08/07/07 第2回高度医療評価会議議事録 第2回高度医療評価会議 (1)日 時:平成20年7月7日(月)14:00〜16:00 (2)場 所:東海大学校友会館 阿蘇の間 (3)出席者:猿田座長、山口座長代理、飯沼構成員、伊藤構成員、金子構 成員柴田構成員、関原構成員、田上構成員、田島構成員、藤 原構成員、村上構成員、山本構成員、澤技術委員        (事務局) 医政局研究開発振興課長 保険局医療課長        医薬食品局審査管理課長 医政局研究開発振興課治験推進室長 医政局研究開発振興課医療機器・情報室長、        医薬食品局審査管理課医療機器審査管理室長 他 (4)議 題:1 新規申請技術(5月受付分)の評価結果等について        2 新規申請技術(6月受付分)について        3 迅速評価の対象とする技術の要件(案)        4 その他 (5)議事録:以下 ○猿田座長  皆様方お忙しいところ、また天候の悪いところ、第2回の高度医療評価会 議にご出席いただきましてありがとうございます。  本日の構成員の出欠状況ですが、川上委員、佐藤委員、竹内委員が欠席で す。飯沼委員に関しては、少し遅れて出席なさるそうです。本日はお忙しい ところ技術委員として澤委員にご出席いただいています。よろしくお願いい たします。  それでは早速、本日の資料その他、事務局のほうからご説明をお願いしま す。 ○事務局   まず、配付資料を確認します。まず、1枚目が議事次第です。2枚目は座 席表です。3枚目は開催要綱です。4枚目は構成員の名簿です。  次に資料1-1として、審査案件の一覧表です。資料1-2として、今日の 審査案件の評価等です。資料1-3として、番号002ということで、今日の 2つ目の案件の資料です。  資料2として、「迅速評価の対象とする技術の要件(案)」という1枚紙。 資料3として、「利益相反の申し出について」という資料です。その他参考資 料として、参考資料1「高度医療評価制度の概要」、参考資料2「第3項先進 医療技術及び医療機関一覧」です。  また、委員の皆様には、本日の審査案件2件の申請書の写しを、それぞれ 一部ずつお手元に用意しております。  本日の資料は以上でございます。過不足がございましたらお知らせくださ い。よろしいでしょうか。  続きまして、本日の審査案件の確認をさせていただきます。資料1-1をご 覧ください。本日の審査案件は2件です。まず、整理番号001、腹腔鏡補 助下肝切除術です。関係する医療機器が、タイコヘルスケアジャパン社の Cool-tip RFシステムの肝悪性腫瘍の凝固に使用する適応外の医療機器です。  もう1つが整理番号002、Intuitive Surgical社のda Vinci Surgical Systemという未承認の医療機器です。  これら2社の2つの製品に関して、事前に事務局から各委員の皆様に利益 相反の確認をさせていただいておりますが、これら検討対象となる機器の製 造販売企業または競合企業に関して、特別の関与に該当するような事例のご 回答はありませんでしたが、念のためこちらで再度確認をさせていただき、 回答なしということでよろしいでしょうか。 ○猿田座長  よろしいですね。どうもありがとうございました。これからの案件におき ましても、どうしても利益相反の問題がかかわってくるものですから、その 都度確認させていただくと。それで、もしそういった関係がある場合には、 そういった発言を控えていただくという形で進めることになると思いますの で、よろしくお願いします。  それでは、早速議題の1に関しまして、事務局のほうから説明をお願いし ます。 ○事務局   それでは、資料1-1をもう一度ご覧ください。本日の会議におきます2件 の審査案件ですが、番号001、腹腔鏡補助下肝切除術については岩手医科 大学附属病院から申請がありまして、審査は藤原先生、佐藤先生、山口先生 にお願いしております。後ほど評価表のご説明をいただきますが、総評欄に は「条件付き適」と整理をさせていただいております。  番号の002、ロボット支援手術については東京医科大学病院と協力医療 機関として金沢大学附属病院から申請がありまして、審査は竹内先生、田島 先生、山口先生、澤先生にお願いしております。総評欄には「条件付き適」 と整理をさせていただいております。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。ただいまの説明に、どなたかご質問はご ざいますでしょうか。特にございませんので、早速いまの001、腹腔鏡補 助下肝切除術に関しまして、審査いただきました藤原先生に説明をお願いし ます。 ○藤原構成員  資料1-2で説明します。申請の名称ですが、腹腔鏡補助下肝切除術です。 医療機関は岩手医科大学附属病院でして、資料1-2の3頁、これは申請者の 岩手医科大学から出された「高度医療の内容(概要)」です。  申請時の適応としては原発性肝癌、転移性肝癌、肝良性疾患、生体肝移植 ドナーとなっております。  内容は簡単に申し上げますと、従来は先進医療として腹腔鏡下の部分肝切 除が主にやられていたところですが、もう少し広い領域で肝葉切除なども視 野に入れた腹腔鏡下の切除を、ここの当該適応の対象に行いたいというよう な内容です。  実施体制につきましては、癌研の山口先生にご評価いただきまして、「適」 「適」とそこに書いてありますように、問題ないでしょうと。岩手医科大学 自体も、腹腔鏡補助下肝切除術の実際の症例数の経験もかなりあるでしょう ということでした。  2つ目、倫理的観点からの評価は、今日ご欠席の佐藤先生のほうに行って いただきました。「適」「適」となっていますが、実施条件として、「生体肝移 植ドナーを対象に追加することについては、院内倫理審査委員会による審査 の内容について確認をしてほしい」というお言葉をいただいております。  2頁は、実際に申請書に入っていたプロトコール、試験の実施計画書を、 私のほうで見させていただきました。「不適」と書いてありますが、なかなか こういう研究的診療を行うという視点から見た場合に、必ずしも十分な記載 がされていないというところを「不適」としてここに記しておりまして、実 際はその辺を全部適正に直していただければ可能かなとは思っています。  