08/07/30 第12回政策評価に関する有識者会議議事録 第12回 政策評価に関する有識者会議 1.開催日時及び場所:平成20年7月30日(水)17:00〜19:00            厚生労働省議室(9階) 2.出 席 者:高橋座長、阿部委員、梅田委員、菊池委員、川本委員、篠原委員、        野川委員、堀田委員、本田委員、森田委員 3.議題:政策評価の重要対象分野の総合評価書(案)について      (1)若年者雇用対策  (2)仕事と生活の調和の推進に向けた取組      (3)子育て支援サービス ○ 高橋座長より、本日の出欠状況の報告が行われた。 ○ 人事異動により新たに着任した、間杉政策統括官(社会保障担当)、荒井政策評価審議官、 今井政策評価官等事務局側から挨拶。 ○高橋座長  今日はお手元に予めいろいろお知らせ、資料等もお送りいただきましたが、議事次第のとおり 政策評価の重要対象分野というのが、後ほど事務局のほうから経緯はご説明があるかと思います が、若年者雇用対策、仕事と生活の調和、ワーク・ライフ・バランスという横文字がよく使われ ますが、この領域、具体的には労働時間の設定の改善と育児休業制度、それから子育て支援サー ビスの政策評価について議題として取り上げたいと思っております。  これらのテーマにつきましては、重要対象分野とされておりまして、経済財政改革の基本方針、 いわゆる骨太方針と俗称言われているものかと思いますが、2008において政策評価をされている こと、政策評価の対象となっているテーマでございます。その経緯については前回の会議でも説 明をいただきましたけども、改めて事務局のほうからかいつまんでご説明をお願いいたします。 よろしくお願いいたします。 ○政策評価官  ただ今座長よりお話がありましたとおり、今回の会議の議題になっております政策評価のテー マにつきましては経済財政諮問会議、それから総務省の有識者会議である「政策評価・独立行政 法人評価委員会」における審議を踏まえまして、政策評価の重要対象分野とされております。  簡単に経過を申し上げますが、お手元に配布されている資料の一番後ろのほうに参考1、2、 3というのが添付されておりまして、それをかいま見ながらお話をさせていただきたいと思いま す。  一番後ろのほうに付けておりますが、まず参考の1で経済改革の基本方針2007、これ去年の骨 太方針でございますが、今後、経済財政諮問会議と総務省・各府省の政策評価の連携を強化する ということになりまして、総務省の「政策評価・独立行政法人評価委員会」の審議を踏まえて、 今後は総務大臣が経済財政諮問会議に対して政府全体としての政策評価の重要対象分野の選定に ついて意見を述べるということになりまして、それを受けて経済財政諮問会議は政策評価の重要 対象分野を提示するということになりました。  参考の2を見ていただきたいんですが、早速そうした去年の骨太方針の決まり事を受けて、去 年の11月12日に総務省の有識者会議であります政策評価・独立行政法人評価委員会が答申という ものを出しました。その参考2を1枚めくっていただきますと具体的にどれを重要対象分野にす るかということが書いてありますが、太い見出しの部分だけ申し上げますが、1番として少子化 社会対策、育児休業制度、子育て支援サービス、ワーク・ライフ・バランスの取組ということ。 それから、2として、これ、下から3行目にあります若年者雇用対策、それから次のページの中 辺に3として、これは農水省の政策ですが、農地政策と、この3つが対象分野ということで選ば れました。  そして、参考の3がそれを受けて、今年の骨太で一番下にアンダーラインで書いてありますけ ど、「基本方針2007」のプロセスに則って、これらの政策の評価を実施するということが骨太に 盛り込まれたと、そのような経緯をたどっているところでございます。  以上のような経過を踏まえて、本日はここで示されたテーマを議題に取り上げるということで ございます。  以上です。 ○高橋座長  それでは、こういうご下問があったということだと思いますが、これについてこれから総合評 価の作業を実施するという、そういう手はずのようでございます。そして、それについていろい ろなご意見を今日いただきながら、その作業を事務方で進めていただくためのご示唆をいろいろ な形でいただきたいというのが今回の議論の趣旨というふうに思っております。  それでは、総合評価書の説明及び審議に入りたいと思いますけれども、テーマは3つございま す。この3つについて担当課からそれぞれのご説明をいただくということでご説明をいただく方 がテーマによって順次入れ代わるということになります。そういう形で進めさせていただきたい ので、よろしくお願いをいたします。  それでは、まず若年者雇用対策について担当課から20分以内でご説明を行い、20分程度の支給、 概ねその予定でお願いをしたいと思います。大変話題が豊富でございますので、時間、どういう ふうになるかちょっと自信もございませんけども、ひとつ時間をうまく使いながらご説明をひと つよろしくお願いをいたします。  それでは、どうぞ。若年者雇用対策室長さんですね、よろしくお願いいたします。 ○職業安定局若年者雇用対策室長  若年者雇用対策室長の大隈でございます。よろしくお願いいたします。  若年者雇用対策の総合評価書ですけれども、資料の1−2でございます。ただ、分量も多いこ とですので、ポイントをまとめた資料として資料の1−1で説明資料を用意させていただいてお ります。総合評価書の項目に沿ってポイントが書いてありますので、こちらをご覧いただければ と思います。  資料1−1で1ページ目でございますけれども、若年者雇用対策の必要性はフリーター、ニー トの問題ということで、若者が安定した職業に就くことができるように支援するということです が、若者の安定した収入、それから技能や知識の蓄積、それから格差を固定化させない社会をつ くっていく上で非常に重要なものでございます。これまで取り組んできたものとして、フリータ ーの常用雇用化の推進あるいはニートの自立支援、それから職業意識形成支援ということで、こ れは具体的な就職の段階より早い時期、例えば中学生、高校生の時期から仕事に対する理解を深 める、そういう取組を支援するということでございます。  今回の政策評価で評価対象とした施策が下に並んでおります。こちらも今のくくりに従って大 きく3区分にしております。フリーターの常用雇用化の推進ということで、これは様々な事業が ございますけれども、これを構成する代表的なものでそこの白丸6つ、取り上げております。あ と、ニートの自立支援は自立塾とサポートステーション、それから職業意識形成支援についてで ございます。それぞれについてその後のページで出てまいります。  2ページ目でございます。フリーター常用雇用化の推進の中の1つ目でジョブカフェでござい ます。ジョブカフェそのものの概要については、この同じ資料の23ページにございますけれども、 これはちょうどフリーター問題等が大きく取り上げられた平成15年に「若者自立・挑戦プラン」 ということで、その目玉施策として始まったものでございます。下にありますように、都道府県 が設置するセンターですが、ここに厚生労働省あるいは経済産業省が委託事業あるいはハローワ ークの併設という形でワンストップサービスセンターとして展開しているものでございます。  2ページに戻っていただきまして効果ですが、16年度から始まりまして、それ以降、若者の認 知も一定程度広がってまいりまして、下にあります指標のところのサービス利用者数あるいは就 職者数ともに概ね順調に推移していると考えております。4年間で32.3万人という就職者数を上 げております。それで、これは従来のハローワークですぐに職業紹介するだけでは就職は難しい 若者について、カウンセリングとかセミナーとかグループワークなど多様なメニューを組み合わ せて、その上で就職につなげるということで効果が上がっているものと考えております。  続きまして、3ページでございます。フリーター常用雇用化のメニューの2つ目で、フリータ ー常用就職支援事業というものがございます。これは全国のハローワークで実施しているフリー ター向けの支援でございます。こちらは、効果のところで17年度からの3年間で50万人を超える フリーターの常用就職を実現しております。これについても担当者制をしくなどして、一人一人 のフリーターごとに能力とか経験も違いますけれども、それに応じてきめ細かな支援を行ったと いう結果でこの数字が出ているものと考えております。  それから、次に4ページでございます。若年者トライアル雇用でございます。これはフリータ ー等、経験、知識等も不足している人は、なかなかいきなり企業の正社員に採用されるというこ とも難しい面もありますので一定期間、お試しの試行雇用をするということで、一定期間という のは原則3カ月でございますけれども、これで若者にとっても企業にとってもお互い適性などを 見きわめるということで、これによって常用雇用への移行を図っているところでございます。こ れは具体的には企業への奨励金でございまして、1人につき月額4万円を企業にお支払いする奨 励金制度でございます。効果としては、お互い、若者、企業とも理解を深めて十分な見きわめが 可能になっている。  それから、トライアル雇用が終わった後、3カ月終わった後、どれくらい常用雇用へ移行して いるかという点については8割で、16年度からほぼ一定の割合でございますので、効果は上がっ ていると考えております。ただ、まだまだフリーターの数も非常に多いところですし、中小企業 など人材確保に苦労しておられる企業もたくさんございますので、制度の周知も含めてより一層 の活用を図る必要があろうかというふうに考えております。  それから、5ページですが、日本版デュアルシステムの普及促進でございます。これは職業訓 練の施策ですけれども、この仕組みについては25ページに図がございます。これは訓練、そこの 3番の実施イメージのところにございますけれども、座学での訓練、民間教育訓練機関などを活 用して座学でやる部分と企業にお願いして職場実習をやる訓練、これを組み合わせた形で、そこ にありますとおり標準4カ月という形の訓練を組んで、就職につなげていくという仕組みでござ います。  5ページに戻っていただいて実績がございますけれども、16年度から2万人台で推移しており ますけれども、就職率について16年度以降、上昇を続けておりまして、19年度はこの訓練が終わ った方の76.5%の就職が実現をしております。それから、今後、「ジョブ・カード制度」が20年 度からスタートしておりますけれども、この一環である「職業能力形成プログラム」の中にこの 「日本版デュアルシステム」も組み込んで、さらに普及を図っていく必要があるというふうに考 えております。  それから、フリーター常用雇用化の5番目、6ページでございますけれども、これも職業訓練 関係の施策です。年長フリーター自立能力開発システムでございます。19年度からスタートした ものでございますけれども、これの仕組みは26ページと27ページにございます。この中にさらに 2種類ございまして、1つが企業実習先行型訓練システムでございます。これは年長フリーター、 25歳から34歳の方を対象としたものですが、年長フリーターの方はそれぞれ経験、能力等も様々 ですので、まず企業実習を先にやって、そこで足りない能力等を把握した上でその後のフォロー アップ訓練、それから採用というふうにつなげていくというプログラムでございます。  それから、27ページのほうがもう一つの「再チャレンジコース」というものでございまして、 年長フリーターの方が採用されやすいような、業界団体と連携してそういう訓練のコースを開発 して、それを受けていただいた上で就職につなげていくというものでございます。実施イメージ のところ、業界の例としてソフトウエア産業、住宅・不動産業など4種類ございますけれども、 このような形でコースを開発して訓練をスタートさせているというところでございます。  それで、元に戻っていただきまして6ページでございます。