08/07/14 第1回院内感染対策サーベイランス運営委員会議事録           第1回院内感染対策サーベイランス運営委員会          日時 平成20年7月14日(月)          16:45〜18:30          場所 合同庁舎7号館906B会議室 ○事務局 ただいまから、「第1回院内感染対策サーベイランス運営委員会」を開催しま す。構成員の皆様方には、本日お忙しい中ご出席いただきまして、誠にありがとうござ います。開催に当たりまして、最初に指導課長の三浦からご挨拶を申し上げます。 ○三浦指導課長 7月11日付の人事異動で、指導課長にまいりました三浦です。実質2 日目の勤務で、先生方にあまり申し上げる内容というのも深くありませんが、恒例です ので一言だけご挨拶を申し上げたいと思います。  この院内感染については、ご案内のとおり医療の安全という面から、また医療の質の 評価という観点からも非常に重要な事項であるということは、多くの関係者の共有する ところだと認識していますが、そういう中でエビデンスに基づいた、つまり科学的根拠 のある対策というのをどう打っていくかが極めて重要だとかねがね思ってきました。私 個人的にも、感染症サーベイランスの事業の補助金を担当したこともありまして、その ときの感想からいってもサーベイランスをやること自体が目的ではなくて、それをいか に実態の対策に反映していくのかのプロセスが非常に重要ではないかと思ってまいりま した。もともと院内感染については、対策中央会議というのが平成16年に立ち上がって 7回にわたる検討が行われ、その結果このサーベイランスの位置づけというのも明確に なってきたと思っていますし、院内感染対策そのものも医療法の施行規則の改正などに 基づきまして、それぞれの病院が行わなければいけない基本的な対策という形で位置づ けられたことは、この間の大きな動きであると同時に、いままでの先生方のご協力の賜 その成果ではないかと思っています。これから始まります運営委員会ですので、今日は 第1回ということですが、目的としてこの感染症サーベイランスが、実態としての院内 感染をいかに低減していくのかといった観点から、このサーベイランスの運営委員会が 全体として運用されていくことが国民の期待するところではないかと思いますので、是 非先生方のご指導をいただきながら、指導課としてもできる限りのことをしていきたい と思っていますので、ご協力をいただきたいと思うのと同時に、ご協力をお願いするこ との私どもとしての決意としたいと思います。どうか、よろしくお願いします。 ○事務局 各構成員のご紹介をします。お名前を五十音順にご紹介申し上げます。国立 感染症研究所細菌第二部長 荒川宜親構成員、東京医療保健大学医療情報学科科長 大 久保憲構成員、東北大学大学院医学系研究科教授 賀来満夫構成員です。なお、本日国 立感染症研究所感染症情報センター長 岡部信彦構成員及び北里大学北里生命科学研究 所大学院感染制御科学教授 砂川慶介構成員からは、ご欠席のご連絡をいただいていま す。また、本日説明者として、国立感染症研究所細菌第二部より鈴木里和主任研究官、 山根一和主任研究官及び、筒井敦子担当官にご臨席いただいています。また、群馬大学 医学部大学院医学系研究科の生体防御機構学講座より藤本修平講師にも別会議のため遅 れますが、後ほどご臨席いただく予定です。なお、写真撮影などはこれまでとしますの で、ご協力をお願いします。  まず、本日の進行に際しまして、当運営委員会の座長の選任を行いたいと存じますが、 先立って行われた準備委員会で座長をお引き受けいただいた荒川構成員にお願いしたい と存じますが、いかがでしょうか。                  (異議なし) ○事務局 荒川座長、座長席に移動の上でよろしくお願いします。 ○荒川座長 当運営委員会の座長を仰せつかりました荒川です。構成員の皆様方のご協 力をいただきまして、当運営委員会の円滑な運営に努めてまいりたいと思いますので、 よろしくご協力のほどをお願いします。  議事に入る前に、恒例によりまして当委員会の議事の資料あるいは公開の取扱い等の ルールについて確認をしたいと思いますので、事務局よりご説明をお願いします。 ○事務局 説明します。運営に関しまして予めお断り申し上げますが、本委員会につい ては公開で行い、議事録についても事務局でまとめたものを各構成員にお目通しいただ いた後、厚生労働省のホームページで公表することとしたいと思いますので、この点に ついてご了解をお願いします。  引き続きまして、資料の確認をします。本日ご用意しました資料の構成は、議事次第 に記載のあるとおりです。資料の欠落等がありましたらお申し出ください。資料1が当 方の手落ちで欠落していましたので、あとでもう1回お目通しいただくということでご 了承ください。  議題1は、本日お集まりの構成員の皆様にはまず実施マニュアルを再確認していただ き、その後の議題をお願いしたいと思います。資料2です。これは先立って行われた準 備委員会でも1回お目通しいただいている資料ですが、院内感染対策サーベイランスの 実施マニュアルの一覧になります。目的に始まり、実施体制、サーベイランスへの参加 と脱退、サーベイランスデータの収集、データの提出、データの解析評価と還元、解析 評価情報の利用と個人情報とサーベイランスのデータの取り扱い、その他というマニュ アルを作っています。一応この形で一通りお目通しいただいていまして、個別に特に問 題があればいろいろご指摘をいただきたいと考えています。よろしくお願い申し上げま す。 ○荒川座長 資料の説明は以上でよろしいですか。議題に入ります。本日の議題は資料 の1頁にありますように、議題1「院内感染対策サーベイランス運営委員会について」、 議題2「院内感染対策サーベイランス運営委員会に関わる論点整理」、議題3「その他」 です。最初に議題1「院内感染対策サーベイランス運営委員会について」ということで、 本日お集まりいただきました構成員の皆様方には既にお目通しいただいていると思いま すが、これについて事務局から説明をお願いします。 ○三浦指導課長 こちらのほうから既に資料2についてはご説明申し上げて、資料1に ついては先ほど申し上げたように欠落していますので、間もなく持ってくると思います ので、その際にお目通しをいただきたいと思います。資料1は、この委員会のそもそも の設置要綱ですので、内容としてはこの運営委員会の目的や構成ということを一般的に 定めた内容ということで、これについてはある意味で共通の認識を持っていただくとい う目的のもので、新たに何かご議論をいただくような性格でもないと思います。  マニュアルはいま簡単にご説明したとおりの内容ですが、そもそもこのサーベイラン スについての詳細な目的あるいは内容などについてを規定したものとご理解をいただけ ればと思っています。 ○荒川座長 ただいま、事務局からご説明いただきましたこのマニュアルについて、委 員の皆様から何かご質問とかご提案等はありますか。大久保先生、何かありますか。 ○大久保構成員 特にありませんが、この院内感染対策サーベイランスの実施マニュア ルが作られた経緯は、それぞれの厚生労働科学研究の中から出来上がってきたという理 解でよろしいでしょうか。 ○事務局 そういうことになっていると思います。部門別のあたり、各論的な事項は、 まさにそういうところから始まっています。 ○荒川座長 賀来先生はよろしいですか。 ○賀来構成員 結構です。 ○荒川座長 このマニュアルについては、古いほうのマニュアルもありまして、それも 含めて研究班の活動の中で国内の状況あるいは海外、特に米国等のCDCのマニュアル等、 NNIS、ニースのマニュアル等も考慮しまして、日本の国内の医療環境の状況を反映した 形で皆さんにできるだけ参加していただきやすいようなものとして進めてまいりました が、去年の7月から大幅にその中身を改善しまして、現場の方々にできるだけ負担をか けないような形にして、サーベイランスが持続可能なようにということで、現在のマニ ュアルができています。 ○大久保構成員 そうしますと、例えば院内感染対策サーベイランス運営委員会でディ スカッションしたことをいままでのこのマニュアルに追加訂正する場合には、各研究班 に対して提言するという動きになるわけでしょうか。 ○事務局 研究班の意向を無視してというのはなかなか進みにくいので、まずこういう ものが運営委員会の議題に上がったので検討してくださいというのを紹介して、それに 対して回答を求めるという流れが筋というか、通常の流れかと思います。 ○大久保構成員 分かりました。 ○荒川座長 ほかはいかがでしょうか。よろしいですか。このマニュアルについて特に ご意見がないということでしたら、いま大久保先生からいただいた点について今後考慮 させていただく形にします。  議題2の「院内感染対策サーベイランス事業に関わる論点整理」です。これは概ねマ ニュアルの中身をご理解いただいた上で、いろいろ論点を指摘していただきましたので、 この論点について具体的な協議事項等について事務局からご説明をお願いします。 ○事務局 説明します。資料3の論点整理ということで、1から6まで項目を挙げてい ます。第1にデータの精度管理が重要であるということで、それに関していくつかの資 料を説明します。それから、いまサーベイランス事務局として専属職員が動いています ので、その事務局として行う業務範囲を明確化しておく必要があります。その中で1、2 と関わってくることですが、各医療機関に異常なデータが出ているときの問い合わせ等 の基準を作成して、それを実行する必要があります。それから、このように収集したサ ーベイランスの情報に基づいて、必要な指導や助言の体制が望まれる。具体的には、現 在は直接の監督指導権限のある都道府県等がその情報を閲覧できない状態です。  データの公開ですが、国で定められている統計調査等業務の業務・システム最適化計 画が平成18年3月に制定されていますが、それに基づいたスプレッドシート形式での情 報公開を推進すべきと考えています。それから、現在まで参加の医療機関が増えている こともありますが、未入力医療機関に対するフォローが十分にできていないのではなか ろうかという懸念を考えています。  資料4-1は、大久保構成員から特にマニュアルの記載事項に関してかなり詳しくご指 摘をいただいていますので、計5頁ほどになっている原文をそのまま出しています。一 応、これは事務局側として大久保先生のところにご相談に上がって、現状としての回答 と対策の案を資料4-2で一覧表形式にして提示しています。これは詳しくしていただい た分で、分量がかなり大きくなってしまっているので、いまはお目通しをお願いしたい と思います。  