は諸外国平均の4分の1と書い  てありますが、イギリス、アメリカ、イタリア、ドイツの平均の約4分の1の看護師数になっており  ます。  次に資料3です。いままで看護師のことを話してきましたが、病院は、先ほどの看護課長さんのデ  ータにもありましたが、左の円グラフのように沢山の職員によって支えられております。平成18年  度の病院統計からですが、看護師、医師等のパーセンテージを出しています。看護師はその中でい  ちばん多い35%という職員比率を占めておりますけれど、右側の棒グラフを見ていただきますと、  100病床当たりの病院職員の全従事者を、イギリス、アメリカ、イタリア、ドイツのデータと比べ  てみますと、やはり日本は少なく大体諸外国平均の約24%の数値になっております。ですから看護  師だけではなく、病院全体の職員が日本はとても少ないという状況です。  次に、レジメの「2.患者の安全性と看護師の教育水準」です。資料4は、先ほど申しましたJAMA  アメリカンメディカルアソシエーションのジャーナルに掲載されたデータなのですが、左側の図は、  学士の学位を持つ看護師の割合別に患者1,000人当たりの死亡者数を表しています。学士の学位を  持つ看護師の割合が20%だと死亡者数が21.1人ですが、学士看護師が60%になりますと死亡者数が  17.5人になり、死亡が3.62人減少するデータが示されております。右側のグラフは、重症合併症の  患者1,000人に対して、学士の学位を持つ看護師の配置が20%から60%に増えると、死亡者数が14.  2人も減少することを示しています。また、患者の死亡者数は、看護師の経験年数とは相関がない  というデータが示されています。  資料5では、日本での看護師養成の平成15年から18年度の養成定員を棒グラフで表しておりますが、  平成18年度を見ても大学生の養成定員が7,140人、大学以外の3年以下の養成課程が41,709名になっ  ています。大学は少しずつ増えてはいるのですが、全体で見ますと学士をもった看護師の割合はま  だ15%という状況です。右側のグラフは、平成15年から18年度までの入学時及び卒業時の定員充足  率をパーセンテージで表しています。100%のところは少し黒い太い線を引いておりますが、それ  より上のところは大学の入学時と卒業時のグラフで折れ線がほとんど重なっています。すみません  ミスプリントです。大学卒業時という2つ四角い枠の中の文言は、右側のほうが大学入学時です。  平成16年度に若干高くなっている方が大学卒業時の線です。それに対して3年制の専門学校等の入  学時と卒業時の折れ線は100%を切ったところで推移しており、入学時よりも卒業時に更に定員充  足率が少なくなっている状況がこの図からわかります。  次に「3.看護師の離職と教育」についてです。資料6は、2005年から2006年の単年で見た場合の  病院就業の看護師数の動きをいくつかの報告書の数値から推計して見ています。2005年末に病院就  業の看護師数は622,000人なのですが、2006年末では639,000人です。1年間で17,000人増加をして  いますが、実は2006年4月に新卒就業者が39,000人います。それともうひとつ問題なのは離職者で  して、2006年の離職者が81,300人です。再就業者が59,300人という数値が出ていまして、完全な離  職者と書いていますが再就職もしなくて離職している人が22,000人という数値になっています。  これら単年の数値の動きで見ますと、新卒就業者数よりも少ない増加数になっています。また、こ  の完全な離職者が蓄積していって、先ほど看護課長のお話にもありましたように、潜在看護師550,  000人といわれている数字があるのだと思います。  資料7は、看護師の離職理由が多くの雑誌等で書かれていますので、それらをまとめてみました。  “1人分の業務量が多い”こと、“余裕のないシフト”、これは看護師数が少ないために日勤から  夜勤、夜勤から日勤という勤務交替のところの睡眠時間等がとても厳しくなるという問題がありま  す。“現場で求められる能力と学んできたことのギャップ”、これは卒業と同時に一人前として、  定員として熟練者と同じ仕事をこなしていかなければいけないという状況を表しています。離職の  一番の原因は、『人員の不足』です。看護師不足だけではなく事務クラークから病棟薬剤師まで書  いていますが、コメディカルの人員の不足です。それと人員不足も絡んできますが、卒後専門教育  の機会不足によりキャリアアップのための教育を受ける時間がとれないと言った悩みです。また、  医師教育と違いまして、看護師のための卒後研修制度はありませんので、新人看護師教育は各病院  で工夫されています。さらに、ライフスタイルに合わない勤務形態の問題があります。  資料8は、看護師が復職していないことを表しています。右下の図は一般女性のM字型の就業率を表  していますが、それに対しまして左図は年齢階級別の看護師の就業者数を表しています。病院勤務  の看護師の線が上のほうに突出して描かれていますが、病院勤務の看護師だけで見てみますと25歳  から29歳までがピークで、あとはずっと下がっているという状況です。  資料9は、日本の看護職の勤務環境が、ライフスタイルの変化に対応していない実態についてです。  欧米と日本の比較のかたちで出していますが、日本は、週35時間以上という勤務形態が97%にもな  っています。欧米に比べて日本はとても固定した勤務形態となっています。  資料10は、大学病院での調査結果ですが、看護大学卒の早期離職率は、養成所卒のナースに比べて  10分の1というデータが出ています。  以上のことから、看護師対策といたしまして、短期的には看護師雇用数の増加と離職防止策を進め  ていかなくてはいけないこと、中長期的には看護師教育を高卒後4年間の大学教育にもっていくこ  とで、離職をくい止め、看護師が継続して専門性を高めていくことが更に進んでいくのではないか  と思われます。  以上でございます。 ○高久座長  どうもありがとうございました。それでは続いて山田先生からお話をお願いします。 ○ 山田教授  東京大学麻酔科の山田です。コメディカルとのかかわりも含めて、麻酔科の医師の需給の問題に関  する全体的な説明をしたいと思います。  資料5、最初の2枚の表が麻酔科学会が10年以上継続的に行っている、麻酔科認定施設に対する麻酔  の偶発症例に対する調査であります。そのあと、「麻酔科医は足りているか?」というタイトルの  文章は、今回私がまとめてきた文章による簡単な説明になっています。そのあと、「麻酔科医マン  パワー不足に対する日本麻酔科学会の対策案」、最近麻酔科学会が出したものを付けてあります。  いちばん最後、これも麻酔科学会の取組みですけれども、これも最近出した女性医師キャリア推進  ワーキング・グループの「女性医師キャリア推進に対する提言」をお付けしました。説明のほうは  パワーポイントのプレゼンテーションで、もっとビジュアルにやらせていただきたいと思います。           (パワーポイント開始)  「麻酔科医は足りているか?」というタイトルで説明をさせていただきたいと思います。まず、麻  酔科医の専門医制度というのが問題になりますので、麻酔科医の専門医制度について簡単に説明し  たいと思います。1954年に麻酔科医学会が設立されました。1960年、厚生労働省の管轄で、厚生労  働省が認定する「麻酔科医標榜医制度」というものができて現在まで続いています。1963年には麻  酔科医指導医制度というものが、これは麻酔科学会の認定として行われました。医師の専門医認定  制度として、非常に早い時期に行われたものであります。2001年には麻酔科学会が社団法人化され、  現在、公益法人への移行の準備も完了しています。2003年、他の診療領域の専門医制度と合わせる  ために、3段階方式の専門医制度に移行したという形の制度になっています。  麻酔科の診療領域なのですが、中心になるのはこの手術麻酔です。簡単に、一口で言いますと、外  科的外傷(サージカル・トラウマ)に対する全身管理という言葉が使われます。全身管理の中に、  中枢神経を抑制する麻酔状態というものが含まれることになります。ここから広がり、全身管理と  いうことでICUの管理、緊急医療となっています。  もう一方で、疼痛医療ということでペイン・クリニック、緩和医療という診療領域の広がりが起こ  っています。  手術麻酔が業務の中心になっているのですが、手術麻酔でどのぐらいリスクがあるのかを簡単に、  データで説明したいと思います。重大なリスクとしてはまず心停止です。心停止以外に生命の危機  に直結する、生命の危機的偶発症としては高度低血圧、高度低酸素欠症、出血性ショック、心筋梗  塞、肝虚血、重症不整脈、肺塞栓といったものが手術中、あるいは周術期の短期間に起こります。  