08/7/9 第47回中央医療社会保険協議会薬価専門部会議事録 1 日   時  平成20年7月9日(水)10:13〜11:25 2 場   所   東海大学校友会館 阿蘇/朝日の間  3 出 席 者  前田雅英部会長 遠藤久夫委員 牛丸聡委員 庄司洋子委員          対馬忠明委員 小島茂委員 北村光一委員 松浦稔明委員          藤原淳委員 中川俊男委員 渡辺三雄委員 山本信夫委員           長野明専門委員 禰宜寛治専門委員 渡邊自修専門委員          <事務局>          木倉審議官 原医療課長 宇都宮医療課企画官           磯部薬剤管理官 他                 4 議   題   ○部会長の選挙について          ○平成20年度薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされ た事項について ○事務局(磯部薬剤管理官)  それでは、時間になりましたので、薬価部会を始めたいと思いますけれども、それで、 私のほうから始めさせていただきます。  去る4月23日の中医協総会におきまして、薬価専門部会に所属する公益委員が変更さ れたため、部会長が選出されるまで薬剤管理官である私がかわって司会進行を行うことで よろしいでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  それでは、ただいまより第47回中央社会保険医療協議会薬価専門部会を開催いたしま す。  薬価専門部会に所属する委員については、4月23日の中医協総会において、遠藤会長 より指名されておりますが、委員の変更がありましたので御報告いたします。お手元の委 員名簿をごらんください。  向田孝義専門委員におかれましては、6月25日付で中医協の専門委員を退任し、その 後任として同日の総会におきまして、禰宜寛治専門委員が指名されております。  それではまず、禰宜専門委員より一言ごあいさつをお願いしたいと思います。 ○禰宜専門委員  6月25日に専門委員を拝命いたしました禰宜と申します。どうぞよろしくお願いいた します。これから薬価専門部会におきまして、国民の視点で誠実、公正をモットーといた しまして、これからの薬価制度議論に参画させていただきたいと思います。どうぞよろし くお願い申し上げます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  次に、委員の出欠状況について御報告いたします。  本日は全員が御出席でございます。  なお、保険局長は公務のため欠席される旨の連絡を受けております。  それでは、議事に入らせていただきます。  本日はまず、部会長の選挙を行います。  社会保険医療協議会令第1条第4項の規定によりまして、部会に部会長を置き、当該部 会に属する公益を代表する委員のうちから当該部会に属する委員が選挙することとされて います。部会長につきましては、総会の例によれば、1号側及び2号側の御意見を伺った 上で御賛同があれば決めていくということになっております。薬価専門部会の部会長につ いても、このような方法をとりたいと考えますが、いかがでございましょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  どうもありがとうございました。そのように進めさせていただきます。  まず、2号側の委員から御推薦をいただきたいと思いますが、いかがでございましょう か。  山本委員、お願いします。 ○山本委員  これまでの御経験あるいは御経歴を含めて、前田委員が適任ではないかと思っておりま すので、御推薦を申し上げます。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございます。  続きまして、1号側の委員、いかがでございましょうか。 ○対馬委員  今、山本委員が言われたことに全く異論ございません。ぜひ前田委員に部会長をお願い できればというふうに思います。どうぞよろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございました。  それでは、2号側、1号側とも前田委員を御推薦いただきましたが、前田委員に部会長 をお願いするということでよろしいでしょうか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○事務局(磯部薬剤管理官)  ありがとうございます。  それでは、前田委員に部会長をお願いしたいと思います。  前田部会長より一言ごあいさつをお願いいたします。 ○前田部会長  ただいま御推挙いただきました前田でございます。私のようなもので務まるかどうか私 自身が一番不安といいますか、心もとないのでございますけれども、公正・公平を旨とし て、議論をできる限り透明化するという方向で努力してまいりたいと思いますので、何と ぞ御協力のほどお願いいたしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  どうもありがとうございました。  それでは、今後の議事につきましては、前田部会長にお願い申し上げたいと思います。 よろしくお願いいたします。 ○前田部会長  それでは、よろしくお願いいたします。  早速ですけれども、平成20年度の薬価制度改革において引き続き検討を行うこととさ れた事項について議題といたしてまいりたいと思います。  昨年の12月14日に当部会で取りまとめて、それから中医協の総会で了承されました 「平成20年度薬価制度改革の骨子」においては、幾つかの事項について平成20年度薬 価制度改革以降、引き続き検討を行うということとされてきたところでございます。本日 は、これらの事項のうち、特に特許期間中の新薬の薬価改定方法等に関連して事務局及び 専門委員より資料が提出されておりますので、まず、事務局から現行の薬価基準制度の概 要を含めて御説明をいただければと思います。よろしくお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  それでは、薬剤管理官でございます私のほうからまず中医協、薬−1、現行の薬価基準 制度についてでございます。これにつきましては、詳細は省きますけれども、現行の薬価 基準制度を全体スライドにまとめたものでございまして、特に新薬関係等いろいろ直して ございますけれども、修正箇所につきまして下線、赤字で入れさせていただいております ので、ざっとごらんいただければと思います。  例えば5ページをごらんいただきますと、新薬の薬価算定方式の加算率を引き上げる、 それから、9ページですと、原価計算の部分で営業利益率のめり張りをつける等幾つか変 えさせていただいてございまして、それの主なものをこの資料におつけをさせていただい ております。  それから、続きまして、薬−2でございますが、薬−2の資料、平成20年度における 薬価制度改革において引き続き検討を行うこととされた事項ということで幾つかございま す。この項目、大きく4項目と、それから次回の改定時に実施するということの決定をさ れた事項もございますが、資料で見ていただきますと、資料の3ページでございます。1 つが再算定のところでございます。