08/08/01 第20回労働政策審議会議事録    第20回 労働政策審議会   日時 平成20年8月1日(金)13:00〜14:30 場所 厚生労働省専用第18・19・20会議室                         出 席 者 【公益 代表】今田委員、今野委員、岩村委員、菅野会長、大橋委員、勝委員、        清家委員、平野委員 【労働者代表】岡部(謙)委員、加藤(裕)委員、河野委員、古賀委員、土屋委員、        宮下委員、山口委員 【使用者代表】大村委員、川本委員、指田委員、三浦委員、山内委員 【事 務 局】上村厚生労働審議官、森山総括審議官、村木総括審議官(国際担当)、        金子労働基準局長、太田職業安定局長、草野職業能力開発局長、、村木        雇用均等・児童家庭局長、小野政策統括官、荒井政策評価審議官、生田        労働政策担当参事官 議  題  (1) 平成21年度労働政策の重点事項(案)について  (2) 社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜について  (3)「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における検討状況  (4) 法案の国会提出結果について  (5) その他 配布資料  資料1    平成21年度労働政策の重点事項(案)について    資料2−1 社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜(PR版)           資料2−2 社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜(概要)  資料2−3 社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜  資料3−1 「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における検討状況について  資料3−2 「雇用・能力開発機構のあり方検討会」中間整理(評価編)  資料3−3 「雇用・能力開発機構のあり方検討会」(資料編) 資料4−1 第169回通常国会における法案審議結果について  資料4−2 労働政策審議会諮問・答申等一覧  参考1   「新雇用戦略」について(経済財政諮問会議(平成20年第9回)舛添大        臣提出資料)  参考2   経済財政改革の基本方針2008  参考3   社会保障国民会議 中間報告  参考4   平成20年版 労働経済の分析について 議  事 ○菅野会長 それでは定刻になりましたので、只今から第20回の労働政策審議会を開 催いたします。議事に入ります前に、一部委員の交代がございましたので、新たに就任 されました委員の方をご紹介いたします。使用者代表委員として。 ○川本委員(社団法人日本経済団体連合会常務理事) 川本でございます。どうぞよろ しくお願いいたします。 ○指田委員(日清紡績株式会社取締役会長) 指田です、よろしく。 ○三浦委員(日本電信電話株式会社代表取締役社長) 三浦でございます。よろしく。 ○菅野会長 また、本日はご欠席されておりますが、鈴木委員(王子製紙株式会社代表 取締役会長)が就任されております。  それでは議事に移りたいと思います。  本日の議題は第1に、平成21年度労働政策の重点事項(案)について。  第2に、社会保障の機能強化のための緊急対策〜5つの安心プラン〜について。  第3に、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における検討状況について。  第4に、法案の国会審議結果について。  第5に、その他となっております。  それでは、議題第1、2及び4についてまとめて事務局からの説明をお願いいたしま す。 ○生田労働政策担当参事官 お手元の資料1と資料2−1、それから飛ばしまして資料4 −1に基づきましてご説明をさせていただきます。  まず資料1でございます。これは労働政策の重点事項ということで、前回、当審議会 で新雇用戦略についてご議論いただきまして、来年度の新政策に向けて、どういう事項 が必要かということについてご意見をいただいたところですが、そういったご意見も反 映した形で、来年の概算要求に向けた新しい新政策について取りまとめたものでござい ます。  この内容につきましては、冒頭の3行のところに「新雇用戦略を推進する」と書いて ございますが、この新雇用戦略の内容につきましては、平成20年6月27日の経済財政 諮問会議で「基本方針2008」、「骨太2008」の経済成長戦略実行プログラムのいちばん 冒頭に盛り込まれてございまして、それを基にしながら整理したものでございます。  まず、大きな柱3つ立ててございます。1つ目の柱が「働く意欲を有するすべての人 たちの就業の実現」ということでございます。まず対象者別に整理をしておりまして、 1番目が若者対策でございます。3年間で100万人の正規雇用化を図るというものでご ざいます。最初にございますのが「フリーター等正規雇用化プラン」でございます。「若 者に対する就職支援」のところに書いてございますように、ポイントといたしましては、 従来34歳以下を対象に若者対策をとっておったのですが、30代後半の方も重点にあら ゆる対策を講じていくというものでございます。  もう1つの大きな柱が、職場定着までの対応をしていくということでございまして、 そこに書いてあるような対策を盛り込んでございます。  それから、若者の応募機会の拡大に向けた企業の取組の促進でございますが、これに つきましては昨年施行されました「雇用対策法」に基づきまして、きちんとした対応を していくという内容でございます。  その下でございますが、ニート対策でございます。これにつきましては、地域若者サ ポートステーションがニートの相談窓口ということでワンストップセンターという役割 を果してございますが、その設置箇所数を、現在77ですが、103まで増やすというこ とを欲するとともに、教育機関、あるいは若者支援機関とのネットワークをきちんと作 って、能動的な働きかけができるようにしていくということを内容といたしております。  「若者自立塾」につきましては、事業実施期間につきまして3カ月という一律の対応 ではなくて、多様性をもたせるような期間設定ができるようにしていくということでご ざいます。  それから、女性についてでございますが、3年間で最大20万人の就業増という目標を 設定してございますが、1が育児・介護休業制度の拡充ということで、いま制度改正に ついて検討を進めておりますが、そういった対応をしていくという内容でございます。  2の事業所内保育施設につきましても、支援の内容を拡充したり、あるいは地域開放 を進めたりする内容で対応をしたいと思っております。  2頁でございます。中小企業における次世代育成支援対策の推進ということで、中小 企業のほうで集中プランを作っていただくことについて援助できるような体制を整えて いこうという内容でございます。  その下でございますが、女性の職業キャリア継続の関係では、「マザーズハローワーク 事業の拡充」と書いてございますが、マザーズハローワーク事業拠点、現在98カ所ご ざいますが、これを最終的にはさらに100カ所増やすということを目標に、来年度は50 カ所を増やすということで対応したいと思っております。それから、支援ネットワーク という意味では、今年から保育所の入所取次を開始したところですが、それ以外の子育 て支援のさまざまなサービスについても取次等ができるようにネットワークを強化した いということでございます。  3番目ですが、健康現役社会の実現、高齢者への対応でございます。3年間で100万 人の就業増を目指すということでございますが、1に書いてございますように、高年齢 者雇用確保措置につきましては着実に実施していくということ。この際に中小企業に対 する支援を行うということにしたいと思っております。2の年齢に関わりなく働ける勤 労環境の整備ということでは、年齢差別禁止の徹底、雇用対策法の改正で盛り込まれま した年齢差別禁止をさらに徹底するということ。それから、雇用保険事業二事業での支 援の対象に65歳以降新たに高齢者の方を雇っていただいた企業に対する支援策という のを盛り込んでいくということ。それから、処遇体系の見直し等のモデル的取組を行う 企業に対する支援措置の実施という点では、希望者全員を65歳以上まで雇用する企業 に対する支援策、あるいは高齢者の勤務時間を弾力的に設定するといったようなことに 対する支援等を盛り込んでいくという考え方でございます。高齢者の安全衛生対策につ いては、着実に進めていきたいというふうに考えてございます。  その下でございますが、「団塊世代フロンティアプロジェクト」ということで、高齢者 ジョブ・カードを活用しまして、高齢者の方の再就職を円滑に進めたいということが盛 り込まれてございます。それから、地域貢献活動や体験機会を団塊世代の方に提供して いくといったような工夫をしていきたいということ。