08/06/23 第32回社会保障審議会年金数理部会議事録 社会保障審議会 年金数理部会(第32回)議事録 日  時:平成20年6月23日(月)14:56 〜16:54 場  所:全国都市会館3階 第2会議室 出席委員:山崎部会長、都村部会長代理、牛丸委員、熊沢委員、栗林委員、近藤委員、      林委員、宮武委員 議  事   平成18年度財政状況について    −厚生年金保険・国民年金(基礎年金)− ○村山首席年金数理官   全員お揃いになりましたので、ただいまより第32回社会保障審議会年金数理部会を 開催させていただきます。  審議に入ります前に、お手元の資料の確認をさせていただきます。  まず、座席図、議事次第のほか、  資料1は、「平成18年度財政状況−厚生年金保険−」でございます。  資料2は、「平成18年度財政状況−国民年金(基礎年金)−」でございます。  配布資料は以上でございます。  次に本日の委員の出欠状況について御報告いたします。本日は全員が出席でございま す。  それでは、以後の進行につきましては山崎部会長にお願いいたします。 ○山崎部会長   委員の皆様には御多忙の折、お集まりいただきまして大変ありがとうございます。本 日は、厚生年金保険及び国民年金の平成18年度財政状況についての報告を聴取いたしま す。  まず、厚生年金保険の平成18年度の財政状況につきまして報告を聴取いたします。 よろしくお願いします。それでは説明をお願いします。 ○山崎数理課長  年金局数理課長でございます。本日、まず厚生年金保険の平成18年度の財政状況とい うことで、お手元の資料1に沿いまして御説明をさせていただきます。  まず1ページをあけていただきまして、収支の状況を時系列で記載しておりますが、 一番右の欄、平成18年度ですが、収入総額35兆4,996億円、個別に見ますと、保険料 収入が20兆9,835億円で、対前年度9,250億円の増、4.6%の伸びとなってございます。 こちらについては、保険料率が引き上がっていることと被保険者数が増加しているとい う要因があります。  国庫負担は4兆8,285億円、前年と比較して2,891億円、6.4%の増となっておりま す。運用収入は、こちらにございます運用収入、これは実質的な財政を考えます場合に はかぎ括弧に入っています時価ベースの運用収入で基本的に考えていくということでご ざいまして、あと一点、そのすぐ下に「年金積立金管理運用独立行政法人納付金」とい うのがございまして、こちらについては実質的に運用収入と申しますのはこの2つを合 わせたものが制度にとっての運用収入ということで御理解いただくのがよろしいのです が、これで見ていただきますと、時価ベースの運用収入2兆4,536億円と納付金1兆 8,253億円、この両者を合わせた4兆2,790億円となりますが、こちらが実質的な意味 での18年度における運用収入です。  一番下の欄、積立金の運用利回りが3.10%ということで記載がございますが、こちら は運用収入として今申し上げた4兆2,000億円余、これを運用収入と考えました利回り になっています。  少し飛びまして、積立金相当額納付金、これはJR、JTの平成9年の統合に伴いま して積立金の移管を分割で払っているものですが、平成18年度2,567億円で、前年度に 比べて額が増えてございますが、こちらはJR共済が18年度に残額を一括納付したこと で額が増えているということでございまして、あとNTTもちょうど18年度で分割の最 終年度ということになりますので、こちらについては、平成18年度ですべて移管が終了 したということになります。  2つ下にまいりまして、解散厚生年金基金等徴収金、いわゆる代行返上の分ですが、 こちらは18年度は6,800億円、代行返上がかなり落ちついたということがございまして、 前年に比べてかなり低い額になっています。  その2つ下のその他、こちらも4,500億円ということで、額が膨らんでいるところで すが、これは下の特記事項の下から2番目の「○」を見ていただきますと、平成18年度 のその他収入には、旧年金資金運用基金の解散に伴い年金住宅融資回収金等が年金特別 会計に承継されたことによる収入4,282億円が含まれており、このように額が膨らんで おります。  これとの関連と申しますか、支出のところのその他を見ていただきますと、平成17 年度に4兆3,374億円とかなり大きい額が立っていて、18年度が2,210億円という例年 ベースの額に戻っていますが、こちらは17年度において、旧年金福祉事業団に係る財政 融資資金の繰上償還等資金財源、これが4兆841億円あったわけですが、これが含まれ ているということで、17年度は額が膨らんでいたという状況にあったところです。  それから、支出のほうですが、給付費が22兆2,541億円、2,678億円、1.2%の増。 基礎年金拠出金が11兆9,224億円、6,393億円、5.7%の増となっています。  これで全体としての収支残、これも時価ベースのところを見ていただきますと、これ が2兆103億円で、平成17年度は運用利回りがよかったということでかなり大きい額の 収支残が立っていましたが、それよりは小さい額になっているところです。  18年度におきまして、収入のところのその他の1つ上、積立金より受入が3兆4,167 億円立ってございまして、時価ベースでの収支残2兆8,103億円ですので、積立金より 受入額よりも6,000億円程度少ない額の時価ベースでの収支残になっているということ で、こちらを反映しまして、年度末積立金の推移で見ていただきますと、18年度末の時 価ベースの積立金が139兆7,509億円で、前年に比べ5,956億円の減少で約6,000億円 時価ベースの積立金は減少しているという状況にあるところです。  以上、御報告申し上げましたものはこの特記事項の一番下の「○」にございますよう に既に18年度の収支状況について、昨年の8月に決算として公表されたもの、その同じ 時期に積立金の運用報告書で報告されたものを再掲しているもので、特に今回新たにこ の数字が発表になったということではございません。  続きまして2ページは、今申し上げましたことを絵にしたようなものですので、省略 いたしまして、3ページ以降、給付状況でございます。  3ページ、厚生年金の受給権者数ですが、合計が平成19年3月末で2,615万5,000 人、前年と比べ104万5,000人、4.2%の増になっております。そのうち老齢相当が1,198 万4,000人、46万1,000人、4.0%相当の伸びとなっております。  年金総額で申し上げますと、25兆6,032億円、2,598億円、1.0%の増という状況に なっています。  これを支給、全額停止別等に見たのがこちらの表でございます。  続きまして4ページでございますが、こちらの下のほう、こちらが老齢年金の平均年 金月額を示しているところですが、実質的な額を示すものとしては、中段あたりにござ います繰上・繰下支給を選択した者、定額部分の支給開始年齢に到達してない者を除外 した平均年金月額、これが実質的な額を一番よくあらわす表かと存じますが、こちらの 額で見ていただきまして、16万7,976円ということで、対前年531円、−0.3%となっ てございます。平成17年の物価上昇率が−0.3%でしたので、平成18年度においてはそ の物価を反映したマイナス物価スライドが行われておりまして、必ずそれと同じ率にな るということではございませんが、今回たまたまここで見ましてマイナス0.3%となっ ておりますので、マイナスの主たる要因はマイナス物価スライドと考えられるかと存じ ます。  それを男女別に見たものが次の5ページでございます。  続いて6ページですが、こちらは加入期間20年以上の新規裁定の方の年金額を男女 計と男性・女性別に見たものでして、こちらを見ていただきますと、女性のところで、 17年度は11万35円だったものが5万9,682円ということで、女性の場合、1階部分の 支給開始年齢が、男性より5年遅れということで、18年度に61歳支給に引き上がった ということで、基本的に2階部分だけになったということでここが大幅に下がっており まして、ほかのところではその影響を受けた数値になっているところです。  7ページ以下は、さらにそれを年齢ごとに詳しく見たところですが、9ページを見て いただきますと、女性について年齢ごとで見たということで、こちらは末現在の数字で すが、9ページの60歳というところを見ていただきますと、19年3月末の数字4万3,490 円、これは60歳で2階部分だけの数値ということになるところでございまして、ことし の大きな変化としては、女性の支給開始年齢の、定額部分ですが、61歳引上げの影響が 統計としてあらわれてきているところです。  続きまして10ページ、老齢年金受給権者の年齢構成でございまして、男女計ですが、 男性に比べ女性のほうがやや平均年齢が高い傾向でございまして、男女合わせた平均年 齢が71.1歳ということで、これは17年度に比べ0.2歳上がっているという状況です。  続きまして11ページ、被保険者状況です。まず被保険者数ですが、19年3月末にお きまして、3,379万4,000人、前年との比較で77万2,000人、2.3%の増になっており ます。  厚生年金の被保険者数、これは平成16年度から増加に転じておりまして、18年度も また増加したところでございます。  