08/07/17 第52回社会保障審議会介護給付費分科会議事録 社会保障審議会 第52回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年7月17日(木)午前10時00分から午後12時15分まで   全社協 灘尾ホール 2 出席委員:池田、石川、井部、大島、大森、沖藤、小島(代理:吉田参考人)、 勝田、川合、神田(代理:長屋参考人)、木村、久保田、齊藤、武久、田中(滋)、 田中(雅)、池主、対馬、中田、三上、村川、矢田(代理:森田参考人)の各委員 3 議題 <審議事項> 1.事務負担の見直しに係る諮問について 2.介護労働実態調査(財団法人介護労働安定センター実施)の結果について 3.「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」について 4.「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクト」報告書について 5.その他 (鈴木老人保健課長)  それでは、定刻になったので、「第52回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催させていた だく。  初めに、委員の交代があったので報告する。  高橋委員が退任され、久保田委員が新たに委員となられた。  次に、本日の委員の出欠状況であるが、山本委員が御欠席との御連絡をいただいている。  なお、本日は、小島委員にかわり吉田参考人、神田委員にかわり長屋参考人、矢田委員にかわ り森田参考人が出席されている。22名の委員の方に御出席いただいているので、過半数に達して いるので、給付費分科会として成立しているということを報告させていただく。  なお、本日は職業安定局雇用政策課長も同席していただいている。  また、前回開催いたしました6月以降、事務局に人事異動があったので紹介させていただく。  宮島老健局長である。  坂本大臣官房審議官である。  大澤総務課長である。なお、大澤総務課長は、介護保険課長併任である。  菱田計画課長である。  土生振興課長である。  藤原企画官である。  それでは、以降の進行は、大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  新しく委員になられました久保田さんから一言ごあいさつをいただきたい。 (久保田委員)  本日から正式に委員として参加させていただきます経団連常務理事の久保田と申します。皆様 のいろいろなお知恵を拝借しながら、少しでも貢献したいと考えているので、よろしくお願いい する。 (大森分科会長)  宮島老健局長も一言何かお言葉などございますか。 (宮島老健局長)  この介護給付費分科会、年末に向けて介護報酬の改定ということであるので、委員の皆様方に は精力的な審議を是非お願いしたいと思っている次第です。よろしくお願いいたします。 (大森分科会長)  こちらこそよろしくお願いします。  それでは、配付資料について説明していただく。 (鈴木老人保健課長)  それでは、お手元の資料を確認させていただくが、議事次第、それから座席表、名簿があって、 今日は、諮問事項が1つある。  資料1−1、これは貝塚審議会長にあてての大臣からの諮問書になっている。  資料1−2は、それを少し読みやすく書き下したもので、説明は、特にこちらを中心にさせて いただきたいと思う。この1−1、1−2が諮問事項である。  本日は報告事項が3つあり、資料2−1、27ページで少し大部になっているが、これは、介護 労働安定センターが実施された「平成19年度介護労働実態調査結果について」ということである。  それから、これと関連して、資料2−2、補足資料として、「事業所における介護労働実態調 査の結果について」という横紙で8ページものがある。これが報告事項のその1である。  報告事項その2、資料3であるが、縦長で「介護労働者の確保・定着等に関する研究会」につ いて、開催要綱が一番上についているが、これについて御説明申し上げる。  報告事項の最後は資料4だが、これは、「認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェク ト」。7月10日に我々の方で発表させていただいたが、これについて御説明申し上げる。  以上が報告事項である。  そのほか、委員の先生方からの提出資料として、1つは、「介護報酬改定についての意見書  NPO事業者のヒアリングから」ということで、沖藤委員から提出資料がある。  また、「介護保険の改善を求めるアピール」ということで、認知症の人と家族の会総会からと いうことで、勝田委員から提出資料がある。  最後に、これは今回の資料というわけではないが、2つほど、前回お示しした資料が机上配付 だけになっていたので、皆様のお手元にということで、沖藤委員から提出していただいた「介護 報酬改定について 利用者・市民の立場からの意見書」、もう一つは、三上委員から提出してい ただいた日本医師会介護保険委員会の「『指針』の実現に向けて」、この2つを全員の方の手に 渡るように配付している。  もし、落丁等があれば、お知らせいただければと思う。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、議事次第に即しまして議事を運ばせていただくが、最初は、本日、今あったように 諮問がある。先月18日、当分科会におきまして介護従事者の事務負担の軽減につきまして事務局 から御報告があり、それに即して、今回、事務局の方から当分科会に諮問がある。まず、これに ついてお諮り申し上げたいと思う。  それでは、この件について説明していただく。 ○土生振興課長より、資料1−1及び1−2について説明。 (大森分科会長)  以上2点について、御質問、御意見があれば承りたいと思う。よろしくお願いしたい。どうぞ、 石川さん。 (石川委員)  私の方から2点お伺いしたいと思う。  事務負担の見直しに係る諮問についてということであるが、1点目は、サービス担当者会議は 「少なくとも6カ月に1回」から「必要に応じて随時」と改めることで、実際にはどれだけの事 務負担を軽減することができると見込んでいるのか。また、「必要に応じて随時」とは、恣意的 に長期に開催されないということがあってはならないと思うが、適正なサービス水準を確保する 観点から、このような歯止めというものが実際にはかけられるのかどうか、その点について伺い たいと思う。  それから、2点目として、福祉用具における保険給付の在り方に関する検討会では、福祉用具 でレンタル価格が極めて高額なもの、いわゆる外れ値の福祉用具の存在が既に問題となり、何ら かの対応が必要とされていると指摘されているが、また、必要以上に長期に給付費が費やされて いるものがあり、サービスの適正化・効率化に関する事項として、比較的安価なもので貸与から 販売へ移行した方がよいのではないかという論点も既に整理されている。今回の事務負担の軽減 も大変重要だとは思うが、これらの事項といわばセットで、事務負担の軽減ということをセット で対応することが私は適切ではないか、既に指摘されている問題について併せて整理をする必要 があるのではないかと思うが、この2点につきましてお答えをお願いしたいと思う。 (大森分科会長)  では、課長さん。 (土生振興課長)  ただいま2点、更に言いますと3点御質問、御意見をいただいた。順次、御説明させていただ く。  まず、今回のサービス担当者会議の開催頻度の見直しで、どの程度の事務負担の軽減ができる かということである。  これは、正直申し上げて、定量的に現在、個々の効果としてどのぐらい出るかというのは、な かなか私どもも、申し訳ないが、そこまでの分析には至っていないというのが正直なところであ る。しかしながら、一方で、例えばケアマネジャーの業務の実態調査等を見ると、必ずしもこの 福祉用具ということではないが、サービス担当者会議の開催が業務の中で、勿論これは必要な業 務ということであるが、一方で負担感としては大きい業務として挙げられているということでも あるし、また、私どもにも、そうしたものを少しでも緩和できないのかといったような御要望を いただいているところである。  したがって、やはり今回諮問させていただいている1点目の福祉用具に係るサービス担当者会 議の開催頻度の見直しも、前回から説明している事務負担軽減の全体のパッケージの中で、是非 とも実施することが適当と考えているところである。