表のいちばん最初の資料4-2の整理番号の概要です。ご意見として、精度管理に直接 関わってくるところとして分子データの精度。第1に、感染症の判定基準と感染症例を 発見する手法について、追加記述の検討が必要ではないか。特異度は問題にはなりませ んが、感度が低い。現状のままだと、感染例の取りこぼし例が多くなるのではないか。 もう少し細かくするべきではないか。このままの状態でいきますと、積極的にサーベイ ランス活動をしている施設ほど感染症発生率が高くなるという矛盾に陥る懸念がありま す。ということで、こちらに対しては今年度以降、各研究班での検討を進めることが妥 当と考えています。感染症の基準をより明確に、具体的な記述を書き加えることで対応 する予定です。  分母データの精度というところで、感染症発症リスク因子の調整が必要かと思われる。 感染症発症リスクが適切に制御されていない部分があって、算出された標準値と各施設 データを比較して評価することが難しく、特に集中治療室部門のデータについては検討 が望まれるということで、こちらに関しても、研究班による検討を進めることが妥当と 考えています。  現在、CDCの手法に則ったサーベイランスが大病院を中心に普及してきており、CDC のNHSNのレポートとも比較可能なように判定基準や手法が同じか、あるいは感染症発症 率が換算可能なようにしておくことが医療機関にも有用で、参加施設を増やすことにも 効果が見込まれるということで、こちらに関しては医療制度の違いや、感染症対策の体 制が異なっているため、判定基準や手法を全く同じにすることはなかなか解決するべき 点が多く、算出された感染症発症率を比較する際にも検討が必要と思われます。なるべ く感染症発症率が換算可能なように、検討を行うべきと思われるところです。特にこの 辺は、大久保先生にも強調してほしいというご意見を伺っていますので、ほかの構成員 の皆様方にご意見をお願いしたいと思います。 ○賀来構成員 大久保先生がご指摘されたように、積極的にサーベイランスするところ の感染率が高まる傾向はあると思いますので、特に感染の基準をより明確に定めて、同 じような感染判定基準で取りこぼしがないようにしていただければ、非常によろしいか と思います。非常に重要なご指摘だろうと思います。 ○大久保構成員 少し私の意見について補足をします。まず5つある部門の中の検査部 門はかなり歴史もありますし、きちんとした形でなされていますし、我々の言う臨床の サーベイランスとは少しねらいが違いますから、今回私としては検査部門に対しては特 別な意見は書いていないですが、その他の4つの全入院部門、手術部位、集中治療、新 生児等のサーベイランスに対して、いちばん基本となるのは各病院の感染データがどう いう形で収集されているかが問題です。例えば極端なことを言いますと、カルテだけを 見てチェックした方法もありますし、やり方としては6つぐらいあります。カルテによ る診療録に基づくサーベイランス、主治医もしくは担当医の申告に基づくサーベイラン ス、検査室の結果のみに基づくもののあたりはかなり精度が低いというか、感染率も低 くなってしまいます。  それに対して、いちばん望まれるのは現場をインフェクションコントロールチームが ラウンドして確認する。中でも、細菌検査室のデータを基にしてチームで確認をして、 必要な患者に対してラウンドして判定をするところまでを、きちんとした形で各病院か ら報告がなされているかどうかにまず問題点があると思います。これは以前に関東病院 におられ現在東京医療保健大学学長の小林寛伊先生がいろいろ検討された数字がありま すが、診療録だけを調べるサーベイランスによると、MRSAですが感染率が0.44%という 数字が出ていますが、それに対して同じ時期に先ほど最後に申し上げた細菌検査室に基 づくデータを基にしたラウンドですと0.81%になってしまいます。感染率が倍ぐらいに 変わってしまいますから、その辺を各病院がどういう形で収集しているか。それを知る というか、それを規定したほうがむしろいいのではないかと思います。それが1つ強調 したい点です。  もう1つは細かい各論になりますが、感染かどうかという判定、保菌と感染の違いを どのようにするかという基準がまだはっきり見えていない。おそらく、この感染の数字 から見るとかなり諸外国の数字と一致していますから、その辺はある程度できているか もしれませんが、例えば菌が2種類出たときに、どちらを起炎菌と判定するかとか、主 治医が薬を使って治療を開始したものを感染とするとか、いろいろな具体的な例という か、感染と判断する手法があると思いますが、もう少しその辺を整理する必要があるの ではないかという気がします。  分母データに関しては、ICUですと施設によって、例えばレスピレーターの装着率と か在室期間が施設によってかなりばらつきがありますから、ペイシェントデイだけでや っているとかなり違ったデータが出る。いわゆる、デバイスデイをもう少しそこに加味 していったらいいかなと。その辺のディスカッションも少ししていただきたいと思いま す。同じICUといっても術後のリカバリー的に使っている所もあると思います。経緯を 聞いてみますと、集中治療室の場合に当初はその辺をきちんと厳格にやっていたら、参 加数がどうも伸びないということで少し緩和されたようなこともお聞きしました。それ はそれなりにいいかもしれませんが、その辺のディスカッションをしていただけたらと 思います。 ○荒川座長 いま大久保先生からご指摘になられた点は非常に大事な点で、これについ てはサーベイランスの研究班で何度か論議をしまして、今回の改善のときにも昨年の7 月からの改定についてもそういうことを考慮した上で、いろいろマニュアルも変更をし ました。この点については鈴木さんのほうで、実際に今回バージョンを変更するに当た って、その辺り先ほど大久保先生のご指摘になられた点も含めて、一応ある程度考慮し ながらやってきた経緯もあると思いますので、感染症の診断基準についてどういう形で 考慮したかをご紹介いただけますか。 ○鈴木主任研究官 まず感染症の診断について、現在全入院部門に関しては大久保先生 のご指摘がありますように、分母データとしては大久保先生がおそらく最も良いであろ うといった形の細菌検査室データに基づいたものに対して、ICTがラウンドして拾い出 す形を取っています。感染症の診断基準については、今回のシステム改善以前はかなり 詳細な感染症の診断ガイドラインといったものがあったのですが、実際の参加医療機関 のほうからはそれはかえって冗調という言葉はあれですが、少し実用的ではないという ことがありますので、今回のシステム改変に伴って該当する菌に対して、抗菌薬投与が 行われていることが診断基準の1つとして上がっています。もう1つは、担当医が感染 症と診断した場合という形が大きな2本立てになっています。ただ、これだけですと診 断のぶれが生じることを参加医療機関から聞かれますので、今後全入院患者部門の研究 班のほうで感染率が高い施設、低い施設に関して、同様の症例に対してどのような判定 が行われているかを調査して、具体的にどのような症例に対する基準を作ることが基準 の統一に結び付くのかを検討していきたいと伺っています。  続きましてICU部門ですが、デバイスデイは確かに大久保先生がおっしゃるように世 界的にも標準で使われている分母ですが、2000年に開始されて以降デバイスの入力に非 常に手間がかかるということで、参加施設が漸減していった経緯があります。入院期間 だけの入力であれば継続可能ですという意見もあり、ただデバイスデイも入力できると いうと、それこそ20施設といった数に落ちてしまいましたので、それではナショナルデ ータとは言えないだろうということで、今回のシステム改変では、ペイシェントデイで 分母にすることといたしました。研究班の研究で、デバイスデイであってもペイシェン トデイと同一のリスク調整因子になり得るという研究結果もありましたので、それを踏 まえて現在ではペイシェントデイにしています。ただ、2000年に開始以降ほぼ10年近 くが経っていまして、院内感染に対するスタッフも各病院で増えてきていますので、今 後また研究班でデバイスデイを踏まえたサーベイランス体制を整えて、可能であれば再 びデバイスデイを基にした感染率というのも出せるように検討したいと思っていると、 ICU部門の研究班の先生からは伺っています。  SSIの診断の判定基準については、米国のものとほぼ同一のものを使っていまして、 かなり詳細に決まっていますので、これに関しては特に問題ないのではないかと思いま す。NICU部門に関しても、現時点でかなり詳細な判定基準等があります。あとはNICU 部門に関しては実際のサーベイランスの仕方がラボに基づいたものを明確には規定して いないですが、参加医療機関から具体的にはかなり狭い範囲であり、ほぼ感染が発生し た場合には把握しきれるということで特に問題はないのではないかということですので、 今後少しデータのばらつきなどを見ながら精度管理を進めていければということです。 以上です。 ○荒川座長 どうもありがとうございました。いまの担当者の説明について何かありま すか。 ○大久保構成員 まずSSIの部門はいま言われたとおりに思います。かなりNHSNと同じ カテゴリでやっていますから、比較が十分できると思います。集中治療部門は、ペイシ ェントデイに変えた理由はよくわかりました。それから、2001年から日本看護協会の感 染管理認定看護師、ICNの方たちが、800名近くが認定されて各病院に配置されています ので、その方たちはおそらくNHSNに基づいたサーベイランスをかなり詳しく勉強してき ておられますから、十分にデバイスデイの入力等に対応できると思いますので、むしろ 勉強してこられた内容を使えるような形にしていかないと、別々のサーベイランスをや るようなことになってしまう。そういうことも考えられますから、認定ICNがうまく理 解して参加できるように持っていくのが、1つの方策ではないかと思います。 ○賀来構成員 いま大久保先生からありましたように、せっかくこのサーベイランス事 業が立ち上がってナショナルサーベイランスとしてこれまでも非常に努力をされてきた ことがありますし、これは本当に重要なので、逆に言うといま大久保先生からありまし たようにかなりICNの方が多くなったのですが、実際には各施設の中で専任ということ がなかなか難しいということで、医政局から各医療機関に対して専任性を取りなさいと いうこともきちんと言ってはいただいていますが、さらにできればサーベイランス委員 会というのは医政局も含めたいろいろな所から重要で、そういったものをきちんとやる ことが医療の質、向上につながっていくことを含めてICNの方が非常に多くなっていま すが、実際にはなかなかサーベイランスの仕事まで踏み込めないというよりも、それが 専任でないのかがわかりませんが、大変な作業ではありますがとても重要なことなので、 是非またこの委員会を通じてでもサーベイランスというのは非常に重要であってという ことを強く強調していただければ。