08/07/30 第19回医療情報ネットワーク基盤検討会議事録           第19回医療情報ネットワーク基盤検討会                    日時 平成20年7月30日(水)                       10:00〜                    場所 東海大学校友会館 望星の間 ○ 秋山補佐  定刻になりましたので、ただいまから「第19回医療情報ネットワーク基盤検討会」 を開催いたします。構成員の皆様にはご多忙のところをご出席いただき、まことにあり がとうございます。本日の検討会は公開形式で行います。なお、本日、厚生労働省医政 局長の外口は、他の公務のため欠席させていただいております。  最初に検討会開催に当たり、厚生労働省医政局研究開発振興課長の千村よりご挨拶申 し上げます。 ○ 千村課長  研究開発振興課長の千村です。私は去る7月11日付で、研究開発振興課長を拝命い たしました。よろしくお願いします。  「第19回医療情報ネットワーク基盤検討会」の開催に当たり、ご挨拶申し上げます。 本日、構成員の皆様方にはご多忙のところをご出席いただき、まことにありがとうござ います。  また、昨年度においては、医療・健康情報に関わります各関係者についての責任分界 点の明確化、あるいは無線・モバイルを利用する際の技術的要件等についてご議論いた だき、無事「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン(第3版)」を公表す ることができました。この第3版への改訂について、本日ご参集いただいています構成 員の皆様方には、多大なるご協力をいただきましたこと、あらためて御礼申し上げます。  さて、本年度におきましては、近年の医療・健康情報に関連をした様々なサービスが 存在する中で、その技術進歩に合わせた情報の安全管理及び運用方策等をさらに体系的 に検討する必要が生じております。  また、医療の情報化の進展に伴い、個人が自ら医療情報を閲覧・収集・提示すること によって、自らの健康増進へ役立てることが期待されております。この期待に応え、国 民中心の真に有益な情報化を推進するために、医療情報を個人が管理・活用することに ついて、医療現場を見据えたご議論をいただき、そこで求められるセキュリティ等の技 術要件等についてご検討いただきたいと思います。  さらに、ガイドライン第3版ですが160頁からなっています。今回の検討課題にあわ せ、その読みやすさに配慮することも必要であろうかと考えている次第です。これを検 討するにつきましては、構成員の皆様方に多大なご負担をおかけすることになろうかと 思います。しかしながら、これらの要請にお応えいただき、ガイドラインを第4版とし て公表することができれば、医療現場へのガイドラインの普及に寄与するものと考えて いる次第です。  最後に、これらの課題をご検討いただくにあたっては、本検討会の下に作業班を設け、 効率的かつ活発なご議論を行える環境で検討を進めていただきますよう、お願い申し上 げたいと思っています。以上、簡単ではありますが、冒頭に当たりまして私のご挨拶と させていただきます。よろしくお願いいたします。 ○ 秋山補佐  前回、第18回検討会より少し間があいており、構成員の交代もありましたので、本 検討会の構成員の方々をご紹介させていただきます。日本製薬工業協会医薬品評価委員 会電子化情報部会長、足立武司構成員です。名古屋大学名誉教授、石垣武男構成員です。 日本歯科医師会常務理事、稲垣明弘構成員です。東京工業大学像情報工学研究施設教授、 大山永昭構成員です。東京医科歯科大学大学院政策科学分野教授、河原和夫構成員です。 東京工業大学統合研究院ソリューション研究機構特任教授、喜多紘一構成員です。保健 医療福祉情報システム工業会標準化推進部会副部会長、篠田英範構成員です。  日本薬剤師会理事、原明宏構成員に代わり、今回新たにご就任いただきました日本薬 剤師会副会長、土屋文人構成員です。日本医師会常任理事、中川俊男構成員です。東京 大学大学院法学政治学研究科教授、樋口範雄構成員です。日本インターネット医療協議 会事務局長、三谷博明構成員です。読売新聞東京本社編集委員、南砂構成員です。日本 医師会総合政策研究機構主任研究員、矢野一博構成員です。東京大学大学院情報学環准 教授、山本隆一構成員です。日本画像医療システム工業会医用画像システム部会長、吉 村仁構成員です。また、本日は欠席のご連絡を承っていますが、日本看護協会常任理事、 廣瀬千也子構成員に代わり、新たに永池京子構成員にご就任いただいています。  続いて、関係府省よりオブザーバーとして参加しております方々をご紹介させていた だきます。内閣官房情報通信技術担当室、西原栄太郎情報通信技術参与です。総務省情 報流通行政局情報流通振興課、情報流通高度化推進室、片淵仁文室長です。総務省情報 流通行政局情報流通振興課、情報セキュリティ対策室、中村高雄課長補佐です。経済産 業省商務情報政策局情報経済課、井川了課長補佐です。経済産業省商務情報政策局情報 経済課情報セキュリティ政策室、清水友晴室長補佐です。経済産業省商務情報政策局サ ービス産業課医療・福祉機器産業室、井上美樹代課長補佐です。経済産業省商務情報政 策局サービス産業課医療・福祉機器産業室、宮腰清一課長補佐です。  引続き、事務局の紹介をさせていただきます。厚生労働省医政局研究開発振興課長の 千村です。同じく、研究開発振興課医療機器・情報室長の冨澤でございます。同じく、 医療機器・情報室長補佐の納富です。私は同じく医療機器・情報室長補佐の秋山です。 それでは、以後の議事進行を大山座長にお願いいたします。 ○ 大山座長  おはようございます。議事を進行させていただきたいと思います。資料がいろいろあ りますので、最初に資料確認をお願いしたいと思います。 ○ 秋山補佐  資料の確認をさせていただきます。資料1から4、およびフラットファイルに綴じた IからIIIがあります。  はじめに資料1、「医療情報ネットワーク基盤検討会開催要領」、資料2「医療情報ネ ットワーク基盤検討会スケジュール」、資料3「医療情報受託ガイドラインの策定につい て」、資料4「処方せんの電子化について(案)」です。  続いて、フラットファイルに綴じてある資料の資料I、「医療情報システムの安全管理 に関するガイドライン第3版」です。資料II(1)として「医療情報を受託管理する情報処 理事業者向けガイドライン」(告示)です。資料II(2)として「医療情報を受託管理する情 報処理事業者向けガイドライン」パーソナル情報研究会の報告書です。資料III「ASP・ SaaSにおける情報セキュリティ対策ガイドライン」です。以上で資料の説明を終わり ます。資料の未配付など、不備がありましたら事務局にお申し出いただきますようお願 い申し上げます。  なお、IからIIIについてはフラットファイルに綴じているものですが、次回以降の資 料として使用するため、検討会終了後回収させていただきます。もし、お持ち帰りを希 望されるのであれば、誠に恐縮ではありますが、次回の検討会の際に持参いただきたく 存じます。以上です。 ○ 大山座長  お持ち帰りになる方がいらっしゃるかどうかわかりませんが。それでは、今日の議事 に入りたいと思います。予定されております議事は皆様の紙に書かれているとおり、(1) から(3)までであります。議事の(1)は「医療分野における電子化された情報管理の 在り方に関する事項」、次の(2)「個人が自らの医療情報を管理・活用するための方策 等に関する事項」について、事務局から説明をお願いしたいと思います。 ○ 秋山補佐  それでは、私、秋山から資料1「医療情報ネットワーク基盤検討会開催要領」に即し てご説明いたします。今年度、ご検討いただきたい事項としては、(1)として「医療分野 における電子化された情報管理の在り方に関する事項」、(2)として「個人が自らの医療情 報を管理・活用するための方策等に関する事項」があります。  検討事項(1)についてですが、医療機関や医療従事者等が行う医療情報の安全管理につ いては、情報技術に関する専門知識や、多大な経済的負担が必要であり、本来、情報技 術関連事業者が行うべき情報管理等の業務に、医療機関側の労力等が費やされている現 状があります。  本来、医療機関・医療従事者の労力や資源は、患者に対して良質な医療を提供するた めに費やされるべきものであり、情報化等にかかる労力等は最少限にすべきものと思慮 いたします。  