08/07/04 第9回障害児支援の見直しに関する検討会議事録 第9回障害児支援の見直しに関する検討会 日時 平成20年7月4日(金) 14:00〜 場所 航空会館5階501・502会議室 ○柏女座長 定刻になりましたので、ただいまから第9回障害児支援の見直しに関する 検討会を開会をさせていただきます。各委員の皆様方におかれましては、今日はとても 暑い日になりましたが、暑い中またご多忙の中お集まりをいただきまして本当にありが とうございました。では、事務局から今日の進め方、資料につきましてご説明をお願い したいと思います。 ○蒲原課長(障害保健福祉部障害福祉課長) 委員の先生方におかれましては本当にお 忙しいところ、どうもありがとうございます。本日の出欠状況です。坂本( )委員、 中島委員、渡辺委員から欠席という連絡をいただいております。松矢委員は、おそらく もう少しで来られると考えております。  本日の進め方です。議事次第にございますとおりですが、前回に引き続きまして、こ れまでいろんな議論をいただきましたものについての論点の整理をやっていきたいと思 っています。今回は、これまで議論してきたもののうち「入所施設のあり方」、「行政 の実施主体について」、そして「その他」の事項について整理をお願いしたいと思って おります。事務局のほうから大体20分程度で説明をした後、会の終了まで1時間半程 度ですけれども、また、座長のいろんなご指示によって、少しパーツを区切りながら議 論ができればと思っています。  配付資料についてご確認をいただきたいと思います。議事次第のほか、本日の主たる 資料でございます「これまでの議論の整理(2)」というのが1つございます。その他、参 考資料1から参考資料3まで用意しております。それぞれ参考資料1が君塚委員からの 資料、参考資料2が柴田委員からの資料、参考資料3が田中委員からの資料ということ になっていますので、後ほど言及があるものと考えています。なお、坂本( )委員の 代理で、今日は東松山市役所から林様がご出席いただいておりますので、よろしくお願 いします。以上です。資料の不足等ありましたら、ご指摘ください。よろしくお願いい たします。 ○柏女座長 ありがとうございます。資料の不足はございませんでしょうか。よろしい でしょうか。ないようでしたら早速ですが議事に移っていきたいと思います。  それでは、「これまでの議論の整理(2)」について、事務局からご説明をお願いいたし ます。 ○矢田貝補佐(障害保健福祉部障害福祉課長補佐) それでは、「これまでの議論の整 理(2)」と書かれている資料をご用意ください。2頁から見ていただきますと、左側にこ れまで出していただいた主なご意見、そして右側で議論の整理という記載にしています。 前回同様、これが報告書の基になりますので、追記すべきものがないかというご意見、 もしくは、★で書いてあるところにつきましては、今回議論を深めていただきたいとい うことで整理しています。今回ボリュームが多ございますので、左側の紹介というより は、それを整理した右側を中心にご説明させていただきます。  2頁は、入所施設のあり方、役割についてということで整理しています。まず、右側 の1つ目の○ですが、入所施設の必要な理由として手厚いケアを行う場としての役割、 あるいは、保護者が育てるよりも施設に入ったほうがよいというような場合の支えとし ての役割ということで、これは前々回もこれでご説明をいたしましたが、5つあります。 濃厚な医療、リハビリが必要、濃厚な医療、発達支援等が必要、保護者の疾病、障害等 の理由、養育放棄、虐待、不在、こうした場合に入所施設というものが必要であるとい う整理をしています。  2つ目の○ですが、これは第7回、前々回のときにも何名の委員からかご意見をいた だいております。子どもについては、なるべく地域の中、そして家族と共に暮らすとい うことが望ましいというため、入所施設におきましては専門性を有する地域の資源とし て地域への支援、家族への支援と役割、これは現在も果たしていただいておりますけれ ども、こうした役割は引き続き果たしていっていただくということが必要ということで 整理しています。  3頁は、左側の表題にありますとおり「児童養護施設との関係」ということで、同じ 児童福祉施設ということで整理をしております。4点右側に書いています。現在、障害 児施設に虐待を受けた等、社会的養護が必要な障害児が入所している一方で、児童養護 施設等には障害のある子どもが入所しているという状況がございます。これは、第7回 目のときに数字で見ていただいたところです。  2つ目の○ですが、障害児も障害のない子どもも一体的に対応するということが共生 社会の観点から望ましい。一方、現在は子どもの障害の重さとか治療、リハビリの必要 性などに基づきまして、それぞれの施設の特性を踏まえて、それぞれの施設への入所が 行われているという状況がございます。現状を踏まえて、障害児施設において、被虐待 児への対応の強化を図っていく、例えば心理的なケアができる職員を配置していくとか、 そうした方向と共に、児童養護施設におきましても障害児への対応を向上させていくな ど、それぞれの施設において適切な対応を図っていくということが現在必要というよう に整理しています。  最後の○ですが、どちらの施設に入所している場合であっても、障害児が退所すると きに地域への移行支援を図っていく、特に児童養護施設に入っていらっしゃる障害児の 方が外に出るときに、やはり障害施策との連携というところが必要かということで記載 をしています。  4頁、ここでは入所施設の類型ということで2つあります。(1)が、昼夜・機能で分け られるかというところ、(2)が障害種別による類型という2つの論点です。まず4頁は 「昼夜・機能別に分けることについて」という表題です。障害児施設については、現在 昼夜もしくは機能別に再編が行われています。第7回での議論でも、障害児施設におき ましても支援の場面、例えば末光委員からございましたけれども、例えば重症児の方に ついても日中はパジャマを着替えてプレイルームに出ていくとか、昼夜を分けたきめ細 やかな対応を図っていくということがやはり必要だろう。他方、制度面につきましては、 昼夜・機能で分けることは難しい、慎重な検討が必要という意見が第7回のときにも出 されております。  そこで青のところでこちらで整理をさせていただきましたが、支援の場面では、ご指 摘のとおり昼夜を分けたきめ細やかな対応を図っていく。制度面におきまして2点書い ています。まず、子どもについては、施設に入所した場合に障害へのケアと、家庭代替 の機能を一体として提供していく。訓練とお世話というようなことが明確に分けきれな いというような特徴がございまして、機能を明確に訓練とか介護とか分けることが難し いのではないか。2つ目の・として、子どもについて昼夜を分けるといっても、放課後 や夏休みがあるということで、昼夜を明確に分けるというのが障害者(大人)の場合と 違って難しい。もしくは学校があるということで、障害者の場合は昼夜を分けることに よって昼間いろんな日中活動をするというメリットがあったわけですが、障害児につい ては分けることのメリットも乏しいということから、支援面において昼夜きちっと分け たきめ細かく対応しつつ、制度面ではパッケージでやっていくということ、分けるとい うことは難しいのではないかということについて整理していますので、ここはご意見を いただければと思っております。  5頁ですが、今度は「障害種別による類型について」という表題です。まず5頁一番 上の○です。現在、障害児施設は障害別に7つの類型に分かれていますが、大人の障害 者施設については3障害の共通化が図られ、また学校教育においても盲、聾、養護学校 という障害種別の学校制度から「特別支援学校」という制度に転換が行われております。  これまでのご意見を基にしますと、2つ目の○にございますとおり、障害児施設につ いても、例えば肢体不自由児施設を知的障害、発達障害の子どもが利用することが増え ており、障害の重複化などの状況を踏まえれば、基本的な方向として障害種別という類 型化ではなくて一元化を図っていくことが適当と考えられる。3つ目の○で、ただその 際、2つあります。1つは障害児施設については医療機関としてやっているものがござ いますので、病院型のものと福祉型のものとに分けて考えていく必要があるのではない か。また、主に対象とする障害の種別を示せるようにするなど、それぞれの施設の専門 性について、盲とか聾とかそういう専門性について、相互乗り入れしつつ専門性が維持 できるような配慮が必要ではないかということで整理しています。ここについても、こ うした方向でよろしいかということでご意見をいただければと考えています。  6頁です。(3)として、在園期間の延長についてということで書いています。右側 ですが、まず一番上の○です。知的障害児施設、肢体不自由児施設については、満20 歳以降も児童福祉法上在所できるということにされております。2つ目の○は、これま でのご意見を基にこちらで整理した考え方ですが、今回障害児支援全般の見直しが行わ れるに当たり、歴史的な経緯を踏まえて、機能的には子どもから大人にわたる支援の継 続性を確保しつつ、制度面においては、障害児の入所定員を確保する一方、満20歳以 上のいわゆる加齢児の方については、障害児施策の中で対応するということについて検 討していくべきではないかという意見がございます。3つ目の○ですが、ただ、こうし た見直しを行う場合には、次のとおり、支援の継続性を確保するための措置、あるいは 現在入っていらっしゃる方が施設から出て行かなきゃいけないということがないような 措置など、移行に当たって十分な配慮が必要と考えられる。  7頁、配慮として考えられることの(1)として、いま障害児施設として子どもの方 も大人の方も入っているというような状況を、一部について障害者施設に転換し、「障 害児施設」として子どものための枠を確保すると共に、大人のほうは「障害者施設」と して障害者施策の中で対応していく。それは、いまある施設を2枚看板に、2つに分け てやっていくということ。(2)、その際、必要となる設備基準、例えば廊下幅などが 子どもの施設と大人の施設では異なりますので、経過措置を設ける。そして(3)、こ こは重要ですが、いま入所している方については、仮に障害者施設のほうに移行した場 合、障害程度区分が、例えば満たさなかったという場合であっても、受け皿がないのに 外に出てけということにならないよう措置する。この3つを考えられることとして記載 しています。  7頁の真ん中から下は、重症心身障害児施設について特に記載しています。「また」 とありますが、重症心身障害児施設は継続しての入所、子どもの頃から大人になっても 入れるということのほかに、児童福祉法上18歳を過ぎてからでもこの重症心身障害児 施設に入れるというような規定となっていて、現在87%の方がいわゆる加齢児の方とな っています。重症心身障害児施設について先ほど話したような見直しを行う場合、上記 のような配慮に加えて、重症心身障害児の状況、もしくは児者一貫した支援の必要性と いうことを踏まえて、更に配慮すべきこととして5点上げています。まず(4)として、 医療面、福祉面での支援について継続性が保たれるよう、重症心身障害児について、小 児神経科医、もしくは本人をよく知る保育士等が継続して関われるように措置する。  8頁ですが、(5)として現在大人の障害者政策となりますと療養介護という領域が ありますが、必ずしも現在の療養介護が重症心身障害者の方に適切に配慮したものとな っていないというようなご指摘もございますので、そこは配慮をして受入れができるよ うにしていく。(6)は、子どもの施設と大人の施設というものをいまの施設で併設す るような場合に、一体的に支援を行う、例えば部屋を共同で使えるようにするなどの柔 軟な運用を可能とするよう検討する。(7)ですが、これは同じことの繰り返しですが、 いま入っている方については、特に受入れる施設が限られているような状況も踏まえて 退所させられることがないよう措置していく。更に(8)として、重症心身障害児者の 特性に応じた支援が保たれるよう、必要な措置を講じていくという児者一貫した支援、 もしくは現在入所している方の継続入所について充分な配慮をしていくと整理していま す。  ★で書いていますとおり、このような配慮を行った上で児者一貫した支援や、現在入 所している方について配慮を行った上で、入られている方、ご家族が不安を抱かれない よう措置した上で、制度的には子どもは子どもで児童福祉法、大人は大人の制度という ことで見直しを行っていくということについてご意見をいただければと考えています。  9頁、「在宅支援」と括っていますが、重症心身障害児・者につきましては、右側に 書いていますとおり、医療の発展などに伴いまして支援を必要とするようなお子様が増 えているということで、施設だけではなくて在宅の支援施策を充実させていく必要。医 療的なケアを提供できる短期入所、訪問看護、また第7回のときにございましたが、通 院事業について法定化ということも含めて充実を図っていくということです。  (4)として「その他」です。1つは「入所施設の生活環境のあり方」と書いていま すが、真ん中の○ですが、障害児の入所施設についても、これは児童養護施設を念頭に おいて、「も」という言葉を使っていますが、家庭的な雰囲気の中での支援が可能とな るよう、小規模な単位での支援ができるような施設のあり方、小規模な施設であったり、 ユニットケアであったり、そうしたことについての検討が必要としております。また 「入所施設の地域との関わり」というところですが、これもいまでも地域に出て行って いるというようなご意見がございましたが、重要な地域資源として地域との関わりを深 めていく、そして地域への支援や短期入所の実施という、地域の中の専門機関としての 役割を果たしていくということをまた掲げています。  10頁からはテーマが変わりまして、行政の実施主体についてです。まず(1)は実施 主体そのものについてです。右側ですが、現在、障害児施設の支給決定は都道府県が行 っているという状況がございます。2つ目の○で、保育所等の施策、もしくは大人の障 害者の施策はいま市町村が実施主体となっています。障害児施設についても身近な市町 村の関与、役割というのを強めていくことが必要と考えられます。3つ目の○で、他方、 障害児施設は数が少ない、大人の施設よりもずっと少ないという状況がありますので、 広域的な調整が必要であったり、虐待の場合などもありますので専門的な判断が必要な ことなどを踏まえますと、都道府県の関与も必要と考えられます。更に、児童養護施設 への措置というのを都道府県が行っている。先ほど見ていただいたとおり虐待をうけて、 かつ障害児というお子様がいる場合に、児童養護施設へ措置するのか、もしくは障害児 施設に措置するのか等の判断について、一元的に行われる必要がある。この赤で書かれ ている3つが前提条件となります。  ここから青で書いているところが今回ご議論いただきたい、どのようにしていくかと いうところです。ちょっと複雑ですが、まず通所について10頁の一番下ですが、通所 という家から通うというものについては、現在児童デイサービスも市町村が実施主体と されている。また措置というような場合も少ないので、通園施設については市町村に実 施主体を一元化する、市町村にするということについてどのように考えるか。ただその 場合、小規模な町村などもありますので、都道府県がバックアップしていくということ が必要ではないかという論点設定をさせていただいています。まず、この通所について どう考えるかということでご意見をいただければと思います。  11頁ですが、入所につきましては案を2つ書いています。案1は、実施主体を市町 村とし、それを国と都道府県が支援する仕組み、つまり実施主体を都道府県から市町村 に移すということです。ただ、その際都道府県が入所の必要性、措置か契約かの判断な どについて意見を言う、都道府県がそれの専門性のところをカバーしていくという案で す。矢印で書いていますのは、これは先ほど児童養護施設の措置が都道府県となってい ることから、例えば障害児施設の入所の措置は都道府県、契約の場合は市町村というよ うに実施主体が異なるということは混乱が生じる。したがって仮に市町村に実施主体を 移すというときには、措置の場合も契約の場合もどちらも市町村というように下ろして いく必要があると考えられますが、現状において虐待への対応などの措置の場合も含め て、市町村の事務とすることが果たして出来るかという課題がございます。  そこで案2は、当面実施主体は現状の都道府県としつつ、市町村の関与を強めていく という案です。例えば、実施主体は都道府県としつつ、一定期間ごとに市町村が障害児 の家族の状況に応じて相談に応じるとか、例のとおり入所の支給決定ごとに市町村がそ の子どもの状況、家族の状況を把握して入所の継続が必要かどうか意見を言う、更には 市町村が当該児童のサービス利用計画を作成してモニタリングする、※で書いています が、更にこうした関与を深めていくという意味で、市町村の財政負担というようなこと ができないかということの検討も必要と書いています。この案2の場合には、こうした 市町村の関与を強めていく取組をしつつ、将来的に実施主体を市町村とすることを検討 するという2つの案でございますので、これについてまたご意見をいただければと思い ます。  12頁の中段以降は、「措置と契約」についてです。ここは、第7回のときにも様々 な意見がございました。右側に、現在、障害児施設の利用は虐待、養育拒否の場合は措 置、それ以外は契約とされています。これについて、まず措置にすべきという意見を4 つ掲げています。医療目的の短期入所以外はすべて措置とすべき。国、地方自治体は子 どもの健全育成の責任を負っており、虐待も増えており措置に戻すべき。契約制度にな ったことによって施設への未収金が増えている。だから措置に戻すべき。4つ目は、子 どもは最後は行政が育てるべきであり、知的障害児の入所は措置によるべき、という措 置にするというご意見です。「また、」以下は、逆に緊急時の対応の措置は必要だけど、 すべて措置に戻せば解決するということではない。措置が必要な状況に家族がなる前に、 その家族がそこまで追い込まれる前に契約制度で施設を止まり木のように利用できると いう仕組みも必要ではないか。更に原則は継続であり、利用者と提供者が対等な関係で 福祉サービスを使うべきであるというご意見がございます。★で書いていますが、ここ は措置と契約についてどのように考えるかということを、今日またご意見をいただけた らと思っています。第7回のときに一定の方向性は出てないような状況にあるので、今 回またご議論いただきたいということです。  現在の状況として、措置による場合、契約による場合との各自治体により差は生じて いるとの指摘がございました。更なる明確化が必要でして、ここについてまずガイドラ インを作っていくということも必要と考えています。  14頁、最後ですが「その他」としまして、1つはこれは第4回目のときに根拠となる 法律についても検討項目とすべきというご意見をいただいているかと思いますが、ここ について今日ご意見をいただけたら、ヒアリングの場では児童福祉法を基本にというご 意見が多ございましたが、そうしたことについてご意見をいただければと思います。そ の他がいいのかわかりませんが北浦委員のご発言、小学校6年生の方が施設に来てとい うご発言もございました。その他ここが最後になりますので、これまで議論していただ いたことでその他必要なことがあればご発言をいただきたいということです。この整理 を基に、今日ご議論をいただければと思っております。  それと資料はございませんけれども、ずっとこれまでオブザーバーで参加いただいて いる文部科学省さんのほうから、これまでの議論を踏まえて補足の説明をしていただけ ればと思います。 ○新谷企画官(文部科学省) 文部科学省、特別支援教育課企画官の新谷です。いつも オブザーバーとして参加させていただいております。ありがとうございます。これまで の議論がまとめの段階に入るということですので、若干お話をさせていただきます。  これまで、この検討会で「特別支援教育」そのものについて、様々なご意見をいただ いたわけですが、委員の中にもおそらく特別支援教育について様々なお考えがあるとい うことは、私ども承知しております。これについては、是非ご意見として私ども承りま して、文部科学省における特別支援教育に関する検討の中で、是非参考にさせていただ こうと思っておりますので、よろしくお願いします。  せっかくの機会ですので、総括的に特別支援教育の状況について、若干お話をさせて いただきます。ご承知のように昨年4月から特別支援教育が法令上も位置づけられまし て、スタートしたというところです。従来の盲・聾・養護学校の制度を、複数の障害に 対応できる「特別支援学校」の制度に改めまして、それとともに小中学校等においても、 発達障害を含め、障害のある子ども一人ひとりの教育的ニーズを把握して、その持てる 力を高め、生活や学習上の困難を改善・克服するための適切な指導、あるいは支援を行 ってきているということです。  現在、この小中学校等においては、特別支援教育を推進するための体制整備というも のが進められておりまして、公立の小中学校についての調査では、校内委員会の設置で ありますとか、コーディネーターの配置等、かなり進められてきているという状況です。 一方、幼稚園、高等学校については、まだまだ取組が必要という認識を持っています。  それから公立の小中学校等におきましても、個別の指導計画、個別の教育支援計画と いった内容的な取組については、まだまだ十分ではないという状況もございますので、 その辺りはしっかりと取り組んでいきたい。これにつきましては、先日告示した幼稚園、 小学校、中学校の学習指導要領等にも、必要に応じてこういった計画を作成するという ことを位置づけております。さらに取組を求めていきたいと思っています。  このうち、個別の教育支援計画ですが、私ども、この早期発見、あるいは早期支援を 進める観点から「連携」が欠かせないと思っています。保健、医療、福祉との連携とい うものが欠かせないと考えています。ぜひ厚生労働省さんにおきましても、保健、医療、 福祉の連携というものを進めていただいて、教育に引き継いでいただくと。教育におい ては、それを個別の教育支援計画にしっかり反映していって、卒業後の就労支援にまた 引き継いでいくという、そういう乳幼児期から学校卒業後、就労までを見通した、そう いった一貫した支援体制というものの確立が重要だと認識しています。  特に幼児期から学校教育に至る段階では、就学相談、あるいは就学指導という、どの ような場で教育を行っていったらいいのかというところを考えることは、子どもの将来 にとって極めて重要な課題だと思っています。ぜひ医療、福祉等との連携のもと、早期 からの教育相談を行って、保護者の希望、意見等もしっかり聴取して、就学指導委員会 等における専門家の意見も踏まえつつ、どのような教育の場が子どもたちの持てる力を 最大限に伸ばすことができるかということを、将来の子どもの幸せも考えながら、まず 市町村の教育委員会というものが責任を持って考えていくということが重要だと思って います。  制度的には比較的重い障害の場合にも、市町村において教育条件等の整備を行って、 しっかりとした適切な教育を受けることができると、そのように判断される場合には、 小中学校において就学できるという、これは認定就学といいますが、こういう弾力的な 制度も導入しております。  ですが障害の種類、程度等によるニーズによっては、特別支援学校における、これは 多数の専門家集団がいます。この特別支援学校の教育が必要な子どももいると考えてい ます。現にこの辺りは、最近は保護者のほうも、特別支援学校における専門的な教育を 求めるという方も増えているという、これは自治体の関係者からの話も私ども聞いてお ります。特別支援学校のそういう専門性というものも、さらに向上することが求められ ているのだと受け止めているところです。  以上、最近の特別支援教育を巡る状況をお話しました。文部科学省としては、重なっ た話になりますが、保健、医療、福祉、雇用、それと教育との「連携」について、この 議論、私はオブザーバーとしてずっと参加させていただいております。当方としても、 今後ともこの連携をしっかりと図っていきたいと思っています。  前回、柏女座長のほうから特別支援教育について、検討する組織についてのご発言が あったわけですが、今後ともしっかり連携に取り組めという、そういうご趣旨だと受け 止めておりますので、よろしくお願いします。