ICNの方々の職場における意識は高いですが、病院 の管理部の意識をサーベイランス上では非常に重要であるということを特に強調してい ただくと、さらに精度の高いサーベイランスができるのではないかと思いますので、是 非そのあたりはよろしくお願いしたいと思います。 ○荒川座長 ほかはよろしいですか。確かに診断基準というのは非常に大事でありまし て、先ほど少し説明がありましたが全入院患者部門サーベイランスの場合は主治医が診 断するのではなくて、感染症を診断する担当の医師を決めて、その人に客観的に診断を してもらう手法を今回は新たに明記していますので、そういう点では感染症かそうでは ない、定着や保菌かという差が以前よりは改善されてきているかなという気がします。  あとは、そういった専門の看護師が活躍できる場を今後広げていく上でも、もし可能 であれば研究班のほうで、いまのサーベイランスは表裏一体の研究班協力施設というも のをいくつか選んで、そういうところでペイシェントデイではなくてデバイスデイを具 体的に実施してみて、うまくいくようでしたら将来的にはサーベイランスのほうにそれ を折り込んでいく形の手続で進めたらいいかなと私個人的には考えています。これは、 研究班のほうでいろいろ検討を進めながら、そういう形にしていくかどうかをご議論し ていただこうと考えています。何か補足の意見はありますか。よろしいですか。この概 要についてはいまいただいた意見も含めまして、事務局のほうで少し整理をしていただ いて研究班にフィードバックしていきたいと思いますので、よろしくお願いします。  次に、詳細指摘事項について、少し事務局からよろしくお願いします。 ○事務局 資料4-2の詳細の分子データの精度と感染症の判定基準です。このシステム 全体として、サーベイランス部門ごとに異なる判定基準が用いられていて、整理が必要 ではないか。これに関しては、各部門がそれぞれ独立した研究事業から発展したためで はないかと考えられるということですが、現在本サーベイランスシステムは各部門が独 立した構成で、部門ごとに目的が異なっている現状があります。ですので、次回のサー ベイランスシステムの更新時には、これは各研究班での検討課題としたい。  全入院部門のサーベイランスですが、5つの感染症判定基準及び5つの耐性菌の検査 基準や、ほかの微生物が同時に検出されている場合に、どちらが起炎菌であるかを判定 する基準が、より詳細な記述による基準が必要ではということです。前提となる感染症 の判定基準を明文化するか、CDCの判定基準を用いるということで、今後判定がばらつ く症例を収集し、より客観的な判定基準への改定をいま行っているところである。さら に関連学会にもお願いをして、サーベイランスのための感染症の判定基準を作成される ことを期待したい。薬剤耐性菌の判定基準が、検査部門サーベイランスの薬剤耐性菌判 定基準を用いるということで、これに関しては現時点でも全部門で、薬剤耐性菌の判定 基準が統一されているということです。5つの耐性菌別に、それが主要な起炎菌である ことを判定する基準を明文化する必要がある。これも先ほど議題に上がっていましたが、 より客観的な判定基準の改定を行って対応する予定である。  続いて手術部位感染、SSI部門のサーベイランスですが、基本的には良いのですが、 マニュアルの記載がJHAISに参加していない施設にとっては不十分で、少なくとも感染 症の深さと感染部位の解説が必要。CABGに関しては胸部切開部であるか、血管採取部位 かが分かるデータも必要。これは現在、研究班のSSI部門担当研究班に作成を依頼して います。  (3)は集中治療室部門のサーベイランスです。カテーテル関連血流感染症の判定基準 には、CDCでいうところの「検査室データによる血流感染の多いLCBI」が用いられてい ますが、末梢静脈カテーテル関連感染症も併せて判定するのであれば、「動脈または静脈 の感染VASC」も加えるとよいかということで、これに関してはいままでのところ動脈感 染症を主体に考えていたので、今回の回答としてはすぐには難しいですが、これも部門 の担当官と相談したい。  (4)は新生児集中治療室部門のサーベイランスですが、感染症判定基準の肺炎(挿管)、 肺炎(非挿管)、敗血症、血流感染症、尿路感染症というのは、臨床に則して独自に吟味 して開発された新しい扱いやすい判定基準ですが、これもCDCのデータと互換性が得ら れる工夫を検討できれば理想的ではないかということで、これに関しては今後の研究班 の検討課題とするつもりです。  感染症を発見する手法ということで、データの精度確保のために判定基準のほか、感 染症を発見する手法も全参加施設で統一すべき。標準値の算出には積極的で、かつ前向 きなサーベイランス手法によるデータのみを集計するということで、マニュアルに積極 的かつ前向きサーベイランスの手順を加えるということですが、既にICU、SSI、NICU 部門に関しては前向きサーベイランスとなっています。全入院部門に関しては、検査室 データに基づいているということです。既に参加している施設に対しては、実施してい る手法を調査し、積極的かつ前向きサーベイランス以外の手法のデータは集計から除外 していく方向がいいのではないか。これに関してもマニュアルの整備ということで、積 極的、前向きのデータが主体になるようにデータの質の向上を図るということで動いて います。  新規参加施設の担当者は、手法を習得するための研修会受講を必須とするということ に関してですが、昨年度は既参加施設、新参加施設も含めて説明会を計6回、全国4カ 所で施行して、そのときに使われた資料やQ&Aをホームページ上に掲載しています。今 後は、より詳細な内容をWeb上に掲載する予定です。説明会は今後も年数回、関連学会 と協同として開催する予定になっています。説明会でサーベイランスの手法のほか、還 元情報の利用方法についても講習を行うことを計画しています。必須化については、完 全に必須化すると各方面で問題が大きくなりますので、いずれもう少し一般化してから の検討事項としたいと考えています。以上のところまでで、いかがでしょうか。 ○荒川座長 いまご説明いただいた件について、何か補足あるいは質問等はありますか。 ○大久保構成員 いまの説明でよく分かりましたが、1頁の真ん中あたりの分子データ の精度の次の(1)は、関連の学会でご検討いただけたらと思います。例えば(3)にあるよ うに、起炎菌の判定が複数の場合とか、単純に菌量で起炎菌と言えるかどうかというこ とをもう少し具体的に、検討していただけたらと思います。SSIに関しては、ほぼJHAIS 及びNHSNに準じてきているから、特段問題はないと思います。  集中治療ICU部門のサーベイランスにおいては、これもVASCが抜けているのではない かなと。その他はこのままで、特別に問題ないと思います。 ○荒川座長 賀来先生はいかがでしょうか。 ○賀来構成員 特にありません。 ○荒川座長 ここでご指摘いただいた点も、研究班の中で何回も論議しまして、実施可 能性とかいろいろなことを考慮した上での現状になっています。確かに海外のサーベイ ランスも改善されていきますので、そういうものも参考にしながら国内で取り入れても らうべきものについては、積極的に進めていく方向になると思います。  あとは先ほどのIの概要とも関わりますが、基準というのはなかなか難しいところが ありまして、研究班で作るということも1つの手ですが、特に感染症の診断基準という のはそれぞれの専門学会が、本来ならそういうものをもう持っておられて、それを使わ せていただくことであればいちばん楽ですが、現実的にはそこまでいっていないという ことがありまして、今後も研究班として各関連学会にそういう申入れをお願いしていく ことになるのかもしれません。ただ、サーベイランスと研究は違いますので、サーベイ ランスは動向を把握していろいろな感染症の対策に資するということで、あまり細かい 内容にしてしまうと実施可能性がとても悪くなります。といって、あまり甘いものにす ると今度は使いものにならないということで、そこら辺の兼ね合いが非常に難しいこと があります。ただ、正確性というか精度はいずれにしても非常に大事なことですので、 その辺を是非今後さらに充実をさせていきたいと思います。もし、いろいろなご指摘が ありましたら、各参加施設からもこの事務局に提案や質問をしていただけるシステムに はなっていますし、大きな改善とか改定とか新たなものを講じる場合は関係者にお配り しまして、皆さんのご意見とかも折り込んだ形で改善する手順を踏んでいますので、い ろいろな方法を使いましてさらに良いサーベイランスに練り上げていければと考えてい ます。 ○大久保構成員 全入院患者部門、ホスピタルワイドというのは本来は新たなというか、 新規の感染症を見付けるためにやるべきものであって、項目名と内容が合わないと思い ます。 ○荒川座長 これは、すべての菌についてカバーするかどうかも論議があったのですが、 とりあえず感染症法で届出が求められている5つについて少なくともやっていただく。 これ以外はやらなくてもいいということではなくて、サーベイランスとしてこちらにデ ータを届けていただくのは5つぐらいということで、それ以外のものについては各病院 のそれぞれの条件に応じて、同等に監視していただくということでお願いしていること になっています。例えば、ほかにはアシネトバクターとかESBL産性の肺炎桿菌は確かに こちらに届けていただくデータからは欠けていますので、そういうものをサーベイラン スで把握することは、現実的にはいまのところできないのが事実です。 ○荒川座長 この全入院というのは、全入院患者を対象にした特定の耐性菌のサーベイ ランスという趣旨でもともと立ち上がっていまして、包括的な全病院をすべて網羅的に、 包括的にサーベイランスするということではなくて、全入院患者を対象にして特定の耐 性菌についてという趣旨です。ただ、誤解を生じやすいタイトルではあります。続きを お願いします。 ○事務局 残りに入ります。分母データの精度、全入院患者部門サーベイランスで、資 料4-2の表の2頁です。感染症患者は入院期間が延びる傾向にあることと、病院により 平均在院日数が異なることを考慮すると、理想を言えば総入院患者数ではなく、総患者 日を分母にできるとより良いのではないか。結果の表が、分母と分子で表示されれば分 かりやすいが、感染症発症率を感染有病率にするとより明確になるのではないか。