08/06/18 社会保障審議会介護給付費分科会第51回議事録 社会保障審議会 第51回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 平成20年6月18日(水)午後3時29分から午後5時36分まで   虎ノ門パストラル 本館1F「葵」 2 出席委員:池田、石川、井部、大森、沖藤、小島(代理:吉田参考人)、勝田、川合、木村、齊藤、高橋(代理:久保田参考人)、武久、田中(雅)、地主、対馬、中田、三上、村川、山本の各委員 3 議題 <審議事項> 1.介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律等について 2.平成19年介護事業経営概況調査結果について 3.介護サービス事業の事務負担の見直しについて 4.介護予防サービスの定量的な効果分析について 5.その他 (鈴木老人保健課長) それでは、定刻より若干早いが、皆さん揃っているので、「第51回社会保障審議会介護給付費分科会」を開催する。  初めに、委員の交代があったので報告する。  天本委員、木下委員が退任されて、三上委員、武久委員が新たに委員となられた。  次に、本日の委員の出欠状況だが、大島委員、神田委員、田中滋委員、矢田委員が欠席との連絡を受けている。  なお、本日は、小島委員にかわって吉田参考人、高橋委員にかわって久保田参考人がそれぞれ出席されている。したがって、19名の委員に出席いただいており、定足数を満たしているということを報告する。  また、前回、3月25日に開催した給付費分科会以降、事務局に人事異動があったので紹介する。  秋山介護保険指導室長でございます。  それでは、以降の進行は、大森分科会長にお願いする。 (大森分科会長)  議事に入る前に、新しく委員になられた三上委員と武久委員からごあいさついただく。では、三上委員からお願いする。 (三上委員)  日本医師会の三上でございます。天本委員にかわりまして今回から介護保険を担当することになった。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  では、武久委員からお願いする。 (武久委員)  日本療養病床協会、この4月1日から会長に任命されました武久でございます。初めてで何もわかりませんが、よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  よろしくお願いする。  それでは、今日の配付資料について事務方からお願いする。 ○鈴木老人保健課長より各資料について確認。 (大森分科会長)  前回、3月25日にこの分科会があった後、ねじれ国会であるが、「介護保険法及び老人福祉法の一部を改正する法律」が通った。と同時に、「介護従事者等の人材確保のための介護従事者等の処遇改善に関する法律」が成立した。それで、5月28日に公布されているので、まず、この法律の内容を簡単に説明いただきたい。 ○古都振興課長より、資料1−1、1−2、1−3について説明。 (大森分科会長)  この介護従事者等の処遇の改善については、今、御報告があったように、この法律に基づいて厚生労働省がしかるべき措置を講ずる必要があるということになっているので、講ずると思う。  と同時に、実は、私どもの分科会といたしましては、この法律にのっとり、平成21年の介護報酬改定に向けまして議論をする必要があるので、その方向に向かって議論を進めたいと思うので、改めて皆さん方の御協力をお願いいたしたいと思う。この点、よろしいか。 (「はい」と声あり) (大森分科会長)  それでは、今日の大事な次のテーマは、平成19年介護事業経営概況調査の結果がまとまったので、これをまず事務方から報告していただきたい。   ○鈴木老人保健課長より資料2−1、2−2、2−3、2−4を説明。   (大森分科会長)  資料2−1の2枚目に読み取れる傾向を今、数値でお示しいただいた、これが取りあえずの今日の要約ということになると思う。  それでは、今回は概況調査であるので、これから詳細調査をするから、その段階でもう一回出てきた数字について御検討いただくことになるが、今日の段階でお気づきの点について、これから少し御意見をいただきたいと思う。どうぞ、どなたからでも結構である。対馬さんからどうぞ。 (対馬委員)   調査の評価分析というよりは、むしろ調査そのものだが、対象というか、回答率が資料2−1の下の方を見ると、前回よりおおむね半分から4分の1ぐらいと非常に下がっている。なぜそうなのか。ほかの調査でもこれだけ急に下がるというのは記憶がないというか、余りないのではないかと思うが、その原因が何かということが一つ。もう一つは、いずれ詳細調査が出てくると思うが、今現在やっている中で同様の傾向があるのかどうか。もし詳細調査もそういったことであると、極めて問題ではないかと思うので、この2点を確認したいと思う。   (大森分科会長)  基礎的なことであるので。どうぞ。   (鈴木老人保健課長)  御指摘いただいたように、実際に調査票を配布した後に、回答率というものがまずある。それから、回答率の中で、ある欄が書いていなかったりというようなことがあるので、調査側からもう一度その機関に問い合わせをして、最終的には有効回答率ということになるが、今、対馬委員がおっしゃったのは有効回答率の話だが、今回なかなかこの有効回答率が伸び悩んでいる原因の一つとしては、平成18年改正で予防サービスを入れた。予防サービスはかなりの施設なり事業所に書いていただくことになるけれども、前回の調査に比較して調査票がかなり大部になっているということで、我々の方も、各団体等の御意見もお伺いした上で、なるべく簡素化を図るということをしたいと思う。  それから、詳細調査についてのお尋ねがあった。詳細調査も、確かに回答率が非常に低いと精度という点で問題があるということだと思うが、詳細調査を始めた後に、実際まだ回収を終わる前に、各関係団体に一度厚生労働省にお集まりいただいて、この調査の意義、それからこういうところで主に引っかかっておられるというようなことも含めて、各団体に申し上げて、お願いした。概況調査よりは、詳細調査でかなり回答率が上げられるとは考えている。 (大森分科会長)   そういうことだそうであるが。   (対馬委員)  一言。ここにも関係者が随分おられると思うので、是非、詳細調査の協力方、御尽力方、よろしくお願いしたいと思う。 (大森分科会長)  これは、調査の項目、各事業者にとって、事業者が、通常、事業運営というか経営するときに、この種のデータを自分できちんといつも持っているもの、何か特段に加工しないと出にくいものだろうか。 (鈴木老人保健課長)  基本的には、年度単位できちんと会計を閉じているので、その年度単位で、詳細調査であれば3月までの年度のものを転記していただければいいが、難しいのは、例えば法人単位でされる場合が多いので、例えば法人で持っておられるけれども、その中の療養病床分だけを切り分けてやることになると、ちょっと難しい案分をしなければいけないということがある。そこはちょっと複雑だということになろうかと思う。 (大森分科会長)  なるほど。今の点ですか。 (川合委員)  はい。  まず初めに、やっとこの会が開かれたということで、事務局の努力に感謝するし、座長の御努力に、これから大変な会議が始まると思うけれども、よろしくお願いしたいと思う。  まず、一番初めに、客体数が今、対馬委員から出たが、これ、私の関係するところで行くと91である。ところが、全老健が今回、今年度が本気の勝負だと思っているので、去年の9月に全老健独自にしたのはnを900でやっている。これを御希望ならば次回公表するけれども、前回の平成17年、実際には16年度の3月の調査においても、3分の1抽出でありながら200ちょっとしかなかった。今回は、本調査は10分の1抽出である。非常にテクニカルなお話をしているが、対馬委員の方から今、nの話が出たので、その基本的なお話をさせていただくが。  それともう一つ、実際、帳票というものをごらんになっていただきたいと思う。約20ページ以上あって、1ページに20ぐらい数字を書かなければならない。それがどさっと来る。前から全老健は、この帳票を変えてくれ、変えてくれとお願いしていたし、総務省にも変えてくれとお願いしていた。総務省お墨付きという判こがあって厚労省でも変更しにくいとの見解であった。私は、ここでも、客体が38で級地別が出るのか。それにしても、この数で級地別の議論をしろというのは余りにも乱暴な数字ではなかろうかと思う。  