皆様ご承知のとおり、現在は医政局長及び保険局長の連名通知で「診療録等の保存を 行う場所について」を発出し、電子化された医療情報の外部保存先は「医療機関」、「行 政機関等が開設したデータセンター」及び「医療機関等が震災対策等の危機管理上の目 的で確保した安全な場所」の3つの場所に限っています。もちろん、この経緯について は、保存する情報が患者の身体情報等、非常に機微なものである以上、医療情報保護の 観点から十分な蓋然性があるものであります。  一方、昨今、安全性や効率性の向上を目的とした情報管理関連サービスの多様化がみ られ、これらを活用することにより、医療機関において人的・経済的負担の軽減が図れ ることも事実であります。  昨年度の検討会におきましては、医療・健康情報に対する関係者の責任分界点を明確 化いただいたところであり、総務省、経済産業省においても医療・健康情報の取扱いに 関連したガイドラインが策定されたところであります。  係る状況を踏まえ、関係ガイドラインの整合や技術進歩にあわせた医療情報の取扱い 方策について、情報の物理的な所在にとらわれず、医療情報そのものに対する安全管理 や運用方策等を、さらに体系的に検討していただきたいと考えています。また、現在の ガイドラインがかなりの分量となっており、読みやすさに配慮したものを、と言う要請 があります。その辺りも踏まえて、検討を行っていただきたいと考えています。  次に検討事項(2)についてです。近年、情報技術を用いて、個人が自らの医療情報を、 自らの健康のために管理・活用したいとの要請が見受けられています。IT戦略会議にお いても、「個人による健康情報の集積・予防医療等への活用の推進」として「個人が自ら 健康情報を管理し健康管理等へ活用するための仕組みの確立」が掲げられています。こ れらの要請に対し、本検討会では、個人自らの医療情報の管理・活用の視点から想定さ れるユースケースを洗い出し、医療の現場を見据えた議論を行っていただきたいと考え ています。  議論に際しては、地域医療連携等において、医療機関等が医療情報を安全に共有する 際に必要な認証機能の要件や認証ポリシーにつきましてご検討いただくほか、個人が自 らの医療情報を管理・活用する方策や、その際に求められるセキュリティ等技術的要件 について、検討事項(1)と連携しながら検討いただきたいと考えています。検討いただき ました結果については、「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン 第4版」 として反映していくほか、必要に応じて報告書の形で公表させていただきたいと存じま す。  これらの検討に係るスケジュールにつきましては、資料2をご覧ください。本日、構 成員の皆様にご賛同いただければ、本検討会のもとに作業班を設けたいと考えています。 作業班におきましては8月上旬から11月末を目処に、ガイドラインの改定案や個人に よる医療情報の管理・活用に関する検討結果を取りまとめていただき、第20回検討会 において審議をお願いする予定でございます。第20回検討会開催までの間、作業班の 議論の状況につきましては、必要に応じてメール、持ち回り等の方法で検討会の構成員 の皆様にご報告する予定でございます。第20回の検討会において審議いただいた内容 を反映し、必要に応じて作業班を開催した後、パブリックコメント案としてまとめ、第 21回検討会において審議をお願いしたいと考えています。  そこでご了承いただければ、パブリックコメントを経て、意見反映版を第22回検討 会で審議させていただく予定であります。第22回については、パブリックコメントの 結果がごく軽微な修正に終わる場合には開催しない場合もありますので、何卒よろしく お願いいたします。私からの説明は以上です。 ○ 大山座長  ありがとうございました。ただいま検討事項、およびスケジュールについての説明を いただきました。この件について何かご質問、ご意見等はありますでしょうか。意見と しては「短いのではないか」というのがきっとまた出るかもしれません。それもあって、 今回は昨年度よりは早めにスタートしました。そこで7月中、月末になりましたが、今 日ということになっています。特にご質問、ご意見等ありませんか。  これについては、年度の関係を見るともうおわかりのとおり、限られた時間の中で検 討し、結論を得たいということだと思います。そう考えると、この検討会では毎回お願 いしていることになりますが作業班を設けて検討いただき、それをまた構成員の皆様方 にお諮りしという形をとるのが効率的ではなかろうかと思うわけです。そういうことも あり、事務局から作業班を設置してはどうかというように提案をいただいているわけで す。したがって、皆様方にお諮りしなければならなくなりますのは、作業班を設けて進 めることになるわけですが、作業班をスタートするにあたっては当然のことながら検討 すべき内容、一定のスケジュールを示しておかないといけない。その観点から、まずは 皆様方に検討事項、スケジュール等について何かご意見等があればということで時間を 取っています。いかがでしょうか。 ○ 石垣構成員  先ほどのご説明で、電子化された情報管理の在り方に関して定型的に是非検討してい ただきたいと思います。最後に「読みやすさにも配慮して」とありました。そのとおり だと思うのですが、読みやすさを求めている対象をどこら辺に置くのか。医療情報関係 に詳しい方にとっては、このガイドラインは特に難しいということでもないと思います。 解釈の仕方などではあるかもしれません。ただ、普通の医師がこれを見たら、何だかち んぷんかんぷんなのです。その辺、まず掘り下げてこういうものを書くのは無理だと思 います。そうすると、ガイドラインの要約みたいなものを、世にもっと普及させるため に実はアンケート調査をしたのですが、医療情報関係者ではなく、1版、2版だけです けれども、違う領域の方に「知っているか」、「知らないか」という単純な質問も含めた のですがほとんど知らない。例えば、病院の中でどこの層まで知っておくべきなのか。 あるいは、厚生労働省がこういうガイドラインを出していることを皆さん知っているの か。できれば、後者のほうがいいと思います。「ガイドラインはこういうもの」という小 冊子でも作って、できれば是非配ってほしいなという感じを持っています。以上です。 ○ 大山座長  ありがとうございます。ガイドラインは理解いただくことが大切なわけですが、その ガイドラインを「知らない」と言われてしまうと全く不十分ではないかという指摘では ないかと思います。こういう話になると、すぐ山本先生に聞きたくなるのですが、医療 情報学会はいろいろやってくれているのですよね。 ○ 山本構成員  このガイドラインの読者は、書いてあったと思うのですが、例えば病院においては医 療情報システムの管理を担当する人がメインのターゲットなのです。ところが、このガ イドラインにはいくつかの性格が合わさっているのですが、個人情報保護法の「医療・ 介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」で、「情報シス テムを導入する際、ないしは情報を外部に保存する場合は、このガイドラインを参照す ること」と明記されているので、個人情報保護法を医療介護分野で実施するときの厚生 労働大臣が拠って立つガイドラインという側面があるわけです。そういう意味では、医 療従事者であれば、ある程度知っていなければならないという要素もあることはある。  したがって、今回、読みやすさを追求するというのは、たぶん2つの面を両方カバー しないといけない。例えば、先ほどの個人情報保護法のガイドラインは厚生労働省が出 されて、大きな病院だとおそらく全員があのマニュアルを熟読しているのではなくて、 個人情報保護推進委員会や管理者とかが熟読をして、構成員に対してもっと噛み砕いた 説明をしている。  それから、例えば診療所では、日本医師会等があれをもとに、わかりやすいガイドラ インを改めて作っていただいて、それを普及させている。この基盤検討会で、本当にす べてのニーズに応えるパンフレットみたいなものまで作れるかというと、ちょっと時間 的にも難しいものがあるかもしれないとは思います。しかし、少なくとも、それが作り やすい程度までには、やらないといけないなと思っています。現在、この160頁を全部 読んで、ここから噛み砕いたものを作るというのはやはりかなり大変である。中身には 噛み砕いた表現がある部分もあれば、ない部分もあるというように、少し粒がそろって いないところがある。