08/08/20 第26回独立行政法人評価委員会国立病院部会議事録 独立行政法人評価委員会国立病院部会(第26回) 開催日時:平成20年8月20日(水)13:30〜 開催場所:経済産業省別館1014号会議室 出 席 者:猿田部会長、永井部会長代理、辻本委員、夏目委員、山田委員、渡辺 委員、田極委員、住田委員、大道委員 ○猿田部会長  皆様方、大変暑いところを本日の第26回の評価委員会国立病院部会にご出席 ありがとうございます。今日の委員の出席状況ですが、山田委員と渡辺委員が少 し遅れて来られるという連絡を承っております。あとの方はお見えになっており ます。それでは早速始めさせていただきたいと思います。最初に事務局から本日 の議事についてご説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  本日の議事につきましては、平成19年度の財務諸表に関する意見、及び総合 評価、中期目標期間の暫定評価、役員の退職金に係る業績勘案率について審議を 進めていただきたいと思います。まず、財務諸表に関する意見につきましては、 担当委員である住田委員からヒアリングの結果をご報告いただき、それを踏まえ ご審議いただきます。  次に平成19年度業務実績について、前回までの個別評価の結果に基づき、起 草委員において起草いただいた総合評価の案及び評価シートの評定理由案等につ いてご審議いただきます。また、これまで皆様にご記入いただきました評価シー ト、原本につきまして机の上に置かせていただいておりますA3のものです。こ れはご参照いただけたらと思っています。それから、後ほど確認をしていただく 時間を設けております。  次に、中期目標期間の業務実績の暫定評価についてご審議いただきます。暫定 評価につきましては、お手元の「独立行政法人評価関係資料集」の17頁です。「厚 生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」ということになって います。  18頁の中ほど下のほうに、「3.中期目標に係る業務の実績に関する評価」がご ざいまして、19頁の真ん中辺りに(3)評価委員会における評価の具体的な実施 方法がございます。その(1)ですが、「評価結果を次期中期目標策定等へ反映させる 観点から、次の手順により中期目標期間最終年度において暫定評価を行うことと する」とされております。  2つ目の○ですが、「暫定評価に当たっては、各部会において法人からヒアリン グを実施し、本基準に基づき、中期目標期間に係る一次評価を行った上で、総会 において暫定評価を決定する」とされています。つきましては、これまでの各年 度の業務実績の評価等を基に、起草委員の先生に暫定評価結果(案)を作成して いただきましたので、これについてご審議いただきます。いま資料集に沿ってご 説明申し上げたとおり、暫定評価につきましては年度実績評価と違いまして、部 会において暫定評価結果(案)を審議していただいた後に、8月27日にあります 総会において、最終的に暫定評価結果を決定することとなっていますので、よろ しくお願いします。  最後に、国立病院機構におきまして役員が退職され、機構より「役員の退職金 に係る業績勘案率」の算定依頼がまいっておりますので、これをご審議いただき ます。  それから、先般、総務省のほうで、すべての独立行政法人の役員の給与等の水 準を一覧にした資料を公表していますので、参考資料1として付けています。参 考資料1をご覧ください。  これは総務省行政管理局から、各府省の独立行政法人評価委員会の委員長宛に 出された事務連絡です。この取扱いについてですが、こちらは総務省が全法人の 状況をまとめたものとしてご参考までに送ってきたものと認識しています。こち らについては、当部会においても、前回までにご審議いただいた中で、法人なり 所管課のほうから、特にラスパイレス指数についてご説明をさせていただいてい るところです。特に留意いただきたい点としましては、7頁目に資料1「職員の 給与水準」があります。右側の欄に対国家公務員指数(年齢勘案)として、平成 18年度、平成19年度と比較した数値、それから対国家公務員指数(年齢・地域・ 学歴勘案)として、平成18年度、平成19年度と比較した数値を整理したもので す。総務省において、全法人、全独立行政法人について、一斉に整理をしたもの です。以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いま本日の進め方をお話しいただきましたが、 お手元にある議事次第を見ていただければ、その形かと思います。お手元の資料 は大丈夫でしょうか。もし、よろしければ、最初の議事の「国立病院機構の財務 諸表等に関する意見」ということで、ここから入らせていただきます。この総合 評価書ならびに財務諸表に関する意見につきましては、起草委員の先生方に大変 お忙しいところをご苦労いただきました。  これに対しまして、最初に審議に入らせていただきますが、これに関しては独 立行政法人通則法第38条に基づきまして、独立行政法人評価委員会の意見を聞 いた上で、厚生労働大臣が承認することとされています。いま机上に資料があり ますように、財務諸表の適正性等についての意見について、担当されました住田 委員からご説明をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○住田委員  それでは財務諸表の適正性等についての意見について申し述べさせていただき ます。いま委員長がおっしゃいましたように、机上配付資料1に記してあるわけ ですが、読み上げさせていただきます。  財務諸表の適正性について、検討した結果を申し上げます。提供されました財 務諸表等の資料につきまして、平成20年8月1日に国立病院機構及び独立行政 法人通則法第40条に基づき選任されております会計監査である新日本監査法人 の2名の方から説明を受け、意見聴取をさせていただきました。  国立病院機構に対しては財務諸表全般について、特に私が必要と考える個別会 計処理について質疑を行いその妥当性を確認させていただきました。次に、日本 における3大リーディング監査法人である、いわば大手監査法人ということです が、新日本監査法人、現在では7月1日に組織変更のために新日本有限責任監査 法人となっておりますが、同監査法人が実施しました監査の方法及び概要に関し まして、同監査法人から提出を受けました監査実施報告書の検討及び、これに関 しての質問をさせていただきました。  この結果、同監査法人では相当数の公認会計士・会計士補により時間数にして 9,774時間(平成18年度は1万2,623時間)で、時間数は下がっていますが、こ れは別に省いたというわけではなくて、効率的にやったと考えています。この 9,774時間の執務時間をもちまして、本事業年度の監査を十分に実施しているこ とを確認させていただきました。同監査法人の監査の結果は、財務諸表等33頁 に掲載してあります独立監査法人の監査報告書におきまして、会計監査人として 財務諸表が適正に表示している旨の意見の表明がなされております。私はこれか ら判断させていただきまして、国立病院機構の当事業年度、平成19年度の財務 諸表は適正に作成されており、申請どおり承認することが適当であると考えます。  ご参考までに、同監査法人の監査実施報告書におきまして会計業務に関する主 な課題として、次の事項が指摘されており、対応策が示されています。1番とし て、医事窓口における内部統制上の課題。2番として、会計伝票の整理・保存方 法のルール化。3番としまして決済書類の整備、この3項目はいずれも有益なる 指導・勧告等と考えられることから、今後十分に検討されることが望ましいもの と考えております。  次に、平成19年度の財務状況は平成18年度と比較した場合、経常利益は平成 18年度124億円に対して、平成19年度は289億、倍以上の驚異的な大幅増加と なっています。また、当期純利益につきましても平成18年度は90億円でありま したが、平成19年度は239億円、倍以上の大幅な黒字を計上されており、この 結果、4期連続経常収支のプラス、平成19年度経常収支率は103.8%になりまし た。3期連続の黒字と著しい好成績を計上されています。国立病院機構債は、平 成19年度においても50億円の発行があり、残高は110億円となっていますが、 財政融資資金借入金期末残高につきましては、平成19年度は平成18年度よりも 474億円減少の6,391億円となっています。これらは平成19年度事業概要説明 資料の頁4に記されているとおり、自己資金を活用して病院機能の向上に資する 整備を実施し、借入金残高を減少させたということになるものと評価いたします。  以上から判断いたしまして、財務諸表を確認した者としての財務の健全性及び 改善に関する私の意見といたしましては、平成19年度におきましても、国立病 院機構の収支改善は理事長以下、全職員の皆様の懸命なる経営努力の下に、引き 続き着実に成果を上げられているものと評価するとともに、財務諸表等、9頁の 「利益の処分に関する書類(案)」に利益処分額として記載されている独立行政法 人通則法第44条第1項による積立金は法令に適合しており、妥当なものと考え る次第であります。  ただし、さらなる収入を増加させるために必要な医師等の確保及びさらなる費 用の節減、そして病院建物を初めとする医療設備の充実・強化等課題は引き続き 残されており、今後とも、より以上の経営改善に取り組まれることを期待いたし ます。以上、報告します。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。ただいまご報告いただきましたが、このご意 見に対しまして、どなたかご意見がございますか。非常に健全にやられて19年 度も大幅な黒字も出ていたということです。 ○夏目委員  全く異論はないのですけれども、参考までに教えていただければということで す。1頁目から2頁目のところで、監査法人から主な課題ということで、次の事 項が指摘され対応策が記されていますと。この中の決裁書類の整備というのが3 番目にあるのですが、これは決裁書類がほとんどない状態でやっているというこ とではないのですか。 ○住田委員  そうではないのです。 ○夏目委員  もう少しきちんとしなさいというようなことなのですかね。 ○住田委員  そうですね。実は私は同じ職業人として、この内容はちょっとプアだ、要する にもっとしっかり書けと私は言ったのですが、そういうことではないのですが、 やはりもう少し、監査法人の人にももっと有益なる助言をしてくれと、これは率 直に言ってあまり大したことではないのです。別に何の問題点も私はないと思う のですが、そういうことです。 ○夏目委員  わかりました。 ○猿田部会長  ほかにどなたかご意見ございますか。 ○住田委員  何か書かなきゃいけないのですが、書いちゃいけないと言ったのですが、私は 非常によくされていると思うのですけれども。 ○猿田部会長  ほかにご意見ございますでしょうか。もし、特にご意見がなければこの形でお 認めいただけますでしょうか。そうしますと、この資料としてもう1回まとめて 厚生労働大臣に提出したいと思います。このような形でお認めいただいたという ことにいたします。どうもありがとうございました。  それでは第1番目の財務諸表等に関する意見については終わったということに させていただきます。続きまして、第2番目の「国立病院機構の総合評価につい て」を審議したいと思います。まず事務局から平成19年度の業務実績全般の評 価という総論部分をご紹介いただきまして、その上で起草委員である永井委員か らご講評をいただくという形で進めさせていただきたいと思います。事務局から お願いします。 ○政策評価官室長補佐  お手元の資料2をご覧ください。独立行政法人国立病院機構の平成19年度の 業務実績の評価結果(案)です。1頁、1.平成19年度業務実績について、(1)評 価の視点。独立行政法人国立病院機構は、国立病院・療養所(国立高度専門医療 センター及びハンセン病療養所を除く)の業務を承継して平成16年4月に新た に独立行政法人として発足したものである。今年度の国立病院機構の業務実績の 評価は、平成16年4月に厚生労働大臣が定めた中期目標(平成16年度〜20年 度)の第4年度(平成19年4月〜20年3月)の達成度についての評価である。  