08/07/04 第1回障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会議事録 第1回 障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会議事録 (平成20年7月4日(金)18:00〜20:45、於:共用第6会議室) ○事務局  定刻になりましたので、ただ今から「第1回障害者の一般就労を支える人材の育成の あり方に関する研究会」を開催いたします。皆様方には委員就任をお願いしたところご 快諾をいただきまして、また、本日はお忙しい中お集まりいただき御礼申し上げます。 まず、座長が選出されるまでの間、事務局で司会を進めさせていただきますので、よろ しくお願い申しあげます。  まず冒頭に資料の確認でございますが、議事次第の後ろに、本資料として、資料1か ら7をお付けしてございますが、資料7番についてはナンバーを表示していませんが、 オレンジの冊子でございます。それから、参考資料として、1から6番をお付けしてご ざいますので、ご確認いただければと思います。  それでは、研究会の最初に当たりまして、高齢・障害者雇用対策部長の岡崎よりご挨 拶を申し上げます。 ○高齢・障害者雇用対策部長  高齢・障害者雇用対策部長の岡崎と申します。障害者の一般就労を支える人材の育成 のあり方に関する研究会ということで先生方にお集まりをいただきました。本件につき ましては、昨年来、雇用、福祉、教育分野においてどのような連携の下に障害者の就労 の支援を推進していくかという研究会を開催してまいりました。その際にお世話になっ た先生方もおられますが、議論の中で、役割分担の話等々整理していただきました。ハ ローワーク等が中心になりながらチーム支援その他既に展開しているところですが、こ の研究会の中で、一般就労等を目指す方々を支えていく人材の問題が大きいのではない かという議論がありました。ただ、人材の育成の具体的なところまで踏み込み切れなか ったため、宿題として残ったわけでございます。そういうこともございまして、今般お 集まりいただき、人材育成について貴重なご議論をお願いしたいと思っております。  福祉という観点から障害者の問題に関わっておられる方はたくさんおられますが、一 般就労を目指すという観点からとなると、まだまだという部分もあるのではないかと思 っています。そういう中で、就労を目指す方々を支援していく観点から専門的な人材の 裾野を増やしていくこと、また、より専門性を高めていくこと、この2点から考えてい く必要があると思っております。どういうキャリア形成を育成していくか、どういう知 識が必要なのか、どういう研修をしていくか等いろいろ観点からご議論をいただきたい と思っております。私どもはこの研究会でまとめていただきましたものを踏まえながら、 更に施策を進めていきたいと思っております。人材育成は非常に重要な課題であります ので、是非先生方のご指導をいただきながら進めていきたいと思っております。どうぞ よろしくお願いいたします。 ○事務局  それでは、本日は第1回ですので、参集者の方々と事務局メンバーをご紹介させてい ただきます。まず、資料1の別紙の名簿の順に従って委員の先生方のご紹介をさせてい ただきます。  東京障害者職業センター所長の岡野茂委員です。大妻女子大学人間関係学部教授の小 川浩委員です。元職業能力開発総合大学校教授の佐藤宏委員です。社会福祉法人電機神 奈川福祉センター常務理事の志賀利一委員です。ハローワーク新宿職業相談部長の根岸 栄子委員です。東京都立あきる野学園主幹教諭の原智彦委員です。神奈川県立保健福祉 大学保健福祉学部教授の松為信雄委員です。明治学院大学社会学部教授の八木原律子委 員です。それから、日本発達障害ネットワーク副代表、全国LD親の会会長の山岡修委 員は本日欠席とお伺いしておりますが、間に合えば顔を出したいということでございま した。それから、株式会社キユーピーあい代表取締役の湯田正樹委員でございます。  続きまして、私ども事務局のメンバーをご紹介させていただきます。先ほど冒頭挨拶 を申し上げた岡崎高齢・障害者雇用対策部長です。障害者雇用対策課の吉永課長です。 当課主任障害者雇用専門官の佐藤です。当課調査官の渡辺です。それから、司会をして おります私は地域就労支援室長の藤井です。よろしくお願いします。   それから、オブザーパーといたしまして、文部科学省初等中等教育局特別教育課の石 塚調査官です。当省の障害福祉部障害福祉課の関口課長補佐です。当省の職業能力開発 局の三富主任職業能力開発指導官です。  それでは、本研究会の開催要綱についてご説明させていただきます。お手元の資料1 をご覧になってください。全文朗読させていただきます。  障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方に関する研究会開催要綱  1.趣旨  障害者の一人ひとりの希望に応じた就職を実現し、働く障害者を支えていくためには、 雇用、福祉、教育等の各分野の関係機関が、その役割に応じて連携し個々の障害者のニ ーズに応じた専門的な就労支援を行っていくことが必要である。このため、地域におい て就労支援を担う人材を幅広く育成するとともに、質の高い就労支援を提供するために その専門性の維持・向上を図っていくことが不可欠となっている。  こうした就労支援を担う人材の育成を図るためには、地域の就労支援機関における就 労支援の現状と課題を踏まえ、支援機関の役割に応じた就労支援の職務について整理し、 その職務を担うために必要な知識、能力等について明確にするとともに、研修等の育成 体系を構築することが必要である。  そこで、関係者の参画する研究会を開催し、障害者の就労支援を担う人材の育成のあ り方について幅広い見地から検討を行うこととする。  2.研究会の運営  (1)研究会は、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部長が、学識経験者、     障害者就労支援実務関係者の参集を求め、開催する。  (2)研究会の座長は、参集者の互選により選出する。  (3)研究会の庶務は、厚生労働省職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者雇用対     策課地域就労支援室において行う。  3.参集者   別紙のとおり  4.開催期間  平成20年7月から。  5.検討事項  (1)地域の就労支援機関において就労支援を担う人材の現状と課題  (2)就労支援機関の役割に応じて就労支援を担うために必要な能力要件等の明確化  (3)就労支援を担う人材の育成の在り方  以上でございます。次に、要綱の2の(2)に従い、座長の選任に入らせていただき ます。座長の選任につきまして、どなたかご推薦がございましたら、よろしくお願いい たします。 ○佐藤委員  できれば松為委員に是非お願いしてはいかがでしょうか。(「異議なし。」) ○事務局  異議なしという声でご賛同いただきましたので、本研究会の座長を松為委員にお願い 申しあげます。それでは、松為先生、これからの議事進行についてどうぞよろしくお願 いいたします。 ○座長  松為でございます。皆さんからお話をいただきまして、非常に過分な役割と思います けれども、座長を務めさせていただきますので、どうぞ皆さんご協力をよろしくお願い いたします。それでは、本研究会はメンバーの数が多いものですから、私の方から最初 に、座長代理を指名させていただきたいと思います。座長代理につきましては、学識経 験者の中から、小川委員を指名したいと思いますけれども、皆様よろしいでしょうか。 ありがとうございます。それでは、小川委員よろしくお願いいたします。  次に、最初に、議事の公開についての申し合わせをしておきたいと思います。これに つきまして、事務局から最初に説明をお願いいたします。 ○事務局  ご説明申し上げます。会議の公開に関する件ですが、お手元の資料2をご覧ください。 「厚生労働省における審議会等会合の公開に関する指針」において、懇談会等行政運営 上の会合は、<1>個人に関する情報を保護する必要がある、<2>特定の個人等にかかわる 専門的事項を審議するため、公開すると外部からの圧力や干渉等の影響を受けること等 により、率直な意見の交換又は意志決定の中立性が不当に損なわれる、<3>公開すること により、市場に影響を及ぼすなど、国民の誤解や憶測を招き、不当に国民の間に混乱を 生じさせるおそれがある、<4>公開することにより、特定の者に不当な利益を与え不利益 を及ぼすおそれがある、といった要件に該当する場合を除き、公開することとし、特段 の事情により会議又は議事録を非公開とする場合にあっては、その理由を明示すること とされています。これに従いまして、本研究会につきましても、議事及び議事録につき ましては、原則公開という扱いになりますが、会議の開催の都度、その議題を踏まえ、 会議及び議事録の公開についての取り扱いを判断することとしたいと考えております。  また、配布資料については、原則として公開するものといたしますが、取扱いに注意 が必要な資料の場合は、その旨を表示し、非公開の扱いとさせていただきたいと思いま す。  なお、本日の会議につきましては、公開の取り扱いとしております。  議事録については、議事の最後にご議論いただき、差し支えがないということでした ら、各委員に内容の確認をとった上で公開とし、差し支えがあるようでしたら議事要旨 のみの公開ということにしたいと考えております。 ○座長  ありがとうございました。この会議の公開方法に関して何か御意見はございますでし ょうか。(「異議なし。」)では、異議がないということで、そのように取り扱うこと とさせていただきます。議事録の公開については、会議の最後にもう一度お諮りいたし ます。  それでは、早速ですが、本日の議事進行に従いまして、議題を順次進めていきたいと 思います。最初に、議題の1でございますが、  検討事項及び今後の検討の進め方について、事務局の方からよろしくお願いいたしま す。 ○事務局  ご説明申し上げます。検討項目及び今後の検討の進め方についてですが、お手元の資 料3をご覧ください。大きく分けまして、「1 地域の就労支援機関において就労支援 を担う人材の現状と課題」を把握し、「2 就労支援機関の役割に応じて就労支援を担 うために必要な能力要件等の明確化」を図り、それらを踏まえて、「3 就労支援を担 う具体的な人材の育成のあり方」について検討を深めていきたいと考えております。  1の「人材の現状と課題」では、(1)の就労支援機関における就労支援の現状と課 題を把握していこうということで、本日のヒアリング等を含めて把握をし、(2)とし て併せて「就労支援を担う人材の現状と課題」についても把握をしていきます。  具体的な内容としては、就労支援機関からのヒアリングとアンケートをお願いして、 就労支援機関における就労支援及び就労支援を担う人材の現状をそれぞれ把握するとと もに課題を整理する予定です。  