その実施の条件として大きな所を特出ししたのが、プロトコールの評価の 実施条件欄です。なかなか肝移植のドナーに対してこういう研究的診療をい きなり持ってくるのは、まだほかの肝癌や転移性の肝腫瘍とか良性肝腫瘍で の症例数をしっかり踏まえた上でやるほうが、プロセス的には妥当かなと考 えていまして、今回の試験対象からは、私は除いたほうがいいのではないか と考えています。  有害事象の欄、プロトコールのほうにいろいろ記載しているのですが、タ イコヘルスケアジャパンから出ているCool tip RFシステムというのは、独 立行政法人の医薬品医療機器総合機構のほうから2005年11月付で機器 の審査報告書が出ていまして、それを読んでみると添付文書に肝破裂とか、 結構重篤な副作用についても注意しましょうということが記載してあったの ですが、今回の患者さんに対する同意説明文書などの所で、そういうところ がきちんと触れられていないようですので、それを予想される有害事象の欄 できちんと述べてほしいというところを、実施条件にそれを加えさせていた だきました。  また、評価方法として、整容性とか創部関連愁訴に関して評価するとは書 いてあるのですが、では具体的にどのようにするのかというのは、プロトコ ール中では全然明記されていませんので、もう少しそれを詳細に書いてほし いと思います。  さらに、モニタリング体制は、いつも臨床研究をやるときのモニタリング の体制とか実施方法については、種々の研究者に応じての定義づけが曖昧で、 何がモニタリングかというのがよく議論されないまま進んでしまうので、少 しここのところは、今日ご来席の先生方のご意見も聞いてみたいところです が、提出していただいたプロトコールを見てみると、何かモニタリングとい うのが患者さんの臨床経過をフォローすることがモニタリングですというよ うな記載ぶりになっていまして、それは研究的診療としてはちょっとおかし な話だと思いました。こういう研究的診療をやるのであれば、事前にCRFが 作られて、それが試験の進捗する中、カルテの記載に基づいて埋まっていっ て、一定の症例数の記載が終わったところで全体の有効性・安全性を評価し ていくというのが通常の研究の流れだと思います。したがって、カルテから のCRFへの転記の状況とか、実際の診療内容がちゃんと後から振り返ってみ てドキュメンテーションされているのかとか、その辺をフォローする本来の モニタリングということが、きちんと行われることを担保して欲しいと思い ました。  以上まとめたのが総評の所です。予定試験期間は5年で、予定症例数が1 00例です。実施要件としてはここに書いてある、先ほど述べたものも踏ま えてですが、訂正していただければ、このグループの技術的なことに関して は全然問題ないと思いますので、可能ではないかと考えています。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。なお、技術面に関しましては山口先生に 見ていただきましたので、山口先生のほうから説明をお願いします。 ○山口座長代理  この術式に関しましては、実施責任医師の体制、実施機関の体制に関して は、2つの観点から重要だろうと思います。1つは、何といっても肝臓の手 術に対する十分な経験と技術がなければいけないことが1つ。もう1つは、 そこに腹腔鏡の技術を導入するということです。従ってそのいずれの技術に 関しても、ある程度その施設のレベルが担保されていなくてはいけないと思 います。  そういう点からいうと、岩手医大に関しては、特に問題はないと思います。 腹腔鏡に関しても経験のある先生がおられますし、肝臓の術式に関してもい ままで実績があります。岩手医大はいいのですが、今後ほかの大学から出て きたときには、腹腔鏡の本当の専門家がいるかとか、そういうところは十分 検証しないといけません。自分たちは肝臓の手術ができるから、腹腔鏡下手 術も当然できるという論理でやられてはまずいと思います。  本術式に関しましては、5年ほど前までは、すごく症例数が増えてきて、 200例ぐらいが国内で行われていました。そのあと2004年から急に減 って、おそらく腹腔鏡下手術の適応を勝手に広げてはいけないという自覚に よるものだと思うのですが、100例以下になって、また最近少しずつ増え てきています。お腹の手術の中でも特に肝臓の手術は、非常に大きな長い創 を作ります。ですから、それが小さな傷でできるというのは、胃や大腸の手 術でもメリットではありますが、特に肝臓の手術はメリットが大きいと思い ますので、この技術の有用性に関しては、安全にできれば問題はないと思い ます。  最後に生体肝移植に関しましては、私は何もコメントしませんでしたが、 やはりいま藤原先生がおっしゃったように、ちょっと問題があるのではない かと思います。特にドナーに関しては絶対安全ということは何にも増して要 求されることですから、あまり試験的なことはやるべきではないと、私も個 人的な意見で同意します。以上です。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。いま藤原先生、山口先生にご説明いただ いたような形で、1番の適応に関しては、生体肝移植のところはちょっと問 題である。特にドナーについての手術では慎重であるべきということで問題 あるということと、この技術においては、いろいろな先生方のご意見を聞い ても出血の問題があるということで、特に安全性のところをしっかり確認し なければいけないと思います。  あと、いま藤原先生からご指摘いただいたモニタリング体制のところも重 要な点ということかと思いますが、委員の先生方からご意見をいただけませ んでしょうか。何でも結構です。 ○山本構成員  国立循環器病センターの山本です。先ほど藤原先生からモニタリングにつ いてのご意見が出ましたが、気になるところがありました。高度医療実施申 請書の「被験者等に対して重大な事態が生じた場合の対処方法及び補償内容」 という、高度医療実施計画の9.の所に、「24時間体制で必要な検査・治療 が対応可能である。迅速な有害事象または一切ない有害事象が生じた場合、 検査内容をその家族に可能な限り客観的かつ正確な情報を提供するとともに、 医学的に最善と考えられる対処を行う」。