08/07/25 第47回独立行政法人評価委員会労働部会議事録 独立行政法人評価委員会労働部会(第47回) 開催日時:平成20年7月25日(金)13:00〜 開催場所:厚生労働省省議室(9階) 出 席 者:井原部会長、篠原部会長代理、堺委員、小畑委員、今村委員、      本寺委員、宮本委員、寺山委員、谷川委員 ○井原部会長  それでは、定刻になりましたので、ただいまから第47回の独立行政法人評価委 員会労働部会を開催させていただきます。  委員の皆様におかれましては、お忙しい中、お集まりいただき、誠にありがと うございます。  本日は、松田委員と川端委員がご欠席でございます。  本日の議題は、お手元の議事次第のとおりでありまして、まず、労働者健康福 祉機構の平成19年度業務実績に関する個別評価を行いまして、その後で、休憩を はさんで、勤労者退職金共済機構の平成19年度業務実績に関する個別評価を行い ます。  議事に入ります前に、独立行政法人の業務マネジメント等にかかる国民の意見 募集の結果につきまして事務局から報告がございます。お願いします。 ○政策評価官室長補佐  国民の意見募集についてご報告いたします。  国民の意見募集につきましては、7月3日付で、各法人の業務報告書等を電子 政府の総合窓口e-Govに掲載し、7月14日に意見を締め切りました。  12日間という期間で募集したところ、今回評価を行っていただく労働者健康福 祉機構及び勤労者退職金共済機構につきましては、本件にかかるご意見は寄せら れなかったことをご報告いたします。  以上でございます。 ○井原部会長  それでは、労働者健康福祉機構の個別評価に入ります。  最初に、伊藤理事長からご挨拶をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構理事長  労働者健康福祉機構の理事長を務めております伊藤でございます。よろしくお 願い申し上げます。  私ども、労働者健康福祉機構として独立行政法人に移行いたしまして、5年目 に入りました。したがいまして、第1期の中期目標期間、これも最終年度を迎え たという段階でございます。  この間、委員の皆様方からは大変貴重なご意見、ご助言等をいただきまして、 私どもが、この中期目標期間におきまして、ほぼ目標を達成し、あるいは達成し つつある段階を迎えられましたことを厚く御礼申し上げたいと存じます。  私どもの労働者健康福祉機構の事業内容、使命でございますが、医療、産業保 健活動等の職域における保健活動の推進、そして、未払賃金の立替払いなどを通 しまして、働く人々の職業、生活を援護し、それを守るということにあるわけで ございます。  そうした観点から、とりわけ関心の高い働く人々の健康の状況を見てまいりま すと、やはり各企業とも人事、労務構成が全体に高齢化しつつあるということ、 あるいは一層の効率化を目指さなければいけない企業経営の現況等々を背景に、 やはりもろもろのデータが憂慮すべき方向を示していることは事実でございます。  そうした中、全国に展開いたします労災病院、産業保健推進センターが、車の 両輪となりまして活動を展開することにより、今後急速に労働力人口等が減少し ていくことも見通しながら、一人でも多くの勤労者が健康で生き生きと働いて、 この社会を支えられる方ではなくて、支える側に回っていただこうということを 肝に銘じまして対応しているところでございます。  また、未払賃金の立替払につきましても、平成19年度はNOVAの問題等がありま して、記録的な件数を数えるに至りましたけれども、やはりそういう中で、業務 の迅速な処理、そうしたことを通じて、労働者の生活を支えていくということの 重要性を痛感させられているところでございます。  こうした事業のうち、本日、私の方からは、中核を占めます労災病院事業の現 況につきまして、簡単にご報告申し上げることで挨拶に代えさせていただきたい と存じます。  まず、労災病院は、もう50年を越える歴史がございまして、そうした歴史の中 で培ってまいりました職業病、あるいは産業関連疾患といったことにつきまして、 豊富な臨床経験、事例等も積み重ね、研究成果も積み重ねてまいりました。それ を生かしながら、予防から治療、そしてリハビリテーション、さらには職場復帰 といったことを念頭に置きまして、高度かつ専門的な医療を自ら提供すると同時 に、その地域におきましても、労災保険の指定医療機関等を中心に臨床研究、カ ンファレンス等を積み重ねまして、それぞれの地域で勤労者医療の中核的役割を 果たそうと取り組んできているところでございます。  そうした活動を充実したものにする観点から進めております、働く人と関わり の深い、労災疾病と呼んでおりますが、13分野の臨床研究につきましても従来か らの職業病に加えまして、今後、著しい増加が懸念されます中皮腫等アスベスト 関連疾患、さらにはメンタルヘルスの問題、働く女性の健康問題等、新しい課題 につきましても着々と成果を上げてきておりまして、関係の学会、あるいは他の 医療機関からも注目を寄せられている段階に来ております。  そうした労災病院の事業活動を支えます経営基盤の点について一言ご報告をさ せていただきたいと存じます。  委員の皆様方は既にご案内のとおり、医療をめぐります環境は大変厳しいもの がございまして、労災病院もその例外ではございません。  そうした中にありまして、各病院の医師の皆様方はじめ大変な激務の中、申し 上げましたような政策的な使命を果たすために、奮闘していただいているわけで すけれども、そうした政策的使命、またその実行を支えるだけの病院としての体 力、経営基盤でございますが、これをしっかりと日々の地域医療の中で培ってい かなければならないのが、この労災病院でございます。  といいますのも、この労災病院の基盤となります日常の診療、臨床活動につき ましては、医療機器の整備を含めまして、国の財政援助は一切ないわけでござい まして、診療報酬を中心とした自前収入で100パーセント対応していくと、こう いう状況でございます。そうした状況を考えますと、経営基盤の強化ということ がなお一層他の病院以上に求められる状況にございます。  幸い、労災病院にございましては、各病院が一丸となって努力する中で、独立 行政法人移行前の平成15年度には、単年度で191億円という欠損を計上しており ましたけれども、18年度には42億円まで圧縮をいたしてまいりまして、その間、 減価償却費がかさんでまいりましたので内部留保等を確実に増加させて、将来に 向けた投資能力を高めてきたところでございます。  ただ、その間、医療につきましては、当初、独立行政法人移行当時には予想し 得なかった大幅な環境変化がございます。  1つは、大幅な診療報酬のマイナス改定が行われてきていること、そしてまた、 医師、看護師の不足といったものが急速に進展をいたしております。いわばこう した医療提供体制という観点からすると、その根幹に関わるような変化がこの数 年著しい進展を見せていることも事実でございます。  私ども、こうした中で経営努力をしてまいりましたけれども、短期的な利益だ けを追っていきますと、将来に向けた医療機器の整備の遅れ、あるいは医師の疲 弊等々を招きまして、将来に向けた質の高い医療の展開ということはもとよりで ございますが、医師、看護師の皆さんからも魅力を感じてもらえないような病院 になる。他の病院で幾つかの例もありますけれども、医師等が逃げ出すと、こう いった病院になりかねない、そうした危機も同時にひしひしと感じておるわけで ございます。この平成19年度はそうした危機感を念頭に置きまして、少し中長期 的な視点からの取組も充実させようということをさせていただきました。  すなわち、19年度におきましては将来に向けた質の高い医療を行っていくため に、更新を我慢している医療機器等につきましても、更新するということで、例 年よりも20億円程度、投資額を大幅に増やしまして、そうした医療機器の更新に 取り組むとともに、医師、看護師の確保、そしてまたその日常の激務を支援して いくための病棟クラーク等の増員といったような取組を展開いたしまして、診療 体制の将来に向けた強化を図りました。  そして、そういう中から各病院とも地域医療支援病院、あるいはほかの拠点病 院というものの指定を目指して、体制の整備をしてくれまして、そうした成果も 着実に出してきております。そういう意味で、この19年度は、やや中長期的な観 点から費用の方も増大した年に当たったということにつきましては、ご理解を頂 きたいと思います。  この結果、19年度につきましては、病院の入院収入、外来収入といった収入は 引き続きかなりの増加をさせてきておりますけれども、そして経常損益も18年度 に比べてさらに10億円程度の改善をさせてきておりますけれども、今申し上げた ような費用の増加もございまして、例えば老朽化した病棟を取り壊すと財務上は 臨時損失として計上しなければいけませんので、こうしたものを飲み込むところ まではまいりませんで、いわば当期損益という全体で見ますと、19年度は足踏み をせざるを得なかった年になりました。  ただ、この20年度に入りましてから、そうした19年度に講じました診療体制の 強化等の成果は着実にあらわれてきておりまして、各病院の状況、推移を見ます と、苦しいことは苦しいんですけれども、19年度に積み残しましたこの47億円の いわば当期損益の欠損というようなものはほぼ回収できるだろうというような見 通しで推移をしておりますので、その辺につきましてもご理解を頂ければという ふうに思っております。  それから、もう1つ、経営基盤という点では、財務の観点からぜひ委員の先生 方にご理解を頂きたいという点が1つございます。  私ども、労働者健康福祉機構という労災病院の特有の問題でございますけれど も、例えば国立病院機構等には、あるいは国からの交付金で事業運営を行ってい る組織にはない課題でございますけれども、私ども、年金については厚生年金基 金の方で、基金を構成しているわけですが、サブプライムの影響によりまして、 この厚生年金基金の年金資産が大幅に目減りいたしております。  財務上、平成20年度からはこれを平均的な在職年数等を勘案して、私どもの場 合、7年ぐらいで、費用計上していかなければいかんと。目減り分をうずめるた めの費用計上をしておかなくてはならないことになりまして、これが20億円を超 える金額で費用計上していくということにあいなります。  先ほど申し上げましたように、20年度は、19年度積み残しました47億円のマイ ナス損益については回収できる見通しで進んでおりますけれども、こうしたサブ プライムの影響による年金資産の目減り分の費用計上についてまで医療の現場、 医師、看護師等の活動を通して、それも償えということは正直医療に携わる人た ちの相当なモラール低下を招くことは必至でございまして、先ほど申し上げまし たような、医師等がそこまで働かされるんでは逃げ出すといったようなこともあ る課題でございまして、ぜひこうしたサブプライムの影響の部分につきましては、 労災病院の医療事業を評価するという観点からはぜひ別枠の課題として今後の経 済回復なりいろいろな課題と相まってそうしたことを乗り越えていきたいと思っ ておりますけれども、労災病院の医療事業を評価する基準といたしましての扱い につきましては、ぜひご配慮、ご高配を賜りたいというふうに思っているところ でございます。  お願いになりましたけれども、申し上げさせていただいて、また平成20年度は 着実に私どもがかねてから課題にしておりました減価償却を賄い切れる、そうし た財務体質が実現することを目指して努力し、実現することが視野に入ってきて いるということを申し上げさせていただきまして、冒頭の挨拶にかえさせていた だきたいと存じます。  よろしくご審査をお願いしたいと思っております。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。  それでは、これからの進め方についてちょっと説明いたしますが、先週の本部 会での説明にございましたように、個別評価におきましては、全体を4または、 5グループに分けて評価を行っていただきます。  労働者健康福祉機構の個別評価につきましては、評価シートの個別項目を4つ のグループに分けます。さらに、業務実績評価関係資料を1グループといたしま して、合計5グループをグループごとに評価を行っていただきたいと思います。  まず、グループ1でございますけれども、所要時間は法人からの説明5分、委 員の評価と質疑10分の合計15分となっております。  それでは、まず法人から説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  総務部長の谷中でございます。どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、時間が限られておりますし、シートが19ありますので、ポイントだ けを資料1−6をお開きいただいて、それで説明をしていきたいと思います。  そして、自己評定についてだけ、資料1−1に戻って、ご説明するという形に したいと思います。  まず、最初のグループです。項目の1から3までについてまずまとめてご説明 したいと思います。  資料1−6の1ページをご覧いただきたいと思います。  マネジメントの強化のところでございます。  この1ページの一番上の四角をご覧いただきたいと思います。  最初のポツのところでございますが、平成19年度、何に重点を置いて取り組ん できたかということを記載しております。先ほど、理事長の話にございましたと おりでございますけれども、18年度の診療報酬の大幅なマイナス改定の影響が19 年度は強く残った。  医師不足、看護師不足が急速に進行する中で、やはり短期的な利益ということ だけではなくて、中長期的な視点からも経営基盤の確立と医療の質と安全を確保 する観点から、そこにありますように医師、看護師の確保、医療機器の計画的な 整備等の先行投資に重点的に取り組むことを19年度は基本方針といたしました。  この方針に基づきまして、本部主催の会議を連続的に行っております。  2の方の下の方の四角をご覧いただきたいと思います。  抜本的経営改善の推進というところをご覧いただきたいと思いますが2つ目の ポツのところでございますけれども、例年院長会議をやっておりますが、これを 4月に前倒しして実施しております。  それから、下から3つ目のポツでございますが、平成19年度、実質的な暫定評 価を受ける最終年度ということもございまして、理事長から各院長に対しまして、 19年度の重要性と年間計画達成への迅速な対応についての指示文書を出しており ます。  さらに、18年度はリカバリー計画というものをつくったわけですが、下から2 つ目のポツでございますが、第1四半期の病院の実績に基づきまして、「年間収 支推計」というものをつくっております。そして、最後のポツになりますけれど も、これに基づきまして、下半期の経営目標見直し後計画、それから行動計画の 策定を指示しております。  それから、(2)の方でございますが、具体的な本部の病院に対するサポートとい たしまして、医師不足と言われておりますので、医師派遣制度などを使って、医 師不足に取り組んだということと、それから下から2つ目のポツになりますが、 「転任推進制度」等を活用しまして人事交流を図ってサポートをしているところ でございます。  それから、2ページをお開きいただきたいと思います。  より詳しくその内容を示したものでございますが、18年度に引き続きまして、 本文の左上のところでございます。経営改善推進会議を開きました。そして、病 院から上がってきます報告をここでしっかり分析を行いまして、指示、指導を密 接に行っているところでございます。  2ページの真ん中の方にございますけれども、周知徹底、経営改善推進会議の ところをご覧いただければと思いますが、指導をこのような形で密接に行ったと いうことでございます。  病院の方に移りますけれども、右下の方に、取組の効果が出ておりますが、こ れについてはまた後ほどご説明させていただきたいと思います。  それから、3ページに移らせていただきますが、人事・給与制度の導入という ことでございます。  平成18年10月から導入しておりますが、個人別役割確認制度、これの徹底を図 ったということと、それからその下でございますが、これもこれまでご説明して おりますが、施設別業務実績により給与を増減しております。  18年度の実績を反映させまして、19年6月期の勤勉手当から現実に増減をさせ ているというところでございます。  それから、4ページをお開きいただきたいと思います。  人事・給与制度の取組を平成16年度から並べたものでございます。19年度のと ころをご覧いただきたいと思いますが、上の白抜きの四角のところでございます が、先ほどご説明した個人別役割確認制度と施設別業務実績による給与の増減と、 それから18年度に引き続きまして、管理職手当の定額化を行っております。  それから、真ん中の方に、ポツが並んでおりますが、医師以外の期末手当支給 月数の0.1月カットを継続しております。  それから、17年度から継続しておりますが、賞与支給月数の0.3月カットを継 続しているということです。  それから、期末勤勉手当に管理職加算というものがありますが、このカットを 継続しております。  それから、19年度、国家公務員は増額改定があったわけですが、私どもの方は この増額改定は行っていないという措置はとっております。  そして、一番下の四角でございますけれども、平成20年度も後ほどご説明した いと思いますが、6月分の期末手当、これを0.2月カット行っております。  そのほか、給与水準の適正化、それから業績、勤務成績等の給与への一層の反 映を図っていく必要があるだろうと。やはり年功がかなりきいている給与体系に なっておりますので、それを直していく必要があるんではないかということで、 労使間で協議を始めたところでございます。  それから、5ページをご覧いただきたいと思いますが、ほとんど交付金に関る 部分でございます。一般管理費、事業費等の効率化でございます。  平成19年度のところをご覧いただきたいと思いますが、一般管理の管理費の方、 ドラム缶の上の方でございますが、198億円まで節減をしております。  右の方、4年間の改善率でございますが、225億円から198億円ということで、 15年度比、12.1%の節減をしておりまして、中期計画の80.6%を達成していると ころでございます。  それから、19年度の事業費でございますが、こちらは49億円ということで、15 年比から比べますと、9.3%節減ということでございます。もともと5%削減と いうのが中期計画の目標であったわけですが、186.1%達成ということでござい ます。  それから、6ページをお開きいただきたいと思います。  医療リハビリテーションセンター、総合せき損センターの交付金率の低下とい うことでございます。  平成19年度をご覧いただきたいと思いますが、1.0%まで下げております。  15年を起点としまして、5ポイント下げることになっておりますが、5.6ポイ ントから下げてきたということで、4年間で、計画の92%を達成しているところ でございます。  それから、7ページをご覧いただきたいと思います。  平成19年度の廃止病院の状況でございます。  ご承知のとおり、19年度は再編計画の最終年度に当たっておりまして、廃止病 院1、それから統合4病院を2病院という形にしております。  廃止病院は筑豊労災病院でございますが、これは飯塚市へ移譲しております。 平成20年4月1日から飯塚市立病院としてスタートしております。  指定管理者制度をとっておりまして、社団法人地域医療振興協会が指定管理者 として運営ということになっております。  医療の確保面でも大半の医師が残るような形になっておりまして、筑豊地区で 多かったじん肺患者を含めて移譲後の新病院で診療を継続しているところでござ います。  職員の雇用の確保の点では、205人のうち、移譲先に就職は122人、転勤54人と いう形になっております。  それから、8ページをご覧いただきたいと思いますが、統合病院の方でござい ますが、まず、美唄、岩見沢の労災病院の関係でございますが、※のところをご 覧いただきたいと思います。  もうご承知のとおり、美唄労災病院につきましては、美唄市からの要請に基づ きまして、市立美唄病院との統合を検討してきたわけでございますが、19年10月 に美唄市長の方から、医師不足等が要因になりまして、統合の要請を撤回する旨 の申出がございました。  それを受けまして、私どもといたしましては、美唄労災病院をせき損医療を軸 とした診療機能に特化するということで、せき損医療における役割を引き継ごう ということで、検討を進めてまいりました。  その結果でございますが、平成20年4月1日に岩見沢労災病院を本院、それか ら美唄労災病院を分院として統合しまして、名称をご覧のとおり岩見沢を北海道 中央労災病院、分院の方を北海道中央労災病院せき損センターという形で名称を 変えまして統合しております。  それから、九州の門司につきましては、2つ目の※のところでございます。  こちらも名称を変えまして、本院は九州労災病院、分院を九州労災病院門司メ ディカルセンターということで、4月1日からスタートしているところでござい ます。  門司労災につきましては、既に平成16年4月の段階で病床数を減らしておりま すので、そのまま引き続きの医療をやっているというところでございます。  それでは、9ページをご覧いただきたいと思います。  業績評価制度による具体的改善効果、BSCの関係でございます。  BSC、平成18年度に引き続きまして、1,000部門でやっております。  新しい取組といたしましては、左側の一番下のところでございますが、戦略目 標の設定を行うための自己分析に資するためにSWOT分析を新たに入れております。  それから、一番右の方になりますけれども、外部有識者による評価ということ で、業績評価委員会、18年度までは年1回開催だったんですが、これを年2回開 催しているところでございます。  ポンチ絵の方は以上でございますが、すみません、資料1−1の4ページをお 開きいただきたいと思います。  まず、マネジメント強化のところの自己評価でございます。  非常に平成19年度は重要な年ということで、体制整備に力を入れまして、マネ ジメントの強化を図ったところでございます。  これは、「A」ということで、出させていただければと思っております。  それから、8ページをお開きいただきたいと思います。  再編のところでございますが、これは再編計画に示された統廃合を患者の診療 先の確保、職員の雇用に考慮しまして、平成19年度末まで達成できたということ がありますので、「A」ということで出させていただければと思います。  次に12ページをお開きいただきたいと思います。  BSCの関係でございますが、SWOT分析を入れまして、精度の向上を図るととも に、業績評価委員会の方も年2回開催するようになっております。「A」をお願 いしたいということで考えております。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、委員の皆様、評価シートの評価の記入をお願いします。