調査対象としては、障害者就業・生活支援センター、就労移行支援事業者、ジョブコ ーチ認定法人等であり、人材としては、就労支援ワーカー、就労支援員、ジョブコーチ 等を考えております。  2の「必要な能力要件の明確化」ですが、(1)就労支援機関のそれぞれの役割に応 じた就労支援のプロセスや職務の整理をし、(2)就労支援機関において就労支援を行 うために必要となる基本的知識、スキル等能力要件の明確化をしていき、(3)就労支 援を担う中核的・専門的な人材として求められる能力やレベルの整理をしていきたいと 考えております。  具体的には、各就労支援機関において就労支援を担う人材について、各支援機関の役 割に応じた就労支援のプロセス・職務等を整理し、それぞれの職務毎に必要な基本的知 識、経験・スキル等の能力要件を明確にする。それから、就労支援を担う人材が専門性 を高めることは重要だと思っておりまして、支援の中核的な担い手となるためにレベル に応じた、基礎、中・上級等とありますが、それぞれに応じた能力要件をまず整理して いきたいと考えております。  それから、3「就労支援を担う具体的な人材の育成のあり方」ですが、(1)就労支 援を担う人材の育成あるいは研修体系のあり方、(2)就労支援を担う人材の育成に係 る研修体系等に基づくモデルカリキュラムの作成、(3)具体的な就労支援を担う人材 の育成のあり方についてお願いできればと思っております。  具体的には、それぞれの専門性の向上を図るための育成方法をまず体系化し、それか ら研修の実施体制、具体的なモデルカリキュラム、またフォローアップ等について検討 を行いたいと考えております。また、大臣指定のジョブコーチ養成研修についても施行 後3年となりますし、現状及び問題点を踏まえて、カリキュラムの内容、実施方法を併 せて検討するとともに、養成研修後の専門性の維持向上等のための研修体制についても 検討をお願いしたく思っております。  続きまして資料4ですが、当研究会の「今後の進め方」について、当面のスケジュー ルを含めたご提案です。研究会は全部で7回の開催を考えております。第1回は本日で すが、障害者の一般就労を支える人材の現状と課題についてヒアリングを行い、人材育 成のあり方についてフリーディスカッションとしております。  それから、第2回は、8月となっていますが、事前に各委員の日程をご照会申し上げ たところ、7月28日の月曜日の18時とご了解をいただいております。第2回は障害 者の一般就労を支える人材の現状と課題について2回目のヒアリングと研修機関におけ る人材育成の現状と課題についてもヒアリングを行い、そのヒアリングを踏まえて、障 害者の一般就労を支える人材の育成のあり方等についてご議論をいただきたいとしてお ります。  第3回は9月に、障害者の一般就労を支える人材の現状と課題についてのアンケート 調査結果報告を行いたいと考えております。アンケートにつきましては、7月1日現在 のものを8月中に取りまとめてご報告をできればと考えております。また、就労支援機 関の役割に応じた就労支援を行うために必要な能力要件等についてご議論をいただきた いと考えております。  第4回は10月に、具体的な就労支援者の育成のあり方や研修体系、それから研修内 容についてご議論をいただきたいと思っております。  第5回は11月に、障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方について、特にジ ョブコーチについて、これまでの経緯を踏まえまして、育成のあり方、研修体系・研修 内容等をどうしていくかということをご議論いただければと思います。  第6回は1月に、障害者の一般就労を支える人材の育成のあり方についてご議論をい ただいてから、それを受けて、人材の研修体系またはモデルカリキュラムについてご議 論いただき、報告書の骨子案をお示しできればと思っております。  最終的には、第7回は2月に、報告書案についてご議論いただければと思っておりま す。以上です。 ○座長  ありがとうございました。ただ今事務局の方から資料3で全体の検討の方向性、資料 4のところで日程等を含めてご紹介いただきました。さて、最初に、これにつきまして 意見交換を行いたいと思います。皆さん、どうぞ活発なご意見等よろしくお願いいたし ます。どなたからでも結構でございます。いかがでございましょうか。では、今から来 年2月まで、効率良く議論を進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたしま す。  それでは、続きまして、今日の議題の2番目に入ります。障害者の一般就労を支える 人材の現状と課題についてのヒアリングでございます。ヒアリングは2つありますので、 ちょっと時間がかかりますが、よろしくお願いいたします。では、事務局の方からご説 明をお願いします。 ○事務局  それでは、ご説明申し上げます。お手元の資料をご覧ください。「一般就労を支える 人材の現状と課題の把握について」ということで、ヒアリング及びアンケート調査によ り把握をして、当研究会の検討材料に資するとしております。  1番のヒアリング調査の実施についてですが、(1)ヒアリングIとして、第1回研 究会、本日でございますが、<1>就労移行支援事業者の就労の支援の現状と課題、<2>障 害者就業・生活支援センターの就業支援担当者の現状と課題、を実施し、続いて(2) ヒアリングII、第2回研究会において、<1>第1及び第2号職場適応援助者(ジョブコ ーチ)の現状と課題、<2>研修機関における人材育成の現状と課題、を行います。  就労支援機関に対するヒアリング内容として、5つありますが、「事業者の支援内容・ 実施体制」、「支援機関における地域の関係機関との連携・役割分担」、「就労支援を 担う人材と職務に必要な知識やスキルについて」、「就労支援を担う人材の資質の確保」、 最後に「地域の就労支援を担う人材の現状と課題」についてヒアリングの内容としたい と思っています。  次に、研修機関に対するヒアリング内容ですが、ジョブコーチ養成については、養成 状況、規模、実績等、またカリキュラムや実施体制を含んだ養成の方法、それから、資 質の確保のあり方を含んだ今後の課題でございます。  それから、就労支援に関する人材育成について、最近の重点的な取り組みを含んだ人 材育成や研修の内容についてヒアリングを行いたいと思います。また、今後の課題とし まして、当面の課題及び中長期的な課題とに分けてヒアリングを行いたいと思います。  次にアンケート調査の実施ですが、(1)調査対象者として、幅広く、<1>就労移行支 援事業者及び就労支援員、<2>障害者就業・生活支援センター及び当該センターの就業支 援担当者、<3>第1号職場適応援助者認定法人及び第1号職場適応援助者、<4>事業所側 の第2号職場適応援助者認定法人及び第2号職場適応援助者でございます。  (2)調査の時期につきまして、先ほど少し触れましたが、平成20年7月1日現在 の状況について、回答期限は8月1日としています。(3)の調査の方法等ですが、具 体的な方法としましては、<1>から<4>の流れのように行いたいと考えております。そし て、回収は、私ども障害者雇用対策課においていたします。(4)集計・報告等につき ましては、4つの調査票毎に集計し、第3回研究会で報告をしたいと考えております。  (5)主な調査項目ですが、まず、就労支援を行う事業所に対しては、法人・事業所 の属性、就労支援の実施体制、人材育成方針等について調査したいと思います。また、 2つめとして、就労支援を担う人材の個人調査として、本人の属性、経験年数、職務の 内容、知識・スキルの状況、就労支援に当たって困っていること、研修の受講状況・今 後の研修ニーズ、今後のキャリア等を調べたいと思っています。また、自由記述欄を設 けておりますので、幅広く意見を収集して、ご報告をしたいと考えています。以上です。 ○座長  それでは、早速ですけれども、今日の最初のヒアリングに入りたいと思います。今日 は2カ所ございます。1カ所目は社会福祉法人電機神奈川福祉センター常務理事の志賀 委員の方から、「就労移行支援事業における一般就労を支える人材の現状と課題につい て」ということでお話しを伺いたいと思いますので、志賀委員よろしくお願いいたしま す。 ○志賀委員  社会福祉法人電機神奈川福祉センターの志賀です。最初のヒアリングということです が、お手元の資料6でA4で文字がいっぱいで9ページございますので、これを読み上 げるだけでも所定の時間が終わるだろうと思っているところです。  お話の前に、就労支援の人材といっても、どういったレベルのものが求められるのか ということもまだ議論されておりませんので、その辺について最初に少し述べさせてい ただきます。私の方の話では、1つの社会福祉法人が行っている就労支援事業の内容を お話ししますので、地域の中での就労支援のネットワークを作り上げるとか、そういっ た高いレベルの人材についての話ではございません。職場であったり、あるいは準備訓 練の機関であったり、障害のある人に寄り添って相談をしたり、そういった直接就労支 援の業務を行う人材の話を中心にさせていただきます。そして、もう1つは、社会福祉 法人で、いわゆる労働側ではなくて、障害福祉側の事業を行っているという立場からの お話をさせていただきます。  まず1番目ですが、私たち社会福祉法人電機神奈川福祉センターの就労支援事業につ いて説明をさせていただきます。1ページ目の上の表に訓練育成施設と相談調整機関と いうことで、私たちの所はこの2つに分けて就労支援の事業を考えております。上の2 つは、いわゆる自立支援法の就労移行支援事業あるいは継続支援事業という事業であり、 いわゆる多機能型の事業になります。今回はB型、就労継続支援事業についてではあり ませんので、主に就労移行支援事業についての話をさせていただきます。30人定員の 就労移行支援事業を横浜市と川崎市の2カ所に設けております。それから、相談調整機 関の方は横浜市、川崎市、それから2市1町にまたがる湘南地域の3カ所で、神奈川県 単独の就労援助センター事業を行っております。基本的に国の障害者就労・生活支援セ ンターに類似している事業ということで、この3カ所を行っているところです。  最初に述べておきたいのは、私たち社会福祉法人電機神奈川福祉センターは、実はこ れだけの事業で法人の平成19年度の決算ベースでいっても、約3分の2のお金の収入 が、施設としての全予算の収入になります。後で人員の話も出てきますので、ざっくり お金の話をしますと、5億少々の年商になるんですが、そのうち就労移行支援事業、継 続支援事業は、生産活動というか、昔でいう授産活動を行って障害者に工賃を払ってい る国のお金がございます。それから、施設を建てているのでその借金の借り入れ等のお 金もございますので、そういうのを抜いていくと、大体5億を切る金額になります。こ こに、訓練育成施設と相談調整機関と書きましたけれども、この2つで、大体2億5千 万円ぐらいの収入でございます。