今回の改訂はおそらく、少し思い切った構成の単純化をした上で 行う。基本的には、これを全部読む人は情報担当者ですけれども、その人たちが、ない しはそういう人がいない医療機関にとってはもう少しわかりやすい、噛み砕いたパンフ レットを作成しやすいようなレベルをまずは目指すべきかなと思います。時間に余裕が あれば解説本というか、そういったものまでやればいいと思うのですが、やることによ って、読まなければいけないところがずいぶん違ってくるという意味では、医療機関の 規模によって読まなければいけない頁がかなり違います。そういう意味では、できれば そういった規模に適用する医師会、歯科医師会、薬剤師会等、ないしは大きな病院であ ればそれを管理する組織が、構成員に対して簡単な物を、作りやすいという点をまずは 第1に目指すかなと思っています。 ○ 大山座長  ありがとうございます。何か、いまの件について、皆さん方からご意見等ありますか。 ここの検討会の開催要領にあるとおり、医療分野における電子化された情報管理だから、 電子化しようとしてそれを扱う、あるいは外に出す、いろいろあります。何かやろうと したら、「待てよ、何かガイドラインがあるのかな」というように発想がつながってくれ ればまだいいと思うのです。何もなく、「電子化してもそのままでいい」と思っている方 が多くいらっしゃるとすれば、ガイドラインの位置づけをもっと宣伝するというか、知 っていただくための方法を取らなければいけないと思います。潜在的に何かやろうとす ると、不安をお持ちになって「何かあるのではないか」と動いてくれれば。そうすれば、 次は読んだときに理解できるかどうかで、100何十頁以上出てくると見たことにして終 わってしまう例もなきにしもあらずかなという感じがします。 ○ 稲垣構成員  確かに、こういうものは普通の医療機関にとっては非常に難解なのです。こういう問 題でなくて、いろいろな問題をうちの会でも考えるとき、どうしたらそれがいちばん良 くわかっていただけるか。あるいは、必要性がきちんと向こうに届くか。よくやるのは Q&Aという形でまとめると、比較的理解をしていただける。要約してもなかなか読ん でいただけないのですが、実際、Q&Aの形でまとめて、より詳しくはガイドラインが ありますという形で拠り所にしておくと割とよくわかるということでした。これは提案 です。 ○ 大山座長  その意味では、ここにいる人がQを作っても駄目なのです。実際にご利用いただく方 たちに、お手数ですが少しご協力いただくような話、あるいはQが来たときのものを集 めていただいてということになりますよね。 ○ 中川構成員  いまおっしゃったことは全くそうだと思います。やはり政府として医療情報を保護す るための取組みを確実にする。いちばんの主体は厚生労働省になると思うのですが、実 効性をいかに担保するかをまず明確にしないといけない。医療機関側から見ると、ガイ ドラインがあることを知っているという人はほとんどいないのではないか。感触として は数パーセントではないか。見たとしても、読む気になるかというと、またさらに数パ ーセントという感じだと思います。150頁におよぶガイドラインが読む気になるかどう か。相当変わった担当者がいる医療機関しか見ないでしょう。これは冗談で言っている わけではありません。そのぐらいの現実感を持たないと、折角皆さんご苦労されて作っ たのですから、せいぜい15〜16頁、かつ、字が大きいものを作らないと実効性は担保 されないだろうと思います。 ○ 大山座長  ありがとうございます。第1回目から今回は相当きつい話になっているのかもしれま せん。作業班に当たらなければいいなと思っている人が多いのではないでしょうか。確 かに、まずは基本的な考え方のところがすんなり入ることですよね。そうすると、あと、 自分である程度想像したものと、ガイドラインが一致しているかどうかというのは、そ の観点から見るとわかりやすいと思います。ただ、考え方が理解できないうちに、細か いところまで書かれたガイドラインを見るとオーバーフローして、わからなくなると思 います。  いままで、作業班の中でいろいろやっていただいている経験をお持ちなのは山本先生 と喜多先生、主としてお2人ですけれども、吉村先生にもやっていただいていたのかな。 委員に入っていたのですよね、作業班の中に。感触としてどうですか、いまのようなリ クエストは。当然、議事録には残ってしまうのですが。私は賛成なのですが、書くほう になると大変かなと思わないでもなかった。でも、それが本来の目的ですから努力をす べきだろうと思います。  作業班は決まっているわけではないのですが、とは言っても「危ないな」と思ってい る方が多いのではないかと思います。ほかにこの件について何か、作業班に作業を開始 していただく前にこの場で言っておくべきことがあれば、ご意見をお願いしたいと思い ます。いかがでしょうか。 ○ 三谷構成員  今後の検討事項の中で、いま(1)と(2)がありましたが、(2)の「個人が自らの医療情報を 管理・活用するための方策等に関する事項」があります。この辺の諸々周囲の状況を見 るに、国のIT新改革戦略の中で、個人というのは国民かと思います。患者・国民が自 分の医療情報、あるいは健康情報を管理・活用するという基盤を作ろうという、短く言 うと「健康情報活用基盤」と言うのでしょうか。そういうものが計画されているかと思 います。今回の検討事項の背景になるその辺をもう少し整理・解釈しておいたほうがい いのではないでしょうか。  それから、検討会でいままでは医療機関間で情報をやり取りするときの基準作りがあ ったと思います。患者個人レベルのところで医療情報を云々するというのは初めてかと 思います。(2)の黒ポツ、「国民中心の真に有益な情報化を推進するために、医療情報を個 人が管理・活用する方策に加え、その際に求められるセキュリティ等技術的要件につい て検討を行う」とあります。医療情報を個人が管理・活用する方策に関し、患者・国民 がどうやって利用するのかというところまで議論するのか、あるいは企業、公的な機関 等を含めて医療情報を個人が使いやすいように、扱う側のところの議論なのか。非常に 幅広いと思うのですが、仮に個人が活用する方法となってくると、いま政府でいろいろ 議論されています社会保障カード、電子私書箱というのがあるかと思います。その辺と どの辺まで関連してくるのか。  「健康情報活用基盤」を2011年までに作るという目標が掲げられているかと思いま す。その大目標に対する本検討会の位置づけを少し解説いただけるとわかりやすいかと 思うのですが。 ○ 大山座長  ありがとうございました。この件についていま、何か回答できますか。 ○ 秋山補佐  事務局から回答します。まず、個人がどう扱うかについて議論していただくのではな く、先ほど言った扱う側に対する検討というご理解をいただけたらと思います。ご指摘 のとおり、2011年までにということがありますので、作業班で検討していく中でどう整 合性を持っていくのかという議論にはなろうかと思います。ただ、直ちに社会保障カー ドを念頭に置いて検討していただくというものではありません。以上です。 ○ 大山座長  その辺の考え方の一部は、このあといま経済産業省で検討している内容について説明 があるとは思います。個人が医療情報を受け取って、それをそのあとどこかに預ける。 あるいは、受け取る前に最初に預けるのかもしれませんが、そういった点について検討 いただきたいということですね。それでよろしいですか。ほかにいかがでしょうか。 ○ 稲垣構成員  たまたま(1)と(2)が同時に挙がっているのだと思うのですが、(1)と(2)は直接ストーリー 的につながっているということではないのですか。そこだけちょっと確認したいと思い ます。「外部保存等」と「個人における管理・活用」が。 ○ 大山座長  いまの質問、事務局側、わかりましたか。もう1回、資料のどこと言っていただける ときっとわかると思います。 ○ 稲垣構成員  わかりました。いわゆる、個人の医療情報の管理・活用という、1つのソースとして、 (1)の「医療分野における電子化された情報」の外部保存、現段階で直接つながって挙げ ておられるわけではないということですか。 ○ 秋山補佐  そういうわけではありません。 ○ 大山座長  ありがとうございました。ほかにいかがですか。またあれば、あとで時間があります ので、そのときにでもご意見をいただきたいと思います。基本的な考えとして、本検討 会に作業班を設けて細かい検討を開始していただく。