これはいいのですが、「以後の院内 における報告並びに対処は、その1つの医療を挙げて有害事象の報告に従う」 というものですが、そこの院内規定の内容が提出されておりませんので、実 際にはどのようにやるのかがわかりません。  厚生労働省の医薬品等安全報告や企業報告制度による決まりに従って行う ということですが、現在改定作業中の臨床研究の倫理指針も改定されました ら、有害事象についての厚生労働省への報告等、そういうものがかかわるこ とになっていますので、パブコメの状況で、確実ではないですが、たぶんあ あいう安全性に関しての一段厳しく格上げされているところが変わることは あまりないと思いますので、ちょっとここについては、少なくとも施設の倫 理委員会への報告と、ものによっては本省への報告が上げられないといけな いのではないかと思います。そこの報告体制をもう少し具体的に書いていた だいたほうがいいのではないかと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。これは他の所の事例でも、やはり前に問 題になったことがあります。非常に重要な点ですので、いまご指摘いただい たことは、向こうの施設にしっかり書いていただいて、理解していただくこ とも大切です。ほかにご意見ございませんでしょうか。 ○伊藤構成員  説明書を見ると、あまり詳しく書かれていないような気がするので、これ だけを読んでも腹腔鏡補助下肝切除術というのが一体どんなもので、普通の 手術とはどこが違うのかがよくわからないような気がするのが1点。  もう1つ、これは50万円近くのお金を支払うということだろうと思うの ですが、そうなると、何かエクストラのお金が44万9,000円かかります と言われると、そんなに低い額ではないような気がするので、もうちょっと どこにお金がかかるのかぐらいは書いて差し上げたほうが、被験者の方には 親切かなという気がしました。 ○猿田座長  おっしゃるとおりだと思います。いまの点は、もう少し細かく書いていた だければいいと思います。 ○関原構成員  私の質問というか疑問ですが、この手術は私の場合もそうだったのですが、 術前の診断と異なりお腹を開いて肝臓を直に見たら実際は転移が2つではな く3つありました、4つありましたというケースは結構あるわけです。腹腔 鏡による肝転移手術の場合にも、確実に診断・切除できるのですか?開腹し ないと私はちょっと怖いような気がするのです。それと先ほどのメリットと いうのは、結局傷が大きいか小さいかというそこだけだとしたら、そのメリ ットと転移のリスクとのトレードオフの話、患者にそこのところをよく説明 する必要がある。開腹したら数がたくさんあったというケースは、すごく多 いのではと心配します。  私も非常に大きな傷はあります。だけど所詮はがんを患い切ったのだから もう大きな傷があってもしょうがないという一種の開き直りがあるものです から、この手術のメリットをどのように考えたらいいのかというのが疑問で す。 ○猿田座長  関原委員は経験なさっているということです。どうぞ。 ○山口座長代理  現在、肝転移の術前の診断は、個数も部位もほとんど当たります。希に1 3個と思ったのが14個とか、そういう例ももちろん稀にはあります。ただ し、そういう多数あるものは、腹腔鏡の手術の対象になりません。問題は少 数例あった場合、あるいは怪しいのがある場合ですが、腹腔鏡から超音波の 機器を入れて、それで直接腹腔内から超音波を当てて見るという非常に精度 の高い方法があって、手で触ったりするよりはずっと正確に診断できるので、 それはあまりご心配されなくても大丈夫ではないかと思います。最終的には、 我々もオープンでやったときも表面から直接超音波でやりますが、そういう 機器が腹腔鏡ではもう存在していますので、大丈夫だと思います。 ○猿田座長  ありがとうございます。ですから、先ほども話がありましたように、術前 にしっかり診断をつけて、しかも患者さんに説明をしっかりするということ で、少し細かくプロトコールその他を書いていただくということです。 ○関原構成員  傷の大きさというのは、変な話ですが、肺がんの場合は背中を切るから相 当負担が大きいのです。ところが腹部の場合は、少し大きい、小さいという のは、さほど私自身は感じなかった。従って、患者に対するこの手術のメリ ットの説明の仕方によって患者の選択は変わるはずです。 ○山口座長代理  実は患者さんは表面しか見ていませんが、転移の手術というのは、ご存じ のように何回もやることがしばしばあります。ですから、その都度広範の癒 着を剥がすのは大変な作業です。ところが腹腔鏡下手術による、小さな傷だ と癒着はほとんどありませんので、何回でも容易に取れるという外科医にと っては大変大きなメリットがありますので。 ○関原構成員  外科医にとってもメリットが大きい。 ○山口座長代理  表面の傷だけではないということをご理解いただきたい。 ○猿田座長  ありがとうございました。ほかにご意見はございますか。 ○金子構成員  適応から肝移植ドナーを省くということだったのですが、50例の中には 肝移植ドナーの症例はないのでしょうか。実績は50例あるような説明をさ れたと思うのですが。 ○藤原構成員  たしかこれについては、岩手医科大のほうで倫理委員会にかけますという ような記載があったような記憶はあるのですが。 ○金子構成員  もう1点費用の点ですが、内視鏡補助下肝切除術というそれ自体は、もう 保険の適用になっているのですか。それも駄目なのですか。 ○山口座長代理  されていないと思います。 ○金子構成員  そうすると、だから内視鏡手術全部が高度医療負担になってしまう。 ○藤原構成員  その辺はちょっと、たぶん資料1-2という形で申請者から上がっている概 要とかで、現在承認されている先進医療の部分と、それから今回上がってき ている高度医療評価の部分の区分けがちょっとはっきり読めないところがあ るので、たぶん腹腔鏡下の部分肝切除というのが先進医療下で通っていて、 今回は腹腔鏡下のもう少し広い肝切除にまで広げているのではないかと思う ので、これは資料1-2というか、申請者にそれを打ち返して記載の整理をき ちんとお願いをしたほうがいいかもしれないです。  