我田引水ばかり言ってもあれだけれども、全老健も数字を把握しているから、希望ならば、次回提出させていただく。 (大森分科会長)  ちょっと心配である。施設も、事業所の方々も、これが出てきた結果によって今後の報酬改定の基礎資料になるわけであるから、自分たちの問題である。だけど、それにしてもこの数とこの回答率というのは、いろいろなものを考えるときに、やや心配だなと、素人ながら心配であるから、何か工夫が必要なのかもしれないし、少し今、御意見が出たから、事務方でもどうすればいいかと。どさっとたくさん来ただけで、何か気持ちがなえてしまうけれども、詳細調査するときには、きちんとした調査をするときには、ある程度きちんと真実を述べてもらわないと困るということもあるので、御意見が出たから、ちょっとその辺を。  今のことですか。 (中田委員)  今、川合委員さんからおっしゃったことと同じことであるが、例えば、全国老施協は、平成19年度の決算で通年での数字が出る。これも8月末ぐらいには十分間に合うということで今、作業を進めているので、これはかなり対象数も多いし、決算ですから非常に確率が高いということであるので、もし必要であれば、そういった資料も是非提出させていただく機会をいただきたいと思っているので、よろしくお願する。 (大森分科会長)  今の事柄について。 (三上委員)  この調査の仕方についてであるが、対馬委員がおられるが、中医協でも話題になったが、調査する場合、n数が少なくてもきちんとした評価をするには、やはり定点調査で、対応のある2群の比較をするということであれば、少々nが少なくともきちんとした評価ができるのではないかと思うので、是非、定点調査の件は考慮に入れていただきたいと思う。 (大森分科会長)  調査の件はここ止まりにしようか。 (川合委員)  ちょっと座長の指揮と違うことを言うかもわからないが、今、三上委員がおっしゃったようなことは、全老健は以前からずっと言っている。n数が少なくても定点をきちんと出してくれと。アトランダムに、今回は事業所の規模が大きいところを選んでいるなと思わざるを得んような数字もある。そういうことをきちんと、その基本的な数字を定点調査されるのか、あるいはn数を増やされるのかということをきちんと整理されて御提示いただきたいし、その調書そのものの記入の方法、これは我々の未熟さがあるかもわからないが、20数枚、1ページ20カ所も書けというような帳票は、我々、経理のプロではないのだから、無理な場合もある。 (大森分科会長)  このことについては終わりにするので、よろしいか。 (沖藤委員)  抽出について。 (大森分科会長)  抽出について。どうぞ。 (沖藤委員)  次回の抽出を20%でやるというときに、地区ごとの層化2段抽出というようなやり方でやるのか。 (鈴木老人保健課長)  そういうやり方でやる。 (沖藤委員)  わかった。 (大森分科会長)  では、木村さんどうぞ。 (木村委員)  資料2−2の2ページをごらんいただきたいと思う。先ほど説明があったが、居宅介護支援のところである。そもそも平成16年にマイナス12.9%だったので、単価を上げるということ、それから人員基準を50件から35件に下げたので単価を上げるということで、これは34%取りあえず上げていただいたが、改正制度設計上、当時の要支援者、それから要介護1の一部の人たちが、地域包括支援センターに移行しているということがかなり大きく影響していると思うが、一番右にあります1人当たりの利用者数というところで41.3人から26.6人まで落ちてる。これは、一つひとつの事業所の努力が足りないということもあるかもしれないが、大きく制度を変えたところでの影響というのはかなり大きいと思う。  それで、一生懸命自立できる事業所をつくっていくということで、右から3つ目のところに、給与を下げて、一生懸命今、利用者様のために努力しているということがここに出ている。また、居宅介護支援は100%を超える給与割合、つまり収益に対して、持ち出しである。ほとんど給与で消えてしまっているという状況にある。  そもそもそういう制度の大きな枠組みを変えていく中での被害者というか、そういうことにもあるかもしれない。この26.6人で食べていけるようにしてほしいと私は申し上げないが、やはり基準の35件担当したら人件費の出る、しっかり質の高いケアマネジメントをやったときにきっちりと自立できる事業所のビジネスモデルをここで検討を進めていただけないかということが1つである。  それから、先ほど来、客体の話があったが、資料2−3にある、事業所総数2万7,571件のうちで120件である。たった0.4%である。これで特別区とかそういうところで分けていったとしても、全くぶれてしまうような状況にある。詳細調査では、我々、日本介護支援専門員協会でも依頼があり、会員を通して詳細調査は徹底的にきちんと出すようには言っているが、やはり限界があるので、指定権者である都道府県の方からとかも要請してもらって、どこに調査票が行っているかはわからないが、やはり3年に1回こういうことがあって、これがもとでしっかりしたデータ分析をして、あるべき介護報酬の改定がされるのだということをもっと周知していかないと無理だと思う。  今年は3回目の報酬改定のところにいるが、15年、18年、今度21年であるが、やはり居宅介護支援事業所で見れば、小規模なところが結構多い。そうすると、この調査が何を意味するかということを一生懸命、我々普及啓発しているが、やはり届かないところがある。ですので、国だけではなくて、都道府県、市町村の力もかりて、こういう調査をきちんと入れて、現場のデータをここに反映するような形にしていただきたいと思う。今の事業所の状態と、調査のあり方ということで要望させていただいた。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  事務局、何か反応あるか。今、幾つか御意見が出たが。このままでやって詳細調査の結果が出てきて、それでもう一回議論するが、そのときに同じような議論がまた出たら、それを土台にして本当に検討に入れるかという疑問が素朴に出てくるであろう。 (鈴木老人保健課長)  冒頭にもちょっと申し上げたが、概況調査に比べて、詳細調査は基本的に5倍の客体数なので、これよりもかなり客体数が多いということと、それから、概況調査の有効回答率がこういう状況だったので、先ほどもちょっと申し上げたが、各団体には、きちんと回答率を上げていただくということでお願いしている。  ただ、先ほどから、各団体が調査をした結果を使うのはどうかということがあったが、勿論そういうものも参考にするのは必要かもしれないが、大切なのは、やはり同じ調査のやり方で、同じ項目をきちんと、いろいろなサービスを切ってみるということも大事なので、なるべく省力化に努力をしながらも、そういう点も大事にしていきたいと思う。 (大森分科会長)  では、内容について何か御意見があれば。川合さんどうぞ。 (川合委員)  今、公平性の観点があるとおっしゃったが、我々も反省点はある。過去数回あったこの実調に関して、来たから書いておけというような感じで書いてしまって、正確な数字ではなかったかもしれない。その数字で2回減額された。この数字が信頼性があるものなのかどうなのかということを反省して、去年の4月以来いろいろやっているが、まず、帳票の書き方の講習会を自前で年9回実施した。全国で。それで参加されたのが700施設である。今、本調査とおっしゃいましたけれども、10分の1ですから、全老健3,304ですから300である。今のパーセンテージからいくと大体200前後になると思う。我々は700施設、今、地道に数字を積み上げていっているから、どうであろうか、提案だが、公平性を担保していろいろしているので、300プラス700で1,000で基本的な数字としないか。それで財務当局と勝負してみたい。 (鈴木老人保健課長)  勝負とかそういう問題ではないと思うが。老人保健施設について申し上げれば、今回、我々の客体数は291で、これに調査票を送っている。そのうち回収されたのが202である。回収には不備があり、いろいろ問い合わせたが、途中で問い合わせにお答えいただけないということで、最終的に91となった。  先ほどから申し上げているが、これはあくまで概況調査でこの客体数なので、詳細調査では、具体的に老人保健施設が何倍かというのはちょっとサービスによって違うが、おおむね5倍ということなので、勿論、各団体が調査されたものを参考に供されるというのは当然だと思うが、一定のやり方で、同じ切り方で見たというのが大事だと思う。 (大森分科会長) 山本さんどうぞ。 (山本委員)  それでは、2つ3つお話しするが、この調査は、客体数が少ないけれども、ある意味ではよくできていると思う。ただ、少ないのがいけない。抽出率20%でいいとは言えない。本当は全部の調査数字が出るのが一番いいのだが。しかし、それでも20%が精いっぱいだというならば、4%に比べれば5倍であるからそれはいいと思う。ただし、この調査の結果は必ずしも悪いとは思っていない。だから、こういう調査をもう少し早目にやってもらわないと、来年の改定のときに、直前に出されて、さあ、これでどうだと言われても、なかなか判断しにくいのではないか。その点をひとつ考えていただきたい。  それから、報酬の見直しをするのはいいのが、何でもこのごろは、見直すというと上げることだけしか考えない。それは、我々保険者にとっては大変苦痛である。ですから、保険者の意見を十分聞くことも調査の対象になるのではないか。今までは余りやったことがないかもしれない。保険者と一緒だというようなお考えのようだが、保険者の意見も十分聞いていかないと、もし、片方の報酬の方を上げると、今の場合、これ以上保険料を上げるというのは難しいのではないか。  なぜ私がそういうことを言うかというと、高齢者医療保険が御承知のような状況であるから、同じである。対象になる人が、大半が高齢者である。それは若い人もいるけれども、大体老人の人が両方とも関係が深いということになるわけであるから、高齢者医療保険の方がかなりの影響を与えているし、同時に、これがうまく片付けばいいのだが、うまく片づくかどうかについては何とも言えない。だから、これの影響を受けて、いわゆる介護の方の影響を受けて、そして高齢者医療保険の方がまた、ある意味では頓挫するというようなことになるとかえって悪いのではないではないか。ですから、保険者の意見を聞くことも調査の一つではないのではないのか。保険者の意見を聞くことを調査対象にすることも含めていただくようにお願いしておきたい。  もう一つは、最後になるが、事務の見直しをしないと、要らない事務がたくさんある。どうもあなた方のところは、何でもたくさん事務でも書いて、ああだ、こうだとつくれば気持ちがいいかもしれないが、やる方の身になっていただきたい。我々のところなんて、そんなできない。だから、事務の見直しについては簡素化すること、これが一番大事なことである。いまだかつて、これを簡素化しましょうなんて一言も聞いたことがない。是非ひとつ事務の見直し、不要なものは統一してしまう、一つにまとめるということも大事なので、数を減らして、そして合理的な事務にしていくということをお考えいただくようにお願いしたい。  今、大まかなことを申し上げたけれども、大体そういうものが今回の問題点ではないかと思う。ただ、報酬を上げるというときには、必ず保険者の方が保険料の負担を考えなければならないということを覚えておいていただきたい。忘れないように。片一方だけやれは、片一方はどうでもいいということにはならない。事務でも、こんなにたくさんつくったのでは、事務の担当は困るだろうなとお考えていただきたい。だから、全部が相対性を持っているから、是非ひとつそこらあたりを忘れないようにして検討しておいていただきたい。  今回のこの4%は、私は余り人を褒めたことはないが、よくできていると思う。だから、これが数さえ拡大されておれば、私はいいのではないかと思うので、是非こういう趣旨で、今、私が申し上げたことも加えて次の機会には出していただきたい。お願い申し上げておきたいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  池田さんどうぞ。 (池田委員)  調査のまとめ方の話だが、地域別・規模別という形でクロス集計をしていただいて、これは非常に重要なことだと思うが、これだけではサービスの中身が見えない。実は、例えば居宅介護支援は大変大きなマイナスが出ており、これは何とかしなければいけないというのは一目瞭然だが、私は幾つかの自治体で、居宅介護支援事業所自身が、どんなケアプランをつくっているかというのを単位数で全部切ってみた。そうすると、非常によく頑張っているところは、3、4、5のところで一定の傾向を見せてサービスパッケージをつくっている。ところが、ある事業所は、要介護1から5までみんな5万円台でずらっと並んでいるという、すごい差がある。  介護報酬をつくるときに考えなければならないことは、悪貨は良貨を駆逐するというグレシャムの法則が働いてしまうことだ。それを避けるためには、非常にわかりにくくなっているが、前回は加算という形でつけざるを得なかった、これはやむを得ないことだと思う。  だから、例えばクロス集計のあり方として、施設については、例えば利用者に対する職員の配置でクロス集計ができないだろうかということが考えられるし、通所系サービスであるならば評価加算が動き初めている。評価加算で、いわば加算が取れたところというのは改善しているところなわけであるから、そういったところの収支状況はどうなっているのかとか、これは、そうしたことが20%抽出の中でしてほしい。できないとすれば、少し意図的に別枠で調べてみる必要があるのではないかという気がする。これではやはりフラットにしか見えない。一生懸命頑張っている介護事業者と、頑張っていないと言うと怒られそうだが、そこそこ手を抜いているところでは、同じ介護報酬で評価するというのは望ましいことではないので、その辺、次の段階で何か出ないか、その辺がちょっと希望である。  以上である。 (大森分科会長)  吉田さんどうぞ。 (吉田参考人)  現段階でそういう調査結果の内容について2点、質問または指摘をしたいと思う。  まず、第1点目ですが、給与について、連合加盟の介護労働者を組織する労働組合が行った2008年度就業実態調査と比較すると、例えば、訪問系介護員で、組合の調査では17万752円、それが概況調査では22万1,060円と、そのほかの施設系でも2割から3割程度の開きがあり、どちらも、概況調査の方が高い給与になっている。概況調査には、看護職が入っているとか、管理者の給与も平均の中に含まれているかと思うが、その点について、何かほかの要因が考えられればお教え願いたい、これが第1点目である。  次に、常勤率について指摘したいと思う。  見ると、どのサービスも常勤率が減っており、正規から非正規に置き換えられているのかもしれない。連合は社会保障国民会議において、非正規労働者の増大、またはそういう雇用形態の就労が増えてきたということが、結果的には社会保障の機能を劣化させていると訴えてきた。そういう点では、非正規労働者への転換という点も、また、雇用形態による賃金格差などはないのか、均等待遇がきちんと徹底しているのかという点につきましてこの分科会でも注視していくべきと考えている。  以上である。 (鈴木老人保健課長)  何点かあったと思うが、まず、池田委員から御指摘があった、ここに書いてあるもの以外のクロスはできないのかということである。我々の方でも、池田委員が御指摘になったもの以外の何点か、特にその質なりサービスの特性というものでクロスができないかということを少しトライしている。今回、客体数が少ないものですからなかなか難しい側面があるが、詳細調査に向けて、もう一段の工夫をしてみたいと思う。  それから、吉田参考人から給与の点で御質問あったが、今回、我々の調査の方は、ボーナスを12に割り戻して加えている。それから、社会保障関係の厚生関係の費用も乗せているので、そういう点で、実際に手元に毎月支払われる額と若干違うということだろうと思う。  あと、常勤率の話は、確かに常勤と非常勤どうかということであるが、ちょっと資料2−4をご覧いただくと、例に取って恐縮だが、1ページに特別養護老人ホームがある。すべてのサービスはこういう形式で分類しているが、総括表で、平成16年が左側、19年が右側、ちょっと青いふうになっている。資料2−4の1ページである。  これをご覧いただくと、21番から24番までが職種ごとの常勤の給与、25番から28番が非常勤の場合の看護師から介護職員までの職種別の給与ということになっている。これは、勤務時間が違うと少し違うかもしれないので、常勤換算1人当たりということであった、確かに常勤の方が非常勤よりも給与が高いということが、これはいろいろなサービスですべてこういうふうに分析しているので、一つはそういうことがあろうかと思う。  