その結果をこの検討会にまた諮る、 という形を取らせていただきたいということが事務局から提案されています。このよう なやり方についてお諮りしたいと思います。お諮りする前、今の件でご意見等があれば 受けますがいかがでしょうか。 ○ 樋口構成員  資料1について、いまお伺いしていて感じたことを申し上げます。全体的な感じなの かもしれないのですが、いま稲垣構成員がおっしゃったこととも関係あると思います。 つまり、ここの検討会で、これから作業班が実質的なことを行う予定になっています。 結局のところ、今回のアジェンダは何か。(1)と(2)とが掲げられていて、そのことの意味 を確認しておこうと思います。  まず、(1)のほうでは、私に誤解があるのかもしれませんが、「診療録等の保存を行う場 所について」というかつての通知からスタートしている。やはり、情報化で医療情報が いろいろな形で集積してくる。それをどうやって活用していくかということは今後の課 題である。(1)のところでは、上にあるようにむしろ医療機関等に情報化が過大な負担に なっている。それはちょっと問題なのではないか。そういう内容の課題が提起されてい ると理解しました。  それについては、医療機関が保有する情報について外部保存の委託先の問題から始ま って、情報のプロをもっと活用したほうがいいという発想がある。同時にそのためのガ イドラインが作られているわけですが、しかもこれは相当な苦労をして作られてきてい る、しかし誰も読んでいないではないかと厳しいご批判もありましたが、詳しいけれど もその分わかりにくいと評価されているガイドラインについても読みやすさという観点 から改善を図っていく。このような課題が提起されているのだと思います。  その点に関しては、いちばん初めの石垣構成員のご意見の中で、一体誰を対象に読み やすさを考えるかという観点がある。ちょっと矛盾したことをこれから言うのですが、 情報化の支え、まさに基盤となるのは結局のところは情報化のプロなのです。医師はや はり患者の治療に当たってもらいたいし、患者は情報化のプロになる必要はないのです。 自分の健康のことを心配していればいいわけです。情報化のプロに対しては、こういう ことをちゃんとやってもらわなければいけないということがこれからのガイドラインの 基本となりそうなので、プロがわかるようなものであればいいのではないかというよう に考えることもできる。開き直りのような受け取られるかもしれませんが、あえて言え ばそういうことだと私は思っています。  しかし、他方で、プロに全部任せておけばこの世の中大丈夫なのかというと、そのよ うなことはない。しかも、医者にとっても患者にとっても自分自身の問題ですから。だ から、情報の安全性その他については、プロがこういう形でやっていますということは 知っておく必要がある。そのためのパンフレットであれ、先ほどのQ&Aであれ、いろ いろなアイデアが出てきています。ガイドラインとしてもそういうものもあったらいい と思います。この分厚いガイドラインはこういう趣旨であり、サーバーに対する障害が どうのこうのなどと言われても私などはお手あげといわざるを得ないわけですから、細 かな技術的話はまあいいですよということです。しかし、こういうことには配慮してい る、こういうガイドラインはちゃんとできていますよというQ&Aであれ、パンフレッ トであれ、そういうものがもう1つ別の形であったらいいかなと思っているというのが (1)です。そのための努力を今回、やってみようということかなと理解しました。  (2)の方はもう少し茫漠としていて、より大きな課題が示唆されており、この基盤検討 会でどれだけのことがやれるかが問題となります。それこそ、検討会の在り方の問題と 時間的な制約という問題もある。しかし、キャッチフレーズは医療情報について「自ら の健康のために管理・活用したい」という部分がはっきり出ていて、そのための基盤を 作るにはどうしたらいいかという話ですよね、(2)は。これはどう読み解いていったらい いのか、あるいは今回どこまでのことをこの検討会でやろうとしているのかがちょっと 見えない。私がわかりもしないで仮に言ってみるだけなのです。  たとえば、私が自分の健康のために、自分の医療情報を管理・活用するというのはど ういうことかというと、いま国もメタボリック健診を推進していますが、私がメタボリ ックでこういう状況だと、何年か後にはこういう数値がこうなってということが自分の 数値と見比べながらわかる。だから、予防していこうというわけですね。どんどん駄目 になるのを何とか引き延ばそう。もう少し、明るい方向でもいいのですが、とにかく予 防策を自分なりに考えていこうではないか、自分の身体なのだから。そのための情報が どこかにあって、それを自分が見る。そこで1つは、その情報の内容を知る必要性とい うのが出てくるわけです。  2つ目は、私も実はいくつかの病院にかかっています。それぞれの病院で医師にかか っていて薬をもらっています。いちばん簡単な例ですが、相互にチェックがあるかとい うと必ずしもそうではない。医療情報を統合して、この薬とこの薬の飲み合わせという か、組み合わせはどうなのだろうかということを、ちゃんとどこかでチェックしてあれ ば間違った医療にはならないかもしれない。まさに、自分の健康のために管理・活用、 総合チェック、統合みたいなことが情報の活用としてあってもいいねということが2つ 目です。  3つ目はもっと基本的なこと、この前の年金の問題もそうですが、薬害の問題、もう 何十年も前に自分がどういう注射を受けたのか、薬を受けたのかという記録自体の保存 という課題であり、それは管理以前の問題だと思います。活用すべき情報をいかに保存 するかという問題があって、自分がどういう医療履歴があったかをどこかにずっと残し てあることが、今後とも重要だということがどうもわかってきている。  そういうことのための医療情報、それを「基盤」と言っていると思うのですが、その 内容がどのようなものであるべきかということをきっと検討してくれるのだろう。そう いう言い方では他人任せで申し訳ないことになりますので、私も構成員なのでそれらを 検討するのだろうと思います。  そのときにそういう基盤ができれば、私がそれをうまく、賢く活用できるかというと、 きっとそのようなことはないのです。やはりそれぞれに、結局、医療者が中心になると 思います。あるいは、薬剤師かもしれません。まず、他との比較をして、「樋口さん、こ ういうような薬、こういうような治療、こういう状態になっているけれども、ほかの人 は同じような状態でこういうようなことをやっていますよ」とか「むしろ、こういう薬 は控えていますよ」など、医師にもいろいろな考えがありますから。そのような他との 比較です。そもそもさっきの予防策であれ何であれ、他からのアドバイス、助言を得ら れるという話があって然るべきだと思います。あるべきだとはなかなかいえなくとも、 少なくともあったらいいと思います。私のところで管理・活用と言われても、管理・活 用する自信はないのです。そういうプロのところへ、この資料の中でも地域連携のとこ ろでの医療機関の情報共有という話がありますけれども、やはり私が管理するだけでは なくて、個人の話だけでなくて、医療情報の活用・共有という話、そのシステムをどう やって作り上げるかという話もないと、自分の健康のために管理・活用するようなこと が今後は重要ですよと言われただけでは仕方がない。ただ、それが管理・活用のための 共有、あるいは連携、システムとはどうあるべきかというのがこの基盤検討会でやれる ような話なのか。そういうことを考えてはいるのだけれども、まさに基盤を作るところ なのだということですね。今回、基盤というのは、自らの健康のために管理・活用する ための医療情報というのはどういうものかについて、この何カ月、半年ぐらいかもしれ ませんが検討してみる。こういうぐらいの着地点を考えているということが事務当局に はあるのかなと思います。私の方向性が全く違っていればまた別の話ですが、もう少し この(2)についてはご説明をいただけると助かるという気がして聞いておりました。 ○ 山本構成員  事務局からご説明があるかもしれませんが、私が読んだ感想というか、やれることを 一応考えてみました。あくまでも、この「医療情報ネットワーク基盤検討会」がこれま で対象にしてきたのは医療機関、介護機関が対象であって、その先のことにまで踏み込 んではいないわけです。したがって、ここもいま放っておいても、例えば特定健診の結 果は紙ですが、ご本人にいつか渡されるわけです。