前回のときも市場拡大再算定につきましては、いろい ろな御意見がありまして、その市場拡大再算定の在り方について、特に市場実態の著しい 変化をどういうふうに考えるのか等々につきまして、引き続き検討いたしまして、次の薬 価制度改革までに結論を得るよう検討を行うということが決められております。  それから、続きまして4ページの後発品のある先発品の薬価改定ということで、後発品 のある先発品の薬価改定については、後発品使用の普及状況を見つつ、引き続き検討する ということにされております。  それから、5ページでございますけれども、小児適用、希少疾病の効能追加、用法・用 量の追加につきましては、市販後にそのデータが公表された場合については、その市場実 勢価格に基づく算定値に加算するということで、これについては検討が終わっておりまし て、次の薬価改定時に実施とされております。ということでございます。  それから、その下でございます。その他でございますけれども、本日、資料を準備して 専門委員のほうから御説明いただいて議論を進めることでございますけれども、いわゆる 競合品のない新薬でも薬価が下落する状況にかんがみまして、特許期間中の新薬の薬価改 定方式、新薬や特許期間終了後の薬価の在り方も含めて、平成20年度薬価制度改革以降、 引き続き総合的な検討を行うこととするということで、内容はいろいろ多岐にわたってお ります項目を入れております。  それからあと、薬価改定の頻度につきましても、流通改善の状況について適宜報告を受 けて、引き続き検討をすると。それから、後発品の薬価基準収載頻度についても、引き続 き検討するということでございます。  以上のことが引き続き検討を行うこととされた事項でございます。  それから、薬−3でございますけれども、関連するいろんなデータでリニューアルされ た部分がございますので、お届けさせていただいております。  2ページが薬価改定の経緯で、今回の改定の部分を追加させていただいております。  それから、3ページでございますけれども、薬剤比率について平成17年度の国民医療 費ベースの薬剤費、薬剤費比率、7.31兆円、それから22.1%という数字が入りま したので、それについても追加させていただいたものをお届けさせていただいております。  それから、4ページでございますけれども、薬価基準収載品目の分類別の品目数及び市 場シェアということで、これまで平成17年9月薬価調査分でのものについてお示しして おりましたけれども、前回の19年9月、薬価調査分で計算した場合の数字をお届けさせ ていただいております。後発医薬品につきましては、数量シェアで18.7%ということ でございます。  それから、続きまして5ページでございますけれども、これについても前回、薬価専門 部会で議論をした内容の関係のリニューアルでございますけれども、いわゆる原価計算方 式で算定されたもの、いわゆる競合品がないような新薬でも改定でどのくらい下がってい るのかということを示したものでございまして、ざっとごらんいただきますと、大体毎回 2から3%程度引き下げられているというものでございます。そういった資料でございま す。  私のほうからの説明は以上でございます。 ○前田部会長  どうもありがとうございました。  薬価基準制度の一般的な御説明、それから新しいデータも含めて、それから4つの論点 についての御説明ということなんですが、何か御質問はございますでしょうか。時間の関 係で非常に手短にまとめていただきましたので、何かございましたら。  特にはもう御質問がないとしますと、次のテーマといいますか、今回お願いしたい特許 期間中の新薬の薬価改定方式に関する議論に移ってまいりたいと思いますが、よろしいで しょうか。  それでは、今申し上げました特許期間中の新薬の薬価改定について、日本製薬団体連合 から提案がございます。これについて専門委員から資料が提出されておりますので、専門 委員のほうから御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。 ○禰宜専門委員  それでは、お手元に日薬連から提案されている薬価制度改革案についてと、そして別添 資料がございますので、横に並べていただきながら、これをベースにして説明をさせてい ただきます。  昨年8月及び12月の薬価専門部会におきまして、日薬連代表の意見陳述が行われ、そ の際に製薬業界の考える薬価制度について、その基本的な考え方と骨子が紹介されました。 本日、専門委員の立場からその具体的な仕組みと詳細、保険制度の理念との整合性及び財 政上の影響につきまして検証いたしましたので、意見を申し上げます。  それでは、本編の1ページをごらんいただきたいと思います。  保険医療を見た際に、医薬品に係る課題といたしましてはいろいろございますが、中で もここに示しております2つについて、医薬品産業としての対応が強く求められているも のと考えております。  その1つが未充足の医療ニーズ、すなわちアンメット・メディカル・ニーズに対応して いく必要があるという課題でございます。  医療満足度の低い数多くの疾患に対しまして、医薬品はまだ十分にこたえることができ ておりません。一方、研究開発におきましては、長期間にわたります多くの研究開発投資 が必要でもございます。  また、2つ目のドラッグ・ラグを解消するという課題につきましては、我が国におきま しては、他の国で使用可能な医薬品が使用できないというような課題がございます。また、 関係方面から要望の強い未承認薬、未承認適応等につきまして、早急な対応が求められて います。また、一方では日本オリジンのものであっても、海外先行で開発が行われている という状況でもございます。  それでは、別添資料にて関連データを御説明させていただきますので、別添資料の1ペ ージをごらんいただきたいと思います。  この表は主要な60疾病についての治療満足度と治療に対する貢献度を示しております。  横軸に治療の満足度、縦軸に治療に対する薬剤の貢献度を示しております。治療の満足 度と治療に対します薬剤の貢献度には高い相関性があることが伺える図となっております。 左下の部分は、治療の満足度が低く、薬剤の貢献も低い疾病領域ということでございます。 この分野での革新的な治療薬の開発が強く求められていると考えられます。この分野では、 現在、多方面の科学技術が進歩いたしまして、今後期待される分野でございますが、同時 に多額の研究開発費を必要とするところでもございます。  それでは、別添資料の2ページをごらんいただきたいと思います。  この図は、研究開発投資と上市される医薬品の数が高い相関性にあることを示唆してお るわけでございます。残念ながら日本企業は投資額をまだまだふやしていく必要があると 考えております。  それでは、別添資料の3ページをごらんいただきたいと思います。  この図は、世界初上市から各国上市までの平均期間を示しております。改善されつつあ るわけでございますが、既に諸外国では使用可能な薬剤が日本で使用できないという課題 がございます。  それでは、別添資料の4ページをごらんいただきたいと思います。  世界の売り上げ150位の中に日本で創製されました薬剤が表のように20品目ござい ます。そのうち9品目につきましては、日本で最初に上市されましたが、それ以外は海外 先行となっております。これは企業側の姿勢と感じられるかもしれませんが、制度など外 部要因に起因する部分が大きいと思われます。  