以上です。 ○柏女座長 事務局からのご説明は以上でよろしいでしょうか。 ○矢田貝補佐 はい。 ○柏女座長 ありがとうございました。いま「これまでの議論の整理(2)」についてご説 明をいただき、また、文部科学省の企画官から、これまでのご意見を伺っていただいた 上での、文部科学省での今後の取組ということについて、ご説明をいただきました。  特別支援教育に関することについて、様々なご意見が出ましたけれども、基本的に文 部科学省でこれを受け継いでいただいて、そして文部科学省のほうでご議論をいただけ るということですので、ぜひ私どもの意見も活かしていただければと思います。よろし くお願いします。  それから、私の発言に関わっての連携についてということで、ご意見、ご発言がござ いましたけれども、ぜひ厚生労働省と文部科学省のほうで、一層の連携を図っていただ ければと思いますし、できましたらその旨、報告書のほうにも書き込んでいただければ 嬉しいと思っています。  それでは、「これまでの議論の整理(2)」について、これからご意見を頂戴したいと思 います。大きく論点が2つありまして、そして「その他」、このその他もとても大事に は大事でありますので、できましたらいまから90分時間がございますので、2つに分 けたらどうかと。つまり「入所施設のあり方」、これについて40分弱程度。それから 10頁の「行政の実施主体」、これについても40分弱。そして最後に「その他」として、 ご意見を頂戴するという形で進めていきたいと思いますが、いかがでしょうか。よろし いでしょうか。                  (異議なし) ○柏女座長 ありがとうございます。それでは早速ですが、「入所施設のあり方」につ いて、ご意見を賜りたいと思います。ここでは、特に検討して、結論が出るかどうかは わかりませんが、一定のご意見を頂戴したい部分が3つ青字でありますので、ここにつ いてのご意見も中心にいただければと思います。  なお、座長として議論を制約するつもりはございませんが、できましたら今日ひとあ たりご議論をいただいて、そして次回には報告書の案について、皆様方とともにご検討 をいただきたいと思っておりますので、よろしくお願いします。それでは、末光委員、 田中委員、柴田委員、君塚委員ということで、まずお願いします。 ○末光委員 それでは8頁、いま座長から3点ということでしたが、3番目の所です。 重症心身障害の特性、そして障害を持つ方々の尊厳をしっかり守るという、いわゆる基 本的な理念も十分組み込んで、議論の整理をしていただいていると思います。特に数が 少ない重症心身障害児の特性についてのご配慮をいただいているということで、感謝を 申し上げたいと思っています。  その中で、やはり重症心身障害というのは、いわゆる児童福祉法上の定義です。その 定義によりまして、重症心身障害児施設も40年間運営をする中で、一定の成果、役割 を果たしてきたと思います。そういう意味で、今回の法律の見直しの中で、ぜひ重症心 身障害という法律上の用語がなくならないように、ちゃんと残していただきたい。その 点だけ、ぜひお願いしたいと思います。それだけです。 ○柏女座長 ありがとうございます。では田中委員、お願いします。 ○田中委員 4頁の支援の場面のあり方について触れながら、今日、参考資料3として 「『自立と共生』を進めるための障害者自立支援法改正の提言」ということで、団体名 を書きそびれてしまいましたが、全国地域生活支援ネットワークとしての提案としてご 記入いただければ幸いです。また、もう1つ、その6頁から「障害児の住まいの場のあ り方に関する意見」ということで、私たちのメンバーも理事を務めている日本グループ ホーム学会からの提案ということで、重ねて提出させていただきました。  まず、4頁の提案について、青字の所の、施設に入所した場合に、障害のケアととも に家庭代替の機能として、監護権、教育権、懲戒権などを含む、いわゆる親権と一括で きる部分が託されるわけですが、この部分について、いままで触れそびれておりますの で、少し提案をさせていただきたいと思います。  いま権利擁護という立場では、成年後見という仕組みで、いろいろな問題をはらみな がらも、判断が不十分な方への対応ということで、仕組みが整いつつありますが、この 機能が入所施設にしか今はないということにおいて、縛られている状況があるのではな いかと思います。名前としては勝手な提案ですが、少年後見というような、本人の親権 を受け止める機能を、機構としてではなくて、人として用意できるような、そういう仕 組みが必要ではないかと思っています。  そのことがかなえられる条件が整えば、この入所施設を前提として、家庭機能の代替 がここにのみしか見い出せないという状況から離れられて、そして施設の役割がこの度、 成人の機能においては昼夜が分かれているということと合わせて、整理ができるのでは ないかと思っております。このことも含めて、まとめの段階では提案をさせていただき、 そのことをかなえる条件整備を図っていただければと思っています。  そのような条件も含めながら、ネットワークとして出させていただきました資料の中 では、先ほどの参考資料3の4頁を開いていただきたいのです。児童施設の始まりが、 特に学校の義務教育化が不十分だった頃の、その対応が始まりだと位置づければ、その ような背景であった時代からは、養護学校が義務化されたことによって、児童施設が教 育の場を補完するという役割からは、いま逃れられている部分もありますので、基本的 にはインクルーシブな保育、教育の推進において、この流れが促進されるようにという ことで、乳幼児期から学齢期への専門のコーディネーターの配置や、リハビリ職や心理 職などの専門機能を、地域にこちらから出かけるような形で配置していくと、そのよう な要求をさせていただいております。  併せて保育園、幼稚園など、既存の施設に必要な対応として加配などを行い、放課後 の対応などもその枠組みで、基本的には児童施策として整うようなことを前提として、 進めていただきたいと思っています。  その流れの中で、先ほどの少年後見とも重ねた位置づけが整う環境のもとで、社会的 養護が必要な障害児のグループホーム、ケアホームの利用がかなうようにということを 前提に、児童入所施設については、特段に社会的養護が必要な児の利用に限定し、しか も児童養護施設の体系に一元化するということを、整理していただければと思っていま す。  グループホーム学会のほうでも同じような主張で、地域のファミリーホームの制度化、 グループホーム、ケアホームですね。それと里親制度などの導入も含めて、提案してお りますので、併せて紹介した上で、先ほどの4頁の役割については、以上のような意見 でまとめていただければと提案したいと思います。以上です。 ○柏女座長 どうもありがとうございました。それでは続いて柴田委員、お願いします。 ○柴田委員 いま田中委員からありました少年後見については、初めての提案でありま すので、慎重にもう少し検討する必要があるとは思います。もともとは知的障害児施設 はスクール・アンド・ホームということで、家庭と教育の機能を両方持っていたわけで すが、学校教育が完備する中で、ホーム機能になってきたわけです。そういう点、家庭 機能との関係でいうと、やはり昼夜別に分けるということは難しいと思います。  それから今日の参考資料2を見ていただきたいと思います。既に厚生労働省のほうで 用意された所に書き込まれている点については省略をさせていただきますが、「入所施 設の在園期間の延長について」という所の(3)です。加齢児が障害者施設へ移行するとい う場合に、児童入所施設が、例えば定員が60人くらいあったとして、入所を児童と成 人に分けるとした場合に、新たに成人施設の入所者数が増えるということになるわけで す。しかし都道府県の障害者計画の中にないということでそれができないということが、 現実には生じているわけです。そこで加齢児の障害者施策への移行について、障害福祉 計画の中に明確に位置づけていただきたいと思います。  それから次の「入所施設の生活環境のあり方」の中で、これは書き込んでいただきま したが、児童養護施設の小規模グループケアのように、入所施設の生活単位を小規模化 して円滑に運営できる人員配置をすること。それから地域小規模児童養護施設という、 入所と一体で運営できる分園のようなものでありますが、こういうものを障害児施設に も設けていただきたいということです。  「入所施設の地域との関わり」という所で、1つ目の短期入所は既に書いてもらって おります。それから、入所施設に通園を併設することとか、そこの機能についてはいま までの中に含まれていると思います。もう2つ、新しく専門里親制度というのが、これ は一般児の制度の中にあるわけですが、その中に障害児専門里親制度を設けていただき たいということです。それについて、やはり障害児入所施設がバックアップするという 仕組みを作ることが大事だろうと思います。  それから障害児ファミリーホームといいましょうか、児童の場合の小規模居住型児童 養育事業について、これの障害児版を設けて、それを入所施設がバックアップするとい うような形の提案ということになります。今日、田中委員が提案されました、グループ 学会の提案とも重なるものかと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは君塚委員、お願いします。 ○君塚委員 お手元の参考資料1をご覧いただきたいと思います。まず前にもお話しま したが、肢体不自由施設という名称が実態とマッチしていない、もう3障害全てのお子 さんたちを見ているということがあります。ここに1)で入所施設の入所機能と、わざ わざ入所機能を別に分けました。他に在宅支援、あるいは通園、外来、様々な機能をし ておりますので、入所機能というのは施設の一部であるという意味で分けてあります。  そして、今日の資料の2頁、赤の「入所施設の役割」の(1)から(5)のうち、肢体不自由 児施設では(1)から(2)までが8割を占めておりまして、(3)、(4)、(5)は2割ということです。 ホスピタル・アンド・ホーム・ウィズ・スクールの場合に、ホスピタル機能の面が大き くあります。そういう意味で議論の制度文書の中に、地域で安心して生活するために家 族を支える、そして子育ての観点に立った母子入園から始まるライフステージに沿った、 継続した手厚い療育支援を行う場としての役割という形で、その役割を「手厚いケアを 行う場」という簡単なものではなくて、もう少し内容に沿った文言にしていただきたい というのがあります。  それから(3)、(4)、(5)というのは、「保護者が」というのが大きく目立つのかなと思い まして、ポツのほうの3つに、私の資料では分けました。それから、現在なかなか急に 入所できないという状況がありますので、余裕を持った入所施設の整備が必要だと考え ています。ということで役割というのを、実態に沿うような形を考えています。  それから4頁の「入所施設の類型について」ですが、前回も障害児施設と児童養護施 設とでは、対応する療育支援の中身が違うということで、別ではないかと提案しました が、やはり昼夜を分けることはできない。年齢別に見ましても、就学前のお子さんたち もいるわけで、私たちの中でも児童保育という形で、別の場所で、病棟ではない所で子 どもたちを集めて、保育士さんたちがいろいろ保育指導を行っていますし、加齢児にお いては高卒のところで「カレッジ」という、やはり指導員、保育士などが、別の所でそ ういう日中の仕事をしております。  そういう意味で、パジャマなどの着替えということもありますが、入浴を含めて日中 を分けることは、実際にはできないと考えておりますし、養護学校に行っている場合に は、お昼ご飯に戻ってきたり、さらにはリハビリを行うために学校から訓練のため施設 に戻ってこさせるということがありますし、低学年では授業時間が半日くらいの所が多 いと思います。ということで、日中は分けられない、医療型というものは不可欠だと考 えています。  さらに、施設の一元化についてですが、資料の5頁に述べましたように、ちょっとこ の2行目は修正が必要ですが、大島分類1〜4の「超重症児」ではなくて「重症心身障 害児」であり、自閉症の方も大勢利用しており、入所者の半数以上がIQ35以下である。 