すごく大雑把な数字でございますが、それぐらいとい うのが現状でございます。  続きまして、下の方に、昨年度、平成19年度にどういった就労支援を実際行ってき たかということを、簡単に数字でまとめてあります。横浜市、川崎市の2カ所で行って いる就労移行支援事業所の状況です。2カ所での年間の就労者数は49人です。横浜で 行っています「ぽこ・あ・ぽこ」が31人、川崎で行っています「川崎市わーくす大師」 が18人です。それから、その他36人は3カ所の相談調整機関が中心となって就労に 結びつけたケースです。この36人につきましては、私たちの法人以外の就労移行支援 事業あるいは就労継続支援事業、場合によっては旧法の授産施設、小規模作業所等に通 われている方、あるいは全く在宅の方など、そういう方が含まれております。  下の方に、この3カ所の相談調整機関が中心となりまして、働いている障害者の定期 的ないわゆる巡回訪問等の相談による定着支援を行っている人たちが、年度末段階で4 64人おります。それ以外に会社を離職する際の支援もありますが、この支援のほとん どは私たちから紹介して就職した方の離職に関する相談ですが、27人おります。この 数字以外に、養護学校、特別支援学校等から就職をする段階で調整機関が関わって定着 支援をしているケースがありまして、多分3、40ケースはあると思います。その数は 今は含まれておりません。  障害の種別ではほとんどが今は知的障害です。相談件数等については精神障害等もあ りますが、定着支援等ではほとんどが知的障害というのが現状です。  では、2ページ目をご覧下さい。上の表に職員の人員配置をざっとまとめたものがあ ります。合計しますと、何と私もこの表を作って初めて知ったのですけれども、50人 もいてびっくりしました。皆さん、いわゆる常勤の正規職員ではなくて、嘱託で、アル バイトの方も含まれます。常勤換算数で42.5人ということになります。右側が私た ちの特徴なので特別に書きましたが、職員の中には民間企業等に在職30年以上という、 ちょっと大袈裟ですけれども、かなり年輩の職員の方がおります。民間企業等に在職3 0年以上経験した方の職員数が23名で、常勤換算数で46.4パーセント、実数では、 約半数近くの46%の方がこういった職歴があるということは、私たちの法人の特徴で す。  下にコメントとしてまとめましたが、設立経過等を説明いたしませんでしたが、電機 神奈川福祉センターは神奈川県といういわゆる大都市圏で労働組合が母体となっていわ ゆる労働運動の企画からスタートした事業所です。障害者、それも主に知的障害者の就 労支援に最初から特化した運営を行っている組織です。これをやるためにつくった組織 です。  また、電機神奈川福祉センターの今の特徴の1つは、企業に就労した人の大多数を、 就業が継続している間、期限を定めず丁寧に支援を行っていることです。もちろん、離 職時、あるいは場合によっては、再就職の支援等も行っていくということです。就労に 対するモチベーションがなくなって、もう就業生活はいいというまでは支援をし続けて います。  もう1つの大きな特徴は、民間企業の障害者雇用の視点を重視していることです。電 機神奈川福祉センター内には、別個法人として事務局を置くNPO法人障害者雇用部会 という組織があります。それは、地域の民間企業、特に県内の特例子会社等との連絡会 等も併せもっておりますので、そことの連携で、障害者雇用や就労支援のあり方の研究・ 検討に関与しています。そういった民間企業の視点から、電機神奈川福祉センターの職 員にも民間企業に長年働いた方の割合が非常に多いということにも繋がっています。    先に進みます。3ページ目です。上に図を載せました。図1です。私たちの就労支援 事業はどのような流れになっているかということをまとめたもので、特にユニークな形 はございません。1番は、相談等におけるインテークから始まって、施設内あるいは施 設外の訓練実習を行う。それから、具体的な就労を目指しての求職活動支援を行い、職 務定着支援、トライアル雇用等の制度を使っての職業定着支援、その後の長期の定着支 援ということになります。  先ほどもお話した通り、私どもの職場の特徴は、自信をもって、大都市圏であろうと なかろうと何処でも、これだけはやっていけば、かなりの就労支援の実績を上げられる だろうと思っている1つが、長期の定着支援です。長期定着支援を行っていることから プログラム全体を考えていくという視点です。これは、何処かで収入をという考え方は 基本的にもたない支援をしているというのが、一番の点です。この図でいうと、<5>の 長期定着支援を非常に大切にしているというのが特徴です。  下の方に、準備訓練のみを重視する就労支援と長期の定着支援を重視する就労支援と 書きましたけれども、長期の定着支援を重視する就労支援は、私たちは就労してから本 格的な支援のスタートになると考えます。それから、就職後、比較的長期的職場で戦力 になっていく人とそうでない人というのは、どういった違いがあるだろうということを、 非常に大切に考えます。就職をゴールとして終わりとするのではなく、当然、誰が就職 できて、できなかったという比較情報が大切になるとは思いますが、そうではなくて、 働いてから、会社の中で期待される人に成長していくという人はどういう人たち何だろ うかと考えます。もちろん、そうなっていくためにも、職場の様々な特徴とか、障害特 性に対する配慮についての状況といった具体的な情報だとかを考えます。そして、一番 下に、Dとして書きましたが、企業等は障害者の継続的な就業生活を支える大切なパー トナーであるという思想の下で、就業相談をしているのが大きな特徴です。  次のページをご覧ください。表にステップ1からステップ4と書かせていただきまし たが、私たちの職場で就労支援の担当者、就労支援ワーカーあるいは就労支援員と呼ば れる人たちをどのように育成していくか、すごく大雑把に書いたものがこのステップ1 からステップ4です。まず、福祉系の大学や専門学校を卒業した比較的若い方を想定し た場合、最初の職場としては、いわゆる訓練施設に入っていただき、そこでの仕事をし ていただきます。何をやるかというと、いわゆる施設内訓練の場で、受注作業の進行管 理、あるいはミスの少ない工程分析やジグの理解、見積を作ったり、納品を作ったり、 請求書等を作って事務処理をする。お金がちゃんと入金されているか確認する。場合に よっては、受注契約書を作る。新規の受注作業を拡大する。場合によっては、訓練中の 障害者の特定の課題に関する本人との話し合い、面接をやったり調節をしたりと、指導 の方法を学ぶ。それから、職員間で、チームとして支援するための職員間のコミュニケ ーション方法を学んでいく。というのが最初のステップです。障害のある方が企業に入 って、仕事は何かという基本を教えるのと同じようなことを、私たちの施設の中で最初 にしていることです。  その後、先ほどの図1の流れによりますと、いわゆる求職活動、初期の定着支援とい うのを行っていきます。これについては、10年ぐらい前、私たちの事業が本格的にス タートした時に、このステップ2というのは非常に難しかったのです。今は全く簡単で す。ハローワークに行けば全部教えてくれます。以前は、ハローワークに実習先の相談 に行くときも、こんなことを言っていいのかどうかと、顔色を見て話をしなくてはなら なかったようなことがありましたが、今は全くございません。ですから、今は、教えて くれる人がたくさんいますし、ノウハウも大体出来上がってきておりますし、私たちも パワーアップと読んでいますけれども、マニュアルもありますし、こんな時はこんな制 度を使うとか、そんなものを見ながら仕事をしています。  ステップ3の段階ですが、やはり難しくなってくるのは長期的な支援の段階で、いろ んな課題や問題が生まれてきます。それらを解決することが問題になってきます。この 段階になってくると、かなり専門的な知識が要ると思います。特に、福祉の職員として の権利擁護の意識が問われます。これは、企業内というだけではなくて、社会性だとか、 様々な金銭トラブルだとかがきっかけとなり、就業が続けられなくなる方などもいらっ しゃいますので、そのためにも、福祉の知識も必要ですが、広い知識も必要となるのが ステップ3です。  そして、最終的に、一番難しいのは、一言で言うならば、インテークがしっかりでき る人というのが一番高いレベルです。今回の話では、ステップ4までは求めるつもりは ございません。就労支援の人材としてここまでというのは、私たちは求めておりません。 ステップ3までということです。ちなみに、余談になりますが、民間企業で30年働い た方もこの中にはおりますが、基本的には同じ流れを通ります。ただし、ステップ1で 学ぶことは、障害者と向き合って、障害者とはこういう人なんだと、実感として知って いただくということです。  次のページをご覧ください。基本的には電機神奈川福祉センターの人材育成は、OJ Tでの人材育成しかないというのが現状で、外部で行っている様々な研究会あるいは討 論会、シンポジウムなどにいろいろ参加しております。ただし、これは業務命令ではな くて、本人の自己研鑽を含めた研修ということで行っております。下にコメントでまと めましたが、電機神奈川福祉センターでは、就労支援において企業で働く環境に近い、 施設内訓練や施設外実習の場をつくり、そこで障害者が体験を通して訓練と自己評価を 行うことを重視しております。この環境をつくるためには、民間企業に長く勤めた方の 人材というのが不可欠であるということが、まず1つあります。そしてもう1つ重視し ているのは、長期的な支援の問題です。これは先ほど説明しました。そして、3番目は、 電機神奈川福祉センターの人材育成としては、そのベースはOJTであるということで す。ただし、闇雲にというのではなくて、各1年目、2年目とそれぞれの目標をつくっ ております。この段階ではこれまでちゃんとやってください。それに合わせた人材の職 場の配置も行っております。そして、初期の段階には、必ず施設内訓練の場で研修を行 うことを必須としているのが私たちの職場の特徴だと思います。そして、最後に、就労 支援担当者として活躍するレベルに職員を育成することは、それほど難しいとは思って おりません。新卒の専門学校あるいは大卒の方で、ステップ3までいくには概ね4年で 進んでおります。ただし、OJT中心ということは、その職場がどういう運営をしてい るかということに大きく依存すると思いますので、一概にはいえませんが、私たちの職 場ではそれほど高い方だとは思っておりません。残念ながらステップ4に至るというの は、非常に高い方の場合で、私たちの職場としては大きな課題となっております。  さて、あと5分弱時間をください。3番目に、障害者の一般就労を支える人材の現状 と問題点ということで、私たちの職場から見た障害福祉の状況全般についての話をさせ ていただきます。図2に2つの絵を描きました。