その結果としての手術中、および周術期死亡がどれぐらいあるかというデータを説明したいと思い  ます。  先ほどの麻酔科認定施設における偶発症例調査ですが、麻酔科認定施設は約1,000施設あるわけで  す。これは全身麻酔を行っているすべての病院、4,000ですので約4分の1に当たります。このとき、  対象とした症例数が100万症例ですが、大体全身麻酔、麻酔科管理の症例は200万症例行われている  ので2分の1を占めます。そのデータで、2001年から2005年までの毎年の統計なのですが、重症の症  例は約15%、緊急症例もまた15%、66歳から85歳までの高齢者は33%を占めます。  そこでどのぐらい、先ほど説明した心停止などの重大偶発症が起こるかというと、1万症例当たり、  心停止が全体の集団で5例、先ほどの危機的偶発症が16例、その結果としての死亡は6例あります。  重症群という見方をすると、15%あったわけですが32例、同じく15%を占める緊急手術では36例、  高齢者では11例というように、非常にリスクを伴っていることを認識する必要があります。簡単に  言うと、手術をするのは外科医だが、手術中、侵襲の加わった患者の全身管理をするのは麻酔科医  である。手術患者の安全性を確保するためには麻酔科専門医が必要であるということになります。  麻酔科医が足りなくなった背景は、卒後研修の必須化が顕在化のきっかけになりました。2004年の  1年前、大学内のマンパワー不足から、施設からの引き上げという具体的な状況が起こり問題にな  りました。  ただ、全体としての背景は麻酔科医療の需要増加ということがあり、手術件数の増加、麻酔科診療  領域の拡大、国民の声として安全な医療をより求めていく。そういう中で、麻酔科以外の医師によ  る麻酔担当の減少が起こったということが大きな背景としてあります。  平成15年、2003年の新聞記事です。「大学病院が麻酔科医引き上げ」とあります。これが地域病院  に影響を与えて手術の減少が起こった。マスコミにかなり大きく取り上げられた事例であります。  全身麻酔の件数の増加を年次的に見てみると、1993年から2005年まで順調に増加しています。9月1  カ月の統計で約16万例を超えるという増加を示しています。特に急性期医療、手術の重要性が強ま  るにしたがって、この増加率は伸びている傾向にあります。  先ほどの麻酔業務の担当者がどうなっているか。大学病院と一般病院で分かれますが、一般病院に  着目すると、その病院に勤めている外科系の医師が約30%担当しているという状況がこの2005年の  調査の時点であったわけです。ただ、外科系の医師の担当が先ほど言ったリスク等の問題で、ある  いは外科業務自体の繁忙化からだんだんやりたがらなくなったという状況が1つの大きな背景とし  てあります。  それに対して、麻酔科医自体の増加というのはどういう具合になっているか。いちばん最初に認定  された標榜医のグラフ、これは順調に伸びていて1万4,000人ぐらいまで行っています。この制度は、  いまの専門医制から比べるとやはり不備な部分があって、一旦、専従年数あるいは経験症例数で認  定を受けるとそのまま認定資格が継続される。したがって、お亡くなりになっても、あるいはずっ  と麻酔から離れて、麻酔のスキル等が実質的に失われているような状況になっても標榜医資格は持  ったままになっている。  それに対して、制度的に質を担保した認定を行っている麻酔科専門医のほうですが、ここ10年間で  5,000人から6,200人、1,200人の増加があったという動きをしているわけです。結局、手術数の増  加にやっと対応する程度の増加であったということがあります。  もう1つ、需給を考える上で麻酔科医の男女構成、あるいは年齢構成を考える必要があります。や  はり、ある程度明確な増員の方向性を示さないといけないだろう。麻酔科は若い科ですので、比較  的年齢層の低い部分が多かったのですが、だんだん高齢型になっていて、今後麻酔科から離れてい  く人たちの割合が毎年大きくなっていく。今日はデータをお示ししませんが、50代で麻酔科を離れ  るという点で、率がグンと上がるという検討結果が出ました。それも考える必要があります。  もう1つ、麻酔科は若年層が多いわけです。そこに占める女性医師の割合が多く、女性医師の30代  における離職率が大きく影響いたします。まとめになりますが、現状維持のための数字である。  過去10年の増加率は、全身麻酔の数の増加のほうが結局、麻酔医数の増加を上回ってしまったとい  うことに結論づけられます。  国際的に見ると、英国でも米国でもドイツでも、日本に比べると人口10万人当たりの麻酔科医数は  ぐっと多くなっています。これはやはり、手術医療の質と安全のためには、国際的に比較しても麻  酔科医の数の増加が必要であることを示しているかと思います。検討課題の1つの中心として、麻  酔科を併せて担当するような、業種間の対応ができないかという問題があるわけです。そこに対す  る1つのエビデンスとしては、麻酔看護師の導入によって、麻酔科医なしの麻酔が行われるように  になった場合、麻酔科医ありの麻酔看護師の場合はいいのですが、やはりアウトカムを下げる。こ  れはアメリカのメディケアのスタディでも、オランダのデータでも、麻酔科医が直接管理したとい  う状態で運用しないと、手術の結果を悪くするということが出ています。先ほど、どのぐらいリス  クがあるかというデータを示しましたが、それと照らし合わせるとよほど考えた形の構築をしなけ  れば結局、質・安全性の低下に至ってしまうという危険性をはらむことを認識していただきたいと  考えています。  もう1つ、数的な面から言っても、アメリカにおいても同時進行の手術、同じ時間にたくさん手術  が行われている所では、麻酔科医と麻酔看護師のチームで効率化が図られるわけです。ただ、中小  の施設では結局麻酔科医がいなければ、麻酔全体に責任を持った形では完了できないということで、  数的効率の面でもさほどの効果は発揮できないという面がある。日本の病院を考えると、グロスの  統計で取ると、1日平均1から2件程度の全身麻酔件数が行われていることになっています。この場  合、麻酔看護師が麻酔科医数を節減する大きな効果を果たすことにはやはり結びつかないと考えら  れます。  麻酔科医の数の増加というものが安全性、医療の質というものを手術医療の面で確保するのに極め  て重要だという話をしました。ならば、数を増やせということだけでいいのか。やはり、コメディ  カルとの協働、役割分担の活用、これも同時に考えていく必要があると思います。日本学術会議が  今回の要望書として提出した「診断に支えられた医療の実現」にあるように、コメディカルとの協  働はチーム医療の促進という方向性を持たなくてはいけないと言っています。チーム医療の促進な  しに業務の委譲が行われると、結局連携不足、非常に危険な状態の医療に陥ってしまうということ  がある。まず、チーム医療を固めた状態でコメディカルのマンパワーを活かして、医師数の不足を  手当するというような正しい順番、そのために麻酔科医の統括のもと、周術期管理チームの構築を  いま言ったような面からも積極的に押し進める必要があると考えています。  麻酔科専門医と協働する形で、麻酔にかかわる看護師が働くことができれば、医療の質の向上とと  もに医療の効率化にも寄与できるのではないかと考えます。それがうまく実現するためには、結局  教育をどうするかという問題が重要です。  教育については、麻酔科学会が責任を持って積極的に教育を座学、実地教育、両方の面で展開する  責務があると思います。この教育を受けた、麻酔科学会によって認定された看護師は1人の患者に  対して術前から術後まで麻酔科医と協働し、つまり術前のリスク・ファクターが手術の結果に非常  に大きく影響するわけです。そこを全く認識しないで、麻酔だけを受け持つというのは非常に危う  い医療になってしまいます。そういった意味で術前から術後、術後の合併症の早期発見、あるいは  麻酔として行っていることが本当に適切なのかどうかというクオリティー・アシュアランス、そう  いった面からも必要なことであります。麻酔科医と協働して、麻酔にかかわる業務を行うというこ  とです。  看護師が在職のままで研修教育を受けることができる、これが大事だと思います。在職のままで、  手術付看護師の研修教育を受けることができるような財政的手立てを是非予算化していただきたい。  協働を進めるために、周術期看護師というコンセプトを強調したいと思います。どうもありがとう  ございました。         (パワーポイント終了) ○高久座長   どうもありがとうございました。舛添大臣が来られましたので、一言ご挨拶いただきたいと思いま  す。 ○舛添厚生労働大臣   いや、特別に挨拶はありません。どうぞ続けてください。 ○高久座長  カメラのほうは一旦退室をお願いしたいと思います。