質問がござ いましたら、その都度、お手を挙げてお願いしたいと思います。 ○谷川委員  給与の関連なんですが、資料を拝見しますと、医師以外のところという書き方 になっているんですけれども、お医者さんそのものはどういうふうに決めておら れるんですか。  資料1−4。例えば、左から2つ目の欄で、平成17年度のところで施設別業務 実績を反映した給与制度導入と書いてあるんですが、医師以外という表現が全部 出てくるんですけれども、次も、医師以外と。 ○労働者健康福祉機構総務部長  これはですね、後ほどもいろいろ給与制度のところでご説明しようかと思いま したが、非常に医師確保が難しい状況になっております。  医師の給与の状況を見ますと、私どもは民間に比べると、かなり低い状況にな っておりまして、給与カットを行うと、医師の病院離れが進むということもござ いまして、医師を除く形でカットしているところでございます。 ○谷川委員  もう1点よろしゅうございますか。  先ほど、理事長さんのご挨拶の中に、厚生年金基金のお話が出てきたんですが、 これは今のこの場面でご質問してもよろしいでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  後ほど、財務のところで、詳しくご説明したいと思いますので。 ○谷川委員  では、そのときに。 ○堺委員  BSCの活用が定着してこられたというふうに拝見しておりますけれども、BSCを 活用なさるのは、究極の目標は医療の質の向上というところにあるというふうに 私は理解しております。  医療の質とは何ぞやということは、大変複雑ではございますけれども、いろい ろなアンケート、あるいは多くの方の意見などを総合しますと、私は、2つのこ とに集約できるんではないかと思っております。  1つが、患者満足度、もう1つが、治療成績でございます。  そういたしますと、BSCをいろいろご活用になられて、その結果として、患者 満足度は向上したかどうか。それから、治療成績は向上したかどうか。この点は いかがでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  患者満足度につきましては、後ほどちょっとご説明しようかと思ったんですが、 ポンチ絵の37ページをお開きいただきたいと思います。  満足度調査を行っておりまして、80.6%ということでございます。平成18年度 よりも上がっているという形でございまして、ここは、中期目標に出されている ものはクリアしているということでございます。  治療実績になると、ちょっと具体的な数字ではお示しできないんですけれども。 ○堺委員  病院がたくさんおありですので、全体を総合ということは難しいと思いますが、 このごろ各病院が自分のところの主要な疾患の治療成績をホームページ等で公開 していくことが広まっておりまして、何かこう代表的な例でも結構でございます が。 ○労働者健康福祉機構総務部長  36ページをお開きいただきたいと思います。  提供する医療の質の評価ということで、労災疾病の13分野に限られるんですけ れども、ここで、診療件数とそれから治療成績を出しております。  ここで、これも後ほどご説明しようかと思いましたが、13分野15疾患の評価が 右の方にございますが、「A」評価が14。「A´」が1つという形になっており ます。  これは、内部の評価の委員会を開きまして、そこで評価していただいていると いうものでございます。 ○労働者健康福祉機構理事長  1つ付け加えさせていただきますと、今年度で、DPC参加病院が以前の9病院 に10病院が加わりまして、もうほとんどが19病院がDPC参加病院になりまして、 これを通じまして、収入の割合等々、みんな全体的に比較する体制が整ってきて おりますので、そうしたデータも近いうちに、ご指摘のような観点から、外部へ 出していくこともできるところまでは来ております。 ○寺山委員  労災病院における医師不足、看護師不足というのは非常に全体の評価の中でず っと流れを決める1つのポイントのように思うんですけれども、この点について、 労災病院は他の独法の国立病院と比べて何か特徴があるんでしょうか。それとも 共通の問題ととらえてよろしいんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  共通の問題ととらえてよろしいのではないかと思います。  医師の数をほかのグループとかと比べますと、労災病院が必ずしも低いという わけではないんですけれども、やはり現実に地方の病院なんかで、医師の引揚げ とか、そういうものもありますし、それから実際必要な科に大学が送ってくれな いというようなケースもございまして、これは恐らくほかのグループでも同じだ と思っております。 ○寺山委員  わかりました。  そのことについて、国立系として他の国立系の病院などとの共通の理解で、相 互にこの点について話合いをしたり、給与の点などについて、横並びに話し合っ たりするということはあったんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  一つ、そうした問題について、国立病院機構等を含めまして、随時情報交換を 行っておるわけでございます。  それから、私ども、もう一つ、各病院が日本病院会、自治体の病院の連合会、 そういうものに加入しております。そこに国立病院機構も参加しておりますが、 日本病院団体協議会という場に参加いたしまして、そこを通じて、各病院、公的、 あるいは民間病院も含めて、全体的な医師不足の状況、あるいは診療報酬等の影 響による経営状況の変化等々、常に情報交換またはこちらからすれば、入手にも 努めて全体的な医療の動向から私どもが遅れるところはちょっと先取りしながら 進もうということで、進めております。  それから、一言付け加えさせていただきますと、医師不足、看護師不足の問題 もそうですけれども、どの病院がということよりも地域的な差がかなり大きい。 やはり都市部の大病院は圧倒的に有利でございまして、北海道、東北、北陸等を 中心に全国的に足りなくなってきておりますけれども、極端な形で現れてくるの はそうした地域、あるいは千葉などのように、東京に近いところと、九十九里に 近い方とでのやはり勤務環境の圧倒的な格差があるような県というのは、やはり 相当な医師の過不足が地域ごとに生じています。  この前、銚子市立総合病院が閉じるというショッキングなことが発表されまし たけれども、ああいう形で、首都圏に近いところでも医師不足が壊滅的に病院に 打撃を与えるという状況も生まれてきていることは事実でございます。 ○寺山委員  その点に関してなんですけれども、やっぱり全国的な問題になりますので、こ の評価委員会の中でも、労災病院全体としてならしてここにデータをお示しいた だくよりは各論的にさっき理事長がおっしゃったようなこの地域はどうだという 形が分かるような、それから収支のバランスなんかもそれぞれ労災病院によって 違うでしょうから、そういうものも資料としてお示しいただけるとうれしかった なと。今後の要望です。 ○井原部会長   ほかに何かございますでしょうか。  それでは、次に、グループ2でございます。  所要時間は、法人からの説明25分、それから委員の評定と質疑が15分の合計40 分となっております。  それでは、まず法人からの説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは、ポンチ絵の方の10ページをお開きいただきたいと思います。  シート10までまとめて説明したいと思います。  10ページですが、これは、勤労者医療の概念、柱であります労災13分野疾病研 究、それから予防医療、それから地域医療連携の概念図を示しておりますので、 これはご覧いただければと思っております。  その中で、私どもが力を入れています13分野の疾病研究について、関原総括デ ィレクターからポイントを説明したいと思います。 ○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター  関原と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  13分野の医学研究についてご報告申し上げます。  このプロジェクトもスタートいたしまして、4年が経過いたしまして、各分野 から成果が出てまいっております。  資料11ページをご覧ください。  アスベスト関連疾患分野でございますが、この分野からは中皮腫、我が国でこ れから問題になります中皮腫の救命率を上げるための早期診断法が出てまいって おります。詳細は、後ほどご説明申し上げます。  12ページをご覧ください。  粉塵等による呼吸器疾患分野でございますが、この分野からは最近問題になっ てきております溶接作業、あるいは歯科技工などによる新しいじん肺の症例集を つくりましたし、また新しい画像診断法としての「経時サブストラクション」法 を確立いたしております。  13ページをご覧ください。  メンタルヘルス分野でございますが、この分野からはインターネットを用いた 手軽なメンタルヘルスチェックシステム及び脳血流を指標といたしましたうつ病 と疲労蓄積との客観的評価法が出てまいっております。  次に、17ページをお開きいただきたいと思います。  筋・骨格系疾患分野でございますが、この分野では、職場における腰痛の発症 原因について検討を重ねてまいりましたが、作業環境、作業動作などのような今 まで言われているような要因に加えまして、対人関係のストレスとか、仕事の適 合性とか、そういった職場における心理、社会的要因が非常に大事である、腰痛 の発症に関与しているということが明らかになっております。  また、18ページの上段をご覧いただきたいと思いますが、感覚器障害分野でご ざいますけれども、この分野では勤労者の方の視力が低下いたしますと、職場で は就業と治療のジレンマというものが存在するために、退職される方が多く、今 後、就業しながらの治療、退職者を出さない治療、そういうものを推進する必要 があるということが明らかになっております。  また、20ページの上段をご覧いただきたいと思います。  過労死分野でございます。  この分野からは年間の残業時間が500時間を越えますと、最近話題になってお りますメタボリックシンドロームに罹患するリスクが非常に大きくなるという、 大変興味ある結果が出ております。  このような各分野からの成果につきましては、冊子にまとめまして、先生方の お手元に置いてございますので、ご覧いただければと存じます。  時間の都合で、本日は、13分野の中から、アスベスト関連疾患分野につきまし てご説明申し上げます。  11ページにお戻りいただければと思います。  アスベスト関連疾患分野では、アスベスト問題がスタートを切りましてから、 我が国の中皮腫の臨床と治療状態がどうなっているかということを検討してまい りましたが、そこから明らかになりましたことは、中皮腫の予後は根治手術をす ることによって、完治するということが明らかになったわけでございますけれど も、その根治手術可能な早期発見例がわずかに30%であり、残りの70%は手遅れ の状態で発見されているという、そういう現実が明らかになっております。  そして、今後我が国で増える中皮腫の救命率を上げるためにはどうしても早期 発見ということを成し遂げなければならないわけでございます。  そこで、まず根治手術可能な早期発見例とはどういうものであるかということ を定義しようということで、いろいろ検討したわけでございますが、この11ペー ジのポンチ絵の右下に記載してございますが、胸腔鏡とか生検とかいたしますと、 中皮腫の所見が得られるわけでございますが、胸のレントゲンを撮ってみますと、 わずかな胸水があるだけである。そして、CTを撮りましても胸水のみで中皮腫の 所見は見られない。まだ、出現していない。そういう状態で発見することが必要 であるということがわかってまいりました。  そのためにどうしたらよいかということですが、わずかな胸水のある症例、全 例で胸腔鏡、あるいは生検をやれば完全をきせるわけでございますけども、これ らの検査は非常に患者さんに侵襲が大きくて負担が重く、医療の現場でこれを実 践することは非常に不可能でございます。  そこでどうしたらよいかいろいろ検討したんでございますけども、胸水中のが ん抑制遺伝子のメチル化が中皮腫、あるいは肺がん等の悪性腫瘍では非常に増加 しているということがわかってまいりました。  それで、これを取り入れた早期診断法を確立いたしてございます。  ここに記載してございますように、胸水が認められたらば、それを採取して、 全例についてがん抑制遺伝子のメチル化を検討いたします。  そして、陽性の場合には、胸腔鏡、生検を行い、中皮腫の所見を確認後、根治 手術を行うというものでございます。  このような新しい早期発見法を普及させることによって、これから増えるであ ろう我が国の中皮腫の救命率を上げることができるのではないかと考えておりま す。  これがアスベスト関連疾患についての今年度の成果でございます。  その他の分野の成果につきましても先ほど、概略をご説明申し上げましたが、 冊子にまとめてございますので、後ほど、ご覧いただければと思います。  本日は、時間の都合で、他の分野をご紹介できないのは非常に残念でございま すが、冊子をご覧いただければと存じます。  また、冊子の内容は、同じものを機構のホームページ上でも公開してございま すので、そちらの方でもご覧いただければと存じます。  ご清聴ありがとうございました。以上でございます。 ○労働者健康福祉機構総務部長  13分野研究につきましては、データベースのホームページがあるわけですが、 13万件を越えるアクセス件数があるのと、それから、この研究につきましては、 国内86、国外17の学会発表を行っております。  学術雑誌の方にも80以上の掲載がされているということで、平成19年度は取り まとめの年でもありますので、非常に成果を上げてきたのではないかと考えてお ります。  20年度は、普及を重点的に行うということになっておりまして、普及検討委員 会で普及計画を各研究のところでつくっておりますので、それに基づいて広めて いきたいと考えているところでございます。  21ページをお開きいただきたいと思います。  予防医療の関係でございます。過労死予防、メンタルヘルス不全、勤労女性の 健康管理対策と、やっている事業内容についてここに記載させておりますが、こ こはちょっと省略させていただきます。  22ページをお開きいただきたいと思います。  具体的な取組をポイントだけご説明したいと思います。  指導相談の質の向上に関する部分ですが、3事業共通対策というところがござ います。  業務指導を8施設に実施しまして、やはり好事例、指摘事項を取りまとめまし たものをつくって、全施設に配布しております。  それから、過労死予防対策のところの上の方をご覧いただきたいと思います。  平成20年度から特定保健指導が始まっておりますけれども、都道府県、市の依 頼によりまして、特定保健指導の実務者を対象とした研修会にセンターのスタッ フを講師として派遣しております。  それから、メンタルヘルス不全予防対策の下の方をご覧いただきたいと思いま すが、勤労者、心の電話相談、フリーダイヤルキャンペーンというものを新たに 実施しております。  人事異動の時期に当たります3月、4月を狙いまして、人事異動、入社、退社 による心の悩みの相談に応じるというキャンペーンを実施しております。  それから、23ページをご覧いただきたいと思います。  利便性の向上ということでございますが、左の上のところでございます。  夜間、休日等に指導、相談を実施しまして、ご覧のような参加人数を得ており ます。  そのほかに、右のところでございますが、出張による保健指導ということで、 近隣の商店街などとタイアップしまして、出前の健康相談を実施しているという ことがございます。  それから、右の下の方でございますが、これは新たな取組でございますが、企 業の要望によりまして、ストレッチ体操ビデオですとか、それから障害を持つ従 業員を対象としたビデオ、そういった腰痛予防のビデオなども作成しているとこ ろでございます。  それから、24ページをお開きいただきたいと思います。  勤労者予防医療センター、研究も実施しております。平成18年度から2か年の 期限でやっておりますが、テーマは共同研究というところにございますように、 2つございまして、研究1の結果でございますが、メタボリックの発症には職場 のストレス等が関与しているという研究結果がなされまして、中間報告を行って いるところでございます。  それから、研究2の方でございますが、指導により体質の改善が見受けられた 例を載せております。  今後、本研究により効果のあった指導と効果の上がらなかった実例を検証しま して、新たな指導方法を確立していきたいと考えております。  それから、個別研究としては、そこに掲載されているとおりでございます。  25ページに、このような取組を進めてきたわけでございますが、どういった成 果になったかというのを25ページにまとめております。  いずれの対策も右の方をご覧いただければと思いますが、中期目標を達成して おります。  満足度調査の方も平成19年度は90%以上の満足度を得られているところでござ います。  続きまして、26ページをお開きいただきたいと思います。  平成19年度は中長期的な視点からの体制整備を図ることを基本方針として取り 組んできたわけですが、その中でも、地域支援、地域の中で、信頼される病院づ くりということを非常に重点を置いてやってまいりました。  その成果についてご説明したいと思います。  まず、ポンチ絵の左の方でございます。  紹介率でございますが、49.8%、ファックスによる直接予約システムですとか、 地域連携パス等によりまして、紹介率を50%近くに上げております。  それから、中ほど症例検討会、講習会の参加。それから、受託検査の件数につ いてはご覧のとおりでございます。  それから、右上の方にございます。これは、地域の病院、診療所にアンケート 調査をしたものでございます。  これで、診療や産業医活動に有用であった旨の評価ということで、77.7%の評 価を得ているところでございます。  次に、27ページをご覧いただきたいと思います。  地域医療支援病院、それから、地域がん診療連携拠点病院の取得に非常に力を 入れてまいりました。  平成19年度は、地域医療支援病院につきましては、9施設が承認されています。  それから、地域がん診療連携拠点病院の方は、10施設ということでございます。  さらに、20年度、右上の方でございますが、新規申請予定が7施設。がん連携 の方は、1施設ということでございます。  続きまして、28ページをお開きいただきたいと思います。  これは、労災病院で目指す医療の方向について柱立てをしたものでございます。  29ページの方をご覧いただきたいと思いますが、私ども急性期医療への対応と いうことで力を入れております。  先ほど、体制整備を進めたということを申し上げましたけれども、看護体制を ご覧いただきたいと思います。左上のところでございます。  7対1の一般病棟入院基本料でございますが、平成19年度には5施設というこ とになっております。  それから、在院日数の短縮の方でございますが、19年度は16.1日まで縮めてき たということでございます。  それから、救急患者の受入れ体制の方でございますが、※のところをご覧いた だきたいと思いますが、19年度、6万8,000人ぐらいの受入れを行っております。  4年間で、27万人ぐらいの受入れを行っておりまして、中期計画の90%ぐらい を達成したというところでございます。  それから、地域医療連携、先ほどもここに力を入れていると申し上げましたが、 地域医療連携パスについても順調に増やしてきているということでございます。  私ども、あとは急性期リハにも力を入れておりますが、右下のところに施設基 準の取得状況が出ております。上位の施設基準を19年度、さらに増やしてきたと いうところでございます。  次に、30ページをお開きいただきたいと思います。  医療の高度専門化ということでございますが、ここは詳しくはご説明しません が、多数の学会の認定を得ているということと、それから専門センターの設置を 非常に増やしたということと、それから最後、3つ目のところでございますが、 高度医療機器についても計画的に整備を進めたというところでございます。  それから、31ページをご覧いただきたいと思いますが、これはリハビリテーシ ョン工学センターでございます。ここも、簡単にご説明したいと思いますけれど も、左の方で工学センターの概要が出ております。  平成19年度の研究開発実績ということで、国内特許の出願が3件ご覧のとおり ございます。  それから、右の方に、活用状況と普及状況を載せているところでございます。  リハビリテーション工学センター、ご承知のとおり整理合理化計画の中で、廃 止施設ということで掲げられているわけでございますが、今後、どういうふうに 対応していくのか。次期中期計画に向けまして、その対応については検討してい るところでございます。  次に33ページをお開きいただきたいと思います。  体制の整備ということで、優秀な人材の確保、育成に力を入れました。  医師の方でございますけれども、左の方、上の四角でございます。  各種、医師確保制度を設けました。先ほど申し上げました医師派遣制度等でご ざいます。  それから、研修医募集のガイドブック等を作成したりしまして、医師確保に取 り組んだということでございます。  それから、新たな点でございますが、平成19年度新設ということで、真ん中の 方に書いております。  女性医師が非常に増えてきているということもございまして、女性医師が正規 の職員のまま勤務が続けられるようにということで、育児のための医師短時間勤 務制度を平成20年3月に創設しているところでございます。  小学校就学前の育児のために、8時間勤務が困難な方を対象としまして、6時 間の勤務でも可能ということにしております。  それから、育成面でも力を入れておりまして、一番下の四角の方でございます。  初期研修医集合研修を19年度新たに実施しております。  そこの実績が出ておりますが、それから研修の指導医の講習も、こちら本部で 実施しております。20年2月から3月に実施しまして、30名受講ということでご ざいます。  右の四角の方に、その成果というものが出ておりますが、不足病院へのサポー トということで、医師派遣制度で4名、それから労災病院群の後期臨床研修制度 で6名、その他斡旋等で5名という実績を出しております。  そのほか、初期臨床研究医のマッチ数、それからプライマリ・ケアの指導方法 に関する講習会を受講した医師数はここに掲げたとおりでございますので、ご覧 いただければと思っております。  次に、34ページでございます。看護師の確保でございます。これにも力を入れ ているところでございます。  どういうことをやったかというのは、真ん中の四角のところに出ておりますが、 就職説明会の開催、それからガイドブック、ポスターを作成、配布しているとい うことでございます。  