障害者雇用対象者、カウント数、民間 企業並びに公的な機関のカウント数、概ね30万人だったと思いますが、もちろん56 人未満の企業であったり、30時間、20時間未満の就業の方もいらっしゃいます。プ ラスアルファとしてあとどれぐらいいるかはっきりは分かりませんが、30万人+αが 障害者雇用の対象者です。それから、右の方に、障害福祉サービスの対象者が60万人 +αとさせていただきました。平成17年度の入所、通所、小規模作業所等の数字を足 し合わせると、大雑把にこのぐらいだったと思います。もちろん、在宅で居宅サービス 等もありますから、プラスアルファというのは、はっきりは分かりません。  実は、就労支援というのは、福祉の現場にいると、両者がオーバーラップする人は非 常に少ないと考えられます。文章には1枚程度に書いてしまったんですけれども、1割 程度だとすると、60万人として1割だと6万人です。6万人のうち就労移行支援事業 者に半分ぐらい来ると、3万人ぐらい来るかなという感じです。就労移行事業者が3万 人だと1万5千人、1年間に就業者が出るか出ないか。1万5千人のうち何%が就労す るだろうと考えると、4,5千人が1年間に就職することになります。かなり楽観的な 数字でそれだけです。1年間に2千人移行すればいいというふうになるのであれば、1 割ではなくて、5%ということです。5%になってしまうと、95%が障害福祉の現場 では就労のネットには関係のない人たちの支援をしているということで、日常の中でや はり就労に対する認識というのが非常に薄く、実感が沸かないというのが福祉の現場な んだろうなと思っています。周りにいるいろんな生活支援センターあるいは小規模作業 所の方々と話し合っていて、私たちはそう思っております。  次の7ページですが、今度は同じ丸を四角にしてみました。労働系の就労担当者と障 害福祉系の就労支援担当者と私が勝手に名前を付けましたけれども、職業センターのカ ウンセラーであったり、ハローワークの雇用指導官や専門援助部門の方などが労働系で す。一方、障害福祉系の方は就業・生活支援センターや就労移行支援事業所の就労支援 を担っている人たちだと思います。若干違うところを見ていると思いますが、重なって いる部分もかなりたくさんあるというのが現状だと思います。こうやって考えてみると、 労働系の就労支援の担当の方は企業が障害者を雇用せねばならぬ、社会的な風潮として あるいは障害者のニーズとして、新たな障害の方がこのように就労を希望しているとい うことで、自分たちで積極的に選ぼうとせずとも、次第々々にこのクラス、この絵でい うならば、右側の下側に下りていっているというのが現状だと思います。ところが、障 害福祉サービスはすでにほぼ10万人+αのほとんどの方が就労には関わりのない方の 中で仕事をしています。  就労支援の仕事で一生懸命地域の中で成果を上げようとするならば、当然ある一定の 対象を絞り込んでそこに労力を注ぎ込むしかないわけなんですけれども、どの人にどう いうふうに注いでいいかということは、障害者の当事者の方からなかなか意見が出てき ません。一般の人たちは難しいと思います。なかなか出てきません。地域の各地方自治 体の福祉行政の中でもそういった意見はなかなか出てきません。やるのは誰かというと、 事業所自らあるいは就労支援担当者自らそういうノウハウをもたないと、この事業はで きないということをまとめたつもりでございます。これは非常にハードルが高いです。 現状として非常にハードルが高いので、労働系の就労支援担当者から見て非常に歯がゆ い思いをされるところだと思いますが、これは非常に難しい問題なんだと思っておりま す。私たちはこれができるというのは、私たちの法人は法人ができる前からこれをやり ますと決まったからやっているのです。それを途中から、これをやらねばならぬという ふうになることはなかなか難しいとも思っております。  そういった意味では、難しいのであれば若干、制度や仕組みの中でインセンティブが 働くように、そちらの方向に行くような仕組みをしっかり作ってあげないと、人材育成 は理念に終わってしまいます。特に私たちはOJTが大切だと思っておりますが、その OJTができる環境がなかなか作れません。そういった意味では、制度、仕組みを今回 しっかり作っていくということなくして人材育成はないということで、ちょっと言葉に 出すのは恥ずかしいので、就業生活・支援センター、就労移行支援事業所、職場適応援 助者の現状とインセンティブについて表の中に書いてございます。ポイントとしてまと めました。障害者自立支援法の施行以降、就労支援というのは非常に強調されるように なりました。従来の障害福祉サービスの対象者の中に一般就労を目指し、あるいはその 可能性がある程度は存在する人は非常に少ないということをもう1度考えていく必要が あると思います。そういう面では、障害福祉の現場では就労支援、特に一般就労、企業 等での就労と考えると、イメージ、実感を持ちにくいのが現状なのだと思います。  2番目は、障害福祉の分野で就労支援の業務をイメージできないのは、新たに誕生し た障害福祉系の就労支援担当者だけではございません。就労支援事業所を運営する公益 法人もそうです。あるいはそれを監督する地域の障害福祉行政の担当者の方もそうだと 思います。これは、かなり皆さんは実感がないというのが私の率直な感想です。適切な 対象に労力・資源を集中し就労支援を行うことなくして、成果を上げることができない というのは、誰も認めることだと思いますが、そのためには、就労支援担当者あるいは 運営をしている事業所、法人が自ら対象者を絞り込むという作業をしなくてはならない けれども、これは非常に大変な作業です。とはいっても、それをやらないと就労支援は できないのであれば、金銭的なインセンティブを含めてそこに力を注ぐ仕組みをなくし ては、逆に人材育成もおぼつかないということだと思います。  まとめの方は1ページ書いてございますが、今話したことをつらつら書いたものでご ざいます。最後の方は、人材育成という面で、OJTを中心にやっている私たちの法人 から見て、その環境をどうして作れるのだろうかということを、地域の中でどうしてい こうかということでまとめたものでございます。時間がかなりオーバーしましたが、以 上で終わります。 ○座長  ありがとうございました。それでは、ただ今のお話に対してご質問等ございましたら どうぞ。どの部分からでも結構です。福祉系の話がございましたけれども、一番近いと ころで、八木原委員の方から何かございますか。 ○八木原委員  ため息が出ました。私が次に話題提供させていただきますが、法人全体で就労支援に 取りかかれるというのは本当に羨ましいなという気がしました。社会福祉法人では、生 活が重要、精神は更に医療や保健が加味されますので・・。 ○座長  福祉の場からこう言われてしまうと、湯田委員としてはどうですか。 ○湯田委員  私は企業ですので、こういう実態をなかなか知るチャンスは日頃はないのですね。表 の中で実態としてはよく分かると思います。内容については議論していきたいと思いま すが、私は企業として、賃金の格差というのはやはり非常に感じているところです。こ の辺の部分もやはり改善が必要なのかなというのは、聞いていて、やはり企業から見て も同じそういう課題があるのだなというのは、今回初めて理解できました。 ○座長  私から先に質問させていただいて申し訳ないのですが、福祉の側ではインセンティブ がなければ難しいという点について、その背景をもう少し補足していただけませんか。 ○志賀委員  自分でこの資料を作りながらこれを発表していいのかなと思いましたけれども、7ペ ージの四角にまとめたグラフです。これを書いていて、ああそうかと自分で気がついた のですが、やはり対象を絞り込まないとならないということは、そもそも地域の福祉の 中でこういうことを話していいのかということさえ現状としては非常に厳しいというか、 そういう風土があると思います。それが福祉現場全体として、多分特別支援教育でも、 地域によってはまだまだあるのだと思います。ただ、暗黙の了解としては誰もが知って いる。問題は、それを絞り込むというのは、そういう社会の中で生活し、仕事をしてい る人にとっては、本当に難しいことだと思います。逆に、職業センターなんかは非常に 分かりやすいのですね。まさに職場の仕事として障害者の雇用の仕事をしていて、今い る人たちだけではなくて、社会的なニーズに合わせて少しここで増やしていこうという ふうに広げられるのだと思うのですね。障害福祉系の中では、今いる人たちはこういう のをやりますと、やっと集まった人に対して、先ほどインテークが難しいといいました けれども、お会いしてしばらく話をして、あるいはちょっとした準備訓練をしたりする というような中では、本当に一般就労に向けての支援ができるのかというのが、自分た ちでなかなか判断するのが難しいのだろうと思います。まさにハローワークにたくさん 相談に来られている精神障害者の方々に対する問題はそうなのかなという気がしており ます。こういった発想がこれまでなかったのでしょうね。ですから、こういう文化を作 っていかねばならないし、きっとなるとは思いますけれども、早急にといわれると、そ うではなくて、5年、10年スパンでなるのだろうなと思います。やはり、これをやっ ていこうとするためには、あまり説明いたしませんでしたけれども、就労移行支援事業 であったり就業・生活支援センターが同じ福祉系の事業のやり方として、経営できるの ですよね。ただし、それで成果が上がってくるのということについては、一生懸命やっ ている就労移行支援事業あるいは就業・生活支援センターと、あまりそうではない所と をどうやって見ていくかというのが、今のところないのだろうな、あまり関係ないのだ ろうというのがありますね。人材育成以前の問題の話になってしまいましたね。 ○座長  ただ、今のお話しを聞いて、原委員どうですか。 ○原委員  非常に難しい課題だと思うのですが、学校の中で今一番就労指導が変わり始めている のは、本人の希望や要望がどういうふうに形成されていくかということもありますが、 キャリア教育を大事にという流れの方向だと思います。その希望や要望が出てくるのは、 体験をしたり、そういうことがあったりして出てくると思うのですけれども、以前はな かなかその体験や経験をというのが、計画的に、組織的にできていなかったと思うので す。それが少しずつ雇用現場が変わってきたり、地域の中に就労支援機関が出てきた中 で、少しずつ情報提供ができるようになってきていると思っています。ただ、この部分 はまだ随分地域の状況によっても影響を受けますし、何より学校の担当する教員の意識 の問題もあるように思われます。その部分が今回のこの人材育成に重なると思います。 先ほど、志賀委員の方からステップ2のところのハローワークとの関係は大変良好でと いうお話がありましたが、まさに私もそういう実感をもっております。連携通達が出て から大変変わってきています。その状況を現場の全部の教員が理解しているのかですね。 