いま井上先生、山田先生から発表いただいた  わけですが、実は委員の方々から少しプレゼンテーションしたいという申込みがありました。時間  の関係もありますので、短くお話いただきたいと思います。まず、海野委員からよろしくお願いし  ます。 ○ 海野委員  事務局で用意していただいた資料6の(4)をご覧ください。前回も提出いたしました第1回、第2回の  論点整理案であります。それから、今日、当日配付の形で番号が付いていない資料をお渡ししてい  ます。第3回の論点整理(案)、前回の論点を同じような形でまとめた資料があります。もう1つ、  予算関連事項整理(案)を当日配付でお配りしています。ご確認ください。  前回、ここでの検討会でどういうような認識の一致が認められたかということに関して、第1回、  第2回の論点整理に関してこの間提出しました。それを確認していただければということが1点です。  あと、第3回の論点整理に関してですが、前回は地域医療、救急医療体制の支援と住民参加という  ことが大きなテーマだったと思います。論点のまとめということで申しますと、前々回、土屋委員  からご提案の医師養成のあり方を検討する専門家による検討の場を作る必要があるという議論があ  りました。その中で、総合医や家庭医も含めて総合的にやる必要があるという議論になったのでは  ないかと思います。  地域医療、救急医療に関しては非常に脆弱な構造であるということがある。その中で、何とか受け  入れを増やすためには症例を多く受け入れるほど、より安定的な受け入れ継続が可能となるような  財政支援が必要なのではないか。特に、地域の医療従事者や住民が一体となって支える必要がある。  あと、どうしても救急医療に関しては、数のコントロールという問題があります。それに関しては、  丹生委員から住民の立場ということでの自宅でのトリアージ、有賀委員から電話でのトリアージ、  救急隊員による現場でのトリアージ等、トリアージの取組みに関するいろいろなご説明があったと  思います。その中でも、やはり今後のことを考えるとトリアージの教育の普及、トリアージ・ナー  スをどうやって普及していくかということが施策的には重要なのではないかということになるかと  思います。  ヘリコプター搬送に関して、これは有賀委員もご指摘でしたが、ドクターヘリも重要なわけですが、  そればかりでなく、現行で動いている総務省や消防の防災ヘリを活用するような形での円滑な連携  が重要なのではないか。この辺の内容についてご確認いただければと思います。  予算関連事項整理ということなのですが、この検討会のテーマがとにかく来年度予算にどう反映さ  せるか、時間的にかなり切迫した状況かと思います。いままでの議論の中で、あるいはこれからど  うしても必要になるだろうと思われるような予算関連にできるような事項についてまとめたのがこ  の整理案です。ただ、これは私がやったということもありますし、それぞれの先生方からもっとも  っといろいろなことが出てくるべきだとは思うのですが、時間も限られていますのでとりあえずま  とめさせていただきました。もしよろしければ、今日この場でもいいのですが、私に言っていただ  ければどんどんまとめて、その上で整理していくような形でやらせていただければと思っています。  以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。和田委員、お願いします。 ○ 和田委員  私から、医療メディエーター制度についての動きと要望をお話させていただきたいと思います。昨  日、大野病院事件の判決がありました。非常に印象的だったのは、医師のほうは何度か謝罪を口に  されていました。ご遺族のほうは非常にお辛い面もちで、真相究明を求めるということをおっしゃ  っておられました。  それを聞いて感じたのは、医療者側の謝罪が患者さんの中にスッと入っていかない、逆に、被害者  の側の「真相を究明したい」という思いが、医療者の側で対応しているつもりでも、実は対応した  ことに全然なっていない。このあたり、両方が向き合う対話の場が必要なのでしょう。コミュニケ  ーションのギャップがあるように思います。そこが対応されない限り、無罪であれ、有罪であれ、  どちらも辛い思いが残るのではないか。そこをつなぐようなシステムがあるといいのではないか。  これは精神論でいくら言っても駄目なので、患者のために事故が起こったときに対応するあり方を  システムとしてきちんと医療機関側が備えることが必要。これは医療機関側の患者に対する責務だ  ろうと思います。  そのようなものとして、外国にもよく似たものがありますが、医療メディエーターがあります。医  療メディエーターとは何かについては、資料11-1をお開きください。1枚目がレジュメ、横に絵が  描いてあります。例えば事実究明、事案解明、あるいは法的な賠償額の評価、こういったことは一  切メディエーターは行いません。また、医師の代弁をして患者に伝えたりすることもしません。そ  うではなくて、事故が起こったときに、患者さんの思いを受け止めながら、患者と医療者が直接向  き合う場を設定し、対話を促進することで、関係を修復するという役割でございます。また医師が  これを習得することで日常診療の患者・医療者関係の構築にも貢献することになります。  また、単に話の仲介という訳ではありません。英米では、メディエーターについては、例えばロウ  ・スクールや一部メディカル・スクールでも教えられています。また、社会の中に非常に浸透して、  小学校などでも教えているものです。背景には社会学や心理学の理論があって、教育プログラムと  しても標準化されています。これをベースに、2003年度には医療機能評価機構でプログラムの開発  に着手し、2005年から実際の研修の提供を始めました。まる2日間かけて、朝から晩まで30名以下  の少人数を対象に行うことで、患者さんと向き合う真摯な姿勢を身につけてもらうためのインテン  シブな研修であります。  その結果、次の頁、4頁をご覧ください。2005年度から本格的に提供し、等比級数的に需要が伸び  てきています。これは累計ではなく各年度であります。2008年度、いま予定されているものだけで、  年度末までに942名の方にインテンシブなトレーニングを行うことになっています。おそらく、実  数は1,000を超えるだろうと思っています。また、昨年度ぐらいからの傾向ですが、ここに個別研  修とありますのは、全国社会保険協会連合会などの病院団体や先進的個別病院が、個別に団体内、  院内でメディエーターを組織的に導入使用とする動きは反映しています。こうした組織的導入が、  現在では大多数を占めるようになってきています。  現場でそれだけニーズがあるということかと思います。もう、この辺がトレーニング供給のキャパ  シティーの限界ですが、まる2日間のインテンシブなトレーニングを少人数でやるとしても、年間  1,000名ぐらいの体制は既に医療機能評価機構等を中心にできているところです。  厚生労働省の科研、「医師過剰業務解消に向けた新たな医療専門職育成のための予備的研究」とい  うことで、昭和大学の鈴木龍太先生が研究されています。そこで行われた調査の中間データでも、  院内のメディエーター、しかも専門的なトレーニングを受け認定された存在を院内に置きたいとい  うニーズが90%を超え、現場では非常にニーズが高いということであります。  そういうことを反映して、今年3月、全社連の伊藤雅治理事長にご尽力いただき、私も協力させて  いただきながら、「日本医療メディエーター協会」というものが立ち上がりました。高久先生に実  は理事長をお願いしていますが、理事には被害者遺族の方も入っておられますし、地域医療を守る  活動をされている市民の方も入っておられて、いろいろな方に理事になっていただいております。  そこで認定制度を設けてメディエーターの認定をやっており、現在200名程度、年度末までには300  名ぐらいの認定医療メディエーターが誕生することになっております。  課題としてはいろいろありますが、1つは研修制度と認定制度については、すでに民間主導ではあ  りますが、一定の確固たるものがすでに成立して、そこは自律的に回っております。そこで問題と  なるのは、個々の病院でこういう存在を置こうとしても、なかなか病院のほうでゆとりがない場合  があります。そういうところでは、例えば、医療安全管理者が兼務することで疲弊するということ  も耳に入っております。すべてに置く必要はないと思いますが、メディエーターを積極的に置いて、  患者さんと医療者が向き合う機会を創るシステムを備えようという病院に対しては何らかの財政的  なインセンティブを与えるような仕組みをご考慮いただけないかということです。以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。次に、川越委員から「在宅医療における医師と訪問看護師との連  携の問題」についてです。