08/07/08 第1回審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会議事録 審議参加に関する遵守事項の検証・検討委員会  議事録 1.日時及び場所   平成20年7月8日(火) 14:00〜 東海大学校友会館「望星の間」 2.出席委員(6名)五十音順     神 山 美智子、 桐 野 高 明、 杉 浦 幸 雄、 花 井 十 伍、    ◎樋 口 範 雄、 日比野 守 男 (注) ◎座長   欠席委員(0名) 3.行政機関出席者   高 橋 直 人(医薬食品局長)   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)    中 澤 一 隆(総務課長)   中 垣 俊 郎(審査管理課長)  他 4.備  考   本委員会は、公開で開催された。 ○総務課長補佐 定刻になりましたので、ただ今から第1回「審議参加に関する遵守事 項の検証・検討委員会」を開催いたします。先生方におかれましては、御多忙のところ 御出席をいただきまして誠にありがとうございます。初めに、高橋医薬食品局長から御 挨拶を申し上げます。 ○医薬食品局長 医薬食品局長の高橋です。委員の皆様方におかれましては、日ごろよ り薬事行政の推進につきまして、多大な御理解と御努力をいただきまして改めて感謝申 し上げます。また、今回この委員をお引き受けいただきましたことに御礼申し上げます。  医薬品などの開発も含め、医学薬学研究における産学官の連携活動は年々大変活発に なっております。それは科学の進歩、あるいは技術の進展ということで大変大きな貢献 が期待されております。一方、医薬品の承認に関しては、そういった連携活動とは別途 医薬品の承認という中立性なり、あるいは科学に基づく客観性が強く求められていると ころです。いろいろな連携活動とは別に、承認に当たるためのきちんとしたルールが必 要である、ということが強く言われているところです。  こうした状況の下で、薬事・食品衛生審議会においては、委員が医薬品などの承認申 請者などから寄附金などを受け取っている場合の審議参加のルールについて、昨年4月 から暫定的なルールを適用し、また別途設置したWGにおいて検討を行い、今年の3月 に新たなルールとして審議参加に関する遵守事項を申し合わせたところです。本日の多 くの委員の方々には先のWGにも御参加いただいております。  先の申し合わせにおいては、審議参加の基準、あるいは運用状況の評価、又は対象と する寄附金・契約金等の範囲や組織の取扱い、申告の方法などさらなる検討を要する課 題を含め、必要な改善方策の検討を行う新たな検討組織を設置する、ということで最終 的な結論を見たところです。これを受けて、本日、本委員会を設けさせていただきまし た。審議参加に関するルールについては、今年の5月から新しいルールが適用されてい るところですが、こういう分野の議論は欧米においてもなお検討途上というところで、 もちろん私どもの先のルールも有り体に申せば完成品にはなっていないと考えておりま す。  一方、来年早々には薬事分科会の委員の改選も予定されているところですので、こう した状況を踏まえ、本委員会において本年末を目処に現在の審議参加に関するルールに ついての十分な検証をお願いいたしたいということです。先生方には、幅広い観点から 忌憚のない御意見や、活発な議論をお願いいたしたいと思います。どうぞ、よろしくお 願いいたします。 ○総務課長補佐 本日は1回目の会議ですので、御出席の委員を五十音順に御紹介させ ていただきます。神山美智子委員です。桐野高明委員です。杉浦幸雄委員です。花井十 伍委員です。樋口範雄委員です。日比野守男委員です。  引き続き事務局の紹介をさせていただきます。医薬食品局長の高橋です。大臣官房審 議官の黒川です。医薬食品局総務課長の中澤です。医薬食品局審査管理課長の中垣です。 なお、医薬食品局長は、所用により途中で中座させていただきます。  資料の確認をさせていただきます。座席表と議事次第。資料1は本検討委員会の設置 についての要綱。資料2は本委員会構成委員メンバー表。資料3は「審議参加に関する 遵守事項」です。資料4はその参考です。資料5は「具体的な運用の流れについて」で す。資料6は「検討すべき事項及びその検討方法(案)」です。資料7は「厚生労働科学 研究におけるアンケート調査事項(案)」です。参考資料1は日米欧の比較対比表、参考 資料2は平成20年3月24日の申し合わせに際しての主な論点と対応、参考資料3は寄 附金・契約金等についてのイメージです。  議事に入ります。議題1は座長の選出です。座長の選出については、資料1にありま すように、座長については「構成員のうち1人を座長として選出すること」とされてお ります。委員の方々から御推薦等がありましたらそのようにさせていただきたいと思い ます。 ○神山委員 樋口委員に座長をお願いしてはどうかと思います。 ○総務課長補佐 神山委員から、樋口委員を推挙する旨の御発言がありましたけれども いかがでしょうか。 (異議なし) ○総務課長補佐 ありがとうございました。御承認いただきましたので、樋口委員に座 長をお願いいたします。樋口委員には、座長席にお移りいただきます。 (樋口委員座長席に移動) ○総務課長補佐 以降の議事進行は樋口座長にお願いいたします。 ○樋口座長 私は、前のWGにも参加していたのですが、利益相反の問題はなかなか難 しい問題です。しかし、目標は一つであり、この問題だけではないと思いますが、薬事 行政に対する国民、なかんずく患者の信頼をどうやって勝ちうるかということだろうと 思います。私が座長としてふさわしいのかどうか分かりませんが、私も毎日いろいろな 薬を何十年来飲んでいることもあり、私自身もこの問題には非常に関心があります。そ ういう話題でもありますので、できるだけのことはしたいと考えておりますので、御協 力をお願いいたします。  私も、いつ倒れるか分からないというほどではないのですが、座長代理がいてくれる と非常にありがたいと思っていますので、同じような趣旨で花井委員に座長代理をお願 いしたいと思いますがよろしいでしょうか。 (異議なし) ○樋口座長 議事次第を見ると3点あります。「これまでの経緯について」というのは、 本日がこの検討会としては第1回の会議ではありますが、これは突然出てきたわけでは なくて来し方があります。いろいろな経緯があって、前回以降の引継ぎ事項が随分あり ます。委員の中には、前のWGに参加していた方もいらっしゃいますけれども、そうで ない方もいらっしゃいますので、その点についてこれまでの経緯を確認しておこうとい うのが第1点です。第2点は現状といいますか、この委員会は何をするために我々が集 まったのか、というアジェンダの確認。それから、今後どれだけのことができるか、と いったタイムスケジュールの確認が3点目になります。  議題2のところで、最初に来し方をもう一回振り返ってみようということですので、 これまでの資料を含めてまず事務局から説明をお願いいたします。 ○総務課長補佐 これまでの経緯については、皆様も内容については御承知かと思いま すけれども、簡単に今までの経緯についておさらいという意味も込めて説明させていた だきます。  資料3「審議参加に関する遵守事項」を使って説明させていただきます。8ページは別 添という形になっています。この申し合わせを作るに際し、「審議参加と寄附金等に関 する基準策定WG」が分科会の下に設置され、分科会から5名、外部委員3名、計8名 で御議論いただきました。神山先生、樋口先生、日比野先生にもこのWGに入っていた だき、精力的に御検討いただきました。  検討の経緯については資料4の1枚目です。平成19年4月に本件に関して、暫定的な 申し合わせを定めて運用するとともに、並行して先ほど御紹介いたしましたWGで検討 を行いました。  検討状況は2.のとおり、8回のWG及び2回のパブリックコメントの実施を経てこの 申し合わせにつながっているという経緯です。  遵守事項の内容については資料3の1ページから簡単に説明させていただきます。「1. はじめに」の(1)において我が国における産学官の連携活動は政府として推進すべきもの であって、医薬品等の開発分野においても適正に推進されるべき。他方、国の行政機関 である審議会について、その運営の中立性・公平性が求められているので、何らかのル ールが必要という現状を示しているものです。(2)は、本申し合わせの前に適用されてお りました、これまでの取組みについて紹介しております。2ページの(3)は、冒頭に説明 させていただきましたWGにおける経緯について紹介しております。(4)は申し合わされ たときの現状について、これまでの経緯という形で記載されております。  「2.適用範囲」からが、実際の申し合わせ事項の内容になります。(1)適用対象部会と して、分科会と次の11部会及びその部会に設置された調査会が対象です。(2)適用の対 象の審議として、個別の医薬品等の承認審査や安全対策に係る審議。