08/07/25 平成20年7月25日薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成20年7月25日(金) 16:00〜 厚生労働省 共用第7会議室 2.出席委員(14名)五十音順    飯 沼 雅 朗、 川 西   徹、 澤 田 純 一、○首 藤 紘 一、    千 葉   勉、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、 中 澤 憲 一、    野 田 光 彦、 林   邦 彦、 松 井   陽  村 勢 敏 郎、    村 田 美 穂、 本 橋 伸 高 (注) ◎部会長 ○部会長代理 他参考人1名   欠席委員(4名)    五十嵐   隆、 鈴 木 洋 史、 成 冨 博 章、 西 澤   理、  3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   中 垣 俊 郎(審査管理課長)、   森   和 彦(安全対策課長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   川 原   章(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   成 田 昌 稔(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、   松 田   勉(独立行政法人医薬品医療機器総合機構上席審議役)、 丸 山   浩(独立行政法人医薬品医療機器総合機構センター次長)、   赤 川 治 郎(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役) 他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 定刻でございますので、薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会を始め させていただきます。本日は、お暑い中御参集いただきまして誠にありがとうございます。  まず御報告ですが、本部会の委員で御活躍いただきました、長谷川紘司 昭和大学名誉 教授におかれましては、本年7月16日にお亡くなりになられたとの連絡を承ったことを 御報告申し上げます。長谷川委員には大変御活躍いただきまして、厚く感謝を申し上げた いと思います。  本日の会議ですが、当部会委員18名のうち14名の委員に御出席いただいておりますの で、定足数に達しておりますことを御報告申し上げます。五十嵐委員、鈴木委員、成冨委 員、西澤委員より欠席との御連絡をいただいております。  続きまして、事務局に人事異動がございましたので御報告申し上げます。安全対策課長 に森和彦が就任しております。また、医薬品機構ですが、成田昌稔上席審議役、松田勉上 席審議役、赤川治郎審議役、山田雅信新薬審査第一部長、近澤和彦新薬審査第四部長がそ れぞれ就任しております。よろしくお願い申し上げます。  また、本日の審議事項・議題1「ラミクタール」ですが、国立精神・神経センター総長 の樋口輝彦先生に参考人として御参加いただいております。よろしくお願い申し上げま す。  それでは、部会長の永井先生、議事進行をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 それでは、本日の審議に入りたいと思います。まず、事務局から配付資料 の確認、申請資料作成、利益相反等に関する申合せについて御報告をお願いいたします。 ○事務局 まず、資料の確認をさせていただきます。本日、席上に、議事次第、座席表、 当部会委員の名簿をお配りしております。議事次第に記載のあります資料1〜9をあらか じめお送りさせていただいております。このほか、資料10「審議品目の薬事分科会にお ける取扱い等の案」、資料11「専門委員リスト」、資料12「競合品目・競合企業リスト」 を配付しております。  続きまして、申請資料作成への関与や、利益相反等に関する「審議参加に関する遵守事 項」について御報告いたします。本日の審議事項に関する競合品目・競合企業リストにつ いては、資料12として配付しております。各品目の競合品目選定理由について御説明申 し上げます。資料12を御覧ください。  1品目目はラミクタール錠です。この競合品目を選定した理由は、本申請品目の効能及 び効果である、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作等 について、既承認の抗てんかん薬のうち、本申請品目と同様に他の抗てんかん薬で十分な 効果が認められないてんかん患者に対する抗てんかん薬との併用療法を効能・効果とする 品目が、この競合品目として挙げているトピナ、ガバペン、マイスタンの3品目のみであ ることから、これらを競合品目として挙げたものです。  2品目目はジェノトロピンです。本剤は、「SGA性低身長症」の適応症追加を目的と して申請されたソマトロピン(遺伝子組換え)製剤です。現在までにこの効能・効果で承認 された品目はございませんが、他のソマトロピン製剤のうち、この効能・効果を申請又は 開発中の品目としてノルディトロピン及びグロウジェクトの2品目が確認されたことか ら、これらを競合品目として選定したものです。  3品目目はネオーラルです。本申請品目の効能又は効果はアトピー性皮膚炎(既存治療 で十分な効果が得られない患者)で、本剤はカルシニューリンインヒビターです。したが いまして、この競合品目の候補としては、同様の作用機序を有するプロトピック軟膏、ま た、重症皮疹の第一選択とされるストロングクラス以上のステロイド外用剤、そして、ス テロイド経口剤が挙げられます。それらのうち、まず、プロトピック軟膏、それからスト ロングクラス以上のステロイド外用剤のうち売上高及びシェアの上位品目であるアンテ ベート、そして、ステロイド経口剤のうちで最も汎用されているプレドニンを加えたこの 三つを競合品目として選定したということです。  4品目目はタプロス点眼液です。本剤は活性型PG誘導体であって、その化学構造的観 点から類似しているキサラタン、トラバタンズ、ビマトプロストを選定したものです。  5品目目はメノエイドコンビパッチです。本剤は、エストロゲンであるエストラジオー ル及び黄体ホルモンである酢酸ノルエチステロンを含有する経皮投与製剤です。本邦には 本申請品目のような配合剤の競合品目の候補は存在しませんが、エストロゲンのみを含有 する製剤がございます。その中で、経皮投与製剤で最も売上額が多いエストラダームがご ざいますが、本品目は発売中止となり、現在、同一製剤別名称のエストラーナテープがあ ることから、エストラーナテープを競合品目1として選定し、二番目に、昨年承認された ディビゲルがゲル剤という特徴を有していることから、今後この分野で売上が伸びていく と想定されているため、これを二番目の候補として選定し、さらに、経口剤につきまして は、売上額が多いプレマリン及びエストリールがございますが、今後、最近承認されたジ ュリナ錠に置き換わっていくと判断したことから、これらを競合品目として選定したとい うことです。  6品目目はベプリコール錠です。本申請品目は、持続性心房細動、頻脈性不整脈、狭心 症を効能・効果とする製剤です。本剤の効能・効果、薬理作用等から見た競合品目の候補 としては、経口抗不整脈薬であるアンカロン錠、シベノール錠、アスペノンカプセル、リ スモダン錠並びにタンボコール錠が挙げられます。また、既承認の効能・効果やシェアな どからこのような品目が挙げられることから、本申請品目の競合品目として、それらのう ちシェア5%以上を示すアンカロン錠、シベノール錠、タンボコール錠を選定したという ことです。なお、本品目につきましては、7月1日付けで申請者が日本オルガノン社から シェリング・プラウ社に承継されるということです。以上でございます。 ○永井部会長 ただ今の御説明に対して何か御意見はございますか。よろしければ、本部 会における審議の際の申合せ事項につきましては、競合企業の妥当性を含め、皆さんの了 解を得たものといたします。それでは、委員からの申出状況について御報告をお願いいた します。 ○事務局 各委員の先生方からの申出状況について御説明いたします。議題1「ラミクタ ール」については、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委員は首藤委員、 千葉委員、永井委員、野田委員、村田委員、本橋委員です。議題2「ジェノトロピン」に ついては、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委員は永井委員、野田委 員、本橋委員です。議題3「ネオーラル」については、退室委員は千葉委員、永井委員、 議決には参加しない委員は本橋委員です。議題4「タプロス」については、退室委員はい らっしゃいません、議決には参加しない委員は永井委員、本橋委員です。議題5「メノエ イドコンビパッチ」については、退室委員はいらっしゃいません、議決には参加しない委 員は野田委員です。議題6「ベプリコール」については、退室委員は千葉委員、議決には 参加しない委員は永井委員、野田委員、本橋委員です。  したがいまして、議題2、3、4及び6につきましては、座長を首藤部会長代理にお願 いしたいと存じます。また、議題1につきましては、薬事分科会規程第5条第1項におい て、部会長及びその職務を代理する者のないときは、当該部会員のうちから選任された者 が、仮に議長として会議を開くことができるとされておりますので、御選任をお願いした いと存じます。 ○永井部会長 議題1の座長をどなたかにお願いしたいのですが、自薦、他薦はございま すか。 ○事務局 事務局としては、村勢委員にお願いしたらどうかと考えておりますが、いかが でしょうか。 ○永井部会長 村勢委員、よろしいでしょうか。 ○村勢委員 はい。 ○永井部会長 それでは、議題1につきましては村勢委員に議事進行をお願いしたいと思 います。本日は、審議事項が6議題、報告事項が3議題となります。それでは、早速です が、議題1につきましては、村勢委員に進行をお願いしたいと思います。 ○村勢委員 それでは、議題1に入りたいと思います。ラミクタール錠小児用2mg等の 製造販売承認の可否等について、総合機構から概要の説明をお願いいたします。 ○機構 議題1、資料1、医薬品ラミクタール錠小児用2mg他の製造販売承認申請の可 否等について、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるラモトリギンはトリアジン骨格を有する化合物であり、今回の申 請は、既存治療で効果不十分な場合の二次性全般化発作を含む部分発作、強直間代発作及 びLennox-Gastaut症候群における全般発作に対する他の抗てんかん薬との併用療法に関 するものです。本剤は、2008年1月現在、米国、欧州等104か国で成人てんかん患者、 93か国で小児てんかん患者に対する付加療法薬として承認されております。また、 Lennox-Gastaut症候群のてんかん発作に対して50か国で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されております11名の委員を指名いたしま した。  審査内容について、簡単に説明させていただきます。  品質、薬理、毒性に関しては、特に大きな問題はないと考えております。なお、本薬の 作用機序については、電位依存性ナトリウムチャネルを抑制することにより、神経細胞膜 を安定化し、興奮性神経伝達物質の遊離を抑制することにより抗けいれん作用を発現する と考えられております。  薬物動態についてですが、本剤はグルクロン酸抱合により代謝され、本剤の薬物動態は グルクロン酸抱合を阻害又は誘導する薬剤との併用により変化することが示されており ます。そのため、併用薬剤の種類により、本剤の用法・用量を変更することとしておりま す。  次に臨床成績について、説明させていただきます。  国内では、既存の抗てんかん薬治療で発作の抑制が不十分な成人てんかん患者を対象と したプラセボ対照二重盲検並行群間比較試験が実施され、主要評価項目である最終全般改 善度の判定分布では、プラセボ群に対し本剤群で有意な改善が認められました。また、既 存の抗てんかん薬治療で発作の抑制が不十分な小児のてんかん患者を対象とした、ゾニサ ミドを対照とした単盲検並行群間比較試験が実施され、そこでも、最終全般改善度の著明 改善又は改善と判定された症例の割合は、本剤群で44%となり、ゾニサミド群で24%と 非劣性が検証されております。  安全性について、本剤はスティーブンス・ジョンソン症候群等の重篤な皮膚障害が認め られており、これらの事象は、初期用量が高用量の場合に多く認められたことから、海外 では緩徐な漸増方法に変更されております。本邦におきましても追加臨床試験を実施し、 この緩徐な漸増方法による投与時の安全性等が検討され、緩徐な漸増を行うことで皮膚障 害の発現率低下が認められたことから、本邦の用法・用量においても当該漸増法を設定す ることが妥当と判断しております。  その他、最近米国FDAで、本剤を含む抗てんかん薬11剤でメタアナリシスが行われ ており、自殺の発現リスクが増加する可能性があることが公表されております。現時点で 最終的な判断はなされておりませんが、今後もその動向を注視しながら検討していく予定 です。  以上の審査を踏まえ、本剤を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御審 議いただくことが適当と判断いたしました。本申請は新有効成分含有医薬品であることか ら、再審査期間は8年、原体は毒薬、製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由 来製品のいずれにも該当しないと判断しております。なお、薬事分科会には報告を予定し ております。  以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。 ○村勢委員 ありがとうございました。参考人の樋口先生から補足等がございましたらお 願いいたします。 ○樋口参考人 それでは私から、ラモトリギンの抗てんかん薬の中での位置付けについ て、国際的な使用が広く行われているということがございますので、それを含めて少しお 話をさせていただきます。  我が国のてんかんの有病率はおよそ0.8%とされておりまして、実数で言うと約100万 人のてんかん患者がいると推定されております。御承知のように、てんかんの発病年齢は 乳児・幼児、1歳未満が最も多く、50歳ごろまで徐々に減少してまいりまして、その後 再び増加に転じます。したがって、大多数のてんかん患者は小児期に発病するわけです。 この小児期に早期の診断、早期の治療を行えば、そして薬物治療によって発作をコントロ ールすることができれば、予後は比較的よいのですが、発作がその段階でコントロールで きないと、二次的に脳の発達障害が生じる可能性があるわけです。  てんかんの薬物療法において重要なことは、発作が完全に抑制できること。一方、抗て んかん薬による副作用を極力低く抑えて患者のQOLを高めるというところにあるわけ です。  てんかん発作の種類は多く非常に幅が広いのですが、てんかん発作の国際分類というも のがございまして、それによると、てんかん発作は部分発作と全般発作に大きく分類する ことができます。部分発作というのは、てんかん発作を引き起こす神経細胞の過剰な興奮 が脳の限局した一部から始まるものです。全般発作は、神経の興奮が最初から両側の大脳 半球を巻き込んだ形で生じるものです。我が国ではこれまで、部分発作に対してはジフェ ニールヒダントインとカルバマゼピンが第1選択薬でしたし、全般発作の方は第1選択薬 はバルプロ酸ナトリウムです。  一方、欧米ではこれらの薬剤のほかに、今回のラモトリギン、これは既に1994年に諸 外国では承認されておりますが、ガバペンチン、トピラマート、チアガビン、プレガバリ ンなど多くの抗てんかん薬が開発され、市販されてまいりました。しかし、我が国への導 入は遅れて、我が国の抗てんかん薬のドラッグラグは極めて深刻な状況に立ち至っており ます。  中でもラモトリギンは、海外では上市されて既に十数年を経過しておりまして、米国の 専門家によって作成されたエキスパートコンセンサスガイドラインでは、本剤は、単純部 分発作、複雑部分発作には、カルバマゼピンと並んで第1選択薬とされております。また、 強直間代発作に対しては、バルプロ酸ナトリウムと並ぶ第1選択薬として推奨されている 薬剤です。  ラモトリギンの薬理作用機序は、主に電位依存性ナトリウムチャネルの抑制作用と考え られております。  この度、このラモトリギンがようやく我が国で治験を終了して承認申請がなされまし た。その効能・効果は、他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部 分発作、強直間代発作、Lennox-Gastaut症候群における全般発作に対する抗てんかん薬 との併用療法となっております。  今日、てんかんの治療成績は薬物療法の進歩によって向上し、約7割の発作がコントロ ールされております。しかし、発作が十分コントロールされない難治性てんかんと言われ ているものが、約3割存在するのも事実です。その難治性てんかんの中でも特に Lennox-Gastaut症候群は、幼児期に始まりまして、発作を繰り返すごとに知的な障害が 進んでまいりますことから、早期診断・早期治療が重要なてんかん性脳症です。したがっ て、ラモトリギンの併用が、Lennox-Gastaut症候群を始めとした難治性のてんかん発作 の抑制に有効であるということで、臨床の場に提供される意味は大変大きいものと考えま す。  一方、安全性の点ですが、安全性の面で最も問題になりますのは皮膚障害で、特にステ ィーブンス・ジョンソン症候群が重要です。本邦の治験において発疹を含む皮膚障害と言 われているものは、成人の試験で2%、小児の試験で1%でしたが、このうちスティーブ ンス・ジョンソン症候群は、成人と小児、全体を合わせて0.5%という数字でした。この ために、添付文書においてはこの点を「警告」として注意喚起されているわけです。  以上のような海外での状況を踏まえて総合的に考えますと、約十数年の海外からの遅れ を経て、ようやく欧米諸国のてんかんの薬物療法に、それでもまだ他の薬についてはドラ ッグラグがございますが、一歩近づけるということで、十分な発作のコントロールがなさ れていない難治性のてんかん患者にとっては、大きな希望を与えるものであると思います し、てんかんの診療に携わっている医療従事者にとっても、大きな力を得ることになると 確信しております。  以上、簡単でございますが、ラモトリギンの位置付けに関して御報告申し上げました。 ○村勢委員 ありがとうございました。委員の先生方から御質問あるいは御意見をお願い したいと思います。 ○清水委員 製剤のことで確認をさせていただきたいのですが、この製剤はチュアブル/ ディスパーシブル錠ということで間違いはないのでしょうか。 ○機構 本薬に関しまして、製剤としてはチュアブル/ディスパーシブル錠で間違いござ いません。 ○清水委員 添付文書の中に服薬について、チュアブルであればかみ砕いて飲んでも大丈 夫だというような記載が通常あるべきかと思うのですが、今回の添付文書(案)の中にはそ のような記載が見られなかったことについては、何か特段の理由があるのでしょうか。 ○機構 治験の中で、この薬を服用するときにかみ砕いて飲むというところが、臨床試験 等では検証されていないということもありまして、今回、そこに関しては書いていないと いうことになります。ただ、記載方法については、検討させていただきたいと思います。 ○清水委員 ディスパーシブル(懸濁)というところについても、多分そういう性格を持っ た錠剤なのだろうと思うので、そういうメリットがきちんと使えれば、より服用しやすい 患者さんもいるかと思います。もちろんエビデンスがなければ書けないというのは理解で きるのですが、そういった飲み方についても、より服用しやすくなるのであれば、情報提 供は大事かと思いますので、是非、御検討いただきたいと思います。  併せて、これは分かったらでいいのですが、品質の中で、7ページの上から三つ目の段 落、「製剤の安定性試験は」の2行目で、加速試験の中で淡褐色のはん点が当初見付かっ たということですが、淡褐色のはん点が何に起因するものなのかについては分かっている のでしょうか。 ○機構 審査報告書7ページの脚注のところですが、変化に関しては、これは香料を用い ているのですが、プレミックス香料が吸湿によって潮解することで淡褐色に変色すること が原因として考えられているということです。 ○村勢委員 ほかにございませんか。 ○首藤部会長代理 ほかの抗てんかん薬との併用療法と書いてありますが、もう少しそこ を説明していただけますか。バルプロ酸を使う場合と使わない場合、それからバルプロ酸 を併用せずという場合が書いてあるのですが、その辺について教えてください。 ○機構 この薬に関しましては、当初説明させていただいたとおり、てんかん患者におい て、他剤をまず使って有効でなかった患者さんに関して使っていくものです。先ほど樋口 参考人のコメントにもありましたように、全般発作であればバルプロ酸が第1選択薬とし て使用されておりますので、バルプロ酸を併用しているときには、少し用法・用量を下げ るという薬剤として位置付けられております。部分発作におきましてはカルバマゼピン等 が第1選択薬とされておりますので、バルプロ酸を併用していない場合も当然あります。 バルプロ酸を併用していなくてグルクロン酸抱合を誘導するような薬剤、カルバマゼピン やフェニトインなどが使用されている場合には、用法・用量の(1)の中で、漸増方法も少 し用量を上げて投与することになります。 ○首藤部会長代理 これは単剤で使ってはいけないのですか。 ○機構 国内の臨床試験の中で、これを単剤で使用するということはされておりません。 ですので、単剤で使用するということに関しては、今の段階では使えないと考えています。 ○首藤部会長代理 ほかの抗てんかん薬と一緒でないと使えないということですか。予想 としてはどうなのですか。単剤では効かないということなのですか。それとも、やってい ないからと。 ○機構 海外の方では、単剤における承認用法・用量を取得しておりますので、単剤で効 かないということではないとは思っています。ただ、国内の臨床試験の中では、この薬は 第2選択薬的な位置付けもあるかと思いまして、通常は第1選択薬が使われた上で併用し て利用するというところで今回の治験もされておりますので、国内の用法・用量若しくは 効能・効果に関して、他の抗てんかん薬と必ず併用するということにさせていただいてい ます。 ○永井部会長 スティーブンス・ジョンソン症候群が、小児の第II相試験で74例中1例、 成人の第III相試験で87例中1例、これはかなり高いと思うのですが、抗てんかん薬です と、この程度でもよろしいのでしょうか。 ○機構 確かにスティーブンス・ジョンソン症候群の発現率が高いということはあるかと 思うのですが、この発現率を他の薬剤とも比較しまして、この薬剤に関して特別高いとい うことではないと思います。カルバマゼピン等であれば、ほぼ同じレベルの発現率が示さ れています。また、ここで認められたスティーブンス・ジョンソン症候群に関しては、過 去の臨床試験で実施された速い漸増方法における状況での発現ということもあります。今 回は、緩徐な漸増方法で発疹の発現率が下がるということもありまして、用法・用量には 緩徐な漸増方法で規定しているということもありますので、リファレンス的には書かせて いただきましたが、今はより安全な投与法で承認するということで考えています。 ○澤田委員 スティーブンス・ジョンソン症候群の頻度をもう一度教えていただけます か。 ○機構 「重大な副作用」の項にも書かせていただきましたが、国内の臨床試験の結果か ら、この薬に関してスティーブンス・ジョンソン症候群は0.5%発現しているということ になります。 ○澤田委員 0.5%というのは異常に高過ぎると思うのですが。 ○機構 この発現率に関しましては、国内で緩徐な漸増方法で臨床試験を実施しているも のが追加臨床試験1本のみになります。それまでの間は発現率が高い。海外でも、発現率 が高かったということで漸増方法を下げてやっていて、漸増方法を変えることで発現率が 下がっています。今回ここで認められている0.5%というものは、国内のベースで考えて いますので、全体の割合からすると確かに、国内の症例数がそこまで高くはないというこ ともあるのですが、漸増方法が速かったということもありますので、今の漸増方法ではま だ1例も認められていないということです。 ○村勢委員 樋口先生、何か追加がありましたらお願いいたします。 ○樋口参考人 この薬剤で一番注意をしなければならないのはスティーブンス・ジョンソ ン症候群の出現だと思います。ですから、そこのところはかなり注意深く、特に用量の上 げ方は、増量が緩やかであれば起こらないということがエビデンスを基に示されていま す。初期はそれが分かっていなくて、かなり急速に上げて起こっているということがあっ たので、それを避ける意味で、使い方というところをかなり詳しく書かれており、それで 用量の設定が複雑になってもいるのですが、それがポイントではないかと思っておりま す。 ○村勢委員 ありがとうございました。 ○松井委員 教えていただきたいのですが、製造販売後調査でサンプルサイズが3,000に なっています。通常それくらいのサンプルサイズで行われていると思うのですが、本剤の 場合は、それプラス長期の特定使用成績調査も行うということです。対象が小児、それか ら高齢者等、様々な方々で3,000例集まる形かと思います。リスクが同じように起こる疾 患であればそれでいいと思うのですが、例えば自殺等のリスクをそれから推定するという 場合、もしかすると小児ばかりというようなことになってはと思うのですが、こういう特 性の人をどれくらいというような調査の予定になっているのか、それとも、そういうこと があったとしても十分なサンプルサイズと想定されているのでしょうか。 ○機構 確かに今回、3,000例の調査に関しましては、今のところ、厳密な規定というか、 割合などというところまで規定をしているわけではありません。ただ、先生の御意見を踏 まえまして、そこに関しては申請者とも打合せをさせていただきたいと思います。  また、特定使用成績調査に関しましては、成人及び小児それぞれで300例ずつやるとい うことになっておりますので、そこは補足させていただきます。 ○村勢委員 私から機構の方に一点確認しておきたいと思います。この製剤については、 これまでの経過で初めの臨床試験から随分時間がかかっているわけです。途中、集計上の 誤りで一度取り下げられた、それで再解析を実施して再申請をしたというような経緯がこ こに書かれていますが、それぞれ、集計上の誤り、それから再解析、その辺の過程はリー ズナブルなものでしょうか。 ○機構 2003年3月の段階で承認申請されたときのデータベースに関しては、確かにい ろいろな誤りがありました。しかし、今回はその原因をきちんと追求し、そのデータベー スを再度きちんと構築し、それに基づいて再解析をされた上で申請に至っているというこ とですので、その過程はきちんと押さえてありまして、今回の申請に関するデータパッケ ージの中身に関して、問題はないということは確認しております。 ○村勢委員 ありがとうございました。ほかにどなたか御質問などはございませんか。 ○清水委員 意見なのですが、先ほど樋口先生のお話にもあった用量決定のところのフロ ーがかなり煩雑だと思うのです。80ページの「投与管理ツールの有用性について」とい うところの記載が非常に大事だろうと思います。今日資料として配られているものも、来 てから少し眺めさせてもらったのですが、まだ少し不十分かなと思うところがあります。 グルクロン酸抱合を促進するような薬剤があるかどうか、併用薬がどうかというようなこ とも含めて、きちんとしたフローを管理ツールとして提供するということは、安全性を担 保する意味ではとても大事だと思うので、さらに御検討いただきたいと思います。 ○機構 御意見を踏まえまして再度見直したいと思います。ありがとうございました。 ○村勢委員 ほかによろしいでしょうか。それでは、議決に入らせていただきます。なお、 首藤委員、千葉委員、永井委員、野田委員、村田委員、本橋委員におかれましては、薬事 分科会の申合せに基づきまして、議決への参加を御遠慮いただくことといたします。本議 題について、承認を可としてよろしいでしょうか。御異議がないようでしたならば、承認 を可とし、薬事分科会に報告とさせていただきます。 ○永井部会長 議題2、3、4につきましては、首藤部会長代理に進行をお願いいたしま す。 ○首藤部会長代理 それでは議題2に入ります。総合機構から概要を説明してください。 ○機構 それでは議題2、医薬品ジェノトロピン5.3mg他6製剤の輸入承認事項一部変更 承認の可否等について、総合機構より御説明申し上げます。  ジェノトロピン(以下、「本剤」)は、遺伝子組換え技術により合成された、ヒト成長ホ ルモンを有効成分とする注射剤であり、既に「骨端線閉鎖を伴わない下垂体性小人症」、 「骨端線閉鎖を伴わないターナー症候群における低身長」等の効能・効果で承認されてお り、また、本申請後の2006年7月には「成人成長ホルモン分泌不全症(重症に限る)」に ついても承認されております。  