当委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」 等に基づき、平成18年度までの業務実績の評価において示した課題等、さらに は、独立行政法人整理合理化計画(平成19年12月24日閣議決定)、総務省政策 評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意見や取組方針も踏まえ、評価を 実施した。なお、本評価に当たっては、本部からの実績報告とヒアリング等の部 会審議に先立って一部の病院の視察も行い、その結果も踏まえつつ評価を行った。  (2)平成19年度業務実績全般の評価。国立病院機構は、安全で質の高い医療 を効率的に提供していくことが求められている。具体的には、国の医療政策を踏 まえつつ患者の目線に立った適切な医療を提供する診療事業、国立病院機構のネ ットワークを活用した臨床研究事業、質の高い医療従事者を養成する教育研修事 業等を安定的な経営基盤を確立しつつ効率的・効果的に運営していくことを目指 している。  独立行政法人に移行後4年度目に当たる平成19年度においては、初年度から 取り組まれた病院長の裁量・権限の拡大等を通じた業務進行状況の迅速な把握と 業務改善への努力により、全体として着実に中期目標を達成していることが伺え る実績となっている。  特に積極的な業務運営の効率化と収支改善に向けた取組は、評価目標に掲げる 経常収支に係る目標を4期連続して達成したことに加え、これまでの実績を大き く上回る純利益239億円を計上するなど特段の実績を上げている。こうした全体 としての大きな成果は、理事長のリーダーシップの下に、各病院長を初め職員が 懸命な経営努力をした結果であり、QC活動(病院職員が自施設内の課題に応じ て小グループを構成し、業務の質の向上を目指して取り組む自主的活動)などに 代表される職員の意識改革がもたらしたものと高く評価する。ただし、個々の病 院に目を向けると、不採算な医療分野を担う側面はあるものの、赤字体質となっ ている病院も見受けられることから、平成19年度末に経営改善計画(再生プラ ン)を策定した病院においては、同計画を着実に達成するようさらなる収支改善 に向けた努力を望むとともに、それ以外の病院、本部においても継続した努力を 望みたい。  また、平成19年度においては、セカンドオピニオンの専門窓口の設置病院の 増加や全病院における医療相談窓口の設置及びMSWの大幅な増員、患者の利便 性を考慮した多様な診療時間の設定、さらには地域連携クリティカルパスの活用 など質の高い医療の提供について着実に実績を上げている。  さらに、国立病院機構のネットワークを活かした臨床研究活動やEBM(根拠 に基づく医療)の推進に向けた取組が順調に進捗しているほか、質の高い治験の 推進に向けた取組も大いに実績を上げている。  今後とも、患者の目線に立った良質な医療と健全な経営とバランスがとれた一 層の取組を期待したい。  なお、国立病院機構の契約に関して、平成19年12月に策定・公表した「随意 契約見直し計画」に沿った取組を着実に実施するとともに、国会等で指摘されて いる一般競争入札における高い落札率についても改善すべきことは改善し、独立 行政法人としてより透明性と競争性の高い契約の実施を望みたい。  これらのことを踏まえると、中期目標の4年度目に当たる平成19年度の業務 実績については、全体としては国立病院機構の設立目的に沿って適正に業務を実 施したと評価できるものである。また、各都道府県の新たな保健医療計画におけ る4疾病、5事業に対応する医療機関の明記や、全国的な医師不足への対応とし て各医療機関が役割分担する体制づくりが求められている中で、国立病院機構に おいても、こうした医療政策における役割等も踏まえ、全国146病院のネットワ ークを活用して、今後も積極的に我が国の医療の向上に貢献していく姿勢を期待 したい。  中期目標に沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個 別項目に関する評価資料については、別紙として添付した。  次の「具体的な評価内容」については、ただいまのところの詳細になっていま すので省略させていただきます。  別紙の評価シートをご覧いただきたいと思います。評価シートの中の評定理由 について読み上げます。6頁、評価項目1、患者の目線に立った医療の提供、評 定がA、評定理由、インフォームドコンセントの促進として全病院に医療相談窓 口を設置、123病院にセカンドオピニオン窓口設置、クリティカルパスの促進及 び活用、患者満足度調査の実施及び実施結果を踏まえたサービスの改善等のさま ざまな取組を評価する。また、医療ソーシャルワーカーの増員によるきめ細やか な相談体制の充実も評価する。  14頁、評価項目2、患者が安心できる医療の提供。評定がA、評定理由、医療 相談窓口の個室化等患者プライバシーに配慮していること。全病院で倫理委員会 を設置したこと及び審議内容をホームページで公表するなど透明性の確保を図っ ていること。医療安全対策に係るさまざまな施策や取組、転倒・転落事故防止マ ニュアルの作成等の取組を評価する。また、医師不足が叫ばれる中での救急患者 の中期計画達成についても評価する。  23頁、評価項目3、質の高い医療の提供。評定がS、評定理由、クリティカル パス件数の大幅な増加だけではなく、地域連携クリティカルパスに積極的に取り 組んでいる。EBMの推進としての臨床評価指標の開発及びEBM普及のための研 修会の実施に取り組んでいる。長期療養患者のQOL向上のため療養介助員を大 幅に増員している。病診連携では紹介率・逆紹介率も着実に増加しているだけで なく高額医療機器の共同利用についても着実に実績が上がっている。心神喪失者 等医療観察法に基づく整備等の政策医療も適切に実施している。以上の実績及び 取組について高く評価する。  33頁、評価項目4、臨床研究事業。評定がS、評定理由、EBM推進のための エビデンスづくりとして、全国ネットワークを活用した大規模臨床研究が順調に 進展している。臨床研究センターの評価としては実施症例数等による活動状況を 評価するとともに活動に応じた研究費の配分により研究活動の推進を図っている。 このほか治験の推進のための治験コーディネーターの配置、本部からの専門職員 の支援、治験に係る業務手順書の作成等により順調に進展している。その他、高 度先進医療技術の開発等については、特許出願数も増加している。以上の実績及 び取組について、高く評価する。  42頁、評価項目5、教育研修事業。評定がA、評価理由、レジデント数の確保 については、中期計画を達成できていないが、医師・看護師とも着実な養成を行 い成果が上がっている。研修医の研修プログラムについては複数の病院で研修を 行うなど機構のネットワークを活かし成果を上げている。看護師のキャリアパス 制度については、全国統一の研修ガイドラインの運用、教育担当看護師長の配置 や研究休職制度の施策を講じている。また、地域の医療従事者を対象とした研修 も実績を上げている。以上の実績及び取組について評価する。  45頁、評価項目6、災害等における活動。評定がA、評価理由、災害等におけ る活動については、平成19年度では新潟県中越沖地震の際には、3病院から直ち に医療班を派遣している。また、災害医療研修も着実に進展している。以上の実 績及び取組について評価する。  54頁、評価項目7、効率的な業務運営体制の確立。評定がA、評定理由、本部・ ブロック組織については、役割分担の明確化と組織体制の整備により、効率的な 運営に努めている。内部監査の充実など本部職員による支援業務も評価する。ま た、弾力的な組織の構築として、看護職の副院長配置についても評価する。技能 職の削減については計画を上回る実績を上げているが、業務の質が低下しないよ う配慮も求めたい。  62頁、評価項目8、業務運営コストの節減等、業務運営の効率化に関する事項 です。評定がA、評定理由、医薬品の共同入札をはじめ、高額医療機器の共同購 入等スケールメリットを活かした取組による費用節減を評価する。また、在庫管 理の徹底などにより、手術件数の増加にもかかわらず、材料費率を低下させたこ とも評価する。一般管理費の節減についても中期目標を大きく上回っている。  69頁、評価項目9、医療資源の有効活用。評定がS、評価理由、高額医療機器 の共同利用数は中期計画を大幅に上回る実績となっている。病床の効率的な利用 については、状況・必要性等に応じて、整理・集約を図る一方で、当該人員につ いて、病院内の他病棟での活用による上位基準取得等、効果的・効率的な活用が 図られた点は高く評価する。  73頁、評価項目10、診療事業以外の事業に係る費用の節減等。評定がA、評 定理由、外部競争的資金の獲得については、特に治験における受託研究費の堅調 な伸びは評価できるが、より一層の発展を望みたい。教育研修事業における収支 率の改善についても中期計画を上回る実績となっている。  77頁、評価項目11、財務会計システムの導入等IT化の推進、業務・システム 最適化です。評定がA、評定理由、財務会計システムの整備等により、月次決算 の精度が向上することで、より適切な経営改善につながっているものと評価する。 医事会計システム等個別に構築されていたシステムの統合を図りデータ一元化へ の取組も評価する。  80頁、評価項目12、経営の改善。評定がS、評定理由、大幅な経営改善は高 く評価する。個別病院ごとの再生プランの策定も非常に重要であり、今後の目標 達成に向けたさらなる努力を注視していきたい。  83頁、評価項目13、固定負債割合の改善、重要な財産の譲渡等になります。 評定がS、評定理由、固定負債割合の改善は、中期計画を大幅に上回る実績であ り高く評価する。  88頁、評価項目14、人事に関する計画。評定がA、評定理由、技能職の削減 については、中期計画を上回って進展している。医師不足、看護師不足の折りか ら、医師確保に向けた処遇改善等の取組や、看護師確保対策の推進を評価する。 障害者雇用についても、法定雇用率の達成を評価する。以上でございます。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。続きまして永井委員から講評をお願いしたい と思います。 ○永井部会長代理  国立病院機構の総合的評価書の起草委員として、私、田極委員、夏目委員とで 検討を行いまして、総合的評価書の起草をいたしました。評価に当たってのポイ ントですが、1つは評定の結果から、また各委員の評価シートにおけるコメント、 前回のご議論の内容、この3点を参考としております。  評定の結果と申しますのは、各委員がS、あるいはA評価等を付けていますが、 これを例えばSを5点、Aを4点と点数化して、その平均値を取っています。ま た、各委員から評価シートに書き込んでいただいたコメントは、いま事務局が読 み上げたとおりでして、評価シートに委員会としての評定理由としてまとめられ たこの記録を参考としています。それと前回の議論ということになります。以上 を参考にしながら、平成19年度の業務実績について、中期目標の達成度に照ら して文章を取りまとめたという経緯です。  全体の評価ですが、まず積極的な業務運営の効率化、それから収支改善に向け た取組がなされていたということで、これまでの実績を大きく上回る純利益等が 見られた。初年度からの努力が全体として着実に達成されていると考えられます。 また、セカンドオピニオン専門窓口の設置病院数が増加している。あるいは医療 ソーシャルワーカー等の増員等の患者の目線に立った医療の提供。さらに医療安 全対策の充実、質の高い医療の提供、こういう点に着実な実績を上げていると考 えられます。  また、機構のネットワークを活かして、臨床研究活動、EBMの推進等の取組 が順調に進捗している。治験の推進に向けた取組も実績を上げているという点が 評価されております。  8頁の(10)の「独立行政法人整理合理化計画」等への対応という点の項目が ありますが、前回の部会では、評価シートとは別冊になっていた業務実績評価関 係資料における各委員のコメントを基にまとめさせていただいています。以上で す。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いま講評をお願いいたしましたが、これに関 しまして、どなたか委員の方からご意見がございますか。特にございませんでし ょうか。特に起草委員の先生方いいですか。 ○夏目委員  私、今回は総務省の委員会のほうからもいろいろと厳しく言われていますので、 できるだけきちんとメリハリを付けた評価をするのがいいのではないかというこ とで、SはきちんとSと、そしてその理由をきちんと。そして上回っている所は Aだけれども、Bという、あえて中期計画並みというか、おおむねそれに沿って いるというBを、おそらく私がいちばん多く付けたのではないかと。