2割強が虐待等の社会的入院というふうに書いてあるところは、3障害を既にやってお ります。  それから私の資料に戻りまして、医療型施設においては、診療報酬上、児童福祉法に 準拠した位置づけがなされております。それによって障害児・者リハビリテーション料 などということでの配慮がなされており、児童福祉法での配慮を外すと、私たちの経営 が立ちゆかなくなるのは明らかであると考えています。  それから私の資料の2頁、「重症心身障害児施設について」という形で、私たちも前 々から児者一貫という考えを提案しております。成育医療センターのような形の、大人 になったらもうさようならというのでは困るということがあると思います。実際に私た ちの外来リハビリテーションでは、障害者が約1,000人、いま実際に利用されています。 それから手術の2割が成人の方です。そういう形で肢体不自由児施設といいながら、障 害者が多数、外来あるいは手術という限定的な形でやっておりますが、障害児施設の一 部を障害者施設に分けて併設するという場合ですと、そこまでは必要ない。例えば、私 たちの所が90名ぐらいの肢体不自由児施設に加齢児が2名ですので、そういう必要は あまり感じてはいないというところがあります。その(4)の所で、前回話させていた だきましたけれども、同じ重心児が入っていても、施設給付費が一方では25万強、私 たちの所は6万強という形で、4分の1以下であるということがあります。  そして7頁に、前回、末光委員が小児神経学会の要望の一部を紹介されましたが、そ の要望の中には、後のほうに重症度によって同じ支援費の単価を支給すべきであるとい う文言が、実際には載っております。学会としての要望が出されています。そういう意 味で、ぜひ障害程度区分ということを、あまり養育の面から難しくてということはあり ますが、重たい子どもについては、それに見合った単価を検討していただきたいと考え ています。そして、加齢児については現在の児童福祉法の定義を継続するのが当面は妥 当であると考えています。  以上、私たちの肢体不自由児施設としては、そういうところを中間報告の中に盛り入 れていただきたいと考えています。 ○柏女座長 ありがとうございました。他の宮崎委員と副島委員、あと北浦委員、お願 いします。 ○宮崎委員 最初の「入所施設の役割」の所で、若干ご検討いただければありがたいと 思うことがございます。それは軽度の知的障害のホームヘルプサービスですとか、ショ ートステイに関わる考え方です。この入所施設の理由の中で、先ほど君塚委員がおっし ゃったような観点からすると、知的障害の場合には(3)、(4)、(5)というのが大方考えられ る役割と考えます。  実はこの中で、特に高等部段階辺りで社会に出すというような場合に、家庭が恵まれ なくて、家族も障害者というような場合に、住環境が十分整っていないという問題があ りまして、学校では福祉課などと相談をして、関係の施設の短期入所ですとか、あるい はホームヘルプサービスといったようなことを、依頼をするということがよくあるので すが、なかなか両親がいるということでありますとか、十分対応ができるではないかと いうようなことで、断られるケースというのですかね。緊急度が認められないというこ とで、ショートステイもなかなかままならないという問題などがあります。  学校としては、そういったお子さん、将来的に社会に出す、つまり企業就労等を念頭 に置いて、きちんとした住生活を保証しながら、将来的にはアパートであるだとか、グ ループホームに移行するというような仕組みを考えていきたい。こういう思いがあって の対応なのですが、ここが現状ではなかなか難しいという問題があります。  そういう意味で、書かれている役割については十分理解できますが、この幅を少し広 げてもらえるといいのかなというのが、思いとしてあります。つまり、いわゆる緊急度 という視点に、将来の社会自立などを念頭に置いた対応ということが、可能であればい いなという願いがあるということです。  それから、措置に関わるような問題と、ちょっとだぶってしまうのですが、特に知的 障害施設が措置から契約という変更になっていて、数は少ないのですが児童施設などに 入っていて、養護学校、特別支援学校に通学をしてきているお子さんで、学校での必要 な経費といったようなものが滞ってしまうケースというのが、既に出てきています。そ こはなんとかクリアしても、将来的に私どもが心配しているのは、特別支援学校におい て卒業後の進路決定をする際に、インターンシップなどに出す場合の交通費とか食費で す。昼食費などを払うことがままならないということで、結果的に地域の生活へ移行す るといったことに遅れがつながりはしないかということを心配しているところです。  なおかつ20歳まで障害基礎年金が支給されないということで、福祉手当などの関係 からいくと、18歳から20歳までの間、これは前回いろいろ論議をされている部分でも ありますが、そういったようなところについて、18歳からの支援のあり方などが、少 し検討されていくといいのかなと思っているところです。ちょっとずれたところもあり ますが以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。では副島委員、お願いします。 ○副島委員 まず4頁の、昼夜・機能別の所ですが、我々も自分たちの子どもが入所施 設を利用することになると、そこは家庭機能の代替という思いがあります。そういうこ とで、昼夜の服を着替えるなどのことは当然ですが、機能を明確に分けるというのは難 しいと思いますので、そこのところの分け方は、我々は考えていません。  それから児者一貫の件ですが、基本的には20歳以上になったら障害者施設で対応す べきだと思います。ただ問題は、そのときに機能的に子どもから大人にかわる支援の継 続性とか、受け皿のしっかりした基盤がない限りは、それは難しいと思いますので、基 本的なものと、やはり将来的な希望というのは違ったものがあると思っています。  それから9頁のその他の「入所施設の生活環境のあり方」の所で、児童養護施設と障 害児施設とを考えたときに、児童養護施設にはグループホーム的な取組が位置づけられ ていると思います。しかし、障害児施設にはその取組がないと思うのです。我々は入所 施設と家庭の中間的な取組というのが必要ではないかと思っています。特に家庭とのつ ながりを切ることなく、地域との関わりも切ることがなくて、本人の子育てが、ある面 では将来的な成長に結びついていくという方向の取組で、グループホーム的なもの、も しくは全国を見てみますとファミリーホームみたいなことを具体的にやられている所も あります。そのような形態を法的に位置づければ、親として安心できるのではないかと 思いますので、そこをぜひ提言したいと思います。以上です。 ○柏女座長 ありがとうございました。では北浦委員、お願いします。 ○北浦委員 大体、末光委員と同じようなことですが、このまとめによりまして、児者 一貫をそれとなく認めていただいたことに、深く感謝しております。ただ、障害児施設 の一元化となった場合に、重症心身障害児施設という名称がなくなってしまうのではな いかと思うのです。重症心身障害児というのは個別概念が、法律上どこにも守っていた だいている根拠がないのです。ただ児童福祉法の第43条の4で、重症心身障害児の施 設の名称とともに、重症児の定義がなされている。そして、第63条の3で18歳を超え てもいいということなので、これが一元化になった場合にこの2つの法律上のことがど こかへ飛んでいってしまうと、心配になるということです。 ○柏女座長 とても大切な点をご指摘いただいたと思います。ありがとうございます。 ○君塚委員 支援学校との話の関係をしたいと思います。1つは東松山市長の坂本委員 が共生という形と在宅という話をされましたが、重たいお子さんのところは欠落してい る面があると思います。養護学校に通えない訪問学級のお子さんたちがかなりいるとい うことです。先生方が週3日家庭に出掛けている。そこまで重たいお子さんたちもいる ことがありますし、東京都の都立の肢体不自由の養護学校の場合には、実際に看護師が 2〜3人配置されていますが、その上で指導医という形で医療的ケアの実習とか子ども たちの評価をしてアドバイスをすることをやっていても、看護師たちがとても責任を負 えないぐらいに大変だという形で、言葉が良くないですが本当に困っている、嫌がって いる実態があります。そういう形で、重たいお子さんたちを抜きにして一元的に保育園、 幼稚園で済む形では済まないのではないかということを指摘したいと思いますし、実際 に埼玉県でも肢体不自由の養護学校をどんどん増やしてきています。そういう意味で、 全国的にも特別支援学校の生徒数が増えていると思いますが、これから新生児医療とか さまざまな要因で、小さい子ほど重度化してきていることがあるということで、そこの 辺を無視した理想論だけでは済まないなと思っています。 ○柏女座長 ありがとうございます。末光委員お願いします。 ○末光委員 先ほど君塚委員から、肢体不自由児施設に重症心身障害児の方が一定数い て、その方々に対して属人的に重症児と同じ額というお話がありました。それについて、 歴史的経過と現状だけを補足したいと思っています。これは、いまからちょうど20年 前に同じ議論がありました。当時、障害福祉課長は浅野課長だったと思いますが、当時 も肢体不自由児施設に重症心身障害児がいるということで、そちらの代表の方に呼ばれ まして私は重症児施設のメンバーの1人として、お話をしました。そのときに、肢体不 自由児施設に1人、2人、あるいは数人重症心身障害児施設がいるのであれば、当時で すので措置変更して、重症児施設に移すべきではないですかということを申し上げたと ころ、そうではなくて20人、30人とかなりの数がいるというお話でした。それであれ ば、看板は肢体不自由児施設のままで、おられる重症児に対して重症児のお金を欲しい というのは論理的に矛盾があるのではないですかと。一定数であれば、それは重症心身 障害児施設として看板を書き換えるべきではないですかということを申し上げて、確か にそうだなと当時の浅野課長におっしゃっていただきました。その後どうなったかと言 いますと、私の理解しているところでは現在肢体不自由児施設のうち、民間の肢体不自 由児施設の約7割は重症心身障害児病棟併設なり転換をしています。公立の肢体不自由 児施設は、4割程度が併設なり転換をしているということです。そのことを是非ご認識 いただけたらと思っています。 ○柏女座長 ありがとうございます。柴田委員お願いします。そろそろ次の議題に移り たいと思います。 ○柴田委員 2点あります。田中委員から出されました中で、児童施設は養護施設の体 系に一元化することを提案しますということですが、これは医療型と福祉型に分けてい ま議論をしていますので、医療型についてはそれは難しいのではないかと思います。福 祉型は、これが完全に養護施設の体系に一元化できるかどうかについては、若干慎重に 議論をする必要があるだろう。養護施設との体系を横並びにすることは非常に重要では ありますが、完全に養護施設の一類型にしてしまうことが可能かどうかについては、例 えば強度行動障害への対応とかさまざまな問題の中で、先ほどの施設の今日の整理の2 頁の(2)「濃厚な医療、発達支援等が必要」のところで、知的障害児施設にも(2)に当たる 方で、濃厚な発達支援が必要ということで利用されている方も多数いらっしゃいますの で、ここが完全に養護施設の一類型、(3)以下にできるのかという点については、もう少 し検討が必要かなと思います。  宮崎委員がおっしゃった学校から卒業する場合というのは、養護学校の寮に入ってい る方ですか。 ○宮崎委員 児童施設に入っている方です。 ○柴田委員 児童施設に入っている方が就職する場合の問題で、いまは契約ということ になっているので、そこが難しくなっているという話ですね。 ○宮崎委員 問題が生じているということです。 ○柴田委員 ありがとうございます。それと、特別支援学校に併設されている生徒の寮 がありますよね。寄宿寮ですね。これがどのぐらいあるのかはわかりませんが、かなり あるのではないかと思います。