残念ながら、これだけで定量的な効果とい うところの分析までは至っていないが、やはり軽減の一つの柱になる事項ではないかということ で考えているところである。  それから、最初の御質問の2点目、これは非常に基本的な御意見・御質問かと思う。  先ほども冒頭申し上げたとおり、今回の事務負担の見直しにより質の低下、あるいは逆に無駄 が生ずるといったようなことがあってはならないということであるので、削減簡素化を行っても、 必要な情報が得られるもの、必要な対応ができるもの、そうした観点をまず大事にして、具体化 を私ども検討してきたと思っている。  具体的に、この福祉用具に係るサービス担当者会議ということで申し上げると、既に御案内の おり、ケアマネジャーは、ケアプランの作成に当たっては、この会議を開催し、ケアプランを作 成する、こういうことになっている。また、要介護認定の変更あるいは要介護認定の更新という 際にはサービス担当者会議は開催されるので、制度的に見ても、原則として12カ月に1回は必ず サービス担当者会議が行われるということであるし、更に申し上げると、ケアプランの変更を行 う際のサービス担当者会議というようなこともある。また、ケアマネジャーの方々は、少なくと も1月に1回は、利用者のお宅を訪問しまして面接をするということになっており、その際には、 福祉用具貸与の必要性について疑義が生ずる場合には、この会議の開催を当然行うということで ある。  こういうようなことから、何も一律機械的に6カ月に1回ということではなくても、随時開催 することというやり方でも、福祉用具の貸与の適正化という観点からは、必要な検証は可能では ないかと私ども考えているということである。  それから、最後、3点目であるが、福祉用具については、保険給付の在り方検討会ということ で、これは田中滋先生に座長をお願いいたしまして、昨年3度ほど開催させていただいて、3回 目では、論点整理ということで御議論いただいたと承っている。その中で、御指摘あったような 外れ値の問題、それから貸与から販売への移行といったようなことを重要な検討課題としながら 御議論いただいたと聞いている。そうした中で、一応3回の議論で、外れ値については、その関 係者間でおおむねこんなことでといったような御議論がなされたと聞いている。ただ、貸与から 販売のあり方については、まだまだ、さまざまな議論がなれているという状況であったと聞いて いる。  具体的に外れ値の方の中身を御紹介申し上げると、全体は長くなるのでポイントだけ申し上げ ると、都道府県あるいは市町村が外れ値の実態要因を調査、公表すべきといったような御提言も いただいている。ただ、これに沿って具体的に政策を進めていくためには、具体的な手法という ものを開発していかなければならないだろうと思っている。この点、早急に私ども詰めていきた いと思うし、更に、必要に応じてこの検討会を開催するなどして、これはこれで重要な課題とし て引き続き議論させていただきたいと考えている。  セットで対応ということも一つの考え方であろうと思うが、事務負担の軽減という観点からは、 開催頻度の見直しということは、これはこれで強い要望がある事項であるので、これについては、 先ほど申し上げたように、本来の趣旨に反しない範囲で、これは早期に実現するとともに、御指 摘のあった課題も、重要課題としましてできるものから速やかに着手、あるいは更に議論を続け ていきたいということで、今回の措置につきましては是非ともお願いしたいという考え方である。  以上である。 (大森分科会長)  そういうことだそうだが、よろしいか。 (木村委員)  今日の「6カ月に1回」というところを「必要において随時」というところは、賛成というよ りも、ケアマネジメントが徹底されていく中で、こういうことは当たり前に、「6カ月に1回や らねばならぬ」でやるものではなくて、やはり先ほど来説明があるように、利用者の状態がどん どん変わっていくときに、そのときに必要な用具というものは何で、そこにどういうふうにフィ ッティングさせていくかとか、これは変えなければいけないかとか、そういうことをやっていく のがケアマネジメントですから、いわゆる基準で6カ月に1回やればいいんだでは、本当は違う。  この「必要に応じて随時」ということが、逆に、私自身は規制強化的な感じに取ってもいいの ではないかと思っている。というのは、6カ月に1回やればいいんだと、6カ月ほっぽっておく 可能性もあるわけだが、逆に、随時ということになっていったときには、介護支援専門員とレン タル事業者が、本当に必要なときに随時どんどんやっていかなければ、むしろだめなんだという 形のこと、そういう形でとらまえてこれを進めていただきたいと思う。  介護支援専門員は、月1回当然訪問しているし、先ほどあったような要件で担当者会議の開催 は義務付けになっている。だから、そのときに、この介護サービス事業者、レンタル事業者の 方々にも当然参加していただいて担当者会議をやるということで、ケアマネジメントの質をきち んと担保して、そして徹底してやっていくということで、これを関係者に普及啓発してきちんと やっていかなければならないと思う。以上そういう考えを持っている。 (大森分科会長)  今のお話は、必要に応じて随時の方がより効果的・合理的でだろう、だから、ケアプランに応 じて柔軟にできると、それのことであるが、その後の「負担の軽減」というのが入っているもの だから両面読めて、どちらかというと、これは前者の効果的・合理的な、柔軟な対応を可能にす るというのが現場の方の声であるし、今の意見もそうであるから、これで本当に、先ほど課長が 回答したように、本当にどのくらい事務の軽減が行われるかって、やってみるとわかる。もしか すると増えるかもしれないけれども、増えるとしたって、この方が柔軟に対応することの本筋で はないですかという大きな観点から今回の改正は行われるのだと理解していた方が、余り紋切り 型に負担の軽減はどうだと言われると、もしかしたら、随時開催なので増えるかもしれないとい うこと。増えないと言わないで、むしろウエートは柔軟な対応を可能にする方にあるということ ではないかと思うが、それでいいかな、事務局の方は。そう理解しないとちょっと難しい。文字 面だけとらえると。 (土生振興課長)  負担の軽減という中でやるものだから、どこまで、負担が増えるかもしれないと言うのがどう かとは思うが、必要なものは当然開催すべきと。これは、そのために仕事をやっているわけだか ら、機械的に規制で6カ月に1回やらなければいけないから開催するということではなくて、 個々の状態に応じて必要に応じて開催していただくということの方が、皆さん専門家でお仕事を いただいているので、柔軟かつ適切に御判断いただけるという考え方ではないかと思う。 (大森分科会長)  中田さんどうぞ。 (中田委員)  今回の諮問事項については、介護の現場が大変苦労されている、改善していただきたいという 意見が反映されたものとして評価させていただきたいと思う。  その中で、実は、このことだけではなくて、まだまだ現場の方からは改善していただきたいと いうような意見が多々出ていると思うので、今後とも、必要に応じてこうした改善がされること を要望しておきたいと思う。  1点ちょっとお聞きしたいが、資料1−2の介護施設等における感染対策委員会の開催頻度の 見直しについて、解釈通知に記載する内容でことだが、前回の委員会の見直し案の中で、現行で は1カ月に1回程度開催されているところ、少なくとも3カ月に1回とした上で、必要に応じ随 時開催することとする。「また、事故防止検討委員会と兼ねることができることとする」という ことが出ていたが、これが抜けている。これを是非入れておいていただきたいと思う。というの は、都道府県に行くと、こうしたことがないと、これでないとだめだという指導が必ず行われる という実態があるので、是非これを付け加えていただきたいということをお願いしておきたいと 思う。  以上である。 (菱田計画課長)  本日の資料は、あくまで今回の分科会に諮問対象となっております厚生労働省令の改正部分だ け書かせていただいているが、前回の分科会で「事故防止検討委員会と兼ねることができる」と いうことはお出しさせていただき、今回、通知の中で、それについては兼ねて開催・運営しても 差し支えないということは書く予定にしているので、それはそういうふうにさせていただきたい と思う。 (大森分科会長)  後でちょっと審議していただいてもいいが、中田さんの御意見は、私どもの報告案の中にも何 か触れるべきだということか。きちんと書くんだと思う。書くような話になっていると思うが。 (菱田計画課長)  諮問対象にはしていないが、書かせていただきたいと思っている。 (大森分科会長)  承知しているという御回答だが、よろしいか。 (中田委員)  はい。 (大森分科会長)  ほかにあるか。この件はよろしいか。どうぞ、吉田さん。 (吉田参考人)  感染症対策につきまして、感染症というのは、介護現場で働いている労働者の皆さんにとって は、大きな不安であり、資格を取ったときも、施設に勤務し始めてからも、一度もそういう感染 症についての研修や教育を受けていないという人もまだまだ少なからずいるという実態にある。 そういう点では、この感染対策委員会については、本来定期的に行われるべきものと考える。や はり大事なことは、委員会をやる回数とか頻度ではなくて、実効性のある感染症対策がきちんと 講じられて、それがきちんと労働者一人一人に周知されていることが非常に大事なことであると 考えている。その点では、今回の省令改正の際には、事務負担軽減とは直接関係ないが、労働者 への感染症対策の実施についても、改めて徹底するように、是非要望したいと思う。よろしくお 願いしたい。 (大森分科会長)  ありがとうございました。  よろしいか。この件については報告書(案)を準備しているので、事務方の方から配っていた だけないか。 〔報告書(案)配付〕 (大森分科会長)  それでは、これを読み上げていただけないか。 (土生振興課長)  それでは、報告書(案)の内容の部分を朗読させていただく。  平成20年7月17日、厚生労働省発老第0717001号をもって社会保障審議会に諮問のあった標記に ついて、当分科会は、審議の結果、諮問のとおり改正することを了承するとの結論を得たので報 告する。  以上である。 (大森分科会長)  貝塚会長に私の方からお出しするという文書になっている。これでよろしいか。  それでは、この旨、報告させていただく。ありがとうございました。  では、この件は以上である。  次は、「介護労働実態調査の結果」について御報告いただく。 ○ 小川雇用政策課長より資料2−1について説明 (大森分科会長)  続いてどうぞ。 ○ 鈴木老人保健課長より資料2−2について説明 (大森分科会長)   それでは、ちょっとしばらく御質問等があれば。川合さんどうぞ。 (川合委員)  私、こういう場の経験がまだ1年しかないので。  ちょっと礼儀に反することがあるかもしれないが、議事録に残るというところから考えると、 きちんと言うべきことは言っておきたいと思っている。  前回の資料の説明の中で、経営実態を見た場合、概況調査のときに、4.数%あるから居宅サー ビスのマイナス10何%に比べるといいではないかという議論がある委員から出た。それはおかし いという議論を私、前回させていただいた。どういう点でおかしいか。介護保険の設計時の理念 からいくと、減価償却前利益率は、老人保健施設で15%を目途とするということを確認している が、4%という数字は前回の数字だが、減価償却率を最大に見積もったとしても15%に満たない。 こういう数字がぱっと出て、マイナス15よりも4%があたかもいいような経営状態だという議論 が進行されては困るということがあったので、あえて発言をさせていただいたが、それに似通っ てコスト計算のマイナスX年とかという発言もさせていただいたが、今日は数点お話をさせてい ただく。  まず一番初めに、わざわざ雇用政策課長がおいでになっておられる。御案内のように、介護労 働安定センターとは我々全老健は前年度より、コラボしており、いろいろな調査・研究やパイロ ットスタディをやっているが、まず、6ページを見ていただきたい。田中先生が前回、介護労働 に関するワーキングチームの中でやっていただいた場合は、すべて学者の方であった。ここに、 固有名詞がどうのこうのというわけではないが、この介護労働を見るのであるならば、特養の代 表を入れるのであるならば老健の代表も入れていただきたい。まず、これが第1点目である。メ ンバー構成。  それと似通った点で、7ページを見ていただくと、一番上の表で、社会福祉法人17.4%で医療 法人11.9%である。やはりそれだけの%を含めている老健などを考慮していただき構成メンバー は、学者オンリーではなく各界の代表、また特養、老健、両方の代表を入れていただきたいと思 う。  それと、これは、実はこのことが公表された明くる日の日刊紙の論調を3紙、あえて固有名詞 は出しませんけれども3紙出している。まず、離職率の問題、それともう一つは介護労働者自身 の給与に関する実感の問題、それと研修の問題。その中で、研修は、これだけ介護事業者が困窮 している状態であるなら十分できていないという主張があるとの解説がつけられていた。私は、 そのことに関してなるほどと思ったのが、研修のところ、22ページ、受けない44%となっている。 なるほど、受けないんだなと。ところが、先ほどの我々のところが入っていないというところだ が、我々は、前回、田中教授がしていただいたワーキングチームのヒアリングの中で、全老健は 非常に研修に力を入れておられるという評価をいただいて、ここの分科会の席でも発表していた だけたと思う。そういうことがきちんと資料として公表時に出していただけないものか。でない と、ああいう新聞を、マスコミを見られると、ますます介護職というのは見込みのない職場なん だということを流布してしまうのではなかろうか。頑張っている団体もあるということをきちん とお願いしたいと思う。  それと、最後の方で希望があるなと思ったのは、27ページ、「選んだ理由は何か」との問で、 断トツで、やりたい職種・仕事内容であるためということがある。やはり希望を持って我々のと ころに入ってきていただいているのに、それが離職率が高いという原因をきちんと課長さんも、 局も、あるいは介護労働安定センターの方々もサジェスチョンいただければと思う。  それで、手前みそで恐縮ですけれども、御案内のように、我々、全国署名活動166万をいただい た。それで、6月5日に日比谷の野音で3,000名を集めた集会も開かせていただいたが、そこでの 生の声、40歳の男性で、妻子がありながら、月5〜6回当直しないことには20万円に達しないん だという現実があるということをきちんと理解していただきたいと思う。これは、まだいろいろ ありますけれども、その点を、アカデミックでいかれるならアカデミックだけで統一していただ きたいし、利益代表者あるいは業者代表者を入れるのであるならば、公平に代表者を入れた数字 をつくっていただきたいと思う。  それと、次の老人保健課の方の担当の問題でありますが、これは、課長がおっしゃったように、 4ページ、5ページ、6ページの折れ線グラフは、だから無意味だとは言わないが、右端が1と か10とか、こういう折れ線グラフが本当に資料にたえるのか。これは前回のこの会議の席におき まして大森座長の方から、9月からの本番にはこういうことのないように頑張りましょうねとい う温かいお言葉があったと理解しているが、それと同じような意味で、できることなら、ここは 切った方が、私のような人間は訂正希望と発言しないのではなかろうかと思う。  この一番右端、福祉施設介護員とあるが、介護職は福祉施設だけであるか。老人保健施設にも 療養型にもある。どういう意味で福祉施設介護職員と書かれたのか見解をいただきたい。  以上である。  それともう一つ、できましたら、このデータにつきまして、入所系と通所系と、これはクロス しにくいかもしれないが、実調、概況の数字もあるわけですから、そういうことも本番のときに はお示しいただければと思う。  以上である。 (大森分科会長)  雇用政策課長さん、何かあるか。 (小川雇用政策課長)  この介護実態調査の調査研究体制についての御意見をいただいた。これについては、そういっ た御意見を踏まえた上で、次年度以降については考えていきたいと思うので、よろしくお願いし たい。  あと、平均値だけではなく、いろいろと経営形態とかサービスによって違うだろうという御意 見があったが、これはあくまでも記者発表の概要であり、さすがにここに全部、細かく書けない ということもあるので、報告書には、例えば法人化区別とか、主とする介護サービスの種類別に 数値を集計して発表しているので、ここに全部書き切れないということで、そこは御理解いただ ければと思う。  