少しメリハ リを付けようと、S、Aをより際立たせるためには、Bがあったほうがいいので はないかと思ってBを付けさせていただきました。  これは質問というかあれなのですが、委員会としての評定理由、先ほど事務局 からご説明があった下に、各委員の評定理由というのが、おそらくこれはすべて の委員の評定理由がそのまま出ているのではないかと思います。そういう意味で、 私、例えば災害だとかその前の教育研修事業については、あえてBを付けさせて いただいたので、この各委員の評定理由のところは、あまり評価したような表現 をしていないわけですね。それでも全体として、委員会としての最終的な審議結 果だから、それでAになったのだから、中にはAでないBの理由が個別に出て いてもそれはいいのだということであればいいのですが、あまり評価していない 意見もあるではないかということで、何か指摘されるのであれば、私の書いた所 をもう少し表現を変えたほうがいいのかなと思ったりするのですが、その辺は構 わないのかどうかということです。  1つだけ、災害については大きな災害、中越地震があったことはあったのです が、そこに3病院から派遣したと。これは派遣がされていなかったらおそらくB 以下の評価になるのだろうと思うのです。そして、研修もされているというので すが、国立病院機構の規模からして、この90名とか100名ぐらいのオーダーの 研修が中期計画を上回っているというところまで評価できるのかなと、まあ、こ こは大きな災害もなかったし、まあ中期計画並みということのほうが、1つぐら いBがあったほうがより委員会が真剣に評定したということを、いろいろな形で 印象づけるのではないか。よくこういう評価のときはみんな中間というか真ん中 に評価が行ってしまうという、評価のメリハリがなかなか付かないということを よく言われると思うので、評価の信頼性と言ったら、少し言葉は言い過ぎですが、 評価を真剣やったという意味でも、あえてBを1つぐらい入れたらいいのではな いかなという気が少しするのですが、その辺ご審議いただければと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。事務局から何かご意見がございますか。いまメリハ リを付けるためにも、全部A、SではなくBというのもあってもいいのではない かと。 ○政策評価官室長補佐  評定理由の中にBの理由も入っているからまずいかという話なのですが、そこ は委員会としての評定理由を今回付けるということで、そういうバラバラになっ ているところをまとめていますということなので、特に入っていても構いません し、修正をしてしまうと余計におかしくなるのかなというのもありますので、そ のままで結構かと思います。あと、もし修正ということになれば、あとで個別評 価のシートを修正する機会もございますので、そのときに手を加えていただけれ ばと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。夏目委員よろしいですか。ですから、委員会全体と しては平均点的なことになりますが、各委員の方々の評価はちゃんと考えていた だいてということになると思います。ほかにご意見ございますか。 ○渡辺委員  すみません、遅れて参りました。夏目委員のおっしゃることも大変よくわかる のですが、私はちょっと違った考え方を持っています。いま全体として独法に対 して、いわば厳しい見方、風当たりが強い。それはそれで行革の観点からはいい のでしょうが、私は特に病院医療、地域における医療というのは、別に論じてほ しいというのが率直な気持なのです。ほかの独法とは訳が違うというのが私の気 持です。そういった中で146病院から成る国立病院機構がこの中期目標を大変熱 心に、かつ努力をなさっているということは、私は素直に評価して、私も去年も 今年もこの場でずいぶん言ったのですが、これ記録に残しても結構ですが、総務 省の政独委がなんと言おうが、国立病院部会の意見といったものは、やはり高く 評価して医療を引っ張っていく。自治体病院にしろ、民間病院にしろ、国立病院 がある意味ではリーダーとして引っ張っていく必要があると、私はある意味では そういう気持ちを持っています。夏目委員のおっしゃること、バランスがあると いうのも大変よくわかりますし、S、Aが際立って評価というのも大変よくわか るのですが、この際、例えば去年も政独委のほうから、医師の人件費を普通並み にしろといった趣旨のことが言われた。ああいうとんでもない意見が出てくるわ けで、私はそういった意味のメリハリを逆に付けるべきだと思っています。以上 です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。両方の意見が出ましたけれども、ほかにご意 見ございますでしょうか。 ○辻本委員  国立病院機構全体として、去年に比べて今年がどうであったかという、内に向 けた数値ということで前回見せていただき、私なりの評価を記入させていただい ています。例えば救急ということで今、国を挙げて大変問題になっておりまして、 ちょっと調べた資料の中で、国立病院機構は都道府県別救急搬送総数の全国平均 でいうと、わずか6%しか担っていないという実態を知ったときに、評価そのも のは覆すつもりはないのですが、全国のすべての医療機関における国立病院機構 ということでの役割の中でのそうした厳しい数字が出ていることについては、や はり委員としてはこだわっておきたいところだなということも思いました。そう いったことをどのように表現するのか、どのように表出するとかいった、改めて の意見を特段持っているわけではないのですが、やはり全体的なというところも 見せる必要があると感じております。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。確かに各委員の立場からいろいろな意見が出 てくると思うのです。おっしゃるとおりだと思うのですが、それを委員会として は全体として出すけれども、各委員のそれぞれの評価は違いがあると思いますの で、それも扱うということかと思います。ほかにご意見がございますか。 ○大道委員  今の委員会としての評価の取りまとめについては特段に異存はなく、むしろし っかりまとめていただいたというのが、私の意見です。  社会保険医療体制の中で、独立行政法人の事業運営手法は中期計画、中期目標 を立てて、しっかりお取組いただく。4年目にしてここまで成果が出たというの は、現業事業の運用、特に医療事業の運用の中で、私は素直にこの成果を評価し たいと思います。いま地方自治体が、いわゆる地方独立行政法人の形で病院事業 をシフトしようとしているのですね。地方公営企業法の言葉を使うと、一部適用 から全部適用にいって、また、なかなか思うようにいかないから新しい経営形態 を求めていると、若干表層的な評価がなされている中で、先行したこの国立病院 機構の実績というのは、非常に大きなインパクトがあると思います。しっかり目 標管理をやれば成果が上がるという先行事例としては、非常に重要な出来事であ ると受け止めています。これは評価の中に取りまとめて盛り込む話では正直ない とは思いますが、4年目でのこの成果は大事な成果として受け止めたいと思いま す。 ○猿田部会長  ありがとうございました。私などが見ますと、やはり医療関係の人たちは諸事 情はよくわかりますから、いまの医療事情から国立病院の先生方、あるいは看護 師、職員の方の給料の問題とか、いろいろなものを考えますと、よくここまでき たのだという感じをうけます。全体的に夏目委員、辻本委員のおっしゃることも 非常によくわかるのですね。ですから、そういったことを総括的な委員会として の、先ほどの評価というのはああいう形でいいのではないかと思いますが、一人 ひとりの意見というのも非常に貴重だと思いますので、それもちゃんと残してお くということで私はいいのではないかなと勝手に思っています。ほかに委員の方 ご意見ございませんか。 ○田極委員  先ほどの災害のところの評価なのですが、実は私自身もどう評価していいかと いうのは、悩んだところがございます。ほかのところに比べると、ちょっとアピ ールする材料が実は地味といいますか、だったのですが、昨年災害医療センター を見学させていただいたこともありますし、そういった所で中期目標では迅速か つ適切な対応を行うことという目標が、定性的な目標になっているところで、こ れをどう評価するかは非常に難しい分野の話だなというのが感じたところではあ るのです。いざ何かが起こったときに、迅速かつ適切に対応できるために、普段 地道な努力をされているということが昨年度いろいろ見学させていただいてわか っている人間としましては、十分評価できるのではないかと思うのですが、この 第三者が見たときに、もう少しアピールできるといいのではないかなというのが 正直感じたところではあります。 ○住田委員  災害のことが話題になっていますが、実は私も夏目委員と全く一緒でして、見 たら3を書いたのは私と夏目委員ぐらいしかいないのではないかと思うのです。 3が悪いわけではないわけでしょう。だって、3というのは「計画どおりやって いるか」ということで、5が「著しくいい」、4が「上回っている」で、この事業 活動はそんなに著しく上回るとかというような類の問題ではないのではないです か。ですから、当然、夏目委員と同じ意見なのですが、そういう問題について3 があっても、私は別に冷めたいわけでもない。医療はものすごく改善されている けれども、これちょっと違うのではないかなと、計画どおりやっているだけで十 分なのではないかという意味で、3のマイナスではなくて3のプラスというよう な感じで、実は私は悩みながら書いたのですが、考えは一緒でやったつもりです。 別に援護するわけではないですが。 ○夏目委員  災害の話で私ちょっと異論を述べたのですが、それは要するにきちんと評価し ているのだということを印象づけようと思って3を入れたのです。また、逆にい ま心配するのは、政独委のほうから非常に形式的、表面的に評価されて、何かB があるではないかと。ここをあえて。私は渡辺委員がおっしゃるように、ものす ごくよくやっていると思うのですね。こんなことで、それの足を引っ張るのもつ まらんかなということで、まあ最終的にはAでいいのではないのでしょうか。私 も見学に行かせていただいて、本当に地道によくあそこのセンターもされていま したので、最終的にはAで結構だと思います。 ○猿田部会長  事務局のほうで何かご意見がございますか。あえてそういった考えで変えなけ ればいけないとか。全体としての委員会としての評価と、それから個人のそれが 出ているということでいいですか。 ○政策評価官   はい、それで結構です。 ○猿田部会長  そういうふうにするとはっきりします。全体としての委員会としてはこうであ る、しかしながら各委員それぞれの立場からの評価がありますものですから、で は一応よろしければ、そういう形でここを評価させていただくということで、大 幅な修正はしない。 ○永井部会長代理  災害の評価というのは難しくて、例えば評価が悪い場合には災害が起こったの に頑張っていなかったみたいな印象を与えてしまう可能性が。 ○猿田部会長  実は去年見に行った立川からは飛び立ったけれども霧が多くて帰ってきてしま った。あれも努力はしたのですが、そういったことがありますから、何事もなく てよかったという意味もあって。では、一応そういう形でまとめさせていただく ということで、平成19年度の業務実績の評価としては、いま言った形でまとめ まして、法人ならびに総務省政策評価・独立行政法人評価委員会にお伝えする。 そして、それを公表していただくということにさせていただきます。あともしも う1回読み直して誤字、脱字等がありましたらば、それはこちらで修正させてい ただくということでこれは委員長にお任せいただきたいと思います。では、そう いう形でよろしいでしょうか。 (各委員了解) ○猿田部会長  どうもありがとうございました。そういった形で決めさせていただきます。最 後に矢崎理事長から何かコメントがございますでしょうか。 ○国立病院機構理事長  恐縮です。本当に猛暑の中、ご多用のところ、しかも短時間で評価をいただき まして誠にありがとうございます。まず御礼を申し上げたいと思います。猿田部 会長を初め起草委員長の永井委員、それから財務諸表を大変細かく詳しくチェッ クしていただいた住田委員に厚く御礼を申し上げたいと思います。  