被保険者の平均年齢ですが、19年3月末で41.6歳、これは見た目上は18年3月末と 変わっていないところですが、実はこの下の端数まで見ますと0.1歳伸びていて、前年 との比較では0.1歳の伸びになっています。  過去を見ていただきますと、大体1年につき0.1歳ずつぐらい伸びているという状況 ということで、これは男性・女性別で見ても概ね0.1歳ずつ伸びているという状況です。  それから、標準報酬月額の総額、この年度間累計ですが、18年度で126兆6,562億円、 対前年1.9%の伸びです。  標準賞与総額(ボーナス)ですが、24兆9,795億円、こちらは2.1%の伸びとなって おりまして、両方合わせました総報酬ベースでの標準報酬総額が151兆6,357億円で初 めて150兆円の大台を超えたということで対前年2.0%の伸びとなっています。  被保険者数(年度間平均)がその下の欄にございまして、その下に標準報酬総額の(一 人当たり月額)の年度間平均ということですが、これは男女計で見まして、37万3,849 円ということで、対前年△0.1%、わずかに下がったということでございますが、これを 男女ごとに見ますと、女性は0.2%増、男性は△0.0%ということで、下の桁まで見ると ほんの少し下がっています。男女それぞれで見るとほとんど下がっている状況ではない のですが、計では△0.1%とわずかに下がっている。  その上を見ていただきますと、被保険者は男性も女性も伸びているのですが、男性が 1.6%伸びているのに対して女性は3.1%と女性の伸びが大きいということで、賃金レベ ルそのものは女性のほうがかなり男性より低いので、その女性のウエイトが増すことに よりまして、両方とも単純に平均した標準報酬の伸び率は若干マイナスになっています。 男性と女性それぞれで見ますと決してそんなに下がっているという状況でもないという ことでございます。  次に12ページにまいりまして、被保険者の分布ですが、こちらにつきましては、一 番右のところに全体を100%としてそれぞれの年齢階層に何%の方がおられるかという 割合が記載してございますが、これを見ていただきますと、まず30〜35歳のところで構 成比14.5%、1つ山があるという状況で、こちらが団塊ジュニア世代に対応するものと いうことで、一方で55〜60歳のところに12.0%ということでもう一つ山がある。これ がいわゆる団塊世代に対応する山ということで、全国民を対象とする一般制度ですので、 人口の波を反映したような形での年齢構成になっています。  13ページ、男性について見ていただきますと、ほぼ全体と同じような状況で、30代 前半、50代後半のところに山があるという分布になっているところです。  次の14ページですが、女性の場合には人口全体の山という話と女性の場合、結婚、 出産等で一旦仕事をやめられるM字カーブというものが両方影響を与えるような構造に なっていまして、一番構成割合で多いところは20代後半、25〜30が16%ということで 一番構成割合としては多くなっています。ただ、これを時系列的に見ますと、昨年(17 年)は25〜30のところは16.5%という比率で、その前の16年度は17.1%だったので、 だんだん割合は減っていっている。これは団塊ジュニアの下の世代ということになりま すので、人口そのものの構成割合が減りつつあるということを反映しているのではない かと考えています。  一方で、30〜35のところは14.5%、これは3年間見てもほぼ横ばいの状況ですが、 その下の35〜40のところ、これは17年度は11.1%だった構成割合が11.8%に若干高ま っているということで、M字カーブがやや改善というか、女性がより働き続けるような 傾向が若干あることが伺われるところでございます。  55〜60の団塊世代の部分が10.6%でそれなりの構成割合を占めている。女性につい てはこういう状況です。  次に15ページ、標準報酬の分布というこれで、これは男性について見ますと、標準 報酬月額の平均が35万7,549円ですが、分布で見ますと、一番ピークになっております のが30万円のところで構成割合6.38%、これは例年どおりの傾向でございまして、62 万円という上限のところに9.58%、かなりの割合が張りついているという状況でござい ます。  女性につきましては、平均が22万7,439円で、分布のピークとなっておりますのが、 この平均に近い22万円のところ、9.19%、女性の場合は上限の割合は1.9%という状況 です。  続きまして16ページ、積立金の運用状況でございまして、まず資産の構成(時価ベ ース)ですが、預託金が39兆2,732億円、また、市場運用分が75兆3,501億円、財投 債が27兆5,701億円となっています。  承継資産の累積利差損益が△2兆4,426億円。年度末積立金、これは承継資産の損益 を含むほうをメインとして扱わせていただいておりますので、下の欄を見ていただきま して、139兆7,509億円という状況です。  運用利回りについても、承継資産の損益を含む場合で財政は考えておりまして、 3.10%となっております。  特記事項のところにございますように、資産構成ということで申し上げますと、厚生 年金の市場運用は、年金積立金管理運用独立行政法人において、厚生年金分、国民年金 分、旧年金福祉事業団から承継した資産、いわゆる承継資産を合わせて一体として運用 を行っているところでございまして、これら全体の運用資産の時価総額と構成割合はこ こにあるとおりでございまして、国内債券、この国内債券には財投債も含んでおります。 財投債はこれの内数になります。上の預託金、市場運用分、財投債という区分で申し上 げますと、ここで預託金を除いた市場運用分と財投債は、ここでいうところの総額114 兆5,000億余という、厚生年金と国民年金と承継資産を合わせたものの中の一部をなし ている。財投債はこの国内債券の中にカウントされているという状況ですが、こちらが 64.4%、国内株式が16.65%、外国債券7.92%、外国株式が11.03%、こういうことで 運用されています。それ以外に預託金がある、こういう状況になっているところです。  続きまして、17ページ、ここから財政再計算における将来見通しとの比較です。  財政再計算と比較するに当たりましては、実績の数字を将来見通しとベースを揃えた 実績推計に補正した上で比較することが必要になります。これは厚生年金基金の代行部 分を加えるということですとか、基礎年金の交付金を収支それぞれから差引きするとい うことで、財政再計算で推計を行っている形に実績のほうを合わせて、それでベースを 合わせて比べるということですが、この実績推計の欄と将来見通しを見比べていただき ますと、保険料が将来見通しで21.6兆円という見通しでございまして、実績推計ベース では21.9兆円、実績のほうが若干上回っています。この要因としては、見通しよりも被 保険者が多いという要素とそれと相殺するものとして賃金上昇率は見通しよりも低く、 若干被保険者の増加の要素がまさって見通しよりやや多い保険料収入になっているとい う状況です。  運用収益に関しては利回り次第ということでして、財政再計算上では見通し2.21%だ ったものが、実質的には3.10%で、3.5兆という見込みに対して、これは時価ベースで 見ますので5.2兆円という数値になっています。  その他のところ、これは大部分国庫負担ですが、見通しが4.6兆円に対して実績推計 は4.9兆円、実績推計のほうが大きくなっています。これは被保険者の増に伴い、拠出 金の算定対象者も増えますので、拠出金についてくる国庫負担が増えるという要素もあ りますし、あともう一点、国庫負担そのものが財政再計算上は国庫負担率が1/3+ 11/1000ということで計算されておりますが、現実には18年度は1/3+25/1000とい う国庫負担割合となっている。国庫負担そのものも若干高いという要素、この2つの要 素があろうかと存じます。  給付費に関しては、支出の計のところを見ていただきますと、財政再計算での見通し が32.9兆円に対して実績推計で33.2兆円、若干実績推計のほうが上回っておりますが、 ほぼ一致しているということかと存じます。  結果的に収支残のところ、これは将来見通しでは△3.1兆円で、積立金を3.1兆円取 り崩すようなことで考えていたということですが、収支残のところの実績推計を見てい ただきますと、△1.2兆円ということで、財政再計算の見通しよりは改善しているとい うか、プラスになっている状況です。  年度末積立金のところを見ていただきますと、これは財政再計算との比較ということ ですと、平成15年度以降の差の累積のような形になりますので、過去特に平成17年度 でかなり運用がよかったという分が残っておりますので、財政再計算上の見通しでは 160.8兆円という見通しに対して、時価ベースで173.6兆円という数字になっており、 12兆円余大きくなっているという状況にあります。  次に18ページ、被保険者数及び受給数でございます。  被保険者数については、将来見通しでは3,220万人と見込んでいたところでございま して、これは年度間の平均値ということですので、17年度末と18年度末の実績を掲げ てございますが、18年度末で実績のほうが3,379万4,000人ということで、将来見通し よりもかなり上回っているという状況ということで、これは近年の景気の動向の影響に よる被保険者数の増加により将来見通しを実績が上回っている状況です。  