以上である。 (鈴木老人保健課長)  今、最後の方で川合委員からおっしゃっていただいた資料2−2に関してだが、4ページ目か ら5ページ目、6ページ目にかけて、一番右の端の数字が確かに数は少なくなっている。これは 考え方であるが、勿論回答数を増やして安定させるというのは当然のことだと思うが、実際上、 調査の上で一定の数が出てきた場合に、少し不安定だからそれを切ってお示しするのか、それと も、こういう切り口で集計しているから、事実は事実としてお出しするのかという論点はあろう かと思うので、またこれは相談させていただきたいと思う。  それから、福祉施設介護員というのは、あくまでこれは一部を抽出して同じ人たちの間で額を 比較するということである。この場合、含まれる職種としては、介護関係だけではなく、寮母・ 寮父、介護職員、介護福祉士という人たちを拾い上げて比較したものであり、調査の設計上、そ ういう人を対象に今調査をしているのでそういう結果になっている。また、我々の方の詳細調査 では、勿論、看護職員なり、医師なり、PT、OTなり、各職種ごとの平均的な給与が出るので、 それはそれなりにきちんと提示させていただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  川合さん、今のこと。 (川合委員)  私、いろいろ御配慮いただけているということはわかった上で、あえて申すがただ、最後の点 の、横紙の2ページ、それならば福祉職員どうの、福祉施設どうのこうのではなくて、介護職員 というくくりでしていただかないと、今おっしゃった介護福祉士という職種は、療養型にもいら っしゃる。我々のところにもいる。こういう福祉施設くくりとなってくると、療養型は医療施設 ですし、我々も医療施設であり介護施設であると理解しているから、会員数の大小だと思うが、 どうして老施協さんだけで我々は入っていないのかと疑問を感じてしまうという点である。 (大森分科会長)  私が気になるのは、7ページの離職率の状況のところで保健課長さんの御説明で、全産業と比 較している。ちょっとこれ大き過ぎると思う。もし、仮にこの介護職員や訪問介護員と比較する と、産業のうちサービス産業だと思う。だから、ほかのデータを見ると、全産業で比較するとこ の数字が出てくるから相当の落差があったけれども、サービス産業とやるとそんなふうになって いないのではないか。だから、何と比較するかで絵柄というかイメージが違うのではないかと。 だから、次回でいいから、もしデータがあったら、全産業ではなくて、比較的こういう対人サー ビスみたいなことの産業と比較した場合に離職率がどうかという方が、現実を反映するのではな いかということに気がついたので、次回でいいから、そういうデータがあったら出していただき たい。  それでは、どうぞ、お手が挙がりましたお2人。沖藤さんか。 (沖藤委員)  3点教えていただきたい。  1点は、調査方法についてだが、2ページのところで、(2)の方に、就業意識調査の方は、 一事業所当たり介護にかかわる労働者3名を上限として無作為にということで1万3,089人からの 回答があったということだが、この一事業所当たり3名という3名の根拠と、3名が正しいのか。 つまり、同じ事業所から3人来た人の3人のそれぞれの状態というのは、はっきり言って、似た りよったりの人が3名かもしれないし、22歳から65歳ぐらいまでの間の3名かもしれないし。と なると、この3名というのがどのぐらい信憑性があるのか。  その信憑性を確認するためには、18ページのところで介護労働者の年齢構成というのがあるの で、ここのところで、この調査は代表性があるという意味において、悉皆調査、全従業員の年齢 構成というもののデータを持っていらっしゃると思う。それと比較して、この3名の代表性とい うものを証明していただかないと、意識の方はともかくとして、後々の給料の実態とかに関して、 どのぐらい私たちは信用できるのかなという、その代表性に関して1点お尋ねしたいと思う。  それから、第2点目で、経営者は何をやったか、どういう対策を取ったかといったときに、4 割が何の対応も取らなかったというのがあったが、これってすごく何か変な感じがする。これだ け民間というか、私たち一般市民が経営問題が大変だというようなことを言っているときに、当 事者の方々が何もしていなかった。ちょっとページ数がどこかへすっ飛んでしまって見えなくな ってしまったが、40.何%という数字がいかにも奇異に映る。こんな大きな数字をこのまま出して いいものだろうか、国民は納得しないのではないかということが2点目である。  もう1点は、先ほど川合委員からもあったが、こちらの要約版の保健課長が御説明なさった労 働者1人当たり賃金のところの4ページの上の段の正社員のところでだが、10年以上の職員とい うのは措置時代から働いている人たちである。措置時代は、御存じのように、ある程度恵まれた 賃金があったのではないか。介護報酬が設定されて以降の10年というものは、勤続年数がほとん ど延びていないのではないか。だから、問題にすべきは、勤続年数が延びたら上がっていくとい うのではなくて、介護保険ができてから10年、余り違っていないという、そちらの方が見るべき 数字であって、更に、介護保険の事業の中で介護職として働いていく者にとって希望があるのか と言ったら、この数字を見たら見かけの数字としか思えなくて、その辺をはっきりとしたデータ の出し方をしないと間違えるように思った。  以上3点である。 (大森分科会長)  3人の代表性についてお答えいただきたい。 (小川雇用政策課長)  3名が適切かどうかという御質問だが、基本的には、御回答をいただく事業所の負担等もあり、 これ自身は、規模を問わず質問しているということで、小規模な事業所にも当たり得るというこ ともあるので、取りあえず3名ということで現在やっているところである。 (沖藤委員)  そうすると、全国の全体の数字を出していただいて、この3名が代表性あるという証拠を出し ていただくことはできるということか。 (小川雇用政策課長)  私どもで悉皆調査をやっているわけではないので、全部サンプリングしかやっていないので、 しかも、要するに全体の全従業者の年齢構成につきましては調査をしていないので、それについ てはサンプリングの結果しかないということだと思う。 (大森分科会長)  田中先生、今の点はどう考えておけばいいのか。要するに、御質問は、3人取ってきているが、 その代表性について疑義があるのではないかという御質問が出ているが。 (田中(滋)委員)  一方で、全介護労働者に関する年齢別の分布というものを取っていないとすると、これは何と も言えない。だから、それぞれの団体の中でもしお持ちならば、それと比べるしかない。厚生労 働省は取っていないという返事である。取っているならば、それは比べるべきであり、もしない ならば、それぞれの団体などでまた別のデータをお持ちのはずだから、そこと見比べてみて判断 するのが、2番目の策になる。 (大森分科会長)  今の御疑問はもっともだと思う。ごく普通に考えたらそういう疑問は起こるので、それをどう 考えればいいかということだと思う。  川合さん、何か。 (川合委員)  私、先ほどの福祉施設どうのこうのと言ったが、まさしくそのポイントである。この数字に代 表性があるのか。今、沖藤委員がおっしゃった3人ということが、本当に代表性がある数字なの かということである。3人抽出するのと、10人抽出するのと、50人抽出するのと、事業所の負担 はそんなに変わらない。統計のコンピューターに打ち込む人もそんなに変わらないはずである。 なぜ3人にされたのか。私は、コラボしていますから安定センターの方と取っ組み合いはしたく ないが、これをこういう審議会で出される課長さんの御真意をお聞きしたい。 (大森分科会長)  今日のこの段階では何とも言いにくいので、ちょっと考えることとするか。 (鈴木老人保健課長)  ちょっと話は別だが、最後に沖藤委員から御質問あった正社員の方の賃金カーブについてであ る。