それから、もう一つは、今回、常勤率を下げている場合が多いが、どの程度の常勤率が適切なのかという、これは質の問題、それからもう一つは、施設系の場合は余りないかもしれないが、居宅系の場合には、いわばお客さんの数の上下によって、どの程度までは常勤できちんと職員をそろえて、ある程度は吸収できるようにするかということもあると思うが、それは質の問題も含めて今後の給付費分科会でまた議論していただければと思う。 (大森分科会長)  石川さんどうぞ。 (石川委員)  データの取り方の問題はいろいろ議論があるところだが、詳細はいずれにしろまた出てくるだろうが、取りあえず、今いただきました資料の時点での御意見を申し上げさせていただきたいと思う。  私ども保険者としては、基本的には在宅での介護を重視するという観点で地域で安定した介護サービスの提供を進めていくことが非常に重要なわけであるが、今回のこのデータによると、訪問入浴介護だとか、訪問看護、居宅介護支援、小規模多機能型居宅介護など、全体的におおむね在宅については収支サービスが、マイナスが非常に目立っている。一方で、施設系については、減ってはいるが、4%以上のプラスであるというようなデータも出ているが、今後これは、いずれにしろ最終的には詳細な資料を見てからの議論ということになるかと思うが、やはり施設と在宅のバランスをきちんと取っていくことが非常に大事なことだろうと思っている。  保険料の水準については、先ほど山本委員さんの方から話があったが、いわゆる増やすということだけではなくて、全体のバランスを取って改定をしていくということも、非常に大事だということを意見として述べさせていただきたいと思う。 (大森分科会長)  沖藤さんどうぞ。 (沖藤委員)  20%抽出になったら相当精度は上がるだろうと思うが、その際にお願いがあるが、データの取り方として、例えばこの2−4の資料の1ページの常勤・非常勤の給与体系が、看護師さんと介護職員と分けて集計したこと、これはデータとして大変わかりやすくていいが、問題は、初任給と5年、10年たった後の給与との比較がよく見えなくて、将来に希望が見えないというのが、介護職員の多くの方が言うことである。施設によっては給与体系を公表していないところもあるので、私の希望としては、平均を出すのは勿論大事であるが、初任給は幾らで、5年後は幾らで、10年後は幾らでというような体系が見られるような給与の計算というか、データの出し方というか、そういうものは、これは4%ですしパイロットサーベイなので今は無理だろうが、20%のときにはそういう計算の仕方で出していただけるとありがたいと思うので、よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  今の点、大切なことであるが。 (鈴木老人保健課長)  先ほどの池田委員のお話もそうであるし、今の沖藤委員のお話もそうですあるが、いくつかやはり調査するべきものというのがあって、ただ、それを全部加えていくと、また調査票が厚くなって書く方も大変だということがある。ただ、今の沖藤委員のポイントについては、実は、この調査のほかに介護労働安全センターがやっている調査があり、それが7月かそのぐらいにまとまる予定である。その中には、給与の変遷であるとか、あと離職の問題、離職もこれは大事な問題であるが、それも入っているので、そういうものを含めてちょっと分析をして、また御紹介したいと思っている。 (大森分科会長)  やはり働きがいとか、キャリアディベロップメントとか、それから事業所の中の人間関係とか、現場で働いている人たちが内から動機付けられるような、そういうインセンティブをどういう形で、ここだけに限らないことであるが、そのことは、特に介護の世界で非常に大事になっていることは間違いないので、どういう形にすれば今のようなことが生きるかということは、やはりきちんと考えておかなければいけないテーマであることは確かであるので。ありがとうございました。 (沖藤委員)  よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  川合さん、ちょっと待っていただけないか。 (武久委員)  療養病床協会の武久ですけれども、2−2の資料を見ると、介護療養型医療施設だけが収支差率が上がっているとある。これを見て一瞬どきっとしたが、サンプルが38しかないということで、これでは信頼性がないかと思うが、いずれにしても、老健の場合も一緒だが、同一法人内で、介護療養型の場合は、病院の中で医療療養があったり、介護療養があったり、一般病床があったり、そして院長なり理事長の給料をどう案分するかとか、経費をどう案分するかというのは非常に困難であり、単一施設のようにすぱっと出るということがなかなか難しい。  その辺の勘案をしていただきたいということと、先ほど池田先生もおっしゃっていたが、介護療養型も、6:1、6:1と6:1、4:1というのがある。そのようにスタッフをたくさん入れたところの経営はどうなのか、スタッフが少ないところの経営はどうなのか。一緒に一括するよりは、できれば分けていただいて、やはり人をたくさん入れているところは収益が悪いんだなというようなところもちょっと出していただけたらと思う。この結果では母数が少ないが、サンプル数が全体の20%になれば多分いろいろなものが出てくると思う。申し訳ないが、事務局の方はそういうことも勘案しながらやっていただきたい。  もう一つ、いろいろ出ているが、一体、事務局は収支差率何%以上が至適と考えているのかということをまず最初のメルクマールとしてお示しいただかないと、我々は3%、4%、5%の収支差益では、なかなか銀行に元金は返せないし、補助金もない。介護療養型医療施設には全く補助金がないという状況で、運営ができるかどうかというところの視点が、補助金があるところとないところでは大きな差があると思う。そこのところを一律同じように収支差率が5%あるからこれは削るのだと言われても、信頼性がないのでちょっとわかりにくいと思うが、やはり一般的な事業体としての存続可能な収益というのはどのぐらいかというのを、ある程度お示しいただければありがたいかなと思っている。 (大森分科会長)  ごもっともな御意見であるが、何か。 (鈴木老人保健課長)  非常に大事な問題だと思う。まず、前半の方の6対1・6対1、6対1・4対1の方であるが、療養病床の場合には、そういう2つの人員配置のパターンがあるが、ほかにもいろいろ加算を取っている場合、取っていない場合等があるので、どこまで細かくできるかは少し検討させていただきたいと思う。  それから、大体何%ぐらいが妥当な収支差なのかという御質問だが、これはサービスによってもかなり違うと思う。一つは、法体系も、それから実際の税も違う場合があるし、それから施設系のサービスと居宅系のサービスで違う場合があると思うので、具体的には、やはりキャッシュフローの問題、それからストックの問題等も含めて個別に見ていく必要があろうかと思う。  ただ、最後に1点申し上げたいのは、施設サービス、例えば療養病床なら療養病床全体を一律に見るのではなくて、今回はちょっと数が少ないので、どこまで細かいことが言えるかわからないが、やはり地域の問題とか規模の問題も併せてごらんいただいて、どういうところが本当にいま困っておられて、手を差し伸べなければいけないのかというのを一緒に考えていただければと思う。 (大森分科会長)  川合さん、お手が挙がったが。 (川合委員)  3点お話しさせていただきたいと思う。  まず、吉田委員からの質問に対して事務局の答えが、ボーナスを12等分したとおっしゃった。確かに9月の時点での調査はボーナス12分の1である。そのとおり12等分可能である。ところが、本調査、20%になって、4倍になっていい数字が出てくるねとおっしゃるが、ちょっと待っていただきたい。4月に調査したものは、3月の単月のものの数字である。3月のボーナスというのは、その年の、例えて言うならば、X年のXマイナス1年度のボーナスというのは4月、5月には出ていない。ということは、Xマイナス2年のボーナスを12分の1にしないと書けない帳票である。そういう技術的なことは、私、こういう細かいことは言いたくなかったけれども、そういうふうにお答えになったから、ああ、そうか、それならちょっと反論しておかなければいかんなと。帳票が、そもそも年度が違う数字を書かなければいけない帳票になっているということをまず1点。  2点目、石川委員がおっしゃられた、4%あるからいいねと。ちょっと待っていただきたい。介護保険ができるときに収益差益と減価償却と足したものの全老健の制度設計は15%だった。4に6を足したら幾らになるか。15になるのか。もう真っ赤っかの大赤字である。武久先生がおっしゃったように、借入金を返していかなければいけない。