受給者数について老齢相当で見ていただきますと、将来見通しでは1,110万人という 見通しでしたが、実績は17年度末がこれより少し少なくて18年度末がこれより少し多 いという状況で、両者平均したものにほぼ一致しているという状況かと存じます。  ほかの年金種別ごとで見ますと、障害年金、遺族年金等は将来見通しに比べて実績の ほうが若干小さいという状況になっています。  19ページ、財政指標の比較です。  まず年金扶養比率ですが、決算結果実績のところで、これは再計算と比較するという ことですと、受給者を用いて算出した括弧内と比べるのが妥当であろうということで、 18年度で申しますと3.01という数字になっています。  財政再計算の見通しは18年度2.9ということで、これは2.9人の被保険者で1人の 老齢年金受給者を支えるという見込みだったものが3.01人で1人を支えるということ に相当しますので、見込みより若干財政状況は人数比で見るといいということでして、 これは見込みよりも被保険者が増えていることが反映しているところです。  次、20ページですが、年金扶養比率を補完する指標(年金種別費用率)ということで すが、こちらにつきましては、下の「*」がついた厚生年金基金の代行部分を補正した もの、こちらで見ていただくのが一番実態をあらわすということですが、18年度につき ましては、老齢の費用率が10.8、障害の費用率が0.2、遺族の費用率が2.6。これは独 自給付費用率を年金種別ごとに分解したものという性格のものですので、それぞれの費 用、基礎年金の部分は除いた独自給付の費用のいわば賦課方式の保険料率のようなもの と考えていただければいいかと思うのですが、こういう数値になっていまして、年金種 別費用率の総合費用率に対する構成割合、これを見ていただきますと、老齢が18年度は 58.2、障害が0.8、遺族が13.9ということで、17年度に比べて若干遺族の割合が増して、 老齢の割合が下がっているという状況です。  21ページは総合費用率でございますが、こちらにつきましても、厚生年金基金の代行 部分を補正した「*」のところで見ていただきますと、18年度が18.6%という総合費用 率になりますが、これは財政再計算上の見込みですと18年度は18.8という見込みだっ たということでございまして、これは数字が低いほうが財政はゆとりがあるということ ですので、財政再計算の見込みよりも決算結果のほうが若干いい状態になっています。 これも被保険者が見込みより増えていることの影響かと考えられます。  次の22ページ、独自給付費用率ですが、こちらも傾向は同じでして、18年度の「*」 のところを見ていただきますと、13.5、一方で再計算の見込みは18年度13.8ですので、 再計算の見込みよりも少しいい数字となっています。  次に23ページですが、収支比率ということで、これも厚生年金基金の代行部分を補 正した「18*」のところで見ていただきまして、これは時価ベースですが、104.1とい うことで、これは100を超えておりますので、若干積立金を給付に充てる状況になって いるということですが、再計算では、18年度は111.5ということで、もう少し積立金を 給付に充てる予定だったのが、運用が再計算の見込みよりは若干よかったので、積立金 を充てる分が少し減っていると、こういう状況と見られるところでございます。  次の24ページ、最後に積立比率ということですが、これも「18*」のところで見て いただきますと、18年度積立比率は6.2、再計算のところを見ていただきますと、再計 算上の見込みは5.8だったので、これも見込みよりも高い。特に積立比率は前年度末積 立金を当年度支出で割るということですので、ここで反映している積立金は、17年度末 の積立金ということになりますので、好調だった17年度の運用結果がそのまま反映して いるということで、再計算の見込みよりもかなり高い結果となっているという状況でご ざいます。  説明は以上でございます。 ○山崎部会長   ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして何か御質問等ございますでし ょうか。牛丸委員お願いします。 ○牛丸委員   昨年もお聞きしましたが、私の解釈が正しいかどうか確認をさせていただきたいので すが、1ページの財政状況等の概要、運用収入のところです。たしか積立金は預託部分 と年金積立金管理運用独立行政法人に寄託した部分、そこが同時に承継している資産に 分けられると思いますが、ここにまず載っている運用収入7,454億というのは、預託部 分の収益と解釈してよろしいのでしょうか。 ○山崎数理課長   さようでございます。 ○牛丸委員   年金積立金管理運用独立行政法人が市場運用した場合の実績がありますが、その中の ある部分といいますか、それが納付金ということで納められている。それがここでいう 1兆8,253億円と解釈してよろしいのですか。 ○山崎数理課長   さようでございます。 ○牛丸委員   時価ベースにした場合には、独立行政法人があげた収益を全部時価評価した部分と、 ただ、そこに納付金がありますので、納付金の部分を差し引いて、それに先ほどの預託 金の収益を加えた、それが2兆4,536億と、そのように解釈してよろしいのですか。 ○山崎数理課長   さようでございます。 ○牛丸委員   そうしますと、去年気がつかなかったのですが、次の2ページの図ですが、ここにも う一つ、運用収入に納付金が入ったほうがよろしいのではないでしょうか。簿価でも時 価でも結局納付金が落ちていますよね。 ○山崎数理課長   恐縮です。その辺、不備があったかと思いますので、訂正したいと存じます。 ○牛丸委員   そこで確認させていただいた上で質問なのですが、たしか預託金に関しては、20年度 で全部償還されるという予定。そうしますと、将来的には18年度に7,454億と入ってい ますが、将来的にはここが0になって、全部戻ってきたものは独立行政法人のほうに寄 託して、そっちで市場運用するということになるのでしょうか。 ○山崎数理課長   さようでございます。 ○牛丸委員   これは私読み方がよくわからないのですが、償還されると収益の部分でなく元金部分 が戻ってきますね。それはこの表には載らないことになるのでしょうか。というのは、 7,454億というのは、満期を迎えた預託分の収益部分に限定されています。元金部分は 戻ってきた。それがどこかにのっているのですか。ここにはのってないけど、積立金の ほうに加わっていると、そういう解釈ですか。 ○山崎数理課長   元本が戻ってくるのは収入ということではございませんので、収入のほうはあくまで 実態のある利息収入で載っていて、積立金のほうにはもちろん元本が返ってきたものは その一部を構成していることになるわけです。 ○牛丸委員   わかりました。あと、後ろのほうの16ページです。この特記事項の部分は厚生年金 と国民年金両方合わせたものだと思います。先ほどのお話ですと、上の市場運用分と財 投債がこの中に入っているということですので、ここにのっている厚生年金の上の市場 運用分と財投債の部分、次に説明されると思いますが、国民年金関係の市場運用分と財 投債のここの部分、その合計額が、下の特記事項の合計額に等しくなるということでし ょうか。 ○山崎数理課長   そこを御説明申し上げますと、この特記事項のところ、厚生年金分、国民年金分、あ と承継資産を併せて一体として運用を行ってございまして、まず厚生年金分はここにご ざいます上の欄の市場運用分と財投債75兆3,000億余と27兆5,000億余を足しました 102兆9,000億余、これが厚生年金の分でございまして、この後、説明申し上げます国 民年金の分で同じくこの欄の市場運用分と財投債を加えますと、約6兆6,000億円ほど ということになりまして、全体の合計114兆5,000億、この特記事項の欄でございます が、これから今の厚生年金の102兆9,000億と国民年金の6兆6,000億、これを差引き ますと、その差が5兆円ほど出まして、その5兆円がこの承継資産の額となりまして、 この三者合わさったものを独立行政法人が運用していると、こういう状況でございます。 ○牛丸委員   わかりました。ありがとうございます。 ○山崎部会長   ほかにございますでしょうか。宮武委員。 ○宮武委員   3ページ目なのですが、給付状況のところで、全額停止の項目で、老齢相当のところ の人員が、平成19年3月末は75万人になっていて、11.7%という形でほかのに比べる と増加率がすごく高いのですが、制度改正か何かの影響ですか。 ○山崎数理課長   全額停止、これは在職老齢年金による停止なのですが、60歳のところ、いわゆる団塊 の世代の方々がかなり入って来られたことで全体の方が多いのではないかと見られると ころでございます。 ○宮武委員   むしろ一律の2割カットみたいなことが取りやめになりましたよね、平成14年改正 で、それの影響かと思った。 ○山崎数理課長   済みません、2割カットが廃止になると、むしろ給付が出る方向ですので、全額停止 が増えるという方向での影響ではないということかと存じます。 ○宮武委員  割とフラットに来たのが、突然ここで上がっているので。 ○塚本年金課長   もともと60歳台前半の在職老齢年金は、在職、すなわち被保険者である場合にまず 最初に年金額を2割カットして、その額と賃金の額を合わせた額が28万になるまでは、 2割カットのままの額で、8割給付という形になり、28万を超えるところから賃金が2 増えることによって、年金額が1減っていくというような形になって、それで年金額が 全部なくなると全額停止になると、こういう仕組みだったわけですが、在職であれば、 必ず2割を停止するという仕組みを平成16年の改正でやめまして、当座年金は全額出る という形にして、それで年金額と賃金の額を合わせて28万を超えたところから2増える ごと、1年金を減らすという形にしました。  