また、これに合わ せて一般的なガイドラインや基準といった、厚生労働大臣が諮問し、議決を要する案件 すべてについてこの申し合わせ事項は適用される形になっています。(3)適用対象委員と して、委員、臨時委員、専門委員に加え、外部から招致する参考人にも適用することに しております。  「3.委員等が申請資料作成関与者等である場合の取扱い」です。3ページの(1)は長々 と書いてありますが、こちらは既に平成13年に申し合わせされておりました、申請資料 の作成関与者の取扱いです。平成13年の申し合わせ事項の内容をそのまま今回の申し合 わせで内容を統一したものです。(1)は申請者からの依頼により、作成された申請資料の 関与者においては、当該品目の審議の際に氏名を報告するとともに、審議には参加でき ないというものです。(2)は申請者からの依頼によらず作成された資料だけれども、提出 資料として利用されたものの取扱いとして、同様に氏名を報告するとともに、当該資料 についての発言をしないということ。  4ページの(3)は、競合品目に係る申請資料作成関与者の取扱いです。こちらは、先ほ ど申し上げました申請資料の作成関与者の取扱いについて、競合品目に係る申請資料の 作成に密接に関与した者についても同様、というのが加えられています。7ページの注3 に、競合品目の説明があります。開発中のものも含め、市場において競合することが想 定される製品を競合品目。競合品目を開発中、又は製造販売中の企業を競合企業。かつ、 競合品目については、審議品目の申請者に申告をさせて、その数は3品目までという形 で、この競合品目、競合企業を定義づけております。4ページの(4)は特別の利害関係が ある場合の取扱いの項目です。(5)は以上の取扱いについて、その旨を議事録に記録する。 ここまでが資料に関する取扱いです。  4ページの「4.委員等が申請者等より寄附金・契約金等を受けている又は割り当てら れている場合の取扱い」です。(1)で審議不参加の基準として、委員等本人又はその家族 が、審議品目の製造販売業者、もしくは競合企業から寄附金・契約金を受け取った実績 があり、それが年度当たり500万円を超える年度がある場合については、部会等の審議 には参加しないという基準です。  (2)議決不参加の基準として、委員本人又はその家族が、審議品目の製造販売業者又は 競合企業から寄附金・契約金受け取りの実績があり、いずれも年度当たり500万円以下 の場合については、意見を述べることはできるが、議決には加わらない。ただし、年度 当たり50万円以下の場合には、議決にも加わることができる。すなわち50万円以下で あれば議決にも加われる、50万円/500万円の範囲であれば意見を述べることはできる が、議決には加わらない。500万円より多い場合には議決にも参加しないという形にな っております。  (3)議決権の行使については、審議会の成立のために必要な規定として置いておりま す。  (4)委員等からの申告については、当該品目の審議が行われる部会等の開催日の年度を 含め過去3年度とし、そのうち最も受け取り額の多い年度等について自己申告をしてい ただきます。  (5)特例の規定として、部会等が認めた場合に、先ほどの50万円/500万円のルールに 該当する場合であっても、審議又は議決に参加することができるという特例のルールを 置いております。  (6)情報の公開については、審議会において各委員等の参加の可否について、最初に冒 頭御報告するとともに、取扱いについてまず議事録に記録すること。また、委員等から 提出された申告書については、厚生労働省ホームページ上で、議事録と合わせて公開す るという形をとっております。  (7)検討の規定です。こちらが、冒頭に局長の挨拶にもありました、本委員会の設置の 規定です。外部有識者及び寄附金・契約金等の受け取り実績が、過去3年度のいずれの 年度も50万円以下の委員等のみをもって構成されるWGを設置し、本年末を目途に、本 遵守事項の審議不参加等の基準や、運用状況の評価、残された課題を含め、必要な改善 方策の検討を行うという形になっております。  6ページの冒頭で、この委員会、又は(8)のWGですけれども、医薬品等によって健康 を害された方も含め、幅広い国民の意見を反映できるように留意するということが述べ られています。  (8)本委員会による検討を終了した後も、分科会に評価WGを設置し、原則、年1回、 運用状況の評価を継続的に行っていくこととされています。  「5.おわりに」ということで、審議の中立性、公平性、透明性の確保が一層重要だと いうことと、2段落目の後段の部分で、本委員会で検討していただきます残された課題 として、対象とする寄附金・契約金等の範囲や組織の取扱い、また、その申告の方法等 さらなる検討を要する課題があるということで、今後設けられるWGの意見等を踏まえ、 必要な改善を図るということで、本委員会でもこちらを御議論していただきたいと考え ております。  「6.国民の皆様へ」ということで、国民へのメッセージとして、産官学連携の活動は 国全体として推進されているものであって、いわゆる奨学寄附金については、教育研究 の奨励を目的として寄附されているもので、機関経理がされているものであることから、 委員とその企業とのあるべき関係について構築また理解を深めていただきたい、という ことが最後に述べられております。  駆け足で審議参加の遵守事項を申し合わせの内容について御紹介いたしました。続き まして、現在この申し合わせの事項は5月から適用されているわけですが、資料5「具 体的な運用の流れについて」ということで、実際に今どのような形で運用がなされてい るかについて状況を説明させていただきます。  いちばん左側で、部会開催2カ月以前ですが、企業では当然申請品目が分かっていま すので、事前に申請品目に係る競合品目・企業の選定、根拠資料の準備等を行っていま す。実際に部会の審議が確定いたしますと、行政側から企業側に、競合品目・企業リス ト及び選定根拠資料の提出を求め、部会開催1カ月前にその資料を提出していただきま す。  資料5を1枚めくりましたところが、競合品目と競合企業のリストの雛形です。上段 に申請品目、申請者名の情報、また申請企業が考える競合品目として三つまで挙げてい ただきます。また、これらの競合品目を選定した理由を事務局に提出していただきます。 この提出された競合品目のリストを基に、行政側から部会・分科会の委員等へ、寄附金 ・契約金等の受け取り額の申告書を送付させていただきます。  資料5の4枚目の左上に参考資料2と書いてありますが、こちらは先ほど御紹介申し 上げました申し合わせ事項の参考資料です。薬事分科会における寄附金・受け取り金の 申告書の例です。議題1として○○○の承認の可否についてということで、申請企業と 競合企業。議題2として別の品目の申請企業と競合企業。議題3の例示として、基準の 場合にはその影響を受ける企業上位3社、という形でこれを委員にお送りさせていただ きます。  いちばん最後のページは別紙として、ファクスでの回答書例です。各委員は、この書 かれた企業、申請企業なり競合企業のところに四つチェックボックスがあって、受領な し、50万円以下、50万円超/500万円以下、500万円超のいずれかにチェックをしていた だいて事務局へ送り返していただくことになります。その結果を取りまとめて、部会・ 調査会の場においてその結果を報告させていただくという形での実際の運用が5月から なされているところです。  現在の概況、又はこれまでの経緯について御説明申し上げました。以上です。 ○樋口座長 今の説明について御質問ないし御意見、コメント等をお願いいたします。 ○花井委員 実際に運用されて、どのぐらいの審議で議決から外れたとか、そういう数 は分からないですか。もしくは、詳しい専門的な先生がそれに当たってしまって非常に 審議がしにくかった、といった問題点はあったのかどうか。 ○総務課長補佐 その辺りについては、後ほどの議題で詳細は御紹介させていただこう と思っておりました。5月から始めて、以前よりは一定の割合でこの基準に抵触すると いいますか、該当する委員が増えてきているのは確かです。具体的な集計はしておりま せんので、後ほどの議題を踏まえ、次回以降の委員会の場で御紹介させていただきつつ、 また先生方にその内容を踏まえて御検証、御確認をいただきたいと考えております。 ○樋口座長 関連してですが、資料3で、この前のWGの成果といいますか、こういう 結論が出たということが述べられてあり、その2ページの適用範囲と題する部分で、今 のご質問の関連でいうと、ルールの適用対象部会等はこれだけありますということが書 かれています。  それから資料5の最初のところには、具体的な運用の流れについてということで、ま ずフローチャートを説明していただきました。このフローチャートを見ただけでも、最 初の準備が会議の前2カ月ちょっとになるようなところから開始されており、全部事務 局で行う準備でなくて、対象となる委員の方にさせる部分もあると思いますが、いずれ にせよそう簡単なことをやっているわけではないということがこれだけでも分かりま す。  