その中でやはり病院長の裁量・権限の拡大というのを、まずキーワードとして 最初に取り上げたことが、業務進行状況の迅速な把握と業務改善につながったと いう評価をいただきまして、私ども本当にそういう方向が間違っていなかったと いうことを思っております。今日拝見しますと、各委員の先生方がこの短い時間 の間に、私どもにとりまして大変有意義な数多くのコメントをいただきまして、 大変有難く思います。これは早速全病院にこの評価の、特に委員の先生方のコメ ントを皆さんに通知して、これからの機構全体の運営に役立つように、是非活用 させていただきたいと思います。  住田委員からのご意見で、大変ありがとうございました。と申しますのは、私 ども自己資金を活用して、病院機能の向上に資する整備を実施して、しかも借入 金残高を減少させたということを指摘していただきまして、私どものやったこと が大変評価を受けたということと、それから、最後のところに、この収益が利益 処分額として記載されている独立行政法人通則法における積立金として、法令に 適合して妥当なものであるという、これは私どもにとりまして、大変評価委員会 からこういう正式なコメントをいただきますと、我々が一生懸命にやったのが将 来の投資につなげることができる。当然なのですが、先ほど夏目委員が言われた ように、いま政府は独法でお金があったら取り上げようということで、そういう 意味で本当にこれは血と汗と涙の結晶なので、それをこのように書いて明文化し ていただくというのは、本当に我々にとって有難いところでございます。  それから、救急の問題ですが、ご指摘ありがとうございました。ただ、私ども は146の病院の中で、3分の1が従来救急などやっていた病院でして、大部分の 3分の2、100近い病院は旧療養所で、いわゆる政策医療をやっていて、いままで ほとんど救急をやっていなかった病院が多かったもので、今後もそういう旧療養 所という気風を脱皮して、いわゆる政策医療を担いながら地域の医療のセーフテ ィネットとして活躍できるようにご指摘された点を、私どももしっかり受け止め て、今後もすべての病院でセーフティネットをやっていくように、今後も努めて いきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。本当にどうもありがとう ございました。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。よろしいでしょうか。そうしますと、これで 2番目の「総合評価」を終わります。いまも議論がありましたが評価シートの修 正、その確定についてですが、いま大体ご意見をいただいたとおりなのですが、 もう1回修正をしたほうがいいかどうかということで、少し時間をいただきまし て委員の先生方から、もしここでやはり修正をしておきたいということがありま したら修正していただくということで、その手続きに関しまして事務局からご説 明をいただきたいと思います。 ○政策評価官室長補佐  先ほども申しましたが、前回ご記入いただいた評価シートは、机の上に置かさ せていただいているA3判のものです。本日の財務諸表等に関する報告等によっ て、個別評価の修正が必要となった場合は、お手元の赤鉛筆で修正をお願いしま す。また修正のあった頁に付箋の貼付をお願いします。机上配付している個別目 標に関する評価結果については、現時点でいただいている評定をSが5点、Aが 4点、Bが3点というふうに点数化したものとなっています。なお、委員名は空 欄としていまして、委員各自にはご自分のお名前のみ記載したものをお配りして おります。この作業に当たりまして、これまでの個別評価に係る資料等ご覧にな りたい方は事務局にお申し付けください。最後に確認が終わりましたら、最後の 議題であります「業績勘案率」の関係もありますので、このご記入が終わられた 評価シートを集めさせていただきます。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いまのご説明おわかりいただけましたでしょ うか。それでは少し時間をいただいてご検討をいただければと思います、もし修 正のある方は修正をしていただきたいと思いますが、何かほかにご意見がありま すか。なければここで時間を少しいただきたいと思います。  もしよろしいようでしたら、これで平成19年度の業務実績評価及び財務諸表 に関する意見をまとめたことにします。お手元にありますように、この評価書に は評価結果の別添として、いま細かくありました評価シートの集約版が添付され ていますが、もし修正が入ったことによって全体としてSからDまでの評定ある いは評定の理由が変わった場合、各委員の先生方の修正、追加などがあった場合、 これを少し変更して集約版の直したものを添付することになると思います。もし 大きくSからDの評価が変わった、あるいは各委員の先生方の評定理由が随分変 更になったことに関しては、いろいろと事務局と私のほうで相談して直しますが、 大幅なことがあった場合には各委員の先生方にもう1回それを戻して検討して、 最終的なものとして報告することでお認めいただけますか。                   (各委員了承) ○猿田部会長  ありがとうございました。そういった形でするということで、事務局のほうで 評価シートは集められますか。 ○政策評価官室長補佐  本日ご審議いただいた法人の年度実績評価書については、事務手続を進めて、 後日委員会の皆様には確定版を送付いたしますので、よろしくお願いします。 ○猿田部会長  次に、3番目の「国立病院機構の暫定評価結果について」に入ります。これに 関しても、起草委員の先生方に大変お忙しいところ、いろいろと努力いただいて まとめていただきました。まずは事務局から、中期目標期間の業務実績全般の評 価をいただきまして、そのあと起草委員である永井委員から講評をいただく形で 進めたいと思います。  それでは、まず事務局からあるいは機構からご説明をよろしくお願いします。 ○国立病院機構企画経営部長  国立病院機構の企画経営部長です。よろしくお願いします。ご評価をいただく 前に、簡単にお手元に用意している暫定評価期間の4年間の実績についての説明 をいたします。お手元の資料3の文章編のあとに、横紙のシートが出てこようか と思います。それぞれのシートに書かれている実績については、これまでの4年 間、毎年毎年の事業評価をいただく際に、私ども法人から報告をした各年度の実 績をできるだけ時系列に、その間の動きがわかりやすくという形でまとめたもの です。一つひとつの説明は時間の関係もあり省略したいと思いますが、何があっ たかについてはこのシートをもってご確認いただければと存じます。  便宜ご説明を、お手元事務局のほうで手配いただきました机上配付資料2の横 紙「中期計画の数値目標に対する達成度」で、まさに中期計画の中で数値が目標 化されているものについての進捗についてまとめているものを説明します。中期 計画において数値目標が定められていたものが13件ありました。実績として、4 年間の期間において達成をしたものが10件、一部未達成が2件、現時点におい て達成されていないものが1件になっています。  1枚目の表は、シートと同じように実績報告に沿ってまとめています。いちば ん左の中期計画項目第1、サービス及び業務の質に関する措置から始まりますが、 1つ目の診療事業に関して申し上げれば、まず最初に(2)(3)として、先ほど来ご 審議いただいている救急医療・小児救急の部分が1つ目にあります。改めて申し 上げれば、平成15年度のときの救急及び小児救急の受入患者実績は、年間延べ 数で、救急について言えば55万余件、小児救急について言えば16万余件でした。 それを中期目標においては10%以上増加させようということで、平成16年度か ら平成19年度まで取り組んできたところでして、この項目について申し上げれ ば平成15年度比ということで平成19年度の救急については、年間延べ患者数が 62万7,060件でしたので、これは平成15年度の実績に対しては13.1%の増。目 標との関係でいえば目標を102.8%で達成した、とこの表はご覧いただければと 思います。  救急全体としての数はそのような形に進捗していますが、内数として掲げてい た小児救急については16万453件になっていまして、実績として目標に及んで いません。私どもとしては、平成19年度の実績を報告したときにも申し上げま したように、全体の地域における救急体制あるいは一次輪番、二次輪番というシ ステムの動きなども影響したのではないかと思っていますが、前回のこの委員会 の場でも、また今日拝見した委員の皆様方のコメントの中にも、もう少しその辺 を精緻に分析して今後の取組につなげるべきではというご指摘をいただいていま すので、この点については我々としてできる限りの分析を重ねながら、小児救急 も含めた地域医療の救急体制に貢献する立場で、中期目標のより一層の実現に向 けての取組を行いたいと思っています。  (3)の「質の高い医療の提供」という点では、クリティカルパスあるいは長 期療養患者のQOLということで、クリティカルパスあるいは患者の宿泊室を設 置している病院、あるいは病診連携という意味では連携室の数、MRIなどの高額 医療機器の共同利用について目標を掲げたところです。それぞれ進捗としては目 標を達成しているのが1枚目です。  2枚目の大きな2つ目の塊。臨床研究は治験の推進に取り組んでまいりました が、この点については目標を達成する進捗でいまのところ進んでいる。また、教 育研修は研修医・レジデントの養成、EBMのための人材養成、地域医療の貢献 研修の3つの項目になっています。1つ目の研修医やレジデント。平成15年度実 績において、臨床研修医が455名、レジデントが830名という実績でしたものを、 ちょうど私どもが独法化したのと期を合わせて国の臨床研修のシステムが変わっ たこともありまして、現時点においては平成19年度までの実績で、全体として 初期臨床研修とレジデント、あるいは私どもで言う専修医を含めた数としては、 ここの表にある763名+770名の合わせて1,533名ですので、平成15年当時実 績としていました初期455名、レジデント830名を合わせた1,285名に比べれば 20%増にはなっています。個々掲げている目標から申し上げれば、初期臨床研修 については当初の目標値に比べて39.7%の達成度になっており、平成15年度に 対しては1.7倍に及ぶ数ということですので、私どものこれまでの取組が実を結 んでいるかなと思いますが、レジデント及びこの内数としての機構独自の専修医 についてはまだまだ及んでいません。このあたりについても、今日拝見したコメ ントでは、よくよくその理由を考えて対策を打つべしというご指摘をいただいて います。これまでのところ臨床研修が変わったことによって、大学に残られる方 たちについては、この年齢の方が少し減っているとすれば−そこから回ってくる という言い方がいいのでしょうか−レジデントという形で機構が受け入れている 部分については、どうしても数として厳しい状況にある。一方、大学のカリキュ ラムとは別に機構としてプログラムを組んで、人づくり、人材育成に取り組もう ということで進めている専修医についてはこの間実績を上げていますが、私ども としては次期中期計画に向けて「人づくり」は大きな柱だと思っていますので、 専修医という我々の仕組み、そしてレジデントを含めた初期研修というものをど う考えていくかを改めて精査をしながら、全体としての国立病院機構が貢献する 人づくりに取り組んでまいりたいと思っています。  EBMについては目標を越える進捗になりました。地域医療に貢献する研修は 平成15年当時7万5,000余人でありました実績を、現時点において11万3,584 人ということで1.5倍にはなっていますが、当初予定していた目標にまだ達して いませんので、このあたりカリキュラムの内容を含めて地域の方々にご活用いた だけるような研修を組んで、地域の中で国立病院機構の位置づけがより貢献でき るように取り組んでまいりたいと思っています。  第2、業務運営の効率化をはじめとする項目については、結論的に当初掲げて いた実績をクリアしています。そこに書いているように、項目的には一般管理費 の削減や教育研修事業など診療以外のところでの費用の縮減あるいは収入の増。  3頁の第3では、予算、収支計画、資金計画の塊の中で収支の改善あるいは固 定負債割合の改善、人員に関する指標を設けて取り組んできた点の実績について は再三にわたりご評価いただいておりますように、私どもとしては一定の成果を 上げてきたかなということです。非常に駆け足ですが、毎年度の報告をまとめる とこのような形になっていまして、よろしくご評価のほどお願い申し上げたいと 思います。