それから、看護系大学、看護師養成所を訪問しているところでございます。  それから、研修にも力を入れておりまして、キャリアアップのサポートといた しまして、奨学金の貸与、それから外部機関等研修制度を活用しております。  それから、質の高い安全な看護サービスの提供を目指した研修の実施というこ とで、体系的な研修を実施しているところでございます。  その成果としましては、右の方に出ておりますが、新規採用者数が834名、離 職率の方なんですが、平成16年度が12.1%ございました。これを10%台まで落と してきているということでございます。  それから、認定看護師数、専門看護師数も着実に増やしてきているというとこ ろでございます。  それから、35ページの方をご覧いただきたいと思います。  勤労者医療のカリキュラムを看護専門学校で取り入れているところでございま す。  そして、労災の看護学校の学生の合格率ですが、99%までいっているというと ころでございます。  次に36ページをお開きいただきたいと思います。  これは先ほどご説明したとおり、13分野の臨床評価指標検討委員会というもの を開きまして、評価を行っているということで、その成果につきましては、右の 方の労災病院という囲みのところにございますが、14疾病で「A」、1疾病で 「A´」という形になっております。  それから、外部評価の関係でございますが、37ページをご覧いただきたいと思 いますが、日本医療機能評価機構の病院機能評価の関係でございます。  受審病院が平成19年度29病院ということでございます。  それから、認定病院数、これは28なんですが、ごく最近、結果待ちだったのが 出まして、29病院ということになっております。ほとんどの病院が機能評価の受 審を受けて、認定を受けているというところでございます。  それから、患者満足度調査につきましては、先ほど申し上げたように、80%以 上の満足度を得ているというところでございます。  それから、38ページをお開きいただきたいと思います。  医療の標準化ということでございますが、クリニカルパスの関係でございます。  四角のところをご覧いただければと思いますが、件数、それから適応率等も増 えている状況でございます。  DPCの関係でございますが、こちらも力を入れておりまして、平成20年度のと ころをご覧いただきたいと思います。  施設数が19年度は9施設だったものが19施設に増やしております。  これによりまして、2番目のポツのところでございますが、DPC分析ソフトの 活用ができます。ベンチマークを行いまして、分析結果のフィードバックを行っ ております。  その例は右のグラフにございますが、抗生剤の投与を24時間以内にやった場合 のケースでございますが、福島、浜松などは、中止率が非常に高いわけでござい ます。しかし、その右下のグラフを見ていただきますけれども、早く中止をして いるんですが、術後感染症の発症はそれほど出ていないというのがこのグラフで あらわれておりまして、ベンチマークを行った1つの結果ではないかと考えてお ります。  それから、39ページをご覧いただきたいと思いますが、安全な医療の推進とい うところでございます。  平成18年度に引き続きまして、全労災病院共通の医療安全チェックシートによ る取組とそれから労災病院群をグループに分けまして、グループ内の他の病院を チェックするという、安全相互チェックを実施してきております。  それから、新たな取組ということでございますが、医療上の事故に関するデー タの公表ということで、18年10月から事故、インシデント事例のデータ収集を開 始いたしまして、19年5月、ホームページ上に公表しているところでございます。  次に、40ページをお開きいただきたいと思います。  IT化の推進というところでございますが、右上のところをご覧いただきたいと 思います。  オーダリングシステムは、28施設。それから、電子カルテシステムについては、 2施設ということで入れております。  それから、41ページ、行政機関等への貢献ということでございます。  41ページは、アスベストの関係でございまして、非常にここは力を入れたとこ ろでございます。  真ん中のところでございますが、相談・健診、あるいは技術研修等の実績を載 せているところでございます。  相談件数につきましては、やはり3万7,000件、健診件数も同様でございます。 それから、技術研修も1,800名を超える方に研修を行っているということでござ います。  それから、真ん中の囲みのところの最近の対応例というのをご覧いただきたい と思いますが、これはマスコミ等でも報道されましたけれども、東京大田区のア スベスト問題への対応ということで、大田区と連携いたしまして、地域住民向け の説明会、集合健診を開催しているところでございます。  それから、真ん中辺の一番下のところでございますが、やはりアスベストの今 後の予測を載せておりますけれども、これについては非常に研究等も進んでおり ますので、対応をしっかりやっていきたいというように考えているところでござ います。  次に、42ページをご覧いただきたいと思います。  行政機関等への貢献のところでございますが、上の方でございます。アスベス ト以外でも国の設置する委員会に積極的に参加しているほか、真ん中の辺りでご ざいますけれども、医療救護チームの派遣、医療行政への協力を行っているとこ ろでございます。  それから、下の段の方になりますけれども、労災認定の意見書の作成ですが、 迅速化に努めておりまして、13.5日まで縮めているとこでございます。  それから、続きまして、43ページ、医療リハビリテーションセンター、総合せ き損センターの運営状況でございます。  ここでは、社会復帰率と患者満足度が指標になっているところでございまして、 真ん中の網掛けの部分でございます。  医療リハビリテーションセンター、社会復帰率は、平成19年度は80.4%。それ から、患者満足度につきましては、88.0%です。総合せき損センターについては、 社会復帰率85.0%、患者満足度は82.1%ということで、中期目標で示された80% 以上の数値を出しているところでございます。  それから、2のところでございますが、これらには職業リハビリテーションセ ンターが併設されているわけでございますが、連携を図っているところでござい ます。  それから、続きまして、44ページをお開きいただきたいと思います。  海外勤務健康管理センターのところでございます。  44ページは業務の概要を載せておりますので、ご覧いただければと思います。  45ページに具体的に何をやったかというのを載せておりますが、(1)のとこ ろでございます。  海外派遣労働者へのサービス向上ということで、ニーズに応じた健康診断、相 談対応を行ってきております。  それから、(2)のところでございますが、企業への対応ということで、新型 インフルエンザ対策マニュアル検討セミナーなどを開催しまして、ニーズに応じ た情報提供を行ってきていると。  その結果が、右の方に出ておりますので、ご覧いただければと思います。  センター利用者数につきましても、もうすぐ中期目標に達するところでござい まして、満足度調査も90%を超えている状況でございます。  それから、ホームページアクセス件数の方ですが、5万6,000件を超えており ますが、中期目標を達成したところでございます。  こちらのセンターも整理合理化計画の中で廃止とされておりますが、これにつ いても次期中期計画に向けて、対応を検討しているところでございます。  それでは、評価の方でございますが、資料1−1の22ページをお開きいただき たいと思います。  13分野の研究でございます。  取りまとめということで、大きな成果があらわれているんではないかと思って おります。  平成20年度は普及にも力を入れていきたいということでございまして、「S」 でお願いできればと考えております。  それから、26ページをお開きいただきたいと思います。  勤労者予防医療センターの関係でございます。  平成19年度で全ての分野で中期目標を達成しております。  そういったこともありまして、「A」でお願いできればということで考えてお ります。  次に、30ページをお開きいただきたいと思います。  地域支援の関係でございますが、体制整備の一環としまして、19年度、特に力 を入れた分野でございます。  紹介率も増やしておりますし、地域医療支援、がん診療連携拠点も大幅に増や したということで、「S」評価でお願いできればと思っております。  それから、37ページをお開きいただきたいと思います。  労災病院本体のところでございますが、高度専門的医療の提供ということで、 急性期医療、医療の標準化、それから人材の育成確保にも力を入れてまいりまし た。そういったことから、「A」評価でお願いできればと思っております。  続いて、40ページをお開きいただきたいと思います。  行政への貢献のところでございます。  今後も大きな課題でありますアスベスト問題に取り組んでおります。診療、診 断、治療はもちろん、他の医療機関に対しても研修ということで、支援を行って まいりました。そういったこともありますので、「S」評価でお願いできればと いうように考えております。  次に、42ページをお開きいただきたいと思います。  医療リハとせき損センターでございますが、社会復帰率、満足度の目標数値を クリアしておりますので、「A」評価でお願いできればと考えております。  続きまして、47ページをお開きいただきたいと思います。  海外勤務健康管理センターですが、こちらも利用者、それからホームページア クセス件数等で、大幅に目標を上回る数値を残しております。  「A」評価でお願いできればと考えております。  以上でございます。 ○井原部会長   ありがとうございました。  委員の皆様、評価シートへの評価等の記入をお願いいたします。質問がありま したら、ご発言をお願いいたします。 ○今村委員  ちょっとこの中期目標の本文とその内容との関わりについてちょっとお伺いし たいんですが、中期目標の設定の時点で、行政機関への貢献というときに、具体 的な貢献分野として非常に幅広く研究をしていらっしゃるんですが、その中で、 特にここではアスベストに限定して評価をしておられる印象があるんですがそれ 以外について幅広く行政への貢献という形にしているところが、ちょっと資料の 中に見えないんですが、それについてお教えいただければと思います。 ○労働者健康福祉機構総務部長  アスベスト問題を平成17年から大きく取り上げておりまして、研究等も私ども のグループで行っているということで、行政の貢献ということで、41ページは掲 載させていただきました。  42ページの方でございますが、こちらの方で、それ以外の貢献ということで、 じん肺審査医会ですとか、それから電離放射線の関係の検討会ですとか、そうい うものに出席させていただいております。  そのほかに、各地方にじん肺診査医等がございますので、それにも協力させて いただいていると。ここにアスベスト以外の協力ということで挙げさせていただ きました。 ○本寺委員  アスベスト問題の対応なんですけれども、これは他の組織や機関というのが対 応することはないというか、この機構ならではのユニークな取組だと思っていい んですか。 ○労働者健康福祉機構総務部長  いや、他の機関でも、そういうことはなくて、もちろん研究をやってらっしゃ るところもありますし、やはり呼吸器系の病院で、取り上げているところもござ います。  ただ、私ども、やはりアスベスト、粉塵ですね、労災と関りが深かったという ことがございます。  例えば、造船関係ですとか、建築、解体関係、そういった労災として起こって きたという経緯がございます。  それから、安全衛生の関係でも、石綿の防止ということで、労働行政が担当し てきたということもございまして、そういう意味では、先駆的にやはり私どもの グループはやってきたんではないかと思っておりまして、そこの部分は、強いの ではないかなと考えておるんですが。 ○労働者健康福祉機構総括研究ディレクター  13分野の研究でアスベストを取り上げておりますので、ちょっと追加させてい ただきますが、労災病院がやはり我が国では非常に中皮腫とか、あるいはアスベ ストによる肺がんとか、症例を多く持ってございまして、このアスベストの問題 が社会問題化したときに、我が国の中皮腫はどういう病気であるかとか、あるい は外国で言われているように、アスベストによるばく露したために引き起こされ ているのかとか、そういうことはわからないんですね。日本の中皮腫はアスベス トによらないというようなお考えの先生もおられまして、非常に路頭に迷ったわ けございます。そのときに、労災病院の先生が、各労災病院を回りまして、症例 を集めました。  それで、すぐに中間報告、130例の中皮腫に関する中間報告を出しましたが、 今年度は最終的に221例、これは冊子にまとめてございますが、221例の臨床を明 らかにしてございます。  それで、石綿のばく露率も10%か20%低いんじゃないかということだったんで すが、幸いなことに、労災病院では、入院患者さん全例について、職歴調査とい うのをやってございまして、それが非常に役立って、最初に出てきた数字が76% でございます。現在、80何%まで増えてございますので、そういう点でも労災病 院と先生方の日ごろの臨床の積み重ねが、このアスベスト対策に非常にお役に立 っているのではないかと考えてございます。 ○堺委員  医師確保につきまして、先ほど寺山委員からもご質問がございまして、理事長 から地域性の問題、その他いろいろお答えがございました。  その中にあって、しかし、高度医療、急性期医療に力を入れていこうとします と、どうしてもやはり医師のマンパワーというのが必要になってまいりますが、 このように非常に困難な状況のもとで、今、日本はある程度の規模の病院、グル ープといいますか、それがやっておりますのは、私の理解するところでは、やは り初期研修、それから後期研修の医師を、研修の質が高いということで、引き付 けるということに力を注いでいると思います。  しかし、それをやりますためには、指導者層の医師の支援が必要でございます。  メディカルクラークなど、最近国の一部そういうことは認めてきておりますけ れども、そちらの機構では、指導者層の中堅層の医師の支援をどのようにしてい らっしゃるか。ちょっとこの資料からよく読み取れなかったものですから、もし よろしければ。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  これは、平成19年度から開始したんですが、33ページのポンチ絵にありますよ うに、指導医講習会というのを、これは他の国病とか済生会は以前からやってい たということなんですけれども、指導医講習会を始めまして、今回は、30名、受 講しております。来年の4月からはそこにありますように、医師法の第16条の2、 第2項に規定する臨床医研修に関する省令の変更があり、講習会を受講した指導 医が、内科、外科、小児科云々ということで、配置されているとなっております ので、今後は年2回、それぞれ40名ずつ集めてやろうと思っています。  あといろいろ労災病院を調べてみますと、各地区で指導医の講習会を受けてい る人がいらっしゃるんですけれども、なかなか指導医講習会というのは応募者が 多くて、すぐ席がいっぱいになるということで、今後自前でこれをやっていこう ということで、とりあえず昨年度1回、今年度は2回を計画して、計画的に優秀 な指導医を育てて、それによって、臨床研修医を集めて、医師確保に資していき たいと思っています。 ○寺山委員  関連しまして、看護師の人材確保の問題なんですけれども、説明資料の35ペー ジに、合格率が大変よいと、ほとんど合格するということは大変いいんですが、 労災看護学校の卒業生たちが労災病院に就職する、非常に多くが就職していただ いているんでしょうかということと。  それから、労災病院の各病院が看護学生の臨床実習に積極的に取り組んで、さ らにはその学生たちが喜んでそこに就職していくというのが、自前でできる最良 の方法かと思うんですけど、その点については、どのような現状なんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  今、卒業生のほぼ全員が労災病院に就職しております。実際、300人近くが卒 業していますけど、ほぼ全員です。 ○寺山委員  1学年300人。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  370人が定員なんですけども、どうしても途中で進路変更とかということで抜 けていく人がいらっしゃいますんで、大体300人前後が卒業ということになって います。 ○寺山委員  労災病院は、ほかの労災看護学校以外からも実習生をとっているんですか。 ○労働者健康福祉機構医療事業部長  それぞれの地区で、いろいろな病院から、看護学校から実習を依頼されて実習 をやっております。  それは、もともと看護師さんというのは、足りないもんですから、学校とのコ ネクションをつけて、卒業生をもらえるというメリットもあるということもあり ますので、積極的にそれをやるようにしています。 ○谷川委員  資料の44ページ、45ページなんですが、海外勤務者の健康管理、私も企業に勤 める人間として、こういうサービスは大変ありがたく頂戴しているんですが、た だ一方では、ちょっと記憶で申し訳ないんですけども、在外企業協会か何かがや ってます海外邦人医療基金も同じようなことをやってまして、今あるかどうか実 はよくわからないんですけど、そういった同じような活動をやっているところと の、そういう意味では、重複してやってもしようがないと思いますので、同種の サービスを行っているような機関との間の役割分担ですとか、そういうことはど うなっているんでしょうかと。  今度は逆、またそれとは逆に、確かこれも記憶で恐縮なんですけども、熱帯医 学会だったかな、日本にはない病気だということで、特に、熱帯、亜熱帯に特有 の風土病あたりを扱う医学研究機関というか、そういうところがありまして、そ ういうところと逆に交流しておかないとうまくいかないというようなこともある と思います。  そんなことを含めまして、そういうところとの調整だとか、役割だとか、こち らの機構ではどの辺をご自身のメインのテリトリー、ミッションとして考えてお られるのかご説明していただけたらと思います。 ○労働者健康福祉機構産業保健部長  ご説明申し上げたいと思います。  今ほど海外邦人医療基金というところのお話が出てまいりましたが、こちらの 団体も活動されておりまして、実は、私どもの海外勤務健康管理センターと非常 に密に連携をとりつつ事業をこれまで展開してきているというところでございま す。  具体的に申し上げますと、海外で働いておられる方々に対する巡回健康相談と いうのをやっておりますが、こちらにつきましては、私どもと海外法人医療基金 が一体となりまして、展開をしておりますし、また海外法人医療基金からもいろ いろな情報が提供されておりますけれども、海外法人医療基金が海外勤務健康管 理センターのホームページとリンクをはるというようなこともやっております。  また、海外法人医療基金の方から海外の医療機関から研修生を受け入れて、研 修を私どものセンターの方で引き受けて、様々な技術的な面での支援を行うとい うようなことをやっております。  また、後の方でお話がございました、私も正式な名前は覚えておりませんが、 関係する学会等につきましては、こちらのセンターで、研究をやっております医 師がそういう学会に出ておりまして、こちらのセンターの方で行っております研 究内容についても、学会等で発表して、その中での情報交換、ネットワークの形 成に努めてきたところでございます。  いずれにしましても、海外勤務健康管理センターに関しましては、我が国から 海外に出ておられる方、多分民間企業関係者だけでも二十数万人、これは外務省 の統計で、家族の方を合わせると40万人ぐらいと言われております。そういう方 々に対しまして、赴任前、それから赴任中、帰国後、それぞれの段階にわたって、 ご本人と共にそういう方をお送りする立場にある企業の健康管理担当者を始めと する人事担当者もここに入ってくると思いますけれども、そういう方々に対して、 様々な研修を行って必要な情報を提供すると同時に、実際に海外に行っておられ る方に対しましては、例えばファックス、メールによる健康相談をお受けすると か、そういうような活動を続けてきているところでございます。 ○宮本委員  研究開発について伺いたいんですけれども、この機構でなければできない数々 の研究開発をやっていらっしゃるというところが分かったんですけれども、予算 や人員が非常に厳しい中で、この研究開発に関して、どのような問題があるのか。 あるいは問題なく、スムーズに行われているのか。その辺りについて伺いたいと 思います。 ○労働者健康福祉機構総務部長  予算的には、大体、8億円ぐらいの予算でやっておりまして、140名ぐらい、 兼ねている人もいるので、もうちょっと少ないと思いますが、140名ぐらいの研 究者の体制でやっております。  ただ、外部の方もいらっしゃるんですが、労災病院の兼務でやってらっしゃる 方も多いと。非常に病院の方が忙しくなっているという状況もありまして、厳し い中で、この研究をやってるというのが実情でございます。 ○井原部会長   よろしゅうございますでしょうか。  それでは、次に、グループ3に移りたいと思います。  これは、所要時間は、法人からの説明が5分。委員の評定と質疑が10分で合計 15分となっております。  それでは、まず法人からの説明です。 ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは、ポンチ絵の方、46ページをお開きいただきたいと思います。  産業保健推進センター関係をまとめてご説明したいと思います。  46ページは、産業保健推進センターの概念図でございますので、ご覧いただけ ればと思います。  47ページの方、どんな活動をやってきたかということでございます。  (1)のところ、研修の関係でございます。  (1)の四角の中の(2)のところでございますが、産業医の実務に関する小 グループによる事例検討。研修方法を工夫しております。そのほかに、下の方に なりますが、利便性の向上ということで、インターネットによる申込受付等をや っているところでございます。  それから、メールマガジンも全国で実施するように平成19年度はなりました。  それから、相談の質及び利便性の向上の取組ということで、専門性を有する相 談員の確保に努めております。  その成果、右の方でございますが、グラフはご覧いただくといたしまして、中 期目標に対しまして、専門的研修の方も118%、それから、相談の方も106%とい うような件数を挙げております。満足度も90%を超える満足度ということでござ います。  それから、48ページをご覧いただきたいと思いますが、情報提供、産業保健推 進センターのもう1つの柱であります情報提供関係でございます。  研究をやっておりまして、主要活用事例の最初の丸でございます。