これ に関しては、分母として総患者日を用いること及び感染症有病率を用いることについて は、研究班全入院部門で検討してみるということです。SSI部門のサーベイランスに関 して、CDCのNHSN、SSI Risk Indexで層化した手術手技分類ごとの感染症発症率を算出 するのが適切と思いますが、その記述がマニュアルに不足しているので、日本感染症学 会のJHAISのサーベイランスシステムのように、実情に見合った手術手技分類の細分化 がより適切で、比較に耐えるリスク調整方法ではないか。本マニュアルではJHAISと同 じ手法であるかが分かる記載がありません。リスク調整について記述の追加が必要でし ょうということで、今後研究班SSI部門で、指摘の項目に関する記述を作成する予定で す。  集中治療室部門サーベイランスに関してです。1,000患者日あたりの感染症件数を感 染率として算出しているが、カテーテルや人工呼吸器の使用頻度に施設ごとのばらつき が大きい現状では、算出されるカテーテル関連血流感染率と人工呼吸器関連肺炎発生率 が比較に耐えないのではないかというご意見についてですが、今回のシステム更新前で はICU部門でデバイス使用日に関する情報の収集をしていたのですが、先ほども既に議 論に上がりましたが、それでやっていると参加施設が減ってしまったことが問題になっ たのと、1,000デバイス使用日の代替として1,000患者日を用いることが可能であると いう研究結果が出されたことで、今回のシステムではデバイス使用日は収集しないこと となったという経緯がありました。  カテーテル関連、血流感染症、人工呼吸器関連肺炎を肺炎とし、尿路感染症と同様に デバイスの使用に関係なく、すべての入院者を対象に感染例をカウントすべきと思われ る。肺炎に関しては、どちらの方法でもデバイス使用の有無のリスクを制御できておら ず、感染症発症率の比較には問題があるということです。旧システムにおける検討の結 果、入院48時間以降にICUで発生する肺炎のほとんどが人工呼吸器関連の肺炎であって、 人工呼吸器関連肺炎のみとしています。いずれもICUにおける人工呼吸器に関する感染 症管理及び血管カテーテルに関する感染症管理を評価することが目的で、デバイス使用 者のみを対象としています。  NHSNと同様に、1,000デバイス使用日あたりの感染件数を感染症発症率として算出で きるような分母データの収集が必要。尿路感染症は同様にカテーテル関連尿路感染症と し、デバイス関連感染症発症を算出できるような変更が必要。以上のご意見への回答は、 実際はICUの入室患者のほとんどが尿路カテーテルを留置されているので、現状におい てもカテーテル関連の尿路感染症となっております。デバイス使用日に関しても、上記 と同様の理由で現在は収集していません。  以上まとめますと、旧システムのデータを検討した結果、米国とは若干異なる方式を 採用したものになっています。今後は、現システムのデータの収集と解析によって再度 検討を行って、次のシステム更新の際に方針を再度検討したいと考えています。  中心静脈カテーテル関連血流感染症と末梢静脈カテーテル関連血流感染症を合わせて 算出しているが、利用者は感染症発生リスクだけでなく介入方法も異なるので、別に収 集すべきではないかということですが、これに関しても数とか管理方法がかなりばらつ くこともありますので、今後は現場の意見を聞きながら検討する予定です。  現在はICUに限られているが、一般病棟も参加できるようにしたほうが中小規模病院 等が参加しやすく、日本の現状にも合致しているのではないかというご意見についてで すが、JANISでは全入院患者部門もあるので、今後一般病棟におけるカテーテル関連感 染症のサーベイランスをどのような形でシステムに含めるかについて検討を行って、次 回のシステム更新の際に採用を考えたいです。  NICU部門のサーベイランスについてです。この分母データが全入院患者部門と同様に 総入院患者数のようですが、比較に耐えるよう総患者日を分母とするデータを収集する ことが可能ではないか。それから、体重別のカテゴリが3分類というか、わりと大ざっ ぱになっていますが、NHSNのカテゴリの水準数のほうが多くて導入するほうが良いので はというご意見ですが、「総患者日を分母とするデータを収集する」については、旧シス テムの参加医療機関サーベイランス担当者の「負担を可能な限り軽減しないと参加継続 が困難である」という意見を基に、その分母を設定しています。海外においても100入 院あたりの発生率の比較を行っており、現時点では妥当と考えています。今後、総患者 日を分母とするデータを収集する必然性を支持する研究結果が報告された場合は、再検 討したいと思います。体重別のカテゴリに関しては、旧システムではNHSNと同じような 細かい分類だったのですが、収集データの解析の結果、もう少し荒くした3分類で十分 妥当ではないかという結果が出ています。以上です。 ○荒川座長 ここまでのところについて、追加、ご質問、ご指摘はありますか。大久保 先生、いかがですか。 ○大久保構成員 いまご説明いただいたとおりで特に問題ないと思いますが、大事なこ とは感染率ではなくて罹患率がいちばん正確だと思いますが、そういう出し方をもう少 し強調されたらいいのではないかと思います。 ○荒川座長 特に全入院については、前月から感染症が継続している人と新たに発症し た人と分けて集計をしていまして、言葉の使い方が少し誤解を招きますが、感染率と罹 患率という名前。感染率というのは前の月から、あるいは3カ月前からずっと続いてい る人をそういう形で把握して、新規の入院というか先月までは全く感染症を起こしてい なくて、今月から感染症を起こした人の場合には「罹患率」という言葉が適切かどうか はわかりませんが、そういう形にして集計していまして、そういう点ではそこを切り分 けて、全入院部門については把握できています。 ○大久保構成員 いまのデータで、その計算は可能なのですね。入院患者から前月から の感染患者を引いたのを分母として、新規感染患者数を分子とする方法です。 ○荒川座長 それはできます。ですから、これをサーベイランスとしてやるか研究班と して一応やってみて、データがどういう結果で出てくるかを確認してみる必要があると 思います。もし、そのあたりで強力なデータが出れば、また学会等で発表したりご説明 をしたらどうかなと考えています。 ○賀来構成員 大久保先生と同じところで、特に。 ○荒川座長 担当者側の3人に来ていただいてもらっていますが、何か補足はあります か。よろしいですか。  それでは、その次の3のアウトプットのご説明をお願いいたします。 ○事務局 残りのその他の項目に関してです。出力形式、アウトプットについては現在、 箱ひげ図の表示は有用ですが、比較を助けるために、箱ひげ図の中に5または10パーセ ンタイル、25、50、75、90または95パーセンタイルの表示があるといいのではないか というご意見についてですが、現在50パーセンタイルの表示は対応しております。より 細かいパーセンタイルの値は、年報およびスプレッドシートでの表示を検討しておりま す。  それから用語に関してです。システムについて、用語の定義を行う必要があろうとい うご意見を伺っています。同一部門でも「原因菌」と「起炎菌」など、用語の混在があ ります。「院内感染」という言葉に関しても、「医療関連感染」に変更するか等、感染症 の判定基準とともに検討が必要ではないかということで、これに関しても用語集を使っ て定義を統一することを考えています。  データの精度管理についてですが、データベースの精度管理は常勤の専門職員による 継続的なチェックが必要と考えて、院内感染サーベイランス運営委員会の中に、データ を詳しく吟味できる人材が必要です。また、運営委員会の要綱についても不明で、精度 管理の実際について検討が要るというご指摘です。事務局内に常勤のサーベイランス担 当職員が、平成20年4月より配属されております。今日も出席いただいておりますが、 大きく外れたデータおよび特殊な耐性菌の報告に関しては、随時確認を行う体制を整備 しつつあります。データの吟味に関しては、各部門担当の研究班があるので、研究班が 実施するのが妥当と思われます。研究班の検討結果をこのサーベイランス運営委員会で 報告していただき、精度向上に必要なシステムの変更、判定基準の改訂などを進めます。 また、運営委員会の要綱に関しても今後、必要に応じて検討して改訂します。  その次の項目ですが、現在、参加医療機関名の公表を行っているけれど、その必要性 はどうかというご意見です。病床数の分布が分かるほうが、比較する際に有用ではない かというところはあります。機関名の公表に関しては、旧システム運営時からの要望が ありました。また、投稿時に非公表も選択できるので、今後も原則公表としていく予定 です。病床数の分布に関しては、検査部門と全入院患者部門を年報に掲載する予定です。 各部門も順次、検討を行います。 ○荒川座長 それでは、その他のところについていかがでしょうか。 ○大久保構成員 3番目の3)の「データの精度管理」が、いちばんポイントとなると思 います。このサーベイランス運営委員会というのは、そもそもそれをやるべきところだ というように理解しているのです。しかし、このご説明だと研究班のほうに振り分ける というか、そちらでやっていただくように取れます。運営委員会の中に専門委員会を置 くことができるという件りが資料1にあるものですから、むしろ、そちらのほうがいい ような気がするのです。 ○荒川座長 いまは運営委員会の専門委員会がありませんので、研究班のほうでは各部 門ごとに、実際に分布から離れた報告をしている施設に対して問い合わせをしたり、必 要に応じて訪問をしたりということを検討していただくことを計画しております。今年 度の研究班では、去年の7月から1年間のデータがそろそろ出ますので、それを見て各 部門ごとに少しずれたデータを出している所、良すぎるとか悪すぎる所については、そ ういうことも含めて、サイトビジットして検討したいと思います。その経過をこちらの 運営委員会にご報告させていただいて、運営委員会としても一度、訪問したほうがいい ということがあれば、その時にそういうことについてもご検討いただくということでど うかと考えております。 ○大久保構成員 ただ、研究班から出されたデータを、この委員会で実際的にどのよう に精査していくかということは、非常に不安です。 ○荒川座長 量が膨大ですしね。ですから、そこはやはり問題点をある程度絞り込んだ 形でご報告させていただくことになると思います。例えばMRSAの感染症の発生率が、非 常に高い施設とか低い施設がありますと、やはり本当かどうかも含めて検証が必要だと 思います。