再就職支援や企業支援につきまし て、ワンストップ窓口で相談できるような体制を整備したいというものでございます。  シルバー人材センターにつきましては、現在女性会員が非常に少ないわけでございま すが、そういった女性会員を増やすような、そのための仕事の確保の体制作りなどをし ていきたいと考えてございます。  (4)「『福祉から雇用へ』推進5か年計画の推進」につきましては、「障害者雇用促進 法」の改正法案が現在継続審議になってございます。後ほどご説明いたします。ただ、 中小企業に対する支援につきましては、その法律が施行前から積極的に取り組むという 考え方でございまして、次の頁の冒頭に書いてございますように、中小企業の助成措置 を手厚くするということで、その中には、事業協同組合で共同で障害者を雇用するとい ったようなことについても支援するという内容を盛り込んでございます。  それから「チーム支援」という形で、雇用・福祉・教育あるいは医療といった関係者 が一体となって障害者の方のプランを作って就職までもっていくような応援、この方式 が非常に効果的だと言われておりまして、こういった対応をしていくということ。それ から、障害者就業・生活支援センターにつきましては、現在205カ所ございますが、全 障害者保健福祉圏域、約370カ所だと言われてございますが、それに向けて来年は80 カ所程度の増を目指したいということでございます。それから、ジョブ・コーチにつき ましては、平成23年までに5千人を目指して養成を進めていきたいと考えてございま す。  それから、障害特性に応じた支援策という点では、精神障害者の方、発達障害者の方、 難病の方、それぞれに向けたきめ細かな対応をしていくということでございます。あと 障害者についての職業能力開発についても充実をしていきたいということでございます。  生活保護世帯、母子世帯についての就労支援につきましても、障害者の方と同じよう なチーム支援方式が有効だということが立証されてございまして、こういった方式をさ らに充実していくということを想定してございます。  刑務所出所者の方の就労支援もさらに推進していきたいということでございます。  (5)のジョブ・カードにつきましては、今年の4月からスタートいたしております が、経済的支援の拡充が必要ではないかというようなご指摘が各方面からございまして、 そこに書いてございますような参加協力企業に対する助成制度の拡充ということで、有 期で雇っていただいて、その間に実習をするというケースにつきまして、雇用企業に対 する助成を相当厚くするということ。あるいは委託型の訓練の場合ですと、訓練期間中 の生活費というのがないものですから、そういった生活費につきましては、現在貸付制 度がスタートしておりますが、貸付をさらに拡充して給付をすることができるような仕 組みを導入するといったようなことについても対応していきたいと考えてございます。 それからジョブ・カードの普及についてはさらに力を入れたいという考え方でございま す。  4頁でございますが、「安定した雇用・生活の実現と安心・納得して働くことのできる 環境整備」という大きな2つ目の柱でございます。  (1)で「安心・納得して自らの働き方を選択できる環境整備」と書いてございます が、正社員以外の方々の待遇の改善ということで、労働者派遣制度の見直しの検討を現 在、労働力需給制度部会で進めていただいてございますが、次の臨時国会の提出に向け て検討を進めていきたいということでございます。それから、労働者派遣事業の適正化 の関係は、指導監督をきちんとやっていくという内容が盛り込まれてございます。  3の「有期契約労働者の雇用管理改善と正社員転換の促進」では、先日ガイドライが 取りまとめられましたので、そのガイドラインを使って相談・援助を徹底していくとい うことや、有期の労働者につきましても正社員転換の助成金がスタートしておりますが、 パートタイム労働者と同じような均衡待遇的な取扱いに対する支援といったことにも取 り組んでいきたいということでございます。  大都市圏における非正規労働者の就労支援ということで、非正規労働者が相談できる ような就職支援窓口というのを大都市圏に整備したらどうかというのがこの内容でござ います。  パートタイム労働者につきましては、法律に基づいて着実に対策を進めてまいります が、短時間正社員制度の導入を積極的に進めたいということでございます。  5番目は、いわゆるネットカフェ難民に対する対応でございますが、入居初期費用、 あるいは当座の生活費の確保、あるいは入居、あるいは就職の保障といったようなこと に対して対応するということを考えてございます。  最低賃金法、あるいは労働契約法については円滑な施行を進めてまいります。  続きまして「仕事と生活の調和の実現」でございますが、5頁の冒頭にございますよ うに、労働時間等の見直しに向けた取組の促進ということで、ガイドラインにつきまし ては普及促進に努めていくということでございますが、業種横並びの対応ということで、 「仕事と生活の調和推進プラン」というのを業界ごとに作っていただくということをや ってみたらどうかということでございます。  「仕事と生活の調和推進宣言都市」というのを、こういうことに積極的な都市には行 っていただけば良いのではないかと考えてございます。  仕事と生活の調和についてアドバイスをできる人材を養成すべきではないかというこ とで、これは企業で活用されることもございますし、あるいはそういったアドバイスを 行うような機関で活用されることもあると思います。5年間5千人程度養成するという ことで対応していきたいと考えてございます。  2の生涯キャリア形成支援の積極的な展開という点では、長期の教育訓練休暇制度の 導入等の助成などを行っていきたいと考えてございます。  メンタルヘルス対策の推進につきましては、従来から都道府県ごとにメンタルヘルス 支援センターというのを設けておりましたが、まだ十分知られていないという点もござ いまして、従来の機能をメンタルヘルス予防機能ということに加えまして、職場復帰の 支援ということにつきまして力を入れていきたいと考えてございます。  「多様な働き方・生き方の選択」の中では、再掲が多ございますが、テレワークの普 及促進ということで、テレワーク相談センター、現在全国3カ所ございますが7カ所に 増やしまして、在宅勤務ガイドラインの見直しが最近出されましたが、その改訂内容の 周知、あるいはそれを使った指導も含めましてきちんとした対応をしていきたいと考え てございます。  いちばん下は、在宅就業についての問題ですが、これにつきましては、「在宅ワーク適 正実施ガイドライン」の改正について現在検討しておりまして、改正後それを使って必 要な指導援助を行っていきたいと考えてございます。  「労働災害の減少を図るための安全衛生対策等の促進」につきましては、重篤な労働 災害の防止対策の充実など、あるいは職業性疾病等の予防対策の推進でございますが、 職業性疾病の予防対応では、2つ目のポツにございます、事業者等に対する研修など新 型インフルエンザ等感染症への対応。それからナノマテリアルについての有害性の知見 の収集など、化学物質管理対策の充実などに取り組んでいきたいと考えてございます。  6頁の(4)「地域における雇用機会の確保と中小企業支援の充実」でございますが、 地域雇用対策の充実ということでは、国と地方公共団体が一体となって就業支援に取り 組む「ふるさとハローワーク推進事業(仮称)」の創設、あるいは雇用情勢が非常に厳し い地域では、市町村、あるいは都道府県に雇用創出プランを作っていただきまして、そ れに対する支援を行うこと。あるいはそういう支援に取り組んでいる地域で雇用を創業 する事業主に対する支援、そういったことについて対応してまいります。  それから、中小企業に対する雇用安定のための支援ですが、先ほど来、助成措置につ いては申し述べてございますが、これにつきましては中小企業に対して非常に手厚く措 置するということは、すべて対応したいということでございますが、ここに書いてござ いますのは、雇用状況の悪化も見込まれる中で、労働者の雇用維持をする中小企業に対 しまして、従来の雇用調整助成金の支給要件にこだわらない、それを見直して使いやす くする形で、あるいはその助成率についても高い形で中小企業に使っていただけるよう にする工夫をしたらどうかという内容でございます。  ものづくり立国の推進については、そこに書いてあるような対応をするということで ございますし、介護労働者の確保・定着につきまして雇用管理改善、あるいは「福祉人 材ハローワーク(仮称)」の創設等につきまして対応していくという考え方でございます。  7頁の「『働く人を大切にする社会』を実現するための基盤整備」ということでは、労 働関係法令の情報提供機能の強化、これはホームページ等を作って、やるということで ございますし、地域におけるワンストップ相談体制の整備ということで、総合労働相談 コーナーを活用して、ここに行けば何でも相談ができる、どこでもつながるという仕組 みを導入したいということでございます。  8頁の大きな3つ目の柱の「国際社会への対応等」でございますが、G8労働大臣会 合を踏まえた国際社会への貢献、あるいは外国人労働者問題等への適切な対応を行って いきたいと考えてございます。  