防塵マスク の着用についての事例でございます。  なかなか正しく着用されてないということで、アスベストを吸入しているとい うケースが多かったという調査結果が出ておりまして、右の方でございますけれ ども、産業保健センターにおける研修に活用したり、行政の対策にも活かされて いるところでございます。  それから、活用事例の3つ目の丸のところでございますが、メンタルヘルス関 係、これは大阪の事例でございます。  メンタルヘルス不調者の職場復帰の関係で、復職判断方法、復職後の措置、そ れから事業場における復職にかかる取組について調査を行いましたが、それが大 阪府の取組に活用されているということでございます。  それから、新たな事業としましては、網掛けの(2)のところでございますが、 精神科相談窓口のリストを整備して、事業所へ配布するという事業を行っており ます。  それから、(3)のところですが、ホームページのアクセス件数につきまして も、対中期計画を大幅に上回る実績を残しております。  それから、49ページでございますが、産業保健推進センター、助成金を2つ扱 っております。  こちらの方の指標は、手続の迅速化ということでございます。  真ん中の方にございます表をご覧いただきたいと思います。受付から支給まで の日数ということでございます。  中期目標では、小規模の助成金の方は、中期目標では、45日以内ということで したが、平成19年度で44日を達成しております。  それから、自発的健康診断の助成金ですが、これは25日以内ということになっ ております。19年度は29日ということになっておりますが、これは予算が足らな くなりまして、年度をまたいで支給したと。こういうことがなければ、24日で済 んでいるという事例でございます。  ポンチ絵の方は、以上でございますが、資料1−1の52ページをお開きいただ きたいと思います。評価の方でございます。  研修相談事業、どちらも19年度で中期目標の数値を大きく上回る実施回数にな っております。満足度も90%上回る高い数値ということで、「A」評価をお願い できればと考えております。  それから、57ページをお開きいただきたいと思います。情報提供事業でござい ます。  ホームページのアクセス件数が非常に大幅に中期目標を上回っております。そ れから、情報誌、事業主セミナーと普及活動も活発に行っているということで、 「A」評価でお願いしたいと思っております。  それから、62ページをお開きいただきたいと思います。助成金の関係でござい ます。  助成金、プレプリント化などによりまして、支給業務日数が減ってきておりま して、中期目標は達成しているということでございます。「A」評価でお願いで きればと思っております。  このグループは、以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  委員の皆様、評価表のご記入をお願いいたします。または、ご質問があればど うぞ、お願いしたいと思います。 ○今村委員  評価シート11の産業保健関係者への情報提供に関して、少しこの目標に関連し てなんですが、対象者は当然最終的には、勤労者個人だと思うんですが、勤労者 に対してどのように情報が伝わるのかというところがいまひとつ見えないのです けど。  あるいは、逆に言うと個人がそこの情報にアクセスするというルートがあるの かどうか、あくまでも企業を通じて、職場での周知徹底という形になっているの か。あるいは個人が、先ほど海外勤務の場合、個人がアクセスできるような仕組 みになっているのか。その辺もうちょっと教えていただきたいと思います。 ○労働者健康福祉機構産業保健部長  ご説明申し上げます。  産業保健関係につきましては、47の都道府県産業保健推進センターの全てにお きましてホームページを開設いたしております。  また、本部サイドにおきましても、ホームページを開設いたしておりまして、 インターネットを通じての情報のアクセスというのは、労働者の方が直接行うこ とが可能になっております。  その中におきまして、例えば私どもが行っておりますまさに現場に直結した調 査研究、今、産業保健の状況がどうなっているかとか、そういう行ったものの報 告書といいますか内容が全てとれるようになっておりますし、また平成20年度に おきまして各種研修等で使われている資料、本部のホームページ上にアクセスす ることによって、それを直接労働者の方も見ることができるようにしようという ことで、今、準備を進めているところでございます。  昨年度、評価委員会でそういうご指摘をいただいておりますので、それにお答 えしようということで取組を進めております。 ○労働者健康福祉機構理事長  ちょっと補足させていただきますと、この産業保健推進センター全国47に設置 してるんですが、都道府県に1つということもありますし、その設置目的が各企 業における産業医、それから人事労務管理者等への情報提供、相談活動というこ とでつくられているわけです。個々の労働者に直接説明していく、そこに応じて いくということには正直なってないのが実情でございます。  ただ、そういう産業医や人事労務管理者がそこを通じて企業内の産業保健活動 を活性化する、そういう形で実際労働者が恩恵を受けているかということをフォ ローアップの調査はしています。昨年もご説明したところですが、かなり実際上 の企業での産業保健、健康問題についての対策の質の向上につながったという数 字は出てきておるところです。 ○井原部会長  あとはよろしゅうございますか。  それでは、次のグループ4についての評価を行いたいと思います。  所要時間は、法人からの説明10分、委員の評定と質疑が10分の合計20分となっ ております。それでは、法人からの説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは、ポンチ絵の50ページをお開きいただきたいと思います。  未払賃金の立替払事業ということでございます。  上の段の太い線で囲った矢印をご覧いただきたいと思いますが、原則週一回払 いの堅持、それから、審査業務の標準化といった取組を進めまして、平成19年度、 受付日から支払日までの期間を25.6日ということで、昨年より3日、大幅な短縮 をしているところでございます。  最初、冒頭の理事長の話にもございましたが、制度発足以来最大規模の大型倒 産が英会話学校で、8,000人の従業員がいるところですが、そこで発生した中で、 この短縮を図っているところでございます。  それから、下の段、立替払金の求償の関係でございます。求償につきましても それぞれ清算型、再建型、いろいろなケースがあるわけでございますが、これも 力を入れて、少しでも弁済ができるような形で努力をしたところでございます。  それから、51ページをご覧いただきたいと思います。  リハビリテーション作業所の関係でございます。  こちらでは、社会復帰率が指標となっているわけでございます。  中期目標では、平成20年度に25%以上ということでございましたけれども、19 年度に30.4%ということで、中期目標を達成しているところでございます。  このリハビリテーション作業所につきましては、外部評価委員会の指摘等を受 けまして、見直しを進めてまいりました。平成19年度に下の方にございますけれ ども、20年3月31日をもちまして、北海道、広島の2つの作業所を廃止している ところでございます。  こちらにつきましては、整理合理化計画の方で、在所者の退所先の確保を図り つつ、縮小廃止するという記載がなされておりまして、今後の対応について検討 を進めてまいりたいと考えております。  次に、52ページをお開きいただきたいと思います。  納骨堂の運営業務の関係でございます。  平成19年度は、皇太子殿下にご臨席を賜った年でございました。  満足度調査の方をご覧いただきたいと思います。右の方でございますが、90% を超える高い評価を得ているところでございます。  それから、次に、財務の関係に移らさせていただきます。53ページをご覧いた だきたいと思います。  損益の状況を年度ごとに並べておりますが、平成15年度、当期損益、191億円 のマイナスだったわけでございます。  18年度、当期損益42億円まで圧縮してまいりました。  19年度は、47億ということで、5億円の悪化ということでございます。  詳しい内容をご説明してまいりたいと思いますが、54ページをお開きいただき たいと思います。  どのような要因でなったかと、冒頭の理事長の話とダブりますけれども、平成 19年度の文章のところをご覧いただきたいと思います。  19年度でございますが、診療報酬、マイナス改定の影響が非常に強く残ったと いうことでございました。  その中で短期的な利益の確保にとどまらず、中長期的な視点から医療の質、向 上、安全確保を目指すということで、診療体制の整備、強化を図ったということ でございます。  その中で、一定の伸びを確保しまして、経常損益については、改善を図ること ができたわけでございますが、なかなかその体制の整備、強化に伴う費用の増加 の影響もあり、改善幅は10億円にとどまらざるを得なかったという状況でござい ます。  さらに、増改築工事に伴う固定資産除却損がございましたので、18年度に比べ ると5億円の悪化を招いたということでございます。  まとめたものは、そこの絵の方に書いてありますのでご覧いただければと思っ ております。  さらに、詳しくしたものが55ページになります。  ご覧いただければと思いますが、平成19年度の(1)のところをご覧いただきたい と思います。  経常収益のところをご覧いただきたいと思いますが、経常収益の四角の下の方 にございます、在院日数の短縮、それから病診連携による外来患者の数の減が非 常に大きくございました。  それを上の方のポツに出ておりますが、医療連携の強化、上位基準の取得で乗 り越えて何とか増収を図ることができたわけでございますが、経常費用のところ をご覧いただきますと、やはり体制整備を図ったことによります給与費の増額、 それから、やはり経費の過重労働負担の軽減を図るために、嘱託医師の謝金です とか、それから看護師周辺業務の委託化、こういったことに伴います経費の増加 がございました。  こういったことで、やはり費用が増加したと。それから、経常費用の最後のと ころの黒丸になりますが、退職給付費用、これも冒頭申し上げましたが、サブプ ライム問題の影響によりまして、5億円ほど増加したということがございます。  こういうことで、経常損益につきましては、35億円ということで、10億円の改 善にとどまったということでございます。  臨時損益は、(2)のところでございますが、東北、関東、中部、こちらが工事が 終了したということもございまして、解体工事が発生して、12億円のマイナスが 生じたということでございます。  (3)のところで、合わせまして47億円の損失が生じたということでございます。  次に、56ページをお開きいただきたいと思います。  この47億円をどう解消していくかということでございます。  平成20年度に向けてどう取り組むかということですが、文章のところをご覧い ただきたいと思います。  私ども、病院の収支改善に向けたフォローアップ、予算執行の管理等の徹底を 図っていきたいというように考えております。  20年度、4月から6月までの動向を見ますと、収支差で見ますと、14億円程度 の改善が見られたということがございます。  それから、20年度におきましては、大幅な固定資産の除却損がないということ もございまして、47億円は何とか解消できるんではないかというように考えてお ります。  詳しい内容は、平成20年度の真ん中の四角に出ております。  理事長からの通知は、もちろん発出いたしておりますし、アクションプログラ ムということで、やはり状況の悪い病院につきましては、支出の執行停止などを 行う。  それから、先ほど説明した期末手当のカットなども行っているところでござい ます。  そのほか、労災病院では、収入確保対策として、上位基準の取得等をやるとい うことと、それから経費の削減にもいろいろと取り組んでいきたい。こういうこ とで何とか47億円のマイナスを解消していきたいというところでございます。  56ページの左の方に、ちょっと20年度を考えるに当たっての背景というものを 載せておりますが、その中で、サブプライムローンの問題がございます。ここに ついては、参考ということで、57ページに載せております。  ちょっとご説明いたしますけれども、当機構の年金資産につきましては、厚生 年金基金を通じて、資金運用を行っております。  平成19年度に発生しましたサブプライムローン破綻によりまして、実績運用利 回りがマイナス10.9%ということで、大幅に悪化しております。  これに伴いまして、退職給付費用が増加しているということで、19年度も影響 が出たわけですが、20年度以降、損益に影響が出るということでございます。  どのくらいの損失が出たかというのは、(1)、(2)のところでございます。  資産の大幅な減少、それから職員増等もございますので、合計で170億円とい うことでございます。これも一気には返せませんので、平均残存勤務期間で割り まして、7年間をかけまして、償却していくわけでございますが、大体、来年度 以降、平成20年度から毎年24億円ぐらいのマイナスが考えられるんではないかと いうように考えております。  これについては、今後の経済情勢の改善が強く望まれるところでございます。  続きまして、58ページをお開きいただきたいと思います。  人事に関する計画のところでございますが、一番上のところが、交付金事業の 定員の関係でございまして、平成19年度は計画どおり745人ということでござい ます。  それから、人事交流による活性化ということで、医師を除く職員の派遣交流制 度、転任推進制度の実績を載せております。  それから、職員の能力開発、モラール向上については、既にご説明しておりま すので、省略させていただきたいと思います。  優秀な人材の確保、これも大体ご説明をしたとおりでございますが、(3)の仕事 と家庭の両立支援ということで、院内保育所につきましては、平成19年度に2か 所設置いたしまして、15か所ということになっております。  それから、最後に60ページになりますが、営繕の関係でございます。  これまでご説明しておりますが、平成17年度に保全情報システムというものを 開発しておりまして、工事の集約化を図っております。  これで、経費の節減を図っているほか、右の方にございますが、建物の機能向 上と環境負荷の低減等にも力を入れたところでございます。  ポンチ絵は以上でございますが、資料1−1、65ページをお開きいただきたい と思います。  未払賃金の関係でございます。  請求書の受付日から支払日までの期間を大幅に短縮しているということでござ いまして、「A」評価でお願いしたいということでございます。  次に、68ページをお開きいただきたいと思います。  リハビリテーション作業所の関係でございます。  社会復帰率につきましては、目標である30%を超えたと。それから、施設の見 直しを行いまして、2カ所の廃止を行ったということで、「A」評価をお願いで きればと思っております。  次に、70ページをお開きいただきたいと思います。  納骨堂の関係でございますが、高い満足度を得たということで、「A」評価を お願いできればと思っております。  次に、74ページをお開きいただきたいと思います。  財務の関係でございます。19年度は中長期的観点から、体制整備に力を入れた わけでございますが、経営的には一時的なペースダウンをせざるを得なかったと いうことで、「B」評価にしております。  それから、77ページをお開きいただきたいと思います。  こちらは、短期借入金の関係で、ポンチ絵ではご説明しなかった部分ですが、 「B」評価でお願いできればと思っております。  それから、最後に、79ページになります。  こちらは交付金人員の削減につきましては、計画どおり行ったということと、 人事交流等により人材の有効活用を図っております。  営繕関係でも、建物の機能向上に努めておりますので、「A」評価でお願いで きればと思っております。  以上でございます。 ○井原部会長   ありがとうございました。  委員の皆様、評価シートへの評価等の記入をお願いします。その間、質問があ りましたら、どうぞご発言をお願いいたします。 ○篠原部会長代理  理事長に予算について質問したいんですが、運営費交付金については、独法評 価委員会ができて7年経つんですが、非常に問題があるということで、いわゆる 費用進行基準を採用していて、僕はこの費用進行基準というのは、臨時的な突発 的なものだと思っているんですが、ほとんどそれを採用している。  今回、費用進行基準を採用した場合は、理由を書けと言われているんですが、 当法人は、大体形式的な基準とか、今期やらないで翌期に伸ばしているとか、非 常に形式的なことを書かれていることが多いんですね。  当法人の場合は、運営費交付金というのは、病院収入がものすごくて、非常に 比率が少ないんですが、運営費交付金の扱いから見ると、病院事業の方の予算管 理についてもきちんとやっているだろうかと。非常に失礼な話なんですが、先ほ どの説明で、予算執行を徹底的に行うというご説明がありましたけども、病院事 業自体がどうやっていくかということに非常に興味があることは、先ほどの説明 で、かなり赤字が出ていて、それを着実に減らしていかなくちゃいけない。そう すると、通常よりはきちんと極めの細かい予算管理をしないと、難しいかなとい う気がするんで、その辺でどういう方針でやられているのかなと、ちょっとお伺 いしたいです。 ○労働者健康福祉機構理事長  病院事業の方の経理予算管理でございますけれども、これは大変こまめな管理 状況になっていまして、毎年1、2月には1か月ぐらいかけて、病院と徹底した 協議、議論を通じて、新年度への運営計画、それに伴う予算を決めるわけです。  同時に、私ども、やはりそれのフォローアップを、患者数、診療単価等々のデ ータについては、1週間ごとに進行管理を本部と病院の間でやっているわけです ね。  それで、各病院にも言い渡してあるわけですけれども、やはり当初の計画より も患者数が落ち、収入が落ちていくと、費用もそれに応じて減らしていきますよ と、執行を止めますよという管理形態になってるんですね。だから、そこはもう 本当に1週間、10日の単位でフォローアップされていく形で病院の予算と事業執 行の管理は、病院と本部の間で報告がなされているというふうにご理解いただき たいと思います。  それに比べて、先生がおっしゃりたいのは、運営費交付金についてどうなのか と。国から来る金と病院のように自前、自主財源で最近のような厳しい医療環境 の中で、必死に予算事業管理をやっていくような意識が、もしかしたら国からの 交付金についてはちょっと甘いんじゃないかというご指摘あるかもしれません。  今まで、私ども、費用進行基準、先生、昨年もご指摘いただいた件でございま すが、そういう点を中心に管理してきてますけれども、これは幸い、私ども、既 に始めているBSCの管理で、PDCAの進行管理というのが大分浸透してきておりま す。そういう意味では、費用進行基準以外のものも念頭において、もっと国から の交付金等についても目的にかなった効率的な予算管理ができる素地はできつつ あるんじゃないかというふうには認識しています。  20年度、そういうことで、費用進行基準以外のものに、踏み出しをしていくこ ろに差しかかっているということで、具体的には今作業に入ってますので、その 辺、また進捗状況をご説明したいと思ってます。 ○篠原部会長代理  ぜひ着実にやっていただきたい。  もう1点質問したいんですが、これは制度上の問題かなという気がしてるのは、 官と民の差というんですか、いわゆる公立病院というのは、有利な面もあるんで すが、いろいろと説明すると、学会へのあれとか、いろいろと研究をやらなくち ゃいけないとか、不利な面があると。これを全部、最初の理事長さんの説明でも、 全部病院収入で賄わなければいけないという部分があるんですが、そうするとそ れをきちんとやると黒字にするのはなかなか大変だなという気があって、僕も他 の公立病院なんかをちょっと聞いたところでは、ちょっとやっぱりげたをはかせ ているところもあるんですね。  アメリカなんかの場合は、やっぱり法律で、かかる費用の分を削除して、やは り民と同じ状態で比較するということをやっている。その辺で、まず医者の稼働 率というのは、実際に診療して、稼ぐ時間というのは、民間と比べて差があるん でしょうか。その辺の分析はされているんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  今日、資料を持ってきてませんけれども、直接医師の稼働率を計るとなると、 勤務という点からは、いわば夜勤といいますか当直回数、それに伴う残業、超過 勤務時間ということで計っていくのが1つございます。  それからもう一つは、受け持ちの患者数とか、1人で何人の患者を今抱えてい るか。そして、手術件数をどう見ていくか。それから、救急を担当していく場合 には、やはり夜間の時間外患者の受入れをどのくらいこなしているかという、医 師のデータは、正直、精査しております。  残念ながら、どの病院も一緒だと思います。労災病院特有の問題ではございま せんが、超勤なんかを見ると、大丈夫かという、私自身が心配しなくちゃいかん 実態にあることは、正直事実でございます。  そういったことの改善に向けていくために、これはこんなこと、時間制約され た中で申し上げていいのかどうかわかりませんが、医師が足りないということは 絶対的な状況ですけれども、日本の場合、病床数、100ベッド当たりの医師の配 置数というのは、ヨーロッパや医療が崩壊したイギリスに比べても、3分の1か 4分の1の人数で、医師が配置されている、非常に配置の薄い状態が、医師不足 という問題が表面化する以前からあったわけでございますので、やはり医療提供 体制について根本的な対応策というのはひとつ考えていかなくちゃいかん状況に、 これだけ高齢化を背景にしている国である以上、考えなくちゃならない段階に来 ていることは事実だろうと思います。  それから、もう一つは、大変お励ましいただいて、ありがたく思っております が、こうした政策的使命を抱えている病院は、例えば、自治体病院の場合は、あ る程度不採算でも市民の医療、そして二次救急等までは無理してでも受けていか なくちゃいかんという、これは労災病院は全くそこは一緒でございます。地域に 根ざす以上、それをやる。その上に、勤労者医療ということで、いろいろ研究活 動を他の医療機関とのカンファレンス、症例検討、いろいろなことに手を出して いきますもので、医師の勤務の過酷さというのは、相当募っていることと、本来 なら手術に回せる時間を回せない。これは他の病院との連携で、他の病院の方に お願いして、ある程度他の病院の機能でやれるものはそちらでお願いするという ケースもどうしても出てくる。  そうした意味で、根っこから黒字にしろというのは、黒字も収支差では黒字が 出ますけれども、ああいう建物、高額医療機器を全部自力で買っていけというの は、私はどこか限界、今は何とかこなしてまいりますけれども、これから5年後、 10年後、やっぱり医師の疲弊ということは大きな問題であり、そういうものをこ なしていけるかどうか心配になってきます。  