ただ一方で、我々が病院に強制的に乗り込んでいく権限もないものですから、 病院のほうから是非来てくださいということでもないと、勝手に研究班やこういう委員 会として病院のほうに赴くというのは、現実的になかなか難しい部分があります。我々 のほうもこれまでに病院のほうから、いろいろご依頼があって相談に乗ったり、訪問を して中を見させていただいたりということはありましたが、そういうデータというのは 病院側からしますと、あまり公表されても困るという状況でもありますので、どこまで それを公開するか、公開の基準などもきちんと考えないと、なかなか難しいところがあ るかと考えております。よろしいでしょうか。 ○大久保構成員 はい。 ○賀来構成員 1点だけ申し上げます。参加医療機関名の公表の必要性はというご質問 というか、ご意見がありますが、私も原則公表は構わないと思います。ただ、ちょっと 心配なのが、一生懸命サーベイをしている所のほうが、感染率が高くなるような印象を 持ったときに、全くやっていない所との差別化と言いますか、その評価についてです。 冷静にきちんと見て判断していただければ、また、それをきちんと説明すれば問題ない とは思うのです。きちんとやっている所とやっていない所との差別化を、少し考えてい くことも必要です。  イギリスなどでも公表していて、バックグラウンドや高度先進医療を非常によくやっ ている所と、非常にリスクの低い所というようなファクターみたいなものがあります。 ここでは病床数というように言っていて、それも1つのファクターなので、是非そうい うことをやっていただければ、さらにサーベイランスに参加していこうという所も出て くると思います。決して公表することが間違っているとは思わないのですが、何かそれ がネガティブに働かないようにしていくことが必要ではないか、というところだけは気 になっています。 ○荒川座長 では私のほうから少し補足させていただきます。公表されている施設とい うのは、名前が公表されているだけで、そこの施設のデータがどうだということは全然 出ていないのです。この病院は参加していますよというだけです。病院のほうから、う ちはこれに参加しているということを、一応客観的に外に知ってもらうという希望があ るので、是非出したいという説明はあります。ただ一方で、うちは遠慮しますという施 設も、1割ぐらいはおられます。それは各病院のご希望に沿っています。ただ、どこど こ病院は非常にMRSAが多くて、どこどこ病院は少ないというようなデータは、一切表に は出ません。 ○賀来構成員 一部では、サーベイランスに参加すると、それが全部出てしまうのでは ないかというように誤解している所もあるのです。それはもうきちんと、いま先生がお っしゃったような形でやっていらっしゃるので、特に私自身、別に公表に反対ではない のですが、変に誤解してしまっている向きもあるので、そこだけはちょっと申し上げて おきます。 ○荒川座長 それについては、例えばいろいろな関連学会で報告するような機会も持た せていただいて、逐次、参加施設の方々あるいは、まだ参加しておられない施設の方々 も含めて、いろいろなご要望やご意見をいただきたいと考えております。ほかにはよろ しいでしょうか。 ○事務局 前後しますが、ここで資料1が届いておりますので、資料1の「運営委員会 設置要綱」をお目通しいただきたいと思います。これは準備委員会のほうで配られたも のと、基本的に変わっておりません。趣旨及び目的、協議事項、組織、会長、会議とい うことで設置の要点が決められておりますので、もう一度ご確認いただければと思いま す。いままでのディスカッションの中にもありましたが、追加が必要ではないかという ところがあったら、ご指摘いただければと思います。 ○荒川座長 もし指摘事項がありましたら、また事務局のほうに具体的にご提案いただ くということでよろしいでしょうか。 ○事務局 はい。 ○荒川座長 よろしくお願いいたします。次に、資料5と資料6についてお願いいたし ます。 ○事務局 資料5は、「院内感染対策サーベイランス事業の事務局機能(案)」となって おります。実際にこの4月から専属の者が付いて、すでに対応を始めているところで、 現在このような形で行っております。大項目として、問い合わせに対する対応、参加医 療機関への提出データがあります。主に先ほどの精度管理にかかわるところで、問い合 わせを行っております。これもどういう事例があったときに内容確認をしているかとい う説明があります。情報公開に関しては、公開用のExcelの表の作成とか、内容の確認 等も行っております。また、参加医療機関に対する感染症対策の支援も行っております。 それから今は止めているのですが、参加医療機関の追加募集の作業も行います。主だっ たところは資料5のとおりですが、このほかにも事務局としてこういうことをやってほ しいというご指摘があったら、ご意見をいただきたいと思います。よろしくお願いいた します。 ○荒川座長 このサーベイランス事務局機能について何かご指摘、ご質問はありますか。 いまサーベイランス事務局では参加施設に対して回答をしておりますが、それについて は研究班のそれぞれの部門の責任者の方々に、メールですべて回すことになっておりま す。もし、これが可能であれば運営委員会の先生方にも、どういう質問のやり取りがさ れているのか、その都度あるいはある程度まとめたものをご紹介することも可能かと思 います。それについて、厚労省のほうはどうでしょうか。例えば私を含めた運営委員会 の5名に対して、事務局ではどういう質問にはどういう回答をしているのか、もしメー リングリストに入れてもいいということであれば、そういうものを入れることも可能で すし、特別に事務局用のメーリングリストを作って、必要な情報をお回しすることも可 能かと思います。 ○事務局 個別の医療機関の情報等もありますので、どこまで出すべきか。いわゆる内 容に関するエッセンスをうまく伝えて、そういった課題を共有することが重要だと思い ますので、そのあり方については、また検討させていただければと思います。 ○荒川座長 では、事務局のほうで少し検討していただくということでお願いします。 資料5についてはいかがでしょうか。特にありませんか。これもJANISの事務局として やったほうがいいというものがありましたら、後日でも結構ですので、またご指摘いた だけますか。 ○事務局 先ほど大久保先生からご意見のあった、精度管理のための人ということでは、 以前からご意見をいただいておりました。我々としてもほかの業務のある先生方に、そ の時その時にお願いするのも大変恐縮に思っております。今年、医師の職員を何とか1 人確保するようにいたしましたので、その先生に何をしてほしいか、その先生1人を有 効に活用すると、どうすれば精度管理なりサーベイランス事業がうまくいくかという視 点で、こんな業務をする必要がない、もしくは実はこれをやっていただいていれば、こ の会議の場でよりいいディスカッションができるとか、そういった目でご意見をいただ ければと思っております。 ○荒川座長 そういうことでどうでしょうか。 ○大久保構成員 そういう方が来られることは、非常にいいことだとは思うのですが、 出てきたデータがどういう背景で集められたかというところは、私は知る必要があると 思うのです。最初にサーベイランスの仕方を6つ挙げましたが、その辺を把握しておい ていただきたいと思います。 ○荒川座長 次回の運営委員会で、各部門ごとにどういう形でデータを集めているか、 基礎的な情報を少し整理して、またご紹介することにいたしましょうか。 ○事務局 あと、いま大久保先生がおっしゃった、各医療機関がどういうようにやって いるかということが、たぶん気になっていらっしゃるところだと思うのです。それにつ いては資料7が、おそらく先生のご懸念にお応えできるものではないかと思っておりま すので、後ほどご紹介させていただければと思います。 ○荒川座長 それでは資料6について、ご説明をお願いいたします。 ○事務局 資料6は「関係者間での情報共有」です。院内感染対策サーベイランス事業 で収集した情報の閲覧および利用についてということで、現在、閲覧および活用の可能 なものは、国立感染症研究所、厚生労働省および参加施設の各部門担当者ということに なっております。そして閲覧および活用が可能でないものとしては、不参加施設は当た り前のことですが、データ提出が行われていない参加施設の担当者、都道府県、保健所 を設置する市および特別区等の地方行政機関となっております。実際に院内感染を疑う 事例が生じた場合、助言し、指導する側である立場の地方自治体が情報を活用できない 状況であるというのは、少し問題ではないかと考えております。対応としては都道府県、 保健所を設置する市および特別区等の担当者が、当該サーベイランスの情報を閲覧でき るようにしてはどうかという意見です。これについてご討議いただきたいと思います。 ○荒川座長 サーベイランスの参加は、各都道府県を通じて登録していただいておりま す。ただ、登録した後は県を通さずに、データは病院から直接厚生労働省のほうに提出 されております。ですから、こちらで集計をして各参加施設に返しておりますので、帰 り道に都道府県を通らないということがあります。やはりそこのところは、院内感染対 策を向上させるための重要な業務として、地方自治体がかかわっておられますから、そ の辺りで情報を共有する対象に含めるかどうかということについて、ご論議をお願いし たいと思っております。例えば賀来先生は宮城県でいろいろなサーベイランスをされて いますが、実際に宮城県下の参加施設のデータは、宮城県の自治体は直接手に入らない のです。 ○賀来構成員 出ていないですね。 ○荒川座長 そのままそれでいいのでしょうか。 ○賀来構成員 先生がおっしゃるように、指導する立場にある指導官庁が、ある程度情 報を見ていくことは必要ではないかと思うのですが、見たときにどういうインターベー ションというか、どういうように病院に働きかけていくかです。保健所や自治体によっ て、少し違う可能性があるので、その持っていき方というか。自分の施設では菌が多く なっているということ、例えば私たちの所でもこの前、耐性緑膿菌が少し増えている施 設から、自発的に私たちの所に問い合わせがあって、それはまず経過も含めて、一度保 健所のほうにご説明してはどうですかというお話をしました。そこはサーベイには参加 していない所ですが、その施設は保健所のほうにきちんと、いまの状況をご説明したと いう経緯があります。  ですから助言して指導をする立場にある方が、それを知ることは、私も必要だと思い ます。