これも言いづらいのですが、未だに、「不況で就職先がないのだよ。」というような話 をしている状況も実際に見られますし、何が大切な情報なのかということを、当事者本 人、保護者にどう伝えていくかというのが、現場の教員の大きな課題だとは思います。 そのことと、では、実際に数として、量としてといった時に、課題が大きいとは思うの ですが、どちらかというと、インセンティブがどう福祉の方で働くのかというのは、あ る意味、教員と学校現場とどう連携できるのか、もう少し考えていかなければいけない と思うのです。 ○座長  今のお話を伺っておりますと、学校の先生の中には必ずしも就労移行させなくてもい いという人たちがおられますが、そういった人たちに対して就労支援に関するカリキュ ラムについても検討することが必要かと思います。 <休憩> ○座長  それでは、研究会を再開したいと思います。2番目のヒアリングでございますが、明 治学院大学社会学部教授で同時に障害者就業・生活支援センター「ワーキング・トライ」 のセンター長の八木原委員の方から、障害者就業・生活支援センターにおける一般就労 を支える人材の現状と課題についてお話を伺いたいと思いますので、よろしくお願いい たします。 ○八木原委員  よろしくお願いいたします。先ほどの志賀委員のお話を聞きながら、ちょっと厳しい 状況に立たされているなということを肝に銘じながら、説明は極めて福祉的にやってい こうと思います。すみませんが、お手元に平成19年度の事業報告書があります。その 他に今日の資料としてJHC板橋会の組織図、それから就労支援のシステム、そして障害 者雇用のアンケート用紙を1部入れさせていただきました。本来ならば、きちんとした 資料を提示する必要があったのですけれども、実際のところをご覧いただきながら説明 させていただこうと思いました。  まず、このドーナッツ型の組織図ですけれども、これは時計と反対回りに1984年から 順番に開設されている事業所です。左にあります「大山」から「いずみ」までの5ヶ所 が小規模授産施設です。自立支援法の中では2012年までに1つの包括支援センター、3 つの就労継続支援事業B型、1つの地域活動支援センターIII型を検討いたしております。 それから、板橋区の委託事業のクラブハウスが1つ、居住援助事業のグループホーム、 移行支援事業の社会就労センター、地域活動支援事業I型の地域活動支援センター、こ こには退院促進事業や国土交通省の事業であるあんしん賃貸支援事業も含めています。 これらと、今回の障害者就業・生活支援センターを入れまして、JHC板橋会は複合施 設として活動しております。  障害者就業・生活支援センター「ワーキング・トライ」の業務の目的とか内容は、こ の報告書の3ページに基づき展開されております。内容は、4ページから8ページとい うことで詳細が書かれておりますので、ここを少し説明させていただこうと思います。  まず、4ページに入って、「相談・支援の実施」ですけれども、これともう1つの就 労支援のシステム図はJHC板橋会の中で生活支援と就労支援というものを2つに分け た時に、就労支援に重きをおいて活動している小規模授産施設及び就労支援センター、 そして、障害者就業・生活支援センターの利用の流れを図式化したものです。これはD VD化してありますが、これをご覧いただくと24分かかりますので、割愛させていた だきます。  JHC板橋会以外の人たちが利用されるときは、相談申し込みをされますと、まず初 回面接をいたします。ここでの初回面接というのはアセスメントで、そこでコーディネ ートをしていく形になります。つまり、この人が本当に就労できるのだろうか。それよ りももう少し訓練をした方がいいのではないか。この人の体験の様子を見ながら少し考 えたいなということなど、振り分けをする作業を第一で行っています。この中で、スタ ッフに必要なスキルというのは、まずは情報収集された資料、資源をどう活用していく かということと、コーディネートする力が要求されているのではないかと思います。  4ページのところに「就労準備学習会」とあります。この就労準備学習会では地域連 携、ネットワークづくりということを大切にしておりまして、この中で東京労働局、産 業労働局、ハローワーク、職業センターの方というように、地域の資源を活用しながら 当事者を含めてみんなで学習をしています。就労ミーティングの中にはいろいろなSS Tを取り込んでおります。職場定着のために、職場実習をしている人たちが戻って来て、 どのように困ってきたのか、あるいはどういうふうに言われてきたのか。課題を解決し ていくための1つの方法として行っております。5ページ目の「定着支援」では、職場 訪問ももちろんございますし、個別支援も行います。それから、定着の中では、就職、 一般就労のできた方が月1回集まるOB会というのがありまして、グループワークの中 で相互支援の活動を展開しております。それから、事業主からの相談もたくさんござい まして、業務創出だとか、メンタルヘルスの対策等についても相談を行っております。  6ページの中の「関係機関との連絡会議」というのがございます。これは、障害者就 業・生活支援センターで年3回を実施していましたが、今年度からセンターとハローワ ークとの合同で開催する予定となっています。今年7月から、東京都は5カ所目の障害 者就業・生活支援センターができましたので、東京都にあるハローワークを5分割して、 地域連携の強化をしようということになっております。  7ページの「障害者雇用支援者に対する研修の実施」ということでは、いろいろと実 施しております。10ページを開けていただきますと、対外的に「障害者の就労支援従 事者研修とSSTセミナー」ということで、以前はSSTを行っていましたが、昨年度 から就労支援に特化した研修に切り替えています。8ページの「ハローワークとの連携」 では、双方が講師として協力をしています。先ほどの準備学習会の中で、ハローワーク の方が講師となってくださったり、それから東京労働局と東京都産労局主催でのセミナ ーにこちらが講師として招かれたりしています。もちろん、この中で、私たちが大事に していることは、ただ単に支援する側が話をするだけではなくて、障害当事者、それか ら企業の方、支援者の三者が合同で伝え合う機会を設けています。  支援対象者の状況につきましては、35ページをご覧下さい。障害種別では私どもは 精神障害者を対象に生活支援を行っておりましたので、対象者の9割近くは精神障害の ある方となっております。その他としては、高次脳機能障害の方、発達障害の方、自閉 やてんかんという形になっています。支援対象者は在職中、求職中、訓練中の割合が3 分の1ぐらいでここ数年推移しているということが、統計資料の中で分かっております。  36ページの「就職・職場実習状況」ですけれども、平成16年度をピークにちょっ と減少しています。ほんの少しですけれども、就職している方の数が減ってきていると いうのをご覧いただけるかと思います。これは、私どものスタッフの能力のなさという こともあるでしょうが、登録をする前の支援機関がなくて、単独で仕事探しをされてい るケースが非常に増えてきているということも原因の一つではないかと思われます。従 って、準備訓練が不十分であって、その準備訓練に要する時間が必要になってきて、就 労への移行が難しくなっているということです。  37ページの「就職者実績」の方では、精神に障害のある方の雇用率算定が可能とな ってきたことで、企業の障害者雇用の受入れが非常に進んできています。障害をオープ ンにして就職する方の数が増加しているということで、この表の中でも、クローズドで いった方が3人しかいらっしゃいません。もちろん手帳取得者もそれに伴って増加して おります。  38ページですが、就職者の実績の中で、精神に障害のある方たちの「ワーキング・ トライへの利用経路」を見ていきますと、関係機関からの紹介で相談を受けに来られる 方が増えてきています。その方たち62名の方の詳細を見ていきますと、下の円グラフ になります。そうしますと、非常に多くの所からの紹介による相談になっていますが、 退院促進事業が進められているといいつつも、病院からの紹介がちょっと少なくなって います。代わりに、ハローワークから相談に来る人、あるいは自力で相談に見える方が 増えているということで、先ほどの36ページのグラフからもうかがえるのではないか と考えています。  すみませんが、43ページをちょっとご覧になってください。「定着率」のところで すけれども、平成18年の10月から平成19年9月までの1年間のデータの中で、就 職していかれた方が28人です。そして、25人が就職後6カ月を経ても在職しており、 定着率は89.3%です。離職された3人の方を追ってみたのですけれども、1人の方は一 旦就職されましたが離職されて、現在は求職活動中です。2人目の方は、流れ作業に変 わったということで、どうも仕事がしっくりいかないということで辞められ、今は事務 職で勤められて、約1年継続されています。3人目の方は、派遣社員のオペレータとい うことで仕事をされた方ですが、そこは辞めて、合同面接会を経て就職をされ、データ 入力の仕事で9カ月目に入ったところです。こういった3人の方には、意図的な介入を 行ない、先ほどOB会といいましたけれど、ここにお誘いして、引き続き継続的な相談 を行っています。  以上がざっとした概要ですが、障害のある方たちの一般就労を支える人材ということ では、この報告書の3ページ、それから、4ページから8ページ、こういった業務を遂 行していくわけです。就業支援担当者として、まず主任は、法人内部の調整、それから 事業、予算、統括責任を担っています。  それから、利用者に対するインテーク面接です。私は初回面接を担当しておりまして、 この中で、先ほど申しました振り分け作業をやっております。そうすると、スーパービ ジョンがやりやすくなるのですね。職員のスーパーバイザーという形で研修を担当して おりますし、その都度、ケース検討の中でもスーパーバイズしやすくなるということで す。それから、会議等の渉外、他の機関との連絡調整ということをやっております。次 に担当者は事業計画の立案をしたり、利用者や事業主のための支援ということで出かけ ることが多くなっております。統計報告書などの作成も当然行います。地域ネットワー クのための啓発活動も行います。研修等の企画立案を一緒にやっていきます。  今回の本題である障害者就労支援担当者に必要な能力、必要な技能ということですが、 やはり障害者就業・生活支援センターが三障害の相談を行なうことが原則ですが、多様 な障害者の特性の理解が必要になるかと思います。しかし精神に障害のある方たちを主 に支援してきた関係で、やっぱり発達障害とか、高次脳機能障害の方たちに関しては、 障害者職業センターや発達障害者支援センターなどの専門の就労支援機関と連携をとり ながら活動していくということになります。