08/07/11 第2回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会議事録       第2回労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検討会   日時 平成20年7月11日(金)      10:00〜  場所 中央合同庁舎第7号館(金融庁)13階共用会議室 ○石井専門官 ただいまから第2回「労働安全衛生法における特殊健康診断等に関する検 討会」を開催させていただきます。本日はお忙しい中、また暑い中をお集まりいただきま して、誠にありがとうございます。初めに事務局より1つご報告がございます。すでにご 承知の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、本日付で厚生労働省に人事異動がござ いまして、鶴田安全衛生部長、金井労働衛生課長が異動となりました。新しい労働衛生課 長に鈴木が就任しておりますが、辞令交付等の関係で、本日の会議については遅れて出席 させていただくことをご容赦いただければと思います。  また、先生方の机の上には、検討会の日程調整の表を置かせていただきました。回収さ せていただきまして、本日の会議の終わりに日程の調整をさせていただければと考えてお ります。  それでは以後の進行については座長の櫻井先生にお願いしたいと思います。櫻井先生ど うぞよろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 議事進行を務めますので、よろしくお願いいたします。まず、議事に入りま す前に、事務局から資料の確認をお願いいたします。 ○石井専門官 本日の資料の確認をさせていただきます。お手元に置かせていただきまし た資料ですが議事次第、座席表、資料1として「労働安全衛生法における特殊健康診断等 に関する検討会参集者名簿」。資料2として「特殊健康診断の健診項目に関する調査研究委 員会報告書」です。平成20年度の中央労働災害防止協会の委託調査研究の報告書で、本日 はこの資料2を中心にご議論をいただきたいと考えています。  参考資料1として「ニッケル化合物、砒素及びその化合物に係る特殊健診項目」につい てということで、前回の合同検討会でご議論いただいたものを踏まえて、事務局で文言を 修正したものを、参考資料として付けさせていただいています。資料等の不足等がござい ましたら事務局までお申し付けください。 ○櫻井座長 もう1つ議論に入ります前に、私から報告がございます。前回の合同検討会 で、ニッケルに関する特殊健康診断項目についておおよその結論に至りましたが、一部座 長預かりとさせていただいています。それは6月に産業衛生学会の総会に合わせて、学会 の許容濃度等委員会が開催されておりまして、そこでニッケル化合物に関する許容濃度 (案)の検討が行われています。その際、何らかの新しい文献等で、前回おおよそ決めて いただいた案について修正を必要とすると思われるようなことがあった場合には、私の判 断でまた今日ご検討をいただこうと思っておりましたが、特段そのようなこともなかった かと思いますので、合同検討会の検討結果を、そのままこの検討会の結論とさせていただ きたいと思うことが1つです。  もう1つ、前回の議論になりました「作業条件の簡易な調査」とニッケルの二次健診の 考え方等は、いずれもガイドライン、説明書のようなしっかりしたものを作る必要があろ うというご意見でございます。それについては厚労省で今年度、別途委託研究を考えてい ると聞いていますので、それも合わせてご報告いたします。  それでは議事に入ります。今日は1つです。労働安全衛生法における特殊健康診断等の 健診項目について、内容を個別具体的な項目についてご検討をいただくわけですが、まず、 事務局から説明をお願いいたします。 ○石井専門官 資料2、平成19年度中央労働災害防止協会委託事業である「特殊健康診断 の健診項目に関する調査研究委員会報告書」に基づき、ご説明をさせていただきます。本 日はこの報告書の内容について、有機則に関するもの、鉛則に関するもの、四アルキル鉛 則、特化則の一部までご議論をいただきます。本日は検討課題として残りました項目、検 討にまだ至らない項目については次回以降ご議論いただきたいと考えています。  資料の説明に入る前に、1つ申し上げておきます。この報告書の構成は最初に本文がお およそ30頁強あり、最後にこの調査研究を踏まえた具体的な健診項目の「見直し案の新旧 対照表」が付いております。もともとの報告書では、新旧対照表でまた頁番号が1に戻っ ていますので、本日は議論の中でわかりやすくするために、右下に新たに頁番号をゴシッ ク体で振らせていただいていますので、こちらの頁数で本日はご説明を申し上げます。  まずこの報告書の考え方を簡単にご説明いたします。6頁です。1「目的」で、前回の検 討会の開催要綱の際にも説明しましたので、簡単に説明させていただきます。この報告書 の考え方は最後のパラグラフにありますように、「特殊健康診断の健診項目について、最新 の労働衛生学及び医学の知見を基に見直しを行うため、その基本的な考え方を取りまとめ るとともに、個別の物質について調査研究を実施した」という目的で、この調査研究は行 われています。  具体的に健診項目の追加や変更についての考え方については、次の7頁の下に書いてあ ります。(4)で健診項目の追加又は変更の考え方です。最後の文章にあるように、「化学物 質の毒性や中毒の予防に関する研究に投入されている研究資源は限定的であることを考慮 し、ある程度確実な根拠があれば採用する方向での判断が必要である」という考え方に基 づいて、健診項目の追加または変更を検討いただいています。  8頁です。具体的に健診項目として採用するか否かという考え方については、(ア)の生 物学的モニタリングと、(イ)の健康障害を早期に発見するための健診項目において、それ ぞれ5つの条件を踏まえた上で検討をいただいています。(ア)の生物学的モニタリングに ついては、(1)として、作業に起因する生体内への取込量に定量的に対応する測定値が得ら れる項目であること。(2)として、分析試料の採取、運搬などに特段の問題がない項目であ ること。(3)として、健康リスクの有無、または程度を判断できる基準値というものがある。 (4)として、生物学的モニタリングを追加することにより、健康障害の予防をより確実に行 えるものであること。(5)として、予想される健康障害予防の成果に比較して、手間や費用 が大きすぎないということ。この5つの条件を満たすという項目について、追加というこ とを検討いただいています。  (イ)の健康障害を早期に発見するための健診項目の条件として、(1)として、医学的に 確立した検査法であること。(2)としては、敏感度及び特異度が妥当なレベルにあること。 (3)として、受診者に大きな負担をかけない検査であること。(4)として、全国どこでも検査 が行えること。(5)として、手間や費用が大きすぎない、という条件を踏まえたご検討をい ただいています。  9頁の(5)に健診項目の削除の考え方があり、不適切となった健診項目を残すことによ り、無用の手間や費用が発生することで、健診の効率性が阻害されることもあるし、不適 切となった項目について異常、あるいは正常のいずれの場合にあっても、医師に誤った判 断材料を提供することが危惧されるといった理由から、健診項目の削除についても見直し の結果を規則改正に反映されることが望まれる、ということで検討をいただいています。  今回、これ以下9頁の4「現行の特殊健康診断項目についての検討結果」というところ の、検討いただいた内容についてご議論いただきたいと考えています。何分、この法令上 の書き振りが非常に複雑になっているので、本文どおりに議論いただいて、具体的にどの ように規則が変わるのか、こちらの本文だけで議論いただくとわかりづらいところがある ので、本日は後ろの新旧対照表と本文をそれぞれご覧いただきながら、ご議論いただけれ ばと考えております。  35頁の「見直し案の新旧対照表」に*で注意項目が書いてあります。こちらの新旧対照 表において、イタリック文字になっているところは、この調査研究においてもさらなる検 討が必要とされたものですので、今回この検討会の場においても、そこも含めてご議論い ただきたいと考えています。  36頁の1番目、「有機則関係」と書いてあり、新旧対照表と我々は呼んでいるものです。 左側の列、「現行項目」と書いてあるのがいま現在の有機則に規定されている健診項目です。 上のほうに「必ず実施すべき項目」、下に「医師が必要と判断した場合に実施する検査」と 書いてありますが、上の必ず実施すべき項目は法令上必ずやらなければいけないと規定さ れている項目で、下のほうは医師が必要と判断した場合に実施するという項目で、そこで 書き分けをしています。  左と右とで異なっている部分については下線が引いてあります。例えば見直し案の2) の作業条件の簡易な調査については、前回すべての項目に入れるということで、その方向 性についてご了承いただきましたが、今回有機則の項目についても、作業条件の簡易な調 査は追加するということを考えています。  左側の現行項目の4)尿中蛋白の有無の検査が左側で下線がかかっており、右側ではな いということで、尿中蛋白の有無の検査は現行の有機則においては、すべての有機溶剤に ついて実施すべしとなっていますが、今回この調査研究でご検討いただいた結果、本文の 14頁に、有機溶剤に関する健康診断項目のうち、尿蛋白検査については、原則的に必須項 目、医師判断項目からは削除すべきではないかということでまとめていただいています。  その根拠としては調査研究報告書の15頁に4つ記載していただいており、i)の根拠と しては、有機溶剤の作業者、有機溶剤を使ったり作業される方が極めてたくさんいるにも かかわらず、有機溶剤の職業性のばく露によって腎障害が起こるという確定的な証拠にな るほどの報告は、いまのところ見られていないことが1つです。  ii)については、有機溶剤の作業者について尿蛋白の検査が多数行われてきているわけ ですが、それによって有機溶剤による腎障害として診断された症例の報告は、いままでに 見られていないのが2つ目の理由です。  iii)は、現在仮に有機溶剤に起因する腎障害による蛋白尿が検出されても、その頻度が 非常に小さいであろうということと、ほかの原因による蛋白尿がかなりの頻度で見出され ることから、蛋白尿が陽性となった場合の圧倒的多数は、有機溶剤に無関係の原因によっ ていることになりますので、有機溶剤による健康障害を見つけるための健診項目としては 不適当ではないかということ。  