そういうところで、4あるからマイナス15がかわいそうだというのは、この数字のマジックに躍らされてしまっては、私ども、保険者の方と手を組んで、シェークハンドしたのだが、一方的なそういう発言も、ちょっと我々と御相談になってから発言していただきたいと思う。  それと3つ目、沖藤先生におっしゃっていたが、こういうデータ、今、事務局が言ったが、これである。介護労働安全センター。見えにくいと思うが、まさしくおっしゃっていただいたように、介護職員というのは5年後、10年後が上がっていない。ここに、見えるだろうか、この緑が一般職である。一般のサラリーマンの方である。10年後でこれだけの差がある。それでは現場から離れる。そのことを6月5日、日比谷の野外音楽堂で集会を開かせていただいた。166万の署名を背景にして全国から3,000人の方が集まっていただいた。私は、この166万と3,000人という仲間のためにも、多少行儀が悪いかもわからないが、これから1年、ちょっと発言をさせていただきたいと思っている。  以上である。 (大森分科会長)  何かだんだん楽しくなり始めてきた。今のことについて、ちょっと事務方。 (鈴木老人保健課長)  私も余りテクニカルなことは申し上げたくないが、3月の単月であるからボーナスがうまく反映されていないのではないかという川合委員の御指摘であるが、3月は、本給プラス月々の加算は3月のものを使っていただくが、ボーナスは、その年度のボーナスを12分の1にしてそれに加えていただいており、年間のボーナスはきちんと反映されている。 (川合委員)  違う。 (大森分科会長)  違うのか。 (川合委員)  はい。今言ったように、9月のこのプレ調査は事務局の説明のとおり、12等分可能で、そうなんである。9月に調査しているから、年度決算は出ている。ところが、3月の調査というのは、4月に帳票が送られて来るから締め切りは5月の末である。我々の年度決算は6月に出す。どうしてそれを12分の1にできるのか。  いや、細かいことを私は余り言いたくない。おっしゃったから言う。 (鈴木老人保健課長)  通常は年間ではないだろうか。 (川合委員)  我々いろいろ申し上げているのは、帳票はいろいろ問題がある、書かなければいかんことがいっぱいあるし、数字の基軸が違う。 (大森分科会長)  何かお答えあるの。 (鈴木老人保健課長)  通常は、老人保健施設の一般的な会計年度が何月から何月かということはあるかと思うが、年度の会計をしておられる場合には、3月で一度締めておられるはずなので。 (川合委員)  数字が出てくるのは6月である。 (鈴木老人保健課長)  そういうことになると、少し調査の提出を遅らせて、可能かどうかということになるかと思うが、大事なのは、その前の12ヶ月の間に支払われたボーナスがきちんと12割して乗せられているかということだと思う。そういうことで我々の方も徹底したいと思う。 (大森分科会長)  もう1時間過ぎているが、今日はどうしても5時半にこれを終わらせたいから、休憩をしないので、恐縮であるが、よろしくお願いしたい。  それでは、中田さんどうぞ。 (中田委員)  3月1カ月間の詳細調査の分析がこれから行われるということであるが、その分析に当たって、是非、内容について要望させていただきたいと思う。  実は、今、施設の燃料費が、重油等の高騰で異常な値上がりをしているということで、その経営に与える影響というのは極めて大きい状況にある。特に、私は北海道なんであるが、積雪寒冷地の場合は、私ども地域の中の調査であるが、平成19年度の決算で総収入の5%を超えているというような状況であり、それからまた、この4月から今月にかけて、もう既に2割ぐらい上がっている。極めて異常な状況であり、施設経営にも非常に大きな影響を与えることは間違いないと思うので、今進めている分析の中に、重油等の燃料費の高騰による経営への影響といったところも含めて、是非分析をしていただき、そして資料として出していただければありがたいと思っている。是非この辺を要望としてお願いする。 (大森分科会長)  さっき入浴訪問介護、若干それが要因としてあったが。 (鈴木老人保健課長)  具体的には、例えば先ほどの資料2−4の1ページ目のところであるが、これは介護老人福祉施設である。これで収入が1から5番、支出が6から12番となっているが、そのうち8番、その他という項目がある。これが、委託費というのはリネン類とかそういうものを委託するところであるが、それ以外のものについては光熱費等々であるので、それは我々の方で細かく取っているから、どこまで細かく出せるかはまたちょっとわからないが、分析は一度してみたいと思う。 (大森分科会長)  このぐらいでよろしいだろうか。もう一度詳細結果が出てきたときに、今日いろいろ御意見が出たので、調査の仕方、取り方、あるいは見方等について、現段階でも工夫ができることがあれば事務方でやっていただいて、もう一度この問題として検討し、それを土台にして介護報酬の改定についての検討に入らなければいけないので、そういうふうにさせていただく。  先ほど、山本さんからお話がございましたけれども、事務負担の軽減というのは、大きな話でございますが、その一部について今回は提示があるそうなので、その問題について御報告いただきたい。お願いする。 ○古都振興課長より資料3について説明 (大森分科会長)  何かお気づきの点はあるか。石川さんどうぞ。 (石川委員)  事務の負担につきましては、かなり複雑になって、また多岐にわたっているということで、事務負担が軽減されることは極めて大事なことで、こうした見直しを積極的に進めていただきたいと思い、また、結果としては収支にもいい影響を与えるのではないかということで大いに期待しているわけだが、ちょっとこの最後の部分で、特に都道府県、市町村との関係で、かなり過重な事務負担になるような調査をしているというようなことが指摘されているが、これは、私どもの自治体ではそういうようなことはほとんどないと思っているわけだが、本当にこういうような実態がどの程度あるのかということなども、しっかり調査していただいた方がいいのではないかと。  併せて、先ほど山本委員の話があった が、長寿医療保険との関係もあるが、各保険者がどこまで保険料の負担を求めることができるのかということについては、いずれにしろ平成21年から24年ということももう視野に入ってくるわけであり、そういうことからすると、どこまで介護保険が現制度の負担割合等で本当に維持ができるのかというようなことも含めて、是非、保険者の意見等、あるいは調査等も進めていただいて、仮に事務の負担ということでこういうことをやられていることがあるなら、これは当然是正しなければいけないわけだが、そうでないならば、こういった指摘はちょっと落としていただきたいなと。私の今の感覚では、ここまで指摘されるような負担をかけている自治体はそうはないのではないかと思う。現段階で何か調査をされているようでしたら、お聞かせいただきたいと思う。 (大森分科会長)  何か1〜2、典型的なものがあるのか。 (古都振興課長)  多分、石川委員のところがきちんとされているのはよく理解しているが、自治体も保険者も1,800を超えておりますし、都道府県も47ある。例えば、指定申請書類があって、そこで県に事前に持ってきた。直しがあった。それで終わりであるが、それについて、再度持参でなければならんというようなことを、郵送でいいような内容でも持参させるという指導をされているところもあるし、それから、独自の表をつくって、とにかくそこに毎日記入しておかなければいかん。だれが利用したか、名前をつくって、あるいは車の配置まで書いて、そういったことをやっているところも聞いている。  ちょうど昨年度末に事業者からもいろいろ聞いている。そういった中で、指導上の問題等々あるので、すべてと申しません、ごく一部そういうところがあるように実際聞いているので、それは個別にお話をさせていただきたいと思うが、我々、基本的には、常識的に見て、過度な負担になっているものがあるかどうかを是非自己点検していただきたいという要請を行いたいという趣旨であるので、別に都道府県、市町村がはなから何かそういう過剰なことをしていると決めつけているわけではないという趣旨だけ御理解いただいた上で、ただ、第三者から見たときにそういう問題があるというのであれば、是非今回見直す機会にしていただきたい、そういう趣旨である。 (大森分科会長)  そういう趣旨だが、この(4)だけ読むと、今、課長さんがおっしゃっているように、読みにくい。だから、ここは、若干の表現の工夫等があるんだと思うのだが。 (石川委員)  基本的に、市町村が保険者として主体的に進めることに対して、余り強い関与をする必要はないのではないかということがまず。ですから、個別にそういうことがあるならば、それは指導という範囲できちんと対応していただけるのではないかと思う。ここまで書くと、何かいろいろな思惑を逆に持たれてしまうので、その辺の表現を少し工夫していただければありがたいと思う。 (大森分科会長)  もう一度。 (古都振興課長)  基本的には自治事務なので、我々も、お願いするという立場なので、よくお願いしてまいりたいと思っている。 (大森分科会長)  では、この問題は。川合さんが先でした。どうぞ。 (川合委員)  山本委員と石川委員がおっしゃいましたので、何かこの4番ばかり注目されているように思うが、逸話というと失礼だが、その前に、私はエールを送っている。誤解しないでいただきたい。けんかしているわけではないから。勝負しようというのは、300と700を足して1,000でやろうということを申し上げているのであるから、その立ち位置を確認しておきたいと思う。  実は、数代前の介護保険指導室長にお願いしたことがある。それは何かというと、このページの、今は4番ばかり注目されておられたけれども、3ページの該当するサービスというところをずっと読んでいただきたい。そこの居宅サービス、例えて80歳の夫婦がいるとする。おばあちゃんが、表現がまずいかどうか、老婆さんがおじいさんの居宅サービスを希望した。5つした。幾つサインと印鑑が必要だと思うか。事業所と御本人宅と2枚保存しなければならない。それを改めていただきたい。表紙1枚をして、これとこれのサービスを受けるということを80歳のおばあさんにサイン1回で済む、印鑑1回で済むような手続はお願いできないかということを数代前の指導室長にお願いした。「あっ、やりましょう」ということでしたけれども、転勤されてどこかに行かれてしまった。  私、我々の介護保険の簡素化というようなことも大事だけれども、利用されている方々の事務手続というのか、せっかく介護保険というのは、今までの医療と福祉を合体したようなものができ上がったわけであるから、窓口一つだったら、帳票、利用者さんのサインを、そこからまず始めないか。保険者さんの話というよりも、今、居宅サービスを受けておられる方々のサインと印鑑の数の多さって、現場を御存じだろうか、8つあったら16枚サインしなければならない。コピーを入れていいのか。カーボン用紙入れていいのか。先生はいいことをおっしゃられたけれども、ある都道府県では、カーボン用紙を入れたらいかんとおっしゃっている。そういう細かいことを皆さん共通知識として持っておられるのか。4番ばかり協調されるのは、私は、利用者に一番近い立場としていかがなものかと思う。 (大森分科会長)  今回は、介護事業の事務負担ですから、今の御指摘も十分意味のあることで、利用者側が、これにかかわった利用者の皆さん方がどういう形で広い意味での負担を背負っているかということについて目を向けるというのは、そのとおりである。別にここだけに注意をしているわけではないので、全体として考えなければいけないと思う。  今、何かおっしゃれるのか。 (古都振興課長)  今、座長に整理していただいたとおりであるが、我々も一個一個書類を考えると、それぞれ完結するように書類も考えたりするところもあるし、それから、少し融通をきかせてもらえばいいなというところもあるし、制度の趣旨から言えば、サービスを受けたということでサインをいただくというのは、被保険者として是非やっていただきたいということではあるが、ただ、今言われたように、確かに16枚とかという話になるとどうだろうか。印鑑、あるいは書けない人はどうするんだというものを私も聞いているし、それは、例えば今言われたようにカーボンを入れるようなことでもいいのではないかとも思いうが、そこはある程度、本当に現場で臨機応変な判断ができるようなことにしていかなければいけないのではないかと思っている。  したがって、私ども、できるだけ現場の具体的な話をたくさん聞かせていただく中で、これは少し現場で工夫いただくこと、これはちょっと様式等を直さなければいけないこと、あるいは指導で直さなければいけない、そういうことを区分しながら、できるだけ負担を減らすことを念頭に置いて、そして、その結果がいいサービスにつながるという大前提のもとで、見直しを進めてまいりたいと思っている。 (大森分科会長)  契約と契約の履行についての記録をきちんと取るというのがこの制度の基本だから、それはきちんと行わなければいけないのだが、それにしても、どういうふうに工夫すれば若干でも軽減できて間違いなく運用できるか、その観点でいろいろなふうに考えていただければと思う。  武久さんどうぞ。 (武久委員)  複数の都道府県及び複数の市町村で事業を展開していると、本当にまちまちである。市長さんがおっしゃったように、適正に行っていただいているような市町村もあれば、確かに、決まっている以上のことを要求される市町村や都道府県もたくさんある。  今回、地域密着型というのは、市町村の保険者がやることになったと。それからまた、市町村の監査が独自にすることができるとなってきて、保険者としての市町村の主体性というものを重んじるとなっている。これは大変結構なことだと思うが、一部の市町村の一個人の職員の考え方で全然違うとなってくると、これは、例えば市町村のその一個人の考え方で、これもこれも出してくださいというのを全部聞かないといけないかといって、鈴木課長に言うと、そういう場合はおっしゃってくださいと言うんだけれども、そのときに、果たして保険者の自立、自由さを担保しておきながら、厚生労働省としてそれはだめですということは言いにくいのだと思う。一応、日本全国どこへ行っても、同じ保険制度でやるからには、同じような規制なり事務手続なりでやっていただかないと、そのときの担当員によって違うというのでは、私ども大変困るし、また市町村としても、事務手続が大変困るということもある。その辺、中央での全国統一性ということと、市町村及び都道府県の独自性というところの最大公約数をどういうふうにお考えになっておられるか、ちょっとお聞きしたいと思う。 (大森分科会長)  どうぞ。 (古都振興課長)  今言われましたように、この制度が全国の制度である、そのとおりである。一方、自治事務であるということで、基本的には、法律、政令、省令、それから告示、それから基準通知等々でいろいろお示ししている。それを、例えば一つひとつを明らかにする等については、どういう方法で明らかにするかということを、ある程度裁量でお示ししている部分も多々ある。ただ、そのときに、できるだけ統一した方がいいということについては、我々できるだけ文字的にきちんと明確にしていこうという努力はさせていただいており、そこがちょうど現場の事業者、市町村、市町村の自治と、それから私どもの統一性みたいなところのバランスを取る努力はさせていただいている。  ただ、どうしても、例えば監査指導担当者でも、市町村、都道府県で8,000人近くおられるようなこともあり、私ども、今言われたばらつきがあるのではないか、それから、担当者個人の理解に非常に左右されるのではないかということにつきましては、さきの公開の議論でも大変懸念はしている。例えば、今度事業者規制を入れるに当たっても、来年1年以内の施行であるので、今の具体的な行政指導等の内容も含めて、どうやったら都道府県あるいは市町村、国で考え方を一にできるのか、具体的な取組みを今後検討する中で、できるだけ統一すべきものは統一していくし、やはりある程度自治事務として市町村の裁量で十分行けるもの、あるいは統一しているよりももっと効率的な方法があるかもしれないので、そういうところも生かしながらバランスの取れる取組みをしていきたいと考えている。 (大森分科会長)  次に行くが、よろしいか。山本さんどうぞ。 (山本委員)  大変大事なことをあの方は言ったんだけれども、いいだろうか。  今さっきの質問は、まさにそのとおりだと私は思う。ところが、ここで議論したことが市町村には伝わっていない。いろいろな人が、大変立派なことを皆さんが言っておられる。それはここだけの話になっている。それを聞いて、あなた方の方でどういうふうにしたらいいかというのを判断するのだろう。ところが、今あなたが説明しているように、市町村とあなた方は言うが、あなた方はそれをやらない。県でしょう。県に持っていくものですから、県が中間におりますから、県と市町村の疎通を欠いた場合には、あなた方の意思は伝わらない。だから、今の行政機構からいったら余りうまくない。  