恐れ入りますが、本編1ページの下段のほうをごらんいただきたいと思います。  先般策定されました革新的医薬品・医療機器創出のための5カ年戦略では、これら課題 を解決すべくいろいろな施策が立案され、既にもう実行に移されております。薬価制度に 関しましても、革新的新薬の評価と後発品の使用促進が明記されております。既に一部実 施されておりますが、いまだ改善されるべき部分があると考えております。  それでは、本編2ページをごらんいただきたいと思います。  次に、日本の医薬品市場並びに国内医薬品産業の現状について御説明をさせていただき ます。  それでは、別添資料の5ページをごらんいただきたいと思います。  これの左側の図は世界各国の市場推移をあらわしております。1996年から2006 年の伸びを見た場合、世界平均で年8%成長している中で、日本は年平均2%程度しか成 長しておりません。この結果から、右の図のように世界市場におけます日本のシェアは、 かつて2割弱あったものが1割を切っている状況でございます。企業の行動といたしまし ては、より成長している市場にみずからの製品を投入していこうということにもなるわけ でございます。  引き続きまして、別添資料6ページをごらんいただきたいと思います。  次に、個別の価格でございます。  2003年度の価格を100としたときのその後の価格推移をここで示しております。 例示いたしました4品目につきましては、類似薬がなく、日、英、米、独、仏すべてで上 市されているなど注釈に示しておりますような比較要件を満たしていわゆるものでござい ます。他の国では、価格は維持あるいは上昇しておるわけでございますが、赤い実践の日 本だけは特許期間中にも下落しているということがお分かりいただけると思います。  引き続きまして、別添資料7ページをごらんいただきたいと思います。  資料6につきましては、指数で比較いたしましたのがその絶対額におきましても、ごら んのようにほとんどの領域で海外平均値を下回っている状況でございます。  引き続きまして、別添資料の8ページをごらんいただきたいと思います。  ここで日米欧薬価制度の上市時及び上市後の価格設定、改定を一覧にさせていただきま した。ごらんのように、米国におきましては、上市時、上市後ともに自由価格でございま す。欧州各国におきましては、イギリス、ドイツでは上市時、上市後とも一定の制限下で の自由価格でございます。フランスでは、上市時は公定価格でございますが、年度の販売 予定額を超えた場合には引き下げが行われております。また、いずれの国におきましても、 公定マージンの見直しに伴います償還価格の変更は行われております。いずれにいたしま しても、市場価格は恒常的に下がり、それに基づいて定期的に薬価を引き下げる国は日本 だけでございます。  それでは、別添資料の9ページをごらんいただきたいと思います。  国内医薬品産業の現状の一面を示しております。  国内上位10社の国内外におけます新薬の開発状況でございます。国内製薬企業は、会 外での開発を先行させる傾向にございます。  それでは、引き続きまして別添資料の10ページをごらんいただきたいと思います。  大手外資系企業は、日本に合った研究拠点等を閉鎖しまして、他のアジア諸国に研究拠 点を新設するという動きが目立っております。これらは日本におけますドラッグ・ラグの 助長あるいは日本としての研究開発力の低下にもつながることが予測されます。これらの 動きにはいろいろな要因があるというふうに考えますけれども、市場の魅力度が相対的に 低下していることも起因していると思われます。  それでは、本編の3ページに戻っていただきたいと思います。  以上の医薬品から見ました課題解決のために薬価制度には収載時と特許期間を通じた革 新性のより適切な評価、研究開発投資の早期回収のための仕組みが求められております。 現行制度は我が国の皆保険制度の根幹である現物給付、出来高払い方式にフィットしてい るという視点では完成度が高いという評価もございますが、未充足の医療ニーズへの対応 と、ドラッグ・ラグの解消という視点からは収載時薬価の算定におきまして改善の余地が 残されている、また、特許期間中の循環的低下を改善し、投資回収を早めるという点で課 題として指摘せざるを得ないと考えております。  それでは、本編4ページをごらんいただきたいと思います。  昨年12月の中医協におきまして、日薬連から提案された内容でございます。  改善のポイントといたしましては、先ほど述べました収載時価格、特許期間中の循環的 低下の是正、また執行後につきましては、単価を引き下げることとシェアを後発品に譲っ ていくことで市場全体のバランスをとるというものでございました。  それでは、これをベースにしまして次の本編の5ページをごらんいただきたいと思いま す。  4ページにお示ししましたそれぞれの項目を上段に再掲いたしまして、その仕組みにつ きましてこれから御説明をさせていただきます。  まず、新薬の評価につきましては、平成18年、さらに平成20年度の制度改正におき まして改善されていると考えております。専門委員といたしましては、この状況を十分踏 まえて、基本的には現行ルールにのっとることが妥当だと考えております。ただし、現在 の研究開発の状況を考慮すれば、特に今後上市がふえてくると考えられます抗体医薬品、 核酸医薬品等より革新的な新薬に対しまして、現行の仕組みでは十分にその革新性を評価 できないことも考えられます。したがいまして、ここに3点改善項目をお示しいたします。  まず、1点目でございますが、現行の算定ルールでは適正な価格評価が困難と判断され る新薬につきましては、メーカーが妥当と考える設定根拠による算定を可能とする点でご ざいます。  2点目といたしましては、革新性の評価につきましては、それぞれの新薬に見合ったフ レキシブルな加算率の設定を可能とすることなどにより、新薬の革新性をより適切に評価 できる仕組みとすることでございます。  3点目といたしましては、すぐれた新薬が少しでも早く日本で上市され、我が国の患者、 国民の役に立てるよう諸外国よりも早く、あるいは一定期間内に日本に上市された場合に は加算される仕組みを導入してはどうかと考えております。  それでは、本編6ページをごらんいただきたいと思います。  特許期間中の改定について御説明をさせていただきます。  現行制度下では償還価格は事実上、取引価格の上限として機能しており、平均納入価格 がこれを上回ることはございません。現在は調整幅といたしまして2%が設定されており、 この範囲内に納入価格があれば償還価格は維持されますが、実際には競合がほとんどない と考えられます希少疾病用医薬品や原価計算による算定品目を見ても、5%前後の乖離が 生じております。2%の調整幅による現行方式ではそれをカバーできず、結果といたしま して、薬価改定のつど薬価は下がっていくことになるわけでございます。  恐れ入りますが、別添資料の11ページをごらんいただきたいと思います。  先ほども事務局のほうから説明ございましたが、競合品のほとんどない希少疾病用医薬 品、原価計算方式の医薬品におきましても、2006年度の薬価改定より薬価差を推計い たしますと、それぞれ5から6%の薬価差が生じております。ごらんのとおりでございま す。  それでは、本編6ページに戻っていただきたいと思います。  