iV)としては、必須項目として健診項目を採用するか否かを判断する際の5つの条件に 照らし合わせますと、敏感度及び特異度が妥当なレベルにあること、健康障害の予防の成 果に比較して手間や費用が大きすぎないこと、この2つの条件には適合しないのではない かということで、尿中蛋白の有無の検査をすべての項目にかける必要はないのではないか、 ということで結論をいただいています。  ただ、高濃度ばく露で腎障害が認められたとする動物実験のデータが、有機則の物質の 中で12物質認めております。左側の医師が必要と判断した場合に実施する検査の4)腎機 能検査がありますが、この医師の判断項目による腎機能検査については、高濃度ばく露で 腎障害が認められたという動物実験の報告がある12物質については、見直し案の右側の医 師が必要と判断した場合に実施する検査の腎機能検査については、残すべきではないかと いうまとめをいただいています。具体的な12物質については、隣の37頁の注2に書いて あるクロロホルム、四塩化炭素といった12物質については、医師が必要と判断した場合に は腎機能検査を引き続き実施することとしてはどうか、という案をいただいています。  左の現行項目の下、医師が必要と判断した項目の2)貧血検査についてご説明します。 この貧血検査については現在医師が必要と判断した場合に実施する検査で、すべての有機 溶剤の物質について義務付けられていますが、今回の改正案では、医師が必要と判断した 場合に実施する検査から除いてもいいのではないか、という検討をいただいています。  こちらの根拠については本文15頁に記載していただいています。15頁はタイトルで16 頁から内容が始まっています。現行の有機則の規制においてはすべての項目において、貧 血検査が医師が必要と判断した場合の検査の項目。エチレングリコール誘導体では必須項 目として貧血検査が実施されていることで、今回この位置付けについて再評価を行いまし た。その結果、精製技術の進歩により、有機溶剤中のベンゼンの混入が認められなくなっ ていることと、通常のばく露で貧血の発生が証明されているものは、エチレングリコール 誘導体のみと判断されている。したがって、現行で必須項目として位置付けられているエ チレングリコール誘導体4物質に対しては、現行どおり必須項目として取り扱うこととし、 ほかの有機溶剤については貧血検査を医師判断項目からも削除することが適当であると、 今回の検討では結論付けられています。  続いて肝機能検査についてです。肝機能検査と出てくるのはここだけなのですが、少し 上の左側の必ず実施するべき項目のいちばん下の部分、<2有機則第29条第3項関係>別 表1-2を参照ということですが、今回、有機則にかかる肝機能検査の意義についてご検討 いただいており、本文16頁に書いてあります。現行の制度については、一部の有機溶剤 12物質について必須項目として肝機能検査が行われる。残ったすべての有機溶剤について は、医師判断項目として肝機能検査が設定されています。  今回、この肝機能検査の意義について検討をいただいていますが、現行で設定されてい る物質のうち、今回の検討において肝毒性が強く認められると判断された物質については、 ヒトにおいては肝障害の報告が多く認められ、職業性のばく露においても肝臓が標的臓器 と考えられることから、必須項目として継続するということで、6物質が具体的には必須 項目とするべきと結論付けられています。  現行で必須項目が12物質あるわけですが、引き続き必須項目とすべきとされた6項目以 外の残った6項目については、通常の職業性ばく露において肝障害が発生するリスクが低 いと判断されます。ただ一方、高濃度ばく露の動物実験においては、肝臓が標的臓器の1 つと認められているので、必須項目からは除外し、医師判断項目として残すのが適当と判 断されています。これについては新旧対照表ではなくて、38頁、39頁にある2つの新旧対 照表に反映されています。これは法律上テクニカル問題で、もともとの現行法において表 を別に作って健診項目を定めているので、今回別に新旧対照表では書かれていますが、こ れは本文の検討結果を反映させた結果、このようになったということです。38頁の現行項 目と書いてある物質のうち、下線が引いてある4つの項目について必須項目からの削除。 39頁の2つの項目、及びそれを含む物質についての規制は、肝機能検査を削除するという ことが、今回の見直し案として検討をいただいています。  36頁に戻っていただき、肝機能検査については以上のように現行の必須項目12物質に ついては6物質を引き続き必ず実施すべき項目として位置付け、残った6物質については 医師の判断項目とするということを提言としていただいています。また、現行の必須項目 ではない項目について、再度検討いただいていますが、7物質については通常の職業ばく 露においては肝障害を発生するリスクは低いとされていますが、文献上肝障害の懸念が認 められるということで、医師判断項目として残すのが適当ということで、37頁の注1に書 いてある項目については、引き続き肝機能検査を医師の判断で行う。注1に書いている中 で、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロルエタン、1,2-ジクロルエチレン、1,1,2,2- テトラクロルエタン、1,4-ジオキサン、N,N-ジメチルホルムアミドについては必須項目、 残った項目については医師判断項目のみで残すということです。  肝機能検査のところですが、必須項目にあたる物質については、もともと必ず実施すべ き項目で、AST、ALT、γ-GTの検査が行われておりますので、それ以外の検査をさらに必 要があれば医師の判断で行うということです。それ以外の検査については現在通達で示し ていますが、総蛋白、ビリルビン、アルカリホスファターゼ、LDH等の検査を行うとされ ています。肝機能については以上のような見直し案をいただいています。  腎機能検査については尿中蛋白の有無の検査を必須項目から削除するということで、注 2の項目については医師の判断で腎機能の検査を行う。こちらの内容としては尿中の蛋白 量、糖量、尿比重、尿沈渣といったものが検査項目として現行の通達でお示しさせていた だいています。  引き続き腎機能検査の下の5)神経内科学的検査という項目です。検査としては引き続 き医師の判断で残すことが適当ではないかと結論付けていただいていますが、名称につい ては右にあるように「神経学的検査」という名称がいいのではないか、と検討いただいて います。  以上が有機則の関係で、いくつかの複数の物質にかかわる部分の検討で、これ以外に個 別の物質について、その物質の特性に基づいた検討をいくつか行っていただいています。 こちらの新旧対照表では右側の見直し案の5)、6)、7)についてはそれぞれ個別の物質に ついて検討をいただいています。  5)に関する部分としては本文では18頁に記載があります。二硫化炭素についての検討 を行っていただいています。この結果ですが、二硫化炭素のばく露については、不可逆性 の血管障害が数ppmのオーダーの慢性ばく露により発生することが危惧されるようになっ ているということです。これについては生物学的なモニタリングという観点でもご検討い ただいており、二硫化炭素の尿中代謝物である2-チオチアゾリジン-4-カルボキシ酸 (TTCA)と略させていただきますが、こちらについては必須項目として採用することが望 ましいとはされていますが、二硫化炭素のばく露限界値及び管理濃度が現行の10ppmから 1ppmに改定されるということが予想される状況にありますので、その環境レベルに対応す る基準値が未確定であることから、直ちに必須項目とすることは難しいので、今後の検討 課題とすべきと判断いただいています。  二硫化炭素の慢性ばく露による血管障害は不可逆性の硬化性の変化であり、早期発見が 望まれることから、冠血管・脳血管の動脈硬化性の変化の検査を、医師判断項目として追 加することを早期に検討すべきであるというご提言をいただいています。これが右側の5) です。  続いて6)眼科的検査に関しての検討をいただいており、本文の18頁の項目で、メタノ ール、酢酸メチル、スチレンの3つの項目について検討をいただいています。メタノール については毒性の特徴として視覚障害が知られているので、眼科的検査を医師判断項目と して追加することについて、早期の検討が必要であるという結論をいただいています。酢 酸メチルについては生体内で比較的早くメタノールに分解することが知られているので、 こちらもメタノールと同様に早期の検討が必要ではないかという提言をいただいています。 スチレンについては低濃度長期ばく露によって色覚異常が起こることが知られており、色 覚検査を含む眼科的検査を医師判断項目として追加することについて、ほかの健診項目の 内容等も含めて、早期の検討が必要ということで、この3つの物質について眼科的検査を 医師判断項目として追加すべきかどうかということについて、早期の検討が必要とまとめ ていただいています。  最後の聴力検査ですが、本文の19頁に記載があります。1-ブタノールにより聴力障害が 起こることがあると報告されていますので、聴力検査を医師判断項目として追加すること について、健診項目の内容等を含めて早期の検討が必要と、調査研究では結論付けをいた だいています。  非常に有機則の関係で多岐にわたって検討をいただきましたので、この調査研究により 提言いただいた事項について、この検討会でさまざまな角度からご意見をいただきたいと 考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 有機溶剤関係の当面の課題を、すべて一通り説明していただきました。どの ように進めたらよいかと思いますが、一応項目別に意見をいただきたいと思います。最初 は36頁、見直し案の2)作業条件の簡易な調査を、すべての有機溶剤について採用するこ とについて、いかがでしょうか。これは前回も議論しまして、いいだろうということでし たので、今回もそれはよろしゅうございますね。 ○和田委員 きちんとした解説をしてあげるというか、それでオーケーということでした ね。 ○櫻井座長 それでは次に上からいきます。左の4)尿中蛋白の有無の検査を、全有機溶剤 にいままでは実施していたのを取りやめるということですが、これについてはいかがでし ょうか。そもそもこれを採用したのはなぜだというような意見も、随分いろいろと聞かれ ましたが。これは15頁のi)、当時ちょうど有機則が定められたころに、Askergren、これ はスウェーデンですね。Acta Med Scand、あるいはFranchini、これはイタリアですね。 こういった何人かの人が有機溶剤作業者で尿アルブミンの増加が認められたと。ただ、統 計的な変化が集団で見ると上がっているというデータだったのですね。そういうことを根 拠に早期発見の手段として尿蛋白を採用されたのだと私は解釈しています。