この能力開発システムの効果です が、19年度から年長フリーター対策として始めたということで、周知の問題もありまして受講者 数は4,063人ということで計画に比べると低調であったということですが、就職率については77% という高い水準を達成しております。これは、今後、制度の周知を徹底して実績を上げていくと いうことが必要だというふうに考えております。  それから、もう一つ訓練の施策で7ページございます。就職基礎能力速成講座というものがご ざいます。これは短期間、効果のところにありますが、概ね10日間で本当に基礎的な、就職に必 要な基礎的な能力を付与するという講座を実施してきたものでございます。17年度から19年度ま で実績が書いてあるところですけれども、この講座を修了した方の中で必ずしも就職に必要な能 力が備わらなかった方もいらっしゃるというふうに考えられます。20年度からはそこの効果のと ころにありますように、少し組替えを行っておりまして、就職に至らなかった方について職業相 談、あるいは訓練が必要な方にはまた訓練を行うというような形での集中支援を実施するという 形に改めております。  それで、8ページでございます。フリーター向けの対策は様々あるわけですけれども、全体と してパッケージ化をしまして、フリーター常用雇用化プランという一塊の施策としてパッケージ 化しております。これを17年度から、そこにあります「フリーター20万人常用雇用化プラン」と いうことで数値目標付きで進めているところでございます。17年度は20万人の目標のところを 23.2万人、同様に18年度は目標を引き上げて25万人にしたところで36.2万人、19年度は25.8万人 ということで、それぞれ目標達成をしておるところでございます。  それから、続きまして大きな2番目のニート等の自立支援でございます。  ここは大きく若者自立塾とサポートステーションでございます。若者自立塾は、これは合宿の 形式によって集団生活の中で労働体験を通じて就労支援をするというもので、29ページに具体的 な図がございます。全国各地、例えばNPOとかへの委託という形で20年度は30カ所で実施して おります。3カ月間原則で、合宿形式で右下にあるようなパンをつくったりする風景が出ていま すが、こういう形で就労支援を行っております。  9ページに効果がありますけれども、この自立塾卒業後6カ月経過後の行動変化率ですが、 89.1%ということでほとんどがニート状態からは脱しているというような形になっております。  続きまして、10ページが地域若者サポートステーションでございます。こちらの仕組みは30ペ ージでございます。自立塾と違って合宿形式ではありませんけれども、地域の関係機関、教育機 関であったり保健福祉機関であったり、様々な機関とネットワークをつくって、サポートステー ション自身でも相談支援を行いますけれども、ほかの機関とのネットワークの中で様々な支援を 行うということで、こちらが18年度25カ所から毎年増やして、20年度77カ所ということで拡充を 図ってきているところでございます。  10ページに効果がございますけれども、利用者数、延べ来所者数は大きく増加しております。 支援対象者への認知度も向上は図られているものと考えます。それから、利用開始から6カ月時 点で48.8%の利用者が就職へ結びつく方向に変化、あるいは24.7%の利用者が就職等の進路決定 というような効果が上がっております。  それから、大きな3番目ですが、11ページです。職業意識の形成支援でございます。ここはキ ャリア探索プログラムと、あとインターンシップ受入企業開拓事業という2つがございます。キ ャリア探索プログラムというのは、中学生、高校生を対象にしてハローワークがアレンジするわ けですけれども、企業の方などを講師として学校に派遣して働くことの意義とか、そういうこと を生徒に理解していただくプログラムでございます。それから、インターンシップはいわゆる大 学生が行うインターンシップで、受入先企業がなかなか少ないということもあり、経営者団体等 に委託する形で受入先企業を開拓する事業を行っております。  キャリア探索プログラムについては、全体的に中高生、生徒減少傾向にはあるんですけれども、 参加生徒数は大体40万人ぐらいで推移をしております。それから、インターンシップの受入開拓 事業についても企業の開拓数は右肩上がりで伸びております。それから、実際にインターンシッ プに参加した学生の9割以上が職業、働くこととか企業への理解を向上したという結果が出てお ります。  12ページでございます。施策全体の評価でございます。若者の雇用情勢は、最近は新規学卒に ついては売り手市場と言われていて数字はよくなっておりますし、完全失業率を見ても低下して いるということで改善は続いております。あと、フリーターの数も217万人というピークから4年 連続で減少しております。それから、ニートもそこにありますとおり64万人というのが一番のピ ークで、若干62万人ということで減少しております。  評価としては、今まで取り組んできたフリーター対策、ニート対策などが効果は一定程度あら われたものと考えておりまして、施策目標の達成に向けて進展はしているものと考えます。  ただしかし、13ページでございますけれども、改善を要する課題もございまして、当初、ジョ ブカフェ事業などが始まったのは16年度辺りですが、それからの環境変化がございます。就職氷 河期に正社員になれなずにフリーターにとどまっている、いわゆる年長フリーターの方が92万人 ということで高止まりしているという状況にございます。これにつきましては18ページを、恐れ 入りますけれども、ご覧ください。フリーターの数はトータルとしては217万人から減っておりま すけれども、25歳〜34歳のところがここのところ92万人ということで減っていないと。それから、 18ページの右側ですが、35歳〜44歳、ここは若者の範囲ではないですが同じ定義で拾ってみると、 ここが32万人から38万人ということで増えているということでございます。  20ページで就職氷河期についてのグラフがありますけれども、バブル崩壊後の新卒採用が厳し かった時期、広くとらえて93年3月採用から2004年3月採用まで、この時期に大学を卒業した人 が概ね25歳〜36歳ぐらいの幅にいるということで、21ページにその世代がどれくらいいるかとい うことで、ちょうど団塊ジュニア世代等も重なって35歳ぐらいに大きな、1年で200万人ぐらいの 山がありますけれども、ちょうど重なってきておって、あと3年ぐらいで30代後半にだんだん入 ってくるというような状況の変化がございます。それで13ページに恐れ入ります、戻っていただ いて、こういう状況がございますので、年長フリーター対策あるいはさらに30代後半の方の対策 というのが必要になってこようかと思います。  13ページの下半分に今20年度に手を打っているものが書いてありますが、「フリーター常用雇 用化プラン」、これは今年度は35万人を目標でやっております。それから、あとジョブ・カード 制度、それからニート向けの対策の拡充などを行っております。  14ページで、さらに今後の検討の方向性ですけれども、全体的な評価、今までの評価を踏まえ て年長フリーターについては改善が遅れているということが1つと、30代半ばあるいは後半に差 しかかる方々への支援を重点的、集中的に行うことが必要だというふうに考えております。  それから、ニート状態の若者についても依然として高水準にありますので、なおかつ30代後半 の同様の無業者の方の増加も見られるところですので、ここも支援対象年齢層を拡大することも 含めて取組の強化が必要でございます。  それで、ちょうど諮問会議で4月以来、新雇用戦略ということで議論をされておりますけれど も、その中で今のような問題意識のもとに今後3年間を「集中重点期間」ということで、年長フ リーターを中心に「フリーター等正規雇用化プラン」、それからジョブ・カードの整備・充実、 それからニートの自立支援の充実、こういう大きな方向を柱立てで取組を充実させていくという ふうに考えております。  15ページでそれぞれもう少しかみ砕いた形ですけれども、今まで「フリーター常用雇用化プラ ン」といってきたものについて、30代後半の人も正面から取り上げるということで「フリーター 等正規雇用化プラン」ということで、名前も中身も少し新たにして取組みたいということでござ います。それで、目標として3年間で100万人の正規雇用化というような方向を目指していきたい と思っております。  それから、ジョブ・カードについても同様に、これは訓練の協力企業を拡大していかなければ いけませんのでそういう取組によって、こちらも22年度までに取得者数50万人ということで取組 みたいと思っております。  それから、ニートの自立支援につきましても、「地域若者サポートステーション」の発展・強 化をいたしまして、進路決定者割合、24.7という水準ですが、これを平成22年度までに30%まで 高めるというようなことで今後の検討の方向性としたいと考えております。  駆け足になりましたけれども、以上でございます。 ○高橋座長  どうもありがとうございました。  非常に複雑な政策を多岐なものがございますけれども、自己評価の考え方をまとめていただき ました。今のご説明についてご意見、ご質問等がございましたらお受けして少しディスカッショ ンをしたいと思いますが、いかがでございましょうか。それでは、野川委員。 ○野川委員  基本的なことでご質問したいんですが、今のご説明の中に、若者が職に就く就き方について幾 つかの類似の概念が使われていますね。常用雇用というのがあって、就職という言葉も使われ、 ニートのところでは就労とも言い、さらに正社員という言葉も出てきますね。特に常用雇用とか 就職とか就労とか、それぞれ数値で出てきているわけですから、その意味するところがかなり厳 格に定義付けられていると思うんですけれども、私の印象ではそんなに厳格にどうやって定義付 けることができるのかなという疑問がちょっとあるんですね。というのは、現在就労の仕方には 様々なグラデュエーションがあって非常に多様になっていますし、しかも中身も細かくなってい る。  例えば、最初の1年間は期間雇用であるとしたうえで、しかしその結果を見て、1年後に特に 問題がなければ期間の定めのない契約をいたしましょうという契約はよくあります。そういう場 合の最初の1年間の期間雇用は、常用雇用になるのか、それともそこには入らないのか。あるい は、最初数年間ずっと期間雇用ですよということにして、しかし、例えば3年なり5年なり経過 したところでマネジャーになれるかどうかを見ましょうというような契約が、サービス業なんか でよくあるんですけれども、この場合はどうなるのか。そういった幾つもの就労の仕方のパター ンがあるわけですが、それを前提として教えていただきたいのは、例えばまず常用雇用というの が一番上にある概念ですね。それで、常用雇用の移行率というような概念、若年者トライアル雇 用のところにそういう言葉を使われていますね。あるいは就職率という言葉も使われていますね。 その後のデュアルシステムのところでは就職率という言葉が使われておりますし、ほかでも使わ れていますね。それぞれの言葉が意味している、数字として出てくるだけのきちっとした中身と いうのがあると思うんですけど、それをちょっと教えていただきたいんですね。 ○職業安定局若年者雇用対策室長  フリーター常用雇用化プランとしてくくっていて、これは数をとっているわけなので定義があ るんですけれども、現在、19年度から常用雇用とは期間の定めのない雇用になったものを数えて 就職実績としております。実は、それ以前はちょっと統計のとり方の都合で常用雇用といったと きに、一部4カ月以上の期間の定めのあるものが入り込むような仕組みだったんですけれども、 そこは改めまして、やはり安定した雇用に就くことを支援するプランなので、期間の定めのない 雇用になった人だけを数えてやるということにしております。基本的にフリーター向けの支援の ものはこのプランの中に入れておりますので、その考え方になっております。ニート支援の場合 は、そこのとらえ方をちょっと分けてございます。 ○職業能力開発局実習併用職業訓練推進室長  職業能力開発局の実習併用職業訓練推進室の星でございます。  