このような状況に対応いたしまして、特許期間中の循環的低下を抑える仕組みについて は、例えば調整幅を拡大したり納入価格を実費で償還するいというような幾つかの方法が 考えられるわけでございますが、現行の法制度やインフラの中で実現可能であり、かつ現 行制度の根幹の理念でございます市場実勢価格主義を踏襲し、なおかつ薬価差を拡大させ ない仕組みといたしましては、一定要件を満たした新薬の薬価を維持する仕組みが適当で あると考えております。  次に、薬価維持特例の対象品目について御説明をいたします。  特許期間もしくは再審査期間中の医薬品を対象といたしまして、初の後発品上市をもっ て薬価維持期間終了といたします。また、一定以下の僅少な売り上げにとどまるような希 少疾病用医薬品及び国が定めます必須医薬品など保健医療上、不可欠とされる薬品を安定 供給確保のため、後発品の有無にかかわらず、薬価維持対象品目といたします。  それでは、本編7ページをごらんいただきたいと思います。  薬価維持の一定要件といたしましては、後発品の未上市の医薬品の薬価は維持されます が、著しい薬価差を生じているものにつきましては、薬価を維持させず改定を行うものと いたします。その基準につきましては、一定率を事前に明示することも考えられるわけで ございますが、事後に判明する数値をとることのほうがメーカー、卸サイドの緊張感を生 み、薬価差の縮小につながるものと考えております。その基準には薬価調査によりまして 判明いたしました収載全品目の加重平均乖離率を用いることが妥当だと考えております。  次に、導入のタイミングでございますけれども、2010年度は現行方式による改定を 行い、改定後の制度下で価格形成が行われた後、2012年度の薬価改定時に初回の薬価 維持特例を実施するというスケジュールでございます。  それでは、本編8ページをごらんいただきたいと思います。  後発品上市時の先発品の引き下げでございます。  薬価維持期間終了後の最初の薬価改定時の引き下げ率につきましては、維持されました 乖離率から2%の調整幅を減じた率の期間累積分を基本といたしまして、これからの後発 品使用促進の進捗状況あるいは後発品の価格水準等を考慮して、必要な引き下げ率を算出 するという考えでございます。それ以後につきましては、調整幅2%により通常の薬価改 定を行うということでございます。  次に、後発品の価格設定についてでございますが、現行制度の先発品の薬価の70%と いたしております。  次に、この新制度を入れることによりまして、市場への影響について御説明をさせてい ただきたいというふうに思います。  その前に、本編11ページ、12ページの別紙にてシミュレーションの主たる前提条件 を記載しておりますので、まず、簡単にその前提条件を御説明させていただきます。  それでは、本編11ページをごらんいただきたいと思います。  政府目標の後発品の使用促進前の状況で、現行制度を継続するケースでの将来予測をす るために、このような前提条件を置かせていただいております。まず、全般といたしまし ては、2万6,000強の個別銘柄規格ベースでの過去実績を用いまして、新薬長期収載 品、後発品の数量構成比及び薬価と市場実勢価の推移を予想いたしまして、厚労省の医療 費予測に基づいてマクロ補正をいたしております。  薬価につきましては、これまでのトレンドを参考にして薬価を予測いたしております。  販売数量、特に後発品の販売割合につきましては、2003年から2006年のトレン ドで今後も継続するというふうに過程を置いております。このようなことが後発品の使用 促進前の状況での将来予測の前提条件でございます。  それでは、12ページをごらんいただきたいと思います。  後発品が使用された状況下での新制度導入ケースでの市場予測の前提条件でございます。  特に薬価につきましては、2010年度以降に上市されました新薬の薬価は、一律5% 上昇するというふうに仮定を置かせていただいております。また、後発品上市を新薬の上 市後、15年目と仮定いたしまして、15年以内の全先発品を薬価維持対象といたしてお ります。薬価維持期間が終了した場合、期間中の薬価維持分が残りの市場存続期間と見合 うような先発品の薬価の引き下げを行っております。また、対象薬剤の乖離率が全薬剤対 象の加重平均乖離率を超えた場合につきましては、薬価維持されず、改定が行われるもの というふうに仮定を置かせていただいております。  また、実勢価格につきましても、2010年以降に上市された新薬については、薬価差 が20%程度縮小するように実勢価格が改善されるというふうな仮定を置いております。 販売数量につきましては、後発品の数量割合が2012年までに30%、それ以降も同じ ようなトレンドで、2017年まで増加するというふうな仮定を置かせていただいて、シ ミュレーションをさせていただいております。この前提条件でシミュレーションした結果 が本編9ページでございます。  本編9ページをごらんいただきたいと思います。  政府目標の後発医薬品使用促進が導入される前の状況で、市場は2010年に8.2兆 円、2020年には10.9兆円となることを前提に、制度改革によりまして市場全体に どのような影響があるかを試算いたしました。左の図をごらんいただきたいと思いますが、 実線が本編11ページの別紙の条件で、政府目標の後発品の使用促進前の状況で、現行制 度が継続したケースの市場予測でございます。  次に、破線部分が本編12ページの別紙の条件で、政府目標の後発品が使用促進された 状況下での新制度導入ケースでの市場予測でございます。その結果、2010年以降、1 0年間を見ていただきましても、現状の規模の中におさまっておることがおかかりいただ けるというふうに思います。  次に、各年度の増減の内訳を右図にて示しております。それでは、右の図をごらんいた だきたいと思います。  上のグリーンの部分が各年度の新薬の増加分でございます。例えば2020年度の場合 は、0.66兆円、すなわち6,600億が増加したということでございます。これは新 薬の上市と薬価維持によるものでございます。一方、青と白い部分をあわせたものがその 年度の長期収載品の減少分でございます。2020年のところを見ていただきますと、マ イナス1.48、すなわち1兆4,800億が減少したということになるわけでございま す。ただし、白い部分は後発品の増加分ですから、実質的な減少部分は青部分となります。 2020年度では後発品の増加分が0.86、すなわち8,600億、そして、青い部分、 0.62、6,200億がすなわち縮小したということになるわけでございます。その結 果、緑と青の差額は当該年度の正味増減額となるわけでございます。2020年度ではそ れが赤い字で0.04と書いてございますが、400億増加したということになるわけで ございます。これを2010年、2020年の11年間累計で見てみますと、新薬の増加 分が3.3兆円、後発品の使用促進によります減少が5兆円。これは長期収載品減少11 億円から後発品増6兆円を差し引いたものでございます。この期間トータルといたしまし ては、1.7兆円の縮小と推計されるわけでございます。新薬メーカーにとりましては、 11兆円が縮小し、3.3兆円が増加するという非常に厳しい状況が推測されるわけでご ざいます。  それでは、最後に10ページをごらんいただきたいと思います。  制度導入によりまして、冒頭にお示ししました課題が改善されるかどうかを示しており ます。  