しかし、その 後、ここにも書いてありますように、それを確定するような報告が現れていない。全然な いわけではないのですが、非常に少ないです。それを否定するデータも出ているというよ うな状況です。 ○和田委員 いまの腎障害というのは糸球体障害ですか、尿細管障害なのですか、どちら なのですか。 ○櫻井座長 一応蛋白にアルブミンが増えているという話だったので、糸球体のほうだと 思います。尿細管障害についてはほとんど有機溶剤については報告がないですね。 ○柳澤委員 確かにあまりにも非特異的な結果が出てくる検査ですから、わりと意味がな いということですね。 ○櫻井座長 そうですね。 ○和田委員 医師が必要とどのようにして認めるのですかね。何を根拠に検査をする必要 があると、医師はどのようにして認めるのですか。実施上困ってしまうのではないですか。 ○櫻井座長 腎機能に関する医師が必要と判断した場合に実施する検査、右側のこの3) の問題ですね。注2のところに挙げてあるような物質を使っている場合。 ○和田委員 可能性がある物質ですね。 ○櫻井座長 ええ。 ○和田委員 それについて、何でもって。 ○櫻井座長 もし、ガイドラインを示すとしたら、ばく露レベルがばく露限界値、あるい は管理濃度でもいいですが、それを超えるような、あるいは超えなくてもそれに近いよう なばく露があるような場合チェックしてみる。どうでしょう、山田委員。 ○山田委員 診断医が多くは作業環境管理のデータを知っていない場合が結構あるのです ね。そういうときにはそういう言葉は全然言えませんでしょう。 ○櫻井座長 それで作業条件の簡易な調査。 ○山田委員 だから、そこを言うのなら、それは絶対に入っているかどうかですよね。入 っていないとなかなか難しいですね。 ○櫻井座長 そうですね。 ○山田委員 それでないと、そこまで言えないからやらないと。 ○櫻井座長 そうなのですね。 ○山田委員 尿蛋白があると、例えば+1ぐらいだったら、+なのだけれどもこれは本当 に有機溶剤かどうかというのは、ものすごく悩むわけですが、非特異的ですからね。だけ ど+であれば次の腎機能検査へはいきますが、やらなかったらなかなかできないというの があります。 ○櫻井座長 だから腎機能検査を、最初から「尿蛋白の検査または腎機能検査」としてお きますか。 ○山田委員 だから12の下記注2の有機溶剤にかかわるものには、やはりスクリーニング 的に尿蛋白の有無があってもいいのではないかと思います。 ○和田委員 可能性がある物質に関してのみで十分だと思いますけど、ただ尿蛋白とする か、どうせ今はペーパーで潜血とかと一緒にやってしまうわけですから、どうということ はないです。蛋白だけのペーパーは使っていないでしょう。 ○山田委員 これは尿蛋白だけで結構健診機関はお金を儲けていますから。 ○和田委員 そうですか。 ○山田委員 これはかなりいいと思いますよ。 ○櫻井座長 でも大した値段ではないですよね。 ○山田委員 何百円ですね。 ○櫻井座長 それを全員にやっていたのがなくなるわけだから。 ○山田委員 だからかなり大きいですね。 ○櫻井座長 これはそういう影響があると思いますけど、しかし、全員にやるのはやはり。 ○山田委員 いやいや、だから腎機能に影響のあるものについては、スクリーニングでこ れを入れておくということはあってもいいのではないかと思います。そうでないと医師の 判断の根拠がなかなか出てこないですね。 ○和田委員 かえって医師が困ってしまうし。 ○柳澤委員 そうしますと、作業条件についてのある程度の情報がなければ。 ○山田委員 かなり条件をきちんとしている所はいいと思いますけど、いまほとんど知ら されなくて特殊健診やっている所って結構あるのですよね。 ○櫻井座長 ですから、作業条件の簡易な調査というところですね。 ○山田委員 そうなってくると簡易でなくなってきますよね。 ○櫻井座長 簡易と書いてあるけれども。 ○山田委員 本当は簡易ではないですよね。 ○櫻井座長 大事なことなのですね。 ○和田委員 作業環境測定の結果の入手というのを、本当はそこへ付けておいたほうがい いのではないですか。 ○山田委員 簡易というと、ものすごく。 ○和田委員 作業条件の簡易な調査の中にですね。 ○山田委員 だから作業環境測定結果を。 ○和田委員 把握することというのをむしろ。 ○山田委員 それはガイドラインで別途出していただくと思うのですが。 ○和田委員 そうそう。必ず簡易調査の中に含めておくこと。実際に調査をするわけでは ないから、そんな難しいのではなく簡易でいいと思うのです。その表だけをもらえばいい わけですから。 ○櫻井座長 はい。健診の個人票に一部必ず調査のスペースを設けていただく。そこに個 人がいる作業場所の管理区分を書いていただく。 ○山田委員 そういうときの測定というのは定常作業の測定なのですけど、非定常のばく 露を受けている人たちがいたときに、例えばスクリーニングでポッと出したときに、そう いう非定常の作業はありましたかということで聞けます。そっちのほうが上がりますから。 ○櫻井座長 そうですね。だから、簡易な調査とはいうけれども、それも含めたいですね。 そのガイドラインを作るときにはまたご意見を。 ○和田委員 いままで簡易な調査とは、何を想定しているのですか。 ○櫻井座長 いまのようなことです。いまおっしゃったような。 ○山田委員 結構それは簡易でなくなっていると私たちは思いますけどね。それぐらいの ことしかわかっていませんが、それだけあっても。 ○櫻井座長 それが大事。 ○山田委員 定常と非定常の作業があったかどうかの有無と、そのときの値がどうであっ たかというのがあればいけると思いますね。 ○和田委員 下に作業条件の調査と書いてありすから、環境測定はこちらで見るのかなと いう感じがします。 ○山田委員 だからそれを見るかどうか、医師が見ようかと思うときの何かの条件がない と、上に出てこないと見れないですよね。 ○和田委員 この2つだと、上のほうには。 ○山田委員 常に触れているかどうかは別ですから。 ○和田委員 作業環境結果というのが入っていないような感じがしてしまうのですね、こ のままだと。だから必ず聞くこと、ということにしておけばいいのではないでしょうか。 ○櫻井座長 いまの注2に挙げた物質については、必ず実施すべき項目の中に尿中蛋白の 有無の検査を残す、というご意見だったように思います。 ○大前委員 確かに可能性はあるのでしょうけれども、相当高濃度にならないと出てこな いと思うのです。したがってこの12物質であっても、作業条件の簡易調査で作業環境濃度 なり何なりという情報を与えれば、産業医としてはそれぐらい判断してほしいですね。産 業医の低いほうのレベルに合わせることはないわけです。 ○和田委員 ある場合にはですね、そこに必ずしも入れなくて。 ○山田委員 産業医が判断するのだったらいいと思いますよ。だけどそれは産業医は特殊 健診は健診機関に出している人、多いですから。 ○大前委員 健診機関でも健診をする医者は、有機溶剤がある健診をやっているわけです から、当然この有機溶剤はどんな影響があるかくらいは調べていただいて、それから健診 していただかないと一般健診と同じではないですか。特殊健診と何が違うのだということ になりますね。 ○山田委員 そうですね。現実問題として、なかなかそこまで事業場が渡していないとい うのは多いですね。 ○大前委員 それを是非、事業場に渡していただくためにも、こういう作業条件の調査と いうのは、やはり入れてということだと思うのですけど。あえて高い濃度で起きることを 一次健診といいますか、実施すべき健診にもってくる必要は、私はないと思います。 ○山田委員 だけど腎機能検査というところにつながっていかないように私は思います。 だからテストペーパーでピュッと、あるかどうかで十分だと思うのですが。それがあるか ら有機溶剤かどうかは、また別ですよね。だけどつながりとしてはあるのではないか。い まおっしゃったように高濃度でないと出ないというのはありますからね。 ○櫻井座長 腎機能検査といった場合に、そういうテープで調べる簡易なものは除くとい うのが常識ですか。 ○山田委員 普通はそんなのはしないですね。 ○櫻井座長 それもちょっと広義に取っていると思うのです。例えば。 ○山田委員 それも入れてと。 ○櫻井座長 入れてという意味です。例えば左のほうは現行ではわざわざ「尿中蛋白の有 無の検査を除く」と書いてあります。腎機能検査と書いてあって。広く取れば、要するに 腎に関する検査すべて。機能と書くから、どうなのかと思われる点はあるかもしれないけ ど。 ○山田委員 ただ、いままでは4)のところで必須項目に入れていたものが、今度は腎機 能検査という書き方をしたときに、そこを含めるかどうかというのは、かなり混乱するの ではないですか。それを含めるというように書けば。 ○櫻井座長 尿中蛋白の有無の検査も含むということは。 ○山田委員 含むということであれば。 ○和田委員 尿検査を含んだ腎機能検査ということにしておけば、ということはいいと思 いますね。 ○山田委員 こっち側で消しておいて、こっち側で腎機能検査といったときには、それは 入らないと私たちは思います。 ○和田委員 有機溶剤の場合は精密検査は事業者の責任になって、やりなさいということ になっていたのですね。普通は有機溶剤の場合は、精密検査は。 ○山田委員 ここはもう事業者責任で費用負担するということで。 ○和田委員 二次検査から精密検査を含めてですね。 ○山田委員 はい。 ○櫻井座長 非常に微妙なところをおっしゃっていますね。特化則の場合は一次健診と二 次健診と書き分けているのですね。一次健診をやった後でないと二次健診にいかないわけ です。それで二次健診は実際は事業者負担でない場合が多いと思うのです。 ○和田委員 普通の検査はそうではないけれども、有機溶剤の場合は指定していたのでは ないでしたか。 ○櫻井座長 有機溶剤の場合は同時にやれるわけです、医師が必要と判断した場合。 ○和田委員 その精密検査というのが、明らかに有機溶剤によってきたものだというとこ ろまで調べるのが精密検査なのかどうか、ということが問題ですよね。そこまでにやると したら大変ですよね。もっと詳しい検査をやらなければいけなくなるし。 ○山田委員 いちばん多いのは、1回のときはちょっと様子を見ましょうかと言って、次 まで待つということも無きにしも非ずですよね。そして、やはり続くということになった ときに、作業条件が非常に関係するのではないかということも考えます。 ○櫻井座長 そうですか、なるほど、そうでしょうね。ほかの原因で例えば尿蛋白がいつ も出ているという人はいますからね。 ○圓藤委員 いまの尿蛋白の件は一般健診のほうで必須に入っていますよね。だからある 程度は把握されていると思うのです。そういう意味で重ねて有機則の中の必須項目に入れ る項目ではない。したがって、必要な場合、必要とするという項目の中に尿蛋白を。 ○山田委員 尿中蛋白の有無の必須項目によるということについては、何も言っていない ですね。 ○圓藤委員 だからそれはやらない。 ○山田委員 だから下のほうの腎機能検査という注2のところに。 ○圓藤委員 入れるのは。 ○山田委員 注2のところにやるのは、入れてもいいのではないかと言っている。 ○圓藤委員 だから。 ○山田委員 上については言っていないですよ。 ○圓藤委員 だから下のほうがいいのではないか、ということを言っているわけです。 ○山田委員 だけど、下でもそういうときに出るようなものについては下のところに、尿 蛋白も入れておいたらいかがですかと。 ○圓藤委員 だからその腎機能の検査の中身は、尿蛋白とかを当然含んでいるという理解 でいいのだと思いますけれども。 ○山田委員 だけど、上で左に消していったら、下はそれは右ではなかなか考えづらいで しょうと。左の必須項目は全部消しているわけですから、右のほうに尿蛋白についてのお 話を入れるというのは、書いておかないとわからないのではないですかと。 ○圓藤委員 わかるだろうと。 ○山田委員 わかりにくいですよと言っているわけです。 ○圓藤委員 それは法律上の文言のところで整理していただいたらいいと思います。 ○櫻井座長 要するに蛋白の検査を含むと書き入れるかどうかですよね。 ○山田委員 そういうことですね。 ○石井専門官 いまのご議論を踏まえまして、法律そのものと実際の施行通達の中で、い まご指摘いただきました尿蛋白を一般健診でやっている所と同様に、肝機能検査も一般項 目でやっていますので、例えば医師が必要と判断する場合に、例えば一般健診の項目を参 考にするといったようなことが必要であれば、先生方のご意見を踏まえて。 ○和田委員 1年に1回と半年に1回で、かなり違いますからね。 ○山田委員 定期健診と特殊健診とを一緒にやっている所はいまの話で十分です。だけど、 全く分けている所については違うわけですから。現実にうちなどは特殊健診と定期健診は 全然違いますから、特殊健診は特殊健診でやっているわけですから、そのときにその情報 はきませんから。 ○櫻井座長 こないですよね。 ○山田委員 はい。 ○櫻井座長 わざわざ取り寄せないと。 ○圓藤委員 その辺は松下の問題であって、法律上に2回やるというのはおかしな問題で はないでしょうか。法律上は、そちらの一般健診のデータがもらえるような話をしていた のですが。 ○山田委員 でも定期健診と特殊健診とを分けている企業も多いですよ、健診機関に出し ている所は。健診機関では特殊健診できませんという所があるから。 ○圓藤委員 それは健診機関の問題であって、法律上の問題ではないので、議論すべきこ とではないと思います。通常は1回は特殊健診と定期健診を重ねてやる。1回は特殊健診 だけをするというような事業所は結構多いと思いますので。 ○山田委員 だけどそうは書いていないでしょう。特殊健診は1年以内に2回やりなさい と書いてあるわけでしょう。だから、それはそのときにやりなさいということは書いてな いです。 ○和田委員 一応、特定業務従事者健診の対象者になるのではなかったでしたっけ、溶剤。 ○山田委員 一応なっています。 ○和田委員 特定業務従事者健診だから、2回やらなければいけないとなっています。 ○山田委員 特殊健診を2回やらなければならないというのは。 ○櫻井座長 それは、まあ書きます。 ○和田委員 定期健診もね、やらなければいけないとなっているから。 ○山田委員 そうでしょう。 ○和田委員 そういうこととか、あるいは作業環境濃度を考慮して、この対象物質につい ては、記載の医師が必要と認めるというところについては、やることが望ましいとか、そ うしておいたらどうか。判断材料としてはそれをしなさいとしておいたらいいのではない ですか。作業環境濃度と特定業務従事者健診の結果を考慮して医師が判断すべきであると いうことを、マニュアルのほうで書いたらいいのではないですか。 ○櫻井座長 全体のマニュアルが必要ですね。作業関係のほうから管理の調査の内容は当 然必要なのだけれども。 ○山田委員 それともう1つ、ちょっと気になるのですが、ここで初めてAST、ALT、γ-GT というのが出てきましたね。定期健診のほうではまだGOT、GPTを使っていますね。そちら も変えられるのですか。 ○石井専門官 実際は法令上の文言となりますので、なかなか前例から変えるのが非常に 難しいというのが、正直な我々の立場です。 ○山田委員 だからここだけを変える。有機則のここだけAST、ALT、γ-GTを除くという 言葉が出てきますね。 ○石井専門官 これは調査研究としていただいたもので、我々としてはこれに変えるべき だというご意見が強ければそれで内部を決めますが、なかなかいまあるほかの項目等の法 令上の釣合というものがいろいろ指摘されることは予想はされます。 ○山田委員 おっしゃるとおりで、前からずっと言っていますけど、それは難しいので変 えられないと言って、GOT(AST)とずっと言い続けているのですよね。 ○櫻井座長 大体ずっと残ってしまうのですね。変えられるものから変えていったほうが いいと思うのですが、それは可能であればこのようにするということですね。では腎機能 についてはおおよそ意見は一致してきたと思いますので、一次健診では実施しない、尿蛋 白は削除。医師が必要とする判断項目の中で腎機能検査と。尿中蛋白の有無の検査を含む と書き入れるかどうかは、ガイドラインにそれを任せるかどうかということも含めて、い まははっきり決めないで検討課題とさせていただきます。 ○清水委員 上で必ずのところは尿中蛋白は一応削除ですね。下で腎機能のところで尿中 蛋白を入れるか入れないかでご意見ですけれども、腎機能検査の項目というのは何をしな ければいけないかというのは、どこにも書いていないのですね。尿中蛋白も含めて腎機能 検査という場合には、今度は尿中蛋白だけやればいいのかということになってしまいます ね。 ○櫻井座長 それはありますね。 ○山田委員 そういう意見もありますね。 ○和田委員 だから産業医の判断で。 ○山田委員 それは医師としての判断で。 ○和田委員 何をやるかというのは産業医の判断でいいのではないですかね。 ○清水委員 そういうドクターもいないとは限りませんから。 ○和田委員 尿蛋白の検査を含むのではなくて、尿の検査を含むとしておいたほうがいい のではないですか。潜血があるとか、そういうこともありますから。 ○石井専門官 実はあまり周知が徹底されていないのかもしれませんが、平成元年に改正 した際に、施行通達で一応、例としてお示ししておりまして、いまある現行の腎機能検査、 尿中蛋白の有無の検査を除くという項目については、腎機能検査には尿中蛋白量、それか ら尿中糖量、尿比重の検査、尿沈渣顕微鏡検査等があることと例示をお示ししていること はございますので、今回の改正の際にも、このようなことを通達でお示しをするのが適当 ではないかと考えております。それについてもご意見をいただければと思います。 ○櫻井座長 それは通達で出しているのですね。 ○石井専門官 はい、そうです。 ○櫻井座長 通達で出したほうが明確ですよね。 ○石井専門官 そうですね。 ○櫻井座長 等があるという、例文になっているのですが、少し内容がはっきりすると。 ○柳澤委員 それは一般論ですが、そういう細かいことを例示として出すと、おそらく調 べるほうはそれにこだわりますよね。そういうのが必要な段階なのですか、それともその 辺はもう医師なら医師の判断に任せるということですか。例えば、有機溶剤に対する腎機 能検査だったら、どのレベルのものを行うかということは、それはやはり産業医はもとよ り、一般の医師でもある程度知っていなければいけないことですよね。 ○和田委員 本当はそうですけど、なかなかそこまでレベルがいっていないではないです か。検査屋さんがすべての検査項目をバーッと全部やって、いくらとくるのではないです か。 ○櫻井座長 医師の判断を重要視するとすれば、あまり細かく書かないという方向が新法 の方向ですよね。 ○和田委員 そうそう。 ○櫻井座長 それぐらい入れるのが。 ○和田委員 医師の責任として、本当に機能障害があるかどうかを診るということですか ら、何をみるかというのは医師に任せておけばいいのではないですか。尿の検査の中に「等」 が入っているのは、どういうことなのですか。 ○櫻井座長 いまの通達の中ですか。 ○山田委員 尿のところに「等」とありますね。 ○櫻井座長 何でも等で、それ以外もあり得るからなのでしょうけれども、あり得ないわ けではないですから。 ○和田委員 糖尿病で来たものを除くためですか。 ○山田委員 腎性糖尿というのがありますから。 ○櫻井座長 低分子蛋白を調べるかどうかとか。 ○石井専門官 そうですね、クレアチニンなど。 ○山田委員 そのものもだいぶ変わっていると思いますから、それは検討したほうがいい と思います。 ○和田委員 糸球体障害で糖が出るというのはあまり聞いたことはないですから、そんな のも入れておくと。 ○櫻井座長 いまのような通達で示すことについても、どちらかといえば反対。 ○和田委員 基本的な制度を出しておいて、あとは医師の判断に任せればいいのではない ですか。その代わり通達みたいなものできちんと示してあげると。 ○櫻井座長 通達で示したほうがいいと。 ○和田委員 ある程度マニュアルでもいいですし、何かで示してあげないと。 ○櫻井座長 マニュアルにするか通達にするか。 ○和田委員 それはもう。 ○櫻井座長 どちらがいいのですか、あるいは両方。 ○和田委員 通達というのは行政の判断でやるのではないですか。 ○櫻井座長 通達は労働基準局長とか安全衛生部長とか、労働局宛に出す。 ○石井専門官 この場合は労働局宛に、事業者宛周知願いたいという形で出すことになろ うかと思います。 ○櫻井座長 そうなりますね。 ○石井専門官 はい。 ○櫻井座長 労働局から周知してもらうと。 ○石井専門官 その通達の定め方も、一例としてこういうことも定めたのでという例示と いう扱いに、こういったガイドライン的なものになろうかと思います。 ○櫻井座長 そういう周知広報という意味での力はあるわけですから。通達の書き方の内 容は。 ○山田委員 企業側は通達がきたら、それは自分たちのものやというぐらいに思っていま すよ。そのまま直、それは自分たちがやらなければいけないものだ、というように思って います。 ○櫻井座長 通達にどのように書いていただくかは、またそのときに全部を聞いていただ いて、そういう方向でお願いしたいということだと思います。では次に肝機能ですか、順 番からいくと貧血検査ですね。15頁から16頁にかけて、削除する考え方。その貧血検査、 36頁の新旧対照表でいえば左側の医師判断項目としての2)に貧血検査がありますが、こ れを全部除くということですか。 ○和田委員 医師の判断が、やる必要性があるというところで、右側の見直し案では、貧 血は一切書かないわけですから。 ○櫻井座長 一切書かない。 ○和田委員 エチレングリコールなどは。 ○櫻井座長 それは必ず実施すべき項目のところで。 ○和田委員 それはどこで出てくるのですか。 ○櫻井座長 書くわけですね。 ○石井専門官 そうです、今回の新旧対照表では変更がないと省略させていただいていま すが、もともと別表で条文は別に表を作って、エチレングリコール関係の4つの物質につ いては貧血検査を必ずやることと定めております。今回の検査結果から、それはそのまま でいいではないかということで、今回は割愛させていただいております。 ○櫻井座長 これもよろしいですか。ご異存ないですか。では貧血についてはご了承いた だいたということにさせていただきます。肝機能検査についていかがでしょうか。必須項 目として6物質だけ残す。これは38頁から39頁に書いてあります。この報告書の段階で、 文献調査の結果、このように有機溶剤を3つに区分したわけですね。 ○和田委員 肝機能というと、必ずこの3つの検査が出てくるわけですが、実際にこうい った物質でγ-GTPが上がるというのはちゃんとした証拠があるのですか。クロールが付い たものは肝障害がくると言っていますが、肝障害というのはGOT、GPTで表した値ですね。 ○櫻井座長 AST(GOT)、ALT(GPT)が上がることは間違いないです。 ○和田委員 γ-GTPはどうですか。 ○櫻井座長 γ-GTPのほうは情報が、私は記憶にない。 ○和田委員 法律ではこの3つが必ず出てくるわけでしょう。 ○山田委員 胆道系のものだと上がると言えば上がるのですが、胆道系の障害がこの有機 溶剤であるかどうかですね。上がっているものは無きにしも非ずですが、ほかのアルコー ルのほうが効いている。 ○櫻井座長 アルコールのほうが圧倒的に多いですからね。ですからフォールス・ポジテ ィブな。 ○山田委員 ですから、γ-GTPだけではなかなか書けないです。やはり、GOT、GPTが動い ているということを見ます。 ○和田委員 GOT、GPTが上がらなくて、γ-GTPだけが上がるものがあるかどうかというこ とですね。 ○櫻井座長 そうです。それがあるかどうかです。 ○和田委員 また無駄な検査を、お金をかけてやる必要はないという気もするのです。 ○山田委員 これは3つとも一気に測ってしまうのでしょう。同じように測れると言えば、 同じ検体で。 ○和田委員 しかし、お金は別々に取れますからね。 ○櫻井座長 何となくこの3つのセットは。 ○和田委員 労働法では、肝機能というのはこの3セットで出てきます。 ○圓藤委員 ノンアルコール性でγ-GTPが上がるものが問題になってきているのです。そ の問題が有機溶剤の問題と関係なしに大きな問題になっているので、これをなくす、なく さないの議論はもう少しあとにしたいという気がするのです。取りあえず、今回は残して おいていただいて、次回の改正のときにもう一度議論してはどうかと。いまなくすのは、 なぜ、なくしたのかという問題もまた出てくるのではないか。 ○和田委員 一般の臨床などでも、GOT、GPTの両方測ったりすることが少ないから、片一 方でよろしいなどということを言うけれど、そんなことがあるので、GOT、GPTでどちらか を測れば。 ○柳澤委員 従来の経過を知らないのですが、逆の意味でγ-GTPを入れている可能性はな いですか。つまり、ALT、ASTが正常でγ-GTPだけが上がれば、それはもうアルコール性だ と大体普通は考えます。そのような意味でスクリーニングをするのであれば、もし肝実質 障害の細胞障害だったらGOT、GPTで測ったほうがいい。 ○和田委員 その場合は別にγ-GTPは測らなくても、GOT、GPTを測って異常がなければオ ーケーということになってしまうでしょう。 ○柳澤委員 そうですね。異常がなければいいわけですよね。 ○和田委員 本来はGOT、GPTだけを測ればいいのではないかと思っていますし、もっと煎 じ詰めれば、GOT、GPTのどちらか1つを測ればいいのではないかと思っています。 ○柳澤委員 なるほど。 ○櫻井座長 それぐらいのものですね。 ○和田委員 あまりお金をかけないようにするということです。しかし、ほかにもみんな これが入っているから、これだけ削るというわけにはいかないでしょう。まあ、何かのと きに。 ○山田委員 アルコールではこのようなことはないのでしょうか。例えば、メタノールで GOT、GPTが上がるということはないのですか。 ○櫻井座長 メタノールでそんな量を飲んだら。 ○山田委員 エタノールだったら。 ○櫻井座長 エタノールならあるのでしょうが、エタノールは有機則の中に入っていない し。 ○圓藤委員 ばく露の仕方が有機作業でのばく露ではないと思いますので。ちょっとよく わからないのは36頁の書き方で、「ただし、有機則第29条」云々のところは「除く」とな っているのに、38頁にはこれらの検査と書いてあることです。この記載の仕方は理解しに くかったです。 ○石井専門官 これも必須項目でGOT、GPTが含まれています。 ○圓藤委員 必須項目であるからですか。 ○石井専門官 そうです。必須項目であるものは医師判断項目では除くということです。 ○圓藤委員 わかりました。 ○櫻井座長 有機則の物質を3段階に分けたその分け方、つまり必須に残すもの、判断項 目として残すもの、全部削除するものという分け方についての特段のご異存はありません でしょうか。 ○山田委員 しかし、やはり解説が要るのではないでしょうか。分けたときはこう分けて、 このように分類して分けたという話、考え方を。そのようにしてあげたほうが。 ○櫻井座長 そうですね。 ○山田委員 AST、ALT、γ-GTは当面あまり。 ○櫻井座長 ここでもGOT(AST)と書く可能性は十分あるわけですね。 ○山田委員 そうです。 ○石井専門官 現行の項目と直近で健診の改正もいろいろと行われていますので、そのと きのものと併せて審査を受けることになります。 ○櫻井座長 それと違っていると通りにくいでしょうからね。 ○石井専門官 法律の専門の立場から言うと、同じものを2つの言葉で書いていると紛ら わしいので、変えるのであれば全部一括で変えるか、元のものを使えと言われることもあ ります。 ○櫻井座長 そうでしょうね。 ○山田委員 そろそろ変えたほうがいいのではないでしょうか。もう長いですから、私は 今回思い切って変えたほうがいいと思います。 ○櫻井座長 課題として残すことにして、今日どれか1つに絞るということについての結 論は出さなくてよろしいですか。次に腎機能に移ります。腎機能については、既に尿中蛋 白の議論をいろいろしていただいたので、これはいいですね。 ○石井専門官 はい。 ○櫻井座長 もう1つは従来「神経内科学的検査」と書いてあったもので、すべての有機 溶剤について医師判断項目となっていたのですが、今回も踏襲し、すべての有機溶剤につ いて医師判断項目とすると、それはよろしいですね。有機溶剤はすべて一応問題がありま すね。名称は「神経内科学的検査」を「神経学的検査」にしてはということですが、これ もよろしいですか。 ○柳澤委員 そのほうがいいと思います。 ○櫻井座長 それも結論にいたします。次に、5番目は個別具体的な話になりますが、36 頁の5)は二硫化炭素にかかわるものです。二硫化炭素については18頁にあり、血管障害 にかかわる部分と生物学的モニタリングという2つの課題があります。血管障害に関する 項目として36頁に書いたように、冠血管・脳血管の動脈硬化性変化の検査を、医師判断項 目として加えるかどうかについてはいかがですか。 ○山田委員 二硫化炭素の場合はいま眼底をやっていますから、眼底がそうだと考えてい いのですか。この検査と言われると、非常に大変な検査だなと思うのです。例えば、頸動 脈のエコーもやらなくてはいけないのかといったことまで考えてしまいます。 ○和田委員 アンギオとかね。 ○櫻井座長 眼底の検査は、いま必須項目になっていませんでしたか。 ○山田委員 二硫化炭素の必須項目です。 ○櫻井座長 たしか必須項目でしたね。有機溶剤の一つひとつについての新旧対照表がな いのでわかりにくくなってしまったのですが、二硫化炭素については必須項目だと。 ○山田委員 必須項目です。 ○櫻井座長 必須項目で眼底をやると。しかし、問題があることは当然なので、冠血管・ 脳血管については医師判断項目として挙げるということですね。 ○山田委員 しかし、それは違うわけですよね。動脈硬化性変化は眼底で見なさいという ことではないのですよね。 ○櫻井座長 そうではないです。微細動脈瘤で。 ○山田委員 そうですね。ですから動脈瘤ですね。あるいは、出血です。 ○櫻井座長 硬化性変化も出てくるかもしれませんが、あまり目のほうにはこないですね。 ○大前委員 目にもくると思うのですが。 ○山田委員 目にくることもありますが、一般の硬化性変化と同じですものね。 ○櫻井座長 MRIなどがやる。 ○山田委員 ですから、これはMRIとか、そういったのを考えているのかという話になり ます。 ○櫻井座長 これは一定揃うでしょうね。MRIなり、あるいは先ほど言われた。 ○山田委員 そこまでやったらいいということですね。そこまでやってもらって結構です よ、ということですね。 ○大前委員 医師の判断で。 ○山田委員 医師の判断で。 ○大前委員 ばく露レベルをきちんと考えてということですね。 ○山田委員 それはなかなか辛いですね。 ○櫻井座長 辛いですが、二硫化炭素を使うぐらいの職場であれば、それぐらい覚悟する と。 ○山田委員 糸辺はそうですが、例えば、脱着するようなときにタスクルを掛けたり、使 っていますからね。 ○櫻井座長 ばく露レベルをうんと下げればいいのではないですか。実際に分析するとき に、脱着溶剤としてよく使いますね。それが気になります。 ○山田委員 そうです。 ○櫻井座長 ですから、ばく露レベルをうんと下げてもらうしかないですね。 ○山田委員 それの健診をやっているわけですが、医師判断でちょっと動脈硬化がありそ うだということになってくると。 ○櫻井座長 一度やってみたら。 ○和田委員 冠動脈をみるためにもっとアンギオをやりなさいなどといったことになった ら、大変なことになります。 ○山田委員 大変です。ですから、どんな検査を考えられているのか、これもちょっと気 になるのです。どの程度のことを考えられているのかなと思います。 ○櫻井座長 心電図は。 ○大前委員 心電図は割合簡単にできます。MRIは、値段は別として非侵襲的ではありま す。アンギオはちょっと無理だと思います。これは確定診か何か、本当に臨床的に何か問 題があれば別でしょうが。 ○柳澤委員 被験者に侵襲が少ないということを考えれば、冠動脈の場合でも今はCTでア ンギオができますから、いまは。脳のMRアンギオと同じようなレベルでできますが、お金 はかかります。 ○山田委員 お金はかかります。 ○大前委員 非常にきれいですよね。 ○柳澤委員 どのぐらいの対象者がいるかということで、非常にリスクが高いということ であれば、いまは技術的にそこまでできるわけですから、医師判断項目ぐらいだったらい いと。 ○山田委員 健診項目としてこの言葉が出てくると、大変なことになったという感じが非 常にします。 ○櫻井座長 分析担当者の話ですね。 ○山田委員 はい。 ○大前委員 ただ、情報としては、数ppmレベルで相当長い期間やっているとMRIなどで は変化が出ていますので、先ほどの作業条件の調査のところでどれぐらいばく露している のかが、やはり大きな判断項目だと思います。たぶん、分析の場合はドラフトの中か何か でやっているのではないですか。 ○山田委員 しかし、ほとんど何も出ません。 ○大前委員 そうですよね。 ○山田 出ませんが、こう書かれていると使っていますから。 ○櫻井座長 書かれていることはショックになるかもしれませんが。 ○山田委員 大変なショックです。 ○櫻井座長 ショックでしょうから、なおさらきちっとコントロールする。ばく露レベル は、実際は相当低いでしょう。 ○山田委員 低いです。 ○櫻井座長 そんなにはばく露していないと思うのです。それがばく露するようだったら 大変です。 ○和田委員 動脈硬化性の変化が見つかったとしても、本当に二硫化炭素であるものとい うのは非常に少ないと思うのです。 ○山田委員 それは全然違います。 ○和田委員 一般的なもののほうが多いかもしれません。 ○山田委員 そちらのほうが多いのですが、硬化からいくと、やはり考えなくてはいけな いかなと。 ○櫻井座長 それに意外と若い人で出ます。ばく露レベルにもよりますが、とにかく若い うちから本当に動脈硬化になってしまいますからね。 ○和田委員 この場合は広く動脈硬化性変化と言っていいわけですね。動脈硬化性変化と 言った場合にはちょっと一般の。 ○櫻井座長 腎動脈、腎のほうにきますからね。 ○山田委員 むしろ細動脈に近いのではありませんか。 ○櫻井座長 太いほうもくるのです。 ○大前委員 太いのは相当高い濃度です。 ○櫻井座長 高い濃度だと。 ○大前委員 高い濃度の場合はそういうのが起きます。おそらく、いまの日本のレベルで は起きないと思います。 ○柳澤委員 眼底の動脈の硬化性病変というのは、脳の動脈硬化は反映すると昔からよく 言われているのですが、それである程度代用するということは難しそうですか。私は実際 にどの程度の動脈硬化がくるかということを知らないのですが。 ○大前委員 必須項目になっていますので、それは代用できると思います。 ○柳澤委員 必須項目としてあるわけですか。 ○大前委員 そうです。それで何もなければ。 ○柳澤委員 そうすると、それ以上を疑った場合に。 ○和田委員 眼底の動脈硬化というのはあまりきちんと見つからない、無駄だということ が多くなってきて、むしろこちらの頸動脈の検査のほうがいいのだと。いまはこれも大体 やっています。 ○柳澤委員 医師の判断項目としても、動脈硬化と言ったときは頸動脈エコーとか何かを 示すような形にしておいてあげたほうが。 ○和田委員 そのようなことになると思います。 ○山田委員 結局、それも作業条件のばく露との絡みですから、このレベル以上だったら このようなこともあり得るでしょう、このようにしたらこうですよといったマニュアルか 何かで、ガイドラインを出していただいたほうがありがたいです。 ○和田委員 そうですね。 ○櫻井座長 管理濃度1ppmぐらいの話でしょうから。いま10のものを。 ○山田委員 やはり1ppmを超えると、ここまで考えなければいけないと。 ○櫻井座長 2、3ppmでも起こり得ると。 ○大前委員 集団で見た場合は、5ppmを切るぐらいでも差が出てきますから。 ○山田委員 それぐらいだと大体糸辺でしょう。 ○大前委員 糸辺ですね。 ○山田委員 糸辺でしかないですよね。 ○櫻井座長 日本では人数が非常に少なくなっています。 ○大前委員 そうですね。 ○山田委員 数十人とか百数十人とか、全体でそれぐらいです。 ○和田委員 特定健康診査は項目改正のときに厚生省側は眼底を主張してきたのですが、 労働省側は、いまは眼底でやっている検査ではあまりきちんと判定できないことがあると いうことで、却下してしまったのです。 ○大前委員 必ず実施すべき項目の中にあるのです。TTCAは必ず測らなければいけないわ けですから、医師の判断としてはかなり情報は多くなります。違いますか。 ○櫻井座長 TTCAはこれから議論していただくのですが、原案としては見直し案として TTCAを実施項目として検討してほしいという書き方です。ただし、18頁の中程辺りにある ように、二硫化炭素ばく露限界値が1ppmに改定することが予想される、基準値が未確定で あると。TTCAでこれに対応できるかどうか。 ○大前委員 対応できない可能性も出ているのです。また、キャベツのようなものを食べ ると結構出てくるので、1ppmになってしまうとTTCAでは少し無理かなという感じがあり ます。10だったら何とかなるかもしれませんが、ちょっときついという感じがします。そ のような意味では必須のほうには入れないほうが、入れるのはちょっと無理かなという気 がします。 ○櫻井座長 入れない方向ですね。残念ながら、生物学的モニタリングの手段は、丁寧に ばく露濃度を測っても今のところないと。そうすると、医師判断項目としてこれを加える ことについてはおおよその方向が、皆様がそのような方向でいいだろうという感じになっ ているわけですが、どうしますか。 ○山田委員 やはり、冠血管・脳血管という言葉をどうしても入れますか。動脈硬化性変 化の検査ではいけませんか。というのは、冠血管とか脳血管と言うと、先ほど言ったよう なCTやアンギオなどという言葉にいちばんパッといってしまうので、健診医としては、こ れを見ると非常に大変だという世界に入ってきてしまうのです。 ○大前委員 ただ、集団で見た場合、出てくるのは心血管と脳血管なのです。例えば頸動 脈を測ったとしても、数ppmレベルの話ですから出てこないですし、大動脈の伝播速度な ども出てこないので、単に動脈硬化としてしまうと、という気がします。やはり、出てき ているところが冠動脈と脳動脈ということだと思うのです。逆に言いますと、これを見て 頸動脈を測られても仕方がないかなと。あるいは最近流行の大動脈のABPといったので測 られても仕方がないという気が逆にするのです。 ○和田委員 1ppm近くなどと限定してしまえば、対象者の数はそんなに多くはないのでは ないでしょうか。少しぐらいお金がかかってもしようがないですね。 ○山田委員 それはいいのですが、いまのような検査のところで、二硫化炭素中でこの言 葉が出てくるとなかなか大変です。これはもう少し濃度の濃い所だということがわかれば いいわけです。 ○和田委員 そうです。そのようなことをきちんと。かなりリスクが高そうなときにやっ てくださいと。 ○山田委員 その辺から「えー」という話が絶対に出てきますから。 ○櫻井座長 それは通達とかガイドラインなどではっきり。 ○山田委員 そうですが、見直し案でこの言葉がポンと出ると、通達までいく前にものす ごくいろいろなことが。それでもこれは必要だというのであれば結構ですが。 ○櫻井座長 今日のところはおおよそそのような方向で。 ○山田委員 はい。 ○石井専門官 だいぶいろいろご意見を頂戴いたしましたので、少し整理し、次回事務局 で整理したものを提出させていただき、またご議論いただければと思います。 ○櫻井座長 次に、眼科的検査に移ります。いままでメタノールや酢酸メチルについては あまり入れてなかったのですが、いかがでしょうか。 ○和田委員 中心暗点と視野狭窄とは関係あるのですか。 ○柳澤委員 中心暗点が広がっても視野狭窄、視野狭窄と言っても周辺視野のことですね。 ○和田委員 普通はそうですね。 ○柳澤委員 視野計で、中心暗点も周辺視野もきちんと調べてくださいということでしょ うね。 ○和田委員 必ず両方きちんと診ますからね。この文章の様子からは、中心暗点で視野狭 窄がくるからというように取れてしまうものですから。 ○櫻井座長 この書き方ではね。 ○柳澤委員 「中心暗点,視野狭窄等の検査」ということです。 ○和田委員 そうですね。 ○櫻井座長 そうですよね。酢酸メチルなどは生体内で代謝されてメタノールになるとい うことで、メタノールと全く同じように取り扱っています。ただし、実際は相当高濃度ば く露でないと、眼科的な変化は起こらないですから医師判断項目になっているのです。た だ、非常に特異なケースですから。 ○山田委員 この中ではシンナーを吸っている子がいちばん多いですね。私が知っている のは、シンナーを吸っていて視野狭窄です。シンナーにメタノールが入っていたのです。 ○櫻井座長 メタノールと酢酸メチルでこのようなことがあり得るということについて、 あまり反論はないですね。医師の判断項目としてもわかりやすいです。ただし、ばく露レ ベルが高ければ。 ○山田委員 これもばく露レベルの問題ですね。 ○櫻井座長 あくまでばく露レベル。 ○山田委員 作業の条件の簡易調査がどの程度あるかということに全部かかってくると思 います。メタノールは少量でも払拭に使ったのが結構ありますから、それが全部視野狭窄 をやれと言われてもなかなか大変なことになる。 ○櫻井座長 酢酸メチルはどうですか。混合溶剤に随分入っていますね。 ○山田委員 酢酸メチルは混合溶剤にたくさん入っています。 ○櫻井座長 いいにおいがするものですね。 ○山田委員 そうです。酢酸メチルも多いです。酢酸エチル、酢酸メチルは入っています から。 ○櫻井座長 方向は医師判断項目として入れることについて、特段のご異存はないと。ス チレンはいかがでしょうか。これも色覚の異常などがばく露限界値設定の根拠になってい るのです。たしかそうです。 ○山田委員 ばく露限界値を超えると、確実に色覚検査をしなければいけませんか。 ○大前委員 この項目が色覚のばく露限界値の根拠になっていますので、相当超えればあ るでしょうね。 ○山田委員 相当ですか。 ○櫻井座長 スチレンというのは結構いろいろな所で使っていますからね。30〜50ppmぐ らいで色覚異常が起こるので、20ppmにばく露限界数がきているから、安全の幅はあまり 高く捉えていない。 ○大前委員 色覚があまり。運転する人は信号が見えにくいらしいのです。 ○櫻井座長 そうすると、やはり色覚の検査はスチレン、特異なあれですから、そのよう な情報を考えると医師判断項目から外せないのではないでしょうか。反対できないでしょ う。もともとの原案作成者はその方面の研究をさんざんやっておられる岸先生。 ○清水委員 色覚等の「等」は何でしたか。 ○櫻井座長 ほかにも何かありましたか。 ○山田委員 そこに書いてあるのは普通の色覚異常だけです。そちらに書いてあるのは色 覚異常等、等というのは何でしょうかね。視力低下というのは何でしたか。 ○櫻井座長 色覚とCCI(Color Confusion Index)方式。 ○大前委員 色覚ですね。 ○櫻井座長 これも色覚ですよね。 ○山田委員 色覚検査というのは昔の色盲と一緒ですか。それとは違うのですか、盲では ないのですか。 ○大前委員 シフトらしいのです。 ○和田委員 色が変わって見えるというものです。 ○山田委員 違うようにですか。 ○和田委員 違うような色に見えてしまうのです。 ○大前委員 いわゆる本でやるのがありましたね。あれではわからないのですが。 ○山田委員 そうではない。これはどうして検査するのですか。何色に見えますかと聞く。 ○大前委員 よくあるのは15ぐらいの色が一つひとつパックになっていて、薄い順に並べ なさいとか、何かそのようながあるのです。ヒューテストということでやっています。 ○櫻井座長 色覚は割合鋭敏に変化するということで、ほかの有機溶剤でもよく調べてい ます。 ○山田委員 これは回復するのですか。 ○大前委員 回復すると聞いています。 ○和田委員 回復するとなっていますね。 ○大前委員 長期にわたった場合はどうかは、まだデータを知らないです。 ○山田委員 あれはコーンですか、コーンの細胞に影響を与えているのですか。 ○大前委員 どこだかそこまでは、メカニズムまではよくわかりません。 ○和田委員 等の中には、ほかに視力などといったのも全体に測って、そのようなのでな いということも見なさい、ということを言っているのだろうと思うのです。色覚だけパッ と検査すればいいものではないし、視力ははっきりわからないわけですから、判断の材料 としてということだと思うのです。 ○土屋委員 スクリーニングで、先ほど先生が言われたように、信号は見えにくくないで すかと聞いたほうが早いような。 ○大前委員 それは相当高濃度という話は聞いています。 ○山田委員 スチレンはかなりいろいろな所で使っています。 ○大前委員 使っていますね。 ○櫻井座長 ばく露レベルに応じて、やはり医師判断。非侵襲的ですし、安いですよね。 ○大前委員 高くはないと思います。セットを1個買えばずっと使えます。 ○櫻井座長 しかし、異常の判断というのはちょっと難しいかもしれませんね。 ○大前委員 計算する方法があって、CCIで、絵を描いて、普通はこうだが、こんなふう になるとか、そんなパターンで出てくる検査です。 ○櫻井座長 これも採用する方向という感じの判断になっていると思いますが、それでよ ろしいですか。それでは7番目の聴力検査についてはいかがですか。これはブタノールで すか、1-ブタノール。 ○和田委員 どのような聴覚障害がくるのでしょうか。感音系は感音系だろうと思います が、高音ですか、低音ですか。それとも全体にくるのですか。 ○櫻井座長 これは文献上こうなっているのですよね。 ○大前委員 産業衛生学会辺りでも、どなたかが動物実験をやっていて何か報告していま した。動物実験での機能ではなくて、むしろ病理だったと思うのですが、ちょっとブタノ ールのことは。 ○山田委員 冷やせるのですか。 ○大前委員 はい。ブタノールの成分はよく存じませんが。 ○山田委員 聴覚検査は全部やれということですね。 ○和田委員 全部やるということです。 ○山田委員 オージオメーターをやって、骨導もやれということですね。 ○大前委員 脳神経とか、そのようなこともできますね。 ○山田委員 感音性ですかね。 ○和田委員 健康診断は簡単なものでは駄目ですよ、という感じですね。 ○山田委員 そういうことです。これは医師判断ですからね。 ○和田委員 そうです。医師の判断でやるのでしょうが。 ○山田委員 ブタノールは大学で抽出によく使っています。ものすごく使っています。 ○櫻井座長 そうですか。 ○山田委員 あれで何でも溶けるのです。抽出のときにブタノールはたくさん使っていま す。私も昔使っていたことがあります。 ○櫻井座長 文献上の情報を、やはり大事にするということであれば、判断項目。報告書 をまとめた段階でもそのようなことだったのです。 ○山田委員 難しいですね。有機溶剤によるのか、騒音性もありますし、あるいは年齢的 なものとどう違うのかとかがあります。 ○櫻井座長 判断が難しいと思います。 ○山田委員 そうですね。 ○櫻井座長 やや非特異的な部分が大きいと言えば大きいですね。どうしましょうか。 ○山田委員 それこそ、ある特定周波数だけをポッとやられればいいのですけれども。 ○大前委員 まだ、そんなに情報量は多くないと思うのです。 ○山田委員 やはり、今ここで入れておかないといけないことでしょうか。 ○大前委員 どうですかね。 ○櫻井座長 情報量はあまり多くないという感じではありますね。 ○大前委員 はい。 ○山田委員 私はあまり聞いたことがなかったので。 ○櫻井座長 これはもう少し検討してみる方向ですかね。 ○和田委員 事例が出ているかどうかですね。事例がなければ、少数の1つまでわざわざ 入れる必要はないような気もします。 ○土屋委員 19頁の書き方ですが、数値で証明されたようには書いていないですね。 ○和田委員 いずれにしても、あやふやなものをするというよりも、ただ、事例が起きて 大変になってきたら追加するというか、そのような感じでもいいかもしれないです。 ○櫻井座長 そうですね。起こることがあると報告されているので、といったような感じ で。 ○和田委員 そんなことで検査に入れることはないのではありませんか。 ○清水委員 2-ブタノールというのもあるのですから、それよりも担純に使用量が少なく て、そのような例が報告されてないだけなのかどうかですね。 ○山田委員 そうですね。2-ブタノールもありますね。普通ブタノールと言ったら、1-ブ タノールのことですか。 ○櫻井座長 そうでしょう。 ○山田委員 結構使っていることは使っています。最近は知りませんが、化学屋さんなど は抽出などにブタノール。 ○和田委員 抽出にはものすごく使います、実験などでも。 ○山田委員 そのような意味で、それによって本当に聴覚障害があるのだったら、もっと 事例が出ていてもいいのではないかという感じはします。 ○櫻井座長 これは次回までちょっと。 ○山田委員 1回文献を整理してもらって、出していただいたほうが、見せていただいた ほうがいいです。 ○櫻井座長 検討の余地が大きいということで次回回しにさせていただきます。有機溶剤 についてはご意見を伺うのは一応終わりましたので、次は。 ○和田委員 言い忘れたのですが、エチレングリコールで貧血がくるというのは、これは 一応溶血性貧血とされているのでしたね。 ○櫻井座長 たしか、そうだったと思います。 ○和田委員 そうなると、貧血がきたというときにはかなり進行した状態です。その前に ビリルビンが増えたり、網赤血球が増えたりして、代償して、ある程度くると貧血がくる わけです。そのような場合、貧血検査でいいかと。 ○櫻井座長 おっしゃることはよくわかります。そのような意味では、エチレングリコー ル系統の文献が物足りないと言えば物足りないですよね。 ○和田委員 溶血性貧血の検査も含めて行うという言葉を入れれば。 ○櫻井座長 本当はもっと鋭敏な手段がありますよね。 ○和田委員 もっと早期に発見したほうがいいということであれば、溶血性貧血の検査を もって対処することというぐらいにしておいて。 ○山田委員 そうですね。しかし、それも医師判断で、貧血と言ってもいろいろな貧血が あるので、それも考えろということを。 ○和田委員 そうですね。 ○櫻井座長 これは必須項目に貧血ということで。 ○石井専門官 現在のエチレングリコールの書き方については、必須項目では「血色素量 及び赤血球数の検査」となっており、具体的に指定してしまっております。 ○和田委員 かなり進行して、代償が効かなくなった状態で、溶血性貧血の場合は再生不 良性貧血などのようにどんどん悪くなって死んでしまうということはないし、除去すれば 元に戻ってしまうので本当はいいのです。 ○櫻井座長 それはそうですね。どうしますか。 ○和田委員 そういうことであれば、貧血検査ということで置いてもいいということです ね。 ○櫻井座長 あんなに細かく。 ○和田委員 細かくしなくても、貧血がきたときに対処しても十分間に合うということで す。 ○櫻井座長 先ほどは有機溶剤だけ説明していただいたのですね。まだ20分ほど時間をい ただけると思いますので。 ○山田委員 最後のこの間のニッケルの話のところですが、一次健診の3のところで、ニ ッケル化合物の主訴及び既往には「他覚症状及び自覚症状」となっています。5を見ると、 「自他覚症状」となっています。普通は自覚症状・他覚症状という書き方をすると思うの ですが、他覚症状を前に出したというのは何か特別な意図があるのですか。 ○石井専門官 これは現在また法令の審査を受けている段階でして、書き方が「他覚症状 または自覚症状の既往歴の有無の検査」として既存の項目があります。最後の自他覚症状 のところも、おそらく並びというか書き方を揃えろということで同じような書き方に直る ことが予想されております。取り急ぎ内容だけをお出しするという観点で出させていただ いております。 ○山田委員 後々見ていっても、他覚症状・自覚症状と書いてあるのと、自覚症状・他覚 症状と書いてあるのと順序がバラバラになっているので、これはわざわざこのようにした のかと思ったのです。後ろの砒素のほうも同じように「他覚症状または自覚症状」となっ ているのが気になっているのですが、いま検討中でしたら結構です。 ○櫻井座長 その辺りの問題点は事務方がわかっていると思います。次に検討していただ くのは鉛ですか。 ○石井専門官 そうです。鉛については資料40頁の「鉛及びその化合物」というところで す。本文24頁で検討していただいた項目ですが、鉛についての規則に関しては、現在の項 目に、右側の見直し案の2)に書いてあるように、「作業条件の簡易な調査」というものを 加えてはどうかという提案をいただいております。41頁の3の四アルキル鉛についても、 24頁に同様の検討をいただいております。こちらは現在規定されていないものがいくつか ありまして、右側の見直し案に書いてあるように、1)の「作業条件の簡易な調査」を追加 してはどうかということと、文言の整理として「既往歴の調査」を新たに見直し案に入れ ていること。また、新旧対照表には記載がないのですが、本文24頁の「業務の経歴の調査」 も「作業条件の調査」と併せて規定されていないので、本文の内容を踏まえると、見直し 案の作業条件の簡易な調査の前に、鉛と同じように「業務の経歴の調査」というものも加 えてはどうかと事務局としては考えております。これも含めて議論していただければと思 います。 ○櫻井座長 まず、鉛については「作業条件の簡易な調査」を入れるだけですので、これ はもう議論の余地なしということでよろしいですね。四アルキル鉛ですが、現行項目はか なり大ざっぱなものですし、独立した規則、対象者も少ないので他との整合性が取れてお りません。この際修正してはどうかと。修正項目として、鉛に合わせて「業務の経歴の調 査」、これは他もみんなそうです。