それから、いろいろな方が診療を受 けた場合に、レセプト並みの詳細な明細を渡すべきだみたいな議論があって、好むと好 まざるとにかかわらず、どんどん患者に様々な情報が既に渡っている。なおかつ、これ はある程度やむを得ないのかもしれませんが、医療従事者と一般の人との間には知識の 格差がどうしても存在してしまう。渡された情報の意味を完全に理解できる方はそれほ ど多いとは思われない。そうすると、自分でその重要性を理解しないまま、それを安易 に流用してしまうとか、安易に活用してしまうとかいうことも起こり得る可能性はゼロ ではないわけです。  それに対して、この検討会で何を検討すべきかというと、私は出すときの条件だと思 います。今、出せと言われたから全部出しますとか、渡すことになっているから渡すと いうような渡され方、例えば服薬指導にしても処方せんにしても同じだと思います。個 人に行くときに、これをビラビラ振ってほかの人に見られたら、見る人が見ればこの人 は一体どういう病気で、どういうことをしているのかが分かってしまうわけです。その ことに対して、どれだけ医療機関としては気を使わなくてはいけないのか。それから、 情報の在り方としてどれだけの対策を取っておかなければならないのか。  例えば電子的に情報を出す場合、そのまま出せば簡単に改竄されてしまうわけです。 それがいろいろ変えたままでごちゃごちゃになってしまって、もうその人の情報が何だ かわからないようになっていいのか。ある程度はガードをかけておくというか、医療機 関から出た状態を保てるようにしなければならないのか、それは必要ないのか。そうい ったことをまずは議論しておかないと、そもそも情報をどんどん個人に渡していって、 その結果例えば取り返しのつかないような損害が生じるようなことがあったら、もう個 人が活用する基盤などというような話ではなくなってしまうわけです。そのこと自体が 大変大きなブレーキになるし、そのようなことをするぐらいだったらもう隠しておくほ うがいいというような議論が起こりかねない。  それを予め我々として、つまり医療機関や介護機関の方々にとって、ここまできちん とやっておけば間違ってもそんなにひどいことは起こらないということがある程度は推 測できるというか、保てるのではないかということがあるかないか。つまり、それが出 来るか出来ないかという問題もあるのですが、少なくともそこは議論をしておかないと、 出せ、くれと言われてどんどん出していること自体がご本人にとって非常に不幸なこと になりかねないと思います。したがって、ここは今までこういう議論はしたことがない ので、きちんと議論をした上でこれから先「IT新戦略会議」に諮られるような、本当に 明るい未来があるのかないのかに進んでいくべきだと思います。  個人的には、この検討会でやることは樋口先生がおっしゃるような活用基盤の話まで はいかなくて、活用基盤ができるとしたときに、どういうことを考えなければいけない のかという点をまず明らかにする。活用基盤ができようとできまいと、いま情報はどん どん出ていっているので、活用基盤ができなくても必要性はあると考えるのですが、い かがでしょうか。 ○ 大山座長  ありがとうございました。いま、いろいろご意見をいただいていますが、事務局から 何かありますか。 ○ 冨澤室長  いま山本先生からお話をいただいたとおりです。三省連携をこれから始めようと思っ ているのですが、行うに当たって、まだどの部分をどのようにするのかというのはこれ から詰めないといけないと思っています。医療機関から個人に対する情報のやり取りと いうのは、たぶん厚生労働省が担当するのだと思っていますので、いま山本先生がおっ しゃったような技術的要件、例えばセキュリティーの問題とかプライバシーの問題とか、 樋口先生がおっしゃった内容の問題とか、その問題についてはある程度詰めなければい けないと思っています。  あと、3点目に先生がおっしゃった保存の問題、個人の方が外に対して保存をすると いう形については経済産業省で研究会をやられていますので、そちらのほうと連絡して やっていきたいと思います。簡単ですが以上です。 ○ 大山座長  いかがでしょうか。説明として、いま線引きの話が出ています。皆さん方、さらなる ご意見等があればと思います。 ○ 中川構成員  樋口先生の(1)のことですが、もちろんおわかりになっていると思いますけれども、150 頁が悪いというのは現場にとって悪いという意味で、やはりこれはプロ用ガイドライン だと思います。現場用のガイドラインとして、150頁を土台にして、そこから整合性を 持った簡略版が必要だということを申し上げているわけです。 ○ 大山座長  ありがとうございます。たぶん、いまの件は異論はないのではないかと思うのですが、 何かあればお願いします。 ○ 稲垣構成員  (2)のほうで検討会で検討していただきたいのですが、いちばん気にしているのはやは り一般の国民がアクセスをするときに、その方が本当にその方である、いわゆる認証の 問題がきちんとできるかどうかということをまずきちんと示していただきたいと思いま す。あと、レセプトにしても、カルテにしても無制限に出すわけではなくて、例えば人 によっては出してはいけない情報もあります。レセプトの場合も、実際にレセプトを提 出したときと審査・支払いで変更があります。いろいろな問題がありますので、必ずし も誰だからといって簡単にアクセスしてそれに答えることができない。アクセスに対す るきちんとしたコントロールができるのかどうか、むしろネットワークというものを利 用して、いろいろな医療情報を相互に活用することは個別的にやられていることを総体 的に見られますから良いことなのですが、それには国民であったり、いろいろ多職種の 人がこれに関与してきます。その人たちに応じたアクセスの制限がきちんとできるのか どうか。当然、その人たちの認証も必要だと思います。その辺をきちんと検証していた だいて担保していただく、これを検討いただきたいと思います。 ○ 土屋構成員  こういう話になるとすぐ薬の話が出るのですが、例えばいま薬の情報はどうなってい るかといったときに「お薬手帳」が活用されているとはいうものの、実は「お薬手帳」 は院外処方せんになっているものはかなり充実して、その情報がちゃんと書かれるとい う基盤ができているのですが、院内調剤をしている病院にとってみると、ほとんどそこ はメンテナンスをしていない。そういうことになると、こういう情報が院外と院内でそ もそも患者に渡され方が違ってくる。あるいは、「お薬手帳」への集約の仕方が違ってい るというところが非常に大きな問題になるわけです。薬の履歴をどう取るかという話の 重要性とともに、どうも処方せん情報など、この検討会はもともとがネットワーク基盤 のことが主たるものとはいえ、現在ある「お薬手帳」の活用という中で、実は医療機関 の中でその努力がまだなされていない部分もある。そういった点も含めて考えていかな いと、折角いまあるものを電子化するにはどうしたらいいかということと、現状として 今あるものもうまく活用できるようにしておかないと、おそらく患者にしてみたら、今 後ネットワーク基盤ができて、やるといっても、なかなか活用の仕方がわからないとい うことになるのかと思います。この検討会でそれを検討するものではないと思いますが、 そういうものの活用について、それを促進するような形は何らかの格好でコメントを出 していくといいのかなという気はします。 ○ 大山座長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。それでは、先ほど申し上げた件 ですが、まずは作業班を設けて検討することについてはご承認いただけますでしょうか。                 (承認) ○ 大山座長  ありがとうございます。そのような形を取らせていただきたいと思います。ちょっと 言いづらいのですが、作業班の人選については事務局と私に一任いただければと思いま す。にらまれているような気がしないでもないのですが、そうさせていただければと思 います。こちらからお願いベースで頭を下げにまいりますのでよろしくお願いします。  次に、経済産業省から、平成20年3月に策定された「医療情報を受託管理する情報 処理事業者向けガイドライン」、先ほどのお話の中で位置づけはおわかりいただけると思 います。これについて説明いただけるということですので、経済産業省の井川補佐から 説明いただきたいと思います。