まず、アンメット・メディカル・ニーズへの対応につきましては、投資回収、再投資の 速度が上がり、ニーズの高い領域への注力が可能になることが予測されます。  また、長期収載品から新薬へ市場のウエートがシフトすることによりまして、研究開発 型メーカーは今まで以上に新薬創出に向けて努力していかなければならない状況になるわ けでございます。  ドラッグ・ラグの解消につきましても、日本市場におけます新薬の承認を得て保険適用 を受けることの魅力度が高まるということで、早期の開発着手と上市へ向けてのインセン ティブとなるということが考えられます。  これら課題の解決、解消につきましては、製薬企業が前向きに取り組むことが基本でご ざいますけれども、改革によりまして製薬企業が取り組む上で障害は取り払われていくと いうふうに予測されます。この改革が着実に患者、国民の皆様方の利益に結びつくために は特許期間中に得られた新薬の収益を資源といたしまして、積極的な研究開発を行い、革 新的新薬の創出にさらに努める、社会的要望のある製品の適応追加や国内での製品化への 着手を積極的に行う点につきまして、企業はさらに努力していく必要があることもあわせ て申し述べておきたいと思います。  最後にこの制度につきましては、これからの改革の薬価差の推移や後発品使用促進の進 展を踏まえながら、所要の場合については見直しの検討を行うことが必要であるというふ うに考えております。  以上で私のほうからの説明を終わらせていただきます。 ○前田部会長  どうもありがとうございました。  後発医薬品を定着させて広げていくということと、新薬の開発をどう両立させるかとい うのは非常に難しい問題だと思うのですが、今の御説明についてまず御質問ございました らお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。  藤原委員、お願いします。 ○藤原委員  ただいまの説明についてですが、本編の2ページ以下の最初の世界の医薬品市場が成長 する中で云々、こういった以下の一連の主張、提案について分からないわけではないんで すが、しかし、これは大まかに言いまして、新薬の長期薬価を担保するというふうな仕組 みを提唱されているものというふうに思います。これは企業が現在本当に困窮している状 態であれば分からないわけではないのですが、開発ということについては、企業の姿勢と、 そういうことが問題になってくるのではないかと思います。6月25日の日経新聞に一部 上場企業の実質無借金というようなことで、薬会社がトップ10に10、手元資金超過額 が例えばタケダ薬品でいいますと1兆6,000億円と、非常に潤沢な資金があるわけで あります。  今医療は御承知のように、非常に限られた財源の中でやっております。一方では医療崩 壊というような状況になってきております。しかし、同じ土俵の一部であるこうした企業 がとにかく今言いましたような非常に余裕がある状況の中で、この担保する仕組みを主張 されるのはいかがなものかというふうに感じざるを得ないわけなのですけれども、この提 案がリーズナブルなものかどうかということ。先ほどの9ページでしたか、この説明につ いてちょっとよく読んでみたのですが、少し分かりにくい部分があるわけでございまして、 もっと後発品とのかみ合わせの中で、これが正しいかどうかということをやはりここの場 でもう少し検証して、ただいまの提案を検証していく必要があるのではないかなと。  ちょっとこの後発品増の6兆円とかというのは本当にそうなるのか。そして差し引き1. 7兆円、これがリーズナブルかどうか、その辺についてももっともっと研究していく必要 があるのではないかなと私は感じました。 ○前田部会長  ありがとうございました。  今の点について専門委員のほうから何か御発言ございますでしょうか。  お願いいたします。 ○長野専門委員  専門委員の長野でございます。  今、藤原委員のほうから御指摘のあった点、まず最初の点でございますが、潤沢な資金 というところでお話がございました。いろいろな御説明をさせていただくことになるんで すが、時間の限りもありますのでポイントのみにさせていただきます。  御承知のように、御指摘のところは内資、私は今、第一三共に所属しておりますが、第 一三共も含めての御指摘だと思います。この10年来、今御指摘のような対象の企業とい うのはグローバルに実は事業展開をさせていただいております。その収益の過半を、収益 といいますのは利益の過半を欧米市場から得ておるのが今日の実態でございます。もちろ ん企業でございますから、50年、100年経営を営んでまいりまして、それ以前のこの 日本におきます医薬品販売によっての当然収益も蓄積としてございますが、今、先生の御 指摘の多くの額というのは、実は欧米市場から得たものが大半であるということをまずは 御理解いただきたいと思います。  それについて一つだけつけ加えさせていただきます。今回、先ほど禰宜委員のほうから 御提案あるいは御説明申し上げた内容の前提に後発品使用促進策というのが政府目標とし てございます。私ども新薬開発を施行しているメーカー、それも内資、外資問わず、日本 の患者さんにとにかくいち早くいい医薬品をお届けしたいと、新薬を上市したいというと きの企業行動でございますけれども、どうしても優先順位づけを国、地域別にせざるを得 ないところが経営上ございます。その場合にどうしても薬価制度の安定、それは新薬の薬 価制度を指しておりますが、それから、上市までの期間の短さ、長さ、こういったものが 大きく企業行動の判断の基準にもなります。もちろん患者さんが何人いらっしゃるかと、 そういう対象患者さんの数も当然判断基準にはなります。  そういう中で、とにかく日本の患者さんにきちんとお薬を早くお届けすると、それは内 資、外資問わず。そのために後発品の使用促進はぜひやっていただきたいと。特許が切れ たら後発品と。一方で新薬、特許期間中は何とか各社の経営判断が優先順位づけで上位に 来るように新薬の薬価制度につきましても、何かぜひ工夫をしていただけないかというの が基本的なお願い事項あるいは考え方でございます。  以上でございます。 ○前田部会長  先ほど藤原委員が御指摘になった6兆の額とかというのは、検証はこの場ではちょっと 難しいかもしれません。時間をかけて議論をしてまいりたいと思うんですが、今のことに 関連して。 ○藤原委員  言っておられるのは、かなりの部分分かりますけれども、やはり企業の姿勢ということ は初めにも申し上げましたけれども、その潤沢な資金があればもっとそこのところへつぎ 込まれるということも十分考えられるわけで、それを薬価でとりあえずこれを担保してく れないかというふうな主張にしか私には見えない部分が気になるのと、それから、今の後 発品の状況を見てみますと、後発品の大手4社、大体売り上げが300億か400億前後 なんですよね。平成19年の金額ベースでいっても、これはシェアとしては今17%、医 薬工業が発表しているのとちょっと違うんですけれども、シェア17%程度で、6%前後 の金額ベースなんですよね。もっとそれを今の国の目標としては、平成23年に30%に 持っていくと言っているのですけれども、それをふやすということによって、もっと下が るという余地が十分考えられるのですけれども、しかし、この何兆とかという数字に私か ら見たら、とてもなるようには思えないから、そこのところをもう少しきちんと示してほ しいと。