1にございます外国人研修・技能実習制度の見直しにつきましては、現在検討を進め てございますが、きちんと対応し、次期通常国会には関係法案を出すということで対応 をしていきたいと考えてございます。  以上が来年度の重点施策でございまして、これにつきまして本日、皆様から様々な意 見がいただければいいと考えてございます。  資料の2−1をご覧いただきたいと思います。この資料の2−1、2−2、2−3はセット で、5つの安心プランという、平成20年7月29日に閣僚懇談会で、舛添厚生労働大臣 などから発表したものでございまして、5つの安心ということを謳ってございます。こ の中に雇用労働に関わるテーマが含まれてございまして、それを選び出してご説明をい たします。  まず2頁目の左側でございます。「高齢者が活力を持って、安心して暮らせる社会」 の中に、「知恵と経験豊かな意欲ある高齢者がいくつになっても安心して働ける社会を実 現します」という中に、65歳までの継続雇用、あるいは65歳以上の雇用、あるいは雇 用以外の多様な就業能力発揮の場作りということで、先ほどご説明した内容が含まれて いるところでございます。  2頁の右側の2つ目の○の介護の人材確保の関係でも盛り込まれてございます。  4頁の3の「未来を担う『子どもたち』を守り育てる社会」の、その下のほうのワー ク・ライフ・バランスの関係でございますが、その下の矢印のところにございますよう に、育児・介護休業法の見直しの検討が盛り込まれているところでございます。  5頁でございます。派遣やパートなどいわゆる非正規労働者対策がここに整理されて ございますが、これにつきましても、左側、右側それぞれ先ほどご説明した内容が盛り 込まれているところでございます。説明は省略させていただきます。  以上のような内容が盛り込まれてございまして、今回重点施策を取りまとめる際にも、 この5つの安心プランで書かれていることについては確実に盛り込むという考え方で整 理をさせていただいてございます。  最後に資料4−1という1枚紙をご覧いただけますでしょうか。これは前回の当審議 会でも通常国会の途中に経過報告をさせていただいたところですが、IIの「駐留軍法」 につきましては、もうすでに成立、施行されてございますが、Iの「労働基準法」につ きましては継続審議の扱いになってございまして、いま、与党のほうで次の臨時国会に 向けた対応についての動きがございます。IIIの「障害者雇用促進法」につきましても継 続審議になってございまして、これにつきましては審議は相当程度進んでございますの で、次の臨時国会で確実に成立させるべく頑張っていきたいと考えてございます。  説明は以上でございます。よろしくお願いします。 ○菅野会長 それでは、ただいまの説明につきましてご意見、ご質問等をいただきたい と思います。どなたからでも結構ですので、よろしくお願いします。 ○宮下委員 私からは、若者の自立の実現という点と、あと女性の就業希望の実現とい う点で、意見を述べさせていただきます。若者の雇用の状態ですが、新卒者を中心に、 改善の傾向にはあると思っています。しかし年長フリーターの問題など不安定な雇用の まま30代後半になっている労働者もいることも事実です。彼らを安定した雇用に移行 させるには、若者の支援だけではなく、企業に対する支援も充実させることが必要だと 思っています。  また中小企業では、人材を確保できないという声もよく聞かれますが、一方ではきち んと働きたいという若者もいるので、厚生労働省としては、マッチング機能を強めるべ きではないでしょうか。  また非正規から正規雇用への転換を図るときには、能力開発支援が大変重要だと思っ ています。特に正規と非正規の間で、能力開発の機会で格差があってはいけないと思っ ています。まずは企業も非正規の能力開発を積極的に行うとともに、国としても非正規 労働者に対する能力開発機会を保障するというところを、メッセージとして強めてもい いのではないかと思っています。  2点目の女性の就業希望の実現では、特に先進国の中では際だって大きいとよく言わ れている男女の賃金格差に関して、国際社会からも改善の要請が強まっています。労働 組合としてもそこの改善に向けて取り組んでいきたいと思っていますが、厚生労働省の 研究会などでも、是非このような指摘や、あとは課題を踏まえた議論をしていただいて、 具体的な策を出していただきたいと思っています。  男女が仕事と生活の調和が図れるための職場の環境整備については、仕事と育児・介 護の両立に向けた環境整備が必要です。特に両立支援としては、短時間勤務の制度の拡 充や男性の育児への参加に対して、育児・介護休業法の見直しに向けた積極的な対応が 必要だと考えています。以上です。 ○山内委員 いまの冒頭の説明の中にもありましたが、フリーターと呼ばれる方々は、 若い人たちだけではなくて年長化の傾向があるということ。そういった方々にも引き続 き適切な対策を重点的に講じる必要があるというのは、私も思います。効果ある施策に ついては拡充し、そして効果がないものについては大胆に見直すことも進めていくべき と考えます。  例えばジョブ・カードの制度ですが、有期実習型訓練などの企業で働いた経験がない 若い人たちに対しても、企業でのOJT経験をすることによって、その後の安定雇用への 移行に向けて大変意義深い訓練であるというように思っています。実際に提供される訓 練については、様々なバリエーションが必要かと思いますので、より多くの企業が提案 できる、可能になるような、柔軟な仕組みが望まれると思います。  ジョブ・カードそのものについては、中学校や高等学校の段階でキャリア教育に取り 入れる等。それから、現行の紙の媒体からICカード等に移行する等、より使いやすい カードとしてインフラ整備、これも重要なポイントだと考えます。以上です。 ○三浦委員 私からは育児・介護休業制度の拡充に関連して、若干申し上げておきたい と思います。産業界としても労働力人口は長期的に減少する、あるいは既に減少してい るという中で、働き方の選択肢を増やしていくことを、とりわけ育児・介護にかかわり ながら就業を継続する方向での支援というのは、我々も非常に大事だと認識しています。 そのために既に企業においても、短時間勤務制度やフレックスタイム制などを拡大して いる状況ですが、実際にこれらの制度の導入に当たっては企業のおかれた業種、あるい は地域性、あるいは規模というものによって、労働の実態というか態様が区々でありま す。したがってその定着のためには、労使間で十分話し合ってルールを決め、あるいは 職場でお互いに相互の理解をすることが非常に大事だろうと思っています。  したがって、これから具体的な取組み、あるいは制度の構築に当たっては、企業側へ の過度な負担、あるいは画一的な規制にならないように、できるだけ労使の自主的な取 組みを尊重していく方向が望ましいのではないかと思っています。以上です。 ○大村委員 中小企業における次世代育成支援対策の推進につきまして、次世代育成支 援対策推進法に基づき設置されている次世代育成支援対策推進センターは、全国94カ 所と聞いていますが、地域の行動計画の策定推進拠点として積極的に活用することが有 効であり、同センターの支援機能を強化する施策をお願いしたいということが1点。  もう1つは、障害者雇用対策に対して、中小企業は特に企業内の環境の整備が非常に 遅れているということで、環境整備の推進をお願いしたいということです。 ○山口委員 最初の重点事項のところで、4頁の安心納得して自らの働き方を選択でき る環境整備のところについて、2点ほど申し上げたいと思います。1つ目は、労働者派 遣制度です。労働者派遣制度につきましては、研究会報告を受けて先ほども報告があり ましたが、労働力需給制度部会において制度の見直しの審議がスタートしていることは、 承知をしております。新聞等メディアを通して、労働者派遣を巡る様々な問題が浮き彫 りになっているいま、日雇派遣に関する規制だけで問題解決ということにしてはいけな いと強く思っています。違法な労働者派遣がどうしたら防げるのか、あるいは派遣労働 という形で働いている労働者が安心して働けるようにするためにはどうすればいいのか という観点で、是非この制度を見直してほしいと思います。国民的に非常に関心が高い ということもありますので、もちろん派遣労働で働いている労働者、あるいは派遣労働 という形で働きたいと思っている労働者を含めて、国民全体の期待に応える改善を行っ ていただきたいと思います。  2点目は、有期契約労働者について、先ほど雇用管理の改善に関するガイドラインを 用いて援助、支援をすることの趣旨を伺いましたが、私どもが考えるに、有期労働契約 というのは、そもそもどのようにあるべきなのかという議論がなくして雇用管理に対す るガイドラインに即移行してしまうのはいかがなものかと。その点について非常に疑問 があります。雇用の原則は、期間の定めのない直接雇用であることをきちんと打ち出し て、有期労働契約は臨時的・一時的なものであるということを担保する法規定が必要で あると思います。  