ニートの関係ですが、雇用対策を行う上では、常用雇用なり期間の定めのない安定した雇用を 目指すというのが本来の最終的な目的でございますけれども、なかなか就労意識がはっきりしな い方であるとか、これまで長期にわたってそういった就労の場から遠ざかっておられた方、そう いった方を雇用の場に結び付けようとする場合に、どうしても期間の定めのない雇用にいきなり ということは難しいものでございますから、何らかの形で短時間雇用であったり、あるいは期間 の定めのあるようなアルバイト、先ほど先生のほうからお話がありましたように、一定のお試し 期間のような形であっても、ニート状態から就労ということに移行したというようなことで数値 をまとめてございます。 ○高橋座長  どうぞ。 ○野川委員  そうしますとね、もうこれで私、終わりにしますけれども、これは意見にもなるんですが、少 し評価に反映させるに当たって硬直的じゃないかなと思うんですよね。つまり、オール・オア・ ナッシングにすぎるのではないか。先ほど申し上げたような最初の1年は期間の定めがあるけど も、大体9割方はその後問題がなければ正社員に移行するよという場合の、最初の1年とりあえ ず就職した人も、全くどこにも就職できなかった人も、同じに扱われるわけですよね、数え方と して。他方で、厚生労働省は雇用形態の多様化にも、十分それを受け止めた上で、対応する施策 をいろいろと展開しておられるわけですから、常用雇用という概念、それ自体、別に法的に定義 があるものではないので、もう少しきめの細かな中身を把握できるようにしたほうが、若者が労 働市場に参画する道筋を多様に展開して、しかもだんだんと本当の意味での常用雇用に近づけて いくという方向に資するのではないかというふうに思うんですね。それは意見です。  それで、それに関連してもう1点ちょっとご質問しようと思っていたのは、いろんな施策があ りますが、フリーターについてはほとんどが、ある施策を講じた結果就職できたかどうかという ふうなことにつながっていますね。しかし、フリーターの中にもそれこそいろいろなタイプの人 がいて、何らかの訓練なりを施せば大体就職できるだろうという人と、ある施策を講じて、その 後また幾つかの段階を経て就職できるという場合もあると思うんですね。例えば、この中での就 職基礎能力速成講座ですか、これはこの中身、ちょっと私の誤解かもしれませんけど、中身をち ょっと見た印象では、すぐにこれを受けて就職するというよりは、就職するためにベースとなる ような様々な知見を得て、その後、例えば具体的な職業能力を形成したり資格を取るような他の 施設を経て、それから就職していくと、そういうようなものじゃないかと思ったんですね。そう いうことを考えると、様々な施策の指標が就職率に全て持っていくというやり方はいかがなもの かというような、これはちょっと意見と質問と両方になりますが。 ○高橋座長  やっぱりアウトプット、アウトカム議論と非常に関係して大変大事な議論をいただいたような 気がいたしますが、どうぞ今の議論と関わりつつ、どうぞ掘田委員。 ○掘田委員  全般として高い数値目標を掲げて、これが達成できるのかと思うような高い基準をクリアされ てるのがほとんどで、本当に格好いいなというか、やってるなという感じがこれを見ますとする んでありますけれども、今、最後に野川委員からも出ましたけれども、就職氷河期にこれと同じ 施策をやったらこんな数字で出てくるだろうか。もう少し言えば、ここずっと景気が回復してき て就職戦線が好調になってきている。一方、団塊の世代、これは数が多いんですが、これが退職 期になってポストが結構あいてくる。そこで若い人で補充するというような幾つかの要素があっ て、いい数字が上がっているんじゃないかということを素朴に感じます。では、この政策が全く 無関係かというと、それは決してそうではないんで、就職しようと思っている者、あるいは何と か生き方を変えたいと思っている者にこういう施策を講じることによって後押ししたり、そうい った効果はあったんだろうとは思いますが、それを1から10まで全部これの政策の効果であると、 こういう書き方になってるところに何となく付いていけないものがある。だから、何がこういう 効果を生み出したか、これはもう分析は不可能ではありますけれども、やっぱり基本的にこうい う状況になっておって、うまくその状況にこれらの施策が合って、そしてこういう効果が生まれ たんだという、その辺りのちょっと謙虚な文言が少し入っていればさらにいいなと感じました。  以上です。 ○高橋座長  今の議論、大分前からずっと出てる議論とも関係あるんですが、要するに川の流れがあって、 それをもっとよくしたのか、それともこの施策が川の流れそのものを効果をしたのかというのは、 これは施策評価の1つのポイントかと思うんですが、それを少し広げて少し流れるようにはして あげたかもしらんけど、それを全部川の流れをよくしたように言うなよという、言うなよという のは別にあれですが、そこら辺の整理をきちんとして、これがやっぱり政策効果とやっぱり自然 体の様々な状況とどう分離しながら政策効果を判断する、これは多分政策分析をやる場合の最大 の難点の、とても難しい議論ではありますが、やっぱりそこら辺に多分自覚的であるかどうかと いうのが大事ですよというのが堀田委員のご指摘だったかと思います。どうぞ。 ○阿部委員  多分、今のと同じことをもう一度言うかもしれませんが、評価書に書いてあります3ページ目、 4ページ目、5ページ目、それぞれのジョブカフェ、フリーター常用就職支援事業、トライアル 雇用、デュアルシステム、それぞれのアウトカム指標を足しますと大体30万人前後になるんです ね。そうじゃないかと思うんですけども、ところが今日ご提出の18ページ目のフリーターの数の 推移を見ますと、06年から07年にかけて187万人から181万人ということですので、多分6万人し か常用雇用に移行していないというふうにも読めるんですね。この差は何なんだろうというのが 私の素朴な疑問です。  多分、皆さんが評価して、それぞれのところで評価されているのは、もしかしたら過大評価に なっている可能性があるんではないかというところでありますので、その辺りのギャップをもう 少し詳しく書かないと、堀田委員がおっしゃったことが現実に見えてしまうということになるん じゃないかと思います。 ○高橋座長  いかがでございましょうか。大変厳しい。川本委員、お願いします。 ○川本委員  今のご意見についてですが、今のフリーターの数のところは新たにどんどんアルバイト、フリ ーターになってくる方がいらっしゃるわけですから、当然、片方でどんどん就職へ導いていって いるけれども、人数的には図表のとおりになっているということなのではないかと思っておりま す。ただ、もしもその辺を分析するのであれば、厚労省で数字の把握は必要かもしれませんけど も、そういうギャップの話かなと思っております。  それから、今の経済状況でございますけれども、どこかに書いたらということであれば触れて おかれればいいのかなとは思います。ただ、問題の本質は、実は就職氷河期にいわゆる常用型で 就職できなかった方たちをなかなか普通の常用型に受入れにいく社会、これはやっぱり新卒採用 中心の一括採用の流れがあるということ、あるいは一方で中小企業は人手不足ということでずっ と実は採れないという、不景気のときも景気がよくなってもそれがあるんですが、なかなかそう いうところに目が向かないとか、あるいはそこになかなか自分からハローワークを介しても行か ないというような流れの中で、日々稼がなきゃいけませんのでフリーターになって、抜け出せな いということなどがあると思います。そういう中でこういう様々な形を用意されて就職に導いて いっているということであり、きめ細かに徐々に年を追うごとになってきて、よくやってるので はないかなという評価をさせていただいているところでございます。評価の仕方については難し くて、就職者数とか就職率しかなかなかいい数字はないのかなというふうにも思ってございまし て、皆さんのご意見があった中で付け加えたり、定義を明確にしたりということは必要かと思い ますが、よくやっているのではないかなと基本的に思っているところです。  ただ、こんなにいろいろな細かなものがあることを知らない方たちも多いはずです。したがっ て、周知、PRには今後本当に努めていただきたいと思っております。例えば、ジョブカフェと いう言葉もございましたけど、報告書的な本を見たことございます。いかにジョブカフェの中の 相談員がきめ細かな対応をして、気長に時間かけて、じゃ試験受けてみようかなとか面接受けに 行こうかなと、あるいは面接に落ちてもフォローしながら前進していくことをその報告書の中の 事例を読ませていただいて、このくらい手間暇かかるものなんだなということを認識したところ でございます。今後ともこういうものの周知徹底と、それから充実強化に向けて進んでいただけ ればなと思っている次第でございます。  以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。  今のご意見は大変貴重な現場からというか、そういうお立場の評価をいただきましたけれども、 野川委員のご指摘と含めて言うと、就職につなげるということもさることながら、どうも今の川 本委員のご指摘を伺うと、こういうプログラムの定着度だとか認知度だとか、あるいはカバレッ ジを上げていくというんでしょうか、ターゲットに対してどのぐらいカバーができるのかという のが、これがどうも先ほどの堀田委員のご質問と関係して、本当の事業の効果みたいなものはど うもそこら辺をどうつかむかということにあるのかもしらんというのが何か委員の皆様のご発言、 それをすぐ労働指標でどれだけ就職に結びついたという議論も、これはもちろん最終的な施策の ねらいであることは間違いないんだが、その前にどうも中間的にいろんな評価指標がありそうだ よという、そこら辺、だからといってそれが政策上、きちんと把握されているかというと必ずし もそうではないので、数字的にはなかなか表現するのは難しそうな、それから今日のご指摘をい ただいてどうやって資料ができるかできないかというのはいろいろ思案をしていただく話かもし れませんが、どうもそんな感じをちょっと、今までの議論を伺っていたしましたが、何かほかの 角度から、どうぞ。 ○梅田委員  今のことと関連するんですが、総合評価書の3ページですか、3ページ以下の評価結果のとこ ろに括弧書きで問題点及びその原因と、こう書いてあるんですが、余り問題点及びその原因に関 する記述が余りなくて、最終的な効果の発現のところへ行っちゃっているところが今のお話と少 し関連があると思います。  それで、11ページに施策全体の評価。それまではそれぞれの事業と言ったほうがいいぐらいの 個別の事業の分析をされているわけですが、11ページの施策全体の評価のところの記述がただ指 標のところを掲げてあるだけなんで、事業間の問題とか、先ほどおっしゃったような、今までの 発言にありましたように事業間の問題だとか、ほかの要素だとか、非常に大きなテーマですから そう簡単に実現するわけじゃなくていろんな要素があるんで、ここの施策全体の評価のところに もうちょっと多様な分析をして、それでその次の改善を要する政策課題に結びついていくストー リーをできるだけもう少し記述されたほうがいいのではないかというのが1つと、もう一つ別の ことなんですけど、コストに関する記述が全くないんですが、これはこういうふうでしたかね、 様式上。コストに関する記述が全然なくなっているんであれっと思ったのですが、コストと効果 は関連しますので。 ○高橋座長  政策評価はまさにそういう話とか予算の議論とも絡むので、そこら辺をちょっと。 ○政策評価官  総合評価書の様式上は、記載欄はないですが、もちろんそうした点も評価の観点に含まれてご ざいます。 ○梅田委員  というのは、私、ちょっと言いたかったのは評価の結果、例えば100あるコストのうちAに50配 置して、30、20配置していたけども、50あったものを40にして、そこから10はね上げたものをB の30にプラスするとか、コストの移動の話までいくべきというか、シナリオとしてはそういうふ うに評価結果がコストの配分バランスを変えるとか、そういう分析をしていただくのがいいわけ ですからそれを望みたいというか、思います。 ○高橋座長  ほかに何かございますか。 ○森田委員  皆さんのご意見とそれほど変わりないと思いますけれども、国のこの政策評価制度自体が法律 も含めていま一つ、何をどう評価するかということが必ずしも明確でないところがあるわけでし て、毎回こういう議論がされていると思います。1つは最初、堀田先生もおっしゃったところで すけれども、最終的なアウトカム結果に対して厚生省のこの事業がどのように寄与しているかと いうところが、数値で寄与率を出すのは難しいと思いますけれども、あり得るのではないかと思 います。ですから、全体について先ほどのお話もございましたように、景気がよくなってくると 当然就職は伸びるであろう。それに対してどのような形で貢献してるかというのが1つあると思 いますし、その議論をしたときには、これはそれぞれの担当課がお仕事をよくやっているかどう かということの評価であれば最終的にそういう結果に結び付けばいいんですけれども、政策評価 という場合には、要するにその策がベストかどうか、ほかの代替的な策は何を考えるか。例えば、 こういう形での支援もありますし、逆に言えば雇用したところに対する補助をするとか、いろん なやり方があり得ると思いますけれども、それとの関連がどうなのかという話と、そして3番目 はある施策がいいという場合には、今、梅田先生おっしゃったように、それが最少のコストで実 施されているかどうか、その辺についてもう少し明確化した情報が添付されていると、評価方法 の評価もよくなる可能性があるのではないかということでございます。  既に皆さんのご意見とそれほど変わりないと思いますけど、国のこの政策評価制度自体が法律も 含めていま一つ、何をどう評価するかということが必ずしも明確でないところがあるわけでして、 毎回こういう議論がされてるかと思いますけど、1つは最初、堀田先生もおっしゃったところで すけども、最終的なアウトカム結果に対して厚生省のこの事業がどのように寄与しているかとい うところが数値で寄与率を出すのは難しいと思いますけども、あり得るのではないかなと。です から、全体に先ほどのお話もございましたように、景気がよくなってくると当然就職は伸びるで あろうと。それに対してどのような形で貢献してるかというのが1つあると思いますし、その議 論をしたときには、これはそれぞれの担当課がお仕事をよくやっているかどうかということの評 価であれば最終的にそういう結果に結び付けばいいんですけど、政策評価というふうになった場 合には、要するにその策がベストかどうか、ほかの代替的な策は何を考えるか。例えば、こうい う形での支援もありますし、逆に言えば雇用したところに対する補助をするとか、いろんなやり 方があり得ると思いますけども、そうしたやり方もやっていらっしゃると思いますけど、それと の関連がどうなのかという話と、そして3番目はある施策がいいという場合には、今、梅田先生 おっしゃったように、それが最少のコストで実施されているかどうか、その辺についてもう少し 明確化した情報が添付されていると、もう少し評価の評価もよくなる可能性があるんじゃないか ということでございます。 ○高橋座長  ありがとうございました。  ほかに、菊池委員。 ○菊池委員  遅れて申しわけありませんでした。  評価そのものというか、評価の前提みたいな話なんですけれども、フリーターなり、フリータ ーといっても多様な層が想定されると思うんですが、私が思うに非常に生活自体が不安定な状況 にある人たちも多いと思われる中で、雇用対策ではあるんですけれども、例えばいろいろな訓練 を受けていく前提として生活を維持していくという必要性があるわけで、その辺がほとんどとい うか、一切この施策の中では出てきていないように私には思われるんですが、しかしこの雇用対 策がどの層をねらいとしているかということに関係してきますけれども、そもそも日本にはそこ のところは政策的にすぽっと抜け落ちているということなのかもしれませんけれども、雇用対策 をしていく上での生活の保障とか所得保障とか、そういったものが必要なのかどうか、あるいは やっていくとしてどこまでできるとか、できないとか、そういった、私、どちらかというと社会 保障の立場なので、そういった部分が示されないと雇用対策としてここまでやっているというお 話があっても、なかなか評価しづらいなという部分を正直言って感じた次第です。 ○高橋座長  今の菊池委員のご発言は、やっぱり総合評価として総務省から要求されたある種の個別施策と 同時に、そういう幅の広がりを十分意識したモデルを考えないといかんのではという、多分そう いうふうに私は伺ったと思いますが、篠原委員。もうそろそろ時間でございますけれども、よろ しく。 ○篠原委員  先ほど何人の委員から周知ということでやはり不十分かなという感じがするんですが、僕はニ ートとかフリーターとちょっといろんな関係で付き合いがあるんですが、やはり私どもの通常接 するマスメディアとか、ああいうものと関係なく非常に特殊な雑誌だとか、ルートが違うんです ね。ですから、その辺の工夫というのが要るんじゃないかなという、まず気がします。  それと、ニートとかフリーターのある部分は発達障害だという説があって、やはりよりこれか らきめ細かい対応をしようとなると、大きな対応としては僕、いいと思うんですが、今後やはり よりきめ細かくするには、やっぱり発達障害を意識した対応とか、それと僕が付き合っている人 はやっぱり大学の工学部を出たかなりレベルの高い人で、そのままその教育を受けたのでやれば 有効なんですけど、変な仕事をやっているというのは明らかに社会的なロスだなと、そういう部 分をやっぱり就職化すべきだという感じはしているんですが、やはりなかなかしないという。  ですから、それぞれの大卒だとか高卒だとか、あるいは僕なんか会っている人は夢を持ってい るんですが、それでもやっぱりロスだなという感じがするし、何となくもう社会を投げたという 人とか、そういうやっぱり細かい僕は今後対応が要るかなということと、3番目が先ほどちょっ と出た、新たに発生している部分は当然少なくなっているとはいえ、あると思うんですね。それ に対する対応、先ほど小学校、中・高に対するという、あったんですが、大学だとかあるいは家 庭の親に対する教育とか、意外とそういう教育も必要なのかなと。やはり発生しちゃったものの 対応だけじゃなくて、今後やっぱり新たに発生させないという対応もここの厚生労働省、多少責 任があるのかなと、その辺はどんなもんなんでしょうかね。  以上。 ○高橋座長  ありがとうございます。  やっぱり労働政策的なかちっとした枠組みの議論はもうこれでそれなりに、餅は餅屋みたいな ところがあってきちっとされてますが、どうもやっぱりターゲッティングを考えると、今ご指摘 あった広がりがどうもあるよということは、少し政策評価の上でも意識されたほうが政策評価の 深みみたいなことにつながるのかなという印象もございましたので、委員の皆様のご意見を少し 踏まえながらより深めていただきたいというような、そんな整理をさせていただいて、もう予定 の時間もちょっとオーバーをいたしましたので、議題1はこれで終わらせていただきたいと思い ます。  それでは、引き続きいわゆるワーク・ライフ・バランスということで次のテーマ、育児休業等 も含めまして今度は15分ぐらい、やや時間が短目になっておりますので、そこら辺も含めてよろ しく。ちょうど担当者の席が代わるところでございますのでよろしくお願いをいたします。どう もご苦労さまでした。  それでは、引き続きよろしゅうございますか。それでは、仕事と家庭の調和ということでお二 方の課長さんがいらっしゃいますが、よろしくお願いをいたします。 ○労働基準局勤労者生活部企画課長  労働基準局勤労者生活部企画課長の小林と申します。よろしくお願いいたします。  仕事と生活の調和の推進に向けた取組ということで、関連する施策体系といたしましては労働 時間等の設定改善の関係、それから育児休業等、2つございまして、まず私のほうから労働時間 等の設定改善の関係、ご説明申し上げたいと思います。  それに先立ちまして、平成19年12月でございますが、次のページのところに色刷りの1枚紙を 挟ませていただいておりますが、ワーク・ライフ・バランスの推進官民トップ会議というのがご ざいまして、そこでワーク・ライフ・バランス憲章と、それから行動指針が策定をされてござい ます。これが全体の話に関連いたしますので、まずその概要を簡単にご説明させていただきたい と思います。  このワーク・ライフ・バランスの話でございますが、背景につきましてはご案内のとおりでご ざいますけれども、1つは働き方の二極化等ということで、正社員以外が大幅に増加する一方で、 正社員の労働時間が高止まりをしておると。いわば長時間労働の正社員と不安定雇用の非正社員 の二極化が進んでいるというのが1つの背景としてございます。そういった中で、仕事と生活の 間で問題を抱える人が増加してきておる。つまり、個々人の持続可能性というのはもとよりでご ざいますが、それが社会の持続可能性という観点からも問題になってきているんじゃないかとい うことでありまして、いわばそういった硬直的な働き方というものが1つ少子化の要因になって いるんじゃないか、あるいはこれから人口が減少していくと労働力人口が減少していく中で、高 齢者あるいは女性等の多様な人材というのを生かしていく必要があるんだけども、それを生かし ていく上での制約要因になっているんじゃないか、そういった課題を乗り越えていく上でこのワ ーク・ライフ・バランスの取組というのを社会全体の広がりを持った取組、国民運動的なものに 高めていこうというのがこのワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針の趣旨でございます。  中段ほどに仕事と生活の調和が実現した社会の姿というのがございますが、ここにおきまして 以下の3つの社会というのを提示いたしております。1つは就労による経済的自立が可能な社会、 2つ目が健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会、3つ目が多様な働き方・生き方が選 択できる社会ということで、こういった社会というものを目指して関係者がそれぞれの役割を果 たしていこうと。国は、そのための基盤整備を図っていくべきであるといったことが提起をされ ておるわけでございます。  こうした各主体の取組というのを推進していく上で、この行動指針におきましては5年後、5 年後というのは2012年でございますが、5年後、それから10年後、2017年の数値目標というのも 掲げていると。ここに書いておりますのは10年後の代表的な数値目標の例でございますけれども、 就業率ですとか、あるいは週の労働時間の状況等々について数値目標というものが設定をされて おると。これらの進捗状況というのを把握、評価しながら政策に反映していこうということで、 そのために関係者がそれぞれの役割を果たしていくべきだということで、ここでは企業、それか ら働く者、それから国・地方公共団体の大きく分けて四者ということになるわけでございますが、 それぞれがそれぞれの役割を果たしていくべきだと。国に関して申し上げますと、一番右下にご ざいますような国民運動を通じた気運の醸成、制度的枠組みの構築や環境整備などの促進・支援 策への積極的な取組等々ということが提示をされてございます。  以上がワーク・ライフ・バランス憲章と行動指針の概要でございまして、その次のところに総 合評価書の概要(1)というのをお付けさせていただいております。  まず、1つ目の政策体系でございます労働時間等の設定改善の促進ということになるわけでご ざいまして、これにつきましては先ほどの目指すべき社会、3つ提示されたうちの2つ目でござ いますね、健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会に向けた取組ということで位置付け られるものでございまして、実際、憲章あるいは行動指針におきまして、そのために労働時間の 設定改善の取組支援等を行うということが言われております。