これは井上先生、山田先生のお話にも関係あると思いますので、よろし  くお願いします。 ○川越委員  在宅医療が第3の医療の場になったのは1992年ですが、ここにいらっしゃる先生方のほとんどが病  院で働いている方だと思いますので、在宅の現場があまりお分かりにならないのではないかと思い  まして、あえてこの問題を取り上げております。  資料9を見ていただきたいのですが、私からは2つの点をお話したいと思います。1点目は、訪問看  護師の数が減っていると言いますか、伸び悩んでいる問題について触れたいと思います。2点目は、  在宅の場において、看護師の裁量権を拡大したらどうか。山田教授の話と関係しますが、その点  の問題についてお話したいと思います。  資料9-1、これは訪問看護事業所、いわゆる訪問看護ステーションの数の伸びを年度別に見ており  ます。平成12年度までは割と順調に数が伸びてきたのですが、平成12年からは横並びになっており  ます。年平均は125施設しか伸びていないということで数が伸び悩んでいる。実は、平成12年とい  うのは介護保険がスタートした年ですので、そこで伸び悩みになってきていることが指摘できるの  ではないかと思います。  2頁目、これは各年度ごとの訪問看護ステーションの数と、休廃止した数をブルーで表しておりま  す。この特徴的なことは、数はほとんど横並びですが、休廃止している所が、例えば、平成19年で  見ますと、全体の1割近くの8%に相当し、増加している。しかも、この数が年度ごとに増えている  という問題があります。  訪問看護ステーションの収益というのは、介護保険が7割を占めるというデータがあるわけです。  この数が伸びない、減っているという中で、どういう対策が取れるのかということで、ステーショ  ンの経営的観点で分析がなされているようです。  1つ指摘したいことは、介護保険がスタートしてから、訪問看護ステーションの元気がなくなった  という事実があります。これは現場の感覚です。それから、私はいろいろな所から看護師さんの意  見を聞くのですが、やはり、すごくやりにくくなったということがあります。その最大の原因は介  護保険の枠内に組み入れられたということで、現場の看護師が無駄なエネルギーを取られて、本来  の仕事に集中できないことが起因しているということです。これは現場の看護師からの声で、私も  見ていてそう思うのです。訪問看護を医療保険の枠内に戻すことを、是非、検討していただきたい。  これは、来年度は無理かもわかりませんが、時間をかけてやっていただきたいというのが第1点です。  訪問看護が必要な利用者に対して、迅速にサービスが提供できない現実がある。これは先ほどの数  が伸びない、廃止が増えるという中で、実際、需要はあるのだがサービスを提供できないというこ  とが数として出ております。そういう現実があり、看護師のストレスになっているということです。  このことから、医療が特に必要な在宅医療分野で、訪問看護が速やかに入ることができる仕組みを  検討していただきたいということです。3頁は、現場からの声として書いてありますが、時間の関  係で省略させていただきます。  2つ目は、裁量権を拡大する。私がお話したいことは在宅のことです。4頁には、法律を厳密に解釈  した場合、看護師が実施する医行為の仕組みについて書いてあります。この法律どおりやったら、  非常にやりにくいと言いますか、厳しいことを法律は現場に要求しているわけです。特に、在宅で  はいままでの病棟や外来と違って、医師と看護師がいつも同じ場所にいる状況ではないので、実際  の医行為を行う場合に問題になってくるわけです。それに対して、看護師の裁量権を増やす問題は  当然出てくるわけです。5頁には、その対策として事前約束指示を用いることが書いてあります。  約束指示を用いた場合の看護師が実施する医行為、つまり、一定の約束ごとをもって、看護師が裁  量権を持って働けるような仕組みを作っていくべきではないか。これは厚労省から委託された研究  班が3年がかりでまとめたもので、標準的な約束指示を作っておいて、それが具体的な患者が出た  ときに個別的な指示を出す。そして医行為が必要になったときには個別約束指示に従って医行為を  行う、そういう約束事をきっちり作らなければいけないということです。その原則が、死亡診断と  疼痛緩和に関しては、特に在宅では医師の指示を待ってということができない場合もありますので、  標準的な約束指示、個別的約束指示というものを作りました。  6頁に死亡診断に関して、在宅では、医師法の原則に則って行われるわけですが、そこで看護師の  裁量権を増やすことはできないかということを考えました。それが7頁に書いてある連携モデルで、  看護師がアセスメントをして、特に問題なかったら、医師の死亡診察を待つことなく、こういう処  置に入ってもいいのではないか、ということを研究班の案として作っております。以上が、裁量権  の問題と数の問題です。最終的に、8頁に提案として2つ書いてあります。  1つは、訪問看護を医療保険の範疇に戻すための検討を行うため、予算措置をとってほしいという  ことです。これは次年度からでも第一段階として、是非やっていただきたいのです。例えば、一定  の条件を満たした、24時間加算を取っている、あるいは在宅療養支援診療所との連携を取っている、  と、条件はいろいろあると思いますが、訪問看護ステーションをみなしの居宅介護支援事業所と認  定する。つまり、ケアマネがやっているような仕事ができる仕組みを作っていただきたいというこ  とです。さらに第二段階として、次回の介護保険の大幅見直しに際して、訪問看護を介護保険の枠  組みから外すことを、是非、検討していただきたいということです。  2つ目の訪問看護師の裁量権拡大は、在宅での死亡診断と疼痛緩和について、私たちの研究班で試  案を作りましたが、これは医師会とかいろいろな所を巻き込んだ総合的な検討を行う必要があると  思いますので、そのための予算措置を取ってほしいと思っております。以上です ○高久座長  どうもありがとうございました。井上先生と山田先生のお話、3人の方の追加のお話がありました。  今日は主に医師・看護師、コメディカルの数、スキルミックスなどの問題について、委員の皆さん  方からご自由なご議論をいただきたいと思います。 ○ 土屋委員  スキルミックスの前に、先ほど予算関連事項整理(案)が海野委員から提出されましたが、是非、  この場で整理案の案を取って来年度予算に載せる形にしていただきたい。それに追加して、先ほど  和田委員が言われたメディエーターも来年度に予算化していただきたい。  実は、今朝ほど、医療安全推進室からがんセンターに見学にいらっしゃいました。ところが、いら  した医療安全推進室の方が、がんセンターとあろうものが、専従者がリスクマネージメント1人か  と驚かれているのですが、そこへ国立病院からも補佐の方がいらしているのです。実際、日本の一  流病院でさえ、専従者がたった1人で医療安全管理をやっているというのが実態です。これについ  ては、是非、メディエーターだけではなく、事務関係にも予算を付けていただきたい。  先ほど大野病院の例が出ましたが、新聞報道でご存じのように、手術中に、一切説明がなく、死亡  してから主治医から説明があったと。それがいまの日本の実態で、こんなことは患者さんから見た  ら怒らないほうがおかしいわけです。手術中に逐一説明する要員がいない。即ち、医療安全管理に  おいて、リスクマネージメントについてはいろいろ指針が出ておりますが、何か事が起こってクラ  イスマネージメントをどうやるか。ここに人を付けてないということがあるので、手術中に何か起  こっても説明要員がいないという状況で事が進まない。  しかも、ご家族からさらに検査資料の提出を9月に病院側に求めたのが、2月の逮捕時まで全く反応  がなかったということも何度も報道されております。これもまさに事故が起こったあとの対策につ  いて、全く病院が対応できていない。これは、是非、来年度の予算で各病院にこの予算化を進めて  いただきたいと思います。これができないと、患者さんの満足度はなかなか上がってこないと思い  ます。以上です。 ○高久座長  たしか医療秘書というのが付くようになったのもあれですが、特定機能病院は付かないのですね。  そうではなかったですか。 ○土屋委員  いや、先生付きました。メディカル価格は全部の大学病院に付きました。これは三浦さんのお蔭だ  と思います。 ○岡井委員  予算と離れてもよろしいですか。コメディカルの方にいままで以上に活躍してもらって、医師数の  増加の足りない分も補ってもらうし、いまの急激な需要の増大に対して対応していこうということ  になりますと、先ほども川越委員の話にあったように、結構、法律で問題が引っかかってしまうと  ころが絶対出てくるのです。