こういう適用対象部会等が、年間に何回ぐらい開かれていて、それの一つ一つについ てこういう作業をやっているというプロセスが正確な数でなくてもいいのですが、この ぐらいの頻度でこういう形なのだということを知っておきたいのですが。これも、現状 のチェックをどのようにやっていくかという、後の議題と関係するのかと思いますので、 後で説明をしていただいてもいいとは思うのですけれども。 ○審査管理課長 資料3の2ページの2番の適用範囲の(1)について、座長の御照会にお 答えいたします。まず分科会は年4回です。医薬品第一部会、第二部会が原則年8回で す。その他の部会で多いのは、医薬品等安全対策部会で、調査会も含めて年間7、8回開 催されています。その他の部会においては、多くても年3回とか4回程度ではなかろう かと思います。 ○樋口座長 これまでの説明についてほかにはございませんか。 (特に発言なし) ○樋口座長 それではこの後、お気づきになった時点で、過去に戻っていろいろな話が 出てきてもかまいませんので、とりあえず次の段階、この委員会では何をなすべきかと いう検討すべき事項、宿題とされたような事項もあるということですので、そのアジェ ンダについて事務局から説明をお願いいたします。 ○総務課長補佐 資料6「検討すべき事項及びその検討方法(案)」に従って説明させて いただきます。この委員会の設置の経緯のところでも申し上げましたが、現行のルール について、その運用状況の評価をしていただくということで「1.審議不参加等の基準や、 運用状況の評価」についてでは、現行ルールの検証をしていただく点が一つ大きな柱に なろうかと思います。「2.平成20年3月24日申し合わせに際してのWGにおける課題」 として、残された課題として申し合わせの中に数項目記載されている事項がありますの で、こちらについてもあわせて検討をしていただきたいということです。この委員会に おいて検討していただきたい事項の括りとしてはこの二つになります。  検証事項の内容について、1番目は以下の事項について収集・整理した上で、平成20 年3月24日申し合わせの運用状況の評価、及び審議不参加等の基準の検証を行うことで どうか。具体的な検討に際して収集・整理する内容を(1)から(5)まで掲げております。 (1)は先ほど花井委員からも御指摘がありましたが、申し合わせ適用後の各部会等の審議 参加の状況についてです。別添イメージ参照として、資料6のいちばん最後のページに、 そのイメージとしての表を付けております。分科会、部会ごとにどれだけの品目が審議 されて、どれだけの競合企業・申請企業があって、どれだけの部会の委員が出席したか。 そのうち審議不参加等の取扱いで、申し合わせのルールによって議決されなかったり、 退室された方が何人で何パーセントいるか。5月から始まったばかりですので、現時点 では数が少ないので、今後秋に向けて部会等の回数が増えてきた段階で、このような資 料について取りまとめて提出させていただくことを予定しております。  1ページに戻りまして(2)公開した申告書の一覧です。先ほど流れの中でも申し上げま したが、委員から実際に申告していただくわけですが、その一覧を作成しようと考えて おります。  (3)申し合わせ内容を踏まえた寄附金・契約金等の実態調査を行うことを考えておりま す。こちらは、前回のWGにおいてもさまざまな御議論をいただき、また寄附金等の受 領の実態についても調査を行いましたが、再度このルールに従った形でアンケート調査 をすることを考えております。  資料7「厚生労働科学研究におけるアンケート調査事項(案)」の2.の大学教授に対す る調査の(3)として、本人が受け取っている寄附金・奨学金等の企業ごとの額とその内訳 についての調査を行うことを考えております。  資料6に戻りまして(4)最新の諸外国の基準情報等です。前回のWGの議論でも出てき ましたとおり、現在、米国において利益相反に関するガイドラインの改訂作業が引き続 き行われているところです。最終的なファイナル版としてはまだ公表されていないので すが、その辺りの動きについても、実際にFDAはどのようになっているかという最新 状況について情報を収集し、こちらの委員会に提供させていただきたいと考えておりま す。  (5)その他として、事務局の方でその他関連する事項等について提供させていただきま す。この場で、このような資料があると検討が進みやすいというものがありましたら、 是非とも御指摘いただき、そういう資料についても集めるという形で進めたいと考えて おります。  「2.申し合わせにおける残された課題」です。申し合わせにおいては、対象とする寄 附金・契約金等の範囲や組織の取扱い、又は申告の方法等さらなる検討を要する課題も あり、本委員会の意見等も踏まえ、必要な改善を図っていくこととされております。各 課題について、事務局の案として検討の手法等について、それぞれの課題ごとに示させ ていただきました。  (1)対象とする寄附金・契約金等の範囲についてです。現状としては、教育研究の奨励 を目的として、大学等に寄附される奨学寄附金についても、寄附金・契約金等に含むこ ととしております。50万円/500万円のルールを勘案する場合には奨学寄附金も含む形で の運用になっております。  論点としては、奨学寄附金の意味合いが明確になれば、ほかの受託研究費と同様に取 り扱う必要があるか、というところかと思います。検討方法の案としては、奨学寄附金 の大学における制度的な位置づけ、またその取扱い、奨学寄附金と他の寄附金との区別 の有無などの実態調査を、先ほどのアンケート調査の中で行い、さらに欧米等の取組み などについても参考にしつつ検討を行うことでどうかと考えています。  (2)組織の取扱いです。現状は、実質的に委員等個人宛の寄附金とみなせる範囲を申告 対象とするとしてあります。本人名義であっても、学部長もしくは施設長の立場で、組 織に対する寄附金ということで受け取っていることが明確なものについては除いていま す。  論点としては、大学内において(3)の下に例示でいくつかのものがありますが、学部宛 とか、全学宛の寄附金として、組織に対するものとして受け取ったもの。また、その講 座内のほかの関係者、上司であるとか部下の准教授であるとか、また同僚等が受け取っ たものについて、論点(1)として、こういうものが書面等の客観的根拠に基づいて識別で きるかどうか。(2)委員等個人がこれら寄附金・契約金等の状況について認識できるか。 こうした組織に対する寄附金について、そもそも識別が可能かどうか、また認識が可能 かどうかという点を含め、現状としてどのような取扱いになっているかについてまず調 査することが必要だと考えています。その前提の上で、現状を踏まえて(3)これらの寄附 金・契約金等はどのように取り扱うべきかを御議論いただくことでどうかと考えており ます。  実際の検討方法としては、組織としての利益相反の対象となり得る寄附金・契約金等 や、その管理手法について、欧米等の取組みも参考にしつつ、まずこれら寄附金・契約 金などが識別・認識できるかについて講座内外の関係者に対しての調査を行い、その結 果を基に検討していただくことでどうかと考えております。  資料7の1番で組織の取扱いについては、どのように組織に対する寄附金等が取り扱 われているかの背景を大学の会計・経理の担当の方に伺う形になろうかと考えておりま す。1番の大学会計・経理担当者のところですが、対象範囲は全国の医学部、薬学部。 調査内容は、大学内又は学部内における寄附金・契約金等や寄附講座の開設、又は企業 からの研究生等の受入れに関する以下の事項の(1)管理方法や識別可能性はどうか。(2) 受領に関する学内関係者への周知、又は情報公開の有無の状況はどうか。(3)光熱水料な どの間接経費の組織への割当て状況として、寄附金から光熱水料等が組織に自動的に支 払われるという話がありますので、ここの状況はどのようになっているか。(4)組織的な 利益相反に係る各種判断へのバイアスがあるかどうか。これらについてどのように感じ ているかを伺おうと考えております。  2番の大学教授に対して、調査内容として、講座内の関係者、その講座外の関係者、 所属学部、全学に対する寄附金・契約金等に関して(1)実際、受領に関する認識はどうか。 大学の会計の経理がどのような取扱いをされているか、実際に大学の先生がどのような 認識を持っているか。(2)各種判断へのバイアスの有無に関する考え方。こういうものが ある場合にどのように考えられるか、その感じ方についてのアンケート調査を行うこと を考えております。  資料6の2.の(3)申告の方法についてです。現状としては、欧米においても具体的な 金額の申告は求められていない。また、その委員等の事務的業務の負担等を勘案し、50 万円/500万円という段階ごとのチェック方式にしております。申告書については、競合 品目の妥当性を部会で審議することから、申告書の公開は部会終了後速やかに行うこと にしております。  論点としては、基準となる金額と申告の方法の関係はどうあるべきかが全体の論点に あろうかと考えております。