08/07/04 第9回今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会議事録 第9回労働者派遣制度の在り方に関する研究会 1 日時 平成20年7月4日(金)14:00〜 2 場所 厚生労働省職業安定局第1会議室 3 出席者     委員 阿部委員、有田委員、鎌田委員、橋本委員、山川委員   事務局 太田職業安定局長、大槻職業安定局次長、       鈴木需給調整事業課長、田中派遣・請負労働企画官、       牛島需給調整事業課長補佐、松原需給調整事業課長補佐、       竹野需給調整事業課長補佐、鶴谷需給調整事業課長補佐、       飯郷需給調整事業課需給調整係長 4 議題  優良な事業主を育て違法な事業主を淘汰するための仕組みについて ○鎌田座長   開始時間には少し早いのですが、委員の先生方はお集まりのようですので、ただいま から「第9回 今後の労働者派遣制度の在り方に関する研究会」を開催いたします。なお、 山川委員はこのあと別のご予定があるとのことで、本日は前半のみのご出席と伺ってお ります。  前回は、需給調整機能の強化ということで、事前面接、紹介予定派遣、専ら派遣につ いてご議論いただきました。本日は、優良な事業主を育て、違法な事業主を淘汰するた めの仕組みということで、違法派遣の是正策などについてご議論いただきます。それで は、事務局から説明をお願いします。 ○竹野補佐   資料は3点あります。資料1は、「優良な事業主を育て、違法な事業主を淘汰するため の仕組みについて」ということで、論点です。読み上げます。  1.違法派遣の防止・是正について。(1)違法派遣の場合において、その是正を図り つつ、派遣労働者の保護にも資する手法として、派遣先に雇用契約申込みを行わせるこ とや、「みなし雇用」を導入することが考えられるが、その対象となる範囲や労働条件 の設定を含め、どのように考えるか。 (2)現行では、違法派遣の是正のための派遣先に対する措置として、勧告・公表の規 定が設けられている。違法派遣の防止・是正をさらに実効あるものとするため、特に派 遣先に対する制裁措置の強化を含め、どのような対応が考えられるか。  2.今般の派遣元指針の改正により、派遣元事業主は、派遣労働者及び派遣先が良質な 派遣元事業主を適切に選択できるよう、派遣料金の額や派遣労働者の賃金の額に関する 情報を公開することとしているが、これに加え、どのような対応が考えられるか。 この第2点目については、第7回の論点の再掲です。  3.その他労働者派遣事業の適正な運営及び適正な派遣就業の確保を図るため、どのよ うな対応が考えられるか。特に、(1)法令遵守を徹底するため、その内容等について周知 ・説明を行わせること、(2)欠格事由・許可基準の在り方、(3)労働者派遣事業適正運営 協力員制度の在り方について、どのように考えるか。  資料2は、「論点に係る公労使意見及びヒアリング時の発言」です。1頁の1(1)です が、違法派遣の是正ということで、雇用契約申込み、みなし雇用に関連するものです。 労働者代表の意見として、「無許可事業者から受け入れた場合、派遣先が特定行為、事 前面接を行い、派遣労働者を受け入れた場合、偽装請負や禁止業務への派遣の場合は、 派遣先での期間の定めのない直接雇用とみなす制度を設けることを検討すべき。こうし たみなし規定を導入すれば、派遣先は優良な派遣元しか利用しなくなる」といった意見 が出されております。  使用者代表の意見として、「一定期間を超えれば派遣先での雇用とみなすことについ ては、企業がその前に契約を打ち切ることが予想される。労働者の雇用はかえって不安 になるため、反対である。まずは法律に基づいた是正を前提とし、即座に派遣先の直接 雇用とみなす制度は不合理である。個別のケースごとに判断し、その上で直接雇用する よう是正勧告が出された場合には従うというのが、合理的な在り方だと考える」といっ た意見が出されております。また、「派遣先企業にとっては、業務遂行能力だけで人を 採用するわけではない。さまざまな要素を勘案して採用を決めるということで、一律に 雇用義務を課すべきではない」とのご意見が出されております。  2頁ですが、(2)違法派遣の是正のための対策としてどのような対応が考えられるか ということです。当然、違法に対する措置をしっかりやっていくことについては皆さん 共通しているところですが、労働者代表の意見としては、「違反した事業者の企業名公 表の対象を拡大すべき」といったご意見があります。ヒアリング時の発言では、JSGUか らは、「派遣先に対してあまり罰則規定がないということで、その責任に見合ったもの が必要ではないか」といったことがご発言としてありました。2の下の部分については、 第7回の際に一度ご説明しておりますので省略します。  3頁の「その他労働者派遣事業の適正な運営及び派遣就業の確保を図るための方策」 ですが、労働者代表の意見としては、「労働者派遣事業適正運営協力員制度の権限、機 能強化について検討するべき」「労働者派遣事業の許可基準を厳格化すべき」といった ご意見があります。使用者代表の意見として、「偽装請負等の指導監督に関し、都道府 県労働局ごとの判断基準・対応方針を、具体的かつ実務に沿った内容で統一すべき」と いったご意見がありました。  資料3は、「法違反の防止、是正等に関する資料」です。1頁ですが、労働者派遣事業 に係る法違反の是正措置の流れということで、第1回の研究会で似たような資料を出し ましたが、若干詳細にしたものを付けております。法違反があった場合の是正措置の流 れを、派遣元に対するものと派遣先に対するものに分けて記載しております。派遣元に 対しては、法違反があった場合、指導・助言ということもありますが、重大な法令違反 や繰返し違反の場合には、改善命令や事業停止命令といった行政処分を直接行い得るこ とになっており、最終的には許可の取消しといったことがあります。一方で、派遣先に 対する措置としては、法律上指導・助言をすることとされており、さらに法第49条の2 第1項に勧告の規定、また同条第3項に公表の規定があります。これはあくまで指導・助 言を前置して従わない場合という限定があり、派遣元に対する措置とは異なり、派遣先 に対して直接勧告・公表といったことにはなっておりません。  2頁ですが、法違反の類型、制裁、考えられる是正方法について整理しております。 法違反の例としては、いちばん左の欄にありますように、適用除外業務への派遣、無許 可・無届派遣、期間制限違反、いわゆる偽装請負、事前面接、専ら派遣といった類型が 例示として記載されています。派遣元に対しては、罰則や行政処分による対応が可能で すが、派遣先に対しては指導・勧告・公表といったものが中心です。考えられる是正方 法として、類型の上の4つ、適用除外業務への派遣から偽装請負までについては、派遣 先による直接雇用、適正な請負への移行、そもそも業務を止めてしまうといった是正方 法があります。無許可・無届派遣やいわゆる偽装請負の場合は、適正な派遣への移行と いった是正手段もあります。事前面接、専ら派遣は違反の性格が違うというか、事前面 接については過去に違反したものを取り消すことができないので、再発防止ということ で、事前面接をしないといった書き方になっております。  欄外に二重派遣について記載しておりますが、表の中があくまで派遣法の違反につい て書いているもので、例えばA社がB社に労働者を派遣して、さらにB社がその派遣され た労働者をC社に送る場合には、A社とB社の関係は労働者派遣となりますが、B社からC 社に送られる場合は、B社が雇用している労働者ではないので労働者派遣には該当しま せん。これは労働者供給に当たるということで、そのようなことがある場合には、労働 者供給事業を禁止している職業安定法の規定に違反することになります。職業安定法違 反については、供給元、供給先、送るほうも送られるほうも1年以下の懲役又は100万円 以下の罰金と定められています。  3頁ですが、これは本日の論点にある雇用契約申込みやみなし雇用について、第6回の 際に議論をいただいたいろいろなご意見を踏まえて、考え方を整理したものです。申込 みの方法等の差異ということで、いろいろな手法が考えられますが、(1)として、派遣先 と派遣労働者との間の雇用関係が成立したものとみなすことになると、この効果は派遣 先と派遣労働者の関係を確定させる私法上の効果を生ずることになります。この場合、 派遣労働者が希望しない場合でもみなされるということがありますし、どのような内容 の労働条件で成立したとみなされるか、また、行政の関与が、基本的には民事関係では ないということで、裁判等で解決を図ることになることが留意点として挙げられると思 います。  (2)として、派遣先が派遣労働者に対して雇用契約の申込みをしたものとみなすといっ たことがありました。これは(1)と異なり、直接的に関係が成立したものとみなすもので はなく、派遣先の意思だけを縛るということです。派遣労働者が希望しない場合には雇 用関係は成立しないことになるかと思いますが、どのような内容の労働条件で成立した とみなされるか、行政の関与がなく裁判等で解決を図ることは、(1)と共通であるという ことかと思います。  (3)として、派遣先に対して、行政が派遣労働者に対する雇用契約の申込みをすべき旨 を勧告することも考えられるかと思います。これについては、行政上の措置として勧告 に従わなかった場合には、公表等の制裁が可能であるということです。派遣労働者が希 望しない場合には成立しないし、行政の関与による解決も考えられるということです。 労働条件については、当事者間の決定に委ねられることになるかと思いますが、この際 の設定についてどのようなルールがあるかは論点としてあると思います。  4頁ですが、ただいま申し上げた労働条件をどのように設定するかということで、考 え方をお示ししております。(1)については、申込みあるいはみなしの場合の労働条件、 雇用契約の期間ですが、期間の定めのない雇用とすることを法定することが考えられま す。ただし、これについては派遣先が臨時的、一時的で受け入れた場合に、労働需要が ない場合が考えられるので、そのような場合をどう考えるか。期間の定めのない雇用と みなす制度は、フランスでは導入しておりますが、フランスでは実質的に補償金による 解決がなされているという実態があり、我が国にこれを導入した場合にどうなるのかと いうことがあります。  (2)として、一定のルールを設けた上で、具体の設定は当事者間に委ねるということ で、例えば派遣就業時の労働条件を下回らないなどのルールを設けることは考えられな いかということです。  (3)については特段のルールを設けないということですが、派遣就業時の労働条件を 下回る労働条件の設定が可能とならないかといったことがあります。  5頁ですが、違法の事案の把握の時点で、これも雇用契約の勧告やみなし雇用を導入 するとした場合に、どのようなことが考えられるかということです。いま申し上げたよ うな、違法状態を前提としてこういった義務を課すことをご議論いただきたいと思って いるわけですが、違法状態といっても、(1)のように違法状態が継続している、要するに 違法が発生してからそれが把握されるまで継続されていて、さらにその後も継続してい る場合があります。このような場合には、当然指導ないしは行政処分によって是正、再 発防止を図っていくことになります。ところが、(2)のように違法状態がすでに解消して いる場合があって、違法があったけれど、事業主が自主的に改善を図り、あとで過去に 違法があったことがわかった、ただ、わかった時点では、直すべき違法が存在していな いという事態が考えられるわけです。このような場合に雇用契約の申込みやみなしを適 用させるのかどうかが、1つ論点として考えられるのではないかということです。  6頁ですが、これは第6回の資料のおさらいです。ドイツ、フランスのみなし雇用の規 定の紹介で、ドイツでは、無許可の事業主が派遣した場合に、当該派遣先の間、派遣元 と派遣労働者の間の契約は無効として、派遣先との雇用関係を成立させるという法的整 理を図るものとして位置づけられております。一方、フランスの場合は制裁的な趣旨が あって、結ばれる労働条件については期間の定めのない労働契約とされるということが ありますが、先ほども申し上げたとおり、期間の定めのない労働契約とされた場合であ っても、結局は解雇になるということで、その場合の補償金を支払うことが多いという ことです。  7頁は、第6回のときに若干話があった韓国の派遣法における雇用義務で、韓国の派遣 法においてはこのような制度が設けられているというご紹介です。雇用義務の要件とし ては、適用除外業務で派遣労働者を使用する場合や、期間制限違反、無許可派遣からの 受入れといったことがあります。(3)等については、「2年を超えて」ということも併せ て要件として課しております。雇用義務の例外に、派遣労働者が明確に反対の意思を表 明した場合や、正当な理由がある場合、派遣先が事業を続けることが困難である場合が 定められており、このような場合については適用しないという規定があります。労働条 件については、派遣労働者と同種類似の労働者がいる場合には、その 労働者に適用される労働条件とするということが定められており、そうした労働者がい ない場合には、既存の労働条件より低下してはならないことが定められております。以 上が雇用契約申込み、みなし雇用に関する資料です。  8頁ですが、これは本日の論点2に関係するもので、パート労働者に係る待遇の説明義 務について、平成19年にパートタイム労働法の改正で導入された規定です。条文がいち ばん下にありますが、事業主が雇用する短時間労働者から求めがあったときは、待遇等 の措置について、決定するに当たって考慮した事項について短時間労働者に説明しなけ ればならないという規定が設けられております。その趣旨としては、労働条件の文書交 付等と並んで、納得性に資するものとされております。  9頁ですが、欠格事由、許可基準です。これも第1回の研究会の資料の再掲で、現行の 欠格事由、許可基準がこうなっているということです。欠格事由については一般、特定 両方にあって、禁固以上の刑に処せられる等の法違反があった場合と、(3)ですが一般労 働者派遣事業の許可を取り消され、取消しの日から起算して5年を経過しないものとい った欠格事由があります。許可基準については、一般労働者派遣事業の許可のほうのみ 規定されているものですが、専ら派遣でないこと、雇用管理を適正に行うに足りる能力 を有するものであること、個人情報の適正管理、資産要件や事業所の面積要件といった 規定があります。  10頁ですが、労働者派遣事業適正運営協力員制度ということで、現行の派遣法第53条 に基づき、厚生労働大臣が労働者派遣事業適正運営協力員を委嘱することができるとい う規定があります。趣旨としては、派遣事業の適正な運営及び派遣就業の確保に関する 施策に協力して、派遣元事業主、派遣先、派遣労働者等の相談に応じ、専門的な助言を 行うことを目的として選任されているものです。委嘱数としては932人、全国でこのぐ らいの数が選任されているということです。説明は以上です。 ○鎌田座長   それでは、まず論点1の(1)違法派遣の防止是正措置としての雇用契約申込み、みな し雇用等についてご発言をお願いします。なお、これについては、以前、雇用の安定を 議題とした際にもご意見をいただきましたが、本日は違法派遣の防止是正措置という観 点からご発言をお願いします。  これから議論を開始したいのですが、この雇用契約申込み、あるいはみなし雇用は、 どういった趣旨で諸外国で設けられているか、あるいは考えられるかということについ て、先ほど簡単に説明がありましたが、もう一度事務局からご説明いただけるでしょう か。 ○田中企画官   資料6頁にドイツ、フランスのみなし規定の比較の資料を付けてあります。諸外国の 状況としては、いわゆるドイツのタイプがあって、これについては無許可の事業主が派 遣をした場合に、法律上、その事業主と派遣先の契約、その事業主と労働者の契約が法 的に無効とされることになります。  そうすると、その労働者が派遣先で就業している実態だけが残ることになりますが、 法的な関係が無効とされており、なくなってしまいますので、新たに民事的な契約関係 が、派遣先と派遣労働者との間に成立するということを法的に設定するもので、いわば 民事的な関係の整理を法律上、設定しているということが、みなし雇用のドイツの趣旨 ではないかと思います。  フランスのタイプになりますと、派遣先企業が諸規定に違反をして、労働者派遣とい うサービスを利用した場合に、結局は違法ですので、どのような形で違法に対して決着 を付けるかということで、期間の定のない労働契約が派遣先、違法な企業と結ばれたと いう整理をして、結局は無期の雇用の場合の高い補償金を払うという形で、いわば民事 制裁的な趣旨で規定されているものと考えられます。  今回、雇用の安定のところで1度議論をしていただき、今回は違法な事業主を淘汰す るための仕組みでご議論をいただくわけですが、こうしたみなし雇用なり、雇用契約の 申込義務、ドイツ的なことで考える考え方、フランス的なことで考える考え方、違法な 事業主を淘汰するということで、違法な状態を解消する1つの仕組みということで考え るという3つの考え方ができるかと思います。 ○鎌田座長   みなし雇用のあるドイツとフランスを対比して、日本の制度、雇用契約の申込み、あ るいはみなし雇用について、どういうものを考えたらいいかというご説明がありました。 それでは、ご意見をいただきたいと思います。   ○山川委員   まず第1は質問です。是正措置をめぐる資料の1頁にある公表の話ですが、障害者雇 用の改善計画等では、公表の例を見たりするのですが、他の法令との対比で、公表の現 状等について、何かデータ等があればご紹介いただければと思います。   ○田中企画官   企業名公表の制度が法律にあるもの、ご指摘のあった障害の関係があります。もう1 つは、男女雇用機会均等法で企業名公表がありますが、男女雇用機会均等法の関係での 企業名公表の実績はないと伺っています。  障害者の雇用ですが、プロセスとしては雇入れ計画の作成命令を出して、雇入れ計画 を作っていただき、それに対して適正に実施されないものについて、適正な実施を勧告 した上で、それでも従わない場合に企業名が公表されるという仕組みをとっていますが、 毎年度1社、2社という形で公表の実績があります。 ○山川委員   派遣先の勧告は、これは実例がないということですが、運用の問題や制度的な仕組み の問題など、両方あるかもしれませんが、その辺りはより積極的な運用ないしは活用も あり得るということでしょうか。   ○田中企画官   法律上の立て方としては、労働者派遣法の場合は派遣先に対しての規制ということで、 指導・助言を必ずした上で、勧告・公表というプロセスになっています。  法律上の規定ということで申しますと、障害者、男女雇用機会均等法については、そ の指導・助言を経た上での勧告・公表というプロセスではなくて、必要がある場合に勧 告・公表をするということになっています。若干、法律の規定は違うところがあるかと 思います。 ○有田委員   いまの点にかかわるのですが、派遣先に対して公表まで至るというときに、そもそも 勧告を出すに際して、下線が引いてある所にありますように、助言又は指導をした場合 において、なお違反をしているときということですね。これと同じことを言っているの かどうか確認したいのですが、5頁に違法事案の把握の時点ということで、違法状態が 解消してしまった場合には、結局公表とはいかないわけです。そのときに2回も3回も同 じように類似の違反を繰り返して、一応助言・指導をすると、そのたびには直る。しか し、何度も何度も繰り返す場合には、勧告までいくのか、運用の仕方としてどのように されているのかを確認したいのです。   ○田中企画官   運用の仕方としては、法律上の規定に違反しているものに対し、指導・助言をした場 合において、なお違反をしている、又は違反するおそれがあると認めるときは勧告をす ることになっていますので、基本的には違反のたびごとに指導をさせていただいて、基 本的には指導し、直していただくという形態をとることになっています。   ○有田委員   派遣元が繰り返し違反した場合には、次のステップに進んでいくとなっているわけで すが、これは規定上、そのようになっているのか、運用上の問題なのか。両者の扱いの 違いは何に起因しているのかを伺いたいのです。   ○田中企画官   派遣元事業主に対しては、改善命令等の条文において、特段48条第1項の指導・助言を 経て従わない場合はという形には必ずしもなっておりません。