これは、労災病院に限らず、日本の医療全体が、背負わなければいかんこれか らの課題だろうとは思ってます。 ○本寺委員  いわゆる13分野ということの中で、この労災病院が持っている位置付けという のは、強みでもあり、制約でもあると思うんですが、その部分が研修医の獲得に おいて、メリットとなっているのかどうかということをお聞きしたいのと、それ からもう1つは、例えば、ちまたで言われているような、いわゆるフリンジ・ベ ネフィット、研修医確保のためにいろいろと機関として提供している付加的ない ろいろなサービスというか補助みたいなものをやっておられるのかどうか。  あるいは、大局的な見地で、それから、もう1つ、これは理事長さんにお伺い したい。そういうふうに人材を確保するということで、組織の垣根とか、予算の 範囲を超えた形で流動的に、いい人材を確保するという意思決定が可能なのかど うかということで、ちょっとお聞きしたいと思います。 ○労働者健康福祉機構理事長  まず、研究の方ですけれども、これは大変先生方は苦しいですけれども、モチ ベーションの向上につながっております。13分野の研究、各病院横断的に、場合 によっては、外部の大学の研究者も加わっていただくネットワークの中で、こな しているわけですけれども、大変、熱心にむしろこういうことができるのが労災 病院の魅力だという捉え方をしていただいてます。  実際問題として、13分野以外にも自前収入の中で、これ以外の研究についても 例えばがんとか、そういったものについてもやりたい先生については、奨励をす る形をとってます。  優秀な人材の確保というのは、こうした研究活動とか、こういういわば労災病 院に勤務して、日夜診療活動に追われるだけじゃない、何か、プラスアルファが あるということが大変大事だろうと思ってます。  例えば、労災病院になれば、病院ネットワークですから、ほかの病院の先生方 といろいろな症例について研究できる、話し合える、そういう場が提供されると か。  労災病院の先生方が、しょっちゅう集まれる場があるとか、学会のような形、 そういうものを整備しながら、労災病院で働くことの魅力付けをいろいろ工夫い たしております。  根っこには、やはり先生方の最大の魅力というのは、もう1つは、最新の医療 機器、医療設備の中で、高い水準の医療ができる病院に行きたいという願望があ るんですね。  これに応えることが、ものすごく重要だと思っています。その点、資本力のあ る病院がいろいろと出てまいりますと、そういうところと勝負していかなくちゃ いかんという辛さはありますけれども、できる限り、平成19年度、ちょっと申し 上げましたように、そういうところをにらんで、計画的な整備をやっていくと、 このことは非常に重要だろうと思ってます。そういう感じがいたしております。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。 ○本寺委員  この機構の年金資産、資産運用管理とかはどういう体制でやってるんですか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  年金資産の関係につきましては、厚生年金基金という別のところの団体のとこ ろにそのものを預けておりまして、具体的には労働関係法人の厚生年金基金、53 年にできておりますけれども、そちらの団体の方で、国内、国外のいろいろな債 券等を買いながら資産運用をやっているということでございます。 ○本寺委員  すみません、これ、サブプライムローンということで、今期損失が出ていると いうことなんですが、多分全体のポートフォリオが株式とかの方が多かったんで、 アセットアロケーションをやるみたいなことをやらない限りは、改善できないは ずなんですね。  そういうことをこの機構から働きかけることができないということなんですか。 ○労働者健康福祉機構経理部長  機構の方から働きかけということは、基金の中でやっておりますから、当然、 その全体の加入者の団体は、27団体ほどございますから、その1団体でございま すけれども、実際の運用そのものについてのことはできないと思っております。 ○本寺委員  でも。 ○井原部会長  そんなもんらしいですよ。  よろしゅうございますか。  それでは、次のグループ5に移りたいと思います。  グループ5は、業務実績評価関係資料についての評価を行います。  所要時間は、法人からの説明が15分。委員の評定と質疑が15分の合計30分とい うことになっております。  では、法人からの説明をお願いいたします。 ○労働者健康福祉機構総務部長  それでは、資料1−2をご覧いただきたいと思います。  1ページをまずご覧いただきたいと思いますが、目的積立金ですが、これは当 機構では該当がございませんので、省略させていただきます。  2ページをお開きいただきたいと思います。  保有資産の関係でございますが、整理合理化計画の中では、速やかな処分をす るようにというふうにされているわけでございます。  若干ご説明したいと思いますが(2)の2のところをご覧いただきたいと思います。  売却等処分予定財産、21件ございましたが、現在までに7件売却しております。  19年度、14件あったわけでございますが、労災保険会館、恵那荘につきまして は20年度。その他休養所等、11件につきましては、21から22年度までに売却する ことということで、作業を進めております。  九州労災病院につきましては、移転が平成24年度ということで、適切な処分方 法を検討していきたいということでございます。  それでは、次に、4ページをお開きいただきたいと思います。  官民競争入札等の活用状況ということで、整理合理化計画の方では、私ども、 機構本部において一括して医業未収金について、民間競争入札を実施するという ことで記載されております。  この医業未収金の徴収業務でございますが、平成21年10月から開始する予定で ございます。  その前に、今年10月7日に官民競争入札等管理委員会事務局と調整を行って細 部を決めていく必要があるということで、それに向けた準備を行っているところ でございます。  それから、5ページ、コンプライアンス体制の整備状況でございますが、法令 遵守の関係でございます。私ども、職員就業規則、役職員倫理規程等の諸規定を 設けております。それから、各病院におきましては、倫理委員会を設けておりま して、法令違反行為を未然に防ぐ体制を整備しているところでございます。  病院ですので、医療事故がございます。それから、情報漏えい事故もございま したが、そういったものに対応するマニュアルも策定しておりまして、報告体制 も整備したところでございます。  監事監査規程によりまして、監査を行う体制も確立しているところでございま す。  6ページをお開きいただきたいと思います。  役職員の報酬、給与等の状況ということで、ラスパイレス指数の関係でござい ます。  事務、技術職員の関係は、100.5とほぼ同じでございますが、やはり年功が効 いている給与体系ということもございまして、年功的要素の見直しを図る必要が あると考えております。  それから、病院医師の関係でございます。  これは、117.6と、公務員関係では高くなっておりますが、参考のところに出 ております。民間との比較では82.5という数字になっております。  これはどういうことかというと、職務手当受給管理職ですね、それが82.3%を 超えると。それから、なかなか医師確保が困難な地域で俸給の加算措置をやって おります。こういうこともございまして、対国家公務員指数では、117.6という ことでございます。  ただ、この水準は、やはりどうしても医師確保の観点から必要な水準と考えて おりまして、これは維持させていただきたいというように思っております。  それから、病院看護師の関係ですが、104.5ということでございます。  ちょっとご説明はしませんが、中高年齢層を中心に国家公務員を上回っており ます。  やはり年功が効いている体系となっておりますので、年功的要素の見直しに努 めていきたいということと、看護師の需給状況に対応した水準としていきたいと いうことでございます。  それから、参考資料の方、これは簡単にだけご説明したいと思いますが、7ペ ージをご覧いただきたいと思いますが、役員報酬の関係でございます。  これにつきましては、平成19年度は、期末特別手当につきましては、0.14月分、 それから12月につきましては、0.25月分、もともとは3.3月だったのを2.91月と いう形でカットしているところでございます。  それから、ちょっと飛ばしまして、20ページをお開きいただきたいと思います。  総人件費の関係でございます。  表の方の給与、報酬等支給総額をご覧いただきたいと思います。  平成19年度、1,040億円ぐらいになっておりまして、前年に比べますと、19億 円あまり増えているところでございます。  これは先ほどのポンチ絵でも触れましたので、詳しくはご説明いたしませんが、 給与の支給総額が1.9%増ということでございます。  その要因が、(1)のところで出ておりますが、増員に伴う給与費の増、それから 施設廃止等によりまして、原因もあったわけでございますが、超過勤務手当が非 常に増えておりまして、それで8億円の増ということになっております。  それから、行政改革推進法で示されております総人件費改革の取組状況が下の 表に出ております。  基準年度が平成17年度ということで、1016億円ということですが、19年度、残 念ながら増えておる状況でございます。2.2%ということでございます。  これについては、先ほども申し上げましたが、非常に平均在院日数の短縮、新 入院患者の増などがございまして、非常に医療従事者の業務量の増加がございま す。これに対応せざるを得なかったということがございます。  一番下の、なお書きのところをご覧いただきたいと思いますが、私ども、「医 療の質、安全の確保の観点による医師、看護師の増員に伴う給与費の増」があっ たわけですが、それを除けば、削減率は、1.2%ということになるというふうに 考えております。  ただ、やはり私ども、アウトソーシング等を含めまして、人員削減には努めて いきたいと思っておりまして、一層の人件費の削減には努力してまいりたいと考 えているところでございます。  次に、22ページをお開きいただきたいと思います。  随意契約の状況ということですが、平成19年8月10日の独立行政法人整理合理 化計画の策定にかかる基本方針という閣議決定がございまして、これで随意契約 をなくしていこうということで、27ページをご覧いただきたいと思いますが、随 意契約の見直し計画というものをつくっております。  随意契約、18年度の実績が出ておりますが、見直し後でございますが、随意契 約の割合を今まであったもの、件数にして15.5%、金額で11.1%まで縮減してい こうという計画を立てております。  また、元に戻りまして、22ページをお開きいただきたいと思います。  この計画を立てて、19年度、どういう取組を行ったかというのが、こちらでご ざいますが、(1)の全体のところを見ていただきたいと思います。  競争入札は54.7%ということでございまして、ちなみに18年度は32.2%でござ いました。金額の方は、18年度、28.1%だったのが、40.4%という形になってお ります。  随意契約の方が、18年度、67.7%が45.0%、件数の方がそうなっております。 金額の方が、71.7%だったのが、57.8%ということでございます。  (2)の方は、同一所管法人ということで、機構と密接な関連があります、例えば 産業カウンセラー協会ですとか、日本赤十字社などとの契約を示したものでござ いますが、こちらの方も随意契約は、昨年よりは減らす形になっておりまして、 53.0%まで落としてきているということでございます。  それから、23ページの(4)の方をご覧いただきたいと思います。  随意契約の要件等を平成19年度、国に合わせるような形にしております。  それから、(5)でございますが、なかなか競争入札を拡大する取組といたしまし て、今まで競争入札が難しかった技術的要素等の評価を行う必要のある業務等に つきましては、相互評価方式を導入しております。  それから、24ページをお開きいただきたいと思います。  上のところでございますが、入札になるとなかなか事務面での煩雑さが増える ということもございまして、複数年契約の拡大ですとか、入札手続の効率化に努 めているところでございます。  それから、(6)のところでございます。  出資等を行っている関連法人としては、財団法人労働福祉共済会というものが ございますが、その契約関係をまとめたものでございます。その契約関係をまと めたものでございます。  これにつきましては、25ページの一番上の2のところをご覧いただきたいと思 いますが、契約件数も減らしておりますし、随意契約の方ですが、金額でも5億 円を減らしているということで、一般競争への移行に努めているところでござい ます。  それから、(9)をご覧いただきたいと思います。  各種、会議におきまして、これからは原則競争入札でやっていくんだというこ とを徹底して説明しているところでございます。  また、中ほどでございますが、仕様書の作成に当たっても、メーカーが限定に ならないような形で仕様書をつくるようにという指導を行っております。  こういったことを続けまして、随意契約見直し計画の計画達成に向けて努力を してまいりたいというように考えておるところでございます。  以上でございます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、委員皆様、評価シートの評価の記入をお願いいたします。質問等が ありましたら、どうぞ、ご発言いただきたいと思います。 ○谷川委員  18ページに病院医師の方々の給与水準の問題について説明されているんですが、 ここで、指数の状況で、対国家公務員ということで、比較をされているようなん ですが、単なる意見なんですけども、やはりお医者さんは、一つの専門職の世界 だと思いますので、その地域の中で、それぞれの診療科において、経験をベース にした給料なり報酬の水準が決まっていると思いますので、そこをベースにやっ ぱり処遇してあげないとなかなかお医者さんも集まらないんじゃないかなという 気がいたしまして、こういうふうに書かざるを得ないというのも分かるんですけ れども、そういった意味では、やはり病院で働く方の処遇というのは、やはりそ れぞれのベンチマークとすべき適正な対象との絡みで、どうしても決まってくる ということを少しはっきり書かれた方がよろしいんじゃないかなというふうな印 象を持ちました。単なる意見です。 ○篠原部会長代理  今のところとちょっと関連するんですが、独法になったときに、予算の消化の 仕方というのは、自立的に任されたと思っているんですが、病院事業の今言った ような医師の給料なんかもかなり僕は自由度があると思うんですが、その辺の拘 束は何かあるんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  これにつきましては、既に行政改革の推進に関する法律というのが一昨年の夏 に成立いたしまして、独立行政法人についても国家公務員に準じて、平成22年度 までに給与総額を5%減らすことを基本として取り組むと、こういうことが法律 上定められております。  基本としてというのは、どの辺までの許容度があるのかわかりませんが、これ が先生おっしゃったように、国からの交付金で我々事務的な事業を行っている独 立行政法人であれ、私どものように医療事業という、しかも国からはそういう医 療事業について一切金が入ってない事業を展開しているところについても一律な んですね。  我々は、例えば医師一人を確保すれば、収入は増えるわけですね、むしろ。医 師一人来れば給与の何倍かは収入も上げるし、医療の安全、質というものを考え た場合には、看護体制も厚くしていかなくちゃいかん。現に、診療報酬の仕組み というのは、看護体制を厚く、特にこういう急性期の医療を扱う病院については、 看護体制を厚くしていけば、厚く応えてくれる形になってるわけで、そういう中 で、独立行政法人、一律にどういう事務事業、特性を省みずに、5%削減するこ とを基本として書かれること自体は、大変経営の手足を縛られる仕組みにはなっ てることは事実でございます。  ただ、法律で決められてますんで、我々それを尊重しながら、何とか医療の安 全、質に関わる部分だけはちょっと別にしていただいて、これはやはり命に関る ような増員、体制整備というのは、これからもやっていくけれども、そういう部 分を除いてくれれば、何とかそういった方向に沿うように努力はしましょうと、 こういう気持ちで取り組んではおります。 ○今村委員  人事に関してのことで、関連してお伺いしたいんですが、6ページにあります 医師ではなく病院看護師の方で、一言で、年功的要素を見直しつつというふうに おっしゃっているんですが、これは暗黙に例えば成果主義みたいなことを考えて らっしゃるのかちょっとわかりません。これはやはり年功制度を見直すことで、 単純にそういった職場の、今おっしゃったように医療過誤を防ぐとか、そういう ことのモラルの面でマイナスが起きるのではないか。人事管理上いかがでしょう か。  これは成果主義の弊害ということで、指摘されているわけですけれども、そう いった単純に年功制度を直して、組織内での従来あった信頼とか、上下関係とか そういうものを壊すことになるんじゃないかという危惧もあるんですが、この辺、 背後では十分議論されていると思うんですが、その辺もう少し説明いただければ と思います。 ○労働者健康福祉機構理事長  私ども看護師にかかわらず、コメディカル、それから事務職含めて全体に年功 の賃金体系が非常に強く効き過ぎているものを含めて、これからどういうふうに 直していくかというのは、組合とこれから1つの課題として協議していかなくち ゃいかん。ご指摘になったような点も十分踏まえてですね、対応していくことに なろうかと思います。  看護師さんについて、例をとれば、やはりこうした在院数が20日ぐらいだった ところが、12、3日で回転するといいますと、病院のベッドの回転がものすごく 速い。これと同時に、医療機器も日進月歩、それを使いこなしていく看護師さん の対応能力というのは非常に求められてくるわけです。  そうしたときに、どうしても若手、中堅というのは、非常に対応能力が高いで す。むしろそういう人たちから見ると、そういう対応能力が欠け始めた50代やな んかの看護師さんに比べて、こんなにやっているのにという不満の方が現場では、 やはりそこはかなり出てき始める、その辺をどう調和するか。ただ、根っこの年 功ベースを全くゼロにするわけじゃありません。ある程度の生活設計がこなせる ことを前提にしつつ、そうした業務をこなしている。業務の質とか、負担度をど う加味しながら給与体系をつくっていくかということが課題になってくると思い ます。  その辺、医療の安全、質とかモラルにも十分注意しながら取り組んでいきたい と思っています。 ○篠原部会長代理  1点だけ質問させていただきたいんですが、国立大学法人も運営費交付金を削 減されているんですが、見てますと、優良級の学校は寄付を求めて、結構それが 集まるもんですから、削減あまりあるというんですか、ある意味では積極的にい ろいろな対策をやってる。いろいろな競争的研究資金も集めてると。そういう意 味で、いい面も出てるんですが、恐らく地方の場合は大変だろうなという気がす るんです。  ここで質問なんですが、労災病院も寄付を求めたり、あるいは共同研究という のは、あまり考えられないんですか。できないんでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  先生、ご指摘の点は、確かに入院収入、外来収入という病院活動による直接収 入以外に、いわば収入をもう少し確保する道を考えたらどうかというご指摘だと 思います。  それはいろいろ工夫いたしております。治験という仕組みの中で、一定の収入 を確保していく仕組み。それからやはり地域によっては、かなり患者さんの意識 が変わってきていますので、やはりアメニティの高い病室に入りたいという志向 も大分高まってきています。そういう地域については、部屋を改装してでも、ア メニティを高めて、収入の増額を図るとか、いろいろな診療活動以外の部分の収 入を求めていきます。  ただ、公的な病院なもんですから、なかなか一緒に形になることは難しいんで すね。  薬品会社から、治験の形はいいんですが、研究を1社との関係で受託していく 関係はなかなかつくりにくいことがあります。  それから、今、一つの方向として、地方財政法で、私どもは、自治体、市町村 から、救急活動等、積極的にやってるんですが、地方自治体から救急等について の助成を受けられない仕組みになってたわけですね。  これが今年の3月でそこを解除されましたんで、これがもう救急等、積極的に 取り組んでいるので、地方自治体から一定の助成を受けていこうとか、そうした 収入確保には、いろいろ意を尽くして活動しております。 ○宮本委員  少し内容が元に戻ってしまうかもしれませんけれども、入院日数を減らしてい るというお話ですが、入院日数を減らしたことによって、むしろ良くなったとい う評価のようですけれども、減らした分が在宅化、他の機関へという連携だと思 いますが、ちょっとその辺りがどういう具合にうまく行っているのかお話しいた だけますでしょうか。 ○労働者健康福祉機構理事長  これは、医療全体の急性期病院に対する医療政策全体の流れでございますけれ ども、やはり効率的な医療を求める中で、診療報酬をはじめとしたもろもろの仕 組みというものは、在院日数を短縮させる方向に求められています、政策上。  そういう中で、クリニカルパス等々の作成を懸命にこなして、そして、在院日 数の短縮に努めています。  ただ、同時に病院の場合は、メディカルソーシャルワーカー等が介在して、急 性期が終われば回復期リハの病床を持っている病院、慢性期を持っている病院、 あるいは介護、そして在宅とつながる中で、後方病院の確保とそこへのスムーズ な移動に努力しています。  そのための地域連携パスも、さっきちょっと絵の中でご説明申し上げましたが、 地域連携パスを地域の医療機関に働きかけて、共同作成するというような取組を かなり広めてきておりまして、そういう成果も現れてきて、在院日数短縮するこ とによって、患者さんにいわば非常に嫌な思いをさせるということを極力出ない ような努力を同時にいたしております。 ○井原部会長  よろしゅうございますでしょうか。  それでは、この労働者健康福祉機構の評価はこれで終わりにいたしますが、ま だ記入が終わってない委員の方で、本部会を終了した後で、会場にお残りになっ て記入したいとか、それから評価シートをお持ち帰りになって記入したい。そう いうご希望の方は、本部会終了後に事務局にお声を掛けていただきたいと思いま すので、よろしくお願いいたします。  