検討方法(案)として、委員等の申告書の様式について、記 入に要する時間、内容の確認方法など、実際に部会の委員に対し、どれぐらいの手間暇 がかかるかについての実態調査を行うこととさせていただいております。それの結果に 基づいて、申告の方法について検討していただくことでどうかと考えております。  公開する内容・方法の妥当性については、申し合わせ内容を踏まえた寄附金・契約金 等の実態調査、これは先ほど申し上げました企業ごとの寄附金・契約金等の受領の実態 調査です。そういうものや、部会等の実際の運用状況を踏まえた上で併せて検証してい ただくことを考えております。  (4)その他として、申し合わせという位置づけをどう考えるか。現在は申し合わせとい う形で運用しておりますが、この位置づけについてどのように考えるか。前回のWGで も議論がありましたが、引き続き皆様に検討していただければと考えております。以上 です。 ○樋口座長 資料6を中心として、この委員会で何をやるのかについての説明を伺いま したが、御意見、御質問がありましたらお願いいたします。 ○神山委員 この検討委員会は何をやるのかという前提として、そもそも薬事分科会と は何をしている所なのか、というところからもう少し説明していただいたほうがいいの ではないか。例えば、医薬品や医療機器の審査はどういう流れになっているのか。薬事 分科会に上がってくるものの大半は報告事項で、審議事項はせいぜい二つぐらいしかな いというような流れとか、書面の報告しかないようなものもたくさんある。ここにたく さん何とか部会と書いてありますけれども、どういう部会があって、それは何をしてい るのかなど、全体的なことが分かるような資料があったほうがいいのではないか、とい うことを今の説明を聞いていて思いました。最初に言うべきことだったと思いますけど。 ○樋口座長 事務局から説明がありましたように、私の理解では、資料6でも大きく分 けてこの委員会のアジェンダは二つあります。一つは検証、もう一つは残された課題に 対する回答です。検証というと、普通は確立したルールができたので、それがちゃんと 守られているかどうか、コンプライアンスがどうかを検証していくのだ、というのも一 つの考え方としてはあります。  しかし、今回の問題についてはどうやらそうではないらしいということです。先ほど の局長のご挨拶の中にもありましたが、コンフリクト・オブ・インタレスト(利益相反) に関するルールというのは、そもそもが未完成な、まだこの時点において我が国におい ても未完成だという認識です。しかも、これはわが国だけではないらしい。ヨーロッパ とアメリカだけで比較していいのかどうかもよく分からないですが、仮にそれを世界だ とすると、世界的にも、つまりヨーロッパとアメリカでもいろいろなルールを試してい るような段階なので、未完成のルールというか、これが100%正しいなどというルール はまだ誰も発見していないようなものだということです。  先ほどの発言との関連で言うと、適用対象部会がこれだけいっぱい並んでいて、私が 思った以上に部会の回数は多いのだということも分かりました。本当にこれらの部会で、 同じルールを適用するような、全部同じような性質の部会なのだろうかということだっ て本当は聞いてみたいところです。  何を言いたいかというと二つあって、検証という中に実態の把握があるのですが、実 際にルールが出来上がって、今それが行われつつある。やってみたら、ちょっとポイン トレスではないかとか、あまりに細かなことだけを問題にしていて、本当にどれだけ意 味があるのだろうかという疑問が、審議会をやっている中で、あるいは部会をやってい る中で出てくるかもしれない。出てきても当然かもしれないのですが、逆に本当はもっ とこっちの方が重要なのではないか、こういうところは少し甘すぎるのではないかとい う話も、経験の中から出てくるかもしれないのです。そういう話をここへ持ってきてい ただいて、少しでもルールをよくしていこうというのが検証の中身の中に入り込んでい る。したがって、すでに確立したルールが遵守されているかどうかという意味での検証 には限られないということです。しかも、それとは別にこの前のWGでまだ結論も出な くて残された課題もあるので、こちらも一緒に検討していくということかと思っていま す。  いずれにせよ、なかなか難しいことであり、神山委員御自身が鋭いご意見を出される 一因は、ご自身が薬事審議会の委員をされているからだということがあると思うのです。 しかし、委員をしていない私であるとか、それにそもそも審議会の委員だけが分かれば いいような性質の話でもないので、傍聴の方を含めて、開かれた会議を厚生労働省では やっているわけですから、何のためにどういうことをやっているのかということを国民 が分かるためには、そもそもこれら対象となる薬事行政のあり方についても、もう少し 説明していただく機会があるといいかもしれません。 ○審査管理課長 次回資料を用意させていただきますが、本日は簡単に口頭で報告させ ていただきます。典型的な例として、新薬の承認審査について申し上げます。これは、 薬事法上過去に承認したものと大きく異なるものについては審議会の意見を聞くように 定められております。その規定に則って審議会にお願いするものです。新薬の部会とい うのは、医薬品第一部会と第二部会に、大まかに申しますと、薬効分類ごとに決まって います。例えば中枢神経、循環器系が第一部会、抗がん剤、感染症の薬といったものが 第二部会という形で二つに分かれています。新有効成分を含有する医薬品はこのどちら かの部会で審議される、という規定です。  審議する品目は、年間大体20〜30程度の新有効成分があります。これ以外に、従来は 高血圧の薬であったものが今回は不整脈の薬として来るといった、有効成分としてはあ るのだけれども、使い方が新しいというものが同じぐらいあります。そういう意味から 申しますと年間40〜50品目について審議していただきます。即ち、一回の審議が5品目 前後になるのだろうと考えます。  部会で審議し、部会で了解を取ったものについては、分科会に上程することになりま す。分科会にはすべての部会のものが上がってくることになりますので、分科会の中の 規定において、今までと全く異なるような作用機序に基づくもの等について分科会で審 議をする。それ以外のものは神山委員御指摘のとおり報告ということになっております。 大体一回の分科会で1〜3品目程度が審議という形になっています。  一方においてもう一つ典型的な例が、医薬品等の安全対策部会です。医薬品等安全対 策部会においては、同様に薬事法に基づいて副作用、あるいは感染症の報告状況につい て審議会に報告するという規定があります。この規定に基づいてやっているわけですが、 年間3万件に当たる副作用報告がありますから、それを一つずつ部会で審議していただ くわけにもいきませんので、整理をしてこういう医薬品で、こういう副作用という、あ る意味統計的な数字を一つは報告しています。  もう一つには、その原因であるとか、その状況を特別集中的に検討する必要がある。 例えば、タミフルの副作用の問題、あるいはイレッサの副作用の問題については、部会 の下に調査会という組織をつくって、そこで専門的な議論をしていただいています。タ ミフルは、調査会で7、8回議論しているかと思いますし、イレッサも2、3回議論して いるかと思いますが、専門的な議論をしていただきます。その結果を部会に報告するよ うな形で運営をしています。資料を作成し、次回にはその状況について御報告申し上げ ます。 ○花井委員 この検討すべきことは、ルールを作ったけれども、そのルールを適用した 上で問題点はないかということと、そもそもそのルールを作る段階で論点が残った部分 があるのでそこをやりましょうということだと思うのです。  薬事行政全体についていろいろな議論がされていて、特に審議会の有り様も議論の俎 上に上がっているところから、この薬事分科会がどのような役割と機能を果たすかとい うことも議論の俎上に上がりつつある中で、ここでやれることは限られていると思うの です。今実質的な審査が独立行政法人医薬品医療機器総合機構で行われていて、こちら にも外部委員がいます。むしろ、こちらの方が専門領域がピンポイントなので厳しいで す。つまり、利益相反のない専門家を探すのは厳しい状況にあると思います。そこで、 今回、本省でのこのような利益相反ルールを薬食審に作った。だけど、実質的に部会が 二つしかなくて、数が多いので下調査はしてくるわけですね。そこでの運用の有り様と か、審査の流れの中で外部委員の位置づけなどということをちょっと、直接関係ないの かもしれませんが、向こうの検討状況も資料もしくは報告をしていただいて、審査全体 を見渡した上で議論するのは大事なので、PMDAでの外部委員の関与の有り様とか、 今、利益相反の検討を始めているということなのですが、結構大変だとも聞いており、 検討状況でどういうことが議論されているかということも御紹介いただければ、より全 体が見えるのではないかと思います。 ○桐野委員 今回の委員の中で医療サイドは私だけだと思うのですが、もちろん、こう いう委員に就任するというのは一種の社会貢献ですから、自分も少し近い領域の治療薬 について勉強ができるかなという程度で、委員を引き受ける場合はたぶん受けるのだろ うと思うのです。ただ、FDAや欧州の委員のいろいろな対比が書いてあるのですが、 委員というものは何なのかということですね。日本と同じような意味合いにおいて、か なりボランティア的な、つまり主たる仕事を持っている人が、多くは大学や大きな病院 の医師であって、それが無償のボランティア活動として、こういう委員会に参加して自 分の意見を言うのと、FDAや欧州の場合にはだいぶ違うのではないかと思うのです。  FDAも似たように、大学や病院の医師などの意見を述べる機会があるのだろうと思 いますが、多くの場合は企業等から独立した専門家が評定を下すことが多いと思います し、こういうところで出てくる委員は、おそらく少なくとも米国では相当な報酬を受け て業務をしていると思います。日本ではそれとは全然立場が違って、例えば私個人がこ ういう委員に就任せよと言われたら、これは社会奉仕の一環として勉強にもなるし、時 間を空けて参加せざるを得ないなという感じなのです。ですから、そこでいろいろな企 業との関係をディクレアしないといけないわけですが、できるだけ正確に開示する仕組 みがあるほうが望ましいと思います。ここに書いてあるいろいろなお金については、左 側の「大学法人等」と書いてある方に入ってくるお金は、内部で言えばほとんどオープ ンな審議を受けた上で、大学の機関の長が受けたものを配分して受けるわけで、個人的 な関係とはかなり違うお金ですね。  それから、個人的な顧問料、相談料、講演料、原稿執筆料、専門家承認の報酬なので すかね。特に有価証券などはだいぶ違いますね。そういうものを合わせてということで すと、個人的印象ですが、個人できちんと情報を開示した上でこれに臨むべきであると 言われれば、自分が確定申告をして出したようなものについては、それは義務があるだ ろうと思います。ただ、大学で研究に関する、一種の業務ですね。業務に関するお金の 流れについては、むしろ大学に対して開示請求を出していただければいいのではないか と思います。その方が楽であってオープンですから、そういうやり方をして、個人がそ れぞれ自分はこんなにきれいだと逐一言うことは何か変な感じで、ボランティアなので すが、ボランティアで来るときに、自分はこんなにきれいなボランティアだと言って来 なさいということですので、それだったら、あなたはボランティアとして的確かどうか は、事前に御調査くださいという感じのほうがよいと感じたのです。 ○樋口座長 今のご発言は、ここで何を検討するかのいちばん基本にかかわるようなお 話なのだと思いますが、それに力を得て一言申し上げます。前回というのか、今回のと 完全に継続しているのかどうかも何とも言えないのですが、WGという形でもあったの で、実は非常に活発な御意見が飛び交いました。ですから、どうぞ桐野委員も杉浦委員 も御遠慮なく、専門家の立場から言っていただいたほうがありがたいし、それがこの検 討会の趣旨でもあっていいのではないかと思います。今、桐野委員がおっしゃったこと で考えていたのですが、前回も事務局が相当に苦労されて、EUのあり方について資料 を調べ、向こうへメールも打って調べたり、そういうこともちゃんとやってくださって いるのです。FDAの方もそうなのですけれども。  ただ、私も大学ではアメリカ法を教えていて、一般に比較法という分野に携わってい ます。そうすると実感するのですが、何であれ1つの制度やその運用を比較するという のは、表面的な比較で済むのかというとそんなことはないので、どこまでやるのかはな かなか難しいのです。今言ったように、それぞれのところで一つのルールというのが、 こういう問題についてどこの国でも問題になっていて、出来てきている。しかし、その 中身は、例えば今、桐野先生がおっしゃったのは、それぞれのシステムの中で参加して いる、対象となっている委員のあり方、独立性であるとか、給与のあり方などが全く違 うと、形式的なルールだけ揃えて、向こうも5万ドルではないか。100円を掛ければ500 万円だという簡単な話だけでいいのかという話が一つです。  それから、私などは、本当はおそらく薬事・食品衛生審議会等の新薬承認、その他、 安全対策の仕組みはやはり同じなのではないかと仮定しているのですが、そういっても 国々によってシステム自体が違うこともあるし、最大の違いは、結局どこでも、EUで もアメリカでも日本でも、こういうことが問題になっているのは、いちばん最初の御説 明にありましたが、薬については産官学連携をやって、良い薬を早く作ろうとしている 点では共通しているのに、どこかに大きな違いがあるかもしれないという点です。例え ば国際的な競争でもあるし、競争というのは手段ですから、良い薬を世界中で、とにか く作る競争をやっているのだという話なのですが、どこの国でもその産官学連携のあり 方が問われていることは同じでも、実は産業が学を応援するときの寄附のあり方が随分 違うという可能性もあります。EUやアメリカの大学に対する製薬会社の関与の仕方や 寄附のやり方などが本当に同じなのだろうか。それを全部、単に金銭的なルールのとこ ろだけ一緒にして、あとは何であれ、桐野先生のおっしゃったことでいうと、自分が株 式を持っているという話と、自分の大学に何らかの研究費の形でやってきているという のを単純に一緒にして、ただそれを金銭評価の形で、金銭というのは共通の単位にはな るものだから、それで一緒というのが本当にいいのかどうかということも、やはり考え ないといけない問題ではあると思うのです。  しかし、考えないといけないというのは分かるのですが、それは正解が簡単には出て こないものなので、今の桐野委員のお話にフリーライドして申し上げると、今回も検証 のところで最新の諸外国の基準情報等についてはフォローアップもしてくださるという ことなのですが、今のような点も、結局のところは可能な限りなのですが、委員の選び 方とか、その委員の報酬のあり方とか、独立性とか、その委員がどういう形でこういう 行政のところへ新薬承認等に関与しているのかの話と、同じように海外における利害関 係というので、全部入れ込んでいるのですが、利害関係の中で、アメリカやEUではど こをいちばん彼らが気にしているかが問題です。しかも、そこに違いを見いだすことが できたとしても、それにはそれなりの理由があるかもしれない。だから、それが寄附の あり方、結局、利害関係のあり方が異なる背景を有している可能性もある。というので、 いったい何を彼らがいちばん問題にしているのかというところまで、分かる範囲でフォ ローしてくださるとありがたいと思います。そう言いながら、これは課題としては検証 と残された課題のところへ、今日はすぐには入らなくて、今後入っていくことになるの ですが、そういう事柄について、御意見等をもう少し伺いたいと思いますが、いかがで しょうか。 ○杉浦委員 先ほど事務局の方から、まずいろいろな形でのアンケートを取ってみよう ということを言っておられたのですが、私はこれはその辺りから始めないと、実態はか なり違っていると思うのです。例えば寄附金についても、大学によってかなり捉え方が 違うのです。一律には捉えられない。例えば奨学寄附金の捉え方、運用の仕方などは大 学によってものすごく違うわけです。実態はどのようになっているのか。例えば受託研 究みたいなものだと目的は非常にはっきりしていますから理解し易いのですが、特に奨 学寄附金などというのは、割合と曖昧なところがありますね。最近はわりと企業も奨学 寄附金をやめていて、受託研究に移っているということを私は聞いていますが、どうい う実態にあるのかということをもう少し知っておく必要があると思います。  諸外国の状況なども、もちろん国情も違うし、文化も違うし、社会システムも違うか ら、同じようには扱えないけれども、諸外国においては、こういうことに関してどのよ うに捉えているのかということも知っておく必要があると思うのです。それを基にして、 日本として最も良い形はどういうものであるかは、やはり考えていかなければいけない。 公平な立場で、良いものを出していくというのが基本だと思うのですが、そういう意味 でいろいろなアンケートを早急にやっていただくことは、私はいいことだと思うのです。 ○桐野委員 私も全国的な違いを把握しているわけではないのですが、大学や大きな病 院でもそうだと思いますが、企業等が寄附をする場合は、当然、損金計上ができるよう な寄附の仕方をするわけですね。そうすると、それは機関の長に対して寄附をして、機 関から寄附の証明書をもらって、税務処理をするという形式になりますから、例えば大 学の個人に寄附金を寄附するということはないのです。その寄附の趣旨で、「○○研究 室の研究振興のため」などと書くかもしれませんが、形式は各機関の長であって、多く の大学では、これは機関経理でやっているはずであって、機関経理以外の経理をするこ とが、大体私にはよく理解できない。