さらにもう1点だけ申し上げたいのですが、先ほどご意見がありました育児・介護休 業法の見直しですが、これについては本当に、ワーク・ライフ・バランスの視点でも、 私たち働く者にとっても次世代育成支援や子育て支援というのは、もう待ったなしの状 況です。いま既に世帯のモデルは共働き世帯となっています。多くの働く男女にとって、 ともに子育てをしながら、働き続けることが可能な社会にしなくてはいけないと思って います。そういう視点で労使協議ももちろん重要ですが、すべての労働者にとって、自 分たちの置かれている実態と思い描く生活のギャップをいかに少なくできるかという視 点で、この育児・介護休業法の改正には取り組まなくてはいけないのではないかと思っ ていますし、待ったなしと申し上げたのは、いまそれを先送りすると、これは単に労働 の問題だけではなくて、いわゆる社会保障全体に対する先行投資ができないことにもつ ながりかねないと思いますので、是非いま申し上げたような視点でお取り組みをいただ きたいことを申し上げておきます。以上です。 ○土屋委員 私からは、3点について意見を申し上げます。まず1つは、仕事と生活の 調和の実現に向けてのメンタルヘルス対策です。非常に痛ましいことですが、残念なが ら我が国におきましては、毎年3万人を超える自殺者が出てきている状況にあります。 そしてその多くが、うつ病に起因しているとも言われているわけです。そこでその背景 となっている長時間労働なり過重労働の改善に向けての抜本的な対策についてはもちろ んですが、これに加えて、やはり企業内や取引先におけるセクハラやパワハラ等々の撲 滅についても、今後は総合的な対策が必要だろうという意見です。  次に国際社会の対応の中で、外国人労働者問題等への適切な対応については、2つあ ります。1つは、現状の外国人研修なり技能実習制度についてですが、ご案内のとおり、 多くの問題が山積しているわけです。その意味では、見直しと適正化が不可欠という認 識はありますが、要は問題発生の一因として見れば受入れ団体、あるいは企業に対する 管理体制の手薄さがあるのではないかという指摘です。したがって、ここは意見になる わけですが、実務の研修中の研修生を労働として保護することはもちろんですが、予算 措置を講じて、労働基準監督官を増やして、ジツコに代わって直接査察なり臨検を行う ようなことによって、適正化を図るべきであろうという意見です。  2つ目は、留学生30万人計画についてです。いま中教審だけでなく入管懇談会の中で も議論されているようですが、留学生は文系が多く、国内での留学生の雇用についても 企業とのミスマッチが生まれているという指摘も、耳にします。したがって、例えば専 攻学科を考慮した留学生の募集などの対策も、必要ではないでしょうか。今日ご説明を 受けましたが、提起されている企業向けの啓発事業の実施なり、外国人雇用サービスセ ンターを中心として行う就業支援の強化だけでは不十分だという認識にありますので、 あえて意見として申し上げておきたいと思います。 ○加藤(裕)委員 ちょっと関連したことも申し上げたいものですから、2点質問と意 見になります。1つは、資料5頁の3つ目の四角の5にあるテレワークのことです。テ レワークについては、昨年12月のワーク・ライフ・バランス憲章の中での行動指針の 中に、数値目標として2010年までに20%というものが掲げられているわけですが、こ こで言っているテレワーカーというのは、雇用労働者だけではなく、所属する部署以外 で仕事を行う時間が1週間当たり8時間以上あり、仕事でITを使用している人、とい うことで、大変範囲が広いわけです。  資料に示されているテレワークが、テレワークという働き方に関するものか、あるい はテレワーカー全般についてのことなのか、これは必ずしも明確ではないかなと思いま す。既にテレワークというのは一般にメディアでも言われていますし、多くの企業で導 入されている所もあります。通勤時間がなくなるからいい、あるいは家事との両立がで きるというメリットもあって、いい働き方だという捉え方もあることは承知しています。 しかし一方で、過重労働になる場合もあり得るわけですし、情報の取扱い、あるいは労 働災害が起こったときにどうするのか、職場とのコミュニケーションの問題などさまざ ま懸念される事項もあるわけです。  そもそも現行法自体がこのような働き方を前提に考えてない面もあるわけですので、 適正な働き方をガイドラインで示すにしても、適正な労働条件を確保するためにどうす るのかという視点で考えていく必要があると思っていますので、是非よろしくお願いし たいと思います。  もう1つは、いま土屋委員からも申し上げた留学生30万人計画の話ですが、これは 文科省が示した教育振興基本計画の中で数少ない数値目標のある項目として掲げられて いるわけです。これは実は現在、留学生は10万人と言われていますが、そのうちの大 層は語学留学生です。留学生の母国も一部の国に偏っているような実態もありますし、 就職といっても、語学留学生の場合はニーズが違うという面も双方にあると思いますの で、きめの細かい対応をしていく必要があると思っています。土屋委員の意見に合わせ てご留意願いたいということを意見として申し上げたいと思います。ありがとうござい ました。 ○河野委員 私のほうから2点ほど、お願いしたいと思っています。第1点目は、先ほ ど山口委員が言われた労働者派遣の関係です。いま労働力需給制度部会のほうで検討さ れているということですが、製造業の派遣労働者は、現実的には工場を転々とし、体を 壊せば使い捨てられる、精神的な居場所がない、働くことに希望が見出せないという実 態が報じられています。また、日雇い派遣では労災が非常に多い、もちろん保険に入っ てない、年金も入ってないという中で精神的な不安も大変あるわけです。国の制度から 見捨てられ、信頼している企業からも見捨てられている言う人もいるわけです。  このような状況を見ると、働く人の人格、あるいは労働の尊厳といったものが、軽く 扱われてきたのではないかという感じもあります。今回、労働者派遣法の見直しの検討 に際しては、やはりいま申し上げたようなことが問題です。制度的に国がやはりきちん とサポートし、あるいは企業が信頼感を勝ち取っていくということにつながるような、 労働者派遣法の改正につながるように要望しておきたいと思っています。  2つ目は、資料4頁にある最低賃金法に伴う監督行政の強化について、要望したいと 思っています。法律の改正により産業別最賃につきましては、最低賃金法の罰則の適用 が、今回されなくなりました。しかし設定された産業別最低賃金を支払わないという事 例が出た場合には、当然これは労働基準法第24条違反ということになるわけでありま して、そういった意味でも、この趣旨の徹底を十分図れるような行政の指導・整備をお 願いしたいと思っています。  また、派遣労働者の最低賃金は、派遣先の最低賃金が適用されることの周知や、違反 事業所に対する罰則の強化、摘発をきちんとやっていただきたい。そのことによって、 今回改正された最低賃金制度の実効性を高めていただきたいということをお願いしたい と思います。  さらに昨今、ハイタクの運転手、あるいは外国人技能実習生に対する法令違反が起こ っています。こういうことに対する監督のための必要な関係省庁との連携をより一層強 化いただいて、実効性を担保していただきたい。この2点を要望いたします。 ○川本委員 2点ばかり申し上げたいと思います。まず労働者派遣の問題がいくつか指 摘されていましたが、一応労働者派遣制度の見直し、あるいは派遣事業の適正化につい ては先ほども説明がありましたが、先般、学識経験者による研究会報告がまとめられて、 発表になったところです。日雇派遣の問題のみならず、多岐にわたった項目が入ってい ると思っていますが、いずれにしても、今後労働力需給制度部会におきまして議論が進 んでいくと思っていますので、その場での労使の意見というものを十分踏まえて、検討 をしていくべきものと思っていることを伝え申し上げたいと思います。  もう1点は、ジョブ・カードのお話もいくつか出ていたと思いますが、ジョブ・カー ドの周知、あるいは普及については大変私どもも期待をしているところですし、日本経 団連としても、ジョブ・カード制度についてのPRに努めているところです。今後政府 におきましては、ジョブ・カード制度がより使い易いものとなるように、柔軟に対応を 図っていただきたいと思っています。  併せまして、実は今日の議題の項目に、「雇用・能力開発機構のあり方検討会」につい ての状況報告があるようですが、ジョブ・カード制度の普及、あるいは窓口に関しては、 この機構が大きな役割を果たしていると思っています。より使い易いものになるように、 機構やジョブ・カードセンターに一層頑張っていただきたいと思っていることを、お伝 え申し上げたいと思います。以上です。 ○古賀委員 個別課題をいま労働側委員のほうから提起させていただきましたので、私 は全体的なことについて、少し労働政策の重点事項の視点を、ご要望を申し上げたいと 思います。  今回の重点事項全体として拝読をしますと、私どもがこれまで述べてきたような課題 認識や政策を盛り込んでいただいていると思っています。ただ、どうしてもこういう政 策は、総花的な政策の羅列になってしまう。一面ではやむを得ない面もあるのですが、 そのような印象も受けます。