そういったことでございますので、 政策評価につきましてもそういった流れを踏まえて行うことが必要になってこようかというふう に考えておるところでございます。  まず、そういうことで施策の概要でございますが、私ども、2つの大きな柱で取り組んでまい りました。1つは、企業の取組の促進ということでございます。それからもう一つは、そういっ た企業の取組を促し、それをさらに大きな流れにしていくための社会的気運の醸成ということで ございます。  まず、企業の取組の促進でございますが、(1)、(2)、(3)とございます。概要のみ申し上げますと、 労働時間設定改善アドバイザーというふうに呼んでございますが、助言・指導を行う専門家を中 小企業団体あるいはその傘下の事業所に派遣をいたしまして指導、援助を行うというのがこの労 働時間等設定改善援助事業でございます。  それから、労働時間等設定改善推進助成金ということで、これは主体的に労働時間の設定改善 に取り組む中小企業団体に対して助成を行うものでございます。これにつきましては、少子化の 視点というものを踏まえまして平成19年度からでございますが、20代後半から30代の労働者の労 働時間等の設定改善に重点的に取り組む中小企業団体に対しては上乗せ助成を行うということで、 通常、上限500万円ということで助成を行っておるわけでございますけども、こういったちょうど 子育てに関わるような年代の方々に重点的に取組む場合には、そこにさらに300万円上乗せすると いうことをやっております。  それから、都道府県労働局の出先がございますけれども、こちらに労働時間設定改善コンサル タントというのを配置いたしまして助言・指導等を行っておるわけでございますが、こちらにつ きましても平成19年度からは、この20代、30代の方々の設定改善については重点的に助言・指導 を行うようにということでやっておるところでございます。  2つ目の柱でございますが、社会的気運の醸成ということで、1つ目は推進会議ということで ございまして、これは地域において関係者の合意形成の促進を図ろうということで地域ブロック に「仕事と生活の調和促進会議」というのを設置してもらおうという話。それから、次のページ でございますが、2つ目、シンポジウムを都道府県ごとに開催することによる社会的気運の醸成、 それから3つ目は若干気運の醸成とは外れますが、テレワークの普及促進というのにも努めてま いったところでございます。  これらの施策に係る評価でございますが、私ども週労働時間60時間以上の者の割合というのを 平成15年比で1割減少させようということを目標に取り組んでまいりました。ここに表でお付け いたしておりますのは週60時間以上の雇用者の割合でございまして労調のほうからの数字でござ いますが、平成15年、12.2%に対して平成19年、10.3%というふうになってございます。ただ、 このうち子育て世代と言われる30歳代を見ますと、その下のほうにございますように率としては 減少はしてきているんですが、20%を超える非常に高い率で高止まりをしておるというような状 況でございます。  そういったことを踏まえての評価ということになるわけでございますが、15年比で1割減少と いう目標自体は達成をされた格好になってございますけども、30歳代男性につきましては今ご覧 いただいたような状況でございます。先ほどの行動指針におきましては、今後5年間で週労働時 間60時間以上の雇用者の割合を2割減少させると、あるいは10年間で半減させるという数値目標 が掲げられておるところでございまして、こういったことを踏まえ、さらに取組を加速させる必 要があろうというふうに認識をいたしております。  20年度につきましては、社会的気運の醸成に関してはモデル事業ということで先進的な企業を 選びまして、そういった企業のトップにワーク・ライフ・バランス宣言をしてもらってアクショ ンプランを策定してもらうという事業。それから、企業労使の主体的な取組を促進しようという ことで、職業意識改善助成金という企業で労使の話合いの場を設けて、それから実際に成果が上 がった場合に助成金を支給するという職場意識改善助成金というのを20年度に創設をいたしたと ころでございまして、こういったことを行ってこの数値がさらに改善されるように鋭意努力して まいる必要があろうというふうに考えておるところでございます。  労働時間の関係、以上でございます。 ○高橋座長  それでは引き続き、職業家庭両立課長さん。 ○雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課長  続きまして、職業家庭両立課から仕事と家庭の両立の部分についてご説明を申し上げます。  総合評価書の概要(2)、仕事と家庭の両立支援ができる雇用環境整備の推進という資料がありま すので、そちらをご覧いただきたいと思います。  なお、今、企画課長のほうから説明をした部分、それから私がこれから説明をしようとする部 分についての総合評価書の本体は資料2−2としてお付けしてございます。2−2の4ページ以 下が該当部分でございますので、必要に応じてご覧いただきたいと思います。  まず概要の1、評価結果というところをご覧いただきたいと思いますけれども、施策全体に係 る指標といたしましては、従来の指標としては男女別の育児休業取得率というものを利用してお りました。こちらのほうが平成17年度で女性72.3%、男性が0.50%となっております。女性のほ うは平成14年度に64%でございましたので、着実に育児休業取得率が進んでいる。しかしながら、 男性のほうの取得率が進んでいないという現状にございます。  しかしながら、この育児休業取得率だけでは全体の姿、すなわち女性が子供を産み育てながら 継続就業ができているかという姿が見れないということがございまして、女性の継続就業率も併 せて掲げております。こちらのほうは2000年から04年に出生した子の母の継続就業率が38%とな っておりますが、この数値については過去から上昇しているということはございませんで、ほぼ 同レベルのまま推移してきているという過去の推移でございます。  なお、目標値につきましては、先ほど冒頭、企画課長から紹介がありましたワーク・ライフ・ バランスの指針の中で継続就業率については10年後、55%、育児休業取得率については女性につ いて80%、男性について10%という目標値を有しております。  次に、各施策の実施状況でございます。施策の1番目の柱としては育児・介護休業制度等両立 支援制度の普及・定着促進ということで、育児・介護休業法制度の施行がございます。この点に つきまして、指標としては女性の育児休業の取得率、それから育児休業制度の規定がある事業所 の割合、こちらのほうは順調に増えてきております。また、勤務時間短縮等の措置の規定率等が ございます。勤務時間短縮等の措置については義務規定になっているんですが、規定率が41.6% ということでまだ十分ではないと判断をしております。  2番目の柱が男性の子育て参加促進に向けた取組の推進ということで、取組の内容としては 「男性が育児参加できるワーク・ライフ・バランス推進協議会」というところで提言を出してい ただきまして、この周知・広報をする。それから、助成金による取組の促進、さらには次世代法 に基づく認定基準の基準の要件といたしまして、男性の育休取得者がいたということを要件付け ておりまして、こうしたことを相まって取組を進めているところでございます。  指標といたしましては、残念ながら今のところまだ男性の育休取得率0.50%という状況でござ います。また、6歳未満児のいる男性の育児、家事関連時間、これにつきましては平成13年の48 分から18年には1時間と若干上昇しておりますが、まだまだ足りないということで、ワーク・ラ イフ・バランスの指針におきましては10年後に2時間半という目標値を置いております。  3番目の柱が次世代法に基づく一般事業主行動計画を各事業主に計画を立てていただくという 義務付けをしております。現行制度では301人以上義務付けをされておりまして、指標のところに 数字を上げておりますけれども、301人以上企業ではほぼ100%に近い企業で届出をしていただい ております。しかしながら、300人以下企業ではまだまだ届出が足りない。努力義務規定となって おりますので、まだまだ届出が足りないという状況でございます。それから、この計画を策定・ 届出をし、実行した上で一定の要件を満たしたところには厚生労働大臣が認定して「くるみんマ ーク」というマークを使えるという制度となっておりまして、この認定企業数545社と、こちらの ほうも順次増加をしてきているところでございます。  なお、この次世代法につきましては、さきの通常国会にこの改正案を提出し、その内容として この一般事業主行動計画の届出の義務につきまして301人以上から101人以上という形で規模を拡 大し、中小企業の計画策定をより一層促進しようということを目指したわけでございますけれど も、残念ながらさきの国会で廃案となってしまいまして、引き続き臨時国会に提出するというこ とを予定しております。  最後の柱がニでございまして、これは各種助成金を支給することによりまして事業主への両立 支援取組のインセンティブを与えようとするものでございます。  こうした取組に基づく分析・評価でございますが、これまでの指標により見ていただきました とおり、一定の成果が見られる。例えば、育児休業取得率の向上であるとか次世代計画の取得促 進等の成果が見られる一方で、現行の主な課題として2点考えております。1点目が休業はとれ るようになったが、休業後に仕事を続けられる見通しがそもそも立たないので、なかなか出産を 機に退職する方という割合が減らないということでございます。2点目が男性の育児への関わり が不十分であるということで、こちらが女性の継続就業にも悪影響を与えている、また少子化に も悪影響を与えているという分析をしております。  今後の検討の方向性ということでは、ここに書きましたような下記の4点を基本として両立支 援対策の充実を図る必要があるとしております。  なお、こちらのほうは後ほどご覧いただきたいと思いますが、昨年9月から有識者によりまし て今後の仕事と家庭の両立支援に関する研究会を開催いたしまして、両立支援に関する各種デー タ、実態等を踏まえての今後の両立支援の基本的な考え方という方向性について、今月、7月1 日に報告書をまとめていただいております。その報告書で示した検討の方向性というものでござ いまして、ここに掲げた4点、育児休業後も継続就業しながら子育ての時間確保ができるという ことで、特に短時間勤務制度の充実をすべきであるという点。2番目が父親の子育て参加の促進、 3番目がそのほか労働者の子育て・介護の状況に応じた制度の整備、4番目が支援制度の実効性 の確保等でございます。今後はこの研究会報告書を踏まえまして、法律の見直し等について検討 する予定でございます。  簡単ですが、以上でございます。 ○高橋座長  ありがとうございます。  ちょっとやや時間が押し気味なもんですからあれですが、ちょっと考慮しながらご質問、ご意 見等をいただけたら大変ありがたく思います。ひとつよろしくお願いいたします。これもまた前 のテーマにも増して意識とか行動様式とかということに関わりますので、評価の問題、なかなか 難しそうなテーマだなと思いながら伺っておりましたが、何かご意見やご示唆をいただけたら、 大変よりよいものをつくって、どうぞ篠原委員。 ○篠原委員  1点だけ。私どもの事務所では休暇、6月から9月までという専門職が多いと思うんですが、 入れますとね、1週間とか2週間、大体クライアントから仕事があると、ああ休むのかと、入れ ちゃうと。欧米の場合はきちっと2週間、3週間とれるんですが、それはクライアントというか、 相手も休みならアンタッチャブルという、そういう不可侵にするという、そういう社会のコンセ ンサスがあると。日本でやっぱり専門職なんかが休みをとるには、やっぱり休みを入れてたら入 れないというコンセンサスを早く社会につくっていただきたいなと。何となくそういうところが まだ日本では不十分じゃないかという気がするんですが、どうでしょうね。 ○高橋座長  はい、どうぞ。 ○掘田委員  この2番目のテーマは最初のテーマと全く逆で、これは社会が構造改革、競争激化でコスト削 減に走っておりますから、その中でワーク・ライフ・バランスを実現するというのは非常に難し い。ですから、効果としてはかばかしい数字がなかなか出てこない。それはそれで当然だろうと、 頑張っておられるというふうに私は思います。ワーク・ライフ・バランスは行動指針で3つ目的 を掲げておりますけれども、結局、豊かな生活、要するに働き過ぎを何とか家庭に帰せという、 そこに絞られて、そこがなかなかできないので、そこだけに取り組んでおられる。そして、四苦 八苦しておられるというのが現状だろうと思うんです。  そこは大いに頑張ってやってほしいと思うんですけれども、それを子育て等々と関連してやっ ていきますと、一方でずっと働きながら何とか少しでもうちに帰れるようにという、そういうこ とのほかに、これは縦の選択で、一遍就職して子育て期間退職して、これは残念ながら退職とい うさっきの課長さんの説明はそうだったと思うんですが、残念ながら退職して、それからもう一 度また復職したいという縦のワーク・ライフ・バランスもあるわけで、実際にそちらを選択して いる人は結構多い。いい悪いじゃなくて、日本の現状の中でそうせざるを得ないからそうしてら れるんですが、だから非正規雇用も先ほどの第1のテーマでは常用雇用にもっていくことが絶対 みたいな価値観で政策を考えてられましたが、結構、非正規雇用もいいんで、働けないときには 働かずに、また働けるようになったら非正規雇用に返っていこうとのぞむ人たちがいます。働き 方自体には文句がないという非正規雇用者、女性が多いんですけど、そういう方々もおられる。  そのことも考えなきゃいけないので、そうするとその対策として何をしなきゃいけないかとい うのは、これは資料2−2のほうの最後に今後どういう政策をやっていくかというのが出てきて、 研究会の報告書に基づいて4つほどやるとおっしゃってますけども、1つは同一労働同一賃金と いいますか、一遍辞めてまた働くことになってもしっかり同じ価値の労働については同じ賃金が 払われるという、これは第1のテーマにも関係しますけど、そのことを日本社会で実現すること が非常に大切ではなかろうか。それを実現しますと例えば転職が自由になる。日本社会は一遍辞 めたら、もう就職が大変だという大問題で、これは縦のワーク・ライフ・バランスが獲得できな い。同一価値労働同一賃金というのが確立していけば、正規、非正規の差もなくなってくるし、 転職も自由になってくる。そして、割合働く方の選択の自由が出てくる。これは、行動指針の3 番目の大きな目標ですが、そちらの方向に向けてもワーク・ライフ・バランスを実現して、そし て憲章の理念を達成する、そういう基本的な労働構造の改革に取り組む。最低賃金には取り組ん でおられますが、同一価値労働同一賃金の実現、転職の自由の実現についても、しっかり取り組 んでいただくことを今後の課題として考えてもらえればうれしいかなというふうに思います。 ○高橋座長  今のは労働行政の本丸の話ですよ、まさに。はい、どうぞ。 ○川本委員  今、同一労働同一賃金というお話ございましたけど、日本では判例法上も同一労働同一賃金と いうのは確立されておりません。日本はいわゆる年功賃金と言われておりますけど、日本企業の 賃金は個別企業の中で決めており、いわゆる労働の対価だけでなく企業内の雇用対策の部分の賃 金要素というのも入っていて、いわゆる年功型賃金というカーブを描いている実態があるわけで す。これは労使が話し合ってつくってきた文化であるとも言えるわけでございます。  一方で、同一労働同一賃金原則というのは、いわゆる職務給化の世界であって、この話は要す るに仕事賃金、仕事対価で決めようという概念を変えていこうとすることになります。これは時 間をかけて労使がどうつくっていくかという話になってくるわけでありまして、法律云々ででき るかというのは非常に難しい話だと思っているところでございます。ちなみに、私どもの団体と しましては仕事・役割に応じた賃金制度を今後とっていく必要があるという提言を出して、企業 労使に呼びかけているという段階だと申し上げておきたいというのが1つ。  それから、もう1点でございますけれども、今の話の延長でございますが、パート労働法とい うのがこの4月1日から改正で施行されておりますが、この中で言っているのはいわゆる仕事の 内容・範囲、それから雇用契約期間の実態が実質的にどうなっているのか、そして、人材活用の 仕組・運用、キャリアステップがどうなっているのか、たしか3つの切り口からパートタイマー とフルタイマーを比べた上で均等待遇あるいは均衡待遇というのを進めていこうと、こんな区分 けをしているわけでございまして、要するに様々な切り口からこの問題は対応しているところと いうふうに思っているということでございます。  以上であります。 ○高橋座長  ワーク内バランスの話とワーク・ライフ・バランスの話がちょっとはしなくも両方出てまいり ましたけれども、むしろ本題というか、この評価書をよりよくするためということで少し議論を 進めたいと。はい、どうぞ、ご発言。 ○阿部委員  資料2−2の6ページ目の分析・評価のところなんですけども、分析・評価でお書きになって いることがその後7ページ目から8ページ目にかけて出てくる(2)のところですね、どういうふう につながりになっているのかがちょっと分かりにくいかなと。6ページ目では女性の継続就業率 が低いということを言って、7割がお辞めになっていて、そのうち3割が継続就業を希望してい ながらも両立環境が整わないと。じゃ、継続就業を希望しながら退職した理由は、体力がもたな そうというふうにお書きになっているんですね。そこから出てくるものがなぜ研究会の4つの項 目になってくるのかというのがちょっと見えづらいかなという気がしまして、私はこの研究会報 告4つ、大事だというふうに思ってますので、ぜひ分析・評価のところをうまく4つのほうにつ なげるようにお書きになったらいかがかということと、それから男性の育児休業取得率の問題も 多分そうじゃないかというふうに思いますので、その辺りの書き方をちょっとお考えいただけれ ばなというふうに思います。 ○高橋座長  ありがとうございます。ほかに何か今のテーマで。野川委員。 ○野川委員  これ、3番目の子育てのときにも係ることなんですけど、この問題にだけついて申し上げると、 政策1つ1つあるいは目標1つ1つの間に必ずしもそれを同時並行的に両立するのが難しくて、 むしろトレードオフの関係になってしまうようなことが多々あるのですが、たとえば説明資料の 最初の1枚目の(1)、(2)、(3)について、仕事と生活の調和が実現した社会の姿の(1)の就労による経 済的自立が可能な社会と(2)の健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会というのは、今の 状況ではトレードオフの関係じゃないかと思うんですね。  つまり、本当に自立して生活できるような、そういう仕事をしたいんだったら、そんな健康で 豊かなための時間確保なんて、そんな悠長なことを言ってられるかよというのが実感でしょ、働 いている人の。そうすると、これをそのまま掲げても、その結果出てくるのは今までが余りにも ひど過ぎるので若干改善されると、まあこの程度よくなればいいかなということでお茶を濁すと いうことになって、実際にこれが理念として社会的にみんなが十分な報酬を得て、かつ有給休暇 もまるっきりとれて、それから5時になったらみんな大体帰れてというようなことにはなかなか なっていかないような気がするんですね。  もちろん、これは理念にすぎないので、そこまでこれ自体を評価して「トレードオフの関係に なるからおかしいじゃないか」ということが適切かと言われるとそこはどうか分かりませんけれ ども、しかし今申し上げたようなところまで考えてみると、そこからブレイクダウンして出てく るものの矛盾というのが何か見えてきてしまうんじゃないかというふうに思います。そして、先 ほどの堀田委員のお話と川本委員のお話というのはそういうところにまで行き着くんじゃないか というふうにも思いますので、ちょっとその点、ご検討していただければ幸いです。 ○高橋座長  どうぞ本田さん。 ○本田委員  評価のことについて何かを言えるわけでは全くないのであれなんですけども、今、野川委員が おっしゃったようなことを私もちょっと感じていて、何か目標の設定の在り方とか現実と全然即 していなくて、働いている人間として働き方にも階層が、階層という言葉はいけないのかもしれ ませんけども、その辺、現実に即した目標設定というのがもう少しあるんじゃないかというのを とても感じていました。  先ほどおっしゃっていた、この4つの今後の検討の方向性というところにも私、ちょっと疑問 というか足りないなと感じているのが、確かに子育てしながらとかというのはありますけども、 結局私たちの周りで働いている人でなかなか取りづらいとか遠慮しちゃうとかというのは、まだ 休むことに対してごめんなさいという雰囲気がすごく強い中で、仕事が先ほども会社としてクラ イアントが持ってくるというのをおっしゃっていましたけども、それは社内でもあって、仕事が ぼんぼんぼんぼん入ってくる中で本当にごめんなさいで、結局だれかにすごい迷惑をかけないと 休めないという状況、そういう意識のことにももう少し、そういう視点を当ててほしいというこ とを感じました。 ○高橋座長  ちょうど私も研究科でマスコミに勤めている学生がマスコミ業界のワーク・ライフ・バランス の修論を書くと言ってまして、それほど逆に言うとシリアスな問題と、やっぱりそういう目でこ の評価表が生活実感というか就労実感とどれだけマッチしているかということを相当問われる評 価書になるので、そこら辺のことを十分留意したある種の緊張感というか、もちろん社会保障国 民会議でもワーク・ライフ・バランスが大きなテーマになっているぐらい、いろんな形でテーマ になっているということは、現状はそれがないからテーマになるわけですから、そこら辺のこと の緊張感、個々の施策の中でどういうふうに今のご意見を書き込むかというのはなかなか、さら りといけばいいけれども、いかないテーマでありますのでということかと思いますが、何かほか に最後にご意見があれば。はい、どうぞ。 ○篠原委員  実態、労働者の下のほうというのは物すごく過酷だなという、僕はいろんな話を聞くとあるん ですが、今の20代の人というのは、実は英語がかなりできるようになってきているんで、今まで の日本の環境というのは外へ出れない、言語障害があるからかなり過酷な日本の労働というのは 可能かなという気がしてて、僕の娘たちを見ると、もう2年勤めたら今度はオーストラリアへ行 くとかね、自由にキャリアパスを積んでいくという。そうすると、今の環境のまんまにいると、 恐らく有能な人たちは外へ逃げていっちゃう可能性があるんで、かなり真剣に考えないといけな いんじゃないかなという気がしてます。英語教育をやり過ぎたために、かえって外国に行きやす くなってきたという面があるんじゃないかという気がしてます。 ○高橋座長  これはもう日本の労働、東大でも最優秀の人がなかなか難しい状況が起こっているという話は よく伝わってきますけれども、そういう現実の中でこの政策はかなり、それこそ大評価問題では なくて個々の政策がきちんと評価される、そういう評価書にしていただくという、そういう視点 を今の議論の中で酌み取っていただくというか、そういうことでちょっとまとめをつけてしまい ますが、よろしゅうございましょうか。  引き続き、大変短い時間で恐縮でございますが、大変大事な問題はしばしば難しい問題だとい うことで間違いございませんので、よりブラッシュアップしたものにしていただくようにご努力 をお願いしたいと思います。どうもありがとうございました。  それでは、引き続き第3の議題、よろしゅうございましょうか。それでは、子育て支援サービ スについてということで、やはり15分ずつということで説明の側は15分厳守でよろしくお願いを いたします。それでは、どうぞ。 ○雇用均等・児童家庭局保育課長補佐  保育課の課長補佐、伊藤と申します。よろしくお願いいたします。  それでは、評価書に基づいて、あと参考資料に基づいてご説明させていただきます。  