だから、後発品も同時にどういう状況なのか見て我々はこのことについて判断し なきゃいけないということを申し上げているわけです。 ○前田部会長  今の点に関して、簡単にお願いします。 ○禰宜専門委員  シミュレーションにつきましては、現行制度が継続した場合の将来市場を予測いたしま して、その上で新制度を導入したときの将来予測がどのようなインパクトを与えるかとい うようなところで今回御提案させていただいておるということでございます。  今回のシミュレーションは、将来10年先に向かってということでございますので、流 通の問題とかどんな新薬が出るかとかいろいろな課題がございますので、先ほど少しお話 させていただきましたように、一定の条件を入れて、そしてシミュレーションしていると いうことで、その市場の規模を今回出させていただいておるわけではございませんので、 その点だけは御了承いただきたいと思います。 ○前田部会長  それでは、ほかの委員からの御質問。  対馬委員、お願いいたします。 ○対馬委員  2点ほどちょっと質問したいのですが、1つは届け出価格承認制ということで、これは 日薬連さんが去年提案されたものをそのままお書きになっておられるのかもしれませんけ れども、たしか三、四年前ぐらいでしょうか、そのときには申請価格協議方式と、申請し てそれを協議していただいて、それでもって最終的に決めていくということに対して、こ の言葉だけをとらえますと、届け出した価格をもう承認してくれということですから、よ り業界側の提案をそのまま政府なり中医協なりが承認していただきたいという姿勢がより 強く出ているのかなというふうにも思うのですが、その点が1つ。  それから、もう一点は今の藤原委員の質問と直接絡むのかもしれませんが、9ページの ところが私もよく、この本文の9ページですね。比較の仕方がよく分からないのですが、 現行の制度というのは、これは政府目標の後発品や使用促進導入前と書いていますよね。 ですから、恐らくこれ、政府としては3割まずはやろうねと、30%ということは入れて おりませんと。それに対して、自分たちが提案しているのは、それは当然織り込んでいま すという事であれば、当然ながらその差額については業界のほうにある意味有利といいま すか、少なく出てくるわけですけれども、私が考えます通常の場合ですと、政府が3割し て、また中医協としても一生懸命3割までやっていくのですけれども、それが今現在の現 行の制度、つまり8.2から10.9に行くのが現行ではなくて、8.2から少なくとも 後発医薬品の部分は3割削減したレベル、これに対して、新しい提案がどうなのかと、こ ういうことでないと、やはり合わないんじゃないかなと、こういうふうに思うのですけれ ども、この2つです。 ○前田部会長  では、2点、よろしいでしょうか。お願いします。 ○長野専門委員  最初の御質問のほうは私のほうからお答えいたします。  対馬委員から御指摘いただきました昨年12月の上段に掲げました提案、届け出価格承 認制と書いてある部分の御指摘でございますが、これは昨年12月5日に御提案を業界代 表がしたものをそのままポイントを再掲いたしまして、今回、業界で考えている案という のは、この届け出価格承認制ではなくて、現行の薬価制度のもとで、今の新薬評価という のはかなりもう改善されてきたという評価をさせていただいた上で、その中で1、2、3 という3項目さらに御検討いただけないかと、こういう提案でございます。ですから、今 の新薬の算定方式を前提とすると、こういうふうに今回変化をしているということで御説 明足らずに申しわけございません。 ○前田部会長  その点はよろしいですか。 ○対馬委員  ちょっと申請価格協議方式と申し上げました。これも要請したり、ないしは余り要請し なかったりで、今回また今のようなお話ですと、去年の12月段階で言ったけれども、今 現在違うということですが、というようにすぐに変わるということになると、なかなかい わゆる業界提案ということも一つですし、また、専門委員というお立場としてどうなんだ ろうということもあるわけですから、そのあたりは今のお話でよろしいんでしょうかね。 どうももしお話のとおりであると、つい12月にはそうだったけれども、変えましたと、 こういう話ですよね。そんなにすんなり変わるものかなと。 ○前田部会長  その点、一言だけ。 ○長野専門委員  昨年の12月に薬価専門部会あるいは中医協総会で決定いただいたこの20年度改革の 新薬の算定方式がかなり前進をしたという評価を業界の中でしているという前提でござい ます。  以上でございます。 ○前田部会長  では、もう一つは9ページのほうの現行でいくと10.9兆円にはならないのではない かという御指摘、それは禰宜委員のほうで。 ○禰宜専門委員  2年ぐらい前に5カ年戦略を出されましたときに、やはり革新的な医薬品の評価、一方 では後発品の使用促進というような形で提案されておるわけでございますけれども、我々 の考え方としては、パッケージでそのような考え方をとった場合、一応現行制度は動くと いう考え方の中で、03年、06年、それ以前の推移をもってそれを現行制度、それが動 いたらどういうふうに市場がなるかというふうに見ております。そういう中で、今回やは り革新的な評価と後発品が使用促進させるというような政府方針がございますので、そう いうものを考慮したときにどのような市場形成になるかというような形で比較をさせてい ただいたということでございます。 ○対馬委員  計算の仕方は分かりましたけれども、ちょっと納得はできないです。 ○前田部会長  このところも一番ある意味で革新的なところで、今後議論していかなければいけないと ころだと思うのですが、今日のところは、では山本委員お願いいたします。 ○山本委員  今、現行の薬価制度そのものが一定の改善をされたという御認識のようであります。私 どもそう思っておりますので、その中で今後どうするかという議論だと思いますし、今、 薬価制度そのものが下がり続けるという仕組みについてはここでも議論があり、私も薬を 扱うものとしては余り好ましいというか、よい方法ではないのかなと思っておりますが、 ただ、今御説明の中で、例えばイノベーションを進めるあるいは支援するためにとか後発 品の使用を一層進めていくんだと、あるいは過大過ぎる薬価差を解消するという大きな目 的がありますので、これは頻回改定というテーマも絡めながら議論がされている中で、新 しい御提案をされたという意味では、暮れのときの提案に比べて少し進んだような評価を しておるのですが、ただ、その一方で幾つかの資料を拝見しますと、今お二人の委員がお っしゃられたように、少し我々薬を扱うものとしては何となく理解ができるんですけれど も、幾分手前味噌的な説明になっているのではないかと、恐らく誤解を受けているのでは ないか。ですから、もうちょっとうまい説明をされるか、資料をつくられたほうがいいよ うな気がするんです。ただ30%になるんだという前提でお進めになっているわけですが、 では具体的にその価格を維持した場合に30%の後発品使用が可能かというと、いただい た参考資料の一番最後のページを見ますと、どちらの方向で進んでいっても、新薬メーカ ーさんはうまくいくけれどもというように見られがちな資料でありますし、ある一定の期 間、価格が維持されるためにその間先ほど藤原委員が御指摘があったように、利益が温存 されるのではないか。