就労支援は、環境に応じた柔軟な対応が必 要になりますし、ケアマネジメント技法の特にアセスメント、ニーズアセスメント、プ ランニングという、この辺りをしっかりとやっていくことが必要です。コーディネート 力はもちろんですけれども、次に個別ケースに応じたネットワークの構築も必要となり ます。技法として私はSSTをずっと取りいれております。ポジティブな考え方、今で きるところから目標設定ができるということでは、SSTスキルを採り入れていきたい と思っております。それから、チームワークです。これは抱え込まないでみんなで支援 していく姿勢をもたないと、就業支援は1人ではできません。コミュニケーションスキ ルもそうです。適切な報告書の書き方、情報から創造力を持つことです。これは、本セ ンターも法人内の就労支援を行なっている事業所も同じ状況だと思っています。  育成方法として、私は3段階あると考えております。  まず、新人の見習い研修では、まずは観察をするということです。先ほど志賀委員も いろいろな実際のOJTの話をなさいました。私どもも複合施設の強みを生かして、各 事業所を研修の場として活用しています。就労支援というのは生活支援の一部であると いうことで、私たちは生活支援からスタートしてきました。生活支援を理解して、個々 のケースが、どのような特性をもっているかを理解した上で就労支援を行なうという、 この流れを理解してもらうことにしております。自分自身のキャリア形成に照らし合わ せても、障害者雇用というものは、人間尊重の中で平等に、対等に扱われていくという ことを学んで欲しいと考えております。3カ月間の見習い中は活動記録、スーパービジ ョンを実施しています。  2段階目は、他者の話を聞くということで、先ほど申し上げましたセミナー等に同僚 が講師として派遣された時に、自分たちの所属している機関のことをどのように説明し ているか、仲間の発表を聞くということをやらせております。更に、支援者として自己 覚知ですね。自分自身の振り返りを行うチャンスとして、SSTやピアカウンセリング の学習を徹底させています。これは支援する一人ひとりの技能というか、豊かな柔軟な 対応ということを考えて、職員の態度変容のための学習として行っております。  3段階目は、これまでの学びを創造へということで、新しい開発プログラム、つまり 支援する者が支援知識や方法ということを学習して、そして開発プログラムを造り上げ ていく。そのために、内部研修以外の外部研修に出かけていく。参加後は必ず報告書を 提出する。こういう3段階を私たちは考えて進めております。    他の機関の一般就労を担う人材ということでは、先ほどからも話が出ております自立 支援法に関連して、移行支援事業を行っている事業というのは大変忙しいです。どんど ん送り出して、どんどん新しい人を入れていくという流れで、本当に忙しいところなの ですね。ところが、継続支援B型になってきますと、それがちょっと留まってしまうと いうことで、先へ進まない。やっぱり、障害者のサービス利用体系と事業所に求められ ている体系というものとが、どうも混同されているのではないかなと考えます。支援機 関はスムーズな移行になり得ていない。抱え込みが見受けられるということです。  それから、利用者にとってみれば、一般就労を希望する障害者がそういった施設を利 用するというよりも、むしろ自分自身で就職活動をしていかなければいけないというと ころに追い込まれているのではないかと思います。つまり、福祉サービスを受けるため には自己負担をしなければならないということで、自分で職探しをされているのだと思 います。それが36ページで説明しましたように、就労準備段階の準備訓練というとこ ろで大変時間を要するということにも繋がるのではないかと考えております。そして、 就労移行支援事業者に求められる知識というのは、スムーズな福祉的就労から一般就労 への切り替えが大変難しい状況にあるのだろうと、思っております。やっぱり、ケアマ ネジメントに基づくアセスメントですね。ちょっと今一つはっきりしないということを 感じます。そうすると、サービスのあり方が思いつきであったり、計画性がなかったり ということで、それが障害のある方たちに響いているのではないかと感じております。    今後の人材ということにおきましては、私は事務局にお願いをして、この「特例子会 社における」という機構のNo.265を用意してもらいました。これは、湯田委員や根岸委 員もご一緒でしたけれども、特例子会社についてのケーススタディです。39ページか ら41ページに今後の見通しという点について書かれています。それと、41ページに 雇用を進めていくために必要なこととしての地域の連携体制、人材の確保ということが 挙げられておりますし、43ページには支援者に求められる要望として、「支援の個別 性、つまり知的障害者はこういうものだ、精神障害者はこういうものだというように、 障害にとらわれないで、個別の対応ということを考えて欲しい」ということが言われて おりますし、「ジョブコーチの人たちも包括的な支援の役割が必要なのだ」ということ のコメントが入っておりまして、この研究会の中でもヒントが得られるのではないかと 思います。  それから、もう1つ、資料の最後に障害者の雇用のアンケート調査というのがありま す。これは2005年から東京中小企業家同友会との連携でやっております。まだ単純集計 が終わったばかりで、クロス集計を少しやっている最中ですが、56人以上の従業員を 抱える企業からは、障害者雇用を考える動きが見られます。直接雇用を考えているのは、 個々の企業で10社ありました。56人以下のところでは、あまり障害者雇用に対する 関心は高くありません。ただし、職場実習だったら受け入れるというところの回答は多 く見られます。こういったところで私たちは就労支援をしていく中で、体験実習をさせ ていただくのには好都合なのかなと思っています。この辺も連携がうまく取れたらいい なと思っています。  最後に、支援者及び支援機関は、働きたいと希望される障害者の方と向き合った時か ら支援が始まっているわけです。入口から就労を達成して、継続して仕事が続いていく ための出口、そして、定着支援に至るまでの全行程をまずは理解しなければなりません。 それがなくて、部分々々を学習していくと、それだけで終わってしまって、支援内容が 見えていかない。福祉的就労から一般就労に向かう時にはこの就労支援の全行程を理解 することが絶対条件だと思います。ですから、障害者の指導を行うに当たり、職務分析 とか業務分析といったものの必要性が理解されていないのも、その辺りにあるのではな いかと考えております。分断された研修というのは、やはり就労支援にも影響を与える もので、この機構のNo265 の43ページにもこれと同じことが述べられております。そ れと、研修というのは、知識、理論の詰め込みが多いのですけれども、理論と同時にそ れ以上の演習、実践活動、実践の場での研修が必要不可欠だと思っています。以上です。 ちょっと時間をオーバーしまして失礼いたしました。 ○座長  どうもありがとうございました。それでは、ただ今のご説明につきましてご質問等ご ざいましたらお願いします。小川委員、どうぞ。 ○小川委員  先ほどの電機神奈川福祉センターさんと違って、生活支援に関する社会資源が多い。 その中で就労支援の事業ももっておられる。就労支援を担当する職員というのは、全体 の中での人事異動とか、他の部門と兼務をするとか、要するにいくつかの事業をしてい らっしゃると思うのです。そういう方の就労支援の専門性、人材育成というのは、どう いうようにされておられるのでしょうか。その辺いかがですか。 ○八木原委員  特に就労支援ということで、JHC板橋会の方ではやっておりません。それは、先ほ ど言いましたように、生活支援の中でいろいろな本人のもっている資質がありますが、 まずは資質を育てていくということが第1であると考えています。就労支援に関しては、 職業センターとかいろんなところでのセミナーに参加をしていきながら、それから、元 々私たちは中小企業家同友会の中で、私たちも会員として入っておりまして、もう15、 6年近くになりますが、その中で、定例会に参加することによって企業の方々から雇用 ということについていろいろ教わってきました。それを新人教育の中に織り込んでいっ たり、あるいは一緒に仕事をする中で伝えています。 ○小川委員  そうすると、就労支援を担当されている方が他の生活支援の部署に行かれる場合もあ るし、他の生活支援のことをされていた方が、ローテーションで就労支援のことに携わ ることもあるというふうに理解してよろしいでしょうか。 ○八木原委員  はい。基本はそうです。ただし、就労支援というのは、福祉施策の中では非常に遅く れていました。だから、生活支援には非常に慣れている人たちばかりですが、就労支援 に抵抗がある人もいます。ですので、それを調整していくということでは、意図的なケ ースカンファレンスを用意し、一緒に学習をするという機会を設けたりしています。そ のようにして、少しでも理解を深めていくという形で行っております。 ○座長  他の委員の先生方はいかがですか。JHCのどの施設の利用者さんでも就労支援を受 けたいという人たちは出てきませんか。その場合には「ワーキング・トライ」に全部移 動させるのですか。 ○八木原委員  利用する方たちはどこでも、どの施設のサービスを使うということは可能です。です ので、例えば、小規模授産の「赤塚」の方から仕事を一般就労に向かいたいということ で、ここに所属している人が「ワーキング・トライ」の方に行くことは可能です。そう しますと、そこでの小規模授産のスタッフと障害者就業・生活支援センターのスタッフ とが一緒になって、その人への支援の展開をしていくということでは、かなり強固な形 でできるというふうになります。 ○座長  他の方いかがですか。 ○佐藤委員  志賀さんの施設では企業経験者のスタッフの方が大勢いらっしゃいますが、八木原さ んのところの場合は企業との繋がりはどのようになっていますでしょうか。企業出身者 の方というのはあまりいらっしゃらないのですか。 ○八木原委員  全体では、常勤の職員の中では2人ほどです。福祉とか看護の方の人たちが多いです から、地域との連携ということで、企業の方から学んだり、職業センター、ハローワー クの方から学ぶことが多くなります。 ○座長  他にいかがですか。先ほどのお話では、JHCさんは精神障害の方々がおもに利用さ れておられるようですが、それでは、発達障害とか高次脳の利用者の方々に対する連携 はどのようにされているのでしょうか。 ○八木原委員  最初に相談に見えた時に、私たちの方で、責任もてないのでは、と思った時には、例 えば職業センターの方で適性とかを見ていただいたり、かかわりの相談をします。 ○座長  ありがとうございました。他にどうでしょうか。岡野委員どうぞ。 ○岡野委員  精神障害者の場合、とても難しいと思うのですね。私ども職業センターも精神障害の 方にサービスを提供していますけれども、我々だけで対応できないなと思う場合、JH C板橋さんにお願いせざるを得ないという相互の関わりみたいなものがあって進んでい くのだと思います。