1つは、雪深い所で冬の間だけ寄宿舎に泊まるというの は、別に障害児でなくても一般児もしていることですからそれはいいですが、1年中ず っとその寮にいるというのは障害児だけの特殊な事情で、特別支援学校が少ないので、 通えないという事情からそうなっていると思います。教育を受けるために家庭を離れる 必要があるという問題は、本来はなくさなければいけない。家庭で暮らしながら教育を 受けられるようにしなければならない大きな課題だと思います。これは文科省のことな のでここで議論できないことかもしれませんが、雪の間だけではなくて、通年で寮に入 っていらっしゃる小学校、中学校、高等の生徒の実際の人数はどのぐらいいらっしゃる のですか。 ○新谷企画官 寄宿舎についてのお尋ねだと思います。寄宿舎については学校教育法上 位置付けられて、原則的に学校教育法第78条で、特別支援学校には寄宿舎を設けなけ ればならないとなっています。特別の事情があるときは、これを設けないことができる という規定になっています。現状で申しますと、実際には特別支援学校全体で1,013校 のうち、寄宿舎を設置する学校は333校の32.9%です。生徒でいいますと、特別支援 学校の寄宿舎に入居する幼児・児童・生徒数ということでいえば、1万229人。特別支 援学校全体の幼児・児童・生徒が10万8,000人で、そのうちの1万229人ということ は9.5%が寄宿舎に入舎しています。実際には特別支援学校、特に養護学校の整備とい うのはかなり地域にも進んでいまして、そのあたりが解消されています。一方、従来の 盲学校、聾学校については、盲学校は基本的に都道府県1校しかありません。聾学校も 数校ということがありますが、盲学校、聾学校についても、発達段階の高い学年、高等 部といった子どもたちの入舎が多くなっているだろうと思っています。その辺のデータ がないのですが、そういうことが現状で、すべての学校に寄宿舎があるかというとそう ではない。一部の学校である。そこに約10%程度の子どもが入っている。入っている 中でも、かなり年齢的には上の子どもが入っているのではないかというのが現状だろう と思っています。その辺も発達段階を踏まえて、我々はこの寄宿舎の問題を考えていき たいと思っています。 ○柴田委員 ありがとうございました。ここで障害児の入所施設の問題を議論している 際に、その中でいちばん多いのがおそらく知的障害児施設です。重心も多いですが、大 半が大人ですから本当の子どもは少ないですよね。知的障害児施設で1万人ぐらいで、 数は忘れましたが本当の子どもはその中のたしか6,000人か7,000人程度ですよね。い まお聞きしますと、学校のほうには1万人の障害児が寄宿舎で暮らしているということ ですよね。この問題は、文科省の検討会ではないということであるにしても、障害児の 施策のあり方の検討としては見過ごせない問題だと思います。私はこんなに多いとは思 わなかったのですが、これはかなり重大な問題で、学校教育を受けるために寄宿舎に入 らなければいけないという極めて歪な構造ですよね。本来は、学校教育は家庭から通え るようにすべきであって、家庭で補えないとするならば、本来は児童福祉の中で、障害 者福祉の中で解決すべき課題ではないかと思います。特別支援学校における寄宿舎にい る1万人の児童をどう考えていくのかについて、できましたら今回少し光を当てて検討 していただけたらと思います。 ○松矢委員 寄宿舎の問題は、特別支援教育で非常に重要な課題だと思います。かつて は、全員就学が義務制になったときに施設提携ということがありましたが、学区域が整 備されていく中で施設提携養護学校がだんだんなくなっていく。基本的には通学という ことですが、なかなか通学ができない。しかし、いま特別支援学校になっていく中で通 学ということをいろいろ考えていく上で、例えば肢体不自由の重いお子さんも知的障害 の特別支援学校、そういう意味では、特別支援学校に統合されていく形で通学が可能に なっていくという流れです。ですから、基本的には家庭からという考え方と、養護学校 では特別支援学校の寄宿舎は原則として週末は帰宅することになっていますので、この 点は社会的養護のお子さんですと違っている点で、大半は週末は帰宅しています。そう いう意味では、週5日制というのは非常に重要だったと思っています。補足的なことで す。基本的には通学というのがいちばん望ましいことだろうと思っていますし、当初の 問題とか教育を等しく保障していく難しい問題というのは、なかなか解決されずに残っ ているのではないかと思っています。 ○山岡委員 先ほど君塚委員が言われたところのインクルージョンの問題ですが、これ は重たい障害のお子さんだけではなく、発達障害でいきますと知的障害を伴わない発達 障害についても、特別な場での指導が必要だと考えています。平成18年にようやく親 の会の運動が実りまして、LDとかADHDに対して通級という特別な枠が認められた。イ ンクルージョンについてはいくつか考え方があって、フルインクルージョンといってす べてのお子さんが同じ学級で学ぶという考え方がありますが、基本的には障害のあるお 子さんには専門性の高いところで、特別な場で適切な教育をきちんと行うというものが なければ、このお子さん方の発達保障というのはできないと考えていますので、フルイ ンクルージョンは1つの理想論でありまして、そうなればいいと思いますが、現状で近 いところで考えますと、お子さん方は地元に近い所に在籍をし、必要に応じて特別な場 で指導を受けるという方式があるべき姿だと私どもは考えていることを言っておきたい と思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。まだまだご意見もあるかと思いますが、事務局 にお伺いします。3つほど青字のところがありました。これは温度の差はあったかと思 いますが、一定程度のご意見が収束しているのではないかと思いましたが、いかがでし ょうか。何か確認をしておきたいようなことはありますか。 ○蒲原課長 1つは、いまのに少し関係すると思いますが、できるだけ保育所、幼稚園 などの一般施策という議論のところで、たぶんこれはいろいろな段階があると思うので、 いまの話からすると特別な部分も必要で、でも通常はこちらにいて、特別に必要がある ときに受けに行くと山岡委員がおっしゃったのでしょうか。結局、そういう組合せみた いなところが1つある。ただ、組合せの具合がたくさんあって、坂本委員はわりと一般 施策を非常に重視する。ここで君塚委員なりの説明があったとおり、専門的な対応が必 要なところがありますよと。ただ、これはそれぞれの状況によっていろいろな段階があ るのかなという感じを得たので、その辺のところが報告書を書くときに1つ気になるか なと思いました。  あとは、教育との関係が随分議論になりました。正直この場とこのメンバー選定の過 程では、もちろん教育の方もおられますが、それそのものを直接議論する場ではないと いうことがあるので、議論は議論としてこういう意見があったということで、文科省で もそれなりの検討の場で、いろいろ検討してもらうということではないかと思います。 そこは最後に、座長のいろいろなご判断があろうかと思います。その2つがありました。  あとは報告書をまとめる過程で、正直いろいろな議論の中で一遍にピチッと明確にい く部分と、そうではなくてこういう意見というところになるところもあろうかと思いま すので、そこはまとめる形で工夫したいと思います。というのは、いまの議論もありま すし、もう1回後半部分の議論でもそういうことが出てくるのではないかと思いながら 受け止めていました。 ○柏女座長 これに関連して次に行きたいのですが、どうぞ。 ○林参考人(坂本( )委員代理) 今日、坂本委員の代わりに出席しています。先ほ ど特別支援学校の関連で東松山市の例が上げられていましたが、当市としても障害のあ るお子さんすべてを普通学校、普通学級にということでやっているわけではありません。 それぞれ、そのご本人あるいは保護者のご希望に沿った形でというのが基本姿勢です。 ですから、その子どもが普通学級で医療的ケアも含めて対応できるのかどうかといった ところを考慮しながら進めているということですので、特に重心のお子さんについて普 通学校で絶対受けていくのだという姿勢ではありませんので、お間違いのないようにし ていただければと思います。以上です。 ○柴田委員 いまの事務局の教育の枠の関係ですが、学校教育や、文科省に何かしてく れという場ではないということは理解をします。しかしながら、現に学校が非常に偏在 をしていて、就学するために家庭から離れなければならないという現在の日本の社会状 況があるとするならば、そこの状況にある障害児に対して福祉のサイドで、そこの生活 支援をどうするのかということを考えるべきではないかなと思います。それは、ここの 検討会の課題ではないかと思います。私は先ほど数がこんなに多いとは思わなかったも のですから非常にショックを受けているのですが、いままで私たちが話してきたことが こっちの世界とするならば、ほとんど同じぐらいの数の世界がそちら側にあって、この 数を議論しないで進めているようなものでありまして、これは文科省の問題ということ ではなくて、福祉の問題としてきちんと取り上げていただきたいと思います。 ○君塚委員 東京の場合、都立の養護学校に寮があります。それは通えないからではな くて、集団生活をするとか、家から離れて自立に向けるための目的だと思っています。 だから、大都市においての寮というのは通えないからということではないと思います。 ○柏女座長 寄宿舎問題は本当にいろいろなご意見があるし、私も知っていますがさま ざまです。寄宿舎の中で虐待された子どもたちがいて、私もケースカンファレンスに伺 ったりしています。そうした福祉と教育の連携が必要ですが、ここで議論をしていると データが十分でないままにいってしまいますので、すみませんが、これは終わりにした いと思います。  続きまして、10頁からの「行政の実施主体について」の議論に移りたいと思います。 ここでは、2つほどの論点が出ています。特に実施主体をどうするか。通園と通所型の ものと入所型のものをどうするかということと、もう1つは措置と契約についてどう考 えたらいいかの2つの論点が中心かと思います。ご意見を頂戴できればと思います。 ○宮田委員 市町村という流れが議論の中から見えてきますが、児童デイサービスと通 園施設の区割りをどうするかは非常に悩ましい部分ではあります。一般的にいって 1,100近くある児童デイサービスは、市町村圏域で活動しているだろう。しかし3種別 を合わせても400を越えない通園施設というのは、障害保健福祉圏域で活動しているだ ろう。加えて、通園施設というのは財政的な弱さがありまして、特に肢体不自由児通園 施設などは9割が市立をはじめとする公立の施設です。その数が少ないため、圏域を対 象に動いてきていて、加えて公立が多いというときに子どもたちのニーズに合わせた利 用を進めるためには、市町村に下ろすにしても、県の強い調整機能を残しておく必要が あると考えています。 ○柏女座長 大切なご指摘をいただきました。ありがとうございます。ほかにいかがで しょうか。 ○柴田委員 私の参考資料2の1頁を見ていただきたいと思います。いちばん下は実施 主体です。通園についても通所についても、なるべく身近な地域にということは理想と しては重要ではあるわけですが、町村という小規模な自治体で障害児の理解について実 質上の無理があります。これは大人についても同じことで非常に困っていますが、なお さら数が少ない障害児について町村というところでは無理があります。特に児童通園に ついては概ね宮田委員と同じような意見ですが、障害保健福祉圏域がほぼ対象という形 になりますので、実施主体については従来どおり都道府県としていただきたい。入所に ついても、同様に都道府県にしていただきたい。ただ、児童相談所の機能が非常に低下 をしている。あるいは十分に機能していないということが言えますので、障害児の療育 相談機能を強化するとともに、その児童相談所の設置数を増やしていただきたいと思い ます。  その中で、市町村の関与を深めるという提案がなされています。11、12頁のどちら かというと案2について提案をしていますが、12頁の案2の(3)です。市町村が当該児 童のサービス利用計画を作成するようなことが現実的にできるのかなということで、そ こは無理ではないかなと思います。