もう1つ費用のところを伊藤先生からもご指摘があったのですが、私もそ れを思っています。明細書を見ると結構いい加減に計上しているような感じ がしたので、これはたぶん高度医療評価ではなくて、あとで中医協のほうで 詳しく見ていらっしゃるのだとは思いますが、今後の審査のときに、申請書 の中にたくさん、いくらいくらと計上しているところは、私ども高度医療評 価の委員はあまり見なくてもいいのかどうかというのを事務局の人に確認し たいのですが。 ○事務局  このあと先進医療専門家会議で評価していただくので、高度医療評価会議 でその点もよく見てくださいというコメントがありましたということで、先 進医療会議のほうに委ねたいと思います。 ○猿田座長  ほかにございませんか。 ○柴田構成員  国立がんセンターの柴田です。予定登録数と試験疾患の関係について1点 確認させていただきます。こちらはすでに実績が50例で、全体の予定登録 100例、年間10例前後という予定で5年間ということになっていますが、 有効性の評価項目の中には、悪性疾患の症例に関しては長期的な再発率・再 発形式を評価するというように書いてあります。5年間では登録が終わった だけで、長期的なフォローは大丈夫なのかというのを、ちょっと確認させて いただきたいのですが。 ○事務局  ご指摘のとおりで、症例を登録するのにということで、試験期間5年の計 画ですので、このあとも含めると、さらに時間はかかると思います。  ただ、すでに実績がある症例50例は、一応不定的なその辺の観察期間を すでに済んでいるので、その部分を追加することで、いまのところまずは5 年という形で計画がされているということです。 ○猿田座長  ありがとうございます。もしほかにご意見がないようでしたら、これまで の皆様方のご意見を活かして、一応、生体肝移植のドナーについての部分は 外させていただくということと、先ほど特にありました文章の説明で、なぜ こういった形になるかということを少し細かく書いてもらうことであるとか、 あるいは倫理委員会との関係、モニタリング体制の問題、そういったことを もう1回岩手のほうへ返させていただきまして、それでちゃんと直していた だいて、そういったことが明瞭になれば通させていただくということで、よ ろしいでしょうか。 (異議なし) ○猿田座長  それでは、この案件はそういう形で処理させていただきます。  続きまして、第2番目のロボット支援下の心臓外科手術を、事務局のほう から説明をお願いします。 ○事務局  1点確認させていただきたいのですが、いまの修正事項につきましては、 事務局から岩手医科大学へ送りまして、評価をいただいた先生に事務的に確 認してもらって、問題なければ会議は再度開かないという形で、なるべく早 く進めさせていただきたいと思います。 ○猿田座長  もしできれば藤原先生、ちょっと申し訳ありませんが簡単に見ていただい て、それから山口先生に、もしそのあとでということで。もしあとで問題が あれば私も拝見させていただきます。 ○事務局  よろしくお願いいたします。それでは、番号002、資料1-3をご覧くだ さい。本日竹内先生がご欠席ですので、事務局から評価表を説明させていた だきます。  資料1-3は、ロボット支援下の心臓外科手術ということで、東京医科大学 病院と金沢大学附属病院ということです。技術の概要につきましては資料1- 3の5頁で、これが申請医療機関からの説明資料になります。適応症は虚血 性心疾患、心臓弁膜症、先天性心奇形となっています。これは手術支援ロボ ットを使用して、高度な内視鏡手術を行うとするものです。通常の内視鏡は、 2次元画面を見ながらということになりますが、これらのシステムを使うと 高解像度立体画像を見ることができ、10倍及び15倍の倍率設定が可能で、 さらに手術鉗子の自由度も高く、あたかも人間の手を体腔内に挿入して手術 操作を行うがごとく自由な操作が可能ということで、通常の内視鏡手術より も早く安全に手術が可能となる利点があるということです。  1頁に戻りまして、実施体制の評価については山口先生、澤先生に評価い ただいておりまして、また後ほどコメントをいただければと思います。虚血 性心疾患以外の疾患に対する当該技術の安全性は、確立されているとは言え ないということで、医療技術の有用性は「不適」となっていますが、実施条 件欄として、「対象を虚血性心疾患に対する冠動脈バイパス術に限定するこ と」という条件がついています。  また「米国・欧米における臨床試験・臨床現場での使用についての安全性 情報を患者にも提供すること」という条件がついております。詳しくは、後 ほどまた先生のほうからコメントをいただければと思います。  2頁の倫理的観点からの評価は田島先生にいただいております。4頁に修 正点としてまとめていただいております。全体的に「患者にもわかり易い表 現に修正すること」というコメントをいただいております。  2頁に戻りまして、プロトコール評価ですが、こちらは不適欄にいくつか 「不適」がついていますが、それぞれ実施条件欄に書かれている内容を修正 すれば適ということでコメントをいただいております。安全性情報の部分は、 先ほどもありましたが、米国・欧米での安全性情報をきちんと提供するとい うこと。10番目の有効性、安全性の評価方法ですが、「当該試験における目 的を明確化し、統計学的に検証するために必要な事項について具体的に記載 すること」、また「有害事象の定義を明確にすること」というコメントです。  3頁の12番の重大事態が生じた場合の対処方法では、「各医療機関におけ る通常の開心手術において必要とされる緊急時の体制が確保されているか確 認すること」ということです。13番目は試験の記録ですが、「データマネー ジメントについて具体的に記載すること」。16番、「個人情報の管理につい て具体的に記載すること」ということで、記載がかなり簡素すぎるので、具 体的に書いてくださいということになっています。  総評としては、「(条件付き)適」ということで、予定症例数は申請者は1 20例となっているのですが、実施条件として虚血性心疾患に限定をすると、 この計画書からは60例ということですので60例で、予定試験期間は5年 ということです。  実施条件は虚血性心疾患に限定をすることほか指摘事項すべて修正されれ ば、「適」であるとするというコメントをいただいております。