いま訪問看護師の話をされましたが、助産師も本当に助けてもらおう  と思うと、正常の分娩であればどこまでやるのか。例えば、会蔭切開を入れるのは、はさみで切れ  ることですのでいまは許されていないのですが、全く正常であればそこまでやって、小さな病院な  ら自分でやっていいとか、そういうのを法改正までいかなくても、それこそ行政裁量と言いますか、  行政的な通達で本気で考えていかないと、コメディカルのいろいろな職種の人が増えてきましたが、  でも、やっぱりやれませんから、医師は忙しくて手伝ってもらう。ある部分、スキルミックスはう  まくいかないことになるので、それは是非議論していただきたいと思います。ちょっと予算とは違  いますが。 ○高久座長  それでは、大臣どうぞ。 ○厚生労働大臣  いま予算折衝中でありますが、むしろ、質問を聞いていてわからなかったことを含めてお話します。  山田先生、麻酔科の話ですが、ときどき、歯医者さんはみんな麻酔ができるから、歯科医を麻酔医  として活用してはどうかといろいろな意見を聞きますが、これはどのように考えればよろしいです  か。 ○ 山田教授  はっきり言うと、他業種のマンパワーの活用というか、それはチーム医療がしっかり組まれている  という前提においては、それはすべて有益であるということが原則だと思います。チーム医療がし  っかり組まれている状況で、いろいろなマンパワーを活用できることは、プラスの方向の結果が適  切に行われればつながる。  歯科医師がいま当該の麻酔業務に適するかどうかというのは、やはり、慎重に考える面があって、  それは医師と歯科医師の根本的な違いの認識を、まず前提に置いて考える必要がある。歯科医師が  担当する部分は、歯ないし口腔の領域であり、医師が担当する部分というのは、それぞれの専門領  域において、体全体、全身であるわけです。  冒頭で説明させていただいた意味は、麻酔というのが、実は、外科的な侵襲に対する全身管理の側  面が非常に強いということで、単純に、患者さんが麻酔状態というか、意識を失った状態になるこ  とだけを意味しているものではない、ということをはっきり分かっていただきたいのでお示ししま  した。  全身的なリスクがあれだけ重大なものがあって、その頻度も高い。すでに重症患者、高齢者、緊急  手術と言うと、十分に頻度の高い危険率になっているわけです。その結果として、明らかに発症し  たことの外側には、その10倍がそれに陥る可能性のある患者さんがいるわけです。ですから、リス  クのプロポーションは非常に麻酔管理、麻酔症例において高いわけです。そういった面で全身的な  診療教育の基盤のない歯科医師を使うのは、やはり、慎重に考える必要がある。欧米の対応で言う  なら、フィジシャンアシスタントという職種があるのですが、それが歯科医師は歯の治療に対する  麻酔、それは全身麻酔も含むものですが、そういうことに関連した麻酔技術を持っているわけです  ので、その部分を欧米で言うところのフィジシャンアシスタントに対応するような位置づけで、チ  ームの一員として働くことは可能だと思います。 ○厚生労働大臣  あともう1点よろしいですか。川越先生、先ほど訪問看護ステーションを介護保険から外して医療  保険に戻せとおっしゃったのですが、簡潔に、どこが問題だからそうしないといけないというのが  よく理解できなかったのですが。 ○ 川越委員  1つは、介護保険というのは改めて言うこともないのですが、やはり、契約を主体としたものにな  っておりますので、手続が煩雑なのです。いままでの医療の範疇とは少し違うところがあります。  例えば、書類が多いとか、それから、看護師さんがやる仕事というのは、掃除をして30分で帰ると  いうわけにはいかないのです。ですから、一定時間のサービスとして組み込まれてしまいますと、  本来、やらなければいけない仕事ができなくなることがあります。  これは訪問看護ステーションの立場からですが、ケアマネの方がいまかなり力を持ってきておりま  す。それは決して悪いことではないのですが、当初、医療関係者、例えば、多くの看護師がケアマ  ネの資格を取ったのですが、ほとんど引いたのです。引いたというのは理由がたぶんあったのだと  思うのですが。福祉職の方のケアマネジメントは、どうしても医療的な所が弱いことがあります。  特に、医療依存度が高い患者さんに関しては、状況が一刻一刻変わっていくのですが、そこで逐一  ケアマネに説明して、準備をすることですごく手間暇がかかるのです。それから、やたらと会議が  多いのです。そういう面の問題があります。 ○ 吉村委員  スキルミックスについては、医師の負担を医師以外の職種の方といかにシェアするかということで  すが、1つは、書類を書いたり、オーダーを入力したり、患者さんに説明したり、あるいはメディ  エーターの仕事など、これは必ずしも医行為とは直接は関係ない。  それと医行為であるIVをしたり、処置をしたり、山田先生からお話がありましたように、アメリカ  では麻酔をナースがかけたり、送管をしたり、会蔭切開をしたり、こういった医行為のシェアの問  題とは、教育やその他の問題を含めて大きく2つに分けて考える必要があるのではないかと思います。 ○高久座長  山田先生がおっしゃったとおり、やはり、チームワークをちゃんと組んでないとスキルミックスは  難しいと思います。山田先生にお伺いしたいのですが、これは私はよくわからないのですが、麻酔  の場合、例えば、麻酔を途中で研修医に替わるということはなかなか難しいシステムになっている  のです。ですから、初めから終わりまで同じ麻酔医でやらないと、麻酔医の報酬が付かないと聞い  たことがあるのですが、それは本当ですか。 ○山田教授  その件は、麻酔管理料の問題だと思います。いまの麻酔管理料の保険請求上の要件というのは、す  べての麻酔に関わる事柄を、麻酔標榜医がやらなくてはいけないということになっております。  ただ、大学病院等で、もちろん地域の中核病院でもそうですが、研修医が研修教育の目的で指導医  の管理の下に気管挿管を行ったとしても、それを1つ行えば麻酔管理料は請求できない規定になっ  ています。もちろん、厳密に運用しているわけですが、そういう状況では研修教育を行う病院では  麻酔管理料の請求はできていない現状があります。 ○嘉山委員  看護師さんの話が全然出ていないのでお話させていただきます。実は、明日北日本看護学会で「進  化する看護職」というのを話す予定でしたが、この会があるのでやめたのですが、土、日の会がな  くなったので、またやらなければいけないかと思っています。先ほど野村看護課長から、看護師の  養成は十分だが足りないと。それは一言で言えば、職場環境の劣悪なことが原因で、そのことだけ  は確実なのです。ですから、潜在看護師がいくら55万人いても戻ってこれない。それはなぜかと言  うと、いまの労働時間からも、勤務体制からも職場環境が悪いので当然のことです。これは何も看  護師だけではなく、医療関係者、全部そうです。そのことから含めますと、やはり、職場環境を改  善するということをこのビジョンの会で織り込んでいただきたいと考えています。  もう1つは、もしも予算のことがあるならば、先ほど野村課長からの話で、専門看護師はその資格  を取るのは非常に難しいですよね。認定看護師も150万円の授業料を払って授業を受けて、資格を  取って病院に戻っても何のインセンティブもないのです。それはいまのところ、医療費の中でそれ  がシステムとして認められていません。したがって、私は「進化する看護職」を話そうと思ってい  たのですが、その中でそういうインセンティブを入れない限り、若い看護師に魅力のある職場には  なりませんので、職場環境の改善とともに、150万円もかけて、ある一定期間休んで資格を取るわ  けです。戻ってきた彼女たちの仕事ぶりを見ますと、非常にモチベーションが高くて、しっかりや  っていただいております。したがって、その辺のインセンティブを予算の中に入れていただければ  と思っています。 ○和田委員  スキルミックスとか権限委譲、チーム医療というものを患者の視点から見ると、過渡期の状況にあ  って、いままでとは全然違うイメージになるだろうと思います。スキルミックスという状況の中で、  いままで以上にわからないことがいっぱい出てくるのではないかと思います。そこで重要なのは、  やはり、コミュニケーションをきちんと取って患者さん側にとってもわかるような対応が出来るか  どうか、そうしたソフトウェアの問題です。システムを変えていく際には、こうした現実に現場で  生じる問題を、1つの課題として捉えておく必要があるかと思います。それがうまくいかない場合  には、そこで認識の齟齬や紛争のリスクがいっぱい出てくるように思います。権限関係が変われば  変わるほど、患者さんとのコミュニケーション、法的な意味も含むリスクの整理を課題として意識  しておくことが必要ですし、それが患者さんのためにもいちばんいいのだろうということを補足さ  せていただきます。 ○大熊委員  出てきたことをいくつか混ぜて申し上げます。1つは、野村課長が最初にご報告された1頁目の「医  療関係職種」と、井上教授が出されたOECDの職種が一致していない。例えば、精神保健福祉士とか、  そういうものが入っていない。私は資料7に、朝日新聞にいる間に書いた社説などを再録させてい  ただいております。  資料7の1頁目をめくると、人口1,000人当たりの精神科病床というOECDのグラフが載っています。  これをご覧になりますと、どこの国でも病床数が減っているのに、日本だけが高い所で止まってい  るということがまざまざと見えるわけです。その1つの要因として、PSWが活躍できるようになって  いないとか、患者さんを病院に止どめておかないと収入にならない経営というものがあるとか、そ  の空いた所に認知症のお年寄りを招き入れて、認知症には最も悪い環境を作っているという事実が  あります。コメディカルを話すときには、必ず医療と福祉をつなぐ職種を念頭に入れて、何も医療  施設に従事しているという、主な医療関係職種という表にして限らないほうがいいのではないかと  思っています。  訪問看護師さんが減っていく理由の1つに、2.5人という制約があるとかなり言われています。2.5  人を割ったら訪問看護ステーションは廃止となっているために、随分辞めていく所が多い。看護師  さんたちの中では、お医者さんも1人で開業するのだから、看護師も1人で開業した上で、開業した  先生方同士で連携を取るようにというように、いまの規制を外してほしいということが、この間も  ある集まりで決議されておりますので、是非、訪問看護ステーションを増やし、家から訪ねてくれ  るように、気軽な訪問看護師さんを考えられたらどうかと思います。  メディエーターのことについて、最後の2枚のところに、昨日の大野病院事件の遺族の方のコメン  トを載せております。遺族のコメントは全部新聞などでは報じられていないので、是非、読んでい  ただきたいと思います。裁判では、あの最後の時点のことが正しかったかどうかということが論じ  られています。ここに書いてあるように、助産婦さんや先輩のお医者さんが、ここでは無理なので  はないかと加藤さんというお医者さんに散々言っているのに、「いや、自分1人でできるというこ  とから、あそこにつながったのだということなどがあまり報じられていないので指摘したいと思い  ます。  最後の頁に、その遺族のお父さんの要望を載せております。これは福島県の病院局長宛てに出され  たものです。これをご覧になりますと、非常に重要な点が書かれていると思います。周産期医療シ  ステムの運営状況の検証と見直し、各医療機関の役割を明確化するルール、医師の教育、ルールの  遵守、医師の計画的な配置、患者情報の管理の徹底、手術におけるビデオ記録の保存、その他。つ  まり、患者さんが訴訟という所へ行くときは、単に、非常にもやもやして悲しんでいるからメディ  エーターが間に入って慰めて、解きほぐすことも必要な患者さん、遺族もいると思いますが、それ  以上にいま訴訟になっているものは、自分たちが負ってしまった不幸をもう繰り返させたくないと、  かなり使命感を持った人たちが裁判という、非常に困難なことをやめずにやっておられるような気  がします。  現に、たくさんのメディエーターを勉強された方がいるのですが、その方たちが燃えつきたり、か  えって心理的に追い込まれたりしています。それはなぜかと言うと、患者さんたちは自分の不幸を  繰り返してほしくないから、病院の体制を変えてほしいと願っているのですが、院長とか病院の体  制が変わらないと、ただ、むなしく空回りし、間に入った人は苦しむということになります。  先ほど、伊藤雅治さんがこれにご関心ということをおっしゃっておりましたが、伊藤雅治さんたち  の全社連がやっていることで、真実を話そうというプロジェクトを病院の総体としてやっておられ  ます。それは、患者さんに事故だとわからなくても真実を述べるという、そういう風土を病院の中  に作り出すことです。具体的には、内野さんという相模野病院の院長さんの実践を見てもわかるよ  うに、院長さんを先頭にして、すべての真実を患者さんに話す。そうしたら、そのことで真実を話  した医療スタッフが非難されないように病院長は必ず守る。そういう仕組みの中にメディエーター  がいて、メディエーターは生きるのであって、メディエーターの個々の単体をたくさん作ると、ま   たいろいろな問題が起きてくるのではないかと思います。  もう1つは、クラークさんのことです。いまクラークさんたちの労働条件がかなり気の毒な状態に  あるようです。ちょうどいまホームヘルパーさんたちが安い賃金でどんどん辞めていってしまうよ  うに、とても世のため、人のためになるいい仕事と思って就いた人たちががっかりして辞めていく  現状がありますので、クラークさんがいることで解決ではないということを申し上げたいと思いま  す。 ○ 海野委員  いまの大熊委員のご意見のことですが、大野病院事件のことに関して私どもは、医療提供側の姿勢  が改めて問われているのは間違いないと思います。今後、その真実をどのようにわかり合えるか、  理解し合えるような状況を作るためのいろいろな手立てを、新しい枠組みの中で作っていかなけれ  ばいけないことは間違いないと思います。  私は実は和田委員の弟子で、メディエーター研修を受けて強く感じることは、やはり、我々医者は  そういう教育が不十分だと。忙し過ぎるということがいちばんあると思いますが、患者さんの立場  に立って、きちんと情報を開示していく。あるいはわかり合えるような環境を作っていく、その場  を作ること自体も病院という場ではなかなか難しいと理解しました。そういう中で、メディエータ  ー研修事業もそうですが、そういうものをみんなが受ける。それで経験することによって、もう一  遍病院という場を患者さんにとってより良い場にしていくことができるのではないかと感じており  ます。このメディエーターというのは、そういう形での効果もあるのではないかと考えております。 ○大熊委員  1つだけ付け加えます。いまのように病院全体の風土が変わることで非常に効果を発揮するのです。  お医者さんがそうではない状態でメディエーターの人が頑張ると、とてもかわいそうなことになる  ので、まず、院長とお医者さんが大事だと思います。 ○ 和田委員  まず、1つ誤解で、メディエーターは決して慰めたり、ケアしたりする存在ではなく、まさに、情  報開示とか、医師が向き合っての対話を合理的に進めていくためのスキル、専門性を持った人たち  ということです。  最後におっしゃったことは、そのとおりです。メディエーターは、上がサポートして初めて生きる  のです。ただ、今挙げられた全社連は、「真実開示・謝罪提供」を促進するために組織的にメディ  エーターを養成する方針を公表していますし、日本医療メディエーター協会でも中心的位置にあり  ます。国家公務員共済連合会や、私立医科大協会、愛媛県医師会なども、多くの病院団体が、まさ  に上からの導入を始めています。現在では、上が情報開示と合わせて、率先して導入しようとする  動きに合わせて養成が行われているのが実態です。例えば、北里大学病院のように、院長が率先し  て導入を図り、教授の先生方も含め何十人もトレーニングを受けている所もあります。メディエー  ターの育成だけでなく、医師の日常的な患者さんと向き合う姿勢の涵養にもつながっています。  しかし、上のサポートがないとうまくいかないのは確かです。そういう病院はそもそも経費負担し  てまで、メディエーターを導入しようなどとしないのですが、要因としては、やはり、財政的に苦  しいこともひとつです。ですから、病院全体でサポートするようなカルチャーを作ることと、もう  1つは、現実的な背景として、そこに財政的に何らかのインセンティブを付けてあげる。それがあ  って、初めてより多くの医療機関に進んでいく。そのためにこそ、是非、ここで予算としてお願い  したいということです。 ○土屋委員  私もそれを言いたかったのですが、和田委員の資料の17頁を見ますと、医師の受講が出ていますが、  院長、副院長が31といちばん多いのです。私も和田委員のお手伝いで理事をやっておりますが、い  ま大熊委員が言われたように、まず、病院が変わらないといけないというのが大原則です。その上  で、メディエーターが必要である。メディエーターを置いて、院長が逃げるような印象を受けても  らっては大変困ると思いますので、あえて発言をさせていただきました。 ○高久座長  井上先生にお伺いしたいのですが、確かに、日本の病院の看護師の数は少ないですね。現実的には、  看護師の数を増やさなければならないことは事実です。一方で、休職されている方はたくさんいら  っしゃる。そうすると、この委員会では、医学生の数を増やすという話をしてきたのですが、看護  の分野では看護学生の数を増やすという方向を考えておられるのか。