次の議題に入る前に、法人及び法人所管課の入替えをお願いいたします (休 憩) ○井原部会長  それでは、皆さん、お揃いでございますので、始めたいと思います。  まず、勤労者退職金共済機構の個別評価に入りたいと思いますが、最初に樋爪 理事長からご挨拶をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構理事長  理事長の樋爪でございます。  平成19年度の個別評価をいただくこの機会に、一言ご挨拶を申し上げます。  平成15年10月に独立行政法人になりました我が機構にとりまして、平成19年度 は第1期中期計画の最終年度に当たる大変重要な年でございました。  機構の運営に当たりまして、19年度中、印象に残ったことを資料2−5という のがございますが、色刷りの資料でございます。その3ページをちょっとお開け いただきたいのですが、平成19年度の業務実績の概要というページでございます。  この記述に即しまして報告させていただきます。  まず、第一に申し上げなければならないのは、米国のサブプライムローン問題 に端を発する国際的な金融資本市場動揺の影響を強く受けまして、資産運用面で 独法化後初めて損失を計上したことであります。  このため、18年度末には152億円にまで減少した中退共の累積損失が19年度末 には1,564億円。その表にあります林退共と合わせた数字ですと、1,578億円でご ざいますが、ここまで増えてしまったことは大変残念なことでございました。  後に詳しくご報告いたしますとおり、我々の資産運用は、概ね市場の状況に対 応したパフォーマンスをあげておりまして、その意味では、19年度はやむを得な い損失の発生であったと申せましょうが、近年の国際金融市場の振れは余りにも 大きく、各国当局、特に米国の金融当局の適切な対応が切望されるところであり ます。  第二は、平成19年10月に国会等で指摘されました中退共の未請求と特退共の長 期未更新の問題であります。  昨年度の独立行政法人に関する見直しによって指摘されました要改善事項の中 で、我が機構にとっては、これを最重要の課題と受け止め、既に昨年春から手が けておりました対応策を前倒しで充実させるとともに、第2期の中期計画に抜本 的な改善策を盛り込むことといたしました。  ご承知のとおり中退制度は機構と事業主との間に交わした契約によって、第三 者である従業員に退職金を給付する仕組みであります。  このため、今後は事業主の立場に十分配慮しながら必要に応じ、直接従業員に 連絡をとるなど、退職金の確実な給付に向けて努力していくことが肝要と考えて おります。  第三に、我々が最も基本となる目標と考えております加入者の着実な増加につ いてですが、平成19年度も中退共の目標達成率が117%に達しましたことから、 全体としても目標を7%強上回る増加を達成できました。  特退共各本部は、総じて業況が冴えず、また制度の成熟が進んでいることから 苦戦を強いられましたが、こうした中で、清退共が8%弱の超過達成を実現し得 たこと、我々の努力の成果として喜んでおるところであります。  以上のように、平成19年度はやや波乱含みの年でありましたが、後日、評価を いただく第1期中期計画で括って見ますと、加入者数は計画を上回り、累損も解 消計画を上回るテンポで減少が進みました。これらを支える業務運営の効率化の 点でも、おおむね初期の目標を達成できたように思います。  時代の変化は大変激しく、今後も中退制度の運営は容易でないと思われますが、 第2期の中期計画を達成すべく組織を挙げて取り組んでまいります。  変わらぬご指導ご鞭撻をお願い申し上げまして、ご挨拶といたします。ありが とうございました。 ○井原部会長  どうもありがとうございました。  それでは、これからの進め方でございますけれども、勤労者退職金共済機構の 個別評価につきましては、評価シートの個別項目を3つのグループに分けまして、 それに業務実績評価関係資料を1グループとしまして、合計4グループをグルー プごとに評価を行ってまいりたいと思います。  まず、グループ1についての評価を行います。所要時間は、法人からの説明20 分、委員の評定と質疑15分の合計35分となっております。  それでは、法人からの説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  総務部長の清川でございます。  それでは、個別評価項目に従ってご説明させていただきます。  先ほどの資料2−5の4ページから各評価項目につきましてまとめてございま すので、そちらをご覧になりながら聞いていただければというふうに思っており ます。  まず、第1グループとして評価項目1から5までについて説明をさせていただ きます。  まず、評価項目の1、効率的かつ柔軟な組織、人員体制の確立でございます。  5ページに平成19年度の取組について書かさせていただいております。  まず、組織体制の整備といたしましては、先ほど理事長からも話がありました ように、非常に大きな課題でございます退職金未請求者の縮減に取り組むという ために、新たな組織といたしまして、中退共本部に給付推進室を設置することを 19年度に決定いたしました。これを20年4月1日から設置したところでございま す。  また、研修の充実といたしまして、下の表に平成18年度から19年度という形で 書かさせていただいておりますけれども、19年度、そちらに書いてございますよ うに、737人の方に参加いただくということで、前年度を6割程度、60%以上を 上回る研修を充実させていただいたところでございます。  併せて新たな試み、内容といたしまして、上のところに書いてございますけれ ども、中核的人材育成研修ということで、課長クラスの方に機構の課題、例えば 加入者サービスでございますとか、審査の効率化でございますとか、そういった 課題に関するレポートを提出していただきまして、これに基づきまして、役員の 方といろいろディスカッション、意見交換を行うということで、管理職員の問題 解決能力の向上、ひいては管理職員の意識改革を図ったところでございます。  また、保険数理研修として、アクチュアリー養成講座への職員の派遣。また、 コンプライアンス研修などの実施を行ったところでございます。  また、真ん中のところに書いてございますけれども、部長、次長、課長に対し まして、独法会計基準の研修も実施したところでございます。  このように、必要な組織を柔軟に設置するということと合わせまして、研修の 充実を図ったということで評価項目1につきましては、自己評価「A」という形 にさせていただいているところでございます。  次に、評価項目の2、内部進行管理の充実でございます。  内部の進行管理、業務運営全般にかかることですけれども、これは機構、従前 からPlan、Do、Seeというサイクルに基づきまして進行管理をいたしているとこ ろでございます。  全役員、全部長をメンバーといたします理事会におきまして運用の基本方針を 決定し、各事業本部でそれを展開すると。その結果につきまして、年5回、業務 推進委員会で中期計画、年度計画の進行状況につきまして評価、検証を行うとい う形で実施しているところでございます。  1枚めくっていただきまして、資産運用のような外部の有識者の意見を伺う、 いろいろな知識を借りるという意味で、そのPlan、Do、Seeに合わせまして、左 側の箱にございますけれども、金融関係の外部の専門家の方々にALM研究会、あ るいは資産運用検討委員会といった場でご助言をいただき、また評価、検証に当 たりましては、右側の箱でございますけれども、やはり外部の専門家からなる試 算、運用、評価委員会で運用結果に対する評価を聞かせていただき、客観的、か つ公正な評価を得ることに努めているところでございます。  先ほど理事長からもお話がございましたけれども、特に平成19年度大きな課題 でございました未請求に対する取組につきまして、進行管理という観点からご説 明させていただければというふうに思っております。  まず、この未請求者縮減のために、平成19年7月に関係の役員、部長等で構成 する検討委員会を設けまして、そこで対応策の検討、あるいは実施状況の検証を 行ったところでございます。  その対応の柱といたしまして、まず未請求者に対する請求勧奨でございますけ れども、平成14年度退職者につきまして、19年度末で5年間で時効になるわけで ございますので、その時効に達しないように、14年度退職者で未請求者につきま して、事業主を通じて、当該労働者の住所情報の提供を依頼する。そして、得ら れた住所情報に基づきまして、直接未請求者に対して請求手続を促すという取組 をしたところでございます。  これによりまして、3月までの間に、請求書の受付を確認できたのが1,538件 ということで一定の成果を得ているところでございます。  併せて広く被共済者に呼びかけるという観点から、真ん中の箱でございますけ れども、被共済者に対する注意喚起といたしまして、フリーコールを設置いたし まして、それぞれの照会に適切な対応を行う。また、そういったフリーコールを 設けたと、それぞれの照会を呼びかけるために、まず全国紙の朝刊に広告を掲載 するというようなことを合わせて行っております。  また、ホームページ、その他で、注意喚起を行っているところでございます。  平成20年度以降につきましては、一番下の箱でございますけれども、共済契約 者を通じまして、被共済者に加入通知を送付する。あるいは、ホームページで自 ら勤めた事業所が加入していたかどうかを確認できるよう、加入企業名を掲載す る。  あるいは、従来の取組を引き続き未請求者がいる契約者に住所情報を求めて被 共済者に対して、請求手続を要請するというような取組を行っていくということ を考えているところでございます。  もう1つの課題でございます長期未更新者に対する取組ということで、特定退 職金共済制度、手帳に働いた日に応じて証紙をはっていくという制度でございま して、1年間働くと1冊の手帳が終わって更新するという形に制度設計されてい るわけでございますけれども、3年間、共済手帳の更新がない被共済者につきま して、最終で更新された事業所を通じまして、住所情報を入手し、手帳の更新、 あるいはもし引退されている場合は退職金を請求いただくよう要請したところで ございます。  特に、建退共事業におきましては、この問合せに対して無回答だった事業主に 対し、さらに電話によって二次調査を実施するというようなことで、手帳の更新、 あるいは退職金請求についての取組を進めたところでございます。  建退共、そこにございますように4万件近くの要請によりまして、手帳更新、 あるいは退職金請求がそういった実績が上がっているところでございますし、清 退、林退においても同じような取組を行っているところでございます。  清退、林退におきまして、建退で行ったことと同様に無回答だった事業所につ いては電話によって再度問合せを行うという取組も始めたいというふうに考えて いるところでございます。  あわせて加入通知の実施ということで、建退共事業におきましては、新規加入 の時点で被共済者の住所を把握し、加入したということを通知する文書を送付す る。これを平成20年度以降は、清退、林退においても実施するというふうに考え ているところでございます。  被共済者に対しても、そこにございますようにホームページ、あるいは業界紙 等々を通じまして、注意喚起を行い、請求、あるいは手帳更新をお願いするとい うことにさせていただいているところでございます。  平成20年度以降の取組がそこにございますけれども、一番下の4番目につきま しては、特に、建退共事業におきましては、事業所を転々とするわけですので、 それぞれのところで手帳を持っているというような場合が見られるわけでござい まして、19年度に構築いたしました被共済者重複加入システムを活用することに よりまして、複数の手帳を持っている、別々の事業所を持っているような方につ きまして、それを一本化することによりまして、適正額の支給を可能にしたとい うものでございます。  このように、進行管理につきましては、Plan、Do、Seeのサイクルをもって運 営するということと合わせて、大きな課題でございます未請求、あるいは未更新 に対する取組に積極的に取り組んでいったということで、自己評価として「A」 ということでさせていただいておるところでございます。  評価項目の3、事務の効率的な処理でございます。  事務処理の簡素化、効率化への取組といたしまして、平成19年度、機構内の事 務処理につきまして、課ごとに事務処理の点検を行い、その点検に基づきまして、 65件の見直しを実施するということで、そこに書いてありますような各種の見直 しを行ったところでございます。  また、退職金共済業務、あるいはシステム最適化計画を作成することによりま して、いわゆるペーパーレス化促進のため、今後取り組んでいくべき枠組みとい うものを作成させていただいたということです。  これらによりまして、例えば、後ほど詳しく申させていただきますけれども、 処理期間の短縮ですとか、あるいは確実な事務処理、あるいは情報の共有化、個 人情報保護の徹底、経費削減等の効果が出てきた。あるいは今後見込まれるとい うことと考えているところでございます。  このように、この項目については、ほぼ計画どおりに実施したということで、 自己評価「B」ということでさせていただいているところでございます。  業務運営の効率化に関する事項の評価項目4、外部委託の推進でございます。  14ページでございますけれども、こちらの左側に書いておりますように、現在 勤労者退職金共済機構におきましては、例えば各種の加入申込みにつきまして、 あるいは掛金収納等については金融機関に、また加入の勧奨、申込み、取りまと めについては事業主団体、また、資金運用、データ入力等については専門的知見 ・技術を有する企業にそれぞれ外部委託しており、現段階でも相当業務につきま して外部委託しているところでございます。  これらにつきまして、黄色い箱にございますように、例えば加入通知業務、あ るいはパンチャー入力業務等について競争入札の導入によって経費の削減を図っ たというようなこと。また、平成19年度の新規の外部委託業務として文書受入業 務の一部等について、さらに外部委託できることが可能かどうかという観点から 見直しを行い、外部委託を進めたところでございます。  ということで、評価項目4についてはほぼ計画どおり実施したということで、 自己評価「B」というふうにさせていただいてございます。  第1グループの最後でございますが、評価項目の5、業務運営の効率化に伴う 経費の削減でございます。  業務運営の効率化に伴う経費削減の結果を数字で表させていただいているとこ ろでございますけれども、平成14年度におきます削減対象経費の予算額、50億 9,489万円。この基準額に対しまして、中期目標の最終年度である19年度におい て、13%削減するというのが中期目標に掲げられていたわけでございますけれど も、19年度の削減対象の決算額、一番下でございますけれども、43億4,613万円 ということで、14年の基準額に対しまして、14.70%の削減ということで、目標 を上回る削減に取り組むことができたというふうに考えております。  その削減の主な取組としては、右側にございますように、印刷製本費の減でご ざいますとか、借料の減というような効率化を図ったものでございまして、先ほ ど話の中で出てまいりました例えばシステムの最適化計画支援経費、あるいは未 請求対策経費という予定外だった支出項目も飲み込む形で削減を徹底することが できたというふうに考えてございまして、この評価項目5については、自己評価 「A」というふうにさせていただいているところでございます。  以上、第1グループにつきましての説明はこれで終わらせていただきます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、委員の皆様、評価シートへの評価等の記入をお願いいたします。ま た、質問等がありましたら、どうぞご発言をお願いいたします。 ○今村委員  手帳未更新者の問題ですけど、現住所把握の件ですが、前回の評価のときにも 話題になったんですけど、機構単独で可能かどうかという限界があるかと思うん ですが、省庁を超えて、例えば今朝の日経にも高山さんが現住所情報を全省共有 しようという提案をしてらっしゃいますけれども、そういう機構ないしは省庁超 えた形でのこういった年金関係、保険関係の情報を共有するという試みはアプロ ーチとしてはされているのかどうか。あるいはこの現状で住所把握は十分だとい うか、これが限界だと思っているのか、その辺もお聞かせいただければと思って おりますが。 ○勤労者退職金共済機構建退共建設業務部長  手帳未更新の問題でございますけれども、住所把握がポイントになるというの はご指摘のとおりでございまして、従来より長期未更新者調査ということで、事 業主を通じて 被共済者の住所を把握するように努めてまいりました。  ただそれも事業所を転々としてまいりますので限界がございます。どうしても 事業主経由で住所を把握しようと思っても、把握できない被共済者がまだまだい らっしゃいます。  そうしたことで、現在、まだ機構内部の検討でございますけれども、例えば住 基ネット、そういうのを活用できるような方策がないかどうかという検討を進め ておりますし、あるいはほかの団体でやっております新聞に被共済者の名前を掲 載して、その新聞を見た被共済者ご本人から申し出てもらうということを機構内 部の段階でございますけれども、案としては検討しております。 ○篠原部会長代理  評価項目5の16ページの平成19年度節減の主な取組ということで印刷機とか電 算機があるんですが、それと下に予定外の主な支出項目。  上は、まず19年度は運営費交付金なんでしょうかということと、下の予定外と いうのは、これは中期計画かあるいは年度計画の予算化されてないもので出たと いうことですか。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  予定外の主な支出項目に書かれているものにつきましては、中期計画の中で、 想定されていなかったということでして、年度計画の中では当然予算措置を講じ ているものでございます。  印刷製本費等々に関しましては、業務の内容によりまして、交付金からしてい るものと自前経費からしているものとございますので、両方入っているというこ とでございます。 ○谷川委員  ごく一般的な前提として教えていただきたいんですけども、4つ退職金共済を 持っておられて、テーマとして、業務の効率的な運営体制というのがテーマにな っておられて、そうなってきますと例えば全般的なことをやる組織とか項目とそ れから個別のそれぞれ制度をやる舞台と人で分けるとか、組織で分けるとか、こ この舞台は全般のことをやるんだよとか、そういう前提概念みたいなやつを、資 料2−3の決算書の5ページに組織図がついてるんですけど、これを見ますと、 今のようなことでいきますと、総務部だけが全部共通のことをやって、あとはも う別々に4つやらざるを得ないというふうに理解すればよろしいんでしょうか。 それが一番効率性が高いと。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  現行、退職金制度につきましてはご指摘のとおり4事業ございまして、それぞ れの事業について本部制ということで、担当の役員をトップといたしまして、区 分経理というものを厳格に維持した上で業務を執行しているということでござい ますので、それぞれの本部で行う個別の事務についてはそれぞれの本部で責任を とっていただくと。ただし、機構全体としての方向性につきましては、総務部が 全体を見渡して、総括をして、一定の方向性を与えるという考え方で進めている ところです。 ○谷川委員  ちょっと視点を変えますと、一回バラすとかなんとかいろいろな検証をやられ ても、やはりこうだという結論になったんでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  従前から、事業本部制の在り方についていかなる形が望ましいのかということ については、機構内部でも議論をこれまでもしてきたところでございますけれど も、あくまでも、特に特定業種、建設業、清酒製造業、林業につきましては、そ れぞれの業界の退職金制度であるということで、業界の考え方というものを踏ま えた業務遂行を行うことが必要であると。  特に、資産運用については、それが最も肝要なところだという認識でございま して、という制度の前提、または法律上も区分経理ということになっております ので、それを踏まえれば現行の体制が一番効率的な体制であろうと思っておりま す。 ○篠原部会長代理  今頃こんな質問をするかという、ちょっと失礼な質問なんですけど、これ、加 入促進して入る人たちは、正規従業員、パートとかいろいろと、これは事業主の 決定なんですか。どういう人がこの制度に入るのか。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  基本的に中退共の場合は、従業員全員加入という原則がございますけれども、 期間を定めて雇用される方とか、一定の方々については包括加入の対象にしなく てもよいという整理にはなっております。  いずれにしても中退共の場合は、職種はどのような方でも入れますので、事業 主が皆さん入れるということであれば、パート労働者であっても、嘱託さんであ っても、それは中退共の方に加入できると。  ただし、建設、特定業種の方はいわゆる現場労働者の方々のための制度でござ いますので、これは建設業の事務作業員は対象にならないと。建設業の場合は、 現場労働者は建退共に、事務作業員は中退共に加入していただきたいという区分 になっております。 ○篠原部会長代理  それを聞くとね、建退共の人の方が優遇されているというか、何でこんな質問 をするかというと、僕なんか直接じゃないけどいろいろな情報が入ってくると、 かなり小さいところの退職制度というのは、1週間きちんと働いたパートさんで も入ってないという方が多いので、そうするとその部分というのは、現実的には 差があるということです。  いわゆる建退共の場合は、現場労働者というのは大体正規じゃない場合が多い ですよね。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  日雇いという形が多いかと。 ○篠原部会長代理  そういう人が入ると。  そうすると一般的にいうと、流通業に働いている人は現実的にはあまり入って ない。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  いわゆる通常の流通業も含めて、特定業種として指定されているもの以外につ いて幅広く中退共の方でカバーをしておりますので、特定業種につきましては、 雇用関係が継続的でないということから個々の企業の退職金制度に加入できない ので、特別の制度を構築したというものでございます。 ○井原部会長  それではよろしゅうございますか。  それでは、次にグループ2に移りたいと思います。  所要時間は法人からの説明が15分、それから委員の評定と質疑15分の合計30分 になっております。  