したがって、いまこの時期に労働行政というのはどの課題 に力を入れるのかというアクセントが、非常に必要ではないかと考えます。  特に今日配付されている平成20年版の労働経済分析の中で、私は大きな課題と思わ れるのは、仕事から得られる満足感が長期的に低下傾向にあることではないかと思いま す。そしてその原因の1つは、正規以外の従業員が大幅に増加してきたことだというこ とが指摘されているわけです。これも全く私どもとして、認識を一にするものです。し たがって、この時期の労働政策としては、これら非正規労働者の課題をどう解決をして いくのか、あるいは非正規労働者の労働者保護をどのように強化していくかというとこ ろが非常に重要ですし、そのようなアクセントをつけた労働政策、労働行政の推進をお 願いしておきたいと思います。  加えまして、2009年度予算の大枠となるシーリングが公表され閣議決定をされました が、社会保障費の自然増を、また来年度も2,200億円抑制をすることになっているわけ です。このこと自体が本当にどのようにして抑制できるのかということは、はなはだ疑 問があります。加えて、それと引き替えのように数字合わせのように、雇用保険の国庫 負担を大胆に縮減すべきだということも入っている。  前回の労働政策審議会でも申し上げましたが、雇用保険の国庫負担というのは、雇用 に対する国の責任を形で表していることも含めれば、削減というのは到底あり得ない。 そのことを改めてこの場で申し上げておきたいと思います。以上です。 ○指田委員 ただいま古賀さんから雇用保険制度の問題、シーリングの問題がありまし た。それに関して念のため、使用者側のほうからも申し上げたいと。労働側の皆さんと 意見は同じなのですが、改めて申し上げたいと思います。  失業に対する最低限のセーフティネットを構築するためには、国庫負担を通じた雇用 保険制度、それによって国が関与することは絶対必要になりますし、先ほどお話があっ たように国の責任という問題もありますので、軽々にいろいろ手を付けるものではない とは思っています。  一方で、国家全体の財政の継続可能性というか持続可能性、そういう視点も重要です から、現在の雇用保険の財政状況だけに鑑みれば、国庫負担率の暫定的な取扱いについ て、検討すること自体はあり得ないことではないと思います。ただし、特に足下の経済 の動向、あるいは雇用情勢の今後の動きとか、これについても十分配慮をしていかなけ ればならないと考えているわけです。いずれにしても雇用保険については、繰り返しに なりますが、あくまでも労働側と使用者側、そして国の三者の財源拠出という基本的な 枠組みは堅持すべきでありまして、労使の負担する保険料と国庫負担で費用が賄われる 雇用保険制度の原点に立ち返り、どのような負担のあり方が適切であるかも含めて、労 使の意見を十分お聞きいただきながら、慎重に検討をしていただきたいと考えます。私 からは以上です。 ○菅野会長 よろしいでしょうか。それでは、いろいろなご意見をいただきましたし、 その中には質問も含まれていたようなので、事務局のほうから適宜お答えいただけると ころはお答えいただきたいと思います。 ○太田職業安定局長 私は、大きく6点いただいたと思っています。最初は若者対策と いうことで宮下委員、山内委員からいただいたものです。お話にございましたように、 若者全体の雇用情勢は確かに改善はしてきたのですが、いわゆる年長フリーター、就職 氷河期に正社員になれなかった方が、非常に大きくまだまだ滞留しているということで す。これが30代前半から半ば後半にだんだん移っていくということですので、今後は 年長フリーターに重点を置いていく。いままでは35歳未満ということでしたが、30代 後半も含めて、例えばトライアル雇用の対象にすることで重点を置いてやっていきたい ということで、全体としては3年間で若者を100万人正規雇用化するということで、力 を入れてやっていきたいと思っています。  企業に対する支援、働きかけも重要だということで、これは先般、舛添大臣以下経済 団体にも要請をさせていただきました。さらには中小企業、特にハローワークで就職さ せているのは中小企業が多いものですから、中小企業に是非ご活用いただくということ で、さらにマッチング機能の強化も図っていきたいということです。  2つ目は、大村委員からいただいた障害者の関係です。中小企業の環境整備の推進と いうことで、まだまだ中小企業の場合には、なかなか障害者雇用が難しいということで すので、助成金なり支援を中小企業を重点に、さらに強化していきたい。あるいは今回 の制度改正の中では、中小企業がグループで雇用する場合にもカウントするような仕組 みを作っていきたいということで、さらに強化を図っていきたいということです。  派遣について山口委員、河野委員、川本委員等々からいただいたところです。学識の 研究会報告が28日にとりまとめられまして、今週30日に清家部会長の需給制度部会を 再開させていただいたということです。この研究会報告におきましては、問題になって いる日雇派遣だけでなく、労働者派遣制度の基本的な考え方、労働者の保護なり雇用の 安定ということ。もう1つは、日雇登録型、常用型といった雇用形態別に見た事業のあ り方、さらには個別の課題について派遣労働者の待遇改善、グループ企業派遣のあり方、 あるいは違法の是正措置のあり方等々、多岐にわたる論点につきましてご提言をいただ いたところです。政府としては、次期臨時国会に法案提出をさせていただきたいと考え ていますので、ちょっと短期間になりますが、これから労使に集中的に濃密なご議論を いただいて、十分ご意見をいただいた上でとりまとめをさせていただきたい。その上で 臨時国会に法案を提出させていただきたいと考えているところです。  有期のガイドラインについてですが、ご案内のとおり、いわゆるフルタイム有期は、 パート法の直接的な支援対象になっていないということもありまして、雇用管理改善の 取組みが十分でないという問題意識と、平成19年の雇用対策法の改正の付帯決議の中 で、フルタイム有期の雇用管理改善を図る必要があるということを踏まえて作成したも のです。これは現行の労働関係法令等を踏まえて、有期契約労働者の雇用に関し留意し なければならない事項、あるいはよりよい雇用管理の実施を図るために配慮することが 望ましい項目について、まとめて情報提供するものです。事業主の雇用管理改善に向け た取組みを促すための施策として重要であると考えていますし、また有期契約で働く 方々にも、こういう仕組みがあるのだ、こういう保護があるのだということを併せて周 知徹底をしていきたいと思っています。ただ、ご指摘の点、有期契約労働者の保護に向 けた施策のあり方全般的な問題については、まだまだ今後の課題として別途検討が必要 と考えておりまして、今回の研究会報告でもその旨が指摘されているところです。  5点目は、留学生の問題について土屋委員、加藤(裕)委員からご指摘をいただきま した。私ども政府全体で留学生30万人計画ということで、増やしていこうと取り組ん でいるわけですが、我が国の企業が積極的に留学生を採用する、あるいは幹部へ登用す るということで、留学生が魅力あるキャリアを描けるようにしていくことが重要ではな いかと思っています。その中での課題としては、ご指摘をいただいた企業ニーズに合う ような選考の問題とか、留学生のレベルの問題もあります。また企業側のほうには意識 改革の問題や受入体制の整備等々の問題もあるわけでして、それぞれミスマッチもある 部分がありますので、積極的な取組みを進めていきたいと考えています。これは厚生労 働省だけではなく、企業、大学をはじめ社会全体で取組みを進めていく必要があると思 っていますが、厚生労働省としては先ほど説明したとおり、外国人向けのハローワーク を留学生の就職支援の拠点と位置づけたところですので、ハローワークの持つ全国ネッ トワークの強みを活かして留学生の就職支援、産学官の連携の中で取り組んでいきたい と考えているところです。  雇用保険の問題を古賀委員、指田委員からいただきました。お話にありましたとおり、 私ども雇用保険の国庫負担は、失業が政府の経済政策、雇用対策と関係が深いというこ とで、政府もその責任を担うべきであるという考え方によるものです。平成19年度の 制度改正におきましても、その雇用対策に関する政府の責任についての考え方を踏まえ た基本的な枠組みを堅持しながら、やむを得ない措置として暫定的に一部引下げを行っ たということです。そのときの国会審議でも、大臣答弁なり国会の付帯決議でも、国庫 負担は雇用政策に対する政府の責任を示したものであるということで、明確に示されて いるところです。  それから、積立金が積み上がっているという議論もあるわけですが、これは国庫負担 は入っておりませんで、労使の保険料を積み立てたものですので、これは積立金は保険 料の水準、保険料との関係で論ずべき問題であって、国庫負担のあり方とは無関係であ ると考えております。こうしたことを踏まえて、私どもとしては国庫負担の廃止とか、 さらなる削減の議論というのは、極めて遺憾ではないかと考えているところです。