手前味噌みたいな感じになるので、話をするのが難しいと思います。 ネットワークというところがとても大事になると思うし、そういった意味で、いわゆる 就労支援をしようとする時に、ネットワークを構築する。またはコーディネートすると 八木原委員がおっしゃいましたけれども、そこが精神障害者の就労支援の時にとても大 事にされるところなのではないかと感じています。 ○座長  なるほど。今お伺いしていると、就労支援のためのネットワークは同時に、人材育成 に際しても大事だという感じを受けましたね。精神障害以外の人たちが来た場合、他の 専門機関と一緒になって支援することを通して、こちらも教わっていくということです ね。そうした過程で三障害に対応できる、幅広い専門職が育成されていくのかも知れな いですね。他の委員はどうですか。どうぞ志賀委員。 ○志賀委員  私たちの電機神奈川福祉センターでも昨年辺りから精神障害の方、統合失調症の方を 中心とする方の相談や訓練をやれる範囲でやりましょうということになりました。1つ は、私がもっています川崎の就労移行支援事業所を使っていただきましょうということ で、直接の相談ではなくて、そこのやり方は地域の社会福祉士であるとか、いろんな関 係機関の方との勉強会をしました。それを通して、就労移行支援事業所で、訓練機関と して自分たちが何をやるかということをすごくシンプルに考えました。知的障害の方は 通えるけれども、職場への適応とか、簡単な相づちや返事が負担としてある。仕事をす るとしっかりした製品を作る。品質の問題でもいわゆる能力を上げていこう。会社の適 応力を高めていこう。こういうことをやっていいかどうか議論はあるのですけれども、 私どものところでは、時給制で、時給180円以上。半年間で時給180円を超えてく ださい。一応180円を超えた人は就職できますみたいな話です。精神障害の方はどう でしょう。スタートが週10時間しか通えないという方にはお断りしています。週10 時間以上通われる方には、半年以内に24時間を超えてください。というような話をし て、6名の方が訓練契約をされた方がいらっしゃいます。すごく乱暴なやり方なのです けれども、私たちの施設の中でやっている気のつかい方としてはそんなことでやってき ています。逆に自分の力で相談したりして何か就労できる人は来ない。知的障害者の人 たちと一緒に就職できるというか、働けるというか、障害をクローズにする人は絶対に 来ません。ということと、あと、専門的なケアマネジメントをしている人が法人の外部 にいる人なので、そんなに数は増えないと思っています。でも、やはり、非常に難しく て、障害特性というか、障害によっての就労支援のあり方が違うなと感じています。ほ ぼ週30時間を超えられる方は今のところ3人いらっしゃいます。あと3人のうち2人 の方はちょっと全く無理そうで、1人はこれからどうなるかなというところで、そうい う方が3人います。そのうち2人の方が統合失調症で、1人の方は手帳がないのですね。  1人は週30時間通えましたので、自信をつけましたということで退所されて、自分 で職探しをいたしますということで、なかなか文化として、私たちの中の支援はとりづ らいのですね。もう1つは、就職に向けてそういう職業訓練を受けるという感覚自体が、 力を上げていくということ自体が仕事に結びついていくのだということがなかなか理解 されない。私たちとしては、力としてはこういうことができないということはあるけれ ども、場は提供できるけど。やはり支援をやってみて分かったのですが、障害の種別に よる難しさというのはありますね。 ○座長  他の委員はどうでしょうか。根岸委員どうぞ。 ○根岸委員  今の志賀委員のお話を聞いていても思ったのですけれども、障害種別、障害特性に応 じた就労支援のあり方の問題もありますが、福祉の関係の方はマンパワーのこともあり、 とにかく忙しいように思います。OJTを中心に力をつけていくとしても、なかなかオ フでの研修は日中にできない。大体、休みの日か夜、それも自分たちで時間を作って参 加するような何か仕組みを作らないといけないのではないかと思いました。就労支援者 を養成する機会を多くして、例えば、施設、企業、学校の先生やハローワーク、職業セ ンターなどの就労支援者間の交流する機会を取り入れた仕組みを作らないと、個人で研 修機会を作っているような今の現状ではとても難しいのではないかと思いました。 ○座長  確かにそうですね。他の委員どうですか。 ○八木原委員  ネットワークづくりの中で先ほど松為座長がおっしゃいましたけれども、人材育成の 1つの仕組みとして、支援者のネットワーク、支援者の学んでいく場というか、その辺 は大きいところだと思っております。ですので、私たちのところは提携施設というか、 自分たちのところでちょっと体験を見て、どのぐらいできる人なのかということを見る こともできます。ただ、地域の中にはまだまだたくさんの小規模授産だとか共同作業所 などの人たちに、来てもらえるような障害者就業・生活支援センターにしていくことだ と思います。ただ、一方で、先ほど言いましたように、移行支援の関係で今ストップし ているような状況もあります。そういう人たちが、わたしたちの研修会にいつでも参加 できるような状態を作りたいと思っています。 ○座長  大分時間もきつくなってきましたが、今は八木原委員の発表ということで限定しまし たけれども、これから先はフリートーキングに移りたいと思います。先ほどの志賀委員 の報告も含めまして、ご自由に皆さんのご意見を伺いたいと思います。よろしくお願い します。では、志賀委員どうぞ。 ○志賀委員  私の発表と八木原委員の発表を比較してちょっと考えてみたんですが、私の方の発表 は法人の問題とか福祉の問題とかいろいろあるとは思いますが、人材育成という視点か ら見ると、私の方で提案しているのは、多分就労支援、特に一般就労、企業における就 労ができる人たちの支援をする基本というのは、余程ハードルの高いものを設置しなく ても活躍できるところはたくさんあるということを言っていたのかなという気がします。 今回のこととは直接関係ないんですけれども、新たに障害者雇用の場を立ち上げる時に、 私たちの施設を使って研修して欲しい。そこの担当になる方の研修の場としてできれば 必ず来ていただきたい。何度か来ていただいて話をしていただけると、知的障害の方、 あるいは精神障害の方というのはこういう方たちで、一緒に仕事をすればこうなるんで すよというようなことをですね。何故かというと、仕事を通して一緒に生活をするとそ んなに難しいことではない。もちろん皆さん就職できるわけではないけれども。職場の 職務の方も、ステップ1、2、3とかありましたけれども、逆に一般就労できる方とい うのは、いっぱい抱えてあげるんではなくて、1個、2個どこかをうまく支えてあげれ ば企業の中で就職できる。そういう形で、その人たちと、その人に寄り添って励まして あげたり、一緒にちょっとした困難のところを、こういうふうにしてあげればというこ とは、そんなにハードルは高くないだろうと思います。今回の人材育成に何を求めるか について、そういうのがまず1つ考えられます。  八木原委員の方からは、とりあえず一番課題になっていることとしては、インテーク ができる人、先が読める、あるいは地域のネットワークを自分たちでつくれるという人 たちの育成という話がありました。あるいはそういった一つひとつのスーパーバイズの 下にそういった人たちが生活支援を行う。うちでは、本当に離職に近い段階の、あるい は職場でうまく適用できないという方、いうならば生活上の何らかの課題を抱えている という方も出てきますし、もちろんそういう段階では、それを就労に移行して就労に向 けての活動をするよりも、家庭生活の方をどうするかという方に頭を切り換えていただ く支援をするということも必要ですが、非常にハードルが高くてなかなか育成がうまく いかないのが本当なんだと思いますね。その辺の部分も考えていて検討していただけれ ばと思います。 ○座長  他にどうですか。八木原委員どうぞ。 ○八木原委員  志賀委員は就労支援のハードルは高くないと発言されました。私もそう思うんですね。 ただ、福祉の支援者側が高くさせているんですよ。本当にそう思います。生活支援とい うのは自分たちがやってきた。その中で就労支援もやらなければいけなくなった。今ま ではプロパーに任せればいいということで、職業センターとか就労支援センターなどに 任せてきたものを、今度は自分たちがやらなければいけないというふうになった時に、 非常にハードルが高いと逆に思ってしまうわけです。本当は生活支援の一部なわけだか ら、そんなに難しくはないはずなんだけれども、自分たちでハードルを高くしてしまっ ているんではないかというのが私の実感です。 ○座長  他の委員、どうでしょうか。小川委員どうぞ。 ○小川委員  八木原委員が出されたこの資料を見てさっきから考えていたんですが、これはやはり JHCの事業体系図でもあり、よくある法人、あるいはある地域の縮図でもあるかなと 思うのです。やはり自立支援法で就労移行支援事業というものをつくって、それが就労 移行支援事業をいくつもの授産施設が取り組んだらいいなあという、そういう設計図と いうのは、この中でよく読み込んでいくと、すごく一つひとつの事業は働くということ を取り組んでいるところは少なくないですね。これを読む限りでは、働くことのレベル というのは見えないんですけれども、働くということに取り組んでいるところがそれぞ れに就労移行できるようになり、そこにやはり就労支援の専門性が蓄積されて、全体的 に福祉施設が出していけばいいという、もしかしたらそういう設計図だったのかも知れ ないなと思います。だけれども、要するに、その数と専門性のところのもう少し整理を する必要があるなと思っていて、私はこの中での障害者就業・生活支援センターがもつ 就労移行の力というのは、他とは全く違うものであり、そこにはまた全然違う専門性が 必要であるのではないか。それから、他の、例えば喫茶とか清掃とか、そういうところ に携わっているスタッフも就労支援をやっていると思われるかも知れない。そういう所 のスタッフの就労支援の専門性というのは、またちょっと他とは違うところがあり、ま だ働くということを経験していない人たちがファーストステップで働くような場所でも あると思います。そこのスタッフの就労支援の意識、先ほどいろいろネットワークを作 りながらとか、カンファレンスに呼んで、就労について考えてもらうとかおっしゃって いましたけれども、その就労支援についての意識をどういうふうにするのかということ です。やっぱり、この研究会でも、就労支援について階層で考える必要があるというこ とが最初に提起されました。そこが今、まだまだぐちゃぐちゃになっていて、ショブコ ーチのセミナーをやっていても、全部の層の方たちが来て、それで学んでいるわけです。 