それは平成17年4月実施ということでございますので、先ほど数理課長が申し上げ ましたように、基本的には停止のライン、実質支給停止にはなりにくくなる改正という ことですので、この全額停止の数が増えている要因ということでは、実施時期も17年4 月からということですので、そこが直接効いているというよりは、17年3月末のところ から18年3月末のところが全額停止が少し減っていると。全体的な基調としては、60 歳台前半のあたりに団塊の世代がかかってき始めているという中で、人数的に増えてい る中で、制度改正の影響はどちらかというと、18年の3月末のところが微減になってい るというところだろうと思います。  今度は18年度に増えているというのは、先ほど申し上げたように、受給者自身が増 えているという要因によるものではないかと思います。 ○山崎部会長   これは、全額支給停止になるというのは高い給与で在職している人が増えるという、 つまり今60歳台前半で定年等の延長をする企業が増えてきているということではない でしょうか。高年齢者雇用安定法でそのようになっておりますけれども、いかがでしょ うか。 ○山崎数理課長   一般的にはそういう要素は考えられますが、もう少し分析してみたいと存じます。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。都村委員。 ○都村部会長代理  一般に就労期間・働く期間の延長は、人口高齢化の結果に対応するための非常に効果 的な手段であると考えられています。実際に退職年齢が1年引き上げられると、年金支 出へのインパクトがどのくらいになるかというのをシミュレーションをすることができ るのか。あるいは既にそれはされているのかどうかということですが、5ページの表に よりますと、男性・女性の老齢年金平均加入期間というのがございますが、4年前、平 成15年3月末と19年3月末を比べると、男性も女性も老齢年金の平均加入期間は12 カ月ほど延びています。これは実際に退職年齢の引上げとは即つながらないだろうと思 うのですけれども、財政状況を示すこの統計から、実際の退職年齢を把握できるのかど うかということをお尋ねしたいというのが1点。  もう一つは、17ページの収支状況に関連して、年金財政全体の規模から見ると大変小 さいと思いますが、育児休業による保険料免除についてお尋ねしたいのですが、17ペー ジの保険料には、育児休業によって免除された保険料が含まれているわけですね。育児 休業による保険料免除者というのは10年前に比べて約3倍に増えているのですが、18 年度の保険料というところに含まれているわけですね。それから、財政再計算の将来見 通し、その中に育児休業による免除された保険料が入っているか。結局厚年被保険者の 中での育児支援が行われているわけですね。だからここには入っているということでし ょうか。確認させていただきたい。  以上です。 ○山崎数理課長  まず第2点のほうから先にお答えさせていただきますが、育児休業による保険料免除 は、現実に保険料を免除されますので、そうしますと結局現実に収入する保険料という のは免除されてない分というか、免除分は入ってきませんので、ここは入っているとい うのが、その影響が入っているかというお尋ねであれば、もちろん影響は入っていると いうことで、免除された額というのは免除されて取られてないわけですから、この内数 になっているわけではないという事情です。 ○都村部会長代理  厚年被保険者で支え合うというか、支援し合うということは。 ○山崎数理課長  厚生年金の保険料率そのものが変わっているわけではないので、厚年の被保険者全体 で支え合うというのは、100年コースの全体の財政の中で支えているということで、免 除された分が何%分とかといって上乗せになって、すぐその年から取られていることで はないということでございます。 ○山崎部会長  つまり短期的には育児休業が増えると収入減になるということですね。 ○山崎数理課長  短期的にはそういうことでございます。 ○山崎部会長  ほかに、どうぞ。 ○山崎数理課長  前半の御質問ですが、平均の加入期間が延びていることと、いわゆる定年年齢・退職 年齢が延びていることとの関係ということで、もちろん関連性はあり得るということで、 より長く働ければその分だけ長く勤められるわけですから、当然関連性はあり得るわけ でございますが、ただ、それだけが要因かと申し上げますとほかの要因も複合している ということで、当然関係はあり得ると。どのぐらい効いているかというところの解析は なかなか難しいというところはございます。  あと、前半のお尋ねで、支給開始年齢を引上げたときに、どのぐらい給付費なり、年 金財政に影響が生ずるかということでございますが、これは実際のところ、今、支給開 始年齢の引上げは段階的に実施されておりまして、今現在のところは、男性の場合です が、2013年度までに定額部分の引上げ、その後、2025年度までにかけて報酬比例部分を 引き上げると。これは65歳までということで、支給開始年齢をさらに引き上げるという ような議論になりますと、どのあたりを出発点としてどういうペースで行っていくかみ たいなことによってかなり影響の仕方も変わってまいりますので、なかなか一義的に1 歳上げるといくらといったことは申し上げられる状況ではないということでございます。 ○都村部会長代理  支給開始年齢というよりも、実際の実効退職年齢というか、実際の厚年の被保険者の 方たちが、何らかの制度変更とかご自分の意思によって労働期間を延長し退職年齢がど んどん長くなってきた場合に、その実効退職年齢が1年引上げられたら年金支出へのイ ンパクトがどうなるか。外国などは結構関心があってシミュレーションしているという ようなことを読んだことがあるわけですけれども。支給開始年齢ではなくて、実際の退 職年齢の引き上げ効果についてです。 ○山崎数理課長  失礼しました。御質問の趣旨を誤解いたしまして恐縮でございます。その点に関しま しては、在職老齢年金がどうなっていて、あと、雇用が延びる場合にどのぐらいの報酬 で雇用が延びていくのかということと、どのぐらい効果が生ずるのかというのが密接に リンクしてくる話かなという気もいたしますので、それはむしろ具体的にどういうふう にどうなったかということですが、一般的には長く働いていただいて、それで保険料を 納めていただくことは年金財政にとってプラスであるのは間違いないところでございま して、実際高齢者雇用の高まりによりまして、労働力率が上がって、高年のところでも 厚生年金に入られる方が増えれば若干でも厚生年金の財政にとってはプラスなるという ことは認められるところでございます。 ○都村部会長代理  ありがとうございます。 ○近藤委員  いくつかあるのですが、7ページで女性が60歳に繰り上がったということで、この表 なのですが、次回ぜひやっていただければと思うのは、特別支給分を年齢別に、報酬比 例部分と定額部分と加算年金部分と3つに分けた形での表があればと思います。データ はもともとあるのでしょう。 ○山崎数理課長  今のところ、社会保険庁の統計システムでは、年齢各歳で、さらに定額、報酬、加給 という形で区分したものはとっていないので、今あるデータでそのまま出せる状況では ないということでございます。 ○近藤委員  そうすると、上の平均の数字、受給者数でこれをやるときには当然元データがあるの だから、それを仕分けするシステムをつくらなければならない。 ○廣瀬社会保険庁数理調査室長  社会保険庁数理調査室長・廣瀬でございます。簡単に申し上げるとそのとおりでござ いまして、この報酬比例部分、定額部分、加給年金ということを分けて報告を求めたい ということが年金数理部会からございましたので、社会保険庁のほうで、その数字がと れるようにプログラム等を開発したところでございますけれども、そのときには年齢ご とに出力するようにしておりませんでした。もともとのデータは個人個人のデータです ので、当然そこから集計し直せばとれるわけでございますけれども、現在ですと、根っ こからプログラム開発するようなイメージでやらないと、今、御質問にあったような年 齢ごとに3区分のものの数字をとるということは困難であるということでございます。 ○近藤委員  これをまとめるときに議論すると思いますので、そのときにお願いする事になるかも 知れませんので検討しておいてください。  次に確認ですが、被保険者数の変化で郵政の民営化、独立行政法人などで流動化があ るのかと考えていましたが現在のところは変化ないということですね。 ○山崎数理課長  郵政に関しましては、さようでございます。 ○近藤委員  NTTなどのときとは違いますが、法律に規定されているのですか。 ○山崎数理課長  今のところ、まだ共済組合は残っているということでございます。 ○近藤委員  それから、13ページの表を見ていてちょっと気になったのが、加入期間5年未満のと ころで、55〜60歳、60〜65のところがちょっと出っ張っているんですね。これはどうい うことが起こっているのか、理由がわかりますか。 ○山崎数理課長  ちょっと推測にすぎないのですが、ただ、共済組合でずっと入っておられて、55から 厚生年金に入られる方がおられると、年齢の高いところで、5年ぐらいとか、そういう 方もおられるのかなと思うので、確証はないのですが、1つ考えられるものとしてはあ り得るかなというふうに思います。 ○近藤委員  これは男性だけで、女性は普通の形になっています。来年も続くようでしたならば調 べるようにお願いします。 ○山崎数理課長  いろいろ調べてみたいと思います。 ○山崎部会長  ほかにいかがでしょうか。熊沢委員。 ○熊沢委員  11ページですけれども、被保険者数の推移があるのですが、被保険者数が19年3月 で77万人増えて、2.3%伸びているということですが、被保険者数が伸びるということ は、厚生年金の財政にとってプラスと考えていいのかどうかということが1つと、それ から、その下に男女別の人数がありますね。男性のほうが1.8%伸びて、女性のほうが 3.3%伸びているということで、結果的に女性のほうのウエイトが相対的に大きくなるわ けですね。こういうような動きは厚生年金の財政にとってプラスになると考えていいの かどうか、その2点を教えていただければと思います。 ○山崎数理課長  そもそも被保険者の増加が年金財政上プラスになるかどうかというのは、基本的に賦 課方式を基本とした年金制度でございますので、支える層が増えるということは、もち ろんそれによって社会保険ですので、将来の給付も増えるわけでございますので、増え た保険料収入の分だけそのまま財政がよくなるという短絡的なことではございませんが、 長期的に見ても、被保険者が増えるということは基本的には財政にプラスだということ で考えてよろしいかと存じます。  あと、男性と女性で、女性のほうがより伸びるという状況がどうかということで、厚 生年金には、基礎年金の仕組みを通じて所得再分配というものが織り込まれております ので、そういう意味では比較的報酬の低い女性の方がその報酬のままで増えるというこ とですと、財政にマイナスとまでは申し上げられない、男性も女性も増えている中での 女性の割合が増すということでございますが、同じ割合で増えるよりも、純粋に財政の 面だけから見ると、やや所得再分配での受け手に回る方が増えるというのは、高賃金の 方が増えるよりは財政のプラス効果はむしろ小さいというか、そういう状況はあり得る のかなということでございますが、実際のところ、男性と女性ということでございます と、今現在の賃金の差があるわけでございますが、それが将来どうなっていくかという こともかなり影響があるところでございまして、男女の賃金差額が縮小していって、よ り女性の賃金が男性に近づいていくということが同時にあるのであれば、年金財政上も 女性の増はさらによりプラスの要因となり得るのではないかということは言えようかと 存じます。 ○山崎部会長  今のはパートの適用拡大が財政にどういう影響を及ぼすかということにも関係するよ うなお話をされたのかなと思いますが、ほかにございますでしょうか。  それでは、以上で厚生年金保険の財政状況についての報告の聴取を終了いたします。  引き続き、国民年金の平成18年度の財政状況について報告を聴取いたします。それ では、説明をお願いします。 ○山崎数理課長  それでは、お手元の資料2に沿いまして、国民年金の18年度の財政状況を御報告いた します。  まず1ページでございますが、国民年金(基礎年金)に関してでございますが、基礎 年金におきましては、平成18年度、収入の総額が19兆1,381億円ということですが、 その中で、基本的な収入はこの拠出金等収入というところでございまして、17兆7,080 億円、対前年8,394億円、5.0%の伸びとなってございまして、その他のところに、1兆 4,187億円というかなり大きい数字が挙がってございますが、これは17年度(前年度) の収支残1兆4,142億円がほぼそのまま繰り越されて収入となっていますが、これはそ の下の欄、年度末積立金のところで、7,246億とずっと同じ数字が挙がってございます が、これは昭和60年の改正のときのいわゆる妻分の積立金、国民年金の積立金のうち、 任意加入の妻の分ということで、帰属が決まらない形で基礎年金の勘定に残されている この積立金の利息分がたまったものと、その他拠出金の未精算額等、それが加わったも のがこの収支残のところで、1兆4,142億円となっておりまして、これがほぼそのまま 繰り越されるという形で、18年度の最終的な収支残のところも1兆4,322億円というこ とで繰り越されているということでして、実質的なフローとしては、この拠出金等収入 の部分と支出総額の部分、これがほぼバランスしているということでございまして、支 出総額のところを見ていただきますと、17兆7,059億円、対前年6,899億円、4.1%の 増と、こういう姿になっています。  拠出金算定対象者数ですが、これは平成18年度5,748万人ですが、これは17年度よ りかなり減っているような数字になってございますが、これは17年度のほうがやや特殊 な事情があるということでございまして、下の(注2)にございますように、17年度は 第3号被保険者の特例届出の措置が講ぜられたということで、拠出金算定対象者数が 147万2,000人増加している。これは1人の人が、例えば5年分未届けだったら一気に 5年分入るという延べ人数でございますので、実人数でいいますと、41万人が平均43 月ほど届出されたということで147万2,000人増加しているということで、その分が17 年度加わっておりましたが、その分はいわば単年度限りの数値ということですので、18 年度は平常ベースの数字に戻っていて、こういう数字になっています。  拠出金単価、これが国庫負担分も含んだものですが、月額で2万4,626円ということ で、保険料相当額1万5,802円、これは前年と比べるとかなり高くなっておりますのは、 17年度がそういうことで特殊事情があって、拠出金算定対象者数が一時的に多くなって いたということの影響が生じているところです。  続きまして2ページ、基礎年金の制度別の給付状況及び負担状況ということで、平成 18年度の確定値ということですが、給付状況として基礎年金の給付費、本来分、本当に 基礎年金という名前で給付されている分ですが、これが13兆4,883億円。それに対して 旧法の厚生年金や国民年金、あるいは共済年金ということで出ていて、そのうちの基礎 年金に相当する部分ということで交付金の対象となっているものが総額で3兆9,653億 円、両者を加えた基礎年金の18年度確定値の給付費が一番右の欄にございます17兆 4,536億円となっています。  これと同額がその下の負担状況のところの合計にございまして、このうち、免除期間 分ですとか、20歳前障害の分の特別国庫負担4,674億円でございますが、これを差し引 いた残り、中段ぐらいの一番左の欄、16兆9,862億円、これを拠出金算定対象者で頭割 りするということで、各制度が拠出金を拠出するという構成になってございまして、こ れがそれぞれ下の欄にございますように、各制度ごと、被用者年金は2号と3号の分、 国民年金の場合は1号の方の納付者に基づく数値ということでございますが、1,099万 人等々と。これで頭割りした結果として、こちらにあるような数字になるという状況で す。  基礎年金の拠出金単価ですが、これは基礎年金拠出金、特別国庫負担を除きました16 兆9,862億円を拠出金算定対象者の合計、5,748万人。1号から3号まで全部足した人 数で割算して、12で割ったものが2万4,626円。これは国庫負担を含んだ数字というこ とですが、これを平等に頭割りする、こういう費用負担の構造になっています。  続きまして3ページでございますが、ここから今度は狭い意味での国民年金勘定、い わゆる第1号被保険者についての収支を整理する勘定、こちらの収支状況ということで すが、平成18年度収入総額、これも時価ベースで見ていただくほうが的確かと存じます が、かぎ括弧にありますように、6兆79億円です。  保険料収入が1兆9,038億円ということで、対前年442億円の減、2.3%の減となっ ておりますが、これは保険料そのものは、18年度は対前年度に比べますと、月額280円 上がって1万3,860円となっていたところですが、一方で、第1号被保険者そのものは、 後ほど申し上げますが、17年度末から18年度末にかけまして3%ぐらい減少している ということがございまして、あと、保険料の納付率も17年度67.1%から、18年度66.3% に若干下がっている。こういういくつかの要因が複合して若干保険料収入の減少という 状況になっていることです。  国庫負担については、1兆7,971億円、951億円の増となっておりまして、運用収入 のところ、時価ベースで見ていただきますと、1,522億円、それと年金積立金管理運用 独立行政法人の納付金、運用収入の実質的なものとしては、この両者を合わせました 2,880億円ですが、こちらが実質的な意味での運用収入ということになるわけでして、 これに基づいて算出される時価ベースでの積立金運用利回り、これは一番下の欄にござ います3.07%、厚生年金とほぼ同じぐらいの利回りになっていますが、こういう利回り でございます。  積立金からの受入が2,828億円です。  その他の欄、254億円と、前の年度よりも額が大きくなっておりますのは、厚生年金 のときに申し上げたのと同じように、特記事項の下から2番目でございますが、年金住 宅融資回収金等が年金資金運用基金の解散に伴い承継された239億円が含まれているこ とによって、これが少し膨らんでいるという状況でございます。  