それでは、まず法人から説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは、評価項目の6から9につきましてご説明させていただきます。  資料17ページからでございます。  まず、評価項目の6、加入者の負担軽減でございます。  加入者の負担軽減という観点から加入者が行う諸手続につきまして点検させて いただきまして、29件の諸手続を見直したところでございます。  また、共済者、被共済者からの要望をお聞きいたしまして、ホームページにお きまして各種手続、様式につきましてダウンロードできるようにしたところでご ざいます。  諸手続の見直しといたしまして、様式変更、あるいは提出物の簡略化等を行っ たところでございます。  これらによりまして、加入者の負担軽減を図るとともに、特に一番下の箱でご ざいますけれども、電子化に向けた基盤整備といたしまして、本部、支部に帳票 イメージの伝送化、あるいはOCR化などにつきまして業務システム最適化計画の 中で推進していくということで、この最適計画を平成19年度つくって今後の事務 処理の効率化、迅速化、あるいは利用者サービスの向上を図る枠組みを翌年度策 定したということで、評価項目6については、自己評価「A」というふうにさせ ていただいているところでございます。  それから、評価項目の7です。やはりサービスの向上といたしまして、意思決 定、事務処理の迅速化でございます。  20ページをご覧いただければと思っております。  機構の大きな業務といたしまして、契約を結ぶ際の契約審査の業務。それから、 退職金支給申請を受けた退職金の給付の審査という2つがございます。  この2つの手続の審査処理期間短縮というものが利用者にとりまして非常に大 きなサービスの要因であろうというふうに思っているところでございます。  まず、中退共事業におきましては、契約審査の業務につきまして、平成17年に 処理期間、26日から23日以内というものを達成し、または退職金給付業務につい ては、18年6月に30日から25日というものをそれぞれ業務処理の見直し、あるい はシステムの開発などによりまして達成したところでございまして、これを19年 度においても維持したところでございます。  また、建退共事業におきまして、18年7月にOCR様式による請求につきまして は、処理期間を目標である45日から30日以内ということで達成し、19年4月から はこのOCR様式に全面的に移行したところでございます。  また、清退及び林退についても処理期間短縮にかかる目標、45日から39日以内 というものを達成したところでございます。  下の箱でございますけれども、清退、林退につきましては、まだ現行39日とい うふうになっているわけでございますが、これについて建退共事業と同じく30日 に短縮するということから19年に業務システム最適化計画において枠組みを構築 したところでございます。  事務改定前から現在に至ります6日の短縮につきましては、上の方の箱でござ いますいわゆる事務処理手続をいろいろ効率化を図ったということで、6日間の 短縮を行ったわけでございますが、今後更に最適化によりまして機械処理システ ムの改善等によりまして、9日短縮するということで、事務改善前と比べれば15 日間という大幅な支給審査に要する期間の短縮を行うことを目的とし、その枠組 みを構築したところでございます。  ということで、評価項目7の事務処理の迅速化につきましては、自己評価 「A」ということでさせていただいているところでございます。  次に、評価項目の8でございます。  情報提供の充実、加入者の照会、要望等への適切な対応でございます。  ホームページの充実ということで、左側の箱でございますけれども、Q&Aに おきまして、「退職者の税法上の取扱い」のページを見直し、要望に従って各種 所定の様式をPDFファイルにおいて掲載する、それから、動画を配信いたしまし て、動画によって制度説明、あるいは適年移行説明を行うということで、アクセ ス件数が2万件近くに上がっているところでございます。  一番下でございますけれども、ご意見、ご質問をベースにSSLを導入したとこ ろでございます。  これによりましてホームページのアクセス数は、右側の真ん中の辺りにござい ますけれども、前年比それぞれ2割強のアクセス増加を見ているところでござい ます。  なお、ホームページと合わせまして、平成19年度、電話によります質問への対 応についても29万件ということで、30万件近くに上っておりますし、主なQ&A を音声によって回答するテレフォンサービスについても4万8,000件、5万件近 くが寄せられているところでございます。  この照会・要望等につきましてのご意見の反映といたしまして、アンケートフ ォームをホームページに設置いたしましたところでございますけれども、「参考 になった」という方が85%、あるいは相談窓口に設置したアンケートはがきによ りますと、問題解決、あるいは職員の対応についてもかなり高い評価を頂いてい るというふうに思っておりますが、ただその中で幾つか出たご要望につきまして は、Q&A等の修正に反映させる、あるいは、出てきた意見に対しまして、定期 的に職員、あるいは相談員に情報提供を行うということで、改善点も反映させる ような仕組みを整えているところでございます。  以上で、評価項目8については、自己評価「A」というふうにさせていただい ているところでございます。  最後に、第2グループの最後でございますけれども、加入促進対策、非常に重 要な対策の1つでございます加入促進対策の効果的実施についてご説明させてい ただければというふうに思っております。  このそれぞれの共済を取り巻く環境は左側にございますけれども、1つは中退 におきまして、適年からの移行が一定数あるわけでございますけれども、これは 平成17年4月に上限制度を撤廃したということで、17年にかなり多くなったとこ ろでございますけれども、19年になってその効果が一巡したというようなこと。  また、建退においては公共工事の減少、また、清退、林退におきましてもここ に書いております非常に厳しい状況の中で、加入促進対策につきまして重点的に 取り組んだところでございます。  その結果といたしまして、右側に加入目標と加入実績を掲げさせておりますけ れども、中退においては117%ということで、目標を大きく上回り、また清退も 今回目標を上回る。建退、林退を含め、若干目標に及びませんでしたけれども、 あわせて機構全体として107.3%というふうな成果が出たところでございます。  1枚めくっていただきまして、それぞれを事業別に平成15年度からの加入実績 というものを書かさせていただいております。  それを見ていただきますと中退につきましては、各年度それぞれ加入目標を上 回っているということでございます。また、建退については、先ほども申しまし たように、建設工事を取り巻く厳しい環境の中で、また建築基準法の厳格化など の影響もあったわけでございますが、その中で、概ね中期的には目標を達成した というふうに考えているところでございます。  次に、清退、林退でございますけれども、非常に厳しい状況の中で、清退は今 回平成19年度初めて目標を上回る成果を上げたということでございますし、林退 についても新規事業者の減少という中で、17年度に比して18年度、19年度という ふうにもう一度増加傾向を見ることができたということで、これは加入に対して の取組が成果を上げたものというふうに考えてございまして、19年度自己評価 「A」というふうにさせていただいているところでございます。  以上で、説明は終わりです。 ○井原部会長  ありがとうございました。  それでは、委員の皆様、評価シートに評価等ご記入をお願いします。また、質 問等がありましたらご発言をお願いします。 ○宮本委員  1つ基本的なことを伺いたいんですが、ホームページにアクセス、加入者がと いうときには、事業主でしょうか。あるいは、働いている人がホームページ等に アクセスするというようなことはないのでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  両方、被共済者も含めて、ご質問ございます。 ○宮本委員  被共済者自身がこのことについて関心を持って動いているということはあるわ けですね。という質問は変でしょうか。  こういう制度に加入することができるということで、ご自分が関心を持ってい るということがあるわけですね。事業主ではなくて。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  ご加入の前にご質問をされるというよりも、様々な手続をご質問なさったり、 場合によって事業主の方のご説明があまり不十分でよくわからないといった場合 に直接私どもにご質問いただくといったような場合もございます。いろいろなケ ースがございますが、従業員の方が勉強されて、そのうちの1つの選択肢として 中退共制度なりで予定運用利回りが何%ですかとか、そういうご質問を頂くこと もございます。様々なケースがございます。 ○今村委員  これ、何回も同じことが出てくると思うんですが、加入促進対策の中で、中退 共が一番比率が高くて、117.1%を達成していて、ここが柱になると思うんです が、今後、適年の移行の問題とか制度的な制約が若干あると思うんですが、この 辺の業務、機構の柱としての対策といいますか、検討はどうされているのか、お 聞かせいただけますか。 ○勤労者退職金共済機構中退共業務運営部長  制度的な問題というのは、今の併用の部分、中退と適年を併用しておると。確 かに、法律上、今の現状ではもう既に併用されている企業については、移行でき ないということになっております。  それで、平成23年度末までの移行期限というものがもうすぐ目の前に迫ってお るところでございますが、ここの部分を当機構といたしましては、法改正等、要 望、これはもう今年に限らず数年前から要望を出して、何とか併用企業も移行で きるようにという要望は出しているところでございます。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。  それでは、次にグループ3に移りたいと思います。  所要時間は法人からの説明が15分、委員の評定と質疑が15分の合計30分となっ ております。  まず法人からの説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは、残っております評価項目10から16につきましてご説明させていただ きます。  まず、財務内容の改善といたしまして、累積欠損金の処理、評価項目の10でご ざいます。  累積欠損金の問題につきまして書かさせいただいておりますが、最初に理事長 から話がございましたように、いわゆるサブプライム問題に端を発しまして、国 内外の株式市場が非常に低迷したと。そういう影響を受けまして、平成17、18年 と減ってきておりました累積欠損金がまたかなり拡大してきているということは 非常に残念なことでございます。  ただ、左側の真ん中の図にございますように、この欠損金の解消につきまして は、17年10月に計画を立てまして、毎年度180億円を目安に長期的に解消を進め ていくと定めているところでございまして、19年度末まで、計画でいきますと 540億円の解消が目安でございますけれども、720億円の解消ができているという ふうになっているところでございます。  また、下のところに書いておりますけれども、掛金収入が目標達成を上回る、 あるいは経費節減を図るというようなことも含めまして、この欠損金の解消に取 り組んでまいっているところでございます。  右側が、林退共の給付経理についてでございますけれども、林退につきまして は、リスクを押さえたポートフォリオにより運用しているということではありま すけれども、やはり株式市場の低迷等の影響を受けまして、今年度利益金は少な くなってきているところでございます。  それでも、一定額につきましては解消が進められたところでございまして、真 ん中の表にございますように、毎年度定めております解消目安額に対しまして、 3年間、中期的な目で見ますと、293億円ということで、目安を超える解消を進 めているところでございます。  計画に沿っているということで、自己評価「B」というふうにさせていただい ているところでございます。  続きまして、健全な資産運用ということで、評価項目11につきましてはご説明 させていただきたいと思います。  29ページを見ていただきますと、ここで最初に申しましたように、外部の有識 者、専門家によります資産運用に関しましての評価をいただいておりますので、 その外部の評価をご報告させていただければと思っているところでございます。  まず、評価に当たっての基本といたしまして、資産運用の基本方針に沿った運 用がなされているかどうかを中心として評価することとしたということで、運用 目標の達成状況につきましては、4番目の丸のところで赤で書いてありますよう に、自家運用、委託運用全体でみれば、概ねベンチマーク等と同等のパフォーマ ンスとなっているというふうに評価いただいているところでございます。  ただ、その下でございますけれども、個別に見れば、ベンチマーク等を下回っ ている経理もあると。そのため、各事業本部におきましては、ベンチマークを始 めとする各種指標の動きを十分踏まえるとともに、資産配分上のリスクへの対処 について引き続き検討を行うなど、パフォーマンスの改善に向けた取組を行う必 要があるというふうにされているところでございます。  また、基本方針の遵守状況という面で見ますと、資産配分割合の乖離許容幅に 収まるようなポートフォリオ管理を実施するというようなことにつきまして、各 共済事業とも全般として運用の基本方針に沿った運用に努めていると評価できる というふうな評価を頂いているところでございます。  1枚めくっていただきまして、それぞれの事業別の委託運用、自家運用別のパ フォーマンス状況をつけておりますけれども、ベンチマークに比べて△のところ、 上回っているところもございますが、それぞれあるところでございます。  なお、特退の自家運用につきましては、一番下に※2のところで書いておりま すけれども、独法化に関しまして、時価で承継した国債、政府保証債につきまし ては、額面との差額を毎年度運用収入から償却しているため、参考指標に劣後す る傾向があるということで、それぞれに※3のところで、参考指標に準拠して計 算し直した場合、調整値というものを併せて書かさせていただいております。  いずれにしても、今後、中期的な制度の安定性及び健全性の向上に必要な収益 の確保に最大限努力してまいりたいというふうに考えているところでございます。  ここにつきましては、自己評価は「B」というふうにさせていただいていると ころでございます。  31ページは、平成18年度の運用実績に対する評価でございますので、割愛させ ていただきます。  それから、評価項目12の積極的な情報の収集及び活用でございます。  情報収集の場といたしまして、33ページでございますけれども、参与会という ものを設けさせていただいておりまして、外部の有識者、これは各業界の労使の 方々などが中心でございますけれども、そういった方々からいろいろご意見をお 伺いしているところでございます。  そこで、出た要望といたしましては、右側に書いております、例えばパートタ イム労働者の加入促進へのPR、あるいは存在意義のPR、退職未請求者への取 組の積極的実施というような要望をいただいておりまして、これを各本部の事業 運営に反映させるとともに、厚生労働省にもご報告させていただいているところ でございます。  また、情報収集の1つの方法といたしまして、退職金制度等についての実態調 査をやらさせていただいておりまして、主な調査結果、右側に書かさせていただ いておりますけれども、これらも各本部の事業運営に反映させていきたいという ふうに思っているところでございます。  また、発信という面では、統計資料についてホームページ等で掲載していると ころでございます。  計画どおり実施してきているということで、評価項目12に関して自己評価 「B」というふうにさせていただいているところでございます。  それから、評価項目13の建退共済事業の適正化の問題でございます。  これは、35ページを見ていただければというふうに思っておりますけれども、 平成11年あるいは14年に建退事業の適正化についてご指摘を受けたところでござ います。  それに対する対策といたしまして、下のところでございますけれども、共済契 約者に対して、確実な指導を徹底するということで、証紙購入実績があるにもか かわらず、2年間、それから手帳更新の手続をしていないというような共済契約 者に対しまして、手帳更新を行うように要請する。  また、2年経った後、それをフォローアップする意味で、さらに履行の改善が みられない共済事業者に対しまして、適切な措置をとるよう要請し、それに応じ て右側のところにありますように履行、あるいは解除といったようなフォローア ップを行っているところでございます。  2番目の被共済者に対する要請、あるいは重複加入のチェックの実施というの は、先ほどの長期未更新者に対する取組という中でご説明したところでございま す。  このように確実に進めているということで、この特退事業の建設業退職金共済 事業の適正化という点に関しまして、自己評価「A」というふうにさせていただ いているところでございます。  次に、評価項目の14でございますけれども、中期計画の定期的な進行管理でご ざいますが、この進行管理といたしまして、37ページにございますけれども、こ の年度計画の進捗状況につきまして、各役員等で構成します業務推進委員会とい うものを開催いたしまして、それぞれの本部から四半期における項目ごとの進捗 状況の報告を受け検証し、必要な措置を講じているところでございます。  この必要な措置の内容といたしまして、真ん中にございますけれども、四半期 ごとの予算執行状況を確認し、システムの最適化、あるいは未請求問題等、予定 外の必要経費を踏まえ、経費削減を指示する。  あるいは、新規加入者の状況について随時把握し、加入促進を強化するという ような取組を行っているところでございます。  あわせて、第2期の中期目標期間の取組につきまして、ここに書いております ような決定をいたしたところでございます。  このような取組から評価項目14に関しまして、自己評価「A」というふうにさ せていただいているところでございます。  38ページにつきましては、中退、建退、それぞれの未請求、長期未更新者に対 する取組でございますけれども、これは先ほどご説明したとおりでございます。  続きまして、評価項目の15の予算収支計画及び資金計画でございますけれども、 40ページを見ていただきますと、各年度におきます予算、決算というものを挙げ させていただいているところでございます。  平成19年度におきましては、予算70億円に対しまして決算が69億円ということ で、それぞれ新たに出てきました必要な費用に対しまして既存の経費を見直す、 あるいは四半期ごとの予算の執行状況を把握して、経費削減を指示するというよ うな努力によりまして、予算に対しまして6,900万円の減が実施できたというこ とで自己評価「A」というふうにさせていただいているところでございます。  評価項目の最後、16でございますけれども、職員の人事に関する計画というこ とで、最後のページ、42ページでございますけれども、まず人員に常勤職員数で ございますけれども、平成18年度に引き続きまして、19年度は期末257名という ことで、事務処理の効率により5名の削減を行ったところでございます。  また、人件費に関しましても、この削減と合わせて俸給表の見直し等を行った ことによりまして、平成19年度におきましては、中期目標期間において、平成17 年度比3%以上削減ということが目標として掲げられていたわけでございますけ れども、これを大きく上回る5.9%の削減を行ったところでございます。  今後ともこの削減に取り組んでいきたいと思っておりますが、さらに人件費の 削減によりまして、組織運営上の支障、あるいは労働インセンティブの低下等を 引き起こすことがないよう、モラルの維持にも努めつつ、取り組んでまいりたい というふうに思っているところでございます。  以上、説明を終わらせていただきます。 ○井原部会長  ありがとうございました。  委員の皆様には評価シートの評価の記入をお願いいたします。また、質問等が ありましたら、ご発言をお願いいたします。 ○篠原部会長代理  従来、財務に関しては、ここでほとんど発言しなかったんですが、昨年度、労 働部会の皆さんに発言するようにするということにした理由は、1つは、まず私 はこれが理解不能だとか、誤解を招くという指摘をすると、まず対応してくれな い。期待としては翌年度やってくれるんじゃないかという気があるんですが、そ れもやってくれないということがあるんで、じゃあ、議事録の残るここで発言し ようということでさせていただきます。  一つは、虚しいなと思うのは、私ども評価委員というのは、説明責任で一番外 部のものが最初に見るものだと思っています。その人間がそれなりに法律に基づ いた人間がわからないということに対して、何も対応しないということはどう考 えるでしょうか。ということがまず1点です。 ○勤労者退職金共済機構理事長  ただいまのご質問は、私の方からお答えさせていただきます。  私どもも予算管理というものは大変重要な経営課題というふうに考えておりま して、これまでも年度当初に予算総額に対して、必須見込額を費目別に見積もり ましたいわゆる執行計画というのをつくりまして、その進捗管理は四半期ごとに 厳密にやる。足りないところはきちんと対応するというようなことをして、経費 の節減に努めてきたところであります。  今年度以降は、既にご報告しましたように、従来の経費に加えまして、システ ム最適化であるとか、未請求、未更新対策といったような新たな経費の増加とい うものがあるわけでございまして、一層予算繰りが厳しくなってきておりまして、 その点、予算管理というのがますます重要になってきていると、こういうふうに 認識しております。  このために、平成20年度からは今までの措置に加えまして、部署別に費目別に 必要額を把握して、執行計画というのをつくって、それを部署別に進捗管理をし ていくという形で、一歩進めた予算管理を今検討しているところでございます。  また、常々先生からご指摘があります経費節減努力を財務諸表の当期利益に反 映させるべきというお考え、お考えとしては非常によく理解できるところでござ いまして、私どもも期間進行基準を適用できる科目とその方法につきまして、他 の法人、そういったことを実行している法人の例を調査した上で、これから検討 を行ってまいりたいというふうに考えております。 ○篠原部会長代理  積極的にやっていただくということでありがたいと思います。  法人だけの責任じゃなくて、やはり私ども監査終了した財務諸表を見るもんで すから、わからないよというと、まず直してくれない。  私、個人的には、もしわからないといったら「やり直せ」という権限はここの 委員会にあると思っています。