本来、法律を、こんなものを例えば新しい法律とする、こういう議論をして、そしてこういう法律をつくるといって骨子をつくって、法律案を国会に提案して、法律ができ上がる。でき上がっても、その説明を十分にしていけばいいんだけれども、それをしない。全部県に渡してしまう。県がそこで、あなた方より以上に市町村に対して説明をしたり、あるいは指導したりすればいいのだが、やらない。ずっとやっていない。私が知っている間でもう35〜36年になるが、全然やらない。私の言うとおり、そうであろう。だから、あなたの言うのは全然説明が違うではないか。何であなた方がそういうことを言ったり、そういう考えを持つのか。  もう説明しなくてもいいけどね、間違っているから。 (大森分科会長)  IT時代のことがあるから、国の基本的な考え方とか処理の仕方をストレートに市町村に全部ITで流すということは重要である。だから、従来は都道府県に一回渡したから、都道府県でやってくださいでなくて、もうストレートに情報は全部市町村にやってしまう。その上で、場合によったら御相談事になればお集まりいただくという、ITを使えばいろいろなことができるのではないか。 (古都振興課長)  私ども介護保険情報というような形で、大体全市町村の方に、物によっては直接送るようにしている。ただ、それはインターネットで、まず、山本委員であれば福岡県に送ることになる。福岡県から各市町村に全部行く。私もきちんと、懇意な自治体には電話をして、「昨日ファクスを送ったけど県から行ったのか」という確認も時々やっている。そうするとなかなか遅かったりすることがあるから。 (山本委員)  どこにやっているのか。あなたは市町村と言ったが。 (古都振興課長)  だから、県を通じて全市町村に。 (山本委員)  県によく言わなければだめである。 (古都振興課長)  そのとおりである。だから、私と市町村で、きちんと届いたかどうかもリサーチをして、県の方にもお話をするようにしている。 (山本委員)  県にくどいほど言わなければだめだ。言い切ってはいないではないか。ここではそんなことを言っているけれども。 (古都振興課長)  いずれにしても、ITを使って、またしっかりと県の担当者にもよく、山本委員の意見もしっかり伝えながらやっていきたいと思う。 (大森分科会長)  もう一つ今日はあり、介護予防についての分析結果が、これは検討委員会をやっているので、ここから上がってきた現段階について報告いただきたい。お願いする。 ○鈴木老人保健課長より資料4−1、4−2について説明 (大森分科会長)  ありがとうございました。  1枚目の新予防給付効果が40%というのは、私は、当初以上の比率ではないかと。こんなに上がっているかと思っている。これは、これからまた3年間やるのであろう。だから、1回目は効くんだと思う。これを導入すると、そこで、実際にかかっている高齢者の方たちが、自覚したり、意識したり、頑張るというのは効くよね。2回目、3回目にそうなるかということは、もうちょっと少ないと行かないであろう。だから、今日の数値だけでこれがそうだとはなかなか言いにくいが、取りあえず、この段階ではこういうことが出た、そう理解しておくべきではないかと私は思うが、どうであろう。それでいいだろうか。 (鈴木老人保健課長)  分科会長のおっしゃるとおりで、これは1年間追った結果であるが、2年間、3年間追っていったときに、これと同じ定量的な効果が出るのかというのは、実際に悪化がどういうふうに進むかということにもよるので、それも含めて、もう少し注力をしたいと思う。 (大森分科会長)  何かお気づきの点があるだろうか。池田さんどうぞ。 (池田委員)  厚生労働省の調査で毎年、要介護度別に1年間でどう変わったかというのが出てる。それで見ると、2004年ぐらいから、軽度、重度も含めてですが、悪化率って減っている。大体3%から4%毎年減っている。これは40%ですから1けた違うが、それほどとんでもない効果があったのかというと、現実のサービスを考えると「う〜ん」という感じがする。  ただ、恐らく介護予防の具体的なサービスが何であるかということよりも、介護予防という考え方が出てきている。つまり、守って、かわってやってあげるサービスではないんだというその意識変革が結構大きく出たのかなと僕は評価している。  もう一つ、今、課長が言われましたから追加する必要はないが、こういうものは、初年度は全員にかかるから改善率はぐーんと上がる。ところが翌年度は、改善された人はもうそれ以上改善されるということはほとんどないから、新規参入者が改善される率にとどまってしまうので必ず下がる。必ず下がるということは、これは、この40%という数字というのは、ある意味で初年度に起きる現象であって、2年度、3年度はこういうふうには絶対に動かない。逆に改善された人も、ある意味で、やはり加齢とともに悪化していく。それがあるので、今日は言わないが、通所系の評価加算も、実は初年度に非常に改善して加算が取れるんだけれども、翌年は、改善された人はそれ以上改善されないので、どっちかというと悪化されてしまうのでそれが消えてしまうということで、これはちょっと考えなければいけないなと。その問題もちょっと感じた。  以上である。 (大森分科会長)  木村さん。 (木村委員)  今報告があったのが定量的な効果分析だが、昨年度、口腔機能向上と栄養改善の老人保健補助事業の調査班に加わった。これからその結果が報告されると思うが、全国の市町村と、それから地域包括支援センターの悉皆調査をやった。栄養改善と口腔機能向上についてをやったが、ほぼ半数の回収であった。結論から申し上げて、市町村が口腔機能向上、栄養改善のことを全然理解できていない。何かといったら、地域住民に対しての啓発、それから我々、ケアマネジャーというよりも、地域包括支援センターの職員等にきちんとした指示が出ていなくて、口腔機能向上、栄養改善のことがうまく進んでいないという結果が出ている。  2年前に、栄養改善、口腔機能向上、運動機能向上と三位一体でプログラムを導入した。高齢者から見ると運動機能向上はすごくわかりやすいものだから、やりたい、やりたいとそこに行くが、ケースとして、栄養とたんぱく質がきちんと摂られなくて、ふらついたり、息切れしたりというのが散見されているという調査結果がある。つまり、まだまだである。本当は国全体がやればいいのかもしれないが、地域と考えるとやはり市町村だと思うので、今後、介護予防の中の口腔機能向上、栄養改善、運動機能向上、これは三位一体で地域の方々にもっとわかりやすく参加しやすいようなプログラムをつくってあげなければならない。逆に言うと、全国的にまだまだでもこういういい結果が出ているので、もっとやれば、もっとよくなると思うので、是非、将来の介護給付費の増大のことを考えたら、今手を打たなければ間に合わないと思うので、そこのところをうまく調整していただきたいと思う。よろしくお願いしたい。 (大森分科会長)  今日出た資料と今までの御議論を踏まえまして、ちょっと私から一言申し上げたいことがある。  これから平成21年の介護報酬の改定についての検討を進めることになると思うが、先ほど御紹介があったように、秋に詳細調査の結果等が出てくるので、このデータに基づいて御議論を進めさせていただくということだと思うが、その際いろいろ、今日も御議論が出たので、それを踏まえて事務局の方で用意していただく。  それから、今日も出たけれども、サービス別、あるいは地域別、事業所別、規模別で相当細かいいろいろな分析とか検討が要るのではないかと思うので、その点も留意していきたいと思っている。  それから、先ほど、議員立法で成立いたしました処遇改善についても、厚生労働省は厚生労働省として措置を講ずることになると思うが、私どもとしても、この改定に向かって、法律の趣旨に合わせて議論を行うということになるものと承知している。それから、今日も出たが、保険者のお立場というか御苦労もあるから、そういうことについても十分配慮の中に入れながら検討を進めることになると思うので、その点よろしく御留意いただければというのが、私からのお願い事である。  最後に、今日お2人から資料が出ていますので簡単に御紹介いただく。では、沖藤さんから。 (沖藤委員)  貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。  「介護報酬改定について利用者・市民の立場からの意見書」を読み上げさせていただく。ただ、時間がないので要点だけ申し上げるが、傍聴者並びに随行の方には、この意見書がお手元にないようなので、事務局に、恐れ入りますが、次回にでも配っていただくようにお願いする。  