その分、一体どこに振り当てるんだというような議論も明確ではな いような気がしますので、この考え方自身は決して今までとは少し違った一歩進んだ考え だと思いますので、その部分をなお進めていただきたいと思いますけれども、そういう説 明をもうちょっと丁寧にしていただきたいのかなと。  その中で、上市が遅れることと薬価基準制度というのが果たして一緒なのかどうかとい うところの解決がどうもついていないような気がします。薬価がうまく決まれば上市が早 まるのかと。その前に承認制度そのものがあるわけですから、さらに言えば開発がどこで なされるかということも含めて、そうしたことの複雑な仕組みの中で進んでいくわけで、 薬価だけに帰属するものではないような気がしますので、そこの解決が要るだろうと。  もう一点、長くなりますけれども、薬価調査については価格を幾つかもしエグゼンプト ドラッグをつくって価格が著しく落ちた場合には下げるんだという御提案がありますけれ ども、現行の薬価調査と比べてみて、どれほど今の薬価調査が不信頼であるのかというこ とにもつながりますので、そうしたことをやはりお聞きになっている方々からすれば誤解 を招くのではないかという気がします。  もう一点、薬価差の問題が議論になりましたけれども、一体どの程度の薬価差が皆さん 方はよろしいと思っているのか。ここでは私は過大過ぎる薬価差はいけないというのは、 この一定の認識だと思うんですが、薬価差がすべていけないという議論ではなかったよう な気がしますので、そのあたりの整理が要るような気がしますし、もう一点、海外との比 較をして、日本だけがこういう薬価体系をとっているという御指摘がありましたけれども、 では一体製薬さんはどちらの方向に薬価制度の決め方を進めたいのか。少なくともアメリ カ以外は一定の公定価格があるという認識でおります。ただ、いる場所が違うわけですか ら、どのあたりに設定するのかによって方向性も決まるだろうと。単純にアメリカが担っ てしまうのか、それともそうでない国になるのか、あるいはやはり日本でいるのかと、そ のあたりもう少し丁寧に説明をしていただかないと、この中ではこの考え方が悪くないだ けに誤解を招いてしまうのではないかなというので、ぜひそのあたり、もう少し丁寧な御 説明ができないでしょうか。 ○前田部会長  全部についてお答えいただくということでなくて、基本的に特に最後の点といいますか、 専門委員のほうからお願いいたします。 ○長野専門委員  長野でございます。  私のほうからは全般を通じて、今御指摘のあったポイントとして理解をします先ほど藤 原先生からも御指摘のあるところでございますが、一方でもうかっているじゃないかと。 薬価制度をさらによくしてくれというのかと、こういう御指摘といいましょうか印象、こ れについて専門委員の立場でお答えを申し上げたいと思います。  いずれにしましても、海外で承認になっているものあるいは日本で使えないという状態 は、製薬企業自身の社会的責任、日本に業を営む社会的責任としてはいかがなものかとい うのは専門委員の立場として思っております。その前提のもとで、いかにその言葉は不適 切かもしれませんが、制度で後押しをしていただきたいというのが今回の新薬の改定方式 に関します変更の考え方をお示ししたと。それで後押しをしていただきたいと、こういう 基本的な考え方です。 ○前田部会長  山本委員、よろしいですか。 ○山本委員  それで、加えてお手元のいただきました本編の資料の日薬連さんの最初のページにあり ますように、ドラッグ・ラグであったり、アメリカは未承認もそうでありますが、あるい は適用外といったようなものについては、当然そうしたものについてさらに全体の医薬品 業界としての医療ニーズをどう考えるかという問題ですから、そうしたところについては さらに積極的に進めていくなり、あるいは取り組んでいただかないと、その価格、新薬だ けの問題ではないと思いますので、その両方の部分をお考えいただくことが大切だと思い ますので、そのあたりもぜひ御検討いただきたいと思います。 ○前田部会長  中川委員、お願いします。 ○中川委員  ちょっと対極的なことといいますか、お聞きしたいのですが、今の議論でもやっぱり企 業が収益を上げて株主に配当して評価される医薬品メーカーと、この公定価格で中医協で 限られた財源で議論していると、かみ合わないというのは、これはもうしようがないこと だとは思うのですが、日本の新薬メーカーが生き残れないという自体は、これは日本人の 医療にとっては大変な大問題になるだろうということは理解できます。  そこで、2020年のシミュレーションをされていますが、現在の新薬メーカーが何社 あって、2020年ころには何社になるのかということも重大な問題だと思うんですよ。 別添資料に上位10社の国内外における開発状況というのがありますけれども、一体どう いうことをお考えになっているのかということをまずお聞きしたいのが1つ。  それから、武田薬品の名前が先ほど出ましたが、いわゆるグローバル企業としての収益 を欧米で大半は上げているんだと。ある見方としては欧米で上げているならそれでいいじ ゃないかと。日本のいい意味で独特の医療制度の中で、日本の薬品メーカーが新薬メーカ ーで生き残る方策としては、それも一つの在り方じゃないかという意見もあります。その 辺のところはどう思いますか。これだけ医療費が大変だという状況の中で、外国で収益を 上げて日本の新薬メーカーが生き残っている。新薬開発もして日本国民の医療に寄与する という姿勢というか、そういうことを皆様はどういうふうにお考えなのか。 ○長野専門委員  私のほうからまずお答えを申し上げます。  最初の2020年をどう考えているのかと。残念ながらそのシミュレーションは今現在 持ち合わせておりません。申しわけございません。 ○禰宜専門委員  禰宜でございます。  先ほど2020年度につきましては、中川委員の先ほどお話がございましたように、内 資大手10社と外資15社、それの08年度から13年度までいろいろパイプライン、各 社が報告されておりますパイプライン、そしてその成功確率と、そして売り上げがどれぐ らいになるかというような資料に基づきまして、13年度までは一応こういう薬剤がある というような形で考えております。それ以降、14年以降につきましては、同じようなパ ターンで新薬が上市されるだろうというようなことで、2020年度まで引き伸ばしてい るということでございます。  先ほど言われましたどのような企業が残るかということでございますけれども、やはり このように大きく今変化している時代でございまして、産業ビジョンの中でも言われてお りますように、グローバルな企業あるいはスペシャリストの企業とかいろいろな企業がや はりその特性を生かして、そちらに向かうんじゃないかなというふうにこの何年かは特に 変化の激しい時代でございますので、そのように考えております。  何社が残るかというような予測はいたしておりませんので、新薬の薬剤につきましては、 先ほど申しましたようなシミュレーションで出しているだけでございます。 ○前田部会長  専門委員のほうにもう一点ですね、欧米でもうけてという部分に関しては。 ○長野専門委員  今の御指摘については大変答えとしてはつらいものがございます。