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いまの3枚で非常によくまとめていただいて いますように、先ほどあった小児救急のほうだけは少し少なかったということも あるかと思いますが、事務局から暫定評価結果の案をご説明ください。 ○政策評価官室長補佐  資料3「独立行政法人国立病院機構の中期目標期間の業務実績の暫定評価結果 (案)」です。1頁を読み上げます。中期目標期間(平成16年度〜平成20年度) の業務実績について。(1)評価の視点。独立行政法人国立病院機構は、国立病院・ 療養所(国立高度専門医療センター及びハンセン病療養所を除く)の業務を承継 して平成16年4月に新たに独立行政法人として発足したものである。本評価は、 平成16年4月に厚生労働大臣が定めた中期目標(平成16年度〜平成20年度) 全体の業務実績について評価を行うものであり、評価結果を次期中期目標等へ反 映させる観点から、中期目標期間の最終年度に暫定的に実施するものである。当 委員会では、「厚生労働省所管独立行政法人の業務実績に関する評価の基準」等に 基づき、各年度の業務実績の評価において示した課題等、さらには、独立行政法 人整理合理化計画、総務省政策評価・独立行政法人評価委員会から寄せられた意 見や取組方針も踏まえ、暫定評価を実施した。また、毎年度の業務実績評価に当 たっては、13病院を訪問し、個別病院での取組についても視察・事情聴取を行っ た。  (2)中期目標期間の業務実績全般の評価。当委員会においては、国立病院機 構が独立行政法人として発足して以来、業務により得られた成果が、「医療の提供、 医療に関する調査及び研究並びに技術者の研修等の業務を行うことにより、国民 の健康に重大な影響のある疾病に関する医療その他の医療であって、国の医療政 策として国立病院機構が担うべきものの向上を図り、もって公衆衛生の向上及び 増進に寄与する」という国立病院機構の設立目的に照らし、公衆衛生の向上及び 増進にどの程度寄与するものであったか。効率性、有効性、透明性の観点から、 適正に業務を実施したかなどの視点に立って評価を行ってきたところである。中 期目標期間全般については、次のとおり、独法化のねらいや期待に応え、医療・ 経営の両面において中期目標の水準に対し、大きな成果を上げているものと評価 できる。  まず、診療事業においては、セカンドオピニオン専門窓口設置病院数の大幅な 増加やMSWの増員等に代表される患者の価値観を尊重した説明・相談体制づく りへの取組や、地域連携クリティカルパスを含む積極的なクリティカルパスの活 用による質の高い医療の提供など着実に実績をあげた。特に、医療安全対策につ いては、人工呼吸器の機種の標準化等さまざまな取組を行い充実ぶりが伺えた。 さらに、国立病院機構のネットワークを生かした臨床研究活動やEBM(根拠に 基づく医療)の推進に向けた取組が順調に進捗したほか、質の高い治験の推進に 向けた取組も大いに実績を上げた。また、積極的な業務運営の効率化と収支改善 に向けた取組は、中期目標に掲げる経常収支に係る目標を4期連続して達成した ことに加え、平成19年度においてはこれまでの実績を大きく上回る純利益(239 億円)を計上するなど特段の実績を上げた。こうした全体としての大きな成果は、 理事長のリーダーシップの下に、各病院長をはじめ職員が懸命な経営努力をした 結果であると高く評価する。今後とも、患者の目線に立った良質な医療と健全な 経営とのバランスがとれた一層の取組を期待したい。  なお、国立病院機構の契約に関しては、国会等においてさまざまな指摘がなさ れたが、改善すべきことは改善し、今後とも、独立行政法人としてより透明性と 競争性の高い契約とするべく厳正かつ適切な取組を望むものである。中期目標に 沿った具体的な評価結果の概要については、2のとおりである。個別項目に関す る評価資料については、別紙として添付した。以下、具体的な評価内容について は省略します。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。永井委員から講評をお願いします。 ○永井部会長代理  私、田極委員、夏目委員とで検討を行い、暫定評価書の起草をしました。観点 ですが、平成16年度から平成19年度の各年度の総合的評価書、これまでの部会 での議論等を踏まえまして、平成16年度から平成19年度の業務実績について、 中期目標の達成度に照らしてどうかという観点から文章を取りまとめています。 全体的には評価が中期目標を上回る実績を上げているということですが、特にポ イントとしてセカンドオピニオンの専門窓口の設置病院数の増加あるいは医療ソ ーシャルワーカーの増員等、患者さんの価値観の尊重の説明・相談体制づくりへ の取組、またクリティカルパスの活用による質の高い医療の提供等という点で着 実に実績を上げているところがまず評価されています。臨床研究活動あるいは EBMの推進も重要な取組であると言われていますが、これも機構のネットワー クを生かしてうまくその取組が進捗しているということ。さらに、治験の推進に 向けた取組も実績が上がっていると評価されています。  経営的には、繰り返しになりますが、積極的な業務運営の効率化、収支改善に 向けた取組、結果として経常収支が4年連続して黒字であること。特に平成19 年度は、これまでを大きく上回る純利益が出ているということで、特段の実績が 上がっていると評価されています。ということで、全体としては中期目標を上回 る実績を上げているという評価をするということです。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いま講評していただきましたが、全体的に先 ほどご説明いただきました業務実績の報告、中期目標期間の業務実績の暫定評価 結果などについて、委員の先生方からご意見はありますか。 ○渡辺委員  1、2点だけ。先ほど吉田部長からご説明があったことで、未達成、一部未達成 の2つがある中で、目標の設定の仕方は各委員からの記述もありますが、特に小 児救急についてどう考えるべきかというと、小児救急が増えた増えたと喜んでい いものではないし、コンビニ受診がかえってマイナスだという批判もある。軽い ものはなるべく来ないようにといったのも、地域でそういった動きがあることは ご承知のとおりですので、この目標の設定の仕方がそもそも難しいのではないか という気がします。  もう1点だけ言うと、これもまた一部未達成で、臨床研修医の受入れ及びレジ デント。臨床研修医のほうは目標を上回っていますが、これも4年経って一部の 大病院に研修医が集中しているという、ある意味の批判もまた一方であるわけで、 国立病院機構というか国立病院が研修医をもっと増やす。あるいは、こういう研 修も含めて増やすことが果たして正しいというのは言い過ぎかもしれませんが、 美徳というのか、正しい目標なのかがちょっと。ほかの数値目標、特に経営問題 といったことは非常に設定がしやすいし、大変努力をなさっていますが、こうい ったところの数値目標は一部疑問を感じます。 ○猿田部会長  ありがとうございました。いまの小児救急に関して、ご意見はありますか。渡 辺委員が言ったように、コンビニ的な考え方が確かに減ってきていますから、本 当に大切な小児救急の人が病院を訪れるべきだと。各都道府県での構造が随分反 映されてきて、全体的にそういった効果が上がってきていることははっきりして いますが、そういったことがここにも出ているのでしょうか。どうでしょうか。 ○国立病院機構医療部長  先ほど企画経営部長からの説明もありましたが、これをまさに検証していくこ とを考えています。私が県行政に出向したときのいちばんの批判は、いまコンビ ニ診療という表現をされましたが、小児医療分野の多くは初期医療と言われてい まして、二次、三次の分野はおそらくそんなに多くないのではないかということ がありました。重要なのは、そういった現場などをよく検証して、私どもがその 地域にとって必要な分野に特化していくよう、特に次期中期計画の目標を定める ときは、そういったことを踏まえて施策を形づくっていく必要があると認識して います。 ○渡辺委員  研修医についてはどうですか。 ○国立病院機構医療部長  1つは、大学の医局の人事だけで引き上げられているのが実態ではないかと思 っています。それをまた、大学と奪い合いするのが果たして本当に私どもの使命 なのかというご指摘もあります。この点についても、私どもがやっている後期の 研修制度も含めてよく評価を行った上で、私どもが対応していくべき分野がどう いう分野かということを明確にした上で、我々の使命としての教育研修事業を進 めていかなければならない。次の目標、計画に反映していきたいと思います。 ○猿田部会長  いま言ったように、特に後期研修医とかレジデントの問題は非常に重要で、結 局これからの日本の医療がどういう形で行われていくかというところに来ると思 います。だから渡辺委員がおっしゃったように、本当に大学のほうへ行くのがど のくらい良いのか。せっかくこういう研修制度が出来上がって、本当に臨床とい うのが重視されるようになって、そういう方向へ動いていますから、そういった 点は注目すべきことと思います。このあたりは議論が分かれるところだと思いま すが、もう少しいまの状況で経過を見ていくともっと流れがわかるかもしれませ んが、非常に難しいところです。一部の地方の大学では、懸命になってもう1回 医師を呼び戻そうという動きをしています。  ただ、私はいろいろな書類を読ませていただいても、矢崎理事長が非常に苦労 して初期はともかくとして、これから重要なのは後期研修の体制をどう取ってい くかであるとおっしゃっておられます。日本の医療にとって後期研修が非常に重 要だということを矢崎先生はいろいろな所でおっしゃっていますが、そのとおり だと思っています。そのあたりに関しては、後ほど矢崎先生のご意見を伺いたい と思います。 ○住田委員  内容的なことは非常に結構だと思います。しかし、個人的な意見で前々から申 し上げていますが、最初の「評価の視点」というのが書いてありますね。そうす ると、これは言葉を替えると評価の方法ですね。評価委員の中には私をはじめ、 医師でない人が数名いるわけですね。そのときにこれは私は強くお願いしたので すが、病院のこのペーパーを見て非常に上手な話し方をしています。現場を見る ことは、どの職業でも何でも必要だと思います。そのときに4年間で13病院を 訪問したと書いてあるのは、13病院が多いか少ないかとなると、一般の人は、た ったこれしか行かなかったのか、ということを問われると思います。  私は今回の2つの病院で非常に感銘を受けたのですが、医師が患者に声をかけ ている姿は非常に素晴らしいと思ったのです。私も医科大学に些か関係がありま すが、あれからそこに行っている医長にも、もっと医師が患者に「おはようござ います」とか何とかと声をかけてということを、それは目線に立ってとなるかも しれませんが、現場に行くと非常にわかります。いくら医療のことを多少文書で 読んでみても見ていかないといけないので、評価の視点、評価の方法については、 これはもう終わってしまったことだからいいですが、予算がかかるかもしれませ んが、そんなものは知れていることで工夫すればいいことで、良いところばかり ではなくて赤字のところも相当あるはずですから、そういうところからいって本 当の生きた評価が出てくると思います。2日間のヒアリングで能弁に聞いても、 はっきり言ってわかりません。そういうことを希望として、次期以降あたりに申 し上げたいと思います。ちょっといま言う場所が違ったかもしれませんが、お願 いしたいと思います。 ○猿田部会長  非常に大切なことだと思います。実際私ども医師の立場から言っても、今年見 た国立埼玉と東埼玉、昨年に見た立川と村山の救急の体制はそれぞれ非常に特徴 がある所で、私たちから見れば良い所を見ています。今度は本当に、もっとうん と悪い所を見ることも大切ではないかという感じもします。時間があれば是非見 ると、非常にいろいろな点で勉強になると思います。貴重なご意見をありがとう ございました。 ○大道委員  ここで言うところの暫定評価の結果の内容については、適切におまとめいただ けているということでは異存はありません。その上で先ほどやや先走って申し上 げてしまいましたが、中期目標を置いて中期計画に沿った機構としての努力を、 医療の事業の分野でおやりになった有効性は先ほど触れたとおりですが、いま改 めてこの暫定評価が4年が済んだ段階でするということですが、いま住田委員が ご指摘のこととある意味で同じですが、まず数値目標、達成目標の設定というの は当然のことながらかなり重要です。