お願いします。 ○ オブザーバー(経済産業省)  経済産業省情報経済課の井川と申します。お手元にお配りいただいている資料で申し 上げますと、資料3にそのガイドラインの概要を書いています。それから、ファイリン グをしていただいている資料の中、こちらに資料IIの(1)、(2)となっております。(1)は今 月の24日付けで、官報に告示の形でガイドラインをお出ししています。そのもとにな っておりますのが、ご紹介いただいた本年3月、弊省の「パーソナル情報研究会」でま とめさせていただいたガイドラインです。形としてはIIの(2)をベースとして、専ら個人 情報保護の観点から遵守いただくべきものを抽出したもの、これを告示の形でIIの(1)と して出しているという立て付けになります。概要として、本当に簡単にご説明申し上げ ます。  資料3に書かせていただいているところですが、先ほど来お話のあるとおり、厚生労 働省で医療ガイドラインを改訂されている流れがありました。医療機関の皆様方がお持 ちになっている診療録等を専門の民間の情報処理事業者が管理するといった形で、医療 機関の皆様方にとりましては、情報の管理をされるリスクの逓減等につながるのではな いかといった観点があったかと思います。これを受けまして厚生労働省のこちら、医療 情報ネットワーク基盤検討会で熱心なご討議をされ、本年3月に医療ガイドラインがま さに改正されたところということになっています。  同時並行的と言いましょうか、このような流れを受ける形で、先ほど申し上げました が、私ども、経済産業省にパーソナル情報研究会という研究会を設置しておりました。 こちらのパーソナル情報研究会で検討させていただいた内容がセンシティビティ、機微 性の非常に高い、医療情報を受託する情報処理事業者の方々については、従前、私ども、 経済産業省の中で、個人情報保護法に基づいて経済産業面のガイドラインの規定が適用 されてきていました。ただ、このガイドラインが必ずしも医療情報に特化した形にはな っていませんでした。多種多様な事業者の方々、本当にいろいろな情報を取り扱われる 事業者の方々を対象とするガイドラインであるがために、医療という機微性の非常に高 い、センシティビティの高い医療情報を取り扱う際に遵守いただくべき規範としては必 ずしも十分なものではなかったといったところがありました。  このために、医療情報をことさら受託される事業者の方向けに、より遵守していただ くべきそのハードルを上げる内容のガイドラインを検討させていただき、先ほども申し 上げましたが、パーソナル情報研究会の検討結果として平成20年3月の報告を出させ ていただきました。その中で、安全管理の点で個人情報保護法の上乗せの規定としまし て、今月24日、告示の形でガイドラインを出しております。ですから内容は、3月の内 容であれ、今月の内容であれ、それは変わりはないのですが、その内容を非常に簡単に まとめさせていただいたのが資料3の2.の所です。医療機関の皆様方につきましては、 個人情報保護法以外にさまざまな業法等も相まって十分な規律が働いているところです が、医療情報受託事業者につきましては、必ずしもそれらの規律対象でないといったと ころで、そのギャップを埋めるべく、安全管理措置の点でより十分な内容を今回のガイ ドラインの改訂で図らせていただきました。  その内容ですが、非常に簡単に申し上げますと、(1)から(3)という形になります。 医療ガイドライン。医療機関の皆様方が遵守されるべきガイドラインの中に、C項、D 項という言い方をされるようですが、医療機関の皆様方が必ず実施しなければならない 事項が規定されていると思います。これにつきましては、性格上、当然、医療機関その ものが遵守するような内容もあろうかと思いますが、原則としまして、医療情報を受託 される皆様方にも実施をお願いする、義務付けをするという形をとらせていただきつつ、 医療ガイドライン上、医療機関の皆様方には推奨レベル、必ずしも義務付けになってい ないような領域につきましても、内容等を検討させていただき、医療情報の受託者には、 原則として実施を、上乗せの形で非常に厳しい内容にはなりましたが、義務付けをする といった形で、セキュリティ上、安全な方策をとっていただくといった内容になってい ます。  (2)です。受託をされる事業者の方々、今まで経済産業分野のガイドラインの中で は、特に情報処理事業者の方々に対して第三者認証というものを当然求めるものではな かったのですが、医療情報受託に関しましては、ここでは例示として挙がっているもの ですが、例えば、いわゆるプライバシーマークであったり、あるいはISMSといったよ うな第三者認証の取得をしていただくということを義務付けさせていただいております。  (3)、外部監査です。これは、第三者の機関によるいわゆるセキュリティの外部監査 を定期的に実施していただくということです。これも、一般的な情報処理事業者の方々 にこのようなことまでまだお願いしていないのですが、そのセキュリティレベルを上げ る必要上、(3)につきましても、定期的な実施を推奨するといったことになっています。  先ほど申し上げましたが、今月の24日に今申し上げたガイドライン、これは個人情 報保護法の上乗せの規定という形で官報に告示が正式に出ました。本日、こちらの検討 会にご参画されている皆様方の中にも、弊省のパーソナル情報研究会、またはその作業 等に非常に密接に連携等をさせていただき、ご相談等もさせていただき、お力添えをい ただいた方々もいらっしゃいますので、その成果のご報告とともに感謝も申し上げて、 ご説明に替えさせていただこうと思います。ありがとうございます。 ○ 大山座長  ありがとうございました。いま説明いただきました医療情報を受託管理する情報処理 事業者向けガイドラインのお話ですが、これにつきまして、皆様方から何かご質問等が あれば受けたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 三谷構成員  いまご説明にありました医療情報受託ガイドラインですが、まだ詳細を全部読みこな していないのですが、2頁目の説明の中に医療情報受託者の安全管理体制の第三者認証 というのがありまして、「公正な第三者の認定の取得を義務付ける」となっていますね。 3番目には「情報セキュリティ監査を推奨する」とあるのですが、この義務付けるとい うのはガイドラインというレベルで義務付けた場合の、それが守られない場合の措置と いうか罰則というものを含めて、この辺はいかがなのでしょうか。どうやって担保する かというようなことだと思うのですが。 ○ オブザーバー(経済産業省)  ありがとうございます。こちらのガイドラインにつきましては、とりわけ告示の形で 書かせていただいているものですが、私ども、経済産業省の考え方としましては、個人 情報保護法上求められる、事業者の方々にお願いする安全管理措置の内容であったり、 あるいは、そういうことが中心になろうかと思いますが、その具体化として書かせてい ただいているものという整理をさせていただいております。したがって、考え方として なのですが、個人情報保護法上、医療情報をこのような形でお預かりになる事業者の方々 に対する義務付けという整理をさせていただいておりますので、仮にそのような形にな らない場合には、同法の義務を果たしておられないという評価をさせていただくことに なろうかと思います。 ○ 大山座長  三谷委員、いまのでいいですか。何かまだ。 ○ 三谷構成員  理解が十分得られなかったのですが。これは話があれですが、個人情報保護で日本で いろいろ検討するときにアメリカのHIPAAというのが挙げられました。この辺は樋口 先生が詳しいかと思うのですが、HIPAAが適用対象にしているのは、やはり医療機関な のですね。医療健康情報を民間が扱うことになっていって、HIPAAの適用対象でない民 間事業所をどうするかというような課題が向こうでも今も残っているようでして、まさ にこの辺が、今後、個人の医療情報を民間事業者が預かることになってくるかと思うの ですが、どこまでそのガイドラインの実効性が担保されるのかというのが、ちょっと繰 返しですが、気になっているというところです。この辺は法律ということを含めて、ど こまでの実効性があるのかよくわからないのですが、ガイドラインということであれば、 あくまでも推奨というか、自主基準ということで勧めますというレベルですよね。 ○ オブザーバー(経済産業省)  すみません、ガイドラインという呼び方になってしまっているので説明が拙いことと も相まって伝わっていないのかなと思われるのですが。