ないという人もいるんですが。そのままやはり誤 解を与えるよということを私ども疑問を持ったときに、僕のレベルが低いかもし れない。だけど、それは人間として聞いているわけです。自分の能力で。  だからほかの人から見れば、お前の理解能力が低いんだろうという可能性もあ ることを僕なりにじくじたる思いで聞いてますが、やはりそういうものが出てき ちゃうという部分について、もう少しこれはここの法人だけじゃなくて、ほかの 法人も全部あるんですが、やはり理解しやすいものを提供するという姿勢という んですか、僕なんかはここまで監査をし直せという気持ちは正直いってあります。 今回もあります。明らかに変な文章ですからね。  だけども、それは抜いてはいけないという武士の刀と思っているんですが、や はり柔らかい対応としては、少なくとも4つやってくださいという気は僕はある んですが、やはりやられてない。  この労働部会は5つあって、過去、もう5年たちますよね。何回もこういう指 摘は僕はしているつもりなんです。  今回もあえて言ったのは、先ほどご説明していただいた期間進行基準は今期よ り採用している理由を書いてくださいという理由が中期計画とかに書いてないか らやらないと。これは自分で決めることをそこのルールにするというのは、やは り変ですねと僕は言っていて、その辺について、この文章は変ですというか、こ れは理論的に考えて、やはりこういう説明は私どもが正しいというのか。  その辺が僕なんかは、やはりこれは自分でつくるべきものが書いてなくて、だ からやりませんよというのは、僕は論理的に成り立たないんじゃないかという疑 問を持ってます。  それはどう考えてるんでしょうか。 ○勤労者退職金共済機構理事長  我々も費用進行基準というものが唯一のものだと考えているわけじゃないんで すけども、今の与えられた制度の中では、やはりこれがかなりの妥当性を持った ものかなというふうに考えている面が確かにございます。  それから、ご指摘のように会計監査人の方から、やはりこれで行くべきだとい う意見をもらっているということもございます。正直申しまして、非常に先生か らの厳しいご指摘もいただきまして、どういうふうに対応したらいいのかという ことをちょっと我々も考えあぐねているところがございます。  そこで、今のようなご指摘をいただきましたので、私どもの監査法人にも篠原 委員からこういう強いご指摘があったということをお話しまして、いろいろと彼 らにも検討してもらうということを考えたいというふうに思いました。 ○篠原部会長代理  ぜひ、お願いします。  僕も実は迷っているのは、会計監査人に対して、正式にこういうものを質問し ようかどうか正直今迷っています。会計監査人が反対しているということも僕は 十分前から知ってます。もし、費用進行基準以外を採用したら不適正にすると。 ですから、僕なんかもし不適正で出てくるんなら、ここで適正と言ったっていい んじゃないかという覚悟がある。  それと強く去年あたりから言うようになったのは、国立大学法人が、原則、期 間進行基準を採用しているんです。達成基準も研究において採用してますから、 そこで悲鳴を上げたとか、全然おかしな処理というのは少なくとも僕は聞いてま せんから、ここでいろいろな理由をつけてやる独法の方が、やる合理性が僕はそ んなにはないんじゃないかと判断してるんですね。  だから、僕は同じ監査法人が国立大学法人をやって、独法をやって、こちらは 不適正、国立大学法人は何の問題もないという矛盾を抱えているんじゃないかと いうことで、僕は言っているつもりなんですね。  今まではそういうことをちょっと言わなかったんですけど、やはりどこかで、 ほかの法人にも言いましたが、費用進行基準というのは、国立大学法人も私ども の理解でも、突発的な臨時的な費用のみで、期間進行基準とか何か管理やるでし ょうと。民間では予算管理やってるんで、費用進行基準を採用しているというこ とは、少なくとも外に対して公式に私どもは予算管理をしてませんということを 証明していると僕は感じています。はっきりいって。そういうふうに感じます。  というのは、やはり独法が今何らかの予算管理をやってるはずなんだから、今 の費用進行基準以外を採用できないというならば、何で私どもは制度上おかしい んだと。改定しろという提案は監査法人からも独法からも去年の改定のときには なかったと僕は聞いてます。  ということは、予算管理をきちんとやらない費用進行基準でいくということは、 やはり僕は本来の独法の趣旨からしたらよくないんじゃないかと。もともと目標 管理ということで運営費交付金は1項1目、理事長以下、その運用については全 部お任せしますという形で、実際は出てないんですが、やはり法律上はそうなっ ているんで、やはり費用進行基準だけでいくということが、もともとの制度を否 定しているという僕は理解をしてもらいたいような気がしますが、実は前から言 ってる、僕が必ず枕詞で言ったのは、公認会計士の99%がこの制度を、運営費交 付金、反対してますと。その話ならば、僕は反対するんだったら、何で提案しな いか。で、ずるずる来ているんだ。  やはり今いろいろなマスコミ等で言われているのは、僕は予算管理の問題だと 思ってます。  予算管理の問題で、少なくともアメリカではいろいろとやって失敗していると。 これは我々は今までの官庁予算と違った目標管理で行こうという、一つの、世界 にものすごく珍しい仕組みだと思います。それをあえて皆さん否定して、費用進 行基準でいるというのは、次の予算管理に対する一歩が進まないと僕は見ている んですよ。  何で進まないか。そこでやってみて、おかしいじゃんという話が出てくればい いんだけど、頭でみんな考えて、こんなものおかしいと、会計監査人もそう言っ ている。それで、進まないというのは、やはり僕は変じゃないかという意識があ るんで、ただ、先ほど理事長さんが言いましたように、百幾つかあって、費用進 行基準以外を採用している独法は十幾つしかありません。  これは、僕は、ここの労働部会だけで言うというのは、やはり失礼かなという 気もありながら、やはり言っておかないと、「赤信号、みんなで渡れば怖くな い」の状況でいるというのは、やはり変だなという気がするもんですから、あえ て法人を非難しているというよりは、制度とか会計監査人の部分が頭にあります ものですから、今の法人の状況というのを僕も今言った論調で非難している気は 全然ありません。  だけどやっぱりそれぞれの法人が一歩ずつ進んでいただけないかなという思い があるもんですから、すみませんが、申し上げた。 ○勤労者退職金共済機構理事長  よくわかりました。検討いたします。 ○谷川委員  ごく一般的な質問を2問ほどさせてください。  よくわからないんですが、資産の運用、ファンドマネジメントって、専門家か 何か委託されてるんですか。  資産をお持ちですよね。共済金の掛金の収入があって、それをファンドにされ てますよね。そのファンドそのものはどこかで誰か専門家が運用されてるんです か。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  それぞれ、各本部から信託銀行等の運用機関に委託してます。委託部分につい てですね。 ○谷川委員  いや、知りたいのはですね、100億円なら100億円のお金をどういう形で信託に するのか、何にするのかというようなことをポリシーを決める機能みたいなやつ はどうされているんですか。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  資産運用の基本方針につきましては、それぞれの事業本部におきまして資産運 用委員会という場で、専門家の意見も聞いた上で、基本ポートフォリオの策定を しております。  国内外の株式、国内外の債券、どの程度の配分割合をするのか各本部で決定を しております。 ○谷川委員  そうすると資産マネジメントそのものは、機構の方でやっておられると。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  基本的に機構でやっております。 ○谷川委員  ポートフォリオの中身を何%にするとか、株に何%資産を配分するというのは、 それぞれの4つの本部でやっておられると、こういうふうに理解すればいいです か。 ○勤労者退職金共済機構総務課長  そういうことです。 ○谷川委員  それから、もう1つ、それとの絡みで、30ページに、給付って書いてあるんで、 ちょっとよくわからないところがあるんですけど、収益率がマイナスでと、ベン チマークと書いてあるんですけど、4つに分かれて、ここで時価運用と書いてあ るのは基本的には国債だと思えばよろしいんですか。 ○勤労者退職金共済機構理事長  はい。国内債券です。 ○谷川委員  国内債券。国債ではなくて。 ○勤労者退職金共済機構理事長  はい。国債だけではなくて、一部社債とか何かも入ってます。国内債券という カテゴリーです。  先ほど申しましたように、ALM委員会ないしは資産運用検討委員会という外部 の識者を集めた委員会でもって基本的な運用の方針とか、基本ポートフォリオと かというものを検討してもらいまして、そういう意味では、専門的な知見を含め た形で今のような状況ではどの程度のリターンを狙って、どの程度のリスクをと るかということについて、一応専門家の議論を踏まえてそういう基本的な運用方 針ないしは基本ポートフォリオというのを決めるわけでございます。  それをもって今度は実際に運用する過程では先ほど課長が説明したような資産 運用委員会ということで、中退共の場合は毎月、特退共の場合は四半期に一度そ ういう委員会をもって実際の運用をチェックしながら進むというやり方をしてお ります。 ○谷川委員  ちょっと細かいようなんですけど、委託運用と自家運用とここで書かれている 中身の委託というのはお金を丸投げすると理解すればいいんですか。 ○勤労者退職金共済機構理事長  基本ポートフォリオで、例えば国債が7割、株が1割、それから外国株式が例 えば1割、外国債券が何%というふうに、そこまでは決まって、そのポートフォ リオの配分の範囲で委託先に運用を任せているわけです。 ○谷川委員  そうすると個別の銘柄は委託先で決めていると。 ○勤労者退職金共済機構理事長  そうです。おっしゃるとおりです。 ○谷川委員  自家運用の方は、個別の銘柄まで全部自分で決めると。 ○勤労者退職金共済機構理事長  そうです。 ○谷川委員  資産運用って、ものすごく難しい問題があって、ベンチマークに行かないと運 用責任みたいなものが出てくるもんですから、考え方として、そうすると運用責 任が発生したときに、その責任をどうやってコンペンシェートするのかという議 論にもなりかねないので、むしろ私の意見みたいなやつなんですけど、もうそれ だったらはっきり幾つかの委託、ファンドマネージャーに競札をさせて、プレゼ ンテーションさせて、その中から1つ選ぶというようなやり方をやった方がいい ような感じがしたもんですから、ちょっと細かく。 ○勤労者退職金共済機構理事長  はい。ご意見として承りますけれども、我々の考え方は、やはりマネージャー も複数、ある程度の数を抱えた方がリスク分散になるだろうという考え方を持っ ております。 ○谷川委員  それは1つの考え方だと思います。ファンドマネージャーを複数持つというの も考え方ですけども、基本的にはある意味でアウトソーシングするというんです か、ファンドマネジメントそのものを委託すると。その委託の手続が適正である というやり方をとられた方が、何となく、はっきり申し上げると、二百数十人の 職員の皆さんで、ファンドマネジメントをされても、なかなか難しいんじゃない かなというふうな気がしますんで、それですとそれぞれのあるレベルできちんと したルールのもとに業務委託するというやり方の方が、さっき申し上げた運用責 任の議論が出てきたときに、違った意味で責任を逃げるというわけじゃないんで すけど、説明がつきやすいような感じがしたんですが。 ○勤労者退職金共済機構理事長  おっしゃるとおりだと思います。  ですから、我々も自分たちが恣意的にマネージャーを選んでいるわけではなく て、コンサルタントにちゃんと相談した上で、各マネージャーの定量的な特質、 定性的な特質を踏まえて、その上で選んで委託するという、そういう意味ではき ちんとしたルール化、透明なルールのもとでやっております。 ○谷川委員  ですから、できるだけジャッジメントはルールの中で、自動的に判断ができる ようなルールを設定しておけば、そういう意味では公正性が出てきますし、その ルールを例えば3年、5年の運用実績を見ながら、まずさがあれば、そのルール をここに書かれてあったアセットライアビリティーマネジメントの手法で分析を して、そのルールの見直しをすると。  したがって、そこにあまり人為が入らないという仕組みの方が説得性があるよ うな気がしますけど。 ○勤労者退職金共済機構理事長  はい、よくわかりました。 ○井原部会長   そのほか、よろしゅうございますか。  次に、第4グループに移りたいと思います。  これは、業務実績評価関係資料についての評価でございまして、所要時間は法 人からの説明10分、委員の評定と質疑15分の25分ということになっております。  法人からの説明をお願いいたします。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  それでは、資料2−2の平成19事業年度業務実績評価関係資料に基づきまして、 ご説明させていただきます。  まず、1ページ、様式1でございますが、目的積立金はございません。  それから、1ページをめくりまして、様式2、保有資産でございますけれども、 これは見直しの検討を行っているところでございます。  まず、保有資産といたしまして、退職金機構ビル及び別館でございますけれど も、昨年の経済財政諮問会議の独法の資産保有改革に関するワーキンググループ の中でのご指摘を受けて、現在地は今は芝公園にあるわけでございますけれども、 そこに所在することが必要不可欠かどうかについて吟味して、移転の可能性につ いて中期目標期間中に検討を行うというふうにしているところでございます。  ただ、この退職金機構ビル及び別館につきましては、国庫から出ているもので はなくて、共済契約者の掛金を原資といたしまして、まさに運用資産として所有 しているというものでございますので、そういった点にも留意しつつ類似の機関、 あるいは金融機関等の情報収集に努めているところでございます。  これにつきましては、今年の夏中に外部の専門家を含めた検討の場を立ち上げ たいというふうに考えているところでございます。  それから、宿舎といたしまして、越谷宿舎、松戸宿舎があるわけでございます けれども、これにつきましてもできるだけ早期に結論を得るように検討を進める というふうに考えているところでございます。  ただ、下の方に書いておりますように、それぞれの宿舎、例えば土地を国から 賃貸していたり、建物が合築であったり、土地を持ち合っていたりということも ございますので、国、あるいは雇用・能力開発機構と協議しながら、この方針を 決定してまいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、もう1つの宿舎でございます川越宿舎は廃止いたしまして、平成19 年度内、跡地を売却する予定でございましたけれども、最低落札価格に達しなか ったため、20年度速やかに処分を行いたいというふうに考えているところでござ います。  それから、様式3、官民競争入札ですけれども、これはございません。  次に、また1枚めくっていただきまして、様式4のコンプライアンス体制の整 備状況でございますけれども、内部統制につきましては、例えば機構の中期計画 に表記しているそれぞれの事項につきまして、会計監査人の助言も得つつ、向上 を図ってまいりたい、また講じた措置について積極的に公表したいというふうに 考えているところでございます。  また、コンプライアンスにつきまして、管理職員を中心に外部研修の受講等に より認識の共有を図るとともに、今後の内部統制にかかる体制の整備に努めてい きたいというふうに考えております。  ここに書いてございませんけれども、現状として例えば就業規則、あるいは倫 理規程、あるいは個人情報保護管理規程、公益通報者保護管理規程等を整備いた しまして、機構LANに掲載するなどのように、職員一人一人に周知を徹底するほ か、こういった規定、あるいは機構の基本的理念でございます中小企業で働く人 々に対して、退職金共済制度を確立すること、各種研修の実施などを図ることに よって、各職員に徹底しているところでございますし、今後ともそれを強化して まいりたいというふうに考えているところでございます。  それから、様式5の役職員の報酬・給与等の状況でございますけれども、この 機構につきましては、そこに書いてございますように、年齢だけですと国家公務 員指数110.1となっておりますけれども、東京都特別区にあるということで、地 域別に勘案しますと97.9ということで、100未満に抑えられているところでござ います。  これは、各種のもので検証いたしますと、国からの財政支出は機構におきまし ては、予算に占めるもの、2.5%ということで、小さくて地域勘案指数97.9とな っていることから、財政支出を増加させる原因とはなってないと考えております。  それから、累積欠損額、平成19年度増加したわけでございますけれども、中期 的には累積欠損金解消計画に基づきまして、解消が進められているということも ございますし、地域勘案指数を見ますと、一定に抑えられているのではないかな というふうに考えております。  また、支出総額に占める割合というのが0.48%ということで、極めて小さいも のになっているところでございます。  1枚めくっていただきまして、管理職の割合でございますけれども、これは国 が16.2%であることに対しまして、22.6%ということで、機構が上回っていると ころでございますけれども、その要因といたしましては、そこに書いてございま すが、(1)といたしまして人件費削減、先ほど申しましたように進めてきていると ころでございますけれども、そういった面で、分母が小さくなっているというこ とから、この管理職の割合が増えてしまったということが1点と、もう1つは、 機構、4つの共済事業が統合してできたという経緯があって、それぞれの制度運 営に当たっての専門性が必要であるということ。  また、金融に関するスペシャリストを育成する必要性もあるというようなこと からこういう割合になっているものというふうに考えているところでございます。  それから、大卒以上の高学歴者につきましては、国とほぼ同等の割合というふ うになっているところでございます。  それから、あと参考資料でございますので、割愛させていただきまして、最後 でございますけれども、16ページの様式6で、随意契約等の状況につきましてご 説明させていただきたいというふうに思っております。  平成19年度の実績を見ますと、競争入札、企画競争・公募、合わせて4割。一 方、随意契約が6割というふうに若干多くなってきているところでございますけ れども、右側の(4)に書いてございますように、この随意契約につきましては、19 年12月に随意契約の見直し計画を定めたところでございますが、これに従って、 随意契約からいわゆる競争性のある契約への移行を進めてきているところでござ います。  ア)のところに書いておりますように、19年度中にそういったものに移行した ものが70件。それから、新規の契約は全て競争契約に移行した。また、残ってい る142件のものにつきましても、20年度から競争契約、あるいは公募・企画競争 への移行、あるいは廃止を進めていきたいというふうに考えているところでござ います。  なお、一番下でございますけれども、システム関係の契約につきましては、現 在、レガシーシステムになっておりますので、随意契約が避けられないわけでご ざいますけれども、システムの最適化を行いまして、オープン化を図ることによ りまして、競争契約への移行というものを最適化後は実施するということで予定 しているものでございまして、それ以外の随契によらざるを得ない、例えば、業 務室の賃借契約でございますとか、あるいは電力会社との契約などを除きますと 基本的に競争的な契約への見直しを行うというふうに進めているところでござい ます。  また、(5)でございますけれども、複数年度契約、あるいはシステムにおきます 保守業務等を含む契約への見直しを進めてきているところでございます。  以上、1から6につきましての実績評価関係資料についての説明を終わらせて いただきます。 ○井原部会長  ありがとうございます。  それでは、委員の皆様方、評価シートへの評価等の記入をお願いいたします。 質問がありましたら、どうぞご発言をお願いいたします。 ○篠原部会長代理  随意契約なんですけども、当然全部競争入札にならないという理解をして、残 るもんだろうということで、そうすると今までの例で見ると、大体金額がどうも 高くなってきたということで、随契の場合は、適正な契約金額かということを常 にほかと比較しながら検討する必要があると思うんですね。  そういう義務もあると思うんですが、その辺はどのように考えるんですか。 ○勤労者退職金共済機構総務部長  そこにつきましては、平成20年度よりそういった随意契約の適正化を推進する という観点から、監事及び会計監査人による監査において契約の適正な実施につ いて徹底的にチェックするというような形での体制整備を行い、実施していると ころでございます。 ○井原部会長  よろしゅうございますか。  それでは、これで評価が終わるわけでございますけれども、まだ記入が終わっ てない委員の方で、この部会が終了した後に会場にお残りになって記入したい、 評価シートをお持ち帰りになって記入したい、ということをご希望される場合は、 本部会終了後に事務局にお声をおかけいただければと思います。  それでは、本日の議事は以上となります。  政策評価官室から、次回の部会の日時等について説明をお願いいたします。 ○政策評価官室長補佐  それでは、次回、第48回労働部会の開催についてご連絡いたします。  日時は、来週8月1日金曜日の13時30分から19時30分まで、議題は、雇用・能 力開発機構と労働政策研究・研修機構の個別評価についてとなっております。な お、場所につきましては、前回の労働部会でここ省議室でとご案内をしておりま したが、都合により、17階の専用第21会議室に変更させていただきます。委員の 皆様には改めて連絡いたします。  なお、評価シートへの書込みがまだ終わられていないという方がいらっしゃい ましたら、評価シートをお帰りになるまで回収いたしませんので、引き続きご記 入いただいて結構です。  記入の終わった評価シートは机に置いたままお帰りください。  また、お持ち帰りになって記入されたいという方がおられましたら、この後、 事務局までお声をおかけください。  以上です。 ○井原部会長  それでは、本日は、以上とさせていただきます。  長時間にわたりまして熱心なご審議、どうもありがとうございました。 (了) 照会先:政策統括官付政策評価官室 独立行政法人評価係 連絡先:03−5253−1111(内線7790)