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。本日は竹内委員がご欠席ということで、 事務局のほうからご説明いただきました。お手元の資料にありますように、 倫理的な面は田島委員、山口委員に、技術面では澤委員に見ていただいてお ります。田島先生のほうから追加等お願いします。 ○田島構成員  同意文書について、全体的に内容が一般の患者にわかりにくいスタイルに なっているので、患者に不利益となる事項についてもよく理解できるように 記述をしていただきたいと思います。費用についても、具体的な数字を入れ ていただきたいと考えております。 ○猿田座長  内容の説明と費用面のところもしっかり書いていただきたいということで す。技術的な面で、山口先生からお願いします。 ○山口座長代理  この術式は、米国で広く行われているにもかかわらず、日本では行われて いない。日本でも限られた施設でやっているという意味での導入の検討にな ると思うのです。私は心臓手術についてはあまり詳しくないので、澤先生に 是非お願いしたいと思います。 ○澤技術委員  大阪大学心臓外科の澤です。背景からご紹介したいと思いますが、大体2 000年ごろから手術支援ロボットが臨床応用されています。その当時、私 たちも医師の責任の下に臨床応用を行ったり、他の数施設でも臨床応用が始 まりました。ただ、手術支援ロボット自身のグレードがまだ高くなく、ここ に書いてあるように「あたかも人間の手のような」というのは、だいぶオー バーステートな記載だと思っていまして、やはり人間の手に勝るものはまだ ないと思っています。欧米でも、一部の施設では頑張ってやっていますが、 ほとんど普及していないのが現状です。たぶん、この申請書ではda Vinciで あって、今はda VinciSという新しいバージョンも開発され、私たちはその 経験はありませんが、だいぶ進歩しているという話です。以前のda Vinci自 身はまだ限界があって、なかなか難しいことは事実です。ですから、全体を 通して見ると、同意書の中にも4番に「すでに低侵襲手術が発展していて、 内視鏡手術を使った心臓手術があります」と書いてありますが、まだ日常手 術ではほとんど普及していません。日本で心臓内視鏡手術でやった報告はほ とんどないのに、それを改善するためにロボットの手術云々と言われると、 それはまだ微妙なところだと思います。申請者の施設がいかに頑張っている かは理解していますが、否定的に言うわけではないのですが、この辺りを患 者さん側に誤解が生じないように、少し表現を変えるべきと思います。  これが本当に低侵襲かというと、その当時2000年ごろに言われたのは、 低侵襲を目指しているけれど、医者には高侵襲、患者さんにも、傷は確かに 小さいけれど、手術時間が長くなったり、心臓に直接手で手術するほどのこ とではまだないというのが現状で、これは欧米の現状でもそうです。ですか ら、胸を開けてロボット手術をするというステップから入り、まず最初に冠 動脈のハーベスト、バイパスをするためのグラフトを取る手術を第一ステッ プで行って、次のステップでは吻合までをロボットで行う。吻合も、今年の アメリカ心臓外科学会でも積極的に行っている施設はわずかなので、少し全 体に低侵襲性に関するトーンを落としていただいたほうがいいと思います。 高度医療としてロボットを使うのは、今後の発展は期待されていますので、 あまりネガティブなことは言いたくありませんが、患者さんから見れば、あ たかも冠動脈バイパス手術が低侵襲に行えるということを謳いすぎないよう に。本当に手術時間が長くなる可能性もありますし、出血がコントロールで きなくなれば、開胸しなくならないといけないまります。もちろん胸を開け たら通常は止血できるので、対応できないリスクはどうかというと、それは 普通の外科医はやれるとは思いますが、とにかく現在から考えると患者側に 低侵襲を過度に期待させないように全体のトーンを落としたほうがいいと思 います。さらに、冠動脈バイパスのみならず、心房中隔、弁膜症の形成も、 確かに世界で限られた施設で、たとえばドイツとかでやっていますが、全部 が標準化されつつあるわけではないので、まずはステップとして冠動脈から やっていただくのがいちばんいいだろうと思っております。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。先生のご意見としては、この文書もしっ かりしてもらうことと、虚血性心疾患に焦点を絞ってということですね。 ○澤技術委員  そうです。それと、トレーニングについてはある程度記載されているので すが、それは欧米でも言われていて、何例やったら次に進むという形をステ ップ・バイ・ステップでちゃんと評価もしながら進めていく。あまりどんど んいきすぎて後で問題が起こっても困るので、その辺りはしっかり評価した ほうがいいと思います。 ○猿田座長  安全性の面はいかがですか。 ○澤技術委員  安全性は、先ほど申し上げたように、普通の心臓外科ですと出血してもす ぐに胸を開ければ対応できます。私たちも以前、ロボットで倫理委員会を通 してやった手術が何例かあって、出血が止まらないときは最終的には胸を開 けますので、対応が不可能ということは、普通の心臓血管外科でやる場合に は、大きな問題はないと思います。ただ、そこは十分にご配慮いただきたい ということです。 ○猿田座長  ありがとうございました。それでは、委員の先生方からご意見を伺いたい と思います。いま澤先生と山口先生からもご説明いただきましたが、いかが でしょうか。 ○金子構成員  私もだいぶ前に慶應大学におりましたので、そのころ少しだけ触らせても らったことがあるのですが、確かに先端はファイ……していますが、アーム の部分が非常に頑丈すぎて、かえって胸壁に損傷を与えたりといった問題が あったように思います。その点は何か改良されているのでしょうか。 ○澤技術委員  私はどのda Vinciを使うかわかりませんが、ここで使うda Vinciは、最 初のバージョンと同じかもしれないですね。da VinciSというのが2、3年前 に出ていて、日本に入ったという話は聞かないのですが、それはもう1つ関 節が増えて、フレキシビリティが上がっていると聞いています。 ○金子構成員  もう1点、同意書の2頁の「臨床試験の方法について」の(5)ですが、「初期 段階ではロボットの使用は内胸動脈剥離を中心として、血管吻合等は後期段 階とする予定」と書いてありますが、ドナーを取るのにda Vinciを使って、 血管吻合を普通に開胸でするのであれば、あまりメリットがないように思う のです。この段階で自費を払うのは、立場としては割に合わないような気が するのですが、その辺りはいかがですか。 ○澤技術委員  同感です。これは矛盾点もありますが、ステップ・バイ・ステップでいく のに、いきなりすべてを内視鏡でやるのは非常に難しいかなと思います。で すから、最初のステップで内胸動脈を取るところは内視鏡下にロボットでや ってというやり方は、ロボット手術をステップアップしていくための1つの トレーニングになると思います。低侵襲かと言われると、正直迷うところで す。 ○伊藤構成員  これは過去に問題になったので、きちんと確認しておいたほうがいいのか なと思うのですが、渡辺先生が東京医大と金沢と距離的に離れている所にい らっしゃって、渡辺先生がいらっしゃらないときに手術をされて、あとで何 かあったらいやだなと、これだけ見ると思えるのです。そこだけは、ちゃん といらっしゃるときにやるのですよね、というぐらいの確認をしたほうがい いのかなと思ったりします。 ○猿田座長  確かにそうですね。そのあとに何かありましたか。 ○事務局  こちらで事前相談を受けたときは、渡辺先生が来てやるということで、渡 辺先生自身も東京医大の兼任教授で主導的にやられているそうなので、来た ときにと聞いております。 ○関原構成員  先ほどの肝臓手術に共通するのですが、私自身胸骨正中切開でバイパスを やったわけです。ここに書いてあるように、今回の術式なら順調にいけば術 後1週間で退院が可能であると。胸骨正中切開で普通に開けると、術後2週 間なのです。結局、これは患者に対する説明如何です。差異はわずか1週間 ではないかと言うか、1週間も違うのかということも含めて。私は術後の硬 膜外麻酔はしなくて、それでも痛いとは思わなかったのですが、これは医者 がどのような説明の仕方をするかにすべてかかっていると思うのです。今回 の術式しかないという話ならいいのですが、普通の心臓バイパス手術はもの すごい数が行われていて、安全性も極めて高いわけです。そういうものとの 対比をした場合に、患者としては、若干時間がかかっても安全志向です。胸 骨正中切開の傷もこのぐらいで、きれいだと患者に手術したお腹を見せてあ げれば非常によくわかる。「こんなもんですか」と言うか、「こんなにひどい んですか」と言うか、それは患者によって全く違うと思うのです。そういう 意味で、同意ということを超えたことをしないと、澤先生がおっしゃったよ うに大きな差がないだけに、患者の立場としては積極的にやってくださいと は思えないのです。 ○澤技術委員  私はどちらの立場で言えばいいのか。私が申請したのではないので答えに くいところもあります。このような新しい手術支援下ロボットを使ってステ ップ・バイ・ステップでいくのに、一足飛びに内視鏡下にロボットを使って やると、本来低侵襲と言う意味においてはいちばん低侵襲としての目標を達 成できるだろうと思うのです。それこそ胸骨正中切開をせずに、肋間からの ポートだけでいくと確かに傷もきれいだし、術後出血や感染などのリスクも 下がる可能性はあります。ですが、それを一足飛びに高度医療の中で認める のも問題があります。なぜかというと、先ほども言ったようにステップ・バ イ・ステップでいくべきだろうと。そうすると、確かに最初のステップのと ころに関与する場合は多少矛盾点はあるのですが、この辺りはトレーニング も含めて、欧米でこれまで行われてきたトレーニングシステムを導入するし かないだろうと思います。  例えば、手術を一本バイパスだけで行うと。確かにMIDCABで行うと記載さ れているので、最初から胸骨正中切開ではないのです。そこは確かに違う点 かもしれません。最初のステップをMIDOCABで行うということは、肋間は開 胸するけれど、胸骨を切らないでも吻合は一本なので、内胸動脈のハーベス トのところは、肋間開胸だけで開けては取りにくいのを、ロボットを使って 取りやすくする形は、成り立つかもしれません。 ○猿田座長  先ほど先生がおっしゃったda VinciSですが、もう一歩進んだのは渡辺先 生の所で使っているのですか。 ○澤技術委員  私も知りません。 ○猿田座長  ですから、一歩一歩というのはおっしゃったとおりで、まずこの形でしっ かりいろいろなことを確認して、まずその形でやって、それから先のことを もう一度考えていくのが1つだと思います。 ○山本構成員  先ほどのお話で、国立循環器病センターにもda Vinciがあって、心臓外科 の先生方が使っております。それが新聞に出たこともあって、そういうこと も影響しているのだと思いますが、国循でも内胸動脈を剥離するところしか 使っていなかったと聞いています。ですから、まだ冠動脈の吻合までやって いる施設は少ないと思うのです。  先ほどあったように、剥離するところだけやってどれだけ患者にメリット があるのかという話ですが、おそらくあまりない。それでもステップを上げ ていかないと、最終吻合まではたどり着かないことは間違いないので、この ステップではあなたにははっきりしたメリットはありませんと書かないとい けないと思うのです。その上で、ご協力いただけるのであればご協力いただ きたいという姿勢で、これは臨床研究の形でされるので、今の臨床研究では このようなことをします、そのステップでは患者に対するメリットはどのぐ らい、デメリットはどのぐらいと。あとはかかる費用で、メリットのないと ころで患者に自己負担を請求するかしないかは、請求してもやっていただけ る奇特な方がいればいいですし、いないのだったら研究費で何とかカバーを する。それは研究者の裁量だと思います。少なくとも保険は使わないという ことなので。先生の説明如何ということでしたが、それだけに頼っていては 危ないと思いますので、書面でちゃんと整理をしていただく。その上で、ど のぐらいの経済的負担をかけるのが妥当であるかは、患者にどのぐらい入っ ていただけるかで自然に決まってくると思います。  