私も先ほど御説明したつもりだが、沖藤委員から御指摘あったように、4ページ目、5ペー ジ目、6ページ目をごらんいただくときに、介護保険は2000年にできたものあるから、それ以前 は、特に、例えば特別養護老人ホームであれば措置の時代であるので、措置の場合には、やはり 年功にしたがって給与がきちんと上がっていくということが前提であったので、そういう観点と、 あとは、年数がたてば、これは恐らく現場でやっておられる方だけではなくて責任者とか管理者 も入ってくるので、そういう面で、このまま素直に今でも上がっていくのかということは、確か に論点としてあると思う。  我々としては、やはり毎年これをきちんと追っていって、だんだん1年ずつずれていくので、 きちんと、やはり右肩上がりになっていくのかどうかというのを見ていくべきだと思っている。 (沖藤委員)  先ほどページが見当たらなくなったと言ったのは15ページだった。運営上の問題で、15ページ の上の表である。 (大森分科会長)  特に対応していない40.5%。 (沖藤委員)  特に対応していない、この質問の中でこれが一番大きい。これってちょっと驚愕の数字という 気がするが。 (大森分科会長)  でも、経営面の効率についてお聞きしたら、特に何かやらなくてもきちんとできていますとい うふうにも読める。違うのか。 (川合委員)  全老健のことばかり申し上げて恐縮だが、積年の努力のたまものである。これは、研修は延べ でいくと年間に50本ぐらいやっている。参加人数は5,000名いる。我々のところである。 (大森分科会長)  これはどういう解釈か。解釈についての御質問だったから。この15ページの。出てきているの は、「人件費総額を圧縮した」が見出し的に言うと出てきているが、その後に、「特に対応して いない」が40.5%もあったではないかと。世間の感覚とちょっとずれていないかという御質問で ある。  課長さん、何かお答えになるか。 (小川雇用政策課長)  私どもは、正直申し上げて、これについては、調査でそういうふうになっているとしかお答え しようがない。 (池田委員)  この15ページの一番上の1は、経営の効率面での対応であるから、経営が効率的に行われてい れば何もする必要はない。そういうふうに読むのが常識だと思う。だから、何もやっていないと いうのは、それほど問題が起きていないということであろう。例えば、これが研修をしているか どうかという問題であれば全然問題が違うが、経営面の分析では、それでいいのではないかと思 う。  私が非常に気になるのは、実は2つの資料を読んでいて、介護事業というものは一体どういう ものなのかというイメージがどうしても結べない。もっと率直に言うと、まず規模がわからない。 私の知る限りでは、例えば訪問系のサービス事業者というのは極めて零細が多い。場合によって は家内労働的なところもある。知りたいのは、サービス種類別にわかればいいと思うが、事業規 模である。事業所の規模ではない、事業者の規模である。例えば、訪問介護であれば、一体その 事業所数は幾つ持っているのかという数字が出ると思う。あるいは総職員数で何人以上いるのか でも切れるであろう。あるいはもうちょっと乱暴にすれば総売上高でも切れるはずである。介護 報酬は全部出るから総売上は出るはずで、そういった形で、主要な職種別でいいと思うが、一体 介護事業を営んでいらっしゃる方々というのは、中堅規模の企業なのか、それとも零細規模なの か、それによって賃金も何もかも全部変わってくるわけで、そうなると比較するところが、例え ば従業員数500人以上とか、そういったところとの比較というのが出るので、そこのところが余り にも大ざっぱ過ぎてわかりにくい。  クロスするのはなかなか難しいと思う。クロスするためには、そのためのデータを集めなけれ ばいけないので、それはすぐ簡単にできることではないので、20%抽出の方に期待したいと思う が、その前に、サービスの事業種類別に一体どういった規模の事業者の人たちが分布しているか、 このデータは出ないか。 (鈴木老人保健課長)  実は、私どもの方で職業安定局の方から生のデータをいただいて、今、池田委員から御指摘が あった規模、それから級地、この間もちょっと御説明したが、東京23区なのか、それ以外なのか ということで少し分析をしてみたが、結論から申し上げると、規模なり級地で一定の傾向という のが、例えば離職、例えば賃金については、概況調査で一部見られたようなほぼ一定の傾向は見 られなかった。  ただ1点だけちょっとあったのは、訪問介護で、離職で見ると少し特別区と特甲地が高い傾向 にある。つまり都会で訪問介護をやられている場合の方が離職率が高い傾向にあるというのは少 し傾向としてあったが、それ以外、規模、級地において、賃金なり離職でほぼ一定の傾向がある ということはちょっと見られなかったので、またこれは少し分析を更にさせていただきたいとは 思うが、現段階では、そういう状況である。 (池田委員)  1つだけ。例えば、訪問介護事業については、事業者の数はわかると思うが。事業所の数もわ かると思う。そうすると、例えば、事業所を幾つ持っているかという割合、分布ぐらいはそれほ ど難しくないと思うが、それは出ませないのか。そうすると、訪問介護のいわば事業の実態、あ る一つの側面だが、それが見えるので、そうでないと、例えばコムスンであるとかニチイ学館で あるとか、非常に大きいところがどうしても目に入ってしまって、そこを基準にして考えると話 がちょっとずれてくるので、本当の訪問介護の事業実態みたいなもの、これを何か、少なくとも 我々がある程度イメージをつくれるようなデータが欲しいということだ。 (大森分科会長)  どうするか。考えるか。 (小川雇用政策課長)  そもそもこの調査上、事業所数というのは聴いていないデータであり、もともとWAMNET に名寄せしていまして全部企業単位で聞いているので、事業所ごとの状況という細かい、複数事 業所を持たれているという場合、事業所ごとの状況ということではなく、どちらかというと企業 としてのものを聴いているということで、複数事業所があるという質問はあるが、ちなみに、そ れで聴くと、複数事業所があるのは55.6%で、単独が41.7%と、そこまではわかるが、例えば事 業所を幾つ持っているかというのはそもそも聴いていない。 (大森分科会長)  この調査についてはすべてそうだと思う。ちょっと違う問題提起が池田さんからなされが。  せっかくなので、さっきの15ページのところは、まだちょっとおさまりが悪くて、この調査を やったときに、やはり調査設計をするときにある種の仮説があるものである。この質問について 聴くと、従来で言えば大体このぐらいだろうと。この40.5%は、受けたというか、回答を見た段 階では多かったのか少なかったのか。そのくらいの感想があってしかるべきだと思う。 (小川雇用政策課長)  やはりこれは効率化というか、運営面の効率の対応状況ですから、まさに先ほど御指摘があっ たように、要するに現状で効率的であるというようなことであれば、対応がないというのがあっ てもしかるべきだなということは予想はしていたので、そういう意味では意外感はないというか、 むしろ、対応したものが余りにも多いのは、逆に問題があるというのが多過ぎるのではないかと いう気もするので、そういう意味では違和感はない。 (大森分科会長)  なるほど。沖藤さん、そういう回答でよろしいか。  今のことだが。では、大島さん。 (大島分科会長代理)  今、40%という解釈を、私も池田委員が言われたように、何も問題がないのではないかと、常 識的に考えてそう思ったが、だけど、頭の中にあるのが、経営状態が非常に悪いとか、あるいは 苦しいとかということが物すごく頭の中にしみていて、給料の問題や何かでもそうであろう。そ れが前提に入っているものだから、この解釈というのは一体どうなのかなとすごく乖離がある。 だから、あれを一体どういうふうに解釈するのかというのは大きな問題ではないかと感じていた が、何もやっていないということは、何も経営的に問題ないんだなと、そんな感じに。 (池田委員)  いやいや、どうにもならないということも含んでいるというふうに私は読んだから違和感がな い。つまり、給料を下げるわけにもいかないし、人員削減することもできないし、かといって、 ぎりぎりだけど何とかやっていけるのかなという、つまり、どうしようもないということと経営 上問題がないということの差って割とグレーゾーンである。だから、そういうふうに幅広く考え れば、別に常識的な数字になるのではないかという気はした。まあ、読み方の問題である。 (大森分科会長)  この問題はこれで終わりにしよう。