仕方なしにというわけでもないですけれども就労支援というのはこういう切り口で、こ ういう方法と技術の入り口がありますよということをお伝えしています。やはり、そこ のところをこの委員会の中でもう少し整理して、それから人材養成といっても、いくつ かの階層があって、それにマッチしたターゲットということも考えていかないといけな いのかなと思います。全体的に、やはりどうしても福祉施設の就労支援というと、全体 の底上げと意識の改革というところでちょっと留まってしまう傾向があるなと思ってい ます。 ○座長  そうですね。他にご意見どうですか。原委員どうぞ。 ○原委員  今の人材の専門性の部分で、先ほど最初に志賀委員のところでもありましたけれども、 根岸委員もおっしゃっていましたけれども、労働側の受け入れが随分変わってきている。 その専門性とその受け入れの幅が広がるというのは多分繋がりがあるのかなと思ってい ます。その辺りが、いわゆる人材育成でどういうところがポイントなのかというのが見 えてくると、雇用する側にもそれが非常によい影響を出してくるのかなと思います。い わゆる障害の重い人でもこういう方法で働けるというのが、具体的な提示ができる中で、 多分雇用の幅が広がるんだと思います。そこの辺りは少し人材育成と絡んで、見ていく 必要があるのかなと思っているんですが、そこは当然教育の分野もよく見ていかないと いけないところだと思います。 ○座長  ありがとうございました。湯田委員どうでしょうか。 ○湯田委員  企業側として今のお話いろいろ聞いておりまして、企業としてはいろいろ事業展開し ているんですけれども、やはりいろいろアドバイスをしていただける方、いわゆるジョ ブコーチといったのがありますと、就労を考えやすいということが非常にあるんですね。 これは私どもずっと見ておりますと、やっぱり人によって、障害者就業・生活支援セン ターによってというんでしょうか、人によってなるほどなということがあって、これは こういう展開しようかというように、自分でまた新たに違うことを考えられる部分とい うがあります。これは非常に多いと思います。ですから、そういうことで、普段は少し 階層ということがあるのかも知れませんけれども、それで事業ができたというのも実際 事例としてはありますので、そんなところをちょっと育成をしていくという部分があれ ば非常にいいと思います。  あともう1つは、生活の部分というのはやはり就労に非常に大事になってくると思う のですが、ここの部分は、やはり企業として関わる部分というのは、一般の社員と同じ ようなところまでは企業としてはやれます。そこまではある意味、コストというのは考 えられていると思うのですが、その一定部分、就労に来るまでの生活というのは、なか なか企業としては突っ込めないので、そこをきちんとやっていただける、支援していた だけるというところで、会社との連携を作れればいいなと思います。一例でいいますと、 うちも精神障害者を採用しているんですが、やはりドクターとの絡みというのがあるん ですね。ここは、障害者就業・生活支援センターさんを経由してやるケースが多いと思 うんですが、うちの場合は直接ドクターとやらせていただいています。そこで本音の部 分がよく聞けるといいますか、大体ドクターの方からも、これ以上は休ませてください というようなアドバイスをもらったりしますので、そういうところのネットワークは最 終的にあるんでしょうか。そんなところも併せて議論できればいいなと思っています。 ○座長  根岸委員いかがですか。 ○根岸委員  今のお話と繋がるかどうかちょっと分からないんですけれども、よく福祉の就労支援 サイドの方は企業さんに対して隠したがることがやはり多いように感じています。それ はマイナスになることなんですね。多分、生活上の配慮についてですとか。配慮に必要 なこと、対処方法などが企業側の知りたいところなのですね。やはり、そこのところで、 何が必要な情報で、繋ぐ時に何が必要かというところでギャップがあるんですね。やは り、そこを繋ぐのが行政であったり、障害者職業センターさんであったり、障害者就業・ 生活支援センターさんであったりするのかなと思っています。 ○座長  岡野委員どうでしょうか。 ○岡野委員  先ほどもお話しましたけれども、私たち職業センターは障害の手帳の有無に拘わらず、 いろいろな方が利用されています。その中で、お一人ひとりの方に職リハサービスを提 供していくわけです。もちろん専門外のこともあるわけであって、例えば、精神障害と いうことをお話しすると、湯田委員がお話しされたように、医療と切り離せません。直 接医療機関とお話できればいいわけですけれども、必ずしもそうはいかないこともあり ますので、ご本人を通して、そうではない場合には、障害者就業・生活支援センターの ような本人を支える機関を通して把握することになります。就労と生活を維持できるよ うにしていくということで、生活支援と一体的に支えることになるわけです。1つの組 織がそれを全てやろうとすることはとても難しいし、現実的ではないこともあるわけで す。  一方、私が一番驚いたのは、私どもがいろいろ関わりをもたせていただいている大き な会社で、発達障害の方だけを集めて、ワンセクションつくって、とても高度なお仕事 をしている会社があります。企業がとっても柔軟だということで驚きました。会社側が どんどんハードルを下げている。会社の生産性に寄与するのであれば受け入れようとす るそういう現実がある中で、我々はそういう動きを知らなければいけないのではないか。 ですから就労を支援する側として、企業側にはどういう動きがあるのかといことも分か っていないといけないわけであって、障害者個人というか、そこだけに目を向けるよう な人材育成ということではちょっとまずいのだろうなと思っています。そのような意味 では、小川委員がおっしゃいましたけれども、それぞれの役割分担というものをきちっ と押さえるということと、そこに個々の専門性というか、専門領域に応じた階層的な役 割というものをきちんと整理していかないと混乱するのかなと私は思っています。 ○座長  佐藤委員どうでしょうか。 ○佐藤委員  人材育成にあたって、いわゆる労働系からの支援者に今後必要になってくるような知 識やノウハウと福祉系の人たちが就労に向けての支援に必要となる知識やノウハウの育 成を、どのように進めていくかについては、それぞれ違いがあると思いますので、1つ はそういう対象者の違いによる育成方法の仕訳も必要かと思います。それから、今ほど の各分野の分担ということでは、いわゆる就労支援の関係者として、例えば学校の先生 というのは独自の人材育成の体系があるわけですし、職業訓練校なども含まれるかと思 いますが、そういう他の専門家とどのように繋がりをつけるかということもノウハウの 中に入ってくるので、就労支援者本人自身の能力やノウハウをいかに高めるかという仕 組みと併せて、周辺の関連機関と上手く繋がりをつけるような力をつけることも人材育 成の目的の中に入るのではないかと思います。この辺のことを逐次整理していけば、人 材育成に当たって何が必要かというjことがだんだん見えてくるのではないかという気 がします。 ○座長  どうもありがとうございました。第1回目からいろいろな話が出ました。人材育成は その背景を踏まえたところで幅広い領域の人がいるということですね。小川委員どうぞ。 ○小川委員  この委員会の検討内容にも関わることで1つ確認したいことがあるんですけれども、 志賀さんが出してくださった図の中に、労働サイドと福祉のサイドという拠り方がある んですけれども、もう1つは、今回のヒアリングの中にも第2号職場適応援助者とかカ リキュラムでも入ってきていますけれども、最近、職場適応援助者もそうですし、それ 以外のジョブコーチネットワークのセミナーでもそうなんですけれども、企業の実際に 障害者雇用の、それも管理職ではなくて、比較的実際の指導に当たる現場の方の研修ニ ーズがここ2、3年非常に高まってきています。ここでの就労支援の人材といった時に、 確かに2号の問題とかも取り上げられていますが、あくまでそれは、送り出す側の立場 からやや視野に入れてのことなのか、実際にここでの検討の内容が企業の従業員の方も 守備範囲に入るのか。そこについて、少し最初に整理をしていただいた方が分かりやす いかなと思います。 ○座長   確かにその通りですね。幅広い論議の対象として、企業の従業員の方々に対する研 修の可能性も含めて、第2回目でその辺も含めて少し議論の焦点の絞り方を考えてみま しょうか。それとも、事務局の方で、そういった議論の方向性の絞り方を決めますか。 ○事務局  今の小川委員のおっしゃったことを踏まえて事務局で検討し、またご相談させていた だきたいと思います。 ○座長  それでは、本日は時間になりましたので終わりたいと思います。次回のヒアリングの 人選については私に一任させていただきまして、事務局の方と一緒に打ち合わせをして いきたいと思います。よろしゅうございましょうか。では、そういうふうにさせていた だきます。それでは事務局の方で必要な準備をよろしくお願いいたします。次回の会議 も公開して差し支えないと思いますのでそのようにしたいと思います。また、本日の議 事につきましては、議事録を公開しても差し支えないと思いますので、皆様のご意見は いかがでしょうか。では、異議なしということで、公開とすることにいたします。それ では、次回以降の日程について、事務局の方からお願いいたします。 ○事務局  次回の研究会の日程につきましては、冒頭に申しましたように、7月28日の月曜日、 時間は18時から、厚生労働省の17階の専用第21会議室を予定しております。それ から、皆さん大変お忙しいようですので、次々回の日程調整をさせていただければと思 います。事前に把握させていただいているところによりますと、9月16日、火曜日で ございますが、例えば、15時から17時まではいかがでしょうか。連休明けですが、 事前の日程把握からは可能かと思ったのですが、いかがでしょうか。 ○小川委員  調整してみます。 ○事務局  よろしいですか。では、一応仮の日程ということで、9月16日の15時から17時 ということで仮予約させていただきます。ありがとうございました。  それと、本日の資料につきまして、本日傍聴に来られた方に若干の部数が足りなくて お配りできませんでした。オレンジ色の「あなたの就労を応援します」というのは、ご 入り用であれば、当室に申し出ていただければ、私どもの方で手配をさせていただきま す。それと、八木原委員の説明で使った高齢・障害者雇用支援機構のケーススタデイ報 告書に関しては、機構のホームページにアップしてございますので、恐縮ですけれども ダウンロードしていただきたいと思います。私の方からは以上です。 ○座長  ありがとうございました。それではこれをもちまして、本日の第1回目の研究会は終 わりたいと思います。皆さん、夜遅くまでありがとうございました。ご苦労様でした。 【照会先】  厚生労働省職業安定局障害者雇用対策課地域就労支援室  電話:03−5253−1111(内線5854)