前回 の労政審でも公労使から意見をいただきましたので、国庫負担の枠組みは堅持すべきで あるというようなご意見、あるいは廃止、削減は反対であるというご意見をいただきま したので、財政当局にもその旨はしっかり伝えております。  また与党の雇用関係のPTも廃止、削減は反対である旨の申入れを財務大臣なり政調 会長に行っていただいているというのが、現在の経緯です。今後とも年末までさまざま な動きが予想されているところですが、私どもはいま申し上げたようなことをしっかり と関係方面にもの申して理解が得られるように全力を尽くしていきたいと思っておりま すけれども、何れにしても今後ともいろいろな動きについて労使に十分なご相談をさせ ていただきたいというふうに考えているところでございます。  それからもう一つ、古賀委員からあった正規、非正規の問題につきましては、私ども 基本的にやはりここ10年ぐらいで非正規の割合が10ポイント上がって3分の1を超え てきているということで、いろいろな問題が出てきているのではないかと思っておりま す。ですから、ここ数年ハローワーク中心にやはり正社員になりたい方については、正 社員就職をしっかりと支援するということで若者の正規化、雇用化等々に取り組んでい きたいと思っております。  ただ、一方でどうしても非正規で働く方もおられるわけでございますので、いま申し 上げた派遣の制度の見直しとか有期雇用のガイドラインの問題、あるいはパート法の改 正もありましたけれども、処遇の改善なり保護というものをしっかりと図っていきたい と考えているところでございます。以上でございます。 ○村木雇用均等・児童家庭局長 雇用均等・児童家庭局でございます。私のほうから3 つ申し上げたいと思います。まず、1点目でございますが、男女間の賃金格差でござい ます。これは、賃金格差が日本が非常に大きいというのはもうご指摘のとおりでござい まして、私どもも非常に問題だと考えています。それで、研究会をいま動かしておりま すが、実際の賃金決定というのは労使の間で行われるわけでございますから、そういう 賃金決定のプロセスでどういうことができるのか、というのが非常に大事になってまい りますので、具体的な労使のお取組みがどういうことができるかということをよくご意 見を伺いながら、政策もそれに沿った形で効果のある政策を考えていきたいということ を考えておりますので、是非ここはご協力をいただきたいというふうに考えております。  2点目でございますが、育児・介護休業法の関係でございます。第一子を産んで辞め る女性が7割という数字がもうこの20年間変わっていないということで、この問題は 喫緊の課題であるというのは今日お三方からお話が出ましたとおり、労使共にその辺り は共通の認識を持っていただいているのだろうと思います。研究会報告が出ましたので、 できるだけ早く審議会を立ち上げて、いまおっしゃられたようにいろいろな産業、職種 があります。そういったところに合ったやり方がどういうふうにすればできるか、また、 逆に言えば、どういう産業にいても職種にいても仕事と家庭の両立ができる働き方をど う組んでいくかということで、短時間勤務だとか男性の育児休業の問題とか大きな課題 がございますので、これは審議会でいい議論ができるように私どもも事務局としてしっ かり頑張っていきたいというふうに考えております。  3点目でございますが、次世代育成支援の関係でございます。この推進センターが次 世代法の関係で非常に中央会、それから商工会議所のご協力もいただいて大きな役割を 果たしていただいたということで私ども大変感謝をしております。それで、次世代法の 改正案は先ほどちょっと紹介がなかったのですが、実は前の国会で衆議院で全会一致で 通ったにもかかわらず廃案になっておりまして、この法律は次の国会に提出をしたいと 思っております。それで、中小企業101人以上のところにも計画策定の義務付けがされ ますが、その義務付けよりも前に、できるだけ中小企業でも計画が立てられるようにと いうことで、この2年間ほどを集中重点期間のような形で政策を展開していきたいと思 っておりますので、その中核を推進センターに担っていただけるような形で施策の充実 を考えて行きたいと思っておりますので、引き続きよろしくお願いを申し上げます。私 からは以上でございます。 ○草野職業能力開発局長 私のほうから2点ばかりご説明申し上げます。第1点が、非 正規から正規へということの中で、能力開発の役割をPRしていかなければならないと いうことでございまして、全くおっしゃるとおりでございまして、これまで日本版デュ アルシステムでありますとか、あるいは再チャレンジということで、年長フリーターの 方も含めた訓練をやってきたわけですが、やはり今年度から本格実施するジョブ・カー ド制度、これをいかに普及し定着させるかということが極めて重要というふうに考えて おります。6月にジョブ・カードセンター、商工会議所で受けていただいておりますが、 中央と地方でそれぞれ立ち上がったところでございます。  このジョブ・カードセンターにおきまして、ジョブ・カードを受けて能力開発をする 企業の登録でありますとか、あるいは実施を行う事業所と教育訓練機関のコーディネイ トでありますとかPR、そういったことを行っていただきまして、機構においていろい ろな助成金の支給でありますとか、教育訓練のノウハウを生かした支援、あるいはその キャリアコンサルタントの派遣と、こういったことで応援するという、いわば官民協働 の事業でございます。6月にジョブ・カードセンターが立ち上がりましたので、これか ら本格的に機構のバックアップを含めまして官民協力でやっていきたい。これをいかに 成功させるかどうかということが一つ、非正規から正規への能力開発ということの一つ の答えになるのではないかと思います。またそのために、政策的な手当というのも行っ ていきたいというふうに思っておりまして、いわゆるワーキングプア、ネットカフェ難 民といわれる若い方々を中心に年長フリーターの方も入っていますが、そういった方に 対する融資からさらに一歩進んだ給付に近いものの支援と、こういったことに取り組ん でいきたいと思っておりますし、実習を行います企業に対する助成措置の充実というこ とも図っていきたいというふうに考えております。  また、このジョブ・カード制度の中で新しい仕組みとして有期実習型というものが作 られております。これは、6カ月未満で雇用型でもってフリーターの方などを雇って教 育訓練していくと、こういう仕組みでございますけれども、そのフリーターの方がいき なり雇用ということになりますと中小企業ではなかなかハードルが高いという面もござ います。  ですから、その辺は先ほどございましたように、企業の実態とか柔軟な仕組みという ものを考えていく必要があろうと。それで、1つのやり方としてフリーターの方を企業 が別途に雇うというのでなくて、既にそのパートなどの形態で雇っている企業におきま して正規へ向けて座学をつける、あるいはそのパート就労の部分を実習に切り替えてい くと。そういう形のものも1つこれはジョブ・カードに載る既成システム、有期実習で あるというふうにみなして支援をしていく、こういう形のものも取り入れまして積極的 に正規への支援ということに力を入れていきたいというふうに思っております。  それから、山内委員がおっしゃいましたように、ジョブ・カードについて学校教育と の連携ということも必要になってきますので、積極的にジョブ・カード制度について学 校、学生にPRしていく、そのことによって例えば学校の行うインターンシップであり ますとか諸々の職場体験、そういったものと連動させていくというような取組みが必要 であるというふうに思っております。  それから、ICカードという話もございました。なかなかすぐ、ICカードというとこ ろまでいかなくて、現在はファイルに近いものでございますけれども、中にはICカー ド的なものを試行的に始めているところもございますので、そういったことの調査研究 をやっていきたいというふうに考えております。  それから第2点でございます。土屋委員からの話で外国人労働者の技能実習というこ とについてのお尋ねでございまして、現状では特に研修におきます研修と労働との区別、 実習との区別というのはなかなか判然としないということで、研修をいわゆる雇用関係 に切り替えて3年の実習にしていくということが研究会の報告で一応打ち出されており ます。  それに加えまして、1つの大きな問題がいわゆるブローカー対策でありますとか、あ るいは受入れ団体、企業の中でいわゆる実態から離れた不法な状況があると、こういっ たところについてどういうチェックしていくかというのが1つの大きな問題でございま す。そういう意味で、受入れ団体について研究会報告におきましては、これを許可制に するということを謳っております。更に、その受入れ団体とか企業に対するチェック、 これは現在ジツコという国際技能研修機構でございますが、ここが公益法人が行ってい るわけでございますが、なかなかその企業からお金をいただいているというような基本 的にサービス機関でございますので、そういうサービス機関が十分にチェックできるか と、こういう問題がございます。  したがいまして、研究会報告では行政機関などの公的機関が権限に基づきまして助言、 指導、勧告、場合によっては取消しということまで含めて受入れ団体や企業をチェック していくと。