まず、評価書の1ページをご覧ください。評価対象名としては子育て支援サービスということ で、次のページ、主に評価の観点としましては、保育所の受入児童数の拡大、一時・特定保育の 推進、認定子ども園の設置促進、延長保育の推進、病時病後児保育の推進、放課後児童クラブの 推進という項目を挙げさせていただいております。それらの評価結果についてご説明申し上げま す。  まず、2ページ目の下のところ、分析と評価のところです。まず1つ目、保育所の受入児童数 の拡大につきまして、次のページをご覧ください。平成15年当時には192万という受入児童数であ ったものが翌年以降、徐々に供給量を増やしてまいりまして、大体、今201万ということで順調に 数が増えているという状況でございます。次の一時・特定保育の推進につきましても平成15年、 4,967から年々増加しておりまして、平成19年、8,141という数に増えております。認定子ども園 の設置促進につきましても、平成19年度時点で94という箇所数でしたが、平成20年4月1日で229 という形で順調に数が増えているというところでございます。  次のページをご覧ください。延長保育につきましては平成15年、1万1,702件でしたものが平成 18年、1万4,344という形で数字が順調に増えております。平成19年につきましては、公立保育所 分について現在ちょっと集計中ですので、私立保育所分としていわゆる9,540となっておりますが、 多分これも例年、平成18年に比べると最終的な合計数というのは増えてくるということで考えて おります。次の病時病後児保育につきましても、平成15年、445であったものが平成19年、998と、 これまた順調に増えているところでございます。放課後児童クラブの推進につきましても、平成 15年、1万3,698から平成19年、1万6,685ということで増えている状況でございます。  今回の施策のメインストリームとしては、やはり一番大きいのは経済財政諮問会議等でも指摘 されておりますように、待機児童についてどうするかというのが非常に大きな問題となっており ます。こちらについては別添の資料に基づきご説明させていただきます。パワーポイントのポン チ絵の資料をお手元にご用意ください。  待機児童数につきましては、平成19年4月1日現在で1万7,926人という数になっております。 こちらのほうは平成14年度に待機児童ゼロ作戦が開始されて、16年度まで約15.6万人の受入児童 数の増ということを図ってまいりました。その後、それを受継ぎました子ども・子育て応援プラ ンに基づき、平成17年度から平成21年度までに保育所受入児童数を215万人に拡大するということ で保育の供給量というものを増やしてきたところでございます。これによって平成14年4月、2 万5,000人から2万6,000人、それ以降、平成16年、17年、18年、19年と4年連続で待機児童数に ついては減少しているところでございます。  次のページをご覧ください。今申し上げたように、待機児童数につきましては4年連続で減少 しているところでございますが、左側の図、平成14年時点での保育所定員196万に比べまして平成 19年、211万という形で15万人近く供給量を増やしてまいりました。しかし、実際に待機児童が減 っているのは数千人規模ということでして、供給量に比べてなかなか待機児童が減ってないとい う状況でございます。  そこで、保育所の待機児童について分析したのが右側の表でございます。これについて見てみ ますと、約1万8,000人の内訳のうち1つ目、0〜2歳児、低年齢児が大体全体の7割を占めてい るということが分かります。2つ目は、特定市区町村ということで、待機児童が50人以上いる特 定市区町村に大体全体の7割、これまた7割が集中しているということが分かります。つまり、 現在の保育所の入所待機児童については低年齢児についてどうするか。2つ目は、いわゆる特定 市区町村、ある程度待機児童が多い地域について重点的にどう施策を行っていくかというような 面からいわゆる効果的な施策を行うことが求められております。  次のページをご覧ください。待機児童の固定化ということで、特に表を見てみますと東京を中 心とした埼玉、神奈川、千葉といった都市部、また大阪を中心とした兵庫ですとか、その周辺部 分の地域、また宮城県、そういういわゆる都市部の中心としたところと、あと沖縄というところ が固定化されている現状でございます。  次のページをご覧ください。現在の待機児童につきましては、いわゆる0〜2歳児についてど うするのか、いわゆる待機児童の多い地域についてどうするのかというのがポイントとなってき ます。それとともに15万人近く供給量を増やしたのに、いまだになぜ待機児童が根本的に減って ないのかというのの1つの考え方としては、日本の女性労働力率というのが大体25〜29が71.6、 30〜34、61.6、35〜39、62.3という数字になっております。これを保育サービスが整っている地 域、国、フランス、スウェーデン、ドイツなどと比べてみますと、やはり女性労働力率について はフランス、スウェーデンなどと比べるとまだまだ上がる余地があるということで考えておりま す。  さらに、有配偶者で見てみますと、大体フランス、スウェーデンが72から78、80%というとこ ろにあるところが日本の場合、48.4、48.1、54.5ということで大分ここの、今後いわゆる保育サ ービスがさらに整っていけばここのいわゆる需要、潜在的な需要がさらに顕在化してくるという ことが考えられると思います。その1つの目安としては、大体3歳未満児のうち認可された保育 サービスを利用する者の割合がフランス、スウェーデンですと大体42、44%ですので、日本の今 の20%についてもそれぐらいを1つの目安として保育サービスの供給量を増やしていかなきゃな らない。そこまで増やさないと潜在的な需要にこたえられないという現状が分かります。  次のページをご覧ください。そういった現在の待機児童の分析をもとに政府としても総理の下 に施策を検討しているところでして、平成19年12月に「子どもと家庭を応援する日本」重点戦略 ということの中で、次のページをご覧ください。その重点戦略の中でそういった保育サービスの 充実というものをしっかり図っていこうということで、さらに次のページをご覧ください。この 中で少子化社会対策会議最終報告が承認されました。総理トップで各閣僚が委員になっている会 議なんですが、そこで今後のいわゆる保育サービスの充実のためには追加所要額として大体1兆 から2兆という数字を示し、これを税制改正の中で検討しつつ、さらに保育サービスの量を充実 していこうということで政府全体として進めているところでございます。  次のページをご覧ください。こういった政府全体の動きに伴いまして、厚生労働省としては 「新待機児童ゼロ作戦」というのを本年2月に策定しまして、待機児童ゼロに向けて進めている ところでございます。先ほど申し上げたように、ポイントの1つとしては0〜2歳児の部分につ いてどう増やしていくか。2つ目については、待機児童が多い地域にどうやっていわゆる重点的 に支援していくのか。3つ目は潜在的なものに対してどう対応していくかという、そういった3 つのポイントから効果的に施策を進めるために「新待機児童ゼロ作戦」を作成し、現在進めてい るところでございます。  具体的には、10年後の目標としましては保育サービス、3歳未満児の提供割合を現在20%から 38%に引き上げるということを目標に、当面3年間を集中重点期間として施策を進めていくとい うこととしております。そういった全体の方針の下、次のページ以降、厚生労働省の社会保障審 議会の少子化対策特別部会において具体的な議論を現在進めているところであり、これらに基づ いて先ほど申し上げた3つのポイント、0〜2歳児、待機児童の多い地域の重点的な支援、そし て潜在的なニーズも踏まえた供給量の増というものの観点から、今後施策を進めていきたいとい うことで考えているところでございます。  以上、ご説明を終わります。 ○高橋座長  ありがとうございました。  それでは、どうぞ委員の皆様、今のプレゼンテーションに対して総合評価書の改善というか、 そういう方向へ向かってのご意見、ご指摘等をいただけたらというふうに思います。はい、どう ぞ。 ○篠原委員  待機児童のこの地図を見ますと、いわゆる人口が物すごく増加してて、所得の多い人たちだし、 そこのところがやっぱり待機児童が多いということは逆に出生率も上げさせてないのかなという 気がするんですが、これはこういうことになった原因、予測の失敗なのか予算が確保できなかっ たのか、やっぱりそういう施設の金額が高過ぎたのか、どの辺にあるんでしょうか。 ○雇用均等・児童家庭局保育課長補佐  今のご質問にお答えさせていただきます。1つの大きなポイントとしては、やはり待機児童を 減らしていくにはいわゆる保育所の整備というのが一番重要なことになっていきます。先ほど申 し上げましたように、いわゆる潜在的なニーズも踏まえて供給量を増やしていくには、先ほどの 重点戦略の数字をベースにしますと大体1兆から、保育については7,700億円から1兆4,400億円 という数字が出されておりますので、当然今の厚生労働省の現予算なり国予算ベースから見ます となかなかそこまでのいわゆる負担は難しいということで、1つは財政的な理由でなかなか供給 量が増やせないのも1つございます。 ○高橋座長  この問題は大変大論争の議論でありまして、訴訟まで起こってますからね。認可保育所のコス ト問題というのは民営保育所にして訴訟が起こっていろいろ難しい話も起こったという、そうい うちょっと、それは個々の自治体の問題ですが、これはもう長らく公的保育、認可保育所、公的 ・公立保育所に対していろんな指摘がなされたという、そういう経緯があってなかなか根の深い 問題かと思いますが、いかがでございましょうか。はい、どうぞ、菊池委員。 ○菊池委員  1つ確認させていただきたいんですけど、この待機児童の定義なんですが、これは家で待機し ている子供のことなのか、それとも入りたい認可保育所があるんだけれども、いっぱいなので無 認可あるいは東京都であれば認証保育所などで待機をしている子を含むのかどうか。そこで随分 違う、特にこの辺の地区では違うと思うので、そこを1つ確認させていただきたいんですけど。 ○高橋座長  はい、どうぞ。 ○雇用均等・児童家庭局保育課長補佐  お答えさせていただきます。保育所の入所待機児童につきましては、1つはおっしゃるように 認可保育所に入りたいんだけど、入れず、いわゆるほかで見ているケースというのが基本的に算 定されております。  ただ、東京の認証の保育所のようにいわゆる自治体が一定の施設を保障しているものについて 入っている場合には、いわゆる待機児童から除かれているというのが現状でございます。 ○高橋座長  よろしゅうございますか。 ○菊池委員  分かりました。ですから、待機児童の定義によってちょっと変わってくるというのが分かりま した。質問というか1点、感想なんですけれども、量的な部分というのは非常に強調されました けれども、今日の最初のテーマについても出てきていたかと思うんですが、質的な面での評価と いうのがなかなか難しいなというふうに感じます。例えば、なかなか評価は難しいんですけれど も、私が関わっている自治体なんかで確かに延長保育はやっているんだけども、1時間ですね、 多摩地区の結構奥のほうですけれども、1時間、全保育所がやっていると、これをどう評価する かと。ワーク・ライフ・バランスがありますので延ばせば延ばすだけいいというのは、またこれ は問題があるかもしれませんけれども、その辺がありますので何カ所やっているという量的な部 分だけではなかなか評価が難しいなと、正直言って感じます。  それとの関係で、拡充するといってもそれは認可保育所を拡充するのか、先ほどお話があった 東京都であれば認証保育所ですとか保育ママですとか、そういったものも含めた方向なのか。今 日のお話ですと、待機児童というのは非常にある意味では局所的な、地域的な問題であるという ふうにもとらえられるわけで、そうすると現状の保育所の認可基準というのは原則だけれども、 そういう地域的な問題については基準を緩めて対応していきましょうと。  