個人情報保護法上、事業者の皆 様方に義務としてお願いしているものがございます。この義務と言いますのは、個人情 報保護法を必ずしも、義務違反があったから即、何かペナルティをという、そういう法 律では必ずしもないのですが、ここで書かせていただいているガイドライン、ガイドラ イン上義務としてお願いしているものにつきましては、それを履行していただかない場 合に同法で言うところの、例えば安全管理体制、個人情報保護法の20条にあるのです が、その法律で求められる責務を果たしていただかなかったということになりますので、 これは執行の行政機関として、その法を執行する立場として、そのような事情が発生し たから即、何かペナルティという話には、なるかならないかは別ですが、あくまで法律 の立て付けとしましては、個人情報保護法上求められる規範を満たしていなかったとい うことになりますので、同法に書かれている例えば事実の聴取であるとか、あるいは聴 取に応じてもらえない等々、同法に違反するような状態を改善していただけないような 場合には、勧告等の対象にはなり得ることになります。 ○ 大山座長  よろしいですか。 ○ 三谷構成員  はい。 ○ 大山座長  他はいかがでしょうか。まだもう少し時間はあるのですが、全体を通して何かご意見 等があれば承りたいと思いますが、いかがでしょうか。 ○ 中川構成員  いまの三谷構成員の質問にもありましたように、実効性が担保されない、これはやは りガイドラインを遵守していないという評価になりますというお答えでしたが、そのあ と、どうするのかということがある程度ないと不安ですよね。だから、その辺のところ をどうお考えなのかということを事務局からでもお答えいただければと思います。 ○ オブザーバー(経済産業省)  もう少しはっきり申し上げるとすると、個人情報保護法違反ということで最終的には、 この法律をご覧いただければと思うのですが、勧告等を発出した後に更なる改善等が見 込まれない場合には最終的には刑罰、行政罰の対象になるという法律の内容になってい ます。 ○ 矢野構成員  今までの主張というと語弊がありますが。つまり、実効性の担保という話が出る時に いつも言うのですが、ある違反が起きたときに医師等には守秘義務も含めて、直接的に という言い方が適切かわからないですが、医師法等に基づいた罰則が医師に対してあり ます。ところが、個人情報保護法では、指導・勧告があって、そのあと事業者に罰則と いう流れがあるので、やはり医師法等に比すると、法体系と言うと大げさですが、ギャ ップがあります。そのため、医療側、情報を出す側はやはり不安感で、これは現状どこ まで行ってもまだ拭い去れていないものなのだと思います。 ただ、今回は厚生労働省側のガイドラインがあり、医療情報を提供する側、また、それ を受ける側として経産省、総務省のガイドラインがあります。まずはこれを確実に整合 性を図る必要があると思います。そういう意味でも第4版が出来るのだと思います。第 4版にしてしまうと、経産省側のガイドラインも改訂するのかという問題もありますが、 まずは整合性を図った上できちんと1回転させて、それでもやはり抜けがあるというこ とになれば、また別の議論をしなくてはいけない、そういうお話だと思います。従って、 実効性の担保というのは、個人情報保護法があってガイドラインがあるという立て付け だというお話であれば、まず、きちんと運用できるようにする必要性を感じます。極端 な話、本当にガイドラインの違反があれば指導・勧告もしてもらえるような、そういう きちんとした実効性をまず確保して、世の中でそのガイドラインを浸透もさせ、実際の 運用もしていただかないと、どこまでいっても不安は残ると思います。  ちょっと話が離れますが、確認させて下さい。資料2の3ポツ目に「第20回検討会 で外部保在通知改正案を諮る」と書いてあります。これは、必ずしも改正がありきでは ないですよね。当然、いろいろな検討をした上で改正するべきだというものがあれば改 正なのでしょうが、ガイドラインの作成と併せて、それは作業班で議論を進めて行く。 そして、いま述べたようなまず枠組や実行性の確保が確実になりそうだということであ れば、それを親会、次回の第20回検討会に出した上で皆様にお諮りいただく、という ような考え方でよいでしょうか。 ○ 秋山室長補佐  それで結構です。 ○ 足立構成員  すみません、私の専門的な立場からお話するわけではないのですが、最初からの議論 を聞いていると、実効性とかこのガイドラインの浸透をどうするかというところにすべ てつながっているような気がするのです。これだけのガイドラインがあると、医療機関 側、あるいはサービスを提供する側は、こんなに縛られるのだったら止めておこう、と いう話になってしまうところがあるのではないかと思っているのです。  それとともに、片や、今回の議題の2番にありますように個人が、やはり自分たちの ことは自分たちで知りたいですよねというのがあって、それをどうやって健康につなげ ていくかというのがある。そうすると、我々国民も含めて、皆さんがある程度のところ で、ここまでは許されているんだ、ここから先は駄目なんだということをある程度認識 していかないと、すべてのところで、実効性という面でブレーキがかかってしまうので はないかと思うのです。  最も実効性が高い法律は何かというのは、よくわからないですが、泥棒をしてはいけ ないですねというのは、小学生からおじいちゃん、おばあちゃんまで、皆さん、わかっ ているわけです。そうすると、ここに対しては実効性があるわけです。道交法について も、100km出したら、これは危ないですよね、ということは皆さんわかっているから実 効性がある。でも、わからないものに対して、一部の関係者だけが知っていればいいん だというのは、やはり実効性は低いのではないかと思うのです。相互監視の目がやはり 必要になってくるのではないかと。逆に、相互監視だけではなくて、相互理解の中で、 ここまではやっていいんですよ、やってはいけないんですよということが理解されてい ないと、やはり実効性は低いのかなと思います。  これが、今日、冒頭から議論があったように、では、誰が知っていればいいの、どこ まで知っていればいいのというところになるので、これは広く、すべてとは言いません、 概念的なところではやはり多くの方が知っておくべきことかなと思います。ちょっと感 想になってしまいましたが。 ○ 稲垣構成員  受託者の方のことです。医療というのは、例えば医療者は、国家試験という国家資格 で医師、歯科医師、あるいは薬剤師としての資格がある。医療機関を開設するときは、 やはりその開設の許可がある。という形で、それは国によってきちんと担保されている。  ただ、なぜか医療情報、今度は民間の外部保存ですが、民間に委託する我々、向こう は受託者なのですが、受託者はきちんとしたその資格があるかないかということ。だか ら、こういうガイドラインをきちんと守れない方、あるいは問題がある方はその資格が ないのだということを明確にしないと、怖くて預けられないですよね。しかし、その辺 が今回のでも明確ではない。だから、こういうことをしない方は医療情報というものを 受託することができないというぐらいの、もっときちんとしたことを明確にしないと、 委託するほうも、ここに委託したのだけど本当にどうなのかなという不安が非常にある と思いますので、この辺の明確化をもっと打ち出していくべきだと思います。 ○ 山本構成員  ご議論の趣旨は非常によくわかりますし、私も基本的には同じ考えなのですが。民間 事業者というのは、我々、資格に基づいて行う医療と違って常に競争にさらされていて、 なおかつ、経済産業省から指導を受けることがあれば、おそらく即、事業継続が不可能 になる。という意味では、ものすごいリスクを負ってやっている事業者なのです。そう いう意味では、例えば医療・介護機関における個人情報保護法の個人情報の適切な取扱 い等のガイドラインは、2004年の個人情報保護法の施行令の中で、関係省はガイドライ ンを作って法を実施すると。ですから、個人情報保護法を実施するためのガイドライン なのです。したがって、ほとんど法律の一部なのです。でありながら、医療機関の人で あれを全部読んだ人はたぶんそんなには多くない。  同じようなことがあって、実効性という言葉であれば、我々のほうがたぶん甘いのだ ろうと思うのです。