労働者派遣法ですが、事 業法という側面がありますので、事業法においてサービスを提供するのが派遣元事業主、 サービスの受け手として派遣先という形になりますので、いわばユーザーという位置づ けになることから、そういう是正措置、それから制裁措置としては、提供者よりも受け 手のほうが軽いということが全体として言えますので、そのような考え方の下で、若干 派遣先の法違反に対しての是正についても慎重にやる形になっています。   ○鎌田座長   いま第1の論点である派遣先の雇用契約申込み、あるいはみなし雇用の趣旨ですが、 2頁に法違反の類型、制裁及び考えられる是正方法というのがあると思います。フラン ス型の民事制裁というのは、明らかに派遣先が労働者派遣契約を結ばず、派遣労働者を 就業させたということで、派遣先を制裁する趣旨で設けられているということです。こ のようなことを、いまお話の中で、日本は派遣先をユーザーとして位置づけており、こ ういったことからどうなのか。  ドイツ型のみなし雇用については、本来は日本と同じようにユーザーという派遣先の 位置づけですが、派遣元が違反した場合、派遣元の雇用関係を解消させて、そのあとに 派遣労働者の受け皿として派遣先との雇用関係をみなすといった考え方でできているわ けです。  日本の場合、これをどう考えるかというと、どちらも独特な制度設計から成り立って おり、例えばドイツについても、日本の場合は派遣元の雇用関係を無効にするという発 想で出来上がっているわけでないということからいくと、違法是正型を1つの大きな趣 旨として考えるべきではないかと思うわけです。  そうすると、資料の2頁にありますように、違法の解消として考えられる是正方法と して、派遣先による直接雇用あるいは適正な派遣への移行、適正な請負への移行、当該 業務への停止といった方法が考えられるところですが、このような違法状態の解消とし て、派遣先の雇用申込み、あるいはみなし雇用の趣旨をどのように考えたらいいのか、 この辺についてご意見をいただければと思います。 ○有田委員   違法状態の解消ということで考えても、ある意味で間接的効果というか、制裁的とい うか、抑止効果を期待できるということは考えられるのではないか。つまり、適正に派 遣労働を派遣元、派遣先が行わなければ、とりわけ派遣先に雇い入れるということがか かってくるということは、いちばん避けたいことだと思われます。そうすると、そうな らないような適正な行動へと誘導されていくことが期待できるのではないか。  そういう意味では直接的に見ると、それは違法な状態を解消する術として考えられる のですが、それにはそういう抑止効果も併せて期待できるのではないか。適正にルール を守って派遣労働を活用しなければならない。そういう意味ではペナルティー的に捉え られて、それを回避しようと思えば、適正な行動をとるということが期待できるのでは ないかと思います。 ○山川委員   みなし雇用の位置づけと効果の2つの問題があるわけですが、位置づけは、いまお話 のあったようなことで、効果のところがなかなか難しい問題があると前にも議論された ところです。3頁の表で問題になるのは、行政上の措置にとどめるか、私法上の効果ま で発生させるかで、(1)については希望しない場合でも関係が成立するというのは、なか なか難しいと思います。  労働契約を成立させるということですと、労働条件の内容をどうするか。空白の契約 が成立するということだと、あまり実効性もないですし、それをめぐって紛争が生じる ということもありますので、契約自体を成立させるというのは、なかなか難しい面もあ るかなと思います。あるとしたら、損害賠償責任で解決できるような、フランスでも雇 用が成立しても、結局解雇として扱われるという話ですので、その辺りは検討の余地が あるかなという感じがします。趣旨の違いも含めて、逆に効果も考えると、いろいろ検 討課題はあるのかという感じです。 ○鎌田座長   いま山川委員がおっしゃったように、いろいろな問題がありますので、以前、みなし 雇用について話をしましたので、それを踏まえて、私のほうで少し整理をします。まず は派遣先に、例えば直接雇用をさせることの趣旨をどう考えるか、いま有田委員から違 法状態に対する抑止効果が期待できるのではないかという意図・趣旨が話されたわけで すが、それと例えば直接雇用というものを派遣先に促す場合に、対象となる法違反の範 囲をどう考えるか。これは資料の2頁で見ますと、法違反の主な例ということで、適用 除外業務への派遣、無許可・無届派遣、期間制限違反、いわゆる偽装請負、事前面接、 専ら派遣。事前面接と専ら派遣は、違反していても、やや違ってくるかなという感じも するのですが、これを除いても4つのパターンがある。これとの関連で、この派遣先へ の雇用申込みをどの範囲で捉えるかということです。  いま山川委員が言われたように、雇用契約の申込み、あるいはみなし雇用といった場 合に、効果の面も含めて、具体的にどのように法的に考えていくのか。民事的な効果を 発生させるものと見るのか、行政的な措置として考えるのか。そして何らかの形で雇用 の申込みを派遣先に課する場合に、労働条件をどのように捉えたらよいのかといった問 題がいくつかあると思います。特にどれからとは申しませんので、先生方が気づいたと ころからご意見をお願いします。 ○阿部委員   いま座長に整理していただいたのですが、私はもう1つ追加していただきたい点があ ります。それは何かというと、今までの議論とはちょっと違うのですが、第2回目にい ただいた資料の中で、これまでに派遣元あるいは派遣先への主な指導内容、件数が載っ ている資料があります。それを見ますと、今まで議論されていたような内容は、比較的 頻度は少なくて、頻度が多いのは派遣契約の内容、就業条件の明示、派遣元管理台帳、 派遣先への通知など、ここで考えられていないようなものに対する指導が多いのです。  契約内容や就業条件というのは、実際に働く側にとっては、非常に大事なことで、そ れを適正にやっていないということは、派遣元の質を疑うところがあると思います。こ れを今回の議論で優良な事業主を育てるということを考えていくと、あまり大問題では ないかもしれないが、優良ではないというのも、ここから見えるはずで、この辺りに対 して、どのようにアプローチできるかも、併せて考えていく必要があるのではないか。 さらに、もっと大きな問題では、先ほど座長が整理したような問題点もあるかもしれま せんが、それと別にこういった問題も考えていく必要があるのではないかと思います。 ○鎌田座長   いま阿部委員が言われたように、具体的に法違反の事例で個別には派遣契約違反とい ったさまざまな違反もあって、これについての指導勧告はもちろん行政として行ってい るわけです。これで十分かどうかという問題はあると思います。  ただ、いまの議論ももちろん大切なことですので、議論したいと思いますが、とりわ けいま問題にしているのは、派遣先が雇用契約申込みとの関係で、そういうものを課す ることによって優良な事業主を育て、違法な事業主を淘汰するという仕組みは従来なか ったもので、そういったところとの関連で問題を考えてみると、いま言われた一つ一つ は問題ケースではあると思うのですが、派遣先とのつながりで具体的に問題になるとい うのは、どのようになるのでしょうか。事務局のほうで何かイメージがありますか。 ○田中企画官   阿部委員からご指摘があったような違反についても、確かに違反ですし、手続的なも のもあれば、そういうので罰則をもって担保されているものがあります。そこの運用を 厳正にやっていくということが1つあろうかと思います。  今回、資料などでご提案しているものについては、違反の是正方法として何が考えら れるかということで、みなしなり、直接雇用というものを考えてもいいという類型とし ては、どのようなものがあるかを、これまでのいろいろな提言等の中から抜き出したも のです。ある程度大きな法違反だったり、ある程度そのような実態が続いているという もので、是正方法としては、ほかの方法がなくて業務の停止か直接雇用かということに なり得るものを挙げています。派遣先でも直接雇用という形で解決を図る類型としては、 こういうところが挙げられるのかと考えています。 ○鈴木課長   ちょっと混乱するかもしれませんが、申し上げますと、偽装請負という違反形態があ りますが、実は派遣法で偽装請負をやってはいけないという条文はなくて、それを違反 とする場合、2回目に出した資料の派遣契約を結ばない派遣ということで、派遣契約の内 容違反の26条違反とか、それに伴って当然派遣法の義務を果たしていないので、就業条 件の明示違反とか、台帳違反というのが出てくるのです。この数の多い部分が偽装請負 違反の違反条項として挙がっています。そういう意味で通常イメージする違反と、この 統計とちょっとずれてくるところがあることをご留意ください。   ○鎌田座長   多くの場合は、偽装請負というケースと捉えればいいわけですね。   ○鈴木委員   偽装請負は類型としていちばん多いので、それで26条違反などが出てきているという 意味です。   ○鎌田座長   それでわかりました。それ自体は小さいかもしれませんが、その背景が大きな違反が あってということですね。   ○阿部委員   派遣先の話をしなければいけないのに、派遣先ではない話をするかもしれませんが、 こういった指導とかは、指導のところではまだ公表はされないわけですよね。ところが、 そういう情報もどこまで出せるかというのはもちろんあるのですが、早めの段階で出す と、例えば登録したいと思っている人が、この会社は指導件数が多いのだと思って、そ ういう所には登録したくない。そうすると、その会社は事業が先細っていきますから、 それによってちゃんとした行為をとっていこうという、いわゆる名声の効果みたいなも のが出てくるのではないかと思います。  派遣先の話はあとでまた出てくると思いますが、こういった指導の段階で公表すると かといったところも、この時期を早くするというのは優良な事業主を育てるためにはあ り得るのではないかと思います。 ○鎌田座長   いまは1の(2)との関係で考えたのですね。 ○阿部委員   そうです。   ○橋本委員   先ほど座長が整理された中でおっしゃったことで、違法派遣の場合に、派遣元と派遣 労働者の雇用契約そのものが無効になるわけではないからとおっしゃったのですが、そ の辺は現在の通説かと思いますが、動かさないということになるのでしょうか。私法上 も無効になるものではないという解釈かと思うのですが。なぜかと言いますと、みなし 雇用としてドイツ型を考える場合には、派遣元との雇用契約が無効になるというのが前 提だと思っていましたので、指導にするのであれば、そういうことはどうなるのでしょ うか。   ○鎌田座長   派遣元の雇用関係は無効にすると。   ○橋本委員   違法派遣の場合に、派遣元との雇用契約が無効となるのかならないのか確認する必要 があるのではと思っています。   ○鎌田座長   例えば、細かい話になってくるのですが、適用除外業務の無許可は何となくわかりま すね。例えば、期間制限違反とか、適用除外業務の派遣をした場合に、それによって派 遣元との雇用関係が無効になるということがありますかね。仮に無効になったとしても、 無効になると派遣先との関係が現状ではないから、労働者は失職することになりますよ ね。それは効果として当然法を是正するのだから、そうなって然るべきだという考え方 もできるのですが。そうすると、期間制限を超えたときに契約が無効になる。その場合、 法律に基づいて無効になれば公序良俗違反とか、そんな感じなのですかね。   ○橋本委員   規定がなければですね。許可取消し等というのがあり得るわけですね。そうすると、 無許可派遣ということで処理できるのかもしれません。   ○鎌田座長   一応判決の流れからいうと、必ずしも無効になるのではないということでしたよね。   ○有田委員   その場合に、労働者派遣法に違反した派遣が、例えば供給事業になるのだと考えられ るのであれば、それは無効となってきますよね。ただ、前に行政のほうから示された解 釈でも、定義として2つは別なのだからということなのです。そうすると定義をある種 変えるというか、供給事業には派遣が入っていないのだというのですが、その派遣とい うのは、あくまでも適法な派遣事業として行われているものしか含まないということで、 派遣法に違反した違法な派遣については、労働者供給事業の中に戻って来るというよう に、職安法の労働者供給事業に関する4条の規定を変えてやれば、先ほどのような現行 法の文言上はちょっと苦しい解釈かもしれませんが、規定を変えれば、むしろそれが素 直な解釈になってきて、私法上、契約関係をなくしてしまう。代わりに新しい申込みの 義務にしても、みなしにしても、そういう形で契約関係をそこに設定する前提条件が作 られる。条件を整えるという意味ではそういうところが必要ではないかと思います。   ○鎌田座長   つまり、違法な派遣を労働供給事業に戻すという議論ですね。   ○有田委員   罰則との関係で供給先も処罰されるということで、難しいのではないかという見方も あるかとは思いますが。   ○鎌田座長   行為で抜き出していると、私は理解しています。行為で抜き出しているから供給事業 との間で違いがあるというのです。例えば、無許可の派遣だから、派遣法違反にはなる と思いますが、それが行為で抜き出しているので、労働者供給事業の定義に該当すれば、 もちろん供給事業になりますが、該当しなければ派遣法違反にしかならないのです。   ○山川委員   有田委員の提案は、むしろ定義自体を変えてしまって、適法な派遣のみ残すというこ とかと思います。その場合に適法な派遣というのは、どの範囲で除かれるかという、非 常に細かい規定に違反した場合まで労働者供給に戻るかという区切りの仕方がいろいろ あるかなとは思います。   ○有田委員   先ほどの類型で、どこまではそこに入れて、どこは除くのか、悪質さの度合いの程度 の大きさを、どう判断して入れるか、外すかを考えていくということになるのか。ただ、 基本的な派遣の制度の根幹にこの4つの類型はかかわるような違反類型だと思います。 基本的な中心となる常用代替をしてはならないというところに期間制限違反はまさにか かわるということですし、無許可などは制度の前提を崩すような違反行為ですし、適用 除外というのは、もともと派遣にしてはいけないというものについて派遣を利用するこ とで、それ自体大きな違反です。  偽装の場合については、派遣先が承知しているか、あるいは承知すべき状態にあった かということで考えていけばいいのかと思います。ただ、そこの基準が難しいところが あるかもしれませんが、普通に考えると、派遣先のほうが有利な立場にある場合が圧倒 的に多いはずですから、素直に考えれば、この4つすべてもそういう形で供給事業に戻る のだと考える対象の中に入れて問題がないように思うのです。 ○鎌田座長   戻るといっても、行為で抜き出しているからどうでしょうか。違反の対応がこうだか ら、供給事業に戻すというのは、法律で戻すということですよね。   ○有田委員   定義上、そういうものはもともと供給事業から取り出される派遣ではない。つまり、 派遣法の違反のない形のものが、ここから供給事業ではないという形で適法化されて抜 かれるものなのだと。だから、明確にする意味では、双方の定義の規定を変えなければ いけない。それをすると、先ほど言ったような前提条件として、派遣元との契約をなく す。ドイツのような前提を作ることが可能になるのではないか。   ○鎌田座長   それの法違反に対する対応として労働者供給事業に戻すということになれば、先ほど 言ったように、元との関係で無効にする。これは派遣先の供給先になるわけですから、 刑事制裁の対象ですよね。要するに、労働者供給事業という、より悪質度の高いものに、 こういったものについては流し込むという発想ですよね。   ○有田委員   厳しすぎるのかもしれません。   ○鎌田座長   それは言ってみれば派遣法が派遣事業を切り出したというそもそも論と同じですよね。   ○鈴木課長   これは技術的な話になるのですが、そういう整理を法制上は、立法論として可能だと 思うのですが、現状を申し上げますと、こういう違法な派遣を全部派遣だと、そして派 遣法違反であるということで、安定法ではなくて、派遣法の中でいろいろ派遣事業者に 対する指導という形で処理していて、それが例えば安定法の中に戻って、例えば労働者 供給事業で処理されるとすると、今度は安定法の体系になってしまうので、そこを安定 法に指導体系のアイテムなどを移してやらないと、指導をする側の我々としては、かな りきつくなるなと。技術的にそういうことはできなくはないのですが、現在は派遣法の 中で派遣事業者に対する指導ということでやることが非常に効果的だと思っていますの で、ここは念のために申し上げておきます。   ○山川委員   かなり根本的な話になるかと思います。先ほどご説明のあったそもそも派遣法は事業 法だから、派遣先はユーザーであるので、処罰の対象にならないということ自体をどう 評価するかという問題にかかわっていて、言ってみれば、労働者供給であっても、ある 意味では供給先はユーザーであるわけです。そもそも事業法と位置づけるだけで結論を 出せるのかという、わりと根本的な問題になってくるような感じがします。つまり、派 遣先というのは、いかなる場合にも労働者供給の供給先に比べて、何か違法状態があっ たとしても、違法性の程度が一律に低いと見られるかどうかということかなと思います。 ただ、具体的にどういう結果に結び付くということではないのですが、行政側の措置を どうするかも含めて、趣旨として単純にユーザーだからということで、すべて解決でき るようなものではないような感じがしています。  2頁の表もですが、労働者供給に当たる事前面接である場合には処罰されるというこ とになるわけです。  あとこれはあまり議論されていないのですが、派遣法違反で派遣元が処罰される場合 に、共犯として派遣先が処罰される場合はあり得るのでしょうか。 ○田中企画官   あり得ます。   ○山川委員   あまり例はないかとも思いますが、積極的に関与した場合とかでしょうか。そのよう な側面でもある程度は対応は可能なのかなという気がします。   ○鎌田座長   かなり根本的な議論まで遡っているのですが、私はこの問題をこのように考えたらど うかと思っています。つまり、派遣先にまで雇用申込み、あるいはみなし雇用を求める 雇用というのは、要するにさまざまな法違反に対して派遣元が基本的に責任を持って派 遣元を制裁の対象にしていく。派遣先は、比較的二次的な制裁と考えられていたわけで す。ところが、どうもその実態を見てみると、派遣先が違反にかかわる関与というのは、 決してそういう二次的なものではないということが言えると思います。例えば、適用除 外業務への派遣というのは、適用除外業務で派遣を受け入れた派遣先が二次的であるは ずもないわけで、そういったことを考えますと、有田委員がおっしゃった抑止効果を考 えた場合に、派遣先についても、違法派遣に関して何らかの主体的な関与をした場合に 責任を負わせるということで考えてみたらどうか。派遣先に対して、より強力な指導や 勧告、場合によっては、もっと強力な行政指導ということもあるのですが、この問題は もう1つの問題も含んでいる。是正はされたけれども、派遣労働者がそれによって職を 失うということになった場合に、何のための違法除去かということにもなってくるわけ です。違法な派遣がある所、派遣先の主体的な関与がある所では、派遣労働者の雇用の 申込みによって抑止的な効果を目指すというのがご意見の趣旨ではないかと思うわけで す。そのように考えますと、違法な状態の抑止あるいは是正ということから、派遣先は 従来よりもう少し責任が重たくなると思いますので、そういう制度として導入してはど うかと思うわけです。  もちろん、私のいまの考えに対してご批判、ご意見をいただきたいのです。例えば、 法違反の主な例が適用除外業務、無許可、期間制限、偽装請負となっているのですが、 私は、派遣先が何らかの形で違法状態に関与するというようなことがあって初めて帰責 性といいますか、雇用の申込みに対する責任を負うのではないかと思うわけです。適用 除外業務は派先も十分わかっているわけですし、無許可についても派先が認識している。 期間制限についても、派先が期間制限がある派遣業務について、期間制限を超えて受け 入れているというようなことから言えば、当然のように、派遣先というのは、こういっ た違反については一定の主体的な関与が見られるのではないかと思うわけです。  ただ、偽装請負をどう考えるかというのはなかなか難しい。いま偽装請負というのは、 派先と派元で請負契約を結んでいる。ところが、労働局などから調査をされて、蓋を開 けてみると派遣であった、客観的にそう判断されたといった場合なども偽装請負という のですが、その場合に、派遣先の帰責性というものをどういった観点から見たらいいの かというのが1つ大きな問題として出てくるのではないだろうか。