本申請の効能・効果である「骨端線閉鎖を伴わないSGA性低身長症(以下、「本効能」) は、国内のガイドラインにおいて、「出生時の体重及び身長がともに在胎週数相当の10 パーセンタイル未満で、かつ出生時の体重又は身長のどちらかが、在胎週数相当の-2S D未満で、さらに、このうち暦年齢2歳までに-2SD以上にcatch-upしなかった場合」 と定義されております。低身長を来す原因は、子宮内の胎児の発育の遅延、又は停止とさ れ、2歳までに標準身長にcatch-upしなかった場合には、低身長のまま経過することが 知られております。また、低身長を来すのみでなく、神経学的障害、精神社会的異常、代 謝異常や血圧に対する影響なども報告されており、胎児期の発育障害は出生後の成長のみ でなく、脳神経系の発達やホルモンの感受性に影響を与えることが示唆されております。  2008年5月現在、本剤は、欧米を含む海外の62の国及び地域において、本効能で承認 されております。本効能に関して、本剤の投与対象者は、年間2,000人未満と推定されて おります。  国内の開発につきましては、2001年より国内第III相試験が開始され、2004年7月に、 海外臨床試験成績も含めて本効能に対する有用性が確認できたとして、輸入承認事項一部 変更承認申請がなされました。  本品目の専門協議では、資料11に示す方々を、専門委員として指名させていただいて おります。  次に、国内臨床試験成績について説明させていただきます。  本剤の有効性につきましては、70例を対象とした国内第III相試験において、主要評価 項目である、「暦年齢相当成長速度SDスコア」、「成長速度」及び「暦年齢相当身長S Dスコア」について、本剤の0.033mg/kg群、及び0.067mg/kg群のいずれも、投与12か 月後には投与開始時より改善し、0.033mg/kg群と比較して0.067mg/kg群の方が有意に優 れていたこと、無治療群が設定された四つの海外臨床試験において、無治療群と比較して 本剤群では、「暦年齢相当成長速度SDスコア」が有意に優れていたことなどから、示さ れたと判断しております。  安全性につきましては、国内第III相試験で確認された安全性プロファイルは、既承認効 能での安全性プロファイルと比べて大きな違いは見られていないことから、基本的には示 されたと判断しております。  しかしながら、本効能における評価症例は少ないこと、本効能に対する治療開始年齢は、 成長ホルモン分泌不全性低身長に比較して低く、成長ホルモンの投与期間が長期にわたる ことが想定されることなどから、今後、製造販売後調査において、最終身長に到達するま でのデータを収集する必要があると考えております。  以上のとおり、医薬品医療機器総合機構での審査の結果、本剤を承認して差し支えない との結論に達し、医薬品第一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  本剤は「新効能医薬品」及び「新用量医薬品」であることから、再審査期間は4年が適 当であると判断しております。  薬事分科会では報告を予定しております。御審議の程、よろしくお願い申し上げます。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問あるいは御意見を いただきたいと思います。 ○清水委員 一点教えてほしいのですが、34ページの「最終身長到達前の投与中止につ いて」のところで、最後に機構の判断として「適切に注意喚起されることを前提に、回答 を了承した」ということですが、そこのところの「適切に注意喚起」された内容というの は、添付文書の中に反映されている文言が読み取れなかったのですが、そこについては何 か別のもの、あるいは添付文書の中のこの記載をもって、というようなものがあったら教 えていただきたいのです。 ○機構 医療機関向けの資材において情報提供を考えているのですが、今回はお示しする ことができておりません。 ○首藤部会長代理 ほかにいかがでしょうか。それでは、私から一つだけ、平成16年7 月27日申請で、大分かかっているのですが、これについて御説明いただけたらと思いま す。 ○機構 申請された当時は、SGA性低身長に対する疾患概念等について、まだ国内の専 門家の間でコンセンサスが得られていませんでした。昨年、この疾患に対する国内ガイド ラインが、この治験をやっているという状況も踏まえて、診断基準、治療基準等ができま した。ですから、申請当時は、この疾患は必ずしも成長ホルモンの分泌不全ではないとい う疾患で、しかも投与対象が非常に低年齢ということもありますので、そのような子供に 成長ホルモンを投与することの意義等については、まだ専門家の間でも一定のコンセンサ スが得られていなかったということです。その辺の議論を申請者とやり取りしていて、結 果的に時間がかかったということです。 ○首藤部会長代理 そのような事情があるようですが、結局コンセンサスを得るのに4年 かかったということなのですかね。 ○機構 米国やEUでも、開始基準などには今でも微妙に違いがあります。世界的に2006 年にSGAに関するコンセンサス会議というものが開かれまして、そこで一定のコンセン サスが得られ、それには日本の学会の代表の先生方も参加しておりましたので、それを受 けて翌年、国内のガイドラインができたという経緯がございます。 ○首藤部会長代理 何か御意見はございますか。それでは、本件について議決に入りたい と思います。永井委員、野田委員、本橋委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づ きまして、議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。本議題に関しまして、承認 を可としてよろしいでしょうか。異議がないようですので、本件は承認可として、薬事分 科会に報告といたします。  続きまして、議題3に入ろうと思います。ネオーラル内用液等でございます。千葉委員、 永井委員におかれましては、本議題の審議の間、別室で御待機いただきたいと思います。 ── 千葉委員、永井委員退室 ── ○首藤部会長代理 それでは総合機構から説明してください。 ○機構 議題3、資料3、ネオーラル内用液他の製造販売承認事項一部変更承認の可否等 について、機構より説明いたします。  本剤の有効成分であるシクロスポリンは、主にヘルパーTリンパ球のサイトカインの産 生を阻害することにより免疫抑制作用を示すことが知られており、本邦においては、本薬 を有効成分とする内用液、カプセル剤及び注射剤が、移植領域での拒絶反応の抑制、ベー チェット病、乾癬等に対して既に承認されておりますが、今般新たに、内用液及びカプセ ル剤について、既存治療で十分な効果が得られない「アトピー性皮膚炎」に係る効能・効 果を取得するための製造販売承認事項一部変更承認申請がなされたものでございます。な お、アトピー性皮膚炎においては、□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□ □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□、□□□□ □□開発が行われております。海外において、本薬は、2008年5月現在、「アトピー性 皮膚炎」に係る効能・効果で67か国で承認されております。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されております6名の委員を指名いたしま した。  審査内容について簡単に説明させていただきます。  本申請については、品質、毒性及び非臨床薬物動態に関する資料は提出されておりませ ん。  薬理に関する資料につきましては、特段の問題は認められないものと判断しておりま す。  次に臨床に関する資料については、最重症の成人型アトピー性皮膚炎患者を対象に本剤 3mg/kg/日を開始用量として、投与開始2週後以降は症状、腎機能検査値等に応じて2〜 5mg/kg/日の範囲で用量調節しながら8週間連日投与した第III相プラセボ対照二重盲検 比較試験が実施された結果、有効性主要評価項目である投与前値に対する最終評価時の重 症度スコア変化率は、本剤群で-63.0%、プラセボ群で-32.6%、同様に主要評価項目であ る罹病範囲スコア変化率は、本剤群で-41.4%、プラセボ群で-19.5%であり、いずれの項 目についても本剤群で有意な改善が認められております。また、最重症の成人型アトピー 性皮膚炎患者を対象に、原則3mg/kg/日投与による最長12週までの治療期と2週間以上 の休薬期を、患者の皮膚症状に応じて52週後まで交互に繰り返す非盲検長期試験が実施 され、間欠投与により治療期を繰り返した場合にも有効性の減弱は認められないことが示 されております。以上より、機構は、アトピー性皮膚炎に対する本剤の有効性は確認され ているものと判断しております。  安全性については、第III相プラセボ対照試験における副作用発現率は、本剤群で52.3 %、プラセボ群で37.8%、本剤群で発現した副作用は毛包炎、血中ビリルビン増加、血 中トリグリセリド増加等であり、臨床上特に問題となる事象は認められておりません。ま た、長期間欠投与においても各治療期の副作用発現率、発現事象に大きな相違は認められ ておりません。