それは、それをやらなくても、とにかく仕事ができるという意味で はそうだと思うのですが、立て付けは守秘義務、刑法で定められた守秘義務と少し違う とは思うのですが、少なくとも一般事業者にとってその行政指導が来るとか、少なくと もそういったことがあるというのは相当ひどい、厳しいと思うので、これが3月に結論 としてパーソナル情報研究会の報告で出されて、告示がされて、少し様子を見て、本当 にこれが実効性があるのかないのか、つまり、これをすり抜けて何かしようとするよう な事業者があるのか、その場合、それが発見できるのかとか、なければ発見のしようが ないのですが。少なくとも、こういったルールがどれぐらい実効があるものかというの は、見てみないとわからないと思うのです。  そういう意味で、前回の医療情報ネットワーク基盤検討会のときに私、作業班のこの 取りまとめをさせていただいたときもご報告させていただいたと思うのですが、今回は、 一応外部の事業者に預けることはできるけれどもあくまでも危機管理上の目的だと整理 をして、なぜそれを外せないかと言うと、本当にちゃんとできるかどうかをもう少し見 ないと無理だろう、安心できないという意味で、安心が得られるための期間を設けるべ きだという意味で、そこはガイドラインからは全く変えなかったわけです。  したがって、今年度、官報告示にもなったことですし、少しこれを、本当に実効性が あるのかないのかというのも、実は作業班で検証する非常に大事なことだろうと思うの です。何か変なことをしている所があるのに経済産業省は何もしてくれないというよう なことになれば、これはもう実効性がないわけですから何らか他のことをしなければい けないわけですし、それを少し見守る必要があるのではないかと思うのです。 ○ 大山座長  ありがとうございました。私が意見を言っては本当はいけないのでしょうが、ちょっ と思ったことだけ、1つだけ申し上げたいと思います。  プライバシーマークを取るとかISMSの認定を受けるというのは、ハードルとしては、 かなり高いことは事実だと思うのです。民間の事業者の中でこのどちらか、こういう条 件をクリアしてやろうとするときに、受託をしようとするときに、そうは言っても、そ れはまだ必要条件であって十分になっていないと。言い方を変えると、医療機関側を含 めた医療情報をお持ちの所が安心して十分、それだったらいいかなと思って出してくれ るかというのがもう1個ある話と。今とりあえずは、とりあえずという言葉はよくない かもしれませんが、受託側に対してここまで持っていったら、ビジネスと言いますか、 相互のメリットがあり得るのかどうかというのを見ようとしているということなのでは ないかと。したがって、今回、この検討会の中では、医療機関側から、あるいは医療情 報をお持ちのほうから見たらどうだろうかという議論をもう1個やろうというのが今日 の課題の1つになっているのだろうと思うわけです。  また、いちばん厳しいのは、たぶんプライバシーマークとかISMSの認定を取ろうと いうぐらいですからその事業体は、当然、社会的な信用をかなり重んじる所で、そうで なかったら、そもそもこんなことは厄介ですからやらないと思うのです。それでも何か あったときにどうするかというのを考えると、ここはマスコミの方にお願いすることな のかもしれません。場合によっては取り上げていただければ、先ほどの山本先生の話で はないですが、事業はすぐに止まってしまって、ある意味、致命傷になる。民間事業者 は、完全な致命傷になってしまう可能性を持っていると。そういうところを、たぶんい ろいろな比較考量があるのだろうと思いますが、バランスのとり方、まだわからないと ころがありますが、今回、経済産業省がやっていただいたのは、少なくとも一歩前進に なっているのではないかとは、私の個人的な意見ですが、そのように思います。したが って、今回のこちら側の検討が非常に重要と。是非、医療関連の皆様方のご意見を、ま た考え方を、こういう話は相互の利益がなければ意味がないですから、そこのところを 念頭に置いてご議論いただければと思います。ほかはいかがでしょうか。 ○ 喜多構成員  いまの実効性に対する追加のような意見ですが。実効性の担保責任は受託側や国に期 待との議論が多いのですが、委託側も、選択責任や監督責任がある。マークや認定をき ちんと取っているなり、そういう体制をきちんとやっているかとか、いろいろな審査を した上で委託し、受託後もしっかり監督すべきという、委託側にも責任があるという見 方も大切なのだと思います。そちらでも実効性を保つというのも1つの見方かなと思っ ています。 ○ 山本構成員  そういう意味で言うと、第3版のガイドラインはもっと厳しくて、それを確認するこ とが当然書かれているのと同時に、今度は財務諸表までを見て、その会社が本当につぶ れないのかというようなところまでを確認しないと安心して渡せないということです。 それから、これまでどれぐらいのことをやっていて、どれだけ事故を起こしていないか という実績評価をすることまでがこの第3版のガイドラインには書いてあるのです。で すから、かなり厳しい条件だろうと。逆に、足立構成員が言われたように、ここまでや ってやってくれるところがあるのかという心配は多少あるぐらいだと思うのです。 ○ 大山座長  まさしくこの辺は作業班の中でも少し揉んでいただき、今回のスケジュールの案にも ありますが、非常に重要な課題になってきて議論が分かれるようであれば、申し訳ない ですが、途中で厚生労働省にお願いしてこの検討会を開いて、もう1回皆さんの意見を 合わせるというようなことも、場合によっては必要になるのではないかと思います。  ただ、今日は考え方を経済産業省から説明いただいたわけで、第3版の内容と両方を 併せた説明にはまだなっていないので、そこを含めて作業班の中で少し整理していただ き、お出しいただくのも1つの案ではないかという気がいたします。ほか、何かござい ますか。会議は、早く終わるときはさっさと終わったほうがいいという考え方があると は思うのですが。予定は12時なのですが、特になければ先の「その他」のほうへ進み たいと思いますが、よろしいですか。  様々なご意見がございましたが、本日のご意見を踏まえまして、それから私と作業班 長、これから事務局側とも相談した上で決めさせていただきますが、整理した上で次回 検討会では、作業班での検討結果、先ほど出ました可能性を含めて説明させていただき たいと思います。検討会を終了する前に、事務局から「処方せんの電子化について」の 公表に関して報告があるということですので、説明をお願いしたいと思います。 ○ 秋山室長補佐  処方せんの電子化につきましてご報告させていただきます。処方せんの電子化につき ましては、昨年度、IT新改革戦略評価専門調査会医療評価委員会からの提言に基づき、 本検討会に処方せんの電子化の検討に関する作業班を設け、検討を行っていただいたと ころです。第18回の本検討会においてご了承いただきましたドラフトである「処方せ んの電子化について」の取扱いにつきましては、医療評価委員会へ報告の趣旨をお返し した上、公表の方法について検討していくこととさせていただきました。これを受けま して、7月15日に開催されました医療評価委員会へこのドラフトをご報告いたしました ところ、ドラフトの内容や公表の方法について、特段のご意見はございませんでした。 本ドラフトの今後の取扱いにつきましては、本日お集まりの先生方にご了承いただき、 厚生労働省のホームページにおいて公表を行いたいと考えております。 ○ 大山座長  ありがとうございました。いま説明いただきました報告の内容、ドラフトの公表の仕 方に関しまして、何かご質問、ご意見等はございますか。ご意見がないようでしたら、 処方せんの電子化につきましては、厚生労働省のホームページで公表いただくというこ とになります。このことについてご了承いただけますでしょうか。                (異議なし) ○ 大山座長  ありがとうございます。そのほか、全体を通して何かご意見等はございますか。事務 局側はいかがですか、もうよろしいですか。 ○ 秋山補佐  結構です。 ○ 大山座長  委員の皆様方はよろしいでしょうか。本日は熱心なご議論をいただき、ありがとうご ざいました。今日は第19回目ということですが、医療情報ネットワーク基盤検討会を 閉会いたします。ありがとうございました。 (了) 照会先 医政局 研究開発振興課 医療機器・情報室 企画開発係 山瀬 TEL 03-5253-1111(内 2588) FAX 03-3503-0595