しかし、どのように地域の医療機関にアドバイスしていくのか、どういうように 助言していくのかということは、併せて地域地域で考えていくことだと思います。全体 でというのは、なかなか難しいと思うのです。実際にいろいろな耐性菌のデータが高か ったとき、あるいは感染率が少し増えてきているときというのは、当然その病院では注 意していると思うのです。いま厚生労働省では地域ネットワークもされていますので、 何らかのアドバイスなり、そういう中でやっていくのは私は有用だろうと思います。た だ具体的に医療機関に対応するときに、対応の仕方によっては非常に難しい面が出てく るので、そこだけはどうあればいいのかというのは、私も難しい面があると思っており ます。 ○大久保構成員 私も先生のご意見を補足するような意見です。保健所というのは今ま での経緯からすると、各病院を指導するという立場で見ると思うのです。ですから、こ こ数年検討してきた、院内感染地域支援ネットワークなどの枠組みの中で還元していく のであれば、それは指導ではなくて、いわゆる支援という形で動くことが可能だと思い ます。その辺はちょっと慎重に考えないといけないと思います。?本先生もずっと、地 域支援ネットワークにかかわってこられて、それがもう少し幅広く機能する時代がくれ ば、いいと思うのです。 ○事務局 各地方自治体がこういったデータを閲覧できるかどうかについては、この場 でご討議いただければいいことかと思います。そもそも我々がこういった課題を皆さん にご提示したのは、厚生労働省自身、医療機関に対して直接監督指導をする権限がない からです。つまり、各医療機関で院内感染が起きた場合には、当然、所管の保健所が対 応することになります。ただ、そうなるとある医療機関とその保健所の1対1の対応に なるのですが、地域という面から言いますと、実はそのお隣、もしくはそのお隣の医療 機関で同じような菌が蔓延しつつあるというような状況が、情報を共有することで可能 になるのではないかということです。  このデータを各地方自治体が閲覧することで、個別の医療機関に対する監督指導を強 化するという観点より、個別の医療機関からきた情報をもって、広い視野で必要な指導 ができるようになるのではないかというのが、そもそも今日ご提案させてもらった経緯 です。個別の医療機関の情報が我々のほうには来ませんから、そういうアンテナを広げ ることがなかなか困難ですので、そもそも情報の入りやすい地方自治体で、こういった ことが可能になれば、より院内感染対策は進むのではないかという視点で、本日の議題 に挙げたとおりです。  ただ、賀来先生がおっしゃるように、そういった相談が来た保健所等が、どのように 指導するかということに関しては、やはり各医療機関は少し心配なところもあると思い ます。その辺は地方衛生研究所や国立感染症研究所などが、適切な指導ができるような 体制、もしくは指導のための簡単な手順書の様なものも準備できたらと思っております。 ○賀来構成員 いま先生がおっしゃったように、地域でどうやって耐性菌が広がりつつ あるのかというトレンドを見ていく、あるいは例えば宮城の中だったら、A病院、B病院、 C病院も結構出ているぞということを見ていくのは、私も必要だろうと思うのです。そ ういう意味でのトレンドを、やはりどこかがきちんと見て、アドバイスだったり、提言 だったり、先ほど大久保先生も言われたように、支援だったりという形でいくのは非常 にいいので、方向性としてはすごくいいと思うのです。  その場合は、感染症研究所なども一緒になって、例えばこういう提言をしてもらいた いとか、こうなった場合はこういうように関係病院の方に通知をして、皆さんで集まっ て地域支援ネットワークをより力づけられる、という形で持っていかれるのであれば、 私もすごくいいと思います。ですから、やはりいま先生がおっしゃった手順とか、どう いうように対応していくのかというのを、いわゆる支援や提言というところに結びつけ ていける形で持っていけるのだったら、決してこの方向は間違っていないと思うのです。 ただ、やり方によっては非常に緊張関係が出てきたり、逆にこのサーベイに参加する所 が少なくなってしまったりすると、それがすごく困るのです。そこだけなのです。 ○事務局 おっしゃるとおりです。例えば、こういうように各地方自治体が閲覧できる ようにしてはどうかという提言をしましたが、今日皆さんが「じゃあ、それで結構です」 と言われても、明日や来週からできるものではないのです。やはりいろいろなシステム の話ですから、多少お時間をいただくようなものかと思います。逆にこの場では、こう いったことをするためにはどういった前提条件が必要かとか、こういったものやこうい ったものがあれば、各地方自治体が閲覧できるようになったときに、有効に活用できる のではないかといったご意見をいただければ、我々もそれに向けて一つひとつ課題を解 決できるのではないかと思っております。 ○荒川座長 そういう趣旨でありますので。 ○大久保構成員 よくわかりましたが、やはりそうなると基本は、サーベイランスのデ ータそのものの質が高いかどうかにかかってくるわけです。例えばSSIで言いましても、 SSIの率が高いから、そこの病院は問題だということではありません。そこで行われて いる手術の種類によるリスクで分けた場合に高ければ問題ですが、重症な手術ばかりを やる所とか、救急専門病院であれば当然のことです。それは1つの例ですが、それぞれ 発表されるデータの質が高くなっていれば、誰が見ても正しく判断できるということに なります。 ○賀来構成員 そうですね。ただ、地域で担当する所がそれを評価できるかというと、 なかなか難しいところがあります。大久保先生も言われたように、こういう基準でいく と、この観点からいうと、確かに高まっているというような判断を、各研究班なのか、 国と言っていいのかどうかは分かりませんが、そういった所と地域が連動して、だから こういうように持っていくというような筋道が通れば、すごくよろしいかと思うのです。 ○大久保構成員 そうですね。ですから各研究班でリスク調整因子をもう少し検討して いただけると、かなり質が高く整理されるのではないかと思います。 ○賀来構成員 あるいは、いま大久保先生がおっしゃったような研究班が、こういった ことに向けてどういう基準づくりをするかということも含めてやっていただくと、これ がまた活きてくると思うのです。 ○荒川座長 特に今の徳本先生のご説明の趣旨は、具体的に特定の地域の病院で、特定 の菌が少し増えたとか、感染症の患者が増えたとか、たくさんおられたときに、病院は 自治体に相談をしますよね。そのときにそれが一般的なことなのか、珍しいことなのか ということを自治体の担当官が判断するためには、こういうデータがありますと、これ は少し高いねとか、それはいろいろな病院で起きていることだから、少し様子をみても いいのではないかという判断の1つの指標にはなると思うのです。たぶん自治体側から すると、そういう利用を考えておられるのですよね。 ○事務局 そうです。利用の仕方はいくつもありますし、これは非常に有効なものだと 思っております。1つは、例えばある地域の中のAという医療機関でVREが流行ったと します。保健所にはA医療機関でVREが流行りましたという情報だけが入って、そこに 対しては積極的にやるのですが、BやCやDの医療機関ではどうなのかという情報も入 れば、面として対応できるわけです。しかもAにだけ対応している間に、BやCで知ら ない間に広まる、もしくは地域全体で広まってしまうということが防げるのではないか、 そういう活用法があるというのが1つの課題意識です。 ○賀来構成員 私も、先生のおっしゃるとおりだと思います。あと、データが上がって きたときに、直接地域では判断できないこともあります。例えば地域のトレンドを見て、 あれ、おかしい、上がってきた、東北大学病院からも上がってきた、見ると、東北大学 だけではなくて厚生病院も上がっていたというようなときに、そのまま行くのではなく て一遍、感染症研究所や何かに、こういう状況になっているのですが、どうでしょうと いうような、フィードバックみたいなものがうまく調整できたり、大久保先生がやられ ましたような専門グループが、これは是非一度、みんなで集まって対応したほうがいい のではないかというようなことができれば。地域もそうですが、それをサポートできる ようなものがあると、すごく活きてくるのではないかと思います。 ○荒川座長 資料6はたぶん、まだ論議が続くと思いますが、この趣旨を少し整理して いただいて、どういうようなことを想定して、自治体も含めて集計したデータを共有す るかということを、事務局のほうでもう1回整理していただければと思います。これが 実現できるようにするには、どうしたらいいかということで検討を続けたいと思います ので、よろしくお願いいたします。  だいぶ時間が押してきてはおりますが、それでは資料7、資料8、資料9について、担 当者の山根のほうから説明してください。 ○山根主任研究官 では資料7から説明させていただきます。先ほどから精度管理がど うなっているのかということが、たびたび話題に上がっております。私どもの所では 2007年7月から、新しいシステムに変わり、12月までのデータを用いて、どのような基 準で問い合わせをしていけばいいかということを少し調べましたので、その結果も踏ま えてご報告させていただきます。これは暫定的に行った基準です。  まず最初に、24頁を見ていただきますと検査部門がありまして、その下にたくさんの 菌が書いてあります。これは各医療機関から個別に情報をいただいて、解析した情報を 返す、つまり還元情報として戻していく対象となる菌株です。これについては、右の「問 い合わせ基準」を使って問い合わせをかけます。  例えば、Staphylococcus aureusを見ていただきますと、検体提出患者数に対する割 合は40%以上です。半年の間に検査された患者はたくさんありますが、そのうち Staphylococcus aureusの割合が4割を超えていたような病院です。これは分離率とし て、非常に高いというイメージを持たれると思うのですが、そのような基準で問い合わ せをかけております。27頁のいちばん左上のS字状に曲がった線が描いてある所に、赤 い線が引いてあると思います。これはStaphylococcus aureusの全患者に対する割合を、 高い所から低い所まで順番に、医療機関を並べて点で示したものです。例えば線を引い た所が40%で、この上の部分の医療機関に関して問い合わせをしております。以下、同 じような形で問い合わせを行っております。  2、3基準の違っているものがあります。これらも菌株について、問い合わせ基準を使 ってやっておりますが、そのときは非常に分離率の高い所を調べております。