つまり、機関の、言ってみれば大学の会計の担当 者が、お金の出入りの管理から納品の管理もしているはずなのです。もうそこに入って しまえば、その個人が何に使うかを決める権利はあったとしても、それを好き勝手に使 うことはできないし、寄附金で1,600万円以上の物を買うときには、当然入札の制限な どいろいろ出てきて、勝手気ままにできるものではないはずなのです。そういう意味で は、確かに費目の幅が非常に広いものであることはそうかもしれないけれども、治験に よって入ってくる、治験の実施のお金などについても似たような性格があって、大学に 入ってきたものを機関のルールによってオーバーヘッドを一部撥ねて、例えば15%撥ね て、 85%についてどのように配当するというルールがもう大体決まっているわけです。そう いう意味で、個人的関係において、個人のお財布に入ってくるお金とはだいぶ性質が違 っていて、これはほとんどというか全部そうならなければおかしいのですが、そこのと ころはほとんどの国立大学法人では、機関の経理の担当者がこれを預かって経理をして いるものであって、場合によっては年度末の処理が要求されるものもある、と私は理解 しているのです。 ○日比野委員 前のWGも今回もそうなのですが、こういうものを作ろうという背景は、 産官学の連携はいいのですが、その過程でどうしても寄附金などいろいろなもので、審 査などがちょっと歪むことがあるのではないのという、ごく普通の世間一般の感覚があ ったと思うのです。だから、個別の事情はそれぞれあると思うのですが、基本は世間か ら見ておかしくないのですかという、そこをやはりきちんと踏まえていないと。多くの 研究機関はきちんとやっているとは思うのですが、その中でも一つ、二つ、何かあると 一事が万事みたいなところがあります。そういうことが起きないようにどうするのかと いうことを常に基本に置かないと、もし個別の事情を全部言ったら、それこそこんなの やらなくていいのではないのということまで、極論としていってしまうのではないかと、 私はそっちのほうがちょっと心配です。 ○審議官 事務局の1人として、この1、2年、実際どういうことに直面して困っていた かということに触れてみたいと思うのです。それは例えば審議会が、平明な言葉で言え ば、この医薬品の安全性・有効性について、こういうことではないでしょうかというこ とで、厚生労働大臣宛に答申をするわけですね。お答えを出していただく、あるいは研 究結果の形で、こういうことが明らかになりましたということをやっていただくわけで す。それに携わる先生方が、例えば研究対象の医薬品を扱っている企業なり、開発企業 なりから研究費をいただいていることがあった場合が問題になることがあるのかと思い ます。何が問題になるかというと、その科学者は、自分は科学者であるので、サイエン スに対してロイヤリティを捧げ、健康や患者のことを考えてやっているのだから、たと え研究費をいただいているとしても、それは全く私の研究やら調査の結果に影響を与え るものではありませんと。このようにお述べになるケースが非常に多いわけです。確か にそれはそういうことなのだろうと思うのです。  一方で、しかしアピアランスとして、例えば世間的に見て大きなお金が動いている中 で、いくらそれに関係なく、医師なり薬剤師なりとしてきちんとやっていますと言って いただいても、外見だけで、そういう条件があることで問題ではないかという見方があ る。そういう外見を残したまま、信じてくださいと言ってもそれは無理でしょうという ことで、壁に当たるわけです。一方で産官学の協調ということで、できるだけ良い薬を 早く、しかも安全な形でということも言われているわけです。したがって、それはある 程度協力しなければいけませんし、これは政府全体の方針として進めているような背景 がこれまた一つあるわけです。  そうした中で、それをどうやって克服していくのか。一方で、今申し上げたような外 見の問題は、直接法律に違反するなどの体裁はとらないわけです。例えば弁護士の双方 代理などの利害相反のお話とは少し違う部分がある中で、どういうルールでもって、例 えば審議会に御参加いただける先生が本当に御自分の信念に従ってやっているのだとい うことが、世間的にみて分かるような仕掛けといいますか、システムといいますか、そ れが未だ十分でないことがさまざまなところでいろいろ問題を作っている。これが、今 日、検証をお願いしているということではないかと思っております。  薬の安全性の問題や有効性の高い薬を早く出してほしいということと、一方で先ほど 花井委員がおっしゃられたように、基本的に薬事行政を見直すという動きがきちんとあ る中で、この問題をどう捉えているかということを踏まえると、政策の大きい柱の一つ ということで、私どものお願いといいますか、思いを説明させていただきました。 ○樋口座長 そうですね。難題ではあって、なかなか解決が難しい。しかし、本当は医 薬品だけの話でもないだろうと思っていますが、現代社会において、利害関係はさまざ まなところへ、いろいろな人がいろいろなところと関係を持ってというのは当たり前の ことなのです。それに対し形式的なルールを作って、それでただ満足しているというの でいいのだろうかという感じもするのですね。 ○桐野委員 よく分かりましたけれども、要するに社会との接点において仕事をする、 大学の部局ですね。病院が最たるものだと思いますが、しかも社会から研究費さえも受 けているという状況にあれば、利益相反状態は常に生じる可能性があります。それで、 利益相反状態であっても、なおかつ現実的にものごとを進めていく唯一の方法は、情報 を公開することだと思うのです。つまり、公開できる情報については公開をする。でき れば全部公開するというほうが、全くこれは個人的意見ですが、そのようにしてこうい う審議会の審査に当たったほうが、こと副作用などという重大な問題に関与する以上は、 委員も気持がいいと思いますし、その方がものごとがすっきりすると思うのです。その 場合に、それは大変な手間になる可能性があるので、そこを現実的にする方法をお考え いただくのがいちばんいいと私は思ったのです。  特に「大学法人等」と書いてある方は、いずれにせよ、○○審議会に参加している○ ○委員の○○企業との寄附金、治験、共同研究、受託研究関係を公開せよ、ということ を国立大学法人に対して要求すれば、国立大学法人は正確に公開するはずです。逆に言 えば、ほとんど公開情報なのです。ですから、公開しても何ら恐れるものはないはずな のです。個人的関係で受け取る分は個人の責任であって、逆に言えば、これを十分オー プンにしないまま、審議に参加していた結果、実はあるルールを超えていましたという ことになれば、ちょっと問題で、これは個人の責任であろうと私は思います。 ○樋口座長 私も全くそうだと本当に思っていますが、前回のWGでも、ここのWGの アジェンダを超えていたらしいのですが、薬事審議会の議事録の公開のあり方をもう一 歩進めたほうがいいというように、WGの中では意見がまとまって、そのようにお願い したという経緯もあります。そういう形で公開という話が、つまり恥ずべきところはな いという話がきちんとあれば、いくらもらったから、もうお前は発言してはいけないと いう形式的なルールを適用すること、そういうやり方が本当にいいのかどうかについて もあらためて検討する必要があります。アピアランスももちろん大事なのだけれども、 アピアランスしか考えられないというのは本末転倒であり、そういう形式だけで人を判 断していくのはどうなのだろうかという思いがあるのです。  しかし、さまざまな課題が残っているので、そのためにも調査から始めるということ があるので、この検討委員会として、どれだけのことがやれるかという具体的な話が出 てくると思いますので、次に、今後の進め方についてというところへ議題を進めたいと 思います。 ○総務課長補佐 今、各委員の先生方からいろいろ御発言があった部分について、十分 まとめられていないかと思いますが、今後の調査とも絡みますので、少し整理させてい ただければと思っております。まずは、次回以降、この検討委員会に提示すべき資料と いう意味ですが、私どもは資料6あるいは資料7を基に提案させていただいたわけです。 それに加えて、先ほど来の発言に基づくと、例えば審議会そのものの全体の位置づけを 明確にするよう、所掌関係や、具体的な審議あるいは流れがどうなのかについてまとめ た資料を次回以降、提示させていただければと思っております。  そのほか、今回、御審議いただく内容は薬事審議会における遵守事項といいますか、 利益相反ルールですが、実質的な審査については医薬品医療機器総合機構で行っており ますし、そこは外部専門家を招いているわけです。そこで、あくまで参考として医薬品 医療機器総合機構における状況、利益相反の対応状況等についても、可能な限りお示し させていただければと思っております。  