08/07/04 遠隔医療の推進方策に関する懇談会(意見交換会議事録) 遠隔医療の推進方策に関する懇談会 構成員意見交換会(議事要旨) 1.日 時 平成20年7月4日(金) 13:30〜14:50 2.開催場所:総務省8階 第1特別会議室 3.出席者 (1)構成員(敬称略) 金子 郁容(座長)、八木 隆(秋草 直之代理)、内田 健夫、太田 隆正、大山 永昭、    梶井 英治、川島 孝一郎、久島 昌弘、高本 和彦(仁坂 吉伸代理)、本田 敏秋、      本多 正幸、村瀬 澄夫、吉田 晃敏、和才 博美、國領 二郎(オブザーバー) (2)総務省 安藤地域通信振興課長、濱田地域企業経営企画室長、中野調整課長補佐 (3)厚生労働省 佐藤指導課長、新木研究開発振興課長、冨澤医療機器・情報室長、原医療課長 (4) 経済産業省 渡辺医療・福祉機器産業室長 4.配布資料 資料1 中間取りまとめ(案) 資料2 懇談会開催要項・構成員一覧 5.議事概要 (1)開会 ○金子座長より、本意見交換会は、非公開とするが、公式な会合として後日議事要旨 を公開することを説明した。 (2)意見交換 ○金子座長より、中間取りまとめについて、本意見交換会における構成員の意見を反 映し取りまとめる予定である旨を説明した。 ○以下、意見交換における構成員の主な意見。 ・(1)本懇談会に求められる成果として、課題となっている持続可能性を解決するよう な、具体的な絵を構成員の間で共有すべきである。(2)多様な地域のニーズに対しど のようなツールを用いるのがよいか新たな俯瞰的な視点(スーパーストラクチャ ー)から整理し、各地の遠隔医療を支援する体制があってもよいのではないか。(3) コミュニティは、既存のSNS等ICTツールを利用できるのではと感じている。(4) 遠隔医療は、慢性期疾患のフォローや救急医療、行政とも繋がるものである。 ・対面診療と遠隔医療では、対面診療の方がもちろんいいというのは、ほぼ一致した 考え方であるが、医師が不足しており対面診療が受けられないという状況があるの だから、遠隔医療の効果を実証するときには、対面診療を比較するのではなく、受 診ができない、ないし困難である状況と比較するべきではないか。 ・今後の遠隔医療の展開のためには、まず従来の遠隔医療が必ずしも円滑に進まなか った理由を検証する必要がある。 ・従来のDtoPの遠隔医療プロジェクトは、医師・患者・保険者にとって不十分な結 果に終わっている。条件不利地域における医療問題解決には、根本的には医師不足 の解消が必要であると考えており、遠隔医療がどの程度有効かについてはモデル事 業で検証すべきである。 ・医師の増員による医師不足解消には最低15年かかり、解消までの間を何とか遠隔 医療でしのぐことが必要である。DtoDに関しては、超音波画像診断の診療報酬化 の検証が必要である。DtoPに関しては、現状では患者の充足感や医療の質の確保 ができておらず、過去の失敗例をもとに本懇談会でその有効性を検証すべきである。 ・医師を増員しても、医師が行きたがらないへき地医療の解決にはならない。ICT を活用してへき地の医師を支援するDtoDが必要である。 ・近年ICTは大幅な技術進歩を遂げているものの、遠隔医療は現状では個別的かつ ボランティア的な取組に過ぎない。モデル事業の積み重ねにより、患者のニーズを 検証し、普遍的な部分の標準化が必要である。医師不足で困っている現状に対して、 ICT技術の活用による解決を前向きに進めていただきたい。 ・遠野市のモバイル遠隔健診事業は、経済産業省事業の検証から、住民の不安解消に 寄与しており、一定の評価ができると考える。遠隔医療を、地域の実情、現場の声 を踏まえて機器開発も含めて、実績として評価していただき、少しでも前進させて いただきたい。 ・DtoNtoPを含むDtoDは評価ができると考えるが、これまでのDtoPの実施につい ては医療関係者、患者ともに不安や不満を持っており、今後モデル事業による検証 が必要である。 ・モデル事業は、既存の技術を用いて実施・検証すべきであり、新たな技術を導入す ることについては費用対効果に疑問がある。 ・費用に関する議論と費用以外の議論とを分けて考えるべきである。確固たる方法が できれば、予算も後から付いてくるはずである。一方で、科学技術の進歩には一定 の国費投入が不可欠であり、モデル事業で最新技術の可能性を検証するのも一案で はないか。構成員は、遠隔医療に対して、医師の過酷な労働環境の解消に繋がると いう共通の将来像を描いていると考えられ、そこに向かうためのいくつかの段階に 分けて考えるとよいのではないか。 ・DtoPが現場の医療に適用可能なレベルに達するには、ICT技術の進歩を基盤とし た全く新しい技術開発が必要であり、モデル事業における検証が求められる。 ・中間取りまとめは両論併記ではなく、受療機会の平等化(医療均てん化)の1つ の方策として本懇談会として、積極的に遠隔医療を推進する旨を明確に盛り込む必 要があるのではないか。その上で汎用性、双方向性、継続性、診療としての位置づ け等、遠隔医療を導入するためには何が必要か、どのような効果があるか検証すべ きである。 ・対面診療が医療の基本であり、DtoPによって完全に代替することは難しい。しか し看護師やケアマネジャー等が間に入るDtoNtoPは有用である。また媒体として は、携帯電話、テレビ電話、端末等の使い分けが必要である。今は費用を考慮せず に何が使えるのかを検討する段階ではないか。 ・DtoPは、実際には往診や訪問看護等の医療関係者が間に入ったうえで実施されて いる。全てを遠隔医療で実施するようなDtoPは、将来的な可能性はあるが、現状 では実現していない。現実に即した形でDtoPを定義しなおして、取りまとめては どうか。 ・現時点では、対面診療と遠隔診療は選択的な関係にあり、どの場面でどのように使 うべきかを検討すべきであると考えている。DtoD、DtoPなどの類型を中間取りま とめで用いるかどうかは改めて検討する。 ・救急医療における受診前相談の設置は、対面診療と遠隔診療を選択的に実施してい る例である。 ・本懇談会では、慢性期及び健康管理、予防医療等を主に想定しているが、救急も重 要であると考えている。議論が拡散するため救急を含めていないが、本懇談会が遠 隔医療の範囲を限定するわけではない。 ・地域の特性に応じ、制度や計画があり、それを実現するためのシステムが存在する。 医療の現状を打破するためには、特性に応じたシステムを構築し、国や自治体、医 療機関による一体的な取組が必要である。 ・総論は遠隔医療を推進する形でよいと考えるが、不必要なもの、未実証なものは、 推進対象に入れるべきではない。 ・モデル事業では、以前の遠隔医療が失敗した要因を踏まえて、持続可能性の確保を 重点項目にするべきである。 ・遠隔医療は、必要性があり実証できたものから推進し、実証できていないものはモ デル事業において検証する必要があることを明確にしていく。また、モデル事業は、 持続可能性、汎用性の高いものにしていくべきである。 ○本意見交換会を踏まえて、中間取りまとめの作成は、金子座長に一任された。 (3)閉会  ○事務局より、今後のスケジュールついて、以下のとおり説明した。 ・中間取りまとめが確定した段階で、総務省・厚生労働省両大臣に提出する懇談会を 開催する。 ・モデル事業は、中間取りまとめ以降、できるだけ早い段階で募集要項を作成し公募 を開始する。 以上 照会先 医政局研究開発振興課  渡邉 03(5253)1111(内線 2543)