当初この第1期中期計画についての数値目 標の設定というのは必ずしも鮮明な意識がないままに来て、いま4年が経って、 こういうことならば次期中期計画についてはしっかりとした考え方で目標設定し ないと合理的ではないということになると思います。機構が発足時に明確な理念 と基本方針を置いて、それを実現する上での具体的な数値目標を掲げた。一般論 的にはそうですが、いまこれだけの成果をお上げになったからこそ、次期中期計 画で理念はそう変えるものではないと思いますが、基本の方針をどこに置くか。 僅か4年でも、日本の医療環境はよほど変わったわけですので、そういう中で国 立病院機構としてのいま申し上げたような理念、基本方針をまずは改めて目指す べきところをどう見極めるかみたいなところが、この数値目標を置く上で非常に 重要だなということを認識したということです。  それと、これは私も前から申し上げていますが、評価シートで我々が評価する 項目の置き方です。最初だからこうなったのかなと思ったのですが、病院という 組織医療の中で何をしっかり見るのか。病院としての医療の形が適切かというこ とをどのような項目で見るのか。一定の経験があるわけですので、これについて も体系的で、できればあまり過大でなく、かといってバランスを欠いたものでな いような評価の項目の置き方を是非ご検討いただければありがたいと思います。 暫定評価をこうやってお聞かせいただくと、改めてそういうことを感じましたの で、重ねての発言になりますが申し上げました。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。特に目標をどこに置いてやるかというのは非 常に難しいですし、その時代とともに医療が変わってきまして、いったい国立病 院機構においてどう目標を立ててするかは難しいと思います。私どもが見ていて も、この機構と社会保険病院の連合軍や日本赤十字の連合軍や済生会連合軍とを 比べてみると、こういう日本の医療状況において国立病院機構は非常に頑張った と思います。目標の立て方として、確かにそういったことで見ているわけですが、 本当にどういうふうに立ててやっていくか。非常に改善したことは事実ですが、 どこを焦点として目標を立てるかはこういった成績を振り返りながら、うまく立 てていくことが大切ではないかと思いますが、その点に関してご意見はあります か。これは、これからのいろいろな考え方としての非常に重要なことかと思いま す。 ○辻本委員  具体的な目標値が出せる問題という提言ではないですが、いちばん最後に出て いる障害者雇用の問題です。法定雇用率を達成しているということで、さらなる 望みということで申し上げると、国立機構などが率先してこういう方たちの雇用 をこれからもさらなる努力ということをしていただけたらいいなと思います。具 体的には、例えば京都南などが患者情報室、患者の相談室のような所に障害者を 雇用しておられる実態を知ったときに、これから患者の自立支援ということでは 相談機能とか、患者自らが勉強したいというようなところの設置に膨らませる形 で、障害者雇用というか、数値目標を具体的に上げるということではないですが、 国立であればこそ、そこのところをもっと膨らませていっていただきたいなとい うことを付け加えたいと思います。 ○猿田部会長  ありがとうございました。いま皆様方からいただいた意見をまとめて、あとは そんなに大きな修正はなかったと思いますので、報告書を作ります。  それでは矢崎先生、よろしくお願いします。 ○国立病院機構理事長  どうもありがとうございました。この暫定の評価の文章の中にありますように、 独法化のねらいや期待に応え、医療、経営の両面において中期目標の水準に対し、 大きな成果を上げていると高い評価をいただきまして、ありがとうございました。 また、いま我が国の特に地方における病院の医療が危機的な状態にある中で、国 立病院機構の病院が地域医療のリーダーとして方向性をしっかり定めながら、セ ーフティネットとして機能する存在であるので頑張ってほしいという大変心強い ご意見をいただきまして、私どももそういう視点に立って、これからも地域医療 の崩壊の最後の砦として頑張っていきたいと思っています。また、中期目標の立 て方についても大変貴重なご意見をいただきまして、私どもも是非その中期目標 計画にいまのご意見が反映されるように願っているところであります。  暫定評価のいまの表を見ますと、医療というのは公定価格で価格が決まってい るわけで、医療が成り立つというのは、すなわち患者さんに選ばれなければ病院 として成り立たないわけで、評価でSの項目の3番の診療事業の中の質の高い医 療の提供と臨床研究事業にSをいただいて、経営の改善12にSをいただいた。 すなわち、医療と経営がともに密接に関わっていて、経営だけが良くて医療の質 が悪ければ、社会的にも我々の使命を果たしていないのではないか。あるいは医 療の質が高いにもかかわらず、経営の改善がなければ運営自体に大きな問題があ るのではないか。このような評価をいただいて、私どもとしてはいままで4年間 頑張ってきたのは、医療と経営という車の両輪が両方うまく回っていたことを評 価していただいた結果ではないかと思いまして、これも今後国立病院機構として 我々が頑張っていく方向性も、ここで明らかになったのではないかと思います。 今後とも努力して、医療の質の向上と情報発信、我が国の医療のレベル向上のた めの臨床研究を推進していく。それから、経営を効率化するという3つの点を我々 は重要なポイントとして今後とも頑張っていきたいと思います。誠にありがとう ございました。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。申し遅れましたが、中期目標のご議論をいた だきました暫定評価結果は、8月27日に開催される総会に報告します。また、誤 字脱字そのほかがあったときは直して出すということで、これをご了承いただい たことにします。よろしいでしょうか。 (各委員了承) ○猿田部会長  どうもありがとうございました。それでは、来週に報告します。  次は、「役員の退職金に係る業績勘案率」について議論します。まず、事務局か らご説明ください。 ○政策評価官室長補佐  参考資料2と資料4で説明します。最初に参考資料2によりまして、業績勘案 率の決定の仕組について説明をします。それから資料4によりまして、今回の退 職役員の方のケースの業績勘案率の事務局案について説明します。  まず、参考資料2をご覧ください。1枚目に太い字で書かれてありますとおり、 独立行政法人の役員の退職金の支給は業績勘案率を乗じたものとなっており、こ の業績勘案率は各府省の独立行政法人評価委員会でそれぞれ決定の方法を定め、 個別ケースごとにこれを決定しています。また、業績勘案率の決定に当たっては、 総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の意見を聴くこととなっています。 その手続の流れが2枚目にあります。  上から順に申し上げますと、(1)役員が退職した場合に法人からの依頼に基づい て、法人の実績評価関係部分の業績勘案率の試算をします。(2)評価委員会におい てこれを審議します。これが、本日のこれからご審議いただく部分です。ご審議 の結論については、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会、いわゆる政独 委に通知をして、(3)政独委は通知された業績勘案率について意見を述べることに なっており、特段の意見がない場合にはそのまま業績勘案率が決定されることと なります。再検討を行うべきである旨の意見がある場合には、再度各府省の評価 委員会において審議する。つまり(2)の手続に戻ることになります。  1枚飛ばしまして、別添2です。この資料は、厚生労働省所管の独立行政法人 の退職役員の業績勘案率の決定方向を定めたもので、厚生労働省評価委員会にお いて決定されたものになっています。算定方法を簡潔に申し上げますと、1の(1) のイのように当該退職役員の在職した各年度の個別評価項目ごとに、SからDの 評価をその下の表1にあるように、Sであれば2点、Aであれば1.5点、Bであ れば1.0点と点数化し、平均したものを各年度の業績勘案率とします。そこで算 定された業績勘案率をその下にある表2のXからZ、1.50〜2.00であればXは 1.5。0.51〜1.49であればYで1.0。0.00〜0.50であればZで0.5と換算した数 字になります。それらを当該役員の在職月数に応じ、加重平均したものが当該役 員の業績勘案率とすることとなっています。これが、当省所管独立行政法人の業 績勘案率の決定のルールとなっています。  以上のような基本ルールに則して算定しますと、後ほど詳しく説明しますが、 今回のケースの場合は業績勘案率1.5となっています。何らかの考慮事由がある 場合には、この数値を増減させることについても規定されています。それが2枚 目の(5)(6)にありますとおり、退職役員の職責に係る特段の事項について、当該法 人からの申請または部会委員からの申し出があった場合や、業績勘案率を算定す る上で(6)の特段の考慮事由がある場合には、上記の(1)から(4)または(5)により算出 された数値を増減できる。つまり、今回のケースでいえば業績を数値化して算出 した数値1.5を事務局の案として示し、本日ご審議いただく中で何らかの考慮す べき事由があるということであれば、例えば1.4とか1.1。1.5より少ない数値ま たは上回る数値ということも可能となっています。  別添3です。先ほども説明しましたとおり、各府省の評価委員会における審議 のあと、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会の意見を聴く手順となって おりまして、この総務省の委員会における業績勘案率に関する審議の方針が別添 3です。詳しい説明は省きますが、端的に申し上げますと1のアンダーラインを 引いたところに記されていますように、業績勘案率は1.0を基本とするというこ とであり、これまでの実際の審議結果を総務省に照会したところ、いままでは全 402例のうち1.1となったものが1例、0.9となったものが8例、残りはすべて 1.0というのが総務省の委員会の審議結果の実績。この仕組ができて以降の政府 全体の独立行政法人の業績勘案率の実績となっています。制度の期間は、平成15 年12月19日の閣議決定以降、最初に実際に適用された退職者は平成16年3月 22日からとなっています。  なお、各委員の皆様に本件に関して事前に説明した際には、1.1が1例と0.9 が3例と申し上げましたが、その後総務省に最近の実績を照会したところ、0.9 が8例ということでした。訂正します。  資料4です。今回の退職役員のケースにおける業績勘案率の計算結果事務局案 です。1頁です。退職役員である柴山弘司は、独立行政法人国立病院機構理事と して平成16年4月1日から平成20年3月31日まで在職。業績勘案率の算定は、 先ほど説明申し上げました基本ルールに基づいて、在籍期間に係る病院機構の業 績評価結果等を2.のところに入れています。平成16年から平成19年いずれにお いても1.5になっています。なお、柴山氏の在籍期間中の業務等は次の頁、別紙 に記載していますが、これについては国立病院機構から説明をお願いします。 ○国立病院機構総務部長  国立病院機構の総務部長です。どうぞよろしくお願い申し上げます。別紙で説 明申し上げます。柴山前理事の担当は労務担当です。労務担当と申しますのは、 機構における給与あるいは勤務条件等の処遇等を新設あるいは改正するときには、 労働組合との労使協議をした上でその当該制度が実現し、実施されていることに なるわけですが、前理事においては数々の制度の実現あるいは改正がありました が、特に別紙に記載している(1)から(4)について申し述べたいと思います。  (1)は、独立行政法人として発足時に給与カーブ、これは一般職員の中高年齢の 給与水準を緩やかな給与カーブとしたわけですが、この労働裁判への対応という ことです。独立行政法人発足時の給与カーブのフラット化においては現在高裁に おいて審議されていますが、第1審の地裁においては機構が勝訴しています。そ の際、機構における制度制定の必要性あるいは正当性の説明など、対応方針の策 定を主導したということです。  (2)は、基本給の調整額の廃止並びに特殊業務手当の創設です。