そのほか、このルールそのものの妥当性を検証するためには、この薬事審議会の委員 と、アメリカあるいはヨーロッパのいわゆる諮問委員会といいましょうか、そういうと ころの委員の位置づけといいましょうか、立場といいましょうか、やり方あるいは報酬 等も含めたものについて少し調べて、そういうものを含めた比較ができるような調査内 容を御報告させていただければと思っています。  そのほか、産学官連携のあり方、あるいは欧米の経済的利益で考えるときの基本的な 考え方という部分もあったかと思いますので、何に重きを置いて取り扱うべきかという 部分についても、これは個別の聴取りという形にならざるを得ないと思いますが、もう 一度、確認させていただければなと思っております。  それから、奨学寄附金の関係等については、いずれにしても実態調査ですね。実際の 取扱い、機関経理の実態などのことも、再度実態調査をさせていただければと思ってお ります。そのようなことをアンケート調査、あるいはその他の方法で調査・精査して、 次回以降その資料をお示しさせていただくということが今までの御議論だったかと思い ます。内容については、そういう形で御確認いただいたと御理解させていただきたいと 思います。  今後の進め方ですが、今、御確認いただいた内容も含め、具体的には厚生科学研究班 とも協力しながら、いろいろ調査をしたいと思っております。それが夏休みの調査とい う形になるのだと思いますが、それが終わって、予定では9月以降、その調査結果につ いて、当検討委員会に御報告させていただき、審議を続けていただくということです。 当検討委員会ですが、年末までに結論をいただくことを想定しておりますので、次回に ついてはできれば9月ごろに開催し、その後12月までの間、できれば月1ペースで検討 委員会を開催し、年末に取りまとめていただく予定としております。あるいは必要な場 合にはその変更等の取りまとめをお願いできればと思っている次第です。 ○樋口座長 今のような御説明、今後の進め方について、いかがでしょうか。 ○神山委員 「アンケート調査事項」ですが、大学会計・経理担当者への調査事項で、 「会計・経理担当者への調査内容」で、(4)の「組織的利益相反に係る各種判断へのバイ アスの有無に関する考え方」、この文章自体意味が分からないのですが、こういう考え 方を経理担当者に聞くというのはどうなのかなという点です。それから、(5)の「いわゆ る奨学寄附金の制度的な位置づけ等」と書いてありますが、制度的な位置づけだけでは なくて、奨学寄附金を使うルールが大学によっていろいろではないのかとも聞いており ますので、その辺を詳しく聞いていただきたいと思います。 ○総務課長補佐 最初のほうの御質問で、「バイアスがかかるかどうかという考え方」 と書いています。これは経理担当者だけではなくて、各先生方にも同様に聞かせていた だこうということで、要はそういう組織的なバイアスがかかるのかどうか、関係者の皆 さんに一様にアンケートさせていただこうということで書いているところですので、会 計経理担当者だけではないと御理解いただければと思います。  二つ目の御指摘の部分については、御指摘のとおり、調査事項に含めさせていただけ ればと思っています。 ○花井委員 関連して、「識別可能性等」は、例えばA企業から○○大学に来ましたと。 そこに「第○○内科の○○の研究のため」とか書いてあるという趣旨でしょうか。 ○総務課長補佐 そうです。基本的にはそういう感じですが、もう少し詳しく言うと、 例えば○○講座に入っていただく場合に、それが教授宛なのか、准教授宛なのか、助教 宛なのか、そこまできちんと分けられて、書類上そういうのが識別できるような形にな っているのかどうかということも含んでおります。 ○花井委員 もう一つ、これはちょっと素人っぽい考えなのですが、企業は公開したが らないものなのですかね。一部、公開してしまった企業もあるようですけれども、逆に 言えば、文脈は違いますが、株主から言えば、どこの大学はどれだけやっているのだみ たいな話はあるかもしれないですが、企業としては公開すること自体はそんなに嫌では ないかもしれないのですが、そこはどういう感じなのですか。何か企業は悪者のように されるわけだから、こっちは別に悪いことをしていないと、企業に公開を要請すれば、 わりと素直にみんな出すなどということはないですか。 ○審査管理課長 私が聞いている範囲で申し上げますと、企業もそんなに喜んで出した いという感じではないのではないかと思っております。審議会の先生方も、先ほど桐野 委員からもおっしゃられましたように、自分はボランティアだと思って、多くの時間を 割いて審議会活動に参加している。それなのに何か疑われているかのように、宣言をし ていかなければいけないということをおっしゃられるわけです。それと同様に、企業も そのようなことを思っているのだろうと思います。特に難しいと思っているのは、承認 審査で申し上げると、申請企業は、当然のことながら承認をもらいたいわけですから、 その一連の義務だとすれば公開すると思います。しかし、難しいのは競合企業で、何で うちまで公開しなければならないのというところが難しいかなと思っております。いず れにしても、この問題は非常に複雑な要素を含んでいると思いますが、とりあえずの感 想を述べさせていただきました。 ○日比野委員 細かい点ですが、(2)に「受領に関する学内関係者への周知・情報公開の 有無」とありますが、学内関係者だけではなくて、学外への情報公開もやっているか、 やっていないかということも、併せて聞いていただきたいと思います。学外からアクセ スして、それが知ることができるかどうかということです。 ○神山委員 医薬品には全く関係しない話なのですが、首都大学東京で、ある教授が、 ある企業からお金をもらっている。その方は、講演みたいなところで、こういう所から お金をもらっているとしゃべっておられるらしいのです。それを情報公開請求した人が いて、情報公開請求をしたら、お金をもらっていることは出てきたのですが、企業名は 黒塗りになっていて、これは企業の利益を損なうということで黒塗りになって、東京都 の情報公開審査会に申立てをしても却下されてしまったという例があります。その寄附 はどこから来ているか。明らかにこれは別の審議会の委員なので、利害相反の問題なの ですが、企業名が出てこないという事例があるのです。だから、必ずしも学外に全部、 医薬品は分かりませんが、あらゆる面で情報公開しているということではないようです。 ○樋口座長 東京都の情報公開審査会の結論が適切なのかどうかはまた別の問題だと思 いますが、競争上の地位を害するということですかね。しかし、ちょっと聞いた感じで は、私などは、その理由ではなかなか納得しがたいような感じがします。でも、先ほど も申し上げましたが、産官学連携の寄附のあり方というのが、この検討委員会で何らか の結論が出て、そういう方向にすぐ行くというほど、私も楽観的に考えていないのです が、そうはいっても、もしも可能であれば、産官学連携は進めるのだというときに、さ らにもう一歩、こういう寄附のやり方をやれば、堂々とやれるのだという方向性をはっ きり出しておけばよかったというか、それはなかなか難しいのかもしれないのですが、 それを今後どこかで考えてあげると、委員になって一生懸命やっているのに馬鹿馬鹿し いという感じがするのでは本当に気の毒で、そのようなことを解消する策になるかもし れません。それから、ちょっと言い過ぎになるのかもしれないのですが、たまたま日比 野委員が真正面におられるからお名前を出して申し上げますが、日比野委員が属してお られる新聞も、いろいろな製薬企業から広告を取っておられる。しかし、そうだからと いって、日比野委員がここでそれに動かされて発言しているなんて、私は絶対に思わな いわけです。私に限らず、誰も思わないのです。結局のところ、それはいったいなぜな んだろうということなのです。それは我が国においては、マスコミに対する信頼が絶大 なものがあるのかもしれないのですが、それだったら、こういう研究者であれ何であれ、 それと同じような信頼感を獲得するにはどうやっていったらいいかということを考え る、そういうことがあっていいですよね。ここでこういうことを考える中でそのような ものもできていったらいいと思います。 ○花井委員 議論として、今言っているようなマスコミの関係などというのも重要だと 思います。それから、ここで問題になっているのは薬の安全性、審査と安全性を評価す る客観的評価、しかもこれはオフィシャルな評価であると。要するに主役は行政であり、 審査機関なわけです。ここが正当に中立的に、ちゃんと評価するのに、外部の人の協力 をしていただくわけです。そのための基準という限定的な話で、本来はそういう意味で いえば、外部の人を頼らなくても、いわゆる行政官の専門家が客観的に評価をできれば、 実はもう審議委員は要らないという話になるのですが、必ずしもそうではないので、今 のような形になっていると。  一つは行政官がバイアスがかかるので、外部からそれを監視するという話も、もしか したらあるのかもしれませんが、ちょっとそれは考えにくいですね。