全入院に 関しても、基本的に考えは一緒です。年間の罹患率と年間の感染率を調べたのですが、 90パーセンタイル以上の医療機関を対象に調べております。その結果が問い合わせ結果 の件数です。これを見ていただくだけでは分かりませんが、次の頁に間違ったデータを 送ってしまった場合というのが真ん中にありまして、内容を少しまとめています。  例えば検査自体の結果が間違っているとか、報告した菌の名前が間違っていたという ことがあります。ほかの菌とのコンタミネーションということで、いちばん分かりやす いのがVRSAです。VRSAの検査部門に関しては、14医療機関から報告がありましたが、 すべて間違ったデータを送っていました。この間違いの原因の1つとして、グラム陰性 の桿菌が混じっていて、その結果、バンコマイシンに耐性だったということを示してお ります。それから下に、「報告対象の誤りが26件」と書いてあります。全入院部門では、 感染した患者のみを報告していただく必要があるのですが、保菌の患者も一緒に報告し ていたということで、非常に高い感染率になってしまった所があります。いちばん下の 所は、たぶん感受性の検査が間違っていたと思うのですが、菌が残っていないので検査 ができないという所がありました。このようなことが原因であることが分かりました。  間違ったデータを送っていただいた医療機関に関しては、正しいものをもう一度送っ てくださいと伝え、対応をお願いしています。下に書いてあるのが、7月9日現在の進 捗です。正しいものを送っていただいたのが18件、まだ直しが終わっていないので、今 後、もう一度私どもから確認が必要というのが38件です。もう修正できませんというこ とで、データを直せない所もあります。場合によってこういうデータは、全国の集計か ら抜くということも考える必要があるかと思いますが、そういう所が17件で、合計73 件となっております。暫定的な案で行った精度管理のご報告は以上です。 ○荒川座長 JANIS事務局のほうで問い合わせをして、データの確認をして、今はこう いう形で対応しているということですが、これについてご質問はありますか。 ○賀来構成員 精度管理については、分離された菌に対する割合で40%、24%とされて いますが、これは日本のこれまでの検査のエビデンスから割り出してきたものですか。 もちろん40%以上というのは多いと思うのですが、この数値化の基準みたいなものは何 かあるのですか。 ○山根主任研究官 厳密な基準というものがまだありませんので、暫定的に決めたとい うことです。 ○賀来構成員 分かりました。もう1点あります。MDRPの全入院部門のところで、誤っ たデータを送信というのが14件あります。あるいはMRSAも、誤ったデータというのが あります。これは、もしかしたら保菌だけれど、感染症というように言われた所ですね。 ○山根主任研究官 多くはそのように承知しております。 ○賀来構成員 分かりました。 ○荒川座長 こういったものをひとつひとつ洗い出すというのは、大変な作業ですね。 ただ、データの信頼性というか、精度を向上させるためには、どうしても避けて通れな い作業です。いま担当者のほうでデータをチェックしながら、これはおかしいというも のは、そういう形で拾い上げながら、改良を進めているところです。実際にやっていた だいている人から、これについて何かご質問や補足はありますか。 ○筒井担当官 検査部門で誤ったデータを送信している原因としては、本来は内容の陽 性・陰性にかかわらず、全部の検体を提出していただくようになりましたが、中には培 養が陽性のものだけを提出されているような機関があり、分離率が高くなってしまうと いう背景があります。 ○荒川座長 そういうものも含めて、改修の対象として進めているということですね。 それでは資料8の説明をお願いします。 ○山根主任研究官 これはスプレッドシートを作成するということで、14頁の「論点整 理」の5番に関連してくるところです。現在、ホームページでいろいろなグラフを公開 しているのですが、これらを今後、Excel等の元のデータをダウンロードできるような 形にしたいと考えております。これには簡単な例を載せております。図1がホームペー ジ上に公開するグラフとしますと、この元になるデータというのが、下のExcelのシー トとして載せたものです。このようなデータを今後、ダウンロードできるような形にし ていきたいと考えております。 ○荒川座長 これは個々の参加施設が、自分の施設でいろいろとデータを加工したいと きに、どうしてもExcelのファイルがほしいという要望がありました。これに対して対 応するということで、こういうスプレッドシート形式での提供を考えております。これ について、いかがでしょうか。 ○賀来構成員 実際の耐性菌のVREのところでは、もちろん血液検体からも出ています が、便からがかなり多くて、尿からも多いと。そうするとNが16で、これを見るときに、 血液検体から出ているのは間違いなくサブシスを起こしていて、起炎菌、原因菌だとい うことになりますが、便から出ている場合に、例えば下痢感染症が本当にあったのか、 尿検体から尿中の白血球数が多かったのかという辺りは、なかなか判定が難しいと思う のです。しかも向こうから送ってきたものなので、事務局側としてもその判定はなかな かできないと思います。  このスプレッドシートはすごく見やすくて、一遍で見ることができて、どういう検体 に多いのかという偏りも見られますので、私はいいと思うのです。ただ、もしかしたら 耐性菌、感染症を発症している人かどうかということになると、感染症医が見たときに、 腸球菌は便から出るから当たり前かな、これは感染症かな、本当に腸炎を起こしている のかなという辺りの見方が。見る人がこれを公開するときの判断が、先ほど大久保先生 も言われたように、感染症なのか保菌なのかということが、これにどういうように現れ てくるかというのが気になるところです。ただ表し方としてこれは、私はすごく分かり やすいと思います。 ○山根主任研究官 これは完全にダミーデータを用いて私の頭の中で作成したものです ので実情とは異なっております。申し訳ありません。 ○賀来構成員 そうですよね。 ○山根主任研究官 ご指摘のとおり、便からこんなにきているというのはちょっと、す みません。 ○賀来構成員 もちろん、あくまでもこれは1つの表し方です。表し方としては、私は すごく分かりやすいので、これを全く否定しているのではありません。すごくいいので す。ただ、これはVREのことだけではないのですが、もし便検体などということになっ たときに、緑膿菌が便から出るということにどういう意味があるのかということを、見 る人がどう評価するかというのが気になっただけです。表し方は全く問題ないと思いま す。 ○鈴木主任研究官 このスプレッドシートは、精度管理ということで、全参加機関の集 計結果の最終的な情報公開として出すものです。今回は全くのダミーデータですが、将 来的に情報公開をする際には、大体出来上がったものを必ず前もって研究班、そして最 終的には委員会等で確認していただき、先生が先ほどおっしゃったような、少し誤解を 招きかねないような情報については、是非ご指摘いただきます。そして再度事務局で検 討した上で、最終的に公表するという形にしていきたいと思っております。 ○賀来構成員 分かりました。検体の内訳がすぐに見られますから、すごく分かりやす いと思って見ておりました。 ○鈴木主任研究官 ご指摘のように、例えばMRSAから便検体がたくさんあった場合に、 MRSAの便検体をどういうように捉えるかというのは、多少議論の残るところだと思いま す。この点に関しては何らかの追記が必要であるとか、そういったことについては是非、 専門家の先生方にご指摘いただければと存じます。 ○事務局 そもそも今までのホームページというのは、皆様に見やすくという親切心か ら、グラフを多用してやっていたのです。しかし皆様方が研究利用だとか、いろいろな 活用や利用ができるようにということで、14頁の5.にありますような「統計調査等業務 の業務・システム最適化計画」というもので、情報公開をする際には、スプレッドシー トもしくはCSVファイルでダウンロードできるようにしてあげてくださいというルール が決まりましたので、我々もその方針に則ってやっていきたいということろです。先生 がおっしゃるように、これが感染症なのか保菌なのか分かりにくいというのは、検査部 門のなかなか難しいところではありますが、一歩前に進んだということで、ご理解いた だければと思います。 ○賀来構成員 分かりました。よく理解しています。 ○荒川座長 それでは、続いて資料9についてお願いします。 ○山根主任研究官 資料9の関連している所は、7頁の3-6、「参加医療機関の登録抹消」 についてです。2007年7月から新しいシステムに変わり、サーベイランスの実施マニュ アルも7月から、新しいものとして運用しております。この中で検査部門と、全入院部 門に関しては、毎月データを出していただいております。この中で3カ月以上データが 出ていない医療機関に関しては、場合によっては脱退していただくことができるという ことが、マニュアル3-6に書かれております。実際にデータの提出がどれほどなされて いないかというところを調べております。  まず、検査部門に関してです。2008年2月から4月分の3カ月のデータの提出のない 医療機関は、131医療機関です。参加医療機関が610医療機関ですから、割合としては 21%程度となっております。どのような内訳かと言いますと、検査部門では、院内感染 対策サーベイランスにご参加いただいた医療機関が2つあります。2007年7月から参加 していただいている医療機関と、2008年1月から参加していただいている医療機関があ ります。この中でいちばん多いのは、提出回数がゼロ、つまり1回もデータを出してい ない所です。そのほかに1回から3回、5回から7回というところで分けましたけれど、 いちばん多いのは全く出していない所だというのがお分かりいただけるかと思います。 対応案は(2)に提案させていただいておりますので、ご確認いただければと思います。  同じように、全入院患者部門についても調べました。こちらも3カ月以上データの提 出のない医療機関が124医療機関ありました。参加医療機関が476ですから、データ提 出のない割合は、26.1%ということになっております。検査部門と同じような形でまと めておりますので、ご覧いただければと思います。このような医療機関に対して、どの ような対応をするかということで、検査部門、全入院部門とも同じですが、私どもの対 応案として、以下の1と2のような対応でいかがかということで提案させていただいて おります。 ○荒川座長 参加を希望しておられても、実際にデータを出していただいていない所に ついての扱いは、マニュアルに従いますというように、対応案の1に書かれているよう な内容で行うことになります。これについては、こういう形で対応させていただいてい いかどうか、ご確認をお願いしたいと思います。いかがでしょうか。大久保先生、いか がですか。 ○大久保構成員 これは参加施設の名前が公表されているわけですから、参加していな い病院ということになるわけですね。 ○荒川座長 そうですね。 ○大久保構成員 督促をしても反応がない場合には、やはり削除をしてもいいと思いま す。 ○荒川座長 これまでに督促などは、まだ具体的にはしていないわけですね。ここで皆 さんにお決めいただいた上で。 ○賀来構成員 それでいいと思います。 ○荒川座長 今後、こういう施設に対しては、JANISの事務局から督促をすると。レス ポンスがあればいいのですが、もしない、あるいは昨年の7月からデータの提出回数が 1ないし3回、つまり検査部門は毎月出してもらうことになっておりますので、3カ月間 データの提出がないものについては、参加施設としての登録を抹消すると。全入院部門 も同じように、3回提出のない所については抹消するという手続を取らせていただきま すが、それでよろしいですか。                  (異議なし) ○荒川座長 何か補足はありますか。よろしいですか。 ○鈴木主任研究官 資料9は、基本的に今日お配りしたマニュアルの7頁の3-6、「参加 医療機関の登録抹消」という項目の基準に則って抽出したものです。今後、事務局とし てはまず督促をして、その後もない場合は順次、粛々と登録を抹消させていただくとい う形でよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○荒川座長 それでは、そのようにさせていただきます。ありがとうございました。 ○事務局 資料9については、皆様からもご了承を得られたものと理解いたしましたが、 事務局から精度管理のための問い合わせ基準案として、資料7を出させていただいてお ります。いまの段階ではこれに代わるいいご提案がないということで、まずはこういっ た事例があった場合は、事務局はこの基準に則って問い合わせをさせていただくという ことでよろしいでしょうか。 ○荒川座長 とりあえず暫定的な基準ということですね。 ○大久保構成員 ほかに思いつきませんね。 ○賀来構成員 よろしいですね。 ○事務局 また学会等から何かいいものがご提示いただければ、この場で吟味し、今回 のものと差替えをするなり、対応をよりいいものにしていければいいと思います。まず は一つひとつ対応していくことが必要だと思いますので、これで対応させていただくと いうようにご理解いただいたということで、ありがとうございます。 ○荒川座長 では、そういう形でよろしくお願いいたします。  次に、マニュアルの8-4-2に基づいたサーベイランスデータを、研究に用いたいとい うご要望がありました。群馬大学の藤本先生からご説明をいただきたいと思います。よ ろしくお願いいたします。 ○藤本講師 皆さんの資料の12頁にある、データベースの研究利用についてです。区分 としては、参加医療機関による自施設データの使用に関するものです。今回申請してお りますのは、薬剤耐性菌に関する研究です。これは厚生労働科学研究補助金の、荒川先 生が班長をされている研究班のサーベイランスに関する部門です。その中で検査部門の サーベイランスを支援することと、検査部門を含めて精度管理をするために、技師会の 先生方にお願いしているグループから申請しております。用いるデータの種類は、倫理 扱い上の区分として、匿名化されている遡上可能なものです。ただし対応表は、施設か ら提供を受けない形の他施設データの利用による研究です。  この研究の内容は記載はちょっと漠然とした記述ですが、ここに書いてあるとおりで す。1つ目は精度管理に関するもの、2つ目はサーベイランスの利便性の向上に関するも の、3つ目は標準化を含めたサーベイランスの効率化に関するもので、この3つを目的 にして行います。私が一応取りまとめになっていて、データを一元で管理して、ほかに 漏れることはありません。ただし、あらかじめ匿名化された情報だけを扱います。実際 に菌を集めた精度管理もやるのですが、それは今回の申請とは直接関係ありません。と いうのは、そちらのほうはお借りしたサーベイランスのデータとは、決して連結はしな いで使いますので、それは関係ありません。こちらで言う精度管理というのは、例えば 検査機器によるデータの偏りといったものを調べます。  こういった精度管理、精度向上、利便性の向上、効率の向上ということについて、我々 はすでにずっと研究していたのですが、では、なぜここでこういうことになったのか。 まずは私たちの研究が、実際のサーベイランスの大きなデータを使って、それが実用性 があるかどうか試せるところまできているということが1つです。もう1つは、検査部 門の場合ですが、サーベイランスそのものが全検体についてデータを集めるようになっ て、精度がかなり研究に耐えられるようなところまで向上してきているということがあ ります。いままでは個別に、研究班の「研究協力施設」と呼ばれている所だけからの試 料を使っていたのですが、全国のデータを使って、それらを検討しようということにな ります。  利便性については、例えばアンチバイオグラムみたいなものを自動的に分類します。 先ほどもある地域で菌が広がるのではないかという話がありましたが、そういったもの も自動的に分類して、サッと示すようなことが技術的に可能になりつつあります。これ を実際のデータで試すとか、特定の菌が特定の場所で集積しているということは、もう 病院単位では分かるようになっていますから、これを全国で試せないのかとか、そうい ったこともいたします。  また、いまは1カ月に1回のデータの変更ですが、リアルタイムでやるとどういうこ とになるのか、そういうことをするようになると、実際のシステムとしてはどんなこと が要求されるのか、もらったほうはどんな良いことがあるのか、あるいは悪いことがあ るのかといったことも検証してまいります。  実際のサーベイランスについては、いろいろ訳のわからない菌が出てきてしまって、 こちらから問い合わせるころには、その菌が捨てられてしまっているということがあり ますので、そういう菌が出たところで、即座に対応していただく必要があります。そこ で、どんな菌を見ていただくのかということを、各施設で個別に判断していただくこと は困難ですので、そういった所で問題となるような菌の表現の仕方を標準化して、我々 のほうから提供し、それを各施設において自動的に検出するような仕組みを作ります。 そういった標準化なども含めて、検討を行っていくということを考えております。  研究期間は研究班の継続期間ということで、来年の3月31日までです。では、その後 データをどのように扱うかということですが、これは非常に貴重なデータですので、永 久に利用できるようなことがお許し願えれば、永久にできるようにします。ただ、それ を管理する場所がはっきりしていないということはいけません。今回は私の所で1回デ ータをお預りしますが、研究班の終了後は、国立感染症研究所で一括して管理して、今 後の研究に供するといったことを考えております。 ○荒川座長 ただいまのご説明に対して、ご質問はありますか。 ○賀来構成員 いわゆるエビデンスというか、いろいろな意味での実証データとして、 非常に有用なデータがまた構築できるのではないかと思います。前から藤本先生はやっ ていらっしゃいましたし、こういうきちんとしたデータを使ってそれを評価するという のは、すごく重要ではないかと思います。是非、有用なデータを出してもらいたいと思 います。 ○荒川座長 大久保先生はいかがでしょうか。 ○大久保構成員 よくわかりましたが、過去データはどうなりますか。いままで蓄積さ れたデータも一緒ですか。 ○藤本講師 それも今回、同時に許可を得てあります。これは昨年の7月から後ですが、 その前のものについても、すでに1回、許諾の許可を取ってありますので、そのデータ も利用することができます。ただし集めている材料が違いますので、ちょっと連続性の 欠けるところが出てまいります。 ○大久保構成員 わかりました。結構だと思います。 ○荒川座長 それでは、この研究利用申請に対しては、お認めいただいたということで よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○荒川座長 どうもありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。今 日いただいたご意見等は、厚労省の事務局のほうで取りまとめをさせていただいて、ま た必要なご意見等がありましたら、メール等でお寄せいただければと思います。今後、 公表されるいろいろな資料等の概略については、メール等で各構成員の方々にお目通し いただき、最終的に公表するという手続になりますので、よろしくお願いいたします。 あと、全体を通じて何かご質問やご提案はありますか。 ○大久保構成員 最初の三浦課長のご挨拶の中にもありましたが、この運営委員会が設 置された母体は、院内感染対策中央会議ということでしょうか。今後は中央会議の下に 所属するという形ではなくて、全く独立したものと考えてよろしいのでしょうか。 ○三浦指導課長 これは指導課の中に置くという位置づけですので、そのように考えて いただきたいと思います。 ○大久保構成員 では、中央会議に報告ということになりますが。 ○三浦指導課長 中央会議との関係を今後、どういうようにやっていくかというのは考 えなければいけませんが、少なくとも実態としてサーベイランスの運営委員会と中央会 議というのは、連携しないことはあり得ないだろうと思います。そういう意味では、い ずれにせよ両者は深い関係にあるだろうと思っております。 ○荒川座長 最後に事務局のほうから、皆さんへの全体的な連絡事項等はありますか。 よろしいですか。 ○三浦指導課長 いまの大久保先生のご質問に正確にお答えしますと、運営委員会は中 央会議の下に置き、事務局としてはうちの指導課の中にあるということになります。 ○大久保構成員 ということは、必ず中央会議に報告があがるということでしょうか。 ○三浦指導課長 それはある程度出てくるかもしれません。失礼いたしました。修正し ます。 ○荒川座長 今日は長時間ご論議いただきまして、どうもありがとうございました。こ れで終わらせていただきます。 照会先:厚生労働省医政局指導課 代表 03-5253-1111(内線2556)