以上より、機構は、3mg/kg/日より投与を開始し必要に応じ適宜増減する こと、1回の治療期間はできるだけ短期間とし、12週間以内を目安とすること、再治療 を行う場合には休薬期間を設けること等の臨床試験と同様の条件で使用される場合には、 アトピー性皮膚炎の治療における本剤のリスクは既承認疾患でのリスクを上回るもので はないと判断しておりますが、本剤は免疫抑制剤であり、腎機能障害、肝機能障害等の重 篤な副作用の発現が知られていることなどから、アトピー性皮膚炎への本剤の使用に際し ては、リスク・ベネフィットバランスをより慎重に考慮する必要があると考えられること、 長期試験では52週間の治験期間中に4回以上の治療期を要した症例が半数以上に見ら れ、本剤による治療が長期にわたり頻回に繰り返される症例が比較的多く存在する可能性 が示唆されたことなどを踏まえ、製造販売後調査において、長期間欠投与時の安全性につ いてさらに検討する必要があると考えております。また、本剤が安易に使用されることの ないよう、適正使用の遵守を徹底するとともに、最重症かつ既存治療で十分な効果の得ら れない患者が投与対象として適切に選択されていることなども製造販売後調査の中で確 認するよう指示しております。  以上の審査を踏まえ、本申請を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一部会で御 審議いただくことが適当と判断いたしました。本効能に係る再審査期間は4年とすること が適当と判断しております。  よろしく御審議の程お願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。シクロスポリンの効能・効果にアトピー性 皮膚炎を追加することについてですが、いかがですか。 ○澤田委員 これは有名な免疫抑制剤ですが、非常に長い間使う人が出てきて感染症を起 こした場合、どういう注意をすればいいのか。添付文書上でどういう配慮になっているの か御説明いただければと思います。 ○機構 基本的には間欠投与で短期間の投与を繰り返すという治療法が行われることと されておりまして、このような治療法においては特に感染症の発現率が高まるということ は臨床試験の中では示されていないという状況です。感染症に関する注意喚起としまして は、既承認の疾患に対してとられている注意喚起と同様のもの、それからアトピー性皮フ 炎に係るものといたしましては、添付文書の3ページの「重要な基本的注意」の (11)にありますように、「アトピー性皮膚炎患者においては、活動性単純ヘルペス感染は、 本剤投与前に治療しておくことが望ましい。また、本剤投与中に黄色ブドウ球菌による皮 膚感染を合併した場合は、適切な抗菌剤によってコントロールすること」といった注意喚 起を追加しております。 ○澤田委員 間欠的に使う場合には問題にならないと思います。ただ、この薬が非常によ く効いて、連続して投与されると少し心配だなと思いまして御質問いたしました。 ○松井委員 ネオーラルの内服療法は、プログラフの外用投与に比べて確かに有効性が高 いと評価されているのでしょうか。 ○機構 プログラフの外用剤と比較した成績は得られていませんが、プログラフ等を用い ても十分な治療効果が得られない患者さんに対して本剤を追加投与し、それで有効性が得 られているという試験成績が得られています。 ○松井委員 エビデンスはないわけですね。 ○機構 直接比較したものはございません。 ○松井委員 エビデンスがないとなると、本当にいいのかなという疑念が残ります。 ○首藤部会長代理 機構の方としては、外用プログラフで無効な場合に使いなさいという 推薦なのですか。 ○機構 基本的に、本剤は最終的に使われる薬剤であると思っております。 ○首藤部会長代理 それはどこかに書いてあるのですか。 ○機構 添付文書の2ページ、「効能又は効果に関連する使用上の注意」の(4)といたし まして、ステロイド外用剤やタクロリムス外用剤等の既存治療で十分な効果が得られない 患者に対して使うということを書いております。 ○清水委員 添付文書の2ページの、「用法及び用量に関連する使用上の注意」の(7) の「12週間以内を目安とする」という表記ですが、薬剤師は非常に気まじめなところが あって、例えば「用法及び用量」の10番の「1日量5mg/kgを超えないこと」というよ うな表記になっていると、超えてる処方箋があると疑義照会をきちんとかけるのです。こ この表記がもし「12週間を超えないこと」などの表記になっていると、きちんと薬歴を つけた中で12週間を超えると疑義照会をかける、多分、薬剤師の中ではそのようなこと になるのだろうと思うのですが、ここの表記が「目安とする」という表記になってくると、 なかなか疑義照会がかけにくいというようなこともあるのですが、この「目安」というの は、どのような意味があるのでしょうか。 ○機構 この12週間というのは、長期試験の投与期間を反映させてこのような記載にな っているのですが、実際、患者さんの皮膚の症状によって投与期間は決まってくると思い ますので、12週間よりも短かくなることもありますし、12週間できちんと切れるかとい うとなかなか難しいケースもあり、このような目安という表現を現時点では使わせていた だいております。 ○清水委員 患者によっては12週間を超えて使われることもあり得る、という意味合い と理解してしまうということですか。 ○機構 12週間を超えないことが原則であり、大幅に超えるということではないのです が、若干超えてしまう可能性もあることも勘案しているということです。 ○首藤部会長代理 超えてもいいということですかね。 ○清水委員 なかなか疑義照会でチェックがかけにくくなる記載の内容かとは思います。 ○審査管理課長 安全性などの問題で、例えば12週を超えると格段に副作用の率が高ま るとか、そのようなデータがあるのであれば、先生がおっしゃっているような12週を限 度とするというようなことも考えなければいけないと思います。一方におきまして、臨床 の現場で確かに処方箋を見られるのだろうと思いますが、一番大切なのは患者さんの状態 ですから、安全性上の問題から極端なことがないようであれば、ある程度このような目安 というのも、現場において患者さんを診ながらやっていただくのだろうと考えている次第 です。 ○首藤部会長代理 そういうことでございます。ほかにいかがでしょうか。それでは、採 決に入りたいと思います。本橋委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づきまして、 議決への参加を御遠慮いただくことにいたします。ネオーラルに関しまして、承認を可と してよろしいでしょうか。異議がないようですので、承認を可とし、薬事分科会に報告と させていただきます。 ── 千葉委員、永井委員入室 ── ○首藤部会長代理 それでは、次の議題に入ります。タプロス点眼液でございます。総合 機構から概要を説明してください。 ○機構 議題4、資料4、医薬品タプロス点眼液0.0015%の製造販売承認の可否等につ いて、医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  本剤の有効成分であるタフルプロストは、参天製薬株式会社及び旭硝子株式会社で合成 された新規のPGF2α誘導体であり、今般の申請は、緑内障、高眼圧症を効能・効果と するもので、本剤は2008年5月現在、デンマーク、ドイツ、フィンランド及びオースト リアで承認されているものです。  本申請の専門委員としては、資料11に記載されております10名の委員を指名いたしま した。  審査内容ですが、品質、薬理、薬物動態及び毒性については、特に大きな問題はないと 考えております。なお、本剤の作用機序についてはプロスタノイドFP受容体に作用して、 ぶどう膜強膜流出路からの房水流出量を増加させることにより眼圧下降作用を示すと考 えられております。  次に臨床成績について御説明させていただきます。  有効性については、観察期終了時点の眼圧が16mmHg以上、22mmHg未満である正常眼圧 緑内障患者を対象とした国内臨床試験で、主要評価項目であるベースラインからの投与終 了時の眼圧変化は、本剤群で-4mmHg、プラセボ群で-1.4mmHgということで、その群間の 差は-2.6mmHgと有意な眼圧低下が認められております。また、観察期終了時点の眼圧が 22mmHg以上、35mmHg未満である原発開放隅角緑内障又は高眼圧症患者を対象とした国内 臨床試験においては、主要評価項目であるベースラインからの投与終了時の眼圧変化が、 本剤群で-6.6mmHg、ラタノプロスト群で-6.2mmHgということで、ラタノプロストに対す る非劣性が検証されております。さらに、国内長期投与試験では、1年にわたりベースラ インからの有意な眼圧下降作用が認められております。  安全性については、国内臨床試験において、主な有害事象として結膜充血、眼のそう痒 感、眼刺激、眼充血等の眼局所の有害事象が高頻度に認められておりますが、特に重篤な 事象は認められておりません。また、本剤はプロスタグランジン系点眼剤に特有の有害事 象である、睫毛の成長、虹彩色素沈着及び眼瞼色素沈着が国内外の長期投与試験等で認め られておりますが、類薬のプロスタグランジン系点眼薬と比較して、発現頻度及び発現時 期等の安全性プロファイルに大きな差はないと考えられております。なお、これらの事象 の発現状況等については、製造販売後の調査において観察期間を最長2年間とした調査を 実施し、さらに検討することとしております。  以上の審査を踏まえ、本剤の製造販売を承認して差し支えないとの結論に達し、本第一 部会で御審議いただくことが適切と判断いたしました。再審査期間は8年、原体は毒薬、 製剤は劇薬に該当し、生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当しないと判断 しております。なお、薬事分科会には報告を予定しております。  以上です。よろしく御審議の程お願いいたします。 ○首藤部会長代理 ありがとうございました。委員の先生方から御質問、御意見をいただ きたいと思います。 ○川西委員 一点教えていただきたいのですが、これはEUで承認されたということが書 かれているのですが、開発の経緯を見ますと、臨床試験などは米国でもやっていると。米 国が書かれていないということは、申請もしていないということなのかもしれませんが、 その辺の事情が分かれば教えていただきたいと思います。 ○機構 米国に関しましては、確かに臨床試験は実施しております。ただ、□□□□□□ □□□□□□□□□□、申請者の方に確認したところでは、まだ米国では申請を行ってい ないのが現状だということで、これに関しては、EUの方では申請しているのですが、米 国に関してはまだ申請していないというところです。 ○川西委員 特段何か問題があるとは言わないでしょうけれども、そのようなことではな いのですか。 ○機構 海外の試験の成績に関しても確認しておりますが、そこで大きな問題があるとい うわけではないような状況です。 ○首藤部会長代理 ほかにいかがでしょうか。 ○清水委員 幾つか教えてほしいところがあるのですが、文言で教えてほしいのが2ペー ジの審査結果の最後の行に書かれている「継続中止率」という用語です。継続中止率とい うのは、分かりやすく言うと、どのようなことでしょうか。余り一般的な日本語ではない と思うのですが。 ○機構 御指摘ありがとうございます。ここに関しては、多分、点を抜いているところ、 誤記だと思いますので、修正をさせていただきたいと思います。これは、「継続」という ところと「中止」というところを確認したい、調査で見たいということです。そういう理 解でお願いします。 ○清水委員 修正ということであるのですと、1.7同種同効品の2ページの記載になるの ですが、タフルプロストの列で、剤型・含量のところのタフルプロストの量が0.015μg 含有するとなっているのですが、これは15μgではないのですか。 ○機構 先生の御指摘のとおり、ここに関しては、タフルプロストは1mL中15μgとい うことです。ここに関しても修正するようにします。 ○清水委員 一つ意見なのですが、この製剤の容れ目なのですけれども、1本包装は無理 でしょうか。5本包装、10本包装はこれまでポピュラーだと思うのですが、私の勤務し ているような病院であれば5本包装、10本包装で何ら問題はないのですけれども、例え ばこれ1本2.5mL、局方の1滴だとすればこれで50滴になるので、1本で約1か月分投 与可能になってくると思うのです。そうすると、これまで5本、10本というのは当たり 前のような包装単位であったかとは思うのですが、これだけ分業が進んできた中で考える と、そろそろ1本単位で購入できるものはできるだけ1本単位で購入できるという考え方 もあるべきだとも思いますので、是非、御考慮いただきたいと思います。 ○機構 そのような御意見があったことは、きちんと申請者に伝えたいと思います。ただ、 現状としては5本若しくは10本ということになるかと思います。 ○審査管理課長 これだけの問題というよりは、少なくともこのプロスタグランジンの系 統をどのようにするかという観点から考えなければいけないと思いますので、そこは、そ れで御了解願いたいと思います。ありがとうございました。 ○首藤部会長代理 ほかによろしいですか。それでは、議決に入りたいと思います。永井 委員、本橋委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づきまして、議決への参加は御 遠慮いただくことにいたします。タプロス点眼液ですが、承認可としてよろしいでしょう か。異議がないようですので、承認を可といたします。本件は、薬事分科会へ報告という 品目でございます。 ○永井部会長 それでは議題5に入ります。機構から概要の御説明をお願いいたします。 ○機構 議題5、資料5、医薬品メノエイドコンビパッチにつきまして医薬品医療機器総 合機構より説明させていただきます。本剤は、1枚の製剤中にエストロゲンとしてエスト ラジオール及びプロゲスチンとして酢酸ノルエチステロンを配合する経皮吸収型製剤で あり、更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状に対する貼付剤として、 2008年6月現在、米国、欧州など47か国において承認されております。  今般、あすか製薬株式会社より、「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系 症状(Hot flush及び発汗)」を予定効能・効果とする新医療用配合剤として、製造販売承 認申請がなされたものです。  本品目の審査に関しまして、専門委員として、資料11に記載されております委員が指 名されました。  本品目の審査の概略について、説明させていただきます。  品質及び非臨床については、審査の過程において申請者から適切な対応がなされ、特に 問題はないと判断いたしました。  国内臨床試験成績について、説明させていただきます。  国内第II相試験(Study203)において、E2用量を50μg/日に固定し、酢酸ノルエチス テロン用量をそれぞれ、140μg/日、250μg/日及び400μg/日とした、9cm2製剤、16cm 2製剤及び26cm2製剤の3用量の更年期障害又は卵巣欠落症患者に対する有効性及び安全 性が検討された結果、有効性及び子宮内膜の増殖抑制効果については3用量間で同程度で あり、有害事象発現率が最も低い9cm2製剤が国内第III相試験の検討用量として選択され ました。  国内第III相試験(Study305)では、更年期障害又は卵巣欠落症患者の548例を対象に本剤 9cm2製剤群及び実薬対照群(フェミエスト及びプロベラ)が52週間投与され有効性及び 安全性が検討されました。有効性について、Hot flushの1日平均回数は、本剤群及び実 薬対照群ともに、投与開始前に比べて最終評価時点では有意に減少しており、発汗につい ても同様に有効性が認められました。安全性について、子宮内膜増殖抑制効果は実薬対照 群と同様に示され、有害事象発現率は、本剤群で81%、実薬対照群で85.3%であり、有 害事象プロファイルに差異がないことから、機構は、本剤の有効性及び安全性は既存のホ ルモン補充療法(HRT)と同程度と判断いたしました。  以上より、本剤の有効性は確認されており、安全性についても、適切な注意喚起の下、 漫然とした長期投与を避けて適正に使用される限り忍容可能であり、単一の製剤でエスト ロゲンとプロゲスチンを同時に投与できることからも、本剤を本邦のHRTにおける新た な薬物治療の選択肢とする臨床的意義はあるものと考えました。ただし、海外ではE2放 出量25μg/日の低用量製剤が使用されており、類薬でも25μg/日の製剤があることから、 今回の国内開発では未対応ではありますが、今後本邦でも低用量製剤の臨床開発が必要で あることを専門協議でも確認し、専門委員全員に支持されております。  製造販売後には、本剤の使用実態下での未知の副作用、副作用発生状況の把握及び安全 性又は有効性に影響を与えると考えられる要因を確認することを目的とした調査期間4 年の使用成績調査が予定されております。また、適正使用の観点から、医療従事者に対し、 HRTに関するリスクを考慮した上で、投与前及び投与中に実施すべき検査内容を具体的 に設定すること、患者に対しては、定期的な受診に加え、留意すべき自覚症状等について も注意喚起することが必要と考え、情報提供のための資材を現在準備中です。  なお、WHI試験及びMWS試験等の解析結果より、HRTに関する乳がん、血栓症等 のリスクが報告されていることを受け、本邦のエストロゲン製剤の添付文書の記載内容に ついては、厚労省医薬局安全対策課と機構安全部により、専門家の意見を踏まえた全般的 な改訂を検討中であり、本剤の添付文書についても、今後のエストロゲン製剤の改訂に伴 い適切に記載整備をしていく予定です。  以上の審査の結果、「更年期障害及び卵巣欠落症状に伴う血管運動神経系症状(Hot flush及び発汗)」の効能・効果で承認して差し支えないとの結論に達し、医薬品第一部 会において御審議いただくことが適当であると判断いたしました。  本剤は原体、製剤ともに毒薬、劇薬に該当せず、生物由来製品又は特定生物由来製品に 該当しないと判断しております。また、再審査期間は6年とすることが適当であると判断 しております。薬事分科会では報告を予定しております。  御審議の程よろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは、御質問、御意見をお願いいたします。 ○清水委員 用法・用量のところで確認をさせていただきたいのですが、実際にはあすか 製薬の単味の製剤が承認を受けているので、同じような記載になっているので変更は難し いかと思うのですが、これは3〜4日ごとに1回というのと、括弧書きの週2回というの は、どちらが優先されると考えていますか。平たく言うと、4日ごとに貼り替えるという 使い方はよいのでしょうか。 ○機構 臨床試験では週2回の用法・用量で実施されています。現在使用されている貼付 剤なども、週2回決まった曜日に貼り替えることが一般的であるように思います。それを 踏まえて、患者さん用のパンフレット等には、何曜日と何曜日に貼り替えてくださいとか、 あるいはカレンダーを渡して貼り替える曜日に印をつけるなど、そういった資材を、今、 用意していただくように検討してもらっております。 ○清水委員 そのような内容を添付文書に記載することは余り好ましくなくて、患者さん 用の資材の方が好ましいという理由は何かあるのでしょうか。 ○機構 添付文書に3日又は4日というところのみを書いてしまうと、3日ごとに貼り替 える患者さんや4日ごとに貼り替える患者さんなどで、使い方にばらつきが出てきてしま います。