制度設計からすれ ば、行政官と審査の人は全く中立であり、中立なのだけれども、専門的分野については 知識が足りないので、協力してもらうという話と、今アメリカや日本、ほかでもいろい ろ議論されている話は、いわゆる医療のあり方全体の中における、コマーシャルカンパ ニーのイニシアチブが非常に大きくなっていると。医療のあり方そのものが、商業的な バイアスによって歪められているのではないかという大きな文脈があるのです。この中 にも、一つこの審議会が位置づけられるということで、二つ大きく整理すべきかと思う のです。本来は、後者の方が非常に重要だと薬害被害者として考えており、もっと大き な足場で議論しなければいけないとは思います。  ただ、日本の審議会のあり方ということでいえば、まず行政がちゃんと中立的に審査 できればいいのであって、そこに専門家にどんな力を借りなければいけないのかという ところは、疑問視する向きもあるのです。先ほども言いましたが、下でPMDAでやっ たら、上はお飾りでないかとか、それだったらもうやらないで、薬事法上諮問しなけれ ばいけないから諮問するのであれば、むしろ専門領域を外してもいいとも言えるのです。 つまり、専門的な細かいところは、もう論点はあって、整理されているのだったら、要 は社会と医薬品とのコンセンサスメイクなのだから、むしろ薬を知らなくたって評価で きるわけですよ。こういう薬を市場に置いていいかどうかの評価は、サイエンスではな いですね。そういう考え方もあるので、そこは何か分けたほうがいいかなと。私の理解 では、前者がこの検討委員会の仕事だけれども、後者についても今後議論になるので、 一つ研究とか議論の筋として、情報を集めておくと。この二つのラインでやっていくの はいいのではないかと思います。 ○審査管理課長 今、花井委員がおっしゃられた審議会の役割ですが、おそらく歴史的、 あるいは総合機構の整備等に伴って、少しずつ変化しつつあるのかなと、私自身は感じ ているところです。すなわち、総合機構ができる前、厚生労働省、当時の厚生省におい て、20〜30人のスタッフでやっているときには、審議会の最大の役割は外部の専門家と しての知恵を借りるということであったのだろうと思います。その後に審査センターが あって、総合機構という形になっていったわけですが、200〜300人規模で審査官を揃え る。それぞれ博士号を持っているかどうかで専門性を測るのもあれかもしれませんが、 かなりの方がそういうものである。医師も20人強でてきた。さらに専門協議という形で、 外部の専門家の知恵を借りながらも一定レベルの結果は出てきたのだろうと考えられま す。  今の審議会の役割は、そういう意味から申し上げると、先ほど申し上げた部会でも20 数人の委員がおられるわけですが、抗がん剤なら抗がん剤の審査をするときに、すべて 抗がん剤の専門家ではありません。抗がん剤の専門家も1人、2人おられますが、感染 症の専門家であるとか、ほかの専門家であるとか、薬物動態の専門家であるとか、薬の 表示の専門家であるとかという形です。そういう意味で申し上げると、もちろん抗がん 剤の専門性は一応持ちながら、その薬としての承認を、機構における審査を、大きな目 で見て、誤りがないかどうかをある意味で検証しているのかなと。総合機構でやられた 審査を専門あるいは薬という観点から、いろいろな分野の専門家が集まって検証してい るという役割なのではなかろうかと思うわけです。  アメリカにおいても、FDAは御存じのとおり3,000人近い体制をとって、我が国以 上にそれぞれの専門家を内部に抱えているわけですが、かなり多くの新薬については、 アドバイザリコミッティとして、外部の人たちの意見を聞く機会を持っているわけです。 そのアドバイザリコミッティの役割は、FDAはおそらく専門性を要求しているわけで はなくて、外部からの検証を考えているのかなと。あくまでも個人的な感想ですが、そ ういうところで整理できつつあるのかなと考えている次第です。 ○樋口座長 だんだん時間も迫っているのですが、ほかに委員の方から御意見、今後の 進め方について、あるいは今までの全体的な話で結構なのですが、どうぞ。 ○桐野委員 薬の審査をしますね。それが実は相当問題がある薬であって、後日その問 題点が露顕する可能性が明らかであるようなものを、企業の立場を慮ってその問題点を 指摘せずに、それを通してしまうことがあったとしても、それはその企業にとって何の 役にも立たないはずなのです。今の社会から、いろいろな薬害などの問題が非常に厳し く指摘される状況においては、その薬はあっという間に市場から消えてしまいます。場 合によっては、その間に発生した薬の問題について把握していたにもかかわらず、それ がうまく出てこなかったということがあれば、大変なことになるわけであって、場合に よってはその企業の浮沈にかかわるわけです。逆に言えば、仮にある企業から一定の奨 学寄附金を受け取っている研究者であったとしても、その人が必ずその企業の立場を守 るためにおかしな助言をするということは、現状の薬事行政や薬に対する社会の考え方 から見れば、むしろ方向は逆であって、適切なことを言っておかなければ、場合によっ ては自分さえも危ないということがあります。そこを踏まえた上で、私個人は情報の公 開を優先しておやりになればいいと、何度も同じことを言ってますけど。 ○樋口座長 資料6を見ると、残された課題としては極めてスペシフィックなトピック が並んでいるのですが、結局こういう問題を扱っていくと、一方では今日、神山先生の 御発言から始まって、結局、薬事行政の全体とまではいかなくとも、大きな問題に関わ ってくるような気がします。新薬、あるいは医薬の安全対策にかかわるところの決定シ ステムのあり方から始まり、産官学の連携における企業のかかわり方、就中、情報公開 のあり方、いろいろな批判があるときに、十分、分かっていて批判される場合と、分か らなくて、分からないからこそ批判するという疑念が湧く部分もあって、この問題はや はり後者の要素も随分大きいのかなという気がするのです。だから、公開の場でこうや って議論していく中で、議事録等も公開されますし、資料も、調査関係でいろいろ私も 含めて分からなかったことが、今度の研究班の調査等でも出てきたりして、国民の皆さ んにも以前よりは分かっていただけることで、心配や不安が少しでも減じていく形にな ればいいのだがというように願っております。  ともかく調査・研究から始めようということで、これは事務局への要望なのですが、 前回のWGでも委員の中にも専門家が何人もいらっしゃったのですが、それ以外の方に も参考人という形で出てきていただいて、御意見を伺ったりしてというのも非常に有益 だったような覚えがあります。研究班の調査がまず何か出てきてというのはありがたい ことですが、それ以外の方でも、どなたかここで議論に参加していただくというか、御 意見を言っていただくような適切な方がおありかどうか、そういうことも少し検討して くださればありがたいと思います。ほかに何か委員の方からありますか。  最後は、議事次第の中に一応「その他」と書いてありますが、これは事務局の方で何 かありますか。 ○総務課長補佐 特にあるわけではありませんが、今、樋口座長から御提案があった今 後の進め方の関係では、参考人ヒアリング等々については、また私どもの方でも考えさ せていただきたいと思います。先生方からも、こういう方々から意見を聞いたほうがい いのではないかということについては、また事務局の方に御意見いただければ、それを 踏まえて座長とも相談して、できる限りそういう機会を設けさせていただければと思っ ております。  それと先ほど必要な調査事項の中で、情報公開の関係がありましたが、企業名の公表 などについても、今度のアンケート調査の中で、企業名を含めて公表するのかどうかも、 当然確認させていただく予定にしています。基本的には、そういうのも公開されている とは理解しておりますが、改めて確認させていただければと思っております。  「その他」ですが、先ほどの繰り返しになりますが、次回検討委員会は、9月に今い ただいたような調査結果を中心に報告させていただく予定にしております。9月以降の 検討委員会の日程については、追って事務局の方から日程調整をさせていただければと 思っておりますので、御協力をよろしくお願いしたいと思います。 ○樋口座長 この厚労科研の研究班というのは、もう設置されているものなのですか。 これからなのですか。 ○総務課長補佐 設置が予定されております。昨年度のWGのときにも御紹介させてい ただいたかと思いますが、昨年、国立医薬品食品衛生研究所の長谷川部長を中心とした 厚生労働科学研究班をお願いしましたが、同様の研究班体制でお願いしたいということ で、御了解をいただいております。今日いただいた内容も含めて、どこまでできるか、 これから御相談して、詳細を詰めて、早急に研究班としての活動に取りかかっていただ こうと考えているところです。 ○樋口座長 それでは、研究班の成果を踏まえて、第2回ではより実質的な審議をした いと考えます。今日は、長時間にわたってどうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 総務課 課長補佐 菊池(内線2714)