もう1つは、最終的に出血しても開胸すれば大丈夫ということですが、あ まりロボット支援下の手術で出血が多いようでしたら問題が大きいと思いま すので、有害事象の報告を倫理委員会にもして、シリアスなものについては 本省にも、いまから出てくる臨床指針に則ってやっていただくというルール は明確にしておくべきだと思います。 ○猿田座長  非常に貴重なご意見をありがとうございました。 ○村上構成員  いまの安全性と有効性の話ですが、高度医療の定義で書いてある両者の確 保が期待できる技術であるということについて、有効性をどのレベルだと判 断するかが議論になるだろうと思っています。いまの話を聞くと、有効性の 面に関してはまだプレマチュアーな状況ではないかと思います。  一方で、高度医療の趣旨からすると、施設限定、実施者限定で有効性が担 保できるということも1つの軸ですので、ここは澤先生等よく知っておられ る先生方のご意見をさらに聞きたいです。高度医療の内容(概要)に書いて あるように、渡辺先生であれば「体表には数センチメートルだけの穴、数個 の傷による手術によってできる」のかどうか。要は低侵襲の手術がどこまで 担保できるかが、非常に大事なポイントになるのではないかと思っておりま す。その辺りをもう少し詳しくお伺いしたいと思います。 ○柴田構成員  澤先生にお伺いしたいのですが、申請書の様式3「計画書」の4頁に、各 基準到達リストという項目があります。例えば、「グラフト一本につき60分 以内で血管損傷なく採取できた場合を有効な手術と認定し、第1ステップに よって10例の有効例をもって第2ステップへ進むものとする」と書いてあ るのですが、これは10例中10例成功することを前提に書かれているとい う理解でよろしいのでしょうか。 ○澤技術委員  そうですね。 ○柴田構成員  つまり、10数例実施して10例の有効例が確認できたところで次に進む という有効割合が高いかどうか分からない基準ではなくて、10例実施した ら、10例きちんとできるという手術であることが前提で次に進む、と読ん でよろしいのですね。 ○澤技術委員  そこは申請者に確認していないのでわかりませんが、この読み方をすると、 おっしゃるとおり10例成功してということですが、内胸動脈のハーベスト で60分超える症例も出てくるかもしれないので、この辺りは有効例が連続 10例ということの明記が要るのかもしれません。  先ほどの村上先生のお話も含めて、MIDCABという術式についてですが、い ま人工心肺を使わない冠動脈バイパス手術にはOPCABとMIDCABと2つあって 混乱されているかもしれません。MIDCABというのは、心臓のいちばん大事な しかも、手前に位置する前下向枝の血管に対して一本だけつなぐものです。 それは肋間で開けて手術をするもので、2000年前後から流行り出したの ですが、ご存じのように冠動脈の病変は一本ではないので、回旋枝など裏の ほうもつながないといけません。そうすると、MIDCABでできる手術は少なく て、日本のようにPTC、PCIが発達している国では、内科の先生方はそこは通 してしまわれるので、適応が少なくなってしまっているのです。それから見 ると、OPCABは関原先生が受けられたかもしれませんが、胸骨の前を開けて人 工心肺を乗せないで行う、心臓を止めないでやる手術で、それが一般的です。 それは低侵襲だと言われていて、人工心肺を使う、使わないというはっきり した命題があって、使わないほうがいいので、大体1週間から10日ぐらい で退院するぐらいの状況になっているのが現状なのです。  ですから、このda Vinciを導入するときに、最初のステップはMIDCABと して、胸骨を開けないで肋間だけを開けるときに、10例は最初のステップ は内胸動脈の剥離にロボットを使って、吻合は手縫いでやって、その次は吻 合もロボットでやるかということだと思うのです。その次は内視鏡下でやる かどうか。ロボットでやるときも、吻合は慣れないと難しいのですが、渡辺 先生はかなりトレーニングされていると思いますので、その辺りはやってい ただけるものだとは思うのですが、そのようなステップをきちんと踏んで、 山本先生がおっしゃったような形で患者へのメリットも十分に言って。  コストも、80何万と一律になっていましたでしょうか。それもステップ で考えたほうがいいのかもしれないですね。第1ステップの方は割安にして おくとか。 ○猿田座長  よくわかりました。いま皆様方のご意見を伺っていると、書き方の問題も ありますし、機械の最先端のところ、また、いくつかご指摘いただいた点も ありますので、これを預かっておいて、いまのことを全部ここへ返しまして、 細かく書いていただいて、もう1回ここで評価していただくほうが安全なの ではないかと思うのです。こちらとしてはちゃんと前向きに考えて、ステッ プ、ステップがあるか考えていきますが、その辺りがきちんとされないと、 どれだけメリットがあるかということもあるので、できればそうしたいので すが、それはまずいですか。 ○事務局  確認したうえで、この場でもう一度ご議論いただくほうがいいと思います。 ○猿田座長  いま山口先生ともご相談したのですが、そのほうがいいのではないかと思 います。これはまだスタートしたばかりですから、あまりいい加減にやるの はよくないと思いますので、もしお許しいただけるのであれば、もう少し書 き直していただいてはっきりさせて、ここでもう1回審議したいということ でよろしいでしょうか。 ○事務局  はい。 ○猿田座長  では、そのような形でご了承いただいたということにさせていただきます。 どうもありがとうございました。  それでは、今日ご議論いただく審査は2つですが、次の所について事務局 からご説明をお願いします。6月受付はないということですね。 ○事務局  次の議題は6月受付新規技術についてですが、新規に受け付けた技術はご ざいませんでした。 ○猿田座長  いろいろな相談は来ているわけですね。 ○事務局  はい。 ○猿田座長  それでは、3番目の議題「迅速評価の対象とする技術の要件」について、 事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  資料2をご覧ください。