それでは、要点だけ申し述べさせていただく。  「はじめに:制度のあり方について」、意見書提出の趣旨を申し上げる。2009年度の介護報酬改定は、走りながら考えると言われてきた介護保険制度のまさに正念場であると考える。介護保険財政の安定的な維持・サービスの適正化は大切なことであるが、家族を中心とする介護者を介護地獄から解放し、高齢利用者の生活を支える介護の社会化という制度設立の理念に立ち戻り、人生最晩年の命をことほぐ制度を更に充実させるよう、介護給付費分科会の皆様と議論を深めてまいりたいと思う。  10点項目がある。まず、「1.介護報酬の見直しについて」。これは、給与比率の低下にいての検討を提案いたします。収入に対する給与費比率が前年度84.1%から82.8%に減少している。介護報酬の見直しの検討に当たっては、事業収益に対する収支の差、収入に対する給与費比率が低下しているサービスについて、課題分析も含めて優先的に検討することを提案する。  「2.加算の設定について」。加算が質のいいサービスの保障になっているか。高齢者の選ぶ権利を保障しているか。加算条件の共通認識を提案する。介護給付費分科会において、改めて加算を設定する原則を確認し、加算をつくる条件について、今申し上げました共通認識を得るように提案する。  「3.居宅介護支援と介護予防支援について」。2点あるが、まず1点、要支援と要介護の移動を繰り返す利用者へのケアマネジャーの継続的利用を提案する。これは、利用者主体の介護保険制度の基本理念を実現できるようにお願いするものである。  2点目は、要支援認定者への介護予防ケアプランが、更に安心し、サービス調整のないままに在宅に戻る高齢者も出ているという現実を踏まえて、退院後の生活が安定するよう、介護予防支援のあり方について見直しを提案する。  「4.介護予防サービスの定額報酬について」である。これも2点あり、1点目は、要支援認定者が利用限度額の範囲内で必要なサービスを選択できるよう、定額報酬の見直しをお願いする。これは、多くの人から言われていることだが、実際にまだ余分がありながら制度の利用ができないでいるという現実に対して、改正をお願いする。  2点目、通院等乗降介助の対策の見直しをお願いする。また、更に1人の人が1日に何回か通院したい場合、一たん家に戻ってまた出るというようなこともあり、通院等乗降介助をできるよう条件を見直すことを提案する。  「5.訪問介護について」。これも2点ある。1点目は、特に同居家族がいる場合の「生活援助」が制限されている。昨年暮れ、厚生労働省は、「同居家族がいることを理由に、一律機械的に生活援助を利用できないとする判断はないようにされたい」という事務連絡を出したが、これがまだ徹底されていない。利用条件の再確認をお願いする。  2点目、散歩の問題など、介護予防の効果があると思われるサービスについてである。散歩にこそ、利用者一人一人の体や身体状況や生活実態などに合わせたサービスの提供が基本であると思う。このことについても再度確認し、明文化することを提案する。  「6.院内介助と退院計画について」である。これも2点ある。訪問介護における通院と乗降介助と院内介護を統合して、仮称ですが「受診支援」という新しい対策を設定することを提案する。これも、医療を必要とする利用者が大変困難な状態にあるということの表れである。  2番目、入院中の利用者の退院計画には、たとえ給付管理につながらなくても、一定基準のもと介護報酬に算定することを提案する。  「7.福祉用具レンタルについて」。保険者、ケアマネジャー、サービス担当者会議など、現場の判断によるサービス提供を提案する。現場裁量である。  「8.地域密着型サービスの利用への柔軟な対応を」提案する。市町村単位であることによって、非常に利用しにくい現実がある。例えば、隣接地区の利用とか、冬場など、子ども、夫婦と一緒に他市町村に移動したいという場合、住民票の移動がなくてもいいように何らかの取り計らいを要望する。  「9.居住費・食費の自己負担経験のための低所得者対策について」。これは、特に居住系サービス利用者に対するものである。利用者の選ぶ権利を保障するため、居住系サービスにおける低所得者サービスを新設することを提案する。  「10.人材確保について」。これは、これまでずっと言われてきていたことである。介護施設職員や訪問看護職員ともどもに、現実に見合った待遇改善、つまり給与や配置基準の配慮の見直しを提案する。また、サービス提供責任者の業務への評価を検討することを併せて提案する。  その他、「要介護認定における一次判定23項目の削除予定について」。認定に関しましては、従来、在宅介護者の手間が勘案されていないこと、認知症関連項目の問題が言われておられた。この削除によって軽度認定とならないよう、慎重なモデル事業の実施と十分な検討を強く求める。  「最後に」、訪問介護の「生活援助」が給付制限されている現在、「介護保険栄えて、生活崩壊す」の危機感が高まっている。高齢期の国民生活を守り介護の重度化を防ぐためには、介護保険サービスの中でも暮らしを支える部分の充実が必須と考える。介護保険制度が創設されて8年が過ぎた。介護保険サービスの質の確立ができる環境を整備することが急務である。2009年度介護報酬改定の議論が国民の目線に立つものであることを心から願い、介護報酬改定の議論が国民の理解と周知徹底を図ることができる内容となることを期待する。 (大森分科会長)  それでは、医師会の方からお願いする。 (三上委員)  平成18年・19年度の日本医師会の介護保険委員会の答申「『指針』の実現に向けて」をごらんいただきたいと思う。  この介護保険委員会では、「地域医療から捉えた地域ケア体制整備について」という会長諮問に対する答申として、この「『指針』の実現に向けて」を作成いたしている。  ここで言う「指針」とは、本会が2007年1月に発表した「在宅における医療・介護の提供体制−『かかりつけ医機能』の充実−指針」というものである。2025年に向けた高齢者の医療と介護について、将来ビジョンを支える3つの基本的な考え方と将来ビジョンを具現化するために、医師・医師会への7つの提言というものを示している。委員会では、今後の指針に掲げられた7つの提言を軸に、諮問事項である地域ケア体制整備について、地域医師会や医師のさまざまな取組み事例をもとに検討し、全国に普及・浸透するために課題がまとめられている。  更に、指針が示す3つの基本的考え方の普遍化についても記述しているほか、巻末には、補足資料も添付している。  答申の中では、患者の住み慣れた地域での生活を支えるために、医療と介護の協働する地域ケア体制の整備がうたわれており、院内及び院外の多職種により実施される退院時ケアカンファレンスと、地域の多職種によるケアカンファレンスがつながる、いわゆる切れ目のない医療連携体制の構築が強調されている。その実現のためには、医師の意識改革と団結が必要不可欠であり、それこそが地域医師会の責務であるとして、ネットワークの形成や地域包括支援センター等への積極的な協力をこの中で求めている。  以上である。 (大森分科会長)  前に川合さんから資料が出たときも、よく読んでほしいとおっしゃっているので、資料の余り細かい点までここで御紹介なくても結構だが、委員の先生方は、できるだけよく文章をお読みくださることをお願い申し上げる。  時間が来ていますので、今日はこれで終わりにする。 (勝田委員)  今後のスケジュールについて、次回で結構なので、大まかなスケジュールをしっかり提案していただきたい。  あともう一つだけ。今後このような経営状況の調査も行われるが、やはり根本的なことについては、私ども利用者の立場として、自分たちの収入で介護サービスを賄えるのは58%しかいない。そういう点では、勿論、市町村財政もあるが、国の根幹の負担割合もしっかり、今のままではなくて、やはり国の負担割合も含めた論議を期待したいと思う。  以上である。 (大森分科会長)  それでは、事務方に返す。 (鈴木老人保健課長)  次回、52回目であるが、ちょっとまた日程、議題等は御連絡したいと思う。  それから、今、勝田委員から伺った今後の日程についても、若干、次回お示ししたいと思う。よろしくお願いする。 (大森分科会長)  7月にありか。 (鈴木老人保健課長)  その予定であるが、まだ具体的になっていない。 (大森分科会長)  本日、ちょっと急ぐが、以上である。ありがとうございました。次回よろしくお願いいたします。 照会先  老健局老人保健課 企画法令係 TEL03(5253)1111(内3948 3949)