ただ、従来居宅介護、児童デイサービス、短期入所 等は既に市町村が実施主体になっていまして、そこは継続すればいいと思いますが、た だ専門的な視点からの児童相談所のバックアップを強化しないと、実際の市町村では現 実的に回っていない。難しいと思います。 ○坂本(正)委員 実施主体のことを議論する前に、措置と契約ということについて整 理したほうがわかりやすいのではないかと思います。本日の資料の中でも、実施主体の ところに措置、契約についてどのように考えるのかという内容も含まれています。そこ で自立支援法で、基本的には障害児の施設はすべて契約ということで打ち出されたわけ ですが、そこからさまざまな混乱が生じて、未だに続いている状況だと思います。まず 利用する家庭、子ども、施設、児童相談所それぞれが混乱していると考えます。そこで 整理していく上では、大きな枠組としては18歳未満、18歳以上、それから入所と通所 という大枠で整理すべきではないかと考えています。  特に入所の問題については、前々回は私は欠席しましたので資料を提出しまして、そ の中でも触れたのですが、平成19年11月に社会保障審議会児童部会「社会的養護のあ り方に関する専門委員会」の報告書が出されています。障害児についても、基本的には 社会的養護を必要とする、養護性がある家庭の子どもについては、基本的な考えはこの 報告書と同じではないかと考えています。家庭で育つことができない、あるいは家庭で 育てられることが不適切という、入所が必要になる子どもの福祉を守るためには、措置 という形で障害児以外の施設のところで論じられたことと共通に考えていくべきではな いかなと、基本的なところとしては考えています。 ○柏女座長 論点の問題はよろしいですか。実施主体の問題といまおっしゃいましたが。 ○坂本(正)委員 その上で、実施主体については入所措置は、発達支援あるいは療育 訓練を明確に目的とする以外、この資料の2頁の(3)、(4)、(5)以外については児童相談所 の措置ということで考えていくのが、非常にいまの養護問題全体の整理の中ではわかり やすく、仕組みとしても整理しやすいのではないかと考えています。通園施設について は、市町村が主に地域での支援、地域でのネットワークを組みながら在宅支援をすると いう考え方で、市町村が役割を担うことが妥当ではないかと考えています。 ○末光委員 11頁の実施主体です。重症心身障害については前回も申し上げましたよ うに、案2でお願いしたいと思っています。先ほど来肢体不自由あるいは知的障害につ いても、なかなか市町村での理解は難しいのではないかというお話がありました。重症 心身障害については、一層そうです。市町村では重症心身障害、中でも超重症児、準超 重症児についてのご理解をしていただくことは、まだまだ時間が要るのではないかと思 っています。さらにご承知のように、重症心身障害児施設は県レベルで大体2カ所か3 カ所程度しかありません。そこに対して、各市町村から入所希望があった場合には、施 設側で調整に大変混乱を来たすと思います。そういう点からも、是非お願いしたい。  もう1点は前回申し上げましたように、市町村の財政的な理由で排除される危険性が 全くないとは言えません。そういう意味で、当分の間は実施主体は都道府県にしていた だき、徐々に市町村へという形でお願いをしたいと思っています。  もうひとつ、13頁の措置と契約についてです。12頁からですが、前回も申し上げま したが重症心身障害であれ、サービスを受ける側と提供する側は対等な立場での契約で いくべきだろう。これが本来だろうと思います。ただ、今回の契約制度によって未収金 が6%というご紹介が前回ありました。これは、だから措置でやるというのは、大変失 礼かもしれませんが、本末転倒ではないかと思っています。これはモラルの問題だろう と思っています。たまたま1週間ほど前に、北海道で重症心身障害児(者)を守る会の 全国大会がありまして、私はこのような例があるということは大変問題である。重症心 身障害については未収金ゼロであるべきである。幸いにも、いま現在重症心身障害児施 設での未収金は0.何パーセント程度ですので、そういう点では誠実に対応していただ いているのではないかと思っていますが、それも限りなくゼロではなくてゼロそのもの にすべきだということを申し上げました。そういう意味では是非ご本人本位であるべき で、ご家族の心得違いによって未収金が出、だから運営が困るから措置にすべきだとい うのは、論理的におかしいのではないかなと思っています。以上です。 ○柴田委員 私が出しました参考資料2の2頁です。措置と契約について、初めに平成 11年の「今後の障害福祉施策の在り方について」の論点に立ち返ることと書いてあり ます。これについては長いので読んでいただければと思いますが、いずれにせよそのと きには契約に移すことについて結論が出なかったわけです。それが、今回児童自立支援 法で十分な議論がないままに、措置と契約の二本立てということになってしまったわけ で、これについての問題点は前回お話をしました。ではどうすればいいかという点は3 頁になりまして、1つは児童福祉法の第2条で、「国及び地方公共団体は、児童の保護 者とともに、児童を心身ともに健やかに育成する責任を負う」として、行政責任を明確 にしているわけです。それから児童権利条約の第23条で、障害児が特別の養護につい ての権利を有する場合には「申込み」に応じて、父母等の資力を考慮して、「可能な限 り無償」ということで定められています。  児童福祉法の第27条に、都道府県による障害児施設への措置の規定があります。こ こでは「親権者等の同意」を得ることとして、「応能負担」としているわけで児童権利 条約第23条に近いのですが、措置の始まりのところは保護者の申入れではなくて、周 りの発見した者による通告によって始まるという規定になっていまして、ここが非常に 不合理ではないかと思います。ここに「父母等の申込みによる開始」とか「父母等によ る利用選択」というものを加えますと、申込みのところは父母が行う、選択ができる、 ただし、行政責任において施設に措置をするという利用選択の重要性と、行政責任とを 両立させることができるのではないかと思います。  今回、児童福祉法の第24条の2から第24条の23まで追加されました。これは、障 害者自立支援法に関連して横並びの児童施設を契約で利用するための条項です。これは 基本的に定率負担ということで、先ほど言いました児童権利条約における「可能な限り 無償」という考え方とは反する考え方でありまして、ここは削除されるべきであろうと 思います。  児童権利条約の第20条で、「児童自身の最善の利益に鑑みて、家庭環境にとどまる ことができない児童」については、「国が与える特別の保護及び援助を受ける権利を有 する」としています。ここについては、都道府県による児童養護施設への措置ですが、 知的障害児の施設でもこのようなことでの保護の入所が増えています。  もう1つ、児童権利条約の第9条で、「児童がその父母の意思に反して父母から分離 されないことを確保する。ただし、権限ある当局が児童の最善の利益のために必要であ ると決定する場合はこの限りではない」として、母子分離の必要な場合を定めています。 これに該当するのは児童福祉法第28条で、都道府県の職権による措置ですが、これは 第27条の措置の一部という位置づけになっています。知的障害児施設でも、このよう な職権措置を要する児童がおります。結論としては、児童権利条約の第23条による障 害児の援助と、第20条による家庭代替保護と、第9条による職権保護の3つが混在し ているということです。  家庭代替機能は児童福祉法上の第27条に職権保護は第28条にそれぞれ対応していま す。障害児援助については繰り返しになりますが、第27条に「父母等の申込みによる 開始」とか「父母等による利用選択」を加えることで対応できるのではないかと思いま す。ちなみに保育所については、ほぼこれに似たような形になっています。そこで、い ま私が提案しました第27条の修正というのを仮に保育所方式による修正としますと、4 頁に表がありますが、今日提案されている入所施設の利用の5つの役割を、それぞれ児 童権利条約と児童福祉法に関連づけて並べてみますと、(1)、(2)の「濃厚な医療・リハビ リ、発達支援が必要」については児童権利条約第23条による障害児援助が該当し、児 童福祉法の第27条を保育所方式に修正することによって、対応が可能であります。(3) の「居宅での対応困難」も同様です。ただし、権利条約ではこれが家庭代替保護になろ うかと思います。(4)、(5)の「保護者の養育放棄・虐待・不在」は児童権利条約第9条の 職権保護だろうと思います。これは児童福祉法上では第28条になろうと思います。こ のように、第27条を一部修正することによって、(1)から(5)までのそれぞれの役割に十 分に対応できると思いますので、改めて申しますが第24条の2から第24条の23まで の条文を削除していただきたいと思います。もう少し述べたいところはありますが、と りあえずそこまでにしたいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございます。いただいたペーパーについても事務局で精査して、 採用する、採用しないを決めていますので、よろしいかと思います。 ○林参考人 行政の立場から実施主体について感想を申し上げます。この実施主体につ いては、先ほど宮田委員からお話がありましたとおり、デイあるいは通園については、 それぞれ市町村圏域、県ということでやるべきだろう、それに賛成します。というのは、 1つには通園施設が少ない。埼玉県でも6施設ほどしかありません。こういったところ から、各市町村でのコーディネート調整というのは、なかなか難しいところがあります。  2つ目は、町村に対しては県のサポートが必要だろうというお話ですが、市において も私どもみたいな小さなところですと、職員のスキルの問題など困難なところがあるわ けです。保護者と施設のコーディネートという機関として、果たしてどこまでできるの かという点も見逃せないと思います。そして、この中でゆくゆく財政的な負担を市町村 に求めていくということがありますが、これについては「はい、そうですか」というわ けにはいかないと考えます。  それと、これは今日来るに当たって担当に伺ったのですが、措置と契約について契約 という形になった現在、場合によって市町村の担当者の足が遠退いてしまうようなこと も事実あるよということもありましたので、その辺についてはどちらがいいのかという また別議論になると思いますが、感想です。以上です。 ○田中委員 案1もしくは案2を選ぶことが若干難しいと理解していまして、案1.5も しくは案3ということで提案したいと思います。基本的には、措置と契約の関係をまず 整理したいと思います。措置については、歯止めとなる状況について対応すべきだろう と思っています。ですので、重心の方の命の問題であるとか、最低生活の保障として家 庭環境が整わない場合の対応ということで進むべきだろうと思っています。また、契約 での関わりについては、措置に対しての底支えに対応する役割として呼応する役割とし ては、契約によって基盤整備される地域資源の状況があるだろうと思っています。その 意味で、入所機能においても契約でいろいろな目的を持って利用することをプログラム 上持つことが施設の運営上あれば、それは契約としてサービス提供すべきだろうと思っ ています。  そのような関係で措置と契約を整理しますと、措置の役割については、まず市町村で 契約上のいろいろな仕組みを整えていく中で、措置が必要だという判断が生じたときに 都道府県がその案を受けて、児童養護施設などの活用と同じような位置づけで判断をす る役割で措置を残すべきだろうということがありますので、案3として用意する状況を お伝えすると、基本的な契約事項は市町村で、措置が生じる場合には都道府県が行うと いうことも関係性が続いていくことが必要ではないかと思っています。