結果的に収支残、時価ベースで見ますと、△279億円となっていまして、これは積立 金からの受入額が2,828億円に対して、時価ベースでの収支残が△279億円ということ で、概ね3,000億円程度時価ベースでの積立金は減少していて、実際のところ18年度末 の積立金が9兆3,828億で△2,939億の減少という状況になっているところです。  次の4ページ、こちらのほうも、厚生年金のほうで御指摘ありましたように、本来で あれば、今の法人の納付金、こちらを入れなければいけないところを書き落としており まして、後日訂正させていただきたいと存じますが、絵にしたものです。  5ページにまいりまして、給付状況ですが、こちらにつきましては、新法の基礎年金 と旧法国民年金とを合計したもので、新法の基礎年金については、被用者年金の加入期 間を基礎とした部分の給付も一体となって入っているわけでございますが、被用者年金 のみなし基礎年金の部分に係る受給権者や年金総額はこちらの統計には含まれていない、 こういう性格のものでして、19年3月末で見ますと、国民年金の受給権者数が2,542万 人で、対前年102万人7,000人、4.2%の増となっております。  年金総額で申しますと、16兆1,000億円で、7,499億円、4.9%の増という状況にな ってございます。  全額支給、一部支給等の内訳がここにあるとおりでございます。  次に6ページ、中段のところ、老齢年金の平均年金月額でございますが、19年3月末 につきましては、5万3,202円となっておりまして、前年と比較すると239円、0.5%伸 びておりますが、これは減額支給されたものを除いた平均で見ますと、5万7,843円で △132円、前年に比べ△0.2%となっておりまして、−0.3%の物価スライドが行われた ということからしますと、若干マイナスぐらいが普通ということで、全体がプラスにな っていますのは、減額支給の人の割合が若干減っているというようなことが影響するの かと考えられるところでございます。  次の7ページですが、新規裁定の老齢年金の平均年金月額でございまして、これは18 年度5万2,947円ということで、対前年と比較して1,156円、2.1%の減少で、新規裁定 で見ますと、1年ごとにほぼ1年下の年齢の人が入ってまいりまして、そういう方は1 年ずつ加入可能年数も長くなっていますので、被保険者期間そのものは、こちらにござ いますように徐々に伸びていますが、加入可能期間の伸びのほうが大きいということも あって、新規裁定の平均年金額は若干下がるということがあります。  次に8ページ、老齢年金受給権者の年齢構成ということで、19年3月末の状況ですが、 男子が平均72.4歳、女子が74.3歳ということで、全体としては73.5歳。これは17年 度の数値と変わらない状況ということでございます。  9ページでございますが、第1号被保険者、第3号被保険者別に被保険者の状況とい うことですが、まず被保険者数で申し上げますと、先ほど総括表の説明のときにちょっ と申し上げましたが、19年3月末の第1号被保険者、これは2,123万人ということで、 対前年3.1%の減、67万3,000人の減ということで、平成17年度以降、それまでの増加 傾向から一転して減少傾向に変わっているという状況です。第3号被保険者に関しまし ては、男性に関しては若干増加しているのですが、女性が大部分占めておりまして、第 3号被保険者全体としてはずっと減少傾向が続いているということで、19年3月末で 1,078万9,000人ということで対前年13万3,000人、1.2%の減という状況になってい るところでございます。  平均年齢に関しましては、第1号被保険者の平均年齢が、端数で見て0.1歳増という ことで、数値としては40.0歳。第3号についても0.1歳増の43.2歳という状況になっ ているところです。  次に10ページ、(第1号被保険者)被保険者の分布ということで、男女合計ですが、 第1号被保険者の場合は、まず学生など若い方もそうですが、20〜25歳のところに非常 に大きな山があるということで、全体の19.9%がこちらに集中している。あと55〜60 歳のところにもう一つ山があって、19.5%がこちらということで、間のところが少なく なっていて、いわば二極化したような被保険者の年齢構成になっています。男女別に見 ましてもほぼそういう傾向です。 13ページでございますが、第3号被保険者は男性と女性は大分様相が違いますので、男 女別に見るということで、14ページ、男性で見ていただきますと、そもそも数はかなり 少なくて、全体で9万9,000人ですが、その中でも55〜60のところ、ここが一番多くな っているということで、これは実際どういう状況かということを考えてみますと、60に 達する前に結婚しておられる夫のほうが退職された後、失業されたという状況で、奥様 が厚生年金適用事業所に働いておられると。そのときには当然3号を申請して被扶養者 になられると、そういう状況が発生するということで、その辺を反映しているのではな いかということで、17年度は3万5,000人だったものが、18年度は3万8,000人と若干 増えています。  それに応じまして平均年齢も48.3歳となっていますが、対前年で0.3歳上がっていま す。  女性のほうに関してはそもそも人数が圧倒的に男性よりも多いということですが、一 番多いところが、35〜40歳のところで、全体の構成割合が18%ですが、17年度も同じ 傾向だったのですが、35〜40歳のところは、前年は17.3%だったのが、それより若干構 成割合が高まっているということで、第3号被保険者ということですので、これはある 意味でM字カーブの逆を行くような形のカーブになっています。  平均年齢に関しては43.1歳で前年に比べて0.1歳高くなっています。  次に16ページ、積立金の運用状況でございますが、こちらにつきましては、預託金が 2兆9,520億円、市場運用分4兆6,439億円、財投債が1兆9,640億円。先ほど御質問 に応じまして、国民年金の場合ですと、市場運用と財投債を足したものが約6兆6,000 億円と申し上げたのはこの数字でございまして、4兆6,439億円と1兆9,640億円足し て、6兆6,079億円、こちらのほうが、下の特記事項のところにございます年金積立金 管理運用独立行政法人で運用されて、預託金は国のほうで運用していると、こういう状 況になっています。  承継資産の利差損益を合わせまして、年度末積立金が、承継資産の損益を含む場合と いうほうを中心に見ていただくことになりますが、9兆3,828億円、承継資産の損益を 含む場合のほうの運用利回りの3.07%、これを総括表に書かせていただいています。  資産構成につきましては、厚生年金・国民年金・承継資産三者を一体として運用して いるそれの構成割合ということですので厚生年金と全く同じ数字がこちらに掲げてござ います。  続きまして17ページから財政再計算における将来見通しとの比較ですが、まず収入 のところ、国民年金の場合も同じように、基礎年金交付金を収入・支出の両面から控除 する等々、将来見通しとベースを揃えておくことで実績推計ということで比べることに なるわけですが、まず保険料収入については、将来見通しでは2.2兆円と見込んでおり ましたものが実績推計では1.9兆円と少なくなっていると。この差の主な要因としては、 そもそもの被保険者数が見通しより減少していると。見通しでは2,180万人と見ていた のが2,140万人。  さらに納付率の見通し、これが財政再計算上は75.7%と見ていたものが66.3%、こ の両方の要因によりまして、2.2兆円と見込んでいたものが1.9兆円となっているとい う状況でございます。  運用収入に関しましては、運用利回りが見通しより実績のほうがよかったということ で、0.2兆円と見込んでいたものが、時価ベース0.3兆円という数字となってございま す。  収入のその他のところ、これはほとんど国庫負担とお考えいただいてよろしいかと思 いますが、将来見通しが1.9兆円に対して実績推計1.8兆円、若干少ないわけでござい ますが、これは大部分基礎年金拠出金に対する国庫負担ですので、被保険者が減り、納 付率が低下することになれば、拠出金算定対象者も少なくなりますので、それにつれて 入ってくる国庫負担そのものは少なくなるという要素があって、そもそも少なくなるわ けですが、一方で、国庫負担割合が1/3+11/1000が再計算上の設定でしたが、実際 には1/3+25/1000ということで、国庫負担割合は再計算の見通しより上がっている。 これは若干相殺する要素ですので、1.9兆円の見込みに比べて1.8兆円とそれほど減っ てないのは、国庫負担割合の引上げの要素が若干それを緩和する要素として入っている とお考えいただければよろしいかと存じます。  支出ですが、基礎年金拠出金に関しましては、将来見通しで4.4兆円と見込んでいた ところが、4.1兆円という数字ということで、これは被保険者が減少し、納付率も見込 みより低下することによりまして、拠出金算定対象者が見込みより少なくなるというこ とになれば支出のほうもそれだけ減るという要因があるということです。  その結果、収支残については、再計算での見通しが△0.2に対して、実績推計の△0.3、 ほぼ再計算と一致するような状況ということで、ただ、年度末積立金については、15年 度から18年度までの間で概ね1兆円程度見込みよりも実績のほうがよかった。