両方読み得るということなので。  勝田さん。 (勝田委員)  利用者の立場から、やはり今のこのデータの中身についてはとても懸念している。というのは、 沖藤委員と重なる部分は除きますが、やはり、これからいろいろなことを提案されるわけだが、 報告もされるわけで、こういう結果だった、だからこうするんだというような提案型のことも含 めてやっていただかないと、ただ一方的に報告するだけでは、なかなか審議が進まないのではな いかと思う。こういう報告をしながら、自分たちとしてはこういうふうに考えているんだけれど も、どうなんだろうかという審議の進め方を提案したいと思う。 (大森分科会長)  実は、もしそういう御提案だと、一つひとつの調査結果について今のようなことを含みながら 報告すると、あらかじめ全体のことがわかっていないとあの人たちは言えない。もともとそんな ことを簡単に言えない。私が向こうに座っていたら簡単に言えないので。一つひとつの結果につ いて、今日のようにきちんと御疑問が出て、この読み方はどうするのか、そこから出てくるある 種の問題と政策的な意味合いはどこにあるのかということを皆さん方がいろいろなふうに言って いただかないといけないので、全部それについて用意して言えというのはちょっとやり過ぎる。 余りやり過ぎると僕らも困るので、もうちょっと全体の審議状況を見ながらいろいろなことを決 めていっていただきたい。  お気持ちはよくわかるが、そのバランスで動くということになると思う。ありがとうございま した。 (木村委員)  2−1の資料で17ページ、先ほど平均賃金が出ているが、この内容を正社員か非正社員かとい うことはわかった。例えば、介護支援専門員、専従・専任、つまり居宅介護支援業務のみやって いてこの給与なのかどうかということは、このデータからわかるのか。つまり、今回、訪問介護 員、看護職員などなど、いろいろな職種に聴いているが、この業務に専従していてのこの調査の 書き方なのか、それとも、介護支援専門員の場合は、管理者は兼務できないが、ほかの仕事を兼 務しながらやっていて給料をもらっているということも正社員の中である。だから、純粋に居宅 介護支援業務のみをやってこの給料をもらっているということなのかどうか確認したいと思う。 (小川雇用政策課長)  これは、各事業所に、職種ごとというか、この人はどういう職種で幾ら賃金を払っているかと いうような調査をしているから、基本的に、要するに職種については、訪問介護員とか、ここに 書いてある職種を記入してもらうとなっているので、それで職種で見ている。だから、あとはも う1個分析をかけなくてはならなくて、事業所の属性はわかるから、事業所が、例えば訪問介護 をメインにやっているのかとか、そういうものを見て、そこのクロスを1回かけないと、要する にこれがメインでやっていたのかサブかわからないので、そこはちょっと今はわからないけれど も、クロスをかければできるという問題だと思う。 (木村委員)  是非とも、居宅介護支援業務が、いわゆる公正中立な独立性を持って質をきちんと担保するこ とが必要なので、兼務がどれぐらいあってというよりも、本当にケアマネジメントのみをきちん とやっているところで賃金がどれぐらい発生するかということもきちんとやっていかなければ評 価にならないと思うので、そういう分析をよろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  ありがとうございました。 (久保田委員)  この調査の24ページ以降で、労働条件等の不安とか不満とか、それから27ページでは今後のや りがいがどうかという数字が出ている。こういうものというのは、ほかの職種というか、あるい は先ほどの会長の話だとサービス産業でもいいが、そういうところと比べて、この数字が非常に 高いとか低いとか、何かそういう比較というのはあるのか。 (小川雇用政策課長)  勿論これと同じ項目はないが、ちょっと今にわかには、手元に持っていないので、あるかない かもはっきりしていないが、要は一般的な、例えば若者の意識として、どういう理由で仕事をや るかというようなものはあるのかもしれない。ただ、恐らく、当然クエスチョネアなんかも違っ てくるが、例えば今の若者の就業実態とか意識調査の中でそういうものがあるかもしれないが、 今、本当にあるかどうかについては、にわかにお答えできないところである。 (田中(雅)委員)  今日の示されたデータをもとにまさにいろいろなマスコミの方々がいろいろ解釈されて書かれ ると思うが、今日のデータを見ても、私ども介護にいる者として懸念されるのが、定着率が悪い とか、更に悪くなったとか、給与が上がらないという問題だけが強調されることについて、大変 懸念をしているところである。  今日の介護労働安定センターの資料の11ページにあるが、その中で問題になっているのは、介 護職員及び訪問介護員が1年未満で離職してしまうというものが約4割いるという数値が出てい る。要するに1つの産業に1年で辞めてしまう人が4割いる職業というのはそんなに多くはない はずだと私は思っている。だけど一方では、数値の語るところが、半数以上の方々がこの介護と いう仕事に魅力を感じて、働きがいを持って来ている。この人たちが1年以内で辞めざるを得な い状況についてきちんと議論して、議論というよりも、分析し、その解消に努めることが大事だ と思っている。  ちなみに、1割が1年以内に辞める、あるいは3年未満で辞めるということの積み重ねの結果、 今、私どもの介護の現場で何が起きているかというと、実はベテランや中堅職員がいなくなって いる。要するに経験の積み重ねがないわけだから。その結果、経験年数が少ない若い人が介護の 現場において中心にならざるを得ないという状況が実際ある。それは、ある意味では、確かに3 年、4年、5年でリーダーになれるというのは働きがいがあるのかもしれない。だけど、それは、 職場の中できちんとした研修の保障もない、教育機会もない中で、ただ年数を経ただけで責任が 重くなっていることに対して、一方では、そういった責任の重さに耐えられないで、また転職あ るいは離職する実態も生じるということである。一方では、うつ病にかかる人が増えているとい うのも私どもの現場の中から報告が上がっている。  であるので、私どもとしては、この定着率を高めるためには、そういった給与面の改善は当然 だが、一方では、初任者の方々に指導する人とか、要するに職場内できちんと人を育てるような、 そういったチームリーダーを養成できるような、あるいはそういった人たちの配置といったもの を今後、介護報酬の見直しだというときに、人の配置の問題、専門職の配置の割合といったもの をきちんと評価していかなければならない。このままでは、介護という現場が、給与は悪いし仕 事がきついばかり強調されるが、そもそも介護の仕事というのは、人の生きる営みを支援する、 そういった価値のある仕事だから、そういったことに対して、ただ一方的に、3K、きつい、汚 いだけが強調されるのは、私はいかがかと思っている。むしろ、さっき言ったように、本当に志 高くこの職業に求めた人たちのそういった思いに応えるような議論というものをもっと、あるい はマスコミも取り上げてほしいと思う。私たちがこれまで長い間見てきたのは、余りにも給与が 低い、離職率が高いということだけが一般的に表に出ていっているが、現場で頑張っている人た ちの本当の声というものをきちんと評価していただきたい。  先ほど、川合先生も大会で、若い人たちの実際の生の声を届けると言ってたが、私ども介護福 祉士の方も、9月29日に、同じように、専門職の立場から見て今どうあるべきかということにつ いて集会の開催を予定しているところである。いずれにしろ、本当の意味で、今、介護の現場と いうのは高い専門性が求められている。単なる体のケアだけではなくて、本当にその人の心情と か思いまで酌み取り、なおかつユニットケア、個別ケアへの対応を求められている。であるなら ば、全人的ケアと言うが、ある意味ではオールマイティーに対応できるような力を持った人材も 育てなければならない。でも、そういったことに対して、まだまだ人を育成することに対して今 この業界というのは弱過ぎるのかなと思う。  かつて、私たち介護現場にはあなたがいなかったらかわりの人がいますよという時代があった が、その延長線上で介護は誰にでもできる労働として見ているのではないかと思っている。