あくまでも週2回ということで、曜日ごとあるいは3日又は4日で貼り替えると いうところで、例えばはがし忘れたりした場合でも、このものについては放出制御がなさ れており、貼りっ放しにしても血中濃度の上昇というのは認められていませんで、持続的 に放出するタイプですので、安全性上、特段の問題はないかと考えています。 ○清水委員 例えば、用法・用量に関する注意点というような項目が、最近、薬剤によっ ては添付文書の中にあると思うのですが、そのような中で、曜日を決めて貼付するという ような内容を記載するという考え方は難しいですか。 ○機構 ほかの製剤にまで話が及ぶことになってしまいますので、それについてはまた改 訂の際にそろえることが必要になってきますので、現状ではこの記載が適当と考えていま す。 ○清水委員 もう一つ、これも容れ目のことなのですが、これは当初、14日間という目 安で使うということになろうかと思うのですが、そうすると、24枚、48枚、96枚という 容れ目は少し大きいのではないか、8枚程度の包装があったらリーズナブルなのではない かと考えるのですが、いかがでしょうか。この薬剤は、基本的注意事項に、漫然と長期投 与はしないということも書かれている薬剤ですので、もう少し小さい容れ目ということも 検討されてもいいのではないかと思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 製剤包装を何枚単位にするかということは、非常に難しい問題だと思います。そ れも、医療機関や薬局によってどれだけ出るかという問題もありますが、この薬の場合は 婦人科対象の薬で、専門医が処方することになります。漫然と長期投与しないことという ことについては、HRTに対するリスクが明らかになっており、国内の学会においても、 現在、HRTのガイドラインを策定しております。漫然と投与しないことと、その包装単 位は、関連がないようでちょっと難しい話なのですが、実際、決まった規格や枚数など、 もう少し小さいものが欲しいなどの現場の要望があれば、随時そのような意見をくみつ つ、今後検討していきたいと思います。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。これは50μg/日で、最低用量で効果があった わけですが、外国では25μg/日が既に発売されているということです。そこの用量設定 についてはどのような議論があったのでしょうか。 ○機構 海外では既に25μg/日が設定されているのですが、本剤の開発時期が古いので、 日本の開発では25μg/日が積み残しみたいになってしまったという経緯があります。25 μg/日については専門協議でも、是非、開発すべきであろうという専門委員の先生方の全 員一致の御推挙をいただいており、今後の開発計画についても確認しております。  当初予定した申請者の提示案では、薬物動態を確認すればよいというような計画でした が、専門協議の結果、エストロゲンによる子宮内膜の増殖抑制効果が適正な組合せである か、ノルエチステロンとエストロゲンの用量の関係が安全に使える用量であるのかを検討 するために、患者さんを対象とする臨床試験を実施すべきであるということで、現在、低 用量製剤の臨床試験、開発計画については申請者と協議中でございます。 ○永井部会長 ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、議決に入りた いと思います。野田委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づきまして、議決への 参加を御遠慮いただくことといたします。この議題につきまして、承認を可としてよろし いでしょうか。ありがとうございます。それでは、承認を可ということで、薬事分科会報 告とさせていただきます。  議題6につきましては、首藤部会長代理に進行をお願いいたします。 ○首藤部会長代理 それでは議題6に入ります。千葉委員におかれましては、本議題の審 議の間、別室でお待ちいただきたいと思います。 ── 千葉委員退室 ── ○首藤部会長代理 それでは機構から概要を説明してください。 ○機構 議題6、資料6、医薬品ベプリコール錠50mg、同100mgにつきまして医薬品医 療機器総合機構から説明させていただきます。  本剤の有効成分ベプリジル塩酸塩水和物は、国内では、平成4年に「他の抗不整脈薬が 使用できないか、又は無効の場合の頻脈性不整脈(心室性)」及び「狭心症」を効能・効果 として承認されております。本薬は、抗不整脈薬としては、カルシウムチャネル遮断薬が 分類されるVaughan Williams分類のIV群薬とされておりますが、本薬はカルシウム、ナ トリウム及びカリウムチャネル遮断作用を併せ持つマルチチャネル遮断薬であり、国内で は、専門医を中心に、持続性心房細動における除細動と洞調律の維持を目的に本剤を使用 する動きがございます。このような背景から、日本人の持続性心房細動患者を対象とした 医師主導治験が実施され、その成績等を基に、今般、日本オルガノン株式会社(現シェリ ング・プラウ株式会社)より、「他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合の心 房細動(7日以上持続)」を予定効能・効果とする製造販売承認事項一部変更承認申請がな されたものでございます。  なお、本剤は、海外においては、抗狭心症薬としてのみ承認されております。また、日 本心電学会から、本剤の早期承認に係る要望書が提出されております。  本薬の審査に関しまして、専門委員として、資料11に記載されております委員が指名 されました。  本品目の審査の概略について、国内臨床試験成績の評価を中心に説明させていただきま す。  日本人の持続性心房細動患者に、プラセボ、本剤100又は200mgを1日2回に分けて投 与する、投与期間原則12週間の二重盲検並行群間比較試験において、有効性の主要評価 項目とされた「心電図所見により洞調律化を認めた被験者の割合」について、本剤100及 び200mg/日による有意な除細動効果が示されました。また、副次評価項目とされた持続 性心房細動の再発率から、除細動後の洞調律の維持についても効果が期待できるものと推 定されました。一方、安全性につきましては、用量に応じた有害事象の増加が見られ、有 害事象として、200mg/日群では、特に本薬の電気生理学的特徴から懸念される心電図QT 延長が10.3%(3/29例)見られ、治療期間中に転帰が死亡に至る心室性頻脈が1例に見ら れました。この成績を踏まえるとともに、持続性心房細動が緊急性を要することが少ない 病態であるため、短期間で除細動効果を得るよりも、安全性の確保がより重要である場合 が多いことを考慮いたしまして、本剤は、100mg/日を開始用量とし、患者の状態を慎重に 評価しながら200mg/日を上限として用量調節するよう規定することが適切と考えました。  なお、国内臨床試験では、他の抗不整脈薬が無効である場合等、比較的長期間持続して いる心房細動患者を選択するために、心房細動の7日以上の持続が心電図で確認された患 者を選択するように規定されておりましたが、持続時間が長くなるほど除細動が困難にな るという心房細動の進行性の病態を考慮し、申請書にありますように、本薬の投与対象と なる心房細動の持続時間を「7日以上」と効能・効果で規定する必要はないと判断いたし ました。  以上、適正な対象患者に対し、副作用の発現に十分な注意が払われた上で、使用されれ ば、本剤の承認の可否に影響するような重大な問題はないと判断し、製造販売後に適切な 情報収集を行う必要はありますが、他の抗不整脈薬が使用できないか、又は無効の場合の 「持続性心房細動」を本剤の効能・効果に追加して差し支えないと判断いたしました。  製造販売後には、使用成績調査等において、患者の背景の異同、投与量の変更が本剤の 有効性及び安全性に及ぼす影響、洞調律維持における本剤の有効性及び安全性、並びに過 度なQT延長及び重大な副作用である間質性肺疾患等のリスク等が調査される予定です。  本剤は、新効能医薬品であり、再審査期間は4年とすることが適当であると判断してお ります。薬事分科会では報告を予定しております。以上でございます。御審議の程よろし くお願いいたします。 ○首藤部会長代理 それでは、御質問、御意見をいただきたいと思います。 ○清水委員 用法・用量についての「1)開始用量及び標準用量について」の流れの24ペ ージ中ほどに、症例の中で用量を150mg/日から100mg/日に、100mg/日から50mg/日に変 更をしたという事例が載っているのですが、この150mg/日あるいは50mg/日は、用法とし てはどのような用法で投与されたと理解すればよろしいのでしょうか。 ○機構 これは臨床試験の成績ではありませんで、今回1本しか臨床試験がないことにか んがみまして、いろいろな資料を提出していただいたのですが、御指摘の箇所は文献の情 報でありまして、そこまで詳しくは分からないというところでございます。申し訳ありま せん。 ○清水委員 これは、分2で服用しようと思うと、今の状態ですと粉砕をしなければなら ないというようなことになろうかと思います。この薬剤の持っているこれまでの用法・用 量であれば、特に割線の必要はないのですが、今回の用法・用量、100〜200mgの間で調 整することを考えると、50mg錠の方に割線を入れてもらう製剤にしていただくと、 150mgを分2で服用であるとか、50mgを分2で服用ということが負担なくできるのかなと 感じられました。もしそのようなことが可能であれば、御検討いただけるよう御指示いた だければと思いますが、いかがでしょうか。 ○機構 用量の調節については、専門医の判断に任されるかと思いますが、先生がおっし ゃられるとおり、必ず均等に分2とするということが本当に必要であるということであれ ば、そのような対応も必要かもしれませんので、申請者の方には、調査する必要があるか もしれないということと、要望があったということを伝えたいと思います。 ○首藤部会長代理 ほかにいかがでしょうか。よろしければ、議決に入りたいと思います。 本件は、永井委員、野田委員、本橋委員におかれましては、薬事分科会申合せに基づきま して、議決への参加を御遠慮いただくことになっています。本議題について、承認を可と してよろしいでしょうか。御異議がないようですので、本件は承認可といたします。薬事 分科会への報告となっております。 ── 千葉委員入室 ── ○永井部会長 それでは、報告事項にまいります。説明をお願いいたします。 ○機構 報告事項議題1、医薬品優先対面助言品目指定の結果について、報告いたします。 優先対面助言品目指定制度は、薬事法で規定する「医療上特に必要性が高いと認められる もの」となることが期待される開発中の薬剤について、他の品目に優先して医薬品総合機 構が対面助言(治験相談)を行うものです。優先対面助言品目は、優先審査の品目の選定の 考え方に準じて、指定の時点までの国内外の試験結果を見て、「適応疾患の重篤性」と「医 療上の有用性」を総合的に評価することにより選定されます。  資料7-1は、ファイザー株式会社のCI-1008(プレガバリン)でございます。優先対面助 言の対象効能は「線維筋痛症」です。本薬は、電位依存性カルシウムチャネルの補助サブ ユニットであるα2-δ蛋白と高親和性で結合することにより、線維筋痛症に効果を示すも のであります。本薬は米国で2007年に承認されております。線維筋痛症患者を対象とし た海外第II/III相試験又は第III相試験において、疼痛スコアから算出した終了時の平均疼 痛スコアは、プラセボに比し本薬で有意な改善を示し、本薬で高い疼痛緩和作用が期待で きるものと判断し、優先対面助言品目に指定したものです。  資料7-2は、中外製薬株式会社のRo25-8310(ペグインターフェロン アルファ-2a(遺 伝子組換え))とRo20-9963(リバビリン)の併用療法でございます。優先対面助言の対象効 能は「代償性肝硬変を伴うC型慢性肝炎におけるウイルス血症の改善」です。本併用療法 は、rIFNα-2aに分枝メトキシポリエチレングリコールを結合させたIFN誘導体の PEG-IFNα-2a及びHCV RNA依存性RNAポリメラーゼ(NS5B)の阻害作用を持つリバ ビリンの併用療法で、欧米では2002年に承認されております。また、本邦では、天然型 インターフェロンベータ製剤が「C型代償性肝硬変におけるウイルス血症の改善(HCV セログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)」の効能効果で承認されております。 C型代償性肝硬変患者を対象に本併用療法と本邦の既存療法の有効性を直接比較検討し た試験成績は海外においても得られておりませんが、海外の臨床試験においてC型代償性 肝硬変患者に対し本併用療法による持続的ウイルス陰性化が認められ、また、本邦でIF N製剤の適用がないGenotype1b型かつ高ウイルス量の患者に対しても本併用療法による 持続的ウイルス陰性化が認められております。また、既存療法のIFNβ製剤の用法であ る1日600MIUを1週間、以後1日300MIUを5週間連日、7週目より600MIUを週3回静 脈内投与又は点滴静注に比べ、本併用療法は、PEG-IFNα-2aを週1回皮下投与、リバビ リンを1日2回経口投与と頻回の投与を要さないため、肉体的・精神的な患者負担の軽減 ができるものと判断し、優先対面助言品目に指定したものです。  資料7-3は、中外製薬株式会社のRo25-8310(ペグインターフェロン アルファ-2a(遺 伝子組換え))でございます。優先対面助言の対象効能は「B型肝炎ウイルスの増殖を伴う B型慢性肝炎のウイルス血症の改善」です。本薬は、前の資料で御説明いたしましたとお りですが、IFNの誘導体であり、欧米では2005年にB型慢性肝炎の適応を取得してお ります。本邦では、インターフェロンアルファ製剤及びベータ製剤が「HBe抗原陽性で かつDNAポリメラーゼ陽性のB型慢性活動性肝炎のウイルス血症の改善」の効能・効果 で承認されており、また、ラミブジンがHBe抗原陽性及び陰性のB型慢性肝炎患者に適 応があります。B型慢性肝炎患者を対象とした海外の臨床試験において、本薬はHBe抗 原陽性B型慢性肝炎患者に対する既存療法であるrIFNα-2aと同程度の有効性を示し、H Be抗原陽性及び陰性B型慢性肝炎患者を対象とした海外第III相試験において、本薬はそ れぞれの患者群で既存療法であるラミブジンに比べ高いHBe抗原セロコンバージョン 率又はHBV-DNA陰性化率を示しました。また、先ほど申し上げたとおりですが、既存のI FNα製剤は週3回投与であるのに比べて、本薬は週1回投与での治療が可能であるた め、肉体的・精神的な患者負担の軽減が期待できるものと判断し、優先対面助言品目に指 定したものです。以上です。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。続いて、議題2について説明をお願いいたします。 ○機構 議題2「医療用医薬品の再審査結果について」、御説明いたします。資料8-1〜 8-6となっております。これらについてまとめて報告いたします。  資料8-1は、一般的名称は「シンバスタチン」、販売名は「リポバス錠5他」の医薬品 再審査確認等結果通知書です。資料8-2は、一般的名称は「トランドラプリル」、販売名 は「プレラン0.5mg錠他」の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料8-3は、一般的名 称は「塩酸メキシレチン」、販売名は「メキシチールカプセル50mg他」の医薬品再審査 確認等結果通知書です。資料8-4は、一般的名称は「塩酸アプラクロニジン」、販売名は 「アイオピジンUD点眼液1%」の医薬品再審査確認等結果通知書です。資料8-5は、一 般的名称は「シクロスポリン」、販売名は「ネオーラル内用液他」の医薬品再審査確認等 結果通知書です。こちらの資料は、再生不良性貧血と赤芽球癆の効能・効果に関してのも のです。資料8-6も、一般的名称は「シクロスポリン」、販売名は「ネオーラル内用液他」 の医薬品再審査確認等結果通知書で、こちらの資料は、ネフローゼ症候群の効能・効果に 関してのものとなります。  これらの品目につきまして、市販後の使用成績調査、市販後臨床試験、特別調査の成績 等に基づいて再審査申請が行われ、審査の結果、薬事法第14条第2項第3号に掲げられ ている承認拒否事由のいずれにも該当しないこと、すなわち、効能・効果、用法・用量等 の承認事項について変更の必要はない「カテゴリー1」と判定したものです。以上です。 ○永井部会長 議題3についてお願いします。 ○事務局 議題3、医療用医薬品の承認条件の解除について、資料9につきまして説明さ せていただきます。リポバス錠10及び同20は、平成13年12月に「高脂血症、家族性高 コレステロール血症」を効能・効果として承認されており、承認条件として、「本剤の増 量時における横紋筋融解症関連症例の発現について、市販後3年間重点的に調査し、その 結果を報告すること」が付されております。今回は、この承認条件に関して、萬有製薬株 式会社よりデータが提出され、機構での審査が終わりましたので、御報告させていただき ます。  提出されたデータでは、平成14年6月21日〜平成17年6月20日までの間に、高脂血 症及び家族性高コレステロール血症の患者で、本剤が1日10mgを超えて経口投与された 成人患者で、増量後原則3か月の観察期間が終了した802例が収集されました。  安全性については、安全性解析対象症例764例における副作用発現率は5.2%であり、 治験時の副作用発現率と比較して高いものではなく、重篤とされた副作用もありませんで した。副作用症例のうち、横紋筋融解症関連症例についてですが、報告医師により横紋筋 融解症と判断された症例は認められませんでした。また、筋痛や両下肢痛など器官別大分 類別で「筋骨格系及び結合組織障害」に分類される副作用並びに血中ミオグロビン増加及 び血中CK増加の横紋筋関連の副作用発現率は2.0%と、治験時の副作用発現率と比べて 高いものではありませんでした。  有効性については、3か月以上で増量前及び増量後の血清脂質値が測定されていた540 例を対象として、増量前と増量後の各脂質の変化を検討したところ、HDL-コレステロ ール値については増量前と増量後で有意差はなかったものの、総コレステロール値、LD L-コレステロール値、トリグリセリド値は増量後では増量前と比べ有意に低下いたしま した。  以上のことから、提出資料の審査の結果、限られた症例数からの検討ではあるものの、 増量時における本剤の安全性及び有効性並びに横紋筋関連副作用の発現に係る危険性に ついて、現時点で、これまでの想定との間に、特に大きな隔たりはないと判断し、承認条 件の内容については確認できたものとしております。報告は以上です。 ○永井部会長 ありがとうございました。ただ今御報告いただいた件について、御質問、 御意見はございますか。よろしいですか。よろしければ、ただ今の件については御確認い ただいたということにいたします。  本日の議題は以上でございます。事務局から連絡事項等がありましたらお願いいたしま す。 ○事務局 どうもありがとうございました。次回の部会は、既に御案内のように、8月 29日(金)午後4時から開催させていただく予定でございますので、よろしくお願いいた します。以上でございます。 ○永井部会長 それでは、本日の会議は終わらせていただきます。どうもありがとうござ いました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 下川(内線2746)