2番目に「作業条件の簡易な調査」、3番目に「既往歴の 調査」、4番目にイライラ等の調査が入って、5番目が血圧、6番目が血色素、7番目が好塩 基点赤血球となるわけです。 ○山田委員 1が業務の経歴の調査で、2が作業条件の簡易の調査、3が既往歴の調査、4 が血圧。 ○櫻井座長 そうではなくて、4は左と1)と同じもの。 ○山田委員 既往歴、現症ですか。 ○櫻井座長 はい。 ○山田委員 それは既往歴の調査の各項でこちらに入っています。 ○櫻井座長 既往歴はこういったものがあったらどうかの既往歴で、4番目に現症、同じ ことがくる。 ○山田委員 自覚症状ですか。 ○櫻井座長 これは他との整合性、内容は全然変えない。作業条件の簡易な調査を入れる ということと、既往歴の調査を入れるということ、それと業務の3つを入れるということ です。いかがでしょうか。よろしいですか。 ○山田委員 四アルキル鉛がいままでは1項になっていたのですが、いま作業主任者の講 習などでは、四アルキル鉛を特化物の中で一緒にやろうという方向が出ています。これは まだこのままずっと四アルキル鉛則という形で独立してやっていく方向でしょうか。 ○石井専門官 ご指摘のように、確かに対象者の結果報告では全国で大体113人ぐらいと 非常に少ない項目ではあるので、大きい穴があるとしたら見直すということがあるかもし れませんが、大きな規則を変えるとなるといろいろなきっかけがないと難しいということ がありまして、規則そのものを近々見直すといった動きはないのが現状です。 ○和田委員 41頁の右側が見直しで、このようにしましょうということですか。 ○櫻井座長 そうです。 ○和田委員 いまの時代で、まだ全血比重とか好塩基点赤血球などが出てくるのですかね。 ○櫻井座長 ここは要するに検討していないのです。 ○和田委員 いま血液比重など測っていないでしょう。 ○櫻井座長 あえて検討しなかったのは明らかに問題のある、例えば作業条件の簡易な調 査は入れましょうと、それが基本なわけです。ついでに既往歴なども。 ○和田委員 作業条件の簡易な調査というのは、四アルキル鉛のときは何をやるのですか。 匂いでもかぐのですか。いま気中濃度は測っていないでしょう、測っているのですか。あ の中には入っていないでしょう。 ○櫻井座長 要するに皮膚吸収も多いことですし、現場での使用状況とか、常識的な範囲 内で調べようと思えば調べられると思います、あるいは測定する。 ○和田委員 製造しているといっても、ただ問題になるのは混ぜるときと運ぶときだけで しょう。全部輸入ですから、日本では製造していないはずですよね。 ○山田委員 これは今でも小型機や船舶などに使っているのですか。 ○和田委員 ある程度使っているのではありませんか。 ○櫻井座長 飛行機です。 ○和田委員 飛行機には使っているでしょうね。混ぜるときだけですよね、運搬してくる のと。 ○櫻井座長 それの中に入れる。 ○山田委員 基本的に見直し案というのは、要するに業務の経歴と作業条件のうち簡易調 査というのを加えたいと。 ○櫻井座長 そうです。 ○山田委員 あとは触らないと。 ○櫻井座長 そうです。 ○和田委員 触らないということですね。 ○山田委員 だけど、比重がという話が。 ○櫻井座長 そちらを全然触らないでそこだけ変えるというのは。 ○山田委員 見直したのですかと言われますね。 ○和田委員 どこでもやってないではないかと。 ○櫻井座長 見直したのかと言われるかもしれませんね。 ○山田委員 ええ。見逃したという感じですね。 ○和田委員 それはちょっとおかしい。検査機関がなかったころはこれでやらざるを得な かったから現場まで硫酸銅液を運んで行ってやっただけのことで。 ○山田委員 いまは全血比重というのはなかなか難しいですね。 ○櫻井座長 四アルキル鉛についてはこの際手を付けないほうがいいという方向ですか。 ○和田委員 でも、恥ずかしいよね。 ○山田委員 四アルキル鉛は一応、則なのですものね。 ○圓藤委員 見直すのだから鉛を見て揃えていくほうがいいので、少し次回に回して検討 しなければと。 ○石井専門官 これを含めて、また次回に検討していただいてもよろしいかと思います。 ○和田委員 血圧が上がるというデータがあるのですか。 ○櫻井座長 次回回しということで。 ○山田委員 大体見たことがないから、いまのところ見たことがないです。 ○和田委員 好塩基点赤血球数など、いまはどこだって測ってはいないですよ。 ○山田委員 それを健診でパッと投げる先生が多いから。 ○櫻井座長 まともにやるならば、もう1回内容をやり直さないと具合が悪いですね。 ○和田委員 やらないと。 ○山田委員 見直しということで、やればですね。 ○櫻井座長 1つの規則ですからきちんとやらないと。今回はペンディングにして次回以 降に回したいと思います。以上、今日これぐらいまでいくかなというところまでご意見を いただきました。この先は次回回しということにさせていただきたいと思います。ベンジ シンか何かの尿路系の腫瘍絡みは、今日できたらやろうかという話で頑張ってきたのです が、ちょっと時間ですね。終わりのほうがいいですね。あと10分を切りましたので、今日 の内容あるいはその他でまとめて何かご指摘の点がありましたら何でも結構です。 ○和田委員 43頁の塩素化ビフェニルにも全血比重は出てきますが、全血比重は徹底して 除去したほうがいいと思います。 ○櫻井座長 いま言われたのはPCBですか。 ○山田委員 そうです。 ○櫻井座長 特化則絡みですね。 ○山田委員 そうです。二次健診で全血比重、赤血球数などの云々と。 ○和田委員 昔の規則でそのまま入っている、全くナンセンスです。 ○大前委員 だいぶ前に似た議論をしませんでしたか。何かそのような記憶があります。 ○和田委員 たくさんどこでも入っているから全部一緒にやりましょうといった話になる。 ○櫻井座長 それを課題にしますか。やはり、何を検討したのかと言われるより。それで は次回以降の検討にいたしましょう。 ○和田委員 見識を疑われてしまう。 ○土屋委員 本筋とは関係ないのですが、このような健診のデータの保管というのは、い ま電子化の方向ですか。 ○石井専門官 非常にいいご質問だと思います。労働安全衛生法上の健診のデータについ ては、事業所に保管というのは義務付けておりますが、大規模な所も小規模な所もありま すので、一律に電子化をお願いするのはなかなか難しい状況にあります。いまのところは 電子化は義務付けられてはいないというのが現状です。 ○山田委員 もう1つ、有機則について分布というのを報告させています。分布というの は単にばく露が多い、それで判断するものではないと言われていますから、分布をどのよ うに活用したらいいのかということも、やはりそろそろ方向性を持っていただきたい。そ れぞれの所ではやっているが、分布は1だ、2だ、3だというだけではなくて、このような ときにはこうした方向性にしなさいといった分布についての。 ○和田委員 基本的にはこれは個人的に判断すべきものであって、集団としては作業環境 の良し悪しで、それがたくさん悪いなら作業環境を見直しなさいと。そのように使用とい うことで、普通はそれは健診の中に入らないのです。 ○山田委員 一応そうなのですが、生物学モニタリングの中でいまのお話があったときに、 そうなったらどうなのだといった話を。やはり分布が高いと、要管理者にする、しないと いう話があって、あと環境を見てという話がありました。 ○和田委員 鉛の場合は割合と、アミノレブリン酸が増えるのに大体どのぐらいかかると いうことはわかっているから、個人の管理の対象にはなり得るのですが、有機の場合は。 ○圓藤委員 事後措置的なことについて作業環境を見るようにとか、有機の場合は通達が 出ていたのではなかったでしょうか。 ○山田委員 しかし、報告させておいて、どんな状態かということは全然下ろしてくれて いないのではありませんか。 ○和田委員 いちばん初めのときは、日本ではどんな状況かを把握するために調べるのだ という厚生労働省の考え方で出したのです。 ○櫻井座長 それは明確な判断の基準を決めかねて、あえてそこまで踏み込まなかったの です。ですから分布だけ示したのです。いまだったらもっと踏み込んでいると思います。 ○和田委員 10何年も経って。 ○櫻井座長 生物学的に。 ○山田委員 みんなやっていることはやっているのですが、あれとしてはどうなのですか という話が、もうある意味あってもいいと思います。 ○和田委員 個人のリスクに結び付けるというのは、まだちょっとできないと思うのです。 いずれにしても、作業環境対策、作業対策。 ○山田委員 しかし、個人的にはある特定の人だけというのは結構ありますから、そのよ うな人たちはその人たちの作業現場へフィードバックするわけですから。それは大体小さ い所が悪いのだから、そのような所に対しても一応挙げておいて、こうなのですよという ことの報告はあっていいのではないかとずっと思っております。 ○櫻井座長 それはガイドラインのときに当然十分検討して丁寧に示すべきですが、通達 で報告を求めている部分はどうするかというのも課題ではあります。ばく露限界値、生物 学的許容値とか、そういった判断基準に比べてどうなのかというので報告を求めるほうが いいわけですよね。 ○山田委員 そのようなのを含めて、いまの見解はどうなのですかということをちょっと。 ○櫻井座長 それは今後の課題ですね。それではこれぐらいで、次回の予定をお願いいた します。 ○石井専門官 いま日程を伺った結果、次回、第3回は8月27日(水)の15〜17時で調 整させていただきたいと思います。会場等が決まり次第、ご案内を差し上げたいと思いま す。また、第4回の候補として9月下旬から10月の頭で調整いたしましたが、全委員の方々 のご都合が合う日が残念ながらありませんので、一応候補日として、お一人だけご都合が つかないのですが、10月1日(水)の15〜17時もしくは10月3日(金)の午前中といた しました。 ○櫻井座長 予備日は。 ○石井専門官 予備日として10月下旬を調整し、10月30日(木)といたしました。この 日の午後は皆様のご都合がよろしいとのことですので、13時からというと少し早いので、 14〜16時ぐらいでセットしたいと思いますので、予備日として空けておいていただければ 幸いです。会場等は固まり次第ご案内を差し上げますので、よろしくお願いいたします。 次回以降、本日の検討の中で残った課題、特化則についての検討をいただくことを考えて おります。また、健診項目の見直しが一段落つきましたら、それを踏まえた健康管理手帳 の検討もお願いしたいと考えておりますので、引き続きお手数をおかけしますが、どうぞ よろしくお願いいたします。 ○櫻井座長 今日は以上といたします。 ○石井専門官 お忙しいところ、どうもありがとうございました。 照会先:労働基準局安全衛生部労働衛生課 電話03-5253-1111(内線5495)