今、 介護の職に就いた人たちを大切に育て、その人たちが本当に責任を持って介護という仕事に従事 できるような、そういった形の支援の仕方というのを考える必要があるのではないかと思ってい る。 (大森分科会長)  武久さん。 (武久委員)  武久ですけれども、最初に戻るが、この1万7,000カ所の事業所の選定の割合はどうしたのかと いうこと。これは、8ページにあるように、これを見ると施設は特養だけかなと。あと、居住系 サービスは通所リハビリと訪問介護が少しあるようだが、先ほど川合委員も言ったように、これ から見ると、これは19年度の介護労働実態調査ではなしに、福祉系介護労働者の実態調査ではな いかと思う。  それからもう一つ、24ページだが、施設の場合、休憩が取りにくい、夜間の不安、精神的にき ついというのがあるが、これは、多分、介護労働者というのは、夜間、看護師さんとか医師がい ないところでお仕事をされているという不安なのか。これは、例えばフリーに出したのでなしに 質問を設定しているのだろう。そこのところがちょっとわかりにくのだが、老健とか介護療養型 が入っているとちょっと違うのかなと思うが、これはやはり福祉系の介護労働者の調査と見てよ ろしいか。 (小川雇用政策課長)  まず、サンプルの抽出率については、WAMNETの介護保険事業者名簿をベースとして、そ の4分の1をランダムサンプリングしているところである。別に福祉系に限ったわけではなくて、 例えば、実施しているサービスの種類が8ページにあるが、ここに書いてあるとおりで、ここに は出ていないが、事業所において最も多い介護サービスの種類というものを聴いており、その中 だと、訪問介護が26.5%、通所介護が19.2%と続いており、例えば介護老人保健施設が3.2%とか、 介護療養型医療施設が1.6%となっている。 (武久委員)  そうすると、その他の中にいろいろ入っているということだと思うが、これは、特養が9.9%で あれば、大体ベッド数を勘案すると、特養と老健と介護療養型だったら、施設数で言うと、老健 と特養はそんなむちゃくちゃ差はないと思うが、これ、アトランダムに入れるにしては、ちょっ と福祉系に偏っているように思うが、違うのだろうか。 (小川雇用政策課長)  私も母体の割合はよく存じ上げないが、例えば、主とする介護サービスの種類別で調査事業所 数というのを見ますと、介護老人福祉施設が458、介護老人保健施設が155、介護療養型医療施設 が75というのが今回の調査事業所数になっている。 (武久委員)  回答数の割合にかなり差があったのか。というのは、この結果を見ると、かなり福祉施設の介 護職員の実態調査のような感覚を持つが、これは私の偏見だろうか。 (小川雇用政策課長)  私どもは、WAMNETの名簿ベースにランダムサンプリングをして、逆に、層化抽出とかは していないので、完全に純粋ランダムだから、そこの事業所数及び、もしくは回答率が違ったの かもしれないが、基本的には、純粋に無差別抽出をしているということである。 (武久委員)  そうすると、川合さんのおっしゃったように、福祉施設介護職員という書き方をしている。そ こに何かちょっとまた引っかかるが、それは、単に福祉施設と書いたのは間違いであって、単に 介護職員と直していただくということか。それとも、あくまでも福祉施設の介護職員ということ でよろしいのか。 (鈴木老人保健課長)  私の説明した資料2−2の2ページにある福祉施設介護員というのは、これは今回の調査では ないので、上に「参考」と書いてあるが、平成19年賃金構造基本統計調査から引っ張ってきたも のである。今回の調査は、今、雇用政策課長の方から御説明いただいたように、WAMNETに 載っているものから一定の抽出をしたものなので、どちらかに偏るということはないと思う。た だ、この2ページに載っているデータについては、確かにそこに焦点を当てているので、そちら をカバーしていないということになる。ちょっと違う調査である。 (田中(滋)委員)  先ほど田中雅子委員が、この職に働く人のためにということを強く言っておられた。私も全く 同感である。  この統計調査でも賃金のことと、それから働きがいのことと両方載っている。賃金は一般に辞 める理由になる。27ページの「直前の介護の仕事をやめた理由」でも、一番多いのは、やはり待 遇の不満があったからである。これは、辞めるときには賃金が理由になるが、続けるかどうか、 あるいは前向きに取り組めるかどうかは、賃金も勿論影響ありうるが、キャリアパスが示される か、自分がこの職で伸びるかどうか、そういうところがとても大切である。  その観点からすると、この統計には一つ大変重要な資料があり、13ページの下の表をごらんい ただくとわかるが、「採用時の教育・研修」を、調査事業所側では、いずれかを行っていると書 いているのが86%ある。ところが、受けている方からすると、22ページを見ると、採用研修を受 けていないという方が半分弱おられる。経営者の方は、いずれかを行っているつもりの人が86% もあるのに、働いている人に聴いたところ、半日程度という、ほとんどおまけみたいなものを入 れても、半分以上の人がきちんとした研修を受けていない。これは、先ほど川合先生が言われた ように、団体によってはきちんとなさっているところもあるのだろうが、事業所全体としてはこ の数値になっている。それでその結果が23ページに見られるように、「満足度」が最も低かった のが、教育訓練・能力開発のあり方、これはまさにさっき田中委員が言われた、この職としての 誇りを持つために、長く続けるためには非常に、その意味では、これは一応のサンプル数がある ので意味がある情報だと思う。今後、その教育・研修のあり方について、私たちとしても是非前 向きに応援するような施策を考えるべきだと考える。 (大森分科会長)  こういたしたいと思う。今日は一応、ある種の前提で御報告があったが、いろいろ御疑問とか 御質問が出たので、したがって、今後私どもがいろいろなことを考える上では参考であることは 確かなであるが、このままのことで、あそこで報告したらこうだったからこうだと簡単にはなら ない。だから、いろいろ御疑問が出たから、そういう参考資料としていろいろ考えていくという ことでよろしいか。そうしないとちょっとおさまらない。いろいろ読み方もあるし、なお尋ねた いこともあるので。ただ、この種の調査がないと議論が進まないものだから、今日はこういう資 料を出していただいた、そういうことでこの議論はおさめたいと思うが、よろしいか。  事務局いいだろうか。  それでは、あと2つ御報告いただかなければいけないことがあるので、時間が押してきたから、 続いて2つざっと御説明いただきたい。 ○ 小川雇用政策課長よる資料3について説明 (大森分科会長)  これは、次の機会に簡単な御報告をいただけるようなことになるのか。 (小川雇用政策課長)  明日出るので、先生方の方から御要望があれば、次回のときにでも御報告させていただけたら と思うので、よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  わかった。  もう一つの方もお願いしたい。緊急プロジェクトの方。 ○井内認知症対策室長から資料4について説明 (大森分科会長)  ありがとうございました。  ちょっと時間が押してきたので、恐縮である、できればざっと委員の皆さん方も目を通してい ただければと思う。これが今後最大課題になる可能性が十分あり、どういうふうに組んでいくか 非常に大きいテーマになっている。  川合さん、何かあるか。 (川合委員)  殊さら時間がないときに申し訳ない。答申の9ページ、19ページを見ていただきたい。今、担 当の方がお話になった後のところであるが、「ア 現状・課題」。これから9月以降、議題にな ることだと思うが、その真ん中、「この点に関しては、平成18年4月より、介護老人保健施設に おいて導入された軽度認知症に対する短期集中認知機能リハビリテーションが、中核症状及びB PSDの改善に有効であることが示された」。殊さらこういう文言を入れていただいた。これの 点数は、ここに書いてはないが、非常に少額である。これをリハビリの職員を増やして入れてや ろうと思ったら全施設赤字になる。実施率は2%である。