基本給の調整額 は、国時代から引き続いて基本給の調整額として平成16年度は実施したわけで すが、これは民間の実態と比べますとその手当の額の水準からして相当な乖離が あるということで、おおむね4割を国の時代から引き下げました。その結果、労 使協議をしまして平成17年4月から特殊業務手当として名称も変更しまして、 新たな制度として創設したわけです。特にそこには述べていませんが、基本給の 調整額は、退職手当あるいは賞与を計算する上での要素になっていました。言葉 を換えますと退職手当やボーナスにも跳ね返る状況になっていたところです。こ れを特殊業務手当として、手当の額を約4割下げると同時に、退職手当及びボー ナスには跳ね返らない、いわゆる純粋な手当として、平成17年4月から再出発 したということです。  (3)は、平成18年度7月からですが、国の給与構造改革に準じてそこに記載し ている4つの主な給与制度の改正をしました。1つ目は、地域の民間賃金の適切 な反映ということで、全体的な基本給表を引き下げました。2つ目は、事務部長 などの管理職層を含む役職員の給与カーブをフラット化したということで、これ は意味合い的には年功序列賃金を抑制しようとしたことです。先ほど申し述べま したが、一般職員の給与カーブのフラット化については、独法移行時に既に実施 済みです。3つ目は、勤務成績が適切に反映されるように5段階の昇給区分を設 けたということです。4つ目は、特に優秀な職員に対する業績手当の配分額を拡 大したということで、具体的に申しますと平成17年度の人勧を受け、私どもも その人勧に則りまして、賞与について4.4月から4.45月にアップしたわけですが、 アップした0.05月分のうちの0.03月分を、業績反映部分の査定原資としたとい うことです。  (4)は、業績評価制度の導入です。年俸制職員は医長以上ですが、約2,400人お られます。これについて業績評価制度を導入し、さらに年俸制以外の管理職員、 役職手当支給職員が約4,000人おられますが、これらの方々に対する業績評価制 度を導入しましたのが平成17年6月。それ以外の一般職員約4万3,000人おり ますが、これらの方々に対しても平成20年4月から導入しています。なお、こ の業績評価制度導入について、一般職員の団体交渉は平成18年3月から平成20 年4月までに9回行っています。そして、先ほど申し述べましたこれらの調整額、 給与構造改革、業績評価制度について、中央労働委員会の本部あっせん事案とし て申請された訳ですが、そのあっせんの場で前理事においては適宜適切な説明を されまして、機構の意見を率直に申し述べるなど、機構の対応を主導しまして、 その結果として制度導入に至ったわけです。そのほかにも数々ありますが、特筆 すべきものは以上の4点です。  (2)です。ご審議いただいている評価について、過去においてA評価以上と いうことですが、そういたしますと、実は私どもの役員報酬規定によりますと、 110/100以内になっておりますが、ここは各病院の経営状況を考慮いたしまして、 100/100として取り扱ってまいりました。  以上、数々ございますが、特筆すべきものにつきまして、前理事の業績として 上げさせていただきました。以上です。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いま、業績とそれから業績の勘案率の試算結 果という形でご説明いただきましたが、いろいろご意見があるかと思います。も う1つは、今までの実績というか、どのぐらい出されたかという実例も上げてい ただきましたが、どうぞご意見をいただきたいと思います。 ○田極委員  ご説明いただいたとおり、この4年間の着実な取組と、その具体的に成果も数 字として出ているところにつきましては、この医療財政の厳しい中、非常に驚異 的な業績を残されたというところにつきましては、私自身も高く評価したいと思 います。私自身は、民間病院の経営改善事例についていろいろ研究をしてきたの ですが、そういった民間病院と比べても、非常にこの業績というのは、高く評価 できるものであり、今後も何か民間病院さんにも見習っていただきたい取組も 数々あることが、この評価を通じてわかったところです。  ただ、そうは申し上げましても、先ほどのご説明の中に今までの実績として、 1.1の方が1人、0.9の方が8名いらっしゃるという中で、1.5という水準が果た してどうかというのは、やはり国民に対するアカウンタビリティーの観点からも 慎重に検討をしたほうがいいのかなというのが、私自身の意見です。  この点につきまして、先ほどご説明いただいた資料の中にも、参考資料2の別 添2の(4)でも、「目的積立金の状況等に照らして」というのもございますが、1回、 目的積立金も、ちゃんと積んでいらっしゃるというところでは、十分クリアでき ていると思うのですが、果たして1.5にするのが妥当かどうか、十分説明がつく のかどうか、というのを慎重に検討したほうがいいのかなというのが、個人的な 意見です。 ○夏目委員  いまの意見と全く同感で、同じ意見なのですが、本当に4年間、機構全体とし ては、先ほどの暫定評価で出ましたように、非常に高い評価、実績を上げてきた のではないかと思います。そしてその中で、この国立病院時代が長い、国家公務 員意識の強い職員の中、独法化ということで、意識改革とか、労使関係の処理と か、非常に縁の下の力持ちとして労務を担当され、率先して進んでこられたので はないかと、私は本当に高く評価します。そして、その評価をきちんとやはり、 本人が4年間理事としてやってきたことが、きちんと社会的な評価も受けている のだという、私は金額よりも、自分の4年間がちゃんとやったのだという評価を もらうために、あまり、1.5にこだわらないで、1.5にこだわると、先ほどのお話 ではないですが、400人中1.5なんて1人もいないということで、おそらく無視 されてしまうことになるのだろうと思うのですね。  したがって、1人いるということですので、2人目をつくるという意味で、私 は1.1ぐらいで申請して金額よりも、要するに1.1でも評価していただいたのだ ということが、おそらく4年間の自分のやってきたことに、それなりの納得性が 得られるのではないかと思いますので、私は1.5ではなくて、1.1で申請して、 その代わり1.1は是非ともお願いするということがよろしいのではないかと思い ます。 ○渡辺委員  お二人の意見に概ね賛成で同じ意見なのですが、1つは、まず厚労省に伺いた いのは、何で政独委というか、総務省側は過去に1.1が1人ということの理由が よくわからないです。つまり、仮にこっちが1.5を出しても、総務省は前例がな いので、1.1だ。その説明が確かに世間の評価というか、独法に関する考えは1.5 で、確かに感情論的には高いと思いますが、だからと言って、総務省が1.1が1 人しかいない、よって全て高い評価は1.1だと機械的に持って行かれるというの はおかしい。その辺の政独委か総務省の理由を教えてください。 ○政策評価官  総務省の役員退職金に係る業績勘案率に関する方針というのは、先ほどご紹介 申し上げましたように、別添3にあるとおりです。もともと、この業績勘案率の 枠組というのは、閣議決定によって、独立行政法人の役員の退職金に当たって、 0.0から2.0の範囲内で値を決める。その値というのは、各省庁の評価委員会で 決め方のルールを決める。それを個別に適用していくのですが、個別に適用する に当たっては、1個1個について、総務省の評価委員会の意見を聴くという形に なっております。その総務省政独委の審議の方針というのが、この別添3という ことです。  私ども、今回の審議に当たりまして、総務省に個別の前例について質問しまし たところ、それは法人それぞれについて、個別的に審議をするわけですが、結果 として、先ほど申し上げたような実績になったというような回答をいただいてお ります。  しからばということで、具体的な実例で申し上げますと、1.1というのは、文 部科学省所管の宇宙航空研究開発機構という所でして、ロケットの打上げに成功 したところ、そこで顕著な実績があったということです。  例えば、0.9になっている例ということで申し上げますと、ここはどことは申 し上げませんが、例えば、財務諸表の記載を見落とした役員についてというよう なケースがあります。それは、それぞれのケースごとに判断をしているというこ とです。結果として、非常に1.0が多くなってきているというのが総務省の回答 です。 ○猿田部会長  ありがとうございます。 ○山田委員  業績評価については、委員の皆さんがおっしゃられたとおり、大変素晴らしい 業績を上げておりますので、私としては、総務省のほうが0.0から2.0の間は認 めてもいいということを言っているわけですので、計算式どおり1.5ということ で申請をして、その上で向こう側はどう考えるかについては、これは仕方がない。 減らされる分には、それはそれで仕方がないが、しっかり業績を評価するという 意味では、1.5という形で出したほうがいいのではないかと思います。 ○大道委員  どうもこれまでの経緯だと0.9、1.0、1.1というこの3つのある種のランクで 対応するという、実態はそうなのだと思うのですが、今回、これは提案として1.5 を出すということと、実態もわかっていた上で、あえて1.5で出すというのも、 ちょっと距離があるなと。ただ、問題は1.1ではなくて、1.2や1.3とかもあり得 るのではないのかとなったときに、先ほどの宇宙航空研究開発機構ですか、そこ での事例があるとは言いながら、やはり役員としての評価というものを、妥当な 範囲で適切に行うということは、やはり独立行政法人としては、かなり大事なこ となのではないかなとは正直思います。そこの所を、政独委のほうで、こういう 結果になっているというのは、一評価委員としては、ちょっとこれはどういう具 合に考えたらいいのかが1つです。その上で、向こうで減らしてくるのではない ですよね。どうも、手続だと再検討を行う。これは差し戻しですよね。  そうすると、この評価委員会にまた戻って来て、1.5では差し戻されたから、 では1.1にしましょうかというのも、これは非常に不本意なところがありますね。 あれやこれやと、問題意識はそれなりにある種のわだかまりとして残るのですが、 むしろ、1.1で出すのか、あえて言うと1.2というふうな、その上で何か突破口 を開こうというような、国立病院機構としてというか、あるいは場合によっては、 厚労省の評価委員会として、そういう方向を持つのか、持たないのかというのが、 どうも問われているような気がしまして、ですから、あえて1.5というのは、い くらなんでもちょっと説明しづらいと。ただ、規則があって1.5まで認められて いるみたいなところ。厚労省の評価委員会としては、1.5ということが内規で決 められているわけですから、しかし、それを踏まえた上で1.2として出すみたい なことを、するかしないのか、本当のところは、これまでの実績というか、前例 を受けて1.1で提案することが、大人のやり方かなみたいなところがあるのです が、その辺の所をどういうふうに考えるかを、私個人的には、ちょっと状況がよ くわからないのです。 ○猿田部会長  ここで皆様方がいちばん言っていることは、非常に業績を上げたということ。 皆様、それはすべて認めています。こちらの委員会としては、できるだけ最大の ものを出してあげたい。これもそうです。それで、問題は1.1でも1.2でも実際 あると思うのですね。私としては、できるだけこういったことで、少し高く評価 してあげて出してみる。ただ、確かに1.1と1.5では差がありますから、大道先 生の1.2というのも1つです。ともかく、最大限、皆様方委員は高く評価してい ます。それを見てもらいたいというのは、私どもの考えですね。あとは、国のや っていることは、まあ、ここにいらっしゃいますけれど、難しいので総務省がど う考えるかなのですが、いまの先生方のご意見とすれば、まとめれば1.1よりは、 もうちょっと1.2ぐらいで出すことができるかどうかというところ、その辺りで どうかということです。 ○政策評価官  まず、この私ども厚生労働省の業績勘案率の決め事のご説明を改めてさせてい ただきます。これまでの業績を踏まえまして、当該理事の在職期間に対応した毎 年いただいた評定を数値化しまして業績勘案率を出す。これが1.5という数字で す。それで、先ほど繰り返しの説明になりますが、さらに条項があって、考量事 項ということがあります。職責等その他諸々の事情。それは、先ほど例えば田極 委員がおっしゃったようなこと。