それとも、離職した方のリク  ルートを増やすのか。両方なのでしょうが、どちらのほうに重点を置いておられますか。 ○井上教授  いままでのシステムでは、離職した人に研修をして復職を促していましたが、看護協会もそれを一  生懸命なさっている時期がありましたが、さほど効果が上がってなくて、一旦、離職すると復職は  かなり難しい状況があるのではないかと思います。  学生の数を増やすというよりも、先ほどの結論でも申しましたように、教育を4年制大学のほうに  移して、それと同時に現職の雇用数もせめて倍増ぐらいにして、勤めている方たちがもう少しゆと  りを持ってスキルアップしていく、勉強を積み重ねていける環境を作ってあげた上で大学生が増え  ていくと、きっとプロとして育っていく意欲は大学生にはありますので、そこで自然に定着率が上  がっていくのではないかと思っております。 ○高久座長  現実にいろいろな病院で、看護師さんを集めるのに苦労していますね。ということは、増やすこと  がなかなか難しいと考えざるを得ないと思いますが、具体的に、例えば病院の定員数を増やしても、  なかなか集まらない。 ○井上教授  増やすと言いましても、先ほど就業形態のデータが出ていましたが、やはり、女性のライフサイク  ルに合った、短時間正規雇用型とかいうように、いろいろな就業形態を病院の中で工夫して取り込  んでいかざるを得ないと思います。短時間でも継続して仕事を続けることで医療の進歩にもついて  いけますし、また、長時間勤められる時期が来ると、その時には仕事をフルタイムに切り替えて続  けてやっていこうという人がきっと多くなると思います。大学生といろいろ話をしていますと、い  まの女子学生は本当に職業に対してきちんとした考え方を持っていますので、その環境を整えてあ  げれば、定着率は進んでいくと思っております。 ○嘉山委員  潜在看護師さんのことを研究した論文を読んだことがあるのですが、もちろん、4年制大学の人の  ほうが離職者が少ないことはこの表でも事実です。離職したあとにもう1回復帰するのは難しいと、  看護協会の方々が考えていらっしゃるのですが、実は、潜在看護師さんのインタビューの内容を聞  きますと、保育所がないとか、戻って来にくいというのがあるのです。それは短期間であればある  程、戻る確率は高いので、これ以上看護大学を増やすのはどうか。確かいまは200ぐらいあるので  すね。 ○井上教授  160ちょっとです。 ○嘉山委員  これ以上増やして、教官がそれこそ質が保てるのかとか、いろいろな問題があると思います。先生  方もそれはお感じになっている。私も学部長をやっていますから、看護学科の教官を集めるのがす  ごく大変で、これ以上増やすというよりは、私は看護協会の方々にお願いをしたいのは、看護師さ  んの数を確保する上で、潜在看護師の方々が、もう1回カムバックできるような職場環境とか、保  育所とか、そういうことをアシストしてあげることも非常に大事なのではないかと考えているので  すが、いかがですか。 ○井上教授  確かに、一端離職してから年数が経つと復職は難しいと思います。離職後それほど年数も経ってい  ない方たちは、環境を整えることでかなり戻ってくる確率は高いと思います。ただ、4年制大学に  というところは。 ○嘉山委員  まだ、4年制大学の卒業生の数は少ないですよね。 ○井上教授  少ないですね。先ほど在宅看護でのナースの裁量権の話も出ておりましたが、チーム医療を推進す  るという意味においても、やはり、これからの看護師には、十分に考える力、判断力、そういう力  をつけていくことが重要だと思います。その意味において大学教育は必要なのではないかと思って  おります。 ○嘉山委員  ここは、海野委員がお話になった予算のことを確認したほうがいいのではないかと思うのですが、  提案させていただきます。 ○海野委員  予算関連事項整理(案)のことでよろしいわけですね。 ○高久座長  はい、そうです。 ○海野委員  論点の1回、2回、3回の分を総合した形で、予算関連事項整理(案)を作りました。1つは、医師養  成数の最大の問題はそうだろうということです。これはほぼ決まっているのでしょうが、中長期的  なことは除いて、来年度予算を考えて、短期的な対策に絞ってまとめております。ですから、医師  養成定員に関しては、過去最大の定員を目途にということになるかと思います。  あとは短時間正規雇用の普及の促進を図る。これも看護師さんの問題とかなり重なる部分がありま  すが、女性医師の継続的就労を図るための院内保育等の整備ということになるかと思います。過剰  な勤務に対する評価をどのようにするかに関しては、当直体制を実態に見合う夜間勤務に改め給与  を支払う、ということを考えていかざるを得ないだろう。この労働基準法に従って、最終的には労  働基準法を目標にすることになるのでしょうが、現状ではそれを外れる部分でも、やはり、その労  働に対してはきちんと評価しなければならないのではないかと考えております。  24時間体制をとっている、少ない人数でとっている所では、どうしてもオンコールという形で、こ  れで月間で540時間は時間外になりますので、そのオンコールの拘束の時間に関する手当の問題が  あるかと思います。それに関しての実態がいまひとつ明らかでない部分があるかと思います。医師  の編在と教育の問題に関しては、繰り返し議論になっている医師養成のあり方について、検討する  場に関することを、私の考えも入っているのですが、とにかく今年度に設置して、一定の方向をま  とめて、今年度中に、厚生労働大臣に報告するまでやるべきではないかということです。  まず、基幹病院の定員を増やして、その上で派遣前、派遣中、派遣後のサポートができる体制整備  をしつつ、医師派遣を考えていかなければならないだろう。個別診療科の問題もありますが、小児  救急、周産期医療、時間外の手術に関するインセンティブの付与がどうしても必要になるかと思い  ます。  地域医療、救急医療に関しては、特にトリアージの問題に関しては、数のコントロールの施策の予  算措置を考えていくべきではないか。コメディカルに関しては、今日の議論は先取りした感じにな  っていますが、短時間正規雇用の問題の普及。新人教育の部分が、看護師のキャリアの定着に非常  に重要だろうということで、実際、現場で指導している看護師さんたちの負担に関する正当な評価  が必要だろうということです。もちろん、4年制大学への移行も、教員の問題もありますが、方向  性としては今後安定的に看護師さんのキャリアを伸ばしていくためには必要なことだろうと思いま  す。  今日、土屋委員と私のほうから、コメディカルのスタッフ、パラメディカルのスタッフということ  で、薬剤師さんに関して、資料6-2、3、資料10ということで出ております。結論から言いますと、  とにかく日本は、病院薬剤師はめちゃくちゃ少ないのです。薬剤師自身は、数はどんどん増えてい  るわけですが、その中で、病院薬剤師の割合がどんどん少なくなっているような現実がある。  今後、スキルミックスを考える上では、チーム医療の役割分担を考える中で、どれだけの病院薬剤  師がいるべきであるのか、という議論がどうしても必要になるのではないかと思います。取りあえ  ず、私がまとめたのはここまでです。 ○土屋委員  短時間雇用の正規職員というのは、先ほど井上先生がお話になった資料9がいちばん端的だと思い  ます。これは35時間未満での正規雇用というのは、日本ではほとんどやられていない。やはり、ワ  ーキングシェアをしなければ戻ってこないということです。  戻ってくるのについても、ベースの数が定員がなければ戻っていく必要がないので、今日は、持ち  込み資料を出させていただきましたが、コメディカルの雇用数増加に関する試算という形で、資料  3-1、2を出させていただきました。  先ほど機関病院ということがありましたが、特定機能病院と地域医療支援病院の雇用数をコメディ  カルに関しては2倍にするには、大体、8,000億のお金がいるということです。これを、400床以上  の一般病院に広げた場合の試算が、試算の2ですが、この場合には2兆円以上のお金がいるというこ  とです。  いずれにしろ、雇用の枠を広げなければ増やしようがないのと、やはり、戻りやすい環境が連動し  ないとなかなか増えないだろうと思います。 ○嘉山委員  この会は4回目になっていますが、大臣が、「安全と希望」ということで、国民の目線でというこ  とでしたが、まず、基本的に押さえておきたいことがあるのです。日本の医療はWHOでは、前にも  データは出しましたが世界1です。この予算に関係するところで、日本の医療費がOECDで27位とい  うことももう1度確認していただきたいのです。高等教育費は、OECDで29位です。そのことも今日  は記者の方がいらっしゃるので確認しておきたいと思います。  