17年度 の運用収入の分がかなりの部分を占めているわけですが、将来見通し上10.6兆円であ ったのが、11.7兆円となっています。  下の特記事項のところの真ん中あたりを見ていただきますと、ここでいう財政再計算 上の積立金は国庫負担の繰延べ分、これが2.1兆円でございますが、これが加わってお りますので、すぐ上の欄にございますような積立金が9兆いくらという数字がずれてい るのは、主として、国庫負担の繰延べ分を加えるか加えないかの違いとお考えいただけ ればと思います。  次の18ページですが、みなし基礎年金受給者を含めた受給者数と基礎年金の被保険 者数の比較でございまして、まず被保険者数で見ていただきますと、将来見通しでは 6,930万人ということで見込んでいたところですが、実績では17年度末が6,988万人、 18年度末が6,976万人ということで、17年度末、18年度末を単純に平均いたしますと、 6,980万人ほどということで、将来見通しよりも若干多くなっていまして、これにつき ましては将来見通しより若干60歳以上のところの雇用等が増えていると考えられます。  あと受給者数につきましては、老齢年金のところを見ていただきますと、将来見通し が2,480万人という見込みですが、実績のほう、17年度末、18年度末の平均をとります と、ほぼ2,480万人ということで、こちらについてはほぼ見通しどおりに推移している というところでございます。  障害、遺族につきましては、財政再計算の値のほうは受給者ということで全額支給停 止を含まない数字でございますが、実績のほうは全額支給停止を含む受給権者ベースで しか数字が揃えられませんので、直接比較できないという状況になっているところでご ざいます。  以下、その下の欄もなかなか現実に統計をとるのが難しい部分が多くて、実績のほう も部分的にしか数字が入っていない。将来見通しのほうもなかなか数字がとれないとい うことで、これは今後に向けての課題にさせていただきたいと存じます。  19ページ以降でございますが、財政指標の比較ということで、まず年金扶養比率です が、こちらについては、受給者ベースの括弧内の数字を見るということで、18年度実績 が2.78ということですが、16年の再計算結果では2.8ということで、これはほぼ一致 しているということかと存じます。  20ページでございますが、収支比率ですが、こちらについて、18年度の時価ベース を見ますと、109.8ということでございまして、財政再計算での見込みが105.2です ので、こういう単年度の収支ベースで見ますと、再計算の見込みよりも1号被保険者そ のものが若干少なく、かつ納付率も見込みより低く、見込みよりこの財政指標上はやや 財政が厳しいということがこちらの数値に出ているところです。  21ページで、国民年金勘定の積立比率ということですが、こちらにつきましては、再 計算では18年度4.1と見通していたものが、「18*」のところで見ていただきまして、 時価ベースの補正後ということですが、4.9ということで、こちらにつきましては、17 年度の好調な運用状況が反映するということで、積立金の積立比率という意味では、財 政再計算の見通しよりもかなりゆとりがあるような実績になっていると、こういう財政 指標ということでございます。  説明は以上でございます。 ○山崎部会長  ありがとうございました。ただいまの説明に関しまして、何か質問等ありますでしょ うか。宮武委員。 ○宮武委員  1ページ目でございますが、基礎年金の保険料のことですが、平成18年度ですと、保 険料相当額が1万5,802円ということになっております。当時としては1万3,860円が 国民年金の保険料であったわけで、1,942円の差があるわけですね。私も長い間、間違 っていたのです。この1,942円の差がいわば未納・未加入者によっていわば今の加入者 が割り勘負けをしている分と考えればいいかと思うんですが、割り勘負けの分は、個人 の負担として上乗せして払うのではなくて、制度の負担として積立金で調整するという 御説明ですよね。そうするとそこのところが一番大事なところなのに、積立金というの はそのためにどれぐらい使っているのかということは、この数字の諸表の中には出てこ ないですね。どこかにございますか。 ○山崎数理課長  これは基礎年金ということで、1号、2号、3号合わせた全体の基礎年金に関しての 表になるわけですが、18年度で1万3,860円という保険料を払っているのは第1号被保 険者に関してということになりますので、そういう意味では、3ページの国民年金勘定 のところですけれども、3ページの18年度のところで見ていただきますと、国民年金勘 定として出す基礎年金拠出金が4兆1,002億円でございまして、これは特別国庫負担分 も入っているのですが、これは国庫負担そのまま入ったものが右から左へ行きますので、 これと対比するものとして見ていただくのは、上のほうの収入のところでいいますと、 保険料収入が1兆9,038億円。そのすぐ下に国庫負担が1兆7,971億円ということで、 これを両方足しまして、1兆9,000億と約1兆8,000億ですので、計3兆7,000億程度 ということでございますが、それに対して基礎年金拠出金4兆1,000億出しております ので、これがもし保険料と国庫負担だけしかなければ足りないわけですが、その足りな い分を運用収入、積立金からの受入れによってカバーしていると、そういう状況は国民 年金勘定の収支のところを見ていただくと、一応そこは読み取れるということになろう かと存じます。 ○宮武委員  初心者がつまずくのはこういうところなわけですね。今、世の中、随分誤解があって、 割り勘負けの分を結局は自営業者が入らないところの分、非正規労働者が入らないとこ ろの分を被用者年金制度の割り勘負けであるという、こういうのが流布されているわけ ですね。こういう財政状況を見たときに、決してはそれは個々人の負担でなっているわ けではなくて、制度としての負担として積立金で処理をして穴埋めを当然しておく。し かし、将来的には未納・未加入者には年金は支給されないわけですから、その時点にな れば積立金として戻ってくるという、その仕組みがもう少しわかりやすくするためには、 今、御説明である程度わかるのですが、そこがきちんとわかるような書き方がないもの かなと素人としては思うんですね。  次は同じことに関連して、2ページに行きますと、拠出金の算定対象者数は1,099万 人とこうあるわけで、これはだから皆さん割り勘を払っている人ですね、言ってみれば。 それを要するに払ってない人はということになると、第1号被保険者数とこのように出 ていて、下に2,123万人とあるのですけれども、ここはまた任意加入を含んでいるわけ ですね。そこのところで、未納・未加入が何人か、そこがわからない。と同時に、全額 免除が何人、全額免除の場合は当然計算外になるわけですが、しかし半額免除だと入っ ちゃうんですね。その辺のところはもう少し書き方があるのではないかと思いまして、 ぜひ工夫をしていただけないかというのが初心者なりのお願いでございます。 ○山崎部会長  どうぞ、今のお答えを。 ○山崎数理課長  これは年金数理部会としての様式をどう定められるかということともちょっと関係あ ると思うんですが、少なくとも注記事項のような形でもう少しその辺の事情がよくわか るような形のものを補足できないかというのは、私どもも部会の事務局とも御相談いた しまして改善を図っていきたいと存じます。 ○山崎部会長  今の部分免除の場合は、例えば半額免除ですと、拠出金対象者、実際に計算するとき は1/2にカウントしますよね。ここは実人員なのでしょうか。それとも1/2なので しょうか。 ○廣瀬社会保険庁数理調査室長  お答えいたします。まず、拠出金算定対象者数を計上しておりますけれども、これは あくまでも仮想的な計算でございます。国民年金の場合ですと、納められた保険料の月 数を、12で割るということで人数換算をしているところでございます。これが一般的な 全額の保険料の場合です。現在は、半額免除の方等が、いらっしゃいます。半額免除の 方は保険料を半分払うということでございますので、仮に1年間、この人が払った場合 は全額払っている人に比べますと半分の金額になりますので、1/2人ということでこ こには加算されております。そのような計算でやっておりますので、多少その分、目減 りしているようなことが発生してまいります。 ○宮武委員  あと3/4人分とか1/4人分が今度はそこへ入ってくるんですね。 ○廣瀬社会保険庁数理調査室長  そうでございます。もちろん3/4免除、いわゆる1/4の保険料を払う方々ですと、 1/4人、逆に1/4免除の方でしたら3/4人ということで積み上げられていて計算 されることになっています。 ○山崎部会長  そういったことも(注)に書いていただくといいという宮武委員のお話だろうと思い ますが。 ○廣瀬社会保険庁数理調査室長  検討させていただきたい。 ○山崎部会長  ほかに、都村委員。 ○都村部会長代理  18年度に行われた制度改正に関連して教えていただきたいと思います。18年7月から 多段階免除制度が導入されました。その前の17年4月からは若年の納付猶予制度が創設 されております。これらの制度は国民年金の保険料の納付率にどういう影響を及ぼした のでしょうか。未納・未加入者のうち、これらの制度を利用したものが増えているのか どうか、あるいは近年の第1号被保険者数の動向を見ますと、第2号被保険者から第1 号へ300万人以上移行してきています。