その他夏目委員がおっしゃったようなことも、 多分、考量事項というようなことであろうかと思います。したがいまして、決め 事の適用とすれば、そうした評定を基に機械的に算出した値に増減をすることが できる。その意味では、ご議論いただいているような1.1とか1.2とかそういっ たことも、この決められたルールの範囲内というか、適用上にある。あとは、ま さにご審議をいただいて、結論を出していただく部分ではなかろうかと思います。 もちろん手続としては、次に、総務省の意見を聴くことになり、そこで意見がな ければそこで決まりますし、再度ということであれば、またこちらのほうにお諮 りをし、ご審議をいただきたいということです。 ○夏目委員  質問なのですが、厚生労働省関係の独立行政法人の理事の方で、この4年間辞 められた方は、多分、いると思うのですね。その方々の今までの前例なのですが、 1.0以上1.5とか、そういうことを出して、政独委から再検討という形で戻って 来て、それでみんな1.0になったのか。厚生労働省関係はロケットとは関係ない から、0だと思うのですね。だから、結果がどういう形で1.0になったのか、こ ちらから1.0で申請したから1.0になったのか、1.5で出したのだが、再検討と言 われて再検討した結果1.0で出して、1.0になったのか。その今までの実例が何 かあったら教えていただければ、参考になるのではないかと思いますが。 ○政策評価官室長補佐  この厚生労働省の1.0を超える場合は、目的積立金の状況を勘案してと、ここ の部分ができる前の段階では、1.41という数値を政独委のほうに出したことがあ ります。そのときは、やはり返されまして、再度1.0で出し直していると。それ がちょうど政独委のこの通知が出される狭間だったものですから、そういうとこ ろで1.4を出したと。ただ、それ以降については、こちらからは1.0を超える数 値で出したものはないと認識しております。 ○猿田部会長  ほかにご意見ございますか。 ○渡辺委員  これも質問と意見なのですが、その数値をこちらの委員会としては、1.1とか を出すべきなのか、あるいは、「これによると、1.5で大変独法としての機構も素 晴らしい業績を上げているし、この個人の方も斯く斯くしかじか。だから1.5が ふさわしいと思うが、現実問題とすれば、いわゆるまだまだ国立病院全体として も、経営改善に努力している最中であり云々」みたいなことを書いて、「そこは例 えば弾力的に云々」のように、そういう表現というか、意見は認められるのです か。正確に1.2とか1.1とかではなくて、1.5を建前として積もうのような。 ○政策評価官  付帯的な何か文言は付けられるかどうかというのはともかくといたしまして、 結論としては、この評価委員会において数字で結論を出して、それを通知すると いうのが決まり事です。 ○猿田部会長   ありがとうございました。ほかにご意見ございますか。   ○田極委員  やはり流れから言いますと、総務省から戻って来て、また再三こちらでやると いうのは、できれば避けたいなというのがあるのですが。その中で、私自身も個 人的には、すごい高く評価はしたいという気持はいっぱいあるのですが、現実的 にどこまで説明して、皆さんを説得できるかといったところで考えたいと思うの ですが、この考慮する場合の政独委から来ているものを見ますと、例えば、(7)に 記載されているのですが、「退職役員の在職期間における目的積立金の額に照らし て適切な水準であること」となっております。そういったことなどをいろいろ考 えていくと、例えば、在職されていた4年間のうちに、1回目的積立金を積んで いらっしゃるので、それに合った評価、1.1を超えると思いますが、0.5の部分を 4年で割ってとか、そういう説明ができる数字にして出してみるというのもいい のかなとは思うのですが。 ○猿田部会長  ありがとうございました。ほかに、ご意見ございますでしょうか。大体皆様は、 業績は高く評価されている。問題は、1.1では絶対出すが、「私は1.2で出しても いいのではないか」という意見かと思うのですね。そこのところを、皆様方と一 致させて1.1で出すのか、1.2で出すかということですね。今までの前例はない ですが、そういったことにするか、その辺りのところでもう決めましょう。私は 1.0で出すことはないと思いますね。ですから、1.1で出すか、1.2で出すかとい うことで、どうですか。 ○渡辺委員  結論を先に言うと私は、現実問題として言えば1.2はキープしたい点ですが、 やはり、それで政独委がまたごちゃごちゃ言って来て、1.1か1.0と言うのでし ょうが、そのときは我々としては説明はつくという気はするので、1.5は確かに 非現実的だと思いますが、最初から1.1を飲むことはないというのが、率直な気 持です。 ○猿田部会長  皆さんそれぞれどうですか。 ○大道委員  先ほど申し上げたとおりで、いまのご意見もやはり1.1で、前例があるからと いう言い方で出すのは、ちょっと何のために評価委員会ですかみたいなところが ありますよね。だから、1.2が妥当かどうかという議論は残りますが、1.1を超え るという意味で、1.2というようなことで、まずは政独委のほうへ通知をすると いうことでいかがですか。 ○住田委員  とても難しい問題ですね。ちょっととても幼稚な質問をしますが、1.5という のは、簡単に言うと5割増ということでしょう。そうすると、こういうことを言 ってはいけないのですが、金額でいくと、1.0と1.5とどのぐらい違うのですか。 ○国立病院機構総務部長  1.5にしますと、元のお金はちょっと置きまして、約300万円程度のアップで す。 ○住田委員  1.5にすると。 ○国立病院機構総務部長  そうです。1.0から1.5にしますと、約300万円アップいたします。 ○住田委員  それから、これは1.2という心情的なもので、5割増は高いなあというのは受 ける感じだと思うのですが、これは数字的でこれを見ると、計算できるようにな るのではないですか。例えば、ここのところを業績勘案率の算定方法で、この(1) のイなんかを見ると。これはオートマティカルになるのではないですか。 ○国立病院機構総務部長  私どもとしましては、ご審議をいただく立場でございますので、申し訳ござい ませんが、事務局さんのほうにお願いします。 ○政策評価官  今のご質問の趣旨がよくわからなかったのですが。 ○住田委員  ここのところは、参考資料2の別添2の1(1)イから計算すると出るのではない ですか。 ○政策評価官  それを当てはめまして、資料4を配布しております。 ○住田委員  やれば1.5ですよね。 ○政策評価官  やってみたのが1.5ということです。 ○夏目委員  私は本当によくやっているので、1.5でいいと思っています。ルールも1.5な のですから、おそらく1.1が1人という前例からして、1.5はおそらく完全に無 視されると思うのですね。それで、「再検討」で来て、そのときに1.2を出すと、 おそらくなかなか難しいのではないかと。だから、私は前例を考えると、1.1で 出して実をとると。1.0には絶対しないという意味で、1.1を出して実をとるとい うのが、極めて現実的ではないかと思うのですが、皆さんが1.2で頑張ろうとい うなら、何ら異論はありません。 ○住田委員  ただ、先生、さっき私が質問した続きなのですが、今まで4年間評価委員とし て評価をしてきたわけですね。その継続性というか、その集積もあると思うので すね。要するに、1.5は多いと言っても、計算したら1.5になるということは、1 つこれは事実だと思うのですよね。だけど、感覚としてはやはり、ちょっと5割 増というのは、というのがあると思うので、やはり「足して2で割る」ではない ですが、先生がおっしゃったように、1.2とかそういう感じのほうが、もうこれ は感覚の問題だと思うのですね。受け入れやすいのではないかと思うのですが。 ○猿田部会長  ありがとうございました。田極委員は、1.1ということですか。 ○田極委員  目的積立金が積まれる前は、自動的に1.0になってしまうということ。それを 考えると、そのあとは機械的に計算すると1.5ということで、その余りの差がち ょっと気にはなっているのですが、0.5上乗せする分を1/4で掛けて、どこまで 小数点以下が許されるかわからないのですが、1.125になると思うのですが。そ れよりは、ちょっと上に上げたいなというところが、気持としてありますし、1.2 ぐらいでいいのかなと思います。個人的に、そういった感覚なのですが。 ○猿田部会長  永井委員、どうですか。 ○永井部会長代理  私は高めの1.2でよろしいのではないですか。 ○辻本委員  私も全くわからない世界のお話なのですが、確かに業績は大幅にということで、 高い評価をして差し上げたい気持は重々ございます。ただ、機構の病院の中には、 やはり、まだ赤字の病院もありますし、国民感覚として、独法化ということへも 厳しい目が向けられている。そういう流れから言えば、心情的には1.5というこ とであっても、皆さんおっしゃるように1.2というところで、申し上げておきた いと思います。 ○猿田部会長  山田委員は、どうですか。 ○山田委員  どうも少数派のようですが、私はやはり、きちんと計算ができた上で1.5とい う数字が出てきた以上、これを出して、高い前例を作るという意味でも必要なの ではないかと思うのですが、せっかくこれだけの業績を上げているわけですから。 ○猿田部会長   ありがとうございました。大体、皆様のご意見を伺って、まとめればやはり、 この長い4年間の業績というのは、非常に高く評価されています。それから、一 応総務省から言ってくる0.9から1.1ということも勘案して、しかしながら、い ま田極委員がおっしゃいましたように、この積立金のこともあったということで、 思い切って1.2という形がよいのではと思います。私たちとしては、それまでの 貢献を認めたということで、そうしたら、1.2という形で出していただければと 思います。 ○政策評価審議官  政策評価審議官の荒井ですが、本当にご議論ありがとうございます。私どもも、 独立行政法人側の努力を最大限に評価したいという気持は重々ございまして、他 方、事務的にいろいろ調査してみると、1.5というのは、実際上はなかなか難し いという認識を持っております。その中で、高い数字を出して、またそれが引き 下げられてもいいのかどうかということも考え、また他方、かつては事務的なあ る程度調整をしていたことも、あるいはあったのかもしれませんが、評価委員会 においては、まさに評価委員会自身が決めていただくということですので、ご議 論を依頼したということです。いまの議論の流れで1.2というお話ですので、私 どもはそれを踏まえまして、最大限厚生労働省、それから、独立行政法人と協力 しながら、総務省それから総務省の委員会にもきちんと説明した上で、最大限そ の実現を図っていきたいと思っております。よろしくお願いします。 ○猿田部会長  どうもありがとうございました。いろいろご議論いただきましたが、ここでは 1.2ということで出させていただくということで、どうもありがとうございまし た。  そうしますと、今日ご議論いただくことは、このぐらいですかね。あとは事務 局のほうからよろしくお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、本日ご審議いただきました結論を、厚生労働省の独立行政法人評価 委員会から、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会宛通知させていただく ことにいたします。  なお、総務省の政策評価・独立行政法人評価委員会における今後の審議の結果、 「特段の意見がない」ということになった場合には、本日の審議の結果が、業績 勘案率の最終決定ということになります。その場合は、部会長にご了解いただい た上で、法人に対して業績勘案率を通知させていただくこととなります。  次回の国立病院部会の開催につきましては、追って連絡させていただくことと します。また、総会メンバーの皆様におかれましては、8月27日水曜日、午後1 時から厚生労働省17階専用21会議室におきまして、評価委員会の総会が予定さ れております。よろしくお願いします。以上です。 ○猿田部会長   どうもありがとうございました。ちょっと時間が早いですが、皆様方、活発に ご議論いただきまして、どうもありがとうございました。  これで、第26回の「独立行政法人評価委員会 国立病院部会」を終わりたいと 思います。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)