ただ、それは、私は全体的にこの施策で子供の視点というのが欠けていると思うんですけれど も、当事者の視点からすると決してそれはいいことではないという側面があるわけで、そういう 面ではもう少し質の面、それは子供の視点ということでもあるんですけれども、そこに配慮した 評価基準ですとか視角を持っていただきたいというのが感想です。 ○高橋座長  お答え、はい。 ○雇用均等・児童家庭局保育課長補佐  全くおっしゃるとおりでして、いわゆる量を増やしていく中の議論においては、いわゆる質と いうものを担保するべきだというんで我々も考えているところでございます。当然ながら議論の 中ではある程度質を犠牲にしても量を増やすべきだという方も、という議論も当然ありましたけ ど、今、政府としては総理も含め、いわゆる質を担保して量を増やしていくということで考えて おります。おっしゃるとおり、いわゆる量の部分の評価はできてるけど、質の部分の評価という ご指摘はおっしゃるとおりで、評価手法としてなかなか難しい部分もありますが、一応質につい ての取組も今後取組んでいきたいとも思っていますんで、その中で指標として出せるものがあれ ば、そういった質の評価についても取組んでいきたいなということで思っております。 ○高橋座長  どうぞ、堀田委員。 ○掘田委員  今のご発言、回答に関連して、質の面を見ながらやっていくというのは大変結構な姿勢だと思 いますし、それから今の数の点でも20%を40%にしたい、これも適切な方針。10年後を見てゼロ 作戦をお立てになったその視点の見方、取り方も私は大変すばらしいというふうに思ってますが、 その前提でちょっと首かしげるのは、1つは保育所についてずっと論じておられますけれども、 幼稚園があるわけですよね。これは厚生労働省からすれば所管外、知らないよという話ではおか しいんで、これは1996年でしたか、児童福祉法を改正したときも私は審議会の委員で、一体化せ よということを強く申し上げた。そのときはもうそんな意見は論外だということだったんですが、 今世紀に入って少しずつ一体化の方向が出ておるのは、私はすばらしいと思います。質を言うな ら、つまり日本の子供たちを育ててくれるなら保育所と幼稚園がばらばらでというのはおかしい んで、これを省庁のどこが所管するか、そんなことは言いませんけれども、同じ考え方、同じ基 準で統一してやっていただく。だから、作戦を立てるときもそのことを意識してやっていただい て質を充実してほしい。  同じく質の点から言えば、やはり10年計画で学童保育の拡大、これも数値目標を挙げておられ ますけども、はっきり申し上げて学童保育はいじめたり荒れたり、質の点から見れば余り感心で きないんで、今のままでは改善されると思えない。せっかく文部科学省が少し前から放課後の校 庭開放をして、地域の力をかりて子供たちの質を充実させていこうと、これは学習、知識の面だ けじゃなくて人間性の点で地域の教育力を十分に活用しながらやっていこうということで、その 中に学童保育も一緒にという話もあったと理解してますけど、それが実現せずに、学童保育だけ の数字に上がっている。評価の委員会ですけど、目標とするところがいい路線でないと幾らそれ を評価しても仕方ないんで、ちょうど質の話が出ましたんで、その2点につきまして、これは要 望みたいなんですけど、申し上げさせていただきました。 ○高橋座長  これも長年の大懸案でございまして、ちょっとこれはご意見にとどめさせていただくというこ とで。はい、どうぞ。 ○森田委員  政策の中身についていろいろ申し上げたいことがあるんですけど、評価の会議だということで 申し上げますと、それぞれのところがお立てになった目標について努力をされて成果を上げてい るというのはよくあらわれていると思います。しかし、それぞれの今日お話がありました3本の 事業の相互の関係がどうなのかというところが今一つはっきりしないような気がします。  一例を挙げますと、今の保育所の待機児童ですけれども、これ、政策の分野で言いますと供給 量を増やせば増やすほど需要が増えるという、そういうタイプの政策分野だと思うんですね。そ れに対する解決策は、今のお話だと供給量を増やすということですけれども、もう一つは需要を 抑制するという方法もあるわけでして、例えば先ほどのお話ですと男性の育児休暇を充分にとら せた上で面倒を見るとすると需要が減るんではないかとか、その辺の関連性というのを合わせた 上で評価をするほうが全体の施策としていいのではないかと思います。  同じような目標についてばらばらにそれぞれの目標を立てて、そして達成されていますけれど も、1兆何千億出してつくったらもっと需要が増えるかもしれない。そして、その分だけ男性の 育児休暇率は低いわけですけども、もっと下がるかもしれない。何となくその辺の矛盾を感じる ものですから、そこは全体として調整し、大きな政策の樹形図から言うと下位の政策になってく るんですけれども、きれいにブレイクダウンできるわけじゃなくて、相互に、先ほどもご論議ご ざいましたようにトレードオフの関係もあるものですから、その辺を調整した上で厚生労働省と してこの分野の政策がどのような成果を上げているのか。できればそういう形での自己評価と評 価手法を出していただければ、私たちとしても全体としてよく分かるようになると思います。 ○高橋座長  どうぞ、野川委員。 ○野川委員  今のお話に関連して私、先ほど申し上げようと思ったんですけれども、非常に茫漠とした領域 でのトレードオフの問題があると思うのは、この総合評価書の基本目標は、安心して子どもを産 み育てることなどを可能にする社会づくりを推進する。その下のブレイクダウンした施策目標は 保育サービスになっているんですね。でも、施策目標の選択肢は実はもう一つあって、それは家 で十分に育てることができる方法の推進ということです。しかし、ここでは、今申し上げた選択 肢のうち、保育サービスのほうをとっているということですね。そうすると、今の森田先生のお 話と絡めて言えば、先ほどのワーク・ライフ・バランスにおいて十分に男性がもっと何時間も家 で子育てができるようになり、それから女性も男性も労働時間をもっと短縮して有給休暇もとれ てということになれば、そちらの政策を推進すればその分だけ家で子供は育てられる。その究極 の姿が以前もてはやされたオランダモデルなんですよね。オランダモデルはご承知のとおり、家 に必ずだれかがいて育児に従事できるというモデルです。つまり、短時間正社員が結婚して、お 父さんが働いているときはお母さんがうちにいる、お母さんが働いているときはお父さんがいる。 それだと保育所にかけるコストが非常に安くなるわけですよね。今日の2番目のワーク・ライフ ・バランスのお話と3番目のお話とは、大きな目で見るとちょっと政策コストの配分としてはち ょっと必ずしもマッチしてないんじゃないかという気がするんですね。そういった点、今、森田 先生の話につながりますけれども、少しご検討いただいてほしいなというふうに思いました。 ○高橋座長  はい、どうぞ本田委員。 ○本田委員  すみません、私が感じていたことを両先生方がすごくすばらしい言葉で言ってくださったので、 私のちょっと意味不明な言葉で言うよりはすごく私も全く同感だということを申し述べたいと思 います。  それで、例えば総合評価書の6ページ、もしくはこっちのパワーポイントの表だと4ページに 当たるような子育て世帯の女性の労働力率と認可保育サービスの利用割合という表があるんです けども、これ、ヨーロッパ各国がたくさん働けて労働力率が高いのは、女性が各年齢でも子供が 預けられるから高いのかどうかというのは、私はどうかなと感じてしまう。確かに、子供が預け られるというのも1つのあれでしょうけれども、実際、短時間労働ができるとか、働き方が多様 で子供が見れるとか、そういうこともきっとこの数字の中にはあると思うんですね。そういうこ ともやっぱり書いていただいて、そこの分析もしていただいたほうが私みたいな立場の一女性が 見るとちょっと反感を感じてしまったりとか、違うじゃないかとか、周辺の女性の友達とかを見 てみると、やっぱり一時期の昔の男並みに働くぞという女性だけではなくて、今、様々な考え方 が広がっていて、そんな働き方をしないで小さいときは子供を見たいんだと、そしてまた復帰し たんだという人もすごく増えていますので、そういう分析も加えていただければなと感じました。 ○高橋座長  ありがとうございます。  もう予定の時間を超過しています。ちょうどやっぱり3つのテーマをやっていただいてよかっ たというふうに思っております。個々の評価ではなくて、文字通り本当の総合評価、これはもう 森田委員が的確にご指摘いただいた。その中で1つ1つの評価をするという、これはむしろ政策 評価官のレベルでの統合力も問われるというか、そういう意味で個々の評価をそういう形で総合 化する。これは多分、総務省のほうから先ほどの経緯があるのは、さまにそういうことだと思っ ております。個々のルーティンの評価ではないんだというふうにお話をいただきましたので、ぜ ひ今日のそれぞれの委員のご指摘を踏まえながら、ぜひ作業を積み重ねていただきたいというふ うに思いまして、ここら辺でよろしゅうございましょうか。それでは。 ○政策評価官  1点、参考までといいますか、既にご案内かとは思いますけれども、今のご議論に関連して申 し上げますと、ちょうど資料の3−1の後ろから4枚目のところに少子化対策の今後の政府の基 本方針ということで昨年12月に、これはご案内かとは思いますが、重点戦略というのが策定され ていまして、まさに今おっしゃられた、働き方の見直しと、それからその受け皿となるサービス の基盤というものを車の両輪としてやっていかなければいけないと、そういうようなご指摘をい ただいております。  ですから、例えば保育サービスだけを量的に充実するということだけではなく、先ほどの需要、 トレードオフというお話とも関係があるのかもしれませんが、育児休業をとることによって、男 性ももちろん育休をとるような選択もできる。あるいは育休明け、いきなりフルタイムの就労に 入っていくのではなくて多様な働き方ができるようにする。しかし、今の保育所は先ほど質の面 でもご指摘ありましたが、育休明けにすぐには入れない地域があり、また、多様な働き方に対応 できるような短時間なものまできめ細かに対応しているかというと、それは一生懸命いろいろと やってはいるけれども、まだまだご指摘もあるというのが一面であるので、働き方の見直しと、 それからサービスの基盤の整備というのを両輪としてやっていく必要がある。多分、そうした考 え方を踏まえて、経済財政諮問会議や総務省の有識者会議も重点的な評価対象として選んで、ご 指摘いただいたんだというふうに認識をしております。  失礼しました。以上です。 ○高橋座長  ありがとうございました。  それでは、今日予定をしておりました議論はほぼこれで終了いたしました。今日のご意見を踏 まえながら、担当部局でよりよい総合評価書のブラッシュアップというか、さらにこれが公表さ れるわけですから、先ほども本田委員からもご指摘、やっぱり違和感を感じるような総合評価に ならないような細心の国民的なサポートが特に必要な、ちょうどちょっと思い出したんですが、 ジョン・キャンベルという医療保険で池上さんが書いた、彼が問題は分かっているけど、少子化 対策というか児童問題とかフリーター問題、問題は分かっているけど、日本の政府はそれに財源 を投ずる意思はなさそうだという、そういう皮肉なことを彼はあるところで言っておりましたけ ど、どうやら1兆円という数字は出ているようでございますので、そういうことを含めて評価が こういう充実につながるような形でぜひ頑張っていただきたいと思います。  本当にご熱心にご議論いただきまして、それこそ5時を超える時間でございますけれども、本 当にありがとうございました。これで終了させていただきます。  あとは事務局のほうで何かございますれば、よろしくお願いします。 ○政策評価官室長補佐  ございません。 ○高橋座長  よろしいですか。それでは、またそういうことで、今日は本当に遅くまでありがとうございま した。 (了) (照会先) 政策統括官付政策評価官室 電話:03−5253−1111(内線7773・7780)