これは、やはり特殊的な学究的な施設 がこれをやってくれて、研究課題としてこれを報告させていただいたが、この点は、9月以降、 重点を持って、こういう文書に載っているというお墨付きをいただきましたので、このリハビリ の評価という点に関しましてはよろしく御判断をいただきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  勝田さん何か。 (勝田委員)  お時間がないところありがとうございます。  皆様のお手元に、私どもの「介護保険の改善を求めるアピール」というものを出させていただ いている。今お示しいただいたが、この認知症の医療と生活の質を高める緊急プロジェクトとい うものについては、私どもはとても歓迎している。特に若年認知症についての具体的な処遇も含 めた提案をいただいたことをとても励みにも感じている。そういう中で、これはもう具体的には、 やはりきっちりと財政的な裏付けがない限りこれは実現できないものであり、是非この委員会に おいても、その点を御配慮いただければと思う。  そういう中で、私どもは、以前も配付していただいたこの介護保険の提言を大切にしていきた いと思っているが、一方、やはり財政審議会などにおいては、要介護度2以下の人を介護保険か ら外すという動きが出ている。これは、今の要介護認定の58%、210万人に影響を与えるものでも あるし、同じく要介護2以下の生活援助を切り離すということ、これは、在宅介護を進めるに当 たっては、そういう生活援助を受けている人の半数以上に上る。そういう点については、やはり このような「試算」であれ、財政制度の審議会などでこういう意見が出されるということをとて も懸念している。  また一方、要介護認定調査の検討会では、要介護認定の82項目のうち23項目を削除するという 案が出されている。私たちは、提言の中では、認知症があればすべて要介護1になるという、そ れ以上になるシステムにしてほしいということを願っているが、今この緊急プロジェクトと連動 するが、早期発見をして、そして早期に対応をすることによって軽く症状を維持することができ る。それは全体の財政にも寄与するのではないかと思っている。そういう点におきましては、例 えば、やはり今後このような委員会において、別のこういう検討会の中で検討される内容につい ては、逐一この委員会にも報告していただいて、やはりここで検討していただくということをお 願いしたいと思っている。  特に懸念するのは、研究者によって、数理的な影響がないというようなことで、生活実態を把 握しないような現状の中で削除が提案されていることである。例えば、その中で一つ挙げるが、 例えば電話の利用についてである。一方では、電話がかけられないということで懸念されている が、私ども介護者にとっては、逆に、電話をあちこちにかけて困るという実態がある。それから、 一方では褥瘡があるという、そういうことのあり、なしにかかわっては、この研究内容は実は施 設を対象にしてあるもので、在宅の70%もやっていることが全然配慮されていない。そういうま までは、例えば褥瘡があるということについては、栄養問題も含めて在宅介護する者にとっては とても負担になる。  また、やはり今度出されている後期高齢者医療制度の問題なんかも含めまして、要介護認定の 要介護者の83%がこの後期高齢者に当たる。そういうことも含めて、私たちは、認知症があって も安心して暮らせる、そういう社会づくりについて、この緊急プロジェクトチームの内容も含め て是非財政的な御配慮をいただけたらと思っている。  ありがとうございました。 (久保田委員)  先ほどちょっと部会長からお話があったが、この介護労働者確保・定着等に関する研究会、是 非、次回報告していただきたいと思うので、よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  一応、全体の議論は終わりであるが、お2人から資料が出ており、今、勝田さんに述べていた だいたので、沖藤さん、それでは、どうぞ。 (沖藤委員)  お時間のないところありがとうございます。今回は、会場全配付していただいているので読み 上げない。御安心していただきたい。  先ほど、NPO事業所の経営実態はどうなんだというようなお話もあったが、NPOを初めと する中小の事業者は、もう大変な経営困難に陥っている。特に、経営基盤が弱いせいもあり、地 域の中でこれからどうやって運営していくのか、どの事業者に聞いても大変な悩みを抱えている。  例を一つ申し上げると、月によって利用者は違ってくるが、平成15年のある月、102人の利用者 がいた。事業収入が332万7,000円だった。それから4年たちまして、平成19年、同じ102人の月が あった。それに対して260万3,000円の収入であり、何と4年間に70万円の減収になった。これは、 つまりは利用抑制等々の影響をもろに受け、なおかつ働き手がいない、利用者を受け入れたくて も受け入れられない、そういう現実の反映かと思う。  従来、NPOというのは、地域の中で、介護保険の前からいろいろな形で地域の人たちを支え てきたし、また地域の人たちに支えられて運営してきた歴史がある。にもかかわらず、今、地域 は大手介護サービス事業者の支店経済化しているということもあり、地域住民にとりましても大 変不安な状態である。  だから、NPO自身の一層の努力も必要であるが、また、そこに経営支援策も入れていただき、 地域のいわゆる介護のある暮らしを支えているNPOたちに何らかの支援があることをお願い申 し上げる。利用者の利用しにくさと事業者の経営のしにくさというのは1枚のコインの裏表だと お考えいただきたい。  項目は6項目立てた。読めばわかることなので特に申し上げないが、特に介護報酬及び福祉人 材への賃金の問題は、大都市、特に首都圏などの人たちに大きなしわ寄せが行っていると私は感 じている。だから、今までの地域係数がいいのか、その御検討も是非お願いしたいと思う。  また、更に、訪問介護に関しましては、先ほど言ったように、生活援助の利用制限が非常に強 く進んだことが事業経営を圧迫しているので、今後、通院介助とか散歩、そういう問題について、 現場の裁量がもっとあっていいのではないかということも書いているし、また、1.5時間問題、こ れがもう実に利用者にとって不便な状況、介護サービス提供を出す側にとっても難しいというよ うなことで、結果、利用離れが進んだということが経営を圧迫しているという点も御配慮いただ きたいと思う。  また、認知症グループホーム、勝田さんの方からも出ていたが、やはりこれも、夜勤も含めた 人員配置体制を再検討しなければ、夜勤によってグループホームの職員が、病気になってどんど ん辞めているという実態は、私の周辺にも幾つもある。  また、福祉用具の問題も、是非グループホームで利用できるように、介護保険適用で利用でき るようにお願いしたい。  最後に、小規模多機能居宅介護のことだが、これが参入が進んでいない。それはもう十分御関 係者は御存じだと思うが、これは結局、地域の実情と合っていないのではないかと。人員配置基 準がまずある。小さいところでぎりぎりの人数でやっているので、先ほど来の教育というような 問題に関しても、1人を教育に出してしまうと、あとの介護ができないという非常に逼迫した状 況にありますので、この小規模多機能は特に職員の教育体制が必要だと思います。そういうわけ で、いい職員が健やかに育っていくために、地域に愛されるNPOを育てていくという視点から、 中小企業の対策についてお力添えをいただければありがたいと思う。  以上である。どうもありがとうございました。 (大森分科会長)  ありがとうございました。  それでは、以上にするが、次回以降について何かランスメントあるか。 (鈴木老人保健課長)  具体的な議題とか日程はまた調整させていただくが、8月は詳細調査の集計と分析を私どもの 方でやりたいと思っており、9月以降お願いしたいと思っている。よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  では、夏休みだそうなので、どうぞ御無事で、また夏明けにお会いしていただく。 (勝田委員)  前回、今後のどの月に、大体どういうようなことを検討するのかというのを出してほしいとこ の前お願いしていたが。次回でも結構だが。 (大森分科会長)  次回にするか。取りあえず夏休みだそうだ。その間にお考えになるので。  ありがとうございました。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3949)