第3号被保険者からも毎年75万人以上が第1号 のほうに移行してきていますけれども、そういうグループがこの新しい制度を利用した のかどうか、実際の納付率への効果というのはどういうものだったのでしょうか。多段 階免除制度は7月ですから9カ月間ぐらいですけれども、ただ、若年納付猶予制度は17 年からですから。 ○山崎数理課長  恐縮ですが、社会保険庁のほうで、どこまでしっかり分析しているか、ちょっとお時 間いただいて精査したいと思います。 ○都村部会長代理  よろしくお願いいたします。 ○廣瀬社会保険庁数理調査室長  わかる限りのところだけお答えいたします。まず平成17年度に導入されました若年者 の納付猶予制度でございますけれども、これにつきまして、17年度の納付率というもの が16年度に比べてどれだけ上昇したことに貢献したかということを分析しておりまし て、そのときにこのような法律改正事項で約1.1ポイントの上昇の効果があったと、社 会保険庁としては見ております。ただ、1/4免除、3/4免除になりますと、これは かなり難しくなっておりますので、去年その辺についても多少の分析というとおこがま しいんですけれども、どのぐらいの方が御利用になっているのかということを見たもの がございます。  そこで、例えば3/4免除の方というのがいらっしゃるわけですけれども、その前年 は一体どのような方だったのだろうかということで見ております。そういたしますと、 例えば3/4免除の方、これは18年度末だと26万4,000人いらっしゃるわけですが、 1年前は、申請全額免除でしたよという、全額免除から部分免除に変わったというよう な方が28.7%。逆に1年前は半額免除でした、つまり半額の免除から3/4免除です、 免除額が増えた方ですが、こういう方が41.1%。また、1年前は全部納めてくださいと いう免除ではなかったところからは21.7%と、こういうぐあいに異動しております。  申し訳ありませんけれども、前年についての納付状況というところまでの分析は至っ ていないというところでございます。一例でございますが、以上でございます。 ○山崎部会長  ほかに、牛丸委員。 ○牛丸委員  3ページの国民年金勘定の収支状況について少しお伺いいたします。新制度、基礎年 金、その人たちの場合には支給は基礎年金勘定のほうから出て、そのための財源をここ では支出の中の基礎年金拠出金ということで出ていく。その財源としては上の収入の中 の保険料と国庫負担。それから、旧制度といいますか、みなしの人たちに関しては、今、 新制度と同じように国庫負担と保険料を財源として拠出金、支出を出して、同時に基礎 年金交付金として受けて給付費で出す。  お伺いしたいのは、もうないのかあるのかわからないのですが、基礎年金でない旧制 度、国民年金の、それに関係する支出が、この中のどこに出ているのでしょうか、ある のか、ないのか、お願いしたい。 ○山崎数理課長  支出のところの給付費を見ていただきますと1兆8,149億円となっておりまして、一 方で基礎年金交付金はその5ぐらい上の欄でございますが、1兆7,108億円ということ で、結局給付費の中で基礎年金交付金でカバーされないものがこの差の分、約1,000億 ぐらいあるということになるわけですが、それというのは国民年金独自の給付というは …… ○牛丸委員   具体的にどういう。 ○山崎数理課長  具体的には、まず死亡一時金がございまして、あと新法の寡婦年金というものでござ います。もちろん旧法も込めてございます。そういう意味では、旧制度だけではなくて、 給付費のほうには新制度の分も入っております。いわゆる国民年金の独自給付というこ とで、主たるものは死亡一時金と寡婦年金ということかと存じます。 ○牛丸委員  そうしますと、現在の1号が支払い、納めていらっしゃる保険料というのはその分も 含めてと。基礎年金の保険料ということだけではないと解釈できますか。 ○山崎数理課長  さようでございます。保険料というのは基礎年金分+若干でございますけれども、国 民年金としての独自給付に対応するのを含むということになります。 ○牛丸委員  ありがとうございます。 ○山崎部会長  近藤委員。 ○近藤委員  国民年金の未納率の問題で、3年ほど前からこの部会で数字を出すようお願いをして いたわけです。今回、社会保障国民会議に出されたようですが、これを見ると予想通り 財政的には殆ど影響がないことがわかります。ただ制度としては未納があるということ は問題ですが、この資料について誤解を招かないようにもっとわかりやすく、もともと の分母が違うのだということを理解されるよう、年金数理部会でも努力していく必要が あると考えます。  次に、これは私見ですが、日本の現状は権利のみを主張して義務をどこかに忘れてし まうことが多々あるのですけれども、この年金制度では義務と権利の関係が明確で、こ れを補完しているのが免除制度であり、免除の適用により国庫負担分を受け取ることが できることになり大変よい制度であり、これの運用を適正に行うとともに、さらに普及 に努めることが重要であります。  また、われわれは毎年年金財政の健全性などについて分析しておりますが、16年改 正で年金財政の前提条件は政策的に解決すべき課題が多々ありますが、財政的には一応 安定したものとなり、さほどの問題はなく、ただ経済前提については大きな乖離が発生 することがあります。特に運用関係で起こりますが、それを長期的な観点からどのよう に判断するかが今後の課題であると思います。 ○山崎部会長  特に、事務局のほうから、ただいまの御意見について何かありますでしょうか。 ○山崎数理課長  今の御意見を踏まえまして、年金数理部会の事務局とも相談し、これの様式の中で改 善できるところは改善し、努力してまいりたいと思います。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。宮武委員。 ○宮武委員  もう一つだけ、5ページ目なのですが、給付状況で全額停止のところがありますね。 全額停止で老齢年金のところが対前年費で49%増えて、障害年金も20.9%というかなり 大きな変動が出ていますね。恐らく障害年金を受けているけれども、働いている人に対 しては、障害年金と老齢厚生年金の併給を認めるという制度改正があった、その影響で 老齢基礎年金を全額停止して、障害基礎年金を受けるという、そういう選択があったの で、この行って来いみたいな大きな変動になっているのかと思うのですが、確認です。 ○山崎数理課長  いわゆる障害基礎年金と老齢厚生年金の併給というような形の併給ができるようにな ったというのは確かに18年度からの制度改正ですので、タイミングといたしましては、 その影響は当然あり得るということで、これだけの変動ですので、恐らくその影響はあ ろうかと思いますが、なお、もうちょっとデータのほうを解析いたしませんと、確定的 なことは申し上げられませんが、その可能性は大いにあるかと存じます。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。熊沢委員。 ○熊沢委員  17ページの再計算と実績推計との比較で、保険料の納付率が見通しよりも低下してい ると記述してあります。納付率の低下が、先ほども話がありましたけれども、財政的に は保険料負担に大きな影響はないというような試算があるということが示されているの ですが、どのように理解したらいいのですか。 ○山崎数理課長  納付率の低下が年金財政に及ぼす影響というのは、このような形で単年度の収支を見 てまいります場合にはその場でストレートに保険料収入の減という形になって、これだ けの影響があるように見えるわけでございますが、実際にはここの段階で払っておられ ない方は、将来その分の給付が出ないという状況がございますので、そういう意味では、 先ほど来ございますように、そのときに人が減ることによって拠出金の単価が上がった 分というのは、積立金からそれぞれ立て替えるとか支払うような形になるということで、 将来その保険料を払わなかった人に給付が出ないということによりまして、全体の給付 が減ると、その段階で積立金のいわば立て替えた分が戻ってくるというような状況があ る。ただ、完全に戻ってくるかといいますと、その間の運用利息相当分まで戻ってこな いというような事情もございますので、若干の影響はあるわけですが、足元で保険料が 予定より減った、それがそのまま財政影響となって取り戻されないということはないと。 むしろ大部分取り戻してしまうと、そういう事情にあるのだということかと存じます。 ○山崎部会長  ほかにございますでしょうか。ございませんか。  それでは、これで本日予定しました厚生年金保険及び国民年金の報告の聴取を終了い たします。  なお、国共済、地共済、私学共済につきましては次回報告を受けることとしておりま す。本日はこれまでにさせていただきたいと思います。  次回の日程等につきまして、事務局に確認していただきます。いかがでしょうか。 ○村山首席年金数理官  次回の第33回年金数理部会につきましては、6月25日、明後日でございますけれど も、水曜日、午後3時から都道府県会館の1階の101大会議室で予定しておりますので、 よろしくお願いいたします。  以上でございます。 ○山崎部会長   本日はこれで終了します。どうもありがとうございました。 −了− (照会先)  厚生労働省年金局総務課首席年金数理官室  (代)03-5253-1111(内線3382)