その意味で、措 置であることを先ほど柴田委員の提案のように強めてしまった場合に、費用負担におい ての仕組みが児童の場合どの仕組みにおいても、入所だけではなく、どの分野のどの仕 組みにおいても、すべての仕組みをタダにするということになれば整合性が持てると思 いますが、それはほぼ不可能だろうと思っていて、そうした場合には逆に措置の弊害と しては契約で掘り起こされる基盤整備には期待ができず、限られた資源の限られた活用 のままで終わってしまうことに現状として逆にグレーの部分を持つと思いますので、基 本的には措置と契約の両面をうまく活用するように、現状では市町村に基盤整備を図り つつ、措置の判断においては市町村だけにそれを強めていくのは難しいという流れを都 道府県に止めておいて、いずれは時期を見てそのことが措置の役割としても市町村が担 えることを目指しているということでは、案1に近い提案ということで1.5としたわけ です。そんな意見です。以上です。 ○君塚委員 参考資料1の2頁の5)の実施主体についてです。児童デイサービスの利 用者数は、1施設平均1桁の数だと言います。宮田先生の全肢通連では1日の利用者数 が20名前後かなと。それに対して、肢体不自由児施設の入所数は平均40名ぐらいとい う形で、年間の利用者数はショートステイを除いて5,000名を越えています。そういう 中で他県からの人もいますし、重度重複化しているということで、入所については都道 府県という案2を私たちは希望しています。  6)の措置と契約ですが、下の○で直していただきたいのが、「収入があって」とい うところを「低所得者で」という形で修正してくださるようにお願いします。その中で、 最初に入所の役割のところで(1)から(5)がありましたが、前回も述べましたが(1)は契約で、 私たちの場合はこれがほとんどです。2番目の○でガイドラインを作る場合にというこ とでの中身をもう少し具体的に、この収入の面を加えながら検討していただきたいと思 います。  少し話が広がってしまいますが、重心施設では87%が障害者年金に入っている。そ れに対して、私たちの8割以上が児童扶養手当が打ち切られるという形で、負担が者と 児で実際に違っています。そして、私たちの場合8%ほどが虐待ネグレクトで入所して いますが、3年間で約半数が児童養護施設などに転出しています。自宅には帰っていま せん。ただ、そのあとにまた同じように70名ぐらいの新たに虐待ネグレクトで入って きて8%という数字が付いています。私たちの施設だけで年間利用者数はショートステ イを含めれば800名を越えていますが、東京都の重心施設1,200床のうち平成19年度 の入退院数が8名ぐらいという形で大きな差があります。  これも先ほど言えばよかったのですが、末光先生が20年前の浅野課長の話を出され たのですが、確かに論理的には矛盾しているかもしれないけれども、実際に私たちに一 部こううつりましたが、これは間違っていた方針だと考えています。というのは、いま 言ったように東京都の場合に1,200床で年間10人も利用できない。それに対して、私 たちの所では100ベッドですが、800名ぐらいが利用していることがあって、転換すれ ば4倍のお金が入りますが、その機能が落ちるということで我慢をしている状況です。 事実ですので、そういう形で見直しをしてほしい。末光先生が俗人化的なものを反対さ れているということではないと思いますが、そういうことで私たちのところでは特に民 営の6割が困っています。 ○市川委員 措置か契約かという話で、先ほど末光委員からモラルの問題で措置にする のか、とありましたが私もそう思います。現実問題としてモラルですからといっても何 も解決しないのであって、おそらく6%いったらもっと増えるだろうし、モラルはどん どん崩れていっています。私は普段は病院にいますが、入院費を払っていただけない方 がどんどん増えてきていますから、そのときはどうするかということで、そのフォロー をきちんとしておくべきだと申し上げました。それから、子どもであっても基本的には 契約するのは保護者が中心になるわけですから、基本は契約でいいだろうと思いますが、 そのときに措置が必要な方が一定の割合でいるわけで、これをどうするかを決めておく べきではないか。例えば、精神保健福祉法ですと入院の形が3つありまして、措置でも 入院できるし、そうでないということも作ってありますが、そんなようなものがいいの ではないかと考えていました。  13頁を私は読み違えているのかもしれませんが、知的障害児の入所は措置だという 文章があったのですが、障害によって分けるというのもまずいのではないか。もしそう であれば、子どもさんを全部契約にする。あるいは、逆に言えば重複障害の方もたくさ んいるわけですし、いまはボーダレスでスペクトラムになってきている時代に、果たし てそんな分け方が現実的かどうかと思います。ちょっと触れさせてもらいました。 ○副島委員 まず、行政の実施主体です。私は、基本は市町村だと思っていますが、市 町村というのは現状での問題が確かにあります。ここに立って考えるのであれば、案2 の形を進めながら、将来的には市町村の実施主体にすることがいいのかなと思っていま す。  措置と契約ですが、ここに書かれている中で子育てについては原則として、子どもは 親が責任を持って育てるということは、我々親としてそれは強く思いたいです。行政が 育てるというところにあまりにも依存したくないと思います。そのときに、親が育てら れない状況が発生するようなことがありますので、そこにちゃんとした支援を加えるべ きだというところで持っていってもらいたいと思うのです。特に、そういうことを考え れば措置も必要ですが、親が選択して使える支援サービスというものが必要ではないか と思います。措置か契約の選択ができる体制というものが望ましいのではないかと思っ ています。  特に、この中に書かれています、契約になったことで未集金が増えたから措置にすべ きだという問題は、我々利用者としては、あまりそこにつなげていくべきではないと思 います。特に前回、北浦委員から、守る会では親の心得として払うべきものは払う取組 をさせているのだと聞きました。我々育成会としても同じ立場に立ちたいと思うのです。 そういうところは是非理解していただきたいと思います。  それから、14頁の「その他」の「根拠となる法律」ですが、障害児の取組について はやはり一般施策の中でやるべきだと思います。障害のある人とない人を分けてしまう と、我々が最終的に望みたい共生社会の実現やその基礎の部分が結局できないのではな いかと思います。しかし、そうは言っても障害児に対する専門的な……のバックアップ は絶対必要ですから、そこは欠くことがないような形で、一般施策、特に児童福祉法の 中で対応するということになると、我々親の立場からすれば、自分の気持、つまり子ど もを素直に受け入れることができるような気持に持っていくことができるのではないか と思っています。別に取り組むことによって、特別な人だという認識、自覚を小さいと きから持つことになると、将来的に差別の問題がなくならないと思いますので、そうい うところについては是非理解していただきたいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。次に坂本委員にお願いしたいと思いますが、時 間が迫っていますので、いま副島委員から「その他」についてのご意見をいただきまし たが、4時を過ぎたらすぐ帰らなければいけないという方もいらっしゃると思いますの で、「その他」の部分を含めて発言をしていただいて構いません。それでは、坂本委員、 柴田委員、末光委員、お願いします。 ○坂本(正)委員 実施主体のところで案1、2と示されていますが、基本的には案1 の実施主体が市町村という考え方が適当ではないかと思っています。ただ、対応が困難 な場合、あるいは入所措置が必要な場合については都道府県の児童相談所で措置をして 対応してもらうという、2層構造で考えるのがいいのではないかと思います。  前にも申し上げましたが、平成17年から、児童の問題はまず一義的には市町村が対 応するということでスタートしています。市町村格差などのさまざまな問題を市町村は 抱えていますが、もうすでにそういった体制が出来上がっていますので、そこで障害児 の問題についても同じような形で対応して、児童相談所がバックアップをするというこ とが必要ではないかと思います。そして、そのときに措置と契約について再整理をする ということが前提になるのではないかと思います。 ○柏女座長 案1というのは、11頁にあるように、入所措置そのものを市町村がやる ということになるわけですが、そういうお考えでよろしいのでしょうか。 ○坂本(正)委員 そうではなくて、入所措置が必要になった場合は児童相談所に送る、 リファーするということです。 ○柏女座長 そうすると、案2ということでよろしいのでしょうか。 ○坂本(正)委員 いいえ。基本的には市町村としてやって、その一部については都道 府県が担うということです。 ○柏女座長 そうしますと、通所施設については市町村ということなのでしょうか。 ○坂本(正)委員 そうです。 ○柏女座長 わかりました。そうしますと、最初の通所施設については市町村の上で案 2ということですね。ありがとうございます。それでは続いて、柴田委員、末光委員、 宮田委員という順番でお願いします。 ○柴田委員 私の参考資料2の4頁の真ん中の表のところまで先ほどお話しましたが、 もう一度その表の説明をします。いま、措置か契約かと言われているその概念がちょっ と曖昧だということで先ほどお話をしたのですが、いまの措置というのは、保護者の申 込みもないし、誰かが見付けたら申告するということで始まる仕組みですから、保護者 の主体性というものがほとんど無視されているようなものです。ただ、通園にしろ入所 にしろ、保護者の同意なしにはできないようになっているので、完全な職権措置でもな いのです。そこを、保育所のように保護者の申入れによって始まるようにするというこ とと、保護者がサービスを選択できるようにするという修正を加えることで、契約のよ さが出る。ただし、行政と施設との関係でいえば、措置委託という関係で行政責任が明 確になる。その2つを組み合わせたらどうかという、措置と契約の中間的な提案です。 ややこしいので、もう一度お読みいただければと思います。  入所については措置と委託との中間のような形で対応したらどうかという提案ですが、 通所も、現在保育所がそういう形で行われていますので、通園についてもそういう形で いいのではないかと思います。ただ、保育所のそういうやり方自体が実はいま検討され ていて、そういうやり方がなくなるかもしれないという話があります。悩ましい問題な のですが、障害児という状況を考えると、現在の保育所の方式のほうがいいと思います。 ただし、居宅介護とデイサービス、短期入所については、すでに契約で行われていまし て、市町村ということになっていますので、これは従来どおりでいいのではないかと思 います。(1)の特別な医療により数カ月間入所されるところについては、私は4頁で27 条の保育所方式による修正と書きましたが、知的障害の分野には(1)の役割はありません ので、ここは関係者の方のご意見でよろしいかと思います。  最後に、4頁の「その他」です。基本的に障害児施策については自立支援法から切り 離して、児童福祉法を改正することによって児童福祉の中で行うべきであるということ が、まず1点です。それから、学校教育との関連については、学齢期の放課後対策とか 夏休み対策については基本的には学校教育において対応すべきであると考えますが、そ うはいっても実際にはなかなかそれは進まないという現状がありますので、やはり当面 の対策として、福祉の分野で、学齢期発達支援事業といいますか、児童デイサービスと か日中一時支援等を含む新しい事業を整備すべきであると思います。  それから、特別支援学校の寄宿舎についても、もっと詳しく実態を知りたいと思いま すが、子どもの権利の視点から、そういう実態がある中で児童福祉として何をしなけれ ばならないのか、居住の場をどう整備しなければならないのか、改めて入所施設の役割 とかファミリーホームの役割等を検討しなければならないのではないかと思います。  知的障害児については、発達に時間がかかることから、基本的には教育期間を20歳 前後まで延ばしていただきたいと思いますが、これは学校のことですので、提案だけさ せていただきます。  現在、里親制度で障害児を養育している家庭が現にあります。その中で、実際には、 その家庭の障害児が在宅サービスを利用するときの利用料が里親の所得による負担とな っていまして、現実に非常に困っています。