欧米でかせいで日本 でそれを使ったらどうかというふうに受けとめておるのですが、なかなかそれはまさに民 間企業、上場企業としては、やはり業を営んでいる各国でいわゆる投資回収というのが企 業行動としてございますので、それぞれの国別にやはり収益というものを考えざるを得ま せんので、という基本的な考え方でございます。 ○中川委員  考え方は分かりました。ただ、どうも実は収益は欧米で上げているんだということの実 態がなかなか見えないんですよね。実はそうでもないんだという意見もありますので、そ の辺のことも機会があったら明らかにしていただきたいなと思っております。 ○前田部会長  先に手を挙げられた山本委員、それから小島委員の順で。 ○山本委員  すみません、収益の話が出ておりましたので、先ほど申しました私ども薬を扱うもので すから、かつては薬はものという扱いだったので、したがって、そこはあるときは利益を 生むものであったりしていたわけですけれども、今はそうではなしにすべてではありませ んが、かなり表舞台に出てきて医薬品を使うことが医療のある部分で大きなウエートを占 めていますので、むしろ企業の立場からしたら、確かに利益を生むという仕事ではあるの でしょうけれども、むしろ反対に医療技術をそれぞれの国で使い、よりよい技術を早く導 入するかというところで御議論いただかないと、ただ単に薬なんだからということでもう かった、もうからないという議論に落ち込んでしまうと、せっかくのこうした場での議論 あるいは医療をどう進めるかということがちょっと混乱をしますので、ぜひおっしゃるこ とはよく中川先生のお話も双方分かるのですけれども、そこは単に利益ということじゃな くて、より利益を受けるのは国民のはずですから、その国民がきちんとより正しいあるい は適切な材料あるいは手段を受けられるようなサポートをしろとか、あるいは仕組みをつ くってくれというふうにならないと、多分医療側からすればどういうことになるかという 指摘を受けるのではないかと思いますので、そのあたりはぜひよろしくお願いします。 ○長野専門委員  先ほど中川先生の御発言の中にもいわゆる公的制度と民間の企業をつなぐいろんな難し さという御指摘もありましたし、山本先生からもございました。私ども先ほども発言いた しましたけれども、製薬企業の社会的な責任、日本の企業であれば日本発の企業でござい ますから、この国における社会保険制度、医療保険制度に対する責任というのを十分に感 じて、それを実行してまいるというのが基本姿勢でございます。その中で、このような制 度の御議論をぜひしていただきという姿勢に変わりはございません。 ○小島委員  では1つだけ。説明いただいた資料の6ページ、7ページのところで、特許中について は価格を維持するという考え方、そういう新しい考え方ということで、しかし、基本は市 場実勢価格を基本とすると、現行ルールを基本とするというふうに6ページには書いてあ りまして、7ページのほうにそのための一定の価格を維持した場合でも薬価差が大きい場 合については価格の改定も行うべきだというふうになっておりますけれども、過大な薬価 差というのはどのくらいのところを考えているのか。先ほど山本委員も最初からそういう 質問があったと思いますけれども、現行事務局のほうから冒頭説明があった中には、薬価 差が17年度で8%、19年度で乖離が6.9%あるということですけれども、この程度 は過大ではないと、妥当なところだというふうに見られるのか、もう少しそこは二けたの 実勢価格との差があった場合には、そこは調整すべきだと、この辺はどの辺のイメージで 考えておられるのか。  それと、現行の調整幅2%とありますけれども、これとの関係はどう整理されるか。一 定価格維持ということになれば、調整幅という考え方それ自体必要ないんだろうと思いま すけれども、その辺についてどうお考えですか。 ○前田部会長  では、価格差の点について、どちらの専門委員。  では、禰宜委員お願いします。 ○禰宜専門委員  価格差につきまして、判定基準値といたしましては、市場全体の自然な趨勢をあらわす 指標がよいんじゃないかなというふうに考えておりまして、一応全品目の加重平均値ぐら いがそれに該当するんじゃないかなというふうに思っておりますので、それよりも薬価差 があるものについては改定をしたらどうかというような考え方をとっております。 ○前田部会長  では、今のことに関連して。  では、お願いします。 ○渡邊(自)専門委員  今、小島委員がおっしゃいました中の調整幅に関連してのところでございます。もうよ く御存じのように、安定流通のための調整幅という位置付けでございますので、流通から 見ますと、この製薬協の日薬連ですか、今、メーカーの専門委員が言われたこととは少し 別な次元のことで、やっぱり調整幅2%は維持されるべきだというふうに思います。  それから、過大な薬価差という表現もございましたし、いろいろこの案を今日聞かせて いただいたのですが、やはりもう少し検討したいと、専門委員として検討したい件もござ いますので、後日機会がありましたら意見を申し上げる場を与えていただきたいと思いま す。 ○前田部会長  北村委員、お願いいたします。 ○北村委員  今日御提案いただいている制度改革につきましては、今後の専門部会において皆様から の質問や疑問点について、十分なご説明をいただければと思いますが、私からはグローバ ルな企業経営について一言申し上げたいと思います。  私もここ数年、海外の事業関係について携わってまいっておりますけれども、日本企業 は海外のグローバルな社会活動の中で、その国の経営基盤とか法律だとか経済事情だとか 文化とか、あるいは宗教だとか、さまざまな環境に対応すべく頑張っているんだろうと思 います。  私は、日本から中枢の企業がなくなってしまう、あるいは日本の中枢の技術が外国に出 ていってしまうということを大変恐れております。こういうことは製薬業界一つに限らず、 あらゆる業界でも問題になっているのだということを関係の方々に御理解をいただければ というふうに思います。ですから、これからの会議の中で非常に分かりやすく皆様に理解 していただけるような説明の仕方とかということをもうちょっと考えていただければいい のかなというふうに私からは要望したいと思います。 ○前田部会長  ありがとうございます。  予定の時間、次に総会がございますので、ちょっともちろん不消化といいますか、ただ 大問題でこれから必ず続けて議論してまいりますので、最後にどうしても御発言とか御質 問があればちょうだいして、今日のところはこの辺でまとめたいと思うんですが、よろし いでしょうか。  それでは、今もう中でたくさん御指摘いただいたと思いますけれども、今日いただいた 御意見を踏まえて、事務局と専門委員のほうで資料を再整理していただいて、次回以降の 薬価専門部会で議論を深めてまいりたいと思いますので、何とぞよろしくお願いいたしま す。  それでは、今日の議題としてはこれで終了ということですが、今後のことについて事務 局のほうから何かございましたらお願いいたします。 ○事務局(磯部薬剤管理官)  特にございません。まだ次の日程も未定でございますし、また、少し事務局でもどんな 資料がそろえられるか少し考えてみて、次回に臨みたいと思います。 ○前田部会長  先生、どうもありがとうございました。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第二係 代表 03−5253−1111(内線3276)