こういうことにしておりますので、この面での強化ということを研究会報 告をベースに、各省庁と協議しながら対応していきたいというふうに考えておるところ でございます。以上、簡単でございますが。 ○金子労働基準局長 労働基準局長でございます。何点かご質問とご意見をいただきま した。1つは土屋委員のほうからお話のありましたメンタルヘルスの関係でございます が、これはいま企業の中であるいは労使において大変大きな問題として認識されている 課題だろうというふうに思っております。労働基準行政の中でも大きな施策として更に 拡充して進めていきたいと思っております。  具体的には、メンタルヘルス支援センターというのがありますけれども、この機能の 拡充を図るとか、特にメンタルヘルスで不調になった方の職場の復帰といいますか、こ れをどう支援していくかというようなことにつきましても新たな施策を打ち出していき たいと、こんなふうに考えておるところでございます。いろいろな企業の中でのいろい ろなお取組みといったようなものもあると思いますので、よく勉強もさせていただいて 適切な施策を講じていきたいと思っております。  それから2点目、テレワークの関係で加藤委員からお話がございました。これについ ては、在宅勤務ガイドラインというのをテレワークの関係で作っています。このガイド ラインには労務管理上留意すべきような事項が書いてありまして、いわゆる雇用型のテ レワーカー、労働基準法が適用になるような労働者性のある方をターゲットに書いて整 理されたものでございます。先般、これまでどうも労働時間に関する解釈というのは不 明確な部分があるというようなことでしたので、この間、明確化するようなことでガイ ドラインの改訂もやりました。テレワークの普及促進、ワーク・ライフ・バランスの観 点からもいい点もたくさんあるわけですけれども、いまご指摘がありましたように、適 正な労働条件が確保されながら拡大されなければ意味がないわけでありますので、その 点につきましてはご意見を参考にさせていただいて十分配慮してまいりたいと思ってお ります。  自営型のテレワーカーという方ももちろんおられるわけで、これはむしろ契約を締結 する際の取引関係の問題というようなことになるのだろうと思います。そちらはまた別 の最低限のルールが決められているようには承知しておりますが、主に労働者、雇用型 のテレワーカーにつきまして対策を進めていくということで整理をさせていただいてい るものでございます。  最低賃金の関係でございますが、これはいま、最低賃金審議会のほうで目安の審議を お願いしております。改正の最低賃金法が7月に施行されました。それから、それに先 立って政府のほうの成長力底上げ円卓会議もございまして、これで最低賃金についての 中・長期的な引き上げというようなことも議論をされておったわけでございます。そう いうことを踏まえまして、労使で熱心なご議論をいただいているところでございますが、 私どもとしては、ご指摘がありましたように、この最低賃金制度をきちんと実効を確保 していくということがやはり我々に課せられた大きな課題だろうと思っております。  ご案内のように、またご指摘もありましたけれども、産別最賃につきましても賃金の 不払いということになれば24条違反を構成するとか、あるいは派遣先の最賃が適用に なるといったような種々の制度的な話といいますか、こういった点はよく周知できるよ うに我々もいま通達を出してやっておるところでございます。外国人の技能実習生を巡 る労働基準法の適用の問題とかいろいろな問題がございます。  最低賃金法だけではなくて、労働基準関連法令の適用をきちっとやっていくというこ とが労働基準行政の基本的な使命だと考えております。実効ある実施につきまして十分 努力をしていきたいと思っておりますのでよろしくお願いしたいと思います。以上でご ざいます。 ○菅野会長 よろしいですか。それでは労働政策の重点事項関連の議題はこのくらいに させていただいてよろしいでしょうか。  もう一つ議題がございます。「雇用・能力開発機構のあり方検討会」における検討状況 についてでありまして、事務局からの説明を願います。 ○草野職業能力開発局長 それでは、資料3-2をまず見ていただきたいと思います。資 料3-2で「雇用・能力開発機構のあり方検討」中間整理とございますが、その最初のマ ルのところにございますように、雇用・能力開発機構につきましては昨年の12月24日 閣議決定におきまして整理・合理化計画をとりまとめられております。そこにおきまし て、機構につきましては「雇用のセーフティネットとしての職業能力開発施設の設置・ 運営業務について、ものづくりの分野を重点に、地域の民間では実施していないものに 特化するとの観点から、その必要性について評価を行い、その結果を踏まえ、法人自体 の存廃について1年を目途に検討を行う」。つまり、今年の末までに検討を行うという ことになっておるわけでございます。これを踏まえまして、「雇用・能力開発機構のあり 方検討会」ということで検討を行っております。資料3-1にスケジュールとメンバーが ございます。  まず、メンバーでございます。2枚めくっていただきまして、構成員とございますが、 庄山日立製作所会長を座長といたしまして、今野委員に座長代理をお願いしまして、県 の職業訓練責任者の方、これは例えば愛媛、愛知、石川、それから民間の教育訓練機関、 全専各連の理事・総務委員長の秋葉さん、あるいは下から3つ目にあります全産労連、 これは株式会社系ですが、そういう教育訓練機関の理事の方、それから、日本工学院八 王子専門学校長と、専学の中で、ものづくり系の学校でございますが、こういった方、 それから労使メンバーということで、ここにおられます川本委員や古賀委員にも入って いただいて、その他、中小企業団体中央会、あるいは日商からも入っていると。こうい うメンバーで議論してきておるわけでございます。  スケジュールにございますように現在まで5回行いまして、機構からのヒアリングと か訓練施設、こういうことも見学も含めまして中間整理を行ったというのが資料3-2で ございます。2頁でございますが、中間的な取りまとめを行いました項目としまして、 機構が行っております職業訓練の現状についての評価ということで4点ばかりにわたり ましてまとめてございます。それから、民間教育訓練機関との役割分担、都道府県との 役割分担のあり方ということでございます。  めくっていただきまして、まず、セーフティネットとしての訓練の評価でございます。 この点につきましては機構の行う訓練のセーフティネットとしての重要性、実績という ものについてはほぼ異論がないところでございますけれども、訓練内容についてもっと 高度なものあるいは、2つ目のマルにございますように年長フリーター、女性等の能力 形成機会に恵まれない方、こういった方への訓練の機会の提供あるいは取組みの強化が 必要というご見解。  4頁目の「ものづくり訓練に係る評価」という点についてでございますが、機構が行 います高度なものづくり分野、これの必要性というのはますます増していて重要である というご見解でございますが、更に先端企業との連携とか地域ごとのニーズに応じた対 応、積極的な取組みが必要だというご見解がございました。  5頁目の「指導員訓練など職業訓練の基盤に係る評価」についてでございますが、指 導員の養成でありますとか再訓練機能、こういった機構の行っている役割というのが重 要であるということで、都道府県の指導員の訓練もやって欲しいというような意見もご ざいます。ただ、指導員となる者が2割であるとか、あるいは高度な機械・設備が入っ ておりますがこの効率的活用、あるいはカリキュラムの公開、こういった問題について は大いに改革しなければいけないという課題の指摘がございます。  6頁目、訓練の全体についてでございますけれども、この雇用・能力開発機構の訓練 というのは雇用保険二事業の内の能力開発事業ということで、事業主の負担からなって おります。そういう意味で事業主の立場からしましてより効率的に行う、更により充実 させていく必要があると。ものづくり訓練ということでかなりの訓練をやっていますが PRが足りないのではないか、中小企業にもっと知ってもらう必要があると、こういう ご指摘でございます。  7頁目、民間教育訓練機関との役割分担につきましては、基本的な考え方として、民 間で対応できないもののみ国で行い、それ以外は民間に任せる姿勢の徹底が必要という ことですが、その中で、民間でできないもの、とりわけ、ものづくり分野における訓練、 セーフティネットというところについては公が担う必要があるという見解でございます。  8頁目、都道府県との役割分担、都道府県が職業訓練校を設置してやっているわけで ございますけれども、そのダブリがあるのではないかというようなご指摘も一部ござい ます。ただ、全体として見ますと、国は高度なもの、県は基礎的なものという役割分担 は概ねできているのではないかと。ものづくりを中心とする高度で設備のかかるもの、 こういった先端的なものを国がやるべきというご意見が多くございました。  それから最後に、国から都道府県に訓練を移管できるかという点についてもヒアリン グなどでお聞きしております。