こちらは、前回藤原委員から、たくさんの技術が 来ることも予想されるので、手続について何か工夫してはどうかとのご意見 があり、事務局のほうで考えた要件の案です。本日は、こちらに対して委員 の先生方から意見をいただき、再度修正をしたいと思っております。  内容ですが、この要件を満たすものについてはチェックリストを使う、あ るいは事務局でチェックしたものを、いまは基本的に3名の先生ですが、1 名の先生に見ていただくだけでいいとするなど、効率的なことを工夫しては どうかということです。(1)〜(3)のすべての要件を満たすものとして、 (1)は体制に関する要件で、特定機能病院又は臨床研究に係る研究事業を 行っている医療機関としてはどうか。  (2)は薬事法上既に承認又は認証されている機器の適応外ということで、 未承認ではなく、1回何らかの承認を受けたものということです。  (3)は下記の(1)〜(3)のいずれかの要件を満たすものとして、学術雑誌な どで一定のエビデンスがあるということです。(1)としては、国内外で学会な どが作成したガイドラインに掲載されている使用法に従ったもの、(2)として、 査読のある学術雑誌に掲載され、ランダム化試験等により有用性が評価され ているもの、(3)として、医療機器についてはランダム化試験が難しいものも 多いので、査読のある学術雑誌に掲載され、複数の医療機関における実績に より再現性が確認されたもの、ということで考えております。ご議論をいた だければと思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今日は2つですが、これから先どんどん 増えてきたときに、評価が少しでも簡単にできそうなものはこういった手続 でできればということで、まず案を作っていただき、今日、委員の先生方か らご意見を伺って、この次のときに決定させていただければということです。 いまご説明いただいた(1)〜(3)について、何かご意見をいただければ と思います。 ○伊藤構成員  技術的とか施設とか実際のものというのはこれで結構だと思いますが、こ こで田島先生などがよくご指摘をされるのは、患者向けの説明が不十分であ るとか、統計の柴田先生などからは、そのあとの評価のマネジメントの方向 があまり適当ではないのではないかと言われるので、そこだけは雛形なりを きちんと決めた上で、そこに則っているかどうかを要件として付けてしまう ほうが、あとが楽なのではないかと思います。 ○猿田座長  雛形はうまくできますか。いろいろな形の説明文があるかと思いますから、 田島先生に相談に乗っていただいて、統計的なことでは柴田先生と。いろい ろなことが出てきたら困りますので、そういったことがあるかもしれません。 その辺りはご検討いただけますか。 ○事務局  はい。 ○猿田座長  当然、回を進めていくに従っていろいろな形のものが出てきて、また整理 をしていかなければいけないのですが、とりあえずはこういった形で、ある 程度迅速に評価できる形のものを作っておけば、それなりに有効ではないか ということです。これは今日決定するわけではなくて、見ていただいてお気 づきの点があれば事務局へご連絡いただいて、この次のときにでも正式に検 討して決めるほうがいいかと思います。大体網羅していると思いますが、伊 藤先生、よろしいですね。 ○伊藤構成員  はい。 ○猿田座長  それでは、この件はそういった形で、もしお気づきの点があれば事務局へ ご連絡いただきたいと思います。  では、「その他」について事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  資料3をご覧ください。冒頭に確認しましたが、前回もどのように確認す るのかというご質問をいただいたので、参考までにご報告します。資料3は、 この評価会議に関係する利益相反の確認方法を具体的に整理したものです。 会議の開催前に、毎回出席される先生方に確認したいと思います。  内容としては、通常、省内の委員会等でやっているものと同様で、2番目 ですが、この会議の開催日の年度を含め過去3年度の間でやり取りがあった かを自己申告していただくということです。  内容は3、4番ですが、検討対象となる技術に使用される医薬品・医療機 器の製造販売業者又は競合企業からの寄附金、契約金等の受取実績があり、 それぞれの企業からの受取額が、申請期間中の年度当たり500万円を超え る年度がある場合は、発言及び意見の確認には参加できないということです。  4番目は、500万円以下の場合、発言することはできるが、意見の確認 には加わらないということです。ただし、50万以下の場合は、意見の確認 にも加わることができるとされており、本日も2名の先生から50万以下と のご連絡をいただいて、発言、意見の確認は通常どおりとしました。  様式については、次の3〜4枚目のような形で、ファックスで確認したい と思います。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。このごろ利益相反が非常に問題になって おりますので、この会議においても、そういったところを明確にしておいた ほうがいいだろうということで、今日この書類をもう一度確認しました。何 かご意見はありますか。利益相反に関しては難しい点もあるかと思いますが、 できるだけクリアな形で議論することが大切かと思います。よろしいでしょ うか。  では、これもこういった形で、今日議論して、説明したということにさせ ていただきます。  一応、本日の高度医療評価会議の内容はこの程度ですが、次回、その他に 関して事務局からご説明をお願いします。 ○事務局  次回については、改めて日程調整をして開催のご連絡をしたいと思います。 なお、本日の議事録は、作成次第ご確認いただき、公開いたします。よろし くお願いいたします。 ○猿田座長  どうもありがとうございました。今日はまだ2つであることと、6月は出 ていないようですが、いろいろな所から問合せがあって、これから必ず増え てきますので、今日は速く終わりたいと思います。ロボットの件は、返事が 来次第上げたいと思います。ご協力ありがとうございました。 照会先 医政局研究開発課 會森・渡邉 03(5253)1111(内線 2543)