つまり、派遣先とし ては請負だと思って請負契約で労働者を受け入れたところ、それが実は労働者派遣であ った。これは区分基準による客観判断ということになるのです。そうしたときに、派遣 先の主体的関与といいますか、帰責性をどう捉えたらいいのか。  別な考えで、どうであれ、請負形式であるけれども労働者派遣なのだと労働局で言わ れた瞬間に、すべてこれは偽装なので、派先が雇用の申込みをしなければいけないと考 える考え方もあるかもしれませんが、事業法としては是正をするということですので、 そういう場合の前提として、是正をしてくださいということになるのではないでしょう か。 ○山川委員   同じことかどうか分からないのですが、偽装請負は個別法規違反ということになると、 許可事業主がきちんと派遣の形式をとれば派遣を行えたにもかかわらず、それをやらな いで請負という形式をとったということで、いろいろな法令違反になる。それと別個に 偽装請負という違法類型をどうやって作るかというのは、技術的には結構難しいのでは ないか、もともと派遣法違反という法令違反はあるわけですので。形を整えるだけとい うことだったとしても、全く形を整えないで単純に労働者派遣法に違反した場合とどう 違うのかといった問題もあって、偽装請負というのは一体何なのかが、よく考えてみる と、実は、はっきりしない部分があるのではなかろうかという感じがするのです。   ○鎌田座長   法令違反というのは、区分基準によって客観判断で、外形がどうであれ、極端な場合、 契約がない場合もあり得るかもしれないのですが、それで客観的に法違反があるという 問題と、偽装請負という場合の偽装というのは、おそらく、通常の日本語の語感で言う と、偽装の意図を持って偽装している、そういうニュアンスを持った偽装請負もあるわ けです。私は、どちらかというと、派遣先が責任を負うという発想で考えた場合に、派 遣先が何らかの形で偽想の意図というか偽装意思を持っているということが必要なのか なという感じがするのです。   ○山川委員   おそらく、そうだと思うのですけれども、仮に派遣先の意思というか、主観的要素を 重視すると、それは法違反が悪質であるという評価をするか、あるいはそもそも何か別 個の違反行為があるというふうに組み立てられるかどうかでしょうか。   ○鎌田座長   そうすると、主観的要件を立てるから別の違反事例、ということになるのですか。   ○山川委員   それができるかどうかは、ちょっと難しい面もあるのではなかろうかということなの です。   ○有田委員   それは要件をどう明確に設定できるかということだろうと思うのです。要するに、そ ういう主観的意図を客観的に判断できる何か基準をということでしょうから、例えば、 区分基準を少なくとも省令事項にまで引き上げる。なおかつ、労働者派遣契約を締結す る時点において、派遣事業者のほうから派遣先に対してそれを必ず明示した上で、どう いう類型の契約を締結するのかというときに、例えば、私は派遣事業者ですということ を必ず名乗らせる。そのうえで派遣として契約を結ぶのか、そうではなくて、請負とい うことで契約をするのか。そういう意味では、契約締結時に当事者間で、派遣事業者で あるということを明確にしたうえで、なおかつ、派遣とは関係のない請負という形をと って契約を結ぶことになる。なおかつ、区分基準等も一定示す義務を負わせて、それを 見せているにもかかわらず、実際には違法に派遣を受け入れているという状態をそこに つくり出しているという所に一定の帰責性を判断するところを求めるようなことが何か できるのではないかとも思うのですが。   ○鎌田座長   それは主観的要件の判断基準ですね。そもそも偽装請負は違法派遣なのだけれども、 いま山川委員が言っていたように、通常で言われているような違法派遣と違う主観的要 件を持って別立てにするということがあり得るのかという話ですが、これについては何 かコメントがありますか。   (山川委員退席) ○有田委員   もし、そういうものをつくらないという場合に、違反行為としては、先ほど阿部委員 が指摘されたような形で出てくるわけですね。   ○鎌田座長   偽装請負の場合ですね、いま言った、主観的要件として別立てにするというのは。で も、偽装請負の場合に、派先については刑事制裁はないのです、供給事業ではないから。 そうすると、そんなに大事ということでもないですか。   ○鈴木課長   議論の参考として申し上げますと、例えば26条違反で、派遣契約を結ばない派遣とか、 無許可事業者から受け入れている場合等々を全部含めて「偽装請負」というのですが、 その場合にどういうメルクマールでやっているかというと、派遣契約ではなく、請負契 約でやっていて実際は派遣であるものをすべて偽装請負と分類しております。その中に は、本当に悪質なものから、たまたま37号告示違反のものまでいろいろありますので、 すべてが悪質というわけではないと思います。なぜ偽装請負が問題になったかというと、 長期に大量に違法派遣が継続して行われていること。その他社会的非難を受けやすいの は、相手の派遣先が大企業であって、当然法律がわかっているにもかかわらず、なぜか 偽装請負をやっていたということで非難を浴びることが多い。それで一応この事案を挙 げているのです。   ○鎌田座長   例えば、派遣先への雇用申込みといった場合に、いま課長がおっしゃったようなこと で言うと、さまざまな違反があって、特に著しく悪質なものについて、例えば行政勧告 の中で、いわば悪質性の程度に応じてそういうものもありますよ、というような格好に なるのですか。   ○鈴木課長   もし仮にこれを行政の申込み勧告のような形、3頁の(3)のような形で構成するのであ れば、そこを行政が判断してやるということは、法律の書きぶりによっては可能かと思 います。ただ(1)(2)にしたときは、どういう具合になるか。   ○鎌田座長   3頁の(1)(2)にすると、しっかりと主観要件も全部書き込まなければいけないという ことですね。   ○鈴木課長   はい、そのうえで裁判所の判断という格好になります。ですから、必ず訴訟にいかな いと判断できないような格好になってしまうかと思います。   ○鎌田座長   だから山川委員がおっしゃった、別類型を立てるという発想の問題になるのですね。 ところが(3)の行政勧告ということになると、私がいう主体的関与というのをどう捉える かはいろいろである。悪質というような面で捉えるのか、いろいろあるでしょうけれど も、いずれにせよ、行政の判断の中で雇用契約の申込みをする旨の勧告ができるという 1つの手段を用意する、ということなのですね。  その場合にちょっと聞きたいのです。指導前置主義に立つと、つまり、指導で「直し てください」と言って直してしまったら、雇用の申込みに至る前に終わってしまいます。 そうすると、それはそれで違法状態が是正されるのだけれども、派遣労働者は取り残さ れてしまうという格好になってしまうので、前置主義というのは、こういった場合につ いては採らないということになると思うのですが、それは前提になりますね。そうしな いと、指導された時点で直して、派遣労働者はそれでと。良質な派遣元であれば、別な ところに異動させるということもあると思うし、それはそれで、それを防ぐものでもな いのですが。いまのような理解ですと、行政的な勧告ということでいけば、別段特別な 違法類型を立てなくても対応できるのです。例えば勧告をするということになったとき に、派遣労働者の労働条件について、派遣就業時の労働条件を下回らないというような 勧告は可能なのですか。 ○鈴木課長   技術的には可能かと思います。   ○有田委員   (3)案の位置づけなのですが、現行の規定は存続させたうえで、こういうものを新た に追加する、入れ替えるのではなくて。一応、申込み義務というのは現行の規定上その まま残しておいて、それをさらに実効あらしめるために、こういう行政による勧告制度 を付け加えるという理解でよろしいのでしょうか。   ○鈴木課長   現行の申込み義務自体は、派遣受入期間制限が原則1年、例外3年ですが、3年経過後 に同種の業務にその労働者を継続的に雇う場合には、ある意味その人に優先的に声をか けてくださいと、という優先雇用的な色彩が強いのです。そうすると、このペナルティ ー的なものとは異なってきますので、別立てにするという形が自然かなと思います。   ○阿部委員   お話を聞いていて、いま議論されている問題を派遣法の中で本当にやっていいのかど うかと。有田委員が先ほど、派遣法ではなくて、労働供給事業として見直して、そこで 罰則をしたほうがいいのではないかというようなことをおっしゃっていたのではないか と思うのです。私は法律家ではないので分からないのですが、いろいろな議論を聞いて、 むしろ派遣法の中でやるよりも、そちらでやったほうがきれいに整理されるのではない かという気がするのですが、そうでもないのですか。   ○鎌田座長   「きれい」というと判断に困るのですが。労働者供給事業の本体は何かといったら、 労働ボスなのです。つまり、かなりいかがわしい事業形態です。だからこそ供給元も供 給先も刑事制裁で、ばっちりやりましょうと言うわけです。いまの派遣会社の派遣契約 を、いわば技術論で、戻したほうがいいよねというところで、そういったものに組み込 むというのは、私のような立場からいうと、そもそも論から言って、ちょっと違和感を 感じるのです。   ○有田委員   たぶん鎌田委員のような出発点の立場の考え方、それから、労働法学の中でも、直接 雇用がそこに体現されている、労働権を保障しているということで、そこからさらに質 の問題を問う。そのときに、ああいう職安法の規定を現代的に評価すると、直接雇用と いうルール・原則を立てているのだという理解をする立場もあって、そういう立場から すると、私がさっき言ったような言い方は違和感なく受け入れられるのだと思うのです。 だから、職安法44条で供給事業を禁止しているということの意図をどう理解するかとい うことについて違う考え方がある。どちらの立場に立って見ていくかによって、そこか ら先の議論の仕方が違ってくるということがあるのだと思います。   ○鎌田座長   労働者供給事業禁止の歴史的経緯を踏まえると、労働ボスの禁止から出発していると いうその部分は間違いないと私は思っているのです。ただ、現行の中で供給事業と派遣 は同じだという考え方でいくと、いま言ったような技術的なすみ分け論みたいなものも 出てくるのかと。   ○有田委員   前回この問題を扱ったときに山川委員から、債務として申込み義務を負っているとい うような、そういう債務構成のような形にはできないのかという議論があって、そうで あれば、債務を履行しなかったときに損害額を法定してやると、実質賠償責任を課して、 それを回避したいのだったら、本当に雇入れの意思表示を明確にすればいいし、嫌なら ば賠償金によってある種解決するという形にすると、一定の私法上の効果を持たせられ るという意見も出されました。ただ、採用に当たって、ほかの付加的な要素も考えて、 通常は正社員を採用するのだから難しいのだというようなことがもし本当にあるのであ れば、賠償額をどれぐらいにすると抑止効果があるのか、そこは政策的な判断なのでし ょう。前回の終わりのほうで、そういう仕組みについても少し出ましたので、そういう 考え方もあるということも、ちょっと付け加えておきたいと思います。   ○鎌田座長   ただ、債務損害賠償の前提になるという趣旨だとしても、その債務というのは雇用申 込み義務でしょう。雇用申込み義務と言った場合に、一体いかなる契約内容で申し込む のかということを空白のまま、雇用申込み義務が民事上発生するというのは難しいので はないですか。   ○有田委員   韓国の規定例を参考にできないでしょうか。「労働条件については」というので黒ポ チの下側のところに、一定の条件についてはこういう形でというのが出ています。そう いうことも技術的に不可能ではないと思います。これも先ほど来出ている派遣法全体の 性格づけを、これまでどおりの業法的なものとして維持するのか、変えるという前提で 議論していくのかで、私法的な効果を持つ規定が入る入らないということも違ってくる と思いますので、そこをどう考えるかということが出発点というか根本にあると思うの です。   ○鎌田座長   それはわかるのですが、3頁目の(1)(2)でいくと、(1)は言ってみれば、派遣労働者が 意図しなくても成立してしまうというものなので、私は、ちょっとどうかと思うのです。 そして(2)、これも分からないわけではないのですが、まず、どのような内容になるの かということを一応考えなければいけないのです。しかも、この部分については強制に なるわけで、「違法状態の除去」と言いながらも、今後派遣労働者が働く労働条件につ いて何らか法令で規制を強制する、というのは少し難しいような気もします。また、今 ここでまとめているように、いずれにせよ、裁判で解決するということになると、労働 者のほうで主観的要件を立証するということです、偽装意図の。   ○有田委員   偽装の場合ですね。   ○鎌田座長   ええ、偽装の場合ですが、これはなかなか大変です。   ○有田委員   そういう意味で、主観的意図があるということを外形上判断できるような基準を設定 する。そのためには、さっき言ったような一定の義務を派遣業者に課して、そのうえで、 そういうものを見ながら、百も承知でやったというところが示されれば、それで主観的 意図の要件については証明されたと判断できないのかなということです。   ○鎌田座長   裁判所にそれを言うわけですか。裁判所は偽装意図ということで独自の裁判所の解釈 をすると思いますが。こちらがいろいろなことを言ったって、基本的にはあまり。   ○有田委員   最終的には有権的な解釈を行うのは裁判所になるわけですからね。 ○鎌田座長   行政がどのようにそれを判断するかというのは、いろいろな工夫があると思うのです。 このように考えると、(3)でいま言った派先の偽装請負の場合には偽装というものをどの ように判断するかということで、判断のためのさまざまな詳しい判断基準を立てながら 行政で判断し、そして、雇用契約の申込みを勧告する。労働条件については、ここに書 いてあるように「派遣就業時の労働条件を下回らない」というような勧告をするという のが、現行法で考えると、いちばんキズがないのかなという感じがしますけど。   ○有田委員   いまの座長の考え方というのは、偽装請負についてはその方向であるということです が、上のほかの3つについてはどうなのでしょうか、(2)以降は明確ですね。   ○鎌田座長   はい。   ○有田委員   この場合には申込みの義務ということで考えていくということで、いいのでしょうか。   ○鎌田座長   そもそも私の考えだと、派遣契約を結んで適用除外業務で働かせたのは派先だから、 しっかりと主体的に関わっているという気がするのですが、どうですか。   ○田中企画官  明確かどうかということで言えば、業務の範囲に争いはあるにしても、明確とは言え ます。 ○鎌田座長   期間もそうですね。つまり、期間の定めがある派遣業務で派遣労働者を受け入れて、 派遣期間を超えて働かせているということは十分認識しているということです。認識し てやっているということは、さっき私が言ったような、主体的な関与が派先にはあるだ ろうと思うのですが、どうですか。   ○有田委員   それはそうだと思います。   ○鎌田座長   偽装請負の場合がそもそも派遣だと思っていないから。思っていないというか、偽装 の意図を持っているから、その辺のところはいろいろ解釈にもなるのかもしれないけれ ど、少し難しくなるかなという感じがしますね。  どうしましょうか。時間もこの議論でかなり進んでいて、どう整理していいのかとい うのは私もわからない。いま委員の先生方からいろいろな議論が出されていますから、 行政としてどういったことが可能なのか整理していただいて、改めて方向性を出す。議 論の幅というのはだいぶ狭くなっているので選択肢を示していただいて、集約のところ で再度議論するということでよろしいでしょうか。  もう1つ言い忘れたのですが、二重派遣の問題もあります。二重派遣の問題は労供の 問題です。2頁目の※で「いわゆる二重派遣」というのがありますが、二重派遣につい て、供給先の雇用申込みということを考えると、それは職安法の問題になります。しか し、職安法の問題はいま議論をする時間もないので、一応平仄を合わせて、職安法の問 題で同じような行政の勧告という形で整理できるのか、それも併せて調べてください。  では1-(2)「違法派遣の是正のための派遣先に対する措置として勧告・公表の規定 が設けられている。違法派遣の防止・是正をさらに実効あるものとするため、特に派遣 先に対する制裁措置の強化を含め、どのような対応が考えられるか」。 ○有田委員   単発では是正されているけれども、また同じことをやっているという場合については 勧告の対象にできるような、少なくとも、それを明確にするような規定ぶりに変えると いうようなことは、最低限あっていいのではないかと思うのです。そうすると運用上、 今までは難しいというようなことが明確になる。それは、悪質という意味では相当程度 悪質でしょうから、そうすると企業名公表につながっていきやすくなってくるので、実 効性を確保する仕組みとしては相当程度効果が上がることが期待できるのではないかと 思います。   ○鎌田座長   単発というのは、違法があって、それが解消した後それがまた繰り返されるという意 味で、そういったものについては、現在違法がなくても、繰り返している場合に何らか の対応ができないかということなのですか。   ○有田委員   はい。   ○鎌田座長   そういうことが可能でしょうか。現在違法でないのに、単発ではしているということ で。   ○有田委員   例えば2回目にまた同じような違反をやったというような場合です。   ○鎌田座長   なるほど、強化するということですね。   ○有田委員   はい。いまは2回目も指導して、そこの段階で直ってしまえば勧告まではいかないと 説明されたので、そうではない、例えば、違反の適用条項の類型が違っていたとしても、 派遣法の違反行為が数回繰り返された段階で勧告のほうに移行できるというような形に 変えれば、相当程度違うのではないか。違反行為にその都度対応すればいいというよう なやり方は通用しなくなる、少なくともそうなるのではないかと思うわけです。   ○橋本委員   2頁の表によると、派遣元に対しては今有田委員がおっしゃったような繰返し違反の 場合も何か改善命令が出せるようなので、派遣先に対してもというご趣旨だと思います。   ○鎌田座長   そのほかありませんか。このことに関連して。いま有田委員がおっしゃった、例えば 繰り返して言うような場合には、指導などを行わずに勧告などにいってもいいのではな いかという、そういったこともそうですね。   ○有田委員  初回は当然指導助言で、そこで直って以後、そういう違反状態を出現させなければ、 別に何らそこで問題はないのですが、2回目だから、あるいは何回目だからという、そ この判断は行政が直接に行うということなのでしょうけれども、またやって、また指導 助言で終わりましたから、もうこれですみましたというのではなくて、繰り返し違反状 態が出てくるようになったというところで、そこの会社は派遣先として適正な派遣労働 の活用の仕方をしていないのだから、派遣法に則った派遣労働の活用の仕方をしてくだ さいということで、より一層強く勧告することができるように、明確にしたほうがいい のではないかということです。 ○鎌田座長   それはそうですね。   ○阿部委員   改善命令だとか、事業停止命令は新聞とかに載っていますが、改善命令などは載らな いのですよね、公表されるのですか。   ○田中企画官   処分をした場合は公表されます。   ○阿部委員   公表されるのですか。そうすると、改善命令の場合もあるということですね。   ○田中企画官   あり得ます。   ○鎌田座長   公表のところはもう一度説明していただかなくても、阿部委員よろしいですか。   ○阿部委員   いいです。   ○鎌田座長   それでは次、2番目の問題に移りたいと思います。今般の派遣元の指針の改正により、 派遣元事業主は派遣労働者及び派遣先が良質な派遣元事業主を適切に選択できるよう、 派遣料金や、派遣労働者の賃金に関する情報公開をする制度ができていますが、これに 加えてどのようなことが考えられるか。これは第7回のときに話したことの積み残しだ ったものですね。私の記憶だと個別の情報を出すか出さないかという議論があって、あ のときの流れでは就業条件について何らかの形で説明するような仕方でどうだろうかと いう、こんな話だったような気がしますが。   ○有田委員   明示させる方法についてどうするのかという具体的な方法、考え方についてまとまら ないままということだったと思います。   ○鎌田座長   それが8頁の資料というのはそれとの関連で出されているわけですね。こういったも のは派遣法についても何らかの形で盛り込めということでしたね。そんなことでよろし いですか。   ○有田委員   派遣労働者が派遣会社と労働契約を締結するかしないかということを交渉している段 階において明示すべき事項の中に、通常の労働条件に加えて、うちの会社の事業のやり 方としてこのような割合で派遣料金の中からこれぐらいを会社運営のためとか何とかで、 いわゆるマージンと言われている部分としてはこれぐらいの割合を取っていますよとい うことを、その時点で明示させるということではないかと思うのですが。意味を持つよ うにしようとすれば、いまの段階ですでに年間の延べにした平均を取ったものが公表さ れているので、それ自体も相当程度参考にはなりますよね。それに加えて、労働契約を 結ぶか結ばないかというときに、判断材料として示しなさいということを付け加えると いうことです。   ○鎌田座長   個別の。   ○有田委員   その契約というのではなくて、事業としてうちはこういうやり方で公開しているもの をその場で見せるという形でもいいのではないかと思います。   ○鎌田座長   そういうことですね。   ○有田委員   はい。   ○鎌田座長   では、この点についてはどうですか。   ○阿部委員   これは事業者が登録してきた方に対しお見せするという話だと思うのですが、それと 別に、どこかで違反の状態をずっと克明に情報提供するような所があったほうがいいか と思います。この会社は違反を、過去にこんなことをやっていましたとか、いまは直っ ているかもしれないけれども、例えば何年前にはこういうことをやっていましたとか、 というのをやってもいいのではないか。特に直近だったらまた可能性はあるのではない でしょうか。そういうのが出ていけば、先ほど言ったようにそういうことをやらなくな ると思います。   ○鎌田座長   行政は公表するという制度があるのですが、いま言ったようにそこに手を付けるとい うことですか。   ○阿部委員   いまやられている公表というのはその都度ですね。違反行為があって処分が出たから それを公にするというのですが、派遣労働者が労働者をそこの会社で労働契約を結ぶか 結ばないかの判断材料に資するために、何らか、恒常的にそこにアクセスできるような やり方があってもいいのではないかと思います。逆をいえば、例えば過去3年間、何も 指導を受けていませんというのだったら、星3つというのがあるかもしれませんが、優 良事業者だというのもあるかもしれません。   ○鎌田座長   所定の手続きで公表したものについてわかるというのはいいのだけれども、指導レベ ルまで全部わかるようにするということですか。 ○阿部委員   いえいえ、指導までいかなくてもいいのですが、改善でもいいのですが、先ほどのよ うに指導が繰り返されるようだったら、すぐに改善にいくわけですから、そういうよう に連動させていけば、この事業者はどういう事業者かというのが事前に登録者にはわか ると思うのです。   ○鎌田座長   いまよりも公表の機会を増やせということになるわけですか。   ○鈴木課長   ご提案は例えば処分をしたときに、その都度公表するけれども、それがどこかのサイ トか何かでずっと、何年にこの会社はこうやりましたとかが一覧か何かで見られるとい う、こういう趣旨ですね。   ○鎌田座長   公表したものについてですね。   ○阿部委員   はい。 ○鈴木課長   それは法律でなくてもたぶん可能だと思います。   ○阿部委員   ただ、それだけです。たぶん、いまでもできるはずですけれども、それをもっと見や すくしてやると、登録者はもっとわかりやすくなると思います。それだけの話です。   ○鎌田座長   私は公表の範囲をもっと広げろという話だと思っておりました。   ○阿部委員   いやいや。   ○鎌田座長   それではよろしいですか。また戻っても結構ですが、次は3番目、そのほか労働派遣 事業の適正な運用及び適正な派遣就業の確保を図るため、どのような対応が考えられる か。特に(1)法令遵守を徹底するため、その内容等について周知、説明を行わせること。 (2)欠格事由、許可基準のあり方、(3)労働者派遣事業適正運営協力員制度のあり方につ いてどのように考えるかということですが、少しいろいろな要素が含まれているのです がどうぞご自由にご発言ください。(1)の法令遵守を徹底するためその内容等について 周知説明を行わせるということなのですが、例えば労働者派遣法で定められた内容につ いて、労働者に例えば派遣元が周知説明をさせるという、そんなことも含まれているわ けですか。  この件ですが、私常日ごろ思うのですが、外国人派遣労働者、多くが日系の方だと思 うのですが、現在その方の母国語で派遣法の説明をするよう指導とかされていますか。 ○鈴木課長   外国人を雇用際に派遣法の説明を母国語でするようにとの指導はやっていないです。   ○鎌田座長   これはやったらどうかと思うのですが、なぜそう思うかというと、ドイツがそうなの です。母国語でやっているのです。私が聞いたときはトルコの方がいて、トルコ語で派 遣法の内容について周知させているということで、英語がわかれば英語でもいいし、日 本語がわかれば日本語でもいいのですが。これは外国人の対応として一括してやってい るのですか。特に派遣という意味ではなくて。   ○大槻次長   一応ガイドラインとして外国人を雇用する場合の留意事項の指導をしていまして、指 針があります。その中で例えば雇い入れの場合の就業条件の明示というか、雇い入通知 書については現地の言葉、外国語でなるべく行うようにという指導はやっています。   ○鎌田座長   では派遣法の内容という、いまのは労働条件、就業条件の話ですが、派遣法の内容を 周知させるという意味にはなっていないのですね。   ○大槻次長   そこまではできていません。   ○鎌田座長   なるほど。でも、いまの就業条件はその方がわかる言葉でわかるようにということで すか。   ○大槻次長   はい、そのように指導しています。   ○阿部委員   周知説明というのは事業者と登録者の間ですよね。そのときに何か法令遵守のための チェックシートの規格みたいなものを作って、それでチェックを全部させて、それを契 約の1つとしたらいいような気がするのです。例えばこの適用除外業務ではありません とかというのを、お互いに確認しながらチェックしていって、それがないと契約には至 りませんというようなことをする。これは法律とかではなく運用の話だと思うのですが、 そういったチェックリストみたいなものを作れば、大体間違いないのではないでしょう か。それで間違いがあったら、どこに何の問題があったかという所在もはっきりしてく る、そういうのをやるというのもどうなのでしょうか、あり得るのではないかと思うの ですが。   ○鎌田座長   いま請負のガイドラインなどは結構チェックリストみたいなものはあるのです。請負 と派遣の区分基準は。派遣法についてはどのようになっているか、そういうのもありま すか。   ○田中企画官   派遣法については特段ありませんが、就業条件等についてはモデル就業条件明示書、 日雇いのときにもそのようなものを作りましたが、こういったような形で透明性をもっ て雇用契約なり就業条件を明示していただくという1つのモデルを示すということはあ り得るのではないかと思います。   ○鈴木課長   チェックリストまでではないですが、最近派遣法のパンフレットを派遣元事業主向け と派遣先向けと派遣労働者向けの3つに分けまして、特に派遣労働者向けは、派遣登録 と職業紹介との違いから始まって、適用業務でないとか、登録されたところがきちんと 許可を取っている所ですかとか、わかりやすく詳しく書いたものをお配りしています。 それはある意味これを全部見ていけば、その内容がどうかはわかりますので、それがた ぶん先生方がチェックリスト的にやった方がいいのではないかということですが。   ○阿部委員   自動車保険などでも全部契約者と会社がそのようにやっているはずなのですよね。だ からそれはあってもいいのではないかと思います。そうすると絶対に問題はないですよ ね。見た、見ないというのもないでしょうし、最後にサインをさせればそれで。   ○有田委員   周知説明を行わせるというときに、その中身に例えば違反行為があると自分が認識し たときは、どこにそれを申し出ていくのかということを項目として入れておく。派遣元 責任者で対応できるのかというと、あまり適切ではない。派遣先との関係でいろいろト ラブルがあったときに、そこを通じて派遣先と話をして改善をするという役割において はよいでしょうけれども、派遣会社の人間として、派遣会社が違反をしているというこ とを派遣労働者がそこに持っていくというのは、やはり公益通報の基本的な仕組みの考 え方からいっても、ちょっと違うだろうと思いますので、例えば通報先として適切なも のを派遣会社が基本的には作った上で内部で対応できるならばよいが、それで駄目だと 思ったら労働局に行くようにというように、持っていく先をきちんと示しなさいと。そ ういうことを周知の中身に入れていくと、是正の仕組みとして最終的には辿り着くので はないでしょうか。まず困惑するのはどこに相談に行けばいいのだろうかということな のです。(3)に書いてある協力員制度もこういう中に示して、こういう人の所に相談に行 くという仕組みもありますということを周知させるのも必要ではないかと思います。そ の辺を周知項目の中に入れていくのも必要ではないかと思います。  この(3)の労働者派遣事業適正運営協力員なのですが、どれくらい知られているのかと いうことで、啓発が相当必要なのではないか、あり方もそうなのですが、そもそもが知 らない人が多いのではないかという気がしますが、その辺はいかがでしょうか。 ○田中企画官   協力員制度についてはポスターを作って掲示をするということもやっています。これ までは名簿を局ごとに備えまして、安定所に置くということはしていたのですが、前の ウェブ上でも見られるようにするほうがより広く収集できるということで、それぞれの 各労働局にホームページにこのようなページを設けていただいて、名前、連絡先を含め て掲示をするというのを進めているところです。   ○有田委員   日本とイギリスと同じようではないのですが、というのも、そもそもイギリスは全部 許可制をやめてしまっているので、その代わりに実効性確保の仕組みとして重大な法令 違反を行ったものについては派遣や職業紹介の事業に従事すること自体を禁止するとい う命令を裁判所に出してもらう、最高10年だったと思いますがそういう制度があります。 日本の法制では難しいのかどうなのか。例えば同じようなことを形を変えてというか、 名前を変えたりして、悪質な者は繰り返しそういうことを行うというのは、よく見られ ることですので、そういったことを防ぐ仕組みが何らか考えられないのかということで、 まとめまでにまた少し議論ができることがあるかもしれません。そこで、行政のほうで は現行の仕組みを前提として、そういうものを入れる余地があるのか、難しいとすれば どの辺が引っかかるのかを教えていただければ、また検討できるのではないかと思いま すので、よろしくお願いいたします。   ○鎌田座長   いまいろいろなアイディアが出されましたので、どこまで行政で従来の枠組みができ るのか、検討して教えてください。新たなご提案ということであれば、それを研究会と して提案するかどうか、また集約のところで議論したいと思います。  どうでしょうか。今日の最初のところにまで戻っても結構ですが、いかがでしょうか。 ○有田委員   確認だけしたいのですが、先ほど雇用のみなしのところの表の中で、1、2番だと行政 の関与がなくと出ているのですが、そういう私法的な扱いの規定がもし入ったとしたら、 行政として一切かかわれないということになるのか、例えばそういうものを設ける一方 で、しかし行政が一定の指導をするなり何なりの根拠規定を入れて、同時に流していく 仕組みができないのか、あるいはそういう規定自体を入れなくても行政としては一定の 何らかの指導はできないのか。例えば同じように考えていいのかわかりませんが、労基 法上、私法上の年次有給休暇の権利はそういう私法上の権利として労基法上保障されて いますね。そして年休が適正に取得できない、配慮がないので、年次有給休暇の権利が 行使できないのということについて、例えば申告で上がったときに、一定の指導に入れ るのではないかと思うのです。それと私法上の権利として年次有給休暇の権利は別途考 えられます。それと同じように、もしこういう私法上の規定を入れたとした場合でも、 行政がかかわれないと考えるべきなのか、その辺も行政側としてのお考えを伺いたいと 思います。   ○鈴木課長   基準法の話が出ましたが、基準法はもともと基本的にはそういう制度があって、それ を守らせることが労働基準監督官の使命となっているので、基本的には基準法も均等法 も全部そうなのですが、制度の是正をさせる仕組みです。基本的にそれの民事部分につ いては、従来からは行政は関与しないということだったのですが、そこを変えたのが平 成10年ぐらいでしたか、個別労働関係紛争援助法を作りまして、都道府県労働局の中に 紛争調整委員会で民事の斡旋をする。そこで制度の話と民事的な解決と両方を行政がみ ますという形にしています。ですから、派遣の場合についても、例えば民事法の話でみ なし雇用をやりましたら、裁判所に行くだけではなく、労働審判でもできますし、私ど もの個別紛争でも扱える格好にはなるのですが、いわゆる通常の行政指導ベースでは、 これは乗りませんということを書いたとご理解ください。   ○鎌田座長   あと、他に先生方、何かありますか。   ○阿部委員   みなし雇用の話で、あのとき話せばよかったのですが、派遣労働者が希望しない場合 というのはどのように考えたらいいのか。つまり、みなし雇用があるから、派遣先にも 違法行為の抑止効果がある。だけど、もし全員かわからないですが派遣労働者が希望し ないとなると、抑止効果は当然ないですよね。だから、みなし雇用があるからすべて解 決するかというと、どうも解決しないような気がしなくもないので、その辺りをどのよ うに考えるかと、いま思ったのですが、山川委員は別の議論から金銭解決というお話を したと思うのですが、私は直接的な制裁というところから、何かうまく金銭的なやり取 りができないかと思うのです。ただ、法律的には何となく難しそうだなとは思いますが。 みなし雇用があるから制裁ができたとなってしまって、そこで法の網をかいくぐるでは ないですが、そういうところが生まれやしないかという疑問があるなと思います。   ○鎌田座長   派遣労働者が希望しないことになると、みなしの効果が上がらないのではないか、あ るいは雇用の申込みを派先に課した効果も上がらないのではないか。理論的にはあり得 ると思うのですが、派遣先にするとそういったような行政勧告を受けるというのは相当 な負担だと思います。結果として抑制的効果というか、抑止的な効果があるかないかと 言われると、かなりの負担というか、抑止的な効果があるのではないかと思います。た だ、いま委員がおっしゃったように、損害賠償などの別の手段も考慮に入れてみたらど うかということは、それはそのとおりであると思うのです。ただ、そうなりますと、先 ほど私も言いましたが一応雇用申込義務という債務を課することになるのです。そうす ると、雇用申込義務を課することになると、それで雇用申込義務を課したにもかかわら ず、履行しなくて、雇用契約が成立しなかったから損害賠償となるわけです。ところが、 おそらく派遣労働者とすると、損害賠償にいく前に雇ってほしいというのがまずありま す。そうすると、どんな労働条件で雇ってもらえるのですかという話になります。それ を書かずに債務となるというように言えるかどうかというのが、私などは少し難しいか なと思います。要は何でもいいから雇いなさいという債務というのがあるかという話で す。それは例えば行政勧告であれば、裁判所の義務というわけではないので、先ほど言 った下回らないというような、かなりフワッとしたような勧告内容になって、そこはお そらく行政がこれから詰めていくと思うのですが、下回らないと言ってもいろいろな要 素がありますので、どのように捉えるかということは非常にいろいろな観点から検討し ていくことになると思うのです。民事的な債務になると確定させていかなければいけな いです。   ○有田委員   確定するための交渉義務みたいなものを課すと。ただ、交渉義務だけではどこで最終 的に折り合いがつくのかという基準がないのは確かに一緒ですが。   ○鎌田座長   理論的にはあり得ないわけではないけれども、交渉義務というのは履行しなかった場 合に、さらに交渉義務が発生するということですか。   ○有田委員   申込みをして、その段階で労働条件については交渉してきちんと決めなさいというこ とです。 ○鎌田座長   それで交渉しなかったらどうなるのですか。   ○有田委員   そうですね。それ自体がまた不履行となりますね。二段構えで賠償金が加重されると いうようにするのでしょうか。   ○阿部委員   現段階でも指導・勧告・公表の対象というのがあるわけです。さらに直接雇用を付け 加えるといったときに、直接雇用というのが抑止効果として強くないと、先ほど委員が おっしゃったように、いや、公表は大変だろうと。だけど、もう既にあるわけです。さ らに追加するのだったら、もっとそれ以上の効果を期待するわけなので、そこをどうき ちんとしていくかを考えるべきではないかと思います。   ○鎌田座長   指導前置主義にとらないで、雇用の申込みを派先に勧告するというのは、かなり大き な効果というか、いままでの派遣法の枠組みからいうと、新たな制度と言っていいぐら い大きな仕組みではないか。理屈は先ほどの趣旨で申しましたように、派遣先が違法な 状態を生み出す上で、何らかの関与をした場合に派先について責任を取ってもらう仕組 みになってきますから、そのための重要な措置として導入することになると思いまして、 派先にとっては相当大きな、違反しているからある意味では当然といえば当然なのです が、しかし、いままでの措置からいうと非常に大きな負担が重なるということになると 思うのです。  どうですか、よろしいですか。集約のところでもう一度ご議論いただくこともあるか と思いますが、特にないようでしたら、本日の議論はこれまでといたします。  1点だけ私からどこに申し上げたらよいのかがよくわからないので、要望として一言 申し上げたいのですが、今日、とりわけ偽装請負、違法派遣に関連して派遣先の雇用申 込みなどの措置について導入をしたらどうかというご意見があった、そういう方向性が 確認されたのではないかと思うのです。この雇用はある意味では偽装請負というのは派 遣事業と請負事業の区分にかかわる問題でもあります。派遣事業と請負事業の区分は実 際のところ非常に困難な問題を抱えておりまして、これをどのように判断するかと言い ますと、現在は労働省告示37号というものがあり、これで行政は区分基準を設けて指導 監督をしているわけです。この偽装請負に対する社会の批判が高まるにつれて、請負と 派遣事業の区分のあり方についてもいくつかの意見が出されております。その中の1つと して、派遣と請負事業の区分基準の一層の透明化を図ってほしい。運用において一層の 透明化を確保してほしいという意見もあるところです。  したがって、本研究会はこのような請負と派遣事業の区分の問題を直接に検討課題と しているわけではありませんが、今後、区分のあり方について透明性を確保するという 観点から、検討をどこかでしていただければありがたいと思います。以上は要望という ことで、特にこの研究会でどうするということではありませんが、そのように私は考え ます。  それでは、第5回から各論の議論を進めてまいりましたが、今回ですべての項目につ いての議論が終了しました。集約のところで残った議論について、さらにいくつかしな ければいけない問題も残っていますが、次回の研究会ではこれまでの議論を整理して集 約を行い、まとめた資料を提示し、報告書の取りまとめに向けて、さらに各委員の皆様 からご意見を伺いたいと思います。それでは次回の日程について事務局からお願いいた します。 ○田中企画官   次回の研究会ですが、7月11日(金)14時から6階の共用第8会議室での開催になりま すので、よろしくお願いいたします。   ○鎌田座長   なお、本日の議論について追加でご意見等がありましたら、事務局までご連絡をお願 いいたします。それではこれをもちまして、第9回の研究会は終了させていただきます。 本日は皆様方、お忙しいところをどうもありがとうございました。 照会先    厚生労働省職業安定局需給調整事業課需給調整係    〒100-8916東京都千代田区霞が関1−2−2    TEL03(5253)1111(内線5745)