これは主として都道府県からのご意見でございますけれ ども、やはり移管するとしても財源をどうするかという問題が非常に重要と。仕事だけ きて財源が来ないようでは困るということでございますので、この訓練の継続的実施を 担保する財源措置、それから、人的面をどうするかというようなことも重要である。そ れから、小さな県におきましては仮にそういう財源的な措置が取られたとしても、パイ が小さいということから、あるいは財政力が限られているということから、県の跛行性 といいますか、力量によって大きな差が生じて小規模県はなかなか対応できないのでは ないか、こういうご指摘もあったところでございます。  こういった全般についてのご意見をいただいておりまして、これから民ができるもの は民へ、あるいは県ができるものは県へという姿勢を徹底して最終的な議論をまとめて いきたいというふうに考えております。同時に、この行政減量・効率化有識者会議とい うところがこの独法を扱っているわけでございまして、ここにおいても既に2回ばかり ヒアリングを受けております。今後もその研究会の検討と合わせてヒアリングは続行さ れるわけでございまして、こういった有識者会議のご意見、そういうものも踏まえなが ら検討委員会でご検討いただき、対応を考えていきたいというふうに思っているところ でございます。以上、簡単でございますが説明をさせていただきました。 ○菅野会長 ただいまのご説明につきましてご質問等どうぞ。 ○河野委員 私のほうから1点だけお願いをしたいというふうに思っております。資料 3-3のところで、特に中小企業におけるものづくりの基盤の重要性の分野であります。  ご存知のように資源のない我が国は資源を買って、そして加工貿易といいますか、自 動車を始め、加工貿易で外貨を稼ぐというようなことで経済を発展させてきたわけであ りまして、その最も競争力を強くしてきたのが、ものづくり産業であるわけであります。 実際にいま、ものづくり産業の状況をみておりますと、大企業がものづくりの全てを担 っているわけではなくて、その周辺にあります中小企業がどれだけの高度な技能・技術 を持っているかということによって全体の競争力が保たれているというような状況にな っているわけであります。  そういった意味からいきますと、規模の大きい大企業といわれるところには独自の研 究所、いわゆる応用研究であったり基礎研究であったりといったものがあるわけであり ますし、従業員の高度な教育訓練という施設も現実にはあるわけであります。しかし、 ものづくりを支えてきた中小企業では独自の研究所や施設を持つということができない わけでありまして、これまでの雇用・能力開発機構の聴き取りの調査の中にありました けれども、役割は大きかったのではないかなと思っております。  中小企業のものづくりの技能・技術の高度化をどのように支えていくのか、また国が 進める部分と地域でやっていく部分とを分担しながら、どのような支援をしていくのか ということについては精査する必要があるかもしれませんが、雇用・能力開発機構が行 ってきたこうした教育訓練については、やはりきちんと評価しておくべきではないかと 思っております。中小企業における技能、技術の伝承や人材の育成に大きな役割を果た してきたのではないかと思っております。  したがいまして、今後この雇用・能力開発機構のあり方の検討の見直しにあたっては、 廃止ありきということではなくて、これまでの地域の中小企業に貢献してきた内容を踏 まえて、地方の中小企業団体や中小企業の意見を十分聞いた上で検討をしていただくよ うにお願いしておきたいと思います。以上です。 ○岡部(謙) いま、あり方検討会での議論状況をお聞きしました。そこで、押さえて おかなければならないことは、国が能力開発に関与するということは極めて重要なこと だと思いますし、責務であるというふうに思います。まず、そのことを押さえる必要が あるのではないかというふうに思っています。その上で、機構が現在行っている事業が、 例えば都道府県と事業が重なり合ってある部分があるとか、こうしたところについては 地方の実情も踏まえつつ、あり方検討会においてしっかりとした検討をしていただきた いというふうに思います。  それから、いま報告にもございましたが、この機構については内閣府の行政減量化推 進有識者会議においても議論がなされているという報告がございました。是非、このあ り方検討委員会と連携した議論・検討をお願いいたしたいと思います。  もう一点ですが、今日の議題には直接ないのですが、地方分権における労働行政につ いてひと言申し上げたいと思います。現在、地方分権改革推進委員会で労働行政の分野 についてもいろいろな指摘がなされております。地方分権は大変重要な課題でございま す。国の行政機関の縮小や公共サービスの切り捨てに、そういう形に矮小化をさせるの ではなくて、我が国のあり方全体をどのようにデザインするのかという視点での議論が 重要であると考えております。いまは国の出先機関のあり方がテーマになっているよう でございますが、検討する際には東京などの大都市だけをイメージするのではなくて、 日本全国の状況も念頭において議論をしていただきたいというふうに思います。  と申しますのは、労働者の立場から見ますと、労働行政に関する国の出先機関や地方 のサービスは1つは労働基準監督署、それからハローワーク、それから個別労働紛争に 関する都道府県労働局での相談、助言、指導、斡旋等がございます。これらは何れも労 働者が直接に活用するものでございます。したがって、労働組合としては大変大きな関 心を持っております。個別労働紛争で困った労働者やハローワークでの職業紹介をして もらいたい労働者が、全国どこであっても適切なサービスを公平に受けられるというこ とが重要であるというふうに思います。是非、地方分権改革推進委員会も、それから厚 生労働省もそのような視点を持って対応、議論をいただきたいというふうに思います。 以上でございます。 ○川本委員 機構の問題につきましてひと言だけ申し上げておきたいと思います。どう も世の中的に、1つがこの機構に関して税金の無駄使いであるという指摘、あるいはも う1つは廃止せよという非常にそういう角度のご意見が多々見受けられるわけでござい ますけれども、申し上げておきたいのは資料3-3の6頁を見ていただきたいと思います。 ここに雇用・能力開発機構の業務の全体が載ってございますけれども、下の方にいろい ろ載ってます項目はもう廃止されたり廃止決定済みになったりいろいろな合理化が図ら れてきているということであろうかと思っているところでございます。  その上で、実は財源の話、先ほど草野局長のほうからご説明がございましたとおり、 事業主が負担してございますが雇用保険二事業というものが実は財源になってございま して、いわゆる一般から入っているものではないということであります。では、事業主 がどうしてこの負担をしているかと申し上げますれば、いわゆる失業防止、あるいは失 業した日数に対する教育訓練、そしてそれをまた職業の場へつなげていくということの ために事業主負担をしたもので財源としてこの訓練を行っているということでございま す。そして、その意味ではこの職業訓練というのはまさしく社会のセーフティネットと して機能しているのだと思っているということを申し上げたいと思います。  したがって、税金で云々という誤解は解いておきたいと思って発言しているのと、も う一つは「まず、廃止ありき」ではなくて、何が重要な仕事であるかを踏まえた上で、 いかに効率化を図っていくのかという議論が必要なのではないかなと思っています。  ちなみに、いま見ていただいている絵では上のほうの「中核となる業務」というとこ ろがいわゆる失業者の訓練、あるいは中小企業さんの在籍者に対する在籍者訓練等々の 中身が入っていると。合わせて2つ目の枠のところには今回始まりましたジョブ・カー ドに関係したものにつきましても、ここが窓口をやっているということでありまして、 不断の見直しによります効率化、あるいは充実すべきは大事だとは思ってはおりますが、 効率にも務めていただきながらということになるのかなというふうに思っている次第で ございます。以上でございます。 ○菅野会長 よろしいでしょうか。事務局からはよろしいですね。それでは、その他の 議題ですが事務局からは何かありますか。ご出席の委員の方々からは何かございましょ うか。よろしいでしょうか。  それでは、時間がまいりましたので本日はこの辺りで閉会とさせていただきたいと思 います。本日は特に平成21年度の労働政策の重点事項についてご議論いただきました。 政府として概算要求の作業を進めるに当たっては本日委員の皆さまから示されたご意見 等を十分に踏まえて取り組んでいただきたいと思います。  それでは、本日の会議に関する議事録につきまして、審議会運営規定第6条により会 長のほうから2人の委員に署名をいただくことになっておりますので、労働者代表委員 の岡部委員、それから使用者代表委員の山内委員に署名人になっていただきたいと思い ますのでよろしくお願いいたします。どうもありがとうございました。 照会先 政策統括官付労働政策担当参事官室 総務係 内線7717