これは、父母の応能負担ないしは無料とし ていただきたい。里親の負担というのはおかしな話です。  それから、障害児を扱う厚生労働省の担当部局の話です。社会援護局に移されたわけ ですが、児童家庭局に担当を再び移して子ども一般の施策の中で一元化して扱っていた だきたいと思います。  最後に、財源の問題が話されましたが、やはり財源なしにこの施策を検討することは できないわけです。特に社会保障費の毎年度2,200億円の削減については、それが行わ れる以上はなかなか障害児福祉は進みませんので、この削減については撤廃をしていた だきたいと望みます。 ○柏女座長 ありがとうございました。それでは、末光委員、お願いします。 ○末光委員 先ほど君塚委員から、肢体不自由児施設の重心問題のお話がありました。 先ほど私は歴史的経過と現状だけを申し上げたのですが、もう一言申し上げますと、そ れぞれの地域での肢体不自由児施設あるいは重症心身障害児施設が果たすべき役割、そ れぞれの地域の適正配置の検討が、まず必要ではないかと思っています。従来は、肢体 不自由児施設、重症心身障害児施設が中心的に果たすべき対象者が決まっていたわけで す。その中で先ほど申し上げたようなことを経過として現状として申し上げたわけで、 先ほどの君塚委員のご説明ですと、東京、神奈川、愛知、大阪といった大都市圏では、 やはり重症心身障害児のベッドが全国平均からすると大変低いわけです。最も多い県と これらの大都市で比べますと、1ベッドの重みが大体14、5倍違うわけです。この基本 には、適正なベッド数であったかどうかということがあり、君塚委員が言われたように、 肢体不自由児施設で短期間の医療目的入院の入所利用が大変多いということがある。そ れはやはり大都市特有の問題点だと思っています。したがって、その部分についてはそ れに応じた対応、要望をすべきであって、肢体不自由児施設にいる重症児をすべて重症 児と同じように属人主義でやれという議論は、少し飛躍しているといいますか、一直線 に行きすぎているのではないかと思います。 ○宮田委員 措置か契約かという点についてですが、我々の施設は児童の通園施設です。 平成18年10月から利用契約になったのですが、我々の施設では覿面に苦情などをお聞 きする機会が増えました。これは非常に重要なことだと思います。職員に対しても「安 心して苦情が言える施設と認められているのだから、しっかり対応しろ」と言っている のですが、契約と負担による対等な関係というのは、今後の時代には非常に重要なこと だろうと思います。その負担に対する財政的なバックアップをどうしていくかというこ とが次なる課題なのかなと考えます。  自立支援法にもかなり見直しがかけられて、限りなく応能化に近くなってきているわ けですが、そういう意味では、利用契約だから必ず応益、定率というような形ではなく、 もう少し負担の仕方ということを考えていく必要があるのではないかと思います。君塚 委員は、入所すると特別児童扶養手当等の手当が切られると言われましたが、利用契約 であれば継続されて、措置であればそれがなくなるというような仕組みも、考えられる のではないかと思います。  2番目に、「根拠となる法律」なのですが、多くの行政で、障害のある子どもたちと いうのは子どもなのか、障害者の子ども版なのかということで、施策の谷間に落ち込ん でいる状況が非常に多いと思います。そういった意味では、根拠法というものを明確に して、どちらをベースに考えていくかということが必要になってくると思うのですが、 当然、子どもですから、子どもとして児童福祉法で支援されながら、その上に障害の部 分を支援されるという制度的な明確性というものが今後必要になるかと考えています。 ○山岡委員 実施主体のところですが、皆さんのご意見をお聞きしていると案2のほう が多いのですが、私は、基本的には市町村であるべきで、その方向に進むべきだと思っ ています。皆さんのご意見というのは、たぶん、そうしたいのだけれども、できないネ ックがあるから、当面県で甘受せざるを得ないということだと思うのです。これはこの 報告書の書きぶりの問題で、いまの書き方でいくとその辺がわからない。方向としては 市町村にあるべきだが、こういうネックがあるから当面こうするのだ、いずれこう持っ ていくのだというところを出していただければ、うれしいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございます。それでは、北浦委員、市川委員、お願いします。 ○北浦委員 契約制度になったら施設への未収金が増えているとか、収入が6カ月間入 ってこないので措置にしてくださいという話を聞いていると、障害児・者の親の姿勢を 問われているような気がするのです。このことが社会に聞こえたらどうなるか。いまの 国民の方々は、税金がどこにどう使われているかということを本当に真剣に見ていらっ しゃるのです。そういう中で、この検討会でこの話が出ますと、障害者の親というのは 何をしているのだ、そんな親の子どもをなぜ我々の税金で守ってやらなければならない のだ、ということになる。そういう話が出てきたら、子どもたちの権利が失われてしま うわけです。ですから、障害者の親というのはもうちょっとレベルアップしなければい けない。本当に子どもたちを守るという姿勢に持っていくべきだと思うのです。それが 1つです。  知的障害のほうの方で、子どもは行政が育てるべきであると言う方がいる。重症児の 親は、そういう親はいないのです。費用負担をしても、専門家の人と一緒に手を組んで、 自分の理想とした幼いときからの教育がしたいという親が多いのです。重症児の親とい うのは、ある意味で子どもから学んでいるものがあるのではないかと思います。これを、 子どもは行政が育てるべきであるというのは、やめていただきたいと思います。 ○市川委員 「その他」の発言も許されるということなので、申し上げます。今日の整 理の2頁に、障害児の入所施設のことが書いてあります。3障害横並びということでい くのだろうと思いますが、ここには、濃厚な医療とか発達支援と書いてあります。これ は、お話を伺ったとおり、肢体不自由なり重度心身障害の方については濃厚な医療が受 けられるようになっているのですが、知的障害等、発達障害を含むような精神障害の方 は、残念ながら濃厚な医療を受ける場所がない。福祉でやっていないのなら医療でやっ ているのかというと、医療のほうにもあまりないという状況がある。前回言いましたよ うに、それを担当する医療スタッフが少ないということが1つあるのですが、もう1つ、 仕事場もないということがある。私は、きちんと位置づけていっていただければ、今後 さらに充実していくと思います。肢体不自由も不十分なところはいっぱいあるのでしょ うが、質を論じることはできる。でも、知的障害等については、あるかないかしか論じ られない。こういう現状はやはりまずいのではないか。これは私のコメントです。 ○宮崎委員 2点あります。被虐待児の問題などが少しここにも書かれていますが、い ま児相が被虐待児のケアにかなり追われている現状がある。これは、発達障害のお子さ んたちへの対応がかなり多くなっているのです。ですから、虐待対策を充実するという こともそうなのですが、発達障害児へのそういった視点からの介入といったものをきち んと整備してほしいというのが1点です。  2点目は、参考資料2で柴田委員から出された「その他」の2つの問題です。学校教 育との関連で、学齢期の放課後対策、夏休み対策を学校教育でやるべきだという意見と、 寄宿舎の問題が出ているのですが、寄宿舎のことについては先ほどあったので、それ以 上は申し上げません。学校教育で放課後対策、夏休み対策をやるべきだという意見に関 しては、さまざまな児童、生徒すべての問題、つまり文教政策との一元化の問題から慎 重に検討すべき問題であって、障害児だけ学校教育が全部扱うというのはちょっと違う のではないかということだけを、要望として申し上げたいと思います。 ○柏女座長 ありがとうございました。 ○柴田委員 学齢期の放課後対策の問題は、そういう面もあるかもしれません。いま北 浦委員が言われた行政の責任の問題ですが、本来は父母が養育するということが原則で す。どんなに障害が重くても、そこにきちんとした支援があればできるのではないかと 思うのです。しかし、きちんとした支援といっても、障害があることによって支援が家 庭では難しくなってくるという現実があって、普通児の場合とは違う難しさがさらに加 わりますから、家庭で育てることが難しくなっていくということがあるわけです。その 場合に誰が手を差し伸べるかというと、そこは行政ということなのです。 ○北浦委員 わかります。断定的にこうなってしまうと、親の愛情というものはどこへ いっちゃったのかと。 ○柴田委員 逆に言えば、親は入口で関係ないというのがいまの27条の仕組みですか ら、そうではなくて、親御さんが申請するという形にすることによって親御さんの責任 も出てくるし、親御さんの愛情もそこで示せるということで、27条の修正を提案して いるわけです。 ○柏女座長 ありがとうございました。実施主体のところについては、次回もし取りま とめ案を出していただけることを皆さんにお許しいただけるならば、それでも議論をし ていかなければならないところではないかと思います。ただ、目指すべき方向について はある程度収束に近付いていると思います。案1か案2かということではなく、ご意見 を踏まえながら、事務局にはご迷惑をおかけしますが、書きぶりの工夫、表現ぶりの工 夫をお願いしたいと思います。両論併記もあってもいいとは思いますが、検討会として はやはり一致した方向性を出していきたい、そこを目指したい、努力をしたいと思いま すので、皆様方も是非ご協力をお願いしたいと思います。入所している子どもたちの背 景、施設種別によってご意見が違うということはとてもよくわかりますが、その中で最 大限合意できる基本的な方向というものを考えていければと思っています。  また、今日は、ここに書かれていたこと以外の提案もありました。例えば障害関係の 施設についてもファミリーホームのような、グループホームのようなものも考えていく べきではないかとか、市川委員からは、知的障害児の施設についても医療型のようなも のも考えていかなければいけないのではないかという新たな提案もありました。そうし たことについても事務局のほうで少しご検討いただければと思っています。ほかにご意 見等ありませんか。もしよろしければ、確認をさせていただきたいと思います。次回に ついては、一応の議論を終えたということで、取りまとめの案を事務局で作成して、ご 提案いただくということにさせていただいてよろしいでしょうか。                  (異議なし) ○柏女座長 ありがとうございます。それでは、そのような形にさせていただいて、議 論の回数については、1回目はもちろんやりますが、2回目等については、もし不十分 であればまたやるという形で、何回とは区切らないでいきたいと思っています。ありが とうございました。それでは、当面の日程について事務局からご説明をお願いします。 ○蒲原課長 長時間ありがとうございました。いまお話がありましたとおり、事務局と して作業を進めたいと思います。その過程で、いろいろな発言、いろいろな資料の提出 がこれまでありました。今日出た資料も含めて、趣旨の明確化などでいくつかお聞きす ることもあろうかと思いますので、事務局案作成の過程ではまたご協力をお願いしたい と思います。  次回の第10回は、7月14日(月)午後3時からです。場所は厚生労働省本省の9階 省議室になっていますので、よろしくお願いします。いま話がありましたとおり、次回 は、これまでの議論を踏まえて何らかの形の案という形で整理をしていきたいと思って います。よろしくお願いします。 ○柏女座長 それでは、委員の方で何かご質問がありますでしょうか。ないようでした ら、今日の検討会はこれで終了にしたいと思います。今日はどうもありがとうございま した。 【照会先】 〔障害児支援の見直しに関する検討会事務局〕   厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課   TEL 03-5253-1111(内線3092)