なぜ日本の医療が高いかと感じるかというと、窓口での支払いが制度的に高いからであって、実際  は日本の医療費は非常にOECDの中で、GDP比では非常に低いということをもう1度確認したいと思い  ます。ただ、それは厚生労働省、文部科学省、財務省が悪いわけではなくて、閣議決定でありまし  たので、これは国民が決定したことだったのです。ところが、福田総理大臣と舛添大臣が舵切を大  きく今回変えたわけです。要するに、教育費と医療費の制限の一部の閣議決定を外したわけです。  文部科学省にしても、我々が医師を増やすということになりますと、限られた予算の中から分けな  ければいけないことになりますので、私どもとしては、医師を増やすというところでは、例えば初  等教育とか、そういう所に影響になったら、文部科学省としても非常に困るわけです。したがって、  教育費の全体を上げることを、このビジョンの会からきちんと言うべきではないかと思います。  医療費に関しても、医療費の中でまたあるパイの中から取っていくことになりますと、それは非常  に問題になります。ただ、医師の数を増やしただけでは、看護師の数を増やしただけでは職場環境  の改善にはなりません。これは結局、国民のためになりませんので、医療費の全体的な増額をこれ  にリンクしてやらなければ、第4回まで話してきたことはすべて意味がなくなるのです。どこかが  返って犠牲になることになります。  これは厚労省、文科省、財務省ということではなくて、国民がこういうふうなことを内閣が決めた  わけですから、医療費と教育費の増額も含めた形で今日のような細かいビジョンを出していってい  ただけたらと考えます。以上です。 ○高久座長  どうもありがとうございました。おっしゃるとおりだと思います。 ○和田委員  これは質問ですが、海野委員がこれまでの議論をきれいにまとめていただきました。細かな数値と  かはともかく、ここに上がっている項目は予算の中にそのままこういう形で反映するだろうと理解  してよろしいでしょうか。 ○岡井委員  この会で合意できれば提言なり、この会の結論として答申なりする形になるのではないですか。み  んなが合意して、これお願いしますということで、それはやりたいですね。 ○嘉山委員  例えば、医師の定員増にしても、ここに提言として出させていただきましたので、これを今度は大  臣が文部科学省とか財務省と話し合いになるのではないかと思いますので、このビジョンの会議で  具体的な数字をあげていくための会だと思っているのですが。 ○高久座長  私もそういうふうに理解をしております。最終的に実現するかどうかはこの委員会の問題ではなく  てもっと上のほうの問題だと思いますが。他にどうぞ。 ○ 小川座長代理  大体いろいろな話が出て、いま、海野先生と嘉山先生でかなり小括されたと思うのですが、基本的  には私もそのように思っています。  医師の数が足りない、看護師の数が足りない、数だけではなくてクオリティも追及していかなけれ  ばいけない。そして最も肝要なのは、技術量とか練度に対する手当というものが考慮されていない  ということなのですが、ここで厚労省予算、文科省予算の中での取り合いというよりは、是非国民  の認識として日本の医療というものは世界に比してOECD対GDP比ですが、27位という安い経費でか  なり立派なものが行われているとの認識です。問題はもちろん多くあり是正していく必要がありま  すけれども、このエビデンスをやっぱり認識していただいたものと思います。次に医師数増、その  内容是正などに必要とされる医療経費あるいは文教経費のようなものを、少ない予算内での取り合  いではなく、これはそれに見合ったものをextra.として考えていただくということを提言する。そ  してそれに対しての細かいディーテルについてはまた何回かで詰めて提言して行ったらいいのでは  ないかと思います。基本的な考え、プロセスはいま高久先生が言われたことと私は一緒です。 ○高久座長  海野先生のこの予算の提案の中、2頁目に、病院医師の過剰な勤務という問題がありますが、私は  もともと内科ですが、いま、非常に切実に危機感を持っています。外科医が少なくなっていること、  内科医は、内科の先生がいらっしゃると思いますが、本を読んで勉強すれば対応できるのですが、  外科医は技術をある程度習得しなければならない、そこで外科医の減少というのは非常に危機的な  状態だと思いますので、これ是非海野先生、外科医に時間外手術というか、こういうことよりもっ  ともう少し外科医を少し優遇しないと日本の患者さんが外国に行って手術を受けるというような、  これは他の国でありますが、日本ではやっぱりそういうことは是非起こらないようにしてもらいた  い。外科の先生ですので是非頑張っていただきたい。むしろ予算の問題ですね。 ○海野委員  その外科系の立場で申しますと、やはり診療報酬の中にドクターフィーを導入することを希望して  います。手術等の高度な技術を診療報酬でどういうふうに評価して、それが医師の収入にどういう  ふうに反映されるかということにかかっていると思うのです。 ○高久座長  おっしゃるとおりだと思います。 ○岡井委員  先生、外科医入っておりますよ。 ○海野委員  それはまあ、もっと。 ○岡井委員  もっとということですか。 ○海野委員  そう、もっと。 ○岡井委員  もっとということですね。 ○海野委員  それでないと。 ○高久座長  本当に、僕もある有名な外科の先生の話を聞いたときにですね、いま自分の技術を引き継ぐ人は  いないということ。そういうことが起こると非常に大変。 ○嘉山委員  外科系の学会の主なテーマの1つに、技術の伝承が大きく取り上げられています。それはもう成  り手がいなくなっていることを示しています。先ほど麻酔科も同じだと思うのですが、こういう  減少していくカーブになっていますから、この辺の人は辞めていきますね、これから。いちばん  大事なのは、外科ではトップランナーです。つまり難しいやつをやれる人がいなくなってしまっ  たら、その国の医療のレベルは何十年と遅れますから、その辺先生よろしくお願いいたします。 ○高久座長  どうもありがとうございました。そろそろ時間になりました。最後に大臣にお話をいただく予定  でしたが、ちょっとご都合があって来られないということで、次回以降について事務局のほうで  説明をしていただけますか。 ○間企画官  次回の検討会につきましては、すでに皆様ご案内のとおり、23日及び24日に開催を予定しており  ましたが、諸般の事情によりこれを中止させていただきまして、次回は27日水曜日にこの続きを  開催させていただきたいと存じます。ご了承くださいますようお願いを申し上げます。 ○高久座長  あれは何時から、5時半ですか、5時ですか。 ○間企画官  はい、また追ってご通知申し上げますが、大対概ね5時半ぐらいを目途にしたいと思っておりま  す。 ○小川座長代理  事務局に基本資料を整理しての提示を次回にお願いしたいと思います。我々このメンバーがいろ  いろなことを言っても、やっぱりエビデンスに基づいた客観資料を示しての論戦をしていってま  とめていかないと具合が悪いと思います。我々は国民・社会にきっちりと説明をすることが重要  です。かかる意味で、次回はこれまで議論された点、例えば、(1)各国においての総合医の位置づ  け、育成の仕方、卒前・卒後教育、あるいは生涯教育の在り方などを出来るだけ判りやすく比較  提示していただきたいと思います。あるいは、(2)各専門科のアンバランス是正のやり方ですね、  いま非常に日本で危機に陥っている麻酔科とか救急とかにどういうインセンティブを与えてバラ  ンスをとっているか、あるいはどうやって適正な数を定めてやっているかということも整理して  いただきたいと思います。更には、(3)看護師さんの問題が今日脚光を浴びましたが、医師とコメ  ディカルの連携の具合も日本の実状を整理して、議論する要があります。数年前に医政局長が通  達をしなければいけないぐらいチーム医療というものをもう一遍箍を締め直さなければいけない  と思うのです。そういう意味で外国ではどういうふうになっているかということをきっちり説明  して、日本の理想の在り方というものを提言していくことが重要です。これもやはりきちんとし  た諸外国と対比してのデータに基づいて論議・提言するのが正しいと思いますので、是非事務局  にその辺の基本資料をまとめていただければと思います。後2回か3回でそのようないろいろなパ  ラメーターにより分析されたエビデンスに基づいた提言をしていきたいと思いますので、ひとつ  よろしくお願いします。 ○高久座長  はい、どうもありがとうございました。  それではこれで今日の会議を終らせていただきます。先生方、どうもありがとうございました。 (照会先)  厚生労働省医政局総務課  松淵、丸茂 (代)03−5253−1111(内線2516、2548)